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1975-02-18 第75回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十八日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長代理理事 田中 六助君   理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 森下 元晴君    理事 佐野  進君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    内田 常雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       八田 貞義君    深谷 隆司君       前田治一郎君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    上坂  昇君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         通商産業省通商         政策局長    橋本 利一君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         中小企業庁小規         模企業部長   藤原 一郎君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     清水  汪君         厚生省社会局更         生課長     井手精一郎君         労働省職業安定         局雇用政策課長 小粥 義朗君         消防庁予防課長 永瀬  章君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   野間 友一君     平田 藤吉君   松尾 信人君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     松尾 信人君 同月十八日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     野間 友一君     ————————————— 二月十七日  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第三二号)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)(予) 同月十五日  中小業者の経営安定に関する請願(佐野進君紹  介)(第五三八号)  同(安井吉典紹介)(第五三九号)  外国産絹織物及び絹製品輸入規制に関する請  願(唐沢俊二郎紹介)(第五四〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第五四一号)  同(小坂善太郎紹介)(第五四二号)  同(小川平二紹介)(第六二一号)  同(小沢貞孝紹介)(第六二二号)  同(吉川久衛紹介)(第六二三号)  同(羽田孜紹介)(第六二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件      ————◇—————
  2. 田中六助

    田中(六)委員長代理 これより会議を開きます。  松岡委員長は、病気療養のため、しばらくの間委員会に出席できませんので、この間、私がその指名により委員長の職務を行います。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件について調査を進めます。  この際、大協石油株式会社四日市製油所灯油タンク炎上事故について増田資源エネルギー庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。増田長官
  3. 増田実

    増田政府委員 大協石油タンク火災につきまして御報告を申し上げます。  このたびの火災事故につきまして、私どもとしてもきわめて遺憾な事故が起こったというふうに思っております。今後こういう事故が再発しないように、あらゆる予防措置について努力いたしていく所存でございます。  まず、事故の概況について申し上げますと、二月十六日午後三時過ぎに、三重県四日市午起海岸に所在いたします大協石油株式会社四日市製油所タンクヤードにありますタンク、百二号タンクと申しますが、これは二万二千キロリットルの容量でございまして、直径が約五十メートル、高さ十二メートル、それから事故当時このタンクの中に入っておりました油は、灯油が約一万二千キロリットルあったわけでございます。このタンクの上部から出火いたしまして炎上し、午後七時四十分ごろ鎮火いたしたわけでございます。この事故では、他のタンクへの延焼はございませんでした。また、海上への油流出あるいは死傷者はございませんでした。なお、このタンクから人家への距離は、一番近い人家で大体五百メートル離れております。  この火災事故原因につきましては、現地消防署等調査されておりますが、まだ原因については究明中でございます。  それから、当面の対策といたしましては、四日市製油所では、出火後直ちに地元消防署に連絡いたしまして、自家消防車及び付近工場あるいは地元消防署消防車鎮火作業に入ったわけでございます。  なお、消防署指示によりまして、当該タンクに入っておりました灯油を他のタンクに移し、また隣接タンクにナフサが入っておりましたが、これも少し離れたタンクに移すという措置を行いまして、ほかのタンクへの延焼を防止するという措置をとったわけでございます。また、工場は全装置を停止いたしたわけでございます。  私ども通産省といたしましてもこの問題を非常に重視いたしまして、この事故発生報告を受けまして直ちに名古屋通産局から公害保安課長外二名を現地に向かわせまして状況の把握に努め、またその他の関係事故防止の指揮をとらしたわけでございます。また、翌日十七日の朝には名古屋通産局大協石油事故対策本部を、これは名古屋通産局長本部長にいたしまして設置いたしまして、この大協石油事故によります各種の影響最小限度にとどめるということで、地元ガス会社への応援供給方策その他の手当てを資源エネルギー庁と連絡をとりつつ行っておるわけでございます。  また、私どもの方も、十六日事故発生後直ちに大協石油責任者に対しまして厳重に今後の取り扱い方また今回の事故につきましての指示その他をいたしたわけでございます。また、こういう事故発生——これは昨年水島のタンク事故というものが起こりまして非常に大きな影響を生じておるわけでございますが、今回引き続いて火災事故が起こったわけでございまして、昨日、石油精製企業の社長を、これは一部代理人たちが入っておりますが、通産省に集めまして、私から今回の事故というものはきわめて遺憾であることを述べ、また今後の対策についての指示をいたしたわけでございます。  なお、この大協石油工場が停止しておりますし、また今回灯油タンク事故であったわけですが、灯油につきましては、大協石油は全国の総生産の中におきますシェアが大体六%ぐらいでございますので、国民生活に非常に重要であります灯油需給につきましては直ちには問題ないと考えております。また、局地的な不足のないように早急な手配をいたしております。都市ガスの原料その他の生産大協石油で行われておりますが、都市ガスについてもこれが停止にならないように付近のほかの製油所の協力をも求めておるわけでございます。  大体以上、経緯、それから私どものとりました措置、それから影響につきまして簡単に申し上げたわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、石油企業におきましてたびたび事故が起こっておることにつきましては私どももきわめて遺憾であると思いますし、またこの原因というものをできるだけ早く究明いたしまして、今後再びこういう事故が起こらないようにあらゆる措置を行うように努力いたしたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  4. 田中六助

    田中(六)委員長代理 質疑の申し出がありますので順次これを許します。佐野進君。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうは通産大臣予算委員会の方へ出ておるということで福田経済企画庁長官においでをいただいておるわけでございますので、最初若干の時間福田さんに御質問申し上げて、あと各関係省庁のそれぞれの責任者から答弁をいただきたいと思います。  福田さんにはこの前この委員会質問をし、さらに予算委員会質問をいたしたのでありますが、いわゆる政治的立場は異にするということで質問を続けてきておるわけでございますけれども、しかし当面するこの困難な経済情勢の中で経済運営を図っておられる福田さんから、総需要抑制策を堅持する、いわゆる枠組みははずさない、しかしその中で起きてくるひずみについては十分きめ細かな対策をとっていくんだと、こういう点について繰り返し説明を受けてきたわけであります。その中で福田総理が御発言になっておるその基本的な問題として、このきめ細かな対策としてはいわゆる財政金融が二本の大きな柱である、その中でいろいろ起きてくる問題についてはさらにきめ細かに対処していくんだという、まあ逐次問題が具体化した形の中で答弁をいただいておるわけであります。  そこで、この前の予算委員会において私が質問申し上げましたその重点というのは、結果的に財政金融ももちろん重要な柱であるが、いま一つ大きな柱として中小企業全般に、あるいは中小企業から大企業を含めて経済界全体としての要請として仕事が欲しい。いわゆる需要を喚起し、総需要抑制の枠内という形の中でいくならば、その枠内という形の中での表現ははずれるけれども仕事が欲しい、こういう点について切実な声が上がっておる。これについては副総理はどう考えるのかという質問を申し上げたわけであります。この質問に対しても副総理の方から、そのときの状況としては仕事についてもできる限り中小企業対策として配慮するんだと、こういうようなお話があったと私は記憶をしておるわけであります。そこで、それに関連して私は、今日の経済情勢の中における総需要抑制を堅持するという副総理のその基本的な考え方の中で、仕事を欲しいと言われる人たちに対してどう仕事を与えていくのか、その仕事を与えるという方向はどういう形の仕事になるのかという点について二、三質問をしてみたいと思うのであります。  その第一は、御承知のとおり総需要抑制の中で景気刺激対策をとるという形の中においては公共事業に対して繰り上げ発注をする、あるいはまたそれに対して予算を投入する、こういうようなことが今日の中小企業対策という形を含めた不況対策として打ち出されておるのでありますが、副総理は、今日の需要を喚起する、いわゆる仕事を与える、こういう形の中での具体的な対策として一体公共事業対策といういままでのパターン、すなわちいままでは不況になる、不況になると、それをよくするために不況を緩和するというか景気対策景気刺激策として公共事業対策を最優先として取り上げてきたわけでありますが、今回もこれと同じような取り組みにおいてきめ細かな不況対策を行わんとされるのかどうか、この点について御質問申し上げたいと思うのであります。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 景気対策としますと、これは東西古今財政金融、こういうことになるのですが、今回も財政金融を両翼としましての景気対策、こういうことを考えておるわけです。  先ほど佐野さんから、仕事が欲しいという声がある。これは私どももよく承知しているのです。その仕事を欲しいという声にこたえる、そういう意味財政金融、これを主軸とした施策を講ずる、こういう考え方なんですが、財政について言いますれば、とにかくこの第四・四半期におきまして一兆四千五百億円の公共事業、これをできる限り消化していこう。これは完全消化という話もありますが、これはとてもできないのです。しかし、大方の消化をしようというふうに考えておりますが、これなんかみんな仕事につながっていくのです。  それから、金融の方、これは一部というか、後ろ向きのものもあります。どうもいままで業容を拡大した、その運転資金が足りないで非常なむずかしいところに来た、あるいは特別な事情で滞貨が非常に多い、そういうことをどうしてくれるかというようなことに対する金融、こういうことになりますと、これは後ろ向きのものになりますが、しかし後ろ向きといえども、この金融をつけるということによって事業活動がそれなかりせば停滞するであろうものがまた進んでいくということにもなりますし、また金融は一部は後ろ向きでありますけれども、また他の部分はこれは前向きです。たとえば住宅を大いに進めるというような意味のものは、これはことごとく前向きの、仕事をつくる、こういうふうにつながっていくわけであります。  そういう財政金融の諸施策を進める過程におきまして、なるべく中小の人にその均てんがいくようにという配慮でやっていくわけでありますが、いま鋭意そういう作業を進めておる、こういう段階でございます。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 私の福田総理にお聞きしたいことは、そのようなお考えは一応お考えとして、現時点の中でいわゆる景気刺激策はとらない、いわゆる総需要抑制策を守るということでありますが、ただ起きてくるひずみに対してはきめ細かな対策をとる、こういう発言に終始されておろうと思うのですね。そういう発言に終始されてきていると思うのです、あらゆる場所で。そこで、そういう状態の中で、あなたの考え方の中で、これからきめ細かな対策として一体何を取り上げてくるかということについていま質問申し上げておるのです。住宅の問題だとかその他おっしゃいました。  そこで、私は質問してみたいと思うのは、いわゆる公共事業という形になりますと、学者の見解はいろいろありますけれども、いままでの場合には景気が冷え込んだ、したがって冷え込んだ景気刺激するためには公共事業投資が一番有効である、いわゆる財投関連といいますか、そういうところに対する刺激が一番簡単である。これは学問的に分析をいたしますと、一の投資に対して四の効果を上げることができる。それほどいわゆる景気刺激にはきわめて即効薬的な効果があるのだ、こういうようなことがいままでの経験であり、そういう形の中で需要落ち込みその他に対するところの一つ対策としてやってきた。ところが、あなたがいま言われますことは、いわゆる石油はもう使えないのだ、限度があるのだ、いわゆるエネルギー限度があるのだ。したがって、高度成長は不可能なんだ。低成長にいかざるを得ないのだ。それがこの方針の中に書いてあるいわゆる五%以下というような形の中における、その成長率四・三%という言葉が適切であるかどうかわかりませんが、そういうような形で成長するのだということになりますと、いわゆるこれから先の景気刺激策というものは、仕事がないという、多くの仕事を求める小規模零細企業あるいは中堅企業を含むあるいは大企業もそうでしょうけれども産業界全体の中においての仕事が欲しいという要求に対して、一体どういう新しい刺激策というか、高度成長にまた過熱するようなことのないような形の中において対策を立てていくのかということが一つの大きな問題になると思うのです。ところが、あなたの発想、いまお聞きしている段階の中における発想であるとすると、やはり同じように住宅もその公共投資というものの一環だと思うのです。前の中曽根大臣のときもそうだと思うのです。景気刺激というか不況対策は何があると言ったら、住宅金融公庫に対する投資ですと、こういうことを言って、いまも公共事業に対する投資、いわゆる枠は広げないけれども一定段階の中におけるところの投資ですという形が常に出てくるわけです。果たしてそれでいいのかどうか。いわゆる安定した状況の中で仕事を確保するという意味の中においてはそれでいいのかどうかということについて、私は多分の疑問を持たざるを得ないと思うのであります。いわゆる新しい状況下における仕事というものがあってしかるべきではないか、こういうぐあいに考えるのでありまするが、この点、いま一つ、抽象的でありますが御答弁をいただきたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま私どもが総需要管理抑制ということを申しておりますのは、二つねらいがあるのです。一つは、いまとにかくあれだけの混乱の後から脱出しようという過程ですね。私ども調整期間と、こういうふうに言っておりますが、その調整期間を経過いたしまして、わが国の経済安定成長路線に乗っける。これは前の高度成長期と違ってかなり低成長になるであろう、こういうふうに思うのです。その低成長になるであろうという、ある一点を見つめながら経済を誘導していかなければならぬという問題が一つある。それから、もう一つの問題は、当面、物価が非常な混乱をした、それをどういうふうに鎮静していくかという今日の時点の問題があるわけなんです。  そういうことをにらんでいるのですが、第一の、これから先々の経済安全運転軌道に乗せるということを考えますときに、今日の経済状態をあまり高い水準に持っていくことはとうていできません。これはいま佐野さんもお話がありましたが、石油の問題もあります。石油がそんなに一〇%も一二、三%も供給を増加できるかというと、そんな状態じゃありません。そうしますと、これは石油を今日の時点では四十八年度ぐらいな水準で抑えなければならぬ、五十年度はそうしなければならぬ、こういう考え方になる。それを超える水準経済ということを考えますと、これはまた物不足需要過多ということでインフレ、また国際収支の方にも悪い影響を及ぼす、こういうことになるわけです。  それから、第二の点から言いますと、当面このインフレをどうするかという観点からしますと、急に経済が拡大するというようなことになりますれば、やはりその摩擦熱、これは物価国際収支に出てくるのです。  そういう点を考えますと、どうしてもここで総需要、これをぴしっと抑えておかなければならぬ、こういうふうに思われるわけでありまして、そういう二つの点をにらみながら総需要抑制政策は続けていくんですが、その過程でどうしても摩擦現象が起こるのです。その摩擦に対しまして対策は講じなければならぬことは、これはまた当然なことでありまして、そういうことから一番大きな問題は、何といっても中小企業、これをどうするか、この対策をきめ細かくやらなければならぬという問題。それから、中小企業ばかりじゃありません。やはり中小企業のことを考えても、それと他の大企業、こういうものも深いつながりがあるわけです。そういうことから経済全体をにらんで中小企業重点を置きながら対策を講じなければならぬ。  そこで、その対策というと一体どういう手かというと、いま金繰りの関係つなぎのつかない企業というものがかなりあるのです。これは健全にして、日本の経済の仕組みの中で重要な企業である、こういうものを立ち往生させるというわけにはまいりませんものですから、それに対しては後ろ向きではありまするけれども、そのつなぎ資金の融通をする。また一つ一つの物資の需給、そういうことから見まして、もう設備投資をしておかなければおそきに失するというようなものもある、そういうものに対しましては適正な設備資金供給をしなければならぬ。あるいは国策の関係滞貨を非常に抱えておる、そういう企業、これなんかに対しましても特別の対策をとらなければならぬ、こういう問題があるので、まあ金融政策の発動、これを考えるわけでございまするけれども、ただ概して言いますと、金融というのは、これは何と申しましても総体として申しますと、景気政策としてはやや力が微弱である、そういうふうに思われるのです。一番積極的な力があるのは企業を興す、その主体であるところの地方公共団体というものがみずから事業を行う、興す、それが財政に非常に大きな力がある、こういうふうにとらえておるわけです。財政が発動しまして、あそこにも道ができます、あそこにも下水道の工事が始まります、あるいは住宅団地工事が始まりますということになれば、それだけ仕事がずっと拡大していくわけでございます。まあ金融を与えて各企業が、というのに比べまして、財政が発動いたしますれば積極的に強力な影響力を持つ、こういうとらえ方で、財政金融両面を通じまして摩擦対策を図っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。着実に実行する。  そして、この間、十項目ばかりの対策を決めましたけれども、この対策が一体どういう響きを持つかというような点をよく観察していこう、その模様によりましては三月中に第二次の対策、これも講じなければならぬかと、かように考えております。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの福田総理答弁で、私も原則的にあなたの言われているその趣旨というものは了解することができると思うのであります。原則的ということの意味は、あなたの言われるように、もう一つ質問に対する御答弁がちょっといただけなかったので、これも関連して申し上げますが、いままでは公共投資という形の中で大企業というか、全国的に新幹線をつくる、鉄道をつくる、あるいは四国架橋はまだできませんけれども、三つの橋を一遍につくるというような形の中におけるところの、いわゆる列島改造論に相合致するような形の中で公共投資刺激策がとられる中で、今日の経済失速といいますか経済的な困難な情勢を迎えてきていると思うのであります。しかし、これも景気対策一環として、その時点の中で取り上げざるを得ないという状況の中でやったことも、これまた間違いないことだと思うのです、結果的にマイナス点が多く出たとしても。  そこで、いまあなたの御答弁の中で、いわゆる新しい時代、新しい情勢に対応して総需要抑制というワクの中で一定仕事量を確保する、確保して全体的に落ち込みをなくして摩擦調整していくということのために、地方財政、いわゆる地方におけるところの公共事業政府が行う直接的な大規模公共事業でなくして、地方地方におけるところのきめ細かな公共事業を含む一定地方財政を強化する形の中においての、景気に対する一定調整といいますか、きめ細かな対策が必要だと、こういうような御答弁があったわけでありまするが、私もその点については全く同感だと思うのです。今日の地方財政危機的情勢の中で、ともかく超過負担問題を持ちながら仕事を出す、官公需としての公需の部面を出すというところまでいけないで、いかにして財政運営を図ろうかとしているところに対して、この方面に対して積極的な対策をとることは、官公需確保一環としてもまた景気調整するという意味においても非常に重要なことであろうと思うのです。したがって、この点についていま少しく具体的なお考えを、この次出すということであるならばひとつお示しを願いたい。  それから同時に、大公共事業と申しましょうか、こういうようなものが景気刺激策として、景気調整する策としてすぐ取り扱われやすいわけでありますが、たとえば四国架橋、三本の橋がありますね、あるいはいわゆる成田幹線、東北新幹線あるいは北越新幹線等々幾つかの新幹線がすでに計画となって進められつつあるわけですね。こういうようなことに対する投資、融資、いわゆる大型投資に対してどのような考えを持って対処されるか、この点をひとつここでお聞きしておきたいと思うのです。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げましたように二つの点をにらんでおるのです。つまり当面の物価政策と、それから将来わが国のあるべき姿、それを展望しながらこの調整期間というものは経過しなければならぬ、こういうふうに申し上げたわけですが、佐野さんのいまおっしゃる点は、この将来計画をにらんで今日の景気対策はとらなければならぬだろうというような御所見と承ったのですが、まさにそのとおりなんです。  景気対策と申しましても、この調整期間を経過した後の安全運転軌道、これにいまそぐわないというような性格のものは一切取り上げません。しかし、あるいは住宅、これはもう当分の間どうしても進めなければならぬ大事な施策でございます、そういうような事業、あるいは住宅等に関連する上水道、下水道あるいは道路、そういうようなもの、これももうもちろんいつの世になりましても大事なものですからこれも取り上げる。あるいは農山村における道路建設の仕事、これなんかはいわゆるビッグプロジェクト、そういうようなものとかかわりのないものですから、これも取り上げる。しかし、ずっと高度成長期に言われたような新幹線事業でありますとか四国架橋の問題でありますとか、そういういわゆるビッグプロジェクト、こういうものをいまどろなわ式にやろう、こういうような考え方は全然持っておりませんです。そういうものは長期展望を持つときに、いまこの際取り上げるべきものではありません。要は、いかなる時代におきましても必要な施設、そういうものをこの際優先的にひとつ実行していきたい、こういう考え方でやるつもりでおります。
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣に対する質問はあと一問で終わりたいと思うわけでありますが、この前私が質問申し上げたとき、まだ唐突の感を免れなくて、ちょっと私の質問する意味の理解が不足しておったんではないかという気もいまいたしますので、この点は非常に重要な問題でありますので、いま一度質問をして、さらに理解が足りないということであるならば検討を続けていただきたいということの意味を含めて質問してみたいと思うわけです。  それはしつこいようで大変恐縮なんでありますが、中小企業省設置の問題であります。これはこの前申し上げましたけれども、佐藤さんが総裁をやっておられます中小企業政治連盟、佐藤さんみずからが、これはどんなことがあってもつくるんだ、こういうようなことを言っておられますし、それだけでなくて、中小企業団体が一つの要請、要望事項を出すと必ずこれを取り上げるようにいまなっているわけです。ごらんになっていただければわかると思うのです。私がなぜこの時点の中でこれをしつこく主張いたしておるかと申し上げますると、先ほど申し上げましたとおり、今日の情勢は、不況対策という名を冠する冠しないはともかくとして、いわゆる中規模企業以下のそういう企業が大企業との間に明らかに一定の格差を持つ形の中で——一定の格差とは、労働時間とか賃金とかいう問題、いわゆる二重構造の問題を別にいたしましても、資本の規模あるいは組織あるいはその他の条件、こういうものの比較の問題といたしましても、明らかに越えがたい一線が引かれつつあるということは事実の問題だと思うのです。集中審議等を通じての問題の中にも明らかにされておると思うのでありますが、もちろん私は、大企業は大企業なりに存在する余地があるし、中小企業中小企業なりに存在する余地があることは、これはもう当然だと思うのでありまするが、しかしそういう状況の中でいまなぜそういう声が大きくなってきているかといえば、将来の展望を踏まえていま行いつつある対策だけでは不十分で不満だ、不安だ。不満というよりも不安だという気持ちがその衝に当たる人たちの中にやはり根本的に存在すると思うのです。だから、この点は、きょうまたここですぐ結論を出してくれと言ってもなかなか無理でありましょうが、私はこの前三つの提議をいたしたんです。省をつくるか、つくれないなら専任大臣を置くか、置くことができないならば、当面総合的な対策を立てるための対策本部をつくられたらいいのではないか、こういう提案をいたしましたが、副総理は時期尚早である、必要ないというお考えに立った答弁をされておるわけです。だがしかし、私は、たとえば中小企業庁長官がここにおりまするけれども中小企業庁長官通産省に属する庁の長官としてそれぞれの問題を提起する。提起をどこへするかといえば、結局通産省の省議という形の中でそれを提議する。その結論を通産大臣が閣議の方へ持っていってそれの了承を得るという形にならざるを得ないと思うのです。そしてそれが他省庁にわたる場合においてはそれぞれ要請をする、お願いをするという形の中で一つの問題の処理に当たらなければならない。要請をする、お願いをするという段階の中でなかなか処理でき得ない緊急な課題も幾つか出てくるわけです。そこで、それらの問題について中小企業庁長官一定の権限を持つ、権限を持ち得べき条件の中にあるという形になれば、それらの問題については一歩、二歩前進した取り組みができる条件は私は幾つもあると思うのであります。したがって、そういう意味において、多年にわたって私ども主張いたし続けてきておるわけでありまするが、いまの時点の中でそういうような権限を与えるということについて相変わらず考えはお変わりになっておらないかどうか、この点をひとつ、まあこれは実現するまで私たちは息長くそのことの要求を続けていきたいと思うことを含めて大臣の見解をひとつお示し願いたいと思います。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 この前の予算委員会佐野さんから中小企業省を設置すべし、これが第一。それから、中小企業担当国務大臣を置くべし、これが第二。第三は、それらができなければ、さしあたり中小企業対策本部を内閣に設置すべし、こういう三つの御提案がありまして、それに対しまして、私は概括的に、通産省はもろもろの産業を指導しておるわけでございますが、その一つの産業をその規模の大小によって分けて見る、そういうことで果たして通産行政というものが産業行政庁としての機能をうまく発揮できるかどうか、大規模のもの、中小企業のもの、同じ仕事をしておる。しかもその間には非常に交錯した関係がある。それを規模の大小という機械的な基準をもちまして二つに割っちゃう、そういう仕組み、果たしてこれは行政のあり方、機構のあり方、そういうことから見まして妥当であるかどうかという点について基本的に疑問を持つということを申し上げたわけです。中小企業省を設置すべし、この声が中小企業者の中に非常に高まっておるということは、私もよく承知しておるのです。おるけれども、そういう、一つの産業をその規模の大小によって二つに割ってしまう、そしてその所管官庁が違うのだというような仕組みが果たして中小企業者のために本当に親切な行き方であるかというと、これはなかなか疑問があるところであるということを申し上げたわけであります。しかし、大変強い要請もある。ですから、これを手放しにするわけにはいかぬ。ですから、行政機構の大きな改革というようなことがありますれば、その際の重要なる課題として検討をいたしてみたい、こういうふうに申し上げておるわけなんですが、いま行政機構全体としても非常にふくれ上がってしまって——この間松下幸之助さんが「崩れゆく日本をどう救うか」という著述をされておる。その帯封を見ますと、物価千倍、財政一万三千倍と、こういうのがあります。これは、もちろん財政は国の経済力の増進に従いまして拡大をするわけでありますが、しかし、物価千倍というときに財政が一万三千倍になっておるという姿、これなんかもよほど考えてみなければならぬ問題だろう、こういうふうに思うわけでありまして、あるいは住宅省をつくれというような声でありますとか、あるいは対外経済協力省、これを設置すべしとか、設置する方の声は非常に多いのでございますが、それではどういうふうに他の行政機構を整理するかという点につきましては、あまり声は聞かない。こういう状態で、中小企業者の叫びというものはよくわかりますけれども、事の性質から言い、また財政運営というようなこと、国の行政機構はどうするかというようないろんな角度から見まして、すぐ設置しろ、賛成だ、前向きで検討しますというところまでなかなか言い切れないということも御了知おき願いたい、かように存じます。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 まあ、これについてはいろいろ問題がありますが、ここで副総理とまた長いやりとりをすることはどうかと思いますので、あとの課題としてまた時期を見て質問をしてみたいと思います。  通産大臣がまだおいでになっておりませんが、通産大臣に対する質問を始めてみたいと思いますが、来るまでの間、いまの問題に関連いたしまして大蔵省の方に質問をしてみたいと思います。  いま副総理は、お聞きのような見解をもって当面の総需要抑制策の中できめ細かな対策を立てていくんだ、こういうように言っておるわけでありますけれども、そのきめ細かな対策というのはなかなか実効ある形の中で行われてない、こういう例がたくさんあるわけであります。私は、中小企業問題に関連いたしまして、たびたびこの委員会質問を続けてきておるわけでありますが、その中で、いわゆる一般金融機関から中小企業向け金融として特別枠を設定してその対策を行う、こういうことで、これは昨年の一月ですね、それで二月二十五日からそのことによるところの措置を行っておる問題です。いわゆる民間金融機関に対する中小企業金融の円滑化の要請、こういうことで、三千二百億円の活用をしたということを、中小企業問題に関係する対策いかんということを質問すると、必ずと言っていいほどこれを出すわけです。そして今日でも、この第三次の緊急対策の中におきましてもこのことを出しておるわけです。三千二百億円という金額は、一年間の不況対策に対する金額としてはきわめて少ない金額であるにもかかわらず、この金額が一年たって一千三十億円しか活用されていない。にもかかわらず、不況対策だ、中小企業対策だというと、ここからさらに八百億出すんだ、さらに七百億を出すんだ、さらに六百億を出すんだと、繰り返し巻き返し言っておるわけです。これは全く見せかけじゃないですか。不況対策という、民間金融機関、特に大銀行、全国銀行と称する、あるいは都市銀行と称する大銀行、金融機関の方々の、中小企業に対してもこれほど熱意を持っていますよという熱意を示す見せかけ制度、その制度を中小企業庁も大蔵省も、これをまさににしきの御旗というか、われわれはこれほど熱心にやっていますという形の中におけるところの対策として打ち出している、こういうぐあいにしか考えられないわけです。いわゆる大という名のつく金融機関は、これをやりますということの中で世の非難を避けようとしておる、こういうことぐらいにしか考えられないわけでありますが、大蔵省の銀行局当局はどのような取り組みをしておるかということが一つ。  中小企業庁は、これだけの金額しか使われていないのにもかかわらず、なおかつ今日これを活用しようとしていないということはどういうわけだ。借りる人がいないのかどうか、この点についてそれぞれから御答弁をいただきたい。
  14. 清水汪

