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1975-03-14 第75回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十四日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 唐沢俊二郎君 理事 服部 安司君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大村 襄治君       塩谷 一夫君    中尾  宏君       野中 英二君    林  義郎君       松野 幸泰君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    清水 徳松君       田邊  誠君    中村  茂君       柴田 睦夫君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         厚生省年金局資         金課長     山内 豊徳君         農林省構造改善         局農政部就業改         善課長     近長 武治君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     箕輪  哲君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     常川 隆司君         労働省職業安定         局雇用政策課長 小粥 義朗君         国土地理院長  井上 英二君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     播磨 雅雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     上野 誠朗君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員移動 三月一日  辞任         補欠選任   藤井 勝志君     内海 英男君 同月十四日  辞任         補欠選任   山崎 始男君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     山崎 始男君 同日  理事渡辺栄一君同日理事辞任につき、その補欠  として内海英男君が理事に当選した。     ————————————— 三月一日  国土利用計画法の運用に関する請願(松澤雄藏  君紹介)(第一一四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  宅地開発公団法案内閣提出、第七十二回国会  閣法第四三号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についてお諮りいたします。  理事渡辺栄一君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいま辞任されました理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、理事内海英男君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 天野光晴

    天野委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案審査のため、本日、日本住宅公団から総裁南部哲也君、理事播磨雅雄君及び理事上野誠朗君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  7. 天野光晴

    天野委員長 次に、内閣提出宅地開発公団法案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  8. 福岡義登

    福岡委員 宅地開発公団法案質疑に入るわけですが、質疑参考にしたい点もありますので、先般建設省が治水、利水の関係から調査されました群馬県の沼田ダムについてお伺いをしたいと思うのですが、調査されました結果、今後どういう方針でおられるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  9. 増岡康治

    増岡政府委員 お答えいたします。  利根川水系沼田ダム計画は、従来ございましたけれども、六十年度までの長期計画の中には入っておりませんで、六十年までは考えておりません。
  10. 田邊誠

    田邊委員 いま河川局長から御答弁がありましたが、私、実はせんだっての予算委員会でこの問題を質問いたしまして、特に水不足に対応するために一体どういう方法をとるべきかという質問をいたしたのでありまするが、それに対して大臣からも、これは非常に多様な方法がある、ダムをつくる必要もあるけれども、そればかりでなくて、流水の利用のこともある、あるいはまた霞ヶ浦開発等の問題もある、そして水の規制、再利用、こういったことも考えなければならぬ、実は質疑応答の中でそういう多様な答弁も承ったのであります。  そこで私は、ダムをつくって対応することも一つ方法であるけれども、その部面はいままでよりもふやすということであってはならないじゃないかという質問展開いたしたのでありますが、その際大臣は「沼田ダムの問題にしましても私どもずっと聞いております。これを建設すると大変な被害者が出るようでありますね。いかに首都圏の水が大事かといっても、それだけの人を犠牲にしてまで建設することが一体どうかという問題、しかしそれが不可能とすれば、一体それにかわるものはどういうものを考えるべきか、」こういう御答弁があったのでありますが、「ダムに頼らざるを得ないということは御理解いただけると思うのです」という御答弁が実は中心にあったために、いわば日本最大ダムと言われていろいろと論議を醸してまいりましたが、数年前からこの沼田ダムはつくらないという大臣答弁があったにもかかわらず、ダム建設が必要だという大臣答弁が一部にはかなり誤解をされて、沼田ダム建設が必要ではないかというように実は報道もされたということでございまして、われわれはこの問題に対しては、いま河川局長お話のように、昭和六十年までの計画には入っていないということを再三承ってまいったにもかかわらず、大臣のいまの答弁というものが誤解を生んだとすれば、これは政府にとっても重大なことではないかというように思いますので、いま福岡委員からの質問ということになったわけでございまして、私の沼田ダムに関する質問は、ここ二、三年、とてもいまの状況の中では、数千戸の水没があるという状況では、これはつくるべきでないというのが歴代の建設大臣の答えです。この従前考え方と変わっていないと承ってよろしゅうございますか、こう質問いたしましたところが、「それで結構です」と言っているんですが、これがいわば言い回しが非常に不明確であったためにさらにその点に対する誤解を生んだといういきさつがございますので、この際、いまの河川局長答弁を受けまして、もう一度この点に対する大臣の明快な御答弁を承っておきたい、こう思うわけであります。
  11. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 前大臣からもいろいろ御答弁しておるようですが、そのとおりです。率直に言って、私も高知県の、実はダム県なんです。私、終戦後からもう五個のダムをつくっているのです。一昨年完成した早明浦ダムというのは貯水量二億トン、水資源公団のやるダムとしては日本一です。そういうものをつくっているのです。しかし、そのダム水没戸数でもそう何百とまとまっておらぬわけなんですね。ところが、それ一つやるだけでもずいぶん苦労した経験を私は持っておるのですよ。いわんやいかに首都に水が必要だと言っても、数千戸の水没犠牲者を出してやるという二とが容易なことではないということは常識の問題でして、そういう意味から考えてみましても、その問題は実際にやろうとしてもできないのじゃないかという感じを私は持っておりますし、私どもはやる考え方は持っておりませんということをはっきり申し上げておきます。
  12. 田邊誠

    田邊委員 いまの大臣のお答えで明確になりまして、六十年までの間に沼田ダム計画はないという形でございますが、私は、いま前段に申し上げたように、ダム計画についても、首都圏の水は首都圏範囲の中で賄うという形だけでなくて、たとえば他の地域から導水をするなりもっといろいろな方法について考えなければならぬ。したがって、五十年までの東京水対策というものに対する一つ計画はありましたけれども、その後の計画がないということも非常に不安を与えているんじゃないかと思うのでありまして、常に東京と上流県との間における争いが絶えないという状態でありまするから、私が申し上げたような観点で、ダムに頼らなければならぬものは最小限度に頼る、しかし、それ以外のいま言ったいろいろな開発それから水の抑制、再利用あるいは海水の淡水化、こういう問題に対して一つの方向を早急に見出すような努力をすべきではないかというように考えておるわけでありまして、従前のような、ただダムにその大部分を頼っているという考え方を再検討すべき時期に来ているのではないかという質問も私はいたしたのでありますが、この点に対しても、大臣もう一度、私の考え方基本的に同意であるかどうかお伺いしておきたいと思います。
  13. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 全く同感であります。足らないからダムをつくって取りさえしたらいいという考え方は間違いなんです。やはり現在の水の規制の問題、再利用の問題、これは真剣に考えなければならぬ時期に来ておると私は思うのです。  それから、一つ県内で水が足らないからその県内で全部無理をしてでもつくらなければならぬという考え方も、これも余りに狭い考え方であって、むしろ広域に考えて処置を考えていくべきだということも当然でありまして、そういうような意味から、少なくとも昭和六十年までに足らなければ足らないなりにそれに対する計画を十分立てて、そして関係方面の理解を得るし、あるいは必要以上に不安を与えないという態度をとることは当然だと思います。お説のとおりに努力をいたしてまいります。
  14. 福岡義登

    福岡委員 そこで宅開公団法質問に入るわけでありますが、具体的な法案の内容につきましては、後ほどの同僚議員質疑にゆだねることにいたしまして、私は、住宅政策前提となる諸問題あるいは住宅政策基本となる諸問題などを中心質疑をさせていただきたいと思うのであります。  第一期住宅建設五ヵ年計画昭和四十一年から昭和四十五年までの五ヵ年間、第二期五ヵ年計画は四十六年から五十年度までということで今日まで努力をされたわけでありますが、第一期五ヵ年計画は一応の目標は達成したと言えるかとも思います。この達成率総合で一〇〇・六%でありますから一応その目的は達成したということが言える。ところが第二期になりますと、五十年度の計画がそのとおりにいったといたしましても達成率は一〇〇に到達をしない、こういうことになっておるわけであります。さらにその中で、申し上げましたように、第一期五ヵ年計画で一〇〇・六に総合ではなっておるのですが、公団住宅公営住宅は一〇〇になっていない。公営住宅は九二%の達成率でありまして、公団住宅が九五%の達成率、ところが第二期になりますと、さらにこれが下がってくるわけです。五十年度計画がそのままいったとしても、その達成率公営で七六%程度公団住宅の場合はさらに下がりまして六三%ぐらいしか達成できないであろう、こう言われておるのですが、五十年度の達成率見通しについて、公営住宅公団住宅についてそれぞれ御説明をいただきたいと思います。
  15. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のおっしゃいましたとおり、五十年度末までにおきます公営住宅公団住宅の進捗におきましては一〇〇%に達成いたしません。ただ、先ほど公営住宅を七六%と先生おっしゃいましたけれども、実はその中に改良住宅のおくれが入っておりまして、純粋の公営住宅だけでございますと七九・七%、約八〇%ができるわけでございます。公団住宅は六三・五%でございます。
  16. 福岡義登

    福岡委員 私がお尋ねしておるのは、五十年度が計画どおりにいく自信があるかどうかということをお尋ねしているのでありまして、計画どおりにいって、いまおっしゃいました数字が出てくるわけです。
  17. 山岡一男

    山岡政府委員 現在までに、特に公営住宅公団住宅が建たなかった理由の中に、関連公共公益施設等整備のための地元市町村トラブルというのが相当部分を占めております。その関係で、新年度におきましては、そういうふうなものにつきまして相当対策を講ずるということにいたしましたし、それから単価につきましても、従来なかなか実情に合わない単価であったと言われておりましたけれども、相当改善をいたしましたので、私は現在のところ予定どおりできると思っております。
  18. 福岡義登

    福岡委員 住宅公団総裁公団住宅についてはどうですか。
  19. 南部哲也

    南部参考人 五十年度につきましては、ただいま御審議中の予算等で六万戸の計画になっております。最近一番大きな用地取得の問題が、地価の鎮静とともに非常に容易になりましたし、ただいま住宅局長から御説明がありましたように、地方公共団体関連公共費償還条件改善ということがございますので、ただいまのところ十分達成できるという自信を持っております。
  20. 福岡義登

    福岡委員 私は、計画どおりいかない要素が多いように思うのですが、努力をしていただくということを要望しておきたいと思うのであります。  そこで、公団住宅公営住宅建設が進まなかったという理由をやはり明らかにする必要があろうと思うわけです。その理由は幾つかあろうと思うのでありますが、私は、この第一番目には宅地取得難があると思うわけです。この宅地取得難理由は、地価の高騰でありますとか、あるいは大企業が買い占めたとか、あるいは地主が売り惜しみをしたとか、そういう一般的な事情もあると思うのですが、やはり人口が限られた地域集中をした、三大都市圏中心日本人口の大部分集中したというところに宅地難の大きな要素があったように思うわけであります。  そうしますと、この問題を解決をしようとすれば、いまのような人口集中事情の中で住宅問題を解決しようとしても、これは限度があるのではないかというように考えるわけであります。そうすると、必要な分散対策というものが出てこなければならない。それぞれ分散政策がいままで進められてきてはおるのでありますが、必ずしも十分とはいえない。しかも最近、環境の問題であるとか資源の問題であるとか、いろいろ事情が変わってきた。そうしますと、いままでの考え方分散政策を進めるとしても、これは適当でないんじゃないか。別の観点から分散政策というものが考えられなければならぬのじゃないかというように思うわけです。  そこで、具体的にお伺いをしてみたいのですが、この分散政策一つに、通産大臣の所管になっております工業配置促進計画というのがあるわけであります。     〔委員長退席梶山委員長代理着席〕  工業配置促進法によりますと、通産大臣工業配置計画というものを策定をしなければならぬことになっておる。通産省はこの計画について、現在どういうことになっておるか、説明をしていただきたいと思います。
  21. 箕輪哲

    箕輪説明員 お答えいたします。  ただいま工業配置計画につきましては、いろいろな準備を進めておりまして、まだ公表する段階には至っておりませんけれども、早急に策定して公表したいというように考えております。
  22. 福岡義登

    福岡委員 工業配置促進法昭和四十七年の十月に施行されておるわけであります。二年五ヵ月の歳月が流れておるのですが、まだ公表できないという事情にあるとおっしゃるのですけれども、今後の作業計画なり見通しというものはどういうことになっておるのか、もう少し具体的に説明していただきたい。
  23. 箕輪哲

    箕輪説明員 御指摘のとおり、昭和四十七年の十月に工業配置促進法ができまして、その第三条でもって工業配置計画策定して公表しなければならないということに決められております。  ただ、四十七年十月、法律施行以来策定準備を進めておったわけでございますけれども、一昨年のオイルショックによりまして、将来の経済情勢枠組みというのは非常に予想困難になってまいったという事情がございまして、実は諸般の前提となる要件を考え直さなければならない。それから、将来の、主としてエネルギーでございますけれども、エネルギー節約あるいは資源節約あるいは国際情勢がどうなるかというようなことの見通しをせねばならない事態になりましたもので、策定がおくれておったわけでございます。  率直に申しまして、昨年の秋までに策定ができるような準備を進めておったわけでございますけれども、当方の準備の中で、実は環境問題についてのチェックというのを十全になさねばならないということが再確認されましたものですから、その点の再確認、各種の検証というのを現在行っている段階でございます。  大枠につきましては、昨年の秋通産省で公表いたしました、将来の産業構造ビジョンがございます。その中で、実は地域的な展開につきましてはある案を出してはおります。現在のところ、これが即工業配置計画になるとは申し上げられないのでございますけれども、再配置計画前提となる考え方というものはそこに盛り込んであるわけでございます。いま申し上げましたような再検討を得まして、できれば夏ですとか、そのころまでに原案をつくりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  24. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。  産業構造観点からいまお話がありましたが、御承知のように、人口が限られた地域集中しておるのでありますが、通産省としては、工業配置あるいは産業構造の問題から検討されまして、どの程度日本産業人口移動が可能であるか、あるいはどういう見通しになるかという見通しを持っておられれば聞かしていただきたい。     〔梶山委員長代理退席委員長着席
  25. 箕輪哲

    箕輪説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げました、昨年秋、通産省産業構造審議会の報告を受けまして公表いたしました「産業構造長期ビジョン」に沿って申し上げます。  この長期ビジョンは、実は経済情勢が、先ほど申し上げましたように、なかなか不確定な要素も多いものでございますから、一応ローリングプランということにしてございまして、毎年見直すということが前提になっております。  全体の枠組みにつきましては、可能な限りエネルギー節約をする、それから国民ニーズヘの対応というのを前提に考えるというような基本的な考え方で考えておりますが、その枠内で、地域的なその工業生産考え方地域展開考え方を簡単に申し上げますと、基本的な考え方は、先ほど来御指摘がございましたように、過密問題の深刻化にかんがみまして、極端に無理を生じない範囲内で可能な限り分散するというのが、まず第一でございます。     〔委員長退席唐沢委員長代理着席〕  それから過密地域、これは具体的には関東臨海あるいは近畿臨海等でございますけれども、新規工場立地を抑制する。移転促進地域、これは工業配置促進法第二条において決められておりますが、東京周辺名古屋周辺大阪周辺地域でございますが、移転促進地域内の工場の約半分を転出させるという考え方でございます。  こういう考え方に従いまして、工業生産シェアというのはどうなるかと申しますと、昭和四十五年にいわゆる太平洋ベルト地帯におきます対全国工業出荷額シェアというのは大体七二%あったわけでございますけれども、昭和六十年には五五%ぐらいにシェアが下がるということでございまして、生産の絶対額が減るということではございませんが、シェアはそのように下げていくというふうに考えております。  この結果、人口につきましてどういうはねっ返りがあるかということでございますけれども、これは実はいろいろな前提がさらにからんできた計算になるものでございますから、いま申し上げましたような、産業構造あるいは地域構造前提として就業者をはじき出して、それをさらに人口にはねっ返したということでございまして、これは試算でございますけれども、関東臨海と申しますのは神奈川、東京、埼玉、千葉でございます。これは考え方でございますけれども、これの趨勢に任せますとこのくらいになります。それは再配置政策がいま申し上げましたような形で実を結びましたときにはこのぐらいになりますという計算をしてございますけれども、趨勢に比べまして四百七十万ぐらいは減るという効果を一応考えているわけでございます。  ただこれも、全国ベースで申しますと、昭和六十年には、千八百万ぐらい、昭和四十五年に比べて人口がふえるわけでございますから、いま申しましたような工業配置政策というのがねらったとおり実現いたしましても、いま申し上げましたような、たとえば関東臨海人口の絶対値と申しますのは従来に比べて減らない、ふえるという形になります。  なぜそうなるかということでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、かなりきつい分散目標を与えてもそうなるわけでございますけれども、日本産業構造全体というのは三次産業の比重が多くなるということと、それから御存じのとおり、いわゆる巨大都市につきましては、人口年齢別構成から見ますと若年層というのが集中しております。そうしますと、かなりの人口分散という効果があったにいたしましても、その中で人口がふえていく、あるいは自己増殖していくと言った方が正確かもしれませんが、そういうような構造になっておるということではないかと考えております。
  26. 福岡義登

