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1975-04-15 第75回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会農林水産委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十五日(火曜日)    午前十時十二分開議  出席委員   建設委員会    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 服部 安司君 理事 村田敬次郎君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大村 襄治君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       田村 良平君    野中 英二君       林  義郎君    渡辺 栄一君       佐野 憲治君    清水 徳松君       中村  茂君    柴田 睦夫君       新井 彬之君    北側 義一君   地方行政委員会    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 高鳥  修君 理事 山本弥之助君       木村武千代君    古屋  亨君       保岡 興治君    小川 省吾君       多田 光雄君    林  百郎君       小川新一郎君   農林水産委員会    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君       愛野興一郎君    伊東 正義君       片岡 清一君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    柴田 健治君       竹内  猛君    瀬野栄次郎君   運輸委員会    委員長 木部 佳昭君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 西銘 順治君 理事 増岡 博之君    理事 太田 一夫君 理事 金瀬 俊雄君       石井  一君    大竹 太郎君       徳安 實藏君    綿貫 民輔君       久保 三郎君    梅田  勝君       紺野与次郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君         自治大臣官房審         議官      遠藤 文夫君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  加地 夏雄君         農林省構造改善         局計画部長   平   弘君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     播磨 雅雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  宅地開発公団法案内閣提出、第七十二回国会  閣法第四三号)      ————◇—————     〔天野建設委員長委員長席に着く〕
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより建設委員会地方行政委員会農林水産委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が委員長の職務を行います。  内閣提出宅地開発公団法案を議題といたします。
  3. 天野光晴

    天野委員長 本案に対する提案理由等はお手元に配付してあります資料によって御了解を願うこととし、直ちに質疑を行います。  この際、質疑される各委員に申し上げます。  理事会の協議により、質疑時間は一人三十分と決まりましたので、時間厳守に御協力をお願いいたします。  なお、政府当局も答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  4. 太田一夫

    太田委員 一番最初には建設大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、この宅地開発公団の設立の御説明によりますと、大都市地域においては、今後とも人口と産業が非常に強力に発展をするものと考えられて膨大な宅地需要がある、それで、そのときに宅地難が社会問題となっているから宅地大量供給というのは最も緊急な課題だ、そういう事態に対処するために、地方財政負担の軽減を図りつつ、関連公共施設交通施設等整備をもみずから行う権能を備えた強力にして新たな開発機構が必要だ、そこで宅地開発公団を新設することになったんだと書いてある。これだけ見れば、そのように理論そのものに誤りがあるわけじゃないと思いますが、現在、日本住宅公団というのがもうすでにありまして、その日本住宅公団そのものというのはいまのおっしゃるように強力な開発機構も持っておると思いますが、さらに必要ならばそれを拡大強化して既存の機構をフルに利用するというのが本筋でないのか、屋上屋を架するような宅地開発公団法をなぜこの際お出しになったのか、ここのところを御説明をいただきたい。
  5. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 太田先生のような疑問は確かにあると思います。私ども最初そういった面で、むしろ宅開公団でなしに現在の住宅公団一本でやるべきじゃないかという議論もありまして、いろいろ実は検討してまいったわけであります。  ところが、御承知のように、現在の住宅公団そのものが、まあ事業も進めておりますけれども、たとえば四十九年度においても計画の十分な達成ができない、五カ年計画を見ましても六十何%程度しか実行できないといった問題がありまして、そこにやはり宅地開発という一つの大きな隘路があったわけであります。そして住宅公団の範囲も広くなってきまして、住宅を建てることに実はもう精いっぱいでやっておりますし、それに基づいて宅地問題等も含めて進めてやることについては、現在の時点では少し荷が重くなってきているのではないか。特に三大都市中心にいたしましてなおさら住宅が問題になるし、そのためにことに宅地大量供給が必要になるといったようなものを考えますと、特に三大都市圏においてはひとつこういった特別な公団をつくって、思い切って大量の宅地開発供給をするためには住宅公団だけではとても乗り切っていけないじゃないかという、まあ時代の要請にこたえてそういう形を考えたわけであります。  ただ、おっしゃるような問題もありますから、もし公団が一応成立いたしますなれば、一体住宅公団宅開公団との事業分野をどういう形に進めていくかということは、これは十分に検討せなければならぬと思いますが、私どもは、住宅公団の使命は住宅をつくるということに専念をする、そのために自分住宅を建てるための自家用の宅地は必要ですから、その程度のものは自分で開発さすし、それ以外のものは宅開公団によって大量供給をしようと、こういう考え方から実は出発をいたしたわけであります。
  6. 太田一夫

    太田委員 そうすると、宅地開発公団宅地を造成をする、住宅公団は建物をつくると大ざっぱに分野を考えてみると、宅地開発公団の開発した宅地住宅公団住宅をつくるということがあり得るのでありますか。
  7. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 当然あり得ます。ただし、住宅公団だけでなしに、その他の公社にしましてもあるいは公営の問題にしましても、その公団の開設した宅地には当然建てることもできますけれども、しかし住宅公団が入ることももちろん問題はないと思っております。
  8. 太田一夫

    太田委員 じゃあ伺いますが、三大都市圏といえば東京近畿名古屋でございますね。その三大都市圏の、名古屋においては三十キロ圏、近畿が四十キロ圏、東京は五十キロ圏という通勤圏を考えて、それぐらいの周辺宅地公団は大体一区画五百ヘクタールぐらいの用地を取得して新たなる団地をつくりたい、こういうことであろうと思いますが、その場合、いま考えていらっしゃる基本計画住宅というのは、家と庭を持つ一戸建ての、一戸建てと申しますか、高層ビルではない、そういう閑静な地域一戸建ての庭園を持つ住宅をつくるのだと、まあうわさに聞いたような気がするのですが、それはどうなのでしょう。
  9. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅開公団の造成します宅地に建てます住宅は、必ずしも低層の一戸建て住宅のみではございません。大都市圏における需要実態に応じまして、もちろんそういう大都市周辺でございますから、集合住宅のみではございません、需要実態に応じまして一戸建て庭つきというようなものも相当程度とる予定でございますけれども、それだけではいい環境の住宅市街地になりませんので、あらゆる需要にこたえますために集合住宅も相当入れるというような予定にしております。
  10. 太田一夫

    太田委員 その集合住宅というのはどれぐらいの、何階建てぐらいのビルを想像したら妥当でしょうか。
  11. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 階層は、その団地場所によって違うと思いますけれども、われわれが予想しておりますのは、中高層住宅予定しておりまして、ただし大きさによりましては、駅の周辺等におきましては商業地域等に相当高いものも考えていいのではないか。これは設計のあり方によって違うと思いますが、中高層住宅を一般的に考えております。
  12. 太田一夫

    太田委員 といたしますと、一地域における大体予想される住居世帯数というのはどれぐらいですか。
  13. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 その世帯の数というのはその団地の広さによりまして異なるわけでございます。五百ヘクタール以上ということにいたしておりますので、五百ヘクタール以上千ヘクタールあるいは千五百ヘクタール、いろいろあると思いますが、その広さによりまして世帯数もおのずから異なりますし、先ほど申しました賃貸、分譲あるいは一戸建てというような、そういう取り合わせいかんによって異なるわけでございますが、大体平均をとりまして、五百ヘクタールといいますと百五十万坪ぐらいでございますから、大体そういう町であれば四、五万というような、人員が四、五万というような形になろうかと思います。
  14. 太田一夫

    太田委員 四、五万の住宅である。四、五万というと、世帯四、五万でありますと、二人平均にしまして十万前後の人口都市が、その二十キロ圏なり三十キロ圏なりあるいは五十キロ離れた付近に忽然として出現をするんだ、こういうふうに見ていいのですか。
  15. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど四、五万と申しましたのは人口でございまして、世帯に直しますと、それを三で割ったような数ということがまず考えられます。三あるいは三・三というような数が考えられるのでございます。
  16. 太田一夫

    太田委員 一般的にモデル都市としては十万人と言われておる。四、五万人の都市というものができた場合においては、はるかに規模が小さいことになりますね。そこに利便施設をつくると言うのですが、これは大臣、この利便施設たるものは大体すべて余りそろばんに合わない、赤字公団が引き受けなくちゃならない、相当社会政策的な意味を持つ福祉施設のようなものだと考えないと成り立たぬようなものばかりでございますね、四、五万人の人口という都市を考えてみたら。そんなところに鉄道を敷こうの、そこへショッピングプレースをつくろうの、病院をつくろうの、学校をつくろうのなどと言ってみたって、みんな持ち出しものばっかりで、もうかるものは一つもありませんね。いかがですか。
  17. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど四、五万と申しましたのは標準を五百ヘクタールという場合にとって申し上げたのでございまして、おっしゃるとおり、この宅地開発公団は大規模住宅市街地をつくりたいということでございますので、「以上」でございますから、できるだけ大規模な適地を選択いたしまして、千ヘクタールあるいは二千ヘクタールというような場所が、できれば大きいそういう単位の土地が取りたいのでございます。  その場合に、それぐらいの大きさになりますと、五百ヘクタールでございますと四、五万でございますが、それぐらいの大きさになれば、当然二十万とか十何方とかというような規模になります。そうなれば、当然その都市内容といたしましては公共公益施設、いわゆる利便施設あるいはその町を健全な形にするための諸種の公共施設のほかに、いろいろな店舗あるいはある種の都市工場といったようなものも当然必要になってくるわけでございまして、そういう広さになりますれば、総合的な町づくりといった、単に住宅だけではない、商業的な機能も必要になってまいりますし、健全な市街地として造成する必要があるというふうに考えておりまして、公団法の中でも健全な市街地とするために必要な施設もこれをつくることができるという規定を十九条の一項二号のハに置いておる、そういうのもそういう大きな町づくり予定しているからでございます。
  18. 太田一夫

    太田委員 もうちょっと聞きますが、交通機関までつくるというんですから、ある場所は駅の周辺なんというようなものじゃないわけなんで、相当中心から離れたところにつくるわけでしょう。おとぎの国のようなものができるのでしょう。郵便局もつくるんですね。病院もつくり、学校もつくる、ショッピングセンターもつくる、言うなら、アミューズメントセンターもつくる。皆つくる。都市の形態を全部備えたものをつくるわけでしょう。ですから、何万世帯というのは人口どれぐらいなのがモデルだということははっきりしておいてもらわないと困るんですね。五万人なんて小さな町づくりだったら——どうでございますか、それ。
  19. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 モデルといたしましては、大体われわれは想定といたしまして少なくとも千ヘクタールぐらいのものをモデルと考えたいと思っております。また、そうでないと、総合的な町づくりとしての、先ほどおっしゃいましたいろいろな施設をその中にワンセット備えたようなものができにくいからでございます。先ほどは五百ヘクタールということで申し上げましたので、人口も四、五万ということを申し上げました。おっしゃるとおり、そのようなモデルのものになりますれば、学校、幼稚園、集会所というようなものだけではなくて、文化、福祉施設病院等も備えましたものが必要になりますし、市役所の分室であるとかあるいは警察の派出所であるとか、郵便局ショッピングセンターというようなものがワンセットそろったようなものが必要になってまいります。
  20. 太田一夫

    太田委員 さらにそのほかに道路が要る、河川の問題がある、下水道の問題がある。そういうものは、ついでに思いついたから聞いておきますが、そこに流れていた川があったとしますね、山ですから。その地方中小河川などを改修する費用というのは全部公団がきちっと出しまして改修して、地方に迷惑を及ぼさない、下水道を含めまして及ぼさないというのが基本でございましょうね。
  21. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公共施設、なかんずくこの後段に書いております道路あるいは河川、公園、下水道、こういった当然どこでも出てくるような施設というものを特定公共施設と、こう称しておりまして、これらのものは、公団公共団体と相談いたしまして同意を得て自分がこれをみずから建設することができるという規定を設けて、直接自分でやる権限を与えておりまして、その補助金は直接公団に渡すということといたしておりまして、その施設ができましたならば、これは地方公共団体に譲渡するわけでございますが、その間三十年というような長期の割賦という形で十年間据え置きまして地方公共団体に譲渡するというような形でつくることを考えておるわけでございます。
  22. 太田一夫

    太田委員 その場合の道路河川等の改修ないしは建設に要する費用地方自治体に負担させるのではない、公団負担しますから御心配なくということが原則でございますね。
  23. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 負担の関係につきましては、これは地方公共団体に、いわば一種の法律上の委任と申しますか、かわってやるのでございますから、そのあとで、十年据え置きまして十一年目から返していただくというような形になるわけでございます。でき上がりましたらすぐ公共団体に渡します。したがいまして、最終的な負担管理者である地方公共団体、県あるいは市、管理者であればそれが負担することになりますが、ただし、その団地内の土地等につきましては、これは身の回りの道路河川その他のものは公団負担し、あるいはその用地費、これを原価で出すとかあるいは学校等につきましてはこれを二分の一で譲渡するとかと、こういった一種の受益者負担的な面は負担いたしますが、原則といたしましては、これをかわって施行するということでありますので、地方公共団体負担するわけでございます。
  24. 太田一夫

    太田委員 いまのお話を聞いておりますと、そういうたてまえ論でいきますというと、公共福祉を増進することというような目的でつくられるもの、公共性のあるものということになれば、交通機関である鉄道国有鉄道として建設するのが本来になりますね。なぜ公団がみずからやろうとなさるのですか。
  25. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  今度新しく考えております宅地開発公団が、鉄道施設建設運営することができるというふうに規定をいたしまして、そのような新しい構想を持ち出しておりますのは、先生が御指摘のように、現在鉄道経営しております国鉄なり、あるいは私鉄なり、そういった鉄道経営者団地の足としての鉄道を同じく建設経営することを決して否定する考えではございません。今度のこの法案で考えております鉄道は、これは従来の私鉄あるいは国鉄が、新しくできる団地に直ちにみずからの意思をもって、あるいは今日国鉄なり私鉄なりに私どもがいろいろとしております国の補助制度も勘案の上で、直ちにみずからの意思でもって団地の足を建設するということが考えられないような、そういう団地につきましてこの公団がみずから鉄道施設建設運営するということを考えておるのでございまして、重ねて申し上げますけれども国鉄なり私鉄なりが新しくできます団地の足としての鉄道をみずからの意思において建設することを決して否定しておりません。
  26. 太田一夫

    太田委員 それは、いまおっしゃったように、みずからの施設としてやろうかということになれば、国鉄枝線でございますね、一つ枝線を敷こうとすれば、それは手続も非常にややこしいでございましょうけれども、将来の営業係数を考えたらやりたいという意欲は起きないですね、現在でさえももてあましておるところに。ですから公団がそれをかわりにつくると、こういうことになると思うのです。民鉄だってそうであって、もうからぬところにやらない。それで公団がつくる。しかし、公団はずぶの素人である。運転士一人雇いたいからといって、その辺に町に広告を出してひょいと雇えるものではない。これには国家試験が必要です。きちっとしたものが必要です。条件が要ります。そうすれば、公団はやろうとしても、実際はみずから経営することはできないでしょうね。建設はできても経営運営とはできない、こんな気がしますが、具体的にはこれはどういう形をとりますか。委託経営でもなさるつもりですか。
  27. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 御指摘のように、おそらく宅地開発公団そのものは、現在国鉄私鉄が行っていると同じような意味での鉄道経営には素人であると思います。したがいまして、実際上の問題といたしましては、宅地開発公団建設し開業いたします鉄道の実際上の運営を、他の、いわば鉄道経営の、あるいは鉄道施設運営専門家委託するということは当然にあり得ることと考えております。いろいろと検討いたしまして、そのような形はもちろん法律的にも可能でございますし、実際上の問題といたしまして、技術的な施設運営につきましては、そのような人間の組織と経験を持っておるスタッフ、これがこれに当たることが実際上も望ましいのではないかと思っております。また、御説明が少し飛ぶかもしれませんが、これらの宅地開発公団建設をいたします鉄道施設は、現在走っております最寄りの国鉄なり私鉄なりの駅までの線路というものを考えておりまして、おのずからその近くにいわば専門家の集団がおるということを念頭に置いておるものでございます。
  28. 太田一夫

    太田委員 なるほどそういたしますと、これは、建設は、お金は公団が出してつくるけれども、その運営については専門家が行う、すなわち、その線路が接続をするところの駅が国鉄ならば国鉄民営鉄道なら民営鉄道にこの運営委託する、こういう形になるであろうと考えてよろしいですか。
  29. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 具体的にどの地域にどの規模団地ということがだんだんはっきりいたしまして、建設省とも御相談をしながら宅地開発公団そのもの計画が決まることでございまして、明らかにそうでございますというふうにお答えする自信はございませんけれども、大体の傾向としてそのようになるのが自然であると思っております。
  30. 太田一夫

    太田委員 そこで公団お尋ねをいたしますが、その際、運営委託された側が、そこの収支を計算いたしますとすごく採算が悪い、だから、年間何千万円の赤字が出たからそれだけのものを補助してくれ、助成をしてくれと言われたときには、それはそこに助成をされるのでございますね。
  31. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公団鉄道建設につきましては、宅地開発部門鉄道建設部門と分けておりまして、区分して経理することになっております。いまおっしゃいますように、鉄道の場合には、当初、あるいは片道交通といいますか、赤字が当然予想されるわけでございます。しかし、これは経営長期のプログラムの中におきまして、長期収支というものを当初運輸省等と相談いたしまして、その経営内容というものを当然計画の中に織り込んで、その鉄道建設及び経営に必要な助成その他は極力、いまやっておりますいろいろな方式がございますけれども、その中で最も適した有利な方法で助成するということを考えておる次第でございます。
  32. 太田一夫

    太田委員 そのことをもうちょっと聞いておきたいんですが、端的に言って、鉄道建設に要する費用は当然公団が持つ、運営上の赤字公団が責任持つ、そういうこととは違いますか。
  33. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団鉄道建設部門を持って、そしてその建設及び経営に要する費用公団が持つという原則にしておるわけでございます。
  34. 太田一夫

    太田委員 後藤鉄監局長さんにお尋ねをいたしますが、国有鉄道委託経営を受けるとすると、これは何条の何項によって受託されるわけでありますか。
  35. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 日本国有鉄道法の第三条の二項「日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、工事の施行、業務管理又は技術上の試験研究を行うことができる。」これに基づいて行うということを考えております。
  36. 太田一夫

    太田委員 いささか解釈の細かい点で恐縮でありますが、「業務管理」というのは、有権解釈によれば、これは経営権一切を含み、運営面の一切の責任を含み、そういう総合的な管理運営を含むというふうになっておりますか。
  37. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 技術的な物理的なものの管理運営でございまして、そのことから生ずる経営上の損益というものを国鉄が全部負うということは含まないと理解しております。
  38. 太田一夫

    太田委員 時間がありませんから、ここでまとめておきますが、この計画は、当初の大臣の御説明のように、実情がこれをつくらざるを得ないんだというところに屋上屋ではないという、こういう御説明がありました。しかし、私どもは釈然としませんのは、何か十分の推敲がなされておらないのではないか、世間で言う天下りの場所を提供するだけの公団ではないのか。あるいは、在来の日本住宅公団そのものに対する何かいささか制肘を加えるものではないのか。そしてそこにおる労働組合なり従業員に不安を与えて一向解決されないような傾向が現在ありますから、従業員、労働者には不安を与えっ放しになっておるが、それが一向に解決されておらないのはどういうわけだろうか、何かあるのではないだろうか。こんな気持ちがいたしますが、従来の住宅公団理事者ないしは従業員、労働者等に不安を与えるような構想でもないし、地方自治体に無用な財政負担を強いるものでもない。鉄道の場合から言いますと、それが安全面を無視したり、あるいは収支とかいう面を無視して、単に必要だから目をつぶってつくるというような無定見なものでもないんだ、こういうことであってほしいと思うのですが、最終的に大臣からお答えいただきたいのです。特に既存の住宅公団の労働組合員に何か無用な不安を与えておったり、屋上屋を架するという説がなされたりしておりますことに対しては、そういうことじゃないんだということをはっきり御明言いただけるものでありましょうか。
  39. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 お説のようないろいろの取りざたもされておりますが、宅開公団をつくるのは、決して天下りを考えてみたり、それから住宅公団の現在の内部に特別な不安やいろんな流布されるようなことが考えられてのことでは全くございません。御承知のように、いまの住宅政策が、現在公団でも精いっぱいのことをやっていますけれども、これでもどうしてもまだ国民の要望にこたえることができないのでありまして、もう一歩前進して何らかの思い切った措置をとらなければ住宅問題は前進できないという、実は一つの大きな問題点を抱えておるわけでありますから、そういう意味一つ新しい考え方としてこの公団法を実は考えたわけであります。そういう意味において、決して屋上屋を重ねるようなことのないように、また住宅公団の中の職員に特別な不安を与えることのないように私どもは今後十分配慮していきたい、かように存じておるわけであります。
  40. 太田一夫

    太田委員 時間ですから、終わります。
  41. 天野光晴

  42. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初建設省の方に聞きます。  五百ヘクタール以上、できれば千ヘクタールとか二千ヘクタールと言われている新しい宅地の造成、これを行った場合、いわゆる個人分譲、それと集合、特に公共住宅建設ということが住宅政策上では圧倒的に重要な意味を持つわけですけれども、この公共住宅用の集合住宅用地、そういうものと分譲とかあるいは庭つきだとか先ほどいろいろあったようですが、この大体の割合はどれくらいのことを考えているのか。
  43. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 割合につきましては、場所によって、また形状、位置、面積等によって違うと思いますけれどもモデル的に申し上げれば、過去の経験におきましても、住宅公団等がやっております類似の大きな団地等によってわれわれは比較経験で申し上げるわけでございますけれども、大体大都市周辺部において行うわけでございますから、そういう場所柄から言いまして相当程度の低層の住宅というものも必要であり、また需要実態から言いましてもそういう要請にこたえなければならないと考えております。  で、結論的に申しますと、その割合は、従来の経験によりますと、たとえば千里、泉北等の例で申し上げますと、面積的には、そういう戸建て平家的な住宅の面積が大体六割ぐらいの面積を持ち、それから集合住宅的なものの用地の面積というものが大体四割ぐらいあるというような形のものがいままでの状況でございます。大体それらをモデルにしていいのではないかというふうに考えるわけでございますが、これは面積でございまして、戸数について申しますと、戸数は当然集合住宅の方が面積は小さくても多くなっておりまして、いまの挙げました例で申しますと、戸数につきましては逆転いたしておりまして、集合住宅の方が戸数としては多いわけであります。面積的には六、四、戸数的には、いま申し上げました例で言いますと、集合住宅が六割となっているというのが実情でございます。  ただし、これはいままでの例で申し上げたのでございますので、今後の開発公団の行います住宅について一つの指標として申し上げたのでございまして、方針といたしましては、現在の三大都市圏におきます需要実態から言いまして、その実態に合うような形で持っていかなければならないというふうに考えますときに、相当程度、個人の平家的な分譲住宅の要望がかなり強うございますので、それらにも合わせて行う必要があるということを考えますれば、いま申しましたような大体の面積比率というものが考えられるのではないかと思っております。
  44. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、方針としても個人分譲等が六割ぐらい、むしろこれは実績を土台にしたと言いますけれども、それよりもっと多くなる可能性をいま言っておりますね。そういう点で、そういうことを決めるのはどこが決めるのですか、そういう割合を。
  45. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 この計画は、都市計画におきまして、大体区画整理方式によるか、あるいは新住宅市街地開発方式によるか、あるいは最近できました新都市基盤の法律によるか、手法によって違うと思います。しかし、これは要するにそういう都市計画事業の中におきまして、事業計画あるいは処分計画におきましてこれを決めまして、それを建設大臣が認可するという形で決まるものでございます。
  46. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、いま住宅が約一千万戸足りないと言われております。あなた方の資料によっても九百万戸とか言っておりますが、そういう点で、もちろんわれわれは個人の庭つきのあれも否定するものではありませんけれども、特に三つの大都市における住宅問題の一番深刻な点は、やはり公共的な住宅を大急ぎでつくることによってこの深刻な三大中心地における住宅問題を解決しなければいけないというのに逆行して、持ち家主義、そしてこの割合から言っても新方針から言っても公共住宅の大量建設ということに背を向ける、そうではないのか。これはどうです。
  47. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の三大都市圏における需要実態というものは、一戸建て平家というものの需要もかなり多いが、同時に賃貸住宅あるいは公的な住宅需要もデータによっても当然多いわけでございます。この実態にこたえるべく、場所によって違いますけれども先ほどばらつきがあると申しましたけれども、相当の公的賃貸住宅等も必要でございます。そこで、それらに対しましては、宅地開発公団は、先ほど大臣申しましたように、公団住宅なり公社住宅なり、あるいは都道府県の行います公的住宅へこれを分譲するという形において公的住宅建設用地を確保し、これを譲渡するということを当然考えております。
  48. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの答弁から見ても、公共住宅つまり公営、公団、公社、こういうものに対する土地の払い下げは結局分譲の割り当てが四割とか三割とかというふうなことで、やはり公共住宅軽視、そしてあなた方の持ち家主義の住宅政策からするならば、大局的な要望に根本方針の上で背反があると思います。それは先ほど言いました答弁から間違いなくそういうふうに出ていると思います。  それから、今度は分譲価格ですけれども、これは大体どれくらいのものと考えているのですか。
  49. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 分譲の価格につきましては、これまた場所によりまして、また位置、形状等によりまして違うわけでございますので、一概にどれぐらいということは申し上げられませんけれども、最近の類似の住宅公団等が行いました大規模開発における価格に徴して、四十五年以降四十八年までの幾つかの例で申し上げますと、大体八十坪から百坪ぐらいの単位のもので平均いたしますと坪当たり十万円前後というような形になっております。ですから、そのとおりにできるとは申し上げませんけれども、それらのものが一つの目安になるのではないか。ちなみに造成価格というものは、取得費がその大体一二%ぐらいになっておりまして、造成費が三七%ぐらいになります、金利が二割ぐらいになります。こういった計算で積み上げてまいりますと、取得価格いかんにもよりますし、造成の難易にもよりますけれども、大体いま申し上げましたような水準の前後でいまのところはそういう計画が立ち得るものというふうに、私は考えているわけでございます。  なおついでに申し上げますけれども先ほど四割、六割と申し上げましたのは、面積の比率を申し上げたのでありまして、戸数の比率ではございませんので、戸数は逆転いたしております。
  50. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その十万円というのは、それはいつごろ入手したものと見てですか。
  51. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これは四十五年から四十八年に行った募集のときの価格を申し上げました。これの取得の時期というのはそれより数年、すなわち五年ないし七年ぐらい前に取得したものが一般でございます。したがって、四十五年から見ますと大体四十年前後に、あるいは四十八年のものであれば四十二、三年にというようなものが普通であろうと思います。
  52. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは三十七、八年ごろ入手したものなんですよ。それは遠い過去なんです。あなた方が出してくるとすればいまの時点での問題が必要なんです。そうすると、いま買うとして、それで渡せる一坪のあれはどれくらいですか。
  53. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 われわれが大体めどをつけておりますところはございますけれども、どこということの場所はいまここで申し上げることができませんけれども、一般的に申し上げまして坪当たり大体五千円ないし七千円程度というようなものが多いように、われわれの持っております資料ではそうなっておりますが、場所によりましてはそれより高くなっております。ただし、これは広い地域でございますので、平均いたしますと大体一万円……(紺野委員「平米ですか坪ですか」と呼ぶ)坪で申しました。平米で申し上げますと三、四千円というようなところが標準ではなかろうかと思っております。
  54. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはちょっとでたらめだな。平米当たり三千円とか四千円というのは昭和三十七、八年のときのことです。どうです。いまだとすればどれくらいですか。平米三、四千円ですか。
  55. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 場所によって差があるということは先ほど申し上げました。私ども予定しておりますような場所を通算してみますと、平米当たり大体四千円強から六、七千円。坪当たりではございません、平米当たり四千円強から六、七千円というものが多うございます。
  56. 紺野与次郎

