運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-03-26 第75回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十六日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 唐沢俊二郎君 理事 服部 安司君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君       小沢 一郎君    大村 襄治君       三枝 三郎君    田村 良平君       野中 英二君    渡辺 栄一君       金子 みつ君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       山崎 始男君    柴田 睦夫君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   森  郷巳君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     柳田 真司君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     常川 隆司君         自治省財政局公         営企業第一課長 坂田 期雄君         自治省財政局調         整室長     高田 信也君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     播磨 雅雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     三野  定君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員異動 三月二十日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     水田三喜男君   渡辺 栄一君     三池  信君 同日  辞任         補欠選任   三池  信君     渡辺 栄一君   水田三喜男君     大村 襄治君 同月二十六日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     金子 みつ君 同日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     阪上安太郎君 三月十九日  建築物による日影規制に関する請願外一件(和  田耕作紹介)(第一六一〇号)  国土利用計画法運用に関する請願橋本登美  三郎紹介)(第一七一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  宅地開発公団法案内閣提出、第七十二回国会  閣法第四三号)      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案審査のため、本日、日本住宅公団から総裁南部哲也君、理事播磨雅雄君及び日本道路公団理事三野定君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 天野光晴

    天野委員長 次に、内閣提出宅地開発公団法を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣質問しようと思ったわけですけれども大臣は何時ごろお見えになるのですか。
  6. 天野光晴

    天野委員長 十一時には入る予定です。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣質問は一応保留して質疑に入りたいと思います。  まず最初に、「住宅対策のための土地行政の機構および運営のあり方についての答申」が行政監理委員会としてなされているわけでありますけれども、この答申と、いま審議しております宅地開発公団法との関連というか、この法案はこの答申に基づいてなされたものであるかどうか、その点を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  8. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 行政監理委員会におきましては、一年にわたりまして宅地開発公団の設立の必要性につきまして審査をいたしますとともに、日本住宅公団及び宅地開発公団との機能別目的別整序性を保つことが必要という結論を出しておりまして、主として宅地開発公団大都市地域におきまして宅地大量供給ということに専念することとし、住宅公団自分の建てる住宅建設並びに市街地における再開発ということに専念すべきであるというふうに、機能別目的別にこれを整序をすべきであるということを骨子とした答申を出しておるのでございます。  これに基づきまして、今回提出いたしております宅地開発公団法におきましても、宅地開発公団大都市周辺部において大規模宅地開発を行い、これにあわせて必要となる工業団地、流通団地も造成しますけれども、主目的はあくまでも大都市の大規模開発ということに重点を置く。それから、日本住宅公団は、この地域におきましては、自己の建設する住宅建設に専念させる。したがいまして、こういう内容のものとなっておりますので、行監答申の線に沿って提案いたした、こういう内容になっているのでございます。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 この答申の線に沿ってこの法案が出された、こういうことでございますが、この答申を見ますと、まず「土地計画的利用に関する具体策」ということで、一つは「市街化区域内農地等宅地化」、それから二つ目には「既成市街地の再開発」、三つ目には「新市街地開発」、四つ目には「新公団仮称、新市街地開発公団)の設置」、こういうふうに四つに分けて答申しているわけでありますが、この答申法案と相照らしてみますと、いま申し上げました三点目の「新市街地開発」と四の「新公団設置」、これに非常に多く、言いかえれば、この線に沿って法案が出されているような感じがいたします。そうなってまいりますと、この新公団仮称、新市街地開発公団という名前ではなしに宅地開発公団と、線に沿っているということになれば、中身もこの三の「新市街地開発」という項目にそれぞれ沿った内容が多くあるわけでありますから、どうして名前宅地開発というふうに変わってしまったのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  10. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 答申によりますと「仮称、新市街地開発公団」というふうに、仮称という言葉がついておりまして、この名称をどのようにするかということにつきましては、行監答申の、仮称の新市街地開発公団とすべきか、あるいは、その中身から言いまして、大規模宅地開発を専管するという意味におきまして率直に宅地開発公団とすべきかということにつきましては、最後までわれわれといたしましてもその名称についてはこだわって検討した経過がございます。  究極におきまして宅地開発公団という名称にいたしましたのは、現下大都市圏域における住宅難宅地難という問題に端的に対処するためには、新市街地として大規模開発をするのでありますけれども宅地開発公団とした方が、率直でありかつ簡明でわかりやすいのではないかというようなことが最後結論として、そういう名称になったような経過がございました。そういう意味宅地開発公団といたしましたけれども、その中身及びそのつくり方におきましては、この答申にありますように、新市街地としてつくっていくということには変わりはないのでございます。  名称の問題としてどちらを採択すべきかということについてのいきさつを申し上げた次第でございます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 これから内容に入っていけばそれぞれ明らかになると思いますけれども、私も名前にこだわるわけではありませんけれども住宅中心にして新市街地をつくっていくのか、それから新市街地をつくるという一つ方針の中で大量な宅地をつくっていくのか、その基本になる、分岐点になるところの発想がどこにあるかということで非常に大きく違ってくるというふうに私は思うわけであります。この法案の中に言っておりますように、「宅地大量供給と健全な市街地の形成」こういうことになっていきますと、幾つかの問題においてやはり私は、新市街地を形成するというこの形の中から住宅宅地を大量に供給していく、こういう発想に立たなければ、住宅というものを先行させてそれに付随して新市街地ということは必然的に失敗に終わってしまうではないか。したがって、これからの内容の中で、私は、そういう発想出発点が違うために幾つかの隘路がすでにこの法案の中にある、こういうふうに考えるわけであります。ですから、名前だけではなしに、やはり私が言っております発想、その点についてこの名前が変わってきているということとあわせ、もう一度ひとつ明らかにしていただきたい。
  12. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先生のおっしゃるとおり、新市街地としてこの大量供給を行うという趣旨におきましては、答申もそのように書いているのでございますが、ただ動機におきましては、答申前提及びその方針というところの中にも書いてありますように、現下土地問題の焦点というのは何と言っても三大都市圏中心として住宅需給の不均衡が拡大しておって、地価高騰と相まって住宅宅地を取得することが著しく困難になっているんだ、あわせて地価高騰に伴っていま不公平が拡大しつつあるから、その基本的課題住宅宅地の改善と地価の安定にあるんだというところを踏まえて、土地対策具体策として展開されているのでございまして、その発端及び動機というものは明らかに住宅宅地の問題ということにあったのでございます。したがいまして、そのつくり方あるいはその配置の仕方及びその大規模開発をする基本的な姿勢というものを新公団は、仮称ではありますが新市街地開発公団という名前に呼んだのでございますけれども、その動機はいま申しましたように宅地難の解消ということにあったという点にかんがみて、私はこの答申趣旨宅地開発公団趣旨とは、先ほど申し上げましたように、一致しているというふうに考えておる次第でございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、大臣が参りましたので大臣にお聞きしたいというふうに思うのですが、日本住宅事情を見た場合に、建設省でもすでに試算して発表しておりますように、昭和四十九年度から昭和六十年度までの十二年間に全国で十八万六千ヘクタール、三大都市圏で七万六千ヘクタール程度の新規の宅地供給が必要であるというように見込まれる、それから業務用地を含めれば、そのほかの需要と合わせていま申し上げた二倍程度需要が想定される、こういうふうに発表しておりますけれども、こういう中でこれからの政府住宅政策基本的なあり方というものが非常に重要になってくるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  私の質問は前回行うのがきょうに延びたわけでありますけれども、実は前回行う予定であった三月十九日の新聞がここにありますが、これは朝、駅で買ってきたんですが、この新聞を見た場合に、このまん中にまず広告だけのものがあって、この中身を見れば全部マンション住宅広告であります。これは膨大な広告がずっと何ページかにわたって、これが全部、見れば宣伝文句は非常にいいわけでありますけれども、ほとんどが大企業、その系列下にあるデベロッパー、こういうのでほとんどがマンション本紙の方を見れば、本紙の方もこれまた同じようにほとんど住宅マンション広告で埋め尽くされている。  私はこれを見たときに、実はこれからの日本住宅政策というものを考えてみた場合に、慄然としたわけであります。これは全く政府住宅政策が、民間デベロッパーによるところの民間任せの計画性のないものになっているためにこういう状態が起きているのではないか、こういうふうに思わざるを得ません。  ですから、特に三大都市圏のこれからの住宅政策というものは、もっと政府主導型の住宅政策というものを打ち立てていかない限り、なかなか解決できない要素というものが非常に多く含まれているのではないか。これはこの広告に端的にあらわれているというふうに私は思うわけであります。  ちなみに外国の例などを見ますと、スウェーデンの場合には公共住宅中心にした率が六二%、イギリスの場合には五七%、日本ではわずか二〇%というような状態です。日本のいまの三大都市圏中心にする住宅事情というものを諸外国比較した場合に、私は一番おくれているというふうに思うわけです。しかも、公共的な住宅政策中心にする施策というものがおくれているためにこういう状態が出てきている。  そういうことを考えてみた場合に、政府のこれからの基本的な住宅政策あり方について大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 ヨーロッパ諸国比較をいたしますと、やはり歴史的な問題もありまして住宅政策がおくれておることはお説のとおりであります。戦後衣食住の問題を一番大きな課題として努力をして、衣食が一応事足りて、結局住がいま最大の課題になっておることは御承知のとおりであります。さらに日本住宅政策といいましても、全体の住宅計画の中のシェアを見ると、やはり六〇%が民間であるし、四〇%程度公的機関住宅であることも御承知のとおり。住宅政策といっても六〇%までは民間におんぶしている、こういうふうに申し上げていいと思うわけであります。  そういう意味から考えますと、政府はもっと積極的に公的住宅推進しなければならないことは当然でありますが、そういうふうな計画を第一期、第二期で進めながらも、いろいろな遺漏があって予定どおり進んでいないことも御承知のとおりであります。ただいまの新聞広告等も、私ども毎朝見ることでありますが、これは景気抑制やら資金問題等によって、民間住宅が値引きをしてでもとにかく現在のストックを放さなければならぬ、そういうふうな広告の面もかなりあると思うのでありますが、いずれにいたしましても、それだけ民間が多くの住宅建設しておったという事実は間違いないことでありまして、私ども民間住宅におんぶしてはいかないと思います。さりとてこれもこのまま見逃すわけにいきませんから、むしろ民間住宅そのものに対しても住宅ローン等の問題も積極的に働きかけまして、相まって住宅政策を完成していかなければならないと思っております。  この公的住宅の問題は、いろいろと第二期にも問題がありましたが、そういうことを十分に参考にしながら、反省しながら、新しい第三期を今度は健全なものにして思い切って公的住宅推進を図っていきたい、それが私ども基本的な考え方であります。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、先ほどに引き続いて法案内容についてお聞きしたいと思いますが、特にこの法案の中で示しております地方公共団体との関係について、四条の三項で、公団資本金を増加するときは地方公共団体出資できる、こういう内容になっているわけでありますけれども、そのことは、公団がそれぞれ住宅地開発するという場合に、地方公共団体と協議が成立したり、または出資が行われなければ、その公共団体のところには開発することができないのかどう一か、一口に言えば。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕 その点、法案全体と地方公共団体関連について明らかにしていただきたい。
  16. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 地方公共団体宅地開発事業推進との間にはきわめて重大な問題がございまして、特に最近三大都市圏中心とする大都市圏におきましては、大規模開発を遂行していく上で地方公共団体財政負担等中心とする拒否反応ということがきわめて顕著な隘路となってあらわれておるのでございます。したがいまして、地方公共団体との協調体制をいかに確立するかということがこれからの宅地開発事業における一番の大きな眼目であろうというふうに考える次第でございます。この宅地開発公団事業推進いたしますためには、資本金の面におきましても、国が地方出資を受け入れて出資面でも協力するということがその協調体制の一環として望ましい姿勢であるというふうに考えておりまして、御指摘の条文におきましても、増資の際に出資することができるというような規定を置いたのでありますが、当初地方公共団体出資を求めなかった理由といたしましては、その事業量ないしはその場所、位置、規模等が確定いたしませんので、その受益範囲というものが明らかでない、そういう意味から、受益範囲なりその関係が明らかになった段階出資を希望する公共団体に対して出資を求めようという意味で、増資の際に出資することができるという規定を置いた次第でございまして、出資の面に限らず、地方公共団体との協調体制、たとえば事業計画につきましてはあらかじめ事前に地方公共団体の長の意見を聞く等の措置をとることが必要であるのみならず、拒否反応前提となっております財政負担等につきましても、この公団につきましては、従来になかったような思い切った相当強力な措置を講じたというようなことをもって、地方公共団体との協調体制を図っていこうとしておる次第でございます。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、四条の三項で出資の問題は明らかにしているわけでありますけれども、四項で「土地又は土地定着物をもつて出資目的とすることができる。」これは話が成立して、地方公共団体もこの地域について開発していこうということになった場合に、そこのところに地方公共団体としての土地が存在していた。そういうものをそのまま公団の方へ出資として受け入れてくる。形はわかるような気もするわけですけれども。     〔村田委員長代理退席委員長着席〕 ですから、開発していく場合に、資金をどのくらいということで出すことが出資基本なのか、それともその地域全体についての土地なりそこについている建物等を含めた定着物を提供する、そういうことを主なる目的としてこの出資という問題が出てきたのか、その点をひとつ明らかにしてください。
  18. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 出資につきましては、原則として金銭による出資というのが原則でございます。ただし、地方公共団体にとりましてもまた公団の側にとりましても、適切なる地方公共団体所有土地がありまして、これを出資の対象とすることがかえって好都合であるという場合がございますので、こういう現物出資規定も置いたわけでございまして、原則はあくまでも金銭出資ということが原則でございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、八条の非常勤理事六人以内を置くということでありますが、「六人以内」という六人はどこから出てきたのですか。
  20. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 非常勤理事を六人以内といたしました理由は、この公団のさしあたり重点に考えております地域が、大都市地域ということでございまして、大体三大都市圏を当初重点に考えておりますものですから、その三の倍数を一応予定いたしましたことと、それから常勤理事非常勤理事との数の比較、そのバランスを考えまして六人以内というふうにいたしたのでございまして、その六人の理事というものは、当初からこの六人を置くかあるいは順次これを設定していくかということにつきましては、その事業施行状況等を見ながら行うように現在のところ考えております。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 三大都市圏で六人ということになると、平均にすれば、東京なら東京中心にしてといっても、東京あり、千葉あり、埼玉あり、神奈川あり、その向こうの県にいくかもしれません。ということは、皆さんが開発しようという場合に、その地方自治体から非常勤として一名入っていただいて、公団地方自治団体と密接な連携を保っていくという構想で、したがって、もっとはっきり言えば、東京、中部、近畿、それぞれそこのところで二つの県ずつ六ヵ所始まってもいい、そういう構想なんですか。
  22. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま申し上げましたとおり、各圏域を代表する者が選任されることが必要でございますが、その場合、一ないし二名ということを考えまして、先ほど申しましたように、事業進捗状況等に応じまして勘案いたしましたときに、以内という意味は、最大限を六名といたしまして、やはり三の倍数をとって、最大限考えましたときに三大都市圏でそれぞれ二名ずつという考え方もありますし、事業進捗状況によりましては、あるいはある圏域から二名、それからその他の圏域から一名、一名で四人とすることもございます。最大限六名というふうにいたしまして、常勤理事八名とのバランスをとったのでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 この法案の二十三条に「地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。」とある。この「長」ということですね。これは、先ほどの自分のところの自治体の中に、公団と話をして、これだけの宅地開発をしていく、そうなってくると、出資の問題、それから非常勤理事の問題、そういうことで話が具体的になってきた場合に、そこのところの長の意見を聞く。言いかえれば、いままでの形よりも確かに地方公共団体との密接な連携のもとにこの開発をやっていこう、こういう意欲は何かわかるような気がするわけですけれども、いま申し上げましたそれぞれの問題が、話が調わなければ結局開発は進まない、こういうことになると思うのですけれども、そういうふうに確認しておいていいですか。
  24. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 地方公共団体意見を尊重し、かつその意思を十分に取り入れるということが、この公団の、先ほど申しましたように、一番大事なポイントであるというふうに考えております。したがいまして、いま御指摘の長の意見を聞くということだけではなくて、先ほど来申し上げましたように、種々の協力体制について配慮しておるところでございます。  長の意見を聞くといたしましたのも、出資についてももちろんでございます。出資につきましては、特に財政支出に関することでございますから、自治法規定に基づきまして、これは長の意見を聞くのみならず議会の議決を要する事項でございますが、いま長の意見を聞くというのは、その施行につきまして長の意見を聞くということでございまして、恐らく長はその意見を述べるに当たりましては、しかるべく議会内の常任委員会なりその他のしかるべき意見を聞くだろうということで、代表者としての長の意見を聞くということにしたのでございます。  その長が拒否あるいは反対の意向を漏らしますときには、聞かなければならないということでございますので、法文上はそれができないというふうには解釈できませんけれども運用上はきわめて困難な状態になることであり、またやろうといたしましても、それから先の事業が円滑にいくはずがございませんので、運用上は長の意見がもし拒否という姿勢になるならば、その意見が得られるまで事業はストップ、あるいは開始を中止してPRなりあるいは説得に努める、そういう努力が必要になってくると思います。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 私はこの中で、いま議会とかいろいろな話がありましたけれども、やはりその地域市町村、該当しているその影響が出てくるところの直接の市町村段階というか、そういうところの意見こそ非常に重要だというふうに思うのです。ここで言っている意味は、大きく分ければ県でありますし、それからそこの該当の市町村も、これは地方公共団体でありますから、ここで言っている意味はどういう意味を言っているわけですか。
  26. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 法案にございますように、地元の公共団体の長の意見ということでございますので、これは県はもとより、関係市町村を含む意味だというふうに御解釈願いたいと思います。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、この法案の二十四条関連する、特に公共関連施設の問題ですけれども、二十四条で、道路の関係、それから公園、下水道、河川、この四つについて特に特定公共施設という規定をしているわけでありますけれども、この四点だけを特定公共施設として法律上指定して、これは施行段階で国が直接公団に補助をして、この四つの問題については施行していく。国が多く出すわけでありますから、その残余の分については、地方公共団体に譲り渡すときについては、そのあとは償還していく、こういうふうになると思うのですけれども、この四つの問題だけどうして特定公共施設というふうに二十四条規定したのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  28. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 一般的に申しまして、この四つの施設が宅地開発あるいは新住宅市街地を形成いたしますために最も基礎的な、一般のそこに住む住民の生活の利便に供される施設というふうに考えられるからでございまして、もとより公共施設にはそのほかに各種のものがございますけれども、共通して一般的に宅地開発の基礎的な施設となるものとして、この四つを特に特定公共事業として限定した次第でございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 いま特にこの四つの問題が宅地開発の場合に隘路になってきたというふうに言われましたけれども、私はこれ以上に重要なのは、なお上水道の問題があり、学校の問題、特に保育園から中学、高校までの問題があり、医療施設の問題があり、特に学校関係の問題というものが非常に隘路になってきたわけであります。これは特定公共施設ということではなしに、その他の公共関連施設ということでいろいろな施策が行われていくと思いますけれども、私の言っているのは、どうしてこの四つだけで、そのほかのもっと重要な問題を特定公共施設という中に規定して国の直接な補助を行って地方公共団体に余り迷惑をかけないような形でその開発を進めるというふうにできなかったのか。特にここで申し上げておきたいというふうに思うのですけれども、この二十四条で言っている道路、公園、下水道、河川というのは、つくるときは簡単なんです。金さえ出せばできるのです。楽なんですよ。ところが、できてしまってから維持の困難なものについては、この特定施設の中に指定しないでその他の関連施設というふうにどうしてしているのですか。
  30. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 学校であるとかあるいは医療施設であるとかあるいは上水道であるとか、そういった施設が直接住民の利便に供する施設であることは御指摘のとおりでございますが、これらはこの法案におきましては利便施設的に取り扱っておりまして、利便施設としてこれを公団事業の中に取り入れまして、その関連公共広域施設としてこれを立てかえ施行というような形において助成し、あるいはそれを建設し、一定時間管理するというような方途を別途講じておる次第でございますが、直接これに補助をし、特定の公共施設として特別な事業費を負担するという制度にしたのは、先ほど言った理由で最も基礎的なこれらの施設があらゆる宅造に共通した重要施設であるからという認識に立つものでありまして、いま先生の御指摘になりましたものは、多くは利便施設的に取り扱っておるものでございます。たとえば上水道のごときも別途みずからこれを建設し、管理することができるという規定も置いておるわけでございます。それから鉄道につきましても、これをみずから建設し、管理することができるというような特別の規定を置いておるわけでございます。  しかし、これらはいわゆる公物法に言う公物管理権に属する施設ではなく、それぞれの管理主体が法律でそれぞれ限定されておりまして、公共施設という範疇に入らないものですから、それら以外のいま御指摘のような施設につきましては、特別の立てかえ施行とかあるいは直接施行権という権利を与えることによって一体的につくることができる別途の方途を講じた次第でございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 それぞれまた中身について聞きたいと思いますが、この二十四条で言っております特定公共施設に、国の交付金または補助を出していくというふうに言っておりますけれども、これがどの程度なされていくか、いままでの程度なのか、それともいままで以上に強力に交付金、それから補助というものがなされれば、それを除いて、でき上がったものについて今度地方自治体なりそれぞれに移すべきものは移していくわけでありますから、この交付金なり補助金というものが多ければ、もっと極端に言えば全額見るということになれば、地方自治体にはこの負担はかからないわけであります。そしてこの項目で、これが地方自治体と話が成立した場合においては、なお今度そこの議会の議決を経なければならないという項目もあるわけでありますから、当然少しぐらいな補助や交付金では、そういうものができ上がった場合にまたどういうふうに負担になってくるかということを考えてみた場合に、なかなかその議会の議決を得ることは私は困難だと思う。ですから、ここのところはどういうふうに政府は交付金を出すか、補助金を大量に出して、できれば全額でも出してやっていくという姿勢があれば、地方自治体とのこの隘路というものが開けてくるし、そうでない限り私は絶対にいままでの形というものを踏襲する、したがって開発は進まない、こういう状態が起きてくるだろう、言いかえればここのところが非常にポイントになっていくだろう、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味で、いまのところの交付金、補助金等についてはどういうふうに考えているか。
  32. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 道路、河川、公園その他の特定公共施設につきましては、直接公団に補助金を交付することができるという規定を設けました。したがって、その交付する補助金の率が高ければ高いほど後で償還することとなる裏負担分の地方公共団体の財政負担は軽減されることは御指摘のとおりでございますが、現在のところは、それぞれの管理法の補助の基準に基づきまして、道路ならば三分の二とかあるいは公園ならば上物は二分の一であるとか、こういう補助率を変更する意思はないのでございます。ただ、それを別途、これは三十年という長期の割賦で返済することができることとし、かつ十年間は据え置き期間を設けまして、その十年間の利子分は地方公共団体の負担としないという措置を講ずることによって財政的な地方公共団体の負担を除去するように別途講じているところでございますので、もとより補助金の率を今後かさ上げする、あるいは十一年目から返済するときに、その返済につきまして起債その他のめんどうを見るというようなことは配慮する必要がございますけれども、ただいまのところ補助率を特別にアップするということを公団法にあわせ関連して規定はいたしておりません。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 だから、還付する内容がどんなに緩和されても、一たん受けてしまったものは地方自治体で返していくことには変わりがないわけです。しかも膨大な、言えば六万から十万ぐらい住めるような宅地開発を行って住んでいく、そこのところに関連してくる、いま言っております道路だとか河川だとか下水道だとか公園だとか、そこのところにいままでのような率で補助金なり交付金を出して、それで公団が直接やるわけですけれども、そのほかの分についてはいずれにしても三十年間で返していくわけですから、広大な地域のやつを集計すれば相当高額な金になると思うのであります。そんな一本の川を一部直すというようなものじゃないのですから。  そうなってくれば、法案をつくってこのところにやろう、そして地方自治体といろいろ話をしていこうというふうに言っても、そんなに負担のかかるものを自分のところに来てやってくれというようなところは出てこないですよ。だから、そこら辺のところが一番大事だ。特に特定公共施設というふうに、二十四条で特定というふうに設けてやったら、いままでの形と補助が違うなんというようなことじゃなくて、いままでの倍以上も、全額見るくらいな姿勢でこの法案運用するという姿勢がない限り、つくっても全く有名無実になるのじゃないか、私はこれを恐れるわけであります。  それに関連して、先ほど言いましたそのほかの問題については立てかえ施行制度をやっていく、この問題について少しお聞きしたいと思うのですけれども、いま行っている立てかえ施行制度というのは、前にできた五省協定——五省協定というのをつくって、それはいままでずっと改正されてきておりますけれども、とてもそのときの率ではなかなかいけない、それが順に変わってきていまの立てかえ施行制度になっているというふうに私は理解している。これからもその制度で学校その他の問題についてはやっていくというのですけれども、いまそれぞれのところで行われている補助率なりそういうものの内容が、この中でこれから行おうとしているこの立てかえ施行制度と変わりないのかあるのか、補助率等についていま考えているのはどうなんですか。
  34. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 五省協定の一種の強化、改善であるということについてはお説のとおりでございます。十一年目から払えばいいというようにいたしましたのも、人口がその間に定着するから、十年という据え置き期間を置いた、長期の据え置き期間を置いて無利子とした理由でございまして、地方財政等の一時に多額の負担がかかることを避け、そして収入が入って、固定資産税等が入るまで待つということにしたわけでございます。  ところでその場合に、特定公共施設等における補助率につきましては、首都圏、近畿圏等におきましてはかさ上げの規定はございますけれども、特にそれを超えて、この公団事業なるがゆえに、特定公共施設であるがゆえに補助率を上げるということは考えておりませんし、五省協定の対象になる施設であるから、つまり立てかえ施行する施設であるからという理由で補助率を上げるということは考えておりません。  しかし逐年、衆議院のこの建設委員会の議決にもありましたように、大規模宅地開発等につきましては、できる限り地元負担の軽減を図るべく、補助率あるいは補助採択率あるいは補助対象あるいは起債等について強化措置を講ずべきであるということの御決議が昭和四十七年にございました。その線に沿って、逐年、段階的ではありますが、補助率やそういう手当てにつきまして、順次それを強化してまいっておるところでございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 冒頭問題にいたしましたこの答申の中でも、この線に沿ってこの法案ができている、こういう話だとすれば、特に地元の地方公共団体の財政負担についていろいろ配慮し、したがって、そこのところに過重に負担にならないように公共関連施設等については特別の助成制度を設けて強化していけ、こういう答申内容になっているわけであります。お聞きしますと、確かに二十四条では、特定公共施設というふうに一応の規定づけを行っていく、それからそのほかの関連施設についても、立てかえ施行制度によってやっていく、しかし中身はいままでと変わりありません、こういうことでは、答申またはいろいろな決議では、その補助等を高めていく、こういうふうに言っているというに言いますけれども、いま皆さんが考えている、これから施行していこうとしているその中身は、いままでと変わりないわけであります。  そうなっていけば、ただ償還について配慮していく、こういうように言われておりますその償還について、もう一度明らかにしていただきたいというふうに思うわけでありますが、二十四条の特定公共施設についての償還と立てかえ施行制度に基づくそれぞれの公共関連施設の償還方法と同じなのか。特にこの問題は、これから政令の内容となってくる問題だというふうに思うわけでありますけれども、しかし、政令で定めるというふうになっていても、それじゃその政令の中身をどういうふうに皆さん考えているかということを明らかにしていただかなければ、非常に重要な問題でありますから審議になりません。したがってその点を、中身と特定公共と立てかえの方とどういう関連で、同じなのか、どういう点が別なのか、明らかにしてください。
  36. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 特定公共施設につきましては直接施行権を与えた。したがって、直接施行いたしまして、そしてこれは管理者に引き継ぐわけでございますから、広い意味で言えば立えかえ施行の範疇に入るわけでございます。そういう意味におきましては、他の利便施設と性格的には同じでございますが、ただ、特定公共施設に要する経費が非常に膨大になりますので、これに対しまして、技術、能力を自分公団でもって立てかえてやるということ、これは地元地方公共団体にとっては非常に助かることであり、かっこれは利便施設をも含めまして十年間据え置いて十一年目から支払えばいいということにいたしまして、その間の利子等につきましては無利子とするということにいたしまして、かかった金の原資の償還の第一年目は十一年目から始まるわけでございまして、そこから利子がつくということにいたしましたので……(中村(茂)委員「利子はどのぐらい」と呼ぶ)利子率につきましては、通常の裏負担分の起債の利子率に該当する利子でございます。通常の場合六・五%という利子率でもって起債を受けまして、その起債の裏負担分の償還が特定公共施設の償還分に当たるわけでございますし、それから補助のつかない公益施設等につきましては、その立てかえました全費用につきましての償還が行われるわけでございます。こういう意味におきまして五省協定の大幅な改善を行ったというふうにわれわれは考えている次第でございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 ただ、特定公共施設ということで公団が直接補助金なり交付金を受けて施行して、今度でき上がったものを渡していく。それから立てかえ施行制度は、前にそれぞれ協定し合って負担分を決める。いずれにしてもどこへどういうふうにつくるということは別問題にして、私は、そう中身は変わりないけれども、しかし、直接補助金を公団が受けられるという妙味が特定というふうに決めた公共関連施設にはあると、こういうふうに理解しているわけであります。  ですから、全体的に見た場合に、やはり結果的に地方公共団体にかかってくる負担というものは、少し期限は長くなったけれども、償還方法が改善されたけれども、いままでとそう変わりはない、こういうふうに私は思う。しかも、先ほど申し上げましたように、相当膨大なものをやって、一本の川だけ返していけということではないわけでありますから、ここのところが相当改善されなければ、とてもじゃないけれども、これをを引き受ける地方公共団体なんというものは恐らくないだろう。  それと、もう一つの問題点は、そういうふうにしますけれども、先ほどから何回か言っておりますように、それぞれ協定を行っていくわけでありますけれども、いままでと何ら変わりないわけでありますから、その協定自身なかなか成立するということは困難だろう、こういうふうに思うのです。  ここのところに「多摩ニュータウンにおける住宅建設と地元市の行財政に関する要綱」というのがありますけれども、これを見た場合に、これはもうこういう非常に広大なところを宅地にしていく、新市街地を形成していくということは、まずまず大変なことだということを思わざるを得ません。  細かく申し上げる時間はないわけでございますけれども、この要綱の中の「別表二」というところに、こういう分け方があります。「教育施設」「医療、保健施設」「商業、業務施設」「官公庁施設」「社会教育施設」「社会福祉施設」「その他」。ですから、公共関連というふうに言って、それを大まかに分けても、ここのところでは六つに分けているわけです。そしてそれぞれの中身を見ていった場合に、これはもうとてもじゃないけれども  ですから、それをそれぞれ行って十年間は無利子、そして二十年間は六・五の償還で返していく、こういうふうに言っても、これはとてもじゃないが地方自治体は大変だろう、こういうふうに思います。  そこで、自治省が来ておりますけれども、この法案について非常に関係してくるわけでありますけれども、自治省の考え方をひとつ明らかにしてください。
  38. 高田信也

