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1975-06-19 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十九日(木曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 野中 英二君    理事 勝澤 芳雄君 理事 平田 藤吉君       唐沢俊二郎君    佐藤 守良君       野田  毅君    古屋  亨君       村田敬次郎君    井上  泉君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    小濱 新次君       渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         海上保安庁次長 隅  健三君  委員外出席者         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       丹羽 一夫君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中 哲男君         運輸省船舶局検         査測度課長   辻  栄一君         運輸省港湾局技         術参事官    鮫島 泰佑君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巌君         運輸省航空局監         理部長     山元伊佐久君         建設省道路局次         長       中村  清君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  荒木茂久二君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  地方における交通事情及び交通安全施設整備状況等調査のため、委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣期間派遣地、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  5. 下平正一

    下平委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び帝都高速度交通営団総裁荒木茂久二君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両参考人からの意見聴取は、委員質疑     ――――――――――――― により行います。
  7. 下平正一

    下平委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
  8. 三枝三郎

    三枝委員 最初に、昨日東京湾視察に参加しまして、海上保安庁並び運輸省港湾局関係皆さんが日夜大変な御苦労をしておられることがよくわかりまして、私、心から感謝している次第でございます。  そこで、きのうの視察で、ごく簡単に二、三お伺いしたいことがございます。  中ノ瀬航路で先般「栄光丸」が事故を起こした、その原因が、あの航路の中に沈船があって、その沈船のために事故が起きたということを実はきのう知ったのでございます。この沈船除去について質問いたしたいと思いますが、きのう海上保安庁巡視船の中で大体のお話を伺って承知はしたのでございますが、きょう改めて簡単に質問いたしたいと思います。  きのうのお話では、沈船除去については、これはいわば自然現象ではなく、船が沈んだということが障害になっているわけでございますから、それを除去することは技術的に可能だろうと思います。その点まずお伺いいたしたいと思います。
  9. 鮫島泰佑

    鮫島説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、ただいま海上保安庁の方で現状調査をやっておられるわけでございます。その結果を見まして私ども判断をするわけでございますが、恐らく技術的に可能なものではないかと思っております。
  10. 三枝三郎

    三枝委員 私もこれは恐らく技術的には十分可能なものだと考えます。第三海堡、あそこの障害除去については昨日も印刷物をいただき、「第三海堡撤去開発保全航路」ということで、運輸省第二港湾建設局対策考えておられる。あれと比べればはるかに容易だと私は思うのです。  その場合に、この事故によって起きた沈船水産関係の、恐らく神奈川県、千葉県の漁業協同組合皆さんだと思うのですが、その人たちを、あそこは魚の一つの巣になっておるということで説得をしなければならないというようなお話がきのうございましたけれども、私は先般の事故、今後もあるいは起きるかもしれない、そういった場合、たとえばタンカーが油を流すというようなことになれば、漁業関係者相当の損害をこうむるということはもう明白なことでございます。したがって、関係皆さん説得という点で、一体どちらがプラスマイナスか、つまり、沈船除去することがプラスマイナスか、このままにしておいて魚のすみかにしておいた方がプラスマイナスか、事故が起きて被害が出た場合にどうかというようなことをよく明らかにして、私は一日も早く説得し、そしてあの沈船による事故発生、こういったことは今後ないようにすみやかにやっていただきたい、そういう希望を申し上げたいと思うのですが、その点について簡単にお考えを聞かしていただきます。
  11. 鮫島泰佑

    鮫島説明員 お答えいたします。  従来から御説明しておりましたように、中ノ瀬航路整備につきましては、東京湾航路対策としてぜひとも必要なものだと考えているわけでございますが、港湾局といたしましては、まず一番の問題として、第三海堡撤去に取り組んできたわけでございます。しかしながら数年かけまして利用者との調整をやってまいりまして、先ほど先生のおっしゃいましたような筋で一部御了解を得られつつあるわけでございますが、なおまだ完全に解消したわけではございません。いずれにいたしましても、今度の中ノ瀬につきましては、海上保安庁調査結果を見ましてその上で鋭意同じような方向努力をしていきたいと思っているわけでございます。
  12. 三枝三郎

    三枝委員 もう少し具体的にお伺いしますが、それでは第三海堡問題解決が重点だということになりますが、もしこの沈船撤去ということについて予算面の制約があるとか、あるいはその他の何か同時に出したのではなかなか陣容の点でも手が回りかねるというようなことであれば、私はこれはやはりあれだけの大きな事故が、この間幸いにあの程度で済んだのです。一日も早く海上保安庁の方の調査を済ませて、できれば来年度の予算要求に何も遠慮することはございません。事故というのはこれは非常にいつ起こるかわかりませんから、できれば来年度の予算要求に間に合わせるように調査を終えて、何がしかの予算措置をするというところまで具体的に踏み切っていただきたいと思いますが、その点いかがでございますか。
  13. 鮫島泰佑

    鮫島説明員 お答えいたします。  ただいま、調査ということを申しておりますけれども、一つにはそれを撤去するのにどのくらいの費用が要るかということでございます。もう一つ中ノ瀬航路全体の形状といいますか、水深と申しますか、そういうようなものとこの沈船撤去することの費用、することによっての効果というようなものがあわせて考えられなければいけないと思います。その関係で当然に効果の方が非常に大きいということになれば私どもまさに何も遠慮いたしませんで、要求することができますし、またそういうような場合には財政当局の理解も得られるのではないかと思っております。
  14. 三枝三郎

    三枝委員 それではその方向でできるだけ早く解決していただきたいと思います。  そこで次に、実は私きのう東京湾を見まして、あれだけの船が出たり入ったりしている。これから申し上げることは東京湾ばかりでなく、最近非常に伸びております長距離カーフェリー航路安全対策の問題でございます。それについて御質問をいたしたいと思います。  私がこれからお伺いいたしますのは、カーフェリー航路輸送実績から見まして、これは今後非常に重要な、いわば海上トラックといったようなわれわれの日常生活生鮮食料品その他必要物資輸送に欠くことのできない大きな意味を持っている、そういう性格のものだと思っております。  したがって特に長距離カーフェリー輸送については、将来どんどん伸びていくということを前提にして、そしてこの伸びていくカーフェリー輸送に伴う事故を絶対起こさないようにやっていくことが必要でないかという前提で、カーフェリーボート輸送を制約するとかそういう意味でなく、むしろ積極的に伸びていくし、また伸ばさなければならない、それと同時に安全も十分考えていかなければならないという観点でお伺いするのでございます。  私の調査によりますと、昭和四十五年長距離フェリー航路航路数が五つあったのが、昭和四十九年には二十五というぐあいにだんだんふえております。それから航路の距離も、昭和四十五年が三千キロメートル、それが昭和四十九年では一万七千にのぼっている、どんどん伸びているわけです。それから輸送実績が、乗用車の方は四十五年よりも四十六年がふえて、それから四十七、四十八と減っている。しかし反対にトラックの方は四十六年から四十七、四十八と少しずつふえている。乗用車の方は減っている、トラックの方はふえているという数字が出ております。  そこで最初にお伺いいたしたいことは、こういった乗用車の方が、四十九年はどうなるかわかりませんが、少しずつ減少の傾向がある。しかしトラックの方は増加傾向がある。この傾向は将来続くものかどうかという判断でございますが、これは運輸省の方だと思いますが、どういうぐあいにお考えになりますか、それをちょっと伺いたいと思います。これはそうかたく考えられないでも、大体の傾向はそうではないか、私はこう思うのです。  それで実は船にトラックを積んでいる、乗用車を積んでいる。ガソリンはみな入っておりますから、いわば陸上における地下駐車場に比較しますと、動いている船の駐車場である、ある航路の間は。そしてそれが向こうに行ってまた陸上になる。陸上地下駐車場については、関係機関が非常に努力をして事故の起きないようなことで万全を期しております。もちろんカーフェリー安全対策についても、運輸省関係部局としては十分に対策を講じていると思いますが、最初に、最近どのような事故発生状況か、これをちょっと伺いたいと思います。  といいますのは、事故は非常に多いようでございますけれども、代表的なもので、たとえば火災発生によって瀬戸内海で発火して沈没したという例がございます。それからいつでしたか、北海道行きのカーフェリーが途中で何かわからなくなった。これは無事着いたようですが、それは事故に至りませんでしたけれども、これはもしそういった最悪の場合ならとんでもない大きな事故になりかねないのですが、そういう事故がどんな状況になっているか、発生状況、それを簡単で結構でございますから、お伺いしたいと思います。
  15. 隅健三

    隅政府委員 お答えいたします。  カーフェリー事故は年々増加傾向にございましたが、一応四十九年は四十八年よりも若干減っております。と申しますのは、四十七年で要救助海難と申します、われわれが巡視船艇を出動いたしましてこの海難に対処いたしましたのが、四十七年では十二件、四十八年で十九件、四十九年で十二件になっております。この大半が衝突機関故障火災でございます。  それで、主な例といたしましては、四十八年瀬戸内海フェリーボート「せとうち」が火災を起こしまして爆発を繰り返しまして沈没をいたしました。これが四十八年の五月十九日でございます。それからあと乗り上げであるとかあるいは岸壁に衝突をいたしました件がございますが、最近では「しれとこ丸」が一時消息不明になりました。われわれといたしましては、この船の消息をつかまえるということで全関係管区に指令いたしまして、その消息調査いたしました件、それからカーフェリー「ひろしま」が瀬戸内海自動車の置き場から出火をいたしまして火災を起こした。こういうのが最近のフェリーの主な海難事故でございます。
  16. 三枝三郎

    三枝委員 海上保安庁で昨年の七月に出しました「海上保安の現況」、これを見ますと、カーフェリー安全対策という項目で、事故発生の場合にはいろいろと事故原因を解明して、改善すべき事項を関係者に勧告すると、いろいろよく書いております。この中で、最近のカーフェリーの相次ぐ事故にかんがみ、運輸省が、これは船舶局になるのでしょうか海運局になるのでしょうか、四十六年十月に出しました安全対策、それを四十八年八月に改正を行った、こうなっております。これは「相次ぐ事故にかんがみ、この対策の一層の強化を図るために、四十八年八月にその改正を行った。」こうなっておりますが、どういう点が、具体的にこの事故を検討して、そしてそれを十分に取り入れて改正を行ったのか、ごく簡単で結構ですから、お答え願います。
  17. 辻栄一

    辻説明員 ただいま御指摘カーフェリー安全対策につきましては、昭和四十八年八月二十九日運輸省として船体構造設備あるいは運航管理体制等につきまして強化の方針を立てたわけでございます。私、船舶局でございますので、そのうち船の構造設備面での強化対策につきましての御説明をさせていただきます。  カーフェリ一の安全対策につきましては、その特殊性を考慮いたしまして、その構造及び設備につきまして一般旅客船よりも一段と厳しい規制を行うというのがこの通達の趣旨でございます。  火災対策につきましては、昭和四十六年十二月二十八日付の船舶局長通達をもちまして、火もととなりやすい機関区域及び調理室車両区域とを仕切ります隔壁、あるいはそれにつながります甲板につきまして防火構造をやれというふうにいたしております。  防火構造につきましては、一九六〇年の国際海上人命安全条約によりまして、国際航海に従事する旅客船にいろいろな規定がございますが、その中の旅客船の基準に準じまして、カーフェリーにつきましても不燃性防熱材料によります防熱措置を施すということにいたしております。これは昭和四十七年四月一日以降にキールを据えつけた船舶に適用するということで実施させております。  もう一つは、車両甲板に面しますこれらの区域からのとびらについてでございますが、これはすべて鋼製としなければならない。そして自己閉鎖型、ほっておいても自然に閉まるというタイプのものにしなければならないということにしておりまして、これによりまして機関室区域等からの延焼を防止するという考え方をとっております。  また、車両区域におきます火災対策といたしましては、閉鎖された車両区域には火災探知装置及び固定式消火装置を設置させることといたしております。  さらにもう一つ消防用ホースについてでございますが、これは一般旅客船が一条のホース射水でよろしいということになっておりますが、カーフェリーにつきましては、どの場所におきましても二条のホースからの射水ができるように消火栓及びホースの配置を義務づけております。同時に、二組の消防員、器具の備えつけをやれということにいたしております。  さらに、火災になりました際に旅客をどのように安全に脱出させるかという問題についてでございますが、これは一般旅客船につきまして脱出経路あるいはその寸法、階段等について詳細な規定がございますが、それに加えまして、カーフェリーにつきましては、脱出甲板の高さが水面から五メートル以上のものにつきましては降下式の乗り込み装置、いわゆるシューターと申しておりますが、それを装備しろ、また救命設備につきましても、沿海区域を航行する一般旅客船におきましては最大搭載人員の一〇〇%の救命艇または救命いかだ、一〇〇%の救命胴衣を義務づけておりますが、カーフェリーにつきましては、これに加えまして一五%増しの救命艇または救命いかだ装備しろというふうにいたしておるわけでございます。  以上が、火災に関する対策のうち、船体構造に関するものでございます。
  18. 三枝三郎

    三枝委員 それを受けて海上保安庁の方では、たとえば陸上地下駐車場火災対策については、消防庁の方では定期点検をやっております。それから報告を義務づけております。たとえばこの二点について、いまお話があったような改正点について、さらに、これは四十八年ですが、定期点検あるいは報告を義務づけるというようなことをやっておりますか。どうでしょう。
  19. 隅健三

    隅政府委員 海上保安庁におきましては、年二回実施いたします全国海難防止強調運動において、講習会であるとか立ち入り検査訪船指導を行っておりますが、四十九年度におきましては千九百七十隻の旅客船カーフェリー立ち入り検査を行い、また訪船指導をいたしました。なお、六十二回にわたって事故対策の訓練を実施いたしております。
  20. 三枝三郎

    三枝委員 もう一度伺いますが、端的に言いまして、定期検査というのをやっておりますか、それから報告定期的に義務づけておりますか。この点です。
  21. 隅健三

    隅政府委員 ただいま先生検査お話は、安全法に基づく定期検査あるいは中間検査のことかと存じます。それは船舶局においてお答えをいたすことにいたしまして、海上保安庁といたしましては、随時訪船指導、それから随時調査に基づく報告の提出を指導しております。
  22. 三枝三郎

    三枝委員 それでは五十年の一月に運輸省が出された「交通安全施策の概要」の中のカーフェリー安全対策という中で、「これら長距離カーフェザー特有構造、性能、設備については今後とも詳細な検討を行い、不備な点があれば、一層厳しい規制を実施することとしている。」というところがあります。  私が申し上げたいことは、定期点検をする、あるいは定期報告を義務づけて報告をとる、そして現状でいいのだといえばもうそれでいいのですけれども、依然として先ほど挙げられたような衝突事故あるいは火災事故、そういうものがあるのですから、ここにございますように「不備な点があれば」ということを厳格に解釈して、これで十分だというぐあいにはいかぬと思うのです。やはり備えあれば憂いなしということで、あれだけの大きな船でありましても、火種を持って走っております。不慮の事故に備えて今後とも十分に安全対策を講じてもらいたいと思います。  その点について、先ほどから伺っているのはカーフェリー自体安全対策でございますけれども、どんなにやっても事故というものは起きる、そういった場合に、海上保安庁のたとえば消火艇をすぐ出すとか、あるいはヘリコプターをすぐに出すというような、事故発生のときの態勢、これについて現在どうなっているか、十分なのかどうなのか、その点を含めて、簡単で結構ですからお答え願います。
  23. 隅健三

    隅政府委員 海上保安庁といたしましては、昭和四十九年度末、五十年の三月三十一日で巡視船九十四隻、巡視艇二百十四隻、合計三百八隻を持っておりますけれども、ただいま先生指摘のとおり、長距離カーフェリーはやはり沿海を航行いたします。こういう海難に際しましては、やはり巡視船強化、それから湾内におきます安全対策といたしましては、今後も巡視艇強化する。なお航空機による遠距離救難態勢強化ということも必要でございます。  ただいま海上保安庁といたしましては、戦後の非常に資材の悪いときにつくりました巡視船がございます。これの代替建造を行っておりますが、さらに、海難救助対策といたしまして、新しい巡視船巡視艇建造に鋭意努力を行っております。
  24. 三枝三郎

    三枝委員 私は、きのうの東京湾だけの視察でもすぐ感じられましたことは、海上保安庁船艇のたまり場というのですか、あの辺を見ましても、相当老朽といいますか、近代性を欠いた船、あるいは装備を十分持っていないような船も見受けられました。  先ほど申し上げましたように、カーフェリーがだんだん長距離化する、しかも、これは担当の方がおいでにならなかったけれども、恐らく低成長経済の今後の進み方でも、トラックがふえていくということになりますれば、やはりカーフェリーによる物資輸送というものはふえると思う。あの程度装備ではきわめて安全の点で不十分だろうと思います。したがいまして、もっと速力の速いものとか装備が十分なものとか、そういった近代化高速化といったような、老朽の船を更新していくということで、これは人命に関することであり、またわれわれの生活必要物資に関することでございますので、その点はもっともっと強化しなければならないと思います。それから、きのうもヘリコプターがわれわれを出迎えていただきましたけれども、御説明がありましたが、日本全体を見ますと、海岸線の非常に長いわが国で、いまの保有している程度航空機ではまだまだ不十分だろうと思います。  必要なものはこれはやはりどんどん要求して、事人命に関することでございますので、私は起こり得るあらゆる事故を想定して万全の対策を講じてもらいたい。それからまた運輸省といたしましても、海運局ですか、先ほどございましたように「不備な点があれば」ということで、不備な点があるかないかということは常時実態を把握して、その点に向かってやはり十分対策を講じてもらいたい。以上でございます。  次に、今度は陸の方に参りまして、暴走族の問題を最初ちょっと取り上げたいと思います。  最初に、警察庁は先般暴走族について相当強い規制をするというような発表で、事実実施をしたと思いますが、いまのいわゆる暴走族実態、それから先般の、六月十一日に出した次長通達、あの効果がどうであったか、それから今後その効果を一応踏まえてさらにどのような対策考えていくか、それについて簡単で結構ですからお答え願います。
  25. 勝田俊男