    福岡委員 大体事情はわかったのですが、もう一つ具体的な例として農林省にお伺いしてみたいと思うのです。  農村地域工業導入促進法というのがありますが、これの事業計画は現在どうなっておりますか。
  27. 近長武治

    近長説明員 お答え申し上げます。  農村地域工業導入促進法が制定されましたのが四十六年の六月でございます。これは農林省通産省労働省の三省の共管の法律になってございますが、その後、四十六年の十一月に国が基本方針を示してございます。その後に、各都道府県基本計画策定することになってございまして、これは四十二道府県で計画がつくられております。そして、その基本方針基本計画を指針といたしまして、市町村、それから拠点的な場所につきましては都道府県実施計画策定するということになってございまして、四十八年度までに六百十五の市町村において実施計画策定されてございます。
  28. 福岡義登

    福岡委員 地域指定二千五百九十六ございますね。そのうちで六百十五実施計画が立てられている、こう言うのですが、さきに工業配置の御説明がございました。この工業配置計画と、いまお話のありました農村地域工業導入の事業計画との関係ですね、これは通産、労働、農林共管と言われましたから、当然調整されておると思うのですが、この辺どうなっておるのか。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席
  29. 近長武治

    近長説明員 お答え申し上げます。  実は、農村地域工業導入促進法が制定されましたのは、先ほど申し上げましたように、四十六年の六月でございます。それから、工業配置促進法が制定されましたのが四十七年でございます。農村地域工業導入促進法は、御存じのように、農村地域工業導入を計画的にかつ積極的に促進いたします。その結果、地元に就労機会ができますので、農業従事者がその希望あるいは能力に従って、導入された工業に就業いたします。そして一方、農業の構造改善のための施策を進めていきます。こういう施策が両々相まって、農業と工業の調和のある地域社会ができていく。そういう形で、農業面から見ましても、あるいは一般的な雇用構造を高度化さしていく、こういうことが目的でございます。  なお、工業配置促進法は、当省の所管ではございませんが、法文を見てみますと、過度に工業が集積している地域、いわゆる移転促進地域でございますが、そういう地域から、従来工業の集積度が低い地域工業を誘導いたしまして、工業の再配置を促進する、そういうことで国土全体の均衡ある発展を図っていく、こういうことでございますので、法制度上は両者それぞれ独立したものであると考えております。  しかしながら、両法の制度というのは、実は実態面から見ますと、工業の地方分散という共通の効果をねらっておるわけでございます。したがいまして、両制度の間では、工業の地方分散という観点からは十分な調整が図られていなければならないわけであります。現実に制度の上では調整が図られてございますし、当省では、工業配置促進法の提案に当たりましては、かなり通産省とも十分な打ち合わせをしてございます。  具体的にどういうような形になっておるか、二、三申し上げますと、まず、工業配置促進法におきます誘導地域でございますが、これは工業をこれから導入していこうというところでございます。農村地域工業導入促進法で規定いたします農村地域と、ねらいとしては大体同じでございます。それで、実態では九割以上重複してございます。したがって、農村地域と誘導地域は大体同一の地域であるとお考えいただいても差し支えないであろうと思います。  それから、工業配置促進法の規定によります移転計画の認定、それから、そのほか各般の優遇措置でございますが、これは原則として農村地域工業導入促進法に基づく実施計画に従ったものについて行うようにということで、法案提出に当たって両省の間で了解してございますし、法文の上でもそのようになってございます。したがいまして、農林省といたしましては、両法に基づく制度がお互いに相補って農村地域への工業導入がスムーズに進められていくものと考えております。
  30. 福岡義登

    福岡委員 工業配置計画と農村地域工業導入、二つの問題を対比させまして、分散政策がどう進められておるかということを抜き出して議論してみたのですが、このほかにも、新産都市建設促進法というのがある。あるいは低開発地域工業開発促進法というのがある。そのほかたくさんあるのでありますが、それぞれの手法で分散、国土の有効利用ということが進められてきたんだが、ここでやはり見直しというか洗い直しをする必要がきておるのではないか。  というのは、資源、環境、それにまあ産業構造その他の問題があるのでありますが、しかも、考え方としては、いままでのような高度経済成長政策、生産第一主義というような考え方を転換をしなければならない時期にも来ておる、限られた国土をどのように有効に使うかという課題にも直面をしておるわけです。住宅政策を考える場合、どうしても現状のままでは限られた住宅政策しか推進できない事情にあるというようなことを総合的に判断をしてみますと、ここらで基本的な問題として、申し上げましたような事柄などについて十分再検討される時期に来ておると私は思うのであります。これはまあ経済企画庁が総合的に考える分野も非常に多いと思うのでありますが、国土の有効利用という観点から、今後国土庁としては一体どういう考えを持っておられるのか、明らかにしてもらいたい。
  31. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  いま御指摘いただきましたように、各種の法律、制度がございまして、一応人口分散政策努力しておりますが、この段階昭和四十四年に決めました新全国総合開発計画の見直し作業も始まっておりまして、新しい全国開発計画をつくる段階に来ておりますし、前国会で制定していただきました国土利用計画法に基づく国土利用計画も作業に入っておりまして、私どもといたしましては、各省の行政の中心になる基本的な計画をこの段階で各省共同してまとめてみたいというふうに考えておりまして、それをまとめることをまず第一前提といたしまして、それがまとまった段階で、制度についてもやはり必要なものについては見直す必要があるのではないかというふうに考えております。  内容につきましては、まだ申し上げる段階ではございませんけれども、いままで御質疑いただきましたように、いままでの制度はどちらかといいますと企業の移転ということに関するものが中心になっておりました。そのことは、つまり分散した方々の働く場所をどうつくるかということに関連したと思うのでありますけれども、今日の分散政策の中では、その分散した企業に働く方々の生活環境の問題が相当大きいというふうに見ておりまして、仮に地方へ工場が立地いたしましても、その二回目、三回目のときに就業者を得ることが企業側としてもむずかしいという実例も出てまいりまして、その理由をただしてみますと、主に働く方々の家族の生活環境が非常に弱いということが大きな理由として挙げられている点もございますので、そういうことも加味して分散政策をもう一度よく検討してみたいと考えております。
  32. 福岡義登

    福岡委員 ぜひ第三次住宅建設五ヵ年計画に間に合うように適切なものを出していただきたいということを強く要望しておきたいと思うのであります。  通産省農林省と国土庁、結構でございます。  次の問題は、これも公営公団住宅がなぜ建たなかったかという第二の理由なんでありますが、市町村財政の負担が非常に増加する。これは人口急増によりまして、仮に公団が住宅を建てましても、その他の公営公共事業は当該の自治体がやらなければならぬ、こういう事情があったと思うのであります。そういう関係から見ますと、それらの自治体は開発人口の抑制を図るところが多くて、たとえば指導要綱によりまして、これらを、開発や、あれを制限するというところが非常に多かった、あるいはまた学校の用地の供出でありますとか、あるいは財政負担の割合を定めるというようなことがあったと思うのですけれども、この地方財政の負担の増加というものをどうやって解決をするかということも、住宅政策を今後進めるに当たりまして非常に重要な課題だと思うのですが、建設省としてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  33. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 御指摘のとおり、団地お断りといった現象が大都市圏中心として起こっておりまして、それが住宅建設及び団地建設につきまして最大の隘路になっているというのが現状でございます。  この財政負担の急増ということが地方財政を圧迫し、それがひいては地方財政上の見地からそういう現象を引き起こしておるのでございますから、何としても団地建設を進めていくためには、この地方財政の窮状に対しまして援助するという対策が必要でございまして、従来から人口急増地域とかあるいは学童急増地域等につきまして、国庫負担率の引き上げ等を行うとか、あるいは起債その他の充当率の引き上げを行うとか、あるいは四十二年度から始まりました五省協定に基づく立てかえ施行というような制度をつくりまして、人的、技術的にこれを立てかえて、財政的にも援助するというような方法を行ってきたのでございます。  しかし、それだけでは十分でございませんので、五十年度におきましては、事業量の増加のほか、特に三大都市圏に顕著でございますから、これらの地域につきまして住宅公団の立てかえ施行制度につきまして、抜本的な相当思い切った改善措置を加えようとしておるのでございまして、償還条件の大幅な改善を図るということを中心にしてその強化を図ってまいりたい。それからさらに、充当率を一〇〇%にするための起債の強化というようなことを行いまして、そのための利子補給につきましても配慮をいたしたいというようなことを考えて、財政の援助を行いたいと思っておる次第でございます。  さらに、いま御審議いただきます宅地開発公団におきましては、十年据え置き期間を含むその間は無利子とするような措置を考える長期割賦の方式を考え、その財源に充てるための基金というような新しい制度を考えるというようなことを講じておる次第でありまして、さらに公団につきましては、直接補助制度というような制度も設けて、これらの制度を総合いたしまして、何とかしてこの団地建設がスムーズに行い得るように、地方の財政負担が軽減されるような措置を今後とも講じてまいりたい、そのような姿勢で対処したいと考えておる次第でございます。
  34. 福岡義登

    福岡委員 御努力の跡はこれは否定しませんが、いま局長おっしゃるようにそう簡単にいかないだろう、これは後日のまた検討事項にしたいと思うのですが、地方財政の負担の増加の解消について格段の努力を求めておきたいと思います。  第三の問題は、住宅建設計画あるいは公団、この場合公団の場合が多いと思うのですが、その団地構想と当該市町村の諸整備計画は必ずしもうまく調和されてない。整合性の問題なんですが、これはどういう反省の上に立って、特に住宅公団の場合、過去やってこられまして、どういう反省の上に立って今後どういう方針を考えておられるか。総裁いかがですか。
  35. 南部哲也

    南部参考人 過去におきましては、実は住宅建設に非常に追われまして、十分の詰めが行われないで発注するというようなことが四十六年までございました。その後、地元と、もちろん法律上も公団法三十四条あるいは三十六条で地元の公共団体の意見を聞かなければならないということになっておりますし、これは実質上は意見というよりも全く協議で現在施行しているわけでございます。ただ御承知のように、非常に関連する部門が多うございまして、たとえばその後、反省する事項としては保育所の計画が足りなかったというようなこと、あるいは公立の幼稚園についての配慮がなかったとかいうようなことで若干のトラブルがあったり、あるいは付近を通る道路、通勤道路というようなものが、これは市町村の施行でございますけれども、公団が引き受けてやるという場合に、なかなか地元の住民との話し合いがつかなかったりというような問題もございますし、さらに最近では、ほとんど市町村理事者側だけではなくて、議会側の承認も全部とるように措置をしております。ところが、そこで承認を得ましても、現実の団地に着工いたしますと、これはまあ工事騒音の問題であるとか、いろいろな問題がございまして、大体地域の住民との折衝も非常に重要になってくると思います。こういうような面を全部話し合いで逐次御了承願って住宅を建てていく、こういうふうに、市町村あるいは府県段階だけでなくて、さらに市町村も市議会あるいは町議会、さらに地元住民というように、一番現地にまで下がりましていろいろ話し合いを進めていくというのが現状でございます。
  36. 福岡義登

    福岡委員 時間がありませんので先へ進みますが、住宅公団の仕事の種類なり、あり方につきましては、総裁御承知のように、多くの意見があるところであります。近く多摩ニュータウンも見せていただきまして、集中審議する機会を持ちたいと思っておりますので、そのときに問題を残しておきたいと思います。今後十分御検討をいただきたいわけでございます。  あと時間がありませんので、急ぐのですが、もう二つほど、公団や公営住宅が建たなかった大きな理由があると思いますのは、いわゆる超過負担の問題、それからもう一つは縦割り行政の問題がある。  確かに五省協定は結んでおられますが、それでも十分ではない。特に公営住宅の場合は、国と市町村、地方自治体は十分協力をしなければならぬということが定めてあるけれども、必ずしもそううまくいっておると私どもは思っておりません。ぜひ今後、その対策を考えていただきたいという、時間がありませんから、要望にとどめておきたいと思います。  そこで今度は、具体的な住宅政策の中身に入りたいのですが、日本の場合、非常に公的借家が少ない。ちょっと資料は古いのですが、昭和四十五年で持ち家が約五八%、借家が四〇%、こうなっております。その借家の内訳を見ますと、民営が、全体の戸数に対してのなのでありますが、借家で割って、全戸数に対しての割合なのですけれども、民営が二七・二%、それから公的借家が六・二%、給与住宅が七・〇、同居が一・二、非住宅居住が〇・三%、こういうことになっております。非常に公的借家が低いわけで、第二期住宅建設五ヵ年計画を見ましても、公営住宅は七%しか計画されてない。それから、これは全部借家と仮に仮定しましても、公団は四十六万戸でありますから、四・八%しかない。合計いたしまして、一一・八%ということになる。日本の場合、公的借家が非常に少ない。諸外国をごらんになれば、御承知のとおり、公的借家の比率が非常に高いわけです。今後の住宅政策を立てるに当たりまして、この持ち家と借家の関係、その借家の中で公的借家が占める割合というものを今後高めていく必要があると思うが、いかがですか。
  37. 山岡一男

