○河本国務大臣 まず、節約の問題でございますが、節約問題は
石油価格が非常に上がりまして貴重品になった、
各国とも外貨の関係で困っておる、こういうことから特に消費国間におきまして、お互いに節約しようじゃないかという運動が強く持ち上がりました。ことしは大体消費国全体で二百万バレルということを目標にいたしまして、
わが国はその中で十五万バレル、アメリカが半分の百万バレルということを目標にしております。来年はさらにそれをふやしていこう、こういうことでいま打ち合わせをしておるわけでございますが、これは
備蓄と並行して私
どもは今後も強力に進めていかなければならぬというわけで、通産省だけの運動ではございませんで、内閣全体としての、政府全体としての運動として内閣に、
資源を大切にする運動本部というものをつくっていただきまして、ここと通産省が連絡をとりながら
資源全般、特に
石油の節約ということについて懸命に取り組んでおるわけでございます。
それから、
価格の問題につきましては、御案内のように今月の六日から十一日までガボンでOPECの閣僚
会議が開かれまして、いろいろなことを
決議いたしておりますが、大きくこれを分類いたしますと、
一つはこの九月に総会を開きましょう、その九月の総会において
価格の調整を検討しようじゃないかということが
一つであります。それから、取引の単位をドル建てからSDR制にすればどうだろうか。これは一部の国に反対があるようでありますが、そういう問題を検討しようということ。それからさらに、ガスの問題につきまして、主として天然ガスの問題でございますが、LNG等については
石油よりもいろいろな点で有利な面も考えられるから、このガスについて強力なカルテルをつくって、そうしてガスの有利性を強調しつつ、OP
EC諸国の利益を図っていこう、こういうことを決めておるようでございます。ほかにもいろいろ雑件があるようでありますが、大きく分けますと以上三点に尽きるわけでございますが、その中でも特に必要なのは、このガスの問題と、それから
価格調整の問題でございます。
私
どもの
考え方といたしましては、
日本も先般第三次不況対策を立てまして懸命に景気対策をいまやっておるわけでございますし、アメリカも御案内のように
相当思い切った景気対策をやっております。それから、
ヨーロッパ諸国におきましても御案内のとおりでございまして、
各国とも景気の落ち込みが大変ひどいものですからこれじゃ困る、何とかせにやならぬというので一生懸命に対策を立てまして、ようやくこの秋ごろから
各国の景気が上昇機運になりそうな気配が出てきたわけでございまして、そのやさきにまたOP
EC諸国が大幅な減産をしておるにかかわらず、
経済原則を完全に無視してここで幾ばくかの
石油の値上げ問題が仮に起こったといたしますならば、現在の世界
経済の体力というものは非常に衰弱をいたしておりますから、少しの値上げを吸収する力もございませんで、若干の値上げといえ
ども、これが非常に大きく響きまして、せっかく上昇機運にあります世界全体の
経済にまた非常に悪い
影響を与える、そういう点が
石油問題を取り巻く当面の最大の課題であろうと私は思います。世界
経済が活力を取り戻しまして健康体になりましたならば、若干の値上げなら、これは吸収する力も出てくると思いますので、OPECはあれだけの一千億ドルという外貨収入があるわけでございますから、世界
経済が健康体になるまでは何とか値上げを待ってもらう、そうして健康体になればそのときに初めて若干の値上げも可能になると思いますが、そういうことについてやはり突っ込んだ話し合いをするためには
産油国と消費国が一刻も早く対話の場を持つということが必要である。先般のパリ会談が一次産品問題を扱うかどうかによりまして御案内のような結末になりましたけれ
ども、やはり一次産品問題を取り上げまして、
石油問題と並んでこれを産消国共通の課題にしませんと、なかなかこの
会議というものは開かれない。幸いにアメリカも英国も取り上げてよろしいという機運になってまいりましたので、そういう
方向で一刻も早く私は
産油国、消費国の
会議を開いて、そうして
先ほど申し上げましたような
石油の
価格問題について忌憚のない意見の交換をする。そうして、何が世界
経済全体のためになるか、何が
産油国、消費国共通の利益になるかということについて本当に忌憚のない意見を十分時間をかけて話し合いをする必要があろうかと思います。
なお、アメリカの態度について若干申し上げますが、先般二、三週間前にアメリカのフォード大統領が、九月の総会で七、八%くらいな値上げはしようがないなというふうなことを言ったということが新聞記事で伝わっておりましたが、若干それに近いようなことを漏らしたという説もあるのでございますが、その後世界全体に対してその反響が非常に大きいものですから、大統領はその取り消しに一生懸命になりまして、そういう事実はない、あくまで
石油価格というものは据え置かなければならないのだ、そういう趣旨のことをアメリカ自身が強く大統領を先頭といたしましていま言っておるようでございます。
そういうことでございますから、当面の問題は九月までにこの
価格問題を何とか目鼻をつけるということが最大の課題であろうと思います。