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長谷川国務大臣 直接おっしゃるお気持ちにお答えになるかどうかわかりませんけれども、私は一五%に賃金を抑えるなどということは言うたことはございません。私たちがいま主張しておりますことは、賃金の問題は、これはあなたのおわかりのとおり、
日本はこれは労使でお話しされて、自主的交渉でございます。
政府は介入しない。所得政策はいままでもやっておりませんし、私自体の経験からしましても、所得政策はやらない。何が一五%かと言いますと、昨年の暮れの二五・七%の
物価の上がりというものが、いかに
勤労者を初め、その金をいただく
奥さん方、
国民全体を困らせたことか。ですから、いかにして
物価を抑制するかは世界の一大問題だ。各国の首相はそれにみな苦心している。そこにおいてか三月末の
消費者物価を一五%というめどをつけることが、賃金をもらってくる人、それをいただく
奥さん方、あるいはまた仕事をする方々も、そこで目標が立つわけですから、そういう意味で、ひとつ総需要抑制が皆さんから御理解をいただきながら、一部
中小企業等々についての年末の
融資などを行いつつ、あるいは食糧がその中の四〇%を占めていますから、そういうものが値上がりしないように、内閣全体で苦心をしながらやっているわけでありまして、これは小手先でも何でもなくて、それが達成したときに本当に
国民全体が一つの目標が立つんじゃなかろうか。もう一つは、そうした実績の上で、
国民全体のコンセンサスの中に、
政府といたしますと、来年の三月末の
消費者物価を今度は一けた台に抑えていく、こういう
政治的目標を決めて、それにみんなで相協力してやってもらいたいということなのでありまして、これは全く小手先じゃないということを御理解いただきたい。こう思うのであります。
それから
中小企業と大
企業の話が出ましたが、これはまさにおっしゃるとおり、
中小企業、大
企業との格差はございました。いまでもございます。それは大
企業の大きな組合の
諸君の給与と
中小企業の組合の
諸君の給与というのは十対八とかいわれたことでございますが、これはそういう意味からしますと、未組織の
中小企業の方々が多うございますから、こういう問題に対して、ひとり
中小企業庁とか通産省だけにあらず、今度御可決いただいていまやっております雇用保険法一つ見ましても、
中小企業の場合には雇用調整給付金を三分の二とすることを皆さんに御賛成いただき、そういう意味からして、労働省はいまから先は、そういう
中小企業の向きに対しては、いままで以上積極的にやらなければならぬのじゃないかという感じ方でございます。
もう一つ、最低賃金の問題、全国一律の話が出ましたけれども、これは吉田さん御
承知のとおり、どこの県に行きましても地域的な差がございます。でありますから、各県で地域最賃を決め、業種別にいろいろな業種で決めまして、これが網の目のように細かくなって、いまカバーされている労働者が、たしか三千六百万だと思っております。それというのも、私の方はそのときの
物価の模様等々を拝見して、そういう最賃を上げることによって
勤労者が守られるという観念からいたしまして、昨年の十二月の二十七、八日まで、ほとんど全国ずうっと三者構成の
審議会によって、これはアップなどをしておるわけであります。あなたの北九州と南九州、あるいは北九州と東京、こういうところの地域の差を考えますと、最賃の問題にいたしましても、中央では労働組合の方々あるいは学識経験の方々、そういう方々の
審議会でも御
審議いただいておりますが、いま
日本の実情からすると、この地域の差が非常にひどいところがあるから、東京を一〇〇としますと、地方によっては五七でございます。そういうところを一律にずっとやることは、まだまだこれは慎重に考えるべきだという御答申をいただいていることでございまして、私はやはりその地方地方のレベルアップこそが大事じゃなかろうかということを考えて、行政を推進していることを御理解いただきたいと思うのであります。