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1975-06-25 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十五日(水曜日)     午後一時十八分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 野中 英二君    理事 勝澤 芳雄君 理事 野坂 浩賢君    理事 平田 藤吉君       加藤 六月君    佐藤 守良君       野田  毅君    井上  泉君       紺野与次郎君    沖本 泰幸君       小濱 新次君    渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁交通局長 勝田 俊男君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    北山 直樹君         内閣総理大臣官         房参事官    三浦 楫夫君         青少年対策本部         参事官     五十嵐 康君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中 哲男君         文部省体育局学         校保健課長   倉地 克次君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巌君         建設省都市局技         術参事官    高橋  力君         建設省河川局治         水課長     本間 俊朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 総理府の方に最初お尋ねをいたします。  去年の五月この交特の委員会で私もお尋ねをしたのでありますけれども、今日、交通事故は減少しつつありますが、裁判なりあるいは賠償等の問題について、被害者の方はその決定が遅い、こういうことから、できるだけ早くその結論を得たい、こういう動きもあります。したがって、二月に交通裁定委員会ですか、そのものができ上がったということであります。その交通委員会から交通事故裁定センターというものが申請されておるということでありますが、この裁定委員会から裁定センターとして申請があった経緯はどのようなものであるか、まず伺っておきたいと思います。
  4. 三浦楫夫

    三浦説明員 お答えいたします。  交通事故裁定委員会は、任意団体といたしまして被害者利益の公正な保護を図るため、交通事故に関する紛争の適正かつ迅速な処理を行う目的を持ちまして、社団法人日本損害保険協会出資により四十九年二月設立されたものでございます。委員長には加藤東大総長が就任し、東京に事務所を置いておるわけでございます。今般本来の業務のほかに交通事故調査業務を加え、被害者救済活動をさらに全国的に推進するため、には、法人格を取得し、交通事故紛争処理に貢献するということで、財団法人交通事故裁定センターとして認可申請が行われたものでございます。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 いままでの裁定センターというのは、保険業務に関する相談あっせん、こういうことになっておったわけですね。今度裁定センターということの申請の中身は、保険という項目を取っておりますが、それはどういうわけですか。
  6. 三浦楫夫

    三浦説明員 今回そのような名称を取りました理由は、いわゆる公益法人として、交通事故一般被害救済ということを目的として全国的に業務を行いたいという趣旨でございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 いままでよりも非常に業務量は大きくなってくるわけですが、その資産あるいは運営費、そういうものの内容についてはどのようになっているわけですか。
  8. 三浦楫夫

    三浦説明員 お答えいたします。  基本財産といたしましては、出資金といたしまして三千万円を計画いたしております。運営費といたしましては、五十年度におきましては一億六千九百八十三万二千円を予定いたしてございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 その基本財産三千万と一億六千九百八十三万円というものは、どこから出てくるのですか。
  10. 三浦楫夫

    三浦説明員 お答えいたします。  基本財産三千万のうち、二千八百万は損保協会の方からでございます。残りの二百万につきましては全国共済農業協同組合連合会を予定いたしてございます。五十年度の一億六千九百八十三万二千円の内訳につきましては、一億五千七百四十万七千円につきましては損害保険協会から予定いたしてございます。残りの一千百万につきましては全国共済農業協同組合連合会から予定してございます。そのほか財産収入といたしまして百四十二万五千円ほど予定いたしてございます。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 基本財産運営費も、損保協会全共連のまる抱えということでございますか。政府はこれに対してはどういう立場に立ちますか。
  12. 三浦楫夫

    三浦説明員 政府といたしましては、公益法人として認可されました場合におきましては、これらの基本財産を運用して当法人目的である被害者救済利益の公正な保全という活動が全うされますように指導いたしてまいりたいと考えております。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 それは、話は一応わかりますが、被害者救済を図るのですね。それから利益の公正な保全をするのですね。だから被害者立場にすべては立つ。そうすると、保険業界がまる抱えですから、保険業界資本をすべて投入するわけですから、公正妥当といってもこの裁定委員会というものは、出資者がどうしてもそういうことでありますから、お説のようになるだろうかという疑念がありますね。そういうはずだ、しかしわれわれ一般から見れば、平たく言って、言葉は悪いのですが、ひもつきになるのではないかというきらいがあるではないかというのが一般的に考えられるではなかろうかと思いますが、そういうことがないというきちんとしたものはどこにありますか。どういうことでそういうことはないと言い得ますか。
  14. 三浦楫夫

    三浦説明員 裁定センターの行います交通事故に関します法律相談、あるいは紛争和解あっせん等の高度の知識と公正な判断の要する事項につきましては、裁定委員会に所属いたします弁護士先生の、法律専門家としての適正な判断をもとに行う計画となっております。  さらに、センター自体のメンバー、定款その他のことにつきましても、先生の御指摘のような事態の起こらないよう、現在慎重に審査いたしている段階でございます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 いま審査をしておるということですが、結論はいつごろを考えておるのですか。
  16. 三浦楫夫

    三浦説明員 先生のおっしゃったような疑念等、あるいは日弁連等の方からもいろいろな御意見が出ておりますので、これらの意見を勘案し、関係方面相談をいたしまして、七月をめどに結を出すべく検討いたしてございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 もうすぐですね。  そうすると、大蔵省にちょっと聞きますが、去年の五月十六日私が聞いたときは、巣山さんという人ですね、いま田中さんですが、巣山さんという人が答えているのです。この交通裁定委員会ですが、これはいろいろ弁護士会からのアドバイスその他を受けまして設立をされて、今後もそのようにするということが言われておりますが、弁護士会十分相談をされましたか。いろいろと意見を聞かれましたか。
  18. 三浦楫夫

    三浦説明員 弁護士会の方からも御意見を承っておりまして、現在協議中でございます。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 弁護士会のどなたに相談をし、正式にどういう意見の交換を行いましたか。
  20. 三浦楫夫

    三浦説明員 日弁連事務総長その他の方がお見えになられまして、交通裁定センター内容等についてどんな内容であるかというようなお話、それから弁護士法との関係はどうなるかというようなお話申し入れがございまして、現在その点につきまして意見を伺っている段階でございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 あのね三浦さん、あなたのお話は、裁定センター設立申し入れがあれば、そういうわれわれから見てひもつきじゃないかというふうに見えるものだから、そういうことの歯どめをかけるために積極的に弁護士会等とも相談をしなければならぬと思うのですが、こういう立場に立って事務総長その他をお呼びになったというふうには理解ができぬのですね、いまの発言は。やったらどういうことになっておるかと聞きに来た、こういうことなんですが、その辺はどうなんですか。積極的にあなた方が公正妥当なものにするために、意見を聞くために呼んで来ていただくというのか、押しかけてきたのだから説明したというのか、その辺が非常に違うのです、あなた方の姿勢が。
  22. 三浦楫夫

    三浦説明員 ちょっと答弁に正確を欠きましたので、訂正いたします。  日弁連の方からおいでになったのは事実でございますが、認可に際しましては弁護士法曹等所管官庁である法務省等関係省庁と事前に十分協議をいたしてございます。なおそのほか、先ほど申し上げました日弁連等代表の方とも御相談申し上げている、こういう段階でございます。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 相談をしている。相談をして、この審議を進めつつあるのに、日弁連からも、あるいは東京や大阪や大都市の弁護士会からも反対意見があるというのはどういうわけですか。
  24. 三浦楫夫

    三浦説明員 弁護士会等から弁護士法等関係について反対というよりは問題点指摘されまして、それらの点について現在詰めているという段階でございます。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 そうじゃないですよ。要請じゃなくて、こういうことが書いてありますよ。たとえば福岡だけを読んでみますと、「事故裁定センター設立に関し、当会は別紙のとおり反対決議を致しましたので、決議書記載反対趣意を御配慮のうえ」云々と、みんなこういうふうに書いてありますよ。あなた、話し合いをしておるのにそんなことも知らぬのですか。
  26. 三浦楫夫

    三浦説明員 日弁連としては反対であるという結論的な御意見は聞いておりません。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 いま三浦さんにいろいろお尋ねをしておるわけですが、反対決議日弁連はしていないということですけれども、それぞれ大都会の弁護士会反対をしておる。しかも、一方では話し合いはしておるのだといいうのにこういう決議が出てくるというのは、私はよくわからぬのですね。のみ込めない。話し合いの途中で出てくる。話し合いが済んだ後ではなしに、十分意見を聞いて取り入れるとおっしゃっておるのに反対決議が出るというのがよくわからぬのです。話し合いをしておるのかどうか、本当のことを教えていただきたい。
  28. 北山直樹

    北山説明員 日弁連とは、先日要望書をいただきまして、その際に話し合いをいたしまして、なお、現在加藤東大総長代表設立者でございますけれども、外遊中でございますので、帰られて後、日弁連とさらに話し合いをしていただく、その席には私どもも参列したいというふうに考えております。  それから、決議をしたかどうかという問題でございますが、それはこの要望書が、私ども伝え聞くところによりますと日弁連理事会決定を経ていないというふうなことをちょっと聞いております。これについては、理事会がそういう決定をすればその要望書が有効になるのだ、そういうふうなことを聞いておりますが、はっきりまだ確かめたわけではございません。  以上でございます。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 私が聞いておりますのは、こういう事実関係があって、たとえば国民が期待をしておる被害者利益なりあるいはそういうふうな公正を確保するために必要なものは必要なものだ。しかし、資本がすべて損保協会全共連から出ておる。いわゆるまる抱えだ。言うなればひもつきだということになれば、裁定センターというものはどういうものかな、こういう疑念がわく。弁護士というのは、普通いわゆる被害者立場に、国民の側に立つ。そういうことになれば、この人たち意見も十分考えてやらなければ趣意に反するようなことになるではないか。積極的にあなた方は、こういう趣意が出たときには、そういう意見をお聞きになって、その裁定センターなら裁定センターの中にどうあるべきかということを入れるべきではないか。  最初三浦さんのお話、あなたのお話を聞いても、何か向こうから積極的に来て意見を述べてきたのだ、それまでは私の方は積極的にはやらなかった、こういうふうに聞こえるのです。そういうことではよくないではないかと私の方は言っておるのです。だから、なぜ要望があるまで積極的にそういう意見に耳をかさなかったのか、このことを聞いておきたい。  それと、このセンター法人化しなければならぬということでありますが、裁定委員会だけでは、いままでは保険だけだからそれはだめなんで、もっと大きくするのだ、こういうことで、その大きくすることは、事故対策センターとかあるいは安全運転センターとか、そういうものがございますが、それ以外に必要なんですか。趣旨はやはり和解あっせんじゃないですか。こういうことなんです。
  30. 北山直樹

    北山説明員 この件につきましては、現在申請書につきまして審議しておる最中でございますので、弁護士会初め各方面意見を十分聞いてみたいというふうに考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 大蔵省お尋ねをしますが、田中さんおいてですね。これについてはいまお話がありましたように保険業界から全部出されておる。このことは、公正を期すために一遍国の収入に入れて、国から出す、こういうことが望ましいではないかと思うのですが、その点はどういうお考えですか。
  32. 田中哲男

