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1975-07-04 第75回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年七月四日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       戸井田三郎君    渡辺 栄一君       阿部未喜男君    岩垂寿喜男君       角屋堅次郎君    岡本 富夫君       坂口  力君    折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官    伊勢谷三樹郎君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁企画調整         局環境保健部長 橋本 道夫君         環境庁自然保護         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 福田  勉君         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         通商産業大臣官         房審議官    大薗 英夫君         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         参  考  人         (森林開発公団         理事長)    松岡  亮君         参  考  人         (森林開発公団         理事)     手束平三郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(騒音対策  等)  瀬戸内海環境保全対策推進に関する件      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  この際、瀬戸内海環境保全対策推進に関する件について、先般来の理事会等協議に基づき、委員長の手元において委員会決議案文を起草いたしました。  まず、その案文を朗読いたします。    瀬戸内海環境保全対策推進に関する件   さきに瀬戸内海環境の一層の悪化を防止す  るための当面の施策として瀬戸内海水質の保  全、自然景観保全等を図るため、瀬戸内海環  境保全臨時措置法が制定され、同法に基づく諸  対策が講じられてきているが、油の流出等によ  る海洋汚染赤潮多発等にみられるごとく瀬  戸内海環境は必ずしも好転のきざしを見せて  いない。   よって政府は、瀬戸内海環境保全に関す  る基本となるべき計画を速やかに策定するとと  もに次の事項に留意して恒久的な対策を有機  的、かつ、総合的に講ずることにより漁業資源  をはじめ、瀬戸内海のもたらすもろもろの恩恵  を現代のみならず子孫にも享受させるべきであ  る。  一、水質浄化対策として、排出水規制に関す  る総量規制導入について技術開発を促進し、  その早期実現に努めるとともに埋立て等の水質  汚濁の防止を含め監視測定体制充実強化を図  ること。  二、窒素及び燐については、除去技術開発を  促進し、発生源に応じて総合的対策の樹立に努  めること。  三、下水道の第三次処理技術開発に努めると  ともに、下水道廃棄物処理施設の整備を促進  するため、国の財政援助強化に努めること。  四、蓄積したヘドロを回収するなど底質浄化  を促進すること。  五、赤潮発生機構の究明及び赤潮防止技術の開  発に努め、漁業被害についての救済制度充実  強化を図るなど赤潮対策強化すること。  六、海洋汚染防止するため、海上交通安全対  策に万全を期するよう必要な措置を講ずるこ  と。  以上でありますが、この決議趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、説明は省略さしていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————
  3. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 採決いたします。  本草案のとおり本委員会決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、瀬戸内海環境保全対策推進に関する件を本委員会決議とすることに決しました。  この際、小沢環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。小沢環境庁長官
  5. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして、努力をいたしたいと存じます。
  6. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 なお、本決議参考送付等については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件について、本日、参考人として森林開発公団理事長松岡亮君及び同理事手東平三郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————
  10. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  11. 木下元二

    木下委員 私は、大阪国際空港の公害問題について質問をいたしますが、まず、騒音コンターの問題です。  これは十一市協の測定結果と運輸省測定結果が異なっているという問題がありまして、そこで十一市協と運輸省共同測定することになりました。すでに昨年十月、十一月ごろに共同測定がなされたと聞いております。したがって、一応の結果が出ていると思うのでありますが、結果が公表されておりません。これはどういう理由でありましょうか。
  12. 梶原清

    梶原説明員 御案内のとおり、昨年三月、いわゆる航空機騒音防止法が改正をされまして、その規定に基づいて第一種区域、第二種区域、第三種区域区域指定が行われたわけであります。この区域指定につきまして、十一市協の実測コンターと私ども指定をいたしました区域とに食い違いがあるということで、先生指摘のとおり、昨年の十月から十二月にかけまして、関係市の職員と当方の職員とでもって共同騒音調査をしたわけであります。その結果をコンピューターで集計をいたしまして、本年一月に関係市と府県にお渡しをいたしておるところでございます。  ところが、この結果が年間を代表する値であるかどうかにつきまして、統計的な検討を加える必要があるのではないか、こういうような御意見がございましたために、当省が空港周辺に設置しております騒音測定塔で長期的な測定をいたしておるわけでございますが、その長期の測定データでチェックを行いまして、その解析も終了しておるわけでございます。近いうちに関係市と府に対して、再び検討会を持つようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。この検討の結果、指定区域の告示を変更する必要がございます場合には、所要修正をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 木下元二

    木下委員 言われますように、その一年を通じた平均的な値を計算中ということでありますが、いつごろ出るのでしょうか。近いうちということでありますが、七月中に出ますか。
  14. 梶原清

    梶原説明員 できるだけ早くいたしたいと考えておりますが、恐らく年内いっぱいになろうかと思っております。
  15. 木下元二

    木下委員 年内いっぱいというのは、えらい先じゃないですか。もっと近く、私はもう七月ぐらいには出るのじゃないかというふうに考えていたのですが、いかがですか。
  16. 梶原清

    梶原説明員 打ち合わせにつきましては、できるだけ早くいたしたいと思っております。その結果、所要措置をとりますので、恐らく年内くらいになるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。打ち合わせそのものは早くいたしたいと思っております。(木下委員所要措置とはどういうことですか」と呼ぶ)区域指定修正ということにつきましては、その打ち合わせの結果、出てまいるわけでございますので、まず打ち合わせを早急に、七月いっぱいぐらいに行いまして、そして検討した結果、修正が必要があるとすれば、これをできるだけ早く行いたい、こういう趣旨でございます。
  17. 木下元二

    木下委員 私が聞いているのは、その騒音コンターの結果を、関心を持っている、要求をしておる住民団体等に発表される、それはいつごろになるかということを伺っているのですがね。
  18. 梶原清

    梶原説明員 先ほども申しましたように、データそのものにつきまして一応、府県なり市町村にはお渡しをしておるわけでございまして、これを公表といいますのか、その評価はむずかしかろうと思いますけれどもデータは全部市の方にも渡しまして、そして打ち合わせをしたい、これを公表しまして、一般にお知らせをいたしまして御検討をいただくようなものであるかどうか、市の方には全部、資料は渡しておるわけでございます。
  19. 木下元二

    木下委員 いや、どうも誤解がありますね。自治体の方に、平均的な、いま計算中と言われたのだけれども、その計算した結果をいつごろ発表されるかと聞いておるのですよ。近いうちと言われるからいつごろかと聞いている。
  20. 梶原清

    梶原説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、データそのものは市の方にお渡しをしておるわけでございまして、その検討会を七月中にいたしたい、かように申し上げておるわけでございます。
  21. 木下元二

    木下委員 先般、大阪国際空港公害反対住民運動交流会人たちが上京しまして、空港公害問題について運輸大臣会談しました。その席上、特に問題になりましたのは、エアバス乗り入れ問題でありまして、地元住民団体同意了解なしには、大阪国際空港へのエアバス乗り入れをしないことという住民側要求に対しまして、運輸省は明確な答弁をしなかったのであります。住民側理解を得て乗り入れをするという態度に終始をいたしました。結局、会談は、住民側より運輸大臣に、この問題をよく検討せよ、住民側理解を得て乗り入れをするというような答弁では納得できないということで、そういうふうな運輸省側態度では、説明会ども一切、応じられないということを申しました。そして大臣に宿題を預けまして物別れになった状態であります。そこで、この問題についてその後、大臣検討されたでしょうか、どうでしょうか。
  22. 梶原清

    梶原説明員 大阪国際空港へのエアバス乗り入れの問題でございますが、先般(木下委員質問に答えてくださいよ」と呼ぶ)私どもとしましては、エアバス導入につきまして地元理解を得べく、最善努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 木下元二

    木下委員 いや、私の質問にお答えをいただきたいのですが、運輸大臣はこの前、住民団体が来た後に、この問題を検討するということを、その際、約束されましたが、検討されたかどうか、それを伺っているのです。されてなかったら、それで結構です。
  24. 梶原清

    梶原説明員 先ほどお答えいたしました方針で臨みたい、かように考えておるわけでございます。
  25. 木下元二

    木下委員 いや、そのことは前から、住民団体が来たときから伺っているのですよ。その会合があった後に、検討を加えますというふうに約束をされたのだけれども、その検討はされたかどうかと聞いているのですよ。
  26. 梶原清

    梶原説明員 あの会談の後に、私ども大臣局長打ち合わせ会をいたしましたけれども、あの会談の際に、特に検討をするということを申し上げた経緯はなかったかと思っておるわけでございます。
  27. 木下元二

    木下委員 短い質問の時間ですから、私の質問をよく聞かれて、質問にお答えください。  そこで、以前からのあなた方の態度である、地元理解を得てやるという場合の、地元というのは何を指すのですか。
  28. 梶原清

    梶原説明員 関係十一市で構成されております大阪国際空港騒音対策協議会と、空港周辺にございますいわゆる激甚地住民組織あるいは自治会連合会等を、私ども地元住民、このように認識をいたしております。
  29. 木下元二

    木下委員 地元理解と言われますが、どういう理解なんでしょうか。つまり何について理解を得るという方針なのですか。
  30. 梶原清

    梶原説明員 私ども航空機騒音対策のためにいわゆる周辺対策を進めてまいっておりますが、それと並行的に進めますエアバス導入発生源対策といたしまして特に直接的な効果のあるエアバス導入につきまして、住民皆さんの御理解をいただきたい、かように考えておるわけでございます。  御案内のとおり、エアバスといいますのは第三世代のジェット機と言われまして、音も小さいし安全性も高いし、そうして収容力が大きいので減便もできる、こうした航空機騒音対策決め手である、こういうふうに私ども確信をいたしておりますので、これにつきまして住民皆さん方の御理解をいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 木下元二

    木下委員 音も小さい、騒音対策決め手であるということを言われました。そういう騒音対策としてエアバス導入理解してもらうということのようですが、大阪空港の公害問題というのは、言うまでもなく騒音が一番でありますが、騒音だけではなくて、私ども大阪空港公害問題というふうに呼んでおるように、騒音以外の問題もいろいろあるわけなんですね。排気ガスの問題、あるいは威圧感の問題であるとか、あるいは事故の危険の問題等々もあるわけでありますが、騒音対策を中心とするけれども、そういうふうなものも含めたもっと広い公害対策として意味がある、そういうふうな理解住民側から得たい、こういうお考えですか。
  32. 梶原清

    梶原説明員 御指摘のとおりでございます。
  33. 木下元二

    木下委員 その理解を得てやる、これは当然、理解が得られなければやらないということだと思うのですが、そうですか。
  34. 梶原清

    梶原説明員 私ども考えておりますところによれば、先ほど申しました騒音の問題、排気ガスの問題、その他万般につきまして、これが公害対策として最も効果的なものである、こういう理解を得ることが十分できるというふうに思っておるわけでございますが、何せあれだけの周辺住民の方がいらっしゃいますので、すべての人につきまして御理解をいただけるかどうか、これはなかなかむずかしい問題であろうと思いますけれども大方の御理解を得ることはできると思っておるわけでございます。
  35. 木下元二

    木下委員 その理解が得られるであろうというのは見込みなのですが、大方理解が得られなかった場合はやらない、こういうことですね。
  36. 梶原清

    梶原説明員 私ども考えでは、この理解を得べく最大努力を続けていく、こういうふうに現在考えておるわけでございます。
  37. 木下元二

    木下委員 いや、それはわかりますよ。努力をされるというのは当然のことなんです。努力をしたにもかかわらず、どうしてもあなたが言われる大方理解が得られない場合にはどうするのかということは、行政の側としても当然、考えておくべきことだと思うのですが、その場合はやらない。理解を得てやる、こういうことであって、理解がどうしても得られない場合はやらない、こういうふうに伺っていいわけですね。
  38. 梶原清

    梶原説明員 いまの段階で、いま先生指摘のような、理解を得なければやらないとか、どうこうということを申し上げるわけにはまいらないと思います。専心、理解を得べく努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  39. 木下元二

    木下委員 それはおかしいですよ。あなた方の方としては、最大努力を払って理解を得るようにやる、これはわかります。しかし、理解を得られるかどうかということは、あなた方自身理解するという問題ではなくて、住民側なのですよ。理解が得られる場合もあるし、得られない場合もある。その場合に、理解が得られる場合だけのことを考えて先を見通すというのは甘いじゃありませんか。得られない場合にはどうするのかということは、行政の側としては当然、考えておくべきことですよ。どうしてこれが明確に言えないのですか。これまでのあなた方の答弁は、理解を得てやるとか理解を得た上でやる、こういうふうにはっきり言っておるのですよ。これは当然、理解を得なければやらないということでしょう。理解を得た上でやるというのは、それではごまかしだったのですか。
  40. 梶原清

    梶原説明員 私どもの立場といたしましては、地元理解を得て低騒音大型機導入する、これが私どもの従来の考え方でございまして、地元理解を得た、こういうふうに私ども判断できました上で、実施をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  41. 木下元二

    木下委員 ですから、私はいろいろ議論したいのですが、あなたがこれまでの答弁と違ったことを言われるので、どうも進展しないのです。あなた方が理解を得たと判断をした上でやる、これは非常に問題があることなんですけれども、一応聞いておきます。そうすると、そのことは、理解を得たと判断できなければ、やらないということじゃないのですか。論理上、当然そうなるじゃないですか。
  42. 梶原清

