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1975-05-06 第75回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月六日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 前田治一郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 佐野  進君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君   稻村左近四郎君       内田 常雄君    浦野 幸男君       小川 平二君    粕谷  茂君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       橋口  隆君    八田 貞義君       深谷 隆司君    森下 元晴君       山崎  拓君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清政君       勝澤 芳雄君    上坂  昇君       渡辺 三郎君    米原  昶君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         中小企業庁指導         部長      河村 捷郎君         中小企業庁小規         模企業部長   藤原 一郎君  委員外出席者         通商産業省産業         政策局産業構造         課長      並木 信義君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     木村 武雄君   近藤 鉄雄君     本名  武君   深谷 隆司君     染谷  誠君   玉置 一徳君     佐々木良作君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     粕谷  茂君   染谷  誠君     深谷 隆司君   本名  武君     近藤 鉄雄君   佐々木良作君     玉置 一徳君     ————————————— 四月十五日  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実  施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に  関する特別措置法案内閣提出第五〇号) 同月十七日  海水淡水化法案塩出啓典君外一名提出参法  第一四号)(予) 同月二十三日  中小企業救済に関する請願八百板正紹介)  (第二五七七号)  合成洗剤製造販売使用禁止等に関する請  願(大橋敏雄紹介)(第二五七八号)  同(岡本富夫紹介)(第二五七九号)  同(浅井美幸紹介)(第二六一七号)  同(大橋敏雄紹介)(第二六二一号)  同(阿部未喜男君紹介)(第二六五七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二六五八号)  同(近江巳記夫紹介)(第二六五九号)  同(島本虎三紹介)(第二六六〇号)  同(土井たか子紹介)(第二六六一号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二六六二号)  中小企業事業分野を確保する法律制定に関す  る請願山中貞則紹介)(第二六五六号) 五月二日  合成洗剤製造販売使用禁止等に関する請  願(岡本富夫紹介)(第二七〇〇号)  同(鈴切康雄紹介)(第二七四六号)  同(松本忠助紹介)(第二七四七号)  同(新井彬之君紹介)(第二七五八号)  同(有島重武君紹介)(第二七八五号)  同(石田幸四郎紹介)(第二七八六号)  同(鬼木勝利紹介)(第二七八七号)  同(小川新一郎紹介)(第二八一三号)  同(大久保直彦紹介)(第二八一四号)  同(大橋敏雄紹介)(第二八四〇号)  中小企業経営危機打開に関する請願外五十五  件(横山利秋紹介)(第二七四五号)  同(大柴滋夫紹介)(第二八四二号)  零細企業の保護に関する請願山中貞則君紹  介)(第二七五七号)  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の改正強化に関する請願板川正吾紹介)  (第二八四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四五号)      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、前回に引き続き、保留した分についての質問を続けたいと思うのでありますが、その前に、河本通産大臣、その後における景気対策等々、新聞紙上等を通じては大変熱心に取り組まれておるようでございまするが、中小企業を取り巻く経済環境、なかんずく不況が深化しているという現下状況の中でどのような景気対策を行っておられるのか、さらに中小企業に対してどのような配慮をしておられるのか、総論的で結構ですから、ひとつ御見解をお示し願いたい。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 三月の速報によりますと、経済界の動向は大体底をついた、こういうふうに言われております。と言いますのは、鉱工業生産も二月に比べまして〇・六上昇した、在庫も若干減り、出荷は幾らかふえた、こういう傾向が出てきましたので、底をついた、こういうふうに言われるわけであります。しかし、鉱工業生産が〇・六上昇の傾向を示したとは言いながら、一年前の、前年同月比で比較いたしますと、一八・五%という落ち込みであります。約二割弱という落ち込みになっております。落ち込みといいますか、減産になっておるわけであります。したがいまして、現在の状態は、非常に悪い状態が依然としてなべ底状態で続いておるということだと思います。中小企業は、減産は二割を上回っておる、こういう状態でございますから、中小企業状態は一般よりもさらに悪い、こういうことでございますので、一般的に何らかの景気対策をやはり考える必要があるのではないか、私はこういうことを痛感しておるわけでございますが、その詳細につきましては、五月の下旬に産業界実情をもう一回詳しく調べてみたい、こう思いますが、決して楽観は許さない、こういう状態が続いておるのが現状だと思います。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、巷間伝えられるところによると、通産大臣は、いわゆる景気が冷え込み過ぎている、したがってこのままの状況からするなら経済界が非常に深刻な局面を迎えることになる、そういう面からするならば、現在の金融あるいは一般的な経済対策はきわめて手ぬるい、それでいわゆる積極策展開を要望しておる。それに対して、経済企画庁長官、副総理は、相変わらずと言ってもいいほど、言葉の上での表現はともかくとして、物価対策その他の面から現在の金融その他の対策を引き続き堅持していくんだということで、閣内において意見が相当対立しているというようなことが流布されて、その面から来る政策展開が結果的に中小企業に大きな悪影響を与えるのじゃないかという心配等があると言われておるわけでありまするが、当面する経済対策について、たとえば一つの具体的な問題、公定歩合を再び引き下げろということに対して、いや、堅持すべきだ、こういう見解閣内においてあると言われておるようでありまするが、通産大臣としては、一つの問題ですが、金融面における対策として、公定歩合問題をいまどのように判断しておるのか、その見解をひとつ聞かせてください。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、二月に部分的な不況対策を始めました。引き続いて三月に第二次の部分的不況対策を始めたわけでありますが、これはもちろん福田副総理の主宰される経済対策閣僚会議で検討の上、全員一致の上で決めた対策であります。  なお、今後の経済政策あり方等につきましては、先ほど申し上げましたように、五月の下旬に詳細実情を調査いたしまして、それに基づいてどうするかということを経済対策閣僚会議でさらに相談をする、こういうことになっておるわけでございまして、現在までのところ、景気対策あるいは経済現状認識等について閣内で不一致がある、こういうことはございません。  なお、公定歩合引き下げの問題でありますが、この問題につきましては世上いろんな議論があるわけであります。第二次の公定歩合引き下げを早急に行うべし、そういうことを私は言うべき立場ではありませんので、私からは申し上げませんが、ただ金融情勢だけを私から申し上げてみたいと思うのでございますが、現在御案内のように、二年前に比べまして企業金利負担は非常な高水準になっておりまして、ほぼ実質二倍以上の負担増になっております。現在企業経営が非常に苦しいという理由は、大幅な減産が続いておる、つまり操業率が非常に低いということと、それから金利負担が急増しておるというこの二つにあるわけであります。しかし、外国等におきましては、英国でもフランスでも、それからアメリカ、ドイツはもちろんでありますが、そういう国々におきましては連続数回の公定歩合引き下げを図りまして、そして金融面からくるところの経済界に対するいろいろな重圧を防ぎながら景気振興を図っていく、それがいま世界大勢になっておるわけでございます。そういう世界大勢の中にありまして、日本だけが二年前に比べて二倍の金利重圧にあえいでおる、そのために産業がふるわない、こういうことでは困りますから、金利負担軽減のための一連の政策というものは何らか考えていかなければならぬ、こういうことは私は当然言えると思います。ただ、どういう方法をとるかということは、これは大蔵省や日本銀行が考えられるべきことでありまして、その中には公定歩合の第二次の引き下げ、こういうことも当然含まれるものだと思います。しかし、その時期であるとか方法であるとか、そういうことは通産省側から申し上げるべき筋合いのことではありませんので、具体的には差し控えさせていただきたいと思います。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 私、この法律を審議するに必要な前提条件としていま質問しておるわけですが、いま大臣が最後に、通産省当局として公定歩合の問題はとかく言うべきでない、ちょっと私の聞き違いかどうかわからないのですが、しかし金利負担が増大していて、各企業がその企業の持っている過去の利益を吐き出しているという段階で過ぎている状態の中では高金利というのも必要な条件一つだと思うのですね。しかし、過去の蓄積した利益を吐き出し過ぎている企業にとっては非常に大きな負担になっている。ここいらが非常に微妙なところで、私はここであなたにきょうこの問題をそれほど突っ込んでどうこうと言う時間もありませんから言いませんけれども、ただ私の判断からするならば、あなたが主張されている、通産省当局景気対策について、特に中小企業を含む中堅以下の企業対策について一定のいわゆる落ち込みに対する歯どめをかけようとする場合、金融対策として公定歩合の問題、いわゆる金利負担軽減というのは現下における対策としてきわめて重要である、こういう認識を持っておるのじゃないかと私は想像しながらいま質問しておったわけですが、そういう点についてはどうですか。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま日本産業界にとって金利重圧ということが非常に大きな負担になっておる、こういうことを申し上げたわけであります。ただ、そのために公定歩合引き下げをいつどういう形ですべきであるかということについては、これは日本銀行が判断さるべきことである。金利水準引き下げなければならぬということは、私はもう当然だと思います。ただ、そのやり方等については日本銀行が判断さるべきことである、こういうふうに考えておるわけです。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、この問題でやっていたのでは、これだけで一時間もたってしまいますから質問を打ち切りますが、そういう条件の中で、いま中小企業界、いや産業界全体の持つ一つ負担感は、金融はある程度緩んできた、しかし金利負担が非常に大きい。それともう一つは、操短等々、その関連仕事がない。したがって、いわゆる金利負担と、なくなっている仕事をどうして確保するかということが当面最大の課題になってきている。そのほかいろいろ条件がありますけれども……。  そこで、私はこの法律趣旨として、これは大臣に原則的に聞いておきたいのですが、いわゆる国民生活関連するものを近代化促進法の中に加える、いままでの国際競争力強化その他に加えて国民生活関連ある業種指定することができる、これが今度の法律改正趣旨ですね。ところが、これに対して、もはや近促法は形骸化してきておるのだ、いわゆる国際競争力強化するという形の中における役割りは終わり、いまやまさに低成長下における安定成長というか、低成長下におけるところの中小企業の行わなければならない役割りは、近代化を促進するという形の中においていままで行ってきたような形だけでは、もはや近促法というものの持つ意味が失われておるのだ、なくなってしまったのだ、そこへ国民生活という新しい分野に向けてさらにそれを拡大しようとしたところで、事実上このような法律本質的意味がなくなっておるのだから、ただ法律を残そうとする中小企業当局通産当局のみずから持っておる権益を保持しようとする——中小企業の発展する状態に対して何ら役割りを果たしていないのだ、こういう極論、私ども極論と言ってもいいと思うのですが、そういう批判もあるわけです。こういう面からする批判に対してどうお感じになっておるか、これは大臣長官と両方からひとつお答えいただきたい。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、中小企業といえどもやはり基本は依然として国際競争力強化ということを主眼に経営していかなければならぬ。石油問題からなるほど日本経済政策は若干変わると思います。経済政策が変わりましても、やはり企業経営基本というものは、中小企業においても大企業においてももう当然そうでありますが、国際競争力強化というものを図っていくということが経営基本でなければならぬ。そこへ持ってきまして安定成長ということになりますと、やはり国民福祉とかそういう問題が加わってくる、こういうことでございまして、近促法存立の本来の趣旨というものは依然として非常に重要な意味を持っておる、私はこういうふうに思うわけでございます。
  11. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ただいま大臣からのお答えにございましたとおりでございまして、この一−三月の輸出先行指標を見てみますと、LC、信用状接受高あるいは輸出認証高を見ましても、大分輸出伸びは鈍化の傾向がございまして、輸出の先行きにつきましては、かげりがあると申しますか、なかなか従来のような順調な伸びは期待しにくい面がございます。そういう情勢からいたしますと、輸出振興と申しますか、国際競争力強化必要性は現在も決して変わっていないと考えるわけでございますが、これに加えまして、今後いわゆる社会福祉型経済、こういうものに変わっていきますことに対応いたしまして、中小企業に課せられる課題がいろいろ多様化してまいるかと存じます。特に国民生活安定向上というのはこれからの福祉経済の中で非常に重要な課題になってまいるわけでございますので、従来の施策にあわせて新しい需要にこたえるべく国民生活福祉向上関係施策を追加したというのが今回の改正趣旨でございます。
  12. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、私は前回に引き続いて法案内容質疑をひとつ進めてみたいと思います。  前回までの質問の要点は、いわゆる近代化施策あり方という点について、いま原則的に大臣長官質問した事項を質問してみたわけでありまするが、きょうは改正点内容についてと、さらに本制度の持つ今後の課題ということについて質問をしてみたいと思うわけであります。  この改正点内容の中で、私は、関連業種協調による構造改善の問題この問題について質問してみたいと思うわけでありまするが、今回の改正内容によりますと、近代化促進法によって指定された業種だけが対象でなく、それに関連する業種までを含めて近促法指定業種として構造改善その他いろいろな事業を行うことになるわけでありますが、その問題について、これは以下、長官答弁で結構でございますが、関連業種範囲をどういうように決められるのか、現在までの指定業種の例をとってこの内容をひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。     〔委員長退席武藤(嘉)委員長代理着席〕  それから、そのことがこれまでの構造改善と異なる点、いわゆるあえてここで特定業種に対して関連業種というものを加えたことがどういう意味を持つのか、そのことの特徴はどうか、いわゆるいままでの特定業種であってさえ十分なる成果を上げ得ないのに、さらに幅を広げて関連業種まで指定業種になるというような形になってくるとりすると、むしろ中心がぼけて、行わんとするその意図はよしとするも、その結果は、大したことはないのではなく、むしろ混乱を招くのではないかという危惧があるわけでありますが、この点についての問題であります。  それから、この計画策定をする場合、構造改善事業実施の中で、主体特定業種関連業種、どちらにそういう位置づけをするのか、もちろんこれは平等だということになるでありましょうが、平等だということにはなかなかなり得ないわけでありますので、関連業種主体になる場合もあり得るのではないか、いや特定業種主体であって関連業種はあくまでも従だ、こういう意味において受けられるのかどうかという点があるわけであります。その他いろいろありますが、一応一、二、三の三つの点について答弁を求めたいと思います。
  13. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 今度の改正一つの大きなポイントは、ただいまお話しございました特定業種構造改善につきまして、関連業種ぐるみ構造改善が行えるように改正をした点でございます。  ここで、改正法関連業種と申しておりますのは、その業種に属します事業関連性が高いものにつきまして特定業種ごと指定をいたすことにいたしておりますが、その範囲といたしましてはおおよそ次のようなものを考えております。  まず第一が、原材料、部品、半製品供給する部門でございます。それから第二が、生産加工等に用います機械設備供給、修理をいたす部門、第三番目が、当該物品販売をいたします流通部門、第四番目が、その物品を用いまして他の物品製造する事業部門、大体そういったものが関連部門でございます。  たとえば具体的に申し上げますならば、これは仮にの話でございますけれども廃プラスチック再生加工業、こういうものを仮に指定をいたしたといたしますと、再生加工特定業種になりますけれども、その廃プラスチックを集荷してくる業者、それから再生加工に必要な機械類製造する業界、それから再生加工されました新しいプラスチック製品販売する流通部門、こういった関連業種を、その特定業種構造改善に必要な範囲におきまして、その構造改善に必要な業種ということで指定をいたしまして、それにつきましても一緒になりました構造改善計画を策定する、こういうことになるわけでございます。  それの特徴といたしましては、従来はただいま先生御指摘のように横割りのその特定業種だけの構造改善計画でございましたけれども、それをやるにつきましては、ただいまの廃プラスチックの例で申しますと、原料であるその廃プラスチックがうまく集荷されなければ効果が上がらないということでございますとか、再生処理をするための機器類がうまく製造されて供給されませんと再生加工ができない、これはやはり機械業界協力が必要でございます。また、できました新しいプラスチック製品をうまく流通させる部門協力も必要でございます。そういう意味におきまして、こういった関連部門協力をすることによりまして、その特定業種構造改善が従来以上により効果的に進歩を見るものと期待をいたす次第でございます。  その場合の関連業種一緒になりました場合の構造改善主体はどこかという御質問でございますが、これはあくまでやはり特定業種構造改善が主たるねらいでございますので、主体をなしますのはその特定業種であるというふうに考えております。
  14. 佐野進

