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1975-06-20 第75回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十日(金曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       三池  信君    高田 富之君       安井 吉典君    青柳 盛雄君       坂井 弘一君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         防衛庁装備局長 山口 衛一君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         通商産業審議官 天谷 直弘君         通商産業大臣官         房会計課長   川原 能雄君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君         通商産業省機械         情報産業局長  森口 八郎君         工業技術院長  松本 敬信君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第四局長  桜木 拳一君         中小企業金融公         庫副総裁    荒井  勇君         中小企業信用保         険公庫総裁   近藤 止文君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   田代 文久君     青柳 盛雄君 同日  辞任         補欠選任   青柳 盛雄君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。河本通商産業大臣
  3. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十七年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。  昭和四十七年度通商産業省主管歳入予算額は四十三億九千五百三万円余でありますが、収納済歳入額は五十三億一千九百十六万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと九億二千四百十二万円余の増加となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計に係る四十六年度納付予定金の一部を四十七年度納付したこと等によるものでございます。  次に、歳出につきましては、当初予算額は一千六百三十二億五千七百十九万円余でありますが、予算補正追加額七十三億七千六百四十二万円余、予算補正修正減少額十五億五千百三十七万円余、総理府等省庁所管から移しかえを受けた額五十四億一千四百八十一万円余、前年度からの繰越額二十一億七千三百五十六万円余、予備費使用額六十億二千九百九十五万円余の増減がございましたので、歳出予算現額は一千八百二十七億五十六万円余となっております。  これに対しまして支出済歳出額は一千六百三十七億四千三百二十三万円余でありまして、その主なものといたしまして、中小企業対策費五百六十二億四千六百十九万円余、技術振興関係費二百九十七億一千七百二十万円余、貿易振興及び経済協力費百二十三億八百八十七万円余、公共事業費百四十六億一千二百八十八万円余等となっております。  この支出済歳出額歳出予算現額と比較いたしますと、百八十九億五千七百三十三万円余の差額となっておりまして、その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は百六十一億二千三百三十九万円余でありまして、不用となりました額は二十八億三千三百九十四万円余となっております。  次に、当省所管の各特別会計決算について御説明いたします。  第一に、石炭及び石油対策特別会計でございます。  まず、石炭勘定でございます。四十七年度収納済歳入額は一千七十二億三千五百五十八万円余、支出済歳出額は九百五十三億四千四百五十四万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は百十八億九千百三万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二十五億七千五百八十五万円余、剰余金は九十三億一千五百十八万円余となっております。  次に、石油勘定でございます。四十七年度収納済歳入額は二百四十四億五百七十一万円余、支出済歳出額は二百二十四億二千五百四十九万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は十九億八千二十一万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は十一億一千二百五十八万円余、剰余金は八億六千七百六十三万円余となっております。  第二に、アルコール専売事業特別会計でございます。  四十七年度収納済歳入額は百十一億五百七十五万円余であります。支出済歳出額は九十三億三千五百四十八万円余でございます。  この会計損益計算上の利益は二十九億六千七十五万円余となっておりますが、期末資産増加相当額八億五千三百八十二万円余を控除した残額二十一億六百九十二万円余は、一般会計納付することとなります。  また、前年度納付予定金のうち七億七千八万円余は当会計運転資金増加に充て未納付となっていましたが、本年度納付することといたしましたので、本年度においては二十八億七千七百一万円余を一般会計納付いたしました。  第三に、輸出保険特別会計でございます。  四十七年度収納済歳入額は四百十一億一千九百三十二万円余、支出済歳出額は五十二億三千八百五十八万円余であります。  第四に、機械類信用保険特別会計でございます。  四十七年度収納済歳入額は十五億八千五百五十二万円余、支出済歳出額は一億九千四百八十六万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております「通商産業省所管昭和四十七年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してございますので、御了承をお願いしたいと存じます。  最後に、昭和四十七年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。  今回、不当事項として指摘を受けましたものは、中小企業設備近代化補助金財源とする都道府県貸付金運営が当を得ないもの二十五件でございます。  この指摘事項につきましては、直ちに返還等を命じまして、一部を除き都道府県収納済みでございます。  また、輸出保険特別会計保険料計算事務の遅滞のため、同特別会計財務諸表等が計数の一部に推計額を含んだまま作成されることとなりましたことは、まことに遺憾でございます。  これらにつきましては、すでに保険料計算事務処理を促進いたしまして、所要の手続を経て訂正をお願いしたところであります。  今後この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層の指導監督を行い、かかる事例の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 井原岸高

    井原委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。桜木会計検査院第四局長
  5. 桜木拳一

    桜木会計検査院説明員 昭和四十七年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十五件、本院の注意により当局において処置を講じたもの一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  これらはいずれも、中小企業者設備近代化に資するための貸付金財源として国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものであります。本院においてその貸し付け適否等について調査いたしましたところ、貸付対象設備設置または購入していない者に貸し付けていたり、当該年度設置または購入した設備貸付対象とすることになっているのに既往年度分対象として貸し付けていたり、貸付対象事業費より低額で設置または購入している者に貸し付けていたりなどしていたものでございます。これらはいずれも貸し付け補助の目的に沿わない結果になっていると認められるものでございます。  次に、本院の注意により当局において処置を講じたものについて説明いたします。  地方公共団体が国の補助金を受けて実施している工業用水道布設事業において、浄水施設等コンクリート構造物に使用するコンクリートの打設を人力によって施工することとして打設費を積算しておりますが、近年では、この種のコンクリート工事は生コンクリートコンクリート運搬車で現場まで搬入し、これとコンクリートポンプ車を組み合わせて連続的に打ち込む方法で施工するのが一般化しており、この方法によることとすれば打設費相当に低減できると認められます。地方公共団体がこのような方法によることとして工事費を積算しておりましたのは、通商産業省が定めている「工業用水道設計標準歩掛表」に機械施工による場合の積算基準が定められていないことによると認められましたので、当局見解をただしたところ、通商産業省では、四十八年八月、とりあえずコンクリートポンプ車による暫定的な打設歩掛かりを定めるとともに、打設工事の実態について資料の収集、分析に着手したというものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 井原岸高