    ○清水説明員 ただいまの御指摘につきまして、最初に、私どもといたしましては決してこの三千二百億円のいわゆる特別融資制度だけが中小企業に対する対策というふうに考えておるわけではないという点をちょっと申し上げさしていただきたいと思います。御承知のように、全国銀行という範囲でとってみましても、その総貸し出しの中の、現在で言えば約三六%程度のものは中小企業向けに出しておるわけでございまして、たとえば数字的に申し上げますと、一昨年、つまり四十八年十二月末の全国銀行の中小企業向け貸出残高は二十四兆三千億円という数字でございますが、この二十四兆三千億円が、統計上去年の十一月までしかいま手元にございませんが、去年の十一月末でこれを見ますと、二十五兆四千億円というようなぐあいに残高がふえているわけでございます。もちろんこれをもって十分だというふうには考えておりませんけれども、数字として申し上げれば、全体では一兆一千億円程度の純増をしておるというわけでございます。さらに、中小企業金融といたしましては、そのほかにも相互銀行あるいは信用金庫その他の中小企業金融専門機関というものも活躍をしているわけでございます。そうした全体の中におきまして、ただいま申しましたのはいわば総量的な話でございますが、三千二百億円といいますのは、そうした中小企業金融の中で、特に、たとえば金利というような融資条件の面で、普通の場合よりも不況色の濃い業種に対する融資であるだけに、努力しようという趣旨に出ている、こういうものだと申し上げられるかと思います。そういうものとして、努力目標としてそういう枠をつくってきているわけですが、その運用につきましては、裏づけといたしまして、各業界で特に不況色の濃いものにつきまして通産省の方で指定をしていただきます。そういたしますと、信用保証協会のいわゆる保証枠が通常の場合の倍だけふくれるわけでございまして、その保証協会の機能も一緒に結びつけまして、この融資を業界単位で活用していく、そういうことでいままで適用いたしました幾つかの業種があるわけで、今日までのところは融資目標といいますか、融資計画ベースで言いまして約千三百億円くらい適用の状態にあるわけでございますが、そこへさらに今回かなりの業種を対象にいたしまして、計画数値といたしましては七百億円というようなめどで現在またその追加の部分をやっている、こういう状態であるわけでございます。したがいまして、もちろんこの特別融資制度の運用そのものにつきましても、なるべく円滑にいくように金融機関を指導はいたしておるつもりでございますが、さらに全体としての中小企業に対する努力という問題につきましては、従来に引き続いて全体の金融機関に対して指導をしていくつもりでやっております。
  15. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 中小企業向けの金融の中心は、やはり全国銀行初め、中小企業専門金融機関でございます相互銀行あるいは信用金庫、信用組合といったところの融資が中心でございます。また、政府系の金融機関につきましても、年度当初四十九年度二兆円という融資枠で出発をいたしましたが、昨年十一月に七千億の追加をいたしましてその拡充を図っておる次第でございます。  この中小企業救済特別融資制度でございますけれども、これは特に不況色の濃い業種につきまして銀行側にお願いをいたしまして、通常よりも相当安い金利で融資をお願いいたしております。そういう関係で、通常の場合よりもやや不況色の強い業種ということで、適用します業種の生産落ち込み方あるいは在庫のふえ方といったような面である線を引きまして業種を拾っております関係で、ただいままでのところ融資実行額は千二、三百億というところになっておりますが、不況業種がどんどん広がってまいっておりますので、つい先週もさらに追加を十数業種いたしまして、機械、金属、板紙、家具、陶磁器といったような業界を中心に七百億の融資を追加して行うことにいたしまして、現在その手続中でございます。  なお、今後も情勢の推移を見まして、さらにこれの追加をどんどん活用してまいりたい、かように考えております。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 私がさっき質問したことは、あなた方の説明で、非常に有効な不況対策である、こういうことをあなた方が話しておられるわけです。いまさらここで、去年の倒産の件数が幾らで金額が幾らだなんて私言いませんが、今日の状況の中でこの活用を期待しておる中小企業者が非常に多いということです。それが去年から約一年かかって三分の一しか消化していない。いまの段階の中で六百億、七百億という金額を出そうということは、中小企業界の置かれている現況に比較してまことに見せかけ的、先ほどから私が申し上げているとおり、言い逃れ的なものではないか、こう思っているわけです。だから、これは大蔵省の方は中小企業庁から要請があればいつでも出します、こういうような姿勢だとすると、中小企業庁長官、もう一回簡単でいいから——情勢を見ながら逐次活用しますなんてことではいけないんじゃないですか。六百億だ、七百億だというならば、来月は幾ら、再来月は幾らという活用する方針を決める中で、できる限り三月、四月と深刻化が予想せられる業界に対する対策は、いまからもはや総額を投入する形の中で取り組まなければならぬじゃないか、こう思うわけですが、その決意だけを聞かせてください。
  17. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 不況業種がどんどんふえておりますので、三千二百億の枠を余さないように極力活用してまいりたいと考えております。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 通産大臣、座ったばかりでいま私の質問している要旨わかりますか。——わかりませんか。聞いてないですね。それじゃ、後でその点は大臣の決意も聞きたいと思います。  それでは、次に進みたいと思います。大臣が見えられましたので、大臣に直接関係のある質問をいたしたいと思いますが、先ほどからお待ちをいただいておる方々もありますので、労働省、厚生省の関係の御質問をまずしてみたいと思います。  労働省の方、来ていますか。——いわゆる今日の不況が深刻化したという形の中で、各方面に失業問題あるいはまた一時帰休問題あるいは新規採用の取り消し問題等々、深刻な問題が発生しておるわけであります。こういうような状況の中で、労働行政の持つ役割りというものは非常に大きくなっているわけです。したがって、ここでいまあなたに全体的な政策面について御質問を申し上げるということでは、ちょっと状況が違うかもわかりませんので、これはまた別の場所で御質問を申し上げるとして、私はきょうは一つの問題だけにしぼってあなたに質問してみたいと思うんです。  それは雇用調整交付金にかかわる指定業種の問題であります。今日この雇用調整交付金は、雇用保険法が制定されて以来、四月一日実施を目途に大変各方面から期待をされ、特に緊急的な措置としてあなた方のほうで本年の一月からさかのぼってこれを実施するという、そういう対策をとられたということで、十二月二十八日の第一次指定以来各業界はこの指定を受けることに対してたいへん熱心というか、積極的な行動をしておられるようであります。  ところが、あなた方の指定ということに対して私どもの受ける面からすると、大変片手落ちがあるような気がする場面があるわけであります。ということは、同じプラスチックをつくっていても、プラスチックの加工業は指定に入る、その材料を支給する業種は指定されない、こういう場面もあるわけですね。その他いろいろあると思うのであります。したがって、この指定業種を追加してもらいたいという要望は、この前私は一般質問で労働大臣にいたしましたが、労働大臣はその要望に対しては具体的、積極的にこたえます、こういうようにお答えになっておられるわけでありまするが、あなたの方ではいまこの指定業種に対してどのような措置をおとりになっておられるか、この際お聞かせをいただきたいと思うんです。
  19. 小粥義朗

