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1975-06-24 第75回国会 衆議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十四日(火曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 萩原 幸雄君 理事 武藤 嘉文君    理事 佐野  進君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君   稻村左近四郎君       臼井 莊一君    浦野 幸男君       小川 平二君    越智 通雄君       粕谷  茂君    倉成  正君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    橋口  隆君       八田 貞義君    林  義郎君       深谷 隆司君    藤井 勝志君       松浦周太郎君    森下 元晴君       山崎  拓君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       多賀谷真稔君    竹村 幸雄君       渡辺 三郎君    荒木  宏君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      原   徹君         内閣法制局第二         部長      味村  治君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       渡辺 豊樹君         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月二十四日  辞任         補欠選任   内田 常雄君     松浦周太郎君   粕谷  茂君     林  義郎君   深谷 隆司君     臼井 莊一君   森下 元晴君     倉成  正君   上坂  昇君     多賀谷真稔君 同日  辞任         補欠選任   臼井 莊一君     深谷 隆司君   倉成  正君     森下 元晴君   林  義郎君     粕谷  茂君   松浦周太郎君     内田 常雄君   多賀谷真稔君     上坂  昇君     ————————————— 六月二十三日  地熱資源開発促進法制定に関する請願外七件  (坂村吉正紹介)へ第三九三三号)  同外一件(林義郎紹介)(第三九三四号)  同外十四件(羽田野忠文紹介)(第三九三五  号)  同(加藤六月紹介)(第三九六五号)  同(谷川和穗紹介)(第三九六六号)  同外九件(金子一平紹介)(第四〇二五号)  同(楢橋進紹介)(第四〇二六号)  同(野原正勝紹介)(第四〇二七号)  同外一件(深谷隆司紹介)(第四〇二八号)  同(臼井莊一君紹介)(第四〇五二号)  同(三池信紹介)(第四〇七九号)  石油販売業者資格制度法制化に関する請願(  櫻内義雄紹介)(第四〇八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第六五  号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案多賀谷真稔君外十  九名提出衆法第一七号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案荒木宏君外二名提  出、衆法第三号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案桑名義治君外一名  提出参法第二〇号)(予)      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案多賀谷真稔君外十九名提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案荒木宏君外二名提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに予備審査のため本委員会に付託されております参議院議員桑名義治君外一名提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野間友一君。
  3. 野間友一

    野間委員 私はきょうは三時間ぐらいかけて、原価公開の問題を中心に存分政府質問したいと思っておりましたけれども、御承知の諸般の事情がありますので、限られた範囲で私は少しこの質問を、いま御承知修正案に関連して、主として公取並びに総務長官にお聞きしたいと思います。     〔委員長退席萩原委員長代理着席〕  周知のとおり、わが党は、巨大企業等の反社会的経済撹乱行為の規制など、現在の経済実態に即応して国民の切実な要求にこたえ、経済的民主主義の確立を図るための抜本的な独禁法改正案提出しております。先週わが党は、政府案に対する修正案要綱自民党に対して出しました。これに対して自民党は、きのうでありますが、四項目にわたる修正点を打診してきたわけであります。わが党は、これらに対してきわめて不十分、不満でありますけれども現行法に比べれば若干の前進改善が見られるので、自民党が真剣にこの成立を図るのであればこれを了とする、こういうふうに答弁をしたわけであります。  そこで、最初総務長官にお伺いしたいのは、三木内閣は今国会で、周知のこの修正案項目、これがいま出されておりますが、これらを取り入れて独禁法を成立させる決意があるのかないのか、七月四日の会期末を控えたこの事情の中で、参議院も踏まえて、ひとつ決意のほどを披瀝していただきたいと思います。
  4. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のように私どもは各界の御意見をお聞きをし、広く協議もいたしまして政府案を作成し、御提案を申し上げ、御熱心な御審議をいただいてまいったわけでございます。自由主義経済の公正なルールを確立することが、現在の経済情勢の中では最も大切なことであり、国民期待をしている大きな関心事でございます。したがいまして、政府といたしましてはこれを成立さしていただきたいという一念に燃えております。
  5. 野間友一

    野間委員 私がお聞きしたのは、それを踏まえた上で、きょうの理事会の中でもいわゆる四項目をめぐるこの修正の問題についての自民党とそれぞれの党との間に合意がある、これを踏まえた上で、こういうものを受け入れて早急に成立させるという用意があるかないか、こういうことです。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 国会の場で御審議になることでございますから、与野党合意の上で修正可決されますならば、私どもといたしましてはこの事実に対しまして深く敬意を表しますし、適正な運用公正取引委員会において行われるように期待をいたしております。
  7. 野間友一

    野間委員 それでは、幾つかの問題についてその運用の面から公取にお聞きをしたいと思います。  ちょっとお足の方が不自由のようですから、前にいすをお持ちになりまして、座ったままでお答えいただいて私は結構でございます。委員長、そのようにお取り計らいください。
  8. 萩原幸雄

    萩原委員長代理 いますぐいすを用意します。
  9. 野間友一

    野間委員 それではお聞きしますけれども一つ課徴金の問題でございます。これはいま——いまと申しますか、いろいろと本委員会における論議、ここで問題点指摘されました。また、参考人としてお呼びいたしました学者を初めとする、あるいは消費者団体の代表の方々からも、いまの政府改正案に対する問題点が鋭く指摘されたわけであります。  そこで、運用の面からお聞きしたいわけですが、いわゆる減額措置ですね、この削除によって、いま出されております改正案、これに比べてどのようになるのか。特に公取委の機能麻痺の問題、事実上その事務執行が不可能になるというふうに公正取引委員長も申されたわけですけれども、これらの点について改正案と、いま申し上げた減額措置を削除した場合に機能麻痺の問題についてどのように変わるのか、まずその点についてお答えいただきたいと思います。
  10. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 過去の業績調査、これは大変大きな一つのネックであったのでございますが、それがなくなりますと、わが方のこの前お出しいたしました試算によりますれば、多い場合においては約八十名程度実員として減らすことができる、少ない場合でも四、五十名の削減といいますか、人員節約になる。でありますから、これがなくなったことによりまして「すべて完璧な仕事ができるかということについては問題でありますけれども相当程度業務の節減になるということは疑いもありません。
  11. 野間友一

    野間委員 それでは、もう一つ問題として、先ほど申し上げた修正の問題の中身の一つですけれども、これも同僚議員の方からも指摘されましたが、製造業の場合の基準率ですね、これを政府原案改正案の三%から四%にするという、これについてはどのようにお考えでしょう。
  12. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 減額がなくなりまして、その効果も全体としては違ってまいります。ことに製造業においてカルテル行為が非常に多い、それの率が原案の千分の三十から、四十。ただし、これは実際の率としては、その二分の一でございますから、一・五%が二%になる。これは、ことに〇・二%ということはあり得なくなりましたので、大変有効な措置に変わったものと私は認識しております。
  13. 野間友一

    野間委員 それから、同じ課徴金の問題について、もう一つ修正点として、いわゆる足切り最低限度の問題ですね、納付させる最低限度を二十万とする。原案より十万円アップする。これについてはどのような御見解をお持ちなのか。
  14. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 十万円を二十万円に引き上げますれば、調査をする場合の対象範囲は違いませんが、しかし実際に課徴金対象とする人数が相当程度落ちるということも考えられます。これはいま試算できませんが、しかしその課徴金納付命令という点では、脱落するものがかなりあるということを感じます。
  15. 野間友一

    野間委員 繰り返しはいたしませんが、本委員会で非常に論議されて、このような鋭い問題点指摘の上にこういう修正をするということになりますと、そうすると、課徴金については委員長としてはかなりと申しますか、改善される、こういう評価をされるわけでしょうか。
  16. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 内容といたしましてかなり改善されたということは疑いもないところであると思います。ただ、対象が、事業者団体の場合は依然として全員でございますから、構成員全員であるという点に、わが方の現在の能力で全部こなせるかどうかという点は問題ありますけれども、しかしできるだけのことはやりたいと思っておりますし、相当程度改善が見られた、こういうことは申し上げてよろしいと思います。
  17. 野間友一

    野間委員 次に、協議の問題についてお聞きをしたいと思います。  もし、この二回目の協議、いわゆる審決前の協議、これを削除する、これは御承知の二度の協議、これが公取職権行使独立性から非常に問題になりました。私もこれは独立性を侵害することであるというふうに考えるわけですが、とにもかくにも、もしその修正としてこの二度目の協議を削る、こういうことになりますと、公取委員長として職権をこれから行使される場合に、独立性との関係でこれは不十分だ、まだ一度目の協議が残るわけですね、これを踏まえた上でどのようにお考えになるのか、独立性の侵害にならないような形で運用される自信があるのかないのか、お答え願いたいと思います。
  18. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 かねがね申しておりましたように、これは最初から審判手続によるわけでございまして、その審判以前の協議は残りましても、その審決前の協議がなくなるということになりますと、私ども公正取引委員会独立性という観点から見れば非常に筋の通ったものになって、運用公正中立立場を保つことが十分にできる、こう考えております。
  19. 野間友一

    野間委員 それでは、時間の関係で次に進みます。  いわゆる七条の括弧書きの中の問題ですが、これは括弧の中にこれを入れることによって従前運用されてきた権限が縮小される。私たちは改悪のとげの一つというふうに評価はしておりましたが、これが括弧の中を削除して、そして本文で、この行為排除及び影響排除する必要な措置、こういうことになりますと、現行法と比べてどのような違いが出てくるのか、運用上どのような前進が見られるのか、この点についての公取委員長の御見解を賜りたいと思います。
  20. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この点、私ども見解として従来も申し上げてきたところでございますが、影響排除するという言葉、これが本文の中に入りますと、その行為による影響排除を命ずることができるということは従来なかったことでございますから、これはたとえば価格カルテルの場合に、価格が依然として少しも変わらないで残っているということが経済の実勢と遊離していると判断される場合には、その影響そのもの排除するために必要な措置をとることができる。ただし、私どもはそれを単純に値下げ命令とは解しません。解しませんが、そのカルテル価格によらない価格を設定するようにという命令は下せるものと解釈しております。したがって、これは明らかに前進と受け取ってよろしいと思います。
  21. 野間友一

    野間委員 次に、いわゆる意識的平行行為、この問題について例の四十条と四十条の二、この関係でありますけれども、この四十条の二をつけることによって値上げ理由報告を求めるということで、逆に四十条のいわゆる一般強制調査ですね、この権限が縮小される、こういう疑い、おそれが学者の中からもかなり指摘されたことであり、また私もそのように考えておりましたけれども、今度の修正点の中で、四十条の二を削除する、こういうことになりますれば、公取委員長としてはどのように評価されますか、評価されると申しますか、どのように考えられるのか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  22. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 四十条の二を入れたことは、本来それだけでありますれば私は十分評価していいと思っておりました。ところが、一部に相当強く、四十条の二を設けることによって四十条の調査権が狭められる、こういう結果になるのであるから、したがってこれは非常に余分である、後退であるというふうな御意見が大変強かったということもおっしゃるとおりでございます。それで、これを削除したことによりましてどうするかと言われれば、私は従来の四十条の解釈をことさら広く解釈いたしません、およそ独禁法職務執行関係ないことはやらないわけでございますから。しかし、従来からも、管理価格等調査については直接的な疑いということでなくても調査はできるということでありますので、この四十条の調査を活用すれば、その調査の点は従来と変わりない。  それから、公表の問題が、四十条の二ではありませんけれども国会年次報告にそれを織り込むべきであるということでございましたが、その点に私は実は意義があると思っておりましたけれども、四十三条の公表権ですね、これを適切に運用すれば目的は達成できる。したがって、たとえば三カ月内でないと意識的平行行為とみなさないという点については、それはそこまでがんじがらめに縛らなくても、明らかにそういうものであると思えば、その理由をその都度必要に応じて徴しまして、これを何らかの方法によって、企業の機密に属さないものはこれを公表するということが可能であると考えております。
  23. 野間友一

    野間委員 余り深くは触れませんけれども、これはたしか物価安定政策会議ですね、「最近における物価安定政策」、これは四十七年十月に経企庁物価政策課が出しておる本でありますが、この中で、政府といいますか、この会議から「寡占的構造のもとでは企業間の相互依存関係が確立され、市場に対する影響力も強まっているだけに、端ちょの発見自体調査活動を必要とする場合が多いと考えられる。独禁法四十条の一般調査権についてもこうした観点から運用される必要があろう。」こういう提言がなされておりますけれども公取が本委員会に出された資料、これによりますと、四十条に基づく調査の事例、これが七つばかり例示されてあります。これを見ますと、家電製品二重価格表示実態調査あるいは紙の価格形成に関する実態調査、それから原油購入価格等に関する調査ですね、これらについては、価格面について四十条によって調査をされている。これは真っ当だし、物価安定政策会議提言にも即した公取委員長としての、公取委員会の適切な運用だというふうに評価をするわけでありますけれども、いまの四十条の二を削除しても、四十条と四十三条をフルに活用して、そしていわゆる寡占価格、これらに対する鋭いメスを入れるべきである、こういうふうに思うわけであります。  同じこの物価安定政策会議のこの本の中にも、いわゆる競争価格、これに対置して管理価格ないしは寡占価格というものが鋭く指摘され、価格下方硬直性の問題とかあるいは競争原理が働かない、こういう指摘もなされておるわけであります。  なお、ついでに申し上げますと、四十九年の六月に経済企画庁物価局が「工業製品価格形成に関する調査報告」というのを出しております。これによりましても、私見て、実はびっくりしたわけでありますけれども、「価格決定方法」それから「コストと価格の関連」、これは時間の関係で詳細は省きますが、さらに「懇談会などの有無とそれへの期待」と、いろいろ項目がありまして、これでアンケートをとってパーセントで表示されてあります。これを見てびっくりしたのは、工業製品、この大部分が競争を避けている。現に価格形成においてもその競争原理からはずれておる。と同時に、企業競争よりも協調を望む。特にこの「懇談会などの有無とそれへの期待」というところで、「こうした会合にどういった期待を持っておられますか」という質問がありまして、これに対する回答として、「業界調整のためにある程度役に立つ」とする企業が五八・七%、これは最も多い。これに「業界調整のために極めて役に立つ」とする一一%を加えると、全体の約七割が業界調整機関としての役割り期待している、こういう統計の結果が出ておるわけです。ですから、これは四十九年の経済白書などにも指摘されておりますが、つまり価格硬直性ですね。そしてまた、いまの産業界価格形成実態に照らし合わせてみても、このような産業界意向が表明されておる。おととしの物価特別委員会審議の中で、経団連の堀越副会長をお呼びしていろいろ事情をお聞きしたことがありましたけれども、この中でも、業界としては価格安定カルテルを望んでおる、こういうお話もあったんですね。つまりいまの産業界、とりわけ大企業競争を避けて協調、これがカルテルになりあるいは見えざるカルテル、そしてまた意識的平行行為、こういうことに結果として出ておるわけです。ですから、こういういまの経済実態を踏まえ、また産業界意向を踏まえた場合には、当然この管理価格、この中には意識的平行行為あるいは見えざるカルテル、両方含まれると思うのですけれども、これらを是正して、そして政府の言われる自由競争原理、これを回復するということが急務だと思うのです。そういう意味におきまして、この四十条、そして四十三条、この運用が非常に重要になるというふうに私は指摘したいと思いますけれども、これらについてひとつ公取委員長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私自身、ただいまの経済企画庁のあれは読んでおりませんが、しかしわが方の調査によりましても、大体において寡占化が進むにつれて競争よりは協調を是とするといいますか、協調に賛成するという空気が強まっているということだけは争われないことだと思うのです。それは産業界側から見れば大変都合のいいことなんです、実際は。ただし、私は長期的に見た場合に、果たして都合のいいことかどうかということは大変疑問を持ちます。やはり競争制限的行為を続けることは、やがては日本の業界における活力を失わせる結果になる。お互いにもう順序を決めてしまって、手段も決めてしまって、そして円満にやっていこうという感覚は、私はこれはきわめて危険なものであると考えますので、そのようなことは排除すべきもの、なるべくこれを反対の方向へ向けていく。成長高度成長でなくなるからというのは何の理由にもなりません。むしろ協調的機運を高める恐れさえあるのでありますから、私はこの際、独禁法マインドといいますか、そういうものを一層強めて、結局競争というものを公正に行うことが国家の発達につながるものであるということを十分認識した上でやっていただきたいと思いますし、またわれわれの方もそういう方向に向かって独禁法運用を適切に行っていきたい、こう考えます。
  25. 野間友一