    ○高田説明員 御指摘のように、宅地開発公団は、大都市周辺におきますところの非常に大規模宅地開発を強力に行うということで、関連をいたします公共施設あるいは利便施設の整備もまた当然大規模なものになるわけでございます。私ども地方財政を担当しております自治省といたしましても、やはりそうした地方負担、ことに市町村負担について一番の心配をいたすわけでございます。  先ほど来お話のございましたように、立てかえ施行につきましても、あるいはまた特定公共施設の裏負担の問題にいたしましても、十年据え置きの三十年償還、これはそう変わりはないとおっしゃいますが、実は、現在の住宅公団の立てかえ施行制度は、三年据え置き、二十五年でございます。据え置き期間の利子も払わなければなりません。したがいまして、十年間の無利子、三十年というのは、これは大変な前進である。その間に住民税その他の税収も伸びてまいります。こういった方向で地方団体の財政負担をできるだけ軽減をするという措置はなされておると私どもは理解をいたしております。  さらにまた、先ほどお話ございましたように、公団の業務が円滑に行われますためには、当然のことながら、地方団体の全面的な協力が必要でございます。そういった観点から、地方公共団体公団とが十分な連絡調整を行いながら事業を進めていく、こういう仕組みもできていると理解をいたしております。  いずれにいたしましても、大都市地域におきます住宅対策は、大変重要な政策課題でもございます。したがいまして、地方公共団体がこれに対しまして協力をする場合におきましては、自治省といたしましては、できるだけ必要な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 できるだけ必要な措置ということはどういうことかわかりませんけれども、時間もありませんから余り細かく聞きませんが、一点だけはっきりお聞きしたいというふうに思うわけでありますが、あなた自身責任を持って、この法案が通った場合に、これを受けられるような地方自治体がありますか。
  40. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま自治省からの御答弁もありましたように、先ほど私は数字を明らかにしませんでしたけれども、十年据え置きの無利子という援助措置は、仮に六分五厘といたしましても十二年で約倍になる程度の援助でございます。一番宅地造成にとって大事なのは、当初に膨大な費用が一時にかかってくるということが一番の財政負担の圧迫の原因になるのでございまして、その点につきましては相当大幅な改善措置、強化措置を行ったというふうに考えておるのでございまして、これらの措置とあわせまして、いま拒否反応を示しておりますような地域におきましては、この財政負担という面が非常に大きなウェートを占めておりますから、こういう制度を強化いたしますことによって、その杞憂が除かれるというふうに考えており、したがって、その拒否反応が緩和されるというふうにわれわれは考えておりますので、まあわれわれのPRも必要でございますけれども、そういう意味から、地方公共団体拒否反応が十分に軽減され、そしてこの公団施行につきまして協力が得られるものというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 時間がありませんから、あと一括してひとつお聞きしますけれども、まず最初に水の問題です。特に水の問題については、昭和六十年になった場合に南関東では年間二十億トン、京阪地区では十二億トン不足が見込まれる、こういうふうに言われています。これだけの宅地開発を行うということは、水が確保できるかということが非常に重要な問題になるわけでありますけれども、この水の問題についてどういうふうに考えているか。  それから、二点目には医療施設。私も多摩ニュータウンに調査に行ってみて、これは昨年でありますけれども、非常に地方自治体なりそこに住んでいる人たちに聞いてみて痛切に感じたことは、医療施設の問題です。やはり人間がそこへ集まってくるわけでありますから、それに伴って医療施設というものがきちっとなっていかなければならない。ところが、日本のいまの医師会の内情、そういうものからして、地方自治体がどんなに苦労しても医師を確保することができない、施設を確保することができない。非常に大きな悩みになっていました。したがって、厚生省あたりに時間をかけていろいろ聞けばいいわけですけれども、別に呼んでもありません。しかし、こういうものをつくる場合には、医療施設をどういうふうにしていくかということは非常に重要な問題でもあります。その点の考え方をひとつ明らかにしてもらいたいというふうに思うわけであります。  それから、鉄道、軌道については、建設し、直接経営していくこともできるように法ではなっているわけでありますけれども、特にこの関係について二点ほどお聞きしたいというふうに思うわけであります。  答申では軌道という問題は触れていません。バスという問題については触れています。今度は鉄道と軌道、軌道については全国でいま行われているそれぞれのニュータウンの状況を見た場合に、新しく開発されたような軌道がそれぞれ取り入れられていくような計画もあるように聞いています。したがって、いま皆さんがこの法案をつくって開発を進めてい場合に、鉄道ではなしに新しく開発しつつある軌道なども取り入れていくという考え方で、この軌道というものを法案の中へはっきりさせてきたのか、その点が一点。  それから、これを建設していく場合に、鉄建公団建設をさせようとしているのか、それとも民間等を含めて建設させようとしているのか。そして、これを経営していった場合に恐らく赤字になると思う。赤字になった場合、その埋め合わせ等政府が直接赤字を埋めていくのか、原価主義だからということで地元負担にそういうものがほとんどなってくるのか、そして将来赤字等がなくなった場合に永久にこれを経営していこうとしているのか、それとも一定の時期までいった場合には他に払い下げるというか移譲させるというかそういうことを考えているのかどうか。一括ひとつ答弁してください。
  42. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 水の問題についてお答え申し上げます。  御指摘のように建設省の広域第二次報告では、いま先生おっしゃいましたような昭和六十年時点における水不足の数字があります。この予測時点が四十六、七年の時点でございますので、その後の経済情勢の変化等、その時点では工業用水等の需要が相当多く見込まれる、それがかなりダウンしておる。その当時の予想では、水道用水の予測は大体今日においても当たっているといいますか予測どおりに需要が伸びているということで、私どもはまだ作業中でございますけれども、それほどの不足の数字にはならないだろうと考えております。しかしいずれにしましても、首都圏等におきましては、水の絶対量がもう限界に近づきつつありますので、非常に厳しい状態になってきているわけですが、特に南関東地域におきましては、恐らく昭和六十年までには六百万以上の人口増になるだろうと推定されます。これに対処するために、御承知のように、水資源開発促進法に基づきまして地域の水資源開発基本計画を閣議決定しまして、それぞれ水資源の確保に努力しているわけですが、特に首都圏におきましては、いま利根川等の水資源開発基本計画の目標年次が五十年までになっております。これをいま見直しすべく六十年時点の基本計画の策定の作業をしております。その中で、大規模宅地開発等含めてそれぞれの地域の水需要に対応すべく協議を進めております。その基本計画の中で、そういう需要というものを見込んで対処してまいりたいと考えております。  しかし、水資源開発施設の進捗が非常に難航しておりますので、私どもとしましては、水源地域対策特別措置法もできましたけれども、さらにこれらの生活再建対策等について強化を図るべく、この辺も検討してまいりたいと思います。
  43. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 医療につきましては、学校と並んで直ちに必要となる重大な日常の生活のための利便的施設の一つでございます。これにつきましては、現在でも大規模開発をいたします場合に、住宅公団等におきましても、一定の技術的基準を設けまして、それにのっとってやっておるわけでございますけれども、この宅地開発公団は、環境のいい住みやすい新住宅市街地をつくるという趣旨から申しましても、特にこの医療施設につきましては最も重点を置いて、あらかじめ医師会等と協議が必要でございますけれども、事前に十分用意をいたしまして、これがおくれることのないように、日常生活に支障のないように図っていく所存でございまして、特にこういった大規模なものになりますと、住宅公団で従来考えておりますような最低の基準である一住区について診療所が幾つというような形のもののほかに、やはり一つの総合病院的なものが必要な場合が多いのでございます。そういうために、事前に準備を十分整えてかかるということが必要だというふうにわれわれは考えております。この医療施設につきましては特段の留意を払ってまいりたい。  それから、鉄道につきましていま軌道の話が出ましたけれども、これは軌道法、地方鉄道法、いずれかによるわけでございますが、現在軌道でもって団地を結んでおります例といたしましては、名古屋の桃花台等がございますし、大阪の地下鉄なんかは軌道法によっております。軌道法によるかあるいは地方鉄道法によるかということは、またそのときの判断によるわけでございますが、いずれにしましても鉄道の建設ということにつきましては、相当膨大な当初の投下資本が必要であり、かつ片道交通的な乗客でございますので、当初赤字が予想されるのでございまして、この赤字の補てんにつきましては、現在、地下鉄方式とかあるいは公営企業方式とかあるいは鉄建方式とかいうような三通りの方式がございます。いずれの方式をとるかによって違いますけれども、いずれにしましても宅地に割り掛けられることのないように、できるだけこの鉄道の赤字が大幅にならないような助成措置を、運輸省とともに共同いたしましてその方向で検討することが必要だと考えて、運輸省と十分その際は協議する予定でございます。  それから、赤字の補てんとともに、またこれが地区内を通りますときには、一種の受益者負担として、その宅地につきましては素地価格でというようなことで減額して譲渡するというような一種の受益者負担もあわせ行っているのが現状でございます。  いずれにしましても、軌道によるかあるいは鉄道によるかということにつきましては、その場所によりどちらをとるかということは決めなければなりません。一概にどちらをとるということは申し上げることはできませんが、一番大きな問題は当初の赤字をできるだけ少なくするような助成措置を講じてまいりたいというふうに思います。
  44. 常川隆司