    勝田政府委員 まず、暴走族実態でございますが、われわれ暴走族と申しておりますのは、集団で速度違反信号無視整備不良車両運転、あるいは蛇行進、急転換等の非常に危険な運転をするグループでございます。こういったグループは、騒音とか一般運転者恐怖感を与えている、あるいは一般者を巻き込んで騒動を起こしておる、あるいは対立抗争を起こすというようないろいろな問題を起こしているわけでございます。  四十七年ごろから急激に多くなってまいりまして、四十八年にはかなり群衆を巻き込んだような事案が多かったわけでございますが、昨年はかなりグループ化が進んでまいりまして、それに伴いまして対立抗争事件も八十六件ばかり生じているわけでございます。われわれの方で把握しておりますグループは約二万六千人、八百グループ余りというものを一応把握いたしておりますけれども、グループ自体が非常に流動的であるということでございます。  昨年五月に次長通達を出しましてこれの対策を推進することにいたしたわけでございますが、こういったグループの大体七〇%以上が少年である、したがって交通問題ばかりでなしに、少年という面からもこの問題についてはアプローチすべきであるということで、総合的な対策を講じ、三百余りのグループは解体されたという報告が出ているわけでありますが、結果的にはグループが決して減ってはいないという状況でございます。  昨年暴走しようとして集まりました人員は約十四万人に達しているわけでございまして、四十八年の五倍近くになっておる。暴走集団で検挙した者は二万八千五十一件に達しているわけでございます。また、本年に入りましてから五月までに暴走行為をした人員は三万二千四百五十一人ということでございまして、暴走延べ人員は約二五〇%も多くなっているということでございます。また、検挙人員も五千八百八件ということで、昨年より六三%も多いということでございます。五月に入りましてから、特に愛知県の岡崎市、兵庫県の神戸市で群衆を巻き込んだ大規模な集団暴力事案が発生いたしておりますし、先般、神奈川県の鎌倉市でグループ間の大規模な対立抗争事件発生しているわけでございます。  こういった状況にかんがみまして、悪質な暴走グループに対する対策をさらに強化をいたしたいということで、先般、関係各部長の通達を出したわけでございますが、その直後にまた鎌倉の事件ができたというようなこともございまして、警察庁におきまして総合的な対策委員会をつくりまして、これが対策を推進しているところでございます。  その対策の第一は、やはりこうした悪質な事案、これについてはできるだけ事前にその動向の把握に努めまして、未然にこれを防止するように説得なりをやっていく。また、そういった情報のある場合につきましては、できるだけ検問等を強化いたしまして、その現場におきましても説得をして、そういった暴走行為に参加させないように努力をいたしたい。また、少年補導という面からも強力にこれを推進していただいて、暴走グループに参加しないようにしてもらう。あるいは暴走グループを解体に導いていくというような努力をさらに進めていきたい。  さらに悪質な事案を起こした者につきましては、やはりこれは徹底的な鎮圧、検挙ということを行ってまいりたい。さらにこういった悪質グループにつきましては、特に行政処分の面についても強化の措置を考えたいと思います。また、この暴走グループをなくしていくためには、やはり社会的な規制というものが大変大きな力があるかと思います。そういった面で、家庭なり職場なり学校等につきましても働きかけを行いまして、少年たちに対する安全教育の問題なり、少年の補導の問題なりこういった点についていろいろと御努力をいただきたいというふうに考えているわけでございます。  現場における問題としましては、交通問題ということで処理をしていきたいと思いますが、根本的にはやはり少年問題という問題もございます。そういった点から、学者の方々にもいろいろとそういった面で研究も進めていただきまして、そういったことを参考にしながら進めていきたい。  また、警察だけの努力でなかなかなくなるというものでもないと思います。総理府の方にも御連絡をいたしまして、いろいろと総合的な対策を進めていただくようにお願いをしたいと考えております。
  26. 三枝三郎

    三枝委員 暴走族と言われる若いグループ実態がよくわかりましたが、このような若い者は、抑えられているものを何かはけ口を求めて出したい、そういう複雑な心理状態だと思うのです。それで、いまもお話がございましたように、とにかくスピード狂ですから、制限されている六十キロ以上、百キロ以上のものを出している。とにかくスピードを出すということに、彼らはそこに情熱のはけ口を見出しているということですから、私は、この問題は若い者に対する青少年対策の問題にもなります。教育の問題にもなります。また、本当にスピードを出したいならA級ライセンスを取って、鈴鹿とか富士のああいったスピードコースでちゃんとしたレーサーになってやればいいのですが、そこまでいけない。そしてやはりかっこうのいいところを見せようという自己顕示欲が非常に強いといいますか、いろいろなそういうようなことがありますから、警察だけで取り締まってもなかなかうまくいかぬと思います。  そこで私は、角度を変えまして、これから実は警察庁ではなくて、これは運輸省の方あるいは通産省の方にお伺いしたいことなんです。  現在、六十キロなら六十キロで制限されております。連中はどんどんスピードを出すわけですね。ですから、この六十キロというものをそこで抑えるようなことを考えられないものかどうか。しかしハイウエーに入れば百キロですから、そのときは百キロが出るようにするというようなこと。そういう点で交通安全対策一つの問題として、自動車構造あるいは装置について、安全の点からこれを規制していくということが考えられないかどうかということでございます。  警察庁調査では、取り締まりを非常にがっちりやっているせいか、あるいはいろいろな交通安全の施設を建設省その他関係各省の皆さんがやっておられるせいか、総理府の予測では、どんどんカーブが上がって、特に死者の数はふえていくだろうという予測であったのが、四十五年をピークにしてカーブがダウンしております。これは私は非常な明るい見通しだと思いますけれども、これは絶無にならないわけですね。取り締まりを幾らやってもやはり限界が来ると私は思う。そこで従来は取り締まりとかあるいは安全教育とかそういう点からいろいろと交通安全の大きな柱として対策考えられておりましたけれども、先ほど申し上げましたように、自動車構造装置の面で安全規制がなされてしかるべきではないか。  実は自動車の公害がいま盛んに言われております。これは自動車公害というとすぐ排気ガスの規制ですね。ところが私は必ずしもそればかりではないと思う。自動車公害の一番大きいのは、これは自動車事故によってすぐその場で死んでしまう、あるいは重傷を負ってしまうということです。排気ガスの規制は、これはやはりわれわれの生活を守る、あるいは健康を保護するという観点から、公害防止ということでいろいろな審議会もできてやっておりますけれども、スピードを抑えて、そして死傷者の数を少なくするという安全性から、この自動車の公害というものを見ていくという点は若干いま手薄ではないか、私はそう思うのです。  そこで、しかしこれは技術的な問題で、素人の私どもとしてはよくわかりませんけれども、自動車構造装置の安全規制で、たとえば最高速度を、いま市内は六十キロですから、ハイウエー以外は六十キロですから、アローアンスを少し見て七十キロぐらいで抑えてしまう、あるいは高速道路に入った場合は百キロですから、百十とか百二十ぐらいで抑えるというようなことが技術的に可能なものかどうか。あるいはそういうようなことがかえってまた事故を誘発するようなおそれがあるのではないか。それから馬力の問題も出てきます。しかし、馬力が非常に強くなる、あるいはスピードを出すということが、また別の面でエネルギーをできるだけ節約するという、これはいまわが国の一昨年の石油ショック以来大きな課題でございます。ほとんど海外に石油を依存しているわが国にとっては、安全性の面からもそうでございますけれども、省エネルギーという点からも自動車構造上、装置上、何か考えられないだろうか。そういう問題提起ということになりますが、それについて運輸省の方は一応どういうぐあいにお考えになっておられるか、ちょっとお伺いいたします。
  27. 田付健次

    ○田付政府委員 お答え申し上げます。  自動車の使用実態から、制限速度にその自動車の速度を機械的に抑えることができないかというお話でございますが、私、考えますのに非常にむずかしいというふうに思います。実はいろいろな問題がございますが、第一に現在の速度制限の実態を見ますと、道路の種類または区間によりまして非常にばらばらでございます。これをどのようにフォローさせるかということが非常に技術的にまずむずかしい。第二は、先ほど先生お話がございましたが、市街路と高速道路とをうまく使い分けることができるかどうかと考えてみますと、いまのユーザーは、市街路だけではなくて日曜日には高速道路も入りたいという希望者が多いだろうと思います。そうすると、両方の速度バンドをどうやって切り分けるかということに問題が一つあります。  この二つをせんじ詰めてみますと、要するに全く速度制限の区間に応じて自動的に切り変わっていくといううまい方法が見つかればよろしいわけでございますが、これは非常に至難のわざであろうと思います。結局いまやろうとしますと、その切りかえ区間で人が操作をして物差しを変えざるを得ない。ここに最大のポイントがあるのではないかと思いますが、いま技術的な問題としてこれを整備しようとしますと、そういった意味で非常にむずかしい点があると私は思います。  ただ、先生のおっしゃるようなことも私どもとしても当然考えておりますが、スピードの出過ぎ等から出ております事故は何とか防がなければならないということでございますので、私どもとしては実際上の指導の面で、メーカーがいろいろな自動車を設計いたします場合に、非常に大きなccであるとか非常に高い速度を持つようなことに対しては規制上はございませんけれども、実際上は制限をいたしまして、そのような自動車をつくらないように勧奨いたして実効を上げている段階でございます。  また、これはどうも道徳的な言い方かもしれませんが、速度を守るというのは最後はやはりその自動車を使う人のモラルになりますので、そのモラルを幾らかでも助けるという意味で現在私どもとしては各種の警報装置の取りつけをさせております。これは先生承知かと思いますが、かなり前から大型車には運行記録計をつけさせたり、あるいは速度の表示装置などもつけさせておりますし、ごく最近におきましては、乗用車等につきましても明瞭な速度計の警報装置をつける。これは従来ずっと指導でやってまいりましたが、いろいろな問題がございますので、この際これを法規化しようということで制度化したわけでございますが、そのようなことで運転者に対する警報ということを通じて先生の御趣旨のようなことが起きないように努力をしておるわけでございます。  まだ問題がいろいろございますので、私どもとしてはこれからも関係省庁といろいろ相談をしながらこういう面についての事故防止には努力してまいりたい、このように考えております。
  28. 三枝三郎

    三枝委員 実はその点について、私も昭和二十一年から車を運転して約三十年近い経験を持っておりますが、三十年前と一緒なんですね。いま、とにかく地球から月まで人工衛星が飛んでいく時代なんですから、私はいまの公害対策について少しアンバランスじゃないかと思うのです。先ほど四十五年をピークにしてだんだん死者の数は減っておるということであったが、絶無にはならない。一発で死ぬんですから、一発でかたわになるような重傷を受けるわけですから、これは、今後このモラルの問題も一番根本なんですが、何とかそこをいま自動車の排気ガスの規制に力を注ぐぐらいの熱意を関係各省の皆さんがこのスピードについて、先ほどの暴走族の例もございますが、何かこう物理的に、機械的に抑えてしまう。しかしハイウエーがありますから、そこへ行ったらまたやれるような、これを総合的に見ておられる交通安全対策室の総理府の方ではどういうふうにお考えですか、ちょっと伺いたいと思います。
  29. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 三枝先生の、自動車自体の速度を構造上抑制したらどうだ、まことに異色なしかも重要な御提起があったわけでございます。実は私も個人的には長年交通事故に取り組んでまいりまして、非常に暴走によります大きな死亡事故等を見てきたわけでございます。そういう場合に、いま三枝先生が言われたと同じような考え方を実は私個人も持ったことがございます。  現在死者年間一万一千人そこそこでございますが、交通安全施設等を今後五ヵ年間伸ばしていきましてあるいは五年先には年間八千人くらいの死者になるかもしれませんけれども、さらにこれを年間五千人までというような線まで持っていこうとするならば、三枝先生の御提案がございましたような自動車構造自体というものにまで、これがあるいは最後の決め手になるのではないだろうかというようなことも私自身考えたこともございます。また岡山におりますときに、暴走によります死者、交通事故がどのくらい占めるだろうということも一遍調査してみたことがございますが、六十キロ以上の暴走によります死亡事故が、当時の調査によりますと大体二割近い死亡事故を占めておりました。こういう点から言いましても、自動車構造の方で速度を抑えるならば、相当程度の交通事故の抑止ができるだろうと思います。ただし、これは御指摘のとおり技術上の問題でございますので、技術上で可能であるならばそういうことが考えられます。  ただ、もう一つ問題となりますのは、排気ガスのように運転者の責任でなくすべての車に排気ガスが出るというものについては、一律にとめるということにはそう抵抗ございませんけれども、一部の不心得者の暴走運転を抑止するためにすべての車にそういう装置を取りつけるということのコンセンサスが得られるかどうかというような点も私まだ自信がございません。  しかし、そういう構造をやります場合には、いま先生指摘のとおり自動車構造自体最初からスピードが出ないということはむずかしいでしょうから、恐らく速度の制御装置を取りつけるということで事を進めていかざるを得ないのじゃなかろうか。その場合に一般道路で六十キロ、高速道路で百キロ、そういう二段階の速度制限は技術的に可能かどうか、先ほども運輸省から非常にむずかしいというお話がございましたけれども、先生の御提案になりましたような意見というものは非常に根強いものがございます。世界各国と違いまして日本は道路が非常に過密状態であるから、法律的に最高速度を六十キロというような制限をしておるのは日本だけでございますから、当然六十キロ以上出せない車を走らせていいんじゃないだろうかという強い意見は確かにございます。また最近の暴走族を見ましても、オートバイなんかも六十以上出せなくていいじゃないかというような強い意見もございます。しかしながら、先ほども言いましたように、技術上の問題でございますので、今後運輸省等の御検討にお任せしていきたいと思います。  しかし、私にとっても非常に魅力のある御提案でございます。特に運輸省当局とも十分詰めていきましても、もし可能ならば、交通事故防止に大きく貢献をするのじゃなかろうかと思います。
  30. 三枝三郎

    三枝委員 時間が参りましたので、最後の質問に移ります。  私はいまいろいろと伺いましたが、自動車の公害対策を安全性の面から見ていくということで、これはどこが中心になりますか、環境庁の公害対策というとすぐ排気ガスの規制ということだけだろうと思います。人命の尊重、地球より重いと言われるわれわれの命、これは公害の最たるものですね。そういった点からの自動車公害の総合的な対策考えるべきではないかと私は思うのです。エネルギーを節約するという面、あるいはいまの人命尊重、安全という面、あるいは排気ガスの面、それを総合的に、長期的に考えていかなければならない段階にいまきているのではないか。したがって、角度を変えて、私は事自動車については、何かそういった問題を含めて対策考える、総合的に見ていく審議会のようなものもつくるべきではないか、そういうことを提案したいと思います。  それから、もう時間がないのであれですが、総理府の方で出された「交通安全要覧」を見ますと、交通安全思想の普及徹底、その他いろいろずっと書いてありますが、私は一つ抜けている点があると思うのです。これはこういうものには非常になじまないかもしれませんけれども、最後は、先ほどもお答えのあったモラルの問題だと言いますが、人命を尊重するという私どもの良心の問題といいますか、これは教育の問題にもなりますし、宗教の問題にもなると思うのです。あらゆる生命を尊重する、生きとし生けるもの、あらゆるものを大事にする、大切にするという気持ちにだんだんなっていく。これは非常に回りくどいようなあれですけれども、根本はそれだと思う。したがって、いろいろな学校教育、社会教育において交通安全の思想の普及徹底もございますけれども、生命を尊重するという点で、宗教心といいますか、そういうものが家庭に入っていく。そういうところまで宗教の関係人命尊重という点で交通問題に取り組むぐらいのキャンペーンをやったらどうかと思うのです。  たとえばイギリスに行って、ハイドパークの公園に行っても、リスでも何でもそばへ寄ってきますね。日本ではああいう風景はないですよ。子供はすぐ石を持ってぶっつけてしまう。つかまえようとする。生命を尊重するという点で欠けている面がある。宗教は、別に内容は問いませんけれども、たとえばキリスト教の精神というものは家庭のすみずみまで日常入っている。そういうところから生命を尊重する、人命を尊重するということで、それは交通事故防止の安全にもつながるのではないかと私は思いますので、いろいろな努力をされておりますけれども、この際宗教団体にも働きかけて、総合的な、先ほどモラルの問題が出ましたけれども、事故防止に当たっていただく配慮も必要ではないか。そのことを要望して私の質問を終わります。
  31. 下平正一

    下平委員長 次に、井上泉君。
  32. 井上泉

    ○井上(泉)委員 きょうは幾つかの問題を質問いたしたいと思うわけでありますが、まず最初に、国鉄関係で一、二お尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕  国鉄当局はだれか来られておりますか。――これは委員会の質問に入る前に、どうもこの交通安全対策特別委員会を政府当局はいままでにない軽視をしておるのではないかということです。いままでは運輸大臣なんかもたびたび出てきたわけですけれども、本年度の当委員会に運輸大臣が出席したのはただの一回、こういうふうな状態で、どうも運輸省当局、この交通安全対策について不熱心じゃないか、無関心じゃないか、こういうふうに思うわけですが、政務次官おいでになっておるわけですから、政務次官の見解をまず承っておきたい。
  33. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 決して軽視しておるわけではございませんで、交通安全の問題は現代におきまして最も重要な課題でございまして、もし先生にそのようなお気持ちがおありになるとすれば十分反省いたす所存でございます。
  34. 井上泉

    ○井上(泉)委員 軽視をしてないということは、それは言葉としては言われるわけですけれども、政務次官も交通安全の理事をされておって、そしてまたよく理解があると思うわけですけれども、どうも大臣の出席がない。たまたまきょうも私、大臣に出席を要求したわけですけれども、参議院の関係出席ができない。何も事大主義で大臣をどうのこうのと言うのではないですけれども、やはり大臣としても交通安全対策特別委員会には呼ばれなくてもみずから進んで出て、運輸関係における交通安全についての委員会の意見を聴取するというぐらいの誠意を持っていただきたいと私は思うので、そのことを政務次官から注意を喚起しておっていただきたいと思います。  そこで、きのうの国鉄のレール交換の東北本線の事故ですが、こういうレール交換という一つの作業の中で事故を起こすということ、これは本当に国鉄当局は安全対策というものにどういう神経を使っておるのだろうか。私、専門家ではないけれども、作業をしておるところへ特急が減速もせずにやってくるというようなことは常識では考えられぬと思うわけですが、この点についてはどういう指導をなさっておったのか、承りたいと思います。
  35. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 東北本線八十年を超えますわけでございますが、四時間の列車の間合いをいただきましてレールをかえるというのは、そうした意味では国鉄の中といたしましては非常に画期的な、また非常な決意をもってこのレール交換を始めたわけでございます。したがいまして、万全の計画をしてやったわけでございますが、まことに不幸にして、一人の殉職と二十八名の負傷者を出したわけでございます。まことに遺憾だと思っておりますが、特急が徐行もせずになぜ走ってきたかというお話でございますが、実態の作業は、四時間の間合いをいただきまして、下り線の作業をいたしますので、従来でございますと、これが三十分とか一時間とかいう間合いでやっておったわけでございますが、四時間という十分な間合いを持っておりますので、工事をいたします前の列車、最終列車と申しますか、走っております特急二本でございますが、これについては徐行というものを必要としないという私どもの判断でございました。  事故が起こりましたものは、いわゆる特急が徐行しないで走ってきたということに起因するものももちろんあるわけでございますけれども、これは十分通常におきましてレール交換作業というのは始終やっているわけでございますので、過去の長い経験から見まして、四時間の間合いでその最終列車を徐行する必要というものは、常識的には私ども専門家としましてはないという判断に立って実施したわけでございます。
  36. 井上泉

