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1975-02-28 第75回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十八日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 梶山 静六君 理事 唐沢俊二郎君    理事 服部 安司君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       大村 襄治君    三枝 三郎君       中尾  宏君    野中 英二君       林  義郎君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    清水 徳松君       中村  茂君    山崎 始男君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部水         動整備課長   国川 建二君         農林大臣官房参         事官      片桐 久雄君         農林省構造改善         局計画部計画課         長       青木 敏也君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の移動 二月二十七日  辞任         補欠選任   渡辺 武三君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     渡辺 武三君 同月二十八日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     北側 義一君     ————————————— 二月二十六日  地方建設業者保護育成に関する請願下平正  一君紹介)(第九五二号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(井  上普方紹介)(第九五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  宅地開発公団法案内閣提出、第七十二回国会  閣法第四三号)      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  第七十二回国会内閣提出宅地開発公団法案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  ただいま議題といたしました本案につきましては、第七十二回国会においてすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  宅地開発公団法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 天野光晴

    天野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野中英二君。
  5. 野中英二

    野中委員 都市人間のつくり上げた最も複雑な、最も巨大な作品であります。  人間みずからつくった都市によって、人間生活が脅かされる存在になっております。自縄自縛というものでありましょうか。これまで多くの学者によって、都市に対するアイデアや新しい計画が、たとえば一八九二年にはE・ハワードの「明日の田園都市」等、次から次へと発表されてまいりました。しかし、人間の持つ技術、人間のつくり上げた体制、人間そのもの都市建設の中に矛盾をさらけ出しておるのであります。  私は、昨年十月に北京を訪れましたが、自転車の多いのに驚いたわけでありますが、さらに日本の自動車に乗るよりもスピーディーなのに驚いたわけであります。都市にはこんな矛盾が何の変哲もなく多く存在しているということであります。  都市というものは、複合された機能のトータルであり、人間生活機能を発揮させる場であります。そしてその一つ一つ分解した場合は、もはや都市ではありません。  現代の都市建設複数主体で行われております。道路、上下水道、公園、住宅等を国、都道府県、市町村、公団公社等が独自の立場と論理でつくられておるのであります。常に破壊と変更を伴う都市は生き物であり、都市建設には建設資材のほかに植木や水も重要な要素であって、建設された都市、変動する都市は、そこに新しい社会形成し、社会を変化させておるのであります。  都市建設は、物的に見ても道路住宅処理施設、公園等さまざまなものを含んでおり、都市というものは全体が一つとなって生きている有機体であり、これを改変しようとするならば、総合的に、空間的に、時間的にコントロールし計画される必要があると思います。  そこで、まず都市建設の第一段階としての土地取得のための宅地開発公団法案について質問をいたします。  宅地開発公団宅地開発事業の主たる目的宅地大量供給でありますが、単に宅地造成にとどまらず、本公団により開発された地域は、周辺地域の将来の都市化の中核たり得るような機能を備えた新市街地であるべきであると考えますが、具体的にどのような新市街地形成するのか、お尋ねをしたいと思います。これは計画局長
  6. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団目的といたします宅地大量供給を実現する場所としましては、大都市地域における周辺部におきまして、これは量のみならず、ただいま先生の御指摘のように、これを良好な環境市街地として形成するということなくして住宅の立地する諸条件は整いませんし、また、あれだけの大きなものになりますと、ただ単に住宅機能ということだけではなくして、そこには、もしできれば公害分散可能な事務所機能とか、そういった都心の施設の移転をも考え合わせまして、そして大都市との連絡を交通手段等によって図りながら、有機的な一体となった周辺部の新市街地形成する、こういう考え方宅地開発公団事業考えたいと思っておりまして、その手法は、都市計画法に基づきまして、区画整理であるとかあるいは新住宅市街地開発事業であるとか、こういった都市計画手法に基づく町づくりということを主体として考えておる次第でございます。
  7. 野中英二

    野中委員 いまの局長答弁を了承いたしまして、一番基本的な問題から入っていきたいと思いますが、それは宅地開発公団ニュータウン計画する場合、まず土地取得する時点において十分考慮しなければならない、その基本的な問題から私は質問をしてまいりたいと思います。  自明の理ではありましょうけれども、都市空間は自然の空間の上に成り立っているということであります。自然の原理を無視して都市空間計画するとどうなるものであろうかといいますと、たとえば地下水のくみ上げ、それによって地盤沈下が起こります。あるいは水田埋め立て住宅地をつくりますと、浸水被害をこうむる結果となるわけであります。緑の町づくりと言われるのは、自然の摂理を尊重することにほかならないと私は考えております。  そこで、取得時における利水、排水、地下水地形、地質、土壌、既存植生、風害、煙の分布等を考慮して宅地開発公団土地取得をする、こういうことが必要であろうと思いますが、これを局長にお尋ねしたいと思います。
  8. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 従来の宅地開発、特に住宅団地形成につきましては、その量的な有効性ということを図りますために、まあ不必要とは申しませんけれども、とかく自然の保存という配慮に欠けていた面が間々あったと思うわけでございますが、これから宅地開発公団の行います対象の土地というのは、先ほど申しましたように、周辺部におきまして現在山林とかあるいは畑地というような場所が多いわけでございます。そこには既存施設は余りない、こういった自然の中に新しい町をつくっていこうとする際に、ただいま先生のおっしゃいましたように、当然できるだけ自然の地形を生かしながら、自然の樹木の保存あるいは表土の復元等を考慮しながら、自然の中に人の住む場所をつくり上げていく、こういった基本姿勢が必要であります。  こういう意味で、このたびできております緑地保全法律等によりまして、必要な緑地をできる限り残しながら、かつ、自然の地形を存置しながら、そういう中において市街地形成を図っていくべきであると考えております。
  9. 野中英二

