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1975-05-07 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月七日(水曜日)     午後一時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 勝澤 芳雄君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 野中 英二君    理事 野坂 浩賢君 理事 平田 藤吉君       加藤 六月君    唐沢俊二郎君       佐藤 守良君    野田  毅君       前田治一郎君    井上  泉君       太田 一夫君    紺野与次郎君       小濱 新次君    渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸大臣官房審         議官      中村 四郎君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船員局長 山上 孝史君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         海上保安庁長官 寺井 久美君         建設省道路局長 井上  孝君  委員外出席者         通商産業省産業         政策局沖繩国際         海洋博覧会管理         官       大木 俊夫君         運輸省船舶局造         船課長     神津 信男君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巌君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         運輸省航空局監         理部監督課長  小林 哲一君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 これより会議を開きます。  下平委員長病気療養のため、しばらくの間委員会に出席できませんので、この間、私がその指名により委員長の職務を行います。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田治一郎君。
  3. 前田治一郎

    前田(治)委員 三月十二日でございましたか、私、この委員会質問をさせていただきましたが、そのときに自賠責保険について触れたのでありますが、上っ面をなでるだけで終わっております。きょうはその自賠責保険についてなお不審をただすという意味合い質問をさせていただき、さらにまた、時間がありましたら沖繩海洋博交通関係についてお尋ねを申し上げたいと存じますので、関係省庁の方々、よろしくお願い申し上げます。  自賠責保険でありますけれども、これは運輸省で所管されておると承知いたしておりますけれども、まずお尋ねしたいのは、これの契約期間が五日から始まって一カ月、三カ月、十二カ月、さらに十三カ月という半端な期間がある。そして二十四カ月、二十五カ月という半端な期間があったと思いますが、最長は三十六カ月。なぜそういうふうな期間に設定されておるのか、まずそのあたりからお伺いしたいのであります。
  4. 宇津木巌

    宇津木説明員 お答え申し上げます。  自賠責保険につきましては、先生御案内のとおり車検制度とリンクされておりまして、これは無保険車対策のためにどうしても不可欠な要件になっておるわけでございますが、この車検期間というのが営業用の車の場合には一カ年でございます。それから自家用の場合には原則といたしまして二カ年、二十四カ月、こういうことになっております。したがいまして、営業用の場合十二カ月が多く、そしてあと車検期間ずれ等見込みまして一カ月プラスアルファの十三カ月。それから同じような理屈によりまして、自家用のものにつきましては二十四カ月が大部分でございまして、あとずれ一カ月を見込んでおります。それから三十六カ月という一番長いのがございますが、これは強制保険が付せられております二輪車等につきましては車検制度のないものがございます。こういうものにつきましては、従来車検制度がないために強制保険についての付保率が非常に低い、こういう事情がございましたので、最初のときにできるだけ長期の強制保険を付保させる、こういう趣旨によりまして三十六カ月のものができておるわけでございます。
  5. 前田治一郎

    前田(治)委員 自賠責保険人身事故に対する保障しか考えておられません。物損については全部任意保険にするという精神のようでありますけれども、この自賠責保険をそのように限定された考え方、理由というものについて、当局の御見解を承知しておきたいので、御説明願いたいと思います。
  6. 宇津木巌

    宇津木説明員 本来、自動車を運行する場合には、当然のことながらそれによって起きました損害に対しまして賠償する責務があろうかと思います。この点につきましては、人身事故であろうがあるいはまた対物的な損害であろうが、これは変わらないかと思います。ところで、実際のわが国の付保状況を見ますに、とりわけ問題となっております対人関係につきましては、賠償金額も多くなりますし、また被害者救済のためにゆるがせにできないところでございますが、残念ながらその付保率がきわめて低かった。こういうところから、被害者救済のため国が特に関与いたしまして強制的に付保させるという趣旨になっておろうかと思います。  一方、対物の関係につきましては、対人の場合に比べれば、どちらかといえば金額も少ない場合が多うございますし、またその程度のものに対しましては、加害者と申しますか、運行する者の資力によって賠償できる場合の方が多うございますし、人身の場合のような救済措置を国が関与してまでやる必要性は乏しい。こういうところで対人関係のみ強制保険対象といたしておるところでございます。
  7. 前田治一郎

    前田(治)委員 質問が非常に飛躍しますので、お答えにくいかもしれませんが、後で質問事項を全部まとめて、私、意見を述べたいという考えを持っております。  私の手元に四十七年度自賠責保険に関する契約件数あるいは保険料収入額また保険金支払い件数金額一覧表があります。もちろん保険契約そのもの年度、したがって保険料収入年度、この保険料に対して、じゃ年間中に発生した保険支払いは相一致するものかというと、そうでないことはよくわかっております。また事故が発生してもすぐに払われるものではありませんから、年度の変わる場合が多かろうということで、おおよそこれとこれとは一致しないということは承知しておりますけれども、しかしながら保険経営保険会計という点からいきましたら、そういう細かなことはさておいて、一年間保険契約数保険料収入額あるいは一年間保険金支払い件数金額というもので大体のめどをつけて運営をしていくべきであるという見地に立ちまして、お尋ねをするのであります。  この四十七年度数字でまいりますと、これは私から言いませずにそちらでおわかりだろうと思いますから、合計額をひとつ言うていただけませんか。特に、その中で乗用自動車の分と普通貨物自動車の分を細引して数字をおっしゃっていただけませんか。私が持っている資料と相一致するかどうかをちょっと判定するためにお願いします。——わかりませんか。じゃ私の方から言いましょう。この年間保険契約件数は千九百十九万五千十一件、事故発生件数は六十八万九百三十八件でございます。この発生率は三・五%。車種別に見ましたら、乗り合い自動車事故発生率が一二・四五%、乗用自動車が五・七%、普通貨物自動車が八・八%でございます。小型貨物に至っては三%、小型二輪、軽自動車に至っては一・八%しか事故が発生していない。これは、私が言わんとするのは、いま件数だけ言いましたけれども金額でいくともっと大きいのですね。  金額数字が煩わしいからもうカットします。パーセンテージで言いますけれども、この年の保険料収入に対して保険金支払い額は五六・四%でございます。民間保険会社だったらこれは明らかにもうけ過ぎているのですよ。政府が関与なさっておるから、まあこれはこれでいいんだというふうに一応の納得はしますけれども、四十七年度でこの数字であるとするならば、その後においてさらに自賠責保険そのものについての改善を加えていかなければいけないと私は思うのです。イージーゴーイングに、一遍決めた制度だからそのままでいいじゃないかというようなことでは、これを扱っている損害保険会社に対しても監督官庁としてあり得べからざる態度であるし、また自賠責保険を管理なさっておる運輸省としても、そういう怠慢なことでは自賠責保険が泣くだろうと私は思うのです。  そういう意味合いで、これを改善する方途で何か検討なさっていることがないか、大ざっぱな質問ですけれども、その辺からお尋ねをしたいと思います。
  8. 宇津木巌

    宇津木説明員 確かに先生の御指摘のように、ある特定年度だけをとりまして、それの契約件数また保険料収入に対しまして、現金ベースにおける保険金支払いを対比させますと、保険料収入の方がかなり多くなっております。この原因につきましては、当然のことながら保険料収入は契約したときに入る、ところが保険金支払いは、保険料を支払った後しばらくしまして、保険事故が起き、そしてまた示談なりを済ませまして保険金の請求になるということで、契約いたしましてから平均いたしますと大体五年くらいの期間にわたっておるわけでございまして、どうしても現金ベースで見てまいりますと保険料の方が多くなってくるということになろうかと思います。  ただ、それも先生指摘のように、流れ全体として見た場合には、毎年同じことが繰り返されれば同じようになるではないか。これはもしも車の台数伸びず、そしてまた保険料率の変更がないならば、確かにそういうことになろうかと思います。ところで、この二、三年、四十六年、七年、八年というところを見ますと、車の台数伸びが非常に大きく伸びているわけでございまして、その増加率は大変なものになっております。したがいまして、先ほど申し上げましたような保険料保険金支払いずれ関係がずっと同じ台数でいけば相殺されるわけでございますが、後の方に来るほど飛躍的に伸びておりますので、そういう関係から、単年度で見ますと、保険料収入の方が保険金支払いよりもかなり多くなっておるということになるわけでございます。  全般的な傾向としてはさようなことになっておるわけでございますが、ただそれを勘案いたしましても、自賠責保険収支がここ両三年におきまして著しく好転しておることは事実でございまして、これの原因といたしましては、一つには、交通事故が私ども見ておりましたよりはずっと大きく落ちたこと、そしてまた車の伸びが順調に伸びたために保険料収入が多かったというような理由があるわけでございますが、これの収支もよくなってまいりましたし、それから累積の赤字も消えておりますので、今後の一般的な問題といたしましては被害者保護をさらに手厚くするような方向検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  9. 前田治一郎

    前田(治)委員 私が先ほど数字をあげましたのは、実はそのような結論についての御見解を聞きたかったからでございます。四千三百二十五億からの保険料収入して二千四百四十三億しか払ってない。これは五六・四%という、率で言いましたら何のことなしに聞き流しのできる率でございますけれども金額でいきましたら四千三百二十五億、片や支払いは二千四百四十三億、べらぼうな差があるじゃないかということになるのでございまして、これをただじんぜん日を過ごして容認することは私はできないと考えます。  しかも、自動車事故に対して自賠責が受け持っておる範囲においても、あながち完全な支払い補償がなされておるとは考えられない節がございます。もちろん一千万円限度になっておりますけれども、それじゃ一千万円限度までの後遺症が残るような傷害の場合はどうかと言いますと、わかりやすく言えば病院診療所へ払った金額補償はしてくれる。けれども、将来に向かっての後遺症に対しての補償というものは全然自賠責では見ていない。非常に保険としては欠けるところのある制度である。その欠陥だらけ保険政府が強制的に加入させておるというところに私は政治姿勢として改めるべき点がある、かように考えております。そこで運輸省当局の御見解を承ったのですけれども、ただ単にそのような姿勢検討しますと言うのでは、少しきょうの答弁としては私は熱意がなさ過ぎると思うのです。  たとえば、物損についても全部とは言わないけれども、ある程度自賠責対象に加えたいという方向検討しておるとか、あるいは限度額一千万円及び後遺症等について全然補償がなされていない、単なる病院への支払いだけにとどまっておる現在の補償のあり方というものをさらに充実した、被害者本位の方法で検討を加えていきたい。  これは四十七年度数字でありますから、四十八年がどうなったか、四十九年がどうなったか、数字を取り寄せて検討してみなければわかりませんけれども、もしもこのような、四千三百二十五億の収入に対して二千四百四十三億の支出しかない。単年度であるから、前年なり前々年の収入なり支出との関連性があるから、容易にこれをもって解釈してもらっては困るのだとおっしゃるかもしれないけれども、しかしながら保険一つ事業であると考えるならば、事業というものはそういうふうにして見ていかなければ、一件一件について収支計算をして見ていくようなことはとうていできない。特にこれだけの契約件数を持っておったらできやしません。だから十把一からげになるかもしれないけれども、単年度ごとの計数でもって勝負をしていかなければしようがない。生命保険だってみなそうですよ。そういうような意味合い。  政府の行っておる健康保険だってそうじゃありませんか。決して一年一年が収支償っておるかどうかを見ておるわけじゃない。その年その年の赤字、黒字はあるけれども、継続してやっていって、そして赤字が出れば、その経常費でもって補償するというような政治的措置考えなければいけなくなってくる。同様に政府強制保険として国民に強要しておる、しかも政府自身特別会計として管理しておるというような保険の場合には、もしも赤字が出れば一般会計で補助をするなり、あるいは補給するなりのことを考えてもいいじゃありませんか。  私はこの保険料収入を下げろとは言いません。およそ殺人の凶器にもなりかねない自動車を所有する以上は、車検のときにこれくらいの保険料を払って、そうして被害を与えた場合の補償をする姿勢を示すことは私は必要だと思う。だから保険料を下げろとは言わないけれども保険金支払いをふやすためにいろいろと対象を拡大していくという考慮は払われてしかるべきであると思う。四十七年といえばいまから三年も前ですよ。その数字がいつ出たのか知りませんけれども、一年後の四十八年に出たとしても、もう二年たっているじゃありませんか。だのにいまだにその数字が等閑に付されて何ら検討を加えられていない、制度改善、内容の改善が行われていないというどころに私は不満を感じるのですが、運輸省考えはいかがでしょうか。
  10. 宇津木巌

    宇津木説明員 四十七年度現金ベースによる収支につきましては、お話のありましたとおりだろうと思いますが、そこでその収支の好転を背景といたしまして、四十八年の十二月からは、保険料原則といたしまして据え置いたまま、保険金を五百万から一千万に引き上げ、それからまた傷害につきましては五十万円から八十万円に、それから後遺障害につきましては、やはり最高五百万から一千万までと、保険料を据え置いたまま保険金限度額を引き上げておるわけでございまして、それ以来約一年半でございますが、最近の情勢にもかんがみまして、また保険金額限度額につきましては、被害者保護を手厚くするという方向で前向きに検討いたしておるところでございます。
  11. 前田治一郎

