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1975-03-25 第75回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十五日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 萩原 幸雄君 理事 前田治一郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 佐野  進君    理事 中村 重光君       天野 公義君    小川 平二君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       橋口  隆君    八田 貞義君       森下 元晴君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         参  考  人         (石油開発公団         理事)     楠岡  豪君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 三月二十日  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案多賀谷真稔君外十  九名提出衆法第一七号) 同月十九日  中小企業経営危機打開に関する請願阪上安  太郎君紹介)(第一五五〇号)  同(中村茂紹介)(第一五五一号)  同(安宅常彦紹介)(第一五九二号)  同(石野久男紹介)(第一五九三号)  同(井上普方紹介)(第一五九四号)  同(清水徳松紹介)(第一五九五号)  同(田中武夫紹介)(第一五九六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一五九七号)  同(山崎始男紹介)(第一五九八号)  同(阿部未喜男君紹介)(第一六三七号)  同(大柴滋夫紹介)(第一六三八号)  同(金丸徳重紹介)(第一六三九号)  同(久保等紹介)(第一六四〇号)  同(佐野憲治紹介)(第一六四一号)  同(下平正一紹介)(第一六四二号)  同(古川喜一紹介)(第一六四三号)  同(福岡義登紹介)(第一六四四号)  同(米田東吾紹介)(第一六四五号)  同(湯山勇紹介)(第一七〇三号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の改正に関する請願小林政子君外一名紹  介)(第一五九九号)  同(山原健二郎紹介)(第一六四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四三号)      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  先刻の理事会で御協議願いましたとおり、本案審査中、石油開発公団代表者参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 山村新治郎

    山村委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  5. 板川正吾

    板川委員 石油開発公団法の一部を改正する法律案について質問いたします。  まず、石油公団の今日までの業務の概要について説明を願いたいと思います。
  6. 増田実

    増田政府委員 お答えいたします。  石油開発公団は、昭和四十二年の十月に発足いたしたわけでございますが、これは海外における石油開発の中核的な推進母体ということで発足いたしたわけでございます。その業務につきましては、石油海外において開発いたします企業に対しまして出資及び融資業務を行う、これを主体にいたしまして、その他石油開発に必要なる事業をそれぞれ行うということになっております。  発足いたしましてから約七年たっておるわけでございますが、昭和四十八年度までの出資融資合計が大体八百億を超えておりますが、さらに最近この予算が飛躍的に増加いたしておりまして、四十九年度末、ことしの三月末にはその出資融資合計が約千六百億円に達するということが一応予定されておるわけでございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 資料によりますと、資本金が千三百億円、投融資実績の累計が千五百四十億円、探鉱融資資金保証残高が六百八十億円、こう言われておりますが、諸外国、特に米国とか英国とかメジャーを持っている国は別といたしまして、石油海外から圧倒的な数量を輸入しております西独フランスイタリア、こういった国々ではそれぞれ国有なり公社なりの開発機関を持っておりますが、そういう国とわが国石油開発公団との業務実績といいますか、そういう点の比較をしていただきたいと思います。イタリアENIフランスERAP西ドイツDEMINEX、こういうものとの比較をしてもらいたいと思います。
  8. 増田実

    増田政府委員 石油開発につきましては、欧米の主要国におきましてもこれにつきまして各種の方法で石油開発推進を行っておるわけでありますが、ただアメリカにつきましては、先生御存じのようにメジャー、大資本企業がございますので、これは国際石油資本がやっておりますが、いまお尋ねフランスあるいはイタリアについて申し上げますと、フランスにおきましては一〇〇%の政府出資によりまして石油探査活動公社、これは略称ERAPと申しておりますが、この会社及びその子会社グループを組みまして石油開発に当たっておるわけでございます。それから、イタリアにおきましては、炭化水素公社がございまして、これも一〇〇%の政府出資で設立されておりますが、これは幅広い活動を行っておりまして、石油開発、精製、販売からさらには石油化学原子力等事業を営んでいるグループでございます。それから次に、西ドイツについて申し上げますと、西ドイツにおきましては石油開発を促進いたしますために民族系石油会社八社の協力によりまして、ドイツ石油供給会社略称DEMINEXといわれておりますが、この会社が設立されておりまして、これに対しまして政府が非常に強力な助成を行っております。成功払い融資あるいはその融資につきましてさらに据え置き期間は無利子という相当強力な助成措置を行っておるわけであります。  以上のごとく、各国におきましてそれぞれ政府機関あるいは政府の強力な助成のもとに石油開発を行っておりますのが現状でございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 そのフランスERAPなりイタリアENIなり西独DEMINEXは、政府出資なりが従来どういう規模になっておりますか。
  10. 増田実

    増田政府委員 フランスの、先ほど申し上げましたERAPにつきまして政府出資額が百三十三億円でございます。これ以外に各種開発投資につきまして援助を行っておりますが、出資額につきましてはいま申し上げました百三十三億円でございます。それから、イタリアENIに対する出資額が千二百八十五億円でございます。(板川委員「間違っていないの、三十四億フランだろう」と呼ぶ)私が先ほど申し上げましたのは、フランスERAPに対しますフランス政府出資金が百三十三億円、それからイタリアENIに対しますイタリア政府出資金額が千二百八十五億円、それから西ドイツDEMINEXでございますが、これは先ほど申し上げました民族系石油八社に対してドイツ政府主要株主になっておりまして、たとえばそのうちの一社につきましては四三%の株式西ドイツ政府が保有するというような形で、西ドイツ政府が株を保有しております会社が集まりましてさらにDEMINEXを設立いたしておる、こういう形でございます。l
  11. 板川正吾

    板川委員 私の調査では、このフランスERAPでは一九七一年末現在で政府出資が三十四億六百万フラン、円貨にしまして約二千億、あなたのいまの話は百三十三億円、三十四億フランとLうの円貨にしますと約二千億になっておる。数字が大分違いますね。それと、ENIにいたしましても、あなたのいまの報告は千二百八十五億円だと言いますが、一九七〇年末で七千七百八十九億リラ、円貨にいたしまして三千六百六十億円、こういう資料がありますが、どちらが本当ですか。
  12. 増田実

    増田政府委員 いまの出資額につきましては、私どもの手元の資料で御答弁申し上げましたので、即刻調べまして、誤っていましたら訂正いたしたいと思います。
  13. 板川正吾

    板川委員 これは資源エネルギー庁石油部開発課からの資料なんだから、あなたの部下の方が出した資料がそうで、長官の答弁がまた違うというのはおかしい。まあよく調査をしてください。  石油自国消費数量の九〇%以上を海外に依存しているのは、西ドイツフランスイタリア日本も同じであります。そうした西欧の諸国は、消費数量から言えば日本の半分か六割程度であります。そういう国々自国石油確保するために日本よりもさらに膨大な開発資金を投じておる、そして安定供給を図っておる。日本はそういうメジャーを持たない西欧西ドイツフランスイタリアなどの二倍近い数量を消費していながら、ごくわずかな開発資金しか政府が投じてない、こういうところが私は問題だと思うのです。どうもわが国には、自主開発原油というものに多くを期待しないで、メジャーに余り偏り過ぎている傾向がある、ここが問題だと思うのです。現在わが国自主開発原油比率というのは、どの程度でありますか。
  14. 増田実

    増田政府委員 昭和四十八年度で申し上げますと、自主開発原油輸入量が二千四百六十万キロリッターでございまして、全輸入量の八・五%でございます。四十九年度の見込みは、自主開発原油輸入量が二千八百三十万キロリッターで、これは全輸入量の一〇・三%になることが見込まれております。
  15. 板川正吾

    板川委員 これは石油業法制定以来なんですが、わが国石油政策としては三分の一程度自主開発原油を持つべきだというのが、ここ十数年来、石油業法以来の念願なんですね。三〇%という目標を立てておりながら依然として一〇%内外と、こういうことは、政府わが国石油安定確保という面にどうも熱意がない証拠じゃないかと思う。この点を通産大臣どうお考えですか。
  16. 河本敏夫

    河本国務大臣 お説のように自主開発原油数量がまだ非常に少ないわけでございますが、石油開発日本がスタートをいたしましたのは、アラビア石油を例外といたしますと、非常に立ちおくれておった、その点で私ども大変手抜かりがあったのじゃないかと、こういうふうに思います。しかし、これではいけませんので、自主開発原油を、あらゆるチャンスをつかまえ、あらゆる努力を払って何とか少しでもふやしていこうということで、今回も石油開発公団の機能を強化していただく、そういうことをお願いしておるわけでございますが、今後はいろんな手段を考えまして増加に努めてまいりたいと考えております。
  17. 板川正吾

    板川委員 昭和三十七年ですか石油業法制定以来、あらゆる機会に、自主開発原油を三分の一程度持つべきだと石油関係の答申には必ず書いてある。政府もその都度そういう目標に向かって前進をしようと、こういう約束をしてきた。それで一二、三%までいったわけでありますが、最近は逆に落ちている、こういう情勢なんですね。その根本的な原因は私は石油開発資金を投じないというところにあると思う。先ほどエネルギー庁長官のお答えは、数字が全くでたらめな数字ですから問題になりませんけれども、諸外国から見ましても石油開発に投資する金額が余りにも少ない。ですから、石油開発資金を安定的にしかも大量に投入する必要がある。現在は石油特別会計資金運用部資金の借り入れ、公団社債等に依存しておりますが、私は石油の安定的な供給確保するというために原油関税一定割合公団に自動的に出資する。たとえば昨年、石油が二億七千万トン入った、石油関税が幾ら入った、その一定割合公団出資をするというような方式をとらない限り、石油自主開発原油確保するという道が進んでいかない、そういう政策は前進しないと、こう思いますが、大臣どう考えますか。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国は年間ほぼ三億トンの油を使っておりまして、そして輸入量では世界で一番多いと、こういう状態でありますから、実際を言えば、これまでももう少し石油開発というものに対して組織的かつ計画的に努力をしなければならなかった、その点は私は怠慢のそしりは免れない、お説のとおりだと思います。ただ、いまお話がございましたが、資金の量ももちろん少ないのです。でありますが、資金の量をふやすということももちろん大事でございますが、資金そのものむだ遣いをしない、有効に使っていくということが何よりも大切でなかろうか、こういうことを私は痛感をしておるわけでございます。  なお、財源等につきましては、これは政府自身石油開発ということについて、非常に大切な仕事なんだ、国の運命にもかかわる大きな問題なんだということを自覚いたしますならば、資金の出所というものはおのずから解決できる、こういうふうに考えております。
  19. 板川正吾

    板川委員 たとえば石炭政策には、昨年の原油関税一定割合が自動的に投入される、そういうことになっておる。石炭政策は、もちろんこれはエネルギー政策の一つとして大事でありますが、しかし同時に、原油関税一定割合石油開発に投入するということができてもいいんじゃないでしょうか、こう私は思うのです。いま大臣、有効に使うと言っても、少ない金額を投資して何年もたたなければ開発成功しない、それから貸した金が戻ってくる、こういう長期的な金を貸すという状況なんですから、有効に使うと言ったって、金額が絶対数が少なければ有効に使うということはなかなかむずかしい、言うべくしてそれはむずかしい、こう思います。ぜひひとつ原油関税一定割合石油開発資金として投入できるように、今後努力をしていただきたいという注文をしておきます。  次に入ります。  改正点で、海外探鉱する権利を取得できるということになっている。ただし、一定期間内に譲渡することが条件についておりますが、この一定期間内に譲渡するという一定期間とは、どのくらいのことを予定しておりますか。
  20. 増田実

    増田政府委員 一定期間につきましては、あとで省令で定めるということになっておりますが、私どもが考えておりますのは、大体一年ということで、一年以内に譲渡をするという場合に直接利権取得ができるということにいたしたいと思っております。
  21. 板川正吾

    板川委員 探鉱する権利公団が取得できる、そして実際は探鉱しないで、一定期間内にそれを企業に譲渡するという条件がついておるわけでありますが、公団自身探鉱できない、公団自身探鉱することを考えないのはどういうわけでありますか。
  22. 増田実

    増田政府委員 先生御指摘のように、日本石油開発公団探鉱開発ができない規定になっております。これに比較いたしまして、先ほどお挙げになりましたイタリアENIあるいはフランスERAPはみずから探鉱開発を行っているという点に、石油開発のための政府機関の性格的な違いがあるわけでございますが、石油開発公団が四十二年に発足いたしましたときに、石油開発推進母体として、企業海外において石油開発するに当たりまして、それに対して出資及び融資業務のみを行うということで設立されたわけでございます。そういう意味で、現在の石油開発公団開発あるいは探鉱事業ができないことになっておるわけでございます。それなら、これを改めて、むしろ探鉱をすべきじゃないか、ことに直接利権取得が今度新たに業務として加えられたのであれば、一年以内に譲渡しないでみずから探鉱すべきではないかという御議論、御質問でございますが、これにつきましては、私どももいろいろこれを検討いたしたわけでございますが、現在の石油開発公団が持っております技術陣その他の能力からいたしますと、この探鉱事業に移りますと、これに専念しなければならないという人数が非常に多くなりまして、とても現在の技術陣能力ではできないということで、はなはだ残念でございますが、探鉱事業まで入らないでこれを一年以内にしかるべき企業に譲り渡す、こういう形になっておるわけでございます。
  23. 板川正吾

    板川委員 この石油開発公団は、融資だけ、最初はそういうことで出発したことは承知していますが、本来ならば、この法律名前が、石油開発融資事業団という、実態を明確にあらわした名前でなくちゃならなかったのです。しかし、それは最初から除いて、石油開発公団ということに、非常に幅広い法律名前にして、しかし内容は融資事業団であった。しかし、それはやがて融資から開発まで持っていこうという意図が込められて石油開発公団法という名前になっているんですね。ですから、当初は融資出資が中心でありましたけれども、私はやがて海外公団公社のように、場合によってはみずから開発する能力を持つべきだ、こう思います。そういう意味で、探鉱権利を取得して、外国からそれを取ったら一定企業に一年以内に譲渡しなくちゃならぬというのは、本来、将来の方向として消極に過ぎると、私はこう思いますから、ひとつ今後の前向きの検討を要請しておきます。  次に、探鉱権企業に一年以内に譲渡したその油田が不成功に終わったときに、たとえば公団出資融資というのはどういうふうに処理をされますか。
  24. 増田実

    増田政府委員 公団がみずから権利を取得いたしまして、それをその後企業に譲るという場合に、これが成功したときに公団に対して特別の還付と申しますか、そういう制度がないかというお尋ねだと思いますが、現実に私ども直接利権取得で考えておりますのは、公団がこの仕事を始めますときに、もうすでに民間の方のこれをやるところが大体特定されておる、しかしそれが直接の利権を取得して調印をするのには間に合わないとか、あるいは先方希望で、石油開発公団自身契約に当たってくれという場合を考えておるわけでございます。その意味では、公団がみずから見つけて、そして公団がすべてのリスクを負って、そしてその後ただ企業に譲るということではございませんで、最初からこれに当たる企業が一応予定されておる、しかしそれがまだ設立に至ってないとか、先ほど申し上げましたように、先方希望公団が直接当たるということで考えておるわけでございます。そうなりますと、後で非常に当たったときどうなるかということでございますが、これは公団出資しておりまして、その後非常に当たって、これが開発した石油をどんどん日本へ持ってくるという段階になれば、その公団出資いたしまして獲得いたしました株が相当値上がりして、これによりまして相当なリターンが出る、こういう形になっていくというふうに思っております。
  25. 板川正吾

    板川委員 いや、探鉱利権を譲渡したその油田が実は失敗をした、成功しなかったというときには、出資はどういうことになりますか、それから融資はどういうふうに返却をされるのですか。
  26. 増田実

    増田政府委員 私が先ほど申し上げましたのは非常に成功した場合でございますが、これがもし失敗いたした場合にどうなるかということにつきましては、まず出資について申し上げますと、出資いたしまして、その出資引きかえに公団が保有いたします株券が非常に価値が下がるということになるわけでございます。それから、融資でございますが、融資いたしました金が返済できない、その企業探鉱して、その後、その結果石油が出ないということで返済できないという場合には、これは石油開発公団の現在やっております融資の特徴でございますが、成功払い制度になっておりますので、その場合は返済が免除される、こういう形になるわけでございます。
  27. 板川正吾

    板川委員 失敗したときには、出資した金額は、倒産すればゼロになるかもしれませんし、それから融資したのも返済されない、そういうリスク公団みずから負う、これは当然なんですね。ですから、そのことでとやかく言うつもりはない、こういうリスクの多い仕事ですから。ですが、それに比較しまして万が一大成功になったときは、どうも株の値上がりという程度のことでは何かバランスに欠けるような感じがするものですから、そういう場合には、大成功した場合には、そのもうかったものはどういうような処分をされるのか。処分と言ってはおかしいのですが、どういう方面に使われていくのかという面を伺っておきたいと思います。
  28. 増田実

    増田政府委員 石油開発事業を行いまして相当成功いたしましたときに、先ほど申し上げましたように、公団出資しておればその出資株価が非常に上がるわけでございますが、しかしこの成功によりましてそれだけ石油開発会社内部蓄積がふえるわけでございますので、公団も非常に大きな比率株主でございますので、その内部蓄積されました資金をさらに国策であります石油開発に投資させるように持っていくということで、わが国石油開発がこれによって促進されるように持っていくというのが現在の考え方でございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 これで不成功になった場合、失敗した場合には、出資した株式はゼロになる、もうかった場合には株価が上がる、ここはいいです。今度は、出資じゃなくて融資の場合には、成功しなかった場合には、これは返済されない場合もある。成功払いということになっている。だから今度は融資の場合、もうかった場合には、どうもそれの見返りがないからちょっとどうかと思うのですが、そういう場合には、やはり融資によって利益を受けた企業に次のある開発段階を担当させるとか——非常に成功した場合ですよ。そういうようなことによって石油開発というのを国策として前進させる、こういうことなんですか。どうもその辺あいまいなんです。
  30. 増田実

    増田政府委員 先ほど私の御説明が不十分だったわけですが、融資の場合は、これは金利を当然払ってもらうわけでございますが、それ以外に、いわゆる俗に言います歩油制度がございまして、特別契約によりまして、成功いたしまして開発段階に入りますと、いわゆるロイアルティーという名前で、生産いたしましたキロリットル当たり何円ということで特別ボーナスを払うという形になっております。しかし、それにいたしましても、石油開発で当たって相当な利益が上がった場合は、先ほど申し上げましたように、それによってさらに石油開発に投資してもらうということで、石油開発の促進をさせるような方針になっております。
  31. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  次に、公団業務の中に開発技術者の養成のセンターがありますね。現在わが国で、石油開発技術者というのが、たとえば試掘なり掘削なり資材なり物理探鉱なりと、こういういろいろの技術者がいると思いますが、現在どのくらいおられるのでありますか。そうして、何チームぐらい——これは技術者といっても物理探鉱技術者もありますし、資材を管理、組み立てる技術者もありますし、掘る技術者もあるし、いろいろあると思いますが、一体日本で何チームぐらいそれができる技術者というのが現在おるのですか。
  32. 増田実

