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1975-02-20 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 河野 洋平君 理事 三枝 三郎君    理事 野中 英二君 理事 勝澤 芳雄君    理事 平田 藤吉君       佐藤 守良君    前田治一郎君       井上  泉君    太田 一夫君       久保 三郎君    紺野与次郎君       小浜 新次君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   福田  一君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁交通局長 勝田 俊男君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      鈴木金太郎君         大蔵省銀行局保         険部長     徳田 博美君         農林省農林経済         局農業協同組合         課長      大坪 敏男君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巌君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 小塙  直君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自動車安全運転センター法案内閣提出第三一  号)  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 下平正一

  3. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま議題となりました自動車安全運転センター法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  わが国交通事故は、昨年で四年連続して減少したのでありますが、いまなお、年間交通事故による死傷者は六十五万人を超えており、憂慮にたえないところであります。  そこで、今後とも交通事故減少傾向を定着させるための諸対策を強力に実施してまいる必要がありますが、特に自動車運転者に対しては、その資質向上を図るとともに、安全運転の徹底を期するための対策を強化することが強く要請されております。  このような実情にかんがみまして、今回、交通事故等防止及び運転者等の利便の増進に資するための業務を行う自動車安全運転センターを設立することといたしまして、自動車安全運転センター法を制定しようとするものであります。  次に、この法案概要について御説明申し上げます。  第一に、自動車安全運転センターは、交通事故等防止について識見を有する者が発起人となり、国家公安委員会の認可を受けて設立されることとなっております。  第二に、自動車安全運転センターの主な業務は次の五つとすることとしております。  一つは、道路交通法等規定違反したことにより、運転者累積点数運転免許の効力の停止を受ける直前の段階に達した者に対して、その旨を通知して安全な運転に努めるよう注意を促す業務であります。  二つは、運転者求めに応じて、無事故、無違反などの運転経歴を記載した書面を交付する業務であります。  三つは、交通事故被害者等求めに応じて、交通事故発生事実を証明する業務であります。  四つは、高度の運転技能や知識を必要とする運転者に対し、高度の運転訓練研修を行い、また、青少年運転者に対し、その資質向上を図るために必要とされる運転訓練研修を行う業務であります。  五つは、安全な運転に必要な技能に関する調査研究等を行う業務であります。  これらの業務を行うことによりまして、運転者安全運転に対する関心の高まりと交通事故防止に寄与する効果は、きわめて大きいものがあると考えております。  第三に、自動車安全運転センター運営の適正を期するため、その組織、財務、会計、監督等について、所要の規定を設けることといたしております。  なお、この法律は、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜らんことをお願い申し上げます。
  4. 下平正一

    下平委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  5. 下平正一

    下平委員長 次に、交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井上泉君。
  6. 井上泉

    井上(泉)委員 交通事故の最近における現象等についていろいろと説明を受けたいと思うわけでありますけれども、私は、交通事故というものが起こって、そこで被害者加害者、そうしてまたそういう被害者に及ぼす影響、そういうふうなものから考えても、交通安全対策というものは総合的な施策というものがどうしても必要だと思います。そういう点から具体的な事例をもとに若干質問をいたしたいと思います。  そこで、運輸省貨物課長にお尋ねするわけですが、これは私が報告お願いをしてあったから調査ができておると思うのですが、ことしの一月二十日の交通事故ゼロの日に高知市で起こった小学校一年生の子供死亡事故に対して、これを運転をしておったダンプカー、これに対する調査、このことをお願いをしてあったわけですが、これに対する通報がいつ警察からなされて、そうしてそれに対する措置というものをどういうふうになされたのか、まず最初に、その説明求めたいと思います。
  7. 小塙直

    小塙説明員 お答えいたします。  警察からの通報ということでございますが、現地に問い合わせたところ、まだ警察からの通報は来ておりませんので、通報を待って、内容についてどうするか、処置はしたいと思っております。
  8. 井上泉

    井上(泉)委員 それはあなた、あれじゃないですか。現地通報していないと言うけれども、ぼくは現地陸運事務所所長と、これは県の警察本部交通指導部長のところで一緒にこの問題を話したんですよ。一緒に話したのに通報がないというような、通報がないからまだ何にもされていないということは、これはおかしいじゃないですか。どうですか。
  9. 小塙直

    小塙説明員 お答えいたします。  その点につきましては、現地にもう一度照会してみたいと思いますが……。
  10. 井上泉

    井上(泉)委員 あなた、もっと熱心に仕事というものを考えてもらわにゃ困るわけですがね。役所は正式な文書がなければ処置をしないのですか。ちょうどぼくはこの日に、警察交通指導部長に、この事故状態についての説明を、こちらのほうで警察庁から照会をしていただいていろいろ報告をいただいたけれども、しかしその被害者家庭状況というものが余りはっきりしていなかったので、だからこれの調査をするのに、高知へ帰ったときに、これは警察関係だけではいかぬと思って、わざわざ運輸省陸運事務所所長にも連絡をして、そうしてこの事件の概況について警察から報告を受けると同時に、こういう事故を起こしたダンプカー白ナンバーダンプカーである。しかも、白ナンバーダンプカーであるにもかかわらず、これが採石等運搬をしておる。その採石運搬しておるのは、どんな品をどういう形で運搬をしておるのか、こういう問題を究明せねば、事故原因究明にはならないし、事故を絶滅するための運動にもならない。  だから、このトラックはどういう状態であるのか、警察はそのときに一緒に話しおったのですから、そこで私は、このトラックがどういうものであるのか、これを速やかに調べて処置をしなさいと、そのときにも言ったのですが、警察事故現地検証をする、そうしてそれが白トラトラックであって、そうしてそれが採石運搬している。そうすれば、道路運送法違反をしておるとかなんとかいうことは、警察の領分ではないかもしれぬけれども、そういう無謀なトラック運転をしている者に対しては、これは陸運事務所通報して、そのトラックに対する処分あるいはそのトラック雇用者、そういうものについての安全運転見解求めるとか、そういう総合的な見地に立ってやらないと、ただ警察事故を押さえて、そして送検をするということだけが能じゃない、こういうことで十分話したのです。  大臣国家公安委員長としての大臣でありますので、これは大臣にそういうことをお伺いするのも見当違いかもしれませんけれども、しかし、そのときに私は警察の方にも、そういう交通事故が起こった、重大なそういう死亡事故が起こった、そうすればその死亡事故によってもたらすところの影響とかあるいはそれを起こした車の状態とかいうようなものは、やはり警察電話だけでもいいから通報してやったらどうですかということを話をしたわけです。  そしてまた、ことにこの死亡事故を起こした家庭というものは母子家庭で、私、その調査に行くというと、これがことし七つの小学校の一年生、二年生へ上がる男の子であって、それから下にまだ生後三カ月、そして三歳、六歳という、そういう幼児を抱えた母子家庭であったわけです。  だからそういうことも、警察も調べたときに、そういう母子家庭である、これは大変なことだ、そうすれば同じ県庁の庁内に交通安全対策室なりあるいは母子家庭課なりそういうものがあるから、そういうところにやはり警察としては親切に連絡をしてやるのがいいじゃないか、こういう話を申し上げたわけでありますが、こういう点については、警察長官としてはどうお考えになるのですか。
  11. 鈴木金太郎

