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1975-07-17 第75回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年七月十七日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 中尾  宏君 理事 森下 元晴君    理事 吉永 治市君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    宇野 宗佑君       三池  信君    三原 朝雄君       安井 吉典君    坂井 弘一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房管理室長   島村 史郎君         警察庁長官官房         長       下稲葉耕吉君         警察庁長官官房         会計課長    金沢 昭夫君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         警察庁警備局参         事官      半田  博君         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         経済企画庁長官         官房参事官   藤井 直樹君         環境庁長官官房         参事官     宇野  佐君         環境庁企画調整         局環境審査室長 大塩 敏樹君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         自治大臣官房長 山本  悟君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         自治大臣官房会         計課長     関  昭一君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         会計検査院事務         総局第一局長事         務取扱     鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第三局長  田代 忠博君         北海道東北開発         公庫総裁    吉田 信邦君         公営企業金融公         庫総裁     荻田  保君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 七月十日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     安井 吉典君 同月十七日  辞任         補欠選任   宇都宮徳馬君     宇野 宗佑君   菅野和太郎君     三原 朝雄君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     宇都宮徳馬君   三原 朝雄君     菅野和太郎君     ————————————— 七月四日  一、昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算    昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算    昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計    算書    昭和四十八年度政府関係機関決算書  二、昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総    計算書  三、昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計    算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、国が資本金出資している法人会計に関    する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、    奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、    損失補償等財政援助を与えているものの    会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計算書  〔総理府所管警察庁北海道開発庁)、北海  道東北開発公庫自治省所管公営企業金融公  庫〕      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管警察庁北海道開発庁北海道東北開発公庫自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。  まず、福田国務大臣から警察庁北海道開発庁及び自治省所管に関して概要説明を求めます。福田国務大臣
  3. 福田一

    福田(一)国務大臣 昭和四十八年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十八年度歳出予算現額は六百七十九億五千三百七十万円でありまして、支出済歳出額は六百六十一億八千七百八十六万円であります。  この差額十七億六千五百八十四万円のうち、翌年度へ繰り越した額は十六億四千六百九十一万円でありまして、これは財政執行繰り延べ措置として、歳出予算執行調整をしたこと等により、年度内に支出を完了することができなかったものであります。また、不用となった額は一億一千八百九十三万円であります。これは職員手当等人件費を要することが少なかったため等であります。  次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げますと、  第一に、警察庁経費として四百六億九千三百七十七万円を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、科学警察研究所の経費として三億七千四百八十七万円を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものであります。  第三に、皇宮警察本部経費として二十億七千七百二万円を支出いたしました。これは、皇宮警察職員の給与その他皇居の警備行幸啓警衛等経費として支出したものであります。  第四に、警察庁施設費経費として二十四億八千五百二十九万円を支出いたしました。これは、警察庁関係施設整備するための経費として支出したものであります。  第五に、都道府県警察費補助として二百五億三千六百上十六万円を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第六に、他省庁から移しかえを受けて支出した経費は、科学技術庁から国立機関原子力試験研究費として一千百三十五万円、環境庁から国立機関公害防止等試験研究費として九百三十万円を支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和四十八年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発計画費及び一般行政費等並び北海道開発事業費でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾空港整備農業基盤整備等事業費であります。  昭和四十八年度の当初歳出予算額は三千百四十億九百九十七万円余でありましたが、これに、予算補正追加額二十一億千百万円余、予算補正修正減少額一億千二百九十一万円余、予算移しかえ増加額三百一万円余、予算移しかえ減少額九百八十六億九千三百万円余、流用等増加額五千百五十五万円余、流用等減少額八百九十七万円余を増減しますと、昭和四十八年度歳出予算現額は二千百七十三億六千六十六万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二千六十九億六千七百六十八万円余、翌年度繰越額九十六億八千二百九十八万円でありまして、その差額七億千万円余は不用額であります。  開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計移しかえまたは特別会計繰り入れ措置を講じ、直轄事業につきましては北海道開発局が、補助事業については道、市町村等実施に当たっているものでありますが、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は、厚生省所管へ七千八百三十万円余、農林省所管へ八百七億三千八百八十六万円余、運輸省所管へ一億九千五百五十九万円余、建設省所管へ百七十六億三千九百九万円余、通産省所管へ四千百十三万円余、合計九百八十六億九千三百万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林省所管国有林野事業特別会計へ四十八億五千八百二十六万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ百六十四億千三百六十九万円余、運輸省所管空港整備特別会計へ十九億九千六百九十五万円余、建設省所管治水特別会計へ三百六十億八千百八十三万円、建設省所管道路整備特別会計へ千二百十億三千二百三十二万円余、合計千八百三億八千三百六万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費で四十四億二千七百五十三万円余、北海道開発計画費で一億千四百十三万円余、北海道開発事業指導監督費で三億八千四十七万円余、北海道開発事業の各工事諸費で土百十六億三千九百三十一万円余一北海道特定開発事業推進調査費で二千十五万円余、総理府所管科学技術庁から移しかえを受けた特別研究促進調整費で二百九十四万円余、文部省から移しかえを受けた南極地域観測事業費で七万円余であります。  以上、北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和四十八年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額二兆八千九百六十八億九千四百九万円余、予算補正追加額四千二百四十億七千九百五万円余、予算補正修正減少額十八億百五十一万円余、総理府及び大蔵省所管から移しかえを受けた額一千八百七十三万円余、前年度繰越額九億四千三百四十八万円余、予備費使用額五億九千三百二十五万円余、合計三兆三千二百七億二千七百十一万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は三兆三千百四十九億九千七百十七万円余で、差額五十七億二千九百九十四万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は二十一億三千五百三十九万円余、不用額は三十五億九千四百五十四万円余であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は三兆二千五十一億四千七百五十二万円余、支出済歳出額は三兆二千五十一億四千七百五十二万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、昭和四十八年度所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額過年度精算額等を加算した額に相当する金額を、交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れたものであります。  次に、臨時沖繩特別交付金でありますが、歳出予算現額は三百八十八億円、支出済歳出額は三百八十八億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、沖繩の復帰に関連する特別措置として、沖繩県及び同市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金財源の一部を交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れたものであります。  次に、奄美群島振興費でありますが、歳出予算現額は四十九億五千九百九十七万円余、支出済歳出額は三十一億九千八百八十二万円余、翌年度繰越額は十二億六千六百八十七万円余、不用額は四億九千四百二十七万円余となっております。この経費は、奄美群島の急速な復興を図るため及び住民の生活の安定に資するため、同群島における主要産業振興公共土木施設整備等振興事業実施に要する経費について補助するために要したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は三百八十二億二千九百三十三万円余、支出済歳出額は三百八十二億二千九百三十三万円余で、全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策一環として、反則金に係る収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金として交付したものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給でありますが、歳出予算現額は三十六億三千四百四十七万円余、支出済歳出額は三十四億一千四百六十六万円余、不用額は二億一千九百八十一万円余となっておりまして、この経費は、道府県に対し交付する新産業都市建設及び工業整備特別地域等整備に係る地方債特別調整分に対する利子補給金として交付したものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額ば五十三億円、支出済歳出額は五十三億円で、全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は三十九億二千二百四十四万円余、支出済歳出額は三十五億三千六百五十万円余、翌年度繰越額は三億六千五百十九万円余、不用額は二千七十四万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計決算につきましては、歳入予算額は、当初予算額三兆三千七百一億七千五百三十一万円余、予算補正追加額四千二百四十億円、予算補正修正減少額二千七億八千三百万円、合計三兆五千九百三十三億九千二百三十一万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は三兆五千九百二十六億一千百六万円余となっております。  また、歳出予算現額は、当初予算額三兆三千七百一億七千五百三十一万円余、予算補正追加額二千二百四十四億円、予算補正修正減少額十一億八千三百万円、合計三兆五千九百三十三億九千二百三十一万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は三兆五千九百十六億六千八百十九万円余、不用額は十七億二千四百十一万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金利子等を要することが少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の生なものは、  第一に、地方交付税交付金三兆一千三百十八億四千八百三十万円余でありまして、これは、地方団体基準財政需要額基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金一千七百九十六億六千四百六十四万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金自動車重量譲与税譲与金航空機燃料譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として関係地方公共団体に譲与したものであります。  以上、昭和四十八年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 井原岸高

    井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。柴崎会計検査院第二局長
  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十八年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  6. 井原岸高

  7. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 井原岸高

  9. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十八年度自治省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 井原岸高

  11. 吉田信邦

    吉田説明員 北海道東北開発公庫昭和四十八年度決算について概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和四十八年度における事業計画は、当初貸し付け八百九十億円、出資十億円、合計九百億円でありました。  これに対し出融資の実績は、貸し付け八百六億五千二百万円、出資三億四千八百万円、合計八百十億円となりました。  なお、総需要抑制措置一環として、当初出融資予算額のうち、五十四億円を四十九年度へ繰り延べいたしております。  一方、原資調達状況は、政府出資金十三億円、政府借入金二百四十七億円、債券発行四百十九億九千百十五万円(うち政府保証債二百七十五億二千八百万円、政府引受債百四十四億六千三百十五万円)及び自己資金百三十億八百八十五万円合計八百十億円となっております。  この年度決算は、貸付金利息収入等益金総額が二百五十一億六千八百五十五万円余、支払い利息事務費等損金総額が滞貸償却引当金繰り入れ前で二百三十六億八千三百四十五万円余となり、差額十四億八千五百十万円余を全額滞貸償却引当金繰り入れたため利益金は生じませんでした。  かくいたしまして、昭和四十八年度末における資産・負債の状況は、貸付金残高二千八百七十四億三千三百六十八万円余、出資金四十億二百五十万円となり、これに対しまして、政府出資金百八億円、政府借入金残高六百九十二億九千五百十二万円余、債券発行残高二千百二十六億五千百三十万円、滞貸償却引当金残高百三十八億二千二百四十万円余となりました。  以上、昭和四十八年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 井原岸高

  13. 荻田保

    荻田説明員 公営企業金融公庫昭和四十八年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和四十八年度における貸付計画額は、当初二千百八十三億五千三百万円でありました。  これに対し貸付実行額は千九百五十五億三千百四十万円であり、前年度と比較して九%の増になっております。  一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金二億円、公営企業債券発行による収入千六百六億五千四百五十五万円及び貸付回収金等資金三百四十六億七千六百八十五万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金回収額は九百五十三億四千七百八十一万円余でありまして、延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業地域開発事業公共下水道事業等に対するもの千八百五億千百九十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百五十億千九百五十万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は八千三百一億七千三百六十万円余になり、前年度残高と比較して二二・一%の増となったのでございます。  以上のほか、短期貸付として三百六十九億七千七百万円の貸し付けを行いました。  また、当年度は、一連の長期金利改定に伴う公営企業債券発行条件改定により、基準貸付利率が八・〇五%に引き上げられました。一方、公営競技納付金原資とする公営企業健全化基金運用益により上水道工業用水道公共下水道交通市場の各事業及びこれらの事業の借りかえ債について〇・〇五%の利下げを行いました結果、上水道工業用水道公共下水道交通及び市場の五事業については国の補給金等による〇・三%の利下げと合わせて七・七%になり、また借りかえ債については八・〇%になりました。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて、公有林整備事業及び草地開発事業に対し八十億五千二百万円の貸し付けを実行いたしました。このため、受託貸付当年度末における貸付残高は四百三十七億三千八百二十万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券発行額は二千百七十億二千万円でありまして、このうち公募債が千九十億八千万円、縁故債が千七十九億四千万円であります。  なお、これらのうち四百四十五億千六百万円は、昭和四十一年度発行した債券満期償還に必要な資金に充てるために発行したものであります。また、縁故債のうち二百十六億円は低利の債券発行いたしました。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営企業納付金収入額百十四億六百八十五万円余を基金に充て、当年度における基金運用益から基金管理費用及び利下げ所要額を差し引いた残額五億千八百七十四万円余を基金に組み入れました結果、当年度末における基金総額は三百二十九億六千四百六十九万円余になりました。  次に、収入支出状況について申し上げますと、収入済額は、収入予算額五百十八億三千五百三十七万円余に対し五百二十一億九千九百九十一万円余、支出済額は、支出予算額五百十六億四百四十三万円余に対し五百十億四百四十七万円余でありまして、収入支出を十一億九千五百四十四万円余上回っております。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等利益金総額五百四十七億千百六十一万円余に対し、債券利息及び事務費等損失金総額五百三十六億四千六百四十六万円余でありまして、差し引き十億六千五百十五万円余を各種の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、昭和四十八年度公営企業金融公庫業務概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  14. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  15. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  16. 森下元晴

    森下委員 去る六月二十六日に昭和四十七年度決算総括締めくくりが行われました。そのときに私も質問したわけでございますけれども、ちょうど私の時間が早かったものですから、自治大臣に質問をする機会を失しておりまして、この際に自治大臣関係局長の方々に、地方財政硬直化の問題について、短時間でございますけれどもお伺いをしたいと思います。  高度経済成長から減速経済への移行のためのいわゆるスタグフレーション、これに伴う非常に深刻な事態が起こっております。ちょうどその分かれ目が昭和四十八年でございまして、前半は非常にバラ色に輝く夢と希望を持った四十八年度でございましたけれども、後半から非常に雲行きが怪しくなった。そしてオイルショックの問題等で、急激にこの減速経済に切りかえなくてはいけない。大変な四十八年度であったわけでございます。そういうことで非常に歳入が減って、その反面、歳出面ではやはり成長時代の惰性というものが払拭し切れないで今日まで来た。その間のギャップが財政構造に非常に大きな変化を起こしてきた。国の財政もそうでございますけれども、やはり一番深刻な打撃を受けておりますのは地方自治体でございまして、まさに難破寸前の危機に直面しております。  こうした中で、人件費の問題の摘発をてこに、自治省の自治体監視とコントロールが一段と強化されておりますけれども、このままでは憲法に保障された自治権が脅かされるのではないかというような声も出始めております。地方自治か中央集権かという基本的問題までこの財政硬直化の波は押し寄せまして、これはほっておけない、そういうような感じが実はいたします。  そこで、この硬直化問題について入りたいと思いますけれども、四十八年度はまだ、先ほど申しましたようにはしりでございまして、都道府県のうちで東京都それから大阪府、これが赤字団体でありましたけれども、四十九年度には東京都それから石川県、滋賀県、京都府それから大阪府、兵庫県の六団体が赤字を出すであろう。まだこれは全部決算終わっておらないようでございますのでわかりませんけれども、そういう予想が立てられております。それから五十年度予算でも、各自治体が独自で行っております単独事業費は、宮崎県が七一%減であるとか、それから福井県が六一%減であるとか、東京都が五六%減、前年度に比べまして三〇%以上減っているのが十二都道府県に上っております。それから、例を挙げますと、宮城県は仙台のカーフェリー埠頭ターミナルの施行工事を削っておりますし、千葉県は工業技術センター建設を見送っておる。そういうふうに、歳入面の問題でない、いわゆる財政硬直化の原因による、いわゆる歳出での義務的経費の占める割合がますます高くなっておる、こういうことでございます。  それで、四十八年度のこの決算で経常収支の比率を見ました場合に、都道府県が六八・七%、都市が七三・六%、町村で七二・一%と高く、財政の弾力性が低くなっております。  五十年度都道府県の当初予算状況を見ました場合に、予算総額の伸び率は一五・六%に対しまして、たとえば人件費について見ますと伸び率は三八・二%、構成比は前年三七%であったものが本年は四四・三%と上昇している。  そのほか第十六次地方制度調査会の答申案を見ましても、地方財政硬直化打開策として、国に対しては補助負担制度の改善、それから超過負担の解消の必要性を述べておりますし、また一方、地方自治体に対しましては、地方財政計画を上回る職員数それから給与水準と各種手当や職員の高齢化による能率低下に対しては定年制の実施等を挙げております。  政府は、この地方財政の危機に直面して、現在どのような措置を講じておるのか、また講じようとしておるのか、まずこの件について、大臣そして関係の局長ほか関係の方からお伺いをしたいと思います。
  17. 福田一

    福田(一)国務大臣 森下議員にお答えをいたします。  ただいま、中央と地方を通ずる四十八年度以降の経済情勢の推移並びにこれに伴う地方自治体が持っておりまする悩みといいますか問題点は、御指摘のとおりであると私たちは考えておるのでございます。  そこで、これをどう打開していくかということになれば、やはり国の方でもいわゆる超過負担の問題を解消するということ、同時にまた、義務的経費がどうしても出てくるような法令等を、地方自治体に負担をかけない工夫をしながら法令をつくるというか、そういうものをつくる場合にはそういう考え方に立ってもらわなければならないというように、国自体が地方自治体に対するところの十分な配慮をする必要があると考えております。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 一方におきまして、また地方自治体といたしましても、こういう厳しい状況でありますからして、やはり人件費問題等々につきましては順次合理化をしていくといいますか、われわれが考えてみて余り行き過ぎであるというようなものは、順次是正する姿勢を示していただかなければならない。それからまた、福祉関係の仕事もやらなければなりませんけれども、しかし、これは一度行いますというと恒久的に減らすことができないのが福祉予算の性格でございますから、こういう点を踏まえながら、今後の問題点を処置をいたします場合に、福祉を実現していく場合にはやはり歳入の見通しとかその他の面を十分考えながらやっていくという、いわゆる財政の運営を図っていかなければならないのではないか、かように私は考えておるわけでございまして、今後そういう意味で、中央も地方もこの財政運営の面において非常な注意を払っていかなければならない状況下にあると、かように考えておるわけでございます。
  18. 森下元晴

