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1975-03-14 第75回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十四日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       坂本三十次君    葉梨 信行君       八田 貞義君    阿部未喜男君       角屋堅次郎君    横路 孝弘君       栗田  翠君    小川新一郎君       岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         海上保安庁次長 隅  健三君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   島崎 晴夫君         水産庁研究開発         部漁場保全課長 山内 静夫君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     富永 孝雄君         通商産業省生活         産業局紙業課長 沢田  仁君         運輸省港湾局技         術参事官    鮫島 泰佑君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      北川  清君         自治省税務局府         県税課長    福島  深君         消防庁予防課長 永瀬  章君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     横路 孝弘君   米原  昶君     栗田  翠君   坂口  力君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     岩垂寿喜男君   栗田  翠君     米原  昶君   小川新一郎君     坂口  力君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策等)      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 まず、長官にお伺いをいたしますが、環境行政基本施策、この根幹に触れて確認しておきたいことが二つあります。したがって、この問題だけははっきり長官の口から聞きただしたい、こう思いますから申し上げます。  その一つは、きょうの新聞によりましても原子力委員会稲葉委員辞意を表明した、これは「むつ」などの責任をとるのだ、こういうようなのがちゃんと出ております。また、いままで自動車排出ガス五十一年規制の問題をめぐって、中公審自動車公害専門委員会また大気部会、この方面におきまして、もうすでに二人の方が辞意を表明されているようです。同時に、これは長官の認可を得ないままに、環境庁行政側が勝手に業界の人を、あるいは部会あるいは専門委員会の方に入れておったという事実もあったわけであります。そういうようなことで、それぞれおやめになるというこの態度、それに対して行政側が、環境庁の場合、そのままにしておってはとうていいかぬのではないかと思うのです。かねがね私どももその点については意見を申し上げておきました。こういうような状態のもとに、行政側としての決意はあるのですか、ないのですか、この点、長官に伺います。
  4. 小沢辰男

    小沢国務大臣 原子力の問題につきましては、これはただいま御承知のように政府で私の所管ではありませんけれども、便宜お答えするとすれば、政府内に原子力政策の根本的な検討をいたすための懇談会を設けております。その懇談会の結論を待って、原子力安全性の問題も含め、原子力行政全体をいかにすべきかということを決定していくことになるだろうと思うわけでございまして、それ以上いま申し上げる段階ではないわけでございます。  それから私どもの方の中公審自動車排ガス専門委員会委員長八田先生が、学校並びに御本人のいろいろな御都合によりまして、四十七年以来、例の長期目標設定、それから二回にわたります規制のいろいろ専門的な検討を終えましたので、一応自分としての使命も果たされたというような観点から、辞意を表明されたわけでございまして、私は、八田先生は非常にりっぱな方だと思っておりますので、極力慰留を申し上げたわけでございますけれども、個人的ないろいろの御事情がございますので、やむを得ず辞任を認めざるを得なかったわけでございます。  家本委員につきましては、これは御存じのような原因等もございまして、御本人誠心誠意自分の持つ専門的な知識に忠実にお務めになりましたわけでございますが、いろいろな高度の御配慮から、例の問題が国会に取り上げられました翌日、正式にやめたいという申し出がございましたので、その御意向をそのまま私どもはお受けすることにいたしたわけでございます。  専門委員会は、三木総理の御指示もありまして、拡充強化をしようというので、目下鋭意人選に努力中でございます。将来とも、私どもはまだまだ移動発生源についてのいろいろな総合的な対策をとっていかなければいけませんから、その意味において、これからもこの専門委員会拡充強化いたしまして、十分国民の要望にこたえるようにいたしていきたい。  なお中公審全体の委員につきましては、任期等もございますので、私がいまここで、私だけの考え方で、さらに国民の声を反映する方法をどういうようにしたらいいかという点から、補充強化考えるということを直ちに実行に移すわけにいきません。任期が参りましたときに、従来の経過等も踏まえまして、十分検討していきたいと思っておるわけでございまして、ただいまの委員先生方は、中公審で絶えずいろいろな環境の問題につきまして非常に熱心に御検討いただいておりますので、現在の委員皆さん方評価等を、世間ではいろいろやる人がありますが、私は絶対に信頼をしておるわけでございます。そういう意味で、先生の御意思がどこにあるかよくわかりませんが、私どもはあくまでもその自主性を尊重しつつ、りっぱに国民の健康の保持と環境保全のために、十分な見識をもって独立して審議を進めてくださる中公審であると私は確信をいたしておりますから、その点はどうぞひとつ御安心をいただきたいと思います。
  5. 島本虎三

    島本委員 肝心なことを言わない。それらのことに触れたのじゃないのです。その原因をつくった行政側の、あなたの部下責任はどうするのだと聞いているのです。それにはっきり対処する御意思があるのか、ないのか聞いているのです。たとえば大気保全局長なり、まあそれぞれいるでしょう。他の方をそういうふうにしておいて、あなたの行政側部下をそのままにしておくのか、これじゃ通らぬだろうと決意を聞いているわけです。
  6. 小沢辰男

    小沢国務大臣 八田先生にしても家本先生にしても、これは何も責任をとってもらっておやめいただいたわけじゃありません。それぞれ、いろいろ個人的な事情がございまして、そういう意味において私は……(島本委員「一言、通るのか通らないのか言ってください」と呼ぶ)そのやり方について、もし先生方の御批判があるとすれば、その責任は一切私にあるわけでございますから、私どもの、この中公審事務をやっている事務局の者に責任云々というような御説には、私はくみしがたいわけでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 全部はぐらかしておる。この委員はりっぱな人だなんて、あなたが言うまでもなく私も思っている。しかし、そのりっぱな人たちに、いわば長官が許可しなければならないようなことを一局長が、それも国会議員まで入れないようなところへ業者の関係者を入れる、そういうようなことを自分責任でやって、それで不信を受けている。こういうのもそのままにしておくのですかと言っているのです。しておくのか、おかないのか、イエスかノーか、それでいいのです。
  8. 小沢辰男

    小沢国務大臣 責任をとるようなものではないと、この前からるる申し上げているとおりでございまして、したがって、大気保全局事務当局責任があるとは思いません。
  9. 島本虎三

    島本委員 責任あると思わない。じゃ、あの行為はりっぱだ、こういうことになるわけですか。
  10. 小沢辰男

    小沢国務大臣 りっぱだとは言いませんけれども、それがゆえに直ちに責任をとるという問題につながらぬ、こういうことでございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 りっぱではないが責任をとらない。しかし、環境庁の品位はもう地を払っているでしょう。冗談じゃないですよ。そういう態度環境行政やれますか。まず、自分責任をはっきりさせることですよ。それも、きょう来ると言っていて、出席に丸がついているのに、なぜ出てきていないのですか。出席していると丸がついているのに来ていない、こういうようなことでは環境庁行政自身がおかしいじゃないですか。もっとしっかりやらぬとだめだ。それで間違いがない、こういうふうに考えておられるなら、おられるで結構です。まことに遺憾であるということを言っておきます。  次に、新幹線に対する騒音規制値が最近出たようです。これに対していろいろな方面から、あるいは住民側からすると、これじゃ緩過ぎる、しかしながら国鉄当局から、これじゃもう設置もおくれざるを得ない、こういうことを言っているようです。それに対して、ぐらぐらしないで、出した以上、これについてはっきりした態度でやるのじゃないかと私は思うのですが、これに対しては大臣、どういうようにお考えですか。
  12. 小沢辰男

    小沢国務大臣 新幹線騒音防止につきます基準については、中公審を御信頼申し上げておりますので、その専門委員会方針考え方騒音防止部会で御決定になって、中公審としての正式答申をいただければ、私どもはその答申を尊重して、その方針どおり行政の側としてのいろいろな対策を進めていきたい、かように考えております。
  13. 島本虎三

    島本委員 次に、前から問題になっておりました伊達火力環境保全の問題について、いままた対処しておかないと重要な問題を惹起するであろう、こう思われることから、若干質問していきたいと思います。  これは長官も、すでに予算委員会その他によって十分御存じのとおりであります。これは話せばずっと長いのですが、かいつまんで言うと、昭和四十八年六月十三日に、当時強行着工するというので、そのときの長官三木環境庁長官で、現総理です。そして長官北海道北電に対して、着工に当たっては絶対流血の惨を避けよ、この際、忍耐強く話し合いなさい、こういうふうに言った。その後で、すぐ機動隊を動員して強行着工した。そのほか威力業務妨害現行犯として十数名を逮捕したりしている。本年の一月二十二日に、また第二十四北光丸で機材を搬入して、そして二十二隻の巡視船艇ヘリコプター一台、これで岸に押しつぶされるような漁船まであって、岸壁にはい上がったら、救出するどころか威力業務妨害でこれまた逮捕。同じく二月十四日には機動隊百名、ヘリコプター一台、保安庁の船艇四隻。反対する住民一人もないのに、こういうような過剰警備をしている。これに対して、二月二十一日に予算委員会の席上で三木総理は、地元と十分話し合って円満に事を運ぶことが一番大事だ、今後もそのように指導すると、きちっと言っているのです。これは北海道の第三期総合開発計画を背景にして、北電の電力の安定供給ということでこれが起きているわけです。そして、これはあくまでも環境破壊火電公害から自分の海を守ろうとする漁民との間の抗争になっているわけです。したがって総理は、あくまでも話し合いを進めよ、住民の理解を得る必要がある以上、困難はあっても忍耐強く話し合いを続けるべきだ、こういうようにはっきり言っているわけです。議事録に載っているわけです。  今後残されている問題としては、パイプラインの問題と工業用水の問題があるわけです。これらの問題についても、地域住民十分話し合いをして進める、そういうふうに指導すべきだと思うのでありますが、長官としてどうお考えですか。
  14. 小沢辰男

    小沢国務大臣 三木環境庁長官がそういう御方針国会で表明されたといたしましたならば、これは現在総理でございますから、その所見は変わってないと思いますので、私ども環境庁を預かる者として、当然そうした考え方と同じ考えで進むべきものと思います。
  15. 島本虎三

    島本委員 少し長官、あなたは言葉の端々に物がはさまったような発言がある。三木さんが答弁したときに、その席上にあなたもおったじゃありませんか。いまその議事録の写しを読んでいるのですよ。二月二十一日午前十時過ぎの予算委員会、そこで三木さんはこう答弁しておる。会社と地元側で十分話し合って円満に事を運ぶということが一番大事なことだ、今後もそのように指導する。だめです。あなた、そばで聞いていながらそんなよそごとのようなこと言っていたんじゃ。  それで、今度伊達火力発電所稼働は五十一年二月に通産省は予定されているパイプラインの問題はもうすでに着工していないと計画が崩れることになります。タイムリミットになっているわけですが、いまどうなっているのですか。
  16. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  パイプラインにつきましては、地盤調査等のためにボーリングを六十二本、それから透水性調査ボーリングを二本やりまして、現在その解析中でございます。
  17. 島本虎三

    島本委員 その場合にはやはり道路、住宅、いろいろな場所もその中にあるのだろうと思うのですが、このパイプライン敷設工事計画概要、どう進んでいるのか、そういうものははっきりしていますか。もうタイムリミットで、これはすでに行われていなければならないはずのものなんです。五十一年二月が稼働の日でしょう。パイプラインもやらないでそのまま稼働するわけないですね。そうしたら、ことしの一月からもう着工していなければならない問題ですね。それなのにまだ調査だけですか。
  18. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  パイプラインにつきましては、パイプラインができませんと燃料が輸送できないわけでございますので、パイプラインが完成しない前に稼働するということはないわけでございます。そういう点からいたしまして、五十一年二月完成というのは若干おくれざるを得ない情勢ではないかというふうに考えております。
  19. 島本虎三

    島本委員 そして皆さんの方では、その敷設工事計画、それと計画進捗状況、こういうようなものは全部報告来ておりますか。
  20. 大永勇作

    ○大永政府委員 パイプラインにつきましては、先ほど申し上げましたように、地質構造調査のためのボーリング、それから透水試験ボーリングを実施し、現在データをまだ解析中でございますので、具体的な工事計画等についてはまだ煮詰まっていないわけでございまして、詳細はその程度しかわれわれとしては聞いておりません。
  21. 島本虎三

    島本委員 ことにこの問題については、いろいろな経過なり経過に対する問題点もまだあるようですね。経過としては、これは昭和四十六年に伊達の漁協が、油による海の汚染のために、船による重油の運搬を拒否したために、陸上輸送に切りかえたわけですね。そして公害防止協定、これの一連の協定によって、これを全部パイプライン敷設するということにして、安全性はあくまでも確保する、こうなっておりますね。この中で当然パイプラインについて住民に対して具体的な説明を行って、そして安全性に対して十分納得させなければならないはずじゃありませんか。同時に、これは消防法によるものであっても、パイプライン事業法ですか、これによるものであっても、住民意思を尊重しなければならないことになっておりますが、こういうような点はまだする段階じゃないのですか。
  22. 大永勇作

    ○大永政府委員 一般的なパイプライン概要考え方あるいは安全性等につきましては、北海道電力がパンフレットをつくりまして、住民と従来も何回か話し合いをしてまいっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ具体的な路線等は決まっていないわけでございまして、具体的な路線あるいはその詳細設計等がまとまりましたら、これは当然また再び地元と話し合うということに、われわれとしても指導したいと考えております。
  23. 島本虎三

    島本委員 それもまた、あなたうそを言っているのです。去年の九月の五日に新聞チラシパンフレットを配布しただけで、住民との話し合いは一回もないのです。やっていない。やっているというようなことを言ってきていても、これはやっていない。九月の五日、去年ですよ。新聞チラシとしてパンフレットを配布しただけです。これはもう協議していることになりませんよ、一方的なんです。  公害防止協定で、パイプライン設置、こういうのはすでに是認しているわけですが、これの安全性の具体的な内容、これだけはまだ明らかにされていませんね。それと安全性が明らかにされないほかに、石油パイプライン事業法、この附帯決議、当然これはもう消防法によっても同様です。これも住民意見意思の尊重ということが含まれているのですね。ですから、これなしには設置できないはずなんです。これは全然まだやっていないということは、今後もそういうようなものは尊重する、こういうようなたてまえに立つのですか。また、いままでのように警官を動員して過剰警備に陥るようなことをしてまでも、これは強行着工しようとするのですか。これは事業側としてはどういうように指導していますか。
  24. 大永勇作

    ○大永政府委員 われわれの受けました報告では、四十八年五月に北電パイプライン概要につきまして話し合った後、公開質問状等が二回くらい出てまいりまして、それに対する回答を行ったというふうに聞いておるわけでございますけれども、今後の問題としましては、先ほど申し上げましたように、現在は地質等につきましてのデータ解析中でございまして、ルートの案がまだできておりません。ルートの案ができましたならば、その段階で概略の設計等をいたしまして、地元住民の方と十分話し合いをするように、われわれとしても十分指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 その住民と十分話し合うというような点は、安全だということが十分確立して、その後でそれを知ってもらうために十分な話し合いをする、こういうようなことです。不安全である、安全性がないということで幾ら話し合いをしても、これはもうだめなんです。ただ、話し合いをしたという既成事実の上に立って、あとは強行着工する、こういうようなことをさせてはだめなんです。いままで皆さんはそういうように指導していたのです。環境行政を扱う者としては、もうそういうような指導をしてはならないし、ことに通産省ではこれは再三にわたって注意されているところです。  この場合、パイプライン安全性についてもどうですか。これはいま調査しているということですけれども、その調査に対して大体どういうような報告を受けておりますか。私の手元に、和光大学教授地質学専攻理学博士生越忠さん、前回この場所参考人として出て、これはパイプラインを含めてタンク不等沈下地盤等の問題で、貴重な意見を出していった方であります。われわれの尊敬する人です。和光大学教授理学博士生越忠さん、この人から伊達火力発電所パイプライン安全性に対する疑義という意見書が出ていますね。これを十分解明して指導していますか、まだ知りませんか。
  26. 大永勇作

    ○大永政府委員 いろいろ油漏れの問題、あるいは地盤の問題、あるいは地震の問題、あるいは室蘭本線が電化した場合のいろいろな腐食の問題、あるいはパイプの過熱によります農業被害の問題等々、いろいろな問題点について指摘を受けておることは承知いたしておりますけれども、安全問題につきましては消防法規定によってやることになっておりますので、われわれとしては概要のいろいろなそういう情報を受けておるという程度でございまして、われわれの方で専門的に調査をしておるというところではございません。
  27. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官、そこがみそなんです。ここで通産省は逃げているのです。先般この場所へ来て、タンク不等沈下の問題、ことに地質学上貴重な意見を賜った、私どもは本当にありがたいと思って聞きました。その生越教授から、地盤その他パイプラインの問題として重要な疑義があるということで意見書まで出ているのです。この意見書一つ一つは重要な問題です。これに対して、私ども知りません、消防法で決めればよいのです。こんなことを言っているのです。だから、通産省はいつでも諸悪の根源だと言われているのです。何ですか、その態度は。なぜ、こういうような疑義があったならば、あなた自身がこれを解明しないのです。そうして消防法上これが本当に困るならば、その時点から、消防もそうです。通産もそうです。ともにこの問題の安全性を確立してこそ、住民に対しての説得性があるじゃありませんか。これを全然解明もしないで、あと消防がやったらいいのだ、そんなばかな話はありますか。あなたはどなたでしたか。
  28. 大永勇作

    ○大永政府委員 われわれもわれわれなりに、いろいろ、いま問題になりましたような点につきましては、詳細な設計ができた段階で、われわれの内部の、土木の専門家機械専門家等もおりますから、われわれなりに調査はいたしたいと思いますが、先ほど舌足らずであったかと思いますけれども、法的な規制の面におきましては、これは電気事業法規定ではなくて、消防法規定によるものである、そういう趣旨で申し上げたものでございます。
  29. 島本虎三

    島本委員 それでは、いまこれから研究するのですか。この場所には具体的な問題として指摘されていますよ。具体的な問題に対して、これは反論並びにこれの解明がはっきりしていないとだめでしょう。これから研究するのですか。
  30. 大永勇作

    ○大永政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の段階ではまだ路線も決まっておりませんし、それから、このパイプライン構造等につきましての具体的な詳細な設計あるいはそれの設置方法等につきましても、まだ決まっておりませんので、案が決まりました段階調査をし、安全性等について勉強したいというふうに考えております。
  31. 島本虎三

    島本委員 この案が決まるにしても決まらないにしても、その個所は必ず通らなければならないのです。案が決まってからといったって、一体その中で、決まって少しは避けられるのは、この国鉄を横切るのか横切らないのか、国道を横切るのか横切らないのか、住宅地を横切るのか横切らないのか、この三つぐらいは、その線引きによってどうにもなるでしょう。地震地帯を通ることはもうすでにこれは確定なんですよ。地盤の軟弱な場所、あの一帯はそれなんですよ。そこを通る危険性を指摘しておるのですよ。これはどうしますか。
  32. 大永勇作

    ○大永政府委員 ルートにつきましては、まだ幾つかの案が検討されておるようでございまして、先ほど申し上げましたようにルートがまだ固まっておりませんので、いまおっしゃいましたような個所については、ちょっとまだ私としてはお答えする資料を持ち合わせていないわけでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 このルートをもしやるとしたならば、安全を無視しても経済的にいい経済ルート、第二番目には安全を尊重して非経済ルート、第三番目には安全軽視の準経済ルート、大体この三つぐらいに仕分けられるのじゃありませんか。そうなると第一の安全無視の経済ルート、これは海岸沿いのルートでして、これはもう住民安全性からして絶対実現不可能。第二番目の安全尊重非経済ルート、これは人家だとか農家、森林を迂回して原野を通るルートです。これはもう伊達周辺には該当するルートはありませんから、山の中を金をかけてつくるルート、こういうようなことが営利企業としてやれるかどうか。それでもこれが安全だとすればやらせなければならないというルートです。第三の安全軽視の準経済ルート、これは住民安全性と経済性をてんびんにかけたルートですから、結局はこういうようなことをいま考えているのじゃないか、こういうようなことが考えられるのです。  しかし、過去の例としていろいろ例があるのです。余りこういうようなことは言いたくないのですが、昭和四十八年八月六日に北海道電力の新冠ダムの建設現場の土砂崩れ、これによって四名が死亡、五名が重軽傷という事故を起こしている。また朱鞠内ダムの放水、これで民家に浸水したりしている。これは昭和四十八年八月十八日それから二十二日、住民五十人が二回にわたって被害を受け、一週間も不自由な避難状態を強いられるという事故。それから、つい最近裁判の判決を受けました札幌の十五島公園の惨事、昭和四十八年十月十六日に北海道電力の藻岩ダムの放水によって、十五島公園に遠足に来ていた中学生二名が、警告のないままに放水されて、そして水死するという惨事が起こっているのです。これとても、警告した、しないで争いがあって、結局はもう裁判によって有罪と決まったようです。過去のこういうような例を見ると、安全だ安全だと言って、一たん始動してしまうと、こういうような例もいままであったということです。十分今後もそれを考えないといけないのじゃありませんか。  そうしてルートをつくる上でいまいろいろ指摘されている問題があるわけです。軟弱地盤地帯が多いこと、これも真っ先に指摘されてますから、その点を十分考えないといけないはずです。地震多発地帯であるということ、これはもう大きい地震の影響をしばしば受けている場所です。近くには有珠岳や昭和新山、こういう火山があって、火山活動に伴う地震が発生するおそれも多い、こういうような個所です。ことに有珠岳の目ぼしい噴火がある。これはもうずっと続いてます。最近では一九四三年から四五年、昭和十八年から二十年です。大体三十年から六十年の周期でこういうふうな地震が発生しているようです。遠いところでは文政五年、嘉永六年、明治四十三年、こういうような地震も発生しておるようです。そうして昭和新山も現在活動中であります。そういうふうにしてみると、再びこういうような火山が活動するようなおそれがないということは断言できない。これはその個所ですよ。したがって、パイプラインというような点を見ると、その損傷が重大な引火や漏油の原因になりますから、その点は十分考えなければならないという指摘をしているでしょう。  それから、あの辺一帯の漏油による地下水の汚染の可能性が十分あるということ、これも指摘しているわけでしょう。それと水がれ公害のおそれがそこに当然発生する。したがって、建設途次におけるこういうような水がれ公害のおそれもある、こういうようなことも指摘しているでしょう。室蘭本線が電化された場合には、導管が迷走電流によって腐食されるおそれもある、これも指摘されています。それとまた、国道三十七号線の下での埋設工事の際の事故発生も予想される、これも指摘しているのです。こういうような指摘を完全に理解した上でそれをやらせるのでなければ、とんでもないことになる。  この最後の結びとして、あの付近の地盤沈下によるタンク損傷また伊達市の長流川河口にかかる国鉄室蘭本線や国道三十七号線の鉄橋、これがもう橋脚の水没部分が現在ぐうっとふえてきている。科学的究明や事前調査を十分に行わないままに建設事業を強行するならば、伊達市はそれこそ人間が安心して住むことのできない公害・災害都市になってしまうだろう、公害問題や資源問題がいよいよ深刻化してきた今日、建設することの可否自体についても、もう一度根本的に問い直さなければならない時期じゃなかろうか、こう結んであるでしょう。  恐らくこういうような事態のままに、それを無視してやるということは重大じゃありませんか。いまこういうような問題からして、地震のおそれもある、地盤凍結による損傷のおそれもある、それと同時に、二十五キロにわたっての敷設ですから、当然これは石油パイプライン本来のその立地の時点にさかのぼって問題があったのじゃないか、こう思わざるを得ないわけです。  いま十分指摘いたしましたが、こういうような点は消防庁の方では、これは消防庁の方で十分調査することだと思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  34. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生御指摘の北海道電力伊達火力発電所パイプラインのことでございますが、室蘭から伊達に送る計画があるように聞いておりますが、この計画の内容につきましては、室蘭の方も伊達の方も、実はこれは許可いたしますのが北海道知事になりますけれども、そちらの方にもまだ計画が出てまいっておりません。消防法によります石油パイプライン規定、まあ消防法では移送取扱所と呼んでおりますが、これの規定も、石油パイプライン事業法規定にならいまして同様な技術基準にいたしてございます。計画が出てまいりました時点におきまして、その内容を審査いたしまして、先生の御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えております。
  35. 島本虎三