    ○井上(泉)委員 特急が通過するときにおけるものすごい風圧、そうしてまた、そのときにはふだんのレール交換のときとは違って多人数の方が出て集中的にやっておるわけですから、そういう集中的にやっておるところに対して、ふだんのようなレール交換のやり方で安全対策考えておったところに問題があったのではないか。  それじゃ、特急が通過したことによって非常なけが人を出した、こういう状態というものは、いわゆる特急がそういうふうにものすごい、そのままの減速もしない中でやってきた風圧による事故でない、こういうふうに解釈をしておるのですか。常識的に見て問題はないと考えておるということですが、そういうふうに常識的に見て問題がないと考えておるから、だからこの事故というものは不可避的だ、こういう事故というものは何も常識外れに起こったものではない、こういうふうに理解をしておるのですか。
  37. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 昨日起きました事故の種類の中で二件ございまして、一件は殉職といいます人命を落としてしまったようなまことに申しわけない遺憾な事故でございます。この殉職の方のほうの問題は、レール交換機といいまして――レール交換機といいますのは、国鉄が開発いたしましてから二十年を超えるもう経験ある……
  38. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いや、それはレール交換機でやったことはわかるから、言いわけには及ばぬですから、その原因がどこにあったと考えるのか。
  39. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 はい。飛来物の方は、十八工区ございまして、その飛来物によりまして大部分の十九名の方が集中しましたのは十二スパンというところだけで起こっております。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕 十二スパンのところだけで集中的にゲージの、いわゆる線路の中に置いそあります物が飛んだということでございまして、風圧で申しますとどこもかしこも同じような現象が起きなければならないわけでございますが、この十二スパンに集中したというところに、私ども原因について非常に真剣に取り組まなければならないというふうにいま考えておるわけでございますが、現象といたしましては十八区間ありましたうちの一区間だけがそういう現象が多発したというところに私どもはやはり……
  40. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いや、そういう地区に全部起こったら大変でしょう。一区間になぜ起こったかということ。配慮が足らなかったのじゃないか。配慮足りておったのですか。
  41. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 いままでも同じような作業をずっとしてきたわけでございます。確かに風圧の問題もあると思うのです。で、その原因につきましては技術研究所も含めまして検討してみたいと思っております。
  42. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いや、これはなんでしょう、いままでと言ったって、四時間にわたって列車をとめて、大規模に何千人も動員してやったということは初めてでしょう。いままでとは違うでしょう。だから、いままでと違った形でレール交換の作業をやるのだから、いままでのような考え方でこの作業における安全対策考えておったところに大きな原因がありはしないですか。
  43. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 先生のおっしゃいますとおり確かに初めての経験でございますが、レール交換の作業そのものはずいぶんいままでもやってまいりました。そこで確かに数量的に多いということは事実でございますが、いわゆるそういう非常に重い物でございますね、重い物が飛んだということは、ボルトでございますとか、砕石も同じような重さでございますので、そうするとそういうものが全部飛ぶということになるわけでございまして、そこに確かに何らかの原因があるというふうに私どもは思いますけれども、今後とも大量で大ぜいの人がやる場合に、さらに慎重に検討し、深く反省したいと思っております。
  44. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この問題だけでずいぶん時間をとりますので、確かにこういう場合における安全対策考えないと、いわゆる国鉄そのものの輸送体制の安全というものがおろそかになってくる同じ要素を持っておると私は思うわけなので、国鉄当局としてもなお一層この作業における事故というもの、少なくとも一人が死に、これはもう死んだ人の命は帰ってこないですからね、こういうふうな事故を惹起したということは、これは私は大きな責任があると思うわけですが、その点について政務次官の見解を承って、私はこの質問は終わっておきたいと思います。
  45. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 今後このようなことが起きないように十分指導監督を強化いたす所存でございます。
  46. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで私は鉄建公団の総裁にお伺いしたいわけですが、在来路線については、これは国鉄の方にあるわけですけれども、新線建設に当たっての責任として、新線建設で安全対策というものにはどういうふうに留意をされておられるのか、私はまずその意見を承っておきたいと思います。
  47. 篠原武司

    篠原参考人 新線建設につきましては、交通安全の見地からいろいろ配慮を行いまして工事を行っておりますが、特に道路との立体交差につきましては、平面交差は原則としてつくらないという方針で施行いたしております。やむを得ず平面交差というような場合には、国鉄ともよく相談いたしまして、踏切自動遮断機または警報装置を設けて交通の安全を図っております。特に田舎の方の線区につきましては、昔はなるべく安くつくるということでそういう形じゃなく平面交差の場合もたくさんあったのでございますけれども、最近のものはそういうことは全然ございませんで、ただいま申し上げたような方針で安全を期しておる次第でございます。
  48. 井上泉

    ○井上(泉)委員 在来線の場合、私は高知ですからよく高知の路線のことが頭の中にすぐ出てくるわけですけれども、たとえば土讃線の後免から山田の区間における踏切なんかは、これは列車の軌道の中に入って、そうして自動車を左折するにも右折するにも交通量の非常に多い中でそのまま立ち往生せざるを得ないというような状態が随所にあるわけですが、国鉄の方ではそういうふうな危険な踏切個所についての点検、そうした場所の整備ということについて対策考えておるのかどうか、施設局長の方から承っておきたい。――そのことについては、施設局長帰っておりますので、次に保留をしておきたいと思います。  そこで篠原さんにお伺いするわけですが、たとえば高知県の阿佐線の新線建設に当たって、国道の五十五号線を横断する個所が何カ所かあるはずですが、そういうふうなところに対しての安全対策と、そうして車の流れをよくするために国鉄当局が道路運送者と道路との関係を十分話し合いをしてやっておられるのか、あるいは国鉄としては従来のような形で新線建設ということについての交通安全の留意というものに意を用いておる用い方が不十分ではないか、そういうようなことを先般地元へ行ったときに聞いたわけでありますので、この機会にこの阿佐線の国道横断の個所における安全施設、安全対策というものをどういうふうに考えておられるのか承っておきたいと思います。
  49. 篠原武司

    篠原参考人 ただいまお話のございました阿佐線につきまして申し上げますが、阿佐線で後免―安芸間は土佐電鉄がございまして、これは平面交差で行っているのが非常に多いのでございますが、この区間はこれから工事を進めてまいりますので、原則として、先ほど申し上げましたような平面交差のない立体交差を考えております。それから安芸から先、田野までの区間で道路との関係で一部平面交差の個所もございます。こういうものはその建設当時は海岸地帯にほとんど人家がなくて問題のなかったところでございますが、最近は人家もだんだんふえておりますし、こういう問題につきましては、今後いろいろ安全の対策につきまして十分考えていきたいというふうに考えております。
  50. 井上泉

    ○井上(泉)委員 鉄道建設公団に対する質問は、時間の関係で以上で終わりたいと思います。どうも御苦労さんでした。  その次に、私は航空の関係でお尋ねをしたいわけですが、先般当委員会として、羽田空港における安全施設その他についての調査をしたわけです。そのときにも私、感じたわけですが、あれだけふくそうする空のダイヤの中で、それぞれの関係会社の方が何よりも安全対策を優先さす、こういう話をされておって、そのことについては何ら文句を言うことではないわけでありますけれども、やはり航空企業というものの今日における航空三社の状態の中で、日航も赤字、全日空は黒字、そうして東亜国内航空は大変な赤字を抱えてもう資本金も食いつぶしておる、こういうふうな状態のことを聞くわけですが、しかし、何ぼ赤字であろうとも安全対策はおろそかにしない、こういう見解を表明をされておるわけであります。  私は、そういう状態の中で、たとえば大阪-高知の路線なんかにいたしますと、ほとんど乗客率が九〇%以上になっておる。その中で、東亜国内航空がこの六月には、いままで二便であったのが三便になっておる。これは一便ふえたから結構だ、こう思っておると、それは六月だけであって、もう七月はもとの二便になるということを聞き、なぜそういうふうなことになるだろうと、こう聞くと、航空機がないからと言う。  しかし、航空機がないというても、現在、新幹線が広島から下関、博多まで行っておるのに、東亜国内航空の路線としてのたとえば広島、宇部線、こういうお客さんの少ないところへいつまでも飛行機を飛ばすというようなこと、つまり、新幹線ができて、そうして大阪-広島とかいうような近距離を航空機輸送に頼らなくても、十分その住民の足の確保のできるようなところは減便をして、そして航空の利用者の多い、たとえば高知路線なんかに飛行機を回すようなそういう措置がなぜとれないものであろうかどうか、そうして、少しでも航空会社としても営業の利益を上げ、そうしてその住民も航空における利便を受けるというようなことになぜ配慮がなされないのか、そういうことを非常に疑問に考えたわけですが、運輸省航空局の方ではこの点についてはどういう見解を持っておられるか、承りたいと思います。
  51. 山元伊佐久

    ○山元説明員 お答え申し上げます。  大阪-高知線につきましては、輸送需要が非常に高い状況でございますので、六月ダイヤにおきましては、全日空が十三便、東亜国内航空が三便ということで計十六便の運航をいたしている状況でございます。  東亜国内航空につきましては、新幹線の博多開通に伴いまして、関係路線の減便を契機に、従来、二便運航いたしていたものを、六月時点では三便に増便いたしたわけでございます。しかしながら、たまたま五月の末に大阪空港におきましてYS11機の事故が生じまして、この機材が使用不可能となりましたので、七月ダイヤにおきましては、やむを得ず大阪-高知線につきまして二便に戻さざるを得なかったという状況でございます。  しかし、先生の御指摘のように、この路線は非常に座席利用率が高い状況でございますので、今後他の路線の輸送需要の状況も見ながら、また機材の効率的な運用ということを配意しながら、できる限り増便ができるように、東亜国内航空を指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  52. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは東亜国内航空の方に指導せねば、東亜国内航空はそういう要求はないですか。たとえばもうお客さんもほとんど乗ってない、五人か十人しか乗ってない、私の調査によると、宇部、広島線なんかずいぶん少ないわけですが、その少ないところを一生懸命飛ばすより、お客さんのたくさんおって困っておるところへこの飛行機を飛ばすというようなことについて、東亜国内航空を航空局が指導せぬと、東亜国内航空にはそういう要求はないのですか。
  53. 山元伊佐久

    ○山元説明員 新幹線の開道に伴いまして、先生の例示に挙がりました広島、宇部、そうした路線につきましては、確かに需要が従来よりも減っておることは事実でございます。しかしながら、やはり空港が所在する場所につきましては、地元の需要等もあるわけでございますので、直ちに従来の便数を激減させるということにはなかなかいかない事情もあるわけでございます。したがいまして、各路線におきますそういう需要の問題につきましては、十分に配意しながら、利用率の高い路線について運航ができ、利用者の利便に供することができるように、今後とも航空局としても十分に配意をしてまいりたいと考えている次第でござ  います。
  54. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはつまり、従来のように飛行機が飛んでおるところを、お客がなくとも、それを急に減便をするとか廃止をするとかいうことはできないというのは、これは航空会社の都合ですか、それとも地元の都合ですか、航空局の都合ですか、どこがそういう都合があるのですか。
  55. 山元伊佐久

    ○山元説明員 地元の御要望が強いわけでございまして、エア・ライン・サイドといたしましても、従来、地元の方々といろいろ御接触をしてきている背景もございますし、また、私ども航空局といたしましても、非常に極端な減便ということを直ちに実施するということがなかなかむずかしい状況であるということを御賢察いただきたいと存じます。
  56. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでそのことは、たとえば広島、宇部にいたしましても、空港を拡張したいという要求の中で、お客さんもないということで航空機を減便すると、空港を整備することに地元としては何かしらマイナス面を感じるということで、地元の方では、たとえばお客がなくとも飛行機は飛ばしてもらいたい、端的に言えばそういう気持ちというものが地元に強く動いておる、こう理解していいですか、時間が少ないので簡単にひとつ……。
  57. 山元伊佐久

    ○山元説明員 やはり航空輸送需要は各地区につきまして大小の違いがございますけれども、緊急を要するお客の方々もおられるわけでございますので、やはりそうした面の配慮も必要かと存ずる次第でございます。
  58. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それじゃ、お客さんは少のうても飛ばさにゃならぬということになると、お客の少ない路線を飛ばすということは、それだけ航空会社に犠牲を与える。たとえば赤字会社の東亜国内航空が、どんな赤字であろうが、せっかくおまえのところの路線があるから、これは赤字覚悟でも飛ばせよ、飛ばさにゃしょうがないでよ、こういう考え方というものが航空当局にあると考えても、私はあながち誤りじゃないと思うわけです。  そこで時間的な問題がありますので質問を急ぐわけですが、一昨日の新聞だったと思いますが、全日空の社長が、新空港の整備をすることについてはそれに対する負担増がたえられない、こういう見解を表明をされておるわけです。私の出身県の高知空港を拡張することについて、地元の住民が強力な反対運動というものを展開しておるし、いつ空港の拡張計画が実施されるか、いわばお先真っ暗な状態の中にあるわけですが、そういう中て私は新空港――これは新空港ではないけれども、こういう空港の整備拡張というようなことはもう再検討せねばならぬ時期ではないか、こういうように思うわけですが、それについて航空局はどういうお考えを持っておられるか。
  59. 山元伊佐久

    ○山元説明員 お答えいたします。  空港並びに航空保安施設の整備につきましては、空港特別会計で整備をしてきたわけでございますけれども、その財源につきましては従来着陸料あるいは航空機燃料税あるいは航行援助利用料というものを国が航空会社から徴してきたわけであります。さらに五十年度予算におきましては、騒音対策経費の一部に充当するために特別着陸料というものを徴することになっておるわけでございます。航空会社は、石油危機以来需要が伸び悩んでいる一方、経費がふえておりますので、経営がなかなか苦しいという状況にあることは事実でございます。  現在第三次の空港、航空保安施設の整備計画を検討いたしておりますけれども、今後の輸送需要の動向を見きわめながら空港なり保安施設の整備の内容あるいはその規模、またこれに必要な財源問題等について均衡のとれた適切なものにするように今後努力をしていきたいというぐあいに考えている次第であります。
  60. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは安全対策の面における空港整備ということについては十分考えなければならぬわけですが、たとえばそういう需要のあるところとないところと、そういうところにおける安全対策輸送の増大を図るような対策を立てること、これはそういうものとは関連して考えなければいかぬ問題だと思うわけです。  そこで、時間がないので、航空局に資料として要求をするわけですが、いま私が指摘をいたしました東亜国内航空の新幹線開通以前の三カ月と開通以後の三カ月との乗客の統計をひとつ報告を願いたいと思います。それとあわせて大阪-高知空港の利用状況、そういうものを資料として出していただきたいと思います。  そこで、これはまた政務次官にお尋ねをし、見解を承りたいと思うわけですが、いま私が質問する中でもおわかりのように、非常に航空の乗客の需要の少ないところへ依然として飛行機を飛ばすことによって、せっかく航空の需要者の多いところに便を回しておっても、それをまたもとへ戻さなければいかぬというような実態、さらには航空三社の現在の路線、そしてまた経営の状態の中で、そういう航空機についてはやはり再検討せねばならない時期ではないか、それから、さらにはまた全日空の社長が見解を表明しておるような中で、これ以上需要者の負担の中で、これは全日空が負担をするということは結局需要者にその負担が返ってくることである、そういう需要者の負担の中に住民の反対の強い空港の拡張問題とかいうものはもう再検討し、むしろそういうふうな計画というものはもう運輸当局の間においては白紙に戻して見直さなければならぬのじゃないか、こういうように思うわけですが、その点についての政務次官の見解を承りたいと思います。
  61. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 第一の問題につきましては、時と場合、あるいは所と場合によりましてその措置にいろいろなやり方もございますけれども、経済の急激な変動あるいは需要の急激な変動に備えまして、それが的確にかつまた速やかに対応することも非常にむずかしい問題ではございますけれども、御指摘の点でございますので、特に今後も検討いたしたいと思う次第でございます。  また、第二の問題につきましては、各航空会社が石油ショック以来いろいろな経費の増高あるいは需要の激減等によりまして経営が非常に苦しい状況にある。したがいまして、今後第三次空港整備五カ年計画を策定するに当たりましても、航空輸送需要の動向などを見きわめながら航空及び空港保安施設の整備内容並びに財源確保の見通しなどを総合的に勘案いたしまして適切なものとなるように十分検討して、先生考え方を十分生かしたいと思う次第でございます。
  62. 井上泉

    ○井上(泉)委員 了解いたします。  そこで、委員長にお願いしたいのですが、こういう新空港の建設についての航空会社当局の意見も出されておりますし、あるいはいま言うた路線の問題等もあるわけですが、そしてまたこの間の安全対策の施設の問題もありますが、この間わずかな時間でありましたので、航空関係三社の意見を聴取し、そしてまたこちらの意見を申し述べる機会が十分なかったわけですので、委員会としてもそういう三社の責任者に当委員会に来ていただいて、航空問題についての事情説明をしていただきたい、かように思うわけでありますので、ひとつ委員長においてはしかるべきお取り計らいをお願いをしたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  63. 下平正一

    下平委員長 ただいまの問題は、後刻理事会で相談をいたしたいと思います。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 お願いいたします。  それで、次に暴走族の問題ですが、暴走族が非常に住民に不安を与えておるということにつきましてはこれはもうずいぶん論議をされておるわけであります。それで、警察庁としては、運転免許の停止を三十日を六十日にするということを出されておるわけですが、運転免許の停止を三十日を六十日にするということと同時に、マイカー族は点数にはもう非常に神経をとがらしておるわけです。罰金とかあるいは免許の停止とかいうよりも、免許が取り上げられることに大変な神経をとがらしておるわけですが、点数については別段規制を強めるというようなことは考えていないのでしょうか。
  65. 勝田俊男