    梶原説明員 先生の御指摘のとおりでございます。理解を得て実施をする、こういうことでございます。
  43. 木下元二

    木下委員 だから、初めからそう答弁すれば、もっと早く済むのです。  住民側は、この前、大臣と話し合った際にも申しておりましたように、了解を得てやってもらいたい、こう言っておるのですね。運輸省の方は、なぜ了解ではなく理解ということにこだわっていられるのか、なぜ了解ではなくて理解を得てやると言われておるのか、その理由を簡単で結構ですから言ってください。
  44. 梶原清

    梶原説明員 この低騒音大型機導入につきまして、もちろん御理解をいただいておる方もいらっしゃいます。私ども接触した段階におきましてそういう方もいらっしゃいますが、どうしても御理解が得られない、御了解が得られない人もあろうと思うわけでございます。私どもとしましては、理解を得るために最善努力をして、地元皆様方の御理解が得られた、こういうふうに認識できます場合に、実施をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 木下元二

    木下委員 どうもよくわかりませんが、住民の方のよろしいという積極的な意思表示を必要とするのが了解だと思うのです。その了解は必要でないとあなた方が言われるのは、もう理解だけでいいのだ、理解というのも、あなた方が判断をしたときというのは、結局、住民側理解したかどうかを一方的に判断できる、そういう体制をつくっておきたい、一方的判断に立って遂行できる体制だけは崩したくないということですか。
  46. 梶原清

    梶原説明員 私ども公害対策は単にこの発生源対策だけではございません、周辺対策も含めての措置を積極的にとっておるわけでございますが、こうした公害対策全般につきまして、懇談会の形で地元皆さんの御理解をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、この理解を得てエアバス導入を図るという態度、これは今後とも続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  47. 木下元二

    木下委員 いや、結局あなた方の方が判断して、これはもう理解が得られたというふうに判断をして遂行する、理解が得られたかどうかというのは本来、客観的な問題だと思うのですが、その判断権をあなた方がやる、そういう体制のもとに遂行するのだ、こういうことじゃありませんか。だから、住民の方はまだまだ理解に達していないのに、運輸省理解したと判断しさえすればやる、こういうことでは困るのだということを言っているのです。つまり、運輸省恣意的判断を許することになる。少なくとも恣意的判断をしないという保証はないじゃないか、これを一番心配しているわけですよ。だから、よく言われる見切り発車運輸省がされるのではないか、そういうことでは困る、だから住民の方の了解を得てやってもらいたい、これは私は当然のことだと思うのですよ。その点はどうですか。
  48. 梶原清

    梶原説明員 懇談会等をたびたび持ちまして、単に一遍の説明会だけで実行するというような考え方はございません。現に十一市協の幹事会あるいはその他の団体に対しまして、懇談会の形あるいは騒音対策全般につきまして御説明する形で、御理解を得る努力をいたしておりますが、これを先ほど申しましたように一回だけの説明会をもちまして理解を得られた、こういうようなことではやるつもりはございません。私どもとしましては、たびたび御説明に上がり、たびたび懇談をさせていただいて、血の通った行政施策を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 木下元二

    木下委員 単に一回の説明会をやっただけでは理解したとは考えない、あたりまえのことですよ。そんなことをされたら、たまったものじゃありません。そうではなくて、やはり住民と話し合って、住民要求も聞き、そして本当に住民納得をしたという上に立ってやる、こういう態度がどうしてとれないのですか。あなた方があなた方だけの判断でもって住民理解したかしてないかを判断する、そういうふうに権力でもって押し切る、そういう余地を残しておいてやると言うから、住民が反発をする。しかも、これまでにあなた方は住民との約束を何回も破ってやってこられたといういきさつがある。これは過去のことを言えば切りがありませんけれども、もうずっと以前からそうである。そのことは、ここで言ってもよろしいけれども、私は時間の関係で一々触れません。だから、そういう不信感も醸し出されてきたわけなんですから、私は、そういう不信感をこの際、一切なくして、本当に住民納得ずくでこの問題を解決をするというためにも、ひとつ態度を改めてもらいたいと思うのですよ。  それでは、あなた方が理解を得てやるという場合の、その理解というのは、何をもって判断するのですか。理解を得たか、得られないか、その判断基準は何ですか。
  50. 梶原清

    梶原説明員 従来も地元皆さん方十分接触をさしていただいておりますが、今後とも、これを継続してまいりまして、精力的に御理解を得る努力をいたしまして、その上で理解を得られた、こういうふうに認識できる、理解できる場合に実施をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  51. 木下元二

    木下委員 いや、私の質問に答えてないのですがね。理解したか、してないか、何をもって判断するのか、判断基準は何一つ示されていないので、そういう基準は何か。あるいは基準がないなら、ないで結構です。ないのですか。
  52. 梶原清

    梶原説明員 地元理解を得られたというふうに当省で判断をする、こういうことでございます。
  53. 木下元二

    木下委員 地元理解が得られたと運輸省判断をする、その基準は何かと聞いているのですよ。つまり基準がないということを言われたのだと思う。ますます見切り発車可能性が強い。これでは私は困ると思うのですよ。  それでは伺いますが、住民の方は了解を得てやってもらいたい、あなた方は理解と言っておるが、理解了解と一体どう違うのですか、一言で言うと。
  54. 梶原清

    梶原説明員 エアバス導入につきまして十分な御理解を得るという、これは常識的な表現でございますが、同意とか承諾ということになりますと、あれだけの何十万人あるいは何百万人という地域の住民の方がいらっしゃるわけでございます。その方々のすべての同意あるいはすべての方の御了解というのはなかなかむずかしいのではないか、こういうことで私ども考えておるわけでございます。
  55. 木下元二

    木下委員 すべての方の了解が得にくい、しかし、そのすべての方という言い方をすれば、理解の場合だって同じじゃないですか。さっきもあなた言われたでしょう。すべての理解を得ることはむずかしい、だから大方理解を得るのだ、こう言われたのだけれども、それは理解了解の対象という意味では同じことじゃありませんか。だからそれはあなた方が特に理解ということの上に立つ理由にはならないと私は思うのですよ。そうでしょう。結局、あなたが言われるように理解というのは、なるほどもっともだとわかる。了解というのはやってよろしいということだと私は思いますが、この場合、地元理解をすれば当然、了解もする事柄ではないのですか。理解をしながら了解をしない、ノーと言う、そういうことを運輸省は想定をしておるのですか。この点をそんなにむずかしくでなく普通に考え判断しますと、住民理解をする、それは確かにあなたが言われるように、万人が万人全部理解なんということは問題がありましょう、だから、あなたが言われるように大方理解でいいですよ。それで、いまあなたが言われたように、これは地方自治体なりあるいは住民団体、被害者団体があるわけですから、そういう団体理解、あなた方は理解と言っているが、了解を得るように、理解が得られれば了解が得られる、私はこう思うのです。そうじゃありませんか。理解が得られておるのに了解が得られないなんということはあり得るのですか。
  56. 梶原清

    梶原説明員 事の実態につきましての御理解は得られても、同意とかそういう形で、私どもの方に対しまして了解をしたという手続なり、そういう態度に出ていただけるかどうかという点に、若干の不安があるわけでございます。私どもとしましては理解を得るための努力をいたしたいという考え方でございます。
  57. 木下元二

    木下委員 その点、ちょっとよくわかりにくいのですが、手続の上で若干の不安があるというのはどういうことですか。私が言う意味はおわかりになりますね。住民がこの問題について、あなた方が言われるように騒音対策あるいはそれ以外の公害問題に対して、エアバスを入れることが意味があるのだという理解に達した場合に、住民の方はそれでもノーと言いますか。そういう理解に達すれば、いやそれではよろしいということに、私はなると思うのですよ。そのことはおわかりでしょう。ところが、いまあなたが言われる手続の上で不安がある、これは一体どういうことですか。
  58. 梶原清

    梶原説明員 私ども、いま地元と接触をさしていただいておりますのは交流会という団体、これも訴訟団、調停申請団、弁護団それから地域の自治会等々ございまして、そのほかにも地元の方はいらっしゃるわけでございます。そうした住民の方々の了解あるいは同意というものを具体的に得るということが、果たして最終ぎりぎりのところまでいきましたときに、どうだろうかという疑問があるわけでございます。私どもとしましては、くどくなりますけれども、十一市協それから主なる団体によく御説明あるいは懇談を申し上げて、大方の御理解が得られるという状態にまで努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  59. 木下元二

    木下委員 非常に大事な点を言われるのですが、そこをはっきりしてくださいよ。あなたはそういう疑問があるのなら、ここでもっと明らかにしてもらって、一体、その疑問を解消することができるかできないか、もう少し議論したいと思うのです。どういう疑問ですか、最終の場面になってむずかしいというのはどういうことですか、私はちっともわかりませんね、そういうことは。
  60. 梶原清

    梶原説明員 たとえば議会でございましたら、御案内のとおり表決の結果、その態度がはっきりされるわけでございます。この地域の地元の御理解をいただくということは、そうした表決で意思がはっきりするわけでもございません。私どもとしましては、この地元を指導しておられる十一市協なり主なる団体に御説明を申し上げる、こういうことでございまして、地元理解というのは、あるいは先生がおっしゃいます同意といいますのは、その意思決定の表示の仕方、表現の仕方というところに問題があるのではないか、私はこういうことを申し上げたわけでございます。
  61. 木下元二

    木下委員 あなた方が交渉の団体にされるのは、十一市協を除くと、いろいろな住民団体ということを言われましたが、そのいろいろな住民団体、自治会連合あるいは訴訟団、調停団等がありますが、そういういろいろな団体について、いま言われたことが全部当てはまるのですか。
  62. 梶原清

    梶原説明員 私ども地元理解を得てと言っております。その地元は、必ずしも交流会全体の組織を指しておるわけではございません。私ども先ほども冒頭に申し上げましたように、激甚地の地域団体、自治会連合会とか訴訟団を構成しておられる方々、こういう認識をいたしておるわけでございます。エアバス導入につきまして特に関係の深い地域団体、こういうふうに考えておるわけでございます。交流会というのは私どもの方に接触に来られますけれども、このすべての地域につきましての方々の理解を得る努力をするということが、果たしてできるかどうか、これは一つ問題があろうかと思うわけでございます。
  63. 木下元二

    木下委員 結局、あなたが住民団体と交渉をしても、一体その住民団体が、交渉はできるかもしらぬが、最終的な場面で問題がある。問題があるから、了解を得ることはむずかしかろうから、理解でいいのだ、こう言われる。その団体というのは一体どういう団体なのかと聞いているのですが、私はもう時間がないので言いますけれども、どのような団体であっても、団体である以上は、意思ははっきりするのじゃありませんか。あなたのその考えというのは、どういうところからきているのでしょう。そういう団体は表決をどうやってやるのか、どういう表決がやられるかわからぬ、意思がはっきりしないのではないか、こういうことなんですけれども、これはとんでもない間違いですよ。あなた、少なくとも意思決定ができるという前提に立って、そういう団体を交渉団体として交渉しているのじゃありませんか。そうでしょう。そうしたら、そういう団体、少なくとも団体として認められている団体ですね、これは法的に言いますと行為能力と申しますが、行為能力はないのですか。行為能力はあるわけでしょう。これは法的に言いますと、法人組織にはなっておりませんけれども、いわゆる人格なき社団ということで、一種の団体として社会的に認められておる。だからこそ、あなた方はこれを相手にして交渉をするわけです。ところが、交渉はするけれども、最終的にその意思がどうやって決まるかわからぬから相手にせぬ、了解は得られにくい、これはとんでもないことですよ。それだったら初めから交渉もできないじゃありませんか。そうした団体が行為能力があるというふうに法的にも認められておるのは、これはそうした団体であっても行為能力がある、こういう上に立ってのことなんですよ。こうしたいわゆる権利能力なき社団が行為能力があるというのは、もう判例で確立したところでしょう。だから、そういう団体を相手にして交渉しながら、意思決定ができないなんて言われるのは、もうとんでもない間違いである。取り消してください。
  64. 梶原清

    梶原説明員 私ども、交流会の方々が来られまして、いろいろと申し入れなり要望なり抗議なりをちょうだいするわけでございます。私どもエアバス導入につきまして地元の御理解をいただきたい、こう申しております。その地元ということにつきましては、冒頭で私が申し上げました内容でございます。
  65. 木下元二

    木下委員 そんなのは答弁になってないですよ。あなたが初めに言われたように、交渉される相手の団体というのは十一市協のほかに自治会連合であるとか、そうした団体ですね。そういう団体を相手に交渉をする、そういうところの理解を得る、こう言われたのですね。しかし、そうしたところは何も理解だけでなくて、了解を得ることもできるじゃないかということで議論しているのですよ。あなたが言うのは、交渉はできるけれども、最後になって意思の決定ができないじゃないか、こういうのですね。しかし私は、少なくとも社会的に認められた団体である以上、その団体を代表するものが、機関が、あると思うのです。いろいろな団体に。それは代表者がいないような団体なら団体とも言えないし、それは交渉のしょうがないと思うけれども、少なくとも代表者がいる団体、これは人格なき社団として評価もできると思うのです。そういう団体と交渉して、当然、後の意思表示を聞くことは法的にできると思うのですよ。あなたが手続的に最後の詰めでむずかしいように言われるから、私は言っているのですよ。
  66. 梶原清

    梶原説明員 交流会の皆さん方と接触させていただいておりますのは、地元理解を得る努力を、私どもの誠意といいましょうか、そういう立場から接触さしていただいておりますが、私ども地元理解を得てエアバス導入を図るという場合の、この地元というものにつきましては、範囲が若干、違うのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  67. 木下元二