    増田政府委員 わが国石油開発におきまして最大の問題点は、いまの技術者の問題でございますが、現在の石油開発技術者、これは諸外国に比べまして非常に少ないわけでございます。現在石油開発公団におります技術者は全部で四十九名でございまして、それからいわゆる民間全体の石油開発に動員できます技術者が大体五百六十人ということになっております。ですから、その両方を合計いたしましても六百人少しということでございます。  それから、ただいまお尋ねワンプロジェクトを行いますときに大体どれくらいの技術者が動員されるかということでございますが、これは探鉱事業を行いますときに、一部外国会社を下請にいたしましたりいろいろな形態がございますが、平均的に言いますと大体二十人の技術者を動員するというのが現在までの実績でございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 そうしますと三十プロジェクトぐらいは可能性があるだろう、こういう計算に一応なりますが、一体その中でコオーディネーターと言われる高級技術者、掘削をして、いままで投資したが、もうこれ以上出そうもないからここでやめるべきだとか、あるいはさらに二百メートル、三百メートル掘ってみよう、こういう最高判断を下すような技術者というのはどのくらいおりますか。
  34. 増田実

    増田政府委員 先ほど御答弁申し上げました日本石油開発技術者の数が大体六百人少し上回っておるわけでございますが、これは全部大学卒あるいは旧専門学校卒でございます。ただ、先生がいまおっしゃられましたように、最高判断のできる技術者でございますが、これはこのうちの約一割ぐらい、まあ五、六十人しかいないということでございます。
  35. 板川正吾

    板川委員 この開発関係の技術者というのが非常に少ない、払底している、こう言われております。技術者を、私は、公団なら公団に全部集めると言っちゃおかしいんですが、ある程度技術者をプール制にして、そして一年なり二年なり必要な海外作業に出張して帰ってくる。民間企業ですと、一、二年して帰ってくるともう席はふさがっておって座る場所がない、こういうようなことになる可能性がある。ですから、こういう海外開発技術者というのは、公団の所属等にしてプール制にしてやる必要があるのじゃないだろうか、その方が先ほど大臣も言った、少ないけれどもそれを有効に使うことになるのじゃないだろうか、各企業に所属しているよりもそういう点で使えるのじゃないかと思います。たとえば帰ってきたならばそういう方面の大学の講師になるとか、あるいは教育養成センターの講師を兼務するとか、こういうようなことでプール制というのをお考えになる必要はありませんか。
  36. 増田実

    増田政府委員 日本石油開発技術者は非常に少なくて、しかも各プロジェクトにそれぞれ相当な人数が要るということから、現在非常に少ない石油開発技術者が引っ張りだこになっているというような状況でございます。これを効率的に活用するためにはどこかプール機関を置いて、そして必要なときにその技術者がそのプロジェクトに従事する、そしてまたそれが終わったらプール機関に戻ってまた次のプロジェクトに従事する、この形が私どもは確かに先生のおっしゃられるように理想的だと思います。ただ現在、先ほど申し上げましたように技術者が引っ張りだこになっておりまして、なかなかその間の融通がつかない。  それから、現状を申し上げますと、石油資源開発株式会社が帝石から独立いたしまして、ここに石油資源開発の、これは国内資源を主としておったわけですが、大部分の技術者が集まっておったわけでございます。いままでの状況を申し上げますと、ここの会社がいわゆるプール機関になっておりまして、石油資源開発技術者が、中近東あるいはその他の地域におきます新しい開発会社ができましたときに、そこに出向で出てプール的になっておるわけでございますが、ただこれにつきましても、その帰る時期とかその他いろいろ問題が生じております。その意味で、先ほど申し上げましたように一つのプール機関ができて、そして機動的にこれが派遣できるようになれば私は非常に理想的だと思っておりますが、ただ現実的にはなかなかそこまで行ってない。この方向を目指すために、現在石油開発公団に技術センターがございますが、ただいまの先生の御趣旨にはまだこたえておらないわけですが、一応その方向に進むということで訓練センターの設置などを現在計画いたしておるわけでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 石油開発会社あるいはアラビア石油、こういうところ、特にアラビア石油はいま掘っておりませんから開発技術者というのがいわば遊んでおる点もあるだろうと思うのです。ですから、そういう技術者を有効に使う工夫も必要だと思います。一応注文をしておきます。  次に、外国政府探鉱資金等の貸し付けをすることができるように改正案でなっておりますが、いわゆるこれは融資買油ということになると思いますが、当面いかなる国を予定しておりますか。また、貸し付け条件についてどういう条件を持っておりますか。この融資買油をする相手国、どういう国々を当面予想しておりますか。
  38. 増田実

    増田政府委員 実例を申し上げますと、ペルーの国営石油会社がみずから鉱区を持っておりまして、石油探鉱開発それから輸出をするということで、これに対しまして日本から融資をして、そして将来石油を引き取る、こういう形のものが実例としてございます。これにつきましては、今回の法律改正によりましてこういうことができるようにということで業務に掲げておるわけでございますが、いま例で申し上げました昨年の分は一応石油開発公団法の目的達成業務で読みまして、例外的に許可いたしたわけでございます。例といたしましては、いま申し上げましたペルーの案件がございますが、最近の傾向といたしましては、産油国におきましてはこの利権海外石油会社に譲り渡さないでみずから保有いたしまして、そうして自分で掘る、ただそれにつきましては資金の援助を受けて、そしてそのできました製品は供給する、こういう形になっておるわけでございます。例を申し上げますといまのペルーでございますが、それ以外にも今後こういう形のものが相当出てくるというふうに思われるわけでございます。
  39. 板川正吾

    板川委員 OPECの台頭によって産油国の企業の国有化がいまや避けられない現実となってきておりますし、また将来を展望すると、相手が国有化された場合に政府間協定によって原油を購入する、こういう傾向が今後ふえてこざるを得ない、こう思います。こういうような場合に、公団政府にかわって買油業務をする必要が生じてくるんじゃないかと思います。国有化になってくる、相手は政府である、そしてその政府が場合によっては日本政府に売りたい、そこで二国間協定によって売買契約が成立する。そういう場合に、公団が場合によっては政府を代行して原油を買うという必要が生じてくるんじゃないかと思いますが、そういう業務が現在公団の中ではできないと思うが、やる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  40. 増田実

    増田政府委員 将来産油国から直接に政府間協定で原油を買うという場合がいろいろ予想されておるわけでございますが、その引き取り体制につきまして、ただいま先生から石油開発公団が輸入の窓口になりますか、輸入を石油開発公団にやらせたらどうかということでございますが、これにつきまして私どももいろいろ検討いたしておるわけでございますが、現在ではDDあるいはいわゆるGG、政府間取引の引き取り体制につきましては、これはばらばらに各企業がやりますといろいろ問題が起こりますので、輸入を希望いたします企業が共同して引き取りをするという体制までは進めておるわけでございます。一例を挙げますと、イラクの原油でございますが、これにつきましては民族系の六社が代表団を結成いたしましてイラク政府と交渉いたしまして、それが価格あるいは引き取り数量、決済条件等々を決めるという形でやっております。あるいは中国石油につきましても、御存じのように現在二つの窓口で、各石油会社あるいは輸入商社がばらばらでは買わないということでやっておるわけでございますが、それをさらに進めまして、たとえばいまおっしゃられますように、石油開発公団が窓口を一本化して、そして政府間取り決めのあった石油を輸入するのがいいかどうか、これにつきましては現在のところでは私どもはそこまでは考えておりませんが、将来いろいろの政府間取り決めというものができた場合に、日本において石油開発公団にやらせるかあるいは別の機関をつくるかは別として、政府機関が引き取らなければならないような事態は生じ得ると思っております。ですから、私の方からお答え申し上げるのは、現在のところはそこまでは考えておりませんが、将来の問題としては検討しなければならない問題である、こういうふうに思っております。
  41. 板川正吾

    板川委員 これは将来必ず起こると私は思うし、政府にかわって原油を買うことができる、そういう業務も加えるべきだと思います。そういう事態に将来進んだ場合に、公団が買油業務政府にかわってやる、その場合に国内引き取り体制というのは一体どういうふうになるのだろうか。たとえば民族系に主として配分をするのかあるいはメジャー系にも同様に配分するのか。値段が安いときには全部お互いに希望するでしょう、メジャー系も希望するでしょう。高いときにはメジャー系は断るということになるだろうと思いますが、こういう場合の国内の取引体制というものについて一つの構想というのを持っておりますか、いかがですか。
  42. 増田実

    増田政府委員 一昨年の中東戦争が起こります前は、日本に対する石油供給は大部分がメジャーであったわけでございますが、その後企業参加、いわゆるパーティシペーションが相当進みまして、現在はその大部分がバイバックという形で行われておりますが、将来の形としては産油国が直接これを販売するという形の取引が非常にふえる、そのときに引き取りをどういうようにするか、ことに先ほど先生から御質問のありましたように国の機関が一本で引き取った場合に、さらにその引き取りをどういうふうに持っていくかということでございますが、私どもはこれを一部の企業だけに限って引き取りをやらせるよりは、むしろ希望をする企業に対してこれを公平に引き取らせるということでやっていきたいと思っております。民族系と外資系ということで現在日本石油精製業者は分かれておりますが、従来の民族系と外資系との差というものがだんだんなくなってきております。外資系の会社も、出資しているメジャーから石油を全量確保できるということはなかなかむずかしくなってくるのではないかと思います。そういう意味で引き取りにつきましては、私どもといたしましては民族系、外資系というものに差別をつけることなく引き取り体制をつくるということで考えていきたいと思っておりますが、これらにつきましてはいろいろ今後の政策の問題でございますので、いま申し上げましたのは一応私どもの考えている考え方でございまして、具体的にそれぞれの案件が出ましたときにこれを解決していきたい、こういうふうに思っております。
  43. 板川正吾

    板川委員 将来そういう体制が必ず参りますから、ひとつそれに対する取り組みをしてもらいたいと思います。  また、今度の改正案で本邦周辺の海域も開発融資対象になるということに改正されますが、一体「本邦周辺の海域」とはどういう定義でありましょうか。領海内というならだれが見てもすぐわかりますが、領海外にわたるのか。たとえば領海外の大陸だなというものとどう違うのか。本邦周辺の海域と領海外の大陸だなというのとはどう違うのか、ひとつ説明をしていただきたい。
  44. 増田実

    増田政府委員 今度の石油開発公団法改正案で、業務の拡張の一つの内容となっております本邦周辺の海域における石油開発でございますが、この「本邦周辺の海域」と申しますのは、領海とそれから領海外の大陸だなの両方を意味しておるわけでございます。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  それから、現在まで石油開発公団が行っております業務との関連で申し上げますと、領海外の大陸だなにつきましては目的達成業務ということですでに融資を数件行っておるわけでございます。  それなら、なぜ今回このような改正をいたしたかということでございますが、海外における石油開発に対して投融資業務を行うのが石油開発公団業務になっておりますが、「海外」の中には領海外の大陸だなは読み込めるということで、目的達成業務ということで従来も投融資をやっておったわけでございますが、領海はとても読めないということで、領海を対象に入れるということが今回の改正の実質的な目的でございます。ことに領海につきましては、従来三海里でございましたので非常に幅が狭かったわけでございますが、これが世界の大勢として十二海里に広がる機運にもありますし、しかもその十二海里の領海になりますと、この中に相当有望な地域が含まれるということでございます。そういう意味で、今回この領海の部分も含めますために「本邦周辺の海域」ということで改正案を出しておるわけでございます。
  45. 板川正吾

    板川委員 そうしますと「本邦周辺の海域」というのは領海を主として指し、それから領海外の大陸だなというのは従来の「海外」ということで読める、こういうことですか。
  46. 増田実

    増田政府委員 領海外の、いわゆる公海の大陸だなの開発につきまして、これを「海外」ということでぴしゃっと読めるかどうかについていろいろ議論がございました。そこで、私どもの方は一応目的達成業務ということで石油開発公団海外石油開発の投融資を行う、その「海外」の中には領海外の、いわゆる公海における大陸だなも読み込めるということで実際に運用いたしておったわけでございますが、今回の改正で、ことに先ほどるる申し上げましたように領海を加えたいということで、広い概念で「本邦周辺の海域」という定義をいたしたわけです。ですから、これによって実質的に新しくできるようになりますのは、領海内の石油開発が対象になる、こういうことでございます。
  47. 板川正吾

    板川委員 こういうことですか、今度の「本邦周辺」という改正のポイントは、従来領海内の開発融資をする場合に目的達成業務ということでやっておった。目的達成業務でやる場合には通産大臣と大蔵大臣との協議事項になる。ですから、今度改正することによって、領海内の開発業務はその都度大蔵大臣との協議事項に入らないで一般的な業務の中に入るということになるのだ。これが今度の改正のポイントですか。
  48. 増田実

    増田政府委員 今回の改正は、いま先生からお話ありましたように、大蔵大臣の協議から協議不要に移すということではございません。従来、その目的達成業務につきましては大蔵大臣との協議は要らなかったわけでございますが、今回の改正で、目的達成業務を新たに大蔵大臣との協議にいたすわけでございます。  ですから、いままで御答弁申し上げましたのを整理して申し上げますと、従来は領海外の大陸だなにつきましては目的達成業務で読んでやっておった。これについては大蔵大臣との協議が要らなかったわけでございます。それから、今回の改正によりまして「本邦周辺の海域」の中に領海外の大陸だなが含まれるわけでございますが、これも当然大蔵大臣との協議が要らないということでございます。  そこで、それならなぜ改正をいたしたかということでございますが、先ほど申し上げましたように、領海内におきます石油開発を今回対象にいたしたい。そこで、従来目的達成業務で読んでおりました領海外のものを含めまして「本邦周辺の海域」ということでくくったわけでございまして、実質的には、今回の改正で新たにできるようになりましたのは領海内の石油開発ということでございます。  それから、大蔵大臣との協議につきましては従来からも要らなかったし、今回も要らない。ただ、今回の改正によりまして、目的達成業務というものがほかにもし出てきましたときは、大蔵大臣との協議が要るということになるわけでございます。
  49. 板川正吾

    板川委員 ちょっとおかしいな。公団法の十九条の「業務の範囲」の九号に「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務を行うこと。」これが目的達成の業務だ。二項として「公団は、前項第九号」——いま言った項目ですが、「第九号に掲げる業務を行おうとするときは、通商産業大臣の認可を受けねばならない。」三十五条「大蔵大臣との協議」に、十九条の二項というのが入っておりますが、目的達成業務は大蔵大臣との協議事項ではないのですか。
  50. 増田実

    増田政府委員 私の先ほどの御説明が若干不十分でございましたのですが、石油開発公団法の十九条に「業務の範囲」がございまして、その第一項第九号に目的達成業務が掲げられておるわけでございます。それで、目的達成業務石油開発公団が行おうといたしますときには、これは通商産業大臣の認可が要るということになっています。  それから、この認可をいたしますときに、大蔵大臣との協議が要るか要らないかという問題でございますが、従来は、つまり現在の法律では、大蔵大臣との協議は要らない、ただ通産大臣の認可だけあれば目的達成業務が行えるということになっておったわけでございます。今回御審議をいただいております改正案では、目的達成業務を行うときに通産大臣の認可が要るのは同じでございますが、さらに三十五条の改正で、大蔵大臣との協議事項に十九条の第二項が新たに入ったわけでございます。これによりまして、目的達成業務の認可を通商産業大臣が行うときには、大蔵大臣との協議が新たに要るように改正でなっているわけでございます。  こういう改正、大蔵大臣との協議をふやすということはおかしいではないかということでございますが、私どもは今度の改正で、いわゆる利権の直接取得あるいはその他につきまして今度業務の範囲を拡大いたしました。これによりまして、一々通産大臣の認可を得て、それからそれを大蔵大臣に協議するということは、そう実際に起こり得ないということで、むしろ非常に例外的なものだけを目的達成業務に整理いたしたということでございます。  これはいま御説明申し上げたものの繰り返しになりますが、従来、この目的達成業務というのをしばしば使っておりまして、そしてやっておったわけですが、これをむしろ整理いたした、こういうことでございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、三十五条の改正で、大蔵大臣と協議しなければならないという十九条の二項という項目、従来それにひっかかるものを今度ははずして、実際この適用を受けるのはわずかだから、新しい十九条の二項というのを三十五条改正に入れたんだ、これで実際は余り不便はないのですか。どうも、一々大蔵大臣に協議しなければ石油開発事業が進まないというのでも——従来大蔵省は予算をなるべく詰めて石油開発には余り投資しない、石油の重要性というのを余り理解していない、そういう大蔵省に一々相談しなくちゃならないという不便が生じるわけですが、今度は実際、領海をこの適用からはずすことによってそういう必要はなくなった、こういうことなんでしょう。
  52. 増田実

    増田政府委員 いま先生のおっしゃられましたように、目的達成業務というものがそれほど予想されない、むしろ非常に例外的なものがもし出たときにこの目的達成業務で行うということで考えておりますので、そういう非常に例外的なものにつきましては大蔵省にも相談して決めていこうというのが今回の改正の趣旨でございます。  従来は、この目的達成業務も大蔵大臣との協議が要らなかったわけでございまして、先ほど申し上げましたように、たとえば領海外の大陸だなの開発というのは何件か出ておりますが、これも大蔵大臣との協議なしでやっておりましたし、それからそれ以外の、先ほど申し上げましたペルーに対する融資買油、これも目的達成業務でやっておったわけでありますが、これも大蔵大臣との協議なしでやってきたわけでございます。それが今回、目的達成業務が大蔵大臣との協議が要るようになって、非常に繁雑になったような形には一応なっておりますが、先ほどから申し上げておりますように、目的達成業務で行うものが非常に少なくなる、ほとんど例外的であるということでございます。  それからまた、石油開発の問題につきましては、これは石油危機という、日本の経済に非常に大きな影響を与えるようなことが起こったわけでございます。これは国を挙げて石油開発あるいは石油の重要性というものがいまや認識されておるわけでございまして、大蔵省の方も今回大幅な予算の増加を認めておるわけでございまして、私どもは、この協議をすることによって大蔵省が石油開発を非常にチェックするということは心配しておりません。
  53. 板川正吾

    板川委員 時間がありませんから。  「本邦周辺の海域」という改正と目下予定されておる日韓大陸だな協定、私は直接関係はないと思いますが、この点政府はどういうことに考えておりますか。
  54. 増田実

    増田政府委員 日韓の南部の開発につきましての特別法は、後ほど御審議をお願いすることになっておりますが、今回の石油開発公団法と日韓の大陸だなを現実に開発いたしますこととの関係でございますが、今回の公団法の改正によって、先ほどの日韓大陸だなの開発が初めて可能になるとかという性格の問題ではございません。先ほどから申し上げましたように、領海外の大陸だなにつきましては従来からもやっております。ですから、今回の改正によりまして新たに対象として日韓の大陸だなが可能になるということではございません。
  55. 板川正吾