    ○小粥説明員 雇用調整給付金の対象業種につきましては、すでに三十九業種、労働者数にしまして約五百八十万の業種を二回にわたって指定いたしましたが、その後も各業界の方からの指定の要望等がたくさんございます。で、先日の経済対策閣僚会議でも、対策の中にその指定業種の追加を行うということも掲げられております。現在私どもの方で、各業界から数字をいただいて、その数字の点検を突貫作業で進めております。早急に追加指定したいと思っております。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 たとえば、それではいま申し上げました一つの例でありますが、こういう場合はどうなるかということであります。プラスチックの製造業は指定になっておりまするが、安定剤製造業等は見送りになっておるわけでございまするが、この業種はほとんど中小企業業種であります。中小企業業種であるこの業種が見送りになり、大企業の指定が行われるということは、片手落ち、弱者を切り捨てる、こういうような批判も免れないと思うのでありますが、この業種に対してはどのような対策考えておられるか、この際ひとつお示しをいただきたい。
  21. 小粥義朗

    ○小粥説明員 プラスチック安定剤製造業からの要望もいただいておりまして、その数字をいま点検しておりますが、私具体的な数値をいま承知いたしておりませんので、その点はちょっとお答えいたしかねますけれども、前に御要望がございました際の問題になりました点は、業種指定は一応日本標準産業分類にのっとってやるということにいたしておりまして、原則は中分類でございますが、中分類では基準に該当しない場合は、小分類ないしは細分類までおりてでもできるだけ指定していく、こういう姿勢でやってまいっております。ただ、プラスチック安定剤と申しますのは、無機化学製品製造業という細分類の中のまた一部ということになりまして、したがいまして、そのプラスチック安定剤の製造のたとえば生産の動きなりあるいは雇用の面の動きなり、そうしたものが無機化学製品製造業としての全体の中で占めるウエートなり、そうしたものを見ませんと業種としての指定がしにくかったという事情があったわけでございますが、その後十二月あるいは一月等の数字がいろいろさらに落ち込んでいる数字も出ておるようでございますので、そうしたものを見ました場合に、いわゆる無機化学製品製造業としての指定が可能であるという可能性も十分あるわけでございます。そういう面でできるだけ適用の範囲を広げていく姿勢でやっておりますので、いまここで具体的にプラスチック安定剤が該当するかどうかは申し上げられませんけれども、そういう方向での検討をいたしていることだけは御理解いただきたいと思います。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 厚生省の方、来ていますか。——私は、仕事が欲しいという中小企業人たちの中でも特に小規模の方々、あるいは身体障害者の方々、あるいは失業してどうにもならない人々、最も恵まれない状態にある人々がたくさんあると思うのであります。そういう人々に対して厚生省が身体障害者福祉法なり心身障害者対策基本法なり、あるいはまたその他省令、規則あるいは法律に基づくところの対策を積極的にとっていただく、こういうことを私どもは強く要求をしてきておるわけであります。過日もその点について要請いたしたわけでありますが、きょうの質問は、具体的な問題について一点だけ質問してみたいと思うわけであります。  身体障害者福祉法では、「援護を目的とする社会福祉法人で厚生大臣の指定するものは、その援護する身体障害者の製作したほうき、はたき、ぞうきんその他政令で定める物品について、国又は地方公共団体の行政機関に対し、購買を求めることができる。」こういうことになっておるわけであります。今日、いわゆる社会的問題として、身障者に対する首切り、あるいはまた身障者を収容する福祉工場あるいはまた身障者その他の人々が働いておる授産所等々の施設が仕事がなくて困っていることはあなたもよく御承知のとおりであります。といたしますならば、この法律に基づく政令で定める物品については云々ということがあるわけでございまするが、これら施設に対してこの政令の枠を広げて、当面する状況の中において最低限その人たちが収入を確保することのでき得る仕事を与えてやるその措置を積極的におとりになる必要があろうと思うのでありまするが、この「政令で定める物品」という範囲を拡大する方向について検討しておられるかどうか、この機会にひとつお聞きしておきたいと思うのであります。
  23. 井手精一郎

    ○井手説明員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のように、この政令で定める品目は非常に古い時代に決めたものでございまして現在の時代に合っていないという御意見もございますし、先生御指摘のように重度の障害者が働いております授産施設におきまする仕事落ち込みということもございますので、私どもこれらの点を勘案をいたしまして改善に努力をしたいと思っております。ただ問題は、中小企業と申しますか零細企業と業種がダブる点がございまして、そこら辺の問題にむずかしい問題がございますけれども、障害者の実態にかんがみまして私ども前向きに検討してまいりたい、こういうつもりでおります。
  24. 佐野進

    佐野(進)委員 厚生省の人、答弁は前向きに検討するということで、前向きが長くなってはいけませんから期限を切って至急善処をしていただきたいと思うのです。  それで、この人たちに対して仕事をあっせんしてやるというようなそういう機関というか施設というか、現在の状況の中においてでも結構なんですが、そういうことを事務的に検討されておるかどうか、この点もひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  25. 井手精一郎

    ○井手説明員 先生の御指摘は、前にもお話ございましたように多分受注センターのことをおっしゃっておられるのではないかと思うのでございますが、事務的に申し上げますと、授産施設そのものの職種が非常に多種多様にわたっておりますので、果たしてそういうことでやるのがいいかどうかということについては私どもも検討しなければいけないと思いますが、一つの方法であるとは思います。したがいまして、何と申しますか、仕事を授産施設にいただくという方法について少し検討をいたしてみたい、それは考えております。
  26. 佐野進

    佐野(進)委員 大蔵省、労働省、厚生省の方は、質問がこれで終わりましたから、どうぞ引き取ってください。外務省の方、来ていただきましたけれども、時間的に質問する時間がございませんので次の機会に質問いたしますから、どうぞ。それでは、大臣とエネルギー庁に——公取もきょうは時間がないので後にしてもいいと思うのでありますが、質問をしてみたいと思います。  大臣、先ほど私が中小企業庁長官質問しましたのは、救済融資として三千二百億の枠を去年の初めごろ設定したわけです。そして、当面落ち込みの激しい業種を指定して中小企業関係に対して融資をしましょう、こういうようなことになったわけであります。それがことし一年間たって一千百三十億、一千百億とか一千百三十億とか言っておるわけでありますが、これしか使われない。いわゆる緊急対策の資金でありまするからもっと積極的に活用を図る。特に保証協会の枠も広がるとか、あるいはいろいろな面において倒産の危機に逢着した人たちに対して温かい手を差し伸べてやるためにやったんだ、やったんだ、こう言いながらそれだけしかできていないということは、私は熱意不足かやり方が不十分じゃないか、こういうことを申し上げたわけでありまするが、原則的な面でありますが、これは即刻、少なくとも年度内に活用するようにしたらどうか。小出しに何回も何回もこれを宣伝材料にするような措置は今日の状況下においてはきわめて不適切ではないか、こういう意味質問をさっき長官にしておったわけです。この点についての見解をお示し願いたいと思います。
  27. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまのお話中小企業に対する市中金融機関の特別融資枠という問題だと思いますが、数字も過去の数字は大体そういう数字であると私も承知しております。     〔田中(六)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  まだ枠が相当残っておりますので、去る二月一日に経済閣僚会議で私の方からこれをできるだけ早く消化をしたいという要請をいたしまして、二月十四日にそれじゃその方針でやろうという基本方針を決めていただいたわけでございます。でありますから、現在の中小企業が非常な難局に直面しておるということを考えましてできるだけこれを消化していく、そういう方向で具体的に進めていきたい、こう思います。
  28. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、先ほどエネルギー庁長官報告になりました大協石油の火災の問題を初め、いわゆる水島の問題等に対する質問をいたしたいと思います。  御承知のとおり水島の問題が発生いたしましてから、全国的にこの種コンビナートあるいはまた備蓄タンクその他に対する防災というか、この種災害が再び発生しないようにという願いを込めての全国民の要望は、ひとしく通産行政ないし消防行政あるいは政府全体の公害対策等々を含める対策に向けられてきておったと思うのです。これをしっかりやってほしいという要望が非常に大きかったと思うのであります。にもかかわらず、昨日のテレビあるいは新聞等の報道で、大協石油の火災問題が発生したことを知って国民ひとしく背中に寒けを感ずるような、はだにあわが立つという表現が適切なようなきわめて深刻な思いの中で、あの火災の進行状況を見守っておったと思うのであります。幸い類焼を免れ、あのタンク一基の火災で消火することができたことはきわめてよかったということで、私どもも安堵の胸をなでおろしておるわけでありまするが、いまエネルギー庁長官報告は全く事務的であり、大協石油当局に対する厳しい行政措置、発生直後におけるところの厳しい措置を機動的に行い得なかった、係官を派遣した等々の措置だけで当面を処理されたということを聞いて、きわめて残念に思わざるを得ないわけです。  この種問題が発生して、その発生した直後における対策いかんによっていかに甚大な被害をもたらすかということは、あの水島の油が流出したとき、その堤防の外に、その堤防が崩れる直前に幾つかの土のうを置くとか幾つかの対策をすることによってその被害を免れることができた。あるいは今回の場合においても、油を抜き取るとか周囲におけるところの状況に対して適切な手を打ったからあの火災だけで終わったということが報告されておるわけであります。とするならば、この種状況の早期発見、早期対策、早期に予防措置が講ぜられるならば、この種惨害は発生しないで済むということがいまさらのように思い返されるわけであります。  これに対して、いまエネルギー庁長官の御報告をお聞きいたしまして、通産当局として、これから特に石油公団法やあるいは石油備蓄法等を審議しなければならない、あるいはそれらの問題について積極的に取り組まなければならないという状況の中においては、この対策がきわめて手ぬるかったのではないか、こういうような印象を受けるわけでありまするが、大臣並びに長官の見解をこの際お聞かせいただきたいと思います。
  29. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 去る十六日の大協石油四日市工場における事故につきましては、私どももまことに遺憾に思っております。いま御指摘になりました幾つかの問題点、私も全く同感でございます。  実は、今回の予算委員会におきまして、先月の末だったと思いますが、江田先生からこの問題についての御指摘がございまして、それを受けまして、総理の方から同日直ちに、コンビナートの事故防止のためには現在の体制は非常に弱いのではないか、また各省てんでんばらばらになっておるのではないか、この体制をもう少し強化していろいろ考えていくならば、相当いろいろな事故、災害というものが防止できるように自分も思うから、ひとつ自治省の方が中心になって、関係各省からいろいろ資料、意見を求めて、直ちに抜本的なかつ一元的なコンビナートにおける防災体制というものを確立すべきである、その作業を進めるように、こういう御指示がございまして、自来、自治省の方で懸命にこの作業を進めておられたようであります。幸い、先週末で全部の関係各省庁から意見、資料が集まったそうでございますが、それを受けまして自治省の方で一元的な立法をつくるべく、いま懸命に作業を進めておられます。今国会に多分提出できる、間に合うのではないか、こう思いますが、それはそれといたしまして、いずれにいたしましても現在のコンビナートにおける防災体制というものは私も不十分であると思います。とりあえずきょうは、私は閣議でコンビナート防災対策強化のために関係閣僚会議というものを至急つくってもらいたい、一元的な体制というものはないのだから、ひとつそれを至急つくってもらって、それを中心にして当面の対策措置したい。いずれ一元的な強力な法律ができれば、それに従って運営をするわけでありますが、それまでのつなぎとして関係閣僚会議というものが必要である、こういう提案をいたしまして、いま官房長官の方でまとめていただいておるような次第でございます。でありますから、現在、御指摘のような諸問題全く遺憾でございますし、よほど強力な体制というものを早急につくり上げる必要がある、その体制によって相当の防災というものができるのではないか、全く同意見でございますので、そのようにひとつ努力していきたいと思います。
  30. 増田実

    増田政府委員 ただいま佐野先生から、今回の大協石油事故について、通産局から係官を派遣しただけで、これを非常に事務的に処理しておるのではないかというおしかりがございましたのですが、私どもの方は、十六日の事故発生後、直ちに資源エネルギー庁もこれの連絡体制をつくりまして、担当課長その他担当官をすぐに出勤をさせまして、それから大協石油との連絡もとり、これに対する対策というものを協議いたしたわけでございます。また、通産局にも連絡をとりまして、先ほど申し上げましたように担当課長を直ちに派遣するという措置をとったわけでございます。また、翌日、通産局に先ほど申しましたように事故対策本部というのを設けますとともに、翌日の朝、大協石油責任者から事情を聞き、また直ちに現地に行ってもらったわけでございます。また、その日の午後、きのうの午後になるわけでございますが、全石油精製会社の社長、責任者資源エネルギー庁に招集いたしまして、今回の事件はきわめて遺憾であり、またこういう事故が再び発生しないようにということで、厳重に注意を行いますとともに、また今後の対策につきまして、それぞれの作業を要請いたしたわけでございます。  私どもといたしましては、今回の大協石油の事件につきましてその重大性を認識しておりますし、またかかる事故が再び発生しないように万全の対策を立てる所存でございます。
  31. 佐野進

    佐野(進)委員 まあ、遺憾であるということは全くそのとおりであろうと思うのですが、長官の人柄のせいもあると思うのでありまするが、私どもは、さっき報告を聞いた、その報告の内容程度であるとすると、これら重大問題が発生した処理としては大変不適切ではないかと私は感じたわけであります。特にあそこの付近は、テレビで見ておっても何百と言ってもいいほどの巨大なるタンクが林立している地域であって、一たび延焼等の状況が起きたとするならば、いまごろ大災害が発生しているという状況下においては、これは大臣を含めていま少しく積極的な取り組みをされ、石油精製業者あるいは備蓄業者等々が、このことをもってして二度と再びこのような事故を起こさないという状況下に置かせるように率先行動すべきではなかったか、こう思うわけであります。この点については、いま一度後の答弁と一緒にひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。  そこで、私は質問を続けるわけでありまするが、この事故原因等については目下調査中である、もちろん軽率にこの原因を発表するわけにはまいりませんが、新聞等による、あるいはテレビ等によるところの報道を通じて、密田社長の言明では、原因考えられない、静電気でも発生したのではないか、こういうようなことが言われておる。そのことも果たしてどうかわからないというようなことを報道されておるわけでありまするが、これはしかし、あの種火災事故が発生して原因がわからないということを責任者が言うがごときことは、断じてあってはならないことではないか。原因がなくて火事が出るわけはないわけで、火事が出たということについてはそれぞれの原因があるわけであります。しかして、いままでの既存の概念、既存の考え方をもってしては、そのことについてこの種事故が発生するということが予測でき得なかったということはあり得たとしても、全くその原因がわからないで事故が起きて、他人が、だれかがどこかでやったと同じような客観的な物のとらえ方において原因がわからなかったと言うがごとき説明は、これは断じて許されないのではないか、こう思うのでありますが、その点についての御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  32. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  このたび事故を起こしましたタンクは、これは灯油でございまして、灯油のいわゆる半製品と申しますか、未洗いの灯油でございまして、作業工程の途中にある灯油でございます。普通から考えますと灯油の発火点は高いわけでございまして、事故が起こります原因につきましては、社長がわからないと申しましたのについて御指摘がいまあったわけですが、これにつきましては、普通常識では、灯油タンクに火が発生するということは従来考えられなかったことでございます。そういう意味で、現在原因を急遽究明いたしておるわけでございますが、私どもとしては、タンク事故というものをきわめて重要視しております。先ほど先生からも御指摘がありましたが、私どももこういうような事故というものが絶対再び繰り返されないように原因の究明を一日も早く行いまして、そしてそれに対するあらゆる手段での予防策を講じたい、こういうふうに思っております。
  33. 佐野進

    佐野(進)委員 水島の事故が起きましたね、そして全国のこの種タンクに対する調査が行われました。そして、出てきた最大の問題は、いわゆる不等沈下という問題になってきておりますね。不等沈下という言葉、これは不等ということがどういう言葉の意味を持つのか、あるいは不平等という言葉、あるいは考えられない状況という言葉、いろいろな形があると思うのでございますが、いわゆる不等沈下という形の中において、この問題の原因の追及に対しての一つの的と言いますか、そういうことに焦点がしぼられつつあるような状況だと思うのであります。静電気が発生したということは、動かなければ電気は発生しない。一定の動揺があることによって静電気が発生した。だから、タンクローリーなんかも後ろに放電用の鎖をつけて走っているというような状況があろうと思うのであります。そうなると、原因がわからないということでなくして、この種状況が出てきた原因としてこれらのことが考えられるというような積極的なやはり事故の責任を感ずる形の中における発言があってしかるべきではなかったかと私は思うわけです。  そこで私、きょうは水島の問題に関連して、これも、私は大協の火災発生の現地へ行っておりませんから事情等についてはよくわかり得ませんけれども、いわゆる不等沈下が発生したということは、底部に破損が発生したという形になり、そのことによって向こうは油が流出したということになり、こちらはそのタンク自体に対して一定の不等沈下というか、そういうような形の中におけるところの条件が発生して静電気が発生したということも一つの条件として考えられるということが関連した形の中において想像できるわけであります。不等沈下問題は、今日のコンビナート問題に対するいわゆる備蓄基地その他全体的な問題に関する重要な課題になっているとするならば、そのようなことが考えられるわけであります。といたしますならば、今日この不等沈下が発生した条件が一体どこにあるのかということについては一定の御見解があろうと思うのでありますが、これはひとつエネルギー庁長官公害局長から答弁をいただきたいと思うわけです。
  34. 増田実

