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1975-08-19 第75回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年八月十九日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 金丸 徳重君    理事 越智 伊平君 理事 高鳥  修君       大石 千八君    吉川 久衛君       塩谷 一夫君    田澤 吉郎君       竹内 黎一君    竹中 修一君       林  大幹君   三ツ林弥太郎君       三塚  博君    宮崎 茂一君       村岡 兼造君    安宅 常彦君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       阪上安太郎君    庄司 幸助君       津川 武一君    山原健二郎君       高橋  繁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 田中  暁君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 健二君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         農林大臣官房審         議官      今村 宣夫君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         林野庁業務部長 須藤 徹男君         中小企業庁計画         部金融課長   安田 佳三君         気象庁長官   毛利圭太郎君         気象庁予報部主         任予報官    越智  彊君         気象庁観測部測         候課長     山田 三朗君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  中村 二郎君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君     ————————————— 委員の異動 八月十九日  辞任         補欠選任   瓦   力君     大石 千八君   志賀  節君     竹内 黎一君   萩原 幸雄君     林  大幹君   増岡 博之君     田澤 吉郎君   渡辺美智雄君     三塚  博君   芳賀  貢君     安宅 常彦君   三浦  久君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     瓦   力君   田澤 吉郎君     増岡 博之君   竹内 黎一君     志賀  節君   林  大幹君     萩原 幸雄君   三塚  博君     渡辺美智雄君   安宅 常彦君     芳賀  貢君   山原健二郎君     三浦  久君     ————————————— 七月四日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年八月上旬の豪雨による災害対策  台風第五号による災害対策      ————◇—————
  2. 金丸徳重

    金丸委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、八月上旬の豪雨による災害対策並びに台風第五号による被害状況について政府当局から説明を聴取いたします。国土庁官房審議官横手正君。
  3. 横手正

    横手説明員 八月上旬の豪雨災害及び台風第五号による災害について御報告申し上げます。  まず、八月上旬の豪雨による災害状況でございますが、八月六日から八日にかけて、東北、北陸から西日本にかけ豪雨がありまして、特に東北地方においては土石流、河川はんらん等による大きな被害を生じております。  現在までに判明したところによりますと、お手元資料をお配りいたしておりますが、死者行方不明者、合わせて三十名、うち青森県で二十二名、山形県で五名というような被害を生じております。  また、建物被害におきましては、全壊流失八十七棟、半壊八十二棟、床上浸水千九百七十六棟といったような被害を生じております。  施設被害につきましては、次の表をつけてございますが、公共土木施設関係におきまして二百六十一億円、農林水産業関係で百七十六億円、その他合計いたしまして四百五十億円を上回る被害を受けております。  この災害に対しまして、地方公共団体では災害対策本部を直ちに設置する等のことを行っておりますが、特に青森県の岩木町、黒石市及び山形県の真室川町では災害救助法を発動いたしまして、救助救護活動を実施しております。  この災害に対しまして、政府としては、国土庁の政務次官を団長といたします政府調査団を八月七日から八日にわたり、青森県及び山形県の両県へ派遣されたところでございますが、関係省庁においても、災害発生後直ちに関係係官を現地に派遣し、被害実情調査及び応急復旧措置指導に当たったところでございます。  その他、中小企業金融農林金融あるいは住宅金融についての指導についても万全を期してまいっております。  また、被災者に対する災害弔慰金の支給あるいは災害援護資金の資し付け、こうしたものについての指導等も行ってまいっております。  また、被災しました市町村に対しまして、普通交付税の繰り上げ交付が十五日に行われておりますが、これは青森県で二十一億五千万、秋田県で五億九千万、山形県で九億円、合計三十六億四千万円が交付されておるところでございます。  関係省庁では、緊急を要する個所から順次早期災害査定を実施し、査定完了後、速やかに災害復旧事業を実施いたしますとともに、必要な個所については緊急砂防あるいは緊急治山事業等を行うことになっております。  また、激甚災害指定につきましても、目下関係省庁被害状況把握並びに査定を実施しておるところでございまして、その結果を待ちまして所要の手続を進めてまいりたい、かように考えております。  次に、台風第五号による災害状況でございますが、台風第五号は、八月十六日から十八日にかけまして四国、中国地方中心に大きな被害をもたらしております。  現在までに判明した被害状況を見ますと、お手元資料をお配りいたしてございますが、死者行方不明者、合わせまして六十名、うち、高知県で五十六名、愛媛県で三名、こうなっております。また、全壊流失二百十九棟、うち、高知県で百五十三棟。半壊は三百七十三棟でございますが、うち、高知県で三百六十四棟。床上浸水が八千五百六十棟になっておりますが、高知県では七千八百四十八棟というような被害を受けております。  県並びに関係市町村では、早速災害対策本部を設置いたしまして災害応急対策を実施してまいっておりますが、ここにありますように、高知市以下六市九町村で災害救助法が発動されておるところでございます。  施設被害につきましては、まだ十分な調査が行われてございませんが、高知県下のみにおきましても、公共土木関係で百億円を超える被害農林水産関係で百億円近く、その他合計三百億円を超える被害があるということでございます。  この災害に対しまして、政府としては、建設大臣団長といたします政府調査団を本日、高知県と愛媛県へ派遣されることになった次第でございます。今後、被害調査に基づきまして、被災者及び被災地方公共団体災害復興に必要な万全の措置を講じてまいる所存でございます。  終わりに、この災害によってお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、かつ被害をこうむられた方々に衷心からお見舞い申し上げて、御報告を終わらせていただきます。     —————————————
  4. 金丸徳重

    金丸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村岡兼造君。
  5. 村岡兼造

    村岡委員 八月の五日から七日まで、青森秋田山形県を襲いました集中豪雨災害について質疑をいたしたいと思います。  青森県、山形県から先ほど御説明ございましたが、秋田県の方も民生、環境保健農業、林業あるいは土木、文教というような面で、十五日現在で六十三億二千四百万の被害を受けております。まだすっかり調査をしておりませんので、これからふえる見込みでございます。  まず先に、時間もございませんので農林関係から質問をいたしたい、こう思います。  農地農業用施設農作物林道被害が現在まで十六億円、今後これがもっと増大する見込みでございますが、特に秋田県は昭和四十九年の豪雪被害五十八億円、また去る六月の降ひょうの被害が七億円、これに加えて今回の十六億円の被害で、農業関係だけでも約八十一億円になっているため、県も市町村もこれに対応してやっておりますけれども農家も、経済的にも精神的にも全く疲労しておるような状況でございます。特に最近の県及び市町村財政事情は極度に悪化しておりまして、思うような援助、助成は困難な情勢にある。したがいまして国の対策を期待するわけでございますが、このような状況から集中豪雨激甚地指定し、天災融資法を適用することを要望をいたしたい。  また、農地農業用施設林道等災害復旧を図るために早急に実情調査をして、査定またはこれに対する国庫補助並びに融資を速やかに実現するよう措置することを要望し、その対策がどうなっておりますか、農林関係の方にお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 今村宣夫

    今村説明員 八月五日の夜から八日にかけて東北地方中心にいたしました集中豪雨によります農林関係被害は、八月十八日現在の県報告によりますと、山形県は四十一億円、青森県は三十九億円と、総額で八月上旬のその他の県を含めまして被害額は約百七十七億円に達しております。これに対しまして、農林省といたしましては先ほど国土庁の方からも御報告がございましたように、直ちに県に担当官を派遣して実情把握に努めておるところでございます。  なお、農地農業用施設林道災害復旧早期査定及び早期復旧につきましては、緊急に査定を実施する必要のある個所は、県からの復旧計画が受理され次第緊急査定をする方針といたしておるところであります。また、査定を待って着工いたしましたのでは、灌漑用水、通行の確保に支障を来し、また被災施設等のさらに増破のおそれのある場合には、応急工事または査定着工を積極的に実施するように指導いたしておるところでございます。  御質問の点につきまして、まず第一の農地等災害について激甚災害法発動いかんという御質問でございますが、局地の激甚災害指定につきましてはよく御存じのとおり、当該市町村農地等災害復旧事業査定事業費当該市町村当該年度農業所得推定額の一〇%を超え、かつ査定事業費が一千万円以上である市町村ということに相なっております。したがいまして、私たちとしては、できるだけ速やかにその災害状況把握をいたしますとともに、査定の終了を待ちまして、該当する市町村に対し早急に関係省庁と協議をいたしたいというふうに考えております。  なおまた、農地農業用施設林道災害復旧早期査定早期復旧でございますが、被災の激甚な地域につきましては、それぞれ担当官を派遣をいたしまして災害復旧計画指導に当たりますと同時に、早急に復旧を必要とする地区につきましては、緊急査定を実施することにいたしております。その他の地区につきましても、県からの準備が整い次第、早期査定の実施に努めてまいりたいと思っております。  なおまた、先ほど申し上げましたように、応急復旧その他の事前着工等につきましても遺憾のないように指導いたしてまいりたいと考えておる次第であります。  また、これらの県におきましては、お話のようにたびたび災害がございますので、資金の面につきましても、私たちはいろいろ検討をいたしております。ただ、農作物災害状況を見てみますと、青森県が一県の報告では約五億円でございます。秋田県が約四億円で、山形県が十一億というふうな農作物災害状況に相なっておりますので、私たち統計情報部災害調査結果を速やかに取りまとめるようにいたしたいと存じております。  このような状況のもとにおける被害状況天災融資法を発動することは可能かどうかということにつきましては、なおよく検討いたしますけれども、現在の状況では、なかなかむずかしい状況ではないかと思います。しかしながら、天災融資法が発動し得ない場合にありましても、自作農資金、これは御存じのとおり五分の二十年という農林漁業金融公庫資金でございますので、これの貸し付けにつきまして特段の配慮をいたしたいと考えております。また、貸し付け限度額を超えるような実情にございますならば、この貸し付け限度額引き上げ等につきまして十分検討いたしたいと思っておりまして、県の方につきましても、その実情を速やかに報告していただくように県とよく連絡をいたしておるところでございます。
  7. 村岡兼造

    村岡委員 ただいま答弁ございましたが、農業関係農作物被害が少ないということで、この激甚地あるいは天災融資法を適用することがなかなか容易でない。しかし、私どもの方で調べておりますと、まだこれから被害もふえると思います。したがいまして、この関係については、特に今後考慮を願いたい、こう思います。  同時にまた、いまお話もありましたが、被害農家自作農維持資金融資枠並びに貸し付け限度額引き上げ措置を講じてもらいたい。いままで災害に相当遭っておりまして限度額引き上げないと借りられない、こういうような状況、またすでに借り入れた部分については償還期限の延長あるいは借入金の利子の減免措置、こういう点などを考えていただけないかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 今村宣夫

    今村説明員 まず自作農資金貸し付け限度額引き上げにつきましては、これは県の方でよくその農家——早く言うと限度額いっぱいまで借りておる農家の数と、どの程度まで限度額引き上げれば対処し得るかということを、県の方で速やかに調査をしていただきますようにお願いをいたしております。私たちは、その実情を踏まえて、いま先生お話のございましたような諸点につきまして十分配慮検討をいたしたいと考えております。  なおまた、資金償還条件の緩和の問題につきましては、それぞれ農林漁業金融公庫あるいは信連、中金等につきまして必要な指導をいたしまして、個々の農家の経営の観点から償還を猶予すべきものは猶予していくという措置を講じてまいりたいと考えております。  天災融資法の点につきましては、いま申し上げましたような実情にございますけれども、なおよく統計情報部調査結果を待ちまして、私たち検討を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 村岡兼造

    村岡委員 ただいま農林関係の方から答弁がございましたが、何回も何回も被害を受けておりますので、農業用施設復旧あるいは林道あるいはまた農地、それから被災農家に対する維持資金、こういう点を強く要望して、農林関係質問を終わりたいと思います。  次に、建設省関係でございますが、今回の豪雨によりまして河川道路、橋梁あるいは砂防県市町村分だけで約三十八億円に上り、さらにまた被害金額が増大の見込みでございます。八月五日から七日にかけまして国道十三号線は不通、また百七号、百五号、それから百八号、県南の四本の道路とも不通となったような状況で、そして今回の特徴は、鉄砲水と申しますか、山間部から急激に出てきて小河川が非常にはんらんをした、こういうのが特徴でございます。  また秋田県は、先月の豪雨によりまして秋田全般にわたって五十七億円の被害が出ております。これに建設省関係の、国関係の方の被害は含んでおりません。  そういうような実情で、ただいま応急措置をやって国道の開通はいたしておりますけれども、今回の災害で緊急を要する査定早期に行ってもらいたい。特に雄物川にかかっております県道の大上橋、これは大森町約一万人の通路が遮断をされておるというような状況で、全般にわたって査定を早急にしてもらいたい。これをいつしてくれるのか、こういう点をお尋ねをいたしたい。
  10. 増岡康治

    増岡説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたように、秋田県はことしは融雪災害と、それから七月の豪雨、それに加えまして、いま先生のおっしゃいました八月六日から八日の災害が出ておるわけでございますので、私ども融雪災害等本年度当初に起こりました災害につきましては、すでに査定を終わっております。  今回の災害につきましては、現在のところ地方公共団体準備が相当進んでまいりましたので、九月三日から直ちに査定に入りたいと思っております。今回の災害だけでも六百六十四カ所、約四十億円の報告が参っておりますので、これは二回に分けてやらないと、なかなか済まないような大がかりなものでございますが、一番最初は九月三日から直ちに災害査定に入るつもりでございます。
  11. 村岡兼造

    村岡委員 先ほど言いましたように、急流小河川が非常に災害を出しておりますが、従来の観点からすると、堤防破堤でも原形復旧だけである。破れたところだけ直していく。こういうことをやりますと、次のところが翌年また被害を受ける。この小河川実態をよく見て、そこを直すだけでなくて、ひとつ改良復旧に力を注いでいただきたい、こういうことが一点でございます。  それから、指定河川でない小河川で、非常に大きな災害を受けた河川がありますけれども市町村なんかでこれを復旧するには、なかなか困難な財政事情にある。これらを、大きく災害を受けたところだけでも指定河川にすることはできないものかどうか。この二点をひとつお尋ねをいたしたい。
  12. 増岡康治

    増岡説明員 お答えいたします。  最初災害に関しましての改良復旧をしろということでございます。まことにそのとおりでございまして、私どもは、いままでの実績から見ていただきますように、できるだけ災害実態に応じまして、それにどうにか関連事業なり助成事業を合わせまして改良復旧の形をとっております。ことに大きな災害の場合でございますと、また一定災という制度もございます。先生のおっしゃるとおりで、今後ともそういう方向に進めさしていただきたいと思います。  それから二番目の問題でございますが、いろいろ小さい川には——一級河川の枝に小さいものもございます。二級河川にも枝がございまして、小さいものがございます。あるいは市町村管理準用河川もございます。また一般の普通河川というものがございますけれども、ことにこういう小さい川につきましては、本年度から市町村管理につきましては準用河川がございますが、これに対して予算補助をつけまして、初めてでございますが、本年から準用河川につきましても改良を進めることにいたしました。  なお、全般的に申し上げますと、いわゆる中小河川対策といいますか、こういうものに予算上も非常な大きなウエートを最近はとっておりまして、今後ともこの小さい川に対する災害に対処をしていきたいと思っております。  もちろんこの普通河川から準用河川市町村長さんが積極的に取り上げていただくことがまず第一でございますし、また、その中から二級河川へ昇格する、いろいろな手段がございますが、その状況に応じまして、そういう制度の問題と、それから予算中小河川に集中するということで、両方のことでひとつ今後ともこういう中小河川、小さい川に対する災害を防ぐことに努力いたしたいと思っております。
  13. 村岡兼造

    村岡委員 災害を受けた工事復旧は、査定をいたしますと緊急度に分けてランク別にする。たとえばA、B、Cの三ランクにするとか、これを三年間にわたって、このランク別復旧していく方法をとっていると聞いておりますけれども、一度災害を受けて、たとえばCというランクになった。少しの被害であった。ところが、また三年目の間にその小さなところが大きく破れていく、こういうような状況もあり、またそこで一千万か、あるいは五、六百万かけておけば直っていたものが、二度の災害を受けて何千万にもなる。こういう例が随時見られるわけでございますが、財政上の問題もありますけれども、一度被害を受けたところを三年間ということでなしに、これを二年にするとか、そういうような方法をとられないものかどうか、御質問をしたいと思います。
  14. 井沢健二

    井沢説明員 お答えいたします。  災害査定をいたします場合に、非常に重要なもの、緊急の度合いの高いもの等を勘案いたしましてA、B、Cというランクはつけておりますが、それとほかに、実際の災害を受けたところの場所を復旧いたしますのには、現在三年間で復旧いたしておりますが、その復旧の割合を費用で申しますと、ことしの災害につきましては、今年度約三〇%程度復旧いたします。それから二年目、来年でございますが、来年度につきましては約五〇%をいたすわけでございます。そういたしますと来年で大体八〇%ができることになりまして、三年目というのは、おおむね二〇%。それで非常に大蔵省等の好意によりまして、これは現在、昨年の場合でございますと八六ぐらいいっております。  ですから、ほとんど約八十数%、二年目約九割弱ぐらいの復旧にいたしておりますが、現在のこういう非常に大きな被害を受けたところでございますと、これを執行いたしております県の方のいわゆる施行能力と申しますか、こういうのがかなりきつい状態になっております。そういうことで、私の方としましても、そういう点につきましては非常に督励をいたしておりますが、関係者の努力にもよるわけでございますけれども、精いっぱいのことになっておるのが現状でございます。
  15. 村岡兼造

    村岡委員 工事能力という問題もあるわけでございますが、しかし物によっては工事能力があってできるものも私も地元で見ておりますが、そういう点もあるわけでございます。したがって、三年目に一六%というお話をいたしましたが、二年目に受けて五、六百万のものが三千万なり五千万なりになるという例もあるわけでございますので、財政事情あるいは工事問題等もあると思いますが、これを今後とも十分考慮に入れながら、ひとつ早期被害を受けたところを直していただきたい。これを要望いたします。  それから特に秋田県の一級河川雄物川水系あるいは子吉川水系、非常に災害が多いところでございますが、年々改修事業費はついておりますけれども、非常に予算が少ない。したがいまして、こうたびたび災害を起こす一級河川改修事業について重点的な予算配分をしていただきたい。特に一級河川提防もないところ、これから水が流れまして、農業関係の方へ非常に災害がございます。そういうところの抜本的対策を何年来願っておりますけれども、なかなか立っていない。これをひとつこの機会に、ぜひともこういう部面を改善をしていただきたい、こう思いますので、建設省関係のお考えはどうか、お尋ねをいたします。
  16. 増岡康治

    増岡説明員 先生のおっしゃいました雄物川子吉川、非常に重要な川でございます。従来から雄物川につきましても、いわゆる雄物川上流ということで、本年度も十一億余りの予算をつけております。決してこれは多いとは私ども申しておるわけじゃございません。全体の治水事業の枠が広がれば、やはりその中で重要なところに持っていく。その中で雄物川上流はたくさんまだ仕事が実は残っておるわけでございまして、与えられた予算を最大限に効果的にひとつ使おうということで鋭意努力しております。  今後ともこの非常に残事業の多い、しかも今回災害を受けておる、そういうところには予算を集中するよう努力いたしたいと思います。
  17. 村岡兼造

    村岡委員 次に、国鉄関係でございますが、この集中豪雨により、今回は予想もしなかった雨量三百七十五ミリというような状況でございまして、被害も相当出て、私の聞き及ぶところでは、秋田鉄道管理局管内二十億円と聞いております。幸い国鉄の努力によりまして不通個所も、いま列車は通っておりますけれども、これは応急措置でございまして、今後の対策をどうするか、これがまず第一点でございます。  それから奥羽本線の院内あるいは真室川間、この間は非常に山合いであり、昨年のまた豪雪その他では列車が相当日数とまる、こういうような状況、またいまの豪雨でとまる。これは単線区間でございまして、一ヵ所不通になると、秋田県に行く幹線が全部、全線が麻痺してしまう。したがって、これは単に今回の災害復旧ということだけではなく、災害の防止施設と、それから、この区間にどうしても複線化、奥羽本線も複線化工事が始まっておりますけれども、こういう山合い、あるいは豪雪あるいは水害で被害を受けるところに複線工事というものを考えていないのかどうか、こういう二点をお願いをいたしたいと思います。
  18. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  まず第一の点でございますが、今回の雨によりまして三線区、奥羽、陸羽、矢島、十三区間、二十八カ所が不通になったわけでございますが、ちょうど夏季輸送の最多客の時期でございまして、副総裁からも直ちに復旧するよう命ぜられまして、地元関係局ばかりでなく、東北地方のあらゆる管理局の関係能力者を動員いたしまして、おかげさまでこうした事故に比べまして、奥羽線では十三日に、それから矢島線では十五日までに全通を見たわけでございますが、これからの恒久復旧をどのように進めていくかということになりますと、ただ国鉄だけではどうにもなりませんので、関係機関とよく御相談申し上げながら御協力も要請をいたしまして、国鉄としましては、必要な対策を速やかに立ててまいりたいと思います。なおかつ、こうした災害防止に努めてまいりたいと思います。  それから第二点の、いわゆるこうした輸送能力が現実において奥羽線では足らないのではないか、あるいは複線化計画はどうなっているかという御質問だと思いますが、これは先生御案内のように、奥羽線三百キロばかりございますが、その三分の一の百キロ、三五%がすでに複線になっております。本年十月には、芦沢−舟形間ほか六駅の複線化ができますし、この十一月には電化も完了いたすわけでございますが、今後の複線計画につきましては、東北新幹線の進捗等ともにらみ合わせながら、まず、入り口でありますところの福島から羽前千歳間、それから今度、秋田地区でございます大曲−秋田間をとりあえず複線化を進めてまいりまして、羽前千歳と大曲の間につきましては、目下のところ輸送力の伸び等も考慮しながら、逐次複線化計画を進めていく予定になっております。
  19. 村岡兼造

    村岡委員 いまの複線化の問題でございますが、この山合い、私の調べたところではわずか八・六キロぐらい。いま大曲−秋田間の複線もでき上がるところでありますが、こういうところをどうしても早く複線化をしてもらわないと、やはり秋田県の奥羽本線は一本の重要な線路でございますので、これを特に要望をしておきたい、こう思っております。  時間が参りましたので、国土庁長官もきょうは御出席いただいておりますので、要望だけ申し上げます。  先ほど来、いろいろお話を申し上げましたが、いずれにいたしましても、今回の災害で非常に市町村、県あるいは農業者、被災者は困窮をいたしております。したがいまして、これの早期復旧の問題と財政上の問題から、あるいはまた、激甚の災害指定について特段の御配慮を願いたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  20. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、川俣健二郎君。
  21. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大臣の時間を十五分いただいたので、制度問題と国の基本的な行政、この二つの問題を大臣にお尋ねしたいと思います。  今回の当局から報告された八月上旬の災害報告は、ちょうど奥羽山脈の周辺でありまして、山形秋田青森と宮城の一部、こういうようになっておるわけですが、私は、この災害を経験して、ちょうど大臣がこの災害の直前に国政調査でお見えになって あの地区をごらんになった機会に恵まれましたので、お手元災害の写真をお届けしておりますし、さらに、陳情項目は後ほど担当官の方に陳情いたしますこととして、まず、制度問題と行政問題の二つを質問したいと思っておるわけです。  というのは、秋田に三つの川があるわけですが、秋田に降る雨というのは一切、他県を通らないで、県内を流れて日本海に流れるという特徴を持っておる、盆地型の奥羽山脈に囲まれた県であります。  そこで、この水が多くて悩む、水がれで悩むという大きな観点から考えまして、かつて秋田の場合でも、秋田の発電というものを水力にすべきか火力にすべきかという論争がありました。大臣は長年の政治経験がある方ですからあれですが、そこで勇ましい当時の政治家連中は、油は幾らでも安く買ってこれるんだから、ダムをつくるよりは火力発電でやった方が手っ取り早いんだ、こういうことで政治が進められて、水が豊富で三大川に隆々と流れる水があるのに、秋田県の電力というのは八五%が火力発電にゆだねられておるという世の中になってしまいました。  そこで私が思うには、今回は、それ災害をこうむったから、先ほどから局長が説明しておるように、原形に復旧するというような考え方のこう薬張りのことじゃなくて、あの三つの川を大きく利用しようという考え方で、やはり抜本的に改修するんだ、そして水を管理するんだという観点に立たないと、私は、やはり集中豪雨のたびごとに、こういう陳情めいた災害対策委員会になってしまうのではなかろうか、こういうように考えております。  さらに、砂防ダムの青い写真はあるのだが、なかなか予算関係もあろうが、着手していない。そこで、お隣の山形秋田の境は雷雨とともに集中豪雨に見舞われたわけだが、片や山形県側に流れ、片や秋田県側に流れた。ところが、秋田県側に流れたのは比較的人災もゼロで今回通ったということは、雄物川という川の改修がある程度進んできたという成果が、やはり山形県側と秋田県側の違いがあったんだ。同じ県境に同じくらいの雨量が出ておるということが統計に出ておるわけですから、したがって、やはり災害を防止するのには河川を管理するという観点に立たないといかないのではないか。水は邪魔だという観点と、水を利用してやろうという観点の両方に立たないと、こう薬張りの改修工事をすると、強いところは強くなるが、改修してないところにどうしても、次の災害のときにはそこが破れるという状態になるわけです。  特に秋田の場合は連災でありまして、昨年の改修工事がまだ終わってない段階で連災だ。こういう状態を考えますと、やはり大臣は建設大臣も経験された方だし、その辺のお考えというのは、どんなものなんでしょうか。
  22. 金丸信