    森下委員 基本的な問題につきましてただいま大臣からお話を聞いたわけでございますけれども、いま大臣の御答弁にございましたように、福祉等についても、従来の高福祉低負担から、多少内容的にも、高福祉であるけれども低負担ではいけないというような感触のお言葉があったように思いますし、先般箱根で行われました革新市長会でも、そういうような方向が打ち出されております。硬直化の時代に、いままでとかなり違った意味の財政政策をとらなければいけないし、特に地方自治体はいわゆる深刻性が大きゅうございますので、その方向に行ってもらいたいと思います。  そこで、私は具体例を挙げて申し上げたいのは、ちょうど十二年前の七月だったと思います、新産都市というものが全国で十三指定をせられまして、指定された各地は大争奪合戦をやったものですから、その指定された喜びのためにちようちん行列をやったり旗行列をやって、新産都市の実現のために前向きで、知事を先頭にして夢と希望に輝く、いわゆるバラ色の前途を実は夢見たわけです。ちょうど十二年前の、地方選挙が終わって、そうして落ちついた七月の時点であったように、私もかすかに覚えておりますけれども……。  その新産都市に指定された地域、いろいろ水島なんか優等生と言われておりますけれども、かなりの地域が途中で挫折をしかかってきた。経済成長の中でもそういう挫折した地域もございますし、なかなか思うように進まない地域もあったわけでございます。それがこういうような財政硬直化の時代に入って、実はもう、いわゆる先行投資のために大変な重荷を背負っておる、そういう地域がかなり出ております。もちろん、これは新産都市指定の地域だけではなしに、全国的にそういう傾向がかなり強く出ておる。熱心にやればやるほど、また、やったところほど、こういう時代にその副作用が出ておるのが現実でございます。  実は、福田自治大臣は福井県の選挙区でございまして、私は徳島県でございますけれども、ちょうど人口といい財政規模といい、大体よく似ておりまして、大臣、地元のことを申し上げると僭越でございますけれども、一番よく知っておられる方に内容を聞くわけですから、私はあえて許していただきたい。  御承知のように福井県は人口七十四万、徳島県は七十九万でございます。本年度一般会計予算は大体千三百億円ぐらいでございます。御承知のように福井県は、中川知事が非常に意欲的に工業化のために努力をせられてきた。すなわち、福井港、福井臨海工業地帯の造成計画、これは総事業費が実に四百三十四億円、四十六年度から六十年までの十五カ年計画で、越前加賀海岸国定公園区域内の三里浜というのですか、その砂丘を中心にして膨大な計画を立てておる。立地企業がアルミの二次精錬、それに関連した企業で、昭和六十年度の完成時には年間四千百九十億円の工業生産を上げようという大きな計画をされておったわけでございますけれども、その結果は思うように進んでおらない。もうすでに、この物価上昇の折から、三分の一ぐらいしか計画は進んでおらないのに経費だけはどんどん要っていったという実態ですね。それから徳島県でも例の橘湾、阿南市というところの橘湾、ここは日本で有数の良港でございまして、立地条件を備えたところでございますけれども、ここに住重という、大型の船をつくる会社が昭和四十八年から接触がございまして、いろいろ環境問題等でおくれておりましたけれども、これが福井県とはちょっと状況が違いまして、まだ立地をする前にこういうような不況になったものですから、言いわけでございますけれども、残念ながら先行投資がかなり行われてきた、たとえば漁業補償の問題とか。そういうことで非常に県財政を圧迫しておるわけなんです。  先ほど私、第一問でお尋ねしたのは、各都道府県に通ずる一般的な硬直化による地方財政の圧迫ということでございましたけれども、やはり新産都市地域とか、また意欲的にこの福井県のように、繊維工業地域から脱皮していわゆるアルミを中心とする新しい工業地域に飛躍するのだ、そういうような地域も全国に多少あると思います。だから、そういう地域はまた特別に、一般的な財政硬直化以上に地方財政がお困りになっておる。この点について大臣並びに関係の方々から、御答弁なりお考え方をお伺いしたいと思います。
  19. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  御指摘のように、実は私の地元の福井県におきまして、その種の仕事を計画をいたしまして、六十年度を目標にして、県としては相当大規模な開発計画を立てたわけであります。その後だんだんこういう事情になってまいりまして、公害の問題その他が起きまして、ある程度規模を縮小せざるを得ない状況になっております。ただいままでに負担いたしております。たしか三百数億円の金額等々につきましては、金利の問題その他が非常に重い負担にはなっております。まだこの公害問題ではっきりした結論は出ておりませんけれども、一応五十二年度にはある程度これが動くような計画にいたしまして、そしてその計画が実現いたしますと、ある程度の事業が前面に出て仕事ができるような形になるところへ来ておると、私は理解をいたしておるわけでございます。もちろん、当初計画のような速度ではございません。二度も修正をいたしたと考えておるのでございまして、そういう意味では、確かに県財政に対して大きな圧迫を加えておるわけでございます。  また、徳島県の橘湾の問題につきましては、住重その他の関係でいろいろの計画がされ、先行投資もされておる。それが県の財政の大きな負担になっておるということも承知いたしておるところでございます。こういうところは新産都市とは別に——実は、あの新産都市というのは、私が通産大臣をいたしましたときに指定をいたしたのでございます。そういう意味ではずいぶん事情が変わってはまいりましたけれども、しかし、あの当時の状況下におきまして何としても日本の経済を立て直していくという意味におきましては、各地域においていわゆる過密過疎の問題も踏まえながら新産都市をつくっていく、そうして産業を振興し、同時に輸出を伸ばすということを実は計画いたしました。それを見て、新産都市に指定されないところでも、御指摘のように徳島とか福井など、その他にもありますが、この種の仕事に着手いたしたところがあるわけでありますが、それが県の財政を大いに圧迫しておることは、私も承知をいたしておるところであります。これについては、われわれとしても、県の財政がそれによっていま直ちに大きな負担を受けて動きがとれないようになるということでは困りますから、起債等の面で利子負担をめんどう見ていくとかいろいろの工夫をしながら問題の解決に当たってまいりたいと考えております。  しかし、そういうことをしたからといって、そのこと自体が非常に将来のマイナスになるかどうかということになると、これはなかなか一概には言えないことで、先行投資をしておったおかげで、また将来非常に伸びる可能性も含んでおるわけです。いわゆる発展性を含んでおる港湾であり、施設であるということも、見逃すわけにはいかない。いまはそういうことは困難でございますけれども、将来、日本がもう一度、経済を大いに伸ばそうというときになりますと、北海道のような非常に広い土地で仕事ができるようなところは別として、ここにも公害問題ありますから何でもできるというわけではありませんけれども、いま、ある程度の土地を獲得し、それを持っておるということが将来必ずマイナス面にだけ働くかということになると、世界経済の動きいかんによってはまた一つの大きなプラスが出てくるときもあると私は考えておるわけです。  実際言いますと、私が新産都市を計画したときには、何とかして日本の輸出を伸ばさねばいけないという考え方で、いわゆる高度成長の基礎を築くために実はあの計画をつくったわけなんですが、その結果は、ある程度高度成長は実現しましたが、しかし、新産都市を中心にしてそれほど伸びたかというと、そこまではいかなかった。別の形で伸びたわけであります。しかし、その後、新産都市にならった地域の府県あるいは市町村というようなものがある程度の影響を受けておることも、私たち承知をいたしておりますので、これを何とかやはり国においても、補助金等というような形ではできないまでも、ずっと持続をしていけるだけの力は与えるようにしなければいけないのじゃないか、そうして模様を見ていく、経済全体の動きを見て処置をしてまいりたい、こういうのが政府としての考え方でございます。
  20. 森下元晴

    森下委員 ただいまの大臣の答弁、私も同感でございます。明治維新以来、日本は、農業立国から西欧諸国に追いつけ追い越せ、そういう一つの大きな国家目標を掲げまして、ちょうど明治百年にしてヨーロッパに追いついた。さらにアメリカも追い越さんという勢い、その原動力が私は高度経済成長にもあったように思います。ただ、その副作用が明治百年を終わった途端に出始めて、現在のように苦境に陥っております。十二年前の新産都市の考え方、また日本が将来貿易立国として世界じゅうと仲よくして、臨海工業地域を利用して日本のりっぱな商品を海外に輸出して、その金で日本の福利増進を図っていかなければならない、また福祉国家にもしていかなければいけない、そういう大理想の考え方、また自由経済の中でそうすべきである、私も同感でございますけれども、ただ、その裏目がいま出ておる。だから、非常に意欲的にやったそういうような地域は、いま非常に戸惑っております。まさに難破寸前と先ほど言いましたけれども、指針を失いつつある。だから、そういう激励の意味で、やはり自治省がそういう地域に対して大いに督励もしていただくし、何か特別のカンフル的な。もちろん精神的な方法も結構でございますけれども、やはり財政面で激励をしていただくような方法を考えないと、本当に地方自治というものは、もう中央集権化せざるを得ないというところまで追い込まれていくような感じがいたします。いろいろそういう失速した地域開発という中で、地域住民も、補償費をもらいながら、それをいつ返さなければいかぬかもわからないというような心配もございます。もうすでにその金でいろいろな関連事業に着手したところもございます。そういう影響を考えまして、これは決して地方自治体だけの問題じゃなしに、やはり社会問題、地域問題としても大いに検討しなければいけない、このように思うわけでございます。  意見だけを申し上げまして、ちょうど時間が参りましたので、最後に大臣から簡単に御答弁いただいて、終わらせていただきます。
  21. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、地方自治体が先行投資をしたために、あるいはまた、その地域の住民が先行投資を受けた結果においてある程度いろいろの問題が生じておることは、われわれもよく承知をいたしておりますので、少なくとも地方自治体の問題については、それがために非常な悪影響が起き、あるいは地方の財政運営が困難になるようなことがあっては大変でございますから、その手当ては何とかひとつわれわれの方でも、起債であるとかその他の面で十分に配慮いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 森下元晴

    森下委員 終わります。
  23. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 原茂君。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 地方財政の赤字解消について本論としてはお伺いしたいと思うのですが、その前に二、三先にお伺いをしておきたいと思います。  最初に、公安委員長の立場で、警察庁の皆さんと一緒にお答えをいただきたいのですが、例の「東アジア反日武装戦線」と言われます。人の、いま調査を受けております人々の状況については、新聞その他でお伺いをしたところでありますが、一体この種のグループ、いわゆる企業爆破等をたくらんでいるだろうそういう団体らしいものが、まだわが国にたくさんあるんでしょうか。例の問題が一応検挙された後まだ三つ四つ、われわれから見ますと同じような爆破事件、同じ種類の同じ意図の爆破事件らしいものが起きたように感じているんですが、最近の事例等も簡単に引例しながら、この種のものがまだまだふえる、あるいは取り締まり当局としては何らかの方針でこれを縮小せしめるというようなことができるのかどうかを含めて、現在どの程度わが国にその種のグループがありそうだとお考えになっているかを最初にお伺いしたい。
  25. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えいたします。  どのようなものがまだあるかどうかというようなことにつきましては、政府委員から答弁をさせたいと存じますが、いま御指摘になりました、今後もそのようなものがふえるかどうか、あるいはそういう不安な状況は解消できるのかということでございますが、これはやはり国の政治のあり方、それから経済の運営のやり方等々と大きな関係を持っておると私は思うのでございまして、われわれといたしましては、そういうようなことの起きないように配慮をしつつ政治経済の運営に当たっていかなければならないと考えておるところでございます。
  26. 半田博

    ○半田説明員 ただいまの大臣の御答弁をふえんして御説明申し上げたいと思います。  「東アジア反日武装戦線」によります一連の企業爆破事件につきましては、去る五月十九日に、四月十九日に発生いたしました韓国産業経済研究所爆破事件の被疑者として八人を逮捕し、共犯二人を指名手配をいたしました。鋭意捜査を行っておりまして、その後、捜査の結果、一連の企業爆破事件十一件全部がこれらのグループによる犯行であることが判明をいたしまして、七月の九日までに、自殺者一人を除きまして全員を爆発物取締罰則違反、殺人、同未遂罪等ですでに起訴されておるところでございます。  さらに、一部の被疑者が「東アジア反日武装戦線」結成前の四十六年の十二月に熱海の七士の碑爆破事件を行い、また四十七年の四月には横浜の総持寺の納骨堂の爆破事件を行い、さらに同年の十二月二十三日には札幌の北大のアイヌ資料室、それから旭川の風雪の群像爆破事件等の四件をそれぞれ敢行したことが明らかになっておりまして、これもすでに送致がいたしてありまして、近々起訴される予定でございます。  現在までに捜索は三十一カ所行っておりますが、その結果、クサトール等の除草剤百八十キログラム、工具類、モデルガン、タイプライター、オフセット印刷機など七千八百点を押収しておりまして、物的証拠としては十分なものを持っておるということは申し上げられると思います。  なお、いままでの捜査を通じまして、あるいは被疑者の自白等総合して考えてみますると、これに特別な背後関係があったということはないというふうに私どもの方としては考えております。  先ほど先生御指摘の爆破事件は、しかしながら、その後も相次いでおるわけでございまして、その後四件起こっております。一つは五月二十日に福島県いわき市で平和タクシーの駐車場が爆破された事件、あるいは五月二十五日に立川駅の北口の派出所の裏が爆破された事件、同じく五月二十九日には名古屋のコインロッカーが爆破されております。また、せんだって七月の十五日に小金井の公会堂に爆発物が仕掛けられる。現にこういった事件が起こっておるわけでございます。また、この爆弾闘争がありましたときに、極左暴力集団の一部が爆弾闘争を高く評価するというふうな言動も見られましたし、また、内ゲバ事件等で捜索を行ってみますと、塩素酸カリウムのような、爆弾材料になるようなものが出てくる場合がある。こういうようなことで、爆弾事件が今後も発生するおそれがあるというふうに私どもは見ております。したがいまして、引き続きまして情報活動、視察活動等を強化いたしまして、不穏動向の早期発見に努めて、この防遏検挙に努力を今後とも傾注してまいりたいと思います。したがいまして、いま何人あるかということはちょっとまだ把握ができませんけれども、そういう傾向について私ども十分注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 巷間伝えるところによりますと、三百グループぐらいあるんじゃないか。人数にしてつかめるところをつかむと三千五百人ぐらいだ、こんなことを言っておりますが、漠然とこんなことが予測できるのですか。
  28. 半田博

    ○半田説明員 ただいまお挙げになりました数字は、いわゆるノンセクトラジカルの黒ヘル集団と言っております。この黒ヘル集団の全体の数でございます。これが全部爆弾闘争をやっておるというわけではございませんので、したがいまして、私どもはまだ、どのセクトどのセクトということは現在の段階では断定し得ない状況にございまするけれども、その後起きました一連の事件の捜査を通じまして、そういったものは明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 この黒ヘル集団と言われるものが、今後の調査によってわかるのですが、あるいはまた連続爆破のことをやるような、そういうグループも中にあるかもしれないという危険はあるわけですね。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、きょう皇太子が沖繩に行かれましたね。きのう沖繩でも大騒ぎをやっていました。行かれる前からいろいろ騒いでいるのですが、警戒体制としては十分に体制を組んでおられるのでしょうが、たとえば沖繩なんかにもこの黒ヘルに類するものかあるいはその危険性を持ったグループというものがあるという前提で警備をされているんでしょうか、どうでしょうか。
  30. 半田博

    ○半田説明員 もちろん、さような観点も含めて警備をいたしておりまして、爆弾の処理班等も準備をいたしております。警備の総数は、沖繩の部隊千三百五十と応援部隊二千四百、三千七百五十ということでございます。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 十分な警備をしいておられることは間違いないと思うのですが、この種の黒ヘルなどがある程度把握できていたら、これに対する何らかの手を今後打たなければいけないのではないかと思うのです。ただ、調査をしている、こういう集団が、こういうグループが、三百グループぐらい黒ヘルがある、しかし何かしない限りどうしようもないということで、そのまま、何かがあったら手をつけるということに方針はなっているのか、その点どうなんでしょう。
  32. 半田博

    ○半田説明員 平素過激な言動をなす者等につきましては張りつけて警戒をするというふうな措置をとっておるところでございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 これは公安委員長にお伺いしたいのだけれども、まあまあ、人をできるだけ張りつけて警戒を十分している。これはばい菌だとわかっているのに、現在の法的な規制の中では、とにかく何か起きなければどうしようもないのだということでじんぜん日を送る。こういう問題に関しては、やはり何か新しい、ある意味の先取り的な対策というものを考えなければいけないのじゃないかと思うのですが、これは大臣、どうでしょう。そんな考えはありませんか。
  34. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御指摘であると思うのでございますが、ただ、戦前における警察国家というある種のイメージがまだ払拭されておりません。そうしてその種の、たとえば何らかの嫌疑があるだけで検挙をするというようなことができれば、これはまあ、非常に警察としてはその意味ではやりいい面があるし、そういう点を防御できる工夫があると思うのでありますが、それがまた、行き過ぎになりますというと、独裁政治であるとか、あるいは警察国家であるとかというようなことになるおそれもなしとしないわけでありまして、ここいらの調和をどういうふうに考えるかということがいまの課題であると私は思っております。したがって、この点はよほど慎重に考えて対処いたしませんと、いたずらに人心を刺激するのみであって、かえってマイナス面が起きることも考えられますので、私としてはまだ、どのようにこの問題をとらえて処置すべきかという確たる考え方はございませんが、いま御指摘になったようなことを踏まえながら、ひとつ今後も十分研究を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 いま半田さんが、黒ヘル集団私はそういう言葉は使わなかったのですが、三百グループ三千五百人ぐらい、それは黒ヘル集団でございましょうというふうに半田さんの方からお答えがあった。事ほどさようにはっきりしているときに——いま大臣の言われたのはもっともだと思うのですね。いまなかなかむずかしいでしょう。しかし、何とかしなければいけないことは事実ですね。これは一つの便法なんですが、この存在をやはりある程度明らかに大衆に知れるようにすることも、この種の問題に対する防遏の手段になるのじゃないかという感じがするんですがね。もちろん、私どもは全然知らない。地方における警察は全部知っているのでしょうが、少なくともそれよりもうちょっと広げた範囲で、この種のグループの存在というものが、ある程度、直接間接に必要な部署に対しては周知徹底せしめるということが防遏の一助になるのじゃないかという感じがするのですが、どうでしょうか。半田さんでいいです。
  36. 半田博

    ○半田説明員 御指摘ごもっともであると思います。私どもの方でも一部、部内の広報誌のようなものがございまして、そういうようなものにはときどき登載をして周知徹底を図るというふうなことは現在もいたしておりますが、さらに先生の御指摘の点、私自身もよく考えてみたいというふうに思います。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 それに関連して一つお伺いしたいのだが、暴力団というのはどういうものを暴力団というのですか。最近、暴力団が盛んに新聞をにぎわしていますね。あの暴力団というのは一体どういう定義なんでしょう。
  38. 田村宣明

    ○田村説明員 私どもで暴力団というふうに言っておりますものにつきましては、私どもとしては、集団的に、また常習的に暴力的な不法行為を行うおそれのある組織というものを一応暴力団というふうに考えて、いろいろ取り締まり等をやっております。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、複数であることが暴力団ですね。
  40. 田村宣明

    ○田村説明員 複数で集団的にということが大部分でございますけれども、先ほども申し上げましたように、集団的に暴力的不法行為を行うおそれのある組織、これが本筋でございますけれども、そのほかにいわゆる一匹オオカミ的な者で、言葉は悪いようでございますけれども、常習的に暴力的な不法行為を行う者、こういうふうな者も、私どもとしては一応暴力団の中に入れて考えております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 日本に、そういう者を入れて、あなた方のおつかみになっている暴力団というものは、組と言いますか、どのくらいの数であって、それから全体の人数からいくとどのくらいあるのでしょう。いまの黒ヘルじゃないですけれども、三百グループ三千五百人というのははっきりおっしゃられていますが、同じような意味で、日本に暴力団というのはどのくらいグループがあって、一匹オオカミを含めて全体の人数はどのくらいなのか。
  42. 田村宣明

    ○田村説明員 昭和四十九年十二月末で警察として把握をいたしておりますものは、二千六百五十団体、構成員約十一万人ということになっております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 最近、都会地から地方にだんだん出ていっているような傾向を、私の見る限りでは感ずるのですが、いまの十一万人、二千六百五十の団体が、東京、大阪等の六大都市にどのくらいいるのですか、何%ぐらいいるのですか。
  44. 田村宣明

    ○田村説明員 概数でございますけれども、いまちょっと七大都市の分しか手元に数字がございませんけれども、大体、東京が約二万七千、神奈川が約七千、愛知が五千、大阪が七千、兵庫が五千、京都が四千、福岡が四千というような数字でございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 この生活はどういうことで生活しているのでしょう、生活の実態というものは。大体何で食っているんでしょうね。
  46. 田村宣明

    ○田村説明員 このいわゆる資金源でございますけれども、いまおっしゃいましたように、組織を維持していく、あるいはそれを拡大していくというためには資金を獲得しなければならないということになるわけでございますが、大体これを大きく分けて考えますと、合法的な面における収入と申しますか資金源というものと、非合法的な面のものと、この二つに分けられるかと思います。合法的な資金源として私どもが取り締まりの過程で把握をしております状況は、風俗営業、飲食店、建設業、金融業、こういうふうなものを中心として合法的な面で活動をいたしておるわけでございます。それから、非合法的な面から収入を得ておるものといたしましては、賭博、のみ行為、麻薬・覚せい剤、売春というようなものが主なものでございまして、こういうものは従来からその重要な、非合法面における資金源になっておりますけれども、最近は、いろんな経済情勢等を反映いたしまして、暴力団が総会屋に転向するとか、あるいは既存の総会屋などと手を組んで活動するとか、あるいは金融などの経済取引に介入をいたしまして不法な利益を得るというような、いわば新しい分野にも進出をするというようなことで、資金源活動が多角化しておるというような状況もございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの生活の分布から言うと、合法的なものと非合法的なものと、大体何割何割ぐらいになるのですか。
  48. 田村宣明

    ○田村説明員 合法と非合法の割合がどうかというところはちょっと把握をいたしておりませんが、たとえば四十九年中に警察で検挙をいたしました事件から一応推定をしてみますと、不法収入につきまして、全部の種類ではございませんが、その主なものについてどのくらいの資金が入っておるかという点を、麻薬、覚せい剤、のみ行為、賭博、売春、ブルーフィルム、企業恐喝、金融関係事件、この七つに関係する事件の検挙の中で把握をいたしたところでは、大ざっぱでございますが、約二百億ぐらいが、こういうところから暴力団に資金として入っておるというような状況が把握をされております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 非合法の生活をしている者は、私どもの想像では大分率が多いのじゃないかと思うのですが、これは徹底的に検挙できるのでしょう。非合法の生活をしているのみ行為その他の内容、このグループはこういうものをやっているのだとわかっている限り、徹底的にこれは検挙できないのですかね。どうなんですか。
  50. 田村宣明

    ○田村説明員 警察で認知し得る限りは根こそぎ検挙するということを目標にして努力をいたしておりますし、恐らく私どもが承知した範囲ではほとんど全部検挙をいたしておるというふうに思います。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、非合法の生活をやっているこの種の者は根こそぎ検挙して、もういない、こう、われわれ信じていいという意味ですか、いまのお答えは。
  52. 田村宣明