    ○紺野委員 どうもそこのところがあなた転々としておりますけれども、これは労働組合、あなたよりももっと経験のある日本住宅公団の人たちが計算したものによりますと、いまの十万円というのは昭和三十七、八年当時のものであって、四、五年前のもので計算すれば、坪にして二万で買って、そうして実際上分譲する場合は二十万になるだろう、それからもし現在でやるとすれば坪三万で、そうして分譲は三十万であろうと言われております。だから、羊頭を掲げて狗肉を売るということがありますけれども、古い時代の資料をもってあなたそう言っているけれども、実際には非常に高いものだ。坪当たり三十万円ぐらいのものになるだろうと計算しております。どうですか、そういう点は。
  57. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 私がいま申し上げましたのは一つの例として申し上げたのでございまして、それは場所によって非常にでこぼこが多うございます。したがいまして、私がいま申し上げました例は必ずしも荒唐無稽な架空の数字を言っているわけではございません。場所は申し上げることができませんけれども、おっしゃるとおり、中には平米当たり一万数千円するようなところもございます。ただし、それらはもっと大きく包み込みます場合に平均すると若干下がるとは思いますけれども場所によって差がございます。おっしゃるとおり、できるだけ安価な低廉な住宅を供給するためには、現在は距離的には近いのですけれども地理的に非常に遠くてというようなところを、いろいろな施設を投ずることによりましてこれを造成して提供するということになりますので、比較的廉価なところをわれわれとしては中心的にねらいたいというふうに考えておる次第でございます。
  58. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういううまい話がどこかにあるのかどうか。いま土地は大企業によって非常に多く買い占められているのです。建設省の統計によっても四十七万ヘクタールがもう買い占められている。日本のすべての市街地で五十三万ヘクタールぐらいです。それにほぼ匹敵するぐらいの土地が買い占められているのです。ですから、あなた方自身の統計によってもそういうことで、とてもとても空気から買うようなわけにはいかない。多くの買い占めされているところを買うということになる。そういう点から見て、やはり非常に高いものになるだろうということです。現にことしあたりの計画されている住宅公団のいわゆる五十三年完成型の二DKの家賃はどれくらいだと思いますか。
  59. 山岡一男

    ○山岡政府委員 原価で申しますと相当高くなりますけれども、傾斜家賃制度等を用いますので三万五千五百円ぐらいに考えております。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはことしあたりやるやつですか。それとも五十三年ごろに貸すものですか。
  61. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいま申し上げましたのは、五十年につくりまして五十一年に供給するものの平均の大体の単価でございます。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 五十三年ごろはどうです。
  63. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五十二年ごろはいまちょっと計算しておりますが……。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 五十三年ごろ完成するものという計算によりますと十万円ですよ。十万円の家賃ということになるのです。そういう高い家賃が見通されるような情勢でありますから、いまこの計画によって言われている数字というものは非常に数字を偽って出されているのじゃないか。とてもとてもそういうようなものではないということです。それを、一つの新しい都市をつくるんだ、一つの小宇宙をつくるんだというふうな意気込みですね。これは日本列島改造のあのころのあだ花をあなた方は追いかけているのじゃないかという印象を受けます。  私は今度は具体的に聞きますが、住宅公団との関係ですね。これは日本住宅公団総裁がこう言っているのですね。つまり大規模計画地区がある。それはたとえば千葉の千原台ニュータウンだとかあるいは関西の方の神戸の後ろの北神あるいは北摂ニュータウン、そういうようなところです。それは非常に大規模であって、交通機関も水も必要であるというふうな点からしてこれは住宅公団から新宅開公団に移すことを検討している、こういうのですね。こういうことが本当に検討されており、そしてこれを実行に移すというふうな姿勢でおられるのですか。ちょっとお聞きします。
  65. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 現在のところ、いま御指摘になりましたようなところは考えられますけれども、われわれといたしましては、まだ候補地を具体的に決めておりませんし、またそのような折衝にも入っていない段階でございますので、この場で申し上げることはできませんが、住宅公団がいま手がけているものにつきましては、附則におきまして、なお住宅公団がこれを継続してやることができるようになっております。私ども住宅公団の同意を得て、もし住宅公団の所有しているところで適地であるということで宅地開発公団にこれを引き継ぐということは可能だと思いますけれども、現在のところ場所的に決めているわけではございません。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、いままずさしあたり東京から五十キロ圏ということになりますと、そこの線上にはっきりと浮かび上がってくるのは、一つは千葉の東南部の千原台ニュータウン、港北ニュータウン、それから北神、北摂ニュータウンなどであります。これは住宅公団としてすでに計画をされているものですけれども住宅公団総裁が、そういうことが問題になっている、移管することになるのではないかということを検討されているということを言っているのですから、これは事実だと思うのですね。どうですか、それは。
  67. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいまの総裁がおっしゃいましたということは、私どもはまだ聞いていないわけでございます。先ほど申しましたとおり、これから宅地開発公団ができます過程におきまして、われわれ適地等につきまして十分相談をしながらやっていきたいと思っております。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうするとやはり相談するということですね。そしてそういうことだとすると、いろいろ一連のことが浮かび上がってくるのですけれども、いまの千原台ニュータウンですね、これとそのすぐ近くに東急不動産の開発予定地が三千ヘタタールあるのですね。膨大なものが目と鼻の先にあるわけです。そういうところですね。これはいまは市街化調整区域です。そしてこれだけ買い占めたけれども、東急不動産は、水がないとか、交通が不便であるとか、あるいは特に市街化調整区域であるという点からなかなか解決されないということでもてあましているのですね。こういうところをあなた方は目をつけて、さあいらっしゃいというふうに、こういうことを計画の上に乗せていくのではないか、これをちょっと聞きたいと思います。
  69. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 繰り返しますけれども、まだそういう段階に至っておりませんので、具体的な場所につきましてはいま申し上げることはできませんが、仮にいまおっしゃいました千原台、南千葉だと思いますけれども、ここが適地であるというふうに宅地開発公団の方で認めまして、それをどうしようかというときには、当然その位置、形状のほかに、いま御指摘になりましたような水の問題とかあるいは交通の問題というような問題を総合的に勘案して決めなければならないのでございます。したがいまして、ただそこにある業者なりあるいは住宅公団なりが買って持っておるということだけでは、宅地開発公団の適地であるかどうかということにつきましては詳細に検討する必要があると思います。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは全く適地なんですよ。それで適地であるということであれば、いまお話しのとおり調整区域になっているという場合はどうするのですか。
  71. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 もし適地であるということになりますれば、当然都市計画法の手続によりまして、いま調整地域でございますから、計画的にこれを大規模な新しい住宅市街地として形成するというふうに国が決め、そして公団事業計画を立てるわけでございますから、当然調整地域のままでこれを開発することは不適当でございます。当然これを市街化区域に編入することを予定し、関係当局すなわち農林省その他、いま農地になっているところも多うございましょうから、これらと調整をとって市街化区域に編入の手続をとり、そして事業に移すというふうに考えるのでございます。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ですから、先ほど言いましたように、あなた方の調査によっても四十七万ヘクタールの土地が買い占められている。千葉一万七百四十四ヘクタール、埼玉四千四十五ヘクタール、神奈川二千九百六十三ヘクタール、東京は八王子、町田、青梅合わせて千七百五十六ヘクタールというふうに大手が買い占めております。大部分がそれは大手です。そういうものが主として市街化調整区域で買い占めた。田中角榮氏を先頭として買えや買えやとやってずいぶん買いましたが、さてこれがなかなか処分ができなくなった。どうにも処分がうまくいかないということで苦しんでいるのがいまの状況だと思いますが、そういうところに対して、まさにあなた方のこの法案というのは活路を与え、そしてそれを救済するというふうな仕掛けになっているというふうに、全体を総合して政策の発展を追及するとそうなっているのですが、だからまた、それにふさわしいような住宅としては、マンションをたくさんつくるとか、そうでしょう、今度はマンションをたくさんつくるのでしょう。そういうふうな高い家賃なり分譲価格のそういうものをつくるというふうになっているのじゃないかというふうに思いますが、これはどうですか。
  73. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 もしそういうところが適地であるということになりますれば、先ほども言いましたように、これを都市計画の手続にのせて、十分地元公共団体あるいは関係方面とも調整をした上で都市計画の枠の中に入れるわけでございます。単にそこが面積的に大企業その他によって買い占められていて取得しやすいということだけでもって適地とするということは考えておりません。われわれは、大都市住宅難を最も有効に吸収し得るような適地を求めるという目的でそこを取得するのでございますから、たとえ法人が持っていようとあるいは個人が持っていようと、それが適地であるかどうか、それが真にこういった市街地をつくることに適しているかどうかということに主眼を置いてやるべきでありまして、そういう非常に問題があり、あるいは水等が足りなかったりというような欠陥がない限り、そういう場所につきましては、これを本当に新住宅市街地としてつくるのにふさわしいかどうかということを考えました上で行動を起こしたい、このように考えておるわけでありまして、救済というようなことを念頭に置くものでは決してございません。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、そういうことで、救済でなくとも、適地であれば大いに買うということですね。  それで、今度は交通機関のことについてお聞きしますけれども、多摩ニュータウンに小田急と京王の線を引っ張りましたね。これについて、こういう交通機関をつくる場合のいわゆる三省覚書というのがありますね、費用負担の問題について。そういうことで、今後ともそこに交通機関をつくる場合に、やはりあの三省覚書というのか、費用負担原則はやはり適用されるのですか。
  75. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 いまお述べになりました三省覚書というのは、いわゆる鉄建方式と称するものの取り扱いにつきまして三省で決めておるルールでございます。先ほど申しましたように、そういう鉄道の敷き方等につきましては、大体三つの方式、公営方式あるいは地下鉄方式あるいはニュータウン方式と称するいまお述べになりましたような三省覚書に基づくやり方があるわけでございます。これは、その場所によりまして、あるいはその鉄道のあり方につきまして、具体的にどの方式をとるかということを、運輸省とも相談しながらさらに検討をやらなければなりません。ですから、どの方式をとるかによってまた事情が違ってくると思いますけれども、もし多摩のような方式をとるとすれば、いまの三省覚書というものがいま根底になっていることは事実でございます。それが非常に負担が多いということになれば、さらにこれを改善するという方向で今後も考えていきたいと思っておるわけでございます。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野委員 多摩方式を見ますと、大体九十五億ほどの負担があれで出ております。いわゆる二分の一の負担方式というふうなことですね。ですから、要するにこういう重い負担、路盤下のこととか、それから経営先ほど必ず赤字の累積が出てくる、これがいよいよ経営者に渡る場合に赤字累積及び多くの負担、こういうものが一つ宅地の分譲価格にはね返らないかということ、それから後の運営する鉄道の料金にほかよりも高い料金としてはね返ってこないか、この点だけお聞きします。
  77. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 宅開公団の開発いたします団地鉄道建設費をどういうふうに開発者に分担していただくかということにつきましては、建設省から御説明ございましたように、いままでのいろいろな制度を参考にいたしましてこれから決めることになるものでございます。もちろん原則といたしまして、今度はそのできました鉄道の運賃、定期券の代金、こういったようなものは、この鉄道自身の通常の原則によりまして運賃が決められるものでございまして、それが非常に不当に利用されるその団地の住民の方に負担にならないようにいろいろと配慮をしなければならぬと思っております。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 宅地にはね返るかどうか……。
  79. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公団法におきましては、先ほど申しましたように、宅地の会計とそれから鉄道の会計と分離して、鉄道の会計の赤字宅地会計の方にかぶらないように、そういう配慮から分離経営することにいたしておりまして、相互の赤字につきましては、それぞれの会計ごとにいろいろな助成措置を講ずることといたしております。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、結局それが最後に高い家賃やあるいは高い分譲価格としてはね返るということ、それから実例によりますと、泉北高速鉄道のように二割も料金が高いということ、そういうふうな多くの弱点を持っていると思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  81. 天野光晴

    天野委員長 松本忠助君。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 当面する都市交通問題に関連しまして若干の問題点を伺いたいと思っております。  今回の宅地開発公団法案によりますと、第十九条「業務の範囲」、そこに宅地公団が造成する大規模住宅地について、いわゆる従来の足なし団地といいますか、こういったものを解消しよう、こういうところから、いわゆる最初から鉄道建設という問題を織り込んだ措置を講じている点はわかるわけでございます。しかしながら、いわゆるもちはもち屋という言葉があります。なぜいわゆるこういった鉄道建設交通機関建設を織り込んだ計画を当初からやったのか、ということは、いままでのやり方がまずかったからこれを直すのだというところでこういうふうにしたのか、どうも私にはこの鉄道施設というもの、交通の施設というもの、本来ならば交通機関に任せておくべきものをこの宅地開発公団の中に取り入れてやるということ、これ自体に少し疑問があるわけであります。いわゆるもちはもち屋という言葉で示されるように、やはり当然のこと、鉄道なり軌道なりの関連する業者がいままでのようなやり方で建設あるいは建設後の運営、こういうものをやるべきではないかと思うわけであります。それをこうして最初から織り込んだという点についての説明をひとつ求めたいと思います。
  83. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  御承知のように、従来いわゆる団地交通機関につきましては、先ほどもお話の出ておりました鉄建公団方式というものが一つございまして、これに基づきまして多摩ニュータウンの小田急、京王の枝線建設運営というもの、その他の例がたくさんございます。私ども建設省ともあるいはほかの官庁とも、今後の団地建設につきましてそれの交通問題ということにつきましては、いろいろと御相談をして密接なる御連絡をしております。  ただ今後、いろいろとさらにできます団地、ことに今度宅地開発公団が認められまして、この公団によりまして団地が新たに大規模に造成されるといたしました場合に、従来の鉄建公団方式による方法、それはそれでだめとは私どもは考えておりませんし、今後とも大いに活用していきたいと思っております。しかしながら、そのような方式のみをもって今後できますすべての団地の交通問題が解決されるとは考えられない。そこで、今後できます団地の足、交通問題の解決といたしまして、従来やっております鉄建公団方式は今後ともそれが適用できますところでは適用いたしますが、先ほどもお話がございましたが、実例があるかどうか存じませんが、国鉄線を延ばすことがよければ国鉄線を延ばすという方法もあり得ると思います。ただ、そのような既設の鉄道経営者がある具体的な団地の交通問題について、みずからの意思によって、みずからの計算において現在の補助制度を前提として直ちに線路を敷く意思がないというような場合に、ただいまお願い申し上げております宅開公団自身が鉄道施設建設運営するということができるようにしたものでございます。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 では、できるようにしたということで、必ずしもこの方式によるわけではない、従来の方式による場合もある、それは情勢によってやるのだ、こうなるわけですね。  それでは、いわゆる三大都市圏、この中で、いわゆる大都市周辺地域に現在そういうところがあるのか、この方式をもってやろうとしている候補地というか、そういうものがあるのかないのか。これはどういうことになっていますか。
  85. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま候補地の具体的な場所の選定は、われわれは事務的には検討いたしておりますけれども、まだそれを確定するに至っていない。これは公団が成立いたしました暁におきまして具体的にこれを進めていく考え方でございます。  しかしながら、従来の例によりますと、たとえば、これは例が違いますが、泉北丘陵の団地におきましても、企業局が自分で南海のところまで鉄道を引っ張るとか、あるいはこれまた公共団体施行でございますが、北千葉ニュータウン計画におきましても、県がそういう鉄道自分で敷くという計画をすでに認可を取って着手にかかっておるような場合がございます。  こういうことを考えてみますと、やはり相当大規模なものであって、かつ大都市周辺部において新しい市街地をつくるということになりますと、既成の鉄道の最寄り駅までこれを引っ張るということは当然考えられるケースが多いかと存ずる次第でございます。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 あなた方の言われるのは、そういうところを具体的に明示するならば必ず地価の高騰があるだろう、そういうことを思ってそういうところは言えないのだということで、奥歯に物のはさまったような言い方ですよ。しかし、現実に私たちがいろいろ調査してみれば、こういう限られた場所があるわけですよ。大体見当がつくわけです。いわゆる既設の鉄道がある、それからまた、既設の鉄道が全然ないけれども、こういうところならこれから宅地造成が考えられる。しかし水というような問題も考えなければならないし、それから今度はそれの排水の問題を当然考えていかなければならない。いろいろなことを考えていくと、だんだん場所は限定されてくるわけです。あなた方は、そういう場所は現在のところは事務的には進めているけれども、お答えはできないというようなことを言っていられるけれども、これは私たちが見れば、そういうところはわれわれはもうわかるわけです。目星がついているわけです。少なくともはっきり言った方がいいんじゃないかと思うのです。こういう計画があるからこういう構想、新しいいわゆる宅地開発公団法というもの、その中に業務の範囲でこう決めるのだ、そうはっきりおっしゃいませんか。
  87. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 私どもはそういう開発適地を、かねてから大規模開発ということで、実は十年以上前になりますけれども、新住宅市街地開発法という法律をつくりますとき以来、調査を進めておるわけでございます。その中には一部着手になったものもございます。多摩ニュータウンであるとかあるいは泉北であるとかあるいは所沢であるとか、そういったところがすでに着手されております。今回宅地開発公団をつくりました場合に、現在、東京圏におきましては五十キロ圏あるいは大阪圏におきましては四十キロ圏のところが、スプロールが非常に多いわけであります。そういう場所でどこが適地であるかということについては相当考えられる場所はあるわけでございますけれども、いま申しましたように、水、交通それから財政負担あるいは地形その他の問題をもっと詳細に検討いたさなければ、かけがえのない土地でございますし、それからまた地元との調整ということを考えますと、いま直ちにここが候補地であるということを申し上げることには、まだ資料の不足あるいはそういった準備不足というようなことが考えられまして、遺憾ながらこういうところであるということをいま公開の席上で申し上げることはできない、こういう段階でございます。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろ伺いたい点がありますので、その問題はしばらくおきまして、後藤局長に伺いますが、四十九年十一月八日に、国鉄首都圏交通体制調査会、これは磯村さんの会長でやられたもの。これの発表したもので、「首都通勤交通現状打開のための提言」というのがありますね。これは局長もごらんになっていると思います。この中にも言われているのですが、もう慢性的ないわゆる通勤地獄解消のための方策の一つとしては、とにかく通勤輸送の余力のない沿線にはこれ以上団地やマンションはふやすべきではないという提言が出ているわけですね。事実、大都市において通勤時の混雑というものはもう予想のほかです。いわゆる酷電と言われているように、限界点にあるわけです。また、国電に限らず、輸送力増強計画が追いつかない、こういう私鉄の沿線もあるわけです。これは重大な、深刻な問題になっています。これにさらに輪をかけることになるのじゃないかと言うならば、この公団法は、全く新しいところにつくる、全然別の交通機関で持ってくるということが構想なのか。いままでのものに接続して枝線を延ばした、そういうものでは結局またもとが詰まってしまうわけですから、そうすると、この宅地開発公団法というものは、全然新しい交通機関をストレートで持ってこようという意図のもとにやっているのか、こうしか考えられない。その辺のところで、どうなんですか。
  89. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 この法律で考えております団地は、これまで建設省からいろいろと御説明申し上げましたように、具体的な形はこれからいろいろと決まることでございましょうけれども、一般論として、ここで問題になっております鉄道施設について申し上げますならば、団地から都心に向かって直通の鉄道線路を敷くというケースはまずない。現在いろいろと御指摘ございました、現在でも込んでおります国鉄私鉄線路の最寄りの駅にこの団地から鉄道施設をつなぐというのが、最もあり得る状態として描いておるものでございます。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、いわゆるストレートで持ってくるのでなければどこかへつなぐのだということになりますと、いわゆる既成の鉄道あるいは既成の交通機関、軌道、こういったものとの関連が当然出てくるわけです。そうなりますと、それらの関係業者との間の話し合いというものはついているのかどうか、この点はどうですか。
  91. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 具体的な新しい団地の位置、そこから考えられます最寄りの駅、その最寄りの駅から都市中心部に向かって現在走っている線路の状況、そういったようなことをいろいろと念頭に入れ、勘案しながら、この宅開公団が立てます団地造成計画基本的な考え方につきまして、私どもとしては建設省といろいろと御相談をしながら方針を決定するというものでございまして、もちろんそのような場所場所が今後この法律成立の暁に話題になってまいりますれば、御指摘のような枝線から幹線に入った、その幹線の状態というものがそのような団地の足の輸送にたえられるかどうかということを考慮に入れまして、そして団地の足の問題ではなく、大都市圏の交通問題一般の問題といたしまして、その相互の調整を図りながら事柄を進めるというのが私どもの考え方でございます。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは具体的に言いますと、枝線まではいわゆる宅地開発公団でやる。今度は枝線から東京都心部の方は従来の鉄道なり軌道なり、そういったものを利用してもらう。そうすると、当然これは線増でもしない限りのみ切れないわけですね。幹線の方を新しく線増しなければならない。複々線化するとかなんとかしなければならない。そういったものについての費用はどういうふうな計算になるわけですか。
  93. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 恐らく御指摘のように幹線の部分につきまして現状を増強するような施策が当然必要になってくると思います。ただ、その具体的な施策が念頭に上がりますときに、ある特定の団地枝線とどのような関連があるかは、ケースバイ・ケースにいろいろと判断さるべきものだと存じます。私どもの考え方としましては一その枝線の部分の増強のためのいろいろな施策につきましては、従来行っております。たとえば私鉄の場合の鉄建公団方式とかあるいは国鉄が現在国の各種の補助を得ながら都市交通問題の改良をしておる、そういった考え方に乗せる考え方でございます。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 宅地造成に必要な公共施設あるいはいま問題になっている交通施設について、公共施設の方は従来もかかっていたのですし同じことですが、いわゆる交通の施設等の整備費というもの、これはもう当然宅地の分譲費に影響を及ぼすわけです。その影響を及ぼすものが、たとえて言うと一つ団地人口五万ぐらい、こういったもので、もちろん場所にもよりましょうけれども、分譲価格にこの交通施設等建設費用というようなものがかかってくると思いますので、一体それは従来の公共施設だけのものに対して何%ぐらいの増しで落ちつくものか、この辺の試算、一平米当たりどれぐらい割り増しになるかというようなこと、これは算出したものがありますか。当然のこと、これは分譲を受けて入る人たちの負担すべきものになってくると思いますが、この辺の計算は、場所にもよりましょうけれども、大体どれぐらいになるか。
  95. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ニュータウン鉄道方式による場合の仮の試算を申し上げますと、多摩ニュータウンの例で申し上げますと、大体平米当たり二千円見当というふうな割り掛け率になっております。これは、御承知のとおりと思いますけれども一種の受益者負担的な考え方によりまして、団地内の土地というものは原価で出す、それから最寄り駅までのものにつきましては、普通の時価と原価との差額を出し、あるいは基面下の工事費の二分の一を持つ、こういった形で主として団地内の利便のために必要だという意味で出したものでございます。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 鉄監局長に聞きますけれども、この鉄道を仮に建設するとして、要するに建設の技術陣というものは限られた人間だろうと思うのでありますけれども、こういった技術陣の確保というようなもの、それからまた建設するための資金の調達、こういったものについて、いわゆる地下鉄方式とか鉄建公団方式等々、いろいろあると思うのでありますけれども、この補助率についてはどのように考えられているか、これをひとつ。
  97. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 宅地開発公団が実際に設立されました場合に、恐らく鉄道建設そのものの技術陣を公団の中に多数抱えて、独力で、現在たとえば鉄道建設公団が行っておりますような機能を宅地開発公団が行うということは、実際上は考えられないと思います。したがいまして、そこいらの実際の建設の実務といったようなことにつきまして、この公団がみずからすべての責任をとるということを考えているわけではございませんで、これは実際にでき上がってみなければわかりませんけれども、いろいろな専門家にこれを委託するという形が考えられると存じます。  また、その資金の問題でございます。この資金の問題につきましては、宅地開発公団そのものが今後事業を進めていきます資金計画として、今後いろいろと検討を進めて実際の方法をとっていくわけでございまして、現在予算として成立している部分では、まだわずかな、いわば調査費的なものが計上されているにすぎません。問題はむしろその工事費全体につきまして、いわば鉄道経営者としてどのような助成措置を講ずるかという問題でございますけれども、その問題につきましては、ただいま私どもはさらに検討中でございます。  御承知のように、私鉄団地交通につきましては、鉄建公団方式あり、あるいは先ほども話題になりました公営、準公営の交通機関につきましては建設費の三六%を国と地方が補助するという方式あり、あるいは都市内の地下鉄については別の補助方式あり、いろいろな補助方式がございますが、そういったようなものを勘案しながら、今後具体的な方策を詰めていく考え方でございます。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほどの質問にもあったようでありますけれども、当然赤字が出ると思います。その赤字の場合は、もちろん宅地の部分と鉄道の部分とは分離するというようなお話がございましたけれども、いわゆる赤字が出た場合の措置の方法ですね、これが運賃にはね返ってくるのじゃなかろうかという心配が一つあるわけです。受益者負担というような可能性も生まれてくるのではなかろうかと思いますけれども、その辺が、その最寄りの、同じように並行して走っている線があるとしたならばそちらの運賃と、新しく宅開公団でつくるところの鉄道の運賃というものは、これは当然のこと、ほぼ均一のような料金でなければならないと思うわけでありますけれども、こうした場合に赤字が出てくる。当然出てくるだろうと私は思うわけであります。そういったものについての処置はどういうふうに考えておられるのか、この点を鉄監局長に伺っておきたい。
  99. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 御指摘のように、ただいまこの法案で考えております団地のために宅開公団みずからが建設運営する鉄道は、恐らく開業当初その損益勘定としては相当の赤字が出ることをあらかじめ覚悟しておるものでございます。したがいまして、通常の原則で私どもはこのような鉄道の運賃を決定するわけでございますけれども、やみくもにそのようないわば経費を償うような運賃を直ちにそのまま申請をしてくるとも思いませんし、認可をする考え方はございません。実際上は、やはり御指摘のように、その近くにある他の鉄道先ほどお話がございました幹線の部分の運賃も当然それとの均衡ということを考慮に入れなければなりません。それらの、いわば最初におきます赤字、そしてべらぼうに運賃が上げられないということを考慮いたしまして、先ほども申し上げました、まだ具体的な方策を私どもとしては最終的に決めておりませんけれども、各種の助成措置というものを考えなければならぬと思っております。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この鉄道の性格でありますけれども、いわゆるニュータウン線的な、要するに旅客だけを対象にした輸送の形態をとるのか、あるいはまた、今回のこの宅地開発公団法によりますと、工業団地を造成するとか流通業務団地を造成するとかいうようなことも含まれているわけでございますので、こういうところから見て、お客さんばかりでなく貨物の方の輸送も同時にやれるような形態を考えているのか、どちらを考えておられるのか。
  101. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 これも、いまお願い申し上げております公団建設し、運営する鉄道が貨物を営業するということを明らかに否定する考え方は立てておりません。実際上は恐らく大部分が住民をお客さんとして運ぶ旅客営業をするものと描いております。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 現在できております多摩のニュータウン、いわゆるあの小田急線の多摩線の場合でも、新百合ケ丘という駅がきれいにでき上がりましたが、あそこで乗り換えなければ来ないわけですね。新宿まで入ってこない。現在もちろん団地そのものがりっぱに完成しているわけじゃないのですから、あそこで乗り換えるのはやむを得ないだろうと思いますけれども、将来あの団地がりっぱにでき上がった場合には、やはり新宿までストレートに急行で入るようにしなければ価値がないだろうと私は思うのです。それでなければ全くの枝線になってしまうと思うのです。通勤というものも少しも便利にならない。これでは効果がないと思いますので、やはりそういうことを考えるならば、本当は新しい団地から真っすぐ東京へストレートで持ってくるということは、他の交通機関に対する負担にもならないわけですし、いいと思うわけでありますけれども、いまのあの多摩ニュータウンのようなものがああいうふうに建設が手間取っていると、いつになっても、足がせっかくできても、その足の活用がまた図られていないという点があります。  これに対してこれからの宅地開発公団、これはもちろんいま法案の審議中でありますから今後の問題でありますけれども、やはり十分の宅地が造成されたとしてみても、かなり今度はいわゆる交通機関費用というものが、いまのお話では一平米二千円ぐらいのアップで済むというお話でありますけれども、やはりどうしてもお金のことを考えるとなかなか入っていかないのじゃないか、せっかく足ができても入らないということも起こり得るわけですね。こういうことを考えますと、これはいまの新百合ケ丘のあの駅の状態を見てみても、私たちはばかにりっぱなものをつくったけれどもちっとも使われてないなと思うわけですけれども、こういうものに対して、今度の宅地開発法案ではそういう失敗を繰り返さないようにするということからの対策はお考えになっていらっしゃるわけですか。
  103. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 最も宅地開発にとりまして注意しなければならないのは、期間が延長することによって、利子もついていることでございますし、宅地の価格も上がることでございますし、いま御指摘になりましたような交通手段が整っても片道交通的な赤字が継続するということでございます。  そこで宅地開発公団におきましては、従来いろいろ隘路になっておりました新しい事態、つまり拒否反応的な、財政負担中心とするような団地お断りといったような地元のムードを除去し、できるだけ地元公共団体の財政負担を減らす。それからまた関連公共公益施設等につきましても、みずからこれを直接施行することができるというような権限をいろいろと考えまして、そのスピードアップということを重点に考えておる次第でございます。この団地開発をできるだけ早く完成し、そして早く入居できるような形に持っていくということが一番肝要でありますと同時に、必要に応じましては工業団地あるいは流通団地というような、近郊移転可能型のものもここにあわせ置きまして、できるだけ健全な市街地として逆交通もある程度確保するというようなこともあわせ考えることが必要だというふうに考えておる次第でございます。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  105. 天野光晴