    板川委員 次に入りますが、今度「石油等」ということでオイルシェールやオイルサンドの開発融資対象になるということになりますが、目下このオイルシェールやオイルサンドの開発予定国といいますか、どういう国が予定されておりますか。石油代替エネルギーとして非常に有力だ、そして石油危機という宣伝をされておったわけですが、実際はなかなか公害問題や何かでこの開発がむずかしいという説もあります。このオイルシェールやオイルサンドに対して、将来われわれはどういう期待を持っていいのか、この辺の感覚をひとつ説明してもらいたい。
  56. 増田実

    増田政府委員 オイルシェール、オイルサンドについて申し上げますと、石油の現在の埋蔵量、これは確認埋蔵量あるいは可採埋蔵量と申しますか、今後三十年あるいは三十五年だというふうに言われております。これも新しい大きな油田が発見されれば当然延びるわけですが、しかし現在発見されておりまして確認されております分からいいますと、大体三十年分ぐらいしかないということになるわけでございますが、それに比べまして、いわゆるオイルシェールあるいはオイルサンドは、いまの可採埋蔵量で計算いたしました石油の三倍ないし五倍を超える非常に大きな埋蔵量があるということでございますが、ただこれを開発いたしますのには相当な技術が要ること、それからまた、これによって生産されました石油の価格がどれくらいになるかということが非常に問題でございます。  それで、先生お尋ねのオイルシェールとオイルサンドの埋蔵が世界で特にどこにあるかということについてまず御説明申し上げますと、オイルシェールにつきましては現在の世界の埋蔵量の大体半分ぐらいがアメリカにございます。それから、三割以上がブラジルにあるということでございます。それ以外にはソ連、カナダ、中国その他にもございますが、大体アメリカとブラジルに集中いたしておるわけでございます。それから次に、オイルサンドでございますが、オイルサンドも、これはやはり一部の地域にむしろ集中してございまして、一番多いのがカナダ、その次がベネズエラ及びコロンビアということで、大体その三国に集中して賦存しておるということでございます。  これらの開発につきましては、たとえばオイルサンドにつきましては、すでに昭和四十二年からカナダでこの生産が始まっておりますが、ただこれも相相価格が高い。それから、現在やっております生産方法ではそう大量生産はできないということで、新しい製造方法をもってこれに当たらなければならないということが言われております。  アメリカが、オイルサンド及びオイルシェールを石油の代替資源の開発として非常に大きく期待いたしておったわけでございますが、その後の状況を申し上げますと、これの開発には技術的に相当問題点がありますし、また多額の資金を要する、それからできました石油の価格が相当高いということで、一時ほど期待が持たれておらないことは事実でございますが、ただ先ほど申し上げましたように石油の数倍の埋蔵量がありますから、今後これがやはり燃料として大きくクローズアップされる時期は私どもは来るものと思っております。そういう意味で、非常に早くからということになるかもしれませんが、今回石油開発公団法改正の中に、石油及び可燃性天然ガスに加えましてオイルサンド、オイルシェールを対象にいたしたいということでございます。
  57. 板川正吾

    板川委員 時間がありませんから、次の備蓄問題に入りますが、この備蓄業務にも出資または貸し付けができるような改正点があります。石油危機の体験から備蓄の重要性というものは私ども理解できますし、いざというときの安心料としてこれに相当の出費がかかることもいたし方がない、こう思うわけであります。この備蓄日数というのが実は非常にあいまいなんですね。前の通産大臣の中曽根さんは、石油危機のときに、われに七十九日の備蓄あり、こういう宣言をした。四十一日しかないのに七十九日というのは一体どういう計算かと思ったら、途中の輸送中のタンカーの数量まで全部計算しておった、こういうことがありましたが、この備蓄日数という基準が非常にあいまいですね。  そこで、国際エネルギー計画機構、IEA、ここで政府はこの協定を取り結んだのでありますが、このIEAの目的、事業内容というものについて、時間がありませんから簡単に、備蓄問題に触れて説明してください。
  58. 増田実

    増田政府委員 IEAが昨年の十一月に発足いたしたわけでございますが、簡単にその目的を申し上げますと、石油消費国がここで各種石油に関する問題を討議して消費国としての行動をするということになっております。  それで、その主たる内容は、緊急融通制度というものになっておるわけでございますが、石油の輸出が制限されたりあるいはとまった場合に、消費国がどういうふうにお互いに融通し合うかということが一つの大きな項目になっておりまして、現在これにつきまして、この融通制度の最後の詰めが行われておるわけでございます。ただ、このIEAはこれだけではございませんで、たとえば節約の問題とか、あるいは代替燃料の開発の問題とか、あるいは産油国との間の対話の問題とか、その他も全部討議をいたすということになっております。
  59. 板川正吾

    板川委員 このIEAの加盟国はフランスが入ってないようですが、どういう理由でフランスは入らないのですか。
  60. 増田実

    増田政府委員 IEAにつきまして主要国がほとんど全部入っておるわけですが、フランスが現在に至るまで入っておりません。ただ、この理由につきましては、フランスはこのアメリカ主導型の政策につきまして若干フランス石油政策というのを打ち出しておりまして、昨年の二月にワシントンで消費国会議が行われまして、その後いわゆる緊急融通制度、先ほど申し上げました制度につきましての作業部会ができたわけでございますが、そのときにフランスがその作業に加わらなかった。そして、作業部会の方がどんどん進みまして去年の十一月にIEAという機関ができたわけでございますが、この作業に入っておりませんでしたフランスが、自分が加わっていないものに新しく参加するわけにいかないということでこれに入らなかったわけでございます。  ただ、現状で言いますと、このIEAでいろいろ行われておりますことにつきまして、フランスはそのメンバーではございませんが、これについて常時連絡を受け、また今後の産油国との対話その他につきましてIEAの中で考えております考え方に同調しながら一緒に産油国との会議に出るということになっておりますので、正式なメンバーではございませんが、一応十分協調しながらやっていくという体制になっております。
  61. 板川正吾

    板川委員 これは内容については時間がありませんから、いずれまたの機会に議論してみたいと思いますが、政府間協定で十年間の期限ということになっており、わが国政府も昨年の十月二十五日閣議において同協定の参加を決定した、こういうことでありますが、この拘束力は一体このまま国内企業に及ぶのですか、どうなのですか。これは国際法上の解釈になるでしょうが……。
  62. 増田実

    増田政府委員 IEAに日本が参加いたしました形式が若干特殊な形式になっておりますが、OECDの決議に基づいて日本がこれに入るという形になっておるわけであります。ほかの国はこのIEAに直接参加するということになっておりますが、日本はこのOECDの決議に基づいてその決議に従うということで入っておるわけでございます。そうなりますと、このOECDで決まった事項につきましては、法令の範囲内でこれの拘束を受けるということになっておりますから、少なくとも日本の今回の加盟の仕方から言いますと、直接このIEAで決まったことにつきまして法的あるいは条約的な拘束力は受けないというのが外務省の解釈でございますし、また日本もそういう立場でこれに参加し、いろいろ意見を申しておるわけでございます。
  63. 板川正吾

    板川委員 このIEAの中では九十日の備蓄を義務づけておりますね。ですから、これが直接拘束をするということになると、備蓄問題とからんでなかなかわが国はこれを実行できない空気もあります。そういう点で伺ったのでありますが、この備蓄問題で、これはひとつ通産大臣と消防庁に伺いたいのです。  時間があと七、八分しかありませんからもうはしょってしまいますが、三木総理が消防庁に石油コンビナートの保安の立法をしろ、こういう指示をして、消防庁が中心になっていま安全法といいますか、コンビナート安全法というものをつくりかけておるということも伺っております。ところが、この消防行政から見ると、消防庁というのは消防組織法と消防法によって行われておるのですが、この基本は自治体消防なんですね。その目的の項目を見ても、いわば自治体の火消しというのが中心であって、危険物といっても町の中にある危険物を取り締まるというのが従来のあり方であって、コンビナートという特殊な大集団、大規模、巨大な数量、こういうような地域をやるのには、いまの消防組織法、消防法という形から出たんでは十分じゃない。消防法は、これは地方自治体、市町村長が最終的に責任を負う体制になっておる。それで、消防庁長官は市町村消防隊長に対する指揮命令権があるかというと、指揮命令権はない。こういう形の中で消防庁がコンビナート防災法とかなんとかをつくるというのは、私はどうも不安でならない。だから、本来ならコンビナートの問題は、保安と防災とを別に分けたらいいんじゃないでしょうか。防災ということになれば、それは消防に確かに関連をします。しかし、私は防災でなくて保安というのは、高圧ガスと同じように通産省が責任を持つべきじゃないかと思うのです。  たとえば水島のタンクの事故あるいはすでに数年前に西部石油とか極東石油とかに水張り試験の結果事故があった。そういう事故があったのに消防庁には報告がなかったというのです、私が聞いたときには。しかし、当時新聞に出ている。新聞に出ておっても消防庁には報告がなかった。あるはずだから資料を出せと言ったら、後から持ってきたのですけれども、とにかく消防庁は、責任は地方自治体にあるのだ、こういう形で大災害の責任を負わない。ですから、水島の事故で、あれほど漁民や一般の地方の国民生活に重大な影響を与えていながら、消防庁では余り責任は感じない。それは地方消防、自治体消防の責任だ。国も県知事も実質的には余り責任を持っていない。こういうところに私はこの問題があると思うのです。将来、備蓄政策をIEAの協定に従っても九十日をやらざるを得ないという責任を政府は負うわけです。しかし、いまの体制では、これは備蓄なんというのは絶対に進まないのです。それは備蓄法が出たってだめですよ。国民の安全に対する理解というのがない以上は、これは備蓄政策は一歩も進みません。ですから、防災については消防庁がやることも結構です。しかし、コンビナートの安全というのについては、これは通産大臣が責任を負うべきだ、通産省が責任を負うべきだと思うのです。新聞によると、何か高圧ガスも全部消防庁に持っていくのだというようなことが出ていますが、これは逆ですよ、消防庁は責任を負わないのですから。  私は、もし水島事故が通産省の責任で起こったというのであれば、通産大臣は辞任するか、不信任案の対象になると思います。しかし、あれだけの大事故が起こったって、消防庁の不信任案は出ないし、消防庁というのは責任をそれほど感じない。それは指揮命令権が自治体に対してないからですよ。  だから、こういう点から考えますと、私は備蓄という問題を、確かに国民生活あるいは産業上の保険料として進める必要は認めます。しかし、実際はこの備蓄を前進させることができない。それは国民が安全に対する信頼を持っていないからだ、こう思いますが、大臣はどう考えますか。
  64. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一に、いまお話しのように、コンビナートというのは近代的な化学産業というものが密集をいたしておる非常に大規模な一大企業集団でございますから、防災、保安というようなことを考えます場合にも、きわめて高度の技術の知識というものが必要になるわけでございます。総理の御指示もありまして、いろいろ防災対策についていま一本化の作業をしておるわけですけれども、実はいま御指摘の点が一番問題になりまして、これをどう調整したらいいのかということでいま協議しておるわけでございますが、これが実はこの案をまとめる上においての最大の課題になっております。  それからなお、備蓄の問題につきましても、やはり地域住民の安全についての了解が得られるということが前提条件でございますので、いまお話しのように、どうすれば地域住民の安全についての協力が得られるか、これが最大の課題でございますので、そういう点を十分考慮しながら今後の備蓄政策を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  65. 板川正吾

    板川委員 実際ああいう大事故を起こしても、いまの自治体消防というたてまえ、消防組織法、消防法というたてまえからいって責任を負わない立場だが、私は、これはコンビナートを認可する、またその監督官庁である通産省が第一次的に保安の責任を負うべきだ、巨大な数量、最新の化学、それから広大な地域、こういう面から見ますと、地方自治体にその責任を預けるというのはいわば無責任だ、こう思います。  もう一つは、この消防の組織を、いまの消防法からいって、自治体消防でなくて国家消防、国家防災隊というか、そういう性質のものをつくるべきじゃないかと思いますね。それは、たとえば陸海空のある程度の装備を、日本各地の一定の地域につくったセンターに置いて、そして機動力と機械力と科学力をもってああいう大災害のときには直ちに出動できるというような国家消防隊という性質のもの一いまのは自治体の、市町村の消防なんですから、県は持っていないし、国も持っていない。それで、お互いに何とか協定を結んで助け合おうという程度のものしか持っていないのです。ですから、あの大災害、ああいう大事故に対処する能力を持っていないのです。ですから、国家消防隊的なものを組織して、そして近代的な陸海空から大災害を防止する、防災する、こういう体質の組織をつくる必要があるということを申し上げておきたいと思います。  時間ですから、以上をもちまして終わります。
  66. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 板川委員に対する答弁の中で、増田長官から数字の訂正の申し出がありますので、長官の発言を許します。増田長官
  67. 増田実

    増田政府委員 先ほど板川先生からERAP及びENI資本金についてお尋ねがありまして、私、数字を間違えて答弁申し上げましたので訂正させていただきたいと思います。  ERAP資本金額は、七二年末の数字でございますが、三十七億七千四百万フラン、日本円にいたしまして二千五百六十六億円でございます。  それから、ENI資本金は、九千百三十九億リラでございまして、円に換算いたしまして四千百十三億円でございます。  どうも数字を間違えまして恐縮でございます。
  68. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 佐野君。
  69. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣が参議院の予算委員会の方へ行かれたということと、本会議があるので時間が制約されていることもありますので、私はきょう予定した質問の中の幾つかの点について質問をして、あとはひとつ次の機会に譲りたいと思います。  私は、この石油開発公団法の一部を改正する法律案については、今日の情勢の中で時宜に適した法律改正である、こういうぐあいに当初考えておったわけであります。したがって、本法案についてはむしろ積極的にこれを評価するという意味において本会議における趣旨説明を求め、本会議場における質問をしてみたい、こう考えて国対の方にその要求もしておったわけでありまするが、その後の情勢の変化もあり、さらにまた一部の人たちの方からこの法律の内容について幾多の疑義がある、こういう点についての見解表明等もあり、目下この法律を審議するに際して賛成すべきか反対すべきかということについてその判断に悩んでおる、ということが適切かどうかわかりませんが、そういう心境の中で質問を続けてみたいと思うわけであります。大臣が二十分ぐらいたったら来るそうでございますから、大臣質問は後で行うということにいたしまして、具体的な問題から入ってみたいと思うわけであります。  まず第一に、この石油開発公団法の一部を改正する法律案につきましては、業務の追加といたしまして、石油開発公団業務の範囲に次の業務を加えるといたしまして一つの条件、さらに外国政府機関に対する必要な資金を貸し付けるとして二つの条件、さらに本邦周辺の海域における石油等の探鉱に必要な資金を貸し付けるとしての一つの条件、さらにオイルサンド及びオイルシェールの探鉱に必要な資金供給、もう一つは石油の備蓄ということになっているわけであります。  そこで、私はこれらの問題についての質問をする際、総合的な立場から質問をしてみたいと思って準備をしておったわけでありまするが、そのことについては大臣もおりませんので、具体的な内容から質問に入ってみたいと思います。  まず第一に、石油開発についてであります。わが国企業による石油開発は、安定供給源として、また全世界の供給量の増加という観点からも重要なことでありますが、その情勢の中で、わが国のこの開発面における成果がいまどのような状況になっているのか、お答えをひとついただきたいと思います。
  70. 増田実

    増田政府委員 わが国石油開発がどれだけの成果を上げているかということでございますが、日本石油輸入量というのが逐年非常にふえておりますものですから、その石油輸入量全部の中の比率は、四十九年度の三月末までの見込みの数字を若干入れまして、大体一〇%、これが日本の自主開発と申しますか、それによってもたらされる輸入量でございます。ですから、総輸入量の中の一割が石油開発で自主開発をした分によってもたらされる、こういう成果でございます。これは昭和四十二年の総合エネルギー調査会では三割を目途とするということになっておりましたのですが、それに比べましては非常に成績が悪いということは率直に申し述べなければならないと思います。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、そのように約一割の自主開発によるところの供給を受けている、こういうようにお話しになられたわけでありまするが、それは目標からすると、目標到達に対しては若干の問題点があってそこまでいかなかった、こういうような御説明でありまするが、それではその問題点というものとその問題点に基づいて今後どのように措置をされるか、もちろんこの法律もその一つでありましょうが、その問題点というものについての認識と今後の方向についてひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。
  72. 増田実

    増田政府委員 日本石油開発が所期の成果を生んでない、そこはどこが問題点かということでございますが、一つ大きな問題点は、やはり資金量が豊富でないという点でございます。従来、石油開発は主としてアメリカあるいは英国の国際石油資本会社が行っておったわけでございますが、非常に豊富な資金をバックにいたしまして石油開発を意欲的に行ってきたわけでございます。日本もおくればせながら昭和四十二年に石油開発公団ができまして、海外において石油開発をいたします企業に対する融資出資を行ったわけでございますが、それにいたしましても、石油開発公団資金規模も少のうございますし、またこれで全部賄うわけでございませんで、やはり民間資金をその半分あるいはそれ以上要するわけでございますが、この資金がなかなか集まらなかったということで、第一の問題点は、やはり資金量の不足であったと思います。  それから、第二の問題点は、石油開発に関する技術につきまして、技術者が非常に少ない、あるいは新しい海底油田開発につきましての経験がやはり欧米諸国の石油開発企業に比べて劣っているという点が出てきておると思います。  それから、第三番目には、やはり日本石油開発に乗り出しましたのは、相当時期的に遅かったということで、非常に努力もいたしたわけでござますが、後から有望な利権対象あるいは契約対象を見つけるということにつきましては、世界の各国が非常にいいプロジェクトを相当先取りしております。そこへ後から出てきておりますために、必ずしも初めに期待していたほどの効果が出ていないということでございますが、最近いわゆる陸地でなくて、海における開発によりまして石油が大分新しく発見されておるわけでありますが、この技術が相当進んできております。そういう意味から言いますと、まだまだ有望な地点は残されているということは申せるかと思いますが、先ほど言いました資金の問題、技術の問題、それから後進性の問題というのが、石油開発につきまして所期の効果が上がらなかった原因である、こういうふうに考えております。
  73. 佐野進

    佐野(進)委員 技術の問題、資金の問題、後発性の問題が一つの問題点として指摘されるということでいま説明があったわけでありますが、そのことを私は否定はいたしませんが、しかし同時に、体制的にもいろいろな問題点があるのではないか、これから質問してみたいと思いまするが、その前に、それでは足りないという面について、この法律案改正の内容を見ると、そこに重点を志向して改正をされているというようには見受けられない。この業務の追加の中においても、技術者が足りない、資金の面については若干ふえたとしても、そのふえ方についてはそう大きなふえ方ではない。そういうような状況下にあるように私には見受けられるわけでありますが、そこでいまの質問に関連して、それでは技術陣やそれに対応するところの諸条件、いわゆる欠点、問題点、そういうものに対して、どのように克服をしていかれる考えであるのか、その点ひとつ聞いておきたいと思います。
  74. 増田実