    勝田政府委員 点数の問題は、道交法の施行令にそれぞれ違反の態様に応じて規定をされているわけでございますが、暴走族という主体に着目をしてその点数を改正するということはなかなかむずかしい。結局違反の態様に応じてということになるわけでございますから、そういった面で、暴走族に特有なものをどういうふうにとらえていくかという点が大変むずかしいのじゃないかと思います。結局速度違反とか信号無視とかそういったことを平然として行ってくるのが暴走族ということでございますので、勢い速度違反なり信号無視、そういったものの回数が重なってくる、そこで自然に点数がふえてくる、そういった形で行政処分に達するということで、暴走族自身の主体に着目しての点数というのはなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えます。
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 むずかしいことには違いないですけれども、三十日を六十日にふやすことができるということになれば、やはり私はそのむずかしいことを研究をして、この点数についてもかなりきついなにをする。暴走族の横行を許すなということはこれはもう世論となっておるわけですから、その世論にこたえてそういう暴走族に対する制裁措置というものはやはり講じてしかるべきでないかと私は思うわけで、そういう点で、むずかしいということは不可能なことではないと思うわけでありますが、むずかしいと言われることは、それは不可能なということですか、どっちですか。
  67. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族の違反の態様、その特徴というものをとらえて、独特の特徴というものが違反の形で出てくるならば道交法の社会でそういったことも可能であろうかというふうに思います。そういった面ではさらに検討を進めていきたい。われわれもまた、今後の暴走族対策としてそういった法的な措置についての検討を進めてまいりたいと考えております。
  68. 井上泉

    ○井上(泉)委員 普通の場合でも、信号で私ども街頭でよく注意をしておると、黄になって注意して進めとこういうことになっても、たいてい黄の場合にはとまるべきなのが、交通安定上当然考えなきゃいかぬわけですが、黄になっておるのに突っ込む車というのはマイカーとそれからトラックに非常に多いわけです。こういう黄で突っ込む場合における規制というものも私はやはり考えなきゃいかぬと思うのですが、どうでしょう。
  69. 勝田俊男

    勝田政府委員 黄で突っ込みました場合も信号無視という形になりまして、違反で、二点の点数が付加されるということでございます。
  70. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これからまた夏へ向かいまして、暴走族は集団でなくとも今度は二台、三台というような形で横行するケースというものが地方都市なんかには相当多いわけでありますので、十分ひとつ住民に安心感を与えるように、暴走族の取り締まりについては意を用いていただきたいということを要望して、次の質問に移らせていただきます。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕  自動車の損害保険の限度額が千五百万円に引き上げられたということでありますが、その具体的な内容ということと、あわせて時間の関係もありますので、前に勝澤委員が要求いたしました資料によりますと、任意自動車保険の収支の中で収入と支出とを見ると赤字を計上しておるわけです。しかし、正味支払い保険料は千七百二十四億九千万円、保険料収入は三千四百六十九億三千百万円で、約倍というものが出ておるわけで、保険会社としては大変な黒字を任意の場合には見ておるわけですが、一体これはどういうふうになるのか、これと関連して説明を承りたいと思います。
  71. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 最初に自賠責保険の保険金額限度額の引き上げの方につきまして御説明申し上げたいと思います。  自賠責保険の保険金限度額につきましては、前回は昭和四十八年の十二月に改定したところでございますが、その後の経済状況の急変等にかんがみまして、先日の自賠責審議会の答申に基づきまして死亡、後遺障害につきましては現行の一千万円から千五百万円に、傷害につきましては現行の八十万円から百万円にそれぞれ引き上げることといたしまして、いま手続を進めておるところでございます。
  72. 田中哲男

    ○田中説明員 自賠責保険のことにつきましては、ただいま運輸省から御答弁あったとおりでございますが、任意保険につきましても、自賠責の限度額が上がりますと、たとえばいままで千万を超える事故について支払っていたものが千五百万を超える事故に対して支払うようになるわけでございます。したがいまして、その間保険料の引き下げあるいは逆に限度額を引き上げるという措置をしなければ均衡がとれないことになるわけでございますので、前回五百万から一千万に上げましたときも、料率引き下げの措置と既契約分につきましては限度額を自動的に引き上げるという措置をとっております。今回の自賠責の限度額の引き上げに際しましても、それと同じ措置をとることにいたしております。  任意の収支のことでございますけれども、これはただいま、勝澤先生の御要求に対しまして提出いたしました資料につきまして御質問がございましたけれども、ここに書いてございますように、四十八年度決算でございますと、正味収入保険料三千四百六十九億、それから支出の方で正味支払い保険金といたしましては千七百二十五億で少いわけでございますが、これは御承知のように、事故が起こるのが非常におくれるわけでございまして、その分を責任準備金、支払い準備金という形で積んでおるわけでございます。それが五百四十一億あるわけでございまして、それを足しまして、そのほかに事業費部分、これは御承知のような経費部分でございまして、この中には代理店手数料なども入っているわけでございますが、そういうものを全部加えますと三千四百七十九億で、四十八年度におきましては若干の赤字というような形になっておるわけでございます。
  73. 井上泉

    ○井上(泉)委員 確かに赤字になっておるわけですけれども、しかしこの支払い準備金、責任準備金の純増額が五百四十一億三千五百万、これをそういう形に準備金として積み立てることによって赤字が出ておるわけです。これは昭和四十八年で五百四十一億という支払い準備金ができておるわけですが、いままでに保険会社の支払い準備金あるいは責任準備金というものが四十八年度末でどれだけあるのか。さらには四十九年度の決算を、人と物とに分けて資料として提出していただきたいと思うわけですが、大蔵省の方でそのことができるのかどうか。
  74. 田中哲男

    ○田中説明員 準備金の純増額ということでございまして、この積み方につきましては、これは実は未経過部分と異常危険準備金を積んでおるわけでございます。未経過部分は保険料の期限がまだ来ないもの全額を積むわけでございますし、異常危険準備金と申しますものは、御承知のように租税特別措置法で経過措置としましてただいま四%、来年度以降は二%を積むことになっておるわけでございます。そういうような税法基準によってすべて積むような形になっておりますので、保険会社が勝手に積むというような操作のできるものではございません。  それから、車種別の決算の資料の御要求でございますけれども……
  75. 井上泉

    ○井上(泉)委員 人と物です。
  76. 田中哲男

    ○田中説明員 人と物との決算の資料でございますけれども、決算というものは現在のところ種目別に決算をすることになっておりまして、決算自体といたしましては、任意自動車一本で出ておるわけでございます。したがいまして、決算数字といたしましては細かくならないわけでございますが、車種別に計算いたしましたと同じような幾つかの仮定を設けまして計算することはできないことではないので、これと同じような仮定を置きまして計算してみたいと思います。
  77. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで私、あまりわからぬですけれども、わからぬからこうお尋ねするわけですが、四十八年度で五百四十一億、つまり収入の三千四百の中の五百四十一億といえば約一五%くらいが積み立てられる。その中にはまだ支払いを必要とするものの発生をするものもあるから、ただ純粋に積み立てる金額というものはこの中で四%そこそこしかない、こういうふうに考えられる問題ですか。
  78. 田中哲男

    ○田中説明員 ここで積んでございますのは、最初の未経過部分と申しますのは、たとえば年度末に契約をいたしたといたします。たとえば三月に契約いたしたといたします。そうしますと、三月の末までには幾らも日が経過しないわけでございまして、あと次の年度に事故が起こる可能性があるというわけでございまして、その未経過部分に相当するものを積むわけでございます。  もう一つの四%と申しましたのは、これは異常危険と申しまして、自動車の損害率はこのぐらいである、火災はこのぐらいである、それぞれの統計的な数字がございますので、それ以上の損害率が起きた場合に備えてということで積むことを租税特別措置法で決められているわけでございます。それが一般の保険の場合は七%のものが非常に多いわけでございます。自動車の場合も七%でございましたけれども、七%は多いということで租税特別措置法が変わりまして経過措置として四%、経過措置の期間が終わりますと二%積むわけでございます。  そのほかに、実際の問題といたしましては事故が起きているにもかかわらず報告がないものというものがございますので、そういうものにつきましてもどの程度のおくれで報告があるかということを見込みまして、若干積んでおるわけでございます。したがいまして、これも決算と申しますのは御承知のように期間決算をしておりまして、この一年で収入が幾ら、支出が幾らということになるわけでございまして、自賠責の方の料率の計算などにやっていることを思い浮かべていただきますとおわかりいただけると思いますけれども、契約年度ベースというものがありまして、契約年度に対する収入と支出をとんとんにするというのが自賠責の収支の考え方でございます。それと同じように、年度に入ったものと出たものだけでは必ずしも収支が合っているのか合っていないのかわかりませんので、その契約に基づいて将来どのぐらいの保険金支払いが起こるであろうかということを推足して積んでおりますのがこの支払い準備金、支払い責任準備金などの積み増し額でございます。
  79. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それではたとえば四十七年度の任意自動車保険の収支が仮に同じだったとするならば、今日では支払い準備金、責任準備金としての五百四十一億三千五百万というものがどういうことになったかということはもうわかるでしょう。
  80. 田中哲男

    ○田中説明員 これは純増額とございまして、毎年積んできているわけでございます。これは御承知のように自動車保険の額が毎年ふえてまいりますからこういう形になるわけでございまして、逆に減っているような場合はこれの純増がゼロとかあるいはマイナスということも可能性としてはあるわけでございます。
  81. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは四十九年度のそういう資料をもう一回出していただき、さらにまた人と物損との関係についても可能な限りの資料を提出していただいてまた論議をいたしたいと思います。  そこで時間が参りましたので、最後に、排気ガスの規制のことで、非常に不愉快なことが新聞に報道されておったわけです。私ども社会党は排気ガス規制については強く要求しておることは御承知だと思うわけですが、環境庁の大気保全局長が「排気ガス規制については、私たちは社会党さん始め、野党にずいぶんシリをたたかれました。そういう党の方が、いまになって規制を緩和せよというのは、どういうことですかね。社会党さんあたりは、この問題であまり動くとまずいんじゃないですかね。」こんなことを言われておるわけです。少なくとも私ども社会党としてはそういうふうに動いたことは全然ないですが、環境庁はどう考えておるのですか。
  82. 丹羽一夫

    ○丹羽説明員 お答えします。  環境庁としましては国民の健康第一ということで行政、施策を推進しているところでございますが、そういう関係で目下排気ガス規制を初めとして公害防止対策に全力を注いで、言うならば世界一厳しいと言われる五十年度規制、五十一年度規制という許容限度を設定して、その目標達成に官民挙げてといいますか、自動車メーカー初め関係者一丸となって懸命に努力しておるところでございます。そういうような国民的な課題である公害防止対策について、そういう基準の緩和というような、これが一種後退するような印象を与えるようなことは国民の負託にこたえるものではないというような趣旨のことを申し上げた理解しておりますが、決して公党に対してその姿勢が云々というような批判めいたことを申し上げたことはないと理解しております。
  83. 井上泉

    ○井上(泉)委員 ないと言うのですが、そうすると東京新聞の記事は誤りである、こういうことに見て間違いないですか。
  84. 丹羽一夫

    ○丹羽説明員 お答えします。  新聞の報道また記事の取り扱い方というものにはいろいろ表現、ニュアンスの違いというものが間々あることでございます。特にこの場合のみについて取り上げる問題ではなくて、いろいろ長い前段なり長い話の中の一部を要約して表現されるということで全く真意が通じなかったというような場合も間々あることだというふうな理解をしておりまして、特に、社会党さんの動き方について云々というようなことを強調して申し上げたことではないというふうに局長から聞いております。
  85. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私ども排気ガス規制については強く絶えずあなた方にも要求しておるわけですから、それを、社会党が排気ガス規制の緩和に動いたというようなことを印象づけるような見解というものは大変間違っておると私は思うわけです。真意が伝えられてなかったといいましても、それだけ日刊新聞で書かれておることに対して、真意が伝えられてなかったのなら、伝えられてない、これはこうだったというだけの釈明をしてしかるべきじゃないかと思うのです。これはもちろん社会党からも、自動車工業会と役所は癒着していやせぬか、こういうことを絶えず言われておる、こういうて役所自身が攻撃を受けておるのに、それを社会党にすりかえるようなやり方をせられるということは、社会党としてはまことに迷惑千万ですから、これについての名誉回復をきちんとしてもらいたいと私は思うわけですが、どうですか。
  86. 丹羽一夫

    ○丹羽説明員 局長の発言につきましてはさらに詳細に調査いたしまして、そして必要な発言なり何かということについて真意をただした上でしかるべく処置したいと思っております。
  87. 井上泉

    ○井上(泉)委員 しかるべき処置ということは具体的にどういうことですか。
  88. 丹羽一夫

    ○丹羽説明員 具体的に申し上げますと、そういうような発言をしたとかしないとかいうような事実関係について十分調査して、その後どういうふうに対処すべきかということを検討するということでございます。具体的にどういうふうな施策をもっておこたえするかというようなことを十分検討した上でございませんので、この場では今後の方針をどういうふうにしてどういうふうに対処するかということは、検討してまいりたいということでございます。
  89. 井上泉

    ○井上(泉)委員 排気ガス規制については大体役所が非常に後退に後退を重ねてくるということが私は問題だと思うわけです。役所が排気ガス規制というものについて一遍決めたことは貫かすような行政指導というものをやるべきだと思うわけですけれども、それについて非常に消極的である。東洋工業は五十一年規制にもパスしておる。ところが、日本のトップメーカーのトヨタとか日産とかいうようなものは、ほんのおざなりに車種を選定をしてつくっておる。そういう状態の中で、役所は依然として公害をまき散らす車を買ったりあるいは使用したり平気でしておるわけですが、ここらあたりで、本当に排気ガス規制に真剣に役所として取り組む姿勢があるならば、少なくとも環境庁なり運輸省なり総理府なりの役所としては、規制に合格した車以外は一切使用しませんよというだけの決意があってしかるべきであるし、それが単に本省の関係だけではなしに、やはり国の地方機関に対してもそのことを積極的に打ち出すことによって、私は業者としては敏感だと思うわけなので、排気ガスの規制に十分合致した車種というものを製造するということになろうと思うわけです。そういうところの指導というものを行政当局、政府当局がなすべきだと思うので、その点について政務次官の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 私どもといたしましては、この問題につきまして相当真剣に努力あるいは指導をいたしておる所存でございますが、なお一層努力努力を重ねまして、進めてまいりたいと思っております。
  91. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで、低公害車以外は役所としては新規購入はいたしませんよというだけの気持ちはないものかどうか、その点をもう一言承っておきたいと思います。
  92. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 低公害車の購入促進に努力いたすつもりは十分ございますけれども、ただ単にそれだけ購入させるというわけには一概には私はまいらないと思う次第でございます。
  93. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それだけれども、政府は五十年規制を決めて、その規制に通らぬ車を役所みずからが買うということは、これは五十年規制を緩やかにしていくということに通じはせぬですか。やはりそこらをはっきりしてもらいたいですね。
  94. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、さような意味ではございません。もちろん規制に通った車を購入するわけでございますけれども、低公害車の購入促進に努力する、こういうことでございます。
  95. 三枝三郎

    三枝委員長代理 勝澤芳雄君。
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まず、総合的に総理府にお伺いをいたしますが、この交通白書を見せていただきますと、わが国の交通事故は、昭和四十五年をピークとして年々減少の傾向にあるわけでありまして、大変喜ばしいことだと存じます。特に昭和四十九年は、前年度に比べて大幅な減少率を示しておるわけでありますが、この減少の原因についてどういうふうに分析されておりますか、まずその点について総理府の御見解を賜りたいと思います。
  97. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昭和四十五年には死傷者合わせて約百万人に近かったわけでございますが、昨年は六十六万人まで減少いたしました。四十六年以降大体年率数%ずつ減っておりまして、昨年は記録的な死者二一%、負傷者一七%という大きな減少率を示したわけでございます。  その原因と申しますか、ちょうどたまたま減少しました昭和四十六年から、交通安全対策基本法に基づきまして、政府並びに地方公共団体が交通安全基本計画の五カ年計画というものを策定した。これによりまして、各関係省庁なり地方自治体が交通安全対策に総合的に非常に力を入れた。特にその中で最も大きかったのは、警察、建設当局を中心にしました交通安全施設整備、これが急激に伸びた。従来自動車台数は五年間に大体二倍ずつぐらい伸びてきたわけでございますが、その伸び率をはるかにオーバーするような安全施設の伸び、たとえば信号機ですと四・七倍、あるいは道路標識が五・六倍、図示標示が九・五倍、歩道八・三倍、立体横断施設が十・三倍というように、昭和四十二年から昨年までの間にこのような安全施設を、モータリゼーションの伸び以上に伸ばしたということが、私は最も大きな原因だと思います。  それと同時に、警察が中心になってやっております非常にきめの細かい交通規制が充実したということも言えようと思います。たとえば、道路上にいろいろなペイントで交通安全の図示標示をやっておりますが、これほどきめ細かくやっておるのは世界にもそう例がないのじゃないかと思いますが、この交通規制の推進、それからたびたび保安基準を改正いたしまして、車両の安全性の向上、それから警察官の増員ができまして、交通指導取り締まりの強化、交通安全運動並びに交通安全教育の普及、それからもう一つ見逃せないのは、救急施設が非常に伸びたということ等が、この交通事故防止の大きな原因であったろうと思います。  もちろんその背景に、昨年特に記録的に減少しましたのには、いわゆる石油ショックによりまして、交通量の伸びというものが若干頭打ちした、一部では減少したということも見逃せないものがあろうか、このように考えております。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一応総合的な交通安全の対策がよかったのでこの程度の減少をしてきたというお話ですが、道路交通事故の今後を見通した場合に、どういうことを目標としてさらに強化するならば減少させることができるのか、こういう点について見解を承りたいと思います。
  99. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  昨年の死亡者は、警察統計によりますと一万一千四百人、自動車台数が二千七百七十万台ということになりますと、一万台当たりの死者が四・一人ということになるわけでございます。これは警察統計ですから、厚生統計、いわゆる二十四時間以内に死んだのではなくて、本当に一カ月かかってでも、二十四時間以上かかってでも完全に死んだ死者数を推計いたしましたら、一万台当たり昨年は恐らく五・数人、五人台にまで落ちてきたと思います。これは過去十年間で五分の一まで落ちてきたわけでありますが、一万台当たり五人の数字というのは、諸外国と大体匹敵するようになりました。  今後五年間に自動車台数がどれぐらい伸びていくだろうかということを考えますと、恐らく三千五百万台ぐらいに伸びていくであろう。これに対しまして、ちょうど来年から第二次の五カ年計画を策定することになりますので、どの辺のめどで減少させていくであろうか。警察の方では、ことしも現在約六%減少しておりますので、今後年間五%ずつ減らしていくならば、五十五年には約八千人台にまで死者数を減らしていくことができるだろう。しかし、三千五百万台で死者数を八千人といいますと、これは一万台当たりにしますと二人半ぐらいで非常にむずかしいことかもしれませんけれども、われわれの方でも学者に頼みまして  一応の推計等をしていただきましたが、今後五年間、交通安全施設なり規制を従来どおり伸ばしていくならば、あるいは昭和五十五年には死者八千人台にまでは落とせるのではなかろうかというような推計も出ておりますので、これをめどにいたしまして、来年から始まります交通安全基本計画の第二次五カ年計画には、歩行者あるいは自転車というものの安全を中心に置きましての安全施策の整備なりあるいは交通規制強化、その他もろもろの各省関係の施策を推進していきたい、このように考えております。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 警察庁にお伺いいたしたいのですが、最近の交通事故死傷の現状はどういうふうになっているのでしょうか。実は私、最近静岡の県警本部に参りまして、本部長、交通部長といろいろ懇談をする機会を得まして、お話を聞きましたところ、大分前ですけれども、静岡県が全国一の死者数を持っているということでいろいろその原因なり対策なりというものを話し合ったことがあるわけですけれども、第一線の話を聞いてみると、  一つ一つの分析というもの、それからそれに対する対策というものが、総合的にはされておりますけれども、なかなか不十分、あるいはいろいろな予算的な面からいってなかなか御苦労されているなと実は思ったわけでありますけれども、そういう点から特にこの四十九年度に比べて五十年度の傾向というのはどういうようになっておりますか、お知らせ願いたいと思います。
  101. 勝田俊男