    木下委員 その範囲はどういうところですか。さっきも言われたと思うのですけれども、それではどこどこですか。
  68. 梶原清

    梶原説明員 先ほども申し上げましたように、空港周辺直近の音の問題につきましては、非常に激甚地のところ、そこに住んでおられる訴訟団、調停申請団あるいは自治会連合会、重複するかもしれませんが、そういうような住民団体の御理解をいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 木下元二

    木下委員 だから、訴訟団なり調停申請団なり、あるいは自治会連合なり、そういう団体団体として認めて交渉をやっておって、そして最後になって、意思決定ができないから、あなたは相手にしませんよということでは、これは私はぐあいが悪いと思うのですよ。そういう態度を改めていただきたいと思うのです。少なくともそういう団体団体として認めて交渉する以上、最後まで詰めて、そして意思を聞くべきなので、とんでもないことですよ。そういうところが住民不信感につながっていると私は思うのですよ。そういう態度を改めてくれますか。
  70. 梶原清

    梶原説明員 地元皆さん方の御理解をいただきますために今後とも、もちろん交流会の方々との接触もさせていただきます。誠意をもって努力もいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 木下元二

    木下委員 あなた方は、そういう団体がありながら、そうして団体を相手に交渉をすると言いながら、実際はその説明会をやる、あるいは懇談をすると称して、個々の住民のところへ行ったりしていろいろな話を進めておる。一方でこういう被害者団体を相手に話をすると言いながら、一方で、その団体ではなくて個人のところへ行って話をする。そういう一つの公害反対ということで結集をした団体を尊重し、団体と交渉すると言いながら、そういうことをおやりになるのは、これはやはり私は遠慮してもらいたいと思うのです。これははっきり言いますと切り崩しですよ、あなた方のやっていることは。そういう態度をとればとるほど、私は住民側不信感を招くと思うのですよ。あなたは住民の立場に立って考えてみたことがありますか。住民の側に立って本当にこれを解決していくということで考えてもらわぬと困ると思うのです。だから、そういうふうな切り崩しもやめていただきたい。そうして、時間がなくなりましたが、いまの問題ですね。理解了解かという問題、これも結局あなた方が本当に懸念されておったのかどうか知りませんが、そういう団体としての意思表示ができないというような問題も、いまの理論で実は法的には意味がないということもはっきりしたと思うのですよ。だからこれは、そういうふうな懸念がなくなったということになれば、私はそういう団体と交渉し、最後まで話し合って了解を得るということもできるわけなんだから、そういう方向でやってもらいたい。答弁を願います。
  72. 梶原清

    梶原説明員 お答えにならないかと存ずるわけでございますが、交流会の組織ができました経緯、またその実態等から考えまして、私どもとしましては、もちろん交流会を構成しておられるところの地域の団体につきまして、さらに懇談会等を通じて御理解をいただく努力をいたしたいと存ずるわけでございますが、かと言って交流会の方、その組織全体とお会いしないとか、どうこうは申しておるわけではございません。今後とも交流会の方からいろいろお話しがございますれば、十分お話しを承って理解を得るための努力を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  73. 木下元二

    木下委員 もう時間が来ましたので、私はこの問題はまた改めて聞きたいと思うのですよ。最後に、あなたがそう言われるので、結局あなた方が言う地元というのは、そうすると激甚地の一部の人たち、初めはあなたは訴訟団というふうに言っておったけれども、そうすれば、訴訟団を相手にするということではないということですか。訴訟団というのは、訴訟団として団長が決まり、訴訟団として一体になって動いておる団体なんですよ。だから、その一部の地域が独立して物事をやるということにはなっていないのですよ。だから、あなた方はその訴訟団を相手に話もしてきたのじゃありませんか。調停団でも同じことなんですよ。ところが、この問題だけは、この訴訟団の一部と話をするというのはおかしいじゃありませんか。その一部だけが、いまあなたは激甚地と言われましたが、その地域だけが、その被害者だということではないと思うのですよ。それは被害の程度は違うでしょう。けれども、初め私が指摘をしましたように、騒音問題もあるし、また大気汚染の問題もあるわけなので、あるいは事故の心配、威圧感、それは離れたところと近いところでは、被害の、あるいは公害の、大小の問題はありましても同じことなんですよ。その場合に、なぜ訴訟団の一部だけを相手にすると言われるのか、そういう態度は再検討してください。おかしいですよ。
  74. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 持ち時間が過ぎていますから、簡潔に答弁願います。
  75. 梶原清

    梶原説明員 訴訟団は、豊中の勝部、利倉、あの地域の訴訟団、それから川西の訴訟団の方、これは私ども理解をいただく地元の方として十分考えておるわけでございます。
  76. 木下元二

    木下委員 もう時間が来ましたので終わりますが、この問題については、どうも答弁が十分でありませんし、私ももっと議論をしたいと思いますので、改めて質問します。
  77. 渡辺惣蔵

  78. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、後もう一つの問題もございますが、先に大阪国際空港の航空機騒音問題の方から質問をさせていただくことにいたします。  先ほど来、エアバス乗り入れについての質疑が続いておりましたが、飛行場部長、お尋ねいたしますが、エアバスと申しますと、騒音エアバス乗り入れによって低くなるので、騒音対策になるという点も、一つは運輸省としては問題にされておるやに私はお伺いしておりますが、エアバスエアバスとよく言われますが、いまお考えになっていらっしゃる機種は、一体どういう機種をお考えになっていらっしゃいますか。
  79. 梶原清

    梶原説明員 当面、導入を図りたいと考えておりますのがロッキードL一〇一一という飛行機が一つ、それからジャンボという飛行機でございます。前者が三百六席、後者が四百九十八席の飛行機でございます。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 ロッキードL一〇一一というのはわかりますが、ジャンボという機種は聞いたことがないのです。やはり正式の名称があると思いますよ。それをおっしゃっていただきたいと思います。
  81. 梶原清

    梶原説明員 ボーイング747でございます。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  それで、ロッキードL一〇一一とボーイング747SRだと思いますが、それぞれの機種が、大阪空港においても、いわゆるエアバスとして乗り入れる際、現用機のどういう機種にかわることを予想して、お考えになっていらっしゃるのですか。     〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
  83. 梶原清

    梶原説明員 ボーイング747、ジャンボでございますが、これは日本航空の主力機でございまして、現在のDC8161型機をボーイング747SRにかえたい。それから、ロッキードL一〇一一の方でございますが、いわゆるトライスターでございます。これは全日空の主力機でございまして、現在飛んでおりますボーイング727−200の代替機として使いたい、かように考えておるわけであります。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 いま御説明のロッキードL一〇一一をボーイング727に、それからさらに、DC8をボーイング747SRに交代さすことによって、騒音はどの程度低下するのですか。
  85. 梶原清

    梶原説明員 ICAOの資料によりまして申し上げますと、全備重量で飛びます場合、DC8からボーイング747SRにかわりますと、離陸騒音の方で十七ホン低下するわけでございます。それから進入騒音の方では約十ホン低下をいたします。全日空の方のロッキードL一〇一一の方でございますと、ボーイング727からトライスターにかわりますと、離陸騒音で約五ホン、進入騒音で七ホン低下するわけでございます。そして、これを東京−大阪間で就航をさせます場合に、現用機のDC8などを使いました場合に八十五デシベル以上の音の被害があります面積は三千ヘクタールでごございます。また727機を使います場合の八十五デシベル以上の音の被害のあります地域は千五百ヘクタールでございます。ところが先ほど申しましたジャンボなりトライスターなりを導入した場合の八十五デシベル以上の音の面積は六百ヘクタールに縮小されるわけでございます。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 その御説明はICAOの資料によってただいま御説明なさっておる。ある場合には騒音に対してWECPNL方式によるホンでお言いになったり、ある場合にはデシベルでお言いになったりしているから、それも統一性がない。また先ほど来おっしゃっていることは、これは国際基準というふうな意味でおっしゃっているのかもしれませんが、日本の空港の立地条件なり環境というのは、果たしてICAOが言っている中身に即応して考えていっていい条件を備えているかどうか、これは大変に問題点が多いところです。したがって、いまの御説明をそのままいただきで、なるほどそれは大していいものですねとはこれは言いがたい。現にロッキード一〇一一にしろ、それからボーイング747SRにしろ、日本の空港ですでに就航いたしておりますか、いかがですか。
  87. 梶原清

    梶原説明員 現在エアバスが飛んでおりますのは、北から申し上げますと千歳、東京国際空港いわゆる羽田空港、名古屋空港それから福岡空港、熊本空港、鹿児島空港、那覇空港、以上七空港に現在、二年あるいは半年ほど前から入っておるわけでございます。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、すでに日本では就航しているそれぞれの空港と、いま私がここで御質問を申し上げております大阪国際空港とでは、さらに立地条件が違います。違いますけれども、現にそれを現用機として使用している空港周辺での騒音測定からすると、先ほどおっしゃったICAOのとおりにはいっていないという実態があるのですよ。事実そうでしょう。たとえばこのDC8に交代をした、また交代をすると大阪空港の場合は言われている、先ほどの御答弁でおっしゃっている、そのボーイング747SRは、千歳空港で就航しておりますね。この千歳空港から一キロメートル地点で、これの騒音をいろいろといま測定しているということを見てまいりますと、これは先ほどおっしゃったようにはなかなかなってないようです。一キロメートル地点のDC8の百三ホンより、わずかに一・五ホン低くなっているにすぎないと書かれていたり、空港より三・七キロメートル地点での騒音比較をすると、DC8よりむしろ四ホン高くなっているというふうなことが指数として出たりしております。それで飛行場部長さん、これは現にこういう中身は私がここで初めて言うのじゃなくて、国を相手どって大阪空港の裁判があります。飛行機の騒音訴訟があるでしょう。この航空機の騒音訴訟をやっている裁判所で証拠書類として提出されている中身、ちゃんとあるんですよ。そういう問題をずっとお調べになっていらっしゃるかどうか、お聞かせください。
  89. 梶原清

    梶原説明員 飛行機の騒音測定しますには、一回だけの調査とか測定とかでは言えないわけでございまして、たびたび、いろいろな条件で飛びましたものではかるわけでございます。先ほども私、申し上げましたのは、ICAOの全備重量で飛びます場合のことを申し上げたわけでございます。国内の千歳とか福岡で飛んでおりますのは、必ずしも全備重量で飛んでおりませんので、あの結果どおりではございません。また大阪国際空港騒音訴訟で証拠資料として地元からも出されておると思いますが、恐らく緊急着陸時の騒音測定をなさった、二回ほどいたしましたけれども、その一回の場合の資料が出されておるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 それは大阪空港から出ている資料というのも、現に飛んでいる千歳空港では、これは試験飛行じゃないのです。事実、就航しているわけでしょう。それに従っていろいろ資料を整えられて言っている。それからまたロッキード一〇一一についても、事実、就航しているのについての資料を整えて言っていらっしゃるわけでありますから、一回や二回の試験飛行とおっしゃるけれども、そうではないということをひとつはっきり申し上げたい、試験飛行じゃないのです。実際、現用機として就航している分についての調べの結果ですから、だからそういう点からすると、ロッキード一〇一一にしてもボーイング747SRにしても、果たして騒音対策ということになるかならないか。この辺は騒音対策のために乗り入れるということを、大きな声でおっしゃるわけにはいかないということがまずあるようであります。  まず、お伺いしますけれども環境庁長官、これは航空機の騒音環境基準というのはすでにございますね。あの環境基準については、その後、環境基準の中身を緩和するということは、今日に至るまで、告示をお出しになってから、ございませんね、それをまず確認しておきます。
  91. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ございません。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 それからすると、これはどういう中身になりますか、あの告示に従って大阪国際空港についての航空機騒音対策というのは、告示を誠実に遵守していくとするなら。
  93. 春日斉

    ○春日政府委員 環境庁において航空機騒音対策実施していく上で目標となります環境基準を、御承知のとおり四十八年の十二月に告示いたしまして、目下、運輸省において、この環境基準の改善目標を達成するためのいろいろ騒音被害の著しい地域における民家の防音工事、移転等の障害防止対策を進められているわけでございます。これらの対策について運輸省地元関係地方公共団体との間において意見の調整を図りつつ推進する必要があると環境庁では考えております。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ、春日局長。私の質問に対して答えていらっしゃらない。どういうことを聞いているかおわかりでお答えでしたか。そんなことを聞いているのじゃないですよ。  環境庁長官は聞いていらっしゃったと私は思います。どうぞ。
  95. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私ども基準を決めまして、それに必要な達成期間というものを告示をいたしておりまして、大阪空港は第一種空港及び福岡空港のこの欄に入ると思います。それによれば、達成期間は十年を超える期間で可急的速やかにと、こういうことになっておりまして、改善目標値としては五年目標で、たとえば屋外でこうとか屋内でこうとか、こう決めているわけでございます。また十年目標では屋外で七十五以下または屋外七十五以上の地域において屋内で六十以下、こういうふうにお答えするのが先生の御質問の答えじゃないかと思います。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると告示が出されたのが四十八年。四十八年から五年という期間がまず第一の段階として考えられなければならぬのですね。五年ということになると、もうすぐ目の前の五十三年。五十三年までの間に、この騒音対策については周辺整備機構という問題があると、恐らくお答えになるかもしれませんが、何といっても音源対策が、やはりあらゆる公害と同じように発生源対策が大事ですから、この節も音源対策ということを第一にお考えになって、対策を講じられるということが大事だと私は思うのです。そういう点からしますと、このエアバス乗り入れによって、それに近づくのですか。そういう見通しをはっきりお立てになっていらっしゃるのだろうか。いかがです。
  97. 梶原清

