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1975-06-27 第75回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十七日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大村 襄治君       三枝 三郎君    田村 良平君       中尾  宏君    林  義郎君       渡辺 栄一君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       森井 忠良君    山崎 始男君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      柳瀬 孝吉君         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         環境庁水質保全         局調査官    小川 洋二君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 六月二十七日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     森井 忠良君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     阪上安太郎君     ————————————— 六月二十三日  東京都小笠原村母島沖港防波堤建設に関する  請願鈴切康雄紹介)(第三九三七号)  中央高速道路北烏山住宅地区シェルターに排  出ガス浄化装置設置に関する請願金子みつ君  紹介)(第三九三八号)  同(和田耕作紹介)(第三九六九号) 同月二十五日  中央高速道路北烏山住宅地区シェルターに排  出ガス浄化装置設置に関する請願大久保直彦  君紹介)(第四一八四君)  同(粕谷茂紹介)(第四一八五号)  同(松本善明紹介)(第四二五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  去る二十三日、建築基準法の一部を改正する法律案審査のため、大阪府に委員派遣いたしました。  派遣委員から報告書が提出されております。これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  4. 天野光晴

    天野委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件調査のため、本日、本州四国連絡橋公団総裁富樫凱一君参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  6. 天野光晴

    天野委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。仮谷建設大臣
  7. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 去る六月十五日から二十六日の梅雨前線豪雨による被害状況、これは本日閣議でも報告をいたしましたので、委員会が開会されますので御報告をいたしたいと存じます。  十五日から二十六日までの間の被害状況は、昨日の午後五時現在で申し上げますと、被害総額が約二百五十八億円であります。被害県鹿児島県ほか十三県であります。主な災害県は、宮崎県が約四十四億円、鹿児島県が四十二億円、山口県が三十九億円、熊本県が三十五億円程度であります。顕著な災害は、鹿児局県の垂水市が二百二十号線の地すべりによる死亡が七名。新聞に出たとおりであります。熊本県の井芹川、坪井川のはんらんによる浸水家屋が約二千戸に達しております。道路交通規制いたしておるのが八十六カ所ございます。  これに対しまして、建設省といたしましては、直ちに災害査定官熊本県、鹿児島県に派遣をいたしまして、応急工事についていま指導をいたしておるところであります。  なお、今後の方針といたしましては、早期に査定を実施いたしまして、一日も早く復旧に着手できるように努めてまいりたいと考えております。  以上、簡単でございますが、御報告いたします。
  8. 天野光晴

