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井上(普)
委員 しからば、いまの
大臣のお話は現在の
建設省の予算圧縮に対する、内閣に対する抗議の言葉としか私は受けとめざるを得ない。これは明らかに、
建設行政は長期的視野に立って、
計画的かつ着実に推進し、豊かで住みよい国土を
建設することを基本とするのだ、こういうことをお述べになっておられる。
〔
委員長退席、
渡辺(栄)
委員長代理着席〕
そこで、こういうことを書かれる以上は、財政
政策との関連において、一体国の財政
政策と
建設省の行政との間にどういうような関係があるべきだということを私はお聞きしたがったのであります。具体的なお答えがないのははなはだ遺憾に存ずるものであります。
私はただ言葉の上で申しておるのじゃない。確かに
建設行政というものは
計画的に、そして着実にやらなければならないと思います。それが実際に行われておらないから私
どもはここで問題にするわけなんです。それはもちろん物価安定という至上命令のためには公共
事業の圧縮にがまんしなければならない場合もあります。しかしながら、
国民が最も要求する問題については
計画的に着実にやらなければならないと存ずるのであります。これが行われておらないから、私はあえてこの問題についてお伺いいたしておくのであります。具体的な問題は後々申し述べたいと存じます。
そこで、これから私は各論に入ってまいるのでありますが、
住宅・
宅地対策についてまずお述べになっておられます。ここで、先ほど
渡辺委員からも
指摘されましたように「
住宅事情の改善を図ることが現下緊要の課題でありますので、これに特段の配慮を加えることとし、次の三点に
重点を置いてこれを推進してまいる所存であります。」私も現下緊急の課題が
住宅対策であることを認めます。だけれ
ども、私も先日来おたくの
建設省の若い諸君に実はお話を承ったのであります。
〔
渡辺(栄)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これからいままでのような高度成長
政策が望めないとするならば、生産性向上が余り図られないということになりますと、どういたしましても現在の賃金というものは高度成長
政策時代のような高度の伸びを示すことは無理となると私は
考えます。しかしながら片方において、それでは若い世代の諸君はどうなるのかということを私は静かに
考えざるを得なかったのであります。好むと好まざるとにかかわらず社会保障制度の充実のためには、一例を挙げますと、年金も賦課方式に頼らざるを得ないでありましょう。これは
大臣、私は政治家として申し上げる。あなたも政治家として
考えていただきたい。年金も賦課方式の方向に、好むと好まざるとにかかわらず進まざるを得ない。そういたしますと、今後の老人は若い世代の諸君に年金を
負担していただかなければなりません。そうなりますと、若い世代に対する
負担というものは非常なものになってくる。スウェーデンの例を申しましても、御存じでございましょう、非常に高い税金になる、年金の掛金になってくる。こういう
状況になってくる。
それで、また
わが国を
考えてみますときに、核家族が非常に発達をいたしました。いままでのような家族制度は、われわれの世代におきましては残存的に残っておりました。しかしながら、これからは核家族がますます激しくなってまいるでしょう。そういたしますと、あれが、もうすでに言われておりますように、親子の断絶というような言葉も間々聞かれるのであります。われわれの世代が生活に困った場合には、田舎におる親に頼る、あるいは親が持っておる田舎の
土地を売って、足してもらう。あるいは
住宅を建てるにいたしましても、田舎の
土地を売って、親のすねをかじるということもできました。しかしながらこれからの若い諸君は、こういうようなことを望むわけにはまいらないであります。
そういたしますと、この核家族が今後さらに発達する時代において、若い諸君が自分の持ち家を持つということになったらどういうことが
考えられるか。先ほど
渡辺委員から
質問がございましたが、いまのように建築費が一千万円、
宅地を買いますと二千五百万円普通かかります。そういたしますと、それの金利が二十万少々毎月かかってまいります。先ほど
北側委員が
大臣に
質問した際に、収入の三五%、これを
住宅費に充てるのは、
銀行はそれぐらいは人民は耐え得るであろう、こう申しますけれ
ども、そういうことは私はできないと思います。そうなってまいりますと、これからの世代の諸君は一体どうやって
住宅を確保するのか。私はここに問題があると思うのであります。そうするならば、われわれの世代のときに、若い三十以下あるいはそれらの諸君に対してやらなければならないことは一体何だということを
考えますならば、これは
住宅を低廉に供給するようなことをいまわれわれは真剣に
考えなければならないでしょう。将来若い世代に老齢福祉年金をおぶさるわれわれ世代として、これはイデオロギーを別にして
考えましても、われわれの世代でできることはわれわれで若い世代のためにやっておく。それは何だといえば、いま若い世代の諸君が困窮しておる
住宅、これを低廉に大量に供給する以外に方法がないんじゃないか、私はこのように
考えるのであります。
そういう観点に立ってこの
住宅問題を真剣に
考えるならば、現在のこの制度のもとにおいて、果たしてわれわれ世代が若い世代の諸君にこれだけやりましたと言って誇れる制度であるかどうか、私は大きな
責任を感じざるを得ないのであります。
大臣の御所見を承りたいと思います。