  7. 荒井勇

    荒井説明員 昭和四十七年度におきます中小企業金融公庫業務について御説明申し上げます。  当公庫は、昭和四十七年度の当初、貸付金を五千三百五十五億円と定められましたが、その後、年末中小企業金融対策及び第二次ドルショック対策として五百八十億円の貸付金追加が認められましたので、これにより前年度実績に比較して五・七%増に相当する六千七十八億七千五百九十九万円余を中小企業者に対して貸し付けたほか、設備貸与機関に対して四十一億三千五十万円、中小企業投資育成株式会社に対して三億円の貸し付けを行い、総額六千百二十三億六百四十九万円余の貸し付けを実行いたしました。  中小企業者に対する貸し付け六千七十八億七千五百九十九万円余のうち、設備資金はその五六・三%に相当する三千四百二十四億三千五百八十七万円余、運転資金は同じく四三・七%に相当する二千六百五十四億四千十二万円余となっており、また直接貸付は六千七十八億七千五百九十九万円余の四一・九%に相当する二千五百四十七億二千七十八万円、九千四百八十五件、代理貸付は同じく五八・一%に相当する三千五百三十一億五千五百二十一万円余、四万五千三百二十件となっております。  年度末総貸付残高は一兆三千二百七十五億四百四十二万円余で、前年度末に比べ一千七百九十六億八千六百七十万円余、一五・七%の増加となっております。  昭和四十七年度融資に当たりましては、国際的な通貨調整措置実施、労働力不足及び公害問題の深刻化など厳しい内外経済環境のもとに置かれている中小企業振興及び経営安定化のための融資に配意することとし、貸付利率については二度にわたりその引き下げを行いました。  また、外国為替相場変動相場制への移行に伴い深刻な影響を受けた輸出関連中小企業者、対米繊維輸出規制実施に伴い深刻な影響を受けた繊維業者に対して、それぞれ緊急融資をもって対処してまいりました。  こうした臨時的な融資のほかに、設備近代化及び中小企業構造高度化を一層促進するため、中小企業近代化促進法指定業種に属する中小企業者構造改善事業等に必要な資金並びに流通機構近代化合理化産業公害防止及び事業転換を円滑に促進するために必要な資金について配意し、また国産新技術企業化及び産業安全衛生施設の整備についても配慮いたしてまいりました。  なお、昭和四十七年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため岐阜支店を開設するとともに佐賀出張所支店に昇格させました。  次に、日本開発銀行から当公庫が承継いたしました復金承継債権等につきましては、回収促進に努力いたしました結果六百九十八万円余の回収を行い、昭和四十七年度残高は一千百四十八万円余となり、当初承継しました百十九億八千八十三万円余の九九・九%を整理いたしたことになります。  最後に、当公庫損益計算について申し上げますと、昭和四十七年度におきましては、十九億二千六百六十七万円余の償却利益を上げましたが、固定資産減価償却引当金繰入額一億三百十九万円余を差し引きました残額十八億二千三百四十八万円余は、大蔵大臣が定めた滞貸償却引当金の繰り入れに係る限度額以内でありましたので、その全額を滞貸償却引当金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上、中小企業金融公庫昭和四十七年度業務概要の御説明を終わります。
  8. 井原岸高

  9. 近藤止文

    近藤説明員 中小企業信用保険公庫の、昭和四十七年度業務概況につきまして御説明申し上げます。  御承知のとおり、四十六年末の円切り上げにもかかわらず、需要の増大と金融の超緩和を背景として着実な上昇過程を続けたわが国経済は、年度後半に至り、地価高騰を初めとする物価上昇や、労働力不足と大幅賃上げによるコスト高などに加えて、四十八年二月におけるドル一〇%切り下げ、円の変動相場制への再移行という事態に直面し、再び、わが国経済に対する影響が懸念される状態となり、中小企業を取り巻く環境はますます厳しいものがありました。  こうした情勢のもとに、中小企業金融の一層の円滑化を図るため、信用補完制度につきましても、その充実強化が図られた次第でございます。  すなわち、中小企業信用保険法施行令改正により、信用保険対象業種に七業種追加指定されるとともに、対象金融機関沖繩振興開発金融公庫追加され、また、いわゆるドルショックに対しては、国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律改正により、輸出関連中小企業者に対する信用保険特例措置実施されました。  そのほか、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として保険準備基金九十三億円、及び信用保証協会保証活動円滑化を図るための原資として融資基金九十七億円、合計百九十億円の出資が行われるなど、本制度の一層の強化推進が図られた次第でございます。  まず、保険事業について見ますと、公庫が、沖繩を含めた全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で七十四万二千件余、金額で一兆四千九百七十二億四千五百三十一万円余になっております。これを前年度に比較いたしますと、金額で二千二百十三億百九十八万円余、比率にいたしますと一二%の減少になっております。  この結果、昭和四十七年度末の保険引受残高は、件数で百十万三千件余金額で二兆四千三百二十九億三千三百四十七万円余となっております。  なお、保険金の支払いは百六十二億九千三十二万円余になりまして、これを前年度の百六十六億二千四百万円余に比較いたしますと、金額で三億三千三百六十八万円余比率にいたしますと二%の減少になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業におきましては、昭和四十七年度におきまして国の一般会計から新たに出資されました九十七億円及び既往貸し付けにかかる回収金四百五十億六千百万円、合計五百四十七億六千百万円をもちまして、長期貸付五百四十億九千九百万円短期貸付五億五千万円合計五百四十六億四千九百万円の貸し付けを行いました。これを前年度に比較いたしますと一七%の増加になっております。  この結果、昭和四十七年度末における貸付残高は八百三億八千八百万円になっております。  次に、収入支出及び損益概況について申し上げます。  まず収入支出について申し上げますと、収入済額は二百五十八億千四十万円余、支出済額は百七十三億九千五百七十万円余でありまして、差し引き八十四億千四百七十万円余の収入超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等整理を行いました結果、総利益及び総損失は同額の三百七億六千九百七十八万円余でありまして、損益を生じませんでした。  以上、簡単でございますが、昭和四十七年度業務概況につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  10. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  11. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 きょう、せっかく通産大臣御出席いただいたわけですから、最初にちょっと経済問題を先にお伺いをしたいと思うのです。  まず第一に、いま一番重要と思われております独禁法改正が、これは自民党の方針として廃案にしようというようなお考えがあるらしく新聞に報道されています。われわれはせめて継続審議にすべきであると、真実そう思っているのですが、どうもいまの方向では、与党が廃案ということに方針が出されますとそれになりそうな危険があるので、通産大臣としてはどちらをよしとお考えになるでしょうか。現在の独禁法改正問題点はたくさんありますが、その問題の中身はきょう申し上げませんが、基本的な大事な問題として、通産大臣のお立場で、これをどういう理由でどうしたいというふうなことだけ、お聞きをしておきたい。
  13. 河本敏夫