    佐野(進)委員 そういたしますと、特定業種がいわゆる構造改善主体であるから、事業実施中心特定業種である、そういうぐあいにいま説明されたのですが、そうなりますと、関連業種をこの中に含めたということの意味が従属的な意味というように解釈されてくるわけです。従属的な意味関連業種を近促法指定業種の中に含めるということになりますと、結果的に関連業種がどういうメリットを受けるのかという心配が出てくるわけであります。逆に言えば、関連業種は、この業種指定の中に入ることによってむしろ従たる役割りを果たすということで犠牲を背負わされる、いわゆる特定業種に対して犠牲を負わされるという形の中でその役割りを果たす、説明と文章の中で言うとそういうことにならざるを得ないと思うのでありますが、そういうことのおそれはないのかどうか、これをひとつ明らかにしていただきたい。  と同時に、事業実施の中で、いまお話しのように特定業種が主たる対象であるということになりますと、関連業種との責任体制はどういうことになってくるのか。特定業種が主であり関連業種が従であるとするならば、責任の分担にもやはり主と従という問題があり、その中におけるウエートはそれぞれの較差、いわゆる七、三とか六、四とか、そういうものになるのかどうなのかということが一つ問題点として出てくるわけでありますが、この点の見解をひとつ示していただきたい。  さらに、こういうようにいままでも特定業種の近促法指定に基づく構造改善事業振興に対して、国や地方公共団体がそれぞれの役割りを果たしてきているわけでありますが、今後こういう特定関連業種間にわたるところの構造改善に対する地方公共団体、国はもちろんでありますが、地方公共団体の果たす役割りは複雑かつ多岐になって、なかなか意を得た指導というものが行われ得ないのではないか、いわゆる地方公共団体の持つ機能の中においてそれを行い得る条件というのは相対的に非常に減殺されてくるのではないか、こういう危惧を持つわけでありますが、これらに対する歯どめはどう処置されようとしておられるのか、ひとつ答弁をしていただきたい。
  15. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 関連業種は、この構造改善計画一緒に加わりました場合に、特定業種構造改善が主であればそれの犠牲になるおそれはないかという御質問でございますが、関連事業者特定事業者一緒になりまして、たとえば流通部門でございますと、需要者の声を反映させまして、新しい需要の多そうな商品の開拓等一緒にやるとか、流通面合理化を図る、あるいは原料供給業者一緒になりまして研究開発を行うとか、あるいは製品の規格の標準化を行う、こういうことをそれぞれの構造改善計画内容に応じまして、共同でやるわけでございます。それを行うことによりまして、むしろそういった関連部門自体合理化され、企業が安定をする、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。その間は相互扶助関係実施をされるわけでございますけれども関連部門につきましても金融面税制面優遇措置をいろいろとることにいたしておりますので、そういう措置によりまして関連部門自体もさらに合理化される、こういうことが効果として期待できるかと存じます。  次に、この関連業種特定業種構造改善を行います場合の責任体制はどうなるのか、こういう御質問でございますが、構造改善計画は、改正法によりますと、関連業種が入ってまいります場合には、関連業種特定業種とが共同して構造改善計画を作成して主務大臣の承認を受け、その実施に当たる、こういうことになっておりますので、いわば両者は密接な連携をとりながら共同責任でこれを実行する、こういうふうな関係になろうかと存じます。  次に、国なり地方公共団体指導あり方でございますけれども関連部門が入ってまいりますので、業種によりましてはいろいろ多岐の部門構造改善計画に参加することになろうかと思います。そういたしますと、国なり地方公共団体指導ということが、御指摘のように大変大事なものになってまいります。特に地方の産地の構造改善計画という場合におきましては、地方自治体あるいは主務省の地方支分部局の指導、それからその両者間の連携、こういうことが非常に大事でございます。  また、資金助成をいたします金融機関あるいは政府系の金融機関、振興事業団、こういった各種の機関が相互に連携をとりながらこの構造改善計画指導に当たることが必要でございますので、私どもとしましては、地方ごとにこういった構造改善計画の推進、指導のために必要な合同会議を通産局、府県、それからただいま申しましたような金融機関を加えまして設けることによりまして、そこが中心になりましてよく相談しながら指導を行っていく、こういうような体制をとってまいりたいというふうに考えております。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは次に、最も問題がある項であります新分野の進出計画という問題について質問をしてみたいと思うわけであります。  これはどうも大変問題があるわけでありまして、私はいい意味における問題と、それから悪い意味——適切な表現ではないかもしれぬけれども心配される意味における問題と、二つの面にこの問題は分けられると思うのであります。  これを質問する前に、一応前提条件として理解しておきたい点、二つばかり聞いてみたいと思うわけでありますが、中小企業庁として考える新分野進出というのはどういうものか、具体的な例です。それから、進出促進業種指定要件、いわゆる新分野に進出するんだというこの業種はどういうような要件に当てはまる必要があるのかという点、この二つを明らかにしていただきたいと思うのです。
  17. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 今度の改正法で考えております新分野進出と申しますのは、最近の安定成長への経済の変化に対応いたしまして、中小企業が、その特徴であります創意工夫あるいは小回りのよさ、こういうものを活用いたしまして、需要伸び悩んできたような業種から新商品なり新技術の開発を軸といたしましてより収益性の高い成長性のある分野仕事を転換していこう、こういうものを新分野進出というふうに考えておるわけでございます。  そのために行います事業といたしましては、まず新商品の開発のための共同の試験、それからその成果を実施いたしまして企業化する仕事、それからそれに伴っての需要の開拓の仕事、最後に従来の設備の廃棄の仕事、こういうものが新分野開発事業という中に含まれる仕事であると考えております。  具体的なやり方といたしましては、今度の改正法で新分野進出を促進すべき業種指定することにいたしております。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 どういった業種指定するかということでございますが、私ども考えておりますのは 一つは、需要が減少する見通しがございまして、それによって相当数の中小企業事業活動に支障を生ずるおそれがあるような業種、たとえば消費者の生活様式が変わりまして、どうも先行き需要がはかばかしく伸びそうにないとか、あるいは代替品が出てまいりまして発展性が余り期待できないとか、こういう業種がまず考えられます。  それから二番目には、原材料なり素材が非常に供給が困難になる見通しでございまして、そのために相当数の中小企業事業活動が今後支障を来たすおそれがある、こういう業種指定対象になってまいるかと思います。  三番目が、発展途上国からの追い上げと申しますか、これによりまして輸出伸び悩む、あるいは減少する、さらに国内にも輸入品が入ってまいりまして需要が落ちていく、こういったいわば環境変化によりまして需要伸び悩みつつあるというような業種をこの新分野進出促進業種ということで指定をしてまいりたいと考えております。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 これは私は、議論し始めたら一時間や二時間の議論ではなかなか結論が出ないほど問題点がたくさんある内容だと思うのです。これはきょうは時間がありませんので、また別の機会にその内容等について長官とじっくり話してみたいと思うのですが、いろいろな矛盾点が出てくるのです。いまの御説明があった中だけをもってしても、私どもいろいろ勉強いたしますと問題が出てくるわけです。きょうはそれを全部問題点として指摘しながら質問をするわけにまいりませんので一点だけ質問しておきますが、あなたがいま答弁された中で、低開発国の追い上げであるとか、いわゆる国民のニーズの変化によって需要が減退したとか、いろいろ説明されておるわけでありますが、そうなりますと、そういうことを対象にしていままで近促法指定業種というものが指定されて、構造改善ないしその他の指導が行われてきたと思うのです。そういうような形の業種が現に存在する。現にそういう指定業種になっていない業種というのは非常に数が少ない。そういう状況の中で新しい業種が新分野進出計画に基づくところの指定業種ということになると、一体どの業種の中からそれを選ぶのかということになってくるわけです。しかも、関連業種というのを新たに指定するという条件が先ほど出てきたわけです。そうすると、複雑多岐かつ選択に困るのではないかという気がするわけです。  したがって、そういう面について私は時間のない段階の中で事細かに質問するわけにまいりませんが、一点だけ、いま言った指定業種というのはどういう——新分野進出計画に基づくところのその指定業種になる要件は、一体いま指定されている業種の中から選ぶのか、いま指定されてない業種の中から選ぶのか、あるいはその選ぶ要件というものが、現に指定され、一定の効果を挙げている中から選ぶとすると、一体その効果、現在挙げている効果というものがどういう形の中において新制度の中で評価されていくのか、いろいろ問題点が出てくると思うのですが、この点だけ一つ聞いておきたいと思うのです。
  19. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来の近代化促進法指定業種は、近代化を図っていわばビルドをしてまいる業種でございました。すでに御指摘のように百数十業種が過去十年の間に指定を見まして、それぞれ合理化が進められた、近代化が進められたわけでございます。今回のいわゆる新分野進出促進業種は、最近の情勢の変化に対応いたしまして需要伸び悩むとか、あるいはその業界が、事業者の数が需要伸びに比べて余りに多過ぎる、少し間引くと申すと語弊がございますが、新しい分野に変わってもらった方が、残った人たちもやりやすい、こういう業種指定いたしまして、その新しい仕事への転換を促進しよう、こういう趣旨でございます。  それで、従来の業種はビルド業種でございますので、たてまえと申しますか、現実には、従来の指定業種が今回の、つまり他分野への転換をした方がいいという業種指定されるケースというのは、あるいは少ないんじゃないかと思いますが、過去に、非常に前に指定をいたしました業種で、その後情勢が変わりまして、需要伸びが余り期待できなくなった、こういうふうな業種の場合には、あるいは重複をして、その新分野促進業種に従来の指定業種指定されるというケースもあり得るかとも思います。  今回の新分野進出促進業種は、いまやっております仕事と違う新しい商品の開発を行うということがねらいであるのに対しまして、従来のいわゆる近代化指定業種あるいは構造改善業種と申しますのは、その業種自体の近代化を図り、構造改善を行おう、こういう趣旨でございますので、従来の指定業種と今回の新分野への転換促進業種というものは、基本的に考え方が違うわけでございます。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 私は長官、これは反対的立場に立って質問すると、こんなものは大した意味はないからつぶしてしまえという意味において質問すると、いっぱいあるのですよね。ただ、これが今日の中小企業界において、まあメリットはあるであろう、したがって不安ではあるけれども賛成しようではないかという形になると、質問の要項がぐっと狭まって非常にやりにくいのですよ、実際上の問題として、大して意味がないようなあるような形で。だから、私は、あなたと議論をたびたびしている分野調整の問題との関連の中でこの問題に十分取り組んでいきたい、こう思ったのですが、時間的余裕がございませんので、それはまた後の機会に譲るとして、一応これは賛成したいという気持ちで質問しておりますから、正直なことを言うと歯切れが悪いのですよね。  そこで私は、もう時間も大分迫ってきましたから、最後の問題点に移りながら、いま私が言った意味を含めながら質問してみたいと思うのですが、こういう制度によって、たとえばあなたがいま言われたような形でもって新分野に対する進出計画が決まった。そして、それぞれ策定された要件に基づいて、商工組合なりあるいは基準なりいろいろな手続がありますね、その手続が行われて新分野へその業種ぐるみでですね、これは全く個人の事業の転換ではなくして、業種ぐるみの進出ということですね、非常にそれがメリットがありそうだという形の中で、安定した状況に入るには数年を要しますね。計画から実施実施から安定状態に入るということは、非常に多くの努力と多くの労力と多くの資金と、いろいろな面においてやっとそこへ到達するのですね。そして、そのことが、あなたの言われる現段階、あるいは二年先か三年先かわからぬけれども、その時点の中における現段階において、非常に効果的なその条件を現出せしむることに成功した。通産省当局としても中小企業庁当局としても非常にいいなあと、こう思うわけですね。そう思ったとき、いいと思えばだれだってそこに意欲が出てくることは当然ですね。その意欲の出てくるその人たちが、いわゆる資本と組織とその他条件を持つ大企業であったとした場合、その分野へ入り込もうとしますね、いまだってあるわけだから。私たちが心配してあなたたちと議論していますね、分野調整の問題で議論しています。いわんやこういう条件の中で、政府や地方公共団体が力を添えてあげて新分野進出が決まり、数年の努力によって効果があらわれて、そこへ大企業の力のあるものが進出してくる、こういう状況が出てきたときに、この法律において歯どめというのは一体どこにあるのですか。
  21. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 本法によりまして新分野進出計画が固まりますと、いろいろ試験研究、それから企業化につきまして金融税制面優遇措置をとることにいたしております。それと、政府のいろいろな指導等も加えまして、それが成功することを期待するわけでございますが、成功しまして新商品が市場にずっと伸びてまいりました場合に、大企業が出てきた場合にどうするか、こういう御質問でございますが、いろいろ政府の助成によりまして、安い金を使い、税制上の恩典等も与えましてやっておる仕事でございます。これは成長産業分野に出ていくわけでございますが、その場合にやはりある程度の競争というものは、その商品が伸びていく上におきましてはむしろ必要ではなかろうかと私どもは考えておりますので、こういった新商品の分野の場合にはすべて中小企業に限って大企業の進出を認めない、こういうふうなことはかえってその面でのデメリットもあろうかと考えております。ただ、せっかく芽を出しました中小企業の新しい商品の分野へ大企業が急激に進出をいたしましてその芽を摘む、こういうことがありますれば、せっかくの転換計画が御指摘のように意味をなくしてしまうことになりますので、そういった事態が考えられます場合には、直ちに必要な行政指導等現行法をできるだけ活用いたしまして、中小企業も大企業も共存をしてお互いに伸びていく、こういうふうに持ってまいりたいと考えております。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、いま私の質問を聞いておられたと思うのですが、時間があと三分しかありませんから総論的な質問にならざるを得ないのですが、いま長官に聞かなければならぬことはもういっぱいあるのですね。しかし、私が聞きたいと思うそのポイントは、いま言ったような形の中で聞いてきたわけです。そこで結論は、いまの長官答弁にあるのです。  私は、中小企業対策というのは一体何なのか、中小企業問題というのは一体何なのか。中小企業庁が白書を出したり何かしながらいろいろやって、われわれもいろいろ勉強している。しかし結果、結論づけられる問題は、大企業に対して中小企業が、その持てざる力、弱い資金力その他いろいろな面におけるところのハンディを克服しながら、どう対抗しながらおのれの分野中小企業者としてのその立場、それを守り抜いていくことができるか、それにどうやって政府が、われわれが力をかしてやることができるかということに帰着すると思うのですね。いろいろなことを言っても結果そうなると思うのです。私は、その中で近促法というものの持つ意味国際競争力強化するという形の中で、通産当局が、中小企業庁が多年にわたって、いわゆる中小企業政策の柱としてこの近促法を据えてきて努力されてきたと思うのですね。その据えてこられて現実に現段階を迎えた状況の中で、かつての近促法をもってしては今日の事態の中で対応でき得ない、むしろ形骸化した形の中で、こんなものは葬ってしまえという議論すら出てくるような状況もあらわれてきておる。そこで、中小企業庁は装いを新たにした新制度としてこの近促法改正案を提案しているわけですね。その中で一番問題点になるのは、幾つかの問題点を挙げてきましたけれども、その新分野進出ということに対するところの問題点が一番大きいと思うのです。言葉で進出と言っておりまするが、内容は防衛ですね。みずからの中小企業の存立の基盤を守り抜くためにどうあるべきか。そのあるべきことに対してどう力をかしてやろうかというところにいままでの議論が、近促法改正してくる中小企業庁の考え方が、いろいろなことを言ったってそこにあると思うのです。私はそう思うのです。  そこで、そういう形になりますと、結果的に中小企業は大企業に対してその存立を守り、その安定経営を図り、そして将来そのバラ色の未来を描きながら努力していくことのできる状況をつくり上げるために、一定の条件の中で中小企業の持つべき業種というものの範囲法律的に規定することは、今日の状態の中において最も必要なことでなければならないと思うのであります。だから、これについてはそれぞれの党においても真剣に討議をなされておるわけです。中小企業庁通産当局一つの庁としての形の中で、その見解については、われわれが幾ら議論をしてみても、いまの答弁以上の限界の枠を出ることはできないのでありますから、これは仕方がありません。大臣としては、こういういま私が申し述べておるような状況の中で、そういうわれわれ全党、これは自民党を含めた全党が一定の条件の中で中小企業の立場を守ってやろうではないかという努力に対してどう判断され、どう処置されようとするのか。いままだ具体化しておりませんから、質問が抽象的になりましたけれども、その点について、これまた抽象的で結構ですから、中小企業庁長官以下中小企業庁当局が前向きに取り組むことのできる姿勢、そういうものを打ち出すために、大臣答弁をひとつここで伺っておきたいと思うのです。
  23. 河本敏夫

