○佐野(憲)
委員 いま、自治省の公営企業第一
課長さんからの説明によりましても、私たちのいただいておる公営交通
事業に対するところの再建状況を見てまいりましても、大変な事態に陥っておると思います。ですから、これは本来から言うと、団地と一定の交通機関との輸送その他の問題だとえば路面バスの問題をとりましてもあるいは路面電車の問題をとりましても、そういう本来やればできることが公営企業法の中にあるのだけれ
ども、これをとっては大変なことになって、
地方自治団体から
拒否が起こってくるわけでしょう。ですから、それを皆さんの場合は——宅開
公団のことを私は言っておるのじゃありませんから。現在における
日本住宅公団の中で、そういう足の問題交通の問題輸送の問題、少なくとも新住法の中の四十
四条に、そういう
意味におけるところの輸送
関係に対して特に協議しなければならない、都市
計画を定めるに当たってもそのことを聞かなくちゃならない、こういうぐあいに
規定されておるけれ
ども、実際上はそれらの協議が十分でなかった、いま運輸省の方からお話があったように。ですから、そういう問題はやはり解決していく。公営企業でやっていけるか。当然団地は、
一つの市民として考えるならば、そこには公営企業としての交通
事業をやっていけるかどうかというふうな問題からいたしましても、もっと真剣に、また、路面電車の場合は
地方鉄道法におけるところの行政路線ですか、これらの補助的な制度もできておると思いますけれ
ども、実際、団地を
公団がやっていてどういう問題が一番困るのだ、その場合、運輸省としてはどう取り上げるのだというふうな形で、
公団が陥っておる足なし団地だと言われる中で、団地に入っている人も苦悩しておると思います。
建設している
公団も苦悩に満ちておると私は思います。それを
建設省がそれはやむを得ないのだ、地元優先割り当てでがまんしてもらえというふうな形で、技術的な問題で避けて通れるものではないのじゃないかということを私は
一つ指摘しておきたいと思います。
時間もありますので……。
大臣、おられませんが、私はいま
大臣に聞いてもらいたいために
質問を続けておったので、そういう新しい
公団を考えるよりも、現在の
日本住宅公団の機能をどう充実するか、
運用面において当面する諸問題をどう解決していくか、こういう点に
建設省は全力を傾けるべきじゃないか。そのことが解決すれば、あるいは
住宅問題も新しい局面、新しい分野が出てくるのじゃないか。そういう点について、特に私は
最後に
大臣に——時間も時間でありますので、ひとつ局長からも
大臣によくそういう点を話して検討していただきたいと思います。
新しい
宅地開発公団、そういう
意味においてなお複雑な問題が起こってくると私は思います。先ほど申しましたような、たとえば市街化調整区域なり、農地で、農地解放されて、しかも余裕に持っておるわけではなくて、自作できる限度内しか農地というものは自作農として認められなかったわけですね。その農地は生活がかかっている社会的所有権だ。そういうのと、市街化区域なりその周辺に買いだめをしたり、金もうけの道具としていろいろな
土地投機が行われておる、こういうものに対してメスを入れるなり、もっとその中で
公団が活動をしていただく分野が多いと思うのです。近代的所有権という名のもとにおいて所有権の絶対を主張しておる、こういうものは
日本の法律においてももはやそういう絶対的な近代的所有権じゃなくて、やはり社会的所有権という形に変わってきたと思うのです、判例やその他を見てまいりましても。法律的な実際面の下地はそこまで進んでいっておるのに、
建設省やその他役所の
関係の人たちが、ローマ法は世界に通ずるという言葉がありますように、なおも近代的所有権絶対制という形の中にあるところにああいう問題があるのではないか。そういう
意味におきましても、買い上げになったり、いろいろな
意味で投機的な対象として放置されているものに対して、勇敢に収用権の発動なりいろいろな形をもって、その
宅地に良好な
住宅を
建設するとか、そのためにも、いま私が
指摘したような
日本住宅公団が陥っている問題というのは、国並びに
建設省の責任というものは私はきわめて大きいと思うのです。
それで、
公団を性格的に見ましても、先ほど何回も言いますように、国家機関でもない、国会におけるコントロールをはずしたから君ら自由にやれ、だから国会に対するところの、予算、決算に対するところの議決も要らない、そういうふうに身軽にしたからやれ、