    島本委員 これはもう総理自身も、話し合いによって進めなさい、住民の理解を得る必要がある以上、困難があっても忍耐強く話し合いを続けるべきだ、こういうふうにはっきり言っているのです。往々にして北海道北海道電力はそういうようなことがわかりながらも、当時の三木環境庁長官あるいは中曽根通産大臣、二階堂官房長官、これらの人の進言を無視して強行しているのです。こういうようなことがあってはだめだと思うのです。開発庁でもこの点十分現地を注意すべきじゃないかと思いますが、まあ話をしないでも、いままでの雰囲気からしてやってもいいというお考えですかどうか。
  36. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 ただいま島本先生から、伊達火山のパイプラインを中心といたしまして、いろいろの御注意並びに問題点の指摘がございましたが、北海道電力といたしまして、こういった地元の不安、安全性の問題、いろいろ御指摘になった点を踏まえて、十分それにたえるような解明がなされなくてはならない、このように考えておりますし、同時にその解明がなされまして、地元に不安がないように十分電力会社において努力がなされるべきであると思います。  さらにまた、具体的な計画が煮詰まって、それが中央段階にまいり、通産省初め消防庁、関係機関の審査を経る段階があるかと思いますが、その際は十分慎重な審査を経て、この問題は適切に進められるべきものであると考えております。
  37. 島本虎三

    島本委員 これで終わろうと思ったのですが、秋吉さん、それじゃだめなんですよ。上へ上がってくるまでの間に住民との話し合いを煮詰めなさいと三木総理大臣が言っているのは、そこなんですよ。あなたたちが慎重にこれを調査する、当然ですよ、しなければだめなんですから、上がってくるまでの間に公聴会なり住民との話し合いをさせる、もうすでに話し合いを続けているのに、いつもそれを阻止して強行していたのですから。そういうようなことをさせてはならないがどうだと聞いているのです。させますか。
  38. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 開発庁といたしましては、そこまで明確な責任ある御答弁はできませんけれども、ただいま先生御指摘になりました問題点については、北海道電力といたしましては、地元住民の方々の不安を除去し、たえ得るような解明がなされるよう十分努力がなされるべきである、このように考えております。
  39. 島本虎三

    島本委員 大臣、十分おわかりのとおりなんです。これはそもそも漁民が環境破壊と公害を恐れての、いまもうすでに裁判になっている問題でもあるのです。その裁判が起こっている間に強行していますから、その間に起こっているトラブルなんです。したがって、これを環境保全という点からも公害防除という立場からも、いつでもこの問題の焦点に立つのは大臣なんです。したがって、十分この点を考えて、三木さんも二年前にこの問題では非常に心痛していましたから、今度はあなたが二倍も三倍も心痛しないといけませんよ。その顔ではまだ心痛しておる態度ではないですよ。もっと真剣にこの問題と取り組んで、前のような愚を繰り返さないようにしてもらいたい。まあ決意をひとつ、まともな決意ぐらい言ってみてください。
  40. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いかなる開発も、私は安全第一にすべきだと思っております。それと同時に、三木さんがおっしゃったように、やはり住民の十分な納得を得るという手続が必要だ、この二つを私も守っていきたい、かように考えます。
  41. 島本虎三

    島本委員 いかなる開発も環境保全に優先してはならない、これですよ。これはもう自然保護憲章の中にはっきりある。これを行政に反映させますと言ったのが自民党ですから、これはやらぬといけません。これを最後に警告して、私の質問を終わります。
  42. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 阿部未喜男君。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 去る三月四日にこの委員会で、コンビナートの公害防止対策について参考人皆さんの御出席をいただいて、私どもいろいろ勉強させていただきましたので、その参考人皆さんの御意見を基本にしながら、特にコンビナートに係る災害の防止等についてお伺いしたいと思います。  その前に、長官にちょっとお伺いしたいのですけれども、けさの新聞によりますと、佐世保にある米軍の基地から米軍貯蔵の油が流れ出して、佐世保港を汚染しておるという記事が出ておるのです。これは「十三日、明らかになった。」と言っていますが、かなり前の八日ごろからこの油は流れておるそうでございます。もちろんこれは地位協定等による米軍提供水域というのでしょうか、あるいは施設水域というのでしょうか、そういうところだと思うのですが、立入検査も拒否されておるのですけれども、仮に提供水域なり施設水域というものがあったとしても、油がそこでとまるわけではないと思います。海水の汚濁がそこでとまるわけではないと思いますので、この種の米軍基地から起こる公害について、環境庁と米軍基地との連絡はどういうふうになっておるのか、お伺いしたい。
  44. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私も新聞だけしか知りませんで、そういう事実を確認しなければならないと思いまして、これは当然外務省を通じて、環境庁が直接米軍との接触をいたしませんので、早急に調査をしてみて、また県とも連絡をしまして、対策をどうするかということを考えていきたいと思います。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まあ環境庁環境庁なりのいわゆる言い分があると思いますけれども、現地の住民にしてみれば、結局米軍に基地を提供して、そこから現実に油が出ておるわけです。そういう場合に、米軍と日本の公害対策なり災害対策との連携、連絡というものがどうなっておるのか。油が流れ出て初めてこれはどうすればいいのでしょうかというようなことでは、私は行政の怠慢のそしりを免れないと思うのですけれども事務当局の方で結構ですが、この種の米軍基地等から起こるところの公害については、どういう連絡をとり、対策を立てることになっておるのか。いま油が出て初めてあわて回って、どうしましょうか、外務省に聞いてみましょうなんと言ったって、これは国民として納得のいく問題ではありません。現に佐世保湾は汚されておるわけですから、この場合の連絡をする、対応する日本政府対策というものはどうなっておるのか、長官がまだわからなければ事務当局で結構ですから、聞かしてください。
  46. 大場敏彦

    ○大場政府委員 米軍基地からの汚染の問題でございますが、これは今回始まった事柄ではございません。海軍基地、空軍基地、ことに沖繩等におきましていろいろな問題が過去において起きたということは事実でございます。そのため、一昨年から昨年にかけまして、外務省を通じまして米軍の基地当局といろいろ連携をとり、いろいろ報告を求め、あるいは場合によっては米軍の了解を取りつけて、環境庁の職員がじかに立入調査をしたということもございます。その事例は詳細にわたりまして、いま手元に資料は持っておりませんが、いろいろ問題点があったことは事実でございます。それにつきましては、改善の要望を米軍当局に出したということになっております。  佐世保につきましても立入検査といいますか、たしか昨年の暮れに環境庁の職員がじかに行って見ましたけれども、そういう油漏洩というような問題は、その時点において実は予見できなかったことは残念だと思っております。私ども残念ながら、いま先生が御指摘になりましたことを寡聞にしてまだつかんでおりませんでしたので、早速実情を調査いたしまして、米軍に善処を要望いたしたいと思います。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この新聞報道によりますと、例の不等沈下が非常に問題になった際に、長崎県の方から立入調査を要求したけれども、米軍から拒否された、こうなっておるのです。その後にこれは起こった事故なんですから、何か米軍の基地には、公害についても特別な権限があるというふうなことを考えられたのでは、これは国民たまったものではありません。いまお話を聞けば、すでに幾つかの事故もあったようでございますし、それなりの対策も立てておるようですけれども、しかし現実こういう問題が起これば、これは一日も早く米軍基地のこの種公害について、環境保全の立場からもいかに対処するかということについて、政府全体が意思統一をして、こういう事故が起こる前に、事前に防げる対策をつくるべきだと私は思います。長官、これはどうですか。
  48. 小沢辰男

    小沢国務大臣 まことにおっしゃるとおりだと思います。私もまだ着任早々で、そこまで思いが回らなかったわけでございますが、早急に外務省と相談をいたしまして、事前にそうした調査なり、あるいは日本の国内でやっているような防除対策等をとっていただくようにいたしたい、かように考えます。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これについてはまだ事故が起こって日が浅いし、その事故内容について調査ができていないのは、私はある程度やむを得ないと思いますが、いま申し上げたような趣旨で、事前に事故が起きないような対策を十分立てられるような措置をとってもらいたいと思います。  佐世保の場合でも、これによりますと大体八十四万キロリットルという油が米軍関係で貯蔵されておる、こう言われておるのです。これは膨大なあれですよ。この前ちょっと市原を見せてもらいましたが、十一万キロリットルというタンクでも大変なものなのに、八十四万キロリットルが佐世保の基地だけでも貯蔵されておる。これは非常に大きな量になると思います。しかも一カ所じゃなくてたくさんあるはずでございますから、速急な対策を希望しておきます。  それで、本論に入りますけれども、現実に起こっておるタンク不等沈下の問題とかあるいはコンビナートにおける火災の問題、これは速急に対策を立てていかなければならないことは、もとより論をまちませんけれども公害対策なり環境保全の本質というものは、そういう公害を起こさない、環境を破壊しないというところに、やはり原点を置いて考えなければならないと思うわけです。その意味でいま行政上私が矛盾を感ずるのは、災害と公害とどう区別したらいいのか。ある学者はせんだっての委員会でこういうことを述べています。災害と公害は異質のものだということをおっしゃっております。果たしてそうだろうか。災害こそは公害の原点だと言ってもいいのではないか、そういう気もするのですけれども、これに取り組む政府の行政のシステムは、明らかに災害と公害が区別をされておるし、確かに災害基本法の二条なりあるいは公害対策基本法の二条にそれぞれの定義はあります。定義はあるけれども、定義どおりにならないのが災害であり公害であって、災害が即公害である場合が非常に多いわけですが、長官はこの災害と公害というものを一体どのように理解をされておるのか、承りたいわけです。
  50. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるように、災害と公害はそれぞれ別個の法体系でやっているわけでございますが、結論として、災害が起これば公害が発生をするということは、これはもう先生のおっしゃるとおりだと思います。そういう意味で、私どももこの問題については、要するに災害が起こらないような万全な措置をとるように、できるだけそれぞれの官庁にひとつ対策をとってもらう。もし不安がございましたら、環境庁の調整権といいますか勧告権によって、さらに事前に注意を促して、その事前の措置をとっていただくようにいたしたい、そういうように考えます。どうも災害と公害は全く異質なものだとは、あるいは理論的にはそうかもしれませんが、また法体系も別でございますけれども、結果的にはやはり環境が破壊をされ、人の健康に影響を及ぼす問題でございますので、やはりそうした面にも十分考慮を払っていくのが私どもの任務だ、かように考えます。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、結局それに対応する防災に携わる行政の姿勢として、いまのようにばらばらでは非常に対応がおくれるのではないか。たとえばタンカーで火災が起こった場合には、これは消防法も及ばないわけのようでございますから、恐らく海上保安庁が海難救助という観点から措置をせざるを得ぬでしょう。しかし、そのタンカーの火災のために一たび油の流出が起こったとすれば、明らかに水質汚濁環境庁が措置をしなければならない問題が起こってくる。こういうようなずっと一連の関係が生まれてくると思うのですけれども、そういう意味からするならば、その種の事故、たとえばこの前の水島における不等沈下から起こったと言われるところの石油の流出事故等について、行政府の立場として、たとえば環境庁なり消防庁なり、そういうところはどういう連携をとりながら対策を立てていったのか、その辺をお伺いしたいのですが、事務当局で結構です。
  52. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘のありましたように、災害と公害という定義づけはいろいろあるわけでございますけれども、要するに両者かなりの部分が重なり合っている。災害が公害になる場合もありますし、ならない場合もあるいは観念的にはあるかもしれません。しかし、実際問題として災害というものが大きな環境汚染につながるということは、今回の事例でも明らかであります。そういう意味で、私ども、ことに水島等に見られるコンビナートの防災ということにつきましては、今後政府総力を挙げてこれに当たっていきたいと考えております。  御指摘のこの間の水島の事故につきましては、残念ながら率直に申し上げまして、初動的な段階におきましては、政府の体制は必ずしも十分ではなかったと反省をいたしております。そういう意味におきまして、中央におきましては去年の幕れのうちに内閣官房に各省庁から構成される対策本部というものをつくりまして、いろいろその辺の総合調整、いわゆるヘッドクォーターとしての本部を設置いたしました。しかし、また同時にいろいろ対策を進めていく段階で、やはり現地に置かなくては応急的な体制がどうしてもできないということで、一月の十三日であったかと思いますが、現地に現地対策本部というものを設置して、そこに各省庁から担当の職員を派遣いたしまして、自治省の政務次官にキャップになっていただきまして、そこで機動的に現地の要望に対応する、こういった形で対応しております。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 余り機動的ではなくて、油をひしゃくですくい上げるというのが実態だったようですけれども、私は基本論の方で質問をしたいので、余りその問題には触れません。  そこで、少し具体的にお伺いしたいのですけれども、特に私はコンビナートの港湾の中で起こる火災とか、そういう災害あるいは公害についてお伺いしたいのですが、港湾の中でタンカーなどが火災を起こした、そういう場合に、さっきちょっと申し上げましたが、消防法が及ばないのじゃないかと思うのです。そうすると、その場合に消防は、あれは海上保安庁の責任ですからというので、桟橋から指をくわえて見ておる、こういうことになるのかどうか。消防庁、お見えになっておりますね、少し説明をいただきたいのです。
  54. 藤江弘一

    ○藤江説明員 海上の火災につきましては、御指摘のように原則としまして海上保安庁が担当いたしておるところでございます。ただ、係留中の船舶につきましては、これは消防庁が担当するということで、その間の、いわば海上保安官署と消防機関が協力して円滑に消火活動を行うということを目的といたしまして、昭和二十四年以来消防庁と海上保安庁との間で覚書が締結されておりまして、その覚書に基づきます準則というものを消防機関に流しております。これによりまして海上保安官署と消防機関が協力関係に立つような、そのような措置が講じられているところでございます。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは、ちょっと勉強さしてもらいたいのですが、係留中の船舶ですか、埠頭に係留された船舶ですか、その辺はどうなっていますか。
  56. 藤江弘一

    ○藤江説明員 原則といたしましては係留中の船舶、さらに申し上げますと、上架あるいは入渠中、これはドックに入っておりますものですが、そういうふうなものについては、あるいはさらに河川、湖沼の船舶の消火活動については消防でやるということになっております。  ただ、最近における危険物積載船舶が非常にふくそうしているというふうな状況からいたしまして、その面から、消防機関もやはりある意味では分担すべきじゃないだろうかというふうなことからいたしまして、停泊中の船舶等の消火活動につきましても消防機関が担当する道を開いております。それによりまして、たとえば東京消防庁あたりでは、港湾に停泊している船舶等については、原則としては先ほど申しましたように海上船舶については海上保安庁でございますけれども、具体の協定におきまして東京消防庁が担当するという形になっております。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常に具体的な事例を挙げますが、消防法に基づいて消火活動に協力をされた、そして不幸にして事故に遭ってお亡くなりになった、この場合に、たしか消防法の適用があれば一千万円のいわゆる補償金が出ることになっておると記憶しております。一方、海上保安庁が海難救助のために行う活動について協力をして、同じように不幸にしてお亡くなりになった場合には、これは三百万ぐらいの補償しかないはずでございます。そこでいまおっしゃったような連携ができておるとするならば、そこで仮に協力をした人があって、不幸にして事故が起こったときには、一体どっちが適用されるのですか。
  58. 隅健三

    ○隅政府委員 お答えいたします。  海上保安庁と消防庁との業務協定につきましては、ただいま消防庁の方からお話があったとおりでございます。  それから先生御指摘の救恤に関する金額は、先生のおっしゃるとおり、消防機関の方は一千万円、私の方はまた救恤に関する規定によりまして三百万円でございまして、われわれといたしましては、海上保安官に協力した者ということだけに取り上げるか、あるいは消防庁の方で出動もしていただいております。やはり不幸にもそういうことになった方に対しては、私といたしましてはよりよき方を適用するというのが当然かと存じております。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これも長官、私は政府のやはり怠慢だと思うのです。すでに実際の業務の面では、港湾に停泊中の船に火災が起こった場合に、消防庁も出動をしてお手伝いをしていただくことになっておる。しかし、いま申し上げたように事故が起こって現実にだれかが亡くなったというような場合に、これは一体海難救助法に基づいての協力と見るのか、消防法に基づいての協力と見るのかということになってくると、七百万円という差がある。私は人の命を金で評価するわけではありません。しかし、同じ政府がやるのならばこれは同額でなければおかしいわけですよ。非常に大きい法の不備を私は感ずるのですが、長官、どうお考えですか。
  60. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私、本当に寡聞にしていまの差は知りませんで、いま初めて質疑応答で承知いたしたわけでございますが、恐らく原則的な意味で、海難救助についてのいまの事故の場合の補償が決められておるわけでございまして、消防の方は消防の方で主として陸上のいろいろな火災等を考えられ、また、それに従事するいろいろな身分上の問題等も考えて、そういうふうに決められたのじゃないかと思うのでございますが、いま言ったように接点の問題になってくると、先生のおっしゃるような矛盾がどうも出るんじゃないかと思います。したがって、その場合はできるだけ有利な方にという配慮で行政当局としてはやるべきものだというふうにおっしゃっておられますし、ただ、これがそのまま立法論としてはいいのかという点になりますと、私まだ寡聞にして知識がございませんので、いまここで的確な御返事はできませんが、ひとつ国務大臣としても関心を持ちまして、よく状況を調べまして、その上で、もし政府部内でこれが統一されるべきだという合理的な根拠を見出したら、できるだけ私もお手伝いをさせていただきたいと思います。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 同じ内閣の責任ですから、いますぐここで、私はどちらがいいという結論なんかなかなか下されにくいと思います。しかし矛盾があることもこれは事実でございますし、現にいまも海上保安庁の方からもお答えをいただいたように、これは私はやはりある意味では不合理、不当だという気もいたします。ひとつこれは長官に、この問題については検討をしていただくというお約束を願えれば結構ですが、よろしゅうございますか。——では、その次に移りたいと思います。  海上保安庁の方にもう一つお伺いしたいのですが、大体海上保安庁の場合には、本来的な任務としては海難の救助というのが任務であって、海上火災といいますか消火といいますか、そういうものは本来的任務として余り考えられていなかったと私は思うのです。しかし現実の問題としては、今日産業活動が非常に活発化して、コンビナート等ができてくると、海上火災というのは重要な一つの任務になってくると思いますが、現行の海上保安庁の体制なり機動力あるいは機能と言いましょうか、そういうもので海上の火災に対する対策は十分にでき得るのかどうか、その点をお伺いしたいのです。
  62. 隅健三

    ○隅政府委員 先生の御指摘のとおり、海上保安庁の所掌する事務は、「海難救助に関する事務並びにこれらに付帯する事項に関する事務を掌る。」というふうになっておりまして、警備救難部の事務といたしましては、「海難の際の人命、積荷及び船舶の救助並びに天災事変その他救済を必要とする場合における援助に関する事項」で、火災はこの中で読んでおるわけでございます。しかし、最近大型タンカーが非常にふえてまいりまして、また一方では、ジュリアナ号あるいはトリー・キャニヨン号のような油の汚染の事件が出てまいりますので、われわれといたしましては、初期活動でタンカーの火災を消火するという目的で、巡視船二十一隻、巡視艇百三十七隻につきましては、油火災に対処するような化学消防能力を付与しております。なおそのほか、大型タンカーの出入港の多いところでは、大型消防船を東京湾、伊勢湾、大阪湾に配置しております。こういうことで、これらの船で最小限の初期消火については一応体制はできたと思いますけれども、しかし、今後さらに民間の大型消防船の整備、海上保安庁といたしましても、巡視船艇にさらに性能のいい消火能力を具備していくということは絶対必要だというふうに考えております。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、そういう意味で機動力なり、先ほどの法的ないろいろな矛盾なりを考えてみまして、これは技術が要る問題で、なかなか船は動かせませんから、当然海上保安庁の所管でなければならないが、その中にひとつ海上消防法といいますか、そういうようなものをつくって、そしてそれを海上保安庁にあわせて担当してもらうことになれば、設備の面でも機動力でも、あるいは災害が起こった場合の先ほどの救済の問題等についても、もう少し活動がやりやすくなるのではないか。逆に屋上屋を積むのかという気もしますが、海上消防法というようなものをつくるのがいいかどうか。これは消防庁の方にもお考えがあろうかと思いますけれども、海上保安庁の方にもお考えがあろうと思いますし、いま直ちに消防署の方で船を動かすといったって、なかなか無理だという気がしますから、海上保安庁の所管に係る海上消防法というようなものをつくったらどうだろうかという気がするんですが、これはやはり専門的でしょうから、そちらからひとつお答え願いたいと思います。
  64. 隅健三