    勝田政府委員 数字的にまず申し上げますと、六月十七日現在で昨年に比べまして三百七人の減でございます。したがいまして、マイナス六・一%の減少となっております。ただ、全国的に見ますと、昨年はほとんどの県が二〇%程度一律に減少したわけでございますが、ことしは必ずしも昨年との比較において全般的に減少しているわけではないわけでありまして、二十に近い府県が、これは日々によって変わるわけでございますけれども、増加ないしプラスマイナス・ゼロという状況でございます。  それから都市と都市以外の地域別に見ますと、大都市においては減少傾向がやや定着をしてきたかに見受けるわけでございます。それで一昨年から十万以上の百六十八都市について都市総合交通規制ということで規制強化いたしておりますが、それ以外の地域と十万以上の地域と比較してみますと、減少した数の八割までが十万以上の地域において減少をしているということでございます。そういった点で、都市以外の都市間の安全対策ということが非常に大事だと思います。  死者の実数から言いますと、十万以外の地域における死者が全体の六〇%以上も占めておるということでございます。こういった地域につきましては、非常に面積が広いわけでございますので、安全施設の投資についても投資効果という点が非常に上がりにくい、それから対策も非常にむずかしいという点はあるわけでございます。いろいろ対策を講じてもその対策効果が都市に比べて一つ一つ出にくいという面があるわけでございますが、これらの地域についての対策はやはり考えていく必要があるのじゃないか。  それから、ことしになりましての特徴の一つとしましては、幼児の事故が前半でございますけれどもふえている。昨年から幼児の事故につきましては幼児安全クラブというようなものをつくりまして、現在母親と子供、その対象人口の一五%弱くらいまでそういった組織ができているわけでございますが、こういった面で母親の教育なりそういった面を進めていかなくちゃいかぬだろうと思います。  今後やはり目標を達成するためには、こういった地域間の格差、これは対策ができれば何とか可能じゃなかろうか。警視庁のように十万人当たり三・八というところから、非常に多い県では十万人当たり二十人というような差がありますので、いろいろ見ますと、やはり安全施設の投資とかそういった点にかなりの格差がある。こういった格差を解消していくのならばなお減少の余地があるのじゃないか。  それから、諸外国との比較から見ますと、やはり歩行者の死亡事故が大変多いわけでございます。イギリスは非常に多いわけでありますが、イギリスを除きますと、十万人当たり全体の事故死の中の二〇%以下でございますが、わが国におきましては、歩行者の事故死の比率が全体の三六%、自転車を含めますと四八%、五〇%近いというのが昨年の統計でございますが、今年も必ずしもその傾向は変わっていないということでございます。やはり車、あるいは車と人、あるいは自転車の分離ということをいま建設省の方でもいろいろ御努力いただいておりますし、われわれの方も規制の面を通じましてやっておりますけれども、そういった努力を今後重ねていく、そういったことによってこの歩行者の事故を減らしていくことができれば、われわれの目標というものは達成できるのではないかというふうに考えておりまして、先ほども対策室長からお話がございましたように、やはり歩行者、自転車といったような弱者、老人、先ほど申し上げました幼児といったような弱者を中心にひとつ対策を進めてまいりたいと思っております。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 交通局長、この間私はこういう話を聞いたのです。都会と田舎、たとえば東京と静岡を比較してみると、歩行者に事故が多いという原因は何なんだろうということの話の中で、都会の人間は人を信用しない、田舎の人は人を信用する、だから歩行者の事故が田舎には多いのだ。それはどういう意味なんだと聞いてみたら、都会の人は、自動車が来るときに、人を信用しないから、もういいなと思っても、これは危ないなと思って通らない。田舎の人は、通れないと思っても自動車がとまってくれるだろうと思って横断する。だから信用するかしないかによって歩行者の事故が田舎とそれから都会と違うのだという話を聞きまして、私はこれは経験からきた一つの真理かなという気がするわけですよ。  いまお話を聞いていますと、十万都市以上が減っている。それは総合的な交通規制をやればそれの効果が出てきているわけですね。だけれどもその以下というのはなかなか効果が出ていない。それから去年ですか、おととしですか、二〇%くらい急激に減少している。これはやはり石油危機による交通量の減少というものだと思うのですけれども、そういう点から考えてみると、いま平均的に五、六%ずつは、極端な言い方をすると何かやってさえいれば減っているのじゃないか、何もしなければ別として。だけれどもそれ以上減らしていくにはもう少し科学的なものが必要じゃないだろうか。たとえば静岡でこの間百五十六名ぐらいで全国トップのときの話で、百五十六名の死亡原因一つ一つ細かく検討してみてくれないか、そうすればこの人は救急病院があれば助かった、この人は安全ベルトをしておれば助かった、いやこの人はこうしておればという一つ一つのものが出るはずなんだけれども、なかなかそこまで手が回らない現状なんですね。  ですからそうしてみますと、やはりこれは総括的に警察庁としていろいろ言うこともいいけれども、できるならばやはり全国で違うのを二つか三つくらいをモデルにして、そこを徹底的に死傷事故をつぶす対策一つ一つやってみたらどうだろうか。ただ私は事故原因で一番問題になるのは、たとえば国鉄なんかの事故は本当の事故原因というものが責任問題の関係で出てこないのが多いわけです。あるいは見方によって事故原因の見方も違うと思うのです。ですから、そういう点はやはり総合的なもので一つ一つを、やはり百五十六人死んだなら百五十六人の原因というものをいろいろな目で確認をして、そしてそれについての対策というのは、これは道路なら道路あるいは信号なら信号をどうする、これならこうする、こういうものをやってみたらどうだと私は思うのです。何かそういう点についてそういうことをやられておるところがあるのですか。
  103. 勝田俊男

    勝田政府委員 これは私どもが県におりましたときの経験から言いましても、死亡事故につきましてはその原因は徹底的に究明をしたいということでやっておるわけで、これも警察だけではなしに、道路管理者の方、それから地方自治体の方、一緒に集まってもらいまして、この死亡事故原因はどこにあったのだろうか、安全施設が悪かったのかあるいは本人の全くの不注意だったのだろうか、この道路が信号機の位置が見やすくなかったのじゃないかとか、そういった点を一つ一つ検討しまして、各それぞれ持ち帰ってそれに対する対策を立てるということをやってきたわけでございます。  全国的にも特に死亡事故についてはかなり細かい分析をしているのじゃなかろうかと思います。警察庁でも全国的にいろいろなことを申し上げるわけですが、具体的にはやはりそれぞれの県、具体的にはむしろそれぞれの署で、起きた場所についての詳しい検討をしてそれに対する対策を立てていただく必要があろうかと思います。そういった点で、特に事故の多い県につきましては、一昨年でございましたか、警察庁と建設省とも協力しまして、共同で調査団というような形で事故原因をいろいろと究明をして、それに対する対策を立てていただいた例もございます。先生のおっしゃるとおり、それぞれの事故についての分析をし、それに対する対策を立てるということは非常に大事なことでございますし、今後とも一層その点について留意をし、努力をするようにいたしたいというふうに考えております。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 局長、観念的には救急病院が少ないとかということはわかるわけですよ。具体的にその事故があって、そこに救急病院があったかなかったか、どうだったかというその詰めまで考えてみると、なかなかきめ細かなものというのはどうもどこの警察へ行って聞いても不十分だという気がしてならないわけです。  ですから、総合的なものはいろいろとお考えになってやられていると思うのですけれども、一つ一つきめ細かな、それはいまあなたがおっしゃいました警察だけでは何ともならぬというお話もわかります。あるいは警察署が第一線ですからその署でやるのでしょうけれども、その署自体もそう医者の専門家もおるわけじゃないし、工学者もおるわけじゃないし、あるいは責任を道路に転嫁することもなかなか建設省のたてまえ上できないということから考えてみますと、これは総合的なものというものをもっとしっかりして、よく企業診断なんということを言われますけれども、多い県はその県なりに直接総合的に事故をなくすための調査というかっこうで診断をしてみる。そうしてそれを一体どういうふうにしていったらいいかという、こういう必要性があるのじゃないだろうかという気がするのですが、これはちょっとくどいような話になりますけれども、その辺についてもう一度いかがですか。
  105. 勝田俊男

    勝田政府委員 私どもも多い県につきましては、警察庁としてもできるだけ知恵なり力をかして一緒に事故を少なくするような努力をしたいというふうに考えております。それぞれの県で非常に努力をされておるわけでございますが、いろいろな見方というものもございますので、やはり警察庁で、先生のおっしゃったような意味でそれぞれの府県と一緒になって研究をしていくというようなことも考えてみたいと思います。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、第二次の交通安全基本計画がこれから策定されるわけでありますけれども、私はそういう意味で、今日までの総合的な立場の総くくりをしてみて、これからどうしたら事故あるいは死傷事故というものをなくしていくことが・できるのかということについて、いままでの経験を広く集めて、そして十分な対策というものをやはり総理府がやらなければならぬと思うのですが、総理府として総合的にどういうふうにお考えになっておるか、その点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  107. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 現在、第二次の来年から始まります交通安全基本計画につきまして、各省庁と詰めをやっております。そして過去五年間どういうものが原因して減っていったのであろうかというようなことの分析等もあわせて詰めておるわけでございます。そしてそういう面を大いに伸ばすべきだ。  日本は外国に比べますと自動車増加率がものすごく高かった。しかも道路状況がある意味においては非常に悪い。幹線道路の両側にもほとんど人家が並んでおるという条件の非常に悪いところでここまでの、先進諸国にそう負けないところの率まで下げられた過去の実績、これは大きくは安全施設もありましょうし、あるいは年間八百万人も運転者の講習をやっておる安全講習等もあろうと思いますが、歩行者、自転車の弱者を都市においてあるいは町、村におきましてこれを車から分離する対策を一層充実する必要があるのではないか。これは施設面、規制面になろうと思いますけれども、これに力を入れる。  それともう一つは、日本の場合に非常に特徴的で交通事故防止に大きく役立ったのは、一般市民の交通安全に対する認識が非常に高い。たとえば年間二回の交通安全運動をやっておりますし、先ほど勝田交通局長が話しましたように、幼児安全クラブとか幼児交通安全の母親組織とかあるいは民間の交通指導員とか、こういう民間の方々の交通安全組織なりグループなりの活動は、非常に大きな、世界に誇るものがあろうと思います。これも第二次五カ年計画には大きく伸ばしていくためのバックアップをわれわれはしなければならぬと思います。  もちろん各省庁はそれぞれ自分の専管事項についての計画をいま立ててもらっておる段階でございますので、私としましてはいま言いました歩車分離を中心にし、それから民間交通組織、これを盛り上げていくということを、総理府としては一応二つの柱で考えておるわけでございます。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員 建設省とそれから警察庁の方にお尋ねいたします。  交通安全施設等の整備五カ年計画を今日までやってきたわけでありますけれども、その実施の状態と、また今後来年度以降の新五カ年計画に対する方針はどういうふうにお考えになっているかという点でございます。  実はこの安全施設という問題についていろいろ考えがあると思うのですが、私は先般外国に旅行したときにこういう話を聞いたわけです。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕 がけっ縁にがけから落ちないようにさくが結ってあるところもあるし、結ってないところもある。日本では危険なところはさくを結うのがあたりまえになっているわけでありますけれども、外国では危険なところは本人が注意するのがあたりまえなのだ。だから税金で特定な人のためにさくを結うことは間違いなのだ、危険なところは自分で注意せよ、それがあたりまえじゃないか、こういうことが多いわけでありますけれども、日本は何といってももう至れり尽くせりのものをやっておかなければ、事故が起きたときの責任はけしからぬ、とこういうことになるわけであります。  そういう点で、歩道橋がわざわざできておるのに、通るのは通学の子供だけで、大人は横断をしているというような現状というのがあるわけですけれども、そういう点を考えてみますと、交通安全施設そのものについても、やはりせっかくつくったのだから、つくったものを利用されるようにしなければならぬ。利用されるにはどうしたらいいか。あるいは利用されなくても、何でもかんでもPTAから何から一生懸命になってつくれつくれと言う。しかし実際には、つくったけれどもという点がいろいろ出てきておるわけでありますが、そういう点なども考え合わせながら相当きめ細かな指導というものが必要じゃないだろうかというように思うのですけれども、そういう点についても、ひとつ含めて建設省それから警察庁の方から御説明いただきたいと思います。
  109. 勝田俊男

    勝田政府委員 昭和四十六年度を初年度とします交通安全施設整備五カ年計画の事業規模でございますけれども、警察関係、公安委員会分としては千七百三十八・二億というものを事業費といたしております。内訳は、特定事業の補助対象事業費は六百八十五・五億、地方単独事業千五十二・七億という事業規模で計画がされたわけでございます。  現在までの進捗状況でございますが、特定事業の補助対象事業につきましては、本年の当初予算の段階で、事業費の面から見まして一〇四・七%ということでございます。単独事業につきましては、五十年度の当初予算の段階で九一・七%でございます。四十八年度までは地方財政計画の規模を上回っておりましたが、四十九年からやや下回って、本年は地方選挙という関係もございまして骨格予算というところもございますので、全部含めて九一・七%ということでございますが、今後補正予算というような機会にも、ひとつこの計画に満てるように各県に努力をするように要望しておるところでございます。  警察の安全施設というのは、主として警察の規制に伴う安全施設ということでございますので、できるだけその合理的な規制が行われるように最善の努力をし、こういった規制によって一般の方の安全を守り、また守られやすくするためにこういった施設を整備するということで、今後も努力をしてまいりたいと思います。  さらに、新五カ年計画でございますが、本年の状況等を見ましても、五%を上回って減少していると申しましても、その時期時期で見ますと非常に苦しい時期があるわけでございまして、第一線の警察官の非常な努力によって何とか減少傾向を維持しているというふうに見受けられる場面もいままでたびたび本年に入りましてからも出てきているわけでございます。そういった面から見まして、これを定着させるためには、従来伸びてきましたテンポを決して落とすことはできないのじゃないか、少しでも手を緩めることがあると事故は増勢におもむくという可能性があるのじゃないかという気がするわけでございます。  そういったことで、私どもとしましては、今後毎年五%ぐらいずつの減少はどうしても維持をしていきたいというような目標のもとに必要な事業量を積み上げていきたい。信号機、交通管制センター、道路標識、こういったものにつきましては質、量ともに強化を図っていきますが、新たにバス優先信号機とか中央線変移システムとか、こういったものも新規事業として織り込むように努力をしたいということで現在作業を進めておるところでございます。
  110. 中村清

    ○中村説明員 公安委員会の分につきましてはただいま警察庁の方から御説明がございましたので、私の方では道路管理者の分について、いままでの五カ年計画がどうなっておるかということをお答え申し上げたいと思います。  四十九年度末現在で、事業費でまいりますと約七八%程度の進捗率を示しております。五カ年計画全体のいわゆる道路管理者分が、事業費としまして約二千二百九十三億円でございますが、五十年度の予算で少し増額をしておりまして、結果的に見ますと、五十年度が終わった段階では、事業費で約一〇二・六%の進捗率になるのじゃないか。これに伴いまして事業量の方もほぼ所期の目的が達成できるというふうに考えております。  なお、新しい五カ年計画についてどういう態度で取り組むかというお話でございますが、先ほど総理府の方からも御説明がございましたように、四十九年度は死者の数が非常に減少しておりますが、私どもは交通安全施設整備を各省力を合わせて一生懸命やったのも一つ原因ではないかと思っております。いういう事故の減少傾向を今後とも定着させていきたいということで、関係各省といろいろ相談したいと思います。  なお、ちょっと御指摘がございました、せっかく安全施設をつくってもなかなか利用できないものがあるじゃないかというお話でございますが、そういう点はこれまでも十分注意をしてやってきたつもりでありますけれども、なお足りない点があれば、今後とも十分そういう点は注意したいと思っております。一例として、たとえば横断歩道橋でございますけれども、階段ではなくてスロープつきの横断歩道橋といったものも考えていいのじゃないかというふうに考えております。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いろいろな経験から、あるいは地元の要請から、どうしても地元の要請に押されてどうもというようなものがいま横断歩道橋なんかの場合はできやすい点があるわけでありますから、そういう点で御苦労をされていることだと思います。  それでは次に、私はこの委員会でもよく問題になりますシートベルトの問題についてお尋ねいたしますけれども、このシートベルトは安全対策上きわめて効果が大きいということが盛んに言われておるわけですけれども、もう少しシートベルトの効果がこれほどあるのだというPRといいますか、そういう点が不十分じゃないだろうかという実は気がしてならないわけです。なぜならば、もし効果があるものだ、そして仮にこれだけの事故があるのにかかわらず、シートベルトをしておったならばこの事故はこうなったのだということをもう少し徹底するならば、やはり皆命については十分考えているわけでありますから、もっと普及率がいいのではないだろうか、こう思うわけです。  そこで私は、そのシートベルトが安全対策上これだけの効果があるのだ、あるいはまたこれだけの事故があるけれども、その事故はシートベルトを使っておったらこれだけは実はこうなったんだというような具体的なものがありましたらひとつお示し願いたいと思うのですが、何かそういうものがありますか。
  112. 勝田俊男