    天野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 私は本四架橋問題についてお伺いいたしたいと思います。  本四架橋問題につきましては、これはもうすでに二十年来の問題でもございますし、いろいろとその間において、大きな選挙があるといいますと、大体これがクローズアップされて政治的に利用されてきたことは、御承知のとおりであります。ひどい候補者になりますと、これは自民党公認知事候補でございますが、四十何年かに行われました万国博覧会までに明石−鳴門の橋を完成させて、歩いて本土へ行こうでないかというようなことを公約して当選した知事もあるくらいであります。ところが、これがいよいよ着工という土壇場になりまして、御承知のように総需要抑制という方法日本の物価、インフレの狂乱を抑えようという方法政府はとられたのでございます。この方法につきましては私どもも異論がございます。しかしながら、一応これはいままでやられてこられたのでありますからいたし方ないといたしましても、昨今の建設大臣のお考え方の中には、この総需要抑制の解除の際には、いままで歴代政府がとってこられた方針と変わった方法をとる考え方があるやに承るのであります。そうしますと、一体いままで国民に公約し、地元の大きな協力を得て進めてまいりましたいままでの既定方針というのを根本的に変更するのではなかろうか、このように考えられるのでありますが、大臣本四架橋に対するお考え方をひとつお示し願いたいと思います。
  10. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私も四国人間でありますから、きょうは単刀直入に、ざっくばらんに申し上げたいと存じます。  率直に申し上げまして、本四架橋超党派運動を展開するようになってから、もう十年余りになると思っております。したがいまして、いまこの本四架橋は、高度成長とか低成長とかいろいろ議論をされておりますけれども、少なくともこの運動を展開した時点から考えますと、私はそういう議論以前の問題であるというような感覚を持っております。現にその間において九州には二本のルートができてきた。北海道はたまたまタイミングがよくて青函隧道は四十六年から着工されている。既定計画どおりいけば五十三年には完成する。若干完成が延びるといたしましても、少なくとも五年たてば青函隧道完成するという状態になってきておるのであります。こういう情勢を考えてみますと、本四架橋にしましても、関係県は八県ある。関係国民は二千万人おる。四国だけでも四百万という島民がおる。そういうふうに考えますと、これをそのままでほっていいということはないし、それはいわゆる社会的な不均衡である、こういう考え方を私は基本的に持っております。それかと申しまして、現在の実際問題としては三本同時着工がきわめて困難である、そのことは井上議員も御理解をいただけると思うのであります。しからば一体どうするのかという問題になりますが、私は率直に言って、もはや現在の状態で無策のままでいつまでもこのまま続行することは許されない、政府は何らかの方向を明示すべき責任があるということを考えております。  それじゃどういう方向を明示するかという問題、これが非常にむずかしい問題でありますが、私は基本的には三ルート必要性は変わらない、これは認めなければならぬと思っておりますが、この際は、既定計画現時点での経済国民感情あるいは現地意見にも即して調整を行って、それに基づいて関係者関係機関理解同意を得るために、合意を得るために、全力を挙げて努力をしなければならぬ、それがいま建設大臣に与えられた使命である、かように存じて努力をいたしておるわけであります。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 大臣のいまのお話、私は納得できぬところがあるのであります。三本同時着工は無理であるのは井上議員あなたも御理解いただけると思うと、こうおっしゃいますが、私は、これは理解できないです。これは、三本同時着工というのは政府既定方針で、いままで歴代内閣既定方針でもあったし、また地元に対するあるいは関係府県に対する説明でもあった。現に、お隣におられる金丸長官建設大臣の当時に、すなわち四十八年の五月二十四日、金丸建設大臣建設省道監発第十二号で、本州四国連絡橋工事に関する基本計画について、知事同意を求めております。こういう歴然たる現実があるのであります。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕  さらにはまた、まあ飛び飛びになってまことに恐縮でありますけれども、四十八年の十二月二十二日、すなわち非常に石油危機のさなかでありますけれども、当時の亀岡大臣は、こういうことを言っておるのであります。「本州四国連絡橋公団には政府出資金のほか関係府県市の出資金も入っており、これを無視することはできない。着工準備の整ったところから現地の事情をにらみ合わせて工事に着手していくことになろう。」と、こういうことを言われておるのであります。これも公式に発表せられたところであり、かつまた本四公団は、各ルートに対して用地確保あるいは漁業補償等々につきましては非常に協力を要請しておるのであります。  したがって、現地としては、地方自治体としては出資金も出しておるし、あるいは用地の買収も済んでおるところもある、あるいは漁業補償も済んでおるところもある。一日千秋の思いでこれらの努力をして完成をしておるのにもかかわらず、三本同時着工方針がぐらつくということは、私は納得できないのであります。三本同時着工には無理があると、こう言われる建設大臣のお気持ちは全然私にはわかりません。総需要抑制のためにということでいままで着工が延びておることは、私はこれは渋々認めましょう。インフレを、物価高を抑制するにこういう方法以外にまだまだとるべき方法はあったと思う。しかし一歩譲って、百歩譲って、総需要抑制という考え方着工を延期したこと、これを認めたといたしましても、三本同時着工が無理であるという頭からのお話は私は納得できない。  歴代政府がこのことにつきまして約束しておる、このことについて守らなければならないと思うのです。     〔村田委員長代理退席委員長着席三木総理就任早々に何かえらいことを言いまして、信なくんば立たずとかいうような言葉を言われた。これが三木内閣基本方針でしょう。とするならば、この三本同時着工、これを強力に推し進めることこそ建設大臣の任務だと考えるのですが、いかがでございます。
  12. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 御理解を願いたいと思いますのは、井上議員さんも御理解いただけると思いますというのは、そういう世論であるということを御理解をいただけると思いますと、こういう意味で言ったわけであって、あなたが承知したというふうに私は申し上げたのではありませんから、これはもし誤解があればひとつ御理解をいただきたいと思います。  三本同時着工というのは、これはもう政府決定をしたことでありますし、しかも、そうしておきながら凍結をして二年余りになっておる。あの地元関係者皆さん方が大変な御苦労をされ、しかも期待され、夢を持っておることをつぶすことは許されないということも私は十分承知をいたしております。  しかし、現実にこの問題を進めていくために、現在の状態で三本同時着工が可能かどうかという問題を私なりにいろいろ検討いたしますと、非常に無理がある。それは言うべくして実質的には行われないのではないかということを実はいろいろ心配をいたしておるのであります。さればと言って、これをこのまま放任することは政府責任を果たすゆえんではないと思いましたから、率直に申し上げまして、就任以来六カ月間、私は各関係機関のあらゆる階層の人々に何らかの現実的な可能性というものを求めていろいろと意見を聞いてきました。そうして一応私なりに一つ腹構えもできるし、方向も大体は決まってまいったわけであります。これはまだ発表する段階ではございませんけれども、私は建設大臣として、そういうふうな各層の意見を聞きながら、現実的に、しかも地元の人のある程度了解を得られていける方法はないかということでいろいろ努力いたしてまいったことは、これは御理解がいただけると思うのでありまして、そういう方向井上議員さんのおっしゃるような一〇〇%の要求どおりはいかないまでも、経済国民感情もあるいは地元の人もある程度了解のでき得るものを選んでいく、そのための努力をするということが、これはいま与えられた大きな政治の課題である、かように考えまして努力をいたしておるわけでありますから、どうぞそういう意味でひとつ御理解を賜りたいと思います。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、大臣お話を承りますと、三本同時着工という政府基本方針を変えるには地元理解というものが前提であると、こう考えてよろしゅうございますか。
  14. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 地元理解をし協力をしてくれなければ、私はこの問題はできないと、かように思っております。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 しからば私は、この三本同時着工という基本方針変更する際には地元同意前提であるということと理解いたしまして、三本同時着工についての私のこの問題は一時おくといたしましょう。  さて、そこで、大臣方針としては、一体それじゃ現実的に処理するとおっしゃられますけれども、この現実的処理というのはどういうことをやられようとしておるのか、この点をお伺いいたしたいのであります。といいますのは、金丸大臣あるいは亀岡大臣も、いずれも両大臣、ここ二、三年来のことなんです。私は十年、二十年前のことを言っているのじゃない。早く漁業補償の解決をしろ、用地確保をしろということで進めてまいりました。そうして、三本同時着工ではあるけれども用地あるいは漁業補償等々、これが済んでおるところから早急に着工するんだということも再三言明されておるのであります。したがいまして、現実的処理をやられるとするならば、そういう既定方針どおり、諸問題が、用地確保あるいは漁業権補償等々が済んでおるところからやられると考えて差し支えございませんか、どうでございます。
  16. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は私なりに関係方面あるいは有識者等意見も求めながら一つの構想を持っておるわけでありますが、仮に私の考えておることが採択されていくということになれば、いろいろいままで努力をされました地方自治体努力を無にするようなことにはならぬと、そういうふうに私は考えております。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 いや違う。無にする無にせぬという問題じゃない。いままでともかくそういうような用地確保あるいは漁業補償というような工事の障害になるものを全部排除したところからやっていくんだという既定方針があったはずなんです。この方針を変えるのか変えないのかと、こう私は申しておるのです。
  18. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 当然、工事を実施するとすれば、その方針でいかなければできないはずでありますから、そういう方向で進みたいと思っております。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、ほぼ金丸大臣あるいはまた亀岡大臣が踏襲してきた方針と私は余り変わらないのじゃなかろうかと、このように考えられるのであります。ただ大臣、あなたはここで、私は決心しているのだ、決意はしているのだ、しかしともかくまだ発表できない、これはまことに私は不届きだと思うのです。国会というのは、国民の代表の前で話すことなんです。そういう場なんです。私語しておるんじゃないんです。いままで政府が決めてきた方針変更するについては、国民の納得を、了解を得る、地元了解を得るという答弁が最もここでふさわしいし、またやらなければならないところであります。したがって、あなたが決心しておるところ、もう決心されておるというのであれば、あなたのお考え方は固まっておると思う。これをなぜここで発表できないか、私ははなはだ奇怪に、奇異に存ずるのであります。どうです、国民の前にもう明らかにしなさい、あなたが決心しておるんであれば。どうでございます、やりなさいよ。
  20. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 国民を代表する議会の前での答弁でありますから、発言はあくまでも責任を持たなければならぬと思います。  私自体は、先ほど申し上げましたような経過をたどって一つの案というものを持っておりますが、しかし、それはそのまま実現するかどうかはまだわからない、率直に言って。これはいわゆる政府最高方針として決定をせなければならぬ問題であります。そういたしますと、そのためのそれぞれ関係省庁との合意を必要とするのであります。そういうふうな合意に達するまでは、ここで無責任発言をすること自体私は議会を無視することになると思いますから、そういう意味で、私なりに努力をし、関係省庁合意を求めるために努力をいたしておりますし、これからも一生懸命やるつもりでありますから、もしそういう方向で一応見通しがつくことになれば、皆さん方にありのままの御報告を申し上げることに決してやぶさかではございません。この点はぜひひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 建設大臣、しかしこの問題につきましては、政府は再三にわたって閣議決定しておるのです、いままでに。これを変更するおつもりだろうと思う。私は、そのまま進むべきであると考えるのであります。あなたのお考え方を聞いておりますというと、暗にいままでの既定方針を変えるがごとき印象をわれわれに与える。これはゆゆしきことでありますし、また議会に、この委員会におきましても、三本同時着工というのはわれわれの前で再三にわたって言明されたところでもあります。すなわち、国民に公約されておるところでもあるのです。それを省庁だけの合意によってやろう、あるいはいままで国民に発表し、公約しておるのを、また閣議でも決定しておることを、もし変更するとするならば、ゆゆしき事態であることをひとつ御認識いただきたいと思うのであります。したがって、その際にはわれわれ国会に対しまして、これも明確なる意思表示をまず第一番にやっていただきたいことを強く要求いたしておきたいと思います。それより前に、あくまでも三本同時着工のいままでの基本方針を守り抜く決意をひとつ大臣は示していただかなければならないと思うのであります。いかがでございます。
  22. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 三ルート必要性は変わらないと思っております。この点はしばしば申し上げておるとおりでありますが、じゃ三ルート同時着工というものが可能かどうかという、現時点でこれを判断する場合に、非常にむずかしい状態であると私は考えております。じゃ、その方針をあくまでも貫くとすれば、一体いつになれば方向を見出すことができるかというと、私どもは非常に苦しい感じがいたします。そうすると、そのために私は六カ月間各地方現地人々意見もいろいろと承ってまいったわけでありますが、やはりこの際は基本的な計画は若干調整をするとしても、現実的に一日も早く解決することが望ましいという声も非常に大きいということを考えますと、そういう声もそんたくしながら新しい方向を見出していくということも、根本的に変更という意味よりも、むしろ現実計画調整と言っていいと思いますが、そういう形で進めていくことはいかがであろうかと思って、いろいろな人の意見を聞きながら最大公約数をまとめることが私に与えられた仕事だと思っていままで努力をいたしたわけでありますから、これはまあ、裏も表も一切知り尽くしておる井上議員さんでありますから、ひとつ私どもの苦痛も御理解いただいて、将来これを進めていくためにぜひ御協力を賜るようにお願いをいたしたいと存じます。しかも、この問題は超党派で長い間努力を続けてきた悲願でありますことも十分私も承知をいたしておりますから、そういう意味で御理解願いたいと思います。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 少しの計画変更ぐらいであればわれわれは話はわかります。しかしながら、三本同時着工という大前提、これを狂わすことには私は納得いたしかねるのであります。きのう「架橋の歴史的経過」というのをずっと読んでみました。いかにこの問題について自民党内閣選挙に利用してきたかという悪どさをまざまざと私は感じたのであります。私どもは、これは同じ四国人間です。そして、橋についての重要性について、必要性についても感じておられると思う。しかしいままで、仮谷大臣ができるまでは三本同時着工という線は貫いてきたんです。これを総需要抑制のために一時休止という形で進めてきたことも御承知のとおりです。なぜこの三本同時着工という方針を変えなければならないのか、そこのところの理由が不明確であるから私はお伺いしておるのです。いままで現地に対し、各自治体に対していかに苦労をかけてきておるか、このことを考えるならば、三本同時着工というこの基本線は守りながら、少しの計画変更ということで処置される必要があろうと私は思うのであります。基本的な問題でございますが、しかし、大臣先ほどもこの計画変更については地元了解前提とするということでございますので、私はこの点についてさらに御奮発をお願いいたしまして、この質問はこの程度で終えたいと思います。  もう一つ問題があるのですが、たしか公有水面埋立法建設でございますのでひとつお伺いしたい。  これは地元の問題ですが、非常に重要な問題を含んでおりますのでお伺いいたしたいのですが、橘湾というところが私のところにありますが、日本列島改造論にここへ石油基地をつくろうなんて書いてあったのですけれども、ここに大型の百万トンドックをつくるということで住友重機械工業という会社が県に申し入れいたしまして、県はこの土地を埋め立てをする、公有水面を埋め立てして誘致しようといたしました。ところが、そこは国定公園でございますのでいろいろと環境庁にも問題がある。しかし、これは四十八年の十二月に漁業補償消滅のために四十九億という金をかけて漁業補償を消滅させようといたしたのであります。ところが、昨今になりましてその住友重機がそこに立地を断念するとか中止するとかいうことになりまして、漁業補償金四十九億はもう漁民の手に渡っておるということで、貧弱なる地方財政はあっぷあっぷの状況であります。この四十九億の金につきましては、十億は四国電力がすぐに払ったのでありますが、あと約四十億の金はもう欠損として残すはかなかろうというところまで追い詰められておるように承っております。自治省は起債の許可をやっておる責任があります。縁故債であろうと、すべてこれは自治省の許可でやらされておると思うのですが、どういう指導をやられておったのか、この点お伺いしたいのです。
  24. 山本成美

    ○山本(成)政府委員 徳島県橘湾の埋め立ての問題でございますけれども、自治省がどういうふうな指導をしておるかということの御質問でございます。  事前の指導といたしましては、起債の許可そのものに関連いたしまして、確実なる企業の見通しがあるかどうか、あるいはこれに関連いたしまして、埋め立ての免許が果たして確実におりる可能性のあるものなのかどうかというふうなことを確かめた上で起債の許可をいたす方針でやりまして、四十九年の三月三十日に御指摘の約四十五億というものを許可いたしたわけでございます。  それから事後の問題といたしましては、私ども地元から、この小勝島の問題、これは阿南市に直接関係いたしますが、それといま御指摘の中にありましたように、住友重機が、運輸省の御指導もございまして、百万トンドックというようなものが果たしてできるかどうかということに関連をして、しばらく自重するようにというふうな趣旨の御指導があったやに聞いておりますが、これを受けて、その後の客観情勢を反映いたしましてか、御指摘のような経過をたどって現在に至っておるわけでございます。私の方としては県なり市から具体的にこの問題をどうするかということを、資金の問題なりあるいは起債許可をいたしまして後の財政の問題に直接関連しては、直接の話は、私の方は頼まれたと言ったらおかしいのでございますけれども、質問をまだ実は受けておりません。いずれにいたしましても、この問題は昨日住友重機の社長と地元知事との間で、いろいろ考え方なり将来の取り扱いについての基本的な了解事項ができたように伺っております。ことしの九月の中旬ごろをめどに、この問題についての解決策のめどをつけるというふうなことも言っておるようでございますので、私どもとしてはそういうことを踏まえながら、短期に見ればいろいろ小さな微調整の問題もございますけれども、長期に見る観点をも捨てないで、しばらくこの問題を見守って、地元考え方をよく聞いてみたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 自治省、それはあなた四十九年の三月に起債の許可を出したというが、実際は四十八年の十二月に金を支払っておるのですよ。そうすると、事後承認の形で起債の許可を得させたのですか。これがまず第一点。  それから第二点、公有水面埋立法は四十八年の九月に改正になっておるのであります。瀬戸内海環境保全法も四十八年の十月にできておるのであります。この問題については、環境庁の方で開発のための国定公園区域の変更はやらせないという既定方針があるはずなんです。これと抵触しないかどうか。あるいはまた運輸省の海運造船合理化審議会の中で、百万トンドックは現状から考えてむずかしいというのがすでに四十八年当時に出されておる。こういう各省庁の横の連絡をあなた方はやっておるのですか、やった上でこの起債の許可をやらせたのですか、どうですか。そういう調整をやるのこそ、あなた方は地方自治体が間違ったらいけないということで指導しておるんじゃないですか、自治省というのは。そのためにあなた方は月給をもらっておるんじゃないですか、どうなんです。
  26. 山本成美