    前田(治)委員 話は変わりますが、厚生省が厚生年金の場合、完全積み立て方式とかいうて、積み立てをさして年金を払っておる、その態度たるや全く、石橋をたたいて渡るということわざが昔からありますけれども石橋をたたくどころでない、その上へ一センチもあるような鉄板を敷いてブルドーザーでも通してみて、さらにまた警戒をして渡らないというような思想であの積み立てをさしておると私は考えておるのです。  それと同じようなことを自賠責保険運輸省がなさっている。巷間、自賠責というものは非常に保険が薄い、保障が薄いという評判をみんなしております。イメージを持っております。だからこの自賠責によって相当な保障がなされるのだというふうに運輸省自体努力なさるべきであると思うけれども、私はまだ御努力が足らないと思う。このような数字が出たから五百万の限度額を一千万に上げたのだといま御説明がありましたけれども、それじゃ四十八年、四十九年の数字を拝見してもう一度論議いたしましょうということに相なります。  きょうは時間がないから、あと沖繩問題質問したいので、自賠責についてはこれでとどめますけれども、私は委員長にお願いをして、要求いたします。  四十七年度資料はわれわれちょうだいしたけれども、四十八年度、でき得べくんば四十九年度資料——資料というのは、保険契約数保険料収入金額、その年間保険金支払い件数金額、これを自動車車種別にあらわした一覧表でございますけれども、それをちょうだいしたいと思います。ちょうだいした上でまた次回、機会を得てこの委員会自賠責保険についての論議を重ねてまいりたいと思いますので、お願いいたします。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 宇津木参事官、いいですか。
  13. 宇津木巌

    宇津木説明員 四十八年度はできると思いますが、四十九年度は大分後になります。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 はい、わかりました。それでは、できるだけすみやかに資料を御提出願います。
  15. 前田治一郎

    前田(治)委員 任意保険について触れたかったのですが、大蔵省がお越しくださっているそうですけれども、あともう二十分しかなくて、時間が足りませんので、きょうは任意保険については割愛いたしまして、沖繩海洋博の交通問題に入らしていただきたいと思います。  これは通産省からお答え願うのですか。——それではそちらの方でお答え願う官公庁はしかるべくお決め願いたいと思います。  沖繩海洋博協会当局観客予想をしておるはずでございます。その予想数は、これは一回入場するか二回入場するかによって変わってくる。さらに観客の質、すなわち外国航路で外人がやってくるか、あるいは沖繩県の県民の方が入場されるか、本土から行った人が入場するかによって変わってくると思うのですが、その辺は大づかみでよろしいから、おつかみになっておる本土から沖繩へ出向いて海洋博を見物しようという客数がどれくらいであるかということ、さらに端的にお尋ねしていきますけれども、その客数を船と飛行機の両方でどれくらいの人員を運ぶ計画をお立てになっておるか、これは実行の伴う計画でなければ困るのですけれども、その辺のところをお答え願いたいと思います。
  16. 大木俊夫

    大木説明員 お答え申し上げます。  海洋博覧会協会の実施いたしました入場者予測数でございますが、沖繩県民については人数で五十六万四千人でございます。これは地元でございますので約三回は入場するだろうということで、その延べ人数で申し上げますと百七十三万人ほどでございます。それから本土から参ります人数が約百四十万でございます。この入場回数が約一・八回程度ということでございまして、延べ人数にいたしますと約二百五十万でございます。それから外国人でございますが、人数では約九万人、その延べ人数では二十一万人ほどでございます。ちょっと端数を切ってございますが、合計いたしますと、人数で約二百万人、それから延べ人数にいたしますと約四百五十万人ということでございます。
  17. 中村四郎

    中村(四)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま通産省の方から入場者数につきましてお答え申し上げましたが、私どもの方としましては、ただいまの数字前提といたしまして、六カ月間の海洋博開催期間中の実参加者数を約二百万人と想定いたしました。うちお尋ね本土からの入り込みの参加者数を約百四十万人と想定いたしまして、これに対しまして航空機利用参加者約百万人、船舶海運を利用いたします参加者数約四十万人、こういう想定をいたしまして、これに対応した輸送力を整備する努力をいたしておる次第でございます。
  18. 前田治一郎

    前田(治)委員 それは航空機を利用して本土から百万人出かけるという計画だそうでございますけれども、もちろん沖繩へ飛んでいる日本航空を初め全日空等航空会社、あるいは沖繩に着陸しておる外国航路飛行機も使われるのだと思いますけれども、その輸送計画は完全にできておるのかどうか。たとえば百万人といいましても、それを現在の航空会社便数計画等で消化し切れなかったら積み残しが起こってまいります。その辺の計画はどうなんでしょうか。
  19. 小林哲一

    小林説明員 航空関係輸送でございますが、ただいまお話のございました数字前提にいたしまして私どもの方で算定いたしますと、海洋博関係観光客は、航空を利用する方が一日約五千四百人、さらに海洋博関係以外の一般利用客が一日約千六百人、合わせまして海洋博期間中に航空機を利用される方が約七千人というふうに見込まれております。  これに対します輸送力の方でございますが、航空機利用率を九〇%というふうに想定いたしました場合に、一日約七千八百席の座席を提供する必要があるというふうに計画しております。現在、東京大阪、名古屋、福岡、鹿児島等から定期便が那覇に出ておりまして、それの提供座席数は約四千五百でございます。したがいまして、なお海洋博期間中は相当の輸送力を増強する必要があるというふうに見込まれるわけでございますが、これにつきまして種々の制約の要因もございます。たとえば東京大阪等空港につきましては発着回数の規制というようなものもございますが、私どもといたしましてはできる限りその範囲でいろんなやりくり、たとえば本土定期便を一部沖繩の方に回すとか、あるいは大型機を活用するとかというような努力をいたしまして、この輸送力を確保するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  20. 前田治一郎

    前田(治)委員 私は大阪の選出ですので、大阪国際空港の公害問題について住民の反撃ということはよく知っております。だから、大阪空港便数をふやすということはなかなかむずかしい状況にあるということは承知していますけれども航空局にちょっとお尋ねしたいのは、実は私、プライベートで五百人ぐらい海洋博を見に行く団体を組んで、もう名簿がちゃんとでき上がっております。その団体客沖繩までの航空座席申し込みといいますか輸送申し込みエージェントを通じてしたところが、いまだに座席割り当てがない。ところが、聞いてみると、各エージェントに対しては割り当てがあるそうなのに、私の方の直接の団体に対してはまだ割り当てがない。というのは、確保したという返事がないというわけです。これは一体どういうことなんですか。  便数をふやせないから、あるいは大型機に変更して飛ばせないから、だから割り当てができないのだというふうな説明は、これは説明になっていないのですね。言いかえると、いまだって沖繩へ日に何便か大阪から飛んでいるじゃないか。それには百人か二百人かの座席があるじゃないか。沖繩海洋博は半年間あるのですけれども、その半年間に毎日毎日大阪から飛行機が飛ぶんでしょう。そしてわれわれの方は五百人という団体名簿までちゃんとでき上がって申し込んであるが、それに割り当てをしないで、何か大ざっぱに含めて一万人とか二万人とか言うて、もちろんいまから乗る人を募集するのでしょうけれども、そういうエージェントに対してはぼかんぽかん割り当てをしておるというような航空会社のあり方は、航空行政上どうお考えでございましょうか。
  21. 小林哲一

    小林説明員 ただいま先生の御質問沖繩海洋博に行かれる方の団体の予約の件でございますが、航空会社、主として日本航空と全日空でございますが、これに確認をいたしましたところ、特に大口のものについて優先的にするというようなことはいたしていない、平等に扱っているということでございますが、ただいま非常に予約が錯綜しておりまして、若干整理の期間が必要であるということで、一時予約を停止したというようなこともあるように聞いております。ただいまの先生の御指摘のようなことが今後起こらないように、十分エアラインに対する指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 前田治一郎

    前田(治)委員 航空会社の回答はそうであったかもしれませんが、実情はそうじゃない。私の聞いた範囲では、大手のエージェントがどかどかと何万人というふうな確保をしてしまう。私の方は、大手のエージェントを使えばよかったのだけれども、中型のエージェントを使ったものだから、その方へ割り当てがなかったというのが実情である。だから、見越しというか見込みというか、ちょうど独禁法で一流の大手商社の営業活動をもっと圧縮しろという思想があると同様に、こういう世界にも、やはり大手の業者が先取りをして、まだいまから販売するんですというふうな座席をとってしまって、実際にわれわれみたいにきちんと団体を編成しているところへ、だんだん日が迫ってきておるのに一向に割り当てが来ないというような矛盾したことが行われている。しかも、国として最も力こぶを入れている航空交通の一環としてそういう現象が起こっておる。こんなことじゃいけないと私は思うのです。  それは日本航空へ申し込んだのか全日空へ申し込んだのか、私はまだそこまで確認はしておりませんけれども、どっちにしろ、いま少し現実に即した計画が立てられておらなければ、これはひょっとすると、海洋博ころになってぐると、航空座席にプレミアムがつくかもしれませんよ。そういうプレミアムをつけてエージェントあたりが悪徳商行為をした場合にほっとけないじゃないかという問題が起こってまいりますので、これはひとつ厳重に航空会社との意思疎通を図っておいてもらいたいと思います。  それから、そのようにして海と空とで沖繩へ着いた人々を、今度は那覇から本部の会場まで運ばなければいけませんけれども沖繩県には汽車とか電車がない、もっぱら自動車輸送かあるいは海上輸送しかないということでありますが、海の方は、私は船に弱いから船はいやだという人もありましょうから、最も重視しなければならぬのはバス輸送だと思います。  このバス、これはおおむね観光用のバスになろうかと思いますが、いま沖繩にどれぐらい用意がなされておるのか。路線バスというのがありましょうが、路線バスは、これは海洋博期間中といえども他に転用することは不可能外ありましょうから、路線バスは対象から外して、私がお尋ねしているのは、観光バスが何台ほどあるのか、それに対し何台ほどの増強をされておるのかということをお伺いしたい。  もう時間がないから、ついでに言うておきますけれども沖繩はいまだにアメリカ方式の右側通行ですね。これが左側通行だったら、沖繩海洋博期間中バスが足らなければ、本土から観光バスを汽船で持っていけば、何台でも持っていってすぐにでも使えるということでありますけれども、右側通行であるがゆえに、本土のバスを持っていっても使い物になりません。というて、右側通行をやっている外国からバスを借りてくることもできますまいし、聞くところによると、何かグアムとかウェーク島にアメリカから持ってきてほうりっ放しにしてある中古のバスを沖繩へ持って帰って、それを修繕して使おうかという計画もあるやに聞きましたが、そんなバスをもし使わしたのでは、これは海洋博を見に行った人の、それこそ人命に危険を感ずると私は思うのです。  というて、いまここで沖繩のバス業者に新しいバスを購入させたとしても、その右側通行専用のバス、ハンドルは左ハンドルでしょうし、入り口は右側についておるし、これは本土へ持って返っても使い物になりません。で、海洋博六カ月使うて、後どうするのだ、いまでも観光バスがあるのに、その上、海洋博用の観光バスを増車して、そうして会期が済んでしまったら雨ざらしにする、宝の持ちぐされになるというようなことも考えられます。  だから、私は警察庁にお尋ねしたいのだけれども、なぜもっと早く沖繩の右側通行を左側通行に変えておかなかったのかという質問が起こってくるわけでございます。  そこで、そのバスの準備及び右側通行、左側通行に関する警察庁のお考え、あるいはこれは総理府かもしれませんけれども、その辺について御説明をお願いします。
  23. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  海洋博関連の沖繩にあるバスあるいは海洋博のためにどういう増強が予定されておるかということかと思います。  現在、貸し切りバスが百三十両ございます。これに対しまして、バス業者といたしましても新規に九十両を増強する予定でございます。さらに私ども、わずかでございますが、会場直行バスのために百五十台分の補助金を出しまして百五十台を増強する。したがいまして全部で三百七十両、これにいまお話がございましたが、路線バスは七百三十四両でございまして、このうちには予備車も若干ございますので、これらの車両によって輸送を完遂したい、このように考えております。
  24. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 通行区分の切りかえの問題で、現在総理府が担当しておりますのと、当時この問題が起こりましたときに、私、警察庁の交通局でこの問題を扱いましたので、私から御答弁を申し上げたいと思います。  四十七年五月の沖繩本土復帰のときには、当時警察庁としましては、本土復帰と同時に切りかえるのが筋であろうということを申しておったのでございますけれども、当時沖繩でも非常にこれに抵抗が強かった、本土を切りかえるべきじゃないかというような空気すらもありました。また、復帰に伴ういろいろな諸準備が要るし、非常な混雑が起こりますので、復帰と同時に切りかえはとうてい無理であろうということで、当時閣議にもかかりまして、沖繩の復帰に伴います特別措置に関します法律ができますときに、一応復帰の後三年を超えてからやろうじゃないかというように法律で決めました。だから当時、そういうことになりますと、四十七年の五月に復帰ですから、五十年五月以降に切りかえようじゃないかというように閣議でも決まったわけでございます。  ところが、その法案ができましたすぐ後に、四十六年の十二月ごろだったと思いますけれども海洋博沖繩でやるという問題が急に起こりましたので、それなら復帰の前にやった方が本当はいいのではなかろうか、ということは、五十年に海洋博があるわけですから、四十九年八月ごろに切りかえるのが妥当ではないだろうかということで、当時警察庁の交通局は強くその意見を持ったと思います。その当時から総理府が主管いたしまして、その四十九年、海洋博前に切りかえるべく準備を進めまして、いろいろ現地とも相談し、それから当時スウェーデンが全国的に切りかえましたので、スウェーデンに視察団も派遣いたしました。  そうすると、相当準備が要るということで、仮に四十九年八月に切りかえますと、四十八年度予算である程度手当てをしなければならぬ。四十八年度予算で手当てしようとすると、四十七年の六月ごろに予算的な措置も要るだろう。ということになりますと、いろいろな技術上の問題あるいは現地の空気等を見まして、海洋博以前に本来はやるべきであろうけれども、時期的にやはり少し無理があるということで、まことにいろいろな問題がありましたけれども沖繩海洋博後にやらざるを得ないということになりまして、現在、五十二年あるいは五十三年に切りかえようではないかということに進めております。
  25. 前田治一郎

