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1975-02-26 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十六日(水曜日)     午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 野中 英二君    理事 勝澤 芳雄君 理事 平田 藤吉君       加藤 六月君    佐藤 守良君       前田治一郎君    村田敬次郎君       井上  泉君    太田 一夫君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    小濱 新次君       渡辺 武三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁交通局長 勝田 俊男君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      鈴木金太郎君         大蔵省銀行局保         険部長     徳田 博美君         運輸省自動車局         保障課長    深川  弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自動車安全運転センター法案内閣提出第三一  号)  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺武三君。
  3. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 交通安全対策そのものは、御承知のように各省に非常に大きな関係を持っておるわけでございまして、調整を要するもろもろの問題が非常にたくさんあるわけでございます。そのために総理府の中で、いわば調整機能を持った部署があるはずでございますが、これは私がたびたび指摘を申し上げてまいったわけですが、本当に総理府の中でその調整機能を十分に果たしているだろうか、こう考えていきますと、非常に疑問点が多い。交通安全対策室というものもあるけれども、どうも貸し部屋業をやっているのではないか、各省を集めていろいろお話し合いをなされても、本当に調整をする権限をお持ちなのかどうかすら非常に疑問に思う、こう前々から申し上げてまいったわけです。  たとえば道路あるいは信号等々の有機的な結びつきというものを考えてまいりましても、道路管理建設省であるし、信号の方は警察の方がやっておる。したがって、その辺を最も効率的に有機的に結びつけるためには、当然その総合的な研究開発といいますか、そういうものがなされなければならないのですけれども、なかなかその総合性というものが発揮されない場合が非常に多いのじゃないか。こういう意味で、たとえば予算面を見てみましても、そういう方面の予算化というのが余りなされていないのではないか。そこで先ほど言いましたように、極端に言えば貸し部屋業的な各省を集めて相談をさせるということだけに終わっているのではないか、こういう疑問が依然としてあるわけですが、その辺については長官、いかがお考えでしょうか。
  4. 植木光教

    植木国務大臣 お話しのように、総理府の中に交通安全対策室がございまして、関係省庁間の交通安全対策調整をいたしているわけでございますが、同時に、すでに御承知だと存じますが、交通対策本部というものが政府内に置かれておりまして、総務長官本部長となりまして関係省庁の次官がこの本部の要員といたしまして、随時会議を開いているのでございます。  先日も実は、私はいまお話しのように完全な調整機能を発揮いたさなければなりませんので、警察庁交通局長建設省道路局長運輸省自動車局長等にお集まりをいただきまして、直接担当をしておられる責任部局責任者とともに具体的な問題につきましていろいろ協議をしたばかりでございます。したがいまして、お説のような貸し部屋業ではなしに、実質的にいま申し上げましたような具体的な施策というものを十分に展開することができますように今後とも努めてまいりたいと決意をいたしております。
  5. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その場合、各省予算はそれぞれ各省についておりまして、いわば総理府としての調整的な御意見がありましても、各省間のセクト的な考え方によって果たしてそれが十分行われるであろうかどうであろうか、こういう問題があろうかと思います。そこで私は、少なくともそういう交通安全に関する予算については総理府でまとめるべきではないか、こういう考え方を一部持っておる。そうしないと調整的な権能を果たそうと思いましても、なかなかそれが十分に果たせないのではないだろうか、こう考えるのですが、こういう考え方についてはいかがでしょうか。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 いま申し上げましたように、それぞれ関係省庁があるわけでございまして、それぞれの省庁が、あるいは道路をどうするか、あるいは安全施設をどういうふうに充実させていくか、あるいは交通規制はどういうふうにするか、あるいは自動車等乗り物安全基準をどういうふうにしていくか、またそれをどういうふうに生産をしていくかというように、いろいろ直接的な行政の中でそれぞれの省庁実施をせられているというのが現実の姿でございまして、要はいまお話がございましたように、省庁間でセクト的な立場でものを考え、また実行するのではなしに、十分に調整をし、そしてその調整を受けまして省庁実施に当たっていくということで万全を期せられるのではないかというふうに考えます。  ただ、ものによりましてはあるいは交通安全対策室において予算化をしていただいて、その中でいろいろ実行していくことが必要なものも今後も出てこようかとも思います。そういうものにつきましては、省庁にまたがりますものについて責任をもって実施をしていくべきものというふうに考えますものについては、総理府内での予算化をお願いを申し上げて、実行をしてまいりたい、このように考えるものでございます。
  7. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私があえてこういうことを申し上げましたのは、たとえば私自身が車を運転して町を走りましても、信号等でもいろいろ変わってまいるのですね。矢印方向が点滅する信号、それを生かしてみたり殺してみたり、それにはそれぞれの理由があるでしょうけれども、どうもすっきりしない面が非常に多いのです。なぜ殺してしまったのか、自分自身運転をしておって考えておってもよくわからないところがある。また、ここには当然矢印をつけた方が交通流れとして非常にいいのだけれどもと思うようなところでも、一向につけられないというような面がある。  したがって、総合的に見て、一体どこでそれらが研究をされ、実際実施に移しておられるのか、あるいは管理者の単なる思いつきでやめてみたりやってみたりやっておられるのかどうか、この辺がどうもはっきりしませんので、あえて実はお聞きをしておるわけです。あるいは地方の特性によって、たとえばこのほど私、名古屋を歩いておりますと、名古屋では矢印方向大分テープが張られて、廃止をされた信号個所が非常に多くなってきている。何のためにそれを廃止をしたのかというふうに自分自身考えていきますと、あるいは疑問に思う点もある。したがって、各都道府県が統一をしていないきらいもあろうかと思います。そういう面は一体どういうことになっているのでしょうか。
  8. 勝田俊男

    勝田政府委員 名古屋の具体的な例につきましてはいま承知をいたしておりませんが、信号機設置基準その他については指導をいたしておるわけでございます。信号矢印その他についていろいろ変わったというお話でございますが、昨年から都市における規制のやり方を総合的に考えてみようということで、いろいろと検討は始めているわけでございます。そういった過程の中で、都市全体として見た場合にはこういう流し方がよいのじゃなかろうかというような判断で、逐次そういった方向検討を進めているのじゃなかろうかというふうに考えております。
  9. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 信号機を見るときに、見方が二つあると思うのです。安全を保つためと車の流れをよくするためだ、こういうふうに二つに分けてお考えになる方が多いわけですけれども、それは間違いではないであろうか。つまり、車の流れをよくするということは、交通安全に重大な関連性を持っておるということですね。ところが、それがえてして完全に分離をされて考えられてしまう。車の流れをよくする場合と安全とは別だというような考え方が非常に多いわけですが、実際には、車の流れをよくするということは、運転者心理状況からいって、車の渋滞は多分に交通事故につながる問題が多いわけですから、そういう面があるわけですね。したがって、その辺を総合的に見ていかないと、これは安全のために、ここは流れのためにというようないわば分離した考え方だと、えてして間違ってしまうのではないであろうか、こう考えるわけでございます。  そこで、いま総合的な対策お話があったわけですが、このごろの新聞を見ますと、警察庁そのものが十大都市交通量を一割減らせ、こういうことを言っておられる。つまり、交通総量規制でございます。これは交通安全上の問題、さらには排気ガス公害の問題、この両面をねらっておろうかと思いますけれども、この車の総量規制というものが本当にうまくいくであろうか。これも単なる思いつき程度の問題であるとするならば、デメリットの面、メリットの面、これら両面があろうかと思います。  したがって、相当慎重にこれをやらなければならないわけでございますが、警察庁考えておられるこの総量規制、つまり、十大都市の一割減という方向は、どういうことを目標にして、あるいは具体的にはどうしていこうと考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 勝田俊男

    勝田政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年から都市の総合的な交通規制をやろうということで、それぞれその都市における交通事故とかあるいは交通渋滞あるいは公害、こういった障害をとらえまして、それぞれを総合的にどういう形で解決するかという方策を進めているわけでございます。そういった形で進めておりましたところ、例の五十一年規制の問題が出まして、排気ガス対策としても、交通量交通規制の面から減らさなければいかぬというお話でございます。  交通量の削減につきましては、本来交通需要というものをできるだけむだをなくしていくような方向考えられるべきものだと思いますが、いま直ちにそういうことはできないという前提であれば、現在の交通需要前提としながら、現在の交通手段というものも前提としながら交通効率化を図っていく、それによっても交通量を削減していくという方向に向かわざるを得ない。そういった形として、交通規制によってそういう方向をとってまいりたい。  たとえば、できるだけ大量輸送機関を利用していただく、空車走行をできるだけ少なくしていくとか、荷物集配送等についてもできるだけ片面輸送をなくしていただく、そういうようなことによって、交通需要を満たしながら交通効率化を図ることによって実際の走行量というものが減らせるのじゃなかろうかという発想でございます。  そういった面でわれわれが考えておりますのは、直接規制ということはとても無理である、直接規制ではなしに、一般の方が大量輸送機関に乗りやすいようにしていくこと、たとえば通勤マイカーの方、これはかなり交通量になっていようかというふうに思うわけでございますが、こういった方については、それにかわるべき大量輸送機関について、バス専用レーンを確保するということで現在もやっておりますけれども、それをさらに拡大をしていく。一方、都心部における駐車禁止というものを強化することによってバスに乗りかえていただこう、こういう規制によってやるわけでございますが、これも警察だけの力でできるわけではございませんで、それに伴うバス運行機関につきましては、それに伴ったようなバス増発をやっていただく、あるいはバス運行系統を変えていただく、またそういった趣旨について一般の方の御理解をいただくということも必要であろうかと思います。  また、貨物の集配送の問題につきましても、現に警視庁等でやっておりますが、デパート相互間で荷物共同で配送する。一例によりますと、二つデパート共同集配送でやったので従来より四〇%ほど車の走行量が減った、あるいは横山町の問屋街共同集配送をやったので四〇%ほど車の量が減った、あるいは駐車禁止、そういった交通規制の面からも促進をしながら御協力を得ていくという方法もとっていこう。  それから、タクシー交通量東京あたりではかなりの分量になるわけでございますが、これも空車走行をできるだけ少なくしていただこう。そういった面では道路管理者側協力も得て、タクシー乗り場もできるだけ整備をしていただく、そして流し禁止というふうな規制とあわせて空車走行を少なくしていく。  このような各種の規制を組み合わせていくならば、限度はあると思いますが、一〇%ぐらいは何とか可能じゃなかろうか。もちろん各都市によってそれぞれ都市特性がございますので、一律なものではございませんが、基本的にはそういう考え方で、それぞれの都市実情に応じて計画をつくって、その目標を達成するように努力をしていきたいというような考え方でございます。
  11. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 警察庁では全国指示をしておられるわけです。それによりますと、都心部全面駐車禁止あるいは生活ゾーン規制をしたい、いまおっしゃったバスレーン拡大全国指示をしておられるわけです。これらのことどもは、決して私自身も悪いことではないと思いますけれども、これらの規制を強化することによって引き起こされる問題というものが非常に多くあろうかと思いますが、それらの問題をどのように解決をしようとしておられるか、いわば総合的に勘案をされた上でこういうことをおやりになっているのかどうか、それがまず第一点ですね。  それから、都心部全面駐車禁止というのがあるわけですけれども、この全面駐車禁止をする反面として、駐車場の不足による不法駐車といいますか、こういうのが非常に多いのではないか。駐車場そのものが十分に完備をされていないという面、つまりビル等には付置義務がついていますし、さらにいろいろな基準がございますが、それらが十分に守られていない面が非常に多い。ためにむしろ都心にある商店街等々で車庫がどうしてもとれないというところは、そこにおる従業員を使ってわざわざ郊外にまで車を持ち帰らせる、それによって不必要な交通が起こされる、こういう問題が実は発生をしておるのです。また、それによって本当は起こらなくてもいいようなところに交通渋滞が起こったり事故が起こっておる。こういうふうなことが考えられるし、さらには駐車禁止しますと、その周辺部路上駐車というものがふえてしまうおそれがある、こういう問題。  それから、バスレーン拡大をしていきますと、どうしても道路交通流れというものが変化をしてくるのではないだろうか。したがって、一方ではそれによって渋滞事故というものが当然あるはずでございますけれども、それらの対策は一体どう考えておられるのか。  それからさらに、規制を強化いたしますと、公共輸送機関というものが十分に完備されていないとどうしても問題が出る。そこでいろいろ調べてまいりますと、現在公共輸送機関がどの程度であろうかと見てまいりますと、実際にはこの通勤地帯における公共輸送機関というのは大変な混雑ぶりでございまして、ほとんどの路線で定員の二倍以上ということになっておるわけでございまして、中には許容限度である二・五倍以上の混雑を示しておる路線も実は非常に多いわけでございます。  こういう状態が、いわば公共輸送機関として現実の面としてある。そういう中で、いわばマイカーによる通勤あるいは交通というものが規制をされてきますと、必然的にそういう人々がまた公共輸送機関に移行せざるを得ない、こういう問題が出てまいるわけでございます。現状から考えますと、いまですら二・五倍といういわば許容限界以上のようなところがこの通勤時間帯には非常に多い。こういう中でございますから、一体その辺をどう解決していこうとしておられるのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  12. 勝田俊男