    ○山本(成)政府委員 私どもが許可をいたしましたのは、先ほども申し上げましたとおり四十九年の三月三十日でございまして、この許可に基づきまして、現実に県が資金化いたしましたのは四十九年の五月三十日に三十九億一千四百万円、それからことしの五月三十日に五千五百万円というふうなことで借り入れを実施いたしております。なお、三十九億一千四百万円の昨年の五月三十日分につきましては、これは住友重機が三一億を引き受けておるというふうな状況でございます。  なお、埋め立て免許なり、それから環境保全の問題に関する御質問がございましたけれども、私どもとしては、埋め立て免許そのものは運輸大臣の所管になるわけでございますので、運輸大臣の方へ埋め立て免許の申請が知事から出ました段階で最終的な結論を出すべきものだということは当然でございますけれども、私どもの許可の方針といたしましては、許可基準の中でおよそ客観的に埋め立て許可もおりるであろう、免許もおりるであろうというふうなことが心証として得られるならば、許可をしていっていいというふうな趣旨の考え方で運用しておりますので、私どもの方は、先ほども申し上げましたとおり、運輸省との間で事務的な連絡もつけた上で、大体客観的に見て間違いなかろうという判断をいたして許可をいたしたものでございます。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 そこだ、問題は。これは四十八年の十二月三十日に県議会においては漁業補償についての支払いを認めておるのです。その起債で認めておるのです。起債で、縁故債でやるということは認めておる。そうすると十二月、この三カ月間事後承認じゃないですか、あなた。自治省は事後承認じゃないですか、これが一つ。  それからもう一つ、いまあなたは運輸省あるいは環境庁が許可するであろうという心証によってやったんだ、こうおっしゃる。しかし、現実に四十八年の九月の参議院の公有水面埋立法の附帯決議なんかからしてこれはむずかしいということを環境庁も申しておるし、また運輸省も申しておる。埋め立てが可能であるという心証は一体どこから出てきたんです。自治省は一体どんな指導をしておるのか、私は不思議に思われるのであります。自治省から天下りで副知事、総務部長あるいは財政課長、開発課長なんというのは全部ともかく天下りさしておる。そこになあなあがあったのじゃないか。自治省は一体どんな指導を県にやっておるのか、あるいは起債に際してどういうような方法でやっておられるのか、この点お伺いしたいのです。  もちろん金を支払うについて、何と申しますか、県当局が非常に軽率であったことは私は率直に認める。しかし、それをチェックするのが自治省じゃないですか。できてないんじゃないですか。そしてまた、ことしの九月までにあと三十五億の処理をすると言ってやっておるけれども——きのうの話です。何ら内容ないじゃないですか。金利について会社側はまた現在の金融上の措置をとるよう努力したいなんということを知事に言っておるにすぎない。知事も協定しておる。負担は全部地方自治体にかかるのです。県民にかかるのです。一体どんな指導を自治省はやっておるのです。この点ひとつお伺いしたい。きのうの話、あなた言われたから私言うんだけれども、何ら内容のないものじゃないですか。これは一時逃れじゃないですか。どうなんです。どんな指導をやってこの許可を出されたんですか、責任ありますよ、自治省としては。自治省というのが上におって、運輸省あるいは環境庁と十分連絡とりながら、これは実現可能なのかどうなのかチェックしていくのこそ自治省の責任じゃありませんか。やられてないじゃないですか、実際問題としたら。環境庁、埋め立てについての方針を言ってごらんなさい。あなたの言うのと全然違う。運輸省だって海運造船合理化審議会の百万トン以上のドックの可能性についてはずっと非常に否定的な言い方をいままでしてきている。どういう指導をやったんです。横の連絡こそ自治省はやらして、地方の自治体が間違った方向に行くのをチェックしていく責任があるんじゃないですか、どうです。
  28. 山本成美

    ○山本(成)政府委員 自治省の指導といたしまして完璧であったとは私も思っておりません。私どもがこの許可をいたします場合には、確かに内部でも迷ったわけでございます。これは果たしてこの埋め立てを仮にやりましてもうまくいくであろうかという心配は完全になかったわけではございませんけれども、しかし長期に見た場合に、恐らくは短期的な摩擦はありましても、長期的には何とか実るであろうというふうに考えておりましたし、また、埋め立ての免許の事後の可能性につきましても、事務的な連絡におきましては、運輸省から恐らく出るであろうという心証を十分得ておりましたし、また、免許権そのものは運輸省にございますので、運輸省と環境庁との間で環境問題については事前の連絡がある筋合いのものでございますので、私の方としては直接には免許権者である運輸省との間で話を伺っておったわけでございます。その上で、先ほど申し上げましたように、客観的に見てまずまず間違いはなかろうという心証を得て許可をいたしたものでございます。  なお、四十八年の末にすでに補償がなされておるという問題につきましては、これは私どもは、そういうことも踏まえまして、県の資金繰りとして予算上何らかの手当てがなされておったのではないかと思いますが、したがって、四十八年度の起債の許可として、先ほど申し上げましたように、四十九年三月三十日に許可をいたした、こういうふうなことでございます。  私どもの方で経済的な情勢の判断が間違ったと言われれば全くそのとおりではなかろうかとも思いますが、先ほども申し上げましたように、細かい昨日の了解事項の中身は承知いたしておりませんけれども、いま短期に判断するのでなくて、しばらく判断をする期間を持ちたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  29. 井上普方

    井上(普)委員 自治省の指導については、この起債については、四十八年の十二月三十日に金を支払っておる。この問題についても恐らく出すことについてあなた方は了承しておると思う。日にちが三月三十日まで三カ月おくれるが、この点をあなた方は知った上でこの四十八年の十二月に起債の許可をあなた方が内々出したものだと私は思う。しかし、ここで問題になるのは経済的な問題と法規上の問題と二つある。経済的な見通しについてあなたが誤ったというのは、これは私もある程度うなずけると思います。これは会社側がやるのです、十二月にはやはりあくまでも立地いたしますということを確約しているのだから。ところが法規上の問題はネックがある。これは昨年公害委員会において問題になって、開発のための国定公園変更はやらないというような言明までしておるのであります。法規的な問題について、行政上の問題について、これはあなた方の横の連絡が悪かったのじゃないか、ただ単に運輸省の心証だけであなた方は許可をするのですか、確約まできっちりやらなければならないのですよ、それがあなた方の自治省の責任だと私は思う。何のために副知事や総務部長まで送り込んでいるのです、だからなあなあの行政が行われるのじゃなかろうかと私は思う。したがって、九月三十日までのこの三十五億円についての処置が自治体に対して非常に不利な処置になると私は思う。その場合には一体どういう処置を自治省としてはとられるおつもりか。あなた方は起債を許可した責任がある、今後どういう処置をとられるおつもりか、この点責任を明らかにしていただきたいと思います。どうですか。
  30. 山本成美

    ○山本(成)政府委員 起債を許可いたしまして後の埋め立てがうまく進んでおらぬということからくる財政的な損失をどうするかという問題でございますが、私どもとしては、漁業補償をやりました後の当該水域におきます漁業権は抹消されるわけでございますし、一応資産価値としてはバランスがとれた状態として認識することもできる。したがって、いま短期にこの問題を解決することも問題でございましょうが、やや長期に、やはりどういうふうに解決していくかということで資金問題との関連もあわせて研究してみたい、こういうふうに思っております。
  31. 井上普方

    井上(普)委員 勉強しておらぬのじゃないですか、あなた。漁業権消滅したって、装置漁業であれば、すなわちハマチであるとかあるいはノリの養殖であれば五年間しか漁業権の消滅はないのです。一般の漁業権は十年です。十年間はできない。装置の方は五年しかできない。五年後にはまた出てくるのですよ、漁業権というのは。ただ渡したことになりませんか、漁民に補償金を。そのときの処置を一体どうするんだといって聞いているのです。短期的に考えずに長期的に考えるなんと言ったって、具体的にどういうようにやるのだということを私は伺っているのです。漁業権というのは一たん消滅してもやはり魚がとれればそこは漁業権はまた発生するのですよ。どうなんです、あなた。そんなおかしなことを言ったのでは話にならない。あなた、自治省の責任というものを明確にしなければならぬと思うのですが、どうです。
  32. 山本成美

    ○山本(成)政府委員 埋め立てをしようとする水域の免許漁業につきまして、五十三年度なり五十八年度にこの更新の問題が出てくることは承知いたしておりますが、これらを含めまして、それだけでなくていろいろこれに派生をいたしました問題がございますので、それらをあわせて、先ほども触れたと思いますが、地元の県なり市の考え方なりをよく聞いて、その上でやや長期的というふうに申し上げましたけれども、そういう観点で資金の問題ともあわせて研究してみたい、こういうふうなことでございます。
  33. 井上普方

    井上(普)委員 このことにつきまして、私はもう時間がございませんのでこれ以上はやめますけれども、四十億といいますと、県の税収の大体半分です。それを出してしまうのですね。いいですか。これはこれができなければ一挙に赤字団体に転落、再建団体に指定になるでしょう。その許可した自治省の責任ということを十分に勘案されまして、痛感されまして、今後の処置をひとつとられんことを強く要求いたしまして、私は質問を終わります。
  34. 天野光晴