    ○隅政府委員 われわれといたしましては、目下自治省消防庁の方で取りまとめをしていただいておりますコンビナートの防災法がございます。これはわれわれといたしましても海陸の接点の防災、火災の消火というものが非常に大きな問題でございます。この点につきましては、現在すでにいろいろ折衝を申し上げております。海上だけの海上消防法というお話でございますが、われわれといたしましてもさらに検討を要する問題が多々ございますし、やはりまずコンビナート防災法によりまして海陸の接点の防災をまず第一に、あとは海上保安庁法によりまして、あるいは火災でない場合には油の方の法律もございますので、さらに海上消防については、いろいろの事実について、あるいは法体系について検討は続けていきたいというふうに思っております。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これも直ちに結論の出る問題ではありませんが、要するに海上の火災についての何か対策を、もう少し具体的にお立てになる必要があるのではないか、この点についてもひとつ御検討をお願いしておきたいと思います。  次に、消防庁にもう一つお伺いしたいのですけれども、それぞれの企業に、法で定められた、何といいますか企業の消防隊といいますか、そういうものがあるようでございますが、それぞれの企業の持つ消防隊と公設の消防署との連携、指揮命令の系統、そういうようなものはどうなっておるか、ちょっとお伺いしたいのですが。
  66. 藤江弘一

    ○藤江説明員 火災の場合の指揮命令系統につきましては、御承知のとおり、原則といたしまして災害対策基本法に定められておるところでございます。ただ、いまの御指摘の自衛消防力等につきましての指揮命令系統あるいは自衛消防力が集まりました企業の合同の、たとえば水島で申しますと、立地企業が主体となりました保安防災協議会といったものがございます。これらにつきましては消防署長が指示するということが、ただいま申しましたように地域防災計画の中で定められておるところでございます。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで、もうちょっとそこのところを伺いたいのですけれども、それぞれの企業が消防隊を持っておる。もちろん地域防災計画というのがありますけれども、企業の場合にコンビナートの中で火災が起きますね。自分たちだけで消火をしようとして、公設の消防署に対する連絡がおくれるとか、やりたがらないのです。率直に言うと。そういう傾向はございませんか。
  68. 藤江弘一

    ○藤江説明員 ただいまの例があるかということでございますが、以前には確かに御指摘のように、企業秘密とかあるいは企業の中で消すというふうなことで、非常に通報がおくれたとか、あるいは消防が入ろうとしても制止されたというふうな例があったということは聞いておりますが、少なくとも最近においてはそのような事例は全く聞いておりません。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実はそれがありまして、公設の消防が行っても入れてくれないという事例が、これは確かにおっしゃるようにいまじゃありません、少し前ですが、あったのですけれども、企業の中で火災が起こったときには、通報をしなければ何か罰則を適用するような規定がありますか、公設消防に連絡を怠った場合に。
  70. 藤江弘一

    ○藤江説明員 先般消防法を改正いたしまして、虚偽の通報をした場合には罰則があるということでございまして、ただ、いまのおくれたとか異常現象というものの判定につきましては、なかなか構成要件を組み立てがたいものですから、そういう意味では現在の法制では触れておりません。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。わかりましたが、長官、これも課題です。企業の中で火災が起こったときに、たしか私の知る限りでは、いまの法律では必ずしもその通報をしなくても罰則が適用されてないのですよ。そこで企業の側では何とか公にならないように、公になればいろいろ社会の指摘を受けるというので、企業の中で何とか措置をしようとして、実力を持つ公設の消防署に対する連絡を怠る。怠るというより、むしろ故意にやらない、こういう問題が多々あるようでございますから、耳に入る入らないは別にして、現実に現地では幾つかある。特に小さい企業の場合に隠しておくというのが多いようですから、これはひとつ消防庁の方でも検討課題にしておいてもらいたいと思います。  時間がありませんから次の問題に移りますが、運輸省お見えになっていただいておりますか。  実は、いろいろお話を聞いてみますと、たとえば水島の場合などでも、岡山県が出したパンフレットとか、それから運輸省の港湾審議会のいろいろな議論の過程とか聞いてみましても、水島に入港をするタンカーは大体十二、三万トン級が限度だというふうにわれわれは理解ができるわけです。ところが、現実には二十万トン級のタンカーが入ってくる。お話によると、その水深が十五、六メートルしかない。二十万トンのタンカーが入るのには二十メートル以上の水深がなければならない。そこで積んでおる油を一部途中でおろして、喫水を浅くして入ってくるとか、そういうようなことも聞いておるのですけれども、現行のたとえば水島とか鹿島というふうな、こういうコンビナートの港が二十万トン級のタンカーが入ってくるのに適しておるのかどうか、運輸省の方の御見解を承りたいのです。
  72. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、まず水島港につきましては、港湾計画におきましては、十万トンクラスということで当時港湾計画を立てたという事実がございます。それから鹿島港につきましては、二十万トン級ということで港湾計画を立てているわけでございます。しかしながら、実際問題といたしましては、その港湾計画に基づきましていろいろの港湾施設、航路であるとか泊地であるとか、そういうようなものが現実に徐々にでき上がっていくわけでございますけれども、船の実際の入港につきましては、その港湾施設の現在の時点の状況というものを見まして、それに対しまして安全であるかどうかということを判断して、入港が実際に行われるわけでございます。この場合に、まず水島につきまして申し上げますと、航路が十六メートルの計画でございますけれども、その後一部浅くなりました点がございまして、先生御指摘のように十五メートルを二十センチほど割った地点が現実にあるようでございます。十四メートル八十になります。それは海図にも、もちろん記されているわけでございますけれども、船の入港に当たりましては、現実の水深というものに合わせまして、御指摘のように喫水の制限をしまして、いまのたとえて言えば十四メートル八十という水深を前提として入港というものが行われているわけでございます。  なお、航路の幅であるとかあるいは船回し場というようなものにつきましては、もちろん二十万トンクラスですと十万トンクラスよりも船長も長いわけでございますけれども、これにつきましては現在私どもで、その後でございますけれども、つくっております技術基準というのがございますので、そういうようなものに照らしましても十分な航路幅あるいは船回し場というものは持っておる。したがいまして、問題は喫水の問題でございますけれども、これは現実の港湾施設の状況というものに合わせまして、一船一船を考慮して入港させているというような状況でございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえば水深が船底から二メートルなければならぬとかいうふうなところが、もうぎりぎりで入港しておる、そういう話も聞いておるのですが、いまお話ですと、その基準は船底からの水深は二メートルなければならないのですか。通れればいいのですか。
  74. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 この余裕の水深という問題につきましては、それぞれの港の元来の状況及びそのときの気象の条件等、気象というよりも海象と言った方がよろしいかと思いますが、それに基づいて判断されるべきものだと思いますけれども、私どもは港湾施設をつくるという方の立場から、先ごろ技術基準及びそれに基づく通達を出しておるわけでございます。その点に触れて先ほど申し上げましたけれども、泊地につきましては、大体船の喫水の一割程度というものを標準として考えるように指導しているわけでございます。航路につきましては、一般的に言いますと泊地よりも波などの入りやすいところになるわけでございますから、そういうような状況を十分に考えまして、泊地の場合よりも状況に応じまして深いというようなものを施設として考えなさいという指導をしているわけでございます。
  75. 隅健三

    ○隅政府委員 海上保安庁といたしまして、水島で港長の指導といたしました余裕水深は、いま鮫島参事官おっしゃいました、その船の喫水プラス喫水の一割それに五十センチを足したものを余裕水深として保持をさせるようにいたしております。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 規定どおりにいっておればいいのですが、たとえば川崎で石油をある程度おろす、喫水を浅くする、これは可能でしょう。しかし、なるべく大型化をして二十万トン級のタンカーをつくる、そのことが一挙にたくさんの油を運びたいということが目的なのは間違いないのですから、企業の側としてはなるべくうんと積んでいきたいということになるわけですよ。そうすると非常に危険が伴う。まだ、いま事故が起こっていないからいいけれども、聞くところによれば、いまのタンカーの底などというのは二重になっていない、一枚底だ、早く言えば。それがぽんといかれればそのまま油が流出するというふうな、きわめて脆弱なものといいますか、そういう構造になっておるようですから、それだけに安全水深というのですか、そういうようなものは十分に見ておかなければ、事故が起こった後ではどうしようもない問題が起こるのではないか。そういう点で、いままで言ってきたところの産業開発なり工業の開発という観点を変えて、安全第一の航行というようなものを考えなければならない時期だと思うのですが、いまちょっと停泊水面の問題が出たようでございますけれども、水島の場合とそれから鹿島の場合の停泊水面、おっしゃるように安全でございましょうか、海上保安庁、これはどんなふうになっていますか。
  77. 隅健三

    ○隅政府委員 水島については、航路がただいま十六ートルで掘ってございますが、停泊水面と申しますか、三菱石油では、たしか第六号桟橋に直接航路から着棧をいたします。それで、出ますときは直ちにそこでタグボートによって回頭いたしまして出港いたします。このところは十七メートルの水深を保っております。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 率直に申し上げまして、船が回れないことはないが、非常に危険な狭い海域を往来しておることは間違いがないわけですよ。そしてさっき申し上げたように、一たび事故が起これば取り返しのつかないことに私はなると思うのです。やはり十分な停泊の水面なり、航行の航路の幅、深さ、そういうものがなければならない。ところがどうもいままでの経過から見ますと、大きい船が入るからというので、浅い海底をしゅんせつをしてはやっと船を通すというふうなのがいまの状態だと思うのです。もうこの辺で、ひとつ大型のタンカーによる輸送について運輸省の方でも何か配慮をして、相当な規制を加えなければどうにもならないというような気がするのですが、いまこの大型タンカーについて、特に港湾設備が十分でないところについて、何らかの規制を加える措置は考えられてないのですか。
  79. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 一般論としては非常に申しにくい点があるわけでございまして、あるいは直接のお答えになっていない面が多いかと思いますけれども、たとえば東京湾であるとかあるいは瀬戸内海であるとかいうようなところにつきましては、できることならば大型のタンカーというものは湾外で受けとめて、それから後は適当な方法で運んでいきたいという構想をもちまして、従来から調査等を継続してきているところでございます。私どもは、基本的にはどうしてもそういう構想というものを実現をしたいというふうに考えているわけでございますが、御承知のとおり、これには十分に関係の地元の方々の納得を得なければいけませんけれども、その点がまだ十分でないと申しますか、まだほとんどかかっていないという状況にあるのが事実でございます。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで、私は何も立法マニアではないのですけれども、特にいまの石油コンビナートの関係を考えてみますと、まさに薄氷を踏む思いがするわけです。したがって、石油港湾規制法とでも申しますか、石油港湾についてのタンカーの航行について一定の規制を設けるような法律、そういうものをひとつ運輸省で考えてみなければならない時期に来ておるように思われますが、どうでしょうか。
  81. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 先ほど半分しかお答えしなかったようで恐縮でございましたけれども、個々の港につきましては、先ほど申しましたようにそれぞれの船の操船等を考えまして、海事関係、水先人その他の方々の意見も十分入れまして港湾計画を作成し、また運輸省で運輸大臣が審査する段階でも、港湾審議会に海難防止協会等、専門の方々に入っていただきまして、十分検討してやっておるわけでございます。したがいまして、また私ども考えております港湾施設をつくる技術上の基準につきましても、もちろんそれが守られるように指導しているわけでございますけれども、そういう意味におきましては、個々の港につきましてはいろいろおっしゃる方もあるわけでございますが、現在の石油の港湾につきまして、施設面での不満があるというふうに観念はしておりません。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そう答えていただいて、自信を持っておられれば結構ですが、私はいまいろいろな方々のお話を承って、いまのコンビナートの港湾というのは非常に危険な状態にあるというふうに考えるわけですよ。もう時間がなくなりましたから多くを申し上げませんけれども、水先案内の問題一つを取り上げても、八十幾つにもなるような方が水先案内人として、極端な話ですが、おむつでもおしりに当てて連れて歩かなければならぬという実態さえあるそうでございますよ。それは聞いた話ですから、私が見たわけではありませんけれども、平均年齢が六十歳を超えておることは間違いないのでしょう。そういう点から考えても、いまあなたがおっしゃるようなコンビナート港湾の水深なりあるいは航路の幅なり、停泊水面なりを勘案してみて、私は非常に危険な状態にあることは間違いないと思うのですよ。いま役所の立場から、おたくの立場から、危険ですとは言いにくいかもわかりませんが、きょう私が申し上げました意見について、十分にひとつ検討をしていただいて、少なくともあのときこうしておけば事故が起きなかったのだというふうな、悔いを千載に残すことだけはないように、十分な注意を喚起して、私の質問を終わります。
  83. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 木下元二君。
  84. 木下元二

    ○木下委員 米海軍佐世保基地長崎貯油所の地下石油タンクで、去る八日ごろにジェット燃料の流出事故がありました問題について、先ほども御質問がありましたが、私からも一言お尋ねしたいと思います。  この基地は、さきに石油タンク不等沈下が問題になりましたときに、長崎県が立入調査を要求いたしましたところ、これも拒否をされたところであります。現在この油は佐世保港内にどんどん流れ出しておるということです。貯油所近くの海面にジェット燃料が幅八十メートル、長さ二百メートルで流出をしておるということです。この流出量それから原因は一体何かということについて、これは全くわからないわけでありますか、あるいは幾らか把握しておられますか。
  85. 隅健三

    ○隅政府委員 この件につきまして、海上保安庁といたしましては、第七管区海上保安本部の佐世保海上保安部がございまして、直ちに佐世保海上保安部に照会をいたしまして、どのような通報があったか、原因は何かということを連絡をいたしましたところ、その詳細は一切わからないというのが、私が出てくるまでに向こうから返ってきた電報でございます。
  86. 木下元二

    ○木下委員 わからないということでは困ると思うのです。  この石油タンクは非常に古いタンクなんですね。大正末期に旧日本海軍がつくった三万キロないし七万キロの地下タンク四基だということでありますが、もう五十年を経過しておりまして相当に老朽化いたしております。タンクの底あるいは側面にひびが入っておる、そして油が流出をしたのではないかという推測ができるわけであります。これは地下タンクでありますが、地下を通って海面に流れ出したという推測でありますが、これはもう放置はできません。抜本的な対策を一刻も早くとる必要があると思います。これをほっておきますと、漁業関係への被害も大変に心配をされます。これは原因の究明と対策のために立入調査を厳重に要求すべきだと私は思いますが、先ほどのお答えによりますと、外務省を通じて申し入れをしておるやに伺いましたが、これは申し入れをするということですか、あるいはしたということなんですか。そしてまた、これはどういう申し入れでございましょうか。
  87. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、過去において佐世保を初め各基地の排水に係る調査をしたことがあるということを申し上げたわけでありますが、佐世保につきましては環境庁の職員も立ち入りをしたことがある。それは外務省を通じて米軍に申し入れをして、そして立ち入りをしたということを申し上げたわけであります。  今回のことにつきましては、先ほど申し上げましたように私、残念ながらつかんでおりませんでしたので、申し上げられませんが、早速実情を調べた上、外務省を通じて米側と折衝したい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  88. 木下元二

    ○木下委員 外務省に対して、過去に環境庁も立ち入りをして調査をしたのと同じように、立入調査をやるということで申し入れをしたい、する準備をしておるということですか。
  89. 大場敏彦

    ○大場政府委員 外務省を通じてそういうふうに努力したいと思います。
  90. 木下元二

    ○木下委員 これは先ほど私申しましたように、大体八日ごろということなんです。もう一週間近く経過をしておるのですが、いま時分になって申し入れというごと自体か、私はどうもおかしいと思うんですよ。油がどんどん流れ出して、いままでほっておったということも、どうも私は政府として怠慢ではなかったかと思うのです。これだけ石油汚濁問題が大きな問題になってきておるのに、そしてこういう事故が起こっておるのに、一週間近くもたって申し入れをするというなまぬるいことでは困ると思うのですよ。直ちにこれはやっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  91. 大場敏彦

    ○大場政府委員 残念に思っておりますけれども、私、実情をまだつかんでおりませんでしたので、早速善処いたしたいと思います。
  92. 木下元二

    ○木下委員 漁民への影響も甚大でありますし、国民の生命と健康にかかわる問題でありまして、一日も放置ができません。速やかに厳重な申し入れをしていただくということでよろしいですね。大臣いかがですか、ちょっと一言。
  93. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私もさように考えますので、私の責任ですから早急にひとつ申し入れをし、調査をいたして、すぐ対策をとらないと困りますから、さように善処をいたします。
  94. 木下元二

    ○木下委員 次は、三菱石油の水島製油所から流出をした重油の回収状況について伺いたいのですが、回収はどの程度まで行われておるのでしょうか。完全回収がまだであるとすれば、そのめどはいつごろということになるのでしょうか。環境庁、いかがでしょうか。
  95. 大場敏彦

    ○大場政府委員 現在までの油の回収状況を申し上げますと、たとえば汚染が非常に著しい、それからほっておけば再流出のおそれがあるところ、それから漁業活動の場として使用されるところ、そういった、つまり早急に清掃を要する区域をまず重点的に取り上げまして、現在おおむねにつきまして清掃は完了している状態でございます。汚染海岸で言いますと約五百キロメーターでありますが、そのうちの約二百九十キロメーターがこれに該当するわけであります。
  96. 木下元二

    ○木下委員 済んだのですか。
  97. 大場敏彦

    ○大場政府委員 おおむね完了いたしております。あと、もちろん残っておるわけでございますが、この残っておる地域は実はいろいろの問題がございまして、たとえば岩礁、テトラポット、そういったところもございますし、間に入っていてなかなか取りにくい、こういう事情がございます。それから砂浜あるいは砂利等にかなり深くしみ込んでおって、それをどうやって取るか、こういった点が残されておるわけでございまして、今後残された地域をどうやって清掃するかということが課題であろうかと思っております。  これに対しましては、先ほど申し上げましたように、現在緊急に除去すべき区域の清掃がおおむね完了した段階で、現地に各省庁の職員をいまちょうど派遣しております。派遣して清掃状況をレビューして、それから今後の目安を立てるべく、いま現地で活動している、こういう状況でございます。  今後の考え方といたしましては、海水浴場でしたらば、単に陸地上だけではなしに砂浜まで及んで、干潮のときに陸地に出るような部分まで清掃する。それから砂の入れかえにしましても、たとえば一メーターくらいに入れかえする、あるいは洗浄する。漁場としてはどういうふうにするかというような具体的な指針をつくりまして、それで作業計画を立てる。それから先ほど申し上げましたように、岩場等に入り込んだ油はなかなか除去しにくいという点がございますので、それをどういう技術で除去するかというところが問題になるわけでありますが、これも環境庁で、いま各省庁を中心としてそういった除去技術の検討のための委員会をすでに何回か開催してございます。例の環境汚染調査の一環としてその費用を計上しておりますが、それをまた早急に開きまして結論を得て、そして先ほど申し上げました具体的な作業の目安と、そういった技術というものをあわせて、除去作業を三菱にやらしていきたい、かように考えているわけであります。
  98. 木下元二

    ○木下委員 技術的に困難な問題があっても、最大の努力を払うというふうに承っておきますが、その海上の浮遊した油ですね、それはもうないのですか、どうですか。
  99. 隅健三

    ○隅政府委員 海上の浮流油につきましては、私の方が毎日ヘリコプターを天候の許す限り瀬戸内海の上空を飛ばしておりますけれども、一月三十一日現在で一応この浮流油は存在を認めませんでした。
  100. 木下元二

    ○木下委員 ヘリコプターは何台飛ばしていますか。
  101. 隅健三

    ○隅政府委員 毎日二機で、天候の許す限り一日二回の監視行動をいたしております。     〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕
  102. 木下元二

    ○木下委員 私は具体的な事件について伺いたいのですが、二月二十一日から二十三日にかけまして、淡路島の西海岸津名郡一宮町周辺の海域に、浮遊していました重油が多量の吸着マットとともに漂流をしてきました。室津から都志の間約十数キロメートルの海域を汚染いたしました。環境庁、水産庁はこれを御承知でしょうか。
  103. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたことは聞いております。
  104. 山内静夫

    ○山内説明員 承知いたしております。
  105. 木下元二

    ○木下委員 このために一宮町郡家などではノリ網が全滅をしまして、数億円に上る被害が出ておるのです。水産庁はこの被害状況はつかんでおられますか。
  106. 山内静夫

    ○山内説明員 つかんでおります。兵庫県からの報告によりますと、被害の発生につきましては、ただいま先生のおっしゃったとおりの時点でございます。被害の状況につきましては、淡路島の西海岸にございます五色町、一宮町、これを中心に起こりまして、そのほか室津浦、こういう地区におきましてノリが非常に被害を受けた、こう聞いております。なお、被害金額等につきましては、きのうから三菱石油、県、漁連立ち会いのもとに、どの程度の被害状況か、こういうことを現実に調査し始めまして、現在のところ額そのものについてははっきりわかっておりません。
  107. 木下元二

    ○木下委員 この淡路島西海岸を襲った重油は、三菱石油水島製油所から流出した重油だと漁民は一致して言っております。当時は、南からの強い風で、陸上では二十八メートルを記録しておるのでありまして、海上では三十メートルを超えていたと思われます。この強風にあおられて、浮遊していた水島の重油が漂流をしてきたものと思われるのです。水産庁、この点はいかがでありましょうか。
  108. 山内静夫

    ○山内説明員 汚染されたノリ等についている油が果たして三菱石油のものであるかどうかという問題につきましては、現在調査中、こういうことでございます。
  109. 木下元二

    ○木下委員 海上保安庁に伺いますが、この三菱水島の重油流出事故以後、播磨灘あるいはその周辺一帯におきまして、大量のC重油を流出した事故というものはあったのでしょうか、なかったでしょうか。
  110. 隅健三