    金丸国務大臣 このたびの豪雨によりまして青森県あるいは山形県、秋田県、また青森山形におきましては、とうとい人命が二十七名も亡くなられて、まことに哀悼の意を表しますとともに、御冥福をお祈りいたしたいと思います。また、この豪雨によりまして非常な迷惑をこうむり、罹災した県民の皆さんに心からお見舞いを申し上げるわけでございます。  ただいま川俣先生からお話ありましたように、国土庁は国土を守り、国民の生命の安全を考えるということが国土行政の中心でなければならぬと、こう思っておるわけでありまして、そういう意味から申し、また国土防衛という立場から言いましても、治山治水というものをおろそかにするということは大きな間違いだと私は思うわけであります。そういう意味で、先ほどのお話のように、やはりダムをつくらなくて火力発電で八割もそれを間に合わしておるというような考え方、そういう考え方の中で治山治水というものをおろそかにしたということであれば、これは政治の大きなミスだという考え方を私は持つわけであります。  電力とかそういう問題は別にして、あくまでも国土保全のために、また国民の生命、財産を保護する上からいたしましても、河川のいわゆる砂防その他、ダム工事等は完璧を期するということが政治であろうと、こう考えております。
  23. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、ちなみに、いかにテンポの遅い河川改修であるかということのこれは一つの例ですけれども、この大きな雄物川の支流の一つに荒沢川という川があるのですが、その川を全部改修するのには五億が必要である、これを国もそうだろうということで計画を承認されておるわけでございます。この五億の総額の改修工事に対して、何と五十年度は千二百万円。四十四年から五十六、七年ごろまでかかって、この五億の工事を完成するというテンポで進んで、大臣、担当は苦慮しておるような状態であるわけです。これが恐らく全国に、山形もそうだろう、青森もそうだろうと思うのですが、やはりこういうようなものは、何をさておいても災害を未然に防ぐという考え方と、水を管理するということを考えますと、もう少しテンポを早めてやるという強い行政を閣議で意思決定してやっていかないと、災害対策委員会というのは単なる陳情委員会になってしまうのではなかろうか、こういうように思うわけです。  そこで時間もありませんから第二番目ですが、今回はどこの県の陳情を伺っておっても、やはり激甚災害指定というものを期待しておるわけでございます。この激甚災害指定という場合には当然指定基準に達しなければならぬというのが、事務当局としては、それ以上のものは出れない。何ぼ努力したって、政治的にやっても、基準がある限りにおいては、これはどうにもならないと思うのです。  そこで、私がせっかく大臣に伺いたいのは、この土木関係災害指定基準がいかに、何と言うんですか厳しいというか、ほかの農林水産に比べて、とうていこれじゃ激甚災害を簡単に、幾ら検討していただいても、なかなか容易でないのではないか。  そこで局長にちょっと伺いますけれども、担当者でも結構ですが、公共土木激甚災害指定を受けるためにどのぐらいの被害額が出なければならないのか、これを簡単に三つぐらいのケースがあるはずですから、ちょっと教えていただけませんか。
  24. 井沢健二

    井沢説明員 お答えいたします。  公共土木施設被害の場合の激甚災の指定基準でございますが、非常にいろいろございますが、基本になっておりますのは、自治省で決めております標準税収入でございます。たとえば青森県の場合でございますと、標準税収入というのが約二百五十億あるわけでございますが、こういうふうに一つの県の場合でなくて、全国の標準税収入から決まるわけでございます。  たとえば今回の台風五号によります災害激甚災害指定する基準を申し上げますと、A基準というのがございまして、これは全国の公共施設の被害額が約三千九百億なければならないことになるわけでございます。五十年度の全国標税がまだはっきりわかっておりませんけれども八兆幾らかございまして、これの四%なければならないということになるわけでございます。それから、それでだめな場合にはB基準というのがございまして、この場合には全国標税の一・二%なければならないということになります。そういたしますと、今回の全国の被害が一千百億ぐらいなければならないということになります。前回の梅雨前線豪雨の場合には、ようやくこれに達するか達しないかという状態になっております。  そういうふうにいたしまして、今度は各県の、あるいは各町村の合計額は、五十年度の標税と勘案いたしまして逐次決めてまいることになるわけでございます。  したがいまして、今回の台風の場合でございますと、高知の場合では、いわゆる二、三百億ぐらいのものであるならば、とてもいかないということになるわけでございます。  それから前の青森秋田山形東北関係の八月の六日から七日の分でございましても、それだけ合わせましても一千億ございませんので、その分だけではとうてい激甚災害にならないかと思います。
  25. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がありませんけれども、大臣、ざっとこうなんです。だから三つのケースがあるようですけれども、いまおっしゃったものをまとめて言いますと、全国の標税がいま約八兆円、確定はしておりませんが、八兆円の四%の被害額がなければならぬというから約三千九百億、四千億近い被害がここに出なければ、この激甚災害に当たらないんだ、これが一つ。  それからもう一つは、いま説明がちょっと不足したようですけれども、全国標税の一・二%と、これは約一千億になるわけですね、八兆円の一・二%ですから。それに足すものがあるのですよ。いずれかの県が、標税以上の災害をこうむったものが何ぼであるかということが出なければ激甚災害にならないのです。  そういうように計算してきますと、どうも日本の国がある程度沈没めいてこないと激甚災害という指定は、土木関係の場合、特に公共土木、今度の台風五号で四国の皆さん方がああいうように、私らニュースで見た程度ですけれども、あるいは今回の山形秋田青森の、これはどなたが見ても今度は激甚災害が期待できるんではないか、こういうような期待を政府にしておるのに、御説明があったように、とうてい今回は激甚災害は容易でなかろう、こういうお答えなんです。  これはやはり公共土木激甚災害指定基準だけが非常に厳しいという基準であるだけに、この制度改定、これは私の陳情になるか、請願になるか、要求になるかわかりませんが、これはひとつ大臣、ぜひ早急に制度改正に取っ組んでもらうよう見解を述べていただいて、私の質問を終わります。
  26. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほどの御質問もあわせてお答えしたいと思うのですが、河川予算というものが少ない、そのために十年、二十年かからなければでき上がらぬというようなことが間々出ておるわけでございますが、私もいわゆる河川関係予算というものが最近おろそかにされているという感じがいたします。  そういう意味で、この予算については格段の配慮をすべきだという考え方、また、ただいまの激甚災指定の問題につきましては、私も政治家であります。いわゆるあの鉄砲水なり、あるいは洪水によって災害をこうむった、そのこうむった金額が四千億上回らなければだめだとか、あるいは三千億下回ったんじゃだめだとか、そういう考え方で政治ができるかという私は考え方を持っておる。そういう意味で、これはお役所のお役人を責めても無理だと思います。政治家がひとつこういう問題について突っ込んだ姿勢になって、これを是正していくということが必要じゃないか。災害の人たちあるいは人命を亡くした、あの洪水によって起こるいろいろの要因の問題を解決してやるためには、政治家も勇気を持ってやらなくてはならぬということで私も一生懸命やりますが、先生方の御支援を心からお願い申し上げる次第であります。
  27. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  28. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、田澤吉郎君。
  29. 田澤吉郎

    田澤委員 ただいま政府側からの御説明にも、また各先生方の御質問にもありましたように、七月の下旬と八月の上旬に起きました集虫豪雨、すなわち鉄砲水と言われるほどの恐ろしいまでの災害があったわけでございます。これが青森県の被害というのは非常に大きいわけでございまして、七月下旬の被害が佐井村というのを中心にして八十四億三千余万円でございまして、八月上旬の災害は岩木町、黒石市等を中心にして九十二億一千余万円という巨額に上っているわけでございまして、ことに大臣の御答弁にもありましたように、岩木町では二十二名の痛ましい死傷者を出しているという現状でございます。  そこで、大臣に対する質問は十五分ということでございますので、ごくかいつまんで質問いたすわけでございますが、きょうの毎日新聞と読売新聞に台風五号に関連して社説が出ております。それは「“異常気象”下の台風に警戒を」「人命を守る風水害対策を急げ」ということで書かれておりますが、その内容は、ただいま川俣さんからお話があったような内容でございますが、今回の台風五号の教訓も、あるいはまたその前の台風も「別に目新しいものではない。国土の至るところが危険にさらされているため、常識をこえる災害の起きる可能性が常にあるということである。それを防ぐためには、乱開発の禁止、全国的な危険個所の総点検と傾斜地などの防災工事が、何よりも急務であることを指摘したい。」ということが結論のようでございます。  そこで、今回の青森県の岩木町を中心にした災害を見ましても、地元ではこれは乱開発によるものじゃないだろうかという説、あるいは記録的なまでの豪雨であったから、そういう意味で起きた一つの現象であろうという見方、結局原因が何だろうということが、つまびらかにされていないのが現状でございます。  そこで私は、これをこのままにしておいたならば、今後大きな災害が全国各地に起きてくると思うのでございます。たとえば、いままでも全国的にいろいろな災害がございました。地すべりがあったり、あるいはがけ崩れがあったり、いろいろなことがありましたが、そのときは、大臣、一生懸命やります。調査をいたしましょうと言いますが、何かその一時期が過ぎますと、ほとんど調査が進められていない、結果が国会にも発表されていない、私はここに大きい問題があると思うのです。  ですから、少なくともこの調査を完全にしてほしい、いますぐ台風五号が大きな被害をつくって、われわれの後をすぐ追ってきているわけです。そうすると、台風五号を見ている間に、こっちは捨ててしまうというきらいがどうもあるような気がしてならない。もしそんなことをしたとすれば、岩木山という、津軽富士という独立山でございますが、こういう山は、やはり鳥海山、岩手山、富士山、たくさんあるわけです。これが完全な調査を行わずに、この災害を見詰めておったとするならば、全国に同じような災害を招くきらいがあるので、そういう点に対して、大臣、ひとつ完全なる調査をしていただきたいということを、まず第一にお願いいたしたいのですが、御答弁をひとつ……。
  30. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  四十七年に国土の危険個所の総点検はいたしておるわけでございますが、ただいま先生がおっしゃられるように、二度と同じことを繰り返すということは、国費の点から申しましても、また人命保全の上からいきましても、これは当然考えなければならぬ問題でございますし、また国土庁といたしましては、乱開発という問題につきましては格段の配慮をいたしておるわけでございますが、ただいまのお話は、まさに将来二度とこういうことをやらないというために、もしまた二度起きたということになれば、これは人災だということにもなるわけでございますから、そういうことのないように、十分ひとつ県とも連絡をとりながら、予算が必要であれば予算もつけて究明してまいりたい、こう思っております。
  31. 田澤吉郎

    田澤委員 普通の台風が来まして、それが普通の状態の災害の結果を生んでいるんじゃないのです。いまの台風五号でいっても、普通の台風が来た後に異常なまでの現象が起きて、恐ろしい災害を、被害を生んでいる。青森の場合も、あるいはまた真室川の場合も同じなんでして、普通考えられない状態で大きな災害が起きているということは、先ほど申し上げましたように、日本の国土全体を何か変な状態に活用しているんじゃないかと思うのです。  ですから、国土総合開発の面から日本というものをもう一回見直さなければいかぬじゃないかと思うのです。乱開発という簡単な問題じゃなくして、何か日本国土全体をもっと見直した考え方で計画を進めていかなければいけない。「日本沈没」というあの映画を見ましても、何か恐ろしい感じを受けますが、そういうことがだんだん進んできているような気がするわけです。ですから、それに対して政府は、この時点の最大限の調査なり研究なりというものを進めていただきたいと思うのです。  今回青森県としては、早速岩木山百沢土石流調査委員会というものをつくりまして、東大の福岡教授を委員長にして、委員八名、幹事四名によって委員会をつくっているわけでございますが、私はこの委員会に大きな期待を抱いておるのです。ですから、政府もこれに御援助をいただきたいと思うのです。そして政府も、これと並行してあの地域の完全なる調査を進めていただきたい。この委員会に対する援助の仕方をどうしてくださるか、もしありましたらお答えを願いたいし、またこれに対して並行して政府にどういうような考えがあるか伺いたい。
  32. 金丸信

    金丸国務大臣 国土庁災害の窓口でございますが、この問題につきましては建設省の関係もあることでありますし、建設省とも十分連携をとりながら、この問題をどうするかということについて結論を得たい、こういうように考えております。また、ただいまお話しになりました調査委員会というような関係財政的な援助が出るかできないか、この問題につきましても、できるだけ御希望に沿えるような方法をとってみたいと私は考えておりますが、これは事務的なこともあることでございますから、よく事務当局とも話し合いまして、できるだけ御希望に沿えるような配慮をしてみたい、このように考えております。
  33. 田澤吉郎

    田澤委員 よろしくお願いします。  次に、川俣委員からも御指摘がございましたし、また村岡委員からもお話がありました激甚災害に対する特別の財政援助等に関することでございますが、先ほど川俣委員から御指摘のように、災害は局地的で、非常に激しいけれども、このA基準、B基準には該当しない、そこで激甚災の指定は受けられませんということを聞きますものですから、地元は大変不安を抱いているわけでございます。ですから、まず激甚災の指定ができるところはできるだけ早く指定をしていただきたいと同時に、激甚災の指定ができない、それでカバーできない部分を一体法制的にどうしようとするのか、今後政治的に大臣がいろいろ配慮して——大臣も政治家であるから、その点は決して捨てないと、こういう御答弁で私も安心したのでございますが、何らかの法制的な裏打ちがなければその実現ができないと思うのでございますので、そういう点についての御答弁をいただければ幸いでございます。
  34. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど川俣先生にもお話ししたような考え方を私は持っておるわけですが、これは裏づけのある立法をしていただくということが必要だろう。その立法に関しましては、議員立法が適当であるか政府提案が適当であるか、そういう面につきましては事務当局に十分研究をしていただくとともに、また関係省庁とも十分話し合いの中でそういうものを進めてまいりたい、このように考えております。
  35. 田澤吉郎

    田澤委員 結構です。
  36. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、津川武一君。
  37. 津川武一

    ○津川委員 金丸大臣が先ほど人命を失われたことに対して哀悼の意を表してくれたし、心からお悔やみもお見舞いも申し上げると申されました。これは本当によかったと思いますが、そこで、御迷惑をかけたという言葉が出ておりますけれども、やはり雨、台風、これがなければこんなことは起こらなかったのだけれども、国政上としても、何か大臣として済まなかったというお気持ちはおありの上での発言であったのでございましょうか、最初にお伺いしておきます。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 これは、行政の面で足らないところもあるというものをすべて含めて私は哀悼の意思表示もし、済まなかったという意思表示をいたしたわけでございます。
  39. 津川武一

    ○津川委員 そこで災害被害者をどう扱うかという問題ですが、先ほどから前の委員からも出ておりますように、青森県での、特にあの八月五日、六日のときの被害者ですが、農林関係三十三億円、土木関係四十四億円、これはかなり精密に計算されていると私は思います。ところで、人及び建物関係三億八千六百四十五万円、死者二十二名、重傷二十八名、軽傷三名、流失家屋二十二棟、半壊二十三棟、これを試算したときに、三億八千六百万何がしに、亡くなられた人の生命、失われた健康における被害、ここのところをかなり考えなければいけない。  土木関係のものは、国と県の予算復旧してくれる。農地災害ももとに戻ります。戻らないのは、この亡くなられた人の生命。いまの制度で、失われた家とともになくなった、たとえばテレビだとか農機具、機械だとか、まないたまで入れて、個人財産、この被害というものは、まず災害被害の第一義的に考えていくべきものだ、こういうふうに災害を見るべきだ。ところが現に出てきているものには農業、公共事業のものは出ているが、命や失われた健康や個人の財産についての評価が出ていないのに私はびっくりしているのです。したがって、この見方から次に発生するものは、打ち出す対策が公共事業の復旧中心が置かれてくる。こういうようなので災害に対する国の考え方、見方、したがって、ここから出てくる国の施策、これに変化が出てこなければならないし、この点災害担当の大臣として、どんなふうにお考えになっているか明らかにしていただきたい。
  40. 金丸信

    金丸国務大臣 公共事業その他いろいろの面においては、政府もある程度の推進はいたしておるわけでございますが、人命の問題が、これは法律で戸主が百万で、それ以外の家族は五十万というようなことで決まっておるようでありますが、私は、これが適切な金の人命に対するものであるかということについては、それはそんな簡単な安いものではないと思います。しかし、政府といたしましても、いろいろな災害等もありますしするので、人命という問題について百万が適当であるということについては、私は政治家としても、これは考えなければならぬ問題だとは思います。検討すべき余地は十分にあると思うのですが、今日法律の中でそういうものが決められている。事務当局がそれに従ってそのような算出が紙の上に書かれるということになっておるわけでございます。  しかし、この問題は、そういうお話を改めて各地で私も聞くわけでございますが、再検討すべき、人命というもののとうとさということから考えれば、考えなければならぬ問題点であるということをひしひしと感じます。
  41. 津川武一

    ○津川委員 幸い大臣から考えなければならぬ問題として、ひしひしと感じるというので、そこを基準にして被害の見方、人の命に対する何らかの形で制度の改正を私も切に要求する。この点大臣の善処をお願いします。と同時に、失われた個人財産に対しても、これも並々ならぬものでありまして、一項目見ますと、ここに三億何ぼにしか計算されていないが、五千万もしくはそれ以上の財産が失われている。これに対する考え方も伺わせていただきます。
  42. 金丸信

    金丸国務大臣 保有しておるところの財産が流失してしまったというような問題についても、この補償をすべきじゃないかというお話でございますが、問題は、流失したその前の条件がどのような家屋の中にどういうものがあって、どういうものがないのかというような問題を判断するという尺度がなかなかむずかしい面もあるだろうと思います。  しかし、本当にここにこれだけのものがあったんだ。あったものがこれだけなくなったということであれば、これも考えなければならぬ問題だとは思うのですが、その辺の尺度をはかるということのむずかしさというものが、今日その辺をあいまいにしているんじゃないかという感じが私はするのですが、土地も農地も荒らされ、家屋も流されたというのを、口をふいて知らぬ顔しておるというのも、人道的にはどうかという感じを私はいたすわけでございます。
  43. 津川武一

    ○津川委員 失われた個人財産、確かに判定はめんどうだ。したがって、そういう技術的な点は大臣から事務当局に申していただく。  そこで、失われた命に対して最高で百万円のお見舞い金が出ている。とりあえず家屋全部を流失した方に、これは算定の基準要りませんから、百万なり何がしなりのそういう見舞い金をお出しになるような制度をとりあえずやって、そこからいま大臣が言われたところに進んで行くのが非常に妥当じゃないかと思うのですが、大臣が、さっき心からお見舞い申し上げると言った、そういったものの具体的な表現の措置をひとつとれないか。
  44. 金丸信

    金丸国務大臣 現在の制度は、家屋が流失した場合は低利で百万貸すというような方法をとっておるようでございますが、私一存でこういたしますというわけにもいきません。各省庁とも連絡をとりながら、あなたの考え方、私の申し上げました考え方というものをひとつ検討して、いまよりよくするということを心がけるべきだ、こう私は考えております。
  45. 津川武一

    ○津川委員 そこで前委員からもお話がありましたが、国土の保全ということです。  今度のことを建設省の専門家に聞いたら、あの倉敷沢という川が破れた。これに防災ダムを一基つくっている。安全というと、三基が必要だ。今度災害復旧改良復旧のときには二基つけたい、こういうことなんです。したがって、こういう科学的検討がぜひ必要なんだ。  田澤委員がいま話された東大の教授、弘前大学の教授で県が調査団を派遣する、私はよかったと思います。だが、見捨てるわけにいかない問題は、これに建設省の専門家、林野庁の専門家が入るわけです。これはいわば被告と一緒に行動をとっている。その被告と調査を一緒にするので、本当のものか出るかという  建設省と林野庁は、その調査団が呼んで調べる、説明をさせる、資料を提供させる、そういう形で使うべきで、みずから調査員になってはいけない。これが調査の原則ですが、この原則を国土庁長官どう守っておいでになるか。  この点で今度の台風五号の被害です。大臣、台風五号の被害、ダムは一体何だろうと、こういう意見が非常に痛切に出ました。後刻、これは最後に山原委員から問題にしてもらいますけれども、そこでこういう根本的な検討に国が学術会議などと相談されて、そういう形で被告めいた建設省や林野庁が入らない、各界各層から民主的に推薦してもらった委員会調査すべきだ、これが私の大臣に対する基本的な質問の二つ目であります。
  46. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど田澤さんからお話がありました委員会の件でございます。これは国土庁なり建設省なり政府で決めた委員会ではない、それに被告だとか被告でないとかという考え方を持つということでなくて、私は県がそういう考え方でやる、それも一つの考え方で、またあなたのおっしゃられることも、あなたの一つの考え方であると私は思います。  しかし、どちらにしても今回のような鉄砲水みたような豪雨災害というものの、いわゆる原因を究明するということは必要だという意味で、いま先生のおっしゃられることも私にもわからぬわけじゃないが、これは私の方で、政府の方でやったものじゃない、県でやったことでございますから、私はりっぱな成果の結論を得られることを祈っております。
  47. 津川武一

    ○津川委員 国として調査される必要があると思うのですが、この点をひとつ……。  最後の質問は、危険な河川のことはかなり問題に上がっている。ところが、局地的な集中豪雨で暴れるのは、河川よりも渓谷です。全国に危険な渓谷が三万五千。この中で、問題を起こした倉敷沢が危険に入ってない。そこで、先ほど行政上での問題があれば、責任も出てくるという話も出てきた。それで、こういう形で三万五千、八%ぐらい手当てしているそうだ。危険個所指定されなくて手当てされているわけなんだ。なぜこれがあったかということは、後で建設省にお伺いしますが、ここで中小河川もやらなければならぬ、渓流もやらなければならぬ、大変でしょうけれども、局地的な集中豪雨、先ほどの激甚指定の問題も地方的な問題にはならないので、ここの点でもう一遍この点を再検討する。  四十七年に国土の検査をやったと言っているが、ここでたくさんの落ちがあるわけです。もう一回再点検をする。特に池田内閣以来の高度経済成長は、田中さんの日本列島改造論は、どちらかというと国土保全を粗末にした。四十七年ではまだ国土破壊が早過ぎた。すっかりいまみたいなかっこうに出ているのではないので、もう一度この点、渓流もひっくるめておやりになる必要があると思いますが、これで私の大臣に対する基本の質問を終わります。お答えいただきます。
  48. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど田澤先生からも質問があったのですが、国としても、この調査をするのかというお話がありました。先生と同じだと思いますが、これにつきましては、関係省庁と十分連絡をとって、ひとつ究明できるだけのことはしたい、あるいは予算措置等も考えてみたいということを申し上げたわけでございます。  また、危険個所の問題につきましては、建設省と農林省関係調査だということでございますから、先生の御質問を体しまして、建設大臣、農林大臣に申し伝えたい、こう思っております。
  49. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  50. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、高橋繁君。
  51. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 大臣が午前中で留守になるということでありますから、きわめて簡単に、簡潔に質問いたしますので、お答えをいただきたい。  ただいまも、いろいろ問題がありましたが、四十七年に急傾斜地域、危険地域の総点検をやりました。その後いわゆる異常な気象状況、その他環境の変化によって、過去における経験から得た急傾斜、危険地域の点検というものが、いまもいろいろお話がありましたが、再度その条件とか、あるいはそうしたことを踏まえて点検をする必要がある。これはいま答弁にあったように、建設省あるいは農林省と連絡をとりながらやるということでありますが、国土庁として主体性のある考えのもとに、建設省、農林省に再度の総点検の実現をするように、ひとつ強力に国土庁としての意見というものをまとめて、建設省、農林省に働きかけていただきたい。この考えが一つです。  それからもう一つは、せっかく指定されても、その危険地域における行為の制限、これもやはりいろいろな条件が法律で決められておりますが、その行為の制限についても、この際やはり検討してみなければならないときが来ておる。たとえば、小さな例でありますが、この間も鹿児島に行ったときにも、大変ヤマイモ掘りが多くなってきた。それをそのままにしておって、そこから水が入ってがけ崩れ、山崩れが起きておる。そうしたこと等についても、細かいことでありますが、これが数が多くなれば、そうした問題も原因となって、そういう災害が起きるということから見て、そうした再度の総点検と行為の制限についての考え方について、見直しをする段階に来ていると思うが、大臣の考えについてお聞きをいたしたい。
  52. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほども答弁申し上げたわけでございますが、しかし国土庁はわきにおって、ただ伝えるということで私は申し上げたわけではないわけであります。防災関係の問題につきましては、国土庁が窓口でありますし、また中央防災会議の本部長を私がしておる、事務局を国土庁がやっておるというような関係から、当然高橋先生のおっしゃられるように、急傾斜地帯の問題や、あるいは危険地帯の総点検の問題を十分伝えながら、これをまとめてひとつ御意思に沿っていくようにいたしたい、こういう考え方で申し上げたわけでございます。
  53. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 せっかく指定された場所についての行為の制限についても、あわせてお願いをいたしたい。
  54. 金丸信

    金丸国務大臣 当然そのようにいたしたいと思っております。
  55. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 これは報道によりますと、いわゆる土砂流の危険地域あるいは河川の危険個所について、ここは大変な危険地域であるというように建設省が公に公示をすると報道されております。そのことについて国土庁としてもお考えがあろうかと思いますが、そうした建設省の、これは確かめてはありませんですけれども、そうした個所についての公示制度というものをあわせてお考えになっておりますか。
  56. 増岡康治