    梶原説明員 先生指摘のとおりでございまして、私どもとしまして当面の目標値でございます五年目標、これは五十三年にまいるわけでございます。それを達成しますために周辺対策発生源対策、この二つを並行的に精力的に進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  この発生源対策につきましては、まずエアバス導入、これが第一点でございます。第二点といたしましては、現用機のボーイング727等のエンジンの改修をいたしたい。昨年度は十二億円、今年度は約九億円くらいでございますが、融資をいたしまして、現用機のエンジン改修をして音を低めていく。これは五十一年度にエンジンの改修を終わる予定でございます。発生源対策の第三点といたしまして、いわば静かな飛び方と申しましょうか、カットバック方式とかいろいろの方式がございますが、その方式を採用することによりまして、総体的に音を小さくすることができる。これを進めておるわけでございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 そういう御答弁は幾ら聞いても時間のむだということに実はなるのです。私が聞いていることは、エアバス導入によって、四十八年から五年、つまり五十三年に向けての発生源対策つまり音源対策というものに対して十分に措置が講じられるということになるのかということを私は尋ねているので、もういいです。それは同じことの御答弁になると思いますから。これはならないのですよ、騒音からすると。先ほど申し上げたとおりです。それじゃ全国の空港に就航している分の資料を、現用機と比較して一回、出してみてください。  それからもう一つここでお伺いしたいのは、国側のいろいろな計画が現にあるはずなんです。大阪空港を離着する航空機について見てみると、現にYS11というのがありますね。東亜国内航空とそれから全日空がこれを使用しているはずです。このYS11について、大阪空港の場合などは、一番騒音が低いと言われているのがこのYS11なんですけれども、これが大体昭和五十五年くらいを考えていくと、国側の試算によれば半減されるのではないかというふうなことが、かつて出ていたわけです。ところが、これは私の手に持ってきたのは昨日の朝日新聞なんですが、新聞情報によりますと、「お荷物になったYS11」というのがあって、YS11というのはまことに効率が悪い。このYS11を飛ばせても、ほとんどの路線で採算がとれない。したがって何とかこの厄介なお荷物について始末をつけなければならぬ。どうするかというので、いま現に全日空にしろ東亜国内航空にしろ、いろいろとこれに対して頭を悩ましている。結局はYS11に対して、これにかわる機種を入れてきて、YS11だけは別枠のYS11運航会社ということを構想しつつあるという向きの記事であります。現在の企業経営では、YS11で一日飛ばしているこの便数からすると、YS専門の別会社にして運航するしか、経営形態としてはないというふうな説明も、全日空の社長がされているわけですね。こういうことからすると、このYS11をカットして、これとエアバスの交代ということを企画されるのではないかということが、現にこういう問題が世上だんだん出てまいりますと、大変に注目される問題になってくるのです。YS11というのは御承知のとおりに一番騒音が低い飛行機ですから、それと今度のエアバス騒音というものは比較をしてもらわなければ困るのです。YS11を削って、それに入れかえてエアバス導入考えるなんておっしゃるのなら。現にそういうお考えがあるかないか、そしてそれを入れる場合には、YS11とエアバスとの騒音の比較が一体どういうことになるか、お答えいただけませんか。
  99. 梶原清

    梶原説明員 YSがジェット機に比べまして音が小さいということは事実でございますが、また経営上、効率的でない機種であるということも事実でございます。私ども大阪国際空港につきまして、現在は枠の関係から申しますならば、プロペラ機も含めまして、いわゆるYSも含めまして一日四百十回、そのうちジェット機が二百四十回ということで運用してまいっておるわけでございますが、YS11がだんだんリタイアしていくという状態になってまいりますと、収容力が小さいものでございますから、これを収容力のある、しかも音の低いエアバスにできるだけかえていく、当面はエアバスが三、四十回というものをだんだんと向上してまいりまして、航空輸送力の確保ということも図りながら、騒音対策を進めてまいろう、かように考えておるわけでございます。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 修飾語が多いので困るのです。聞いていないところに話が修飾語で伸びていく。そんなことは聞いていませんから、ひとつ質問に対して的確な答弁だけをお聞かせください。  それでYS11について、いまのところどうなんですか。別会社をつくるということが航空会社の発想の中にはあると新聞の記事には出ておりますが、運輸省とされては、こういうことに対してはやはり考える必要があると現にお考えですか、どうですか。
  101. 梶原清

    梶原説明員 私の直接所掌するところでございませんが、非常に重要な、また困難な問題ではないかと考えます。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 重要な、また困難な問題ではないかというのは、だれでもそれは考えることですが、そういう御答弁からすると、恐らくそういうことを考えてみる必要があるという方向も、運輸省では進めていらっしゃるということに理解をせざるを得ぬと思います。そういうふうな御答弁ならですよ。そのニュアンスから察するに。さあそうなってくると、YS11にかわってどういうふうな飛行機を入れるか。それだけの分を減便をさっぱりしてしまうというようなことは、先ほどからおっしゃっている航空会社の経営効率なんということをお答えになるのだから、それはそうはいかないぞというふうな姿勢で臨まれるに違いないと私は思うのです。  そこで一つお尋ねしたい資料があるのですが、これは「昭和六十年の国内航空旅客」というレポートです。出しているのは航空政策研究会です。航空政策研究会は自主的な研究会だと言われながら、そのメンバーを見ますと、なかなか、航空審議会のそうそうたるメンバーが、会長を初め理事の中には顔を出していらっしゃるわけです。この「昭和六十年の国内航空旅客」というレーポートの中を見てまいりますと、その二十一ページのところにこう書いてあるのです。大阪国際空港のことですよ。「近く現在の国際、国内を合わせての二四〇便のジェット制限が二二〇便以下に、更に大型機導入時にはそれが二〇〇便以下に制限される可能性もある。」と書いてあります。これはこのとおりなんですか、どうなんですか。大型機導入じゃないのですよ。まず現有機について、現在の国際、国内を合わせての二百四十便のジェット制限を二百二十便以下にまずする。それから大型機導入時にはそれがさらに下がるという物の書き方です。どうですか。
  103. 梶原清

    梶原説明員 先生が非常に御勉強いただいておりますのにびっくりしたわけでございますが、実はその資料の表現が恐らく正確でなかろうかと思います。昨年の三月二十三日に、当時の徳永運輸大臣が発表いたしましたエアバス導入に関連しましての減便計画というのがございますが、これによりますと、昨年の五月から、それ以前にジェット機が二百六十回ありましたのを二百四十回に、それから大型機が就航いたしますれば、それをさらに二十回減らしまして二百二十回に、そして山陽新幹線が開通いたしますれば最終の姿において二百回にします。こういう計画でございまして、この計画は現在その計画どおりに考えておるわけでございます。いまお読みいただきました資料は、ちょっと表現が間違っておるのじゃなかろうかと思います。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 間違っているということでは私は済まないと思うのですよ。現に、どうです。このメンバーの中には日航の社長も入っていれば東亜国内航空の社長も入っているし、全日空の社長も入っているのです。そうして、ここにこう書いてあるのですよ。そうするじゃなくて、まずはジェット制限を国際、国内合わせて三百四十便を二百二十便以下にすることができるのだ、さらに大型機を導入したときには、それが二百便以下に制限される可能性もあると書いてあるのだから。飛ばしている飛行機の会社の社長が入っている会ですよ。だから、間違っていると思いますじゃ済まない。大体、経済的効率とか、航空会社の方の需要という問題もこれありとおっしゃるけれども、その航空会社の社長が入っている中で、いろいろ考えられて検討されたレポートとして出されている「昭和六十年の国内航空旅客」というレポートの中に出ているのだから、できるのですよ、「可能性もある。」と書いてあるのだから。航空会社の方がそう言うのだから、運輸省の方はそうできませんとおっしゃったって、飛行機を飛ばしている航空会社の方はそうなんですよ。いかがなんですか。
  105. 梶原清

    梶原説明員 減便計画につきましては先ほどお答えしたとおりでございまして、ここの表現が正確でないわけでございます。昨年の五月の段階で二百四十回、それから大型機が入りまして二百二十回、それからその大型機が入ったことを前提にして、山陽新幹線が開通しました段階に二百回ということでございます。ここの表現は「制限される可能性もある。」というふうに書いてございまして、実は、関西の拠点空港といいましょうか、西日本の拠点空港である大阪国際空港につきましては、騒音問題がなければ、皆さんに御迷惑をかけなければもっと……。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 そんなことは聞いてないからいいです。  それは、幾ら言っても繰り返しになりますけれども、単にこれは表現の間違いというわけにはいかぬと思うのです。非常に大事な重要な部分ですから。それで恐らくは航空会社の社長さんも含めまして、それからこの中の専門知識を持っていらっしゃるそれぞれの学識経験者の方々も含めまして、いろいろ検討なすった結果、そういう制限をさせていく可能性もあるというふうな認識をお持ちになったから、お書きになっているに違いないというふうに私は考えているわけです。     〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 その頭の中には、騒音対策というものが非常に重要だというふうなお考えがあって、それに基づいて、しかも、この六十年の国内航空の旅客について、どういうふうに先の見通しを立てるかということに対しての中身を出していらっしゃるわけですから、そういう点からすると、環境庁が出していらっしゃる告示、つまり航空機の騒音に対しての環境基準というものも十分頭の中に置いて、ずっとこれは考えていらしたということが、この討議の中では私ははっきりうかがえると思うのですよ。  それで、どうでしょう環境庁長官、これはそういう航空会社の社長も入っていらっしゃる研究会ですよ、その研究会が研究をされた結果、出されたレポートの中にそういう旨の記載がある。これを単なる間違いというふうにお考えになりますか。私は、減便をどう考えるか、これはすなわち音源対策ということですから、音減対策ということについて、すでに環境庁がお出しになっている航空機の騒音環境基準ということを念頭に置きながら、それを実施しなければならないという気持ちが強ければ強いほど、一体どうやったらいいかということを、やはりいまの運輸省がどう考えるかということとは別として、航空会社としてどうやったら、何がどれだけできるかというふうなことも中身に織り込みながら、お出しになったのじゃなかろうかと私は思うのですよ。  そうしますと、まず何としても現用機を減らすわけにはいかぬ、まず大型機をどんなことがあっても押し込んで入れてもらいたい、それでないと便数は減らせませんし、したがって騒音も減りませんよ、そういうごり押しといっていいかどうかわかりませんが、この態度を強行されていくということが、果たして音源対策をスムーズに実現する道に通ずるかどうかというのは、私は大変、問題があるところだと思うのです。幾らそういうことを発想なさっても、現在そういうことを実用化できなければだめでしょう。実際問題としてそういうことが活用できることがあって音源対策というのはできるわけですから。これは幾ら言ったって実用化できないことはだめだと私は思うのですよ。一体どっちが先かということについて、これは重要な問題提起をしていると思うのです。現用機に対して減らせるだけまず減らしなさい、それから大型機を導入する必要があったら、それからさらに減らせるではないかという物の書き方ですよ。これは、まず大型機を導入してもらわないと減らせませんという姿勢じゃないのです。どういうふうにお考えになりますか。
  107. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私、その報告書を全然読んでおりませんので何ともお答えできないのですが、要は、やはり一回の輸送量をふやすことによって全体の回数を減らし、騒音の総量を減らしていくという方向で、できるだけ考えていただければありがたい、かように考えております。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 まあ、いまの環境庁長官の御答弁からすれば、やはりできるところからやらなければいかぬということになると、大型機導入というのはなかなかこれはむずかしい。そして、現に現用機とかえたときに、大型機それからエアバスと言われるけれども、それぞれの機種に即応してもう使用している各空港での測定値というものを出した場合に、果たして住民の方々からすれば、これは騒音対策になるかどうか、納得いただける数値には恐らくならないだろうと私は思いますが、そういうものは資料としてまだ出ていませんから、だから、これはやはりそういうことも整えられていく途次、私は現用機について減らしていくということの方が先だ、これをまずやらなければいかぬということをお考えいただかないと、にっちもさっちもいかないなというふうな感じがいたします。  それで、さらに、これは飛行場部長、もう時間ですから簡単にお答えくださいよ、いま裁判を国を相手どって続けてこられた住民の方々からすると、もうこれは最大公約数で出したぎりぎりいっぱいの線、つまり夜間飛行の九時以降の便を禁止するこという中身があることを御存じでしょう。この九時以降の便について、現在、運輸省としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  109. 梶原清

    梶原説明員 大阪国際空港の輸送需要というのがきわめて強いものでございますし、また、国際線の出発、到着時刻の関係からいたしましても、午後九時台の便を廃止するということは、きわめて困難な事情にあるわけでございます。しかし、午後九時以降の便につきましては、低騒音大型機、いわゆるエアバス導入いたしました機会に、国内線は五回以下に制限をするとともに、国内線の最終発着時刻を午後九時三十五分、現在は九時五十分が最終になっておりますが、これを三十五分に繰り上げるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 それはいつからですか。
  111. 梶原清

    梶原説明員 エアバスを本格的に導入いたします時期から、九時三十五分に繰り上げたい、かように考えておるわけでございます。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 ほら、またそういうことですわ。何でもエアバス乗り入れにひっつけて、エアバス乗り入れを認めればこうしてやろう、エアバス乗り入れを認めた節には、こういうふうに考えるということばかりをお出しになる。これでスムーズに事が運ぶとお考えですか。そうはいかないですよ。かつて抱き合わせ販売というのがあった時代を御存じだと思う。欲しいものを買いにいくと、それはなかなか売ってくれない。欲しくもないものを押しつけられて、これを買うのだったら、これを売ってあげましょうというふうな売り方をやったのです。一つの悪徳商法ですよ。いま運輸省の姿勢というのは、そう言わざるを得ぬですね、そういうお答えなら。どうなんでしょう、一体。
  113. 梶原清

