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1975-08-08 第75回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年八月八日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       石井  一君    増岡 博之君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       板川 正吾君    岩垂寿喜男君       米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁刑事局保         安部保安課長  四方  修君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         環境政務次官  橋本 繁蔵君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         水産庁次長   松下 友成君         運輸省港湾局管         理課長     服部 経治君         運輸省港湾局管         理課調整官   浜崎 哲史君         海上保安庁警備         救難部長    山本 了三君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       田代  功君         建設省道路局国         道第一課長   坂上義次郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 八月八日  辞任         補欠選任   大石 千八君     宮崎 茂一君   住  栄作君     増岡 博之君   染谷  誠君     綿貫 民輔君   戸井田三郎君     石井  一君   阿部喜男君     板川 正吾君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     戸井田三郎君   増岡 博之君     住  栄作君   宮崎 茂一君     大石 千八君   綿貫 民輔君     染谷  誠君   板川 正吾君     阿部喜男君     ————————————— 七月四日  一、公害対策基本法案中島武敏君外一名提出、    第七十一回国会衆法第一八号)  二、大気汚染防止法の一部を改正する法律案(    中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆    法第一九号)  三、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(    中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆    法第二〇号)  四、騒音規制法の一部を改正する法律案中島    武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第    二一号)  五、公害委員会法案中島武敏君外一名提出、    第七十一回国会衆法第二二号)  六、環境保全基本法案島本虎三君外四名提出、    第七十一回国会衆法第四三号)  七、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等    に関する法律案島本虎三君外四名提出、    第七十一回国会衆法第四四号)  八、環境保全基本法案岡本富夫君外一名提出、    第七十一回国会衆法第四五号)  九、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(騒音対策  等)      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は二つの問題を質問いたしたいと思っておりますが、最初に、米軍基地大気汚染を初めとする公害について伺っておきたいと思います。  実は昨年の十一月に、環境庁横須賀基地内の環境調査を行われましたけれども、その調査結果は七月中に発表されるということを、何度か承ってまいりましたけれども、まだ、その公表に接しておりませんので、調査の結果について、もしお願いができますならば、おおむねまとまっているやに承っておりますので、この委員会で御発表いただくわけにはいかないかどうか、その点を最初に承っておきたいと思います。
  4. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 いま先生の御要望のございました、横須賀基地につきまして昨年の十一月に行いました大気汚染調査の問題でございますが、大気以外の水の方の調査も中に入っておりまして、そのデータを全部、整理して、その整理をした結果を、日米委員会を通じまして処理をしてから公表するというルールに一応なっております。現在、最終のまとめのところでございますので、いま、ここで数字を言うというのは、ひとつお許し願いたいと思います。必ず、これを終われば手続を通じて私どもは公表する、そういう気持ちでおります。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 防衛施設庁銅崎施設部長お忙しいところを、お入りいただいておりますが、白米安保条約に基づく地位協定によって、基地内は言うまでもなく治外法権でありますけれども公害問題など住民の健康に直接、間接に深い関係のある問題について、日米合同委員会レベルで、いままで改善申し入れをしたことがあるかどうか、これについて承っておきたいと思います。
  6. 銅崎富司

    銅崎説明員 大気汚染につきまして私、記憶いたしておりませんが、水質あるいは汚水排水の問題につきまして、沖繩基地等について調査するということで、委員会にかけられまして、実際に実施したというふうに承知いたしております。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは沖繩だけですか。しかも、それは何件か御記憶ございませんか。——質問の打ち合わせがきちんとできておりませんでしたので、資料が不十分だったと思いますので、後でいいです。  それでは伺いますけれども、四十八年十一月の日米合同委員会で、基地内の公害について、防衛施設庁を通して自治体調査手続をすれば、調査を受け入れるというような意味の話し合い、つまり協議がなされているというふうに承っていますが、それは、それを境にしての問題になっておりますか、立入調査手続の問題。
  8. 銅崎富司

    銅崎説明員 四十七、八年ごろから、いろいろと公害の問題が言われるようになりまして、やはり、そういう機運がありましたのと、現実に汚染されているという事実等がございまして、それに基づいて、そういう申し入れがなされ、取り決めがなされたというふうに承知しております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう一度伺いますが、公害のおそれがある施設関連をして、自治体の長が防衛施設庁を通して調査手続を行えば、アメリカ軍はそれに応ずるということを原則的に理解し合っているかどうか、この点を大変くどいようですが、もう一遍、承っておきたいと思います。
  10. 銅崎富司

    銅崎説明員 実際に被害が出ておりまして、それにつきまして実情調査したいという申し出をした場合、原則的に米側もそれについて承知をするというふうに聞いております。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 日米合同委員会組織の中で、たとえば航空機騒音対策分科委員会というようなものができたりしていますが、公害問題などは、どの委員会あるいは分科委員会が担当することになっているのか、組織機構上、特定をしたものが、なければないということで結構ですが、あれば、どの委員会がそういう機能を果たしていらっしゃるのか、これが一点。  それからもう一つは、非常に専門的な知識やら経験というものが求められる分野でございますので、たとえば、いろいろな分科委員会の中に新しく公害対策などの分科委員会というようなものを設けるというような検討が、日本政府の内部でなされた経過はないかどうか。また、それらについて検討する気持ちがあるかどうか。それらの問題について見解を承っておきたいと思います。
  12. 銅崎富司

    銅崎説明員 公害についてだけの専門分科委員会は設置されてはいないと思いますが、そういう最近の状況その他で、合同委員会下部機構の中に、そういう公害専門分科委員会を設置したいという申し出がありますれば、私ども、それを受けまして、外務省とも調整して、できるだけ前向きに検討してまいりたいと思います。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私、これから問題を具体的に提起をしていきますが、それらの問題は、やはり専門的に合同委員会下部機構の中で煮詰めていく過程があった方がいいのではないだろうか、こんな感じがいたしますので、どういう名前で設置されるかは別として、公害問題とか公害対策とかということのための分科委員会などの設置について、施設庁なり政府なりが、ぜひ検討をいただくように、この際、要請をしておきたいと思います。政務次官にも、これは外務省防衛施設庁だけの問題ではなくて、環境庁にも非常に重要なかかわりを持つ問題でありますので、この際、そのようにひとつ前向きに検討をいただきたい、このようにお願いをしたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  14. 橋本繁蔵

    橋本(繁)説明員 ただいまの御要請につきましては、まことにごもっともと存じますので、私どもにおきましても前向きに検討してまいりたいと考えております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それではこの際、具体的に横須賀ケースを若干、実情を申し上げながら承っておきたいと思うのです。  これは銅崎さんに伺いたいのですけれども、御承知のとおり横須賀には艦船修理部通称SRF、それから病院地区長井住宅地区、海軍の兵員クラブ等々の施設がありますが、大型のボイラーがこの四ヵ所にあるわけであります。このボイラー燃料硫黄含有率が二ないし三%という高いB重油を使っているのであります。私ども調査によって、そのことが明らかなのでありますが、たとえば艦船修理部ボイラーというのは、一時間当たり千三百七十リットルの重油を消費する規模でありまして、排煙設備の煙突の高さは二十メートルであります。そこで硫黄含有率を三%とすると、計算上、一時間当たり二四・九七立方メートル、約二十五立方メートルの硫黄酸化物を排出しているという勘定になるわけであります。大気汚染防止法による硫黄酸化物排出規制値は、同じ規模ボイラー施設の場合には、一時間当たり三・一五立方メートルという計算になります、この場合、K値を三・五とするわけでありますが。このボイラー施設から出る量というのは、規制値の八倍になっているという数字が、計算上、出てくるわけであります。  言うまでもありませんけれども横須賀川崎横浜に次ぐ汚染度を示しておりますし、それは全国平均から見ても大きく上回っていることを、データが示しております。このような状況に照らして、ばい煙発生施設改善を急ぐべきだと私ども考えますけれども、これについて政務次官、どのようにお考えになっていらっしゃるか、見解だけ承っておきたいと思います。
  16. 橋本繁蔵

    橋本(繁)説明員 米軍横須賀基地につきましては、先般、調査を行い、現在、調査結果を取りまとめておるところでございますが、改善を要しまする事項につきましては、改善が図られるよう、所要の措置を講ずる所存でございます。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 外務省防衛施設庁に対して環境庁として早急な改善措置——私、いま一つデータを示したわけでありまして、これはきわめて精度の高いデータでありますが、こういうケースの場合に、できるだけ早い機会にアメリカ政府申し入れるような手続をすべきだと思いますが、それについて環境庁見解をもう一遍、承っておきたいと思います。
  18. 橋本繁蔵

    橋本(繁)説明員 ただいま申し上げましたように、その調査の結果が取りまとめられました場合、その結果に基づいて要請する必要がございますれば、要請をしてまいりたい、このように存じておる次第でございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この点は実は横浜も同じなのでありまして、横浜は七月の十七日に、横浜防衛施設局を通して具体的に、市長名調査の依頼を行っております。この横浜申し入れに対して、とりわけ防衛施設局の努力もございまして、米軍の方も改善について好意的な態度を示しておられるようでありますが、私はやはり早急な燃料転換を必要とすると思うのであります。こういうデータ現実に出ているわけなのですから、これらの問題について早急な措置を願いたいと思うのであります。  実は、これは個人的でありますけれども、私は沖繩調査を行いました。沖繩の場合には、B重油どころか最近では廃油を集めて、それをろ過して、七対三とか六対四の比率で薄めて使っているという状況があるわけであります。そういう意味でいきますと、こうした硫黄含有量の非常に高い廃油とかB重油というものを、燃料を早く転換しなければいかぬ、このように思いますが、防衛施設庁銅崎さんに伺いますけれども、最も近く開かれる日米合同委員会で、日本政府としてこの問題を提起して、アメリカに対して改善を要求するということをお約束いただけますか。
  20. 銅崎富司

    銅崎説明員 横浜市、横須賀市におきます重油使用実態につきまして、私どもの方でも、いろいろと当たっておるわけでございますが、やはり一応、実情調査させていただきまして、横浜市、横須賀市あるいは環境庁の方とも協議いたしまして、やはり申し入れる必要があるということでありましたら、施設委員会を通じまして米側申し入れたい、こういうふうに考えます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは大気保全局長橋本さんに伺いたいと思うのですが、いまのデータというのは、横須賀調査の結果は、もう大体、集約をされていると思いますが、余り時間的にずれ込むということはよくないことだと思うのです。私、たとえば横浜の例を申し上げましたし、沖繩の例を細かく申し上げてもいいのですけれども、時間がございませんので申しませんが、私どもなりに調べた結果でも、きわめて歴然とした事実があるわけであります。そういう事実があるのに、環境庁調査したから、それまで待つのだ、それも一つの見識かもしれませんけれども、人の生命や健康にかかわる問題なのですから、できるだけ早く善処を求めていくという態度が必要ではないだろうかというふうに私は思います。そういう点で環境庁としては、この次の日米合同委員会がいつなのか、私も日程はわかりませんけれども、一番、最寄りの日米合同委員会にそのデータ提出して、改善措置を求めていくということを、行政の姿勢として求めたいと思うわけでありますが、その点については、いかがお考えでございましょうか。
  22. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 いま先生の御指摘のございましたとおり、私どもの結果が全部まとまりますれば、できるだけ早い時期の日米合同委員会にかけて、そういう処置をとるように米軍要請するということは、私ども、当然いたしたいというように思っております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 銅崎さん、ついでで大変、恐縮なのですが、それらの問題を通して、市民の中にいろいろなアメリカ軍基地についての注文が出されていることは御存じのとおりです。最近EMクラブあるいは長井住宅あるいは稲岡地区などについての返還の可能性が、非公式に明らかにされているようでありますけれども、これは本牧の住宅の移転ということとの関連において、アメリカ軍としてのスケジュールが話し合われているように承っておりますが、施設部長として、これらの点についてどんな動きがあるのか、それらについて、それを察知しておるならば、聞いておるならば、この際、伺っておきたいと思います。
  24. 銅崎富司

    銅崎説明員 先生おっしゃられますように、横浜の三住宅のリロケーションに関連しまして、話が出ていることは事実でございますが、ここでお話し申し上げるような具体的な計画まで、まだいっておりませんので、ひとつその点、御容赦いただきたいと思います。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 お調べになって、そうして現実に話としては動いているわけですが、後日、私に御連絡をいただけますか、その点についての動きがあれば。
  26. 銅崎富司

