○土谷
政府委員 お答え申し上げます。
まず第一にお尋ねのございましたのは、今回の
法改正によります
効果という点についてであったと存じます。この
効果の点につきましては、業界に対しましてアンケート調査あるいはヒヤリング等を行った結果、私
どもの方ではこれから先毎年一年間の
出願抑制
効果と申しますか、
出願減につながる方の
効果としては、およそ二〇%から二五%あるのではないかと考えております。
これを細かく申し上げますと、
出願時の業務チェックを行いますことによっておよそ五%、それから更新時に使用のチェックをいたすことになっておりますが、これによりまして八%程度、それから不使用取り消し審判における挙証責任の転換を行いますことによって約六%、それから料金引き上げの方でございますが、これは引き上げたとき以降毎年その
効果は減少してまいるというふうに考えておりますので、当初は十数%の
効果があると見ておりますが、四、五年先にはこれはほとんど
効果がなくなろうかと思います。そのほかさらに、私
どもの方の
運用の改善によりまして、当初はさほど
効果が上がらないまでも、数年先には少なくとも四、五%の
出願減少
効果があろうかというふうに考えている次第でございます。
こういうことにあわせまして、現在
処理の促進を図っております。審査官の増員はもちろんでございますが、特にコンピューターを利用して
商標の検索を行うということを数年前から検討しておりますし、これが近く実施の運びになりますれば相当の
効果が上がるものと期待しております。
これらをすべてあわせますと、四、五年先には審査に要する期間が一年程度に短縮されるのではないかというふうに
効果を期待しているわけでございます。
それから二番目の御
質問でございますが、更新
出願の際のチェックをどのように行うかという御
質問であったかと存じます。これにつきましては、私
どもといたしましてはその更新を
出願してまいります
出願人に自分の登録
商標を使用していることを証明する書類を出していただく。その書類を出していただきます際に、その自分の
商標を
商品に使用しているという状態を示す写真を添付していただく、あるいはそういった
商品が掲載されているカタログ等を添付していただくというふうに考えております。ただ、更新時の使用のチェックに当たりまして、もし正当な
理由で使っていないというふうな場合には、これは正当な
理由を明らかにする書類を出していただく。また、その事由が生じていなかった場合には、その登録
商標を使用できたはずであるということを明らかにする書類を出していただくことになっております。
それから三番目に、不使用取り消し審判の挙証責任の転換によりまして審判請求がふえてくるのではなかろうかという御
質問でございます。この点につきましては、私
どもとしまして当初はある程度ふえるのではなかろうか、つまりこれまで不使用取り消し審判が十分活用されていなかった、また実際に相手の不使用を立証することがかなり困難でありましたためにこれが利用されてまいりませんでしたが、こういった方々がこの
制度が発足したときにはお出しになるように考えられます。ただ、その一時期を過ぎれば、現在も行われていることでございますが、恐らく
商標を持っている相手方に対して譲渡の交渉をする。そして、そのために審査の場合に、当方で譲渡交渉中であるから待ってもらいたいというふうなことが従来も行われているわけでございますが、こういうものの件数が、これまででは大体三百件程度でございますので、私
どもとしましては、通常はその程度の審判請求があろうかと思っております。もちろん、この不使用取り消し審判の請求がふえました場合には、審判の
処理を促進するためにこれの手当てをしなければならないことは当然と存じます。
それから四つ目の問題といたしまして、業務チェックのことについてであったと存じます。これにつきましては、今回の
法律改正の中身にはなっておらないわけでございますが、あわせて、この
法律が成立し、そして施行される五十一年の一月からというふうに予定いたしている次第でございます。
それから、類似範囲を拡大することによって新旧の登録の権利の強弱についてアンバランスが生ずるのではないかというふうな御
質問であったかと存じますが、これは
制度上は変わらないわけでございます。類似の判断の
運用は社会通念によってこれまでも行われており、またこれからも行われることになると存じます。