    鈴木説明員 ちょっと事務的な点が多いので、私からお答えさせていただきます。  先生の御指摘の点は、苦情、困り事相談であろうかと存ずるわけでございますが、これにつきましては、全国でほとんどの都道府県警察がそういう意味合いの職掌を一応設けてございまして、四十五都道府県方面につきまして、そういうふうな趣旨のものがございます。  仕事内容でございますが、防犯相談家事相談、それから困り事相談というふうなことで一応一括して承っておるわけでございますが、取り扱い件数につきましては、近い統計ではございませんのですが、四十八年に受けましたのが十二万五千三百七十二件でございます。解決いたしましたのが四万六千四十五件、それからさらに一応解決とは関係なく、御教示申し上げただけで済みましたのが六万七千三百七十四件でございます。それから他の機関に移譲いたしましたのが四千百九十件、それから打ち切りになりましたのが五千四百八十一件、なお継続しておりますのが二千二百八十二件というふうなことに相なっております。  内容は、身上の困り事、それから全銭の貸借、契約の不履行、それから土地、家屋問題、苦情、それからいろいろその他交通上の相談あるいは犯罪防止などに関連のあるもの、こういうふうなことに相なっております。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうこともやっておるということはわかるのですけれども、それは知っております。知っておりますけれども、こういう重大事故発生をしたときに、それぞれの関係機関に、これは警察が全部背負うと大変なことですから、たとえば母子家庭子供さんのそういう不幸な事態を招いたそのことに対してはどうするのか、これは警察がやろうといったってできないですから、たとえば母子家庭課にこういう事故が起こったからひとつこれについて身の上相談に乗ってやってくれと連絡すること、あるいは事故が起こったからという通報、それから陸運事務所に対しては、横断歩道を渡っておる小学生をはねて殺すようなこんな無謀な運転をしておるトラック業者というのは一体どんなものか、これを調べて道路運送上からも指導すべきじゃないか、こういう電話連絡なりなんなり、そういう通報をすべきであるということで、警察本部へ出向いていって私は話をしたわけであります。  ところが、たまたまそういう話をしたのですけれども、それを警察本部の方は通報と解釈したのでしょうか、警察の方から陸運事務所へ、そういう無謀なトラック調査をするようにという、そしてこういう事故を起こしたという連絡をまだ出してない。これは期限がないからいつまでもほうっておいていいというものではないので、やはり直ちにそういうことは連絡すべきだと私は思います。それは事務的なことじゃないのです。やはりこれは警察指導行政上の問題だと私は思うわけですが、どうですか、長官
  13. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 ただいま参事官が申し上げましたように、交通問題を含めまして年間六十万件以上の苦情あるいは警察に対する要望などが窓口に参っておりますが、そのうち四割は警察段階で何とか解決をしているという数字が報告されております。ただ、この件数は、公害とか交通、いろいろ問題がありましてますますふえる傾向にありますので、警察の現在の体制で果たしてこれに十分対応できるかということをいま一番心配をしております。  そういう状況を踏まえまして、いま先生の御質問の問題でございますが、申すまでもなく、われわれ交通取り締まりをいたします、あるいは法律違反の検挙をいたしますが、それらは事故を一人でも減らす、目的は事故防止にあることは申し上げるまでもございませんし、また、事故防止警察だけの力ではとても完全にできないということも申すまでもないというところでございます。その具体的なケースについて、私、詳細に承知しておりませんけれども、おっしゃるように、事故対策は、事故原因をあらゆる角度から十分に究明して、二度とそういうことが起こらないようにすることが一番大切だと考えております。したがいまして、ただいまのような問題につきましては、取り扱いの点で被害者の身になってといいますか、その立場に立って、また事故防止に資するような広い立場に立って措置をするように今後とも指導をいたしてまいりたい、このように考えます。
  14. 井上泉

    井上(泉)委員 ダンプカー等がそういう事故を起こした場合に、それがどういう運行管理のもとで行われておるのか、そういうことも交通安全対策を樹立する上において大事なことだと思うわけです。そのことはやはり陸運事務所通報して、陸運事務所の方でそのダンプカーについての調査をし、そして必要な場合には、そのダンプカー使用禁止なりあるいは営業停止なり、そういう警告的な処分をやるべき道を考えていかないと、無謀なダンプカーによってどれだけ人が迷惑をしておるか、これはもうはかり知れないものがあるわけですが、そういう場合に、加害者の車の状態について警察としても陸運事務所あたり連絡をとるべきだと私は思うわけです。それはとるようになっておるということ聞くけれども、しかしまだとってないということになると非常におかしいわけですが、その点どうですか。
  15. 鈴木金太郎