    ○常川説明員 ただいま大塩局長の方からお答え申し上げた趣旨とおおよそ変わりませんが、若干の補足をさせていただきます。  最初の新交通システムの採用の問題につきましては、特に新交通システムを意識して軌道という規定を入れたということではございませんで、鉄道、軌道を合わせて書くのは、むしろ通常どちらになることもあり得るということでございますが、新交通システムを採用するかどうかということも一つの問題点ではございます。そこにつきましては、一つの問題点としましては、新交通システム若干弱点がございますのは、既存の鉄道と直通運転ができないという点がございます。そういう点。それから需要程度によりまして、あまり多いと新交通システムでは運び切れないという場合もございます。そういうようなあらゆる点を考えまして、最も有利な交通機関を選んでまいる、こういうことになろうかと思います。  それから、建設する場合に、現在ございます鉄道建設公団を利用するかどうかという問題でございますが、たてまえとしましては、公団が直接建設を行うということを前提に考えております。ただし、必要に応じまして、その方が便宜であればそのようなことも実行問題としては委託するということもあり得るというふうに考えております。  それから三番目の赤字の処理の問題でございますが、先ほどの大塩局長のお話にもございましたように、基本的には建設費の一部についての分担をお願いすることはございましても、オペレーションによる赤字というものにつきましては、これを入居者の負担になるというような形にはいたさないというふうにいたしたいと思っております。で、その場合に宅開公団が鉄道を経営すると申しますのは、あくまでやむを得ない措置ということでございまして、既存の鉄道事業者が自分建設をし、引き受けてくれればやらないということも当然の内容に入りますが、そのほかに、ただいまお話に出ましたような、たとえば若干経営のめどが立ってきたような場合に、それでもずっと永久に鉄道をやるかという点につきましては、宅開公団の性格等とも考え合わせまして、むしろある程度めどのついた段階におきまして、既存の鉄道事業者に譲渡するなりというようなことを行う方が適当ではないか、こういうふうに考えております。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 ここのところでまず大臣考え方をお聞きしたいと思うのです。  いまずっと質問してきましたけれども、その質問してきたのは、言えば、地方公共団体との関連において、いままでこういう大幅な宅地開発なり新市街地の形成というような問題、ニュータウンの建設というような問題について一番隘路になってきたのは、地方公共団体に余りにも負担がかかり過ぎる、そしてそこが隘路になってきて建設がなかなか進まない、ここのところをずっと聞いてきたわけでありますけれども、新しい制度は設けましたけれども、償還について若干の改善は見られますけれども、しかし、建設そのものの中身についてはそう前進した中身は見ることができない。しかも、原価主義ということで宅地またはそこのところに相当負担がかかっていく。鉄道の問題についても、先ほど答弁がありましたように、受益者負担ということで相当その地元等にも直接負担がかかっていく。こういうことを考えてみた場合に、こういう膨大なものをこれからこの公団で進めていくという場合に、いままで言われてきた隘路というものがこの法律で解決できるというふうには私は自信を持つことはできません。したがって、その点を重点にして大臣の答弁をお願いしたいというふうに思うのです。
  46. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 非常にむずかしい問題でありまして、公団法が通過をして、さて本格的に仕事に乗り出そうという場合には、ただいま御質問がありましてお答えをいたしましたようなもろもろの困難な問題が横たわっております。いつかも清水先生から、全く夢のような、理想のような計画ではないかと言われたことがありますが、考えてみればそれぐらい非常にむずかしい問題だと私どもは思っております。  ただ、ぜひ御理解をいただきたいのは、中村先生からも先ほど御指摘がありましたように、日本住宅政策民間任せじゃないか、こういうことを言われております。そういうことを考えてみると、公的住宅というものをやらなければならぬ重大な使命をわれわれはさらにこれから担っていかなければならぬと思うのでありまして、しかもその住宅問題は、いままでの公団住宅のたとえば南多摩の問題一つ取り上げてみましても、非常にむずかしい壁にぶつかってなかなか容易に解決つかない問題があります。それかといって、大都市圏中心にして住宅の要請というものはますます強くなっておる、その住宅要請にこたえるためには、まずその前提条件である宅地大量供給というものを考えなければ進まないわけでありまして、これはもういやおうなし、むずかしいからといって逃げて通るわけにはいかない至上命題だと思うのであります。そういう意味で私どもはこの問題と取り組んでおりますということをまず御理解をいただいておきたいと思うのであります。  さて、具体的に大量宅地をつくろうということになれば、先ほど御指摘のありましたような二十四条による特定な公共事業、これは道路にしても河川にしても下水道にしても公園にしても、宅地そのものをつくるための基本的な前提条件と申しますか最低条件であります。これは整えなければならぬことは当然のことであります。そしてそれが整えば今度は人が入ってくる、入ってきて住まいをすれば水の問題が当然起こってくる、医療の問題が起こってくる、交通の問題が起こってくる、どれも当然であります。利便施設としてこの問題にしても努力をしなければならぬことは当然でありますが、どの一つをとってみても容易なことでないことはただいま事務当局から御答弁を申し上げたとおりであります。しかし、これを解決つけることが私どもの仕事であり、これが政治でなければならぬと思っておりますから、努力をいたしてまいりますが、そのための前提条件はお説のとおり地方公共団体の全面的な協力を得ない限りはできないということであります。地方住民の協力を得なければ、そこに反対があり、意見のそごがある場合においては絶対にこの問題は成り立たないということでありますから、われわれがやろうとし、計画を立てたなれば、それをあくまでも地方公共団体に理解をしてもらって、そして本当に一致協力することでなくんばこれは成功しないということはお説のとおりであります。  じゃ、地方公共団体に協力してもらうためにはどうするか。必要以上の財政負担で苦しめるということがあってはならぬことも十分承知をいたしております。しかしながら、それを全部公費で賄うかということになると、一定地区の入居者のためにいわゆる公的な費用を全面的に投入することもできないことは中村先生も御理解をいただけると思いますから、幾分受益者にも負担の御協力を願わなければならぬことは当然の帰結ではないかと思っておりますが、従来の方針にかえて国が積極的にさらに援助措置を考えていかなければならぬことも当然であります。そういうふうに考えまして支払い償還方法が一部緩和されたじゃないかと言いますけれども、これも決してなまやさしいものではないのであって、地方自治体の償還条件の緩和は相当思い切った方策だと私どもは思っておりますが、それで十分だとは決して思っておりません。そういう意味において、今後地方公共団体の財政負担が特に過重にならないように、でき得る限り軽くして御協力願えるような体制を整え、条件を整えていくために今後も努力をいたしてまいらなければならぬことは当然であります。  ただ、もう一つ御理解を……。これは少しおしかりを受けるかもしれませんけれども地方公共団体が一切犠牲者意識になるということはいささかどうかと私どもは思う。確かに公団を持っていくこと、ニュータウンをつくることについては余り歓迎されておりません。これはいろいろ事情があります。それならそれでなぜ歓迎しないかということの問題もよく究明をして、話をしてみればわかってくれる問題もあるんじゃないかと私は思うし、もしこのままで放任をしておけば、いわゆる四十キロ圏から五十キロ圏内、だんだんとその周辺の地区にいわゆる宅地がスプロール化してしまって収拾のつかないような問題ができてくるとすれば、これはその地方自体も解決つけなければならぬ一つの大きな今後の課題になると思うのであります。そういう意味において、地方自治体そのものもこの問題と取り組まなければほうっておけない事態になりつつあるのではないかという事態を考えてみましたときに、そういう面もある程度お考え願って、そして私どもと一緒になって協力してもらうことを私は念願をしたい。すべて犠牲者意識の考え方でこの問題と取り組むということになりますと、おっしゃるような非常な問題ができてくるわけであります。好ましいことでありませんけれども一つ住宅団地ができ、あるいはそこに定着するということになれば、その地域にはまたそれだけのいろいろなメリットもあるはずでありますから、そういう面が将来支払いの財源に充当されるような形になってくるなれば、必ずしも一切犠牲になるというふうには私どもは考えたくないと思っております。これはおしかりを受けることかもしれませんけれども、そういった面でも地方自治体と十分に密接な連絡をとりながら、意見の一致を見てこの問題は協力して進めていかない限り成功はしないということはおっしゃるとおりでありまして、そういう意味で今後最善の努力を尽くしてまいりたい、かように存じております。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 いま大臣の答弁をいただいたわけでありますが、私はそれについても幾つかの意見を持っておりますが、時間がございません。  もう一つの問題は、こういう広大な開発宅地にしてもそのほかの問題にしてもしていく場合に、それぞれ地域住民または地方自治体といろいろな協定をしていくわけでありますが、協定をしても、その協定が完全に実施されるかどうかということで方々でいろいろ問題が出ています。ですから、直接は関連ありませんけれども、そういう問題について公団施行していく場合においても、公団のそういうものについての姿勢というものが非常に大事になってまいりますので、その点関連質問委員長からお許し願いたいというふうに思うわけでございますが、中央高速道の杉並区高井戸のところにずっと通ってくるところに、南側に富士見丘小学校、それから北側に、これは民間経営でありますけれども、浴風園という老人ホームがあります。そして、その環境について、三者協定ということで公団と都と地元で環境保全について協定しているわけでありますけれども、その協定と学校というような問題を含めて非常に問題が起きておりますので、広い意味でひとつ関連質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。違う委員が見えておりますので、ひとつお許し願いたいと思います。
  48. 金子みつ

    金子(み)委員 貴重な時間をちょうだいいたしまして、いまの中村委員質問関連させていただいて、道路の問題で二、三お尋ねさせていただきたいと思います。  いま大臣のお手元にお届けいたしましたのは、私がこれから質問をいたしましようとする対象の物件でございますので、御存じないかと思ってお届けいたしましたので、ごらんになっていただきたいと思います。  いま中村委員からもちょっと触れていただきましたが、この中央高速道は、東京都の調布から都内に入ってくる道路でございまして、昭和三十八年ごろから計画が一部変更になりまして、いままでの計画とは違った方向にこの道路の位置が決められたということでございます。この中央高速道の下には放射五号と補助二百十九号というのが計画されておりまして、すでに通っておりますが、この上に二階建てで通る中央高速道でございます。この道路につきましては、杉並の高井戸地点へ参ります前にすでに世田谷の烏山北住宅の間を通るということで大変に社会的にも政治的にも問題になった道路でございますから、道路そのものについては御存じであるかと思います。が、きょう私が短い時間でお尋ねさせていただきたいと思いますことはしぼらせていただきます。  この道路は、御承知と思いますが、すぐ近くに環状八号が通っております。それで、その環状八号との関係において上り下りということが考えられているんだと思いますが、この環状八号との結びつきの関係から上り下りのインターチェンジというものがつけられる予定が立っておりまして、たまたまそのインターチェンジをつける場所が、南側は富士見丘小学校のすぐ横でございます。それから北側は、反対側になりますが、浴風園という老人ホームのすぐ横になっているわけでございます。しかも、その道路と学校の関係は、校舎が道路の高さと同じになるわけですね。しかも、その道路と校舎の距離は十二メートルしか離れていないということでございますから、御想像いただけばわかるのですが、子供たちが勉強している頭の横を車がかすめて通る、こういうような条件になっているわけでございます。  そこで、この道路が計画されました時点におきましては、確かにまだそれほど住宅は密集してはいなかったと思います。しかし、そのときすでに小学校はあったのです、戦前からあったのでございますし、浴風園という老人ホームは由緒の深い老人ホームで、千床近い老人を収容しておりますけれども、これはもうずっと昔から、大正の初めからあったようなホームでございますから、この二つのものがその地点にあるということがわかった時点でなぜインターチェンジの地点を計画変更できなかったのかということは、非常に私たちは不思議だと思いますし、いかにもそういう施設を無視して、道路一本やり、道路優先の行き方を推し進めてこられたような感じがして、非常に問題だと思います。そのことをいまここで言おうと思うわけじゃないのですけれども、そういう道路を進めていく姿勢があるということをわかっていただきたい。  したがいまして、当然のことながら、地元の人たちはこれを非常に問題視したわけでございます。それで、いま中村委員も言ってくださいましたように、直ちに地元にはこれの対策協議会ができまして、そしてそれ以来公団と地元と東京都とは三者でずっと話し合いを続けてきております。この話し合いの過程につきましては、長い時間の問題でございますし、時間もかかりますので省略させていただきますが、私はきょうここで今後の進め方について二、三御質問を申し上げながら、政府側あるいは公団側の御意見をぜひ聞かせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  まず、その一つでございますが、いま申し上げたこのインターチェンジの問題でございますけれども、環八との結びつきをどうしても考えなければならないというのでございますならば、インターチェンジが必要だということはわかりますが、それならその場所をいまの地点よりは別の地点に動かすということを考えてもらえないかどうかということです。  現時点では地元とのお話し合いの中で、いまつくられているところのインターチェンジは当面凍結されている形になっておりますから、いままだ道路もでき上がっておりません。ですから、そこは使わないということになって、いま話し合いはそういうふうになっているのでございますが、当面ということは非常に不安でございます。これは道路が完成する暁には、またそこを利用されるのではないだろうかという不安が地元にはいっぱいあるわけですから、そういう当面という考え方を改めて、永久凍結、そうでなければ、全然別の地点にインターチェンジを持っていくということが考えられてしかるべきじゃないかと思いますが、地元の学校と老人ホームの両横にインターチェンジをつけるなどという非常に無神経な、非常識な計画というのをこの際ぜひ変えていただきたいですし、変えていただく必要があると思うのですが、そういうことについて公団側の御意見をまず聞かせていただきたいと思います。
  49. 三野定

    三野参考人 この高井戸のインターチェンジでございますけれども、これはただいま先生からも御指摘がございましたように、環状八号線との関連におきまして、中央道の有機的な利用を考えます場合にインターチェンジは必要であるというふうに私どもは考えております。また、大臣からお示しをいただきました整備計画にも、この中央道は首都高速四号線及び都道新宿−府中線、これは俗称放射五号線と言われているものでございますけれども、これとの連結が明示されておりますので、私どもとしても有機的利用を考えますと、どうしても必要であろうと思います。  しかしながら、御指摘のようにいろいろな環境問題について問題がございまして、ここ数年にわたりまして御相談をしてまいっておるわけでございますけれども昭和四十八年の十二月に、地元の皆さんでつくられております高井戸地区公害対策協議会並びに東京都とそれから私の方の道路公団の三者で締結をいたしました協定におきまして、「ランプの位置および構造については、誠意をもって変更を検討する。」ということをお約束をいたしております。それにこの協定にのっとりまして、私どもは何とかひとつ環境対策がもう少しよくなる方向でこの計画を変更できないものかということでいろいろ検討を加えておったわけでございまして、これにつきまして私どもで考えました、従来二本のランプで交通処理をしていたものにつきまして三本のランプで負担するということにすれば、全般的にはるかに改善されるのではなかろうかというような案も御提示を申し上げましたわけでございますけれども、なかなか調整がつかないままで、したがいまして、調整がつかない間は私どもは工事を進めないというお約束に従いまして今日に至っておるわけでございます。  私どもは、この必要性並びに政府からもそういうふうに命令をいただいております。何とかひとついろいろ知恵をこらして、何とか御理解のいただける案にいたしましてということで一生懸命努力をいたしておるわけでございます。永久凍結という強い御要望があるのは承知いたしておりますけれども、この辺のところは御理解をいただきまして、何とかひとつうまい解決に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
  50. 金子みつ

    金子(み)委員 いまの御答弁、わからない点が幾つかございます。大変抽象的な御答弁がございました。  この協定では確かに「ランプの位置および構造については、誠意をもって変更を検討する。」とございますので、これはこのまま読めば大変に、ああそうかということになるのですけれども、じゃ具体的にどうなのだということになると何にも出てこないのですね。これではやはり私は地元の人たちは納得できないと思うのです。  ですから、ランプの数をどうこうというその構造についてお話がありましたが、それがどういうような結果になるのかということやら、あるいは、それならばいっそのこと、永久凍結が困るというお話でございますけれども、位置を変えてしまえばその問題はむしろ早く解決するのではないかと思うわけなんですが、この点は公団では、その位置についても変更を検討するということなんですから、できるだけ早く、そして具体的にそれではどこへということをお示しくださらないと、話し合いはいつまでたっても解決がつかないというふうに考えます。その点は建設省ではどうお考えでございましょうか。
  51. 井上孝

    井上(孝)政府委員 ただいま公団三野理事から御説明申し上げましたとおりでございますが、先生いま御指摘ございましたが、いま公団最後にお示ししておりますのは、高井戸の富士見丘小学校の前の下り方向のオンランプ、これに、計画予測では一日約一万台の車が上り下りする。それが学校の環境等を非常に悪くするのではないかということでございますので、いま三野理事が御説明いたしましたが、ちょっと言葉がはっきりいたしませんでしたが、もう一カ所環状八号の中之橋のところにオンランプを増設いたしまして、これはいま計画にないわけでございますが、この一万台を分散させよう、まだ予測でございますが、一万台が、仮に中之橋のランプができますと、そちらの方で約七千台ぐらいと推定されております。したがって、現在の富士見丘の西に予定しておりますランプが約三千台に減るというようなことで、地元の御了解を得るよう案をお示しして御相談に入っているわけでございます。  私ども建設省といたしましては、公団が誠意を持って地域の方々とお話し合いをしておられますので、その結果を待ってこの取り扱いを決めたいというふうに考えております。
  52. 金子みつ