    増岡説明員 いま建設省の例示が出ましたのでお答え申し上げますが、河川砂防等の危険地域を一般の地域住民に知らすべきではないかという世論が相当多くなったわけでございます。  私どもは、この問題は相当前から考えておりますけれども、これは手法を誤りますと、かえって不安に陥れるということが十分わかっておりますが、私どもは実は来年度特に広報サービスという意味で、一般の住民とともに災害を防ごうという立場から、土石流につきましては、ひとつこういうものをはっきりしていくべきではなかろうか。一般の河川につきましては、まだまだ勉強しなければいけないほかの制度のこともありますが、土石流というものは、人命、財産という問題に直接結びつきますし、現在も避難その他の問題もあわせて考えておりますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、全国三万五千という渓流に相当危ないところがございます。この中で、特に地域の方々とともに災害を防ごうということで、土石流の場合について、私どもは来年度から危険地域の設定といいますか、そういうものをやろうという前向きの姿勢で、どうしたら一番いいのかということをいま考えておるわけでございますので、あらかじめ申し上げます。
  57. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それから、いわゆる国土保全、災害防止という立場から、国土庁として、安易な宅地造成というものがかなりあると思うのです。それからレジャー施設も当然のことながら、またこれは後で具体的な問題を質問したいと思いますが、たとえば岩木町にダムがある。しかしながら、そのダムの効用というか効果というか、すでに埋まってしまって、その効用を果たさないというような個所、やはりそうした面についての点検もあわせてこの際やるべきではないか、そうした安易な宅地造成については強力な指導をすべきであると考えるわけでありますが、そういう宅地造成を含めて、レジャー施設あるいはダムの点検なり、この辺にわたっても、大変だろうと思うけれども、私はやはり点検をすべき段階に来ていると思うが、この考え方についてお聞きをいたしたい。
  58. 金丸信

    金丸国務大臣 安易な宅地造成とかレジャー施設、ゴルフ場等の問題につきまして間々問題が起きておるわけでございますから、この問題につきましては、中央防災会議の名をもちまして各県にも強い再点検の指示はいたしておるわけでございますが、しかし、これは先生のおっしゃられるように、ひとつ国土庁中心なりまして真剣に総点検をしてみたい、こう思います。
  59. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 最近山地災害、特に今回の青森県、山形県にしても、それぞれ十六町村あるいは二十三カ町村ですか、かなり——日本の国土の四分の三が大体山地でありますから当然と思うのでありますが、そうした山地災害の見直しということと、今度の青森山形災害についても、もう後三カ月後にはいわゆる雪の地域ですね、あるいは豪雪地帯で、そういう時期に入るということははっきりわかっているわけですが、そうした面で道路とかいろいろな点に災害を起こしておる。  冬季を迎え、雪の季節を迎える前に、ある程度のものを復旧なりしておかなければ、また大変な問題になってくるということで、山地災害の見直しと、雪を迎える時期までに山形青森秋田三県にわたる復旧の見通しといいますか、そういうものについて各省ではおやりになると思いますが、早急な施工を強く要望したいと思いますが、その辺の大臣としての考え方をお聞きいたしたいと思います。
  60. 金丸信

    金丸国務大臣 河川の問題にいたしましても、道路の問題にいたしましても、まあ東北地方のことですから豪雪地帯でもありますし、すぐ冬に入っていくということになりますと、そのまま放置しておくということはできません。  そういう意味で、手っ取り早くひとつ暫定的な応急措置だけはとらなくてはならぬだろう。放置しておくわけにはいかないということでございますから、まず応急措置だけをやって、そしてこの冬場はその地域の人たちに迷惑のかからないように、また来春あの豪雪の後雪解けの出水というような問題で、二度とこういう問題が起きないような応急措置をしなければならぬだろう。これも関係農林省あるいは建設省との関係でございますから、国土庁中心になって十分話し合いを進め万全を期してまいりたい、こう考えております。
  61. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 最後に一点だけ。  これは考え方をひとつお聞きしたいと思うのですが、私、この前も質問しましたが、採石については採石法という法律でこれは規制があります。しかしながら、いま全国各地で土砂の採土をしておる、これについては何ら規制がないわけだ。もちろん私権の制限という問題も絡んでおりますが、いま地方自治体でこの種の問題について条例を設けてやらなくてはならないというように考えた自治体もありますが、政府がそういうような方向に立たなければ、なかなかむずかしい問題であろうと思うのです。したがって、土砂の採土についての規制を設けて、自然の乱開発あるいは災害を防がなければならないという問題について、国土庁として、国土の保全という立場からどのように大臣がお考えになっておるか、最後に質問をいたしたい。
  62. 金丸信

    金丸国務大臣 砂利の所管は通産省でございますが、国土保全という立場で……。いわゆるおか砂利、おか砂というようなものを、骨材が非常に少なくなっておるものですから、そういう面へ進出しておる業者が出てきておるわけであります。そのためにいろいろな災害が起きておるという状況も十分承知いたしておるわけでありますが、そういう問題につきましても十分な注意をしまして、いわゆる乱開発というか、企業のために人命をなくするようなことのないようにということで、きょうまで各県とも連絡をとりながら、これをやっておるようでありますが、先生のおっしゃられるように、これは十分な配慮がなければ、それこそ人命に及ぼす影響、あるいは鉄砲水等によって、またとない大きな事故を起こすというようなことにもなると思うわけでございますから、この点につきましても今後十分配慮してまいりたい、こう考えております。
  63. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 配慮をするのは当然でありますけれども、石をとるについては採石法というような法律が片方でありますが、土砂をとるについては何らないわけです。だから、そうした採石法に準じたような何らかの規制をしなければ、これはなかなか守られていかない。日本じゅうがはげ山だらけになるというような感じもしないでもないわけですから、その辺の規制についての強力な考え方を持ってほしい。
  64. 金丸信

    金丸国務大臣 法律のないところで、いかにいたしましょうと考えてみても、これを縛るわけにいかぬということになるわけでありますから、法律という問題について、ひとつ検討を速急にやってみたいと思います。
  65. 増岡康治

    増岡説明員 土の採取の問題についてだと思います。法律にかからないものの問題につきまして国会で問題になりましたので、河川局が昨年調査を依頼されまして、ことしの五月にまとめて、どの委員会か私申し上げたわけでございますが、全部の県の土の採取についての規制状況を調べてみました。細かい数字はいま持ち合わせませんが、各県におかれましても地方公共団体等で、いろいろ環境部なり土木なり農林関係は農林ということで、相当条例でもって規制をしようという動きがございます。  私どもは、この調査をきっかけにいたしまして、調査することによってそういう機運を各地方公共団体に持っていくということで、おのおの各省協力いたしまして、各所管行政でどこかひっかかるところがあれば、それを中心にして議論をしていくという方向へいま持っていっておるわけでございまして、おかげで先生のおっしゃるように、相当そういう面が各地方公共団体として注目されて条例等でだんだんうまくいくような姿になった結果が出ましたので、ちょっと御報告しておきます。
  66. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、田澤吉郎君。
  67. 田澤吉郎

    田澤委員 政府は、先ほどの御説明にもありましたように、災害査定は県、市町村準備ができ次第緊急を要する個所から早急に実施して、早期復旧を図り、堤防の破壊個所及び道路不通個所については、緊急個所応急復旧を当面の重点目標としていると説明をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、七月の末の災害あるいは八月初めの災害で、青森県で国道一〇一号線、国道二八〇号線、国道一〇二号線、県道で黒石−七戸線とか、弘前−岳−鯵ケ沢線など、多くの道路不通を見たわけでございます。  また、河川では二級河川の大佐井川、鳴沢川、今別川等、あるいはまた岩木川水系の倉敷沢の土石流、黒石市の中野川、鳴沢川等があるわけでございますが、こういう緊急にやらなければならない仕事が、いま災害地では一番心配しているものなのでございまして、特に台風シーズンに入っておるさなかでございますだけに、この点は急いで進めなければならないと思うのでございます。  そこで、具体的に質問をいたしますが、岩木川水系倉敷沢に一号緊急ダム、二号緊急ダムの施工が絶対的に必要だと思うのでございますが、これがいつ実施されますか。  もう一つ、倉敷沢の一定災復旧計画があるわけでございますが、これを速やかにやらなければならない問題なのでございますが、この計画がまだ承認されていない段階でございます。この点についての政府の考え方を承りたいと思うのでございます。
  68. 中村二郎

    ○中村説明員 お答えいたします。  倉敷沢につきましては、下流につきましては災害復旧が進められるわけでございますが、それに先立ちまして、どうしても上流砂防ダムが必要でございます。そういうことで緊急砂防といたしまして砂防ダムを二基計画をいたしておりまして、一基はできるだけ速やかに着工いたしまして、本年度中に完工したい。また、一基につきましては、これもできるだけ仕事を進めまして効果を上げたいと考えております。着工につきましては、現在県の方で設計を急いでおりまして、設計の済み次第着工に踏み切りたいと考えております。  以上でございます。
  69. 井沢健二

    井沢説明員 砂防堰堤をつくりましたその下流から岩木川の合流点まで約五・五キロございますが、その区間につきまして現在、県と計画の下打ち合わせを行っております。これにつきましては、八月の二十五日から三十一日までの間に青森県の第二次査定がほかの災害と一緒に行われるわけでございますが、そのときに、災害についてはその査定を実施いたしたいというふうに考えております。  それから、この場合に、一定災になれば全部災害でございますが、それが一定災でない場合には改良費を入れてやることになろうかと思いますが、こういう場合には関連工事になるわけでございまして、これにつきましては、それ以後におきまして、施工について検討いたすことになろうかと思います。
  70. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、先ほども大臣に質問したのでございますが、具体的に激甚災の指定のことでございます。青森県の佐井村、それから岩木町、黒石市、これが先ほどの基準に合うのかどうか、ぜひとも局部激甚災の指定にしていただきたいと思うのでございますが、そういう点に対する御答弁を承りたいのです。
  71. 横手正

    横手説明員 激甚災害の見通しでございますが、これは御承知のように公共土木施設関係と、農地農業用施設関係と中小企業関係とに分かれております。  先ほど来話が出ておりましたように、全国的な基準にはなかなか該当いたしませんが、激甚災害には市町村単位のいわゆる局地激甚の関連がございます。現在関係省庁査定を緊急に進めてもらっております。その結果を待たないと明確にならないわけでございますが、近く各市町村ごとの標準税収入も決定してまいるということにもなりますので、査定結果を待ちまして私ども必要な措置を講じたい、かように存じております。
  72. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、今回の災害を通じて痛切に感じたことなのでございますが、青森県でも災害救助法の適用が佐井村、岩木町、黒石市、三カ所に災害救助法が適用されたのでございますが、この災害救助法にのっとる基準についてでございます。  今日の経済実情に何かそぐわないような気がいたしますので、その点についてお伺いしたいわけでございますが、災害救助法による救助活動の内容については、避難所だとか、応急仮設住宅だとか、炊き出しだとか、あるいは医療だとか救出その他あるわけでございますが、炊き出しにいたしましても、一日一人単位で三百五十五円以内、避難所は一日一人当たり三十円ということになっております。  ことに応急仮設住宅でございますが、これは一戸平均五十四万八千円で二十三・一平方メートル、七坪ほどのプレハブということになっておりますが、この価格で果たして現在の物価の状況からいって、本当に満足する住宅か——満足するまででなくても、ある程度、完全ではないとしても、それに耐えられるような住宅になるのかどうかということが非常に、心配なんでございます。ちなみに業者に見積もってもらったお話を聞いたのですが、応急仮設住宅にいたしましても、トイレと居室と台所は、やはり完全なものでなければいけない。ですから、やはりプレハブで七十五万四千円はかかるだろうというようなことをお話しする業者もあるわけでございますが、そういう点について、この五十四万八千円で完全なものができるのかどうか、ひとつお答えを願いたいのでございます。
  73. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  災害救助法に基づきますところの災害救助基準の引き上げ、毎年私ども努力をいたしてまいっているところでございます。今回の青森県下の災害につきまして、応急仮設住宅につきましては、一般基準でまいりますと、七戸ということになっておりますが、私どもは特別基準を発動いたしまして現実に罹災された方のすべての世帯について応急住宅を用意するということで、県の御要望どおり十三戸を建設するように、県には内示をいたしているところでございます。  なお、先生の御指摘の一戸当たりの応急仮設プレハブの単価でございますが、私どもも県と十分協議を進めておりますが、先生の御指摘の七十五万という価格は一業者の見積もりで、先生お話のとおりでございますが、競争入札の結果また価格が変わってまいるかと思いますが、県からは、特に青森県は非常に寒い土地でありますので、断熱材その他の防寒体制を特別基準で十分配慮してもらいたい、こういう要望を受けておりますので、私ども先生の御指摘の事項を踏まえながら、実際の運用に当たりましては、県と十分協議しながら、できるだけ被災者の方の実情に沿うように努力してまいりたい、このように考えております。
  74. 田澤吉郎

    田澤委員 たとえば青森県では、トイレは外にあるべきじゃないか、あるいはいまお話しのように非常に寒い地域については——天井を張っておりませんから、いまのプレハブでは耐寒性というものを考えていないのじゃないか。そういうことを考えますと、五十四万八千円ではなかなか思うようなものはつくれないのじゃなかろうかということが心配でございますので、そういう点については、ただいま御答弁がありましたが、さらに検討してみていただきたいと思うのでございます。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕  さらに、戸数の制限についてもいま御説明がございましたが、これは三割以内ということでなく、今後基準そのものを変えていかなければいかぬのじゃないかと思うのですが、幸い青森県としては、いま御答弁がありましたように、十三戸全部希望どおり仮設住宅が設けられるようになりましたから、非常に結構でございますが、しかしケース・バイ・ケースでこういうものを扱うよりも、一定の基準によって進めるべきが本当じゃなかろうか、こう考えますから、今後基準を決める際に、こういう点は改正すべきだと思うのでございます。  さらに、先ほど来申し上げておりました個々の、一つ一つございますけれども、単価がどうしても安いような気がいたしますので、この基準を全体引き上げてまいらなければならないと思うのです。もちろん、何かこの春、改正した基準のようでございますけれども、そういう点については速やかに基準を改正して罹災者の希望にこたえられるような仕組みにしていただきたいと思うのでございますが、さらに御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  75. 水田努

    ○水田説明員 先生の御指摘の事項を踏まえまして、私どもさらに努力を重ねてまいりたいと思います。
  76. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、災害復興住宅資金についてお伺いしたいのでございます。  今回の青森県の災害は、岩木町ではすでに死傷者が出、負傷者と合わせて五十三名出ておる。家屋が全壊流失で二十戸、半壊が九戸、床上浸水が百二十二戸、床下浸水が五十三戸、これは岩木町だけの例でございますが、こういう大きな被害が出ているわけでございまして、ことに宅地が土石流で全くもとの姿が消えているという現状なのでございまして、これらの点を見てまいりますと、どうしても災害復興住宅資金に依存せざるを得ないと思うのでございますが、この資金については、地域内の罹災家屋が一〇%以上で大臣が指定するものという条件がありますが、青森県の罹災地にこの条件の適用を認められるようにお願いをしたいわけでございますが、住宅金融公庫あるいは政府側の御答弁を願いたいのでございます。
  77. 横手正

    横手説明員 御答弁申し上げます。  災害時の住宅融資につきましては、先般衆議院の災害対策委員会検討をいただきまして、その結果、住宅金融公庫の災害復興住宅資金につきましては、災害救助法の適用のあるような災害については、個人の一般向け住宅資金ではなしに、災害復興住宅資金融資を取り扱うというような方向に決まりまして、本年度の梅雨期にかかりましての災害から、そうした措置が講ぜられることになっております。今回の東北豪雨によります被災住宅についても、その措置が適用になることになろうと存じます。
  78. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、先ほど津川委員からの質問にもありましたように、災害弔慰金の支給及び災害援護資金貸し付けに関してでございますが、人命を尊重するという面から見まして、この法律の三条の三項に百万円を超えてはならないという額がございますが、この点は、私たちは今回の災害を通じて考えてみますと、余りにも低過ぎるのじゃなかろうかという感じを受けるわけでございますが、そういう点について、先ほど大臣からも御答弁がございましたが、担当の方からも御答弁を願いたいと思うのです。  特に、私は今回の災害地を国土政務次官と一緒に視察したのでございますが、その折に家族を失い、土地家屋を失った、あるいはまた田畑も失った一人の奥さんが私のところに来まして、手を握って涙いっぱいで、私の家族はもう帰ってきませんが、せめて私の田畑、宅地、家屋を何とかもとへ戻してくれませんかということを切々と私たちに訴えているのでございますが、そういう状況を見ますと、このままでよろしいのかというような感じを受けるわけでございますが、そういう点について御答弁をいただければと思います。
  79. 水田努

    ○水田説明員 ただいま御質問のありました災害弔慰金の支給に関します法律は、御承知のとおり公費で、いわゆる市町村の条例で自然災害でお亡くなりになられた方のお見舞い金を支給する自治体がふえてまいりましたことにかんがみまして、昨年制定されたわけでございます。制定時は、御承知のとおり五十万であったわけでございますが、前国会超党派の議員立法で、これが倍額に引き上げられ、いわばその第一号として今回その支給が行われるわけでございます。  この弔慰金の——まあ御承知のとおりでございますが、見舞い金という性格、あるいは全部公費に依存している、いわゆる無拠出の制度でございますので、この限度額をどの程度引き上げたら妥当なのかということにつきましては、非常にむずかしい問題を含んでいるわけでございますが、先ほどの長官の御答弁、あるいは当委員会における災害対策の基本問題に関する小委員会においても、この問題等について検討が行われるというふうに承っておりますので、小委員会検討の推移を見きわめつつ、私ども検討を進めさせていただきたい、このように考えております。
  80. 田澤吉郎

    田澤委員 最後に、県並びに市町村の特別交付税について御質問申し上げますが、今回の大災害によって、災害復旧及び災害応急対策にかかわる県及び市町村財政需要というものは非常に大きいわけでございますから、財源措置として特別交付税等による特別の配慮をひとつお願いしたい。  もう一つは、農林災害について先ほど来質問があったわけでございますが、東北はこれから寒さに向かいます。春に、その農林災害に遭った土地に作物が植えつけられるような状態にしてまいるというのは大変な苦労だと思いますが、そういうことを見通しながら、やはり農林災害復旧に努めなければならないと思うのでございますか、そういう点の目標で進んでおるのかどうか、お答えをいただきたいと思うのでございます。
  81. 横手正

    横手説明員 御質問最初の方の特別交付税の措置についてお答えいたします。  従来から、災害がありますと、都道府県、市町村とも災害時の応急対策等で非常な財政需要がかかるわけでございます。これに対しましては、自治省の方では一定の基準を設けて十分な額を算定して交付するというような措置を講じております。今回の災害につきましても、同じように十分な措置が講ぜられるもの、かように考えております。
  82. 今村宣夫

    今村説明員 来年の作付に間に合いますように、農地等復旧につきましては全力を挙げてまいりたいと思います。なおまた、資金的な面につきましては、自作農資金の活用その他によりまして、できる限りのことをいたしたいと考えております。
  83. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 この際、午後一時四十分まで休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  84. 金丸徳重

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安宅常彦君。
  85. 安宅常彦

    安宅委員 国土庁にお伺いいたしますが、先ほど人命の問題、個人財産の問題に関する質問が各党から出ておったようでありますけれども、私非常に残念に思うのは、新潟地震のときでございましたか、十年ぐらい前になりますか、こういう災害の場合の保険といいますか、この問題が大変問題になりまして、結局は一般の保険会社が、そのときの国会内の議論というのに非常に抵抗を示したのです。  つまり、国でこういう場合は一つの保険制度に似たような制度をつくって——全然保障かないというばかなことはないじゃないかという議論だったのです。そうしたら、保険会社の方では、それはだめだ、われわれの営業に非常に影響があるというのです。そして結局、災害、天変地異といいますか、こういう場合の保険の支払いというのはないのですけれども、これを国が再保険をするという、金額は限定されておったようですけれども、そういう制度にして、若干の保険料を上げて、そして地震保険の分をつくった、こういういきさつがあるのです。  そのとき私議院運営委員会におったのですが、ばかなことがあるかというので、大変抵抗した記憶が残っておるのです。最近いろいろな意味での災害というのは非常に起きているのですね。こういう時代ですから、まさか徳川時代じゃあるまいし、徳川時代だって何かこういう場合には、大火の場合には、いまの政府がやっているくらい以上のことをやっていますよ、歴史を調べてみますと。  こういうことを考えますと、社会主義と資本主義と違うのは、社会主義の国は株の相場がない。それからもう一つは、資本主義の国には個人のそういう災害に対する国家的な保障は全然ない。これは私有財産制ということがあるから、国は構うことはないのだという考え方になっているものですから、非常に合理的なようですけれども、徳川時代よりもだめになってしまうみたいな、そういう困った人に対する救済の手というのは案外伸びてない。こういうことが原則じゃないかと、ある人が言ったくらいです。  ちょっとお聞きしたいのですが、こういう場合に対処して、国土庁として、たとえば人命がそんなに大切だとおっしゃるならば、大臣もさっき言ったから、——大臣いないので非常に残念なんですが、それを大臣がいる間にやってやろうと思っておったのですが……。  こういう台風だとか大火だとか大地震だとか、そういうときに被害をこうむった人々がその後五年後、十年後——区分けしてもいいですよ、三年後でもいいです。そういう追跡調査といいますか、生活の状態がどうなっているかというような調査は、国としては一回も、どこの省でもやったことがないものでしょうか。そこからお伺いします。
  86. 横手正

    横手説明員 ただいま先生御指摘のような調査は、恐らくいままでにはやられたことがないと、かように思います。
  87. 安宅常彦

    安宅委員 まあ大変なことだと思うのですね。私が言いたいことは何かと言いますと、何か明治時代から大正時代にかけてのような民主主義が成熟してないような時代、あるいは軍国主義で、もう個人のことなんか構っていられない、こういう思想が脈々として今日まで生きているから、そういう点、案外抜けているのじゃないか。道路が壊れた、大変だ、それから鉄道がやられた、大変だ。新聞の記事もほとんどそこに集中されるような風潮、こういうことはおかしいのではないかなと私は思っておるのです。  特に最近、家が流された。さっきも津川さんですか、言いましたが、家一軒流されるというのを一つちょっと対象に取り上げてみましても、テレビがある。——農家だってみんなそうですよ。どんな家だって、テレビがある、電気冷蔵庫がある、それから洗たく機がある、自動車がある、それから農機具ですね。全部機械化されてしまって農機具がたくさんある。家一軒流された被害というのは、少なくとも二十年ぐらい前とは大変違った現象が今日起きていると思うのです。大変な個人の財産の被害だと思うのです。  これは逆を返せば、立ち上がる余力といいますか、能力、復元力というのは、昔よりずっと衰えてしまっているということ、大変な災害だというふうに理解をしないと、先ほど済まないと思っておるなんて大臣が言っても問題にならないと思うのです。済まないと思うのだったら、たとえばこれは私実際に山形県の真室川町の小又地区に、そこに行ったのは次の日でしたが、ずっと回ってみたのですけれども、たんぼでござれ、川の中でござれ、とんでもないところに車が皆全部つっかえちゃって土砂に埋もれているのです。ああいう僻地にもマイカーというのがあって、それは相当普及されておって、それが全部川の中に半分埋もれたり壊れたりしている。非常に驚いた現象をなるほどなと思って見てきたのですね。  こういうことからいって、時間がありませんから、私は具体的な提案をいたしますが、そういうふうに時代が変わっておるんだ、個人財産というのは、大きな復元力を持たないぎりぎり一ぱいの生活を庶民がしている。そうした場合には国がやはり何らかの補償をしなければならない、こういう時代だと思うのです。少なくとも数年前問題になった、十年ぐらい前ですか問題になった、そういう大きな地震があったとき大変議論が沸いたのですが、たとえば基金だったら基金みたいなものを国が留保しておいて、それを積み立てる。資金を別にこさえておいて、こういう場合の保険といいますか保障といいますか、この方法はいろいろあると思いますよ、いろいろとあると思いますが、そういうもので単なる百万円の見舞い金が問題になったりしないような制度に持っていくという構想は、国土庁は持っていませんか。
  88. 横手正

    横手説明員 従来から災害対策といいますと、どうしても公共施設関係対策、こうしたものが主になりがちでございまして、個人災害に対しての対策をいかにすべきかは、やや公共施設関係対策よりはおくれていたかと存じます。ただ、この面につきましても数年前から災害共済制度検討とか、いろいろ検討がなされたわけでございまして、その結果、四十八年でございましたか、個人災害に対しましての災害弔慰金なり、あるいは災害援護資金なりの仕組みがようやく実現した、こういう段階かと存じます。  この整備されました災害弔慰金なり援護資金なりで十分だというふうには、みなしきれない面があろうかと思いますが、われわれも今後ともこうした個人災害に対する対策にどう対処していくべきか、十分検討は続けていく必要はあろう、かように存じます。ただ、御提案の基金については、いまのところ具体的な案といったようなかっこうでの検討は、まだ始めていないわけでございます。
  89. 安宅常彦

    安宅委員 きょうはもう大臣がいないから、具体的な問題だけでずっと四十分過ごそうと思いますが、どうですか、たとえば国鉄の方、どなたか来ておりますか。——大滝駅で鉄道が壊れたために列車がストップしておった。そこに土砂が崩れてきた。その人に対する国鉄の見舞い金なんというのは出るのですか。
  90. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 私、その点は確かめてまいりませんでしたので、はっきりしたことは申し上げられないのですが、原則的には国鉄から、亡くなった方、それからけがをされた方、こういうものにお見舞い金を出すということになっております。
  91. 安宅常彦