    山岡政府委員 公営住宅、それから公団の賃貸住宅、公社の賃貸住宅等の公的賃貸住宅のストックにつきましては、逐年、その比率を上げてまいっております。昭和三十八年の住調のときには四・六%でございます。四十三年の住調では五・八%、四十八年十月の住調では六・九%ということに、少しずつ上がってまいっております。トータルを申し上げますと百九十九万五千戸というのが四十八年の住調のときの全住宅ストックの中の公的住宅でございます。約六・九%ということでございます。  これにつきましては、先生申されましたように、諸外国、イギリスでは大体三〇%が公的でございます。西ドイツ、フランス等につきましては公的援助のやり方が日本と少し違っておりますので、直ちに比較はできないかもしれませんが、やはり二〇%ぐらいの公的なものを持っております。それに比べますと確かに日本は低うございます。そういう意味で、第二期の住宅建設五ヵ年計画におきましては、官民合わせた全体では、持ち家を五五%、それから賃貸を四五%という基本計画策定いたしましたけれども、特にその中で公的援助をいたします公的住宅につきましては、やはり低所得階層対策ということが主でございますので、六割を賃貸、四割を持ち家というふうな区分で実はやってまいったわけでございます。  しかしながら、最近御案内のとおり住宅金融公庫に対します要望が非常に強い。今度の五ヵ年計画でも公庫だけは一二八%の達成率になります。反面、先ほど申し上げましたような公営住宅公団住宅等が立ち遅れておりますので、その結果といたしますと、われわれの見込みよりもやはり若干分譲にウエートがかかったかっこうになっているわけでございます。  今後の施策の方向といたしましては、持ち家とか借家の区分につきましては、国民の需要実態調査等を参考にしておりますけれども、やはり関連公共公益施設整備に対する助成の強化だとか、それから転がし方式の推進だとか、それから新しい借地方式による土地の活用だとかいうものをかみ合わせまして、大都市におきます公的住宅建設の隘路の打開を図って大いに公的賃貸住宅の建設努力してまいりたいと思っております。  なお、基本的に賃貸と持ち家の割合は、国民の需要動向に従うべきものだとわれわれ考えておりますが、このため第三期の建設五ヵ年計画におきましては、こうした観点を踏まえまして、賃貸と分譲とのバランスのとれたものになるように現在検討中でございます。
  38. 福岡義登

    福岡委員 持ち家と借家の関係は、いま山岡局長お話しされたような需要と供給の関係で将来検討すればいいと思うのですが、私がいま中心的に取り上げておりますのは、その借家のうち公的借家が非常に少ないじゃないか。いま局長お話のように諸外国は非常に高い。  建設大臣、いかがですか。もう少し思い切って公的借家をふやして、イギリスの三〇%にいきなりいけないにしましても、いまお話によりますと六・九%なんですね。もう非常に低い。だから第三次五ヵ年計画では、抜本的にこれを改めて公的借家をふやしていくというようにするべきだと思うが、建設大臣、どうお考えになりますか。
  39. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 日本住宅政策自体が、全体の六〇%を民間に頼っているのですね。それに対しては政府は格別に介入をしておらぬわけでありまして、本当に住宅を根本的にやろうということになれば、民間の六〇%に対しても政府が何らかの発言力を持って、ある程度国民の期待にこたえる方法を考えるべきだと思う。しかも、その六〇%を除いた四〇%の中のさらに公的賃貸が、おっしゃるとおり非常に低いということは、現在の実情から考えて私は適当でないと思っております。  ただ、二次計画をずっと進めてきて、特に公的ないわゆる賃貸住宅の非常なむずかしさというものが、いま一つの問題に当たっている。たとえば公営住宅の問題にいたしましても、新旧の家賃に非常な差があるということ、そういった基本的な問題もひとつやはりこの際解決つけなければならぬのじゃないか、私は一つの課題だと思っておるわけなんです。  なぜ公的住宅が、特に公営住宅が進まないかという問題は、これは地域的にもいろいろ問題がありましょうけれども、しかし、これは地方公共団体自体ももう少しひとつ腹構えを持ってもらって、そういう面では国と地方公共団体が本当に一体となった今後の推進を考えるべきだ、そういうふうに思っております。  いろいろ隘路がありますが、超過負担の問題もありましょうけれども、そういったものは解消していく方法も考えなければならないし、それから、従来の公営住宅が、国の方で枠を決めておって、そしてその枠の範囲内で適当に各地方に配分していくという形になっていましたのですが、先ほど少し局長からも話をしておりましたように、私は少なくとも第三期の公営住宅については、地方公共団体からむしろその計画を逆に吸い上げて、積み上げ方式によって、そしてまとまったものを国も地方公共団体も一緒になって推進していくという形にすれば、実態に即したものができるのではないか、こういう感じがいたします。そういう意味において、公営住宅を積極的に進める方策についてわれわれは努力しなければならない問題が一つと、公団住宅の中でも分譲と賃貸の問題があるわけですけれども、さきに申し上げました団地お断わりといったような、これはもろもろの問題はありますけれども、そういう問題も含めて、それは団地を進めてこうとするためには、地域の公共団体等の意見を聞くと、やはり賃貸だけではいけないし、分譲というものにウエートを置かないと公団住宅がスムースにいかないといったような問題等もありますから、こういう問題も今後の公団住宅を進めていくためには、もっと根本的に掘り下げて検討して出直すべきであるということを、私は真剣に考えております。  いずれにいたしましても、公的な賃貸住宅をこれから思い切ってふやしていくということ、特に大都市を中心にして、所得の低い階層、あるいは老人、母子家庭等がありますから、少なくともその人々の要望する量だけは確保することを最少限度考えなければならぬ、そういうふうに思っております。
  40. 福岡義登

    福岡委員 公団賃貸並びに公営住宅がなぜうまくいかなかったかというのは、いま大臣もおっしゃいましたが、幾つかあると思うのですね。特に公営住宅の場合は、用地費が非常にかかる、それに手当てが十分でないということもあるでしょう、超過負担もあるでしょう、家賃も、いろいろあるでしょうが、そういう隘路になっておった問題を解決すれば建つようになると思うのです。そこを努力していただきたい。考え方としては公的賃貸のシェアをふやしていく。第三次五ヵ年計画の中でまた議論させていただきたいと思いますが、強くこの点は要望して次へ進みたいと思います。  次は、住宅行政の一元化ということが非常に大切であると思うのですね。現在建設省所管のもの、それから厚生省所管の厚年住宅、それから労働省の雇用促進住宅、大蔵省のこれは給与住宅で公務員住宅、といろいろ分かれておるわけです。それぞれ目的があることは私も承知いたします。しかし、だからといってこのままでいいかというと、やはり一元化する要素があるのじゃないかという気がしてなりません。相当建設戸数も多いのですね。四十六年から四十九年まで公営住宅が四十二万八千戸、公団住宅が二十三万二千戸、公庫は百二十六万戸、厚年住宅が二十五万四千戸、雇用促進が二万三千五百戸というふうに建っておるわけです。この中で給与住宅を抜き出してみますと、公庫の産労住宅がある、それからこれは特定分譲でありますが公団の給与住宅、厚年の給与住宅、これは地方公共団体と事業主がやるもの、それから雇用促進事業団のやる、事業団が直接やるものと事業主にやらせるもの、こういろいろあるわけです。  たとえば給与住宅にも、それぞれの目的なり理由があるということは私も承知いたしますが、相当部分整理できるものがあると私は思うのです。一元化できる方法が考えられると思うわけです。しかも、ILOの「労働者住宅に関する勧告」の中を見ますと、給与住宅は特別の場合を除いてこれはよろしくない、これは対等な雇用関係を保持するとか、あるいは退職後住宅不安にさらされるとか、いろいろな理由でできるだけ給与住宅というものはやらない方がいいんだという勧告が出ておるわけであります。せっかく厚生省、労働省にも御苦労していただいておるわけでありますが、時間がありませんので一々のやりとりの議論はできません。時間の節約をしたいと思うのですが、結論として私は、これらある住宅行政というものをできるだけ一元化するべきであるというように思うのだが、その結論について建設省なり厚生省、労働省はどういうように考えられておるか。また、後段で申し上げました給与住宅というもののあり方について再検討する時期に来ていると思うがどうか。この二点について各省から、時間がありませんから簡単でいいですから、説明していただきたいと思います。
  41. 山岡一男

    山岡政府委員 現在各省のそれぞれのところで、ある程度目的も違いますけれども、また別な資金ソースで住宅政策を進めておられます。  ただ、全体の計画といたしまして、住宅建設計画法に基づいて五ヵ年計画策定しておるわけでございますが、その中では「公的資金による住宅」というものの中に、国、政府関係機関もしくは地方公共団体建設する住宅等につきまして、全部その他住宅という名前で呼んでおりまして、組み込んでおります。さらに住宅建設計画等に関する他省庁との協議条項につきましても、建設大臣が五ヵ年計画を作成する場合にはあらかじめ関係行政機関の長に協議をしろ、これは第四条でございます。それから建設大臣は地方住宅建設五ヵ年計画を作成しようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県意見を聞け、これが第五条でございます。それからさらに、都道府県営の公営住宅建設事業量を決めようとするときには、第二種の分についてはあらかじめ厚生大臣に協議をしろ、これが第五条の第七項でございます。さらに、建設大臣住宅建設五ヵ年計画または地方住宅建設五ヵ年計画を作成いたします場合には、関係行政機関の長に対しまして必要な資料の提出を求めることもできます。また、その所管に係る公的資金による住宅の建設基準、助成条件その他当該住宅の供給に関して意見を述べることができるというのが第十条でございます。さらに雇用促進事業団法とか財産形成促進法等の中にも、いずれも各主務大臣がおやりになる場合に、建設大臣と協議ということが入っております。したがいまして、一元化の方向は非常に望ましいことでございますし、われわれもその実現に努力しておりますけれども、それぞれの目的と財源の違う住宅等につきましては、いまのような各省間の調整を十二分にやってまいりたいと考えておる次第でございます。  それから給与住宅は、確かにILO条約の趣旨から言いますと漸減さすべき方向にあろうかと思っております。思っておりますが、先ほど来先生からも御指摘をいただいておりますように、それにかわる公的賃貸住宅の大量供給ということを実現することがうらはらであろうかと思っております。したがいまして、現状でいま直ちに給与住宅をやめるというようなことはまだまだその時期ではない、公共住宅の大量供給をどんどん進めながら、逐次給与住宅についての検討を行っていくべきだというのが現在の考えでございます。
  42. 小粥義朗

    ○小粥説明員 雇用促進事業団の実施しております雇用促進住宅、それから雇用促進融資によります住宅建設については、いま建設省からもお答えがございましたように、国の住宅行政の一元化という観点から、これは雇用促進事業団法上もまた実際上も、その予算、事業計画等につきまして、建設省と十分協議の上で実施を進めているころでございます。  なお、給与住宅のあり方につきましては、先生御指摘のとおり、ILO百十五号勧告もございます。確かにその面から、たとえば労働者の移転なりあるいは職業選択の自由が実質的に阻害されるというふうなことが、給与住宅であるがゆえに出てくるというような問題は、確かに問題としても考えられます。したがって、勧告にありますように、一般的には望ましくないものと認識されるべきだという勧告の内容については十分考えていく点があろうかと思っておりますが、現実には全体の住宅事情等もございます。それから、事業の遂行上給与社宅をやると同時に、反面それが現実に引っ越して働かなければならない労働者の福祉の面からもやむを得ず必要とされるという分がございますので、必要以上にそうしたものを広げることには当然問題があろうかと思いますが、必要やむを得ない範囲でその分の供給を図りていくということは、当面やむを得ないものではなかろうかと思っている次第でございます。
  43. 山内豊徳

    ○山内説明員 厚生年金の還元融資住宅については、先生も御指摘のように、その中にもいろいろなやり方がございますけれども、ただいま住宅局長から御答弁がございましたように、住宅建設に関する上部計画でもございます建設計画の趣旨に即して適切に運営されますよう、これまでも毎年予算認可あるいは執行段階建設当局と協議をしておりますけれども、なお御指摘の線に沿って、今後とも十分な協議、連絡をとってやってまいりたいと思っております。
  44. 福岡義登

    福岡委員 どうも十分なあれでないのですが、将来また議論する機会もあると思いますので、次へ移りますが、あと二、三でございます。  一つは家賃の問題。ある試算によりますと、日本の公的借家を諸外国に比べますと、これは一平米当たりでありますが、イタリアは六十円、フランスが百六十五円、イギリスが百七十二円、西ドイツが二百七十円、日本の場合は、公団で中層団地の場合、十六坪平均なのでありますが、これを平米当たりに直しますと三百七十五円、同じ規模で再開発住宅の場合は五百七十二円、こうなっております。それから収入に占める割合も、イタリアが八%、フランスが一四、イギリスはちょっと数字がはっきりしておりません。それから西ドイツは一八%、日本は、前者が二〇%、後者が三一%、こうなっている。公的家賃が非常に高い。これは原価主義に最大の原因があると思うのですが、将来これを応能家賃制度に切りかえていく、そして、家賃はおおむね収入の一〇%程度に抑えていくということがいいと思うのですが、大臣、政策としてどうお考えになりますか。
  45. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 賃貸住宅の家賃が原価主義でいっていることは御承知のとおりでありまして、そういう意味から地価や物価の上昇等によって家賃が急激に上昇すること、これは、原価主義でいっている限りどうしても抑えることのできない問題であります。そうすると、その高くなる家賃を、どうしていわゆる能力に応じて入居できるようにするかということが、これからの一つの大きな問題であろうと思います。実は審議会の方の中間報告の中にも応能家賃方式というものが示唆されております。やはり本当に公営賃貸住宅というものの精神から考えますと、その方式で進むべきだと私どもは思っております。  しかし、これを現実にやろうということになりますと、なかなかいろいろな問題が、出てきます。技術的な問題はともかくとして、じゃ、能力に応じて家賃を払わすが、その不足は一体どこのだれが持つかという問題、結局財源の問題になってくると思うのでありまして、私はそれなりに国も地方公共団体も考えなければならぬと思います。  そのこと自体は、これから逃げて通るわけにはいかぬと思っております。が、ただ、前段も少し申し上げましたように、いままでの公営住宅の家賃のあり方というものは、これは非常に不公平であります。五十円、百円の家賃があるかと思えば、いま入る人は二万円近くで入らなければならないという人もある。しかも、その五十円家賃のきわめて低い家賃の人が、現実には所得が非常に向上して、別に住宅を構えておって、現在の公営住宅一つの権利として保有しておるといったようなこともあるようでありますから、そういった不公正というこの基本的な問題を勇気をもって解決をつけなければならぬと思います。そして、そこからもある程度財源を捻出し、地方公共団体も国も一体になって、やはりこれからの家賃制度というものを公平に、能力に応じたいわゆる応能制度を考えていくべきだ、そういうふうに思っております。  非常にむずかしい問題でありますけれども、いずれにしてもこれはひとつやらなければならぬ問題だと考えておりまして、五十一年度新しく出発するための一つの大きな政策課題として取り組んんでおるわけであります。
  46. 福岡義登

    福岡委員 これは、財源が必要でないのですから、やろうとすればできることなのですけれども、現在の入居者は抽せんによってやっておる。で、住宅の困窮度に応じた入居基準になってないわけです。そこで、住宅困窮者の登録制度を採用したらどうか、そうして困窮の度合いに応じて入居させるという方法がいいのではないか、これは余り金は要りませんが、やろうとすればすぐできるのだが、来年くらいからおやりになりますか。
  47. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 抽せんで入居者を決めるという問題は、たまたま幸せな人は当たるし、その当たった人が必ずしも当たらなかった人と比較して住宅に切実にそんなに困っているかどうかという問題を考えますと、おっしゃるとおりに、本当に困っている人から順々にいわゆる登録して入居させていく方法が一番理想的だと私は思っております。そうやるべきだと思っておりますが、その実態をどう把握するかという問題が、地方の町村あたりでは比較的わかりやすいのですけれども、大都会になってきますと、なかなかそういったものの実態そのものの把握がむずかしいのではないかということで、いままで実現できなかったのではないかと思いますが、しかし、これは当然考えなければならぬ問題で、これも一つの今後の住宅政策の最も大きな課題として私ども検討しなければならぬと思っております。
  48. 福岡義登