    鈴木説明員 陸運事務所その他関係機関に密接に御連絡をとり通報することは、まさに先生指摘のとおりでございます。先生が御指摘になっている事案内容をちょっと考えまするに、私ども、この事案につきましては、その後、実は継続して捜査をいたしております。そこで、継続捜査状況でございますが、このダンプは、ある会社が運送を請け負っておったわけでございますが、それをさらに又委託いたしまして、その又委託を受けました自家用大型ダンプ、これが再委託を受けまして運転中に本件事故が起きたわけでございます。そういうわけでございますので、道路運送法違反の無免許自動車運送事業、われわれ俗に申しますシロダンプシロトラでございます。そういうことで自家用自動車有償使用ということの容疑がやや明らかになってまいりまして、目下鋭意捜査しているところでございます。  一応事故運転者につきましては、ただいま申し上げました自家用自動車有償使用ということ、それから、事故運転者の実父に当たるわけでございますが、これは雇用関係になるわけですが、これが無免許自動車運送事業というふうな容疑でございます。そういうことで、場合によっては近く強制捜査に移るという形になるわけでございますので、そういう意味合いにつきまして関係機関にはしかるべく、そのタイミングタイミングをとらえまして緊密に連絡をとってまいりたいというつもりで臨んでおるわけでございます。
  16. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことをしておるから、その車のことについてはまだ陸運事務所通報してない、こういうことですか。
  17. 鈴木金太郎

    鈴木説明員 継続中の捜査の問題につきましては、やはりある程度捜査の結果を待ちまして関係機関実態内容をよくお伝えするという形に相なるかと存じます。
  18. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことになると、過去のそういう死亡事故を起こしたトラック経過等について、まだ例を挙げて質問をせねばならないことになるわけですけれども、これは大変時間をとりますので、その辺の質問は後日に譲ることにいたしますが、とにもかくにも交通事故防止するということは警察だけの力ではできない。これはやはり総ぐるみで、対策等についても総合的に行わねばならない。ややもすれば警察に本当に過重な負担をかけておるので、あなた方もそれぞれの機関に、こういうダンプが横行しておるんだが、一体陸運事務所はどうしておるんだ、こういうふうなことぐらいは速やかに通知をしてやるべきだと私は思うのです。  そこで、運輸省にまた聞くわけですけれども、こういうダンプカー、いわゆるシロトラダンプカー等に対する安全運転指導はどういうふうにしておるのですか。
  19. 小塙直

    小塙説明員 お答えいたします。  シロトラダンプカーに対します措置といたしましては、土砂等運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法の七条によりまして、これに該当する場合には正式な警察関係通報を待ってこれに対する処分をしていきたい。  なお、道路運送法違反、これ等につきましても、日ごろから厳重な処分をするように指導しております。
  20. 井上泉

    井上(泉)委員 どうも通り一遍の指導なんですが、具体的に事故が起こらないために、法律違反をしたダンプ等大型自動車事故に関する何とかという法律があることはわかっていますよ。その法律違反する以前に、やはり行政というものは事故を起こさないような指導というものをなさるべきだと私は思うわけですが、それについては運輸省の方は事故が起こった場合の指導であって、事故が起こらないということについては何ら意を用いない、こう極言してもそう間違いではないと思うのですが、どうですか。
  21. 小塙直

    小塙説明員 事前の防止につきましては、総理府におきます交通安全対策室を中心にいたしまして、運輸省といたしましてもこれに十分協力をいたしまして、指導いたしております。
  22. 井上泉