    増田政府委員 技術の問題につきましては、これは技術者の養成あるいは技術者の間におきますいわゆる再教育というものが必要だと思います。この方向で石油開発公団には昭和四十七年から技術センターを設置いたしまして、ここで石油開発技術に関する研究の開発を行う、あるいは石油開発技術者の養成を行う、また技術的なサービスを各開発会社に行うということで発足いたしたわけでございます。この技術センターにつきましては、さらに五十年度、来年度でございますが、石油資源株式会社の物探部の分析をやっております技術者を相当大幅に移しまして、ここがいわゆる日本石油開発技術の中心になるということで、これの助成を考えておるわけでございます。  それからもう一つ、技術者の訓練ですが、ことに海外におきます事業につきましては、言葉の問題もありますし、それから海外のいろいろなしきたりがございますので、これらにつきまして再訓練をする。ですから、国内で相当な腕を持っております技術者海外向けに再訓練をするという訓練センターというものを、これは五十年度から新しく設置するということで現在計画しておりまして、ごとしの半ばには発足する予定でございます。これは具体的に言いますと、各社の技術者をこの訓練センターに出向させまして、そして海外におきますいわゆる外国会社がやっております現場に送りまして、そこで再教育をするということで考えております。これらによりまして、現在の日本技術者というものを海外石油開発に向くように再訓練をするということも考えておるわけでございます。
  75. 佐野進

    佐野(進)委員 公団理事さんが来ておるようですが、あなたはいまの長官の答弁に関連して、この公団法の改正に基づいてその欠点を補強する意味において、どのようなお考えを持っておるか、いままで私の質問したことをよくお聞きになっておられたと思うので、この点ひとつ答弁してください。
  76. 楠岡豪

    ○楠岡参考人 最初長官の御指摘になりました資金不足の問題、それから技術レベル及び技術者の不足の問題、それからいわゆるわが国石油産業の後発性の問題、三つ御指摘になったわけでございますが、今度の法律改正におきましては、まず私ども公団の機能の拡充が図られているわけでございます。私ども公団の役目は、民間企業活動が必ずしも十分でないと、ころを国の力によって補うということだと心得ておりますが、その面におきまして先ほどお話の出ました予算の拡充とそれから今度の法律改正によります機能の拡充は、益するものが多いと考えております。  それから、技術面につきましては、先ほど長官のお話もございましたけれども、私ども約五十名の技術者を抱えまして、この人たちによりましてプロジェクトの審査と申しますか、あるいはプロジェクトの遂行の指導を行っております。実は私ども、もっと技術者が欲しいのでありますけれども、先ほど六百名余の技術者がおるというお話がございましたけれども、その中で外地に出まして外国人を使って仕事ができるという技術者はまあ半分余ぐらいではないかと思います。そういうことで、そういう技術者を何とかふやしていきたい。国内には秋田とか新潟とかに技術者がおるわけでございますが、そういう技術者海外に出て外国人とともに一人前の仕事ができるようにしたい、こういうことで、私ども昭和五十年度の予算で各社からそういう技術者を供出していただきまして、その方々が海外活動ができるようにしていきたい、こういうのが技術者問題でございます。これにつきましては、お役所初め各社の御協力をいまお願いしている次第でございます。  先ほど長官の申されました三つに関連しましては、大体以上のとおりでございます。
  77. 佐野進

    佐野(進)委員 長官が言ったのは三つだけれども、私はまだほかにある、こう言っているのですが、あなたは三つ以外にないと思いますか。
  78. 楠岡豪

    ○楠岡参考人 先ほど長官の申されましたわが国石油産業の後進性という問題がございます。それに恐らく関連してということだと思いますが、先生から体制問題の御指摘がございました。私ども先ほど申し上げましたように、公団の存在する理由の一つはやはり石油産業の体制がおくれているというところにあるかと思います。いま私どもが、仕事をいたします際に、たとえば技術者が足りない、それから資金が足りない、それからもう一つ問題は、石油開発に携わります経営者が必ずしも十分でないというような問題がございます。したがいまして、私どもも新しいプロジェクトができます場合に、何とかそういう海外活動能力の十分な人をそのプロジェクトに行っていただくようにいろいろ心がけておるわけでございますけれども、これは私ども公団の実は直接の範囲を逸脱するかもしれませんが、やはり問題はわが国石油開発の中核となる強い企業ができること、これがいま一番必要とされることではないかと思います。
  79. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、公団並びに長官にお伺いしたいのですが、私もいま楠岡理事が答弁されたことが一つの真実であるように思うのです。今日、石油開発を進めるということについて反対する人は一人もいないと思うのです。これが後で政治的な問題として反対議論が出てくるのはまた別の問題でありまして、エネルギー問題を前向きな形において解決していこうということで政府が積極的に取り組むことに対して反対する理由は一つもないと思うのです。しかしながら、この石油開発を進める経過の中で好ましからざるいろいろな条件が発生する。これは善意、悪意いろいろあろうと思うのでありまするが、そういうことはできる限り排除していかなければいけない。特にこれは国の費用、国の金をもってそれぞれの企業に対して出資をしたりあるいは援助をしたりすることになるわけでありますから、この点についてはきわめて重要な要素としてとらえていかなければいけないと思うのであります。ところが、いままでの公団の運営ないし政府の指導等々は、この面についてはきわめてずさんというと言い過ぎになるかわかりませんが、比較的、私の言葉をもってすればそう言いたいのですが、その成果を上げることよりもその出資をすることに、あるいは援助をすることに重点が向けられておるような、そういうような印象すら与える報道が幾多なされてきておるわけであります。そういう点について、たとえば「今里広記氏をめぐる海外石油開発社群」というような一つのレポートが出されておりまするが、これらを読みましてもあるいはそのほかの書類等を見ましても、いま楠岡理事が発言されたように、全くの素人が一つの情熱に基づいて会社をつくり、そのつくった会社が財界という名のもとに運営され、その運営される会社に対して政府並びに公団が異常な熱意をもって援助をしておる。したがって、本来持つ本質的な機能を外れて財界としての立場に立つそのものに対する援助が、結果的に多くの欠陥を露呈し、成果を上げないできているのではないか、こういう指摘が幾多なされておるわけであります。私は、その一つ一つを申し上げる時間はございませんので省略いたしまするが、こういう点についていま公団理事がお話しになられた点等に関連しまして、これは大臣答弁ということになるんだろうと思うのですが、大臣いませんから後で聞きまするが、長官の見解をこの際ひとつ聞いておきたいと思うのであります。
  80. 増田実

    増田政府委員 いま佐野先生から石油開発につきまして、その取り組み方それから財界との関係についていろいろ問題点の御指摘がございましたのですが、石油開発につきましては、これは非常に危険を伴ういわゆるリスクの多い企業でございます。しかも、これを行いますためには、相当大きな資金量を必要といたすわけでございます。そういう意味からいいますと、このリスクのある、しかも大量の資金を集めるためには、これは財界の応援というものがぜひとも必要になってくるわけでございます。私どもは、石油開発というものの重要性を認識して財界が全面的にこれをバックアップしている、非常に熱心にこれに取り組んでいる、これによりまして、先ほど申し上げましたように所期の効果は上がっておりませんが、現在日本の一〇%の石油というものが自主開発で輸入されておるということになったのではないかと思っております。  今里氏につきましては、確かに石油の経験がなくてこの石油開発の方に出てこられたわけでございますが、しかし私は今里氏が日本におけるエネルギーの重要性それから石油開発の重要性というものを認識して、国のために石油問題にいま取り組んでおられる、こういうふうに考えておるわけでございます。確かに石油をずっと扱ってこられた方ではございませんが、しかし石油問題、エネルギー問題について自分の情熱を傾けて、自分の後半生は日本石油問題の解決に当たるんだということでやっておられるわけでございます。いろいろの雑誌に今里氏のことについて書かれておるのは私も読んでおりますが、私どもは今里氏が日本国策である石油開発に情熱を打ち込んでやっておられる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  81. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、個人を誹謗するために質問しているわけじゃございませんから、その点はひとつよく理解して答弁していただきたいと思うんですが、ただ長官よく聞いていただきたいのは、先ほど石油開発公団の楠岡理事が、あなたが指摘した三つの点に加えて私がつけ加えた一つの条件、それを石油公団が現実にその業務を展開する中で感じておる一つの問題点として答弁をしておるわけです。その答弁の中で、いわゆる今日の情勢の中で一つの強力な指導性というか体制というか、そういうものを持った企業がほしいということを、石油開発公団理事としてはなかなか言いにくいことだけれども、そのことを言っておるわけです。これはまたわれわれ審議する立場に立つ者としてもそのとおりだと思うのです。四つのプロジェクトであるとか統合プロジェクトであるとかあるいは三十二であるとか四十二であるとか、いろいろな企業群あるいはプロジェクト群が存在して、それぞれ開発にいそしんでおるわけです。私はあえて怠けていると言うんじゃないんです、一生懸命やっておる。だがしかし、その成果はなかなか思うように上がっていない。一〇%供給になったとは言いながら、その供給の一〇%の内容を分析すれば、真に開発によって得た成果として一〇%になったのかどうかということについては、時間がございませんからそれに触れませんけれども、その内容の中に開発利益よりもむしろ開発されたものを取得する形の中においてその供給量を確保しているということも言い得ると思うのであります。したがって、そういう形からするならば、いまあえて私は素人と言ったのでありますが、望まれている、望まれるべき体制、その体制をつくり上げている中核になる人、それがいかに情熱があろうとも、情熱だけで物事がなし得るものではないわけであります。したがって、とかくのうわさがその中に出てくる。とかくのうわさは、石油開発というこの大きな事業を遂行する上に決してプラスの効果は出てこない。プラスという面においては出てこないということであるならば、何をなすべきかという、そういう点については、当然エネルギー庁長官あるいは公団総裁として考えていかなければならぬ問題ではないかと思うのです。私は時間があればあるいは一般質問の際でもこの問題を改めて聞いてみたいと思うのでありますが、きょうは法案審議でありますからこの程度でやめます。  そこで、この問題の結末として、石油開発公団が今回のこの法律改正の中におきましても、一度権利を取る、それを企業に渡すそのつなぎ的な形があって、その企業がいま言ったように万全なる企業であるならいいけれども、あるいは持ちこたえられない、あるいは買った権利もそれを完全に生かすことができ得ない企業であるかもしれない、そういうようなことをなぜやらなければならないのかという疑問は当然出てくると思う。だから、公団改正の今日の現段階において、なぜ直接公団がこれら業務を行うことに支障があるのか。公団は法のたてまえから支障があるのは当然でありますが、改正をするという形の中で、なぜそこまで踏み込めなかったのかという点が一つ。もう一つは、企業群の中核としての役割りを果たすべき指導力ある者をつくるということが、今日の状況の中においてどこにその障害があるのか。この点について長官公団の方とお二人の御答弁を求めたいと思います。
  82. 増田実

    増田政府委員 先ほど私が佐野先生の御質問に対しまして、石油開発がなぜ伸びないかということについて三つの点を申し上げたのですが、これに対しまして佐野先生から体制問題、企業のあり方の問題について御指摘がありました。確かにこの問題につきましても改善すべき問題が多々あると私どもも思っております。ことに現在石油開発に当たっております企業が五十数社あるわけですが、そういうようにいわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニーという体制でいいのかどうか、もっと強力に、諸外国に見られますように強力な開発会社というものが表に出て、そして石油開発を行わなければならないのではないかという点について、やはり体制問題について私どもいろいろ考えなければならない点があると思います。また、これにつきましては、昨年総合エネルギー調査会の石油部会で中間答申をいただいたわけですが、石油開発体制についての見直しというものも指摘されておりまして、これらにつきまして私どもも鋭意その努力を重ねておるわけでございます。  それから、今回の改正点でございますが、幾つかの業務石油開発公団業務として追加いたすわけでございますが、これは石油開発公団が発足いたしまして七年たっております。一回改正が行われておりますが、この七律間の経験でやはり従来掲げられている業務では足りない部門というのが出てきたわけでございます。それは直接利権取得とかあるいは融資買油の関係でございますが、石油開発のあり方というものが世界的にいろいろ動いてきております。それに合わせまして、強力な石油開発体制というものを持っていきたいというのが今回御審議をいただいております石油開発公団法改正の重要点でございますが、先ほど先生から直接利権取得と、それからあとその引き受ける企業のあり方という問題点の御指摘がございました。石油開発公団がせっかく自分で直接利権を取得しましておぜん立てをした、しかしそれの受け手である企業が非常に弱いとか問題があるということでありますと、これは私はそこに非常に問題点があると思います。今後こういう直接利権を取得いたしますときには、この受け手につきましても十分審査をいたしまして、せっかく石油開発公団が直接利権取得いたしました石油開発事業が大いに成果を上げて、そして日本に対する安定供給の一助になるようにこれは十分気をつけてやっていくつもりでございます。
  83. 楠岡豪

    ○楠岡参考人 先生の御質問の利権取得につきまして私ども実務を担当します者から申し上げますと、利権取得はまず相手方と交渉があるわけでございます。相手方と交渉いたします際、あるいは交渉が始まりました直後、恐らく私どもとしては国内でだれがこれを受けるだろうかということを考えまして、相手方と交渉する一方、国内の受け手を探す、あるいはどこを中心としてどういう会社をつくるかということにつきまして、完全ではございませんにしましても大体大ざっぱな構想を立てて相手方と交渉をすることになると思います。それでも、もし国内体制が非常にうまく進みまして、サインをしなければならないときまでに体制ができますれば私どもが介入することはないと思いますけれども、もしサインをするということになりました場合、サインをいたしましたあと国内の体制が整いませんで先生の御心配のようなことになりました場合は、これは日本としましても国際的な信用を失墜するわけでございますし、公団自体としましても将来また話ができないということにもなりますので、私どもとしてはそういうことは絶対ないよう準備を進めてまいりたいと存じております。したがいまして、その点につきましては私ども先生の御心配の点、これは確かに理論上はそういうこともあるかと思いますけれども、実務的には万々そういうことのないよう努力する所存でございます。
  84. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が大分たってきましたので、いまの問題点は一応まだ留保すべき点がありますので留保しながら、次の問題点について質問してみたいと思います。  冒頭申し上げましたとおり、この法案の審議に当たって反対論が出てきておるわけであります。その反対論の大きな理由は、日韓大陸だな協定批准と大陸だな特別措置法案とこの石油開発公団法が、一体化した形の中で提案されている、そしてこの法律案は日韓大陸だな協定の批准の裏づけであるのだ、いわゆる措置法と一体化した形の中で存在しているのだ、こういうような疑問点が出されておるわけであります。さっき板川委員からもその点についてお触れになりましたけれども、この点についての考え方を冒頭ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  85. 増田実

    増田政府委員 今回の石油開発公団法改正につきまして、その疑問点としてこれが日韓大陸だなの共同開発を可能ならしめるための業務拡張が入っているのではないかという点の御指摘があったわけでございますが、これも先ほど板川先生に私から御答弁申し上げましたわけでございますが、今回の改正に「本邦周辺の海域」というものが入っておりますが、これは先ほど御説明いたしましたように、従来から領海が対象になってない、それで領海をどうしても含めませんと、今後領海が三海里から十二海里になるという大勢にもありますし、ことに日本の周辺の大陸だな、具体的に言いますと新潟沖、秋田沖あるいは常磐沖、それから島根、鳥取沖の西日本でやっておりますこれらの石油開発につきまして、領海にかかった場合これに対する援助ができない、しかも領海の開発につきましては、これは海外開発と同じように非常に技術を要しますし、また金額も相当大きな投資をしていかなければならないということで、これを対象にいたしたいということで今回の改正を出したわけでございます。そういうことでございますので、先ほど疑問点が出ておるということで御指摘のありました、日韓大陸だなを今回の改正によって可能ならしめるためのものであるということではございません。従来から領海外の大陸だなにつきましては目的達成業務で読んでおります。実際にまた数件融資出資をしております。ですから、今回の改正は領海を含ましめるために行ったものでございまして、これが改正されることによって初めて日韓大陸だなの開発を促進することができるという問題では決してございません。
  86. 佐野進

    佐野(進)委員 私もいささか勉強をしておりますからいま長官の言われたことについては了解ができるのでありますが、しかし一般的に、同時期に出してきているという形の中でなかなか了解し得ない部面もあるわけでありますので、質問を続けてみたいと思うのであります。  それでは、日韓大陸だな共同開発協定による「共同開発区域」、これはこの改正案の「本邦周辺の海域」というものと一体どういうような関係になるのかということがまず一つであります。同協定第二十八条は、「この協定のいかなる規定も、共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚(だな)の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」こういうように規定しているわけでありますが、この協定によって大陸だなに対する公団の投融資業務は影響を受けることがあるのかどうかということであります。また、今回の改正案はこの協定を特に意識して提出しておると一般的には言われておるわけでありますが、その意識する、しないという問題、たまたま去年との関連もありますが、こういう点についてはどのようにお考えになっているのか、ひとつ答弁をいただきたいと思うのです。
  87. 増田実

    増田政府委員 日韓の大陸だなは領海外の大陸だなでございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、従来目的達成業務で読む対象地域には入っておるわけでございます。ただ、これにつきましてはその共同開発ということでございますので、共同開発ができるまではもちろん対象にならないわけでございます。  それから、先生からお尋ねのありました、つまり日韓大陸だな開発の協定あるいは今度の特別法というものを意識して今回の石油開発公団法改正が提案されておるかどうかということでございますが、私どもは全く意識しておらなかったわけです。と申しますのは、先ほどから申し上げますように、今回の改正では領海を含ませるために業務の追加をああいう形で出したわけでございまして、日韓大陸だなを可能ならしめるために今回の石油開発公団法が出され、それが非常に大きな要素になっているということを指摘されますと、私どもはきわめて意外でございます。繰り返して申し上げますが、日韓大陸だなの開発と今回の改正との関連は、私どもは全く意識してない、むしろ関連がないものというふうに考えております。そういうことで一応切り離して考えておったわけでございますが、全くその関係がないかどうかということになりますと、これは領海外の大陸だなに日韓が入るじゃないかということは確かに御指摘のとおりでございますが、先ほどから繰り返し御説明申し上げておりますように、従来の石油開発公団法でも、つまり今回の改正をいたさなくても領海外の大陸だなで一応それは対象になり得るということでございます。
  88. 佐野進