    河本国務大臣 独禁法国会における取り扱いにつきましては、これは国会対策関係の方々がお決めになることでありますから、私からとかくのことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、基本的な考え方を申し上げますと、仮に独禁法が成立をしないというふうなことがございましても、今回の国会におきまして政府独禁法改正案を出したということは、経済産業の基本的な憲法とも言うべきこの法律についての政府見解を明らかにし、そして産業政策方向を明らかにした、そういう意味で私は評価してしかるべきではないかと、こういうふうに考えております。したがいまして、仮に不成立になりましても、その改正案に盛り込んであります精神というものは、これは政府精神でございますから、つまり、公正にして自由なる競争ということが産業基本原則であるという、その基本精神だけは今後の通産省の産業政策に生かしていきたい、かように考えております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 それからもう一つお伺いしたいと思いますのは、いまの非常に大きな課題として、インフレを抑えながら、しかも不況対策をやる、非常にむずかしい問題にいま取り組んでいる政府当局でございますが、われわれの側から見ますと、一けたでというあの約束が果たして守られるかどうか、最近における公共料金その他の値上げなどを考えていきますと、どうもこれがむずかしいんじゃないかという懸念がどうしてもぬぐえないわけであります。そこへもってきまして、ついこの間国際すず協定会議が終わりまして、一次産品国開発途上国といいますか、これらの国々が緩衝在庫の強い要求を出してくる。日本はこれに対して色よい返事をしないで終わった。緩衝在庫を要求してきたその本音というのは何かといえば、この一次産品に対する値下げを予防したい、一次産品国カルテル化というようなことが言える状況だと思う。こういうものを考えてみますと、メジロ押しに一次産品値上げは、石油中心にしてこれからどんどん行われてくる危険があるという国際的な外圧から言って、わが国のいまの方針である二つの問題の解決を一けた台に抑えようと言っていることが、外部から崩れてくるような要素が非常に強くなるのじゃないだろうか。こう考えますと、今年度ようやく一けたが万が一実現できたといたしましても、来年あるいは一年半たったころには、開発途上国中心の一次産品カルテル化中心にした国際的なインフレが再び猛烈な勢いで起きてくるであろう。その心配が、すでに国際的にも識者あるいは当局者の間に持たれていることは事実であります。私は、七七年といいますから昭和五十二年、再び非常に大きな、狂乱物価に似たようなインフレの強襲に遭う危険があるようにすら感ずるのですが、こういう状況を、心配ない、とにかくこの年度一けた台の実現をやって来年は絶対に横ばいに、持っていく自信がある、外圧がどうあろうと大丈夫だという前提に一体お立ちになるかどうか、これが一つであります。  もう一つ。先日、第三次不況対策実施されることに決まりました。この内容も、いままでと全く同じ内容でやっているだけで、新しい何かが出てきてはいない。これもやらないよりはいいのですが、また、やれることからやるべきでございますから、それでいいと思います。五十年度公共事業費の繰り上げ七〇%にしてみるとか、いろいろといままでやっていた同じパターンでやっているわけですが、第三次不況対策だけでは、現在の不況に対する一部基本的な対策すら満足にできない。通産大臣は先日それに対して少しく、第四次不況対策が必要であると言わんばかりの口吻をお漏らしになりました。私はもっともだと思う。そうしない限り、いまの不況に対する対策が第三次で終わったなどと考えましたら非常にそごを来すのではないかという憂いを私は持っています。二つ目のこの問題。第三次不況対策をもって、とにかく現在の不況に対する対策としてはこれでいいとお考えですか。やはり早期に第四次不況対策が必要だとお考えであるとすれば、一体通産大臣としては、現在のパターンどおりにやっていこうとするのか。現在の状態でやっていっても、年度後半には一体どうなるんだろうという心配が起きています。この年度後半の心配を解消するようなことを含めた第四次不況対策でない限り完全な不況対策とは言えないというような考え方を私は持っておりますが、この点について通産大臣の率直なお考えを、二つに分けてお聞かせをいただきたい。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一番に物価の見通しの問題でございますが、幸いに卸売物価の方は最近非常に鎮静をいたしておりまして、政府の予定しておりました水準よりも相当低い水準に動いておりますので、この方はまず心配ないと思います。問題は消費者物価でございますが、四月、五月の指数が相当高い数字が出ましたので心配をいたしておるわけでございますが、よく分析いたしてみますと季節的な要因、臨時的な要因が非常にありまして、必ずしもこれで今後の推移を想定するのは早計ではなかろうか、こういうふうにも感ぜられますし、それから、この春のベースアップも、経済情勢を反映いたしましたほぼ妥当な線に落ちついたと思いますが、これまでの政府の推定では、一四・五%のベースアップがあった場合にはあるいは四、五%ぐらいな物価上昇要因になるのではないか、こういうふうに言われておりましたけれども、これはベースアップが全部消費に向けられた場合のことでございまして、最近の貯蓄動向を見ますとほとんど全部が貯蓄の方に回っておる、非常にいい傾向が出ておりまして、そういたしますと、今度のベースアップによる消費者物価を押し上げる要因は非常に少なくなるのではないか、こういうふうにも考えられます。  それから、一番問題は、御指摘のございました原料の輸入問題でありますが、最近は国際的にもカルテル化の傾向が非常に強くなりましたので、私どもも心配をいたしておりますが、しかし、何と申しましても物の値段は需給関係によって決まるわけでございまして、物がずいぶん余っておるのにむちゃくちゃに値段を高くしてそれを売りつける、そういうことは自由主義経済の原則を根本的に否認することにもなりますので、幾ら強力なカルテルをつくりましても、需給関係が緩んでおる場合にはそれには限度がある、こういうふうに思います。ただ、一番心配なのは、非常に強力な石油カルテル、OPECの問題でありますけれども、先般の六月九日から十一日までのガボン会議におきまして、正式に油の値上げが決定はいたしておりませんけれども、九月の総会では価格の調整について相談をするという項目がございまして、場合によっては油の値上げをするということを示唆しておるわけでございます。その点がこれからの最大の課題であろうと思います。  日本もいろいろ努力し、アメリカも努力し、ヨーロッパもそれぞれに努力をいたしまして、大体この秋ごろからは景気も上昇するのではないか、こういう気配が世界全体に見え始めましたやさきにおきまして油の値段が上がる、しかも余っておるのに上げる。そういうことになりますと、そのことが世界経済全体の足を非常に引っ張ることになりまして、私どももこの点を大変心配いたしておるわけでございますが、世界の経済が完全に立ち直りまして活力を回復するという場合には、若干の油の値上げがありましてもそれを吸収できる、こう私は思います。しかし、非常に衰弱をしてしまっておる、どん底にあえいでおる、こういうときには少しの油の値上げも吸収する力がありませんし、もしそれを強行するとさらに衰弱するということにもなりますので、九月のOPECの総会を前にいたしまして、これはアメリカ、日本、西欧を中心とする消費国の共通の大きな課題としてこの問題を取り上げる必要があろうかと思います。三木総理が八月にはフォード大統領と会談をされるわけでございますが、そういう場合にも、この油の問題に対してどう対処するか、あるいは世界経済全体の問題をどう考えるか、こういう問題を大きな課題にしていただこう、こういうことでいまお願いをしておるわけでございます。  そういうふうに、油の問題を初めといたしまして一次産品の問題は、これからの大きな課題でございますけれども、当初に申し上げましたように、需給関係が非常に緩んでおるという点を考えますと、そうむちゃくちゃな値上げというものはあり得ないし、そこはまた話し合いで解決できる。今回のすずの問題にいたしましても、OPECのようなああいう生産者カルテルではなくして、できるだけ生産国と消費国がお互いに話し合って妥当な結論を見出そうということで若干時間がかかっておるわけでございますが、そういう方向で一次産品等の出る国々それから消費国ともども話し合いまして、妥当な姿で処理をしていく、こういうことに努力しなければならぬと考えております。そうしますと、この問題もそんなに消費者物価に大きく影響する課題ではない。  それから公共料金の問題でございますけれども、これまでの決定した分は別といたしまして、やはり消費者物価を一けたに抑えるということであるならば、公共料金というものは、厳にこれはしばらくの間抑えていかなければならぬ、物価の目標が達成されるまではこれを抑えていく必要があるのではないか、私はこういうふうに考えておるわけでありますが、それについてはまだ政府の最終的な合意は得られておりませんけれども、いろいろな点を総合的に努力をいたしまして、来年の三月には消費者物価を一けたに抑えるということは、これは政府としての最大の公約でもございますので、全力を傾ける、こういう方針で進んでいきたいと存じます。  それから第二の問題でございますが、先般第三次不況対策を決定をいたしました。当初、通産省といたしましてはもう少し大規模な形を考えておったわけでございますが、国の予算、他省との調整、こういうふうないろいろな関係からあの程度に落ちついたわけでございますが、今回の不況以前の不況であれば、これは不況といいましても、経済の伸びが若干減ったという程度でありますから、だから、ある程度のことをしますと、それが誘い水になりまして景気は自動的に浮揚力を回復する、こういうことが多かったわけでございますが、現在の経済の姿をながめてみますと、一年半前、石油ショックが起こりました当時に比べまして、鉱工業の生産が約二割落ち込んでおります。底をついたと言いますけれども一、二割落ち込んだところで底をついておるということでございますから、非常に深い谷底に落ち込んでおる、こういうことが言えると思いますし、それから現在の日本の産業設備がどのくらい動いておるかということでございますが、ほぼ約七割見当しか動いていない、こういうふうに大体想定をしておるわけでございます。しかも、個人消費は御案内のとおりでございますし、貿易の状態は輸出入とも縮小均衡の方向にございます。民間の設備といえども七割しか動いてないということになりますと、設備投資に対する意欲というものはおのずから、大きな力というものはないということは自明の理でございます。  そういうことでございますので、今回の景気対策というものは約二兆円弱の需要喚起になるというふうに言われておりますけれども、何しろ国民経済全体の規模が百六十兆という大きな経済になっておりますから、いろいろな要素が冷え切っておる。そこへ二兆円を出しましてもどの程度の浮揚効果があるか、実は私どもも大変懸念をしておるわけでございます。経済企画庁あたりの推定によりますと、GNPを一%以上押し上げる力はある、こういうことを言われておるわけでございますが、そういうことになれば大変結構でありますけれども、いずれにいたしましても、今回の景気対策というものがどの程度産業界に影響があったか、浸透したかということにつきまして、通産省といたしましては二、三カ月後にその実情をつぶさに調査したいと考えております。そして次の経済運営方向を明らかにしなければならぬ、こういうことで、いまそういう準備を進めておるところでございます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題が本論じゃないのですが、せっかくの御出席ですからと思って、大事な問題ですからお聞きしたのです。いまお話しになった点、全体的に、やはり直接お聞きしてよかったなあと思いますし、まだまだちょっと、私などが考えております心配と、大変楽観的な部分を大臣がお持ちで、そういう点の食い違いがあって、これはもうちょっと突っ込んでみたいなと思うのですが、後に譲ります。  ただ、開発途上国のOPEC化と言っていいのかカルテル化と言っていいか知りませんが、いずれにしても、わが国は一次産品が、他の欧米における国家と違って、九〇%以上輸入に仰ぐ国でございますから、ちょっとした値動きが非常に大きくわが国経済には影響するということが前提でなければいけない。この一次産品の今後の動向というものは非常に重要な問題で、これに対しては先手先手で、できる限り国として対策を立て、あるいは各国別に応対をしていくということが先取りで行われない限り、大変むずかしい。しかし、これも国際間のいろいろな問題があるので、わが国だけが先取りという前提に立って手を打つということがむずかしい情勢にあることもわかっていますが、であればであるほどに相当慎重に考えないと、需給のバランスその他から言って、とにかく余っているものがそう無理に上がるだろうとは思わない、どっこい、いままでの経過から言ってそういう楽観論は非常に危険だというように考えておりますことだけ申し上げて、どっちにしてもそういう御心境をお伺いできたので、一応この問題は終わります。  いずれにしても、非常に重要な段階に参りましたわが国経済情勢というものを左右するトップの責任者でございますから、十分慎重に、いまお話にありましたような見解に基づいた施策を十分にひとつ、後手でなく先手で打っていただくように、私からもお願いを申し上げておきたいと思います。  次に本論に入るわけですが、きょうは、YXとジェットエンジンの開発の経過と今後についてお伺いをしたいのですが、その前に、YS11の経過について先にお伺いをしたいと思います。  一々細かくお伺いするのは避けまして、二つ、大きな問題として御説明をいただきたいのですが、日本航空機製造株式会社のいまの赤字額、その処理の方針、赤字の出た原因とその額とその処理の方針、それから日本航空機製造株式会社の債権回収業務と、為替差損が発生しましたが、この処理についてどうおやりになったか、この二点を先に、大きな意味で、詳細でなくて結構ですから、私の方でほとんどわかっていると思いますので、御説明をいただきたい。
  17. 森口八郎