    野間委員 経済企画庁も来ておられますので、一言だけお聞きしたいと思いますが、先日の本委員会において自由民主党の林議員のアダム・スミスを引用された質問に対しまして、福田副総理がいろいろ答えられました。その中で、徒党を組むことはけしからぬとか、あるいは競争がなければだめだ、こういうことを明確に答弁されたわけですね。いま申し上げた経企庁物価局実態調査によりましても、また物価安定政策会議提言によりましても、競争原理の障害になっておったり、あるいは価格下方硬直性になっているという鋭い提言実態指摘もされている。しかも、財界もそういう意向を持っておるというのも、これまた事実であります。そういう意味におきまして、これは物価局としても十分にこの寡占価格あるいは独占価格、これらに対しては厳しいメスを入れる必要がある、こういうふうに思うのです。これは経企庁の一定の方向と申しますか方針でもあるというふうに私はいまのいろいろな資料から判断するわけですけれども、この点について一言だけお伺いしておきたいと思う。
  26. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 経済企画庁物価局といたしましては、競争条件の整備が非常に重要であるということを十分認識しておりますので、今後ともそういった方面での調査を強めていくということにつきましては私どもやりますし、公正取引委員会にもお願いをして万遺憾のないようにいたしたいと思います。
  27. 野間友一

    野間委員 この点に関連して一言申し上げますと、やはり原価公開、ディスクロージャー、これでなければ、私は本当に国民期待にこたえることはできないと思うのです。これは御承知西ドイツあるいはオーストラリア、ここでは原価公開制度をとっております。また、国内のいろいろな財界人の発言を見ましても、たとえば新日鉄の稲山さんはユーザー自動車とか造船業界に対して、値上げ理由として、何なら原価を全部提示していい、こういうことまで言い切っておられます。また、ユーザー立場から経団連の土光さん、この方も、われわれは鉄鋼の原価はみんな知っているのだ、こうも言い切っておられるわけですね。独禁懇の座長であった脇村さんも、原価を聖域視するのは、これはもう時代錯誤だ、こうまで言い切っておられる。アメリカでは例のキフォーバー委員会、ここでは薬とか自動車とかパンとかいろいろなものについてその原価を明らかにしておる。しかも、西ドイツとかあるいはアメリカにおいてもディスクロージャーすることによって弊害があったケースはないわけですね。したがって、私はわが日本におきましても原価公開をすることによって、コストと価格、この関係について競争原理の回復をさせる、と同時に国民に対してこの独占価格のメカニズムにやはりメスを入れて明らかにするということが急務であろうかと思うのです。そういう意味におきまして、削除してもこれは不十分であることは間違いない事実である。  しかし、それはそれとしても、いま先ほどから申し上げております。また運用上の問題について公取委員長の方からも答弁がありましたけれども課徴金の問題、それから七条の問題、それからいまの同調的引き上げのこの四十条の二項の削除、それから協議の問題ですね、これについて修正点としては、いままでの論議を踏まえて、こういうふうにやれば少なくとも政府案の持っておる弱点、これが克服できるというふうにも思うわけです。確かに協議の問題についても先の協議が残っているということについては、これは非常に不十分だというふうに評価しますけれども、真摯にこういうものを積極的に取り入れて、そして今国会で成立さして、国民の暮らしの安定に役立たすように、ぜひ最後に長官のこの点についての決意をお伺いして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  28. 植木光教

    植木国務大臣 当委員会におきましてまことに熱心な御審議が行われ、与野党一致して修正を加えられるという方向に至りましたことにつきましては、政府といたしましても高く評価しているところでございまして、ぜひ成立さしていただきますようにお願いを申し上げる次第であります。
  29. 野間友一

    野間委員 終わります。
  30. 萩原幸雄

    萩原委員長代理 以上で、野間友一君の質疑は終了いたしました。  近江巳記夫君。
  31. 近江巳記夫

    ○近江委員 総務長官にお伺いしたいと思いますが、私たちの党は、この独自の改正案国会提出をいたしました。また、過日は書記長、幹事長会談におきまして、この修正案に対するいわゆる骨子、要綱というものを発表いたしたわけでございます。そして昨日、この五党が修正項目につきまして一致をいたしたわけでございます。そういうことで衆議院の通過はほぼ確実になったわけでございますが、まだ参議院の段階もございますし、総務長官は今国会成立に対してどういうような決意をお持ちになっているか、こうした状況を踏んまえて改めてお伺いしたいと思います。
  32. 植木光教

    植木国務大臣 私といたしましては一刻も早く衆議院で成立をさしていただきまして、参議院におきまして審議が早期に開始せられ、ぜひ今国会において成立を見ますように、ただひたすらこいねがうばかりでございます。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 この四項目修正でございますが、この課徴金製造業基準率を四%とする、千分の四十掛ける二分の一、こういうことになるわけでございますが、さらに過去三年間の経常利益率による軽減措置、ここを削る、こういうことで政府原案から見ますとかなりの前進じゃないかとは思いますが、しかし私はこの委員会におきましてこの試算表を示して、非常に政府原案課徴金については低過ぎるということを指摘したわけですが、今回の修正が行われたとしても、まだほど遠い感があるわけでございます。この点につきまして、やり得をなくすという点におきましてこの修正の中身というものに対する評価考え方をお伺いしたいと思いますし、またこの過去三年間の経常利益率というところの軽減措置を削除する、こういうことでかなりこの公取事務的な問題というものは省けるのじゃないか、このようにも思うわけですが、この点について私たちは実際上公取の機能が麻痺するのじゃないかという心配をしておったわけですが、これを削除することによって公取としては今後公取の機能を十分生かすことができるのか。以上の点につきまして総務長官また公取委員長からそれぞれお伺いしたいと思います。
  34. 植木光教

    植木国務大臣 課徴金の算定方法につきましてはいろいろ苦心をいたしましたことはすでに申し上げたとおりでございますが、私ども製造業四%ということを考えた段階がございます。しかし、製造業の中にもいろいろ利益率について異なるものがございましたために全産業の千分の三十というものをとったわけでございます。しかしながら、今回千分の四十を適用するという御修正の案が出ていると承っているのでございまして、この点についてはやみカルテルのやり得をなくすということが課徴金創設の目的でもございますし、これによって前進をし強化されるものと考えるのでございます。  また、事務量の点につきましては、政府案が策定せられましてから後多くの方々から指摘をせられたところでございます。今回すでに報じられておりますような修正が行われますならば、事務量が相当量減るであろうと予想をいたしているのであります。
  35. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 課徴金につきまして過去三年の業績による何か大幅な軽減措置というものがなくなりますことによって、実質的にその効果が増すことは疑いもありませんし、また製造業、これが通常の三条違反のカルテルには圧倒的に多いのでございますから、これに対する率が一・五%から二%に引き上げられていること、これは私は大変な前進であると思います。  そしてまた、事務量という点から言えば、課徴金関係の業務全体を半減するわけにはいきませんけれども、まだその辺かなりわれわれの能力を超える面があることは認めますけれども、それは私どもできるだけ努力して実効を期したい、また多少将来人員の増というものをお願いすれば、漸次その効果は全面的に把握できるというふうなことになるだろうと思います。さしあたりはちょっといささか困難な面もありますけれども、それはできる範囲で最大の努力をするというふうに考えております。
  36. 近江巳記夫

    ○近江委員 審決前の協議を削るということで、審判前のいわゆる協議が残っておるわけでありますが、この公正取引委員会独立性職権行使独立性というものについては私たちは特にこの点についてはやかましく言ってきておるわけでありますが、こういう形になって公正取引委員会としてはまだ一回残っておるけれども心配はないのかどうか。  それからさらに、この営業の一部譲渡が命令されたとしても、株主総会の特別決議で否決されるとこの命令というものは宙に浮いてしまうわけですね。こういう点につきまして本委員会におきましても私自身も論議をしたわけでございますが、今後の問題ということもあるわけでございますが、今回の修正には間に合わなかったという時間的な問題もございますが、総務長官は今後この独禁法の中に商法の特則的規定を設けるとかあるいは商法の改正をする意思があるのかどうか、以上の点につきまして公正取引委員長総務長官にお伺いしたいと思います。
  37. 植木光教

    植木国務大臣 独占的状態の排除について改正案をつくります過程の中におきましてはもとより、今回の改正案をつくるに当たりまして職権行使独立性尊重ということを私どもは一時たりとも忘れたことはありませんで、常にそれを念頭において法案策定に当たったのでございます。  いま御指摘の商法との関係につきましては、他に関係する省庁もございます。したがいまして、私といたしましてこの場で、今後の、将来の問題につきまして発言をすることは差し控えさせていただきたいと存じます。問題点は十分私は認識をしているところであります。
  38. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 独占的状態の排除措置の中の重要な一部の譲渡というものについては事前協議を必要とする、事前の協議をする、この点は審決前の協議がなくなりますれば、まず私ども独立性の問題とはほとんどかかわりはない、独立性は保ち得るというふうに考えております。  それから、もう一点の商法との関連が何も書いてないという点は、従来も私的独占等に対しまして一部の営業譲渡を命じ得るという規定があります。実際に発動はしておりませんが、その場合においても商法とのかかわり合いを書いた規定はございません。それとの整合性という点からも今回も入れなかったものと思います。また、それを入れるということについてはいろいろ複雑な問題がございますので、したがいまして一部譲渡を命じた場合に、それに応ずるかどうかということについては株主総会の特別決議を要するといいますか、それは依然否定されておらない。また、その結果、株主等に及ぼす影響についても商法の規定に従うという解釈をとらざるを得ません。しかし、特別決議で否決されても、会社としてはその命令に従うか従わないかをはっきりさせなければいかぬです。ですから、黙ってほっておいて審決が確定しても何のアクションもとらないということはあり得ないことだと思います。それが否決された場合に、経営者としてそれが適当と認めれば裁判所に訴え出る、東京高裁へ持っていくというのが筋道であろうと思います。また、賛成されれば問題なくこれは審決どおりに執行するというのがあるべき姿だと思います。そのいずれかでございますから、私どもとしては商法の問題に手をつけなくても、現行の商法の規定をそのまま使うんだ、こういう考えでおります。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 この価格の同調的引き上げの問題、四十条のところでございますが、この十七日の商工委員会におきましてこの四十条の調査権につきまして法制局から、プライスリーダー等の調査はこの調査には含まないというような、そういう内容の答弁があったように思うわけであります。  この点につきまして私もちょっと聞いておきたいと思うのですが、独禁法の制定に携わりました石井良三さんの書物でございますが、「独占禁止法」、これを読んでみますと、こういうように書いてあるわけですね。「委員会が、その職務を適正に行うためには、常に国民経済の実体を把握し、各事業部門の実状を明にしておく必要がある。確実にして豊富な資料と十分な科学的調査が何よりも必要である。これなくしては、委員会はその機能を十分に発揮することができないのであるから、本法は、委員会に広汎な一般的調査権限を認めた。即ち、委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公務所(官庁と公署を含む観念である。)、特殊法人、事業者、事業者の団体又は官吏、公務員、社員その他の職員に対して、出頭を命じて所要の事項を聴取することもできれば、出頭を命ずることなく、書面によって必要な報告、情報を求め、又は資料提出を求めることもできるものとし(四〇)、」四十条ですね、「相手方が、この委員会の処分に違反して出頭せず、又は報告、情報、資料提出せず、若しくは虚偽の報告、情報、資料提出したときは、その者を五百円以下の過料に処するものと定めて(九九1)、委員会に強い権限を与えている。委員会は、この規定によって、何時でも、必要な方面に対して、必要な調査を必要な程度になしとげることができる。又、委員会は、適当と認めるときは、自から直接に調査をすることなく、公務所、特殊法人、学校、事業者、事業者の団体又は学識経験ある者に対して、必要な調査を嘱託することもできる(四一)。本法の適正な運用をはかるためには、単に違反事件を摘発して、これを処断するだけでは不十分であって、事業者の自省を促し、国民の蒙を啓くために、絶えず適切な公表活動がなされなければならない。これによって、本法の違反が未然に防止され、国民の総意によって、本法の実効性が確保されることになる。委員会は必要があると認めるときは、各種の調査の結果は勿論のこと、違反事件の具体的内容及びその始末等についても、これを一般に公表すべきである。第四三条は、委員会は、事業者の秘密——個人的な秘密であると事業上の秘密であるとを問わない。——を除いて、本法の適正な運用をはかるために必要な事項を一般に公表することができるものとしている。この公表活動は、国会に対する本法の施行状況の報告とともに、本法の実効性を確保する上に大きな役割を果たすものと思われる。なお、委員会の所管事項は、公共の利益に重大な関係があり、十分に世論に問うた上で裁断を下す必要がある場合が多かろうと思われるので、委員会は、必要があるときは、公聴会を開いて、一般の意見を求めることができる(四二)。」云々と、このようになっているわけでございます。また、同じく独禁法制定に携わりました橋本龍伍さんも、その書物の「独占禁止法と我が国民経済」の中でも同じような趣旨のことを述べておられるわけですが、総務長官は、私がいま読みましたこの点におきましてこの見解についてどういう御意見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  40. 植木光教