    勝田政府委員 規制交通の自由を制限するわけでございますので、それに伴う摩擦というものが出てくる可能性はもちろんあるわけでございます。そういった面で、規制をする場合につきましては大変慎重に、またきめの細かい配慮が必要だということは先生の仰せのとおりだと思います。  駐車禁止の問題にしましても、現実駐車禁止を広げる際に、それぞれの地域の方からいろいろな要望等があるわけでございます。それについていろいろな形で地域の方と話し合いをする。また短時間需要に応ずるためには、パーキングメーターというようなものを設置して短時間需要には応じていきましょう、しかし、通勤してその車を置いておくというようなものは困りますよというようなことで、駐車禁止を広げる一方、そういった短時間の需要に応ずるパーキングメーターというようなものについても整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、バス専用レーン拡大に伴いまして、それ以外の路線について渋滞が出るのじゃなかろうか、交通量全体が変わらなければ当然そういう形になり得ると思います。また、過渡的に、ある程度バスレーンの方は順調に走りながら、そのとき以外についてはかなり渋滞が出るということはあり得ると思いますが、バスに乗ることによって逆に便利になるということで、大量輸送機関であるバスの利用を有効にするという面から、ある程度時間的に解決していく問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  公共輸送機関である電車、特に郊外電車が非常に込んでおってなかなかそれに乗りかえられないじゃないかというお話でございますが、確かに東京状況では郊外電車が非常に込んでおるということはあるかと思いますが、これはそれぞれの都市の個々の事情に応じながら対策を講じていきたい。マイカー一般公共輸送機関にどれくらいかわり得るかという数字についてはまだ算定はいたしておりませんが、バスについては、かなり吸収ができるのじゃなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、先生指摘のようないろいろな問題について、それぞれの都市実情に応じながら、きめ細かく配慮しながら進めていく必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  13. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私が御質問しておるのは、昭和四十九年度の運輸白書公共輸送機関輸送状況というところで見ておるわけですけれども、この資料によりましても、大変実は混雑度が強いわけです。したがって、そういう現状を一方で踏まえながら、片方交通規制を強化していけば、当然どこかに流れが変形していかざるを得ないのです。したがって、そちらの方の状況を十分に勘案をしながらやっていかないと、片方を抑えれば片方へふくらんでいくというような、そういうような現象になるわけですから、抑えてみた結果あらわれる現象を待っておって、それからまたそれへということでは、余りにもちょっと対策としてどうかと思う。当然影響が推定をされる問題については、あらかじめそういう方針を出されるときに当然考えておかなければいけない問題ではないであろうか。本来ならば、すべてやめてしまって、公共輸送機関で運べば簡単に解決するかもしれませんが、そうしたくてもできない現実にあるわけですから、それらを一体どうするかということが当然考えられていかないといけない。  この表を見る限り、もう時間帯によれば、公共輸送機関というのは、オーバーに言えば殺人的な混雑である、そういうことが言い得るのではないかと思いますので、単なる規制強化だけが本当に国民の生命と財産を守ることになるであろうか。総体的に見て活動を停止しろというなら別ですけれども、やはり全体の動きの中でいま動いているもの、不必要な動きがあれば別ですが、不必要な動きでなくて、みな有効的に動いておるとするならば、片方それをシャットアウトすれば、片方にふくらんでいくという問題、これは当然考えておかなければならない問題ではないだろうか。  したがって、そういう都市交通の実態から見て、つまり片方やめろということになれば、当然その影響が出てまいるわけです。その影響というものは、ひとり交通流れのみではなくて、商活動そのものにつきましても、あるいはさらには大きく言えば物価の上昇にも影響があるのではないであろうか、こういうふうに考えるわけですが、その辺まで広範囲に考えられておるのかどうか。  さらにはこれには当然排気ガス対策というものも含まれておると思いますが、そういうふうにより広範な対策必要性から考えますと、先ごろ自動車排出ガス対策閣僚協議会というものが設けられておるわけですけれども、この中のメンバーを見ていきますと、いわば広範な立場で物を言わなければいけないと思われる経済企画庁が全然入っていないようですけれども、本当にそういう広範な検討がなされておるのかどうか、この辺についていかがですか。
  14. 勝田俊男

    勝田政府委員 われわれのやる交通規制関係機関の御協力を得なければならないということを最初に申し上げたのでございますけれども、やはり郊外からの長距離のマイカーが現在の電車でなかなかむずかしいということになれば、通勤バスの問題、そういったものについてもその増発なり何なりができないかというような点についても当然検討されなければならないと思います。  それから、経済の問題につきましては、いろいろトラックをとめるとかなんとかいったような問題の際に、それが経済的にどういう影響を及ぼすかというようなことについては、それぞれの官庁と連絡をしたことがございますが、今回の場合につきましては、輸送効率化を一応考えておる、できるだけ輸送効率化していこうということで、直ちに経済的な問題について非常に大きな影響が出るということではないのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、さらに検討を進めたいと存じます。
  15. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次に進みますが、いま東京都心部卸売センターというのがございまして、周辺地区から都心に対する交通量の増大がそれによって起きておるのではないか。実際にはその卸売市場で販売をされたものが再び二十三区以外に持っていかれておる。これはどの程度かと調べてみましたら、鮮魚類のうちでは四三%が再び二十三区外に出ておるわけです。中央卸売市場鮮魚類がどんどんどんどん集まってきて、それが相当交通混雑影響がある。そこで売られたものが、再び東京都心から二十三区外に約半分近くのものがまた出されてしる。野菜類で見ますと、七五%ぐらいが都内で売られ、二五%程度がまた二十三区外に出る。  こういう状況があるわけなんですけれども、こういういわばセンター配置の悪さと言いますか、それ自身もやはり物流という面から当然やはり考えられていく一つの大きな要素ではないだろうか。いわばむだな交通量と言いますか、考えればもっと適正な配置ができるであろうと思われることが非常に見逃されてしまっておる、こういうふうに思うわけですが、こういう点についてはどうお考えでしょうか。
  16. 勝田俊男

    勝田政府委員 確かに御指摘のとおりだと思います。大都市に直接需要がなくて、ただ大都市を通過しているだけというようなものがかなりあるのじゃなかろうか、そういったものはやはりむだを省く、むだな交通需要を省くという意味で、都市計画の面なり物の流れの面で改善できるならば、やはり交通総量の抑制に非常に役立つのじゃなかろうか。ただ、警察でやります規制現実にある需要前提としてやらなければなりませんので、直ちにそれに警察が手をつけるというわけにはいかぬと思いますけれども、そういったことにつきましても、研究して、関係機関にも意見を申し述べるというようなことも努力をしたい、こういうように考えております。
  17. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは総理府の方にお尋ねをいたしますが、いまの問題で、いわば物流という面から見て当然そういうことが考えられる、警察立場ではなかなかあれでしょうけれども、総理府が全体として交通安全の調整機能を果たしていくという仕事の内容から見れば、私は当然そういうことが考えられてこなければいかぬと思うわけですが、そういう点については、総理府としてはいかがお考えでしょうか。
  18. 植木光教

    植木国務大臣 交通総量の抑制につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、交通安全対策的な見地から、また環境保全あるいは浄化の見地から施策をしてまいらなければならないところでございまして、先ほどお話がございました排ガス対策の閣僚協議会の中にも交通総量抑制グループというのが設けられておりまして、そのグループの責任者総理府交通安全対策室長が当たっているのでございます。したがいまして、排ガス問題のみならず、交通総量の抑制につきましては、いまお話しございましたような物流面からもいろいろ考えていかなければならないところでございますので、それもあわせてこのグループにおいて協議をせられるべきものであると考えます。  さらにまた、先ほど申し上げました各関係局長に私のところにお集まりいただきました際にも、この交通総量の抑制につきまして各省がとるべき施策についていろいろ意見の交換をいたしました。具体的な案等についてもすでに研究協議のところもございますし、私どもとしましてもそれぞれの立場から意見を交換したばかりでございまして、いまお話がございました点につきましては、先ほどの交通総量抑制グループの中において、あるいはまた私どもの交通安全対策霊を中心といたしました関係省庁との調整機能の発揮によりまして万全を期していきたいと考えております。
  19. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 交通安全の面では、わが国の場合はやはりまだ大変におくれておるのではないだろうか。道路一つとってみましても実は大変におくれておるということが言えると思うのですね。ヨーロッパあたりの都市交通という問題をいろいろ見ていきますと、日本と大変違っておるわけです。特に東京の場合等でも、いわば通過車両というのが相当量あるのではないか。環七通りを見ておりましてもその大半がトラックですね、トラックがもう半分以上を占めておるというのが現状ではないか。  そこで、この東京の、首都圏のいわば外郭環状線というようなものが計画をされたならば一体都内の交通にどのような影響があるのであろうか、こういうことを調査しているところもあるわけです。これはシステム計画研究所というところが研究しておるわけですけれども、そこの研究の資料を見ますと、東京都の本当の都心部東京都の中でさらに中心部の五区とそれ以外との交通、これが外郭環状線をつくることによってどの程度交通量が減少するであろうか、東京都の部内と区域の部外とでは大体一〇・七%、特に中心部の東京五区と五区以外との交通量が一一・七%程度減少するのだ、こういうふうに一つの減少効果の予測をいたしておるわけでございます。こういう面、いわば道路建設に至るまで全体的に見て、交通流れをスムーズにすると言いますか、あわせて安全を守り、さらにそれに付随していろいろ起こってまいります公害を防いでいく、こういう面が考えられるわけでございます。  ところがいま現実のものとして起こっておる問題を見ていきますと、現状をそのままにしておいて、そこに起こってくる問題をどう解決するか、こういうことのみにいわば場当たり的な論議が往々にしてなされておる、またそれが大部分であろう、こう思うわけです。私はさらに視野を広めたそういう面からの検討というものが当然なされていかなくてはいかぬ、こう考えておるわけですが、これもやはり総理府の方ですか、そういう全体的な交通安全、物流あるいは公害というような面から総合的に考えていかなくちゃいかぬだろう。  たとえば環七通りというのが東京付近の一つのいわば動脈だとするならば、われわれ人間が生きていくために、あるいは経済活動をするために、ああいうものが必要であるということになれば、その動脈をどうわれわれの生活の中に影響のないようにしていくかという対策が当然考えられなければいけない。私も思いつきですけれども、どうしても都市の中にそういう動脈が必要だとするならば、これはその両側に小公園、レクリエーションセンター等をすべて集合させて、そして道路の沿線にテニスコートだとかあるいはプールだとか国民の憩いの場をつくる。アメリカに行きますと、パークウエーというのがございますけれども、道路の両側がそういう小公園になっておりまして、そこが国民の憩いの場になっておる。そういういわば実際の住居との間における緩衝地帯を設ける、こういうことが当然考えられなければ、動脈は動脈としてやっておいて、すぐその隣が住居だ、これはもうやかましくて寝られないじゃないか、こういう苦情が住民運動として大きくなってくることは当然なことでございます。それにはやはりどうすべきかという問題が総合的に考えられなければいけないのではないか。そうでなければ、あるいは環状線をつくって通過車両というものを排除するのか、どうしても都心の中にそういう動脈が必要だとするならば、その動脈から生活環境をどう守るか、こういう面が当然考えられていかなければいけないわけですが、こういう面はどこでお考えになっているのですか。
  20. 植木光教

