○小沢(貞)
委員 どうも
政治資金規正法にどうしても賛成してほしいという陳情答弁のようにしか受け取れないわけですが、その前にもう少し事務的に私は
お尋ねしたいのだが、ドイツと比較するわけですが、たとえば昭和四十七年十二月の
選挙のときに、
日本の衆議院議員
候補者一人当たり国で負担した額が約二百八十万。この間も
お尋ねしたところが、今度の改正によって、公営の拡充強化で約六割国の負担が大きくなる、こういうことですから四百四十八万、約四百五十万くらいを国が負担することになるわけです。
ところが、昭和四十七年当時の法定費用を見ると、
東京の三百五十七万、鹿児島の三百二十五万、この両極端を平均すると三百四十万くらいが法定
選挙費用であります。この法定
選挙費用も、この間自治
大臣に
お尋ねするところによると、今度三〇ないし五〇%上がるということになると、これが約五百万であります。
したがって、法定
選挙費用と国で負担する費用とを比較すると、大体同じくらいではないか。これは大体半分半分というバランスがさっきの安信啓さんの
お話に合うような形にはなっているのだが、ところが実際はこの法定
選挙費用というのは実際にかかる費用の、ある人は三分の一と言い、ある人は二十分の一と言い、これはなかなかまちまちですから定かにはわかりませんが、実際に三倍ないし七、八倍かかっているのが実態ではないか、正直に言ってそうだと思います。法定
選挙費用の、たとえば全国区十万枚のポスターを張るのに一枚三百円かければもう三千万円、それだけで法定
選挙費用が終わりというような非現実的な法定
選挙費用ですから、そういう実態だと思います。
そしていま
一つ、国が
政党会派に出している費用があるわけであります。これは
選挙のときに今度の改正で一人当たり四百四十八万、四百五十万くらいかかるであろう。いま
一つは、国が
政党に出しているのが立法事務費、これを出しているわけであります。これはこの間の改正によって月二十万円、
政党にストレートに行く、こういうのであります。だから、これを両方足したところでこれはきわめて微々たる額であります。
西欧の先進国においては、まさに三木総理の理想のとおりであります。たとえばオーストリアに行ってみたら、
国民の一割が革新
政党、一割が保守
政党に加盟をしておる。ドイツその他へ行ってもそうであります。ああいう理想のところに到達するにはまだ、三年後だか五年後には
個人献金でみんなやります、とてもじゃないが、民主主義の浅い
日本においてはとうてい不可能であります。そういうとうてい不可能な時期を長く置いて、理想ばかり、五年後には
個人に頼りましょう、党費と
個人献金でやりましょう、これは理想はそう唱えても、現実は不可能だと思います。
西欧においては長い民主主義の歴史を経て、試行錯誤をして、党員が
国民の一割、一割五分、保守
政党へも革新
政党へも入党をして、保守対革新の理想的な政権交代ができる
状態ができたわけであります。ただ、そういうところまでいく期間、ある
程度のことを国でもって、民主的な議会主義を守る
政党を育成をしないと、さっきの話ではないが、これは私は大変な事態になっていくのではなかろうか、こういうような気がして仕方がないわけであります。
したがって、西ドイツのまねをしろとは私は申し上げません。公営のためにもう少しはがきをふやせと言えば、選
挙部長のところへ行けば、大蔵省へ行って二万五千枚を四万枚にはがきをふやすといえば大蔵省は絶対に
承知いたしません。もう頭を下げるような悲しい顔をしているわけであります。だからこれでは
選挙の公営の拡大ができようはずがないわけであります。いま修正案か何かいろいろ出されているようだが、
個人用のビラ等についても国で負担するとかいうような問題についてなかなかこれは財政的に容易ではない、こういうわけですから、私は西ドイツのように直ちに改めろ、こうは言いませんが、いまある制度、立法事務費あるいは
選挙公営、そういうものに対する国の費用、こういうものは少なくとも蛮勇をふるって総理が見ていかなければいけないのではないか。どうでしょう。