    福岡委員 五十年度で第二期五ヵ年計画が終わる、五十一年度から第三期ということになるのですが、いままでの惰性で第三期計画は立てるべきでない。抜本的に発想の転換をしまして、先ほど来問題を指摘しましたような事柄を詰めていただきたい。  それから同時に、昨年の十月に住宅宅地審議会の中間報告が出ている、近く答申が出されるであろうと言われる、先ほど来申し上げました労働者住宅に関するILOの勧告もある、そういうことを取り入れていただきまして、この第三期五ヵ年計画というものは本当にすばらしい計画を立てていただきたい、こういう要望なんであります。  それにつけても、住宅基本法というのがわが国にはまだない。これも、それまでにひとつ住宅基本法を制定をして、そして、それに基づく第三次五ヵ年計画というようなものをつくっていただきたいということを強く要望しておきたいと思うのであります。  最後に、宅開公団は必要なのかどうかという点にしぼって私はお伺いをしたいと思うのであります。  ここで新たに宅地開発公団をつくらなくても、住宅公団の改組あるいは整備強化といいますか、そういうことをやってできないことはないはずだ、こう私は思うわけであります。ここで宅開公団が提起されるということは、ある意味では住宅公団に対する不信感が出てきておるとも言えると思うのですね。内容の議論はさておくといたしますが、いままで仕事をやってこられました住宅公団総裁、あなたの現在の心境はいかがですか。
  49. 南部哲也

    南部参考人 住宅公団発足以来本年で二十年になります。この間住宅の方は大体管理戸数で八十万戸に達しようとしております。住宅建設につきましても、先ほど来お話のありましたように、地方との協議その他で非常に難航しながら今日に至っておる、ある時期には用地の取得難が非常に激しくて、私どもの方で入札したものが全部民間企業に取られるというようなこともありまして、悩みに悩んだ時代もございます。現在までなおいろいろな隘路がございます。しかし、それと同時に、宅地造成も二十年間に、住宅だけで言いますと二万ヘクタールというものをやってきておりますが、大体年に千ヘクタールのペースでございます。供給いたしますのもこの五年間で大体二千ヘクタールくらいということで、ここで大規模な宅地のニーズがございますと、いまの事業量にさらにそれを加えていくということになります。現在でも、大体四十九年度で申しますと年間の事業費は八千億、五千人の職員でこれをこなしておりますので、一人当たり一億六千万円。これだけの事業をやっている公団はございません。そういうようなところに、さらに新しい住宅宅地のニーズというものが出てきますと、現在幸いなことに地価は鎮静しておりますが、この鎮静を維持するためにはどうしても宅地の供給量をふやさなければいけないということになりますと、そういった急速な、大規模な宅地造成という仕事が現在の公団に加算されますと、御承知のように、特に首都圏等におきましては非常に団地そのものについても難渋いたしております。したがいまして、宅地の国民的なニーズがあるならば、それをタイミングとして非常に急いで供給しなければならないということであるならば、これは一つの機関でやるよりも二大馬力でやった方が促進にはなる、このように考えておる次第でございます。
  50. 福岡義登

    福岡委員 予想外の御答弁なんですが、私はもう少し自信を持っていただいて結構ではないかと思うのです。むしろ八十万戸の建設をされた、その賃貸の場合、管理も必要でありますが、そういう業務を他に何か工夫するとしましても、家を建てていくという、それに必要な宅地も一緒に一体的にやっていく方がいいのだという考えが出てくることを期待しておったのですが、そういう消極的ないまの総裁答弁で、やはり住宅公団考え方が間違っておるのではないかという気がしますが、これは私の見解で、ここで議論しようとは思いません。  そこで私思うのは、仮に宅地開発公団を必要とするにいたしましても、先ほど来幾つか議論してきましたような基礎的な条件なり前提となる条件というものはまだ整備されていない。早急にそれらを整備して、そうして本当に宅開公団を必要とするのならば、そこで議論をすれば私はいいと思う。時期尚早の感がしてならぬわけですが、建設大臣は一遍これを今後再検討する気持ちになられることはできませんか。
  51. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 宅開公団法は昨年の国会に提案をされたのでありまして、それだけ必要があってやったのが、実はいままで国会の審議も保留になったままで今日に至っておりますから、むしろ私は、立法の時期から考えると少しずれたのではないかという感じすらしておりまして、急がなければいかぬという気持ちを持っております。  いろいろ御意見の中にもありましたように、やはりこれから先は、住宅の問題を解決していくためには、特に公的賃貸住宅等を進めていくためにも一番大きな問題は用地問題だと思います。用地問題だけ地方の公共団体にお任せしておっては、これはとても進まないといった現象もすでに生じておりますから、できることなれば公共団体やその地域の人々と十分相談をして、そして思い切った用地をつくるということを国の力でやっていくということがむしろこの際必要ではないかという感じが実はしているわけでございまして、そういう意味で宅開公団は遅まきながらひとつ皆さん方の御協賛を得て早く出発させていただいて、ひとつ思い切った住宅用地をつくっていくことに進めさせていただきたいと思っております。  公団との問題がいろいろありましたけれども、住宅公団は建物、住宅を建てるのが使命でありまして、宅地をつくることが使命ではありません。いまでさえも手いっぱい、いろいろと批判も受けておりますし、私はさらに内容を十分検討してこれからの皆さん方の批判にこたえるようにしなければならぬと思っておりますが、そういう意味からも、自分の自家用だけは宅地をつくる必要がありましょうけれども、それ以外、よそのことまで手を出す余裕はないと私どもは思っております。そういう意味から、やはりこの際は思い切って宅地開発するためには公団が必要であり、一日も早くこれが成立することを期待をいたしておるのであります。  福岡先生と若干考え方が違っておるようでありますけれども、どうぞひとつ御了承をいただいて御協力をお願いをいたします。
  52. 福岡義登

    福岡委員 ただいまの仮谷建設大臣の御答弁には異見がありますが、与えられた時間も来ましたので、また後日に譲りたいと思います。これで終わります。
  53. 天野光晴

    天野委員長 清水徳松君。
  54. 清水徳松

    ○清水委員 私は、宅地開発公団法案について質問いたしたいと思います。  質問の第一点は、この法律案については再検討をしなければならないのではないか、そのことです。御承知のとおり、この宅開公団法昭和四十年十二月の建設省宅地審議会、現在の住宅宅地審議会の第三次答申あるいはまた最近における昭和四十八年十一月の行政監理委員会の「住宅対策のための土地行政の機構および運営のあり方についての答申」、こういったような答申をもとに立案をされてきたものであるというふうに了解しております。しかし、昭和四十年以来、このころは高度成長の最盛期でございまして、土地の確保が困難なときでもあり、そして都市近郊におきましては人口急増、住宅用地が非常に必要な時代、払底をした時代であったと思います。現在はこの高度成長というものは大きくUターン現象を見せておる。むしろゼロ成長あるいは低成長時代に入っておるということは御承知のとおり。また、特にこの四十八年十一月の行政監理委員会の答申の以後に、石油ショックによる日本の経済の構造にもかかわるような大きな変化というものが出ておる。さらにまた土地の異常なる値上がりを抑え、あるいはまた逆にそれを二、三割下げたところで土地を確保する、あるいは遊休地の利用、こういったようなことを理由に土地利用計画法がちょうどこの四十八年十一月ころより話が出まして、昨年の四月ですかこの土地利用計画法が成立をいたしました。  こういったような状況を考えるときに、この宅地開発公団法を立案した根拠である二つの答申が出た後に大きなこのような変化が起っておるということを考えるときに、もう一度これらの審議会に諮問をし直して、その上に立脚をしてこの宅地確保のための法律案というものを出してくるべきではなかろうかというように思います。その点についてもう一回検討をして出し直す意思はないか、大臣から御答弁をお伺いをいたしたいと思います。
  55. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先ほど福岡委員さんにもお話し申し上げましたように、確かに立法の時期、その後の経緯はいろいろあります。ありますが、基本的に宅地開発が必要かどうかということが、私どもがこの法律を進めていくための本当の基本になると思っておるわけでありまして、もうそこまでやらなくてもその必要がないというならこれは話は別であります。けれども、いずれにしても、まだ宅地開発をして大量の安い宅地を供給するということが住宅政策を進めていくために欠くことのできない問題であるという観点から考えると、過去の経緯や法案の内容等に若干議論があるにいたしましても、ぜひひとつこの法案はひとまず通していただくようにお願いをいたしたいと思いますし、そうしてこの法案を運営していくためのいろいろな内部的な問題がありましょうから、そういう問題等につきましては、皆さん方の御意見も十分参酌をしながら、そうして今後の事態に即応するように進めていかなければならぬ、これは当然の責務だと思っておりますが、いまこの法案を撤回して審議会にさらに再提出をするといったようなことは、時間的にも私どもはそういう余裕もございませんし、去年からの経緯もございますので、ぜひひとつ御理解をいただいて、本案に対する御審議をお願いをいたしたいというのが真意でございます。
  56. 清水徳松

    ○清水委員 この宅地の確保ということは十年前も現在も変わらないと思います。そういう意味において、この宅地開発公団法というものが宅地の確保に大きくプラスになるものであるという中身のものであったならば、われわれはそれに対して賛成するにやぶさかではないと思います。協力するにやぶさかでもございません。     〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 しかし、実際この法律案の目的からして、住宅地の「大規模な造成を行い、これと併せて整備されるべき施設の用に供する宅地を造成するとともに、これらの宅地に必要な公共施設、交通施設等の整備を行うこと等により、良好な宅地の大量供給と健全な市街地の形成を図り、もって大都市及びその周辺の地域における住民の生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする」まことによいことずくめの夢のような計画であり、また目的であるような気がいたします。しかし、夢であってはならないと思います。私はこの目的にありますように「良好な」これはもちろん安い、職住近接した、しかも適正規模の宅地を供給することができるかどうか、非常に疑問のような気がするわけであります。公共施設をつくろう、交通手段を確保しよう、こういうような、われわれ今日でも遠いところから通勤する者にとってはまことによいことずくめのこの宅開公団の目的ではあるわけでありますが、これらの目的を達成する条件というものが現在あるのかないのか、条件がありとする自信があるのか、その辺のところ本当に確信を持っての提案であるのかないのか、大臣からもう一度御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  57. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 法案ができて、その法案に基づいて候補地を選定をして、それから開発を図っていかなければなりませんから、その意味においてはここで断言的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、一応いまいろいろ予定をされておるところは地元の公共団体も非常に積極的に御協力はいただけるような感触を実は持っておるわけでありまして、私どもはこれは一つの住宅都市といいますか、都市計画に基づいた大型ないわば住宅都市をつくるくらいの気持ちでやらなければならぬと思います。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 だから、その中には賃貸住宅もありましょうし、分譲住宅もありましょうし、そういうふうな問題をずっとバラエティーに富んだ対策を考えていかなければならぬと思っておりますし、いま、その関連公共施設の問題のお話がありましたが、一番公団でも苦労をいたしておるのは、何とか住宅は一応建設でき、マンションは建設できたけれども、ビルはできたけれども、今度はそれに通ずる交通の問題とか学校の問題とかあるいは下水の問題とか関連公共等の施設が十分にいかなくて、地方住民との間にトラブルが起こって、せっかくできたその住宅がまだ入居ができないといったような事態もあるわけであります。そういうことを考えますと、住宅の宅地をつくると同時に、そういう関連施設も事前に完全につくって、そしていつでも入っていらしてください、そうしたら交通もすべての問題も完全に解決いたしておりますという理想的なものをつくらなければならぬ。それがわれわれの今後の一つ考え方でありまして、そのためにはよほどの努力が必要だと思いますけれども、これはやらなければならぬ仕事でありますから、全力を挙げて努力をいたしていきたいと思っておりますし、それなりのまたいろいろ構想も描いておるわけであります。  具体的な問題、必要でありましたら局長からお答えをいたさせます。
  58. 清水徳松

    ○清水委員 いま大臣の御答弁を聞いても、まさに夢のような計画である。現実われわれは首都圏の三十キロあるいは四十キロ、その地帯に現在住んでおる。そこから約一時間半込み合う電車に乗って東京に通勤をする人の状況というものはよくわかっての上の大臣に対する御質問であるわけです。ですから、本当に良好な住宅を確保し、そして本当に安心して足の不便を考えないで通勤できるといったような、そういう団地を考えておるのだということでありますが、一時間半も二時間もかかるようなところは、安心して通勤できるといったようなことにはならないだろう。どうも宅開公団法に盛られているその中身というものは、われわれ一般市民からすると見当外れなものを考えているのではないかというような心配があるから、御質問を申し上げておるところでございます。  いまここに多摩ニュータウン関係の資料がございます。これは、交通施設にしてもそんな簡単なものじゃないということをぜひ御認識願いたいと思います。そういう意味で取り寄せたものでございます。  多摩ニュータウンは現在まだその一部、一割ぐらいしか入居しておりません。そこへいま小田急と京王電車が入っております。小田急は新百合ヶ丘と小田急永山の間六・八キロ、それから京王電車の方は京王読売ランドから多摩センターまで九・八キロ、これがそれぞれ四十九年六月一日、それから後者は十月十八日に開始をしておるわけです。それに要した期間は約二年有余、そして総工費は百六十二億円、これは小田急の方、そうして京王の方は百九十三億円。しかも現在はこの小田急線の方は一日大体五千人、月にして、これは一月の統計ですが、十五万二百二十八人運んでおります。そして、京王電車の方は三十六万九百八十人、大体一日一万六千人見当になりましょうか、運んでおるわけです。こんなことでは現在採算がとれるはずはない。それはそれとして、利用者側にとっても、現在は乗りかえをしても何とか通勤はできると思います。それぞれ百合ヶ丘とか読売ランド等で乗りかえをして新宿に来るわけですが、それでも通勤できる。それが、達成をして全部入居をした場合、今度は、京王線、小田急線ともに大体十八万人が輸送される。もうほとんど通勤者です。それは半分がラッシュ時に集中するものとして、そうすると八両編成にして二千四百人、これだって込み合います。一車両に三百人乗せるのですから。それでも十八か十九列車が必要になってくる。そうすると、大体六時半から八時ごろまで運転するにしても、五分間おき、それ以内で運転しなければならぬということになります。そうなると、これはおそらく乗りかえといったようなことも大変だろうけれども、いまの京王線小田急線の中に、さらにあのダイヤの中に八両編成の込み合う車両を入れるという、そういう線引きというのはおそらく困難なんだろうというふうに、いまから思われてなりません。そういうことを考えるときに、交通問題一つとっても非常に夢のような計画になっているんじゃないかというふうに考えるわけです。  ですから、どうしても都心まで一本持ってこなければいかぬ。地下鉄になりますか高架線になりますか知らないけれども、とにかく直通運転で入れてこなければ、とても運び切れるものではないということになろうかと思います。結局は地下鉄を乗り入れるというような形になろうかと思いますが、ちなみに有楽町線の建設費をとってみました。そしたら、成増−明石町二十・七キロ、二千三百二十億円、キロ当たりの建設費は大体百十二億円になっているわけです。こういったようなことを考えると、一体公団なり運輸省は、この交通施設についてはどのような構想を宅開公団とあわせて持っておられるのか、本気に新しい都市づくりとともに新線を建設することを考えておられるのか、そういったようなことについて、基本的な考え方というものを、それぞれ建設省なり運輸省の方からお伺いをいたしたいと思います。
  59. 常川隆司