    ○田村説明員 いまほど例として申し上げましたが、麻薬、覚せい剤、あるいはのみ行為、賭博、売春、ブルーフィルムというようなものは特に潜在性の強い犯罪でございまして、なかなか認知しがたいものもあるわけでございます。麻薬、覚せい剤をたとえば売買をする、あるいはそれを使用するということは、これはなるべくわからないようにやるという性質が非常に強いものでございますし、のみ行為、賭博、売春、ブルーフィルムなどもやはり潜在性の強い犯罪でございますので、私が先ほどお答えいたしましたものは、私どもはそういう犯罪があるかどうかということについていろいろと情報を得るために努力をし、そしてそこで犯罪の疑いがあるというふうに認知をすれば、これに対しては徹底的な検挙をする、こういうことでやっておるわけでございますけれども、事件の性質上なかなか認知しがたい事件というものもあるということは考えられますので、そういうふうな不法な資金源活動というものを全部承知をして全部検挙をするということは、目標としては掲げましても、現実には、そういうふうな犯罪の性質上全部というわけにはまいっておらないだろうというふうに考えます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣にこの件で最後にお伺いしておきたいのだが、やはりこれも同じことなんで、実はもう大体、前歴から言い、あるいはそのグループ等の様子から言い、当局ではわかっているわけですよ。非合法の何かをやるのだということがわかっていて、なおかつ、なかなかに現象主義のいまからいうと先に手を打つことはできない、こう言って、これも先ほどの問題と同じように、ある程度私どもの知っている範囲でも、まだ、競馬を中心にして大変なのみ行為をやっておるのがずいぶんあります。これは数が非常に多い。だから暴力団と言えるかどうか、私、いまの定義を聞いてまだちょっと釈然としないのですが、まあグループとしては、大変大きなグループあるいは小さなグループをわれわれも知っている。だが、これが決して官憲の目をくぐってどうのという恐れをなして生活なんかしていないというようなことを考えると、わかっている以上はやはりこれにも何か手を打たなければいけない。手を打つために、先ほどの検討するとおっしゃったと同じように、新たな何かを考えなければいけないのじゃないだろうか。たとえば保護観察制度というのが日本にあります。そのことをそのまま適用できるかどうかは別にして、まあいやな仕事には違いないのですが、ある程度モニター制度みたいなものも置きながら、これに対しては徹底的に、大衆に迷惑のかかることなんですから、ある程度の金をかけても人員をしっかりと養成して、これに対する善導あるいは遠くからある種の誘導をしていくような、そういった、何かがあったらつかまえていくというのじゃなくて、それを逆に、全然そういう立場であることを知らせないうちにだんだんに善導できるような人間を中に入れていくというようなことが、いま新しく考えられていいのじゃないかという感じがするのですが、これは大臣、どうですかね。そういう検討をすべきだと思うのですがね。
  54. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  確かに、いま御指摘のような問題を考えるべき時期であると私も考えておりますが、実際にそれではどういうふうにしてやるかということになりますと、施設、まあそんなことあれですけれども、たとえば収容する場所とか、それから取り締まる人いわゆる警官の数であるとか等々考えまして、現行犯でなければ逮捕できないというのがいまの姿でありますから、危険のあるものを何らかの方途をもって処置するということが、先ほど私が申し上げましたような原則論からいってなかなかむずかしい面がございます。しかし、そういうものがあるのがわかっておって黙っていていいかということになれば、決してそれはいいとは私も思えませんので、ここいらも十分勘案をいたし研究をいたしまして、対策を考究いたしてまいりたい、かように考えます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 私、現行犯で、あるいはそうでない者を予防のために拘禁しろ、こういうことを言ったわけではないので、何とか人をふやして、そのグループに知らぬ顔をして入っていきながら、何かやるかを見るのじゃなくて、何かをさせないように誘導、善導するような、そういうような仕事、新しい仕組み、こういうものが考えられないと、私はこの種のものはなかなかなくなっていかないのじゃないかという感じがしたので、そういう意味で言ったわけですから、これを拘禁しろという意味じゃない。それ、ひとつ検討に値しませんか、どうですかね。
  56. 福田一

    福田(一)国務大臣 まあ、お考えとしてはよくわかりますが、そういう者になって入っていって、その者自体がもしわかったというときになると恐らく迫害を受けるであろうということは、そういう組織であれば想像にかたくない。だから、社会生活をいたしておりますと、どうしても反社会的な動きというものは、自由主義の国でもあるいはまた統制経済、共産主義関係のところでも、同じようなことが、一つの組織というものをつくる、あるいは政治形態ができた場合にはどうしても起こり得るものであると私は思っております。それだから黙ってというわけじゃないので、本当を言うと、そういうような人たち、たとえば暴力団のあたりでも、いい生活の工夫等ができて、そっちの方に誘導できれば、そういう面もよほど減らしていけるのじゃないかという感じもしないわけではありませんが、どうそれを持っていっていいかということになるとなかなかむずかしい問題があって、具体的に実はいい案が浮かばないで困っておるというのがいまの私どもの考え方と御承知願いたいと思うのであります。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。警察庁の関係はこれで終わります。  あともう一点だけ、これも大臣のお考えを聞きたいのですが、最近の住民パワー、原発反対、あるいは中央道をつくるといえば騒音公害その他の問題でやはり住民パワーが起きてくる、というようなことを考えると、まだ世界でも余り実際にはやっていないようですが、大臣の構想の中にもおありになると聞いていたので、私大賛成なんですが、この住民投票制、こういうものを積極的に推進して、国の立場でこれを掘り下げ検討をして、早期に、大きな問題ごとに住民投票というものを正式に行うことのできる制度をわが国が設けていく方が、後になっていろいろ問題を起こすということを考えますと、これからの新しい行き方として、従来、法律で決められておりますような直接請求というだけでなくて、もう一歩進めた住民投票制度というもので、事前に住民の意向というものが十分に把握できるということを制度化していく必要がある、そのことをやはりそろそろ日本あたりがやっていいのじゃないかというような感じがするのですが、いかがですか。
  58. 福田一

    福田(一)国務大臣 この住民投票の問題についての法制その他の具体的な面については政府委員から答弁させたいと思うのでありますが、お考えとして、私は非常に共鳴するものがあります。  ただ問題は、そういう住民投票をして、過半数を得た場合あるいは七割得た場合には少数の者の意見を無視していいのかどうか、八割の場合には無視していいかどうか、こういうようなものが定着いたしませんと、住民投票をすることがかえって混乱を招く可能性もなきにしもあらず、そういう意味において、どうそこいらを考えたらいいかということが一つの問題点ではなかろうかと私は考えておるわけであります。とにかく、直接請求をするというようなことのためにすべて国の施策あるいは地方自治体の施策が行えないようになったのでは、多数の利益を守るという民主主義の原則からはおよそ離れたことになると思っておるので、お考えは私はよくわかるわけでございますが、具体的ないまの法制下における問題としては、局長の方から答弁をいたさせたいと思います。
  59. 林忠雄

    ○林説明員 大臣が御答弁したところに尽きておると思いますが、いまの先生の御質問は、国全体の制度あるいは地方自治制度、どちらとも明らかではございませんでしたけれども、やはり取り組むとすれば地方自治制度の上にこれを取り入れて、その結果を見てという状況になろうかと存じます。  そこで、所管の地方自治制度に関してお答えいたしますと、現在の地方自治制度は、御承知のとおり公選の議員、公選の首長、つまり間接民主制というのを一応基本にいたしまして、それに補足的に直接請求制度、リコールあたりで一部に住民投票制度も加わっております。そういう制度としてできておりまして、これが戦後三十年になんなんとしておりますので、ある意味では、いろいろな個所でこの運用が定着してきたということも言えると思います。  同時に、その反面、三十年間の運用の実態にかんがみて全般的にこれを検討するというようなことも必要な時代に入ってきた。その意味で、今日のような情勢のもとに、住民投票制度というのが当然その検討の一環に入ると存じますし、私たちも日常こういうことについて、住民投票制度の実施も含めて、検討を今日も続けておる次第でございます。  ただ、実際問題として、住民投票というものの対象事項がどういうものが適するか適さないか、あるいはある事件を住民投票にかけるときにどの範囲を投票者として選ぶかによって結論がまるっきり違いますので、そういう技術的な問題がたくさんございまして、なかなか早急な結論は現在のところは望めない。地方制度調査会でも地方自治制度全体についての検討を続けていただいておりますので、先々その検討の場を通じて、こういう問題についてさらに検討を深めていきたいというのが、今日のわれわれの立場でございます。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 地方制度調査会などに正式に自治省が諮問するのはいつごろになりますか。
  61. 林忠雄

    ○林説明員 地方制度全般についてどうあるべきかという諮問は、もう調査会発足当時からなされております。今日はたまたま財政硬直化の問題について鋭意審議を進めていただきまして、近くその財政硬直化問題については答申をいただくわけでございますが、調査会全般として地方制度をどうするか、おっしゃるような制度の改正の意味も含めまして、この諮問はすでに済んでおりますが、そのときどきでいろいろなテーマを御検討いただいて、答申をいただいております。根本的な全面の改定ということは、絶えず審議の内容といいますか、目的に入っておるわけでございます。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 私の聞いているのは、いまこの住民投票制の問題を言っているのですから、この問題に関して諮問することがあるか、こう聞いている。
  63. 林忠雄

    ○林説明員 今日の段階では、特に住民投票制度そのものについて直接ということは現在予定されておりませんけれども、さっき私申しましたように、三十年たった今日現在、全体をどうするかということについて御検討いただく場合は、当然その住民投票、あるいは直接住民の意見の反映をどうするかというようなことについての御審議はしていただけるものと思っております。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  いまのようなお話の中で一つお伺いしておきたいのは、対象をどうするかというのは非常に問題でしょう。いまは過程のときなんですが、いまの御答弁の中にひょっと感じたのですが、ことによると、ある程度対象というのはこういうところにしたらいい、こういう対象がいいのじゃないか、これはちょっと無理だというような、対象に関しても多少の感覚をお持ちですか、どうですか。
  65. 林忠雄

    ○林説明員 困難性を大変感じておるわけでございます。たとえば、住民投票の対象にするのにどういうものが適しているかという線の引き方が大変むずかしい。たとえば、デンバーでオリンピックを引き受けるか引き受けないかという問題が住民投票にかかったということをよく例に引かれますが、これは市民全部が納税者として同じ立場で、オリンピックを開いて負担を多くするのがいいか、やめて負担を少なくするのがいいか判断できるわけでございまして、東京あたりの問題になりましては、道路を引くか引かないかということになりますと、利害関係が全く立場が反するわけでございます。立場の反するものを一つの投票にして数で争うというのは理屈上おかしい。そうなりますと、自治体の構成員全員が同じ立場で判断できることでないと住民投票の対象にならぬわけでございますが、そういうものの線の引き方が、ある予定があるかというよりも、非常に引き方に困難があるであろうということを現在感じておる次第でございます。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 昭和四十六年ごろから東京都で、放射三十六号線の問題をいままですったもんだやってきて、住民の反対があってなかなかできないというので、都知事が提案してあの地域の住民投票をやろうじゃないかというようなことが煮詰まってきているように聞いているのですが、たとえばこれなんかは、もうそこまで来れば、なるほどそういうふうにやった方がいいなとお考えですか。近くどうもそういう空気に、都知事の美濃部さんのお考えでそういうことになりそうな様子になってきましたけれども、あんなのは妥当だ、もうしょうがないだろう、やっていいのじゃないかとお考えですかどうですか。
  67. 林忠雄

    ○林説明員 あの問題も、現在詳細な検討が何か委員会でなされておりまして、どこまで進んでおるか、詳細なことば伺っておりませんが、はたから見ておりまして、あの問題は非常にむずかしいであろうと感じております。つまり、道路をつくるかつくらぬかというときに、その道路を利用する者までも含めた広い範囲でやれば、これはもう賛成が、一〇〇%ではございませんけれども大多数になるに決まっておる。ところが、現実に道路が引かれる地区だけの、言ってみれば騒音公害その他を受けるだけの区域の住民にしぼれば、これはもう反対がほとんどでございましょう。ということは、区域をどう選ぶかによって初めから予見できるという事柄になるわけでございますので、あの件を住民投票で決めるということについては理論的な困難が山ほどあるであろうというふうに考えております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 住民投票の問題はそれで結構です。  最後に、簡潔に質問しますのでお答えいただきたいのですが、五十年度財政欠陥が相当予想されるという状態になってきまして、地方自治体に関係する問題としては、御存じのように大蔵省が補助金の大幅削減をやろうというようなことを考え始めている。これはまあ、当然整理しなければいけないという行管の勧告もあります。あるいは地方交付税の減額をやるというような案が大蔵省としては真剣にいま検討されているのですが、自治省としては、特にこれは大臣の基本的な考えをお伺いしたいのですが、補助金の大幅削減というときに、一番先に問題になるのはやはり足切りだと思うのです。四十二年、四十三年でやった、例の十万円以下のものはもう補助金を切ってしまう、それから府県の場合でも百万円以下は切るというようなことを決めて実行して今日に至って、いよいよ、この財政問題を少しでも楽にしたいということからこの足切りを、今度は府県に対しては三百万円以下は切る、町村に対してはいまの十万円以下というものを三十万円以下は切るということで、三百億円以上のものを浮かしてやろうというようなことのための、補助金の大幅削減というようなものが検討されているのですが、これは、零細補助金というものほど大変多くの市町村に行き渡っているし、これが切られるなんということになると大変だと思うのですが、この問題は一体どう対処なさいますか。大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  69. 松浦功

    ○松浦説明員 お答えいたします。  当省としては前々から、零細補助金について整理することについては賛成をいたしております。ただ、整理されましたものを一般財源化して地方財政財源として回していただきたいということは、今後も主張してまいりたい、こう考えております。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、先ほどちょっと触れました地方交付税の問題ですけれども、今年度は当初予算で四兆四千億円ですね、計上されているのは。もし税収不足が二兆円あったとすると四千五百億円というものが減額される、あるいは税収不足が五千億円という少ない場合でも二千百億円というものが減額をされるというようなことになったときの影響というのは非常に大きいのですが、きょうはちょっと触れられるかどうか知りませんが、自治省局長さんの中にだって、とにかくぜいたくばかりしてきた地方財政だから、一遍、少しくらい冷や飯を食わせろというような考えをお持ちの方もあると新聞で見ました。自治省局長さんでそんな考えを持っていいのかなというふうに感じましたが、その問題はまた別に触れられたら触れますが、いずれにしても、いま言った交付金の減額というものに対しても相当慎重にやらないと、こんなことにむやみに手をつけられていたのでは——これから申し上げる超過負担の解消という方が自治省としては先だというお考えになっていると聞いていますが、私も同感なんで、こういったことを大蔵省が考えていることに対して、自治省自治大臣としてはどういう基本的な態度でお臨みになるか。いまの補助金の問題と交付税交付金の問題、二つ一緒にして、大臣の基本的な考えをお聞きしておきたい。
  71. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  補助金の問題につきましては、ただいま局長が申し上げたとおりの方針で臨んでまいりたいと思います。  それから地方交付税の問題でございますが、歳入不足を来してそのために減る分があったといたしましても、われわれとしては地方財政計画というものを当初定めまして、地方団体にちゃんと提示してあるわけでございます。そうすると、地方団体はそれを基礎にして財政計画をちゃんと組んでおると思います。それを急にここで改めるということは、非常に地方財政を圧迫することになり、支障を来すと思いますので、減額した分については、どういう方法でその減額分を補てんするか、補てんの方法は別といたしましても、必ず今年度約束した分は確保をするというかたい決意で大蔵省と折衝をいたしてまいりたい、かように考えております。  なお、ただいまのお話のうちで、自治省局長の中に、地方はずいぶんいままでぜいたくをしたり勝手なことをしておるのだから、少しはおきゅうをすえてもいいのじゃないかというようなものの考え方をしておる局長があるやのお話がございましたが、私の見る限りではそういう局長はだれもおらないということを確信をいたしておりまして、そのような者があれば、私から厳重に処置をいたさなければならないと思いますが、私いままで接しておって、そういう考えを持っておる者は一人もおりませんので、その点はひとつ御認識を賜りたいと思うわけでございます。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 最後の、断固そういう者はいないという確たる信念が披瀝されて、大変ありがたいと思います。お聞きになっている、あるいは後で聞いた、そういうことを言ったらしい感じを持っている人はきっとしゅんとしたろうと思うから、それで効果があります。そういう事実がないなんてことはない。だれということは知りませんが、そういうようなことを聞いただけでもしゅんとして、よくなるだろうと思う。  それから二つ目にお伺いしたいのは、現在、単価差については自治省としても相当考えているのですが、地方財政の赤字の問題で、大きな問題としてはあと二つあると思う。数量差、対象差、これに手をつけない限り、いまの地方財政の赤字解消というのは、とてもじゃありませんが当面できない。基本的には、抜本的にどうするかは別途に考えなきゃいけない段階に来ていますが、現在の赤字、その補てんをする、あるいは今後赤字が出ないようにしようというときに一番大きな問題は、全国知事会がもうすでに中間発表に対して抗議的な意見発表をしていますけれども、一番大きな問題というのは、数量差、対象差に対してどう措置をするかということに何らかの手を加えていかない限り、私は問題の解決にならないと思うのですが、自治省としては、数量差あるいは対象差に対して何か前向きに検討するということがおありかどうか。単価差に対しては、不十分ですが、それでもどうやら検討し前進をしている。あと二つの問題が大問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  73. 福田一

    福田(一)国務大臣 超過負担の問題につきましては、御指摘のように量と質の問題があると思うのでございます。そこで、量の問題につきますと、数とか対象というものが問題になるわけでありますが、いままでわれわれが一応考えておりましたところの量、すなわち対象並びに数というものについて超過負担がある場合は、これはどうしても解消していかなければならないと私は考えております。ただ、これも、原議員は十分おわかりと思いますが、よく質の問題で、同じものでも、二十万円でできるものを三十万、五十万もかけるようなことをして、それで赤字がこんなにあるのだとこう言われたり、あるいは範囲の問題にしても、これだけを一応この対象とするのだという範囲というものがあるわけでございますね、これを今後どうふやすかということはまた別の問題といたしまして、それをいままでの分よりはうんとふやして、結果において赤字が出た、こう言うても、これはいままでのやり方を、急に過去におけるものを直すということは困難であると私は考えております。しかし、だんだん経済が充実をいたしてまいりまして、福祉とかあるいはその他の面におきましても、できるだけ国民の生活を豊かにするような工夫をし、地方公共体も豊かにしてやるという、これは温かい気持ちを持って処理していかなければなりませんから、その範囲とか、そういう面においても千分今後配慮はしていかなければなりませんが、しかし、過去においてこういうことがあったとかどうとかということで言われても、なかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。しかし、いま御指摘の点を含みながら、十分今後われわれとしても地方公共体のために努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 いま大臣の御答弁聞いているうちに、やはり大臣も質の問題で、うまい物を勝手に食いやがってという、何か片りんが出たような気がするのですけれども……。地方自治体というものは、住民の要求にこたえていく。ですから、国の立場で中央からごらんになると、うまい物を食い過ぎたという感じがするかもしれないが、やはりその地域、地域における住民の輿望にこたえたものという解釈、これが新しい民主政治ですから、そういう意味から言うと、これは私の意見ですが、余りこれに対して制肘を加えたりしてはいけないのじゃないかという感じがします。  そこで、超過負担の解消問題の基本的な問題としては、やはり国と地方の仕事の量の分配が一体どうあるべきかという、第一の基本問題がある。  第二の基本問題としては、税収財源というものを国と地方で一体どう配分するのか。この問題に根本的にメスを入れるために御苦労なさっていると思うし、やっていただきたい。しかし、いまこれから法律ができて新しいものが進んでいこうとするときに、なおかつ、赤字が地方自治体に出てくるようなものがわかっている限り、いまからスタートするものに関しては、たとえば法律が新しく公布されてスタートするものに関しては適正な検討を加えて、その分からだけでも将来あるべきものに変えていくような配慮をしていくようなことをしないと、前進しないと思うのですね。いままでの後ろ向きで、あそこが悪い、ここが悪いというのを、こうしなければいけない、配分をどうしたらいいかということの検討も大事なのですが、そればかりやっていて、いま法律がスタートして、しかもそれが地方自治体に赤字を転嫁していくのだというものがあるものは、小さいうちから、スタートのときから適正なものにしていくということをやっていかないと、ストップがかからないですね。ここのところ、どうもいま大臣方、余り検討していないように思うのですよ。  たとえば、一つの例ですが、四十八年の十月一日から公布されたペット法といいますか、動物愛護と何とかという法律がありますね、四十八年に施行されている。通告しておきましたから、きっとお調べになっていると思うのですが。その法律が施行されて、五十年度の予算では四県に対して予算を組んだ。そしてその施設費として、大体幾らぐらいですかね、時間がないから余り細かいことを言うことはできないのですが、七千六百四十万ですか、組んでいますね。そしていま、新潟、島根、長崎の三県が動物収容施設建設を始める。香川県がことしじゅうにもう一県加わって、四県になるかどうからしいのですが、こういうものを実際に聞いてみると、一動物愛護センターをつくって犬、ネコの収容その他をやろうということになると、大体平均して一つの県、たとえば広島県などでは四億五千万ぐらいどうしてもかかるという。ところが実際には、一センターに対して皆さんからお出しになるお金というのは、千九百万円しか出さない。こうなると、初めからもう、法律は勝手に皆さんつくっちゃった、そして動物愛護しなさい、犬、ネコを収容しなさい、施設をつくりなさいとやっておいて、実際には予算の方とくれば、全然問題にならない予算しかつけていない。まともに住民の方は、われわれの方は、犬を拾ってきた、ネコを拾ってきた、地方自治体に取りに来いと言うと、取りに来なければいけない義務を法律で国が負わせちゃったのですからね。ですから、取りに来ますよ、事実。で、そいつを収容してくれる。その収容したときの負担は一体どうかというと、実際には地方自治体が約九割、国の方が約一割というようなものになっているのが、このペット法の、正確に言うと何て言うのですかね、いまできている法律の、動物の保護及び管理に関する法律というものの実態なんですよね。四県だけ、いま予算がついた。従来からやっているところもありますよ。十五県、九市あります。来年は長野県と山梨県がこれをぜひやりたいという考え方を持っているようです。しかし、これをやった日にはまた超過負担が多くなる。こういうものを二つに分けて、ひとつお答えいただきたい。  大臣は、いまのようにこれから法律ができて公布されてスタートしょうというときに、そこから地方自治体に対する負担というものをなくしていこうというきめ細かな考え方がないとけじめがつかないじゃないかという問題に対する答えが一つ。  もう一つは、当局からお答えをいただきたいのだけれども、長野県、山梨県等が来年やるというときに、一体これを実際に新しい考えで補助をしていこうという方針で検討してもらえるかどうか。  この二点について……。
  75. 福田一