    勝田政府委員 いままですでにシートベルトを法制化し、罰則もつけて担保しているオーストラリア等の例によりますと、法制的に義務づけたビクトリア州では一七%ほど死亡事故が減少した、それ以外の州では逆に二%増加したというような外国の例もあるわけでございますけれども、わが国におきまして一応調査した結果でございますが、四十九年四月から四十九年七月にかけましての高速道路におけるシートベルト着装状況調べでは、九十五件の事故で死亡二十七人、重傷九十人、計百十七人の事故が出ておるわけでございますが、この事故につきまして、シートベルトを着装しておったならば軽減されたであろうと認められるのが五十件でございまして、四三・八%は軽減できたのじゃなかろうかという数が出ております。  また、ごく最近でございますが、静岡県警で調査をされたわけでございますが、調査対象の事故件数は九十二件、調査対象の車両台数は百二十六台、調査対象の人員は二百七人でございます。この二百七人中シートベルトを着装していた者は七人、三・四%ということでございます。受傷時の状況は、車外にほうり出されて死傷した人が八人、死者が四人、重傷者が四人。それから車内において死傷した者が百九十九人、死者が二人、重傷者が二十一人、軽傷者が百七十六人ということでございます。  それで、シートベルトを装着しておった七人はいずれも軽傷であった。それから、もしシートベルトを装着していなかったら死亡したであろうと認められるのは、この七人のうち一人はもし着装していなかったら死亡したのではなかろうか、それから五人は重傷を負っていたのではなかろうかということでございます。  それから、シートベルトを着装していなかった二百人の状況でございますが、車外にほうり出されて死傷した者が八人、車内において死傷した者が百九十二人でございます。もしシートベルトを装着しておれば、死傷者二百人中百二十二人、六一%が負傷しなかったであろうし、十八人が死亡や重傷よりも軽い負傷で済んだものというふうに推定されております。  特に死者について申し上げますと、車外にほうり出されて死亡した四人の方、それから車内において受傷して死亡した二人の方につきましては、四人の方は死亡せずに済んだのではないか、もう一人の方は軽傷で済んだのではないか、あとの一人は車がかなりつぶれているので、どうかわからないというような状況でございまして、やはりシートベルトを着装しておれば、事故時における負傷というものはかなり大幅に軽減されるのではなかろうかというふうに思います。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸省にお尋ねしたいのですけれども、シートベルトの備えつけ状況はどんなですか。
  114. 田付健次

    ○田付政府委員 お答え申し上げます。  シートベルトの備えつけは、先生承知かと思いますが、道路運送車両法の保案基準という省令で義務づけておりまして、四十四年からスタートをいたしまして、まず最初乗用車運転者席につけるということからスタートしまして、その後二回改正をしまして、逐次備えつける座席の種類をふやし、ベルトのタイプを改良してまいりました。現在、私どもの推定では、約七割の車についているというふうに推定をいたしております。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その七割の車についているのが着用されていない理由というのはどういうことなんですか。警察か運輸省かどっちかから……。
  116. 勝田俊男

    勝田政府委員 大変残念ながら装着の状況が非常に悪いわけでございまして、先ほど申し上げました昨年の高速道路における調査では、四千例ばかりの調査をしたわけですが、高速道路においては六%あたりの装着率である。平場では一%ぐらいというような装着率でございます。  そういったことで、どうして装着しなかったのだという理由でございますが、めんどうだからというのが非常に多いわけでございまして、約四〇%、それから窮屈だからというのが一三%ぐらい、あとは別に理由はないとか、そういうことで、この二つが主な理由になっているようでございます。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 飛行機の安全ベルトというのは、つけないとしかられるからですか、当然なこととしてつけているわけです。それは安全度があるから、めんどうだが、あるいは窮屈だが、まあまあということだろうと思うのですけれども、シートベルトをつけてないと危ないんだ、安全ではないんだぞということの徹底がうまくいってないのじゃないだろうかと思うのです。  たとえばこれは別の話ですけれども、健康上体操がいい。しかし体操も毎日やるのはどうも。しかしそれではゴルフはどうかと言えば、ゴルフも健康上いい。ところが、ゴルフの方は楽しい、楽しくて歩く。体操というのはいつでもできるけれども、なかなかやらない。同じ健康法の問題でも、やはり物の考え方といいますか、めんどうではない、窮屈でもない、当然なんだというふうにするにはどうすべきか、どうしたらいいのか。  運輸省の方は備えつけ義務をつけたけれども、備えつけ義務をつけたことは、やはり使わせるために備えつけ義務をさせているわけですね。いつか通産省も呼ばれて、一体何のためにやっているのだ、安全のためだ、けれども、実際には使われていないではないか、使われないものを、なぜそんなものを施設するのだと、ぐるぐる回りをしておりましたけれども、これはやはりどこかで割り切って、シートベルトというものを、もう少しめんどうがらずに、窮屈がらずにつけさせるにはどうしたらいいかということについては何ともならぬのですか。何か研究されているのですか。それはどうですか。
  118. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 先ほどお話がございましたとおり、私は、シートベルトをつけておるならば、日本の高速自動車道では死亡事故が大体半減するのではなかろうか、と同時に、日本一般道路では、外国と違いましてそう速度が出ませんから、相当部分の死亡事故が助かるのではないか、車の中で、運転者ないし同乗中で、昨年年間四千人死んでおりますから、このシートベルトの普及さえうまくいくならば、相当部分助かるのではないだろうかと考えて、この運動に乗り出したいと思います。  外国ではすでに法律で罰則を決めたところもございます。スウェーデンとかオーストラリアあるいはフランス等のように、つけなければ罰則を科すというような、罰則を担保してでも、大事なことだからやろうとしている国もあります。また、これをつけなかったら、事故が起こった場合に、それだけドライバーに過失があったのだから保険の方で操作する、損させるというようなことで担保しておる例があります。私が外国で聞いたある人も、保険で損するから私はつけているのだと言った人もあります。そういう担保手段があろうと思います。  しかし、先ほど交通局長から話がありましたとおり、現在まだ一般道路で一%もつけていないというような状況でございますので、総理府としましては、まず民間運動としてこれの着用運動をやっていこうじゃないかということで、先般関係省庁が寄りまして、申し合わせをしまして、それぞれの行政機関、民間団体にお願いしまして、これの着用運動を進めていこう。ことしの八月には、春秋二回の交通安全運動と同じように、八月いっぱい、帰省なんかの長距離交通も多いわけでございますので、特に高速道路を中心にしましたシートベルト並びにヘルメットの着用運動を展開していこう、まず政府としてはこの安全運動から、シートベルト着用運動から進めまして、そしてある程度つけるようになってくる空気が出ましたら、あるいはそれを強制すべき保険上の手段ということが考えられるときが来るのではなかろうか、このように考えております。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いつかわれわれのこの特別委員会で鈴鹿の本田を見に行ったことがあるのですが、あのときに私は安全帽の問題で、安全帽をちゃんとオートバイに取りつけるようになっておる、その安全帽をかぶらないと動かないようになっているというような、簡単に言うと、そういうようなことを聞いたことがあるのですけれども、このシートベルトをつけると楽しい、安心だというように、何かごついものでなくて、もっと楽しくて愉快だというようなものにこれは変えることができないのですか。それはめんどうがらずに、それからどうも窮屈だということでなくて、もっと楽しいものだ。体操よりもゴルフの方が楽しいものだということでゴルフに行くわけですから、やはり物の考え方をもう一回考え直してもらって、そうして、どうやったらつけさせることができるかということを、皆さん自体はドライバーの経験を持っている人が多いわけですから、そういう点で、これはぜひ、これをつけることによって死傷事故が少しでも減るのだということでありますから、交通安全対策としては大変大きなファクターだと思うのですよ。  ですから、これは一人一人の命の問題ですから、私なんかでも、高速道路へ行くときに、あの料金所に料金票を渡すと同じように、あそこで安全ベルトをつけてくださいよという何かチラシ、ビラでも一枚くっつけるだけでも、二、三%か五、六%ぐらい着用率が上がるのではないかという気がいたしますけれども、まあこれはわかりませんけれども、これはやはりもう少し、せっかく運輸省としても備えつけを義務づけているわけですから、おれの方は義務づければいい、あと、つけるかっけないかは警察だ、こういうことでなくて、運輸省がつけたものが実際に使用されているという点では共同責任ですから、共同の立場でひとつお考えいただきたいと思います。そしてやはりいま安全対策室長が言われましたけれども、これはもうあそこでもここでも問題になっているわけでありますから、ひとつこの際大々的に取り上げていただいて、どこらまで認識が高まるかという点で法規制の問題についてもやはり徐々に考えていくということが必要ではないだろうかと思います。  それから次に、自転車は地方都市では通勤通学にも利用できるような総合的な対策というものをもうちょっと考えるべきじゃないだろうかと思うのです。先ほどの安全対策室長からの人と自転車を車から区分けをしていくというようなことも次には考えていかなければならないだろうというのは当然のことだと思うのですけれども、これらについてどういうふうにお考えになっておりますか、警察なりあるいは建設省なりお考えをひとつ聞かしていただけませんか。
  120. 勝田俊男

    勝田政府委員 自転車の安全な利用のための道路環境の整備につきましては、昭和四十八年七月に総理府を中心に関係六省庁で総合的な対策の推進を申し合わせまして、全国から六十四都市をモデル市に選定し、関係機関が協力して計画的に推進することにしたわけでございます。警察におきましては、自転車歩道通行可、自転車専用レーンというような交通規制を担当いたしまして、昭和四十九年末では全体計画の四九・四%が実施されている状況でございます。これらの対策に要する経費につきまして四十九年度及び五十年度の地方財政計画におきましてそれぞれ二十六億円、計五十二億円の措置がされているわけでございます。  また警察におきましては、昨年から都市総合交通規制を推進中でございますけれども、自転車の安全利用を促進する対策につきましてもこの計画の中に取り込みまして、単にモデル都市だけではなしに全国的にいま推進をしているわけでございます。特に自転車利用が多い地域または通勤通学、買い物等のための交通手段として自転車の安全利用を促進すべき地域につきまして、自転車専用通行帯とか、あるいは自転車歩道通行可、歩行者及び自転車以外の車両の通行どめ、こういった交通規制を積極的に実施をいたしまして、道路管理者が行われます自転車道または自転車歩行者道の整備と関連いたしまして自転車が安全に通行できる道路を網状に確保したいということで努力をしているわけでございます。  この結果、現在までの状況を申し上げますと、四十八年七月関係六省庁が申し合わせをしました時期に比べまして、今年の三月末現在で自転車専用通行帯は三倍余り、自転車歩道通行可は約二倍半、駐停車禁止路側帯も二倍半、歩行者用道路も一・五倍、これは警察の交通規制によって行った分だけでございますが、その程度に伸びているわけでございますが、今後ともにさらにこれを都市総合交通規制の一環として強力に進めていきたいと思います。  警視庁等におきまして現在交通総量の削減二カ年計画をつくっておりますが、この削減計画におきまして自転車の専用レーン及び専用道路につきましては百三十三路線、百二十四キロを計画しておるというようなことでございまして、それぞれの府県におきましてもこういった同様な考え方で推進をしているところでございます。
  121. 中村清

    ○中村説明員 自転車の台数が現在は約四千万台というふうに心得ておりますが、今後とも増加傾向にあるようでございまして、したがいまして、自転車の安全利用を図るという意味から、私どもとしましては自転車道の整備といったことに重点を置いてやっております。  具体的に申し上げますと、一般道路の改築事業とかあるいは交通安全事業とか、そういった事業によりまして自転車道を整備しておりますが、特に都市部の通勤通学あるいは買い物、こういった便宜のための自転車の安全利用ということにつきましては、ただいま交通局長からもお話がございましたけれども、全国から約六十四の自転車利用のモデル都市を選びまして、四十八年度から三カ年の計画をつくって現在仕事を進めておりますが、私どもとしましては、その仕事の結果を踏まえまして、五十一年度からさらに自転車道の整備を推進してまいりたいというふうに考えております。  なお、現在の道路整備の五カ年計画におきましても、特に自転車道の整備ということにつきましては重点を置いて仕事を進めております。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、自転車の公共的な駐車場というような問題についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  123. 中村清

    ○中村説明員 御承知のように、自動車につきましては自動車駐車場といったものが道路法上では道路の付属物というかっこうになっておりますが、ただいまお話がございました自転車の駐車場、これは昨年までは実は道路法上の取り扱いは明確でございませんでした。したがいまして、私どもとしましては、自動車が非常にふえるという趨勢もございますし、自転車道を大いに整備していこう、こういうことも考えておるやさきでございますので、昨年政令を改正いたしまして自転車の駐車場といいますか、それを道路法上の付属物ということに位置づけをしまして、今後は自転車道の整備等と関連をさせて自転車駐車場整備も大いに進めていきたいというふうに考えております。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は交通安全対策というのは総合的なものだと思うのです。まあこれは質問というよりも希望をちょっと申し上げておきますけれども、子供の遊び場所なんかの問題で、私の町内で子供の遊び場所がないのでどうしようという話が出た。そのときに私は、うちの近所に銀行があるじゃないか、銀行の駐車場がいつもあいているのだから、日曜や祭日のとき、銀行が休みのときはわざわざさくをしないで、近所の人たちはみんな銀行の預金者なんだから開放してもらったらどうだという話をして、私に代表で行けというので、そういうものは町内会長さんやってみなさい、あるいは隣保班長さんやってみなさい、あるいは子供会の会長さんやってみなさい、そのことがよりいいことだからというのでやったら、簡単に支店長が、結構ですよ、どうせあいているものですからと、銀行の広場が子供の遊び場になって、日曜、祭日、いつも遊んでいるわけです。  それから、役所の前なんかとかあるいはほかの銀行見てみますと、夜間でもみんな駐車場がさくをしてあるわけです。私はやはり役所でもそうだと思うのですけれども、夜置いていって朝来たら車が置きっ放しになっておれば困る、だから自分のところはいつも閉めているのだというのですが、どこもそうなんですけれども、これはやはり学校の校庭を開放しているのと同じようなもので、公共的なものというのは、金融機関もそうですし、役所もそうですけれども、やはり日曜、祭日なんか差し支えない限りほったらかしにして自由に車を入れたり自転車を入れたり子供の遊び場所になるようにしなければならぬ、これは強制すべきものじゃないのですけれども。衆議院でもそうだと思うのですよ。あいているところはあかしておけばいいわけですから、自分が使うときに邪魔になるのだったら、そのときにはきっちりしたことでそういうときに置けないことにしておけばいいわけです。  何かそういう点で後の責任といいますか、あるいは問題があったときといいますか、そういう点でなかなか開放されないわけでありますけれども、そういう点をやはりだめだということでなくて、何か最近言う発想の転換といいますか、そういう問題でもっと幅広く、交通安全の啓蒙宣伝をするだけでなくて、やはりその一員としてできる人はできる協力をする、できる役所は、あるいはできる民間でもやるというようなこともしていかなければならないのではないだろうかというふうに思います。  特に私はやはり新しくこれから考える場合にいろいろな方面から、規制の物の考え方でなくて、より幅広くいろいろな意見を聞くことが何か前へ進むような気がいたしますので、ぜひそういう検討まで含めて第二次の計画を立てていただきたいということを特に要望いたしておきまして、私の質問を終わります。
  125. 下平正一

    下平委員長 次に、平田藤吉君。
  126. 平田藤吉

    ○平田委員 私はきょうは通勤問題を主体にして質問したいと思うのです。  最初に、この間六月五日に紺野委員が新幹線問題で質問しておりますが、これに関連して、新幹線の問題について幾つかお聞きしたいというふうに考えます。  これは国鉄の皆さんも御承知のように、この間も話がありましたが、先般、埼玉県を中心にして、新幹線が予定されている関連住民の皆さん五万人の署名を持って、国会に請願に見えているわけです。こういう大ぜいの皆さんが、とにかく国鉄のいまの新幹線の進め方について考えてもらいたいというふうに要請しているわけなんですけれども、これは国鉄の内田常務から、まずどういうふうにこの住民の皆さんの意向を受けとめておられるか、お聞かせいただきたい。
  127. 内田隆滋

    ○内田説明員 住民の皆さんとは再三の機会にわたりましてお話し合いも続けておりますし、そういうようなものの中から、どういうお考えであるかということは十分よく承知をしております。
  128. 平田藤吉

    ○平田委員 承知しているかしていないかを聞いているのじゃないですよ。どう受けとめているかということを聞いているのですよ。答えてください。
  129. 内田隆滋

    ○内田説明員 この点につきましては、先般の紺野先生のときにもお話を申し上げましたように、国鉄といたしましては、東京駅に新幹線を乗り入れるという計画を運輸大臣に提出いたしまして、その推進に対しては、これは国家の事業として必要であるということで推進をしてまいりたいというふうに考えております。  ただ、その建設の過程におきましては、できるだけ住民の皆さんと話し合いを進め、皆さんの御迷惑にならないような環境をつくり、あるいは移転の問題等についても、十分話し合いを進めて、納得の上で新幹線を完成させたいというふうに考えております。
  130. 平田藤吉

    ○平田委員 内田常務は何が何でもやりますという立場からなんで、私が聞いているのはそうじゃないのですよ。皆さんがとにかくいまの計画は何とか考えてもらいたいと言っているわけなんだから、その皆さんの気持ちがわかっているのか、わかっていないのかということを聞いているのですよ。  そこで、きょうは運輸大臣が見えていないので、小此木政務次官に、同じ質問ですが、見解をひとつ聞かせてください。
  131. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 請願の趣旨は趣旨として真剣に受けとめてはおりますけれども、何分にも東北、上越新幹線は、新しく定められる環境基準を守るように努める考えでもございますので、沿線の皆様方の御理解を十分いただきながらこの建設を進めてまいりたいという考えでございます。
  132. 平田藤吉

