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菊池参考人 ただいまの御
質問にお答えします。
最初に、
保険にかかっていない車が
加害者となって
事故を起こした場合どうするのかということでしたかについて御
質問でございました。
現在、御承知のように、強制自賠法がございまして、あらゆる車は、法制で認められた特殊な車を除きましてみな
保険には入っているはずでございます。まず無
保険車はないと思っておりますが、しかしあるいは場合によってはそういうことがあるかもしれない。いずれにしましても、
自賠責保険に入っておりますれば最高千万円までの保障はその
資金を通じて得られるわけでございますが、もしもそういう強制賠償にも入っていない車があったときには、やはり
自賠責法の中で、そういう無
保険車の
事故あるいは
加害者不明になったような、ひき逃げ犯人と世上申しますような、そういうことから不幸にして被害に遭った方に対する補償方法がすでにできております。それで処置をしているわけでございます。その限度の千万円以上の、いわゆる
保険に入っている民保
部分でございますが、これについては
加害者そのものが自分で補償に当たらなければいけない、
自賠責を超えた
部分は自分で補償しなければいけないわけですから、その資力があるかないかは別といたしましても、あくまでも
加害者そのものの責任として残るわけでございます。
それから、自損
事故と申しますか、
ドライバー自身がけがをしたり、あるいは場合によっては死亡したというふうなものの補償、これは
自賠責保険の面ではそういう責任を持っておりません。
自賠責保険は、民保と比べました場合には、無過失主義で、損害保障するといいますけれ
ども、あくまでも根底は賠償責任というものを前提にこれを担保する
保険でございまして、
ドライバーが御自分でやった場合には、要するにこれは責任の持っていきどころがないわけでございますから、そういう
意味で
自賠責ではこれを取り上げて損害の対象にしておりませんです。ただ、民保におきましては、民保の普通
自動車の対人賠償
保険におきましては、やはり
自賠責と同じように賠償責任
保険でございますから、御本人そのもののことは賠償責任と申しませんから
保険外でございますけれ
ども、御本人そのものの
保険は搭乗者
保険と称しまして、われわれ傷害
保険と言いますが、要するに自分の体は自分で
保険するという
保険でございますが、その範疇の
保険はいろいろたくさんございますけれ
ども、搭乗者
保険というのも普通の民保
自動車と一緒に組み合わせて、そういう
保険をつくっております。それに加入していただくことによってその問題の解決を図っているわけでございます。
それから、三番目の御
質問の方は運輸省の御当局の方にお任せして、
自賠責の内容充実という問題は一応お任せいたしまして、対人民保加入率が四十数%である、われわれ
損害保険事業界でやるのが四十数%、このほかに御
案内のように
共済事業がございますが、合わせましても五〇%そこそこでございます。これが地域的にいろいろ変わっておりまして、たとえば東京都のごときは平均からは非常に高くなっています。六五・六%あるかと存じますが、地域によっては非常に低い。しかし、これもまた、われわれが
損害保険事業でやっておるのと共済組合でやっているのが、ある
意味ではうらはらになっているような
意味がありまして、大都会では
損害保険としてやっている
部分が多いが共済は少ない、逆にある
地方では
損害保険は非常に少ないが共済の方が非常に高い、そういうところもあります。しかし、全体としては御指摘のように少ないことは事実でございます。
もっとも
保険の普及率というのは、普通統計的には、日本
全国の
保有台数というものを分母にして、
保険加入率あるいは共済加入率というものを分子にして計算するわけでございますけれ
ども、強制賠償を別としました上積み
部分については、資力の十分な法人とか
政府団体あるいは外交関係筋の車などは普通実態から申し上げて加入していないのが多い、ほとんど加入していないと申し上げていいかと思います。ですから、こういう所有者は資力に十分自信があると見ていいわけでございます。しかし、私
どもは、それだからといって
保険に入っていただく必要はないとは決して思っておりませんけれ
ども、実態はそういうことでございますから、五〇%と申しましても、そういう車を仮に
保有台数から引きますと、幾らかそれがまた高くなるかと存じます。
いずれにしましても、普及率の低いことに対してはわれわれは非常に遺憾でございますので、社会的にも非常に不幸な問題を惹起しますので、これの普及率拡大にあらゆる手段を通じて、われわれの募集機関を通じ、また世間全体にはマスメディアを通じ、あるいは学校教育というふうなものにまでさかのぼって、これは教育担当御当局の方に
お願いする、あるいは交通関係の行政に直接携わる陸運
事務所あるいは
警察庁、御関係のいろいろな御指導の機会に、資力のない者は車を
運転するなというふうなところまで踏み込んでいただく。資力というのは、この場合御本人に資産がなければ
保険以外にないわけでございましょうから、そういう
意味で啓蒙していただくということであらゆる方面に最大の
努力を傾注しているわけでございます。
それから、最後に育英基金への
協力のことについて御
質問がございましたが、かねてそういうことについては、元来がわれわれ
損害保険事業は
保険という機能を通じてこういう問題の解決に
努力しているわけでございます。われわれはわれわれの分野としてそういうことを
事業としているわけで、それが本来の
趣旨でございますけれ
ども、われわれの幾らか余裕ができました
部分については、そういうわれわれ
保険事業以外の育英基金、いろいろあるわけでございますから、そういうふうな御
協力を可能な限りいたすようにしているわけでございます。