    ○隅政府委員 播磨灘それから淡路島西岸に、大量のC重油の流出事故というものは、調査の結果ございません。
  111. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、これは水島の重油であるというふうに疑わしいわけでありますが、何かはかから流れてきた重油だというふうな疑いもあるわけでしょうか。
  112. 隅健三

    ○隅政府委員 この件につきましては、二月二十五日の十一時に兵庫県の漁連から神戸の海上保安部に連絡がございまして、私の方は直ちに巡視艇を現場に派遣いたしまして調査をいたしました。確かに先生の御指摘のとおりC重油が漂着をいたしております。そこで、この漂着油が、三菱石油水島製油所から排出された油が漂着をしたのか、あるいは当時播磨灘を航行した船舶から排出された油が漂着をしたかという二つの原因考えられますので、この漂着油を採取いたしまして分析をすることといたしまして、ただいま分析をいたしております。ただ、分析の結果が出ますまでには相当の日時がかかりますので、もし万一、船から投棄された油であるならば、直ちにこの捜査をいたさなければなりませんので、二月二十一日から二十三日までの間に播磨灘を空船で航行した内航タンカーに重点を置いて、全部の船を追跡調査をするように、関係保安部署に指示をいたしました。
  113. 木下元二

    ○木下委員 漂流をしてきました重油は相当な量のようであります。漁民から聞いたのでありますが、この海岸線およそ十キロないし十五キロにわたって、これは先ほど申しましたように室津から都志にかけてのことでありますが、相当な広範囲にわたって流れてきておるのです。重油が卵状でぷかぷかいっぱい浮いて大量にやってきたということです。これは仮にタンカーから出たとすれば、バラスト水をどのくらい流せばこういう状況になるのでしょうか。
  114. 隅健三

    ○隅政府委員 この油は、一つはC重油でございましてビルジではないということははっきりいたしております。それで、C重油であるならば、航行中にC重油の燃料を排出するということはほとんど考えられませんので、C重油を積んだタンカーが空船で航海をするときに、バラストで海水をタンクの中に入れます。そして荒天のために船体の動揺を防ぎますが、それが不要になったときは、えてしてこれを排出する場合がございます。ですから、そのバラストの量がどのくらいであったかというのはちょっといまのところ調査ができておりませんけれども、相当量のバラストを排出すればそういうことは考えられるのではないかというふうに思います。
  115. 木下元二

    ○木下委員 私が聞いているのは、相当なバラスト水を流しても、これだけ広範囲の十キロから十五キロの海域が汚染をされるというほどにはならないのじゃないかというふうに聞いているのですが、ちょっとバラストを流したにしては汚染の量が大き過ぎると思うのですよ。  もう一つ、先ほども少し言われたのですが、海上浮遊の三菱水島の重油というのは、一月末で回収をされておるという話がありましたけれども、それ以降において浮遊していなかったという点は、一体はっきり断言できるのでしょうか。これは水産庁でも結構です。断言できますか。一月末で一切回収されて、それ以降はなかったということがはっきり断言できますか。
  116. 隅健三

    ○隅政府委員 海上の浮流油の調査につきましては、これを認めないという報告が来ておりますが、先ほど環境庁の方からお話がありましたように、海岸に付着している油あるいはスラッジ、こういうものが相当の強風の西風に遭った場合に、果たして油が出るか出ないかという点については、ここでそれは出ないのだと言うほど確信をもってお答えすることはできません。
  117. 木下元二

    ○木下委員 そうしますとますます疑わしくなってくると思うのです。浮遊しておった関係でも、ヘリコプターで見ておったかもわかりませんけれども、あの広い瀬戸内海でずっと見ておりましても、本当にすみずみまで監視をして、一切浮遊していた油がなかったということは、私は断言はできないと思うのです。しかも、いまあなたが言われましたように、テトラポットであるとか、あるいは岩のすき間であるとか、そうしたところにくっついていた油が、大しけとともに潮に巻き込まれて流れ出すということだって可能だと私は思うのです。漁民の話によりますと、多量の吸着マットが重油とともに流れてきたというのです。その吸着マットというのは、三菱石油もこれは自分のところのものと認めておるのです。これが事実とすれば、この漂流してきた重油というのは三菱水島の流出重油であることの決定的な証拠ではないかと私は思うのです。この点、海上保安庁いかがですか。
  118. 隅健三

    ○隅政府委員 マットが漂着いたしましたのは事実でございます。ただいま私の方では巡視艇「しきなみ」によって採取いたしました油の検体を分析中でございます。まだ、その結果が出ておりませんので、いまのところお答えを申しかねるところでございます。
  119. 木下元二

    ○木下委員 分析は結構ですが、ただ私、聞くところによりますと、一体分析をして、その同一性の確認がきちんと正確にできるものかどうかということについては、幾らか疑問に思っている点もあるわけですよ。共通的な要素は、これは見出し得るでありましょうが、全くこれが同一だということが、相当な日時が経過した後において、科学的にできるものかどうかという点はよくわからないわけであります。ですから、そうした分析とともに大事なことは、やはり客観的な状況証拠を十分考えてもらいたいと思うのですよ。いまの吸着マットにしましても、一緒に来たのならそれはもう明らかだと思うのですよ。ですから、その点はひとつそうした全体的な状況もよく考慮に入れて、検討をいただきたいと思います。  加害者は一体だれなのか、これは一日も早く究明をしてもらいたいと思うのですが、これは分析というのはどのような調査をされておるのですか。そしてまた時間的な見込みはどうでしょうか。簡単で結構ですよ。
  120. 隅健三

    ○隅政府委員 私の方では管区の海上公害課と、それから呉にございます海上保安大学校で、ガスクロと申しますか光学分析器でやりますのと、それからこれの結果がいつ出るかということでございますが、水島の事故から相当の期間も経過いたしておりますし、いろいろの検体についての分析をしなければいけませんので、いつできるということを、いまここでちょっと申し上げることはできません。
  121. 木下元二

    ○木下委員 何月何日ということではなくて、おおよその見込みはどのくらいかかるのかということを聞いておるのですよ。
  122. 隅健三

    ○隅政府委員 保安大学校の公害分析室の方に、直ちにできるだけ急ぐように指示をいたします。
  123. 木下元二

    ○木下委員 それでたとえば二十日とか一月とか、あるいは半年とか一年とか、そういう単位で言いますとどのくらいですか。
  124. 隅健三

    ○隅政府委員 大体二十日くらいだというふうに考えます。
  125. 木下元二

    ○木下委員 それは分析を始めてから二十日という意味ですね。
  126. 隅健三

    ○隅政府委員 分析を始めましてからでございます。
  127. 木下元二

    ○木下委員 漁民は、この事故でノリを全滅させまして、死活問題に直面をいたしております。この問題につきまして会社の方と確認書を交わしておるわけでありますが、この問題について話し合いを進めるという確認書です。ところが、聞くところによりますと、三菱石油は、色が違うからうちのではないらしいというふうな無責任態度をとっておるということです。三菱に誠意をもって話し合いに応じるように、ひとつ水産庁といたしましても行政指導を強めていただきたいと思うのです。いかがですか。     〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 山内静夫

    ○山内説明員 御趣旨よくわかりますので、その方向で処置したいと思います。
  129. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、その方向というのは、いまの段階では、会社の方は自分のところのものがどうか、はっきりしないかのような態度をとっておりますが、これは水島の重油だと判明すれば、これはもう当然完全な被害補償をするというのはあたりまえのことですね。しかし、そうではないという会社の態度でありますが、諸般の状況から見て、少なくともきわめて疑わしいということは言えると思うのですね。この段階でやはり漁民は壊滅的な打撃を受けておりますので、ひとつ漁民の方が了解できるように、誠意をもって話し合いを進めていただく、そういう方向で努力をする、こういうふうに伺ってよろしいですね。
  130. 山内静夫

    ○山内説明員 そのとおりでございます。
  131. 木下元二

    ○木下委員 結構です。  それから環境庁に伺っておきますが、この水島事故による瀬戸内海の汚染状況を究明する環境影響総合調査が、環境庁を中心にしまして各省庁、関係府県の協力で進められて、三月中に結論をまとめるということでございます。調査は予定どおり順調に進んでおるでしょうか。最終結果はともかくとしまして、現在までの調査経過と結果について、明らかにできる点があれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  132. 大場敏彦

    ○大場政府委員 かなり多岐にわたる調査でございますが、まだ現在まとめておりませんので、現在の段階で御発表できるようなところまではまとまっておりません。いずれにいたしましても、二月、三月、精力的にやりまして、その後いろいろその結果を踏まえまして、分析なり評価という作業があるわけでありますから、まとめとしてはもう少し時間をいただきたい。  しかし、個々の調査があるわけであります。たとえば水質だとか、底質の問題だとか、そういった個々の調査につきましては、まとまり次第できるだけ早く月末にでも発表申し上げたい、かように思っております。
  133. 木下元二

    ○木下委員 もうこれで終わりますが、これから春を迎え、夏が訪れるわけでありますが、この流出事故直後に多くの学者が指摘をいたしましたように、暖かくなりますと汚染が広範囲に急速に進むという問題があるわけです。回収のめどについても先ほどお話がありましたけれども、ひとつ一刻も早く完全に回収をして、漁民が安心をして操業ができ、そうして安心して魚介類が食べられるように、万全を期してやっていただきたい。このことは水産庁と環境庁に特に要望いたしておきます。いかがですか。
  134. 大場敏彦

    ○大場政府委員 おっしゃるとおり、現在水温がまだ低うございますから、再流出とか、汚染が拡大するという心配は、比較的現在の段階では薄い。しかし、今後水温が夏に向かって上昇いたしますと、海水浴場、そういった点でも問題が出てくることは御指摘のとおりだと思います。先ほど申し上げましたように、具体的な作業のめどをいまつけつつある最中でございますし、それから具体的な技術をそれに結びつけまして、一刻も早く除去いたしたい、かように思っております
  135. 山内静夫

    ○山内説明員 先生御指摘のとおり水温が高くなりますと、従来凝固していた油が融和して流れ出す、こういう危険もあるわけでございます。水産庁といたしましても、現在環境調査につきまして生物相を中心としてやっているわけでございますから、漁業に影響のないような方向で対策がとれるような方向で努力したい、こう思っております。
  136. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  137. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 岡本富夫君。
  138. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に海上保安庁に。  海洋汚染防止法の四十五条、「海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域における海洋の汚染状況について、必要な監視を行なわなければならない。」が一項、二項が「海上保安庁長官は、著しい海洋の汚染があると認めるときは、その汚染の状況について、当該汚染海域を地先水面とする地方公共団体の長に通知するものとする。」ということでありますが、この「状況について、」は、原因あるいはその汚染状況、これはやはり通知をしなければならぬ、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  139. 隅健三

    ○隅政府委員 先生のおっしゃるとおり、第二項では「著しい海洋の汚染があると認めるときは、その汚染の状況について、当該汚染海域を地先水面とする地方公共団体の長に通知する」ということになっております。
  140. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、まず瀬戸内海の水島の三菱石油の油公害ですが、この流出した量それから回収した量、これについてはおわかりになっておりますか。
  141. 隅健三

    ○隅政府委員 お答えいたします。三菱石油水島製油所からの流出をいたしました量は、消防庁その他の御調査で、四万四千キロリットルが流出して、防油提の外に二万キロリットルがあふれて、これによって大量の重油が海上に流出した、そういうことでございまして、海上に幾らの油が流出したかという正確な数字がございませんのと、もう一つは回収した量につきましては、われわれといたしまして回収の技術がひしゃくその他によって行われたこと等、一応の推計はいたしましたけれども、水、海水その他のノロがたくさん含まれておりますので、正確な数字をまだ掲上するというところまでいっておりません。
  142. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと瀬戸内海の中には相当まだ油が残っている、こういうように判断していいわけですね。海上保安庁の考え方、いかがですか。
  143. 隅健三

    ○隅政府委員 流出した油につきましては、回収に全力を尽くしましたけれども、先ほども申しましたとおり、岩壁あるいは海岸部に漂着した油、あるいはスラッジ状になって残っておる油がまだあることは事実でございます。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこでまだ瀬戸内海の中には相当このC重油が残存しておる、こういうように受け取れるわけでありますけれども、先ほどお話がありました先月の二月二十日までは、淡路島の一宮町あるいはまた五色町、こういった西海岸には油の流れておるのが見えなかった。しかし二十一日から二十三日までのあの強風によって、二十四日、この西海岸の各町のノリ網に強烈な重油被害が起こっておる。ちょうど十五センチぐらいにノリが伸びたところでありまして、これからノリの取り入れだというときに、こういった被害を受けたわけでありますけれども、一宮町では一万四千さく、五色町の方では二千三百さくの被害。  私現地へ行ってきたわけです。ところが原因について、続いておるこの西海岸の中で、五色町の方は三菱のC重油である。ところが一宮町の方はつながっておるのにそれは違うのだ、こういうようなことです。これはどういうわけで違うのかというと、同じC重油であるけれども、水島の場合は硫黄分、サルファ分が〇・六%、ところが一宮町の方を見ると二・五%となっておるから違うのだというのが会社側の言い分なんですね。そこであなた先ほども認められたように、両方にこういう吸着マットが流れてきておる。これを見ますと、昨年末、三菱石油の事故のあった当時に、淡路島のやはり同じ西海岸ですけれども、丸山ですか、ここに流れてきたものと同じである。こういうような状態であるのに、分析の結果は違うのだ、こういうように言っているのです。そこで油もその当時のと同じ色なんですけれども海上保安庁は、ちょっと聞きますと、この原因をいま調査しているということですが、この原因調査して、そして水島の三菱のC重油と同じであるということが判明しても、それを発表はできない、こういうように聞いておるのですが、その点いかがですか。
  145. 隅健三

    ○隅政府委員 いままで海上保安庁といたしましては、捜査に係る分析結果につきましては、刑事事件の手続であるとか、あるいは民事事件には不介入という原則を持っておりますので、一般的には外部に公表しないのが一応原則にはなっておりますが、この分析結果について公表するかどうかについては、さらに関係機関とも協議はいたしていきたいと思っております。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこが問題なんですよね。そこで私、最初に海洋汚染防止法の四十五条の二項「著しい海洋の汚染があると認めるときは、」これは著しい海洋汚染でした、油公害ですからね。それは「当該汚染海域を地先水面とする地方公共団体の長に通知」しなければならない、汚染の状況を。「状況」ということは、これは結果も入っているわけでしょう。その点がせっかく分析して結果がわかっても、それを公表しない。どこにも発表しなくて海上保安庁の中で隠している。これではせっかく原因調査してもらっても、これはどうにもならないと私は思うのですよ。その点についていかがですか。
  147. 隅健三

    ○隅政府委員 ただいままで海上保安庁がやっておりましたのは、第二項に基づきましてその汚染の事実を、いち早く地先水面とする地方公共団体に、こういうような油が流れておるという通知をいたしておりました。その結果について詳しく通知をするということを、いままではいたしておりません。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは何にもならないじゃないですか。たとえば船舶が流した、ところが船はもう行っちゃった、ところがあの船だった、それはあなたの方は検挙して発表もしているじゃないですか。そうでなかったら、損害賠償を要求するところが全然わからないじゃないですか。ただ油が流れていますよ、そんな情けない海上保安庁では話にならないと私は思うのですね。ただ油が流れていますよ、これはだれが見たってわかる。やはりその状況、その状況の中には、どういうようになっているのだということを、これは地方公共団体の長に通知すべきじゃないですか。いかがですか。
  149. 隅健三

    ○隅政府委員 この通知は、まずわれわれも防除いたしますけれども、地方公共団体に防除のために通知をいたしますのが第一義でございまして、もちろん海上保安庁も油防除に努めます。  それから先生のおっしゃいました捜査の結果を発表しているではないかということでございます。われわれといたしましても原因がわかり、その捜査の結果が判明した場合には、その発表はいたしています。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 それなら結構です。この間、係の方に来てもらっていろいろ聞いてみると、原因調査してもそれは発表しない、発表しなければこれはもう何にもならないわけですね。心配しておったのですが、それはいたしておるということですから、承っておきます。  そこでもう一つ、船の中から投棄されたという場合、C重油を投棄された、バラストを投げた、こういう船の場合は吸着マットなんか使いませんね。これは大概各事業所に保管させるように、あなたの方から指示しているわけですからね。その点いかがですか。
  151. 隅健三

    ○隅政府委員 先生のおっしゃるとおり、流出油のときに通常はオイルフェンスで囲みまして、これに対して油回収装置を使いまして吸着いたします。また、漁民の方のお許しを得た場合には、処理剤を使います。それもできないときには、その吸着材を使うことはございますが、普通の場合には船がそれを使うというのは、やはりわれわれ海上保安庁の船艇が出動いたしまして、その防除の指導をいたします。そのときの状況によって、各種の方法を講ずることになっております。そういうことでございますので、一概に吸着材は絶対使わないとは言えないと思いますけれども、ただ、この事件の前に流出をしたという通知もございませんし、また、そういう吸着材を使用したという報告も来ておりませんので、多分それは水島製油所の流出油のときに使用したマットということは十分考えられるところだと思います。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 結構です。  そこで次に、分析の問題ですけれども、二十四日に、こういった油が漂着したというので騒ぎが起こったわけです。二十五日に三菱会社からも来たわけです。それから海上保安庁からも来た。三菱は、そのときは私の方の油ですという確認書も出したわけですけれども、帰ってすぐ分析をしたのかどうか知りませんが、後になって硫黄分に相違があるから、それはうちのではないというような電話連絡が入った。ということになりますと、三菱石油の会社では非常に早く分析ができる、ところが海上保安庁は二十五日に持って帰ってなかなかできない。海上保安庁の分析機械というのは非常にゆっくりやるようになっているのか。会社の方は早くできるけれども、海上保安庁のはずいぶん長い間かかるという点について、どうも疑問を持つのです。そのとき油を持って帰ったのです。オイルマットも漁民は渡しているわけですから、その点についていかがですか。
  153. 隅健三

    ○隅政府委員 海上保安庁の分析が非常に時間がかかるというお話でございます。われわれは犯罪捜査のために分析いたしておりますので、分析項目も多岐にわたっておりますし、また、その分析も慎重に行っておりますので、やはり時間がかかるということは事実でございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると会社の方は慎重にやらなかった、こういうように言わざるを得ないわけですが、いずれにしてもできるだけ早くその原因を確かめるための分析をして、これは公表するという話ですから、お待ちしております。  ところがここで問題がありますのは、水産庁にちょっとお聞きしたいのですが、現在ノリの網がまだ置いてあるわけです。ところがそのノリの網を長い間置いておくと、ノリがくっついているわけですが、油がいっぱい入ったノリですから、その網がどんどん下に沈んでしまう。そうすると撤収が非常にやりにくい。そしてまた、そのままほっておくと海中の網が切れて、他の漁業者にも迷惑をかける。だからこれは一日も早く撤収をしなければだめなんだということで、ノリ業者の皆さんは、皆さんに迷惑をかけてはならないと同時に下の海底を汚してしまうというので非常に心配している。だから原因というものが早くわからないと、いつまでもほっておかれると困る。こういうノリ業者の皆さんの方の意見を聞いてみますと、非常に良心的なんですね。ところがその原因がはっきりしないということになれば、そのまま置いておかなければ仕方がない。こういうことで困っておるわけですが、水産庁としてはどういうように考えますか。
  155. 山内静夫

    ○山内説明員 ノリ網に付着したノリは、いま成長時期でございますから、先生御指摘のように長く置けば当然ちぎれて沈でんする、これが第二次公害を起こすということは当然考えられるわけでございます。この点につきまして、実はきのうからノリ網の撤去作業を始めたと伺っておるわけでございます。いままで延びていた理由といたしましては、被害の状況を第三者的に、県庁であるとか漁連であるとか、あるいは三菱石油側と、どの程度あるかということを確認するという前提のもとに、おとといまで海に置きまして、きのうから立ち会いのもとにノリ網の非常に汚れたものにつきましては撤去作業を始めた、こう伺っております。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 私が行ったのは七日でしたが、その点は非常に良心的に心配しておりました。しかし、きのうからやったというのでしたら、もう一度私は聞いてみますけれども、それは了としておきましょう。  そこで次に、通産省来ていますね。あなたの方は三菱石油に対してどういうような指導をしておるのか。要するに、この前社長が来たときには当委員会でも、被害を及ぼしたものに対しては、これは補償しますというような約束をしておる。ところが現地の方では、どうもそうでない。だからますます騒ぎが大きくなるわけですね。この点について、どういうように今後も指導していくか、これをひとつお聞きしておきたい。
  157. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お答え申し上げます。  この三菱石油の事故発生以来、当方といたしましては社長を呼びまして、大臣からもこれに対する被害の補償については十分誠意をもってやるようにということを、累次指導をいたしております。  ただ、実際の補償の交渉に際しましては、緊急のときでもありましたし、被害を受けた方に対して大変御不満を与えたというようなことはあろうかと思いますが、現在も補償の状況を絶えずトレースいたしまして、迅速に処理ができるようにいたしております。  御承知のことと思いますが、会社といたしましても、各県別に対策本部を設けまして、そこが窓口になって、補償についての交渉を進めておるということにしておりますが、われわれとしてはこれに誠意をもって当たらすように、今後も指導してまいりたいというように考えております。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、漁業組合に入っている漁業者、漁連に入っている人たちは、そういった各県の漁連でいろいろ交渉しているわけです。しかし、漁連に入ってない人、漁業組合に入ってない方、これがやはり相当いるわけです。しかも、重油の回収作業のときは一日五千円ですか、もらって漁連の方と一緒になってやった。しかし、非組合員であるがゆえに、そういった生活つなぎ資金も、組合員は二回にわたって貸し付けられておるけれども、そうでない非組合員は何の融資もない、あるいはまた補償もない。こういうことで非常に生活に対して困っているわけですが、これらに対してあなたの方から三菱に対して、交渉があれば早速乗ってその方の補償もするようにというような指示は、ひとつやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  159. 左近友三郎