    田中説明員 保険会社から全部出す形になっておりますことは御指摘のとおりでございまして、財団法人になる前の現在の裁定委員会経費保険会社農協の方から出していただいております。この点につきましてあるいは御疑念を持たれるかもしれませんけれども、この出どころと申しますのは、保険会社あるいは農協一般的な意味での自分ふところから出ているのではございません。御承知のように、自賠責保険あるいは農協自賠責共済には運用益というものがございまして、これは保険料を受け取ってから支払いが生ずるまでにタイムラグがございますので、その間利息が発生するという形になるわけでございます。この利息は、御承知だと思いますが、本来は保険会社あるいは農協に帰属すべきものではないということで、政府が指導して全部別建てに積み立てさせております。  したがいまして、その運用益使用と申しますのは現在までいろいろございますが、交通事故防止のためのパトカーであるとか白バイであるとか、そういうものの寄付あるいは交通事故被害者のための救済という意味救急病院に対する寄付、そのようなことに使用目的が限られておるわけでございます。  今回、あるいはいままでの裁定委員会経費でも同じでございますが、このような運用益から出させておりますので、ここから出しましても保険会社はもともと完全に自分のものではないふところから出るということになりますので、先生が持っていらっしゃるような自分に有利になるというような懸念はないと言えるかと存じます。  またもう一つ、公平の点についてでございますけれども、現在の裁定委員会あっせんいたしておる場合にもいろいろ制度がございまして、被害者の方はあっせん案不満があればもちろん裁判その他の手段に訴えることができるわけでございます。これは当然の権利でございまして、そのままあるわけでございます。一方、保険会社の方につきましては自主的に保険会社の間及び農協で申し合わせをしまして、またそういうような方向に国も指導しているわけでございますが、裁定委員会あっせん案が出て被害者が満足しているならば保険会社及び農協は必ずそれに従うということにいたしているわけでございます。  したがいまして、被害者さえ満足されるならば無条件にその支払いがなされるわけでございまして、保険会社の方あるいは農協の方からそれは高過ぎるという不満を言うことはできないような形になっておりますので、その辺からも公正の確保ということは十分なされるのではないかと考えております。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 いままであった裁定委員会で、不満だということで裁判所に提起されたものはどのくらいあって、裁定委員会で出された案とそれから裁判所の案というものは、裁判所の方が低くなっておるのか高くなっておるのか。その件数内容をちょっとお話しをいただきたい。
  34. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  任意団体として去年の二月から交通事故裁定委員会として東京で発足したわけでございますが、去年の二月二十七日から本年の三月三十一日までに相談に来た件数は約九百九十件であります。この九百九十件のうち、私も非常に心配しましたのは、いわゆる示談つき保険というものが最近できてきておりますから、そうした保険会社との関係加害者ばかりからの相談があるのじゃないだろうかということを若干気にしたのですが、これは私も前から、もしこれをやられるなら公平に窓口を開かなければだめですよ、いわゆる普通の日弁連等がやっておる交通事故相談あるいはわれわれが所管しております各都道府県にあるような交通事故相談、こういったものと同じものでなければならない、そういうことをよく言っておったのですが、実績を見ますと、強制保険のみの加入者が二百八十二名、あるいは任意保険に入っている者が三百六十五名ということで、強制保険だけ入っておる者も相当おる。あるいは被害者の方が五百三十四件、加害者が百十五件ということで、被害者の方も厚いということでございます。もちろんこれは弁護士法との問題がございますから、法人示談あっせんということができるかどうかということはまた当然非常に問題がございますので、嘱託弁護士をして示談あっせん等を勧めたのですが、と同時に非常にむずかしくなれば、これは裁判所の方に提訴しなさいとかあるいはさらにそれを厚くするならばもっと別の弁護士さんに頼まれたらどうかというようないろいろなあっせん条件をやっておるわけです。  私の聞いた範囲では、ここで示談あっせんをしまして、されたけれども、被害者の方ではあっせんが非常に不満だということでもう一度裁判所の方に訴え直したという件数は、不勉強でまだ十分聞いておりません。そういうものが何件あるか、余りなかったように聞いておりますが、まだ聞いておりませんので、ちょっとお答えは保留させていただきたいと思います。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 大蔵省の方ではそういうことはつかんでおられましょうか。
  36. 田中哲男

    田中説明員 これは五十年三月三十一日までの累計でございますが、事案終結件数を申し上げます。  示談が成立したもの四十二件、裁定委員会に提出したもの八件、訴訟調停支払い命令または仮処分を勧めたもの六十一件、それから法律扶助協会弁護士会を紹介したもの十四件、相手方とさらに話し合いをすることを勧めたもの六十六件、保険会社とさらに話し合いをすることを勧めたもの二十九件、資料を整えるよう求めたもの三十八件、治療終了後または後遺症決定の上再来を求めたもの五十二件、賠償額の算定を行ったもの百九十三件、相手方に請求するよう手続を教示したもの四十一件、保険会社に請求するよう手続を教示したもの六十一件、政府保障機関に請求するよう手続を教示したもの三件、その他六十五件、以上のような数字でございます。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたのいまの裁判所の六十一件というのは、裁定委員会では不満として裁判の方に持ち込んだ、こういうことですか。
  38. 田中哲男

    田中説明員 その点につきましてはこれははっきりいたしておりませんが、たとえば保険が不十分の場合は保険会社が支払うということを言いましても当然加害者の方にかかっていくわけでございます。そのような場合に加害者の方で支払う意思がないとか、あるいは資力がないとかいうことになりますと訴訟になることになりますので、この場合はそういうすべての場合を含んでいる数字だと思います。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 私はいま数字を持ってきたつもりであったのですが、よくわかりませんが、裁定委員会不満として被害者裁判所にかけたものは裁定委員会で示された案よりもすべて上回っておりますね。大体二割程度は上回っておる。だからいま田中課長お話しになったように、利益を守り公正妥当なものであるということがなかなか全部言い得ないじゃないかということが言えると思うのです。  それと、今度この裁定センターというものができますと、大体これで決まるのだということで、どこに持っていったってしょうがないのだということになるおそれはないかということを心配するのですが、どうですか、交通安全対策室長は。
  40. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 先ほどの六十一件は訴訟調停支払い命令または仮処分を勧めたものとしておりますので、私が聞いた話では、これ以上は裁判問題だから訴訟に提起しなさいと勧めた件数だと聞いておりますが、あるいは先生のお調べの場合、不満として裁判に提起して示談額より多かったというようなのがあるかどうか知りません。しかし、もちろんこれは公正な立場でやらなければなりませんので、これを押しつけることがあってはなりませんし、もちろんあくまでも示談あっせんの問題ですから双方が納得して示談に入るわけですから、納得しなければこれは被害者の方が裁判に持ち込めばいい。その点は自由意思に任されておりますので、そう大きな問題はないと思います。  その公正さにつきましては、もし仮に私の方でこれを認可いたしますならば、たとえば役員組織等につきましてはそういう損保協会からの人は皆排除するなり公正さを担保するような方式も考えなければいけませんし、監督の方にもその公正さの担保については十分に配意しなければならぬ。これはもちろん認可した場合の問題でございます。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 運輸省も来ていただいておるのですね——この交通事故裁定センター、いままで交通事故対策センターですか、それから安全運転センターですか、そういうものはすべて運輸省が中心に進めておったのですが、いわゆる裁定センターについてはどういう考え方をお持ちですか。
  42. 宇津木巌

    宇津木説明員 交通事故被害者救済の問題、そしてまた弁護士法との関連、いろいろむずかしい問題もございますので、趣旨等、それからまた現実的な困難な点、いろいろの点につきまして関係省庁とも十分連絡してまいりたいと思っております。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 総理府としては関係省庁連絡をまだしていないのですか。
  44. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  これはいわゆる被害者救済ということが目的でございますので、各省庁関係ございますが、こと被害者救済を総括的に調整するのは総理府が妥当であろうということで、各省庁の了解を得まして、一応総理府で受けまして、こういう寄付行為、こういう設立趣意書要望されてきておるということを各関係省庁には連絡はしております。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 連絡だけで協議はしてないですね。
  46. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 この裁定センターというものをつくるのは、従来たとえば各都道府県に私の方の所管交通事故相談所もございますし、あるいは運輸省認可しました日弁連交通事故相談センターもあるわけです。いずれもこれこれの交通事故相談は非常に多数の人たち交通事故相談に応じております。ただこれが、相談に来られた方が物足らないのを感じておりますのは、そこでもう一歩示談あっせんまでやってもらえないだろうかということを、示談相談までやっていただけないだろうかという要望が非常に多いということを前々聞いておったわけですが、たまたま今度の裁定センターは多数の弁護士抱えまして、交通事故相談窓口で必要があるならば、その嘱託弁護士をしてその示談あっせんまでさせようというような考え方でもあるようでございますので、そういう点、その内容等あるいは寄付行為内容等をよく相談しなければならぬ。  しかもその多くは弁護士によらなければ、その本来の趣旨とすることはできませんわけですから、この話が持ってこられましたときに、私はまず第一に日弁連とよく相談してくださいよということを申し入れておるわけでございますが、日弁連からまだ十分な連絡がなかったようでございます。これは私も仲に入りまして、さらに日弁連との間をよく詰めていきたいというように考えております。そしてまたその段階におきましては、各省庁一応協議しておりますけれども、まず私どもの方でまだ詰めなければならぬ問題も残っておりますので、そういう問題も十分詰めた上で、さらに再度協議を進めてまいりたい。もちろん各省庁と一緒に協議をしてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 各省庁連絡というか報告はしておるけれども、協議はしていない、日弁連とも詰めていない、こういうふうに確認していいのですね。
  48. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 これは各省庁とは連絡かつこういうものが来ておりますという話し合い、いわゆる協議はしております。特に問題は法務省関係です。非常に教えてもらわなければならぬこともございますので、法務省との協議もしております。関係省庁の方では一応、そう異論もあるようではございませんでしたけれども、今回この弁護士会等と、まあ批判もございますし、私の方も特に弁護士法との関連で十分詰めなければいけませんので、各省庁とは一応事前の連絡協議をやりましたけれども、いまそういう問題が出ておりますので、特に日弁連の方の十分な協議を進めた結果、再度協議したい、このように思っております。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 宇津木さん、運輸省の方では、これから十分協議し審議したいと思っております。連絡をとりたいと思っておりますと、これからの問題を言っておられたですが、総理府の方は、いや審議はしておる、協議はしておるということですが、どうなんですか。本当に協議し、いつ、何月の何日に、どういう内容で何を審議したか、教えてください、はっきりしませんから。
  50. 宇津木巌