    梶原説明員 私どもといたしましては、昨年の五月の段階におきまして、大型機がまだ入らない段階におきまして、当時、一日二百六十回ジェット機が飛んでおりましたのを、二十回まず下げてまいっております。それから先ほど申しましたように、大型機の導入で一機当たりの輸送力を大きくして減便を図っていくという、三段階減便計画を出しておるわけでございます。また、ごく最近、三月十日から山陽新幹線が開通をいたしておりますが、その開通に伴いまして、エアバスもまだ入りませんけれども、大阪−福岡便四回を減らしてまいったわけでございます。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 その辺は、飛行場部長さん、私も知っているから、そんなことを聞いているわけじゃないのです。先ほどからの夜間便について、お答えいただいたら、それで結構なんです。
  115. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 簡潔に答弁してください。
  116. 梶原清

    梶原説明員 私ども、九時三十五分最終のものが、慎重に検討しました結果、ぎりぎりの線でございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 それは現用機について、状況がたとえ大型のエアバス乗り入れるということがなくとも、現に実行できるという線ですね。
  118. 梶原清

    梶原説明員 大型機の導入を契機に実施をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、さらにこれは詰めをしなければならないわけですが、航空機騒音の問題については、次回にひとつ質問を続行するということで、先ほど来、実は厚生省の水道環境部長さんに私は出席要求したら、わざわざ出席をいま、いただいていると思うのです。いらしていますか。
  120. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 申し合わせの時間が切れたのですが、ひとつ後に譲ってください。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ後で、一番最後にさせてくださいますか。
  122. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 本会議関係があるから、だから午前に終わるという理事会の申し合わせですから、理事会の申し合わせを守ってください。後で、最終に時間があれば、配慮します。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。
  124. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 岡本富夫君。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは、きょうは当国会の最後の日でありますので、重要な問題を取り上げておきたいと思うのですが、すでに御承知のように、七月二日午後一時に自然保護議員連盟が発足しました。そして環境庁をバックアップしよう、同時にまた、大事なかけがえのない自然保護のために、その行政を指導するようなことで、力強く発足したわけです。それは御承知のとおりでありますけれども、その前に一点、新幹線の環境基準についてのことを一言聞いておきたいと思うのです。  これは御承知のように、本年の三月末までに、新幹線の環境基準の設定について行いますということを、長官は言明されたことがありますけれども、その後、少しおくれておるわけですが、すでに六月二十八日に中公審の答申が出されまして、そして環境庁に提出されております。したがって、いよいよ答申が出たわけでありますので、いつごろ決定されるのか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
  126. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いろいろ手続等がございますので、来週中には何とかまとめたい、かように考えております。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、六月二十五日の参議院の環境公害特別委員会で福田副総理が、この告示に当たっては、基準値の達成期間、こういうことで、実行可能なようにしなければならぬ、そういう発言をしておりますが、環境庁の告示段階政府の一定の判断、こういうことがあるのではないか。したがってせっかく出された答申よりも、答申が変更されるのではないかというような危惧があるわけですけれども、そういうことは、環境庁長官としてはこの答申どおり、むしろ答申より強くというようなお考えがあるのでしょうか、この点ひとつ。
  128. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、答申よりも下がることも前進することも、いまのところは考えておりません。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、この答申どおりやる、こういうふうに腹を決めていらっしゃるのですね。
  130. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御承知のように、私も実は三月なり四月ごろまでにはまとめたいと思っておりまして、そういう趣旨の御答弁を申し上げておったわけでございます。六月いっぱいかかりましたということは、これはそれだけに中公審の先生方の方で、何とか国鉄あるいは指導監督の任に当たっております運輸当局、これらの方々とも十分意思の疎通を図り、理解を得て全会一致にしたいということで、今日まで努力を続けてきたわけでございますから、全会一致の答申を得ました私としては、もう当然、答申を尊重して告示をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 全会一致で決まったのですから、このとおり答申を尊重したい、こういうようにいまおっしゃったわけですね。わかりました。  そこで、この環境基準の答申を見ますと、午前六時から午後十二時まで、要するに夜間運行というものは該当しないのだというようにございますが、国鉄は将来夜間運行というものを考えておるのではないかというように、この答申から見ますと考えられるわけですけれども、国鉄はいかがですか。
  132. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 現在のところ夜間運行は考えておりません。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在のところ考えていない。しかし将来、要するにこの前の委員会で内田常務理事は、現在の環境基準を達成した場合は、その限りでないというのに近いような発言があったわけですが、その点いかがですか。
  134. 内田隆滋

    ○内田説明員 そのとおりでございまして、ただいまのところは国鉄部長が申しましたとおり、夜行運転は考えておりません。しかし、あらゆる条件が満たされて夜間運行ができるというようなことになれば、いずれ夜行運転はやりたいというように国鉄としては考えております。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると長官、いま国鉄は大体、夜間の運行もしたいというように考えておるわけですから、夜間の基準もやはりここに織り込んでおかなければならぬですね。この次の第二次になると思いますけれども、夜間の基準もお決めになるつもりなんですか。その点をひとつお聞きしたい。
  136. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いま運輸省並びに国鉄からお答えをいたしましたように、ただいまのところは夜行というものは考えていないわけでございます。将来、条件が満たされればというお答えがあったわけでございます。条件が満たされればという、その条件とはどういうことか、私は実施官庁じゃないからわかりませんが、その中にはやはり環境問題というものも含まれておるというふうに解さなければならぬと思います。したがって、そういう場合には環境問題上、支障のないような対策がとられておるという条件を想定をいたしまして、聞いておったわけでございますが、その場合には必要な改定を行うということになっておりますので、それらのときには環境基準について必要な再検討を加えることになろうか、かように考えます。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 実は四十七年三月十五日、山陽新幹線の開通に当たりまして、東海道新幹線の騒音あるいは振動は非常にきついということで、西宮あるいはまた尼崎あるいは伊丹の市長さんと覚書を交わした。騒音は七十五ホンないし八十ホンに抑えます。振動は〇・三ミリに抑えます。そういうように決めて、そして開通したわけであります。ところがそれが満たない。この間、国鉄総裁が来まして、もしもお約束したものに二年間たって満たない場合は減速もします。こう言明されましたけれども、私はいままで、なぜ、そういうことを言っているかというと、国の環境基準がないために、そういうようなことになるわけですから、もしも夜間これを行う場合には、その前にやはり環境庁として環境基準をきちっと決めて、こういう条件に満たなかったならば、ということをしておかないと、いよいよ夜間走ってから、それから環境基準を決めるということでは、いまのような轍を踏むのではないか。要するに後追い行政ではぐあいが悪い。先取りするのが環境庁の真実の姿ではないか、こういうように思うのですが、いかがでありますか。
  138. 小沢辰男

    小沢国務大臣 そのとおりでございまして、運輸当局も私どもとあらかじめ相談をしないで、勝手に夜行を走らすようなことはなかろう。これは政府一体でございますから、そういうことはないものと私は考えております。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 その場合に、いまおっしゃったように環境庁としては、では何ホンなら、あるいは振動何ぼならいいのだという、適切な目標を持った中から、それはいけません、それはこうしてくださいというような指示といいますか勧告が出せるようにしませんと、全然何もなしでではぐあいが悪い。といって、まだこの答申にはそれが出てない。したがって夜間運行の場合の基準も決めておかなければならない、こういうように思うのですが、その点のことについて、将来のためにいまから検討の必要があるのではないか、私こう思うのですが、いかがですか。
  140. 小沢辰男

    小沢国務大臣 引き続きこの騒音部会は、そういう問題も検討していただくようにいたしたいと思います。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、この答申を見ますと、達成につきまして別の法制というのですか、法制化が必要であるというような答申になっておりますが、その場合、たとえば空港の場合、大阪伊丹空港では第三セクター、第三機構、そういう機構をつくって、そして立ち退きとかあるいはまた緑化地帯をつくるとか、そういうことをやっておるわけですけれども、この新幹線の場合もそういうふうにするということを考えておるのか、そういう想定なのか、これをひとつお聞きしておきたい。
  142. 小沢辰男

    小沢国務大臣 そこまでいろいろ中公審では考えておられたわけじゃないと思うのですが、公共団体の協力なり、あるいは土地の利用規制等に対する新たな法制度等について検討をする必要がある。相当の戸数、実際防音対策をやるとすると、いろいろ関係してまいりますから、そういう意味でお書きになったのだろうと思うのですが、この答申は私どもに対する答申でございますので、要は、達成目標期間内にできるようにするために、これから政府で国鉄と合わせまして検討するわけでございますので、その検討の結果を見ませんと、目標を達成するために一体どういう努力が必要か、制度が必要か、あるいは予算が必要かということは、これから検討してまいるわけでございますので、いまのところはまだ明確に決まってないというのが実情じゃないかと思います。
  143. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸省、来ておりますね。運輸大臣は、この中公審の答申に対して、国鉄は相当な費用がかかるからできないので、何らかの障害が起きるが配慮してほしい、こういうように閣議で申し入れをしておるということでありますが、この運輸省の真意は何なのか、これをひとつお聞きしたい。
  144. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 新幹線の騒音基準に関する中公審の御討議に際しまして、運輸省といたしましては、新幹線、国鉄を所管する行政上の立場から、専門委員会のレポートに示されておりますような形で、仮に政府基準というものが定められますならば、現在の再建を抱えております国鉄に、ごく短期間にこの基準を達成させるということはいろいろと問題がある、きわめてその実現はむずかしい、実際上は不可能と考えられる。したがって慎重の上にも慎重な御審議をしていただきたいということを、かねがねお願い申し上げておりました。  答申を拝見いたしまして、やはり達成目標に対して達成目標期間にそれを実現するためには、答申自身が御指摘になっておりますけれども、国鉄一社にやれ、やれと言って、それで済むものではない。また、いろいろな問題を事実上、現実にその実現のための努力を進める上では、関係各省、政府が一体となって、それに対する体制を整えなければならないし、あるいは地元関係公共団体あるいは住民の方の理解もいただかなければならない、そういったようなことがぜひとも必要である、こういう考え方を持っております。先生がただいまおっしゃいました運輸大臣のいろいろな立場での御発言というものは、そういう趣旨においてなされたものである、こういうふうに了解いたします。
  145. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸政務次官にわざわざおいでいただいたので伺いますが、この環境基準を達成するための財源と申しますか、国鉄の方では二兆円かかるとか三兆円かかるとか、いろいろなことを言っております。これは一つは、国鉄の遊休地なんか、こういうものを出せば相当出てくるのじゃないかと思います。私たち、非常に長いので驚いているわけですけれども、これだけの基準を達成するためには、相当な財源あるいはまたいろいろな措置が必要だと思うのです。環境庁長官は、七月中旬に、この答申にのっとって告示するということでありますから、その対策について運輸省ではどういうように考えておるのか、ひとつあなたからお聞きしておきたいと思うのです。
  146. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 この答申が非常に厳しいものと受けとめていることは、すでに鉄監局長から申し上げましたけれども、その対策につきましては当然、破局に瀕している国鉄財政、また抜本的な対策を迫られている国鉄に、一層、財政負担をかけることになりますので、終局的には利用者負担というような方向にいかざるを得ないのじゃないかと思われているのでございます。
  147. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると迷惑料みたいなものを取ろう、こういうことですね。  それから、この答申は全会一致ですから、運輸省もやはり了解していると思うのですけれども、この課題になった中で、法制度の整備も必要だということが書いてあるわけです。これは全会一致のあれですから、そうすると先ほど環境庁長官にお聞きしたら、環境庁長官の方はもう一つはっきりしてないのですけれども、やはり空港整備法のような第三セクターというものを考えておるのか。これもひとつお聞きしておきたいと思います。
  148. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 御説明申し上げます。  答申は中央公害対策審議会がお出しになったものでございまして、もちろん政府といたしましては、それを受ける立場でございます。あらかじめ合意するとか、しないとかいう問題ではございません。  財源の問題につきまして、迷惑料のようなものを取るか取らないかということでございます。これはかねていろいろと各方面に御説明申し上げておりました、実施上いろいろとむずかしい問題があるということの一つでございます。国鉄運賃は、前回の運賃改定につきましては、当初予定をいたしましてから実施に至りますまで二年半の遅延を余儀なくされております。その運賃の値上げ率は一五%でございました。国民一般の方々にどのような名前であれ、国鉄に乗るときに払っていただくお金をたくさんにしていただくことが、いかにむずかしいかということは、私どもは骨身にしみて承知しております。軽々しく迷惑料を取りますと言ったら、たちまちあしたから国鉄の窓口に金が集まるものではございません。しかし膨大なる財源を調達いたしますためには、この破局に瀕した国鉄を今後、再建いたしますにつきまして、かねがね国鉄総裁が運賃二倍論といったようなことをおっしゃっておられますが、そういった国鉄財政再建のための今後の努力にあわせて、その上に上乗せして、このための財源を利用者からいただかなければならないと思っております。非常にむずかしいと思っております。したがいまして、どのような形で、どのような法形式でこれをいただくかということにつきましては、私はまだ成案を得ておりません。  第二に、たとえば飛行場の騒音につきまして周辺整備機構といったようなものを、法律をお定めいただきましてつくっております。この周辺整備機構というものは、関係地方公共団体がこれに出資をするという考え方がございます。国鉄の障害防止対策を新幹線の沿線につきまして今後どのように進めていくか、その実施体制をどのようにするか。先ほども申し上げましたように、その実施に関連いたしましては、当然に地元関係地方公共団体の御協力をいただかなければなりません。しかし、どの程度に、どのように関係地方公共団体が御協力をいただけるかということは、今後の折衝にまたなければなりません。大阪で周辺整備機構ができたということが、直ちに新幹線の沿線でそれと似たようなものができるかどうかということは、実際上の問題として、法律以前の問題として、われわれは検討しなければならぬと思っております。
  149. 岡本富夫