    井上(泉)委員 指導はしておると言いますけれども、私は末端でそういう白トラに非常に接触をしておるわけですが、その指導は全然受けておらぬわけですから、ひとつ反省してもらいたい。  そこで、総理府にお伺いするわけですが、けさのテレビニュースだったと思うわけです。ことしの交通安全の標語とポスター入選者の発表があったわけですが、本来ならその写真でもきょうの委員会に、こんなものがことしのポスターとして入選をいたしましたというようなPRぐらいしてもらっても結構だと思うわけですけれども、しかしきのう発表した直後ですからそこまではいかないと思うわけですが、私がいま申し上げたような一つ事故が起こった、その事故を起こしたところの原因というものはその運転者の不注意、さらには運転者を雇用しておる業者、そういう者が関係をしておるわけですから、そういう点からも総合的な対策、これによって受けた被害、つまり交通遺児の問題がいま非常に大きく取り上げられておるわけですけれども、交通事故子供を亡くした親の悲しみというものはこれまた想像に余りあるものがあるわけです。  これは交通事故に限らず、子供を亡くするというほど親にとっての不幸はないわけであります。それがこの無謀な運転者のために、事故を起こす、命を失う、そういうふうなことを考えた場合に、私は交通安全対策というものは現象面だけでなしに、そのもたらす影響、そしてそのよって来る原因、そういうものをやはり総合的に検討して対策というものを立てなくてはならないと私は思うのですが、総理府としてはこのことについてどういう御見解をお持ちになるのか、御説明願いたい。
  23. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  いまわが国交通事故防止には、総合的な立場交通安全の基本計画をつくり、交通安全対策基本法に基づきまして、各官庁、各地方自治体それぞれが主要な対策を立て、進めておるところでございます。特に幼児子供交通事故ほど悲惨なものはございませんので、これの対策は、主として子供の家の近くでの飛び出し事故なんかが非常に多いわけでございますから、安全な交通環境づくりスクールゾーンなんかの設定をして交通規制をやる、あるいは交通安全施設をつくる。一方では、幼児子供たち交通安全意識を高揚するために、幼児クラブなりあるいは婦人クラブなり、そういった民間の交通安全運動が非常に盛んになってきておりますので、これの推進に努めておるところでございます。  先ほど御指摘のございましたダンプカー幼児を殺したという事故でございますが、特にダンプカー事故は非常に大きなものがございますので、先ほど運輸省から御説明がございましたとおりに、ダンプカー規制法ができておりまして、ダンプカーが大きな事故を起こした場合は、当然所轄の警察署の方から陸運局にその事故実態なり意見を付して報告するようになっておりますから、関係官庁ではその協調はできておると思います。  ただし、このダンプカーにつきましては、できるだけ協業化いたしまして、お互いが交通安全意識を持とうということを進めるようになっておりますが、御指摘のような一匹オオカミという一台一人の白トラがたくさんおりますので、これの把握というものを運輸省とともに努めていかねばならない。ダンプカーによりますダンプカー協会にこれらを入れて、その育成に努めていきたい、このように考えております。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣が出ておるわけですが、大臣は次の予定もありますので退席をしていただいて結構でありますが、私は一言だけ大臣見解を承っておきたいと思います。  実はきのう私は交通事故関係警察庁交通指導課長いろいろ話をする中で、交通指導課長が、事故処理に当たってもやはり温かみのある事故処理ということを考えたならば総合的な事故対策というものに思いをいたすことができる、こういう話をされて、私は警察担当者として非常にいい御意見だと思った。  そこで「昭和五十年中における交通警察運営について」、こういう一つの毎年書くところの通り一遍の書き方ではなしに、やはり交通事故が及ぼす諸般の影響等についても、これを十分ひとつ考慮するというか何かものを入れて、関係の府県にいわゆる通達なり何なりの形で御指導願いたいと私は思うわけですが、それについての大臣の御見解を承りまして、大臣に対する質問を終わりたいと思います。
  25. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、警察というものが一般国民の生活と非常に密着した関係仕事をしていくということは非常に大事なことだと思うわけであります。そういう意味で言いますと、御案内のように、交通取り締まりをするとか、あるいはまた教育をやっていくとか、あるいは施設を充実していくとか、総合的な対策を立てるとかということも非常に大事でありますが、同時に温かい気持ちでこういう問題を解決し、また連絡をし、指導していくということも非常に大事なことだと思うのであります。したがいまして、今後も御質問趣旨にありますような、全国各地に指示をいたしますとか、指導要領を配るというような場合においても、いまお話があったような点を十分踏まえながら示達をし、あるいはその他の指示を与えるように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣のその気持ちで、ひとつ交通事故被害者立場に立って温かい、何といいましても加害者とは違って被害者という者は大きな痛手を受けておるのでありますから、その痛手を受けた被害者立場に立って物事を処理するようにひとつ指導お願いしたいと思います。大臣は結構であります。  そこで、警察庁長官にそれと同じようなことでありますが、私は、本当に交通事故防止警察官が一生懸命やっておるということは十分認めます。認めますけれども、余り交通事故が多発する関係で、ややもすれば事故処理に感情的な面があらわれるではないか。そこで、その被害者が、これはこうだからこうだというようなことを言っても、何かしら親切さがない、こういう苦情というものがよく聞かれるわけですが、いま大臣が言われたように、やはり被害者立場に立って、そうして指導課長がきのういみじくも語られたような、温かい、人間的な思いやりの気持ちでこういうことは考えなければいかぬということを、私は第一線の交通関係に当たっておられる方に十分徹底をしていただきたいと思うわけですが、それについての御見解を承りたいと思います。
  27. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答えします。  ただいまお話もありましたように、非常に事故も減ってはおりますけれども、非常に多い。それもいま全国的に、地方の警察署におきましても、夜間等は事故処理に非常に追われているという状況でありますので、いろいろ御配慮をいただいて増員等もいたしておりますけれども、あるいはその処理の過程におきまして、法規の執行という立場もありますので、おっしゃるような、十分に行き届かない点が起こる心配も確かにあると思いますが、先ほども申し上げましたように、やはり被害者立場で、事故防止を図るにはどうしたらいいかということを総合的に考えた立場で処理をする。特に、被害者立場に立った温かい思いやりのある処理ということはおっしゃるとおりでありまして、先ほど大臣が申されましたけれども、なお一層その点を末端まで徹底するように指導をいたしたい、このように考えます。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、時間がありませんので、私は次に移りたいと思うわけです。  物事というものは、やはり人間味というものがなければ私はだめだと思うのです。そこで、被害者が——何でしたら、長官も退席していただいて結構です、あなたにはなにしませんから。しかし、交通局長はおいでていただかないと……。  そこで、被害を受けて死亡事故に遭った。そういうときに、被害者の家族としては、金銭ではかえられない心の痛手であるわけですけれども、その金銭にかえられない心の痛手でありますけれども、しかしこれは、いまの世の中で、やはりそれの供養とか、あるいはそのものに頼ったこれからの生活設計、そういうものを考えた場合には、必然的に保険金というものの給付の状況というものが、これがもう被害者の家族に対する一つの大きな心の慰めになろうと私は思うわけであります。  そこで、最近の自賠責の保険の収支状況はどうか、これを簡単にひとつ御説明を願いたいと思います。
  29. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 自賠責再保険特別会計保険勘定の収支状況でございますが、すでに先生御案内のとおり、昭和四十二年度以降数年間は大幅な赤字でございまして、累積赤字が、一番多いときには、四十五年度末で約千二百九十億余りに達したわけでございますが、その後、一方におきましては、自動車台数の伸びに伴いまして、再保険料収入が順調に伸びますとともに、他方におきましては、交通事故が減少いたすというようなことが重なりまして、自賠責再保険特会の収支勘定は著しく好転しておりまして、従来の累積赤字は四十七年度末に解消されまして、四十八年度単年度決算におきましては、約千二百億円余りの黒字を出すような状況になっております。  こうした状況を踏まえまして、四十八年十二月には保険料を原則として据え置いたまま保険金の限度額を約二倍に引き上げたわけでございますが、その後、やはり収入の方も順調に推移し、そうして事故率も減少いたしましたため、支払い単価は最近の情勢を反映いたしまして大変上昇いたしておりますが、四十九年度におきましても、なおある程度の黒字が見込まれるような状況でございます。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、この間予算委員会で運輸大臣が、自賠責の保険金額の限度額を千五百万に引き上げるように検討しておる、こういう話をされたのですが、そういう状態の中で考えるならば、この自賠責の保険の限度額というものを引き上げても、保険会社としてはそう大して問題ないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この自賠責保険の限度額の引き上げについてはどういうお考えを持っておられるのか、御説明願いたいと思います。
  31. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 自賠責保険の保険金の限度額につきましては、さきに申し上げましたとおり、この前引き上げましたのは四十八年十二月でございまして、その前の引き上げと比べますと約四年間を経過しておるわけでございまして、そのときに、死亡につきましては従来の五百万から一千万、傷害につきましては五十万から八十万、また後遺障害につきましては最高五百万から一千万と、それぞれ引き上げたわけでございます。以来約一年三カ月でございまして、前回の引き上げのときと比べますと経年月におきまして短いわけでございますが、その後経済事情の急変等がございますし、また、その引き上げを要望する声もいろいろと各方面から伺っております。そこで、交通事件の裁判におきます賠償水準の動向あるいはまた保険収支の推移等を勘案いたしまして、慎重に検討してまいりたいと思っております。
  32. 井上泉