    宇津木説明員 お答えいたします。  ただいま総理府の方からの協議その他についてでございますが、日にちは正確に覚えておりませんが、たしか五月の中ごろから末にかけてかと思いますが、御協議をいただきまして、私の方でも六月の半ばにいろいろと意見を申し上げてはあります。先ほど私が協議をさらにやりたいということを申し上げまして、いままでやっていなかったように受け取られたわけですが、そういう趣旨で申し上げたのではございませんで、いろいろ新しい問題も起きているようでございますので、実施上の問題については今後も問題があれば協議は重ねたいということで、事前に御協議は受けまして、私の方も賛成をいたしております。事前の協議というのは十分やっております。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 この裁定センターで、できればいろいろと弁護士等を窓口に置いて、そういう万般遺漏のないようにしたいということですから——日弁連とは十分詰めていないとおっしゃったですね。福岡とかいろいろ反対決議がされておるわけですが、このままだったら日弁連訴訟でも持っていこうかというような話もちらほら聞くのですが、そういう場合でもあなた方は強行されるわけですか。それとも、十分話し合って、納得のいった上で実施するならする、こういうふうにお考えなんですか。
  52. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、もしこの事故裁定センターが発足しますならば、これのメリットは、やはり多くの弁護士を層厚く置きまして、無料で、相談に来た者の示談あっせんまで進めてあげようという、被害者救済の点にあるわけですから、弁護士会反対してこれに弁護士を出さないということになれば、この裁定センター本来の目的を達し得ないわけですから、私は、冒頭に申し上げましたとおり、やはり日弁連との話し合い——しかしこの発起人になっておられる方の大半がこれまた弁護士さんなんです。交通事故で相当有名な弁護士さんがおられるわけなんですね。そういう方も発起人になっておられるわけですから、これはやはり何らかの話し合いをしていただきまして、また日弁連の各支部の方からの批判につきましても若干誤解のある点もあるようにも思えますし、その点は私、日弁連にもよく話し、そして双方の仲に入って、できるならば円満に解決したいし、あくまでも日弁連の強い反対があった場合には、これの許可については十分慎重に考えなければならぬ、こう思います。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がございませんから結論を急ぎますが、いまお話がありましたように、基本財産あるいは運営費、そういうもの、そしてまた被害者要望しておる諸点、そして皆さんが言っておられました被害者利益の確保なり公正なる審決といいますか、そういうものを進めていく。そうして一方、弁護士会その他と緊密な連携がとれておるということは言えませんですね、今日の段階で。しかも七月ごろには結論を出したいと非常に急がれておる。こういう実態では後に悔いを残す可能性がある、こう思うのです。したがって、十分意思の疎通を行って、その後に結論を出してもらうようにしなければならぬ、こういうふうに思うのです。  そこで、委員に要望しておきますが、たとえば弁護士会あるいは発起人である加藤さん、こういう方々の意見あるいは保険会社等の意見等も十分聞いた上で結論を出していかなければならぬ。非常に重要でありかつ微妙であると思いますので、そういう意味で、それまではこの問題については結論を出してもらいたくない、出さないようにして、七月というように軽々にしてもらってはならぬ、こういうふうに私は思うのでありますが、委員長はそのように取り扱っていただきたいということをお願いする。そして総理府としてはいま言った趣旨で善処してもらいたいと思いますが、それぞれ御答弁いただきたいと思います。
  54. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 先ほど私の方の参事官から、七月中に結論を出したいと言ったようでございますが、これは発起人代表である加藤さんがたまたま洋行しておりまして、七月に帰ってきますので、それからそういう日弁連の方との話し合いも進めたいと思います。私は何も七月いっぱいにこだわる必要はございません。十分に話し合ってもらわなければならぬ、このように思っておりますので、認可はそう急ぐ必要はない、十分に慎重に双方の話し合いをしてもらう必要がある、そうでなければせっかくよきとされている目的が達せられないおそれもございますので、十分に慎重に詰めてもらいたいと思います。
  55. 下平正一

    下平委員長 ただいま野坂君の方から御要望がありましたので、この扱い方はいずれ後刻理事会相談をして結論を出すようにしたいと思いますが、この際、委員長としての見解も申し上げておきたいと思います。  交通事故は御承知のとおりだんだん減少の傾向は示しておりますけれども、しかし、まだ年間一万人以上の人が亡くなられておるし、六十五万人を超す負傷者が出ているというきわめて悲惨な現状になっております。こうした交通事故を受けられた方々の救済の手だてに関しましては、法的にも行政的にも社会的にもきわめて不十分な現状だと私は理解をいたしております。一日も早くこれに対応する法的、行政的対応策を立てて被害者救済してやるということが当面の急務ではないか、このように考えております。  そこで、これらの問題の詳細については理事会相談をいたしますが、とりあえず、この種の問題の扱い方については、まず第一に被害者立場に立った救済措置というものが完全に行われるということが大原則であって、そのためには、一つは被害者立場というものが十分守れるということが第一であります。  第二には、司法による救済というものはすべての国民に保障された権利でありまするから、この種の解決に当たってその権利が侵害されるような形はあくまで避けていかなければならないと思いますし、また、この種の機関については、あくまで主体的にも客観的にも中立性というものが確保されなければならないのではないか、こんなふうに考えております。  また、第三番目には、先ほど竹岡室長も言いましたけれども、弁護士の皆さん方との十分なる理解、協力ということが成果を上げるポイントの一つだと思いますので、この点も十分配慮をしなければならないと思います。  きょう一回の質問だけですべてが尽くされませんので、必要があれば質問の継続をしたいと思いますが、とりあえず、総理府なり運輸省なり大蔵省なりあるいは日弁連なり、関係の皆さん方が今日の現状というものを正しく理解をされて、被害者救済が完全に行われる、一日も早く救済の制度をつくり上げていく、そういう立場で建設的な意見を持ち出して十分御協議をしていただきたいことを希望しておきたいと思います。  関係当局の方には、いま竹岡室長が言いましたけれども、早急な結論を出すということよりも、成果が上がるために円満な理解を得るというところに重点を置いて、慎重な配慮を特にお願いをしたいと思います。その間に、必要とあるならば、当委員会野坂君の提案にありました加藤先生を初め関係者の皆さん方にお集まりをいただいて十分御意見を聞くことも考えられますが、とりあえず慎重な配慮を関係者にお願いをして委員長の見解にしておきたい、こう思います。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 委員長の見解どおりで結構でありますが、私たちもこの裁定センター設立趣旨なり申請書内容その他裁定センターに必要な一切の資料を早急に委員会に出していただきたいということを要望して私の質問を終わりますが、出していただけますね。
  57. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 提出いたします。
  58. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、きょうはこれで終わります。
  59. 下平正一

    下平委員長 次に、紺野与次郎君。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私は、大都市問題の一つである連続立体交差という問題をめぐって、まず最初に、連続立体交差の協定、二省間協定と言われるものがありますけれども、これはいつどのような目的でつくられたかということについて御質問をします。
  61. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 多少古いお話で恐縮でございますけれども、昭和三十九年に連続立体交差、これは鉄道の連続立体でございますが、これの費用に関する負担問題ということで国鉄と建設省との間に覚書ができまして、その覚書に基づきまして、原則といたしまして既設の鉄道部分については二分の一を鉄道側が負担をする、それか、線増等の  良工事を伴います場合にはその部分については全額を鉄道側が負担をするということになっておりました。その当時、私鉄につきましては別段そういった取り決めとか覚書というものはございませんで、ケース・バイ・ケースで、大体既設の鉄道線につきましては受益相当額を負担する、それから線増等の改良がある場合にはその部分について全額を負担するというふうなことで、連続立体交差に関する費用の負担が行われておりました。  ところが、昭和四十年ごろを契機といたしまして、その後全国的に都市改造あるいは都市の再開発とかそういうふうなことを目的といたしまして、全国の主要な都市におきまして鉄道の連続立体化の要望というものがほうはいとして高まってまいりました。ところが、あいにくと、国鉄におきましては御存じのように昭和三十九年ごろから非常に財政状態が悪化してまいりまして、先ほど申し上げましたような建設省と国鉄との間の覚書に基づく負担では、これらのたくさんの鉄道連続立体交差化の要望にこたえることができない、財政的に非常に苦しいというふうなことで、連続立体化ということの促進が非常に危ぶまれるというふうな状況になりました。そこで、これをそのままほっておくわけにはまいりませんので、運輸省あるいは建設省におきまして、連続立体化に関しましては、私鉄も含めまして新たな観点から費用の負担方法というようなものについてしっかりしたものを決めまして、連続立体化を促進しようではないかというふうなことで、昭和四十四年の九月でございますが、運輸、建設両次官の間で、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定というものが結ばれた、そういう次第でございます。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、いままでの実績ですね、この二省間協定によって、特に、国鉄というよりはむしろ私鉄ですが、私鉄でどれだけいままでつくられたかという点について、これは運輸省の方から聞きたいし、また、これに使われた国費、どれだけの負担が実際上行われたかということを聞きたいと思います。
  63. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 運建協定が結ばれまして、その後その協定に基づきまして私鉄として連続立体交差化が完成したというところは、まだございません。ただ、現在工事中のところは全国では会社の数で十社、それから件数で十五件、延長キロで五十二・四キロが現在工事中というふうなことに相なっております。
  64. 高橋力

    高橋(力)説明員 後段の御質問でございますが、運建協定が締結されて五年余経過いたしておりますが、四十九年度末現在、用地買収に着手したものも含めて十五カ所でございまして、これの全体事業費が千八百九億円、うち道路側の負担が千三百五十四億円、鉄道事業費負担が四百四十二億円、その他関連する事業の管理者が負担する分が十三億円となっております。道路側事業費のうち三分の二は国庫補助でございますが、これが九百三億円、残り三分の一は公共団体負担でございますが、四百五十二億円となっております。  なお、四十九年度末までの国庫の支出額は、二百八十一億円でございます。  なお、鉄道高架の事業といたしまして、目下鉄道事業者と協定協議中のものが四十九年度末現在におきまして十七カ所ございます。
  65. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私鉄の会社の方のあれはどのくらいになっていますか。国、自治体、それから会社側ですね。
  66. 高橋力

    高橋(力)説明員 十五カ所の会社名でございますか。
  67. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの説明で、国が九百三億、公共地方自治体の側が四百五十二億ですね。そうすると、私鉄の方の負担は幾らですか、これに見合う計算としては。
  68. 高橋力

    高橋(力)説明員 会社側の負担が四百四十二億円でございます。
  69. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それでもう一つ、具体的に、いま東京で工事中のところが、京王線の初台−笹塚、小田急で代々木八幡−東北沢、京浜急行で北品川−青物横丁、京成で立石−青砥付近というものが工事中と聞いておりますけれども、これに対する国側の支出はどれくらいになっていますか。
  70. 高橋力

    高橋(力)説明員 まず、京成電鉄でございますが、総事業費九十一億円に対して国の補助額が五十億でございます。京浜急行電鉄は、総事業費五、十一億に対して国が三十億、小田急電鉄は総事業費百十五億円に対しまして国が二十二億、京王帝都電鉄が総事業費二百五億円に対して国が九十四億円、合計総事業費四百六十二億円に対しまして国が百九十六億円、約四二・四%の比率となっております。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、実際に協定がつくられた四十四年という時期ですね、この時期のいわゆる時代的な背景というか、このことが必要とされた背景というものについて、われわれとしては、やはり高度経済成長政策ですね、これがまさに真っ盛りという状況にあって、モータリゼーションが非常に急速に上昇していた時代という時代背景があると思うのですが、これとその当時の都市改造が急速に問題化してきた。道路をどういうふうにつくるか、どういうふうに立体化するかというようなことが急激に問題になってきたと言っておりますけれども、その当時の背景が、そういった高度成長と自動車が急速に都市交通の中で大きな問題にもなり、渋滞とか交通事故が起こるとか、こういうことと関連して、大体これが最初は問題になってきていなかったかどうか、ちょっと聞きたいと思います。
  72. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 先生おっしゃるとおり、昭和四十四年当時におきましては、モータリゼーションの進展というものがまさにピークに近いような状態で、毎年非常に大幅に自動車の台数がふえてくるというふうな情勢でございまして、一方、鉄道の踏切におきます事故というものが自動車の増加に伴って非常にふえてくるというふうなことで、当時としては毎日全国のどこかで十件くらいの踏切事故が起こるというふうな情勢でございまして、また経済成長というものを背景にしまして、都市がそれぞれ従来の都市というものをさらに発展させるためには、都市そのものを改造していかなければいけないような要請が行われた時代であったかと思います。  そういうふうなことで、鉄道側としても踏切事故をなくす必要があるし、また道路側としても踏切による道路の渋滞をなくすと同時に、連続立体化することによって都市の発展に資するというふうな要望が強かった。そういう時代の背景のもとで、運建協定というものを早急に結んで連続立体化を促進しなければならないということが要請されたというふうに考えます。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは建設省の方からもその点について。
  74. 高橋力