    ○左近政府委員 損害の事実がございましたのに、組合員と非組合員というところで差が出てくるということは、やはり穏当でないというふうに私考えます。したがいまして、三菱に対しまして、同じようにそういう申し出がございましたら受け付けて、誠意をもって解決するように指導をいたしたいと思っておりますが、実は三菱からの報告にも、非組合員の方と折衝して一部妥結した件数も上がっております。ただ、非組合員という方々はそういう組織がないわけでございますので、現在まで会社が折衝したので、それで十分尽きておるとは私にも思えません。したがいまして、その点については会社に重ねて非組合員の方にもよく折衝するように指示いたしたいというふうに考えております。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に環境庁長官に。実は瀬戸内海の中のC重油の回収というものはなかなかむずかしかろうと思うのですけれども、これはひとつ総力を挙げてならなければならないと私は思うのです。しかし、環境庁というのは調整役のようでありまして、各省庁にこうやってもらいたい、ああやってもらいたいというような意見は出しますけれども、実施官庁でないわけですね。しかも瀬戸内海環境保全法をつくったわけですけれども、三年の時限立法でなかなか進まない。それに今度はまた追い打ちをかけるように、三菱の重油のこういった問題があったわけですが、私、常々提案しておるように、やはりあなたの方で実施する権限を握らなければ、これはなかなか解決しないと私は思うのですよ。ですから、対策本部、対策本部といっても、現地の対策本部へ参りましても本当に頼りないものですよ。ずっと見て歩くだけですからね。環境庁長官、これはあなたが全部握って命令するぐらいの、いつも言うように環境保全本部ぐらいのものを置かなければ、私はこれは解決しないと思うのですが、それくらいの決意で——これは事非常に急を要すると思うのですね。環境庁長官のところに全部握れば、各地方自治体も非常にやりやすいと思うのですよ。あっちの窓口、こっちの窓口、これでは意思が統一できない。たとえばタンク消防庁で、川の上を流れておるときは環境庁で、海に入ったら海上保安庁で、そして魚に影響すれば水産庁、こんなまどろっこしいことでは、これは解決しませんよ。あなたは環境保全本部の本部長のつもりでやるというような話がこの間もあったけれども遅々としてなかなか進まない。だから、こういった被害が次々に出てくる。こういうことですから、その点についてどういうふうにやるかということの決意を承って、終わりたいと思うのです。
  161. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生も何かまどろっこしいんじゃないかというお気持ちを持っておられること、本当に率直に言って私もやはり同感なんでございます。私どもが最終的に責任を持つ実施官庁でありませんので、しかし、環境庁設置法でいろいろ調整権を持ったり勧告権を持ったりしておりますが、ゆえに、各省ともそれぞれ私ども意見なりあるいはまた要望なりについては非常によく聞いていただきまして、今度の水島問題でもいち早く対策本部をつくっていただいたり、あるいは現地にもその出店を設けたり、それから油の処理についても、先生方から見るとまどろっこしいかもしらぬけれども、あれだけ広い流出の事故でありながら、処理はまあまあ円滑に進んでおった方じゃないかと思うのです。また、総合調査等も相当進んでまいっておりますし、やはり役所というのはそれぞれ所管が決まり、また、それについての法律があるわけでございますから、私が全部の責任を持つということになりますと、これはほかの役所は要らなくなるようにもなりますので、その点は、私自身環境庁に与えられた権限をフルに活用いたしまして、最善の努力をいたしますから……。  ただ、瀬戸内海全体を考えますと、あの法律の中で、私も個人的には何らか一つの、全体の意思を統一し、また指揮命令系統が一本化できるような、現在における何かそういうものが欲しいなという気持ちを率直に持ちます。瀬戸内海は、今度の事故だけで、この対策が終わったからもうそれで済んだものと私は思わないので、やはり瀬戸内海は本当に日本の大事な内海だと私は思いますし、また将来自然環境の面からも、また水産資源の面からも、非常に大事にしていかなければならない、活用しなければいけないところだと思いますので、そういう意味で特例として何かいい方法はないかと実は考えておるわけでございますが、どうも環境庁が実施部隊を持つということは、なかなかこれはいろんな制度面から制約がありまして、ひとつ先生方とも十分相談して、どうしたらいいか、たとえばある先生はこういう意見を出しておられるのです。十一府県と三市の連絡協議会みたいなものがございますから、そこに何かある権限を与えるような仕組みはないのかとか、いろいろな意見を言っている方がございます。ひとつわれわれも検討をいたしてみますけれども、また先生方とも相談をしていきたいと思います。とにかくいまの現状においては、私の持っている調査権と勧告権をフルに活用して、そしてもう穴をたたいて、私らが実施部隊を持つと同じような効果を上げていくように最善の努力をいたしますから、いろいろな御意見がございましたら、また承らせていただきたいと思います。
  162. 渡辺惣蔵

  163. 横路孝弘

    横路委員 自動車騒音についてお尋ねしたいと思いますが、四十六年に出しました自動車騒音の大きさの認容限度ですね、これは従来からの国会の議論で改定をするということが約束されながら、現在まで延びてきたわけなんですけれども、従来言われてきたのはトラック、バス、ダンプカーなどの大型、それからオートバイということのようですけれども、これは現在どういうことになっておるか。そこからお尋ねをしてみたいと思います。
  164. 春日斉

    ○春日政府委員 御指摘のとおり四十六年に閣議決定によりまして騒音環境基準というものが決められました。六月に自動車自体の対策として基準が決められてまいったわけでございます。その後、確かに改正強化というものが行われていないわけでございまして、私どもといたしましては、ことしの夏以降の生産車から、音のエネルギー量に換算いたしまして約五割のカット、すなわち三ホンを低下させる予定で、運輸省と規制の実施細目等について詰めの協議に入っておるわけでございます。来月には告示できる方針でおります。
  165. 横路孝弘

    横路委員 その対象はどこどこになりますか。対象は、これは全部について三ホンをやるのですか。
  166. 春日斉

    ○春日政府委員 とりあえず大型車、二輪車に重点を置いて、騒音の大きさの許容限度の強化を図るつもりでございます。
  167. 横路孝弘

    横路委員 それ以外のものを除くのはどういう理由なんですか。
  168. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおり、自動車騒音と申しましても、特に苦情の多いのがトラック、バス、ダンプカー等の車両重量三・五トン以上あるいは二百馬力以上の大型車とそれからオートバイである、こういう観点から、そこに重点を置くわけでございます。
  169. 横路孝弘

    横路委員 使用過程車についてはどういう措置をとられますか。中古車ですね。
  170. 春日斉

    ○春日政府委員 使用過程車におきましては、常時の規制に入っておるわけでございます。
  171. 横路孝弘

    横路委員 加速走行騒音について、当初はこのときの経過でもって、基準は決めようもなかったのだろうと思うのでありますけれども、現在もうすでに実施されて数年たっている段階では、やはり考えるべきじゃないかと思うのですが、その辺のところはお考えでしょうか。
  172. 春日斉

    ○春日政府委員 現行規制では、御指摘のように加速走行騒音、いわば時速五十キロの車が急に加速するときの音の大きさなんですが、これは大型で九十二ホンということになっておるわけでございます。またオートバイで八十四ホン以下でございますが、ここ数年非常に自動車の走行数が多くなってきた、交通量が増大してきた、あるいは高速道路というものが拡充をされてきたということで、私どもといたしましては、この加速走行騒音を約三ホン落とそう、こういう予定でございます。
  173. 横路孝弘

    横路委員 時間がないのでちょっと詰めた議論はできないのですが、そういうことじゃないのです。  もう一つ中公審で審議中の長期的規制ですね、全車種にわたって十ホンカットを目標とするというのが、先日のこの委員会における御答弁だったというように思うのですが、そこで数段階に分けていくということなんですが、それはどういう段階をお考えになっているわけですか。
  174. 春日斉

    ○春日政府委員 要するに三ホンを下げると申しましたのは、事務的に現状技術でできる範囲内でのカット、規制強化なんでございますが、長期的な観点から先生がおっしゃったような音のマスキー法とでも言うべき規制の強化ということは、現在中公審の中で御検討いただいておるわけでございまして、要するに私どもといたしましては四十八年の四月の十日に諮問をいたしまして、そうしていままでにその中公審の中の自動車騒音専門委員会で十五回の審議をいたしております。これは詰めの段階に入っておるわけでございますので、もうごく近い将来にはその答申を得られると思います。その答申によって行ってまいりたいと思っております。したがいまして、いまの段階におきましてどういうことでどうしていくかというような詳細な点は、まだ申し上げる段階ではないと考えております。
  175. 横路孝弘

    横路委員 運輸省の方からメーカーの方には、四十六年度告示の後で、三デシベル、六デシベル、十デシベルという段階でやっていくぞという内示みたいなのがあって、もうメーカー側の方の研究体制というのは相当前から十分やってきているわけですよ。そして、たとえば日野自動車の場合は、オーストリアのAVLに相当多額なお金を払って、もう三デシベルは完成、いま十デシベルの方を、エンクロージャー、エンジンを包むやり方でやっておりますし、ほかの企業の場合は、イギリスの方の排気のマニホールド、二重構造にするもの、そういうやり方でもってやっているという段階ですね。メーカーの目標はみんな十のところにいっているわけですよ。当初の三年ぐらい前に運輸省の方から各メーカーの方に、大体こういうことでやるぞという内示があったときは、それは三、六、十という段階なんですね。ところが、三なんというのは、とうの昔に大体のところはもういい状況にあるわけですよ。いま、もっぱら十のところにいっているわけですね。したがって、この前の二月十八日のこの委員会の岡本さんの質問に対する答弁での「数段階に分けて下げていく」というのは、三、四年前のいわゆる三、六、十というのを思い浮かべているんじゃないか。私が言いたいのは、メーカーの方ははるかに、ある程度の期間は必要だけれども、十というところに向かって前進しているということなんですよ。どうですか。
  176. 春日斉

    ○春日政府委員 確かにメーカーサイドといたしましては、終局の目的と申しますか目標といたしましては、十デシベルを下げるということを目標にいたしておりまして、それに至るまでの段階はやはり一挙には下がらない、段階づけが必要であろうと私ども考えております。
  177. 横路孝弘

    横路委員 だから、あなたの方で考えているのは、運輸省の方で前に企業の方に内々に言っている三、六、十ということですか。
  178. 春日斉

    ○春日政府委員 運輸省が内示されたかどうか、その点は私ども存じませんけれども、やはり三、六、十というようなことも一つ考え方であろうと思いますが、これは先ほど申しましたように中公審の御答申が近く煮詰まってまいりますので、最終的にはそれにお任せいたしたいと考えております。
  179. 横路孝弘

    横路委員 中公審答申というのは、全車種にわたって十デシベル下げるということを目標にしてやるのですか、そうじゃないのですか。その辺のところはどうですか。
  180. 春日斉

    ○春日政府委員 この件につきましても、いま中公審でいろいろ問題点を煮詰めていただいておるところでございます。
  181. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、場合によっては、全車種じゃなくて特定のものだけになるという、つまりいま音のマスキー法なんて言いましたけれども、部分的にやることもあり得るわけですか。全車種にわたって十ホン下げるということを目標にして、それに向けての段階を組んでいくということじゃなくて、では、部分的にやり得るということもあるわけですか。
  182. 春日斉

    ○春日政府委員 もちろん私ども、音をいかに下げていくか、環境をよくしていくかということが中心でございますので、何と申しましても音の大きいもの、いわば苦情の大きいところを重点に置くという精神はやはり貫かれていかなければならない。非常に音の小さい自動車よりは、やはり大きいものからいくという、まあこういうことが必要であろうと考えております。
  183. 横路孝弘

    横路委員 もちろんそれは、大型の場合は乗用車七台分に当たるということを言われているわけですけれども、ただ、いまの騒音公害の実態から言うと、やはり全体的に下げていくということでなければならぬと思うのですね。私は、運輸省の方の検査や認定の方法というものは正しいというように仮定をすれば、三デシベル下げるというのは、四十六年の告示のときにも現状追認、野放しだ、こういう指摘がありましたね、ある意味ではまたそれと同じ状況になるんじゃないかと思うのですよ。最近型式指定を取ったものがどのぐらいの音かというのを調べてみますと、運輸省の方の交通安全公害研究所でしたか、あそこへ行って聞いたときも、音の場合は非常に余裕を持っているというわけですよ。で、いろいろ調べたのを見ると、たとえば排気ガス騒音、定常走行騒音というものは、たとえばいまの八十ホンを三ホン下げれば七十七ですね、七十七ということになりますと、すでに大体のやつは達成している、それから加速走行騒音の九十二ホンというのも、八十六だとか八十八とか、もうすでに達成しているところがたくさんあるわけですよ。  だから、私はそんな意味では、今度その三ホン下げるというのは、そして皆さん方がそれをいままで決めないで、四十七年ぐらいから、ことしの秋には、いや来年の夏ごろには、いやまたその年の秋にはというようなことが、国会議事録を見ますと、ずっとあって今日まで来たのは何かというと、企業の方は大体もうでき上がっちゃったというオーケーを待っておって、今日いまになって何か規制を厳しくしたかのようなそういう印象を与えるための行政だという感じが非常に強くするわけですが、その辺のところはいかがですか。
  184. 春日斉

    ○春日政府委員 そのようなことはないと思います。  自動車騒音対策と申しますのは、技術的には非常にむずかしい。これは先生も御調査なすったので、よく技術畑からお聞きになっておると思いますが、私どもは決して現状追認の告示をしていこうというつもりはございません。
  185. 横路孝弘

    横路委員 環境庁の方で、最近の型式指定を取った全車について、どういうような状況にあるかというのは掌握されておりますか。
  186. 春日斉

    ○春日政府委員 すべてを掌握しておるわけではございません。
  187. 横路孝弘

    横路委員 そうしたら、メーカーの方は現実にいまどうなっておるかということを知らないで、三ホンが妥当かどうかということがどうして言えるのですか。現実調べてごらんなさいよ。大体もうその三デシベル下げるなんというのはほとんどのものについて、もし、この運輸省の調査の数値が正しいとすれば、あるいは検査法が正しいとすればということを前提に置いた上ですけれども、できている。たとえばこの規定でいって「三・五トンをこえ、」「二百馬力をこえるもの」の、一部には九十一ぐらいのやつもありますけれども、しかし、中には八十六とか八十八というのが出ている。それからあるいは「乗用の用に供する十人以下の普通自動車、」こういうものでいきましたら、大体三どころか、場合によっては、これは七十ホンが定常走行騒音及び排気騒音一つの基準になっておりますけれども、六十ホン以下のものだってもう出ておるわけですよ。十ホン下げても、さらにそれよりも下にいっているのがあるわけですよ。ですから余裕は十分ある。運輸省の研究所の方で、騒音については余裕は十分ある、どうしてあれは四十六年のままなんでしょうねというような話です。だからその実態を知らないで、いま新しく型式指定を取っておる車が騒音どのくらいあるかというのを、すべてについてやはりデータを集めて、その上で基準を決めるということをやらなかったら、現状追認になってしまうわけですよ。環境庁長官、どうですか。
  188. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生のおっしゃることが確かに事実とすれば、もう現実にメーカー側、世の中の実態がそうなっておるのに、それに追随するような規制をつくるのはおかしいじゃないか、もし現実にそうなっておれば、先生のおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、いまも先生がおっしゃったように、そうでない車もあり、そうできる車もあるというような状況には、やはりそう言えないのじゃないかと思うのです。ですから、私どもの方で研究不足の点があれば、これは十分直していかなければいかぬと思いますが、なお詳細な技術的な点は、私どうも余り明確な知識を持っておりませんので、自動車課長なりあるいは大気保全局長からお答えさせていただきます。
  189. 横路孝弘

    横路委員 要するに、環境庁の方で強化した告示を出すというわけでしょう。それは三デシベル下げる、これは非常に画期的なことだと前宣伝は非常にいいわけですよ。しかし、現実にいままでたとえば型式指定をやるとき、いまの基準がありますから、運輸省の方でそのときに全部検査しておりますね。その検査した結果が、各車についてどうなっているのかということを調べもしないで、幾ら下げるとかという議論なんかできっこないでしょう。現実のところどうなのかという実態をきちんと調べて、そして一体どうなのか。それが現状追認になるのか、規制を現実に強化することになるのかというのをやはりお調べいただいてからやっていただかなくちゃ、そういう現実を運輸省の方で皆さんの方に何と報告しておるかわかりませんけれども、大体、話としては、メーカーの方でオーケー出したから今度やるのだ、こういうことになっているわけですよ。だからその辺のところをきちんと資料を全部とって——これは相当たくさんになります。各一つずつとれば。しかし、それを全部検査をしているわけですから、それをとって、その上で、私は、三デシベル下げるなんというのは、現状追認以外の何物でもないと思いますから、規制をもう少し厳しくするというように、ひとつ環境庁長官の方でお考えいただきたいと思う。どうですか。筋の通った話ですよ、当然の話でしょう。
  190. 小沢辰男

    小沢国務大臣 所管が運輸省なものですから、事務当局もその点についてははっきりお答えしなかったんじゃないかと思うのですが、私ども運輸省の自動車関係の事務当局とも十分よく絶えず連絡をいたしておりますから、大体のことは知った上で、やはり相当規制としては、当面三デシベル下げるということは、ある面においてはきつい規制であるという考え方でやるように準備をしているものと私は信じておるわけでございます。ですから、その点はなお、先生の御意見ですから、事務的に粗漏のないように、さらに検討することはいたしますけれども、私は、従来までそういうふうに承っておるわけでございまして、その方針で進めたいと思っております。
  191. 横路孝弘

    横路委員 さっき私は、運輸省の方の測定の方法なり体制なりが正しくて十分ならばという前提をつけたわけでありますが、その辺のところを少しこれから御質問したいと思います。  道路運送車両の保安基準によると、その三十条で測定方法が決まっていますね。その基準の加速走行騒音の測定の方法というのは、いろいろ細かい点は省略いたしますけれども、要するに「加速ペダルを一杯に踏み込み、又は絞り弁を全開にして加速した状態で走行する場合に、」云々と、こういうぐあいになっているわけです。ところが、交通公害研究所所長の自動車整備部長あての四十六年八月二十四日の書類によると、騒音の試験方法というのがいろいろありまして、そこのただし書きのところに、「加速内に原動機の回転数が最高出力時の回転数をこえた場合には一つ上の変速比を使用する」、ギアアップしてもよろしいということになっているわけですよ。これは明らかに道路運送車両の保安基準に対してよけいなただし書きを、この交通安全公害研究所長の自動車整備部長あての交審第四五三号というものでつけているわけですけれども、これはどうしてこういうものが加わったのですか、測定方法の問題です。
  192. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  いわゆる自動車騒音の測定方法につきましては、先生御指摘のような道路運送車両の保安基準によりまして、スピードが何キロからどういうふうに上げていくとかいう基本的なことが決まっておりまして、それの具体なやり方につきましては、先生御指摘の試験方法の中で決めておるわけでございます。  この加速騒音につきましては、初速五十キロで入りまして、そこから急加速した状態において最も音のたくさん出る状態、これを押さえるということでございますので、変速器の状態によりますと、急加速してオーバーランをしてしまうというようなものもございまして、これに対する措置などが決められておるということでございます。
  193. 横路孝弘

    横路委員 ギアアップしたら音が落ちるのですよね。それをメーカーで試験のときにやっているわけですよ。だから、これは道路運送車両の保安基準にはそんなものはないわけですよ。もちろんそれは細かい試験方法なんでしょう、しかし、試験方法といっても、これは基本的にいっぱいに踏み込んでやらなければならぬという基準を決めておいて、それをギアアップしてもよろしいなんというのは、どうしてこんなものをつけ加えたのか。これはISOの関係ではどうなっていますか。こういうギアアップしてよろしいという規定はありますか。
  194. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  ISOの規定などにおきましても、変速段の状態によりまして、それぞれ規定を決めております。したがいまして、先生御指摘の試験状態におきますギアアップというものにつきましては、それぞれの車の変速器の状態でございますとか、あるいは自動車の種類、こういうものから総合的に判断いたしまして、急加速した状態を再現するのに一番適した方法ということから決めておるものでございます。
  195. 横路孝弘

    横路委員 JISには入っていますけれども、ISOの規定には入っていないのですよ、そんなのは。試験方法のこともいろいろ細かいのはありますけれども、ほとんど大体JISと同じですが、よけいなのが加わっているのはそこなんですよ。そういう問題があるのですね。これはもうギアアップしたら音が落ちるのは当然でしょう。これはやはり測定方法の問題として非常に大きな問題の一つだろうと思うので、ぜひ考えていただきたいというように思います。いかがでしょうか。
  196. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  ISOの規定においてそこら辺が決まってないじゃないかという御指摘でございますが、ISOにおきましても、現行基準からさらに改定する方法などにおきまして、いま総合的に検討が進められておる段階でございまして、一番適した変速段のとり方でございますとか、急加速しましてオーバーランをしない適切な測定方法、こういうものにつきまして、日本におきます測定方法においても最も合理的なものにするよう、今後検討を進めてまいりたいと思っております。
  197. 横路孝弘

    横路委員 最近、エンジンなんていうのは性能がよくなって、大丈夫なようになっているのですよ。まあいろいろ細かく決めてあって、ほぼJISも同じなんですけれども、そこだけ、さすがにだれか頭のいい人がいるとみえて、うまくやっておるわけですね。ひとつ検討願いたいと思うのです。  それから、体制ですね、たとえば交通安全公害研究所の自動車審査部のこの構造なんか見ますと、騒音はどこでやるのですか。
  198. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  現在の騒音測定につきましては、灯火、保安を担当いたしておりますグループが、兼務で測定をいたしております。担当官といたしましては、四名で実施いたしておりまして、なお、審査用の計器などにつきましては、騒音測定装置、光電管によります車速検出装置、こんなようなものを二セット持っておりまして、自動車の安全関係のテストをいたしますときに並行いたしまして、騒音の計測もしてチェックをいたしておるわけでございます。
  199. 横路孝弘