    天野委員長 河村勝君。
  106. 河村勝

    ○河村委員 先ほど建設大臣からなぜ公団をつくらなければならないかということについての答弁がありましたけれども、しかし、どうもそれだけでは余り理由にならないという感じであります。と言いますのは、現在政府でも公社、公団等の設置は原則としてやらないという方針をとっておられますね。現実に、これからいよいよ財政硬直化している時分に行政簡素化という意味からも公団等は減らさなければならない、そういう時期に来ているのですね。さっきの大臣の御答弁だと、住宅公団には住宅をつくるために必要な宅地造成だけにとどめてそっちに専念させたいというお話であった。それは一つの理由かもしれないけれども、必然性というのが何もない。住宅公団でやってできないことはないのですね。一体その点はどうお考えなんですか。
  107. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 そういう考え方も一応あるのです。あるのですが、私どもいろいろこの問題は検討に検討を重ねてまいったところでありまして、確かに公団、公社の新設も今年の場合は一切まかりならぬということになっておる、そういうときにこの法案の御審議を願っておるわけですけれども、これは昨年来の継続であることは御承知のとおりでありますし、そういうものもさらに乗り越えて、いまの場合住宅問題をどうしても解決づけるためには何らかの新しい方策を見出す以外に方法がないではないかというふうに私ども実は考えておるわけでありまして、それなら現在の住宅公団をさらに充実してそれで十分やれるのではないかという理論も確かに成り立つわけでありますが、住宅公団自体の今日までの運営、議会でもいろいろと批判、議論されたところを私ども考えてみますと、もう現在の段階ではほとんど限界に来ておるのじゃないか。住宅建設そのものにはこれは問題はないと思うのでありますけれども建設をするための宅地開発、そのいろいろな立地条件等に、実際いま一つの壁に乗りかかった状態になっておるわけでありまして、そういう問題を大きく切り開いていくためにもう少し強力な新しい機構が必要ではないかということを実は考えておるわけであります。  それと、住宅公団は御承知のように三大都市圏だけじゃありませんで、三大都市圏以外でも、最近は住宅公団に対して大変な期待、希望が寄せられておるのでありますから、そういう面にもさらにこれから伸びていく必要があると思うのでありますが、いずれにしても三大都市圏のこの大きな問題を解決つけるために、さらにもう一つ強力な機構をつくって積極的に進めていくことがいまの場合必要やむを得ない状態ではないか、そういうように考えまして皆様方にお願いをいたしておるわけであります。
  108. 河村勝

    ○河村委員 分けた方がやりやすいという面があるいはあるかもしれない。だけれども、一番悪いのは、公団式のものはお役所、役人は皆つくりたがります。ここでもって一番弊害は、別につくることによって管理機構が新しく全然別にできてしまって、それでいわゆる管理費、総経費ですね、この分がべらぼうにかかって、とてもそれは別につくるだけの意義を没却するぐらいむだが多いんですよ。今度できる予定にして、それで予算等も組んでおられるだろうと思うが、この公団も役員として総裁一人、副総裁一人、理事八人というような豪華けんらんたるものができ上がるわけであるけれども、そうすれば当然それに伴って管理部門に相当な要員を配置する。一体、これの管理費に該当するもの、人件費、これは幾らかかるのですか。
  109. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 昭和五十年におきまする宅地開発公団の総事業費約五百五十億円でございますが、その中に占める一般管理費の額はまだこれから決めるのでございまして、およその見当はつきますけれども、まだ確定した数字になっておりません。
  110. 河村勝

    ○河村委員 しかしこれは総裁一人、副総裁一人、理事八人までちゃんと書いてあるわけだ。それで管理部門の構成がどうなるかということぐらい想定しないでできているわけがないんだ。おかしいでしょう。概算で結構です、どのくらいかかるのですか。
  111. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 いま概算と申されましたが、大体住宅公団等の例によりましておおむねの一般事務経費は概算できますけれども、まだ確定していない段階でございます。これにつきましてどれぐらいになるか、いま後で答弁さしていただきます。
  112. 河村勝

    ○河村委員 それなら住宅公団で現在宅地造成をやっていくために必要な管理経費、これは幾らですか。
  113. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在宅地部門で約千五百名の者がおります。それからそのほかに、先生おっしゃいますように、宅地を担当する理事、副総裁、それから総裁の仕事の中の一部も管理費に含まれると思います。正確な数字、手持ちしておりませんので、至急調べて御報告いたします。
  114. 河村勝

    ○河村委員 少なくとも宅地造成に必要な本社機構ですね、そういったものの要員というのは数人だろうと思う。それが一挙にしてこういう膨大な機構になるのですから、これは大抵五十倍以上になることだけは間違いない。たとえば後で伺いますが、鉄道建設公団というものができた、そのときには国鉄建設関係やっておったものは一課ですよ。一課でやっておったものが総裁、副総裁以下、理事何人とかということになるわけですから、これはもう五十倍でもきかないかもしらぬ、そういうものなんですよ。だから、いま千人とかなんとか言ったけれども、それは実際実務者ですよ。これはどこに置いたって要るんだからそれは勘定外だ。いわゆる一般的な管理費というものはべらぼうにふえるわけですね。それで実際、それだけ分けるだけの意味があるかと言ったら大したことはないでしょう。宅地造成は現に公団でもやっておる。鉄道を敷くために新しくスタッフが要るとかいうこともあるでしょうが。さっきの鉄建公団方式、現在鉄建公団私鉄にかわって鉄道をつくってそれを譲渡するという方式、これは大都市圏向けですよ。趣旨は同じだ。それで、さっきの答弁では、鉄建公団方式のみで解決できないようなものもあるからと、こういう話でしたね。だからこういうものが必要なんだと。だけれども、それはいまの制度を前提とした話でしょう。鉄建公団方式で間に合わないというなら、いまの鉄建公団の補助方式、これを直せばいいのでしょう。そうすれば何も開発公団にわざわざ新しい管理部門をつくって人を出してやらなくたって、その部分を鉄道建設公団がやればいいのでしょう。鉄道建設公団の存在自身ももう一つ問題があるけれども、それはきょうはちょっと場が違うから言わないけれども。できるでしょう、法律を改正すればいいのだ。そうでしょう。
  115. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 鉄建公団方式とただいま御提案申し上げております宅開公団鉄道施設建設運営する方式とについて、その差異を御説明申し上げれば次のとおりになると思います……
  116. 河村勝

    ○河村委員 その差異はわかっているからいいよ。差異があれば法律を改正してやれるようにすればいいのでしょう。
  117. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 この宅開公団で考えております鉄道建設は、この公団負担と計算において建設した鉄道経営する、実際上は専門家委託するかもしれませんが、というものでございまして、現在、鉄建公団私鉄鉄道線路をみずから建設してそれを譲渡するという方式とは、やはり根本的に考え方が違っておると承知しております。
  118. 河村勝

    ○河村委員 あなた何を返事しているのか。私は、だから違っておれば違わないように法律を改正すればできるでしょうと、そう言っている。それに対する返事を聞かしてもらいたい。
  119. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 法律を新たに定めることによりまして、同じことが理論的に可能かもしれませんが、宅地開発公団団地とその足を一緒につくるという考え方が、この新たに御提案申し上げております法律の基本的な考え方でございまして、それはこのような形でなければ成立しないと考えております。
  120. 河村勝

    ○河村委員 そういうのはへ理屈と言うのですよ。それは政府と民間なら多少トラブルがあるかしらぬが、同じ公団同士でしょう。仮に住宅公団がやるにせよ宅開公団がやるにせよ、ここにどうしても線路が必要だ、これを公団がやってくれと言えば、公団がつくってここに定められた方式と同じようにやればいいのでしょう。鉄道建設公団が持ったままで、所有したままで運営を民間に委託するなり何なりすれば同じことでしょう、違いますか。できないということは何もないでしょう。建設大臣いかがです。
  121. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 私の御説明がどうも舌足らずだったと思います。鉄道建設公団が将来特定の私鉄経営することを前提といたしまして鉄道建設しているという方式が現在ある。その方式を改正して、現在宅開公団がやろうとしているようなことを鉄建公団にやらせるということは、この宅開公団の、一つ公団団地と足を同じ主体でつくるという考え方をやはり根本的に否定するものではないかと承知しております。
  122. 河村勝

    ○河村委員 否定しても構わないのです。法律改正はそれは紙を印刷したり何かして多少金がかかるかもしらぬ。けれども、わざわざその宅地開発公団鉄道部門を持っていけば、それにやはり相当なる管理経費というものが必要なんですよ。そういうむだなことをなぜする必要があるかというのが私の意見です。大臣いかがです。
  123. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の設立の動機の一つといたしまして、大規模宅地開発を行いまして健全な市街地として造成するというためには、やはり三大都市圏等において一番問題になっておりますのは、水とか足とかいうものと一体的に計画を合わせてこれを施行するということの必要ということが行監の答申等でも指摘されておるわけでございます。もちろん、鉄建公団等にお願いいたしましてそれと計画を調整してやるということももちろん可能であり、現に多摩等におきましても、そういう小田急であるとか京王であるとかということと計画を合わせてやったつもりでございますが、しかしながら、いろんなそれぞれの主体の事業計画、プログラムあるいは資金計画等との関係もございます。そこで、宅開公団自体の中の計画一つとしてこれを行うことが、より強力な、あるいは先ほど申しましたように、早くあるいは計画的にこれを行うゆえんであるということで、水道事業あるいは鉄道事業等を自分で行う権限を与えるということが必要だというふうに認識いたしまして、必要最小限度の——鉄建公団でできる場合はもちろんそれでいいわけでございますけれども、事情やむを得ない場合があって、そして宅地開発公団みずからやらなければならないという場合、これにそういうそごがあってはなりませんので、みずから鉄道建設も行い、かつ管理もすることができるという規定を置いた次第でございます。
  124. 河村勝

    ○河村委員 それもさっぱり理由にならないんだな。あなた、この公団のつくる中でも、鉄道に関する部分は勘定をわざわざ別にしているんでしょう。収支も別にしているんでしょう。だから、そもそも一緒にやらないで済むようになっているんだ。公団同士がけんかして、つくれと言ってもつくらぬなんて、そんなばかなことはないでしょう、政府が上にいるんだから。役所はセクショナリズムがあるのは当然であるけれども、しかし、そのくらいのことができないはずはないでしょう。それくらいのことは、へ理屈を言わないで、そうしようと思えばできますくらいの返事をするのがあたりまえだと思うが、いかがですか、大臣
  125. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 別にこだわっておりません。合理的に安上がりにできることがあればそれをやることが一番いい。ただ、法律では宅開公団鉄道建設することができる、こういうふうに規定をいたしておるわけで、規定したからといって必ずしも全部やらなければならぬという問題ではありません。鉄建公団を全部否定しようと考えてもおりませんし、私は、最もいい方法を選べばいいと、かように思っております。
  126. 河村勝

    ○河村委員 ですから、両方にやらせる道があるということは知っておりますけれども、しかし、わざわざ不慣れな鉄道部門なんかを取り込む必要なんかはないのですよね。鉄建公団がその部分を受け持つことにすれば同じことなんですからね。それだけ使う人間は少なくて済むのです。これを鉄建公団の仕事のうちに入れたからといって、鉄建公団で一人でも人間をふやさなければならないということに相なりませんね。私が言っているのはそういうことなんですよ。もうとにかくつくりたい一心で、何でも正当な理由づけをしようというのは非常なる間違いだ。多数だからいずれこれは押し切るつもりなんでしょうけれども。  そこで、公共施設についても、これは結局最終的には地方自治団体に譲渡するのでしょう。そうですね。これも、地方自治団体ができないというのは、負担が大きいからですよ。施行能力がないからではないのです。だから、三十年くらいに割賦して譲渡するのですが、それで一体負担がどのくらい軽減されるのかぼくも知らないけれども、同じような補助制度地方自治団体にやってやればこれはできるのですね、そうでしょう。
  127. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 特定公共施設等につきまして直接施行という方法をとりましたメリットは、一つには、先ほど鉄道と同じでございますけれども、一体的にこれを公団自分計画できるような権能を与えることによりまして、いま御指摘がありましたように、ただ単に地方公共団体の人的あるいは技術的な能力を割くという負担を軽減するということだけではなくして、同意を得るわけでございますけれども公団がその建設管理を一体的にやって、そして地方公共団体の財政的な、十年間の据え置き期間を含む長期割賦というような方式をあわせ行うというメリットがあるわけでございます。同時に、これだけの大きなものになりますと、地方の、周辺部でございますから、市町村というのは非常に財政的にもまた技術的にも弱体な面が多い。そういうところに、ある県におきましては相当の人員を割かなければならない。あるいはその補助の手続等におきましても非常に複雑な手続がかかる。こういうことで、やはり一体的にこれを行うことがスピードを上げるゆえんであり、スムーズに、円滑にこれを施行するゆえんでもあるわけでございます。同時にまた、一つは、通常のペースで公共事業をある公共団体がやっております。そこに大きなあるプロジェクトが出てきますと、通常の公共事業の進捗というものを一部割いて犠牲にしなければならないというようなことが実態としては起こるわけでありまして、これを直接施行というようなかっこうにおいて公団にみずからそういう権限を与えるならば、それがいわば一極の上乗せ的な形になるということが一つのメリットである。こういうようないろいろのメリットを考えまして直接施行ということに踏み切ったわけであります。鉄道建設におきましてもそういう場合を予想いたしまして、鉄道自分でつくった方がいいという場合があることを予想いたしまして、自分でつくることができる、いわば一種の直接施行権でございますが、こういう制度を設けた次第でございます。
  128. 河村勝

    ○河村委員 地方自治体の関係については多少問題もあるから、それはメリットがないとは言わない。だから、それはそれでいいでしょう。だけれども、その鉄道の方の関係はこれは全然理由ないですよ。手がないわけでも何でもない。ほんのひげ線の一本や二本つくるのに、何も手間ひまも金もかかりやしませんよ。こんなものはばかげたことだから、少なくともこのくらいはおやめなさい。大臣いかがですか。
  129. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 決して多数だから押し切って問題を解決をつけようとか、そんな私の考え方はもちろんあろうはずはありません。おっしゃるとおりに、鉄道建設をやるにしても、やること自体からだれかに委託しなければできないし、そしてできたものはまただれかに委託しなければならぬ。二重も三重も手間がかかる。そういう意味から言えば、鉄建公団があるからやらしたらいいじゃないかとか、当然の理屈だと思うのですよ。ただ、法律としては、一応それはたてまえからいったらそうかもしれませんけれども、場合によったらそういうことが不可能で公団自体がみずからどうしてもやらなければならぬ事態があるいはあり得るかもしれませんし、そういうことの想定の上に一応法律としては提案をいたしておるわけでありますから、そういう意味でひとつ御審議をいただきたいと存じます。
  130. 河村勝

    ○河村委員 大臣もだめですね。そんなことは想定できないんですよね。実際、そういう計画ができて、しかも鉄道建設公団がやれと言ってもやらなかったら、総理大臣鉄道建設公団の総裁の首を切ればいいんですからね。何でもないことですよ、そんなことは。  時間がありませんから、一つだけ実務的なことを聞きますけれども、さっきから造成単価坪十万ぐらいを目安にしていると言いましたね。東京都市圏五十キロ圏内で造成費十万円というのは、市街化区域には少なくともありませんね。そうすると、当然調整区域を対象にすべて考えている、こういうことですか。
  131. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 坪十万円という数字を申し上げましたのは、過去の経験に徴した上での一つの目標値として申し上げているわけでございます。場所によりましてそれの高低があることは当然でございます。市街化区域に現在なっておりますところにつきましては、おおむね取得単価がそれの二割程度というようなところは余りない。しかしながら、この宅地開発公団が指向しておりますところの大都市の、たとえば東京圏で言いますと五十キロ圏、あるいは関西の方で言いますと四十キロ圏というようなところで、たとえば水とか交通というような便が悪くて、そして距離的には近いけれども社会的には遠いというようなところで、しかしそれは放置しておけばだんだんそこにスプロール化が進んでおります。そういうところをできるだけ広い単位でこれをとりまして、新しい形の町づくりに直す。そしてスプロール化を整然たる町の中に吸収することによって歯どめをその中に持っていこうという、新しい町づくりとあわせて大量供給を行おうとするような、そういうやり方を考えておる次第でございまして、そういう場所はあながち高い値段のところばかりではございません。私どもは、できるだけそういう廉価で大量で良質のものをつくっていきたいということで、取得につきましては特にそういう場所を選定いたしましてこれを開発の場所にいたしたいと思っておるわけでございます。  ついでに、先ほど申し上げました事務費のことでございますけれども、大体総事業費の五%ぐらいが事務費と考えております。これが大体の目安でございます。
  132. 河村勝

    ○河村委員 五%というと二十五億だな。ずいぶんむだなものですな。二十五億を上回る。そうでしょう。  いまの答えを簡潔にしてポイントだけ言ってもらいたいのです。ぼくが聞いたのは、市街化区域の中にはないでしょうと言ったのです。あるんですか。
  133. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これから取得いたします場合を考えてみますと、市街化区域の中ででき上がり十万円というような価格の場所を探すことは事実上困難でございます。
  134. 河村勝

    ○河村委員 だから、結局調整区域を対象にする。その場合には市街化区域に編入をしなければ造成はできない。そうすると、計画が決定をすれば当該調整区域の値段も上がってしまいますね。いまの宅地の供給が非常にできないというのは、要するに値段の問題ですよ。量がないわけじゃない、値段の問題なんです。そうすると、その調整区域でも、五十キロ圏内ぐらいで、それで鉄道も引っ張ってくれる、そういう計画が発表されたら途端に値上がりして、市街化区域並みの大体二十五、六万円ぐらいになってしまう。それはどうするんですか。
  135. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ある計画が発表されますと、先含みの投機的な性向を呼び起こすということで過去においてしばしばわれわれは苦い経験を積んできたところでございます。私どもはこれに対処いたしますために、従来から税法あるいは金融その他の面におきまして、そういった投機的な土地取得につきまして、これを制限していく、規制していくといういろんな手法を考えてきたわけでございますが、最近におきましても、国土利用計画法による取引の規制あるいは規制区域の指定というような方法が確立されました。もちろんこれだけで十分ではございませんけれども、あるいは都市計画法による規制の手段等もあわせ用いまして、その地価がいわゆる投機の対象となり、そして転々譲渡されるというようなことによって高くなるというようなことを極力防いでいく、また、そういう手法が開発されたというふうに考えておりまして、これらの手法を十分に活用することによって地価を鎮静することができるというふうに考えておる次第でございます。鋭意努力したいと思っております。
  136. 河村勝

    ○河村委員 一般的な施策はそれはありますよ。だけれども、現在調整区域だったところをいきなり特別規制区域にするわけにいかないでしょう。そうすれば、調整区域をねらっても上がります。だから、もしそれが上がらないで済むようであるならば、さっき紺野さんが、これは共産党流の質問ではあるけれども、とにかく大企業が買い占めて、困っておるところ、もてあましておるところ、これを話し合いで買えばある程度安くいけるかもしらぬけれども、一般的なところはどうにもならない。だから土地収用法を、計画決定時の価格で縛ってしまうというぐらいのことを一緒にやらなければこれはできませんよ。大臣、そのくらいのことを考えたらいかがです。
  137. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 土地が投機的な値上がりをするという一つの原因は、そこに計画が発表されますと、強含みな価格になるわけでございます。そこでわれわれとしましては、いま言いました規制区域の制度あるいは都市計画法でできました市街地開発事業予定区域の制度というようなものを使いまして、そして取引の規制及び開発許可というものを十分に活用することによってこれに対処することができるというふうに考えておる次第でございます。
  138. 河村勝