    高橋(力)説明員 ただいま運輸省の方から御答弁ありましたと全く同じ事情でございますが、道路サイドからこの問題を見ました場合に、従来踏切の除却は道路側で単独に、個々にやってきたわけでございます。しかし、このやり方ではすべての踏切を除却するということが非常に困難でございます。そういうことで、この連続立体化という考え方が出てきたわけでございます。先生指摘のとおり、モータリゼーションの一番激しい時代でございまして、踏切における道路交通の渋滞を解消するということと、それから鉄道を連続的に立体化いたしまして、鉄道を含めた市街地の一体的な構成をしていくという二つの問題を踏まえまして、建設省といたしましてはこの連続立体交差事業の推進に踏み切った次第でございます。  なお、現在施行中の十五カ所の区間につきましても、踏切除却される数は二百九カ所ございまして、実に四百メートルに一カ所という割合になっております。これを一カ所ずつ除却していくのは、技術的にも非常に困難であるというふうに考えております。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 まさにそういうモータリゼーションとも関連があり、また大量の大都市における運輸機関、この問題と絡んで出てきたわけでありますけれども、これがどんなに猛烈なものであったかということをひとつ数字で申しますと、自動車の保有台数、これが一九六〇年、昭和三十五年には二百八十九万台、それから六五年、昭和四十年には六百九十八万台、この協定がつくられたときの一九六九年、昭和四十四年には千四百二万台です。四十年の二倍になっております。それから一九七〇年、昭和四十五年には千六百五十二万台、一九七二年、昭和四十七年には二千百二十二万台、そして一九七四年、去年の年末の数字では二千五百九十六万台というふうになっておりますから、自動車の保有台数及び生産が急上昇しておったというようなことで、踏切を何とか連続立体化するという点でこういうものが出てきた時代的背景、それはわかりますが、問題は、現在の情勢におきましてはこれが非常に変わってきたということなんですね。  情勢自身が非常に変化してきた。特に過密都市部において連続立体の方式が、二省間協定の費用分担はほとんど高架線ですね、決められているのは。地下については余りはっきりしたことが言われていない。こういう点から、とにかく立体交差、それは高架だということで、いままで長野県の一つの例以外はすべて高架ですね。そのために、その後の情勢変化ということについて、つまり最初目的そのものが単純なそういう踏切、自動車の渋滞を解決するというふうな問題とは違った社会問題ですね、一個の大きな都市問題、社会問題もっとはっきり言えば公害問題というふうな大きな変化がここに起こってきておりまして、これはその面からいろいろ見直さなければいけないというふうに思うのですけれども、これらの変化の幾つかについてどういう考えを持っておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  76. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 先生おっしゃるとおり、最近におきましては一般的に公害問題についての住民の意識が向上してまいりまして、鉄道の連続立体化の一つの手段としての高架化という点についても、この公害問題が沿線の住民等の間でやかましく言われておるということは私どもも聞いております。ただ、騒音なり振動、日照あるいは電波障害、こういった公害問題につきましては、高架化がそれを防ぎ得ないかということになりますと、必ずしもそうではないので、高架化にいたしましても、構造物をつくります際にいろいろな配慮を加えることによって、それらの公害問題を解決するということも不可能ではございません。  また、先ほど来話題になっております運建協定と申しますものは、主として鉄道の連続立体化に関します実施の手続なりあるいは費用の負担方法といったものを決めておるものでございまして、先ほど申し上げましたような、実際に高架構造物をつくる場合に公害の起こらないようないろいろな配慮をするということを少しも妨げるような協定ではございませんので、現行の協定のもとで時代の要請に応じた措置というものを私どもも講ずることができる、かように思っておる次第でございます。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの点から見て、明らかに一つの点は認めているわけですね。それは公害発生というような点からして、ただ自動車をどんどんはかせるだけの立体交差ということでは、すでにいまでは問題にならない。むしろ自動車の公害を防ぐという点から自動車を規制するということで、自動車優先の都市計画と、道路についても自動車がどんどん通りがいいように、たくさんの自動車にお通りなさいというようなところから、むしろそれを規制するという方向に変わってきているのですね。そしてそれとともに、住民意識の点からしても歩行者優先というふうな考えがどんどん出てきまして、そういう点でもここに大きな変化が出てきているということをまず第一これは確認できると思うのです。  と同時に、最近は日照権も、最初はマンションとかあるいは大きな建造物、建築物ということから、だんだん高架線も日照権という見地から問題にされてきている。この点について認めるかどうか。  それからもう一つは、あなたはいま言ったわけですけれども、高架線のいろいろな騒音ですね、過密地帯を通過するときの騒音問題、これは後で詳しく聞きますけれども、新幹線公害が問題になってきてから特にこの点はやかましくなっている。見直されている。ということで騒音、電波障害、それからいろいろな粉じんとか環境破壊というふうな点で問題が複雑になって、都市公害の様相を呈してきているという、この点についてはどうですか。いろいろ緩和政策ということを言われたけれども、そういうことが新しく、かつては考えられなかった、あるいは萌芽的にしがなかったが、いまでは大きな問題になってきているという点については、変化をこういう問題について認められますか。
  78. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 最近における情勢の変わり方というものについては、先生おっしゃるような点につきまして、私どもも十分に認識をしておるつもりでございます。
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それからもう一つ、今度は未来の方からの条件変化というか、やはり地震ということが東京のような場合には問題になっているのですね。そうすると、耐震問題、地震に対する備えということが大きな問題になっているのですけれども、この問題について、われわれ高架ということを大都市部で問題にする場合にやはり問題にしなければならぬ。たとえば一つの例がありますけれども、ロサンゼルスの地震、これは高架的なものはどんなぐあいだったのですか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  80. 高橋力

    高橋(力)説明員 ロサンゼルスの地震につきましては、私、詳しく内容は存じておりませんが、ただ一つ言えますことは、高架道路の橋げたが落ちたという事実はございます。この耐震問題につきましては、言うまでもなく日本は地震国でございまして、その被害も従来受けております。したがいまして、構造物の設計に当たりましては非常に厳しい条件を付しておりまして、ロサンゼルスと東京と比べた場合には、写真でごらんになってもわかりますように、橋げたを支える柱一つにいたしましても大きさが全然違います。そういうことで、耐震問題につきましては、設計計画段階で、現在私どもが知り得る限りの資料で検討を加え、配慮しているということでございます。  なお、連続立体交差は、各地でごらんいただきますように、コンクリートの連続的な構造物になっておりまして、この点からも耐震性は非常に有利であるというふうに考えております。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 耐震問題については、いろいろこれからその他の都市問題との関連で改めて問題にしますけれども、とにかくかつて余りこういったことが住民側からの問題にされないというふうなことから、急速に環境の問題との関係でいろいろむずかしい問題が一斉に出てきていることは明らかであります。  そういう点で、もう少し具体的に聞いてみますと、メリットに対するデメリットですね。つまり、前には考えられなかったようなデメリットというか障害、こういうものがいろいろ加重して出てきているという点で、住民として特にがまんならないような大きな問題としていま出ていることは、やはり騒音問題、あれだけの高架の、それから大量の輸送機関として鉄道が非常に過密ダイヤで走りますから、都内の主な私鉄、そういうところでの過密ダイヤというものが高架を走るところからくる実態ですけれども、小田急とか京王とか、いま問題になっておる西武とか、そういうところではどれくらいの一日の列車本数、あるいは時間当たりどんなふうな状態になっているか知りたいと思います。
  82. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 先生指摘になりました小田急とか京王とか西武について申し上げますと、西武鉄道の場合には、一日の列車の本数は、これは線によって違いますが、たとえば池袋線をとりますと、上り下りとも一日に三百三十六本ないし七本ぐらいということで、またラッシュ一時間の運転の度数でございますが、上下それぞれ池袋線の場合には二十八本、大体上下それぞれ二分間に一本ぐらいの割合でラッシュの一時間は列車が通っておるという状況でございます。  それから、京王電鉄につきましても大体同じような事情でございまして、たとえば、京王の本線の初台——笹塚間をとってみますと、一日の運転度数が上下それぞれ三百九本、ラッシュ一時間の運転度数というのが上下それぞれ二十九本でございます。  それから、小田急につきましては、小田原線の代々木八幡から東北沢の間について見ますと、一日の運転度数が上りが三百五十、下りもほぼ同数、それからラッシュ一時間におきます運転度数が二十九本というふうなことで、大体ラッシュ一時間におきます運転度数は、東京付近の私鉄をとった場合には、片道二十四本から二十九本、それぐらいの本数があるというふうな状況でございます。
  83. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、結局上下合わせると六百本から七百本が通っているわけです。そして一時間当たりに平均してみても、三十本から、ラッシュのときにはもっと多い。われわれが調べた数字でも、朝夕のラッシュというときには、夕方は一時間に八十本、朝は七十四本、西武池袋でも八十四本ないし八十六本というふうに、実際一分三十秒あるいは二十秒ごとに一本通過しているわけです。それが大量の輸送機関でありますから、毎分ごとにごうごうという騒音と振動、それから電波障害、これを出すわけなんですよ。  だから、いまの状態から見ると、過密都市部においては、肉体的にも生活あるいは情操、いろいろの点から見ても、全く大きな責め苦になっている、都市公害になっているのです。このことは、あなた方もいまの数字によって否定することはできないと思うのです。だから、多少その音を緩和しょうと言っているけれども、大体いまの私鉄のは何十ホンぐらいになるのですか。最近の新幹線のは八十五ホン以上とか言われておりますけれども、大体いまの私鉄の高架における騒音はどれぐらいですか。
  84. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 はっきりと測定をいたしたわけではございませんけれども、従来の経験等からしまして、高架にした場合の鉄道騒音でございますが、大体八十ホン前後ぐらいではなかろうかというふうに思われます。
  85. 紺野与次郎

    ○紺野委員 今度の公害審議会の騒音基準というのは、新幹線でも住宅地帯は七十ホン、そういう点から見て、八十ホン、あるいは実際は九十ホンとかそういうように言われています。だから、こういうものが環境基準に外れているものであって、やはり一つの公害発生源になっているという点は、いまの事態からリアルに見れば否定できないと思います。その点についてだけですけれども、重ねてどうですか、かなりひどいものだということはおわかりでしょう。
  86. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 現在のようなままでは確かにひどいということは私どももわかりますけれども、ただ、将来に向かってこれを防止する策はないかということになりますと、それについてはいろいろと、構造物をつくる際に、たとえば騒音でございますと、軌道構造を改善することによって騒音は相当程度防げるというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  87. 紺野与次郎

    ○紺野委員 日照についてはどうですか。
  88. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 日照問題が起きますのは、その路線の向きにもよりまして、東西の場合には、東西に走っておりますと南側と北側というふうに分かれますので、日照の問題等が深刻な問題になるかと思いますけれども、そういう場合には、必要によっては側道を設けるというふうなことで、日照の問題についてもある程度は解決できると思っております。
  89. 紺野与次郎

    ○紺野委員 側道を設けるというけれども、それは大変な金と——実際にわれわれか聞いた話では、線路のすぐわきに住んでおって、実際上はそこに対する補償その他も余りない、暗いので電灯をつけて、もう一メートルもないような距離のところで大変困っているというふうなことであります。そういう状態になっておって、日照権の問題はなかなか解決できない。  それから、特に将来の問題について言えば、いま問題になっているのは、たとえば下北沢、それから調布です。これらのところでは三層の高架線になる。下北沢の場合は十五メートル、調布の場合は十八メートルだと思いますが、マンションの六階、五階というふうな高さのもの。あそこは最も繁華地帯です。下北沢にしても商店の大繁華街です。その上にのしかかって十五メートル、十八メートルの高架で通る。これは町の破壊ですね。町の人たちは、いままで営々と築き上げてきた町の繁栄を実際上もうこれですっかり壊されてしまうということを言っているわけなんです。  町の破壊といったふうな問題は全くの都市公害だと思うのですね。これも一つのデメリットというか障害という新しい問題だと思うのです。こういう点についてはどうですか。
  90. 高橋力