    植木国務大臣 四十条だけに限りませず、独占禁止法の規定の解釈は最終的には裁判所が判断すべきものであることは申すまでもございませんが、一次的には独占禁止法の運用に当たられる公正取引委員会がこれを解釈し、適用するところでございます。したがって、政府といたしましては、独立性を持っております公正取引委員会の判断につきまして、これを論評する立場にはないということを御了解をいただきたいと存じます。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 この四十条という項目につきましては、今日まで管理価格調査を初め、商社、銀行等の調査をやってきたわけです。今後経済機構というものが、このように同調値上げを初め、そうした行為に非常に走りやすいことはもう御承知のとおりでございますし、こうした四十条を十分に今後活用していかなければならない、また四十三条の公表権も同様でございます。こうした点につきまして公正取引委員長の御決意をお伺いしたいと思うわけです。
  42. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 四十条の調査権の問題、これは従来もかなり私はよく運用されてきたと思いますが、四十三条の公表の問題とあわせてみたときに、まだまだ実は不十分な点があったではないかという御指摘がございまして、私どももそういうふうな感じを抱いております。  なお、この点は軽々しく私どもは乱用する気持ちはありませんので、十分検討した上で、これは適切な措置である、独禁法運用に当たって必要な措置である、こういうふうにうなずいていただけるような方法を検討した上で、活発にその活動を続けてまいりたい、こう考えております。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かに公取委員長おっしゃったように、この四十三条、「この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」ということがあるわけでございますが、こういう点については、確かに公取委員長がおっしゃったような面もあろうかと思いますし、今後はやはりこうした点については、さらに運用強化をしていく必要があろうかと思います。また、こういうことをやっていくためにも、四十条の調査、やはりこういうものは国民経済にとりまして、調査ということが非常に的確に行われて初めて適正な措置ができるわけでございますし、今後も意欲的にひとつこの点についてはやっていただきたい、このように思うわけでございます。  さらに、四十四条の二項におきましては、「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見提出することができる。」ということがあるわけでございます。ですから、必要と思うことを国会にもどしどしと今後も報告していただくべきであると思うのでございますが、その点につきましては、公取委員長、いかがでございますか。
  44. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 その条項の発動につきましては、従来前例がございません。私は思うに、恐らくこれは政府を経由して——もちろん総理大臣を経由してでありますけれども、どうも国会意見提出をしなければどうにもならぬ、こういうふうな条件があるとき使う必要があると思うのでございますが、いままでのところ、今回の法律改正を提起するに当たりましても、どうもストレートに国会意見提出することなくして、まず政府の側にできるだけ御理解いただくということに努力を払うべきである、こう判断したわけでございまして、ただいまの条項、私は死文であるとは思いませんけれども、これを使うに当たっては、相当私ども研究をして、いかなる場合にどういう要項をやるかということは、まだはっきりと申し上げる段階にございません。しかし、そういう条文があるということは十分念頭に置いて、そういう必要が生じた場合にはこれを発動するということも辞さない、そのような考えでございます。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 この排除措置の問題でございますが、違反行為により生じた影響排除するために必要な措置を命ずることができるものとする、この七条のところでございますが、今度は本文に挿入ということになるわけでございますが、こういうことによって、今後の公正取引委員会のそうした運用によって、私は十分な機能を発揮することができる、このように思うわけでございますが、この項目につきまして、総務長官並びに公取委員長の所感をお伺いしたいと思います。
  46. 植木光教

    植木国務大臣 ただいままでの第七条によりますと、当該行為排除命令だけでございましたが、カルテルには行為影響というものがあるわけでございまして、この影響排除いたしますことが、現在の段階では大変肝要なことであると思います。その意味におきまして、行為影響排除措置命令を行うことができますことは、非常な前進であると認識をしているのであります。
  47. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 今回、七条の条文、括弧書きではなくて、本文の中に、当該行為影響というものを排除できるのだ、その排除命令することができる、こうなったことは、従来疑わしい、つまりやれるのかやれないのか両論あって、実際はやらないでおったということが、できるようになったのだ、こういうふうに私ども解しておりますので、相当な前進ではなかろうかと思います。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした幅もできたわけでございますので、どうかひとつ国民経済立場に立って、力強い運用をしていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、独禁法違反から消費者を守るために、私は二十五条は十分に生かされるように考えるべきであると思うわけですが、総務長官のお考えはいかがでございますか。
  49. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘の二十五条の無過失損害賠償責任につきましては、因果関係が明確なものに対しましては十分にこの規定を運用せられるように期待をしているものでございます。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の改正におきましては、消費者条項というものは、書面をもって申し立てをした人に通知するだけである、このようになっているわけですね。そういう点からいきますと、この二十五条を生かすためにも、私はクラスアクションをぜひとも導入すべきであると思う。わが党としては法案も提案いたしておるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えであるか。総務長官公取委員長から御見解をお伺いしたいと思います。
  51. 植木光教

    植木国務大臣 今後十分に検討をしていくべき課題でございます。
  52. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 お説のとおり大変小さな額である損害で、全部合わせれば大きいというような場合、いまでは実際問題として使いものにならないという非難がございます。これに対していま御主張であるクラスアクションは、私は研究課題としては十分尊重すべきものである、ただ訴訟一般の制度にかかわる問題でありますので、独禁法立場からだけこれを取り上げることはできない、十分これは法務省等を中心に想を練っていただきたい。ただ、アメリカでは最近、憲法違反ではないけれども、相当なクラスアクションに対する制約を加えるような最高裁判決がございましたから、そういうことも参考にしながら、乱用に至らぬ程度ならばクラスアクション制度を導入するということも考えてよいのではないかと思います。そういう問題、しかし私どもだけの意見ではなくて、私どもそういう前向きの見解はとりますが、法務省において取りまとめるような問題ではないかと考えております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後そうしたやみカルテル等の行為を各企業が自覚をしてやらないことを私は期待しておりますし、国民もみんながそれは願っておることですが、しかしそういう悪質なものがまた出てくるかもわかりませんし、そのためにもこの課徴金の条項であるとかいろいろあるわけでございますが、今後、国庫に納入されました課徴金につきましては、消費者行政に使う道を考える必要があるのではないか、私はこのように思うのですが、私のこの一案に対しまして、総務長官公正取引委員長はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  54. 植木光教

    植木国務大臣 これは慎重に検討させていただきたいと存じます。
  55. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 これは財政のあり方等の関係でございますので、私どもがとやかく申すよりも、やはり歳入歳出の関係をどう因果関係づけるか、ひもつきにするということについては財政当局は相当な抵抗を示すだろうと思います。ただ、何となく因果関係じみているのは、現在でも交通違反、これでもっていただいた金は、相当程度それが一つの資金になるといいますか、そのままたとえば信号増設のあれになるとか、交通違反の防止になるというふうにはなっておりませんが、しかし何となく因果関係があるやに聞いておりますから、密着させるということは私はむずかしいと思いますが、そういう心構えは私はとり得るんじゃないかと考えております。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長は非常にその趣旨は賛成である。交通違反のそうした例を引かれて、因果関係という点も含めてお話しになっておる。総務長官は慎重に審議する。具体的な問いかけをしておるのに慎重審議をします、こんな抽象論のことじゃだめですよ、少なくとも消費者はこれだけ迷惑を受けているのですから。ですから、何らかの形でそれを消費者行政に使っていくとか、公取委員長は非常にその趣旨は理解できる、いいじゃないかというようなそういうニュアンスをお持ちなんです。あなたはただ慎重に審議します。そんなすれ違いじゃ困るんですよ。大体あなたは、消費者のことをどう思っているのですか。
  57. 植木光教

    植木国務大臣 消費者行政というものは各般にわたりまして広範多岐にわたっておりますし、あらゆる努力をしなければならないところでございます。財政のあり方そのものに関するものでございますから、私は先ほど慎重に検討させていただきたいと申したわけでございます。目的税的な意味合いを持ちますものについて、この際私がここで直ちにお答えを申し上げることは、やはり慎重にならざるを得ないわけでございます。御趣旨は十分に私も共感しているところでございます。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がございませんから、あと一問だけいたしたいと思います。  いわゆる行政指導と独禁法の問題でございますが、福田副総理企業値上げの抑制について要請したわけでございますが、その場合独禁法と行政指導の関係を検討したいというような趣旨の発言をなさったように思うわけでございますが、総務長官公取委員長の御見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  59. 植木光教

    植木国務大臣 行政指導一般につきましては、それぞれ各省庁が必要に応じてやっておられるわけでありますが、私の立場といたしましては独占禁止法を遵守するということでなければなりません。この独占禁止法に抵触をいたしますような行政指導を各省庁がおやりになるということは、厳に慎むべきことであると考えます。また、独占禁止法そのものが事業者の中に、国民の中に定着をいたしますように、政府としては最大の努力を払うべきであると存じております。
  60. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 仮に企業者間におきまして、この際政府の方針にのっとってできるだけ値上げを自粛したい、自粛しよう、こういうふうないわば精神的な倫理的な申し合わせをすること自体、私は反社会性はないと申し上げているわけでございます。しかし、具体的にどの程度にしようとか、値上げするにしてもこの程度にしようとかいうふうなことを数字を挙げてそれぞれの業界が論議したりするということは、独占禁止法に違反する疑いがきわめて濃い、カルテル疑いが濃い、こういうことでありますから、そういうことはなさらないように厳に使い分けていただきたい、こういうふうに考えます。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  62. 萩原幸雄

    萩原委員長代理 以上で、近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  宮田早苗君。
  63. 宮田早苗

    ○宮田委員 独禁法改正案については、その原案問題点がありますものの、新しい経済秩序確立のために課徴金基準率、また独占的状態を排除するための譲渡命令に関する制約規定の削除ないしは簡素化、さらには株式保有制限の強化などの項について修正を要求してまいったところでございますが、政府自民党改正案の策定で提出を大幅におくらせた。しかも、六月に入っての審議を見ましても、政府側と公取委の見解の相違が一層明白になりまして、国民のこの法案改正に寄せる期待を裏切ってまいったのじゃないか、こう思います。衆議院審議の土壇場になっても、政府自民党の食い違いが生じておるような気がします。いたずらにそのことによって混乱させておりますこの状態を、まず総務長官、どうお考えになっておりますか、それをお聞かせ願いたい。
  64. 植木光教

    植木国務大臣 今回の改正は、御承知のように独占禁止法強化のための改正でございます。したがいまして、むしろこの政府案を作成し提案を申し上げるのには非常に短時間過ぎるではないか、その作業はもっと長く行われるべきではなかったかというような御意見があるくらいでございます。しかし、私どもといたしましては、いまこそ独占禁止法を改正すべき重要な時期であるという認識のもとに、精力的にこの成案を得べく努力をしてまいったのでございます。その点につきましては、どうか御理解をいただきたいのでございます。  また、公正取引委員会政府との間に意見の相違が見られるではないかというお話でございますが、これは事務的な段階におきましても十分に協議をしながら法律案の作成に当たってまいったのでございまして、最終的には表現の差はあれ、私ども意見の相違があるというふうには考えておりません。また、政府と与党とは一体でございまして、政府・与党間におきまして十分な意思の疎通を図っているということを、これまた御理解をいただきたいのであります。
  65. 宮田早苗

    ○宮田委員 昨日から本日にかけまして報道されております修正案に関しまして、一点お伺いするわけでございますが、寡占業種の同調的値上げを規制する第四十条の二項を削除することに政府自民党は同意しておるようでございますが、この同調値上げを現行四十条の職務の必要に応じて調査することが可能かどうかの問題が出てくるんじゃないか、こう思います。この点総務長官にお伺いするとともに、公取は仮にこの修正案で成立した場合の同調的値上げ行為にどう対処をなさるのか、この点お伺いいたします。
  66. 植木光教

    植木国務大臣 私どもといたしましては、意識的平行行為あるいは価格の管理化というものをできるだけ阻止いたしますために、四十条の二項を法案の中に取り組んでいたのでございますけれども、今回これが削除せられるという方向であるということになっております。そこで、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、四十条に限らず独禁法の解釈は最終的には裁判所が判断すべきものでございますが、一次的にはその運用に当たる公正取引委員会が解釈し適用をせられるところでございます。したがいまして、職権独立性を持っております公正取引委員会の判断につきまして、政府としては論評する立場にないということを御理解をいただきたいのであります。
  67. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 四十条の二、これを原案から削除するということに決めた理由について、私はどういう理由に基づくか、詳しくは承っておりません。しかし、ある程度のことは承知しておりますし、それから私どもかねがね、もしも四十条の二が四十条を著しく制約するというふうになるのであれば、これは非常に困るという考えを持っておりました。ですから削除した結果どうなるかと申しますと、四十条の調査権というものは、従来ともそうでございますが、そう窮屈な考えをとる必要もない、したがってケース・バイ・ケースで判断するということでありまして、その都度これが独禁法の政策上必要であると思えば四十条の発動は可能である。ですから、四十条の二がなくなった以上は四十条を活用するしかない。それからまた四十三条、これも従来の非常に狭い解釈、そういうことだけでなくて、納得の得られるものならば、また有害でないという判断に立てば四十三条をあわせて活用するというふうな考えでおりますので、四十条の二がなくなったから全くかわるものがないということではないということ、私自身は実は四十条の二の存在理由は認めておった方なんでございます。しかし、与野党の合意でこれを削除されたのでありますから、そういう前提で私ども考えていきたい、対処していきたい、こう思います。
  68. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、課徴金についてお伺いいたします。  不当利得の徴収という課徴金対象になりますカルテル価格カルテル、生産制限カルテル、また操業率制限カルテル等というのが政府見解ですが、この三種類で間違いないのかどうかお聞きします。
  69. 原徹

    ○原政府委員 対価に係るものといたしましては価格を維持するカルテルも引き上げのカルテルも入るわけでございまして、それから実質的に供給量を制限することにより対価に影響がある、これは解釈になるわけでございますが、生産または販売数量の制限というカルテルがございましたら、それは当然かかります。後は、いまの供給量を制限することにより対価に影響があるかどうか、これを個別に判断して決めるということになるだろうと思います。
  70. 宮田早苗

    ○宮田委員 不当利得とは違法または不法な行為によって得られた利得でございますが、没収される課徴金はこれらの行為がなかった場合の利得との差額として計算されるのが当然と思うわけです。この場合、海外に依存している原料の値上がりあるいは賃上げ等、コストの上昇という自然の値上がりをもたらすべき経済的要因は考慮しなければならぬ、こう思うわけですが、政府案による課徴金の算定方法には問題が多いんじゃないか。計算が繁雑になるのを避けるための方策ということは理解できますが、製造業、小売業、卸売業を区別せずその基準率を千分の三十に統一し、しかも政府案にあります千分の三十の二分の一の、その二分の一を削除すべきだと提案をしたい。違法なカルテルは高くつくことを経営者に納得をさせ、カルテル列島体質をこの際一掃すべきだと思うのでございます。したがいまして、経常利益率の差による軽減措置は削除すべきだということになるのですが、この点総務長官どうお考えになっておりますか。
  71. 原徹