    銅崎説明員 お話しできる段階にまいりましたら、御連絡差し上げます。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは、さっきの日米合同委員会レベルで、公害の問題についての申し入れと、その改善措置がとられたというケースについて、件数がおわかりでしたら、後ほどで結構ですから教えていただきたい、このように思います。  施設部長関連は、これで終わりでございますので、お忙しいところ、どうもありがとうございました。  では、引き続きまして質問を続けさせていただきますが、東京都が、慶応義塾大学の正田教授編集委員長として、中学生用副読本として「消費者」という本を発行いたしました。これは「消費生活考える」というサブタイトルのついた本でありますけれども、この本に対して実は自動車工業会が七月の二十四日付で、「その内容には、多くの誤謬偏見があり真実を学ぶ教育目的から大きく逸脱するものと思われます。私共は、その誤謬指摘致しましたので、その内容を再検討、正しい消費者教育が行なわれますよう十分な御配慮を御願い致します。」という申し入れが行われておりますが、この自動車工業会申し入れを、環境庁承知しておられるかどうか。これは橋本さん、御答弁を煩わしたいと思います。
  28. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 いま先生の御指摘のございました中学生副読本の「消費者」についての自動車工業会意見ということは、承知をいたしております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 自動車工業会教育内容について口をはさむ、あるいはその内容について多くの誤謬指摘したから、それを画せと言わぬばかりの態度で、実は申し入れを行っているわけであります。私は実は、この申し入れの趣旨というものを冷静に読ましていただきました。遺憾ながら、この申し入れ指摘しているという、たとえば偏見とか誤謬というものが、私の立場から見ると当を得たものだとは思えない。のみならず、自動車排ガス規制の問題をめぐって問われた企業の社会的な責任というものを自覚した態度であるかどうだろうかという感じを、実は持たざるを得ないのであります。  そういう点で以下、私なりに感じ問題点指摘をしていきたいと思いますけれども橋本さん、ごらんになりまして、特にこれは、よその方まで、ここで質問するつもりはございませんが、「自動車と社会」という、特に光化学スモッグの問題に関連する記述が、どんなふうに問題を指摘し、どんなふうにそれを環境行政立場からお感じになるか、やや総論的に見解を承った後に、具体的に承ってまいりたいと思います。
  30. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 総論的な感想を述べよということでございますが、いろいろの議論があるのは言論の自由で、これは当然なことだというように思われます。ただ、この意見の中に「多くの誤謬偏見があり真実を学ぶ教育目的から大きく逸脱する」とまで言い切るには、やはり問題もあるのではないか。私、こういう問題点が全然ないとは思いません。ないとは思いませんが、ここまで言い切るには問題があるのではないかということでございまして、環境問題というのは非常に科学的にいろいろな議論があり、不確定要素もございますので、自動車工業会としての利害関心と科学的な解釈を中心としながら述べておるものだろう、そのような気持ちを持って、この報告を私は読んでみました。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま橋本さんから率直な見解が述べられましたから、あるいは一つ一つ指摘をする必要はないのかもしれませんけれども、やはり問題点指摘をしておかなければならぬ項目がかなりあるのです。したがって、それについて橋本さんの御見解を承るのも、これはちょっと変なのですけれども、しかし環境行政という立場から見て、企業活動の中で企業の利益を中心にして集っている、そういう企業の集団である自動車工業会が、こういう見解を出して、果たして、いいだろうかという問題について、二、三、実は質問をしておきたいと思うのであります。  実は、ごらんいただいた四十二ページの一番下なのですが、〔教室で〕の子供たちのやりとりがありまして、その中で「東京の場合、光化学スモッグ主因とみられている窒素酸化物炭化水素の7割近くが、自動車排気ガスから出されているんだ。」という言葉があるのであります。実はこの言葉に対して、まず第一に自動車工業会が食いついているわけでありますけれども、それは「光化学スモッグなど大気汚染を論ずる場合は、東京都とか川崎市、大阪府など狭域での排出量で論じては実態を示しておらず、東京湾岸など広域議論すべきものと考える。」ということを書き、その後「東京都における自動車からの排出量が全体の7〇%近いとしても、光化学スモッグ原因自動車が7〇%と言うのは誤りである。」こう書いてあるのです。橋本さん御存じのとおり、何も自動車からの排出量光化学スモッグの七〇%ということを言っているわけではないのでありますが、実は痛くない腹ではないものだから、さわられて痛いと言った言葉によく似ているわけですけれども、こういうことが誤りだという前提になっているわけであります。あるいは、もっとはっきり言えば、確かに東京湾など広域議論することが必要でありますけれども地方自治体住民の健康や生命を預かるという立場から見て、自治体の地域内に発生する発生源対策というものを厳密に実施しなければ、東京湾という広域対策も不十分に終わってしまうだろうというふうに思います。そういう点で、地方自治体がこのデータを示すこと、しかも、それは東京都の公害局中心になって調べたデータに基づいて明らかにした数字が、「東京の場合、光化学スモッグ主因とみられている窒素酸化物炭化水素の7割近くが、自動車排気ガスから出されている」という記述は間違っているかどうか、その点についての見解を賜りたいと思います。
  32. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 いまの御指摘問題点につきまして、この発生源から一体、全体で何トン放出されておるかという発生源だけの計算をしました場合に、東京都だけで計算した場合の数字と、広域計算した場合の数字ということは、これは異なってくるということでございます。そういうことで、東京都だけで計算したら、こういう数字だということも間違いでもございませんが、広域議論すれば、こういう数字もある、これもまた間違いではないということもあるわけでございます。  そういう点で、この発生源から放出される量での貢献度は幾らか。健康被害補償法では、その汚染負荷量賦課金等発生源からの放出でやっていますが、しかし、また一方これは別の産業界の方々は、環境濃度レベルでは自動車貢献が多いのではないかというような、環境レベルでの貢献度ということもございますし、また東京都だけではなく南関東というような広域の問題もありますので、その問題だけを議論すれば、おのおのが言っていることにはうそではないが、一つだけをもって論ずるには、やはりお互いに不十分なところがあるのではないかというように考えております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 端的に伺いたいのですけれども、「東京都における自動車からの排出量が全体の70%近いとしても、光化学スモッグ原因自動車が70%と言うのは誤りである。」という、この「誤りである。」という記述は、実は何もここには書いてないのです。書いてないことを、誤りだという印象を強めるために、言葉をこういうふうにして書いているわけなのです。こういう態度が果たして自動車工業会態度として正しい態度かどうか、議論になったのです。これは土井さんも質問になったけれどもつまり移動発生源のいわば寄与率と言われるもので、トヨタと私もやりましたが、議論した経過があるわけであります。そのときに現実に移動発生源寄与率が非常に高いということは、すでに明らかになっている。それを東京都は七〇%というふうに指摘をしている。それが光化学スモッグのという因果関係ではとらえていないのであります。とらえていないものを、とらえているというふうに書いて、誤りだというふうに断定する態度というのは、短絡もいいところではないだろうか、こういうふうに思うのですが、これについてはどうですか。
  34. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 そういう批判の立場も私はあると思います。先ほど申しましたように、発生源と環境と広域という三つの問題があるということを、全体含めた議論ということで私は申し上げておりますので、その問題だけをとらえて、この表現が非常に部分をとらえて短絡しておるのではないかということは言い得るかと思いますが、それだけでの議論では、やはり全体の正確な議論を欠くのではないかという印象を、私は受けます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま言っているのは、橋本さん、全体をまとめて言っているのではないですよ。ここにある記述、いいですか、あなたにお届けした一番最後の文句を、実は工業会の文章の中で書いているのは、まるで東京都は、自動車が七〇%、光化学スモッグ原因をもたらしているというふうに言っていると書いているのです。そんなことを言ってないんです。そうでしょう。だから、そういうことは事実から見てもおかしいのじゃないですか。それをあなたはお認めになりませんかと私は言っているのです。おかしいでしょう、そうは思われませんか。
  36. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 ほかのあらゆる問題を除外しまして、そこの部分だけを厳密な文章表現から見ると、おかしいのではないかということには、私は別に反対はいたしておりません。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 橋本さん、大気の関係ですから、引き続いて伺ってみたいと思うのですけれども窒素酸化物を減らす努力というところに関連をいたしまして、その次に、四十七ページの〔排気ガス〕というところ、例の牛込柳町の問題が書いてあるのですね。これに対して、実はこの自動車工業会記述によれば、何かその付近に印刷工場があって、印刷工場が原因なんだと言わんばかりのようなことも書いてあるわけですが、それは揚げ足を取る議論ではないとしても、柳町の交差点で鉛の調査をしました。調査の結果は、これは東京都ですけれども、四すみの一日平均値で最高が立方メートル当たり五ミリグラム程度でありました。これを契機にして実施した都内の主要交差点の調査の結果がここにあるのであります。実は同じ調査で交差点背後地と比べると、十交差点で、平均で交差点を一〇〇として、後背地は四四・八%に急激に減っている。つまり交差点の方が鉛は二倍近いというデータが出ているのであります。また、小笠原などの清浄地と比較すると、百倍を超える高さである。このことも調査の結果明らかになっている。これから見ると、交差点付近の空気というのは、自動車から排出される鉛の影響を受けて汚染されているということを示しているというふうに思います。自動車から排出された鉛が、都会の交差点付近の住民の呼吸器を通して体内に摂取されているということは、間違いない事実だと思うのであります。これは橋本さんもかねて御指摘のとおりです。だとすると、この東京都の副読本記述というのは、かなり注意深く、しかも判定を避けて「自動車がもたらした健康侵害でした。」というふうに書いてある。それに対して自動車工業会は何と言っているかということを、ここでお読みする必要は実はないわけであります。お手元にお届けしてありますけれども、それは大体おかしい、それは「付近の印刷工場の影響であろうとされている」というような意味のことが書いてあって、「各国の種々の調査の結果、大気中の鉛濃度と血中鉛濃度の間には何等の有意な関係は認められていない。」ということを断定しておられる。これは、自動車工業会の言っていることは正しい記述でしょうか。
  38. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 まず第一のポイントとして、この鉛中毒事件という問題でございますが、鉛中毒事件があるのではないかという報告があって、そういう報道があったということは事実でございますが、鉛中毒として評価される問題は発見されなかったということは、東京都の調査によっても明らかにされたところでございます。そういうことで、厳密な議論をいたしますと、この東京都の副読本の中で「柳町の鉛公害は」ということは、ここは少し行き過ぎた書き方ではないかというぐあいに私は感じます。鉛の汚染の問題が青梅に比べれば高かったということは事実でございます。また鉛の影響が何もないかというと、もちろん若干の差のあることも中にはあるでしょう。しかし鉛中毒という問題は、これは実際に非常に綿密な調査の結果、出されなかったことは事実でございます。  しかし、この次のところで、印刷工場の影響であろうというところまで、はっきり言われたかどうかということは、私はこれは余り明白な記憶がございません。近所に印刷工場がありますから、そういうことを初めの段階で東京都の人が言ったことはございますが、ここまで言うことは、私は無理があるのではないかということでございます。  それから、この鉛の血中濃度には何ら有意な相関は認められないというのは、非常にミスリードする表現でございまして、認められないデータもあったというなら事実でございますが、鉛の汚染の高いところでは若干、血中鉛の相違が出るというデータはかなり多い。しかしながら、そうでないデータもあるということは事実でございます。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 だからこそ、政府の政策として無鉛化が進んでおるわけであります。それにあたかも挑戦をするという言葉は使いませんけれども、それに対して異議を申し立てるみたいな、そういう形が正しい認識だという態度というのは、科学的に見てもいささか思い上がりが過ぎはしないだろうかと私は思うのであります。  次に、それならば五十ページのところで、これも橋本さんにお届けしてある文章でごらんをいただきたいと思うのでありますが、光化学スモッグ原因と言われるものに関連をして、例のロサンゼルスの排ガス規制と大気中のNOxやHCの濃度との関連指摘をされております。それに関連して、これは自工会の申し入れの文章の一番、最後のところをごらんになっていただければわかると思うのでありますが、「NO2環境基準〇・〇二ppm、または自動車からの排出ガスの低減目標値〇・二五グラム・パーキロメートルについては、その意味からも、」というのは、前の項目があるわけですが、「光化学スモッグ防止のため必要とは必ずしも考えられない。」と書いてあります。つまり自動車排ガス規制と言われるもの、これらが光化学スモッグ対策として、必ずしも必要とは考えられないということが書いてある。政府のこれまでの、そしてまた、国民が求めてくる排ガス規制を初めとするさまざまな規制措置と言われるものに対して、まさにこれこそ挑戦をしていると言わざるを得ないと私は思うのであります。この点については、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  40. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 この点につきましては、環境基準の〇・〇二というのは、光化学問題から決めたものではなしに、NO2そのものの人体影響ということで決めたということでございまして、そういう点で、光化学とリンクする議論として、そういう形では言っておらないということが一点でございます。  それから、もう一つの問題は、先生の御指摘になったページ五十の自動車工業会の前段にある指摘の中に、窒素酸化物炭化水素の両方の濃度がどんなときに、オキシダントの濃度がどの程度に出てくるかという、これは実験データでございます。ロサンゼルスの実験データがありまして、そういうことにつきましての「極度に下げればよいというものではない。」というような議論一つありますが、これは実験データとしては、日本でもわりあい同じようなものが出たというように私は聞いておりますが、「極度に下げればよいというものではない。」とまで言うのは、まだ仮説の段階で、非常に問題があるのではないか。NO2の環境基準を、人体に対する健康影響ということで〇・〇二に決めるということに合わせて考えてみれば、やはり炭化水素は非常に抑えなければならないということは事実でございますので、私どもが現在、進めております。光化学対策と直接結びついているものではございませんけれども、その一環としてはやっていることは、全く正しいことをしておるということと私は考えております。  低減目標の〇・二五というものは、〇・〇二とダイレクトにはリンクしたものではなく、とにかく十分の一に下げるということの問題から始まっておりますので、これはできるあらゆる手段を尽くして、この環境基準を達成するという一つの角度からは、当然なことだろうというように思います。そういう意味で、自動車工業会としては、このような不満、批制を持っておることは事実だろうと思いますが、政府としては、現在まで決めておる施策を、いささかも緩める考えはないということでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま橋本さんがおっしゃったのは、つまりロサンゼルスのデータというのは、EPAの定めた「オキシダント制御戦略批判」の中で述べた例のデミトリアデスのデータだろうと思うのですけれどもね。これはNOxでは〇・〇七ppm以下、HCでは一ppm以下の領域の実験例はないのです。これは推定値なのです。だから、そういう点では、ロサンゼルスの批判なるものが、どういうデータであるかということについても、一定の見解がある。これは日本でも、いま橋本先生がおっしゃったような議論があったわけですね。そういう点では、それを都合のいいところだけデータを引用して、そういう形でもって議論をしているということは、いささかどうだろうかということを思わざるを得ない。政府排気ガス規制や、あるいは窒素酸化物に対する規制などについて、環境基準に対して明らかに公然とした異議申し立てをしようとしている態度だと言わざるを得ないのであります。  特に環境基準というのは、もう私が言うまでもないと思うのですけれども、いろいろ議論はありながら、各界の学識経験者によって構成されている中央公害対策審議会の専門委員会で十分に検討された上で決定された経過がある。あるいは米国の科学アカデミーあるいは技術工学アカデミー報告書などによっても、窒素酸化物の毒性に注目すれば、きわめて妥当な数値だということは、もはや明白な事実なのであります。そういうことを考えたときに、こういう形で「NO2の人体影響についても、必ずしも明らかでないと思われるので、低濃度NO2の人体への疫学的な影響について地道な研究の裏付けが必要であると考える。」というふうに言っているその次の項目にも、大きな疑問があると私は思うのであります。  こういう点について、NOx自体の毒性あるいは二酸化硫黄などとの相関作用が問題になり、専門委員会の報告にもあったわけですが、これらの問題について、こういう記述で、この副読本誤謬と遍見に満ちているというふうに思い上がって物を言いながら、自分は正しいことを言っていますよというふうに述べている自工会の態度を、どのようにお考えになりますか。
  42. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 これは最初先生の御質問に対する答弁で申し上げましたが、そのような議論のあることは、確かにおのおのの自由でありましょうが、規制基準を決めて、それに到達するということに対して最善の努力を払うことを、非常にやっていないのではないかというような社会的な印象を与えるおそれが、自工会の文書ではあるのではないかというように私は感じます。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう時間があれですから、まだいろいろあるのですけれども、この辺でひとつ区切ってみたいのですけれども、長官お見えですから、この際、ちょっと承っておきたいと思うのですが、いま、お手元にお届けをした例の東京都の編集した副読本についての自工会の見解、いま橋本さんから承って、一つ一つに御意見をいただいたわけですが、ここまで言い切るには問題があるということを、自動車工業会見解について指摘をされました。いろいろな批判のあるときなのです。五十一年規制をめぐっても、いろいろな問題があります。それから御存じのとおりに五十年規制がまだ継続生産の過程にあるわけであります。本年の四月から実施されているにもかかわらず、駆け込みの生産やら販売があるわけであります。時はたまたま不景気でありまして、自動車の売れ行きがよくない。そこで自動車がもたらしている社会的なそういう公害などについての記述があれば、きわめてラジカルに、きわめて過激に指摘をしていくという姿勢が、自動車工業会の姿勢にあるわけでありますが、これは少なくとも、いまやりとりをしていた経過を御理解いただいているとおりに、環境基準それ自体に対して公然と物を言っているわけであります。これでは一体、企業として社会的な責任を自覚しているのかどうか、こういうことを私は疑わざるを得ないと思う。  そういう点で長官に、この自動車工業会態度について、私は一定の見解をぜひ述べてほしい。それは偏見誤謬だというふうに、一方的に副読本のことをきめつけながら、片一方で自説をかなり主張している。その自説なるものが幾つかの問題点を持っているということは、いま橋本さんの御指摘の中にも指摘をされているとおりですから、この際、ぜひ長官の見解を承っておきたいと思います。
  44. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私も新聞で拝見をいたしまして、この件は承知をいたしておりました。しかし、人の健康を守り、生活環境を保全するというのが私どもの使命でございますので、あらゆる議論には耳を傾けなければいかぬと思いますが、ただ、政府のやり方あるいは公共団体のやり方等について、それぞれ民間団体がいろいろと自分たちの立場から見て、自由にこれを批判したり、あるいは肯定したり、あるいはまた自分たちの考えを述べるということは、これは言論の自由が保障された社会においては当然のことでございます。ただ、そのために一体、国民全体に環境行政の推進の面からどのような悪影響があるか、こういう点を私どもがやはり重視をして、それがもし国民にに、環境問題の理解と協力の面から見て、非常に悪影響があるというようなことであれば、これは私どもはやはり細かい点の検討を加えて、いろいろとただすべきはただしていかなければいかぬと思います。  しかし、私は新聞で承知して、その後の反響その他、いろいろな点をよく注意はいたしておりますが、そう先生が問題にするほど、これによって環境行政に対する国民の理解と協力が、えらいマイナスになっておるというようなことでもありませんので、それぞれ民間団体が自由に、いろいろな意見を述べるということは、これはもう何もこっちがやるなと言ったって、これは自由があるわけでございますので、むしろ、私がこの問題について思いますことは、少なくとも公共団体とか国が、ことに教育の資料としてやる場合には、この影響の方がもっと大きいわけでございますから、したがって、まず自動車工業会がどうこうという前に、私どもの方で、果たしてこの副読本が正しいか正しくないか、あるいは誤解を与えるか、あるいはむしろ、まだまだ足りないのか、こういう点について十分、検討をすることの方が私どもとしてはより大事だと思いまして、この点、きょうも委員会で岩垂先生のお話しがあるということを聞きまして、まあ自工会のあの新聞を見た限りにおいては、先ほど言ったように大したことはないと思っておりましたけれども、十分よく検討をするように、係の方には命じておいたわけでございます。いま質疑応答で、どうやらその辺のところは大分、明確になってきたとは思いますが、なお一層よく検討をいたしたいと思います。  自工会について批判という御質問でございますが、たとえばアリナミンの問題についても、いろいろな学者がワアワア言いましたり、それについては企業が反論しましたり、いろいろございます。もし、それに科学的に相当大きな誤謬があれば、これは当然、呼んで私ども、よく注意をいたしますし、また、自動車工業会そのものが、自動車の排ガス規制というものを、私どもの方針どおり実行していかなければいけませんので、この点はいささかも緩めておりません。御承知の新聞にも出ておりますように、この夏休み返上で検討委員会先生方に十分チェックをしていく体制をお願いして、実行をしていただくようにいたしておりますし、この問題について、私ども態度が影響されるようなことはございませんから、そういう面では、ひとつ先生も余り御心配ならぬようにしていただきたい、かように思います。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 せっかくですから申し上げておきますけれども、「消費者の問題とは」という項目で、自工会のこの申し入れ書の一番トップの記述について、これは公害対策とは直接、関係ないから、私は言わないでおこうと思ったのですけれども企業活動目的というものに関連をして、この副読本は「利潤追求と断定しているが、企業は製品・サービスの提供を通じ国民一人一人の生活を豊かにするもので、その代償として利潤を得るもの」だ、こう書いてある。ところが、現実に検定を受けた教科書、これは日本書籍ですけれども、私、調べてみたのです。「企業は資本を持っていて、それを投じて継続的に事業を営んでいる。そしてわが国のような資本主義の社会では、経済活動の中心になっているのは民間の企業であって、それらはみな、利潤を得ることを目的にして活動している。」と書いてあるのです。このいわゆる本読本の記述について、もっと緩めて響いてありますよ、こっちの「消費者」というのに書いてあるのは。それは間違っている、それは誤謬だ。企業というのは利益をやるのではなしに、製品やサービスを提供して国民一人一人の生活を豊かにするもので、その代償として利潤を得るものだ、こう書いてある、こっちの方がかなりインチキですよ。  というように、ほかにまだたくさんありますけれども、そういう形で、公害問題について少しでも真剣に取り組んでいく、しかも、それは単に個々の企業公害ということだけでなくて、人類という観点から、あるいは次の世代に引き継がなければならないわれわれの地球社会と言われるものの問題意識を、教育の中で厳しく、みんながお互いに考え合おうではないかということを教育することが、何か社会的なごまかしであり、誤謬であり、偏見であるというふうに書く態度はよくないですよ。企業教育に口をはさんでいることだとあえて言っても言い過ぎでない、そんな態度だと言わざるを得ないと私は思うのであります。  だから、環境行政がこれでゆがめられたというふうなことを申し上げているつもりはないのですが、環境基準それ自体についてまで、こういう言い方で実は答えを迫っていると思われる態度というのは適切でない、私はそう思います。私はそういう点で、個々の記述についてのやり取りの中で、橋本さんから一つ見解をいただきましたから、それ以上は言いませんけれども、そういうことは名代の自動車産業と言われる問題、それが持っている社会的な影響ということを考えて、慎重にすべきではないだろうか、私はそういうふうに思います。そういう点で、ぜひ環境庁長官は、いまのお言葉のとおりに厳しく企業に対処をしていただきたい、このように思います。  それから、先ほどお留守でしたから、一つだけ委員長よろしいですか。  先ほど防衛施設庁の方からも見解を承ったわけですが、アメリカ軍基地ボイラーが実はB重油を使っていまして、これは横須賀横浜だけではなくて、たとえば沖繩では、私の調査によるとB重油だけではなくて、廃油を集めてろ過しまして、それを七対三とか六対四にまぜて使っているという状況が、実は広範に、広範というよりほとんどそうなのです。アメリカは油を自給自足していますから、日本から買うことはない、タンカーから持ってきてやるわけですから。そういう点で環境汚染をかなり問題視しなければならぬ状態なのです。たとえば横須賀ケースで言いますと、大気汚染防止法による硫黄酸化物排出規制値を八倍も上回っている状況があるわけであります。環境庁横須賀について調査をなさって、いま葉計をなさっておられるようでありますが、恐らく抜き取り調査もなさっていらっしゃると思いますから、それらを含めて日米合同委員会の場所でアメリカ軍といえども、確かにそれは治外法権でしょうけれども、やはり国民の健康や生命に非常に関係のある問題なんですから、B重油並びにいま言ったような廃油燃料転換を、合同委員会を通して要求するように要請をしております。突然で恐縮ですが、その辺について長官の決意をちょっと承っておきたい。
  46. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 全く同感でございます。汚染されるのはわが国の空気であり、人命あるいは健康を冒されるのも私どもの国民でございますから、基地といえども例外ではなく、私どもはあらゆる場を利用しまして、調査の結果を見まして強く是正を求めてまいります。
  47. 渡辺惣蔵

  48. 土井たか子

    土井委員 きょう、私は自動車公害問題について、特に具体的には国道四十三号線における自動車公害問題についてお尋ねをするわけですが、まず基本的なことで一つ確かめておきたいのは、ただいま自動車の騒音の許容限度というのが、どのように考えられているかということをあらまし御説明賜りたいと思います。
  49. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 内勤車の騒音の許容限度につきましては、道路運送車両法の関係で取り締まられるということで基準が決められるわけでございますが、自動車の交通騒音というのは運輸交通公害の中で一番大きな問題でございますので、この自動車の騒音の許容限度を、できるだけ早く強化するということを従来、環境庁も国会において答弁をいたしてきたところでございますし、鋭意それを急いでおる、こういう段階でございます。
  50. 土井たか子

    土井委員 ただいまの御答弁で、ただいま、そのことに対して検討中というふうなことでございますが、橋本局長、現状は一体どういうふうに基準が決められているかということ、ひとつ御説明賜りたいのですが。
  51. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 現在の基準は、昭和四十六年に決められました自動車騒音の大きさの許容限度というのがございまして、この規制の具体的な事項につきましては、常時の問題といたしまして普通自動車、小型自動車、軽自動車及び原動機付自転車は定常走行騒音及び排気騒音は八十五ホンというような決められております。また道路運送車両法に基づきまして、その施行規則で決められております普通自動車、小型自動車及び軽自動車につきましては、三つの区分がございまして、その車両の重量によって分けておりますが、先ほどの定常走行騒音及び排気騒音といたしまして、八十五ホンに対応するものとして八十ホン、七十八ホン、七十四ホンと決められており、さらに加速走行騒音というものといたしまして、道路運送車両法では九十二ホンと八十九ホンと八十五ホンというものを、それぞれの重さに対応して決めておるというところでございます。あと、非常に細い事項がございますが、いまの許容限度の中の主なもののみを申し上げました。
  52. 土井たか子