    高橋(力)説明員 鉄道高架事業は、都市計画事業として都市計画審議会にかけて決定して行っております。したがいまして、都市計画を決定する場合には、鉄道だけに着目するのではなくて、その周辺のあらゆる都市施設を総合的に勘案いたしまして、最終的に計画を決めるという手続をとるわけでございます。ただいまの下北沢、調布地区の日照問題等につきましても、建設省といたしましては、特に北側部分について日照障害のないように、計画設定の段階で十分検討するように指導いたしておりますし、通常原則的には、六メーター以上の側道をとる、また必要によってはそれ以上の側道空間が必要だろうということで、指導いたしております。
  91. 紺野与次郎

    ○紺野委員 建設省の方に聞きますけれども、その場合に十五メートル、十八メートルというふうな高架をずっとそこへつくるわけですが、そういった一種の万里の長城みたいなものが町の中をだあっと走っていくのですね。一分半ごとに電波障害や騒音を出しながらですね。町そのものの繁栄に大きな障害を来たすような構造物をあくまでもそこにつくらなければならぬ、これが都市計画の構想ですか。
  92. 高橋力

    高橋(力)説明員 鉄道を高架にするか地下にするかという問題につきましては、確かに、おっしゃるように公害の面からの判断もございます。しかし、その市街地の構成の状況、既存の交通施設との接続の問題、また地形、地物、土地利用、そういったような観点から判断しなければいけないと考えております。したがいまして、高架にすることによりましてその地域に公害問題が発生することのないように計画段階で調整していきたいと考えております。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そういうデメリットのない方法を考えるべきだということになるのですよ。こんなふうに満身公害のよろいを着て大都市を濶歩しなければならぬという考えがすでに時代錯誤なんです。そこなんですよ。情勢の変化というものをわれわれ見逃しちゃならぬ。いまあなた方が言ったことは全部新しい障害ですよ。これは二省間協定をつくられた当時にはなかった新しい障害です。われわれは立体交差を全面的に否定するものではない。もっとそういう障害のない方法はないかということなんです。私はあると思うのです。  それは地下化なんですよ。地下化の場合にはこれらの障害はほとんどなくなるということです。これはどこでも地下をモグラのように走れと言うのじゃないのです。過密地帯の中で、権利意識が高く、もろもろの都市公害が問題になってきている、そういう時代になぜ公害のよろいを着て濶歩しなければならないか。そうではない。それはやはり地下を通るということなんです。これはみんなが言っていることで、合理的なことなんです。これは自民党の人たちも、現地の人たちはみんな困って、地下を通るように町内会長や自治会長やそういう方々が言っている。上の方の諸君はどう言っておるか知らぬけれども、とにかくそういう時代になっているということなんです。  地下にすれば、そのデメリットはなくなって、かえってメリットになる。現にそういう空地を過密部につくるということは、都市計画としてもどんなにいいことか。青空もあるし、小公園もその他もできるし、いろいろな施設ができるのです。そういう点から言って、矛盾の解決、そしてそれを逆にいい方向に、町づくりの方向に変えていくという時点に来ているということだと思うのです。地下を通ったならばいま言った障害が解決されると思いませんか。その点ひとつ、どういうメリットがあるか。
  94. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 鉄道を連続立体化する場合に、地下化をすればいろいろな公害問題はなくなるではないか、その点についてはおっしゃるとおりかと思います。ただ、地下化することが万能か、最善かとおっしゃられますと、地下化についても必ずしも問題がないわけではございません。  たとえば金の話でございますけれども……(紺野委員「金は、まあいいやそれは」と呼ぶ)お金の話でございますけれども、やはりこれもいいというわけにはまいりませんで、工事費等につきますと地下化する場合には高架化に比べて三倍から四倍金がかかる。それも一億の工事費が三億か四億であればいいのですが、地下にいたしますと一キロつくるのに百数十億円かかるという状況になってまいりますと、地下化すればいいと言っても、地下化というのは金の面からもむずかしいという問題がございます。そういうことになりますと、やはり費用負担ということからなかなか工事が促進されないということで、他方、そういう鉄道の大都市通勤通学輸送の改善という面でまた障害が起こるという問題もございます。  それから、物理的な問題としては、地下を掘るということは地盤の問題もありますし、水の問題というものも出てまいります。  それからさらに、安全問題を考えた場合には、現在のところ幸いにして地下鉄の大きな事故というのはございませんけれども、地下鉄の場合には事故という問題が常につきまといますので、その点高架と比べますと地下の場合には事故についての危険性というのははるかにこわいということもございますので、この問題は、公害の問題ももちろんございますけれども、ケース・バイ・ケースでそれぞれの地域において最善の方法を考えるというふうなことではないか、かように思います。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの議論は、過密大都市部の問題としてどういうふうに安全な町をつくるかという点について小さな観点に立っていると思う。つまりこのような大都市部においてもっと金をかけるということは、もっと大局的に考えなければいけない。もっと大きく、長期に展望して、都市の公害というものを排除するような合理的な考え方を優先させなければいけないと思うのです。  いま言ったようないろいろの公害は、地下化によってほとんど解決をする。問題は金がかかるということです。この金がかかるということは、長期の展望に立てば安いものですよ。目先のことだけでそれを言っているからあなた方はそれを拒否する唯一の、一番大きなおどしに使っておりますけれども、実際にはもっと長い目で考えるならばそれだけの費用がかかることも何ともない。公害その他によっていま問題になっていることを解消することである。いろいろの災害についても、地下の問題は、最近ではほとんど一キロあるいは数百メートルに一カ所の駅があるわけですから、そういう点からいっても、また地震のような場合でも、かえって安定しているといわれております。高架線の場合にはロサンゼルスのような事態が起こる。あれがもし一カ所でも崩れてござんなさい。一分か一分半ごとにどんどん通る過密電車がどこでひっくり返るかわからないですよ。だから地下の方が安全なんです。  それから、住民の人たちが言っております。ああいうものを町のまん中につくられたならば火事や何か起きたときにも逃げ場を失う、本当にそこに押し込められてしまう、これは西武新宿線の落合の人たちが言っております。あの辺では現に戦争の末期にやはり火事が起きて、あそこは谷間ですから、そういうところで四十何人死んだ。それはほとんど逃げ場を失うとかあるいは酸素が不足して窒息してしまうとかですが、ああいうところを高架で通られた場合、しかもその下がいろいろに利用されていてなかなか通り抜けられないというふうな場合には、一層災害に対しても危険である。だから高架にして効果なしということを言っているのですよ。(「うまいこと言うなあ」と呼ぶ者あり)本当にそういうことを言っているのです。自動車もあそこの下を通って行ったものが、すぐわきに放七というのが通っておりまして、そこまで行ってみんなとまっちゃうのです。だからその下を通過してもすぐ放七号のところにぶつかって車が渋滞しているのです。  だから、全く高架にして効果なしということを地域の人たちは言っているのです。そんなことだったらいまのとおりにしておいた方がいいと言っている。こういうふうなことで、万里の長城を町の中につくられて、災害の際逃げ場にも困難であるというふうな構造物は、やはりこの際大都市中心部では地下でやるという方向に金をかけてもやるようにしなければならぬというふうに全体の世論はいっておると思います。  その点でいま運動が起きているところは、私いろいろ調べもし訴えられてもおるものは、西武新宿線、西武池袋線、小田急線、京王線、これらのところではみんな高架反対、それから地下化促進協議会というものをもって五万人の署名をとったとかあるいは数千人が集まって運動するとか、そういうことで沿線の住民はやはり合理的に、都市公害をなくして、地下にしてかえってその空地を広くし、そして災害についても確かな逃げ道もある、避難通路にもなるし避難場所にもなれるような、そういうふうにした方がいい、もうそれ以外にないのだということで運動しているわけなんですよ。  こういう運動についてどう思われますか。そういう合理的な要求を掲げた一つの具体的なあらわれとして考えられますか、それともどういうふうに考えておりますか。
  96. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 高架化工事に伴いますいろいろな公害その他の問題につきまして、沿線の住民の方々の苦情なり運動なりということについては私どもも十分理解はできるつもりでございます。ただ、しかしながら片方で大都市の通勤通学の交通問題というものを解決しなければならない、あるいはまた道路交通のふくそうという点も解決しなければならないというふうなことで高架化ということも行われておるわけでございまして、そういった点についてもやはり住民の方々にも御理解をむしろお願いしたいと思うのです。  ただ、私どもとしても高架工事等をやる場合に、それが沿線の方の公害にならないような配慮は十分に加えるつもりでございます。  また、地下化の問題につきましては、事故の問題あるいは建設コストの問題等については必ずしも私ども先生とは同じような見解を持っておりません。地下化万能というふうには考えておりませんし、なおまた高架化も必ずしも公害ばかり生じて少しもメリットがないというふうには考えておりません。いろいろと公害防止については十分な配慮をすることによって住民の皆様方の御理解も得てまいりたい、かように思っております。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 通勤問題についても、最近の都心部はほとんど地下鉄じゃないですか。地下鉄を整備する。それと環状線の従来の国電ですね。こういうものとあわせて、国鉄だけではできない、地下鉄も徹底的に建設するようにして解決したいというのが運輸省の方針ですよ。あなたは都心部で地下化することが何か通勤問題と矛盾するようなことを言っているけれども、どうですそれは。地下化、たくさんの地下鉄をつくることが通勤問題の解決にも役立つ、こういう方針はないのですか。
  98. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 私どもが地下鉄の建設を促進しております地域は、主として都心部を中心にしておるわけでございまして、こういうところで道路の真ん中に高架の鉄道をつくるということはまことにナンセンスの至りでございますので、都心部についてはもう地下鉄、しかし都心部から郊外に至る線についてはある程度は地下もございますけれども、それ以外のところは平面ないしは高架ということになっておるわけでございます。
  99. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから非常に過密化された都心部については地下化の方針をやっぱり持っていますね。それが合理的だということ。もう一遍言ってください。
  100. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 都心部の過密な地域におきましてはあくまで地下鉄というのを主体に考えたい、かように考えております。
  101. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうしたら立体交差の、いまはほとんど高架ということだけに大体指導されておりますね。で、これからは地下化も必要なんでしょう。地下化のことを、立体交差で考えないのですか。あくまでも、公害があっても、いまも数百億の金がすでに使われておりますけれども、そういう金を使ってでも、住民が反対するのをごり押しして一方的に高架をやるのか、それともやはり反対しているものについては反対を無視して押しつけない、そういう金を使わない、そうして地下化の場合の費用負担とか、そういう問題についてもこれからやはり見直す、そういうものも考えるということですか、どうですか。
  102. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 現在の運建協定におきましては、これは鉄道の連続立体交差化ということを目的にいたしておるわけでございます。したがいまして、これは高架化の問題ばかりではなしに、地下化の問題ということも十分前提としてこういった協定ができております。しかしながらこの協定ができました当時、昭和四十四年ごろにはまだ地下化というケースがほとんどなかったというふうなことで、協定の前提としてはそういうものを予想いたしておりますけれども、当時としては具体的なケースがほとんどなかったので、したがって費用の負担問題につきましては地下化の場合には別途協議をするというふうなことに相なっておるわけでございます。  最近はぼつぼつやはり地下化というふうな要請なり、そういうケースも出てまいりましたので、現在地下化の場合の道路側と鉄道側の費用の負担問題というものを具体化するべく建設省と協議を続けておるというふうな状況でございます。また、オール地下化とかオール高架化とかいずれかに片寄るというふうに考えることは妥当ではない、やはりケース・バイ・ケースで、どうしても地下化が必要なところは地下化するし、高架化でも、公害防止のいろいろな措置を講じてできるところは、それでやっていただくというふうに私どもとしては考えております。
  103. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、いつごろまでにその地下化の費用負担の一つの基準はできるのですか。
  104. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 鋭意協議を進めておるわけでございますが、はっきりといつごろまでにできるというふうに現在の時点ではお約束するわけにはまいらない、かように思います。
  105. 紺野与次郎