    増田政府委員 水島の事故が起こりましてからあとタンクの総点検が行われておりまして、この結果相当な数のタンクにつきまして不等沈下の事実が出てきておるわけです。ただ、今回の大協石油事故のありました灯油タンクにつきましては、一般に不等沈下と申します直径の二百分の一に比較いたしますと、約四百分の一ということで、不等沈下が原因で今回の事故が起こっているのではないというふうに考えられます。ただ、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、現在関係当局で原因究明中でございますので、その結果をまちまして御報告申し上げたいと思います。  それから、一般的に不等沈下の問題でございますが、これにつきましては、現在対策を検討中でございまして、タンクの安全性につきまして私どももあらゆる努力を重ねて、タンク事故によって一般の方々に今後被害が起こるということを絶対に避けたい、こういうふうに思っております。
  35. 佐藤淳一郎

    ○佐藤(淳)政府委員 タンクの構造につきましてちょっと申し上げておきたいと思いますが、この間事故が起きました水島の原油タンクは、いわゆる基盤が、底盤に砂を盛りましてその上に重油タンクがつくられておる構造でございます。それから、一般的の高圧ガスの球型タンクは、コンクリートの基盤の上に足を立てましてその上に設置するということで、その構造が違っております。それで重油タンクの方の構造は高張力鋼を使いまして、ある程度のひずみとかゆがみが起きましても大丈夫だという形でつくられておるわけでございます。ただ、水島のタンクは何か新しい工法でつくられたとも聞いておりますけれども、基本的には従来のタンクと大体同じだろうと思います。ですから、もし亀裂が発生いたしたとすれば、要するに高張力鋼の許容限度を超えた何らかの力によって亀裂が生じたろう。これは不等沈下が原因なのか、何らかの要するに力が働いたわけでございますから、その辺の究明が今度の事故調査委員会の最もポイントになるのではなかろうかというふうに考えております。  いずれにしましても、こういう事態が起きたわけでございますから、消防庁に対しましては特にああいう埋め立て地域における重油タンクの設置についての保安の技術基準をしっかり確立するように考えるべきであろう、われわれの方も、構造は違うと言いましても、やはり高圧タンクも同じコンビナート地域にありますから、その足場につきましての技術基準を早急に検討を始めておる段階でございます。
  36. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が来ましたから最後の質問にいたしますが、いずれにいたしましても、大臣、この問題はいわゆる不等沈下かあるいはまたその亀裂かあるいは地盤沈下か、いずれにせよその構造上の問題が原因で発生したと考えられる、その条件が一番多いわけですね。したがって、その構造上の問題、いわゆるだれかが行ってマッチをすったとか、だれかが行ってどうしたとかいう行為に基づいて火災が発生したり、あるいは油が流出したりしたのではなくして、構造上だれが考えても常識的にはそのようなことが起こらないであろうと考えていたことについて発生した事故であるということは間違いない。とするならば、構造上におけるところの問題について本質的にあるいは基本的に洗い直していかなければならないということになってくるわけです。私は、この問題についていわゆる基礎部門についてはいま局長お話になっておられましたけれども、水島のタンクの場合、それに類する問題には、千代田化工建設という新しい工法に基づくところの特別の特許を持たれた会社がこの基礎部門をやっておられた、あるいはそれが全国的に幾つあるのかどうとかいうことはわからないけれども、その会社のやられた仕事の同じような条件の中における破損が油だけでなくして幾つか出ているということは、新聞紙上等においても報道されているわけです。  したがって、私は委員長にお願いしたいのでありますが、次の委員会まであるいは次の委員会までに間に合わないならやむを得ません、その後でも結構です。できるだけ早くこの種基礎部門、いわゆる構造上におけるところの欠陥を原因として発生した事故の件数並びにそれに関係した会社の名前並びにそれに対応してとられた通産当局の措置、消防庁も含めて、これについて資料を提出していただくことをお願いし、大臣並びに関係者の答弁を聞いて質問を終わりたいと思います。
  37. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 コンビナート関係の防災につきましては、大部分の権限は自治省、消防庁にあるわけでございますが、しかしその企業全体を監督いたしておりますのは通産省でございますから、最近の事故が頻発いたしますこの事態にかんがみまして、関係する全企業に広い意味から厳重な注意をできるだけ早く喚起をしたい、こういうふうに考えております。
  38. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 佐野委員に申し上げます。消防庁と通産省とよく打ち合わせをしまして、できる限り早く資料を出すようにいたします。  加藤君。
  39. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 私は、コンビナートの防災対策につきまして、事故が頻発し、あたかもコンビナートの防災についての対策がきわめてスローモーであるので、それに対して何かあざ笑うような形で十六日午後に発生いたしました大協石油四日市製油所事故についてお尋ねする予定で質問通告を出しましたが、そのほとんどがすでに答弁があり、また佐野委員からも細かく質問いたしましたので、質問がほとんど重複しておりますけれども、その重複を避けまして結論だけについて御質問したい、そのように考えております。  先ほど説明がございましたように火が出ましたのが比較的発火点の高い灯油であり、消火能力がある程度整備されている四日市のコンビナートだったから一カ所だけの火災にとどめ得たということが御報告にあったわけでありますけれども、しかし今後このコンビナートの防災の問題あるいは備蓄を九十日にするという一つ政府考え方、こういう問題を考えますると、全国各地に散在するコンビナートは大きな事故を起こす危険を大変はらんでおるわけでありますので、ここら辺でコンビナートの防災について見直すというようなことが言われておるわけでありますが、こういう点についてもひとつ十分な考えをしていただきたいと思います。そして、さっき長官から、この大協石油の問題については万全の対策を立ててその原因を究明し、すみやかにその問題にこたえていくというお話がありましたが、そのことを強く要望したいと思います。したがいまして、私は大協石油の問題について質問通告をいたしましたが、ほとんどが重複いたしますので、先ほどの局長からの答弁のようにその原因を究明し、そしてその対策を一日も早く立てるということに対して強い要望をするということにとどめたいと思います。  そこで、それと関連いたしましてコンビナートの防災体制につきましては、昨年末の三菱石油の水島製油所の重油流出事故をきっかけにして、全国のコンビナートの防災体制を強化しようという動きが大変大きく出てきたわけでありますけれども政府は二月末までにコンビナート防災対策法案をまとめて今国会に提出する方針を決めておるということを言われておりまして、そのためには自治省あるいは通産省、運輸省の各省だとかあるいは環境庁など関係九省庁が協議して問題点を整理して法案を提出する予定だということを承っておりますが、このことについて、まず第一に作業がどの程度進んでおるか。  それからもう一点は、このように自治省だとかあるいは通産、運輸、環境庁、関係各省がばらばらにそれぞれ所管しておるわけでありますが、このばらばらの行政を一元化して各省にまたがる問題を一体どのような機構でどうやっていくか、この点だけお伺いしたいと思います。
  40. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお話しのコンビナートの防災のための一元的な防災対策の基本的な措置といたしまして、強力な防災対策の法律をつくるという作業の問題でございますが、先ほどもちょっとお話しいたしましたように、自治省が中心になりまして各省から関係の資料、関係の意見を集めまして、ようやくそれが先週末にそろったそうであります。そこで、それを基礎として、これから自治省の方が作業に入るわけでございまして、相当な時間もかかりますが、私はできるだけ早くまとめていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  41. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 それでは、このコンビナートの問題に関連いたしまして若干質問をしたいと思いますが、四十八年の十月の日石化学の浮島工場の爆発事故があった後、商工委員会が開かれまして、通産省が本腰を入れてコンビナートの事故防止に取り組むことを要求いたしましたことに対して、林立地公害局長から大学の先生を含めたチームを編成して点検、調査することにするという答弁があったわけですが、その後チームは一体どうなっているか、その点をお聞きしたいと思います。
  42. 佐藤淳一郎

    ○佐藤(淳)政府委員 一昨年の頻発しました石油化学工場事故に関連いたしまして、先生御指摘のように早急に通産省はこの対策の手を打ったわけでございますが、その一環といたしまして四十八年の十一月に各通産局に通産局長本部長といたします化学保安対策本部を設置いたしまして、これに関係省庁の出先機関の責任者も入っていただき、さらに学識経験者も参加していただいたわけでございます。特にこの本部の中に化学保安調査指導委員会を設置いたしまして、外部の学識経験者や専門家から成る委員会を設置いたしたわけでございますが、大体委員の方々は主に各大学の教授クラスの方あるいは各研究機関の所長クラスの方を集めておりまして、八通産局で全部で七十人の関係者の方々を御依頼申し上げておりまして、現在も事あるごとにこの先生方の御意見を拝聴しながら化学コンビナートの保安対策をいろいろ検討いたしているわけでございます。
  43. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 それからさらに、四十九年の五月に石油コンビナート防災診断委員会というのを、委員長は難波東大教授ですが、発足さしておりますけれども、この委員会は一体何をしておるのですか、その点。
  44. 佐藤淳一郎

    ○佐藤(淳)政府委員 四十九年の五月に設置されました委員会は消防庁の委員会でございまして、これは石油タンク等々の危険物の設備に対しますところの消防庁の所管にかかわる保安対策をいろいろ検討する場でございまして、この委員会には通産省からも参加いたしております。
  45. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 さらに、コンビナートの防災体制がおくれている原因として、監督行政が、通産省だとか、消防庁あるいは海上保安庁、資源エネルギー庁、そのようにばらばらに進められているのですけれども、一体関係官庁間の調整はどのようにしてやっているのか。その対策がどうも後手後手に回って、その都度、政府は早急に検討するとかあるいは善処するということを繰り返しているのですけれども、この関係官庁間の調整を一体いまどのようにやっているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。  それから、総合的な具体的な対策考えているとすれば、この政府考えているコンビナート防災対策法との関連においてどう関連しているか、その点もお聞きしたいと思うのです。
  46. 佐藤淳一郎

    ○佐藤(淳)政府委員 コンビナート内におきますところの各省庁の連絡体制といたしましては、一つには災害対策基本法の中に地域防災計画というものがございまして、これは都道府県レベルと市町村レベルと両方あるわけでございます。この中にコンビナート地域に対します保安計画もございますし、部会としても設置されておるわけでございます。その部会の中に通産局、それから消防庁、海上保安庁等々の保安に関係いたします各省庁の出先機関が参加いたしておりまして、そこでいろいろ防災の連絡につきまして、いざというときのいろいろな諸準備の検討やら災害が発生したときの出動体制等々について具体的に検討いたしておるわけでございます。  それから、コンビナートの中におきまして特に権限を持っておりますのが、高圧ガスにつきましては通産省、それから石油タンク等々の危険物につきましては消防庁、それからいわゆる高圧ボイラー等々の問題につきましては労働省が所管いたしておるわけでございますが、この三省庁の連絡体制につきましては局長レベルの連絡協議会をつくっておりまして、定期的にコンビナート内の保安の円滑化といいますか、調和のとれた行政をやるという意味で、いろいろ協議を重ねておるわけでございます。
  47. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 消防庁はまだ……。
  48. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 いや、来てます。
  49. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 これも先ほどの佐野委員質問と重複する点があるのですが、あわせておわかりでしたらお答え願いたいと思うのです。  佐々木消防庁長官は、二月十一日のエコノミストの記事の中で、インタビューなんですが、昨年夏、水島コンビナート地帯の全会社が参加し、海上保安庁、消防機関が一緒になって大量油流出事故に対する連絡協議会をつくった、こういうことを言っております。そして、会合を一遍だけやったというようなことを言われているのです。これから防災体制をつくりましょうという相談を一遍やって、その中で始めたんだということを語られているのですが、この協議会をつくったすぐその後に三菱石油の大量流出事故が発生して、漁民が死活問題にも直面しておるということなんですが、一昨年あれだけ爆発事故が続いて安全性について厳しい批判を浴びたにもかかわらず、去年の夏になってようやく協議会をつくったということは、裏を返すと一回会合しただけで、あとは何もやってないというようなことになるわけでありまして、どうも本気になってこの問題に取り組んでいるとは思えない点もあるのですが、このことについて一体その後どうなっておるか。  その点をお聞きすると同時に、十二月の二十五日付ですか、各都道府県に対して消防庁からコンビナートの不等沈下に伴う調査についての指令が出ているのですが、これは大体二月十五日までに報告を取りまとめるということでありますけれども、その点について報告が取りまとまっておるかどうか、そういう点についてもお聞きしたいと思います。
  50. 藤江弘一

    ○藤江説明員 ただいまお話のございました大量流出油対策協議会につきましては海上保安庁がイニシアチブをとりまして全国的に結成するということで、消防庁にもお話がございましたので、私どもの立場からも推進に御協力申し上げるということで、昨年来具体的な結成の動きになっているところでございます。ただ、これにつきまして長官の発言の問題がございましたが、地元での話し合いの過程でそのようなことが出たというふうに私、聞いておるわけでございますが、この点は海上保安庁の方でイニシアチブをとっておられる問題でございますのであれでございますが、協議会といたしましては、そのほかに水島地区保安防災協議会あるいは港湾災害対策協議会というものがそれ以前に結成されておりまして、関係企業相互間あるいは防災関係機関との協調体制は一応でき上がっておるわけでございます。  それから、その次に水島事故に端を発しますいろいろな調査につきましては、現在取りまとめ中でございます。
  51. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 大体いつごろこの調査の結果が取りまとまるか、いま、現在取りまとめ中だということですが、十五日までに大体取りまとめるというこの前のお話だったのですが、その点いかがでしょうか。
  52. 永瀬章

    ○永瀬説明員 昨年末に通達いたしましたタンク等の緊急一斉点検の結果につきましては、二月十五日までに報告を求めるように示達いたしておりましたが、多少報告のおくれている県がございまして、昨日の夕方やっと全数が上がってまいりました。現在集計中でございますので、この数字を取りまとめて結果が出ますのはまだ数日を要すると考えております。
  53. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 おそくなればなるほど、この対策が後ずさりして、またその間に思いもよらない事故が発生するということになって、事故の後を対策が追いかけていくというようなことがあっては行政はならぬと思うわけでありますので、そういう通達を出したならば、その通達をやはり徹底さして、対策が後手にならないようにひとつ十分考えてもらいたい、そのように思います。  そこで、こうした大型の事故については、それに伴って周辺に及ぼす被害が大変大きいわけでありますけれども、たとえば水俣病患者への補償支払いについて経営が行き詰まったとして、チッソが開銀に対して三十九億円に上る融資を要請したわけですが、大臣は、公害補償の資金を政府資金から投入することに対して一体どう考えておるのか、この点について大臣の見解を聞きたいと思います。
  54. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この問題は、公害資金を政府機関である開発銀行が出すということではございませんで、五井の石油化学が爆発事故を起こしまして、その復旧資金について一部開銀資金の融資を依頼する、こういう申し出でありまして、少し事情は違うと私は思います。
  55. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 そのチッソ融資の問題と関連して後ほど三菱石油の問題についてお聞きしたいと思うのですが、チッソ融資が産業界に安易な政府依存度を高めていくというようなことがたいへん危惧されるわけですが、産業界内部でも、政府のチッソ融資があくまで特例なのか、どのような歯どめ措置をとるかたいへん関心を寄せているわけですが、チッソのケースは、私企業の過失が法的に確立しておって、公害事件として最も企業の責任が問われたものであるだけに、チッソの場合より偶発性の高い大きい公害事件、特に原油流出などを起こした場合の補償の支払いについてピンチに陥ったケースなどは一体今後どう扱っていくか、たいへん問題が出てくると思うのです。そこで、三菱石油から同様の申請が仮に出されたといたしましたらば、政府はチッソと同じような扱いをするかどうか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  56. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、チッソは公害のために資金を出すという問題ではございませんで、石油化学工場の復旧資金という形で申請が出ておるわけでございます。  なお、お尋ねの三菱石油の問題でございますが、三菱石油に関しましては、ただいままでのところ、三菱石油が全責任を持って自力でこの必要な資金は調達いたしますと、さように申しております。
  57. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 大体きょうの質問通告の大要は大協石油四日市のコンビナートについての質問でありましたので、あとからひとつこの問題については、緊急に対応した問題について答弁するということでありますので、それを見ましてさらにまた改めてコンビナートの防災対策について質問していきたいと思います。  そこで、石油の値上がりが想定されて、その石油の値上がりと総需要抑制の問題とに絡んでひとつ大臣からお聞きしたいと思うのですが、二月十六日か二月二十二日かあるいは三月一日、最終的にキロ当たり三千五百円ほど原油が値上げされるということを聞いておるわけです。大体ガソリンではメーカーの卸で三円程度、あるいは小売になりますと七円程度上がるということを聞いておるのです。そこで、この原油の値上がりはコストインフレを招くのではないかと、それを大変恐れるのですが、その問題についてひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思うのですが、せっかく総需要抑制効果が出てきた現在において、油の値上げはコストインフレを招き、それがさらにインフレに拍車をかけるのではなかろうかということを大変危惧するのです。この点について、石油の値上げといまの総需要抑制策、あわせてインフレとの関連について大臣の所見を承っておきたい。
  58. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御案内のように一昨年の秋に第四次中東戦争が起こりまして、その結果御案内のような石油の大幅な値上げ問題が起こったわけであります。一挙に約四倍に値上げをするという問題が起こったわけでありますが、そのために一層世界じゅうでインフレが加速されまして、全世界各国インフレ問題に苦しんだわけでありますが、その対策といたしまして、日本のみならず、全世界で総需要抑制をしていこう、こういう緊急の対策がとられまして現在に至っておるわけでございます。自来約一年三、四カ月になりますが、各国とも石油の節約を懸命に進めておりますので、むしろ原油価格は下がる傾向にある、これが世界の大勢だと私は思います。  そこで、いまお尋ねのこの数字につきましては、これはエネルギー庁長官から答弁をさせます。
  59. 増田実