    ○常川説明員 ただいま御指摘がございましたとおり、たとえば例に出ました多摩ニュータウンにつきましても、ニュータウン線内の輸送については比較的問題はございません。しかしながら、ニュータウン線と接続する既設線の方の輸送力増強という問題について非常に難点があるとか、あるいは、新しい線をつくるということになれば、いま御指摘のような非常に巨額の経費が必要でございます。しかしながら、これにつきましては、私どもの方としまして、基本的に在来線の増強なり強化という計画と新線の計画とは、結び合わせて計画をつくっております。  現にいま御指摘の、たとえば小田急線をとりますと、小田急線の一番線路容量の高いところ、これは経堂周辺でございまして、そこらあたりまでのところにつきましては、既設線の複々線化をやるということとあわせまして、小田急線を地下鉄九号線と代々木上原におきまして相互直通で乗り入れます。したがいまして、その間におきまして約一時間に十本程度のものが、それ以遠の輸送力を、いま申し上げました十両編成におきまして一時間約十本程度将来ふやせる、こういう計画ができております。あるいは京王線におきましても同様でございまして、京王線の八幡山から新宿まで、ここは新線を現在引いております。現在線の複々線化を行いますと、京王線も、御指摘の、たとえば調布以遠の線路容量というものが約一時間に十本程度ふやせる、こういう計画をつくっておるわけでございまして、いまお話しのように、私どもは、一応交通の専門家といたしまして、将来の需要も含め、それをカバーできるようなものをつくりたいということで全体的な計画をつくっております。  今後宅開公団がやります場合にも、既設線と接続するということがどうしても必要になります。そういう場合におきましては、既設線の線路容量というものをいかにふやしていくかという計画をまずつくりまして、それに見合うタイミングで新線の方、いわゆるニュータウン線というものをつなぎ、両方においてスムーズな輸送ができるようにし、特にそれを直通で入れるということによって、時間的にも、たとえば四十キロ圏程度でございますと一時間少しという時間で通勤できるようにいたしたいと、こういう計画をつくっております。また、そういうふうにそれが実現するように努力してまいりたい、こういう考え方でございます。
  60. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 宅地開発公団の候補地の選定に際しましては、あらかじめ、その輸送の確保という意味から、運輸省と協議をすることになっております。いま運輸省から申されましたとおり、大体既設線の利用ということを、ただいま着手するものにつきましては考えざるを得ません。したがって、その最寄り駅までの鉄道ないしは輸送ということを重点的にこの公団にその施行権を与えるというようなことが、発足当時においては当然考えられる。それから、運輸省の方でお考えになっております大都市圏域における新線建設等の、あるいは増幅等の計画とこれを調整をとるということがこの団地建設一つの大きな要素になるというふうに考えておりまして、この問題につきましては、運輸省と十分連絡をとりながら、その輸送の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  61. 清水徳松

    ○清水委員 聞くところによりますと、さしあたって五十年度には、現在千葉県がやっております北千葉ニュータウンですか、あれを引き継いで、あれは大体東京から五十キロ圏ぐらいになると思いますが、そこに宅開の一大団地造成を行うということを考えておるやに聞いておりますが、ここからですと、もちろん総武線もあるわけですし、また京成等も現在運行しておるわけですが、おそらくいまの混雑はまさに異常なものがあるわけでございまして、ここにいま言った多摩ニュータウン的なものをつくるということになるならば、交通施設の整備の方がむしろ宅開よりもよほど大仕事になるような気がするわけでございます。ですから、むしろこれは運輸省の方の仕事の方がきわめて大きな隘路になってくるんじゃないかというふうに感じられてならないわけであります。当然これは赤字経営を予想していなければならないところだろうと思います。現在多摩ニュータウンの場合も全然採算はとれておらないと思います。一日に五千人や一万六千人運んだところで採算とれるはずがない。そうなれば、当然それに対して国が赤字負担をするというような処置をしなければならないだろう。本当に宅開公団が新線を経営すると言っているわけですから、その新線に対して国が赤字負担をするというそういう用意が本当にあるんだろうか。あげくの果てには、現在多摩ニュータウンでも問題になっておるわけですが、この建設のためにすら三十万円なりの負担をそれぞれにおっかぶせていく、こういう形が出てきたんです。結局は高負担、高運賃といいますか高料金といいますか、そういうようなものにつながっていくんじゃないか、そういうことを心配するわけですが、運輸省、建設省のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  62. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 当然当初におきましては、交通量が片寄りますので赤字ということが予想されるわけでございます。  そこで、公団に一つの権能といたしまして、鉄道の建設あるいは経営という権限を与えておりますけれども、これは経理を宅開部門とは別にいたしまして、鉄道建設部門及び経営部門とは経理を別にしているゆえんもそこにあるのでございまして、鉄道の経営と宅地の経営とは別にいたしまして、宅地単価に割り掛かるというようなことのないように経理を別にいたしておるところでございます。  鉄道の建設につきましての長期の見通しに立った収支計算というものが当然あるわけでございますけれども、当初は赤字になる。これにつきまして、どういう方式でやるかということにつきましては、現在三通りくらい四十七年度から三省協定によって鉄建方式あるいは地下鉄方式あるいは公営方式、御承知のとおりいろいろあるわけでございますけれども、またもう一つの方式をとるかどうか。いずれにいたしましても、この鉄道の経営を、赤字を極力少なくするような方向で、後で運輸省に答えていただきますけれども、そういう方向で助成措置を強化することが必要だというふうに考えております。いずれにしましても、公団が権限を持っております鉄道建設部門は宅開部門と経理を分けて、それぞれ共管大臣として公団の総合的な運営に当たることといたしております。
  63. 常川隆司

    ○常川説明員 ただいま建設省の方からお答えがございました趣旨とおおよそ変わりませんが、基本的にはただいま現在ニュータウンに対する助成制度というものが、鉄建公団の場合あるいは公営、準公営の鉄道の場合あるいは地下鉄方式等いろいろございます。しかしながら、宅開公団の場合につきましては若干まだ特殊の要素がございます。御承知のとおり、宅開公団はみずから好んで鉄道を経営しようというものではございませんで、いま御指摘のような当初の採算が非常に悪い間、既存の鉄道業者が経営を引き受けようとすることが通常考えられない、そういう場合にはやむなく公団が出るという最後の手段でございます。したがいまして、基本的には非常に苦しいということも予想されますところでございますが、それについては、そういう現状に即した助成措置というものを別途考えなければいけない、そういうふうに考えております。  しかし、この場合におきましても、宅開公団が鉄道を経営するというのは、いずれにしましてもやむを得ない措置ということでございますので、ずっと経営するということではございません。ある程度経営にめどが立った段階で、特に接続する鉄道事業等にこれは譲渡するということを考えざるを得ないと思います。したがいまして、その間における累積の赤字というものはできるだけ少なく押さえるような助成措置というものをとるとともに、一たん経営のめどが立った後はその欠損分も含めて事業者に引き取らせるというようなことで、公団としても赤字の処理ができるというふうに考えておるわけでございます。
  64. 清水徳松

    ○清水委員 何か非常に自信のない御答弁なんで、大変また心配になってくるわけですが、やはり多摩ニュータウンのときのように、実際入居する方に分担金といったようなものが割り当てられるものであるかどうか、その辺のところをおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  65. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいま申し上げましたように、どの方式によるかということによって、受益者負担的な負担を現在いたしておりますけれども、その負担の程度には差がございます。いずれにしましても、この公団ができました理由は、大量に安くそしていい環境の宅地をつくるということでございますから、できるだけ宅地に割り掛けることが少ないような方式をとられることが望ましい。そこで、いま申しました三方式の中で言いますと、地下鉄方式というのが一番負担が軽いわけでございますけれども、場所によりましてまた周囲の状況によりましてはわかりません。それからまたいま運輸省もお答えいただきましたように、別の方式をとるかもしれません。そういう意味で至急、そういった具体の場所によって違いますけれども、いま申し上げましたような趣旨で負担金が過重にならないように、現在とっておりますニュータウン方式という多摩方式でございますと、御承知のような負担割合がかかりまして、最寄り駅までの分というものは相当の負担になるわけでございますが、そういう形になるかどうか、場所によりますからいま断言できません。しかし、極力そういった負担がかかることが少ないような方式をつくり、そして経理を分離しておりますから、その宅開部門から鉄道部門への負担の軽減を図りたいと思います。
  66. 清水徳松

    ○清水委員 大体五十年度は千葉に取りかかるということを聞いておるわけですが、千葉の場合はどの方式でいくか、まだ決まっていないわけですか。
  67. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 千葉の場合はすでに免許がおりまして、千葉県におきましてこれを建設すべく現在用地の買収等に着手しておる段階でございます。しかし、これを公団にもし仮に引き継ぐという場合に、どういう方式によってこの公団が引き継ぐかということにつきましては今後の課題でございます。
  68. 清水徳松

    ○清水委員 仮にそれが行われる場合でも、分譲あるいは賃貸住宅にその分担金がかかってくるようなことのないように、多摩の例もございますから、十分留意をしてほしいというふうに要望しておきたいと思います。  いずれにしろ、この交通施設の整備という問題一つとりましても、決して簡単なものではないということをいまから十分お考えを願いまして、それは夢のような計画を持つのは結構だけれども、あくまでそれを現実化するときには、やはりよく検討をされて、この宅開公団というものが果たして国民のためになるものであるかどうか、この点からもひとつそれこそ総理の好きな見直しをぜひしていただきたいものであるというふうに思います。  さらに、鉄道を敷いていただけるので大変結構だけれども、五十キロも東京から離れておったんじゃ、決して良好な宅地といったような感じはしないわけです。現にわれわれそういう感じを持っております。この計画、電車さえ敷いたらいいじゃないかというような考え方は、まさにわれわれ勤労者の悩みを理解しない計画ではなかろうか。本当に宅地造成をするというんだったら、職住の近接ということを十分踏まえた上での造成をしなければならないだろう。そうでなければ本当に良好な宅地の確保をするということにはならないだろうと考える次第です。  宅開の構想はいずれにしても北千葉であるとかあるいは茨城の南であるとかで、神奈川、埼玉県においてはそういったようなところはちょっと見当たらない。そういうところをこれから無理して見つけるとしても、五十キロ圏、もっと離れたところになるのではないかとわれわれは推量しておる次第ですが、実際考えてみると、宅開の構想というものは、良好な住宅を確保すると言いながら、きわめて遠い、勤労者にとっては大変悩みを末代にまでも残す。そういう構想になりつつあるという感じがいたします。その点について大臣に、宅開公団をつくって実際の仕事をする場合に不本意なことになりはしないか、そういうことについての御心配はないかということをお伺いしたい。  いまはUターン現象の時代ですよ。どんどん遠いところは敬遠しまして三十キロ圏以内に帰ってくる傾向が非常に強くなっている。この段階で四十キロ圏、五十キロ圏でこういうニュータウンをつくる計画というものは、恐らく当を得ないものであろうというふうな気がするものですから、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  69. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 清水先生の御意見、私は本当によくわかります。私も、実は大臣になりましてから、去年から継続になっているこの法律というものは立法の次元から言っても何か少し変わってきていますし、再検討する必要があるのではないかということで、この問題については事務当局ともいろいろ実は相談をいたしたわけなんです。ただ現実の問題として、確かに多摩ニュータウンの問題等考えますと、御指摘を受けるようなこと、私ども本当に胸にこたえておるわけなんですよ。住宅建築価格が上昇して入居者とのトラブルが起こっている、非常に手際よくやったと思われる交通機関はおっしゃるとおりに赤字を出して運営も非常に困っているといった問題、そういうことを考えてみますと、これはよほど真剣に考えていかなければならぬと実は思っております。本来なれば本当に都内でできるだけ優良な宅地を見つけることが理想ですよ。職住関係から考えてみましてもそのことは理想なんです。理想なんですけれども、東京都内、少なくとも三十キロ圏以内でそんな理想的な宅地開発できるかというと、現実の問題として実はできないわけなんで、これは都や公団がみずからの住宅をつくるためのあるいは自家用のもの程度はあるいはできるかもしれませんが、大量のものの供給は非常にむずかしい。それかといって都内の中心部あるいは三十キロ圏以内のものの宅地開発というものを私どもは決しておろそかにしておりません。それはあくまでもやらなければならぬ、積極的にやらなければならぬと思っておりますけれども、それには現実的に非常な壁もあるし、限界がありますから、それはそれとして努力しながら、現在の状態はやはり四十キロ圏、五十キロ圏にかなり集中しておるようであります。そうしますと、四十キロ圏、五十キロ圏内のところで開発をすれば、交通問題さえ解決をつければある程度期待に沿えるのじゃないかという考え方もありまして、この構想が進められておるわけでありまして、確かに御心配をせられる節もありますし、私どもそのことを真剣に考えておりますが、そういうことを考え、過去の経験を考えながら、何とかこの構想を実を結ばすようにせなければならない。私どもそれが今後の住宅政策宅地政策の一つの大きな課題だと思って真剣に取り組んでいかなければならぬと思っております。
  70. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたことを多少数字的に補足して申し上げます。  この公団方式のみで住宅問題を解決するという趣旨ではなくて、この法律の冒頭に書いてございますように、宅地の大量供給を行い大規模な開発を行うことの必要性ということのために、現在の住宅公団の行っております部分の中で特に大都市圏域の分について、大規模開発をするためにこういった専門の機関を設ける必要があるということでございまして、いま大臣が申しましたように、再開発あるいは近郊における公団や公庫の中高層あるいは市街地住宅だとかあるいは近郊地域における宅地開発、これらを総合的に進めていく、その中の一環というふうに考えるべきだと考えるのでございます。  最近の東京圏におきますと、昭和三十年−三十五年、四十年−四十五年、このランクで見ますと、大体三十年から三十五年というのは二十キロ圏を中心にして増加率が非常に高かった。ところが三十五年から四十年というのは三十キロ圏が中心でございまして、約四〇%の人口増加率は三十キロ圏である。最近におきますと、四十キロ圏から五十キロ圏というのが四五%の増加率で、一番高い増加率を示しております。このままにして推移すると六十キロ圏へ拡大しようとする傾向がございますし、他方、物の荷動きから申しますと、大体東京都内の自動車による貨物輸送量が六一%を占めておりましたのが、現在に至りますと四七%ぐらいに減っておりまして、その周辺の地域の荷動きというものがふえてきておるということから見ましても、物も人も生産活動も住宅も東京圏で申しますと四、五十キロ圏にいま集中しているというような形が出ておるというようなことも踏まえまして、職住近接ということも、できるだけ近郊分散型のものは外へ出すということを工業団地あるいは流通団地等とあわせてつくることによって促進しますけれども、現実にもそのような趨勢にあるということでございます。そういったことを踏まえまして、適地を現在の間に計画的に確保するということはぜひ必要な段階に来ておると思うのでございます。
  71. 清水徳松