    佐野(進)委員 ここで大臣の答弁を求めなければならぬはずなんですが、大臣、約束の時間に来ないじゃないか。約束の時間に来ないからこれは困るんだけれども、来られるのか来られないのかちょっと問い合わせをしておいてもらいたい。  そこで、政務次官、いまの点、おわかりになっていると思うが、大臣にはいずれ後で聞くとして、長官の答弁でいいのかどうか、あなたの答弁を求めておきたい。
  89. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 いまの佐野先生の御質問は大変微妙な問題でありますが、風が吹けばおけ屋がもうかる式の考え方でいきますと、これは関係がないということは間違いであって、とにかく日本の国内のエネルギー資源を確保するための改正でありますから、恐らく大陸だなの問題もそういう一つの目的で当然出てくるということになると、何らかの因果関係はあるんじゃないかということになるでありましょうが、いまエネルギー庁長官が答弁をしたように、この法律改正するに当たってその問題を全く意識しておらなかったということも間違いのない点で、この点は御了承をいただきたいと思います。
  90. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、これはまたあしたでも大臣から明確に聞いておきたいと思うわけでありますが、いま長官ないし政務次官が答弁された点を一応了解したと前提して、それでは制度上今回の改正案と日韓大陸だな協定ないし協定による共同開発区域の問題が具体的な日程に上ってまいりますね。批准された、措置法ができた、さてそうなったときどうするのかという問題、いままで長官は、もうすでにその地域が公団のいわゆる対象地域になっておるのであるから問題はないけれども、しかし出てきた場合どうなるかということについてはと、言葉をちょこっとそこだけ濁しておるわけですね。したがって、そういう場合においての公団ないし政府が取り扱う扱い方というものがこの種問題としてはきわめて重要な段階に来ていると思うのですね。したがって、そうしたとき公団は、法律の定めるところに従って業務上差し支えなければ投融資をすることは、援助することは当然だと思うのでありますが、さてそれを認めるとか、この法律の実行に際してそれに対して一定の制約を加えるというのが政府の責任だと思うのですね。したがって、こういうことについては当然政治的な配慮が必要になってくると思うのでありますが、これは長官にいまここで答弁を求めることは非常に酷かもしれません、大臣に後で答弁を求めますが、あなたとしてはどのような見解を持って対処されるお気持ちか、この点をお答えいただきたいと思います。
  91. 増田実

    増田政府委員 共同開発区域におきます探鉱事業に対して公団が投融資を行うかどうかという点のお尋ねでございますが、これは共同開発の進展に応じまして具体的な案件が出ましたときに、その案件に照らしまして判断することになるわけでございますが、いろいろの問題点があることは私どもも十分承知しております。そういう意味でその際には、これは政府機関の投融資でございますのできわめて慎重にこれを取り扱いたい、こういうふうに思っております。
  92. 佐野進

    佐野(進)委員 本会議が一時から始まるということで、大臣も来ておりません、そういうことでありますので、私はこの質問できょうの質問を終わりたいと思いますが、いずれにせよ、開発問題と日韓大陸だなの問題について質問をしてみたわけでありますが、なおただすべき点が幾つか残っておるわけであります。したがいまして、質問を留保して、本日の質問を終わりたいと思います。
  93. 山村新治郎

    山村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時十八分開議
  94. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  95. 野間友一

    ○野間委員 今回の法改正は大きく分けて二点に分かれるのじゃないか、一つは開発に関する公団機能の拡大の問題、もう一つは備蓄に関する機能の拡大の問題だと思うのです。  そこで、まず開発に関する問題について御質問をしたいわけですが、開発に関しては政府は四点にわたる改正についての柱を立てておるわけでありますが、まずこれらの改正を必要と考えるに至った理由ですね。特にこの「改正について」と題する五十年二月付のエネルギー庁の資料によりますと、世界的な開発ブーム、「今、石油利権の取得と開発の促進に血まなことなって、まさに世界的な開発ブームといった状況を呈しています。」こういう表現もあるわけでありますけれども、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。
  96. 増田実

    増田政府委員 お答えいたします。石油開発公団の今回の改正点で、そのうち石油開発に関する四点について、その趣旨を申し上げたいと思います。  まず第一は、従来、石油開発公団自身探鉱する権利を取得するということはなかったわけでございまして、それらは企業が行いまして、そして石油開発を行う、この企業に対しまして石油開発公団出資もしくは融資をしてその助成を行う、こういう形になっておったわけでございますが、これらの業務に加えまして、石油開発公団に、いわゆる直接利権取得と私ども言っておりますが、探鉱する権利あるいはその他それに類する権利を取得するという権限を与えるということが第一点でございます。  これは石油開発公団が発足いたしまして約七年以上たっておるわけでございますが、その後のいろいろの経験によりまして、この利権取得につきまして、相手方が石油開発公団と直接最初契約をしたいというような場合が起こったり、あるいは直接利権の取得契約をいたしますのにつきまして、まだその企業が、会社が設立されていないということで、しかもその期限が迫っているというようないろんな事態が、現実にこれを運用して出てきたわけでございます。その点ができるようにいたしますために、今回の第一の業務の拡大の範囲といたしまして、直接利権の取得ができるということでございます。  ただ、これにつきましては、これは後で企業に引き継ぐということで、私どもは一年以内に企業に引き継ぐということを考えておるわけでございます。  それから、第二点でございますが、最近の傾向といたしまして、産油国におきまして、いわゆる採掘権をその産油国自身が保有をするという場合がいろいろ出てきたわけでございます。そして、そこの国営石油会社がみずから探鉱をし開発をし、それから石油の販売をする、こういう傾向が非常に出てきております。そういう場合に、石油開発公団が直接この産油国の国営石油会社に対しまして、いわゆる融資をして、そして融資をすることによりましてその探鉱開発が進むわけでございますが、その融資の見返りとして石油の一定量を販売してもらう、こういう契約、これを私ども融資買油と言っておりますが、これができるようにいたしたいというのが第二点でございます。  それから第三点は、従来、石油開発公団の対象となっておりますのが石油と可燃性天然ガスであったわけでございますが、最近この石油にかわる資源といたしましてオイルシェールそれからオイルサンドの開発というものかいろいろ言われております。もちろんこれにつきましてはその価格が相当高いとかあるいは技術的にもっと詰めなければならない点があるわけでございますが、埋蔵量がそれぞれ現在の石油の数倍あるわけでございまして、将来石油にかわる一つの資源でございますが、これの開発に関する融資出資というものを企業に対して行うということを第三点として業務の追加をいたしたい。  それから第四点は、本邦周辺の海域におきます石油開発につきましての融資出資業務でございます。これにつきましては午前中も御説明いたしたわけでございますが、従来は領海外の大陸だなにつきましては目的達成業務ということで読んでおりまして、事実数件すでに融資業務を行っておるわけでございますが、それに加えまして領海の中におきます石油開発というものを対象にしたいということでございます。この領海は現在三海里ということになっておりますが、近く十二海里に広がる、しかもここら辺のところに非常に有望な石油が発見されそうだということでございます。新潟沖あるいは秋田沖、それから常磐沖その他現在も作業をやっておりますが、これらが十二海里ということになりますと領海の中に加わる。そうなりますと、石油開発公団海外におきます石油開発に対する助成を行うということになっておりますが、それが読めなくなるということで、この領海を含めますために今回本邦周辺の海域というものを対象にするということの改正でございます。  以上四点の改正をいたすわけでございますが、それからいま野間先生からお話のありました最近の石油開発というのがブームだと言われている、その実情はどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、最近世界の各地域におきますいわゆる掘削井と申しますか、石油のための井戸を掘ります坑数が非常にふえてきておるわけでございます。石油危機を契機といたしまして、石油の見直しあるいは石油の価格が非常に高くなったことによりまして、世界的に石油開発の一つのブームが来ておるわけでございます。これは日本の中ではむしろ石油開発が最近のようにいろいろ事業参加、いわゆるパーティシペーションということで魅力のないことではないかということが言われておりますが、現実には世界におきまして石油開発というものが非常なブームになっておる。簡単に申しますが、七三年におきます掘削井の数が約三万五千件であったわけですが、七四年には四万一千六百にふえでおります。こういうように約二割以上上がったわけでございますし、また現実に石油開発公団が現在ビルマとかバングラデシュでいろいろ作業をさせておるわけでございますが、そこで井戸を掘るためのリグが足りなくなっているというような事態が起こっております。そういうことで、石油につきましてはむしろ掘削のためのリグが世界的に不足するというような状況になっております。それが最近石油開発がブームになっているということが言われている理由でございます。  以上でございます。
  97. 野間友一

    ○野間委員 これはいずれも石油安定供給の確立というのが趣旨のように承っておるわけですけれども、そこで次にお聞きしたいのは、自主的な石油供給源の確保、これが必要だということを通産省としては常に言っておりますけれども、その中身についてまずお聞きしたいのは、この自主的な石油供給源、これは一体どういうものを指しておられるのか、このあたりを明らかにしていただきたい。
  98. 増田実

    増田政府委員 石油開発につきまして日本の自主開発というものの比率をふやそうということで、石油開発公団もその一翼を担ってこれの推進母体になっているわけでございますが、いまお尋ねの自主開発というのが具体的にどういうことかということでございます。これはいろいろな形がございます。昔の形は、利権というものを取得いたしまして、そうしてみずから金を投資し、リスクを負って石油開発する、これが非常に古い型の自主開発であるわけですが、その後、これはインドネシアで起こったわけでございますが、いわゆる生産物分与方式のPSコントラクトと言っております形の契約というのが新たに出てきております。これもこれでやれば一応自主開発の対象になるわけでございます。それから、それ以外に請負契約、サービスコントラクトと私ども申しておりますが、請負の契約を結びまして、そして将来石油が出ましたときにその一部を値引きをして受け取れるということでございます。これも日本の手で、請負業者とはなるわけでございますが、掘って、しかも将来はその石油供給を受ける、しかも値引きして受ける、こういう形になっておるわけでございます。それ以外に、すでに掘っておりますところの会社に、いわゆるファームインと申しますか、そこに参加するという形の石油開発というものも行われておるわけです。これはいわゆるADMA方式でございますが、これは具体的に申しますと、従来ADMAの株を持っておりましたBPから日本が譲り受けまして、そして一定量の石油を受けるということになっておるわけです。  いま申し上げましたように、いろんな形があるわけですが、以上のような形あるいはそれに似たようなほかの形が若干ありますが、日本企業が直接利権を取得する、あるいは金を出して株の一部を持つ、あるいは請負業者となってやるというようないろんな形によりましてこれに参加して、そして製品である石油の購入を確保する、これを私ども自主開発ということで言っておるわけでございます。
  99. 野間友一

    ○野間委員 いま日本石油需要の大部分は輸入に依存しておるということは申し上げるまでもないことですけれども、いまのお話の中での自主的な石油供給源の確保、この中心は、政府のねらいはやはり海外探鉱開発、これにあるのじゃないか、そういうふうに私は思うわけです。そこで、いま話もありましたけれども開発にもさまざまな方式がある。この方式の関係でとらえてみますと、どうもやり方によっては、海外における開発が仮に自主的な石油供給源ではあっても、これが安定供給に直接につながるかどうかということが非常に問題になるのじゃないかというふうに思うわけですね。その点、去年の七月に出された総合エネルギー調査会の石油部会の「中間取りまとめ」がありますけれども、この中でも、「国際的な石油供給構造の変化を正確に認識しながら、石油の安定的供給確保を図っていく必要がある。」こういうことが述べられておるわけであります。  そこで、現在国際的な石油供給構造がどうなっておるのか、どう変化していくのか、その点についての政府の認識をお伺いしたいと思います。
  100. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生がおっしゃられましたように、世界の石油供給構造は非常に大きな変革をいたしておるわけでございます。従来、主として国際石油資本、いわゆるメジャーと私ども言っております会社利権を得まして、そこで探鉱開発をし、その石油処分して、利権料あるいは所得税を払う、こういう形になっておったわけでございます。日本におきましても、石油供給というものの大部分がこれらの国際石油資本会社からの購入という形で行われておったわけでございますが、一九七二年からリヤド協定の適用ということになりまして、いわゆる事業参加、パーティシペーションが行われるようになったわけでございます。これによりまして、従来の国際石油資本が掘っておりました会社が、それぞれ産油国の経営参加を受けるという形になってきたわけでございます。当初は二五%から十年たって五一%ということであったわけでございますが、その後これが非常に急速に進展いたしまして、去年から六〇%というのが出てきた。それがさらに、現在アラムコとサウジアラビアとの間の交渉で、一〇〇%を目指しておるということになっておるわけでございます。これによりまして、先ほど先生お尋ねの世界の石油供給構造というものが変革しつつあるわけでございまして、現在まだ、このパーティシペーションが行われましても、産油国側の取り分につきましてはいわゆるバイバックが行われて、従来の会社が販売を続けておるわけでございますが、将来やはりいわゆるDDと申します直接取引という量が相当ふえてくるということが当然予想されてくるわけでございます。そうなりますと、わが国におきましても、従来大部分をメジャーから買っておったわけでございますが、これにつきましていわゆるDD、それからさらに政府間協定のGGベースという、直接産油国から購入するというものが逐次ふえていくということが当然予想されるわけでございます。ただ、去年のGG、DDの数量はまだきわめてわずかでございますが、私どもは、こういうパーティシペーションが進み、またバイバックの量が逐次減っていくという傾向にあるところから、いま申し上げましたDDとかあるいはGGの産油国との直接取引の購入が今後相当ふえていくと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 野間友一

    ○野間委員 確かにこの「中間取りまとめ」の中でも「今後長期的には国際石油供給構造の中で、産油国のウエイトが高まり国際石油資本の占める役割が相対的に低下するという基本的な流れは否定しえないところであろう。」こういう指摘がありますけれども、いまおっしゃったとおりだと思います。事業参加とかあるいは国有化ですね、こういうものが石油供給構造の変化の基本的な流れである、こういうことは、確かに私も認識としてはそうだろうと思うのです。  そこで、お聞きしたいのは、そういう前提に立ちまして、この開発に関する改正点の筆頭と申しますか、この「改正について」という五十年二月に出された資料によりますと、この筆頭に「海外における石油等の探鉱をする権利その他これに類する権利を譲渡する目的で取得する業務を追加すること。」こういうのが挙げてあるわけで、先ほど長官も述べられたわけですけれども、この公団による直接取得の点についてお伺いしたいのは、ここでいう利権ですね、これは具体的にどういうものを指しているのかです。いかがですか。
  102. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  この直接利権取得ということでどういう利権が予想されるかという御質問でございます。それに対しまして、私が先ほど御説明いたしましたように、自主開発のところでいろいろ形態があるということで申し上げましたわけですが、今後の利権の形といたしましては、先ほど申し上げました生産物分与契約、いわゆるPSコントラクトの請負方式あるいはサービスコントラクト、これは請負となりまして、そして生産物の一定割合の値引き購入権を得られる、こういう形の利権というものが今後ふえていくと思います。古い形の、つまり鉱区を獲得いたしまして、そこで探鉱する権利というものは非常に減ってきておりまして、むしろ世界の大勢といたしましては、いま申し上げましたような生産物分与契約あるいはサービスコントラクト、こういう形になっていくと思います。これらを直接に取得するということが今回の改正点の一つでございます。
  103. 野間友一

    ○野間委員 いただいた資料の中でもそういう趣旨のことが出ておるわけですけれども、固有の意味利権とは、利権付与方式というのですか、探鉱とかあるいは採油ですね、これらの鉱区利権を指していうものだと思います。この改正の、いま申し上げた開発に関する第一点においては、それも含めて大きな柱の第一番目に挙げてある。いまの長官の答弁では、PSとかあるいはサービスコントラクト、これはふえていくだろうということを言われましたけれども、中心はどうも利権付与方式ですね、これを中心に政府としては置いておるのじゃないかというふうに私は思うわけですね。  そこで、少しその点に触れたいわけですけれども石油供給の構造の変化、これについて先ほど御答弁にもありましたけれども、産油国の事業参加が進んでおる。あるいは利権付与方式からいまの請負契約方式、こういうところに移行しつつあるという認識を持っておられるそうですけれども、直接、鉱区利権の取得を目指すいわゆる固有の意味での利権ですね、こういうものの取得を目指すような法改正、これはやはり時代に逆行するものではなかろうかというふうに私は思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  104. 増田実

    増田政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、利権という言葉は若干古い印象を受けるわけでございますが、今回の改正におきましても、法文には「探鉱をする権利その他これに類する権利の取得」ということで、表現も、先ほど御説明申し上げましたいわゆる請負契約とかその他が入るということで、こういう表現をいたしたわけでございます。ただ、探鉱する権利、これも普通、昔は利権と言っておったわけでございますが、この探鉱権を出す形がまだ若干残っておるわけです。それで、日本が、今後そういう形の利権を取得するということは恐らくないのじゃないかと私どもは思っておりますが、一部、たとえばアブダビその他では、従来、国際石油資本の共同会社が持っておりました鉱区を、契約によりまして、放棄義務がありまして、何分の一ずつか放棄する。そうすると、その鉱区をまた公開入札にするというような例が出ておりますので、古い形の探鉱権、いわゆる利権と申しております形が全く消えたわけではございませんが、しかし先ほど申し上げましたように、世界の新しい形としては、むしろ産油国自身が利権を外へ出さないのみならず、みずから自分の責任で掘る、そして金融的援助を受けるというのがもう一つの融資買油の方の関係でございますが、それに至らない中間段階といたしまして、先ほど言いましたような請負契約、これはいろいろな形がありますが、そういうものが今回の改正で、直接利権取得と私ども簡単に言っております対象になる、こういうふうに思うわけでございます。
  105. 野間友一

    ○野間委員 それでも、少なくともいわゆる固有の利権付与方式そのものを残しておる。探鉱権日本が持つという道をいま開く、そういうものを残しておるということは、時代に逆行する、そういうふうに評価されてもいたし方ないのじゃないか。と言いますのは、御承知の石油資源に対する恒久主権の問題、これとの絡みで私は思うのですね。だから、一九五二年の第七回の国連総会における「天然の富と資源を自由に開発する権利」、この決議以降数回にわたって、国連決議を基礎にして、恒久主権概念がいまでは世界的に認められるというようになってきたと思うのです。政府は、消費国である日本海外の鉱区利権を取得する、つまり開発権を取得するということを、資源の恒久主権に照らしてどう考えるのかというところが問題になってくると思うのです。なるほど言われましたように、また世界の趨勢としても請負契約方式、そういうものに移行しておる。固有の利権付与方式、探鉱権の問題ですが、これは絶無ではないが、日本の場合でも恐らく今後そういうのは余りないのじゃないかという趣旨の答弁のように私は受けとめたわけですけれども、しかし少なくとも世界の産油国の、あるいは世界の共通の認識としての天然資源の恒久主権という観点から、こういう残滓と申しますか、こういうものを残しておるということは、単にまだあるから、世界に例があるから残しておるということではなしに、ナショナリズムの台頭、特にアラブの諸国のこういう動きの中で世界に大きく認知されるに至った、ところが、まだそこまできていないところがある、そこに何か目をつけて、そういう恒久主権の原則が確立しない、まだその以前の状態、そこのところにさらに入っていくというところに何か道を開いておるのじゃないか。私の勘ぐりかどうか、勘ぐりでないと思うのですけれども。ですから、この点きっぱり、そういう世界的な動きを踏まえた上で、こういうところにはやはり出ていくべきでないというふうに思うのですけれども、どうでしょう。
  106. 増田実