    ○森口政府委員 YS11は四十九年二月、最終号機百八十機を売り切ったわけでありますが、その時点において、あるいはそれ以前から赤字の問題が発生をいたしておりまして、いろいろ委員会をつくりまして赤字対策の原因究明を行ったわけであります。四十七年度末現在で今後の赤字見通しについて推計を行いますと、約三百六十億円の赤字が発生をするというように見込まれたわけであります。  この赤字をいかがするかということで、当然、現在の日本航空機製造株式会社も負担をしなければいけませんし、取引業者も負担をしなければいけない。それだけでは不十分でありますので、政府の方も応分の補助をしようということで、四十七年にも政府補助をいたしたわけでありますが、四十八、四十九、五十年度、三カ年にわたりまして日本航空機製造株式会社に対しまして補助金を交付することといたしたわけであります。現在、この補助金の交付を受け、また民間業界の協力も得まして、赤字の解消は大体予定のとおり減少いたしつつあるわけでございますが、先生御指摘のように、当時見積もりました為替差損は、三百六十円のものが三百八円になるという前提で計算をいたしましたけれども、その後さらに円高になっておりますので、確かに計算外の為替差損が発生いたしておるわけであります。この為替差損は計算外のことでありますが、私どもとしては、日本航空機製造株式会社の合理化によってできるだけその為替差損をなくすというような方向で現在督励中でありますが、会社の合理化努力によってやり得るかどうか、なお今後の推移を見守りたいというように考えております。  それから第二点の、債権の回収がいつまでかかるかということでございますが、現在の見通しでは昭和六十年ぐらいまでかかるのではないかというように私どもの方は考えております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  そこで、もうちょっとおろしてお伺いしますが、四十三年度と四十六年度会計検査院から指摘をされていますね。四十三年度における指摘は、販売代理店に対して販売手数料を払っている、物が売れないのに十億円ですか、十億円以上の販売手数料を支払っている。これはどう解決したんでしょうか。これが一つ。  それから、いまの三百六十億円の赤字が見込まれている、日航製にも負担をしてもらおうと思うどころか、日航製にできるだけその後起きた為替差損に対しては何とかしろ、こう言って期待をしているんだということですが、期待どおりいきそうですか。三百六十億円に対して現在までどんなふうに処理されて、まだどのくらいのものが目当てがないということになっているのかを二つ目にお伺いします。
  19. 森口八郎

    ○森口政府委員 後者の為替差損の問題でありますが、先ほど申し上げました三百八円以下の計算外の数字でありますが、十億ぐらい発生するということであります。先ほど申し上げましたように、私どもとしてはできるだけNAMCOの合理化によってやってもらいたいということで申しておりますけれども、いま少し事態の推移を待たなければ、NAMCO自体の力で果たして回収できるのかどうか、実は何とも申し上げられないということであります。  それから第一点の、会計検査院から御指摘を受けました件につきましては、事実そのとおりでありますので、赤字分として処理をしておるというのが現状であります。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 四十六年に指摘されたことに対してはどう処置しているのですか。
  21. 森口八郎