    土井委員 許容限度について、いま御説明賜ったわけですが、いわゆる環境基準というのがございますね。自動車の騒音許容限度を考える場合に、環境基準それと要請基準というのがございますね。この環境基準と要請基準というのはどういう関係にあるのでしょう。
  53. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 まず原則的な考えだけを申し上げますが、環境基準の問題では、道路に面する地域におきましての環境基準というものが、用途地域別と時間帯別に決められておるということでございます。これは維持することが望ましい環境の条件ということで、達成目標としての役割りを持っておりまして、その次の要請基準という点につきましては、これは環境基準よりも悪い音の水準、つまり、よりやかましい水準でございますが、この要請基準を超えている場合には、都道府県知事が都道府県公安委員会に必要な措置をとるように要請をするという場合の基準であるというぐあいに私ども考えております。
  54. 土井たか子

    土井委員 ただいま、その環境基準、要請基準の中身はどういうことになっていますか。その関係はわかりました。
  55. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 まず環境基準の問題でございますが、一つの例で申し上げますと、A地域、つまり住宅の用に供せられる地域で車線が二つある道路に面するところにおきましては、昼間が五十五ホンとなっております。それに対応します要請基準の方は、第二種区域のうち、二車線を有する道路に面する区域という対応する区分がありまして、この第二種の区分は住宅の用に供せられる地域ということになっておりますが、その要請基準の昼間だけをとりますと、五十五ホンに対して七十ホンというのが要請基準になっておるわけでございます。
  56. 土井たか子

    土井委員 例をおとりになったわけであって、それがすべてでないというわけでありますけれども、そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、ただいま環境基準についても要請基準についても、値について一部分をお取り上げになって御説明賜ったわけですね。この基準値を問題にするのには、やはり測定をいたしまして基準値をクリアしているかどうか、つまり合格するか合格しないかということを常に問題にしていかなければならない。この測定についての測定方法がどういうふうに考えられているかということを、ひとつ御説明賜りませんか。
  57. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 環境基準の測定の方法でございますが、これは四十六年の五月の「騒音に係る環境基準について」ということを決めましたときに出しました「測定方法等」というのがございまして、この「測定方法は、」JIS規格による「騒音レベル測定方法による。測定結果の評価については、原則として中央値を採用するものとする。  計量単位はホン側を用いる。測定機器は、日本工業規格C一五〇二に定める指示騒音計、もしくは国際電気標準会議のpub/179に定める精密騒音計、またはこれらに相当する測定機器を用いる。」ということといたしております。また「測定場所」ということにつきましては、まず第一に「当該地域の騒音を代表すると思われる地点または騒音に係る問題を生じ易い地点を選ぶものとする。」ということにいたしておりまして、道路に面する地域という場合につきましては、「原則として道路に面し、かつ住居、病院、学校等の用に供されている建物から道路側1メートルの地点とする。」ということがございます。その下にただし書きがございますが、これは省かせていただきます。また、第四といたしまして「測定時刻」ということがやはりこの中で定めておりまして、「騒音に係る問題を生じ易い時刻を選ぶものとする。」というぐあいに書いております。そしてこの場合に「道路交通騒音の影響をうける道路に面する地域については、測定の回数を、朝、夕、それぞれ1回以上、昼間、夜間それぞれ2回以上とし、とくに覚醒および就眠の時刻に注目して測定するものとする。」となっております。  以上が、四十六年の閣議で決めれました「騒音に係る環境基準について」の事項でございます。
  58. 土井たか子

    土井委員 そこでお尋ねするのですが、いまのは測定方法全般について概要の御説明だったのですが、その中でポイントは、やはり基準値のとり方をどう考えていくかという問題だろうと思うのです。いまおっしゃったとおり中央値でそれを判断するということになっておりますが、この騒音のとり方については、上から一〇%カットをして、あと残るところの中央値を基準値として出すというかっこうになっているわけですね。つまり平均値として出すというかっこうになっているわけですね。この測定方法、つまり九〇%レンジという方法は、これは決められた当初、かなり検討された結果、そういう方法をとられたのでありましょうが、今回、自動車の騒音許容限度について中公審で鋭意、検討を進められて、近い日に恐らくは、これについての結論をお出しになるための努力を、いま払っていらしゃいますけれども、いま、この騒音のとり方について、従前どおりでいいというふうにお考えになっていらっしゃいますか、いかがですか。
  59. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 二つの問題がございまして、一つは、騒音許容限度といいますのは、一つの個別の自動車から出す問題ということでございます。これは九〇%レンジ云々の問題とは、また別の測定基準が決められているわけでございます。ですから現在、騒音の許容限度を決めるという点につきましては、まず、もっぱらその点から取り組まれておるということでございます。これは発生源対策ということでございます。  それから、次の環境の測定方法で、九〇%レンジをとることはいかがかという御議論でございますが、これは国際的に専門団体が行っておるところでございまして、いろいろの批判の声も、私も個人的には聞きますが、やはりこの点につきましては統計的な問題あるいは騒音の物理的な特性、そういう問題がいろいろ絡んでおりますので、将来の議論検討としては、非常にしなければいけない問題であるということは私は考えておりますが、直ちにこの国際的な、全体として合意して専門団体としてやられているものを、すぐさま、ここで議論をして変えるということは、これは早急に扱える問題ではないのではないかと思います。  第三の問題は、個別の許容限度と、それからその測定される環境基準との関係をどう考えているかという問題に、先生の御質問はなるのではないかと思いますが、この点は個別の許容限度を設定し、そしてそれによって、いろいろのシミュレーションをいたします前提条件、交通量とかスピードとか、そういう条件を設定いたしますと、現在かなりの精度をもってシミュレーションで、どの範囲にどれくらいの騒音が出るのかということができますので、私どもは騒音の許容限度をまず発生源で抑える。発生源でマキシムの努力をして、それをやってみると現在、問題を生じておる騒音のレベルにどれくらいな改善を加えることができるかということを、次の段階でシュミレーションとしてやってみまして、そして現在の騒音の水準と環境基準との間に、どのようなまだ今後やるべき乖離があり、努力しなければならないかということを詰めたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。
  60. 土井たか子

    土井委員 発生源対策の問題で今回、自動車の騒音についての許容限度の検討を進めていらっしやるわけでありますけれども、そうしますと、その中には、局地的に大変、自動車量が多い、恐らくこれからも、ふえることはあっても減ることはないと言われる道路事情などについても勘案されながら、いまの発生源に対して一体どれだけの騒音許容限度ということを考えていくかということは、もちろん御配慮なさるのでしょうね。
  61. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 これはできるだけ努力をしたいということの一般的な配慮には入りますが、もうびしゃり、そこの問題に応ずるような形での個別の排出限度を、そこまでまずやれるかどうか。発生源規制につきましては技術的な可能性ということが、これはどうしても避けられない問題でございますので、考慮としては入りますが、それが非常な拘束要件として、どこまで下げられるかというダイレクトの関連として議論するには、まだ無理があるというぐあいに思っております。
  62. 土井たか子

    土井委員 無理があると突っぱねられたままで中公審の方で審議をされて、そして結論をお出しになっても、どうもそれは一般の、特に大変な量の車の洪水の中であえいでいる被害者からすると、まだこれは発生源対策に十分になり得ていないのではないかというふうな批判が必ず出てこようと私は思うのですね。いま発生源対策という意味で騒音に対する許容限度をお考えになっていらっしゃる。その節少なくともいまの環境基準なり要請基準の中身が、十分に地域での、特に局地的に大変な量に悩んでいる地域での、いろいろな声に対応し切れているかどうかということも、配慮は一つはしながら、十分に取り組んでいただく必要があると私は思うのですね。  いま端的に申しますと国道四十三号線、これは御承知のとおりに上を阪神高速が高架式で走り、下に国道四十三号線が走るという二段構えになっている、大変、交通量の多い、環七と比べまして自動車公害はまさるとも劣らない。これは首都圏に遠いだけに、新聞やマスコミの取り上げ方が少ないという点で、注目は環七の方がむしろ集めている観はございますけれども、私は、被害実態からすると、この国道四十三号線の実態は大変、深刻だということを言わざるを得ないと思うのであります。そこから出る声は、環境基準というのが甘過ぎる、要請基準という中身が、実態から考えてみると、なかなかこの実態に即応し切れてないという声が、常日ごろからあるわけでありますから、今回、中公審の方で取り上げられている自動車の騒音許容限度をどう考えるかという問題は、大変に注目を集めているところでありまして、少なくとも、そういう声を抜きにして考えていただくわけにはいかないというふうに私は考えるわけですね。どうか中公審の方ではそういう声も十分に生かしていただき、実態に対しての把握を、できる限り努力を払って十二分にやっていただいて、それを少なくとも今度出される規制値の中には組み入れていただくように、これは本当に要請したいと思います。  一体、中公審の方での審議というのは、どういうふうな状態で進み、一体、少なくともいつごろをめどに規制値を出したいというふうに考えていらっしゃるか、おわかりになれば、それをひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  63. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 まず第一の点につきましての御要請でございますが、私は全くもっともなことであると思っておりまして、これは最善の努力をいたしたいと思います。先ほど私が申しましたのは、排出源の技術的な限界というのがあるということを申し上げたのでございまして、そのときに最大限の努力をするということを、私たちはいたしたいと思います。  ただ、騒音対策といたしましては、排出規制とともに今度は交通量の規制という問題がありまして、御指摘の四十三号線におきましても、部分的にはスピードであるとか、あるいは車線の問題であるとか、そういうものが行われつつあるわけでございますので、全体としましては許容限度を押さえる。それからいま申し上げましたような車線の問題及びスピードの問題、そういうものを全部、総合した場合にどうなるかということを、要請基準あるいは環境基準いずれとも照合してみて、その努力目標を明確にしながら、私どもはやってまいりたいというぐあいに考えております。  それから許容限度の設定の目標は一体どこかということでございますが、私どもはできるだけ早くいたしたいという気持ちで現在、取り組んでおるところでございますが、何とかことしのうちには実現を見たいという努力を、現在いたしておるところでございまして、それよりも早ければ早いほどよいというぐあいに思いますが、なかなか、いろいろの問題があると思いますので、私は何とか今年内で、なるたけ早い時期ということだけを、いまの段階では努力目標として申し上げられるというところでございます。
  64. 土井たか子

    土井委員 いま、はしなくも局長が言われたとおりで、国道四十三号線に限らず、非常に車両数の多い局地対策では、速度規制であるとか交通総量の抑制であるとか車線を削減していくこととか、いろいろな方策が同時に考えられた上で、総合的にこの対策を講じていくということが、私はやはり必要だと思っているわけでありますが、ひとつこの四十三号線という場所大阪と神戸の間の個所です。具体的に言うと中には尼崎市、西宮市市、芦屋市という三つの市が入るわけでありますが、ここの間において、速度規制であるとか交通総量の抑制なども含めて、現に苦慮しながら、いろいろな対策を講じられつつあるのです。きょう建設省の方から御出席の国道第一課長さんにお尋ねするのですけれども、年来、建設省の方では車線の削減というのが具体的に計画をされていたはずでありますが、具体的にいま、どのように考えられているかということを御説明賜れませんか。
  65. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 先生、御指摘の国道四十三号線は、全幅で五十メートルございまして、六メートルの歩道に十車線の車道がついているという構造になっております。現在、車線を削減するというふうに考えております地域は尼崎地区でございまして、歩道側の車線を両方一車線、合わせまして二車線でございますが、これを削減いたしまして、現在の歩道と合わせまして約九メートルの緩衝緑地と歩道にするというふうに考えております。
  66. 土井たか子

    土井委員 そのお考えは、具体的には、いつ実行なさるということになりますか。
  67. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 現在、尼崎地区につきましては、阪神高速道路を延長してつくるという計画になっておるわけでございますけれども、その工事中には、交通量を削減することによりまして、工事と削減と重なりまして交通が混雑するというようなことがございますので、そういう点で、できないところを除きまして、一部につきましては昭和五十年度より着手する予定でございます。
  68. 土井たか子

    土井委員 一部についてとおっしゃるのですが、ただいま阪神高速道路の工事とふくそうするので、大変にやりにくいという事情もこれありというふうな御説明もございました。阪神高速道路の建設というのは一体いつごろできるというふうにお思いになっていらっしゃいますか。いつごろから、その部分について着工できるとお考えになっていらっしゃいますか。
  69. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 現在、この問題につきましては、地元の住民の方たちと問題がございまして、中止しておるところでございまして、はっきり決まっておりません。
  70. 土井たか子

    土井委員 これはおっしゃるとおり見通しは立たないはずです。住民の方々が被害者の立場に立って提訴されていて、だから、これに対しては見通しが立っていないはずです。阪神高速道路の建設と同時にというふうなことになってくると、一部については五十年度とおっしゃるけれども、果したてこの一車線ずつ都合二車線の削減というのが、本当に五十年度、取り組まれるかどうかということは、不確定要素も出てくるわけです。だからその点、阪神高速道路の着工時ということに何ら関係なく、尼崎においては一車線ずつ都合二車線の車線の削減をということを、はっきりここで確認しておいていただきたいと私は思うのです。いかがです。
  71. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 全部について実施するということは申し上げられませんが、一部については実施する予定にしております。
  72. 土井たか子

    土井委員 車線の一部についてとおっしゃるけれども、その一部だけに大変に付近に自動車公害があるわけではないのですね。尼崎、西宮それから芦屋、特に騒音だけを取り上げて問題にすれば西宮が一番ひどいのですよ。私も手元に、兵庫県の方から出しております四十八年度段階を調べた四十九年に出された資料と、それからことしの六月に出された資料と、両方持ってまいりましたが、いずれを見ても西宮、芦屋、尼崎の順で騒音の中身が出ているのです。いずれも残念ながら、これは総括の部面でも、そのことははっきり書かれてございますけれども、第三種地域ですら環境基準を大きく超えているという結果が出ております。いずれの地域においても。ですから、いまほかの問題もありますよ、振動もあり、排ガスの問題もある。だから、大気汚染とか振動の問題も抜きにしては考えられないけれども、騒音という点だけからいっても、尼崎の一部だけに二車線を削減するということでは済まないはずなのです。あと残りの部分、さらに西宮地域、芦屋地域については、どういうふうなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
  73. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 西宮以西の地域につきましては、現在までに高架部分とかそういうようなところに対しましては、防音壁等の対策を実施しております。また一部につきましては植栽帯等を設けまして、環境の整備に当たっておるところでございますけれども、この部分の削減につきましては、西宮地区の状態を検討いたしまして、その後の方針を決めたいというふうに考えております。
  74. 土井たか子

    土井委員 西宮地区の状態を検討してとおっしゃっているのだけれども、四十八年段階から兵庫県では、この西宮あるいは芦屋の状態について、いかにしてこの対策を講じていくかということで、もう大変な悩みと、それに対しての配慮というものを、いままでになさってきているということも、実情はよく御存じだと思うのです。資料としても兵庫県の方で測定した結果も出してきておられるわけであります。この資料をおやりになったのは建設省の兵庫国道工事事務所も中に入って調査を実施されているわけですから、検討してとおっしゃるが、検討どころじゃない、調査の実施の一員に入っていらっしゃるわけですよ。したがって、これはいまから検討すべき問題ではなくて、すでにおわかりになっていらっしゃるはずの問題だと認識しております。  したがって、いまそういう御答弁ですから、これは重ねて言っても同じことだと思いますので、この西宮の問題、芦屋の問題、これは騒音という点からいうと尼崎と同様、あるいは尼崎より部分的に言えばひどい地域であるということを言わなければならない。したがって、これに対しても急いで対策を講ずるということを、ぜひ実施していただきたいのです。これをひとつ申し上げたいと思いますが、それについてはお約束願えますか。
  75. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 いま検討ということを申し上げたわけでございますけれども、それは車線数の削減によりまして交通容量の問題とか、またいろいろな対策をその場所に、たとえば緩衝緑地を設けるということを先ほど申し上げましたけれども、その中に防音壁を建てるというような工事も含まれるわけでございます。そういうことになりますと、これは一般道路でございますので、出入りに差し支える問題とか、あるいは直接道路に出入りすることによる利便というものが妨げられるというような問題、それから先ほど申し上げました交通容量の問題等がございますので、その辺のところに関しまして、ある程度の調査をいたしますし、また将来につきましては、通過交通は縦貫道、あるいは沿岸の工業地帯のものは湾岸道路等というようなことによって、さばいていくというような計画もございますので、そういうようなものを進めながら、いま言った交通の混雑を避ける方向で、実施可能な方向に向かっていきたいというふうに思っております。
  76. 土井たか子

    土井委員 車の絶対量というふうなものをどう考えるかということは、ふえていく車は押しとどめようがない。この車のふえていくということを大前提に道路事情を考えたら、実は切りのない話だと思うのです。いま縦貫道とおっしゃいましたけれども、この縦貫道についてはひとつ確かめてみてください。そういう通過交通という中でも、観光色の強い車種というのが恐らくはふえる、このように一般的に考えられていますよ。また、湾岸道路とおっしゃいましたが、これは夢のような話であります。いまはまだ、これから埋め立て建設をやらなければ、湾岸道路の構想も具体的にならないというときなのです。果たして、それはできることなのか、できないことなのかということもよくわからない。将来はそっちの方に振り向けていくということも考えられる。したがって、そのときになったら車の量は、この国道四十三号線では、いまよりも減るだろうというふうな考え方で四十三号線対策に臨まれたら、私は間違いだと思っています。  それならお伺いしますが、四十三号線について、それから、その上を走っている阪神高速道路について、この道路を合計して、一体、一日交通量どれぐらいと建設省は考えていらっしゃるのですか、昭和五十年において。
  77. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 約十二万五千台程度と考えております。
  78. 土井たか子

    土井委員 十二万五千台程度と建設省は見込んでいらっしゃるわけだけれども、見込み違いということがよく世の中にございまして、現状をお調べになった結果、この見込みどおりにいっているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  79. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 そのように考えております。
  80. 土井たか子

    土井委員 一回、調べてみてください。それはオーバーしていますよ。はるかにオーバーしていると私は申し上げましょう。そうしてしかも、そのほかの問題もありますけれども、私はいま騒音の問題を取り上げて、お尋ねをしているわけですから、そのことに限定をして考えても、問題は車の台数はもとより、車の中身に対して、いろいろ問題がさらにあるわけですね。大型車というのは騒音が高いです。特に重量の重い車種ということになってくると、さらに騒音は高くなる。この大型混入というのが年々ふえていっているという事情も御存じでしょうね。大体いまどのくらいというふうにお考えになっていらっしゃいますか、大型が混入している率は。
  81. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 約三〇%程度と考えております。
  82. 土井たか子