    前田(治)委員 沖繩の交通の右左の切りかえにつきましては、沖繩の県民感情もありましょうから、われわれ本土の人間がとやかく言えないかもしれませんけれども海洋博期間中に、特に若者たちが沖繩へ出かけていって、そうしてレンタカーを借りて走り回るというふうなことも考えられます。沖繩にはレンタカーが千五百台からあるそうでございますけれども、このレンタカーを借りて走り回る連中が本土で左側通行になれている。それが急に右側になると、いろいろと事故を起こす危険性が高くなってくると思うのです。私は、事故が起こってから本土の青年連中はむちゃをするからというて沖繩の人々におしかりを受けるよりも、むしろレンタカーを借りて運転でも始めようかというその直前に何とか処置を講じて右側通行の極意といいますかポイントを注意しておくというような措置もお考えになっておく方がいいと思うのです。そういう点を早目に御配慮願えれば、きょうの質問の目的の一端を果たしたことになります。  それから、運輸省の方へお願いをしますが、バス百五十台増車するために補助金を出したとおっしゃっております。また沖繩のバス業者自体も九十台自力でもって増車する計画を立てているとおっしゃっておる。ところが、そのようにふやして三百二、三十台のバスにして、会期の六カ月はよろしいけれども、その後それが完全に沖繩県で消化できなかったらこれは大変な宝の持ちぐされになってバス業者が悲鳴を上げることになるだろうと思います。だから、事後処理についても考えておく必要があると私は思うのです。  また一面、そういう業者の苦しさからでありましょうか、さっきの五百の団体の関連なんですけれども、こんな話を聞きました。うちは——うちはというのはエージェントですね、そのトラベルエージェントが、うちは沖繩でバスを会期中ずっと契約をします。それに対してバス会社から五百万円ぐらい前渡金というか保証金というか払えと言われておる。あなたのところが五百人分お使いになるとすると、これはまあ三泊すれば四日間バスを使わなければいかぬが、その分としてその五百万のうちの何ほどかを前払いで負担をしてくれという申し込みをしてきました。これは商取引だからいいじゃないかと私は応じさせましたけれども、よくよく考えてみると、観光バスの貸し切り等についてそんなべらぼうな額を前渡金の、保証金のと言うて取るような業界の慣習というものがあるのかどうか、自動車行政というもののあり方についてもそんなことをお認めになっておるのかというような疑念がわいてまいります。これはいわゆる海洋博を控えてのやむを得ぬ処置だとは思いますけれども、しかしやむを得ぬと言いながらやはり常道を余り崩すようなことがあってはいけないというふうに考えます。  したがって、こういう点につきましても十分地元の業者等との打ち合わせ、あるいは運輸省自体として輸送計画というものもお考えになって、ちょうど私は、大阪で万国博を主催したときに府会議員をしておりましたけれども輸送とか旅館、ホテルの面でずいぶんわれわれも地元の人間として困ったし、また見にきてくださった方々に御迷惑をかけましたが、そういう轍を踏むことのないような万全の御配慮をお願いしたいと思うのです。  きょうはもう時間が足りません。五分おくれで出発をしてちょうど五分前でありますが、きょうの質問は以上のことを要望として申し上げておきまして、これで終わらせていただきます。委員長、ありがとうございました。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 次に、野坂浩賢君。
  27. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま春闘も厳しい情勢のときでありますが、これらの問題も受けて、私は昨年の四月四日、関係の省庁の皆さんにお尋ねをしてきた経過がございますが、それらの点について余り進んでいない、こういう認識に立っておりますので、以下の問題を具体的に挙げて、それらについてどのようにお考えか聞いて問題を詰めていきたい、こういうふうに思います。  まず最初は、トラックの問題でありますが、ハンドルを持つ時間の問題について労働省にお尋ねをしたいと思います。  去年の四月四日に堀野さんという参考人をこの委員会に呼んで、交通の安全、そういうことから見てどの程度が連続ハンドルを持つ時間として適当かということを尋ねましたところが、みずから乗って調査した結果、三十分刻みで区切って調査したところが、九十分から百二十分にかけてほかの時間帯より顕著な反応時間のおくれがあらわれた、非常に疲れておる、したがって、連続のハンドルの時間というのは二時間くらいが適当ではないか、こういうお話をいただいたのであります。  このことについて、きょうおいでになっております労働省の岸監督課長とも労働者の皆さんがお話しをしておるようでありますが、高速道路の場合はこういうことでありますし、一般の道路の運転の場合についてはせいぜい二時間といいましてもなかなか困難でありますから、高速よりも神経集中の度は弱いとして、大体四時間くらいが適当ではないかというデータが科学的に明らかにされておりますが、これらの点について労働省としてはどのようにお考えなのか。  それから、ここにあります二・九通達と通称呼んでおりますが、改善基準の通達について、一日の所定の実作業時間、これは大体十一時間、こういうことになっておりますが、大学その他のデータによりますと、最長はやはり十時間が適当ではなかろうか、こういうことが述べられておって、それに基づいて労働省との話し合いを始めておる、こういうふうに承知をしております。  この二・九通達も自動車運転者の労働時間その他の労働条件は交通事故とも密接な関係があるということを規定しておるわけでありますから、そういう交通事故との関連、人命尊重という意味からも過労を取り除くという意味でこれらに対する検討をすべきである、こういうふうに私は思うのでありますが、それについてどのような御見解か承っておきたいと思います。
  28. 岸良明

    ○岸説明員 二点のお尋ねでございますけれども、まず初めの、連続運転時間を高速道路二時間、一般道路四時間、こういうような御主張が関係労働組合の方からも私どもにきておりますことはよく承知をいたしております。また、組合の方でいろいろな御調査をなさいまして、私どもも詳細に拝見をいたしておりますけれども、その労働と疲労という関係につきましては、これはいろいろな条件がございますし、特に本人の健康状態あるいはその作業の環境あるいは休憩のとり方、労務管理のあり方等いろいろ諸条件によって変わってまいります。ただ、一般的に申しまして労働時間が連続して相当長期になりますと、これは疲労が蓄積してくることは一般的に申し上げることができると思います。自動車運転者の場合に、いかなる時間が適当であるかということは、なかなかむずかしい問題でございますが、私ども医学的また科学的にも勉強をいたしておりますけれども、現在のところ一般的な結論というのは得られないわけでございます。  ただ、ただいま申し上げたような前提に立ちますと、やはり何らかの連続運転時間についての限定ということは、先ほど先生が御指摘になりましたとおり、交通事故の問題あるいは労働者の健康管理の上からいって必要だというふうに考えまして、私どもの方は昨年の十月に実態調査をいたしました。これは関係者からの相当詳細な聞き取りによる調査をいたしまして、現在その分析を急いでおるところでございます。この結果を待ちまして、昨日も組合の方々といろいろ御相談をしたわけでございますけれども、六月中に何らかの結論を出したいということを考えておるわけでございまして、ただいま先生から御質問のありました事項について的確な結論というのはまだ申し上げられないという段階でございます。  それから、この二・九通達の実労働時間の問題でございますが、これはもう御承知のとおり、この基準法の最低の労働条件よりは上回ったところで二・九通達では特にいろいろな面から配慮をいたしまして、実労働時間を規制しておるところでございます。現在の段階では、私どもでは二・九通達で規定をしております実労働時間をさらに短縮をするということは考えておらないわけでありますが、ただ、連続運転時間については、確かにおっしゃるとおりの問題がございますので、その面は改善基準の検討も含めまして効果的な改善措置を講じていきたい、かように思っております。
  29. 野坂浩賢

    ○野坂委員 連続運転時間につきましては、この二・九通達の改善基準の中で六月中に態度を明らかにする、こういうふうに確認していいわけですね。
  30. 岸良明

    ○岸説明員 まだそこまではっきりと私が申し上げることは若干問題があると思いますが、私は改善基準の改定をも含めてこれは考えていきたい、こう考えております。
  31. 野坂浩賢

    ○野坂委員 二番目に、去年も問題になりました、これは運輸省お尋ねをしておったのですが、公共の休養施設ですね、これは、いまどの程度進んでおるのか、伺っておきたいと思います。
  32. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  高速道路上のトラック運転者のための休憩施設の設置ということは、先生指摘のとおり昨年の春闘でもいろいろな御要求がございました。私どもの大臣からも前向きのお答えをいたしたところでございます。その後、私ども、組合の方々ももちろんでございますが、業界の方の感触も探りながら作業を進めてまいりました。現在、具体的にそれでは高速道路のどの付近に、どの程度のものをまずつくってみるかということの詰めを急いでおりまして、これは最初、議論の過程でいろいろな要望が出たり消えたりいたしました関係で、申しわけございませんが、まだはっきりとしたところが出てまいりませんけれども、大体どのくらいの規模のどういう中身を持った、あるいはその運営についてどういうふうにするか、利用量はどうするかということをいま鋭意詰めておりまして、これは私ども、問題が高速道路上の施設ということでございますので、組合の方々その他と打ち合わせた結果がもう六月中には出せるのじゃないか。それが出た暁におきまして、建設省にもこういうものを高速道路上にぜひ取りあえずつくってもらいたいということで進めてまいりたい、このようにいま考えております。
  33. 野坂浩賢

    ○野坂委員 運輸省としては詰めておるということでありますが、省内でお詰めになっておるわけですか。どこと折衝されておりますか。
  34. 真島健

    ○真島説明員 省内はもちろんでございますが、ここで具体的なお名前を申し上げるのはどうかと思いますが、全交運の貨物共闘の関係の方々に、場合によっては建設省の方にもいろいろ御相談に行きながら詰めておる、こういうことでございます。
  35. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だんだんお話がはっきりしてきますが、たとえば二月の十四日に労働省の岸さんのところに話に来ておりますね。労働省としては、公共の休憩所は建設省の所管なので決定的なことは言えぬ、こうおっしゃっておりますね。それから運輸省としては、これから関係省庁と話をする、こういうお答えなんですね。建設省は、これは運輸省の所管じゃないか、こういう御答弁ですね。日本道路公団は、附帯決議にもありましたけれども、施設協議会がつくるのだ、こういうことで、てんでんばらばらでどこが主管として進めておるか非常に定かでないですね。  この点は、運輸省関係省庁と詰めて運輸省の手でおやりになるのか、公共休養施設ですから建設省がやるのか、この辺をはっきりしてもらわなければ、何年たってもなかなか回ってこない。六月中に結論を出すということですけれども、みんなが考えておられるというようなかっこうになりますと、なかなか進まないではなかろうかということを心配をするのですが、この点については建設省の見解を先に聞いて、あとから真島さんのお話をお聞きしたい、こう思います。
  36. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先国会で、道路公団法の一部改正で、トラックターミナルの整備に関する改正をいたしましたときにも、衆参両院でいろいろと御質問あるいは決議等がございました。私どもといたしましては、高速道路上を走行するトラック運転手の疲労の回復といいますか、そういうことが交通安全に非常に重大な影響を持っておりますので、まずトラックターミナル等におきまして運転手の仮眠所、休憩所等を設置することといたしまして、具体的にはすでに実現をいたしました。道路公団が出資いたします郡山及び熊本のトラックターミナルにおきまして、そういった設計をいま進めております。  それから、高速道路上のパーキングエリアあるいはサービスエリア等におきます休養のスペースというものにつきましては、まず現状が、そういったパーキングエリアの収容能力が非常に低うございますので、四十九年度から五十年度にかけましてこういったパーキングエリア、サービスエリアの駐車能力の拡充をすでに図っております。細かい数字はまた別途資料で差し上げてもようございますが、相当、数割というようなスペースの拡大を図っております。  なお、それ以外にサービスエリア等におきまして仮眠所、休憩施設というようなものを設けるということにつきましては、先生ただいま御指摘のように、実は二月の組合の方々のお申し入れにおきまして、私ども高速道路だけを当面考えておったわけでございますが、高速道路上だけじゃなくて一般国道につきましても、全国的に長距離トラックの運行するルートについてそういった施設をせよ、こういう御要望が強く出されました。実はこうなりますと、私ども閉鎖された高速道路上のことを考えておりましたが、一般的なオープンな道路上におきまして、道路管理者サイドでそういうものをつくるのがいいのか、どういった御協力を申し上げるのがいいのかというようなことで、運輸省の方に組合の御要望等も含めまして全国的な具体的な考え方の取りまとめを実はお願いをいたしておる次第でございまして、その取りまとめがただいまのお話で六月ごろということでございますが、できましたならばひとつ具体的な対策を次々と決めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  37. 真島健