    ○河村委員 どうも、事務答弁ではそれはそういうことなんでしょうけれども大臣、これは本当にお考えにならないと、ぼくは宅地開発公団なんというむだなものをつくるのは反対ですが、それとは別に、本当に宅地を安く買える方法は思い切ったことを考えませんと、これはつくっても何にもならなくなりますからよくお考えをいただきたい、それを最後に申し上げて質問を終わります。
  139. 天野光晴

  140. 片岡清一

    片岡委員 私は、地方行政委員の立場から、本法案について若干の御質問を申し上げたいと思います。  この法案は、昭和六十年度までの十年間における三大都市圏内における人口増を想定して、それに対応する四百四十万戸の住宅建設に必要な住宅用地七万六千ヘクタールの開発を目指してつくられたものであるのでありますが、その人口増の趨勢のとり方を過去の十年間、すなわち昭和三十五年から四十五年までの人口増の、自然増、社会増の趨勢をそのまんまに採用しておるところに、どうも私の納得のいかないものがあるのであります。もちろん社会増の中に最近若干それが緩和されてきた趨勢を中へ取り入れておられるようでありますが、しかし、全般的に自然増、社会増の趨勢をそのまんま使っておられるというところに、私はちょっと納得のいかないものを感ずるのであります。  田中前総理の列島改造論は、田中前総理と同じように、いわゆる裏日本と称せられます日本海沿岸に住む私たちにとっては、過密、過疎をどう調整するかということの最もすぐれた手法であると私は信じておるのでありますが、しかしこの発想は高度成長時代のもので、今日のような静かで控え目な成長時代にふさわしくないものだという一般的な批評に対しても、私は理解することができないわけでもありません。しかし、今日の三大都市圏における過密状態はもう最悪のものであって、物理的な混雑状態はもちろんのこと、精神的ないらいら状態から生ずるもろもろの社会悪というものは、とりわけ未来を担う青少年の健全な育成の上からも、私はもはや一刻も猶予の許されない諸悪の根源であると思っておるのであります。  このときに、三大都市圏の過密の解消に対して国家が国家的な立場から何ら施策を講じないで、むしろそれを不可避の現象としてそのまま受け入れているのみならず、その上さらに工業団地造成事業であるとか、上下水道事業であるとか、公園緑地の造成とか、その他宅地の利用者の利便に供するところの施設整備、さらに鉄道や軌道の敷設、経営までもこの公団がやるということであります。いわば理想の都市を新しくつくって、そうして過疎地帯からさらに大量の人口を呼び寄せるという政策をとろうとしておる。私は、まことに時代逆行もはなはだしい政策であると思うのでありますが、どうでありましょうか。  私は、このような施策によってこの三大都市圏の、さらに自治体には現在以上に莫大な行政上の負担を課す結果になることを地方行政委員として非常に心配をしておるのでございます。まさにいま人口急増地帯で、大都市圏の市町村では大変出費が多くて困っておるのでございます。この点私は、自治大臣及び建設大臣に——自治大臣はおられないようでございますから財政局長さんで結構ですが、お伺いしたいと思います。  なお、全国的な土地利用計画を策定せられるに当たって、三大都市圏へのこれ以上の人口流入を抑制するというような何らかの基本的な措置が考えられておるのであるかどうか、このことについてもあわせて国土庁関係の局長さんに、国土庁長官おいでにならないようでございますから、お伺いしたい、こういうことでございます。
  141. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 過密過疎を解消して国土の均衡ある発展を図っていくということは、別に前総理の田中さんの問題でなくしても、当然の政治の方向である、私どもそう思っておるわけであります。そういう意味において、人口が流入しておる大都市宅開公団で大規模宅地をつくって人口集中をするのはむしろ時代逆行ではないかという見方も、そういう議論も確かに聞いております。ただ、いまの場合、過密対策としては御承知のようないろいろな立法ができておりまして、努力をしておりますことは御承知のとおりでありますが、だんだんとそういったものも効果があらわれてきておると思うのですが、私どもは、現実に大都市中心にした住宅問題を解決つけるためにいまどうすべきかという問題を考えているわけで、必ずしも人口集中という意味でなくして、現在の状態の中でも不良住宅がたくさんありまして、この問題をどうしても解決つけなければならぬ。そのままほっておきますと、四十キロ、五十キロ圏内でスプロール化してくるという状態になってくる。それをそのままほうりますと、その関係の県や市町村自体がまた何らかの対策を考えなければ後追い施策になることは御承知のとおりであります。  そういうふうな面から、やはりいま五十キロ圏のところに宅地の大開発をやって、そこに大都市中心による不良住宅あるいは住宅困窮者等のために新しい住宅を提供しようという考え方で進めておるわけでありまして、いろいろ見方、考え方はあろうかと思うのですけれども、現在の場合、やはり大都市中心にした宅地住宅対策の基本的な方向としてはその方向をとらざるを得ないと私どもは思っておりますし、都市に対する人口集中の問題とこの問題とはおのずから分離して考えていかなければならぬ問題ではないか、かように存じておるわけであります。
  142. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま建設大臣からお答えがあったとおりに自治省としても考えておるわけでございます。大都市人口集中するためではなくて、集中はさせないけれども、現実の住宅事情というものの困窮度を直視をして、住宅問題の解決を図るというための法案であると考えておりますので、私どもとしてはこの案に賛成をいたしておるわけでございます。  特に、ただいま先生から御指摘がございました過疎地域からの大都市地域への人口流入の問題は、こういう施策が引き金になるということを考えるよりも、過疎対策をもっと進めて、働く場を過疎地域に求めるという政策を進めることによってむしろ逆に人口を過疎地域に流し返すということを目標に置いて、われわれとしても努力をしていかなければならない問題であると考えております。そういう考え方に御理解を賜りまして御賛成をいただきたい、こう思っております。  なお、大都市地域におきますこれら行政施策がとられました場合における地方公共団体の財政問題につきましては、これまでとっております政策よりはるかに進んだ各種の手法がこの法案の中に盛られておるようでございます。現実の問題としては、買い取りという問題が十年先になるということを考えました場合に、これまでの制度と比べますときわめて地方公共団体に有利な案であるというふうに考えておりますし、また、その事態において生じます地方団体の負担分については、起債あるいは交付税算入、そういったものをもってそれぞれの団体の財政事情を勘案しながら十分に措置をするつもりでございますので、御了承を賜りたいと思っております。
  143. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いまの点につきましては、建設大臣あるいは自治省の局長から申したとおりでありますが、私どももただいま国土利用計画あるいは第三次全国総合開発計画の作業をしておりまして、その作業の結論の中で十分先生にお答えすることにさせていただきたいと思いますが、ただいまの段階では、東京名古屋、大阪という三大都市圏というものを見ました場合に、昭和四十五年では全国人口の四四%が三大都市圏に居住しているというふうに国勢調査が示しておりますが、これがこのままの趨勢でまいりますと、どうも全国人口に対して昭和六十年で五〇%を超える可能性を持っているということを私どもとしては危倶しておりまして、できるだけ分散政策をとらなければならないという点は先生の御指摘のとおりであります。しかし、私どもが現在苦労しておりますのは、仮に四十五年の四四%のシェアまで六十年におきます大都市のシェアを下げようといたしました場合に、地方におきまして相当巨大な大量の事業をいたしませんと、それだけの人口を定住せしめることが非常に困難であるということになりますが、そちらの方もなかなか案を決めるのに困っておるわけでございます。  また一方で大都市の方は、これだけ五〇%を超える根拠の中におきまして一つ特色的なことは、社会増によりまして人口が増加するということがほとんどスローダウンいたしまして、四十八年におきましては三大都市圏で社会増が〇・二八%でございましたが、四十九年では〇・一一%に落ちているということで、社会増はほとんど問題がなくなりつつある傾向にございまして、その人口増加の大部分は自然増加でございます。特に戦後ベビーブームで生まれた青年が大都市へ来てただいま出生期間を迎えたために、当分の間自然増の激増は避けられないという情勢にありまして、そのための住宅政策は当然強化されなければならないという考え方をとっております。
  144. 片岡清一

    片岡委員 ただいまの御答弁で一応は了承するのでございますが、非常に素朴な考えから言いますと、これはいま大臣もあるいは各局長も、やはり地方に分散をしなければならない、大きな、マクロの立場から言うとそういうことであることはお認めになっておるようであります。     〔天野委員長退席、村田委員長代理着席〕 ただそのためには、やはり国として相当大規模地方分散への計画的な施策を講じないと、私はなかなかできないと思うのです。  非常に荒っぽい意見になるのですが、私はこの案によって、道路も公園も、あるいはいろんな非常に住みよい上下水道施設も全部、そしてそのほかに鉄道もつけてやる電車もつけてやる、こういうようなことをいたしますと、これは本当に少し過保護過ぎるんじゃないか。確かに三大都市圏ですでに自然増が多くて社会増が少なくなったという下河辺局長のいまの御説明、そういうことはまことに結構であるし、またそういう趨勢であることも十分考慮に入っているのだろうとは思いますが、どうもいままでの困っておる人たちを何とか措置を講ずるというには少し過保護に過ぎる。そうすると、都会はもっときれいなところで本当に住みよいところになるということになってしまうので、荒っぽいことを言いますと、私はむしろ住みにくいところにすることによって人口分散ができる。そういうことから、いま住宅も環境も悪くなったので、だんだん地方にUターンしてくる人がかなり多くなってきたのです、われわれの過疎地域においても。せっかくそういう一つの大きな流れが新しくできておるのに、その流れをまた変えてしまって、都会はやはり住みよいところだというようにしてしまうことは私はどうも納得がいかない、少し過保護に過ぎるというふうに思うわけでございます。だからもっと手荒なこともお考えになって、税金であるとかいろいろなことで国としてできるだけ過密過疎を調整しようという措置はとっておられますけれども、もっと目に見えた手荒な政策をある程度加味することによってこの問題は解決しなければなかなかできない問題である、こういうふうに思うのでございます。少し乱暴な言い方かもしれませんけれども、もう一遍大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  145. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 高度の政治的な判断はいろいろあると思うのですけれども、私ども宅開公団法をつくって大量の宅地を供給をしてそこに住宅を建てるということは、ことさらに過保護というふうには考えていないし、大都市中心にした、社会増でなしに自然増もあるわけでして、中心地域の非常に不良住宅街に住まいをしている人、低所得層の人々、これはたくさんあるわけですから、せめてそういう人々にだけでも、重点的に環境のいいところに住宅を建てて、そしてそれだけ大都市地域人口は疎になっていくわけでありますから、そういう意味で私どもは、いまの住宅政策としてそれをやること以外に根本的な対策というものはなかなか考えられないのじゃないかというふうに思って努力をいたしておるわけであります。  それと、その反面に、先ほども自治省の方からお話があったようですが、やはり過疎対策としては過疎対策自体にもう少し積極的な努力をする必要があるわけであって、たとえば農村地域工業導入促進法ですか、そういうような法律もできておる。その法律の内容を見てみますと、そこに進出をされる人々についてはかなり優遇をされておる内容を持っておるわけでありまして、そういう面でももう少し過疎地域に積極的に力を入れるという問題、過密地域に力を入れる反面、過疎地域にももっと思い切って力を入れていくということを両々相まって考えるべきではないかと思っております。  いろいろ考え方はあると思うのですが、現在の都市住宅事情を考えてみますと、大都市中心のいまの住宅問題の解決をつけるためにわれわれのいまやろうとしておること自体が当面の最大の課題である、かように考えて努力をいたしておるわけでありまして、ひとつ御理解をいただいて御協力を賜りたいと存じます。
  146. 片岡清一

    片岡委員 一応はよくわかるのですけれども、     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 ただいまの大臣がおっしゃったことに別に言葉じりをとらえるわけではございませんが、公団は、庶民住宅といいますか公営住宅をつくるよりも、むしろある程度中産階級の人が自分で家を持てるというようなものをねらっての公団のように私は思われるのでございますが、いま大臣のおっしゃったのは、庶民の方が困っておる、これは確かに私はそうだと思います。それには住宅公団あたりがそれに対していろいろ対策を講じておるところでございますが、むしろそういうところに力を入れるべきで、何か中産階級の人たちが東京に出てきて住みよくしてやるというところにこれは少し重点が置かれ過ぎておるように思うのでございます。しかし、これは見方によっていろいろございましょうが。  そこで私は、下河辺局長お尋ねしたいのでございますが、もちろんこの政策は都市にいま住んでおって住宅に困っておる人のためには大事なことであろうけれども先ほど申しました一つ都市から人口を追い出すという非常に手荒な政策、そういうものもひとつ併用していかないとなかなかその目的は達せられないのじゃないか、住みにくくなったから田舎へ帰っていくのだというその方向をもっときつく出していただくのも一つの方法ではないか、こういうふうに思うのでございますが、国土利用計画を立てられる上から、そういうことに対して局長はどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  147. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃられた大都市に対して厳しい制度をという点に関しましては、むしろ計画でありますよりは、適正な受益負担制度というようなものについてはいろいろ検討の余地があるのではないかということも考えておりますが、しかし、計画の面で現実のことを考えますと、公団ができて住宅の供給が行われるということをいたしましたりあるいは水資源公団によって水が供給されるということを考えました上でも、なおかつ大都市の環境は相当悪化する可能性を持っておるというふうに考えておりまして、その間に実は地方開発に成功いたしまして地方人口が定住できる可能性を拡大しておきませんと、相当長期にわたって大都市の環境悪化は免れないという観点に立っております。そのために長期的には人口の分散が可能であることが実は私どもの国土利用計画基本的な目標ではないかと考えております。
  148. 片岡清一

    片岡委員 それでは時間もありませんので、次の問題に移りたいと思います。  東京都、大阪府において土地を実際に得られるかどうかということが私は大変問題だと思うのでございます。建設省からいただいた資料によりますと、東京都、大阪府における公営住宅は当初の計画、配分に比して実績が余り上がっていないということがはっきりいたしておるようでございます。特に東京都においてはその傾向が非常に顕著である。これは美濃部都政というものの姿勢にも原因するのだろうと思いますが、やはりその原因は土地の取得が非常に困難である、あるいは関連公共施設等の整備に関する地元市町村との調整が非常に難航しておる、難航する傾向にある、それから第三には日照権の問題でございますとか電波障害等に関する周辺住民との調整が非常に難航する。そういうことがいろいろの原因となって、そして土地の取得が非常に困難である。このような現実の事態を踏まえまして、この法案が目指しております宅地の開発は私は実際問題として非常に困難であるように思われるのでありますが、具体的に一体東京都市圏についてはどういう計画か、それから大阪都市圏についてはどうか、中部都市圏についてはどうかというような概略の具体的な案をお示しいただきたい。恐らく私は先ほどからも問題になっておりますように、市街化区域、調整区域、保全区域の線引きのやり直しを相当広範囲にしないとできないのじゃないかと思うのですが、先ほどから議論になっておりますように、そうなりますと、いま大商社や企業が、あるいは大不動産業者が抱え込んでおる広大な土地が値下がりして困っておる、それを何かどうしても助けるかっこうになりがちである。社会の不公正を是正するのが三木内閣の使命であるという基本政策を高々と掲げておられるときに、そういう誤解を生むような政策がとられることは私は何か腑に落ちない点がございます。そういう点についてひとつ建設大臣の明確なる御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  149. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 具体的な考え方ということでございますので私から申し上げます。  東京圏、大阪圏あるいは中京圏におきまして、周辺部が現在非常にスプロール化現象によりまして都市が拡大しつつある。これは好むと好まざるとにかかわらず地価が高いということもありましょう。そこで、人口の集中の圧力を受けまして、どうしても郊外部へ郊外部へというふうな形で、一種のスプロール的な形で延びておるわけでございます。これをこのまま放置いたしますと、環境は悪くなり、建物は小さくなり、敷地も小さい形でふえておるわけでございまして、一々例を挙げませんけれども、過去五年間あるいは十年間の統計をとってみましても、三大都市圏の外周部におきましては、非常に戸数が増加しているのに、その敷地の坪数というのは非常に減少しておる、ストックとしては減少しておるわけでございます。こういった事柄を放置しておきますと環境は劣悪化する、それからまたいい環境の住宅を求めるという声にこたえられないというところから、この宅地開発公団の構想が始まりまして、これを良好な市街地として低廉で大量な供給をその周辺部に確保することによって、こういった人口の圧力、住宅難の圧力をここで食いとめて、より健全な市街地の発展を計画的にそこに受けざらをつくりたい。これをいまにして行わなければ、無秩序に都市が拡大して、都市費用はますますかかるばかりであるというような発想の原点に立っているわけでございます。  そこで、そういう形で適地を大規模にまとめようといたしますれば、先ほど来議論になっておりますように、与えられた要件のもとにいまつくっておりますところの線引きの見直しということは当然必要になってくると思います。その場合に、現在の市街化区域の中でそういう適地が見つからないとすれば、それを含んで、かつ調整地域なりあるいは白地地域というものを取り込んだ新しい見直しのもとに、これを市街化区域の中に編入して非常ないい配置のもとに住宅市街地をつくっていかなければならないというふうに考えるわけでございまして、たまたまそういうところに企業が土地を持っていたといたしましても、必ずしもそれは適地であるかどうかわかりませんけれども、かなり法人に所有されておりますが、これはそういう計画に合致した適地でありますならば、その計画のもとに都市計画法上の手続によりましてこれを収用する、あるいはこれを取得いたしまして、その住宅団地のために使用するということでございまして、その際には法人たると個人たるとを問わず適正な価格でもって取得するものでございまして、先ほど言いましたように、法人を救済するというようなことではないようにいたしたい、このような考え方でまいりたいと思っております。
  150. 片岡清一

    片岡委員 ただいまの御説明で一応わかるのですが、これはぜひひとつ、そういう地域に対しては、先ほどお話がありましたように、特別規制地域にあらかじめちゃんと指定するとか、そういう疑いを起こさないような非常にきつい措置をとっていただいていかないと、せっかくの三木内閣の一枚看板が色あせてしまうおそれがあると思いますので、私は特にそういうふうに申し上げたのでございます。  それから、もう時間がございませんので、最後にちょっとお伺いしたいのですが、ここに鉄道、軌道の計画をやると書いてございますが、この計画の中には、会社、工場を外へ出すというような計画が必ずしもはっきりしておらぬのでありますから、どうしても本社のある東京二十三区内へ来る、その方向への鉄道、軌道を敷設するということになるのだろうと私は思いますが、そうなると、いよいよ昼間の人口を過密にして、いまの状態をさらに激化するような結果になるんじゃないか。通勤電車というものをますます激化するようなことになるのではないかと思われるのでありますが、鉄道、軌道はいろいろの必要によって方向は違う場合もございましょうが、これはやはりどうしても都心部に向かってくるということを考えておられるのですか。それとも何か別な、人口をどこかへ放出する方向へ持っていくというふうにこの鉄道、軌道を使われるのですか。その大体の考え方を最後にちょっとお聞きいたしたいと思います。
  151. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団鉄道、軌道の権限を与えますことは、水あるいは足というものが住宅団地をそういう周辺部につくります場合にはいま一番大きな問題になりますので、これをみずからつくることによって計画の整合性をそこで持ち、おくれることがないように計画的に最寄りの駅までは少なくともこれをつなげるということがなければ、せっかくの団地をつくっても足がないという状態が方々に頻発するということになってはいけないということから出たものでございます。  その場合、この住宅団地のつくり方でございますけれども、これは大都市周辺部でございますから、大体通勤可能圏というところをねらっております意味におきましては、住宅市街地としまして通勤ということを当然考えなければならないわけでございますが、ただ単なるベッドタウンではなくして、できる限り近郊分散型の工場であるとかあるいは流通施設であるとかいうものを当然取り入れていかなければならず、また、これだけ大きなものになりますれば、当然住宅だけではかたわの都市になってしまいます。したがってそういう意味におきまして、逆交通というと非常に大げさな形になりますけれども、必要最小限度のそういった健全な市街地とするために必要な施設というものはその中に収容し、病院だとかあるいは都市工業であるとか、そういったものは当然その中に入れる、あるいは周辺にこれをあわせて団地をつくるというようなことを考えまして、通勤交通が片道一方にならないようにというようなことを考えておる次第でございます。
  152. 片岡清一

    片岡委員 もう時間が参りましたから、これで終わらしていただきます。
  153. 天野光晴

  154. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 すでに相当論議をしておられると思いますけれども、まず冒頭、大臣にお聞きしたいと思うのであります。  現在、宅地の開発も含めまして、住宅建設につきまして、既存の公団として住宅公団があるわけであります。これを新しく宅地開発公団を設置をするという、そのことにつきましてはもう何回も質問が出ておると思いますが、重ねて大臣からその必要性につきましてお聞きしたいと思います。
  155. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 住宅公団宅地開発もあわせてやっておりまして、本来なれば、その機構でそのまま拡大して十分に目的が達成されれば、機構の上に別の機構をつくる必要はないという考え方もあり得る、私どももそういう面においても十分検討をいたしたわけでありますが、現在の住宅公団は、御承知のとおり、住宅建設自体がもう本当に限界点へ来ておりまして、いまいろいろ公団に対して批判がありいろいろ障害が起こっておるのは、ほとんど大部分が宅地開発の問題、団地開発等の問題でいろいろ障害が起こっておるわけであります。そういうふうなものをこれから解決していくために現在の機構そのままでよいかという問題を考えてみますと、特に三大都市圏においては、もう一歩前進した、もう一歩力強い機構をつくって、思い切った新しい宅地大量供給をやるということを考えなければ、これからの住宅政策はなかなか進展しないのではないか。住宅公団自体はむしろ住宅建設に重点を置いて、そしてみずから建設する分の宅地だけは開発して、その他の——率直に申し上げまして、みずからの自家用以外の宅地まで大きく手を広げて開発する余力というものはないし、またそういうことをすることによって公団自体もいろいろな問題点を生じてくるわけでありますから、この際限界をすっきりして、新しい機構で進んでいったらどうか、こういう考え方で今回の提案をいたしておるわけであります。
  156. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この点につきましてはいろいろ質疑応答も行われておると思いますけれども、これはどうせ宅地開発と関連してその上に住宅を建てるわけでありますから、まず宅地が得られないということになりますと住宅も建たないわけであります。新しく宅地公団におきましても宅地を開発する、それによって住宅の緩和を図るということであろうと思うのであります。私は、やはり機構が幾ら大きくなりましても、この点はすでにいろいろ既存の審議会なりあるいは行政監理委員会等の答申等もありまして、現在の政府提案のような法案をつくるべきだという答申がなされておる、それらを受けたとは思いますけれども、問題は、宅地が得られない、あるいは困難である、問題がいろいろあるということであれば、仮に宅地開発公団には新しい手法が盛られておるにいたしましても、基本的にそういった土地の取得なり開発ということ、住宅を建てるという前提としての宅地開発、それが住宅公団を離れまして、新しく宅地開発公団をつくりましても、私は運営の問題であって、そういう公団ができたからといって、新しく出発するわけでありますから、ことに住宅公団の場合は必ずしも思わしくいっておりませんけれども東京におきましては多摩ニュータウンのように、東京都と住宅公団あるいは東京都の供給公社等とともに、すでに事業は進捗しておるわけでありますし、近畿圏におきましても、あるいは中部圏におきましても、住宅公団としてはそれだけ一応軌道に乗っておる。それが進捗率が悪いにいたしましても、そういったことについて手をつけておるわけですね。そのための宅地開発部門もあるのではなかろうかと思うのであります。それを切り離して宅地開発公団をつくりまして、その上の住宅は公営住宅建設するとか、あるいは住宅公団住宅建設土地を提供するということになるのではないかと思いますが、それにいたしましても、すでに公団方式によって、住宅公団としては宅地開発にしてももう十数年の経験を持っておる。それがうまくいかないということにつきましては、やはりそれ以外の要因と言いますか、過去の地価の暴騰とかあるいは大企業の土地の買い占めとかそういった要因に関連し、あるいは宅地開発がそういった大企業の買い占めあるいは公共団体も手をつけるというふうに、いろいろ多元的になっている、それに整合性を持たせるというやり方、これに対する政府の指導その他、私はいろいろあったかと思います。あるいは受けざらとしての地方公共団体の財政的な理由、あるいは人口の急増というようなことに対して公共団体公共施設整備することが追いつかなかったというような外部要因があるわけでありまして、新しい公団建設することによりまして直ちにそのことがうまくいくということが期待できないのではないかと私ども考えるわけでありますが、これは事務的でも結構でございますが、なぜそういった新しい別の公団をつくって宅地住宅建設とを分けなければならぬか。いろいろいままでの建設委員会における議論の議事録を見ましても、その点がどうも納得いかない。  ことに地方公共団体といたしましては、地域内の住宅建設、それに対する公共需要が出てくるということと関連して、もう一つは財政的に、非常に急激な人口増に対応するために歳入の面から困難を伴うということがあるわけであります。いろいろ窓口が二重、三重に折衝するところにぶつかると私は思うのであります。その辺のことをもう少し納得いくような御答弁を願いたいと思います。
  157. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 具体的な問題は局長から御答弁させます。  御納得いただけるかどうか、これは私も実はそれほどの自信は持っておりませんが、確かに公団方式というのがありまして、三十年以来ずっとやってきて、出発当初はスムーズに進んだことは御承知のとおりであります。ところが、最近ここ二、三カ年間それが行き詰まりが来たということであります。そこに私どもは再検討しなければならぬ時期が来ておるのではないかと思っております。確かに公団方式でずっと進めてきていましたけれども土地の値上がりの問題も確かにありますが、おっしゃったように、宅地開発に関連した公共施設というものが、これがどうしてもほっておくわけにいかない最重要な条件になってきたわけです。さきに言いました、交通機関を場合によれば単独でやろうという考え方になったのも、あるいは水の問題もあるし、学校の問題もあるし、いずれをとってみましても地方の市町村の財政問題とも関連をいたしておりますし、いま住宅公団一つの大きな壁にぶつかっているのはそれで、進まないところもそこにあるわけであります。  そこを切り開いていくために現在の機構でいいかどうかという問題であります。三大都市圏だけはもう従来の公団方式では進めなくなったとすると、ひとつ新しい問題を考えてみる必要があるではないかということから、今回の法案に実はなったわけでありまして、住宅公団は、三大都市圏ではございませんで、まだ住宅公団方式によって進める地域はたくさんある。これは三大都市圏以外でも公団進出を要請しておる中堅都市がたくさんあるわけであって、そこはやはり従来の方式で十分まだ進めていける。そこに三大都市圏地方都市との間の何らかの区切りをこの際つけて、特に住宅の必要な三大都市圏だけは新しい展開を考えていきたいということから、今回の法案になったわけであります。  御理解いただけたかどうかわかりません。具体的な問題は局長から御答弁いたさせます。
  158. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま大臣の申し上げましたとおりでございまして、三十年に住宅公団ができましてから今日まで、県境を越えた広域的な立場からする住宅供給ということで、大団地もずいぶんつくってまいりましたし、手がけてまいりました。  最近に至りまして新しい事態が出てきたということは、ただいま大臣の申し上げたとおりでございます。その中でも、特に関連公共公益施設整備に非常に膨大な金がかかる、それが地方負担になるというところが一つのポイントでございます。これをどう処理するかということにつきましては、住宅公団の守備範囲でございます住宅難の著しい地域ということ、その範囲ではなくて、特に大都市圏域についてそういう傾向が著しい、拒否反応が著しいということで、これに対処するにはどうしたらいいか。その地域人口集中地域でございまして、東京圏で言えば六十万、中京圏で言えば十七万、あるいは大阪圏で言えば三十万、過去十年の平均で言いましても、千百万という十年間の人口増があって、年々百十万の人口増がある。こういう住宅難にあえいでいるいまの三大都市圏に対処して、ここに焦点を置いて緊急に対処するにはどうしたらいいかということに思いをいたしましたときに、むしろ住宅公団は、いろいろな他の再開発もやらなければいけません。そういったいわば一種のデパートだといたしますと、専門化、分化した、強力な権限を持った特殊の公団をつくってこの難局を切り抜けることが現下の急務であるというところに原点を置いて考えた次第でございまして、あとは大臣の申し上げた趣旨でございます。
  159. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この機会に、行政局長がお見えになっていますので、ちょっとお聞きしたいと思うのであります。  地方自治体の側から見まして、住宅公団と地元の地方公共団体との間にいろいろ摩擦が生じておるようであります。これはどういうふうに是正していくことが必要であるか、あるいは行政面から見ましてどういうふうにお考えになっておるかお聞かせ願いたいと思います。
  160. 林忠雄