    河本国務大臣 分野調整の問題は中小企業問題の中でも最大の課題でありますが、これを法律で一定の分野には大企業の進出を許さない、そういうふうに決めてしまうということは、私は産業の発展の上から考えてよくない、こう思います。ただしかし、みだりに大企業の進出が行われたために非常に混乱をする、中小企業は非常に打撃を受ける、こういうことが起こりました場合には、先ほど長官も申し上げましたように、これは現行法でも十分行政指導ができるわけでございまして、そういう場合は直ちに行政指導しなければならないわけでございます。これまで何回かそういう例がありましたけれども、大部分は行政指導で解決の方向に行った、こういうふうに考えておりまして、法律分野を確定する、調整をするということは現在の段階では賛成をいたしかねる、かように私は考えております。
  24. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣答弁も相変わらず同じであります。しかし、われわれが長い間かかって主張してきたことがやがて一つ一つ実現している経過がありますので、大臣ももう少し柔軟なお考えで対処されるよう要望して、私、時間が参りましたので質問を終わります。
  25. 山村新治郎

    山村委員長 勝澤芳雄君。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣にお伺いいたしますが、いまの佐野委員質問と重複するかもしれませんけれども、私ちょっと最初聞いておりませんでしたので、もし重複していたら省略していただいて結構です。  最近の景気の動向について大臣見解を賜りたいと思うわけでありますが、今後の景気見通しについて、福田経済企画庁長官は夏ごろから緩やかに回復するというように受け取られているようでありますけれども、最近の景気情勢を見てみますと、まだまだ見通しが少し暗いのではないだろうかというふうに思うわけであります。この際、やはり景気対策のためにも公定歩合引き下げを含めた第三次の不況対策が必要ではないだろうか、こう思いますので、まず景気の動向についてと、それからそれについての対策をどう考えておられるか、この二つについてお伺いいたしたいと思います。
  27. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の景気の動向を一言で言いますと、ほぼ底をついておる、最悪の事態は脱した、こういうことが言えるのではないかと思います。先ほども申したわけでありますが、三月の速報では鉱工業生産は前月比〇・六%という上昇に転じております。それから、在庫も幾らか減少しておりますし、出荷も幾らかふえておる、こういう状況でございまして、幾らか曙光が見える、こういう状態であります。  ただしかし、一年前に比べますと、その生産は約二割減少しております。鉱工業生産が一年前に比べて二割減少しているということは非常に不景気である、こういうことが言えると思うわけでありまして、決して景気状況は楽観を許さない、そういう状態でありますから、このままでは日本経済もなかなか回復しないと私は思うのです。  でありますから、どうするかということにつきましては、この五月の下旬を期しまして、経済界実情をもう少し詳しく調査をした上で対策を考えたいと思いますが、現状経済の姿は、戦後数回の景気落ち込みがございましたけれども、非常に規模も大きいし深刻な度合いでございますから、なかなか自力では回復しにくいのではないか。やはり第一次の部分的不況対策、第二次の部分的不況対策に加えてなお相当思い切った対策が必要である。その対策はどうするかということについては、五月の分析を通じまして考えていきたい、また他の省との調整をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 見通しが余りはっきりしないようでありますけれども、もう少し具体的に、五月の末までにいろいろ情勢を見てと言われておりますけれども、第三次の不況対策として考えられる点はどういうことなんでしょうか。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 考えられる対策といたしましては、第一に、第二次不況対策で公共事業はことし上半期に六五%ないし六六%の契約を終える、こういうことを決めたわけでありますが、これは昨年は上半期に五〇%でありましたけれども、これまでの平年度の契約率は大体六五%ないし六六%であります。したがいまして、これは単に平年度に戻しただけのことでありまして、別に景気対策の中には入らぬのじゃないか、私はこう思います。これまで景気対策をいたしました場合には大体七五%くらい上半期に契約が集中する、こういう程度のことをやっておるわけであります。でありますから、こういう点を検討するということが一つだと思います。  それから第二は、いま金利負担ということが非常に大きな産業界重圧になっておるわけでありまして、景気の不振の一つの大きな原因になっておると私は思うのです。二年前に比べて企業金利負担というものは大体二倍の水準になっておる、こういう状態でありますから、諸外国がいま金利負担軽減を考えながらいろいろな対策を立てておるということを考慮いたしますと、この面でやはり何らかの対策が必要である、金利負担を減少させるという面での対策が必要である、こういうふうに思います。  それから第三には、貿易面でありますが、ことしになりましてから輸出貿易の情勢がにわかに悪化をいたしまして、現状ではなかなか所期の目標を達成することはむずかしい、こういう状態でございます。でありますから、この輸出貿易を所期の計画水準まで達成するためには一体どうしたらいいのか、こういうことについて具体的に検討していかなければならないわけでございますが、そのためには、一つ輸出入銀行の資金の量、それから具体的な条件、こういうこともやはり私は考えなければならぬと思います。さらにまた、輸出保険の運営のあり方、こういう面も考えていかなければならぬと思います。そういうことを含めまして、輸出貿易が所期の一定量を確保するための対策もやはり必要であろう。  いろいろ考えておるわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、そういう対策の具体的な内容というものは五月の経済分析を待ちまして、そうしてそれに合うように具体的に他の省とも相談しながら決めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 景気状態、全般的なお話はよくわかりましたけれども、一番しわ寄せを受けておるのが中小企業だと私は思うわけであります。中小企業というのは、景気が悪くなれば急に来て、景気がよくなれば一番後からおくれて景気が回復していくという状態なんですけれども、では、特に中小企業対策として、不況問題についてはどうお考えになっておられますか。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業景気動向は一般の水準に比べましてなお相当悪い水準にあります。したがいまして、一般の部分的な不況対策のほかに、やはり中小企業に対しては特別の対策が必要である、こういうふうに考えておるわけでありますが、その対策といたしましては、一つは資金面での配慮を引き続いてしていくことが必要だと思います。それに対しては相当な配慮を引き続いて加えております。  それから、先ほど操業率のことを申し上げましたが、全産業の平均は一年前に比べまして二割弱の操業率の低下になっておりますが、中小企業の場合は二割強になっておりまして、仕事がないということで苦しんでおるということは、これはもう引き続いて同じ状態が続いておるわけでございますので、仕事の量をどうしてふやしていくかということが第二の大きな問題になるわけであります。  この資金の面と仕事の量の確保という面を柱に考えまして、なおそのほかにいろんな方法を併用してやっていく、こういうことでいま対策を立てておるわけでございます。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、中期的にあるいは長期的に見た場合に、日本経済というのは高度経済成長から安定経済に移行しておるわけでありますけれども、こういうふうに変わってくる中で中小企業あり方も当然変わってくると思うわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。それと、中小企業政策もこの安定成長に即応したものになる必要があると思うわけでありますが、こういう点についてはいかがでしょうか。
  33. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまでの高度成長がいわゆる安定成長に変わるということは、当然の方向であろうと思います。その場合に、中小企業対策はどうあるべきかということでありますが、私はやはりこれまで中小企業対策基本としてとってまいりました国際競争力強化という一大基本原則というものはあくまで進めていかなければならぬ、こう思います。それと同時に、安定成長ということになりますと、国民生活の充実であるとかあるいは福祉面でのいろんな仕事がふえてくる、こういうふうに思いますので、そういう新しい面で新分野中小企業が進出していく、そういうことについて政府の方でも積極的にこれに協力していく、こういう方向が必要であろうと思います。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 景気のよくなるとき、景気の悪くなるときというような点から、大企業中小企業零細企業というものをおしなべて考えてみますと、これはやはり金融の面においてもあるいは下請関係の面においても相当ひずみといいますか、強いものと弱いもの、そしてそのしわ寄せがどうしても弱いものに寄せられてきておるという面がたくさん見えるわけでありますけれども、そういう点から私はやはり中小企業政策というものについて、もう一段と上を抑える、あるいは上の犠牲を下で負担するのでなくてその負担をやはり上にもさしていく、こういう金融でもあるいは下請関係仕事の面でもやはりもう少し分析した対策というものが必要ではないだろうかという気がするのですけれども、その点いかがでしょうか。
  35. 河本敏夫