    ○清水委員 むしろ四十キロ圏、五十キロ圏に住宅を必要とするのが一つ趨勢である、またそれに見合った工業団地なりあるいはまた流通のための団地なりをつくるのだといったようなお言葉でございますが、そういう構想自体がわれわれ勤労者にとってはきわめて現実と合わないものになりつつある。たとえば、大変細かくなりますが、五百ヘクタール以上の団地をいま造成しようとしても、その適地はもちろんあるかもしらぬけれどもそれは家の建っていないところは、その土地というものはあるかもしらぬけれども、そういうところはいわゆる農業地域、農振地域であったりあるいはまた非常に交通の不便なところであったりというようなことで、仮にそこへ家を建てようと思っても、宅地を造成しようと思っても、なかなか地方自治体との間の了解もつかない、あるいは農林省との間で食糧需給計画上、そう簡単に折り合いがつくとは思えない。いろいろな支障がある。さらにまた実際建った後でも、われわれとしてはそれは一部の流通団地にお勤めの人あるいは工場団地に勤める人もいるかもしらぬけれども、しかしながら、現在の時点ではほとんど大半が東京まで通わなければならぬという、労働者にとっては通勤難という形で大変な苦労がかぶさってくる、こういういろいろな問題が出てくるわけでありまして、その点については、現実の問題として国民的なそういう要望にこたえる構想ではないのじゃないかというふうに思います。  さらにまた、低廉な、それだけ離れたところに仮に造成ができるものとしても、はたして本当に安い宅地の供給ができるのであろうか、その点についても大変な疑問が多いわけであります。五十キロ圏では個人分譲となるといいかげん高いものになりゃしないか。当初の構想では、通勤可能な地域で坪十万円で宅地を分譲するというようなことを言われておったようでありますが、この分譲価格というものは、現在考えておるのは北千葉のようでありますが、その北千葉の場合でも大体どれぐらいになるものであるか、一応見込みが立っておりましたら、お知らせを願いたいと思います。
  72. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 北千葉の問題につきましては、現在どれぐらいの価格になるかということにつきまして調査をいたしておりませんし、ここで申し上げることはできませんが、大体低廉な価格でという趣旨でこの公団ができましたものですから、どれぐらいのめどになるかという目安を申し上げてお答えにかえさせていただきたいと思います。  まあ、場所によって違いますし、取得価格によって違いますけれども、一例を、首都圏におきまして最近住宅公団が比較的大きな類似の団地をつくっております。その例で申し上げますと、四十五年から四十八年の最近の団地を平均してみますと、大体平米当たり二万二千七百円、二百七十一平米というのが平均になっております。坪に直せば八十二坪で、坪七万五千円、一区画六百十五万円という平均になっておるのでございます。そのうち、大体平均いたしますと、用地費の単価というものは一三、四%でございます。工事費と合わせて大体五割である、あとのがいろんな金利であるとかその他の経費である、こういった感じでございます。  われわれといたしましては、できるだけこういった例を踏まえながら、十万円という言葉が出ましたけれども、現在で言えばそういう水準で確保できるような土地にいたしたい、そうしなければ廉価というような要望にこたえられないというふうに考えております。
  73. 清水徳松

    ○清水委員 そうすれば、大体四十キロ、五十キロ圏で、そういうところであるならば十万円どまりのところで供給ができる、こういう自信があるということに了解してよろしゅうございますか。
  74. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いま申し上げましたような例は比較的最近の例でございます。したがいまして、われわれがこれから予定いたします団地につきましては、これと大体同水準の価格で供給し得るというふうに考えておる次第でございます。
  75. 清水徳松

    ○清水委員 建設大臣にちょっとお答え願いたいわけですが、大体この宅開構想というのは橋本元幹事長の発想であると言われておりまして、東京湾の埋め立てによる大量住宅供給が宅開公団創設の一番のバックグラウンドといいますか、基礎になっているというふうに言われておるわけであります。実際、いま本当に東京に通勤できると思われるような土地が十万円以下で、幾らいま土地価格が鎮静しつつあると言いながら、十万円以下で購入できる、確保できるということはなかなか困難であろうというように思います。しかし、宅開公団ができると十万円以下で確保する自信があるというから、それは大いに期待をいたしたいと思います。実際は東京湾を埋め立てた場合ぐらいしか、現在の段階では十万円で供給できるなんという土地がこの通勤圏にはないのではないかというふうによく言われておりますが、この東京湾の埋め立て構想というのは、この宅開と関連して、あるのかないのか。生きているのか。これはもう放棄しておるのか。その点、明確にしていただきたいと思います。これは美濃部さんも反対しておりますし、環境保全上も非常に問題のある点でありますので大臣から宅開に関連いたしまして、東京湾の埋め立て構想はどうなっておるということを明確にしていただきたいと思います。
  76. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先ほどどなたか、その背景があるとかいったようなお話がありましたけれども、実は私はそのお話を聞くのはいま初めてです。宅開公団と東京湾の埋め立てとは、これはおのずから別個な問題でありまして、やろうということになればいろいろ公害の問題なんか相当大きな問題があると思いますし、私どもそういうことを考えておりません。宅開公団は公団としての趣旨に沿って、先ほど局長から申し上げましたような方向で努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  77. 清水徳松

    ○清水委員 さしあたって五十年度は千葉県が実施している北千葉ニュータウン事業を引き継ぐということになるようでありますが、その場合千葉県との間にどの程度の話し合いというものが現在進んでおるのか、説明していただきたいと思います。
  78. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 北千葉ニュータウンにつきましては、現在千葉県において鋭意これを施行中でございます。その北千葉ニュータウンの事業を、この公団ができた暁には引き継いでもらえるかどうかということにつきましては、公式には相談はいたしておりません。したがいまして、われわれはまだ、候補地はどこだとおっしゃいますときにも、北千葉ということは公式に申し上げたことはないのでございます。しかしながら、非公式に事務的にそういった北千葉の計画説明の過程におきままして、もし宅地開発公団が引き受ける場合がありとすればどういう点が問題であるかというようなことにつきまして相談を受けた例がございますし、そしてまたそのことを踏まえまして、千葉県の地方版だと思いますけれども、によりますと、友納知事さんがそういうことを県議会においてそういう仮定を置きながらお話しなさったということが新聞に出たことは聞いておる、そういう段階でございます。
  79. 清水徳松

    ○清水委員 わかりました。そうすると、まだ引き継ぎ価格——大体八割程度は買収が終わって二割がまだ非買収というふうに聞いておりますが、そういったようなことについてもまだ具体的に進行していないということでありますので、これ以上質問はいたしませんが、現在大体百坪を確保するにしても十万円と仮定して一千万円ですね。上物が二十五坪ぐらいとわれわれ考えておるわけですが、坪二十五万円として六百二十五万円。そうすると大体千六百二十五万円。そのほかに実際建設となると一割や二割必ずかかりますから、大体土地代とも二千万円ぐらいにはなってしまうような計算をわれわれはいまから実はしておるわけですが、これが、十万円以下で土地だけでも七百万以下で抑えるというのだったら、この二千万円が一千七百万円になるでしょう。なるでしょうけれども、それにしてもこれが果たして低廉な住宅の供給となり得るかどうか。実際勤労者には手の届かない、そういう分譲価格になってくるんじゃないかというふうに思います。ですから、具体的にそろばん勘定してみると、宅地構想の中でも、公営、公団賃貸住宅しか勤労者の住宅難というものを解消する方法はないんじゃないか。分譲という方法はおそらく勤労者にとっては手の届かない存在じゃなかろうか、いまこそ仮に宅開構想を実現するにしても、公団、公営住宅中心主義というものを力強く推進をするときではなかろうか、それしか低廉な住宅を供給するという手がないんじゃないか、そのことを強く感ずるわけでありますが、いかがでしょうか。
  80. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、公営、公団、公社等に重点を置いていくと大臣も申されましたが、そういうことで進めたいと思っております。  ただ、それと同時に、中堅階層を中心としまして持ち家の需要も非常に強いというのは事実でございます。住宅需要実態調査によりますと、国民の中の四三%ぐらいの方が今後具体的な住宅に対する計画を持っておられる、その人たちの希望は七〇%が持ち家でございます。そういたしますと、全世帯の約三割の方が何らかの改善計画として持ち家を持ちたいという御希望でございます。そういうものに沿いますためには、現在公団でもやっておりますけれども、長期特別分譲住宅、われわれがまあ家賃並みの分譲と言って、まだそこまで完全にはいっておりませんけれども、そういう方式を十分前向きに検討いたしまして、買いやすいようなかっこうにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 勤労者の収入との関係につきましては、おっしゃるとおり中には低額所得者も多数ございまして、いま住宅局長が答えましたように、賃貸住宅を公団あるいは公営等が分譲することによってこれを供給することが必要だと思いますが、現在の収入階層別の五分位階層のあれで申しますと、大体大学を卒業をしました二十三歳というのが、昭和六十年になりますれば第四分位ぐらいまで上がりまして、現在の価格で最高限九百五万円というような価格に成長するわけでございます。そういう意味で、われわれは現在ございます宅地債券をもっと改善し、さらにいわば一種のイージーペイメントというようなかっこうで、現在は公団方式では譲渡後三年で償還するというようなかっこうになっておりますけれども、それらの制度ももう少し改善することにより、さらには財形貯蓄等々の組み合わせによって、減税措置とも組み合わせるというような方面によって、できるだけ、その持ち家の希望が非常に多いわけでございますから、それらの人たちに均てんし得るような方法を考えたい。まあそういった収入との関係について補足して御説明した次第でございます。
  82. 清水徳松

    ○清水委員 そうすれば二千万円近くもなるような分譲価格になるだろうと思いますが、その分譲価格は勤労者にとって耐え得られる価格であるというふうに考えておるわけですか。
  83. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいま申されましたのは宅地関係で二千万円とおっしゃったと思いますが、その上に住宅もつくわけでございますので、住宅を含めますとかなりの一時的には負担になるわけでございます。それにつきましては、やはり長期割賦的な支払いやすい方法というものをあわせ考えていく必要があろうかと思います。この点につきまして十分工夫することによりまして、そういう積み立て方式というようなことと組み合わせることによりまして、支払い可能になるであろうというふうに考えたのでございます。ただし、それによってもなおかつ所得が停滞している人たち、低所得の人たちに対して賃貸住宅を供給することが必要なのは言うまでもございません。現在住宅公団がつくっております大きな四団地の平均で申しますと、大体、賃貸と分譲との比率というのは、およその団地におきましては、面積的には分譲の方が多いわけでございますけれども、戸数的には賃貸の方が多いような実情になっております。泉北とか千里とか、そういうのを平均してみますと、面積的には賃貸の方が少なくて三割ぐらいでございますけれども、戸数的には六割ぐらい、六、七割という程度に賃貸も相当入れておる次第でございます。
  84. 清水徳松

    ○清水委員 実際、先般住宅公団で洋光台の宅地の分譲をやった場合、五千倍という大変な倍率になったわけですが、いざ今度は分譲という段階になると、キャンセルする人が相当多かったという話も聞いておりますし、それから実際、持ち家の希望は強いですけれども、それに対して資金的にも十分対処し得るというように言っておる人というものは統計上たった二%という数字も、これもわれわれの方の調査ですが出ておるわけです。総評の方でやった住宅需給実態調査というのですが、それによると、住宅難解決の具体的計画があり計画実現に特に困難なしと、そういうふうな答えを出した方が二%です。総評の調査であります。  ですから、そういうことで見られるとおり、実際資金的にもめどの立っておる人なんというものは、もうほんの一部にすぎないわけでありますから、やはり真の住宅難解決という方法としては、公営、公団の、しかも賃貸住宅以外にないだろうというふうに強く感ずるわけでありますので、今後ともこの公団、公営賃貸住宅というものを、そのパーセンテージを上げるために、ひとつ住宅局としても十分配慮していくべきであろうというふうに考えるわけであります。  時間がありませんので急ぎます。  本公団の事業の実施に当たりまして、地方の公共団体の協力、自治体の協力は不可欠な条件でございます。いま自治体の協力を得るためにどのような状況になっておるか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。というのは、これはもう大臣の方から御答弁願いたいと思いますが、千葉の場合はあのニュータウンというのは市街化区域でもありますし、一応あれは結構ですというような方向の話があるやに聞いておりますが、その他についても、調整区域等において、どうも宅開が開発をする造成をするという場合は反対であるというような意思を千葉県知事ですらも出しておるやに承っております。また、埼玉県、神奈川県等においてもお断りであるというような意思表示がなされておるというふうに聞いておるわけですが、こういうような状況において果たして今後どのようにして自治体の協力を求めていかれるのか、その辺のところをお答えを願いたいと思います。
  85. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いま宅地開発をしましても住宅建設をやりましても、一番問題になるのは地元の公共団体との問題地域住民との問題であります。それが公団住宅一つの大きな障害になっておることはもう御承知のとおりであります。したがいまして、これから先は宅地をつくるにしても住宅をつくるにしましても、完全に地方公共団体と相談をして意見の一致を見ない限り、これは進めるわけにはいかないと思うのですよ。中途半端なことで始めておって、途中からいろいろな問題が出てきて、できた住宅へまだ入居ができないというようなことは、これはとてもほっておけない問題であります。そういう意味から考えますと、大きな新しい宅地開発するためには、いろいろ農業との関係もありますし、その他のいろいろ関係があるんですよ。都市計画の問題もいろいろありますから、そういった問題は地方公共団体と十分に密接な連絡をし、協議をして、そして完全に意見の一致を見て、そして公共団体の協力も得てこれを推進するということでなければ、これは成功しません。そういう意味において、前提条件はあくまでも地方公共団体と相談をし、意見の一致を見て推進をしていく、そのための最善の努力を図ることが前提条件であるというふうに私は考えております。
  86. 清水徳松

    ○清水委員 どこか現在歓迎しているようなところがありますか。これは大臣でなくてもいいです。
  87. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先ほど申し上げましたとおり、われわれは地方に候補地を物色しておりましても、そこと正式に接触できませんので、歓迎の意向というのは、現在のところそういう形でお答え申し上げる段階にないわけでございますが、一言申し上げますれば、こういうような宅地開発公団にいろんな権限を与えて、そして地元にできるだけ迷惑をかけないような助成方法をとるということでございます。そして各地方公共団体も非常に住宅難に困っていることは事実であります。したがって、財政負担等に悩んでおるからいろんな拒否反応が出ているわけでございますので、これを解消することによってわれわれは十分説得ができ、かつ御協力ができるものと考えておる次第でございます。
  88. 清水徳松

    ○清水委員 出資金を地方公共団体が出すことになっていますが、出そうなんというところはありますか。
  89. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 出資につきましては、候補地が決まりませんので、現在のところ出資は地方公共団体に当初は求めない。事業が始まりますれば、その事業の量その他によって当然増資ということが考えられますので、そのときには、増資の際に参加していただくということを考えておる次第でございます。
  90. 清水徳松

    ○清水委員 考えておるかもしらぬけれども、恐らくそんな歓迎もしないだろうし、出資金だって出さないだろうと思います。大体土地利用基本計画というものが根本的に変わるわけですし、さらにまた都市計画の変更も必要になってくるわけです。それから、いま言ったような大変な財政負担ということも出てくるわけですから、水の問題もありましょうし、大変だと思います。だから、恐らく現在の状況じゃ自治体の協力というものは、真っ正面からいく限りまたほとんど期待できないんじゃないかという状況だろうかと思います。なかなか自治体との十分な協力が得られないというような状況の中で、実際仕事が強引に始められるといったようなケースになりはしないかというふうな、大臣答弁もありましたけれども、そういう心配もあるわけです。  そんなことで、水の問題も解決しない、あるいは道路問題も解決しないといった中で、どんどんどんどん公団あたりが仕事を始めるものですから、埼玉県の日高団地のような水なし団地なんというものができてしまったりして、できてから一年くらい人が入らないでほっておいたんです。さらにまた、今日東京では道路のない団地が、たしかせんだって大柴議員の質問された問題があるわけです。ああいったような問題もどんどん出てくるということもあると思います。さらにまた、せんだって私が質問しました川口の芝園団地の問題にしても、十分な市町村との連絡も話し合いもせず、それからまた地元とももちろん話し合いをしない。少なくとも一部とは話をしても、十分な話し合いをしないでどんどん着工してしまうというようなことも起こり得るわけであります。  いま芝園団地の話になりましたからちょっと関連してお話ししたいと思いますが、恐らく宅開も同じようなケースになるんじゃないかと思うから申し上げるわけですが、住宅公団も、そういう十分な話し合いをしない中で、地方公共団体との十分な了解なしにどんどん仕事をしていくというケースがいままであったわけです。現在もあるわけです。現に芝園団地、例の万里の長城の団地ですよ、あの団地についても、去年の十二月十二日に川口の市長さん、いわゆる芝園団地のある川口の市長さんが、話し合いができない間は着工はしないでほしい、そしてまた、もしやるならば少しでも階層を下げてもらいたいというようなお願いを関東支社に対して申し入れているわけですけれども、それに対しては、もうくい打ちの中止はできない、それからまた、もう設計変更はできないというような、いわゆる市長の意見というものを一蹴して仕事がどんどん始められておるというような状況もあるわけでございます。  そこで、住宅公団の方来ておられますが、どうしてこの市長の要請というものを拒否したまま着工されたのか、それをちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  91. 上野誠朗