    野中委員 ただいま局長から私の質問に対して、自然及び地形を生かしながら土地取得をやってまいります、こういうことでございました。  こういう基本原則に基づきまして次に考えられますことは、次のような疑問がわいてくるわけであります。  地価高騰による土地取得難を初めとする大都市地域における住宅宅地難、これは基本的には経済の高度成長に伴う人口産業大都市に集中することによって宅地供給のバランスが崩れるということであります。同時に、地方都市を育成し、人口産業地方分散を図ることなくして、大都市地域において宅地供給の促進を図ろうとすれば、かえって人口産業大都市集中を進行させ、宅地難を激化させることになるのではないでしょうか。また、宅地開発計画されている地域で、しばしば地価上昇を見越した投機的土地取引により地価高騰し、開発計画自体をあきらめるか、あるいは高い取得価格造成宅地価格にはね返り、庶民の取得しやすい低廉な宅地供給を阻害することになりはしないか。これに対する基本的な土地対策地価対策が講ぜられなければならないと思うのでありますが、いかように計画局長はお考えになっているか、お尋ねしておきます。
  10. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 大都市地域におきまして、宅地開発公団によりまして大量供給を図るという事業の過程におきまして、投機的な需要を招きましてその当該事業地域において、あるいはその周辺において地価高騰するというようなことがあっては、この事業の進捗は不可能でございます。従来から地価対策閣僚協議会の決定に基づきまして、土地利用の規制であるとかあるいは税制金融面対策等の一連の措置を鋭意講じてきたところであり、また最近において総需要抑制策と相まちまして地価はようやく鎮静の兆しを一般的には見せてきておりまして、その意味では宅地大量供給の前提といいますか条件というものは好転しつつあるというふうに一般的には考えるのでありますが、宅地開発公団事業を実施する場合に当たりましては、国土利用計画法許可制度とか、あるいは都市計画法市街地開発事業予定区域制度というものを利用いたしまして、かつまた、投機的な土地取引を抑制するために、周辺部には調整区域制度を有効に活用するというようなことを考えて、その地価上昇を来さないで開発ができるようなことを鋭意考慮すべきである。また、そういう手段が最近整えられてきておる。われわれはこれを十分に生かして、地価高騰なき宅地開発というものを図らなければならない。従来の例に見ましても、団地をつくればその周辺高騰する、もうその周辺ではできないというようなことのないように図っていかなければ、これだけの大事業はできないというふうに考えておる次第でございます。  もう一つは、この大都市周辺におきましてこういった宅地開発をするということが、かえって人口大都市に定着させるということにならないかということにつきましては、確かに地方分散を図って国土均衡発展を図るということは、国土政策基本的課題でありまして、これは変わらないテーゼでございますけれども、しかしながら、大都市周辺の、大都市地域における激しい現在の人口社会増あるいはそれを上回る自然増に対処いたしますためには、宅地対策というのは現下の急務でございまして、非常に大きな社会問題になっておるわけでございます。  宅地開発公団におきます大規模宅地開発事業というのは、周辺部計画的な住宅市街地整備することによりまして、この膨大な無秩序なスプロールしかける圧力というものをここで受けとめまして、良好でできるだけ低廉な宅地供給を図ろうとするものでありまして、一方において魅力ある地方都市開発して地方分散を図ろうという政策とむしろ矛盾しない、二つの政策は両立し得るものだというふうに考えておる次第でございます。
  11. 野中英二

    野中委員 次の質問は、日本住宅公団と今度新しく提案されております宅地開発公団との関係について御質問申し上げます。  国の大規模開発機関は、地方都市整備し、人口産業地方分散を図る機関として地域振興整備公団があり、大都市地域においては大規模宅地造成及び住宅建設を行う既設日本住宅公団があるにもかかわらず、宅地開発公団を新設することは屋上屋を重ねるものと思われるのでありますが、これはどういう理由でありましょうか。  なお、日本住宅公団機能を拡充すれば足りるのではないか、こういう素朴な疑問が出てくるわけでございます。これに対して御回答を願います。
  12. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず、なぜ日本住宅公団存在の上に宅地開発公団を設けるかということにつきまして申し上げますと、大都市地域におきましては、先生御承知のとおり、交通施設が足りないとかあるいは水が足りないとか、なかんずく関連公共公益施設を、団地ができますと地方公共団体整備しなければならないということで、財政負担が非常に重圧となってかかってきますことによりまして、いわゆる団地お断りといった拒否反応を生じておりまして、したがって、大規模なこういう開発をいたしますためには、これに対応するだけの新しい強力な措置あるいは助成手段というものを持たなければ、事業は言うべくしてできないというふうに考えるのでございます。  ところで日本住宅公団は、大都市地域につきましてはみずからの住宅建設にむしろ専念すべきでありまして、ほかの者に分譲する団地までつくるという能力には限界があるというふうに判断するものでございます。さらに日本住宅公団は現在七十四万戸の既設住宅を持っておりまして、七十四万戸と申しますと広島県あるいは静岡県の全住宅戸数に該当する。これだけの管理ということは年々比重を増しておるのでございまして、こういう公団にこれ以上規模の拡充を図りますことはかえって非能率を招く結果になるであろう、以上のような判断に立ちまして、日本住宅公団はむしろこの地域については公団住宅建設に専念させるべきであって、大規模宅地開発に対しましてはむしろ当然、宅地開発公団というような専門機関をつくるべきではないかというふうに考えた次第でございます。それからまた地域振興整備公団は、大都市地域以外の地域におきまして大都市からの人口産業の受け皿としての地方分散を図りますために、地方に魅力ある都市開発整備を行おうとするものでありまして、そういう地域的な分担関係考えまして、両者の分担を図っている次第でございます。
  13. 野中英二

    野中委員 ただいま局長から答弁がございましたけれども、日本住宅公団は財政的に行政的に権限の拡大をしなければとても現在の宅地需要に追いつかないのだ、こういうことであります。したがって、日本住宅公団はその建築に専心させるべきである、こういうふうに私はいま聞き取ったわけでございます。しかし、実際にそういうことであるとするならば、日本住宅公団をてこ入れすることにおいていまの欠点を補う、そして業務が遂行できるようにしてやる、これが第一段階考えではなかろうか、こう思うわけです。再度質問しておきます。
  14. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 大都市地域につきます大規模開発という面につきましては、先ほど申し上げましたように、むしろ専門店と申しますか、他と事情が違いますので、専門機関、強力な新しい能力を備えた機関をつくることが効率的である、むしろ住宅公団権限をこれ以上ふやすということはかえって非能率になるであろうということを申し上げたのでございますが、日本住宅公団におきましても、すでに多摩その他の大きな団地をやっておりまして、この法案におきましては、これからはそうするということでございまして、既存のものにつきましてはたくさんの団地をやっております。そこで住宅公団も現在いろいろな拒否反応に遭いまして非常に困窮しております。そこで、五十年度の予算におきましては、住宅公団につきましても、立てかえ施行という面におきまして、三百ヘクタール以上あるいは百ヘクタール以上、五十ヘクタール以上と三段階に分かれますけれども、十年、五年あるいは三年という据え置き期間中の金利をただにする、ゼロにするというようなことで、地方財政助成ということに重点を置いて団地開発のやりやすいような、そういう特段の措置を講じたような次第でございまして、こういう措置は今後ともまた必要に応じまして強化する必要があろうかと考えております。
  15. 野中英二