    ○紺野委員 しかし、準備はしているのですね。
  106. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 鋭意準備は進めております。
  107. 紺野与次郎

    ○紺野委員 特にそういう四十四年当時には予想しなかったような、また条件になかった、しかしいまは変わっていろいろそういう地下化も必要なところも出てきたということは、要するに都市部というものはだんだんだんだん欄密になって外側に膨張していっているのですね。ですから、そういう都市部の過密地域はだんだん広がっていっているわけですよね。だからそういう点でかつては高架でよかろうと思って設計されたものも、いまの状況によってはもはや地下の方がいいというふうに思われるところは見直しをしますか。
  108. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 現在すでに計画をされておるところにつきましては、その計画に沿って進めるように私どもとしては努力したいと思うのですけれども、まあ見直しをするかと言われますと、計画中のものについてなお見直しをするというふうにいまここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、十分御趣旨についても念頭に置いて今後はそういった点も重点的に検討してまいりたい、かように思います。
  109. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう点で、すでに多くのところではそのことを必要としているからこそ真剣な運動が起きているわけでありまして、先ほどの西武新宿、池袋、京王、小田急ですね、こういう点で熾烈に問題になっているところは見直しを必要としているところでありますから、そういう点ですでに二省間で地下鉄建設における費用負担の問題も問題になっているということでありますから、それらと住民の反対を納得させることなしにはそういう莫大な国の金を投資してまでもやることはできないということだと思いますが、地下化の問題についての二省間協定等々がつくられる段階でこの問題を重ねてわれわれは問題にしたいと思います。  これをもちまして私の質問を終わります。
  110. 下平正一

    下平委員長 小濱新次君。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、暴走族問題につきまして、まず警察庁、それから文部省と総理府に対しまして若干質問をしていきたいと思います。  まず、警察庁にお伺いをしたいと思いますが、毎年夏が近づくにつれまして暴走族がふえ、事件が相次いで起こっているという事例がたくさんございます。去る六月八日未明、鎌倉七里が浜の国道で暴走族グループ数百人が衝突、角材、木刀、ヌンチャクを持って大乱闘が行われた。これが大きく報道されております。暴走族については最近組織の系列化が進んでいるようで非常に憂えられる状態にあるわけですが、その状況などについて警察庁から一応御説明をお願いしたい、こう思います。
  112. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族のグループの数でございますが、われわれが現在把握いたしておりますのは約二万五千名、八百グループ余りでございます。ただ、暴走族は組織としては大変流動的であるということでございまして、昨年われわれの方といたしましても少年補導の面を通じまして暴走族について三百グループ余りを解体に導いたわけでございますが、全体としてのグループの数は減っていないということでございます。それで一昨年あたりは群衆を巻き込む事件が多かったわけでございますが、昨年はグループ化が大変進んできた。われわれの解体作業にもかかわらず、結果的には八百グループの数があるということで、グループ化が進みますと同時に、対立抗争というものが非常にふえてきたということで、昨年約八十件余りの対立抗争事件が発生いたしているわけでございます。暴走族の状況は、大ざっぱに申し上げますと、こういう状況でございます。
  113. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに局長にお尋ねをいたしたいと思いますのは、最近四輪車の事故が多くなっているようですね。そこで二輪車との犯罪事故の違いをどういうふうにつかんでおられましょうか、一応御説明をお願いしたいと思います。
  114. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族を中心に申し上げますと、従来二輪車が中心であったわけです。最近暴走族のグループで四輪車のグループがかなりふえてきた。東京あたりはまだ二輪車が半分くらいだと思いますが、地域によっては半数以上が四輪車になっている。四輪車を改造するなどというようなことで、これにかなりの金をつぎ込んで、整備不良車両とわれわれは言っておりますが、そういった形の単にして運転をしているというような例が、むしろ整備不良車は四輪車の方が多いのじゃないかという気がいたします。
  115. 小濱新次

    ○小濱委員 警察庁は去る六月十一日、これらの暴走族に対し、違反者に免許停止を一般の場合より三十日長い処分を行い、また同乗者や教唆、帯助者にも免停処分にする方針を決めましたけれども、この影響及び効果についてどのように考えておられるのでしょうか。これもひとつ御意見を伺っておきたい、こう思います。
  116. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族対策のうちの一つでございまして、それが全部ではなくて、いろいろな対策を講じなくちゃいかぬと思います。交通問題としての対策も一つとして、それ以外の対策もあるかと思いますが、この停止処分につきましては府県の公安委員会が停止をされるわけでございます。それで取り消しなり停止の点数の基準が政令で一応決まっている。十五点になれば取り消しができる、六点になれば停止ができるということになっているわけでございます。  そこで、今回考えましたのは、府県の公安委員会がそれぞれ判断をして処分をされるわけです。情状によって、県の公安委員会でその点数の基準にある程度の差をつけられるわけですが、暴走族というものの実体から見るならば、情状が悪い羽場合が多い。したがって情状はその程度を重く考えて処理をしていただいていいのじゃないでしょうかということで、各府県に通達を発したわけでございます。  具体的に処分がそれで発令されたということではございませんので、具体的な結果というものはまだ出てはおりませんが、暴走族を見ておりますと、必ずしも無免許でやっているわけではなくて、免許を持って皆やっているわけでございます。そういった面で免許の停止を長時間受けるということになると、やはりそれに対して用心もしてくるだろう。現実に停止処分を受けた場合に、やはりそれを押してやるというところまでいかぬのじゃなかろうかという気がするわけでございまして、その面についての効果はかなりあるのじゃないかというふうに考えております。
  117. 小濱新次

    ○小濱委員 一部の非行少年のために、取り締まり一本だけでは、せっかく善良なそういう少年も、かえって反作用を起こすような、非行化する考え方も一応憂えられるわけです。道路わきでいろいろと指導をされております。長時間指導されるものですから、その中に善良な暴走族でない少年もいるわけでして、そういう点で反作用ということですね、これがかえって非行化することに逆効果が出ないだろうか、こういう考え方を持っておるわけですが、この点いかがでございましょうか。
  118. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族のグループのいろいろな——どうして君はそういったグループに入ったのだということで警察なりに意向を聞いているわけでございますけれども、その一つとしては友達が欲しいからとか、あるいは車に乗りたい、車が好きだからというのが多いわけですけれども、それ以外にやはりかっこがいいからというようなことが多いわけでございます。したがって、グループに入っていることが、まあ非常に悪い意思で入ったものではないかもしれない。しかし、そうしてグループに入っている中で非行化してくる、やはりグループの中にかなり悪いのもおるわけですから、そういったグループに染まれば非行化しやすいということはあるわけでございます。  われわれも、少年が車で走っておれば全部暴走族と言うわけじゃございませんで、やはり信号無視とかあるいはスピード違反とか急転回とか整備不良車両運転とか、そういったことを集団でやっているグループを暴走族と言っているわけで、友達が欲しいということでそういうグループに入ってくればずんずん非行化しやすいということはあるわけでございまして、少年補導の面でもそういった非行的なグループはできるだけ解体するというのが原則でございます。そういった面で、われわれはそういう集団的に法律を無視して道路上を横行しているような状態は放置しておけない。したがって、現象面ではそういったものについての是正はやはり厳しくやる必要はあるのじゃないかというふうに思っております。  しかし、これだけが基本的な対策ではないだろう。先ほど申し上げましたように暴走族になったようなグループにいろいろな動機があるわけでありますから、そういった動機等について分析しながらより幅の広い対策が必要であろうと思います。警察におきましても、現象面については交通警察がやりますけれども、やはり基本的には少年問題ということで少年の係も一緒になってこの問題に取り組んでいく。さらに関係省庁の協力も得たいということで、連絡調整に当たられる総理府に状況も御連絡を申し上げているというようなことで、やはりより総合的な対策が必要だろうと思います。しかし、現象面としてはいまのような状況は放置できない、これは交通警察の面でもこういった状況をなくするための最善の努力は尽くしたいと考えておるところでございます。
  119. 小濱新次

    ○小濱委員 暴走族を個々に見てみますと、無邪気であるとか気が弱いとか、あるいはまた一人では何もできない、そういう少年が多いわけですけれども、一たび集団になると信号無視や乱闘を行う、いわゆる群集心理が働いている、こういう傾向が多いということをわれわれいろいろな資料を拝見いたしまして感じさせられました。  それで、神奈川県警の暴走族対策は大変進んでいるように私どもは見ておるわけです。したがって、この暴走族の家族に対しまして、暴走族から脱会、退会をするように要請をしているようでありますが、このサーキット族に対する取り締まりあるいはまた指導育成という問題、こういう問題で大変指導なさっておられると思いますが、対策がなかなかむずかしいということで苦慮されておろうかと思います。この点についてのお考え、見通しをお答えいただきたいと思います。
  120. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 青少年の教育の中で、青少年は大変車が好きである、その車が好きであるということ自体は決して悪いことではないし、正しい運転を身につけさしていくということは大変大事なことで、それが正しく教育されるならば、青少年の心身の健全な発展にも寄与するところがあろうかと思うわけでございます。そういった面で、特に二輪車につきましては、二輪車安全運転推進委員会というようなものと警察とも協力をいたしまして、四十八年には百三十八万人、四十九年には百八十八万人の教育をしているわけでございます。りっぱな基本的な心構えなり運転の技術というものが身についておれば、こういった人たちは決して暴走族になることはないのじゃなかろうかというふうに思いまして、こういっ面の健全な教育ということについてもできるだけの努力をしているところでございます。
  121. 小濱新次