    ○森口政府委員 NAMCOは余剰品を抱えておったという御指摘のことだったと思いますが、その後余剰品は、御指摘もありましたので早速処分をいたしまして、現在の状況では余剰品はないというように私の方は考えております。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、先ほどの御説明でもう一つ、三百六十億についてお伺いしたいのですけれども、いまのところはもうちょっと様子を見て、数字を的確につかんで、それからでないと方針が出ない。聞くところによると、三カ年で現在持っている赤字見込み額は解消したいというような方針だと聞いていますが、そういう方針ではないのですか。
  23. 森口八郎

    ○森口政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおり、四十七年度末の赤字を四十八、四十九、五十という三カ年でほぼ解消しようということで、現在その赤字解消を進めておるところであります。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、五十年度末でその金は解消できるのですか。
  25. 森口八郎

    ○森口政府委員 御説明申し上げましたとおり、為替差損の問題が計算外の問題、三百八円レートで計算しておりますので、その差額分十億円につきまして、現在、いかにするかということでさらに詰めておるということであります。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、為替差損の問題が残っているだけで、あとは計画どおりに五十年度末に処理ができたというのか、できているというのか、そういうことになりますか。
  27. 森口八郎

    ○森口政府委員 厳格にそのとおりできておるということではございませんので、ほぼそういう方向でできておるというように私の方は了解いたしております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 そうでしょうね。この予算のいままでの累計をずっと見ますと、ほぼですよね。これはやはり早くけりをつける必要がありますよ。そうでなくても、とにかくいまYXに、ジェットエンジンに相当な力を入れようというときですから、YS11に対するこの種の問題は計画どおり、今年度はぴしっと処理をつけるということを何とかすべきだという意味でお伺いしたのです。これはぜひけりをつけるように、来年また残っているといけないと思いますから、念を押しておきます。  それから次に、YXの開発についてお伺いをいたします。  これも細かく聞いていくと大変ですから、YX計画の経緯とその調達費、補助金等ですね、この問題はどうなっているかが一つ。  二つ目に、YX開発の概要と完成の時期。ずいぶん変化してまいりましたからね。その経過はいいです、必要に応じてお伺いしますから。完成の時期をお聞かせいただきたい。もちろん第一期ですね。  それから次に、ボーイング社と技術提携をするということが最終的に決められています。これはのれん代というのですか、ノーハウですね、これと事業費の官民の分担の率をひとつお知らせいただきたい。  この三つに分けて先に。
  29. 森口八郎

    ○森口政府委員 YXの計画につきましては、過去いろいろな経緯があったわけでございます。先ほど御説明がありましたYSの飛行機の量産が一段落いたしました段階で、次の民間輸送機はどうするかということで昭和四十二年以来いろいろ検討をしてきたわけであります。当初、独力でやろうかという話もあったわけでございますが、やはり世界的な趨勢、まあ航空機の開発が国際協調で行われておるという世界的な趨勢、開発費負担が膨大になるというような状況、あるいはYSの経験等々から、やはりこれは国際協調でいかなければいかぬというような話が四十五年ぐらいから起こってきまして、結局四十七年に、ボーイング社と提携をしてYX開発を行うという方針を決めたわけでありますが、その後ボーイング社がイタリアとの間で同じような型の飛行機を共同開発を行っておりましたので、これにむしろ相乗りをいたしまして、昨年の八月に、日本とアメリカのボーイング社とそれからイタリアのアエリタリア社との三者の共同開発による飛行機をつくろうということで、航空機工業審議会の議決を経まして、現在その方針で民間輸送機開発協会がボーイング社と提携条件の詰めを行っておるというのが現状であります。  それから第二に、それではこのYXの飛行機はいつ完成するかということでありますが、先生御存じのとおり、航空機のいつ売り出すかというような問題につきましては、そのときの市況とかそういうものに合わせて考えなければいかぬ。現に、先ほどお話がございましたYSにつきましても、発売時期が若干おくれましたために、競争機のためになかなか売りにくくなって不利をこうむったという事情があります。したがって、ボーイング社の方もこれは非常に慎重に考えておるわけでございますが、特に最近、石油ショックが起こりまして、世界の航空機需要が若干減退の兆しが見えておりますので、そういうような点から、発売時期についてはまだ三者間で、一体いつにするかというような点について最終的合意ができておらないというのが現状であります。ただ、現在の世界の飛行機の需要から見ますと、一九八〇年代にはこの飛行機はやはり売り出さなければいけない。しかし、一九八〇年代の初めのころであろうか、中ごろになるのか、若干後ろにずれるのかという点については、現在の時点においてはまだ流動的であるというのが現状であります。  それから第三に、現在、ボーイング社と民間輸送機開発協会が提携条件についていろいろ詰めを行っておりますが、その場合の官民の分担比率につきましては、昭和五十年度の予算におきましては七五%国費補助を行うということになっておりますので、大体、現在のところでは一対三というような負担割合になろうかというように考えております。  現在までの補助金は、四十七年度に二億円の予算をつけまして、四十八年度は六億七千五百万円、四十九度は二十一億、五十年度も二十一億というような補助金をつけております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 補助金は四十二年から始まっているわけでしょう。そのとおりだと思います。二千万だ、一億だ、一億五千万だ、五億だ、四億二千万、二億、六億七千万、二十一億、二十一億一こう出されていますね。そこで一つだけ、この補助金の中で聞きたいのは、四十八年の六億七千五百万に対して繰り越しが一億八千八百万、決算が四億一千万円になっていますね。この理由は何ですか。こんなに少ない理由というのはどういうわけなんですか、四十八年。あなたの方からもらった資料、なぜこんなに少ないのか、それが一つ。  もう一つ、四十九年の繰り越しの有無、決算額、どのくらいになっていますか。
  31. 森口八郎

    ○森口政府委員 四十八年度の予算は六億七千五百万円でございまして、実績は四億一千三百万円であります。その結果繰り越しになりましたものは一億八千八百万円という状況であります。四十八年にある程度の不用を出しておりますのは、先ほど経緯のところで若干御報告申し上げましたけれども、四十八年、ボーイング社とやろうということでいろいろ緊密な連絡をとりながらやっておったわけでございますが、先ほど申し上げましたイタリアとボーイング社の計画との調整を一体どうするかということで、若干事業がそのために少なくなってこの一億八千八百万円が繰り越されたものというように考えております。  それから四十九年度の予算でございますが、二十一億の予算のうち、現在まだはっきり確定はいたしておりませんが、大体内容的には、日本の民間輸送機開発協会が単独で事業を行いますものと、それからボーイング社と共同事業を行いますものと二つに分かれておるわけでございますが、単独事業で行いますものにつきましては、ボーイング社の提携条件の交渉の詰めが非常におくれておりますために約五億程度の不用分が発生するはずであります。  それから、四十九年度の予算の中には、ボーイング社と共同事業を行うという前提で予算に組まれておるものが相当部分、十二億ほどあったわけでございますが、現在の提携条件の交渉の詰めがおくれておりますために共同事業は全然行っておりませんので、この部分につきましては全額が五十年度に繰り越しになるというような予定であります。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 次いでジェットエンジンの質問に入るんですが、先ほど一番最初にお聞きしたように、このYXの完成の時期というのとジェットエンジンとがどう絡んでくるのか。このYXにいま開発しているジェットエンジンを載っけるという気持ちがあるのか、これとは全然別個なのかということも後でかかわり合いが出てまいりますから、YXの完成の時期は一体どのくらいに見ているか。
  33. 森口八郎