    ○原政府委員 私ども政府案で過去の利益を使いましたのは、確かにいろいろ考え方があったわけでございますが、カルテルによる利得は、本当は個別に判断をしてそれぞれの企業に合った不当利得が取られるということになれば一番よろしいわけですが、それは事務的にも非常に繁雑で行政的措置としてとてもとりにくいということがございましたわけです。そうなりますと、限界企業と優良企業と申しますか、確かに同じカルテルに参加したということでございますけれども、それに対して利得が違うのではないかということが一つと、それからもう一つ、そういう限界企業に対して支払い能力を考えるべきか考えざるべきか、これも大いに政府の中で議論したわけでございます。そういうことで考えた方がいいんじゃないかということで、かといってそれを個別に見るわけにいかないということから過去の利益というものを平均でとることにいたしたわけでございます。そういう必要はないんだという御判断でございますれば、それはそういうことでやるというのも一つ考え方である、どっちがいいか悪いかということになりますと、私、論評できませんですけれども、いろいろの考え方があり得るというふうには私も思います。
  72. 宮田早苗

    ○宮田委員 課徴金は国庫の一般収入という扱いになるということでございますが、消費者行政ということから見た場合その使途を明確にすべきだ、こう思うのでございますが、その息はどうか、お答え願いたいと思います。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 そういう考え方もございますが、消費者行政というものは多岐多様、政府部内挙げまして取り組まなければならないものであると存じます。いまの御意見につきましては、私も御趣旨については共感するところがございますけれども、財政のあり方そのものに関するものでございますので、この際ここで私が御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  74. 宮田早苗

    ○宮田委員 設備調整に関する公取あるいはまた通産省のお考えをお聞かせ願いたいと思いますが、四十一年の覚書、これは「産業の構造改善の推進に関する独占禁止法の運用について」という通産省から公取への文書があるはずですが、これについて高橋委員長は、再検討の時期に来ている、こういう旨の発言をされておりますが、その論拠と今後どう対処されるのか、この点を質問いたします。
  75. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 まだ検討中のことでございますから、いまその問題について詳しく論説することを私は避けたいと思いますが、再検討に値すると考えていることは、そのとおりでございます。これはつまり設備について競争をやめていこう、一言で言えばそういうことなんです。そうしますと、なぜそういう協定みたいなものができたかといういきさつは、非常に近い将来に競争制限になるというものならばいかぬけれども、五年、六年、数年先の問題であれば取引制限と解さなくてもいいではないかと言うしかないというわけです。そうなりますと、その点はおかしい。たとえ数年後でありましてもそれぞれのシェアがもし一定の割合を満たさないというふうな状態であるとするならば、あるいは統合ということを含めまして、そして設備調整を行うこと自体には問題はなしとしない、おそらくこれはアメリカあたりだったら問題になるのです、こんなものは。否定されているだろうと思いますが、これについては、その当時はその当時のいきさつがあったようでありますから、現段階において改めてこれから検討をしなければならぬのではないかという感じを述べたわけでございます。
  76. 宮田早苗

    ○宮田委員 同調値上げに関しその期間を三カ月にしたことに対する世論の批判が強いことは申し上げるまでもございませんが、価格の同調値上げに関連するのですが、課徴金対象は生産制限、操短カルテル等にも及ぶということと思いますが、そう思って結構かどうか。それと、カルテルを結ばない同調的な生産制限あるいは同調的操短ということも考えられるのじゃないかと思いますが、その点にもひとつ触れていただきたい。また、市況が悪化してきた場合、業界の上位企業が一〇%とか二〇%の操短に入ることがマスコミで取り上げられまして、他の企業も追従することは当然というような気持ちにもなると思いますが、公取委員長は、カルテル規制に関し設備調整まで言及しているわけですが、この問題に関してはどのようなお考えを持っておいでになりますか。これは最後の質問ですのでお願いします。
  77. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 生産制限につきまして、いわゆる価格の場合のような同調的な制限というのはわりあい起こりにくい、いままで実はそういう適例を発見したことはありません。その生産制限のわりあいが各社によって違っているという事例が多いのです。どちらかといいますと、大企業の方が全体の分量が多いですから、そこで非常に操短を強くする、しかし中小規模の方が操短をしない、非常に少ないということで、それでとまってしまって不況カルテルを申請してくるというふうな事例もあるわけでございまして、値段については明らかにこれは右へならえ式の同調的な値上げの事例があります。しかし、生産制限についてやっておれば、それは同調的ではなくて、おそらくカルテルであろうと思います。ですから、これはカルテルとして調査すべきものと考えます。
  78. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  79. 萩原幸雄

    萩原委員長代理 以上で、宮田早苗君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  80. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  81. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の制約がありますから、総理に率直にお尋ねをいたしますが、通産省が今日まで実施してきた産業政策は、行政指導を中心にして、独禁政策に優先をしてきた姿が一貫した姿であると私は言えようかと思うのであります。  そこで総理は、独禁政策の位置づけ、特に行政指導と独禁法との関係についてどう考え、今後どう対処しようとしておられるのか、率直な所見をひとつ伺ってみたいと思います。
  82. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 各省が各省行政の必要によって行政指導をいたしておることは事実でございますが、しかしそのことは独禁法を尊重しなければいかぬということであって、産業政策の名において独禁法を侵してはいけない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  83. 中村重光

    ○中村(重)委員 今回の改正案は、戦後初めて独禁法の強化を図るものであるという点については評価をいたしますが、しかしその内容はまことに不十分なものだと言わなければなりません。したがって、総理は、次期改正を目指して引き続いて検討をしていく必要があると思うのでございますが、その用意がおありかどうか、伺ってみたいと思います。
  84. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いろいろな御批判はあろうと思いますが、しかし考えてみると、戦後独禁法の強化が行われたことは、これが初めてのことであります。私は、自由経済の精神と制度を守りたいという信念を持つものであります。そのためには、どうしてもやはり公正な自由競争のルールを維持しなければ、自由経済体制は守れるものではない、こういう見地から、今回改正案を提案いたしたわけでございまして、これは中村委員、手ぬるいという御批判もありますが、一方においては、行き過ぎであるという批判もあるわけでございまして、私としては、そういう両面の批判の中において国民に納得してもらえるであろうという限界においてこの法案を提出いたしましたものでございますから、どうかこの法案を提出したということについての御理解を願って、今後この改正案によって独禁政策というものを前進させてまいりたい、その運用を通じていろいろ今後検討をしてまいりたいと考える次第でございます。
  85. 中村重光

    ○中村(重)委員 ここで公取委員長にお尋ねしますが、公取は今回の改正を契機として独禁法の厳正かつ積極的な運用を図るべきであると私は思うのであります。公取委員長は、同僚諸君の質問に対して告発はなるべくやらないように答弁をしたように記憶をいたしますが、そのような態度は私は問題があると思います。今後積極的に独禁法運用していく、告発もあえて辞さないというような態度で臨まれるかどうか。
  86. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 御趣旨についてはそのように考えております。ただ、告発についても積極的にとおっしゃるお気持ちはわかりますが、私どもはその点については現実の実情に沿うように十分慎重に考えて処理したい、こう考えております。全体の御趣旨は十分心得てまいります。
  87. 中村重光

    ○中村(重)委員 今度の改正案で欠けている点といいますと、多くある中で特に消費者行政に対しての明確な内容が打ち出されていないということば問題であると思うのであります。課徴金は違法行為による不当利得を徴収するものでありますから、もともと消費者にこれを還元すべき性格のものであるというように私は考えるわけであります。したがって、国庫に納付された課徴金の消費者等への還元の制度について当然検討しなければならないと考えるわけでありますが、総理の御見解はいかがでございますか。
  88. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 中村委員のお気持ちは私にもよくわかるわけでございます。しかしながら、この課徴金の制度は、違法行為に対しての実効性というものを確保するための行政処置であって、違法のカルテルによる利得を納付せしめるという制度でございますから、これを消費者に還元するということは、お気持ちはわかっても政府考えてはおらない次第でございます。
  89. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁によって議論をしたいところでございますけれども、時間の制約がありますから問題点指摘してお答えをいただくということ以外には手がございません。  したがって、次の点についてお尋ねをいたしますが、公取職権行使独立性は、独占的状態の排除の問題を初めといたしまして、事実の認定と法的判断によって十分尊重され、かつ確保されなければならないというように私は考えるわけであります。特に主務大臣との協議については、独立性を害するようなことがないように運用すべきであると考えるのでありますが、総理の所信はいかがでございますか。
  90. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 主務大臣との協議の場合においても、公取委員会独立性というものに対してこれを侵すものであってはなりません。したがって、その運用についても十分に留意をいたしてまいる所存でございます。
  91. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど私の質問に対して、消費者に対する課徴金の還元についてはきわめて消極的な答弁があったわけでありますが、しかし消費者が納得しないところでもございますから、今後損害賠償請求を容易にするために制度の改善等については早急に実現を図っていくということでなければならないと思うのでありますが、その点についての総理考え方はいかがでございますか。
  92. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 独占禁止法というものが、直接に消費者に利益という、消費者を目標とする法律ではないわけでございますが、自由競争というものが健全に機能するということは、それだけ消費者に対して、究極的には消費者の利益を擁護することになる。だから、私は、究極的には独占禁止法の改正というものは、最終的には消費者の利益を擁護することになるということを信じておるわけでございます。したがって、これに対して、消費者保護という面については今後慎重に検討はしてまいりますけれども、この独禁法の改正というものが独占的な、寡占的な利益を享受することを排除しようというわけでありますから、これはやはり消費者の利益に通ずるものであるということは十分に評価をしていただきたいと思うわけでございます。
  93. 中村重光

    ○中村(重)委員 公取の機構、人員の拡充強化の問題でございますが、今回の改正案の中で、私は課徴金制度というものがきわめて前進した制度であると、その点を評価することにやぶさかではないわけであります。ところが、赤字還元という制度がありましたが、私どもはこれは当然修正すべきものであると考えるわけでございますから、これを修正するということになってまいりますと、この法律案の中で課徴金の制度によって考えられる公取の業務というものは半分あるいは三分の一程度になるのではないか。しかし、それにいたしましても事業集団に対する調査ということになってまいりますと、私は膨大な人員が必要になってくるであろう、そのように考えるわけであります。したがって、今後公取の陣容を画期的に拡充していくという措置が当然講じられなければならない。私が試算したところによりますと、少なくとも二百人以上の増員が必要であると考えるわけでございますが、総理は、公取の陣容を強化する、人員をふやすということについてどのようなお考え方をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 公取の機構、人員は年々これは整備をしてまいっておるわけでございますけれども、今後公取の機構の整備、人員の増加については努力をいたしたいという考えでございます。
  95. 中村重光

    ○中村(重)委員 公取委員長及び委員の人選については、これまで奇妙ななわ張り争いと申しますか、大蔵省からあるいは通産省からあるいは法務省からといったようなことで天下りが行われておった。まさにこれが固定化している、私はこれはきわめて問題であるというように考えるわけでございますが、公取の職務の重要性からいたしまして、民間を含めて有識の人材を広く登用すべきである、私はそのように考えます。特に公取のプロパーの人材を積極的に登用すべきであると考えますが、総理はこの点に対してどのような見解をお持ちでございますか。
  96. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いろいろ公取委の人事のことに対して御指摘がございました。傾聴すべき意見だと思いますので、今後十分に留意をいたすことにいたします。
  97. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、留意をするといったような総理の消極的な答弁はまことに不満であります。現在のように公取委員の人選というものが、なわ張り的な天下り的な形が定着をしておるということでは、活力ある公取の陣容を構成することにはならない、強化することにはならないんだ。なかんずく私が申し上げたように、民間から活用していくとかあるいは公取のプロパーを活用していくのでなければ、自信と希望を持って公取の職員は業務に熱心に従事をしていくことはできないのではないか、そのように考えます。この点は私は留意ということではなくて、もっと積極的な総理の答弁がなければならないと考えますが、もう一度ひとつ伺いたいと思います。
  98. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 留意ということは消極的なような響きを持ったとしたならば、これはそういう意味で申したことではないわけです。これは公取は重要な機構でございますので、今後各方面から人材を登用できるように考えてまいりたいと思っております。
  99. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほども申し上げましたように、今回の改正案はきわめてささやかな改正案ということが言えようと思います。公取職権行使独立性を基礎として独禁法の定めた権限を十分に駆使すべきでありますし、公取の判断の適否は内閣が決めるのではなくて最終的に裁判所が決定をする。公取は裁判所で負けるのを恐れるなといつたような言葉があることは、公取も御承知のとおりであると私は思います。諸外国の独禁政策の積み重ねから生まれた貴重なこの言葉は金言であるというように私は考えます。これからは独禁法強化の精神を生かして国民期待にこたえる具体的な成果を生むべきであると考えますが、公取はみずからの双肩にかかっておる今後の独禁法運用に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、それを伺って私の質問を終わりたいと考えます。特に、消費者との連帯のもとによき伝統をつくるということを私ども期待するわけでございますから、この点に対してあわせて公取のお答えを、むしろ所信を伺ってみたいと思います。
  100. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私ども公取がやってまいりましたこと、これについていろいろ御批判もございます。そういう点を十分われわれ考えまして、独占禁止法が公正かつ効率的に運用されるようできるだけの努力をしてまいりたいと思います。いろいろ御不満の点もありましょうが、これからも御注意いただきまして、われわれの至らざるところを補っていただきますようお願いをいたします。
  101. 中村重光