    土井委員 平均すると三〇%ということになるかもしれませんが、一時間単位で測定をしていきますと、朝、昼、晩というのでかなりの差がございますから、ひどい場合には六五%をオーバーするという数値まで出ています。ですから、こういうのを考えますと、通過交通の中には、この大型車両というのがかなりの量を占めて、しかも騒音ということを考えていくと、国道四十三号線においては、これが大きな原因になっている。この問題もひとつあわせて考えていただいて、いまの車線の削減ということを具体的にどう考えるかに取り組んでいただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  83. 坂上義次郎

    ○坂上説明員 御指摘の問題につきましては、これから削減するということの方向で、検討に入りたいと思います。
  84. 土井たか子

    土井委員 いまおっしゃたのは車線の削減ですね、わかりました。  それで、環境庁長官もお見えになっていらっしゃるので、いまの自動車の騒音に対する許容限度という問題には、先ほど局長からの御答弁はございましたけれども、具体的に発生源対策ということで、今回は騒音の規制値ということを、鋭意、努力して作業をお進めになっていらっしゃるわけですね。その中で、やはり発生源対策ということを考えていくと同時に、この発生源対策をお考えになる場合に、朝、昼、晩の時間帯からして、やはり環境基準というのがいまのままで考えられていいかどうか。それから車種によると、これは特に大型車などの場合について、通過交通というふうなことで考えていくと、特に夜間時、大変なスピードで暴走しておるものは大半は大型なんですね。長距離輸送トラックです。だから、こういうふうな実態どもあわせて考えていただいて、自動車の騒音許容限度というふうなものに取り組んでいただくということが、この節どうしても必要ではないかと思います。したがいまして、一台一台の車、つまり発生源そのものに対する騒音の許容限度と同時に、環境基準、要請基準そのものに対してのあり方、これをこの節、考えていっていただくということを、特に私はお願いしたいわけでありますが、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょう。
  85. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 大臣のお答えになります前にに、一言申し上げたいと思います。  一番大事な問題は、まず要請基準を超えておるところは、やはりそこまでどうしても下げるということが、まず第一ではないかというぐあいに考えます。そういうことで、要請基準と環境基準をまた新たに検討して見直してみるというより、何よりも先に、要請基準を超えておるところは、何とでもして要請基準に下げようということを第一に考えたいと思います。  それから、もう一点の問題でございますが、これは時間帯別に車種別に交通状態というものは、いろいろな問題があるということでございます。この点につきましては、私ども要請立場を出ないわけでございますが、これは警察の方の交通規制の問題もございましょうし、そういう点で、時間帯別、車種別の走り方の規制、速度もございましょうし、あるいはドライバーのマナーというものもずいぶん関係するのではないかということも考えますので、そのような角度から、これに取り組みたいというような考えております。
  86. 土井たか子

    土井委員 そろそろ与えられた時間が終わっているわけでありますが、そこで、あと一つだけ私お伺いして、きょうは終わりにしたいと思います。  いま、おっしゃったとおり、諸条件というのはいろいろあるわけです。自動車の騒音に対して許容限度をどう考えていくか。さらには、自動車の騒音を初めとして公害対策に対しては、どういうふうに取り組んでいくか。この取り組み方には、大型車の混入を減少させる方法として、一体、夜間時の時間規制というふうなものを考えてみてはどうかとか、あるいはトラックに対しては、このレーン以外を使用してはいけないという、いわゆるレーンを特定する方法を考えてみてはどうかとか、それから先ほど建設省の方から特にお答えをいただいたわけですけれども、車線をそもそも削減をしていく、そして交通量全体を抑えていくというふうなことを考えてみてはどうかとか、いろいろな問題があるわけですが、きょう取り上げた騒音だけではなくて、大気汚染の問題にしても、それから振動の問題にしても、これから先、四十三号線というものがなくならない限りは、この四十三号線周辺の住民の方々の生活を守りながら、四十三号線をいかにして使っていくかという問題があると思うのです。したがいまして国道ですから、この管理権は言うまでもなく国にあるわけでありますけれども、具体的にその場所で、実情を最もよく自分のこととして知り、しかも、いろいろな問題に対して、まともに被害を受け、そして具体的に対策を講ずるということに苦心をされるのは、やはり自治体だと思うのです。それは兵庫県であり、先ほど述べた市から言うと直接には三市ということになると思うのです。  そこで、特に環七と比べてまさるとも劣らない、これからいよいよ車両数がふえればふえるだけ、被害というものは深刻になっていくということが予想される国道四十三号線に対しての、これは仮称ですけれども、国、県、市の何か連絡会議といいますか総合対策会議といいますか、そういうふうなものをつくって、定期的な連絡をしていってはどうだろうかということ、このことを政府として、特に環境庁長官として、どうお考えになっていらっしゃるか。それからさらには、総理府の中では、きょうは竹岡室長に御出席をいただいておりますが、交通安全対策室長である竹岡さんはかねがね、この問題に対しては大変に熱心な人だという評価が高い人でありますので、ひとつそのことに対しての御見解も私は承っておきたいと思います。  この中には、言うまでもなく何といっても肝心かなめは四十三号線周辺の住民の方々ですから、住民の代表の方も入れて、国、県、市、住民代表の方々による連絡会議、総合対策会議というふうなものをつくっていってはどうだろうか。これは出先が県にはございますと恐らくおっしゃるだろうと思います。いままで、それでやってまいりましたとおっしゃるだろうと思いますが、出先はありますけれども、やはり本省が直接こういう問題に対して知って、具体的な施策を講じるということが直接できるような、そういう連絡会議対策会議というふうなものが、この節、必要じゃないかという段階にまで、国道四十三号線問題は来ておりますよということを実は私は申し上げたいのです。いかがでしょう、長官。
  87. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 中央でつくるのはどうかと私は思いますが、いまある連絡協議会をもっと強化したり、それから私自身、一番、騒音、振動、大気汚染に悩む人たちを守る立場でございますので、私自身がもう少し積極的に四十三号線の、いまおっしゃいましたようないろいろな諸対策、この地方の連絡協議会等の意見を十分、聞きまして、また建設省なり運輸省、警察当局とも私自身が、いろいろひとつ打合会といいますか、そういうようなものを持ちまして、よく検討しまして、どうしたら一番いいか、先ほど来おっしゃっておられるような国のいろいろな対策をどうして推進をしていくかという点を、私もひとつ十分、責任を持って考えていきます。ただ中央でそういう機関をつくるということは、いま私、ちょっと自信はございませんので、地方の連絡協議会の御意見を十分、活用しまして、それを強化する方向で、そちらの方はひとつやらしていただきたい。私自身が騒音、振動、大気汚染についての問題を特にひとつ関心を持ちまして、各省の意見もよく聞いて調整をしながら、具体的な方途を見出して解決をしていくように努力をいたしますということは、早速やりますということは、ここで申し上げておきます。
  88. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  私、個人的には前に警察庁の交通局で交通規制課長をしておりました当時から、この四十三号線の問題をよく聞いておりまして、警察としてできる限りの規制、すなわち深夜におきます車線減少規制なり速度減少規制なり、あるいは大型トラックの中心センターラインへのレーン規制ということを指示いたしたことがございますので、あるいはそういうふうにお聞きになったかと思いますが、現在、総理府交通安全対策室長という立場から申し上げますと、この国道四十三号線の問題は、まさに騒音、振動等、交通公害の問題が焦点でございますので、やはり環境行政当局が中心になられまして、道路管理者あるいは警察当局等と共同で、当然、地元の住民の意向を参照され、あるいはそれを聞かれてこの問題に当たられるべきだと思いますし、また現にそれに当たっておられると思います。兵庫県におきましても、兵庫県の県庁の環境局が中心になりまして、御承知のとおりに自動車公害対策県民協議会というような組織も設けられて、住民の意向を聞きながら関係当局が当たっておる、これは兵庫県警も、われわれも努力しておるのだということを言っておりました。総理府としましては、現在この問題でリーダーシップをとるような立場ではございませんけれども、交通安全対策室としましては、この四十三号線の交通安全等あるいは総量規制等というような問題からも関心を持ちまして、お役に立つことがありましたら、お役に立ちたいと思いますが、当面は、やはり関係行政当局中心で、関係当局がこれに協力してやっていくということじゃなかろうか、このように思います。
  89. 土井たか子

    土井委員 時間ですので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  90. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 この際、午後一時十分まで休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議
  91. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  92. 島本虎三

    島本委員 北海道の千歳飛行場の滑走路移動の問題並びにこの騒音被害の問題と、あわせて新幹線の告示以後の問題について、三点にしぼって質問したいと思います。  まず、防衛庁にちょっとお伺いいたしますが、防衛庁長官、来ておりますか。
  93. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 平井参事官が見えております。
  94. 島本虎三

    島本委員 そうすると、大臣を要求していたのに参事官が出てきて、では責任ある答弁できますか。要求しているとおり出てこないで、勝手に逃げの手ばかり打たれるのでは困るのです。平井参事官おりますか。では、大臣にかわって、はっきりした答弁申せますか。イエスかノーか言ってください。
  95. 平井啓一

    ○平井説明員 本日、委員会に大臣出席の御要求の趣でございましたが、大臣、別の所用がございまして、私、防衛庁で責任ある答弁をするようにということで出席してまいっております。
  96. 島本虎三

    島本委員 責任ある答弁の出ない場合には別途、講じますけれども、しかし、ここではっきり答えてもらいたい。  ではお伺いしますが、昭和四十八年六月、衆議院の内閣委員会で久保防衛局長が、千歳の基地に四十九年度にF4EJファントム戦闘機を配備する、これを公式に明らかにしたわけです。昭和四十八年の八月に、防衛庁は四十九年度予算概算要求の中で、滑走路南方移動計画は第一期一千メートル、第二期一千メートルに分けて、とりあえず来年度から三ヵ年計画で第一期工事を実施する方針である旨、約束されている。そして昭和四十八年九月、四月に提出した意見書を受けて、島田防衛事務次官から公文書で、千歳市長及び議長に対して、当庁としても要望の趣旨を理解して、千歳基地の滑走路を南方に移動することとし、今後、具体的計画を策定する、これを明確にしております。だとするならば、四十九年度から三ヵ年計画、すなわち、これは五十一年度に完成する、こういうことになるのでありますが、この点どうなっておりますか。
  97. 平井啓一

    ○平井説明員 昭和四十八年に、四十九年度からF4ファントムの一飛行隊を千歳に配備するということで、当時の久保防衛局長が、ただいま御指摘のような経過で方針を表示したという経緯は、私も承知しております。それに伴いまして、昭和四十九年度予算で、ファントムの千歳配備に伴いますところの地元の市当局ないし市民の皆さん方の要望にこたえて、滑走路を南方に移動することによって、少しでも千歳市街地に及ぼす騒音を軽減、緩和する方策を講じようという話し合いのもとに、四十九年度予算に、その移動に伴いますところの用地買収費ないしは調査費を計上さしていただいたことも事実でございます。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 ただ、ただいま御指摘のございました三年間というのは、当時、地元との話し合いの過程において、三年ぐらいという一つの目途としてお話し合いがあったかとは思いますが、何分にもこれは後年度の予算を伴う事業でございますので、防衛庁といたしましては三年で完成するというような、はっきりとした形でお約束していたわけではございません。ただし、そういう経過を十分、尊重しながら、できるだけ早くこの滑走路を南方へ移設する事業を完成しようということで努力してまいったわけでございます。昨年度は計上いたしました用地費予算は九千万円でございましたが、さらに年度の途中におきまして予算の流用等を図りまして、一億九千万で用地の一部買収を終わりまして、引き続き本年度、所要の用地の買収を行っているところでございます。さらに来年度、近く概算要求を大蔵省の方に提出いたしますが、この中に、さらに必要とする用地費ないしは工事費を計上いたしまして、地元の期待されている南方移動の早期実現を図るべく鋭意、現在、努力しているところでございます。
  98. 島本虎三

    島本委員 では、これは約束したのは事実ですか、事実でないのですか。同時に事実だとするならば、大臣がわざわざ千歳市に立ち寄って、それを努力するという言明を行ってきておりますね。その後、約束した覚えはない、こういうように言明が変わってきているとすると、これはちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、その辺をはっきりさしておいてもらいたい。
  99. 平井啓一

    ○平井説明員 ただいまも御答弁申し上げましたように、われわれ行政当局といたしましては、後年度にまたがる予算を必要とします事業でございますので、地元との間といえども、約束というような形というものはとるわけにいかない立場でございます。しかしながら、当時ファントムの部隊を配備するという問題を受けとめる地元のお立場として、そういう話が出ていたということは、十分われわれとしては尊重さしていただいている。そして、その御期待されている趣旨に沿うように努力するという姿勢を今日、持っている。そういう意味で御理解いただきたいと思います。
  100. 島本虎三

    島本委員 ファントム配備に対して、その騒音公害からして住民の反対が強いのです。しかしながら、それに対して、南方へ一キロ移動させることによって、それも二面を使うことによって、これは緩和できるということで、これを一応、議会が認めているのです。そしてその後、市会議長からも、また市長からも、そういうような報告があるわけです。いままでは、全部これは約束された、こういうようなことで、いま北海道議会の議員になっております前市長、それから市長になっております前助役、両方ともが、それをはっきり聞いてきて、これを議会にも報告されているのです。約束していないということになったら、これはとんでもないことになるのです。やらなくてもいいということになるのです。とんでもないです。あなた、これは約束したのですか、しないのですか。しないというならば、千歳の現市長、前市長を参考人として呼ばなければならない、こういうような問題なのです。何か皆さんの方では約束した覚えがないということで逃げようとしといるように聞こえるのです。これははっきり約束してきたと議会に報告になっているのです。どうしてそういうように防衛庁は濁らすのですか。むしろ、やれないならやれない、やるならやる、これをはっきりしなければならない問題じゃありませんか。やるとするならば、三年間で予算は幾らかかるのですか。予算の積算ができているのですか、そこもはっきりしてみてください。
  101. 平井啓一

    ○平井説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、約束というのを私、非常に慎重な意味で受けとめて御答弁申し上げているわけでございまして、後年度に負担のかかる事業です。そこで形の上で約束ということを、はっきりとするわけにはいきません。しかしながら当時お話し合いの過程において、そういう地元の御要望が出ていたということを尊重して、そういう期間で努力をしよう、したがって先ほどの事務次官から地元に差し上げた文書の中にも、そういう趣旨のことが記載されておるわけでございます。  そして昨年度の初年度といたしまして、たとえば昨年度におきましては、この滑走路を移動するために南方地区において四十五ヘクタールの用地が必要となってまいりますが、そのうちの約三分の一弱、十三ヘクタールの……。
  102. 島本虎三

    島本委員 ちょっと答弁、同じことをくどくど繰り返してもだめです。言っていることだけ要領よくやってください。そうでなければ大臣を呼んでください。だめです。そんなのは。
  103. 平井啓一

    ○平井説明員 ただいま、そういう心構えで、どういう予算の執行を今日までしてまいり、今後どういうふうに実施していくかということを御答弁申し上げようと思っていたわけでございまして、すでに昨年度におきまして、用地は約三分の一弱の買収を終わり、本年度も引き続き用地の買収を行っていきます。  それからアラートハンガー、これは千歳市街地に一番近い北端にありますものを、南方に滑走路に移動するという前提のもとに、約七億の予算でもって現在、南の方にそのアラートハンガーの建設工事を実施中でございまして、これも本年度に完了いたす予定でございます。したがって、昨年度、本年度を通じまして、約十二億の予算をこれに投入することになります。  さらに、あと滑走路工事とか保安管制施設あるいは照明設備工事、そういった工事等を含めまして、約四十六億の予算を必要といたしますので、先ほど御答弁申し上げましたように、来年度概算要求の時期でもありますので、こういった点を踏まえながら、来年度の概算要求の中にこの問題を十分反映させていくべく、現在われわれは作業に努力している、そういう状況でございます。
  104. 島本虎三

    島本委員 とにかく、丁寧な言葉を使わなくてもいいから、イエスかノーか、はっきり言ってください。  そうすると、三年間でこれは完成させるということは、約束しないけれども、そういうような趣旨に沿って努力しているのだというのだが、約束しないのになぜ努力するのですか。はっきり約束したと議会に報告されているのです。だから、そうでないならば、お二人を参考人に呼びなさいと言っているのです。  それを完成するまでファントムの飛行機を飛ばせない、こういうふうに当然、住民から要求が出ているはずです。それを知っていますか。知っているか知っていないか、それだけでいいですよ。
  105. 平井啓一

    ○平井説明員 そういう御趣旨のことを、先般、市長等が上京されたときに述べられたという事実は承知しております。
  106. 島本虎三

    島本委員 それなのに現在、配備しているのは、小松の飛行場から、そこに反対運動があって行けないので、全部持ってきて、三十四機配備訓練中だ、こういうようなことですが、それも事実ですか。
  107. 平井啓一

    ○平井説明員 千歳の飛行場に現在ファントムが三十四機存在しているという点と、それから第二航空団の三百二飛行隊の定数ないしはそれに必要とする通常予備機以上に配備されているのが、小松に持っていく予定の第三百三飛行隊のファントムであるということは事実でございます。
  108. 島本虎三

    島本委員 十八機の移駐配備でさえも騒音公害がうるさくてどうにもならないのに、三十四機配備して訓練している。当然これも千歳市の了解なしに勝手にやっていることでしょう。自衛隊はこういうふうに住民を欺いてもいいのですか、うそを言ってもいいのですか、了解を得ないでこれを勝手にやってもいいのですか。この問題についてどう思っていますか。
  109. 平井啓一

    ○平井説明員 自衛隊が管理しております全国の各飛行場におきまして、それぞれ、そこにおります部隊が所有しております航空機の定数と、それから、それ以外の予備機ないしは工場修理待ちの待機機、そういったものと、それ以外に全国の各航空自衛隊飛行場基地を所要に応じて移動する航空機、そういった運用の形態もございまして、ある特定の飛行場において、絶えず一定の航空機以上のものは存在しないというような運営の状態というものが、限定的にあるわけではないわけでございます。ただし、御指摘の千歳につきましては、そういった通常、考えられる航空機の増加数以上のものがあるという現状は事実でございまして、これは御指摘のとおり小松に配備できない航空機がそこに存在しているということで、この点は先般も千歳市の方にも、そういった事情は御説明いたしました。  それから、それだけの航空機がやむを得ず千歳に配置されてはおりますが、千歳飛行場における航空機の運用につきましては、周辺に対する騒音等の問題も考慮いたしまして、飛行機がふえたからといって、飛行時間、飛行回数がふえるというようなことのないように十分、配慮しておりまして、したがって昨年来、今日までの状況を見ましても、管制回数等におきましても、特に航空自衛隊の航空機の管制回数が、そのためにふえているというような実情にはないと承知しております。
  110. 島本虎三