    井上(泉)委員 保険金が強制が一千万円で、それから任意保険があるわけですが、この任意保険を掛けておる状況というもの、さらには、この任意保険がどういう役割りを持っておるとお考えになっておるのか、この点について、運輸省ももちろんでありますが、大蔵省の保険部長の方からも御意見をいただきたいと思います。
  33. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  任意保険の普及率でございますが、四十九年三月末現在におきまして、自動車台数が二千五百九十六万台でございますが、そのうち保険会社の保険に入っておりますものが千百二十八万台で、四三・五%でございます。このほかに、御承知のとおり農協の共済契約がございまして、これが百八十五万台ございまして、合計で普及率は五〇・六%、このようになっております。これは四十一年におきましては三一・八%でございましたので、この間かなり大幅な上昇を見ているわけでございます。  そこで、先生指摘の任意保険の役割りでございますが、御承知のとおり、自賠責保険は、交通事故被害者に対するいわば基本的な補償を行うことを目的としているわけでございまして、強制保険でございますので、一般の賠償水準の動向等を勘案してその限度が定められているわけでございます。任意保険は、これに対しまして被害者保護をより厚からしめる、こういう趣旨に基づきまして、この自賠責保険による基本的な補償をさらに補完するということを目的といたしまして、自賠責保険に加えて設けられている、こういう制度でございます。  なお、任意保険は、この自賠責保険は御承知のとおり車両単位で付保されているのに対しまして、運転者単位でございますので、いわゆる交通事故防止に効果のあると言われるメリット、デメリット制が適用になっておるわけでございます。  このほか、任意保険は民営であるという特質を生かしまして、示談代行制度あるいは分割払い制度など、制度の運営を円滑ならしむるような措置が講じられておるわけでございます。
  34. 井上泉

    井上(泉)委員 運輸省の方では、この任意保険についてはどういうように考えておられますか。
  35. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 基本的な考え方といたしましては、先ほど大蔵省の保険部長説明されましたのと全く同じでございまして、やはり強制保険、それから民間の任意保険それぞれ長所、短所があると思います。これを組み合わせたところで、全般として賠償責任を担保するのに十分な制度としていくべきだ、こう考えております。
  36. 井上泉

    井上(泉)委員 ところが、現実に任意保険の保険率が五〇%を超しておる、こういうわけですが、加入者は、いわゆる保険を掛けておる者は、一千万は強制だ、しかしいまは強制だけではなかなか大変だから、やはり任意を掛けておかなければならぬということで任意を掛けるのが多いわけで、それで保険会社も大体任意保険の加入を非常に勧めるわけです。つまり営業活動として、任意保険を掛けませんかということで盛んにやられるわけです。  ところが、現実に今度任意保険の交付になるとこれは大変めんどうなわけです。大体この任意保険の査定というものが非常に厳しく本当に困ったものだということは、これは保険加入者のみんな上げておる悲鳴です。そういう悲鳴を上げておるわけですが、やはりこの指導の仕方に、いわゆる保険の役割りというものが強制を補完する役割りを果たしておるのでありますから、私は強制と同じような性質を持ってないとこれは意味をなさないと思う。  ところが、任意保険について余りにも査定が厳しい。被害者は、あの人は任意にも一千万掛かっておる、それで強制が一千万だから、当然二千万円ぐらいのものは支払うべきである。こういう気持ちになるのは私は当然だと思う。ところが、その保険会社の方はなかなかそうは払わない。任意については四の五の文句を言うてなかなか払わないわけですが、そういう場合のことを考えると、やはり任意保険の募集について、大蔵省あたりは、任意保険はこういう性格のものであって、そうしてこれはこういう形で査定されますよというようなことを保険会社の方に十分指導するようなことをなさっておるかどうか、ひとつ承りたいと思います。
  37. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の点は、任意保険の運営上非常に重要な問題でございまして、任意保険の保険金の支払いが円滑かつ迅速に行われるということは、任意保険運営の基本でございますから、これにつきましては、かねがね当局としては積極的な指導をしておるところでございますけれども、しかし一部においてそのような感じを与えるようなことがあれば、これはまことに遺憾なことでございます。  ただ、任意保険と強制保険との関係につきましては、若干の違いが運営上あるわけでございまして、任意保険の先生指摘のような問題が起こるケースは、おそらくその過失相殺の問題に関連してではないかと考えられます。で、不法行為に基づく損害賠償に関する過失相殺の民法の規定は、強制保険も任意保険も同様に適用されておるわけでございますけれども、ただ任意保険の場合には、先ほども先生の御発言がございましたように、強制保険に上乗せして補完するものであるという点がございますし、それから任意保険の場合には、その被害者加害者との最後の話の詰め合いの段階では、場合によっては保険だけでは足りないで、加害者が自己負担をしなければならないというようなケースもあり得るわけでございます。また、この問題につきましては最終的に裁判に持ち込まれる場合もあるわけでございますが、裁判所ではこの過失相殺の問題をかなり厳格に取り扱っておるわけでございます。  こういうこともございまして、この問題は損害賠償責任の基本的な問題でございますので、これは民事上の問題でございますから、相互に納得のいくまで公正な数字を出してもらうために話し合うということがあるわけでございますが、しかしその場合に、先ほど先生指摘のように、保険会社自体の利害の意識をそこに持ち込むということはこれは非常に問題でございますので、今後ともそのようなことのないように厳重に指導してまいりたいと思います。  それから、この問題についてのもう一つの問題点は、過失相殺あるいはそのようなことが解決いたしまして、責任が決まったときに、それでは幾ら、どのような基準で支払うかという点でございますが、この点につきましては、実はいままで各保険会社ばらばらでございましたのが、四十八年十二月に全社統一の基準をつくりました。さらにことしの二月からはそれを公開するような体制もつくっておりますので、この支払いにつきましては、そういう措置が行われてからきわめて円滑に行われるようになってまいりましたので、先生の御指摘のようなトラブルはこの点に関してはかなり消滅しておるのではないか、このように考えております。  なおかつ、支払い基準は、任意の場合には当然のことでございますが強制保険の場合よりもかなりゆるやかに運営されておりまして、この点でもそういう問題の解決に役立っておるのではないか、このように考えられます。  それから、先生指摘の第二の点でございますが、たとえば二千万円の保険に入っておれば当然二千万円もらえるのじゃないかというような意識を被保険者が持っておられるということにつきましては、これはそういうことのないように、いま保険募集のパンフレットその他にはかなりはっきり書いてございまして、教育はしておるつもりではございますが、なおかつそのような意識が一部にあるとしますれば、今後そのパンフレットの表現の仕方、あるいは代理店の話法等にさらに一段と新しい指導をいたしまして、御指摘のような点の是正を図ってまいりたい、このように考えております。
  38. 井上泉