    河本国務大臣 こういうふうに景気が非常に停滞をいたしまして、一年前に比べて生産が二割も落ち込む、こういうことになりますと、どうしてもしわが中小企業に寄りがちでございます。仕事の面だけではなく金融の面でも寄るわけでございますから、そういうことのないように十分留意していく、注意を払っていく、こういうことが必要だと思います。  それから同時に、新しい分野の開拓あるいは仕事の転換、こういうふうなことを計画する場合でも、産業活動が非常に盛んなときには比較的やりやすいわけでありますが、景気が停滞しておるさなかに新分野を開拓するとか、あるいはまた企業合理化をするとかいうことはなかなかむずかしい、非常にやりにくいわけでございますから、そういう場合にはやはり特別に政府が援助の手を差し伸べるということが必要だと思います。御指摘のとおりだと思います。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長官の方に少し聞いてまいりたいと思いますけれども金融なりあるいは下請、税制、いろいろの面で国が見ていく行き方でありますけれども、大企業、中小零細、こういうふうにながめたときに、これはやはり大企業犠牲というものがどうしても中小にしわ寄せされ、そしてそれが泣き寝入りといいますか、まあ強いものには仕方がないという傾向というのが昔から、またいまも続いておるわけです。そういう点で現実にたとえば下請代金遅延防止法とかいろいろの施策をやられておるわけでありますけれども、それは大を補てんするための中小企業政策というふうになりがちなんですけれども、もう少しその点分析をして、やはり基本的に大と中というものが共存共栄していく、同じ立場で経済の運営をしていく、こういうことにならないだろうか。中小企業だけで一本立ちというか、中小企業分野で大企業が進出できないものはいいのですけれども中小企業の進出で成功すれば、その上に大企業がその中小を入れてやっていく、こういうことが多いわけでありますから、これは中小企業そのもの、中小企業がやるもので大企業が入りにくいものだ、なじまないものだ、こういう立場の中小企業の育成強化ということが私は必要だと思うのです。大企業の下にある中小企業、大企業がその中小企業のめんどうを見ないのを国が見ていく、こういう形のものが多いのじゃないだろうかという気がするのですけれども、そういう点についてはいかがでしょうか。
  37. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 最近の統計で見ましても、日本製造業の出荷額の大体半分を中小企業が分担をいたしております。そういう意味合いでは大変大きな産業分野を担当しておると思うわけでございます。独立をして最終消費財等をつくっておる業種もございますが、同時に、いま御指摘のように下請という形で大企業仕事の一部を、たとえば部品でございますとか、あるいは修理、加工といった分野を担当しておる業種もございます。外国では、わりに下請か少なくて大企業がほとんど内製化して自分で一貫生産の例が多いのでございますが、日本の場合には、下請企業企業の数にいたしましても製造業の約半分くらいございまして、非常に大きな分野をなしております。これは日本製造業の特色であると同時に、また、大企業が下請を活用しまして、下請にもそれぞれの仕事を分担してもらって全体として繁栄をするという日本一つの知恵であろうと私は思うわけでございます。  問題は、そういった下請か大企業の搾取と申しますか、景気のクッションに使われましたり、非常に力の優越した地位と弱い地位とを悪用して単価をたたくとか支払い条件を悪化させるとか、こういうところがいろいろ問題を生ずるわけでございます。これに対応する基本的な対策としましては、下請自体に力を、大企業と対等に交渉できるように力をつけるということが基本的な施策になろうかと存じます。そのためには下請自体の技術の水準の向上、特に独自の技術を用い、独自の製品を持っておるということが非常に大切かと思います。また、下請自体が横に組合をつくりまして、大企業と個々ではなしに組合としていろいろ交渉をして支払い条件等決めていく、こういう形で下請の交渉力を強化するということも必要かと存じます。そういうために下請企業振興法という法律を数年前に制定をいたしまして、下請企業がそれぞれ力をつけまして親企業と交渉ができるように、下請企業のいろいろな振興策を実は講じておる次第でございます。  また、大企業にございませんような政府系の中小企業専門の金融機関を設けましたり、下請企業振興協会というような組織を各府県に設けましたり、さらに零細な企業になりますと、商工会、商工会議所に指導員を設けまして、その経営の改善指導を行い、必要な資金の調達を政府が援助する、こういう施策をとりまして、中小企業が大企業と対等に競争できるように各般の施策を講じておる次第でございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 抽象的な議論ですから、別の機会に具体的に私は議論をさせていただきたいと思いますので、次に参ります。  中小企業の問題で、特に金融面とか税制面あるいは雇用面、下請対策等多面にわたっているわけでありますけれども、五十年度の予算を見てみますと、中小企業対策というものは農業関係に比べてまことに少ない予算でありますけれども中小企業施策の重点あるいは中小企業対策の予算についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 昭和五十年度の一般会計予算は、総体として伸び率が抑制的な予算が組まれておったわけでございますけれども、その中におきまして中小企業対策としましては千二百七十八億円が計上されておりまして、前年度比二五・二%増と、一般会計の全体の予算の伸び率よりも高目の予算が組まれておるわけでございます。  一般会計のほかに、中小企業の場合には特に財政投融資の面で非常に力を入れておりまして、五十年度の財政投融資計画におきます中小企業向けの割合は、一兆五千億弱でございまして、全体の財投の中で一五・六%を占めておるわけでございます。農業関係は、一般会計の予算は非常に大きな予算でございますが、財投で見ますと、全体の財投の中の四%ぐらいの割合の約四千億弱の財投が組まれておるわけでございまして、中小企業向けには、ただいま申しましたように一兆五千億ぐらい、全体の財投の一六%ぐらいのものが出されておるわけでございます。  こういうふうに予算、財投を活用いたしまして各種の施策を講じておるわけでございますが、特に今年度力を入れておりますのは、一つはただいま御審議をいただいております中小企業近代化促進法改正によりまして、安定成長下の中小企業の新しい分野への転換の促進、それからこれから中小企業に新しく課されますいろんな国民のニーズの多様化に伴います国民生活の安定のための業種近代化、こういうものを促進していきたいと考えております。  もう一つは、小規模企業対策の充実でございまして、そのために小規模企業経営指導員、現在六千名おりますけれども、さらに千名の増員を図る、あるいは経営改善資金といったようなものも昨年度は一千二百億円の融資枠でございましたが、これを二千四百億円に倍増をいたしますとともに、その貸し付け条件につきましてもいろいろ改善を図っておるわけでございます。  そのほか、金融面の円滑化には特に力を入れておりまして、政府系三機関の融資枠を二兆五千億組んでおりまして、一件当たりの融資の限度も引き上げたのでございます。また、信用保険の面でも政府の出資を大幅にふやしまして、保険料の引き下げ、府県の信用保証協会の保証料の引き下げ、こういうものを予定いたしております。  そのほか、下請対策といたしましても、下請振興協会をさらに全国で五つ増加をし、職員の増員も図りまして、下請企業の保護に努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、近促法関係について二、三質問をいたしますが、この近促法は昭和三十八年から高度経済成長政策にマッチするための中小企業構造改善という形で行われてきたわけでありますけれども、この近促法が現実に実施された状況はどうなんでしょうか。
  41. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 昭和三十八年に本法が制定されまして以来約十年ほど、中小企業の各分野対象にいたしまして近代化を進めてまいったわけでございます。従来指定いたしました業種は、政令ベースで申しまして百四十二業種ございます。現在も生きております指定業種が九十九業種でございます。また、その中で特に急いで構造改善を必要とする業種ということで指定いたしましたのが三十五業種ございまして、現在もそのうち三十三業種構造改善業種として構造改善計画を実行中でございます。  その結果といたしましては、各種の近代化が進みまして、特に生産性が向上いたしましたり、また品質が非常に向上いたしまして、不良率の低下あるいはJIS指定工場が非常にふえてまいったとか、こういうような効果が上がっております。また、構造改善業種につきましては、生産規模なり経営規模の適正化を図っておりまして、このための規模の拡大、それから業界の組織化、こういうものが進んだように考えております。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、近促法国際競争力、高度経済成長、こういうものに従った方向でいろいろの業種指定されてきたわけでありますけれども、今度は安定成長という立場から、国民生活関係の深いもの、こういうようになってきておるわけであります。現行の指定要件に新しくこの指定要件を追加したというのはどういう意味があるものでしょうか。
  43. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来の指定要件は、一つ産業国際競争力強化の促進でございます。もう一つは、産業構造の高度化、こういう観点から対象業種を選定いたしておったわけでございますけれども、今後の経済中小企業をめぐります環境の変化を考えてみますと、一つの大きな変化といたしまして、今後の福祉型経済の進展、それから省資源省エネルギーといったような対策の要請、もう一つ、国民のニーズが非常に多様化をいたしてまいりまして、中小企業に対しましていろいろ身近な物資なりサービス業等につきましても期待される分野が今後広がってまいろうかと存じます。こういった、大きく申しますならば、いわゆる国民生活安定向上という意味での中小企業に対する各種の期待にこたえまして、そういった業務を遂行する業種振興を図りたいということが、今回の改正におきまして国民生活安定向上のために必要な業種というものを近代化対象に加えることといたした主たる理由でございます。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 中小企業政策という場合に、国の行う分野とそれから企業そのものがやる分野というものを考えてみますと、ある程度地域の実情に沿った政策、地域地域の振興政策というものが必要ではないだろうか。むしろ国よりも地方が重点にという意見があるようでありますが、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  45. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 中小企業は非常に全国に散在をいたしておりまして、特に産地企業等、ある特定の地域に固まりまして同じような業種を営んでいる業種も相当あるわけでございます。そういう意味では、府県等の自治体にいろいろ中小企業振興にも御努力を願っておりますので、私どもとしましては各自治体と一体をなしまして中小企業施策の浸透を図る、こういうふうな考え方で従来から進めてまいっております。そのためにいわば自治体を私ども施策の第一線というふうに考えておるわけでございまして、たとえば中小企業振興事業団によります融資、いわゆる高度化資金の融資つまり工場の団地化でございますとか、あるいは商店街の近代化等々につきましても全部府県を窓口といたしまして、資金は振興事業団から府県の窓口を通じて融資される、こういうふうな仕組みをとっておるわけでございます。  また、その他のもろもろの小規模施策等につきましても、府県を窓口として実施しておる施策が非常に多いのでございまして、たとえば設備近代化資金、これは無利子で中小企業が必要とする設備近代化資金の五割を融資いたしておりますが、これも府県に国から助成金を出す形で、府県にその資金をプールしまして融資を行っております。また、経営指導員、いま全国に六千名配置をいたしておりますけれども、これもその所要資金は県と国が半分ずつ出す、こういうことで実施をいたしておりまして、府県を通じて行う部分が非常に多いのでございます。また、全国的な規模で実施をすべき近代化の計画の実施等の場合にも、それぞれの地方ごとに府県との連絡会議等を持ちまして、その連携について遺憾がないように密接に連絡をとるようにいたしておる次第でございます。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 構造改善方式の多様化の中で関連事業者の協調による構造改善ということが考えられているわけでありますが、関連事業者というものについては地域的なものの結合に限られているのか、それとも全国的に散在するものについても考えられておるのか、それは具体的にはどういうものなのか、御説明いただきたいと思います。
  47. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 今度の改正法におきまして、従来特定業種構造改善計画はその業種の横断的な構造改善計画だけでございましたものを、縦に、原料供給部門でございますとか流通部門でございますとか、あるいは輸送、保管、検査等々の関連部門一緒にいたしました構造改善計画を立て得るようにいたしておるわけでございますけれども、これは特定の地域に限るのか、全国的なものかということにつきましては、考え方としてはその区別はいたしておりません。実際につくられる計画が全国規模の計画であれば関連部門も全国的なものになる場合があると思いますし、産地的なものでございます場合にはある地域に限定された計画になりますので、関連部門もある程度限定された形の関連部門が参画をする、こういうことになろうかと存じます。制度として地域的なものに限るとかあるいは全国ベースに限るとか、そういうふうに割り切るような考え方はいたしておりません。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、新分野への進出計画制度の問題についてでありますけれども、先ほど佐野委員からもいろいろ質問をされておったようでありますけれども、具体的にどういうことが考えられておるのでしょうか。
  49. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 新分野発展計画は、いわゆる需要伸びが鈍化してまいりました業種につきまして、その中の業種の同好の方々がたとえば協同組合等をつくりまして、組合として転換をするというような計画が出ました場合に、それを審査して、必要があれば助成をする、こういう内容のものでございます。大体、新分野ということでこれから転換を図ろうとする場合には、成長性のある商品が恐らく事業者の方々からは選ばれてくるのだろうと考えられますが、今回の改正法では、助成の対象といたします新分野計画というのは新しい商品を開発する場合というふうに限っておりまして、従来だれかがやっておる商品、その分野に転換をしていこうというものにつきましては、この改正法の第五条による承認、助成はいたさないことにいたしております。  どういう商品が出てくるかということにつきましては、これからの問題でございますのでなかなか予測が困難でございますが、過去の例といたしましては、たとえばクリスマス電球業界あたりは、発展途上国の追い上げ等によりましてほとんど輸出がなくなりましたので、クリスマス電球以外の、たとえば電卓と申しますか、個人用の小さな卓上計算機で電子式のものが最近非常に普及いたしておりますけれども、あれの目盛り盤なんかに転換をいたされております。そのほか、農機具業界の方がセントラルヒーティングの仕事を始められたとか、合成樹脂の業者がプラスチック製のボートの製造を始めましたとか、金属洋食器の業界が道路のカーブにありますカーブミラーの製造に転換されたとか、過去の例としては各種の転換の事例はございます。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 新分野への進出事業を成功させるためには、当然国の技術振興対策あるいは地方自治体の県などの工業試験場による技術指導あるいは診断指導、こういうものが強化されることがやはり必要ではないだろうか、こう思うのですが、そういう点についてはどうお考えになっておりますか。
  51. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 新分野に転換をするということになりますと大変に大事業でございまして、それが成功するかどうかはその業界にとりましては業界の運命にかかわる問題でもございます。したがいまして、非常に慎重を期しましてやっていく必要があろうかと思いますが、そのためには府県の、たとえば工業試験場等の技術指導、それから府県にございます総合指導所による診断指導並びに中小企業振興事業団のいろいろ蓄えでおります情報あるいは指導、こういうものが非常に大切になってくるわけでございまして、こういった転換のための指導をさらに強化してまいりたいと考えております。振興事業団におきましては二、三年前から、従来中小企業が転換をいたしました場合の成功した事例、失敗した事例、それから転換に際して心がくべき、注意すべき点、こういった事例集等を調査、編さん等もいたしておりまして、そういうものを活用しまして、転換をしたいという希望があります場合には、まずそういった産地の診断をし、転換の指導をするように、府県当局と中小企業庁あるいは原局が十原連絡をとりまして指導強化してまいりたいと考えております。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は構想としては大変いいと思うのですけれども、具体的に個々の企業が自分でものを考えていくというよりも、人のやったものをまねした方がいいということにとかくなりやすいわけでありますが、そういう中で、国なり県なりというものが具体的にどういうふうに指導していくのか、そういう点は抽象的にはわかりますけれども、具体的にはいままでこういう仕事をやっていた、これがだめになった、どうしましょう、簡単に言えばこうですね。そこの点について、援助措置とかいろいろなものが仮にあったとしても、どう転換をしていくのか、どうやっていくのかという点について、新しい産業といいますか、新しい仕事を開拓していくわけでありますから、その辺についてもっと積極的なものがあるのか、あるいは受動的なものになるのか、もうちょっと具体的に、相談に乗る、いや積極的に指導していく、そういう立場では大きな違いがあるわけでありますけれども、そういう点についていかがですか。
  53. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 需要が鈍化した業種で、これから転換を図りたいと考えておられる向きも相当多いと存じますが、そういう方々がどういう方面に転換したらよかろうかということで相談に見えるという場合に、私どものところでは指導官という制度を昨年の七月から設けましてそういう御相談に乗っておりますし、各通産局にも小規模企業指導官といったようなものを置いております。また、総合指導所というものが各府県ごとにございます。そこで御相談に乗りまして、今後の成長分野というのは何かといった場合の一般的な、こういう方向が今後は成長するんじゃないかというお話は、今度の中小企業白書でも将来の方向をいろいろ書いておりますが、成長性分野というものの御説明はできるかと思いますけれども、さて何を自分で商品として選んで開発しようかということになりますと、これはその業界の決断の問題になりますので、ここへ行かれたらどうかということを指図的に言うことは非常にむずかしいかと思います。しかし、自分で選ばれて、こういう商品を開発しようということになりましたら、その研究につきまして府県の公立の試験場なり指導所がいろいろ技術面の指導の御相談に乗るということで、まず技術面の成功を図るようにいろいろ指導をいたしまして、さらにそれがうまくいきまして企業化になるという場合には、それに応じた企業規模それから所要資金の調達その他につきまして、また各種の機関が相談に乗る、こういうふうな形で転換を図っていくということになろうかと思います。  なお、転換につきましては業界ぐるみの、全業界業者を挙げての転換というのはなかなか困難でありますので、実際には幾つかの小グループがグループごとに新しい商品を選ばれて転換をしていかれる、そのグループごとの計画を私どもは助成をしていく、こういうふうな形を具体的にはとることになろうかと存じます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまお話を聞いていますと、新しい分野の開拓ということで、最近ベンチャービジネスというものの育成対策というものが言われておるようでありますが、これとはどういう関連があるのですか、あるいはどういうふうに違うのですか、大体これと同じようなことなんですか、そういう点について。
  55. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 今年度からはベンチャービジネスの企業化につきまして債務保証をして、その所要資金の調達を促進する制度を設けることにいたしておりますが、ベンチャービジネスと申します場合には、大企業等の従業員の方で、非常に技術を持っておられる方々が企業から独立をされて開業される。そういういわば従業員の方々の新規独立開業、しかも技術にウエートを置いた新規独立開業の助成というのがベンチャービジネス制度というものの趣旨かと存じます。  それに対しまして、今回の近代化促進法改正によります新分野への発展と申しますのは、既存の中小企業の方々がその業界の将来が余り明るくないということで、業界の中の相当数の方々がそれぞれグループを組んで、いわゆる既存の中小企業の方々が転換をされる、これが今回の改正法で助成をしようと考えておる点でございますので、そういう意味におきまして基本的に相違があろうかと考えます。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がありませんのでこれで終わりますけれども、やはり私は今度の新分野への進出ということは、考え方としては大変結構なことだと思うのですが、さて具体的にはどうなんだろうという点についてまだまだいろいろ疑問があるわけでありますから、別の機会にまたお聞きすることといたしまして、これで質問を終わります。
  57. 山村新治郎