    横路委員 排気ガスとか安全の関係というのは、きちんとそれ専門の審査官というのがいるわけですけれども騒音の方は片手間でやっている。これは人が足りないからそういうことをやっているのでしょうけれども、やはりそういう意味では非常にずさんなわけですよ。人も足りないし、グラウンドも自分で持っていないでしょう。だから谷田部に行ったり、あるいはメーカーのところを使って検査をやっていますね、器械を担いで、泊まり込んで。どうですか、これできちんとできると思いますか。
  200. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  試験をいたしますためには、専用のテストコースがないといけないわけでございますが、現在の交通安全公害研究所にはそういうところがないので、通産省機械技術研究所の村山にあるテストコースでございますとか、日本自動車研究所の谷田部にございますテストコースなどへ出向きまして実施しておるというのが、実態でございます。  それで、この点につきましては、今後騒音測定の体制を充実する場合におきまして、専用のテストコースを持つとか、あるいは測定方法といたしまして、排気ガスと同じように台上による試験方法というようなものの開発を進めておりまして、これにつきましては現在交通研究所の中で研究を進めておる一テーマでございます。
  201. 横路孝弘

    横路委員 メーカーの方を使わなきゃならぬわけですしね。その車だって、運転するのは運輸省の人が運転してやるわけじゃないでしょう。メーカーの人間が運転してやるわけでしょう。危ないやつはみんなちょっとアクセルを緩めたり、それからさっき言ったようにギアアップしたりやるわけですよ。プロのうちのプロが行ってやるわけですよ。これだって人が足りないからですよ、そうでしょう。こういう状況をどうお考えになっていますか。これできちんとした測定がやれていると思いますか。
  202. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  テストの場合におきまして、その車の運転については現在は申請者のテストドライバーが実施しておるわけでございますが、専用のテストコースにおきます非常に大きな車の運転、こういうことで熟達したドライバーがいないとできない。私どもの研究所におきましても、運転免許は皆持っておるわけでございますが、大型のそういうものを運転するということになりますと、それだけのまだ体制がないということが一つあるわけでございますが、先生の御指摘の不正なことをやるのじゃないか、こういう関係につきましては、レコーダーをきちっととりまして、そういう点についての解析を十分し、そういう問題点は除去してまいるということにいたしておりますし、なお、全体的に体勢を強化していくということにつきましては、排気ガスの体制をいままで重点的に進めてきておったわけでございますが、騒音につきましても、決してなおざりにしていたわけじゃございませんが、さらに体制強化に対しまして努力をしていく、こういうことをいたしているわけでございます。
  203. 横路孝弘

    横路委員 機械だってさっきお話のあった光電管式車速検出装置なんというのが入ったのは去年でしょう。それまではストップウォッチですよ。車を見ながらそれでやっていたわけでしょう。本当にそんな意味では、騒音についての現実の実態というのはどうなのかということになりますと、私は当てにならぬというように思いますね、昔のやつはとりわけ。  私の方でいろいろ調べていって、いまお話ししたような実態なんですけれども、いろんなメーカーが研究室とか実験室とか持っていますけれども、そこでいろいろ実験しておるわけですよ、いろんな車をやっては。それを見ると超えているのはやはりありますね。たとえば日野のEF一〇〇、これはやはり九三・七ホンくらいですね。それからいすゞの8MAIこれも超えていますね。それから三菱の一〇DCこれは皆さんの方に調べてもらったら、最近のものは新しい指定が出ているようですけれども、その前のはやはり九三・七ホンぐらいですね。ですから各メーカーは、皆お互いにどこのやつが超えているかというのを知っているんですよ。いま挙げたような大型の車の中でも大きいやつですよ。これは超えていますから、皆さんの方で一度きちんとどうですか、調べ直してください。メーカーに言えば、自分のことは言わぬけれども、人の企業のことはよく教えてくれます。あそこのあれは超えている、そっちに行けばあそこのあれは超えているというので、大型の方でいま言った日野、三菱あたりは超えています。ですから日野あたりは外国に金を出して研究をやっているわけですよ。どうですか。
  204. 北川清

    ○北川説明員 御指摘の車につきましては早速調査をいたしまして、十二分に指導してまいりたいと思っております。
  205. 横路孝弘

    横路委員 それは一応皆さんの方の指定では九一・五ホンぐらいでパスになっているんですよ。パスになっているけれども、いま言ったようなメーカーの人間が乗った車で、しかも当時は光電管式車速検出器もなくてストップウォッチでやって、そういう体制の中でこれはおさまっているだけの話なんで、実際は音は超えているのです。  さらに、皆さんの方で私の方に出してくれた資料の中にもおかしいのがありますね。これはたとえば乗用車で、超えているというのはおかしいのですが、いすゞのPF五〇−ベレットジェミニー、排気騒音の測定が六二、定常走行が七一、加速が八一、これは排気と定常走行は七〇のはずでありますが、修正をするのを忘れたのか、どういう事情なのかよくわかりませんけれども、これは七〇を超えていますね。これはどういうことでしょう
  206. 北川清

    ○北川説明員 御指摘のものにつきましては再調査をいたしまして、十二分その疑問点を晴らしたいと思っております。
  207. 横路孝弘

    横路委員 私の方で運輸省の方に資料請求したわけですよ。出てきたやつを見ましたら、大体認めちゃいけない基準で認めてパスさせているわけですよ。乗用車の場合は七〇ホン以下ということになっているのが、七一で数字が出てきているわけですね。だから見ていますとみんな非常に低いのですよ。だから最初環境庁に言ったのは要するに低いから三ホン下げる。これはすれすれのところのやつは、やはり検査方法かなりずさんだと私は思う。  結局環境庁の方に質問した点と運輸省の方に質問した点は、ある意味では矛盾するのです。どっちをあれするかということですよ。つまり運輸省のいままでの検査の体制なり何なりが全く正しいんだということであれば、三ホン下げるというのはこれはナンセンスですよ。現状追認以外の何ものでもない。しかし検査の方法なり幾つかの問題を指摘しただけなんですけれども、そっちの方がおかしいということになれば、これは全般的にもう一度見直しをしなければならぬと思うのですよ。検査体制なりその方法なり、それから運輸省の方で堂々と超えているやつを認めているなんというような、こういう実態ですね。メーカーの方の調査によれば、超えているやつを何とかうまくやったという話ばかりですよ、聞こえてくるのは。その辺のところを、きょうは運輸省の方ひとつ検討していただくと同時に、長官、そういう実態なんですから、これは皆さんの方は運輸省の話を聞いて決めるということだけれども、そちらの方は余りどうも私の調査では信用できぬというので、皆さん方の方でも積極的に、いままで出てきた型式指定の実態、音はどのくらいになっているか。これは音だけやりますけれども、排気ガスの方だって実際は非常におもしろいのですよ。その音の実態をきちんと調べて、検査の方法なり検査の体制なりということも問題点はお互いに考えて、たとえば専用のグラウンドぐらいはとるとか、検査の人員はふやすとかいうようなことを、きちんと環境庁の方も考えて、あそこは環境庁からも予算がいっているわけでしょう、交通公害の研究所の方には、環境庁の枠でとった予算が何かいっているはずですよ。したがってその辺のところも十分考えて、調査を要求した点については御調査いただいて御報告をいただくというようにしたいと思います。最後に環境庁長官とそれから運輸省の方、お答え願いたいと思います。
  208. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御指摘の問題点、十分よく検討しなければいけないと思います。私どもは現状よりも騒音を減らすことに目的があるわけでございますから、いやしくも現状追認になってはいかぬわけでございますので、その点はあらゆる角度から、さらに中公審でも技術的に十分検討していただくようにいたしたいと思います。
  209. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の点につきまして、体制の整備につきまして今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  なお、御指摘の調査につきましては、速やかにやりまして御報告を申し上げたいと思います。
  210. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時一分休憩      ————◇—————     午後四時十分開議
  211. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。   この際、ちょっと了承を得たいのですが、大臣が五時十分に公用でどうしても退席をしなければならぬので、なるべくその前に、大臣に関する質疑等をおまとめ願いますように御配慮願います。  それでは、栗田翠君。
  212. 栗田翠

    栗田委員 私は、故紙再生業であります中小の製紙工場が、排水またはスラッジなどでPCBの問題がいま出ておりまして、その問題について伺いたいと思います。  二月三日に水質汚濁防止法の排水基準を定める総理府令の一部が改正されました。これはPCBの排水基準が〇・〇〇三ppmというふうにされました。ですが、この府令の附則によりますと、「古紙を主原料とするちり紙及びトイレットペーパーの製造を行っているものに係る排出水については、この府令の施行の日から起算して一年を経過する日までは適用しない。」こうなっておりまして、つまり一年間の猶予期間があるわけですけれども、こういうふうになりました理由はなぜでしょうか。
  213. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、PCBの環境基準を二月に決めまして、それから引き続き排水基準を今月の一日から施行しております。  御指摘になりましたちり紙及びトイレットペーパー製造工業につきましては、一年間の猶予を置いてございますが、これは先生御存じのとおり、中小企業が大多数でございますので、すぐに排水基準を適用するのには、やはりそれ相応の準備が要るということで、中小企業であるという事情を勘案して、一年間の猶予期間を置いた、こういうことでございます。
  214. 栗田翠

    栗田委員 この故紙を原料としたちり紙、トイレットペーパーなどの製造をやっている製紙工場付近の排水とか、それから底質、またスラッジの測定などは、環境庁はどのようにやっていらっしゃいますでしょうか。どのくらいのデータが出ておりますか。
  215. 大場敏彦

    ○大場政府委員 一昨昨年それから一昨年にかけまして、水銀及びPCBに汚染されている環境の一斉点検をしたわけでございますが、汚染と申しますと魚介類の汚染もございますが、魚介類の汚染につきましては、十三水域について問題となる水域が出てきておる。その水域につきましては、魚介類の漁獲の自主規制という措置を講じてございます。  それから水質につきましては、一般の環境水質でございますが、二百八十二水域につきまして調べた結果、いろいろ問題が出てきておりますが、二十二水域について、やはり一ppm以上検出した水域が出てきている、こういった状況でございます。  それから底質でございますが、底質はいろいろ河川、港湾、海域、三百五十四水域について調査をいたしましたか、一〇ppm以上——われわれが一〇ppmと申しておりますのは、底質の除去基準というので決めておるわけでございますが、そういった一〇ppm以上の、つまり底質の除去を要する水域は、五十一水域というものが出てきております。したがいまして、かなり広範にわたりPCBによる環境汚染があったということが言えるかと存じます。
  216. 栗田翠

    栗田委員 この調査は一回おやりになったのでしょうか。あるいは、いつごろどういう回数でやっていらっしゃるかということをちょっと教えてください。
  217. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま申し上げましたのは、水銀、PCBの汚染が問題になりまして、この際、全国の問題となるような水域等につきまして一斉に点検しようということで、全国的な調査網をしきまして、そして調査した結果でございます。  なお、その後の調査は、水質汚濁防止法に基づきまして、水質等につきましては定期的に調査をいたしてございます。
  218. 栗田翠

    栗田委員 いつごろというのは。
  219. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま申し上げました調査は、四十七年から四十八年にかけての調査でございます。その後、定期的に水質等の調査は実施しております。
  220. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、その一年間の猶予がいまありまして、故紙再生業は来年の三月からは、PCBが排出口でですか、〇・〇〇三ppm以下に規制されていくわけですね。そうしますと、その一年間でそれがそこまで下がるような状況にいまあるのでしょうか。いまの調査で、どんなふうにお考えになりますか。
  221. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど猶予期間を一年間置きましたということを申し上げましたけれども、これはその間そういう〇・〇〇三ppm以上の水を排出していいということではございません。やはりあくまで、そもそもそのPCBというのが人工的なものでございますから、そういう人工的な汚染の要素が環境内に存在するということは許せないわけであります。でありますから、その猶予期間内におきましても、排水基準と同じようなきれいな排水を環境に出すということが当然義務づけられるわけであります。ただ、中小企業の実態からいたしまして、すぐそれを罰則で打つということになりますと、これはやはり果たして当を得ているかどうか、こういう判断がございまして、罰則では打たない。しかし、その間強力な行政指導を通じまして、実際上同じような効果を上げていくという形で、関係省庁でその御努力をお願いしているわけでございます。
  222. 栗田翠

    栗田委員 現在、実情としてはどうなっているかというデータは持っていらっしゃいますか。最近、故紙再生工場の付近でどのぐらいのものが出ているか、またスラッジがどうなっているか、故紙の中にPCBがまざっているのかどうかという実態です。
  223. 沢田仁

    ○沢田説明員 具体的な工場からのPCBの排水状況を調べた若干のデータがございますので、御説明申し上げます。  まず、先生御案内のように、四十七年七月からいわゆる暫定指導指針ということで、排水口のところで一〇ppb、言葉をかえますと〇・〇一ppmでございますが、そういう基準で推移してきたわけでございますが、私どもこの規制の強化を知りました四十九年八月の段階で、実際に静岡県にございますトイレットペーパーのメーカーの排水の状況はどのようになっているか、早速、環境庁の連絡もございましたので、静岡県当局に排水を実際に調べてもらいました若干の数字を申し上げます。  まず、それより時点が少し古くなりますけれども、四十八年、おととしの九月に調べた一工場については、五ppbでございます。当時の暫定基準は一〇ppbでございましたが、五ppbが出ました。それから、四十八年の十月に六工場調べておりまして、そのうち、四つの工場の排水口からはPCBの排出が検出されませんでした。それで残りの二つについてPCBの検出が認められたわけでございますけれども一つの工場が五・一ppb。これは千分の一ppmが一ppbでございます。それからもう一つの工場では二・四ppb、これが検出されました。  それから昨年の三月に調べた一つのケースでございますが、この排出口からは一一ppb出ております。それから、昨年の四月に六工場調べております。そのデータによりますと、六工場のうち五つの工場からはPCBが検出されませんでした。一つの工場から八・二ppb検出されております。昨年の八月段階で私どもが了知しておりますのは、そのような状況でございます。  決してこれは十分ではございませんけれども、一応当時の暫定基準に照らしまして、大体総括的に静岡県の公害当局が申しておりますのは、先ほど環境庁局長が申されましたのは底質とか出ていった海の底の底の問題でございますけれども、排水の段階では、それほど問題はないのではないかということを県当局から連絡を受けておりました。しかし、ことしになりまして、いよいよ今度の基準が本決まりになるということになります。中小工業でもございますので、一年間の猶予期間を認めていただいたわけでございますけれども、この二月に、実はもう一段念を押すために、県当局にとりあえずますサンプル的に、静岡県の五工場についての検査を要請いたしました。その結果が今月の二十五日、もう間もなくでございますけれども、県当局から出てくる予定になっております。出てまいりましたら、また何らかの機会に御報告させていただきたいと思っております。  それが済みまして、さらに今度は、つくっておりますのは静岡県だけではございません。四国、九州方面にもトイレットペーパーの産地がございます。私どもそういった規制を遵守し、それに乗せていくために、全国の今度はもっと網羅的な排水口におけるPCBの賦存状況を調査したいと思っております。後ほど対策について申し上げますけれども、まず私どもとしては、実際に工場の水の出口で実態的にどういうふうなPCBの賦存状況にあるか、これをまず知ることが先決だと思います。そのような調査をやっております。
  224. 栗田翠

    栗田委員 スラッジについては調査していらっしゃいますか。
  225. 大場敏彦

    ○大場政府委員 スラッジにつきましては、いま県の方から実態調査の資料を求めておるところでございます。  スラッジにつきましては、排水処理をいたしますときに当然スラッジが、先生御承知のとおり出てくるわけで、それをさらにどう処分したらいいかという問題が出てくるわけであります。その問題につきましては、処分の基準というものがいままで決まっておりませんところに問題があったわけでございますが、中央公害対策審議会の廃棄物部会という部会でございますが、そこに諮問し、御検討をお願いいたしておりまして、実はきょうもやっております。そこで恐らくきょう結論をいただいたと思っておりますけれども、海洋に投棄する場合にはこういう基準、それから埋め立て処分する場合にはこういう基準、大概の場合には焼却で、焼く場合にはこういうような基準というぐあいに、処分の基準を御審議願っておるわけでございます。恐らくきょうは、まだ聞いておりませんが、答申をいただける段階ではないかと思っております。
  226. 栗田翠

    栗田委員 通産省に伺いますが、さっきお話のありましたPCBですけれども、三ppbという規制をされますと、さっき出ていたようなものでも多いわけですね。一体どうしてこんなにたくさんのPCBが出てくるとお考えですか。
  227. 沢田仁

    ○沢田説明員 先ほど私どもが知り得たデータを全部申し上げたわけでございますけれども、総体的に見たならば、検出されずというのが相当あったというふうに私どもは理解しております。PCBが全然検出されなかったというのが、実はここで全体の割合を見るのも余り意味がないと思いますけれども、割合的に言いますと、われわれが懸念したよりも、PCBが検出されないというケースの方が、先ほど御説明いたしました割合からいくと比較的多かったと思います。  しかし、御指摘のように、当時の暫定基準大体一〇ppbには合致しておるというのがございますけれども、三という水準から見ますと、まだ一段と努力を要するものが確かにあると思います。これを今後一年間にわたりまして、一年の猶予というのを待っておるわけではございませんけれども、検出値を少しでも引き下げるように、関係業界に要請をしていきたいと思います。  まず、私ども考えておりますやり方といたしましては……(栗田委員「やり方ではありませんで、なぜ出てくるのかと伺ったのです」と呼ぶ)やはり、故紙の中にPCBを塗りましたノーカーボンペーパーが混入しておる、これが原因でございます。
  228. 栗田翠

    栗田委員 私は、ただPCBが出ているからけしからぬということで、いま御質問しているわけではないのですね。なぜ出てくるのか、その出てくる原因を断たなければ、なくならないのではないだろうか、そういう立場でいま伺っているわけなんです。  実は、私も中小製紙業界の幾つかのスラッジのPCB試験結果をいまここに持っております。これは実は中小の製紙会社が出してくださった資料です。なぜわざわざそういう自分たちのスラッジの中にPCBが入っておるものを出してくださったかといいますと、この実態を十分知っていただいて、本当にPCBがなくなる対策を講じてほしいという切実な願いから、本来だったら不利な資料を、わざわざ出してくださったわけなんです。結局、故紙再生業の工場の過程で見ますと、PCBなどは使いません。PCBの入ってくる過程というのは原料にあるわけでして、そこで紙をつくっておる方たちは全く使わないのにPCBが出て、そのことで下手をすれば一年後に操業停止ということにもなりかねない状態に、いま追い込まれていまして、そういう意味では大変悲痛な状態にいまあるわけなんです。ここを何とかしてほしいという悲痛な訴えを私は聞いております。  私がいただいた資料をざっと見ますと、三十二社のスラッジの試験結果ですけれども、そのうち一〇ppm以上のものが十四社ございます。ですから、これは約半数の製紙会社で一〇ppmくらいのものがスラッジの中に出てきておるということなんです。特に多いのになりますと、七七ppmが検出されているものがあります。スラッジの中に入るPCBというものはその日によって大層違うそうでして、原料の中にノーカーボン紙がたくさん紛れ込んでおる場合、そうでない場合、これによって、日によって大変上下があるということですけれども、ざっと伺ったところで、平均して五〇から六〇ppmくらいがいまスラッジの中に出ておるだろう、こういうお話なんです。だれも出したくて出しておるわけではないし、工場の中で使っておるのではない。それなのにこういうものが出てきてしまう、こういう実態にいまなっておるわけなんです。  先ほどからその対策ということを幾度か口にしておられますけれども、私その対策を伺う前にちょっと伺います。ノーカーボン紙の製造がストップされたのは四十六年四月というふうに私、調査しておりますけれども、これがされてから以後どんなふうにその使用禁止、回収、保存などがやられてきておるのか。また、製造された全部の分量に対して、いまつかんでおられますノーカーボン紙がどのくらいあるのかということです。つまり凍結しているものがどのくらいあるのか、そういうことをちょっとお答えいただきたいと思います。
  229. 沢田仁

    ○沢田説明員 四十六年の生産停止、それに引き続きまして四十七年以降可及的に、日本じゅうに回っておりますノーカーボンペーパーの回収をいたしました。現在まとめてストックしておりますが、合計しまして二千六百トン余りございます。その内訳が二つに分かれておりまして、第一は、千五百五十トンばかりが主として民間の会社の事務所から集めたものでございます。この千五百五十トンの量に上りますノーカーボンペーパーは、かねがね感圧紙をつくっておりました会社が四社ございます。十條製紙、神崎製紙、三菱製紙、それから富士フイルムでございます。この四社の倉庫に、四社に達しまして保管をしてもらっております。この実施が四十七年、それ以降逐次集まったものが現在千五百五十トンございます。残りの約千百トンは官公庁で使われております感圧紙でございます。これらは通産省の方から各行政官庁に連絡をいたしまして、それぞれの役所のビルディングの中に保管をしております。繰り返しになりますが、合計して二千六百トン余りのものが保管してございます。  しかし、日本にあったと思われます感圧紙はこれにとどまらないはずでございます。残念ながら、そのほかの零細な事務所のたぐい、ここにございました感圧紙が一体どれくらいあるのか、いろいろ調査方法考えてみましたけれども、その正確な数字がわかっておりません。  先ほど先生のお尋ねの、一体どうしてPCBがスラッジなりあるいはちり紙工場の排水から出てくるか。そういうふうに全国に散在しております。非常に微量ではありますが、それが集まってくればやはり問題でございます。そういったものがいわゆる故紙の堆積の中に入っており、それが現在でもなおかつスラッジにたまり、あるいは排水から検出される、この事態の原因になっているかと思います。
  230. 栗田翠

    栗田委員 そのようなわけで、つまり、ノーカーボン紙がいろいろ回収されて出てきて、最後に故紙再生工場でPCBという形で出るということになるわけですね。それでは結局、こういう形でPCBが出てまいりまして、末端で規制をしておりますけれども、実際には規制をされる末端は、自分責任ではない状態になっているというわけですよね。それで、再生業の方たち、工場の方に伺いますと、まとまって物が出てきたときには見分けがつくので極力取り除くけれども、紙の中にまざって出てきたときには、もうどうしようもないと言うんですね。言ってみれば、大きなごみための中から針を一本拾うようなものである。そのぐらいの状態でもPCBが出るんだということを言っております。いまたとえば〇・〇三ppmというPCBが排出されるのには、もとの紙何トンぐらいの中にノーカーボン紙がどのくらいあったら、このくらいの分量のものが出てくるのでしょうか。
  231. 沢田仁