    ○中村(重)委員 約束の時間が参りましたから、これで終わります。
  102. 山村新治郎

  103. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今日までのわが国の産業政策を見てみますると、全く独占禁止法を無視していわば産業構造政策中心の政策であった、こういうように思うわけであります。ことに二十八年に法律が改正になりまして不況カルテル、合理化カルテルができましても、その基準が厳し過ぎるというので二十九品目について勧告操短をしておるわけです。これは法律をわざわざつくってもその基準に対して厳し過ぎるというので乗らないで、逆に脱法行為を通産省はしておる、こういう状態、あるいは鉄鋼の公販販売制にいたしましても三十三年から四十年代までそれが存続をしておる、好況、不況さらに平時にかかわらず行われておる、こういう歴史を持っておるわけであります。さらにまた、この前の狂乱物価の際に公取の方でやみカルテルということで指摘をいたしましたが、われわれが一つ一つの品目でそれにタッチをしてみますると、その裏には皆通産省の行政指導が行われておるということが国会でも明らかになったわけであります。一体こういう状態で日本の独禁政策が実行されるだろうかどうか、私は非常に疑問に思うわけであります。  一体、総理は、この産業政策において競争的市場の確立が効率化に役立ち、さらに公正を保障すると本当に思っておるのかどうか、私はいままでの日本の産業政策を見るとどうもそういう気持ちにならざるを得ない、かように考えるのですが、総理はどういうようにお考えですか。
  104. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 日本の経済というものは自由競争、公正な自由競争によって常に新しい活力というものを今日まで得てきたと私は思うのです。もし、こういう公正な自由競争が行われなければ、日本の経済は今日のように発展したものではない。したがって、今後この独占禁止法の改正の機会に一これは一面から言えば時代の変化、国民の要請でもあると思うわけでございます。自由放任というようなことが許されるわけではないわけであります。やはり産業政策にも環境政策もあれば労働基準政策もあれば、一つの公正なルールの中における自由経済ということでなければ国民の支持を受けるものではない。そういう意味で、私は、今後この独禁法の運営というものを効果的に運営して、公正な自由経済原理が日本の市場経済の中で健全に機能をすることによって今後の新しい日本の活力というものを加えたい。やはり日本の経済というものは、精神においても制度においても自由経済体制の方が私は好ましいという強い信念を持つものでありますがゆえに、そのためには今回のような改正を通じていろいろ御批判もあろうけれども、一歩前進することが時代の要請にこたえるものであるということで改正案提出いたしたものでございまして、それなりの効果を期待いたしておるものでございます。
  105. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、いままでの産業政策が本当に自由競争政策で活力を得たのかどうか非常に疑問ですよ。率直に言いますと、産業構造政策、特定の産業、重化学を中心として大口融資をする、系列融資をする、そうして各設備がどんどん拡張をすると、今度は設備制限を行政指導でやる。まさに通産省がゴーストップをやってきたわけですね。私は、そういう意味では自由競争であったかどうか非常に疑問であると思うのですよ。私企業体制ではあった、なるほど私企業体制ではあったけれども、これが一体自由競争と言えるか、独禁法が示す自由競争と言えるかどうか。むしろ常に役所が旗を振ってゴーストップをかけてきたわけですよ。そうして、これが設備過剰になると操短をする、すなわち自分の責任で企業は操短をするのじゃなくて政府の保障のもとで操短をしてきたんですよ。いわばそういう産業構造を基礎にした日本の産業経済政策が行われてきた。選別融資なんというものはまさにそのとおりであります。でありますから、私は、本当にいまの自由民主党、ことに総裁が、この競争原理の上に立って、それは効率的であり、そのことはひいては公正であると確信を持っておるのかどうか。ことに今日まで、この法案をめぐっての財界の動き、それから自民党内の動きを見ると、私はそのことを本当に考えておるのかどうか非常に疑問を持たざるを得ない。総理、総裁としてどういうようにお考えであるか、もう一回お聞かせ願いたい。
  106. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この大きな経済の転換期、これからの日本経済の新しい活力は一つの公正な自由競争のルールを設定して、そしてその中で、独占とか寡占とかいうことに対して利益を供与することを享受するような行為ではなくて、自由競争を通じてこれからの転換期の日本の経済、これに新しい活路を見出していこうということにならざるを得ないと私は思う。したがって、私は今後の日本経済というものは、やはり公正な自由競争原理というものが市場の中において大いに機能することによってさらに発展の新しい出発点に立つ、そういう点でこの法案の提出というものに対して重要な意義を私は考えておるものでございます。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この産業構造審議会の報告に基づく「産業構造の長期ビジョン」、通産省が出しているのです、これを読むと、本当に自由競争なんだろうか、これは市場原理というものの上に立って今後の産業経済をやろうとしておるのか、非常に疑問であります。本来競争原理にゆだねるべき領域においてもむしろ政府が介入をしていく、口ではなるほど市場機能の発揮に期待すると言っております。文章には書いておりますが、中身を見ると、みんな国家が介入しておる、こういう状態になっておるわけですよ。でありますから、総理がおっしゃるような方向に果たして日本の産業政策が動いておるかどうかという点は非常に疑問がある、こういうように思うのですが、一体この「産業構造の長期ビジョン」というものと市場競争原理というものはどういうように調和されるのであるか、これをお聞かせ願いたい。
  108. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いろいろ御指摘のような面もあったかと思いますけれども、しかし大きく日本の経済の根底をなしておったものは自由競争原理だと思う。だから、発展してきたのであって、そういうものが動かなければこれだけの日本の経済の発展を遂げることはできなかった。そういうことで、今後は、日本経済が新たなる活力を得るためには公正な自由競争原理が市場経済の中に生かされることが絶対に必要である。ただ、寡占的なあるいは独占的な利益、その人には便利かもしらぬけれども、全体としての活力は出てこないわけです。こういう安定成長期において日本経済の全体としての活力を生み出さなければ、これはなかなかいままでのような高度経済成長期でないわけでありますから、今後においてはどうしても自由競争原理を生かさなければ日本経済は発展しない、こういう確信を持つものでございますから、今後はそういう方向に新しい活路を日本経済は見出していくに違いないと私は考えております。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この点についてかなり意見がありますけれども、時間がありませんから申し上げませんが、私は高度成長から転換をしていわば資源を節約する安定成長に入ると、逆に競争原理が失われるのではないか、こういう心配をするわけであります。  さて、総理は、自由競争であるから価格介入は、自由競争原理といいますかあるいは資本主義の根幹といいますか、これは介入はタブーであるというような印象を持って発表された記事も見たわけでありますが、私は資本主義の経済体制において多くの国において価格に介入しておると思うのです。これは枚挙にいとまありませんが、典型的なところを言いますと、西ドイツだってそうでしょう。この西ドイツは御存じのように資本主義経済であります。そうして、もし競争が存在していたならば達成されていたであろう価格水準を算定して、市場支配的企業がこの価格水準を超過しているときは、市場支配的地位の乱用であるとして引き下げ命令を出しておる。これはすでに競争制限防止法の二十二条の乱用規制の法律を適用しまして、ブラウン社における電気カミソリ、メルク社のビタミンB12、それから石油一斉値上げに対してそれぞれ引き下げ命令を出しておる。あるいはイギリスにおいては、独占企業ゆえに一般水準から見て高い価格を設定し、それによって利益を上げることは公益に反するということで、おのおの独占的高度寡占の企業に対して、たとえばカラーフィルムあるいは家庭用洗剤あるいは精神安定剤、それぞれ引き下げ命令を出しておるわけです。どうして日本の場合には、価格介入をすればこれは独禁法の精神に違反して、それはタブーであるとしておるのか、これは総理、どういうようにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。
  110. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、自由経済というものの本質は何にあるかということを考えてみると、価格というものは市場で決める、市場において価格を決めるということが自由経済一つの本質であると考えるわけです。この価格の形成に公権力が入ってまいりますと、自由経済の根幹に触れるものではないか。そういう点で価格形成に公権力は介入しないことがいい。やはり価格の決定は市場にゆだねるべきである、これが自由経済一つの本質であるという強い考え方を持つわけで、統制経済的な方向に日本の経済を持っていくことはよろしくない、こういうことで、私は価格の形成に公権力の介入というもの、極力これは排除すべきであるという考えの上に立つものでございます。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それはどうも総理の勝手な議論ではないかと私は思うのですがね。価格介入をして、そうして国民にとって公平なあるいは公正な行政が行われるということは、これは当然じゃないですか。独占が、あるいは寡占が特別利潤を生む、それを端的に価格の規制をやる、その弊害を除去する、これは私は何も統制経済になるとは思わないんです。何か価格に介入をして引き下げ命令を出すということは、即統制経済だという認識の飛躍が私は間違っておるのじゃないか、こういうように思うわけです。これは各国ともそういう情勢にある。なるほどアメリカは、御存じのようにきわめて資源も豊富です。そうして、自由競争をおやりなさい、そして徹底的に競争をやる、これが効率もいいし資源の配分も公正にできるんだという考え方ですよ。ところが、各国とも、余りにも弊害の多いものはみずから除去する、こういう方向で来ておるわけです。これは統制経済とはだれも言っていないですよ。西ドイツが統制経済なんて言う人は一人もいないでしょう。ですから、総理は一体なぜそういうように飛躍的にお考えになるのか、これをもう一回お聞かせ願いたい。
  112. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 一つの独占的な利益を享受したような場合に、課徴金のような制度はありますが、私は一般論として、一つ価格形成に公権力が入り込んでいくということは、自由経済体制の根幹に触れる。これはやはり価格を幾らに決めるかということは自由経済の本質に触れる問題でありますから、これはやはり市場にゆだねるべきである。いろんな違法的な行為に対して課徴金を徴収したり、そういうふうなことは社会的な公正を維持するという意味においてしなければならぬが、一般的に価格形成に公権力が介入するということは、自由経済の本質に触れるという基本的な考え方を私は持つものでございます。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は一般的な話をしているわけではないのですよ。非常に弊害の出た場合に、それを排除する方法として引き下げ命令が可能ではないか、何もそれは統制経済につながるものではない。一般的な議論は総理おっしゃるとおりでしょう、自由主義経済ですから、価格形成に国家権力が入るということは。しかし、一般的な問題ではないのですよ。これは寡占の弊害が著しく出てきた場合に、そういう特別な場合に価格介入はできるではないか、こういうように言っておるわけですよ。でありますから、そのことは当然独禁の中でも、特に弊害の出た場合規制することは、何も統制経済につながる問題ではない、こういうように理解をするわけですが、どういうようにお考えであるか。
  114. 植木光教

    植木国務大臣 総理は基本的なお考え方をお述べになりましたので補足させていただきますが、今回第七条の修正によりましても、たとえばカルテル排除措置に加えまして、行為影響排除措置命令を加えることにしたわけでございます。この際は、価格が市場の実勢に合わない場合には、やはりこれの是正に当たらなければならないというのが法の趣旨でございまして、したがいまして、そういう意味におきましてはカルテル影響につきまして私どもは配慮しているところでございます。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、ことにいま修正案が出されようとしておりますが、いわば七条の括弧書きを削除して本文行為または行為に伴う影響、それの排除措置を命ずることができると言えば、この影響というのは大部分が価格である、すると価格に対する排除措置を命ずることができると、こういうように承っていいわけですか。これはひとつ公取委員長、あなたは第一次解釈権を持っておるわけですから、公取委員長からお聞かせ願いたい。
  116. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 大体、おっしゃるとおり、その影響というのは大部分が価格でございます。その価格カルテルによってつくられた人為的な価格です。その価格が市場の実勢と遊離しておれば、それは改めていただきたい、改めなければならぬ、幾らにするということは含みません、しかし改めるということを命ずることができると解釈しております。
  117. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、今度の法律修正によって、幾らにしなさいということはできないけれども価格を改めろということはできる、こういうように公取としては解釈をされておるというわけですね。
  118. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 そのとおりでございます。
  119. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この一般的な原理と非常に被害の出た場合の規制措置とは私はおのずから非常に違うと思いますが、これは総理は、いまのお話は一般的な法則というのをお話しになったようであります。これは必ずしも価格に介入しては絶対にいかぬのであるという意味ではないようでありますから、これはわれわれは今後の検討に待ちたい、こういうように思います。  次に、私は、今日の改正案あるいはその前の公取試案にいたしましても、単品商品市場における支配力を規制する、こういう域を出ないように思うのです。しかし、今日の日本の、いわば現代独占と言われます企業集団というのは、単なる一商品の市場の占拠率の問題ではないわけであります。でありますから、これは多角的な経済支配力を持っておる、これが一番問題点です。そこで、公取としては総合商社の調査報告等も出されたわけです。そして、企業集団に対する報告がなされたわけですが、この点について残念ながら十分な法的規制を見ることができなかった。一つはまず、これは必ずしも独禁法ではありませんが、総理、やはり大口選別融資、これは何といっても独禁法の精神から公正を欠くわけですよ。いかに独禁法があっても、銀行系列、自分の系列だけどんどん金を出すということになれば、まさに公平の原則を欠く。自由競争を阻害するわけです。でありますから、まず銀行の、あるいは金融機関の選別融資、大口融資、そういうものに対する規制の方法が将来必要ではないか。これは、その系列下に入ると入らないとでは大変な違いであるし、それは公正競争を阻害するものである、こういう点が一点です。  第二の点は、これは私どもがかねてから主張をしておりました企業集団の法的基礎は何か、これは株の持ち合いであります。株の相互持ち合いは、各国ともかなり禁止しておる国があります。あるいは制限しておる国があります。これもひとつ将来の問題としてぜひ検討を願いたい。このままでいきますと、率直に言いますと、公正取引委員会指摘しておりますように、この自由経済体制そのものを危険に陥れる可能性があるとこの調査報告には書いておるわけですよ。でありますから、私は、それだけ警告をされた、これをやはり早く政策にのせてもらいたい。  以上の点について総理の御所見を承りたいと思います。
  120. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 今回株式の保有の制限は強化いたしましたが、いま多賀谷議員の御指摘のような系列融資の問題については、別途政府は銀行法を改正したいということで金融制度調査会に諮問をいたしておるわけでございます。これとやはり関連を持つものでございますから、そういう考え方で諮問をいたしておる次第でございます。
  121. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 株の持ち合い……。
  122. 植木光教