    金子(み)委員 いまの御計画が話し合いの最中であるということでございますから、その話し合いの進み方をもう少しよく見まして、さらにまたその進み方ぐあいによりましては改めて再度質問をさせていただくということにいたします。  次に、もう一つの問題でございますが、いま一つの問題は、そういういまのような御計画が一方ではあるということはいまお話を伺ったわけでございますけれども、実はこの協定書の中にございます昭和五十七年度推定交通量六万四千台なんですけれども、六万四千台が走った場合にどれぐらいの騒音になるかとか、どれぐらいに排気ガスが出るかということを想定して、そして別の場所で測定されたものを一つのデータとしてでしょうか、ここに基準のようなものがつくってあります。そしてその基準は守るのだということをおっしゃっておられるわけでございますけれども、これはどこまでも推定でございまして、六万四千台走るのは五十七年度だから、ことし五十年度あるいは来年五十一年度にはそんなにたくさんは走らない、こういうお話もありますが、何台走るかは走らしてみなければわからないことで、ここが開きましたればどれだけ入ってくるかわかりません。これは東京都心へ入る最も近い、最も便利な道でございますから、とても五十七年まで待たなくても六万四千台は通るだろうと私どもは想定いたします。  ですから、初めからこういう基本的な計画が大変にのんびりしているということも考えられるわけですが、それはともかくといたしましても、ここに載せてあります基準の数値の問題なんですが、何ヵ所かで測定されたものをここに載せておられます。  これは騒音のレベル推定値なんです。推定ですから実際にはどうなるかわかりませんけれども、仮にこうなると仮定してその数字をながめてみますと、南側、すなわち学校側ですが、学校側は朝も昼も夕方も夜もその騒音の数値がほとんど変わらないのですね。たとえば朝五十三、昼五十四、夕方五十一、夜四十九というのですから、余り変わりませんね。こういうような状態幾つもございます。私は、学校というのは教育をする、子供たちが勉強するところでございますが、いまこの子供たちが勉強するために環境をよくしなければならないわけですが、こんなに高い音ではやはり問題だと思います。たとえば図書館などは騒音は四十台でございますね。ですから、せめて図書館並みに騒音を規制してもらわなければ学習の環境としては適当ではないのではないかと考えられます。  それからもう一つ、北側でございますが、これは老人ホームのある方の側でございますが、この北側がやはり朝五十二、昼五十三、夕方五十一、夜四十九というのですね。これではやはり昼も夜もほとんど同じで、お年寄りの方たちの睡眠を妨げるということになりかねない。夜の騒音というのは都内でも四十でございます。深夜は四十という数字が出ておりますから、せめてこれは四十におろさなければならないと思うし、学校側は四十台、五十以下というふうに考えていきますと、この推定をお出しになった公団の限界はぎりぎりだと思います。  これを守ります、ここまでできます、こういうお考えだと思いますので、そうするとそれでは非常に問題だと思いますので、さらにこれを下げていかなければならないと思いますが、そうなりますと、あと残った問題は私は車両制限だ、それ以外にないというふうに考えられますし、それをする必要があるというふうに考えるわけです。  車両制限と申しましてもいろいろあると思いますが、たとえば重量制限をするとか、あるいは速度を落とさせるようにするとか、あるいは走る車そのものの数を減らすというふうなことが考えられると思うのですが、私は提案しながらお願いをしたい、あるいは考えていただきたいと思いますことは、この高い騒音を落とすために、何も一日じゅうとめろというわけでなくて、南側は高速は二車レーンでございます。ですから両方で四車線になります。ですから、その南側の学校寄りの方の一車線を、ある時間帯を限りまして、すなわち学校で授業が行われている時間帯でいいと思いますから、その時間帯に限って車の車両規制をする、あるいは夜になりましたら、今度は逆に反対側の北側の方の一番はずれの車線を夜中は規制するというふうなことをして、せめてそのようなことでもしていただきましたならば、子供の教育環境も守られると思いますし、あるいはお年寄りの生活の環境は守られる、ことに夜の環境は守られるというふうに考えられると思いますので、そのことをぜひやっていく必要があると考えるのですが、そのことをいたしますのには警察側の御協力をいただかなければならないと思いますので、警察庁の方に来ていただいておりますが、車両規制という問題について、もしここにそれだけの必要性があるならばそれはできるのかどうかということについて御意見を伺わせていただきたいと思います。
  53. 森郷巳

    ○森説明員 御承知のように、警察の行います交通規制は、道路あるいは交通その他与えられた条件のもとで交通の安全を図りあるいは交通に起因する障害を防止して市民の健康と生活環境を守るという立場から、これまでも積極的に取り組んできたところでございます。最近、この種の公害が各地で発生いたしておりまして、交通規制を望む声がかなり多いわけでございます。私ども基本的には交通公害を防止するためにはやはり総合的な対策が必要であるというふうに考えておりまして、ことに根源的、効果的な対策を講ずるという観点から申し上げますと、やはり道路構造なりあるいは輸送体系なりあるいは自動車の車体なりそういった面の改善が必要であるというふうに考えております。  問題の場所につきましては、伺いますと、道路公団が道路構造の改善等の交通公害防止の対策を講ずるということでございまして、問題はないと思いますが、仮に供用開始された後におきましてお話のような騒音そのほかの交通公害が発生した場合におきましては、先ほど申し上げましたように、市民の健康なり生活環境を守るという観点から、これまで私どもが行ってまいりましたそのほかの道路における交通規制の事例等も十分に参考にしながら、効果的な交通規制のやり方といったものを検討さしていただきたい、このように考えております。  ただ、その供用開始の前に当たりまして、当然いろいろ実態を検討してみた結果、いろいろな交通公害が予測される、あるいは交通事故が予測されるという場合につきましては、やはり交通規制といったものは当然御要望があるかと思います。その点につきましては、やはりその実態を考えながらどういったような交通規制がいいのか、どうすればいいのかということを十分検討さしていただいて、前向きの姿勢でそういった面の対策を講じてまいりたい、こんなふうに考えております。よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。
  54. 金子みつ

    金子(み)委員 問題が起こらない前に予防対策としての交通規制が考えられるというお話ですから、その点は評価したいと思いますけれども、実際問題としてあちこちにすでにデータがあることだと思いますから、いまの御答弁のように、始まる前にそういうことが想定されたならばいち早く具体的に規制をしていただきたいと思います。その規制の方法は何がいいのかということは、専門家の方々もいらっしゃることだと思いますし、地元とも相談し合いながらその具体的な方策を考えていただければ結構だと思いますので、その点をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間もございませんので終わらせていただきますが、要するにいままでの努力もわからないわけではありませんけれども、どちらかと申しますと、車優先のような姿勢がずっととり続けられてまいりました結果現在に至ったんだというふうに考えます。最近に至っては地元との話し合い等がありまして、少しずつ姿勢が変わったようにも見受けられますが、それ以前からそのことが行われていたならばこんな結果にならなかったのじゃないかと考えられます。ですから、そういうようになりましたその点を強く反省して、今度は事前に、いま申し上げましたように後手対策ではなく、事前に処理ができるようにぜひ十分検討を進めていただきたいと思います。  御承知のように、この問題はここで解決は済んでおりません。まだまだこれから話し合いが続けられることだと思うのでございますが、話し合いがつかない間に、たとえば五月には開通するのだというような話が示されたりしておりまして、地元は非常に不安になっております。ですから、そのようなことが本当にあるのかどうかということを私も確かめておきたいと思いますことが一つ。  時間がございませんからまとめてお返事いただきますが、そのような話し合いが十分つかない間にいわゆる見切り発車のような形で着工されるということのないように、これはかたくお約束を願いたいと存じます。そのことは公団側からもお返事がいただきたいし、そうして最後建設大臣にもお願いを申し上げておきたいと思うのですけれども公団の動き方、進め方について、厳しくそして適切な行政指導をぜひお願いしたい。後手後手にならないような形でこの際はぜひ考えていただきたいということを強く要請して、御答弁を願いたいと思います。  では公団側から。
  55. 三野定

    三野参考人 この中央自動車道の高井戸−調布の区間につきましては、実は大変に供用開始がおくれたわけでございまして、私どもとしても非常に責任を感じておるわけでございます。私どもは、ただ道路をつくって車を通しさえすればいいという目前の意義だけでやっているつもりではございませんで、甲州街道を含むこの地域の広域的な環境改善というものにぜひ寄与したい、しなければならない、それから、ひいてはそういうことに関連しまして、全体的に国民福祉の増大というようなことに寄与するということを信じてやっておるわけでございますが、すでに西側の調布以西の地域からも強い早期開通の御要請がございます。しかしながら、地元の皆さん方にめちゃくちゃに私どもはやるつもりはございません。ぜひひとつ誠意を尽くしてお話し合いをいたし、従来も高井戸地区の公害対策協議会の皆さんとは十分にお話し合いをしてきたつもりでございますし、学校の御当局、区の御当局、公害対策協議会にはPTAの幹部の方もお入りいただいておって十分に話し合いをしてきたつもりでございますけれども、しかし、御指摘のような問題がまだ残っているということでございますので、これにつきましては私どもも誠意を尽くしてお話し合いをし、可能な限り対策をとりたいと思いますので、どうぞその辺のところを御了承いただきたいと思います。
  56. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先ほど写真も見せてもらいまして一応ごもっともだと思います。公団とそれぞれ関係の人々とが話し合いを進めておるようでありますから、一日も早く話し合いが円満に解決がつくことを私は望みますし、解決がつけばそれに基づいて慎重に対処していくつもりでありますが、現在解決がつかない限り事業も中止いたしておりますし、調整がつかないうちに見切り発車をするようなことはいたしません。これは公団と十分に話し合ってゆっくり開始いたしたいと思います。  もう一つの騒音について警察庁の方からの御答弁がございました。決して私どもは道路を車優先にしたというわけじゃないけれども、過去においては若干そういった面に不十分な点があったと思うわけであります。したがって、いま道路構築をするのには、まず振動や騒音等を考えた構造を第一に取り上げまして、これからのものはそういった面で道路構築をやっておるつもりであります。ただいまの騒音の問題についても、いま警察庁の方からああいう大変積極的な姿勢が表明をいたされましたから、そういう面も十分に連絡をとりまして遺憾のないように処置をいたしてまいりたいと存じます。
  57. 金子みつ

    金子(み)委員 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。質問を終わります。
  58. 天野光晴