    安宅委員 重ねてお伺いします。  日本航空なんか、墜落しますと相当の金額が出ますね。どれぐらい出るか、あなたは知っているでしょう。それぐらい出すのですか、国鉄というのは。どうですか。国鉄を信頼してお客さんは乗っているわけですね。それはどうですか。
  92. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 国鉄の場合には、これも若干所管と離れますが、有責事故とそうでない事故に分かれまして、お見舞い金——補償金という場合は当然有責の場合だと考えますが、若干扱いが違う、こういうように理解しております。
  93. 安宅常彦

    安宅委員 金額は知っていませんか。
  94. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 航空会社のでございますか。
  95. 安宅常彦

    安宅委員 いや、あなたの方の。航空会社はいい。
  96. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 これは最近三河島事故が比較的大きな事故だったものですから、これで、金額ははっきり覚えておりませんが……。
  97. 安宅常彦

    安宅委員 あなたは旅客局だそうじゃないか。
  98. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 旅客局でございます。
  99. 安宅常彦

    安宅委員 お客さんを乗せる親分がそれを知らないじゃ困るじゃないか。
  100. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 一人当たりの補償金額のことを先生おっしゃっているのだと思いますけれども……。
  101. 安宅常彦

    安宅委員 知らなかったら、後で調べて出してください。
  102. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 補償関係の規程でございますか。
  103. 安宅常彦

    安宅委員 はい。
  104. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 承知いたしました。
  105. 安宅常彦

    安宅委員 どっちみち何か出すのでしょうね。  そうすると、今度はたとえば道路が崩れたり、それからそれで埋まったり、国有林が崩れてきてそれで死んだり、その影響で川が暴れて人が亡くなった。そのときに、議員立法でつくったから百万円の弔慰金でございますなんてけろっとして言っていることは、いま交通事故だって、どっちの責任かは別として、自賠方式で相当の金額が出ますね。国家というのは、何といったって国民を幸せにする、国民の生命、財産を守るというのが国家の一番大きな任務だと思うのです。その国家が、国の施策がうまくいったかいかないかという議論は私はいまいたしませんが、どっちみち災害でがけが崩れたということ、道路がおかしくなったということ、そのために車が吹っ飛んでいったり、あるいは川に流されたりした、こういう人に対して世間並みの補償もできないというのはおかしくはないでしょうか。おかしいと思いませんか。どうでしょう、国土庁
  106. 横手正

    横手説明員 先ほども答弁いたしましたように、一応の個人災害に対する仕組みというのが長年の検討の結果、ようやくまとまっておるわけでございまして、私どもとしては一応その仕組みの中で動かさしていただきたい、かように存じます。
  107. 安宅常彦

    安宅委員 これは大臣がいなければ言えないことでしょうが、おかしいと思うのですよ。みんな人々はおかしいと思っているのです。そういう時代になっているのですよ。自動車にぶつかったって安宅さん、このぐらいもらえるのです、うちのかあちゃんいなくなっちゃった、そうしたらどうなるのでしょう——秋田のお客さんが、このたび鉄道で死んだのですが、実家が新庄だったのです。とにかく新庄の実家に仏様を置いて、そしてやっているのです。その人たちが言うのですよ。おかしいとは思いませんか。これは本当の常識なんですね。それが国の常識になっていないということは、私ははなはだ遺憾だと思うのです。  幾ら国土庁長官が議員の質問に対して済まないと思っていますと言ったって、済まないと思うということは、何らかの形であらわさなければ済まないということにならないわけ。ただ謝ってぴょこっと頭を下げれば、災害対策委員会は十五分なら十五分だから、おれの分やればいい、済まないと言わないと、また怒られるから言った方がいいというような意味で言うのだったら、これは大変なことになる。これは大臣に伝えてくださいよ、あなたの方で。そういうことを提案があったということは、委員長の方でも今後災害対策委員会——私、初めてこの委員会には出るのです。だから、そういう時代に即応した運営ができるならば大変私はありがたいと思っていますから、ぜひひとつそういう問題提起があったということを、それぞれの立場でお伝え願えれば大変ありがたいと思っています。  これ以上言ってみたところで仕方がないから、残念だけれども、とにかく何かの事故であった場合にはそういうものが、弔慰金なり、見舞い金なり、補償金というものが出る。こういうときには公害でも出る、こういう時代になっているのですね。注射で死んだ子供だって出る。薬品を飲んで、これがおかしな薬だったからというので、それでもいろいろ訴訟が起きるという時代に、国の根本の問題でこれが全然なおざりにされて、従来からの政策をいままでやっているのがあたりまえだという考え方は間違いだ、これだけは言っておきたいと思います。  少なくとも、一たん問題があって民間の保険会社や何かが猛烈な巻き返しをしたために、国家が何らかの方途をとろうということがつぶれたという歴史があるのですから、それをもう一回再認させるなり、そういうことでもって私らも努力いたしますが、政府当局が相当、きょうは各省も出ておられるのですから、総合的な研究をしてもらいたいと思います。  いろいろ申し上げたいのですが、言っておるうちに四十分になりますから、具体的な問題を取り上げてみたいと思うのです。  その前に一つだけ、もう一つ申し上げておきますが、建設省の方にお伺いいたしますが、たとえば山崩れの危険個所が三百何カ所あるということになっているのです。私は三百何カ所なんというのはおかしいと思うのですよ。そんなものじゃないと思うのですね。それは何かと言いますと、大きいところはあなたの方でやる、あとは補助事業や何かで市町村や県の段階で掌握している、こういう状態。  それから今度気象だったら、気象の問題に雨がどれくらい降ったかなんということになると、山形県の最上郡の中には正式の気象庁の通報所がないのです。測候所は前にあったのですけれども、稲舟だとかいろいろなところがあったのですが、いまは、昔の北村山郡に入るいまの尾花沢市に通報所が一つあるだけです、気象庁の分としては。それさえも合理化だといって、いま廃止して、コンピュータで全部やるというのです。それは私は豪雪地帯対策審議会あたりで問題にしているのですけれども、こんなことでは、こういう災害には対処できないのです。  みんな異常災害異常災害と言いますけれども、こんなものだろうという災害というものの常識があって、それ以上飛び越えたものは、みんな責任逃れで異常災害異常災害質問する人も異常災害と言っているのですね。日本の各地で鉄砲水だとかそれから山崩れだとか、そういう現象が今日たくさん起きている。これは異常ではないのです。異常だとお思いですか。どんな資料を見ても異常災害。これは林野庁の林班界が全部書いてある地図なんですが、これも五〇・八・六異常豪雨災害。本当に異常というのは、そういうものじゃないと思うのです。こういう災害がたくさんあるからいろんな法律が、特別措置なりいろんなものが出ているのですから異常じゃない。ある基準を皆さんが行政のしやすいようにこしらえておいて、それ以上飛び越したものは全部異常だというのは間違いだ、私はそう思います。  したがって、ここで聞きたいのは、建設省はそういうことについて、たとえば林野庁の人々に対してもう少し治山治水の分を、施設をよけいつくったり、あるいは砂防ダムをつくったり、そういうことをしてもらっておれば、下の方でせっかく護岸工事をやっていたのが崩れなかったのにという、そういう気持ちになったことありませんか、建設省の方にお伺いします。
  108. 増岡康治

    増岡説明員 いわゆる水源地の保全につきましては、これは林野庁の所管のものもございます。建設省の所管のものもございます。あわせてやらなければ意味がございません。したがって従来、前から——現在もそうでございますが、建設省の砂防部には、林野庁からいま主要な人が来ていただいております。相当前からずっと継続してありまして、お互いの行政が同じ目的のものがございますので、その辺が遺憾ないようにしておるということで、私どもはそういう組織面におきましても考慮いたしながら、お互いの計画が合うように努力しておるつもりでございます。
  109. 安宅常彦

    安宅委員 これまでは林野庁の特別会計の中から出しておったが、一般会計から三分の二出すようになったのは最近でしょう。だから林野庁だってひどい話なんですよ。あなた方は独立採算で山を守ると言ったって、大変な財政的な苦難だ。それだったら一般会計からやる。治山治水くらいはやったっていいじゃないかということになって、大蔵省は金を出す、まだこういうふうになっただけの話。あなたの方は連合してやっていますからなんておっしゃるけれども、それだったら連帯責任になりますよ。  これは山形県の真室川町の小又地区というのがあります。私はここへ行ってみたのです。そうしたら五戸流されておりましたよ。ほとんど全部が林野庁の職員の住宅でした。そしてちょうどそこに柴田組という土建屋さんの工事会社の社長が来ていました。それでひどいものですと言う。どういうことだと聞いたら、私がやった工事、みんなこのとおりパーになりましたと言って涙を流しておるのですね。それで全部、上流がダム一つないのです、ここの川は。塩根川の上流というのはひどいものです。こんな護岸を下からやったってどうにもならないです。こんなばかな話はない。土建会社の社長が言っておるのですよ。そうしたら、そういう川に対する護岸の工事のあり方というものは別にあると思うのですが、そういうことについてだれが一体責任を負うのかということになると——責任のために処罰をされるなんという責任ではなくて、要するに砂防ダム一つないというばかな話はない。これは林野庁の調査によれば二つほどあることになっておるのですが、これは最近のものではないのですね。ずっと古いものなんだというのです。みんな、ないと思っているのですよ。  ですから、そういうことは一体、いままで万遺憾なきを期しているとか言うけれども、実際はこの小又を中心とした流失家屋、それが全部真室川にもろにぶつかっていったのですから、あの堤防が崩れたところの被害、こういうものはすべて、ここから源を発していると私は思うのです。これは一般の農家の人を含めて、あの辺の住民は何と言っているかというと、河川改修は建設省はみんな下からやってくる。県もそうだ。そんなばかな話、ないだろう。上の方を構わないでおいて、下で幾ら固めたってだめじゃないか、やり方は逆だと言っているのです。そういう表現で言っているのですね。この問題どう思いますか。この小又地区の問題に関してだけ私は聞きますが、そういうことが手落ちがあったというふうに、あなた方は思いますか。
  110. 増岡康治

    増岡説明員 いま先生のおっしゃいますように、小又川につきましては、四十八年に実は災害を受けたわけでございます。それで災害関連事業をやっておったわけでございますが、今度はそれを上回る水でございまして、先生のおっしゃるとおり土石流が今度大きかったわけでございます。それで、いままで土石流の大きな災害が、確かにこの面とあわせてやることが若干おくれていたように思います。しかしながらいままでの災害、いわゆる水の災害というもので考えたわけでございますので、災害復旧行政関連事業ということで大いに推進してきておったわけでございますが、今回の災害に土石流ということで今度は河道が埋没したり、あるいは堤防、護岸がやられたわけであります。したがいまして、先生がおっしゃいましたとおりでございます。上流砂防ダムをもう一度見直しまして、早急に緊急砂防で小又川の上流砂防事業に着工いたしたい、いまそう考えているわけでございます。
  111. 安宅常彦

    安宅委員 林野庁にお伺いいたしますが、私の調査によると林野庁の調査では国道に土砂が崩れた分だけ大体掌握しておるようだけれども、そうではないのですね。田畑の崩れた分なんか、私どもがみんなその次の日調査した分で百何十カ所あるというのです。国有林から山崩れがあった分、被害を及ぼさないで国有林の中でとまっている分を数えたら大変な数だろうと思いますね。村道に崩れてきたとか田畑に崩れてきたとか、そういうものを含めて百二十二カ所と、そのときは言っていました。  これは明らかに乱伐によるものなんです。しかも乱伐というのは、ここはもと軌道なんかございまして、事業所があったのですね。同和鉱業の鉱山も前にあった。私、しょっちゅう行ったところですけれども、いまは鉱山がなくなって、だれもそのままほったらかし、そしてブナ材を中心とした横に根を張る浅根性と言うのですか、そういう樹木がほとんど伐採されてしまった。ですから、こういう乱伐による被害、特にここは国有林が多いところだからかもしれませんけれども、国有林の崩壊というのはもう大変なものです。  こういうことに関して、私どもは、源流あたりに砂防ダム、またその下に砂防ダム二、三カ所つくるのは当然ですけれども、その上にやはり水流調整の施設をつくる必要があるのじゃないかと思っているのです。これは林野庁の任務だと思いますけれども、どうですか。そういうことをやりましょうということをここで答弁できるでしょうか。  五カ年計画は、いま八〇%ぐらい進んでいるそうですけれども、まだまだ金山地区なんというのは、もしこのたび金山川の上流にも雨が降ったら、真室川は全滅しただろうと思いますが、幸い塩根川上流の分だけだからやっと助かっているのですね。私、この五カ年計画を見てみたら、ほとんど最上郡の西部と東部の方は、そういう砂防ダムその他はないのですね。これは林野庁どう思いますか。
  112. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ありました真室川営林署管内の小又、釜淵、大滝地区のいわゆる治山五カ年計画の進捗状況でございますが、計画量四千百万に対しまして、実績は三千四百万、進捗率は八一%、ただいま先生から御指摘があったとおりでございます。  それから乱伐が原因じゃないかというおしかりを受けているわけでございますが、乱伐という言葉を私どもは使っておりませんが、いわゆる植伐均衡、植林と伐採が均衡するということでございますが、そういう意味ではこの小又、釜淵、大滝地区の従来の伐採あるいは植栽、そういう関係を調べてみますと、必ずしも異常な伐採であったというふうには私ども考えておらないのでございます。  なお、今次災害にかんがみましてただいま先生から御指摘ありました当該地区の今後の復旧の問題につきましては、さらに現地調査を緊急にいま進めておりますので、必要なものについては緊急治山工事で対応していきたい、かように考えております。
  113. 安宅常彦

    安宅委員 この最土地方というのは大変雨量の多い地方なんですね。だから杉の木や何かが非常に成長する地域なんです。これははっきりしているのです。あなた方各省とも私に説明に来た人は、そんなに雨の降らないところで、そんな被害は余りないところだと言うのですね。そんなことはありません。去年だって新庄を中心にしてやられていますからね。こういう特殊な地域で、しかも全国的に有名な地すべり地帯です。だから表土なんて非常に薄いのです。この辺は下は岩盤で、その岩盤もまた崩れやすい岩なんですね。そういう特殊地帯ですから、林野庁としては、いまの五カ年計画を修正して、直ちに手落ちのところはもう一回やり直すということを明確に言ってもらえませんか。どうですか。
  114. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまの五カ年計画は、五十一年度まででございますが、特に必要があれば、その地区に追加することもできますので、その必要性につきまして検討いたしまして積極的に対応してまいりたいと存じます。
  115. 安宅常彦

    安宅委員 それからどうでしょう。私、小又でびっくりしたのは、本当に困ったみたいなことを小又の人もみんな言っていましたが、町でも知らないでいたのですね。やられたということは知っていましたよ。ところが五戸流れて、田畑は全滅で、橋も落ちて部落が孤立してしまって知らないでいるんですよ。次の朝、小又から使いの者が走ってきて初めてわかる、こういう状態です。私は地方事務所や村役場や町の役場に災害緊急対策本部なんて看板を幾らかけたってどうにもならないのじゃないかと思うのです。国土庁がせっかく設けられたのですから、たとえば建設省の分もいろいろあるでしょう。農林省の分もあるでしょう。各省にまたがることはあるのですが、こういう意味で言うならば、気象庁だとかあるいは地方自治体だとか——気象庁はもちろんですが、地方自治体や住民組織、そういうものを網羅した、縦の線だけではない防災の組織が必要じゃないかと思うのです。  いまデモなんか取り締まるときは、レシーバーてぎゅっとやってすぐ——警察官たくさん持っています。ああいうものの拠点を、山形県の最上郡で言うならば、新庄だったら新庄に置いてもいいでしょうね。それで部落の何カ所かにそういう無線ですぐ通報できるような施設というものは、地方自治体ではなかなかできない。やれと言われたって、号令かけたってできはしない。国土庁でそういうことについて、ひとつやってみようじゃないかというので、もう少し力を入れて、直接みずから手を下してやってみようという気はありませんか。どうですか審議官
  116. 横手正

    横手説明員 防災体制の整備の点についてと存じます。やはり災害応急対策は第一線の機関であります市町村、こうしたところが主体になって動かないことには、本当の意味の住民のための、あるいは被災者のための対策が講ぜられないのではないかと思います。したがいまして、県なり市町村なりで防災会議というような組織も設け、あるいは災害時にはそれぞれ災害対策本部を設けまして、ここにおきまして国の出先機関等との横の連絡もとりながら必要な措置を講じてまいっておる、こういうような状況でございます。  ただ、お話しの点は、恐らく情報等の収集なり、あるいは住民に対する伝達の体制が十分ではないのではないか、こういうことではないかと存じます。この面につきましても消防庁の方で、これは地方団体の防災関係指導は従来から消防庁が行っておるところでございますが、行政無線の整備とか、そうした面で非常に努力をしてきておるところでございます。まだ不十分だとは存じますけれども、そうした面の体制を整えてかかるのが先決ではなかろうか、かように存じます。
  117. 安宅常彦

    安宅委員 私が言うのはそういうおざなり答弁を期待しているのじゃないのです。私、電電公社の出身だからというので申し上げるわけじゃないのですが、十勝沖の地震がありましたね。そうしたら青森から北海道に行く回線が一回線しかないのです。もう一回りつくっておけば、十勝沖地震のとき、そんなばかなことは起きなかった。それで電電公社は上部の人を処分しておるのですよ。起きてから処分しても、しようがないのじゃないかと私は言ったことがあるのですが、県や市町村やそこまでは行ったとしても、住民のところに届かない。住民から情報が入らない。これでは幾ら看板をかけたってだめでしょう。  だから消防庁が努力しているなんて言うのじゃなくて、実施官庁であるならば建設省あたりも当然入ると思いますが、国土庁として総合的な政策で、住民のところにそういう無線機を置くなりレシーバーを置くなり何でもいいのですが、そういうことはできないかと言っているのです、有線ではみんなずたずたですから。こういうことを聞いているのです。具体的な提案なんですよ。どうですか。
  118. 横手正

    横手説明員 そうした面につきましては、電電公社の方で多ルート化といいましたか……。
  119. 安宅常彦

    安宅委員 電電公社のことを言っているのじゃなくて、あなたがやる気はありませんかと聞いているんだよ。
  120. 横手正

    横手説明員 一応電電公社等ではいろいろな計画を立て、それによって推進してきております。国土庁はどちらかといいますと調整官庁でございますので、国の全般災害対策の横の連絡調整、こうした面を図りまして、おのおのの事業実施面につきましては、それぞれ専門の省庁によって十分な対策を講ずる、こういうかっこうで進めたい、かように存じます。
  121. 安宅常彦

    安宅委員 鳥海山がこの間噴火しましたね。そういうとき住民の動揺というのは大したものだったのです。それで私は、酒田の電報電話局長に話をして、あそこの電話、非常に山奥までできておったものですから、しゅっちゅう局長は電話かけなさいと言って、そこの電話でみんな動揺がとまったとまで言われているのです。行政機関は何もやっていませんよ、住民に対しては。いろんな噴火口の調査やなんかはなさったけれども、そういう住民の動揺を食いとめるとか、そういうことについて情報をぜひ詳しく聞きたいということを逆に言ったりする。機構がないんです。町村どまりなんです。地方事務所どまりなんです。それではだめだと言っておるのです。そのことを電電公社が努力しているとか気象庁が努力しているとかなんじゃなくて、そういうことをやってもらいたい。  これは、これもひとつ大臣がいるうちだと思ったのですが、私のところには来ないというのは残念なんですが、これも具体的に提案しているのですからね、そうおざなり答弁でないようにしてもらいたい。そういうことは必要だというんだったら必要だ、こういう答弁してください。建設省でも何でもいいですよ。どうですか、あなたの方は必要を認めませんか。電電公社のやる部分じゃないですよ、そんなものは。中央防災会議政府にあるのでしょう、その中であることじゃないでしょうかね。末端まで、この辺までしか血液が流れていないから、ここまで届かせるようにしなさいと言っているんです。
  122. 横手正

    横手説明員 災害対策につきましては防災基本計画というのが決まっておりまして、都道府県なり市町村なりにおきましても、おのおの防災の計画を持っております。計画上では、恐らくそうした情報は住民に十分伝えるようにというようなことが載っておることと存じます。  ただ現実には、それが計画どおりに動いていないというところに問題があろうかというふうに思います。いろんな各般の災害情報とか、あるいは台風期あるいは風水害に備えましての警戒避難体制、そのためには情報の住民への伝達、これが十分通ずるようにしなければならないわけでございますから、その点も従来指導してきておるところでございますけれども、おっしゃられるような面があるとすれば、さらに一層地方団体の方へも十分な指示をしてまいりたい、かように思います。
  123. 安宅常彦

    安宅委員 これは予算のことも皆あるのですけれども、あなたの方で言うペーパープランであってはだめなんですね。地方自治体、それでなくても、あっぷあっぷしているんですからね。国で総合的にやらなければどうにもなりませんよ。そういうことにしておきます。時間がありませんから。  それで具体的に二、三問ずっと続けて建設省にお伺いいたしますが、原形復旧改良復旧のことについて、基本的な問題で論争しようとは、きょうは思いませんが、真室川の提防ですね。これは非常におかしいですよ。私どもは素人考えですが、あそこを特殊提でやってみたらどうかという気分もあるのです、みんなそういうことを町の人言いますから。ただ特殊提だと地震に弱いとかなんか建設省言っておるようですけれども、どうですか、これがあたりまえだ、これは異常だという、あなたの方の常識で言う、それを乗り越えたのでしょう、このたび。旧提防が少しあったから、あれで何とか助かったみたいなもので、逆にそのために災害が大きくなったという点もありますが、とにかくいろんな作用をしていますね、あの提防は。そうしたならば、あの提防を特殊提にして、ぐっと——たとえば河口地帯でなくとも山形県の古口の周辺なんかは特殊提でやっていますね。ああいうことの方が有利なのではないかという私は考えを持っている。この点。  それからもう一つ。いろいろ住民に対するところの対策なんかは田澤君からいろいろ盛んに出ておりましたから、私、四十分で基本的な問題から皆やろうと思ってきたんで時間がなくなってしまいましたが、災害復興住宅資金の問題だとか、いろいろ基準なんかいっぱいあるのですよ。こんなごちゃごちゃした問題やら、本当に何をやっておるのかと思うほど、つきたいことはたくさんあるのですが、建設省にだけ聞くとすれば、それから第二番目は、新橋という橋ありますね。あの橋は緊急にどういう措置をとるつもりなのか。  私どもは要求としては、あそこは安楽城地区から来るそういう人々やたくさんの通勤者なんかも含めて交流の多いところですから、少なくともバスが通れるような仮橋を大至急つくってもらいたいというのが地元の要望なんですが、そういうことが可能なのかどうか。大至急といったら、査定が終わってからなんてやっていたらかなわない。これが二番目。  三番目は、これも査定が終わってからというのでは間に合わないことは水ですね。あそこ、ほとんど簡易水道、全部やられています、厚生省。水源地があそこの川の中で取っておったり、いろいろな条件がありますが、その取り方の問題もあるでしょうが、とにかく緊急に、いま子供さん夏休みだからいいけれども、夏休みが終わったら全部学校に出ますし、水のない学校、たくさんの学校がありますけれども、全部そういうようになる。これは大変なことだ。これは防疫の関係からいっても大変なことだと思うのです。変な病気なんか出たら大変だと思います。そういう意味で早急に、これは査定もへったくれもない、直ちにやらなければならない問題ではないかと私は思っておりますが、これは厚生省からで結構です。  それから災害の防止に関する法律ですか、その地崩れのところで急傾斜指定基準というのがありますね。これは世帯が二十戸以上、二十世帯以上でなければ適用しないとかいろいろあるんですが、こういうものは小又だったら小又という部落を例にとれば適用しない。これはおかしいじゃないかとみんな言っておりますので、こういう点はひとつあなたの方でもう少し検討してもらえないだろうか。こういうことを適用するようにしてもらいたい、こういうのが私の要求です。そういうことがあなたの方で具体的に答弁できるのだろうか。  それからもう一つは、先ほども田澤さんから出ましたけれども農地が全部河原になってしまった。これは大変なことですね。そしてそれしか生産手段を持っていないところですからね。こういうところに、農林省にお伺いいたしますが、これも査定なんてやっていたら結局来年の植えつけに間に合わないというように私は分析しているのです。そういう意味で、最大の努力をしますと、さっき言っていましたが、そうではない。これは直ちに復旧できる方策というものは法制上あるかどうかは別ですよ。あなたの方でそれをやるのが任務だと私は思いますが、こういうことをきちっとやってもらわなければ、とにかくこの人たちは先ほど言ったように、亡くなった人はもちろん、いま何にもない。うちもない、田畑もない、何にもないのですから……。  こういう人々が、仮設住宅なんて言ったって、鶏が入るみたいなものをつくられたって、あなた、それも基準としては、災害を受けた戸数の一割ぐらいしかいかないことになっているのじゃないでしょうか、基準としては。そういうことでは、おかしいのではないかということを含めて、そういうものを、基準もこのたびは上げるような一つの突破口として対策を立てるのが本当ではないかというふうに私は思います。  時間が過ぎているようですから、大変しり切れトンボになったようですが、全部答弁を願って、私の質問を終わります。
  124. 増岡康治