    ○沢田説明員 非常に敏感でございまして、千枚ぐらいの普通の紙の中に一枚あればPCBがいまの基準で出てくる、こういう非常に天文学的な数字でございます。
  232. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、工場で山と積まれた中からそれを抜き出しまして、いま言われた基準に合致する状態に末端で処理するというのは、大層むずかしいことですね。どうお考えになりますか。
  233. 沢田仁

    ○沢田説明員 その点、先生のおっしゃるとおりだと思います。若干、時間の経緯、私どもの現在考えていることを述べさしていただきたいと思います。  確かに、最初このPCB問題が起こり、これをどうやって公共用水域に流さないか。そのために、実は四十七年でございますが、通産省の方で関係の業界の団体に通達を出しまして、そのとき申しましたことは、末端の工場の段階で、PCBを塗ってあるいわゆる感圧紙を見つけたならば、これをなるべくそこから引き抜いて、排水にPCBが出ないようにしてください、こういう趣旨の通達を出しました。しかし、これは先生御指摘のように、これだけではまさに米びつの中から一つの悪い米を出すようなものでございまして、これを中小企業者に完全に励行させることは非常に無理だということを、最近遅まきながら考え直すようになりました。問題は、いまの川下での規制もさることながら、川上でやはりこういうものが出ないような方法をとるのが一番いいと思います。  ただ、この問題は、実は率直に申しまして非常に困難な問題です。先ほど申しましたように、先ほどの四社ないしは官公庁のような大手口でまとめておるもの、これはもう巷間いろいろうわさはございますけれども、絶対漏れておりません、完全に保管しております。しかし、町じゅうに散らばっております感圧紙がいろいろなルートを経て、結局最終的にちり紙業者の工場の原料倉庫に行くということ、これを完全に食いとめることはむずかしゅうございますが、しかし、なるべくその川上の段階で、今後も出てくる感圧紙の回収に努めたいと思います。  このための具体的な措置としまして、このような手段を考えております。  まず、約一月ぐらい前のことでございますけれども、従来の末端の取り締まりだけでは不備であるということに感づきましたので、先ほど申しました四社の代表者を通産省に呼びました。そしてまず、まだ仮称でございますけれども、感圧紙処理対策協会というものをこの四社の共同でつくってください、と同時に、通産省の生活産業局の中に、この感圧紙をどのように処理し、どのような対策を打っていくか、そのための対策委員会を、これは四社も含めて、あるいは電気の方とも関係がございます。そういった学識経験者も含めて、私どもも参加しまして設置する予定でおります。この委員会と協会の設置は大急ぎでやりたいと思います。  そうしまして、実際保存中の感圧紙と、世の中に浮遊しております感圧紙と、この二手があるわけでございます。まず保存中の感圧紙につきましては、今後はこの協会が責任を持って、いままで四社の倉庫ないしは官公庁のビルディングの地下にございました感圧紙の保存を継続していく、このように協会にさせたいと思います。  それから第二に、世の中に散在しております残存カーボン紙でございます。これを各事務所あるいは官公庁に、協会あるいは通産省共同で、とにかくその川上の段階でその紙を協会に持ってきてください、あるいはとりに行きます。このような措置を講じまして、なるべくその発生源の段階でこの協会が新たに保管を始めていきたい、このように考えております。  そのようなことで、先ほど先生から御指摘ございましたけれども、何分六十社余りの非常に零細な工場が静岡県でトイレットペーパーの製造をやっております。これら中小企業がいやしくも将来を非常に不安に考えて、廃業を考えるとか、そういうようなことの不安を抱かせないように、安心して操業ができるような雰囲気あるいは環境を一刻も早くつくりたい、そのためにその川上の段階での回収に全力を挙げていきたいというふうに考えております。
  234. 栗田翠

    栗田委員 PCBが混入するもう一つ原因は、印刷インクの中にPCBがいままで含まれていた、それが出てくるということが言われておりますが、インクについての対策はどんなものを持っていらっしゃいますか。
  235. 沢田仁

    ○沢田説明員 インクの問題でございますけれども、私の承知する限り、現在までのところ印刷のインクにはPCBは入っていないというふうに伺っております。
  236. 栗田翠

    栗田委員 以前は印刷インクにPCBを使っていたわけですね、いまは使用は停止されておりますけれども。しかし、さっきのノーカーボン紙と同じだと思うのですけれども、インク用に使われていたPCBが民間にストックされていて、これが凍結されているのはほんのわずかではないかと思います。それで、一体どれだけのものがインク用のPCBとしてあって、どれだけのものをつかんでおられるかということですね。そのことを伺いたいと思います。
  237. 沢田仁

    ○沢田説明員 先ほどお答えしましたように、PCB入りのインクというのは、従来は製造しておったわけでございますが、紙の上に印刷する場合にはPCB入りのインクは使ってなかった。したがって、いまの問題、故紙がさらに再生されてトイレットペーパーなりちり紙なりになるわけでございますけれども、その限りにおいてはPCB入りのインクは使ってないというふうに聞いております。  なお、ではそういったインクは何に使われているかでございますけれども、プラスチック上の印刷とか、そういった紙以外の物体の上に印刷塗布するときの顔料として使っておったというふうに聞いております。
  238. 栗田翠

    栗田委員 グラビアとか包装紙に使ってませんでしたか。グラビア、包装紙使っていたはずです。
  239. 沢田仁

    ○沢田説明員 プラスチックのフィルム、そういった上に印刷あるいは絵をかきまして、そういうものでのグラビアをつくる場合には、そのようなPCB入りのインクが材料として使われておりました。しかし、紙の上はないというふうに聞いております。
  240. 栗田翠

    栗田委員 私、いまもう一つ質問していたのですけれども、さっきお話をしていらして聞いていらっしゃらなかったと思いますが、このインクがどれだけ生産されていて、どれだけPCB入りのものが凍結されているかということをつかんでいらっしゃいますか。
  241. 沢田仁

    ○沢田説明員 まことに官僚的答弁で申しわけありませんが、私ども紙の印刷の方でございまして、化学物質を扱っております所管局の方にもう一度確かめまして、後ほど御返事をさせていただきたいと思います。
  242. 栗田翠

    栗田委員 製紙の専門家の方から伺いますと、いままで包装紙などにもかなり使われていた。それで、PCBが入っていますと印刷が非常に鮮明に出るということで、珍重がられていたということを私は聞いておりますので、その辺も、もう一度よく調査をしていただきまして、紙の関係としても単にノーカーボン紙を規制しただけではだめなのかもしれません。そこのところをもう一回しっかりと調査していただきたい。インクの量なども調査をしていただいて、いまの協会を今度つくられたわけですね。その協会の対策一つとして入れていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
  243. 沢田仁

    ○沢田説明員 御指摘のとおり、今後協会ないしは通産省の中に設けます委員会におきまして、そのような関連したものについても当然考えなくちゃいけません。通産省の中でも関係当局の担当の者もそこへ呼び込みまして、十分対策検討していきたいと思います。
  244. 栗田翠

    栗田委員 川上の段階で押さえていく、対策考えていくとおっしゃいましたけれども、それは具体的にどんなふうになさるつもりですか。
  245. 沢田仁

    ○沢田説明員 先ほども若干触れましたけれども、まず協会ないしは通産省の音頭取りで、政府関係機関あるいは民間の事業所、こういったところにまず広報に努めたいと思います。非常に一つ一つ手間のかかることでございますから、各場所場所によって、そういうPCB塗りの感圧紙を発見した場合には、極力一ヵ所に整理をしてほしい、そしてあるところでプールしたものを協会の保存場所に移動する、そこまでをやれば一応全国に散在しておりますものをプールすることができるわけでございます。まず、じみちではございますけれども、やはり各事務所、事務所あるいは部屋、部屋のこういった感圧紙の置いてあるところを、一々それぞれの係の人にお願いして集めていただく、実はこれしか方法がないものでございますので、まずPRといいますか広報、これに何よりも重点を置きたいと思っております。
  246. 栗田翠

    栗田委員 保管されていますノーカーボン紙などが、何かのはずみに流れ出すということも心配あるわけですね。特に石油パニックのときには、一度凍結されていたはずのノーカーボン紙が大変出てきたようで、故紙を再生しましたらPCBの量がぐっとふえたということが言われております。こういうものを二度と起こさないようにしていくため、たとえばどんな対策をお持ちでしょうか。協会が責任をもって管理するということは確かによいことだと思いますけれども、たとえばノーカーボン紙とそうでないものの見分けがつくような状態とか、それから一度凍結されたものは封印をするとかしまして、簡単に流出しないような対策をとっていくことが必要だと私ども考えておりますけれども、その辺いかがでしょうか。
  247. 沢田仁

    ○沢田説明員 私どもも静岡の中小企業者の二、三の方々から、現に四社で保管しております。先ほど申しました千五百五十トンのPCB入りの感圧紙が、あるいは横流しがされているのではないか、このようなうわさを二、三お聞きしました。これは四社と先般一ヵ月前に私ども会いましたときに、そのようなうわさがあるけれどもと、その真偽のほどを確かめました。で、少なくとも四社に関する限り、口頭の証言でございますけれども、そのようなことは絶対にないし、倉庫の中に完全にしまってあるので、たとえそれが少しずつ漏れ出しをしましても、その四社にとって大した利益になるものでももちろんないし、むしろそういうことは絶対にあり得ないということでございました。  しかし念には念を押す意味で、先ほど御説明申し上げました協会で一元的にこれを保存する体制ができますれば、われわれとしましてはより保存管理に万全を期することができると思います。先ほど御説明申し上げましたように、約千枚の紙に一枚の感圧紙が入っておれば検出の指針に出てくるわけでございます。そのような微量な分子で出てくるわけでございますので、現在までのところ私どもの解釈は、やはり世の中に散在しておるこういった紙が、ごくわずかではございますけれども故紙の堆積の中に混入して、それが現在排水口の中でPCBが検出されておる、このような理解をしております。
  248. 栗田翠

    栗田委員 大臣御退席の御都合があるということですので、先に大臣に伺いますけれども、こういう実態の中で、実は一年間の猶予期間しかないわけなんですね。この一年間に何とかいま言われたような対策を完全に講じまして、末端の犠牲でPCBを排出しないというやり方ではなくて、もとでとめるやり方をしていかなければならないと思うのですが、さっきから上流でとめるということをしきりにおっしゃっていますけれども、この対策をしっかりと立てていかれるというおつもりかどうか、その辺の御決意を伺いたいと思います。対策についても伺いたい。
  249. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ただいま通産省がもとでとめるように、要するに原料としての故紙の中にそういうものが入らないように、あらゆる手段方法を細心の注意を払ってやっていきたいという、真摯な非常にまじめな答弁だと思うのです。  しかし、それにもかかわらずそれは完全にとめることができるかどうかということになりますと、これはなかなか通産省でも保証はできないだろうと思うのですね、もう現に世の中に全部散逸してしまっている故紙でございますから。そうかといって、それじゃその工場では排出基準以上のPCBを出していいかといいますと、そうはいかないので、これはやはり人間の健康、環境汚染にとって非常に影響のある問題でございますから、したがって、それらの工場は中小企業でもございますので、私どもできるだけ融資の道でお世話をしまして、処理施設をやっていただく、こういうことで、この両々の対策でこの基準を達成していただくように処置していきたい、かように考えております。
  250. 栗田翠

    栗田委員 PCBの処理について後で伺おうと思いますけれども、大層高熱の炉で然さなければ分解しないということも聞いておりまして、たとえば出ましたスラッジの処理などでも、炉をつくれば相当高い費用がかかるわけですね。上の方から流れてきたものが、末端の中小企業でそういう高い費用をかけて炉をつくらなければならないとか、それからまた排水口でSSの除去のための装置が必要だということになれば、非常に財政的負担がかかると思いますので、いま大臣がおっしゃいましたように十分に有利な融資と補助、そういうことを重々考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  大臣、お時間がおありだと思いますので、最後に一問だけ。  ノーカーボン紙をただためておいても困るわけで、この処理をしなければなりませんけれども、これについていまどのような対策が練られているのかということを伺いまして、質問を終わりにいたします。
  251. 沢田仁

    ○沢田説明員 まずPCB入りの感圧紙の処理は焼却ということに決まっております。ですから何らかの方法で、恐らく千四百度Cのような高熱で焼却廃棄していくのが唯一の方法です。昨年、工業技術院で研究をやりまして、一体焼き方はどのようにしたらいいか、その基本的なノーハウの研究を完了いたしました。これが直ちに実用炉に転用できるかどうかには、なお若干の技術的な検討が必要かと思いますが、一応基本的なノーハウはわれわれ了知し得た段階に来ております。  ただ、非常に困難な問題がございます。問題はその炉をどこに設置するか。当然のことながら、その炉を置く場合には住民の反対運動が起こります。その点では私ども、率直に申しますが、見通しとしては非常に暗いと思っております。アメリカでも、聞くところによりますと、やはり大陸の中で焼くことが非常に困難である。先般、新聞で了知し、実は私どもまだ返事をいただいておりませんが、ヨーロッパにバルカナス号という船があって、これを米国のシェルオイル社がチャーターをいたしました。この船は、一時間に二十トンのPCBを焼却処理していく能力を持っております。したがいまして先ほどの二千六百トンはこの船一隻でも相当の処理が可能でございます。現在はシェルオイルがこの船をチャーターして使っておりますけれども、われわれとしまして、この船を日本でチャーターする可能性についても、現在関係方面に当たっております。まだ返事はございません。あるいは、事と次第によっては、土地の上にそのような焼却炉をつくるよりも、日本のいま余っている船のどれか一隻を、こういう船につくりかえることもまた可能かと思います。何らかの方法で、陸に置くか、水の上に置くかで焼却炉をつくっておきたいと思います。  それから先ほどのことでございますが、ちょっと発言をさしていただきたいと思います。
  252. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 なるべく簡潔に願います。
  253. 沢田仁

    ○沢田説明員 川上の規制だけで、それで中小企業には何も要求しないというわけではございません。と申しますのは、先ほど若干のデータで申しましたように、中小企業の工場でも出てないところ、出ているところがあるわけです。出てないところはやはり選別をやっておるわけでございます。したがって、でき得る限りは中小企業者の段階でも選別をやってもらうように指導を続けたいと思います。
  254. 栗田翠

    栗田委員 処理方法を一刻も早く完成させていただきたいということ、それから、その選別については努力していただくのは当然ですけれども、しかしさっきのような事情であるということで、末端での処理の方法、融資の面などいろいろお約束があったと思いますから、とにかく一年たったら廃業しなければならないということにならないように、政府として責任を持っていただきたい、これを要望いたしまして、質問を終わりにいたします。
  255. 渡辺惣蔵

  256. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣のお時間の都合で、先に大臣にお尋ねいたします。  私は、自動車の排ガスのことでお聞きしたいのですが、このことは、いろいろな方面からいろいろとお話があって、大体煮詰まったわけでございますが、国民として、また私どもとして、まだわからない点が多々ありますので、ここでお尋ねをするわけでございます。  そこで、五十一年規制及び暫定値に到達したもの、及び近づきつつあるエンジンは何かということで、CVCCエンジン、ロータリーエンジン、そのほか在来エンジンに触媒方式をつけたもの、これがいま出回っておりますが、この三つを大臣はどのように御認識して、環境庁では今後の対策をお立てになりますか。
  257. 春日斉

    ○春日政府委員 大臣にかわりまして御答弁申し上げます。  窒素酸化物排出ガス規制のための技術は大まかに言って二つございまして、まず、エンジン内での窒素酸化物の生成をできるだけ少なくする方法と、それから排気系の途中で後処理する方法の二つがあるわけです。現在、前者の方法としてCVCCやロータリーエンジンあるいはツーサイクルエンジンがあるわけでございますし、後者の方法としては、在来型エンジンを改造いたしましてCOやHCできるだけ少なくしていく、NOxはEGRによって対処する、残ったCOやHCはさらにサーマルリアクターあるいは酸化触媒で燃やすという方法があるわけです。しかし、いずれにいたしましても、〇・二五グラムという当初目標を達成するには不可能であると見なければいけません。  そこで、後者の方法としては還元触媒あるいは三成分処理触媒の開発ができればよろしいわけでございますが、現在のところその見込みがまだ立っていないということでございます。  それから前者の場合では、トーチ点火プラスEGRプラス酸化触媒ないしはサーマルリアクターという方法をもっと改良していかなければいけない。いろいろ問題がありますが省略しますけれども、そういうこと。それからロータリーエンジンでは、従来の濃い混合気でなくて逆に薄い混合気を使うような、いわゆる成層燃焼型のロータリーエンジンにEGRプラス・サーマルリアクターをかける。あるいは全く違う熊谷エンジンとかツーサイクルエンジン、こういったものが開発される必要があるであろう。こういうふうに考えております。
  258. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私がお聞きしているのは、その内容と、現在どれが一番優秀なんですかということです。
  259. 春日斉

    ○春日政府委員 メーカーそれぞれ独自の技術によって〇・二五グラム・パーキロメートルを達成すべく開発努力を行っておるわけでございまして、各方式ともに進歩しつつあると言えますけれども、現段階でどれが一番いいか、最良であるか、こういったことは軽々に判断はできないと思います。私が先ほど述べましたような方法、それが一列になって目標値に向かって突進しているのが現状の姿だと思います。
  260. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 日本のこういったエンジンについては、EPA、アメリカ環境庁はどのような評価をしているのですか。
  261. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおりアメリカではちょっと情勢が変わってまいりまして、三月五日にEPAのトレイン長官が発表いたしましたところによりますと、結論的には、日本の五十年規制に相当する一九七五年のいわゆるマスキーの基準というものは、結局七年間延期することを勧告しているわけでございます。  その理由は、フォード大統領のいわゆるエネルギー危機に対処するエネルギー政策の観点から、燃料を食わないということが第一、そのために延期する。それから第二の勧告の理由として、酸化触媒による硫酸公害のおそれあり、こういったことを述べておるわけでございまして、アメリカは従来酸化触媒によって五十年度規制車というものをやろうというのが一つの主流であったわけでございます。したがいまして、こういった硫酸公害というようなおそれが出てまいりますと、EPAも述べておりますけれども、ガソリン中の硫黄分を除くとか、あるいはCVCCやロータリーエンジンの導入、こういったことが一つの傾向としてあらわれてくる、こういうことでございます。
  262. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで、私お尋ねしていることは、日本ではいま触媒方式を取りつけるんですか。それとも、CVCCエンジンとロータリーエンジン、この二つが新しく開発されたと言われているんですが、要するに触媒方式をつけないエンジンでCVCCやロータリーエンジンの方が、NOxやその他の排気ガスについては規制値に近づいていると私は理解しているのですが、そういう段階からいけば、順位をつけていただければどこなんですか。
  263. 春日斉

    ○春日政府委員 日本の場合は、先ほども申しましたけれども、総合評価として、真に還元触媒のすぐれたものができれば、これは燃費も余り上がりませんし、非常によろしいわけでございます。しかし、その耐久性、信頼性にまだ問題があるということ、それからCVCCもいま言いましたように、まだまだトーチノズルの口径を小さくするとか、あるいは信頼性の問題とか、あるいはEGRを改良するとかいろいろ問題がある、それからロータリーについても成層燃焼型に変えていかなければ、壁を突破することは不可能である、いわんや在来エンジン型でサーマルリアクター等でやる方法では〇・二五は不可能であろうと思います。したがいまして、いまのところ〇・二五のターゲットに近づき得るものは三つ、もう一回申しますと、一番可能性があるのはロータリーエンジンの改良型あるいはCVCCの改良型、それから熊谷エンジンというようなもの、あるいはツーサイクルエンジン、こういうものだと思います。
  264. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 〇・二五はいかないにしても、現時点でいま一番優秀なのは、そうするとロータリーエンジンですか、それともCVCCエンジンなのですか、在来型のエンジンに触媒方式をつけた方がいいんですか、それを簡単に言ってください。
  265. 春日斉

    ○春日政府委員 全く試作車の段階で申し上げますと、CVCCは〇・二五を達成した試作車がございます。ロータリーにつきましても、それに近いものはできると思います。あるいは還元触媒でも、そのくらいのものは試作車にに関する限り可能であろうと思いますが、CVCCは私も乗ったことがございますので、乗ったという意味ではCVCCの改良型というものもすでにできておるということであります。
  266. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 環境庁では、あなたのところ御自身で、また通産省でも結構です。運輸省でも結構ですが、これらの車をテストをなさったものがあるんですか。
  267. 春日斉

    ○春日政府委員 環境庁自身はみずからテストするわけではございませんので、そういうことはございません。ただし、運輸省あるいは通産省はどうでしょうか。
  268. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、これらの車について公式に特にテストはいたしておりません。
  269. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  運輸省としましては、五十年規制に適合している先行車の審査とか、こういうすでに世の中へ出す車についての審査はいたしておりますが、先生御質問の試作車で開発段階のものが性能がどうだという評価については、現在のところやっておりません。
  270. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 CVCCエンジンの本田のシビックはもう相当売り出されておりますね。環境庁長官、もうこれらの車が低公害車として売り出されております。それからトヨタ自動車でもCVCCエンジンを載せた車が売り出されております。名前は「複合渦流方式エンジン塔載車新登場」、「五十年排ガス規制をクリア」したと書いてある。これを見るとこういうふうにみんな自動車がこれだと思ったら、そうじゃないんですね。これは在来型のエンジン。全く過大広告です。私たちはこれを見たときに、速報として載っているのを見たから、いよいよクリアしたのだと思って、トヨタのコロナ、こういうのを調べたら、これは在来型エンジンだ。一体日本の政府は、アメリカ環境保護庁とかまたはアカデミーのように、権威のある、責任のある検査をどこでやるのですか。業界の資料だけいただいてきて、排ガス規制という国家的見地、国民の大切な健康と生命を守るあなたの方でお出しなされた規制を後退しなければならない。しかも環境庁ではテストしない。日本ではしないけれども、アメリカの環境庁保護局ではやっている。いつもこの問題になると、正式なデータは業界のデータしかないわけだ。業界の人たちもそのことについては、いいものができればこれはやると言っているのです。一社が開発をすればそれを全部使うと言っている。そして五十一年規制に間に合わせようとしていた。ところが、いろいろな条件があったでしょう。そのために後退に次ぐ後退をした。大臣、触媒方式の問題にしてもそうですか、アメリカから硫酸ミストが出ると言われるとつけない。このままでいったら、在来型の車は全部同じようにまき散らしていくわけですね。暫定値さえも到達しないということになりますな。一体どうやったらCVCCエンジンやロータリーエンジンにかわるべき在来車に、できるのか、そのテストもどこも行わない、こういう検査体制では明快に国民にこたえられないのじゃないかと思うのですが、大臣としていかがでございましょうか。
  271. 小沢辰男