    福田(一)国務大臣 前段の問題についてお答えを申し上げますが、これからやる法律について超過負担が出ないようにするということにつきましては、実は先般も事務次官を通じて各省事務次官に、今後法律をつくる場合にはそういうことのないように十分注意をしてやってもらいたいということを申し入れてありますので、今後法案が出る段階におきまして、われわれはそういうことのないように処置をしてまいりたい。いまあなたのおっしゃったことはごもっともな御意見であると思っております。  後段の問題につきましては事務当局から説明をいたさせます。
  76. 島村史郎

    ○島村説明員 お答えいたします。  長野県につきましては、すでに犬の収容施設が大体四カ所できておりまして、長野県御当局のお話をお聞きいたしますと、来年度ネコ室を、要するに追加してつくりたいということでございます。この犬の収容施設につきましては、すでに狂犬予防法時代からずっと逐次できておるわけでございまして、新たに法律ができましてつけ加わったのがネコ室の整備でございます。したがって、この分につきましては、私どもも十分これに対応する補助をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから山梨県につきましては、これはまだ県当局からお話を聞いておりませんが、もしそういうふうに新設の要求が出ますならば、十分御相談に応じてまいりたい、こういうふうに考えます。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 私が質問しているのは、要するに、新しい検討をして、いま大臣も事務次官会議に通達をしたと言うのですが、新しい法律がスタートするときには地方自治体が赤字になるようなことはしないという前提で、長野県、山梨県——いま山梨はこれからというなら、長野県の場合にも十分考えていただけるかということをお答えいただきたい。
  78. 島村史郎

    ○島村説明員 長野県については十分考えてまいりたいと思います。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 終わりました。
  80. 井原岸高

  81. 安井吉典

    安井委員 原委員との応答の途中ちょっと席をはずしていて、その間にお話があったのかもしれませんけれども、まず、五十年度地方財政の欠陥がどれぐらい生ずるのか、見込み違いがどれぐらいになるのかという点であります。地方税と地方交付税に分けて、まだいずれも正確に把握できる段階でないのはわかりますけれども、いまの段階で、当初と現在とどれぐらい見込みが違うのかという点についてどうですか。
  82. 松浦功

    ○松浦説明員 五十年度開始になりましてからまだ三ヵ月でございますので、せっかくのお尋ねでございますが、計数的にお答えを申し上げるほどのものを持っておりません。恐らく大蔵省にお尋ねをいただくことか——それかわかれは、それそれ数字を使えば私の方も出るのでございますが、大蔵省御自身もそれについての見当をお持ちになっておらないようでございます。ただ、はっきり言えることは、相当まとまった数字で交付税及び税に穴があくのではなかろうかということについては、われわれもそういうつもりでいろいろと考えておる、これが現在の状況でございます。計数についてはお許しをいただきたいと思います。
  83. 安井吉典

    安井委員 最近、二兆円ぐらい赤字公債を発行しなければ国はやれないだろうというふうな報道が相次いでなされているわけでありますが、これは大蔵省の分野かもしれませんけれども、また、その中身が何かということもわからないのですけれども、もしそうだとすればどれぐらいになりますか。
  84. 松浦功

    ○松浦説明員 仮に二兆円という減収、それを公債で埋めるということを前提に計算をいたしてみますと、これも、二兆円のうち一体国税三税がどれだけの割合を占めるかということによって結果が違ってまいりますが、仮に八割が国税三税であるということにいたしますと、二兆でございますと一兆六千億、それの三二%ということでございますので、交付税だけでも五千億を超える穴があく、こういうことに相なろうかと思います。
  85. 安井吉典

    安井委員 その穴が法人税かどうかもわからないのですが、大体法人税のウエートが多いと思いますが、そうなりますと、地方税ではどれぐらいになるのでしょう。
  86. 松浦功

    ○松浦説明員 ちょっと、法人をどういうふうにウェートを置くかによって非常に問題がございますので、何ともお答えしかねるわけでございますが、やはりそれでも四、五千億ぐらいは法人系統の地方税で穴があくということが、いまの一般的な考え方ではないかというふうに考えております。
  87. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、大体のところ地方税、地方交付税合わせて一兆から一兆一千億円程度の歳入欠陥、いまのまま推移した場合には、いまの言われている予想に立ってすればそういうことではないかというふうなことになるわけですが、いずれにしても大変な事態だと思います。  これへの補てん措置は国の責任においていたしますと、先ほど福田自治大臣おっしゃったわけでありますが、それは地方交付税の減った分についての御発言ではなかったかというふうに私は聞いたのです。地方税も地方交付税と同額以上の減り方が予想されるわけでありますが、それも含めて財源補てんは必ずする、そういうふうに受けとめてよろしいんですか。それとも地方交付税だけのお話だったのですか。
  88. 松浦功

    ○松浦説明員 先ほどの原先生の御質問が、大臣に対して、交付税の穴のあいたものについてどうするかというお尋ねでございましたので、大臣は、政府の責任において地方財政の運営が困難にならないように、手段をどうとるかは別であるけれども、四兆四千億の財政計画に計上した交付税は確保したい、そういう御答弁をなさいました。したがって、交付税の方はもうそれで尽きておると思うのです。  地方税の方に穴があきました場合においては、やはり財政計画上に計上した税収入に穴があけば、それに見合う歳出の執行ができなくなる。そういうことでは地方財政としては困るわけでございます。したがって、これについては何らかの手段において財源として措置をする、財源不足を埋める措置をとる、こういう努力を重ねていくということが当然自治省の責任であろうかと考えております。
  89. 安井吉典

    安井委員 とにかく自治省の責任において、地方交付税であろうと地方税であろうと措置をしたいというお考えが明らかにされたと思うのです。  ことしの地方財政の、特に地方交付税の減収の原因は、もう一つ、自治省自身がおつくりになったものもあるわけです。つまり、私どもはいま四十八年度決算審議をここで始めているわけですけれども、その四十八年度の地方交付税の剰余金は、これは本来ならば五十年度の地方交付税特別会計に入らなければならなかった。その金がたしか二千六百九十一億円だったと思います。それを五十年度に入れないで四十九年度で先食いをしちゃったわけですからね。ですから、昨年の暮れの地方交付税の特例法によって二千六百九十一億円だけはことしの中からもう先食いしてしまった、それだけ減らしてしまったという、そういう人為的な操作もあったということをやはり私は忘れてほしくないと思います。  いまちょっと計算をしますと、四十九年度の地方交付税は、先食いをしたその額を入れて計算をいたしますと、三二%ではなしに三四・四六%交付されていますね、四十九年度は。だから、私は思ったほど赤字自治体が出なかったという一つの理由にもなっているのではないか、こう思うのです。つまり二・四六%、四十九年度交付税率が上乗せされているわけですよ。そういう形で四十九年度が締めくくられたということであり、その分だけ五十年度地方財政は苦しさが上乗せさせられた、こういうことにもなろうかと思います。もちろん、地方財政は継続性の中にあるから、先に食おうと後に食おうと同じじゃないかと言われるかもしれませんけれども、私は特に、五十年度の苦しさという実態の中にそういう事実があるということを忘れてはならぬと思う。  そしてまた、それだけに、生ずべき財政欠陥の補てん措置に真剣に取り組んでいただかなければならぬのではないか、こう思うわけであります。国債で、国が足りないところを補てんしようとする。国債で補てんをされれば、自治体の方は、本当は税の増収で事業が行われれば、国税三税の場合は三二%交付税でふえてくるわけですから、国が仕事をすることに対しての自治体の負担分はそこで出てくるわけですけれども、国が国債でどんどん突っ走ってしまうと、自治体の方は、必ずこれは自治体側の負担があるわけですから、それに見合うものがないためにさらに厳しい事態に追い込まれる、こういうことにもなろうと思うわけであります。  ですから、私は、先ほどまでの一般論の上に、地方交付税の五十年度に本来支給さるべきものを四十九年度に先食いしたという事実と、それから大幅な国債発行で国が財政措置をやろうとすること、この二つを一般論に上乗せするならは、五十年度における地方財政措置というものは相当手厚くすることが必要であり、臨時地方交付税とか、あるいは私どもは第二地方交付税制度を設けろという主張もいたしたわけでありますけれども、そういうところまでいかなければ問題の解決にならないのではないかと思うのでありますが、どうでしょう。
  90. 松浦功

    ○松浦説明員 二千六百九十一億の問題は、御承知のように去年先食いをしてしまったわけであります。それが去年の地方財政全般に好影響を与えたということも、私どもは否定するつもりはございません。したがって、二千六百九十一億を去年使わないでおいてことしに持ち越しておれば、もう少し地方の財政運営が楽であったであろうということも、これは否定はいたしません。  ただ、欠陥の問題は、現年度の国税三税に対する三二%が交付税でございますので、その三税の見積もりが大きかったために穴があいたということでございますから、その欠陥問題については、二千六百九十一億は直接に関係はないと私どもは理解をいたしております。したがって、財政計画におきましては、例年のように八%のベースアップの先組みをさらに一%ふやして組んだ、あるいは臨時土地対策費を組んだとかいう、比較的ゆとりのある財政計画を組めておるわけであります。その財政計画における歳入に穴があくということになると、それだけの予算執行ができないということになりますから、その点については、私ども自治省といたしまして歳入欠陥を補てんするということについて努力をいたしますということを、先ほど来御答弁を申し上げているところでございます。  私どもとしては、財政計画上の歳入が確保されれば地方団体財政は運営できるはずである、こういうことを基本に置いておりますので、臨時交付金等の問題については、先生のせっかくの御提案でございますけれども、われわれとしては賛成いたしかねるというのが自治省の態度でございます。
  91. 安井吉典

    安井委員 いまの二千六百九十一億円ですけれども、それぞれの自治体の財政の継続性の上から言えば問題はないのです。問題はないのだけれども、去年の会計の中にもらったら、やはり自治体は去年の金として使ってしまうわけですよ。特にその金は土地の取得資金の方に大幅に向けられているわけですから、みんな使ってしまっているわけですよ。二千六首億円が五十年度の中に入れられてしまえば、私は、土地取得資金などというのんびりした物の考え方で自治省財政指導をしなかったと思う。いつもけちけちする大蔵省が二千六百億円を一年繰り上げて交付税に入れたという裏もいろいろあったのではないかという勘ぐりもできますけれども、それは別としても、やはり前の年に入れてしまって、前の年の中でお使いくださいということでの自治省交付税の交付の具体的な措置なんですからね。去年入ったのだから、ことしやるのも去年もらうのも同じじゃないかと言うが、そうはいかぬのですよ、それは後の議論でありますけれども。  先ほどは、今後の補てん措置は心配ないようにすると言われたが、臨時交付税というふうな考え方は持たない、こうだとすれば、どのような方法をお考えなんですか。それから、とにかく九月から臨時国会が開かれるとすれば、その補正の中に、国の赤字国債になるのかどうかわかりませんが、そういう措置が講ぜられれば、それに見合う地方財政措置が当然出てくるわけですよ。ですから、もう自治省と大蔵省の交渉の方に入っていかなければならぬ段階だと思うのですが、自治省のお考えを伺います。
  92. 松浦功

    ○松浦説明員 大蔵省自体が国の予算で非常に困窮をしておる段階でございます。したがって、私どもは私どもなりの主張をいたすつもりでございますが、交付税の穴があいた分には、四兆四千億という交付税が本年度交付税として配れるように対策を考えたいし、それから税の穴のあいた部分については、いろいろやり方はあろうかと思いますけれども、地方債発行するというような特例措置をも絡めて、穴があかないように努力をするということを考えたいと思います。  詳細なことは、これからいろいろ大蔵省と検討する過程で余り申し上げてしまうと私どももやりにくくなりますので、その辺のところは御容赦をいただきたいと思いますが、いずれにしても、大臣が御答弁なされましたように、地方財政計画に計上した歳入に穴があかないように、もちろん国の予算規模が縮まるとかあるいはふえるとかいうことで別要素が出てきた場合は別でございますが、そういう計算をいたしました上での財政計画上に穴があかないようにという努力を基本的に胸に畳んで大蔵省と折衝してまいりたい、こう考えております。
  93. 安井吉典

    安井委員 大臣からもその点御答弁をいただきたいと思うのですが、特に交付税の方はそうやって埋めるというのだから、どういう措置をとられるのかそれはわからぬが、責任をお持ちならいいが、地方税の方も、国が国債でやるのだから、地方も地方債で適当にやらせておけばいいじゃないかというような安易な考え方じゃなしに、そういう意味で私は臨時交付税みたいなかっこうでやるのが一番いいじゃないかという提案をしているわけですが、もう一度、大臣のお話を伺います。
  94. 福田一

    福田(一)国務大臣 お考えとしては、一つの考え方としてわかるわけでございますが、何しろ、いまは国の方も金がない時期でございますから、第二特別交付金というような制度を国につくれといっても、これはなかなか私はむずかしい問題ではなかろうかと思っております。したがいまして、一応地方債その他で何か工夫をするよりほかないのではないかというのがただいまの考え方でございます。
  95. 安井吉典

    安井委員 一応地方財政の問題は、まだ若干時間もありますから、ひとつ私の要望も入れて慎重に御検討をいただきたいと思います。  大臣、まだ食事前だそうですから、しばらく別の方をやっていますから、その間にできるだけ、あんまり食べ過ぎないようにしてお帰りをいただきたいと思います。  この際、北海道開発の決算に関連いたしまして、北海道開発計画やその他も伺ってまいりたいと思うのですが、その前提として、新経済計画やあるいは第三次全国総合開発計画等の新しい作業の内容について伺います。  経済企画庁からおいででございますが、経済審議会の審議ということになるのだろうと思うのですが、新経済計画について現在どのような作業が行われているのか。五十一年度から五カ年間の経済運営の指針というふうなことで計画を立てつつあるとかいろいろ報道されているわけでありますが、その作業計画と、いつごろまでにでき上がっていくのかという内容と、それから特に問題になるのは成長率だと思いますが、その見通しについて、現在段階どういうふうな作業になっているのか、まずそれから伺います。
  96. 藤井直樹

    ○藤井説明員 経済社会基本計画が四十八年の二月にできたわけですが、その後の御承知のようなインフレの高進とか資源制約その他の問題が急速に出てまいりまして、この計画を抜本的に見直すということにいたしまして、ことしの一月ぐらいから、経済審議会で新しい経済計画をつくるということで、基礎的な準備作業を開始しておるわけでございますが、正式に経済審議会に計画を諮問いたしますのは七月末ということで考えております。  それで、計画の期間といたしましては、五十一年度を初年度としまして五カ年間、それで計画をつくるのは、五十年度中につくる。できれば年内に概案のようなものを考えていきたいということで現在作業を進めております。  それから経済計画の成長率等につきましては、従来のような国際的に非常に高い高度成長を続けてきたわけですが、現在のような資源の問題、それから環境問題、世界的にも国内的にも資源の窮迫が生じている状況でございますし、また、日本だけが飛び抜けて高い成長を続けていくということは国際協調の面からも好ましくないということもありますので、従来の成長からはかなり低下していくと思いますが、その辺につきましては、これが経済審議会におきまして、日本の潜在成長力がどうなるか、各種の制約要因が成長にどのような影響を及ぼすかというようなことにつきまして、さらには物価とか国際収支というような広い観点から検討して、望ましい成長率を導き出していきたいというふうに考えております。
  97. 安井吉典

    安井委員 成長率の見通しはいつごろ結論をお出しなのかということと、それからもう一つ、私はいつも思うのですけれども、国民総生産とか総所得とかといういわゆるGNPの指数も、一応それはそのままで大事かもしれませんけれども、福祉指標というか、国民の全体的な福祉を指数化して、現在がこれなので六十年はこれにするとか、そういうふうなものの考え方やそれからまた作業化、それについてはどうですか。
  98. 藤井直樹

    ○藤井説明員 経済成長率を決めますのはやはり経済計画ができ上がる段階でございまして、すべて全体として一体となるものでございますから、それに先立って決めていくということにはならないのではないかと思います。  それから福祉の指標についてのお尋ねでございますが、経済社会基本計画のときにもかなり具体的に福祉の水準等を書いたわけですけれども、それでは不十分であると。現在、企画庁におきましても、社会指標といいますか、要するに貨幣的な要因だけではなくて、非貨幣的なものがかなり福祉の問題にあるわけでございますので、そういうものを計量的に取り上げて、そして何か全体としての福祉水準というのを示すことはできないかということで作業はいたしております。で、個別的にはいろいろなことができるわけですけれども、そういうものを全体としてどうまとめていくかということになりますと、非常に技術的に問題がございます。どういうようなウエートをつけて加重平均するかということになりますと、それぞれの間に非常に差をつけることになりますが、そのつけ方が非常にむずかしい点がございます。そういう点で、宿題として現在も検討しておるところでございます。経済計画につきましてそういうものを早く応用できたらいいのではないかということはかねがね考えておるわけでございますが、そういうような作業の結果を待ってやらざるを得ないのではないか、このように考えております。
  99. 安井吉典

    安井委員 生活や福祉の問題を経済計画の中で優先的に扱っていくとかなんとかという表現はあるのですよ。抽象的な表現はあるのですが、具体的にはやはり何か成長率だとかGNPが指数という形で出てしまってどうもわかりにくい、何かちっとも変わっていないじゃないか、そういうふうな感じを国民が受けやすいわけです。そういうような意味でも、もう少し福祉指標ですか、社会指標ですか、そういうような面についての検討を進めていただきたいものだと思います。  次に、三全総の方の作業や、それからどういうふうな点にウエートを置いた計画にするとか、そういったような点について、いまと同じようなことで、ひとつ国土庁の下河辺計画・調整局長の方から伺います。
  100. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  第三次全国総合開発計画につきましては、国土総合開発審議会を開きまして、ようやく作業に本格的に入った段階でございますが、御承知のように、昭和四十四年に第二次全国総合開発計画を閣議決定しておりますが、その後の情勢あるいは計画の持っている中身というものについていろいろと問題もございますので、まず第一点は、四十四年の計画の総点検を急ぎたいということで現在作業しておりまして、第二番目の点といたしましては、その後のわが国の状況から、やはり高度成長の時代からかなり低い成長の時代に移るということもございましょうし、特に世論として環境の問題あるいは生活福祉の問題が非常に重要視されるということをどのように計画に具体化するかということもございます。  第三点としては、この段階で昭和七十五年といいますとあと二十五年でございますが、ちょうど西暦二〇〇〇年になりますが、そのころまで、どうもわが国の人口増加は恐らくとまらないだろうというふうに予測しておりますが、二〇〇〇年を越えた段階でようやく人口増加が鈍化するだろうという見込みを立てておりますので、その時点におきます国土の利用のあり方というようなことについても実は少し勉強してみてはどうかという作業を現在しておるところでございますが、先ほど企画庁から答弁がありましたように、企画庁においては新しい経済計画を策定されるものですから、私どもの計画と企画庁の経済計画とを十分調整してみようということも作業の一つにしておりまして、企画庁の方も年内に一つの概案をつくろうということでございますので、私どもとしても一応の概案を年内につくりたいということで、どちらかと申せばそれをたたき台に多くの方々の御意見をいただいて本格的なものをつくってまいりたいという考え方でございます。
  101. 安井吉典