    植木国務大臣 通過車両がいろいろな問題を起こしておりますことはお説のとおりでございまして、たとえば最近の交通事故死傷者数の減少状況を見ましても、この通過車両対策をいたしまして、別の迂回道路をつくるというようなことをいたしましたところでは、死傷者数が減少いたしているということが現実の姿で出てまいっております。したがいまして、そういう施策が必要でございまして、これの担当の省は建設省でございますが、私どもといたしましても、いま申し上げましたようなこういう現実の数値で出てきております交通安全対策設備の必要なものの一つといたしまして、強くそういうものをつくることを要請をし、また建設省は努力をしているところでございます。  ただいま東京都のお話がございましたが、環状七号線は、私も朝晩通っている道路でございまして、大変な交通量でございます。これに対しまして、さらに第八環状線の建設が進められ、大部分完成をいたしておりますけれども、一部分住民等の反対がございまして、まだ完全にでき上がっていないという状況でございます。これはさらに推進をしてまいらなければならないと思います。そしてさらに御承知東京湾岸道路が建設されつつありまして、これが完成をいたしましたならば、しま御指摘のようなものについては もちろん完全ではございませんけれども、ある種の解決ができるのではないかというふうに考えます。  御指摘の点につきましては、もうお説のとおりでございまして、私どもも常々考えておるところでございますので、今後努力を続けさしていただきたいと存じます。
  21. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いま私は、いわば数々の前向きの対策でそういうことが必要なんだ、こう申し上げておるわけですが、先日東京都の交通局がアンケート調査をやったわけですけれども、その調査を見ますと、乗車をする目的というのは六〇%が業務目的、こういうふうに答えておる。さらに、ミニバスの増加を希望するというふうに答えた乗客が九〇・一%あるわけでございます。  そこで、こういうアンケート調査によって、ミニバスというものが相当利用度が高いのではないか、こう考えておるわけですが、この辺の指導は  一体どういうふうにしていかれるおつもりなのか。全体としてやはり乗客、国民の希望に合った方向で、なるべくミニバスを使用することにより道路上の交通混雑をある程度防ぐ、これは時間帯によっては逆な面も出てくるかと思いますけれども、そういう方向も当然考えられていくべきではないであろうか、こう考えるわけですが、いかがでしょうか。
  22. 植木光教

    植木国務大臣 お説のように、ミニバスの持っております有効性と申しますか、これにつきましては、ただいま運輸省東京都と一緒になりまして、協力し合いながら一種のテストをやっております。具体的に申しますならば、各官庁間にミニバスを運行いたしまして、それによってどういうような効果があるかということなどをいたしているのでございまして、今後この効果が十分に発揮できるという見通しがつきましたならば、運輸省といたしましてはミニバス運行について大いに推進をしていきたい、こういう考え方でございますので、御理解いただきたいと思います。
  23. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは、いままでは主として私は警察庁が方針として出されましたいわば総量規制という面からいろいろ御質問を申し上げてきたわけですが、次は安全の面から少し御質問をしたいと思います。  特に、交通事故死が年々減少をいたしておるということは非常に喜ばしいことでございますけれども、しかしながら、まだまだ毎年一万人以上の交通事故死者があるということは、やはりなおざりにはできないわけでございまして、さらに一段の交通事故防止対策というものが急務であるということは当然のことでございます。  そこで、御質問を申し上げたいのですが、警察庁が五十年度の目標として、いわば交通事故死というものを五%削減をさせたい、こういうふうに発表をしておられるわけでございます。御承知のように、昭和四十九年度は、前年度に比較して相当大幅な事故死の減少があったわけでございますから、その後だけに非常に大変だと思いますけれども、これについてどのようにして実現をしようとしておられるのか、あるいはそれらの具体的な対策というものがあろうかと思いますが、それらによってどのような効果があるというふうにお考えになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  24. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 ただいまお話がございましたように、交通事故はこの数年減少しております。しかし、まだ年間死傷者が六十五万人以上に及んでおるということでございまして、これは国民生活にとりまして非常に重大な問題であるというふうに考えておりまして、さらに交通安全対策を充実いたしまして、この交通事故の最近における減少傾向というものを長期的に定着させまして、交通事故をできるだけ減少させていきたいというふうな基本的な考え方を持っております。  そこで、ただいまお話がございましたように、特に交通事故の死者についてでございますが、過去最高が昭和四十五年の一万六千七百六十五人でございます。これを半分に減らすということを目標といたしまして、それには今後毎年五%ずつ死者を減らしていくということを続けまして、今後二、三年のうちには一万人以下にする。その後さらに努力をいたしまして、半減といいますか、八千人台まで交通事故の死者を押え込もうということを考えておるわけであります。そのためには関係の機関及び関係諸団体と十分連絡を保ちまして、総合的な交通規制を推進してまいりたいと考えております。  それから、交通安全施設につきましても、今後さらに計画的な整備をしてまいりたい。また、警察といたしましては、街頭の交通指導取り締まりも強化をいたしますと同時に、交通安全教育等も一層普及徹底をはかってまいりたいと思っております。また、新たに自動車の安全運転センターを設置をいたしまして、運転者対策の一層の充実を図ってまいりたい。  このように、交通安全のためのあらゆる施策をこの目標達成のために結集して、その実現を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  25. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 総合的に交通安全対策実施していただくというのは非常に結構ですが、やはり一つ一つきめ細かく問題を処理していかないと、なかなか実効が上がらぬと私は思うのです。ただ漫然とやっておったら何となく減っていった、交通混雑するほど死傷者が減るわい、こういう問題では大変なことでございまして、総量規制等々によって交通量が適正になってくると、再び事故というものが増加をしていってしまう恐れが出てくると私は思うのですね。  そこで、いろいろ安全施設等がつくられるわけでございますが、そういう安全施設現実につくられて、その投資効果というもののいわば追跡調査をして、そういう安全施設によって従来起こっておったものがどういうふうに起こらなくなったとか、そういうことを当然やってもらいたいということは、前々から何回も私はこの委員会でも申し上げておるのです。一つの安全施設ができた、その施設ができたことによってどの程度効果が上がったのか。前の質問では、どうもそういう調査をやっていないという御返事がこの二、三年前だったかあったと思います。  それでは困るので、実際に国民の税金を使っていろいろ施設をつくるのだから、その施設をつくったためにどういう効果があらわれてきたかということもやはりはっきり把握をして、それによって、効果がいいものであればやはりどんどんとつくっていくということも必要であるし、余り効果のないものであるならば、これはやはり考え直していかなくちゃいかぬ。そういう今後の一つの方策を立てるためにもぜひ必要なんだから、何となく漫然とやってみて漫然と何か減ってきたわいということだけでは困るのですよ、こういうふうに申し上げておいたわけですが、その後そういうことをおやりになっておるでしょうか。
  26. 勝田俊男

    勝田政府委員 各県での実情を申し上げますと、やはり事故の多発場所についてそれぞれの事故について細かい分析をやっております。その際には、道路管理者なりその関係の方と一緒に集まりましていろいろと分析をやっていく。それで、ここには信号機をつけよう、ここは道路を少し削った方がよかろう、それをそれぞれ持ち帰りましてその対策を講じていく。それが全部が実現しておるわけじゃないのですが、われわれの経験から言いますとかなりの数が実現しております。そしてその翌年にそれぞれの地域について、その結果がどの程度出たかということをもう一回見直しております。それをするとかなりの効果が出ている。  信号機につきましても過去においてそういった調査を、いま手元に資料を持ち合わしておりませんが、信号機をつけた場合にかなり効果が上がるというデータはたしかあるはずでございます。それぞれの地域地域によって事情が違うものですから、各県においてはかなり細かくやって、それに伴う予算の要求なり、国の補助金の要求という形で中央に出てきているわけでございます。
  27. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それからさらに具体的に、たとえば警察官が事故の現場に赴いて事故調査を行いますね。これも前に申し上げたのですが、えてして警察官は、道路交通法に違反したかしないかという立場で調査をおやりになる。せっかく調査をおやりになるのだから、そこに交通環境の悪さはなかったかどうか、あるいは信号の不備はなかったかどうか、もう少し見通しがよければこの事故は防げ得たかどうかという面まで、いわば事故を処理することもその処理すること自身交通安全に役立っていかなければ意味はないわけで、事故が起こった、おまえが法規に違反した、けしからぬということだけで終わっておったのでは何ら価値がないと私は思うので、どうかひとつ取り締まりの面も、そういう交通安全に結びつけた方向でやはり考えてもらいたいのです。  それでそのときに、これは片岡交通局長でしたかにも申し上げたのですが、私は実際の警察官の事故調書等も見まして、これでは不十分ではないか、やはりもっと調べなければいけないことがたくさんあると思う。そうしてそれらをデータにとって今後の交通安全に資していくということが総合的に必要なんだ。必要があれば建設省にも要請をして、そして道路担当者にも来てもらってその意見を求めるということも必要でしょうし、そういう面から、お役所のセクト的な問題を乗り越えて、信号の面、道路の状態等々をあわせて考えてもらう。  それには、やはり警察というものは事故が起きればすぐ通報があるのだから、そこへ飛び出していって、確かに道路もいい、見通しもいい、何も影響ないけれども、運転者自身が横を向いておったためにぶつかったという事故も非常に多いでしょうけれども、中には、交通環境そのものを直すことによってその事故が未然に防げ得たと思われる問題が私は当然存在をしておると思うのです。だから、そういう一つ一つのことどもが総合的に交通安全そのものに実りある結びつきをしていく、こういうことがやはり必要なんだ、こう申し上げておいたわけですが、その後どういうふうになっておるでしょうか。
  28. 勝田俊男

    勝田政府委員 先ほど申し上げましたように、第一線においては現在そういった配慮もかなりしつつあると思いますが、われわれの方でとっております統計につきましても、第一線の意見も徴しまして、その事故原因について各種のデータをその中に入れて統計月報を改めて、そういった面からの統計も考えていこうというような方向で進んでおりますが、第一線では、それぞれ個々具体的にはかなり綿密に調査をする方向に向かっているというふうに考えております。
  29. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次に移りたいと思いますが、全体的な予算総理府がいろいろ調整を行って、総額四千四百七十四億円を計上した、こうおっしゃっておるわけですね。そこで私は、建設省分だけを取り出して調べてみたわけですが、建設省分がたしか三百二十二億円ということになっておりまして、対前年比プラス十億円、これだけの予算が計上をされておるわけでございます。物価上昇等を含めれば果たしてこれでどうかという疑問もあるわけでございますが、たまたま総需要抑制策というものが行われておりまして、全体的な公共投資の予算というものは全般的に抑えるという方向の中ですから、あるいはそういう方向だとおっしゃりたいのだと思いますが、交通安全施設そのものは単なる交通安全施設、公共事業の一つという見方よりも、むしろ国民の福祉を増進するという考え方をとるべきではないか。  そう考えていけば、ことしは福祉予算というのは相当大幅に増額をされておるわけでございますから、恐らくそういう考え方は実際上から見ていくと入っていないのではないか、こう考えるわけですが、私は本来的に考えて、一万人以上の方の生命に影響しておる問題なんだから、当然、国民の福祉という面からとらえていくべきではないであろうか、こう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  30. 勝田俊男