    天野委員長 福岡義登君。
  35. 福岡義登

    ○福岡委員 私は先ほど井上委員が質問しましたが、本四架橋にしぼって質問をしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいと思いますのは、先ほど仮谷建設大臣が三ルート同時着工は事実上不可能になった、こういう御指摘をされたのですが、その理由はどういうことなのか、要点だけで結構ですから。
  36. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 四国に三本の橋が必要だということは私どもはもちろん否定するものではありませんし、その必要性は十分認めておりますけれども計画を策定した当時と今日の経済状態等を考えてみますと、これは本四架橋に限らず、新幹線にしても高速道路にしましても、新しい経済社会の計画を立て直す必要があるし、国土総合開発も第三期総合開発の計画を改めて立て直さなければならぬという時期でもありますし、そういうふうなときに、過去に決定をした計画がそのまますぐ実行されるということについては、社会的、経済的な条件を考えてみましても大変厳しい、むずかしい状態になってきておると私どもは考えておるわけであります。したがいまして、もし最初の既定方針どおりに三本同時着工方針をあくまでも貫き、それを通していこうということになりますと、なかなかその時期はわれわれとしてはとても予測することができない状態であります。そうかといって、このままの状態でいつまでも放置しておくことは許されないのでありまして、政府は何らかのこれに対する方向を明示しなければならぬ責任がありますし、そういうことを考えてまいりますと、今日の時点に立って、現実的なこれを進める方法はないかということについていろいろ検討をいたしてまいっておりますし、各方面の意見もいろいろと承っておるわけでありまして、そういう人々意見合意に達することになれば、ある程度計画調整しながら、この際一日も早く着工することが現実現地のためにも望ましいことではないか、こういうように考えまして申し上げておるのでありまして、そういう意味においてはひとつ御理解が願いたいと思っております。
  37. 福岡義登

    ○福岡委員 同時着工ができない理由は、社会的、経済的情勢の変化というか、そういうように説明されたのですが、それでは具体的にお伺いするのですが、もしいまのようなことになるとすれば、四十八年十月二十六日に三ルートについて工事実施計画の認可がされておるわけであります。この認可は一体どういうように取り扱われるのですか。たとえば三ルートのうちで一本にしぼられた、そうすると、他の二ルートについてはこの工事実施計画認可というものは取り消しになるのかどうか。その辺はどうなんですか。
  38. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 やはり現実的に一つの具体的な方向が決まってこないと、あるいは認可を取り消すのかどうかということについても、これはまだここではっきりと申し上げる限りではありませんが、しかし、調整をしてこれから新しく一つ計画で進むということになって、その必要があれば変更するということは、これはやむを得ないことではないか、かように考えております。
  39. 福岡義登

    ○福岡委員 もう少し簡単に言いますと、検討の結果認可を取り消す場合もあるということなんですか。もしそうなると、これは大変な政治責任の問題が出てくるわけです。そこのところを明らかにしてもらいたい。
  40. 井上孝

    井上(孝)政府委員 四十八年十月二十六日の建設、運輸両大臣工事実施認可は三ルートについて認可いたしておりますが、着工が同時であるかどうかというようなことは触れておりません。
  41. 福岡義登

    ○福岡委員 それは詭弁というものでありまして、これはもう天下周知の事実なんですよ、あの十月二十六日に工事実施計画が認可されたことは。三ルート同時着工というように発表もされておるんだし、いまさらそんな詭弁を弄してもらっては困る。ですから具体的に、たとえば三ルート同時着工できない経済的、社会的な情勢の変化があった、こう言われるのですから、もし一本にしぼる場合は、それじゃ他の二ルートについては取り消すかどうかということになるでしょう。  われわれが考えておるのは、いままでのニュアンスから推測すれば、同時着工はむずかしいが、部分的にそれぞれやっていこう、まあ条件がいろいろあると思うのですが、可能なところからやっていこう。ただ完成年次というものが三ルートとも当初六十年であった。それが一ルートについてはおおむね完成年次を定めるけれども、他の二ルートについては完成年次が明らかにできないというようなことに理解をしておったんだが、いまの建設大臣の話を聞くと、これはゆゆしき問題だ。場合によってはこの工事実施計画認可を取り消す場合もある、こういうことになってまいりますと、これはただごとでは済まされない、こうなるのですが、どうですか。
  42. 井上孝

    井上(孝)政府委員 工事実施認可の中身に実は完成の予定年次が書いてございます。いま先生の御指摘のように、私どもまだ具体的に指示を受けておりませんが、仮にあるルートがそれよりおくれるということになりますれば、適当な時期にそれの変更着工完成予定年次の変更は必要かというふうに考えます。
  43. 福岡義登

    ○福岡委員 これはもう、この「架橋の歴史的経過」というやつを読んでみると、ここははっきりしておるのだ、完成予定六十年度。区間、完成予定、読みましょうか。これははっきりしているのです。ですから、建設大臣から改めて確認の意味で答えていただきたいのですが、いまいい悪いの私の意見は言ってないのですよ。経済的、社会的情勢の変化によって三ルート同時着工はどうも不可能に思えるということは、どこかにしぼろうということにならざるを得ぬのじゃないか。そうなった場合に、他の残ったルートについて工事認可を取り消す場合があるということになると、問題がある。ただ、その六十年という完成年度は若干ずれることはある、あるいは着工が若干ずれることはあるかもしらぬ、そういう意味で、工事の認可というものを取り消すことはどういう場合があってもないのだ、こういうように整理をしてもらえるのならまあ次の議論にいけますけれども、取り消す場合もあるということになりますと、これはちょっと問題は大きくなると思う。
  44. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私はそんなつもりで言ったとは思っておりませんけれども、三本が必要だということは基本的には認めておるわけでありまして、ただ具体的に進める場合にいろいろと調整をしなければならぬということを言っておるわけですから、認可を取り消すとかなんとかいう問題でなしに、むしろ変更はあり得るということですね。たとえば着工年次、完成年次等の計画変更はあり得る、こういう意味で申し上げたつもりでありますけれども、誤解があったらひとつ、あなたの言っておることが正しゅうございますから、そのとおりでございます。
  45. 福岡義登

    ○福岡委員 そこで、今度具体的な処理をしたい、こうさっきおっしゃったのですが、たとえばいままでの経過を伺ってみると、こういうことになっております。漁業補償経過を見ますと、Aルートでは大鳴門橋が済んでおる。Dルート、つまり児島−坂出ルートでは、南備讃瀬戸大橋と北備讃瀬戸大橋、これは着工が了承されておる。補償については引き続き協議をしていこう、こういうことになっている。Eルート、つまり尾道−今治のルートにつきましては、全域について着工が了承されておる。引き続き補償額については協議しょう、こうなっておる。そうですね。この事実に基づきますと、さらにEルートの大三島橋については、もう入札が済んで契約までできておる。こうなってまいりますと、現実的な処置ということの中身なんですが、たとえば、漁業補償がいま申し上げましたように解決もしくは了解点に達しておる、そういうところから順次着手をしていく。一番早く考えられるのは漁業補償が済んでおるところあるいは工事契約かすでにできておるところ、そこはゴーのサインが出さえすればできると思うのですが、そういうように理解していいですか、具体的処置とは一体どういう中身なのか。
  46. 井上孝

    井上(孝)政府委員 いま福岡先生のおっしゃいますように、漁業補償は大鳴門橋が一応完了いたしております。あとは南北備讃瀬戸が起工承諾が漁業組合との間に取り交わされている。大三鳥橋及び因島橋につきましても漁業協同組合との間に起工承諾ができております。これは四十八年の十一月段階でございまして、着工の準備ができておったわけでございますが、諸般の事情で中止になった、こういう事実でございます。
  47. 福岡義登

    ○福岡委員 具体的処置を明らかにさしていただく前提は、やはり三ルートを——三ルートのうち二ルートはもう同時着工してやって、一ルートだけちょっとおくれるんだ、こういう場合もある。あるいは一ルートだけ着工して、あと二ルートが少しそれぞれずれるという場合もある。その辺は、腹構えはできておるとおっしゃったのですが、きょうここですべて明らかにできないにしても、三ルート同時着工は困難であるが、二ルートについてはやろうとしておられるのか、一ルートなのか、そこのところをちょっと説明してくれませんか。
  48. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 この問題を単に経済的、景気対策の面から考えて推進すればどうかという意見もあります。それならそれなりにその方向もあるわけであります。それも考えながら、しかしこれは基本的な国土計画だから、そういう面からやはり根本的に考えなければならぬ、こういう問題もあります。そういうむずかしい問題をあわせて、先ほど申し上げましたように関係省庁でまず合意を得ることが先決問題でありますから、その合意点というのがはっきりしない限り、ここで具体的な問題を私どもが申し上げることはいささか無責任と思いますから、御理解いただくように、先ほどから井上議員さんにもお願いをいたしておるわけであります。  ただ、いずれにしても、どういう形でも着工するということに仮になったとすれば、それは漁業補償も終わり、完全に条件が整ったところから着工するということが当然の順序だ、かように考えます。このことは申し上げてよろしいと思います。
  49. 福岡義登