    安井委員 建設省等の各種長期計画がありますね。それとの調整、それから、これから議論の対象になってまいります北海道総合開発計画だとか沖繩総合開発計画だとか、そういう国の法律で定められている地域開発計画との関連、それはどうお考えですか。
  102. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 いまお尋ねのございました中で二つに問題が分かれるかと思いますが、一つは、関係省庁あるいは地方公共団体実施されます公共事業関係の五カ年計画の調整の問題がございます。基本的にはまだ政府として方針を定かにしたものではございませんけれども、国土庁といたしましては、基本的な計画ができるまで新しい公共事業の五カ年計画を定めない方がむしろ適当ではないかという考え方が基本にございます。しかし、住宅、下水その他のかなり緊急に整備を必要とする生活関係の施設などにつきましては、計画ができるのを待ちますと五十一年度予算に間に合わないのではないかということもございまして、目下のところ、特に限定して急ぐべき公共事業五カ年計画を、何を選んで、どのように調整するかということを関係省庁と議論を詰めておるところでございまして、恐らく例年のとおり八月の末、関係省庁が概算要求をなさるまでの間にかなり詰められていくものというふうに考えております。  それからもう一つ御質問をいただきました点は、北海道あるいは沖繩、その他もろもろの地域開発計画がございますが、それらとの調整につきましては、第三次全国総合開発計画をつくります過程で、共同であるいは並行して作業が行われますので、相互の調整は十分いたしたいというふうに考えておりまして、北海道や沖繩ともそれぞれ連絡をとって第三次全国総合開発計画の作業をしてまいりたいと思います。  私どもとしては、そういう形で第三次全国総合開発計画を決めてまいることにしておりますが、そういう作業の過程だけではなくて、やはり計画というものは相互にチェックするということは、現在の国土総合開発法の中でも調整を義務づけられておりますので、計画決定後におきまして再調整の必要があれば、決められた計画を修正するという形で、計画が相互に整合性がとれるようにフィードバックをしていきたいという考え方でございます。
  103. 安井吉典

    安井委員 この際、もう二つだけ伺っておきますが、一つは、いまの新しい情勢の中では、巨大開発プロジェクト中心主義というのはここで大きく転換が必要になっているのではないか、私はそう思うのですが、それはどうかということと、それから国土総合開発法そのものを抜本改正をすべきだという意見もあるということが、ちょっと報道があったんですが、その点はどうか。
  104. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 大規模開発プロジェクト中心主義というふうに特にお言葉の上で強く伺いますと、私どもは、やはり大規模プロジェクト中心ということは好ましくないというふうに考えております。ただ、新幹線、高速道路あるいは石油基地その他につきましても、どのように開発をするかということについては、この段階での新しい明確な方向づけをしなければならないと思いますし、それは地元の方々の理解を得るあるいは協力を得るということや環境アセスメントのことはもちろんでございますけれども、慎重に検討しながら実施はしなければならないだろうというふうに考えておりますが、中心主義という点については私どもも、大規模プロジェクトというのは手段でございますから、それを中心にということはやはり考えておかなければならない、改めておかなければならないと思っております。  第二番目の国土総合開発法の改正問題でございますけれども、私どもといたしましては、昭和二十五年にできた法律でもございますし、最近の情勢も非常に変化しておりますから、基本法である国土総合開発法の改正のための研究は怠らずに続けてまいりたいというふうに考えておりますが、しかし、御承知のように、前々国会で国土利用計画法が議員立法で制定されまして、政府提案の国土総合開発法の改正案が廃案になったということから、現在では、国土利用計画法を適切に運営するということをまず始めたいということで、国土利用計画法に基づきます国土利用計画の策定作業に一方入っておりまして、そういったものを見きわめた上で、次の段階で国土総合開発法の改正をしたいと考えておりまして、その改正の時点については一部の報道では次期国会というようなことも出たようでございますが、次期国会というようなことは目下考えてございません。
  105. 安井吉典

    安井委員 いまの巨大開発プロジェクトの一つである北海道の苫小牧東部開発の問題にこの際触れてまいりますが、とにかく一万二千ヘクタールという、日本全体ではもちろん一番だし、世界じゅうだって、こんな大きな地域を対象にした開発というのはそう数は多くないのじゃないかというふうに思われるのが、北海道総合開発計画のこれまでの目玉になっており、さまざまな問題を提起しているわけです。  そんなに時間がありませんので、要点だけ伺ってまいりますが、この用地の取得の問題があります。とにかく一万ヘクタールを超える取得でありますけれども、北海道が大部分の取得をすでに終えて、残りをいまなお取得を続けているというふうな状況のようであります。私どもが持っている資料では、四十九年度末にすでに六千五百三十四ヘクタールを取得済みであり、その金は二百二十三億円を超えています。とにかく大変なものであります。その二百二十三億円余りの金が、起債やそれから一般会計の長期借入金、土地開発基金借入金その他というふうなことで調達されておりますね。一般会計の長期借入金と起債、こう二つに分けて書いてあるのですが、地方財政の仕組みの上では、長期借入金なんというのは大体おかしいのです。いずれにしても、そういうふうな無理に無理を重ねた取得が今日まで続いてきています。しかも、残った土地取得は、だんだん土地も上がるしなかなか手放さなくなっていますから、大変な状況のようであります。いま財政局長がおられますが、けさの新聞でも、全国の自治体の土地開発公社が、国や公団等の事業の先行取得をして、現在なお千三百億円の土地が残っていて財政の非常な強い圧迫になっているという報道もありますが、その一種であることには間違いありません。これだけ大きな取得をしても、現在まだ、どんなものがそこでできるものやら先のことで、全然見当がつかないわけですね。どんな企業が張りついてくるのか、環境アセスメントも全然手をつけるような段階までいっていないわけですから、これはいつまでそんな土地を持っていなければいけないのか。きょう新聞に出ているこの土地開発公社の問題を含めて、先行取得の土地問題がいま地方財政の非常に重大な問題になってきつつあると思うのでありますが、一般論としてもさることながら、いま私は特に苫小牧の問題を提起したわけですが、どうでしょうか。
  106. 松浦功

    ○松浦説明員 本日の新聞に出ておりますものは私どもの方から出た記事かどうか存じませんが、少なくとも拝見いたしました限りにおいては、国の直轄事業あるいは公団、そういったもので、ある程度国の了解を得て先買いをしているものが、国の予算の関係で買い上げがなかなかうまくいかない、そのために残っておる、こういう問題だと思っております。したがって、この問題につきましては先般も国会で問題になったわけでございますが、自治省と大蔵省との協定で、当時買い取りました金額に金利をつけたもので買い取る、ただし、時価がそれより低いときは時価だということがございまして、その解釈をめぐって非常に問題になったのでございますが、大蔵省との間では、必ず地方公共団体に損はかけないということの確約を、当省としては大蔵省の言質をとっておりますので、この残っております土地は、地方公共団体が払いました利子を乗せた形で買い取ってもらえるものと思っておりますので、時期的なずれの問題はございますが、財政的に大変な問題になるとは私ども実は考えておらないわけでございます。  むしろ、先生が御指摘になられたのはこの種のものでなくて、独自に買い取られたものが、経済の状況の変化によって、使い道が予定しておったとおりなかなかうまくいかないというような問題ではなかろうかと思います。先ほど森下先生からも御発言がございましたように、工場が張りつかないで土地が遊んでおる、そのために金利負担が多くて大変だ、こういう御発言がございましたのと同じような性格のものではないかと考えます。これは現実に土地を持っておるわけでございますので、将来は必ず利用されるだろう。その間の資金繰り等について地方公共団体が非常に難渋しておるという団体がございますれば、個々に相談をいただきまして、金利分を含めて借りかえ債を認めるとかそういった措置は、われわれとしては個々の団体についてケース・バイ・ケースで措置をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  107. 安井吉典

    安井委員 もう少し、いまの苫小牧東部の問題の論議を進めるために、北海道開発庁の方から、最近の動きについてまとめてひとつお話をいただきたいわけであります。  例の苫東石炭火力の着工の見通しの問題、環境アセスメントが全くおくれているという現状やら、それからまた苫東の火力の問題についてはその点をひとつ重点にしてお話を願い、それから東部開発全体の問題としては、土地の買収が今後順調にいき、しかも順調な立地が果たしてできるのかどうか、その見通しはどうなのか。それからまた、計画全体に対する環境アセスメントの作業に入り得るような条件ができているのかどうか。もう一つは、漁業補償の問題については近く決着がつくというふうな報道も見るわけでありますが、どうなっているのか。簡単にまとめた御答弁をいただきます。
  108. 黒田晃

    ○黒田説明員 お答えいたします。  まず、苫東の石炭火力三十五万キロの問題でございますが、この石炭火力につきましては、いわゆる道内炭の需要の喚起という意味から苫小牧に石炭火力を計画されたわけでございまして、現在、北海道電力の方から通産省の方へ事業計画は出されておると聞いておるわけでございますが、片一方、石炭火力によります環境アセスメントにつきましても、道と会社と一体になりまして近く環境庁の方と協議をされることになっておりまして、当初の予定が五十二年あるいは三年という運開を言われていたわけでございますが、現在のところ、まだ電調審にかかっておりません。したがいまして、そういう準備ができますれば、秋にでも電調審が開かれれば、その電調審の場でいろいろな議論がなされるのではないかというような段階でございます。  それから漁業補償の問題でございますけれども、これは道が四十七年から相当漁業組合と接触を持っておりまして、現在の段階においては、詳細には承知していないわけでございますが、相当煮詰まってきたということを道の方から聞いておるわけでございまして、その具体的な内容につきましてはまだつまびらかにしていないわけでございます。  それから、先ほど御指摘のように、約一万ヘクタールの中で苫東の計画がなされてきておるわけでございますが、先生御存じのように、現在、港湾審議会の議を経て確定しておりますのが、いわゆる五十三年目標と称されております中で石油化学、石油精製あるいは自動車というものが予定されておるわけでございます。この問題につきましては、五十三年あるいはそれより先の問題という御質問だろうと思うわけでございますが、現在の石油の状態あるいはこれからの日本の経済の発展の情勢、そういうものとにらみ合わせまして、今回つくります北海道総合開発計画の中でどういうような工業立地をすれば一番適当であり、経済情勢に合い、また地元にも受け入れられ、環境問題も解決するというようなことを、新しい計画の中で十分検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  109. 安井吉典

    安井委員 新しい計画の中の検討がどんどんこれから行われる、そういう段階でも、やはり何とでもして一万ヘクタールの土地をそこで確保しなければいけない、これからの日本経済がどう動くかわからないけれども、ともあれ一万ヘクタールを確保しなければいけない、そういう気持ちが、私はどうも理解できないわけであります。  そこで、環境庁もおいでですから、石炭火力についてのアセスメントはどういうふうなお考えで臨むおつもりなのか、それを伺います。それから苫東全体の問題もあわせてお答えください。
  110. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 苫小牧東部の大規模工業基地についての環境アセスメントは、現在補完見直し中でございます。  石炭火力の発電所の立地についての環境アセスメントにつきましては、私どもはやはり地域全体との整合というのが重要である、このように考えております。したがいまして、石炭火力発電所の環境アセスメントと地域全体の環境アセスメントに関する報告書の案が、地元の意見を聞き、必要な修正を加えられて提出されますれば、その段階で慎重に検討をいたしたい、このように考えております。
  111. 安井吉典

    安井委員 そうすると、石炭火力のアセスメントをやれといったって、それはできないのだ、地域全体のものが先にでき上がらなければだめなんだ、そういうふうに聞こえるわけですね。そうなりますとなおさら、これから後、地域開発計画の全体をどう位置づけるのかということが全く五里霧中であって、石炭火力だけ先に何とか片づけようといったってそれは無理だという環境庁の考え方はもっともだと私は思うのですね。石炭火力がどれだけの窒素を出すのか、それは苫小牧の東部なら、ほかの石油や鉄鋼やどんどん猛烈な公害を発生するものと総合的に考えていかなければいけないわけなんで、苫小牧以外のところなら、石炭火力がもしそこにできるとすればそれだけの問題として取り組んでいってもいいわけです。苫小牧の場合は総合的な問題なんだから、その総合性を先に解決することが必要なんだという考えはもっともだと私は思うのですが、こういう点、開発庁はどういうふうにお考えですか。
  112. 黒田晃

    ○黒田説明員 ただいまのお話でございますが、苫小牧東部の現在の五十三年計画の中で三十五万キロワットのエネルギーが必要であるということになっておるわけでございますが、石油精製あるいは石油化学の中で三十五万キロと合わせて当然検討しておるわけでございます。そういう意味において、現在の五十三年計画の中で、環境アセスメントを道の方において現在つくっておるということでございまして、石炭火力だけで云々ということではございませんで、道が現在やっておりますのは、そういう全体の中でどういう形に持っていくかというアセスメントをつくっておるわけでございます。今度は、石炭火力単独の問題になりますと、当然北電が総量規制という枠の中で措置をしていくということになるだろうと思うわけでございます。
  113. 安井吉典

    安井委員 そうすると、電調審へ問題を提出していく時期の見通しはどうなるんですか。環境庁はどういうふうにお考えですか。
  114. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 石炭火力発電所につきましては、電調審の連絡会議におきまして議題とはなってございますが、先ほど申し上げましたように、地域全体のアセスメントができ上って、その枠の中で石炭火力をどのように評価するかという問題がございますので、私どもといたしましては、やはり地域全体のアセスメントが同時に提出されるように意見を申し上げているところでございます。
  115. 安井吉典

    安井委員 総務監理官の話と少し違うようですが、開発庁がお考えのような形では進まないんじゃないですか。
  116. 黒田晃

    ○黒田説明員 苫小牧東部全体の問題としてどういうように環境を維持していくかというのが、まず第一の問題だろうと思います。だから、その中で火力が果たしてどういう形になっていくか、いろいろな制約を受けることになるだろうと思いますけれども、そういう中で達成が可能であるという見通しがついた段階で、恐らく道及び北電は電調審の方へかけるんじゃないだろうかと思っております。
  117. 安井吉典

    安井委員 環境庁が満足できるような環境アセスメントができ上がるのは、そう簡単でないようですね。苫小牧以外の土地に石炭火力が立地するのなら、そこの問題だけを切り離して考えてもいいんだけれども、膨大な工場群ができ上がる中に石炭火力ができるんだとすれば、地域における総体的な環境がどうなるのかという見通しを立てて、それから石炭火力の問題という順序が、総量規制というふうな考え方からして当然ではないかと私は思うんですね。これは大事な問題ですからね。とにかく巨大開発であり、北海道開発の目玉だから、公害がどうあろうと、地域の住民の反対がどうあろうと、しゃにむにこれさえ推し進めればいいのだという考え方、それだけはひとつやめていただきたい。このことだけ、きょうの場合申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、北海道は食糧基地であり、エネルギー基地であると言われておりますが、そのエネルギーのうち非常に重要なのは石炭ですが、きょうはもう時間がありませんのでそれはやめて、地熱の問題についてちょっと伺っておきます。  環境庁と通産省とが話し合いをした上で地熱開発の調査が若干進んでいます。それ以外に、たとえば白水沢など、国立公園の中にあるということで、通産省ではなしに、道独自の調査で進んでいるというものもあります。環境庁の地熱の問題についての基本的な扱いで何かルールのようなものがおありなら、その点をひとつお話しいただきたいと思います。地熱は、発電ということと、もう一つは、地域の農民の温室だとか、あるいはまた寒い北海道での暖房だとか、そういう形での使い方の領域もあるわけです。そういうものも含めて、地熱についての環境アセスメントですか、どのような考え方をお持ちなのか、それをひとつ伺います。
  118. 宇野佐

    宇野説明員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘の地熱につきましては二つの問題があろうかと思います。  一つは、地熱で発電をするという問題でございますが、これにつきましては、先生御指摘のとおり私どもと通産省との間で取り決めをいたしまして、国立公園あるいは国定公園の中では現在六カ所、両者了解いたしまして、着手あるいはすでに発電をしているものがございます。当分の間はこの六カ所に限定をして技術開発と申しますか、そういう面からの技術向上を図るという考え方でございます。  もう一つは、いま白水沢という御指摘がございましたが、このように、まだ地熱発電という発電が乗っかかってこないという問題でございます。これにつきましては、やはり国立公園なり国定公園の中の大事な地域につきましては同様に、自然の保存といいますか風致保存ということが私どもの主張でございます。したがいまして、どういうものがそこで行われるのか、国立公園の中あるいは国定公園の中ということになりますと、大きな工場施設あるいは構造物といったものが出てまいるのは好ましくないわけでございまして、これにつきましてはそういうことのないような方向で解決されるのかどうか、それ以外に、これは発電でも同じでございますが、砒素とか有害物質が拡散されあるいは出てくるかどうか、こういう面からの環境アセスメントといいますか、こういうものを個々に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  119. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、発電と発電以外の用途では若干考え方が違うということですね。
  120. 宇野佐

    宇野説明員 確かに、地熱発電につきましては、先ほどお答え申し上げましたように非常に大きな構造物が出てまいるはずでございますので、通産省と約束をいたしまして六カ所に限定いたしております。それ以外のものについては現在まだ具体的に、どういう構造物が出てくるかといったものが私どもの方には参っておりません。それは大きな構造物であれば、発電所と同じようなものであれば、当然私どもとしては好ましくないという考え方を出すわけでございます。したがいまして、これはケース・バイ・ケースということになろうかと思うわけでございます。
  121. 安井吉典

    安井委員 大臣に一つだけ伺って終わります。  北海道開発法は第一条に「北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定する」こうあるわけです。資源開発というのが基本目的にあるわけで、したがって、いま強く望まれているのは生活や福祉に重点を置いた開発ということになると、現在の法律ではなかなか対応しにくいではないかという問題があります。そして、それに対して下手に改正をすると北海道の特例補助率がおかしくなるのではないかという心配も出てくるわけですが、これは全くおかしいので、今日までの歴史的な経過それから現状、こういうようなものから、いままでのものがそれを機会にどうこうするなどという考え方自体がおかしいので、そういうようなことは絶対あるべきじゃない。いずれ大蔵省ともそういう点を明確にしたいと思いますけれども、その点についての大臣のお考えを伺いたいのが一つと、それから北海道でこの長期計画、新計画は五十二年度からスタートをするという考え方で、したがって三全総なり新経済計画よりも一年おくれですね。後から行ったって終わりは同じだということになるのかもしれませんけれども、三全総やそういったようなものが先の方にどんどん行ってしまって、北海道開発計画の方が  一年後からスタートをするということになると、置いてきぼりになるのじゃないかという心配があります。なぜ一緒にスタートできないのか、そのこともあわせて伺って終わります。
  122. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  北海道開発法の内容についてでございますが、補助率の問題は北海道にとっては非常に重大な問題であると私は考えております。大体、北海道開発に関する法律をいまさらここで改定をしなければならないということであれば、根本的な問題としてここで研究をしなければならぬことになるわけで、北海道開発庁長官といたしましては、また自治大臣といたしましても、計画の比率を下げるというような、いわゆる負担率の問題を変更するということについては、強く反対をいたす決意でございます。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕 この点は十分御理解をしていただき、また、ある意味においては御協力もお願いをいたしたいと存ずるのでございます。  なお、第三次全総計画とか新経済計画との関係をどう見ていったらいいか、これが決まってしまった後では問題にならないじゃないかというお話でございますが、われわれといたしましては、そういう作業が進められておる段階においても、北海道としての一応の考え方を組み入れるように連絡をとりつつ、この問題の決定をしてもらうよう努力をいたしてまいるということでございまして、それができた後で今度は北海道の問題を考えるということでは、北海道というものが完全に無視された形になると思いますので、そういうことのないように、事前に連絡をとりながら問題の解決に当たらせるように努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  123. 森下元晴