    増岡説明員 お答えいたします。三点ございます。  一番最初の真室川と金山川の合流点の災害に対しまして、特殊堤はどうかということでございます。今回は、いままでの計画以上の大きな水が出ましたので、これは再検討の要があります。それで昨日、現地の応急復旧はもうすべて終わりましたので、直ちに事務所長に来てもらいまして、先生からのこういう地元の要望といいますか、これを含めて検討することを指示いたしました。今後ともこういう問題を含めてやります。  それから二番目の真室川町の新橋の応急仮橋の問題でございます。八月二十日には、人がすぐ通れるようにする予定でございますが、引き続きまして今度はバスが通れるようにという御要望が非常に強いのでございます。これは幅員四・五メートルの仮橋をかけます。いまから一カ月後にこれは完成したします。  それから三番目の急傾斜地の採択基準の問題、二十戸はもう少し十戸ぐらいにならないかというようなお話でございますが、これは緊急急傾斜地と災害後のものは、もう十戸になっておりますが、一般のものについてどうかという問題でございますが、建設省としては、こういう地方の要望にのっとりまして いろいろとまた財政当局に要求をいたしたい、そういうぐあいに考えております。
  125. 国川健二

    ○国川説明員 真室川町の簡易水道につきましては、四カ所災害を受けております。そのうち、三カ所は昨日までに応急復旧工事を終わりまして、一応全面通水を開始いたしておりますが、釜淵地区の簡易水道だけは、これは水源自体が河川の流心の移動と申しますか、流失いたしましたために、現在なおまだ復旧の見通しが立っておりません。新しい水源を求めるために、ただいま地質調査その他全力を挙げて調査中でございますが、新しい水源が決まりましても、河川の表流水等を水源といたしますならば、やはり工事そのものは一、二カ月かかるのではないかという感じがいたします。  したがいまして、新学期が始まりまして小学校のための水の問題でございますけれども、必要とあらば小学校だけのための緊急的な井戸を掘るとか、そういった方策がとれないかどうか町もいろいろ検討しておるようでございますが、私どもの方も十分県を通じまして、そこらの対策を講じたいと考えております。
  126. 水田努

    ○水田説明員 応急仮設住宅でございますが、真室川町十五戸建設予定があるというふうに県当局から聞いておりますので、要望どおりに建てるように内示をいたしております。
  127. 安宅常彦

    安宅委員 先ほどいろいろな方から質問があった具体的な基準の問題、それから関連事業助成の金額の問題いろいろあるのです。それから激甚地指定に対する要求ですか要望ですか、こういう地元で言っているいろいろなことに関する質問どもやろうと思ったのですが、時間がなくて残念ですが、これは皆さんから出ていますから、それでまあきょうは遠慮さしてもらったわけで、これで私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  128. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、津川武一君。
  129. 津川武一

    ○津川委員 一番最初農林省お尋ねいたします。  ただいま安宅委員からも出ましたが、真室川地域、山形、それから青森県の佐井、それから岩木町、ともに積雪地帯。そこで査定がおくれたり工事がおくれたりしていると、来年の作付に間に合わない。いま出かせぎも思うようにならない。農家が食べるとすればお米つくる以外になし。そこで来年の作付に間に合うように復旧工事をしなければならぬと思いますが、この点いかがでございます。
  130. 岡部三郎

    ○岡部説明員 被災しました農地並びに水路、頭首工等の農業用の施設の復旧工事につきましては、関係の県とも十分打ち合わせをいたしまして、緊急なものから着工してまいりたいと思っております。特に農地復旧に関しましては、先生御指摘のとおり、できるだけ来年度の作付を多くできるように復旧することが必要でございますので、そういう観点から十分な処置をとってまいりたいというふうに考えております。  また農業用の施設、特に水路、頭首工等の用水施設等につきましては、これが復旧がおくれますと、水が通らないために作付が不能になるというふうな点がございますので、用水手当てのために、本工事がおくれるような場合には、仮の施設等応急工事を行いまして、来年度の作付に間に合うように通水をいたすよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  131. 津川武一

    ○津川委員 いまの答弁で、来年の春、作付に間に合うところを多くする、これはそのとおりであるけれども、できないところは通年施工などということを考えて、これで農民に収入の全然なくなることを何らか防がなければならないと思いますが、通年施工できないというが、何らかの形での収入の補償、これは考えていますか。
  132. 岡部三郎

    ○岡部説明員 災害工事に関しましては、もちろん現在水田におきましては、水が最も必要な時期でございますので、直ちに工事に着手いたしまして、査定前であろうとも必要なものにつきましては着工をいたして十分来年度の作付までに間に合わせるように努力いたしたいというふうに考えております。
  133. 津川武一

    ○津川委員 次に、建設省にお伺いします。  今度の災害の原因になった岩木山の百沢、あの山は日本の山でも谷が多いので、渓谷が多いので、沢が多いので百の沢、百沢というふうに言われているのですが、この中で問題になった例の倉敷沢、その下流の川、これの復旧計画をまず伺わしていただきます。
  134. 増岡康治

    増岡説明員 お答えします。  倉敷沢川は百沢地区から上流は主として土石流による被害が多かったわけでございます。またこれから下流につきましては、主として溢水はんらんによる被害が多かったわけでございます。したがいまして、このような災害に対しましては全面的な改良復旧を行わなければいけません。  現在その改良計画を検討中でございますが、その内容の主なるものを申し上げますと、上流には緊急砂防事業によりまして砂防堰堤を築造いたします。下流は岩木川合流点までを河積を拡大いたします。あるいはまた護岸等を設置いたしまして、はんらん防止を図るつもりでございます。また後長根川につきましては、岩木川合流点から上流約一・七キロメートルを四十九年災災害関連事業で実施しております。これより上流約九キロメートルは、県営の灌排事業で改修済みでございます。さらにこれから上流は今回特に災害が大きく、この地区につきましては、上流緊急砂防事業による砂防堰堤を築造する等、また下流の被災個所については災害復旧事業を行う等、いろいろ現在計画を固めながら実施していく所存でございます。
  135. 津川武一

    ○津川委員 それでよくわかりましたが、念のために、事前に建設省の河川局から聞いた話でもう一回繰り返してみますけれども、問題の崩れたところの上は緊急治山工事をやるのかどうか、これが一つ。やると聞いていますが……。そして、その次に問題の砂防ダムのあったところは緊急の砂防工事でやる、こういう計画を聞いている。それから、その下は砂防災害復旧工事でやる、それから、ちょうどあのすそに県道が来ているが、県道までのところを拡幅して河川災害復旧工事でやる、このように聞いているのですが、こんな復興計画でございますか。念のためにもう一度。
  136. 増岡康治

    増岡説明員 いまの治山砂防の問題については、私どもまだ聞いておりませんが、建設省関係緊急砂防事業並びに下流につきましては災害関連事業等、先ほど申し上げたとおりでございます。
  137. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この砂防災害復旧工事ですが、これは改良復旧になると思うのですが、いままでは砂防ダムが一基、これは何基になさるつもりでございますか。
  138. 中村二郎

    ○中村説明員 お答えいたします。  現在、災害前に一基砂防ダムがございました。今回の災害により相当の崩壊と土砂が出ておりますので、とりあえず砂防ダムを二基つくりたい、その後はさらに調査をして検討いたしたいと考えております。
  139. 津川武一

    ○津川委員 安全なためには三基が一番安全だと聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  140. 中村二郎

    ○中村説明員 いままでの調査では、三基が必要だと考えております。
  141. 津川武一

    ○津川委員 そこで、昭和四十一年でしたか、四十四年、砂防ダムを一基つくったとき、いまの改良復旧では二基、安全のためには三基、そのとき一基で大丈夫だと思ってつくったのか、それともこれはもう少しやらなければならぬと思いつつも一基つくったのか、ここの点を明らかにしていただきます。
  142. 中村二郎

    ○中村説明員 御指摘のように、岩木川流域は火山灰地帯でございまして、土石流の危険性があるということで昭和四十一年度より砂防工事に着手したわけでございます。災害前には砂防ダムが一基、砂防の床固め工が一基完成しておったわけでございます。これで完全だとは考えておりませんが、全国に三万五千の渓流がございまして、その渓流の中で危険な渓流から、われわれはできるだけ砂防ダムを少なくとも一基入れていきたいというつもりで実施してきたわけでございます。
  143. 津川武一

    ○津川委員 あの倉敷沢の隣に後長根沢、これが一番大きな沢で、水量も多いし、流れてくる長さも多いし、がけからいっても、そこのところはいま工事していますが、その一番大きなのをやらないで小さな倉敷沢にこういう砂防ダムをつくった事情は何でございます。
  144. 中村二郎

    ○中村説明員 上流の荒廃状況、さらに下流の人家その他の状況を勘案しまして倉敷沢から着工したわけでございます。
  145. 津川武一

    ○津川委員 倉敷沢から着工するに当たって、一つは、あそこに国定スキー場ができたことを覚えていますか。  二つ目には、いまの国定スキー場の下には寺沢という小さな沢があるのですが、これが埋められてスキー場にされたことは御存じだったのかどうか、答えていただきます。
  146. 中村二郎

    ○中村説明員 スキー場があったことは存じております。  さらにスキー場がどういう状態でつくられたということにつきましては、現在調査をいたしております。
  147. 津川武一

    ○津川委員 スキー場がつくられたとき、あったことはわかった。つくったときに国有林野地帯の森林の伐採が行われたことを知っているかどうか。  その次に、あのスキー場の下に寺沢という沢があるが、それはこれから調べなければわからぬ。そのとき全然考えも及ばないで、あの倉敷沢の防災ダムを起こしたのか、この二点、もう一回答えていただきます。
  148. 中村二郎

    ○中村説明員 スキー場として木が伐採されておったということは存じております。  それで砂防計画につきましては、スキー場から上流において工事を実施したわけでございます。
  149. 津川武一

    ○津川委員 つまり、こういう事情がありましたから、後長根沢よりも倉敷沢を先にしたのではございませんでしたか。どうです。
  150. 中村二郎

    ○中村説明員 われわれといたしましては、流域の荒廃状況、下流の状況を考えて実施したつもりでございます。
  151. 津川武一

    ○津川委員 今度の経験を基礎にして、後長根沢の防災工事に多少の変更、変化、いまのものは教訓にされて、改修の防災施設の変化を考えておりますかどうか。
  152. 中村二郎

    ○中村説明員 後長根沢につきましては、現在施工中の堰堤が相当の効果を発揮したわけでございます。この工事の完成と、もう一基、砂防ダムを計画いたしたいと考えております。
  153. 津川武一

    ○津川委員 倉敷沢川の改修、拡幅すると言っていましたけれども、現在の二メートル半を十メートルにするおつもりなんですか。
  154. 井沢健二

    井沢説明員 上流と下流と拡幅が違いますが、おおむね平均いたしますと、そのくらいかと思います。
  155. 津川武一

    ○津川委員 そこで、あの倉敷沢川を拡幅していく。そうすると、山のすそ野に平行に県道があるね。県道の周りに家があるね。あそこ、民宿なんかになっている。これが今度どっとやられた。そうすると、あれがまたあると、川の拡幅ができませんね。そこですそ野に平行になっている県道の両わきにある家を、川をこう通すと、こっちの方に民家をこういうふうに並べるつもりでございますか。この点いかがです。
  156. 増岡康治

    増岡説明員 ただいまの御質問でございますけれども河川改良工事には相当な用地が要ります。そういたしますと、土地利用というものがやはり非常に変化してくるであろうということで、私どもはやはり地域の住民の意向を十分尊重しなければいけないということで、現在青森県と岩木町の間でいろいろ協議なさっております。その中へ、私どももその協議の内容を聞きながら、一つの河川改修をどうあるべきかということを、ひとつ調整していきたいと考えておるわけでございます。
  157. 津川武一

    ○津川委員 いずれにしても、いままで二メートル半、川があるかないかわからない。そこに民家が、県道になっていましたね。今度これができなくなりますね、あそこが十メートルになりますから。したがって川の流れが、こう川が来るのに、これに直角に家を建てておったのじゃ意味がないから、川のこういうふうなところに家が移りますか、いかがでございます。
  158. 増岡康治

    増岡説明員 ただいまのこと、地元としては非常に大きな問題でございますので、いま私どもも町づくりの問題になりますので、いますぐ縦が横になるとかそういうことはまだ決まっておりませんし、いまいろいろ検討している最中でございます。
  159. 津川武一

    ○津川委員 改修の技術的な立場からいって、横のものが縦になるのがあたりまえでありませんか。純技術上の問題として、皆さんの効率から、災害を防ぐ立場からいって、専門家である皆さんのひとつ御意見を伺わしていただきます。
  160. 増岡康治

    増岡説明員 土石流の非常に激しい沢でございます。川でございますので、先ほど申し上げましたように、上流にはいろいろと砂防ダムをつくらなければいけません。砂防ダムをつくっても水は出てきます。そうしますと、それに対する川幅が要る。いまその川幅の幅が、まだ十分できておりません。いろいろ多くの方々の御意見も聞きながら、また私どもは技術的な観点からこれを決めて、果たしてそれがなじむものかなじまないものか、まだまだちょっと検討さしていただきたいと思っておりますが、川を余りゆがめて持っていくということは、また新しい災害を起こすことにもなります。やはり技術上の問題と、地域の皆さん方の土地利用のあり方とどうしようかということで、まだ結論を出しておりません。
  161. 津川武一

    ○津川委員 専門的な見解からはいかがです。川に沿って家を建てる。川に沿って直角に建てる。当然川の流れに素直に沿って家を建てるのが本当でございませんか。技術的な問題、地域のことを考慮しないで、皆さんの立場から言ったらどうです。
  162. 増岡康治

    増岡説明員 実は、あそこは非常に低いところと高いところがあるのです。やはり住宅というものは比較的高いところへ持っていくのが一番実はいいのです。いまの沢は昔から、地図あるいは航空写真を見ますと、あそこは一帯が実際に低いのです。非常に幅の、どう言いますか、なべ底になったようなところなんでございます。その真ん中に、二、三メーターの沢があったにすぎないのです。したがって、将来どうするかということにつきましては、もう少し広い面でも考えてみないと、ただ川なりにつくった方がいいか、縦か横かという問題以外に、もうちょっと広い面で考えざるを得ない面も考えておるわけでございます。
  163. 津川武一

    ○津川委員 そこで自治省にお尋ねします。  いまの形で治山の緊急工事もする、砂防の緊急工事もする、こういうふうな災害復旧もやる。そこで、村落をどうするかという点でいろいろな議論がある。地元はやりたい。いま被災者が、すぐバラック建てて——魚屋があるんだよ、売りたい、家を建てたいと言っている。町長も県も、計画を立てなければならぬから、もう少し待っていろと言っているわけです。町長は、これにお金が幾らかかるかわからないから、計画立てようがないのです。  そこで自治省にお伺いしますが、こういう計画でやるについて、財政が第一の問題で、財政の保証がなければ、いま幾ら言っても、これはなかなか聞かないわけ。そこで、こういう川を改修して、家の改造をして、部落の改造をしていくについて、やって大丈夫なのか、計画進めていいのか。いまの地方財政が非常に苦しくなっているので、これにたくさんの自治体の持ち出しも、単独事業も出てくるので、ここのところがはっきりしないから、県も地方自治体も計画に踏み切れないでいるわけなんですが、地方自治の財政を預かっている自治省の見解を伺います。
  164. 石原信雄

    ○石原説明員 ただいまの計画につきましては、まだ具体的に内容が固まっていないようであります。  一般論として申しまして、巨額の財政負担を伴うような計画を、いまの地方の財政あるいは県の財政の中では、なかなか取り上げにくいのではないかと思います。私どもといたしましては、関係自治体が具体的な計画を立てまして、こうしたいという方向を打ち出しまして、そうした場合に、現行の財政制度の中でどういった方法が可能なのか、負担軽減の方法が可能なのか、こういったことを検討してまいらなければならないと思います。  いずれにいたしましても、いまの地方財政全体の状況の中で、どのような計画でも、その財政負担について心配ないからやれというふうなことを自治省として言うだけの自信は持てません。したがいまして、今後、関係団体の御意見等も聞きながら、その財政負担の方法についても研究してまいりたいと思います。
  165. 津川武一

    ○津川委員 気象庁にお尋ねします。  あの災害が起きたときに、倉敷沢の上に、岩木山にどのくらいの雨が降っておりましたか、わかっていますか。
  166. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 先生御指摘の岩木山の雨量でございますが、大体六十ミリ程度と推定されます。
  167. 津川武一

    ○津川委員 推定であって、どのくらい降ったかをつかまえておりますか。いまのは推定で六十二ミリ。あそこに実際にはかる装置がございましたか。この二点。
  168. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 雨量の観測に当たりまして、気象庁は、青森県と秋田県の境の付近の雨量の観測をいたしますために、より雨量の点から見まして代表性のございます四兵衛森に無線ロボット雨量計を設置しております。  なお、岩木山の付近の雨量を観測いたします観測ネットといたしまして、鰺ケ沢、五所川原、四兵衛森、弘前等に観測点を配置してございます。これらの観測点を使いまして、実際の防災に役立ちます予報でございますとか警報、注意報を出しているのでございます。
  169. 津川武一

    ○津川委員 日本でも有数の沢の多い岩木山、これになぜ無線ロボット、アメダスの併設のあったものをつくらなかったのかという問題です。これは鳥海山にあります。蔵王山にあります。朝日連峰にあります。岩手山にあります。八甲田山にあります。なぜ岩木山だけをこういうアメダス併設の無線ロボットをつけなかったのか。この山岳、しかも日本で有数の沢の多いこの上につけなかった理由を明らかにさせてください。これからつけるつもりなのか、この二つ答えてください。
  170. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 気象庁におきまして、無線雨量ロボット計によりまして雨量を観測いたしますとき、いろいろ調査を行いまして、代表性のございます地点にロボット計を設置してまいったものでございますので、青森県と秋田県の付近の山岳その他の地帯を観測いたします地点として四兵衛森を選んだのでございます。  なお、現在、全国的におおむね十七キロ間隔で雨量を観測いたします地域観測網を展開しております。このような地域観測網を展開いたしまして、これによりましてレーダーの資料を活用いたしまして、雨量の実態把握し、またその将来の予想を立てることができると存じております。
  171. 津川武一

    ○津川委員 四兵衛森につくった。その距離は岩木山から余りにも離れている。気象の条件が余りにも違う。したがって、岩木山にそういう無線ロボットをつくらなかった理由、皆さんが青森気象台とかいろいろなところに相談したそうですか、そのときの理由、討議された内容の書類、これをこの委員会に出していただきたい、こう思いますので、委員長、ひとつお取り計らいをお願いいたします。
  172. 金丸徳重

    金丸委員長 じゃ、長官から……。
  173. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 わかりました。
  174. 津川武一

    ○津川委員 その次に厚生省。  重傷患者が三十八名入院しています。災害救助法でやれるのは二週間。重傷の人たちがどうしても二週間では治れない。したがって、救助法のこれを最大限に延ばして、治るまで診ていただかなければならぬ。厚生省は健康保険でやると言っておる。国民健康保険だと三割負担、普通の健康保険だと家族が五割負担、これでは、そうでなくても物入りが多いときに、収入が入らないときに、やれるものではありません。この点で具体的に、いま重傷で入院している人を二週間でとめてしまうのかどうか、これを救う道があるのかどうか、これが一つ。  二つ目には、応急仮設住宅五十四万八千円、役場でも頭をかしげた。田澤委員は、七十五万なければならないと言っている。だから、どうにもしようがないから、四家族を公民館、四間掛ける八間、この中に仮設住宅を修理して入れる。そうすると五十四万で間に合うそうです。ところが、先ほど話したように、あの川をめぐって家をどう建てるかについて、まだだれも意見が決まっていない。したがって、これを査定して計画を立てると、基本的には家ができるまでには、なおどのくらいかかるかわからない。  この中には魚屋さんがいる。公民館の後ろには何にも空き地がない。魚を置く場所もリヤカーを置く場所もない。この応急仮設住宅では実情に合わない。後ろの方に農家が入る。農機具、機械が流された。これを持ってきて修理する、格納する。そうでなくても盗まれているような物がある。農家がここに入ってもどうにもならない。これが五十四万八千円。思い切って農家の場合は畑か村外れかどこかに仮設住宅をつくって、農機具を入れて修理するところができれば、それでよろしい。こういう形なのが応急の緊急住宅。この点、いまの災害救助法では長く復旧がかかるんだ、いま建設省が話しているとおり。これに応対できるような緊急仮設住宅をつくる方法いかん。  三つ目は救急車の問題。私もあの朝七時前に行ってみました。医者ですが、国会議員なものだから視察に行って、聴診器と赤チンと包帯を持っていかなかった。先生来てくれたことはいいけれども、何で包帯と赤チンキを持ってきてくれなかったのかと言う。そこで救急車が来た。全身が剥離されている、血が流れている。これを救急車に入れた。何の手当もしていません。それを見たときに国民の感情はどうか。そこで災害救助法による消防の方によるか。救急車が行くときには、災害の一番最初の救急車の場合には、必ず医者と看護婦と医療施設、救護班をつけていかなければならない。これの考え方が全然なかった。これをどうするかという問題。  この点で私たちの津軽保健生活協同組合の健生病院が七日間医療班を出しました。だんだん患者が多くなってきています。日赤は一日来て引き揚げました。こういう善意に基づいた地域の協力に対して、国がその経費を負担する。そうすると、かなりこういうものができていきます。  こういう点で三点、三点のうち一点は二つありますから四点、厚生省に答えていただきます。
  175. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。御承知のとおり、災害救助法災害発生時の緊急対応措置をとる制度でございまして、第一点の救護医療の問題でございますが、災害救助法が予定いたしておりますのは、自然災害が発生いたしまして交通が途絶する、あるいは医療機関が滅失したこと等によりまして、被災地における方の緊急の救護、これは原則として救護班による応急医療を予定をいたしているわけでございます。  一応その場合の救助法に基きますところの医療を受け得る期間というのは、一般原則として、先生の御指摘のとおり、十四日ということにいたしておるわけでございますが、特別の事情があります場合には、申請を受けまして十分検討、協議いたしまして、可能な限りの対応措置を考えてまいりたいと思いますが、その疾病の状態によって普通の保険制度に移管し得る方はできるだけ移管をお願いしたい、このように考えております。  それから、第二点の応急仮設住宅でございますが、午前中からもこの点につきましては各先生からいろいろ御指摘があったところでございますが、これはあくまでも被災後の緊急収容としての仮設住宅でございまして、私どもも戸数につきましては、午前中の答弁でもいたしましたように、実際の需要に対応する戸数を認めてまいるつもりでございます。  これを第一義と考えまして、第二点といたしまして、確かに全国平均的な価格で現在の応急仮設住宅の価格が決まっておりますが、特に東北地方におきましては防寒対策その他があるやに承っておりますので、単価につきましても、確かに七十五万という価格はあると私どもも聞いておりますが、一プレハブ業者の見積もりでございまして、これを実際に建てます場合には当然競争入札という形になろうかと思いますので、どうしても防寒その他について必要なものはできるだけ県とも協議の上、配慮をしてまいりたいと思っております。  したがいまして、店舗その他の問題につきましては、法の予定しているものは、あくまでも居住の場としての応急仮設ということを予定しておりますので、それに付加するものにつきましては、災害援護資金の活用あるいは国民金融公庫等の活用その他の方策を講じていただく以外にないのではないかと思います。  それから最後の救護体制の問題でございますが、私どもも常々県を通じまして、市町村段階におきまして地元医師会と、こういう災害時に備える応急体制が直ちに市町村の指示によってできるようにネットワークを張っているほか、日赤等にも十分救急車を配置する等対処いたしているつもりでございまして、先生被災翌日必ずしも十分でなかったという点は、今後の反省の材料とさしていただきまして、今後は迅速な対応ができるよう、さらに努力をしてまいりたいと、このように思っております。(津川委員「民間協力の費用負担について」と呼ぶ)  民間協力の場合の費用負担でございますが、これはなかなかむずかしい面があろうかと思います。一応従事命令を出した場合には、これは実費を弁償するという規定が災害救助法上あるわけでございますが、こういう災害のときにおける、その救助の仕方というものはいろいろな対応があるわけで、肉親で助け合う、協力し合う、あるいは親類同士で助け合う、さらには隣組、いろいろとあるわけでございまして、これを事後的に金銭関係に評価して、どういう範囲にどういう実態まで認めていくか、なかなかやはりむずかしい問題があるのではないかと私は思います。やはりこういう災害でございますので、地縁、血縁で災害の際の対処をしていくことも、どうしても法を超えた重要な事柄ではないか、このように思っております。
  176. 津川武一

    ○津川委員 時間が来たので、これで終わりますが、最後に大蔵省。  災害救助法の第三十六条——今度高知県が大変だと思うのです、あれだけのお金を出した場合に。村の、県の財政が持てるだろうか、そうでなくても自治体がいま財政の苦しいときに。したがって、災害被害者を全面的に救助する立場からやれるこういう激励、補償なりを大蔵省、自治省がこの際、特別にやはり地方自治体に考慮してあげなければならないと思いますが、この点いかがでございますか。  これで終わりますが、厚生省、私の言っているのは、救急車出すときに、あるいは消防車も出す。病院、日赤だと間に合わない。災害最初の救急車のときには救護班と一緒にくっつけるように国の制度を直せと言っているわけなんだけれども、この点間違いなく。後でこれはまた厚生省と相談しますから、時間が来たので大蔵省の見解だけを聞いて終わります。
  177. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  ただいま御質問なりました災害救助に対する国庫負担の問題でございますが、これは御案内のとおり、地方財政法十条の三に規定がございまして、本来ですと、都道府県、地方公共団体の事務に要した費用は、地方公共団体が支弁するというのがたてまえでございますけれども、十条以下に、各種の場合につきまして国庫が全部または一部の経費を負担をするという規定がございまして、十条の三に、災害の場合に国といたしまして、地方公共団体の地方税なり交付税の収入によっては、当該災害に要します財政需要に適合した財源が得られない場合に負担をする、こういう思想を背景といたしまして、現在の災害救助法三十六条では各種の場合の規定がございますが、地方税の収入に対する当該災害に対する都道府県の負担いたします費用の割合に応じまして最低十分の五、費用の負担の割合が増してまいりますと、最高十分の九までの国庫負担の規定があるわけでございます。  過去におきましても大災害の場合に、この十分の九の国庫負担をした例も多々あるわけでございまして、いずれにいたしましても、現行の災害救助法に規定いたします国庫負担の割合というものは、他の各種の災害に対します国庫負担との均衡から見まして、私どもは適正な割合ではないかというふうに考えております。したがいまして、今後とも生じます災害の問題につきましては、現行の災害救助法の規定に基づきまして適正な財政処理をやってまいりたいと思います。
  178. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、委員長にお願いが一つあります。  資料の要求で建設省に、倉敷沢ダムの防災ダムをつくったときの起案書、これは理由が書いてあると思います。これが一つ。それから、そのときの設計、施工、竣工検査、これが二つ目。これをやるときに地方自治体と林野庁との協議がどうだったか、この資料。これは建設省から出していただくように。  それから林野庁には、国定スキー場を切ったときの認可書、理由。第二番目は、そのときにはあれは保安林じゃない、四十六年にその周りが保安林に指定されている。その保安林に指定したときの理由。これだけのものを、時間がかかってもいいですか、資料として後でまた参考にしたいので、この委員会に出していただくよう委員長から取り計らいをお願いして、終わります。
  179. 金丸徳重