    野中委員 ただいまの答弁を要約しますと、専門部門、いわゆる専門機関をつくって効率的に運営していこう、こういうお考え方でございます。私も賛意を表しますが、それでは今度は日本住宅公団を裏返しにしてみまして、プロパーの仕事が完全にできているであろうか、いわゆる宅地部門を切り離すことにおいて日本住宅公団がその業務を完全に遂行することができるであろうか、こういうことになりますと、私はいささかの疑問を持たざるを得ないわけでございます。  と申しますのは、日本住宅公団宅地開発部門で持っております所管替え地建設した住宅建設戸数というものは、四十八年末の累計が首都圏では八万四千戸、中部圏では一万九千戸、近畿圏では三万五千戸、住宅公団建設戸数に占める比率というものは、首都圏で二一%、中部圏で三九・六%、近畿圏で二〇・七%ということになります。ですから、土地を持っていてもこれしかつくっていない。しかも住宅公団宅地開発事業施行面積というものは、首都圏で一万八百三十二ヘクタール、中部圏で千八百八十九ヘクタール、近畿圏で五千百八十七ヘクタールあるのでございます。それにもかかわらずいままで建設が進捗してこなかったということは、いわゆる土地取得のために容易でなかったのじゃないということが私は言えるんじゃないかと思うのです。ですから、宅地開発部門を切り離してみたとしても、私は建設部門能力建設戸数というものは増加するというふうに考えないのです。住宅公団にどこかほかに欠点があるんじゃないか、こう思います。
  16. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 住宅公団宅地開発部門を切り離して全部なくしてしまうということはないのでありまして、住宅公団の三大都市圏あるいは大都市地域におきます住宅公団の大規模宅地開発事業、すなわち一般宅地需要に応ずるために、自己住宅建設用地のみならず、一般個人分譲公営住宅用地もあるいは他の公社等用地も合わせまして住宅市街地としてつくっていくという大規模開発能力につきましては、これを専門機関にゆだねた方がいいということを申し上げたのでありまして、住宅公団のみずから建設する自己団地につきましては、おっしゃるように自分のくつはやはり自分で履くということが必要でございますから、その部門宅地開発部門は当然必要でございます。  住宅公団が今日まで住宅建設に非常に悩んでおる、特に最近目立ちますことは、そういった拒否反応に逢着しまして、関東地方におきましても数千ヘクタール持っておってもそれに着手できないでいるというようなことは、一つには先ほど申しました地方負担等が増高いたしますので、それに対する助成措置というものについててこ入れをする必要があったこと、あるいは交通その他の面につきまして足が遠いあるいは水が足りないというようないろいろなむずかしい条件が最近出てまいりまして、そのために大きな宅地開発事業というものが困難に逢着しているというような原因が重なって出てまいっているのが原因でございます。
  17. 野中英二

    野中委員 そうしますと、日本住宅公団業務のうちの宅地開発部門はそのまままた生かしていくのだ、こういうお考え方でございます。ただ、大規模開発というのは無理であろう、こうおっしゃられましたけれども、多摩ニュータウンもやってみましたし、いろいろやっているわけでございますよ。しかし、私はそのことをこれ以上深く追及いたしませんが、問題は、この宅地開発公団はやはり五百ヘクタール以上の大規模開発になるものでございますから、日本住宅公団の方は市街化区域における言うなれば小規模の小回りのきく宅地造成をやらせるというお考えなんですか。そして有機的に宅地開発公団を運営していこう、こういうお考えなんですか。
  18. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団原則として五百ヘクタール以上の大規模宅地開発に専念させよう、上物はつくらない。これは卸と申しましょうか、それを住宅公団公営住宅協会住宅あるいは個人住宅にそれぞれの計画に基づいて分譲する。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕 こういう宅地開発、すなわち市街地開発をするということを任務とするものでありまして、したがって、住宅公団につきましては大都市圏域におきます自己集団住宅建設用地に専念させる、自己のつくる住宅団地に専念させることといたしまして、したがって、公団住宅用地中心建設するための宅地開発部門は存置する必要がございます。そういう区分けを考えておる次第でございます。
  19. 野中英二

    野中委員 これで宅地開発公団住宅公団との関係を了承しまして、質問を詰めていきます。  土地国民生活万般の基礎となるものでありまして、農地、緑地等としても確保されるべき価値の高い資源であり、宅地開発は将来の長期的展望のもとに計画的に行う必要があろうと思います。宅地需給長期見通しについて御明示願いたいと思います。
  20. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 今後の長期宅地需給見通しとしましては、昭和四十七年末に策定いたしました新国土建設長期構想というものを建設省で持っております。これに基づきまして試算いたしますと、昭和四十九年度から六十年度までの十二年間におきまして新たに宅地を必要とするという住宅戸数は、全国で大体九百万戸、三大都市圏で約四百四十万戸と見込まれておりまして、これに対応する宅地面積は、全国で十八万六千ヘクタール、三大都市圏中心とする大都市圏で大体その四割に当たります。万六千ヘクタールの新規土地が必要であるというふうに推定しておるのでございます。七万六千ヘクタールというのは身の回りの区画街路やプレイロットを入れたものでございまして、グロスと申しますか、七万六千ヘクタールをつくろうと思えば十二万ヘクタールが必要でございますが、宅地需要ということでございますと、大都市圏域では七万六千ヘクタールが必要になるというふうに見ております。
  21. 野中英二