    井上(泉)委員 会社が統一をしていろいろやられるということは、いいようで悪いでしょう。つまり独占的に扱うわけですから。うちの会社だけがこういう例を設けるわけにはいかぬ、これはもう各社が話し合ってやっておるからと。これは私は、保険会社というものはそう何十社もないのですから、だから上位の数社が話し合って、こういうようにして任意保険の取り扱いをしましょうや、こういうふうにして支払いをできるだけ押え込みましょうというような、こんな話し合いをすれば、これはもう結構話し合いがまとまって、それで全部の会社の意思で、甲の会社も乙の会社もやられるということになると、これはもういわゆる保険を掛けておる者はたまったものじゃないですな。  私は大蔵省のそういう見解というものは、いま独占禁止法がやかましく論議をされておる中で、保険会社にもうけを仲よくしてやれと指導する、こういうことをやっておると同じような行き方じゃないかと思うのです。  それに農協の共済も入っていますか。その会社が統一をしていろいろの方針を出しておるということについて、これは農協共済も入っていますか。
  39. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  まず、先生指摘の最初の点でございますが、統一基準をつくることによってかえって被害者に対して不利になるのではないかという点につきましては、実はこれは支払いの最低基準ということでこういう基準を出しておりまして、しかもそれを公開する体制にございますので、被害者といたしましては場合によってはそれより上乗せして要求することももちろん可能でございますし、そのような線も行われておるわけでございます。いままでは各社の担当者によりましてかなりまちまちの最低線がございまして、不公平もございましたので、そのような統一基準を設けたわけでございまして、被害者にとってはむしろプラスになるのではないか、このように考えております。それからこの支払い基準につきましては、常に見直しを行っておりまして、最低基準が常に適正な線になるように指導しているところでございます。  それから二番目の御質問の農協共済との関係でございますが、これは損害保険会社だけの統一基準でございます。
  40. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう農協共済がこれに加入をしてないということによって、農協共済がすぐ自分のところの近くにあるというようなことで、勢い農協共済へ保険を掛ける人が多くなっているという状態が出ておるわけです。これは都会の方ではそういう認識がされないと思うわけですけれども、私どもの田舎ではそういうことで非常に農協共済の方へ流れておる。この問題についてはまた後の時間でやるといたします。  ところが、加害者被害者も、任意保険をこれだけ掛けているからこれだけもらえるものだろう、それとまたこれだけはそう言ってきても払えるだろう、こういう認識のもとに示談を交わしているということが多いわけです。そこで、そういうことについての指導というものを十分やっておられる、こういうことでありますが、ひとつこれは、全部の会社とは言いませんから、農協共済を含めまして上位の十社ぐらいのこういう保険給付のいわゆる保険の募集要領といいますか、そういうものを資料として取り寄せていただきたいと思います。そうして同時に、任意保険運営についての大蔵省の指導方針というものを、いまここで言葉で答えるだけでなしに、ひとつ文書で回答をお願いしたいと思います。  以上のことを要求いたしたいと思いますが、資料のことにつきましては委員長の方からしかるべくお取り計らいを願いたいと思うので、委員長見解を承っておきたいと思います。
  41. 下平正一

    下平委員長 検討して取り計らうことにいたします。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、自賠責の保険金の請求をして支払いまでの期間はどれくらいの期間になっておるか、それから任意は平均してどれぐらいの期間になっておるのか、このことを御説明願いたいと思います。
  43. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 まず自賠責保険の方でございますが、これの請求から支払いまでの処理期間につきまして、昭和四十八年度、昨年度の実績について見ますと、大体請求がございましてから二月以内で約八〇%をやや超えるくらい、それから三月以内で九〇%をやや超えるというぐらいに達しておりまして、半年以内では、特異な例を除きまして、一、二%というものを除きまして、九七、八%程度のものが支払われるような状況でございます。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 任意は……。
  45. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  任意保険の場合には、請求書類を受け付けましてから支払いまでに要する期間は、これは四十八年九月の調査でございますが、平均一カ月足らず、こういうことになっております。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 任意の場合には平均一カ月足らずで支払いをされているのですか。そんなことはないでしょう。
  47. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  任意の場合には、平均いま申し上げたようなところで支払われているわけでございますが、これは強制の場合と違いまして、任意の場合には事故が起きますと同時に保険会社に直ちに連絡が来る場合が多いわけでございまして、そこでその後の折衝の過程において保険会社がずっと連絡しているわけでございます。したがいまして、正式の支払い請求書類が整いますと、その支払いはきわめて円滑に行われる、このような体制になっておりますので、比較的に早く処理できておるわけでございます。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 それはいいですよ。書類が出てきて払うのはあたりまえです。そんなことはわかり切ったことです。そうでなくして、事故が起こってから平均してどれくらいで支払われているのですか。
  49. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  事故が起こってから何日かということでございますが、これは特に傷害の場合にはかなり治癒期間が必要でございまして、いままでのところ……
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 死亡事故だけでいいですよ。
  51. 徳田博美