    天野委員長 佐野憲治君。
  59. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣にお尋ねしたいと思いますけれども大臣もこの宅地開発公団が果たして必要かどうか、現在の日本住宅公団の機能を充実させる、あるいはまた地方自治団体の協力によって住宅問題に取り組みたいと非常に長い間深刻に悩まれた、しかしながら、結論としてはやはりこの公団が必要だということで提案したんだという御趣旨の心境を表明しておられたのでありますけれども、先ほど来の各委員からの質疑を通じましても、私は大臣がやはり必要だと決断されたその意味がどうものみ込めないので、そういう意味から少しお尋ねしてみたいと思うのです。  一つには、日本住宅公団が三十八年ごろから団地の建設地の地元自治団体に対して建設戸数の何割かを割り当てる。そういうことをやりました原因といたしまして、団地お断りが出てまいったことに対する有効な対策がないからやむを得なかった。住宅自身を割り当てる、こういうこと自体にいたしましても、公団法あるいは公団目的から考えて非常に不均衡でもあるし、またそうした公団法の目的に照らしましても重大問題じゃないか。そういう点は国会でもしばしばただされた点でありますけれども、しかし、その後、これらの地元に対する優先割り当て制度というのはだんだんエスカレートしてまいっておる。  たとえば昭和四十七年の十一月に神奈川、埼玉、千葉三県知事が一〇〇%を要求する、こういう事態も引き起こってまいりました。そのために、いろいろな公団との協議の結果八〇%をこれら三県に配分をするという合意を見ておるわけですが、首都圏において七〇%を占める建設、これらのものが八〇%まで地元の優先入居だ、しかも八〇%が県でありますけれども、その県のうち、県はまた町村との間におきまして八〇%を地元市町村に配分をする、こういうことをやっております。この点につきまして、たとえば大阪の場合は五〇%だ、首都圏の場合は八〇%だ、こういうことになってまいります。  最近新聞にも出ておりますように、埼玉県の北坂戸ですか、これに対するところの割り当てを見てまいりましてもやはり同じように地元八〇%だ。ですから、一般の募集は二割ですから、六百四十倍というような大変なものだ。しかしながら、地元の割り当てに対しましては再募集をしなければならぬほど実は応募者が満ちてない。再募集の結果、埋まってはおりますけれども、こういう点について大臣としてどうお考えになりますかということ。  もう一つ関連いたしまして、そういうだけじゃなくて、さらに今月の一二月七日の朝日新聞ですかを見てまいりますと、市川市が、松戸市に建設された公団住宅に対しまして勤務先を指定をする、六五%は総武線を利用して行っちゃいけない、常磐線を利用しなければならない。というのは電車が込むから、あるいは交通が渋滞をするからと、こういう要求についに応じて先ほどのような結果となったということが朝日新聞に報じられておるわけですけれども、こういう点に対しまして、大臣、率直な見解をお聞きしたいと思うのですが、これまでの住宅建設はなお引き続き行われておるわけですね、住宅公団として。しかも大規模な団地造成もやっておるわけです。そういう場合において、公団法の目的に照らしても、住宅困窮者に対して優先的に住居を与えるというのに、地元主義の名においてこういう不公平、差別が生まれてまいっておるということに対して、大臣としてのお考えをひとつ最初にお聞きしたいと思います。
  60. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 住宅公団住宅建設で一番いま悩みを持っておるのはそこであります。団地お断りという地方団体の非常に強い抵抗と申しますか、意思がある。これは何かといったら、団地をもらったところで超過負担や関連公共で特別な費用を積むだけで何にも地元にはメリットがないんだと、こう言うのであります。だから、住宅建設を同意するかわりに地元も優遇せよということが、八〇%までは地元に供給せよと、実はこういう条件になってくるわけでありまして、しかもその八〇%は、地元では消化できなくて再募集をせなければならぬといったような、住宅が大変少ないときに矛盾した事態が生じておることも十分承知をいたしております。これは決して好ましい、いい方策ではないということを百も承知をいたしておりますが、背に腹はかえられないことで、そういう方向をとってきたということは事実でありますが、しかし、こういったことをこれから何とか改善をして、せめて半々ぐらいにでもなれるような方法を考えなければならぬ、そのために一体地元にはどういう意見があるのか、どういう条件が必要であるのかといった問題を考えなければならぬと思います。  メリットは全くなしに出費だけがあるということに地元の大きな抵抗があると思いますから、じゃそれをどういう形で緩和していくかということがこれからの住宅対策一つの大きな課題で、私どもがいつも言っておりますように、地元の公共団体との意見が完全に一致することの前提がない限りは、なかなか住宅問題は進まないということを言っていることは従来のとおりであります。そういう意味で、決して現在やっておることが私どもほめられる政策であるとは考えておりませんし、むしろ逆に先生のおっしゃるようなおしかりを受けていることは十分承知をいたしております。  後の方の御質問の要旨、ちょっと私ではなにですから、公団がおりますから公団にお答えさせましようか。
  61. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 公団に答えてもらわなくてもそのとおりであると思います。電車が混雑するから勤務地を指定をする、こういうことはやはり憲法上の問題にもかかわってくるのじゃないですか。職業の自由なりあるいは居住の自由、これに対しまして、公団に入居したがゆえに、実は東京に通勤している勤労者の皆さんが、せっかく近い市川駅を利用して行けるにもかかわらず遠い常磐線を利用して行かなくちゃならない、そういう点に対して大臣どうお考えになりますか。やはりこれは憲法上の問題も含んでいるのじゃないかという感じもするのです。公団はやむを得なかった、市川市はそうでなければ認めてくれない、だから地元の意見に従ったんだということでは済まされない問題点を含んでいるのじゃないかと思うのですが、大臣どうですか。
  62. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公団の地元優先割り当ての可否につきましては、先ほど大臣からお話があったとおりでございますが、特に最近の情勢を見ますと、神奈川県ではやはりいままでどおりその八〇%が厳守されております。ただ結果といたしまして、千葉県、埼玉県等では、地元が千葉県では六二%、それから埼玉県では四五%は地元というのが実情でございます。  それから、いまお話の出ました松戸の新しく今度募集いたしました方法でございますが、先ほど先生もおっしゃいましたとおり、まず地元に八割を割り当てますと、その中の市にまた八割を地元が優先をさせておるというのが実情でございます。本来ならば、たとえば松戸に家が建ちますと、松戸市そのものに八割の八割ですから六四%を割り当てるというのが従来の千葉県のやり方でございますけれども、それを松戸市以外の総武線沿線のところも含めて六四%の割り当てをしたというのが実情でございまして、実際地元優先八割の中では、いまの市川の方を通って通勤する方についても当然応募できるわけでございまして、職業の自由とかいまの居住の自由とかを侵すというところまではまだいっていないと思っております。  ただ、住宅公団のそういうようなことにつきましては、住宅宅地議会の中間報告の中でも実は指摘を受けております。住宅公団としては、「大都市地域における広域的な住宅需要に対応して住宅供給を行うことを使命としているが、現実には建設戸数の減少が著しく、また地元優先入居の一般化等により、本来の供給目的の実現に支障をきたしている現状にある。したがって、今後は関連公共公益施設整備施策の拡充、強化等によりその建設促進を図るとともに、広域的観点にたった供給管理体制の整備を強力に推進する必要がある。」という御指摘をいただいております。その方向に沿って今後しっかり検討を続けて考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  63. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣どうですか、お話を聞いて。たとえば前段の方の、地元優先割り当てはやむを得ないんだ、こういうことに対しても、私はやはりなぜ団地をお断りになっておるんだ、先ほど大臣もしばしば言われるような、その原因を究明したい。三十八年からそういうことが起こっておるわけですからね。ですから、お断りがなおもエスカレートしてくる。緩和してくるならまだわかるのですけれども、激しくなってくる。こういうような現況の中において、しかも通勤先までも指定されてしまうというようなことが起こってくる。後からまた御質問いたしますけれども、そうした問題に対して一体どうするんだ。そのまま、いまの三県知事と公団との合意ですか、これに基づいたものをなおもやっていくことを認められるのかどうか、是正するのかしないのかということ。私は大臣、こういう団地をお断りになってくるその現実に、国や公団が十分な対策、処置あるいは納得する対策をとることができ得なかった、ここにやはり大きな問題があると思うのです。しかも、住宅政策の根本的な問題である。それを、単なる地元に優先配分するという変形的な、言ってみれば技術的な処方によって問題をすりかえておることはもう許されないんじゃないか。この問題は住宅基本的問題だと思うのです。それを地元が要求するからと、単なる地元優先という技術的な対策で問題に目をふさぐということは許されない段階じゃないか。そういう意味におきまして、大臣としてこういう不公平に対してこれからどうするんだ、公団法の目的に照らしても許すことはでき得ないという大臣としての指揮監督権というのはどういう形で出てくるのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  64. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 佐野先生、非常にこれはむずかしい問題ですよ。そういう条件でなければ団地はお断り、こう言うのですから、断られたら建てぬでいいかというわけにいかないでしょう。私ども実はこの問題は内部でも公団関係者も呼んでずっと議論をしておるのですよ。公団でそういう団地をつくって、そうして、地元はそういった相当厳しい条件をのまなければ納得してくれないし、それでいてさっぱり喜ばれていないし、一体だれのために住宅を建てるのか、どうして公費まで使ってだれにも喜ばれないことをしなければならぬのかと、そういうことまで議論しておる。それは結局東京都内の住宅困難な人を救済をしていくために−救済という言葉が悪かったら取り消しますが、処置をしていくためにどうしてもやらなければならぬ、周辺の人々も御理解を願わなければならぬという大きな目的のために私どもはやるんですから。  しかも私は、さきにも少し申し上げましたが、周辺の関係県、市町村がすべて、何と申しますか、犠牲者意識になっておることにもいささか考えさせる問題があると思うのです。ほっておけば、じゃその地域は一体どうなるのか。だんだん住宅がスプロール化してきて、そして後追いをしなければならぬ地方自治体も困る時期が来るのじゃないかということを考えてみると、みずからもそういうものに積極的に乗り出して、協力しながらこの問題を解決し、あわせて住宅供給を円滑にしていくという考え方にもう少し返ってもらいたいという気持ちも実はするわけであります。  いずれにいたしましても、言うとおりに八〇%を優先しなければ一切団地を建てません、承知しませんよと言われれば全くお手上げの状態の今日を、どうして今後この壁を破り、協力してもらって、しかも東京都の中心地帯の人々の要望に沿えるような住宅をつくるかということは、これは大変むずかしい問題、大きな政治的問題でもありましょうし、一役人の技術的な答弁で解決がつく問題ではありません。  そういう意味で私ども大きな悩みを持っておりますが、さればといって、ほっておくわけにいきませんから、こういう法律まで出して御審議をいただいておるわけであります。そういう意味で、私ども、野党の皆さん方もいい考え方があればどんどん教えてもらって、そしてこの問題の解決に向かっていきたい、かように思っておりまして、そういう意味では御協力を賜りたいと思っております。
  65. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 具体的な対策はない、これからひとつ大いに検討していきたい、こういう大臣趣旨なんですけれども、それではやはり一千万の住宅困窮者、首都圏だけにおきましても三百五十万を超えると言われておるこういう人たちの生活実態を考えますとき、大臣、私たちもこの問題に取り組みましたのは、恐らく、私も昭和三十年には国会にいませんでしたけれども、三十年に公団法が施行されるという過程においていろいろな論議が巻き起こっておったわけです。私が当選しました三十三年、国会の「レファレンス」あたりに岡部さんがいろいろな論文を発表し、学術的な雑誌にも見解を述べておられたわけです。その問題は後ほどまたお尋ねしますけれども、こういう公団は結局そういう問題を引き起こすだろう。特に地方自治体との協力関係に対する何らの担保も保証もない、一体これは何だろうか。従来の官庁形式から公団形式に切りかえるメリットはどこにあるんだ。逆な要素がたくさん内在するじゃないか。ということを指摘して、公団、公社の根本的再検討ということを指摘しておられたのが昭和三十三年、四年ぐらいのときだったと思います。そういう不幸な事態が進行してまいったわけです。御承知のとおり昭和四十二年に五省協定ができましたのも、もう三十八年から団地お断りが出てまいっておるのですから、これに対処するために五省協定というのが一応出発してまいった。  しかしながら、順序を追って見てまいりましても、昭和四十四年の七月には、たまりかねた日本住宅公団あるいは住宅金融公庫並びに都市問題研究会、この三者が都市センターにいわゆる団地と財政という問題に対するところの調査を委託されて、この報告書が約一カ年間かかりまして四十五年の十月に報告書として提出されておる。これは大臣もお読みになっておると思いますけれども、相当年月も経ております。基礎的な実態調査をやって、一千戸あるいは五千戸の団地を造成するためにどういう問題が起こるかということを試算もして相当詳しく問題点を指摘いたしたわけです。  それから四十七年の七月には、国会におきましても小委員会を設けまして、ちょうど夏休み中にもかかりましたけれども、それにもめげず実は小委員会は調査を行ったわけです。そういう中から田中内閣が生まれる。政情も騒然としておる時期でありましたけれども、自民党の皆さんも非常に熱心にこの小委員会で問題点を追及されて、その解決としての小委員会決議というのを本委員会でも採択していただいた。こういう一つの具体的な提案をなしておるわけです。  続いて、昭和四十八年の七月に、新しい田中内閣の発生とともに、自治省においては各省に対する要望という中で、特に大規模団地の場合におけるところの現行制度の抜本的改正というのを実は提案いたされておるわけです。そして去年の十一月には住宅宅地議会の中間報告という形における報告書、答申案も出てまいっておる。  これらのものは一貫して、そうした団地お断りという事態を何とか解決したい、こういう中で、都市センターの報告にも述べておりますし、私どもが論議いたしましたのは、単に財政問題に限らない、やはり新しく発足した都市計画法なり都市施設あるいは旧来における都市と新しい都市におけるところの融和策、旧住民と新しく入ってくる住民との関係をどうするか、そういうような地域計画というものが前進してくる。土地利用計画が各地域において組まれてくる。それらのものと無関係とは言いませんけれども、それらのものとの関連なく団地が進出してまいるということから、問題を一層困難な状態に追い込んだと私は思います。  そういう点に対して、大臣、もう国民の目の前にこんな不均衡が出ておる。住宅困窮者がいるにもかかわらず、住宅公団はそれにこたえることができ得ない。地元優先主義の中に閉じこもってしまう。こういうことに対して政府機関並びに国会関係からもずいぶん提案がなされておるにかかわらず、何ら改善されていない。何らと言うとまた……。努力しておられる面も認めますけれども、しかしながら、団地を受け入れる側、団地を造成中の地域におきまして激しい抗議が起こっておるというためにこういう技術的な処理をやらなくちゃならなかったということになっておると思うのですけれども大臣、その点に対しての方針なりというものをお聞きしたいと思うのです。
  66. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先生御指摘のように、大都市圏圏域が経済的にもまた社会的にも拡大しつつある中で、住宅公団を初めとする宅地開発というものが先行的にそこに立地するという過程におきまして、地元の既成の秩序との間に一種の抵抗感を持たれ、そこに各種の利害の衝突が起きるという過程は、都市の発展の過程におきましてしばしば見受けられることでございまして、それがやがて、自然のままにおきましても、その趨勢に応じて融和していく過程におきまして、明らかに一つの大きなショックを与えるという形において進行するものですから、そういう住宅公団を初めとする大規模開発というものが種々の困難に逢着している、こういうふうに私どもは理解している次第でございます。だから、それゆえにそれだけの準備をし、そして宅地開発につきましても十分な事前の調整を行いつつ地元の了解を得ながらいくということが基本的な姿勢でなければならない。いま御指摘になりましたような地元優先というような姿勢も、一つはいま申しました、大まかな見方でございますけれども、都市の拡大という一つの趨勢の中における過渡的な摩擦現象として、しかしわれわれはこれを軽視してはならないのでありまして、これは絶対につくらなければならないものであるならば、それだけの根回しを十分して  いくということが、従来、反省といたしまして欠ける面があったのではないか。これから後におきましても、こういった開発を進めていくにつきまして、いまのような点を十分に考慮いたしまして、そういった財政面だけの措置で事足りるとわれわれは考えているわけではございませんで、そういういわばソフトな面における地元との協調の体制というものの確立をいかにして図るかということが今後の課題であり、また、大都市の発展の過程において生ずる混乱を避ける最も基本的な問題であるというふうに考える次第でございます。
  67. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 ですから、都市計画法の全面改正をやりましたときも、そういう点を指摘して都市施設なりやっておりますし、あるいはまた地方計画の重要性というものもやっておるわけです。ですから、たとえば公団の場合におきましても、市街化調整区域に進出されるという場合におきましても、農地というのは、御承知のとおり、地主から解放を受けて現に耕せるという自己保有限度が決まっておるわけですね。ですから、生活のかかった土地でもあるわけです。ですから、そこらにおいて農業振興なりのいろいろな計画があり、そのことが地元市町村の将来の発展につながるとき、縁もゆかりもない公団がやってきて、いわゆる国の権威をかさに着て入り込んでくるというところにも問題がありますように、そこに小都市がありますならば、その小都市はやはり新しい一つ地域計画というものを立てておる、これにどう調合していくか。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕 もちろん公団は都市計画策定者でありませんけれども、そういう中で公団としての協力というものはあるのじゃないか。そういうような問題は財政の問題を乗り越えた、根本的な問題としてあるんじゃないかと私は思います。  その問題は後ほどにしまして、当面する財政の問題につきまして大臣の見解をひとつお聞きしたいと思うのですが、大臣は、苦悩している、対策を立てなければならない、こうしばしば申しておられるわけですけれども、この場合でも、提言の中に幾つかの問題の解決点が財政問題で出てきているんじゃないかと思うのです。  一つは、地方財政の現在の仕組みから考えて、大変な問題が起こってくると思います。たとえば公共事業にいたしましても、地元から負担金を取ってはならないと地方財政法において明記されておる道路、河川その他があります。それからまた、公共施設というものを享受する国民の権利として、どの地域に住んでいようと享受できる、こういうことになっておるわけで、その場合における地元負担なるものは、いわゆる地方自治体が団地に対して要求してまいる、団地はこれに対してそれを造成費の中に入れざるを得ない、こういう問題もたくさん起こっておると思うのですけれども、そういう問題を根本的にどう解決するか。団地の受益者負担とは一体何だろうか、その限度はどこに置くのか、そしてまた、そういうものが地価に上積みされるということは、新しい住民に対する税金を二重に取り立てるということにもなってくる。  そういう問題を考えてまいりますと、解決というものに対して、単なる立てかえ制度だけではもはやいかなくなってしまっておるんじゃないか。というのは、学校にいたしましても、用地の場合は、人口急増という地帯であれば用地の半分は補助対象にしておりますけれども、他の半分はなっていない、あるいは急増地帯の指定を受けていなかった場合は全額持つように要求される。この場合に、既成の地域に住民として新しく参加してくる場合は何ら負担金は取らない。また、憲法における義務教育の無料あるいは地方財政法の中にも二十七条ですか政令の十六条でそういう点を明記しておる、住民から直接間接と言わず負担金を取ってはならない、こういう規定も置いて財政秩序公平を期しておるわけです。新しく入ってきた住民、それから昔からの住民、その場合において差別されるとなると、これは大変な地方自治の混乱を呼び起こすから、財政法においてそういうふうに明記しておるんだろうと思います。それから、大規模な道路の場合におきましても、県は町村から地元負担を取ってはならない。にもかかわらずそれらのものが団地造成費の中に入ってくるということを一体どう防ぐか。  受益者負担というのは一体何だろうか。私は、受益者負担という解釈の中に入らなくて寄付金的な負担だ、こう考えられると思うのですけれども、そういう点に対する明確な方針が出ていない。その都度その都度団地との交渉をやっておられる、ここにも大きな問題があるんじゃないかということを指摘しておったわけですけれども、その中におきまして、特に皆さんの方の努力されてまいりました立てかえ払い制度の拡充という点において努力を積み重ねてまいったことはわかりますけれども、しかし、立てかえ払いに入らないというのがたくさんあると思います。  たとえば具体的に言うと、学校の場合におきましても、補助対象基準に該当しないものに対しては起債もつかない、あるいは交付金に対する措置がなされていない。それは結局府県の二五%余裕財源をそこにつぎ込めばいいじゃないかという文部省の解釈なんでしょうけれども、その場合におきまして、そういうものを一体だれが負担するかという問題が出てくるでしょう。ですから、立てかえ制度ではもう解決ができ得ない。  保育所の問題一つとらえてまいりましても、児童福祉法その他によって定率でやっておりますけれども、しかし、実際上におきましては定額補助であることには変わりないわけですね。そうすると、定額補助外のものを一体どうするか。ある程度の起債その他で埋めるといたしましても、なおも残ってくる。その問題が絡んでくるのが現状じゃないか。  ですから、立てかえ払い制度だけでも実は解決でき得ないという問題が地元市町村には残ってくる。なぜなれば、公団としては一定の建築基準なり一定の居住水準を要求する。そうすると、既成市街地におきましてはやはりおくれた状態にありますから、これは何としても整備計画を立てたい。財源はみんなそちらに持っていかれるということは、後年度の財政を考えてもこれは大変だという事態に直面するわけですけれども、そういうことは幾たびか本委員会におきましても指摘しながら検討願ってきたので、あえて詳しくは述べませんけれども、そういう点につきまして大臣、私は率直に言いまして、こういう場合におきましては国としてやはりいろいろな方法がとられている。これは、この都市センターの報告書の中にも、やはりこうした問題、当面したときとるべき財政改革という意味におきまして指摘いたしておると思います。あるいはまた、先般の行政管理庁の監理委員会からの答申によりましても、宅地開発の場合には各種の施設に関する特別措置法を必要とするという具体的な——従来の財政制度ではだめだ、現行制度ではとても問題の解決にならないという点は、行政監理委員会も新しい市街地形成に対する宅地開発に伴う前提条件としてこの点を挙げておるわけですね。それから都市センターの場合におきましても、やはり指摘いたしておるわけですけれども、特に宅地開発公団の前身のいわゆる市街地開発公団ですか、この前提条件として現行制度を改革するということが入ってきておるわけですね。そのことを考えますと、たとえば大臣大臣の方は後進地域の経験がおありでしょうが、後進地域の公共事業にかかわる国庫負担の割合についての特例法がありますね。もう一つは新産業都市並びに工特法ですか、に基づく財政援助に対する法律があるわけです。これを適用できないかという点を指摘いたしておるわけです、特に都市センターからの報告には。この点に対して大臣として検討の中に入っておると思いますけれども、局長、その経緯をどう検討をしておられますか。
  68. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 結論から申し上げますと、いろいろな提案がなされておりまして、段階的ではあるが、従来から補助率だとかあるいは起債の配慮であるとか、交付税制度の改善であるとか、逐年努力してきたところは先生よく御承知のとおりでございます。しかし、最終的にはやはりこれらの問題は地方の財源問題に帰一する。特に市街地として大規模なものをつくりますときには膨大な経費がかかる。それが単独事業を含めて、裏負担を含めて地方の負担になるというところに非常に大きな地方の悩みがあるわけでございますので、これを解決するためには特別な措置をあわせ講ずることが必要であるというふうに考えまして、まあ不十分ということがございましたけれども、われわれとしては相当思い切った立てかえ制度における十年間の据え置き期間の無利子というような措置とあわせまして、直接施行とかそういった手法を講じているわけでございますが、それだけでもって基本的に、根本的に物事が十分解決されたというふうにはわれわれは考えておりません。究極するところ、これは地方財政の問題であり、地方のそういった財源の問題であるというふうに考えますときに、いろんな方向がございますけれども、何らかの特別の財源的な手当てをする必要が、基本的な問題としては課題として残っているというふうに考えるわけでございまして、この課題に向かってわれわれは今後鋭意検討する必要がある。  第三交付税というかあるいはいろいろな特別の目的税というか、そういった財源がこういったものについて特別に与えられるならば、物事は非常にうまく進むと思いますけれども、それらにつきましてはいろいろ財政上の問題もありますので、とりあえず宅地開発公団だけについて申しますれば、自分で責任を持って自分の足元のそういう隘路を打開していくという方途としてどのようなことが有効であるかということを考えた上で、幾つかの財政措置を講じたというふうな経緯でございます。先生のおっしゃるとおり基本的に財源問題に取り組むということにつきましては、今後の課題といたしまして十分これからも検討する必要があると考えております。