    植木国務大臣 株の持ち合いにつきましては、直ちにこれがいけないということはできないものもあるということは御承知のとおりでございます。しかしながら、これが弊害を及ぼすものにつきましては、現行法の第十条によりましても規制することができるわけでありますけれども、しかし今後、将来の問題といたしまして、商法との兼ね合い等も十分考えながら検討をしていかなければならない問題だと認識をしております。
  123. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この銀行法の改正による選別系列融資、この問題と企業集団の法的靱帯になっておる株の相互持ち合い、この問題についてはぜひひとつ早急に検討をして、そうして改正すべき点は改正してもらいたい。やはり芽は早いうちに摘んでおかないとどうにも動きのとれなくなる可能性が、ことに株の相互持ち合いにおいてはある、こういうように考えておりますから、さように改正の方向で検討していただきたい、かように思います。  次に、先ほどちょっと総理がおっしゃいましたが、日本経済高度成長から安定成長に移りますと、かつてはかなり寡占間の競争がございました、あるいは企業集団間の競争もございましたが、いまや全く寡占協調という状態にきておるわけです。でありますから、これはお互いに協調をすることによって一定の利潤を得ようということで、経済企画庁が四十九年の六月に、価格協調産業界の態度というのを調べましたところが、競争はするが業界協調に留意するというのが七〇%あります。なるべく競争しないように努めるというのが一九%あるのです。そして、激しい競争をするというのは五%、競争は全くしないというのが二・三%、その他がございました。要するに、協調をしていくのだというのが九二%あるわけです。そういたしますと、今後寡占協調という状態の中で、一体消費者の権利をどうして守るのだ、こういう問題が提起をされてくるわけであります。  そこで、私は、一体寡占協調というような中で、どうして消費者の権利を守っていくのだということについて、公取委は独禁法立場から一体どういうように考えられておるか、これをお聞かせ願いたい。
  124. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまのお話につきまして、私は、現行独禁法がさらに今回改正されますならば、いままでに比べまして、かなりの範囲でわれわれのそういう寡占協調態勢に対する規制といいますか、すべてについて——これは私の方の力だけでできないことは御承知のとおりでございます。しかし、独占禁止法の適切な運用が行われれば、そういった寡占に乗じて協調を主とするというふうな考え方は漸次破られていくことも可能ではないか、この程度に考えておりますが、いずれにしても、私どもは、われわれの職務の範囲内においてやれることを十分にやる、こういうふうに考えております。
  125. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 違反行為が起こった、あるいはカルテルの問題が起こったというときに、初めて当該業界調査するというのでは非常に遅いわけです。それではもう的確な調査をすることはできません。でありますから、常にやはり市場とか業界実態を把握しておく必要があると思うのです。でありますから、四十条は御存じのように、四十六条の違法行為における強制調査権のほかに、広範なる強制調査権を与える。これは任意調査権だけでは全うすることができないからであります。でありますから、この広範な違反行為における、四十六条のほかに四十条の強制調査権を置いたという法の趣旨を十分考えてみる必要がある、こういうように思うのです。  そこで、今度四十条の二というのが修正削除されるそうでありますけれども、その四十条の二が削除された後において、公取は従来の四十条あるいは四十四条の法律の適用をどういうようにされるか、あるいは四十三条、これをひとつお聞かせを願いたい。これは公取が第一の解釈権を持っておるから私は聞いておるわけです。
  126. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 いろいろ公取委が経済実態調査していくことは必要でありまして、何もそれは強制調査に限りません。任意の調査でもってできるものはできるだけそういう方法によりたいと思いますが、四十条についてもそれを使うことがどうしても必要である、職務の執行に必要であると認められる場合には、ケース・バイ・ケースでございますが、従来でもやってきたような方向でそういう運用を図ってまいりたいと思います。  四十三条につきましても、従来あるいは少しその辺について問題がなきにしもあらずというふうな点がございますので、十分これから検討いたしまして、適切なる四十三条の活用を図っていくことも、ただいま御指摘のありました業界協調態勢というものに対する一つの対策となり得るのではなかろうかというふうに思いますので、そのように御理解願いたい。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 本委員会で非常に問題になりました事業者団体の構成員に対する課徴金の問題であります。これは何万会社あるとかいろいろ問題が出まして、公取委員長自身からも、とてもそれだけの事務量は、公取の機能を麻痺させるという話もございました。私どももいろいろ検討をいたしましたけれども課徴金というのは罰則ではないが、広い意味の制裁である。そうすると、自由裁量というわけにいかないということで、結局問題はありましたけれども残すことになったわけであります。一部には、そのカルテルに参加した役員の会社にのみこれは適用したらどうかという話もございましたけれども、これもなかなかむずかしい。ことに参考人学者先生、なかなか意見がございまして、ついにわれわれとしてもあきらめざるを得なかったわけであります。  そこで、実際運営として事業者団体の構成員まで課徴金を取らなければならぬということになるわけですが、この条文がそのまま残りますと、一体どういう運営をされようとされるのか。ひとつ公取委員長から率直な意見を承りたい。
  128. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 確かに事業者団体の問題は大変むずかしゅうございます。私ども意見がないことはなかったのでございますが、しかし大体このような修正案に落ちつくとしますれば、私どもはその範囲で最大の努力をする。しかし、最大の努力をいたしましても——前にもう、一部参考資料を差し上げてございますが、もちろんこの軽減措置がなくなりましたことによって、大幅にその点では事務量がなくなります、減ります。しかし、なおかつ事業者団体の中で相当大規模なものが行った場合などについては、かなり困難な面が出てくることも避けがたい。しかし、そういうことについて、私はなるべくそういうような大がかりなものがないことを願い、そしてまたその場その場でどう対処したら一番効率的な運用ができるかということを、まだ法律の施行までにしばらく時間がございますから、ゆっくり検討いたしまして、できるだけこの範囲内で、またわれわれの持っている力の現有勢力の範囲内で最大限の努力をする、こう申し上げるほかない。したがいまして、実際問題としては、手をつけると逆に課徴金のために全部の業務がストップするということもありますから、そういうときにはもうやれないということも出てこないとは言えないのです。しかし、これも私は経過的にやむを得ない、漸次陣容の強化とともにできることになるのが多いのじゃなかろうか、こう考えております。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総務長官、あなたはとても公取の機能が麻痺するような法案を出されたわけですけれども、これを実行さすために一体人員と予算というものについてどうお考えになったのか、これをお聞かせ願いたい。
  130. 植木光教

    植木国務大臣 政府案を作成するに当たりましては各省庁と協議をしたわけでございます。公正取引委員会とも協議をいたしまして算定方式を編み出したわけでございまして、できるだけ簡明に、また負担はもちろんかかるということは承知いたしておりましたが、公正取引委員会の機能が麻痺をするというようなことは事前には考えませんで、私どもといたしましてはこの方法がよかろうかということで提案をさしていただいたわけであります。その後に至りまして、一体どれくらいの人でどれだけの日数がかかるのかということにつきまして、事務的にいろいろ御意見が出てまいりました。したがって、今回の修正方向というものが出てきたと私は認識をしているのでございまして、公取の機能を麻痺させるために複雑なものを出してきた、異常なものを出してきたというようなことは全然ございませんから、その点だけはひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  131. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そう言ってはいないのですよ。麻痺さすために出したとは言っていないのですよ。しかし、現実的に麻痺するような状態になるが、そういう場合に、それは提案者として予算とか人員というものはどういうようにお考えであったのか、こう聞いておるわけです。これをひとつお聞かせ願いたい。あなたが無理ならば総理大臣に私は聞かせていただきたい。  そこで、総理、今度公取が試案を出しましたときいち早く財界、さらに政府では通産省が、公取産業界実態を知らぬ、こういう攻撃をしたわけです。要するに、公取産業界実態を知らないで頭の中で出したんだという攻撃をいたしました。管理価格とかあるいは総合商社の調査とか、公取としては現在の機能をフル動員して一応調査もしているわけです。しかし、そういう非難のあることはあながち私は否定はしません。そういうような状態もあるだろうと思うのです。そこで、今後総理は、まさに自由競争の根幹として独禁法というものを位置づけられるならば、予算をつけて人員を増してやらなければこれはできないのですよ。いやしくもこの複雑な経済社会において市場の問題にメスを入れるとするならば、常にその調査をしておかなければならぬと思うのです。ですから、総理、そういう法案が成立いたしますと、いま申しました事業者団体の構成員の課徴金の問題をとりましても大変です。しかも、基本的にいままででも大変であった。ですから、人員強化並びに予算はどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。  と同時に、公取委はこの課徴金運用をされてみて、どうも構成員の、ことに事業者団体の場合にうまくいかないとするならば、法律が示しておる、四十四条に「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見提出することができる。」こういう条文が明記をされておるわけですから、私どももこれは大変な荷物を背負わすことになるという危惧を持ちながらこの法案を可決せざるを得ないわけですから、それは率直にそういう意見を出してもらいたい、そのことを私は期待をし、総理並びに公取委員長から答弁を求めたい、かように思います。
  132. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 多賀谷議員の御指摘公取委の陣容あるいは人員の強化ということについては、これは公取委の役割りの重要性にかんがみまして、今後私は努力をしていきたいと考えております。
  133. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 将来のことについていまいろいろ申し上げるのは控えさしていただきますが、実際にやってみまして、課徴金運用といいますか徴求をやってみまして、そうしてどうもたとえば非常な不公平感が残る。そのために、われわれが手をつけることができないというために不公平感が残って非常にまずい、こういうふうなことがあれば何とかしていただきたいということをまた何らかの方法で訴えていかなければならないんだと思いますが、いまは何も申しませんで、とにかくやるだけやってみるということが私の考えでございます。
  134. 山村新治郎

    山村委員長 神崎敏雄君。
  135. 神崎敏雄

    ○神崎委員 共産党は、巨大企業や独占企業集団などの経済撹乱行為、反社会的行為を規制する抜本的な独禁法改正案提出してきました。また、最低限度の要求として、原価公開などを含む修正案も提起してきました。それに対して、政府自民党から四項目修正提案がありました。  そこで、お聞きいたしますが、総理・総裁として、国民の要求に沿うためこの四項目修正案を今国会で必ず成立さすというかたい決意があるのかどうか、まずこの点を明確に答えていただきたいと思います。
  136. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、ぜひともこの国会で成立さしてもらいたいと切に願っておるものでございます。
  137. 神崎敏雄

    ○神崎委員 さて、政府は、これまで国会答弁等において、物価大作戦の一つとして独占禁止法改正を位置づけると言明してきたのであります。しかし、すべての国民がひとしく不安を感じておりますように、酒、たばこ、郵便料金、消費者米価などの大幅値上げ、それに国鉄運賃など、政府の手による公共料金の値上げ計画がメジロ押しであります。加えて、大企業が次々と同調的値上げを行っております。たとえばビールの値上げは、サッポロが三月に二十円、アサヒが四月に二十円というふうに、また鉄鋼では大手五社が昨年の六月に平均七千九百円の値上げ、さらにことしも八、九月をめどに大手五社がそろって八千円から一万四千円の値上げを計画しているのであります。  このような同調的値上げが相次いでいるまさにこのとき、当商工委員会における独禁法審議でこの同調的値上げが重大な問題になっているのであります。総理、あなたは総裁として、この自民党修正案で果たしてこのような同調的値上げを抑えることができると考えておられるのかどうか、はっきりとお聞かせ願いたいと思います。
  138. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この国会は、私は画期的な国会であったと思うのですよ。独禁政策というものが、いままでこんなに国会を通じて論議をされたことは珍しいことだと思います。そういうことで国民の関心も一段と高まってきておりますから、いま御指摘のようなことに対して企業自体も節度のある行動をとるものと期待をいたすものでございます。そういうふうに政府も指導をしてまいりたいと考えております。
  139. 神崎敏雄

    ○神崎委員 節度のある規制をやらすということは、裏返して言うならば、いま私が指摘したようなことが現存しているということを総理みずからお認めになるのですね。
  140. 植木光教

    植木国務大臣 国民の疑惑を呼びますような意識的平行行為が間々あるということは御承知のとおりでございまして、そういう面につきましてはいま総理から御答弁がございましたように、企業は自制をし節度ある経営を行うべきであると考えております。
  141. 神崎敏雄

    ○神崎委員 しつこいようですが、節度ある規制というものは中身は具体的にはどういうことですか。
  142. 植木光教

    植木国務大臣 同調的な値上げが行われます際に、これは違法行為であるものもございますし、たまたまそうなったという場合もございますし、あるいはまた疑わしいものもございます。私が節度あると申し上げましたのは、違法行為あるいはそれに類似する行為というようなことはやるべきでないということを申し上げたのでございます。
  143. 神崎敏雄

    ○神崎委員 わかったとおりの答弁ですが、私の聞いているのは、その中身をより具体的に聞きたいということでございますが、きわめて時間が少ないのでそれはその程度におきまして、自民党修正案はきわめて不十分であります。たとえば原価公開は強い国民の要求であります。それに当然こたえるべきである、私はこういうふうに思うのですが、総理これについてはどうでございますか。
  144. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 原価というものは、企業にとってこれはやはり競争一つの大きな根源をなすものでありますから、世界のどこも原価公表しておる国はないのです。原価公表するということは、かえって公正な競争を阻害する場合もある、こういうことで、独禁政策というものを非常に強化いたしておる国もあるけれども原価公表は行っていない。そういうことで、われわれとしても原価公表というものはいたさない、そういう方法はとらないということにいたしたわけでございます。
  145. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどから原価公開について、やれ自由競争だとかなんとかの立場から言われ、先般の当委員会ではやれ企業秘密だとかいうようなことを言われているのですが、原価公開をするということについては、基本的には国民の切なる要求を聞かないということが三木内閣の政治姿勢なんですか。総理どうですか。
  146. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 一般の人にはそういう意見の方もおりますけれども、これはやはり世界のどこもそういうことをやってないのに、日本が原価公表するというようなことは、私は適当なものとは思わないのです。したがって、原価というような一つの自由経済の非常な大きな要素をなすものですから、これを強制するということはどうも適当でないということで、そういう制度をとらなかったわけでございます。
  147. 神崎敏雄

    ○神崎委員 総務長官どうですか。
  148. 植木光教

    植木国務大臣 原価公表につきましては、原価そのものが何であるかということもなかなかつかみにくいのでございます。研究開発費から含めましていろいろな要素をとらえていくというようなことで、大変困難なものがございます。これが多数であります。先ほども午前中でございましたか、やれると言っているところもあるじゃないかというお説でありましたけれども、そういう単純なものもございますけれども、複雑なものがほとんどでございます。他の原因といたしましては、いま総理からお答えありましたように、国際的にも非常に不利な状況になるわけでございますし、企業の秘密に属することでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  149. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま期せずして長官は企業秘密に触れられたんです。原価公開については、先般からこの委員会西ドイツについての問題がたびたび論議されているんですね。公取委員長どうですか。
  150. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 全くないかと言いますと、それはそういうことはないんですけれども、ただ意識的平行行為といいますか、同調的値上げですね、今回四十条の二の初めの原案にあったような、そういう種類のものをとらえて、これを原価公表するという制度はないように思います。ですから、原価というものはどんな場合でも公表しないのかと言われると、それは世界にもその例が全くないとは言えない。しかし、ちょっと違っているんですね。たとえば独占企業に対して利潤をつかまえて値下げを命令する、これはイギリスでもやっているわけですが、そういうふうな場合にとことんまで利潤率を出すためには原価が出ないと出ませんから、これはある種の商品についてそういうことをやった例があるんです。ですから、そういう例はありますけれども、概して独占企業対策として分割のかわりにそういう手段をとるというのが大半でございます。独占に対する、独占価格を形成しているのに対してこれを是正させる場合です。ですから、そこまで行かない段階で原価公表をやるという制度は、実は私どもが先走ったと申しますか、そういうきらいがあるわけでして、ですからそれは原価公表は途中で私ども引っ込めているわけでございますから、その点御了承願います。
  151. 神崎敏雄

    ○神崎委員 総理、お聞きのように西ドイツ、イギリスではやったこともあるし、やっている。独占企業の方は特にやってないというような印象のいま公取委員長の答弁でしたが——いいですか総理、聞いておってくださいよ、聞いていますか。  そこで、企業秘密に関連して言いますが、最前、長官は企業秘密のことに触れられたのですが、たとえば農民は生産者米価の算出で裸にされているんです。労働者は所得税やその他で裸にされている。中小企業はコストが洗われて下請単価がたたかれている。ひとり大企業のみが、原価を秘密にしているのであります。財界の声といたしましても、たとえば新日鉄の稲山会長でさえ、必要があれば原価公表すると言明しているではありませんか。原価公開国民の強い要求であります。これに私はこたえるべきである、こういうふうに思うのですが、総理どうですか。
  152. 植木光教

    植木国務大臣 他の国で原価公表を行っているというお説でございますが、個々の企業についての原価公表はどの国も行っておりません。したがいまして、私どもは先ほど申しましたように国際的にも不利になるということを申し上げ、またそのむずかしさにつきましては先ほど来申し上げているとおりでございます。  それから、いま具体的な企業の経営者の発言が例として出されましたが、簡単にできるものもあろうかと思います。しかしながら、すべてがそうではありませんで、ほとんどのものにつきまして原価をとらえるということはきわめてむずかしいという事情がございますから、この点は御理解をいただきたいと存じます。
  153. 神崎敏雄