    増田政府委員 石油の価格の問題でございますが、石油価格につきましては、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、世界的には供給が相当過剰でございまして、そういう意味におきまして価格につきましては若干弱含みであるということが言えるかと思います。ただ、石油の価格につきましては三月に八千九百四十六円の値上げを指導価格として認めたわけでございますが、その後の状況を申し上げますと、原油価格につきましてはその後相当な値上がりが生じておるわけでございます。昨年の三月におきます日本到着の値段でございますが、これは通関の平均価格というものを算出しておるわけでございますが、これにつきましては、三月は一バレル当たりが十ドル五十一であったわけでございます。これを当時の為替レートで換算いたしまして円価格に直し、キロリッター当たりにいたしますと一万八千九百七十六円であったわけでございますが、これが、十二月の通関を申し上げますと一バレル当たり十一ドル七十五になっております。ですから、先ほど申し上げました三月の価格十ドル五十一に対しまして、約一ドル二十セントの値上がりになっている。それから、円価格でキロリッター当たりで申し上げますと、二万二千百六十八円になっておる、こういう状況になっております。今後につきましては、これ以上そう上がることはないだろうということが予測されておりますが、去年の三月から現在までの価格につきましては相当の値上がりが出ておる。このために、石油の販売価格につきましては、国内が非常にゆるんでおりますものですからその値上げができないということで、逆ざやになっておるというのが実情でございます。
  60. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 去年の十月に原油代を、民族系の油会社、出光だとか丸善だとか共同だとか大協だとか、そういう石油会社が上げているのですね。今度は主に外資系といいますか、日石だとかモービルだとかエッソだとかシェルだとかが値上げを考えているということなんですが、需要供給関係がいまおさまってきつつあるという答弁なんですが、三月から石油関連物資が上がるということになりますると、総需要抑制を続けていっても一体どういうことになるのか、その関連と、それからそういうことに対して一体どう行政上対応していくかという問題についてお聞かせ願いたいと思います。
  61. 増田実

    増田政府委員 昨年の十月に石油各社、これは上げ幅が違いますが、当時は、民族系もそれから外資系も、それぞれ値上げを発表いたしたわけでございます。ただ、この当時におきましては、民族系の会社が買っております石油とそれから外資系が買っております石油につきましては価格差がございまして、その結果、民族系の会社の上げ幅の方が高かったわけでございます。その後、いま先生から御指摘がありましたように、十一月のアブダビ会議、十二月のウィーンの会議におきまして、民族系会社とそれから外資系会社が入手いたします石油について、大体一本価格に修正されたわけでございます。ただ、現在の価格では、先ほど申し上げましたように、逐次行われました産油国の値上げの分をカバーいたしますだけの値上げができていないということで、一月にさらに値上げを発表いたしておるわけでございます。ただ、現状を申し上げますと、石油につきましては現在非常に供給が過剰でございまして、この発表いたしました値上げがなかなか通らない。やはり総需要抑制それから産業活動の停滞によりまして、各会社が発表いたしました値上げが通っていないというのが現状でございます。
  62. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 原油が輸入されても、それが国内においてむしろ価格が下回っておるというようなお話でありましたけれども、現実にはそうじゃないのですね。やはり原油の値段が上がるということは即それが石油製品にはね返ってくるということが必然的に考えられるわけでありますので、こういう点についてはやはり対応して、総需要抑制策あるいは不況インフレ対策に関連して行政指導をすべきではなかろうか、そのように思いますので、そういう値上げ自体についてチェックすることがやはり行政上必要ではないかというように考えられますので、その点ひとつ十分お考えおきを願いたい、そのように思います。  そこで、次は備蓄についてお尋ねしたいのですが、石油を九十日間備蓄したいということでお話がありましたが、現在六十日であるわけでありますけれども、これをあと一カ月備蓄するということになりますと、大体二千五百万キロリットル必要とするわけでありますので、その諸経費が、大体五千億程度原油代がかかるのではなかろうかということが想定されるわけでありますので、九十日分を備蓄するということになると、一兆五千億から、まあ二兆円かかるということになるわけであります。そこで、備蓄をやると政府は言っておりますけれども、一体そういうことについて現在どうなっておるかという点。  それから、備蓄をするについていま非常にコンビナートの事故や何かが発生しているし、それから輸入のコストが大体上がっておるわけですね。国内的には石油価格の値上げが簡単にできないということと、したがって企業には備蓄について意欲がだんだんなくなってくるのではないか。一方、公害の問題で、設備をするのに大変な隘路があるのではなかろうかという、この二つの要因を考えると、政府が九十日間備蓄をするということを掲げておりますけれども、このことについて、一体どのような対策を立て、またどのような、たとえば石油開発公団だとかあるいはその一部を拡張するとか、あるいは備蓄公団をつくって具体的に備蓄の対策を立てていくかどうか、そういう点についてひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  63. 増田実

    増田政府委員 石油の備蓄につきましては、現在私どもが備蓄政策として立てておりますのは、昭和五十年度を初年度といたしまして、昭和五十四年度までに九十日の備蓄を行う、こういうことでございます。  それから、この五年間に積み増す備蓄量は、三千六百八十二万キロリットルを予定いたしておるわけでございます。これに対して要する資金、総資金でございますが、先生が御指摘になりましたように大体一兆五千億になります。この内訳を簡単に申し上げますと、そのうち原油代が大体八千百億円ということになっております。それから、タンクの建設費につきましては大体四千六百億円、用地の取得費が大体三千億円という内訳になっております。  この備蓄政策につきましては、現在石油会社が持っておりますタンク用地に今後追加してタンクを建設いたしますのと、もう一つは、政府が半額出資いたします共同備蓄会社をつくりまして、その共同備蓄会社がタンク建設をするという二本立てで今後このタンクの建設を行いたい、こういうふうに考えております。このために五十年度の予算につきましては、備蓄のための原油の買い取りにつきましてその資金の供給と、それから利子補給を行うということになっております。また、タンクの建設につきましては、開銀資金その他でできるだけ低利に資金を融通するということになっております。また、共同備蓄会社につきましては政府が半額出資をし、またそれの必要な資金は財政投融資から持っていくということになっております。  いずれにいたしましても、六十日の備蓄につきましては、石油会社が石油業を営む以上、当然六十日の備蓄設備というものを持つべきだと私ども考えておりますが、これを九十日に持っていきますのは、先ほど価格の問題につきまして加藤先生からいろいろお話しございましたのですが、現在の石油会社の経理状況からいいますと、一部外資系を除きましては軒並みに赤字になっております。そういう意味におきまして、この九十日まで持っていくことにつきましては非常な困難があるわけでございます。そのために国から相当大幅な助成をいたしまして、この備蓄の九十日の目標を達成いたしたいというふうに考えております。  それから、保安の問題につきましては、昨年の水島事故、それから最近に起こりました大協の事故その他の問題がございます。保安につきましては十分な対策を立てまして、災害が起こらないような体制をつくりまして、地元の方々の理解と協力のもとに今後この政策を推進していきたいというふうに考えております。
  64. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 石油の安定供給と安定価格と、オイルダラーの還流の問題についてお尋ねしたいと思います。  ちょうど二年前には、先ほど長官からお話がありましたように一バレル八ドルでありましたのが、十一ドル五十セントというような、まあ四割から石油が値上げになったわけでありまして、代金の格差が非常に多いわけですね。  そこで、このオイルダラーの還流策についてお尋ねいたしますが、たとえばそれが格差が一バレル八ドルとしてキロリットル当たり五十ドル。そういたしますと、世界の石油の消費量が大体二十七ないし二十八億キロリットルであるとすると、OPECに集まっているのが六〇%とすると、大体十六ないし十七億キロリットルあるということでありますので、年間に八百億ないし八百五十億ドルから産油国に金が集まるということでありますので、世界ではこのオイルダラーの還流について非常に問題を醸しているわけであります。日本ではこのオイルダラーの還流について一体どう考えているか、この点を一つお聞かせ願いたいのと、それからさらに先ほど石油の問題で御答弁がありましたけれども、日本の石油のコストが一年分で大体四兆円かかるわけですね。そうすると、国家予算が二十一兆二千八百八十八億というようなことで出されておりますが、その原油価格の値上げが四兆円だとすると約二〇%という膨大なものが使われるわけなんですが、こういう石油パニックまで閣僚が一人も中東産油諸国に行かなかったということであります。石油パニックになってあわてて三木さんが友好使節ということで産油国を訪れたわけなんです。ところが、その後閣僚が行ったというようなことを聞いてないわけでありまして、石油がまさに日本の産業の動脈であり死命を制するという今日において、その後一回行っただけでもって閣僚が接触してないという点についてはなはだ遺憾に思うわけでありますけれども、その後中東の産油国に対して接触を持ったかどうか、その点もあわせてお聞きすると同時に、オイルダラーの還流策についてどのように取り組み、どのような考えを持っておるか、その点もひとつあわせて通産大臣からお聞かせ願いたいと思うのです。
  65. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほどお話しのように、油の価格が暴騰いたしました関係で、昨年一カ年間消費国から産油国に対して支払われました油の代金は一千億ドルを若干超える、こういうふうに想定をしております。そのうち貿易であるとかあるいは先方がいろいろ軍備をしておりますので、そういうもので再び自然に流れてきたものが約四百億ドル余りでございますから、六百億ドルが向こうにたまった、こういうふうに大体の想定をしておるわけでありますが、これはいまの世界全体の経済の規模から見まして余りにも巨大な額であります。したがいまして、非常に大きな影響を各方面に与えておるわけでございまして、このオイルダラーの還流、いわゆるリサイクルという問題につきましては、これは日本のみならず世界全体の経済最大の問題である、私はこういうふうに考えております。  先般この国際会議が一月の中旬にワシントンで開かれまして、日本からは大蔵大臣が約一週間向こうに行かれまして、その結果この国際会議におきまして、オイルダラー還流につきまして二つの国際的な方法が確認されたわけでありますが、その一つはIMFによるところの従来の方法を踏襲していくという方法と、それからもう一つはキッシンジャーの提案いたしましたOECDを中心とするオイルダラーの活用というこの基本的な方法、この二つが確認せられたわけでございまして、いまそれに伴う細かい詰めをしておるところでございます。そういうふうな国際的な方法のほかに、日本その他の石油消費国はそれぞれに別のルートでもやはりこのオイルダラーの還流、活用という方法を考えておるわけであります。先ほど申し上げましたような国際的な二つの方法が何も全部ではない、個々の国々では別途にそれぞれの方法を考えておるというのが実情でございます。しかし、何分にも金額が巨大になりまして、日本の輸入代金なども二百億ドルを超えるということでございますから、大変な金額になるわけでございます。  こういうふうな重大な事態を踏まえて一昨年、当時の三木副総理が中東を訪問せられまして、昨年の一月には当時の中曽根通産大臣が訪問せられたわけでございますが、それ以来一体何をしておるかということでございますけれども、去る一月二十四日の総理の演説の中にも、中近東を含めて開発途上国との経済協力を、この際、方法、量、質を含めまして抜本的に検討して、スムーズに経済協力が進められるように、そういう検討を至急にすべきである、こういう御趣旨の演説がありましたので、それを受けまして、同日夜私は総理にお目にかかってその真意をお伺いいたしますと同時に、目下通産省を中心といたしまして関係の各省間において、しからば具体的にどうするかということについて詰めをしておるところでございます。  なお、昨年の一月から本年の二月まで日本から正式の政府の代表は向こうには行っておりませんけれども、事務的にはその間非常にいろいろの作業が進んでおりまして、中近東の産油国との間は、政府間でしなければならぬいろいろな課題等につきましてはきわめて順調に進んでおります。ほとんど一〇〇%と言ってもいいぐらい政府間べースでの話し合いは進んでおるわけでございまして、ただ民間関係経済協力が非常に金額が大きくなりますので、しかも長期的になりますので、これを一体どうするかということがネックになっておりまして、目下この問題を中心としてその打開策を検討しておるというのが実情でございます。油の輸入ということは日本の経済にとりまして死命を制する大問題でございますから、決してほっておるわけではございませんで、全力を挙げましてこの問題と懸命に取り組んでおるということを御報告申し上げます。
  66. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 いま通産大臣からオイルダラーの還流の問題、それから産油国との接触をより緊密にして、より一層深めていくということについての御答弁がありました。さらに、最大の石油会社であるアラムコ、このアラムコは、スタンダ−ド・オイル・カリフォルニアだとかエクソンだとかテキサコだとかモービルだとか、従来メジャーによって占められておったのですが、これが一九七四年から七五年にかけてサウジアラビアが資本の参加を一〇〇%にするという見込みでいま進めておると思うのですが、今後やはり石油供給安定の上にこのアラムコの接触が非常に大事になってくると思うのですが、こういう点については現在どうなり、どう考えておるか、時間がすでに参りましたので、この一点をお聞かせ願いたい。  それからもう一つ石油価格の安定について、国が石油の輸入行政に権限を持って関与できるかどうか、そういう点についてお考えを伺いたいのです。たとえば為替の変動に対して、ドル二百九十円が三百円になって十円上がったといたしますと、コストにして三%アップになるわけなんですが、国全体で二億五千万キロリットル輸入いたしますと、大体千五百億円ぐらいが赤字になるわけなんですが、為替の相場について、政府がたとえば保険会社のように価格調整金の分担というようなことあるいは何かコントロールするというようなことになると、供給安定というものがいわゆる外的に期待できるということになるのです。それからもう一つ、原油の輸入価格がキロ当たりいま二万円といたしますと、三%上がって、それがコストプッシュされだとすると、キロ当たり六百円上がるということになるわけでありますので、大変国内の消費についての圧迫を加えておるというようなことで、何らかの安定供給についての国の行政の関与あるいはコントロール、指導というようなことが考えられないかどうか、この二点についてひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  67. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 サウジアラビアの油の生産は、いま世界で最大でありますし、それからその生産がアラムコによって行われておるということ、そういうことから、いま御指摘のサウジとアラムコとの交渉の経過というものにつきましては、わが国にとりましても非常に大きな影響があります。したがいまして、この交渉の経過を細大漏らさず注視をしておるわけでございますが、ただいままでのところ、六〇%のシェアを一〇〇%にするというその交渉、いろいろ問題点がたくさんありまして、まだ最終的にはこの交渉は調っていないように見受けられます。もう少し時間がかかるのではないか、こういうふうに思いますが、いずれにいたしましても、わが国に非常に大きな影響がございますので、よく注視をしていきたい、かように考えます。  なお、輸入の計画につきましては、毎年予算編成時に際しまして経済見通し等を立てなければいけませんので、大体輸入量を想定いたしまして、たとえば昭和五十年度の輸入量は約二億九千万キロリットルである、そういう想定をいたしまして、この作業を進めておるわけでございますが、しからばそれが個々の企業との関係はどうなるかということにつきましては、これは長官から御答弁をいたします。
  68. 増田実

    増田政府委員 石油の輸入の問題についてお答え申し上げますが、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、輸入につきましては、私どもの方は毎年の石油の製品その他全部の供給計画を定めております。ここに一応の想定が出るわけでございますが、ただ、これは通産省がその年の適正な石油供給及び需要というものを発表いたすだけでございます。ですから、石油の各社における数量というものは自由になっております。昔は外貨割り当てで一社ずつの割り当てをいたしておったわけでございますが、現在自由になっておるということでございます。今後の持っていき方をどうするかということはいろいろ問題がございますが、私ども石油の輸入につきましては、やはり企業の自由活動に任せたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから、価格の問題につきまして、ことに為替の問題につきまして先生から御指摘がありました。これは為替が変動いたしますと、相当大きな影響を原油代金について与えるということになっておるわけでございまして、大体為替相場が十円動きますと、キロリットル当たり七百円前後の影響があるわけでございます。そこで石油企業が為替相場の動きによって非常な欠損あるいは利益を生むということにもなるわけでございます。現在のところではかって二百八十円ないし九十円であったものが三百円になっておりまして、これも一つ石油企業の赤字要因になっておるということでございます。  それから、この為替リスクについてどうすべきかということについてお尋ねがございましたのですが、これは短期の取引でございますので、一応相当な金額になりますので影響が大きく出るわけでございますが、先物相場へつなげば、それについてのリスクを逃れられるということでございますが、実態を調べますと、為替先物予約につきましては一部分やっておりますが、全部はやっておらない。このために、為替相場が動くことによりまして、プラス、マイナスに相当大きな影響を与えるというのが実情でございます。
  69. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 質問を終わります。
  70. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  71. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  72. 野間友一