    上野参考人 お答えいたします。  この芝園団地は、用地買収を四十六年の二月にいたしまして、それから住宅公団は、公団法三十四条によりまして地方公共団体の長の意見を聞くことになっておりますので、同じ四十六年の二月に県と市に三十四条の意見照会をいたしました。そうしますと、四十六年の四月の二日に市の方からは、立地には同意する、ただし、いろいろな問題について協議が成立した後に着手すること、こういう文書をいただいております。それから越えて四十七年の二月の二十三日に県から三十四条の回答をいただいております。これもいろいろな事項を挙げまして、これの協議が成立することを条件に当団地の立地は認める、こういう回答をいただいております。そこで、四十七年の三月に川口市といろいろな関連公共公益施設をどういうふうに負担してどういうふうに建てるかという仮覚書を交換いたしまして、四十六年度事業として四十七年三月に発注をいたしました。ところが、すぐ、その四月に市の方針が変更になりまして、市議会の了承を得るまで工事中止をしてほしい、こういう申し入れがございました。そこで、公団は直ちに工事を中止いたしました。  それから市の方の御意見をいろいろ聞きますと、この団地は資材の搬入、搬出が蕨市の商店街を通ってなされるわけでございます。したがって、蕨市の方にまず最初協議をしなさい、こういうことでございましたので、四十七年の九月から工事用の道路等につきまして蕨市と、あるいは蕨市の北町安全対策協議会というのがありまして——ちょっと図面で申し上げますと、これが鉄道でございます。それからこれが団地でございます。それで、いま申し上げました蕨市というのはこれから下でございます。この蕨市のここにずっと住宅がありますが、これを通って資材を搬入してこっちから出ていく、こういう計画でございます……。
  92. 清水徳松

    ○清水委員 時間がありませんし、その細々しい説明をされても、非常に時間のむだになります。それはまた後で伺わしていただきますが、問題は一部の西の方との話し合いはできたけれども、地図にかいてない方、そっちの方との話し合いが全然されないということを申し上げているのです。その地図はいかにも分断されるようにかいてありますが、それは五百二十八メートルずっと続いている建物ですから、ここから見るとちょっとごまかされやすいようなかき方をしてあります。そういう地図は結構ですから……。  そういうことで、なぜ東側との話し合いをさぼってきたか、そして協定もしないうちに、市長が後で気がついて、これもやはり協定されなくちゃ困るのだということで公団の方に申し入れに行っても、それを無視して着工されたのか、なぜ協定を結ぶまで着工を延ばさなかったのか、その辺のところをお伺いしているわけですが、時間がありませんので、私はこの質問を保留しておきたいと思います。  一時までということでありますので、私、質問の半分でございますが、せっかく農林省に来てもらいましたが、調整区域の開発についての見解も聞きたかったわけでありますが、それを聞くいとまがありません。したがって、きょうはここで一応中断をいたしまして質問を後に延ばしたいと思います。ぜひそういうことにお取り計らいを願いたいと思います。     —————————————
  93. 天野光晴

    天野委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。井上普方君。
  94. 井上普方

    井上(普)委員 先ほど理事会を開きまして、各党とも一応この問題については質問する必要がある、こういうことでございますので、私が代表的に御質問いたしたいと思います。  と申しますのは、昨年の十二月の末に、川崎市を中心といたしまして特に川崎に直下型の大地震が起こるのじゃなかろうかということで新聞報道に出されております。よく調べてみますと、地震予知連絡会が警戒警報を出されたようであります。地震について警戒警報を出されたのはわが国では初めてでございます。非常に人心に動揺を与えておる、当然であろうと思います。しかしながら国土地理院の発表を、私、新聞で拝見した限りでございますが、拝見しますと、いや地震があるんだないんだ、一体警報を出しておきながらどうも自信のないような発表が再々にわたって行われておる。先日も地方行政委員会での会議の際に、連絡会議の会長さんがどうもそこのところ、警戒警報についてのあやふやなともかく御答弁をなされておるという実情のようであります。しかしながら私は、事地震に関する限り、日本の建築様式からいたしますならば、「あつものにこりてなますを吹く」という言葉がありますが、なますを吹いてもいいんじゃなかろうかという気もいたすのであります。しかしながら、実はずっと新聞を見てみますと、警戒警報は出ているのだけれども、中央防災会議はまだ開かれていないのですね。これはまことに政府側の怠慢であると申さなければならないと思います。この点どういうような事情で開かないのか、まずお伺いいたしたいと思うのであります。  時間がございませんので、全部まとめて申します。  それで、いろいろと調査されておるようでありますが、マグニチュード五ないし六の地震である。そうすると川崎付近では震度五である。震度五の地震であると木造家屋の一二、三%は倒れるという新聞報道もなされております。川崎でそういうような地震が起こった場合、一体東京にはどんな影響があるのか。これも実は新聞で見る限り、余り発表がなされておらないと思います心川崎に直下型の大地震が、マグニチュード六が起こった場合一体東京はどういうようになるのか、ここらあたりも明確に国民に知らす必要があるのじゃなかろうか、このように私は思います。この点についての専門家の事務当局の御見解を承りたいと思うのであります。  特に川崎あるいは東京湾は人家が密集いたしております。人家が密集しておる上にもってまいりまして、石油コンビナートで石油貯蔵基地が三百五、六十ヵ所もあると言われております。これらに対しては、もしあった場合、防災体制というものは十分に組まなければならぬけれども、われわれの人知で予知できないような問題が私は起こるのじゃなかろうかと思う。たとえて言いますならば、水島の石油コンビナートの事故なんというのもこれは考えられないことが起こっておる。したがって、起こった場合に一体どういうような事態になるかわれわれは予想できないと思います。ここらあたり、いまわかっておる段階における災害の実情を詳細に国民に知らす必要がある。私はなますに息を吹きかけてもいいと思うのです。これに関する限りこういう立場で私は申し上げるわけでございますので、この点御理解を願いたいと思うのであります。  それから一部には、予知体制、防災体制が整っていないのに不用意に発表したという非難もあるようでありますが、しかし私は、これは先ほども申しましたような立場で物事を考えていくべきであると思います。  さらに地震予知研究につきまして、新聞記事によりますと、萩原さんはあと半年くらいしたら的確なデータが出るだろうなんということを言われておるようであります。しかし、これも私どもからすると、日本の地震予知といいますものは世界の最高水準をいくのだ、こう思っておりました。しかしあとまだ半年もかかるのだろうか、本当にかかるのだろうか。むしろ金をつぎ込み予算をつぎ込むならば、早急にこれらは解決できる、調査ができるのじゃなかろうか、このように思いますので、この点についての御見解も承りたいと思うのであります。  私は、日本の地震予知が世界で最高の水準にある、こう思っておったのですが、中国では先日地震予知が成功して非常に被害が少なかったというような話も一部新聞には伝わっております。この地震予知についての障害、研究の障害はどこにあるのか、これをひとつ詳細に御説明を願いたいと思うのであります。  さらに、このような災害が起こった場合に建設省としてはどのように取り組んでおるのか。一部には、川崎市あたりでございますと、避難路であるとか避難緑地をつくるには九千億円も金がかかるのだということで、財政的な応援を国に要求いたしておるようであります。しかしながら、これまた新聞で見ると、私は新聞の記事で言わざるを得ないのでございますが、一応各地方自治体は少ないながらも予算を組んでその世帯に応じた対策を講じておりますが、国の対策というのがどうもなされていない。先ほども申しました中央防災会議はまだ開催さえも決めておらない。それから新潟地震の教訓と言われておる防災遮断帯の設置計画、これもないということが地方自治体にわかりまして、横浜であるとか神奈川県あるいはまた東京都、川崎市、これらの各地方自治体は衝撃を受けた、こう言われております。  そこで、国といたしましては防災計画、防災に対してはどういうように対処しようとするのか、少なくとも国に関係のある機関が警戒警報を出したのでございますから、それについての国の責任ある処置というものが私は緊急になさるべきである、このように思うのであります。  以上、はなはだ簡単に質問いたしましたが、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  95. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  初めに、私どもの関係はやはり地震予知関係が主体でございますので、その部分についてお答えいたします。  先ほど震度五では家屋の倒壊が一二%と言われましたが、実は震度五というのはそれほど大きくないと思います。大体震度五でありますのは、壁に割れ目が入り、墓石、石灯籠が倒れたり、煙突、石がきなどが破損する程度の地震を震度五ということになっております。もちろん震度五と申しましても、段階的に分けておりますので、震度五のうちで激しい部分については、あるいは家屋の倒壊ということが起こるかもしれませんが、一応震度五の標準の震度というのはその程度のものだということでございます。  それから、震度五の範囲が川崎市でございますけれども、それ以前の地震、あの付近に有史以来幾つか地震が起こっておりますが、大体マグニチュード六から六・二か三の地震が起こっておりますけれども、その範囲で言いますと、大体世田谷から南あたりの東京南部、それから横浜市の北部あたり、このあたりを含めまして、大体マグニチュード六程度であれば震度五程度範囲になる、それから外部が震度四程度となる、そういうことでございます。  それから、中国の地震、これは私も新聞を初めて見まして、その辺、事情がよくわかりませんが、パンダが倒れたというような話が出ておりますけれども、やはりそういうことがありますと、これは何かそういう動物では感ずるようなことがあったのかもしれません。われわれの考え方はそういう考え方じゃなくて、やはり機械で精密にはかっていくわけです。日本の場合でも、たとえばナマズが騒いだとか、あるいは深海魚が浮き出たとかいう現象がございます。こういう現象も、恐らくそういう動物の感知能力が人間以上であるということから、あると思いますけれども、最近観測機器も相当発達しておりますので、恐らくそういうことがあれば、当然観測機器にもそういうものが感じられるであろうから、たとえば海底地震計を置くなり、そういうような方法をやって、気象庁とか大学あたりでそういう計画も持っておられますので、われわれとしましては、やはりそういう体制でやっていきたい。  それ以外に、中国の地震は、日中国交が成ってから日本の学者が何回も行っております。いままで中国の事情は全然わからなかったわけですけれども、そういう学者が行った話では、いままで全然わからなかったけれども、非常に進歩しているということがわかったということで、みんな驚いて帰ってくるわけであります。やっている内容は、アメリカあるいはソビエトでやっていること、あるいは日本でやっていることとほとんど余り変わらないことである。たとえば測地測量をやるとが、それから地下水位をはかる、地震観測をやる、それから地震波速度をやる、そのような観測自体につきましては、ほぼどこの国も同じである。  こういう問題につきましては、昔は日本は地震学で一番進歩していた、これは事実でございますが、ソビエト、アメリカ、中国、このような国が本気で地震予知対策をやり出しましてから、確かに向こうの方が進んでいると言われても仕方がないような面も出ております。  この原因はどういうことかといいますと、一つは、大陸地方におきましては、非常に地殻構造が単純と申しますか、規模が大きい。ところが、日本の場合は大陸の縁にありまして、地殻構造自体が非常に複雑になっておりまして、なかなかその地殻構造がつかみにくいという面がございます。  それからもう一つは、日本の場合は、土地の開発が進んで人口が一億もいるわけですから、人為的な擾乱、たとえば今度の川崎の場合でも、地盤沈下地帯である、それの反動かもしれないというようなことも起こっておりますが、そういう人為的なこともございまして、日本の方が非常に観測がやりにくいという面がございます。  それからもう一つは、日本の学者の方が非常に慎重であるということも言えるかと思います。外国の学者、ソビエトの学者、アメリカの学者の方が非常に大胆に物を言うという点があるじゃないかと思います。  そういうことがございまして、近ごろ必ずしも日本が地震予知で一番進んでいるとは言えなくなりまして、中国、ソビエト、アメリカ、そういう国の技術が非常に進んでおります。われわれとしましても、これではいかぬということで、そういうところで発見されました、あるいは地震予知の技術につきましては、どんどんわれわれの方でも入れまして、たとえばラドンの観測なんかは、これはソビエトで初めに言い出したことであります。それからVp/Vs、地震波速度につきましても、ソビエトで言い出したことをアメリカの方でそういう理論をまとめ上げた。もちろん、そういう理論をまとめ上げます場合に、日本の測地観測なんかのデータもアメリカで一緒に使っておるわけでございます。  このように、いまの地震予知の関係は、一国だけではなくて世界の国々のデータを集めて、そのデータを全部解析しながら進んでいくというような状態でございまして、そういう点から言いますと、日本も含めまして、アメリカ、ソビエト、中国、日本というのが先進国であり、先になり後になりして進んでいるというような段階じゃないかと思います。  それから、地震予知を進めるに当たって障害となっている問題、これは実を申しますと、まことに言いにくいことなんですけれども、地震というのが実は地面の動き、地球を対象にしている学問でございまして、実験室でやるような問題ではない。やはりそれにはある程度の時間をかけて、たとえば測地測量一つとりましても、年間の動きというのは大体数ミリ程度のものである。それから地盤の上昇といいましても、年一センチ、二センチの問題を議論している。となりますと、やはりある程度の時間をかけないと、そういう細かいデータの解析ができない。それから、地下水位にしましても、平常的な動きに対して異常な動きといいましても、やはり年代をかけないと異常であるかどうかわからないということで、まだ現在地震予知研究を進めている現体制では、やはりそういう問題はもう少しデータの集積、はっきり申しますと、たとえば私どものやっております国土地理院の測地測量で申しますと、やはり全国の測量を何回か繰り返す、しかもそれをたとえば五年なら五年の周期で繰り返す。そういうことを繰り返しまして、日本の国土全体が普通ならどのように動いているか、そういうことをまずつかまえまして、それに対してどの地域で異常な動きを示しているというようなことを、そういういまの地球物理あるいは地質学的なデータの集積によって、初めて地震予知は完成すると思います。  そういう意味から言いますと、実は全国的に地震予知がいつできるかという問題になりますと、いまの萩原先生の半年と言われているのは、これは川崎の場合だけでございまして、全国的に言いますと、やっぱり十年近い年月をかけてそういうデータを集めなければどうにもならないのじゃないか、そういうように思います。  それから、川崎の場合で萩原先生が半年と申されましたのは、半年たてば、いまいろいろな観測をやっておりますので、それらのデータが全部大体半年ぐらいで集まってくるであろうから、そういうものを検討すればもう少し物がはっきり言えるのではなかろうか、こういうことだと思います。  大体御質問の要旨、それでよろしゅうございますか。
  96. 横手正