    山村委員長 米原昶君。
  58. 米原昶

    ○米原委員 近代化促進法改正案の審議に当たって、私はまず今回の改正案の背景について質問したいと思います。     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕  この改正案は、直接的には昨年十二月の中小企業近代化審議会の意見の具申、すなわち「今後の中小企業近代化対策あり方」に基づいて出されております。  ところで、同じ昨年の九月に産業構造審議会総合部会が「わが国産業構造の方向」を報告しております。この報告では、産業構造の変革の基本的視点として、一、国民のニーズの実現、二、省資源省エネルギー、三、技術集約化、四、国際協調、国際分業、五、環境保全、産業の地域的配置の五点を挙げるとともに、第六として「中小企業も以上述べてきた諸要請に適応していく必要があり、このための適切な誘導が必要である。」こう述べております。  こうした内容を検討いたしますと、私は中近審の意見具申及びそれに基づく今回の改正案は、産構審総合部会の報告の趣旨を法制化したものであると考えますが、そのように考えて間違いありませんか。  また、そうだとすれば、産構審の報告の趣旨は今回の改正案の中でどのように具体化されているか、この点をまず伺いたいと思います。
  59. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 産業構造審議会の答申におきましても、今後の日本経済は成長率が漸次鈍化をする、安定成長に入っていくということと同時に、特に軽工業品的な労働集約的な商品については発展途上国からの追い上げ等がさらに強まりまして、輸出面におきましても非常に競合して輸出が困難になる、加えて国内への輸入がふえる、こういうような見通しをとっておるわけでございます。  そういう方向に対処しまして国内の中小企業が生きていきますためには、発展途上国で生産が困難なような、より高級な、あるいはより加工度の高い精密な商品に漸次転換を図っていく、こういうことが一つは大切であろうかと考えるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、今度の改正法において新分野への進出の促進ということを一つ考えた次第でございます。  それからもう一つは、今後の方向といたしましていろいろ福祉型経済に変わってまいりますと、国民の多様化したニーズが出てまいろうかと思います。たとえば人の健康を守る産業でございますとか、あるいは人の教育に関連した産業でございますとか、あるいは省資源省エネルギー的な分野、環境の保全、そういった新たな要請かいろいろと出てまいります。こういったものに今後の中小企業は対応いたしまして、中小企業に課せられた課題、その社会的責任を遂行していく必要があるわけでございまして、そういう意味でのいわゆる国民生活安定向上のための新しい国民のニーズに即応した業種近代化というものが今後必要になってまいるかと存じます。そこで、そういった業種を今回追加をして、さらに近代化ができるようにいたしたのがもう一つの大きな改正点でございまして、大きな方向といたしましては、この産業構造審議会の答申並びに中小企業近代化審議会の答申の方向に沿って立案をしたということでございます。
  60. 米原昶

    ○米原委員 長官のおっしゃられたとおりだと思うのですが、特に産構審の報告は「国際分業の促進と産業調整の必要性」として、「単純労働依存型産業は発展途上国の労働集約産業の発展によって次第に競争力を失うことが予想される。それは単に輸出市場の縮小のみにとどまらず、わが国への輸入増大となって既存産業やそれに従事する労働者に大きな影響力を与えることとなることが懸念されるので、円滑にそれら産業の転換が行なわれるよう産業調整措置について検討を行うべき時期に来ている」と具体的に述べているわけであります。  そこで、お聞きしますが、第一に、発展途上国からの輸入増大が特に顕著にあらわれているのはどんな業種か。第二に、中小企業業種製品と大企業製品輸出と輸入の推移の傾向はどのようになっているか。この点を説明していただきたいと思います。
  61. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来は日本の輸入は主として原材料が多かったわけでございますけれども、数年前からのいわゆる輸入の自由化に伴いまして、漸次工業製品の輸入も増大をしてまいっております。その場合に、特に最近輸入の増加が顕著でございますのは、一つは繊維製品、それからもう一つは雑貨製品等のいわゆる身の回り品の消費財であろうかと存じます。  その場合にどういった輸入の比率になっておるかという御質問でございますが、昭和三十七年と四十七年とで比較をしてみました場合に、工業製品の輸入の中での中小企業性の製品の割合は、昭和三十七年には二〇%でございましたけれども、昭和四十七年には三六%に増加をいたしまして、逆に大企業が主としてつくっておるような工業製品の輸入に占めます割合は、昭和三十七年が五七%でございましたのが、昭和四十七年には四一%までシェアが低下をいたしております。
  62. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃられたとおりだと思うのです。つまり中小企業製品はこの十年間に伸び率が二・六倍、ところが大企業製品の方は九・三倍と、大企業製品の方が輸出では非常に伸びております。それから、輸入の方で見ると、中小企業の方が八・五倍、これに対して大企業製品は三・四倍で、大企業製品中小企業製品との特徴がここに非常にはっきり出ているのです。  報告で言われているように、発展途上国からの中小企業製品の輸入増大が特に特徴的であります。発展途上国が自国の産業強化して追い上げてくるというのは、ある意味ではきわめて当然のことであります。したがって、また、中小企業者がこの歴史的な傾向を念頭に置いてみずからの経営を発展させる道を切り開く必要があるというのも当然のことであります。しかし、これまで政府の施策を振り返ってみますと、このような一般論で済ませるわけにはいかない重要な問題が含まれているように私は思うのであります。  政府は、一九七一年八月一日から発展途上国に対して一般特恵の供与を実施しました。これはECが同年七月一日から実施したのに引き続いて、国際的にも先駆けとなる行動でありました。こうした措置が、発展途上国からの中小企業製品の輸入増大に拍車をかけたことは否めません。  たとえば、中小企業業種製品がその大半を占める軽工業製品の四十四年と四十八年の輸入量を比べてみますと、発展途土地域からの輸入は、千百六十八億七千八百万円から五千百十八億七千二百万円へと約四・四倍で、先進地域を含めた全体の輸入が約三・二倍となっているのに対し、急激に増加しております。  すでに明らかになった中小企業業種製品と大企業業種製品輸出入の推移とあわせて考えてみますと、政府は大企業のための海外市場を切り開くために国内の中小企業を意図的に犠牲にしてきたと言えるのではないかと考えますが、この点、大臣はどのようにお考えですか。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど長官答弁をいたしましたように、最近、近隣諸国から繊維あるいは雑貨等の輸入がふえておることは事実であります。また、わが国といたしましては、貿易政策上自由貿易をたてまえといたしておりまして、できるだけ制限を撤廃していく、これがわが国の基本的な貿易政策であります。したがいまして、近隣諸国からの輸入がふえたからといってそれに対して制限を加えていく、そういうことをやってはいけないというのが私ども基本的な態度でございます。ただ、おっしゃるような大企業のために中小企業犠牲にした、そういうことは一切ありませんで、これは事実の認識において私どもと根本的に違っておる、こういうふうに私は考えております。
  64. 米原昶

    ○米原委員 そこなんですが、中小企業近代化審議会の昨年十二月の意見具申の中でもこの問題には若干触れているわけです。「発展途上国の工業化は急ピッチで進んでおり、豊富かつ低廉な労働力の存在のほか、特恵制度等経済協力政策に支えられて、次第にわが国中小企業の市場を奪いつつある」こう述べているわけであります。  それで、実際の問題としましても、この特恵が実施される直前に、経団連特恵問題懇談会の委員長であった丸紅の社長の檜山さんは、低生産部門のウエート縮小方向への産業構造の変化が急務となっている、ここで最も望まれるのは、単に中小企業を保護するという後向きの姿勢ではなく、金融面税制面でのドラスチックな政策を打ち出すことによって、この際、高生産部門への移行を積極的にはかってゆくべきである、こう述べて、財界の特恵問題についての意図を明確に述べているわけであります。大企業の重化学工業製品輸出を拡大するために、その見返りとして中小企業業種製品の輸入をふやして、そのために中小企業犠牲にして、中小企業者に事業転換を迫るという大企業の意図を政府が忠実に実行してきたことは明らかではないか、こういうふうに考えざるを得ないのであります。  それで、次に質問しますが、産構審の報告では「産業構造高度化の推進」の項で「知識集約型の先導産業群の発展とそれを支える技術開発が重大な課題である。電子計算機、新エネルギー技術、高度合成化学、ライフサイエンス、航空機等の先端分野産業の発展が期待される。」としております。また「省資源、省エネルギー化政策と備蓄政策」の項でも「省エネルギー型技術の開発促進」「わが国経済のセキュリティ確保のための備蓄政策等についても検討すべきである」と述べていますが、これらの内容を本年度の通産省の施策としてどのように取り上げられているか、ごく簡単に述べていただきたいと思います。
  65. 並木信義

