○庄司
委員 これは、ユネスコの勧告や学術
会議の提案、ぜひ前向きにひとつ御検討願いたいと思います。これは要望しておきます。
実は学術
会議の問題、きょう総理府出ておりませんから余り論じたくはないのですが、これは閣僚の一人として
文部大臣に聞いていてもらいたいのです。
この
昭和五十
年度予算の総需要抑制に基づく節約ですね、これが示達されているわけですが、この中で外国旅費、これは二〇%削減の
対象になっている。それから
委員等の旅費が二〇%削減の
対象になっている。それから招聘外国人の滞在費、これは御招待したあれですね、この
予算はたったの百九十七万一千円だけなんですね、
予算が。これで国際的な学術交流、日本の学者が胸を張ってやれるような
予算か、こういうふうに私は痛感するのですよ。こんなお粗末な状況にしておいて、しかも湯川秀樹さんのようなああいうノーベル賞学者も出ているわけですが、非常に貧困な状況の中でいろいろ苦労しながらああいう業績を上げておられる。あるいは
新聞報道にある、ある学者のような世界的な
研究も、こういう貧困な条件の中からやはり出ているということですね。どれだけ学者の方々が苦労なすっているかという一例になるのじゃないかと思うのです。ぜひ、この問題、ひとつ閣議の際でも総理府長官と話し合われて、日本の学術
研究が世界にひけをとらないで、肩を伍して進めていける、その中で
研究者や学者が胸を張って
研究できる、つまらないことに時間をとられて心配したりしないでやれるようにしてやらないと、日本の科学は発展しないだろうと思うのですね。その点、ひとつ強く御要望申し上げておきます。
少し結論的なことになりますけれ
ども、実は今度の
新聞でいろいろ取りざたされている問題ですね、
経理面でやはり不正があってはならない。これは私もそう思います。しかし、
研究者が
研究に専念できないで、いわゆる外部からの
受託研究を受け入れたり、先ほどの御答弁の中で本務から外れるようなことまでやってみたり、あるいは各省庁間の
受託研究もあるわけですね。そういう専念ができない状況が客観的にあるのじゃないか。それから
経理の面でも、
文部大臣は先ほど、のんき者が相当いる。私も
大学におりましたから、そういう空気はわかるわけです、これは。たとえば解剖なんかした場合、大抵、清めの式と称して後で一杯やるなんということが、これは通例になっていますね。ところが、そういうものは
予算はないんですね。どこかで酒一升買ってきて飲んだなんというのも、これは
経理面で何ともできないという
実態もあるだろうと思うのです。
それから今度は、
大学院生のいわゆる学会派遣旅費、これは
文部省の昨年の
通達でだめになった。認められないということになったため、
教官が非常に苦労なすっている。若手を育てるといみじくも
文部大臣おっしゃいましたが、これはやはり院生ですね、博士過程、修士過程いろいろありますが、そういう人を学会の生の空気に触れさせて育てていくということ、大事なんですね。そのため
教官がどういう苦労をしているかというと、飛行機の旅費が出たのを、院生の旅費に充てるために汽車で行く、夜汽車で行く。あるいはホテルに泊るところを夜汽車で行って車中泊で済まして、ホテル分の旅費をもらってこれを院生の旅費に充てるというような苦労をなすっているんです、これは実際。
それから、この
研究費の問題でも、
年度末には必ず打ち切られる。継続
研究もあるでしょうがね。そういうものが
年度末打ち切りだ、何とかかっこうをつけなくてはならないということで、おかしな
経理操作をやってみたくなるような気が起きる。それで、
経理と
教官の間でその辺が、これは長い伝統で意思疎通をしている場合もあるでしょうし、そういうこともあるのです。だから、もしこういう問題まで、今度の
事件を契機にしていろいろあばき立てられる。
会計検査院が今度はそういう点でウの目タカの目で
大学当局を
検査していくということになると、もう足がすくんで
研究もできないというような、気の弱い学者の気分があるのですね。こんなことでは、日本の
研究というのは大変なことになると思うのですよ。
経理の不正は不正で、やはりこれは正さなければなりませんけれ
ども、何が学者、
研究者をこういう状況に追い込んでいるのかという点も、やはり
考えてみなくちゃならない重要な課題じゃないかと思うのですね。
〔森下
委員長代理退席、
委員長着席〕
まあ私は、当該
事件については余り触れたくありませんが、しかし、具体的な御答弁の中で処罰もほのめかされたわけですね。実際悪いことをすれば処罰されるのは当然ですから、それはやむを得ませんが、しかし、こういう処罰者を出すような背景が、これは
官房長もおっしゃったような背景があるのですね。だから、こういう
研究者がその
新聞報道にあるような
事態に陥っている
事態、これはひとつ
文部大臣、他人事のように見ちゃならないだろうと思うのですね。やはり身内の問題なんです。私は、
文部大臣の任務は、まさにこういう
研究者、それがいろいろな繁雑なやりくりなどをやらなくて済むように、このやりくりから解放して、日本の
研究者が本来の
研究に専念できるような仕組みをつくって、
予算的にも、旅費の面でいま申し上げましたが、やはり裏づける、
研究費でも裏づける、ここが一番大事な点じゃないかと思うのですね。この
事件の反省として、
一つは御本人にもモラルの問題で
考えてもらうと同時に、やはり文部
当局、われわれとしても、この辺の反省が必要じゃないかと思うのですね。そして同時に、日本の科学者が世界の水準に追いつき、追い越していく努力をしている、これをやはり正しく評価して伸ばしていくこと、これが大事な点じゃないかと思うわけです。とにかく、この
事件で一番ショックを受けているのは、いわゆるやりくりというと語弊がありますが、のんき坊主でいろいろやってきた方も相当いらっしゃると思うのです、そういう方が一番ショックを受けて、これじゃもううっかり
研究もできないと言われる気分が出てくるのが一番こわいわけですね。その点で、いま私るる申し上げましたが、
文部大臣から今後の
改善方向、処罰処罰とだけ言わないで、こういった
実態の奥にあるもの、この点についての
文部大臣の
考え方、これをひとつ端的にお
伺いして、私の質問を終わりたいと思うのです。