    ○岡本委員 結局、国鉄の運賃の値上げで何とかしょうということですが、私、国鉄運賃値上げのときにいつもよく考えるのですけれども、国鉄は企業を経営するところの努力というものはほとんどしてないですよ、私鉄などは相当企業努力していますけれどもね。そして国鉄を定年退職したとか、そういう人たちがいっぱい、いろいろなところに入り込んで、吸血ではないでしょうけれども、血を吸い取るように、いいところをみんな吸い取っておるわけでしょう。そうして赤字にしておいて、その負担を全部、国民に任しているように、私の調べたところによりますと感ずるわけですね。だから、安易に値上げして解決するのだというようなことでは、これは納得しないですよ。といって、この騒音対策はやらなければならない。その点について、それならばこういう機構をつくって、そして政府から出資して、それでやっていくのかということを聞くと、そうでもない。どうするのか、一つもはっきりできてないわけですね。もう少し論理的にどうするのだというようなことを、政務次官、ただ運賃だけ値上げしますというようなそんな簡単なことを言わずに、あとの努力はどうするのかということを、あなた方もこれを全会一致で決めたのですから、そうでなかったら環境庁は困りますよ。いかがですか。
  150. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 鉄監局長が非常にむずかしい問題であると答弁いたしましたことは、われわれがそれだけ真剣に努力するのだという意思の表明でございますし、また、国鉄のやり方そのものが、私鉄などの努力と比べて非常に劣るではないかという御指摘でございますけれども、私どもはそのようなことのないように、真剣に努力するように指導してまいりました。一生懸命やる所存でございます。
  151. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 岡本君、後段の問題がまだ残っていますから、なるべく時間内にひとつ。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 委員長が後段の問題があるから、このぐらいでということですから、あれですが……。  それで最後に一つ国鉄に聞いておきたいのは、国鉄は騒音あるいは振動、いろいろな問題で工事をやったりしますね。そして検討する。ところがそれがだめだという場合は、それをそのままごり押しにしようというような考え方なんですね。研究機関ですから、それがだめだったら、また次の手を打っていくというような考え方があるのか。これは内田さんから聞いておきたい。
  153. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 簡潔に要領よく答弁してください。
  154. 内田隆滋

    ○内田説明員 そういうことはございませんけれども、いろいろの技術開発等を基礎といたしまして、あるいは関係官庁と連絡をとりまして、工事を進めておりますので、一ヵ所がだめだからといって、直ちにこれを改定するということは、全線の改定につながるという問題がございますので、慎重に検討を進めておるわけでございまして、実情はよくわかっておりますから、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  155. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただ私は、ぐあいが悪いのはどんどんかえていく、そうして住民要求にこたえていくということを要求しておきます。一つは、西宮の松籟荘のテレビのアンテナの問題でも、いいのができれば、それにかえていくというようなお願いをしてあったのに、何か下でまだがちゃがちゃ言っているのだ。これはあなたの方からもう一度指導してください。  そこで、大事な自然保護の問題ですが、南アルプスのスーパー林道、これが本論だったのですけれども、ちょっとおくれてしまった。  スーパー林道については、大石長官のときには、トンネル方式にしなければならぬ、それでそれまでストップ、毛利長官はそれに対して今度は、地元のあれを見て、地元皆さんの経済的効果、これを勘案しなければならぬというように、二人、違うのですよ。今度の環境庁長官は三人目ですが、この南アルプスについてはどういうふうにお考えなのか。
  156. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、あくまでも林道として森林公団がおやりになる、その計画を厚生省の国立公園部時代に、一応、原則的には許可を与えておるわけでございます。ただ、この峠に当たる部分については、いま未着工の部分については、その設計その他、いろいろとよく自然の保護との調和を図るために、それを審査をしてから決めるよ、こういうことになっておる経過がございます。したがって、環境庁になって一応、行政の継続性というものを考えていかなければいかぬわけですから、私はこの前、自然を守る会に行きましたときも、この観光道路をつくるということには私どもは賛成をしません。本来、林道としてこれの許可をし、林道としての機能を果たす意味において、この道路計画がなされたわけでございますから、そういう意味でお答えをしたりしておりました。  私は、最近、委員が新しくなりました自然保護審議会に出まして、特にこの問題について委員の先生方にもお話しを申し上げて、いま一番私どもが悩んでおるのは、自然を守らなければいけない、重要なこの自然というものと、過疎対策なりあるいはその地域の住民の生活の向上といいますかあるいは維持といいますか、そういう問題との二律背反的な問題の悩みというのが非常に大きいのであります。しかしわれわれとしては、あくまでも後代のために考えれば自然は守っていきたい。とすれば、やはりその地域の人たちの経済問題をいかに考えてやるかということを同時に解決するような考え方で、自然保護を図りながら、しかもその地域が経済的に成り立つような方途というものをよく検討していただきたいということを申し上げてございます。先生方も、確かにその点は一番大きな自然保護に対する最近の問題点だからというので、いろいろ御検討を願うことになっておるわけでございます。今度、二十八日から審議会の方々が現地に参りますが、そういう点も含めて、十分専門的に検討を願おう、こう考えておるわけでございます。
  157. 岡本富夫

    ○岡本委員 森林開発公団理事長さんですか、手束さんでもどっちでもよろしいが、この南アルプスのスーパー林道について、これは四十七年の六月六日閣議了解があります。これは環境保全対策を完全に行って、その問題を惹起することのないようにというように閣議了解がありますけれども、これに基づいてこのスーパー林道はやっておるのかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。
  158. 松岡亮

    松岡参考人 閣議了解ができますまでもなく、私どもといたしましては、林道工事のために周辺の自然が破壊されることを最小限度にとどめるように、工事の上で、金もかかるわけでございますけれども、植生の回復とか、あるいは土どめ工作をやりまして破壊を小さくする、あるいは捨て土につきましては一定の地域を決めまして、そこにまとめて捨てるというような方策をとりまして、自然の破壊を最小限度にとどめ、また、それを復元するように努力いたしております。
  159. 岡本富夫

    ○岡本委員 では南アルプスのスーパー林道はなぜ環境庁からストップ食ったのですか。いま中止しているでしょう。
  160. 松岡亮

    松岡参考人 南アルプスのスーパー林道につきましては、すでに厚生省で国立公園の所管をしておられる時代に一応、許可をいただいたのであります。それによりまして大部分の、九十数%の工事を終わっております。ただ当時、許可がありました際に条件がついておりまして、山を越える北沢峠という二キロ足らずの場所でございますが、これについては施工に当たって事前に協議してほしいということでございました。その後、非常に自然保護の声が強くなりまして、その北沢峠につきましては、できれば林道をつくりたくないという声もありまして、環境庁におきましては、審議会に諮られまして結論を出すようにしておられるのであります。その間、私どもとしては工事を控えておるわけでございます。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 公団、おかしいよ。これは、いまのところはストップしておるが、それまでのところが、もう谷に土砂をいっぱい投げたり、現在の開通部分のところは相当、自然破壊しているじゃないですか。これは恐らく厚生省からの許可が出たときにも、この自然破壊については留意するように、先ほど長官は厚生省にいらっしゃったからかどうか知りませんが、いずれにしても、自然破壊については相当留意するような注意が私はあったと思うのですよ。それに、あの姿を見ましたら、めちゃくちゃになっているじゃないですか。こんなことをやられては困るというわけで、結局、環境庁としてもストップしているわけですよ。これを環境庁としては、どうですか、原状回復させるという命令を出しておるのですか。いかがですか。
  162. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 四十三年に、この工事の施行についての同意を与える際の留意事項といたしまして、御指摘のように、残土は渓谷に崩落させることのないように、風致の保護上、支障のない位置に土捨て場をつくっていただきたいという御注意を申し上げてあったわけでございますが、結果的に見ますと、はなはだ遺憾ながら、いろいろと崩落しているような状況のところもあるわけでございまして、こういう地域につきましては、公団に対しまして修景緑化あるいはそういう後の手当てということをきちんとやっていただくように、御注意、お願いをしている次第でございます。
  163. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が参ったようですが、それで、このスーパー林道には非常な欠陥があるのですね。たとえば植生に対するところの事前調査も、また地質調査についても十分な資料がない。これは細かく詰めるつもりだったのですけれども、時間がありません。また、環境庁等の環境破壊防止に対するところの留意書等にも違反している。自然公園法に対するところの違反行為、こういうものがたくさんあるわけです。したがって、環境庁長官は、自然環境保全審議会ですか、これだけに任さずに、一遍あなたも行っていただきたい。二人も行っているのです。大石さんと毛利さん。一遍行ってみて、目で見てどうするかという考え方も必要であろうかと思うのです。  それからまだ、この計画を見ますと、森林開発公団が四十一年、公団法を改正してスーパー林道をたくさんやるような計画を立てておる。それから四十一年から四十二年には天下りの人事が、理事長は元水産庁長官だとか、ほとんど理事は元の農林省から全部天下っている。こういうものを見ますと、まだまだ、あちこち食わしてもらうという考え方が見受けられるわけです。したがって私は、一度いま森林開発公団が計画しておるこれを一つ一つ総点検しまして、そして適切な指示を与えていかなければ、一遍、壊した自然は再び返ってこないと思うのです。したがって、最後に長官に、一つ一つもう一度総点検をやるかどうか、これはやってもらわなければいかぬのですが。それからもう一つは、この南アルプスに私たち議員連盟も行きたいと思っておりますけれども調査に行ってもらって、そして適切な指示を与えてもらう。この二つをお約束をしていただいて、終わりたいと思います。
  164. 小沢辰男

    小沢国務大臣 南アスーパー林道につきましては、私は現地に行くという方針を決めております。その時期につきましては、いろいろ審議会の先生方の視察等もございますので、また私は、地質あるいは、いろいろな経済社会学的な観点からする研究も実はさせております。それらを総合的に見ました上で、私自身でき上がったところも両方、全部、車でなくて歩いて、きちっと、ひとつ視察をする予定にいたしております。時期については、いずれまた決まりましたら御連絡をさせていただきます。  それから、いまそのほかに計画しているというお話しがございましたが、私どもは公共事業については、林道といえども事前にアセスメントを十分にやっていただかなければいけませんし、それについて私どもも関与をいたしますので、そういうような制度的な面の実施のやり方のうちで、御趣旨に沿うような考え方で進めてまいりたい、かように考えます。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 以上で終わります。
  166. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 林義郎君。
  167. 林義郎

    ○林(義)委員 この国会もいよいよきょうで終わりになります。終わるに当たりまして、当公害対策並びに環境保全特別委員会で長い間、議論いたしましたことを、私は謙虚に振り返ってみたいと思いますし、振り返った上で、政府に対して、いろいろと新しい環境行政の発展のために要望しておきたいことがあるので、若干の質問をいたします。  大きく申しまして、この国会で三つあったと思うのです。一つは水島事故を中心といたしますところの瀬戸内海の問題であります。第二番目は、先ほども問題になっておりましたけれども、新幹線騒音の問題であります。第三番目は、自動車の排気ガス規制の問題であります。  瀬戸内海の問題につきましては、先刻、当委員会でも決議が満場一致で採択されました。委員長の御努力に対し、心から敬意を表するものであります。  私は瀬戸内海の問題は、瀬戸内海環境保全臨時措置法の中に書いてありますように、瀬戸内海漁業資源の宝庫である、それから自然景観を持っているところの、本当に後代に残すべき海である、こういうことでありますが、いま考えていかなければならないのは、瀬戸内海に住んでいるところの住民は、海でなくなってきているという感じを非常に皆、持ち出したということであります。水島の事故によって被害の起きたところでは、また漁業をやっても、これはだめではないかという不満、不安がある。そういった漁民の不満を除いて、新しい瀬戸内海をつくっていかなければならない。単に環境保全でどうする、こうするということではないと思うのであります。これはやはり瀬戸内海というのは、これから日本の水産資源の問題が非常に海洋法等で問題になりますときに、瀬戸内海でこそ水産資源の確保ということを図っていかなければならない、大変な大きな問題だろうと私は思うのでありまして、瀬戸内海ではいろいろハマチの養殖等が行われております。単に網の中だけでやるということではなくて、瀬戸内海にいろいろだまっているヘドロを掃除することであるとか、極端なことを言いますと、瀬戸内海全体が一つの牧場というくらいに考えてやっていくということが必要ではないだろうか。そういった観点に立ちまして、私はいろいろな施策を立てていかなければならない、単に消極的に汚染を防止する云々ということではないと思うのであります。積極的に本当に後代に残すべき瀬戸内海を、私たちはつくっていかなければならない。これが現代に置かれたところのわれわれ政治家の使命ではないかと思うのです。長官から、私のこの考え方についてひとつ簡単に、どう思われるか、御見解をいただきたいと思います。
  168. 小沢辰男

    小沢国務大臣 全く同感でございまして、私も先生方の御協力を得て、きょうの御決議にありました趣旨にのっとって、最大限の努力をしなければいけない。これはもう本当に心から同感でございます。
  169. 林義郎