    野中委員 いま局長答弁によりますと、新規宅地を必要とする戸数は四百四十万戸、これに要する宅地面積は七万六千ヘクタール、こういう御答弁でございました。そうしてみますと、宅地開発公団の造成する宅地規模というものが五百ヘクタール以上、こういうふうなことを言われておりますから、施行する場合には、市街化区域の一部を含めて、あとの大部分というものは白地もしくは調整区域にまたがるであろう、こういうことが予想されるのでございますが、それについて局長、どうお考えになっていますか。
  22. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 宅地開発公団の行います周辺部場所は、一部は市街化区域を含みましょうけれども、先生おっしゃるとおり、現在は調整区域かあるいは無指定地かというようなところの空閑地に限定されるだろうと思います。     〔村田委員長代理退席委員長着席〕 したがいまして、その場合には市街化区域としてこの事業を行わなければなりませんので、そういう場合には、一部そういう調整地域を変更いたしまして、市街化区域の中に編入して計画的な開発を図る必要がございます。
  23. 野中英二

    野中委員 実はここにあります、行政監理委員会の、「諮問第二号「住宅対策のための土地行政の機構および運営のあり方いかん」についての審議の経過」が書いてございます。それによりますと、「市街化区域内農地等について、宅地化の義務づけおよび住宅建設の義務づけ等その宅地としての利用を推進すること。」と指摘されているのでございます。ですから、できるならば市街化区域の農地を宅地としてやれ、こういうことを言っているわけであります。  そこで、私、調べてみますと、市街化区域内の農地面積というものは、首都圏で八万七千三百ヘクタール、近畿圏で四万七千九百ヘクタール、中部圏で四万六千四百ヘクタールございまして、大体推定値が十八万一千六百ヘクタールある。ところが、いま局長のおっしゃられました、新規に必要な宅地用地としては三大圏では七万六千ヘクタールだと言っておられるわけでありますから、十分ここで市街化区域内の農地面積で充当されるという単純計算が出てくるわけであります。したがって、今後、行政監理委員会の審議経過にも照らし合わせて、最大限に白地やあるいは調整地域に入らないという工夫、そういうお約束ができますか。
  24. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 当然、できるだけ市街化区域内の現在の空閑地に適地を求めて施行することが望ましいことは言うまでもございませんけれども、いま御指摘になりましたように、首都圏におきまして現在六万一千五百三十三ヘクタールほどありますし、近畿圏で、この資料によりますと二万四千八百ヘクタールあります。合計して三大都市圏だけの計では十万一千ヘクタールぐらい農地が市街化区域内にございます。  ところで、市街化区域内におきましても、適当な緑地であるとか公園であるとか、こういったものを残さなければいけませんし、市街化区域内の中の農地をすっかり壊廃するというわけにはいきません。そこでわれわれとしましては、優良な農地というものはできるだけ保存する、これは保存すべく、都市計画を決定する際にも関係農林当局等と調整いたしまして、周辺部において相当大規模開発をするというこの公団事業用地につきましては、そういう農地との調整が一番大きな問題になってきますから、これとの調整を十分とる必要がございますが、いま面積的には、三大都市圏におきましても、確かにそういう数字が十万ヘクタールぐらいございますけれども、それをこの宅地開発公団の、これは細かいものもございますので、適地として全部使うというわけにはいかないのであります。むしろそれを有効な市街地開発の中の、たとえば緑地保全地域であるとかあるいはそれを住宅団地に転用して、緑地を残しながら整々とした町づくりをするとか、こういう方面に利用されるべきものが多い。周辺部において、というふうに法律で書いておりますのはそういう意味でございまして、現在三大都市圏におきましては、だんだん外へ外へと人口及び住宅の進出の率が、たとえば首都圏で申しますと、四十キロから五十キロ圏へいま移行しようとしております。増加率の一番多いのが。そういうものをいまほうっておきますと、まだ先に延びるということになりますと、都市の投資する費用も非効率になりますので、できるだけその辺で食いとめるというような計画と調整をとりながらやらなければいけないというふうに考えまして、周辺部におきましては、現在一部農地等があり、あるいは調整地域に入っておる、そこでそれを開発計画の中に組み入れます場合には、優良農地をできるだけ保存しながら、農林省等とも都市計画の際に調整をとる、こういう仕組みで考えておる次第でございます。
  25. 野中英二

    野中委員 ここで私、農林省の方に質問をしておきたいのでございますが、宅地開発が進むにつれて、当然、かつては農地であったものが壊廃をされていく。その場合に、日本経済というものから考えてみますと、これは大変心配があるのじゃないか。日本経済が高度経済成長政策というものをとってまいりましたけれども、今日それが安定経済へ移行しておるのであります。原油が四倍に値上がりして、輸入原材料の高騰考えるときに、支払い増が百五十億ドル、約四兆五千億になるわけです。加えて、経済商品であったはずの石油というものが政治商品として使われるようになった、それと全く同じような関係において、農産物というものが政治商品に使われてくる危険性がありはしないかということを憂えるのであります。  してみますと、日本の穀類を例にとっても、自給率というのはわずかに四二%、この自給率を高めていくお考えがあろうか。してみますと、宅地供給の推進は、国民生活の安定と福祉の増進を図るためにきわめて重要なものでありますが、ここに農業関係と相矛盾したものが出てくるのじゃないか。ここで、宅地開発公団事業が行う場合に当たって、農業と農地政策とのバランスをどうしていったらいいのだろうかということを私はお尋ねしておきたいのです。
  26. 片桐久雄

    ○片桐説明員 農産物の今後の需要供給長期的な見通しにつきましては、現在農林省の案をつくりまして農政審議会で審議をしていただいているわけでございます。その農林省の長期見通しの案におきましては、今日のわが国の経済社会条件の許す限り、またわが国の国土資源の制約の範囲内で、できる限り日本の食糧の自給力を高めるという観点でその長期見通しをつくっているわけでございます。  その長期見通しによりますと、食糧の自給率は四十七年現在で七二%、穀物自給率では、先生御指摘のように、四二%ということでございますけれども、昭和六十年におきましてその食糧自給率を総合農産物全体で七五%程度に見込む。穀物自給率につきましては、今後畜産物の需要等もございまして、飼料穀物の輸入もかなりふえますので、現状よりも多少下がるということで、昭和六十年には三七%程度というふうに見込んでいるわけでございます。
  27. 野中英二

