○矢野
政府委員 まず、最初にお尋ねのございました現在の隔膜転換の進捗
状況がどうかということでございます。これは御承知のとおり、四十八年に先ほど御指摘のとおりの方針が
政府の決定として示されておりまして、三分の二というのを厳密に申しますと六四・六%というのが実際の
内容でございます。五十三年三月末には一〇〇%全部隔膜法に転換するということでございます。
ところで、いまおっしゃいましたようにいろいろと
問題点があるというふうなこともございまして、私どもの方で昨年の十月二十日から二十九日までに、一年後の九月目標にどういう展開をするかということで実は
調査をしたわけでございます。
その結果によりますと、六四・六%の達成見込みに対しまして、四六・八%ではないかというような見方が出たわけでございます。したがって、私どもとしてはあと一年の間にこういった見通しがずれることのないようにということで、現在鋭意指導をしているわけでございます。
指導の
内容といたしましては、
一つにはいわゆる水銀法が隔膜にかわることによりましてボイラーの設置ということが行われます。そのためにNOxとかSOxの公害防止協定が非常におくれているというような点がございましたので、これは通産局を通じまして県及び市にこれを促進するようにということを呼びかけたわけでございます。
それから
一つには、資金の問題がございまして、資材の高騰等、先生も御指摘ございましたが、開銀資金というものが非常に不足にならぬか、それから同時に、これと対応いたします民間
金融機関の資金が非常にむずかしい、こういうことがございました。したがって、開銀につきましては別途今回の予算におきまして補正という
措置も講じまして心配のないようにしたわけでございます。それから、民間
金融につきましては、この総
需要抑制の中で窓口規制が厳しいわけでございますが、日銀に対しまして、こういう点におきます弾力的運用ということを要請しているわけでございます。
その他、小さく申しますと、機械の購入がおくれているとかいうようなこともございます。そういう点につきましては、私どもの方から機械情報
産業局を通じましていわゆる機械メーカーに対して納期の促進をお願いする、こういうようなことを続けてまいっておりまして、この経過は、いま私どもの方は、ちょうど半年前になります四月末にもう一度そのトレースをいたしまして、目標のほぼ三分の二というところに近づける努力をいたしたいと思います。
それからなお、現在の
生産能力の面で一体水銀法がどういうふうな位置にあるかということでございますが、ことしの一月末におきましては、全体の能力三百八十三万トンの中で水銀法が三百五十万トンでございました。ほぼ九〇%でございます。したがって、いわゆる非水銀法が一割
程度ということでございますが、現在の当初
計画では、これを先ほど申し上げました九月までに非水銀法を六四・六にする。いまの推定でいきますと四六・八でございますが、このギャップをこの九月までの間に大いに埋めていく、こういう努力をいたしたいと思います。
それから、第二番目にお話のございましたいろいろ
調査団の問題あるいは品質の問題というふうなこともございましたけれども、私どもの方も非常に一時心配いたしましたのは、十一月の末に化繊協会の方で隔膜法
製品の試作と申しますか試供品を検査をいたしまして、一体化繊に向くかどうかということを研究したわけでございます。ところが、その
報告によりますと、いわばレーヨンのフィラメントについては、長
繊維でございますが、これは非常に食塩分が多いし、鉄分が多いということで向かないというような話がございました。私どもの方は一月の十三日と思いますが、化繊協会の
理事長を招致しましてその実情も聞いたわけでございますが、その場合には非常に品質の改良がないと今後水銀法の苛性でないと使えないのじゃないか、そういうことがはっきりするなら、むしろ延ばすなり何らかの
措置を
考えてくれというようなお話がございました。私どもとしても、せっかく
繊維の中で最後の国際競争力を持っております化繊が崩れてしまうということは、
繊維業界全体に対して非常に大きい
影響を与えるということで苦慮しておったわけでございますが、二月になりまして、いわばイオン交換膜の開発が相当進んでまいりました。現在
企業化に入りますのが旭化成でございますが、その他東洋曹達、徳山曹達あるいは丸善石油といったところがなおこの開発を続けておる。そういう点で私どももこのイオン交換膜の技術革新、これは相当確度が高いんじゃないかということを私どもの研究所、試験所の
調査も含めまして現在判断しておりますので、現在のところでは私は五十三年末までに一〇〇%の転換ができるものというふうに現在
考えております。そういう点では愁眉を開いているところでございます。ただ、これを後退させる方針かどうかというような行政指導の方針につきましては
大臣からお答えをしていただくことが正しいと思いますので、事情を御説明いたしました。