    金丸委員長 両省庁ともいいですか、出せますか。わかりました。さよう取り計らいます。  次に、竹中修一君。
  180. 竹中修一

    ○竹中委員 けさから各委員方々が、それぞれ議論を進めているわけですが、このたびの災害は七月の中旬にありました島根県。青森県は二回災害があったわけです。それから、さらに山形県。そしていま四国でどんどん災害がふえているという現状で、関係各省でも大変なことだと思いますが、ひとつ罹災なさった方々の心中を思いやって、がんばっていただきたいと思うのです。  それで、青森県では七月の二十七日と二十八日の災害、八月の五、六、七の災害と二つあるわけですけれども、早速、政府調査団が八月の七日に青森に派遣になった、そしてまた続いて山形県に派遣になったと、従来にない早い時期に政府調査団が来てくれたということで、現地では非常に喜んでおるわけです。それだけに、早速来てくれた政府調査団に対して、対策が非常に早くいくんだろうということで期待が非常に大きいわけです。その点をひとつ現地の住民の期待にこたえるように、格段の御努力をいただきたいと思います。  最初お尋ねしますが、青森県では二度、大雨による災害があったわけです。最初の七月の二十七、二十八日。これは、七月の十二、十三に起こった島根県の梅雨前線による大雨、これと関連があるものではないかというふうに思うのですが、気象庁いかがでございましょう。
  181. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  一応、去る七月十八日の青森県の雨でもって梅雨前線は北上いたしまして、その後、天気図上からは消滅いたしました。その後、一応東北地方を含めまして日本じゅうが真夏になったわけであります。その後、北側の方から寒冷前線がおりてきまして、七月の二十六日ごろから北海道、東北地方に停滞しまして、二十七、二十八と青森県を中心にいたしまして大雨が降りました。引き続いて、また八月六日もあったわけでありますけれども、したがいまして、これは梅雨前線とは言いがたく、一応その間の関連はないと、こういうふうに気象庁では考えております。
  182. 竹中修一

    ○竹中委員 いま気象庁の方から、青森県の第一次の災害は、梅雨前線とは関係がないのだというふうに御説明がありましたけれども、私ども素人にしてみると、梅雨前線がどうも中国大陸の方に寄って、それがまた本土の方に寄ってきたというふうに素人考えでは思うわけです。そしてまた梅雨が相当青森県に続いて、地盤をやわくしておったというところに、いまの直撃があったんだろうと、こう思うのです。気象庁の見解は見解として、私がいま申し上げるのは、梅雨前線、島根県の方と関係があるのだというような考え方から、全国激甚災害にいかないかということをお尋ねしたいと思うのですが、国土庁おられましたら、どうぞ。
  183. 横手正

    横手説明員 お答えいたします。  従来から激甚災害は、まず一度限りの災害をとらえる、こういうことで出発しておりましたが、その後、梅雨期間とかあるいは秋雨前線によっての、ほとんど連日にわたる降雨による災害、こうした断続した災害は一連の災害として扱うというような考え方に立ちまして、梅雨期間中については、大体梅雨入りのころから梅雨明けのころまでの期間は、一連の災害として扱うというかっこうにして考えてまいってきております。  今回の七月下旬から八月上旬の東北地方災害は、先ほど気象庁の方から説明がありましたように、一応梅雨前線に関連する災害とはみなしがたいということもございます。したがいまして、梅雨前線と合わせて一連の災害という扱いは困難と思いますが、ただ激甚災害の仕組みは、たとえば公共土木施設関係で言いますと三段階の基準を設けております。一つは、もう全国的に非常に大きな災害の場合でございますが、そういう場合には全国激甚適用になります。次は、局地的とは言いながら、いわゆる都道府県段階でかなり大きい災害を受けた場合、こうした場合に取り上げることにいたしております。しかし、最近の風水害の傾向といたしまして、非常に局地的な集中豪雨による被害が見られますので、さらにいま一つの基準で、市町村単位で非常に災害の大きい場合には、これを激甚災害として指定するという仕組みをとっております。したがいまして、今回の七月末あるいは八月上旬の災害につきましては、この市町村ごとにとらえましても、かなり大きな被害を受けておるようでございます。  したがいまして、公共土木施設関係につきましても、関係省庁査定が終わりませんと明確なお答えができかねますけれども、相当数の市町村が、この激甚災害に該当するものというふうに考えております。また激甚災害は、公共土木施設外に、農地農業用施設あるいは中小企業関係ございますが、これらにつきましても、相当数該当する団体もあるかに見られます。調査結果を待ちまして、早急に私ども激甚災害指定の手続等につきまして所要の措置を進めてまいりたい、かように考えております。
  184. 竹中修一

    ○竹中委員 いま御説明がありましたが、いわゆる集中豪雨市町村単位に相当な激甚であるということはわかっているわけですけれども、実際にこれの対応として、県全体が対応していても賄い切れないというような状況にあるわけです。そういう点で、法の運用において格段の支援ができるような適用をしていただきたいと思うわけです。  午前中から各先生方がいろいろ具体的なお話がございましたので、重複を避ける意味で二、三御質問を申し上げたいと思うのです。  いまの激甚指定でございますけれども、私、青森県で承知しておりますのは、農林関係が十八日、現地査定をするというふうに聞いております。それから建設関係が、公共の関係で二十五日に現地査定をするというふうに聞いてるわけですけれども、、これが査定をしてもなかなか結論が出ない。そのうちに四国の災害が次々と押しかけてくるというようなことで、従来、ともするとまとめて中央防災会議にかけるというような傾向があったというふうに聞くわけです。次から次へと台風が来るかもしれません。そういうことで、いまの青森県の災害について激甚の結論を、いつごろをめどにしておられるかというようなことをお聞きしたいわけです。
  185. 横手正

    横手説明員 御質問は主として公共土木施設関係だと存じますので、そのように限ってお答えしてまいりたいと存じます。  従来から公共土木施設関係で局地的な、いわゆる市町村単位でとらえるような激甚災害につきましては、災害査定見込み額が判明しましたら、それに基づきまして基準との検討を行います。  従来の例で申しますと、大体明年の二月、最終決定いたします。また全国激甚に該当した場合も市町村ごとに団体を指定する必要がございますが、この市町村ごとの指定は三月に入って指定を行う、こういうことをいたしております。  これはもう御承知のように、公共土木施設関係激甚災害指定があれば、国庫補助のかさ上げが行われるわけでございますが、この国庫補助のかさ上げ分は、翌年度の国の予算を通じて該当市町村交付されるというようなことでございまして、最大限三月末までには決定する必要があるというかっこうでございます。  それまでの間早急に指定をすればいいではないかというお考えであろうと存じます。この面につきましては、この八月の末に市町村ごとの標準税収入額が決定してまいります。これが決定いたしますと、市町村では自分の市町村の標準税収入額が幾らかというのが見当がつくわけでございまして、一方関係省庁査定見込み額も市町村でも把握できることだと存じます。そうなりますと、早い時期に該当の市町村は、大体基準に該当するという目安は立つわけでございますが、私どもの方も、二月までの間にも、該当市町村がはっきりしてまいれば県を通じて連絡する等の方法を考えてまいりたいというふうに思っております。
  186. 竹中修一

    ○竹中委員 いまおっしゃるとおり、早い機会に指定されるのかどうかを、けじめをつけたいということで格段の御努力をいただきたいわけです。  いま主として公共土木についての御答弁でございましたが、実は青森県の一回目の災害で佐井村という非常に小さい村があるわけです。そこの村の中心の商店街が直撃を食って相当な浸水があったわけです。いま手元にあります資料では、損害額が一億六千七百二十五万円、こうなっておる。中小企業庁における査定というのは、いつごろになるわけなんでしょう、通産省。
  187. 安田佳三

    ○安田説明員 佐井村におきます被害は、先生御指摘のような大変大きな被害があったわけでございます。この点につきましては、まず当面の対策といたしまして、政府関係中小企業金融三機関、すなわち中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金におきまして、被災中小企業者の災害復旧資金につきまして貸し付け限度の引き上げ貸し付け期間及び据え置き期間の延長、貸し付け手続の迅速化等を内容とする災害貸し付けを実施することといたしまして、すでにその窓口を開設いたしております。また、信用保証協会等におきましても、現在ございます経営安定資金等を活用いたしまして、たとえば保証料の補助をすることを検討するなどの措置を講じている次第でございます。  ただ、これらの当面の対策を講じましても、やはり激甚災の指定がございませんと、金利その他の面で不十分な点がございますので、この激甚災の指定を急ぐべく、現在仙台の通商産業局、それから県とも打ち合わせをいたしまして、鋭意その損害額及び中小企業の所得額を調査中でございまして、これがわかり次第、早急に関係省庁とも連絡をとりまして、中央防災会議にかけました上、指定の手続をとりたいというふうに考えております。ただ現在の時点におきましては、中小企業所得額及び損害額の詳細がまだ判明いたしておりませんので、それらの調査をすることを、まず第一と考えております。
  188. 竹中修一

    ○竹中委員 いま御答弁がありまして、当面の援護対策をしていただいているということでありますが、実はお話の中にもありましたように、従来通産省の激甚指定のための査定が非常に遅いわけです。先ほども申し上げましたが、公共土木が二十五日、農林関係が十八日、現地に行くということですけれども、通産省の場合はまだ現地査定の日にちがわかっていないということで、非常に現地の中小企業者が首を長くして待っている。これをできるだけ早くしていただくようにお願いするわけですが、それに対して御返事をいただきたいと思います。
  189. 安田佳三

    ○安田説明員 商工業関係被害及び中小企業所得の調査につきましては、主として県の方で実施していただいておりまして、必要に応じまして通産局の方から担当官が現地に赴くという従来のやり方をとっております。ただ先生御指摘のように、中小企業者の方といたしましては、一刻も早い措置が必要だというふうに考えておられるわけでございますので、できるだけ早急に調査を完了いたしたいと思っておりますが、従来の例によりますと、約二カ月ほどかかるのが通常でございます。
  190. 竹中修一

    ○竹中委員 従来の例が二カ月ですから、従来の例にならわず、少し早くやっていただきたいということです。
  191. 安田佳三

    ○安田説明員 これは指定まで二カ月かかるのが従来の例でございますが、先生御指摘のとおり、一刻も早くすることが大切であると思いますので、至急その調査を実施いたしたいと考えております。
  192. 竹中修一

    ○竹中委員 どうもありがとうございました。  次に移りますけれども、各委員から災害救助法についての基準が非常に低いというお話がたくさんあったわけです。御承知のとおり、青森県では佐井村で七月の二十八日に、岩木町では八月の六日、黒石では八月の七日、それぞれ災害救助法を発動させて、いわゆる法の許す範囲内で非常に恩恵を受けているわけですが、やはり落ちついてみると、基準が非常に低いということで、これくらいより政府はしてくれないのかという気持ちを実は現地の人が持ち始めているわけです。その中に応急仮設住宅のこともあるわけですけれども、そのことについては、すでにお話がございましたのでやめますけれども、避難所、これは青森県では佐井村、岩木町、黒石市、それぞれ避難所を設けてあるわけです。  佐井村に例をとりますと、七月二十八日から八月十日まで、これは特別に一週間延ばしてもらったわけです。延べ人員が千七百八十八人避難所に収容されているわけですけれども、それの一日当たりの経費が三十円以内というのは、何といってもこれは低過ぎるんじゃないかと思うのです。仮に計算しましても、佐井村の場合、一日平均にしますと百三十五名避難所に収容されている。これに三十円掛けますと四千五十円になるわけです。これで人夫賃も賄うということになると、人夫一人の人夫賃で、もうどうもこうもならないという状況になってくるわけです。そういうことで、しかもこれはほかの応急仮設住宅あるいは炊き出し等については、八月に改定をしていただいて四月遡及になっているわけですが、避難所の一日一人当たり三十円以内というのは、ことしの春改定になっていないわけです。これについて現地から三十円以内では非常に大変だというような話があるわけです。  それからもう一つ、炊き出しについても一日一人当たり三百五十五円以内でおさめるんだと、これは考え方とすれば、お米が幾らで単価幾らというようないろいろの積算の基準があるようでございますけれども、実際災害の場合に、またこういう山奥の部落に行きますと、どこかの市場に行ってできるだけ安くていいものを探して買ってくるというわけにいかないのです。そういう点で、一日炊き出しが三百五十五円以内ということは非常に少ない金額だ、そのためにどうしても市町村が持ち出しになっているというような現実なんです。まだまだたくさんありますけれども、いまの避難所の一日三十円以内ということ、それから炊き出しが一人一日三百五十五円以内ということについて、妥当であると考えているかをお答えいただきたいと思うのです。
  193. 水田努

    ○水田説明員 災害救助の補助基準につきましては、できるだけ実情に合うように毎年改定に努めているところでございます。先生の御指摘の避難所についてでございますが、一応避難所につきましては、できるだけ安全で、かつ公共機関を利用するようにという指導をいたしておりまして、佐井村の場合も保育所であるとか、あるいは商工会議所等が使われたわけでございますが、いわばその使用させていただいたことに伴う、もちろん先生の御指摘の人夫賃あるいは御迷惑料その他のもろもろの要素を持つわけでございますが、この金額の妥当性という問題は、なかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、この点につきましては今後ともできるだけ実情に合うように改善に努力をしてまいりたいと思います。  次に炊き出しの点でございますが、佐井村の例をとりますと、延べ四千食出していただいたわけでございまして、一人分で取り出しますと、そういう金額という感じになりますけれども、大量食で、しかも佐井村の場合は非常に村の方で配慮されまして、毎日飽きがこないように、いろいろ変化を持ちながら対処していただきまして、私どもの基準が、新しい基準が七月三十一日に決めまして連絡したのが八月に入ってしまったために、前の基準の三百五円では燃料費が足を出すというふうに県当局から聞いておったわけでございますが、新しい基準の三百五十五円であるならば、大体市町村に御迷惑をかけないで、今回の場合対処できるんじゃないか、このように県当局から聞いております。  いずれにしましても、佐井村につきましては、旧単価でおさめるようにという県の指導があったために、三百五円ということを念頭に置いてされたために燃料費等の足が出たと、こういう苦情を聞いておりましたが、新しい基準によって大体おさまるというふうに県当局から聞いております。なお、これらの点につきましても、できるだけやはり実情に合うように、今後もさらに努力してまいるつもりでございます。
  194. 竹中修一

    ○竹中委員 いまの御答弁ですと、三百五十五円で大体県の方はおさまったという返事だというふうに御答弁ですけれども、私は、県の方から三百五十五円じゃ、とてもおさまらなかったというふうに聞いているわけです。その点県当局と、またひとついろいろ打ち合わせをしていただきたいと思います。これは今回の災害に限らず、全国どこでも起きる災害の場合に適用されることでございますので、根本的にお考えをいただきたいと思います。  次に移りますが、青森県では特に気象庁について二つの点をお願いをしているわけです。  それは、一つはロボット雨量計、これは先ほど津川委員からお話がございましたので省略いたしますが、青森県には八甲田山系という一つの山系と、独立の岩木山という山があるわけです。それで、八甲田山系の方には、わりにロボット雨量計が完備しているわけです。比較的よくできているんですが、肝心の岩木山にないということで、今般岩木山に直撃を食らったわけであります。これはぜひともひとつ実現をしていただきたいと思うのです。  次に、青森県から要望がありますように、青森地方気象台へ気象レーダー装置の設題をお願いしているわけです。  私が聞いておりますのは、青森県の気象レーダーは、函館にある気象レーダーと、それから秋田にある気象レーダーで青森県をカバーしているんだというふうに聞いているわけですけれども、実際に調べてみましたら、青森県の南部地帯、太平洋岸の南部地帯がカバーされてない、また山形県の南半分がカバーされてない、レーダーの映像に映らないというふうに聞いているわけです。それで、青森県全域をとにかくレーダーの中に入れていただきたいということ、特に青森県の場合には日本海、津軽海峡、太平洋と三面海に囲まれているわけです。じかもこれは一つの海でなく、それぞれ皆違った海なんです。そういうことで、非常に気象状況が激しく変わるわけですので、青森県の要望とすれば、青森県自体をカバーできる気象レーダーがほしいということで要望を出しているわけですが、お考えはいかがでございましょう。
  195. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 申し上げます。  青森県に対しまして函館のレーダー、秋田のレーダーが大体三千メーターの高さのところをレーダービームが覆っておりまして、気象庁といたしましては、青森県の上空をレーダーでカバーしているというふうに存じております。なお、函館レーダーにつきましては五十年度で更新することになりまして、さらに、いままでよりも性能のいいレーダーをつける計画で五十年度努力をしているところでございます。なお、レーダーにつきましては、レーダーの映像の伝送にデジタル化などを図りまして、今後も充実を図りたいというふうに存じております。
  196. 竹中修一

    ○竹中委員 函館のレーダーを五十年度に更新するというお話ですけれども、それだと青森県がかバーできるわけでしょうか。といいますのは、気象庁から大雨注意報が出たのは、わりあいに早かったわけです。しかも、青森県に持っている非常災害用の無線で関係町村にすぐ連絡はできたわけですけれども、何せそのデータが不十分なものですから、大雨注意報を出したけれども、ただ警戒をしていたけれども、一体どこにどういうふうに災害が起こるだろうかというような分析は十分に行われなかったというようなことで、青森県としては、どうしても青森県の中にレーダーを設置していただきたいという要望なんです。それに対して、いま五十年度に函館に更新をするというお話で、それで十分なんでございましょうか。
  197. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 青森県に対しましては、先ほど申し上げました三千メートルのところで、大体上空の雨雲をつかまえる状態になっておりますし、函館のレーダーも、いままでなかった新しい観測装置も持っておりますし、気象庁といたしましては、青森県に対しましてレーダーで常時監視することが十分できると存じております。さらに、現在一日二回衛星の写真を受信しておりますが、そういうものも使いまして気象の監視、情報の充実に努力しております。
  198. 竹中修一

    ○竹中委員 函館のレーダーが更新されると十分であるという御説でございますけれども、なおひとつ十分検討されまして、青森県として不安のないようにしていただきたいと思うわけです。  次に、国土庁お尋ねをいたしますけれども、佐井村の矢越部落で非常に地すべりがあって非常にこれは海岸に近い、山道のすぐそばにあるところです。山崩れがあって、どんどん海岸の方に山が押してきているということで、家屋の土台が持ち上がっているところです。住民、十三戸おりますけれども、とても安心して住めないということで、それぞれ十三戸とも集団移転を決意しているわけです。二十日の日に佐井村の臨時議会が開かれて、そこで集団移転の指定を決議をされるというふうに情報を受けているわけですけれども、これが議会で決議をされて決定をされた場合に、いろいろまた現地からの手続その他があると思うのです。こういうことで、佐井村で決定をした場合に、国土庁として速やかにこれを手続きをしていただきたいということでございます。
  199. 田中暁

    ○田中説明員 御指摘の矢越地区につきましては、去る七月二十七、八日の雨で背後の急傾斜地に亀裂等が生じまして非常に危ない状態になっておりまして、地元におきましても早急に安全な個所に移転するように検討中でございますが、政府といたしましても、住民の集団移転に対します意向が固まり次第、防災集団移転特別措置法の適用等につきましては、できるだけの御援助を申し上げたいと考えております。
  200. 竹中修一

    ○竹中委員 いま御答弁で、十三戸の集団移転の決定ができ次第と、こういうことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、二十日の日の臨時議会で議決されて、即刻決定になると思うのです。早急にひとつ手続を進めていただきたいと思うのです。
  201. 田中暁

    ○田中説明員 わかりました。
  202. 竹中修一

    ○竹中委員 これで質問を終わりますけれども青森県の場合は、七月の下旬と八月の初旬と二つ災害があったわけです。そして最初の方の災害も約六十億近い被害額で、これは大変だと思っているうちに、第二次の岩木町の二十三名死んだ災害が起こってきた。いつの間にか一回目の災害の方はかすんでしまった。そうしているうちに、今度はまた真室川で大変な災害が起こった。今度はそっちの方に目が移って、真室川が大変だ大変だと言っているうちに、今度は四国の災害が起こってきた。いつの間にか古い災害がかすんでしまって、次々と新しい災害が起こるというようなことで、前の方が忘れられてしまって、後の方の災害と一緒に考えられるというようなことではなく、前の方は前の方からどんどん片づけていっていただきたいということを最後にお願いをします。
  203. 横手正

    横手説明員 御趣旨のように、関係省庁とも連絡をとりながら万全の対策を講じてまいりたいと存じます。
  204. 竹中修一

    ○竹中委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  205. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、高橋繁君。
  206. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 午前中に大臣に基本的なことは質問をいたしましたし、なお具体的な事柄については地元の委員先生方から質問がございましたので、なるべく重複を避けまして質問をいたしたいと思います。  まず最初に、災害救助法の適用がされまして、その災害救助の基準額については前国会で小委員会をつくって改定されるように要望をいたし、委員会としても決議をいたしたわけですが、その中で、いまたびたび問題になりました応急仮設住宅の設置費については、厚生省からいただいた資料については一一四・六%の改定率である。しかしながら面積が五十年度から一戸当たり二十三・一平米。従来は十九・八平米である。三・三平米面積がふえた、その額だけの改定であるやに、私は、いまこれをもらったばかりですから感ずるわけですが、この応急仮設住宅の設置につきましての基準額の改定はなかった、このように理解してよろしいですか。
  207. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  仮設プレハブにつきましては、大体いま価格安定いたしておりまして、今回の平米アップを見込んで価格の引き上げをいたしました。
  208. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 価格安定をしたと言うのですが、それは大きな間違いであると私は思う。昨年も山形県あるいはその他の県から、この応急仮設住宅の平米当たり単価については改定要望の意見があった。いまも再三いろいろな先生方から要求もあったわけですが、にもかかわらず、面積の改定だけであって基準額の改定はない。仮に、豪雪地帯の特別基準というものが定められておる、それについても、これにならってほとんど改定はない、このように判断するわけですが、それでよろしいですか。
  209. 水田努

    ○水田説明員 ここの価格は一般基準の価格でございまして、豪雪地帯等で特別の理由によりまして補強する費用等を要する場合には、特別基準で認めて実情に合うようにいたしたい、このように考えております。
  210. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 実情に合うとおっしゃいますけれども、ことし、五十年三月に山形県から出された資料を見ますと、一般の基準一戸当たり十九・八平米の場合が四十七万八千円、特別基準が五十九万五千二百円、しかしながら実際に山形県で仮設住宅をつくったら七十万四千円の費用がかかっているわけです。したがって、当時で十万八千八百円のマイナスを生じておる。この十万八千八百円というものは、県が超過負担としてこれをやっておる。ことしの三月ですから、いまと余り変わりないと思うのですが、この時点において十万八千八百円の不足を生じ、現行七十万なければできない。  もちろん十九・八平米、いわゆる六坪ですかの面積で、低いので一坪増してくれた、これはありがたいのですが、実際の建設費は、このように七十万四千円の費用がかかっておるということから、見ると、ほかの学用品の給与であるとかいうものは、ある程度改定をされておりますが、一番肝心のこの応急仮設住宅については何ら改定がなかったということについては、われわれとしては非常に遺憾に思うわけですけれども実情に合わして、特に災害救助法というものが適用される市町村については大変な問題であろうと思うので、この辺についての改定を早急にやるべきだ、こう考えるわけですが、この山形県の三月の資料というものについては、厚生省部内で一体検討されたのかどうかということですね。この辺はどうなんですか。
  211. 水田努

    ○水田説明員 私、七月に赴任しましたので、三月の時点の内容をつぶさに承知いたしておりませんが、私どもはできるだけ応急仮設住宅につきましては、県と十分相談をしながら進めてまいる所存でございますし、また、特別基準というものをその地域に応じて合理的かつ必要な場合には弾力的に運用して、できるだけ実情に合うように対処してまいりたい、このように考えております。
  212. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そういうことであります。したがって豪雪地帯の特別基準の、いろいろ特性にかんがみて、屋根の補強材が一平米に六万とか、あるいは大型便槽が二万五千円とか、窓枠が三万二千二百円とか言われておりますけれども、厚生省はプレハブ建築協会の基準に基づいて設定したとおっしゃいますが、実情はこういう実情でありますので、前回小委員会までつくって、この災害救助法の適用の基準額の引き上げについて、われわれとしてもずいぶん検討したわけですから、どうかひとつこの応急仮設住宅について特段の、今後の改定について真剣にやっていただきたい、このように思うわけであります。  それからもう一つ、学用品の給与の問題で、小学校、中学校、これは一三六・九%の改定率であります。しかしながら、高等学校ですね、いま大体九〇%以上、いいところでは九五%という進学率を示しておる高校の生徒について、新しく災害救助法が適用された場合の学用品の給与についても検討すべきであるというように私たちは要求をしておったわけでありますが、高校の場合については、なぜ外されたのか、この辺についてお答えを願いたい。
  213. 水田努