    ○福岡委員 仮定の話をして恐縮ですが、話を進める意味合いでちょっと例を出したいと思うのですが、三ルートのうちで、一ルート完成年度を明らかにして一本にしぼってやるということになった場合、この場合三本ですから、真ん中に決まったと仮に仮定をいたしますと、両端については全然手をつけぬということじゃないと思うのですね。たとえばいまお話がありました真ん中の線にルートが決まるということになると児島−坂出である。そうすると両側にあるのが、東側が明石−鳴門、西側にあるのが今治−尾道、こうなるわけで、だから真ん中のルートはもう一貫して一本にしぼって工事を推進していく、他の二ルートについては開通年次を明らかにできないが、たとえばいまお話があった大三島大橋などは工事契約もできておるのだから、それは直ちに着工していいんじゃないか。あるいは因島大橋も漁業補償などの話もついておるわけでありますから、これはすぐ着工してしかるべきじゃないか。大鳴門大橋も漁業補償は済んでおるのですから、これはその部分だけはやっていいんじゃないか。こういうようになるのが常識的であると思うのだが、その辺はどうです。
  50. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 大変いろいろと御研究をなされておるようでありまして、その仮定の問題がどういう形で進むのか、これは本当に無責任でお答えを申し上げることはできませんが、私は三本同時着工ということについては非常にむずかしいという言い方はしておりますけれども、三ルートにはそれぞれの意義があるということです。独立した目標があり、使命があると思っております。その独立した使命、目標というものを達成さすためには、それぞれに考えなければならぬ問題ができてくると思いますから、これは三本同時着工とか真ん中が早いとか、中位が遅いとかという問題ではなしに、その独立性を生かして、やはりその地域の人々のための福利増進を図っていくということは政治として当然考えなければならぬ問題だと思います。そういう観点によって問題を進めていくには、ではどこを始めるかということになれば、おっしゃるとおりに、これは率直に言って景気対策の一つから考えてみれば、いま中期発注をわれわれは一生懸命やって、上期では七〇%も早期発注をやろうと思って一生懸命やっている。二年前に早期発注をしてすでに請負業者も決まっておるものをそのまま置いておくことは矛盾ではないかという議論も成り立つわけでありますよ。しかし、それだけで問題が割り切れないところにこの問題の複雑さがあるわけでありまして、ぜひひとつ御理解をいただいて、御趣旨は十分にわかります、そういう御趣旨を特に体しまして、一生懸命努力をいたしてまいりたいと思いますから、御理解をいただきたいと思います。
  51. 福岡義登

    ○福岡委員 少し歯切れは悪いのですが、大体言わんとするところは了解されたように思うので、その点はそういうことにしまして、いつごろ一体そのゴーのサインを出されるのか。先般新聞に報道されましたところによると、福田副総理・経済企画庁長官が、国会終了次第、国土庁、建設省、三者でひとつ相談をしようではないかという発言をされておるそうでありますが、それは事実かどうか。簡単に事実かどうかだけ……。
  52. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 これは金丸長官もいらっしゃいますが、そのとおりであります。(「なぜ開会中にしないのか」と呼ぶ者あり)開会中にできるほど簡単なものであれば、本当に私どもも開会中に決めて、そして皆さん方にも御理解をいただき、御協力を願うところまで持っていきたい、これは建設大臣としては当然の希望であります。しかし、御承知のように非常にむずかしい時期でもありますし、だから国会で一段落つけば、三省でゆっくりこの問題を詰めて検討してみよう、こういう企画庁長官の発言でありますから、了承しましたということにいたしておるわけでありまして、国会中にできないものが国会閉会後やってすぐ決定するかというふうに、しかくそう簡単なものではない、かように私は思っております。前途は非常に困難な問題がある、こういうように思っております。
  53. 福岡義登

    ○福岡委員 これほど大きな政治問題だから、国会開会中に政府としても精力的に取り組んでいただいて国民の前に明らかにされるというのが、これは民主政治の常道じゃないか。どうも逃げて通っておられる。会期中にやればいろいろ突き上げもあろうし、むずかしいから、まあ閉会になってからやれば少し楽なんじゃないかという、そういう逃げの態勢にあると私は思って、遺憾に思う。  そこで、この会期中の委員会もあと二回しかない。きょうここで答えを求めることはこれ以上もうできぬと思いますが、できることならば、国会の会期中に基本方針ぐらいは明らかにすべきじゃないか、これは強くその点を要望しておきたいと思うのです。  そこで、ゴーのサインの限度ですね。最悪の場合はいつごろになるのか、もう早い方がいいということを建設大臣はおっしゃっているのですが、早いと言っても遅いと言っても、これは一カ月単位で考える場合と年単位で考える場合といろいろある。われわれは常識的に言えば、申し上げましたようにこの七月四日までに結論を出して明らかにするべきだと言っておるのですが、それに努力をしてもらうことにして、仮にそれができなかった場合、主管大臣である建設大臣としてはいつごろまでには結論を出してくれなければならぬという腹構えを持っておられるのか、そこをはっきりしてもらいたい。
  54. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 八月の終わりになれば、五十一年度予算の計画もいろいろ進めていかなければいけませんから、来年度の事業計画を進めていくためにも、それまでには何らかのめどをつけたいという気持ちを私は持っております。国土庁長官もいらっしゃっておりますが、国土庁はまた新しい総合計画が進められておるようでありますから、そういう問題も含めていろいろお考えになっておられると思うのですが、いずれにいたしましても、これはなかなか期日を切っていつまでにというわけにもいかないかもしれませんが、私どもとしてはいつまでもこのままでほおかぶりで通るわけにいかないから、一日も早く決定したいという気持ちは申し上げたとおりであります。
  55. 金丸信

    金丸国務大臣 建設大臣と同じ考えであります。
  56. 福岡義登

    ○福岡委員 八月末までにはゴーのサインを出す、こう受け取っていいですか。そのくらいのことは言わなければいけない。
  57. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 決定が決まれば当然ゴーサインになりますけれども、そのゴーサインを出すというよりも、むしろそれまでを目安にして、われわれは三者が合意に達するように全力を挙げて努力をしたい、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 どうもはっきりしないのですが、来年度予算の作業を九月から始めなければならぬ、したがって八月末までには結論を出さなければ困る、そういうように努力をしたい、こうおっしゃるのですが、せめて八月末までにはゴーのサインを出しますぐらいのことは、福田経企庁長官はいないけれども金丸長官とそれから仮谷建設大臣がおられれば、そのくらいのことはここで答えてもらわなければならぬし、それは可能である。どうですか。
  59. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来からいるいろお話を承っておりまして、いろいろ理屈から言えば、井上先生、また御質問の要旨もまさにそのとおりだと私も思うのですが、世の中に、背に腹はかえられないとか、ないそでは振れないとか、そういう言葉もあることですから、理屈だけでは解決はつかないという問題もある。しかし、私は仮谷建設大臣と同じ考え方であって、このままこれを放置しておくわけにはいかない。このまま凍結しておくわけにはいかない。そういう意味で、できるだけいまあなたのおっしゃられるような考え方で最大の努力をしたいというのが私の考え方であります。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 八月末までにゴーのサインを出すように最大の努力仮谷建設大臣金丸国土庁長官は本委員会で言明をしたというように受け取りまして、次に移ります。  そこで、あと二、三あるのですが、簡単にお願いをしたいと思います。  一つは、もしこの架橋が完成をするならば、既存のフェリーボートその他、そういう営業に大きな影響が出ると思う。いま本四連絡橋に関連する旅客船問題等調査会が設置されている。この作業状況が出なければ政府としても具体的な答弁はできぬと思うのだが、これはしっかりした対策を立ててもらいたいと思いますが、考え方ぐらいはひとつここでお伺いしておきたいと思うのです。
  61. 井上孝

    井上(孝)政府委員 この本四連絡橋が完成いたしますと、御指摘のように、現在運航しております旅客航路事業及びその関係船員等の将来に非常に大きな影響を及ぼすということが考えられますので、先般本四連絡橋公団の中に学識経験者及びその他関係者の参加をいたします調査会を設けまして、現在鋭意架橋による旅客船事業等への影響について調査をいたしております。いろんな部会をつくりましていろいろやっておりますが、私どもとしては、その調査報告を待って方針を決めたいと思いますけれども、非常に、いまだかつてないような事例でございますので、いろんな新しい問題、未解明の問題もございますので、調査会の報告を待ってから私ども意見をはっきりさせたいというふうに考えております。
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 次は環境庁です。このゴーのサインがお聞きのとおり八月末までには出ることに大体なったのです。そうなりますと、海の底を掘ったりあるいはセメントを流し込むわけですから、相当海水汚染の問題あるいは濁りの問題が出てくると思う。それについて環境庁としてはどういう見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  63. 小川洋二