  69. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 住宅なり土地というのは、やはり公共財産としての位置づけも大事であるでありましょうし、さらに社会資本の問題、充実を考えてまいりましても、どうですか、新産業都市の場合はやはり事業特定、公共事業を特定いたしておりますね。公益事業も入っておる。教育施設も入っておる。そうした新産業都市をやっていく場合におきまして、当然そこに財政的な需要が集中してくるわけですが、これに対して出てきているところの財政援助の法律は、町村においてはかさ上げをやる、県の負担分に対しましては利子補給をやる、こういうような制度ができておるわけですが、これは先ほど申し上げましたような後進地域における公共事業に対するところの国庫負担の割合の特例という形で、県に対しまして一定の財政力指数を超える特定事業がふえてまいりますと、必然的に補助率のかさ上げができるようになっている。町村に対しましてはそういう制度がなかったので、当時では一体として県並びに町村の施行工事がありますから、そこで町村工事に対しましては補助のかさ上げをする、割り増しをする、こういうことを財政力指数に応じてやっていく、こういう点が合理的になされておると思いますけれども。  それから、こういう点に対しまして、たとえば建設省管内だけを見てまいりましても、公園なり都市計画なりの場合におきまして、やはり清算払いによって清算される。相当の金額として計上されてまいっておるわけでしょう。にもかかわらず、住宅の場合におきまして一連の団地、新しい市街地を形成をする、こういう場合におきまして、そういう制度を適用することによっていわゆる裏負担がどうの一あるいはまたこれはいろいろ団地と地元市町村の間に非常に論議が繰り返されて、団地の皆さまは私は苦労されてまいったと思います、皆さんの方針がはっきりしていないために。  ですから、たとえば地方財政法の第四条なんかによりますと、もっときつい法律で、国の施策に対しましては強制割り当ては、寄付金は取ってはならない、こういう規定を置いて、国家的事業に対するところの地方財政に及ぼす影響を遮断をしておる。こういう規制、法律によっても守られておるわけですが、住宅の場合だけは、国家的な事業だという名において一連の団地を要求して、しかもその団地を造成することによって、住宅建設することによって起こってくる公共公益あるいは都市市街地を形成するために必要な施設というものは、国家的な性格を持ち、しかも住宅というのは案外公共財産だと考えられておる諸外国考え方から見ても、地元地方団体なり住民と公団というのは相当摩擦を起こすことは当然だと思いますが、そういう公団に苦労をかけ、そして非常な地元住民との間の対立の中で、公団を監督する大臣は、結局、一体どうだろう。  この問題は国会の中においても論議すべき重大な問題だ。しかしながら、公団法によりますと、予算も決算も国会の議決を必要としない。いわゆる国会のコントロールがはずされておる。ですから、主管大臣の認可だけでやっていけるという仕組みになっておる。こういう点に対しまして私もいつも疑問に思うのですけれども、国の政府関係機関は、これは三つの公社と十の公庫と二つの特殊銀行が入っており、国会にそれぞれ報告され、決算あるいは予算に対する承認が必要となっている。しかし、この住宅公団はそれでもない。政府関係機関でもない。しかも、だから国会の統制には服することはなくてもよろしい、民間資本を導入して能率的にやっていくのだということなんですけれども、しかし、現実的にいま——後からまたいろいろお聞きしたいと思いますけれども、それは別として、そういう形にある公団である以上、その公団が国の準機関としての性格、公共企業体としての性格を持っておる、しかも国民的な住宅困窮者に対するところの住宅供給するんだ、はなはだ不足している地域にという限定もついておる。そういう公共性の深い国家的な機関と同じようなものであるにもかかわらず、寄付金は、他の場合におきましては政府機関でありますと寄付金を取ってはならない、強制割り当てしてはならない、こういう形において地方財政に歯どめがかかっておるのに、この公団はその意味において、ときには国家的機関の性格を持つし、ときには民間としての形を持っていくということで、非常に地元との問題が起こってくるので、これを解消する財政的措置としては、そうした財政力指数によってそれらの事業量に応ずるところの経費の割り増しを行う、こういう制度はどうしてとれないのですか。
  70. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 実は宅地開発公団の立てかえ制度の強化を図ります場合に、宅地開発公団のみならず、住宅公団につきましても、ある一定規模以上のものはそういう措置をとりました。しかしそれでは十分ではないというので、実は五十年度の予算要求におきましても、公庫の融資につきましてもそういう措置を要求した経緯がございます。その場合に、いま先生がおっしゃいましたように、そういう人口急増地域とかあるいは宅地開発を大いに行わなければならない地域におけるそういう財政的窮状はわかるけれども、それぞれの地方公共団体の財政力の差によって、そういう一般的な助成策をとるということについては、財政力指数等を勘案した助成策ということが必要ではないかということで、五十年度の予算におきましては宅開公団並みの措置住宅公団の大規模開発のみにとどめたというような経緯があったわけでございます。  そこで、今後こういう地元財政負担の援助ということにつきましては、他にもそういった例がございますから、財政力指数等を勘案した方式というものは、実はこれは大蔵省との関係でございますけれども、今後検討しようということとして課題にされておる次第でございます。     〔村田委員長代理退席委員長着席〕 今後のこういう人口急増地域等における特に住宅開発が盛んに行われる地域におきましては、先ほどおっしゃいましたように、立てかえ制度ということだけでは限界がございますので、そういった財政的な援助の一環といたしまして、そういう財政力指数等を勘案した別途の財政的な援助措置というものを考える必要があるというふうにわれわれは考えておりまして、この方向で検討をいたしたいと思っております。
  71. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣、食事なら済まして結構ですけれども、一言だけお聞きしておきます。  いまも答弁ありましたように、財政力指数をもとにしまして新産業都市のように事業がふえてまいる、ふえてまいった事業が町村の管理になり、県の管理になってくる、そういう事業であった場合においては、その事業がふえたことによって財政が逼迫するわけですから、これに対する割り増し制度をやるという、国にもとられておるそういう制度を大臣としても真剣にひとつ考えていただきたい。  それで私はもう一つ、人口急増の地帯とは違うと思うのです。過疎対策なりあるいは人口急増というそういうものの措置はありますが、そうじやなくて、人口急増も大事ですよ、しかし過疎に対する特別措置があり人口急増もあるのですけれども、そうじゃなくて一団の団地をつくる、これは国の方針でもあり施策でもあり、自治体としてもそれが将来の自治体の地域形成に役立つんだということになってまいるとするならば、ここに協力関係も出てきますけれども、何にもないところに一連の団地というものをやるために、過去において二百年、三百年かかって一つの五万都市町なり十万都市なりが歴史的に祖父たちの手によってつくられる、そこで伝統、風土が生まれてまいる、そういう風格のあるものをつくっていくというところまでいかなくても、そういう努力の中で多くの要求が出てくるわけでしょう。それを一定のやはり都市計画なり基準なりをもって、面積に応じてでもいいですが、そういう必要なものに対するところの財政的な——イギリスのように全部国家機関がやってしまう、その上でやっていくというのも一つの行き方。私は、愛知用水公団の場合は、国営も県営も団体営も全部一つにして一つ公団として事業をやる、終わってからそれぞれ府県の分、団体営の分という形に分配していった、そういう制度がやはり日本においても試みられているのだから、新産都の場合におけるようなそういう大きな事業に取り組む場合、地方財政というものを考えて財政措置をとってくる、こういう方法がやはり当然考えられていい時期に来ているのじゃないか。しばしば提案されながら大蔵折衝で消えていっているのか、あるいは事務段階において時期尚早として消えていっているのか、その事情はちょっと私ものみ込めないので、大臣
  72. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先ほどからいろいろ先生の御意見を承っておったのですが、なかなかこういった問題長い間御検討されて大変私ども参考になるわけですが、まあ率直に言って、国がもっと金を出して、補助金のかさ上げをして、地元負担をできるだけ軽減して、喜んで受け入れてもらえるようなことにすることが前提条件。これがなかなか、まあ口だけは言うけれども、そういかないところに問題がある。  日本住宅政策というとなにですけれども、大体六割までが民間住宅民間の運営の住宅に依存をしておる国民も六割はあると考えなければならぬ。そうすると、あと四割程度のものは公的住宅ということになりますと、すべて公的のものが国家の保証によって行われるということになると、これはそこに逆の不公平が出てくるということになるわけです。そういう面において、ただこの問題がすべて国家負担によってやるべき問題とはなかなか踏み切れないところがある。  もう一つ住宅公団にいたしましても、首都圏周辺では確かに団地反対をしておるのです。ところが、首都圏を除くその他の地方都市、三大都市圏の中にも一部ありますが、これではいま団地お断りでなく歓迎が非常に旺盛であります。ぜひ来てくれないか、住宅の足らないところは三大都市圏だけじゃないじゃないか、その他の都市にもたくさんあるのだ、ぜひ来てくれという声がたくさんあるわけですよ。そういうところはむしろ歓迎してくれているのです。同じような条件で歓迎してくれているわけなので、それでりっぱに住宅建設されておるわけなので、では、そういうようなところと首都圏との場合に、そこに住宅政策として隔てをつけることができるかどうか、そういう問題点も一つあるわけであります。ただし三大都市圏の中には、人口急増地帯といって補助率のかさ上げをするところがもうできておるわけでありますから、優遇されておることは御承知のとおりであります。  ただ、それはそれとして、おっしゃるように、今度は宅地開発公団によっていままでやってきたこともない膨大な宅地開発をしよう、そこで一つ住宅街をつくっていこうという、こういう構想になってきますと、おっしゃるように、単に従来の支払いの条件だけを緩和しただけでは何にも内容が変わらぬじゃないかという御指摘を受けるのは当然であります。そういう大きな構想のもとに、これから特に人口の過密地帯の問題を政策的に国がやろうとするなれば、その大団地構想に対して、これは新しく国の財政支出の問題を考えていかなければならぬ、従来の考え方でなしに、もう一歩前進した考え方を持つべきだということは私も同感であります。非常にむずかしい問題でありますが、今後の課題として取り組んでまいりたいと、かように存じております。
  73. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 それは歓迎するというのも、私は団地の規模なり面積にもよると思いますね。その地域の発展計画に沿うようにいけば、そういう問題が出ると思いますね。しかしながら大臣、新住宅市街地開発法案というのが昭和三十八年ですかに通りましたが、これで、いま幾つやられておりますか。——まあいいです、大体私の方から言いますから。三十四カ所程度だと思うのです。この新住宅市街地開発法案の審議のときにも、スプロール化を防ぐ、あるいは一連の良好な環境の住宅団地をつくる、こういう趣旨のもとで出発したわけでしょう。しかしながら実際やってみますと、公団も手がける、府県も施行者になるという形でやってみますと、いろいろな問題が出てきたという中で、新住法の適用が受けづらいという面が出てきておるのじゃないか。単なる千戸なり千五百戸という程度の団地ですと、その地方の財政力なり何なりから考えて、あるいは立てかえ払い制度なり、いろいろな形において住民の住宅をそこで充足させるという意味においては、それは妥当だと思いますがね。こういう大きな一団地をつくる場合に、やはりイギリスのようなそういう国家機関がやって、後から整理をしていく、住宅関連公共施設もやっていく、私が言うのはそういうのじゃなくて、だから、住宅公団というのは性格そのものが国家機関でもある一面と同時に、全く民間と変わらない性格を持ってしまって、実定法から考えてもなかなかどう解釈していいかわからない存在が出てきたというところに問題があると思いますけれども、しかし、そういう問題をいま急に——全体の形で進んでいっておる公団、公社問題をいろんな場合において論議されておりますから、そういう問題をここで論議しては紛糾するだけですから私はしませんけれども、そういう性格のもとにあったとしても、新産業都市のような場合はそうでしょう、新しい工業都市をつくる、港をつくる、それに関連した中に、道路なりあるいは人口に対するところの配慮なり教育施設なり、いろんなもの、ができてまいりますから、河川、道路その他に対しては何をする、それから港湾にいたしましても、やはり一時は受益者負担というような意味で、港湾に対するところの受益者負担を取っておりましたが、これに対しましても、自治法を改正いたしまして、新しく港をつくる場合におきましては地元負担を町村から取ってはならない、県が施行する場合、県に対する交付税なりその他の手当てをする、地元町村から取ってはならない、こういう規定を、実は新産業都市の過程の中でやはり片方においては国はそういう地方自治団体から取ってはならないんだという形、府県施行の場合におきましては県に対する財政手当てをすると同時に、道路なり河川に対しましてもそれぞれ手当てを行うというのが経費の割り増しという形だと思うのです。これがどうしてできないんだろうか。できないという理由がどこにあるかという問題です。  後ほど質問しようと思ったのですけれども、たとえば流通業務市街地の整備に関する法律、この法律があります。四十一年に当委員会において通過いたしておりますけれども、この法律を読んでみましても、基本方針は五人の大臣、通産、企画庁長官、建設大臣、運輸大臣、農林大臣、この五つの大臣が協議をして基本方針を決める。私もあの法律を読みながら実はびっくりしておるのですけれども、だれが発議して、だれが一体協議の中らになって、どういう手続が経られるのか、全然法律の中には実は触れていない。そして、しかもそういうような基本方針の適用を受けるのは東京、大阪として、あとは政令で決める。全く乱暴きわまる法律だと思うのです。そこで基本方針をつくる、つくったらこれをやっていけということになってくるでしょう。その法律が通った後ほど都市計画法が出てまいりましたものだから、都市計画の中に都市施設として、あるいは用途区域の中にそういうものを設けてよろしいと都市計画に後から合わしていっておりますけれども、去年の国会におきましても、予定地域なんというのがつくれるようになって審議されておったわけなんですけれども、しかし、これを見てまいりますと、国家的な基本方針があり、これによってこの地域にはこういう流通団地、地域団地をつくってもよろしい。それに基づいて政令都市はつくるという形になってくるでしょう。その一連の場合をとりましても、いろいろな性格があると思いますけれども、そういうのをやはり日本住宅公団がやるということになっておりますわね。施行者となり得るということになっておる。ですから、そういう問題に対しましても、ずいぶん公団そのものの性格なり運用という問題に対して検討しなければならない問題が私たくさん出てくるのじゃないか、こう感ずるのですが、そういう国家的な仕事だという意味なんでしょうけれども、たとえば造成の場合に当たりましては、公庫債が四分の一、縁故債が四分の三だ。上物に対しましては、たとえば中小企業近代化資金その他になりますと二分七厘だ。ですから、国の施策といたしましても、二分七厘という金、土地改良の場合におきましても三分五厘、そういう金が現に取られておるわけですね。片方において宅地造成する場合に、その造成を公団がやる場合におきましては何だ、第三セクターがやる場合、上物をやる場合におきましては二分七厘の長期の立てかえ資金が入ってくる、こういう仕組みになっておるんですね。そういうときにも非常に矛盾を感ずるわけなんで、特に住宅の場合で、やはり流通団地の場合なんか国家的な事業をやらせるんだという考え方、まあ委任事務のような形をとっておる中で、だから、上物に対しましては二分七厘なんという金が出てくるわけでしょうけれども。それが国民の住宅といういわゆる公共財産にも匹敵されるものが、そういうぐあいに軽視されてくるというところにも、同じ公団がやられる法律の中にもそういう矛盾を感じておられると思うのですけれども、そういうものを整理するためにも、私は住宅問題に対してもっと一歩前進した形で問題の整理をすべきときが来ておるんじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  74. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 確かにお説のとおりに、大規模団地をつくり、あるいは住宅公団の団地を進めていくということにつきましての財源なりあるいは財政的な手当てというものにつきまして、もっと抜本的な措置を講ずべきであるという御趣旨はよくわかります。われわれも先ほど来申し上げておりますように、現状の法制下において、他のバランスもございますので、できる限りの措置をとったわけでございますが、まだこれで十分だとは考えておりませんので、今後実施の様子を見ながらこれを拡充していかなくちゃいけないと考えておる次第でございますが、ただいま挙げられました流通団地の法律にしましても、あるいは新住法の法律にいたしましても、これは都市計画として一つの手法をつくったものでございまして、その手法を用いまして、住宅公団におきましてもあるいは宅地開発公団におきましても、あわせて流通団地が必要となりあるいは工業団地が必要となる場合には、その手法を用いて行うという権限を与えるこのたびの公団法は組織法でございます。  そこで、これらの事業を行います場合には、それらの公共施設が当然入ってまいります。その公共施設等につきましては、首都圏、近畿圏及び中部圏における財政措置に対する特別措置法と、御承知のような法律がございまして、特別なかさ上げというものをそこで行っておるのでありますが、個々の団地について、あるいは流通団地について、住宅団地について、特別のその団地にかかわる関連公共公益施設のみについての、道路、河川その他の公共施設の補助率のアップということではなくて、一般的にそういう首都圏とか近畿圏とか中部圏の近郊整備地帯における財政上の特別措置という形においてかさ上げを認めているというような次第でございまして、それらは流通団地あるいは工業団地あるいは住宅団地、みな同じでございます。その点申し添えます。
  75. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 余りこの問題ばかりに時間を費やしてなんだと思いますけれども、財政に対するところのかさ上げですか、そういうような方式、国の負担割合をふやす、財政力指数に応じてやる、こういう点はぜひともひとつ取り組んでいただきたいと思います。  それから、それでなくても現在の中においても私はやるべきことがあるんじゃないか。たとえばこういう大きな団地をつくる、そういう場合におきまして、年次計画がない計画なんというのはやはり大きな問題を残すんじゃないか。現在一連の住宅団地を建設しておる中におきましても、一体年次計画で小学校はどうだ、その場合に道路はいつごろやっていく、下水道はいつごろできるんだ、こういうような年度計画を国が担保する、こういう制度と、それでもう一つは、各省ばらばらで補助金が出てくるわけですから、それをどこかの省が一括把握する、どこかの省が窓口になる、それで年次計画に基づいて補助金がおりてくる、こういう意味だともっと理解しやすい面もあるんじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。そういう点はむずかしいですか。
  76. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 あるいは先生の御質問趣旨を違えているかもしれませんが、年次計画というのは、団地等をつくります場合に施行の年次を決めて計画的に仕上げる、そういう年次計画のことと解しましてお答えいたしますと、宅地開発公団なり住宅公団なりの行います事業は、多くは区画整理事業あるいは新住宅市街地開発事業等によって、あるいは任意買収もございますが、行っております。それらの区画整理事業におきましてもあるいは新住宅市街地開発事業におきましても、これは都市計画事業として行うものでございまして、その場合には事業計画、あるいは新住法によりますれば施行計画あるいは処分計画というものを定めまして大臣の認可を受けておりまして、都市計画自体に住区その他の公共施設の配置だとかなんとか定めるほか、そういう処分までに至る計画年次割りというものを定めてその施行を担保しているのが通常でございます。ただ、それが大規模になりますと、往々にしてテンポが合わないというような問題がありまして、変更という問題がございますが、計画におきましてはそういう年次計画をつくって整合性を保つようにしておる次第でございます。
  77. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 たとえば下水道の問題一つ考えてみましても、下水道の場合は、御存じのとおり、全体計画としては五七%は補助対象だ、四三%は単独事業だ。一般都市の場合は七四%は補助事業で二六%は単独事業で、大都市の場合は四一%が補助対象で五八・四%が単独事業になっている。この場合に、団地の造成に当たりまして、三大圏の場合におきましては一般都市扱いではなくて大都市扱いをやっておる。もう一つは、下水道の場合におきましても、この間の補助率のかさ上げをやる前には一般財源というのは交付税の中で見ておったのが、今度なくなって全部起債に切りかわっておるわけですが、それはそれとしましても、公共下水道をやる場合におきましては、下水道整備何年計画というのが存在しておる。そしてことしなんかは事業量が三〇%近く上がっておりますね。しかしながら、考えてみますと、施行費というような形でもう半分ぐらい食ってしまったのですね。ですから、こういう団地の場合におけるところの下水道を住宅建設に合わしていく、こういう年次計画は全く狂ってきてしまうわけですね。  都市局長おいでになっておりますけれども、都市街路をやる、これによって軌道も敷かなくてもよろしい、場合によれば歩いてでも通える、そういうのを国鉄に接続してつくらなければならない。しかし、街路というものは必要だとなっておっても、都市局のいわゆる街路計画から言うと、その中に配分はこない。ですから、同じ団地を形成しておりましても各省ばらばらになっているんですよ。ごみ処理は厚生省だ、これも四分の一の補助しかない。団地の中における、皆さんは全施設と言いますけれども一つ一つの問題をながめてきますと大変なことですよ。団地が建設されてくる、それに伴って小学校なり保育所なり児童公園なり、あるいは広域公園なり大規模公園をつくっていかなければならない。そういうものはみんなばらばらでしょう。各省ばらばらに各省の予算で配分してくるわけです。  ですから、大規模団地の場合は、建設なら建設が一括窓口になる、そして年次計画を合わせて予算をつくる。こういう年次計画がなかったら一たとえば新産都の場合におきましてもあるんですけれども、財政のかさ上げがあったとする。これは助かることは助かるのですけれども事業がばらばらのために市街地が全く混乱してしまっている、乱開発のような印象すら与えるぐらいアンバランスが出てきておるわけですね。財政上のかさ上げをやったとしてもこういうアンバランスが出てくる。いわんや住宅のような場合において、そういう意味における省が一括して補助金、年次計画というものが制度として確立できないか。ただ基本計画をつくる、そのとき年次計画を立てます、これでは何ら法的な担保がないでしょう。法的に内閣の承認を得るとかなんとかという形で年次計画ができてまいる。そうすると、地元の受け入れにしても、実際の施行者である公団にしても確信を持って説明もできるし、そういうことが、また団地の形成の中にいわゆる欠陥が発見されればこれをまた是正していくという形もとられてくるんじゃないか。いまのように各省待ちだと、公団の皆さんもこれ来るのか来ないのか、そのうちに、せっかく団地を持っておるんだからこの団地に通過道路でも一本入れた方が安く上がる。大抵はいろいろな環境整備だとかでなかなか理解に到達しない。そうすると、一番ねらいやすいのは団地形成しておるこの団地の中に通過道路を走らせれば一番いいじゃないかという形で、逆に計画そのものが混乱をしてくる。こういうのがいま公団の実際の私らが見ておる苦悩の一つじゃないかと思うのですけれども、こういう問題に対する解決に建設省としてはやはり取り組まなければならぬのじゃないか、かように考えておるのです。
  78. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 住宅公団なり宅開公団が行います宅地開発事業につきましては、先ほど来申し上げておりますように、都市計画事業として行うものでございまして、たとえば新住宅市街地開発事業をとりました場合には、これは都市計画事業として都市計画議会にかけ、そして都市計画決定されるわけです。その都市計画決定の際及び事業決定、いまは事業の認可と言っておりますが、事業認可の際には、その年度割りを決め、そしてさらに施行計画を決めることになっております。施行計画は、省令におきまして街区の計画設計というものをつくり、そしてその中ではあらゆる公共施設、公益施設の位置、配置、規模も決めるということになっております。ですから、それらの公共施設、公益施設の中には、所管で申しますと建設省所管以外の、ごみだとか焼却場だとかそういったものがたくさん入っておるわけでございますが、その団地として必要なものは、これを都市計画あるいは施行計画の中で決めてその空地を確保する、そういう計画になっております。しかしながら、それを実施する主体は、所管としては市町村であったり県であったりするわけでございますので、これらは各市町村あるいは県、地元公共団体公団が協議いたしまして、あるいは立てかえたりあるいは同時施行になるように調整をしたりいたしまして、そのタイミングを合わせるということでございまして、そういう統一的な一元的な施行ということは法制的には整っておると思うのでございますが、問題は、ばらばらになりやすいのは運用でございまして、実際に補助金がおくれたり何かするというようなことがありまして、鉄道がおくれるとか、それでばらばらになるというのが運用の問題として出てくる、その点が一番大きな問題だと思うわけでございます。  したがって、このたびの宅地開発公団はこれを一括立てかえたり、そういう制度を充実いたしましたので、その意味では一体的な施行ができやすくなっている、できないときには自分でかわってできるという権限を与えたという点につきましても、鉄道、水道等が自分でできるという点につきましても、必要最小限度のものは一緒にできるというふうな道が確保されたというふうに考えております。
  79. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私、宅地開発公団内容に対して質疑をしておるのではなくて、いまの日本住宅公団が陥っている問題点を解決できないか。そのためには、こういう補助金の場合におきましても各省ばらばらであり、都市計画的なあるいは年次計画を立てておっても、これは事業量資金なり当時におけるなにによって非常に左右される。私は公団資金構成をきょうもらいましてずっと見ておりましても、ずいぶん景気のいいときは公共事業抑制というような形で抑えて、景気が悪くなってくるとそれ景気刺激だという形で住宅に対するなにが、国の考え方が、資金関係ずっと見ておりますと出てきますね。だから大臣住宅政策がこういう国の景気不景気の道具として運用されておる、これは私は非常に遺憾だと思うのですよ。やはり住宅政策、国の政策できっちり持っている、景気がどうあろうとこれを進めていく、そこで関連する公益公共施設なり市街地の施設をどう完備していくか、こういうような方針がはっきりしていないということは、この資金構成の動きをずっと見てまいりますとちゃんと出てきているわけですね。これは大臣に閣議においてもやはり真剣に考えていただきたいのは、私が国土総合開発議会委員をやっておりましたとき、平田委員長も非常に力説されておりましたように、設備投資と社会資本、社会資本のうちでも生産的社会資本と消費的生活関連資本との差が余りにもひどいということと、景気不景気によってこれが常に変更されてきておるという点をやはり指摘しておられたことをちょっと思い起こすのですけれども、やはりこの場合におきましても、公団の歩みの中にそういうしわ寄せを非常に受けておる、こういう点が出てきておると思うのですけれども。そういう意味におきまして、いま申し上げました住宅公団が非常に困難に陥っている、陥っているから宅地開発公団をやって何とかするというのではなくて、現に陥っている日本住宅公団がいま申し上げましたような問題点をやはり解決していくということによって、住宅公団の本来の目的を、使命感を取り戻せるんじゃないか。いまのような問題をほとんど解決をせずに、それで公団ではだめだ、だから新しい公団が必要なんだということにはどうも理解できないので、大臣もその点は悩まれたのでしょうけれども、果たして必要かどうか、現に日本住宅公団が当面している問題を解決していくという中で出てくるんではないか。  時間もなんですから、運輸省の皆さんも、先ほどから長くお待たせした自治省の皆さんもなんですけれども、簡単にひとつ。足なし団地、特に公団の皆さんが非常に苦労されたのは地方財政の問題であり、足の問題であり、水の問題であり、かつまた環境保全の問題だった。これに対して、たとえば新住法を中心にして住宅公団がやっておるのですけれども、この中におきまして、四十四条に運輸大臣意見を求めなければならない、こういうことになっておりますね。ですから、新住法による住宅団地をつくる、この場合には当然運輸省と協議されて、鉄道輸送なりこういう問題に対して特に意見を求めなくちゃならぬということになっておるのですけれども、従来そういうのはどういうことで担保されておるのですか。協議をされ、意見を求められたときには、この団地は当然輸送問題が起こってくるよ、その問題を事前に協議をする、意見を求めておるという法律のたてまえは、これまでどうなっておりますか。
  80. 常川隆司