    ○並木説明員 御説明申し上げます。  産業構造審議会の長期ビジョンは、ただいま先生が御指摘になられましたように、範囲がきわめて広いわけであります。したがいまして、関連予算という点を拾い上げる段になりますと、実は範囲のとり方によりましては通産関係の予算のほとんど全部をカバーするというようなことになるわけでありますが、その点、御質問の御趣旨が技術先端部門という点に力点を置いていらっしゃると思われますので、その点に限りますと、まず産業構造ビジョンの実現方策というのがございまして、具体的には電算機の関係、それから省エネルギーの関係、さらには故紙再生システムの関係等がございます。それから、エネルギーにつきましても、サンシャイン計画の推進その他省エネルギー技術開発の問題がございます。それから、海外関係につきましても、海外事業活動の適正化とそのための調査予算等があるわけであります。  その他いろいろございますが、一例を挙げますと以上のごとくでございます。
  66. 米原昶

    ○米原委員 いま一般的に言われましたが、通産省の本年度の予算の中で、産業構造ビジョンの実現と産業活動の適正化として約二百七十億円が計上されております。それらの中身は、電子計算機産業振興対策費やYX開発補助などの大型プロジェクト、重要技術研究開発費など、そのほとんどが大企業に対する助成となるものであります。発展途上国の追い上げを食っている中小企業に対しては自助努力を強調しながら、一方、大企業には電子計算機の場合を見ても明らかなように、自由化に対処するため電子計算機産業振興費に約百四十億円、その一部を除いてほとんどが、現在日本業界の三グループに電算機に対する補助金としてこれだけの巨額の国民の税金を使われているのであります。  このようにして大企業に対しては手厚い施策を講じられております。政府のこれまでとってきた施策の結果、より厳しい競争と不況を余儀なくされ、深刻な事態に立たされている中小企業に対してこそ、もっと手厚い助成を必要と考えますが、この点で大臣の考えをお聞かせ願いたいのであります。
  67. 河本敏夫

    河本国務大臣 近隣諸国からの、先ほど申し上げますように軽工業、具体的に申し上げますと繊維であるとか雑貨、こういうものの輸入がふえますと、わが国の中小企業が非常な影響を受けるということはもう当然のことであります。その場合、輸入制限とかそういうことはやりませんで、国内におきましてそういう影響を受けました中小企業等に対しては、金融面であるとかあるいはまた財政面あるいは税制面、こういう面からできるだけ援助をし、その近代化を図って競争力を増大するように指導していく、あるいはまた他の産業分野への転換を図っていく、こういうふうに指導いたしまして、おのずから一定の年月の間には近隣諸国を含めまして一定の事業分野の調整が順次できる、こういうふうに当然なっていかざるを得ない、こういうふうに私は考えております。そういう大勢を把握いたしましていろいろな中小企業対策というものをやっていく必要があろう、こういうふうに思います。
  68. 米原昶

    ○米原委員 それでは、この近促法改正案が大臣の言われるような施策となっているかどうか、一つ一つ聞いてみたいと思うのです。  まず、近促法改正の理由について提案理由の説明を見ますと、中小企業を取り巻く内外の環境が大きく変化したことが挙げられておりますが、それではどのような環境の変化があって、それが中小企業にとってどんな問題を持つものか、ごく簡潔にお聞きしたいと思うのです。
  69. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 中小企業をめぐります環境は、特に石油ショック以後大きな変化を見せつつございますが、典型的なと申しますか、大きなポイントの点で見てみますと、一つは、今後日本経済の成長率が従来のような高度成長から、より成長率の低い、いわゆる安定成長型の経済に変わっていくのではないかということでございまして、その点、従来高度成長になれまして量産化を図ってまいりました中小企業にとりまして、非常に環境は厳しくなると思われます。  第二の環境の変化は、賃金でございますとか、原材料その他だんだんコストが上昇する要因がございまして、こういうコストアップを消化してまいらなければならないという点がございます。  それから、第三番目の環境の変化といたしまして、いわゆる中小企業の社会的責任の遂行の問題がございます。具体的には、たとえば環境保全のための中小企業に対する要請、あるいは価格を低価格に維持せよという物価高に対する消費者の要請あるいは商品の安全の確保の問題、さらには省資源省エネルギーを中小企業が果たしていかなければならないという問題がございます。  四番目に、いま御指摘ございました発展途上国の追い上げという環境の変化がございます。  それにもう一つ、国民のニーズが非常に高度化し多様化してまいりまして、各種のニーズがございますので、それに中小企業がこたえて、サービスなり物品供給していくという責任を負っておる、こういう環境の変化がございます。  総体としてひっくるめますならば、従来の高度成長から低成長下中小企業が発展途上国の追い上げを受けながら生きていく道は何かということで、そのためにはやはりより高級な、加工度の高い商品に転化をしていく、そのための技術開発を急がなければならないという問題がございます。もう一つは、多様化する国民のニーズと社会的責任の遂行のために中小企業もこたえていかなければならない、そういう意味でそういった産業振興が必要であろう、こういうふうに考えられるわけでございまして、そういった環境変化、それから出てくる中小企業に対する要請にこたえるための改正が今回の改正点でございます。
  70. 米原昶

    ○米原委員 長官いろいろ言われましたが、中小企業の方々は、いま言われたような問題に直面して大変苦労されている、こういうわけだと思います。そして、今回の近促法改正は、それらの問題に対して一定の解決の方向を示したものだと言われるわけでありましょう。そうすれば、先ほど言われた中小企業が直面している幾つかの問題の中に、中小企業の内外における競争の激化という問題がありましたが、これに対する対応として、本法ではどのように具体化されておりますか。
  71. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来の近代化あるいは構造改善特定業種につきまして、計画におきまして、従来は設備の近代化等が中心でございましたけれども、新商品なり新技術の開発ということを大きな課題として掲げた点が一つ改正の主な点でございます。  それからもう一つは、構造改善をやるにつきまして、従来はその業種だけの構造改善という形で行っておったわけでございますけれども構造改善がより効果を上げますには、その原料供給部門でございますとか、あるいは輸送、保管の部門、あるいは流通部門、こういった関連部門一緒になりまして構造改善を図るという方がより効果がある場合がございますので、そういう場合にはそういう関連業種ぐるみ構造改善計画を策定していただきまして、そういった関連部門にも政府の助成措置をとりまして、構造改善をより進めやすくしたというのが第二点でございます。  第三点は、需要が停滞しておりますような業種につきまして、新しい商品の分野に転換をしていくための措置を盛り込んだということでございます。
  72. 米原昶

    ○米原委員 それでは、この新分野進出制度について質問を進めます。  まず、第五条第一項の業種指定について、業種指定の要件、基準についてどのようなことを考えておられますか。また、業種を限るのはなぜかという点、私はすべての業種に転換のための門戸を広げるべきだと思いますが、この点についてもお伺いしたいと思います。
  73. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 改正法の第五条におきましては、新分野進出を促進するべき業種ということで業種指定することにいたしておりますが、その指定基準として私ども考えておりますのは三つほどございまして、一つは、需要が今後減少する見通しでございまして、そのためにその業種に属する中小企業の相当部分の事業活動に支障を生じるおそれがあるような業種ということで、具体的には消費者の生活様式が変わりましたためとか、あるいは技術進歩によります代替品の出現等によりまして需要が減少しそうな業種というのが第一グループでございます。二番目は、原材料なり素材の供給事情が悪化しつつございまして、そのためにその属する業種中小企業の相当部分が将来事業活動に支障を生じるおそれがあるような業種、それから第三番目が、発展途上国からの輸入の増加等によりまして供給過剰になるおそれが強い業種等でございます。  なぜこういった業種をわざわざ指定をして助成をするのか、指定制度なしに一般的に新しい商品の開発について助成をしたらいいじゃないか、こういう御質問でございますけれども、一般的に転換につきましては、従来から政府系金融機関におきまして必要な資金等は融通はいたしておるわけでございますけれども、特にいまこういった新分野への進出を促進すべき業種というものを選び出しまして、より強い助成措置を講ずることによりましてそれの転換を急ごう、こういう趣旨でございます。あくまで助成措置特定業種強化をいたしまして、その業種の新分野への進出を促進しようということでございますので、いわばそれ以外の業種は転換はしないでいいということでございませんから、ほかの指定業種以外のものにつきましても、転換の希望があれば政府系金融機関からの融資のあっせん等々助成はしてまいりたいと思いますけれども、特に手厚い助成をするという趣旨でこういった業種指定制度をとったわけでございます。
  74. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、業種指定をする基準となるものは、需要が減少している業種だとか、発展途上国産品の輸入が増大するとか、また大企業中小企業事業分野への進出によって中小企業事業活動に支障を生じた場合などが考えられておるようであります。  そうすると、指定を受けられる業種というものは、現在の事業がうまくいってないもの、経営状態のきわめて悪い企業というふうに考えられますが、間違いありませんか。
  75. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 過去の事例等で、中小企業が従来やっておりました分野に大企業が出てまいります事例と申しますと、大体成長性のある分野でございまして、逆に需要伸び悩むような業種の場合には、従来大企業がやっておりましたのがむしろ大企業が抜けていって中小企業が主たる分野になっていくというのが過去の業種別の変化でございますので、ここで考えております新分野に変わった方がいいんじゃなかろうかというような業種について大企業がどんどん入ってくるというふうなことは余り考えられないのではないかと私は考えるわけでございます。  そういうことで、大企業の進出によって苦しくなった業種ということではないわけでございますが、一般的に供給過剰で、これは業者が非常に多過ぎるとか、あるいは発展途上国の輸入がそれに加わってきたとか、こういうことで過剰等で一部ほかの業種にその業種に属する事業者が転換された方が残った業者も発展性がある、こういう業種対象として考えておるわけでございまして、一概に非常に弱っておる業種ばかりではありません。将来を長い目で見まして、やはりその業種の中の若干割合の方々が他業種に変わっていただいた方が残った方々もやりやすくなる、こういう業種対象に加えてまいりたいというふうに考えております。
  76. 米原昶

    ○米原委員 次に、第五条第二項の新分野進出計画の承認についてですが、承認の基準となるものはどういうことが考えられておりますか。
  77. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 新分野進出計画が政府に提出されますと、主務大臣が審査をいたしまして、適当と認めれば承認を与えることになっておりますが、この新分野進出計画の承認の基準といたしまして現在考えております点は、まずそこのたとえば協同組合として新分野進出計画が申請をされました場合には、その組合の構成員がいまやっております仕事の大部分を新しい仕事に変えていくというようなことを目的としておることが一つの要件でございます。もちろんその間には相当時間はかかるかと思いますけれども、少なくともその新分野進出計画に参加された構成員については、新しい仕事に将来相当部分が変わるということが要件でございます。  それから、これはもう当然のことでございますが、そのつくろうとします新商品なり新しいサービスが、国民経済なり国民生活にとりまして非常に役に立つ産業であると思われますことが一つ、それから大体その商品の将来性が、需要が拡大していくんじゃないかというように期待が持てまして、そういうふうに変わっていった場合に、経営が安定するということについてある程度そういう方向の確信が得られることと、それからそれを遂行しようとします中小企業者の能力が適切であること、新分野におきまして転換しようとする中小企業の方々の能力が適切に発揮されるということが認められること、それから資金計画なり何なりその計画の規模等が妥当であること、こういうことがおおむね審査する場合の承認の基準になろうかと存じます。
  78. 米原昶

    ○米原委員 計画を承認する場合の基準は、いまいろいろ言われましたが、要するに新しく転換した事業経営の安定を確立できると認められるもの、またそれにかかる資金の計画が適切なもの、すなわち十分の資金を確保できるだろうというものというようなことだと思うわけであります。  それでは、この計画の承認を受け、いざ実施しようとするものに対する助成措置にはどういうものがありますか。
  79. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 金融面の助成措置とそれから税制面の助成措置とございますが、金融面の助成措置といたしましては、この転換によりまして行います新事業に対して中小企業金融公庫、国民金融公庫から転換貸付ということで通常よりも安い金利で融資を行うことにいたしておりまして、五十年度にはその枠として約六百億、これはほかの部門も含めての大きな枠ではございますけれども、用意をいたしております。それから、中小企業振興事業団からこういった共同による技術開発につきまして知識集約化貸付を行うことができることになっておりまして、これは所要資金の八割までを無利子で融資をすることにいたしております。  それから、こういった所要資金につきましては信用保証の面で近代化保険が適用されることになりまして、これは通常の信用保証の別枠で保証が受けられます。  それから、税制面におきましては、この技術開発につきまして各種の優遇措置を考えております。まず、組合が研究施設をつくります場合に、組合員に負担金を課しました場合には、それは組合員の損金算入を認めます。それから、そのできました設備につきましても組合として圧縮記帳を認めております。それから、前年度よりも負担金等が増額しました場合には、毎年、その増額分については試験研究費の増額扱いにいたしまして税額控除制度が適用になります。それから、新事業を営みます場合のいわゆる特別土地保有税が非課税になりましたり、事業所税も非課税にいたしております。それから、古い設備につきましては、これを廃棄するという計画が明らかであります場合には、事前に加速償却制度を適用することにいたしております。そういうことによりまして転換を促進してまいりたいと考えております。
  80. 米原昶