    野中委員 私の質問したかったことは、この自給率の見方はお説のとおりでございますけれども、そうではなかったのです。御存じのとおり、自給率を高めて食用農産物の総合では昭和六十年には七五%まで持っていこうとすれば、どれだけの農地を確保しなければならないかということをまず私は聞きたかったわけです。  私の調べた範囲では、四十八年が農地は五百六十九万ヘクタール、六十年には五百八十五万ヘクタールを必要とする。したがって、十六万ヘクタールはどうしても農林省としては確保しなければいかぬ。しかも、日本の食糧というものを確保するための最低限の面積だと私はこれを理解しておるのです。  その場合に、この宅地開発公団等ができまして宅地化が進んでいった場合に、あなたの方としてはこの五百八十五万ヘクタールというものが確保できるのか、そしてそれは、それ以上将来確保しなければならないのかどうか、その見通しを明確に答えておいていただきたいのです。
  28. 片桐久雄

    ○片桐説明員 昭和六十年の七五%の食糧自給率を達成するためには、私どもの試算では、昭和六十年には、先生御指摘のように五百八十五万ヘクタール、昭和四十八年の五百六十九万ヘクタールよりも十六万ヘクタール増というふうに見込んでおります。  この農業生産に必要な農地を確保するためには、まず私どもとしては、農地造成事業をできるだけ積極的に進めていくということが第一点でございます。  そのほかに、農地法の農地転用制度の厳正な運用、それから農振法の農用地区域の運用、そういういろいろな法律制度でもって農業上の土地利用、それから宅地造成と工場用地のような非農業の土地利用等、十分調整して優良農地を確保してまいりたいというふうに考えております。
  29. 野中英二

    野中委員 大分、農林省は自信を持っておりますから、この辺で了承いたしまして、次は、水を主体として質問をしてまいりたいと思います。  わが国の年間平均降雨量は約一千七百五十ミリと言われます。大変に水資源に恵まれてまいりました。私たちは日常生活の中で、「水に流す」とか、「湯水のごとく」とかよく言いますが、これはふんだんに使えるという意識が含まれていると思うのであります。加えて日本の自然における水循環の機構は、循環システムを余り乱さない形態で水利用行為が営まれ、その循環速度は、わが国の地形からして川の縦断勾配が急であり、水公害を起こしにくい特性を持ってまいりました。この自然に甘えてきた農業時代の論理は、今日の都市時代には通用しないということをわれわれは銘記しなければならないと思うのであります。大規模宅地開発における水供給は重要であり、建設省の広域利水調査によれば、昭和六十年には南関東で年間二十億トン、京阪神では約十二億トンの不足が見込まれておるのであります。水資源を工業用水にあるいは農業用水にあるいは生活用水にどのように配分をしていくのか。これを国土庁の水資源局長にお尋ねしておきたいと思います。
  30. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 いまおっしゃられましたように、雨は世界平均に比べて二・五倍程度、非常に多いのでございますけれども、いわゆる人口一人当たりの水資源量、これでいきますと非常に少のうございまして、人口が多いせいもございますが、大体一人当たり六千トン程度でございます。したがって、アメリカの五分の一あるいはフランスの八〇%、こういうような一人当たりで考えますと、水資源というのは非常に厳しいということが言えると思います。したがいまして、できるだけ河川流量の平準化等を図って水資源開発を促進するということが必要かと存じます。  いま先生のおっしゃられました、そういうシビアな地域で水配分をどう考えるかということでございますが、何と申しましても、飲み水をどうしても最優先せざるを得ない。それから、現在まで特に南関東地域におきましては、高度成長を受けて工業用水需要も非常に多かったのでございますけれども、私どもとしては、水の合理化、要するに回収率の向上等によりまして、南関東地域需要地盤沈下の代替用水を中心に、それ以外は極力押えていきたいということで考えております。  なお、首都圏地域における野菜、生鮮食料品の供給基地として、周辺の県における畑地灌漑等、これの需要が非常に旺盛でございますので、そういうものに対してはできるだけ対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 野中英二

    野中委員 水配分について、しかも降雨量は大変多いのだけれども、一人当たりの水が少ない、こういうことで、その配分をこれから検討していくということでありますが、そこで農林省にお伺いしておきたいのは、先ほども質問しておきましたけれども、昭和六十年までに農地の十六万ヘクタール増を見越した場合に必要な水量といいますか、それは一体どれぐらい見込んだらいいのか、それをお尋ねしておきます。いわゆる農業用水として確保しなければならない、その増です。
  32. 青木敏也

    ○青木説明員 お答えいたします。  今後長期展望に立って農業用水の需要量がどれほどと見込まれるかというお尋ねでございますが、実は現在農林省で、土地改良事業施行いたしますに際しまして土地改良長期計画というものを策定いたしまして、それに基づきました計画的な土地改良事業の推進を図っている次第でございます。土地改良長期計画は四十八年を計画の始期といたしまして、五十七年までの十カ年計画計画期間といたしておりますが、その土地改良長期計画の策定作業に際しまして農林省が試算的に算定いたしました農業用水の需要量を申し上げますと、昭和四十六年時点におきましては約五百七十億トンの農業用水が必要であるという前提に立ちまして、その後土地改良長期計画で予定いたしております農用地整備の進展を見込みまして、昭和六十年の見通しにおきましては約六百五十五億トンの水需要を見込んでいるわけでございます。
  33. 野中英二

    野中委員 ちょっと聞き漏らしたんですが、五百七十億トンですか、昭和六十年。
  34. 青木敏也

    ○青木説明員 先ほど申し上げましたように、長期計画は四十八年から五十七年を一応計画期間といたしておりまして、いろいろ現在の土地改良長期計画の策定作業をいたしました際にその水需要量の推定をいろいろやっておるわけでございます。したがいまして、現行長期計画計画下に入りますに先んじて昭和四十六年時点でおおむね五百七十億トン、昭和六十年の時点で六百五十五億トン程度の水需要がある、こういうふうに推算しておるわけでございます。
  35. 野中英二