    ○森口政府委員 大体一九八〇年代と見ております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 その完成というのは、現在やっている一次、二次のエンジンの試作と、これが一応できて、まず技術的にいろいろ問題を充足した、その次に八〇年というのは実用化を目指してやる。八〇年というのは実用化を目指した問題で、その八〇年までが、いまのYXの開発計画が全然節なしにずっといくという意味にとっていいんですか。ジェットエンジンの場合には二段に分けておりますね。ジェットエンジンの場合には分けている。これから聞きますが、YXの場合には八〇年の目標、それまでは現在の研究がそのままずっといくんですか、そういうことになりますか。
  35. 森口八郎

    ○森口政府委員 YXの場合には私が一九八〇年代と申し上げますのは、いろいろな試作機をつくり、試作機の安全性等を検定をし、そういうような段階を経まして量産一号機を引き渡す段階が一九八〇年代になるという意味で申し上げたわけであります。そういうことです。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、量産第一号機を引き渡すのが八〇年だ、こう理解していいわけですね。  時間がありませんので、ジェットエンジンについて簡単にお伺いしますが、このジェットエンジンというのを現在開発しておりますけれども、これは一期と二期に分けて、現在やっている段階と実用化への段階というふうに分けると、実用化はやはりいまの八〇年代ということになるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。もっとずっと早くなりますか。いま五十一年から五十四年、四年で実用化をやるということに理解していいですか。
  37. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 ジェットエンジンの開発は、第一期が推力五トンということで、五カ年計画で五十年度で終わるわけでございます。これが第一期でございます。  第二期は、推力十トンという目標で進める方針でございますけれども、その第二期の計画を作成するに当たりましては、第一期の開発期間に得ましたいろいろな技術的な蓄積がございますので、さらに今後の世界のジェットエンジンの技術的な動向とかあるいは需要の動向とか、そういうものを、国外を含めまして十分に調査をいたしまして、それに基づいて第二期の計画を策定をしなければいけないということで、ただいま調査をしている段階でございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 まとめて最後にお伺いしますが、五トン推力、やがて五十一年から四カ年で十トンに……。いま十トンクラスのものは現にもう各国でつくられて、ほとんどそれに近い——もっと大きなものはもちろんありますが、九トンだ、九トン半だと、いろいろもうすでにつくられていて、実用化されているのですよね。日本の場合には、まあいろいろ違った特徴もあるので、いいものをつくるのだという考え方、これはわかるのですけれども、そう大した違いはない。もうすでに、十トンくらいのものをいまから追っかけて研究開発して、これが売れるか売れないかなどということを言っているというのはどうかなと思うのですね。  これはいろいろなものを調べてみまして、結果的に私が言いたいのは、日本のような国内事情の場合には、二十万都市ぐらいのところへ、いわゆる近距離用といいますか、中距離用なのか知りませんが、これに五十人くらいのっけて、離着陸が非常に簡単にできるというので飛んでいける、旅客輸送ができる、世界にもそういう必要がずいぶんあるだろうというところに、一番当初それに近い目標を持っていたわけです。それが今日までくる間にだんだん大きくなって、これは百人から百五十人だ、二百人から二百五十人だ、てなことを言っているうちに、第二期になると五十一年から四年間では推力十トンにもっていっちゃう、二百五十人にするのだ。世界でもすでに実用化している。そんなものをいままた追っかけてやっている。いままでだってそうだった。時間がないから、これは一々細かく経過のことはまた次の機会に譲りますけれども、私は結論的に言うなら、少なくとも推力六トン前後のものを完成を早くして、そして近距離しかも中都市といいますか、二十万くらいの都市の間を行ったり来たりできるような、しかも五十人前後の人間を乗っけて飛ぶようなもの、そういうものを日本はねらってやる方が正しいと思うし、そうすべきではないか。何度も、だんだん時間がたつ間に、後でよその国を追っかけちゃ、大きくなる、大きくなる。しかも、YXは八〇年第一号機だ。最初これと関係があるのかと思ったら、これに載っけようということと全然関係がないことがわかりました。驚いたのですが、それはそれでいい。しかし、せめてジェットエンジンにこれだけ大変な大きな金をかけるなら、私は、推力六トン前後のもので早く完全なものをつくって、そして二十万都市くらいのところへ五十人くらいの人間を乗っけては、本当に離着陸が簡単にできる近距離のものをねらう、あるいは中距離も行けます、というふうにすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。  それをお答えをいただいた後、大臣から伺いたいのは、このジェットエンジンの開発研究、それからいまのYXにいたしましても、これから大変な金をまた注ぎ込んでいかなければいけません。したがって、いままでのように、特にジェットエンジンのように、ずるずるずるずる変わって変わって、どこかと提携する、提携しない、いまはまた、六月になって調査団を出しているというようなことをやっているのですが、これも必要でしょう。しかし、いままで目標がずるずる変わってきた。百人だったやつが百五十人になったり、今度は百五十人が二百人、二百五十人になる、どんどん変わってきている。こんな変わり方をする先見性のなさで開発をやってはいけない。私は、やはり日本の場合には近距離、しかも推力から言うなら六トンから七トンぐらいというものにしぼって、早期に開発をして、これが売れるかどうかをいまから見通しを立てていくというようにしなければいけないと思いますが、締めくくり的には大臣からこれに対する感想と決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  39. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 ジェットエンジンの方向といたしましては、ただいま調査をしております段階でございますけれども、大体の見通しといたしましては、一九八〇年から九〇年にかけて八〇年代の需要を調べてみますと、約二割くらいのものが、推力十トンのエンジンが占めるというような調査がございます。そういうことでございますので、現在進めておりますジェットエンジンのねらい、特徴といたしましては、低騒音とかあるいは低公害、低排気ガス、それから飛行時の燃費をできるだけ下げ得るようなもの、そういうようなところにポイントを置いてやっておりますので、こういう特徴を生かしてこの十トンの、わが国の得意なエンジンとしてひとつ第二期でもって完成をしたいというのがわれわれの考えでございまして、また、先生が御指摘くださいましたような、小型のエンジンでわが国に適したようなもの、これについてもわれわれとしても十分検討をしながら、御趣旨に沿ったような方向にも進めてまいりたいというふうに考えております。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 大変有益なお話を伺いました。要するに、先見性を持ってもっと機動的に研究開発をせよ、こういう御趣旨だと思います。今後の方向を総合的に再検討をいたしまして、十分御趣旨を取り入れてみたいと思います。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  42. 井原岸高