    ○米原委員 先ほどもちょっとおっしゃいましたが、新分野進出業種指定を受ける対象は、そもそもがかなり需要が減少しているとか、あるいは発展途上国からの輸入が増大するとかで非常に困難に直面している、そういう業種であります。そういう点ではほとんどが資金的な余裕もないだろうと思われる。融資を受けるにしても、担保の余力がないというのが現実だと思うわけです。そういうことを考える場合に、資金的な援助は、いまのお話の程度では十分考えているとは言えないのじゃないか。八割の資金を考えても、あとの二割はそろわないというようなことが起こってくるのじゃないか。また、零細な業者など特に資金力のない者は、結局新分野への進出と言っても実際はできない、一部資金力のある者だけしかできない、こういうことになってしまうのではないか。零細業者でも新分野への進出を図ろうと思えばだれでもできるのだと言えるような措置をとるべきではないかということを私は考えるわけですが、どうでしょう。
  81. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 御指摘のように、非常に体力が弱りましてからの転換は、今度の中小企業白書でも分析をいたしておりますけれども、転換の成功率が低いわけでございまして、そういう意味では若干体力の余裕のありますうちに早目に転換と申しますか、新商品の開拓を行っていくということが望まれるわけでございまして、そういう意味では指定業種指定は極力弾力的に早目早目に指定をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、体力が弱りました場合の助成につきましては、信用保証補完制度の活用等によりまして極力資金を借りやすくするとか、あるいは研究費につきましては、たとえば中小企業庁に技術研究費補助金制度といったようなものもございますので、そういった国の補助金等の制度も御活用いただきまして新商品の開発に御努力をいただきたいと考えるわけでございます。
  82. 米原昶

    ○米原委員 伺っておりまして、政府の助成措置は、金融、税制、信用保険、そういうような措置だと大体思うわけです。しかも、それもまだ不十分じゃないかと思うのですが、四十九年度の中小企業白書で見ても、事業転換の実施上の問題点として、七割以上の企業生産技術の習得、五割以上の企業販売先の開拓を挙げられております。この法案では、技術的な援助とかあるいは販路の開拓について政府が援助をすることを一つも書かれてないわけです。もっと中小企業に対するきめの細かい施策をやろうと思えば、当然これらのことについても考えるべきじゃないか、こう思うわけでありますが、どうでしょう。
  83. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 中小企業指導につきましては、私ども非常に力を入れておる点でございまして、各府県に総合指導所というものを設けまして、国がその費用の相当部分を分担いたしまして中小企業経営指導に当たらせております。また、技術関係指導につきましては、府県にございます公設の試験場が大体四千名ぐらい職員がおりますが、これが巡回して中小企業の技術指導に当たり、また相談に来た場合に相談に乗りましていろいろ指導を行っております。そのほかにも通産省の試験所等が全国に支所、分所たくさんございますので、国公立の試験所を通じまして、中小企業の技術指導に当たっておるわけでございます。そのほかにまた中小企業振興事業団がいろいろ中小企業指導を担当いたしております。  そういうことで、府県及び国の機関、それから通産局、さらには振興事業団、こういった機関が有機的な連携を保ちまして従来から指導を行っておりますが、特に今度の転換に関しましては、非常に中小企業にとって冒険的なことをやるわけでありますので、親身になって指導することが必要かと存じます。そのために、試験場に転換指導ということをやってもらうように、現在いろいろ府県にも話をいたしておりまして、過去の転換した事例集等も編さんをいたしまして、どういう点を転換について心がければいいか、注意すべき点等マニュアルもつくりまして、これから転換についての指導について万全を期してまいりたいと考えております。
  84. 米原昶

    ○米原委員 終わります。
  85. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 これにて米原昶君の質疑は終了いたしました。  引き続いて、松尾信人君の質疑に入ります。
  86. 松尾信人

    ○松尾委員 政府は中小企業施策の柱の一環といたしまして、昭和三十八年以来、この近代化に力を注いできております。  端的に聞きますけれども、この近促法の施行による成果はどうであったかということを、これはひとつ要領よく簡潔にまとめてお答え願いたい。長官にお願いします。
  87. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 近促法が昭和三十八年に制定されましてから、現在までに百四十二の業種指定業種として指定をされまして、近代化計画としては百八十三件の近代化計画が策定されております。大体五年が一つの期間になっておりまして、すでに正規の計画を終了したものもございまして、現在なお指定業種として指定中のものは九十九業種でございます。  それから、昭和四十四年に法律改正をいたしまして、業界自体が構造改善計画を立てまして、業界ぐるみで構造改善を行う、こういう制度を設けたわけでございますけれども、それによります業種指定数は三十五業種でございまして、なお現在実施中のものが三十三業種ございます。  この業種指定による近代化あるいは構造改善の結果といたしまして、一つは、経営規模なり生産規模の適正化を達成し、生産性の向上を図ったということと、もう一つは、品質の向上改善か行われたわけでございまして、この法律の目指す産業構造の高度化なり産業国際競争力強化に相当の役割りを果たしてきたものというふうに考えております。  具体的に申しますと、まず生産額の増加でございますけれども、どの業種も大体目標水準を達成いたしております。  それから、労働生産性の向上につきましても非常に見るべきものがございまして、具体例としては、たとえば漁網の業種生産性が一八〇%上昇しております。コンクリートブロックで約七〇%、それからカーテンレール等で八〇%の生産性の向上を見ておるわけでございます。  品質の向上の面で見てみますと、JIS規格の合格率が非常に高まっておりまして、JIS表示工場が大変増加をしましたとか、あるいは包装販売品がふえてまいりましたとか、あるいは自動車分解整備等におきましては、再整備の必要なものが非常に減ってきた、こういうふうな結果が出ておるわけでございます。  また、大量に政府資金を投入いたしましたので、設備の近代化が非常に進んでおりまして、また合併等、集約化も進んだわけでございます。
  88. 松尾信人

    ○松尾委員 いま近促法の施行による成果ということをお尋ねしまして、その成果のお答えがあったわけでありますけれども、いまお答えになりました成果、その判断の基準ですね、それはどういうところを中心にあなたは成果が上がった、このように言われるのでありますか。生産性の向上等はいまお答えになりましたけれども、そのうまくいったんだという判断の基準、これを明確にしてもらいたいのであります。
  89. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 中小企業近代化の成果が上がったかどうかということにつきましては、その判断の基準としまして、まずその業種生産額なり売上高が計画で予定したようにずっと伸びてきたかどうかということでございますとか、実質生産費が非常に低下を見つつあるかどうか、それから物的な生産性の伸びがどうか、品質向上の状況はどうか、こういった各種の観点から業種ごとに近代化が成果をおさめたかどうかを判断するわけでございます。  ただ、業種によりましていろいろ問題点もまちまちでございまして、したがっていわゆる近代化施策と申しますか、とられます構造改善方策も業種によりまして非常に違いますので、共通した客観的な基準というのはむずかしい面がございますけれども、一応私がいま申し上げましたような基準で成果が上がったかどうかの判断をいたしておるわけでございます。
  90. 松尾信人

    ○松尾委員 生産性の向上、売上高の増加、そういうお答えでありますけれども産業構造の高度化と国際競争力強化につながるものが指定要件とされているわけでありますけれども、この産業構造が高度化されたかどうか、何をもって高度化されたと判断するのか、これはちょっとわれわれにはよくわかりかねますから、この産業構造の高度化とはどういうことなのか、なお何かあれば具体的に説明してもらったら結構だと思うのであります。
  91. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 産業構造の高度化と申します場合には、資本とか労働、土地といったような経済資源の産業間の配分をより効率化するということかと存じます。  中小企業に当てはめて考えました場合には、より生産性の低い部門近代化を達成いたしまして、日本経済全体の効率を高めるということが、産業構造の高度化ということになろうかと存ずるわけでございますが、そういう意味におきまして、生産性の低かった中小企業生産性が上昇を見つつあるかどうかというのが一つの目安になろうかと思います。
  92. 松尾信人

    ○松尾委員 これは今後の指定をされるときの一つの資格要件というものになるわけでありますから、明確にすべきであろうと思うのであります。  なお、この業種指定をする際に、政府は業界の実態調査を行う、そして問題点を明確にすることになっておるのですが、この問題点を解決することが非常に重要なポイントであろうと思うのでありますけれども、その点はどうなっておるのですか。
  93. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 近代化促進法業種指定をいたしますと、まず一年ほどかかりまして詳細な実態調査をいたします。     〔塩川委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕 たとえばプラスチック製造業というようなものをとりますと、会社が一万数千あるわけでございます。従来は、近代化促進法指定業種になる前は、なかなか業界実情そのものがよくわからなかった面がございましたけれども近代化促進法指定をいたしましてから非常に詳細な業界の実態調査をいたしまして、どういう面に業界問題点があってどういうところを合理化すれば近代化が進むか、こういう問題点が明らかになってまいったわけでございます。一般的に申しますと、中小企業の場合には非常に古い設備が多いわけでございますので、新鋭設備を導入するということ、それから非常に業界が過多で零細でございますのでできれば組合をつくってもらいまして、さらに合併等を促進する、こういうことによりまして体力を強化いたしまして、いまの新鋭設備の導入によって生産性を上げる、こういうふうな施策近代化促進法による施策として進めてまいったわけでございます。
  94. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの問題点というのは、近促法関連しての問題点ですが、実は今回は新しい意味近代化促進ということをやるわけでございます。それで、この近促法関連しての問題点というものと、やはり中小企業が現在非常に抱えておる問題点というものと、両方ながら問題点というものを把握していく、非常に苦しんでいる、倒産その他に直面しておる、人員整理に直面しておる、それは近促法関係じゃないからほっぽらかすとかなんとかじゃなくて、近促法の考えの問題点の解明もさることながら、現在抱えておるこの下請なり中小企業のいろいろの問題点というものをあわせて並行的に、機動的にやってまいりませんと、本当の意味中小企業施策にならない、こう思うんでありますけれども、その認識はいかがですか。
  95. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 先生御指摘のように、中小企業近代化を図ります上におきましては、設備の近代化、それから規模の適正化という意味での合併なり組織化の推進ということのほかに、競争の正常化の問題でございますとか、あるいは取引関係の改善あるいは新規の需要の開拓、そういった問題もございます。そういう面もやはり近代化計画に掲げまして、どういった対策を講じるかをそれぞれの業種ごとに定めることにいたしておりまして、たとえば競争の正常化という場合には商工組合の設立を図りまして、業界内部の調整を行うとか、あるいは規格の統一を行っていくとかいったような施策が講じられております。それから、取引関係の改善につきましては、業種ごとの、たとえば標準取引約款といったようなものを決めましたり、下請関係の正常化を図ったりするとかいったようなことがございます。需要の開拓につきましては、市場調査、情報の収集あるいは新商品の開発なり新しいデザインの試作といったようなこともございまして、そういったこともあわせてこの近代化計画ということで遂行してまいろうというふうに考えております。
  96. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、念を押しますけれども、近促法関連のあるいろいろな企業問題点の解明と、当面の中小企業問題点というものをあわせて並行的にやっていくつもりだ、このように理解していいわけですか。
  97. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 近代化促進法によります業種近代化計画は、大体五年間の目標をもちまして、いわばやや中期のビジョンのもとに業界全体の構造の変革を図っていこうということでやっておりますので、当面の景気対策的なものはむしろ従でございまして、主たるものは五年先にどういう形の業種に持っていくかという息の長い計画になっておるわけでございます。しかし、当面する問題がございます場合には、それの解決も当然図っていかなければなりませんので、それは近代化計画の実施という形になるというよりは、当面の不況対策ということになろうかと存じますけれども、非常に困っておられる業種につきましては、それぞれ適時適切に必要な手を打ってまいりたいと考えております。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 松尾信人