    ○小川説明員 本四架橋着工につきましてはいろいろ御議論のあったところでございますが、本四架橋がもし着工されるようなことになりますと、いろいろな方面から御指摘がすでになされているとおり、水質に及ぼす影響も環境庁の立場といたしましては考えていかなければならないと思っておるわけでございます。  着工された場合、水質汚濁の原因になる事項といたしまして、まず橋脚が潮流を阻害するようなことがあるのではないか。それからもう一つは、工事に伴いますいろいろな汚染物質が拡散するのではないか。こういう御指摘があるわけでございます。  まず潮流の阻害でございますが、これまでなされました調査、アセスメントでございますが、その結果を見ますと、最も遮断面積の大きい明石海峡におきましても、流量の変化は〇・一四%程度であろう、そういうような調査結果が出ておるわけでございます。〇・一%と申しますと、全体の流れとしましてはほとんど無視できる程度であろうと考えられるわけでございます。  第二点の工事中の汚染物質の拡散等でございますが、これにつきましては、橋脚の建設時に海底の掘削による濁水あるいは海中コンクリートの施工に伴いますアルカリ排水、それから掘削土の処分の方法、こういったような原因によりまして汚染が考えられるわけでございますが、これらの水質に与える影響につきましては、瀬戸内海の水質汚濁の現況から見まして極力押えていく必要があろうと考えておるわけでございまして、そのように着工に当たりましては指導することといたしておるわけでございます。  また、これらの工事に伴います水質保全対策、これは工事着工に当たって具体的に工法等が検討されるようなことになりますれば、私どもとしましても厳格に水質保全という立場からチェックをいたしまして、水質保全に万全を期するようにやっていただきたいと思っておるわけでございます。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 あと二つ答弁してもらって終わりたいと思うのですが、一つは国土庁にお伺いしたいのであります。  巨額な金を投入して本四架橋をやるわけでありますが、それが単なる瀬戸内海に橋がかかったということだけでは意味がない。もちろん本州、四国の将来のことも考えていかなければなりませんが、問題は瀬戸内海の島嶼部が道路が通過するだけだというのでは何もいいことがない。むしろ騒音公害その他迷惑だけが残る。瀬戸内海の島嶼部もこの橋がかかってよかったということにする必要が私はあると思う。そのためには国土庁として、瀬戸内海の三ルートがいつかかるかわかりませんが、それに並行しまして品峡部の開発計画というようなものも出てきまして、相当のメリットが期待されておる。総合的な検討はもちろん今後にあると思うのですが、きょうここで答えられる範囲で国土庁としての架橋に伴う地域開発はどういう考え方でおられるのかということを聞かしていただきたい。これが一つ。  それからもう一つは、本四連絡橋公団総裁に御苦労いただいておるのですが、先ほど来お聞きのとおりなんですが、八月末までにはおおむねゴーのサインが出る。本四連絡橋公団としてはいつゴーのサインが出ても発車できるかどうか、その辺の体制なり決意のほどを最後に伺って、以上答弁を伺って終わりたいと思います。
  65. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりだと思います。四国と本土との間に橋がかかりましても、それが単に四国と本土の間の人及び貨物の流通に役立つというだけでは、その中にございますところの離島にとってはほとんど効果はないわけでございますので、われわれ離島行政を所管いたしております国土庁といたしましては、こういった機会に、その離島架橋に並行いたしまして、その離島地域におけるところの産業、特に水産業、農業等かと思いますけれども、そういったものの振興を図ると同時に、その地域におけるところの島民の方々の生活水準向上のための関連施設の整備ということをやっていかなければならないと思います。  現在、御承知のように、この三ルートには十ばかりの島が離島振興法の適用を受けまして離島振興整備事業を鋭意進めておるところでございまして、現在の離島振興計画は、一昨年の法律改正によりまして昭和五十年から昭和六十年までの計画ということでいま進めておるところでございまして、その中には、当然のことではございますけれども、この架橋に伴う影響等につきましてはまだ十分な計画が組み込まれておるとは申せません。したがいまして、これは関係府県及び島を含むところの市町村の方々の御意見等を十分拝聴をいたしまして、その地域における土地利用計画、産業振興計画、そういったものをおつくり願って、それを国の離島振興計画の中に取り入れていく、そうして事業実施を図っていくということになろうかと思います。  現に広島県におきましては、御承知と思いますけれども、県、市町村、学識経験者の方々でそういった委員会みたいなものを構成いたしまして、架橋に伴う島嶼地域の将来の動向等につきまして検討を開始しておりますし、愛媛県の方におきましても近くそういった作業が進められると聞いております。そういったものをしんしゃくいたしまして、われわれといたしましては離島振興計画に基づく実施事業を進めていきたい、そのように考えております。
  66. 富樫凱一

    富樫参考人 ゴーのサインが出ますれば事務的には直ちに着工できる準備が整っておりますが、国立公園内に仕事をいたしますので、この起工については環境庁と協議しなければならぬ問題がございます。その協議にどのくらい日数を要しますか、できるだけ早く協議、了承を得たいと思っておりますけれども、事務的にあるいは技術的には準備が整っております。
  67. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  68. 天野光晴

  69. 森井忠良

    森井委員 私は、きょうは瀬戸内海の埋め立てについて具体的な事例をもとにしながら御壷間をいたしたいと思います。  最初に、建設大臣、きれいなパンフレットがございまして、御理解をいただきますために一部お渡しをしておきます。——具体的に申し上げますと、広島湾の中の海田湾という湾がございますが、ここの埋て立ての問題でございます。  御承知のように、昭和四十八年に公有水面坪立法の改正、あるいは瀬戸内海環境保全臨時措置法、そういった新しい法律ができまして、言うなればずいぶん埋め立てに関する、あるいは環境保全に関する世の中が変わってきておるわけでありますが、本日提起をいたします問題は、依然として明治時代のあの古い公有水面埋立法の思想をそのまま引き継いだような埋め立ての計画でございます。したがって、私はできることなら直ちにやめてもらいたいという立場で御質問申し上げたい、このように思うわけです。  まず環境庁にお伺いいたしますが、環境庁の中に瀬戸内海対策室というのがありまして、きょうその室長さんがお見えになっておると思うのでありますが、一体瀬戸内海対策室には職員は何人いらっしゃるのか、その辺からお伺いをしたいと思います。
  70. 小川洋二

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  現在、瀬戸内海対策室に常時席を置いている人間は五人でございます。それから、兼務になっている者が二人おります。そういうことで、常時は五人、それから定員を入れますと七人と、こういうことになっております。
  71. 森井忠良

    森井委員 いまお伺いをした人数ということになると、これは大変だと思うのです。たとえば具体的にあの水鳥地区の重油のたれ流しの事件がございました。御苦労だったでしょうけれども、そういうときにはあなたの方はどういうふうな体制をとってあの事件に臨まれましたか、簡単でいいですから一言……。
  72. 小川洋二

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  水島の事故発生以来、私どもこういう席で申し上げるのもなになんですが、非常に忙しい思いをしたわけでございます。まあ残業等も非常に多く、ある場合には泊まり込みといったようなこともあったわけでございます。まあやむなくほかの部局から手伝いに来ていただいて対処しているというような現状でございます。さらに赤潮の問題等も大きな社会問題になりまして、非常に繁忙をきわめているという実情でございます。
  73. 森井忠良

    森井委員 あなたのところが言葉は悪いですがぼやぼやしているから、先ほど申し上げましたような埋め立てが次から次へと進むのだと思うのです。しかし、これは政府全般としても考えてもらわなければならないわけでありまして、あれだけの画期的な瀬戸内海環境保全臨時措置法というような法律をつくっておきながら、わずかに五人の職員で、少なくとも人口からして二千万人が影響する、瀬戸内海沿岸の住民でありますけれども、二千万人の国民を対象にした行政をやろうとするのには非常におくれておる。このことをまず私は指摘をしておきたいと思います。したがって、すでに瀬戸内海環境保全臨時措置法ができまして、もう二年が間もなく来ようとしておるわけでありますけれども、あの法律は御承知のとおり三年間の時限立法なんです。その間にマスタープランも含む瀬戸内海の環境保全の基本的な諸施策について立法化をしていかなければならぬ非常に大事な責任があると思うのでありますが、基本計画その他いまどの程度進んでおるのかお伺いをしたい。
  74. 小川洋二

    ○小川説明員 先生御指摘になられましたように、瀬戸内海環境保全臨時措置法は四十八年の十一月に施行されたわけでございます。三年間をもって別に法律で定める日に失効することになっておりますが、この間におきまして、同法によりますと、瀬戸内海の環境保全上有効な施策の実施を推進するため瀬戸内海の水質の保全、それから自然景観の保全等に関しまして基本になるべき事項を定めるべきことが明示されておるわけでございます。そして、その横本計画が策定されるまでの間、臨時的な措置として、当面の措置といたしまして、汚濁負荷量の二分の一の削減をすべきこと、それから埋め立ての抑制、そういったような内容が盛り込まれておるわけでございます。  それで、御指摘の基本計画でございますが、そういう意味合いからいたしまして、この法律が失効するまでの間にできるだけ早く策定すべきものとわれわれは考えておるわけでございますが、本件につきましては、二月二十四日に開催されました瀬戸内海環境保全審議会に諮問いたしたところでございます。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕 私ども基本計画に対する考え方といたしまして、やはり当面のとられました税制の措置等の制度をどう受け継ぐかという跡継ぎ法の問題、それから跡継ぎ法の内容との基本計画の関連、こういったことがございますので、当面の措置の規制の効果、そういったものも勘案しながら基本計画をつくりたいと、いま事務局において鋭意検討をしている次第でございます。
  75. 森井忠良

    森井委員 一日も早く跡継ぎ法、住民の要求をきっちり入れたものをつくってもらいたいと要望しておきます。  そこで、現行の臨時措置法で埋め立てに関する規制の項目がございます。すでに環境保全審議会の答申、それから四十九年六月十八日付で環境事務次官から関係府県知事に通達を出しておられます。いわゆる十三条一項に規定をしております埋め立てについての基本方針が出されておりますね。これについてお伺いをしたいわけでありますが、きょう問題にいたしました海田湾、大きな意味では広島湾でありますけれども、この広島湾は埋め立てのどの地域に入っておるのか、まず明確にしていただきたいと思います。
  76. 小川洋二

    ○小川説明員 先生御指摘のとおり、瀬戸内海の埋め立てにつきましては、先般瀬戸内海環境保全審議会から埋め立ての基本方針が答申されたわけでございます。それで、埋め立ての免許または承認に当たってはこの方針に即しまして環境保全に十分配慮するよう、関係都道府県に事務次官通達で通達したわけでございます。  そこで、御指摘の海田湾でございますが、この基本方針によりますと、瀬戸内海全域につきまして、まず一般的な配慮事項といたしまして海域環境保全上の配慮、それから自然環境保全上の配慮、それから水産資源保全上の見地からそれぞれ留意事項が書かれておるわけでございますが、さらに水の滞留のぐあい、水の流れのよしあし、それから現状の水質、そういったものから見まして、特に環境保全上留意すべき水域といたしまして、御指摘の海田湾は入っておるわけでございます。われわれ通称指定水域と言っておりますけれども、その中に入っておるわけでございます。
  77. 森井忠良