    ○真島説明員 大筋はいま建設省の方からもお話がございましたとおりでございまして、私ども高速道路上の休憩施設あるいはその他の基幹道路における休憩施設、確かに現場で働く方々からの御要望として非常に概括的な御要望が参っております。しかし、具体的にこれを進めてまいるということになりますと非常に細かい問題も出てまいるというようなことで、とりあえず大ざっぱな考え方、さらに高速道路の問題につきましてはとりあえずどこかに少なくとも一カ所をまず設置してみる。それの利用の状況その他見ながらさらに具体的なものを進めていく必要がある、このように考えておりまして、できるだけ早く先ほど申し上げましたような考え方を建設省の方にも御相談申し上げる。それを具体化する場合に、どこが主管かというようなお話がございましたけれども、私ども両省あるいは関係者を含めました何らかの形をつくり上げて、そこでやるのが案外いいのじゃないかといま考えております。
  38. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、最終的には建設省がやることになりますね。
  39. 井上孝

    井上(孝)政府委員 建設省と申しますか、高速道路上におきましては監督しておりますのは建設省でございますが、日本道路公団が敷地を提供して占用させまして、そういった施設をつくらせる。指導は全くおっしゃるとおり建設省でございます。  一般国道につきましては、これはまた別な問題になろうかというふうに考えております。
  40. 野坂浩賢

    ○野坂委員 なかなかはっきりしないのですが、一般の道路につきましては運輸省かということを聞いておきます。まずその点は運輸省の方から御答弁いただきたいのです。  トラック協会の経営者の皆さんにこの問題を詰めてみますと、日本道路公団もそう言っておりますが、国有地としては東京方面では足柄しかない、足柄につくりたい、こういうことを言っておりますね。それから設備は道路施設協議会がつくるのだ、運営はサービスエリアのようにだれかにやらせたい、設備としてはシャワーと仮眠室、仮眠室は五名から十名、この程度考えたい、非常に具体的に物を言っておるわけですね。経営者の側は、足柄付近だ、それから運用の面はこれから関係省庁と相談をする、こう言って、中身についても相当話が進んでおるではないかということがこの話し合いの中では出ておるわけですね。組合側の方も、いま真島さんからお話があったように、大分要望事項を出しておる。ところがまだ詰まっていない。片一方ではそういうところまで出ておる。こういう点はどういう経過なのか、それを詳しくお話を聞いて、はっきりしてもらいたいということが一つ。  それから、いま井上道路局長がお話しになった熊本とか郡山ですね、あれは運転手の交代なり荷物の積みかえをやる施設でありまして、公共的な休養施設ということにはなっていないですね。ほとんどちょっと運転手が交代をしたり積みかえをやるためのターミナルというようなかっこうで、われわれが当初言っておりました公共休養施設とは似つかぬものだ。足柄につくられるというものについては公共休養施設ではなかろうかということが考えられるわけですけれども、この足柄に行ってみても、国有地は確かにありますけれども、何にもない、こういうのが現況ですから、いよいよわからなくなってくる、こういうことなんです。  六月ごろに詰めるというお話でもありますが、いま私が申しましたシャワーなり仮眠室、そういうことではなしに、もっと労働者の本当の意味の公共的な休養施設、食事もできるというようなことが具体化できるのかできないのか、その点についても明らかにしてもらいたいと思います。
  41. 真島健

    ○真島説明員 一般国道沿いに休憩施設その他をつくるのは運輸省の所管かというお話でございます。これは当然に、一般国道の道路敷と申しますか、道路として管理されている部分以外のところにつくる場合、建設省としては特に関心がないと言うとおかしいのですけれども、主管という形にはならなくなるという意味でございましょうから、これは私どもが業界なり組合の方々なりと御相談しながら詰めていく問題かと思います。  それから、具体的な施設の中身についていまいろいろなお話ございました。これは私ども、全般的な国全体の高速道路あるいは基幹道路についてどういう地点に休憩施設等が必要かということについての、たとえば一般道路であれば何キロメートル置きぐらいに欲しいというふうな非常にマクロな御要望、これは組合の方からもちろんいただいておりまして、この問題について現在もいろいろと御相談申し上げておるところでございますが、高速道路上の、いま足柄、いろいろな地点が出ましたが、そこに具体的にどの程度のものが欲しいのだということは、これはまた別途の形で詰めておりまして、これも一体眠るといいますか仮眠の方が本当にどうしても施設として必要なのか、あるいはそこでちょっと休憩して、ソファーか何かに横になって、しかもそこで大衆的な安い、家庭的な料理が食べられるというようなことの方が目的なのかというようなことについても、最初議論しておったとき、現在ある程度詰まってきた段階で、実はいろいろな意見が出まして、これをいま早急に取りまとめたいと思っております。この問題は、一般のマクロの計画とは確かにある程度別個に進んでおりますが、何と申しましても、とにかくどこかに一つつくってみるということが先決じゃないかということが私ども一番緊急のことじゃないかと思いまして、とりあえずその方のことを一生懸命詰めている、こういう経過でございます。
  42. 井上孝

    井上(孝)政府委員 初めに、インターチェンジのトラックターミナルに設置する休憩施設でございますが、これはなるほどこのトラックターミナルを利用する業者の運転手が非常に利用しやすいし、その人たちに宿泊あるいは休憩あるいはシャワーというような設備を整えるようにいたしております。ただ、インターチェンジで最終的には全国数十カ所予定しておりますので、一般の個々のトラックの利用者にも開放し得るかどうか、これは実際に運営をいたしました上で実態に応じて考えてまいりたいというふうに考えております。  ただ、このインターチェンジのトラックターミナルというのは、一遍高速道路からおりまして外へ出ております。出なければ利用できません。高速道路上を運行しながら途中でちょっと休憩をしたい、仮眠をしたいというような需要に対してはいささか不便でございまして、先ほど御指摘のように、実は道路公団にこういった仮眠施設等の検討を指示いたしましたところ、とりあえずできるのは、いわゆる道路用地として余裕があるのは、この近くで足柄のサービスエリアのところだけであるということで、道路公団は御指摘のように非常に具体的な設計計画案を作成いたしております。なお、仮眠所がございませんが、休憩所につきましては無料の休憩所がすでに設置されておりますので、それは利用していただいておるわけでございます。  こういうことで、日本道路公団で非常に具体的な検討がなされておるわけでございますけれども、たとえばこれをどういった者に実際の経営をさせるか、御指摘のとおり、日本道路公団は、高速道路の用地は一括してサービスエリア等は道路施設協会というところに占用させまして、その施設協会が場合によっては必要な建物等の設備をいたしまして、それを業者といいますか、サービスエリアの場合、食堂の場合には食堂の業者にこれを委託して経営させるという形態をとっておりますが、こういった仮眠所、休憩所等をどのような者に営業させるか、その費用の負担をどうするか、それからなお採算性も確保してあげなければいけない、こういった問題、それから先ほどのトラックターミナルと同様、一般の道路利用者といいますか、たとえば乗用車で来た人たちがここで仮眠をしたいというようなときに、やはりこういう者にもサービスを提供するかどうかといったような非常に細こうございますが、むずかしい問題がたくさんございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、運輸省の方で一般の幹線道路も含めてどういった施設がどういうところに必要か、そして一体それをどういうふうに設置していったらいいのか、道路管理者としてはどういう御協力をしたらいいのかというようなことにつきまして、今後運輸省の御検討を待って足柄についても具体的な施策を講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
  43. 野坂浩賢

    ○野坂委員 井上さんから、いま日本道路公団に指示して一応の具体的な内容、足柄については出されております。これは運輸省はいろいろ労働者側の意見も経営者側の意見も聞いて最終的に詰めていくということでございますが、この段階であなた方のお話を聞いておっても、大体足柄だというお話でありますが、日本道路公団と詰められたことがありますか。独自でやられて、事前に何の相談もなしにどんどん進められるということで、進めてもらった方がいいわけですけれども、折衝しておる、交渉しておると言いながら、本当は折衝はしていなかったということじゃないですか、いままでの段階は。折衝されておったら、折衝されてきた具体的な内容を、何月何日にどういうことをやったということをお話しをいただきたいと思います。
  44. 真島健

    ○真島説明員 何月何日というのを私いま具体的に覚えておりませんけれども、去年の春闘以降この検討に入りましてから、私どもといたしましても道路公団とももちろん接触したことはございます。その際に、適地はどことどこだろうというような話も出まして、その中に足柄という地点も当然入っておりました。ただ、私どもの立場といたしましては、やはり私ども考え方をまとめまして建設省にどうだろうと御相談をするのが正式のルートでございますので、非公式にはいろいろ何回か道路公団の御意見も伺っておりますし、当然建設省の方にも私どもの方から何回か足を運んで御相談申し上げておる、こういう状況でございます。
  45. 野坂浩賢

    ○野坂委員 話を非公式にしておるということですけれども、非公式ということは、具体的に申し上げますと、建設省なり日本道路公団はシャワーなり仮眠室なりを青写真をかいて進めておる、それは非公式にあなたの方とも話し合いがある、公式には六月だ、実際ははっきりと六月には両者一致したものが出る、こういうふうに考えていいわけですか。それならば、もっと具体的に折衝を詰めておられるならば、要らざる手間は省けたではなかろうかとさえ思うのです。むしろそれが新たになるということではなしに、原案ができておればそれが中心になって、それをこわしてしまう、白紙にしてまた新たにというようなことはできにくいではなかろうかと思うのですが、政府機関というものはそんなに複雑怪奇で厄介なものですか。
  46. 真島健

    ○真島説明員 ただいまのお話でございますが、私ども別に特に複雑に遅くしようというような意図でいままで物事を運んでまいったわけではございません。ただ、最終的にどうするか、これは道路公団といろいろ接触したりあるいは建設省に御相談に参ったりしておる間に、それからまた組合の方々とも御相談する、業界とも御相談するという中で少しずつ中身の重点などが変わったりいろいろなことがあったわけでございます。そういうことを踏まえまして、今後私ども考え方を遅くとも六月には建設省にご相談申し上げる。そこで私ども、建設省あるいは関係の方々が集まりまして、どうするかという最終的な方向を打ち出したい、このように思います。
  47. 野坂浩賢

    ○野坂委員 運輸省は六月中に決めて建設省と相談をするというお話です。そうすると、労働者側から井上道路局長の方にも具体的な内容について申し出をしておると思うのです。たとえば駐車の問題、あるいはバックをしないで頭から入るという問題、あるいは公共施設そのものについては食堂も、あるいは仮眠室、シャワー、あるいはちょっとした喫茶、こういうものもしてもらいたいというようなことがございますが、それらについて運輸省が出したものとあなたの方との協議で、六月中には両省とも一致した方針というものを出していただけるものと考えてよろしいでしょうか。
  48. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先生前段におっしゃいました駐車スペース等につきましては、先ほどお答え申しましたように、すでに四十九年度から実施をいたしまして、五十年度もさらにそれを促進する方向でやっております。運輸省のお答えにもございましたように、仮眠施設等につきましては、高速道路上のものにつきましては、具体的な御提案があれば十分検討いたしまして実現に向かって検討を進めてまいりたいと思っております。
  49. 野坂浩賢

    ○野坂委員 真島さん、国道の問題については両者お話をいただいて、いまも検討ということだったのですが、六月中にはっきりしてもらいたいと思うのですよ。局長は初めてここに出ていただいたと思うのですが、これは一年半ぐらい前からの話ですからもうそろそろ結論を出してもらわないと、検討で日が暮れてまた五十一年度ということになると困るのです。こういうことは運輸省が決めるわけですから、計画運輸省との詰めではっきりしてもらう、それに応じて建設省側としても、つくるということは決まっておるわけですから、きちんと態度を決めてもらう、日本道路公団の附帯決議もあるわけですから、それをやってもらうということを明確にしてもらえるか、もう一遍お聞きしたい。  それから、高速道路の場合ははっきりしてきましたが、一般道路の場合ですね。これについても今度運輸省にやってもらうわけですから、設置個所を一カ所高速につくる、一般にもやはりつくってみて、交通安全から見ての効果なり、あるいは過労なりそういうものを排除するための措置を手がけてもらわなければいかぬ、こういうふうに思うのですがどうでしょうか。
  50. 井上孝

    井上(孝)政府委員 厳密には運輸省の御提案の内容を見なければ責任を持った御返事はできませんが、その内容によりましては日本道路公団及び建設省におきまして、十分実施できるものについて実施を図るつもりでございます。
  51. 真島健