    ○水田説明員 本年度の基準を設定いたすにあたりましては、従来義務教育という範囲で対処してまいったわけでございますが、新たに義務教育を越える高校までを見るかどうか、今後の検討課題とさしていただきたい、このように思っております。
  214. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 もちろん義務教育ということでありますが、やはり現状に即して救済をすべきであると私は思うのであります。九〇%以上の進学率を示す高校生についても、あるいは先ほど申し上げた応急仮設住宅についても、この資料を見ますと、確かに一一四・六%の増額になっておる。錯覚を起こす。ただ面積が広くなっただけの話で、当然面積も広くすべきでありますが、そうしたことについて厚生省も決断をもって大蔵省に当たって、今後この災害救助法の基準額の改定については努力をしていただきたい。  それから林野庁にお伺いをいたしますが、これもいろいろ問題にされておりまして、青森県からも要望が出されております。あるいは山形県からも、地元からもそういう意見がございますが、森林の伐採という問題です。  これは林野庁が独立採算であるので収入を得なければならない、そのために森林伐採をする、ここから収入を得るという切実な問題もあるかもしれませんが、森林の公益的機能という面からいっても、今後この国有林の伐採については、あるいは林野庁のあり方自体についても検討しなければならない大きな課題を抱えていると思うのです。従来の、そうした伐採をして収入を得てやっていくというやり方というものが、果たしていいのかどうかという問題もありますが、一ヵ所当りの伐採面積というものは、この要望書にもありますように、可能な限り少なくするということでございますが、将来林野庁として、この国有林の伐採ということについて、どのようにお考えになっておりますか。その辺をお伺いいたします。
  215. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答え申し上げます。  災害防備に果たす森林の役割りを最高に発揮させるためには、活力のある健全な森林を造成、維持することが基本的に必要でございまして、このたび、従来から森林造成の促進、計画的かつ適正な森林施業の確保に努めておりまして、森林のうち、防災上必要なものについては保安林等として指定を行いまして、森林の防災機能の確保に必要な規制及び整備を行っておるのでございます。  しかしながら、最近国土開発の進展等によります保全対象の増加等の傾向から、防災に配慮した森林施行業の確保の必要性の増大等にかんがみまして、昨年森林法が改正され、森林における開発行為について許可制の導入並びに森林計画制度の充実強化が図られることになったのでございます。これらの措置によりまして、森林において開発行為をするに当たりまして、適切な防災措置を講ずることとしているほか、森林計画におきましても、樹根及び表土の保全その他森林の土地保全に関する事項を定めるなど、保全に留意した施業の実施に努めているところであります。  また、このような要請を受けまして、国有林におきましては昭和四十八年に新たな森林施業を採用いたしまして、防災等に十分配慮したきめの細かい施業法をとってきたところでありまして、さらに四十九年には、森林の土地保全を図る観点から経営基本計画を変更いたしまして、防災に万全を期しておるのでございます。  さらに、国土保全等森林の公益的機能に対する要請は、地域の条件によりまして差異がございますので、全国森林計画において、主として流域別に関する基本的な事項を定めまして、適切な森林の取り扱いを図るべく、現在作業を進めておるのでございます。  御参考に申し上げますと、保安林のいわゆる許容されております伐採面積は、皆伐面積でございますが、約五ヘクタールでございます。それから国有林におきましても、できるだけ伐採面積を縮小するという方向で努力をいたしておりまして、何ら制限のない林地につきましても、約二十ヘクタールの制限を設けながら、現在実施をしておるところでございます。
  216. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 この岩木町のスキー場、これは三十九年の十月に、地元の要望によってスキー場建設を目的として林野庁が国有林を開放した。この国有林を伐採してスキー場を建設するに当たって、当時は、そういわれてもどうかというふうにお答えするかもしれませんが、そうした災害の危険性といいますか、あるいは集中豪雨ということが予想された場合に、林野庁当局はそうした考慮をした上で、この国有林を開放したのかどうかという当時の状況について、もしわかればお答えをいただきたい。
  217. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えを申し上げます。  岩木山は古くから滑降スキー場として一般大衆に利用されておったのでございまして、記録によりますと、昭和三十一年ころからスキー場として使われておった、それが現在の無立木地、十二・五八ヘクタールというような形になっておるのでございまして、いま先生からお話がございました、昭和三十九年にいわゆる国設スキー場としてほしいという地元関係者の強い要請がございまして、調査をいたしました結果、いま申し上げましたように、すでに三十一年ころからスキー場として使われておるという実態がございました。また自然的条件あるいは社会的条件ともスキー場に適しておりますし、国土保全等につきましても支障がないということで認めたのでございます。  私も災害直後現場を見てまいりましたが、地形が比較的緩やかでございまして、平均約二十度の傾斜でございます。特に地表にはササが密生しております。もちろん先ほど申し上げました、現在使われておる十二・五ヘクタール、従来から使われておりましたところは裸地が大分目立っておりますし、そのために牧草等をまいて緑化を進めたという実態もございますけれども、スキー場が今回の雨によって崩壊をしておるというような実情も見受けられませんでした。  また、この三十九年にスキー場を設定する際に、特に沢沿い及び急斜地には保残帯として立木を残置いたしまして、土砂の崩壊、流出を防止しまして、また、なだれの防止等にも備えるということで、十分保全上支障はないというふうに判断したものであると私ども理解をいたしております。
  218. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 まあ三十九年、いまから十年前の話ですからなんでありますが、こうした今回の災害が、スキー場の開設も影響しておる、私、現場を見ておりませんのでよくわかりませんが、どちらにしても、午前に申し上げた、いわゆる山地災害における森林の機能、あるいは森林の伐採というものが大きく影響をすることは間違いない、こう思いますので、ひとつ林野庁としても、今後の伐採計画なり、あるいは国有林のレジャー施設への開放なりという問題については、山地災害の見直しをすべきである、このように私は理解するわけですが、この辺も十分考慮して、今後国有林の開発等については関心を持っていただきたいと思います。  与えられた時間がわずかでございますので、次に建設省にお伺いをいたします。  これも午前中からいろいろ質問が出ておりました防災ダムの関係でございますが、建設省がこの砂防ダムを建設するに当たって、岩木山は岩石が多い山で、普通でも絶えず岩石が崩れ落ちてくる、そういう危険な状態であるというように聞いておりますが、こうした岩木山の特殊事情というものを考慮して、その立地条件に見合った砂防のためのダム建設というものが一体行われたかどうか、その辺についてはどういう見解を持っておりますか。
  219. 中村二郎

    ○中村説明員 岩木山の周辺の渓流につきましては、約二十二カ所ばかりの渓流があるわけでございますが、この渓流につきまして、各崩壊状態その他を十分調べまして、危険な渓流から砂防ダム、床固め等を計画してきたわけでございます。
  220. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 実際はそういうものを調査し、崩壊を十分調査してつくったと言いますが、その砂防ダムの効果というものはどうなんですか。
  221. 中村二郎

    ○中村説明員 既設の砂防ダム、床固めにつきましては、それぞれ十分効果を発揮したものと考えております。
  222. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 十分効果を発揮したということでございますが、四十一年、四十四年と二つの砂防ダムができた。しかも建設後三年たたないうちに、ため池用の用をなすはずの砂防ダムが、土砂、岩石で埋め尽くされた、私、現場を見ておりませんのでわかりませんが、そのように報道されておりますが、その辺はどうなんですか。
  223. 中村二郎

    ○中村説明員 今回の倉敷沢の第二号堰堤でございますが、約一万立米ばかりの貯砂量を持ったダムでございましたが、今回の災害によって満杯になったわけでありまして、それだけの効果があったと考えております。今回の崩壊及び土砂の流出によりまして、さらに砂防ダムを二基計画いたしております。
  224. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 今回の災害で、それがいっぱいになったと言うが、その前にすでに土砂流が流れて満杯になっていたのじゃないかということも言うのですが、その辺はどうですか。
  225. 中村二郎

    ○中村説明員 ただいまのダムの貯砂量でございますが、四十八年度に調べましたところでは、約二〇%ばかりたまっておったという報告を受けております。
  226. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十八年に二〇%、本年の八月の集中豪雨以前については、どれくらいということは理解をしておらなかったわけですね。
  227. 中村二郎

    ○中村説明員 二〇%と申しますのは、四十八年度までにたまった土砂量が約二〇%であったということでございます。
  228. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十八年までには二〇%あったけれども、この八月の豪雨以前については調査もしてなかったし、どれくらいの土砂がたまっていたかということはわかっておらなかった、こういうことですね。
  229. 中村二郎

    ○中村説明員 量的には正確に把握しておりませんが、四十八年から五十年度、この災害までの間に、ほとんど変化がなかったという報告を受けております。
  230. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そういうように四十一年、四十四年にこの二つの砂防ダムができた。先ほど申し上げたように、建設後三年たたないうちに土砂が満杯であったというように地元では報道されておる。そういうことから見ると、本来の機能を果たさずに、かえってダムに入った土砂流が一気に押し流す役目を果たしたのじゃないかというように私は聞き及んでおりますが、現実に調べたわけではございませんので、わからないのですが、地元のそういう意見、あるいは建設省では二〇%であった、それは四十八年の結果である、そこら辺がどうも食い違うように思うわけですが、その辺のことについては地元から何も聞いておりませんか。
  231. 中村二郎

    ○中村説明員 先ほど申しましたように、約二〇%たまっておったという報告でございまして、それ以上のことは聞いておりません。
  232. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 時間が来たようでありますので、まあここで議論しておってもなんでありますから、一応申し上げたが、そうした砂防ダムの点検といいますか、これがせめて毎年行われるような体制にならないと、四十八年度に二〇%であった、その後の状況はわからないわけで、災害を防ぐダムの効果がかえって災害に拍車をかけるような結果になるおそれも十分ありますので、せっかくつくったこのダムの点検なりは毎年行うべきである、私はこのように考えるわけですが、今後建設省はその辺についてどう考えておりますか、それだけお聞きして質問を終わりたいと思います。
  233. 中村二郎

    ○中村説明員 ただいまの御質問でございますが、砂防ダムは貯砂量を持つことがもちろん必要でございますが、そのほかに渓床の勾配を緩和いたします、それから渓岸の崩壊を防止します、そういう効果も持っておりますし、それから、たとえ砂防ダムが満杯になりましても、洪水時におきましては、その上にさらに勾配をとって土砂が貯砂するわけでございまして、そういう効果も持っておるわけでございますから、砂防効果と申しますのは永久に続くのだと考えております。
  234. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 終わります。
  235. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、庄司幸助君。
  236. 庄司幸助

    庄司委員 午前中以来のいろいろ討論があったわけですが、午前中のわが党の津川議員に対する国土庁長官答弁の中で、今度の青森山形、その他の災害について、行政の責任も含めて考えねばならないという御答弁があったわけですが、その点で行政の責任、これは具体的に言って建設省あるいは林野庁、気象庁はきょうは問いませんが、この二つの側面でどういう責任があったのか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。簡潔にお願いします。
  237. 増岡康治

    増岡説明員 国土庁長官がどういう意味でおっしゃったか、私実はよくわからないのでございますけれども、私ども建設省、ことに河川関係は防災の仕事を中心としてやっておるのが本職でございまして、いろいろな災害が出ますと、いつもその災害というものを一つの反省材料にして、次へまた進んでいく、そういうことだけをいま考えておるわけでございまして、一つ一つの災害にはいろいろなことがございましょうが、その中でどれが行政の責任ということは、ちょっと私理解に苦しみますけれども、私どもは一つ一つの災害を貴重な体験といたしまして、同じような災害がないように行政を持っていくということだと考えております。
  238. 須藤徹男

    ○須藤説明員 先生の御質問、恐らく林野庁とおっしゃったのは国有林に対してだと思います。したがいまして、先ほど来御質問にお答えしておりますように、国有林の伐採そのものによる瑕疵によって災害が起きたということが明白でありますれば、当然私ども国有林としても責任を負うということに相なろうかと思いますが、今回の災害の場合には、いずれも森林のいわゆる土砂扞止機能を超えた異常な集中豪雨であるという実態が判明いたしておりますので、その辺で今後人工的に治山工事をやるということで、今後こういう災害が起こらないように努めていくということが、われわれの責任であるというように考えております。
  239. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、国土庁長官の行政の責任も含めて考える、ところが当事者である建設省あるいは林野庁、そのほかに何か行政の責任があったということになると、見渡してみると余りないのですね。気象庁関係で言えば、いわゆる注意報や警戒報がおくれたとかいうことになるわけですが、それもおくれた形跡もない。そうすると、国土庁長官の言う行政の責任も含めての考えというのは、結局は幽霊みたいなもので、国土庁長官は責任がある、ところが当事者は、いや責任がないのだということになると、宙に浮いちゃうのですね。あとは建設省も林野庁も今後の教訓にしたいということになりますと、これは住民は浮かばれないだろうと思うわけです。  こうやっていつでも、災害が起こるたびに、いわゆる天災説が飛びかって、結局はあきらめろ、こういうふうになるのじゃないかと思うのですが、その辺、私は主として今度の山形県の真室川町の問題でお伺いしたいわけですが、伐採の問題あるいは堤防のかさ上げの高さの問題、こういった問題がやはり関係があった、これは明白だろうと思うのです。  その辺で建設省から、ひとつお伺いしたいわけですが、四十七年からあの河川は国の直轄河川になったわけですね。たしか四十七年の四月か五月だったと思いますが、その前の状態というのは、これは山形県の河川だった。山形県当局が一体どの程度の仕事をやって、あなた方に引き継いだのか、この辺はどうなんですか、簡単にひとつ。
  240. 増岡康治

    増岡説明員 お答えします。  真室川の計画につきましては、これは一級河川でございますけれども、実際にいま先生おっしゃいましたように、直轄区間としてみずから国が施工するということになったのは四十七年からでございまして、それで、この計画を建設省がみずからやるということで計画を決めました。これは昭和二十八年に大きな災害がありまして、これをもとにして決定をしまして、それに基づいて改修計画を進めていく、あるいは災害があったときには災害復旧をやるということでございます。  それで、県から直轄に来るまでに、どの程度この真室川筋ができておったかという問題でございますけれども、古い堤防もいろいろございますが、やはり全般的に言って、直轄の区域を延長した川というものは、計画の規模をどうしても上回って、われわれは考えるわけでございまして、そのどれを標準にするかという問題はございますけれども、区域延長の場所というものは、ほとんどこれから新たに改修する場合が多いわけで、細かいことは、いまちょっと資料を持ち合わせませんけれども、よろしくお願いします。
  241. 庄司幸助

    庄司委員 私は現場を見てまいりましたが、あそこで山形県当局がおやりになった仕事と言えば、これは地元の住民の方もおっしゃっているわけですが、大体おたくでつくった堰堤をオーバーフローして、その後内部の古い堰堤、これを破っていますね。地元の方はかすみ堤と、こう言っていますが、あれぐらいじゃなかったかなと、こう思っているのです。その辺は間違いないですか。
  242. 増岡康治

    増岡説明員 いまおっしゃいましたとおりで、四十七年に編入しまして、四十八年から実は着工いたしまして、本年度が五十年度でございますので——実は昨年この鮭川筋は災害があったわけでございまして、私どもはこの真室川及び鮭川本川、この地区に対しまして、緊急な三カ年計画くらいで大いにやろうというやさきで、特に五十年度は相当予算をつけてやっておった。御承知のように、旧堤の前に、またりっぱな堤防をつくりかけておったということでございます。おっしゃるとおりでございます。
  243. 庄司幸助

    庄司委員 それでその点で私は一つ、これは地方自治体の範疇ですが、余り真室川対策はやっていなかったのじゃないかと思うわけです。  それからもう一つは、おたくで四十七年に引き受けられて、それでこの真室川の基本計画を策定されたと思うのですが、ところが今度の水害で、もののみごとにオーバーフローした。もののみごとと言うと、ちょっと語弊がありますけれどもね。それで、その点で一体どういうファクターを基準にして設計されたのか。その辺、降雨量であるとか、あるいは高水量とかいろいろあるだろうと思いますが、その二点だけちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  244. 増岡康治

    増岡説明員 簡単にお答えいたします。  真室川の現在の計画は、昭和四十九年の三月に、基準地点でございます新橋の場所で計画高水流量を毎秒千三百立米と決定したわけでございます。この根拠は、真室川の流域の平均の日雨量の規模を、私どもの一つの物差しでございますが、年超過確率にいたしまして、六十分の一をとりました。この値が百八十一ミリとなります。これは昭和二十八年八月洪水を対象洪水として解析した結果でございます。
  245. 庄司幸助

    庄司委員 これは気象庁長官にちょっとお伺いしますが、真室川周辺のアメダス、あるいはロボット雨量計、これはどことどこに配置されていますか。
  246. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 気象庁測候課長からお答え申し上げます。
  247. 山田三朗

    ○山田説明員 お答えいたします。  この流域付近には、最上太平山と金山と差首鍋がございまして、その近くに新庄と瀬見と向町がございます。
  248. 庄司幸助

    庄司委員 それは全部ロボット雨量計ではないでしょう。ロボット雨量計は最上太平山ですね。それから後は、アメダスとロボットとどう違うのかわかりませんけれども、金山に一つありますね。ほかの差首鍋とかあるいは豊里とかこの辺は普通の農業観測所じゃないのですか。
  249. 山田三朗

    ○山田説明員 お答えいたします。  いま申し上げました六地点は、すべてアメダスの観測所でございまして、現在雨の通報を毎時聞いたしておりますから、東京の方のセンターに集まっておりまして、整理して配信できるようになっております。
  250. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、これらのたとえば最上太平山、これは昭和何年にできたものですか。
  251. 山田三朗

    ○山田説明員 いま手元に創設の年月日は持っておりません。
  252. 庄司幸助

    庄司委員 じゃ私が申し上げすますから。差首鍋は、観測開始年月日、三十六年四月一日です。それから豊里、これも三十六年四月一日ですね。太平山、これは四十八年の六月十三日、まあいずれも昭和二十八年の八月以降の開設のものなんですね。それで建設省がいろいろ計算なすったんだと思いますが、流域平均雨量の計算とかあるいは高水量の計算、この辺は最近のあなた方が設計なさる時点での計算でなかったことは間違いないだろうと思うのですが、雨量計算、その辺はどうなんですか。
  253. 増岡康治

    増岡説明員 ちょっと御質問の内容がよくわかりませんが、私どもは、この流域にあります建設省自身の雨量観測所あるいは農林省、気象庁、あるだけの資料をいろいろ集めるだけ集めましてやりましたけれども、それは計画時点の四十九年に、先ほど申し上げました計画決定しましたので、その後の記録は入っておりません。したがって、今回の雨ももちろん入っておらないわけでございますが、四十九年つくりましたまで、それ以前の雨の記録は全部これに収録したはずでございます。
  254. 庄司幸助

    庄司委員 私が言いたいことは、これは確かに今度の降雨量は非常に多かったのですね。多かったのだけれども、これはいわゆる高水量の調べですね、始められたのは私はやはり最近じゃないかと思うのですよ、この付近については。だから戦前にも、あるいは大正年間、明治年間にも、こういう高水量があったことはやはりあるんじゃないか、こういうふうに思うのです。しかし、それはまあ統計的には出てこないという意味合いじゃないか、こう思うのですが、その辺これは気象庁の方はどうお考えになりますか。
  255. 山田三朗

    ○山田説明員 いまの先生の御質問が必ずしも十分のみ込めておらないのでございますけれども、明治以来、この地域でも雨の観測はあったようでございまして、それらの資料がそれぞれ整理されて建設省方面でもお使いになっておりますし、気象庁の方でも、現在のアメダスの地点選定には、そういう過去の降雨分布等も考慮しながら、かつ、雨はポイントではかると、その地点だけの雨量ということになりますので、面積雨量的な考え方から、ある代表性を持たせて、ネットで雨量をはかって流域の雨量を出すという方法をとっておるわけでございます。
  256. 庄司幸助

    庄司委員 ですから、私が申し上げたいのは、ことしは特別雨がよけい降ったというものじゃないだろうということなんです。ですから、万全を期した堤防設計をやるべきだ、こういうのが私の主張なんです。その辺は河川局長うなずいておられますから、私は答弁要求しませんが、それでいいですね。  それともう一つ、林野庁が絡む問題ですが、伐採の量は、あなたの方で資料まだお出しになっていませんからわかりませんが、計画的な伐採をやって治水対策は十分おやりになっているという御答弁なんですが、しかし、やはり伐採をやって、たとえばブナの原始林をばっさりやって、その後へカラマツなんかよく植えておられますが、そういうブナの原生林をやってカラマツに植えかえた場合、湛水量といいますか水を保有しておく量がやはり減ってくる。これは当然考えられると思うのです。木の種類によって違うだろうし、それから切った当座と六十年後では、また違うだろうと思いますけれども、そういう点で伐採の問題、これは当然私は今度の災害関係ないとは言い切れない。私はむしろあると言いたいのです。  その点、これはきょう論争しても始まりませんから、林野庁、ひとつこの周辺のあなたの方の国有林、あるいは林野行政を担当しておられますから民有林も県有林もあるだろうと思います。このいわゆる伐採量、これは地図に色分けして過去十年か、これは二十年くらい見ないとわからないと思うのですが、その辺当委員会資料を出していただきたいと思うのですが、委員長その辺ひとつお取り計らい願いたいと思うのです。
  257. 金丸徳重

    金丸委員長 出しますか。——出せるそうです。
  258. 庄司幸助

    庄司委員 そこで、先ほどの委員からも質問ありましたが、真室川町がやられた最大の原因は、建設省でおつくりになったあの堰堤ですね。あれをオーバーフローした、内部のかすみ堤を突き破った。これが真室川町内の災害の最大の原因です。その点で、いまさら死んだ子をもとに戻すわけにはまいりませんが、あの堰堤を今度の洪水、あるいはこれを上回ることも予想されますから、その辺を頭に入れて万全な設計に直すべきだろうと思うのです。  それをいつおやりになるのか、いつ完成するのか。それからどこからどこまでおやりになるのか。この計画を示していただかないと、真室川町当局では都市計画が立たないのです。それから被水された方も、もとの地所へ家を建てていいかどうかわからないわけなんです。その辺、いつまで、どの規模でおやりになるか、示していただきたいと思います。
  259. 増岡康治

    増岡説明員 真室川町の本通りを水が走ったという——もとの旧堤がございまして、その前にちょうど施工中の直轄堤防がいまできかかっておった。おかげさんで護岸工事が相当進んでおりましたので、相当助かったと私どもは思っております。  先ほど雨量の問題が出ましたけれども、ちょっと補足させていただきますが、いまわかりましたが、昭和十四年からの雨をもとにしておりました。ところが、今回の雨はそれを上回るものでありますし、また流域の変貌がもしあるならば、そのことも考えなければいけないということで、実は昨日から現場の人が皆本省に集まっております。そして早く計画を決定しなければいけませんし、すぐ着工しなければいけないということで、応急復旧はおかげさまで、きょうで終わっておりますので、早くこの計画を決めなければいけない、上回った流量で計画しなければいけない。恐らく上流にまた治水ダム等のものも考えなければいけないんじゃないか。あるいはけさほど先生からお話がありましたように、あの場所をどういうぐあいにしたらいいかということで、従来以上の計画でもってあの合流点処理をしようということで、いわゆる再度災害が絶対あっては困るということで、緊急三カ年程度で私どもはやっておきたい。  すでに今回数カ所で堤防が逸水したり破堤したり傷んでおりますので、そういうところを重点的に選びまして、緊急にこういう場所はやはり早く仕上げたい、物理的にできるだけ早くやりたいというのが、いまの気持ちでございます。
  260. 庄司幸助

    庄司委員 それから、これは真室川と直接関係はありませんが、この間、只見川流域を調査したんですが、そのとき現地の方々お話だと大分ダムの埋没が進んでいるんじゃないか。これは中谷宇吉郎博士ですね、あの方も心配されて論文も出されているわけですが、その点、建設省で各ダムについての埋没率をお調べになっているだろうと思うのです。これは電力側の管理しているいわゆる発電用ダムについても当然調べておられるはずだと思うのです。ところが、この埋没率については、なかなか現地の地建が発表したがらないという傾向もあるやに聞いているんですね。ところが、このダムの埋没が進んでくる、この応急対策、カンフル注射として、中谷博士は、もう洪水時に水門開いて放流するのがカンフル注射なんだ、いまそれしか手がないようだ、そういうふうにもおっしゃっているわけです。  そうなると洪水時にダムが放流される、これがダム災害の一つの問題になるわけですが、その点で建設省は日本じゅうの各ダムについて埋没率を調べられて当委員会に、これは重大な問題ですから、ひとつ資料として出していただきたいと思いますが、委員長からお取り計らい願いたいと思います。
  261. 金丸徳重