    森下委員長代理 庄司幸助君。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 概して、地方公営企業採算が悪化して赤字経営体が非常にふえておりますが、私はきょう、主として水道事業の経営問題、これをお伺いしたいと思うのです。  その点で、地方公営企業の中でも水道事業の経営状態を自治省がどのようにつかんでおられるのか、実情、この辺お聞かせ願いたいと思うのです。
  125. 山本成美

    山本(成)説明員 庄司委員の御質問、まず第一に、四十九年度の水道の経営状況はどうかというふうなお話でございますが、私の方で過般、速報の意味でとったものがございます。すでに新聞にも出ておりましたので、あるいは御承知かと思いますが、水道におきましては、昭和四十九年度、純損失が六百七十七億ふえております。それから累積欠損金も七百四十三億、不良債務が五百三億、こういうことでいずれもふえておるわけでございまして、水道を行っております全事業数の中で、四十八年度は純損失を生じた団体の数は二六・四%でございましたけれども、四十九年度は五二・七%になったということでございます。  なお、この数字は後であるいは若干の調整が必要な段階が来るかとも思いますが、ただいままでに速報的な意味で集めましたものは、いま申し上げたとおりでございます。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、総収益対総費用の関係はどうなっておりますか。
  127. 山本成美

    山本(成)説明員 上水道の総収益対総費用でございますが、総収益が五千三百四十四億円、総費用が六千二百五十二億円でございまして、総収益対総費用比率は八五・五%、これは前年度が九九%でございましたから一三・五ポイント落ちたということでございます。
  128. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、総収益対総費用の関係で見ると、前年度まではほぼとんとんだった、しかし、ことしになると大幅に費用の方が収益を超えているということになりますね。  それからもう一つ伺っておきますが、水道事業の場合、資本費の占める割合はどれぐらいになっているのですか。
  129. 山本成美

    山本(成)説明員 水道の資本費は、四十九年度実はまだ細かい数字が出ておりませんのです。したがいまして……(庄司委員「四十八年度でいいですよ」と呼ぶ)四十八年度、失礼します、ちょっとお待ちください。——費用の中での資本費でございますが、いま四十八年度の総額を拾っておりますので、しばらくお待ちいただきたいと思いますが、トン当たりの給水原価の中で占める割合は、四十五円三十五銭の中での十七円一銭でございます。大体三分の一にならない程度の、二・五分の一ないし三分の一というふうなところかと思います。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 もういいです。  そうしますと、これは大臣にひとつ聞いていただきたいのですが、このインフレ物価高騰、これが水道経営環境を相当悪化させていることは間違いないのですが、いまの御答弁でもわかりますように、総収益を総費用が上回ってきたという問題が一つあるわけです。それから単年度欠損、これは四十九年度ですが、大体半分以上の事業所が赤字になっている。赤字の額も、私の数字とおたくの数字、若干違いますけれども、単年度で九百億円を超している。それから累積欠損はもう千百六十八億円ほどになっている。しかも、この累積欠損のうち半分は四十九年度に発生したものだ。それから不良債務も相当多い。その中でこの資本費、つまり設備の償却であるとかあるいは支払い利子、これにがかったもの、費用に占める割合が、これは四十八年度でありますが、三五・九%です、私のあれでは。  こういう結果、この経営悪化の直接の原因は何だろうと思って調べてみますと、先ほど申し上げた物価高騰の問題があります。そのため設備投資の費用が非常にふえてきている。これはまあ私の地元の仙台市の水道事業の事例ですが、第四次拡張計画、これは昭和四十一年から始めて現在に至っておりますが、当初この計画の設備投資は九十億円の計画で始めたんですが、実際は二百二十五億円かかる。こういうふうに急増しているわけですね。これはまあ資材の値上がりもありますし、用地の土地の値上がりもある。こういう状況になっているわけです。  そこで、自治省ではこの間次官通達をお出しになって、一つは人件費を抑えなさい、それから公共事業については適正な価格と称して、料金引き上げを要求したわけです。これはやはり政府のとってきたインフレ政策、まあきょうは私はこの問題、論争しようとは思いませんけれども、こういった政府の経済運営政策、この失敗のしりぬぐいが結局地方自治体に回っている。こういつたいまの水道事業の経営難、これは政府の責任の方はともかく、いままでのようなやり方ではもう解決できないところへ来ているのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その辺、自治省どうお考えになっているのか、概論的でもいいですから、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。私は実はもっとほかに、地方自治体病院ですね、この赤字の問題も非常に心配なわけです。心配ですが、きょうは時間の関係でこの水道一本にしたいわけですが、その辺のお考えを概括的にまず述べていただきたいと思います。
  131. 福田一

    福田(一)国務大臣 庄司先生にお答えをいたしますが、いまいろいろ数字を挙げての御質問でございましたが、実は自治省も、数字のことは、ひとつ御質問くださるときにはあらかじめ御連絡しておいていただけると、ちゃんとお答えができるのでありますが、先生のおっしゃったように数字だけをこうおっしゃっていただきまして、それを基礎にして何かお話し合いを進めておりますと、意見がかみ合わない問題が多分に出てくると思われるのでございまして、できるならば、今後御質問をいただきますときにはあらかじめ、こういうようなことを質問するということをひとつお教えおきを願えれば幸いであると思うのでございます。実はこんなところで申し上げるといかがかと思いますが、あなたの方の御質問はすぐ「赤旗」に全部出ておって、われわれの方のあれは全然出ないということになりますと、非常に何かちぐはぐの、まるで自治省は勉強しておらぬような感じになりますが、そういう細かい数字になりますと、やっぱり教えておいていただかぬとなかなかちゃんと御返事できませんので、まことに恐縮でありますが、その点は、実はこの間の本会議あたりでもそういうことがしばしばあったのですが、そこのところは、こういう機会でありますから、一言だけお願いをいたしておきます。  そこで、ただいま、今度は水道問題についての一つの考え方を示せということでございますが、私は申し上げておりますことは、一度にそういうものをやる、是正してしまうのがいいかどうかということは確かに問題があろうかと思うのでございますが、というて、これはほうっておいていいというわけにはまいりません。あなたがおっしゃったように、いわゆる高度成長をして物価が非常に高騰したではないか、その高騰した結果が住民に及ぶのはこれは政府の責任である、こういう御質問のように承るのでございますけれども、高度成長をやったと言いますが、それも一つの理由ですけれども、本当は物価がいまそういうような数字が出てきたのは、実は石油の問題が一つの大きな原因でなかったかと思うのです。われわれの経済政策がある意味で間違っておったではないかということについて、私はあえて、経済政策は全部正しかったとは申し上げませんけれども、いわゆる非常な狂乱物価が出てまいりまして、いま言ったような、九十何億で計画したものが二百何十億にまでなったというような裏には、一つは石油問題というものも一つの大きな原因をなしておったのではないかと思うわけでございます。そういうことから言いまして、われわれの責任がないとは申しませんけれども、かといって、これは世界から受ける一つの影響でございますからして、その意味まで全部含めてわれわれが全部責任を背負うということも、これからもできない問題ではないかと私は思っておる。たとえば今後、ことしは十月か十一月になると油の値が、いま十一ドルくらいしておるのが十二ドル、場合によっては十三ドルくらいまで上げるかもしれぬというような話さえありまして、これが影響するのではないかということを実はわれわれは心配をいたしておりますが、そういうこともございますので、ひとつその点は一応御理解をしていただきたいと思うのであります。  いずれにしても、この問題、いわゆる水道などの問題で一番大きかったのは、やはり過密過疎の問題といいますか、都会に人口が集中する、たとえば同じ仙台におきましても仙台市に人口が集中する、そして過疎地帯ができていく、こういうことが一番大きい問題であって、そういう過密過疎の問題が、いま一番いろいろな問題を惹起しておる。いま御指摘になりました病院の問題あるいは高等学校の設置の問題等々にすべて影響してきておるのは、この人口の大きな移動といいますか都市集中の弊がある意味では出てきておる。しかし、それは高度成長をするためにやむを得ずなってきたのではないかというお話もあるかと思いますが、一つは、やはり住民が何といっても福祉を求めるといいますか、人生の楽しみはやはり都会にあるのだというような印象から、都会に人口が集まりつつあったことも私は事実だと思うのでございまして、これらの問題を含めながら問題の解決を図らねばなりませんが、いままでの水道の問題について言えば、確かにいま御指摘のような、非常な物価高によるところの影響が大きかったかと思うのでありますが、というて、それではそれをほっておいていいかというと、そうはいきません。やはりだんだん赤字が累積していくわけでありますから、是正はしていただかなければならないと思いますが、今後そういうような意味で人口の都市集中という問題をどう考えていくか。いまや低成長の時代になってきておるのでございますから、これから都会へ入ってくるような人を何かうまい工夫で抑えるか、あるいは入ってきた場合にはそういう新しい人口に対する税の問題とか是正の問題、工夫というものをここいらで考えておかないと、また今後も同じようなことが起きはしないかということを恐れておるわけでございます。これからは低成長でありますから、そうそう人口は急にふえるということもありますまいから、したがって、水道などのような問題についても、いま御指摘のあったような、九十何億が二百億にもなるというような事態は起きないと思いますけれども、やはり都市として今後の人口問題をどう考えて対処していくか、一時はどんどん人口がふえることが都市の繁栄に連なっておるのだというような考え方もありましたけれども、今後は逆の意味で考えなければならない面も起きるかと思うのでございます。こういう点を踏まえながら今後の自治体行政というものを考えてまいりたい、われわれとしては大体そういうふうな感じで物を見てまいりたいと思っておるわけであります。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣から、わが党の「赤旗」を高く評価いただきまして、ありがとうございます。それで、実はその論議は枝の論議ですから、そういう論議はやらないでまいりたいと思うのです。  それで、私が申し上げたのは、確かに、責任がどうのこうのという問題じゃきょうはなくて、現実に苦しんでいる地方公営企業、これを現時点でどういい知恵を出して解決していくかという点が論議の中心なわけです。その点で確かに大臣もおっしゃったとおり、人口の都市集中、これがやはりいまの水道事業を非常に苦しくしていった相当大きな原因になっている、これは私も認めます。あなたの言うとおりです。しかし、これはここでまた論争はしませんけれども、実は新全総あるいはその前の全総あるいは経済社会発展計画、これは歴代のあなた方の政府がお立てになった計画で、地方自治体を指導してこられた理念なんですね。先ほど例に挙げた仙台市なんかも東北の管理中枢都市である、こういう位置づけですね。しからば、管理中枢都市になるならば当然水の需要も大きくなってくるだろう。また現実に人口もふえてきたわけですね。そういう結果、水源を相当遠くにまで求めなくちゃならないという結果がやはり出てきているわけです。  そこで、生活環境審議会、これは厚生省の所管でありましょうけれども、ここで「水道の未来像とそのアプローチ方策について」というのを四十八年十月三十日付で出しているわけですね。この「水道財政のあり方」、その中で「建設費の負担のあり方」について答申が述べられております。ちょっと読んでみますと、「国民に等しく、均衡のとれた負担で、同質のサービスを受けられる状態を目標に、その生活に必要な水道水を確保供給するために建設財源、未給水地区の解消、料金差の是正等高次の視野に立って対処していかねばならない課題が生じている。水道用水に対する需要の著しい増大により遠隔地に水源を求めざるを得なくなったため、必然的に拡張事業費が急激に割高となっており、新施設の生産原価は旧施設の数倍にも達している。しかし、現行制度のもとでは、大部分を借入金によってまかなうほかなく、その元利償還のため料金を急激に上昇させざるをえない。水道料金の急激な上昇は水道が生活に不可欠の施設である点からみて避けるべきであり、わが国の健全な社会発展、国民生活の安定のため水道の建設財源について特段の配慮が払われるべきである。」として、その後のくだりで「財政面の助成」の問題が出されているわけです。  それから、日本水道協会、これが五十年四月に「水道事業の独立採算制について」という、提案を発表しておりますが、ここでも「目標等達成のための公費導入」、これは公費は国とそれから市町村と両方ありますが、「前項で述べた水道の目標等は、市町村が個々に独立採算制のもとで水道経営をおこなっていくかぎり、これを完全に充足し、実現することは到底不可能である。」まず独算制について否定的な見解を示し、批判的な見解を示しております。その後で「水道の独立採算制の合理的範囲を定め、それを超える部分については、公費を導入するという明確なルールを確立していかなければならない。」この「公費導入をおこなうにあたり、その財源をどこに求めるか、つまり、国税か、地方税かの問題が生じてくる。」その点で「現状の税配分の下では、最終的には国の財源措置によらざるを得ないと考える。」若干飛びますが、「特に水道にかかる経費については、地方公共団体基準財政需要額のなかには、消火栓関係費の一部を除き殆んど見込まれていないからである。したがって、将来的課題としては水道の経費を含め、国と地方公共団体との間における事務と租税配分の適正化を期していく必要がある。」と述べているわけであります。  若干、この裏づけになる具体的な問題点を申し上げてみますが、水源がだんだん遠くなる。いままで仙台市の場合は、約四万トン程度で二十二万の人口を間に合わせていたわけです。それがその後の人口急増によりまして、大倉ダムというのをつくりまして十万トン、これは多目的ダムでありますが、十万トン取水している。これは現在動いております。それからその後、先ほど申し上げた計画の釜房ダムというところでまた十万トンですね。これも工業用水その他の多目的ダム。こうやって三十四万トンまで伸ばしてきたのですが、これでもまだ足りなくなる。それで今度の第五次拡張計画をつくっているわけですが、これだと、五十キロくらい離れた白石川というところがあるのですが、そこの七ヶ宿、ここにダムをつくって水を引かなければならない。これが約千四百億円ぐらい現時点でかかるだろう、こう計算されておるのですね。この五十年度の元利償還だけで料金収入の六七%になってしまうのですね。五十三年度末になりますと、累積赤字は百十三億円と予想される。  その点で、これは料金改正にも限度があるわけですから、この辺で抜本的な対策、これは国々としてもぜひ考えてもらう段階だろうと思うのですが、ひとつこの厚生省の生活環境審議会の意見なりあるいは水道協会から出ている意見、この辺はどういうふうに対処されてきたのか、この意見に基づいて。自治省、厚生省、それぞれお答え願いたいと思うのです。これまでこういう答申が出て、その後どういう対処をなすりてきたのか、これをひとつお願いしたいと思います。
  133. 山本成美

    山本(成)説明員 いま庄司委員から御指摘の中にありました提言とかいろいろな答申でございますけれども、この種のものはもうたくさん実は出ておりまして、私ども、もう全部を目を通すわけにもまいらないのでございますけれども、いまおっしゃられたような趣旨で生活環境審議会なりあるいは日本水道協会の提言があったことは、大体の内容は承知いたしております。  ただ、私ども、これを一々どうするかということでなくて、私どもの考え方を申し上げますならば、やはり外部条件は変わってまいりました。確かにおっしゃるように水源池が遠隔化いたした問題も一つございますし、それからさらに公害の問題がございます。そういうふうなことで、資本費を中心に、おっしゃるように非常に高騰いたしておることは確かでございますが、こういう問題のほかに、料金水準というものを決定いたす要件といたしましては、運営費の問題もございます。したがって、水道料金をいかにするかというふうなことを中心に議論をいたしてまいりますならば、どうしても資本費のみならず運営費の問題もあわせて論議をしなければならないのではないかと考えております。  しかし、いずれにいたしましても、水道料金ができ得べくんば安いということは、これは当然のことでございますので、私どもとしては、一般会計からの負担区分の運用を適正にやってください、あるいは経営の中で特に問題になります運営費、その中でも一番問題になります人件費なり物件費というもののコストをどうやって適正化していくかという問題、それから、御指摘の中にもございましたような国庫補助の問題、これも限度がございましょうけれども、一般論としてはそういうこともやはり考慮をしてまいらなければならない問題だと思います。  いずれにいたしましても、そういう全体の条件が整って、やっと料金の水準の問題なりあるいは経営の基盤の問題なり健全化の問題なりということが論ぜられるわけでございまして、先刻来も御指摘がございましたけれども、資本費だけでもまいりませんし、そうかといって運営費だけの議論でもいかない、両方あわせて健全化の問題は考えていかなければなるまい、また料金の問題も考えていかなければなるまい、こういうふうに考えている次第でございます。
  134. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりました生活環境審議会の答申でございますが、その答申の中でも触れておりますように、現在水道事業が置かれているあるいは抱えている問題と申しますと、幾つかございますけれども、何と申しましても一番の問題は、水源の確保の問題が第一でございます。先ほど来お話がございましたように、水道用水の需要の増加に伴った水源の確保の問題、これは同時に、いわゆる水資源開発という総合的な開発の中で水道用水を確保していく問題でございます。それから同時に、水道事業の置かれております問題、もう一つは水質の問題がございます。あるいはまた、都市水道のみならず、過疎地域等におきましても規模の小さい水道がたくさんございます。そういうように、全国で約二万近い水道事業が存在するわけでございます。これらの扱いの問題、あるいはまた経営の問題がございます。  そういうことで、提言の中にも、将来の方向といたしまして、根本的にこれらの問題に対応していくためには広域的な運営に切りかえると申しますか、を目指していくことが本当の解決策ではないかという点が一つございますので、私どもといたしましては、ただいまも自治省の方からお話がございましたけれども、いわゆる資本費に該当する部分の水道の水源開発施設あるいは広域化施設に対する建設費の助成という意味で、毎年国庫補助金の額を大幅に増額してまいっているわけでございます。同時に、水道の建設の時点におきましての計画の立て方と申しますか、そういう広域的な水道計画を目指しました地域計画といいますか、そういうものを策定して、その中でひとつ合理的な施設整備を進めていきたいということを努力してまいっておるわけでございます。  現状はそのようなことでございますが、水道事業体その他から各種の要望が出ておりますので、私どももそういうことで今後とも一層そういう体制を強化してまいりたい、このようしに考えております。
  135. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは厚生省にお伺いしますが、自治省から厚生省への五十一年度予算概算要求が出ているでしょう。「水道事業に係る国庫補助制度の改善 水道水源開発等施設整備補助金については、国庫補助率を三分の二に引き上げるとともに、補助対象基本額の算出方法については、着工率及び補助対象事業費の足切り制度を廃止して、その改善を図られたい、」これは自治省が出しておりますね、当然。その点で厚生省、これを受けてどういうふうにいまお考えになっておられますか、具体的に……。
  136. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、水道施設整備の中でこの種の国庫補助制度を創設いたしましたのが昭和四十二年度からでございます。全国的に、これに該当する事業もふえてまいっております。そういう観点から、先ほど申し上げましたけれども、補助金の予算の増額あるいはその内容の改善等についてかねてから努力してまいってきております。自治省の方の申し出にも、ここにございますけれども、私どもとしても、こういう方向でできないものかどうか、ただいま鋭意努力を続けているところでございます。明年度以降も真剣にこの問題を取り上げて検討いたしたいと思っております。
  137. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは明年度以降とおっしゃいますけれども、明年度についての要望なんですね。ですから、これは厚生大臣もいらっしゃっているわけじゃないですから、あなたの答弁には限度があるだろうと思いますけれども、これはひとつぜひ——私はこの三分の二というのは実は不満なんですよ。自治省は控え目に三分の二とこう言っておられますけれども、地方自治体は四分の三にしてくれ、こういう要望が強いのです。その辺ひとつ厚生大臣にもお伝え願いたいし、それから福田自治大臣にも、閣議の際いろいろあるでしょうから、せっかくあなたの方のまとまった意見ですから、中途半端なことじゃなくて、ぜひこれはがんばっていただきたい、これは要望だけしておきます。  それで、厚生省にちょっとお伺いしたいのですが、いわゆる人口の都市集中、こういう問題で、水資源の確保の問題や水質の問題も出てきた、あるいは広域運営の問題も出てきたわけですね。この広域運営で、実はいま問題になっている点があるのです。  宮城県で、先ほど申し上げた白石川のダムをつくって、その沿川市町村にずっと上水を配る。その場合、いわゆる県営にして各市町村に原水を供給するのか、それとも上水を一括して供給するのか、これは大分議論があるのですね。ところがネックは水道法で、いわゆる原水供給は水道法ではないわけですね。その辺で、法改正すべきだという意見と、いや法改正なんかやらないで、むだなことは省いて、宮城県自体がいわゆる上水化して市町村に配った方が合理的じゃないか、こういう意見もあるわけです。その辺、厚生省としてはどちらが合理的だと考えていらっしゃるのか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  138. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  その話は、かつて、県と申しますか地元の関係市町村の方からも話がございましたので、承知しております。  私どもといたしましては、その法律改正云々の話は別といたしまして、この種の施設整備計画を立てます場合に何と申しましても第一義的に考えたいことは、コストを可及的に下げるといいますか、できるだけ安くしたいということが念願でございます。もちろん、その水道事業自体が、個々の市町村ごとに建設され経営されてきたという歴史的な背景がございますので、実際問題としてはなかなか、そこらがうまくいくかどうか異論のあるところかもわかりませんけれども、伝え聞くところでは、県はいわゆる原水供給という形で供給したい。関係市町村は、原水のまま受けますと、当然のことながら各市町村ごとにあるいは数グループに分けて多数の浄水場をつくらなければならないということが予想されるわけでございます。そういたしますと、実際問題としてコストがかなり高くなるだろうということが想像されます。また同時に、建設後の浄水場の運営管理、そのために必要な技術者の確保、諸経費の増高と申しますか、その他もろもろの問題があると思いますので、特別な地理的あるいは地域的条件がない限りは、いわゆる水道用水供給事業の形で事業が行われることが合理的でありコストも低くできる方法ではないかということを原則的に考えております。若干の市町村の方の申し出もございまして、そこらを真剣にお考えになったらどうでしょうかということも一応私ども伝えてありますけれども、私どもの考え方としてはそういう方向をとっていきたいというように、現在のところ考えております。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 私も、いまあなたのおっしゃった考え方の方が合理的だろうとは思うのです。ところが、ここに一つネックがあるのです。宮城県当局は大崎の広域水道というのはやりましたが、これは上水供給をやるという方向ですね。ところが、この白石川のダムの場合は非常にコストバールだ、資金がかかるという問題があるのです。  いま宮城県の県財政状況を見ますと、まさに財政欠陥もありまして、六月には補正予算を全然計上できないような窮迫状態にあるわけです。非常に財政難なんです。この辺がやはり、宮城県当局がいわゆる上水供給に足踏みをしている一つの原因になろうかと思うのです。だから、あなたのおっしゃるこの合理的な考え方を進めるとなると、やはり県当局の財源問題ですね、まあ財源といったって、一般的に全部の財源を見てやれなんて言いませんけれども、事このダム建設に関する財源対策、この辺がやはり必要になると思うのです。  それで、これは生活環境審議会の答申にもあるし、また水道協会の意見の中にもあるわけですが、浄水場をつくるについての国庫補助は一体何ぼつくのか、あるいは導水管についてはどれくらいつくのか、この辺のめんどうを十分見てやらないと、あなたの言うこの合理的な考え方はやはり通らなくなって、中途半端になるのじゃないかと思うのです。だから、その点でこの広域水道に対する抜本的な対策、これも考える時点になっているのじゃないかと私は思うのですが、その抜本策、これがどうも、先ほどの御答弁では大変抽象的なんですね。もっと具体的なお考えを聞かしてもらいたいと思うのですが、その辺ひとつ。
  140. 国川建二