    ○真島説明員 高速国道以外の基幹道路についての問題でございますが、これは確かに働く方々からの御要望も出ておりまして、私どももゆるがせにはできない、このように考えております。こちらの方の問題につきましては現在大手の業者、あるいは多少小さいところでもその会社の専用の休憩施設あるいは仮眠施設といったようなものを各所に設けております。こういうものとの関連、あるいはこういうものをもう少し広く利用できないかというようなことも含めまして慎重な検討を必要とするのじゃないか。とりあえずどこかにこの場所こそ非常にいいんだ、業界あるいは組合の方々も一致してつくってみようじゃないかというようなことがあれば、私どもそれにお手伝いをいたしまして検討をいたしたいと思います。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは次は、過積みの問題で、いつも話だけで解決しないような点について伺うのですが、今度は警察庁にお尋ねします。  この間の各大臣の所信表明演説を聞いてみましても、年々交通事故は減少しておる。非常に喜ばしいことであります。しかし、これからも努力をするということでありますが、警察庁としては私の質問に対して、過積みは厳正に取り締まる、こう委員会お話しいただいております。この過積みの取り締まりの一年間の実積、四十八年だけでも結構ですが、その実積と、管理者にもあるいは荷主にもそういう点を厳しく処分されたと思うのですが、それは何件ぐらいあるのか、運転者は何件かということを聞いておきます。
  53. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 昨年の取り締まりの結果を申し上げますと、運転者の取り締まり件数が十四万五千百八十件でございます。それからわれわれ基本的にはその背後責任を徹底的に追及しようということでやっておりますが、道交法五十七条に基づきます下命容認、主としてこれは管理者なり雇用者ということになるかと思いますが、四百二十六件でございます。それから荷主というような統計をとっていないわけなのでそうした数字が出ませんが、そうした過積みについての教唆幇助というような形で取り締まっておるのが百四十六件でございます。なお、法人についての両罰規定を適用いたしておりますのが三千五百四十七件でございます。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 委員会でいままで過積み問題、過労運転問題等は、私自身もいやになるほど何回も取り上げてきたのです。過積みの原因は運転者にあるのか、管理者にあるのか、荷主にあるのかということは、二回の参考人の中でも明らかになっているわけです。どこに問題があるか。東京埠頭などからもおいでになりまして、この原因は車両建てかトン建てかというような議論までしました。いまお話を聞くと、過積みの問題は十四万件で、荷主に直接そういう点を警告なり処分をされたのは百四十六件ですね。〇・一%ですね。ここに一番問題があるのではなかろうか、こう思われるのに、過積みの場合は労働者、運転者だけにしわ寄せをされておるというのが、取り締まりの実績としてあらわれておるわけです。  その実態を皆に聞いてみますと、われわれは積みたくないけれども、結局あなた方が過積み問題を厳しくやられるとわれわれが月給の中から払っていかなければならぬということなんです。取り締まりのときに管理者なり荷主に対して道交法に基づいてもっと厳しくやらなければ、この過積みはどうしてもなくならぬというふうに思うのですが、なぜ〇・一%程度なのか、その点はどうでしょう。
  55. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 仰せのとおり過積みを基本的になくするためには、その原因になっている雇用者なり管理者の責任を徹底的に追及する必要があると思います。ただ、十四万件の中にはかなり一匹オオカミというような形を取り締まっている件数が多いわけでありまして、全部が全部その責任を追及できるということではないわけであります。また、捜査の仕方といたしましても、管理者なり雇用者の責任追及につきましてはその範囲を証明するということで、現行犯で処理するという形よりも捜査としては技術的にもむずかしい面があるということで、こういった面につきましてはもう少し徹底して追及できる方法はないだろうかと研究を進めているところでございます。今後ともにさらにそういった背後責任の追及については徹底した態度で臨んでまいりたいと考えております。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 徹底してやっていただかなければなりませんが、その点は後でもう一回やるとして、トラックの環境の改善、居住性の問題について、ちょっと運輸省お尋ねしておきます。  いまのトラックといいますのは、できるだけ荷物を多く積みたいということで、キャブオーバー型ということですか、そういうかっこうになって、運転者の下の方にエンジンがついて、非常に熱もある。湿度も上と下は二〇%ぐらい違います。夏は大体四十度ぐらいに上る。乗ってみられておると思いますから簡単に言いますが、非常に熱い。そして湿度がそういう関係ですから非常に眠いのですね、乗ってみますと。室内の騒音というのは、ディーゼルの場合百ホンぐらいありますね。こういう居住性の問題と環境を改善しなければ、たとえば岸さんの御努力で連続運転時間が四時間ということになったとしましても、やってみて非常に眠気が差します。助手席に乗っておっても、熱いし眠いし、これから夏に向かうとなおさらです。  いまの運送車両法の保安基準、それから道路法の車両の制限令、これを見ましても、道路法の場合はまず道路を守るということですね。それから交通事故をなくするという関係。さらにあなた方がやられた運輸技術審議会というのがありますが、その運輸技術審議会から答申されておりますね。これを見ましても、いわゆる運転室の内容なり過積みなり過労ということではなしに、道路上における交通安全の関係、たとえばガラスの問題とかあるいはブレーキの警報装置の問題とか、そういうところで、人間がおるところについては別に関係ない。ユーザーとメーカーとは話し合っておるのですが、できるだけ安くしてくれということと荷物を多く積ましてくれということで、運転室の中のことについてはほとんど議論はないのですね。  これらの点についての環境の改善といいますか居住性といいますか、そういう点について改善をしなければ、トラックの事故というのは非常に大きいわけですから、それらについての善処の仕方、検討をやってもらわなければならぬと思うのですが、技術審議会のこういう五カ年計画の答申を見ても一つも見当たらぬけれども運輸省としてはどのようにお考えになっておるだろうかということです。
  57. 田付健次

    ○田付政府委員 いま先生からお話のございました運転者席付近の環境をよくして事故をなくしていく、非常に重要な問題だと私たちも感じております。ただ、従来車両法で考えておりました考え方は、やはり車両そのものの安全、運転室それから客室等に乗ります人につきましては、その人自身が安全な乗車ができるということが主としてねらいでございましたので、先生指摘のような点については必ずしも十分ではなかったというふうに思います。したがいまして、四十七年度にこの自動車の構造を定めております保安基準の長期計画を審議してもらいました。それが先ほど御指摘の運技審が答申をしていただきました技術長期計画でございますが、これもいま言ったような趣旨で整理をいたしております。特に自動車自動車の衝突事故、そのときの中におられます人たちの被害を軽減する、そのことが重点で当時議論されておりましたので、必ずしも先生の御指摘のような点が含まれていなかったことはやむを得なかった、こう思います。  今後どうするかでございますが、もちろん車両法という法律の中で行います以上はある一つの枠がおのずからある、こういうふうに思いますが、その中でできるだけ御要望の点は実現できるようにしていきたい。いまいろいろ御要望の寄せられたものを整理してみますと、先ほどお話ししました運技審の答申の中にすでに盛り込まれておるものもございます。それはそれなりに計画的に進めてまいりたいと思います。  それから、そのほかの点につきましては、いま直ちにできるものと少し研究をしないとできないものとがあります。またやり方につきましても、直接私どもからメーカーに話を出しまして、こういう点をこういうふうに直せということをすれば、比較的早い時期に直ってくるものもあります。それから別途ユーザー団体を使いまして、トラック関係団体がみずから自主的に基準を決めていくということで、構造的な改善を図るという方法もございます。バスなどは、実は長い間かかってそういうことで自主的に構造が改善されてきた実例がございますので、そういう方法もひとつ考えてみようということで、整理申し上げますと、運技審の答申に出ているものはそれで進めたい。そのほかの点につきましては、メーカーを直接私どもで指導するか、あるいは関係団体を通じて自主的な規格をつくる形でまとめていくということで進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話を伺ったわけですが、たとえばユーザーの団体ですね、メーカー側としては買いやすいようにその要望に合わせるということですけれども団体の皆さんは、運転室の中までいままで一回も要望しておりませんね。整備部長の方からそういうことを団体の皆さんにお話になっても、メーカー側がそれを取り入れるかどうか。言うなれば保安基準といいますか、そういうものを直して攻めていかなければ、これは直らぬじゃないか、ただ単なる話し合いでは。  その話し合いをするに当たって、運輸省だけでメーカーなりユーザーと話をされるのか、相当の、たとえば直接の運転者の意見等も聞くような措置をとってもらえるのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  59. 田付健次

    ○田付政府委員 いまお話し申し上げましたような作業を進めていくに当たりましては、関係団体の認識を改めてもらうという努力はもちろんしなければなりませんので、やってまいりたいと思いますが、なお乗務員の方からのいろいろな御意見もぜひ聞きたいと思いますので、適宜そのような機会をつくりながら御意見を承っていきたい、こういうふうに思っております。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんが、先ほど警察庁の勝田さんから取り締まりの状況等もお話をいただきました。この過積み問題については、前にも自重計の問題をお話ししましたが、七年間になっているじゃないですか。いま大型貨物自動車の安全の問題、あの研究会があって大体できた、ところが、十万から十六万ぐらいかかるというようなことのお話があっておりますが、これはいつごろから実施に移されるのか。もうちょっと安いものにしたいというようなお話も研究会の中から出ておるようですけれども運輸省としてはこの段階で、できたら、精度の問題もいろいろありますが、大体いつごろまでにはそういうことの措置ができるということになれば、いまの過積み問題等についても非常に解決が促進をされる。しかも研究は一応できたという段階だと承知しておりますが、その段階なのか、それからできたとしたらいつごろから実施に移すのか、聞きたいと思います。
  61. 田付健次

    ○田付政府委員 いま先生からお話のございましたのは、自重計のお話ではないかと思います。実は研究ができたという状態ではまだございませんで、研究中でございます。実は四十九年の四月以降、調べてみましたが、細かい数字ですけれども委員会を二回やりましたし、幹事会も十一回ばかりやりまして、いま鋭意詰めている最中でございます。先ほど先生からお話のございました、この委員会でもお話があったと思いますが、問題は実は非常にむずかしい点がございまして、精度の点をどのように確保するか、それからせっかく精度が確保できても、非常に荒っぽい作業の中で使われている自動車だけに、耐久性がないと、最初のうちは動くけれどもすぐだめになってしまうというのでは、実はせっかく投資した意味がないという耐久性の問題と二つありまして、実はなかなか問題がむずかしいところに差しかかってきております。  いまのところ二つ案がありまして、一つはバネのたわみを利用する方法、もう一つはストレーンゲージ、ちょっと専門的な言葉になりますが、力をかけますと電気が流れるというような関係を利用して、一種の金属線を使った応力ゲージがあるのですが、この二つの方式がございます。割合に単純なのはバネのたわみを利用する方法なんですが、これにつきましては、非常に荒っぽい精度しか求められそうもない。耐久性につきましてはどうかということになりますが、これは現在走行試験をやっておる最中でございます。もう少しお待ちをいただきたい。  それから、ストレーンゲージの方は、これは物理の実験などに使います道具でありますので、かなり精度はどうも確保できそうでありますが、そのもの自体がかなりデリケートな構造でありますので、耐久性の点についてはやや不明である。これも実地で試験走行して確かめなければならないということが一つあります。  それから、実はストレーンゲージ方式を使いますと、いずれにしても力のかかるところにワイヤーをつけなければならないわけですが、そのワイヤーをつける方法が非常にめんどうでありまして、穴をあけてボルトを締め込むというようなことも当然伴わなければならないようであります。そうすると、そのボルト穴をあけたこと、あるいは溶接をすることがまた再び実は車両の事故に結びつくという危険が全くないわけでもありませんので、やはり現在使っている車ではなくて、もしやるとすれば、新しく製作される車から十分な技術的な担保をつけた上でそういう改造あるいは改善をしてもらうということが必要になってまいりますので、これまたその点を少し慎重にやらなければいけないのではないかというふうに考えております。  要するに、二つ方式がございまして、どちらが早くつくかというのはちょっといまわからないわけですが、先ほどお話ししましたように、精度についてはバネ式はやや粗っぽくなりますが、耐久性がまだいま試験中でございますので、もう少し時間をかしていただきたい。なるべく早くまとめるようにしたい、このように考えております。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最後に、竹岡交通室長にお尋ねをしますが、去年の四月の四日に過労なり過積みの問題について、あるいは車両の保安基準の問題等について、車両の問題ではユーザーとメーカー、こういう関係になってくる、あるいは過労についても行政の皆さんと労働者の皆さんと話し合う、こういうかっこうで全体のものができてくるよう何らかの方法をお考えになるかと聞いたら、秋山さん、あなたの前任者、この方から、その究明の仕方としては、科学的に物事を明らかにしていくということから手がけて、その対策については相応の組織をつくる、こういうことでやっていきたいと思います、こういう御答弁をいただいたのです。  ところが、あなたがおかわりになって、進んでおると思うのですけれども、私の目にはなかなかそう映ってこないわけです。いまもお話を聞くと、大体科学的にも漸次進行してきた。対応策というのは、労働者なりあるいは経営者なりあるいは行政なりメーカーなり、そういう点と話し合うということを私の提案として出して、もう一遍われわれは研究をする。すべての問題で究明は大体出てきた。それでは組織をおつくりになったらどうかということになってくるわけですが、交通事故をなくする総合の対策室長として、また総理府として、全体をまとめてこのような組織を労働者等を含めておつくりになりますか、どうですかということを聞きたいと思います。
  63. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  特に過積み、過労運転が中心になります貨物輸送にかかわります改善施策につきまして、関係省庁との会合は、私、昨年の秋に着任したのでございますけれども、それ以来すでに四回各省庁を集めて会合を開いております。先ほどから各省庁に御質問のあった点はすべて私も承知しております。公共輸送施設は原則的には運輸省、あるいは高速道路につきましては建設省、こういった割り振りにつきましても私の方で十分承知し、ともにやっておるわけでございます。  なお、科学的な問題にいたしましては、運輸省の大型貨物自動車の自重計の研究会には労働組合の代表の方も入っておられることは御承知のとおりでございます。  それから、全交運の方々には私は前の大阪の交通部長当時からかねがね顔なじみでございまして、甲斐さんその他よく知っております。たびたびお訪ねいただいております。それでわれわれ各省庁の常に開いております連絡会議にも全交運の方にも来ていただこうかということも甲斐さんとも相談したのですが、すでに全交運の方々が各省庁にそれぞれ独自に行かれまして非常に詳細な折衝をしておられます。この結果を待ちまして、総合的に私の方で、先ほど運輸省がお約束されました六月中の結論なり、あるいは運輸省が五十年度の予算に組まれております過積載の調査事項、こういう点も恐らくまとまるであろうと思います。こういう点もあわせまして、私は全交運、特に全交運の最近出されております要求書も非常にわれわれにとって示唆に富むものが多うございますので、十分に連絡をとりながらやっていきたい、このように考えております。
  64. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう終わりますけれども、そういう関係省庁との連絡、あるいは全交運とあなたとの話し合いも必要だと思うのです。しかし、未組織の方もいらっしゃるわけですね。いろいろある。それであなたのもとに私が提起しておりますのは、そのことも必要なんですが、将来の交通安全対策に向けて、あなた方行政も、あるいは労働者の皆さんも、経営者の皆さんも含めたこういう委員会だけではなしに、日常的な、ただ春闘の前にやるということでなしに、日常的にそういう対応をしあるいはリーダーとなる組織をおつくりいただいた方がより交通安全に実効があるのではないか、こういうふうに思うのですが、御検討いただけますか。
  65. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 私どもの方で主宰します交通安全問題につきましては、御趣旨に沿うように検討したいと思います。
  66. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは終わります。
  67. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 次に、紺野与次郎君。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、海上保安庁の長官にお聞きします。  日本沿岸の外国船の海難件数と、その中でパナマ、リベリアの外国船と言われている便宜置籍船は何隻か、何%かということをまずお聞きします。     〔勝澤委員長代理退席、野坂委員長代理着席〕
  69. 寺井久美