    ○平田委員 住民の意向を十分に聞きながらと言うのだけれども、実際はとにかく進めますよという立場だと思うのです。  そこで聞きたいのですけれども、住民の皆さんは少なくとも国が決めている環境基準、これぐらいは守ってもらいたいものだ、それができるのかできないのか。振動では〇・三ミリ以内、騒音では昼間が六十から六十五ホン、夜が四十ホン、この以内で処理できるのだろうか。それができないというふうに当局はいままでいろいろ言っているわけですけれども、それじゃいま中央公審審議会がその答申の中で言っている七十ないし七十五ホンは一体どうなんだろう。  まず、国が決めている環境基準に沿ってやれるのかやれないのか、これを先にお聞かせいただきたい。もしできないとすれば、どこまで持っていけるのかということについてお聞かせいただきたい。
  133. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  公害対策基本法に基づきまして政府が設定することとされております新幹線の騒音の基準は、先生指摘のように、ただいま中央公害対策審議会において御審議の途中でございます。恐らくは通常の慣例から申しまして、この御審議が終わって答申をいただいた上で政府が基準を設定することになろうかと思います。  したがいまして、ただいま暫定的な一つの指針というものがございますが、これはいわゆる法律に言うところの基準では一応ございません。  できるかできないかということでございますが、私どもはいま申し上げましたうちの暫定指針といたしまして、環境庁長官から通知を受けまして国鉄に対して示した基準がございます。これは音源対策をしっかりやって新しい新幹線については八十ホンを超えないようにしなさいということでございます。  この指針に基づきまして、国鉄は技術的にいろいろと苦労されまして山陽新幹線をつくられたわけでございます。実際にその結果を伺ってみますと、正確な意味で八十ホンに全部おさまったとは残念ながら言いかねるようでございます。  こういうことは技術的な開発の問題でもあり、工事の問題でもあり、できるかできないかということにつきましては、行政官たる者が直ちに明確なるお答えはできないと思います。  しかし、私どもといたしましては、将来決められるべき、政府が設定される基準であれ、暫定指針であれ、それは行政の一つの目標といたしまして、それの実現にあらゆる努力を払うというのが本来のたてまえであると承知しております。
  134. 平田藤吉

    ○平田委員 現段階ではできるとは言えないということでしょう、いまあなたはややこしい答弁をしておるけれども。現段階ではできるとは言えません、そんなばかな話がありますか。できるとは言えないけれども、予定どおり工事は進めますよというようなやり方が、住民にとってはとにかくがまんできぬと言っているのですよ。そういうことがわかっているのかということなんですね。  鉄監局長、いま暫定基準だとかややこしいことを言っておるけれども、ともかく住民の皆さんは七十-七十五ホンでもがまんはできません、少なくとも国の環境基準に沿った線まで持ってきてもらいたいのだというように言っているのですよ。それもできないで、路線計画だけ立ててどんどん進めるということは、住民無視もはなはだしいというのが住民の皆さんの言い分なんですよ。私は住民の皆さんの言い分は当然だと思うのです。したがって、最初から住民には相談なしに進められてきた現在の計画については、白紙で撤回してもらいたいというふうに住民の皆さんは言っているわけですよ。  これは内田常務の方でひとつお答えいただきたいわけですけれども、住民と話し合っているとおっしゃるけれども、住民の皆さんの納得を得られていないでしょう。東京、埼玉、そして埼玉の大宮までだけではなくて、大宮以北についても、大宮、上尾にかけて、さらには熊谷の三尻周辺の住民、こういう人々は納得いかないと言っているのですよ。この住民を無視する態度を改めてもらいたいというふうに言っているわけなんですが、内田常務ひとつそこのところはどうお考えなのか、お聞かせいただきたい。
  135. 内田隆滋

    ○内田説明員 国鉄といたしましては、住民の皆さんの御意向を無視して仕事を進めたというようなことはないわけでございまして、過去のあらゆる工事の推進の仕方をごらんになっていただければわかりますけれども、全部の人の御賛同を得るというわけにはまいりませんけれども、少なくとも相当部分の人はこれに賛同していただくということを前提として工事をいままで進めてまいりました。その間にはいろいろのトラブルもございますし、当初においてはほとんどの人が反対という中でいろいろと説得し、またわれわれの方としてもできることは代案として提案するというような対話の中から工事を推進してまいったわけでございます。  これは先生も御指摘のように、音がないあるいは振動がないことがこれは理想でございますけれども、ある一つの交通機関を国の使命としてつくるとなれば、やはりそこにある程度の御不便なり御迷惑をおかけする、これはやむを得ない。どういう条件ならば御納得いただけるかというようなことについては今後十分検討してまいりたいし、過去においてもそうしてまいったということでございます。
  136. 平田藤吉

    ○平田委員 小此木政務次官、いまと同じことなんです。住民の意思を尊重して仕事は進めるべきなんだが、そうなっていないじゃないかというふうに考えるのだが、その点について、これから進めていく上でどう考えておられるか。
  137. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 ただいま内田常務から答弁がありましたとおり、新幹線に限らず一般の工事に際しましても、従来から私どもは地元自治体と協議いたしまして、極力沿線住民の方々の御理解を得た上で工事を進めるように努力して、また指導してきたところでございまして、この方針は今後も変わるものではございません。
  138. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた方の話というのは、あなた方の計画が何が何でも通らなければならないし、通していくのだという立場からしか物を言ってないのですよ。たとえばこの間紺野議員が指摘したように、東京駅で工事が始まっておるでしょう、それから秋葉原で工事が始まっておるでしょう、日暮里で工事が始まっておるでしょう。この間、東三工の岡部局長の話によると、国鉄大宮工場内の準備も始めているということなんですな。これは全部路線や線路の向かう方向というのは計画どおり決まっているのですよ。それに向けてできるところからどんどん工事を始めているのですよ。既成事実をつくって、そして住民にこれを押しつけていこうとする態度がはっきりそれらの工事の中に出ているわけなんですよ。心配しているのはそこのところなんです。幾ら住民の意思を無視したことはございませんと言ったって、いや応なしのところへ追い込む体制がすでに進められているじゃないか、これが住民の皆さん意見なんですね。私はやはりそうだと思うのです。そういうふうに進めておいて住民と話し合うんだ話し合うんだと言ったって、住民の皆さんなかなか納得しませんよ。  そこで、これからの問題として、この現路線計画を白紙に撤回してそして再検討してもらいたいという住民の皆さんの意向をくんで住民の皆さん並びに地方自治体との話し合いを進める必要があるというふうに思うのですよ。内田常務はずっと話し合ってきましたというふうに言われておりますが、たとえば埼玉県で知事との話し合いが最近行われていますか。
  139. 内田隆滋

    ○内田説明員 最近においては知事さんの声明もございまして、地方の皆さんと、たとえば市の理事者等との話し合いを重点に進めてくださいというような御意向もございまして、最近は知事さんとは公式なお話し合いはしておりません。
  140. 平田藤吉

    ○平田委員 公式に話し合いをしていなければ、非公式に話し合いしていますか。いつごろ話し合っていますか。
  141. 内田隆滋

    ○内田説明員 直接お会いしてお話し申し上げる機会は最近はございません。ただ、県の理事者等を通じて事務的にいろいろな話し合いは進んでおるということでございます。
  142. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、新幹線のこの問題というのはなかなか容易ならぬ問題だと思うのですよ。沿線住民の皆さんも絶対反対とは言っていないのですよ。いまのような進め方、国鉄の問答無用の進め方はやめてくれというふうに言っているのですね。それから振動にせよ騒音にせよ、納得のいくような説明をしてもらいたいというふうに言っているのですよ。こんなに話のわかる皆さんと十分話し合って話をつけていくのが道じゃないか。早くつくりたいと思えば思うほどそうしなければならぬと思う。  ただ、御承知のように、経済が今日のような状態になっています。新幹線計画をつくったのは大体が高度経済成長政策をさらに急ピッチに進めることを目標としてつくられたものですよ。ところが高度経済成長政策は頭打ちでしょう。そして安定成長とかなんとか言いながら、とにかくにっちもさっちもいかないところへ来ているわけでしょう。町を自動車で走ってごらんなさい。この狭い日本を急いでどこへ行くなどということを盛んに当局がスローガンで書いているでしょう。ところが新幹線の方だけは住民の意向を無視して急ピッチで進めようとする、そういうやり方はやはり今日の情勢のもとで当たらない。それよりもっともっと急がなければならない仕事がいっぱいあるのだから、当面急がなければならない仕事に力点を置いて、新幹線については住民の皆さんの納得のいくような話し合いをすべきだというように思うのです。もう一度そこのところを、内田常務、聞かせてください。
  143. 内田隆滋

    ○内田説明員 前段の東北新幹線の必要性につきましては、先生も御承知のように、現在東北線あるいは高崎線が輸送が非常に逼迫しておりまして、大体線路容量をはるかにオーバーしているというような状態からいいまして、急がなければならないという客観情勢がございます。  なお、それは急がねばならないのですけれども、沿線の皆さんに対しましては、これはたびたび申し上げておりますように、十分一人一人に対しまして御納得のいく話し合いを進めて、御納得がいった上で工事を進めていくということでまいりたいというふうに考えております。
  144. 平田藤吉

    ○平田委員 後でまた論じますけれども、東北線、高崎線、上越線、いずれも線路容量がいっぱいでございますと、いつでもあなたはそうおっしゃる。あれは現在の線路でもやりようによって、もっと効率的に通勤難を打開しながら道を開いていく方法はあるのです。新幹線でなければ解決しないという問題じゃないのですよ。そういう意味で、改めてまた後で総合的に検討したいというふうに思うのです。  次に、通勤問題についてお聞きしたい。  いま申し上げたように、高度経済成長政策によってとにかく都市に人口がどんどん集中させられた。とりわけ東京周辺、首都圏、ここへの人口の集中は激しいものがあるわけですよ。これだって自然に集まったのじゃないですよ。社会増といって政策的に人口が集中するような仕組みがつくられていったわけです。とりわけ首都圏の中でも埼玉県は人口急増では日本一ですよ。とにかく農業県であった県が工業県に変わって、人口もいま四百六十万人を超えるという勢いです。大変なんですな、これは。したがって、人口が急増して通勤をするという上で本当に毎日毎日が難渋な毎日ですよ、通勤者にとっては。職場へ行ってから仕事をするまでには全く一時間ぐらいは手がつかぬのじゃないかと言っています。そういう深刻な状態なわけですよ。深刻さでは私は日本一だと思う。  そこで、私が四十八年の三月七日、この委員会で通勤難打開について質問したわけなんです。その後、引き続いてこの問題については繰り返し繰り返し政府に対して改善を要求し、そして対策を要求してきているわけですけれども、この間にどのような改善が行われたかについて順を追ってお聞きしたいと思うのです。  まず第一番に、ラッシュ時の輸送力の増強ですけれども、東北線、高崎線の列車本数はどれぐらいふやされたか、それから列車一本当りの車両の数はどれぐらい増加せられたか、グリーン車の扱いは通勤時どのようになっているか、急行型の二つドアの電車の車両を通勤型の三つドアの車両に変えてもらいたいということを繰り返し言ってきたわけですが、どこまで進んでいるか、この点についてお聞かせいただきたい。
  145. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  いま先生からお話がありましたように、急行用電車の通勤型車両への変更、あるいは編成両数の長大化、それからグリーン車については四十八年からグリーン車がついておりましてもこれを普通車扱いとする、こういうかっこうで対処をしてきておるわけでございます。  やや具体的に申し上げますと、最近のダイヤ改正でどういうことを実施したか。五十年三月に御承知のようなダイヤ改正を実施したわけでありますが、このときに高崎線につきましては、急行型電車が二本、これは十二両編成でございますが、これを三つドアの十五両編成に変更をした。それから当初から三つドアでございましたけれども十一両編成であったものが一本ございましたが、これを十五両編成に直した。高崎線についてはこういう措置をとっておるわけでございます。  それから、東北線につきましては、やはり同じようなことでございますが、急行型のツードアの電車、これは十三両編成のものが一本、十二両編成のものが一本、これを三つドアの十五両編成に変更しております。それから三つドアの十一両編成二本、これをいずれも十五両にした。  こういうことで、いま持っておる限られた輸送力の中で編成増強なり車種を変更することによってできるだけ輸送力をつける、こういう方策でとりあえずは対処してきております。  なお、いま先生からお話がありましたように、高崎線につきましては上野に八時四十七分に着く電車がまだ急行型のツードアの電車になっております。これについては、大体十月ぐらいを目途にこれも三つドアの通勤型の電車に変更したい、こういうように考えております。
  146. 平田藤吉

    ○平田委員 大宮で盲人女学生の事故死がありまして、この時点でやはり盲人の方々を初めとして体の不自由な人たちのための改善策をとる必要があるということを指摘しましたけれども、大宮や川越、盲人の問題になりますと特にこの辺が大事だと思うのですけれども、どのように改善されているか、お聞かせいただきたい。
  147. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 昨年の五月二日に起こった事故でございますが、その後大宮駅につきましては、緊急措置として、これはもう地元の先生承知だと思いますが、全ホームに誘導ブロックを設置をいたしました。それから、階段に始終点を示すキタラインテープというものを設けました。それから跨線橋上にも階段位置を示しますキタラインテープというものを貼付しております。それから自動券売機に点字テープを貼付した。こういうようなことを大宮駅については早速実施をしたわけです。  それ以降、首都圏の管内につきましてはこの事故の経験にかんがみまして券売機に点字テープ、これは安全対策とは直接関係はございませんけれども、できるだけ国鉄の利用を容易なものにする、こういう趣旨から点字テープを券売機につけるということを四駅ほど実施をしております。それから誘導ブロックにつきまして、ホームのでこぼこの板でございますけれども、これは高崎それから前橋、水戸、大宮、浦和、西那須野、田町、甲府、八駅でございますけれども、こういう駅にホーム並びに階段等に誘導ブロックをつけた。  その他といたしましては、番線案内板でございますね、これも点字式でございますが、こういうもの、あるいは運賃表を点字化したもの、それから安全手すりでございますね、こういうようなものをこの非常にとうとい、申しわけない経験にかんがみただいままで進めておりまして、今後も駅の利用状況に応じて進めてまいりたい、こういうように考えております。
  148. 平田藤吉

    ○平田委員 川越線の問題も、高崎線、東北線に負けず劣らず大変でして、繰り返し、この問題もダイヤの改善それから列車の増加、一列車当たりの車両の増結、各駅の改修と大宮の駅ホームの改修などについて住民の皆さんのたくさんの署名が集められ、また私もこの委員会で繰り返して要求してきたわけですけれども、どの程度まで改善されているかについてお答えいただきたい。
  149. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 数字でちょっと申し上げますと、高崎線と東北線と両線比べまして、大体ラッシュ時間帯の輸送量はやや高崎線が多いという状況でございます。それで三十五年を基準に輸送力と輸送量がどういうようなあんばいでふえてきておるか、こういうことをちょっと申し上げたいと思いますが、三十五年といいますのは国鉄の第二次五カ年計画が始まる前の段階でございますので、一応その当時を一〇〇として、まず東北線から申し上げますと、三十五年当時の輸送力を一〇〇といたしますと、現在、四十九年末の実績でございますけれども、約二六〇、二・六倍に輸送力はふえております。一方、輸送量、お客さんの量の方でございますが、これは同じような見方で二・八倍、大体において輸送量の増に輸送力の増強を並行して今日までやってきておりますが、ややお客さんの伸びの方が上回っておる、こういう状況でございます。  高崎線について同じようなことを申し上げますと、四十九年で見ますと、輸送力の伸びが三十五年に対して二・四倍、これに対しまして輸送量の伸びは三十五年を一〇〇といたしますと大体二・五倍、こういうことで、三十五年から出発いたしますと大体輸送量に対応した輸送力というものは一応今日まではついてきておる。今後どうするかという問題については、先ほどもお話が出ておりましたように、何らかの別の方策が要る、こういうように考えております。  川越線につきましては、ちょっと今日、川越線のどういうような輸送改善をやってきたかという細かい資料を持ち合わせておりませんが、現在の状況だけ四十九年末の実績で申し上げますと、大体八時台に三本、九時台に三本、七時台も含めまして大体一時間に三本。大宮着で七時半から八時半というものをラッシュと見て、輸送量と輸送力のバランスをとらえますと、列車の方は四本ございます。これで大体乗車効率が一・九倍くらい、この二、三年来急速にふえてきておることは御指摘のとおりでございます。これに対して今後の対策としては、何分現在単線なものですから、こういう基礎輸送力をふやすかどうかについてはさらに抜本的な、基本的な検討が要ると思いますけれども、とりあえずは編成両数を増強するということで当面の輸送力増強を図っていきたい、こういうことで検討しております。
  150. 平田藤吉

    ○平田委員 川越線の場合も一定の改善の努力はなされているわけですよ。そこで、当面とにかくさしあたって改善できるのじゃないかという問題について幾つか意見を述べてお聞きしたいと思うのです。  たとえば高崎線の場合、上尾発で見ますと六時十三分と六時三十分の間、この間に一本増発することを考えてみてはどうか。と言いますのは、四十八年の調査データしかないのですが、現在もほとんど変わりないのですよ。六時十三分の列車、八二四M、定員七百五十一人ですけれども、これが五百八十六人、わりあい少ないのですね、定員に満たないのですから。ところがこの後の六時三十分になりますと、八二六Mですけれども、定員千二百十人に対して乗客数二千七百三十三人、二二六%と、ぱっと上がるのですね。ですから、これの間に入れてもらいますと、この次の列車はかなり楽になるというふうに思うのですよ。  それから二つ目には、上尾駅発八時二十四分と九時十分の間、この間にやはり増発する必要があるのじゃないか。と申しますのは、この上尾発八時二十四分、八六〇Mという列車は、定員が千二百十人に対して実際の乗客は三千二百人、二六四%、二倍半以上乗っているのですね。さらにこの後になります九時十分発八六二M、定員千二百十人に対して乗客は二千九百人、二四〇%、二倍半に近いのですね。ですから、この八時の列車と九時の列車の中間に一本入れてもらうと、この困難はかなり打開されるのじゃないかというように考えるわけですよ。  同時に、先ほど言われましたような、十月にはひとつツードアの解消について努力してもらわなければならないだろうというように思っているのですが、いまの二本列車を入れることについてはどうですか。
  151. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 現在の通勤輸送の概況からちょっと簡単に申し上げますが、御承知のように、高崎線から大体七分間隔で上野行きの列車が入り、東北線から七分間隔、したがいまして大宮から上野間につきましては、三分半の間隔で列車が入っておるわけです。この時間帯は、上野着で見ますと、高崎線につきましては、上野着七時十八分から九時七分まで、十六本あるわけでございます。東北線からは上野着で見て七時二十一分から九時十四分まで、十六本の電車、つまりこの時間帯に三十三本の列車が三分半の間隔で交互に入ってくる。したがいまして、この時間帯は、他の急行列車、特急列車あるいは貨物列車、これを全部この時間帯から排除しておる、これを排除いたしまして、通勤輸送にもっぱら総力を集中しておる、こういう現状でございます。  したがいまして、この時間帯を一応過ぎますと急行列車あるいは特急列車の到着が始まる、あるいは東大宮の電留線から電車が出庫をいたしまして上野まで行って、これが折り返して東北線の列車になりあるいは高崎線の列車になる、こういうシステムになっておるわけでございます。いまお話がございましたように確かに時刻表上はあいておるわけでございますけれども、さきに御指摘のございました六時十三分から六時三十分、この間隔は大宮で見て約二十分間隔がございますが、この間に列車が五本入っております。  この場合だけ一つ具体的な例を申し上げますと、東大宮から上野への回送電車、これが二本、それから奥羽線から参ります夜行特急が一本、それから東北線のローカル電車がこれに入りますが、これが一本、それから福井から信越線を通ってまいります寝台急行が一本、つまり二十分間に五本の列車が入っておりまして、大体四分間隔ぐらいで大宮から南はこれらの列車によって埋められておる。したがって、この間に高崎線からの、時刻表上あいているわけですけれども、列車を設定するということはダイヤ上できない。こういうことで、先生の御指摘があるということでいろいろ検討してみたのですが、そういう結論でございました。
  152. 平田藤吉