    ○国川説明員 お答えします。  水道の中の問題は、その水源のみならず、まさにいま先生がおっしゃったような広域化と申しますか、これが抜本的な水対策、水道用水確保対策であり、配分対策であり、合理的な方向だと思います。したがって、水源確保もさることながら、当然、水道広域化事業に対しても、先ほどの水源補助と同様に、実は昭和四十二年度から補助制度ができておるわけでございます。現在、数市町村にまたがって広域的に行われます広域水道につきましては、補助率は一応四分の一という形で、導水施設あるいは浄水施設あるいは送水施設等につきましても補助の対象といたしているわけでございます。先ほどの自治省の通牒と申しますか要望の中にも、そういう点は当然含まれていると私は思いますし、私どもといたしましても、この種の事業について今後さらにそれを強化する方向で進むべきである、あるいはそういうことが必要だろうということは十分考えておりまして、水源とあわせて今後さらに積極的な施策を講じていきたいと思っております。
  141. 庄司幸助

    ○庄司委員 それからもう一つ伺っておきたいのですが、先ほど、水源費の補助は三分の一から三分の二にしてくれという自治省の要望ですね。これは、水道協会その他市町村、自治体の方では四分の三にしていただきたい、これはぜひ頭に入れておいていただきたいと思うのです。それから、この広域化対策あるいは浄水場の施設の問題、現在四分の一ですが、これも二分の一補助にしてもらいたい、これも強い要望なんです。その辺、時間の関係でこの問題だけやっているわけにはまいりませんから、あなたもいま御答弁になったように、これはぜひ前向きに抜本的な方向で解決していただきたい。自治大臣におかれても、この面の実現のため、きょうは厚生省の事務官の方しか出ておられませんから、ぜひ厚生大臣にもよくお伝え願いたいと思うのです。  それから、もう一つお伺いしたいのは法改正の問題です。これは厚生省関係になるだろうと思いますが、先ほど、いわゆる原水供給の問題での法改正の問題にちょっと触れましたけれども、生活環境審議会やあるいは水道協会の意見の中に、現行水道法、これは事業は一切市町村などの企業体に任せて、その基準を定めるだけのものだ。その点で、水源開発の問題であるとか広域化の問題になりますと、一つの自治体のできる限界を超えているわけですね。それから水資源の効率的な利用、こういう点から言っても、国みずからが必要な責任を分担していく計画が必要だ、こう両者が言っているわけです。  その内容としては、一つは国の責務を明示する、あるいは長期需給計画を立てる。それから水資源開発、広域化、汚濁対策、これの国の責任と負担制度。あるいは生活用水の料金、この管理費を負担して、低廉、全国平準化のため公費の導入、こういう点で法改正の必要を要望しているわけですが、その点で厚生省として、現行水道法の、こういった意味合いも加味して、法改正を検討されておられるのかどうか、検討されておられるとすれば大体どの辺で法案化されて国会にかけられるのか、その辺ひとつ、簡単で結構ですからお伺いします。
  142. 国川建二

    ○国川説明員 水道事業をめぐります問題は、先ほど来お話がございましたように、環境条件が大変変わってきておりまして、現在の水道法は、御指摘のように規制法と申しますか、それぞれの市町村事業法という形で構成され、それなりに水道事業の発展に十分尽くしてきたことが考えられるわけでございますけれども、環境条件の悪化とともに水源や水質の問題、たくさん出てきておりますし、さらには普及率と申しますか、水道の利用者も非常に高いレベルになってきた。そういう現状を踏まえまして、関係の事業体あるいは地方公共団体等の御要望がございますので、私ども、ただいまいろいろ勉強中でございます。将来を目指しましてどういう対応策を立てることが最も適切であるかということで、ただいま勉強しておる段階でございまして、内容等につきましてはまだ十分詰まっていないわけでございます。そういうものが結論を得次第、所要の部分については改正といいますか、そういうことも十分考えていきたい、このように思っております。
  143. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは念のため伺っておきますが、法改正を前提にして勉強中なのか、勉強中というのは検討中という意味なのか、その辺、もう一言ひとつ。
  144. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  当然、所要の部分については改正を考えまして勉強しておることでございます。
  145. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは次に、今度は自治省に伺いますが、起債の問題を伺います。  水道事業当局、これは全国どこでもですが、大都市の場合は特に企業債の償還期限の問題、これが大分話題になって、償還期限の延長をひとつ措置してくれないか。設備の耐用年数が何か四十年なそうですか、現行は三十年の償還期間のようです。これを耐用年数に見合って四十年に延ばしていただきたいというのが自治体の要望なんですね。  それから公営企業金融公庫の償還期限、これをせめて現行の政府資金並みの三十年に延ばしてもらうと、いわゆる元利償還の部分が少なくなって、相当財政圧迫を救っていくという要望があるわけです。この辺、自治省当局で御検討になっているのかどうか。御検討になっているとすれば、大体どれぐらい償還期限の延長を考えておられるのか、これをひとつお答えを願いたいと思います。
  146. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま先生の御指摘でございますが、自治省といたしましても先生の御指摘の方向を考えておるわけでございまして、できるだけ償還期限を延ばしたいということでこれまでも努力をしてきております。  これまでも起債の償還、それぞれの事業につきまして必ず一年に二つ三つずつは手直しをしてまいってきておりますが、政府資金が、どのようなものについても三十年以上認めないというのが現在の基本的な大蔵省の態度でございます。そこに一つのネックがあるわけでございます。われわれとしては、三十年の壁をどうやって突き破るかということに腐心をしておるのが現在の段階でございます。したがって、政府資金が延びれば当然公庫の方も延ばすという形になると思います。われわれとしては大蔵省に向かいまして、償却年数と合わせるということを基本に置きながら逐次償還年限を延ばしていくという努力を今後も続けてまいりたいと思っております。  ここから先生にお願いするわけでございますが、ひとつ私どもの御支援の方もお願いをいたしたいと思います。
  147. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは大いに御支援いたしましょう。  それで大臣、これは大臣の腕に相当かかると思うのですが、大蔵省の壁を突破するとなれば、これは大臣です。大臣の御決意をひとつお伺いしたいと思います。
  148. 福田一

    福田(一)国務大臣 この問題は大変むずかしい問題だと思います。しかし、御指摘の点も考慮いたしまして努力をいたしたいと思います。  ただ、その場合、先ほどちょっと途中でお答えをしょうかと思ったのですが、これから新しい家を建てたような場合の水道管の布設ですね、こういうようなものは私は相当権利金を取る。いままでの人が新しく入ってきた人のおかげで高い水道料を払わなければならぬというのもおかしなものだし、人口を余りどんどんふやすということもこれからもう考えなければいかぬと思うので新規の水道布設などをする家を建てた場合などには、鉛管一本で幾らとかなんとかいうようなことも考慮していいのではないか、水道問題については私はそういう考え方も持っておることを、あわせてお答えをさせておいていただきます。
  149. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは大臣、その点でもうちょっと厳密に見る必要があると思います。  大都市の場合、最近ビルがどんどん建っております。このビルのいわゆるトイレの水だけでも相当の量なんですね。こういうビルについて特段の考慮を払わないと、やはり大変な問題だろうと思うのです。あのいわゆる建て売り住宅を長い間の借金で買ったとか建てたとかいうような方、この人をいじめるよりは、このビルをいじめた方がずっと効率的だと私は思うのです。いじめるというと語弊がありますけれどもね。  それで、あともう一つお伺いしたいのは、いまの企業債なりあるいは公庫資金、この利率の問題ですが、どうもこれが四十八年以来、経済情勢を反映してどんどん高くなっているわけですね。せめて公庫の利息ぐらい政府資金並みにできないのか。現在政府資金は八%だろうと私は思いますけれども、公庫資金は八・二と聞いておりますが、これは当面のあれですが、政府資金並みの八にできないかという問題。それから、政府資金について言うならば、もう少し水道問題については下げてやる必要があろうかと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
  150. 松浦功

    ○松浦説明員 政府資金の現在の八分という利率は、これは全体の金融情勢から来ている問題で、金融情勢が緩んでまいりますれば、昔は六・五という時代もあったわけでございますから、これは浮動するものと思っております。しかも、その金利の問題については、仮に現在の八分というものを前提に置いて七分に下げてやるというには、一部分だけ国庫が負担しなければならないという問題が出てまいりますから、自治省だけでどうこうお答え申し上げられる筋合いの問題ではなくなってくるかと思うのです。  公庫の問題につきましては、資金コストはもっと高いのでございますけれども、ギャンブル収入と国からの補給金、これを合わせて薄めて、やっと八分二厘までできておるわけでございます。それ以上の対策をとるということになりますと、また財源をどこかに求めなければ不可能だという形になってまいるわけでございます。現在すぐ、八分二厘を八分にするというようなことは、実行はとうてい不可能であるというふうに考えます。
  151. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に、例の高料金対策ですが、この繰り出し金を出す場合、三つ要件がありますね。資本費が十八円以上であるとかあるいは給水原価が七十円以上であるとか、それから家庭用料金が四十円以上ですか、この三つ全部満たさないといわゆる繰り出し金の対象にならない、こういう問題があるわけですが、いま自治体の要望は、この三要件のうち一つでも該当すれば繰り出し金の適用を許してもらいたい、こういう熱望があるのです。あわせて、この二分の一を交付税の対象にする、こう言っておりますが、全額交付税の対象にしてもらいたい、こう言っているわけです。その辺、最後にお伺いしたいと思います。  なお、大臣にちょっと、冒頭誤解があったようなんで申し上げておきますが、私はおたくの方に、数字の問題その他は前もってお伺いしてあるわけです。何か意地悪しているように受け取られて私も心外なんですが、決してそういうことはございませんので、ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  152. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいまの交付税措置の問題でございますが、交付税措置をするわけでございますから、相当いろいろと条件をしぼっておきませんと、ほかの地方公共団体に回るべきものがそこへ回るという形になるわけでございます。私どもとしては、余り条件を緩めてしまってむやみやたらにそこへ金が出ていくということになりますと、そうでない団体の措置が緩くなってくるという問題も考え合わせ、三つの要件を重ねて満たしておるところだけに配るという考え方でございます。しかも、この問題を二分の一から全額にしたらどうかということでございますが、自分の負担がございませんと、何と申しますか、非常に荒っぽいことになりかねないという心配もございますので、二分の一にしておるわけでございます。この辺のところは、いずれにしても地方団体共有の財源の分け合いの問題でございますので、特定の団体の御主張だけを取り入れるということになりますと、御主張のない団体の方から減ずってこなければならないという問題になりますので、現在のやり方がまあまあ妥当な線ではなかろうかというふうに私どもとしては理解しておるところでございます。
  153. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  154. 森下元晴

    森下委員長代理 坂井弘一君。
  155. 坂井弘一

    ○坂井委員 国や公共機関が民有地を買収いたしまして、そこに道路をつくるとか、あるいは公共的な施設を設ける、そうした場合に、この買収をめぐりましてさまざまな問題が提起されております。中には、きわめて好ましからざる事例もしばしば見受けられるようでございます。特に、買収をしようとするその対象の土地が農地である場合、農地法その他の関係法令等からこれを無視するような形で買収が行われる。当座は当事者間で一応まあまあということで話し合いができまして、それでもって全く法律根拠に基づかない形のままに買収がされてしまうというような場合、事後においでこれが大きなトラブルの原因になっておる。そのような、これまた、まことに好ましくない例等もございます。  そこで、本日は、北海道開発庁長官たる福田国務大臣が御出席でございますので、北海道内の問題に限って具体的な事例を指摘しつつ、当局の明確なる御判断、見解を示し、この問題に対する解決をお願いいたしたい。事前にそのことを特に要望いたしまして、質問に入りたいと思います。  北海道内でございますが、開拓線道路がたくさんございます。その中に今日なお大量の未買収地、つまり、現在すでに開拓道路でもって完成されております国有の道路、その中に、買収されないまま民有地が残っておる。それが非常に多くの数に上っておるということであります。  具体的な事例として、室蘭市の厚真町地区内、ここに厚南開拓線というのがございます。これは一例として、この厚南開拓線について私どもの調査をいたしました。非常に驚きました。すでに北海道開発庁においてもよく御存じのところでございますから、お尋ねをしてまいりたいと思いますが、この厚南開拓線の未買収地、つまり未処理用地であります。なぜ今日そのような未買収地が残っておるかということについて、経緯につきまして御説明をいただきたいと思います。
  156. 黒田晃

    ○黒田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の厚南開拓道路でございますけれども、これは当時厚真町の地内におきまして、道営のパイロット事業ということで開拓を始めたわけでございます。その中を通る道路でございまして、その開拓地の中で道路の整備が非常におくれておるということで、延長十一キロにわたりまして開拓道路をつくったということでございまして、これがちょうど四十年に施工にかかりまして、四十二年と、だから十一キロメートルを三年間で施工したというような道路でございます。  ただいま、いわゆる未買収地があるという御指摘でございますが、当時三年間でやるというような突貫工事でございますし、また、当時の農業の従事者あるいは町当局から強い要請によって開拓道路として取り上げられた道路でございまして、非常に急ぐということで、その間いろいろのそごがあったのではなかろうかというように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、非常に突貫工事であるということで、その当時としてはやむを得なかったのじゃないかというように考えておりますけれども、先生御指摘のような事実があるということは現実にあるわけでございまして、その点につきましては非常に遺憾に思うわけでございます。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的な内容につきまして明らかにしていただきたいと思いますが、この厚南開拓線の総面積及びこの買収の関係者何名、その中で未買収の面積及び未買収の対象者は何名でしょうか。
  158. 黒田晃

    ○黒田説明員 お答えいたします。  買収の該当の総面積が約十六万六千平方メートルでございます。そのうち未買収として未処理のものが一万七千平方メートル、約一割でございます。その関係者は全体数で八十名でございまして、未買収地に関係する者は三十三名ということになっております。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 買収されたものにつきましては一応おきましょう。未買収につきましては約一割の一万七千平方メートル、関係者は三十三名ということでございますが、この未買収の分につきましては、土地所有者との間の売買契約についてはいかがなっているでしょうか。
  160. 黒田晃

    ○黒田説明員 売買契約と申しますか、先ほど申し上げましたように、三年間でやらなければならないという突貫工事であるということで、当時の関係者と、いわゆる私どもが起工承諾という形で呼んでおりますけれども、工事にはかかってよろしい、後でそういう補償の問題は話をしましょうというようなことで、当時の町長さんが仲に入っていただきまして、起工承諾の形で工事が行われたというように聞いておりまして、売買契約は行われていないわけです。
  161. 坂井弘一

    ○坂井委員 町長を介しまして、口頭によって起工の承諾を得た、そして売買契約は結ばれていない、そういう形の中で、すでにこの幹線道路の建設が行われてしまった。したがって、契約もしていないわけですから当然買収費は支払われていない、こういうことになろうかと思いますが、これの取得費、買収費はどれくらい見積もっておられるでしょうか。
  162. 黒田晃

    ○黒田説明員 事業実施に関しましては、主務大臣が建設大臣になっておりまして、どれだけ事業の中に見積もっておるかということはつまびらかではございません。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 国が金を払わないで民有地をそのまま道路にしてしまった、端的に申し上げますと、そういうことになろうと思います。この問題、後ほど触れるとしまして、なお一点お尋ねしておきたいことがございます。  所有者が全然わからない、不明である、そういう理由でもって、もちろん売買契約もしなければ買収費も払わないという形のままで、これを道路にしてしまった、そういうものはございませんか。調査の段階で相手がわからないままに道路になってしまった、そういうものがあるかないか、お伺いしたい。
  164. 黒田晃

    ○黒田説明員 いま厚真の厚南の道路の問題に限ってのお話だろうと思いますけれども、厚南道路に関しまして私どもいろいろ現地の方等に調査をしておるわけでございますけれども、厚南道路に関しましては、所在が不明であるということではっきりしておる件数はないように聞いております。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは後ほど、全体の開拓道路について同じ趣旨のことをお尋ねするといたしまして、この厚南開拓線道路建設に際しまして、この法的根拠といたしましては道路法、及び国営、道営のパイロットを通る農業用地の幹線道路でございますから当然農地法が適用されるはずでございますが、道路法及び特に農地法との関係はいかがなっておりますか。
  166. 黒田晃

    ○黒田説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる開拓道路をつくっておるわけでございまして、これは北海道と内地とちょっと事情が違いまして、内地の場合にはいわゆる開拓道路として、農林省所管事業としてやっておる。北海道におきましては開拓道路が、いわゆる建設省所管といいますか、そういう形で行われておるわけでございます。したがいまして、北海道におきましては道路法に基づいていろいろなことを行うということでございまして、道路の建設に関しましては農地法とは余り関係がないんじゃないだろうかと思います。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 実は、農地法七十三条には全然関係ございませんかという趣旨の質問をいたしているわけであります。つまり農地法七十三条は「売り渡した土地等の処分の制限」条項であります。つまり「売り渡された土地等の売渡通知書に記載された第六十七条第一項第六号の時期到来後三年を経過する前にその土地等の所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、又は移転する場合には、省令で定めるところにより、当事者が農林大臣の許可を受けなければならない。」つまり七十三条は、いま言いました内容のとおり「売り渡した土地等の処分の制限」条項でありまして、大臣の許可を必要とするはずであります。農林大臣の許可を得ておりますか、いかがでしょうか。
  168. 黒田晃