    井原委員長 安井吉典君。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 初めに家庭用灯油価格問題を、時間の関係で手短に伺っておきたいと思います。  石油危機のときに、家庭用灯油は十八リットル一かん三百八十円に凍結をされていたわけですが、昨年はこの標準価格が撤廃されて六百円前後に大幅な値上がりで、これは大変だったわけであります。しかし、それでも元売りの行政指導価格がキロリットル当たり二万五千三百円、これで大体全国平均一かん五百八十円ぐらいの小売り価格で落ちついていたというのが実態ではなかったかと思うが、それも六月一日から、政府はついに指導価格そのものも撤廃されました。消費者側は大騒ぎになり、とりわけ、灯油需要の多い北海道、東北等の寒い地帯では大恐慌という事態であります。いま需要期を外れているからまだいいんですけれども、日がたつにつれて、寒さに向かうにつれて、これは問題が大きくなってくるのではないかというふうな気がするものですから、きょう伺いたいのでありますが、まだ余り日がたっていないので、実態はよく正確に把握されているというところまではいっていないのではないかと思うが、通産省では、六月一日以降の元売りや小売についての価格状況はどういうふうになっているか、いま押さえている範囲内でお答えいただきたいと思います。
  44. 増田実

    ○増田政府委員 灯油につきまして六月一日に指導価格を外したわけでございますが、その後の元売り及び小売価格がどうなっているかということについてお答え申し上げます。  元売り価格につきましては六月の十五日前後、つまり外しましたのが六月一日でございますが、十五日前後から、元売り各社が平均三千円の値上げを一応設定いたしております。それから小売の方の影響でございますが、私どもが一応全国調査いたしました価格の全国平均を申し上げますと、十八リットルかん店頭売り価格につきましては大体六百円ということになっております。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 まだ結果が明確につかまれる段階にはないと思いますけれども、私どもの北海道の消費者協会のモニター調べによっても、もう二日ごろから上がっているんですね。元売り価格が上がったのは十六日のはずなんですが、それが上がる前からもう小売価格が上がっているという実態になってきているようであります。  そこで、短い時間ですから余り多くを申し上げたりお答えを願うわけにはいきませんが、どうも業者サイドの備蓄等を理由にする主張をうのみにして、消費者の犠牲を顧みないというふうな態度のような気がするわけでありますけれども、問題はこれだけでは終わらないで、メーカー側は六月十六日に約三千円程度のアップをしたが、七月以降には今度さらに二千円ぐらいの引き上げをして、合計五千円くらいが目標だという報道がなされているわけであります。つまり二段階アップという考え方だというふうな、これは報道なんですがね。それからもう一つは、小売の方も、メーカーが上げるんなら、この際百五十円ぐらいの流通経費を上乗せする形で上げようというふうな動きが起きているようであります。この元売り段階の動きと小売段階の動きをどういうふうにとらえておられるか。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕  それからもう一つ、今度、メーカーの約三千円くらいの引き上げが十六日から一斉に行われるというのは、どうも価格協定の疑いがないのか、そういう点は疑ってみたことはないのか、その点をひとつ伺います。
  46. 増田実

    ○増田政府委員 まず、メーカーが三千円値上げいたしましたにつきまして、これが一斉値上げ、あるいは何かそこに協定のようなものがあるかどうかというお尋ねでございますが、メーカーが値上げいたしましたのは、先ほど申し上げましたように六月一日に解除が行われたわけでございますが、大体十五、六日、月半ばから値上げを発表いたしたわけでございます。これにつきましては私どもの方から、できるだけ値上げの発表を、六月一日発表になって直ちに明くる日からやるということでなくて、少なくとも半月はおくらせるということで行政指導いたしたわけでございまして、それを受けまして十五日前後に一斉の値上げになったわけでございます。それから、値上げの幅でございますが、これにつきましては、三千円ということで先ほど申し上げましたのは各メーカーの平均価格でございまして、たとえば日石は二千七百円、それから三千円以上のところもございますが、そういうことで、価格協定あるいはカルテルという事実はございません。  それから、各元売りの値上げ状況その他につきましては、これは逐一私どもの方に報告させるということでやっておりまして、決して協定に基づいて一斉一律値上げということにはなっておらないわけでございます。  それから、先ほどの御質問にありました三千円でとどまるのかどうか、七月以降どうなるかということにつきましては、現在の灯油価格につきましては六月以前は二万五千三百円であったわけでございますが、これにつきましてはそのほかの、いわゆる中間留分と私ども申しております、灯油と一緒に出ます大体品質の近いものにつきまして、具体的に言いますとA重油、軽油その他があるわけですが、これらが、二万五千三百円に対しましては大体四千円前後価格が高いわけでございまして、従来、これは数年前からずっとの数字の平均をとっておりますが、灯油がその中で品質的には最も高い品質でございますので、具体的に言いますとA重油、軽油よりも高い状況でございますので、三千円の値上げでは石油の価格体系では足りないという状況でございます。ただ、これにつきましても、値上げを一斉に大幅にやるということのないように、ぎりぎりの値段で上げるようにということで指導しております。そういう意味で、七月以降さらに値上げをせざるを得ない状況にはございますが、できるだけそれを抑えていくという方向でやっていきたいと思っております。  それから小売の問題でございますが、小売価格につきまして、今回の元売り価格の値上げによりまして、いわゆる中間マージンと申しますか、これらが一斉にはね上がる危険があるのではないかということでございますが、灯油の価格が、やはりこれは需給によって決まるわけでございますので、供給が不足いたしますと、そういうことに伴いまして、従来の経験ではどうしても中間マージンがそのときに同時に上がっていくわけでございますが、私どもは、今回灯油の指導価格を外しましたのは供給の確保を図るということで行ったわけでございまして、各社に対して相当増産を要請しております。できるだけの、冬場に備えてのストックを置かせるようにやっております。最近相当積み増しが行われておるわけでございますから、それによりまして、中間マージンにつきましてはできるだけ上がらないように持っていきたい。また、これらについて十分監視をいたしまして、不当な値上がりその他がありました場合には強い行政指導を行っていくつもりでございます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 あなたのいまの御説明で、ちょっと私、むしろ心配になったのですが、通産省が指導して、月初め早々上げるのはどうもおかしいから、せめて半月くらい後にしてくれよということで一斉に十六日値上げになって、しかも、日石のような営業内容のいいところは二千七百円のアップだが、ほかは大体三千円アップ、何だか通産省の指導で大体足並みがそろっちゃった。しかも七月にもう一度、二段階目のアップも大体何か話し合いがついているような、そういう印象を受けるんですがね。前例もあることですから、そういう印象を国民に与えたら私は困ると思うんです。もう少しはっきりしてください。
  48. 増田実

