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江田委員 去る六月五日の当
委員会で、水島の三菱石油の事故について御
質問したわけでありますが、その後、事態は進んでまいりまして、私
ども正確な
内容はつかんでいないのでありますが、倉敷市議会また岡山県議会では、いろいろ問題点は残しながらも、三菱石油の操業再開を認めるという
方向が出ているように聞いておるのであります。同時にまた、香川県の前川知事は操業再開には絶対に反対だということが
新聞で伝えられておりまして、これは一体どういうことになっているのか。この前の
委員会で
左藤対策本部長は、倉敷市議会及び被害の大きかった関係四県から意思の表明があれば、その
段階において
対策本部を開いて、
政府としてどういう結末をつけるべきか指導するというように言われたのでありますが、いま、このような状況になりまして、どういう指導をなさろうとするのか、それを承りたいのであります。
そこで私
どもも、その後いろいろ協議をいたしましたが、問題は数々残っておる。第一の問題は、この問題に対する
政府の事故原因
調査というものが、まだ中間
報告の
段階であって、最終
報告は十月になるであろう、こう伝えられております。その中間
報告を読みましても、軟弱地盤の上にAPI規格のタンクが置かれるということにはいろいろ問題があるし、またあの水島地域におけるタンク設置の基礎をつくる、その工事の仕方にも問題があるということが出されておるのであります。またその後、土井
委員から
質問がありましたように、消防庁の正式の認可のないままに工事に着工したというような問題もあるわけで、したがって、安全点検ということが、パイプが詰まっているかどうか、あるいは二百分の一の傾斜があるかどうかというようなことについては調べられておるわけでありますが、いま私が申しました木原
委員会が指摘した問題点から見ても、実は消防庁に、タンクについて、これが間違いのないものかどうかということを判断する
技術的な用意がないわけでありますから、不安を感ぜざるを得ないわけであります。
そこで、まずこの問題について
対策本部はどういう指導をなさろうとするのかというのが第一点であります。
次官が、ほかの
委員会の日程があって急がれるそうでありますから、私は問題点を先に並べます。次官が御
答弁なさる問題、あるいは
環境庁長官から伺いたい問題もありますが、その方が時間の節約になると思いますから、そうします。
第二は、
環境庁の
環境影響
調査の中で、流出油の影響はほとんどないと受け取れる中間
報告が出されておるわけであります。しかしながら、この問題について香川の県当局が独自に
調査結果を発表しておりますが、これを見ると、大きな影響が残っているように出されておるのであります。また、現地の漁民の操業の中から得た実感からいたしましても、影響は残っているということを指摘しております。たとえばアオサのようなものが海岸につかなくなったというようなことも言われておるのでありまして、
環境庁の影響
調査と相当食い違いがある。少なくともあの影響
調査に現地の漁民諸君は、とんでもないことを言っておるという、むしろ怒りの声を上げておるわけであります。この点、あるいは小
委員会を持って、これから最終
結論を出されるというのでありますが、そのような漁民の実感なり現地の県当局が独自に
調査したもの、あるいは民間団体で
調査したものもありますが、そのようなデータについて、どういう評価をなさっておるかということであります。また、最終的の詰めをどのようにしていくのかということであります。
それから第三の問題点は、これはこの前の
委員会でも指摘いたしましたが、私たちはあの事故の経緯にかんがみまして、今後あるべき防災協定においては、陸と海との一元的なものでなければ、その目的を達することはできないのではないかという心配をするわけであります。もちろん現行法のもとにおいて、この一元的な防災協定というのは法律上は問題があるわけであります。しかしこのような、ある
意味ではこの措置が今後のモデルケースというか、そういう非常に規模の大きな、日本国じゅうの注目を受けておるような事故でありまして、これを受けての防災協定においては、私たちは、いまの法律の枠を越えてでも、現地において陸上、海上の一元的な防災協定を指導なさるのが適切ではないかと思うのでありまして、そのことをどうお考えになるか。
第四の問題は、水島港のような当初十万トンタンカーで設計をされた港に、いま一部掘削をして十六万トンのタンカーを入れられている。それも実際に使う船は二十万トン、それ以上のタンカーであって、途中で荷をおろして船足を軽くしながら入ってきているのが実態なのでありますが、この間の東京湾のあの事故から見ましても、前方から思いがけない船が出た、それを避けるために、急にかじを取りかえなければならぬということで、ああいう座礁事件が起きているのでありまして、水島の場合にも、そういう危険性というものは多分にあるわけで、私たちはこの際、とりあえず水島港には大型タンカーの航行を規制すべきではないか、これは将来、瀬戸内海なり、あるいは東京湾なり、もっと広い範囲で規制を検討しなければなりませんが、とりあえず水島の三菱石油の操業再開に当たって、これだけのことは緊急的にやるべきではないかということであります。
第五の問題は、
環境庁の
調査によりましても、海の底に油は残っておる。しかし、その油は一面的にあるのでなしに部分的にある、しかも、それはどこの油であるかわからないということを言っておられるのでありまして、どこの油かわからぬということになれば、その清掃
責任は、だれが今後、
責任を持つことになるのか、国の方で徹底的に
責任を負って、この残油の清掃をなさるのか、それも
公害PPPの原則からしておかしな話だと私は思うのでありますが、どこのものであるかわからぬというような
考え方を出されている
政府の方では、この残油の清掃
責任をどこが持つべきと考えておられるのか、あるいは放任されるのか。そんなことはないと思いますが、その点が第五の問題。
それからもう
一つは、この前、
環境庁長官にも御
質問いたしましたが、沿岸一般
住民への補償措置をどのようにとるかということでありまして、重ねて申しますけれ
ども、海は沿岸
住民の共有の財産なのです。ひとり漁業権を持っている漁民の海ではないわけでありまして、あれだけのものが汚された、その影響は、まだ気温が上昇するに従って砂の中から、あるいは岩陰から、残油がじりじりと出てくるわけでありまして、今後も長く影響を受けなければならぬのでありますが、それに対して事故原因の三菱は補償する必要がないのかどうか。
その六つの問題が残されておると私たちは思うのでありまして、そういうことからいたしまして、先ほど申しましたように、香川の前川知事は、現
段階での再開に反対の意思を、
新聞で表明しておられましたし、あるいは他の府県の県当局がどういう答えを出されようと、漁民なり、あるいは一般
住民からは、納得ができないという声が相当強く起きてくると思うのであります。したがいまして私たちは、この最終
段階で操業を再開すべきかいなかを指導に当たられる
対策本部の
左藤本部長及び
環境庁長官は、どのような指導をなされるつもりなのか、それを承りたいのであります。