    ○林政府委員 お答えいたします。  今日の住宅公団の場合でも、現在住宅建設するにつきまして地元の地方公共団体との調整というのが最大の問題になっておりまして、現実の交通事情その他からいきまして、その調整がうまくいかないために住宅公団自体の仕事もスムーズに進んでいないというケースもしばしばあるようでございます。この新しい公団ができますれば、同じような事態が各地に発生するであろうことは十分われわれも承知をしておるわけでございますが、住宅といい、宅地といっても、それだけができてそれで済むものではございませんで、当然に義務教育、道路、交通その他の関係が生じてまいりますし、地方団体がそういうことを十分承知の上で納得をしてと言うか、地方団体もそれに対処する方策を見出した後に事業を進めていただくということは、住宅公団の場合もこの公団の場合も非常に大切なことであろうと考える次第でございます。  そこで条文的には、この宅開公団法二十三条におきまして、宅地の造成計画をつくるときにあらかじめ地方公共団体の長の意見を聞くと、住宅公団と同じような条文が入っておりまして、この条文の活用によりましていまのような困難な事態を切り抜けて事業が円滑に進むよう、これは地方団体もできる限りの協力をいたすことになると思いますが、それに対しまして事業を進める側でも財政的な負担その他地方団体の当面する困難な事情も御理解をしていただくよう、そこは十分に話し合いを進めていっていただけば地方自治の上でもさしたる支障なく事を進めることができる、このように考えておる次第でございます。
  161. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いろいろ住宅公団宅地開発公団との考え方につきまして、私どもはやはり余分の公団をつくるんだということについての疑問は抜け切れないわけであります。ただ時間の関係で、その点を論議しておりますとわずかな時間の間に論議が尽きませんので、一応それはおくといたしまして、いま宅地が困難であるという現状で、この三大都市圏中心宅地開発をするという場合に一体どの辺をお考えになっておられるのか、その点をお聞かせ願いたい。  それからなおそれに関連いたしまして、団地をどのぐらい想定されておるか、あるいはここ十年間ぐらいを見ておられるのか、あるいは相当長期にわたって見ておられるのか、東京あるいは近畿、中部というふうに、何カ所ぐらいそういう大規模宅地造成をやれば一応事足りるのか、その辺のことを事務的にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  162. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の行います事業場所大都市周辺地域と法文にございますが、当面は三大都市圏中心にして行いたい。具体的に言いますと、大体おおむね首都圏で言えば五十キロ圏、近畿圏では四十キロ圏、中部圏では三十キロ圏、いま現にスプロールが進んでいるような地域、これがまだ進行しないうちにそこに歯どめをする必要があるというような地域をねらって行いたいと思っておるわけでございまして、大体計画といたしましては三万ヘクタール、これはグロスでございますけれども、三万ヘクタールに着手いたしまして、そして六十年までに大体七割ぐらいを供給のペースに乗せ、あとの三割はずれ込みまして六十年以降になるであろうというふうに見ておるのでございます。三万ヘクタールというのはグロスでございますので、これは公共施設等が入っております。これをミディアムグロスと申しておりますが、プレーロットであるとか身の回りの道路なんかを入れますと、大体これが一万六、七千ヘクタールぐらいになるわけでございます。量的にはそういうことを考えて長期構想から割り出しておるのでございますが、具体の場所によってその面積等が違いますから個所数ということははっきりとは申し上げられませんけれども、大ざっぱに申し上げますと、東京圏、近畿圏、中部圏と分けますと、六対三対二というような比率で、住宅難の現況から言いましてもそういう比率の個所数あるいは面積になろうかと思います。
  163. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 宅地開発に関連いたしまして、一カ所の面積その他から想定いたしまして、東京周辺五十キロ圏というと相当離れるわけであります。それに関連いたしまして交通機関整備もあわせて行えるということも考えておられるのでありますが、交通機関整備ということをあわせ行うということを考えておるということに関連いたしますと、新しく建設される宅地、これらはいままでの構想と同じように二十キロ圏から三十キロ圏、五十キロ圏と拡大をしていくわけであります。それは適地が見つからない、地価の関係もあるということでありましょうが、大体市街地形成からいくと相当行き詰まっているような感じもするわけでありますが、依然として職場を東京に求めるという構想で交通機関整備を図って、いわゆる居住地を周辺に拡大していくような宅地開発というふうに考えられるわけであります。  これはかつては建設省もイギリスにおけるようないわゆる職住一致のニュータウンを考えられたようでありますが、これに対する十分な検討が行われないままに、密集地帯から交通機関に沿うていわゆるスプロール化されながら拡大していったという感じが私はするのであります。住宅公団から離れて宅地開発公団である程度までいろいろな公共施設整備するというような構想になりますと、そういった職住一体の、東京に出てくるのはたまに用事があって出てくるというようなことで、ある程度まで職場と住宅が近接しておって、快適な住宅地帯あるいは内陸部であれば快適な職場というような関連、このことがある程度まで人口と職場の分散にもつながると思うのであります。多少時間がかかっても思い切ってそういった慎重な調査と計画のもとに、ベッドタウンではなくてそういった新しい町づくりということをお考えにならないのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  164. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の行います事業場所は、先ほど申しましたように、五十キロ圏というようなところでございます。これはいわば広義の意味東京圏の拡大の縁辺、これをねらっておるという意味でございまして、そういう意味から言いますと、通勤ということを度外視するわけにはいかない。また緊急対策として宅地開発公団の設立を考えました意味も、イギリスのような、完全に独立して、職住近接して、オールドタウンとニュータウンとが一緒になってロンドンには通わないというようなことを条件とするもののみを入れるというようなことを、わが国のいまの対策として緊急に宅地開発公団の中では考えていないわけでございます。  もちろん職住近接してできるだけ逆交通を少なくすることは望ましいことでございまして、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ近郊分散型のものは入れていくことが望ましいのでございますけれども、いわば拡大化していきます広域的な東京圏あるいは大阪圏というものの縁辺部にそういう住宅中心とする新市街地をつくっていき、その中に必要な職場も同時にあわせてできるだけこれを入れるというような折衷的な近郊都市の形成というような性格、強いて言えばそういうことになろうかと思うわけでございます。単なるベッドタウンでは困りますけれども、しかしながら、独立した、母都市へ通わないような独立都市としての構想という、この公団はそういうものではないのでございます。
  165. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いまのように緊急対策ということであれば、局長の言われたように緊急対策であれば、現在一応の経験を持っておる住宅公団でおやりになっていいじゃないかということが当然出てくるのじゃないですか。
  166. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 言葉が足りませんでございました。この公団はすべての公共的な宅地開発を全部一手で引き受けるという意味のものではございませんで、住宅公団はもちろん都市の中の再開発を初めとして、それから近郊の住宅団地をつくっていく。今度継続審議でお願いしておりますところの特別措置法におきましても、そういう比較的近いところの土地宅地化し団地を形成していかなければなりません。この宅地開発公団は、主としてそのねらいを大都市周辺部に置いて、そこで大規模宅地開発をすることを主たる目的とするということでありまして、それをいま手をつけなければスプロール化が進行してしまうという意味におきまして、緊急な対策としてという意味で申し上げたのでございます。  住宅対策全体といたしましては、特に公的開発につきましては、住宅公団を初め公社その他と一緒になって、中間、内、それから外側というような、そういう配分を考えながら総合的に進めていく必要があると考えます。
  167. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも議論がくどくなるようでありますけれども、緊急対策ということであれば、何も新しく公団を設置して——いままでと同じパターンでおやりになるなら、むしろ住宅公団法の内容を改正してやるべきであって、多少後年度にずれ込みましても、新しい発想で、そういった次から次に東京の通勤客の範囲を周辺に拡大していく、そういったやり方をもっと——いままで十数年かかっているわけですね、住宅公団できましても。あるいはそのころからすでにいろいろ建設省としては苦労されましたでしょうけれども、結局いろんな隘路で延び延びになったと私は思うのでありますが、いま急いで公団をつくってそういった同じようなパターンでいく。中間はみんなまたスプロール化しますよ。そして耕地がつぶれていく。そして既存の周辺の町村が、あるいは生産緑地だとか、あるいはそういったことによって快適な環境をつくろうじゃないか、緑化をしようじゃないかというようなことがみんな崩れていく。ことにさっき片岡さんの質問の関連を聞いておりますと、建設省がいわゆる線引きをして市街化区域と調整区域、これに対しては農地課税というような税制の英断もとったのでありますが、あるいは農地を手放す場合の税制の改悪等もやったわけでありますが、結局みんな逆目に出たわけですね。むしろその中間地帯はまたスプロール化しながら、そして通勤客を混雑させるというようなやり方、これらを、多少ずれ込んでもむしろ調査期間をもっと持って、あるいは各方面の意見も十分お聞きになって、そして本当の意味の新しい、ここの目的にあります健康的な市街地についての配慮を当然すべきではないか。  緊急対策として公団をこれからつくるというようなこと自体が、何か新しいことをしなければ問題は解決つかないというようなことになるのではないか、こう思うのですが、大臣もこの点理想を持って臨まれたとすれば、いままでの過去の惰性でなくて、もっと前向きの構想で、大臣のときに実を結実しなくとも、大臣の構想が後で生きるような、片岡さんの言葉にありました私ども地方の者ですけれども東京周辺人口が集まるのはやむを得ない、快適な環境をつくろう、その意図が次から次に壊されていくというようなことがあっては何にもならぬので、あるいは本当に東京周辺、大阪の周辺、ちょっと距離が離れましても理想的なところをつくる、そしてその中間地帯は、やはりいまの農業が見直されるという時期に、快適な緑地帯を残すというような国土利用計画法も出ているわけであります。そこは知事の英断に任せる、市町村の英知に任せることによりまして、新しい発想でいくべきではないか、私はかように考えるのですが、これは大百も就任されたときに従来の惰性を打ち破ろうというような意向を持っておられたのじゃないかと思うのですけれども、いままでと同じような惰性でまた失敗を繰り返すというようなことがあってはならないと思うのですが、これはお考え直しになるということはできませんか。
  168. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 法案の考え方は冒頭に御説明を申し上げたとおりでありまして、先ほど局長が何か緊急対策といったような言い方をしましたけれども、現在の緊急な事態に対応するためにという意味で言ったと私は思っておるわけです。  率直に言いまして、住宅第二期計画も五十年度で終わりました。五十一年度から新しい第三期計画を出発させなければなりません。新しい住宅政策が過去のいろいろな問題を十分に洗い直して再出発しなければならぬときに来ているわけでありまして、そういう意味で私どもも、新しい住宅対策をどう進めるべきかという問題は本当にみんなで一生懸命検討いたしておるわけでありますが、やはり三大都市圏の今日の状態をここで打破していくためにはいまの状態ではどうしてもいけないし、単に公団自体の内容を少し充実して模様を変えて出発するではどうしても乗り切れないのじゃないかというところから、今回の法案提案になったわけであります。そういう意味で十分検討に検討を重ねた結果実は御審議をいただいておるわけでありますから、そういう意味でひとつ御検討をいただきたいと思うわけであります。
  169. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも時間がえらい短いようでございますが、それではあと一点だけお聞きしたいと思いますが、この二十三条の地方公共団体の長の意見を聴取するという問題は住宅公団と同じような書き方です。それから二十四条や、後のいろいろ予算その他も認可を受けてから、しかも出資をしておる地方公共団体に連絡をする、財務諸表もそういったことになっておりますけれども、これは恐らく、意見を聞くということは、いままでの住宅公団のあり方で相当深い意味があると思うのでありますが、自治省では条文の規定の仕方からいってこの程度のことでいいのでございましょうか。  私はむしろ強い意味の、この地方公共団体の長というのは県知事及び関係市町村だろうと思いますが、計画ができてから意見を聞くという、そういうものではなくて、もっと事前に十分慎重な協議の上に立って意見も十分聴取してそれを実行するというようなことでいくべきではないかというふうな感じがするのであります。いままでと同じようなことであれば、これはいつまでも摩擦というようなものはなくならぬのじゃないか、かように考えますが、これは自治省とそれから建設省からも御答弁願いたいと思うのであります。  もう少し、この事前のあれにしましても、公共施設を代行するというようなことになれば、毎年度の事業計画あるいは予算等出資をした地方公共団体ばかりでなく、当然事業をおやりになっておる公共団体に事前に、建設大臣に対して書類を出す以前に意見を聞くべきではないか、あるいは協議をすべきではないか。それからその他の諸表につきましても、決算に類する諸表についても、地元の出資をしない団体に対しても、当然事業をおやりになっておる地元の公共団体にも連絡をすべきではないか、出資をした団体だけではなくてそうあるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  170. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お答えいたします。  意見を聞くという規定を置いておりますのは、おっしゃいますとおり、住宅公団と同じような規定になっておりますけれども、実際問題といたしましては、当然事前に、計画をつくったりあるいは候補地について調査を始めようというような段階には、十分地元公共団体と相談をしておるのが例でございますし、またそうしなければ、その段階になって意見を聞きましてもだめになった場合は非常に困ります。そういう運営をしていくべきであり、またそうしたいと思っております。  同意につきましても当然そうでございまして、当然同意を得ることが決められております以上、事前にその可能性あるいはその概略について説明をすることは当然でございます。  決算その他につきまして、出資団体であると否とを問わず、その地元という意味におきましてそれと関連のある公共団体につきましては十分連絡調整を図る予定でございます。
  171. 林忠雄

    ○林政府委員 何といっても、事業が進まなければこの公団をつくり始業する意味がないわけでございますが、事業を進めるという見地からすれば、いま建設省からお答えありましたとおり、現実の運用の問題として支障がないであろうと私は考えております。
  172. 天野光晴

    天野委員長 林百郎君。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣お尋ねしたいのですが、いま山本委員からも質問があったのですが、この二十三条の「意見の聴取」というのですが、この意見を聴取して、そしてこれは当該自治体としては困ります、こういう場合にはおやりにならないのですか。それと、こういう変更を求めるという意見があった場合には、変更されるのですか。
  174. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 この仕事を進めていくためにも、前提条件は地元が納得をし協力をすることなんですよ。それがないことだったら絶対、やってもこれは成功しません。そういう意味から、法案はいろいろ同意を得ることになっていますけれども、私どもはいかなることがあっても納得し、同意を得て、そしてこの事業を始めるということ、これはもう絶対条件です。そういう考え方で運営をいたしてまいりたいと思っております。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば同意を得て行うというようにどうして条文上そうしないのですか。意見を聴取するといったら、聞くだけ聞きました、計画はこのとおりにやりますよと言ったら、それまでじゃないですか。  それでついでにお尋ねしますが、大体こんな大きな宅地造成をするなんてことは、それぞれの地方自治体では都市計画をちゃんと計画しているわけですよ、環境整備計画もしているわけですよ。そこへ持ってきて国の方から、どのくらいの面積になるか知りませんけれどもこんな大きなものを持ってきて、おまえのところへやるぞ、意見は聴取したということでは、当該自治体としての都市計画づくり、環境づくりはそれは困っちゃうわけですよ。これは明らかに自治権に対する重大な侵害だと私は思うわけなんです。ですから、大臣も御存じのとおり、この法案につきましては東京、神奈川、埼玉、横浜と、あなた方がねらっているところの都道府県知事はみんな反対しているわけですよ、こんなものを持ってこられちゃ困りますと。どうしてこんな法案をつくるのですか。もしおつくりになるなら、当該自治体の同意を得るということをどうして入れないのですか。そんな当該自治体が反対しているものを無理におつくりになるのに、意見の聴取ぐらいじゃ足りませんぜ。
  176. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 事業計画をつくります前にあらかじめ地方公共団体の意見を聞かなければならないというのは、一つの手続といたしまして、当然住宅公団等におきましてもそういう同文の規定があるわけでございまして、実際問題といたしまして、事業にかかり、かつ特定の公共施設等につきまして引き継ぎ等になりますれば、本来の権限を持っている管理者でございますから同意という言葉を使っておりますけれども、この意見を聞かなければならないということは、反対があってもやるという意味ではないのでありまして、これは十分意見を尊重し、それとの整合性を保つために意見を聞くという手続を述べた、そういう規定というふうにお考えをいただきたいと思います。十分連絡調整をするということを当然背景として持っている規定なのでございます。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃあもう少しはっきり聞きますが、当該自治体の首長が、困ります、そういう計画は国でおつくりになったそうですけれども困りますと言えば、同意がなければこの計画は実行しないというようにはっきり言えますね。  それと、この分は変更してもらいたいと言えば、それは入れるのですか。
  178. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 地方公共団体から、公団のつくります事業計画につきまして、非常に欠陥があり、そして困るという意思が表明されましてもなおかつこれを強行するということは、きわめて至難であります。だから事実上、そういう反対があり絶対に困るということであれば、その理由をよく納得のいくまで説明をした上でもなおかつ困るということであれば、これは実際問題としては事業はできないということなのでございまして、あえてこれを同意ということにしなかったのも、先ほど来申し上げましたように、そういう事前の調整を十分するという趣旨に出たものでありますから、困るということであれば、実際問題としては非常に難航し、できないことになると思います。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 難航すると言うだげで、難航してもやるのですか、やらないのですか。当該自治体の首長が、これは困りますと香った場合には、あえて強行することはいたしませんと、そう言うのかどうか。そうでなければ、本来これは自治体の——自治体にだってちゃんと土地開発公社だってありますから、そういうところに十分補助金を出したり、あるいは総需要抑制なんて言って金融を抑えなければ、自治体だって、自分の自治体自体が持っている都市計画に基づいて、もしそこに人口が流入してくればそれをやる計画をちゃんと持っているのだから、そんなことやってもらわなくたって、それぞれに任しておけばいいのですよ。ただ財政的な援助がないからできないだけなんですよ。そういう場合に当該自治体が、これは困ります、この計画については同意できませんと言った場合には、やらないのですか、難航するというだけなのですか、どういうことなんですか。
  180. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 言葉が足りませんでございましたが、そういう絶対困るという、地元の協力が得られない以上は、これはできません。やりません。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 それはもうあなた、建設委員会の速記録にも出ているのだから、何も私が地方行政の委員だからといってそんなに遠慮することなくて、はっきり言ってくださいよ。  それから十九条の二項の関連事業ですね。関連公共施設ですけれども、これと直接施行事業との関係なんですが、この二項ですね、「公団は、前項の業務のほか、同項の業務の遂行に支障のない範囲内で、委託を受けて、次の業務を行うことができる。」これはまあ関連公共事業だと思いますが、この内容はどんなものですか。
  182. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 十九条の第二項の、委託を受けて業務を行うことができるとしておりますのは、一、二、三号とございまして、宅地の造成とかあるいは賃貸、それから第十九条の一項の三号に書いてありますような利便施設等の賃貸、管理、それから前項の業務に係る鉄道施設、軌道の施設と密接な関連のある鉄道施設または軌道の施設建設、これを同時にやってくれと言われた場合には委託によって行うことができるという規定でございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと私の質問に答えておらぬのです。それではこういう聞き方にいたしましょう。その関連公共施設に入るものはどんな施設ですか。そういう質問にしましょう。
  184. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 関連公共施設といいますのは、宅地の造成とあわせて、関連して必要となってまいります道路、公園、下水道河川、運河、水路、緑地、広場、砂防、防潮堤というようなものでございます。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、廃棄物の処理だとか屎尿の処理だとか、それから小中学校建設等はどうなるのですか。
  186. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これは口に書いてあります「住宅の用に供する宅地の利用者の利便に供する施設」として考えておりまして、上下水道とか清掃施設とか、あるいはそれには病院あるいは診療所等も入ります。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、このようなこういう立てかえ施行の事業あるいは関連公共施設等、これらに対する補助事業としての採択は、他の当該自治体の他の事業と比べての優先性というか、そういうものはどうなるのでしょうか。本来自治体が考えている事業とこの公団のやる補助事業とのその採択の優先性というものは何かあるのですか。
  188. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これは都心計画で決められました宅地開発公団事業の施行に必要な関連公共公益施設でございますから、特に公共施設等につきましては、これを優先的に補助の対象とするというふうに運用いたしたいと思っております。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大体各省が当該年度の補助金の枠を決めておるわけですが、その枠の中で、この本案の宅開公団事業に対する補助というもの、補助金ですか、国の補助金というものは優先的に出されるということになるわけなんですか。そうしますと、それの補助金の枠はそれだけ広げるのか、あるいは各省ですでに決まっている補助金の中で、当該宅開公団関連公共施設等の補助金だというようなことになって、それが引かれるということになると、本来各省が決め、各自治体が期待していた事業に対する補助金の枠が宅開公団補助金によって制限される結果になると思うのですが、そういうことについてはどうなるのですか。これだけ広がるのですか、それともすでにある補助金の中からこれは優先的に取られるということになるのですか。
  190. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま申し上げました第十九条一項の道路、公園、下水道河川、運河その他の施設を申し上げました。これは特定公共施設というふうにこの法案では別称いたしておりますが、これらはおおむね大体建設省所管の事業が主体になっております。これらのものにつきましては、その補助基準、補助採択基準におきまして優先的にこれを採択するということになります。したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、これらは相当の膨大な事業費になりますので、一時に非常に大きな事業費がかかりますから、これらをこの公団が直接施行に乗せるという規定とつながっておりまして、公団が直接補助を受けてこれを施行することができるという道を別途、もちろん公共団体の同意が要りますけれども、開いておりまして、そういう意味におきましては、従来のある県がやっております通常のペースの公共事業費を損なうことなく公団がそれを補助金を受けて行うという意味におきましては、一種の上乗せ的になるので、従来の地方公共団体公共事業費の施行の量を阻害する、ペースを損なうということのないようにいたしたい、そういうメリットもあるわけでございます。  なお、他省の関係に属します学校、幼稚園、運動施設その他のものは、これは利便施設として考えておりまして、これは立てかえ施行の対象となりまして、五省協定によりまして優先的にこれは立てかえまして、公団みずからがこれを建設して譲渡する。譲渡いたしましたならば起債あるいはその他補助金等がそれにつくという形になるわけでございます。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 こういうことを聞いているんですよ。当該自治体のやる事業に対する補助金補助金で来て、本案の公団がやる事業については公団としての補助金を受けるんだ、しかし、国の方の本年度の宅地造成に対する補助金あるいは学校施設に対する補助金の枠というのは決まっているわけなんですから、その枠に沿ってそれぞれの自治体は、本年度は小学校このぐらい、中学校はこのぐらいと考えているわけですね。それにこの公団がばかっと来て、そしてどのくらいの範囲か後で聞きたいと思いますが、そこで公団がその補助金を食っていくということになると、全国的な自治体の計画に対する国の補助金というものはそれだけ食われるということになるんじゃないですか。  それからついでに聞いておきますが、公団補助金交付の申請をする場合は、公団独自がやるんですか、自治体がその手続をやるんですか。手続はどっちがやるんですか。
  192. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 特定公共施設につきましては、同意を得ました限りにおきましては公団がその事業の主体たり得るわけでございますから、公団がその技術陣を挙げて設計したりして公団自分でそういう事務手続を一切やります。公団がそれによって補助金を受けるわけでございます。学校等につきましては、これは立てかえ施行ということでこれをつくりまして、でき上がりましたら地方公共団体にお渡しする。お渡ししまして、立てかえ施行の場合でございますと、公団の場合は十年間据え置きの三十年割賦償還ということでございますから、いままで先生のおっしゃる適当な時期に、補助金等がついたときに返還していただく、あるいは起債が認められたときにその起債によって償還していただく、三十年の償還でやっていただく、こういうことになります。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 それはいいんですが、たとえば、もうすでに各自治体はことしはどこへ中学校を建てたい、どこへ小学校を建てたい、それに対する補助金も国の方の枠は大体決まっているわけですよ、文部省にしてもあるいは厚生省、保育所なら厚生省ですね。そういうふうに決まって、各自治体も計画を立てているわけでしょう。ところがこの公団が来て、公団宅地造成をやります、その立てかえ施行で小学校を建てます、中学校を建てますということになりますと、当初自治体が立てていた、考えていた小中学校補助金はこっちの方へ食われてしまって、当の自治体が考えていた小中学校はそのために建てられない。たとえば長野県なら長野県に中学校を幾つということで、もう各自治体は、大体どこへ中学校をことしは建てよう、どこへ新設中学校を建てよう、国の方の補助金もちゃんと決まっている。それへこれが入ってきて、公団宅地造成いたしましたから、それに対する補助金を、あなたの方でなくて私の方の手続でやりますと言われれば、小中学校建設費に対する国全体の補助金に、しかも当該自治体では大体計画がもう決まっているものへ食い込むことにならないのですか。それは初め計画を立てるときに、あなたの言うように同意とかなんとかということがあるからそういう摩擦は避けられますと言えば言えますけれども、しかし、会計の技術上はそうなるのじゃないですか。全体として決まっている補助金公団が食い込むことになるのじゃないですか。それとも、公団補助金というのは、こういう国の計画だから、当該自治体に対する小中学校あるいはそのほかの関連事業相当の補助金に上乗せして国の方は予算を組みます、そうなるのですか。これはちょっと大臣もその点答えてください。そうでないと、これは自治体の当初計画に対する補助金の枠がこれで食われることになりますからね。
  194. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 説明の仕方が言葉足らずで申しわけございません。  小中学校の例で申し上げますと、あらかじめやはり施行地区というのは事前に相談しております。何校要るということもわかっております。それらは五省協定に基づきまして立てかえ施行するわけでございますから、その補助金の額というのは当然調整されておりまして、その部分は後年度の支払いになればいいわけでございますから、長期的に見れば、これを引き渡した後において、それを返済するための起債なりあるいは補助金というものが、補助金が交付されなければ償還できませんけれども、既存の、現在進んでいるところの計画の中に公団の立てかえ施行する学校が割り込んで取るということはないわけでございます。そのために立てかえ施行という制度を設けているわけでございますから、割り込んでその分を食うということはございません。立てかえてしばらくこれを、償還期間を十年据え置きということでございますから、十一年目から支払っていただくということを原則とし、それまでに補助金がつけばそのときに返していただくということで、十分調整はとれているというふうに考えております。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 立てかえによる施行であるから本来自治体が了承の上でやったというのですが、もし宅地開発公団が来なければ、もうその自治体としては他の位置に小中学校建設計画していたかもしれません。しかし、国がこういうものを持ってくるから、それじゃそういうものを持ってくるなら、私の方であえて反対しても、国に反対なんかして今後の補助金や起債やいろいろの点でもしいじわるされちゃ困るからという、自治体は弱い立場にあるわけですよね。それじゃ立てかえ施行としてそれを認めましょうというようなことになってしまって、本来自治体が計画しているものがこれによって変更される、またそれの補助金もこれのために食われるのではないか。宅地開発公団のこの補助金は、従来本予算で決まっているものの上に上乗せするので、本来の、地方自治体へのそういう計画に対する補助金とは全然影響がありませんということならいいですよ。そうでなくて、やはり補助金の枠はもう国で決まっていますから、宅開公団計画がばかっと来ますと、そうするとそれだけの補助金というものは食われるのではないかということなんです。いいです、それをやっていると時間が来てしまいますから。  そこで、立てかえ施行したものに対する買い取りなんですけれども、買い取りは、さっきから十年据え置き三十年賦だと言いますけれども、これは自治省にお尋ねしますが、松浦さん、これはどういう金で払うのですか。もちろん交付税で見てはもらえないんでしょうね、そして一般財政から見る。一般財政から見るということになると、一般財政というのは、単独事業で、自治体に許されているほんのわずかな自由に使える金ですよ。それが、宅開公団が来ればその方に回さなければならない。もちろん、だからこそあらかじめ相談して当該自治体の了解を得てやっているんだから、そういう林さんの心配するような矛盾はないと、大体松浦さんの答弁は想像できるけれども、しかし、この償却はどこから金が出てくるんですかね、一般財政ということになると大変ですよ。
  196. 松浦功