    ○神崎委員 総理、つけ加えることはないですか。
  154. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いまのお話に尽きておると思います。つけ加えることはございません。
  155. 神崎敏雄

    ○神崎委員 今度、総理よく聞いてくださいよ、これはあなたの発言ですから。総理は、本会議においてわが党の野間議員が、公取委に主務大臣と協議することを義務づけたことは公取委の独立性を侵害するものではないか、こう質問しましたことについて、公取委の自由裁量を抑えるためだ、こういう趣旨の答弁をされております。しかし、国会の意思は、公取審判結果はそれを曲げるべきではないとして、審決前の大臣との協議を削除したのであります。その趣旨から言って、審判開始前の大臣との協議についても公取委の独立性を十分尊重すべきであると思うのですが、この点について総理、どうです。
  156. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 一部営業の譲渡というようなことは産業構造に重大な関係を持つわけでありますから、やはり行政との調整が必要である、したがって協議をすることは適当であると思いますが、しかし協議がまとまらぬときの最終的判断は公取がするのでありますから、公取独立性を侵すものではないという考えでございます。
  157. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それは修正案の出る前の御答弁は一貫してそうであって、そうしてわれわれがその点を指摘した結果こういう修正になったんでしょう。もっと端的に言えば、二つあるものがだめだ、二つ取りなさいと言ったら一つだけ取ったんですね。なぜあと一つ残すのですか、そこまで修正するなら二つとも取ればいいんでしょう、それをなぜ一つだけ残したかという根拠をはっきりしてください。
  158. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この問題はやはり自由競争を回復できるということが、他に方法があればそれによって行えばいいのですが、自由競争を回復することが他に方法がないというような場合の処置として営業の一部譲渡をするわけでありますから、したがって他にいろいろな方法があるかどうかというようなことは、行政との関連というものを非常に持ってくるわけでございます。したがって、主務大臣と協議をすることは、これは必要である。二回であったのを一回というのは各党間のお話し合いのもとでそういうことに修正をされる予定でございますが、しかし一回も主務大臣と協議をしないでこういうふうなことが決められるというようなことは、私は適当だとは思わない、それは産業構造と非常に大きな関連性を持つからでございます。私は、それは何も公取独立性を侵すというような性質のものではないと考えておる次第でございます。
  159. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それは大企業の寡占支配、これとの関連でそういう答弁を総理はされているのですか。そういうことについての必要性から言われているのですか、その自由競争との関連で。
  160. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは寡占というものがだんだんひどくなってきて独占的な形態を持ってきたときに、この条項というものが発動をするわけでございます。
  161. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま寡占問題との関連についておっしゃったのですが、こういうことになっているのですよ。大企業の寡占支配は進み、いまや完全な自由競争はあり得ないことは、経済白書でさえ認めているのです。経済白書でそのように言われているのです。総理、御存じないのですか、それは。そういうことから聞いているわけで、経済白書でそのように書かれているじゃありませんか。
  162. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど来の御質問は、独占的状態の際の御質問でございましたので、総理からもただいまのような答弁があったわけでございますが、寡占対策あるいは企業集中対策といたしましては、御承知のように株式の保有制限等の措置によりまして、これを規制しようとしているわけでございます。独占的状態の弊害があらわれました際には、いろいろな手段をとり、そしてまた営業の重要な一部譲渡があり得る、こういうことでございます。
  163. 神崎敏雄

    ○神崎委員 時間がないのでこれについて詰めることはまたの機会にしますが、最後になりますが、以上の質疑で明らかになったように、修正案原価公開などの強い国民的要求に十分にこたえているものではなく、また公取委の独立性を侵害するおそれのある大臣との協議を完全には削除していないなどの不十分さを持つものである。しかし、わが党がかねて指摘してきました政府案の改悪点、たとえば公正取引委員会権限の縮小、機能麻痺独立性の侵害のおそれなどが取り除かれ、さらにやみカルテル影響排除命令が加えられるなど、全体として若干の前進が見られます。総理、いいですか。したがって、わが党は自民党のこの修正提案に対して、政府自民党がこれを正式に提案し、今国会での成立に誠実な努力をすることを確認して、これに賛成することにいたしました。  そこで、重ねて総理の成立についての決意をお尋ねするとともに、もし総理が本当に国民期待と要求に沿って独禁法を改正強化するというならば、巨大企業、独占企業集団などの目に余る経済撹乱行為、反社会的行為を規制することを含むわが党案の抜本的改正の見地に立つべきであると考えるものであります。そこで、重ねて総理見解を求めて、私の質問は終わりたいと思います。
  164. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、この独禁法の改正をこの国会で成立させたいと誠実に願っておるわけでございます。そのために苦労も重ねてきたわけでございますから、その点は御理解を願いたい。また、共産党にもいろいろ御意見があるようでございますが、共同修正が議決されるならば、その共同修正の線に沿うてこれを尊重してまいりたいと考えておる次第でございます。
  165. 山村新治郎

  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 総理にお伺いをいたしますが、私たちは党独自の改正案提出いたしてまいりました。また過日、書記長、幹事長会談におきまして五項目にわたります政府案修正要綱骨子を明らかにしてきたわけでございます。本日、各党合意の煮詰まった修正案が出されておるわけでございますが、まず最初に、今国会におきます総理の成立への決意をお伺いいたしたいと思います。
  167. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、しばしば繰り返して申しますように、自由経済体制を守り抜きたいという立場に立つものでございます。そのためにはどうしても公正なルールを制定して、そのルールの中における競争の機能を十分に生かすことである、こういう信念の上に立ちましてこの法律改正案をいろいろな困難の中に皆さんの御協力も得てここまでやってきたことでございますから、ぜひとも成立させたいという熱意は、私は今日といえども変わるものではないわけでございます。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 独禁法の強化という問題は、今後絶えず検討していくべきものであると思います。今回の改正はあくまで強化改正の一里塚としていくべきであると思うわけでございます。今回の改正でも積み残された項目がずいぶん多いわけでございますが、総理の今後の独禁政策についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  169. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、これからの新しい日本の経済の活力というものは、独禁政策を誠実に守って、その中で新たなる競争の活力を見出すよりほかにはない、こう考えておるわけでございますから、今回初めて独禁法の強化の改正を行ったことでございますから、これを効果的に運営をして日本経済に対する安定成長期の新しい活力を添える一つの転機にしたいものである、こう考えておるわけでございます。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 さらに、今回の改正が実現したといたしましても、行政指導と独禁法との関連につきまして明確にしなければ抜け道になるような気がするわけであります。行政指導と独禁法についての総理見解をお伺いしたいと思います。
  171. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 各官庁が行政上いろいろな行政指導を行うことは当然でございますが、しかしその行政指導というものは一つの社会的なルールの中における行政指導でなければ、その枠を超えるということは産業政策の限界を超えるものでございますから、したがって今後の行政指導が独禁政策を尊重しなければならぬものであるということを強く考えておる次第でございます。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども申し上げたわけでございますが、私たちは、修正を含めたとしても政府案が十分であるとは思っておりません。今後も強化改正のための努力をしていきたい、このように考えておるわけでございます。今回の改正も適正に運用されなければ何にもならないことは言うまでもないわけであります。  そこで、総理にお伺いいたしますが、総理は、公正取引委員会職権行使独立性は将来ともに尊重されるかどうか、この御決意をお伺いしたいと思います。
  173. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、公正取引委員会独立性を尊重しなければ、公正取引委員会の存在の一つの価値というものは非常に失われる結果になると思いますから、公正取引委員会独立性を今後とも尊重してまいりたいという所存でございます。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 公正取引委員会はその独立性を保たなければ価値がないというような御答弁をされたわけでございますが、そういうことで将来ともに尊重するということをおっしゃっているわけですから、そういうようにしていただきたいと思うわけでございますが、二回の協議、これを審判前のところを残しておるわけでございますが、総理がいまおっしゃったように独立性を保たなければ公取は価値がない、そこまでおっしゃっているわけですね。そういたしますと、一回残った協議につきましても、職権行使独立性を侵すことのないようにしなければならぬ、このように思うわけでございます。非常に大事なところでございまして、総理の所信をお伺いしたいと思います。
  175. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、これは行政面との関連を持つわけでございますから、この調整をするということは必要であることは言うまでもないわけです。産業構造にも大きな影響を与えるわけでありますから、それを行うについて行政面と調整が必要なことは言うまでもないわけでございますが、その場合に公取委員会独立性を尊重するという立場において、今後そういう立場に立って主務大臣との協議を行うものであることは申すまでもないことでございます。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 次にお伺いしたいのは、株式保有の問題でございますが、今回の改正で一応総量規制は入ったわけでありますが、競争会社の株式の相互持ち合いは見送られておるわけであります。企業集団の形成等による経済の集中化という事態は、非常に深刻に考えるべき問題であろうかと私は思うわけであります。株式の持ち合いによる経済力の集中化という問題につきまして、総理はどのように認識をされておられるか、さらに総理は、株式の相互持ち合いの制限は将来検討するという趣旨の答弁をなさったように思うわけでございますが、本当に検討されるかどうか、この点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  177. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先般、植木総務長官もこの問題については触れておりましたが、持ち合いの一般については、将来の問題として、商法その他の関係法規等も考えつつ研究をいたしたいと思う次第でございます。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 研究をいたしたいと思いますというようなことをおっしゃっていますが、現実にこういうような弊害が出てきておるわけです。今後の研究課題という問題じゃないので、現実のそういう弊害が出ておるわけですよ。総理はそういう御認識しかお持ちになっておられないのですか。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  179. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 もしも一定の取引分野における競争を実質的に制限することになるような場合には、現行独禁法第十条によって規制が可能であると考えております。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした実態というものは随所にあるわけでございます。しかし、まだまだそうした調査も広範に行われておらないという事実もございますし、今後さらにそうした経済の機構につきまして幅広い綿密な調査をし、適正なそういう対策をとっていく必要がある。総理もその必要性を認めておられるわけでございますし、今回の改正案におきましては相互持ち合いの禁止ということは入っておらぬわけでございますし、その点、将来これを改正されますか。さらに、そうした調査等においてはどういうように具体的にそうした調査の活動等を強化なさっていくか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  181. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは先ほどもお答えしたように、いろいろ商法との関連もございまするから、将来の問題としてこの問題は研究をさせていただきたいと思う次第でございます。
  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 繰り返しの答弁ですが、時間の関係がありますから次にいきたいと思います。  次に、消費者救済の問題でございますが、総理は今回のこの改正案提出に当たりまして、消費者問題に非常に熱意を示してこられたということをお聞きしておるわけでございます。ところが、改正案を見てまいりますと、書面をもって申し立てた者に通知するだけである。これでは総理の熱意というものが反映されておらない、このように思うわけであります。総理は、独禁法違反から消費者を守るということについて、これで十分であるとお考えになっておられるのかどうか、これが一点でございます。  それからさらに、この第二十五条を十分に生かすためにクラスアクションという制度を確立すべきであると思うわけでございます。すでに国民生活審議会の消費者救済特別委員会ではこの実施を意見書で出しておるわけでございます。わが党は、今国会にこの法案を提出しておりますが、このクラスアクションを早急に検討すべきである、このように思うわけでございますが、この点についてどうか。  以上二点について、総理より御答弁をお願いしたいと思います。
  183. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 消費者保護の場合は、この独禁法というよりかは、ほかにいろいろと消費者保護の措置を講じていくべきだと思います。独禁法はやはり公正な自由競争のルールを確立するということでありますから、直接に消費者保護ということには結びつかないかもしれませんけれども、しかし自由な価格競争が行われるということが究極において消費者の利益を擁護することは間違いない。それが行われないで独占的な利益というものが享受されれば、その問題で一番被害を受けるのは消費者でありますから、やはり公正な自由競争が行われるということは、消費者は究極において利益を受けることは明らかでございます。しかし、消費者の擁護のことは、独禁法で直接この目的を達成するということは、独禁法というものの性質からなかなか困難でございますから、他のいろいろな施策を通じて消費者の立場を擁護するように補っていく必要があると考えておる次第でございます。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 他の施策と相まってということをおっしゃっているわけですが、具体例としまして私たちはクラスアクション制度というものにつきましてわが党は今国会にも出しているのですが、一般国民の中でもこれは非常に大切な考え方である、こういう声が高まってきておるわけです。総理はどのようにお考えですか。
  185. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 クラスアクションは一つ考え方だと思いますが、日本の現状ではなかなかそういかない面もございますので、いまここでこの問題に対してそういうことを即答いたすことはできませんが、この問題は研究をさせてもらいたいと思うわけでございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 何事も研究でありますが、それでは抽象的過ぎると思うのですね。前向きに検討なさっていくのか、ただ単なるこの場だけで研究をしたいということなのか、その点どうなんですか。
  187. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは一番典型的にこのことが行われておるのはアメリカでありますが、どうもアメリカでもこのクラスアクションというものはいろいろな問題を引き起こしておるわけでございまして、日本の現状からして、直ちにクラスアクションというものを日本へ持ってくることに対してわれわれはちゅうちょせざるを得ない。これはよほど将来の研究の課題にしないと、これを日本の現状というものを踏まえないで取り入れることは私は困難であると考えておる次第でございます。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間の関係で次に進みますが、四十条の一般調査についてでございますが、この四十条につきましては相当幅広い調査を認めておるわけでございます。午前中、私は石井良三氏の見解を引用いたしたわけでございますが、この四十条の活用について——強制調査権でございますが、さらにまた四十三条の公表の問題等について、どういう姿勢でいかれるか。これが一点でございます。  第二点といたしまして、公正取引委員会の機構の拡充、当然人員の増加等がこの中では柱でございますが、この公正取引委員会の機構の拡充についてはどう考えるか。  以上二点についてお答えいただきたいと思います。
  189. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 各委員から御指摘のありました公正取引委員会の人員の強化とか機構の整備というものは、これは私も努力をする必要があると考えております。  四十条の問題は、植木総務長官からお答えいたします。
  190. 植木光教

    植木国務大臣 四十条の解釈につきましては、一次的には独占禁止法の運用に当たっております公正取引委員会がこれを判断するということは当然でございます。しかし、政府といたしましても今回の独占禁止法改正法案の作成に当たりましては、四十条の調査権についての一定の理解を持って作業を進める必要がありましたので、一般的に行政庁の権限行使のあり方を考えながら公正取引委員会の従来の運用考え方等を勘案いたしまして、四十条についての一定の理解を得たのでございます。  法案作成に当たっての政府の四十条についての理解でございますが、現行四十条の権限公正取引委員会の職務を行うために必要があるときに行使されるものでありまして、「職務を行うため」とは独占禁止法の規定の具体的運用に関する職務を言うものと解されるということでありますが、必要性につきましては、四十条の調査権限が任意の調査と異なりまして、罰則により担保されました強制的調査権限であるということを考慮しつつ、一次的には公正取引委員会がケース・バイ・ケースに慎重に判断すべきものと考えているのであります。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後に、一言申し上げておきたいと思うのでございますが、私は、この独占禁止法は経済の変化に即応するものでなければならないと思っております。独禁法は、基本的には競争秩序を維持するものでありましょうが、寡占体制が現実のものになっている現在の経済体制のもとでは、新しい独占禁止法、すなわち競争秩序の崩れ去った領域に新しい政策手段である原価公表寡占価格の認可等を含めて検討していくべきであろうと思っております。わが党は、今後も独禁法の強化を要求していくものであることを申し上げ、私の質問を終わります。
  192. 山村新治郎