    ○徳田説明員 死亡事故の場合には、これはサンプリング調査でございますが、事故が起こりましてから、特に訴訟その他の案件がなければ、個々の例によりますと、平均二カ月程度あるいは三カ月程度のものもございます。訴訟にわたりますとかなり長期になります。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 それは二カ月のものもある、三カ月のものもある、あるいは場合によっては一カ月もあるでしょうけれども、全体について平均して任意の場合の保険金は、事故が起こってから、死亡事故だけに限定していいですから、大体幾らぐらいで支払われておるのですか。
  53. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  死亡だけの統計というのはできておりませんで、死亡と傷害合わせまして大体三百六十日程度あるいは三百八十日程度でございます。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 事故が起こって三百八十日、いわば一年以上、こういうことになるわけですが、その任意保険を請求するに当たっての保険会社の取り扱いが非常に私は問題だと思うわけです。そのことを具体的な事例を挙げてここでやっておると、これは大変な時間がたつわけでありますので、そのことは後日に譲りたいと思うのですけれども、本当に保険会社というものは、任意の場合にはいろいろ文句をつけてなかなか支払いの書類というものをつくって上げてこないのですよ。これがいま保険会社がやっておる普通の状態で、これはあなたの監督下にある保険会社としては、私はもっと厳重にひとつ調査をしていただきたいと思うわけです。本当にそういうふうに事故が起こって、それで一年もたってもまだ保険会社はその任意の保険の請求に対してはいろいろと文句を言うて、その支払いの請求書をつくらない、こういう事例というものがあるわけなんで、そういう点における指導要領というものが、いまあなたの説明によると、最低の基準を決めている、それから以上は各会社のいわば裁量でできることになっておるというわけですから、各保険会社で統一をした最低の基準とかいうようなものについてもあわせて資料としてこれは提出をお願いしたいと思います。  与えられた時間がだんだんなくなったわけですから、もう終わりたいと思うわけですが、いま大蔵省の管轄の中にある保険会社と農林省の管轄の中にある農協共済、この二つの保険会社、農協は保険会社というのには当たらないかもしれぬわけですけれども、これの自動車保険というものの都道府県別の加入者状況、前にはよく報告をいただいたわけですが、最近そういう報告もいただいてないので、これは保険会社の上位十社くらいの都道府県別の加入者状況というようなものも先ほど申し上げた資料にあわせて御報告を願いたいと思います。  それで、農協共済につきましても、前段申し上げましたように、普通の保険会社はなかなか保険金の支払いが遅い。ところが農協はすぐそばにあるという関係で勢い農協に頼るような傾向が強い。ところが、農協には員外利用の禁止という条項が大きな壁になって、農協共済の普及というものが抑えられておる。そういう点からも、私は農協共済そのものの現在員外利用を二〇%に抑えておるのが適当かどうかということについては、これはまた別の機会で申し上げたいと思うわけですが、しかし、やはり決まったこともあるわけですから、大体の各農協共済も、各府県別の加入者数というようなものを、組合員、非組合員でわかれば、そういう判別をした資料を出していただきたいということをお願いしたいと思います。  そこで、農協共済の自動車保険、つまり農協共済に対する指導というものを農林省はどういうふうになされておられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  55. 大坪敏男

    ○大坪説明員 農協が行っております自動車共済ないしは自賠責共済につきましても、基本的には先ほど来御議論がございますところの自賠責保険なり任意保険と同じかと思うわけでございます。ただ、先ほど先生から御指摘ございましたように、農協という一つの協同組合という事業でございますので、おのずとそこに性格なり目的等には違った面が出てまいると思います。  そこで、御指摘ございましたように、農協という組織と組合員という関係から離れまして、員外者との契約ということも起こっておるわけでございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、員外利用につきましては、組合員の利用の五分の一という限度内でやるという制約を設けておるわけでございまして、そういった点で組合の事業として全体の事業が趣旨に沿って円滑に行われるということはもちろんのこと、ただいまの員外利用等の関係で農協法令に違反するような事態があってはならぬと思いまして、そういった面につきましては、従来とも農協法に基づきます検査の機会等々を通じまして指導をやってまいっておるわけでございますが、今後ともその線に沿いまして指導してまいりたい、かように考えております。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 それと同時に、農協共済の普及というものを、あなたは組合の課長として前進させるような、拡大をするようなお考えなのか、もうこれ以上農協共済は拡張せぬでもよかろうという見解であるのか、そのことをあわせて承っておきたい。
  57. 大坪敏男

    ○大坪説明員 農協が行っております共済事業は、やはり基本的には組合員の福祉の向上ということではあろうかと思うわけでございますが、自動車に関しまする共済につきましては、やはりモータリゼーションの進化とともに農家にも自動車が普及しておるという実態もございますので、その関連におきまして事業を推進してまいるということではないかと思います。ただ、先ほど来お言葉がございますように、員外利用の問題に出ておりますように、事業に熱心な余り、農協法令に定めます基準を逸脱するということがあってはならないと、かように考えます。
  58. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、いま大蔵省の保険部長が、各社で最低の基準を定めておる、こういうわけですが、農協共済の場合の最低基準と大蔵省の管轄にあるところの最低基準というものとは大体どういうふうになっておるのですか。いまここで説明ができなければ、また農協共済の方から資料を徴してからそのことを承知をしたいと思いますが、どうですか。
  59. 大坪敏男