    島本委員 委員長、注意してやってください。答弁が長過ぎるし、よけいな答弁が多い。  十八機、移駐配備するというのに、三十四機もある。小松から持ってきている。こういうのもはっきりしているのです。了解を得なかったのは悪いと謝っているでしょう。なぜ、そうしたということをはっきり言えないのですか。もうあなたは不信任だな。十八機持ってくるということを、これは約束されているのです。それを三十四機持ってきている。騒音公害のないようにあなたは努めていると言う。これは四十九年の十一月、一ヵ月の調査ですが、一週間単位でWECPNLが九十、九十二、九十四、九十四と、一ヵ月平均九十二、瞬間最大値は、十一月十六日の十時から十一時までの一時間で百十七ホン、午後から百十五ホン。百ホン以上の記録が三十日中二十一日、通算二百七十回。これは環境庁、航空機騒音の環境基準を千歳空港に当てはめて、一体どういうふうなことになるのですか。千歳空港に限って、こういうような殺人的な騒音の記録、これがいまの答弁ではさっぱりないと言う。市の方の調査ではこういうふうになっている。これは環境庁、一体どうなんですか。
  111. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 航空機騒音につきましては、四十八年十二月二十七日に航空機騒音に係る環境基準を制定いたしたわけでございますが、そのときにこの自衛隊の問題につきましては、「自衛隊等が使用する飛行場の周辺地域においては、平均的な離着陸回数及び機種並びに人家の密集度を勘案し、当該飛行場と類似の条件にある前項の表の飛行場の区分に準じて環境基準が達成され、又は維持されるように努めるものとする。」という形になっておりまして、この飛行場の類型に準じてやっていくというような方針になっておりますので、できるだけ騒音公害を少なくするような努力が払われるというように、環境庁としては考えております。
  112. 島本虎三

    島本委員 防衛庁、そのようにできるのですか。
  113. 平井啓一

    ○平井説明員 ただいまも環境庁の方から御答弁ございましたように、昭和四十八年十二月の航空機騒音に係る環境基準は、自衛隊におきましても当然この告示の趣旨を尊重し、これに示された環境基準が達成され、維持されるように努力しなければならないという姿勢をとっております。  そこで現在、防衛庁におきましては、防衛施設庁が主体となりまして、各自衛隊の飛行場周辺の航空機騒音の実態というものを、先ほども言葉に出ましたWECPNLという基準でもって、コンターと称しておりますが、音の等高線がどういうふうに引かれるか、そういった作業をやりまして、これは千歳に関しましては、すでに昭和四十八年度にその実施が終わっております。それに基づきまして、それぞれのコンターの範囲の中で、まず周辺の対策として、どういうものを実施していくべきかということで……(島本委員「よけいなことを言わぬでもいい。この問題に対してどう思うか聞いているのです。防衛庁とはそんなところか」と呼ぶ)その御趣旨で御答弁申し上げているわけでございますが、そういうことで周辺の対策防衛施設庁として、ただいま実施の努力をしている。それ以外に、こういった航空機騒音の環境基準が維持されるために、周辺対策だけではなくて、航空自衛隊自体としても運航の対策発生源対策、そういったものも努力する必要があるわけでございまして、たとえば先ほど御指摘のような、南側に滑走路をずらすということも、こういった問題の一環であるということで、努力しているわけでございます。
  114. 島本虎三

    島本委員 これはもうすでに殺人的な騒音を記録している。これをやっているのは市当局のデータだ。市当局のデータによって、これをもう五年以内に達成できますか。室内で六十五、これだけのものにできますか。だんだんよけいになってきているじゃありませんか。もし達成するというならば、南の方へ完全に移動し終わるまでファントムは飛ばしてはならないことになる。飛ぶとこういう数字が出る。いま言ったのが本当だとするならば、完成するまで飛ばしてはならないということになりますが、飛ばしませんね。
  115. 平井啓一

    ○平井説明員 千歳飛行場におきます航空機騒音に関しましては、自衛隊の航空機だけではございませんで、民間航空の共用の飛行場にもなっております。騒音というものを、そういった意味では全体的にとらえる必要があると思います。したがって、直ちにここでファントムをやめるかどうかということについては、私としては御答弁申しかねますが、しかしながら先ほど来、御答弁申し上げておりますように、環境庁の示された告示の線に沿って、その達成期間を尊重しながら、達成基準というものを実現していくという努力を、まず傾けるべきであろう、そういうふうに私は考えます。
  116. 島本虎三

    島本委員 努力を傾けるべきである、傾けてできなかったら、どうなるのです。
  117. 平井啓一

    ○平井説明員 これは具体的には、周辺対策防衛施設庁でいま年度計画等を考えておりますが、できなかったらという仮定の問題はさておきまして、いま少なくとも防衛施設庁が五年間で、そういった室内六十五というレベルに、たとえば個人住宅の防音等を重点といたしまして、達成すべく計画を立てながら、すでに千歳におきましては全国に先がけて、まだ戸数は少のうございますが、個人住宅の防音を本年度当初に実施したという実例もございますので、そういった点を踏まえながら努力していく、そういうことで進めたいと考えております。
  118. 島本虎三

    島本委員 あなたの答弁はさっぱり私は理解できない。  それならば八月の中旬に恵庭、千歳で、第二航空団の大演習の計画があるということですが、これはどうですか。
  119. 平井啓一

    ○平井説明員 恐らく御指摘の点は、千歳におりますファントムが、島松演習場におきまして初めて対地射爆撃訓練を行うために、従来は104が行っておりました訓練でございました対地射爆撃訓練を、ファントムが行うということを、地元に御通知申し上げたことを御指摘されているのだろうと思いますが、御指摘のような大規模な演習というものではなくて、ファントムの演習をこれから始めさせていただくということで、しかも当初の間は、ファントムとして初めての対地射爆撃訓練でございますので、慣熟飛行から始めていく、そういうふうな計画でございます。
  120. 島本虎三

    島本委員 では、これは演習じゃないのですか。騒音比較飛行なのですか。これはどっちですか。
  121. 平井啓一

    ○平井説明員 演習ではございますが、大演習ではございません。
  122. 島本虎三

    島本委員 演習だけれど大演習ではない。その規模と、それから内容はどの程度ですか。それから、その被害は十分、考えていますか。
  123. 平井啓一

    ○平井説明員 ただいま計画しておりますのは、八月に十一日から十四日とそれから二十日から二十二日、天候によって多少の変更はありますが、それぞれ三日間ずつ、ファントムが二機編隊で一日、二ないし数回、島松の演習場におきまして対地射爆撃訓練の、まずコース等を覚えさせるために、どうも英語になりまして失礼でございますが、射撃訓練のパターンを覚えさすための訓練を八月、二回行います。これは実弾の射撃は伴いません。それから九月以降におきましては、具体的な日程は未定でございますが、二十ミリ機関銃、ロケット弾等の実弾を使った訓練を島松演習場で行っていくわけでございますが、これは従来から千歳飛行場に配備されておりました104の飛行隊が行っております訓練と同様の訓練でございます。
  124. 島本虎三

    島本委員 よく聞いておいてくださいね。その規模内容と、その被害実態も十分に調査してありますかというのですが、どうして一回、一回言われなければ、はっきり答弁してもらえないのですか。被害実態も十分調査してございますか。
  125. 平井啓一

    ○平井説明員 島松演習場におきます対地射爆撃訓練に伴いますところの被害というものをとらえますとすれば、一つは、その上空を通過するための航空機の騒音の障害であろうと思います。それから第二番目は、島松演習場の着弾地に弾を撃ち込むことに伴いまして生じる可能性があるであろう地形等の形質変更、あるいはそれ等に伴いますところの土砂等の流出というような障害、そういった点であろうと思いますが、いずれにいたしましても、これはファントムが今回、飛ぶことに伴う被害ということよりも、従来から104の対地射爆撃訓練を長く実施してきております。それに伴いまして全然、被害がないとは私は申しません。当然、生じております被害につきましては、地元の皆さんと十分お話し合いをさせていただきながら、防音の工事とかあるいは土砂の流出を防ぐための砂防堰堤の工事とか、そういった種々の対策は講じさせてきていただいております。今後もそういう点で対処していくことになろうかと思います。
  126. 島本虎三

    島本委員 そういう演習の計画であることはわかりましたが、二航団の騒音比較飛行を実施するのだ、こういうようなことも言われているのですが、施設庁、これに対しては、はっきりした態度住民の説得、騒音の比較、こういうようなものをやるのですか、やらないのですか。
  127. 銅崎富司

    銅崎説明員 実際にファントムが飛びましたときに、104とどういうふうに違うかということは、調査したいと思います。
  128. 島本虎三

    島本委員 いままで騒音公害の問題に絡んで、ファントムの騒音は全然、調査していないのですか。
  129. 銅崎富司

    銅崎説明員 これは、ある一定の条件でファントムと104が離陸したとき、通過したとき、着陸したときということで測定した数値はございます。それから本年の七月八日に百里基地で、同じようにファントムと104につきまして、離陸のとき、通過のとき、着陸のときということで比較した数字は持っております。
  130. 島本虎三

    島本委員 防衛庁と、その被害に対する補償を受け持つ施設庁、防衛庁に対する裏表、そういうような調査、これでいいのかどうか。環境庁長官、周辺には道営の広島団地を持っているわけです。広大な団地があるのです。当然これは原因者である施設局の手を借りるより、北海道なり公共機関で、これを実施するのが本当ではないですか。これに対してどう思いますか。
  131. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 大臣がお答えになります前に一言申し上げますが、防衛庁の関係の航空機騒音の問題につきましては、法律的にも体系もはっきり決まっておりますし、また、原因者としての防衛庁がこれを調べるということが、基本の原則であるというぐあいに私は考えております。地元自治体として、どのような協力を要望するかということは当然あり得ることだと思いますが、基本的に防衛庁自体がやるということは、当然の義務であると思います。
  132. 島本虎三

    島本委員 当然であると、環境庁までそれを言うのだね。  もう一つ、では変えて、この滑走路移動予算は総計幾らになるのですか。くどくど言わないでいいですから、その数字だけちょっと雷ってください、防衛庁。
  133. 平井啓一

    ○平井説明員 先ほど御答弁申し上げました四十九年度−五十二年度で約十二億、それから、あと後年度で四十六億ほどでございますので、合わせまして約六十億の予算というふうに試算しております。
  134. 島本虎三

    島本委員 そうすると、南方へ一千メートル移動すると苫小牧市にかかりますが、苫小牧市の承諾はありますか。
  135. 平井啓一

    ○平井説明員 滑走路を南方に千メートル移動した場合に、滑走路部分は苫小牧市にかからないわけでございます。計器誘導等の装置を設置します部分がかかるわけでございまして、この点につきましては、苫小牧市の方とも十分、話し合いをさしていただきながら、御了解を得たいと目下、努力しておるところでございます。
  136. 島本虎三

    島本委員 この予定地に文化庁の埋蔵文化財の指定を受けている場所があると聞いていますが、着工以前に発掘調査が当然必要なわけであります。これについてはどのようにお考えですか。
  137. 平井啓一

    ○平井説明員 最近、重要文化財の法律の改正に基づきまして、埋蔵文化財に関する手続等が非常に慎重になってまいりました。特に御指摘のように、あの地域におきましては、古代アイヌでございましょうか、静内中野式の縄文土器等が発見されているという事実もございますので、こういった点につきましても、その地域に関しまして道及び千歳市の教育委員会等とも十分な調整を図って、工事等の手続を進めていきたい、そういうふうに考えております。
  138. 島本虎三

    島本委員 五十一年度までにこれが間に合わないでしょう。三ヵ年間でこれをやるという約束をしておいて、重要文化財、これがもうすでにその場所にある。五十一年度までに間に合うのですか。
  139. 平井啓一

    ○平井説明員 その南方移設の当該場所にあるかないかは、まだわからないわけでございます。したがって、そこらのところを十分、調整をさしていただきながら、慎重な工事を、しかも、できるだけ早く進めさしていただくように努力したいと考えております。
  140. 島本虎三

    島本委員 五十一年度までに間に合いますか。
  141. 平井啓一

    ○平井説明員 問題は、その埋蔵文化財に関する手続上の問題等が、どういう形で出てくるかによりまして、不測の事態が生じる可能性が全然ないというわけではないと思います。
  142. 島本虎三

    島本委員 当然あるわけです。したがって、その場合にはファントムを飛ばさないのが一番、住民のために防衛庁としてもこたえる道なのです。そういうようにして移設がおくれてくる場合には、当然ファントムを飛ばさないという方法が一番いいわけです。それも考えていますか。
  143. 平井啓一

    ○平井説明員 ファントムを飛ばさなければ、それだけ音が出ないわけですから、確かにいい方法ではあるわけですけれども、しかし、そういう埋蔵文化財の問題というものが、この工事の問題にひっかかりとなって、工事がおくれるということにつきましては、これは防衛庁側独自の責任の問題というよりも、より客観的な問題でございますので、この点につきましては、そういった問題が起こりましたときは、地元の皆さんにも、そういった事態についての十分の御理解を得ながら、問題を解決していきたい、そういうふうに考えます。
  144. 島本虎三

    島本委員 あなたは私、不信任ですよ。あなたの答弁聞いていると腹が立つのです。言葉ばっかりで。五十一年まで、できるかできないか、住民とも話し合っていく、これはできないのです。だから飛ばすなと言うのです。それを飛ばすか飛ばさないか、のらりくらり。自衛隊の基地、これは治外法権ですか。
  145. 平井啓一

    ○平井説明員 治外法権ではございません。
  146. 島本虎三

    島本委員 市議会が超党派で、自民党の市会議員の中には自衛隊出の人が多い。これらの人もまじって、全部これを五十一年まで完成しなければ飛ばすなと言っておるのです。こういうふうに、それは議会で満場一致で決まっておるのです。住民と合意を得てやる、どういうようにしてやるのですか。向こうの方では満場一致で決まっているのです。合意を得る方法を具体的に言ってください。
  147. 平井啓一

    ○平井説明員 そういった点で、来年度の予算の概算要求にも、地元の御期待なり御意向というものを十分、尊重しながら、防衛庁としての姿勢を打ち出し、そういったことで、防衛庁としての態度を地元の皆さんに理解していただく、そういった形で問題を解決していくということを、当面の問題として考えておりまして、三年間でできるとかできないとかという問題は、いまの時点で考えるよりも、まず、その趣旨に合うように努力するという姿勢を示すことの方が大事であろうということで、現在、努力しているわけでございます。
  148. 島本虎三

    島本委員 騒音公審と住民の環境権、環境を守るため、こういうことで、南方移設を五十一年までに完成させるというようなことを約束している。五十一年までにやるとするならば、残余の予算約六十億、これは当初の予算は九十五億でしょう。いろいろ六十幾らとか言っていますけれども、残余を一回につけてでも、これはやらなければできないのです。できなければ飛行を中止させればいいのです。それ以外には絶対応じない、これがもう市会の決定です。これも満場一致の決定です。そうでなければ飛ばすな、これを言っているのです。これに沿うことが合意なのです。第一やらないのだから。一体これに対してどうなんですか。  議会開会中は、ファントムが飛べば議事を中止するのですよ。マイクを入れていて声が聞こえなくなるのですよ。それが十八機が三十四機になっているのですよ。もうすっかり自衛隊不信なんです。議会は全部こぞって満場一致で、これを決議しているのですよ。これに沿うことが合意じゃありませんか。そうだったら飛ばせないということになるじゃありませんか。どういうようにして、ではあの議会をねじ伏せるつもりですか。
  149. 平井啓一

    ○平井説明員 ただいま御指摘のような線に沿うように努力するつもりでございます。
  150. 島本虎三

    島本委員 ではそれは、残余の予算を一挙にして取って、五十一年まで完成させる、このことですね。
  151. 平井啓一

    ○平井説明員 残余の予算につきまして御指摘のありました数字、先ほど私が答弁申し上げました数字と、ちょっと取り違えられていると思いますので、その点だけ訂正させていただきますが、残余の予算は四十六億でございます。そういった点を考えまして、来年度の概算要求に、そういう姿勢を示すように現在、努力しているという状況でございます。
  152. 島本虎三

    島本委員 もし取れなければ飛行は中止する、演習も中止する、このことですね。これをはっきりしてください。
  153. 平井啓一

    ○平井説明員 飛行停止の問題は、その時点で改めて考えさせていただきたいと思います。
  154. 島本虎三

    島本委員 当然、演習や飛行は停止すべきである、約束を実行しないのだから。こうなりますが、その時点で考えるにも、そういうような道義的な背景で考えるのですね。それでも強引に飛ばすということを前提に考えるのですか、その辺を少し明確にしておいてください。
  155. 平井啓一

    ○平井説明員 大変、明確にしにくい問題でございまして、その時点におきまして、やはりわれわれのいろいろな努力の実態というものを、地元の皆さんに御理解いただきながら、その中で問題を円満に解決をしていきたい。  防衛庁といたしましては、あそこに航空自衛隊の飛行隊を配備しておるのは、やはり国の防衛のために必要な任務を付与して配備しておるわけでございますから、これはやはり一日といえどもゆるがせにすることはできません。しかしながら御指摘のように、地元のお立場も私ども十分に理解できます。そういった問題を、地元の期待に沿うように解決していくという、われわれの努力の姿勢というものを、いかに理解していただくかということの中から、問題を円満に解決していきたい、そういうふうに考えます。
  156. 島本虎三

    島本委員 ではもう少し具体的に言おう。いまのような状態の中でできるのは、緊急発進の夜間就寝時の飛行、これは当然、中止すべきである。市街地等の上空の旋回、こういうようなものは当然、中止するのが常識ではありませんか。これはそのとおりにしますか。
  157. 平井啓一

    ○平井説明員 スクランブル、緊急発進を中止しろという意味ですか。
  158. 島本虎三

    島本委員 スクランブルの緊急発進の夜間の就寝時の飛行、こういうようなものに対しては十分、考え、中止をする。それと市街地の上空で旋回はさせないようにする。こういうようなことは当然、考えられることですけれども、これは受け入れられますかというのです。
  159. 平井啓一

    ○平井説明員 現在もう千歳の第二航空団におきましては、そういった御指摘の点を十分、構えまして、午前七時から午後十時までの間以外の夜間の飛行につきましては、緊急の任務以外は飛行をしないことにしております。しかしながら、スクランブルに伴いますところの緊急発進は、これは国の防衛上欠かすことはできないわけでございますので、この問題までを中止するというわけにはまいりません。  それから、市街地上空等をできるだけ避けて離着等の飛行を行うという運航の改善努力、こういった点も従来から行っておりますが、さらに、そういった点につきましては、現地段階におきましても直接、運営の任に当たっている第二航空団等におきまして、今後とも一層の努力を図っていくようにしたいと思います。
  160. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 島本さん、結論を願います。
  161. 島本虎三

    島本委員 騒音指定区域の住民には、昭和三十九年度からテレビやラジオの受信料が控除されているわけです。当時はF86だけだったわけです。最近はF104とファントムの騒音被害、こういうようなものが広がってきておる。当時の二・五倍になっているわけであります。そうすると当然この区域を拡大すべきではないかと思いますが、減免の区域の拡大に対して、どのようなお考えを持っていますか、郵政省。
  162. 田代功

    ○田代説明員 NHKの受信料の免除につきましては、NHKが受信料免除基準を定めまして、その基準に基づいて免除することになっております。現在は飛行場周辺の一定の範囲を基準といたしまして、これに騒音の程度あるいは地況、集落の状況などを勘案して、NHKが具体的に定めることとしております。ただいま御指摘の千歳につきましては、防衛施設庁等の協力を得まして、さらに実情調査するようNHKに要請したいと思います。
  163. 島本虎三