    ○平田委員 東北線でも同じ時間帯が同じ仕組みになっているのですね。これは改善の余地があると思うのですよ。寝台列車の時間帯を検討するなりすれば改善する余地があると思うのだね。だから、これは引き続いて、やはり当面の問題として研究していただく必要があるだろうというように思うのですね。  それから、川越線ですけれども、まあ改善をされて、通勤時の一時間帯三本というところまで持っていかれたわけだ。この努力は認めますよ。しかし現状で見ますと、やはりもう一努力を必要とするのじゃないかというように思うのですね。少なくとも上りの六時半から九時までの間、現在七本走っているわけですけれども、これを一時間当たり四本にならないかということなんですね。  それから下りの時間ですけれども、やはりこれも十七時から二十時までの大宮発の下りで、これが一時間二本、これをやはり四本にできないか。この間なんかひどいんですよ、車両がふくらんだというので大騒ぎしたんですから。あなた方知らないかもしらぬけれども、車両がふくらんでホームをこすっちゃったというので、まあひどいものですね。危なくてしょうがないですよ、あなた。そういう状態なんだから、やはりこれは検討して、改善のために努力してもらいたいと思うのですな。それから昼間は一時間に一本なんですよ。これはやはり二本にまで持っていくように努力をしてもらいたい。いずれも増発については検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  153. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 ラッシュの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、当面、車両を増結するという方向での解決を図っていきたい、こういうふうに考えております。  昼間の輸送力につきましては、これはいま一時間一本とおっしゃいましたけれども、一時間二本の時間帯の方が現在は多くなっておるわけでございます。この輸送量の推移を見ながら、先生おっしゃったような検討は十分させていただきたいと思っております。
  154. 平田藤吉

    ○平田委員 さらに国電の京浜東北線なんですがね。通勤時の大宮始発をもうちょっとふやしてもらえないか。本当にいっぱいで大変ですよ。六時十三分から五十八分までの間に四本、七時八分から五十一分の間に五本、合わせて九本が南浦和発なんですね。これは整備関係や何か車庫の関係があるのだろうと思うのですけれども、線路の上は同じなんですから、南浦和から線路がふえているわけじゃないんですからね。同じ線路の上を走るのですから、大宮まで持ってきて、大宮始発にできないか。乗客は大宮でいっぱいのに乗りまして、南浦和に行って一たんおりて、そして南浦和始発に乗っているのですよ。そういう始末ですよ。だから、これはいっそのこと大宮まで持ってきて改善できないかということです。
  155. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 これはあくまでも輸送量との対比の問題でございまして、現在大宮-南浦和間というのはラッシュ一時間の交通量を見ますと三万九千人ぐらい、これが南浦和以南になりますと六万一千人ぐらいになる。ここで非常に輸送量の段差がついておるわけでございます。そういう実情に即しまして始発輸送力を配分した、こういうことで大宮始発は十七本、それから南浦和で四本の二十一本の列車になり、赤羽で一時間の本数二十四本が全部そろう、こういうことで始発駅が若干分散してございます。これを全部大宮始発にしますと、大宮のお客さんは非常によくなるわけでございますけれども、今度は、南浦和のお客さんが始発輸送力がないから座れない、こういうことになりますので、これはやはり輸送力に対応して始発列車を配分する、これが平均的なサービスではないか、こういうふうに現在考えておるわけでございます。
  156. 平田藤吉

    ○平田委員 それはあなたの方の机の上の理屈ですよ。現実に乗ってごらんなさい、あなた。大宮駅の混雑状態、どんな状態か、南浦和に比べものにならないですよ。だから言うんですよ。一たび間違いが起こったときは大事故に発展するのですよ。あなた、配分する、腰かけられると。いすが幾つついているのです、あなた。たかだか知れているじゃないですか、三倍ぐらい皆押し込んでいるのだから。そんな理屈でもって通そうといったってやぼですから、これは検討してくださいよ。時間もありませんから、これをまたやっておると時間がなくなりますから……。  それから次に、通勤列車のサービスの問題です。この間、朝日新聞を見たら、一ページ使って「私は言いたい」とか「国鉄は言いたい」とかと書いてある。なかなかPRに熱心だなと思ったのですけれども、値上げするときばかりサービスしますと言ったってだめなんです。やはりサービスは、値上げしたらサービスすべきだし、いままでいろいろ言っているけれども、なかなかサービスはうまくいかないのだ。そのサービスの一つとして、これから暑くなるのですよ。電車の中は蒸しぶろですよ。扇風機が上の方で回っていますけれども、とてもじゃないけれども、どこ吹く風ですよ。したがって、冷房車をひとつふやしてもらう必要がある。特に混雑している列車についてはこれを考える必要がある。国電、京浜東北線の冷房車、現在何%が冷房車で、ことしは何%冷房車をふやすつもりですか。
  157. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 京浜東北線は七%でございます。
  158. 平田藤吉

    ○平田委員 ことし幾つふやすのですか。
  159. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 ことしはとりあえずはふえる計画はない、こういうことでございます。
  160. 平田藤吉

    ○平田委員 どうもずいぶんそっけない返事ですな。これはあなたドル箱だよ。ドル箱をサービスしないでおいてどこをサービスしようというの、あなた方は。ずいぶんひどい話じゃないの。ほかと比べてみると一番悪いんだね、サービスが。冷房車の比率だって一番悪いでしょう、あなた。ことしは湘南線ですか、向こうの方はずいぶんふえるようだ。あなた、何で一体北の方に向かう列車や電車についてこんなにサービスが悪いのか、ひとつ聞かしてくださいよ。
  161. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 先ほどは事実だけを申し上げましたので、それでいいと思っているわけではないわけです。いま東海道線、横須賀線なんかは非常に多いということをおっしゃいましたけれども、これは現在地下駅に入っておりますので、地下駅用の新車を入れる。新車を投入の際にはこれを冷房化する、こういうことでやっておりますので、線区によってかなりの凹凸があるというのは御指摘のとおりでございます。京浜東北線につきましても現在はかなり新車が入っております。一〇三系というのが入っておりますけれども、これの新しい型の投入がされる際には、冷房車のついたものが入っていく。それからもう一つは、新製以外では、これを改造工事に付しまして冷房装置を付加する、こういうことをやっておるわけですが、確かに京浜東北線については、いままでの工事の関係あるいは新製車投入計画との関連でおくれておるということですが、これは決してこれでいいと思っておりませんので、過渡的に、過渡期としてある程度線区別に凹凸があることは御勘弁いただきたいと思うのですけれども、できるだけ冷房化率を上げるように努力はいたしたいと思います。
  162. 平田藤吉

    ○平田委員 だめなんだよ、君。だって、これは高崎線だってそうでしょう、東北線だってそうでしょう。それでもいいですよ、私もある程度努力しているのは認めますよ。冷房車は一〇%だった、ことしは二〇%にするというのでしょう。ある程度努力は認めますよ。だけど、だめですよ、二〇%にしたってこのかいわいでは一番低いのですから。運賃が安いわけじゃないのだよ、あなた。いまお隣で運賃まけろなんて言っているけれども、言いたくなりますよ。東京の北へ向かって埼玉にかかると運賃が特別安いわけはないのだから、田舎の方が安いなんというわけじゃないのだから。凹凸があるのはとか、新しい電車を入れたらと言ったって、京浜東北だってそれから高崎線だって東北線だって、どこかから古くなった列車をみんな持ってくるのだよ。古くなった列車を持ってくるのだったらサービスをよくして持ってくるのがあたりまえですよ、あなた。だからことし予算をつけないのはどういうわけなのか、私にはわからない。あと改善するつもりでありますと言うけれども、本当につもりがあるのかないのか、どの程度いつ改善するのか、ひとつ聞かしておいてください。
  163. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 これは国鉄のサービスを世の中のレベルに合わせたものに引き上げていくというのがわれわれの目標でございまして、そういう意味で冷房化というのには特に力を入れておるわけですが、車両の新製計画、それから改造計画、これがなかなか計画どおりいかない面がございまして、こういうことで確かに現在の時点をとらえますと、非常に凹凸がある状況になっておりますが、できるだけすみやかに改善するように努力したいと思っております。そういうことでひとつ……。
  164. 平田藤吉

    ○平田委員 すみやかってなかなか便利な言葉で、いつすみやかにやるのか知りませんけれども、そういうことばっかり言って取り残していくのだから。引き続いて私は聞いていきますが、再検討しなさいよ、だめですよ。少しは色をつけて、北の側の東北線の人にも、高崎線の人にも、京浜東北を利用される方々にも便宜を図るためにここまで努力いたしましたぐらいのことをやって出てこなければだめですよ、本当に。みんな怒るのはあたりまえですよ。それはひとつ再検討してもらいたい。  いま見てきましたように部分的な改善はなされていますけれども、さっき言ったように、結局行き詰まっているのは線路が足りないからでしょう。内田常務理事、基本はそれでしょう。私が先ほど申し上げたのは、線路を大宮以南に増設しただけでも大変な違いが出てくるのですよ。七分ヘッドが三分半ヘッドで大宮-上野間が行くわけですから、線路をふやせば東北線も高崎線も改善されるのですな。そこのところはやはり改善のための努力を大いにしなければならぬのじゃないか。  そこで四十八年の三月七日に私が質問したときに、内田常務が胸を張って言われました。山手貨車線、大宮から田端を通って新宿へ抜けているあの貨車線を通勤線に改善したい、両三年のうちには何とかめどを立てたいと思うという返事をされたわけですけれども、どうですか、それを改善する以外に通勤問題の打開策はないのですよ。ここでひとつそのことについて答えてくれませんか。
  165. 内田隆滋

    ○内田説明員 その後いわゆる情勢変更で、地元の知事さん等から新幹線に沿って新しい通勤新線をつくってくださいというような御要望もございますし、また運輸省等の示唆もございまして、新幹線とともに新しい通勤新線をつくるという基本的な考え方でいままでまいったわけでございまして、この考え方はいまも変わっておりませんし、今後できるだけ早くこの線を完成することによりまして、東北線と高崎線の輸送力を緩和してまいりたいと考えておるわけであります。
  166. 平田藤吉

    ○平田委員 それは内田常務だめですよ。そんなことあなた海のものとも山のものともわからないじゃないですか。新幹線に沿ってなんて、沿わなければ通勤問題解決しないということはないのですよ。現在ある線路なんだからそれを使いなさいと言っているのですよ。むずかしいことを言っているのじゃないのですよ。一番通勤難を打開するための現実的な、当面可能な方法を言っているのですよ。それは内田常務理事、とても聞き置くわけにはいきませんよ、そんな理屈は。  さて、この増線計画と同時に、やはり地下鉄の関係考えてみなければならないのじゃないかというふうに思うのです。それで都営地下鉄六号線について、埼玉県では東京都に対して要請すると同時に、政府に対してもこの六号線を延ばしていく上でひとつ補助率について考えてくれないかと言っているのです。これは、どうも聞くところによると、埼玉まで六号線をやるとなると、東京都が引くのでない限りは埼玉で引かなければならない。事業体が違うし、高架で来るから補助率が半減するというようになっているのですね。ここのところはどうなんです。六号線で持ってくれば片っ方は地下鉄なんですから、地下鉄を延伸したということで補助率を地下鉄同様に処置できるのじゃないかと思うのですけれども、その点どうですか。
  167. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 地下鉄道につきましての政府並びに地方公共団体が出しております補助金の考え方は、ただいまの時点では建設費の六六%というたてまえでただいま処理しております。これは鉄道を地下に通すという前提で工費あるいはそれができ上がった上での経営のあり方、お客さんにかかる負担、そういったようなものを考慮に入れて立てたものでございます。  ただいまお話の線路、これが延びてまいりましてとういうふうに1恐らく先生のおっしゃいますように、ただいまの地理から申しますと、地下ではなくて高架になるのかもしれません。高架は高架、地下鉄道は地下鉄道というのが私どもの考え方でございます。ただいまお話しの線路、どういう建設主体、経営主体がどういう工事でどのようにつくられるかというようなお話をよく承りました上で、実は地下鉄道でない鉄道についても政府の助成措置というものはいろいろとやっております。またそれはそれなりにそれぞれ理屈と数字、基準がございます。どれに当てはめるか、あるいは非常に特殊なものとしてまた別に考えるか、これは今後検討いたすべきものだと思っております。ただ高架の線に地下鉄の補助金を出す、これは私どもは考えておりません。
  168. 平田藤吉

    ○平田委員 そうじゃないんだ。六号線といえば地下鉄として通っている。それが延びるわけですから、だから地下鉄扱いにできるのではないかということを聞いているのですよ。  七号線についてですけれども、これは帝都高速度交通営団の総裁においでいただいているわけですけれども、目黒と北区の桐ヶ丘間の免許申請が出されているそうですけれども、これはどんなぐあいになっているのでしょうか。
  169. 荒木茂久二

    ○荒木参考人 いまおっしゃいましたとおりに、免許申請を出していま運輸省で御審議を願っておるわけでございまして、われわれとしましてはなるべく早く認可をいただきたい、こう思っておる次第でございます。
  170. 平田藤吉

    ○平田委員 政務次官、運輸省の方で、これはいまどんなふうにお考えなんですか。
  171. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 営団総裁から御説明がございました認可申請は、ただいま私どもの方で関係省とも相談をしながら審査中でございます。基本的に大きな問題があるわけではございませんで、そんなにお待たせしないで処理できると考えております。
  172. 平田藤吉

    ○平田委員 これはぜひひとつ促進してもらいたいと思うのです。  帝都高速度交通営団に対して埼玉県はことしの二月に、都市高速鉄道七号線を答申の線に沿って浦和市東部まで早期に実現されるとともに、岩槻市付近までの延伸を配慮されたいというふうに要望しておりますけれども、総裁、この点についてはどうお考えでしょうか。
  173. 荒木茂久二

    ○荒木参考人 いまのお話のとおり、桐ヶ丘から目黒までの認可をまだいただいていない状態でございますので、そこで、まず第一段といたしまして、これの認可をいただきまして、これに着工いたしまして、第二段といたしまして、いまおっしゃいました線で、都市交通審議会の答申によりますと、岩淵から川口市中央を経て浦和東部に至る、こういう線になっておりますので、その線につきましてルートを研究いたしまして、改めて認可を申請するという段階になるわけでございます。
  174. 平田藤吉

    ○平田委員 十三号線についてですけれども、答申によると、これは新宿-志木間というふうになっておりますけれども、これは営団の方ではどんなぐあいになっているのでしょうか。
  175. 荒木茂久二

    ○荒木参考人 これは八号線としてスタートしたわけでございますが、三十七年の審議会の結果といたしまして十三号線に直りまして、これが和光から池袋を通りまして新宿までが十三号線、こういうことになりまして、いま着工いたしておりますのは八号線として着工いたしております。それで、私の方の線路は和光市まで行くことになりまして、それから先は東武東上線の複々線化が行われまして、その線路へ私の方が乗り入れをする、こういうことになっております。なかなか都の放射三十六号線の問題が片づきませんので工事が進んでおりませんが、池袋から西の方に向かっては若干延びておりますが、これの方を延ばしますし、  一方、川越街道の成増からこちらに向かいましていま二駅ほどつくっておりますし、さらにそれを東京方へ延ばしまして、真ん中がとぎれているかっこうになりますけれども、できるだけ早くこれをつなぎまして、池袋から和光市まで開通するようにしたいとせっかく努力している段階でございます。
  176. 平田藤吉

    ○平田委員 そういう事情で通勤難の打開策というのは、これはこの前の質問で国鉄の当時の総裁もそれから運輸大臣も、国鉄だけでもってすべては解決できない、総合的な施策で解決する以外にないのだというふうに言われていますね。私もそのとおりだと思うのですよ。  そこで最後にお聞きしておきたいのは、国鉄当局として、あるいは政府として、解決のための総合的な対策が立てられているのか、どの程度進行しているのか、お聞かせいただきたい。
  177. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 御承知のようにかねて御説明申し上げておりますように、国鉄、私鉄を通じて首都圏あるいは近畿圏の都市交通対策は立てられなければならぬという考え方でございます。私鉄の関係につきましては、御承知の都市交通審議会の御答申をいただいておりまして、これが全体のマスタープランというふうなかっこうになっておりまして、他方で国鉄は御承知の、たとえば五方面作戦といったような基本的な構想というものを持っております。この二つを総合して私どもは名前をつけていわゆる何とか計画といったような形ではございませんが、運輸省の中でそれを総合的に勘案しながら、各年次の実施を図っておるというのが実情でございます。
  178. 平田藤吉

    ○平田委員 時間も来ましたので、これで終わりにしておきますけれども、予算全体で見ますと、とにかく十カ年計画も見直さなければならないと言われていますけれども、通勤対策費というのは七千億くらいでしょう。全体では十兆五千億ですかの予算ですね。通勤対策のための予算というのは七千億程度なんですよ。七%程度なんですね。これではなかなか解決しないと思うのですよ。  ですから、私はいま申し上げたように、まず大宮以南の通勤線を打開するための対策を新たに立てること、それから高崎線、東北線それぞれについて対策を立てれば、当面は特急ももっと走れるようになるのですよ。通勤時間帯を避けなくったって走れるようになるのですよ。そういう対策をやはり一つは抜本的な対策として考えていただく必要があるだろうし、二つ目には、何といいましても地下鉄を延伸する、たとえば六号線で言えば、これは運輸省の指導でやはり人口密度の高い上尾まで持っていくという点もあわせて検討する、それから七号線もさらに人口がふえることが予想される大宮の北東部、七千戸の住宅が建つと言われているのですよ。ですから岩槻までこれはやはり延伸してもらう必要がある。さらに十三号線は東上線がどうにもならぬ、川越まで延伸してくれというのが皆さん方の要求なんですよ。特にそれらの点も配慮しながら検討をされることを要請して、私の質問を終わりたいと思います。
  179. 下平正一

    下平委員長 次回は公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十八分散会