    ○大坪説明員 後刻資料をもちまして説明さしていただきます。
  60. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、保険会社はやはり企業としての企業利益という中で保険を見ておると思うわけですけれども、しかし、やはりこの自動車の損害保険については、そういう企業としての利益ということで見ることは、私は間違いだと思うのです。そうかといって損をするということについてはこれはまた別の問題ですけれども、しかしやはり任意保険の支払いについても被害者立場に立って、つまり、支払いをできるだけ抑え込むことによって利潤を上げる、こういうふうな考え方で、私は保険事業というものはあってはならないと思うわけですが、その点について大蔵省の指導というものはどういうふうになされておるのですか。
  61. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  現在、損害保険会社の収入保険料の割合を見ますと、大体三割が自賠責保険でございまして、二割が任意の自動車保険でございます。このうちの三割の強制保険につきましては、御承知のとおり、ノーロス・ノープロフィットの原則が適用されておりまして、損害保険会社は全く利益が得られない、こういうたてまえになっているわけでございます。それから残りの二割の任意保険でございますが、これは先生指摘のとおり、本来この保険は交通事故被害者をいかに厚く保護するかというたてまえから設立されておる保険でございますので、客観的に適正な賠償水準で支払いを行うべきでございまして、当該損害保険会社の利害ということと全くかかわりなしに適正な運営が行われるように常に指導しているところでございます。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 強制の場合には利益が得られないと言いましても、これは莫大な保険料が入るわけですから、その保険金を運用することによって保険会社というものは利益を得ておるわけですから、私は、そのことは余り心配せぬでもいいと思います。  そこで、任意につきましては、いまあなたが説明をされたような状態で、末端の個々の保険会社では実行されてないわけです。だから、その個々の保険会社のそういう募集要領なり、あるいはまた大蔵省の指導方針等を文書でちょうだいをして、そうしてまた次の機会にこの質疑を行いたいと思います。  そこで、これはもとへ戻るわけですが、総理府交通安全対策室が設けられて、総合的な交通行政を進めるということになって、そして各地方にもそれぞれの交通安全対策室が流行のごとく設けられたわけですが、その流行のごとく設けられた交通安全対策というものが、総合的な見地から事故対策を進める中で、やはり双方の、つまり警察運輸省、そういうふうな関係のものが非常に不十分ではないか。  自動車運行管理をするのは運輸省なんだ。そういうものの総合調整をするような、そうして交通事故がもたらす被害に対してそれの救済措置をどこの機関が、そしてどこの機関がこのいわゆる相談相手になってやるのか、そういう点をもっと交通安全対策室総理府としても明確にして地方の交通安全対策室に、ただ通り一遍の交通安全の宣伝とかいうようなことだけではなしに、やはり宣伝と同時に、その起こった被害に対する後保護というものをやるような指導行政というものをなさしめなくてはならないと私は思うわけですが、その点について総理府見解を承りまして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  63. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えします。  現在、総理府並びに地方の交通安全対策室で最も力を入れておりますのは、警察庁あるいは運輸当局、道路当局に所管しません被害者救済、これに最も力を入れております。だから、交通安全対策室が発足しました昭和四十一年以降、交通事故相談所を各県あるいは大きな都市に設けまして、これを国からも補助するということで、この面に力を入れております。昨年一年間で約二十一万人の被害者からの、あるいは加害者も含めましての交通事故相談を受けております。単に府県の交通安全対策室事故相談所以外にも、農協あるいは交通安全協会等でも交通事故相談をやっておられるところもございます。こういうのをわれわれの方でも一層統括いたしまして、全国的な交通事故相談を一層充実させていきたい、これが総理府の大きな使命だと考えております。
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 その大きな使命を果たすために、座っておってはなかなかその使命は果たされないわけですが、私が最近経験をした死亡事故三件についても、これは本当にだれも話に来てくれなかった。  初めに申上げた母子家庭にしても、これはこんなかわいそうな、事故子供を亡くしたのだから、だれかが相談をしに来てくれたであろう、こういうふうに思うけれども、全然来てない。それからまた一昨年にもこれと同じような交通事故ゼロの日に任用になった早々の娘さんが、交通安全の指導に行っておって、軽四輪にはねられて死んだ事件があった。それも家族に会って聞いてみますというと、本当にだれも相談をしてくれなかった、だれに相談していいかさっぱりわからなかった、こういうこともあるわけです。  ひとつ、国からも補助を出しておるとするならば、各府県の交通安全対策室あたりに、せめて死亡事故等が発生した場合には、それがどういう原因発生をして、その死亡事故者がどういう状態であるのかということを出向いて調査をするとかというような、私は親切さというものがあってしかるべきじゃないかと思うわけですが、その点については指導行政の面でやられる意思があるのか、いまのように座って相談に来たものを聞く、こういうことで事足れりとお考えになっておるのか、もう一回見解を承りたいと思います。
  65. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 第一線では死亡事故につきましての、詳細とは言いませんけれども、死亡事故報告なんかは警察からよく県もいただいております。しかし、いまの人員で死亡事故が起こりました被害者の家族を一々訪問するだけのちょっと能力はまだないと思います。しかし警察の方で、非常に気の毒な被害者の、先ほども言われました母子家庭なんかの死亡事故がありましたならば、警察当局から民生あるいはわれわれの方によく連絡が参ります。こういう警察側と十分手を尽くしまして、本当に哀れな、気の毒な被害者に対します救急対策警察とよく手を組みまして、今後さらに伸ばしていきたいとは思っております。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 死亡事故はそうふんだんにあるわけじゃないわけですよ。たとえば高知県で死亡事故が毎日あるわけじゃないし、そんならその死亡事故がどういう状態だということを、これは高知県の職員の問題にもなるわけですけれども、やはり国が全体的にそういう、たとえば交通遺児家庭実態調査なんかもやられる、これも結構。そして子供を亡くした家庭がどういう状態にあるか、子供死亡事故を起こしたのはどういう原因であるのか、そういうことがやはり交通安全対策を進める上においても必要であるし、そういうことについて、何かあったら相談をしてくださいというPRでもされておれば 先ほどのようなこともなかったかと思うのですが、案外そういうことを承知していない。それでは、せっかくつくったものが生かされてない、これが今日の現状ではないかと思うので、人手が足りないからやらないということではなしに、警察から通報を待つまでもなく、新聞にそういうことが出るわけですから、やはり行政を担当しておられる方はそれだけの気の配り方というものをすべきじゃないかと私は思うわけです。  そういうことを強く考えるわけでありますので、この点についての御意見を承りたいということと、さらにはいま申し上げました自動車保険につきましては、保険会社によってまちまちであって、そうしてその任意保険の支給というものを保険会社は渋って、被害者救済の実をなかなか上げることができない、強制保険の補完の役割りを十分果たしていない、こういうことが言われるわけでありますので、当委員会でもこの前も保険会社の各責任者を招いて、そうして保険会社の責任者の御意見を聴取したわけでありますが、委員長としてもこの際、こういう保険会社の関係者を招致をして、当委員会で保険業務についての論議を深めたいと思いますので、そのことをお取り計らいを願うように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 下平正一

    下平委員長 井上君のお求めの資料は、それぞれ後刻関係機関から提出をさせることにいたします。  それから参考人御要求の問題については、理事会でお諮りをしたい、こう思います。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会      ————◇—————