    ○横手政府委員 昨年末の地震予知連絡会の発表を受けまして、国土庁の方で進めております対策の概要について御説明申し上げたいと思います。  昨年十二月二十六日に予知連からの報告があったわけでございますが、翌二十七日に中央防災会議事務局のもとに設けられております大都市震災対策連絡会議、これは関係省庁十八省庁でございますが、この会議を持ちまして、従来から進めてまいっております震災対策を一層促進いたしますとともに、特に応急対策の面につきまして万全を期してまいるということについての申し合わせを行ったわけでございます。各省庁では、その申し合わせに基づきまして、関係の地方団体、東京都、横浜市、川崎市と緊密な連絡をとりながら、各種の対策を進めてまいってきております。  一、二具体的な事例を申し上げますと、たとえば警察庁におきましては、緊急の出動体制、特に被害想定地域における各警察署別への動員体制、あるいは避難地、避難路における誘導体制の確立、いわゆる警官の配置あるいは携帯無線機の供与、こうしたことになりますが、そうしたこと、あるいは交通規制区域の選定、あるいは緊急車両の通行路線を選定する、こういったようなことを行っております。あるいは初期消火体制につきましては、消防庁を通じまして関係市町村の指導を行っておるというようなことでございます。また、給食、給水対策でございますが、これは農林省あるいは厚生省、おのおの指導いたしております。  現在被害想定につきましては、川崎駅を中心に六キロメーター圏域内が震度六、十二キロ圏域内は震度五、こう想定いたしております。地震予知連絡会の報告によりますと、最高の震度は五というふうになっております。一応関係地方団体ではより大きい場合を想定いたしまして考えておるわけでございまするが、その区域内で給水対策でございますが、大体百七十万人ぐらい発災直後給水の必要があろうかというようなことで、そのための供給の体制を整えるというようなことを行っておるわけでございます。  このように各省それぞれ必要とする措置は関係地方団体と十分連絡をとりながら進めてまいっておるというのが現状でございます。  なお、東京都の場合のお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、川崎駅から六キロ圏内と申しますと、大田区の南部、それから十二キロ圏内になりますと、大田区の北部と品川区の一部、目黒区の一部といったような区域が入るわけでございまして、こうした区域については、東京都においてもしかるべき応急対策の措置を進めておるというような状況でございます。  また、コンビナート対策でございますが、これも通産省では早速に地方団体を通じまして企業との連絡をとり、企業における防災体制の整備を進めてもらっておるというような状況にあるわけであります。  以上、地震予知連絡会の報告を受けまして私どもの講じております対策の概要でございます。
  97. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 建設省におきましては、今回の発表には直接関係ないのでございますが、過年のロサンゼルスの直下型地震などの経験にかんがみまして、とりあえず建設省所管の施設の耐震性の確保という観点から、橋梁、トンネル、護岸、堤防等、こういう公供施設の一斉点検を行って、応急補修なり建てかえを必要とする個所の整備に努めてまいりました。特に必要な個所はほぼ完了している状況であります。  次に、これもかねてから三大都市圏の既成市街地が特に地震等の災害に対して危険が大きいということから、避難地、避難路等の整備中心といたしました地域防災計画を立てて、その中で大体十ヵ年ぐらいの計画を持った防災対策緊急事業計画というものを各地方団体がつくるようにいたしております。  今回の川崎の問題がありましてからは、特に川崎市に対しましては、防災遮断帯の構想も含めましてどのような当面の対策及び先ほど申しました防災対策緊急事業計画を立てるべきかということについて、いろいろ連絡をとっております。  そういうことをする傍ら、防災遮断帯と申しますものも、すべてが公園とか緑地という意味のものではなくて、耐火性のある建築物であれば工場等張りつけてもいい、その他鉄道、道路等いろいろな空間を含んだ防災遮断帯が私どもの事務的なモデル調査で出された結論でございまして、幅員も最低三百メートル、できれば五百メートルという膨大なものであります。したがって、これを直ちに計画に載せるということは非常にむずかしいことでありますので、中でも重要な工場の移転の促進及び移転工場跡地の確保ということから始めていきたい。そして防災遮断帯をつくって……。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 何年かかるんだ。
  99. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 ですから、その防災遮断帯に予定されているような場所の中で極力そういった工場跡地を買い取り、当面は小さいものでも遮断緑地のようなものをつくっていくということを、早速にでも始めたいと思っております。
  100. 金丸信

    ○金丸国務大臣 地震の問題についてはひとしく国民が心配いたしておるところでありまして、地震、雷、火事、おやじということわざもあるわけであります。そういう中で長期的な防災対策を可及的速やかにやらなくてはならぬ問題があると私は思うわけでありまして、いろいろ関係省庁から御説明があったわけでございますが、長期的な問題については、いま建設省がやっております都市再開発というのは、東白鬚のようなこともこれは一つであろうと思いますが、いま地震予知の問題で連絡会から国民に予知を御報告いたしたわけでございますが、そのとき私にも相談がありました。これはそのままひた隠しに隠しておくべきものかあるいは発表すべきものかという判断をいたしたわけでありますが、率直に国民に注意を喚起する意味でも地震という問題で発表することが親切だ、というような考えのもとにあの発表をいたしたわけでございます。国土庁が中央防災会議の主務庁になっておるわけでありますから、十八省庁というような窓口が幾つあってもいかぬということで、ここがまとめ役をいたしておるわけでございます。防災会議はまだやっておらぬわけでありますが、各省庁の連絡会議はいたしておるわけであります。  ただ、私は政治家として、いわゆる各省庁の御説明を先生方にお聞きいたしましても、現実にいま不安がつのってきておる。もしここに地震が起きた、火事が起きた、その場合避難場所はどうなっているんだ——もちろん避難場所はこうだと言っておっても、あの江戸川のゼロメートル地帯に行ってみると、まことにはだにアワを生ずるような状況は私が申し上げなくてもわかっているわけでありまして、私はそういうことを思いますと、可及的速やかにやらなければならぬことはこの際できるだけ速度をつけてやらなくてはならない。しかしそれは、いかに万全を尽くしてやってみてもその限界というものは私はないと思います。最小限のことだけはやっておかなくちゃならぬ。そしてまた、人心に不安を醸し出すようなことをさせてはならぬ。そういう意味で、現状の対策がこれで満足だとは私も考えておりません。そういう意味で、この問題については中央防災会議あるいは各省庁の連絡会議等においてなお詰め、私は閣議でもひとつ強く要請して、たとえて言えば、川崎周辺を中心にした地震が起きるということであるならば、周辺に対して、いま買えるところから買って少しでも耐火の防災壁をつくる、防火壁をつくるというようなお話もあったわけでございますが、つくるにしてもこれには予算もかかることであります。そういうことになると、国はこれに対して思い切った対策を講じてやらなければ、つくりたくてもつくれないというようなことを考えてみると、それは融資の面もあるかもしらぬ、あるいは起債の面もあるかもしらぬ、どっちにしても人命尊重という立場から、私は可及的速やかにそういう問題は解決しなければ一それは事務的段階でやれることではないと私は思います。そういう意味で、十分ひとつ各省庁の連絡会議においてまとめ上げたものを速やかに閣議で実行に移したいというような考え方を、私は持っておることを御理解いただきたいと思うわけであります。
  101. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 基本的な問題は国土庁長官からお話がありましたように、今後の地震対策は国土庁を中心にして私ども真剣に積極的に取り組んでいかなければならぬ、これはもうたびたびの議会の御批判等もありまして、そのように感じておるわけであります。それかといって建設省自体のやらなければならない問題もありますから、いま地理院長からの御答弁もありましたように、とにかく地理院などの研究所がもっと積極的に研究をしてみなさい、いままでもやっておりますけれども、研究のために金が必要なら金を出します。そんな心配要らないから思い切ってやってみなさい、力いっぱいやってみなさいということを私は言って一応やらしているわけでございます。  それから川崎の問題、これはいまの地盤隆起が、いまも説明ありましたように、直ちに地震につながるとは考えておりませんけれども、人心に非常な不安を持たしておる、そういうような意味で、いろいろいま都市局長からも計画を申し上げたわけでありますけれども、いま井上先生から言われた、一体いつやるのかというお話もありましたのですが、何千億も要るものを直ちにやるということはなかなかむずかしいことです。しかし、できるものからやってみる必要がある。だから、川崎市に対しましては、まず緊急防災対策を立てなさい、市長みずからが積極的に立ててごらんなさいということを言っております。とりあえず来年度からでも実行できるものがある、それは川崎市内に工場の跡地があるわけなんです。それを避難地に買いなさい、買うためには都市開発資金を出しましょうということをわれわれ言っております。それでやれるものからやりなさい。それから緩衝緑地やあるいは避難緑地といいますか、そういったものも市が計画を立ててやれるだけやってごらんなさい、できるだけわれわれも協力しましょう、こういう言い方をして、市の方にも積極的に呼びかけておるわけでありまして、私どもはそういう体制になってくれば、最大限受けて立つ用意がなければならぬと思っております。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 いまずっと各省庁のお話を聞きましたけれども、どうもわからぬことがたくさんあるし、報道と違うところがたくさんある。一番最初国土地理院に伺いましょう。  三大新聞の一つに、これは二月の二十八日、京浜地震発生の場所、地殻隆起と酷似、地震予知連調査ということで実はここに載ってるのです。そうしますと、京浜地震の場合——おたくが発表したということで出てるのですよ、ここに。これはお見せしてよろしい。「被害予測の試算では、同市内の全木造家屋十二万二千百三棟の約一五%、一万七千八百八十八棟が倒壊する。二階建て家屋の倒壊率は二八・六%、平家建ては十二・三%としておる。火災発生については、市内百一ヵ所から「同時多発」する。しかし、同市の消防力が鎮火できるのは六十二ヵ所で、残りは消火不能としている。」あとはちょんちょんにしておきましょう。これがおたくの調査として大新聞に発表になっておるのです。新聞社の名前は申し上げません。  かくのとおり、非常に専門にお調べになった新聞社が公器として社会にも出されておる。また一部の新聞には墓石がひっくり返ったりへいが倒れるくらいであろうと言うけれども、ここにもやはりそういうあなたのおっしゃったようなことが書いてある新聞もありますが、片方、やはり火災も起こるということも出されておる。これも三大新聞の一つ。非常にこれは人心に不安、動揺を与えております。  そこで、もう少し的確に、震度六であればどの程度になるであろうかということを国民に周知徹底さす必要があると私は思います。この点建設大臣、主宰いたしました予知連絡会が警戒警報を出しておるんですから、ここらあたりをもう少し正確にやはり国民に予想を知らせる必要があると思います。地理院の発表と違うんですから、いまおっしゃったのと。新聞に出ているんですよ。どうぞごらんになっていただきたい。  それから、その確度ですね、警戒警報を出された確度、これは一体どの程度のものなのか。日本で初めて警戒警報が出されたというんですが、その確度は一体何%ぐらいとわれわれは考えていいのか、これは専門的にお伺いしたいと思います。  さらに、いろいろと先ほど学問的なことをおっしゃいましたが、日本は大陸と違って海辺にあって地殻が非常に動いておる、人口の動態も非常に出てくるし、さらに地下水のくみ上げなんかも起こっておるということはこれは常識なんです。こういう動いておるのを調べるのが実際の学問じゃございませんか。ともかく言いわけはもうよしましようや、日本で地震の勉強をするのだから。  地震の予知について勉強しておる、研究しておるという日本がどうも近ごろおくれておるというのは、一体障害はどこにあるのだ、これを克服するには、金さえ出せばいいのかということをわれわれは言っておるわけなんです。あるいは研究体制をどういうようにすればいいのか、ここらもひとつどうすればいいとあなたは考えておるのか伺いたいと思ったんですが、時間がございませんので、また改めてこの点は伺いたいと思います。  それから、先ほど国土庁からおっしゃったけれども、これだけの災害が起こった。それは計画を立てるのは結構です。計画は大いに立てて、しかし、その計画が実態に合うようなものでなければならない、これはおわかりだろうと思うのです。いまお話を承ると、さあ、どうかいなと、水の問題にいたしましても、消防の問題にしましても、新聞では、これは消防庁はもうお手上げだと言っておるんですね。新聞にこれは出ているんです。新聞の言ったことは責任持たぬと言われればそれまで。だけれども大新聞で、防火は住民にまかせますといって、こういうように出ているんです。でありますので、行政官庁としてはできるだけのことはやっていただかなければいかぬ。私はいままで承りまして、はあ、実行可能だなと思うのは、警察の出動体制だけだろうと思う。しかし、これだって、交通遮断ということが至るところにおいて行われると思う。したがいまして、そういうようなところの中で計画を立てることも非常にむずかしいだろうけれども、実態に即したものを立てていただきたい。これは計画を立てないよりも立てる方がいいことはわかり切ってますよ。しかし、実態に合うようなものをつくってもらいたい。あるいは給水の問題にいたしましても、農林省と相談したりどっかと相談すると言うけれども、私は実際にはできてないのが実情じゃないかと思います。本当に関東震災あるいは東京大空襲、こういう貴重な経験をわれわれは持っておる。この貴重な経験に基づいた計画をひとつお立て願いたいことをお願いいたしておきます。  さらにはその上に持ってまいりまして、自動車が非常に発達しておりますから、また様子も大いに変わってきておると思います。この点をひとつ十分なる人知を集めた、衆知を集めたひとつ計画を立てていただきたいことをお願いいたしたいと思います。  建設省、遺憾ながら建設省お話が一番ざっとしています。これは本当に何をやっているんだと、それは建設大臣は金は計画について幾らでも出しましょう。結構です。その意気込みでやってもらいたいと思う。しかし、現に川崎市は遮断帯をつくるに九千億円要るんだ、国はひとつ補助してくれという要請がすでにあるのです。これは御存じないかもしれぬけれども、もう自治省へ言ってきておるのです。そういうようなことでございますので、これは先ほどもおっしゃられたように、早急にできるものと長期的な展望に立つものと二つありましょう。しかし、短期にできるものであれば早急にひとつやって、人心に不安のないようにやっていただきたいと思います。  それから、しかるべき処置をすると言っておりますが、しかるべき処置はどうもとられておらぬようです。しかるべき処置をとるのであれば、一番最初に全国の中央防災会議を開かなければいけないのです。金丸さん。まだこれが開かれておらないじゃないですか。まあ防災会議審議機関で、あれは役所の隠れみのだとおっしゃってしまえばそれまでです。しかし、これはやはり本当に真剣に対策を講ずるなら、国民にその点を注意を喚起すると同時に、防災会議でも、このような結論を出してこうやるのだという適確なる方針を、私は出すべきだと思います。この点につきまして、もう少しひとつふんどしを締め直して、国土庁も取り組んでいただきたいと思います。  以上、私は限られた時間でございますので簡単に質問いたしましたが、ひとつ、先ほど私が申し上げた違うところについて、何か御答弁があるならば承りましょう。
  103. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  初めに挙げられました災害の何軒家が倒れるというお話、これは実は地震予知連絡会ではこういう発表をしておりません。
  104. 天野光晴

    天野委員長 簡単に結論だけ言ってください。
  105. 井上英二

    井上説明員 地震予知連絡会で発表しておるのは、あくまでここで地震が起こる可能性があるということであります。
  106. 井上普方

    井上(普)委員 大新聞でもそれほどの記事を書くのだ。素人だったらどう考えるかということから、的確なものを出しなさいということ。国民に知らせなさいということ。
  107. 井上英二

    井上説明員 地震予知連絡会で発表しておりますのは、あくまで震度五程度の地震が起こりそうだということを発表しているだけであって、それによってどれだけ災害が起こるかという予測は、地震予知連絡会ではやっておりません。
  108. 井上普方

    井上(普)委員 それは新聞記事の誤りだな。
  109. 井上英二

    井上説明員 誤りです。
  110. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る十九日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十三分散会