    ○寺井政府委員 日本近海において発生いたしました海難につきましては、事故発生後当庁で必要な調査を行っておりますが、外国船舶の中でいわゆる便宜置籍船であるかどうかということについては、その船舶の船籍あるいは船舶所有者、用船者等を調査いたしましてもなかなか的確に出てまいりませんので、私どもの統計上は一応便宜置籍船であるかどうかということは別にいたしまして、外国船の海難として一括処理いたしております。  そこで、四十九年にわが国の周辺において発生いたしました海難船舶は二千四百八十九隻ございますが、このうち外国船は二百八隻でございました。全体の船舶から申しますと、パーセンテージは一〇%を切っておるというわけでございます。また、ちなみに四十八年度におきましては、外国船の海難は九十八隻ということになっております。  そこで、ただいま先生パナマ籍あるいはリベリア籍の船舶がどのくらいあったかという御質問でございますが、四十九年度におきまして、リベリア籍の船舶が二十六隻、パナマ籍の船舶が二十九隻という数字が出ております。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 韓国籍を入れたらどうなりますか。
  71. 寺井久美

    ○寺井政府委員 韓国籍の船舶につきましては、これは実は漁船も入っておりますが、四十九年度八十二隻でございます。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そのうち汽船だけはわかりませんか。
  73. 寺井久美

    ○寺井政府委員 汽船だけというのはちょっとわからないのでございますけれども、三千トン以上の船舶で抽出いたしておりますのによりますと、これは韓国船は四隻しかございません。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これによっても、パナマ、リベリア籍の船は約五十五隻ぐらいですね。そういう点で、その他の国は大体十隻未満の少ないところでありますから、それと比べると非常に大きな比重を占めている。われわれが得た別の報告によると、外国船の海難の大体四割近くをそういうパナマ、リベリアだけで占めているということで、便宜置籍船であることは間違いないパナマ、リベリア国籍船がそういう海難の大きな発生源になっているという点、これは明瞭です。  もう一つ聞きますけれども、油その他の汚染です。海洋汚染については、外国船の中でパナマ、リベリア船がやっている数字はわかりませんか。
  75. 寺井久美

    ○寺井政府委員 油の汚染、海洋汚染の関係につきましては、リベリア籍、パナマ籍の船舶によるものが四十九年におきまして百七十一件ございまして、これは外国船によるものの約半分に当たっております。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野委員 海洋汚染についてもしりの方が大変汚れている。半分がそうだ。大変な汚染の源泉であります。  それから、特に最近非常に頻発しているマラッカ・シンガポール海峡において発生している、四十八年ごろからのあの海峡における衝突その他の遭難ですが、リベリア船、パナマ船等々が全体でどういう状況ですか、わかりませんか。
  77. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 マラッカ・シンガポール海峡の事故につきましては、いまちょっと、資料は持っておるはずですけれども、日本船がここ数年間にたしか十件ぐらいでございましたが、それに対してリベリア、パナマだけをとりまして何件であるか、ちょっと正確に持っておりません。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう点はなかなか不勉強ですね。私が申し上げましょうか。  一九七三年ですから四十八年ですね、リベリア船のアトランチック・フェイスがキプロスのアンソンというのと衝突炎上しております。それから七三年五月、リベリア船のキング・アガメムノン、これが火災と爆発をしております。それから七三年の七月、パナマ船カーネーションとキプロスのアンソンが衝突、そしてカーネーションは破損しております。それから七四年七月、リベリア船グレート・ロイヤリティーとリベリアのオスウエゴー・マーチャントがやはり衝突して出火しております。それからことしの一月、有名な五十鈴川丸とリベリア船のシルバー・パレスが衝突しております。それから土佐丸、これがことしの四月、リベリア船のカクタス・クイーン号と衝突して、土佐丸は二つに割れて爆発、沈没しております。この海峡における十四件の事故のうち六件が、このリベリア、パナマの船がしでかしている大きな事件となっております。  こういう点から見て、明らかに外国船という一般的な呼び名の中で、実はパナマ、リベリア等の便宜置籍船が日本近海及び国際的なシンガポール・マラッカ海峡で頻繁に事故を起こしている。こういう点から見て、便宜置籍船とは大変な厄病神だ、そういう面を持っている。非常に危険な、弱点を持っていることは明らかなんですね。  一体、海運局または海上保安庁でいいですけれども、このパナマ、リベリアの便宜置籍船の事故頻発は何が原因なのかということですね。なぜかくも際立って事故を多発しているか、この原因についてひとつお聞きしたいと思います。
  79. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 原因の究明等につきましては、海上保安庁の長官がお答えすることがあればいたすと思います。  私から便宜置籍船の安全の問題についてちょっと触れさせていただきたいと思います。  これは、われわれの仕事としては、船舶局の仕事にも関しますけれども、まず第一に、その船舶の構造設備等の安全については、先生御承知のとおりのSOLAS条約というもの、それから満載喫水線条約というもの、この二条約に基づいてそれぞれの国で安全規制が行われている。したがって、これらの政府の発給した安全証書を持って日本にその船が来ているというのが事実でございます。それから船級も、国際的に承認をされた船級協会の手で検査を経た上で、船級証書を取得しているというのが事実でございます。  それから、私の方では船員局の仕事にも関係しますけれども、IMCOの訓練当直基準小委員会船舶職員の、特に当直士官の資格要件について統一的な基準をつくろうという動きがございますので、わが国もそれに参画をして推進することにしております。     〔野坂委員長代理退席、勝澤委員長代理着席〕  それから、これは海上保安庁の仕事でございますけれども、航行安全の面で、特にわが国の近海に参りますとどうしても海象、気象が特殊でございますし、また不案内の点も多いということで、これに対して航行安全の面で違反船の取り締まりを行うとか、あるいは航法の指導を行うとか、あるいは水先人の乗船を促進するとかというような点をやっております。一般にこういった安全航行の面での便置船のチェックをいたしておるというのが現状でございます。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの答弁ではなぜ多発するかということについては何も説明されておらない。海上保安庁はどうです。
  81. 寺井久美

    ○寺井政府委員 日本近海で発生いたしました外国船の事故、海難の種類別に見てまいりますと、先ほど申し上げましたように、四十九年度二百八隻ございました。これは四十四年ごろの百二十六隻という隻数から逐次ふえてまいっておりますが、各年とも大体機関故障が一番多うございます。続いて乗り上げ、衝突、火災というような順序になっております。機関故障というのは比較的古い船を使っておる。実はこの統計の中に韓国船も入っております関係で機関故障がかなり多いということが想像できるわけでございますが、事故原因といたしましては、先ほど海運局長も申し上げましたように、外国船の場合、わが国の地形、海象あるいは海上の交通規則等に不案内のものが多いので事故を起こす可能性が非常に多いというふうに考えております。
  82. 紺野与次郎

    ○紺野委員 外国船のうちパナマ、リベリア船がなぜ多いかというのです、外国船一般ではなくて。
  83. 寺井久美

    ○寺井政府委員 この点につきましては、私どもやはり共通してそういった一般的な地理不案内ということが基本的にあろうかというふうに考えております。リベリア、パナマの船の四十九年に起こりました主な例を見てみましても、火災事故がかなり大部分を占めております。パシフィックアリス号のように衝突をしたものも数件ございますが、やはり外国船と日本船とを比べました場合に、外国船の事故率が高いという点につきましては、共通して日本の沿岸の地形、海象、交通ルールに不案内の点が多かったのではなかろうかというふうに考えております。
  84. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃもっと聞きましょう。  船員はどうですか。パナマ船及びリベリア船の船員はどうか。それから日本船に乗っている船員はどうか。どうです、その船員について。
  85. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生指摘のいわゆる便宜置籍船、これも外国船でございますが、現在、一般的に言いまして海技従事者の船舶への乗り組みにつきましては適当な国際的な取り決めがありません。各国の主権にゆだねられておりますので、したがいまして個々の便宜置籍船を含みました外国船について船員の質がどうであるかということにつきましては定かでありません。  なお、日本の船員につきましては、先生御承知のとおり、船舶職員法に基づきまして海技従事者の制度があります。それに従いまして運航の安全が十分に担保できるようになっておるわけでございます。
  86. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなた方はすべてをあいまいにしようとして一生懸命ですね。じゃ日本船員は、部員はどういうふうな学歴を普通持つのですか、ちょっと聞きます。それから職員はどうか。どういう学校を経てなるのですか。
  87. 山上孝史

    ○山上政府委員 部員につきましては、学歴等の資格要件はございません。船舶職員につきましては、船舶職員法に基づきまして具体的に各資格ごとにその学歴等の資格要件が定まっております。
  88. 紺野与次郎

    ○紺野委員 またそういうとんちんかんの答弁ですね。日本船員は普通中学を出て、そして少なくとも海員学校二年間といわれている。それから職員は、中学を出て高等商船ですね、船員の高等学校五年間、それからさらに商船大学を五年、大体そういう学歴を持っているでしょう。実情はどうですか。
  89. 山上孝史

    ○山上政府委員 部員につきましては、法律上資格要件はございません。ただ、先生指摘の点は、実情ということでございますと、御指摘のように海員学校全国に十三校ございますが、海員学校の卒業生が外航部員の中堅を担っておるということは事実でございます。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それに比して便宜置籍船に乗っている船員は、あなた方が研究してどれだけの知識がありますか。日本の船員と比べてどういう船員か。先ほど施設その他はほとんど違いない、こう言っておるわけですから、もしそうだとすれば、事故の多発はその人です、船員ですよ。船員がまず賃金の点でどうか、それから日本船員に比べてどういう人たちなのか、特徴を幾つか言ってください。
  91. 山上孝史