    野間委員 私は、いまから小企業経営改善資金の問題について若干のお尋ねをしたいと思います。  これは二月一日の予算委員会の中で私取り上げてやったわけですけれども、時間の関係で細かい点についての質疑ができなかったわけで、少しその点について言及をしたい、このように考えております。  最初にお伺いしたいのは、この小企業経営改善資金、これらはすべての小企業者に公正に、平等に取り扱う、こういう制度であるのは当然であります。この制度が発足するときも、わが党の神崎委員がそういう点について質問をしたわけでありますけれども、再度、改めて、すべての小企業者に平等、そして公正にこの制度を運用する、そういう仕組みのものであるということをひとつ確認をしておきたいと思います。
  73. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 仰せのとおりでありまして、あくまで全小企業に対しまして、零細企業に対しまして公正でなければなりませんし、また平等でなければならぬと思います。
  74. 野間友一

    野間委員 それじゃその中身について少しお聞きしますけれども、青色、白色あるいは商工会議所、商工会、この会員の有無を問わずこれらが平等に取り扱われるということがすなわち公平かつ平等だというふうに理解しておりますし、またこの点についてもわが党の神崎委員が指摘をして、たしかその当時通産大臣かあるいは中小企業庁長官がお答えになっておりますけれども、再度この点についてお答え願います。
  75. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 会員であると否とにかかわらず、あくまで平等でなければならぬと思います。
  76. 野間友一

    野間委員 そこで、お聞きしたいのは、発足してから今日までの利用状況、実態でございますが、会員の利用とそれから会員外の利用、これらがそれぞれ、率でも結構ですけれども、どういう状況になっておるのか。これは中小企業庁長官から。
  77. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 小企業経営改善資金制度は、御案内のように商工会なり商工会議所が実施をいたしております経営改善普及事業におきます経営指導を金融面から補完するものでございまして、そういうことで経営改善普及事業の実効を確保しようというものでございます。そのために、平等でございますけれども、実際のやり方としましては、商工会なり商工会議所の経営指導を受けまして、経営改善のために必要な資金であるということで、商工会あるいは会議所の推薦を受けることを融資の前提といたしておるわけでございます。したがって、経営指導員が指導いたしまして、融資が必要であろうということで商工会議所なり商工会が判断をしますれば、国民金融公庫の方から融資が出る、こういう仕組みでございますので、商工会なり商工会議所の会員であるか否かということは要件に考えておりません。そういう意味合いから、融資の実績につきまして、会員に対してどれぐらい、非会員がどれぐらいといったような調査はいたしておりません。
  78. 野間友一

    野間委員 そうしますと、公正、平等に扱うというこの点については確認をされたわけですけれども、その利用状況について、その会員内と会員外の割合については実態を掌握されていない。こういうことでは実際に公正かつ平等に扱われておるかどうか、これを調査し把握する、そういうことができないじゃありませんか。
  79. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 商工会議所地域は非常に小規模企業の数が多うございまして、会議所の組織率と申しますか、商工会議所地域での小規模企業者を会員としておる率は非常に低うございます。したがいまして、商工会議所地域におきましては融資先の相当部分が非会員ではないかというように考えられますが、ただいまのところその詳細な会員、非会員によります融資の比率等は、そういった調査をいたしておりません。
  80. 野間友一

    野間委員 そのパーセントですね、率もわかりませんですか。つまり、私いま申し上げたように、本当に平等に扱われておるかどうかということを、これはもうそのとおり扱う制度だし、そういうように扱っておるんだというお答えがありましたので、そうであれば何を根拠にそういうことを言われるのかということが問題になると思うのです。それはどうなんでしょう。
  81. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 実際の運用の指導におきまして、会員であるか否かによって差別をするようなことをしないように指導いたしておりますので、公平に扱われておると考えておりまするが、ただいま申し上げましたように、会員、非会員の別による融資の実績の比率といったような統計はとっておりません。
  82. 野間友一

    野間委員 ですから、たてまえはそうである、これは私も理解できるわけですし、またそうしなければならぬ、当然だと思うのですけれども、しかし実態、それを把握することができない。しかもやってないということであれば、たてまえどおり実際にこれが運用されているかどうかということは、いまのお答えでも、通産省は把握するということをやっていないし、把握していない、こうなるわけですね。これはたてまえがそうであれば、実態を調査してどういう状況であるか、公正、平等に扱われておるかどうかということを調べることが、運用上の問題点、こういうものをまさぐる上において当然必要になってくるわけですね。それはなぜやられていないのか。たてまえがそうだからそうだろうと思うということでは、これは答えにならない、当然だと思うのです。その点いかがです。
  83. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 先ほど来申し上げましたように、公平に扱う、会員、非会員ということによって運用を差別をするということを考えておりませんでしたので、融資の実績におきましてのそういった調査をいたしておりませんでしたけれども、至急に調査をいたしたいと存じます。
  84. 野間友一

    野間委員 ですから、たてまえを述べられたけれども、実際にはこの運用状況を把握していない、ここからいろいろ問題が出てきておる。これは後から申し上げますけれども、それはやはり通産省としての怠慢と申しますか、行政上の大きな問題点として私は指摘し、いま至急に調査する、こういう話がありましたので、ぜひそれを早期に実行していただきたい、こう思います。  特に、大体小企業者が全国でどのくらい数があるのか、私あれこれ——物の本によりますと三百八十万ともあるいは四百万とも言われております。そこで、商工会やあるいは商工会議所、これらに組織されておるそれら小企業者がどのくらいあるのか、これを見てみますと百十四万、小企業者の約三〇%しか商工会、商工会議所に組織されていない、こういうふうに私は理解しておるわけです。つまり七〇%がいわゆるアウトサイダー、こう考えておりますけれども、この認識に誤りがあるのかないのか、お答え願います。
  85. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 昭和四十八年十二月末での小規模事業者の商工会なり会議所の組織率でございますが、商工会は六八%、商工会議所が二八%でございまして、全国平均では四一%という組織率になっております。
  86. 野間友一

    野間委員 私、これは三百八十万という全国の小企業者、組織されたのが両者に百十四万、こういうことから計算しますと三〇%、こうなるわけですね。いま会議所それから商工会分けてパーセントが言われましたけれども会議所の場合には二八%、非常に低い。このとり方がそれぞれ違うからそれはともかくとしても非常に組織率が低いということについては、これは言えようかと思うのですね。  ところで、次にお聞きしたいのは、受けられる資格ですね。これは中小企業庁も制度要綱、これをつくっておられるわけですが、これには原則として六カ月以前から経営指導員の指導を受けていること等々、こういうことが書かれておりますが、これらは一体どういう意味を持つのかということをお聞きしたいわけですね。つまり制度要綱に書かれておりますこの受けられる資格、こういうものを全部具備しなければ受ける資格がないのか。絶対ない、こういうことになるわけですか。
  87. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 先生御承知のように、現在商工会議所あるいは商工会に経営指導員を設けまして、小規模企業者の経営改善の指導を行わせております。その経営改善指導事業一環といたしまして経営指導員がいろいろ経営の指導をいたしまして、改善すべき点が出ました場合にそのための所要資金の確保につきまして裏打ちがございませんと、経営改善指導事業が空に浮くわけでございまして、そういう意味合いで、経営改善指導事業をさらに実効あらしめるものとしてこういう金融の裏打ちの制度を準備したわけでございます。したがいまして、この融資の条件といたしましては、一つはただいま御指摘のございました六カ月前から経営指導を受けておりまして、その指導員によります経営指導の結果、設備なり施設の近代化でございますとか、あるいは販売方法の改善でございますとか、経営技術の改善、こういうことが必要だということになりまして、そのための資金を借りたいということになりました場合にこの資金を融資する、こういうふうな仕組みにいたしておるわけでございます。  なお、条件といたしましては、このほかに最近一年以上同じ地域に居住をしておること、それから税金を過去一年完納しておること、こういったことも条件といたしております。
  88. 野間友一

    野間委員 そうしますと、そういう条件を具備して初めてこの制度の上では小企業者、こういうふうになるわけですか。
  89. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 小企業者の中でこういう条件を具備している者を融資の対象者として選定をしておるということでございます。
  90. 野間友一

    野間委員 この融資を受ける手順ですけれども、いま申し上げたような一定の小企業者の中でこういう条件を具備しておる者、おそらくこの制度からすればそのような条件を具備しておる者をこの制度上は小企業者というのか、これは一つの問題であろうと思うのです。といいますのは、これは今度は給付を受ける手続ですね、順序、これはそのような小企業者がまず推薦の申し込みをやる、そして審査をして推薦する、こういう手順になるわけですね。その際、いま言われたような条件を具備していない者は推薦の申し込みをすることができないのかどうか、この点にかかってくると思うのですけれども、これはどうですか。
  91. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 この制度の趣旨から申しまして、ただいま申し上げましたように、原則として六カ月以前から経営指導員の指導を受けておることと、居住要件と納税要件というのが融資の条件でございますので、それに該当しない方は、商工会なり会議所を通しての融資の推薦は受けられないと申しますか、そういう方に限って推薦をするようにという制度の要綱にいたしておるわけでございます。
  92. 野間友一

    野間委員 私お伺いしているのは、推薦の申し込みをすることができないのかということです。特に経営指導員の指導を「原則として六カ月以前から」、こういう条件がない者は推薦の申し込みをすることができぬのかどうか、この点です。
  93. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 申し込みをなさることは自由でございますけれども、融資の要綱がそういうふうに決められておりますので、それに該当しない場合には審査会で結局外れまして、推薦が受けられないことに結果的になろうかと存じます。
  94. 野間友一

    野間委員 そうすると申し込みはすることができる、こういうことですね、いまのお話では。申し込みをします、ところが審査をする、その中で資格があるのかないのか、これも審査の対象になろうということだろうと思いますけれども、この場合に原則として六カ月以前から経営指導を受けていない者は、これはたとえ推薦の申し込みをしても推薦は絶対にしない、こういうことですか。
  95. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 六カ月以前から経営指導員の指導を受けておるということは原則でございます。経営指導の内容なり密度が非常に濃い場合等におきましては、若干例外的に六カ月未満の場合でも商工会あるいは会議所の審査会で融資をした方が適当であると判断します場合には推薦をしてもいいということにいたしておりますが、原則としては六カ月ということで、六カ月よりも未満の場合はきわめて例外的な場合というふうに考えております。
  96. 野間友一

    野間委員 そうすると、いまのお答えの中では、しかしそれでも少なくとも経営指導を受けること、これを受けていない場合にはこれは推薦の対象にはならぬ、こういうふうに受け取られたわけですけれども、そうですか。
  97. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 お話しのとおりでございます。
  98. 野間友一

    野間委員 ここに中小企業庁から発行されております「小規模企業者の皆様へ」というパンフがありますけれども、これはそちらで出したものであることに間違いありませんね。
  99. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 私どもの方で発行したものでございます。
  100. 野間友一

    野間委員 これをお持ちですか。——持ってきてない。じゃ、頭の中に入っているかと思いますが、これの九ページから、この制度についてというのが書かれております。その十一ページによりますと、「融資推薦方の申込み」の中ですけれども、ここには「従前から経営指導員の指導を受けている企業でなければ、融資の推薦を受けられないことがありますので、」とこういうふうになっておるわけですね。つまり申し込みをする、しかしその指導を受けていない場合には推薦を受けられないことがある、これは推薦を受けることができる場合もある、この表現ではそうなっておるわけですね。ですから、指導はなくても申し込みをし、推薦を受けることができる、この文章からはそういうふうに理解せざるを得ないと思うのです。お持ちであればわかるわけですが、お見せしましょうか。つまり「融資の推薦を受けられないことがあります」、これは一体どういうことですか。つまり、この指導を受けなくても推薦をすることが現実にあるのだという、そういうことができますというふうに反対解釈が出てくるわけですね。
  101. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 そのパンフレットの趣旨は、これまで経営指導を受けてない方は、これから経営指導を受ければ融資が受けられることになりますので、そういう意味合いも込めまして書いた趣旨でございます。つまり、過去に受けてないと一切今後も借りられないということではなくて、これからでも経営指導を受ければ将来借りられる、こういうような意味合いを含めたつもりでございます。
  102. 野間友一

    野間委員 これはそう読むわけですか。しかし、これではそう読めないですね。  そこで、次にお伺いしますけれども、この経営指導あるいは推薦、これは一体この制度融資の中でどういう意味を持つのか、こういうことであります。特に法律上の根拠は一体どこにあるのかということ、これをまずお伺いしたいと思います。
  103. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 これは、先ほど来申し上げております商工会議所なり商工会が経営普及改善事業を営んでおります。その一環としての経営指導と、その経営指導を補完する意味での金融措置でございまして、融資の仕組みとしては、いわゆる特利によります非常に安い金利で融資をいたしております。国民金融公庫なり中小企業金融公庫が融資いたします場合に、通利と特利の場合ではいろいろ審査に違う仕組みがございまして、たとえば公害融資でございますとか、そのほか幾つかの特利制度融資の場合には、それぞれ特定の適当な機関の証明書といったようなものをつけることを条件として特利の適用をする、こういう例は幾つもあるわけでございまして、そういうことと似たような仕組みでこういった特別の金利のものは運用いたしておる、こういうことでございます。  なお、商工会議所なり商工会の事業の根拠としては、それぞれの法律の中に「相談」「指導」といったような業務が書かれておりまして、その業務として行っておるわけでございます。
  104. 野間友一

    野間委員 確かに「相談」「指導」というところはありますけれども、しかしこれはあくまで相談、指導であって、先ほどもお話を聞いておりますと、この指導を受けることが推薦の前提条件であるということから考えますと、これには、単に指導の問題だけではなしに、その金融との絡みで法律上の根拠がなければならない、明確な根拠がなければならない、こう思うわけです。特に、先ほど申し上げましたように、小企業者でこの商工会議所等に入っておる人の率が非常に低い、しかも小企業者であれば平等、公正に受けられる、この前提に立ち、なおかつアウトサイダーについても、このような経営指導あるいは推薦が、これを条件として拘束するということが一体許されるのかどうか、これはどうなのですか。
  105. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 この制度は、小企業であって経営改善をしようという人のための融資の制度でございますけれども、国民金融公庫等の融資の場合に、特定の優遇措置でございますので、一定の範囲に限って、一定の条件を満たす場合に限って融資をするといったような制度はたくさんあるわけでございまして、その中の一環というふうにお考えいただければ、他のそういった特利制度と似たような仕組みであるというふうに私ども考えておるわけでございまして、国民金融公庫法上の特段の問題はないのではないかというふうに考えております。
  106. 野間友一

    野間委員 再度お聞きするわけですが、たとえば商工会議所法あるいは商工会の組織等に関する法律、この関係で言いますと、その職務そのものは何条のどれに該当するわけですか。
  107. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 商工会で申し上げますと、商工会法の第十一条は、商工会の事業を掲げておりますけれども、その一号で、「商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行なう」、これを根拠といたしまして経営改善指導を行っておるわけでございます。それから商工会議所の方は、商工会議所法の第九条で、商工会議所の事業の種類を定めておりまして、その第十三号に、「商工業に関して、相談に応じ、又は指導を行うこと。」こういうふうに規定をいたしておりまして、商工会議所なり商工会が経営指導をこれに基づいて行っておるわけでございます。一方、これの指導を条件としまして融資をいたすという、融資の面での要件をそういうふうにきめておるわけでございまして、それは国民金融公庫法上は別に問題はないというふうに考えております。
  108. 野間友一

    野間委員 指導を行うことができる、これは職務の範囲ですね。指導をそれでやっておられる、これは私はわかるのです。ただ、この指導が推薦の絶対条件、つまり指導がなければこれを受けることができない。とすれば、その融資との関係では、明確なやはり条件とする根拠がなければ、単にその指導を行うことができる、これは商工会等の職務権限、職務内容ですけれども、これだけでも貸すことについてその条件に欠ける、これは法律上の明確な根拠がなくては許されないというふうに私は理解せざるを得ないと思うのですけれども、どうですか。
  109. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 経営指導を融資の条件とすることは、むしろ私は融資の方の国民金融公庫法上の問題があるかないかという問題であろうかと存じます。その場合に、いろいろ特別の金利によります融資制度は幾つかございまして、それについていろいろ、たとえば産業安全衛生施設等の整備貸し付けという場合に、消防庁長官の証明を要するといったような要件をくっつけておる例は幾つかあるわけでございます。問題は、今度の経営改善融資制度におきまして、商工会議所の経営指導員あるいは商工会の経営指導員を使うことが妥当であるかどうかという点にあろうかと存じますけれども、御承知のように商工会議所なり商工会は地域の総合的な経済団体でございまして、特別法に基づくきわめて公共的な機関でございますので、その機関に所属する経営指導員の経営指導を要件として特定の融資を行うということは、国民金融公庫法上は問題はないというふうに考えております。
  110. 野間友一

    野間委員 どうもその点釈然としないわけですけれども、それに関連して次にお聞きするのは、それでは一体具体的にどういう指導をされておるのかということであります。これについてはその経営指導の中身についての何か基準、こういうものを設けておられるのか。そして、その指導の実態ですね、これは一体どういう状況であるのか、効果は一体どうなのかというような点についてお尋ねをします。
  111. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 経営指導員は現在約六千名おりまして、商工会なり商工会議所に全国に配置をいたしておりまして、これが商工会の事務所で相談に乗り、あるいは巡回をいたしまして、町の工場なり、あるいは町の商店、サービス業を回りまして、もろもろの経営相談、設備の改善の場合もございますし、あるいは営業方法の改善の相談もございます。それから税務相談、それから帳面の記帳の相談、金融の相談あるいは労務管理面での社会保険等の相談、その他経営全般に関します各種の相談に応じまして、経営指導をいたしておるというのが現状でございます。
  112. 野間友一