    山村委員長 玉置一徳君。
  193. 玉置一徳

    ○玉置委員 まず、総理にお伺いいたします。  私は、本日の答弁のいかんによりまして、私たちが共同提案に同調いたしますのを取り下げるかもわかりませんので、あらかじめひとつお願いをいたします。  今日まで非常に御努力なさったことは私も多といたします。昭和二十八年からの初めての思い切った改正でありますので、それなりに評価をいたすものであります。しかしながら、御承知のとおり、その経過において、ことに最終的な詰めの段階で、自民党内の非常な混乱のために、われわれ現場で審議を続けておる者は非常に迷惑をこうむりました。異常なまでの総理の御執念で、生きたり死んだり、また生き返りたりというような形できょうまで来たわけであります。これについてどのような御所見、御感想をお持ちになっておるか。なお、参議院の非常に困難な情勢の中でどのようなお見通しをお持ちになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  194. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 従来の独禁法の改正というものは、強化の線でなかったわけですから、初めて流れを変えたわけですから、流れを変えるということはその間にやはりいろいろな不安を伴うわけでございますから、したがって御指摘のように、これが一つの成案を得て国会提出されるまでの間にもいろいろの紆余曲折を経ましたけれども自民党としても自由経済を守ろうという政党でありますから、自由経済を守っていくためには、時代も変わり、国民の要請も変わってきたから、独禁法の改正というものは必要である、この改正が必要だということについては、自民党に異存はないわけです。ただ、その方法論について党内にいろいろ議論がありまして、玉置議員の御指摘のような人からごらんになればターンがあったと思いますが、自民党は御承知のようにあっさりした政党ですから、決まれば皆一致して、そしてこの成立を図りたいと考えておりますので、私もぜひともこの国会で成立させたいという熱意に燃えておるものでございます。
  195. 玉置一徳

    ○玉置委員 総理はあっさりした政党だとおっしゃいますが、なかなか執念深いところもありますので、お気をつけにならぬと参議院でなかなか困難をすると私は思います。  それはさておきまして、公取委員長にお伺いしたいと思います。  今度の修正案で、大企業の寡占企業の同調的値上げ、この項目を削除いたしましたが、自分も共同提案になっておきながら変なことを質問して申しわけないのだが、そういう事情になっておるからやむを得ません。そのときに、私はこれは残しておいた方がよかったなということを本当に思うのです。そこで、あなたはこれを削られたときに、現行法で、これを削除しても構わないような方途をお考えになっておいでになるかどうか。つまり、これを削られたら非常に仕事がやりにくいんだとお思いになっておるか。それならば、削られたら削られたで、現行法でこれにかわるべき方途があり得るかどうかを明らかにしていただきたいと思います。
  196. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この問題につきましては、先ほど四十条の解釈につきまして、近江委員質問に対して総務長官が答弁されましたそれと全く同じように解釈しております。
  197. 玉置一徳

    ○玉置委員 全く同じならば、それは人がかわったんだから、各人に御答弁をいただきたいと思います。
  198. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 簡単に申します。  要するに四十条は、職務を執行する上において具体的に必要であると考えた場合に、ケース・バイ・ケースで判断してまいります。そういうことでございます。
  199. 玉置一徳

    ○玉置委員 それならばもう一つですが、独禁法はやみカルテルをやってももうけにならないんだ、こういう課徴金の問題と、それから独占価格の防止をどうするかということ、寡占価格の形成されるものを防止する方法、もう一つは、余りにも巨大なものができることを何とかして社会正義に基づいてとめようじゃないか、大まかに言いますと、この三つだと思います。  そこで、株式保有の制限が御承知のとおり後退をいたしました。そこで、私たちは、経済の大変動という時代に十年というようなことでは遅過ぎる、せめて五年にしなさい、そうして万やむを得ざる諸般の事情のあるものは公取委員会に申し出て許可を得なさいということを主張してまいったのであります。ところが、これも入っておりませんけれども、私は先ほど総理にお話をしておりましたとおり、二十八年来の大きな改変が——議事を自民党で妨害するんだったら、審議中断するぞ、本当に。
  200. 山村新治郎

    山村委員長 質問中に政府委員の周りを余りうろうろしないでください。
  201. 玉置一徳

    ○玉置委員 先ほど申しましたように、急激にこれが短時日の間に審議が行われたものでありますから、非常に中途半端な問題も若干あり得ると思います。こういう意味で、私は、この株式保有についても、その他についてもありますが、二、三年やっていただいて見直しをするというようなお気持ちがあるかどうか、お伺いをしたいのです。
  202. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私は、現在の段階では、こういうふうに法律でもって定められた以上、一応そのあり方を、それに従って処理していきたいと思っております。というのは、やはりブレーキとなるという点では、五年であろうが十年であろうが、多少違いはありますけれども、本質的な差は余りないように思われますので、途中の経過をもちろん注視いたします、いたしますが、当分この法律によってまいりたいと思います。
  203. 玉置一徳

    ○玉置委員 総務長官、先ほど言いましたように、同じことでありますが、審議の日程が少なくて、かなりお互いにいろいろな問題点を持ちながら、総理の熱意にほだされて、これは廃案になるよりは通した方がベターなんでありますから、皆さんで同調されたんだと思います。こういう意味で、いろいろ問題点がありましたことは審議の経過にかんがみて総務長官もよく御存じのとおりであります。一挙に、一遍に満点をとるということは非常に至難な問題であることもわれわれも承知をいたしております。しかしながら、いろいろやっておる間になお不備な点が出てくると思うのですが、そういうものについてまた改正を提案するにやぶさかでないかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  204. 植木光教

    植木国務大臣 政府案を取りまとめるに当たりまして、各界から御意見を聞く等いろいろ努力をいたしました。短期間にこれをまとめたわけでございますが、いろいろその後問題点が出てまいりまして、修正方向にあるということにつきましては、私ども修正されましたならばそれを尊重していきたいと存じます。  なお、今後いろいろ問題が出てまいりましたならば、私どもといたしましては競争政策が公正に行われますように配慮していく所存であります。
  205. 玉置一徳

    ○玉置委員 もう一つは、公取委員長は先日、通産省が行う施設の拡充に対する官民協調という形のものは、法律に基づかなければどこまでも違反である、独禁法に抵触するとおっしゃいましたが、いまもそのとおりでありますか。
  206. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 顧みますと、理論的にはそのように解しますが、ただし、これは四十一年の覚書というものがございまして、それはいまだに破棄されておりません。ですから、そのとき私はわが方にもやはり落ち度があるんだということを申しまして、この問題についてはなお追って検討いたしたい、こう申し上げたわけでございます。直ちにこれを云々するというわけにはまいらない事情があるということを申し上げたわけでございます。
  207. 玉置一徳

    ○玉置委員 総務長官、それから総理、そのときに通産大臣は、通商産業省の設置法に基づいてこういうことをやっております。こういう答えでありました。ところが、通商産業省の設置法の三条は「次に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」と書いて、一つずつ書きまして、第四条には「通商産業省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律に従ってなされなければならない。」それから国家公務員法にも同様なものが書かれております。これはもう当然なことだと思います。だから、私は、公取委員長のお話しのとおり、せっかく二十八年以来のこういう画期的な改正が一応行われるわけでありますので、この機会に両方をもう一度検討し直す必要があるのではないか、こう思うのですが、総務長官並びに総理はどのようにお考えになるか。
  208. 植木光教

    植木国務大臣 行政指導につきましては、各省庁が行っておりまして、それは必要に応じて行われるわけでございますので、特別にここで論評をすることは差し控えさせていただきたいのでございますが、しかし行政指導をせられるに当たりましては、あくまでも独占禁止法を遵守するというたてまえでなければなりません。また、独占禁止法を事業者が遵守いたしますように行政指導を行うべきであるということを私どもは強く要請をいたしておりますし、またその点について政府は挙げて努力をする所存でございます。
  209. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 今日の行政は、各省の行政が縦割りで排他的なことはできない。やはりそれだけの一つのルールといいますか、たとえば通産行政にしても環境政策というものは守らなければならぬし、独禁政策も守らなければならぬし、そういうことでありますから、やはり通産行政をやる上において行政指導を行ってやることは、これは当然なことでございましょうが、その行政指導がそういう社会的なルール、これを越えたものであってはいけない。やはり独禁政策というものは尊重するという範囲内においての行政指導であるべきだという考えでございます。
  210. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間がだんだんございませんので、最後にひとつお伺いしたいのですが、独禁法がこのような次第で衆議院を通過する予定になっておるわけであります。そこで、一番大事なことは、先ほど来いろいろ皆さんからも御質疑がございましたが、公取委員会というものは非常な権限を持っておるのである。公取委員会はすなわち検事であり、経済の原則に対する判事でもあり得るわけであります。ここにその人を得るということが私は非常に大事なことではないか、こういう感じがするわけであります。こういう意味におきまして、現在の公取委員会は大蔵から二名、通産をやめた方が一名、法務が一名、日銀が一名、これは一体どういうことなんだ。本当にこの方々はりっぱな方方だと思います。ほかの方はほとんど知りませんが、私は高橋委員長を見ておりましても、本当に頭の下がる思いがするのであります。しかしながら、これだけ経済がぐんぐん変わってまいりますことに対して、果たしていまの役所上がりの方ばかりで経済というものの実態を痛いほどわかるのかどうかということにつきましては、若干の危惧を抱かざるを得ない。お役所というものは、役人というものはまじめにずっと仕事をおやりになっている一つの習性がございます。そのかわりにどこかまた抜けたところがあるのじゃないだろうかという感じすらするのです。だから、一般の民間の学識経験者をその他の行政機関には幾らでも入れているわけでありますから、そういう配慮も将来やるべきじゃないだろうか。これが一つ財界等の不安を醸成しておるゆえんではないかという感じがいたします。  二番目、これだけ繁雑な要務になってまいりますと、五人ではお気の毒であります。先ほど言いました民間人というものも入る、許容の余地をつくるためには、少なくとも七名にすべきじゃないか、こういうことを質疑並びに提案したいと思いますが、総理、どのようにお考えになっておいでになりますか。
  211. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、公取委員会役割りというものは今後ますます重要になってくる、公取委員会自由競争原理を守ろうという役所ですから、公取委員会の存在が産業界に不安を与えるものであってはいけない、そういう意味公取委員会の構成というものはきわめて重要だと思いますので、いま玉置委員の御指摘になった学識経験者なども起用したらどうかということは、十分にこれは検討をいたします。
  212. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  213. 山村新治郎

    山村委員長 武藤嘉文君。
  214. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 いま修正の問題がいろいろございまして、四十条の二の規定を削除するということがございます。この削除した場合に、同条に規定されておりますのと全く同じ権限を現行第四十条では行使できないと思うのでございますが、この点について政府の統一見解総理から承りたいことと、あわせて公取委員長考え方も承りたいと思います。
  215. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 お答えをいたしますが、第四十条の二の規定を削除した場合、全く同じ権限を現行第四十条で行使できることはありません。これが政府見解でございます。
  216. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまの総理答弁と同じ見解でございます。
  217. 山村新治郎

    山村委員長 以上で内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  218. 山村新治郎

    山村委員長 内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、田中六助君外二名から自由民主党、日本社会党及び民社党の三党共同提案に係る修正案提出されております。  この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。
  219. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま提案されました修正案につきまして、提案者を代表して、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付されているとおりでございますが、修正点の第一は、違反行為に対する排除措置の実施後、当該行為影響排除するためにとる具体的措置の内容の届け出及び実施状況の報告に関する規定を削除するとともに、公正取引委員会が違反行為影響排除するために必要な措置を命ずることができる旨を明確にし、違法な価格カルテル等に対する排除措置の徹底を図ることであります。  第二は、課徴金の算定における基準率を、製造業については千分の四十に引き上げ、また課徴金の納付を命ずることができない額を二十万円未満に改めるとともに、課徴金を算定する場合の減額措置に関する規定を削除し、違法カルテルの抑止効果を大ならしめることであります。  第三は、価格の同調的値上げに対する報告の徴収等に関する規定を削除することであります。  第四は、独占的状態の排除措置に係る審決前における主務大臣との協議に関する規定を削除し、公正取引委員会職権行使独立性確保することであります。  以上が修正案の趣旨であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  220. 山村新治郎

    山村委員長 以上で、修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  221. 山村新治郎

    山村委員長 これより内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、田中六助君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 山村新治郎

    山村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  223. 山村新治郎

    山村委員長 起立総員。よって、内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいまの修正議決により、字句の整理を必要とする場合は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  225. 山村新治郎

    山村委員長 この際、本案に対し、田中六助君外二名より自由民主党、日本社会党及び民社党三党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田中六助君。
  226. 田中六助

    ○田中(六)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。   私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、今後、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を図るため、公正かつ自由な競争を促進することが益々重要であることにかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 経済政策の運営における独占禁止政策の位置づけを明確にし、産業政策としての行政指導のあり方を再検討するとともに、行政指導にあたつては独占禁止法に抵触する結果を招くことがないよう十分留意すること。  二 一般消費者の利益の保護と被害者の救済の充実を図るため、損害賠償請求権の裁判上の主張の制限、損害賠償請求訴訟の第一審裁判権、公正取引委員会の専属告発等について再検討するとともに、集団訴訟制度の導入についても検討すること。  三 企業の集団化等による競争制限をはじめその弊害を除去するため、株式の相互持合い、系列融資、人的結合等について早急にその実態を把握し、必要な制限措置を検討すること。  四 課徴金は違法カルテルにより消費者等から取得した不当利得であることにかんがみ、国庫に納付された課徴金の消費者等に対する還元について検討すること。  五 独占的状態の排除に関する公正取引委員会と主務大臣との間の協議については、公正取引委員会職権行使独立性が害されることがないよう運用すること。  六 寡占の競争制限的弊害について、その実態を明らかにすること。  七 独占禁止法に対する事業者の認識を深め、違反行為を根絶するため、啓蒙活動を活発化するとともに、独占禁止法を適切に運用し、違反行為の告発等も積極的に行うこと。  八 公正取引委員会の機構の拡充強化及び定員の増加について、速やかに必要な措置を講ずること。  九 政令の制定に当たつては、公正取引委員会の職務が円滑に行われるようその意見を十分尊重すること。 以上であります。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文によりまして御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略さしていただきます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  227. 山村新治郎

    山村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  228. 山村新治郎

    山村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。植木総理府総務長官。
  229. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨に沿って善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  230. 山村新治郎

    山村委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は付録に掲載〕     —————————————
  232. 山村新治郎

    山村委員長 次回は、明二十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会