    ○松浦政府委員 お答え申し上げます。  現在の住宅公団五省協定方式によりましても、国庫補助が公団に支出されました場合、裏負担の問題になるわけでございます。裏負担について一定の起債を認める、その起債の償還額、現実に起こってくる額でございますが、それは後年度において交付税に一定割合を算入する。それから、起債を認められなかった部分については交付税で全額措置をいたしております。したがって、今度の場合は十年間の据え置きと、いままでより非常に条件がよくなっておりますし、利子も非常に多額に補給を、十年間の利子は非常に少ない利子あるいは無利子に近いものに、というようなお話もちらちら承っております。そういうことを考えますと、当該団体の償還時における財政状況を見てさらに必要の措置をとる場合があり得るかもしれませんけれども原則的にはいま申し上げましたような五省協定に基づく措置を踏襲していくという方向で、地方団体の行財政には大きな支障は来ないというふうに私どもとしては考えております。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 大きな支障になるかどうかは宅開公団の方の計画いかんによりますので、それが非常に大きなもので立てかえ施行を買い取るために莫大な費用が要るということになりますれば、これはあなたの言うように支障を来さないということにはならないと思います。とにかく、一般財政から見ることは間違いないんですね。もう一度はっきり言ってください、何だかはっきりしなかったから。
  198. 松浦功

    ○松浦政府委員 一般財政という意味でございますが、先生おっしゃっておられるのは地方財政計画の範囲においてという意味でございまして、現実には個々の団体について交付税制度を活用するということを、先生の御指摘のように考えております。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。まあ、そのような方途も考えておく必要があると思うのです。  それで、あと二点ほどですが、今度は具体的に建設省にお聞きしますが、この造成された宅地を買い得る階層なんですけれども、どのくらいの年収のある人がこの宅開公団でつくった土地を買い入れることができるんですか。
  200. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 四十九年度の関東地方の勤労者世帯の所得階層別というような五分位の階層別で試算いたしますと、大体一分位というのは実収入が百六十五万円で、二分位が二百十五万、三分位が二百五十三万、四分位が三百十二万、五分位が四百五万というふうになっております。これはまた年代が変わると変わってくるわけでございますが、これで見ますと、大体われわれが考えております。ある仮定を置いた支払い可能額というものを考えてみますと、年間でございますが、一分位で四十四万四千円、二分位で六十四万六千円、三分位で七十三万四千円、四分位で百十一万三千円、五分位で百五十六万八千円というようなかっこうになっております。そこで、大体三割の頭金を用意するということにいたしますと、仮に平屋の持ち家ということでございますと、八十坪の土地につきまして約三十坪の家を建てるということで計算いたしまして、これも仮定はございますけれども、大体四分位以上は全部その対象の中に入ってき、そして、三分位の一部がその中に入ってくるというふうに考えられております。ただし、これはいま申しました平屋の場合でございまして、公団のやっておりますような長期割賦分譲方式の分譲住宅でありますと、三分位以上が全部入って二分位の一部も入り得る。計算上はそういう形になります。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が来ましたが、あと二問いいですか。  そうしますと、どのくらいの、何ヘクタールぐらいを一集団地と考えて、そしてこれを、首都圏ですと東京から五十キロ範囲になっているのですが、坪どのくらいで買い入れて、坪どのくらいで売り渡すことができるというようにお考えになっているのですか、建設省。四十九年度の計画立てているのですが、それが流れてしまって、五十年度になって若干その辺の物価係数なんか違ってきますがね。公団の方がそれは坪どのくらいで買い入れる見込みで、今度はそれを賢い受ける方は坪どのくらいで買い受けるというように計算しているのですか。
  202. 天野光晴

    天野委員長 簡単に答弁してください。
  203. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 簡単に申し上げますと、周辺部でございますから、価格は比較的安い。しかしながら、先ほど申しましたように、大体平米当たりわれわれの希望としましては、(林(百)委員「坪でやった方がいい」と呼ぶ)坪当たり二万円見当ぐらいのところをねらいたい。場所によって違いますけれども、坪当たり二万円から三万円というところが開発適地というふうに考えたいと思います。もちろんその前後はございますけれども
  204. 林百郎

    ○林(百)委員 それで私どもで計算しましたら、首都から五十キロメートル範囲というと、逗子、鎌倉、久里浜、厚木、青梅、飯能、千葉県の佐原、坪二万じゃ買えませんよ、それは。とんでもない話です。坪十万円以上に見なければ非常識だと言われます。それで売る場合に、今度は造成された宅地を買う人の方は坪幾らで買うことになるのですか。
  205. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 仮にいまの計算で坪当たり三万円で買い入れたというふうにいたしますと、坪数にもよりますが、大体八十坪平均というふうに考えますと、それに造成費等を加えますと、大体坪当たり十三、四万になろうかと思います。
  206. 林百郎

    ○林(百)委員 十三、四万で買うことになるわけですか、もし三万が五万になれば、あなた方大体四倍に計算しているから二十万円くらいになるということになるわけですな。まあいいです、時間がありませんから。  次に、もう事務的なことだけ聞いておきます。関連施設整備事業助成基金というのがありますね。この運用ですが、これはどういうように運用するのか。それからそれが運用によって得た利得は積立金にするというのですが、何か収益ですか、三十八条ですね、収益のあるような運用というのがあるのですか、これは利子補給するものだと思っているのですが。
  207. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 基金の運用につきましては、これをたとえば有価証券にかえるとか、そういった運用を通常考えておりまして、それによる運用益を基金の中に積み立てていくというふうに考えるわけでございます。最も有利な運用を考えていきたいと考えております。
  208. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたもうかる方ばかり言ったのですが、これは利子補給するのです。その大事なことを言ってくれなければ、運用の内容を聞いたのですから。  それではついでに聞きますが、十九条、この中で、工業団地造成事業を行うとこうあるわけですね。これはまあ、もちろん公害のない工業だというようなことをいろいろ建設委員会でもやっているようですけれども、そういうことは省令か何かで決めるのですか。そうすると、それに対する上下水道、従業員の住宅等、またふえてくるのですがね。工業団地の造成事業、そんなものやらなくてもいいじゃないですか、何でそんなことまでやってやるのですか。
  209. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 相当大規模住宅団地になりますと、先ほど申しましたとおり、できるだけ近郊移動型のものをこの中に引き寄せまして、そして健全な市街地にすることが望ましいわけでございまして、したがって、従来も住宅公団住宅団地と対として工業団地をつくってまいったような事績がございます。そういうことを考えまして、その必要な限度におきまして、工業団地をその中にとれない場合には、その周辺に工業団地造成を行いまして、そして職と住と分離いたしまして、そういう工業団地をつくって、できるだけ都市工業的なものをその中に入れていくということが望ましい。工業団地のみならず流通の団地というようなものも——これは音が出ますから住宅団地の中に取り入れることが不可能な場合には、流通団地も工業団地もその住宅団地とあわせて取得することができるようにしたのでございます。
  210. 林百郎

    ○林(百)委員 今度は大臣にお聞きしますが、私たち考えて、これはどうもデベロッパーが買い占めていた土地、これは最近総需要抑制だとか、あるいは税制やいろいろで売れなくなったので、そして金利は払わなければいけないものだから、デベロッパーが買い占めている土地を活用してやるためにこういう宅開公団をつくったのではないかということが非常に考えられるのですがね。私、時間があればなお、建設省が考えている宅開をする範囲内でその土地がどういう状態にあってだれの所有になっているかということまで聞こうと思いましたが、時間がないから聞けませんので、非常に政治的な質問だけいたしますけれども、そういうことではないか。まあ、あるとは言わぬかもしれませんけれども、そういうにおいが非常にしてくるわけですね。その点が一つ。  それから、いまの工場誘致の問題ですけれども、この坪十二、三万で八十坪の土地を買って、四、五十坪の家を建てるという人は、まさかそういう工場がくるということは考えないわけですよね、普通。静ひつな環境で自分のマイホームをエンジョイしようという人たちですから、そこへ宅開公団が工場を誘致してくるということは、私は公団の目的に反するし、またこの公団によって造成した土地を買う人の意図にも反すると思いますがね。この点をどういうように規制されるのか。これは重要な点ですから大臣にお聞きして、それで私の質問を終わります。
  211. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 この法案は、実は去年からの継続でございまして、今年になって特に土地が売れなくなったから大企業を救おうなんて考えてつくった法案ではございませんから、これはひとつ御理解願いたいと思いますし、私ども決してそんな考え方でこの法案を進めておりません。大目標はやはり住宅建設するという国民の世論にこたえて何とかしなければならぬという考え方で出発いたしておるわけでありますから、これぜひひとつそういうふうに御理解をいただきたいと思います。  それからもう一つは、住宅建設住宅提供ということが最大の課題でありますから、それに付随してあるいは工業団地という問題も、それは職、住接近というので必要かもしれませんけれども、私は第二期、三期の問題だと思います。そういうことが障害になって大きな大目標が阻害されることがあってはならない、これは今後の運営として当然考えなければならない問題だと思っております。
  212. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が参りましたので、またいずれ機会を見て、非常に物足りない質問がございますので……。きょうはこれで終わります。
  213. 天野光晴

    天野委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時二十三分開議
  214. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 住宅公団がいま現存している中で、土地問題や住宅問題という問題についてはそれ相応の成果を上げておる中で、新たに宅地開発公団を設けて大きな開発をやるということでございます。  私は一点だけお聞きしたいことは、こういう考え方は私ども確かに持っておったことがございます。私も、日本列島が高度に成長しておるとき、土地が高騰しておるときには、住宅公団と、宅地開発公団とは申しませんが、それに類似したような機能を分けて、住宅問題と取り組まなければならないんじゃないか、そのときには地価の高騰という問題に非常に重点を置いて、現在のような土地利用の面で、この間御審議をいただいた利用法ですかこういった問題がまだ出ないとき、また田中内閣の時代で高度経済成長政策の最も爛熟期のとき、要するに資本主義の一番悪い面が出たときでございますので、そういう考えを持ちましたが、三木内閣になって経済も安定成長政策にする、いまともすると住宅問題がちょっと置き忘れられているような感覚さえある中で、こういった開発をやるということの中で問題になってくる点でお尋ねいたします。  一つは、地方公共団体の財政の面。こういう問題がまだ解決されていない。住宅公団の五省協定や何かもある中で住宅公団お断り、首都圏の中ではそういう自治体もございます。そういう問題をまだ解決点を見出してないときに、特に今回の統一選挙等でも御存じのとおり地方財政に論争の焦点が当たったわけですが、そういうときにこういった大型デベロップをやるということが地方公共団体に及ぼす影響、こういう問題を踏まえて、まずどうお考えになっているかという問題が一つ。  それと昨年三月の時点で東京、神奈川、千葉、埼玉、これは革新県政と俗に言われておりますが、一都三県の首長、知事、横浜、川崎の首長、市長ですが、千葉県を除いて宅地開発公団の一片建て構想の受け入れに難色を示しておる。これは要するに一戸建て土地の提供、こういう問題はもうだめだということを聞いておりますが、こういった問題、先ほど申しましたような住宅公団お断りという問題と、新たに一戸建ての問題で首都圏の革新の側では反対を唱えているときに、こういった問題を根回しということはおかしいですが、話し合いがついているのかどうか。また新しく今回公選されましたので、新しくお考えを聞くというわけにはまだ時間的にまいらぬでしょうが、選挙前なり最近において意見なりを確かめたことがあるでしょう。
  216. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の候補地につきましては、かねてから事務的にはわれわれ検討を重ねてきております。実際の個所につきましても一、二県とそういう打ち合わせを行った例がございます。陳情という形で地元の方々とともに建設省を訪れられまして、われわれもお会いいたしましてその事情等をお聞きした経緯がございます。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから例の住宅公団の話し合い、受け入れに対する話し合いはもうついたのですか。
  218. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 住宅公団宅地開発部門との関係が特に問題になりますが、住宅公団宅地開発公団との問題につきましては、これは行政監理委員会等におきましてもかねてからの問題とされておったところでございまして、われわれも住宅公団との関係を特に重視いたしまして、住宅公団としばしば意見の交換を行い、かつそういう議論を重ねてまいっております。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が聞いておりますのは、千葉県とか埼玉県とかいま言った首都圏の県が財政問題や関連公共事業負担金の問題で受け入れお断りということですね、そうしますと、宅地開発公団というものができるとなれば、従来の住宅公団とはまた違った面で地方公共団体に財源の措置というもの、そういった関連公共事業に伴うところの裏負担などの施設の問題については、何らか前向きに五省協定以上のものが何か出るのかどうか。そしてそういう問題について宅地開発公団受け入れお断りというような問題が出ないのかどうか。そこを私は聞きたいわけです。
  220. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団におきましては、特に地方財政の負担が過重になるということのために団地拒否の現象が、それだけではございませんけれども、大きな問題として出ていることにかんがみまして、特に宅地開発公団の構想の中には、地元の財政負担の軽減を図るということに重点を置きまして、たとえば基金という制度を設けまして三十年の割賦償還の十年据え置きというような制度を設けるとか、あるいは直接施行方式という形をとりまして、そういう権限を公団に与えることによって地元の、これは間接的でございますけれども、地元の人的あるいは技術的な力をそこに割くことがなくて済むような、あるいは補助金平均的な事業ができるようなそういう方途を重点的に考えておる次第でございます。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 埼玉県などは、そうすると宅地開発公団としては開発をなさる予定地でございますか。
  222. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まだ具体の場所として埼玉県のどこをということは考えておりません。これからいろいろ検討を重ねるべき地域であることは確かでございますけれども、具体的にはまだ検討の結果を得ておりません。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 松浦財政局長、現在の地方公共団体の置かれている地方財政危機の問題、これは人件費の問題やまた補助金の洗い直し、超過負担の問題、それから機関委任事務の問題等々いろいろとありますが、こういったいまの財政危機の状態の中でこういった大型の開発に伴う公共事業関連施設に対する費用負担分というものは、一体どれくらいまでがその限度として自治省としては見ていらっしゃいますか。また、こういう問題については建設省との話し合いというものはなされているのですか。
  224. 松浦功

    ○松浦政府委員 まことにむずかしい御質問でお答えのしように困るのでございますけれども、やはり地方財政計画の枠内において各地方団体がつかみ得る財源の範囲で支払えるものをもって限度とする、こういうお答えを申し上げざるを得ないと思います。まことに失礼な先生に対する表現だと思いますけれども、それ以上に具体的にどうだということは、各団体ごとに特殊事情がございますので、私どもとしては申し上げかねるわけでございます。  いずれにいたしましても、人口急増あるいはどうしても住宅環境が不良であるということで宅地を開発していくという国の大きな方針のもとに施策が行われるわけでございますから、むやみやたらに地方公共団体負担が生じないように、できるだけ地方団体が円滑にこれらの事業に、国の方針に協力できるような財政措置をしてもらわなければ困るということで常々建設省と相談をいたしております。今回の制度は、先ほど大塩局長からお話がございましたように、いままでの五省協定をはるかにぬきんでた手厚い措置が講ぜられることになっておりますので、自治省といたしましても、これであれば大きな財政的な迷惑をかけることはまずなかろうという確信に近いものを持っておるということを申し上げてお答えにかえさせていただきたいと思います。
  225. 小川新一郎

    小川(新)委員 特別急にお答えを要求したので、具体的な数字が出ないことは理解いたしますが、いずれにいたしましても、一万戸の団地をつくるとして、これは小型の十戸、二十戸の住宅建設するために宅地開発公団があるわけでないことはよく了知しておりますので、少なくとも一万戸とか五万戸とかいう戸数になるわけでございますが、たとえて言えば一万戸の団地をつくるとして自治体の関連公共施設に対する費用負担分は一体どれくらいになる、こういう積算というものは自治省と打ち合わせの上で計算を出されておると思いますが、地方公共団体と申しましても、県と当該本拠地である市町村とは、これはもう財政が全然違うわけですね。特に五十キロ圏となりますと、埼玉県の例など言っても大きな市にはないわけでございます。町とか村、そういった公共団体の財源規模において一万戸の住宅団地をつくるために要する公共施設に対する費用負担分、これは一体幾らなのか。
  226. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 一万戸という数字で計算をしておりませんけれども、最近調べました調査の結果で、よく似ておりますので申し上げますが、北千葉ニュータウン計画の中にございます印西という町がございまして、その印西町の現在の人口は大体一万ちょっと、一万四、五千から六千ぐらいだと思いますが、これが大体将来十六万人になる。一万六千から十六万人ぐらいになるというような計画でそこに宅地造成がなされております。そこのところの財政状態を見ますと、十年間たちましたときには、累積赤字といたしまして、学校その他の関連公共公益施設を含めまして約三百億の累積赤字が出るものというふうに計算されております。これは五省協定等の手法を使いましてなおそれぐらいの赤字が出るというふうに類推されております。
  227. 小川新一郎

    小川(新)委員 千葉ニュータウンの九万二千戸の場合を見ますと、関連公共施設設備は一千九十億、主な内訳は開発者負担金百六十八億、国庫負担百四十六億、県の負担一億八千万、地元市町村起債三百五十七億、一般財源からの持ち出しは四百十六億に上っておりますが、私いまその試算で計算いたしましても、十年据え置き二十年償還として年間約五億、こういう計算になってまいりますと、財政局長、これは地方公共団体の中でも当該市町村の負担というのは非常に大きくなるわけでございます。先ほど大塩局長さんが仰せられましたような補助程度でこの膨大な関連公共施設負担に対してたえ得るものかどうか、こういった問題いかがでございましょうか、御見解をお願いしたいのですが。
  228. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほど先生の御質問にお答えもしたのでございますが、十年据え置きということになりますと、償還を始める時期自体における貨幣価値というものをいまの状況でわずかの物価騰貴ということを考えても相当楽になっておる。逆に言うと、税収入もふえておるということになろうかと思うので、その五億が直ちにその団体の負担になるかどうかは私どもとしても疑問でございます。しかし、いずれかの負担が生じてくると思いますが、それにつきましては公債費の交付税算入の問題あるいは事業費補正の問題等個々の団体ごとにそれぞれの必要額を処理していくつもりでおりますので、私どもとしてはその交付税の枠内で十分処理できるというふうに考えております。
  229. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと財政局長、その財政、累積赤字のピークは昭和六十一年、その時分にピークになってまいりますと、地方交付税交付金、起債の枠などもいまとは変わってくると思います。当然いまの三二%が四〇%になり、また四〇%を超えるかもしらぬ。そういった地方財政、行財政の制度というものが大幅に変わるということを見越して、やはり地方公共団体の財源というものを見越すように、私ども地方公共団体の立場に立って、地方制度調査会等の答申なんかから、いつも地方交付税交付金、交付税率のアップということを言っておりますが、そういった面が、こういった一面、他面から他の省から出た法案を見ても、六十一年ピークということになりますと大きな財政措置を講じなければならぬ。ただ物価というものはこれは上がらないに越したことはないのですが、ある程度の物価上昇はやむを得ないと見ても、そういった社会的、自然的な発生の問題に期待して貨幣価値の問題を論じて、行財政の仕組みそのものに対してはメスを入れないで、ただ他力本願的にその地方公共団体の財政というものは負担が軽くなるというような物の考え方というものは私はちょっと納得できないのでございますが、これは建設省としてはこういった地方公共団体の財政の問題を見ても、側面から地方、自治省の方に何らかの措置を講ずるようなお考えはございますか。
  230. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 大規模宅地開発を行います場合に一番財政圧迫となりますのは関連公共公益施設でございます。それの地元負担、これが非常な圧迫になるわけでございまして、その点につきましてかねてから補助率のアップであるとかいろんな手法を使って立てかえ制度の強化等をやってきたのでございます。これは自治省とも十分いままでも協力し、また御相談をいたしまして、この強化を図ってきているところでございます。今回におきましても、宅地開発公団をはじめ住宅公団につきましても、相当の立てかえ制度における強化措置を図ったわけでございます。しかし、これで十分であるというふうにはまだわれわれは考えておりませんが、とりあえずこういった措置を講じましたので、今後残された問題は、公共団体がやる場合あるいは公社がやる場合あるいは民間がやる場合、いずれも地元公共団体に降りかかってくる財政負担の問題がございます。これらにつきましては、公庫の融資その他の面につきましてまだ残された問題がございますので、自治省とも十分相談いたしまして、これを強化すべく来年の課題としていま検討をこれから始めようとしております。
  231. 松浦功