    野間委員 これは経営を改善する、そういう制度融資でありますけれども、その点から、それではどのような指導をして、どのような成果、効果が上がったのか、そういう実態については把握しておられるのかどうか、その点どうでしょうか。
  113. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 小規模企業部長でございます。  具体的な例といたしましては、まだそうたくさん網羅的に調べておりませんが、一例を申し上げますと、某冷凍機、製紙機器部品加工というふうな企業でございますが、従来労務管理、経理について指導をしてまいりましたが、主取引先から受注が低下し始めたために、その対策について相談を受けた。製品の精度の向上を図るため旋盤加工それから高精度のフライス盤の導入というようなことで、技術面での優位性を発揮するように指導いたした。たまたま金融引き締めのため銀行からの融資が受けられなくなりまして、当該改善資金を利用いたしましてこれを導入いたしまして、その後さらに、主取引先からの受注がダウンいたしまして、非常に苦境に落ちたわけでございますが、この融資のためにつなぎが可能となりまして、内面的な経営指導とあわせまして、何とか急場をしのいでやっていったというふうなケースもございます。
  114. 野間友一

    野間委員 いや、私が聞きたかったのは、そういう一、二のケースでなくて、全体の実態を把握しているかどうかという観点からのお答えを求めたわけですけれども、その点については把握していないということで、これはやはりフォローしなければならぬということは当然だと思うのです。  そこで、お聞きしたいのは、商工会議所等についても、特定の団体等の利益にあずかってはならぬとか、いろいろ規定がありますね。つまり、商工会議所等は平等に扱わなければならぬ、利益、不利益、差別をしてはならぬというのがこの法律の中に規定されておるわけです。しかも、これは制度融資として公正、平等に、加入の有無を問わないということもすでに確認をされたわけですけれども、会員にならなければお金をお貸しすることはできない、こういうことを条件にして勧誘して、そして会員に入れていく、このようなまさに悪徳な何とかみたいに会に入ることを強要して、それを条件に金を貸し出すということが許されるのかどうか。これは許されないのは当然と思いますけれども、どうですか。
  115. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 この融資の条件は、経営指導を受けておることが条件でございまして、会員であるかないかということは、全く無差別に融資を行うというたてまえでおりますので、会員でなければ融資をしないといったような運用をやっておる商工会なり会議所がもしあるといたしますと、本来のこの制度の趣旨に外れておりますので、それは厳重に注意をいたしたいと思います。  ただ、商工会なり商工会議所は、やはりその地区の総合的な経済団体として、みずからの組織化率を高めましてそういった管内の中小商工業の経営の改善等に努力する責務もあるわけでございまして、そういう意味で、商工会なり商工会議所がこの融資制度と離れまして組織化をさらに進めていくということ自体につきましては、私ども非常に結構なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  116. 野間友一

    野間委員 端的に、私がお聞きしたことについてお答え願いたいのですが、つまり入会を強要して、それを条件に、そうでなければ金を貸さぬ、こういうことが実際あるとすれば、これは厳重注意というお答えのように私は受けとめておるわけですけれども、それでいいわけですね。
  117. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 会員になることを条件に融資をする等で勧誘するということは、本制度の趣旨に外れておりますので、会員であるかないかは融資の条件にすべきでないというふうに考えております。
  118. 野間友一

    野間委員 いまずっとお聞きしたわけですけれども、しかしあなたの方でその実態を全然把握されていない。ここに大きな問題があると思うのです。  いま私一つのケースを挙げました。つまり入会を条件とするというケースですね。これはまれなケースじゃないわけです。私は東京とか長崎、それから私の出身地の和歌山もいろいろ調べてみたのです。これは聞き取りもとっておりますけれども、これはひどいのです。二、三のケースにとどまらぬわけですね。たとえば、これは東京のケースですけれども、指導については、これは必ずしもしなくていいのだ、入りさえすればすぐ出るのだということで、この加入を強要したのが東京で数件、それから長崎でもあるわけです。しかも、和歌山の場合もそうですけれども、入会金を五千円取ってほうり込んで、あとは何もしない、こういうのもあるわけですね。しかも、和歌山の経営指導員、これは名前は差し控えますけれども、ある指導員が去年の六月、ある町の商工会の集まりで、この制度融資は民主商工会対策であるとはっきり言明しまして、これが物議をかもし出しまして、後でこれは謝ったわけですけれども、大問題になったわけです。こういうのがあちこち随所に起こっているわけですね。これはいま総論的に言われましたこの制度融資の本来のたてまえからすれば、著しく逸脱しておる、こう言わざるを得ないと思うのですね。なぜこういうケースがあちこちに起こっておるのか。私は、本来そのような商工会や商工会議所を離れようとする小企業者をつなぎとめていく、それだけの役割りじゃないかというふうに思うわけですけれども、それはそれとしても、たてまえがいま通産省が言われるようなことであれば、それについて差別をしない、入会を条件として、そうでなければ貸さぬとかいうようなことをしない、そのような行政指導を当然やっておらなければならないし、やるべきだと思うのですね。ここに問題があると思うのです。何もその実態を知らない。把握していない。私は小規模企業者の皆さんへのチラシも見ましたし、制度要綱も拝見したわけですけれども、これにはどこにも会員、非会員を問いませんとか、あるいは青色、白色を問いませんとか、これはどなたでも——これは中身を見ますと、会員に限るというようなことは特段に書いてない。これはそのとおりですね。ところが、実際にそのような経営指導の実態、運用の実態を踏まえた場合に、これはしかも一、二の例にとどまらない。制度のたてまえがそうであれば、そういう制度の趣旨に反しないように、制度に反しないように、これは厳しく行政指導をしなければならぬと思うのです。ですから、是正をするためにはこういう指導をしなければならぬと思う。私は、国金の審査がありながらなぜあえてこのような商工会等の指導とか推薦を条件とするかということについては、これはやるべきでないということは前々から長官にも申し上げておるわけですけれども、それはそれとして、いま撤回は恐らくされないと思います。しかし、少なくともこのような不平等が行われておるとすればこれを是正しなければならぬ。その是正の中身についてはいま申し上げたようにこれは会員、非会員で差別しちゃならぬとか、あるいは青色、白色で差別しちゃならぬ、取り扱いを厳重に注意しなさい、少なくともこういう通達を私は出すべきだ、こう思うのです。これは幾つかもし御要望であればまたケースも教えたいと思いますけれども、そういうことを当然するべきじゃないか、こう思うのです。いかがですか。
  119. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この融資は公平無差別に行うべきものと考えておりますので、融資に際しまして行き過ぎがあったとしますと非常に遺憾に存じます。そういった行き過ぎのないように注意するよう通知をいたしたいと存じます。
  120. 野間友一

    野間委員 いま通知を出す、これはぜひ早急にやっていただきたい、このことを強く申し上げます。  ここに、この前も通産大臣にも私お伺いしたわけですけれども、これは神戸ですが、ここの商工会議所で経営指導員が一体どういう指導をし、どういう推薦の上申をしておるかということを端的に示す文書があるのですね。これに、この前も予算委員会の中でも引用しましたけれども、あれこれ書きまして、結論として、ある市場ですが、ここには東灘民主商工会、括弧して共産系と書いてあるのですね、これが積極的に活動を続けておりますので当所本来の使命、小規模企業対策推進運動を達成するためには上記融資については政治的特別の御配慮をしてくださるようお願い申し上げます。そして経営指導員の名前までちゃんと書いてあるわけです。これから見ますと、この制度融資の本来の使命というのは、いま申し上げた東灘民主商工会が積極的に活動を続けておる、こういうことを考慮して政治的に特別の配慮をしてくれ、これが本来の使命なんだというようなことも堂々とぬけぬけと書いてあるのですね。こういうのがまかり通っておるわけです。こういう実態、一体知っておるのかどうか。知っておるとしたらどういう措置をとるのか、この点についても重ねてお伺いしたいと思います。
  121. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 先生御指摘の経営指導員の文書云々は、私御指摘で初めて知りました次第で、この指導員は本制度の趣旨をやや誤解しておったんではないかと思います。十分注意をいたしたいと存じます。  なお、御指摘のようなことを会議所なり商工会自体が公式の文書で述べておるというようなことはないと確信いたしております。
  122. 野間友一

    野間委員 それじゃ、それも含めてこういう実態があちこち起こっておるということで、先ほど長官が答弁されましたけれども、その会員、非会員の別を問わない、あるいは青色、白色の別を問わない、こういう差別をするような制度の運用をしてはならないという通知、これをぜひ出していただきたい、このことを再度確約をお願いします。
  123. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 御趣旨のように取り運びたいと思います。
  124. 野間友一

    野間委員 それでは、それを早急に出して、通達になるのか何か知りませんけれども、その文書を当委員会あてにお出しいただくことをお約束願います。どうですか。
  125. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 何か指導の文書等を出しましたら、先生にお見せいたしたいと存じます。
  126. 野間友一

    野間委員 それじゃ、その点についてひとつお約束を願ったわけですから、それを正確に守るということで、最後に所管の最高である通産大臣からひとつその点についてさらに確認を承りたいと思います。
  127. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 当初に申し上げましたように、あくまでこの制度は公正、平等に行わなければならぬ。ただし、その具体的な方法といたしましては、中段で長官がるる申し上げたような方向に沿って行っておるというのが事実であります。  なお、一部行き過ぎのような点がございましたならば、これは経営指導員全体のレベルアップということのために、中小企業大学などを強化いたしまして再教育をする、そういう方向でやるわけでございまして、全般としてこの制度が円滑に行われるようにしたいと思っておりますが、なお至らぬ点につきましては先ほど御指摘がございましたので、十分注意をするように御趣旨のような通達を出すなりまた指導をするなり適宜やっていきたいと思います。  なお文書につきましては、委員長の方から指示がございましたならば委員会提出をいたします。
  128. 野間友一

    野間委員 それじゃ、委員長、これで終わりますが、いま通産大臣からお答えがありましたので、ぜひそれを出した場合には委員会に出すように、ひとつお取り計らいをお願いします。
  129. 田中六助

    田中(六)委員長代理 そのように取り計らいたいと思います。
  130. 野間友一

    野間委員 終わります。
  131. 田中六助

  132. 松尾信人

    松尾委員 きょうは問題を石油だけにしぼりまして、いろいろのことにわたりまして時間の許す限り質問をしたいと思うのです。  この不況というものが世界的に広がっておる。そして、産業活動もしたがってだんだん落ち目になっておる。他方、石油というものの消費が非常に節約されつつあるということで、世界における石油需給というものが緩和してきたというように言われております。この点につきましてどのように通産当局においては認識し、そして需給の問題をどのように把握しておるか、この点からまずお尋ねいたします。
  133. 増田実

    増田政府委員 石油需給についてでございますが、ただいま松尾先生御指摘のとおり、最近の石油につきましては相当供給過剰の状況に世界的にあります。その原因といたしましては、一つには世界的にやはり生産活動が停滞しておる。このために石油に対する需要が減っておるということが一つでございます。  それからもう一つは、石油の価格が一年半前に比べまして四倍にも高くなりましたので、それに基づいて当然節約が行われるということが、結果として供給過剰、需要不足という形になっておるわけでございます。  それからもう一つは、やはり世界各国、ことに消費国が節約に努めておる。石油というものにつきましては、これは人類の有限な貴重な資源でございますので、石油危機を契機といたしまして石油に対する見直しというものが行われまして、石油を大切に使うという風潮が各国においてもそれぞれ広く広がっております。その結果といたしまして、世界的に石油につきましては供給の方が多いという形になっております。  ただ、それでは価格が需要供給関係で当然下がるのではないかという問題が出ておりますが、これに応じましてOPEC諸国が相当な減産を行っております。その結果といたしまして、価格につきましては、これは午前中大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、一応弱含みではございますが、四倍に上がりました価格がほぼそのまま維持されておる、むしろロイアルティーとかあるいは税金の分、これは産出国が生産者から徴収するわけでございますが、この分が上がっておりますので、現実には昨年一年間は若干値上がり傾向にあったということでございます。  大体以上申し上げましたのが最近の石油需給事情及び価格動向でございます。
  134. 松尾信人

    松尾委員 石油需給が緩和されてきておる。それで産油国におきましてもOPECで二五%ですかの減産、これは一日当たりで九百万バレル、このように言われるものがいま生産制限されつつあるわけですね。また、値段の点でありますけれども、ある国では下げつつあるという傾向も認められるわけですね。しかし、大勢としては、この値下げというものが全部の産油国でとられるんじゃなかろう、それは一部の現象であって、やはり今後の世界における油の需給というものによって決定されていくであろう、これは私もそのように思います。思いますけれども、そのような最近の世界における石油需給の問題はやはり正確に把握しておいて、そしてそのようなものに対して今度は間違いない対策を持って臨む、こういうことがそのような情勢の中からとられていかなくちゃいけない政策になると思うのです。ですから、そういう点につきましてもう一回、くどいようでありますけれども、今後日本はどうしていくのかということをおっしゃってもらいたいと思います。
  135. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御案内のように、いま世界におきましてもまたわが国におきましても石油問題が最大の課題である、こういうふうに考えております。特に、現在の日本もそうでありますが、世界全体がいろいろと景気対策をやっておりますが、その背後にはやはりこの石油問題というものが存在しておるわけでございまして、抜本的にはこの石油問題をある程度軌道に乗せませんと世界の経済も軌道に乗らない、日本の経済も軌道に乗らない、こういう意味におきまして、私は非常に重大であると考えます。  なお、需給関係につきまして御指摘がございましたが、普通の経済常識でいきますと、これだけ世界じゅうが不景気になりまして生産活動が停滞をする、需要も減少をするということになりますと、ほかの鉱物資源などは全部半分に下がっておるわけです。重立った商品も非常に暴落をしておる、こういう状態でありますから、石油も当然半分とかあるいはそれ以下に下がらなければならないわけでございますが、これは御案内のようにOPECによるところの政治価格というものがありまして、それによって強力に支えられておるということのために、先ほど長官が言いましたような状態でございますが、しかし原則としては、私はやはり消費節約が徹底し、この不景気から需要が減少した、こういう意味におきまして弱含みである、御指摘のようにある国ではすでに下げつつある、こういう状態だと思います。しかし、いずれにいたしましても、この石油問題だけは正確に実情を掌握いたしまして、間違いのない対策を立てませんと、これは国家百年の大計を誤るわけでございますから、十分注意をいたしまして留意をしていきたいと思います。
  136. 松尾信人

    松尾委員 やはりいま大臣のおっしゃったことが大事だと思います。その中でやはり消費の節約が非常に浸透しておる、これは世界的な傾向でありまするし、また消費国が真剣にいま問題を抱えて進んでおるわけでありますね。先週の金曜日に私は質問したのでありますけれども、この一日二百万バレルの節約目標、これに対して日本も一日に十五万バレルの節約目標、こういうことを立てておられるわけでありますが、この二百万バレルというのは世界の消費量の何%か、日本の十五万バレルというのは日本の消費量の何%に当たるのか、まずこの点からはっきりさせてもらいたいと思います。
  137. 増田実

    増田政府委員 いまお尋ねの二百万バレルでございますが、これが大体一億キロリッター少しプラスに値します。それから、世界の全体の石油消費量でございますが、共産圏諸国につきましては統計がはっきりいたしておりませんが、それを推定で合計いたしますと、大体三十二億キロリッター前後かと思います。それから計算いたしますと、二百万バレルというのはほぼ三%前後、こういうことになるわけでございます。  それから、日本の消費量におきます十五万バレルの比率でございますが、節約をしないで大体従来のトレンドとそれから来年の成長率その他を計算いたしますと、昭和五十年度におきます消費が大体三億キロリッター前後ではないかというふうに推定されるわけでございますが、これに対しまして十五万バレルを原油換算いたしまして大体九百万キロリッター前後になりますから、これも三%ということで、日本の消費におきましての三%、それから世界全体の消費の中では、これはむしろ率が高まるわけです。と申しますのは、二百万バレルというのは世界全部の消費節約ではございませんで、IEAで討議して計算いたした数字でございますが、世界全部の中では同様に三%になる。ただ、IEA諸国に対しましてはもっと率が上がる、こういうことになります。
  138. 松尾信人

    松尾委員 ですから、何と言いましても、わが国としましても、大臣のお答えのとおりに、油代金で二百億ドルも要るというような国際収支の面からも非常な大きなウエートを占めておる。ですから、わが国としましては真剣にこの石油消費の節約という問題に取り組んでいかなければ相ならぬわけであります。これは大臣の所信表明にもきちっと載っておるわけです。わずか三%、こういうことですが、本当に油の需給を緩和して、そうしてやはりみんなが大事に使って、世界全体が省資源の方向に向かってエネルギーを大切にして、そうしてみんなが節約していくという方向からいけば、だんだんその率というものは上がっていく傾向が強いと思うのですね、節約目標が。わが国も当然この節約目標というものは高く掲げて進むべき方向にあろう、こう思うのですが、大臣の所見はいかがですか。
  139. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 世界の重立った石油の消費地は日本とそれからアメリカ合衆国とヨーロッパでございますが、それぞれ事情が若干違っておりまして、日本は御案内のように産業用が非常に多うございまして約七割、民需用は三割、アメリカはその逆になっておりまして、民需用が七割とそれから産業用が三割、それからヨーロッパは暖房用が非常に多いわけなんです。したがいまして、日本の場合はこの節約ということが、即産業活動に直ちに影響する、そういうこと等がございまして、やはりアメリカやヨーロッパと事情が若干違いますので、節約の量もおのずから違ってくるわけでございます。  ただしかし、御指摘のように非常に重大問題でございますので、たとえば官庁では大体幾らくらいの節約をするとか、あるいはまた民間におきましても産業の管理部門では幾らにするとか、そういうふうに非常にきめ細かくそれぞれ具体的に指導しておりまして、大体考えられる最高限が先ほど来御指摘の数字である、こういうふうに考えております。
  140. 松尾信人