    増田政府委員 いま先生からおっしゃられましたように、国連でも非常に古くから資源の恒久主権問題というものが討議されております。資源保有国が自国の資源をその経済発展と国民の福祉向上のため自由に開発利用する権利というものが、各種の決議で何回も確認されておるわけでございます。  ただ、私どもが今回の石油開発公団法改正の一つの柱として立てております直接利権取得につきましては、この恒久主権問題というものを侵すという形で新しい石油開発権、利権というものを行うという気持ちは、これは全くございません。  それから、先ほど申しました利権という言葉が若干いろいろな意味を伴う印象を受けるわけでございますが、探鉱する権利という中には、最近までもサウジアラビアが、これは現在OPEC、OAPECの中で非常に強力な主張をしている国でございますが、第二鉱区の入札につきましては一応探鉱権というものを公開入札したいということで発表いたしておったわけでございます。これがアラムコの一〇〇%の参加との間の関連がどうかということで、片方では探鉱権を公開入札し、片方ではすでに掘って動いているところを一〇〇%経営参加するといういろいろな動きがあるわけでございますが、ただ先生のおっしゃられましたように、いわゆる資源国というものの資源に関する恒久主権というものを侵して、そして日本石油権利を取得しよう、こういう気持ちは全くございません。むしろ最近、石油資源の問題は過去とは全く違った形になっておりますし、また日本もそれに合わせて石油の資源を開発していかなければ、これはもう長もちしないということで考えております。先生からお話のありました点につきましては、今後の石油開発を進めていく上に当たっては、その方向で進めていきたい、こういうふうに考えております。
  107. 野間友一

    ○野間委員 OPECの十六回総会、これは六八年の六月の決議ですけれども、「石油政策の綱領的宣言」というのがありますね。この中に、「一、加盟国政府は実施可能な限り、その炭化水素資源を直接に探鉱開発するよう努力する。二、加盟国政府が直接開発することができない場合には、外部操業者と諸種の契約を締結できる。この場合、政府はすべての操業部門に対し最大限の参加と管理を行なうよう努力する。三、既存の石油協定で政府の参加を規定していない場合には、事情変更の原則により妥当な参加権を獲得してもよい。」これがOPECの総会で宣言されたというふうに理解しておるわけです。つまりこのOPECの言わんとする趣旨は、この恒久主権の中身について、開発権を産油国は直接持つというのが基本だと思うのですが、このOPECの総会決議、こういうものの前提の上に立って進められるのかどうか、その点ひとつ……。
  108. 増田実

    増田政府委員 今後の石油開発に当たりましては、いま先生が言われましたOPECの方向というものに即してそういう開発をやるということになると思っております。従来の古い形の利権を取得してやっておりますものにつきましては、現在いわゆるパーティシペーション、経営参加によって修正が行われておるというのが大勢でございますので、新しい形の石油開発は、先ほど先生が言われましたOPECの方針というものの方向で行われる、こういうふうに私どもも考えております。
  109. 野間友一

    ○野間委員 そこで、先ほども若干危惧を申し上げたのですけれども、アラブで最初からいまのような恒久主権の原則が確立しておったわけでは決してなくて、技術と資本、それから人、これらに恵まれたもの、とりわけメジャーですけれども、こういうものがどんどん入っていく。こういう中で、民族解放闘争あるいはナショナリズムの台頭の中で、経営参加なりあるいは国有化していく、こういう一つの歴史的な経過があると思うのですね。そういうものはそれとして、これは消費国としてももちろん尊重しなければならぬということになったのはそのとおりなんですが、ただ、不幸にしてまだそこまでいっていないところがあるわけですね。そういうところで、しかもいま申し上げたアラブの最初のような段階のところで、そこでは政府あるいは国みずからが人と技術あるいは資本を持って、そういう意味でのいわゆる昔の探鉱権会社に与えるというような形でも臨んだ、臨む場合も私はあると思うのですね、率直に申し上げて。しかし、それはやはり歴史の前進というか、流れに逆行するものである。しかし、改正の中にそれすら含めますと、これは相手が望んでいるからそのとおりやるんだ、何が悪いのかというようなことになりはせぬか。そのことをたとえ相手が望んだとしても、そういうことはやはり世界の趨勢と申しますか、天然資源の恒久主権の原則からして許されないという点、やはりきちっとしておかなければ、最初はそういうことをやっても、経営参加とかあるいは国有化という歴史の流れに私は逆らうことはできないんじゃないか、こう思うわけですね。その点についての歯どめこれは一体どういうふうにされるのか、考えておるのかですね。
  110. 増田実

    増田政府委員 石油資源の開発につきましては、私は非常に古い形の、かつて行われた形というものはどんどん変わっていくというふうに思っております。それで、ただ探鉱権の取得という形で、これは資源に関する主権を侵害するという形でなくて、一つの考え方としてそういう探鉱権の付与、しかしそれに対する経営権とかあるいは処分権というものはやはり産油国が持つ、しかし、探鉱権だけは与えるというような形、いろいろ出てくると思います。ただ、これは歴史が変わってきておるわけでございますから、国際石油資本が産油国を無視して、そして資源を自由に処分するという形は、もうこれは今後あり得ないというふうに思っておりますし、また日本が今後いろいろ石油開発を進めていくに当たりましては、これは世界の趨勢に沿って相手、つまり資源国の立場を十分尊重しながら石油開発を進めていくべきものと思っておりますし、また今後石油開発公団の運営その他に当たりましても、いま先生が御指摘になりましたような方針でやっていきたい、こういうふうに思っております。
  111. 野間友一

    ○野間委員 冒頭に申し上げた安定供給との関係は、私はこれが問題になると思いましたので最初に申し上げたわけです。つまり相手が望むから入っていく。ところが、趨勢はそうでなくてだんだん変わってくる。そのことは石油危機のときにわれわれは痛いほど苦い経験をしたわけですけれども、これが必ずしも安定供給にはつながらないんだということなんですね。だから、こういうような昔のような形のものは断固やめさせる。そして、本当に相手の立場に立って——私は、融資の問題にしても、むしろ無利息でもいい場合だってたくさんあると思うんですね。そして、どんどんその技術をもって開発する。そして、DDなりGGで 対等互恵の立場で石油を購入する、こういうことが基本的なもので今後の方向だろうというふうに思うわけです。  そこで、日本石油確保に関連した問題としてのメジャーですね、これについて少しお伺いしたいわけです。  原油の供給の大部分がいまメジャーに依存しておるというのが実情なんですけれども、こういう現実を踏まえて考えた場合に、この安定供給確保ということを前提として考えますと、まずいまのような利権の、いわゆる固有の探鉱権の取得というようなことよりも、メジャーに対する取り扱い、対処の仕方、こういうものをやはりわれわれというか政府は重視してかからなければならないんじゃないか、こう思うわけです。これは量的あるいは価格の面でも同様に重要な問題だと思うのです。  この石油部会の「中間取りまとめ」においても、その点についての指摘もたしかしてあったと思うのです。この十一ページのところですが、「国際石油資本に対しては、系列、非系列にかかわらず我が国企業に対して合理的な価格による原油の円滑な供給を行うことが望まれる。」そして「国際石油資本事業活動についてはその行動の透明性は必ずしも十分でないとの国際的論議がなされており、今後調和のとれた健全な国際石油市場の発展を確保していくためにも、そういう事態を解消することが望まれる。」というのがあるわけですね。「国際石油資本事業活動についてはそ行動の透明性は必ずしも十分でない」、こういう指摘があるわけですけれども政府はこの点について、行動の透明性問題の解消ですね、何をいままでしてきたのか、あるいは今後何をしようとしておるのか、これについてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。  これに関連して、私、いつでしたか、この商工委員会の中でも、これは部分的ですけれども民族系資本といわゆるメジャー系、このメジャーの原油供給の価格の問題、これは独禁法に触れるんじゃないかという指摘もし、公取もこれの調査をするという、そういう答弁があったんですけれども、確かにこの指摘のとおり国際石油資本については非常に大きな問題がある。しかも、日本の原油の大部分はこれに依存しておるという点からしたら、こういうところにやはりまず手をつけるべきであるという点からの提起なんですけれども……。
  112. 増田実

    増田政府委員 現在、メジャー日本に対する総石油輸入の中に占める地位は、大体六割あるいはそれより少しふえているかと思いますが、ただこれも先ほど申し上げましたように、だんだんメジャーの占める比率が、いわゆるバイバックというものが減っていくことによって、減少の傾向にあると思うわけです。将来そういう意味では、日本が購入する石油のうちのメジャーの占める比率というのはどんどん減っていくということが一応考えられるわけですが、ただそれにいたしましても現在はその過半数はメジャーから供給を受けている、こういうことでございます。去年この石油政策を見直すということで、総合エネルギー調査会の石油部会で「中間取りまとめ」ができまして、ここで先ほど先生から御指摘のありましたいわゆる国際石油資本からの輸入につきまして、今後もやはり国際石油資本からの石油供給というものは依然として大きいので、これからの確保を図ることが重要である。しかしながら、その国際石油資本につきましては、先ほど御指摘になりましたように行動の透明性は必ずしも十分でないという国際的論議がなされておるということでございまして、これはメジャーというものが非常に大きな資本で、しかも世界各国に供給しておるということで、外から見ますと非常に複雑な様相を呈しておる。それで、これは日本におけるのみならず、世界的にメジャーというものの経営あるいは営業のやり方につきまして、もっと透明性と申しますか、公開性が要求されるべきだということが言われておるわけでございます。この点につきましては今度発足いたしました国際エネルギー機関、IEAにおきまして、いわゆるIEP、国際エネルギー計画というものが基本になっておるわけでございますが、IEPの中でも国際石油資本、メジヤーの透明性を明らかにするということで、それができなければ緊急融通システムというのはなかなか動かないということで、いまメジャーの透明性について各種の論議が行われ、近く結論が出ようといたしておるわけでございます。  それから、先ほど先生から言われましたメジャー供給する価格が、系列と非系列とによって差があったんではないかということでございます。これにつきましては、昨年はメジャーの系列に対する供給価格と、それからいわゆる非系列、日本側で民族資本と言っております会社との間には五十セント内外の差があった。大きいところでは一ドル近くあったという契約もあったわけでございますが、この点につきまして、私どももそういう形はおかしいではないかということをメジャーにいろいろ指摘いたしておったわけでございますが、本年に入りまして去年のいわゆるアブダビ方式の産油国の新しい輸出契約の方法ができまして、一月から大体実施されておるわけでございますが、これによりましてメジャーは、現在はいわゆる系列と非系列との間にほとんど差を設けてないというのが現状でございます。私どもいろいろ調べておりますが、たとえばエクソン、これは相当な量を日本供給いたしておりますが、民族系といういわゆる非系列の会社とそれから系列会社とは全く同じ価格で最近は供給しておるということでございます。それ以外のところについても私どもいろいろ調べておりますが、差があるといたしましても十セント以下の非常にわずかな差しか残っておりません。これらにつきましてもメジャーがこの透明性の要求を受けて、だんだんその点を改善しておるということは言えると思います。
  113. 野間友一

    ○野間委員 世界的論議の結論が近々出るんじゃないかという話はそれとして、こういう指摘、しかも実際には不透明あるいは横暴がずいぶん行われたと思うんです。あの石油危機のときにもおこがましくも政府、たしか通産大臣かあるいはエネルギー庁長官あての私信か何か知りませんけれども、値上げについてのプッシュをしてみる、圧力をかけるとか、あるいは原油の価格が多少上がったといって、それに便乗してぽかっと上げてくるとか、エクソンの会長は東半球でぼろもうけをしたというようなことすら公然と声明するというようなことで、まさにわれわれはメジャーに翻弄されたと言っても過言でなかろうと思うのです。その点については、国会の中でも私たちはかなり論議をしたんですけれども、それに対して日本独自、政府独自にいままで何らかの手当てをしてきたのか、あるいはする意向があるのか、あるとしたらどういうところに手をつけていくのか、それらの点についても、少し説明していただきたいと思うのです。
  114. 増田実

    増田政府委員 先ほど御説明いたしましたメジャー日本における供給価格に、系列と非系列について相当差があるという点につきましては、私どもの方からメジャー代表者を呼びまして、その理由とかこれの改善というものを昨年要請いたしたわけでございます。それがその後相当改善され、先ほど申し上げましたように、ことしに入りましてはほとんど差がなくなるという改善が行われておるわけでございます。  それからもう一つ、メジャーのいわゆる透明性の問題につきまして、これも先ほど御答弁で申し上げましたが、どういう点をはっきりさせるべきか、メジャーの行動あるいはその内容につきまして、どの点とどの点をメジャーから報告させ、これを明らかにさせるべきかということにつきましては、消費国の会合でありますIEA、国際エネルギー機関でその内容をいま詰めて、そしてこの点までは少なくとも公開をすべきだということが近く結論が出るということになっております。
  115. 野間友一

    ○野間委員 その点は時間の関係で保留して、あしたでもまたお聞きするとして、DDオイルの点についても、少しいまお伺いしたいと思うのです。  この「中間取りまとめ」の中でも「産油国との直接取引を民間ベースで進めるとともに、政府としても経済協力等を通じて政府間取決めに基づく取引を積極的に進めていく必要がある。」こういうような記述があるわけですね。このDD取引の拡大あるいは政府間の取引もそうだろうと思いますけれども、その点について政府は必要性を認めておりますけれども、これらについて具体的にどのような形で進めようとしておるのか、どういう手だてをしておるのか、あるいは予算上どういう措置をしておるのか、それらの点についてはいかがですか。
  116. 増田実

    増田政府委員 石油供給確保するためにいろいろの方法があるわけでございますが、その一つとして昨年の「中間取りまとめ」では産油国からの直接輸入、しかも政府が経済協力を通じて政府間取り決めを行って、それによって石油の安定的な供給確保する、こういう方策を出しておるわけでございます。具体的に申しますと、昨年イラクとの間に政府間取り決めができまして、日本からの経済協力というものを行うとともに、イラクからは石油の安定的供給を長期にわたって行う、こういう取り決めができたわけでございます。これの進め方でございますが、経済協力の方は国の予算あるいは輸銀、経済協力基金ということでバックには国が出るわけでございます。  この引き取りについて具体的にどういうように考えるかという御質問でございますが、これにつきましては現在イラクにつきましては、イラク原油を希望いたしております六社の共同購入という形にいたしまして、いわゆる窓口一本化で共同してイラクとの間の引き取り交渉を行う、こういうことになっております。ただ、この引き取り交渉を行いますときに、政府も十分関与いたしておるわけでございますが、それをさらに進めてたとえば政府機関が輸入を一括入れるかどうかということにつきまして、これは昨年私どももいろいろ検討いたしまして、昨年の九月の段階では予算要求いたしておったわけでございますが、その後いろいろ検討した結果、まだいろいろの点でさらに詰めるべき点があるということで、今回の五十年度の予算にはそれが計上されておりません。ただ、そういう形の、たとえば政府がこの輸入機関をつくって、そしてこういう政府間取引のものを一括して購入するということにつきましては将来の検討課題であり、またあるいは早い段階でこれを実現させる必要が出てくるのではないかと私ども思っておりますが、現在のところは、ただいま先生お尋ねのどういう予算があるかということでございますが、予算は去年の九月に要求しましたが、一応撤回をしてもう少し検討しよう、こういうことでございます。
  117. 野間友一

    ○野間委員 どうもその点で、冒頭から申し上げているようにいわば利権あさりと私は理解するわけです、政府はそう言いませんが。そういうところには投融資、これをつけていく。ところが、同じように重要だと言いながら、いまの直接取引、そういうものについては予算上の措置をしていない。この「中間取りまとめ」でもいまのDDオイル等については、これは非常に重要だという認識に立ち、手だてしなければならないと言い条、つけていないというところに何か片手落ちと申しますか、むしろ私は逆じゃないかとすら思うわけです。その点についてはさらに備蓄との関係もありますので、あしたでも残りの質問をすることにして、これは留保して、もう時間が来ましたので終わりますけれども、その点が私はどうも今度の改正を見て片手落ちだという感じがしてしようがない。この点をつけ加えて申し上げて、留保して、さらにあした進めたいと思います。
  118. 山村新治郎

  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、石油をめぐります国際情勢につきましてお伺いしたいと思います。  最近、石油をめぐる国際情勢というものは、新しい秩序を求めて激しく揺れ動いておるわけであります。去る二月三日、キッシンジャー米国務長官は、IEAに対しまして輸入石油の最低価格設定というものを提案したわけであります。これをめぐりましてIEAの理事会が二月、三月と開かれたようでございますが、結局は合意に達しなかった、見送られたということを聞いておるわけであります。  そこで、いわゆる米国の真意、また各国の反応、わが国の基本的な考え方、今後の見通し等につきましてお伺いしたいと思うのです。これはひとつ長官大臣からお伺いしたいと思います。大臣は、何かきょうは三時半ごろで退席されるということでございますので、まず長官からお聞きして、大臣から……。
  120. 増田実

    増田政府委員 先生からいまお話がございましたように、アメリカのキッシンジャー国務長官の構想ということでフロアプライス制度の提案があったわけでございます。この米国の提案の真意は何かというお尋ねでございますが、アメリカの代表がこのIEAの会議でいろいろ説明いたしておりますのは、石油を含みますいわゆる燃料の供給をふやさなければならない。ところが、石油は有限であるし、またいつ何どき供給制限を受けるかもわからないということで、それに対する代替燃料を大幅に増産をいたしたいということでございますが、ただそのときに当たりましては相当膨大なる投資とそれから危険性を伴うわけでございます。そうなりますと、石油の価格が将来大幅に下がった場合にはその投資が全然むだになるわけで、その危険というものを避ける保障制度としてフロアプライス制度というものを設けて、そして代替燃料、あるいはいわゆる域内と申しますか、消費国の中での石油開発を増進させる、このフロアプライス制度がないとなかなか新しい燃料の開発が進まない、これがアメリカの提案理由でございます。  それに対しまして、先生の第二番目のお尋ねの各国の反応はどうであったかということでございますが、このフロアプライスにつきましては確かにアメリカの言う代替燃料開発を促進するためにそのリスクを保障するということで、その意義についてはこれは真っ向から否定はされておらないわけでございますが、しかし具体的に、じゃ、どういう方法で、しかもいかなる価格でフロアプライスを設けるかということになりますと、これは非常に議論がある。しかも、アメリカ自身がまだいままでの会議で、具体的なフロアプライスの高さというものを何ら提示していないで、ただそういう制度が必要であるということを力説しておるというのが現在までの段階でございます。  それから、いままで申し上げましたのはIEAの中の参加国の反応でございますが、産油国の反応もこれはばらばらでございまして、最低価格について真っ向から反対というよりも、むしろ具体的に何を考えているのかということで見守っているというのが現状ではないかと思います。  それから、日本の基本的な考え方でございますが、確かに代替燃料が開発され、またその他石油開発がいわゆる消費国の中でも増進するということは世界的な供給量をふやすわけでございますから、それが日本に対しても利益になるわけでございますが、ただフロアプライスというのを設けてそれによって代替燃料を直ちに開発するというのは日本ではなかなか行われにくいということで、アメリカの企業が代替燃料を開発するためのフロアプライスの必要性と、日本が、それがめぐりめぐって世界の供給がふえるということで受ける利益、これは相当差があるわけでございまして、その点、日本としてもこの内容がもっと具体化しなければ意見がなかなか言えないというのが現在までの考え方でございます。  ただ、三月の終わりに行われましたIEAの理事会で、一応代替燃料の開発は必要である、そしてそれによって世界における供給をふやすべきだ、ただそれを行うためには何らかの保障といいますか、そのリスクを救うというような枠組みが必要だということにつきましては、この参加国の一応大ざっぱな賛成を得たわけです。ですから、フロアプライスという言葉は出ておりませんし、またフロアプライス制度について何ら合意を得るには至っておりませんが、しかし代替燃料を開発するための何らかの制度、措置というものが必要だということについては全般的な了解ができたということになっております。  そうなりますと、今後の見通しはどうかという最後のお尋ねに対する答弁を申し上げますと、一応大枠として先ほどのような考え方が了承されまして、今後IEAの場でいかなる方策をとるか、これはアメリカの提案のフロアプライスもその一つのやり方だと思いますが、しかしそれ以外にいろいろのやり方があるはずでございます。それらについて今後詰めていくというのが現状でございます。ただ、この結論にそう簡単に達し得るかどうかにつきましては、これは参加国の代表も相当疑問を持っている、ただ何かやらなければならないということを言っておるというのが現状でございます。
  121. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま長官がるる申し述べましたように、一言で言いますと、キッシンジャー構想が出てから何回かIEAの関係国が集まって議論したけれども、いままでのところは、そういう考え方はそれなりにいいじゃないか、総論は賛成だ、しかしこれからは、具体的な数字というものは全然出ておりませんので、具体的な数字、具体的な方法が出た段階では、つまり各論では大いに問題がある、こういうところであろうと思います。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 石油の新しい安定した価格体系につきましては、わが国のように他に代替エネルギー源を持たない国としましては、長官のお話では基本的には賛成の方向ということでありますが、その場合、産油国を含めました国際的な合意というものがどうしても必要になろうかと思うのです。この点につきまして最低価格問題というものはどういう取り扱いになるわけですか。
  123. 増田実