    勝田政府委員 仰せのとおり、交通安全施設が人命に関係する面は非常に大きいと思います。交通事故の死亡につきましても、四十年から交通安全施設が五倍以上に伸びているというようなことが非常に効果が上がったかと思います。そういった面からこの予算につきましては格別の配慮をお願いをいたしてきているわけでございまして、五カ年計画のいわゆる特定事業の関係でございますが、総額は六百八十六億円でございますけれども、昭和四十九年度末にはその七六・七%が達成される見込みでありまして、本年度につきましては、五カ年計画の最終年度分として、事業費で百九十一億七千八百万円ということで、全般的には総需要削減ということで抑制されておる中で、わずかでありますが、昨年に比べて事業費の伸びを見ていただいているということでございます。  また、地方単独事業につきましては、五カ年計画の事業費が千五十二億七千万ということになっておりまして、昭和四十九年度末では七百六十六億八千万円で、七二・八%が達成される見込みでございます。昭和五十年度には、地方財政計画上は三百六十五億円が計上される予定でございまして、これは昨年に比べましてかなりの伸びになっておるということでございますので、事業費の面からしますならば、ほかの公共事業抑制という面から見てかなりの御配慮をいただいたというふうに考えております。
  31. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実際から見まして、かなりの増額にはなっていない。したがって、本当にやろうとすれば相当大幅な増額が必要ではないだろうか。ましてや、まだ一万人以上にも及んでいる交通事故死者を絶滅さしていこうという目標でございますから、相当抜本的な対策考えていかないと、いわば自然現象的に交通混雑をしてきて減ってきたという、私が先ほど言いましたようなそういう状態ではないかと思うのですよ。だから再び交通規制総量規制等によって交通がスムーズになってくると、また上昇するということになったら大変でございますから、私はやはり相当神経を使ってこの面は考えてもらわなければならない問題ではないか、こう考えておりますので、今後そういう面から、いわば安全施設という問題は国民の福祉を向上させるのだという考え方に転換をしてもらって、福祉予算だという関係からやはり増額を図っていくべきではないだろうか、こう考えますので、よろしくお願いをしたいと思います。  時間がありませんから急ぎますが、警察庁から出ております「交通警察の運営について」、これに交通警察の運営に対していろいろな方針をお述べになっております。その中で、「交通安全教育の推進」という項の中に「座席ベルト、ヘルメット着用の普及」というのがあるわけでございます。  そこで、このシートベルトについて、現在車両保安基準の中には、車両にはその設置義務が課せられておるわけですが、道交法の中ではその着用義務は実は課せられていない。ただ高速道路走行する場合に運転者のみ着用義務が課せられておる。ところが、これは罰則は何もないわけでして、つけなさいよという程度であるわけですが、実際のシートベルトによる効果というものを本当に警察庁の方は御存じになっているのかどうか、あるいは、その効果が非常に大きいということを知っておりながら、着用の義務づけを怠っておられるのかどうか、あるいは着用率を非常に高めようとしておるのだがなかなかうまい方法が見つからぬと考えておられるのかどうか、この辺についてはいかがでございましょうか。
  32. 勝田俊男

    勝田政府委員 シートベルトにつきましては、その着用の効果が大きいということは各種のデータから見ても明らかであろうかと思います。そういったことから、昭和四十六年に高速自動車道と自動車専用道につきまして、努力義務として着用しなければならない、乗客にもできるだけさせなければならぬという規定を設けたわけでございます。その後、鋭意その努力をいたしておるわけでございますが、残念ながら着用率が非常によくない。昨年高速道路で調査しましたところによりますと、六・二%という状況でございます。これはぜひとも今後事故をなくしていくという意味におきまして、シートベルトの着用をさらに積極的に推進していく必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。  現在車両保安基準で義務づけられており、最終的には本年中にトラックも義務づけられるということになろうかというふうに思いますけれども、現に走っている車という点から見ますと、全部がそういう装備を装着されているわけではないわけでございまして、何%になりますか正確な数字はわかりませんが、二割か三割くらいの車にはシートベルトの着装がないということでございます。一般的に、やはりPRがまだまだ不足している面もあろう、シートベルトをどうしてもつけなくちゃならぬという意識について一般的にはまだまだ高まっていない、こういう段階で、これを罰則をつけて強制するということについてはまだ問題があるのじゃなかろうかというふうに思います。  諸外国の例から見ますと、オーストラリアではシートベルトの着装を義務づけるときには二五%が着装しておった。それから運転者の調査をしますと、七五%がシートベルトをつけることに賛成であるというような調査を得ております。そういった空気を早くつくっていくということが大事だと思います。  そういった面でわれわれの方としましては指導監督をいたしてまいりたい。つまり、初心者の運転免許取得のための指定自動車学校、こういった際にシートベルトをつけるということを習慣づけていく努力をしていきたい。さらに、更新時の講習についてもこういったことについての義務づけをしていきたい。さらに現在法律でも義務づけられている自動車専用道、高速道につきましては、関係機関とも協力をしてぜひつけるようにというPRを進めてまいりたいというふうに考えておりまして、御趣旨の線に沿ってできるだけ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  33. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 シートベルトの効果は非常に高いものでございまして、たとえばスウェーデンのボルボがいろいろ調査をしておるようですけれども、それによりますと、ベルトをつけていない場合は二十キロの速度で走っておっても死亡事故が発生をしておる。ベルトの着用者が非着用者と比べてどういう程度になっているかと言いますと、負傷の頻度は大体二分の一になる。さらに死亡の頻度というのは十分の一だ。こういうふうにいろいろな調査資料からボルボがその調査結果を発表いたしておるわけですね。  そこで、実際にシートベルトの着用を義務づけている国はひとりオーストラリアのみならず、ニュージーランドだとかフランスだとかプエルトリコだとか、大変このごろふえてまいっておりまして、特にことしじゅうに義務づけをしたいと検討している国々もスウェーデン、アメリカ、イギリスというふうに逐次ふえてまいっております。これらはシートベルトというものが交通事故から命を守るという点からも、負傷を防止するという点からも、相当効果があるということから各国ともやっておるわけです。  さらにまた、いま申し上げました義務づけをしておる国々では、それぞれ実は罰金を科しておるわけでございまして、オーストラリアは大体二十ドル、フランスは四十から八十フランというような、日本の金に直しますと五千円から八千円というような罰金を実は科しておるわけです。本当は罰金というのは余り好ましい方向じゃありませんが、全体的にやはり着用を確実に履行せしめるという点からは半面やむを得ないのがあると思いますが、いずれにしても生命を守るという重大な任務があるわけですから、この辺はもっと積極的にやはりPRなり働きかけなりをしていかれるべきではないだろうか。  私も高速道路をよく走りますが、少なくとも対面交通で見ている限り、相手方の車がシートベルトをしておるというのはほとんど見当たらないのです。もちろん、二点ベルトと三点ベルトとありますから、三点ベルトでないものは対面交通では確認できませんが、むしろ三点ベルトでないとなかなか本当の効果があらわれないという面もありまして、これはもう少しやはり認識を新たにしていただいて、なるべく早い機会に着用を義務づけられる、いわば道交法を改正するのだという方向考えていただきたい、こう思います。最後にその件についてお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  34. 植木光教

    植木国務大臣 いまお話のように、シートベルトの着用効果というものは私どもも深く認識をいたしておるのでございまして、運輸省及び警察庁においてそれぞれ、保安基準あるいは道交法の面からその義務づけの強化が行われてきているということは御承知のとおりでございます。ただ、いまお説の罰則を付するということにつきましては、運転者本人の生命を守るべきものであって、本人の自覚によるべきであるというような議論等もございまして、まだそれが制定されていないという状況でございまして、この点については今後関係省庁検討を進めてまいりたいと存じます。  さらに先日、各省庁の局長にお集まりいただきました際に、このシートベルト着用問題についてもいろいろ意見の交換をいたしました。すでに道路情報センター等は、安全ベルトをつけましょうということをPRいたしておりますけれども、政府みずからももっと積極的にやるべきであろう、やろうということになりまして、たとえば高速道路のゲートに大きく安全ベルト着用の標識を立てるとか、あるいは政府の広報、ラジオ、テレビ等を活用いたしまして、これで着用を皆さん方に訴えていくというようなことをさしあたりやろうということになっておるのでございまして、御指摘の点、十分に私ども認識をいたしておりますので、今後とも努力を続けてまいります。
  35. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。      ————◇—————
  36. 下平正一

    下平委員長 内閣提出自動車安全運転センター法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、 これを許します。片岡清一君。
  37. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、ただいま議題になりました自動車安全運転センター法案について若干の質問をしたいと存じます。  まず、その法案の内容に入ります前に、ただいま私の先輩の加藤委員からもお話がございましたが、長官にあるいはまた交通局長に、私、あらかじめ統計などを用意していただくように言ってなかったものですから、あるいは統計的にはちょっと言いにくいかと思いますが、ただ皆さんそれぞれの感じでお答えを願いたいのです。  最近、非常に交通事故が減ってまいりました。この減ってきたのはどこに大きな原因があるのか。これはいろいろあると思います。交通安全対策は三つのEで、教育やらあるいは取り締まりやらそれからやはり技術方面、こういういろいろの面から総合的にやるべきだということが一般の常識でございます。そこで、この三つのうちのどれが一番大きな効果をあらわしたかということをひとつ、勘でと言うとはなはだ恐縮ですが、感じで言っていただきたい。  一体、いろいろ人間の心の問題、運転をする人の心がけの問題、道を歩く人の心がけの問題、そういう精神的な要素と、大きく分けて物質、物の施設の問題、これに警察の取り締まりが加わるわけですが、この物と精神的な要素と二つに分けたときに、どっちが主であるか。いままで交通安全で大変金がかかるのは、これは道路やらいろいろな面で物の施設に大変金がかかるわけです。ところが、道路施設に余り金目がかかるから、そのものがもし余り効果がないとすれば、それに大きな予算をかけてやることについては、かなり問題がある。  こういうことで、これをひとつ十分究極的に科学的、技術的に詰めていただいて、どれがどれだけの効果があるということが言い得るのか、そういう何か一つの調べでもございますか。昭和四十五年以来交通事故が減ったということは、これは大きな私は成果であったと思いますが、どういうところに一番大きな効果があったのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  38. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 御承知のように、交通事故が過去五年、死者や負傷者は過去四年、連続して減少してまいっておりますが、特に昨年は二〇%以上の死者の減少というようなことで大変大きな成果を上げました。  その原因といいますか理由というものを、ただいま私としてはデータで科学的な分析をもってお答えすることはできませんが、私の考えておるところを申し上げますと、やはりこれは交通安全施設を中心にした官民の、といいますか、政府と民間の、あるいは地方自治体の大変な努力がここに至って実を結んだ。それは施設だけ——施設が目に見えて金もかかりますし目につくわけでございますけれども、同時に、この交通戦争に対応して一人でもこれを救済し、一人でも減らさなければいかぬというような気持ちが結集しまして、それでこのような成果に結びついた。だから、私はやはりそういう意味で、まあいま先生三つのEというお話ですが、やはりこの金を非常にかけたということ、それから交通事故防止にあらゆる層の人が立ち上がった、国民総ぐるみで努力したという結果だと思うのです。  ただ、今後これをさらに減らしていくというためには、もちろんいままでの努力をさらに続けていく、安全施設、これは手を抜けば事故がまたふえるという要素、そういうふえる要因がたくさんあるわけでございますから、この努力を怠ってはならないと思いますが、しかしまた、何といいましても、最終的には事故を起こすのはドライバーでございますから、この一人一人のドライバーが安全運転を確実に忠実に守れば、これは大部分の事故がなくなるということは考えられるわけでありまして、そういう意味で、やはり運転者に対する事故を起こさないための施策というもの、それは警察サイドにおきましても、考えてみますと、反省をしてみますと、いまだ必ずしも十分でなかった面があるのではないかというふうに考えますので、そこら辺はもう少し強力に推進をしてまいらなければならない、このように考えておる次第でございます。
  39. 片岡清一