    ○常川説明員 御指摘住宅団地の造成に関連いたします足の確保の問題につきましては、従来から住宅公団あるいは建設省、いろいろと御連絡も受けておりますし、当方といたしましても、できるだけ措置するということで協議しながら進めておりますが、御指摘のように、必ずしも完全でないというケースがあることにつきましては大変遺憾に存じております。
  81. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 もう一つ、自治省の方にちょっとお尋ねしておきたいと思うのですけれども昭和四十一年に地方公営企業法の一部を改正する法律案、この改正案の中で再建債を出してもよろしい、これは公営企業全般ですけれども。四十八年の七月には地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律、ここでも再建債の問題が出てきておるのですけれども、いま地方におけるところの公営企業としてやっておられるところの交通事業、これはどういう状態になっておりますか。簡単で結構です。
  82. 坂田期雄

    ○坂田説明員 公営交通の現状でございますが、四十八年度の決算では、五十三事業のうち四十二事業が赤字でございまして、その累積欠損金は二千四百億円、料金収入の一四四%という状況になってきております。ただいま先生から御指摘のございましたように、四十八年に国会で法律を制定していただきまして、これに基づきまして、現在再建団体として二十四団体が再建を進めておるところでございます。四十七年度末の不良債務、つまり過去の赤字は全額たな上げいたしまして、国と地方公共団体の一般会計でこれを負担するということにいたしまして、今後は健全経営が進められるように、国と地方公共団体の財政援助措置とあわせまして、各企業の経営の合理化、料金の適正化等によってこれを改善していきたいという方向で現在進めておるところでございます。
  83. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 いま、自治省の公営企業第一課長さんからの説明によりましても、私たちのいただいておる公営交通事業に対するところの再建状況を見てまいりましても、大変な事態に陥っておると思います。ですから、これは本来から言うと、団地と一定の交通機関との輸送その他の問題だとえば路面バスの問題をとりましてもあるいは路面電車の問題をとりましても、そういう本来やればできることが公営企業法の中にあるのだけれども、これをとっては大変なことになって、地方自治団体から拒否が起こってくるわけでしょう。ですから、それを皆さんの場合は——宅開公団のことを私は言っておるのじゃありませんから。現在における日本住宅公団の中で、そういう足の問題交通の問題輸送の問題、少なくとも新住法の中の四十四条に、そういう意味におけるところの輸送関係に対して特に協議しなければならない、都市計画を定めるに当たってもそのことを聞かなくちゃならない、こういうぐあいに規定されておるけれども、実際上はそれらの協議が十分でなかった、いま運輸省の方からお話があったように。ですから、そういう問題はやはり解決していく。公営企業でやっていけるか。当然団地は、一つの市民として考えるならば、そこには公営企業としての交通事業をやっていけるかどうかというふうな問題からいたしましても、もっと真剣に、また、路面電車の場合は地方鉄道法におけるところの行政路線ですか、これらの補助的な制度もできておると思いますけれども、実際、団地を公団がやっていてどういう問題が一番困るのだ、その場合、運輸省としてはどう取り上げるのだというふうな形で、公団が陥っておる足なし団地だと言われる中で、団地に入っている人も苦悩しておると思います。建設している公団も苦悩に満ちておると私は思います。それを建設省がそれはやむを得ないのだ、地元優先割り当てでがまんしてもらえというふうな形で、技術的な問題で避けて通れるものではないのじゃないかということを私は一つ指摘しておきたいと思います。  時間もありますので……。大臣、おられませんが、私はいま大臣に聞いてもらいたいために質問を続けておったので、そういう新しい公団を考えるよりも、現在の日本住宅公団の機能をどう充実するか、運用面において当面する諸問題をどう解決していくか、こういう点に建設省は全力を傾けるべきじゃないか。そのことが解決すれば、あるいは住宅問題も新しい局面、新しい分野が出てくるのじゃないか。そういう点について、特に私は最後大臣に——時間も時間でありますので、ひとつ局長からも大臣によくそういう点を話して検討していただきたいと思います。  新しい宅地開発公団、そういう意味においてなお複雑な問題が起こってくると私は思います。先ほど申しましたような、たとえば市街化調整区域なり、農地で、農地解放されて、しかも余裕に持っておるわけではなくて、自作できる限度内しか農地というものは自作農として認められなかったわけですね。その農地は生活がかかっている社会的所有権だ。そういうのと、市街化区域なりその周辺に買いだめをしたり、金もうけの道具としていろいろな土地投機が行われておる、こういうものに対してメスを入れるなり、もっとその中で公団が活動をしていただく分野が多いと思うのです。近代的所有権という名のもとにおいて所有権の絶対を主張しておる、こういうものは日本の法律においてももはやそういう絶対的な近代的所有権じゃなくて、やはり社会的所有権という形に変わってきたと思うのです、判例やその他を見てまいりましても。法律的な実際面の下地はそこまで進んでいっておるのに、建設省やその他役所の関係の人たちが、ローマ法は世界に通ずるという言葉がありますように、なおも近代的所有権絶対制という形の中にあるところにああいう問題があるのではないか。そういう意味におきましても、買い上げになったり、いろいろな意味で投機的な対象として放置されているものに対して、勇敢に収用権の発動なりいろいろな形をもって、その宅地に良好な住宅建設するとか、そのためにも、いま私が指摘したような日本住宅公団が陥っている問題というのは、国並びに建設省の責任というものは私はきわめて大きいと思うのです。  それで、公団を性格的に見ましても、先ほど何回も言いますように、国家機関でもない、国会におけるコントロールをはずしたから君ら自由にやれ、だから国会に対するところの、予算、決算に対するところの議決も要らない、そういうふうに身軽にしたからやれ、民間資金を利用できるじゃないかという形で出発して、しかも大臣だけが認可するのだ。国全体としての公団の運営に対する、公団の現状に対する責任をちっとも持っていない、こういうところに公団自身が陥っていく大きな問題があったのじゃないか、私はかように考えますので、そういう点もひとつ検討していただきたいと思います。  皆さんの資料を見ながらずいぶんと質問したいことがたくさんあるのですけれども、たとえば昭和四十五年の場合を見てまいりますと、資金計画が四千百七十九億円、元金の返済が八百五十七億円、利息の返済が七百二億円・合わせまして一千五百五十七億円ですか。そうしますと、事業費はその当時が二千六百二十二億円で、元金の返済と利息で一千五百五十九億円だ。全く借金を返すための資金がこれになっておる。ですから、皆さんの方の別の資料でいずれまた検討させていただきたいと思いますけれども資金の年度別を見てまいりましても、やはり四十五年度においては四百十二億円だ、四十九年度において六百九十億円資金繰り、借金を返すためにまた借金をしなくちゃならない。それでは事業費というものは、資金は名目的にふえておりますけれども中身を分析していきますと元金と利息を払わなければならない。それを除いたものは事業費である。こうなってまいりますと、しかもその借金を返すためにまた借金をする、そのためにかけ回らなければならない。これでは民間資金の活用なんというものは全くもう−−去年なんかは相当出資金をふやしましたのも住宅債券の返済が迫ってまいったということで出資金をふやしたのでしょうけれども、この場合にいたしましても、昭和三十九年で出資金の増額を打ち切って利子補給をやるのだ、こういう形で出発いたしまして、その場合に四・一%を五%に上げる。恐らく一%で家賃が千円も違うのではないかと言われるくらい私は大きな問題だったと思うのですけれども、そういうのをやって、非常に住宅公団そのものが、資金構成の中におきましても、そしてまた出資金は打ち切られる、利子補給にいたしましてもやっと四百九億円ですか、その程度しか利子補給はやられていない。ですから借金の利息、元金を返す、そのための借金にかけずり回らなければならない。しかも第一線におる人たちは、いま申し上げましたところの財政の問題、環境問題、そしてまた新しい都市作り、古い街と新しい街におけるところの融和をどうするか。大変な問題を抱え込んで必死になって努力をしておる。その努力しておる中に、おまえらだめだから、新しい宅地開発公団ができればいいものができるぞという、夢のような話ではないのですけれども、そういうことで問題をはぐらかしてはいけないのではないか。  大臣にも、現在の住宅公団の当面している諸問題というのをやはり解決していく、そういう手だてを建設省としてはもっとやるべきではないか、こういうことを申し述べたかったので、私、先ほど来の皆さんの質問を聞き、かつまた私が疑問を提出いたしておりますのは、この日本住宅公団の長い苦悩の歴史の中に、やはり住宅問題を背負ってきた、この住宅公団が陥っているこの問題を建設省としても国としても真剣に取り上げてその解決の道をやはり見出してあげる、そのことがいまの日本住宅に一番求められている道ではないか、かようにも感じますので、新しい手法なり新しい公団なり、しかも公団の性格は、さっき言いましたように、いろいろな欠陥を持ちなから出発していくわけですから、またその問題が起こるのではないか。  最後に私、新しいこの開発公団の場合におきましても、岡部さんが指摘されましたように、民間の一番悪いところと、そして官公庁形式の一番悪いところ、二つが重ね合わさるこの公団として、将来は問題が大きくはだかっているのではないか、そして地方自治団体との間におけるところの摩擦を大きくしていくのではないか、それの弊害を取り除く準備はいまからしなければならない、こう指摘しておられました言葉がやはりいまよみがえってくるので、そういう点を含めまして私、一応質問を終わらせていただいて、開発公団そのものに対する質問はまた次にいたしますが、きょうは日本住宅公団に対する問題点の解明という形で、大臣に聞いていただきたかったのです。事務当局の皆さんは十分御了承のことだと思いますので、大臣にまたその点をひとつよく話していただきたいと思います。
  84. 天野光晴

    天野委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  85. 天野光晴

    天野委員長 速記をもとに戻してください。
  86. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣は先ほど所用でちょっとおられませんでしたので、食事の時間も与えなくて質問するのですから、質問者の方はなんですけれども、いま日本住宅公団が陥っている諸問題という形で、やはり公団が陥っている問題を解決していくことが日本住宅政策確立の大きな力となるのではないか、こういう意味で具体的にいろいろな問題を取り上げて、そして大臣と同じように、果たして宅地開発公団が要るのだろうか、どうだろうか、まだ私はその悩みの中におるんで、もっと住宅公団というものを充実させる、機能を発揮させることによって解決できるのではないか、こういう意味におきましていろいろ述べましたので、それらに対する大臣の見解を一応、最後のところを聞いておられなかっただけですから、事務局から少しお話していただいて、決意を述べていただきたいと思います。
  87. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 大変どうも中座しておりまして失礼いたしました。  最初から佐野先生、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、私ども今後の公団やあるいは住宅政策を進めていくため大変参考になると思っておるわけであります。住宅公団自体、現在いろいろなむずかしい問題に逢着いたしておりますことは御指摘のとおりであります。このままで一体住宅公団はいいのかどうかということを私どもも本当に切実に感じておる問題でありますが、さればといって大きな使命を持っていることでもありますし、たまたま五十一年度から第三期の住宅基本方針も決まって進むわけでありますから、その意味において本年五十年度は二期の最終年度として住宅公団の一応なすべきこともけじめをつけて、そして過去にあったいろいろな問題を反省をしながら、今後どうすればよいかといった問題を十分に検討して新しく出発する体制を整えなければならぬと思っております。そういう意味において、住宅公団にいまいろいろと検討しなければいかぬ問題があることは十分に私ども承知をし、そういう意味で検討をしながら再出発をしなければならぬ、かように存じておりますので、ぜひまたそういう面で御理解と御協力をいただきたいと思います。  なお、そういう中で、いま宅地開発公団法を今度は改めてまたお願いをいたしておるわけでありまして、そういう面から考えると、むしろ住宅公団をすっきりさせて、その中でやってもいいんじゃないかという意見もあります。しかし、率直に申し上げまして、これはいつかも申し上げたことでありますけれども、いまの住宅公団は、先ほど申し上げましたようなもろもろの問題があるし、むしろ住宅建築を重点にそれを一本にしぼって国民の期待に沿うようにしなければならぬし、そのための自家用の最小限度必要な宅地だけは自分たちでつくっていく、それ以外のものに手を出す能力はない、またそれ以上のものに発展させることは適当でない、こういう考え方であります。  そういう意味から考えますと、住宅公団の使命と、さらにこれから国民の要望する大きな住宅の期待に対してこたえていくための宅地公団の使命というものとを、これは非常に関連はしながらもまた新しい観点に立って考え直さなければならぬときに来ていると思うのでありまして、そういう意味で御協力をお願いをいたしておるわけでありますので、どうぞひとつそういう意味で御理解あるお力添えをいただきたいと考えるわけであります。
  88. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 次にまた住宅開発公団の機能なり内容に対する質疑をさしていただきます。きょうは公団というのを見直していただくということを大臣によく御理解していただくということで、きょうはこれで終わります。
  89. 天野光晴

    天野委員長 柴田睦夫君。
  90. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 現在の第二期住宅建設五カ年計画がことしで終わるわけですが、今度のこの第二期住宅計画は、最初の閣議決定によっても「すべての世帯が、すくなくとも、小世帯については九畳、一般世帯については、世帯人員に応じ十二畳以上の居住室の規模を有し、かつ、適正な構造および設備を備える居住環境の良好な住宅に住むことができるようにすることを目標とする。」このため五カ年間に「人一室の規模を有する九百五十万戸の住宅建設を図る」こういう基本目標のもとに出発いたしました。しかし最終年に入りました今日、公営住宅は推定を入れても七六・五%、公団住宅は六三・五%という達成率でありますし、全体でも九一%の進捗率ということであります。  一方政府住宅統計の数字を見てみますと、五年前から比べますと八十五万戸減少しておりますけれども、なお住宅困窮世帯は二百七十五五尺それだけではなくて、住宅について不満がある世帯はなお一千万戸以上あるということになっております。こうした数字から見た場合に、第二期住宅建設計画は、その目標を大きく下回った、達成することができなかった、住宅難解決には基本的に成功しなかった、すなわち失敗であった。こういうことになると思うのですけれども、この経験に学んで第三期住宅建設計画がつくられなければならないと思うわけです。そうすると、それは現在も存在する住宅難を迅速に解決するものでなければなりませんし、住宅難を本当に解決することを第一義とする第三期計画がつくられなければならないと思うのですけれども、この点についての大臣の御見解をまずお伺いいたします。
  91. 山岡一男

    ○山岡政府委員 第二期住宅建設五カ年計画の実施に当たりましては、いま先生御指摘のとおり、大都市地域におきましては公的住宅建設が遅延いたしました。それから、総需要抑制策などによりまして民間自力住宅も停滞をいたしました。その結果、完全な達成ができないということになっておりまして、まことにわれわれも遺憾だと存じております。  さらには、第二期の五カ年計画までは、需要予定をいたしました建設計画ということでやってまいりましたので、真に住宅を必要とする者に適切な住宅供給が行われたかどうかが心配である。必ずしもそういかなかったのではないかというふうなうらみがございます。その他私どもとしましても反省すべき点が多々あったと考えております。  第三期の住宅建設五カ年計画の策定に当たりましては、中間報告で、すべての国民がその能力に応じた適正な費用を負担することにより、一定水準以上の良好な住宅を確保することができるようにするという政策理念をまず立てろということになっております。さらに適切な居住水準の目標を設定いたしましてその実現に努めろというような趣旨でございます。したがいまして、住宅難の解決ということは、第三期住宅建設五カ年計画におきます第一の政策目標でございます。したがいまして、それに対するいろいろな施策を講じまして、必ずそういうようなものを優先させた第三期の五カ年計画をつくりたいと考えておる次第でございます。
  92. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 大臣も同じお考えだと思いますが、省略いたしまして、住宅難世帯が二百七十五万戸という数字になります。しかし住宅難世帯というのは、これは一定の基準に該当する住宅と世帯との関係で計算されるわけで、従来の基準は現実に合致しない。ですから、規模、構造、設備などの基準を現実に合致するように変更しなければならないということが課題になってまいっております。そうなりますと、先日の委員会住宅局長が答えられておりますけれども住宅難世帯が東京では五〇%ぐらい増加するということでありますし、全国的に概括的に言いますと、百万戸以上の増加を考えなければならなくなるのではないかと思うわけです。これを従来の統計に加えてみますと、結局四百万戸ぐらいの住宅難世帯の問題を解決しなければならない、こういうことになると思います。  こういう実態でありますから、この審議されております宅地開発公団は、住宅難を解決するための公団でなければなりませんし、いわば住宅難解決の推進公団として低廉な宅地住宅難世帯のために供給するということが明確にされなければならないと思うわけです。この点について政府構想をお伺いいたします。
  93. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の使命は、大都市周辺部におきまして大規模宅地開発を行うことによりまして、それを新しい環境のいい市街地としてつくり、膨大な大都市圏域宅地需要にこたえる、できるだけ低廉な価格でもってこれを供給する、こういうことに主眼を置いてつくられるものでありまして、現在の住宅難の最も大きな一つの要素になっております宅地難に対処するということが、この基本的な目的でございます。
  94. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 住宅難の解決に資するということでありますが、いわゆる所得階層第一ないし第三分位の階層、この階層では公共賃貸住宅を大量に供給しなければならないという問題があります。総理府の住宅統計調査によりますと、公団、公営、公社などの公共借家は総住宅数の六・九%にしかすぎない。これを統計によって収入階層別に分けて見ますと、低所得者層ほど公共借家を望んでいるということが、この統計の上で出てきているわけです。先日の委員会計画局長が、宅開公団は第三分位の階層に供給できる分譲地を用意するという説明をしておられますが、これでは、低所得層の住宅難を解決するための公共借家のための宅地をつくってこの公共借家を求めている人たちの住宅難の解決に資するものには、直接結びついてこないと思うわけです。この点についてどのようなお考えであるか、もう一度お答え願いたいと思います。
  95. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団が造成いたしました宅地は、個人分譲にももちろん提供するわけでございますけれども、先般も申し上げましたとおり、賃貸住宅につきましては公営あるいは公団住宅等あるいは公社住宅等にこれを譲渡することによりまして、それらの建設する賃貸住宅に、需要に応じて相当戸数の賃貸住宅をつくっていただいて、それに賃貸住宅希望者を入れる。おそらくその比率は、先般も申し上げましたように、相当の比率になるということを申し上げたように記憶しております。したがいまして、宅地開発公団は低層の分譲宅地のみをつくるというふうにわれわれは考えておりませんで、現在の大都市の多様な住宅需要に対処するということが基本でございます。いまおっしゃいましたような統計等にあらわれております趨勢を十分勘案いたしまして、それらの需要にこたえ得るような多面的な構成をつくり上げなければ、そういう健全な社会というものが、都市というものがつくれませんので、そういう需要にこたえるということを先般も申し上げたつもりでございます。
  96. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 公共借家用の宅地を大量につくり出す、こういうことがいまの住宅難を解決する最大の問題であると思いますが、住宅建設五カ年計画で公営、公団計画についてこれが十分ではなかった、失敗であったと、そういう結果が出ているわけですけれども、その失敗した原因にはいろいろな難関があったという問題で、この難関を打開する対策が当然とられなければならないと思うわけです。委員会政府の答弁によりますと、自治体からの積み上げ方式でりっぱな第三期計画をつくる、こういうことを先月言っておられますが、これは公共の賃貸住宅をつくるという上での困難を打開するという方策を根本的に立てなければ、ただ積み上げ方式ということをとれば、これは結局消極策になってしまうと思うわけです。  公団、公営住宅の難関の問題につきましてはいろいろ言われております。超過負担の問題、関連公共施設の整備についての負担の問題人口増加に伴う水やあるいは交通の問題、環境の問題、いろいろありますし、積極的にこれらの問題を解決していくことが何よりも大切なことでありますが、先ほど建設大臣も総論的な答弁をしておられましたので、それを承って、ちょっと具体的な問題に入りたいと思います。  たとえば足の問題について言いますと、宅開公団の業務の範囲地方鉄道業、軌道業が含まれるということは、これは従来の住宅団地に関する建設の反省の上から出てきていることだと、これは認めます。そうしますと、そこから考えてみましても、既存の団地の足の確保という問題については、これは建設省が現実的に真剣に取り組まなければならない問題であると思うわけです。足の確保に関連して具体的な問題ですが、東京湾の臨海部を通る神奈川県の塩浜から木更津に至る国鉄京葉線の問題で、その京葉線に対して、これは貨物輸送線として計画されているようでありますけれども、これを旅客併用にするようにということで、千葉県当局やあるいは市川市、船橋市、千葉市、こういうところから、旅客併用の路線にするようにという要望が出されてきておりますけれども、国鉄当局ではこの問題についてどのように検討されているか、まずお伺いしたいと思います。
  97. 柳田真司