    ○林(義)委員 私が申し上げておきたいのは、環境庁長官だけでは、なかなかこれはできない問題であります。農林省も入っていただかなければならない、建設省も入っていただかなければならない、運輸省も入っていただかなければならない問題だと思いますから、この辺は政府部内におきまして統一した見解のもとに進めていただくことを、私は心から要望いたします。  次に、新幹線騒音の問題に入りますが、先ほど来いろいろと問題がありました。どうもいろいろ議論をいたしておりますと、国鉄、来ておられますね。七十ホン、七十五ホンで、できる、できないという大変な議論があります。特に十年先の予測、十年先にこういたしますということが入っておりますが、十年先のそういったものについて、技術的な予測というものが一体できるのかどうか、技術的な予測というのは、私はせいぜい二、三年くらいの技術予測しかできないのではないか、十年先になったら技術が開発されまして、できるなどということは、技術論としては私はナンセンスだと思う。したがって、むしろこの辺は国鉄の方がどういうふうに考えているのか。この前、総裁からお話しがありましたが、総裁はできないというような話をしておられました。一体どういうふうにこの辺は考えておられるのか、技術的にできるのかできないのか、ひとつ簡単に御答弁ください。
  170. 井上邦之

    ○井上説明員 御高承のとおり、騒音問題解決のためには音源対策と沿線対策と申しますか、二通りの対策があると思いますが、いま先生のお尋ねの件は技術に関してのお尋ねでございますので、音源対策についてのお尋ねだと思います。  音源対策につきましては、現在の技術ではせいぜい、いっても八十ホン程度どまりであるということでございまして、これは先般来、議論になっておりました中公審の特殊騒音専門委員会の報告書でありましたか、解説書でありましたか、その中にも、やはり現時点における技術をもってしては、せいぜい八十ホンどまり、まあ無理をしても、それから一、ニホン下るぐらいのことであろうということが認められておりまして、十年先の技術となりますと、私、技術屋ではありませんので、責任をもってお答えするわけにもまいりませんけれども、常識的に考えまして、いまのところ十年先でも、八十ホンを五ホンも六ホンも下げ得るような、音源対策として下げ得るような対策は、いまのところめどはついていないと私は思います。
  171. 林義郎

    ○林(義)委員 技術的にはめどがついていないというのが、私は正しい答えだと思うのです。ところが環境の方からしますと、環境基準としては七十ホン、七十五ホンというものをやらなければならないという立場であります。  私はそこで、それならばどうするかという話だと思うのです。スピードを落とせという議論がある。スピードを落としたならば、私は単に早く東京−大阪間あるいは東京−福岡間を走れる云々という話ではない、やはり交通量の問題に関係する。国民の間で大変たくさんの人が乗っているわけであります。交通量の低下を来すことは必至であろうと思うのであります。この辺にやっぱり一つの別の問題が、私は出てくると思う。言うならば、落としたおかげで第二の新幹線をまた別につくらなければならないという予測さえ、私は出てくるだろうと思う。第二新幹線をつくらなかったならば、東名高速道路のほかにもう一つ道路をつくらなければ、輸送の需要に応じ切れないという事態になってくることも、予想しなければならない問題だと思うのであります。すなわち、これは交通総合政策の問題で考えていかなければならない一つの大きな問題だと思うのであります。  そこで、私は環境基準の問題をひとつ議論をしておきたいのです。この公害対策基本法の第九条であります。どうも九条というのは大変に解釈で問題があるもので、日本国憲法の九条でも、大変に解釈論争があるところであります。公害対策基本法の九条も、ややそれに似たような解釈論争が、私は出てくる可能性があるところだと思うのです。ここに書いてありますのは「人の健康を保護し、及び生活環境保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」こう書いてある。この「維持されることが望ましい基準」ということです。ところが「維持されることが望ましい基準」であることは、私は解釈論として正確に言うならば、これは「望ましい基準」ですから、まさにゴールでなければならない、目標でなければならない。ところが、これはスタンダードである。何か行政的に、その基準までやらなかったならば罰則がかかる、何かがあるというスタンダードというような受け取り方を非常にされている点があると思うのであります。  それからもう一つの受け取り方は、ガイドラインであるという受け取り方をされている。環境基準の問題、これは単に新幹線騒音だけではありません、NOxの問題にいたしましても、SOの問題にいたしましても、すべてそうであります。そういった点で地方公共団体がその地方における総量規制、そのときの行政的な目標として設定するのだというような意味でのガイドラインというような考え方もあると思います。現に東京都などは、NOxの問題についてそういうふうな考え方をとっていると思うのであります。  それからもう一つはクライテリアという考え方が私はあると思うのであります。  私は、環境基準、今度のやつは明らかにゴールである、先ほどのような技術的な話で、できないというのですから、ゴールとしか考えられない。非常な高い理想値を追ったものだとしか考えられないのではないか、こう思うのであります。そうでなかったならば、技術的にできないものをやれということは、政府は、また何かできないことを掲げているということになるわけでありますから、むしろそういった観点で考えるならば、余り三年とか五年とか十年とかということを言うこと自体が無理な話である。先ほど話がありました音源対策があり、障害対策というものがあると思うのですね。沿線住民の家にアルミサッシでもつけ、二重窓にするとか、学校については防音壁にするとかいうような話がある。これは大変な金がかかるということだと思うのです。  この金がかかるときに一体どうすればよろしいか。私はやはり、それによって恩恵を受けるであろう人が負担をするというPPPの原則というものが、この際も貫徹されるべきであろう、それならばいろいろな考え方ができると思うのであります。先ほど来、騒音料という問題が出ておりますが、騒音料も一つの考え方である。一億人の国民が新幹線を利用しているわけであります。三兆何千億円ならば、三兆何千億円を一億で割るならば、ざっと言って三万四千円である。三万四千円を十年間で償還するということになれば、一人が一回乗ったときに三千四百円払えばよろしい、こういうことになるわけであります。そういったコスト計算をしてやるのが一つの方法であります。  第二の方法は、ネガティブな話というものをひとつ考えてもいいと思います。いろいろな家に消音防壁を設ける。しかし、それでもなかなか足りない、それなら立ち退きをしてもらいましょう。立ち退きをしてもらうというときに、いろいろな金を出してもらう、その金が幾らかかるかという計算もあるでしょう。  私は一つ提案をしておきたいのですけれども、沿線住民には運賃半額パスというのを考えてもらったらどうか。国鉄から被害を受けているのですから、いろいろな形で、そういったものを出すということも一つのアイデアとして考えたらいいと私は思う。いろいろなことをこれから考えてやらなければ、この問題の解決はできない。  中央公害対策審議会で御答申をされました。しかし、残念ながら中央公害対策審議会の中には、そういった国鉄の経営の問題について非常に詳しい方もおられなければ、また、そういった住民の問題について、いろいろと詳しい方も余りたくさんおられない。専門委員会でございますから、そうであります。むしろ技術的な、騒音は疫学的にどうだということを考えております。それは、そういったような問題をいろいろ考えてもらわなければならない。と同時に、環境基準の問題につきましても、私はこの際、先ほど申しました四つのクライテリアがある、やはりそこをはっきり分けて考えていただくことが必要だろうと思うのです。  この第九条の第四項には「政府は、公害の防止に関する施設を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。」という規定があるのです。これを課しておりますのは、環境庁長官に課しておるのではない、政府全体に対して義務を課しておるわけでありますから、そういった意味で、運輸省の政務次官が来ておられますし、環境庁長官もおられますから、政府が一体になってこの対策に真剣に取り組んでいただかなければならないものである。当面の問題としては、余りむずかしい、できもしないようなことを言うのは、国民に対していたずらに将来において不信を与えるもとになる、これだけは十分に慎んでいただきたい、これを申し上げたくて言っているのであります。  運輸政務次官、いかがでしょう、私の考え方はどこかおかしなところがあるとか、何かあるとかといったようなことがあれば、ひとつ御指摘をいただきたい、私はそういうふうにやるべきだと思いますが。
  172. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 林先生考え方あるいはアイデア、一々もっともと思われますので、今後のわれわれの考え方の参考として、十分承っておく次第でございます。
  173. 林義郎

    ○林(義)委員 私は告示を、どう環境庁でされるかは知りませんけれども、いままで環境基準についての告示というのはいろいろありますが、期間を定めていない告示もあるわけです。COの問題であるとか、ばいじんの問題については、その期間を何も定めていない。そういったようないろいろなやり方があると思うのです。  この際、やはり進めていかなければならないのは、先ほど申しましたように、環境基準というのは一体、何であるか。理想を追ったところの基準というものは、確かにいいかもしれません。しかし、私が先ほど申しましたように、大変に金がかかる。先ほど岡本委員からも御質問がありました。国鉄の方は、騒音料なんか簡単にできません、法律も要ります云々という話であります。そういったことを踏まえてやるならば、私は、政府はこの際、少々かっこうは悪いかもしれませんけれども、じみちに着実にやっていくことをぜひお願いをしたいのです。そうでなければ、できないことを、また後で、できなかった、どうだということで、私たちが一番困ることになるのではないか。政治家というのは余りうそをついてはいけないだろう、こう思います。極端なことを言いますと、役所の方々は二年や三年たったらさっとかわられるわけですよ。私たちは選挙で出てくるのですから、絶対にこれはうそはつけないのです。それを考えて、環境庁長官に慎重な御配慮をお願いしたいと思います。  長官から御答弁をいただきましょうか。
  174. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ちょっと先生考え方の整理をしていただきたい。  四つの解釈があると言われますが、望ましい環境基準という九条のものは、それが今日の技術開発段階で、できるかどうか、あるいはまた費用がどれぐらいかかって現実性がないとか、あるとかという問題の考慮とは別に、やはり人の健康と生活環境を守るためには、どういうものが望ましいかということから出発をして、規定をされておりますから、これは七十なり七十五というものは、いま国鉄は八十以下にはできないのだ、だから八十を望ましい基準考えるかというと、これは少し法律の趣旨と違うと思うのです。  やはり七十から七十五というものを決めたのは、人の健康と生活環境を守るために、いろいろな調査をやった結果、まあこの辺が、全部は満足をしていないけれども、七割ないし七割五分、八割ぐらいの人が満足する生活環境であろう。しかも、病人とか老人とかそういうものでなくて、そういう人たちも含んだ一つの地域集団として考えて、生活環境なり人の健康上望ましいと考え基準を設定した。  ただ、そのために、それじゃそれがすぐできるかというと、できっこないのです。これはもう審議会でも、七十から七十五がすぐできるなんて、だれも思っておりません。だから達成期間というものを決めたわけでございます。その達成期間を決めるときに、この答申をよく読んでいただきたいのですけれども、中公審の先生方も、三年なり七年なり十年と、いろいろa、b、cに分けて考えてみても、それは非常に困難だろう、なかなか大変だろう、したがって、これこそ、その目標にしなければいけないということで、この達成期間に「目標」という言葉が入ったのは今回、初めてなのです。  これはもういままでの達成期間の中には、目標とか、しかもその前文にいろいろな表現までついて、私どもが尊重するとすれば、それをそのまま告示にやろうと考えているわけでありますが、要するにいま音源対策の技術あるいはまた防音対策、いろいろ沿線対策をやる場合に、沿線対策にしても、国鉄が金さえあればできるのかというと、そうはいかないのです。これはやはり相手方のある問題でございますから、したがって達成期間についても、一応ある地域については三年以内をめどにしなさい、ある地域については七年以内をめどにしなさいということで、それをめどにして努力をしなさいというのが、今度の答申ですから、(「後退だ」と呼ぶ者あり)私はこんな配慮をして、しかも現実性のある答申というものはなかろうと思うのです。後退と言われますけれども、後退じゃないのです。そういう厳しい目標を与えて、そしてみんなにそれを努力させよう、政府も一体になって努力しなさいと言っているわけですから、私は、審議会の答申は後退でも何でもない、りっぱな答申だと思うのです。  私はもう一つ、岡本先生のときもお答えする時間がなかったものですから、あれですが、費用の問題、これは利用者負担、あるいはPPPの原則だからというようなお話しもありましたが、私はこう考えるのです。公害防止のためのいろいろな費用というものは、これはPPPの原則のとおり確かにコストである。コストというものは、企業努力によって一部解消をするか、あるいは他のいしろいろな方策によって解消するかということはありますけれども、終局的にはコストは、どうしてもそれを買う者、需要者側の負担になる、これは仕方がないのですね。  したがって、この新幹線の場合に、必要な周辺対策をやるのは、これはコストですから、したがって、国鉄がそれを企業努力によって吸収できなければ、当然、国民の負担になる。国民も、それはやはり環境を守るために自分たちが負担すべき、なすべき義務だということに考えていただかなければ、環境をみんなで守ろうとしながら、一方において、そういうことは全部おれは反対だと言われたのでは、環境は守れないわけですから、国民全体がやはり理解をして、みんなで環境を守るのだというためには、必要な負担もしましょうということくらいの気持ちを持ってもらわぬと、国会でも新幹線の基準をうんと厳しくせいと言いながら、運賃の改定やその他、公共料金は一切反対だと言われるのは、私は、公害関係対策の費用が、PPPの原則であって、コストだということの認識を、もう少しひとつ各党もしていただきたい、これはもう心から私はお願いするのです。
  175. 林義郎