    ○片岡委員 私も大体同感でございまして、これは施設だけではいくものではないし、またこれはドライバーが注意をすればほとんど大部分が解決のつくものだということでございますが、ただしかし、人間というものはそう機械ではございませんので、精神状態がいろいろな状態にあるというときを考えますと、これに一〇〇%信頼を置くというわけにはいかぬと思います。  そこで私は、非常に急激に事故が減ってきたというのは、分離交通、人間と車というものを分けたということが、やはり一番大きな一つの原因ではないかと思います。そういう意味で、私は今後さらにこういった分離交通の原則に従って、高速道路あたりをぜひ早く整備してほしいという感じがするのでございますが、ただ、残念なことには、総需要抑制で公共事業は大変抑えられて、高速道路が大変おくれるようになったことはこれは残念でございます。しかし、それは全体の調和の立場からもやむを得ぬことと存じます。したがいまして、私はやはり残る問題は、何といっても自動車の安全運転ということに対してより多くのウエートをかけて進んでいく、こういうことが大事だと思うのでございます。  そういう意味において、今度自動車安全運転センター法案を出されて、ここに新しい施設をつくられることは、私は一つの大変よいアイデアだと思うのでございます。  そこで私は、自動車はみずから動く車だと書くけれども、しかし自動車はあくまで人が動かす人動車であるということがたてまえであると思います。いまお話のように、車を運転する人の安全運転交通安全の基本である、こういうことが言えると思うのであります。  ところが、運転者と取り締まる警察官との間の、いわゆる取り締まる者と取り締まられる者との関係、これはいままではいわば敵対関係と言いますか、比喩が余り適当ではございませんが、ネコとネズミの関係みたいな関係になりがちでございます。ところが……(「ネズミ取りだ」と呼ぶ者あり)だから言葉は余り適当ではございません。何も運転者をネズミにしたわけではございません。交通取り締まりというものは、本来やはり罪人をつくることが目的でなしに、交通安全を維持して車の流れを円滑にしていくということが、これが取り締まりの一番根本的な任務であると思うのでございます。と言って、それなら警察がやたらににこにこして、やわらかい態度をとっていくようにする、取り締まるときの態度はやわらかくあってほしいのでありますが、何もかも皆やわらかくなってしまったのではネズミもとらぬネコになってしまって役に立たぬ、こう思うのでございます。  そこで私は、警察官が余り表の芸としてやわらかくなり過ぎると困るから、そこで裏芸として何か一つ機関をつくって、そして警察も非常にサービス心を持って、運手者の立場考えながらやっているのだということをあらわす何か一つの施設がほしいということを考えておったのですが、この意味において、このセンターの設立の意義は大変私は画期的な意味を持つものであり、片方では厳しい取り締まりをするが、片方では衣を着て、そうして運転者にサービスをして、今度またあなたがやるとえらい処罰を受けることになるから注意しなさいと言ってやる、そういったようなことからこのセンターの発想が出たと思うのでございます。  私はそういうような取り方をしておるのですが、そういう意味長官は、このセンター設立の趣旨が何であるか、その効果をどういうふうに期待しておられるか、そういうことについて簡単にひとつ御所見を承りたいと思います。
  40. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 先ほども申し上げましたように、四十九年中の死傷者は六十五万人以上ということでありまして、警察といたしましては安全施設整備、指導、取り締まりの強化はもちろんでございますけれども、やはり何といいましても運転者の資質の向上、安全運転の徹底ということが一番大切である。  しかしながら、ただいまも若干お話がございましたが、交通警察の日常業務が、交通の指導、取り締まりあるいは機動警らあるいは事故処理ということに非常に時間をとられまして、なお休みもとれないというように非常に忙しいのが現状でございますが、いま申し上げた運転者対策につきましても、警察といたしましては、免許の試験、あるいは違反事故を起こした運転者に対する行政処分という面に重点が置かれまして、運転者の利便の増進あるいは優良運転者の賞揚ということによりまして安全運転に対する関心を高めるというような、いわゆるサービスの面におきましては、従来必ずしも十分ではなかったと考えるのでございます。  このような点を補完いたしますために、今回センターを設立をいたしまして、運転免許を持っておるドライバーに対しまして累積点数を知らせて、ひとつこれからはさらに一層慎重な運転をしなさい、あるいは経歴証明をする、事故証明をする、あるいは必要な対象者に対しまして運転研修をやるというようなことを実施をいたしまして、交通事故防止及び運転者の利便の増進に大きく寄与をいたしたい、このように考えておりまして、こういう点での事故防止上の効果がきわめて大きいものがあるというふうに期待をいたしておるところでございます。
  41. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、ただいま長官が言われたように、また私がさきに申しましたように、警察と表裏一体の立場にあることによってこのセンターの存在理由があるのだとは思うのです。ところが、世に批判をする人は、何だ、去年運輸省事故対策センターができたものだから、今度はそれに対立して警察でも何かそういうものをつくらぬとおもしろくない——おもしろくないと言ってははなはだ失礼ですが、そういうことでつくられたものではないか、さらに皮肉を言う者は、警察のOBの受け皿をつくったのじゃないかというようなことを言う人があるのでございます。  これに対して、やはり警察側としては、そうでないのだと言って、そうならそうでやむを得ないのですが、そうでないのだというレーゾンデートルをはっきり国民に知らしていただくことが大事だと思うのです。そうでないと、私はこれはそれぞれの立場からの存立理由があると思うのですが、ただしかし、同じような仕事をするのだから、自動車事故対策センターと何か合併して、それで一緒になってやった方がよけい意味があるのじゃないか、よけい仕事ができるのじゃないか、こういう考え方もあると思います。  これらの問題について、長官でも、あるいは交通局長でも、どなたでもいいのですが、ひとつ御所見をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  42. 勝田俊男

    勝田政府委員 設立の趣旨につきましては、ただいま長官からお話のありましたとおりでございまして、われわれまさにこのセンター交通事故防止について大きな役割りを果たしてくれるものというふうに期待いたしているわけであります。     〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕  なお、自動車事故対策センターとの関係でございますが、先生承知のように、自動車事故対策センターにつきましては、事業用自動車の運行管理者に対する指導、講習、事業用自動車の運転者に対する適性診断、交通遺児に対する資金貸し付け、こういったことを主たる業務としているのに対しまして、このセンター警察庁の電子計算組織による資料の活用によりまして、処分直前の運転者に対する通知、運転経歴等の証明を行うとともに、交通事故の証明、免許の取得者に対する運転研修、こういったことを行うことを主たる業務とするものでございます。業務の内容は異なっており、合併にはなじまないものだというふうに考えております。しかし、目的はやはり交通事故の防止という共通の目的を持った法人でございますので、それぞれの分野において特徴を生かし、役割りを果たしてまいりたいと考えております。
  43. 片岡清一

    ○片岡委員 ただいまの御説明で、やはりそれぞれ独立の存在理由があるのだということについては一応の理解をいたしたのでございますが、ただしかし、私は大変関係が深いと思いますので、合併するということはなかなか大変でございましょうが、少なくとも業務の上においては常に緊密な連絡をとりながら有無相通ずるということが大変大事な点でなかろうかと存ずるのであります。ことに、適性検査等についての連絡、こういう点については、特に私はあとからお伺いしたいのですが、していただきたい、こういうふうに思います。  いまのは事故センターとの関係でございますが、もう一つ同じ警察庁で指導しておられる機関に、これは大変古い歴史を持ち、伝統を持っておるところの交通安全協会、それからさらに指定自動車教習所がたくさんできてから、これを統括する協会ができております。それぞれこれは交通安全につき、また安全運転について非常な努力で教育をし、訓練をし、そしていろいろな資料を出して交通安全のために大変な成果を上げてきたりっぱな団体であると存ずるのでございます。  ところが、今度こういうものができますと、私は、たとえば一番心配になるのは、安全運転についての調査研究をするということになっておりますが、調査をすれば当然資料が出てくる、あるいはまたその指導書が出てくる、こういうことになるのです。ところが交通安全協会ではそういった一般的な交通安全の指導書あるいは教育資料といったようなものをつくって一つの財源にしておったということだと思いますが、そういう点で、両方でお互いにいがみ合ったり、あるいはダブるようなことになって何かおもしろくない結果が出るのではないかということが心配せられるのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  44. 勝田俊男

    勝田政府委員 先生も御承知のように、交通安全協会あるいは指定自動車教習所、これはそれぞれ、安全協会につきましては、交通安全思想の普及宣伝ということで大変な効果を上げていただいておるわけでございます。今日の交通事故の減少の一因もこういった普及活動が貢献しているところ非常に大きいと思いますし、指定自動車教習所における初心者の訓練というものも非常に効果があったと思います。  ただ、このセンターの業務は、先ほど申し上げましたような業務でございますので、業務そのものについて直接重複することはなかろうというふうに考えております。また、先生が御質問になりました調査研究の問題でございますが、これはいろいろと調査なり研究をして安全運転に資するための調査研究をやるということになりますが、これが直接現在安全協会がやっておられるいろいろな講習そのものに重複するということではなしに、いろいろな面でむしろ御利用いただくというふうな形にお使いいただけるのではなかろうかというふうに考えております。     〔勝澤委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 片岡清一

    ○片岡委員 御説明によりまして大体わかりますが、それぞれ三つのものは非常に相似ておる仕事を同時にやるのでございますから、これは警察庁の指導よろしきを得ればそんなことはないと思うのでありますが、十分ひとつお互いに反発し合うことではなしに、お互いに相協力し合って二乗、三乗の効果があらわれるようにうまく指導していただきたいと思います。その点を強く要望しておきたいと思います。  これから私は、この法案の内容について二、三お伺いしたいと思いますので、時間の関係からひとつできるだけ簡単にお答えをいただければありがたいと思います。  法第四条の規定によりまして、センターは、一を限り、設立されるものとする、第五条によって、政府出資により資本金五千万円だということになっております。このセンターは中央に一つだけつくるのか、それとも将来地方にも出店のようなものをおつくりになるのか。そうなると、出資金五千万円だけではとても物の用に立たぬと思うのであります。もちろん規定の中には、将来政府の出資がふえる場合には資本金として繰り入れていくということが書いてありますので、これは恐らくそういうことも予想せられるのだろうと思います。  ただ私は、このセンターを運営せられるのに、経常費をどういう財源をもって運営していかれるのか、それの説明が余りなされておりません。そういうために一体これが収支相償うのかどうか、それからこれが将来何らかの原因でだんだん赤字財政になったときには、結局これがまた国の負担になるのじゃないかということが私は心配せられるのでありますが、それらの見通しについてひとつ明らかにしていただきたいし、その内容についてひとつ御説明いただきたい。  と同時に、これは恐らく証明書をいろいろ発行される、そのときに手数料をお取りになるのだろうと思いますが、そういうものが必要な場合には、それは何かこの規定の中に手数料を取るのだということを書いておく必要があるのじゃないかと思うのですが、私は余り法律の専門家でないのでわかりませんが、その点の御説明、並びにこの資本金は政府から出るということになっていますが、政府からだけでなしに、あるいはいろいろの関係の民間の団体なりあるいは機関から出資をしてもらうというようなことが必要になるのではないかという気もいたしますが、それらの問題もあわせて、どういう方針でおられるのかということをひとつ伺いたいと思います。
  46. 勝田俊男