    島本委員 防衛庁も一回ぐらい、そういうように答弁してみればいいのですよ。どうも防衛庁の答弁は、昔からそうですけれども、全然、当てにならない。  それで、もう時間が来ているわけでありますけれども、特に防衛庁に要請いたしますけれども、こういうような場合、約束しておって、約束しない、しかしながら努力をする、話し合いの中だけだ。恐らくこういうようなことをやったならば、これは一層、不信を買います。いままで言ったことはすぐ実施して、そして、もし実施しなければ演習はやめる、こういうような強力な決意を長官に伝えておいてほしい。この実態によっては、この問題はこれで終わったわけではございません。ただ残念ながら時間が来ておるので、一応これをやめるということだけです。  それから次に、観光公害について、ちょっと伺いたいのです。  最近、国定公園、国立公園、こういうような中では、観光公害がなかなかひどくなっている。上高地の観光公害については去年、対策をはっきり示し、これによって実施しているはずであります。  最近、北海道では、いまシーズンでありまして、七月から八月にかけて一日、二、三万ずつ、ニセコ積丹小樽国定公園の中に観光客がわんさわんさ入っているわけです。そして中にはプロ的な者が、観光客ということで、沿岸漁民の畑であるいそに、アワビ、こういうようなものを盗みに入っているわけです。そして監視人が発見するとモーターボートで逃走する、こういうような事態が発生しているわけです。それがまた暴力団の資金源になっている、こういうようなことさえ言われているのであります。警察庁は、この点は御存じですか。
  164. 四方修

    ○四方説明員 ただいま御質問の点については、われわれの方も承知いたしております。
  165. 島本虎三

    島本委員 それに対して対策をどういうふうにしていますか。
  166. 四方修

    ○四方説明員 地元の小樽それから岩内それから余市各警察署におきまして、それぞれ期間は違いますけれども、一ヵ月ないし二ヵ月の長期にわたりまして、五名あるいは十名以上のプロジェクトチームを編成いたしまして、民間の協力も得ながら、海岸地域のパトロールを実施いたしております。
  167. 島本虎三

    島本委員 パトロールを実施しながらも、これはなかなか守られておらない。最近、沿岸のアワビの被害が膨大なものになっている。水産庁、調べてございますか。
  168. 松下友成

    ○松下説明員 先生、御指摘の点、北海道庁から事情を聞いております。
  169. 島本虎三

    島本委員 被害はどれくらいになっていますか。
  170. 松下友成

    ○松下説明員 余市周辺におきまして、アワビその他の被害があるということは伺っているわけでございますけれども、確定した被害額については存じておりません。
  171. 島本虎三

    島本委員 警察庁で調べておりますか。
  172. 四方修

    ○四方説明員 密漁一件当たりの漁獲高が七キロ前後ということは、警察の方でつかんでおりますけれども、全体の被害額がどれだけになるかは把握いたしておりません。
  173. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 理事会で申し合わせの時間です。(島本委員「大事なところですから」と呼ぶ)ちゃんと二十分待ったのです。それは理事会の申し合わせですから、大事なことはわかっていますけれども……。では、それだけ許します。
  174. 島本虎三

    島本委員 それで漁民がせっかく養殖しているアワビを、観光シーズンになると大挙、観光の名目で入り込んで、そして昼はアクアラングで潜水して、それをきちっと確かめておいて、夜になると今度、海中照明灯を持って密漁する、こういうのがいま横行している。そして発見されると、そのままモーターボートで水上へ逃げ出してしまう。こういうようなことが繰り返されておって、一つ大きい問題になっているのです。これは観光客の遊泳地、場所を指定してやるのも一つの方法、またマイカーの乗り入れを禁止するのも方法。警察は監視を強化しているようでありますけれども、一たん海へ逃げてしまったら、やはり保安庁あたりがきちっとして、これらの対策をするのでなければならないはずでありますが、そういうような点では緊密な連絡をとってやっておられますか。警察並びに地域住民、漁業協同組合、保安庁、こういうようなのは保安庁、どうしていますか。
  175. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁といたしましても、先生、御指摘のようなアワビの密漁等が考えられるということで、七月から八月にかけまして、警察庁等と十分に相談をいたしまして、巡視船のパトロールその他の警戒取り締まりを行っております。
  176. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 木下元二君。
  177. 木下元二

    ○木下委員 私は瀬戸内海埋め立て問題について伺います。  愛媛県西条地区の東予港内の公有水面埋め立ての免許につきまして、去る七月三十一日に運輸大臣の認可があり、これに基づいて愛媛県知事はこの埋め立てを免許いたしました。なお、環境庁長官も公有水面埋立法にのっとり、この埋め立て免許の認可を了承する旨の意見を述べられております。この埋め立ては一号地、二号地さらに、その東側を三ヵ所に分れておりますが、一号地百四十八ヘクタール、二号地百七十七ヘクタール、いずれも西条市を出願者とするものであります。一号地の東側二十六ヘクタール、これは住友金属鉱山を出願者といたしております。合計三百五十万八千四百十一平方メーター、約三百五十ヘクタールという埋め立てであります。甲子園球場の九十倍という最大級の埋め立てであります。しかも瀬戸内海臨時措置法施行以来、初の大規模埋め立てであります。しかもこの埋め立ては、特に規制をされる指定海域での埋め立てであります。これに対しまして、どのような裁断が下されるか注目されていたのでありますが、結局ゴーのサインになったのであります。  そこで、まず運輸省に伺いたいのでありますが、公有水面埋立法所定の縦覧や市町村長の意見聴取を含めて、手続は適正にやられたのでしょうか。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 服部経治

    ○服部説明員 公有水面埋立法に基づきます諸手続は適正に行われております。
  179. 木下元二

    ○木下委員 市町村長が意見を述べるに当たりましては、市町村議会の議決を必要といたします。これは公有水面埋立法三条一項、四項によりまして規定されております。本件では西条市の市長の意見が求められて、そのために市議会にかけられました。そのかけられた議案というのは手元にあるわけであります。議案書それから「「議案第一号  公有水面の埋立てについて」に関する資料」というものが出されております。市議会にかける議案は、一体この程度のものでよいのでしょうか。これはもう実に簡単なものであります。この議案書は、埋め立て区域、面積、用途、概要、工事の期間、こういったことが書かれておりますが、その議案についての資料というものも、これは免許願   そのほか数点の書類でありまして、薄っぺらなものであります。ここにありますが、一体この程度のものでよいというふうにお考えなのでしょうか。
  180. 服部経治

    ○服部説明員 ただいまの御質問でございますが、本件の免許権者でございます愛媛県が、地元、西条市の本件埋め立てに関します意見を聴取いたしました場合に、その西条市の理事者側が市議会に提出した資料の中身のことと理解してよろしゅうございますか。——どの程度の書類を市議会に提出すべきかということは、もっぱら、その理事者側の判断にゆだねられているというふうに、私どもは現在、考えてございます。
  181. 木下元二

    ○木下委員 理事者側が判断するにいたしましても、市議会でこの環境問題、瀬戸内海汚染の問題について、もっと実のある充実した論議ができるようにするべきだと思うのです。それとも、もうこの法律が、そういうふうに市議会で議決をして市長が意見を言う、そういうたてまえになっておるから、形だけやればよいというふうに考えておられるのですか。そうではなくて、やはりその法律の決めた趣旨は、十分に議論を尽くして意見が述べられるように、こういう趣旨だとすれば、これは余りにもお粗末だと思うのですよ。この点について、どうお考えなのかを聞いているのです。
  182. 服部経治

    ○服部説明員 いま問題になっております埋立法上の手続が、形式的なものであっていいと私ども考えておるわけではございませんで、まさに先生、御指摘のとおり、市あるいは住民のサイドから見まして問題になる諸点が十分、究明されるような形で、市議会も意見が求められるべきであるというふうに私ども考えております。ただし、その西条市議会におきまして、どの程度の議案書が提出され、それに対して、どういう質疑があったかというところまでは、私ども、つまびらかにはいたしておりませんし、これはもうばら西条市の理事者側と、それから市議会、両当事者の間で判断され、決められるべき問題ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  183. 木下元二

    ○木下委員 この資料として市議会に出ましたのは、いま申しますように願書と、そのほかには資金計画書、処分計画書、簡単なものであります。それから図面が二葉、それと環境問題につきましては、たった一枚、一ページです。「主要環境質の現状及び将来目標との対比表」という表が一ページくっついているだけなのです。こんなことでは、市議会で環境問題、公害問題について論議することすら、とてもできない、そういう形で進んでいるのです。これで一体、手続が適正に進んだと言われるのでしょうか。  さらにもう一つ、これは伺いたいのでありますが、この埋め立て問題を調査をするために、私も七月二十八、二十九日に現地に行ったのでありますが、地元の新聞を見ますと、出願書の訂正があったと報道をいたしております。市議会の事務局長の言によっても、その訂正がなされたことを認めております。ところが、私どもが七月二十九日に愛媛県の県庁に赴きまして、県の港湾課、公害課の担当者に聞きますと、出願書の訂正などは一切なかったと断言をしておるのです。県の態度は総じて事実を押し隠す秘密主義が露骨でありましたけれども、一体この出願書の訂正の点はどうなんでしょうか。県が言っておるとおりなのでしょうか。
  184. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生は出願書の訂正というふうにおっしゃったと思いますけれども、私ども承知いたしておりますのは、県当局が、出願者である西条市に対しまして、出願書の内容の補足説明を求める補完のための書類の提出を求めたというふうに承知しております。
  185. 木下元二

    ○木下委員 西条市に対して県が補足説明を求めて、補足説明が出た、これだけですか。
  186. 服部経治

    ○服部説明員 手続規定の非常に詳細な中身にわたりますので、担当の調整官からお答えをさせます。
  187. 木下元二

    ○木下委員 私、詳細なことを聞いておるのではないですよ。その出願書の訂正があったかどうか、この一点、聞いておるのですよ。その訂正の中身については聞いておりませんよ。訂正があったかどうかだけですよ。
  188. 服部経治

    ○服部説明員 公有水面埋立法は先般、改正を見たばかりでございますが、この西条市の埋め立て事案というのは、旧法施行時におきまして出願された事案でございます。この旧法時代の出願書に対しまして、これを新法下における適法、適正な申請書に補完するための補完を命ずることは可能な法のたてまえになっております。
  189. 木下元二

    ○木下委員 いや、旧法のときに出願されたということはありましょうけれども、それと別に西条市の方が新法に基づいて出願をしたのではありませんか。その新しく出願をした分についてのことを、私は聞いているのですよ。
  190. 服部経治

    ○服部説明員 先ほどの答弁の繰り返しに近いわけでありますが、公有水面埋立法が改正されまして、いわゆる新法という形で施行されましたのが四十九年の三月でございます。西条市から本件の出願がございましたのは四十九年の一月でございます。
  191. 木下元二

    ○木下委員 そうすると旧法のときに申請をして新法になった、それによって幾らか修正なり、あるいは訂正があったと言われるのですか。それでも結構ですよ。それはどの分ですか。その修正があったというのは、どの程度、どういう修正があったのですか。申請は西条市分は五十年一月二十七日と違いますか。住友金属鉱山が五十年一月二十三日。四十九年というのは、いつのことを言っているのです。これは西条市がそんな申請をしているのですか。
  192. 服部経治

    ○服部説明員 事実関係の詳細でございますので、担当の調整官から答弁させます。
  193. 浜崎哲史

    ○浜崎説明員 補足して御説明申し上げます。  一部いまの管理課長の説明で足りない点がございましたので、正確に申し上げますと、旧法時代に申請いたしましたのは、後ほど市に変わった分につきましては、地元の公社が一たん出願をいたしたわけでございますけれども、埋め立てを遂行するという見通し等の問題がございまして、申請が取り下げられております。これは五十年一月二十四日でございます。それから五十年一月二十七日に、引き継ぐような形で西条市の方から免許申請がなされております。それから先ほど補整の話がございましたけれども、したがいまして新法時代の申請になっておりますので、その後、願書の内容で訂正があった分は、説明その他で不十分な点につきまして、免許権者の方から出願人の方へ照会をして、それの補足その他の説明をした分はございますが、先ほど説明のありました経過措置による補完という行為は行われておりません。
  194. 木下元二

    ○木下委員 理由はともあれ、私が聞いているのは、一月二十七日に西条市が出願をした、そして出願した後に訂正があったかどうかということを聞いているのですよ。よけいなことは結構です。
  195. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 簡潔に答弁願います。
  196. 浜崎哲史

    ○浜崎説明員 訂正は行われておりません。
  197. 木下元二

    ○木下委員 訂正は一切ございませんか、はっきり言えますか。
  198. 浜崎哲史

    ○浜崎説明員 出願の事項本体に関する内容につきましては、訂正は行われておりません。
  199. 木下元二

    ○木下委員 そうすると願書だけでなくて、添付書類の方はどうですか。
  200. 浜崎哲史

    ○浜崎説明員 訂正は行われておりません。補足の説明は行われております。
  201. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、私が先ほど指摘しましたように、愛媛県の県庁に赴いて県から聞いた、その回答に相違ないということですか、念のために伺っておきます。
  202. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生がおっしゃいました県の言い方というのが、補完があったということであれば、そのとおりでございます。
  203. 木下元二

    ○木下委員 県の方は訂正ないと言っているのです。
  204. 服部経治

    ○服部説明員 訂正がないというのは、そのとおりでございます。ただし説明の補完があったということでございます。
  205. 木下元二

    ○木下委員 私は何回も確かめた上でお軒ねをしますのは、本当にそれは間違いないのですかね。願書そのものにも訂正ありますよ。願書の十五ページの末尾のところですね。「従ってこの流域排水量一一・八八立法メートル/セカンドと工場計画排水量〇・一七立法メートル/セカンドが充分に排除されるよう、」云々と書いております。ところがその「一一・八八立法メートル/セカンドと工場計画排出量〇・一七が/が充分」というところがカットされて、「一一・八八立法メートル/セカンドが十分」というふうに直されておりませんか。それから添付誓類、これは私が見ただけでも、ざっと百カ所訂正されておりますよ。これは間違いですか。あなた方は、実際、私の方が知らぬと思って、でたらめを言っているのですか、これはどういうことです。
  206. 服部経治

    ○服部説明員 出願前におきまして、類がどのように訂正されたか私、存じませんが、出願がなされてから後は、訂正はなかったというふうに承知しております。
  207. 木下元二

    ○木下委員 西条市長から「公有水面埋立免許願書の補完について」と題する書面が五十年三月二十四日付で出ておりますね。これは確かにあなた方が言われるように補完です。ところが補完ということでずっと書かれておって、その最後に「公有水面埋立免許願書正誤表」ということで誤りが訂正されておりますね。そうじゃないのですか。訂正されているでしょう。
  208. 服部経治

    ○服部説明員 ただいまの先生の御指摘は、明らかなる誤記の訂正でございます。
  209. 木下元二

    ○木下委員 明らかな誤記の訂正か明らかでないかは、これは判断によるのですよ。私はそんな限定つきで聞いていないですよ。訂正があるかないか聞いたのですよ。それに対してあなた方は、これは会議録を見てみればわかるのです。何回もないということを断言された。あるじゃありませんか。あるでしょう。訂正があることはお認めになりますね。
  210. 服部経治

    ○服部説明員 私の答弁がいささか当を得なかったというふうに思いますが、私どもがいま申し上げておりました訂正がなかったというのは、実体の変更をもたらすような、いわゆる訂、正というのはなかったということでございまして、いま担当の者から聞いたところによりますと、明らかなる誤記の訂正はあったということのようでございます。大変、失礼を申し上げました。
  211. 木下元二

    ○木下委員 なぜ、そういうふうにでたらめを言われるのですか。いささか言い方が悪かったなどという問題と違いますよ。訂正があったかなかったか。これは明白な誤記であろうが、それは訂正でしょう、日本語の意味としては。どうもそういう態度では困りますよ。  それから、明らかな誤記であるかどうか、これは私は判断が入ってくると思うのですが、必ずしも、あなた方が言う明らかな誤記だけではないでしょう。内容がカットされたり新たなものが加わったりしているでしょうが。しておりませんか。それもしていないと断甘口できますか。明らかな誤記、それは一体どういうものを指すのかも、よくわかりませんけれども、そんなものだけではありませんでしょう、内容が変わっているでしょうが。変わってないのですか。
  212. 服部経治

    ○服部説明員 内容の変更にわたるような訂正はなかったというふうに担当者が申しておりますので、いまこの段階で、私はそのように御答弁申し上げるしかございません。
  213. 木下元二

    ○木下委員 内容の変更がなかったなどと言うが、たとえば私がいま指摘しました願書の内容だって、これは内容の変更でしょうが。結局、私がさっき指摘しましたのは、初めの願書では排水路を、流域排水の分とそれから工場計画排水の分と二つが排除されるように排水路をつくる、こういうふうにあるのですよ。それが今度の訂正では、工場計画排水の分はカットされているのです。これは内容の変更と違うのですか。何を言っているのです。あなた方は。あなた方は十分この意味を理解してお答えになっているのですか。これが一体なぜ明白な誤記ということになるのです。明らかに内容が変わっているではありませんか。
  214. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生が特に具体的に御指摘になりました表現の変更の事実につきましては、改めて私、調べましてからお答えを申し上げたいと思います。
  215. 木下元二

    ○木下委員 初めからそう言いなさいよ。あなた方は自信を持ってお答えになって、そして後でお困りになるのです。ひとつ、いまの点は十分に調査をしていただきたいと思います。  要するに出願をされまして、そして縦覧も行っておる、市議会も経て市長の意見聴取も済んでおる、そして運輸省に出されたのです。運輸省に出されたのは三月六日であります。ところが、三月二十四日に訂正をされているのですね。いまの訂正があるわけです。百点近くも訂正されている。これは、あなた方は内容の修正ではない、誤記であるというようなことを言われますけれども、であろうが修正であろうが、とにかくこのこと自体、一体、何を意味するのか、余りにもずさんであるということでしょう。これはずさんですよ。そうではありませんか。こんなに数多くの訂正がなぜ出るのか、私は少しひどいと思うのですよ。これは市の方が結局アセスメントをコンサルタントに頼んでおるのですね。コンサルタントにやらせて、そっくりそのまま出しているのですよ。県は県で、ろくにチェックもしないで運輸省の方に上げているのです。そのあらわれが、こういう膨大な修正、訂正となってあらわれたのだと思うのです。一体、何のためにこのアセスメントをやるのか。ただ手続として、かっこうだけ整える、そういうことでは私はだめだと思うのですよ。これは結局、埋め立てはもうとにかく何が何でもやり抜くんだという、がむしゃらな姿勢のあらわれだと私は思うのです。どうですか、その点は。
  216. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生が御指摘になりました百カ所にわたる訂正というものが、事案の本質にかかわるような意味の変更でございますれば、確かに先生が御指摘になったような御批判があって、いたし方ないところだと思いますけれども、私どもは、いま先生の御指摘になりました字句の訂正は、決して事案の本質を変えるような、そういう性格の訂正、変更であったというふうには考えておりません。
  217. 木下元二

    ○木下委員 事案の本質にかかわるかどうかはともかくとして、少なくとも内容の変更にわたる訂正なのですよ、これは。決して字句の訂正などというもので済まされる問題ではないですよ。内容の変更なのです。この出願書と添付書類は、初めに出されて縦覧に供されたものが、後になってこういうふうに訂正により相当部分が変わってきておるのです。そうすれば、これは当然、再縦覧をすべきであります。そしてまた市長からの意見聴取も改めて行うべきなのです。どうですか、この点は。
  218. 服部経治