    野中委員 そうしますと、大体昭和六十年までには八十五億トン伸びる、増ということになります。これで農業用水の方はわかりました。  そうしてみますと、限定された水の中で農業用水に使い、あるいは工業用水に使うと、残るものはあと生活用水ということになります。  そこで、この生活用水というものがおのずから限定をされてこなければならぬ、あるいは地域分散をして人口抑制をやるか、水資源の立場から見ますとどちらかしかないわけであります。あるいは一人当たりの節水を考慮していかなければならない、こういうことになるわけです。  都会においての家事用の生活用水というものは約五〇%強であります。したがって、われわれとしては特に生活用水というものを検討してやらなければならないだろう、こう思っておるわけです。それで、まことにこれは不思議ではないのでありますが、世帯人員が少ないほど一人当たりの水使用量というものが多くなってきております。  これは東京都の杉並と世田谷の調査の結果でございますが、昭和四十六年七月の統計で古くて恐縮でありますが、世帯人員が一人の場合には標準以上のグループで一日四百三十、標準で三百八十、標準以下のグループ平均が二百三十リットルです。これが今度は七人になった場合にはどうなるかというと、標準以上のグループ平均が百七十リットル、標準が百三十五リットル、標準以下の平均グループが九十五リットルということになるのであります。  そういうことを考えますと、生活用水をどういうふうにしてこれから規制をしていくかということが私は必要になってくると思うのでありますが、これは厚生省水道整備課長にひとつお尋ねしておきます。
  36. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいま水道用水の水の使用量についての御指摘があったわけでございますが、御承知のように、生活水準が上がってきますとともに水道の使用量というのは一般的に伸びてまいるわけでございます。しかし水道につきましては、都市規模だとかあるいは条件等によりまして一人当たりの水の使用量は、御指摘のようにかなり違います。百万以上の都市等におきましては平均的に五百リットルないし六百リットル程度の水量が実績として使われているわけでございますが、農村地区等の小規模な水道につきましては三百リットルあるいは四百リットル程度の水で一応の生活用水が確保されているわけでございます。今後も、一般的に申し上げますならば水道の使用量はふえてまいると思いますけれども、ここで使っております一人当たりの水の使用量と申しますのは、先ほども先生御指摘のように、生活用水が平均的に五〇%でございますけれども、都市の性格によりましては七〇%あるいは八〇%程度のものもございます。  しかし、いずれにしましても水の需要が今後非常に逼迫してくるということは十分考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、いわゆる水の使い方そのものが非常に奢侈的なと申しますか、ぜいたくな水の使い方等が行われないように、まず一般の方々に極力水が貴重な資源であるという認識を持っていただいて、節水と申しますか、そういう態度で水を使っていただくようにかねがねPR等にも努力してまいりましたけれども、今後ともそういう方向は十分考えてまいりたいと思います。  また、世帯別の人数によりまして水の使用量が違いますのも御指摘のとおり事実でございますけれども、やはり一世帯としての必要最小限度の水の使い方、ふろ等基本的な水の使用量がございますので、結果的にこのようなことになる場合がございます。  今後の方向といたしましては、先ほども申し上げましたように、水道用水、飲み水はもちろん最優先して確保されなければならないと思いますけれども、全体として水道用水の需要についても、抑制と申しますと語弊があるかと思いますけれども、非常に大事に水を使うという形の抑制の姿勢で今後とも進めてまいりたいと思います。
  37. 野中英二

    野中委員 これは大変必要なことでございますので、再度質問しておきますが、いま水道整備課長の方からお話がございまして、私の質問を認めていただいたわけでございます。たとえば世帯人数が少なければ少ないほど水を使う、そうなりますと、これから核家族がどんどんふえていくわけであります。したがって生活用水というものがどんどんまた必要になってくる、こういうことになる。それからまた、時代とともに文化生活をすると水が要るんだということを言っておられましたけれども、そのとおりでありまして、大正末期には大体百から二百立方メートルであったのが、現在では三百五十から五百立方メートル使っているということである。  しかも、私が特に言っておきたいことは、貴重な水資源というものをいかにむだに使っているかということ。これは東京都の区内だけのあれでございますけれども、配水量と漏水量というものをいま比較してみますと、漏水量が何と一七・一%ある。仲間三億六千万トンあるのです。これは埼玉県と静岡県の全体の給水量に匹敵するものがあるのです。こういうものの維持管理を今後どういうふうにやっていくかということ。同時に、この貴重な水の配分をどうするかということにおいて生活水量の、生活用水のいわゆるシビルミニマムを設定する必要があろうと私は考えております。そういうお考えがあるかどうか、再度質問をしておきたいと思います。
  38. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  漏水の問題でございますが、御指摘のように、東京都の水道等におきましては、いわゆる漏水と目される水量の率が御指摘のようなことになっております。ただ、この原因先生もよく御承知だと思いますけれども、都内市部に布設されております非常に膨大な延長にわたる配水管あるいは給水管等の、一つずつ取り上げればきわめてわずかな水量でございますけれども、トータルすればそういうかなりの量になるわけでございます。したがいまして、これにつきましては、当然ではございますけれども漏水防止対策ということを、技術的な立場から申し上げれば、区域を限って年に一回あるいは二年に一回程度夜間巡視、巡回しまして、その漏水を一件ごとにとめていくという作業を進めておるわけでございますが、今後ともこれは当然最大に努力を続けてまいりたいと思います。ただ、物理的な限界等もございまして、なかなか容易ではございませんけれども、最近におきましては年々一、二%ずつは全国的にトータルで申し上げれば改善されてまいっております。  二番目の生活用水のいわゆる下限というお話でございますが、水道と一口に申しましても、都市の中の生活用水のみならず、いわゆる一般的なレストラン、飲食店と、私どもが生活上欠くことのできないそういう営業用のものにも水が確保されなければならないわけでございます。したがいまして、単純に水道の使用量という立場でミニマムということを設定するのは非常に困難だと思います。しかしながら、いわゆる生活用水、一般の家庭用水、一世帯当たりの、という点から着目いたしますと、現実に住宅公団あるいはその他一般的な家庭の使用量を見ますと、これがおおよそ三百リットルないし四百リットル程度でございます。この程度の水は、やはり水洗便所を用い、自家用のふろを使い、普通の水の使い方をすれば必要なんではないかというように考えます。そういう意味で、やはりこれは国民一人一人の水の好ましい使い方という立場から、そういったことができるかどうかは考えたいと思いますけれども、一般的な生活水準との関連から、その辺をめどとはしておりますけれども、直ちに数字的に明らかになるとは、ちょっとまだ検討されておりません。
  39. 野中英二