    森井委員 瀬戸内海は、瀬戸内海環境保全臨時措置法で明確に海の位置づけがしてありますね。第三条でしたか、「わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地」であるというふうな文句とか、あるいは「国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものである」これがたしか第三条だったと思いますが、明確に瀬戸内海の位置づけがしてありまして、それに基づいていまあなたが御説明になりました瀬戸内海環境保全審議会で昨年埋め立ての規制に対する基本方針をお決めになった。特に該当の海田湾については、留意海域として、指定海域として特に埋め立てを厳重にするんだ、こういうふうに通達を出していらっしゃるわけでございます。  そこで運輸省にお伺いしたいわけでありますが、そういった観点からするなら、今度の海田湾の埋め立て、先ほど建設大臣にもパンフレットをお渡しいたしましたが、とにかく狭い海域で、湾内でほとんど半分以上埋め立ててしまう、こういうことなんです。しかも具体的には、いま指摘がありましたように、この海域で認められる埋め立てば、目的別に見ますと、公害防止あるいは環境保全に資するもの、資するものというのは役に立つという意味かと思うのでございますが、「公害防止・環境保全に資するもの、水質汚濁防止法による特定施設を設置しないもの又は、汚濁負荷量の小さいもの。」これ以外は許可をしない。どの要件が一つ欠けてもこれは許可をしないものだというふうに判断を私はしておるわけでございます。そのとおりかどうかについては環境庁から一言明確にお答え願いたい。いま申し上げました三つの要件以外は埋め立てをしちゃならぬ、こういう観点だと思うわけです。この点明確にしてもらいたい。  それから、運輸省は一体この埋め立てをどういう立場でお認めになろうとしておるのか。まだ認めておりませんとおっしゃるなら、この出願につきましては五十四企業、それに広島県、そして運輸省、これは第三港湾建設局ではありますけれども、運輸省に紛れもない。これだけのものが一緒になって埋め立てをするわけでありますから、いまお話しになりました環境庁答弁とあわせて、運輸省がこれを埋め立てをしなければならぬ理由を明確にひとつお答えを願いたい。
  78. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 この計画は、実は昭和四十四年あるいは四十七年からの港湾の計画として、あの地域を流通センターあるいは中小企業の移転地というような形で、公共の岸壁と一緒になってつくるというような形で県が計画としてまとめたものでございます。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもといたしましては、現在の段階といたしまして、県の方からこの計画を変えるというような申請あるいはその計画変更案が出ない限りにおきましては、国の方といたしましてこの港湾計画変更するということはできない立場でございます。  なお、この瀬戸内海におきますところの埋め立てにつきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法の精神に沿って十分実施していかなければいけない、この点については強い認識を持っておりますけれども、埋め立てに関しましては、完全に全面的にこれをいけないという性質のものではなくて、やはりそこには極力避けなければいかぬというような精神があるものと解釈しております。で、この計画につきまして、中小企業の五十四社ですか、それと県と、それから第三港湾建設局を代表とする運輸省、この三者で一緒になりまして出願をしている次第でございまして、運輸省といたしましては、今後これが免許権者である知事の審査を経まして、その後運輸大臣の方に認可申請が参りまして、その過程において先ほどの環境問題につきまして十分アセスメント等につきまして環境庁等とも相談をしながら対処をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  79. 小川洋二

    ○小川説明員 御指摘の留意事項でございますが、基本方針によりますと、ちょっと読んでみますが、「次の海域については、」これに海田湾は該当するわけでございますが「次に示している留意事項に適合しない埋立てはできるだけさけるように配慮すること。」とされておるわけでございます。  そこで留意事項でございますが、「公害防止・環境保全に資するもの、水質汚濁防止法による特定施設を設置しないもの、」あるいは設置したとしても「汚濁負荷量の小さいもの。」こういうような留意事項が掲げられているわけでございます。  留意事項につきましてはこのとおりでございますが、瀬戸内海法の精神、あるいはこの埋め立ての基本方針の精神に即しまして、われわれは環境保全の点から十分チェックしていきたい、こう考えているわけでございます。
  80. 森井忠良

    森井委員 大ざっぱにいいまして、この海域は三つの制約がある。「公害防止・環境保全に資するもの、」そのほか二つでありますけれども、確かにこの文章を読んでみますと、できるだけ避けるものとするということがあります。運輸省は、そのできるだけ避けるものとするということは、絶対やってはいけないのだという考え方でなくて、むしろ拡大解釈をしたいという考え方のようでありますが、私が先ほど指摘しましたように、瀬戸内海の環境保全をするための具体的な目的、それから進路、そういったものは明確に法律の条文の中にあらわれてきておる。申し上げましたように、これは埋め立てのために海があるというのじゃなくて、幾度も読みますように、「国民にとって貴重な漁業資源」あるいは「世界においても比類のない美しさを誇る景勝地」、こういうふうに瀬戸内海を位置づけておるわけでありますから、私は運輸省の考え方にずいぶん無理がある。私どもは、この法案は議員立法でありましたけれども、話し合いの過程で、基本的には埋め立てを認めないとする空気が強かった。その場合に、どうしてもというのなら、たとえば公害防止施設をつくる等、公共的なものの中でさらに環境を守るというふうな目的のもの以外は認めないというふうな話し合いがなされておったことは事実でありまして、このことは、また同時に委員長報告その他で出てきておるわけです。ですから、その点十分ひとつ運輸省においても頭に入れて、これから審査をされる場合の参考にしてもらいたいし、環境庁としても十分チェックをしてもらいたい。  そこで、先ほどの港湾局長の御説明でちょっと私は気になったのでありますが、この海田湾の埋め立ては、四十四年と四十七年の港湾審議会で決めた、こういうふうに説明がいまあったわけです。もしそうだとすれば、二つ問題があると思う。  一つは、港湾審議会の構成メンバーは、たとえば住民の代表であるとか、あるいはまた直接生活に関係のあります漁民の代表であるとか、そういったものは港湾審議会のメンバーの中には入っていないのですね。むしろ積極的に利益のために海を使うような、たとえば港湾荷役機械化協会会長であるとか、日本船長協会であるとか、日本港運協会であるとか、日本倉庫協会であるとか、読み上げませんけれども、いずれにいたしましても、そういった業界の代表ばかりで、四十七年と四十四年の二回にわたり港湾審議会で答申を得ている。それがあなた方のにしきの御旗でしょう。しかし、指摘をしましたように、瀬戸内海環境保全臨時措置法あるいは公有水面埋立法の改正は四十八年に行われておるのですよ。これはどちらの法律も環境保全ということを具体的にうたっている。特に公有水面埋立法に至っては、御承知のとおり免許基準の中に明確に環境の問題が出されておるわけです。したがって、具体的に認可をされる場合に、港湾審議会の答申というものはいま申し上げましたけれども、言うならば古い。再度、港湾審議会の答申にとらわれずに、運輸省として審査をする意思があるかないか、この際、明確にしておいていただきたいと思う。
  81. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 この昭和四十七年の港湾審議会で決めました計画と申しますのは、実はその後の港湾法の改正をいたしましたときに、新法による港湾の計画とみなすということになっております。したがいまして、私どもといたしましては、その四十七年に決めました港湾の計画に対しまして、国の立場からこれを変えろと言うことはできない仕組みになっております。どこまでも港湾の計画地方公共団体でありますところの港湾管理者、この場合には広島県でございますが、広島県の発意によりましてこの計画をつくっていく、それに対しまして運輸大臣がチェックするというようなシステムになっております。したがいまして、この計画につきましては、広島県が変えたいと言わない限りにおきましては、運輸省といたしましてこれを変更を命ずることはできません。ただし、その後いろいろの環境の問題が出てまいりました。たとえば公有水面埋立法の手続の問題であるとかあるいは瀬戸内海の問題一この精神は、今後事業を施行する段階、すなわち公有水面埋め立ての手続をする段階等におきましては、十分その精神はくんでやっていかなければいかぬ、こういうふうに決心しております。  それから、この港湾審議会のメンバーでございますが、私ども港湾審議会の会を開くまでにいろいろ各方面の関係の方々とも連絡するわけでございますが、特に環境庁の方々とかあるいはそのほかの各省庁の方と幹事会というものを開きまして十分連絡しながらやっていく点につきましては、審議会の運営といたしましてどちらかというと十分やっているつもりでございます。  そういうわけで、もちろんメンバーといたしまして、操船の方とか港湾関係の倉庫の方が多いわけでございますけれども、この港湾計画におきまして、環境問題に関するディスカッション等につきましては極力ウェートを置いているというのが現状であると思っております。
  82. 森井忠良

    森井委員 審議会のメンバーについては、港湾審議会でありますから必ずしも埋め立ての問題だけとは限らない、それは私も理解をいたしますが、すでに港湾とそれから環境保全ということは切っても切り離せない関係であります。しかも、仮に埋め立てというふうなことになりますと、これは住民との関係も、これも切っても切り離せない。そういうような観点からすれば、この際港湾審議会のメンバーについて再検討をしてほしいと思うが、その点についてのお考えを聞きたい。  それから二つ目は、なるほど経過措置として公有水面埋立法の改正のときの附則については私も理解をしております。過去に決めたものについてはあなたの答弁があったとおりでありますけれども、しかし、これは一般的な埋め立てであって、瀬戸内海についてはそうはいかない。やはり少なくとも瀬戸内海をもとの生きた海にしようという発想でできた法律からすれば、あなた方は法律を遵守する義務があるわけですから、そういう観点からすれば、過去に決めたものだといいましても、やはりこれから審査をされる場合に、当然審査の大事なファクターとしてお考えになる必要があるが、その点についてはいかがか。
  83. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 第一点の港湾審議会のメンバーの再検討でございますけれども、私どもこの港湾計画の審査に当たりまして——審査というよりもむしろ、地方港湾審議会というものがございまして、港湾管理者が計画をいたした場合には地方の方々とも十分相談することになっております。港湾管理者が計画を進める際におきまして、十分その地元の方々の意見を入れていくという立場で管理者はつくっていかなければいかぬという点を強く指導していきたい、またそうあるべきだと思っております。現在運輸大臣の諮問機関であるところの港湾審議会のメンバーを改正するという点については、考えていないわけでございます。  第二番目の、これからのいろいろの手続あるいは審査の処置でございますけれども、この点は先生のおっしゃったとおりでございまして、公有水面埋立法の改正の精神、また瀬戸内海環境保全臨時措置法の精神を十分踏まえまして、これの処置をしていきたいというふうに考えております。
  84. 森井忠良