    松尾委員 それで大いに推進するということでありますけれども、やはり具体的な目標をはっきり掲げまして、そして国内の産業界にも教える、また国民自体にも納得させる、そしてどのような部門ではどのようにしてその節約の目標を達成するのか、これをやはりあらゆる部門にわたって、いまおっしゃったきめの細かい対策を立てていく。そのきめの細かい対策というものを具体的にお立てになって、こういう部門、パートからどのくらい、そしてそれはどういうふうな方法で達成するかというのがはっきりしないと、単に消費節約の呼びかけだけでは国民全体としてもやり場がありませんでしょうし、具体的な指針がないと進めにくい、こういう点で、いま政府はどのようにそれをなされておるのか、具体的な面について特に聞いておきたいと思います。
  141. 増田実

    増田政府委員 本年一月から行います節約につきましては、昨年の十二月二十四日に内閣に設置されております資源とエネルギーを大切にする運動本部で決定いたしました。これは各省全部が参加いたしておるわけでございます。  その内容について申し上げますと、まず産業部門でございますが、これは事務管理部門とそれからいわゆる生産部門と両方ございますが、事務管理部門、事務所その他におきましては一〇%の消費節約を目標として掲げて行う、こういうことになっております。それから、生産部門におきましては工場におけるエネルギーの消費でございますが、これにつきましては消費の原単位の改善を行うということで、さらに具体的に申しますと、現在、一月から三月をエネルギーの管理強調期間といたしまして、石油及び電力を大口に消費いたします工場事業場に対しまして、それぞれこの三カ月間におきますエネルギーの消費予定それから節約計画、原単位の向上計画でございますが、これを提出させる。そして、三月が済みますと、この三カ月間、この計画と実績との間にどれくらい差が出たかということをそれぞれ報告させる。その結果によりまして、また私どもの方でそれぞれの部局でさらに行政指導を行いまして、原単位の向上を行わせるということで、これにつきましてはパーセンテージは掲げておりませんが、いまのように一工場、一工場、これは三千五百工場が対象になっておりますが、これから計画を出させて、しかも結果を報告させる、こういう形になっております。  それから、一般の民生部門でございますが、これは国民運動といたしましてそれぞれの家庭におきまして一〇%の消費節約をしていただく。具体的に言いますと、たとえば暖房の灯油のたき方を一割減らしていただくということで御協力願う。あるいは自動車を持っておられる方々はそのガソリンを一割を目標にして節約していただく。これは各個人個人に割り当てをするという形ではございませんで、国民運動として消費節約に協力していただく。そして、目標は一〇%を掲げる、こういうことになっております。  それから、官公庁でございますが、官公庁につきましては率先してエネルギーの節約を行うということで、一三%を目標として消費節約を行う。  それで、このやり方は国民運動的なやり方でございまして、法的に強制をするのではございません。一部の国、たとえばフランスでは相当法的強制を行っておりますが、日本ではやはり日本に合った形で国民の運動としてエネルギーを節約する、こういう形で持っていきたいというふうに考えて、実行中でございます。  それから、アメリカにおきましてはこのたびフォード大統領が発表いたしまして、いろいろ議会等の関係で問題が起こっておるようでございますが、むしろエネルギーの価格を上げて、その結果として消費節約をしてもらうということで、大統領権限で石油の価格を上げるということを行っております。日本ではこの価格につきましては、物価その他に非常に影響がございますので、こういう価格を上げるという対策でなく、また法的強制でなくて、国民運動として行う、こういう形で現在エネルギー節約の実施を行っているわけでございます。
  142. 松尾信人

    松尾委員 いま管理部門で一〇%、また家庭消費の面で約一〇%の目標を掲げておる。これは国民運動としての目標である。それでは、どういうふうにしてその一〇%を実現できるのかということでありますが、管理部門ではどうするのですか。それから、国民の一〇%という目標はどのようにやれば国民としては協力できるのか。そして、政府の目的とするこの石油の消費節約というものは、納得のもとに喜んで国民がこれをやりませんと、目標を掲げておいて何にも実態が伴わなかったということになるわけですね、国民運動でありますから。そういう点はいかがですか。
  143. 増田実

    増田政府委員 いまお尋ねの管理部門の一〇%の節約につきましては、これはエネルギーの消費の多い主要な工場に対しましては全部通知済みでございます。  それから、国民運動、一般民生用の方でございますが、これにつきましては私どもの方もいろいろ節約についてのポスターとかあるいはテレビで節約を呼びかける。あるいは映画館でスライドで、映写が始まる前に、これは総理府が予算を出しまして国民に呼びかける、そういう形でやっています。まだ現在のところ不十分な点がございますが、これをさらに広げて、できるだけ国民一人一人に納得していただくようにPRしていくということを考えております。それからまた、去年の危機のときに行いましたものを引き続いて行うということで、ガソリンスタンドの日曜祝日の休業、それから広告用のネオンの照明につきましては、これは時間的に制限をする。それから、遊興娯楽場の終業時間につきまして繰り上げをそのまま残して指導するということでやっています。これらにつきましても一部少し緩みが出てきておるという点がございますが、私どもとしてはいまのような措置によりまして節約を、従来石油危機のときに節約が相当行われたわけでございますが、これを国民運動として定着化させていきたい、こういうふうに考えております。
  144. 松尾信人

    松尾委員 大臣の時間が三時半でここを出られるわけでありますので、事務当局の方の問題は後回しにしまして、関連しながら聞いていくわけでありますが、どうも日本の通産省石油対策、これは中途半端なような感じがするわけであります。消費国ががっちり一体となって進めていけば産油国から反発を食う。そうかといって、産油国の方にうんと力を入れていけば消費国の中で日本がまた反発を食うというようなかっこうで、どうもはっきりとした態度がないのじゃないか。国際的な視野に立って、日本としてはこの石油の問題については、いずれの消費国、産油国にもいいようなかっこうをしよう、そういうところからいろいろの問題が積極的に打ち出されないで、そしてじいっとしておる、そういう灰色がかった日本の石油政策というような感じがいたすわけでありますけれども、そうでないということであればひとつ通産大臣のはっきりとした所見を聞いておきたいのであります。
  145. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御指摘のように、日本の立場というものはアメリカと違うわけであります。ヨーロッパとも事情を異にしております。でありますから、簡単には割り切れない、こういう点でのお話だと思うのですが、ただ私は基本的に申し上げますと、この石油問題はやはり国際的に解決しなければどうにもならぬ問題だと思います。日本だけではどうにもならない。やはりアメリカ、ヨーロッパを含めた国際的な会議で解決をしていく、これが基本原則ではなかろうかと思います。  それから第二には、やはり産油国と協調的に話し合っていくということ。私は、もっと突っ込んだ話し合いというものが行われるならば道は開けるんではないか、どうももう一つ突っ込んだ話し合いというものが不十分である、こういうことを痛感をいたしております。  そこで、いま御指摘の問題は当面最大の課題でございますので、どういうふうにこれを今後進めていったらいいかということにつきまして、いろいろ戦略といいますか進め方を練っておる最中でございます。いずれ近くその路線を確定いたしまして、順次具体化をしていきたい、かように考えております。
  146. 松尾信人

    松尾委員 いま日本のそういう基本的な問題をはっきりさせていく段階だ、そうだろうと思います。はっきりさせなくちゃいけない点ははっきりさせたほうがいいわけですよ。ですから、日本としてももうこれ以上インフレは困る。また、外貨がたくさん出ても困る。油の値段がどんどん上がっても困る。消費節約というものはどうしてもやっていくんだというような面、それから産業活動における省資源の問題。エネルギー資源というものをやはり省資源型、効率のいい産業、そういうものに変えていくという問題、これは日本自体でとれる問題でありますから、何も国際的に大きな反響を起こすわけでありません。幸いといいますか、自動車業界も非常に苦しんでおりますが、そういう面における鉄鋼の需要が少ない。また、家電においてもいろいろ問題がありましょうけれども、やはり国民の需要というものは冷めておる。そうしますと、やはりそこにはそういう産業構造の転換という一つの大きな時期がいや応なしに日本には迫っておる。そういうことをやはり通産省が先頭に立って、そうして目標を示してまいりませんと、不景気でだんだん油の消費が減った、節約運動で油が減った、そうしてそれが三%、四%と減った。日本の四十九年の油の消費量というものは、前年に比べて二・六%減っておるはずです。アメリカの消費量の減退というものは、前年に比べて四十九年は三・三%減ったと言われております。そのように他動的な原因によって減るのでなくて、はっきりとした政府の目標からそういう一つの節約目標を出して、そうして日本国はだれからも文句も言われない、そういう石油政策というものをいま確立する一番いいときだ、こう思うのであります。  いま大臣がおっしゃったばかりでありますけれども、いま私が申し上げました点に触れてもう一回お答え願いたい。
  147. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま重ねて、石油の節約それから省資源、省エネルギー、こういう問題についてのお話に関連いたしまして、産業構造の転換等の基本的な路線についての御指摘がございましたが、日本の場合はいろいろむずかしい問題がございまして、現在の産業構造が御案内のように重工業と化学工業中心になっておる。これを新しい技術集約型といいますか、知識集約型産業といいますか、そういう方向に路線の転換をしようといたしましても、相当な時間がかかるわけですね。明治以来九十年間、軽工業と繊維工業を中心にやってまいりました日本の産業を、昭和三十年代の後半から重工業と化学工業に十数年かかって転換をしたわけでございます。そのやさき、またこういう問題が起こってきたわけでございまして、やはり相当時間がかかる。そうすると、その間はどうしてもエネルギーを相当使う産業というものを重視していかないといけない。やはりエネルギーということになりますと、日本の場合においては石油が当面中心にならざるを得ない。かわりのエネルギーといいましても、これはさしあたり役に立つのは石炭と原子力でございますが、原子力はいろいろ問題がありますし、石炭も急にふやすことができないということになりますと、やはり当面は石油が最大の課題である。しかも、非常に大きな問題を抱えておりますことは、結局今後十年間にほぼ一千万近い新しい職を求める青年のための雇用というものを開拓していかなければいけない。そうすると、やはり相当な経済成長というものが必要である。そうでなければみんな若い者は失業してしまう、職を得ることができない、こういうことになりますから、だからそういう雇用という問題もありますので、やはり相当な経済成長というものを考えていかなければならぬ。しかも、代替燃料は窮屈であるという状態でございますから、やはり石油問題の解決のためにあらゆる知恵をしぼっていくということが、日本の置かれておる現在の立場からどうしても必要になる。そういう意味から、このエネルギー政策全体をいろいろウエートを置きながら進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  148. 松尾信人

    松尾委員 簡単には産業構造の転換なんかはできません。しかし、ほんとうにやる気を起こして、三年、四年、五年、そういう年期をかけましてこれは真剣におやりになるべきであるということだけ申し上げましょう。  最後になりましたが、一言聞いておきたいのは、産油国に対する接触の問題でありますが、いま日本政府としては産油国に対してどのようなところに重点を置いて接触されておるのか、DD原油の問題政府間取引の問題、そういうことの力の入れぐあい、そして産油国における経済発展、社会発展、そういう面における経済協力の問題、それをどのような角度でどういうふうな考え方からやっていこうとしておるのか、やっていくべきか、この点をお答え願って大臣にはここを退場していただいて結構だと思うんです。
  149. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま一番考えております方法は、まずエネルギー資源というものをできるだけ石油だけに頼らない方向に持っていくということが第一でございますが、同時に先ほど申し上げましたように当面は石油重点という立場から脱出することはむずかしゅうございますので、できるだけ石油の輸入ソースを分散していくということ、これがやはり大変必要でなかろうかと思います。でありますから、そういう意味からも単に中近東だけではなく、中国との間の油の問題、それからインドネシアとの油の問題、あるいは中近東といいましてもできるだけ分散して考えていく、そういう方向で取り組んでおるわけでございます。  なお、中近東諸国との経済協力ということについての御質問がございましたが、一昨年の年末に当時の三木副総理、昨年の一月に当時の中曽根通産大臣がおいでになりましていろいろ経済協力の話をお話しになったわけでございますが、そのうち政府でやらなければならぬ問題については大体順調に進んでおりまして、まず問題なく進行しておると言っても過言ではないと思います。ただ、民間関係が非常にむずかしゅうございまして、これをどう進めるかということにつきましていまいろいろやり方を検討しておるところでございます。全部が全部むずかしいかと言いますとそうではございませんで、中にはむずかしい問題を克服しながらすでに具体化しつつあるものも相当ございます。しかしながら、民間、政府両方とも含めまして経済協力が順調にいくように、いまいろいろ苦労しておるところでございます。
  150. 松尾信人

    松尾委員 大臣、では結構です。  いま大臣のお答えでありますけれども、日本の産油国に対する経済協力の問題で、私、再質問できなかったのですけれども政府間のことは当然であります。しかし、もう一つは、経済協力問題は日本の政府または日本の民間、こういうこともありましょうけれども、それを離れて、消費国の中の先進国というものが産油国の一つ一つに対しまして本当に相手のためになるというような問題を共同でしっかりやっていく、そして技術を提供していく。向こうは金を持っているわけでありますから、そういうことで日本の個々の行動のみならず基本的には産油国の協力というものがなければ消費国も困るわけですね。また、消費国の協力がなければ産油国も困るわけですから、そういう面において国際的な経済協力というものをもう少し推進して、日本もその中に乗って相手の喜ぶ方向に持っていくというようなことも必要だ、このように思いますから、これはあとで大臣とお話しの節には大きくそういう政策を考えてもらいたいと思うのです。  それから、長官の方にお尋ねしますが、最近における油の輸入状況それから消費状況ですね、わかっておればそれを言ってもらっておいて、そして備蓄、在庫量が一時はここまで落ちたけれどもいまこのくらいになりますということを聞いておきたいと思います。
  151. 増田実

    増田政府委員 最近の油の輸入状況からお答え申し上げます。  四十九年度の上期、これは昨年の四月から九月でございますが、この間におきます輸入の合計は、原油の輸入でございますが、一億四千二百万キロリットルでございまして、前年度同期に対比いたしまして九七・七%、二・三%の減になっております。それから、それ以後の状況について申し上げますと、十月は二千三百三十万キロリットルで前年同月比で九四・三%、十一月は二千二百六十三万キロリットルで前年同月比九七・八%、十二月は相当落ち込みまして二千百八十三万キロリットルで前年同月比八六・三%に落ち込んでおります。一月はまだ集計中でございますが、私どもの方で一応概数としてとらえておりますのが二千二百八十万キロリットル前後ということで前年同月比九六%前後になると思います。それから見ますと、十二月では大幅に落ち込みましたのですが、一月は少し戻っておるという形になっております。しかし、いずれにいたしましても前年同月に比べてはマイナスになっておりまして、これはたとえば四十八年度一年間を見ますと、前年度比一六・九%のプラスになっておりますから、先ほど申し上げましたように消費節約あるいは産業活動の停滞その他で相当落ち込みになっておるわけでございます。  それから、消費状況につきまして、これは数字が細かくなりますので前年同月比だけで最近の状況を簡単に申しますと、昨年の十月が前年同月比で九一・七%、十一月が八九・九%、約一割の減になっております。それから、十二月が九三・九%、一月が九二・四%ということで相当な落ち込みになっておるわけでございます。  それから次にお尋ねの備蓄の状況でございますが、昨年の十月、十一月の備蓄、一応日数で計算いたしますと大体七十日前後になっておったわけでございますが、これが十二月は大体六十六日ということで落ちております。それで、落ちておりますのは、毎年の傾向といたしまして大体十月、十一月をピークにいたしまして、これは冬が需要期になりますものですから三月に向かいまして大体一五%ぐらい減るというのが例年の傾向でございます。それから見ますと本年の三月には大体六十二日前後、つまりピークのときの去年の十月、十一月では七十日を超えておったわけでございますが、これが大体六十二日前後になる、こういうふうに想定されるわけでございます。
  152. 松尾信人

    松尾委員 時間が参りましたのできょうはこれでやめますけれども、そのようにピーク時においては七十日の備蓄を超えた。そういうものは、新たにタンクをつくったのでもありません。六十日分を七十日分にしようというのが五十年度の目標でしょう。そういうものがいつの間にやらそのようにもう備蓄ができている。そこにはタンクの増設もしない。とすれば既存の石油コンビナートにおきまして相当無理をして入れておるんじゃなかろうか、この心配が一つですね。そして、従来の石油コンビナートのいろいろの事故、そういうものからこのように備蓄がふえた場合の事故というものはまたはかり知れない大きなものが起こるであろうということ、そういうことをあわせましてこの次に質問していきたい、こう思いますから、あなたの方もしっかり答えることを考えて、そうして論議を尽くしてりっぱな備蓄をやっていきたい、こう思います。  きょうは、これで質問はやめます。
  153. 田中六助

    田中(六)委員長代理 次回は、明十九日午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会