○坂口委員 まあ、地盤沈下は見た目にそうわからない。たとえば騒音でありますとか、大気汚染でありますとか、あるいは水質の汚濁でありますとかというものに比べますと、同じ
公害の主要な六項目の
一つに入っておりますけれ
ども、急激にすこんと下がるものではない、長い時間をかけて少しずつ下がっていくものですから、見た目にわかりにくいということもございまして、わりに軽く見られる傾向がある。しかしながら、一たん事が起こりました場合、たとえば防潮堤等が低下をして、大きな台風が来て非常に大きな
災害が出るというようなことになりましたときに、初めてこれはいかぬということになるのだろうと思うわけです。あるいはまた、そのほか地下水等の問題はございますけれ
ども、そういうことで存外目に見えにくいということがありますために、捨ておかれる可能性が大きいと思うわけです。ただ、あの伊勢湾台風のように非常に大きな台風が参りましたときに、初めて地盤沈下というものがいかに恐ろしいものであるかということをまざまざと見せつけられると思うわけであります。
非常に地盤沈下の進んでいるところも多いわけでありますが、いも申しました伊勢湾は、特にその中で地盤沈下のひどいところであります。あの伊勢湾台風の後で八百億円から投じられて、そして六メートル前後の防潮堤が築かれましたけれ
ども、それから十二年ぐらいの間に一メートル半、ひどいところでは二メートルも沈下をして、大体、伊勢湾台風当時の高さになってしまっているやに聞いているわけであります。私も先日、伊勢湾のそういったところを二、三見せてもらってまいりましたけれ
ども、かなりひどいところがございます。たとえば、その防潮堤の表面はコンクリートで固めてありますからいいのですが、中が恐らく地盤沈下をして空になっておるのではないかと思われるような節もあるわけであります。と申しますのは、潮がさしてまいりますと、それを越えまして逆の方に潮水がずいぶん噴出してまいりまして、民家の床下に、ひどいところでは三十センチ水がつくわけであります。潮が引いていきますと、それも引いていくわけでありますけれ
ども、潮がさしてまいりますと、床下に二十センチから三十センチ水がついているという大変ひどいところもあるわけであります。そういうふうな状態を見ますと、これは早急にこれらの点を
考えていかないと大変なことになる。特に台風は毎年やってまいりますし、伊勢湾等は台風銀座と言われるほど毎年たくさんの台風の通るところであります。大きいのがこの二、三年来ないからいいようなものの、大きいのが来れば一たまりもないという気がするわけであります。
そこで、各県の段階におきましても、あるいはまた建設省、いわゆる国の段階におきましても、それに対する手は少しずつではありますが打たれております。たとえば三重県側の、いわゆる焼きハマグリで有名な桑名がございますが、揖斐川という川がございます。それから員弁川という川がございまして、その両方にはさまれました部分は特にひどいところでございますけれ
ども、この揖斐川は一級河川でございますので、建設省の方で着々手を打っていただいているようでございます。しかし、いずれにいたしましても、一年間に行われます距離と申しますか場所が非常に少ないために、なかなか全部できていかない。海岸に面しておりますところは県の方が中心になってやっておるわけでありますけれ
ども、一キロぐらいありますところを、年々百メートルぐらいづつしかやっていかないわけです。そうしますと、
昭和四十八年にやりましたところ、
昭和四十九年にやりましたところが、言われなくても見ただけでもうわかる。と申しますのは、一年、一年、やったところがまた下がっていくものですから、段がついているわけですね。ここは四十八年の分、ここは四十九年の分、ことしやりますとまた段がつくというので、二十センチぐらいの段がついている。それほど、やりましても次々に下がっていくわけです。こういうふうなことを繰り返しておりますと、十年かかって一番端までいったころには、初めのところはまた沈んでしまって、もうそれが使いものにならない。また初めからやらなければならない。こういったことを繰り返していては、いざというときの
対策にならないというふうに
考えるわけであります。
そういう意味で、これは早急に手を打たなければならない。県の段階でこれが十分でき得ればいいわけでありますけれ
ども、できない面には、国の方でより積極的な
対策が講じられなければならないと思うわけであります。建設省の方、お越しいただいておりますので、その辺の御事情をちょっと御説明をいただきたいと思います。