    ○服部説明員 繰り返しの御答弁になりますが、事案の同一性をなくすような実体の変更、そういうものがございますれば、先生がおっしゃいましたように、この出願は取り下げまして、改めて出直してくるということが妥当であると考えますけれども、その事実認識におきまして、私どもはそういうふうに考えなかったということでございます。
  219. 木下元二

    ○木下委員 あなたは、さっきから答弁されておりますけれども、どうもこの点については理解が浅いと思うのです。これからよく検討するということも言われておるのです。あなた自身よくはお知りになっていないのでしょう、この問題は。だからこの点は、一体どこまで内容にかかわるのか、また、どういう点で重要なのか、こうしたことを、あなた自身よく検討してくださいよ。その上で言うべきことなのです。いまの答弁は。  公有水面埋立法のたてまえというのは、一たん公衆の縦覧に供しまして、利害関係者に意見を述べる機会を与えて、出願書、添付書類それ自体に対する意見を述べるということでありますが、それが内容が変更されるということならば、その変更部分がきわめて軽微な変更であるというなら別ですが、そうでない以上は、やはり改めて縦覧に供すべきだと思うのです。そうでなければ、その変更によって利害関係を新たに生じるという場合もあり得るわけなのですから、これは当然、どういう変更があったのか、それに基づいて新たに利害関係者が生じていないのかどうか、こういう問題があるわけですから、十分にこの点は検討して、そして場合によっては再縦覧をする、意見を述べる機会を与える、こういうことをやってもらわなければ困ると思うのですよ。そうではありませんか。
  220. 服部経治

    ○服部説明員 全く繰り返しになりまして申しわけございませんけれども、そういった公示、縦覧後の出願書の実質的な変更が行われた場合には、先生、御指摘のとおり、もう一度、白紙に返ってやり直すということが至当であると思いますが、私どもの認識はそうでなかった、軽微な変更であるというふうに認識いたしまして、手続をとり進めてまいたということでございます。
  221. 木下元二

    ○木下委員 ですから、あなた自身いま、そういう答弁をされていますが、そのあなた自身が、どういう修正があったのかということについてよく理解していないから、もう一遍、検討するとあなた自身も言われたし、その点は検討した上で考えてもらわぬと困ると思うのです。そうでしょう。あなた自身、検討もされずにわかるのですか。
  222. 服部経治

    ○服部説明員 最前、私が検討いたしましてと申し上げましたのは、先生がその前に御指摘になりました流水量の数字の訂正でございますか、そういう個所が実際に訂正されているのかいないのか、そういうことを調べてみたいというふうにお答えしたつもりでございます。
  223. 木下元二

    ○木下委員 もう余り時間がありませんから、関連して次に進みますが、再縦覧もさせない、とにかく、もうごり押しで強行するのだという態度であります。先ほども少し指摘しましたが、秘密主義で貫かれておるわけでありますが、これも批判の余地さえ与えずに、ごり押しをするためとしか思えないわけであります。  私の方で運輸省に出願書、添付書類などを見せてもらいたいと要求いたしましても、結果的に実は運輸省から断られたのであります。現地に行きましても、西条市に連絡をいたしまして会いたいと申しますと、担当者は全部県に行っておるということで、会おうともしないのであります。県に行きますと、いや一切、見せられません、内容についても説明しようとしないのであります。そして、これは運輸省の指導だというのです。県の港湾課、公害課の説明では。一体、運輸省はそういう指導をしているのですか。
  224. 服部経治

    ○服部説明員 先生が現地においでになりましたときに、市当局あるいは県当局との間で、どういう具体的なやりとりがあったかということは、私ども承知いたしておりませんけれども、書類の提示でございますか、出願書の扱いにつきまして、私どもが特に指示をしたということはないというふうに承知しております。
  225. 木下元二

    ○木下委員 そうすると、これも現地の方がうそをついておるということになると思うのです。現地は運輸省から指導を受けておるということをはっきり言っておるのです。この秘密主義の点では、たとえば現地で聞いたことでありますが、市役所の中で、この埋め立て問題を扱っておるのが臨海企業部でありますが、組合役員がここへ行きますと、ここの職員は、ばたばたと書類を隠してしまう、そういう異常な状態が起こっておる、こういうことなのです。現地ばかりではありません、運輸省自身がそういう態度をとってきておる。秘密主義のからにこもっておるということであります。なぜアセスメントを見せようとしなかったのですか、運輸省は。
  226. 服部経治

    ○服部説明員 ただいまの先生の御質問、私ちょっとわかりかねるのでございますが、先生から私どものところに書類の説明なり提示のお話しがございまして、私どもがお断りしたのでございましょうか。
  227. 木下元二

    ○木下委員 何をとぼけておるのですか。何を言っているのです。あなたは。では、ひとつ私が経過を申しましょう。  七月の十四日に政府委員室に、私どもの方で出願書、添付書類を要求いたしました。七月の二十  一日に政府委員室に催促をいたしました、来ないから。そうすると、ただいま担当局の方で決裁を受けているので、間もなくお届けできると思うと答えてきました。さらに来ないので、七月の二十四日に政府委員室に照会しますと、港湾局の担当者から電話がありました。おくれて申しわけない、これから説明に行くという返事があったのです。説明を受ける時間的余裕がないので、説明は改めて頼む、とりあえず要求した資料を出してくれ、こう言ったのです。そうすると政府委員室の方から、漠然とした要求なので何を用意してよいかわからぬ、こう言ってきた。そこで改めて言うが、西条埋め立て計画と添付書類、特にその中の環境アセスメントに関する部分だ、こう言ったのです。そうすると、四百ページもあって、とても全部コピーするわけにいかぬ、問題意識をしぼってほしい、こう言ってきた。ではとりあえず見せてくれ、その上で必要部分をコピーさせてもらうようにしたい、こう言いますと、書き込みがあるから見せるわけにはいかぬ、書き込みに、こっちは関心はないのだ、出願のときの資料をとにかく見たいのだ、こう言いますと、今度は、いや、それは法律で三週間の縦覧期間を決められている、それを過ぎてから言われても、法律で縦覧期間を決めた意味がなくなる、こう言っておるのですよ。  何か、こう言えばああ言うというふうに、いろいろな理由で断って、結局のところは、法律で縦覧期間を決めておるから、その間に見てくれ、こういうところに落ちついて、あなた方は見せようとしないのです。そうではありませんか。
  228. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま事務担当の者に聞きましたところ、先生から、そのようなお話しがあったということでございまして、私その点、耳にしておりませんで、大変うかつでございました。課長といたしまして大変まずいことだと思っております。  改めてその問題にお答え申し上げたいと思いますけれども、この埋め立て関係の書類が大変、膨大なものであるということは確かに事実でございまして、一件、たとえば今回の件でございますと、恐らくこれくらい、もっとになりますか、かなり膨大な書類であることは間違いございません。したがいまして、それを一々、全部コピーして御提出申し上げるということが大変なことは、私も理解できるのでございますが、先生のおっしゃいました、提出を求められました中身の書類が環境アセスメントの書類というようなことでありますれば、これはかつて免許権者が縦覧にも供し、告示もした書類の内容でございますので、それを先生のところにお届けすることは決してやぶさかでございません。
  229. 木下元二

    ○木下委員 あなた、いまごろになって態度をお変えになるわけですか、ここでは。これまで一貫して、それは見せられないというふうに運輸省は言ってきたのですよ。ここで改めて、その態度が間違っておったということを認めて、お見せする、こういうわけですか。
  230. 服部経治

    ○服部説明員 私のところまで、ただいまの話は届いておりませんでした。これは私、外部に向かってどうこう言えることではございません。内部の問題でございますけれども、ただいま申しましたとおり、縦覧に供したような環境アセスメントの書類でございますればへ先生のところに御提示するのに何らの差し支えもございませんし、当然お届けすべきものであろうというふうに考えます。
  231. 木下元二

    ○木下委員 早くそういう態度をとってほしかったと私は思うのです。いま、ここになって運輸省が態度を変えられたというふうにしか、私の方ではとれないわけです。きのうも運輸省に来ていただいて聞いたところ、やはりそういう意見なのです。それで、とにかく法律に従って縦覧に供しておるのだから、そのとき見てもらえばいいのだ、  こちらは国会議員で、しかも公害委員会でいろいろ質問もしたい、あるいはまた環境庁なり運輸省に要請もしたい、そのために必要だから見たいのだ、こう言っても、いや、それは国会議員だからといって、そういう扱いをするわけにはいきません、たとえば土建屋のおやじがやってきても、そういうアセスメントを見せることができないのと同じように、ぐあいが悪いのです。こういうことを言われたのです。そういうことで運輸省はずっと一貫してこられた。結局、運輸省が今度の認可をするまでに、私どもの方でアセスメントをよく検討して、その上であなた方に要請するとか意見を述べるとかという機会がなかったわけであります。運輸省と現地の愛媛県の態度によって、そうしたものを検討、吟味する機会も与えられなかったわけであります。非常にけしからぬと私は思っております。どうですか。自分は知らぬというようなことを言われますが、困りますよ。
  232. 服部経治

    ○服部説明員 担当者の話では、先生の御要請が申請書、願書の一件書類全部であるというふうに理解して、お断りを申し上げたというふうに申しておりまして、いまのように、環境アセスメントの書類というふうに、具体的に書類の内容を御指定になって御要請になれば、当然お届けすべきものというふうに私は考えております。私は知らなかったというふうなことを申し上げるつもりはございませんで、それは私どもの内部の連絡の不十分とか、私の指導の至らなさということでございまして、これは改めておわびを申し上げたいと思います。
  233. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、私は多くを言いませんが、そんな弁解しなさんなよ。アセスメントなら見せたのだなんて、とんでもないことですよ。私の方では、さっきから言っているように、一件書類というふうに言いましたけれども、特にその中でもアセスメントを見たいのだというふうに言っているのですよ。それに対して、さっきから指摘したような答弁であったわけです。その結果、見られなかったのですよ。重々、今後注意していただきたいと思います。  それから、もう余り時間がありませんので、念のために環境庁の方にも、いまの問題を伺っておきます。現在、環境庁検討しておりますアセスメントの手続との関連において伺いたいのでありますが、縦覧に供しておる、だから縦覧以外は見せられないというふうな態度は、私は全く官僚的発想以外の何物でもないと思うのです。いただきました環境白書を見ましても、あそこには、たとえばアメリカではアセスメントというのは、関心のある団体、個人に配るものだというふうに出ておるのです。スウェーデンでも要求があれば資料は見せる、それはあたりまえになっておるということなのです。特に私たちのような立場の者、これはもう国会の中で取り上げて質問をし、あるいはいろいろ要請をするという必要から、そんな一々、全国の埋め立ての問題について、縦覧に目を配っているわけにはいかぬのですから、当然それは見せていただきたいと思うのです。環境庁、この点についてはいかがでしょうか。
  234. 大場敏彦

    ○大場説明員 御指摘のとおりアセスメント等の書類は、一般の住民に縦覧に供して意見を求めるわけであります。オープンの資料でありますから、御要求があれば皆様にお示しするということは、当然の態度であろうと思っております。
  235. 木下元二

    ○木下委員 もう一つ環境庁に伺いますが、この埋め立て問題について、環境庁は現地に行かれたということであります。七月の二十三、二十四日です。この埋立地付近には干がたがあります。鳥もいたと思います。どういう状況だったか言ってもらいたいと思います。
  236. 信澤清

    信澤説明員 私、実は参っておりませんので、的確なお答えはできませんが、鳥の影を見たという程度の話は聞いております。
  237. 木下元二

    ○木下委員 鳥の影というふうに言われましたので、はっきりわかりませんがね。実は私も現地に行きまして状況も見、また裏話も聞いてきたのです。市の臨海企業部というのがありまして、そこの職員が、環境庁が来るというので、命を受けて鳥を追い出しに行っているのです。これは本当ですよ。ところが追い出しても何羽か戻ってきているのですね。これは渦井川という川がありまして、その干がたであります。環境庁に、あれは何かと聞かれて、あれはカモメですと答えているのです。これは臨海企業部の職員の話であります。  私が二十九日に現地を見ましたときに、この渦井川の干がたには、カモそれからシギ、そのほかにもいたと思いますが、そうした数十羽の鳥がいたのです。ここは鳥類にとってかけがえのない干がたなのですよ。そうした認識すらなく、埋め立てを了承しておるのではないかと私は思うのです。こうしたことは環境庁御存じなかったでしょう、どうですか。
  238. 信澤清

    信澤説明員 お話しのことが私ども、気にならぬわけでございませんで、干がたの保護については従来から、いろいろ私どもなりに努力をしてきたつもりでございます。今回、埋め立てが問題になっております地帯につきましては、実はいろいろな関係者が干がたの保護のために調査等やっております。たとえば日本野鳥の会、こういうところの調査でも上がってこない。そういう意味から申しますと、いま先生お話しのように、何か作為的なことがあったように伺っておりますが、この一帯の干がたににいては余り重要な干がたではない、こういうふうに従来、聞いておったわけでございます。むしろ、どちらかと申しますと、西側の方の重信川という川がございますが、その川の流域あたりは、これはいまお話しのシギとかカモとか、いろいろな鳥が来る大変、重要な干がたであるということで、そちらについての調査はしておりますが、こちらの方は実は、そういう意味調査はいたしておりません。今回、書類を拝見いたしましても、余り重要な干がたではない、しかも総体の干がたの面積の約六分の一程度、こういうことでございますので、私どもとしては重ねて県に、その間の事情報告を求めましたが、干がた保護上、特別な配慮を払う必要はないのではないか、こういうことでございましたので、そういう意味で問題はないと考えておるわけでございます。
  239. 木下元二

    ○木下委員 余り鳥類も来ないような千がただというような認識があったのではないかと思うのですよ。環境庁が現地に行っても、鳥が二、三羽しかいなかった、追い返されてしまって。そういう現状しか見ていないわけですからね。重要であるかどうかは、これは判断の問題ですけれども、私は問題として一つだけ指摘をしたわけであります。  それからもう一つ申したいのは、西条市の総合開発研究懇談会というのがありまして、そこが環境埋め立て問題について、いろいろ調査をして、市長に答申を出しておるのであります。そのことは御存じでしょうか。これは運輸省に、知っておられるかどうか聞きたいのです。
  240. 服部経治

    ○服部説明員 私ども承知いたしておりません。
  241. 木下元二

    ○木下委員 環境庁はどうですか。
  242. 大場敏彦

    ○大場説明員 存じておりません。
  243. 木下元二

    ○木下委員 この懇談会が、ここにありますが、これは本件埋め立て、百万坪にわたる埋め立て構想を否定しているのですよ。これは四十八年三月に出ているのです。この「結び」のところで「結論としては現計画の百万坪の埋立地造成は否定的であり、さらにここに展開する臨海性装置工業の立地に対しても否定的である。」というふうに出ておるのです。開発のパターンとして幾つか書いております。こういう方法でやってはどうかというふうなことを言っておりますけれども、いま免許が行われましたような埋め立てに対しては、否定的見解をはっきり出しておる。こういうものをどうして資料として検討されなかったのか。ただ出願者が出した資料だけを、もううのみにするようなかっこうで、認可なり、あるいは意見が出ておるのではないかという気がするわけなのですよ。これは環境庁が現地にも行って調査をされたように、やはりこういう否定的なデータも十分に、こういう場合には検討して、総合的に考えるべきだ、こう思うのですよ。それはもう指摘だけにしておきます。  それから、もう一つ伺いますが、環境庁意見書をお出しになっていますが、その中で「主として関連海域の有機性底質及び関連地区の産業廃棄物をその埋立用材とするものであるとして了承する」という趣旨が書かれております。これは一体どういう意味ですか。
  244. 大場敏彦

    ○大場説明員 瀬戸内海の埋め立ては、できるだけ抑制するというような基本方針でございますが、その中でも、問題になっております水域は指定海域ということで、特別に指定されておりまして、そういったところにつきましては、特定の事項について留意事項に合致しなければ、埋め立てを抑制しろということになっておるわけであります。その留意事項の中に、環境保全に資することとか、あるいは上物の工場からの水質汚濁が少ない、そういったことが列記されているわけでありますが、その環境保全に資するという事柄に照らしまして、産業廃棄物の処理に、非常に現実としては各県とも困っているわけでありますが、具体的には赤泥、ボーキサイト等の産業廃棄物でございますが、それによる二次公害の発生を防止するという観点、それからもう一つは、単なる埋め立てだけではなしに、前面海域の有機汚泥をさらって、そうすることによって底質を浄化する、こういった積極的な機能を持たせる、こういう意味で要望したわけであります。
  245. 木下元二

    ○木下委員 これは、ここに書いてありますように有機性底質と産業廃棄物を使う。これは願書によりますと結局、一号地、二号地で七三%使うというふうに出ておったと思うのですが、この意見書の趣旨というのは、七三%は使うと願書で言っているわけですから、それ以上、それに上乗せをして、そうしたものを埋め立て用材にするようにという趣旨ではないのでしょうか。
  246. 大場敏彦

    ○大場説明員 現在でも産業廃棄物それから有機汚泥、御指摘になりましたように現計画の七四%ということになって、約二六%が山主ということになっているわけであります。今後それを環境庁としてはできるだけ増加してもらいたい、そういう工夫をしてもらいたい、それから山土はできるだけ最小限でとどめてもらいたい、こういった要望をいたしまして、そういう形で埋め立ての施工者を指導してもらいたい、こういった趣旨でございます。
  247. 木下元二

    ○木下委員 運輸省に伺いますが、いま環境庁が言われました、この意見書の趣旨に従って埋め立て工事が進められるように監督をしていくということですか。
  248. 服部経治

    ○服部説明員 そのとおりでございます。
  249. 木下元二

    ○木下委員 それでは、もしそれが守られないときには、工事をストップすることもあり得るということですか。つまり七三%、産業廃棄物等を使ってやっていくということでしょう。そういうふうに環境庁は言っておるわけなのですけれども、その趣旨に沿ってやっていく、監督もする。では、それが守られないような場合には、どうするかということを聞いているのです。
  250. 服部経治

    ○服部説明員 環境庁から私どもにいただきました御意見内容は、先ほどから論議されておりますように、主たる埋め立て用材として産業廃棄物あるいは底質、ヘドロを使うということで了承するということでございますので、現在の申請の中身、これはもう絶対に厳守するように強く指導したいというふうに思いますし、さらに何とか工夫をいたしまして、この七三%強という産業廃棄物等の量を、少しでも上積みするように、免許権者はもとより四条市当局の方を指導してまいりたいというふうに考えております。
  251. 木下元二

    ○木下委員 それを守らないときは、工事をストップさせるかと聞いているのです。
  252. 服部経治

    ○服部説明員 環境庁の御意見を無にするような実態になる埋め立てであれば、これはストップさせる必要があろうと思います。
  253. 木下元二

    ○木下委員 もう最後でありますが、埋め立てと海水汚濁の関係ですね。運輸省に聞きたいのですけれども、これはどういうふうに考えたのですか。
  254. 服部経治

    ○服部説明員 埋め立て工事に際しまして、海水の汚濁が間々、生じます。これは、一つは埋め立て個所からの汚濁水の付近海面への流出につきましては、現在の埋め立て技術で考えられる限りの手だてを講じておりまして、最善の措置がとられておるというふうに判断いたしております。
  255. 木下元二