    ○松浦政府委員 私がいまお答え申し上げましたのは、現行制度のもとにおいても、交付税制度と地方債制度を活用いたしまして、現実に償還が十年先に起こるでありましょうが、その時点における財政状況、個々の団体の財政状況を見ながら私どもとしてはその団体が困らないように措置がし得るという自信を持って申し上げておるところでございます。
  232. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ大塩局長は前向きに何か考えなければいかぬという御答弁だったのですが、松浦財政局長は現行制度でも大丈夫だと、ちょっと私はニュアンスに苦しむのでございますが、一つの提案といたしまして地方交付税交付金の問題はすぐここで返答せいと言ったってこれはできるわけじゃないのですけれども、それでは、宅地開発要綱と地方財政との関係について、この急激人口増にあえぐ首都圏などの自治体で、宅地やマンションなどの造成業者から独自の開発負担金や土地の提供を求め財源不足を補っている地方公共団体があることは御案内のとおりです。そこで、これを地方財政法第二十七条の四にある「市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」ということになっておりますが、その政令とは施行令第十六条の三の二号で「市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費」とあることから、法の趣旨から言って好ましいことではない。政府は自治体の窮余の一策として開発負担金等についてほおかぶりをしてもらっては困るので、この実態をまずよく検討していただくことが一つでございますが、その負担金を制度化する、法制化する、そしていま私が述べました地方財政法の中身の問題のことはよく御理解いただけていると思いますので、そういう問題も大塩さん、いかがですか、自治省に対して一つのあなたのアイデアとして、また自治省のプランとしてこの負担金の問題について制度化して、いま言った地方財政法に抵触しないような考え方をお持ちか、いかがですか。
  233. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公団あるいは公社あるいは地方公共団体、いろいろ開発の主体があるわけであります。それからまた、場所によりまして公共公益施設の種類、規模内容等もそれぞれ違うわけでございます。そこで、一律に負担率を決めるということは、言うべくして具体の問題になりますと正直言いまして非常にむずかしい面があるわけでございますが、いずれにしましても、負担の区分というものを、開発者負担の限界というものをはっきりさせるということは、われわれのこれから宅地開発を進めていく上での一つの大きな要素であろうと思っておりまして、これにつきましては、かねてから自治省ともそういった意見の交換をしたことはございます。しかしながら、開発要綱等によっていま現在公共団体がやっております要綱指導というものは、これは表面は技術的な指導ということであるわけでありまして、実は財政上非常に苦しいという立場もよくわかるわけでございまして、ですから、その負担の率を決めたということだけで物事が全部解決するとは思っておりません。したがって地方公共団体が、やはりそこに大型のものが出てくればそれだけの財政負担が生ずるので、苦しまぎれにそういうことが、あるいはオーバーランみたいなことがあったかもしれませんけれども、問題は、だから地方負担をできるだけ軽くするような方法をまずとって、それとあわせて負担の区分というものをはっきりとつける、この両方を同時並行的にやらなければいけないのじゃないかというふうにわれわれは考えまして、今年度の予算におきましても、まず公団では相当ルール化しておりますから、そういう負担の比率というものを決めてルール化を図っていきたい。それから、地元の財政負担ということにつきましてもできる限り援助をしていきたい。おのずからその中に、いまおっしゃいます意味負担の公正化ということは出てくるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  234. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方の条例というものは法律の範囲の中において定めることになっておりますが、いままで超過課税の問題とか、それはもう地方行政委員会でいろいろと、地方が財政を捻出するために自治省から見れば好ましくないような政策や対策を講じている例がいろいろな面でございますが、いま言ったような制度を設けるということをやれば、法制化すればそういう問題が解決すると思うのです。  そこで、これは大臣お尋ねいたしますが、宅地開発公団日本住宅公団の固定資産税、これは地方税法附則第十六条第二項に基づく減額分を国が当該市町村に対して補助すべきであると思います。この固定資産税の問題で大臣の御見解を一つだけお尋ねしておきますが、地方税法附則第十六条第二項は、「市町村は、昭和三十九年一月二日から昭和五十年一月一日までの間に新築された中高層耐火建築物である住宅で政令で定めるものに対して課する固定資産税については、次項の規定の適用がある場合を除き、当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から、地上階数四以下のものにあっては五年度分、地上階数五以上のものにあっては十年度分の固定資産税に限り、当該住宅に係る固定資産税額の二分の一に相当する額を当該住宅に係る固定資産税額から減額するものとする。」となっております。この問題について私は異議があるのでございますが、大臣の御見解をひとつお尋ねしたいと思うのです。
  235. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 住宅対策上の特に公的開発を進めてまいります上に、住宅というもののその公的性格にかんがみまして、それの一つの家賃あるいはその取得費を軽減いたしますために、固定資産税上の配慮の措置として二分の一減税を行ったという趣旨だと思います。これにつきましては、それだけ地方の収入というものが減るわけでございますけれども、まあそれと同時に、その他の面におきまして、そこに団地ができ、そういった人たちの生活の場がまたそこで形成されるというようなこともあります。固定資産税上はそういう減額の措置をとらしていただいているわけでございますが、われわれはそういう趣旨に解しております。
  236. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで大臣、この残額の、二分の一の減額分について、当該地方公共団体の財源補てんのために国が何らかの形でこれを財政需要の中に繰り込むお考えは、自治省として建設省として、またこれは大臣サイドでなければちょっとできないのじゃないかと思うのですが、お考えはいかがでしょうか。
  237. 松浦功

    ○松浦政府委員 国の施策として減税措置を講じております。講ぜられました減税部分については基準財政収入額には算定をしないということになっておりますので、逆に言いますと取れたであろう税金の七五%だけは市町村に交付税で埋まっておると、私どもはこういう考え方をとっておるわけでございます。したがって、団体間の不平等とかアンバランスとかいうことは私どもとしては考えておらない次第でございます。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 その説明では私はちょっと納得できないのでございますが、これは宅地開発公団ができるということになってまいりますと、こういう当該公共団体に入るべき固定資産税というもの、これは道路の問題もそうなんですが、高速道路の問題も、固定資産税に入るか入らないかの問題で議論いたしました。こういった大事な問題はやはり通り過ぎるわけにいかないので、私はこの三二%の地方交付税の中に算定をするよりも、全額国が何らかの足りない分を補てんしていくという考え方の方がより適確ではないかと考えているわけです。これは意見の違いですからお聞きいただきたいのですけれども。その問題は唐突な質問ですから後ほどで結構でございますが、それが一点。  もう一つ、時間がないから聞きますが、宅地開発公団に当該地方公共団体が出資するとどのようなメリットがあるのかという問題ですね。しなければいけないものなんでしょうか。たとえばそれを出資しなければ公団業務に参加できないのか、非常勤理事になれないのか。また、その地方自治体と住民との反対で大規模宅地開発がおくれている地元との合意を得るために、関係行政機関、関係都道府県知事等から成る仮称宅地開発協議会の設置を制度化すべきであると私は思っておりますが、こういった問題の二点をお尋ねしたいと思います。
  239. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず出資の問題でございますけれども、出資をいたしますればどういうメリットがあるかということでございますが、メリットかどうかわかりませんけれども、出資いたしますことによって出資面からするところの発言権が増大する、言葉をかえて言えば、地方自治法上一種の監査、それに基づく事業計画の報告を求めたりする監査権が生じてまいります。こういう意味において、出資した以上は自分公共団体の利害に関係することが多うございますから、そういう面でチェックできるという意味で、メリットといえばそういう発言権が強化されるという意味がございます。  それから、出資しないとどうなるかということでございますけれども、この宅地開発公団におきましては非常勤理事という制度を設けておりまして、非常勤理事の制度の中には、出資してもしなくても、そのいかんにかかわらずこれを入れることにいたしております。  それから、やはり地元との協調体制を整えるということが一番大きな事業推進上の問題点でございます。これにつきまして、いまお示しになりましたような宅地開発の推進の協議会というものをぜひつくる必要があるというので、これは別途、現在継続中の大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案の中におきましても、法律でもって宅地開発協議会を設けようとしておりまして、その中では、国の関係行政機関のみならず、都道府県及び市町村等を加えてこれと協議することになっております。
  240. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に、昭和四十六年度から始まった国の人口急増対策の目玉といわれます小中学校用地取得費に対する補助金は、昭和五十年度は交付率が七〇%、補助率が三分の一、三年間の分割交付となっておりますが、これは要綱による五年間の暫定措置であるため、昭和五十年度限りで廃止されますが、これを当初の方針どおり廃止してしまうというと、宅地開発公団が立てかえ施行しようとしても、地方自治体が財政難のために公団に協力できなくなってしまうという問題が出てまいります。これは非常に大きな問題なんでございますが、本年三月二十九日、私どもが提案いたしました人口の急激な増加に伴う公共施設及び公益的施設整備に関する特別措置法案というものを見ますと、今後十年間は延長することとし、公共施設及び公益施設の補助率もさらにかさ上げをすべきであるという意見を私どもは出しております。これは非常に大事な問題でございますのでお答えをいただきたい。  時間がありませんので、最後に大臣一つお願いがございます。地方公共団体のこのようないま私がるる述べてまいりました地方財政の緊迫下における大型宅地開発という問題は非常に大きな問題がございます。この法案に盛られたような程度地方財政の援助では、せっかく御努力いただくこの宅地開発公団法も絵にかいたもちに終わる、私どもはそういう立場から反対もしているのでございますが、これは、通るとか通らないとかということはここで問題外といたしましても、現実に地方財政の危機を救うためには、現存の住宅公団の進出の問題等も含めて地方財政をいかにお救いくださるか、またその危機という問題に対してどのように認識なされ、今後建設省としては自治省並びに当該地方公共団体との話し合いの中で御援助をいただけるのか、大臣として御決意を最後にいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  241. 松浦功

    ○松浦政府委員 人口急増地域の小中学校土地の補助の問題あるいは学校建築の補助率の問題、いろいろございますが、五十年度で特に土地については要綱の期限が切れるという問題がございます。先般も地方行政委員会で御質問がございましてお答え申し上げたとおりでございますが、私どもとしては、この制度はどうしても中身を改善しながらなおかつ存続をするということが必要であろう、この点については先生の御意見と全く変わりはないところでございます。しかし、私どもが一切を決めるわけではございませんので、文部省及び大蔵省にどういう手段を講じようとも何とかこの制度をとどめてほしいということを繰り返して強力にお願いをしてまいりたいと考えておりますので、御協力もいただきたいと思います。
  242. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 住宅公団が非常にいま問題になっておるのは、やはり団地お断りという問題です。これは結局関係市町村の財政負担の問題が大きな原因であることは私ども十分承知をいたしております。したがって、新しい宅開公団ができてこれから進出していこうということになれば、そういう問題がさらに今後の地方財政の問題と大きな関連のあることは十分承知をいたしておりまして、そういう意味においては、地方財政負担ができるだけかさむことのないように最善の努力をしていかなければならぬ。私どもそのつもりでいろいろと施策をいたしておるつもりであります。  ただ、たとえば立てかえ施行して、償還期限も無利息で十年据え置き二十年という形にして、従来よりはかなり条件を緩和してきた、そういうものを考えてみますと、関係地方団体もすべてが犠牲者意識といいますか、そういう考え方はある程度考え直してもらいたいと思うのです、そこの住民になるわけですからね。そして、直ちには財政負担は非常にかさばりますけれども、十年おり、二十年おり、三十年おれば、住民として定着をして、住民として十分に貢献ができるはずでありますから、そういうようなものも考えていきますと、すべてが犠牲者意識で、一切政府がめんどう見なければお断りだという考え方、これには若干ゆとりを持ってもらいたいと思うのです。住宅問題を解決つけることは国民的な大きな課題でありますから、超党派で、地域を離れて、お互いに協力し合っていく、そのために特に地方行政に大きなしわ寄せを来さないようにわれわれは最善の努力をしなければならぬ、当然のことでありまして、努力をいたしてまいるつもりであります。
  243. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣のおっしゃることもごもっともでございます。私どもも、それは超党派でよく考えなければならない日本の住宅行政でございますから、十二分に御協力もしたいと思っておりますが、財政の問題だけでなくて、人心の問題とか人間の疎外という問題もあるし、水資源の問題もある。これは多角的に御判断をいただかないと、当該地方公共団体がただ財源だけで急速な人口急増という問題に対して抵抗しているのではない。これはやはり国の施策である日本列島改造とか国土総合開発計画の中の太平洋沿岸ベルトに集中してきた日本の都市問題という中で大臣がとらえていただくことを最後に私としてはお願いせざるを得ない。ただ一つのテーマとして地方財政というお金の面だけで論じても、超過負担の解消の問題もあるし、機関委任事務の問題もあるし、一例を挙げれば、いま財政局長がおっしゃったような五十年度で切れる問題、こういう問題も、建設省は親身になって大蔵省や文部省に働きかけていく、自治省の立場をバックアップするといいますか、サイドからひとつお願いをしていかなければ、公共団体の対話の中から自治省がいま一番困っている問題はそうだと思うのです。ただ公共団体だけがこうであるからという面だけでないということをひとつ力説を私としてはせざるを得ない。どうか多角的な高度な面から御配慮をいただきまして、一日も早く——日本の住宅行政の面で御協力することにはやぶさかでございません。それだけは申し伝えておきます。ありがとうございました。
  244. 天野光晴

    天野委員長 この際、御報告申し上げます。  竹内猛君の御要求により、本日、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君及び理事播磨雅雄君に御出席願っております。  参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きをすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  引き続き質疑を行います。竹内猛君。
  245. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、農林水産委員会の立場から、宅地開発公団法の問題について若干の質問をしたいと思います。  まず最初に、宅地開発公団は行政監理委員会の答申に沿って提案されていると思いますが、田中前総理の日本列島改造計画の構想というものの一翼を担っているように考えられて仕方がない場所が随所に出てくる。まずこの点について、その関連についてどうかということを先にお伺いしたいと思います。
  246. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の構想と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、大都市の現下の住宅難、これは言いかえれば宅地難に起因するところがきわめて大であります。宅地難を解消し、住宅難を早く解決していかなければならないという非常に緊急の要請がございますので、これにいかにして対処すべきかということでもって生まれた対策だというふうに、私どもはその動機をそのように理解しておるわけでございまして、日本列島改造論のいわゆる産業及び人口地方に分散させ大都市への集中を抑制させる、それと、過疎過密を同時に解決するために大都市対策とそれから地方都市対策とを同次元の中にとらえて展開していかなければならない、こういう考え方とは大体軌を一にしているわけでございますけれども、その中の特に住宅面に着目いたしまして、その一つの対策としてとらえたというふうに理解しているわけでございます。
  247. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 住宅の問題についても緊急性のことはよくわかるが、それは何も別に宅地開発公団をつくらなくても、日本住宅公団というものがちゃんと仕事をしているわけです。全国的に仕事をしている。りっぱな仕事をちゃんとしているわけだ。にもかかわらず宅地開発公団という法律を国会に出して、その緊急性にもかかわらず、それが継続審議をし、なお今日多くの問題を含んでいて困難をしているという、法案がスムーズに国会を通らないという根本的な原因はどこにあるか、そのことについて。
  248. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 住宅公団宅地開発もやっておりまして、住宅公団でそのままやるべきじゃないかという御意見、これはしばしば私ども指摘を受けるところであります。  私どもも、できることなれば屋上屋を重ねるようなことは考えたくない、そういうようなことも考えてみたのでありますが、最近ここ一、二カ年間の住宅問題というのが、国民の要望にこたえてそれぞれ努力はしておりますものの、なかなか思うように進まない。それは従来の公団によっていわゆる公団形式というものでいままでは比較的順調に伸びてきたのでありますが、いま大きな一つの壁にぶつかっておるわけであります。住宅そのものを建設するよりも、一番問題はそのもとになる宅地の開発でありますが、その宅地開発の問題については、いろいろ土地の値上がりもともかくですけれども、やはりそれの関連公共といった問題、地方財政に及ぼす影響といった問題等がありまして、それが大きな障害になっておりまして、特に三大都市圏ではなかなか従来のような公団方式ではスムーズに進まなくなってきたわけであります。  それかといってこのままの状態でいいわけじゃありませんし、五十一年度から新しい第三期計画を立てなければなりません。いままでに問題をいろいろ洗い直して新しい計画を立てる場合に、現在のような状態のままで果たして今後の国民の期待にこたえるような住宅政策が遂行できるかどうかということを検討いたしてみますと、やはりここら辺で区切りをつけて、ひとつ新しい方向を打ち出すべきだという考え方に実はなったわけでございます。  率直に言って、住宅公団は現在も既存のものを約七十四、五万戸くらいのものを管理いたしております。そして、これにもつていってさらに住宅宅地開発をどんどんやりながらさらに国民の要望にこたえるということはいささか限界に来ているのではないか、そういうふうに考えますので、既存のものの管理と、さらに自分で建てる住宅宅地だけは自分で開発をするが、それ以外のものまでは手を出す余裕がないから、それ以外のものを特に三大都市圏においては新しい機構のもとに思い切った大量開発をやろう、こういうことで実はこの法案を出したわけでありまして、そういう意味において、いろいろ議論をされておりますが、私どもとしてはぜひひとつ、各党いろいろ議論はありましょうけれども、慎重に御審議いただいてお通ししていただくようにお願いをしたいと御相談を申し上げているわけでございます。
  249. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの大臣の答弁でよくその経過は理解をするところもあるが、まだ理解ができないところが多々ある。  そこで、今度は建設省の事務当局にお伺いしますが、望ましい住宅というもの、まあ一人一室というような形、こういうようなことが政府の文書の中にはしばしば出てくる。職場になるべく近いところに住宅が欲しい、これも一つの希望だと思うのです。それから賃金と家賃との関係、賃貸料ですね、あるいは所得と住宅建設費用の関係、こういうようなことを考えたり、あるいは住宅の存在する環境というようなものを考えた場合に、望ましい住宅ということからして、六十年を目標にしているわけですけれども建設省としては、その段階で日本の産業構造がどのようになり、そういう場合に住宅の不足というものはどういう状態になるかというような見通し、それから状況、それからそれを埋めていく基本的な計画ができているかどうか、こういう点についてはどうですか。
  250. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいまのところ住宅計画は毎五カ年ごとにやってまいっております。ただ、そういう五カ年計画をつくります際にも長期の見通しは必要でございまして、六十年度を見通す長期構想等について従前も持っておったわけでございますが、たまたま第二期の五カ年計画の終了が五十年度でございますので、五十一年度を初めといたしまして六十年を見通す長期構想を、国土庁、経済企画庁の皆さん方と手を携えながら現在検討中というのが実情でございます。  ただ、われわれが現在考えております六十年度の望ましき住宅の水準、これはわれわれのところで住宅宅地審議会というのがございまして、まだ現在も鋭意検討中でございますけれども、もちろん一人室共同室というのを念頭に置いておりまして、分離就寝、食寝分離等の新しい考えも入れて考えたい。そういたしますと、そのときの平均の家族数から見まして、おおむねネットで九十平米くらいはどうしても必要だというようなことを現在考えております。それらのものをもとといたしまして、可能な限り実現可能な計画をつくってまいりたいと考えておる次第でございます。
  251. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、宅地開発公団というものを含めた住宅建設の方向というものと、住宅の現状、困窮度あるいは困難性、こういうものとの関係というものはどういうかかわり合いになっているのか。それがはっきりしない限りは、これは話が進まないですね。建設省、それどうです。いまの現状はどうなんです。先の話はいいけれども住宅は一体どういう状況になって、たとえば三大都市圏というけれども、三大都市圏ではどのような状態にあるのか、こういうことがはっきりしないと話が先の方へ進まない。
  252. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅の現状について申し上げますと、四十八年の十月に住宅統計調査というのをやっております。それによりますと、全国の悉皆調査みたいなものでございますけれども、全国におきます世帯の数が二千九百六十五万世帯、それに対しまして、住宅の戸数が三千百六五尺百四十一万戸戸数がオーバーしているという統計数字になっております。さらに空き家も五・五%ございまして、百七十二万戸の空き家があるということになっております。  一例をとりまして、三大圏の中でも特にひどい東京を例にとりますと、家の数が三百六十七万世帯に対しまして三百七十九万戸、十二万戸家がオーバーしておる。空き家も二十一万四千戸あるというふうな統計数字でございます。  ただ、それは数の上のことでございまして、実際に、そのころに行いました、四十八年の十二月に住宅需要実態調査というのをやっております。これによりますと、国民の皆様に対しまして、住宅に困っている方はひとつ申し出てください、こういう調査でございますが、それによりますと、全世帯の三五%、約一千万世帯の方が住宅に不平不満を持っておられます。その不平不満の理由の中を見ますと、家が狭いというのが五〇%でございます。それ以外は設備が悪い、環境が悪い、日当たりが悪い等々が一〇%程度でございまして、家賃が高いというのも四・四%ほどございます。  これを、たとえば東京を例にとりますと、やはり東京では約六十万戸の木賃の住宅がございます。全体では八十万戸あるわけですが、そのうちの六十万戸は設備が共用でございます。便所、ふろ場、台所等が共用でございます。家も狭うございます。そういうのが六十万戸あるわけでございます。したがいまして、東京におきましては六軒に一軒がそういう家に住んでいらっしゃる。  したがいまして、今後はそういうふうな状態を踏まえまして、もちろんこれからふえてまいります家族の数につきましても、世帯の数につきましても家の準備をすることが必要でございますけれども、今後の住宅の政策の重点は、そういうふうなものにつきまして質をよくする、質の向上に重点を置きながら、量も拡大していくということになっておるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  253. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やや明らかになりましたが、問題は、先ほど大臣からも答弁がありましたが、今日まで住宅建設管理の問題については、日本住宅公団が主として建設省の指導のもとに多くの仕事をしてきた。批判もありますけれども、おおむねやることはやってきたと思うのですね。そこで、新たに宅地開発公団をつくることになったという根本的な理由についても、先ほど大臣の御答弁でほぼ明らかになった点もありますが、なお私はまだまだ尋ねておかなければならない問題が幾つかあると思うのですね。  これは住宅公団の方にお尋ねしますが、日本住宅公団としては、今日この法案に対して基本的にどういうように考えられておるのか。いままで皆さんがやってこられた、宅地を求めて、それに上物を建てて、それを分譲したりあるいは貸したりして、それを管理をする、そういう仕事に対して、何か矛盾を来しているのか、いまの住宅公団ではできないのかどうなのか、この点はどうですか。
  254. 南部哲也

    ○南部参考人 住宅公団は、過去二十年間におきまして、本年度で大体八十万戸の管理と、それから宅地の方は一万ヘクタールの供給、こういう仕事をやってきておるわけでございます。一万ヘクタールと申しますけれども、そのうち住宅用地は六千六百ヘクタールでございます。さらにこれは民地も入っておりますので、現実に供給したヘクタール数で広さを申しますと、大体三千ヘクタールでございます。したがいまして、年間百五十ヘクタールくらいの供給ということになるわけでございます。この三千ヘクタールのうち公団自体で使っているのが千二百ヘクタールくらいでございまして、一般に分譲できているのは大体八百ヘクタール、千ヘクタールを割っておるわけでございます。  ただいま御提案の宅地開発公団につきましては、十年間で一万ヘクタール程度宅地を造成しよう、これを一般の分譲並びに公共用地の敷地にしようということでございまして、これは量的に見ますと、従来の住宅公団の量の大体十倍になります。スピードからいいますと、住宅公団がやってきたのは二十年間でございますので、スピードからいっても倍、十年間でこれを仕上げる。こういう仕事をさらに現在の住宅建設の上に加重するということになりますと、建設大臣がおっしゃられましたように、少しオーバーワークになるのじゃないかというふうに経営としては考えられるわけであります。  したがいまして、そのような年間千ヘクタールに近い供給をするというニーズがございますならば、これは一つの新しい公団をつくって、二大機関で日本の住宅問題の解決に当たっていくということも適切な方法ではないかというふうに考えて、過来の建設委員会でもそのように御答弁申し上げている次第でございます。
  255. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 同じ目的を持つ公団が二つも、まだそのほかにもう一つ地域開発事業団ですか、公団ですか、こういうものがあって、三つある。それぞれ目的も、それは多少字句は違うけれども、やることはほとんど同じだ。そうすると、たとえば今日日本住宅公団の職員の皆さん約五千人ほどいらっしゃるけれども、その中で宅地の仕事をしている人々や、あるいはそれに関連する人々と、今度仮に宅地開発公団ができたとすれば、それとの人間的関係、そういうものはどういうふうな話し合いになっているのか、そういうことは全然話し合いをされないであるのかどうなのか、これはどうなんですか。  それからまた、従来の日本住宅公団が仕事をしていた宅地を求めるというような仕事はもうやめてしまうのか、そこらはどうなんですか。
  256. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず人員の確保の問題でございますが、宅地開発公団は現在のところ約四百名の人員を考えております。その人員の確保につきましては、当然相当技術的な素養のある人が、熟練のある人が必要でございますので、でき得る限り住宅公団であるとか、あるいは地方公共団体であるとか、そういった経験を持っておられる人の割愛をまずお願いするということが必要であろうというふうに考えておりまして、住宅公団とはそういう人数その他について話し合いを具体的にいたしておりませんけれども住宅公団のそういう技術面の方々の割愛方につきましては、これをできる限り割愛していただくようにというふうなお願いは事務的にはしておるわけでございます。
  257. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、いままでの日本住宅公団の陣容はそのまま日本住宅公団に帰属をする。そうして宅地開発公団公団として全く新しく出発をする、こういうような理解でよろしいですか。
  258. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほどのお答えの続きになりますけれども住宅公団は、三大都市圏中心とする大都市地域周辺、こういう地域とダブります面におきましては、この公団法の附則におきまして調整規定を設けておりまして、住宅公団はその地域におきましてはみずからの住宅建設をするための宅地開発に限定する、それを中心としてやるというふうにいたしております。したがいまして、この三大都市圏中心とする大都市地域周辺におきましては、住宅公団は他の住宅需要に譲渡するための宅地造成というものは行わないことになります。それ以外の地域においては、従前どおり行うことになります。
  259. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 だんだんわかってきたけれども、同じようなところで競合したりあれしたりすることで、どうしても屋上屋を重ねるという感じがしてならない。その点は私は意見として、問題点として残しておきます。  次いで、次の問題にいきますけれども、そういうようなことをして宅地開発公団が仮にできた場合に、いま住宅に困窮をしておる人々の宅地が供給をされて、家が建てられて、それで本当に現実の住宅の困難なものを解消する、こういう保証があるかどうか。ありますか。
  260. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 現在、三大都市圏におきます住宅困窮者の数はきわめて膨大でございます。これは、各種の手法によってこれを解決することが必要でございまして、宅地開発公団のみでこれを解消するということは考えておりません。それは言うべくして不可能でございます。ただし、新たに宅地を必要とすると認められます七万六千ヘクタールのうち、大体公的開発、公共団体とかあるいは公団とかあるいは今度の新しい宅地開発公団とかいうような公的開発に依存するものが大体三割というふうにわれわれは考えております。これは、過去の実績等によりましても大体三割程度でございました。したがって、宅地開発公団をつくりまして、これは大型の、大規模宅地開発を主として担当するわけでございますけれども、公的開発全体といたしましては、その三割程度を担当するわけでございます。その中の一部として宅地開発公団が、先ほどお話に出ましたように一万一千ヘクタール程度はミディアム・グロウスでございますけれども、これを供給するような計画にいたしたいと思っております。
  261. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 たてまえと本音というようなことがよく世の中では言われておるが、住宅困窮者に対して安くいい土地を、あるいは住宅を供給するということは非常にいいけれども、いまの建設省の中に局が大体五つぐらいある。その一つの局に一つずつ公団を持っているけれども計画局だけがどうも公団を持っていないように私は承知をしているのだが、この辺のことについてどうです。道路に関すれば道路公団がある。川に関すれば川に関する公団があるでしょう。計画局はないですがね。どうしても計画局は自分の関係する公団を持たなければならない、こういうことになるのかどうか、その辺を、局との関係で説明をしてもらえませんか。
  262. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 偶然そういうことになったかもしれませんけれども宅地開発に関する仕事はもともと発祥は住宅局におきまして宅地開発課というのができました。もとは、宅地課でございました。それが、宅地開発というものは都市計画住宅計画の両者にまたがるということで、計画局の中に置かれた次第でございます。したがいまして、宅地開発という面は、非常に多方面の関連するところが多いので計画局の中に置かれたということで、かつては計画局の中に宅地部というものが置かれまして宅地開発を担当しておった事情がございます。そこで、今度の宅地開発公団ができますれば計画局が担当するということになりまして、偶然そういうことになりますが、現在河川局はそういう公団を持っておりません。
  263. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 持っていなければ結構ですけれども、何か局があれば一つ公団を持たなければさびしくてどうも局らしくないということで公団を持つということなら、たてまえと本音の違いではなはだどうも具合が悪い。水資源公団というのは河川局でしょう。違いますか。
  264. 天野光晴