    ○黒田説明員 先ほどもお話し申し上げましたように、これは内地と違いまして建設省所管の開拓道路。で、開拓道路ということになりますと、一般的な感じとしては農林省所管だという形になるわけでございますが、そういうような一つの建設所管あるいは農林所管というような、いわゆる開拓道路という名前のもとでそういう錯誤といいますか勘違いといいますか、そういうようなことが当時としては一部あったのではなかろうか、これは定かでございません。したがいまして、当時におきましては農地法の手続はされていないように聞いております。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 農地法七十三条の手続を踏まないで、もちろん売買契約もしない、したがって買収費も支払わない、そういう形のままでこの道路になった部分、それがどれだけあるかということについて把握はされておりませんか。
  170. 黒田晃

    ○黒田説明員 先ほど約一万七千平方メートルという数字を申し上げましたが、これが大部分当時の開拓地の中に入っておる面積だろうと思います。
  171. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ確認いたしますが、その一万七千平方メートルの大部分が七十三条の手続を踏まないものである、こう理解してよろしゅうございますか。
  172. 黒田晃

    ○黒田説明員 そのうちの大部分であるかどうかということは、現在ちょっと私も承知していないわけでございまして、いろいろなそういう手続が踏まれていないというようなことは御指摘のとおりでございますけれども、それがどれくらいのパーセンテージ、割合になるかということは、いまちょっとつまびらかにしておりません。
  173. 坂井弘一

    ○坂井委員 北海道開発庁から北海道庁に、よくその実情につきまして調査されるなり事情をお聞きするなりして、いまの点について把握をされるという意思はおありですか、どうですか。
  174. 黒田晃

    ○黒田説明員 これから実際にいろいろなそういう解決の問題があるわけでございますが、その中で十分検討をしてまいりたいと思っております。
  175. 坂井弘一

    ○坂井委員 厚南開拓道路だけじゃございません。後ほど触れますが、ずいぶんたくさんあるわけなんです。こういう形のままで今日まで放置されておるということは一これはもうまことに遺憾であると私は言わざるを得ないだろうと思う。したがって、私は、この厚南開拓道路を具体的な一つの例としていま申し上げておるわけでございます。当然、そういう実情というものがわかったならば、いち早くその実態につきまして調査をされてしかるべきである。これは後ほど大臣から御答弁をちょうだいいたしたいと思います。  いずれにしろ、そういう形で、現在この開拓道路が国有財産道路となっておるわけでございます。にもかかわらず、その中に民有地が存在する、契約はしていない、農地法七十三条の手続はもちろん踏まない、金も払っていない、そういう実態があるということ、これは単に農地法七十三条の問題だけではなくて、たとえば憲法二十九条で言いますところの財産権の問題、あるいは民法七百九条に示されますところの不法行為の問題等々からいたしましても、そうした法律に基づかない行為、これが現実の問題として今日なおあるという事態、これを一体どう見るか。きわめて私は納得できない。これをいま北海道開発庁では、当時はそういう状態であったのだから、つまり、非常に強い要請がありましたということ、それから二、三年間でやってしまわなければならぬという突貫工事であったということ、したがって、そういう状況、状態の中から事務手続がはなはだ複雑であるので、これを正確に法律に基づく手続を踏むことができなかったのだという答弁が、先ほどございました。事情は事情といたしましても、なおこのような状態が今日残されておるということを私は指摘しているわけでございますので、率直にお答えいただきたいと思いますが、そうした法律条項等から見まして、北海道開発庁はこれをもうやむを得ないという判断をしているのか。私ははなはだ納得できませんので、納得できない、つまりこのようなことばよろしくないのだという、まず基本的な開発庁のお考えを聞きませんと、この質問は前に進みません。その点について明確にお答えをいただきたいと思う。
  176. 黒田晃

    ○黒田説明員 冒頭に申し上げましたように、当時はいろいろな事情があるにいたしましても、現実にそういう問題が今日まで及んでおるということについてはまことに遺憾であるということでございます。
  177. 坂井弘一

    ○坂井委員 会計検査院にお尋ねをいたしたいと思います。  私がいままで申し上げ、やりとりのあったとおりでございますが、こういう状況を聞かれまして、会計検査院は率直にどのような見解を持たれますか、お示しをいただきたいと思います。
  178. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 お答え申し上げます。  北海道の開拓道路につきましてその用地の処理が非常におくれておりますことは、先ほど来開発庁の方からも御説明がございましたように、いろいろな事情があったと思いますが、いずれにいたしましても、このように長期間未処理のままとなっている事態が多いことは、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましてもまことに遺憾であると存じ上げている次第でございます。  それから、これの今後の処理でございますが、私どもが伺っております範囲では、開発庁当局も今後関係機関と協議を重ねた上で速やかに処理をしたいというふうな御報告を承っておりますが、私どもといたしましても、今後その推移を見守って、関係予算が執行の段階に入りました時点で慎重に検査を進めてまいりたい、かように考えております。  なお、先ほど先生が例示されました厚南町の件でございますが、これにつきましては、私どもの方では、開発庁当局で昭和四十七年七月以降関係者と折衝を重ねておられ、その後も解決の努力をされている、そのように承知いたしておりますが、私どもといたしましては、もう少し早い段階、早い時期にそういった処理に着手しておられれば、先ほど先生が御指摘になったような事態はあるいは生じなかったのではないか、かように考えております。
  179. 坂井弘一

    ○坂井委員 開発庁にお尋ねをいたします。  これは一方におきましては、会計法あるいは予決令から見ましても、当然行政の責任であることは言うまでもありません。ただ、いま指摘いたしますように、今日このような状態が事実なおあるということ、それで、この問題をしからば今後どう解決するかということが、まさに開発庁に課せられた課題であろうと思う。したがって、きわめて慎重にとか、十分この調査をしてとかいうようなことを、あらかじめ申し上げて大変恐縮だが、開発庁はおっしゃるんだろうと思うが、しかし問題は、こうした法律根拠に基づかないで、言うなれば、結果的には民有地を取り込んでしまった、金を払わない、これに対しては当然金は払うべきであります。どのような形で買収費を支払うのか、その場合に法律的な隘路があるのかないのか、もしありとするならば、どういう手続あるいは措置等に基づいて支払いをするのか、そうした点をさらに具体的に今後の解決策としてお伺いをしておきたいと思います。いかがでしょうか。
  180. 黒田晃

    ○黒田説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど会計検査院からもお話がございましたように、いわゆる事業実施官庁でございます建設省と十分相談いたしまして、十分な措置を行いたいと思っております。
  181. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも、大臣にお伺いしませんと結論が出ないようであります。  十分相談いたしまして——相談って何を相談するのか。実はここには大変な問題が内在している。法律的なそうした手続を踏まないことの不合理さ、あるいはそのような無視の形でもって行われた行為が今日許されるはずはない。しかも、このことにつきましては、事後処理は非常にむずかしい。かといって、このままほっておくわけにはまいらぬ。さまざまなむずかしさがあることは私は百も承知の上でお尋ねをしているわけであります。  なぜかならば、いま申し上げましたのはそのうちの厚南開拓道路たった一つだけ申し上げたわけでありまして、たくさんあるのです。北海道開発庁の使命としまして、北海道の開発ということを一つの大きな目的といたしまして、そして、よりよい北海道に——よくわかります。ずいぶん御苦労もされておられるでしょうことも承知をいたしております。しかし、このような形で開発がどんどん行われていったということになりますと、これは全く無法地帯、極言かもしれませんけれども、そう言わざるを得ない。  なお、全体のことについてお尋ねをいたしますが、ほかにも相当数、未買収としてのいわゆる未処理地、これがございます。すでに道路になった部分です。これを部局別に路線数、筆数、それから面積、これだけ明らかにしていただきたいと思います。
  182. 黒田晃

    ○黒田説明員 まず、現在までにはっきりとわかっておる点について申し上げますと、全体で開拓道路の未処理用地といたしまして百八路線ございまして、筆数にして約二千五百筆、面積にいたしまして五百万平方メートルでございます。そのほかに、現在調査中のものが五十六路線ございます。
  183. 坂井弘一

    ○坂井委員 調査をいたしました。トータルといたしましてはいまお述べになったとおりでありますが、部局別には札幌、小樽、函館、室蘭、旭川等々十部局にわたっております。それぞれにあるということであります。  この取得費の総額につきましては三億七千六百三十七万三千円、こう出ております。これが取得した分でいわゆる金を払わないままに道路になったという部分ですね。  それから、後段述べられました五十六路線というのは、これは全く相手方はわからぬ、いま調査の段階でわかったのが五十六、相手方のわからないままに道路になってしまったという路線が五十六ある、こういう意味でしょうか。
  184. 黒田晃

    ○黒田説明員 五十六路線と申しますのは、まだ未処理用地がある路線の数でございます。
  185. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは大臣にお伺いいたしますが、いままで申し上げてまいりましたように、農地法その他法律に基づかないで民有地が国有地になってしまった、道路になってしまった。それがいま御答弁にありましたように、北海道全体で見ますと未処理用地が五百四万六千二百四十七平方メートル、非常に多量なものであります。調査段階がそのほか五十六路線もある、こういうわけであります。こうした実態があるということを十分ひとつ御認識していただきまして、すべからく、行政というものは法律にその根拠を置くわけであります。法律の根拠がなくて、あるいはそれを無視した形で行われたということ、これはきわめて納得もいかないし、また、そのようなことが今日なおあるということ自体非常に恥じなければならないとも思うし、同時にまた、この問題をどう解決するかという具体的なものをいま直ちに検討され、お持ちにならないと、こういう問題が昭和四十年、四十二年当時から今日まで延々と積み残されてきておる、あるいは積み重ねられてきておる。北海道の開発、開発庁の使命はこのようなものを現存しながら果たしてそれで全うされているかどうかというようなことに思いをいたしまして、担当大臣であるところの福田大臣のこの問題に対する具体的な認識と、そして解決ということにつきましてお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  186. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりました未処理地の問題につきましては、これは確かに法律を無視しておるという意味において大きな問題である、重大な問題であると私は考えます。したがいまして、開発庁といたしましても関係当局とよく連絡をとって、なるべく速やかに問題の解決を図るよう努力をいたしたいと存じます。こういうことが起きたのは、一つは緊急事態みたいなことを考えたので、恐らく悪意でやったのではないのではないかという感じもいたします。私、実ばいま初めてそのお話を聞いたので、どういう事情でこうなったかということもまだつまびらかにいたしておりませんが、いずれにしても、未買収地を国が勝手に使っているという姿は、決して正しい姿だとは私は思いません。したがって、今後速やかにその処理に努力いたしたいと考えております。
  187. 坂井弘一

    ○坂井委員 長官の御答弁でございますので、そのまま素直に私もいただいておきます。  問題解決、速やかにということでございますので、農林省あるいは建設省等も関係があるやと思いますけれども、早急にひとつ御協議されまして、具体的に早く解決をされますように強く要望をいたしておきたいと思います。  大臣は御都合がおありだそうでございますから、あと政規法の問題を少し質問いたします。退席していただいて結構でございます。  選挙部長が御出席でございますので伺います。  政党あるいは協会その他の団体の収支報告でございますが、収支報告書の記載内容につきましては、政治資金規正法には明確に規定をいたしております。特に支出につきましてはその記載すべき内容がはっきりしておると思いますが、支出内容はどういう内容を具体的に記載するのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  188. 土屋佳照

    ○土屋説明員 政治資金支出につきましては、収支ともでございますが、一応私ども、施行規則でこれは定めてあるわけでございますが、その中身については、すべての項目について具体的に全部例示してあるわけではございませんで、支出の目的には支出の目的、種別、員数等を明記し、種別としては何代金、謝金、旅費云々といったような区別を明確に記載しようということになっておりまして、それぞれの団体によっていろいろ支出の方法は違うかと思いますけれども、具体的に個別に書くように一応考えて様式が定められておるわけでございます。
  189. 坂井弘一

    ○坂井委員 ここに自治省の選挙部の解説がございますけれども、支出につきましては、支出を受けた者の氏名、住所及び職業並びに支出の目的、金額及び年月日、これを記載すべしと、こういう解釈でございますが、このとおりでございますか。
  190. 土屋佳照

    ○土屋説明員 そのとおりでございます。
  191. 坂井弘一

    ○坂井委員 選挙部長にお尋ねしますけれども、この具体的な支出内容ですね、いまのような内容が記載されない、そういうままに届け出られた、報告があった、そういう事例が非常に多かろうと思うのですが、どう御認識されていらっしゃいますか。
  192. 土屋佳照

    ○土屋説明員 私の記憶では、大きな項目がございまして、その中で一応個別に私どもの方には全部届けられておりまして、大体領収書の写しというものも添えてきておるわけでございますので、一応個別には全部届けられておるというふうに私は認識しております。
  193. 坂井弘一

    ○坂井委員 相手方の氏名がないというのが多いですね。特に三号団体、政治団体から政治団体に対する支出あるいは政治団体からその団体構成員に対する支出、これは相手側が出てこないのですよ。たとえば何々会会員、こういう複数の名前で支出した、支出項目がですね、こういうのがいっぱいある。これは私どもの方でずいぶん調査研究をいたしました。今度のこの改正で、ありますかどうですか、いずれにしましても政規法が今後変わります。収支を明朗化、ガラス張り、公開という原則を取り入れていきましょう、非常にその点に関しては結構だとは思う。しかし、現行法と何ら変わりはないわけですね。いまのような形で支出されていきますと、金額はわかるけれども、どこへ出たのかさっぱりわからない。しかも今度はそれを受け入れる団体、まあ政治団体から政治団体に対する支出行為、その受け入れる方の政治団体、これが一体どういう名目で受け入れるのか、非常に混乱がある。この辺をはっきりいたしませんと、せっかく政治資金の金の動きというものをガラス張りにしていきましょう、えりも正しましょうという趣旨が生かされてこないということになるんではないか。したがって私、いまのような点についてお聞きしているわけでございます。  たとえばで申しましょう。三号団体があります。調査及び研究費、こういう名目で、ある団体が支出をした。金額が非常に大きいのですね。たとえば年間一億を超えています。ところが、支出した先というものは何々会会員である、こういう報告は、これでよろしいのかよろしくないのかということだけお伺いしたい。
  194. 土屋佳照

    ○土屋説明員 支出先等は、先ほどもお示しになったように、できるだけ明確にしなければなりませんので、何々会という団体に出す場合は、そこの責任者という人もおるわけですからこれはよろしいのですが、何々会員といったような個人になりますと、やはり氏名等をはっきりさしておく必要があるというふうに考えます。
  195. 坂井弘一

    ○坂井委員 明確であります。はっきりした御答弁をいただきましたので、そうした点につきましては、今後内容等についてよく見ていただきたい。そのような支出先が不明確であるというような政治団体の報告については、自治省としては、選挙部長としては厳重に監視していただきたい。これは要請をしておきたいと思います。御答弁ありましたら……。
  196. 土屋佳照

    ○土屋説明員 今回の改正につきましてもやはり同じように、支出につきましては、人件費とかどうとかといったような経常経費以外につきましては、支出を受けた者の氏名、住所、職業、支出の目的、金額、年月日というようなこと等ではっきり届け出よということでございます。  私もいままでいろいろな例を見てみたわけでございますが、ある程度やはり領収証をつけて、だれだれということがはっきりしておったように考えておりますが、いま御指摘のようなことが、あるいは私が見てないところにあるかもしれませんが、そういうことはあってはならないと思っておりますので、十分そういう点は届け出の際に注意をいたしたいというふうに考えております。
  197. 坂井弘一

    ○坂井委員 特に、政治団体から他の政治団体に支出がある場合、その支出名目が調査あるいは研究費あるいは組織活動費あるいは政治活動費等々さまざまなそういう事例が見られるわけでありますね。そういうような項目で支出されたものは全部これを寄付とみなすかどうかについての見解を承っておきたい。
  198. 土屋佳照

    ○土屋説明員 実態によっていろいろ違うことだろうと思います。と申しますのは、具体的な一つの調査を頼んで、その調査費として出したということになりますと、これは寄付というわけにはまいりますまいし、その個々のケースによってそれは違うだろうと思うのでございます。ただ、いまお示しのように、あるところが出しておるのに受け入れがないといったようなことはあってはならないことでございますし、そういった点が、私どもも二千に上る団体を、出した先まで一々チェックしていくような仕組みになっていないものでございますから、いま御指摘のような、受け入れ先がはっきりしてない、要するにクロスの関係を見てどうも不十分だという点があるいはあるのかもしれませんが、それ自体は——この政治団体自身も、真実であるという宣誓書までつけてお出しになるわけでございまして、団体自身に十分公正に正確に記帳していただくようにお願いしていきたいというふうに思っております。
  199. 坂井弘一

    ○坂井委員 なぜ私がそのようなことを申し上げているかと言いますと、いろいろな名目でもって支出がされるわけですね。ところが、今度は受け入れる方は、そういうことでありますと、収入項目が会費になったり、あるいは寄付金で受け入れている。出す方は、たとえば調査活動費で出す。受ける方は寄付金で受けている。金額も同じである。ある意味では非常に正直なんだ。だから、寄付金で出せば寄付金で受けられるでしょう。しかも、その出した方はどこが出したのだということははっきりします。出す方は支出項目の中に何々団体あるいは個人名であれば何の何某、これははっきりするでしょう。受け入れる方は、当然のこと、その金はその団体なり個人から受け入れました、金額もびしゃり、これで明朗です。  ところが、いろいろな名目で支出するのですよ。活動費、調査活動費、研究費、組織活動費、特に忠告をしておきたいと思う。警告を申し上げておきたいと思う。いまいろいろな政治団体があります。後援団体があります。そういう中で、団体から団体に対する金の流れがきわめて不明朗である、不明確である。そういう事例が、私が調査いたしました中に非常に多いということであります。したがって、いまのような点についてはっきりしませんと、せっかく国民環視の中において政規法がこれほどやかましく議論されてきました効果がだめになってしまっては何にもならないという意味で、実は申し上げているわけであります。ある場合には、いまのような事例ですね、政調費等で出して、受ける方は今度は寄付という形で受け入れている。とにかく非常に大きな混乱があるわけですね。現場現場の判断で適当に、都合のいいような解釈をしまして、それが出される、あるいは受け入れられる。御都合でそういう形のままに報告される。そういう例がありますので、特にそうした問題について万遺憾なきを期していただきたいという意味で申し上げたわけであります。  なお一点伺っておきます。  三号団体がございますが、その支部組織が二号あるいは一号団体になる要件は一体何でしょうか。一般論としてお伺いしておきたい。
  200. 土屋佳照

    ○土屋説明員 団体そのものがそれぞれ一、二号団体とか三号団体とかはっきりしている場合もございましょうが、いまお尋ねの点は、全国的な組織であっても、それがたとえばある府県に支部がある場合に、その支部はそこで活動するということになりますと二号団体という形で届けられる例はあろうかと存じます。
  201. 坂井弘一

    ○坂井委員 三号団体がございます。某三号団体。それが支部を幾つも持っておる。で、この親の三号団体からその支部の団体に金が出されておる。それで受け入れるわけですよ。同時にまた、それぞれの支部が他の団体からも金を受け入れているわけです。具体的に申しましたが、そういうような場合、それぞれの支部段階、支部組織も、二号団体、一号団体としての届け出の必要があるのではないか。つまり、届け出されないままに支部という形のものがいまいっぱいありまして、そういう形の中で金の流れというものがきわめて不明朗、不明確になっている例がありますのでお伺いしているわけでありますが、いまのような具体的な場合には、当然独立した政治団体として届け出の必要はあるのでしょう、私はそう思うのです。そういう角度でお尋ねしているわけであります。お答えいただきたいと思います。
  202. 土屋佳照

    ○土屋説明員 いま例をお示しいただいたわけでございますけれども、それぞれの支部がございまして、規約等で支部を置くということで、支部として独立して活動しております限り、それは府県の段階でございますと、当然に二号団体というかっこうで届けるべきであるというふうに考えております。
  203. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間もだんだん参ってきておるようでございますので、私は、本日はこの辺で質問を終わりたいと思います。  ただいま政規法に関係いたしまして、きわめて一般論といたしまして二点ばかりお尋ねをしておきました。いま私どもの調査した中にもずいぶん、いろんな具体的な問題がございます。それらが今後どのような形でどう改められていくのかというようなことについては十分監視をしてまいりたい、そのように実は思っております。したがいまして、自治省におきましては十分ひとつ御研究もされたいし、実態の調査もよくしていただきたい。機会を見まして、そうした点につきまして具体的な問題として質問をいたしたいと思います。  本日は、これで終わりたいと思います。
  204. 森下元晴

    森下委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十九分散会