民間資金を利用できるじゃないかという形で出発して、しかも
大臣だけが認可するのだ。国全体としての
公団の運営に対する、
公団の現状に対する責任をちっとも持っていない、こういうところに
公団自身が陥っていく大きな問題があったのじゃないか、私はかように考えますので、そういう点もひとつ検討していただきたいと思います。
皆さんの資料を見ながらずいぶんと
質問したいことがたくさんあるのですけれ
ども、たとえば
昭和四十五年の場合を見てまいりますと、
資金計画が四千百七十九億円、元金の返済が八百五十七億円、利息の返済が七百二億円・合わせまして一千五百五十七億円ですか。そうしますと、
事業費はその当時が二千六百二十二億円で、元金の返済と利息で一千五百五十九億円だ。全く借金を返すための
資金がこれになっておる。ですから、皆さんの方の別の資料でいずれまた検討させていただきたいと思いますけれ
ども、
資金の年度別を見てまいりましても、やはり四十五年度においては四百十二億円だ、四十九年度において六百九十億円
資金繰り、借金を返すためにまた借金をしなくちゃならない。それでは
事業費というものは、
資金は名
目的にふえておりますけれ
ども、
中身を分析していきますと元金と利息を払わなければならない。それを除いたものは
事業費である。こうなってまいりますと、しかもその借金を返すためにまた借金をする、そのためにかけ回らなければならない。これでは
民間資金の活用なんというものは全くもう−−去年なんかは相当
出資金をふやしましたのも
住宅債券の返済が迫ってまいったということで
出資金をふやしたのでしょうけれ
ども、この場合にいたしましても、
昭和三十九年で
出資金の増額を打ち切って利子補給をやるのだ、こういう形で出発いたしまして、その場合に四・一%を五%に上げる。恐らく一%で家賃が千円も違うのではないかと言われるくらい私は大きな問題だったと思うのですけれ
ども、そういうのをやって、非常に
住宅公団そのものが、
資金構成の中におきましても、そしてまた
出資金は打ち切られる、利子補給にいたしましてもやっと四百九億円ですか、その
程度しか利子補給はやられていない。ですから借金の利息、元金を返す、そのための借金にかけずり回らなければならない。しかも第一線におる人たちは、いま申し上げましたところの財政の問題、環境問題、そしてまた新しい都市作り、古い街と新しい街におけるところの融和をどうするか。大変な問題を抱え込んで必死になって
努力をしておる。その
努力しておる中に、おまえらだめだから、新しい
宅地開発公団ができればいいものができるぞという、夢のような話ではないのですけれ
ども、そういうことで問題をはぐらかしてはいけないのではないか。
大臣にも、現在の
住宅公団の当面している諸問題というのをやはり解決していく、そういう手だてを
建設省としてはもっとやるべきではないか、こういうことを申し述べたかったので、私、先ほど来の皆さんの
質問を聞き、かつまた私が疑問を提出いたしておりますのは、この
日本住宅公団の長い苦悩の歴史の中に、やはり
住宅問題を背負ってきた、この
住宅公団が陥っているこの問題を
建設省としても国としても真剣に取り上げてその解決の道をやはり見出してあげる、そのことがいまの
日本の
住宅に一番求められている道ではないか、かようにも感じますので、新しい手法なり新しい
公団なり、しかも
公団の性格は、さっき言いましたように、いろいろな欠陥を持ちなから出発していくわけですから、またその問題が起こるのではないか。
最後に私、新しいこの
開発公団の場合におきましても、岡部さんが
指摘されましたように、
民間の一番悪いところと、そして官公庁形式の一番悪いところ、
二つが重ね合わさるこの
公団として、将来は問題が大きくはだかっているのではないか、そして
地方自治団体との間におけるところの摩擦を大きくしていくのではないか、それの弊害を取り除く準備はいまからしなければならない、こう
指摘しておられました言葉がやはりいまよみがえってくるので、そういう点を含めまして私、一応
質問を終わらせていただいて、
開発公団そのものに対する
質問はまた次にいたしますが、きょうは
日本住宅公団に対する問題点の解明という形で、
大臣に聞いていただきたかったのです。事務当局の皆さんは十分御了承のことだと思いますので、
大臣にまたその点をひとつよく話していただきたいと思います。