    ○林(義)委員 基本問題が出てきたわけであります。  そこで、私はもう一つ申し上げたいのは、環境基準というのは先ほど申しました最も理想値をやっているわけですね。理想の状態というのは、その地域にとっては理想の状態であるが、いろいろお互いに生活をしていますと、決して全部、理想な状態で生活をしているわけではない。どこまで国民的合意が得られるかという問題になってくるだろうと私は思うのであります。国民的なコンセンサスを得られてこそ環境基準というものがあるというのが私は筋だと思う。そこで、それは全国民的なものであると同時に、その地域住民対策というものは別に考えていかなければならない。単に中央におって住民と接触していないところではできない。やはりそこには地方公共団体の人々も入ってもらって、いろいろな話をやっていくことが必要であると私は思いますし、この基準をつくったから、それですべて、ばっと流れてできるという話ではないと思うのであります。  地域にはそれぞれのいろいろな利害があります。少々音がうるさくてもいいから、ここにいたいという方もおる、おれは絶対に音がいやだから、どうしても何とかしてくれという方も、いろいろな方がおられる。やはりそれに当っていただくためには、各地の地方公共団体住民対策というものがどうしても必要であります。それをやはりやるような体制をつくっていくことが、どうしても私は必要だと思いますし、国鉄当局もいままでいろいろとやっておられましたけれども、やはり地方公共団体その他の協力も、ぜひはっきりとこの際、打ち出すような政府の姿勢を示してやることが大切なことであろうと思うのであります。この新幹線騒音問題については、政府の方で閣僚お集まりをいただいて、いまのは基本問題でございますから、真剣に討議をしていただくことを心から要望しておきます。  時間も大分たちましたので、もう一つの問題に移りたいと私は思います。  自動車問題であります。これはこの国会が始まった一月から始まりまして、大変な問題になった。文書が暴露されたとかなんとかという事件から始まりまして、結論といたしましては〇・八五グラム・パーキロメートル、〇・六グラム・パーキロメートルというような一応の暫定基準ができたわけであります。  この前の新聞を見ますと、アメリカの環境基準というのがある。日本のいろいろな排ガス対策の問題にいたしましても、これはアメリカのマスキー法に書いてあるところの基準をベースにいたしまして、それをやったということは紛れもない事実であります。マスキー法と同じようにやった。御承知のとおりマスキーというのは、ニクソンと対抗して民主党から大統領候補で出ようとした、こういうことであります。アメリカの国会での議員立法という形もあります。マスキーの政治的な選挙公約と並んで出たところの、その法律であります。ところが現実の問題として、そのマスキー法というのがどうなっているか。現実の規制というものを日米、比較しますと、日本で現在やっている規制すなわち五十年規制、いまからやろうとしている規制、これの約五倍ぐらい、私は現実にアメリカで行われている規制の方が緩いと思う。言うならば、日本でやった四十八年規制の大体半分ぐらいのところを現在アメリカではやっておる。しかもそれをあと七、八年は続けてやろうというのが、現在アメリカから出ているのであります。日本ではますます厳しくしていこう、アメリカでは少しこれは緩和しよう、こういうことであります。  アメリカでなぜ、そんな考え方になったかといえば、アメリカでは石油の問題を非常に重大に考えたからであります。アメリカの国内でも石油は相当に産出されている。しかしながら、プロジェクトインディペンデンスという計画のもとに、アメリカではやはり石油の自給計画というものを立てた。日本では石油の自給計画というのは立てられない。中近東の方で石油がどうなるかということは、かつての石油の危機のときにもう明らかな事実です。大変な狂乱物価をもたらしたものであります。アメリカではそういうふうな考え方であります。ガソリンの消費節約をやっていこう、こういう考え方であります。日本もやはりアメリカと同じ考え方をしなくていいのか。少なくとも私はアメリカの考え方は少し学ばないといけないのではないか。今度、総理がアメリカへ行かれまして、きょうの新聞を見ておりますと、日米で石油の値上げを抑えようということを相談しようなどと言っておる。日本はじゃんじゃん使う。  実は五十年規制、五十一年規制になりますと、ガソリンの消費量というのは燃費の関係で上がっていくのです。四十八年規制から五十年規制にいたしますと大体一〇%ぐらい上がる。五十年規制から五十一年規制にしますと大体五%から一〇%くらい燃費が上がる。確かにそれは環境のためにはよろしい。よろしいが、石油の消費量というのはそれだけふえるわけです。少なく買って値段を下げよというのなら、話はわかるのです。たくさん買うけれども値段は下げろなどというのは、私は商売の交渉としてあり得ないと思う。やはりその辺は考えてもらわなければならない一つのポイントです。  第二のポイントは、先ほどの話の「望ましい」というのは、非常な理想値を言っているということでありますが、現実はなかなか理想のとおりにいかないというのが私は現実の問題だと思う。石油の問題、備蓄法案は大体、衆議院の方は通りましたが、備蓄をどう考えるか。備蓄をした後においても、国内で自動車の使うところの石油の節減というものを考えていかなければならない時期にあるのだろうと私は思うのです。それでなかったならば、日本は武力を持っていって、インドネシアとかなんとかへ行って、石油を持って帰ることはできないのですよ。大前提だ。そのときに一体、国民生活をどういうふうに守っていくかということを、真剣に考えてもらうのが政府の仕事だろうと思うのです。そういった点。  それからもう一つは、ここで車の問題でいろいろやりますが、これは地域的にいろいろ考えていかなければならない。東京のような大都市では、やはり交通規制あるいは公共交通機関に移していくということを考えていかなければならぬ。ところが大雪山のふもとであるとか、言っちゃ悪いのですけれども、福島県の田舎であるとか、私のところの田舎なんかでは、少々自動車が走ったところで、いいのです。特に田舎の人はそんなに高い車は買わない。やはり安い車で走る。安い車になりますと、できるだけ経済的に走りたいとみんな考えるわけです。その辺をどう調整していくかということも考えていかなければならない問題だと思うのです。一律に規制をするということにつきましては非常に問題がある。ガソリンの燃費の問題であるとか地域的な問題であるとか、その他硫酸ミストが出ますとかいうような問題があるし、さらには大都市内の交通体系をどうしていくかというような問題、その他いろいろあります。そういった問題をこそ考えて、これから政策を立てていかなければならない。  かてて加えて自動車産業の方では、これは大変なことになるぞ、何百万人かの失業をもたらすのだ、こういうふうな話まで実はかつてあったわけであります。一応いま生産ができますから、失業の問題というのは起こらないでしょうけれども、そういった点も総合的に考えてやっていかなければならない問題だと私は思うのであります。一つには望ましい高い基準、これがどうしても健康のために絶対不可欠の基準であるならば、守っていかなければならない。しかし「望ましい基準」である。この健康を守るところの基準は、はるかに高いところの基準でやっているわけでありますから、私はそういった点の考え方を整理をしてもらいたい。閉会になりましたら国会に呼ばれることも少なくなりますから、ひとつ役所の方で英知をしぼって集めていただきたい。通産政務次官おられますから、ひとつ通産政務次官から、どういうふうにお考えになるか、お話しをいただきたいと思います。
  176. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 ただいま林先生の御指摘、これは大変重要な問題で、人間が第一か自動車が第一かと言えば、これはだれでも人間が第一だと答えるのですが、ところがもう今日の近代生活の中に、人間は毎日、自動車がなくては暮らせません。いわば人間の足に自動車はなってまいりました。特にわが国の場合、生産量の一〇%、また外貸獲得でも八十億ドルという大きな役割りを果たし、そして関連企業を含めると三百万人の人たちが、これによって生活に影響を受けるということでありますから、ただ自動車をなくせばよいから、自動車産業をつぶしてもよいということにならないのであります。また、いま御指摘のように省資源、特に日本のようにほとんどエネルギーの大部分を海外に依存するものにとっては、特にガソリンの節約というのは今後の国策上、最大の問題でありますから、低公害車というために、ただガソリンがむだに燃焼される車を奨励していいということにもなかなかなりにくいので、その辺のところが、私は今日われわれ近代社会の政治家に与えられた課題だろうと思いますが、私ども公害対策の重要性を認識することにおいて、何人に劣るわけでもありませんが、しかし、いま先生指摘のように、そのことに思いが余ったために、毎日、毎日のわれわれの近代社会の生活そのものが成り立たなくなるようなことはできない。自動車の排気ガス騒音、これは好ましいと思っている人はありませんけれども、しかし近代産業は必ずその産業廃棄物をもたらすわけで、この産業廃棄物をゼロにしろということになれば、われわれは百年前の生活に戻る、これは皆さんもかごに乗って国会においでをいただくしかなくなるということになるのでありますから、その辺の、林先生指摘のことを十分尊重しながら、人間の生活環境をできるだけ守っていきながら、近代産業、特にわが国の産業、国民生活の重要な部分を担っておる自動車産業の将来の発展ということを調和させるように、各省と連絡しながら十分、努力してまいりたいと思います。
  177. 林義郎

    ○林(義)委員 運輸政務次官に申し上げますが、自動車のメカニックを改善するだけでは足りない、過密都市における交通体系の改善を図っていかなければならない、これは単に排気ガスだけの問題ではありません。騒音問題も同じような問題があると思うのであります。そういった意味で、たとえて申しますと都内で高速道路が走っていますよ。高速道路を走るところに、アメリカでこれをやっていたのですけれども、一人で運転する、二人で運転手つきで乗っているというやつは少し料金を高く取る、そのかわり四人ぐらい乗っているのは普通の料金にする、こういった形でやれば、動くのは人間が動くわけです。動くために車があるわけですから、人間主体の考え方の交通機関というのを考えていかなければならない。動くために必要なのは公共交通機関で、ばあっと大量に人を一遍に運ぶ方が効率的だろうと思うのです。そういった体系に、私は、税制もあるし、金融もあるし、法律的な制度もある、いろいろなことの改善を図っていかなければならない時期にきていると思う。  公害はもう、とにかく国会でわんわん言われたり共産党から突っつかれて、それでまあ終わったというようなことで私はいけないと思うのですね。ひとつその辺は、環境庁長官にも御答弁いただきますが、政府は一体となって、真剣にそういった、いま渡部政務次官から御答弁のありましたような問題もあります。政府はこれを総合的に考えていかなければならない。口では簡単に言いますけれども、これはなかなか簡単なことじゃありませんよ、いろいろなところで支障が出てきますから。ひとつ運輸政務次官運輸省が交通の問題を一番中心になって考えていかなければならない問題でありますから、その辺についてどうお考えでありますか、ぜひ御見解を承りたいと思います。
  178. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 運輸省といたしましては、大都市の交通体系は、たとえば高速鉄道であるとかバスであるとか、そういう大量公共交通機関をもってこれを行うということが基本的な考え方でございまして、そういう意味からいけば、たとえばその都市における交通の総量規制というような問題もまた検討していかなければならない。それには関係各省庁との協議も必要である。こういう方向でわれわれは努力していきたいと考えておる次第でございます。
  179. 林義郎

    ○林(義)委員 最後に環境庁長官にお尋ねいたしますけれども環境問題というのは、単にいろいろな基準をつくってやればそれで済むという問題ではない。先ほど申し上げましたように、地方公共団体の協力も必要であります。いま申しました自動車の問題にいたしましても、地方公共団体の協力がなければできない問題がたくさんある。それに交通政策の問題もあります。産業政策の問題も絡んでくると思うのです。すべての総合政策で私はやっていかなければならない問題だと思いますし、政府の自動車問題についての閣僚協議会というのができておるようでございます。できても、聞いておると、なかなか動いてないようであります。しかしこの辺を活発に動かして、いま申しましたような問題を提起してやることが本当の意味での公害対策だ。東京の空からばい煙をなくし、また排気ガスをなくす、東京から光化学スモッグを退治していくということが、やはり国民的なねらいだろうと私は思う。これは単に自動車だけでなしに、すべてのものを含めて対策を立てていかなければできない問題でありますから、ひとつ長官に、その辺の御決意なり政府の方の基本的な考え方を承っておきたいと思います。
  180. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、どうも時間がないので、はなはだ残念なのでございますが、本日の林さんの御質問につきまして見解を述べたい点が、自分の所管事項以外でも国務大臣として述べたいことがたくさんございます。燃費と規制の問題なり、あるいはまたエネルギーの将来あるいは現状をどういうふうにしていくか、あるいは総合交通対策をどうすべきか、あるいは環境問題全般を進めていく上に当たって、総合的な対策をどういうふうに考えたらいいかということについて、やはり先生と御同様、一家言を持っているつもりでございます。しかし、相当時間がかかりますから、その答弁を申し上げている時間がございませんので、はなはだ残念でありますが、要は、政府環境対策を立案し、これを実行する場合に、本当に政府一体となってあらゆる角度から検討をして対策を立てて、そしてこれを実行していかなければなりません。環境庁だけが力んでみても、実施官庁でございませんので、そういう意味で、非常に重要な問題点の御指摘だと思います。私も閣僚の一人として、まあ、かつていまの三木総理が環境庁長官をやられたときは副総理格でございます。副総理であります。やはりこういう立場の人が環境庁長官になるのが一番いいのじゃなかろうかと私は考えます。遺憾ながら私はまだそこまでいっておりませんので、あれでございますが、しかし、閣僚としては当然、閣議の全般の政策に発言権もあるわけでございます。御趣旨は十分理解をしておるつもりでございますから、そういう意味で、環境問題を私としては中心にしながら、総合的な対策をとるように努力をいたしてまいります。
  181. 林義郎

    ○林(義)委員 長官おっしゃったように大変な問題があります。こういった論戦こそ、私はここの国会でやらなければならない問題だと思いますので、次の国会でまた、お願いをいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  182. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これをもちまして質疑は終了いたしました。  本日をもって本会期は終了いたします。長期間にわたります委員会の審議に御協力、本当にありがとうございました。  これをもって散会いたします。     午後一時一分散会