    勝田政府委員 センターは一を限って設立されるわけではございますが、これは統一的に運用されるということが必要だろうということで一を限って設立されるということでございまして、各府県にそれぞれ事務所を置くわけでございまして、五十一の事務所を置きたいというふうに考えております。  資金の関係でございますけれども、国は出資金として五千万円を出資する、それだけでできるか、財源はどうするのだというお話でございますが、この五千万円につきましては事務所借用の保証金という形に充てられるというふうに考えております。  センター予算につきましては、認可予算ということになりますために初年度予算については現在検討中でございますけれども、予算折衝時の一応の試算では、五十年度が三億五千万程度、平年度十億程度考えております。  収入といたしましては、交通事故の証明書は年間百三十万件くらいになるのではなかろうか。運転経歴証明書、これは年間三十二、三万件というふうに考えております。こういった交付手数料などを予定をいたしているわけでございまして、こういった点から見まして安定した運営が行われるものというふうに考えております。  なお、当初におきましては初度の備品等もありますために、自賠責の滞留資金の運用益から支出について協力を得るよう検討を進めているところでございます。  なお、民間からの出資につきましては、この組織の特性上、出資するということの影響が後にまでわたるということを避けるために民間からの出資については受けないという方針でございます。
  47. 片岡清一

    ○片岡委員 自賠法からの援助をもらうというような場合、これは何か規定に書いておかなくてもいいのですか。国の資本金だけと書いてあるのですが、それはどういうことになるのか。それからさっき申しました事業収入として証明書の手数料を取るというようなことも書いておく必要があるのではないかという気がするのですが、それをもう一遍御返事願いたい。  それと、いま手数料収入で収支相償うのだという御説明ですが、ほかの委員の方もこれは一体うまくいくのだろうかというふうに御心配になっている点がありますので、収支予算、こういうものをやはり各委員の方に後から配っていただいた方がいいのじゃないかと私は思いますが、委員長、そういう手続をお願いしたいと思います。
  48. 勝田俊男

    勝田政府委員 資金計画につきましては、計画書を作成をする、そして認可を得るということになっておりますので、その事業計画書に書き込まれる。ただいま申し上げましたような自賠責の益金の受け入れというようなものについては、そこに書き込まれるという形になるかと思います。  それから手数料等につきましては、業務方法書に書き込まれて、これも国家公安委員会の認可を得るということで手数料を取り得るということになるわけでございます。
  49. 片岡清一

    ○片岡委員 それではさらに法九条によりまして、センターを設立するに当たっては、道路交通に起因する障害の防止について識見を有する人七人以上が発起人となってつくるのだと書いてありますが、この発起人はどういう人を選ぶ予定なのか、いま何か御予定があればひとつお漏らし願えばよけいこの本質がわかると思うのであります。  そしてまたその役員に、何か数がここに書いてございますが、資本金が小さい割りに理事の数が多かったり評議員の数が多かったりするような気がするのですが、これは多過ぎることはありませんか。一体やっていけるのですか。理事の手当なんかよけい出すことになり心配ですが、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  50. 勝田俊男

    勝田政府委員 認可法人ということでございまして、民間の発意によって認可を受けて法人として成立するということでございます。したがいまして、発起人はそういった有志の方にお集まりをいただいて発起をしていただくということになろうかと思いますが、この法律にございますように、道路交通に起因する障害の防止に識見を有する人、さらにこのセンターの業務との関連ということを考えてみますと、交通管理なり運転者管理について識見を有する方々、それから運転者心理、交通工学などに関する専門家あるいは運転者教育に関して識見を有する方々、その他交通評論家、こういった方で、センターの趣旨を理解し、その目的を推進する熱意のある方が当たられることになろうかというふうに考えております。  警察庁におきましては、従来から交通警察関係につきまして造詣の深い方々にときどきお集まりをいただき、そのときどきの問題につきまして御意見を伺っているわけでございます。交通警察懇談会というような形で御意見を承っているわけでございます。いま申し上げたような専門家の方々がそういった懇談会のメンバーにも入っておられるわけでございまして、こうした懇談会につきましてもこのセンターについても強い関心を示されているということでございますので、これらの方々が中心になって発起人会が構成されるというようなことになろうかというふうに考えております。  なお、役員につきましては、当初は発起人でもって理事長と監事については推薦されるということになりまして、その他の役員については理事長が任命されるということになると思いますが、それぞれ適任の方が選ばれることになろうかと思います。  役員の数につきましては、センターの業務の内容あるいは同種類の規模の法人と比較してみまして多くも少なくもない、まあ適当な数であろうというふうに考えております。
  51. 片岡清一

    ○片岡委員 われわれは本当は、この発起人は一体どういう人がなるのか、やはりその人ずばりをお伺いしたいという気持ちはあるのですが、しかしまだ法律案ですから、これから通るか通らぬかわからないのにそんな先走ったことを言ってくれと言うのも無理かと存じますので、大体いまの御説明で了承いたしたいと思います。  次に、法第二十九条第一項第一号の業務の内容についてちょっとお伺いしたいのですが、第一号のその旨を書面で通知するという通報でございますが、どういう場合にどういう通報をするのか、それを簡単にちょっとお伺いしたいと思います。
  52. 勝田俊男

    勝田政府委員 現在行政処分につきましては点数制度をとっておるわけでございます。それで全然処分歴のない方につきましては、六点になると停止処分になる。処分歴が一回ある方につきましては四点になると停止処分になるということでございます。そこで、処分歴のない方につきましては、点数が四点、五点に達したときに、今度違反をすると処分になりますよという趣旨で注意を喚起する、処分歴一回の方につきましては二点ないしは三点になったときに通報をする、それによって注意を喚起する。  実は試験的にこういうことを福岡県でやってみまして、その効果でございますが、通知をした人と通知をしない人との間につきまして、違反については一五%ぐらいの差がある。通知をされた方の違反が少ない。事故につきましては一二・五%の差がある。ごく一部分の調査でございますから全般的なことは直ちに判断できないとも思いますが、やはり相当な効果があるものと期待いたしております。
  53. 片岡清一

    ○片岡委員 それでは次に、二号による運転経歴証明書でございますが、この証明書というものは本人の意思に反して悪用されるという場合を考えますと、これはいろいろの場合があると思います。そこで、これはちゃんとやはり本人でなければ取れないようにすることが必要であると思いますが、ただ委任状を持って行ったときにどうするのか、またそういう場合にその秘密がどういうふうに保たれるのか。事務をとっている人たちにも守秘義務があるのだろうと思います。今度認可法人になったのもやはりそういうところに意味があるのじゃないかという気がいたしますが、それらのことについて内容を考えておられることをお示しいただきたいことと、さらに運転歴ないしは後から当然事故歴も中に入ると思いますが、これがせっかくセンターによって運営せられるのでございますから、これをもっと交通安全に役立つように利用する、こういうためには、やはり保険との関係をいますぐ私、考えてほしいと思います。たとえば自賠法での保険、これについても、しょっちゅう事故を起こしておる人はやはり掛金を高くするとか、事故歴のない無事故運転の人には掛金を軽減するといったようなことができれば、私は非常にいいと思うのですが、自賠法は車本位になっておるようで、これが運輸審議会でもぜひひとつ事故歴を考えながらこの保険掛金の増減、軽減等について運用のできるような何か仕組みを考えてほしいということ、多分運輸審議会でも話があったと思いますが、この自賠法関係で一体それができないのか、できるのかということを運輸省保障課長にお伺いしたい。  と同時に、さらに任意保険、これは私は後から申したいのですが、任意保険というのはもっと広くやるべきであるという考え方ですが、この任意保険の中には、ぜひ一つこの運転歴、事故歴を利用して、本人が自分は事故歴がないのだということの証明をもらってくれば、このことによって保険掛金を軽減されるというようなことが本当に行われる、はっきり行われるということになれば、私は、このセンターの仕事がよけい大きなメリットを持ってくると思うのでありますが、そういう点で、どういうふうに、大蔵省の保険部長さん見えておるようですが、現在どういうようなことがそういう点に関して行われておるのか、また、将来さらにこれを研究してやる意思があるのかないのか。これはアメリカあたり、その他の国でも大変やかましく言われております。アメリカのアメリカン・オートモビル・アソシエーション、AAAというところなんかでは、自分で保険をやっておる。そして、しょっちゅう事故を起こしておるために、普通の任意保険では入れてくれないという場合には、そのAAAがかわって保険契約をしてやるというふうなことまでやっておるようでございますが、そういう点についての考えを伺いたいと思います。
  54. 勝田俊男

    勝田政府委員 運転経歴証明業務についての保秘の問題でございますが、保秘についてはわれわれも細心の注意をもって当たりたいというふうに考えているわけでございます。証明書の申請は本人に限るということにいたしておりますし、その実効を期するために、センターに直接申請がある場合には、免許証で本人を確認をいたします。それから郵便局利用の払い込み通知票による申請、本人の便のためにそういうことも考えておりますが、本人の有印の申請書を必要とするということ、交付は本人の住所地に封書で発送するという措置を講ずることにいたしております。したがいまして、こういった文書を偽造して申請をするというようなことになりますと、有印私文書偽造罪、封書を開披した場合には信書開披罪というようなことで秘密が保たれることになろうかと思います。委任を受けてまいった場合には、証明書を出すことになりますが、委任を十分に確認した上で間違いのないように処理をいたしたいというふうに思っております。
  55. 深川弘