    ○山上政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、便宜置籍船を含みました外国船につきましては、船舶職員法の適用がございませんので、各国の主権で監督しておりますので、私どもといたしましてはその実態の把握ができません。なお、便宜置籍船を含みました外国船の船員の賃金につきましても、私どもの主権が及びませんので、実態の把握ができません。
  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう責任逃ればかりで無知であるということ、こういうことであなた方はごまかしているのですね。だって、海員組合、日本にありましょう。そこで出しているちょっとしたいろいろな資料、こういうものを見てもそれはわかるし、あるいはIMCO、ここの関係書類及びITF、国際海員の労働組合の連合会ですね、そういうものが出しているところによっても、便宜置籍船に乗っている船員が非常に問題だ、大問題だということを繰り返し大きい声を出して言っているのだ。  たとえば、こう言っております。多くの無資格者がいる。偽造された免状あるいは賄賂やごまかし、こういうことで交付されているとか、特に具体的に言われているのは、香港で偽造された台湾の免状ですよ。どこを考えてもおかしな国ですが、その免状をリベリアの当局に出すとリベリアがちゃんと船員の免状を交付するというのです。日本の船員は日本の近海その他について、かなりの船員としての資格を持ち訓練を受けているにかかわらず、こういった者は無法状態みたいなものだ。そういう者が便宜置籍船を運転している。だからこそしょっちゅう衝突を起こしたり機関の故障を起こしたりその他のことを起こしております。こういう状態です。  そういうことを何にも知らない。国民に対して何にも知りません、私知りませんということで、船員に対するいかなる政策がとれるのか。海運ということ、あるいは海の安全とかこういうことについて一番大きな発生源とも言われるような問題についてまじめにメスを入れていないということ、これはとんでもない国民に対する無責任な態度だと私は思うのです。どうですか。
  93. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生からただいま便宜置籍船についていろいろ御指摘ございました。まあ私どもも翻って日本の海運の現状を考えてみなければいかぬと思うのです。  まず、世界じゅうで先生指摘になったリベリア、パナマの籍が世界の船腹量で、実は先生も御承知のように二一%あるわけです。隻数で四千隻以上、それからトン数では六千六百万トンということで、世界第一位の船腹量を持っておるリベリア、パナマという便宜置籍国の船があるということが一つです。  それから、わが方の貿易の現状を見ますと、日本の船会社で支配しておるところの商船の船腹を見ましたら、遺憾ながら、日本の船員を乗せた日本の船、いわゆる邦船というものが六割ございますけれども、残りの四割は外国の用船によらざるを得ない。その四割のうちに、世界じゅうで二%の船腹量を占めているところのリベリアとパナマの船が六割来ている。したがって、日本の船会社が雇って動かしております船のうちの二四%はパナマ、リベリアの便宜置籍国の船の用船によらざるを得ないというのが日本の船腹の現状である。  それからまた、輸出入の現状を申しましても、御承知のとおり、輸出入の積み取り比率を通じまして、日本は、邦船で運ばれておるのは四〇%であって、六〇%は外国の船によらざるを得ないわけです。したがって、その便宜置籍国船を一船も雇わないということになると、われわれの貿易に必要な輸出入の物資が運ばれないという現状にあるということをひとつ御了解願いたいと思うのです。
  94. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ただいまの外国船一般論、それは何遍も聞いた話です。  じゃ具体的な事実を聞いてみましょう。それは、こういう船員を乗せて、これは世界的に困ったものだというふうに言われている。大局的には、便宜置籍船というのは不健全な存在であるから、それはなくす方向へやるべきであるというのが、世界的な世論です。ITFその他そうです。そういうふうに問題となっているこのいわゆる便宜置籍船というものが、意識的なあなた方の政策によってどんどんふやされている。昭和四十七年から八年、九年、この三年間に、こういった便宜置籍船が政策としてもつくり出されていった。非常に急速につくられております。  それについて、便宜置籍船がこの間に特に日本からパナマ、リベリアにいろいろの形でつくられていった、その実情についてお聞きしたいと思いますが、どうですか。
  95. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 ここ数年間の実績ということでございますけれども、私どもも好きこのんで便宜置籍船の外国用船をよけいしたいと思っているわけではございません。もちろん、長期にその荷主と契約を結んでやるということについては、日本船をつくっていくことによって充足していきたい。しかし、短期的ないわゆるスポット用船というものについては、外国用船で賄っていきたいというのは、これは商売上の実情でもあると思います。  それから、OECDの場でいろいろな議論が行われております。仮に日本だけが便宜置籍国の船の用船をやめたということになりましても、たとえば日本の船会社が雇わないということにしても、日本の荷主が便宜置籍国の船を荷物を持っておる立場から自由に用船できるわけですから、日本の船会社を通じないでそういった便宜置籍国の船が日本に入ってくることを防ぐということは、先ほど申し上げました数字からしても、日本向けの輸出入物資を運ぶということからやむを得ないと思います。  それから、日本が便宜置籍国船をつくっておるという例は、日本の場合はきわめて少ないというのが、OECDの報告書に出ておると思います。それはそれなりに事情があってやるのですが、それを積極的にやっているというわけではありません。
  96. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ具体的に聞きますけれども、四十七年から八年、九年にかけて念書船、これは何隻、何トンですか。それから中古船の売船、パナマ、リベリア、香港、ここに何ぼぐらい売ったか。さらに四十九年の四月以降、これは念書船ではありませんけれども、輸出船としてパナマ、リベリア、香港に輸出された船はどうか、ちょっと聞かしてください。
  97. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま念書船のお話が出ましたが、念書船の問題は便宜置籍国の船を用船する問題とはちょっと違うのではないかと思われるわけでございます。  念書船と申しますのは、近海船の中で実は四十七年の六月ごろに船舶が非常に過剰になってまいりましたので、自後日本船はつくらないでおこう、それから輸出船は全部近海船をやめるということになりました。それは事は簡単なのでございますけれども、やはり日本の造船界としては、中小造船所などはそういった近海船をつくることによって仕事をしているという実情にございます。そこでわれわれとしては、そういった事情を踏まえて、船腹過剰の近海船の事情に対応するように、日本船はしばらくの間つくることは見合わせよう、それから外国船、輸出船はその買い主である外国船主から日本向けに寄港させない、日本向けの物資を運ばせないということを念書の形でとったものに輸出船としての許可を与えていこうということを便法として考えて、近海船の船腹調整をやりたいと思ってやってきたわけでございます。  したがって、便宜置籍国船の用船という問題と近海船の念書船の問題とはちょっと違うと思います。
  98. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いいですか、それは実際上いま言ったように、日本には就航させないという念書をとって輸出したのでしょう。その輸出した先はほとんどパナマ、リベリアなんですよ。明確に便宜置籍船の国なんですよ。そこに輸出したのです。それは何隻かというのです。
  99. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 念書船の数字につきましては、私どもいま把握しておりますところは、すでに建造されて念書船のかっこうできておって、あるいは日本に寄港しておるというような御指摘がある種類の船は七十五隻、六十万トンであると私どもは承知しております。
  100. 紺野与次郎

    ○紺野委員 念書船は実際には百四十五隻つくられたんですね。そうでしょう。
  101. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 念書船のトータルは、そういった数字かと思いますけれども、そのうちに日本の近海船として就航することを日本の貨物輸送協議会の手で承認したようなものもございますし、それからマレーシアの物資を運ぶために、マレーシアの国がCIFでなければ物資を売らないというようなことを、いわば国家管理のかっこうでやっているということで、CIFという運送形態になっているがゆえに、その運送に従事するいわゆるCIF船というかっこうで入っている船もございますので、そういうものを除き、さらに今後建造されるであろうところの若干の船腹を除き、われわれは現在のところ七十五隻、六十万トンぐらいが、あるいは日本近海にやってくるようなおそれがあるという御指摘を受けている船ではないかということをトータルで考えているわけですが、そのうちでどれくらいの船が日本に寄港しているかということは、定かにはわからないわけでございます。
  102. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それからもう一つその前に聞いておきますが、リベリアとパナマに売船している中古船の数はどうですか。
  103. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海外売船の許可実績でございますが、まず、四十九年は七十一隻のうちでリベリアが十隻、パナマが四十八隻です。それから四十八年は九十三隻の海外売船の実績のうちでリベリアが五隻、パナマが七十三隻。それから四十七年はトータルで百九隻のうちでリベリアが十隻、パナマが七十五隻。四十六年はトータルが六十一隻のうちでリベリアが五隻、パナマが三十五隻。四十五年はトータルが八十一隻のうちでリベリアが十一隻、パナマが四十五隻でございます。
  104. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは売船ですね。この売船は日本にチャーターしないという最近の約束でしているのじゃないですか。
  105. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海外売船につきましては、日本にチャーターバックされないというような条件は別につけておりません。  ただ、私どもは海外売船に際しましては、船員の雇用の問題がございますので、そういった雇用の問題について十分検討がなされておることということを条件に、海外売船を認めているということが実情でございます。
  106. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、念書船以外の、最近やはりパナマ、リベリアに輸出しているところの船ですね。これは四十九年四月以降どれくらいになっていますか。
  107. 神津信男

    ○神津説明員 リベリア、パナマ向けに輸出されております輸出船は、四十八年度の受注実績が手元にございますので申し上げますと、全体の輸出船二千七百七十万総トンのうちで、リベリア向けが千九百五十六万総トン、それからパナマ向けが二百十四万総トンになっております。
  108. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だからやはりリベリア、パナマに対する輸出は非常に莫大な売船計画が実行されておって、意識的に便宜置籍船を非常に多くつくっている。しかもそれがペーパー会社ですね。こういうものであるということがいまでは明らかにされております。そこに売って、そしてチャーターバックを実際にはしているという形で便宜置籍船のメリットということで、東南アジアその他の低賃金の、船員としては非常に不熟練な船員を使うことがメリットである、それが唯一の目的のようにして便宜置籍船をどんどん意識的につくっていっているということが、いまのあれでも明らかなんです。  それで、私はここで聞きたいのですが、特に念書船、これは日本に寄港をしない、させないということをとっておきながら、これがもうどんどん日本に来ている。それを放任しているという状態になっているじゃないですか。一体だれが念書船を許可したのですか。運輸省じゃないですか。
  109. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 念書船を近海船の船腹の需給調整が必要な時期にわれわれが許可をしましたことにつきましては先ほどお話をさせていただいたのでありますが、私どもも念書船をできるだけ日本に寄港させないということで日本の近海船を守っていきたいという気持はございます。ただ、念書船につきましては取り締まりが非常にむずかしいという実情にございます。  たとえば、私どもが建造を許可いたしますときに香港のAという船主から念書をとって、A船主が日本向けにこの船を配船しないようにということを念のために判断の資料といたしまして、したがって輸出を許可してもいいんだと私どもは判断したのですが、そのA船主からB船主にその船が売られてしまったというようなときにはA船主からとった念書の意味がなくなってしまうということで、私どもも実は最善の方法だとは思ってはいないわけでございます。  実は去年の初めごろ、かなり日本の木材船を中心に一般に近海の木材船の需給が逼迫をいたしまして、日本向けの木材を運ぶために船が足りないという時期があったわけです。ところが総需要の抑制ということになりまして木材需要が減退するというようなことから、再び日本の近海の木材船が余ってきたという現状に立ち至ったわけであります。  私どももそういう事情を踏まえまして去年の十二月に、もう一度この念書船の効力というものを確認しなければいけないという必要を痛感いたしまして、そこで関係の官庁に話をいたしますとともに、これは通産省の貿易関係の部局、それから農林省の林野関係の部局でございますが、そういった部局に話をしますと同時に、直接私から、まずその輸出船を念書をとって輸出いたしましたときに仲介に立っておりました日本の商社に対しまして、どうも当初の念書と違ったかっこうで船が就航しているようである、われわれはこれは当初の趣旨に反する船であると思われるので、こういった事情が今後続くようであれば、今後輸出業者として仕事をなさるときに、たとえば新しい輸出船の建造許可であるとか、また中古船の売船の許可であるとかいうことをお取りになりに来ても慎重に審査をさせていただきますということを通達でお話ししてあります。それから木材船を使う立場であるところの日本の運航業者はもちろんのことでありますが、それと並べて木材の輸入の業界に対しまして、リストをつけてさきに念書つきで認めたこの種の船をお雇いにならないように、もし雇うようなことがあったら、その建造を仲介したところの商社に迷惑がかかりますということを申し上げて、去年の十二月ですが、厳重に取り締まるという通達を出してございます。
  110. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、その取り締まりの実情で、念書船はあなた方の取り締まりの結果どういう実態ですか。
  111. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも取り締まりたいということを痛感しておるので、さような方法をとったということを御説明を申し上げたのですが、今後ともよく実情を把握いたしまして取り締まれる範囲のことは取り締まっていきたい。ただ、これは非常にむずかしい点が最初にも申し上げたとおりございます。私どもも念書の効力ということで完全に一〇〇%取り締まりができるかということについては、非常に問題だと思っております。できるだけ今後ともやっていきたいとは思いますけれども、建造許可に当たっては、そういった念書をとるということが精いっぱいでございまして、それでなければ許可をしないというような現行の法規になっていないということを御了解願いたいと思います。
  112. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの状態だと、完全な放任状態と言っても差し支えない。もし念書船が来ているということがわかったら、どうするのですか。
  113. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 できるだけ私どもはそういう用船契約が続かないように善処したいと思いますけれども、ただむずかしいことには、日本船だけを使えというようなことを私ども政府の立場で申しますのは、OECDの自由化コードに触れるというような国際的な問題がございますので、政府として非常にむずかしい点がございます。念書については、念書の効力をできるだけ守らせるように指導はしていきたいと思います。
  114. 紺野与次郎

    ○紺野委員 念書を実際に破っていることに対して、何をするのか、取り締まりをどうするのかということについては、いまのところ何にもないのですか。できるだけそういう念書船は使わないようにということで指導するのですか。そこをはっきりしてください。
  115. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お言葉のとおり、できるだけ使わせないように指導していきたいということが現在の法的な措置として許される方法でございます。
  116. 紺野与次郎

    ○紺野委員 実際にわれわれが調べたところが、現時点で横浜港にこういうものが来ているのですね。リオ・コロラド、八千トン、これは東京貿易が売ったものですね。今治造船所でつくって、四十八年六月にパナマに引き渡した。船主はラ・パウマ。それからもう一つ横浜港にいま来ている日綿実業が売ったものでジュノー、今治造船、六千五百トン、船主はパナマのジュノ・シッピング、四十九年二月につくったばかり。それから浅川造船でつくった、これは多分三菱かと思うのだけれどもルナ、六千二百トン、パナマ、これも四十九年二月の造船、船主はネカ・シッピング。それから三井物産、旭洋造船、これは四十九年九月、オールドフェア号、六千五百トン、きょうのちょうど六時半、これがブイにつけられるという予定になっております。  こういうふうにいま横浜港で、一日調べただけでも四隻も念書船がこうやってのこのこやってきている。何にも知らない。あなたもそういうことがわからぬし、調べる気持ちもない。こういう実態ですね。これに対してどうしますか。早速どういう手を打ちますか。
  117. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども実情を調査してみて、どういう方法が可能かを考えさせていただきたいと思います。
  118. 紺野与次郎