    ○柳田説明員 先生いまお話しのように、京葉線は当初貨物専用線ということで計画いたしまして、現に現在工事に着手いたしております。しかしながら、東京湾岸の埋め立て地が当初の主として臨海工業地帯ということから、住宅あるいは緑地といったように使用目的が変わってきておりますので、この鉄道計画もそれに合わせて変更する必要があるということはわれわれも承知いたしております。また、先ほど御指摘のありました地元から御要望が出ておりますのも承知いたしております。なお、これにつきましては、四十七年の三月に都市交通審議会でも八号ルートの分岐線としてこの京葉線沿いのルートを答申をいただいておりますので、まあこの答申ということも十分尊重いたしまして、また、ただいま御指摘のありました地元からの御要望も十分尊重いたしまして、現在客貨併用というようなことにつきまして検討いたしておる段階でございます。
  98. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 この鉄道は首都圏基本計画にあります千葉海浜ニュータウン、これは人口規模が十八万人ですが、このニュータウンを通過するわけで、京葉線に客車を通すということはニュータウンの足の確保のためにどうしても必要なことであると思います。七〇年の六月の海浜ニュータウン基本設計報告、これには国鉄本社の方も参加しているわけですが、そこには京葉線の客車化構想はこれは当然のこととして打ち出しておりますし、昨年十一月に、国鉄の首都圏交通体制調査会が出しましたその提言の中にも、貨物線を有効に利用するようにということを打ち出しているわけです。そういう意味におきましても、東京湾岸の大企業の製品の輸送のためということで最初は出発されたようでありますけれども、旅客化を主体とする京葉線計画を進めるべきものだと私も考えますし、ぜひそれが実現されるようにしなければならないと思うわけです。こういう点について、建設省としては運輸省に対してどういう要求を出しているか、要望しているかというようなことをお伺いします。
  99. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 われわれといたしましてもその必要性を感じておりまして、おっしゃるような希望を持ち、かつ運輸省にもそのような要請をいたしているところでございます。
  100. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 では、また宅地供給の問題に戻りますが、宅開公団がその事業を引き継ぐであろうと一般的に言われております北千葉ニュータウンの計画、これは計画人口が約三十四万人の大規模計画でありまして、九万二千戸の住宅を建てるという計画になっております。そして、その九万二千戸のうち、独立住宅が二万六千二百戸テラスハウスが五千八百戸これは分譲になるわけです。それから中高層住宅が六万戸あるわけですけれども、これについても、地元の自治体では分譲の希望が強いというように聞いております。自治体から見るならば、固定資産税収入の関係だとかあるいは管理の関係だとかいうようなことで、分譲を求めるという気持ちは十分理解できるわけでありますけれども、この地元の要望論と言いますか、この地元要望論にのみ傾いて、分譲の方を多くするというようなことになりますと、現実的に最も必要としている公共賃貸住宅の見通しが暗くなってしまう。こういう心配を持つわけで、それでは本当の住宅難解決にはならないと考えますが、こうした大規模住宅団地をつくるというような場合において、面積からいって、土地の分譲を多くするような疑問をわれわれは持つわけですけれども、賃貸住宅の方に宅開公団がつくるような土地はよけい回すべきである、こういう考えを持つわけですけれども、この点端的にお答え願いたいと思います。
  101. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 北千葉ニュータウンにつきましては、公団予定地とまだ決めているわけでもなく、またそういう折衝を行っておる段階でもございませんので、ただ、われわれといたしましては、北千葉ニュータウンにつきましては、宅地開発の監督上の立場からそういう宅地開発を認め、そしてその推進を助成してきたところでございます。もし仮に、北千葉ニュータウンを引き継ぐ、言葉が悪いかもしれませんが、引き継ぐということになりました場合、そのまま引き継ぐかどうかということにつきましては、改めてまた再度千葉県あるいは地元と協議をし直す必要がある。これは法律上も当然そういう仕組みになっておりますので、その際に改めていろいろな条件を話し合うことになろうかと思います。  その場合に、やはり基本になりますのは、北千葉というところは東京にも比較的近く、そして足の問題等も、これからの問題ではありますが、一応計画が進みつつある、こういう段階でございます。そういう情勢から考えまして、その需要の実態にこたえるべく、その団地の性格、需要の実態等をあわせまして、いま考えられております千葉県の計画との調整を十分そこで図りながら、需要の実態、すなわち賃貸、分譲の比率あるいはその面積の比率等につきまして、あるいは公共施設等の分担関係等につきましても十分配慮していきたいと思っております。  いまの段階で賃貸、分譲の比率をどうするということは申し上げかねますけれども、そういう需要の実態を十分踏まえて地元とよく協議するということだけお答え申し上げます。
  102. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 現実の住宅難の解決ということになれば、当然賃貸住宅重点を置かなければならない。そのための宅地供給に主眼を置かなければならないということを言いたいわけです。  そして、住宅難の解決に役立たせるということになりますと、もう一つ宅地の価格が問題になってまいります。計画局長は先日の委員会で、昭和四十五年から四十八年の住宅公団土地の分譲について七、八万円であるから、十万円ぐらいで供給できるという説明をなさっておりますが、四十五年から四十八年までの資料、そして住宅公団がそれを買った時期というようなことを考えてみますと、取り上げられた資料は現在では古い資料になると思うわけです。現実にも合わないと思います。  同じ住宅公団の資料でありますけれども一つ東京四十キロないし五十キロ圏にあります神奈川県長津田の土地、これは昭和四十八年の十二月に取得したもので、二十九ヘクタールあるわけです。これは一平方メートル二万三百円である。ですから、坪にいたしますと六万六千九百円の購入価格、取得価格ということになります。これに造成費と関連公共負担金を加えますと、約十万円ふえまして、取得価格の約二・五倍の十六万七千二百円というのが分譲価格になると言われております。  それから、昭和四十九年に住宅公団が取得いたしました土地を見てみますと、たとえば市川市の塩沢では三・三平方メートル当たり十五万六千円。川越市の鶴ケ島では五万四千円、東京都の稲城市、ここは二万三千円ということですが、これに開発コストを加えますと十万円ではとても分譲できないのではないか、こう思います。安い土地であってもある意味においては高い土地以上の開発コストがかかるわけであって、そういう意味では安い土地でも高い土地でも、その土地の事情に応じた高額な開発コストがかかるということも考えなければならないわけです。  古い材料を平均すれば七、八万円だからということでありましたけれども、四十八年、四十九年の実績から見てみまして、果たして十万円ぐらいで供給できるかどうか。まずそういうことを現実にやってこられた住宅公団が、いままでの経験、実績から考えてみて、十万円くらいで宅地を分譲できる見通しがあるかどうか、まず住宅公団の方にお伺いしたいと思います。
  103. 南部哲也

    南部参考人 お答えします。  宅造のでき上がりの価格の問題でございますが、これは一つには素地価格、それから造成費それから金利をいかに見るか、さらにはそれが何年間で建設できるか、こういう要素で結果が全部違ってくるわけでございます。したがいまして、まず第一に素地価格が先ほど申しましたような平米二万円ということになりますと、われわれのいままでやってきた経験におきますと、早くて建設期間が五年から七年かかります。金利は現在わが方住宅公団では八分見当になっておりますし、民間資金は御承知のように九分六厘でございます。そういうものを加算いたしますと、工事費をいかに見るかということによるのでございますが、これは平たん地ならばわりと要らない。しかし山地があれば相当工事費もかかる。平均しましてやはりこれからのあれですと平米七、八千円は見なければいけないだろうということでいきますと、素地価格が二万円の場合にはとても十万円ではできないということになります。
  104. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 現実に宅地をつくってきた住宅公団の方で、二万円以上になれば十万円以下ではできないということでありますが、この点建設省のお考えはどうですか。
  105. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先般私が答えました、大体十万円以内で従来の実績から見て供給できるはずであるというふうに申し上げました一つの例は、過去四十五年から四十八年までの間の比較的大きな団地につきまして申し上げたのでございまして、たとえばいま先生が例に挙げられました長津田のようなのは、横浜市内の緑区の中にございます二十数ヘクタールの比較的小さい面積のところでございます。したがいまして、いま公団総裁も答えられましたように、その地価というものはただ単に距離圏だけでは一概に言えないのでありまして、場所によって距離的には同じ四十、五十キロ圏でありましても、その位置あるいは社会的な条件等によって非常に違うわけであります。したがいまして、もし取得価格が二万円というような価格でございますれば、十万円以内で供給することは不可能であります。先ほど申し上げました例でも、大体用地費と造成費とが合わせて五割くらいの原価を占めるということもあわせて申したのでございまして、大体用地費というのが一割五分くらいを占めるのがいままでの大規模開発の例として申し上げたわけでございます。  一律には申し上げられませんが、われわれがねらっております周辺部の大規模開発に適する、そして良好な環境をこれから整備することによって市街地として生き返らせることができるような適地といいますものは、原価も取得費も比較的廉価であって、そして面積も相当大規模にまとまっている、こういうものを指して言ったものでございまして、多少例は古うございましたけれども、四十八年のたとえば洋光台におきましては、最近の例としまして、十万円で譲渡をいたしたというような経験を踏まえまして、大体この水準でいけるはずである。ことに宅地開発公団はスピーディーに早くつくるような権限を与えたから、従来の例から言えばそういう程度でできるはずだというふうに申し上げたような次第でございます。
  106. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 先ほど挙げました北千葉ニュータウンで、住宅公団が予約形式で土地を千葉県の方から取得しているわけですけれども、その価格を見てみますと、昭和四十八年に坪十二万円、昭和四十九年に坪十六万円、こういうのが出ております。この十二万円で住宅公団が買った土地というのは、千葉県がこれはずっと前になりますけれども坪八千円で買った、こう言われているわけです。千葉県でも取得価格の十倍ぐらい見込まなければ分譲ができないんだ、こういうふうに言っております。これから開発をする土地であれば、坪二万円もしちゃ困る、坪一万円ぐらいでなければ坪十万円で分譲することはできないのではないか、こういうようにこれらの実例から考えるわけですけれども住宅公団が最近取得した土地を見てみましても、昭和四十八年から四十九年にかけてどれも二万円以下という土地はないというのが実際であるわけです。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕 ということは、東京五十キロ圏内においては、十万円で分譲できる取得価格が一万円以下の土地というようなものは現実的にはないのではないか。すなわち、理想として掲げられております十万円ぐらいで分譲する土地を宅開公団としてもつくり出すことができないのではないか、こういうことになると思うわけです。  いろいろ言われますけれども、スピーディーにやるとか——スピーディーにやるといっても自治体との話し合い、いろいろな問題がありますし、自治体がぶつかるいろいろな困難な問題もありますし、いろいろな問題を考えてみた場合、また現実的に安い値段で、十万円で分譲することができるような価格で取得できるような土地が果たしてあると考えておられるかどうか、もう一度お伺いします。
  107. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど来申し上げましたように、同じ五十キロ圏でも場所によってずいぶん違いがあると思います。われわれの調査によれば、そういう地域におきまして、取得価格で坪一万円あるいは一万四、五千円というような土地が現在あり得るというふうに調査いたしておりまして、しかしそれが大規模にまとまるかどうかというような点を考慮いたしますと、必ずしもそれが適地であるかどうかわかりませんけれども、絶対にないということではないわけであります。そういう適地はあり得るのでございます。最近の公団の取得しました土地につきましても、たとえば飯能とかあるいは千葉県の野田山崎というようなところにつきましては、比較的安い価格で取得している例もございます。しかし宅地開発公団は、これらはいずれもまだ規模が小そうございますから、もっと大規模土地をねらっておるわけでありまして、そういう意味でわれわれの見通しとしましてはそういう廉価な土地というものはまだ存在し得る、距離的には四、五十キロ圏にあっても社会的に現在遠くてそういう価格になっているという場合が非常に多うございます。
  108. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いま挙げられました安い土地と指示された千葉県の野田だとかそういうところの土地でも、やはり坪にすると二万円になるわけです。ですから、宅開公団をつくる場合においても、物の見方が、十万円で本当にできるというように考えておられるとすれば、相当甘い考えであると思います。  幾つか事例を挙げましたけれども、そうした事実の上に立ちますと、それでも土地の分譲ということを考えられるわけですけれども、そういうことであれば、大半が恐らく十万円ぐらいで、要するに庶民の手に入らないような値段で分譲されるということになっていくのではないかというように思うわけですけれども、ここにはやはり政府住宅政策が、結局は持ち家優先の施策ということがあらわれているのではないか、このように思います。私も個人住宅やあるいは持ち家というものを決して否定するわけではありませんし、また自分で家を持つということが国民の希望であるという認識も持っているわけですけれども政府住宅対策住宅難を解決するということを基本に据えるということになるならば、それは公共賃貸住宅を大量につくるということが第一義でなければなりませんし、そのためには低廉な大量の宅地供給するということがなければならないと思うわけです。     〔村田委員長代理退席委員長着席〕 第三期住宅建設計画が今度こそ本当に住宅難を解決する計画として出発するということであるならば、宅地開発公団の任務はこの公営、公団の賃貸住宅に利用される宅地を大量に供給するものでなければならない、そういうことに主眼を置く公団でなければならないということを指摘しておきたいと思います。  それから、宅地供給関連してもう一つただしておきたいことは、市街化調整区域の問題であります。宅開公団は、調整区域や無指定の地区などの空閑地が現実的に対象となって、開発の場合はこれを市街化区域に編入して開発を進めるということを言われました。調整区域の多くの土地デベロッパーによって大量に買い占められているということはこの建設委員会においてもしばしば議論されたところでありますけれども宅地開発公団はそういう買い占め地についても手をつけることになるのかどうか、そういう場合に宅地を生み出すについてどのような手法をとるのか、お伺いしたいと思います。
  109. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず第一問の、すでに企業等が所有している土地について宅地開発公団はどのような姿勢で臨むかという点につきましては、先ほど来申し上げますように、大都市圏の周辺の地域において大規模な適地としてこれを都市計画で決定いたします場合に、それが全部企業が持っているということはあり得ないと思いますが、その中に企業が持っておる土地であろうと、あるいは大企業であろうと中企業であろうと、それが公団計画の中に入れるべき適地であるということであるならば、これは適正価格で取得し、要すれば収用するという態度で臨むわけでございますので、そこに同じ土地所有者という立場で差別することは考えておりませんが、大体大企業等が持っております地域というのは整形な形をしていないようなものが多いし散在しているものも多いので、必ずしもそれをねらい打ちして取得するというようなことは考えられないのではないかと思います。それから二番目の、それを開発する手法といたしましては、新住宅市街地開発法という法律に基づく新住法の形式を用いるということがまず第一に考えられますが、こういう広大な地域でございますし、中に多少人家もあったりいたしますと、区画整理の手法を使うというケースも多くなろうひと思います。さらに、最近成立いたしました新郡市基盤の整備に関する法律を適用するというケースはこの公団において初めてよき主体を得たのではないかと考えておりまして、この活用について積極的に推進してまいりたいと考えております。そのほか一般的に交渉によって任意買収するこいうような方法もございますけれども、これは言うべくしてなかなか最後になりますと不可能であろうと存じます。  いずれにしましても、都市計画の手法に乗せて計画的に大規模開発をいたしたい、手法としてはそれを考えておりまして、そのほかに埋め立てということも考えられますけれども、現在のところ埋め立て候補地として予定しているところはございません。
  110. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 新都市基盤整備法を積極的に活用する、こういうことを言われましたが、そういう場合にどういうことが起きるかという問題があります。たとえば、これは私が調べたところによりますと、千葉県の東南部、市原台地区の団地、これは住宅公団が千葉市原ニュータウンを計画中であって、現在上下水道や交通などの問題について地元と折衝中であるということでありますが、この千葉市原ニュータウンの南側に西から東にかけて大網白里町にまで及びます広大な地域がありまして、約三千ヘクタールに及ぶ地域を東急不動産が買い占めております。東急不動産側では、いま神奈川県の港北ニュータウン周辺の開発をやっておりますけれども、これが終わったらこの千葉市原ニュータウン地域開発にかかる計画だということであります。こういう地域で、宅開公団が乗り込んでしかも新都市基盤整備法という手法を活用するということになりますと、土地所有者と開発者の共同開発形式がとられるわけです。ですから、その利益は当然土地所有者に還元されることになってまいります。こういう地域を買って、いまかいまかと開発の時期を待っていたデベロッパーが大きく利益を受けるということになることが明らかでありますけれども、こういう地域においてもこの新都市基盤整備法の手法が活用されるかどうかお伺いいたします。
  111. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 住宅公団が買収しております千葉の市原台に隣接して東急不動産が相当規模土地を持っておるということは承知いたしております。しかしながら、その土地宅地開発公団の適地に該当するかどうかということについては、現段階では検討いたしておりませんので、しかもその手法について、どういう手法を使うかということにつきましては未検討でございますので、いまの段階でお答えできないわけであります。
  112. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 将来の問題についての質問で、まあ答えはやむを得ませんけれども、要するに宅開公団が活動を開始するということになって、との買い占め地を持って時期を待っていた、そういうデベロッパーに対して大きな利益を与えるというようなことになるのは、これはやめなければならないと思うわけです。現実を正確に調査して計画を立てるということはもちろんでありますけれども、大企業の大規模な買い占め地などがある場合においては、これを、いま進められておりますように、安い価格で土地を放出させて、そして公的利用の促進を図っていく、そして宅地の値段をずっと下げていく、こういうことがいま十分に考えられなければならない、こう思います。この点を最後に要望いたしまして、終わります。
  113. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会