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福田(一)
国務大臣 政治献金は理想としては個人に限るというのが総理の
考え方でございますが、同時にまた総理は、それだからといって企業の献金が悪であるとは言っていない、こういうことも述べておられるのでありますが、われわれも同じような
考え方でございまして、政治献金というものが大きく問題になったのは、確かにおっしゃるとおり昨年の参議院の
選挙が
一つの重大な契機になったと思います。しかし、あのときに取り上げられたのは、
一つの会社でもって三億とか四億とかいうような金を出しておるとか、
一つの団体がそういうような金を出しておるというのはひどいではないか、何とかそういう問題をひとつここで制限を加えなければならぬ、こういうことでございます。
そこで今度は一応最高限を一億五千万ということにいたしました。しかし、これも一億五千万出さなければいけないということを規定したのではないわけでありまして、それまでは寄付する人の自由意思で出せるということでありまして、それ以上は絶対に、いかに意思があっても出せないが、しかし一億五千万と規定しておっても、その会社なりが、うちは百万円しか出しませんと言ったときに、私
たちはそれに対して請求する権限はないわけであります。政党としてはそういうことを請求する権限はないわけであります。
そういうことでありますが、それがまたやはり依然として大きいものになりはしないかという御疑問もあるかと思いますが、大体いまの
選挙の実態を見ますと、これが
政党政治になっておって、確認団体だけでやれるような、そしてその団体だけがやるという形になっておれば、それはわれわれもこういうような形では、また別な形でやったかと思うのでありますが、現在のような、個人も
選挙運動をやっておるし、政党もやっておるし、個人の後援会もあればあるいは派閥の後援会もあるというような場合、このことを無視して、ここで急に政治資金の問題を
決めますと相当なやはり問題といいますか、現実と離れた事態、結果において、政治形態といいますか、政治の姿を変えるといいますか、異常にむずかしくするというか、困難な
選挙運動といいますか、いずれにしても現状と非常にかけ離れたことになるというようなことを踏まえまして今度は出したわけであります。
でありますから、これについてはいろいろの御批判もあると思いますが、われわれとしてはとにかくいままで政治資金の問題は、それは昨年の七月に大きくクローズアップされましたけれ
ども、前からずいぶんあるわけなんです。すでにいままで
国会にもその
法案を出しておるわけであります。しかし、そのたびに
反対があって実現いたしませんで今日に至っておりますので、今度は一応この程度において認めていただいて、そうして将来またそれに弊害があれば直していただくというふうにする。
理想的なものが何であるかということをいま急にここで
決めるわけにはいきません。人によってこういうのが理想的だというお
考えもあるでありましょうが、われわれから見てはこれで非常に理想的な案になったというだけの
考えではなくて、まあ一応この程度にてひとつ認めていただく、そしてまたこれを直すべきときがあれば今後も直していくということで、個人献金の問題は、これは五年後に見直すというような附則もつけておりますけれ
ども、そういうこととは別に、私は何もこの
法案が通ったから来年改正していけないとはちっとも
考えておりません。また実情に合わないということであれば毎年変えていってもいいわけでありまして、順次理想に近づけていく、その一歩を踏み出す
方法としてこれを一応認めていただいて、現実の姿からいってこの程度が一応いいのではないかというふうにわれわれは
考えておりますから御了承願いたいという
意味でこの
法案を出しておるということを御理解を願いたいと思います。