    増田政府委員 この最低価格問題につきましては、私どもは産油国と十分話し合わなければこういうものは達成できない、こういうふうに思っております。それで、三月末の理事会で大枠の了承、つまり先ほど大臣から申し上げました総論だけが一応了承されたわけでございますが、このときにも、これの具体化に当たっては産油国といろいろ話し合って考えていこう、こういうことになっております。そういう意味でフロアプライス制度にいたしましても、それからそれにかわる何らかの方法にいたしましても、今後行われます産油国との会議というもので非常に大きな影響を受ける、こういうふうに私どもは見ております。
  124. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど長官のお話の中で、いわゆる最低価格の設定と並びまして、アメリカとしては代替エネルギー開発のためのそういう何らかの制度、これは国際財団のようなものじゃないかと思うのですが、そういうお話もちょっとあったように思うのですけれども、その提案の具体的な内容とわが国の考え方についてもう一度お聞きしたいと思います。
  125. 増田実

    増田政府委員 先ほど申し上げました代替エネルギーあるいは消費国の中における石油その他の開発のためにいわゆる危険、リスクを補うための制度が必要だということが一つと、それからいま先生から御質問のありました代替エネルギー開発につきまして国際的な協力機構を何かつくるべきだということが、これもアメリカの提案でございますが、いわゆる国際コンソーシアムをつくりまして、そこで石油、石炭あるいはオイルシェール、オイルサンド等のエネルギー源の開発促進を行う、これは国際的な共同事業として、そして各プロジェクトごとに協力体制を設ける必要があるということで、こういう構想が米国から出ておるわけでございます。それで、これにつきましても三月二十日にありました理事会で、そういう国際協力を行うことは必要であろう、消費国が協力して代替燃料の開発促進を行うことは必要だということにほぼ合意ができておるわけでございますが、ただこの会議におきまして日本からもいろいろ発言いたしまして、それは日本がこれに参加する場合と参加しない場合と両方あるわけでございます。ことにその製品が必ず日本に来るかどうかわからないものもございますので、つまりこういうコンソーシアムをつくることについては日本も賛成であるけれども、しかし参加国がすべて強制されてこれに参加しなければならないということは困るということで、この点も日本の発言が受け入れられたものと私どもは思っております。今後のエネルギーの増強、ことに代替エネルギーの開発につきまして国際的な協力体制というものが必要だと思っておりますが、ただこれにつきましてもやはり国益に沿ってそういう協力体制に参加する、参加しないは決めていきたい、こういうふうに私どもは考えております。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 一昨年末のオイルショックによりまして大変な恐慌を来したわけでございますが、わが国は昔から石炭、水力等は若干あったわけでございますが、大体エネルギー資源が非常に乏しいわけであります。ところが、代替エネルギーの開発につきましては熱心ではなかったのじゃないか、このように思うわけです。一応サンシャイン計画という開発計画を持っておるわけですが、昭和五十年度の予算を見ましても三十七億円の投入、非常に微々たる規模なんですね。今後は、これまでの国際的な需給関係から低廉でかつ安定的なエネルギー源の確保は考えられないので、こうした国際的な代替エネルギー開発計画に積極的に協力する一方、国内的なそういうサンシャイン計画も開発体制、組織、人事、予算など抜本的に考え直す必要があるんじゃないか、私はこのように思うのですが、どのように政府は考えておりますか、この点につきましては長官大臣にお伺いしたいと思います。
  127. 増田実

    増田政府委員 サンシャイン計画につきましては本年度から行っておるわけでございますが、五十年度の予算はただいま先生がおっしゃられましたように三十七億円が現在予算の審議を受けておるわけでございます。ただ、この三十七億円は工業技術院にサンシャイン計画として各項目で計上されております合計でございますが、これ以外に私ども資源エネルギー庁にもサンシャイン計画の一部を担う予算といたしまして約十億五千六百万円というものが計上されております。これは内容的には地熱エネルギーと石炭のガス化、液化の研究促進のためのものであります。  わが国の代替エネルギーの開発につきましては、確かに先生御指摘のように非常におくれておりますが、工業技術院が中心となりましていわゆるサンシャイン計画ということで太陽エネルギーあるいは水素、地熱、その他石炭の液化、ガス化というものを強力に進めまして、そして日本のエネルギー構造の今後の改善に役立たせていこうということでございます。ただ、これらにつきましては今後技術研究を相当進めなければなりませんし、またそれらの熱が現実に利用されますに当たりましては、やはりその経済性というものが十分達成されなければなりませんし、またその数量も相当多くなければなりません。そういう意味で、たとえば太陽熱で発電を行うにいたしましても、これが千キロワットとか一万キロワットというものの達成と、それからこれが日本の一つのエネルギー源になりまして一応百万キロワットという台になりますのには今後もなお相当の期間がかかるということが予想されておるわけですが、これに対しまして予算あるいは人員をさらにふやして、そしてできるだけ早く日本のエネルギー構造を改善し、また石油からの脱却をできるだけ進めることに努めていきたいと私どもは考えております。
  128. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国のエネルギー資源を考えましたときには、先ほどお話のございましたように若干の水力それから若干の石炭それから準国産のエネルギーとも言うべき原子力が期待されるという程度でございまして、やはり抜本的には代替エネルギーの開発あるいはサンシャイン計画、こういうことにもっと力を入れなければいけないのじゃないか、こう私は思うのです。どうもエネルギーに対する重要性の認識が政府も不十分である。政府と申しますのは、政府全体としては不十分である、こういう意味でございます。通産省は十分認識しておるわけでございますが、なかなか同調を得るに至っていない。そういう意味で私は今後もさらに努力を重ねまして、予算の獲得はもちろんでありますが、同時に新しい研究機関というふうなものも整備しまして、国の総力を挙げてこれと取り組む必要がある。研究費も研究機関も、エネルギー資源の豊富な国よりもさらに劣っておるというふうなことは間違っておる、こう思いますので、先ほど申し上げましたような方向で全力を今後は挙げなければいけない、こう思っております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、大臣は三時半とおっしゃっていましたから結構です。  いま大臣から非常に前向きなお話がありましたが、非常に結構だと思うのです。大体私は、エネルギー庁という規模自体が間違っておる、これはもう早くエネルギー省をつくってあたりまえだと思うのですね。それぐらい政府が力を入れなければならぬ問題ですね。大体、庁に置いておくということ自体が間違っておるわけです。これ自体、政府の取り組みの姿勢の甘さということをはっきり出しておると私は思うのです。そういうことで、今後はさらに力を入れなければならぬと思うのですが、増田長官大臣に比べるとサンシャイン計画について余り期待しておらぬ、そういう考え方が露骨に出ております。最高責任者がそういう考えじゃだめですよ。ない知恵をしぼり、総力を挙げて開発をやっていく最高責任者の熱意、期待というものが全軍を引っ張っていくわけですよ。大した結果は出ないのじゃないだろうかという考えは改めてもらわないといかぬ。長官の考え方自体が予算にも出ている。工業技術院でもやっています、何か言うから予算もつけている、そういう消極的ではいけないと思うのです。あなた自身の考え方をひとつ変えてもらいたい。これに対してもう一度答えてください。
  130. 増田実

    増田政府委員 ただいま近江先生からサンシャイン計画に対する私の姿勢について御指摘を受けたわけでございますが、このサンシャイン計画につきましては、これは先ほどの答弁がちょっと言葉足らずで、あるいは先生からおしかりを受けるようになったかと思いますが、私が官房長をしておりますときにサンシャイン計画というのが出まして、官房も全面的に応援して日の目を見たわけでございます。ただ、先ほど私がちょっと申し上げましたのは、私ども昭和六十年度のエネルギーの総需給というものを常に頭に置いて現在各種エネルギー政策を進めておりますものですから、サンシャイン計画が相当大きな成果を得て、そしてエネルギーの需給の中に相当大きなシェアを占めるというのは、まだ昭和六十年度では無理だということを申し上げたかったわけでございます。  ただ、石油につきましても、普通に言われますように現在の確認埋蔵量から言いますと三十五年しかないということでございますし、これは三十五年で本当になくなるかどうか、もちろんいろいろ説はございますが、それにかわって私どもの子孫というものがいかなるエネルギーに依存するかということになります審はりサンシャイン計画によってできますエネルギーに依存して今後生活をしていくということになると思います。そういう意味ではサンシャイン計画につきまして、むしろ日本の今後のエネルギーというものをこれが規制するし、また国民生活はそれによって成り立つ、こういう認識で応援いたしたいと思っております。先ほどの答弁につきましてどうも先生からおしかりを受けましたが、サンシャイン計画の促進について私どもも全面的に応援するつもりでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 技術論みたいになりますけれども、たとえばいわゆる太陽熱の利用ということを考えていきますと、確かに原発のようなわけにはいかぬと思うのですね。確かに単位は非常に小さいかもしれないけれども、たとえ小さくてもそういう活用方法というものは幾らでもあるわけですね。また、今後の技術開発によっては、非常に小型で非常に効率をよくしていく方法も出てくるわけですよ。ですから、そういう点におきまして、もっと科学者なり研究者の能力を投入する必要があろうかと思うのです。そういうことになってきますと、予算面あるいはそういう研究体制等におきましてもまだまだ弱体でございますし、トップクラスがただ頭の中で考える、そういう中で出てくる予算であり体制であってはならぬと思うのですね。ですから、その点根本的に、エネルギー庁が中心になって——あなた自身、何か協力する、応援するというような感じの発言が多かったわけですが、少なくともエネルギー庁というものがあるわけですし、長官なんですから、あなたが中心になる、そういう気持ちでひとつ積極的に進めていただきたいと思うのです。  これはひとつ渡部先生から同じことについてちょっと決意をお伺いしたいと思います。
  132. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 ただいま近江先生のおっしゃるとおり、人間社会が未来に向かって生きていくためには、石油の時代というものの先行きは大体だれもが常識的に考えられておるのですから、次にこれにかわるべき新エネルギーの開発こそが、人間社会が未来に生きていけるか、発展していけるかの最大の課題でありますから、これはいま御指摘のとおり予算面等、私どもも決して十分なものでないと思っておりますが、御指摘いただいたとおり私どもはこの問題に対してこれから全力を尽くしてがんばってまいりたいと思います。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、四月七日からパリでエネルギー問題に関する国際準備会議が開かれるということを聞いておるわけですが、会議の性格、主要な議題、わが国の基本方針などにつきまして長官からお伺いしたいと思います。
  134. 増田実

    増田政府委員 四月七日に産油国と消費国の会議の準備会合が開かれることになっておりますが、この準備会議で議題になりますのは、この後に本会議が開かれるに当たりましてその準備をするわけでございまして、本会議における議題それから参加国、その他を決めるということの話し合いでございます。この議題につきましても、IEAの方いわゆる消費国側はできるだけ石油を中心にして産油国と十分話し合いをしたい、こういうふうに希望しておるわけでざいますが、三月の初めのアルジェの会議でいわゆるOPEC諸国の首脳が集まったわけでございますが、その後の発表によりますと、石油だけに限定しないでいわゆる一次産品全般について、それからさらに国際金融の問題も含めて幅広く産油国と消費国とが話し合いすべきだということになっております。そうなりますと、本会議におきます議題をどういうようにするかということについてここで話し合いが行われるわけでございます。それから、参加国につきましてもできるだけ広くしたいというのが産油国の方の希望でございます。ただ、これが余り多人数になりますと何もまとまらないということで、今後のエネルギーの問題を対話によって解決していく、このためにはメンバーをできるだけ限定した方がいいのではないかというのが消費国の意見でございます。そういうことで、いろいろ準備とは申しますが、今後の本格的な会議が開かれるに当たりましての実質的な問題もここでおぜん立てができるということでございますので、私どももこの会議は重要視いたしておるわけでございます。幸いにしまして、ようやく産油国と消費国が一緒に集まりまして対話をできるという機運が両方から醸成されてきておるわけでございまして、これが本会議に移り、そしてそこでこのエネルギー問題が協調のもとにいろいろ解決していくということを大いに期待しているわけでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 これまでエネルギーに関する幾つかの国際会議というものが開かれておるわけですが、新聞報道等で伝えられる情報によりますと、わが国の基本姿勢というものは余り明確とは言えないように思われるわけであります。わが国は資源に乏しい中で大消費国であるわけであります。困難な場面が非常に多いとは思うわけですが、明確な基本姿勢というものを持って、そして臨機応変に対処していくということが非常に大事じゃないかと思うのです。この点につきまして、長官からお伺いしたいと思います。
  136. 増田実

    増田政府委員 ただいま近江先生のおっしゃられたとおりだと私どもも思っております。国際会議がエネルギーの問題についていろいろ開かれておりますが、日本は世界におきましても大量のエネルギーの消費国であります。その意味では日本の考え方というものが非常に大きな影響を及ぼすべき立場にあるわけでございます。また、日本の立場といたしましては、エネルギーは海外に非常に大きく依存しておりますから、その意味では海外のエネルギーの生産国、ことに産油国との間の協調というものを重要視しなければならぬ、これを対決とか敵対的に産油国との間の関係を持つということは、日本にとってはむしろマイナスだというふうに考えております。そういう意味で、こういう国際会議におきまして、産油国あるいは資源保有国、それからその大量消費国である日本を含めます消費国が、協調の精神でこのエネルギー問題を解決するということができるように持っていきたい、こういうふうに考えております。その意味で、日本としても、日本の立場に立って、しかも産油国との協調を達成するということで、大いに発言すべきだと思いますし、またその会議によって、やり方によっては大きな成果が上がることを期待しております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題も非常に抽象論を出ておらないように思いますが、それくらいしか言えないんじゃないかと思うわけです。しかし、こういう問題につきましては、政府の責任者の皆さん方ですから、常に十分討議をし——その場面になってからばたばたあわてる、常にそういう姿勢が見られるわけですね。そういう点で十分なそういう心構え、また基本姿勢というものを固めておいてもらいたい、このように思うわけです。  それから、海外石油資源探鉱開発事業につきましてお伺いしたいと思いますが、現在わが国海外開発企業は、三十五社が四十二プロジェクトにつきまして、いわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニー形態で活躍しまして、聞くところではかなりの成果を上げておられるようであります。わが国のような大消費国がグローバルな意味で新規油田開発に寄与すべきことは言うまでもないわけですが、中東地域では昨年来事業参加比率が拡大し、六〇%くらいということを聞いているわけですが、そのように国有化の動きが目覚ましく進展しておるように聞いておるわけであります。今後この産油国みずからの探鉱開発事業も増加するなど、利権供与方式も変化してくると思うわけですが、どういう見通しに立っておられますか。
  138. 増田実

    増田政府委員 中東におきましていわゆるパーティシペーション、企業参加が相当な勢いで進んでおるわけであります。これは一九七二年の暮れにできましたリヤド協定では、その翌年、一九七三年は二五%の経営参加を行い、十年後には五一%に達するということであったわけでございますが、中東戦争を契機といたしまして、その速度が非常に速まっておるわけでございます。現在六〇%の経営参加というのがクウェートを初めとして各国で行われております。さらに、サウジアラビアは、昨年のたしか六月からであったかと思いますが、アラムコと交渉いたしまして、一〇〇%の経営参加ということで、現在その交渉が行われている途中でございます。そういう意味ではいわゆる産油国の経営参加というものが非常な勢いで進み、またこのアラムコの一〇〇%が達成されますと、ほかの国でもおそらく一〇〇%経営参加というものが行われるということが予想されておるわけでございます。ただ、パーティシペーションと申しましても実際にはやはり従来石油探鉱開発を行っている会社の技術あるいは資本力に相当負わなければならない点がありますので、一〇〇%取り上げて、あと追い出すという非常な敵対関係のもとに行われるといいますよりも、やはり資源ナショナリズムの立場で一〇〇%の経営権を握る、しかしながら従来からやっていたものに対しましては、その技術を引き続き活用し、またその製品についても従来の販路を相当尊重する、こういう形で行われております。今後の石油開発につきましては、従来のような、利権を取得して、そして利権を取得した会社がその産油国で掘って、そして自分の決定でそれを売ってしまうという形から、やはり産油国の経営権支配に移っていくということが世界の大勢だと私どもも思っております。そういう中におきまして、そういう世界の大勢に応じて今後の石油開発という事業が進められていかなければならない、それに合わせて、今後石油開発公団もそういう世界の情勢に合った方針で石油開発を進めて、そして日本石油安定供給確保を図る、こういうふうな形で今後の石油政策を進めていきたいと思っております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 この石油探鉱開発事業というものは非常にリスキーな事業であるということを聞いているわけでありますが、非常に巨額な資金、優秀な技術力も兼ね備えなければ、これはできないわけであります。わが国ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式は、資金、技術力も分散させ、今後の新規利権に対して即応することが非常に困難なことが多いということも聞いておるわけですが、統括会社に対する期待が増加するのではないか、このように思うわけです。この現行の開発企業体制の再編成、統括会社の強化という点につきましてどのようにお考えですか。
  140. 増田実

