○柴田(睦)
委員 最初に日照問題についてお尋ねします。
この日照問題についてまず
考えなければならない大切なことは、いわゆる日照紛争、日照問題が現在のような社会問題となった要因ということであり、それから、これがどういう経過をとって今回の公法上の
規制に至ったかということ、それから、今回の
基準が、これらの要因やいままでの経過を踏まえて、本当に解決する立場からつくられたのかという点であります。
まず要因について。これは建築審議会でも述べているところでありますが、第一には、過密都市における都市の高層化による中高層
建築物が環境に急激な変化を引き起こさしたということ、それから第二番目には、マンションブームに乗ってデベロッパーが中高層住宅を一層全国的に広げて、これらが無計画に建てられることによって都市全体の環境の悪化を引き起こしたということであり、第三番目には、これらの
環境悪化に対して
住民が都市環境を守る立場から改善を求めて立ち上がった、これが主な要因であります。
それでは、これらの日照紛争は果たしてどのような経過をとったのかというのが第二番目の問題でありますが、当初日照問題は、建築主が
基準法によってこれは適法であるということをがんこに主張して、ほとんどが
住民の泣き寝入りという実情でありました。しかし、デベロッパーによるマンション開発が全国に広がるにつれて、都市の住環境を守る立場からこの日照問題が大きな社会問題としてクローズアップされて、見直されてきたのであります。そういう中で裁判所の日照問題に関する判決の立場も変動して、
最初は不適法な建築についての問題でありましたけれども、その後は、適法な建築においてもこの日照阻害に対するはっきりした態度を示す判決となってあらわれておりました。一方、
地方自治体では、
住民の都市環境を守る立場に対応して、独自に日照
条例や要綱をつくって日照紛争の解決に
一定の貢献をしてきたわけです。そして、今日の日照
基準の設定に至ったわけでありますが、日照
基準は、当然これらの要因や経過を本当に解決する立場から設定しなければならないということは言うまでもありません。
それでは、これらの要因と本当に解決する立場とは何かという点でありますが、第一には、日照
基準は都市の
環境基準でなければならないということであります。もちろんわが党は日照
基準の設定についてこれを否定するものではありません。しかし、一般的に
環境基準は、現在ある良好な環境は保全し、悪い環境に対する改善の目標として
考えられなければならないということは言うまでもないところであります。
二番目には、過密都市におけるこれらの解決は、
住民本位の町づくりの立場からの
基準でなければならないということであります。審議会報告も述べていることですが、都市の再開発が解決につながるということを否定するものではありませんが、それは当然
住民本位に進められる必要があり、資金力のあるデベロッパーの無秩序な開発を許すものであっては決してならないわけであります。
私は、こうした立場から今回の日照
基準が検討されなければならないと
考えるわけですが、以下、
幾つか具体的な質問をいたします。
最初に、この
法律案の
提案理由を見ますと、日照問題に関しては、都市における土地の
高度利用の進展に伴って日照紛争その他の都市環境を阻害する事態が随所に発生していることに対処するために、
建築物による
日影に関する
基準を設定する
措置を講ずるということになっております。ということになりますと、今度の
改正案は、日照紛争に関してこのような紛争を解決していくためには公法上から高層建築について建築
規制を加えていくという
考え方をとっているものであるかどうか、このことをまずお伺いします。