    ○松尾委員 そうですね、当面の不況対策としてあわせて考えていこう、こういうお考えであります。  私は、いま近促法関連はありませんけれども、当面非常に問題の起こっておる中小企業、下請関係というものの一、二の例を挙げまして政府に対策を求めたい。これは通産大臣よく聞いておってもらいたいのでありますけれども、たとえば造船であります。これは四十九年度の造船実績、それから新造船の受注量、こういうものをながめてみますると、これは総トン数で前年度比七二%という大幅減であります。それから、五十年度三月末の手持ち工事量、これも四十年度以来初めての大きな減少でございます。このようにいたしまして、造船界というものは世界的な不況、石油需要の停滞、船腹過剰というような問題から、タンカーを初めといたしまして新造船の受注というものは減少傾向である、これは相当長期にわたる見通しでございます。このようなことが親の造船会社にございまして、この親会社の受注量、手持ち量の減少によりまして、親会社は下請造船会社に対しまして発注量を減らしております。支払い代金はえらく長期化いたしております。現金払いを手形払いの方へうんと切りかえております。  これは長崎県の例でございますけれども、三菱造船はもう今年中に一五%の生産ダウン、来年から再来年の初めにかけましては三〇%の生産ダウンをしなくちゃできない、このようなことで下請に対する発注量というものがどんどん減っていくわけであります。下請全部で、これは長崎の三菱造船関係だけでありますけれども、百五十社、六千名が働いております。それが今年度末にその半分ぐらいを整理しなくちゃできない。造船としましては本工の整理にはなかなか手をかけない。ですから、まず下請の方へくるわけですね。このようなことが造船の首脳と下請の社長との中で申し渡されまして、そして下請といたしましてはいまその対応策に苦しんでおるわけであります。これは一つの例でございますけれども、ある三菱造船の下請、これは現在発注量が四分の一に減っております。去る四月から隔週土曜、日曜を休みにしております。そういうことで下請企業に働く人の月収というのが約四万円減ってまいっております。このようなことで人員整理にこれが及んでまいりまして、三百七十名の従業員がおるわけでありますけれども、それなんかも四月中に六十三名が退職させられる、こういう現状が起こっております。次の例でございますけれども、これは現在従業員百五十名、その四割をこの夏までに整理しなくちゃできない、いまその準備を一生懸命になって会社で頭を痛めてやっておるわけであります。また、長年下請にやらせておる仕事、これを本社が取り上げる。自分の方の仕事が減ってきましたから、下請にさせておる仕事を取り上げるわけです。長年そのような慣行でやってきて、下請の方にはその熟練工もおって十五名も働いておる。その部分的な仕事を取り上げる。三菱本社がやる。あわせまして、発注量は減ったわ、今度はいままでやっておった仕事は取り上げられるわで、大きな痛手を受けているわけであります。  こういうことでございますので、これは私からの対策の問題でありますが、下請に適した仕事は下請にやらせろ、こういう問題が一つ。そういう問題点の解明をしてもらいたい。それから、いままで下請としてやっておる仕事を、住宅建設等にその工場を利用するということもある程度できるのじゃないか。ある職種の転換ですね。それから、大きな問題は、そのようにいま発注量が四分の一減った。二五%減っています。そうすると、減産資金というものも要りますし、人員整理をいたしますると、やれ退職金だとかいろいろな問題がすぐ起こりまして、そういうお金の調達にも困る。人を首切るのにも困るけれども、その資金の調達にも困る、こういう問題ですね、それをどうするのか。政府は何か考えておるかどうか。それから、雇用促進法によって造船も早く業種指定をしてくれ、こういう要望が出ておるわけでありますけれども、これはどのようになっておるか。  この四点、私は申し上げましたけれども、結局親会社と子会社、下請というものがそのような造船界の不況を平等に負担していくような、そういう問題点をはっきりしませんと、いつも不況のクッションにされまして、いま造船界の下請というものが大きな不況に立たされておる、こういう点に対する大臣認識等についてお答え願いたい。
  99. 河本敏夫

    河本国務大臣 一昨年の油ショックを受けまして世界全体が不況に陥っておるわけでありますが、わが国におきましても、もちろん全業種が大変な不況にいま悩んでおるわけでありますけれども、とりわけいまお話しの造船関係は、詳細実情の御説明がございましたが、そのとおりだと思います。当分の間そういう状態が続くのじゃないかと思いますが、各方面に非常に重大な影響を生じておるわけでありまして、とりわけいまいろいろお話がありました下請関係に大変大きな影響を及ぼしております。造船業そのものは運輸省の管轄でございますけれども、そのうちの下請関係中小企業関係は通産省でめんどうを見なければなりませんので、運輸省等とも十分連絡をとりながら、抜本的にこれは一体どうすればいいのか、こういうことからよく相談をいたしまして、できるだけのことはしていきたい、こう思います。  いま対策としていろいろの具体的な案が提示せられましたが、これにつきましては中小企業庁と運輸省とよく相談をいたしまして、万遺漏ないようにできるだけのことはやっていきたい、こう思います。
  100. 松尾信人

    ○松尾委員 これは非常に時期的な問題でございまして、早急に手を打ちませんといけないのです。できるだけのことはやるというお答えでございますので、私は了承いたしますけれども、人員整理の方は現実にきょう二名あす五名とか、そういうことになっているわけですから、そういう整理に伴っていろいろな手当等の金が要るわけでありますから、これはもう一回、くどいようでありますけれども、ひとつ大臣が力になって、そして運輸省、中小企業庁が早急に手を打っていく、これをもう一回念のために聞いておきたい。
  101. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま長崎県についての具体的な例示がございましたが、これは全国至るところで起こっておる問題でございますので、至急に運輸省の方と中小企業庁とが相談をいたしまして、それぞれきめの細かい対策を立てるようにいたします。
  102. 松尾信人

    ○松尾委員 いまのお答えで、私、了承いたします。  次は、もう一つの例は、地場の繊維産業の問題でございます。これは長崎県がもう十年ほど前から企業を誘致したい、そのような知事その他の要請によりましてやっと地場にこのような繊維産業、縫製加工の産業ができてきたわけであります。ある会社はもう八年間もそのように長崎に腰を据えて、会長も社長ももうそこの地場に自分は骨を埋めるのだ、このような覚悟でやっておるわけでありますけれども、何としても繊維不況がいま非常に吹き荒れておりまして、地場の繊維産業はいま困っております。そして、そういう人々の声は、もう金を借りる余力もない、もう担保も全部出した、政府のお世話にもいままでいろいろなってきておるけれども、どうもこれでは困る。ドルショックのときにいろいろ手を打ってもらったのでありますけれども、今回のこの不況、そしてせっかく伸びつつあった地場の繊維産業、これがいま本当に崩壊の直前と言うていいぐらい、みんながそのような面で苦しんでおります。結局これは受注量の減少、また加工賃のカット、二割、三割の加工賃のカット、そういうものが出ておりまして、そして受注量が減る。また、働いてもその賃金のもともとがカットされておる。がんばるだけがんばってきたけれどももうお手上げ寸前である、こういうところでありまするので、これは何か助けてもらいたい。今回のこの深刻な不況につきましても、債務のたな上げ、繰り延べ等、もう一回ドルショックに準じた手を打ってもらわなければ、これはもう倒産を防ぐことはできない、こういうことであります。そこにはたくさんの人が働いていらっしゃいます。長崎県の南高来郡だけでも四十数社ございます。三千名の従業員が、その地場の出身の男女がそこで働いている。これは非常にいいことであったのでありますけれども、これを何か、いまこの不況で非常に苦しんでおる状態を見過ごしておられるような感じがするのですよ。それで、私は、問題点の解明というのは、近促に関係のあるものと、いま非常に苦しんでおるそういう問題のところまで手を広げて考えていくべきであろうと思う。それは長官のお答えもそのとおりでやってまいりますというお答えでありますけれども、当然並行的にやりませんと、片や近促でどうやこうやと言いましても、片やどんどんそのように苦しんでつぶれていくということでは、やはりこれは片手落ちの問題でありますし、そういうことがあってはなりません。  ですから、そのような問題点があらゆる業種にあるわけでございますけれども、総体的に言ってそのような債務のたな上げ、繰り延べ、そしてそこに新たな資金を供給するような余力をつくってあげるというような方策というものがないかどうか。これはやろうと思えばできることでありますから、長官並びに大臣からはっきりしたお答えを聞いておきたい。南高だけで三千名の従業員がいまそのような問題に立たされておる、骨を埋めようという経営者も非常に頭を抱えて悩んでおる、こういう状態をどうされるか、お答え願いたい。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 繊維不況の問題は全国的な問題でありまして、私ども実情をよく認識しております。できるだけの対策を立てておるわけでありますが、やはり抜本的には経済活動が盛んになる、つまり景気がよくなるということでないと需要が喚起されませんから、本格的な立ち直りは期待できない。でありますから、やはり景気をよくする、経済活動を盛んにするということが抜本的な対策でありますが、しかしそれに至るまでには相当時間もかかりますし、いろいろ問題が起こりますので、先ほど御指摘のように債務、借り入れ金の返済時期が来た場合等、どうしてもその企業が返済できないという場合には、それぞれ政府系の三機関等に対しましては個々の企業実情に応じて返済を延ばす、そういうふうにするようにという指導もいたしております。ただ、業界全体に対してまとめて延ばすというふうなことはできませんけれども、個々の企業ごとにそういうふうな実情に合った取り扱いをするように、こういう指導をしているわけでございます。  なお、詳細につきましては長官から答弁をさせます。
  104. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 繊維業の不況は、他業種に先駆けまして昨年の初めごろから滞貨が非常に多くなりまして、不況状態が厳しくなってまいっておったわけでございます。  それで、まず金融面対策ということで考えまして、昨年の六月に三機関で千五百億の追加をいたしましたときに、繊維業には、たしか七百億を繊維業というふうに限定をいたしまして融資の追加を行ったわけでございます。また、その後民間の中小企業救済特別融資制度の第一番目の適用も繊維業界対象にいたしまして、四百億の民間特別融資を実行いたしました。また、信用保険法によります不況業種指定も一番早く繊維業界指定になりまして、信用保証の面の特例措置を適用してまいっておるわけでございます。生産調整が早目に行われましたので、昨年の十二月ごろをピークに漸次少しずつでありますが繊維の在庫も調整が進みつつあるようには見えますけれども生産水準そのものはまだ非常に低位でございまして、昭和四十五年を一〇〇といたしますと、この二月ぐらいで繊維の生産水準は九〇を切っております。昭和四十五年よりずっと前の水準のところまで落ち込んでおりまして、非常に苦しい状態が続いておるわけでございます。  それで、過去の融資金の返済期の来ましたものにつきましては、返済が困難なケースについては、企業ごとに審査をした上での話ではございますけれども、極力弾力的に返済猶予の措置をとるように、こういう指導を政府系の金融機関について通達をいたしておりまして、現実にもいま相当返済猶予の適用例がございます。そのうちの大体五、六割は繊維業界というような実情でございます。また、担保の評価等につきましても極力弾力的に判断をするようにいたしまして、新しい借り入れが可能なように配慮してまいるように指導をいたしておるところでございます。  ただ、今後の対策としましては、早く景気不況から脱却をいたしまして、一般的に需要伸びてくる、特に個人消費関係需要伸びるということが何と言っても望まれるわけでございますので、そういう方向で努力をいたしたいと考えております。
  105. 松尾信人

    ○松尾委員 いま長官のお答えで、全体的なことはそのように七百億等でやっておる、あとは個々の企業について実態的に解明して、そして金融措置をとっていこう、こういうお答えであります。私はそれで結構だと思うのでありますが、この繊維の中で問題点が二つございます。  一つは、そのような地場産業でできた工場渡し価格というものは、ワイシャツなんかでも七百円か八百円以内でできるわけです。これが流通段階を経まして最終的なデパートその他の売り値では三千円見当だ、このような大きな問題が一つ。  それからもう一つは、パンティストッキングでございますけれども、これは工場渡しが一足六十五円見当でございます。厚木、グンゼ、福助、これが生産量の六〇%を占めておる大手三社でございますが、これは一足五十五円で廉売しておる。ですから、地場産業といたしましては、せっかくのそれ専門の企業でございまして、ほかにできる品物はない。それが六十五円のものがスーパーその他で五十五円で売られておるという大きな問題がございます。  こういうことも大企業中小企業、その中の流通対策の一環としましてどのように検討をされつつあるか、またはいまからそういうものについては手を打っていかれようとするか、大まかなことで結構でありますから、方向を大臣から明確に伺っておきたいと思うのです。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国は近代産業という面では、生産分野では非常に進んでおるわけでありますが、流通の分野では、いまもちょっとお話がありましたが、非常におくれておる。先進国の中では一番おくれておるという状態でございまして、流通段階における経費が大変な額になる。そういう面で流通の合理化ということが最大の課題一つになっておるわけでございまして、いまいろいろな対策を立てておるわけでございます。一遍にはまいりませんが、順次改善をしていきたいと考えておる次第でございます。
  107. 松尾信人

    ○松尾委員 流通分野の問題は一遍には解決できない、逐次指導をしていくというお答えでありますけれども、現実には逐次指導されては困るのでありまして、速急に廉売問題等は、やはり大企業中小企業、その末端価格というものを、これは法律上取り締まるということはできないけれども、しかし行政指導その他できちんとそういう実態をつかまれたらどうされるのですか。なるほどそういう事実があるな、これではせっかく育成していこうという地場産業が一たまりもなく負けるわけであります。これは大企業の力ですね。そういう点はどうされるのですか。これは長官でいいです。足らなければまた大臣に聞きます。
  108. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 コストを離れまして、いわゆるダンピング的にスーパーその他で目玉商品的な扱いで廉売をされます場合には、これは独禁法で言います不公正取引に該当するかと存じますので、そういう不当廉売は独禁法に基づく取り締まりが可能だと存じます。  なお、パンティストッキングにつきましては、設備が非常に過剰でございますので、現在中小企業のメーカーにつきましては設備調整カルテルを中小企業団体法によりまして結ばせまして、設備の増設をやらないというふうなことを実施中でございます。
  109. 松尾信人

    ○松尾委員 独禁法の問題であります、でそちらの方ということでありますけれども、問題はやはり関連中小企業の生存に関連する大きな問題でございますので、これはひとつ公取と中小企業庁とよく話し合いをされて、そのような実態調査を、これは造船関係並びに繊維関係、地場産業、そういうものをひとつそれぞれの通産局に命じて実態調査をさせる、そしてその問題点を取り上げて、なるほどそういう事実があるならばこれをどうにか解決する行政指導というものを早急になすべきであろうと思うのです。それを最後に私はひとつ聞いておきたい。  時間がやや超過いたしましたので私はこれでやめますけれども、なお近促法改正に関する基本的な問題は、後刻また時間をいただきまして質問を続けていきたい、このように思うのですが、長官いかがですか。
  110. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 繊維の担当は生活産業局でございまして、現に生活産業局の方で業種ごとに流通面実情と改善方策を検討するための取引改善委員会というものをつくりまして検討しておるというふうに私伺っておりますが、ただいま御指摘の点、至急に生活産業局と協議をいたしまして、特に目玉商品としての不当廉売等の点につきましては、そういう実情があるようでございますれば対策を検討いたしたいと存じます。
  111. 松尾信人

    ○松尾委員 これで質疑を終わります。
  112. 山村新治郎

    山村委員長 次回は、明七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十二分散会