    森井委員 時間がないので深くは議論ができないわけでありますが、具体的な質問に入りたいと思います。  一口に申し上げますと、まともに計画どおりやられれば、これは二百数十万平方メートルの埋め立てなんですよ。少なくとも瀬戸内海環境保全臨時措置法ができてからの埋立地としては初めてに位するような大きなものです。二百数十万平方メートル、しかも湾の半分以上を埋めるということですから。私どもは、やまやま言っても、そういった大規模な埋め立てについては国かもしくは地方公共団体がやるべきである、こういうふうに言えると思う。事実、公有水面埋立法の改正案の採決のときも附帯決議に明確に出てきておりまして、やはりなるべくなら公共的なものに使うように努力をしなさいという附帯決議が四十八年の国会で出ておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても二百数十万平方メートルのうちで最も大規模な流通センター、これは名前は流通センターでありますけれども、要するに五十四の、県の開発公社が入っておりますけれども、それ以外は完全に民間人の共同出願なんです。共同埋め立てなんです。それからすでに認可を受けております十四の企業団もあるわけでありますが、これも完全に民間人の埋め立てなんです。はっきり申し上げて営利行為なんです。そういったふうに個人営利企業が集団で埋め立てをするものに、御丁寧なことに運輸省はわざわざ県と一緒になって公共岸壁をつくるという形になっておるわけです。これは余り例がないことだと思うのですよ。少なくとも県が責任を持って埋め立てをし、そして各企業に分譲する。仮に譲っても、公共性の「こ」の字を入れようとすればそこまでだと思うのでありますが、今度の場合は、いま申し上げた民間の企業があの有名な三井不動産と一緒になって、三井不動産に埋め立ての契約をしておるわけです。それに運輸省が公共津壁をくっつける、県が公共岸壁をくっつける、こういう形になっておるわけです。私はきわめて企業べったりだと思う。この点についての見解を伺いたい。  それから、時間がありませんからもう一つ質問を続けるわけでありますが、先ほど申し上げました、私が流通センターという名前がついておるが、これは個人の営利活動だと言ったら、あなた首をかしげておられましたが、具体的な中身は、これは五十四社の中で十四社は東洋工業の関連企業です。運輸部門あるいはスクラップ部門あるいは塗料といったそういったものの集合体なんです。大体これは東洋工業以外に、呉市にあります造船所群、これへやはり物資を供給する任務を持っておる。それが一つ。  それから、すでに埋め立ての認可があったわけでありますが、十四の企業団についてはこれは完全に営利行為です。これは間違いない。流通センターという名前をつけておらないわけであります。私どもが普通流通センターというのは、たとえば野菜であるとかそのほかの生鮮食料品、魚介類、そういった庶民に直接関係のあるものを流通するという形なら理解ができる。しかし、いま申し上げましたように、鉄鋼、機械あるいは建設資材、そういったものを集める一つは倉庫であり、一つは営業活動の基地なんですよ。したがって、流通センターということについて、公共性をどの程度考えておるか、運輸省にお伺いをしたい。
  85. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その前に、営利企業のところで私が首を振ったというような御表現がございましたけれども、この営利企業にくっつけて公共事業をするというような見方ではございません。まず、全体の海田湾というところを見ますと、ここに先ほど申し上げましたような流通のセンターであるとかあるいは中小企業の団地をつくりまして、広島市内の既成市街地に散在している中小企業を移転させるとか、そのような考え方のもとに県がつくったわけでございまして、その考え方といたしまして、入り口である岸壁をつくりまして、後ろの方にそのような土地をつくるという考え方でこの計画をつくったわけでございまして、企業べったり、営利企業を守るためにその岸壁をつくったというものではございません。私たちはそういうふうに解釈はしておりません。  それで、この岸壁でございますけれども、約五千トンの船、すなわち、水深が七・五メートルの岸壁、それと二千、トンの船、水深が五・五メートルの岸壁でございますが、それを一列に並べまして、その後ろ約百三十メートルの間を公共的な用地としてとっておきまして、そこでいろいろな輸送活動を行うわけでございますが、この岸壁のまず第一番の主な貨物は、もちろん後ろの方の流通センターであるとか、中小工業地帯であるけれども、当然広島市内に対する出入り口として考えているわけでございます。  このような意味におきまして、公共岸壁をあのような形で計画するということは、計画の段階におきましておかしくはないというふうに私たちは解釈しております。  それから流通センターという意味でございますけれども、いろいろな解釈がございますが、私ども、広島市に搬出入する貨物が非常に急増しておりまして、この急増している広島市の搬出入貨物を合理的にさばくための東部の流通センターをつくるというように県の方から聞いているわけでございまして、これを海田地区に充てるというのが大きな方針になっていると聞いております。  また、いま広島市内にある、既成市街地に散在している中小企業をここに移転させまして、中小企業団地をつくるわけでございますが、こういうものと流通機能とを一緒にして埋立地をレイアウトしていくというように私どもは見ているわけでございます。
  86. 森井忠良

    森井委員 時間が来たようでありますから質問を集中をさせますが、少なくともいまの流通センターの性格、これをつくったからといって、先ほど申し上げました瀬戸内海環境保全臨時措置法十三条に基づく埋め立て規制の中の公害防止に役立つものというのは、これは全く筋のない話である。したがって、環境庁はこの点厳重にチェックをしてもらいたいと思うわけでありますが、私ふっと気になりますのは、これは建設大臣にお伺いしたいわけでありますが、建設省と、あるいは運輸省と、そしてチェックをいたします環境庁との見解が違う場合には、昭和四十八年の六月二十二日の本委員会におきまして、たまたま私が公有水面埋立法質疑を行った中で、当時の川田河川局次長、いまはいらっしゃらないわけでありますけれども建設省と見解が相違をしたものにつきましては埋め立てばできませんという答弁を彼はしておるわけであります。私もそのとおりだと思いますが、見解が相違をした場合には埋め立てはできない、この点について大臣から再度明確にしておいていただきたい。  それから運輸省にお伺いするわけでありますが、問題はアセスメントであります。これはもうすでに法的に義務づけられておるわけでありますが、ポイントがずいぶんあります。もう時間の関係で多くは申し上げませんが、第一にアセスメントの依頼をしたのは、これは三井不動産が最初にしておる。後、県もそれに乗った形になっておりますが、地元に広島大学という国立大学があるんです。それに委託をしないで三井コンサルタントと非常に関係の深い東海大学の前田教授がアセスメントをしていらっしゃる。この人のアセスメントは、言葉が悪うございますけれども、大分の新産都市のあのものすごい公害がいま出ておりますが、あの地域のアセスメントをなさった方なんです。したがって、アセスメントの中身について、中身というよりも、アセスメントの依頼先その他もっと権威のあるところに依願をする必要があるのではないか。それが運輸省に対する質問の一つ。  それから二つ目は、ずいぶんアセスメントに足りない点がある。たとえば住民のサイドからいけば住宅環境がどう変わってくるか。大気、騒音その他あるわけでありますから、そういったことが含まれていない。それからCOD等のいろいろ数値その他が出ておるわけでありますが、肝心の赤潮の原因、これは瀬戸内海で非常に重大な問題でありますが、赤潮の原因であります窒素とか燐とかそういったものに対する分析が全くなされておらない。あるいは湾内が半分になった場合の高潮、洪水、特にあの辺は鉄砲水の多いところでありますが、そういったものに対する事前評価というものが全くなされておらないなど、中身についても非常に大きな問題を抱えておるわけでございます。したがって、国は国独自で、運輸省も言うなれば申請者の一人でありますけれども、これは先ほどの話によるとついでに乗った形でありますから、しかし審査をするということになると、どうしたって住民からこれだけ疑われておる問題なので、ひとつ明確にする意味で、また住民の疑惑を解く意味でもアセスメントを再度やりかえる必要があるのではないか、この点を明確にしておいていただきたい、こういうふうに思います。
  87. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 埋め立て工事を執行する場合に三省が協議をしてやるということになっておるとすれば、これは当然協議はせなければいかぬ問題でありまして、一致しないものを勝手にやるわけにはいきません。だれの答弁がどうあろうとも、要するに三省が合意に達することが埋め立ての前提条件であるということを申し上げていいと思います。
  88. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 出願者が環境アセスメントを行うときに信頼のおけるコンサルタント等に頼むべきであるという点は、極力そのように指導していきたいと思います。  それから第二点の、運輸省といたしましては、先生のおっしゃいました住宅環境の問題、CODの問題、赤潮の原因というところまでなかなかむずかしいと思いますけれども、赤潮の問題、窒素の問題あるいは洪水等の問題につきましては、今度は認可をする立場におきまして十分チェックをしていきたいと思います。現在の段階におきましてこれをやり直すというところまでは、私としては言えないわけでございます。
  89. 森井忠良

    森井委員 最後に、海田湾あるいはその周辺の海域については、たとえば岡山大学の河野教授が、これは裁判所に提出をした鑑定書の中で、埋め立てをしたらどろ海になるという指摘をしております。時間がありませんから多く申し上げませんけれども、これは岡山大学です、有力な反論だと思う。それから、今回の縦覧に供したアセスメントの中で具体的に住民から反論が出ておりますが、たくさんありますが、その中で特徴的な日本科学者会議広島支部が集団で非常に真摯な調査と研究をされて反論を出していらっしゃいます。これは有力な資料だと思う。したがって、少なくともこの二つの意見については、私は運輸省が認可をされる場合にぜひひとつ重要な参考にしていただきたいと思う。その意思があるかどうか。  それから環境庁にお伺いしますが、お聞きのような、言うなれば新しい法律に逆行する運輸省あるいは広島県企業集団の埋め立てだということになる。しかも、アセスメントを一つとってみましても、これは環境保全法ができて初めての大がかりなアセスメントだと私は思うわけです。そういった観点から、法の精神に照らして厳重なチェックをする意思があるかどうか、環境庁の御所信を承って私の賞間を終わりたいと思います。
  90. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 環境アセスメントに当たりまして、外部から出た環境アセスメントに対する意見につきましては、十分参考にしてまいりたいと思います。この決定につきましては、運輸省だけではとてもできませんので、環境庁意見等も十分聞きながらやっていかなければいけないというふうに考えております。
  91. 小川洋二

    ○小川説明員 本件につきましては、坪立法の方から最終的には環境保全上の観点から環境庁意見を求めることになっているわけでございます。その際に、先ほど申し上げましたとおり埋め立ての基本方針あるいは瀬戸内海法の趣旨、それからいま先生が御指摘あられましたアセスメントの制度の問題、そういったようなことも十分勘案しまして、埋め立ての基本方針に即して環境保全上の立場から厳重にチェックをしていきたい、こう思っております。
  92. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る七月二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会