    増田政府委員 従来の石油開発が、ただいま先生からおっしゃられましたように、非常に分割されておると申しますか、ワンプロジェクト・ワンカンパニーという形でそれぞれが一つのプロジェクトに取り組むという形であったわけです。これにつきまして、それでは資本力としても弱いし、また技術力としても弱いということで、ことに資本力の面をカバーいたしますために総合的ないわゆる統括会社というものが幾つか発足いたしております。現在その数が八つに達しておるわけでございますが、この統括会社は、資金力を集める、その意味では非常に意味のある形でございますが、ただ現在の統括会社を見ていますと、必ずしも技術陣が充実していない、また石油開発に対する知識、経験の蓄積も足りないという点で、まだ今後この統括会社の整備をさらに進める必要があると思います。こういう点を補いますために、たとえば昨年、三井石油開発という統括会社が帝国石油業務提携をいたしたわけでございますが、これも三井石油開発の方の資金力、それから帝国石油の方の技術力あるいは経験というものを両方生かす業務提携というものが行われたわけでございまして、私どもも、この統括会社資金面だけを考えないで、その技術力の拡充をして、そして今後の石油開発の最先端に立って、日本石油確保に努めるということを大いに期待しておるわけでございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう方向ということになってきますと、現在、その企業ごとのいわゆるリスキーに対するカバーということに機能としてなっておるように聞いておるわけですが、公団からの融資というものは、現在は成功払い方式で企業が対象になっているわけですね。そうなってきますと、幾つかのプロジェクトを抱え、そしてそれをやっていく、そうなりますと、成功するのもあれば失敗するのもあるわけですが、一つでも成功すると返済義務というものが生じてくる。そこで、いろいろな意見があるわけですが、プロジェクト別の成功払い方式にしてもらえないかというような声もあるのですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  142. 増田実

    増田政府委員 いま先生からお話のありましたプロジェクト別成功払いというのが、現在、石油開発公団業務のやり方に関しまして非常に大きな問題点として取り上げられております。  従来はこの成功払いが、いわゆる会社別の成功払い制度であったわけでございますから、たとえば二つのプロジェクトを抱えている一つの会社がある。それで、片一方のプロジェクトは不幸にして成功しなかった。公団からそれに対して相当な融資を受けているということになりますと、もう一つのプロジェクトが生きている限りは、これは成功払いという、つまり失敗した場合に返済しないでいいというものがきいてこないわけでございます。その理由もありまして、日本石油開発というものがワンプロジェクト・ワンカンパニーということでないといまのような成功払い制度がきいてこないという点があるわけでございます。私どももやはり石油開発の重要性から言いまして、今後の石油開発公団業務方法の改正点といたしましては、先生が御指摘になりましたプロジェクト別成功払いへの切りかえということを考えております。これはすでにドイツにおきましては完全にプロジェクト別成功払いになっております。そういう意味から言いましても、日本における石油開発公団融資方法につきまして、プロジェクト別成功払いに切りかえるということについて、今後の新しい方向として私どもはこれを推進していきたいと思っています。ただ、これにつきましては相当いろいろ問題点もございますので、現在も関係省、ことに大蔵省との間にいろいろその詰めをやっておるという段階でございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは今後の問題点であろうかと思いますし、私たちとしても、その方向がいいとも悪いともまだ決めかねておりますので、政府でもひとつ十分検討してもらいたいと思います。私たちも研究したいと思います。  今回の法改正によりまして、公団が直接利権を取得する機能を持つことになるわけですが、この取得した利権はその後開発企業に譲渡することになっておるわけですが、五十年度から公団物理探鉱解析部門が強化されるということも聞いておりますし、公団が直接、初期段階探鉱事業を実施してもいいように思うわけですが、この点につきましてはどのようにお考えですか。
  144. 増田実

    増田政府委員 公団がみずから利権を取得して、その後直ちに企業に譲り渡さないで、みずから探鉱していくということにつきましてどう考えるかという御質問でございますが、私どもが現在考えておりますのは、公団がみずから探鉱事業まで行うのは、現段階ではまだ時期尚早ではないか、こういうふうに思っております。やはり公団は相当な技術者も持っておりますし、またそのレベルも相当上がってきておるわけでございますが、しかしもし実際に海外におきまして探鉱事業まで行うということになりますと、相当大人数の技術者海外に出さなければなりませんし、また相当な期間そこで張りつけになってしまうということでございますので、現在の公団技術陣それから人数その他から言いまして、現段階では探鉱をみずから行うということは時期尚早だと思っておりますが、将来さらにこれを検討の課題にし、またそれにあわせた人員の強化に努めるということについては、私どもも考えていきたいと思っております。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 中東地域からの原油輸入のあり方についてお聞きしたいと思いますが、わが国の輸入原油は、今後とも中東地域にその過半を依存しなければならないわけですが、最近の事業参加、国有化の激しい進展から見ますと、今後は産油国のいわゆるDD原油が増加してくると思われるわけです。現在わが国はイラクとのみこの取引があるということを聞いておりますが、その取引体制はどうなっておるかという点、もう一つは、今後のDD原油の見通しはどうかという点、まずこの二点についてお聞きしたいと思います。
  146. 増田実

    増田政府委員 イラクの原油の引き取り体制でございますが、これにつきましては、去年の一月に一応政府間の取り決めができまして、その後この引き取り体制をどうするかということでいろいろ検討が行われたわけでございますが、現在行っておりますのは、これの購入希望会社六社が共同しまして、そして引き取りの交渉を行う、こういうことでやっております。購入数量あるいは価格その他につきまして、この六社がばらばらでなくて共同してイラク政府と交渉するということでやっております。もちろんそのおぜん立てその他につきましては、これは政府間取り決めに基づく交渉でございますので、大使館及び通産省、資源エネルギー庁がその全部のおぜん立てをいたしまして、そして企業が共同して引き取る、こういう形になっております。  それから、イラク以外のDD原油でございますが、これは個別の商社がDD分を産油国と契約いたしまして引き取っている分がございます。まだ数量はそれほど多くはなっておりません。それから、いわゆる中国石油が、これは直接政府機関から買い取るということで、いわゆるDDの範疇に入るわけでございますが、これは昨年約四百万トンの引き取りになっておりますし、本年におきましては、これが約倍増するということが期待されております。  それから、中近東におきましては、今後やはりDD、直接取引というものが年を追って相当ふえていくということは間違いない趨勢だと私どもは考えております。  DD原油の引き取りにつきましての体制その他につきましても、今後いろいろ検討課題ということになっておるわけでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう方向でありますと、これは非常に重要な問題だと私は思いますし、その点政府として、六社共同でやらしておるとかいろいろありますが、はっきりした線じゃないように思うのですね。そういう体制のないところにそういう話が来て、とりあえずというような感じがするわけです。ですから、これは非常に大きい課題だと思いますし、十分体制を整えるようにしてもらいたいと思うのです。  それから、一昨年の石油危機当時、政府は急遽中東経済外交を展開したわけです。あの当時、私たちも情けなく思ったのですが、実際政府でアラビア語をしゃべれる人もわずかしかおらない、一体何を食べているのだろうかとか、そういう現地の事情もほとんどわかっていない、そういうことであたふたと政府首脳陣を派遣するというみっともない姿勢を世界にさらけ出したわけですね。これは十分反省をしてもらいたいと思うのです。三木総理が、当時副総理だったと思いますが、特使としてサウジアラビア、クウェート、エジプト、シリア、カタールに行かれて、中曽根通産大臣がイラン、イラク、小坂特使がヨルダン、北イエメンなどとの間に経済技術協力の約束をしてこられたということを聞いておるのですが、その後の実施状況についてはどうなっておりますか。
  148. 増田実

    増田政府委員 一昨年暮れから昨年の初めにかけまして、政府の代表として三木副総理あるいは中曽根通産大臣、小坂特使が行かれたわけでございますが、このときに各国の政府といろいろな話し合いが行われ、また今後の経済協力につきまして相当大きな申し入れも行われたわけでございますが、これがその後どうなっているか、ことにその約束が守られないで、非常にこれらの産油国が失望しているのではないかという点のお尋ねだと思いますが、このときに政府間でできることを約束しておりますものは、最後にサウジとの間の技術協力協定が残ったわけですが、これも先般決まりましたので、政府独自でできるものにつきましては、全部実行済みになっておるわけでございます。ただ、問題は、たとえば相当大きな経済協力で、製油所をつくるとかあるいは製鉄所の建設について協力していきたいということにつきましては、その後相手国との間に条件とかいろいろなものの詰めが行われておりますが、正直に申し上げまして、なかなかそれが進展していないというのが実情でございます。そのために産油国の不満も一部生じているということも否定できない事実でございますが、ただこれらにつきましては、日本側が苦しいときだけいいことを言って、そして後これらの約束をほごにしているということではございませんで、その後も繰り返し繰り返し、条件とかいろいろな交渉が行われているわけでございます。ただ、まだ現在に至るまでそう大きな成果を上げていないということは、先ほど申し上げましたように事実でございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官もおっしゃったわけですが、一たん事が起きますと、急激に問題解決に取り組むわけですけれども、のど元過ぎれば熱さ忘れるということがありますが、熱が冷めると事後処理につきましては熱心にしないという、従来からわが国政府にはそういう態度があったように思うのです。やはり何といいましてもふだんの誠実なそういう行為こそ友好関係維持には非常に重要なことであると思うのです。そういう点で、相手国のこともありますし、むずかしい問題もあろうかと思いますが、この約束履行という点につきましては、最大の努力を払う必要があろうかと思うのです。この点は強く要請しておきたいと思います。  それから、石油備蓄問題につきまして、今後予定されております共同備蓄会社の具体的構想はどういうようになるのか、またスムーズに設立される見通しがあるのかどうか、この点につきましてお伺いしたいと思います。
  150. 増田実

    増田政府委員 石油備蓄の増強のための考え方といたしまして、昭和五十年度を初年度といたしまして、昭和五十四年度には現在の六十日を九十日にする、その方法、手段といたしましては、石油会社にできるだけ備蓄を進めてもらう、そのためのタンク建設、土地の取得その他につきましても国ができるだけ助成をする、こういう考えになっておりますが、ただ現在、土地の取得についてはいろいろ困難な事情もありますし、またむしろ半官半民のいわゆる第三セクターという形で共同備蓄会社をつくりまして、これが備蓄の一翼を担うという形の構想がこの九十日備蓄構想の中に織り込まれておるわけでございます。  それで、六十日から九十日にするその三十日分の四分の一ぐらいはいまの共同備蓄会社で持っていきたいというふうに考えておりますが、先生お尋ねのどこの地点に具体的に共同備蓄会社を考えておるかということにつきましては、現在のところまだ何も決まっておりません。いろいろ共同備蓄会社を設置する候補地として私ども頭の中で考えている土地もございますが、これらにつきましては、まだ何ら結論が出ておりません。今後備蓄会社につきまして、もっとはっきりした構想を出しまして、その上で土地の選定を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 この備蓄構想進展のか夢は、何といいましても安全対策の確立にあろうというように思うわけです。水島の事故等を見ましても、これは非常に大変な問題でございますし、現在あるタンクにおきましても、不等沈下を初め次々と問題の発生が考えられるわけです。そういう点で非常に心配な点が多々あるわけでございます。この備蓄タンクは、現在自治省を中心として検討されております総合防災対策の中で考えておられるのか、あるいは別途考えることになるのか、この点についてはどうですか。
  152. 増田実

    増田政府委員 今後備蓄を進めます上におきまして最も大事な点は、やはり防災、保安の問題だと私どもも考えております。この保安の体制をいかにするか、防災の体制をいかにするかということにつきましては、先生御存じのように、自治省が中心になりまして各省集まって、現在防災体制、保安体制について検討中でございます。まだその結論が出ておりませんが、私どもはその結論が出たものを背景にいたしまして今後の備蓄を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 あれだけの大事故があったわけでありますし、瀬戸内海の浄化対策についても政府は考えておると思いますが、なかなかこれはむずかしい問題です。こういうことを二度と繰り返してはなりませんし、そういう点で、この石油開発公団法も大いに関連があるわけです。ですから、いま自治省を中心に進めておると言いますけれども、国会は五月二十五日で終わりですよ。少なくとももうそれだけの形を示すべきだと思うのですね。いつまで話し合いをするかということですよ。そういう片手落ちでは、政府としてはまた大変な事態が起きますよ。その辺は自治省を中心ということを言っておりますが、自治省が中心というよりも、エネルギー庁が、通産省が中心になって、一日も早くその法案を国会に出すようにしなければいかぬと思うのですよ。その辺につきまして、ひとつ長官と政務次官からお伺いしたいと思います。
  154. 増田実

    増田政府委員 この保安、防災の問題につきましては、むしろ通産省が表に立ってやるべきだということは、私どももそういう気持ちでおります。それから、先ほど自治省が中心になってと申しましたのは、一応総理の指示で自治省にみんなが集まって、自治省が幹事役になってやるということでございまして、その責任の分担につきましては、これはまた別途の問題だと私どもも考えています。ただ、この新しいコンビナート法あるいは防災、保安の体制につきましては、現在各省でいろいろ討議が行われておりますので、その中途の段階で、こういう形で私どもやっていきたいということを申し上げるのはまだ時期尚早でございますので、先ほどのような表現をいたしたわけでございますが、いずれにしましても、今後備蓄を進めるに当たりましては、この保安、防災の問題につきまして十全な措置をし、それから水島の事故のようなことが絶対繰り返されないような措置をした上で備蓄を進めたい、こういうふうに考えております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 政務次官がお答えになる前に、もう一度長官にお伺いしますが、間違いなく今国会にこの法案をお出しになりますか。それはもう大変な、重要な問題であります。抽象論では済まぬ問題です。
  156. 増田実

    増田政府委員 コンビナート法につきましては、現在各省が毎日集まって、そしてできるだけ早く出すように努力いたしておるわけでございます。そういう努力をいたしておるということでお答え申し上げたいと思います。
  157. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 近江先生から御指摘のとおりに、私どもも見ておりますと、通産省だけでその機能を十分発揮できる問題ですと、これは迅速にできるのでありますが、これがいま御指摘のとおりに安全、防災等の責任は消防庁であるとか、あるいはエネルギーの供給確保についての責任は通産省であるとか、いろいろ役所のそれぞれの責任分野があります。国民の皆さんから見れば、あれは自治省の方の責任だとか、これは通産省の方の責任だとか言ってみたところで、政府全体が国民の皆さんには責任を負わなくちゃならないのですから、役所の行政の分野がどっちにあるとかいうことは、国民の皆さんに対する言いわけにはなりにくいのでありますが、実際の行政をやっておりますと、私どももその行政のそれぞれのなわ張りのために大事な問題について十分に機能を迅速に発揮できないというようなことが当面する問題になっておりますから、そういう意味で、総理からの指示があって、いま各省間で緊密な連絡をとって、なわ張りを超越して有機的に機能が発揮できるようにということでやっておるわけでありますが、これが通産省だけで提案する法律ということであれば、いま近江委員の御質問に対してタイムリミットをつけた回答ができるのでありますが、これはどうしてもそれぞれの役所の同意を得てやる問題でありますので、いま私どもの立場で今国会中に必ず提出するというような表現が容易でないことは御推量をいただかなければならないと思いますが、いま長官も答弁したとおりに、これはきわめて重要な、しかも迅速を要する問題でありますから、できるだけ早く提出するように最大限の努力をいたしたいと存じます。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは三木総理も早期提出を命じておられるわけですね。大体三木総理は、独禁法の改正にしましても、当初三月中旬に出す、それがいまでは四月中旬になろう、すべてそういう方向に来ておるわけですね。これでは公約ばかりで何の実行もない。ましてや水島であれだけの大事故を起こしておるわけですね。これはやはり国民に対する責任を本当に負ってもらわなければならない。ですから、気持ちはわかるわけです。政務次官も通産省一省で出せないから努力したいということをおっしゃっておるわけですが、これはいずれにしましても最大の問題ですよ。独禁法も大事だし、これも大事です。ですから、われわれとしましては、今国会に必ず提出するようにしてもらいたいと思うのです。  きょうは大臣おられませんし、これ以上の答弁は出ないと思いますから、重ねませんけれども、これはひとつお帰りになって、早速大臣に言ってもらって、閣議で、本日の商工委員会でそういう強烈な話があった、今後の政府の動き、態度を見ておりまして——これは大問題にまた発展しますよ。それはぜひとも閣議に早くかけて、早期提出のできるように努力していただきたいと思うのです。それをひとつ重ねて申し上げておきますから、そのようにしていただけますか。
  159. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 ただいまの御意見、まことにこれは当然のことでありますので、できるだけ御趣旨に沿うように、早速、先生のただいまの御意見を率直に大臣に伝えたいと思いますし、また私どももそれぞれの立場で御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、各社が検討してきました備蓄基地につきまして、われわれの聞いておりますのは、三菱が志布志湾、三井が周防灘、関西電力等が四国の橘湾、出光が苫小牧、それから三菱、丸善が沖繩の金武湾ですか、それから東亜燃料が奄美大島、大協が五島というように多くの計画があったように聞いておるわけですが、今後の候補地点というものは、この中から検討されるのか、全く新規に検討することになるのか、その場合どういう地域が考えられるのか、これにつきまして長官からお伺いしたいと思います。
  161. 増田実

    増田政府委員 今後の備蓄基地の候補地を、各企業で、あるいは共同してどこに定めるかということにつきましては、私どももいろいろ個別的には話を聞いておりますが、現在まで新しい基地で、ここでやるということの決定されておるものはございません。また、先ほども近江先生に御答弁申し上げたのですが、共同備蓄会社の設置予定地というものについては、まだ何ら進んでおらないというのが実態でございます。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 九十日備蓄を実現するためには、今後五年間で一兆五千億程度資金が必要じゃないかということをお聞きしておるわけですが、もしもこれを計画どおり進めるということになってきますと、この財源対策のめどというものについては、どのようにお考えですか。
  163. 増田実

    増田政府委員 五十年度の予算につきましては、これは初年度でございますので、それほどの金額がないわけでございますが、これはやはり年がたつとともに相当な金額になるわけでございます。  それで、五十年度の予算につきましては、一応、石炭石油特別会計から財源手当てをいたし、後は財政投融資の枠から融資資金を出しておるわけでございますが、今後の相当大きなこの備蓄対策のための金額についての財源措置は、これは何らかの手を打たなければ、石炭石油特別会計の中だけでは賄い切れないのではないかと私どは思っております。そういう意味で、今後の財源措置についてはいろいろ考えていきたいと思っております。去年、消費税という形で、私ども大蔵省といろいろ交渉いたしたわけでございますが、初年度の所要資金がそれほど大きくないということで、こういう形でまとめたわけでございますが、今後につきましては、やはり財源問題というものをいろいろ検討していかなければならないというふうに考えております。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、時間も来ておりますので、特に先ほどのコンビナート法案の成否等の重要な問題もございますし、きょうは大臣ももうおられませんので留保しまして、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。      ————◇—————
  165. 山村新治郎

    山村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、明二十六日午後二時より参考人出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会