    天野委員長 それは国土庁……。
  265. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 国土庁に移ったですか。何か関係しておるような感じがしますがね。  それはいずれにしても、問題はこういうことなんですよ。公団をつくったりいろいろすると、それにかかわり合いをすると事務的な面が非常に複雑になってくる。それからまた、そこには当然世の中で言われるような天下り的な高級官僚がいすを求めるということにどうしてもなって、世間は必ずそういうことについていろいろ注目をする。そしてこれは余り評判がよくない、実際のところ言って。こういうことになるわけであって、やはり生産的労働という場所に人を配置してなるべく事務は簡素化をしていくというのがやはり行政としてはいいと思うのですね。だから、そういう意味において、これは行政監理委員会の答申もあったことでありますから、そういうことに基づいていると思うけれども、四月二日に行政監理委員会が「今後における行政改革の課題と方針」という中で、名前は明らかにしてないけれども地域開発公団等々もその一つに挙がっておるし、農林省でも畜産事業団なども検討の余地あり、こういう具合にその能率において運営において中身において検討の余地ありというようなものがあるわけだ。そういうときに、また一つめんどうな本当にややこしい何か専門家でなければわからないようなそういう公団をつくっていくということは、行政管理庁としてはこれは一体好ましいことなのか。それともやはりこれはやむを得ないことなのか。これはどっちなんです。
  266. 加地夏雄

    ○加地説明員 先ほど来お話がございますように、この宅地開発公団の新設につきましては、実は一昨年でございますか、行政監理委員会から住宅対策のための土地政策についてという答申をいただきまして、ほぼこの答申の趣旨に沿ってつくろうとするのがこの公団でございます。  なお、いまお尋ねになりました四月の二日に行政監理委員会が新しく行政改革についての提言をされておりますけれども、確かにその中にも特殊法人の整理という問題は出ております。御承知のように、特殊法人の整理につきましては、これは従来から行政改革の一環ということで、たとえば設立目的を達した法人でございますとかあるいはその業務量が非常に減少したとか、そういうところの改廃の問題とかいうものを実はやってきたわけでございます。特に今回の提言の中では、これは特殊法人一般論でございますけれども、特殊法人一般につきまして、そういった目的を達したりそれから業務量の減ったものについては改廃統合を考えると同時に、経営の合理化ということを考えるべきではないか、こういう御提言でございます。  したがいまして、いま直接この公団の例について申し上げますならば、行政監理委員会が、この宅地開発公団の設置が必要であるということで勧告を出し、いまここで御審議を願っておるわけでございまして、この四月二日の新しい提言とは具体的な問題として考えれば全然関係はないと存じます。  以上でございます。
  267. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろの経過については大体これくらいにして、次に三大都市圏というのはどことどことどこか、その点について。
  268. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 当面三大都市圏を重点に置いて考えるということでございまして、大都市圏域の周辺においてというふうに法律はなっておりますが、三大都市圏という場合は東京圏それから阪神圏それから中京圏、この三つを言うのでございます。
  269. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それから、この第三章の「業務」の項の十九条の一項九号、この水面を埋め立てる仕事もするという、これはどこの水面を埋め立てるのか、具体的に。
  270. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅開公団の能力の中に水面埋め立ての事業の能力は与えておりますけれども、具体的にどこの水面を埋め立てるということにつきましてはまだ検討いたしておりません。
  271. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 余り目的のないようなところを法律に載せておいてもややこしいから、それはやめた方がいいじゃないですか。たとえば東京湾を埋め立てるとか、伊勢湾の一部に手をつけるとか、浜名湖を埋めるというなら話はわかるけれども、そういうようなものはややこしくてどこを埋め立てるのか、これ危険でかなわない。国会で答弁ができないようなことでなく、業務方針か何かあるでしょう。どこかやりたいというところがあるからこれが出ているので、ないのだったら削った方がいいように思うのですが、どうです。
  272. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど申し上げましたように、権能規定として置いたわけでございまして、どこどこという具体の個所はございませんけれども、たとえば内陸部におきましても公有水面というものはあるわけでございまして、この規定がないと困る場合があることを予定いたしまして、能力規定として列挙する方が妥当だというふうに考えております。
  273. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題についてはわれわれは意見が一つあるところでして、せっかくきれいな環境というものを、内水面にしてもあるいは海にしても、そこを埋め立ててやらなければならないほど問題があるのか。そういう点についてはこれも一つの問題です。  そこで、いま三大都市圏というものはわかりました。その三大都市圏から五十キロという範囲に、答申によれば大体五百ヘクタールくらいの団地を考えていきたい、それには付帯施設あるいはその他のものも、特に交通機関までも担当するという、四百人の人間にしてはちょっと身に余るくらいの仕事じゃないですか。どうですか。この法案が持つ内容というのは、四百人じゃどうも重過ぎて倒れてしまうのじゃないか。ということでまず四百人の問題を言いますが、四百人で大丈夫ですか。また、そういうところに土地は存在するかどうか、お伺いしたいのです。人間がそれで大丈夫か、あるいは土地があるかどうか。
  274. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 たとえば東京圏で言いますと、五十キロ圏という圏域は、四十キロから五十キロの間というものは非常に広大な面積でございます。その中に公団のねらっております開発適地というものは、われわれの検討している事務的な検討の中には十分それだけの余地はあるというふうに見ておる次第でございます。  四百人というのは、当初四百人をもって出発することとしておりまして、事業の拡大とともにこれはもっと充実することとなります。
  275. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 どうも、わからないことじゃないけれども、やはりそうだったらそのように答弁しておかないと後で困るでしょう。  そこで、土地はあると言うけれども、国土庁の方に今度は聞きますけれども、たとえば国土庁は国土利用計画あるいは水の問題等管理をされるわけだが、やはり宅地の足りないのは何も三つの地域だけじゃないと思うのですね。このごろは百万ぐらいの都市がたくさんできてきて、そういうところだって地価は上がっているし、相当困っている人たちは多いわけで、三大都市圏だけに問題をしぼるということもこれはいろいろ意見のあるところなんだが、まあそれはいい。  そこで国土庁は、日本の土地の利用の方法としてこういう法案をつくる場合に、これは農林省も含めてですけれども、どのような計画に参画をされて、どういうようにこの問題に対して討論をされたか、まずその辺のことについて国土庁の方から聞きたいと思うのです。
  276. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 お答えいたします。  この法案、御承知のとおり前国会以来の継続審査案件でございまして、国土庁が設立されましたのが昨年の六月二十五日でございます。そういう関係で、法案が国会提案になりました過程では国土庁は存在していなかったわけでございます。しかしながら、最近、土地問題を預かっております国土庁といたしましては、国土利用計画法という議員提案で成立いたしました法律の適確な運営を図るべく努力をいたしているわけでございますが、その過程で、住宅地の供給を今後二、三年先にもっともっと促進しなければならないじゃないかという実は問題を抱えているわけでございます。そういうようなこともございまして、ノンプロフィットといいますか、利潤を含まない公的開発機関が増強されて公的宅地開発が促進されるということはどうしても必要なことではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  また、具体の当公団ができました暁におきます事業用地等につきましては、都道府県単位につくられます土地利用基本計画という各個別法による利用計画の上位計画ともいうべき計画が国土利用計画法に基づきまして作成されることとなっておりますが、この中である程度のこなしが図られ、この土地利用基本計画に基づきまして大規模土地取引のチェック、知事によります規制ということが行われていくものというふうに考えているわけでございます。
  277. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林省はもちろん、重要な農地に関することであるからこれに対して相談に参画をしたと思うのですが、ここで農林省が特にこの法案に対して求めてきたこと、それはどういうことですか。
  278. 平弘

    ○平説明員 宅開公団法につきましては、昨年の初めに建設省から協議を受けております。それで私ども都市の過密問題あるいは住宅問題、これも非常に重要な問題である、それでこれを解決するためのねらいを持った公団法ということは十分に了知いたしておりますが、他方におきまして、御案内のとおり、資源、環境の制約ということが非常に明らかになってきておる。農林省といたしましては、食糧の安定的供給という任務をしょっておるわけであります。優良農用地の確保という視点から、この公団事業事業対象地域というものは、特に面的な事業につきましては市街化区域において行うべきもの、このような意見を申し述べております。
  279. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この法案の中で、土地に関しては農林省、それから教育の問題もあるし交通の問題もあるから各省にまたがることになるが、先ほどの質問者からもあったように、何かこれを運用する場合に、各省庁が寄り集まって相談して意見を交えるような、そういうような場所はつくられているかいないか。私が感じたところではいないように思うのだけれども、それはつくる意思があるかどうか、これはどうですか。
  280. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 この法案と別途に提出いたしております大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案の中におきまして、宅地開発協議会という制度を設けることといたしております。この中におきましては、関係行政機関のみならず、地元地方公共団体、県、市を含めまして、あるいは関係者を含めまして、その計画なりあるいは位置の選定なり水の問題、農地の問題等等につきましても十分協議を尽くすような仕組みになっております。  なお、現在の機構としてではございませんけれども、それぞれの手続、たとえば線引き等の変更につきましては農林省なり運輸省なりと事前に協議し、その了承を得るということが、都市計画事業として行いますためにその都市計画法の中にはそういう明定がございます。
  281. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 三大都市圏の中に十一万ヘクタールの土地がある、こういうことを言われております。その土地が農用地とそれから市街化調整区域との間でダブリがある。市街化調整区域というのは開発をしてもらっては困るという地域で、建設省は大いにそういうところで努力をしてきたわけですね。農林省の方は当然この食糧自給、安定的確保のために優良な農地を残したい、こういうことをいま言われたが、そのとおりだと思うのですが、そういう中でダブリもあるし、それから農林漁業というものを今後発展させるためにはどうしても優良な農地だけは守っていかなくちゃならない、こういう点から、いま現在これから進める場合に、建設省自分の法律を曲げたりあるいはよその法律まで侵略しないで土地が確保できるかどうか、この辺の見通し、自信はありますか。
  282. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 現在の市街化区域の中におきましてこの宅地開発公団が意図しておりますところの大規模宅地開発計画的な用地をすべてカバーするということは非常に困難であろうと思います。したがって、現在は調整地域あるいは白地となっているようなところでありましても、それを計画の中にのせるということは考えなければいけないと思っております。  ただしその際には、これは都市計画事業として計画的にやるわけでございますから、それを市街化区域の中に編入いたしまして、調整区域から市街化区域に変えることによって、その手続の中において農林当局等ともよく協議いたしまして、優良農地等を損なうことなくそういう適地を確保いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  283. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 市街化のところは、これは農林省としても別にいろいろなことを、われわれもこれに異見を差しはさむところはそれほどない。要するに知事が計画の認可をすればこれはいいわけですけれども、しかし農業振興地域ですね、そういうところに手を出すということになると、これはどうしてもわれわれは承知はできない。それは、いま国会で農業振興地域の一部改正の法律を先般衆議院を通していま参議院で議論をしているところだ。そのときにも政府の原案に対してわれわれはかなりきつい要請をし、注文をつけてこれを通してきている。そういうことであるから、少なくとも農業振興地域には手をつけてもらいたくないと思うのだが、これは建設省はどういう答弁をされるか。  農林省はこれに対して、この農業振興地域に対しては、それは宅地の供給も重要ではあるが、やはりこの食糧の確保もこれは重要である。お互いに重要である。攻めたり攻められたり、こういうことになるのだけれども、これはやはり農地は農地として、ここには土地改良もやってあるしいろいろな形で金をかけたわけですね。これをつぶしていくということはおもしろくない。こういう点についての明確な答弁を両方からもらわないことには、この審議の意義はない。
  284. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 結局調整区域の中に、かなり五十キロ圏内になると入らなければならぬ問題があるわけです。その場合に、おっしゃるように農業振興地域に入るとすればどうなるかということが、この問題を進めていくための一番大きな問題です。おっしゃるとおり農業振興地域は守るべきであるという考え方を私は持っております。そういう意味から、この問題はその地域と十分相談をしながら、できることなれば振興地域を避けてこの問題を考えていかなければならぬと思います。最悪の場合に、どうしても振興地域が入るということになれば、それに対する代替地をどうして設けるか、対策をどうするかという問題は十分に事務と相談し、検討した結果結論を出すべきである、軽々しく都市計画を変更して市街化区域に入れて振興地域でも何でもやるべきだという考え方は持っておりません。十分に調整をいたしてまいります。
  285. 平弘

    ○平説明員 私ども先ほどお答え申し上げましたとおり、住宅対策、これも非常に大事でございます。同時に食糧の確保、これも大事でございます。農業振興地域につきましては、一体として農業の振興を図るべき地域ということになっておりますが、その中で特に農用地としての利用を増進していく地域について農用地区域というものを設定いたしております。これについては、これを宅開公団事業である、あるいはほかの公共的な目的であると申しましても、しかく簡単にこの農用地区域を変更するということはできない、かように考えております。
  286. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 建設大臣の方からもかなり適切な答弁があったと思うし、それから農林省の方からもそういう答弁があったわけで、やはり農地というものを侵略をしないように、侵略という言葉はよくないけれども、それじゃ侵害だ、それで住宅を十分に建てられるためにはひとつ十分な協議とそれからあれをしてほしいということ。  そこで問題は、この農地を取得をする形の中で、その地域の長、頭には相談をするということにこの法律がなっている。ところが所有者は一体相談にあずかるのかあずからないのか。所有者に話をしないでいきなり頭から決めて、聞かなかったら収用するぞ、これでは余りうまくないのだけれども、この辺のやり方はどうですか。
  287. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 この事業を推進していきます上には、やはり地元の協力がなければならず、特に直接その事業用地となるところの土地所有者の理解と御協力がなければなりません。そのために、都市計画事業としてこれを行います場合には、手続的には縦覧だとかあるいは意見書の処理だとかいうような規定がございまして、その住民の中には所有者も入っているわけでございますが、意見を申し出る機会を与えつつ、かつ都市計画中央審議会におきましても、これは通牒でもちまして農業団体の意思を代表する者を入れろというような指導を行っておりまして、そういう場を通じて手続的にはそういう意見を聞くこととなっておりますが、いずれにしましても、土地所有者である農民あるいは農林漁業の方々、そういう人たちとの間の誠意ある折衝ということがまず前提にならなければならないと考えております。
  288. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この法律ではそういうような場面がどうも見受けられないわけでして、その点をやはり十分にやってほしいということをこれは要望しなければならない。  そこで、その次は水の問題ですが、大きな住宅ができるわけですから、五百ヘクタールということになるとこれは大きな一つ都市ができるわけですからね。そうするとそれには膨大な水が要ります。農業をやるためにも水が要るわけです。農林省ではこれは六十年展望において農地の造成計画と同時に水の計画をちゃんと立てている。この計画にもわれわれはかなり異論があるのだけれども、まあ一応立ててあることに対してはこれはいいと思う。立てたことはいい。そこで問題は、農林省が立てている農地造成八十万ヘクタール、これは十年間に六十年で八十数万ヘクタール。それから、水はその段階では六百五十五億トンの水が必要だと言っている。四十六年の段階で水は五百七十億トンであり、一五%増しである。しかもその水は、どちらかというと畑地灌漑のようなところに使うから、近郊及び平場に使われる。そういうことになると、水の確保という問題は、限られた水を住宅にも使う、農業にも使う、またこの中には工業団地もつくると言っているのですから、工業団地も使うということになったら、一体この水の配分を行う者はだれであるか、どういうぐあいにこれを分配をし、それを責任を持って供給し得るか。これは国土庁も関係をすると思うのですが、そこら辺、これは最後には大臣の答弁をもらわないとぐあいが悪いですね。
  289. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 おっしゃるとおり、農林省の方で計画されております昭和六十年目標の水需要というものが六百五十五億トンというふうに聞いております。そのために何十万ヘクタールかの農地開発をやっていく。大規模宅地開発に伴う水の供給確保につきましては、特に三大都市圏においては河川水の開発に依存するしかないと思います。そのために、その地域地域での総合的な水需給計画を策定しなきゃいけませんが、その場合においては、既得農業水利権の尊重と、さらには生鮮野菜の供給基地としての畑地灌漑に必要な水の確保、これはもう十分考慮して水需給計画を立てていくということで、御承知のように、三大都市圏河川については水資源開発促進法に基づく指定水系に指定されておりまして、いずれの水系につきましても現在水資源開発基本計画を策定しております。その中で、そういう生活用水、工業用水、農業用水、そういうものの需要予測を的確に行って、供給とのバランスをとりながら水の配分を決めていくというふうにしております。  特に利根川につきましては、現在の基本計画が五十年までになっておりますので、六十年目標の水資源開発基本計画を全面改定すべく現在作業を進めております。その中で、いまの大規模宅地開発あるいは畑地灌漑に必要な水の確保、そういうものについての用水確保について十分配慮してまいりたいと思っております。
  290. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 大量宅地開発の一番の大きな条件として水の問題があります。交通の問題があります。いろいろな問題があるわけですが、水はやはり生活用水ですから、これは欠くことのできない絶対条件でありますから、上水道用水等は、何といっても関係市町、県とも十分に連絡をとりながらこれを確保することを考えていかなきゃならぬことは当然であります。ただ、首都圏における水の需要というのが非常に伸びておりまして、六十年度で二十億トンほど不足をするという計算が出ておるわけでありますから、大きな面から考えますと、首都圏の水需要を確保するために水資源を開発しなきゃならぬことは当然でありまして、そういう意味において、私の方は水資源開発の面で努力をしなきゃならない、かように思っております。  いずれにいたしましても、その地域の県や市町村と十分に連絡をとりながら農業用水、工業用水等に支障を来たさないように、そこの辺の調整をしていかなきゃならぬところに今後の大きな課題があると思います。努力をいたしてまいらなきゃならぬと思っております。
  291. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 水の量の面が確保されるということは必要だけれども、今度は質の問題ですね。家庭の雑排水、石けん水や洗剤がたんぼにどんどん流れてきて、これでは農民はたまったものじゃない。工業用水で油が流れてきてもこれは困る。そういう点についても配慮してもらいたいということにこれはとどめておきます。  次に、先ほど前質問者の方からも話があったが、一つの大きな都市ができるわけですから、これに伴う付帯事業というものは膨大なものだ。これは現在、私のところでは筑波学園都市というのを国の要請によって地元が努力して土地を供給したというか買って、そのためにあそこの五つの村の村長はみんな死んでしまった、努力してくたびれて。こういうほど骨を折って安い土地を供給した。ところがいまだに、今度は付帯施設に対する金は出てこない。きのうあたり知事が、これはやめる知事だけれども、やめるみやげに国土庁の長官に話をしているのですね。そうしたら四月中には何とかすると言っている。何とかすると言ったって、法律でちゃんとぎっしり締まっていてどうにもならない。この前、前田中総理大臣もうまいこと言っていたけれども、これは何にもならなかった。仮谷建設大臣もお見えになって、あまりいい発言をされなかったが、その前の建設大臣は、かわるたびにあの周辺に来て、いや心配ない、財政うまくやるぞとうまいこと言っては帰っていって、一つもうまいことない。いまだにこれはどうしようもない。  そこで、同じことが今度は各地に起こるのだ。だから、千葉や東京の三多摩あるいは埼玉県でもそうですか、こういう団地は困るといってお断りをするわけだ。これは学校なり託児所なりあるいは消防なり教育機関なりそれから公園なり社会施設がたくさん必要だ。そういうようなことについては、居住する者、入る者に負担をしろということはできないわけだから、当然国がやるのならば、これに対する財政的な処置というものはちゃんと伴って並行していかなければいけないと思う。交通の方だけはやりますけれども、財政の方は、その他の付帯施設はまあ入った者がと、こういうわけではいけない。  先ほどから答弁を聞いていますが、この辺はどのように検討されて、そして安心しなさい、こういうことが言えるほどしっかりした討議をしてあるのかないのか、この辺はどうですか、財政上の問題。
  292. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地造成に伴う関連公共公益施設の財政負担の問題というのは、私たちがこの公団法を案として策定いたしますときに一番配意したところでございます。従来のやり方ではとてもできない、それの一つの一番大きな隘路というものは財政負担の問題にあったというふうに考えております。  そこで一つは、立てかえ施行制度というものを大幅に拡充する。これは三十年の長期割賦、十年間の据え置き期間、十年間の利子は無利子とする、十一年目から支払うことができるというような新しい、われわれとして見れば非常に抜本的な方法を確立したというふうに考えておりますが、この方法のほかに、さらに加えて直接施行権をこの公団に与えることによりまして、河川道路下水道、公園その他の特定公共施設につきましてみずから管理者の同意を得て施行することができる権限を与えまして、一括してこれを施行できるようにした。そしてその人員でもって自分でつくることができるようにしたというような点等々におきまして、十分地方財政の負担を軽減する措置を講じたわけでございます。さらに、そのための原資といたしまして本年度は五十億要求しておりますけれども、これを積み重ねていきまして、基金という制度を設けまして、いま申しましたような十年間の無利子とするための一種の利子補給でございますけれども、そういう基金制度を設けたのもそういう理由によるわけでございます。この基金制度の額は相当膨大に上ります。地方財政がそれだけ軽減になるというふうにわれわれは確信しておる次第でございます。
  293. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 自治省の方とはこれに対してどういう協議をされておるか、いまの財政の問題に対して。これはいま大変困っておる問題ですから、ひとつ自治省の方からも……。
  294. 松浦功

    ○松浦政府委員 お答え申し上げます。  ただいま建設省の方からお答えがございましたように、これまで行われております住宅公団に見られる五省協定等に比べますれば数段前に進んだ形の制度でございまして、十年間無利子据え置き、十一年目から立てかえたものについての償還に入るという形でございますので、地方財政問題としては大幅に緩和をされたというふうに考えております。  なお、当然のことながら、当省といたしましては、償還に入りました段階における当該団体の財政事情等を勘案いたしました上で、財政運営に困難を来さないように責任を持って善処をいたしたい、こう考えております。
  295. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が参りましたから、私は最後にかいつまんで要請なり何なりをしておきます。  住宅をたくさん建てる、安い住宅をたくさん建てて住みよい町をつくっていくということは、これはわれわれとしてもぜひやってもらいたいことだと思う。ただその場合に、先ほどからも議論しておるように、行政上から言ってみて、住宅公団と新しくできる公団との間の競合性とか、あるいはいろいろな問題があるように思うし、それから土地の問題に関しても明確な答弁があったけれども、農業も国の食糧自給のために大事であるから、農業を一方において発展させながら、同時に住宅を建てていくというこの二つの問題もぜひ検討してもらわなければならない。それから水の問題も大変重大な問題であります。同時に、地方財政の問題についても、しっかり底を支えていかなければ町はどうにもならなくなってしまうだろうと思う。こういう意味で、この法案を検討してみて、やはりもっともっと詰めなければならない点が幾つかあるように私は思います。  特に、農地や水の問題等について、農林省及びそれに関連する省庁の意見を常に反映できるようなそういうものを早急につくる。やってしまってからでなくて、ものを発表する前に、そういうような意見が反映できるようなそういう場所をつくってもらうこと。先ほども答弁がありましたが、そういうことも要望しながら私の質問を終わりたいと思います。
  296. 天野光晴

    天野委員長 以上で木連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後五時三分散会