    ○深川説明員 お答え申し上げます。  私ども所管いたしております自賠責保険に事故歴を反映させて、保険料の割り増し、割引といったようなものに活用できないかという御質問に関しましてお答え申したいと思いますが、先生承知のように、この自賠制度は、そもそも被害者の保護というものを主眼に発足できました制度でございまして、そのためには加害者の被害者に対する賠償責任をだれに負わせるのが一番適切かということがいろいろ論議されたわけでございます。そうした場合には、当然、車を運転する運転者が相手に損害を与えたのだから、それを賠償するという形にするのが民法の通常の原則であるわけでございますが、しかしながら、やはり車というものが非常に普及いたしておりまして、しかもそれなりのメリットを受けておるという段階におきまして、そういう車を運行させることによります利益を享受する者、あるいはまたその車の運行について支配権を持つ者に本来それ相応の責任を持たせるのが妥当ではないかという議論が非常に強く出てまいりまして、これがいわゆる車の保有者責任の強化ということでもちまして、自動車損害賠償保障法第三条に、保有者の責任を通常の民法原則よりもさらに挙証責任を転換する等強化しておるのが、現在の制度になっておるわけでございます。  これはもちろん、たとえばオーナードライバーの場合のようにみずから車を持ち、みずから運転する場合には両者が一致するわけでございます。しかしながら、現実には職業運転手としてその会社あるいはその団体等に雇われまして、いわゆるお抱え運転手として運転しておる方もたくさんおられるわけでございます。そういう場合に、やはり事故の賠償責任というものを、当然その利益を享受する会社等に負わせるという形でできたのがこの制度でございます。  したがいまして、そういうことと相まちまして、被害者保護のためには、やはりその賠償責任というものを十分カバーできるようにということでできておりますこの強制保険制度は、車単位ということになっておるわけでございます。そういう観点から、車単位の保険でございますので、その車が事故を起こせば、車の持ち主が運転しておって起こした事故であっても、あるいはそのお抱え運転手に運転さしておった場合でも、場合によれば人に貸してその軍が事故を起こした場合にも、これはやはり車の保険から支払われるということでもちまして、被害者保護に万全を期するという体制をとっておるわけでございます。  そういうことでございますので、確かに気持ちの上からは、事故を起こす人と起こさない人との間にその保険料に差をつける方が公平ではないか、またあるいは事故抑止に効果的なものも期待されるのではないかという議論がしばしば出てまいるわけでございますが、そういう点いろいろ検討はいたしたわけでございますが、やはり被害者保護を主眼とするこの制度におきまして、事故を起こす運転者というものを中心に考えてメリット、デメリット制度を導入するということは、自賠制度としては非常にむずかしい問題があるというので、いろいろ検討したわけでございます。  時間が長くなりまして大変恐縮でございますが、そうした場合に、じゃドライバー保険にすべきかという点は、先ほども申し上げましたような観点から、むしろ現在の制度が、現在の損害賠償保障体系上、企業者責任を重視してそういう賠償能力のある、その車を保有し、それを運行支配し、その利益を享受する者にかけておるという点から出てきております点、なかなか調和をするということが非常に困難なのが実情でございます。  それでもう一点申し上げさせていただきたいと思いますが、その場合、確かに事故を起こした人について高い保険料、起こさない人に安くということは、これは公平の観点からしごく当然に思われるわけでございますが、現実には事故を起こします人はごく一握りの者でございます。そういう観点から、こういうメリット、デメリット制度を導入するということになりますと、大部分の人が割引ということになるわけでございまして、そうすると、もともと割引を受けるためには非常に高い保険料を最初から設定して、そして事故を何年間か起こさないでいて、そして本来に近い安い保険料になる、こういう形になるという面も出てまいりますので、そういう観点から、直ちにいまの自賠制度にこういったメリット、デメリット制度を導入するということについては、関係各省いろいろ検討はいたしたわけでございますが、現状ではなかなかむずかしいという状況になっておるところでございます。  なお、任意につきましては、所管しております大蔵省の方からお答え申し上げることと思います。
  56. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  任意の自動車保険につきましては、メリット制、デメリット制が採用されております。このメリット制と申しますのは、無事故割引制と申しまして、過去一年以上連続して保険金の支払いがなかつた場合に保険料を割り引く制度でございまして、一年無事故の場合には一割、それからだんだん逓増いたしまして、五年無事故の場合には五割というような形になっております。またデメリット制は、過去一年間に事故を起こした場合に、たとえば三件起こした場合には二〇%割り増しをする、五件であれば一〇〇%割り増しをする、こういう制度でございます。  ただ、この場合の事故はただいま申し上げましたように 保険金を支払った事故でございまして、保険金を支払うに至らなかった、いわば交通違反についてはいまのところ制度として取り入れられていないわけでございます。これは先生が先ほど御指摘のように、実はアメリカにおきましてはこういう保険金を支払った事故とそれからそれに至らなかった違反と両方含めましてメリット制、デメリット制を適用している場合が少なくないわけでございます。  日本の場合には、残念ながらいままでのところこういう違反につきまして的確なデータがとれませんでしたので、適用されていなかったわけでございますけれども、こういう交通違反と申しますものは潜在的には交通事故につながる、こういう保険金の事故につながるわけでございますし、これを制度に取り入れるということは非常に意義のあることじゃないかと私は思っております。かたがた交通事故防止にも非常に役立つと思われますので、今後センターにおきましてそういうような事務が取り扱われることになりますとすれば、任意の保険制度につきまして積極的に取り入れを検討してまいりたい、このように考えております。
  57. 片岡清一

    ○片岡委員 ただいま一番最後の大蔵省のお話のとおり、こういう制度がせっかくできたのですから、ぜひひとつ前向きにアメリカのやっているものなんかも十分よく御研究になって、積極的に御指導をいただきたいということを私は強く要望いたしておきたいと思います。  自賠法については、これは被害者保護に徹するか、それともやはり運転者の自覚を促して交通安全の立場考え方をもっと前面に押し出すべきか、これは大変むずかしいところでございますから、自賠法ということからあるいは今日のやり方以外にないのじゃないかということでございます。そういう点について十分いままで研究されたことと思いますので、一応了承いたして、任意保険についてはぜひひとつそれを御採用いただくようにお願いしたい。  ついででございますが、運転事故歴はあっちこっち振り回されると本人のプライバシーにも大変傷がつくことになりますので、大変重要な問題だと思います。ただしかし、バス運転手とかあるいはタクシー運転手、こういう公衆のための公の運転業務の採用については、ぜひセンターから運転歴をもらってくることを義務づけるということが大事なんじゃないかと私は思います。これはもう多くの人たちの人命にかかわる問題ですから、公共的な運輸機関の運転者に対してはぜひそれを実行していただきたいと思いますが、これに関してどういう考えを持っておられるか、長官でも局長でもよろしゅうございますが、ひとつお聞かせ願いたい。
  58. 勝田俊男

    勝田政府委員 個人タクシーの免許等については、過去に無事故無違反の証明が入り用でございます。われわれといたしましても、本人の申請に基づいて出すわけでございまして、その業態に対する監督は所管ではございませんが、公共機関についてはそういった方が運転することが望ましいというふうに考えます。
  59. 片岡清一

    ○片岡委員 運輸省の方に来ていただかなかったので、その問題は詰めようと思っても詰められませんが、ひとついまお話しのように、少なくとも私はバス運転手あたりはぜひ運輸省お話をくだすって、ダンプカーはちょっと無理かもしれませんが、少なくともバス運転手についてはこれを義務づけることが大事なことだと思いますが、警察庁長官、そういうことについてどういうお考えを持っておられるか、運輸省に対して交渉される意思があるかないか、それをちょっと一言お願いしたいと思います。
  60. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 交通事故防止のために公共輸送機関運転手に対してこれを義務づけるかどうかということは、事故防止の効果から見ますと非常に有効な方法であると考えますが、また反面、先ほど申し上げましたように個人の経歴でございまして、本人の申請にのみかかわらしてこれを発行するというように非常に慎重な方法でこの発給を考えておる立場もございますので、その点をよく彼此検討いたしまして、なおまた運輸省等主管省からもよく意見を徴しまして、御趣旨の線を十分に考えながら結論を出したい、このように考えております。
  61. 片岡清一

    ○片岡委員 大変くどいようでございますが、私は公衆輸送機関については、これにある程度の強制力を持つようなことが大変大事だと思いますので、前向きにぜひ御検討願いたいと思います。  それから、もう時間も大変切迫してまいりましたが、交通事故の証明の問題は全面的にセンターに移してしまわれるようですが、移管してしまうのかどうか。もしそうだとすると、これから公の機関同士でその証明を必要とする場合、これはやはりセンターに頼んで出すということになるのか、その辺のことをちょっと簡単に御返事を願いたい。
  62. 勝田俊男

    勝田政府委員 事故証明については、一応現在、一般の方々から要望されておるものにつきましては、全面的にセンターに移したいというふうに考えております。また、その方が一般の方にも利便になるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  それから、官公庁からの照会につきましては、官公庁間の協力義務というような形で、従来どおり警察で出すということになろうかと思います。
  63. 片岡清一

    ○片岡委員 それからこの業務のうちの第四号にあります自動車の運転に関する研修でありますが、これはどういう場合に行うのであるか、これをひとつ具体的に説明していただきたい。いま警察では道交法の違反者の処分を軽減するために講習をやっておられると思いますが、これとの関係はどういうふうになるのか。それからまた研修の場所を別にやるのか、あるいは各都道府県にこうした研修場所を別々にやるとすればつくらなければならぬのですが、これには相当の金がかかると思いますが、どういうふうに考えておられるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  64. 勝田俊男

    勝田政府委員 研修業務の内容でございますけれども、警察とか消防とか救急あるいは電気事業、ガス事業、保存血液の応急運搬、こういった緊急自動車を運転する人々についての研修、あるいは高速道路において自動車を運転する業務に従事する者についての研修、その他自動車の運転に関し高度の運転の技術を要する者についての研修ということでございまして、処分者講習とは特別の関連はございません。  その中身としましては、そうした高度の技術ということでございますので、不整地運転とかスキッド、スリップするような状態をつくっておってそこで安全に運転できるかどうかといったような訓練、あるいは危険回避運転訓練、こういった訓練の技術と理論について研修を行いたい。第二に、青少年の関係でございますが、最近の青少年はスピードのみに関心を持ちがちであるというようなことでもございますので、そういったために、非常に危険な無謀な運転もやるということでございますので、そういった運転者に対して安全技術の訓練を行って、運転テクニックの向上に関心を持たせて、基本的な安全運転の研修を行う、こういうことによって事故の防止を図りたい。いずれもこれは強制にわたるものではなしに、申し出に応じてそういった研修を行うということでございます。  この研修の場所につきましては、現在場所を物色中でございまして、将来においてしかるべき場所を設置してこのような研修を行いたい。そういった際には追加出資の規定もございますので、そういったこと等によって行うようにいたしたいというふうに考えております。
  65. 片岡清一

    ○片岡委員 もう時間が来たようでございますが、もうすぐ済みますから、もうちょっとお願いします。  自動車運転者の安全運転を確保するためには、安全運転の研修をする以前にもっと大切なことは、運転者としての適性があるかないかの検査をするということが大変大事なことだと私は思うのです。  事故をしばしば起こすという運転者、すなわち事故の常習者、または違反をしょっちゅうやっておるという、事故を起こさないまでも違反常習者をとらえていろいろ学者が調べたところによると、これらの運転者の間にはある一定の性格の欠陥がある、まあ非常にせっかちであるとか、自己顕示欲が強いとか、いろいろなことが言われております。あるいはまた、てんかん病というあわを吹いて倒れるのははっきりしておるのですが、てんかん性の人間というのがかなりおるということが言われております。これはなかなか発見がむずかしい。さらに精神病者、これもいまさら言うまでもなく、これはしょっちゅう気が狂っておるという状態でなしに、やはりときにそういう状態が起きるという場合が多いようでございます。早発性痴呆症であるとか、いろいろ学問的に言われておりますが、ところがこれが実際なかなかわからない。  それで、前に警察庁運転免許の欠格者としてのてんかん病あるいはまた精神異常者、こういうものの証明をつけてこなければ、運転免許を受けさせないというようなことを一遍やられて、結局それがなかなか実行がむずかしいということでおやめになったのであります。そういうことから、これは大変むずかしい問題だが、それをほっておきますと、結局やはり現に運転をしておる人の中に相当のてんかん性の人あるいは精神病者がおるということは、はっきりしておる事実だと思います。これは全く気違いに刃物というのですか、大きな殺人の機械を渡しておるようなことでありまして、交通安全上大問題だと私は思います。  そこで、この安全運転センターというのは、そういうことに対して大いに関心を持っていただかなければならぬ大事な機関であると思いますが、私が前に西ドイツへ行っていろいろ調べましたときには、たとえば一定期間に四回か五回以上事故を起こした場合、あるいはまた違反をやったような場合には、必ず適性検査を受けなければならぬ、その一定の適性検査を受けなければその免許証を返さない、あるいはまた取り上げた場合には再び交付しない、そして運転免許の再受験をさせないというようなことを実行しておったのでありますが、これはいずれも各州の機関において適性検査所というのを設けてやっておるというのであります。  私は、先ほどから言いましたような、非常に危険な者が現に運転しておる、そういう場合、事故を頻発さすあるいはまたしょっちゅう違反を繰り返すというようなことは、やはりそういう一つの適性から見てはなはだ不適当な人間がそういう場合に適合するというように思いますので、事故センターで適性検査の試験をやっておられるようですが、これと連絡させられて、そして一定期間に何回かの事故を起こした場合には、ぜひひとつ適性検査をはっきりやらなければだめだ。  いまも何かどうも精神病の疑いがあるというようなことが公安委員会で認められたときには臨時適性検査というのをやることになっておるようですが、これは精神病であることの疑いが濃いというようなことでないとなかなかやれないことになっておるのですが、もっと私は、さっき言ったように事故を何回か起こしたらぜひそれは受けなければだめだ。適性検査の確率というのは何か学問的になかなかむずかしいと言われるが、それは一〇〇%確かなものはないのですが、交通安全のためにぜひそういうことを強制的にやっていただく、義務づけるということが、私は交通センターの大変大事な一つの使命であると思うのですが、それについて御見解を承りたい。
  66. 勝田俊男