    ○木下委員 埋め立てによるデメリット。あなた方はメリットもあるというふうに判断しておるようですけれども、これはどういうふうに検討したかということを聞きたいのです。
  256. 大場敏彦

    ○大場説明員 海面の消失というようなことが、デメリットといえばデメリットというぐあいに指摘されるわけでありますけれども、これにつきましては、いろいろ工法上、工夫して、捨て石をする等の工法あるいは、いま、でこぼこのへこんだ形で海岸が形成されております。それを一本にして潮流を変えて、阻害要件をなくする、そういったいろいろなことのデメリット、メリットを彼此勘案いたしまして、影響は軽微なり、こう判断したわけであります。
  257. 木下元二

    ○木下委員 埋め立てに関する環境アセスメントにおきまして、従来もそうであり、本件についてもそうであると思うのですが、なぎさ、あるいは干がたの価値についての分析が、ほとんど無視されておると思うのです。本件におきましても魚介類に及ぼす影響について若干の分析を行ったようでありますが、本埋め立てによって若干の漁獲減がある、しかし燧灘全体に対する影響というのはほとんどないという結論を出しておるようであります。そういう考え方が私は非常に問題だと思うのです。汚濁が進み、漁獲が減る、したがって、そこを埋め立てても大して漁獲減にならない、そういうのが従来の埋め立ての論理であったと思うのです。汚染された、汚れた海をきれいにしていく、そして漁業を振興させるという、そういう観点はないと思うのです。この観点というのは、特に日本の食糧問題を考える上で重要であります。さらに瀬戸内海において、この観点というのは一層、重要であると思うのです。  本委員会においても前回の委員会で決議をしたばかりです。この干がたの価値について言いますと、たとえばオダムは南太平洋とメキシコ湾についての研究を行って、一九七三年に発表しておるわけでありますが、それによりますと、第一に天然の副産物の価値、漁業等であります。第二に養殖能力、第三に汚水処理能力、第四に生命維持について、この四つを基礎にしまして、一エーカー当たり八万ドルという計算をしております。計算の基礎及び詳細については、論評はさておくといたしましても、また、干がたの価値が経済価値に尽きるものではないという問題もあるわけでありますが、特に注目すべき点は、この汚水処理能力、すなわち浄化能力を重視しておることであります。しかも、これは第三次処理能力を重視しておることであります。この第三次処理施設をつくるという問題、これは未完成でありますが、これには相当の金もかかります。しかも窒素、燐の過剰が根本的な問題になっておる瀬戸内海について見ますと、浄化能力について、量的に評価ができないという一言で無視をしてしまうというふうなことは、これは環境庁としても再検討をするべきだと思うのです。この点について環境庁のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  258. 大場敏彦

    ○大場説明員 千がたの問題につきましては、一つ先生指摘になりました自浄能力という問題がありますが、これは確かに私どもも重要な問題だと思っております。ただ、現在それを計量的に評価するというところまで、技術、知見が行き届いておりませんが、だからといって、それを直ちに切り捨てる、こういった態度をとるのも適切ではないということも、御指摘のとおりだと思います。われわれ、このアセスメントを評価するに当たりまして、その点につきましては特に留意いたしたわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、自浄能力が、これによってどう変わるかということにつきましては、見たわけであります。湾曲に入り組んだ既存海岸を埋め立てることによって、直線化されて、ある意味においては潮流の阻害にはならない。むしろ拡散効果のアップということもあるわけであります。それから護岸の前面に捨て石等をやれば、藻場の新設が期待でき、それによって、いわゆる自浄能力というものはかなりの程度カバーできるというようなこともございます。それから水際線、これが倍ぐらいに広がりますので、それによるエアレーション効果ということも期待できるわけであります。それから、これも先生が御指摘になりましたように窒素、燐の問題も、これもやはりプラスマイナスがあるわけでありまして、かなりこの前面のヘドロは汚れているわけでありまして、かなり膨大な窒素、燐を含有している。これを埋め立てることによって、窒素、燐の封じ込めというような機能もカウントできるわけでありまして、こういったことも、いろいろアセスメントに当たりましては、われわれ勘案した諸点でございます。
  259. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、最後に要請だけしておきますが、大体、海が汚れたからやむを得ないとか、あるいは大した汚染物質も出ないという考えで、埋め立てを進めていくというのは、きわめて問題であります。特に瀬戸内海の基本計画をすでに検討を始めたこの段階、このときに、このような大規模埋め立てを許すというのは、私は非常に問題があると思うのです。やはり私は、この瀬戸内海をかつてのきれいな海に取り戻すのだ、そして漁業を発展させるのだ、振興させるのだ、そういう考えに立つべきではないかと思うのです。そういう前向きの積極的な観点が絶対に必要だと私は思います。そういう観点に立つならば、こんな埋め立ては断じて許されない、こう思うわけであります。私は、この埋め立てをストップさせるべきだ、このことを環境庁長官要請をいたしておきます。最後に一言言っていただきたいと思います。
  260. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほど局長が説明しましたように、非常にメリットが環境問題上から出てまいりますので、私は許可に踏み切ったわけでございます。しかも今度は石油コンビナート等の問題とは違いまして、あそこに立地するものにつきましても十分、環境上の点を考慮いたしまして指導をいたします。したがって現在たとえば、あの付近にある工場からの水質を汚濁する汚濁負荷量の十分の一以下の計画というようなことで考えておりますので、この点はむしろひとつ先生、御安心していただきたいと思うわけでございまして、今後、工法なり、あるいは実際上、七三%と言われましたが、これはもちろん確保しなければ中止をいたさせますし、できたらそれ以上、少なくとも八割程度まではそういうものでやっていただくように指導していきたい、こういう考えで進めてまいりますので、御了承いただきたいと思います。
  261. 木下元二

    ○木下委員 了承はできませんけれども、一応これで終わりたいと思います。
  262. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 米原昶君。
  263. 米原昶

    ○米原委員 私は、公害健康被害補償法の問題について若干質問します。  東京では、昨年ようやく二十三区のうち八つの区が、いわゆる公害病の指摘地域として指定となったわけでありますが、指定漏れとなった五つの区及び昨年、調査の対象とならなかった十区、計十五区が問題として残っております。  そこで聞きますが、これら残された区の指定はいつごろとなる見通しなのか。さらにその際、昨年、指定漏れとなった五つの区については、世田谷も含めて五区すべてが再審査の対象となるのかどうかということを、まず伺いたいと思います。
  264. 野津聖

    ○野津説明員 東京都におきましての指定地域の問題につきましては、ただいま御指摘ございましたように、昨年の十一月に千代田区外七区、合計八区につきましての地域指定を行ったところでございます。これ以外の区のうち、ただいま御指摘ございましたように、江戸川区、板橋区などの十区につきましての地域指定の調査が行われたわけでございますが、この調査結果がまとまり次第、ただいま、いつ指定されるのかという御質問があったわけでございますが、地域指定の要件に照らしまして検討を行いまして、この要件に該当します地域につきましては、この秋にも指定できるように作業を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  また特に昨年、保留とされました台東区、中央区、墨田区、目黒区、さらには、ただいま御指摘ございました世田谷区の問題があるわけでございますが、保留されました四区の問題につきましては、ただいま御指摘ございましたように、東京都におきましていろいろ関連資料の収集だとか、あるいは健康被害に関します調査研究などを実施している段階でございまして、これらの結果がまとまり次第、総合的な再検討を行いまして、できるだけ早く指定の可否につきまして結論を出したいというふうに考えております。  特に、問題となっております世田谷区でございますけれども、この地域におきましては、いわゆる硫黄酸化物の濃度あるいは有症率の問題につきまして、一つの境界域にあるということで、非常に間脳があるわけでございます。ただ、地域の方々の御意見等によりますと、いわゆる窒素酸化物の問題が非常に大事ではないか、こういう御要望が出ているわけでございますが、ただ、この窒素酸化物そのものの健康被害に対します寄与度というものにつきまして、これを定量的に把握するというのは、現在の段階では非常にむずかしい問題が残っております。したがいまして、これにつきましては現在、自動車排気ガス関連にございます。いわゆる沿道住民の健康の影響の問題、さらには、すでに五ヵ年にわたりまして、いわゆる複合汚染という形での調査を実施しております大気汚染調査、その中でのいわゆる窒素酸化物の影響というふうなものにつきましての結果をまとめながら、さらに中央公害対策審議会におきまして十分な御審議をいただきまして、結論が出次第、指定という問題につきましての検討をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  265. 米原昶

    ○米原委員 では、いま答弁なさった点について、もう少し詳しく聞きたいと思うのです。  いまおっしゃったように昨年、指定漏れとなった中で、中央、台東、墨田、目黒の四区について、まず聞きますが、ここは昨年、大気汚染は指定基準以上であるにもかかわらず、有症率が低いということで指定から外されました。ところが東京都が補足調査として児童の調査をしたところが、四区いずれも四%前後の有症率を示して、すでに指定されている大田区や千葉市、富士市などの約二倍の有症率であります。四十代、五十代の人の有症率については、昨年の中公審答申で指定基準が設けられました。しかし、こうした学童の有症率については、あの答申書の中では「学童の気管支ぜん息有症率等も参考にして大気の汚染の影響による健康被害の有無・程度を判定することが望ましい。」とあるだけで、基準はないわけでありますが、これだけの学童の有症率があれば、昨年の中公審答申にあるように十分に「有症率の程度がお声むね2度相当とみなされる」ということになるのではないかと思いますが、どうでしょう。
  266. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘ございましたように、東京都におきまして独自に学童の有症率等の検査も行っているわけでございます。一応、参考として私ども考えてまいりたいというふうに思っておりますけれども、現在、これはもう御案内のとおり、中公審の答申にもございますように、いわゆる四十歳代あるいは五十歳代の者につきまして、一つの学問的な定型化ができているというふうな調査報告があるわけでございまして、現在の段階では、まだ学童の問題といいますのは、御指摘ございましたように、いわゆる参考として考えるというふうな実態になっているわけでございます。しかし先般来、環境庁から委託研究を実施いたしまして、幼児あるいは学童につきましての一つの健康調査の方式というものにつきまして一応、結論がまとまってまいっておりますものですから、これを一応、学問的な問題としての取り上げを、実際に行政的に活用できるかどうかというふうな問題につきまして十分、検討を進めまして、これもやはりいま御指摘ございましたが、ただ参考意見というだけではなくて、実際にそれが有症率の実態とつながるような形に持っていきたいというふうに考えているところでございます。
  267. 米原昶

    ○米原委員 今度の東京都の調査で明らかになったわけですが、やはり中公審の答申にあるように、現在、環境庁が行っている四十代、五十代の人の健康調査だけでは十分でない。中公審の答申でも明確に「大気の汚染の影響をより鋭敏に受けやすい幼児、老人をも調査対象に追加することが望ましい。」と述べているわけでありますから、こうした幼児や老人も、地域指定の際の調査対象とするということが正しいだろうと思うのです。初めから子供や老人を調査しておけば、中公審答申にあるように、四十代、五十代の人の有症率が二度以下でも、これらの調査の結果によっては「2度相当とみなされる」場合もあり得るし、今度の東京の場合のように、補足調査などということで、指定が不必要におくれるということもなくなるのではないか。この点、どう思いますか。
  268. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘のとおり中公審の答申におきましても、幼児、学童あるいは老人についての健康調査の結果につきまして十分、参考としろと言われておるわけでございます。ただ、もうすでに御案内のとおり、現在の確立しました健康調査の方式と申しますのが、四十代、五十代という者を中心としましたものになっております。したがいまして、先ほど御指摘のように、やはり弱い状態にあります幼児、学童あるいは老人というものを対象とした健康調査の方式というものが、早く確立する必要があるのではないかというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、幼児、学童につきましては一応の調査票の基礎というものが、研究の成果として出てきたわけでございます。これがどのように利用できるかということを十分、詰めまして、いま御指摘ございましたように幼児あるいは学童についての健康状況というものを早く把握できるように進めていく必要があるというふうに考えております。ただ老人につきましては、やはりお年寄りは、どうしても気管支系統が弱いというふうな問題もございます。その辺の決定というのはなかなかむずかしい問題が残っておりますが、少なくとも私ども、幼児、学童の方からでも、早く手をつけてまいりたいというふうな考えで、いま進めているところでございます。
  269. 米原昶

    ○米原委員 次に、先ほどもおっしゃいました窒素酸化物の問題について聞きます。  窒素酸化物を地域指定の要件とすることについては、この委員会でも何回も質問がありました。私を含めて多くの人が何度も出した問題でありますが、早急にひとつ結論を出して、世田谷区を初め、その他の地域の指定を行うべきだと思うわけですが、環境庁としては、いつごろを目途と考えておられますか。
  270. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘のとおり、この窒素酸化物の問題と健康被害という問題の直接の結びつきというものは、非常に困難な問題があるわけでございます。したがいまして、これも先ほど申し上げましたような昨年十一月の中公審の答申の中を拝見いたしましても、窒素酸化物について非常に重要視していながら、なおかつ現在の状況では、これをもって基準とすることは非常にむずかしいというふうなことになっておりまして、いろいろ現在、進めているわけでございますけれども、どうもこの健康被害に対します寄与度という問題につきまして、いわゆる定量的な把握というのは非常にむずかしいところでございます。これにつきましては、できるだけ具体的に詰めていきたいということで、専門家にいろいろとお願いを申し上げながら、検討も加えていただいておるわけでございますけれども、昨今の新聞紙上等でも、いろいろな御意見等も拝見しているわけでございますが、これらの資料等をそろえながら、できるだけ早く決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  271. 米原昶

    ○米原委員 いつ聞いても、できるだけ早くという答弁しか出てこないのですが、私はこの窒素酸化物の問題については、重要なことは、ある意味では不必要な厳密さを期しておられるのではないかという気がするのです。私たちの要求しているのは、何よりも被害者を救済する、これを第一に考えてもらいたいのです。いま環境庁は複合大気汚染健康影響調査あるいは自動車道沿道住民健康影響調査、こういうものを行って、この結果をもとに窒素酸化物の扱いを決めるというふうに聞いておりますが、しかし二酸化窒素の健康に対する影響については、すでに明らかであります。したがって環境基準も決められておるわけであります。また、この補償費の一部を自動車重量税から支出していることから見ても、この窒素酸化物は健康に障害を与えることは明白ではないかと思うのです。ですから、この窒素酸化物を指定要件とする際、補償法の五十二条の政令で定める物質とするということを、形式的に考える必要はないのではないかと私は思うのです。確かにこの五十二条の政令で定める物質とするには、さらに細かい科学的な解明が必要となります。しかし昨年の中公審答申を見ると、有症率が高ければ、たとえ大気汚染の程度が三度以下でも、硫黄酸化物以外の汚染物質による大気の汚染の程度等を考慮しつつ、大気の汚染の程度を総合的に判断して地域指定を行うべきだというふうに、明確に硫黄酸化物以外の汚染物質も考慮することになっている。この中公審答申を見れば、厳密な科学的な証明がなくとも、窒素酸化物が健康に害を与えることさえはっきりしていれば、考慮の対象とできるのではないか、こういうふうに私は考えるのです。法律の五十二条とは、この際、切り離して、この中公審答申によって窒素酸化物を考慮の対象とできる、そういうふうにする可能性は一体ないのかどうか、この点をひとつ伺っておきたい。
  272. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘ございましたように、中公審の答申におきましても、窒素酸化物につきましては十分な考え方を持っているにもかかわらず、いわゆる健康被害に対します寄与度というものが定量的に把握できないということで、現在まで窒素酸化物につきましての問題が、いわゆる指定地域の中では処理できないわけでございますが、ただ環境庁といたしましては、やはり健康被害の指定地域というふうな問題と、ただいま御指摘ございました五十二条の政令指定の物質というものとは当然、表裏一体をなすものであるというふうに考えております。したがいまして、現在の段階では、できるだけ早く、この窒素酸化物によります健康被害に対します寄与度というものを決めるということが一つございますし、また先ほど来、御指摘ございますように、必ずしも硫黄酸化物、二酸化硫黄だけでなくて、その他の問題につきましても参考としてというふうに、中公審の方からも御答申いただいているわけでございまして、その点は十分、参考とさせていただきながら、地域指定につきましては進めてまいりたいというふうに考えております。  いずれにしましても、やはりこういう疾患に苦しんでおられる方の救済ということが大事なことでございますので、そういう考え方で進めてまいりたいと考えております。
  273. 米原昶

    ○米原委員 最後に大臣に、この窒素酸化物の問題について、一つ別な問題ですが聞いておきます。  この窒素酸化物の環境基準については、一昨年〇・〇二ppmという基準が決められて、これに基づいて地方自治体では公害防止計画がつくられたり、国でもこれを中心に規制が行われるようになってきております。しかし最近、自動車の排ガス規制や鉄鋼の高炉建設をきっかけに、自動車業界や鉄鋼業界を中心に、この環境基準や排出基準に対する攻撃が強まっております。昨日の新聞を見ますと、ついに通産省が動き出して、これらの基準の再検討を要求するということが日本経済新聞に出ておりますが、こうした全く環境保全に逆行するような動きに対して、環境庁として、いかなる見解、決意を持っておられるか、この点を最後に長官に聞いておきたい。
  274. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私も新聞で見ましたが、環境基準の問題を通産省が自分で何か云々するとかということは、まことにおかしな話なので、恐らく間違いではないかと思って見ておりました。その後、何ら申し入れもございません。  私は、人の健康を守って生活環境を何とか保全をしていく唯一の大事な官庁でございますので、厚生省は人の健康を守る役所だといいますが、むしろ、その厚生行政で健康を増進し、かつ守り、疾病を予防していく使命を達成できるような環境をつくるのは、私どもの方でございますものですから、その任務からいいましても当然、現在の科学的な知見がよほど大きく変わってこなければ、環境基準の再検討云々の問題というものは、私は議論すべきではないと思うのです。ただ、科学的な知見というものが非常に誤りがあったり、あるいは別の何か決定的な、そういう全く客観的な技術的な知見というものが出てくれば、これはもちろん当然、私ども検討しなければいけません。検討するという意味は、その知見に従って、これは法律でも、やはり環境基準はそれぞれ、そういう技術的な進歩と、いろいろな考え方のといいますか、技術の変化によっては変更しろと書いてあるわけでございますから、法律上はっきりしておるわけでございます。ただ企業が困るからとか、あるいは非常に厳し過ぎるとかということだけで、私どもはこれを検討するつもりは毛頭ありません。したがって純粋に科学的な医学的な見地に立ちまして、現在においては何ら、まだそうした面の医学的な科学的な異論というものは出てないわけでございますので、私どもが、二年前でございますか、一日平均〇・〇二の環境基準をつくった、この基準について、変更する作業もいたしておりませんし、考え方も持っておりません。
  275. 米原昶

    ○米原委員 この問題は非常に重要な問題ですが、通産省が言うべきでないことを言っているので、これは全然、根拠がないことではなくて、やはりそういう動きがあるのだろうと思うのです。ただいまの環境庁の長官の答弁、一応、了解いたしましたが、この問題については、しかし、再び別の機会にまた論ずることにいたします。
  276. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 質疑は終了いたしました。  本日は、これをもって散会いたします。     午後三時四十五分散会