    小沢国務大臣 検査は運輸省で十分やるわけでございます。これは五十年規制車の新型車は四月から始まる、継続生産車は十二月からということになっているわけですから、その時点においては、必ずその何ヵ月か前に検査を十分やります。それからさらに、平均値を確保するための抜き取り検査もやるわけでございますから、したがって、十分検査を経た車が、五十年規制の新型車については四月から出るし、それから継続生産車については十二月からそれが出ていくわけでございますので、その点はきちんと検査をして出すということになっておるわけで、五十一年規制車は、新型車が五十一年の四月から始まりますし、あるいは継続生産車は五十二年の三月一日から始まる。それは全部検査をきちっとしまして、また平均値も確保されるような抜き取り検査を運輸省において必ずするわけでございますから、その点は間違いないわけでございます。
  272. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それじゃ運輸省にお尋ねしますが、五十年排ガス規制をクリアしたと言われております「予防安全コロナ」、「複合渦流方式エンジン塔載車新登場」、この検査のデータを出してください。
  273. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  先生御指摘のトヨタのいわゆるCVCCエンジンにつきましては、先般私どもの交通安全公害研究所におきまして審査をいたしまして、その数字については五十年基準に適合しておる、クリアするものが出ております。そのデータは後ほど御報告申し上げたいと思っております。
  274. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま売り出されているのは、現在までに月産どのくらいあるのですか。
  275. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  月産数百台だと聞いております。
  276. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはもう売り出されているわけですね。売り出されているということは、もうあなたの方ではこれは万全だという体制で数百台売り出されたということなんですけれども、大臣、環境庁の方でこのことで御了解しておりますか。
  277. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私の方は、検査の問題は全部運輸省にお任せしておりまして、基準を決めましたものを、運輸省の検査で適合するかどうかをきちんと検査をして、合格するものだけ出す。御承知のとおり許容限度がありますので、生産された車の中でその許容限度を超えたものは落第生になって、これは許さないわけでございます。
  278. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、本田それから東洋工業を抜いた日産、トヨタにおいては全部この複合渦流方式エンジンでいくのか、それとも触媒方式をとってつけていくのか、この辺のところはどうなんでしょうか。
  279. 春日斉

    ○春日政府委員 日産、トヨタでございますが、確かにロータリー及びCVCCあるいはトヨタの場合はCVCCに類した新トヨタ燃焼方式というようなものもございますが、そのほか先ほど言いましたように、在来型エンジンにEGRプラス・サーマルリアクターというかっこうで、五十年度規制値をクリアするものもあるわけでございます。それからまた酸化触媒車ももちろん出るわけでございます。  なお、先ほど申し忘れましたが、日本の酸化触媒の問題でございますが、ガソリン中の硫黄分というものが、アメリカの場合に比べまして日本はかなり低うございます。私どもの四十八年度の調査によりましても、その点は硫酸ミストの問題は余り心配ないのではないか。もちろんこれはフォローアップして今後も検討しなければなりません。
  280. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはどちらでも結構ですが、排ガス防除機械メーカーの資料は提出させたことがありますか。それから聴聞会を開きましたか。その技術の評価をきちんとしているかどうか。  このことは環境庁長官、非常に重大なことでございまして、排ガス規制の暫定値について、トヨタ、日産などがこの排ガス規制装置の優秀なもののデータを隠しておるという事実があって、昨年の六月十八日、当時の三木環境庁長官がメーカー側の話を聞いただけで、五十一年度規制NOx〇・二五グラムの完全実施を断念しておりますが、ちょうどそのころ環境庁は排気ガスの防除機械メーカーに対する聴聞会を開くことを決定したと聞いております。六月ですから、もう約十ヵ月以上たっておりますが、この排気ガスの減少装置、アメリカで問題になっておりますが、日本ではまだつけておりませんね。これは日本ではつけているんですか。つけてないのでしょう。
  281. 春日斉

    ○春日政府委員 アメリカでつけて日本でつけていないものと申しますものは、私、ちょっとわかりかねるわけでございます。現在のところ、私はアメリカの技術より日本の技術の方がはるかに進んでおると考えております。
  282. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が言っているのは、アメリカの輸出車に対して、最も環境基準の厳しいカリフォルニア法規に合わせるために、日産、トヨタの輸出車にその減少装置をつける。でないと輸出ができないのですよ。だから、それをつけているから、今度は排気ガスの問題で二次公害が出るということでアメリカに指摘されたわけですね。そうじゃないのですか。
  283. 春日斉

    ○春日政府委員 日産、トヨタがカリフォルニア基準に合致させるためにAIR、EGR、サーマルリアクターをつける。これはもちろん五十年度規制ではそれをやらなければいかぬわけですね。サーマルリアクターのかわりに酸化触媒をつけることもございます。それから酸化触媒は日本の日産、トヨタの車が酸化触媒をつけたがために、EPAがそのような勧告をしたわけではございませんで、これはアメリカ全体の主流が、酸化触媒でいわゆる五十年度規制をクリアしようという主流であったので、そういうことが起きたわけでございます。
  284. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、アメリカで問題になった日本車の問題は、日本の車にはつけるとかつけないとかという減少装置はこれは関係ないのですか。在来の車はそのままのそういった装置をつけないで走るのですか。いまおっしゃいました三つありますね。それが問題になっているのでしょう。それが一つ。  それから大臣、先ほど申しました三木環境庁長官のメーカー側の話のところの防除機器メーカーに対する聴聞会、これは一体どうなったんですか。これは大臣に最初にお聞きしておきます。
  285. 小沢辰男

    小沢国務大臣 そういう話は私、事務当局もずっとそのころからいまの局長自動車公害課長は一緒でございますけれども、そういう話は聞いておりません。  ただ、先生に私ちょっと申し上げておきますが、先ほど環境庁が検査をするかあるいは技術のそういうチェックをしないのかというお尋ねがございましたので、ちょっとつけ加えて申し上げますと、私どもは今度三木総理の御指示もありまして、三木総理は専門委員というしかつめらしく手続をとった委員でなくていいから、おまえの、私のですな、何か私的な諮問機関でもいいから、早く今月中にでもりっぱな自動車専門家を集めて、その方々にメーカーの技術開発の状況をチェックを常にするような何か方途を考えろ、こういう御指示がございまして、私どもこれが別個の私的懇談会みたいなものがいいのか、そういうような形で果たしてメーカーが、この技術開発の状況をチェックするに足る資料の提供なり、そういう言うことを聞くかどうかという点も考えまして、やはり専門委員会委員拡充強化、人数をふやしまして、その中で技術開発の状況をチェックする小委員会を設けて、そしてその方々が環境庁の正式な発令を受けた専門委員としての立場で、そういうチェックをやった方がいいんじゃないかなと思ったり、いまどちらにするか、もう一遍総理とも相談をして、いずれにしても三月中にこれは何とか人選を終えたいという気持ちでいま準備中でございます。そういたしますと、先生がさっき言われました環境庁自身が、検査は運輸省でやりますけれども環境庁自身がメーカーのそういういろいろな段階の技術開発の状況をチェックしていくことができる、こういうように考えておることだけ、念のため申し上げておきたいと思います。
  286. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおりアメリカのカリフォルニア基準と申しますのは、日本の五十年度規制より緩いのでございます。したがって日本の五十年度規制をCVCCやロータリーエンジン以外で達成しようとすれば、当然EGRもサーマルリアクターも触媒も必要になる。したがってそういうものをつけないで日本を走る車が、それはできれば結構ですが、そういうものは現状ではできない、こういうことでございます。
  287. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで、さっきから私が言っていることは、そういった触媒の減少装置をこうやって三つつけるわけですね。これでもってアメリカのガソリンが硫黄分が多いからミストが出るとか、いろいろな欠点が出たことを通告されてきたのですが、日本ではこれをつけなくちゃ五十年規制にはできないわけです。そういたしますと、私がいまお聞きしているのは、そういった機器メーカーの聴聞会なりそういうものを設けるというお約束はなかったのか、そしてそれらの性能のデータというものを公表できるのかということを、私は三木さんがお約束をしたやに聞いておるから、環境庁としてはどうなのかと聞いているわけです。
  288. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおり個々の触媒メーカーなり、あるいはサーマルリアクターのメーカーなり、いろいろ確かに下請としてございますけけれども自動車自動車メーカーがそれをつけまして効率あるいは効果等を総合的に判断するわけです。したがいまして、私ども自動車メーカーの聴聞の際、そういった個々のサーマルリアクターなりあるいはEGRなりあるいは触媒なりについてヒヤリングをいたしておるつもりでございますので、それぞれ単独の部品メーカーを呼ぶということは考えていないわけでございます。
  289. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 単独のメーカーでなくて、そういう防除装置の機器メーカーを集めて、どれくらいのものができているんだということをデータをとって、それらの人たちからいろいろなことを聞くということを、この新聞では報道されているのですが、そういたしますと、この報道はインチキになるわけですけれども、これははっきり環境庁長官がこういった規制をやっていくというが、じゃこれは全然でたらめなんですか。
  290. 春日斉

    ○春日政府委員 私は決して新聞の記事はインチキだとか何だとか申し上げるつもりはございませんが、私どもの真の意図は、そういう計画はなかったということでございます。
  291. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、三木長官がみずから言っていることを報道されているんです。だから、私は三木さんからここで聞いていないから、いま局長が違うと言われればこれは水かけ論になってしまうのでございますが、やはりそういった一つの説得力というものが欠けているところに、いろいろと問題になっているわけです。  そういたしますと、重ねてお尋ねいたしますが、新しいロータリーエンジンやCVCCエンジンを使用しない在来型車については、ここにある、いまあなたが申された三つの装置をつけて、これからやるということは間違いないんですね。これは大臣にお願いしたいんです。
  292. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私が一つだけ申し上げておきたいのは、あるいはその六月二十一日の新聞報道が事実であるかどうかという点、総理にもまたお伺いしてみますけれども、現実にそういう聴聞会なんかをやるようなことはしておられなかったわけでございます。ただ恐らく、そのかわりと言ってはあれですが、先ほど局長が言いましたように、自動車はただその機器の開発だけをやっているメーカーが問題ではなくて、むしろ装置をつけて総合的にエンジンを改良したり、あるいはエンジンの製作を全部やるのは自動車会社ですから、この中公審の方の専門委員会でも、また環境庁独自にでも、各自動車会社を呼びまして、そういう状況は全部資料として出してもらって、いろいろ討議をやっておるわけなんです。  ただ、反省をいたしておりますのは、四十七年の十月にあの〇・二五という理想の旗を掲げましたね。五十一年には何とかそういうふうにしたいという願望をあそこに告示であらわしたわけなんですが、その後今日まで、各自動車メーカーの技術開発の状況というものをチェックをしていくだけのことについて、これが体制をとるいろいろな点について、まだ足りない点があったのではないかという反省をしまして、これからはとりあえず暫定措置を〇・六と〇・八五に五十一年規制ではしたけれども、できたらそれを五十三年には理想の〇・二五まで持っていきたいから、したがって、今後は中公審においても、環境庁においても、この技術開発の状況というものをチェックをしていくように、ひとつやろうじゃないか、またしなさいという答申が出た。そこで三木総理から、私どもと相談をしまして、いま言う専門委員会の体制を強化して、そういうことをやっていこうということですから、先生新聞記事をもとにして、そういうものをはっきり当時の三木長官が言っておるということについて、明確なお答えができなくて申しわけないのですけれども、ちょうどそれと関連した意味で、いま言った体制づくりをやって、今後はそういうことに努力していくということで御了解願って、あとは技術的にひとつお聞き取り願いたいと思います。
  293. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がありませんから、大臣に一つだけ。そうしますと、業界がいま競争して開発している。そこにはでこぼこがありますね。いいのもある、悪いのもある。一社でも近づいて、それが到達したときには、他のメーカーにそれに追随をさせるように業界では考えているのか、またそういうことができるのか。たとえばロータリーエンジンがよかった、本田のCVCCが開発されてよくなった。だけれども、たとえばトヨタ、日産がおくれたとする。そうするとこのエンジンが〇・二五の壁を破ったから、これを使いなさいということは、そういった競争の中で、業界でできるものなのかどうか。それから政府としてはそういうことを指導できるのかどうか。これは大臣一番大事なことですからお聞きしたいと思います。
  294. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は一社の技術を全部公開されて、他社が使い得るかどうかということについては、これは通産省の行政指導ですから、環境庁長官が云々すべきことではないと思うのです。しかし〇・二五という車を、いろいろな生産のばらつきがあっても、平均値で確実にカバーできる、そしてしかも安全性や他のものも十分心配がないというような車がどこかでできた場合に、しかもそれが実用化するような大量生産体制に入り得るような状況になった場合に、環境庁としてはそういう車に走っていただく方が、大気汚染の観点から見、人間の健康の保持から見まして、最もいいことでございますので、それはぜひひとつ他にも公開もしていただき、他のメーカーもこれをひとつ採用してもらいたい、国民の健康のためにぜひそういうふうにしてもらいたいと思います。  また今度われわれが基準をさらに強化する場合でも、そういうはっきりと現実的な可能性があるのに、基準を他のメーカーがどうも余りできそうもないから延ばすというような態度はとりたくない、かように考えます。
  295. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 通産省
  296. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、自動車メーカーのエンジンあるいは車種等は、それぞれの会社によりましてそれぞれ特色がございまして、先ほども御説明がございましたように、いろいろな対策技術を、それぞれのエンジンなり車種に応じて使っていくということになっているわけでございますので、一つの方式が対策技術上非常に有効な方式であるということは確かにあるわけでございますが、たとえばそれをすべてのエンジンに使うというようなことは、それぞれのエンジンの特性なりあるいは車種によって違っておりますので、一概にはいかないと思いますけれども、現在業界におきましてはNOxの対策技術につきましてのいろいろな特許あるいは技術開発した結果等につきましては、これを相互に利用し合うという体制ができておるというふうに聞いております。御指摘のございましたCVCCにつきましても、開発しましたメーカーのものを、先ほど御指摘のございましたトヨタはそれを購入しまして、エンジンの改造をするということになっているわけでございます。
  297. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで、いま低公害車と俗に言われている車は、どこなんですか、運輸省。
  298. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  五十年基準を現在時点においてクリアいたしております車といたしましては、東洋工業の生産しておりますリアクターをロータリーエンジンとかあるいはレシプロエンジンに取りつけたもの、それから三菱自動車においてつくりましたレシプロエンジンにリアクターをつけたもの、それから本田自動車におきますトーチ点火方式によるもの、それから先ほどお話のございましたトヨタにおきますトーチ点火方式によるもの、これらが五十年規制をクリアしておるものでございますが、今後五十年規制につきましては、新型車は五十年四月から、継続生産車については五十年十二月からということで、継続生産車についても低公害車を出すべく、いま準備が進んでおるという状況でございます。
  299. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 重ねてお尋ねいたしますが、日産はどういう低公害車を出すのですか。
  300. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  日産車におきましても在来型のエンジンに触媒をつける方法でございますとか、あるいはトーチ点火方式によるもの、またロータリーエンジンにリアクターをつけたもの、まあ相当エンジンの特性と車両の構造に適合した、基準値の満足しやすい、しかもその安全性、耐久性が十分確保されるもの、こういうものが出される予定であると聞いております。
  301. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで低公害車に対する税金の問題でございますが、自動車取得税、保有税、それから物品税、これらのかかる対象になっている車はどこの車ですか。
  302. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 五十年度からでございますが、低公害車の早期普及と、それから促進をはかるために、物品税と自動車取得税につきましては軽減措置を講ずるという予定でございます。その対象でございますが、いろいろ聞きますところによりますと、五十年度におきましては十五万台ほどの車が出てくる、こういうふうに聞いております。
  303. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大事なことなんですが、低公害車で政府が減税の対象にするということは、それだけ五十年規制に対してクリアしたという証拠であるのですから、この問題についてはどこの車がそれになっているか。これが私が一番聞きたいところなんです。通産省でも、運輸省でも、環境庁でも、大蔵省でも、自治省でも、おわかりになっているところで結構でございます。
  304. 春日斉

    ○春日政府委員 先ほど大蔵省の方でお答えになりました五十年度税制によりますインセンティブでございますが、これは五十年度中に五十一年度車、五十一年度規制を合格したものが出た場合にインセンティブを与えるということでございまして、現在のところ、可能性のあるものは幾つかございますが、まだ出ていないのではないかと思いますが、この点は大蔵省に。
  305. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 五十一年度規制を充足する車というものは現時点におきましてはまだ出ていないと聞いております。
  306. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、五十年規制をクリアして五十一年度からのやつは全然ないのですか。いまごろそんなことを言っていたんじゃ、十五万台の車ができるのですか。いま五十年ですから。
  307. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 私がお答え申しました数字というのは、五十一年度規制の対象になる車でございます。
  308. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、五十一年から〇・二五というのはできないんでしょう。結局五十三年に後退したんでしょう。できれば文句ない、だれもこんな議論をしないんですよ。私はきょうはもう、この前うんとやっちゃったからエネルギーも半減しちゃっているんだ。皆さんは知っているんですよ、私とやり合ったことを。これは分科会でやったのです。もうアメリカのカリフォルニアのデータからいろいろ出して、〇・六になるとかということも議論したのです。だからあなたに言われなくても私よく知っているんですよ。だからいまのCVCCエンジンや、いま言ったコロナの複合渦流方式エンジン塔載車も「五十年排ガス規制をクリア」したと、書いてあるのです。そしてこれが減税の対象になるんだろうと私たちは理解しているから、十五万台の新車が出るのだから、一体どこの車がそれに合格するのか。それによって国民は低公害車に切りかえていくわけでしょう。だから各メーカーが必死になっているわけです。ところが、いま触媒方式ではアメリカでいろいろなけちがついてきた。だから一体、在来エンジンに触媒方式をつけて、いまこちらの局長さんがおっしゃったように、いろいろとエンジンの調整を図って、出てくる排気ガスを規制するという装置がもう一つ新しく開発されたレシプロエンジンまあロータリーエンジンとかいろいろありますが、いまその二つが競争しているわけでしょう。だから、いずれにしてもそれが五十一年度の後退した暫定値を合格して、それが低公害車と俗に言われているんだ、まだ本当は低公害車の基準までいかないけれども。暫定値でもそれを低公害車という名目にして、それに対して国が何らかの援助を与える、免税、減税の対象にするのは、一体どこの車なのか。
  309. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 会社で申し上げますと、ホンダと東洋工業と、それから三菱でございます。
  310. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、これは局長さんの方が非常に技術的にお詳しいのですが、先ほど私が申し上げました減少装置をつけて在来型エンジンをトヨタと日産が売り出してくる。大体暫定値に近づいたものを出さなければならなくなりますね、五十一年規制に合わせるように。そうすると、それに合わせればやはり低公害車と言えるのですか。それとも、アメリカでいろいろけちのついた二次公害という問題は、日本とは状態が違うんだ、ガソリンの問題も違うし、またいろいろな方法で違うんだと、日本は関係なくこれを許可して、NOx対策というものを講じていくためにはやらせるんだ、そしてそれに合格すればいま言ったような減免措置を講ずるようにするのかどうか。その辺のところ、私よくわかりませんが、説明してください。
  311. 春日斉

    ○春日政府委員 五十年税制が御審議の最中でございますが、もし通るという仮定で、それでインセンティブを受けるのは五十一年度規制値合格車であって、四月一日から始まるところの五十年度規制をクリアしたといって大いばりすることは何もないので、これはインセンティブの恩典を受けないわけでございます。  それから触媒の問題でございますが、たとえば三菱の、全部ではないと思いますけれども、触媒をつけませんでサーマルリアクターで処理する方法、これもあるわけでございます。それから酸化触媒の問題については、先ほども申したように、日本におきましてはアメリカとはガソリンの組成が違うというようなことから、私どもは、フォローアップはしてまいりますけれども、それほど硫酸ミストの問題は心配ないのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  312. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 小川委員にちょっと御注意申し上げますが、時間が経過しておりますから、結論をつけてください。
  313. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、これで終わらしていただきます。最後に総合的に聞いてやめますが、運輸省、自動車を検査する側ですから、これからの体制の問題です。  私はこの前もいろいろな点火装置のことで議論しましたが、いま言ったような五十年規制、五十一年規制の問題、いろいろありますが、この検査体制の整備計画、こういうものをひとつ至急出していただかないと、メーカーも真剣になっておりますから、それはきちっとしたものを出しているでしょうけれども、権威あるものとして私は何回も何回も要求しているわけです。きょうは非常に時間もありませんから、これで終わりますが、そういう点をまず体制を整えられて、そしてどこからいっても五十一年規制に対して減免措置を講ずる。いま五十年度予算を審議している段階ですが、私どもの地方行政委員会の方でも地方税として審議中なんです。でありますから、そういうことは完璧になっていかないと非常に疑問を生じてまいります。その点をまずお聞かせいただきまして、不本意でございますが、時間がありませんので質問を終わらせていただきます。
  314. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  低公害車の審査につきましては、私どもの交通安全公害研究所の自動車審査部において実施することにいたしておりまして、現在、乗用車を測定できるセットが一セットでございましたものを二セットに増強いたしまして、また審査要員につきましても逐年増強に努めてきておりまして、五十年度におきまして、五十年規制の車及び五十一年の基準に適合して五十年に審査を受ける車、これらに対します審査体制というものは、一応五十年度予算が認められれば体制ができ、十分やっていけるという状況にございます。  あわせまして、五十一年規制に対しましては、今後とも必要な施設とか要員の増強をいたしまして、審査体制が不備で規制が円滑にできないということがないように努力を進めていく所存でございます。
  315. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 終わります。
  316. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次回は、来たる十八日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会