    野中委員 水の質問をこの程度で打ち切りまして、次は、将来予測されるところのニュータウン交通問題について質問をしていきたいと思います。  騒音、振動、排気ガスによる大気汚染を逃れる良好な住宅環境をつくろうとすれば、都心からさらに遠隔の地になるであろうと思うのであります。そこで、通勤者の通勤時間の短縮を図らなければならないという問題が出てまいります。  西欧では通勤時間は三十分から四十五分、ラテン系諸国では昼食を自宅でとれる範囲とする傾向がございます。日本では一時間ないし一時間半程度でありましたが、今日では二時間を要する例は幾らでもございます。そこで都市交通はスピードアップを要求されてまいりました。郊外鉄道の場合、急行列車は時速四十キロないし六十キロでありますから、二十四キロ圏ないし三十キロ圏は一時間以内におさまります。時速八十キロまで上げますと一時間以内は五十キロ圏内ということに広がっていくわけでございます。  そこで、宅地造成地点と都心までの距離によって敷設される鉄道の計画が変わろうと思うのでありますが、その立案はどういうふうになされるのか。  それからもう一点、既設鉄道に公団施行するところの鉄道と接続をいたしたならばさらに混乱を招来することになるであろう。  その三点について鉄監局長にお尋ねをしておきたいと思います。
  40. 高橋英雄

    高橋説明員 お答えいたします。  宅地開発公団が将来建設をいたします鉄道は、主としてその造成します宅地利用者の利便のために、言うなればその宅地にかかわります公共施設の一環としてつくられるということでございますので、その建設する路線は、その宅地の内部から既設の鉄道の最寄りの駅までというふうな比較的短い路線に限られるというふうに考えておる次第でございます。ただ、そういたしますと、先生おっしゃいましたように、既設の鉄道の混雑というふうな問題が生じてまいるかと思いますが、その点につきましては、あらかじめ宅地の造成計画なりあるいは鉄道の建設計画なりというものとの調整を十分図りながら既存の鉄道の整備を図りたいと、かように考えておる次第でございます。  具体的には、国鉄につながります場合には国鉄において整備を図る、また、私鉄につながります場合には私鉄において整備を図るわけでございますが、この場合、必要がありますれば鉄道建設公団によります民鉄線の建設というふうな機能を活用いたしまして、複々線化するというふうな工事を行いまして、より混雑度が増さないような所要の措置をしていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  41. 野中英二

    野中委員 ぜひそのことに留意してやっていただきたいと思います。  次に、公団の鉄道経営についてでございますが、これは膨大な建設費を要しますと同時に、当初は利用者の数が少なくて、かつ片道輸送となるであうということが予想さるるわけでございます。そこで、公団の鉄道業務宅地開発業務とを分離したことは、これが地価にはね返らないということで私はまことに当を得た処置であったろうと思います。  そこで、次の四点を質問をいたしておきます。これは大臣の方がいいんでありましょうか。  第一点は、鉄道収支の見通しはどうなるでありましょうか。  第二点は、鉄道収入が赤字の場合の補てん策はどうやるのか。  第三点は、鉄道が黒字の際は公団関連事業助成基金の中にこれを算入するのか。  四番目は、それともこれを国鉄に移管していくのか。  この四点について御質問申し上げたいと思います。
  42. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず鉄道部門と宅開部門との経理を分離いたしましたのは、先生のおっしゃるとおりでございます。おそらくその収支につきましては、当初は片道交通が多く、かつ相当長期かかりますので、赤字が出ることが予想されると思うのでございます。その場合の赤字の補てん等につきましては、これは長期の収支の見通しを立てまして、当初赤字が出ましても、長期的にその収支が相償うように、別途鉄建方式あるいは地下鉄方式、いろいろな、どういう方式をとるか知りませんが、そういう助成措置を講じつつ、赤字の補てんに努めてまいりたい、かような考え方でおるわけでございます。  黒字が出ましても、それは鉄道建設の方の経理の長期見通しの中に入っていると思われます。これは後でまた運輸省の方から補足していただきますけれども、現在のところでは、別経理にいたしまして、黒字が出ましても、長期計画の中で黒字が出るような計算になりましょうけれども、当初は赤字でありますから、そういう長期の収支の中で考えていく予定で収支を分けておる次第でございます。
  43. 天野光晴

    天野委員長 補足ありますか。
  44. 高橋英雄

    高橋説明員 最近の鉄道の建設につきましては、非常に巨額のお金がかかりますので、そういった新しい線を開業いたしますと、収入に比べまして非常に資本費が増高するというふうなことで、収支は相償わないというふうなケースが非常に多うござます。特に、ニュータウン建設等に当たりまして、その住民の足としての鉄道を開設いたす場合には、入居者が余りおらないころから鉄道をつくるというふうなことに相なりますので、特にそういった傾向は強いかというふうに思います。  余りいい例かどうかわかりませんが、関西の方で泉北ニュータウンというのができつつございまして、それに大阪府の都市開発という第三セクター的な会社がニュータウン鉄道をすでに敷いております。これはまだ全部完成はいたしておりませんが、一部開通しまして、四十六年ごろから事業を開業いたしておりますが、四十八年度の収支を見ますと、償却前で五千六百万程度の赤字、償却後では約三億三千万円程度の赤字が出まして、現在までのところ累積の赤字が十四億円くらいあるというふうな状況に相なっております。
  45. 野中英二