    ○小濱委員 これから最盛期を迎えるわけです。私もこの間少し土曜、日曜に江の島海岸の方を歩いてみたわけですが、やはり夕方から夜にかけて集まってくるようですし、三時か四時ごろには引き揚げていく。こういうことでサーキット族に対する取り締まりの対策の強化ということ、これはもちろん警察としてはやらなければならないだろうと思います。それから事案を起こしたそういうものに対して徹底的に調査とかあるいはまた追及をするということ、これは警察の立場ですからこれも当然のことかと思います。そうしてまたもう一つ大事なことは、二輪の安全な乗り方の教習方法、これの育成指導をどこでやるのだろうか。ただやれじゃできないわけですから、そういう点でいろいろと考え方があろうかと思いますけれども、これは警察だけは一生懸命やっても、やはり関係省庁の御協力を得なければならないということでこれから順次質問をしていきたいと思います。  こういう教習方法についても、私ども素人でもちょっと考えてみてもいろいろございます。本人の指導、あるいは家族、職場の上司、こういう人たちに対していろいろ警告をするとか指導をよろしくお願いするとか。PRを一生懸命やっておられるようですけれども、なかなか効果が出ない。こういう点でやはり総元締めの警察庁の方がその責任を問われるわけでありまして、これからの対策の見通しというものを立てまして、そうして指導育成、努力をしてもらわなければならない、こういうふうに考えるわけですが、これからの警察庁の方向づけについてひとつ局長から御説明いただきたい、こう思います。
  122. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 基本的には現在暴走族が走り回っているような事態を未然に防止するためにまず対策を講ずる必要があろうかと思います。現象面の対策ということになろうかと思います。そういった面では、こうした大体毎土曜日あらわれてきているというようなことでございますので、そういった動きについての情勢を十分につかみながら、これに対して事前の警告なり説得なり、あるいはその当日における警察力による検問、制止というようなことによって、集団的な暴走行為なりグループ間の対立抗争、そういった暴力事件に発展しないように、現象面でこれを押えていくということがまず必要だろうかというふうに思います。  第二点といたしましては、やはりそうしても、非常に機動的なものですから事件を起こすことがある。起こした場合については責任は明らかにしていく必要があろうということで、この責任は徹底的に明らかにしていくということが必要だろうと思います。  そういった面で、まず事案の未然防止、不幸にして事案が起こった場合についてのその責任の追及を徹底していくということが警察の現場の措置としては大事であろうと思います。  それと同時に、グループの七〇%から八〇%以上というのは、これは少年でございます。そういった面で少年対策、少年の善導、補導という面からタッチしていって、少年が健全に育っていくように、あるいは車の健全な安全な運転ができるように、先ほど申し上げましたように二輪車安全運転推進委員会というものが交通安全協会の下部機構としてありまして活発な活動もやっておりますので、こういった機関を極力生かしながら、正しい車の乗り方の教育というような安全教育の面を進めながら、悪い者についてはこれを直し、あるいはグループについては解体をするというような方策を進めていく必要があろうかと思います。  神奈川県警の対策として御紹介がございましたが、やはり地域的な規制といいますか抑制、社会的な規制というものが必要であろうという気がするわけでございます。そういった面で、家族なり職場、あるいは学校、こういったところに呼びかけて、青少年の善導に御協力をいただくというようなことを考えていきたい。免許も、処分の問題も、そういった対策の一環として考えていくということでこのような対策を進めていきたい。さらに、今後関係機関におきましてもこういった状況を十分に御認識をいただいて、それぞれの機関機関の立場で予防的な対策を講じていただければ大変ありがたいというふうに考えているわけでございます。
  123. 小濱新次

    ○小濱委員 青少年対策、いろいろありまするけれども、私どもも経験があるわけですけれども、やはりエネルギーの発散する場所が欲しいわけですね。スポーツに興ずる者に悪人はいないと言われますが、本当に道場でたとえわずかな時間でも訓練を受け一汗流して帰れば、そういう余力はもうないわけです。夜明かしとか夜ふかしなんかなかなかできないわけです。そういう点では、それ専門的なそういう遊び場、エネルギーを発散できるような場所、そういう施設を何かつくってあげなければならないなと思うわけです。  先日当委員会で、多摩川べりのトライアル競技場というのを視察さしていただきました。あのときにお巡りさんにちょっと聞いてみました。これは何分間くらいで汗をかきますか。十五分もやれば汗びっしょりですよと言っておりました。十五分間で汗びっしょりになれるのです。だからそんなに時間をかけなくても相当体力的には疲労するような、あそこはそういう競技場になろうかと思いますが、鈴鹿にあるとか多摩川にあるとかいっても神奈川県には、調べてみたのですけれどもいまだそういう予定もないようであります。その他全国的に見ても、それに似通った施設を取り上げてみてもわずかしかない、そういう話でございました。  これは建設省及び県土木が当然取り扱わなければならない問題で警察の問題とは違うかもしれませんけれども、警察庁としてはこのトライアル競技場の設置については、単純にできるので警察側がよく進めているのだという話を聞くわけですが、どうしてこれができないのであろうかなと私どもは感ずるわけです。そういう点で、このトライアル競技場の設置という問題について、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。要望でも結構です。将来の構想でも結構ですが、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  124. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族対策としてそういうものをつくれば効果があるかどうかということであろうかと思いますが、警視庁あたりで、この間見ていただいた練習場あたりへ来て走ったらどうかと言っても、なかなか乗ってこないような面もあるようでございまして、ああいった少年の心理として、そういったこしらえたものにすぐに乗ってくるかどうかという点については、やはり若干の疑問があるような気がいたします。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 そういった官製の施設ができれば全部そちらの方に行って、街を走り回らなくなるのかというと、青年のいまのグループの心理から見ると、そのうちの一部はそちらへ行くだろうと思いますけれども、必ずしも全部がそちらへ行くかどうかという点については若干疑問なような気がするわけでありまして、やはり基本的には、しっかりとした運転に対する心構え、あるいは卓のこわさ、そういったものを教え込んでいくということが大事であろうというふうに考えるわけでございます。
  125. 小濱新次

    ○小濱委員 建設省の本間治水課長さんおいでになっていますね。——お尋ねしていきたいことは、いまの問題ですが、トライアル競技場というのは河川敷にぜひともつくってもらいたいという強い要望があるわけです。したがって、建設省、県土木が健全な青少年育成という意味に立ってこれは真剣に計画を立てるべきであるとわれわれは見ているわけですが、先ほど申し上げましたように単純にできるので警察としては要望を持っているようでありますが、どうも各県にこの施設ができない、将来計画も進んでいないということになれば、これはぜひひとつ建設省の方で努力をしてもらいたいと思うわけですが、その点についての考え方、あるいはまたできない理由等があるならばそれを踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  126. 本間俊朗

    ○本間説明員 お答え申し上げます。  元来河川は、都市部におきましてはもちろんでございますが、地方部におきましても自然の緑、水、空間ということで非常に貴重な環境資源でございます。河川は地域住民のための河川といたしまして適正に管理いたしまして、地域住民の方々に愛され親しまれるように整備に努め、また指導をしておるところでございます。したがいまして、河川環境整備事業を促進させる、あるいは河川愛護、河川美化等の運動を盛り上げておるところでございます。  ただいま先生の言われましたオートバイで走る暴走族のトライアル用地でございますが、これにつきましては、河川敷の適正かつ健全な使用を阻害するというふうに考えます。また、自由に使用しております一般公衆に危険を及ぼすおそれもございます。したがいまして、河川敷を暴走族のトライアル用地として開放することにつきましては、検討する考えはございません。
  127. 小濱新次

    ○小濱委員 それは建設省の御意見ですね。これは本間課長さんの御意見なのか、建設省の基本的な考え方なのか、もう一度お伺いいたします。
  128. 本間俊朗

    ○本間説明員 河川局の意見でございます。
  129. 小濱新次

    ○小濱委員 トライアル競技場の促進を私どもが心から念願をし、当委員会でもしばしばこの問題が話題になっているわけですけれども、これじゃもう一向に進むわけがありませんね。御存じのようにこの首都圏内ではそれに見合うような空き地もあるわけもありませんし、どこかをそういうふうに競技場として指定をしてもらわなくてはならない。そのことで私どもも地方行政の立場からも努力をしていこう、そしてまた警察にも呼びかけて、そうして関係省庁の協力も得てと、こういうふうに考えて私どもは今日までやってきたわけですが、建設省の基本的な意見が、適正を欠くから、あるいは地元の方々に愛されるとか、あるいは親しまれる河川としていつまでも保存をしていきたい、こういうつもりで、トライアル競技場として提供することについては検討しておりませんし、その考えはないということですね。  トライアル競技場というのを御存じですか。——知っていますね。本間課長さんはよく御存じですね。どうですか、答弁してください。
  130. 本間俊朗

    ○本間説明員 私、専門外でございますので、あるいは誤っておるかもわかりませんが、トライアル用地というものにつきましては、暴走族が走る競技場のようなものというふうに解釈しております。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員 大変な御認識なんですね。だから質問が食い違ってしまうのですよ。河川敷をアスファルトにするとか、コンクリートを流すとか、四百メートルのトラックをつくるような形の競技場にするのじゃないわけです。山あり谷ありで現状でいいのです。そのままでいいのです。指定さえしてくれれば、金をかけないでそのまま競技場として使えるのがトライアル競技場というのです。ですから、その辺の考え方をまず改めてもらいませんと、この問題のやりとりは進まないなという感じをいま受けました。  ですから、認可さえしてくれれば金がかからないのです。そのまま指定さえしてくれればそこが専門的な競技場として使えるわけです。そうすれば暴走族の連中が国道、県道あるいは市道、ああいう遊歩道路をあのスピードで走らなくても、専門的な競技場の指定をしてもらったトライアル競技場で、そこでエネルギーを発散することができ、それがまたスリルがあって、私、見てきたのですが実に楽しい。こういうことでのトライアル競技場なんですから、いま課長さんの説明してくれましたそういう内容とは全然違いますので、これは一遍、もちろん私どもも努力いたしますけれども、建設省としてもこれは検討していただいて、これが考え方をぜひ改めていただきたいな、こう思いましたよ。建設省の考え方だということになれば、建設大臣も政務次官もおえら方も皆知らないのだなという感じですね。それでは進みっない。これは一遍建設省のおえら方をお呼びして説明しなければならないなというふうにも感じました。もう一遍ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  132. 本間俊朗

    ○本間説明員 河川の利用につきましては、従来自転車道につきましては非常に促進するように指導をしております。現在のところ自動二輪車を使いましての競技場でございますか、そういったものについて推奨しておりません。
  133. 小濱新次

    ○小濱委員 自転車のことはよくわかっているわけです。建設省が千葉からあるいは奈良県に至るまで自転車道の促進を図っていることはわれわれも知っておりますし、各県で努力をしていることをよく承知しております。自転車のことじゃないんだ。二輪車の、これからの暴走族対策について、早急にこの対策を進めなくてはならない立場からこの認識をぜひ改めてもらいたいし、また施設ができて、そうした犯罪が少なくなっていくような努力を当然国でやるべきだとわれわれ考えまして、関係省庁に呼びかけて、いわゆるPRをわれわれ一生懸命やっているわけです。ぜひひとつ、建設省のお考えの程度がよくわかりましたので、これからもわれわれはあらゆる機会にまた努力をしながらこの問題の促進を図っていきたい、このように考えております。  そこで、総理府お尋ねしたいのですが、五十嵐参事官、この暴走族の年齢は二十歳前後、特に十五ないし十八歳の少年が多いわけですね。この年齢は高校在学に当たるわけでありますが、神奈川県で調べたら、犯罪者の中で三三%くらい、両親がいるのが大体九四%くらいいるだろう、こういう内容のようでした。したがって、最も多感な年代でもあるわけです。これらの暴走族の家庭環境も、両親がそろって、いわゆる中流家庭のそういう少年が大部分だというのですから、非行少年とは違うわけですね。ある程度の良識を持っているわけです。  したがって、家庭や学校では親にしかられることも先生にしかられることもあるでしょう。そしてまた職場では上司にいろいろと抑えつけられてふんまんを持っている、そういう少年が多いかしりませんが、そうしたはけ口をどこへ持っていったらいいのであろうか、こういうことでオートバイを飛ばしてうっぷんを晴らしている、そういう実態がわれわれのところへ入ってくる。この問題は単に警察の取り締まりだけでは解決できない問題で、先ほどから申し上げておりますように、そこで青少年対策として総合的な対策をやはり考えなければならない、こういうふうに考えるわけです。河川敷をわれわれはねらうわけですから、建設省もぜひそういう方向で努力をしてもらいたいけれども、やはり青少年対策ですから総理府が中心となって動きを起こしてもらわなければならないだろうと考えるわけであります。御意見を聞かしてください。
  134. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 御提案のとおり、私ども総理府青少年対策本部といたしましては、これまで連絡調整の役目を果たすべく関係省庁連絡会議等でいたしてまいりましたが、これからも一層努力していきたいと思っております。
  135. 小濱新次

