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田中(覚)
委員 そういうふうに赤潮の
被害がだんだんと拡大をする。北海道だとかあるいは日本海あるいは九州西部、こういう地域の
海岸というものは、どちらかというと開放的な地形のところが多いし、従来から開発がおくれておったというところで、余り赤潮の心配がなかったということが言えるかと思います。しかし、だんだんとこうして地域が拡大をするおそれもあるということになりますと、ここでやはり
関係庁としては赤潮に対する総合的な抜本的な取り組み、
対策というものを
考えていただく時期にきておるのではないかというふうに思うのであります。
ことに
瀬戸内海の播磨灘を中心に起こっております赤潮現象というのは、例年に比べると二カ月も早く出ておる。またきょうの読売新聞でございますか、新聞の報ずるところによれば、伊勢湾にも
東京湾にもすでに赤潮の現象が出ておるというようなことが言われておりますが、全般的に例年より早目にこうして出てきた。その原因が一体どこにあるのかというようなことも、これはひとつ真剣に御
検討を願わなければならぬ問題だと思いますが、とりわけ先ほど
江田委員からの
お話にもございましたし、私
ども参考人からもいろいろ聴取をしたところでございますが、この
瀬戸内海のことしの早期に
発生をしておる赤潮というものが、やはり
水島の油の
流出に
影響を受けておるところがあるという点についてでございまして、私
ども大きな関心を持っております。
すでに徳山湾で起きておる赤潮の
被害について公害等調整
委員会が示した調停は、必ずしもメカニズムは明確でないけれ
ども、しかし、何らかの意味で
工場排水が
影響があるだろうというようなところから、この赤潮
被害についての
補償を認めた、そういう調停をしておることは御承知のとおりでございます。
そういうようなこともございまして、今後この
瀬戸内海の赤潮に対しまして、油の
流出事故との関連が追及をされることは、これは当然だというふうに私も理解をいたします。しかし、この
瀬戸内海の赤潮問題を、ただ単に
水島の油の
流出だけの問題として処理することは、必ずしも正しい受けとめ方ではなかろう、かように私は思うのであります。そのわけは、今度
瀬戸内海で起きておる赤潮の
発生地域と
水島の重油の
流出の経路とは、必ずしも一致をいたしておりません。ことに
水島の油の
流出と全然
関係のない
大阪湾等にも赤潮が
発生をしておるわけです。でありますから、私は決してこの油の
流出の
影響を否定するわけではございませんけれ
ども、やはり赤潮に対する基本的な取り組み方といたしまして、
瀬戸内海の富栄養化、これにメスをもっと入れていくことが必要ではなかろうか。
そういう意味で四十八年に
瀬戸内海の
環境保全の臨時
措置法が制定をされたわけでありまして、私はこの臨時
措置法のねらったところは決して間違っておらぬというふうに理解をするものでございますが、
水島の油の
流出によりまして、すっかり
瀬戸内海の
状況が撹乱をされてしまったものですから、せっかくつくった法律の成果とか使命というものが、ややともすれば軽視されてしまうおそれもないわけではございません。
そこで私は伺いたいことは、一体この臨時
措置法が施行されてから、
瀬戸内海の
環境は若干でも改善されたのかどうか。ことにCODなどは、その負荷量を半減するということで
関係県に割り当てがなされておりました。先般、発表になりました四十九年度の公害の
状況に関する
環境庁の年次報告を見ますと、どうもせっかくの法律が余り成果を上げておらない。むしろ逆に
瀬戸内海の
状況は悪くなっているというふうにしか実は受け取れないのであります。ことに
瀬戸内海の赤潮の
発生件数を見てみますと、
被害を伴う赤潮の
発生件数の比率は低下しておりますけれ
ども、その
発生件数は年々増加しておる、こういうことが実は出ております。そういう点から申しまして、一体この臨時
措置法の成果といいますか、あるいは逆に、一体どういうわけで成果が上がらなかったか。
水島の油の
流出事故によっていろいろ撹乱をされたという問題はございますけれ
ども、それとは別に、この法律の成果とか、あるいは掲げた目的が達成できなかった原因がどこにあるのかということについて、一体、
環境庁御当局はどういうふうなお
考えを持っておられるか。そしてまたこれが三年後の五十一年末には失効するわけでありますが、その事後の
対策、これを一体どういうふうにお
考えになっておられるか、この点をひとつ大臣からお伺いをいたしたいと思います。