    野中委員 次の交通問題は道路であります。  公団業務一つに、宅地造成、それに加えて工業団地の造成事業があります。さすれば、鉄道のほかに道路整備が必要になってくると思います。現在の道路事情からして言えば、たとえば混雑緩和の策として、高速、バイパスをつくったとしても、さらに自動車交通を誘導するような結果になっておるわけでございます。  アメリカのウエストバージニアのデータによりますと、十二分間に車線に流入する自動車台数が百台以下の場合は、速度が余り下がりませんけれども、百三十台に達すると速度が二・七分の一に低下するのでございます。日本でも一時間に六百五十台通りますと、渋滞が始まります。P・スウィージー著の「独占資本」の中に記されておるのでございますけれども、「迅速な輸送手段から、交通に対する何ともしようがない邪魔者に転化する。」こういうふうに書いてありますが、こういうふうに自然渋滞というものが始まってくるのでございます。  そこで、その道路容量を上回る自動車が侵入することによって渋滞が始まりますものでございますから、どうしても既設道路網と新しく宅地開発公団でもってつくりました道路をジョイントさせますと、既設道路というものが非常な渋滞をしてくるであろう、したがってそれに対する計画、対処というものはどうなされていくのかということをお尋ねしておきたいのであります。
  46. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 大団地をつくりますと、確かにおっしゃるとおりの既設道路に対する荷重が増してまいりますが、あらかじめ団地計画に際しましては、鉄道はもとよりのこと、幹線道路の配置につきましてもその改良あるいはバイパスというような計画を設定いたしまして、既設道路に荷重がかからないように、そういう計算をあらかじめ都市計画において考え、あるいは道路計画において調整をとるというような方法を当然考えなければなりません。いままでのたとえば泉北丘陵あるいは多摩等におきましても、そういう計画と調整をとる計画になっております。問題は、そのタイミングを合わせるということが一番大事な課題になってまいります。計画の面におきましては、あらかじめ先生御指摘のような点を十分配慮いたしまして、団地外の既設道路とのコネクションということを重視いたしまして、計画の中に取り入れるつもりでございます。
  47. 野中英二

    野中委員 これで交通問題を終わりまして、最後の締めくくりをしておきたいと思います。  仮谷建設大臣は、最初から最後まで熱心にお聞き取り願いまして、ありがとうございました。私の予定時間を十五分過ぎましたので、思い切った提案と申しますかお願いと申しますか、仮谷建設大臣にお伺いしておきたいと思います。  戦後三十年、いまやわが国は自由世界第二位の経済大国になりました。昭和二十年のあの廃墟のただ中から奇跡の復興と繁栄をもたらすことができました。負けることなく、ひるむことなく、日夜働き続けました日本の勤労者の勤勉のたまものであろうと私は信ずるのであります。今日、特に五千百万人を数えるに至った勤労者の皆様が汗で築き上げた成果であることを、私は深く銘記しなければならないと思うのであります。  ところで、衣食住の三拍子は人間生活にとって不可欠のものでありますが、大多数の勤労者にとっては、特に住の乏しさに悲しまざるを得ない現況でございます。普通の勤労者が一生涯かかって住宅取得することのできる限度額は、一千万円と言われ、あるいは一千五百万円とも言われるのでございます。勤労者が一生かかってまじめに働いて、財産はおろか一軒の持ち家さえ建てられない現況であります。ほかでもなく、住宅取得の隘路は何と言っても高価な宅地にあると思います。  宅地開発公団法の提案されております現在、公団施行する宅地は、勤労者に対して高くとも一平米三万円程度の価格で提供されたい。もし原価が三万円の販売価格を上回るようなことがあったとしても、三万円で分譲していただきたい。この原則を貫いていただきたいと思うのです。  福祉国家としてのわが国は、今日まであらゆる福祉施策を実行してまいりました。自由民主党であり、特に三木内閣は、弱者救済を標榜してまいりましたが、福祉というものをもう一度考え直してみなければならないと思うのであります。五千百万人を超える勤労者の大多数が家も持てない。これを救うことも、私は福祉の重要な一環の施策であろうと思う。考え方によれば、食管特別会計も福祉政策でありましょう。  以上のような考え方を持って処するならば、多少の困難はありましようが、たとえ原価を割っても、勤労者に安い宅地を提供すべきであろうと思うのでありますが、大臣の所信を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 最初から大変熱心な、しかも貴重な御意見を聞かせてもらいまして、大変ありがたく、私どももそれを参考にしてこれからやっていかなければならないと思っております。  戦争に負けていろいろ苦労したのですけれども、今日の日本ができ上がったということは、おっしゃるとおり勤労者諸君の努力のたまものであることは申し上げるまでもございません。三木内閣の重点も宅地住宅建設にあることは御承知のとおりであります。そういう意味で五十年度の予算も一応編成をいたしたことは、これまた御承知のとおりであります。ただ、人口都市へ集中してきました。これもいままで産業が非常に発展をしてきた一つのひずみが大都市に集中してきた。いまその大都市から人口産業の集中をできるだけ排除し、分散をさせて、そして均衡のとれた国土をつくるということも大変必要な問題であります。ただ、この大都市の中で一番問題になるのはやはり住宅であります。私も、おっしゃるとおり衣食住の中で、住対策がもう今日の本当に最重点でなくてはならぬし、それが最大の政治の課題であることも十分承知をいたしております。そのために三大都市圏の中の特に最も必要な住宅問題を解決していくために、その最も大きな隘路となっておるのが宅地であることは御承知のとおりでありまして、いろいろといままで公団等において施策を講じてまいりましたけれども、これはもういろいろおしかりを受けておるように、決して国民の期待にはこたえておりません。そこで、思い切った宅地開発大量供給をしようというのが今回の法案の趣旨であることも御承知のとおりでありまして、これはぜひひとつ御理解をいただいて法案を通していただき、私どもはこの問題に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。  さて、一体できた宅地をどういうふうにして活用するかという問題でありますが、これはどこまでも都市計画をもとにしてその一環として行われるわけでありまして、最初からいろいろお話のありました交通の問題、水の問題、その他の問題も一切考えながら計画を立てていかなければいかぬ問題であります。でき上がったものは、勤労大衆のためにできるだけ重点的に活用しなければならぬということも、私どもそういうふうに思っております。ただ、国民の宅地需要に対する動向というものがいろいろありますから、そういうものも関連して、一方的に片寄ってしまうわけにはいきません。いきませんけれども、お説のようなものを今後重点として考えていかなければならぬと思います。  ただ金額で、幾らでひとつやってはどうかという御意見ありましたけれども、これはまだできないのでありまして、私どもはできるだけ安い宅地供給するという考え方で実はこの立法も考えましたし、この制度も進めていきたいと思っておりますから、その趣旨に沿って今後最大限の努力をし、いささかでも御期待に沿わなければならぬ、かように思っておる次第であります。
  49. 天野光晴

    天野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会      ————◇—————