    ○紺野委員 すぐ、私はこういうふうにしてもらいたい。どの会社、オペレーターが用船しているのか、荷主はだれで、どういう荷物かということですね。これをこの四隻の船について至急調べて、そしてどういう対策をとるのか、この点について直ちに資料を提出してもらいたい。  それから第二点は、こういうことで実際に念書船といって大がかりに、しかもそれをつくったのは主として商社ですよ。あのだぶついた金のときに自分の金でどんどん船台を独占して、つくっていったのですね。ですから、これは何のことはない、あなた方は海運政策のつもりでやったのではなくて、これはたとえば三井物産がこの三年間にパナマとリベリアに十五隻売っておりますよ。日綿実業は同じように十三隻、兼松は十三隻、住友商事も十二隻、丸紅十一隻、伊藤忠九隻、三菱商事七隻、トーメン八隻、日商岩井四隻、KN商事、川崎汽船じゃないかと思うのだがこれが五隻、それから東京貿易四隻、川鉄商事四隻等々、こういうふうに大企業は海運のことなんか考えておらない、船価がどんどん暴騰し、そして列島改造論で建築ブームがあるということからこういう船をどんどんつくって、いわば海運よりもむしろ商社が大もうけをするためにこういうことをやった。そしてその口実に、あなた方をそのときに納得させようと思ってでしょう、日本に寄港はさせない、航行しないという念書をわざわざつくって、そしてこういうことをやった。いま調べてみると、何のことはない、堂々ともう念書を破棄して、実際に大量に入ってきているということなんです。こういったことは、やはり日本海運にとって大きな撹乱、無法状態をつくるものだ、法を実際に踏みにじっているのです。あなた方、それを承認しているような態度ですね。あなた方のその責任はどうですか。  そういう点からいって、すべての港でどういう船が来ているかということは記帳しているはずですから、四十七年当時から現在まで、全国の主な港湾において来ている船籍を調べて、念書船はちゃんとわかっておりますから、何隻来ているか、どういう船が来ているかという点を調べて資料として提出してもらいたいと思います。  まず、以上の二点について答弁を願います。
  119. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 念書船のその問題につきましては、私どももその対策をいろいろ考えておるのですが、総合的に申しまして、実はこの近海船の問題について荷主の考え方も聞いて協力もさせる、念書船のことについて商社も含めてもう一度いろいろとその実情を調査をしたり、それに対する取り締まりをこちらから言う。それからオペレーター、運航業者としてこの近海船の問題をどう考えるか、それからオーナー、船舶の所有者としてどう考えるか、それから組合関係の方からもこの近海船問題をどう考えるかということを総合的に、私どものところで運輸省の中に近海船問題の調査会というものをつくりまして、できれば来週からそういった実情をいろいろと話を聞いて、この対策をどうするかということを考えていきたいということを考えております。  念書船の問題につきましても、先ほど触れましたように、実態はどういうことであるか、商社はどういうふうにしているか、輸入業者はどういうふうにしているかということについて、そういう場をかりまして私どもいろいろ実情を聞く、その上で取り締まり関係をどうしたらいいかということを考えていきたいと思います。  御指摘の四杯の船については、これはその背景であるところの用船関係がどうなっているか、当初の念書船の船主とそういった用船関係がどう結びついているかということを調査をして先生に御報告をするということはお約束をさせていただきたいと思います。ただ、数年間にわたってそれぞれの港湾に何隻木材船が来ているかということは、これはちょっと調査困難でありますので……
  120. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ことしだけのはどうです。
  121. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 それは港湾管理者といってもいろいろございますし、木材船の入っている港というものもかなりございましょうから、それはちょっと調査困難であると思いますので、来週以降、私どもがそういった商社、輸入業者と近海船問題について話し合いをしていくその中で、念書船の問題をどう考えていくかということをいろいろ検討していくということでひとつ御了解を願いたいと思います。
  122. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もしそうだったら、今年度の主要な港湾について、後でこちらから明らかにします、通告しますから、それについて調べてください。そんなことはできるじゃないですか。ことし一月から——実態をつかまなければ、商社やその他と話し合うにしても、こういう状態が乱暴に踏みにじられている、これは海運国として通らないことなんだということ、これをはっきり言うことはできないのではないか。もう一遍、調べてください。
  123. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 来週以降、船主との話し合いにおいてそういった問題をどう対処していくかということを私ども考えさせていただきたい。いきなり、本年度だけでありましても、港湾について、木材船について調べるということはちょっと困難である。来週以降、実はこの近海船をめぐって輸入業者、商社といろいろ話し合いをしていくということであります。  それから、この念書船につきましては、できるだけそういった面で行政指導をしていくということでございますけれども、一たん建造を許可したものをどうこうするということはできませんし、現在のたてまえとして、行政指導には限界がありますので、できるだけその業界の話を聞いて、それに対してわれわれとして十分示しをつけるべきところをつけていくというかっこうで処理をさせていただきたい。現在の法的なたてまえとしてそうなっているということをお答えさせていただきたいと思います。
  124. 紺野与次郎

    ○紺野委員 具体的にもう一つ、近海問題ですが、最近、日本船主協会は近海から日本船を全部総撤退するということを言っておりますね。こういうことはゆゆしいことです。いまの実情とあわせて、便宜置籍船がどんどん無法にまかり通るという形で、近海は実際上すでに便宜置籍船であふれている。  時間がないから私の方の資料で言いますと、近海にいま就航している不定期船は五百十万トン。重量トンです。大部分はラワン材を運ぶ等々であるけれども、その中で日本籍船は二百三十万トン、外国船は二百八十万トン、こういう比率になっておる。昭和四十六年には邦船は九三%、現在はわずかに四五%、半減しております。それはさっき言ったように念書船をやるとか売船をやらせるとか、あるいは輸出船をその後もどんどんやるとか、これはパナマ、リベリア船が主ですが、そういうふうにしてこの比率が逆転してきているということです。しかも適正船腹は三百万トンと言われ、二百万トンは過剰であると言われている。  そしてこの外国籍船の二百八十万トンの内訳はどうか。念書船が百十二万トン、中古売船、これは組合といろいろ協定してチャーターバックの条件がついているものですが、これが七十万トン、念書のない輸出船が七十万トン、本当に自国船主義で使われているいわゆる外国船というのは二十八万トン、四%にすぎない。ですから二百八十万トンの外国船というけれども、実際にはその内容は、二百五十万トンもパナマ、リベリア、香港等々の便宜置籍船だということです。そうするとあと五十万トンの適正な枠ということですね。  そういう点を考えると、結局日本船主が日本船を総撤退する、二百三十万トン総撤退して、さあどうぞ、この近海は低賃金のさっき言ったごまかしの船員の免許を持ったような人たちがあふれている、そういう便宜置籍船で独占するということなんです。そういうことを果たしてあなた方海運政策として許すのかどうか。これは全く重大なことですよ。だから事故がたくさんふえるということ、油その他の汚染にさらされるということ、明白であります。このために日本船員が八千人失業すると言われている。  一体あなたは、日本船主協会が最近こういう近海海域から総撤退するというふうなことを言っていることに対してどう考えますか。日本人であるならば、りっぱな資格を持ったそういう船員を中心にした安全な近海海運をつくるというふうになぜしないのか。船主たちがそういうことを言っている。これはみんな外航大手の連中が市場、マーケット等支配権を持っているのです。そういう連中の、みすみす低賃金の便宜置籍船でオーケーだ、もう満杯に近づいてきている、もう総撤退さしてもいいというふうな政策に対して、あなたはどういう態度をとるのか、はっきりしてください。
  125. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま御指摘ございました近海船の問題につきましては、非常にむずかしい点がいろいろございます。積み荷の大半は御承知のとおりラワン材でございますけれども、これは商社が取り扱っている市況商品でございまして、計画的な輸入はなかなかできないというところにまず第一問題がございます。それから木材の需要が先ほど申しましたように、総需要の抑制ということから、一時二千七百万立米くらいあった輸入量が二割方減っておるというような点が根本にございます。  したがって、船腹は、取り扱う運搬量それから運賃、すべてその荷況によって変動するいわゆる市況船でございまして、先ほどちょっと触れましたように、四十九年の初頭は協定運賃が十八ドル五十というような非常に高い運賃であって、そのときは日本船、外国船を含めて船が足りなかったというような現状にございましたが、一転してことしは非常に運賃が下がっておる、運ぶ木材がないというような現状に立ち至っておる。  それからなお、計画造船で取り上げておりますところの鉄や油は、鉄や油の荷主が計画造船に対しまして長期用船で日本船員を乗せた日本船を雇いたいというようなことがございまして日本の計画造船は成り立っているわけですが、木材業界はそういった計画輸入ができないという点から、木材の長期契約を船側と結ぶという傾向にない。したがって運賃も安い外国船に流れるということになっておるのが問題でございます。  したがって、船主協会のパンフレットで全面撤退というような話が出ました。また全日海の方で「近海海運問題の本質」というようなことでパンフレットを出されておるということも承知しております。しかし、荷主の日本船を使うという裏づけがなくて、一〇〇%撤退するということを決めることは簡単でございますけれども、どういった積み取り比率を想定するかということを机の上で簡単にはじくことはできない。そこで先ほど申しましたように、一方では経済的な現象として日本の船員費が高くなってきてそういった経済的なバランスがとれてきていないということで中、小型の船が売られておって、そういったことによって合理化が行われているということが実情でございますが、私どもも日本の船員を乗せる船をつくらないということを決して考えておるわけではなくて、逆に私ども計画造船の中で、資本集約的な大型のタンカーだとか鉄鉱石専用船については、そういった長期の安定した荷主と船会社との間の運賃契約というものを前提にして日本船員が乗れるところのりっぱな日本船をつくっていきたいということを考えておるわけです。ただ、中、小型の船について、東南アジアの港湾事情から合理化もできないというようなことから競争力がなくなっているという点が非常にこの種の船の問題になっているということでございます。  そこで、私ども、荷主との関係、それからオペレーターとオーナーとの関係、それから組合の考え方、そういったものを承って来週以降できるだけこの問題に積極的に対処していきたいということを考えておるわけでございます。
  126. 紺野与次郎

    ○紺野委員 積極的に考えるということは、いま言ったように日本船主協会の総撤退論というようなことには賛成しない、やはりあくまでも日本船の積み取りのシェアを高くして、そして日本船員が乗れる、そういった近海海運を建設していくという方向、それを堅持してやるのかどうか、もう一遍その点簡単に言ってください。
  127. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 一方では船主協会が全面撤退ということを唱えておりますし、片一方では全日海がそれならば一隻も船を売らさぬということを言っておられるような現状からは何も生まれ出てこないということを痛感しておりまして、実は労務の問題に関する問題も非常に多かろうと思いますが、私どもとしては、先ほども申し述べましたように、できるだけ荷主の考え方、オペレーター、オーナーの船側の考え方、組合の考え方、いろいろ承ってこの問題に対処していきたいというふうに考えております。
  128. 紺野与次郎

    ○紺野委員 海造審、海運造船合理化審議会ですね、ここで近海問題、近海船とかあるいは近海海運政策についていままでに問題にしたことがあるかどうか、これが一つ。  それから、もししていないとすれば、それは重大な、こういう事態を引き起こした大きな原因になっておりますから、必ず海造審においていま言ったこういったことを問題に取り上げて、そして海員組合なんかの意見もをゃんと聞いて、そしてしかるべき方策を生み出すようにするかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  129. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海造審のことにつきましては、先生も御承知のとおり、去年の十二月に、昭和五十年度から向こう五カ年間の外航海運のあり方ということについて答申を得ました。その答申を得ますまでには、四十七年の秋から二年間かけていろいろ御審議を仰いだわけでございます。そういうことで鉄や油の船を中心に日本船の船腹の拡充を図っていくということでいろいろな政策が打ち出されたのでございます。  近海の問題については、従来から海造審には諮っておりません。私どもは、当面考えておりますのは、近海の問題はそういった行政ベースで皆さんのお考え方を聞いて、当面どういうふうな措置を必要とするかということを私どもの行政ベースで考えていきたいということを考えております。  それから、海造審の編成を見ましても、私が先ほど申し上げましたような木材業者、商社、それからオペレーター、オーナー、まあ組合はお入りになっておりますけれども、そういったメンバーを網羅しての会議の編成にはなっておりません。また、こういう当面の問題を審議するのに非常に機動的に運営できるかどうかという点も問題でございますので、私どもは行政ベースでこの問題に来週以降真剣に取り組んでいくということをお答えしたいと思います。
  130. 紺野与次郎

    ○紺野委員 全くこれは臨調法違反だと思いますね臨調法の一条、二条、三条ずっと読みますと、近海の船舶についても、これをつくるときにはやはりちゃんと海造審にかけてやるというふうになっておると思うのです。それをあなた方は一度もしていない。だからそういう点からいっても臨調法を無視しているということですね。近海については軽視している。それで今日の事態を引き起こした。その責任はきわめて重大であって、今後のすべてのいろいろな問題について非常に大きな責任を運輸省とあなた方が持たなければならぬ、こう思います。
  131. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 臨調法で建造の許可をいたします許可の基準について、海造審の意見を聞いてしなければならぬということを先生お触れになったと思いますが、その件につきましては、二十八年から海造審の手で基準を設けている、それを遠洋並びに近海に適用するということになっておりまして、今回特にその基準を変えるという点は必要を認めておりません。その点で必要があれば海造審に諮るということになっておるという先生の御指摘でございますけれども、その点と近海船全体の問題とは別であろうと思います。
  132. 紺野与次郎

    ○紺野委員 納得いかない。やはり臨調法をあなた方は無視して、近海船については何も言っておらないし、これは全く違法であると思います。  以上で終わります。
  133. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 どうも御苦労さまでした。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会