    勝田政府委員 適性の問題は大変むずかしい問題がいろいろとあるわけでございますが、先生の非常に貴重な御意見を拝聴しまして、今後ともに努力をしてまいりたいというふうに考えますが、現在の実情を御説明申し上げておきたいと思います。  先ほどお話のございました臨時適性検査、これは交通事故その他の際にどうも様子がおかしいという場合にやるわけでございますが、それ以外に、事故を起こしたり交通違反を繰り返すというようなことで行政処分を受けた者、これにつきましては、行政処分が短期、中期、長期とございますが、中期以上、四十日以上でございます。具体的には六十日、九十日、百二十日、百八十日と、こういった人につきましては心理的な適性検査、ペーパーテストをやっております。そのほかに科学的な検査機器を用いた運転適性検査をやっておりまして、それぞれの特性に応じて個別指導をやるという制度をやっているわけでございますが、そのやり方等につきましても今後さらに検討を進めてまいりたい、こういうように考えております。
  67. 片岡清一

    ○片岡委員 現在もやっておられるということでございますが、それをさらにもっとしっかりしたものにして、現在警察に適性検査の機関が十分備わっているならいいのですが、私はさっき言いましたように、事故セターとも連絡をしながら、お互いに有無相通じて、ますます大きな成果が上がるように御工夫をいただきたいということを強く要望いたしておきます。  それから、最後にもう一つ、簡単にお願いしたいのでございますが、これは大変大きな問題でありますので、ひとつ長官に、大臣になったつもりで返事をしていただきたいのでございます。  今日、自賠法によって、死亡の場合は一千万円の補償が出ることになっております。それからまた、けがの場合でも最高八十万までいくことになっておるのでございますが、私が前にいろいろ調べたところによりますと、、現在六十五万人の年間負傷者がおります。大数計算でこの大体二割が生まれもつかぬかたわになっておる、後遺症を受けておるという場合が多いのでございます。もちろん後遺症の残ったときには自賠法でさらに補償されることになっておるのでありますが、しかし、やはり一生涯かたわになるということは、耐えられない被害者の大きな損害であります。今日の物価高の状況において、こういう一千万円あるいは八十万円というものが本当に今日の経済状態において適切なものである、これで一応補償としては十分である、十分とはいかないまでも、少なくともこれでかなり賄っておる、こういうふうに自賠責任者の方で、運輸省考えておられるかどうか、これをひとつ深川保障課長にお聞きしたいのであります。
  68. 深川弘

    ○深川説明員 先住御指摘とおり、自賠責の保険金限度額は、現在死亡につきましては一千万円、それから傷害につきましては八十万円、後遺症が残りました場合には、その等級に応じまして最高一千万円から三十七万円でございますか、それまでの障害等級に応じた保険金が支払われることになっておるわけでございます。  この金額につきましては、一昨年の十二月に当時の賠償水準等を勘案して改定いたしたものでございますが、最近におきます経済情勢の変動等にかんがみまして、あるいはまた裁判等におきます賠償水準というものを勘案して、さらに引き上げるべきではないかという御指摘が出ておることは事実でございますので、私どもといたしましては、この自賠制度が被害者保護のための基本的な、いわゆる賠償責任を担保する制度であるという観点に立ちまして、先ほど申し上げました交通事件裁判等におきます賠償の例、賠償水準といったようなもの、あるいは保険収支の推移といったようなものなどを勘案しながら適時見直し等を行いまして、被害者保護に欠けることのないように配慮してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、よもやこれだけで最近の被害者に対する十分な補償であるとは考えられておらないというふうに思いますし、また事実そうだろうと思います。諸外国における例なども伺いたいのですが、これは前からいろいろ調べたものによりますと、相当大きな差がございます。したがって、日本のいまの自賠法だけでは被害者に対する救済措置としてはとうてい十分でない、はなはだ不十分である。ほんの最低のものをやや補償しておるという程度にすぎない、かように思うのでございます。  今日全国に十万から十二万の交通遺児がおりまして、これは零歳から十八歳までの者ですが、その中の九割までが母子家庭であり、そのまた九割以上が低所得者である。交通事故にかかる人は低所得者が多いのであります。まあお父さんが一生懸命働いて疲れてうちへ帰るというようなことで、高所得者の人というよりも、九割以上が低所得者であるということでございます。それからそのうちの五割が生活保護を受けておる人である。しかも母子家庭のうちの母親の三人に一人は病気または病気で定職につけないでいるという悲惨な状態であるということ、交通遺児育英会の玉井専務理事が新聞の囲みの記事で書いておるものを見ますと、そういう統計が載っております。これは専門家の統計でございますから、決していいかげんなものではないと思います。そのものずばりの本当に正確なものであると思います。私はそういうふうに、いまや社会の不公正を是正するという意味においても、この交通被害者の生活を保障するということは大変大事なことだと思います。  そのためには、いまの自賠法だけでは解決のつく問題ではありません、これはどうしても任意保険でもっとよけいの補償がなされるということがぜひ私は必要であると存じますが、何か調べたものによりますと、任意保険のいまの普及率といいますか、それはまだ半分にも満たない四八%だと言われております。これを何としても私は一〇〇%に上げなければならないというふうに思うのであります。  私は、そういうためにも、その一〇〇%に上げるということはこれは行政指導でやらなければならぬことでありますが、これを強制するということはなかなかむずかしいと思います。そこで、これを一〇〇%にする一つの方法として、アメリカの各州で、これは全部の州ではございませんが、一つの制度がつくられておる。それはファイナンス・レスポンシビリティ・ローというのであります。まあ財政保障法というのでしょうか責任法というのでしょうか、そういうのがございます。これは非常に強制的にやるのと、そうでないのとはございますが、そういうふうに任意でやりながらほとんど半強制的みたいにやっておるのがございます。  それはどういうのかと申しますと、事故を起こして人を死傷させたという場合には、その車をそこで領置してしまう。警察側で領置してしまう。そうしてその当事者が、自分はこれこれこれだけの保険に入っております。あるいはまたこれこれこれだけの財産を持っております。だからこれの補償に対しては十分な賠償ができますという証明書をその場で見せるか、持たない場合には後からそれをいわゆるトラフィックコミッショナー、まあ各州の交通総監というのでしょうか、それに示す、つまり警察当局に示さなければ、車を動かせない、領置したまま動かせない、こういう制度ができておるのでございます。  私は、これは被害者保護のためには大変重要な、効果的な制度であり、しかもこれは運転者に安全運転を本当に心がけさせる非常に大きな成果のある方法だと思うのであります。これも直ちに日本へ持ってこいといっても、なかなかむずかしいでしょうが、しかしこういうのも一つの方法だと思います。  警察庁でこれを研究しておられるかどうか、研究しておられなければ、これをひとつ研究していただいて、そうしてぜひ何らかの方法でこういった効果のある方法を私は講じていただきたい、こう思いますので、その意思があるかどうか、御検討いただけるかどうか、その点でひとつ明確な御答弁を要求したいと思います。きょうは大臣がおられませんので、ひとつ浅沼長官交通局長、よろしくお願いします。
  70. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 ただいまのお話にございましたように、事故防止と同時に被害者の保護ということが非常に重要な問題であることは、私どもも先生おっしゃるとおりであるというふうに考えます。  わが国のいわゆる自賠責の関係では、いまの経済事情からいたしまして、これも御指摘のように、必ずしも被害者保護に、救済に十分でないということでございまするので、いわゆる任意保険の普及拡大によりましてこの救済にさらに万全を期するということ、そういう考えのもとに関係行政機関が指導をしておられるところでありますが、今回この安全運転センター運転経歴証明書を発行いたしますると、この任意保険にいわゆる割引制度といいますかメリット制度が導入されるということになる、そういう可能性がきわめて高くなるわけであります。そうしますと、無事故、無違反の優良運転者等がより安い保険料で保険に入れるということのために加入が促進される。ただいまお話しのように一〇〇%に近づくような任意保険の加入の促進がこれによって図られるという効果も私どもは期待をいたしておりまして、これによって被害者救済の徹底に大きく貢献することになるのではないかというふうに考えております。  また、御指摘のアメリカの制度、これは運転者の十分な賠償能力が運行の要件であるという制度であるように承知をいたしておりますけれども、なお今後これらの制度を十分に研究をいたしまして、関係機関と十分に連絡をとりまして、一層の被害者救済の施策を進めたい、このように考えております。
  71. 勝田俊男

    勝田政府委員 長官の御答弁に尽きると思うわけでございますが、現在保険証明書を持っていない運転者につきましては、無免許運転と同じ罰則の適用で取り締まっているわけでございまして、そういった面で車の領置とは違いますが、担保という点についての取り締まりはやっているわけでございます。御指摘のような問題につきましては、ひとつ十分に検討を進めてまいりたいと思います。
  72. 片岡清一

    ○片岡委員 私はもうこれで終わりますが、ぜひひとつこの問題を、アメリカの制度を御研究いただいて、これが日本的にどういうふうに取り入れられるか、これをぜひ真剣にお考えいただきたい。  いま社会的公平という問題が三木内閣の大事な大きな柱でございます。いま自動車がいろいろな面において公害をまき散らしておる。何とかもう少し自動車の数を減らさなければならぬというようなこともいろいろ考えられるわけですが、しかし、自動車を買っちゃいかぬというようなことはなかなかむずかしいと思います。公害をまき散らし、そして非常に危ない物を運転する、こういうときに、少なくとも車を持つ者はそれに対するそれ相当の義務を果たす、義務を負うということは、社会の公平の原則から言うて当然のことだと思うのであります。  そういう意味において、私は、車を持つ者は、もし万一のことがあったときには相手方に対して十分な賠償責任を負えるという状態において運転されることが交通安全の基本的な問題だと思いますし、この被害者保護の救済の措置をそのものずばりでやる前にこれを何とか予防する、そして何らかの方法においてさらに一段とこれをギャランティーする方法を警察庁としても大いにお考えをいただくのが当然の責務である、こういうように思いますので、その点を強く要望いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  73. 下平正一

    下平委員長 勝澤芳雄君。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 法案に関連して、審議を促進するためにちょっと資料を要求しておきたいと存じます。  自動車安全運転センター法案に関しまして、業務方法書、それから予算、事業計画、資金計画、これは当初の場合とそれから平年度になった場合、数字を挙げて、安全センターの収支状態がわかるようにひとつ出していただきたいと存じます。  それから次の問題は、最近の交通事故の死傷者の減少の原因の分析をして資料に出していただきたいと存じます。  それから三番目は、今後の事故の減少のための具体的な施策、これについての資料をお願いいたします。  それから大蔵省の徳田保険部長運輸省の深川保障課長にお願いしたいのは、先ほど質問に対して答弁がございました。この自動車安全運転センター法案を審議する中で、いまお二人の答弁したことは、質問者が出てくるたびに同じ質問が出てくると思うのです。ここにいて聞いた人はわかるわけですけれども、聞いていない人からは同じ質問が出てくると思いますから、ひとつこの法案に対する保険の関係の見解を何かメモにして——きょう答弁されましたけれども、次に審議するまでに議事録も出てまいりませんから、保険関係について、大蔵省の任意保険の関係、それから運輸省は自賠法の関係ですから、これをぜひひとつメモにしてお出し願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  75. 下平正一

    下平委員長 なるべく早い機会にいまの資料を委員会に提出していただくように、それぞれ関係当局で整理をお願いしたいと思います。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会