○河本国務
大臣 石油開発公団法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明いたします。
一昨年の
石油危機以来、世界の
石油情勢はきわめて不安定な様相を示しており、わが国国民経済の円滑な運営を図るため、従前にも増して
石油の安定供給の
確保が重大かつ緊急の課題となっております。
この
石油の安定供給の
確保を図るためには、まずわが国
企業による
石油開発の推進を図り、これとともに
石油備蓄の増強を行うことが必要であります。
政府といたしましては、創立以来七年余にわたり、
海外における
石油開発の推進母体として活動してまいりました
石油開発公団の役割りの重要性にかんがみ、来年度におきまして、
石油開発公団の投融資規模の大幅な拡大と
石油開発
関係業務の拡充を図ることとし、また、これに加えて、来年度からの九十日備蓄増強計画の実施に伴い、
石油開発公団が新たに備蓄増強に必要な資金の出資及び融資の業務を行うこととした次第であります。
今回の
石油開発公団法の一部を改正する
法律案は、以上のような
趣旨のもとに、
石油開発公団の業務の拡充を図ることを目的とするものでありますが、その要旨は次のとおりであります。
第一に、
海外における
石油等の探鉱をする権利その他これに類する権利を、民間
企業への譲渡を目的として取得する業務を追加することであります。
これは、近年の世界的な
石油利権
競争の激化にかんがみ、交渉力、
技術力、情報収集力にすぐれ、知名度の高い
石油開発公団が交渉の当時者となって、直接に利権を取得することにより、円滑な
石油開発の促進を図ることを目的としたものであります。
第二に、産油国国営
石油会社が行う探鉱、採取等に必要な資金を供給するための資金の貸付業務を追加することであります。
これは、近年産油国が資源主権の見地から有望鉱区を自国のために留保し、国営
石油会社の手で自主開発することが多くなっていることにかんがみ、
石油の供給等を見返りとする産油国への直接融資を
石油開発公団が行うことにより、
石油の安定的供給の
確保を図ることを目的としたものであります。
第三に、わが国領海及び周辺大陸だなにおける探鉱を、
石油開発公団の投融資の
対象とすることであります。
これは、わが国周辺大陸だなが最も安定的な
石油・可燃性天然
ガスの供給源であることにかんがみ、その開発促進を図ることを目的としたものであります。
第四に、
石油開発公団の業務の
対象である「
石油等」の範囲に、オイルサンド及びオイルシェールを含ましめることであります。
これは、オイルサンド及びオイルシェールが
石油をしのぐ埋蔵量を持つ
石油系未利用資源として注目を浴びていることにかんがみ、わが国としても、このような資源の開発への参画を図ることを目的としたものであります。
第五に、共同備蓄
会社の行う備蓄
事業に必要な資金の出資及び貸し付けの業務を追加することであります。
これは、資金面、用地面において困難が多い
石油備蓄の増強について、
石油企業の共同備蓄
事業に対する助成を行うことにより、これを強力に推進することを目的としたものであります。
なお、このほか、以上申し上げました業務の拡充に伴い、
石油開発公団法の目的の改正、役員の増員等所要の改正を行うこととしております。
以上、この
法律案の
提出の理由及びその要旨を御
説明申し上げました。
何とぞ、慎重御
審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
中小企業近代化促進法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
現行の
中小企業近代化促進法は、昭和三十八年の制定以来中小
企業の近代化に大きな成果を挙げてまいりました。しかしながら、最近の中小
企業をめぐる内外の
環境は、大きく変化しております。
第一に、我が国経済が、
高度成長から安定成長経済へ移ろうとしていることであります。
このため、
組織化等による経営規模の拡大、近代化設備の導入等の従来の近代化施策に加えて、
技術の向上、新商品の開発に重点を置く施策が必要となってきております。
特に、需給構造の変化に直面している
産業にあっては、新商品の開発による新たな
事業分野への展開が望まれるわけであります。
第二に、国民のニーズの多様化、福祉型社会への移行に伴い、中小
企業に要請される課題が
環境の保全、国民の健康の維持増進、資源の節約・再生利用、製品の安全
対策等、きわめて多様化しつつあることであります。
以上のような中小
企業をめぐる
環境の変化に対応して、中小
企業の今後の近代化の
方向を明らかにし、これに即応する施策を強力に展開していくことは、現下の急務となっております。
このため必要な制度を整備することとし、この
法律案を提案いたした次第であります。
次に、この
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一は、近代化施策の
対象となる業種の指定要件を拡大し、国民生活の安定向上の
観点から、国民生活との関連性が高い物品または役務を供給する業種についても、その
対象に加えることができるようにいたします。
第二は、中小
企業近代化計画の計画事項として、新たに
従業員の福祉の向上、消費者の利益の増進等を加え、その充実を図ることといたします。
第三は、従来の個々の業種内での構造改善
事業に加え、関連
事業者との
協調による構造改善
事業についても助成を行うこととし、より総合的な構造改善を積極的に推進することといたします。
第四は、需給構造の変化に対処するため、新商品の開発等により従前の
事業から新たな
事業の分野へ進出しようとする新分野進出計画を承認する制度を設け、これを積極的に助成することといたします。
以上のほか、これらの新たな制度に伴う税制、金融上の助成
措置に関する所要の規定の整備等を行うことといたします。
以上が、この
法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重に御
審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。