    ○小濱委員 五十嵐参事官にさらにお尋ねしたいと思いますが、関係省庁に呼びかけてきた、そうやって努力をしてこられましたということですが、建設省の御認識は、先ほどお答えのようなこういう経過になっております。これは大変疑って申しわけないのですが、実際にどういう関係に呼びかけ、努力をしてこられたか、その経過だけちょっと説明をしていただきたいと思います。
  136. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 御説明いたします。  現在、この青少年に関します施策についての関係省庁相互間の事務の緊密な連絡を図る場といたしましては、私ども総理府青少年対策本部が主宰いたしまして、青少年対策関係省庁連絡主管課長会議、こういう会議を毎月定期的に開催いたしております。さような場でいろいろの折々のテーマがそこに紹介されながら相談が進められているということでございます。
  137. 小濱新次

    ○小濱委員 これは五十嵐参事官に御無理な御質問かしりませんけれども、もっと実のある会合にしてもらいたいと思いますね。いつまでもこういう状態では進まないと思いますよ。いま暴走族は社会問題になっている。私のところは藤沢に住まいがある。いやもうそれは一遍来てもらいたいと思うのです。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕 私は、あのオートバイに二人で乗っているのだと思ったら、そうでないのですね。男が一人で乗っている場合もある。ところが途中で少女が手を挙げますと、後ろに乗せるのですね。そして一緒にまた出ていくわけです。こういう問題も起こっているのですね。それから、これはもう話にならないような、そういういろいろな事件も発生しているわけです。そういう点で、この根本を正さなければならないなということは当然だと思う。これは無関心じゃいられない。  警察は警察でこれは一生懸命やってもらいますが、御存じのように先日も神戸あるいは豊橋等で、暴走族取り締まりの警察官に対する役石事件、こういうものが起こっておりますよ。非常に悪感情になっていくのです。こちらは、命が危ないのだぞ、おまえたちの身を思ってと、こう言ってやることが、何われわれの楽しみをなぜ奪うのだ、場所を提供しろ、こういうやりとりがあるわけだ。そういう点で、いままでの取り締まり一本の対策では、ますます反発し、エスカレートすることも考えられるわけですね。  暴走族はある程度年齢に達しますとグループからやめていくというのですか脱落をしていく。これは人生の目的ができて、暴走族はつまらぬということでそういう形が生まれてくるのだろうと思いますけれども、どうしてもここで考えなければならないのは、暴走族に対して、彼らのはけ口を与えてやること、この問題が私は解決の一つである、こう思うわけだ。そこで、われわれに場所を与えよという、そういうことから、これはもう取り締まり強化だけじゃなくして、行政でできる範囲、教育の場でできるもの、そしてまた社会でできるものなど、総合的な対策が必要である、こう考えている。  そこで、総理府に大変御無理な要望かしれませんけれども、どうしても総理府が中心ということになれば、こうした問題の、関係省庁間での協議する機関をつくってはどうか、こう思うわけですけれども、先ほどの御答弁ですと、毎月、青少年対策関係省庁主管課長会議ですか、これを開いているという。実ってないじゃないですか。そこでこれをもっと強力に推し進めてもらわなければならないわけですけれども、見解を聞かしてください。
  138. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 御提案の御趣旨を生かしまして、会議内容の充実というものを相互に努力して図っていきたい、こう考えるわけでございます。
  139. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょっと物足りないですね。どうもこう私の方が何か一人相撲を取っているような感じを受けるわけですね。(「名答弁だ」と呼ぶ者あり)いや、名答弁なんだけれども、名答弁だけに、こちらとしては、本当に真剣に取り組んでいる問題の立場からすれば、ちょっとね。  そういうわけで、参事官に御無理な要望かもしれませんけれども、これはぜひひとつお帰りをいただいた上で上司によく話をしていただいて、次の機会にでも、何らか一歩前進の方向づけというものをいただきたいと思います。ただ、わかりました、伝えます、いつもそういう形で年々繰り返されたのでは、これは国の立場で、私どももそれを担当する立場で、やはり責任を感じます。もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  140. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 その方向に努力いたします。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 御無理な御要求のようでございますので、それでは文部省に対しまして、その問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  倉地学校保健課長さん、オートバイ、二輪車、こういう問題に対して、小学校、中学校時代も交通安全対策については一通り行ってきたことはわれわれも承知しておりますが、こういう結果になりますと、学校当局にも余り関心がなかったのではないかなという感じを深くいたします。学校といえば全体の教育の場でございますから、文部省が対策を早急に講ずべきであろう、こういうふうに考えているわけです。  そこで、学校でも彼らに正しいオートバイのマナー、技術を与えてやることが大切ではないのか。これらは現在の教習所では教えられないわけですから、文部省としてこうしたことも積極的に取り入れて、そして何らかの対策を講じなければならない、こういうふうに考えるわけです。これは関係者の話でございますが、ある学校の例でありますが、先生がオートバイの講習を受け、生徒と一緒に遊んだら、オートバイを中心にコミュニケーションができて、近親感がわいて、授業などもうまくいっているという例を私はこういう専門の方から伺いました。  そこで、これは当然文部省として、日本の将来を担う青少年の育成という問題ですから、やはり重要な課題ということで、大いに御関心をお持ちになっているかとは思いますけれども、いま、こうした事態が発生しているやさきに、文部省としてはどういう考え方を持っておられるのか。積極的にこういう質疑の内容を取り入れて、これからの指導、育成に当たろうとしておられるのか、御見解を聞かしていただきたいと思います。
  142. 倉地克次

    ○倉地説明員 高等学校におきます交通安全指導の問題でございますけれども、実態といたしましては、高等学校におきます二輪車免許の所有者数などが、それぞれ学校におきまして大変差があるわけでございまして、その点から、各学校におきまして、その指導にもおのずからいろいろ格差があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、最近におきます暴走族の状況、それから毎年発生いたします高校生の二輪車による事故、それから相当数が通学に二輪車を使用しているというような実態から考えまして、高等学校におきます交通安全指導の重点的な項目といたしまして、この二輪車の問題を考えているわけでございます。  それで、私どもといたしましては、高等学校におきますホームルーム、それから学校行事、課外活動などを通じまして、二輪車の運転者の心得と義務、それから二輪車に関する交通法規、二輪車の運転技術と運転マナー、それから二輪車による交通事故の現状、原因と事故防止というようなことにつきまして、生徒に所要の指導を行うよう指導しているわけでございますけれども、特に私ども重要と考えておりますのは、事故を起こした生徒や、事故を起こすことが予想されるような生徒につきまして個別指導を行うことが重要だと考えている次第でございます。  そのためには、生徒の二輪車の利用の状況を的確に把握すると同時に、生徒につきまして、学習関係、友人関係、それから親子関係などにつきまして総合的に把握いたしまして、生徒が二輪車に興味を示す動機、それからその背景などを解明しては、教育相談を通じまして、事故の原因とか暴走族に走る原因の除去に努めるよう指導しているわけでございますけれども、先生の御提案の趣旨も今後十分踏まえまして、このような指導を徹底してまいりたいと思っております。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 竹岡交通安全対策室長に伺いますが、いままでのやりとりのような、そういう暴走族対策の経緯になっております。一口に言って、だれが責任をもって問題解決をするのか、こういうふうに私も感ずるわけですけれども、これは締めくくりになりますが、この暴走族に対する対策を、総理府交通安全対策室長として見解を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  144. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 私も、かつて岡山の警察本部長で、駅前の暴走族を、交通規制と取り締まりで一応追放したことがございますけれども、いままでの先生の御質問を聞いておりまして、ますます毎年まだ激しくなる傾向のようでございます。恐らくこれは、当面一番効果のあるのが、やはり警察の取り締まりと規制だと思いますけれども、青少年全般の問題ですから、国並びに地方自治体が全般的に責任を持つべき問題だろうと思います。特に総理府におきましては、青少年対策本部もあり交通安全対策室もあるのでありますから、私は特に総務長官等が出ます総理府の幹部会でこの問題を大きく提起いたしまして、青少年対策本部並びに交通安全対策室が、警察の取り締まり、規制等をバックにいたしまして、どのように取り組んでいったらいいかということをもう少し勉強していきたいし、提案したいと思います。  また、私自身は、これを見ておりましたら、やはり青少年の一種の甘えだと思うのです。市民が迷惑するにかかわらず騒音を立て、あるいは他の車の危険であるにかかわらず暴走するわけですから、一種の甘えでもある。こういうのは地方自治体なり地域社会では許されないのだという意味で、市民の世論がもっとこれを抑えるような方向を考えるのも一つの方策だと思います。  それで、この次の秋の交通安全運動には、この暴走族に対しまして世論がこれを追放するというような運動を交通安全運転にも取り上げていきたいということで、現在、秋の交通安全運動の要綱に入れておりますが、さらに八月等に激しくなるようでしたら、私の方からも各地方自治体に、地域社会としての、市長なりあるいは知事なりそういう地方自治体の長が中心になって、世論を盛り上げて、そういった青少年の甘えは現在の社会では許されないのだといった市民の世論によりこれを抑えるべきである、青少年に訴えるべきであるという方向をもっと強化すべきではないだろうかと思いますが、当面、秋の交通安全運動にもそれを取り上げますと同時に、総理府全般の中で、総務長官等にも申し上げまして、青少年対策本部も、これにつきまして、いかにあるべきか、直ちに短期的な対策があるいはむずかしいのかもしれませんけれども、いま私が申し上げましたような方向で私は取り組んでまいりたい。そうして警察の一生懸命にやっております取り締まりなり、これをバックアップしなければならぬ。  あるいは、先ほど話がございましたが、河川敷を使わすという問題これは私も考えたことがございますけれども、これは音が非常にやかましいのですね。よほど遠い、人家も全くないような河川敷ならあるいは可能かもしれませんが、これはまた危険ですし、恐らく河川敷管理者の立場では直ちにこれを認めるというのはいままではむずかしかっただろうと思いますが、こういった点もあわせましてよく検討申し上げたいと思います。そうして何とか少しでもこの暴走族のばっこといいますか、これを抑えるべく努力してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 二輪車といえば自分自身のけが、これが多いわけです。四輪車ということになれば、これはやっぱり他人に迷惑をかけるような、そういう結果になってまいります。最近はいろいろの犯罪白書を見ましても、それから事故の内容を検討いたしてみましても、やはり青少年問題という中で特にこの暴走族対策、これはまたいまお話がありましたように、県警もあるいは地方自治体ですね、県も市町も、そうしてまた文部省も、そうして建設省も警察庁も皆一体となって、やっぱり協力体制というものをしいていかなければこの問題の解決はあり得ない、こういうふうに見ているわけですが、そういう点でやはりどうしてもこれは総理府が中心になるであろう。そこで呼びかけをよくやっていただいて、そうして国が積極的にやらなければ自治体がこれはやるわけはありませんので、そういう何か一体的な対策を、これはもう義務化するといろいろなまたむずかしい問題が出てまいりますから、そうじゃなくして何らかの対策を講ずる必要があるであろう、私どもはこう見ているわけです。  かたい御決意を伺ったわけですが、どうかひとつこの問題についてはどうも逐次暴走族のグループがいろいろとエスカレートしていくような、そういう内容になっているようでありますから、ぜひ強力な体制で一層の御努力を賜りまするように心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
  146. 下平正一

    下平委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会