○松尾
委員 そうですね、当面の
不況対策としてあわせて考えていこう、こういうお考えであります。
私は、いま近
促法に
関連はありませんけれ
ども、当面非常に問題の起こっておる
中小企業、下請
関係というものの一、二の例を挙げまして政府に
対策を求めたい。これは
通産大臣よく聞いておってもらいたいのでありますけれ
ども、たとえば造船であります。これは四十九年度の造船実績、それから新造船の受注量、こういうものをながめてみますると、これは総トン数で前年度比七二%という大幅減であります。それから、五十年度三月末の手持ち工事量、これも四十年度以来初めての大きな減少でございます。このようにいたしまして、造船界というものは
世界的な
不況、石油
需要の停滞、船腹過剰というような問題から、タンカーを初めといたしまして新造船の受注というものは減少
傾向である、これは相当長期にわたる見通しでございます。このようなことが親の造船会社にございまして、この親会社の受注量、手持ち量の減少によりまして、親会社は下請造船会社に対しまして発注量を減らしております。支払い代金はえらく長期化いたしております。現金払いを手形払いの方へうんと切りかえております。
これは長崎県の例でございますけれ
ども、三菱造船はもう今年中に一五%の
生産ダウン、来年から再来年の初めにかけましては三〇%の
生産ダウンをしなくちゃできない、このようなことで下請に対する発注量というものがどんどん減っていくわけであります。下請全部で、これは長崎の三菱造船
関係だけでありますけれ
ども、百五十社、六千名が働いております。それが今年度末にその半分ぐらいを整理しなくちゃできない。造船としましては本工の整理にはなかなか手をかけない。ですから、まず下請の方へくるわけですね。このようなことが造船の首脳と下請の社長との中で申し渡されまして、そして下請といたしましてはいまその対応策に苦しんでおるわけであります。これは
一つの例でございますけれ
ども、ある三菱造船の下請、これは現在発注量が四分の一に減っております。去る四月から隔週土曜、日曜を休みにしております。そういうことで下請
企業に働く人の月収というのが約四万円減ってまいっております。このようなことで人員整理にこれが及んでまいりまして、三百七十名の従業員がおるわけでありますけれ
ども、それなんかも四月中に六十三名が退職させられる、こういう
現状が起こっております。次の例でございますけれ
ども、これは現在従業員百五十名、その四割をこの夏までに整理しなくちゃできない、いまその準備を一生懸命になって会社で頭を痛めてやっておるわけであります。また、長年下請にやらせておる
仕事、これを本社が取り上げる。自分の方の
仕事が減ってきましたから、下請にさせておる
仕事を取り上げるわけです。長年そのような慣行でやってきて、下請の方にはその熟練工もおって十五名も働いておる。その部分的な
仕事を取り上げる。三菱本社がやる。あわせまして、発注量は減ったわ、今度はいままでやっておった
仕事は取り上げられるわで、大きな痛手を受けているわけであります。
こういうことでございますので、これは私からの
対策の問題でありますが、下請に適した
仕事は下請にやらせろ、こういう問題が
一つ。そういう
問題点の解明をしてもらいたい。それから、いままで下請としてやっておる
仕事を、住宅建設等にその工場を利用するということもある程度できるのじゃないか。ある職種の転換ですね。それから、大きな問題は、そのようにいま発注量が四分の一減った。二五%減っています。そうすると、
減産資金というものも要りますし、人員整理をいたしますると、やれ退職金だとかいろいろな問題がすぐ起こりまして、そういうお金の調達にも困る。人を首切るのにも困るけれ
ども、その資金の調達にも困る、こういう問題ですね、それをどうするのか。政府は何か考えておるかどうか。それから、雇用促進法によって造船も早く
業種指定をしてくれ、こういう要望が出ておるわけでありますけれ
ども、これはどのようになっておるか。
この四点、私は申し上げましたけれ
ども、結局親会社と子会社、下請というものがそのような造船界の
不況を平等に
負担していくような、そういう
問題点をはっきりしませんと、いつも
不況のクッションにされまして、いま造船界の下請というものが大きな
不況に立たされておる、こういう点に対する
大臣の
認識等についてお答え願いたい。