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井上説明員 お答えいたします。
初めに、私どもの
関係はやはり地震予知
関係が主体でございますので、その
部分についてお答えいたします。
先ほど震度五では家屋の倒壊が一二%と言われましたが、実は震度五というのはそれほど大きくないと思います。大体震度五でありますのは、壁に割れ目が入り、墓石、石灯籠が倒れたり、煙突、石がきなどが破損する
程度の地震を震度五ということになっております。もちろん震度五と申しましても、
段階的に分けておりますので、震度五のうちで激しい
部分については、あるいは家屋の倒壊ということが起こるかもしれませんが、一応震度五の標準の震度というのはその
程度のものだということでございます。
それから、震度五の
範囲が川崎市でございますけれども、それ以前の地震、あの付近に有史以来幾つか地震が起こっておりますが、大体マグニチュード六から六・二か三の地震が起こっておりますけれども、その
範囲で言いますと、大体世田谷から南あたりの
東京南部、それから横浜市の北部あたり、このあたりを含めまして、大体マグニチュード六
程度であれば震度五
程度の
範囲になる、それから外部が震度四
程度となる、そういうことでございます。
それから、中国の地震、これは私も新聞を初めて見まして、その辺、
事情がよくわかりませんが、パンダが倒れたというような話が出ておりますけれども、やはりそういうことがありますと、これは何かそういう動物では感ずるようなことがあったのかもしれません。われわれの
考え方はそういう
考え方じゃなくて、やはり機械で精密にはかっていくわけです。
日本の場合でも、たとえばナマズが騒いだとか、あるいは深海魚が浮き出たとかいう現象がございます。こういう現象も、恐らくそういう動物の感知能力が人間以上であるということから、あると思いますけれども、最近観測機器も
相当発達しておりますので、恐らくそういうことがあれば、当然観測機器にもそういうものが感じられるであろうから、たとえば海底地震計を置くなり、そういうような
方法をやって、気象庁とか大学あたりでそういう
計画も持っておられますので、われわれとしましては、やはりそういう体制でやっていきたい。
それ以外に、中国の地震は、日中国交が成ってから
日本の学者が何回も行っております。いままで中国の
事情は全然わからなかったわけですけれども、そういう学者が行った話では、いままで全然わからなかったけれども、非常に進歩しているということがわかったということで、みんな驚いて帰ってくるわけであります。やっている内容は、アメリカあるいはソビエトでやっていること、あるいは
日本でやっていることとほとんど余り変わらないことである。たとえば測地測量をやるとが、それから地下水位をはかる、地震観測をやる、それから地震波速度をやる、そのような観測自体につきましては、ほぼどこの国も同じである。
こういう問題につきましては、昔は
日本は地震学で一番進歩していた、これは事実でございますが、ソビエト、アメリカ、中国、このような国が本気で地震予知
対策をやり出しましてから、確かに向こうの方が進んでいると言われても仕方がないような面も出ております。
この原因はどういうことかといいますと、
一つは、大陸地方におきましては、非常に地殻
構造が単純と申しますか、規模が大きい。ところが、
日本の場合は大陸の縁にありまして、地殻
構造自体が非常に複雑になっておりまして、なかなかその地殻
構造がつかみにくいという面がございます。
それからもう
一つは、
日本の場合は、土地の
開発が進んで
人口が一億もいるわけですから、人為的な擾乱、たとえば今度の川崎の場合でも、地盤沈下地帯である、それの反動かもしれないというようなことも起こっておりますが、そういう人為的なこともございまして、
日本の方が非常に観測がやりにくいという面がございます。
それからもう
一つは、
日本の学者の方が非常に慎重であるということも言えるかと思います。外国の学者、ソビエトの学者、アメリカの学者の方が非常に大胆に物を言うという点があるじゃないかと思います。
そういうことがございまして、近ごろ必ずしも
日本が地震予知で一番進んでいるとは言えなくなりまして、中国、ソビエト、アメリカ、そういう国の技術が非常に進んでおります。われわれとしましても、これではいかぬということで、そういうところで発見されました、あるいは地震予知の技術につきましては、どんどんわれわれの方でも入れまして、たとえばラドンの観測なんかは、これはソビエトで初めに言い出したことであります。それからVp/Vs、地震波速度につきましても、ソビエトで言い出したことをアメリカの方でそういう理論をまとめ上げた。もちろん、そういう理論をまとめ上げます場合に、
日本の測地観測なんかのデータもアメリカで一緒に使っておるわけでございます。
このように、いまの地震予知の
関係は、一国だけではなくて世界の国々のデータを集めて、そのデータを全部解析しながら進んでいくというような状態でございまして、そういう点から言いますと、
日本も含めまして、アメリカ、ソビエト、中国、
日本というのが先進国であり、先になり後になりして進んでいるというような
段階じゃないかと思います。
それから、地震予知を進めるに当たって障害となっている問題、これは実を申しますと、まことに言いにくいことなんですけれども、地震というのが実は地面の動き、地球を対象にしている学問でございまして、実験室でやるような問題ではない。やはりそれにはある
程度の時間をかけて、たとえば測地測量
一つとりましても、年間の動きというのは大体数ミリ
程度のものである。それから地盤の上昇といいましても、年一センチ、二センチの問題を議論している。となりますと、やはりある
程度の時間をかけないと、そういう細かいデータの解析ができない。それから、地下水位にしましても、平常的な動きに対して異常な動きといいましても、やはり年代をかけないと異常であるかどうかわからないということで、まだ現在地震予知研究を進めている現体制では、やはりそういう問題はもう少しデータの集積、はっきり申しますと、たとえば私どものやっております国土地理院の測地測量で申しますと、やはり
全国の測量を何回か繰り返す、しかもそれをたとえば五年なら五年の周期で繰り返す。そういうことを繰り返しまして、
日本の国土全体が普通ならどのように動いているか、そういうことをまずつかまえまして、それに対してどの
地域で異常な動きを示しているというようなことを、そういういまの地球物理あるいは地質学的なデータの集積によって、初めて地震予知は完成すると思います。
そういう
意味から言いますと、実は
全国的に地震予知がいつできるかという問題になりますと、いまの萩原先生の半年と言われているのは、これは川崎の場合だけでございまして、
全国的に言いますと、やっぱり十年近い年月をかけてそういうデータを集めなければどうにもならないのじゃないか、そういうように思います。
それから、川崎の場合で萩原先生が半年と申されましたのは、半年たてば、いまいろいろな観測をやっておりますので、それらのデータが全部大体半年ぐらいで集まってくるであろうから、そういうものを検討すればもう少し物がはっきり言えるのではなかろうか、こういうことだと思います。
大体御
質問の要旨、それでよろしゅうございますか。