    金丸委員長 河川局長、答えてください。
  262. 増岡康治

    増岡説明員 いま全国とおっしゃいましたけれども、私どもは主要な水系について調査しておりますので、あるだけの資料を出します。
  263. 庄司幸助

    庄司委員 それから対策の問題でお伺いしますが、先ほども出ましたが農業共済の問題です。真室川町の農家では、共済で見ている基準反収が約七俵に見られている。ところが、ことしは大体九俵から十俵の収量が予想されていたわけですね。その点で見直しをやっていただけるかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、これは厚生省の問題ですが、応急仮設住宅、これはいままでも大分論議になりましたが、予算規模の問題もありますが、応急仮設住宅は、やはり健康で文化的な生活が保障される規模のものでなくてはならない。私は何も大変上等な住宅まで要求しませんが、せめておふろとか、あるいは物置、こういうものが全然入っていないようですが、これは去年の山形県の赤松地帯の場合も要求が出たわけです。その辺今度そういうものも含めた応急仮設住宅をひとつぜひつくっていただきたい。  以上二点、農林省と厚生省にひとつお願いします。
  264. 今村宣夫

    今村説明員 第一点の共済金の問題でございますが、私たちは共済金の支払いにつきましては、損害額を評価した後に支払うのがたてまえでございますけれども、今回のような被害を受けました農家については、共済金の仮渡しを行うように県及び共済団体等を指導してまいりたいと思っております。  御質問に係ります反収の評価の問題は、担当部局とよく検討させていただきたいと存ずるわけでございます。
  265. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  先ほどからもお答え申し上げておりますように、応急の居住の住宅でございまして、各戸にふろをつけるまでは現段階は至っておりませんが、当該仮設住宅が建てられます地域に共同浴場等がない場合には、共同浴場の設置等につきましては特別基準で配慮をしてまいりたい、このように考えております。  なお、物置につきましては、必要に応じまして災害援護資金等の御活用を願う以外に現在道はないのではないか、このように考えております。
  266. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  267. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、山原健二郎君。
  268. 山原健二郎

    ○山原委員 台風五号、特に高知県における被害の問題について質問をいたしたいと思います。  私は、昨日夕刻まで被害地を回っておりまして、昨夜遅く上京したわけですが、まだ県庁の方でも十分被害地の写真などもないものですから、昨夜地元の夕刊に出ておりましたものを委員長に差し上げたわけですが、ごらんになっていただきたいと思います。  それからまた、衆議院議長に対しまして、当委員会調査団を派遣していただくようにお願いをしましたが、お聞きしますと、本委員会におきまして調査団を派遣されるということを御決定されたようで、その点大変感謝を申し上げる次第でございます。  さて、この台風五号ですね、私は高知県の被害の状態を見ておりまして、私の県の出身で科学者の寺田寅彦博士が「天災は忘れたころに来る」という有名な言葉を残しましたけれども、実際、まさに自然と政治との激烈な戦い、これが災害だと思ったのです。政治の方でいささかでも逡巡をしたり、あるいは手抜きをしたり、あるいは工事をサボったりしておりますと、その亀裂にもう自然がずばりと切り込んでくるという感じですね。まさに今度の台風は、どこを見ましても、そういう感じがするわけでございます。  それで、先ほどの情報では、現在死者四十余名になっております。行方不明二十二名。これがまださらに増大するのじゃなかろうか。ある報道関係の人に聞きますと、死者百名を超すのじゃないかというような情報すら入ってまいりまして、実は出身県の問題でございますし、私は暗たんたる気持ちでおるわけでございます。そして罹災者の数は、世帯数にしまして二万二千七百四十三世帯、人員にしまして七万五千八百十名という数字が出ているわけですが、さらに現在わかっております被害の総額は、昨日の午後五時現在で、農林関係、商工関係、文教関係等含めまして三百五十億に達しております。これもまたさらにふえるのではなかろうかと考えられる状態でございます。  こういう状態で、これを一体どうすべきかということで、この点最初に伺っておきたいのですが、いま一番緊急に要求されておりますのは、一つは激甚災害指定の問題がございます。これは国土庁最初に、これを検討されておると思いますので、お伺いいたしたいと思います。私の経験では当然これは激甚地指定が行われるものと考えているわけです。  さらに、農林省の方にお伺いしたいのですが、天災融資法の適用を直ちにやってもらいたいという要求ももちろん出ています。  さらに、自治省の方に対しましては、地方交付税並びに起債について特別な財政上の措置を講じてもらいたいということが、財政問題として現在出ておる要求でございますが、御検討されておりましたら、これについて特に前向きの御答弁をいただきたいと思うのです。
  269. 横手正

    横手説明員 台風第五号関係災害についての激甚指定の見通しでございますが、現在まだ高知県下の被害状況調査中の段階でございまして、先生お話しのように三百億円を超える被害額ではございますが、さらにまだ数百億円ふえてまいるのじゃないかというふうな見通しもございます。私どもは、この被害額を見きわめた上で、恐らくといいますよりも、公共土木施設関係あるいは農地農業用施設関係あるいは中小企業関係で相当数の市町村が激甚災の指定を受けられることになるのじゃないかというふうに感じております。  以上でございます。
  270. 今村宣夫

    今村説明員 今回の台風五号に基づく被害状況につきましては、私たちは、それぞれ現地に担当官をすでに派遣をいたしまして、その実態把握あるいはまた所要の指導に当たらせておるところであります。現在までの被害は、農林関係で約百億を超えるような状態でございますが、何さま大きい災害でございますので、人命救助その他の方面に鋭意県が力を入れておるというようなこともございまして、なお十分農林関係被害把握するには至っておりませんが、今度の災害状況等を考えまして、天災融資法の発動につきましては、今後統計情報部被害把握をもちまして、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  271. 石原信雄

    ○石原説明員 今回の災害につきまして、被害額がおよそ判明いたしますと、その段階でその被害額高知県あるいは高知県下の各市町村の基準財政需要額に対して一定の基準を超えますと、地方交付税の繰り上げ交付制度がございます。これについては、すでに関係団体にその必要な資料の提出等をお願いいたしております。基準に該当すれば繰り上げ交付措置をとりたい、このように考えております。  それからさらに、特別交付税の配分につきましては、公共被害額が確定いたしますと、その被害額に対して一定の割合で特別交付税の配分をいたします。ただ、こういった一律的な配分だけでは足りないケースが多いものでありますから、さらに被災世帯数あるいは倒壊した家屋の数、床面積、それから被災した農地の面積等、いろいろな指標によりまして、この一律的な特別交付税の計算を補完する算定方式も現在ありますので、それを適用して遺憾のないようにいたしたいと思っております。  それから地方債につきましては、各種の国庫補助事業等が確定いたしますと、それぞれについて災害復旧事業費の場合には最高の充当率で起債充当がなされます。また、この起債の元利償還につきましては、公共災害債の場合には、その九五%を普通交付税の計算上、基準財政需要額に算入するといったような各般の措置を適用してまいりたいと考えております。
  272. 山原健二郎

    ○山原委員 現在、この被害額がまだ十分調査できない状態にあるわけですね。かなり流動しているわけですが、今度の場合、災害救助法の適用が大変早かったのです。これは災害救助法では、もちろんそう大きな救助にはならないわけですけれども、しかし、現地に対する激励になっておることは事実です。そういう敏速な指定が十五カ市町村に対してなされている段階で、やはり激甚地指定あるいは天災融資法の問題など、いまの御答弁によりますと、ほぼ合致するという見通しを立てられておるようですが、早くこれを決定していただくようにぜひ要請をしたいと思います。  次に、大きな被害を受けております土佐市の場合です。これは九千世帯のうち、七割が水につかっているわけですね。私の親戚なども昨日の夜まで軒下まで水が来たままなんですね。これは町の中心地でございまして、いままで水の来たことのないところです。本当に皆びっくりしているわけですが、それだけ雨量も多かったと思うのですけれども、しかし、一つは、これは何といっても現地の市長が申しておりますように、長年にわたる懸案である波介川改修の問題があるわけです。  これは建設省の方へお伺いしますが、波介川改修については、その工法その他長年検討された結果、意見の相違もあったりしておりますけれども、大体こういう方向で波介川を仁淀川に沿って、ずっと海へ流すという点では一致してきたように思うのです。いろいろいきさつはあると思いますが、これを早急に実施しないと問題が解決をしないわけですね。この点についてどういう検討をされておるか、ぜひこの問題は解決をしていただかなければならぬ、こういうふうに思います。ここは土佐のデンマークと言われる地帯でして、ハウス園芸、イグサ、その他、一番生産の高いところですね。それが波介川のはんらんによって毎年毎年被害を受ける、こういう状態ですから、これはぜひ解決をしていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  273. 増岡康治

    増岡説明員 高知県はたび重なる災害県でございまして、私ども今日まで鋭意進めてきたわけでございますが、いま残っている問題はむずかしい問題ばかりでございます。その一つが、いまおっしゃいました波介川でございます。私どもは、これは早くから計画を決めまして、土佐市議会その他に何度も御説明申し上げまして、抜本的には河口までこの川を引っ張っていくということになりますが、いま先生もちぱっとお触れになりましたように、一番いいところがつぶれるわけです。そういうことで非常にまとまらないことになっております。  その理由も、私ども現地へ何遍も行っておりますので、よくわかっておりますので、この点をどういうぐあいに、調整するかということを含めまして、今回も大臣に治水課長をつけまして、もう一度この問題を検討するように命じてあるわけでございますが、これは地域の皆さん方がどう判断なさるかということも含めましてやりませんと、なかなかうまくいかないと思っております。  われわれ建設省におきましては、この波介川をどうしても今回のときに何かの解決の糸口を見つけたいと考えておるわけでございます。
  274. 山原健二郎

    ○山原委員 いまお答えになりましたように、この際、これはぜひ進めていただきたいと思うのです。もちろん用地買収の問題なんかのあることも私も知っております。しかしそれも、たとえば建設省の基準が坪一万二千円というような話も出たり、そんな問題がやはり絡んでくるわけですね。地元では、もっとお金を出さなければ解決しないというようなこともあるわけですが、しかし、これもまさに人命の問題になってまいりましたので、これは力をひとつ集中していただいて、問題解決のために地元、市、県ともぜひ話し合いを進めていただきたいと思います。  次に、高知市の問題です。  高知市は御承知のように真ん中を鏡川が流れております。この鏡川が今回はんらんをいたしました。そして鏡川の水量が高くなって、これが御承知の神田川、それから紅水川、江ノ口川が逆流を生じてきました。そして大変な被害が起こったわけでございます。特に紅水川、江ノ口川につきましては、建設省の方でも御苦労なさっておることも知っています。ただ、それが改修ができていないところから問題が起こるわけです。  ところが神田川というのは、これは御承知の針木というところから流れている小さな川ですけれども、これが魔の河川になるわけですね。全くこれは改修が行われていません。そして人口はここに密集していまして、昨日も回りましたら、もう畳も何も家財道具も全部瓦れきの山になっているわけです。情けないとも何ともみんな涙を流しながら片づけをやっているという状態でございまして、この神田川の改修につきまして建設省の方でも、いままで河川局などでもいろいろ御検討されているようですが、これをまず中小河川にしていただくということですね。そして予算措置ができるような体制をつくっていただいて、この問題の解決をしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、この点検討されているでしょうか。
  275. 増岡康治

    増岡説明員 神田川の問題でございますが、おっしゃいますように四十四年から、小規模河川でございますが、地元の強い要望がございます。早く中小河川にして計画的に進めろという要望、十分知っておりますが、また今回大変な災害を受けまして、私どもは地域の皆さん方の御意向に合うような前向きな姿勢でこれの計画を早く決めまして、工事着工に一日も早くいきたいと思っております。  なお、ちょっと先ほど波介川は単価の問題が出ましたが、そんな問題ではございません。これは地域の反対でございまして、要は下流の犠牲において上流が助かるという問題で、土佐市の中で一つの大変なむずかしい問題でございますので、ひとつ……。
  276. 山原健二郎

    ○山原委員 神田川の問題につきましては、いまのお答え大変前向きで、地元の人たちも喜ぶと思います。  それで、やはり河川改修ということですね、これはいわば思い切ってやらないと、ぐずぐずしておれば、予算関係もあるでしょう、また地元の問題もあるでしょうけれども、相当精力を注いでやらないと、台風のたびに被害が起こりまして、その点ぜひ御検討をよろしくお願いする次第です。  次に、日高村の問題です。  これは私もいまだに入れないわけですが、きょう聞きますと、やや水が引いたような形で、ほぼわれわれでも入れるんじゃないだろうかと思うのです。被害状況もまだつぶさにわかりませんが、テレビを通じまして村長が悲痛な声を上げておりましたように、村全体が水につかっているわけですね。そしてまだ四百戸屋根が見えておるというような状態が昨日の夕刻の現状でございました。この原因につきましては、まだ十分私もわかりませんが、あそこを流れております日下川、この日下川の改修問題があるんではないかと思うわけです。あそこは御承知のように低地帯でございまして、これまた同じように水の出るたびに、ここがつかるという状態ですね。これはどういうふうに現在把握されているでしょうか。
  277. 増岡康治

    増岡説明員 日下川は先ほど申し上げた波介川と同じように最も改修事業がむずかしい川でございます。奥地に行くほど低くなるという大変な、治水計画の上からも一番むずかしい計画で、いろいろと今日までも議論してまいりましたけれども、今回再びかつてない災害を受けております。十分承知しておりますので、また先ほどと同じことでございます。波介川とともに、この日下川もあわせてひとつ計画のあり方をもう一度勉強しまして、工事に早く着工するような心がけで現在おるわけでございますが、何遍も申し上げますように、非常にむずかしい計画です。完全無欠の治水事業というのはできないというのが、私どもの今日の勉強の結果でございますが、しかし、それでほっといてはいけない。できることから、暫定的でも地域の皆さんが御安心できるような工事を早く着工したいと思っておるわけでございます。
  278. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろな困難があっても、工事が行われたところでは災害が防げているわけですね。たとえば十号台風のときに高知市の七割が高潮のためにやられました、それに対して高潮対策提防がつくられたわけです。それに要しておる金が二百五十億だったと思います。ところが、そこは今度の台風ではどうかといいますと、もちろん今度は高潮がなかった関係もありますけれども、この地域は助かっているわけです。私は十七日の午後六時ですが、いままで浸水をするところの何ヵ所かの知人に電話をいつもするわけです、午後六時に台風はもうすでに瀬戸内海を越して中国へ再上陸して日本海へ抜けるという段階ですね。だから午後六時にはもう台風は終わったんじゃないかという段階で電話をしました。そうしますと、ことしは全く水が来ません、大助かりですという話なんですね。そういう状態だったのです。その付近はやはり来なかったのです。ところがその後、午後六時から急に雨雲がたれ下がって物すごい、バケツの水を引っくり返したようなかっこうになって災害が多発をするわけでございます。  だから考えてみますと、やはり困難であっても、工事が行われたところでは災害を防ぎ得ているわけですね。それが残されたところ、あるいは多少弱いところ、こういう弱点に対しては、災害というのはもう手厳しく、容赦なく攻めてくるという、いわゆる政治と自然との攻防戦を絵にかいたようなかっこうになっているわけです。そういう点で河川工事などというのは、やはり精力的にやっていただく必要があると思うのです。それはまさに人命を守るためにも必要が生じてきたと思いますので、いまのお答えを聞きまして、さらにがんばっていただきたいと思うわけでございます。  そのほか、多くの河川がございますが、時間もありませんので、早明浦ダムのことについて一言触れたいのです。  いまもダムのお話がありましたけれども、早明浦ダムが今回の台風の中で異常放流をやっているのですね。五時間にわたって異常放流をやっています。聞きますと、もうダムがパンク寸前だというお話もありまして、ダム管理の所長さんも初体験だ、こういうお話も出ているわけです。そして建設省の特別の指導のもとに異常放流を続けていますと。私はそれを聞きまして、これは大変なことであると同時に、現地の所長さんとしては、やむを得ない措置であったかもしれないと思っているのです。  そのことから考えますことは、ダムの概念ですね、いまたまたまお話が出ましたけれども、計画洪水量その他の計算がダム建設に当たってはなされるわけでございますけれども、改めてもう一度検討し直す必要があるのじゃないかということを感じたわけです。これは異例の放流でございまして、この放流を建設省はお認めになっているわけですが、これはどういうお考えでやられたのでしょうか。
  279. 増岡康治

    増岡説明員 当時の状況は、いま先生がおっしゃいましたように、ちょうど私どもも本省からじかに連絡をとりながら放流をやりまして、おかげさまで早明浦ダムは非常な大きな効果を発揮いたしました。先般の洪水実績は、計画洪水流量を一応決めておりますが、これを相当上回る流入がありまして、七千二百立米という流入があったわけでございますが、このうち四千七百をため込んで、放流をしたのが二千五百でございます。この二千五百立米が異常かどうかというわけでございますが、異常な大きな洪水に対して非常によく効果を発揮したと私ども思っております。  いろいろ洪水調節方式の問題があると思いますけれども、今回の早明浦ダムの結果を見まして、いま直ちにこのことで調節方式を変えるとかなにかは考えておりませんで、やはりこういうような大きなダムがいかに効用を発揮するか、大きな異常なものに対してもよく発揮したと私ども考えておるわけでございます。
  280. 山原健二郎

    ○山原委員 確かにそういう面もあると思いますが、もともと早明浦ダムは八十年に一遍の洪水に対して対応できるということでつくって、そして計画がなされたわけですね。それがつくられて去年から操業が始められているわけですが、早くもこういう異常放流をしなければならぬということになりますと、いま早明浦ダムをどうこうするということではありませんが、いままでのダム建設に当たっての計画洪水量とかいうものは、もう一度学問的にも研究する必要があるのじゃないかということを感じたわけです。まさにそのことを現地の所長は申しておるように思いますので、これはもちろんここで解決のつく問題ではありませんから、これ以上申し上げませんが、そういう時期に来ているのじゃないかという感じがするわけです。  すでに大渡ダムがもうできかかっていますわね、大渡ダムのダムサイトのところ、崩れているわけです。この間見に行きましたけれども、ダムの堰堤のできるところが崩れて、少し計画を十メートルぐらい変えなければならぬ。これも建設省にとってダム建設の中では大変なことだと思うのです。そういう問題が起こっていますので、ぜひこれは御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ問題は、乱開発に対する問題です。これは先ほど言いました神田川の上流の針木というところにゴルフ場ができておりますが、このゴルフ場は、何と農地法、農業振興法、都市計画法あるいは宅地造成法、土地規制県市の条例、五つに違反をしておる、とんでもないゴルフ場なんです。採草地ということでゴルフ場が建設をされておりますけれども、六月十六日に、さすがに県は中止命令を出しました。中止命令を出しましたが、その後一カ月半、工事をぬけぬけと続けているのですよ。それが今度の災害になっているわけです。赤土が流れ込んできて、そして神田川の上流はせきとめられているという事態が発生しているわけです。  だから、六月十六日に中止命令を出したときに、県などが本当に毅然たる態度をとってやらせないということをやっておれば、今度の災害はある程度防げたのじゃないかと思うのです。これがすべてではありませんけれども、こういう乱開発に対する規制も当然災害を防止するためにはやらなければならぬことだと思っていますが、これはどちらがおわかりでしょうか。わからなかったら、ここではいいのですけれども、そういう問題があるということを指摘しておきたいのです。
  281. 横手正

    横手説明員 ただいまの具体の事例につきましては、私どもまだ押さえてございませんが、一般的に申しまして、昨年までゴルフ場関連でかなり災害が多発している傾向がございました。そこで関係省庁とも相諮りまして、この面の指導に万全を期してまいりたいということで、特にことしの出水期を控えまして宅地造成あるいはゴルフ場の造成、こうしたことに伴っての災害が見られるので、日ごろの巡視、点検を強化するようにという指示をいたしておるところでございます。  なお、土地利用の規制に関連しましては、個々の法律に従いまして規制措置が講ぜられておるところでございますが、特にゴルフ場につきましては、都道府県におきまして条例なり要綱なりでかなりの規制を加えております。また造成に当たっての審査も、これは適法に申請があって受け付けられたものではございますが、防災工事等についても十分のチェックをするような体制になっておるわけでございます。ただ、違法な形でただいまのようなゴルフ場の工事が進められ、またこれに伴って災害が大きくなったということは、非常に遺憾なことだと考えております。
  282. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので、最後に人命の救助、その他災害の情報の問題ですが、今度の災害では交通は途絶、電話はかからない。いまだにかかりません。それから電気は消えているということですね。現在でも、たとえば高知市の隣の伊野町の中追渓谷の上流にある百八十戸はどうなっておるかわからないのです。全滅しておるのかもしれないし、どうにもしようがないという状態なんです。それから私の親しい友人が一家四名、家屋が倒壊しまして亡くなりました。これは土佐郡大川村川口という早明浦ダムの上流にあるところです。この人は戦時中は有名な刀かじなんです。日本で三人とない日本刀をつくっておった人で、現在はなたとか農機具をつくっておりますが、筒井清正と言います。大変りっぱな人でして、清正銘の入ったなたは、全国の山林従業者にとって、いま重宝がられています。その人も亡くなりました。九十一歳のその父親も亡くなりました。夏休みでたまたま帰省しておりました娘さんと、そのお子さんの六歳の少女も亡くなりました。  ところが、ここへ救援に行けないのです。ダムサイトまでの道も崩壊しています。ダムへ行って、船かモーターボートがあれば、この早明浦ダムを上流へさかのぼって救援に行けるのですけれども、この部落は十数戸しか家がないのですね。十数戸の人が助け合いしているんだろうと思うのですけれども、どうにもその情報がつかめない、応援にも行けないという状態が出ています。それから先ほど言いました中追渓谷の百八十戸とか、そういうのが点在しているわけですね。何とも悲惨な、すでに十六日から四日間経過しても救援の手すら差し伸べることができないという状態があるわけです。  それで、どうすればいいか。この通信連絡というようなことは災害常襲県、しかも貧しい県、そして川の多い、山の多い県、こういうところをこんなことで、いつまでもほうっておいていいのかという感じがします。私はこういうことを考えたのです。やはりヘリコプターも要ると思うのです。県に一つ、災害常襲県であればヘリコプターも持たす、あるいは県単独で持てない場合には、一例を挙げますと四国なら四国にヘリコプターぐらい必要になってきたと思うのです。そして災害が起これば飛んでいって、そこで状態がどういうふうになっておるか通信だけでも、手紙だけでも筒をとってわかる、あるいは食料をここへ投下する、こういうことがいまできないのです。  自衛隊のヘリコプターは入っていきますよ、あるいは新聞社のヘリコプターは現在入っています。しかし、新聞社の任務は写真を写して情報を本社に送るのが任務です。それからまた、現在仮谷建設大臣高知へ行っていますけれども、ヘリコプターで行かれているわけです。ヘリコプター以外に行きょうがないわけですから、当然大臣がヘリコプターに乗っていかれるのも結構です。しかし、それは上空から視察をするという任務に使われているのですね。救援のために、県が独自で直ちに救援を送るとか、あるいは人命を救助するとかいうようなことが——今度ぐらいヘリコプターの必要性を痛切に感じたことはありません。  それから、もう一つは舟艇です。舟が必要なんです。あの土佐市あるいは日高村、こういうところは舟がなければ救援に行けないわけです。小さな舟を一つ一つこいでいって屋根の上に逃げている方を一人ずつ抱き起こして二、三人積んできておったのじゃ、七百戸あるいはそれ以上の家屋が倒壊したり水につかっている場合に助けようもないわけですね。  私はそういう意味で、こういう連絡通信網の途絶したときの対策というのは、いまや必要になってきたと思うのです。私は口を大にして、このことを申し上げたいと思うのです。そして県もこれを持つ、それに対して国も一定の援助をするということが必要ではないかと考えます。当然この委員会におきましても、今後こういう台風に対する十分な検討がなされると思いますけれども、ぜひそれは参考にしていただきたいと思うわけですが、これについても、いままで全く提案がなかったわけではありませんが、これについて検討されておりましたら、国土庁の方から、そういうことについても前向きに検討しなければならぬ時期だとかいうような返事ができるものかどうか伺っておきたいのです。
  283. 横手正

    横手説明員 ただいまお話しのヘリコプターでございますが、実は二十数年前、高知では災害を主に多目的に使用できるヘリコプターを県で置けばどうだろうかということで、かなり検討したことがございます。ただ、当時としましてはヘリコプターの操縦士の関係あるいは経常経費の見通しの関係、こうしたことから実現に至りませんで、むしろそうした災害の情報関係は行政無線の整備の形で整えていく方がいいのではないかというようなことになったように記憶いたしております。  現在消防庁においては各県、市町村に対しまして災害行政無線の整備を推進してきておられます。したがいまして、これがまず第一ではなかろうかと考えております。  なお、災害時に仮にヘリコプター等が必要であれば、自衛隊の応援協力を求めれば一番効率的ではなかろうかと考えるわけでございます。ただ、地方団体は災害時にそうした面につきましての措置について、手続的な面を十分熟知しておりません関係から、なかなか自衛隊への協力がスムーズにいっていないような面もございます。  ただ今度の高知災害につきましては、昨夜、県の方へ連絡をとりまして、どういうものが県として困っておるかということを聞いたわけでございますが、その返事としまして、救援物資の緊急輸送方要請がございまして。昨夜遅く、これは防衛庁の協力を煩わしたわけでございますが、緊急に給食用の乾パン三万食、毛布一万枚、それにゴムボート十そう、これは県からの要請どおりでございますが、その手配を終わったところでございます。今後やはり災害に際しましては、そうした活用できるところの協力を煩わして、緊急の対策に万全を期してまいる方が効率的ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  284. 山原健二郎

    ○山原委員 なお検討してください。  時間が参りましたので終わります。ありがとう存じました。      ————◇—————
  285. 金丸徳重

    金丸委員長 この際お諮りいたします。  去る七月二十三日から七月二十五日まで静岡県、鹿児島県の両県に委員を派遣しました際の調査報告書が派遣委員から提出されております。これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 金丸徳重

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会      ————◇—————