    ○増田政府委員 先ほどの御説明、あるいは私の申し方が悪かったかと思いますが、この灯油の価格につきましては、私どもの基本的姿勢は、灯油は民生に直結いたす物資でございますので、これの値上がりはできるだけ防ぎたい、同時にまた、これは必需物資でございますのでその供給の確保を図りたい、こういうことでやっております。  そういう意味で、決して通産省が指導いたしまして値上げをさせるということではございませんが、ただ、先ほど申し上げましたのは、六月一日に外しまして直ちに明くる日から一斉の値上げをするのは遠慮してもらいたいということで、むしろ、先ほどの基本的な姿勢から、直ちにやることをとめたわけでございます。業界の実情から言いますと、むしろ六月一日解除になれば直ちに明くる日から上げたいというのを、少なくても半月ぐらいは待てということで指導いたしたわけでございます。それから上げ幅につきましても、現在需要期ではございませんので、こういう状況のもとに大幅な値上げというものはむしろ不可能だと私は思っております。そういうことで、値上げにつきましても大幅な値上げにならないように、しかも一挙に値上げをしないようにという行政指導を行ったわけでございます。先ほど先生から御指摘ありましたように、値上げにつきまして通産省が細かい指導をしているということでは決してございませんので、気持ちといたしましてはできるだけ値上げ幅を押さえるということでやっておる次第でございます。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 大臣に伺いますが、いまの問答でもおわかりと思いますが、通産行政も、特に業績の上がらない石油産業大変だというお考えがあることも当然だと私は思うが、しかし、全体的な石油製品の価格処理についても、民生に一番影響のある家庭用の灯油について政策価格を強く表現できるような価格体系のあり方というようなことも考えられるわけですから、もう少し消費者サイドに立っての行政の進め方をやっていただきたい、それについてのお考えを伺いたいのと、それから参議院や衆議院のほかの委員会でも、大きな需要地である北海道等については特別な指導をすると通産省は表明されています。一定水準以上に値上がりをするようだったらそれに対する特別な措置をやるとかなんとか言っているわけであります。それについてはどうお考えなのか。それから、北海道について現地の指導と調査をやりますという約束をされているようでありますが、そのこともどういうふうになっていますか、これを伺います。
  50. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回の措置は、灯油を低く抑えましたので一部工業用等に流れまして、こういう状態ではこの冬の必要な数量を確保することがむずかしいということから六月一日の措置をとったわけでございます。しかし、何と申しましても、国民生活にとりまして非常に大切な物資でありますししますから、これが大幅な値上がりをいたしましてそのために国民生活が混乱をする、こういうことにでもなれば大変でございますから、当然そのときには必要な措置をとるつもりではおります。しかし、先ほど長官が述べておりますように、ただいまのところはさほど心配した動きではない、こういうふうに理解をいたしております。ただ、冬場に向かいまして十分監視をする必要があろうかと思います。  また、北海道につきましては、内地の十倍からの数量を使うわけでありますから、非常に大きな負担増になると思います。したがいまして、北海道の価格が内地と著しく異なるとかいうことがあっては困りますので、北海道の価格等につきましては細心の注意を払いましてその動向を見守りまして、北海道の方々に御迷惑のかからぬようにいたします。
  51. 増田実

    ○増田政府委員 北海道につきまして、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、特にこれは生活に非常に大きな影響が及ぶわけでございます。私どもの方は、七月の上旬に調査をするということで責任者を派遣いたしまして、現地の声も聞き、実情も把握いたしまして、北海道の方々に迷惑のかからないようにあらゆる措置を行いたいと思っております。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ、念のために伺っておきたいと思いますが、家庭用液化石油ガス、これは元売りは指導価格で小売は標準価格、いま唯一のものになっているわけですが、これは当然続けられるべきだし、そういうようなお考えだと思いますが、いかがですか。
  53. 増田実

    ○増田政府委員 家庭用LPGの標準価格につきましては、現在十キログラムで千五百円という標準価格が設定されておりますが、これを当分維持いたしたいと思っております。ただ、原料につきまして相当値上がりが行われておりますので、原料価格の値上がりに伴いまして元売り価格の若干の変更をいたしましたが、標準価格についてはそのまま維持するということでやっていく所存でございます。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 まだずいぶん問題があるのですけれども、きょうの決算に直接関係のある輸出保険特別会計の処理の問題について、残された短い時間の間で伺ってまいります。  いつもなら会計検査院、通産省や大蔵省からそれぞれ御説明を聞いてから質問を始めるわけですけれども、時間の関係もあるし、それに役所の方でビジネスライクな装いで御説明を受けると、悪いことまでよく聞こえてくるような、なかなかかっこうのいい説明になるものですから、私はむしろ庶民の側から、いま問題になっているこの点についてこう理解しているということをまず申し上げて、もし私の理解が間違いだったら、後で一つ一つの御答弁の際にそちらの方ではっきりさせていただきたい。  輸出保険には八種類あるが、そのうち輸出代金保険と普通輸出保険の設備等包括保険、この二つの保険について、昭和四十七年四月からコンピューターがだめになった。バッチシステムからオンラインシステムに変わるときにプログラムの開発に失敗してだめになった期間は、四十九年五月まで何と二年一カ月ストップ状態。その間この二つの保険については、保険の方は何千件という件数をどんどん引き受けながら、保険料額の計算はしないし、保険料の納入告知書も発行しない、したがって保険料の徴収もない、こういう事態が続いたという、驚くべき行政実態があったわけです。  そういう中で決算をしていかなければいかぬ。四十八年度決算については、財務諸表、現金出納の方はいいのでしょうけれども、損益計算書や貸借対照表の方ではさも保険料が収入されたようにかっこうだけつけて、推定で計算をした決算を行っており、これが四十九年六月会計検査院の実地検査でわかった、突きとめられた、こういうわけです。  そのときの動きは、百一億円余り保険料が入っていることになっているが、実際はそのうち四十二億円余りは金は入っていないで、推定で書いた数字だというのが指摘されて、そこで訂正を出してきた。今度訂正では保険料額は七十三億円余り。ところが、この中でも十六億円余りは推計、もう一度やり直し。それでやっと七十六億九千万円余りの数字になって国会に提出。ところが、その国会に提出された中にも、十六億三千七百万円というのはこれもまた推計数字、推定してこれだけ入るであろうという数字が決算という形で出されてきた。しかし、この段階では大蔵省も会計検査院も中へ入って、こういう形で国会にお出しになった。その後コンピューターが直ったものですから、どんどん滞貨を一掃して、やっとこれが五十年の四月二十五日に、全部決まったのでしょうね、今度衆議院議長に対して保険料訂正の報告書が出てきて、保険料が九十億千五百万円、何と今度は十三億円も増加した形で、これが結論ですとこういうお出しの仕方であります。  それだけじゃないわけです。いままで言ったのは四十八年度だが、四十七年度の分もやはり推計でやっていたということが、これは会計検査院もその決算審査でとうとうわからなかった、四十八年度をやっていてやっとこれがわかった、こういうわけです。これもこの間、ことしの四月二十五日付で訂正通知が衆議院議長に来て、いままで国会に出されて私どもの審議対象になっていた決算の保険料は九十九億八千五百万円だったのが、実は正しくは九十一億五千七百万円であります、こういう通知書であります。これでやっとけりはついたというわけでありますけれども、四十七年度の審査をいまやっていて、近く通るわけですが、この審査がおくれていたおかげで四十七年度の訂正がやっと滑り込みセーフ、こうなったわけではないでしょうか。  お話をずっと詳しくお聞きして、これは公明党の諸君が参議院でもずいぶんおやりになったし、衆議院の予算委員会でもおやりになったので、本当はこれは一つ一つ問題点があるのですけれども、私は、もうきょうは時間がありませんので総括的に伺ってまいりたいと思います。  参議院や、あるいは衆議院の予算委員会でも、一応決着がついたような形にはなっておりますけれども、特に問題点として考えられます点は、まず第一に、二年一カ月の間も、コンピューターがうまくなかったのだということで保険料の徴収もしないで、引き受けだけをしながらぶっ飛ばしておいたというこの空白の責任というものは免れない、これはまさに無責任行政ではないかと私は思うのであります。ソフトウエアの開発に手間取ったというふうなこと、それもわかりますけれども、内容を聞いてみますと、プログラミングがなかなかむずかしい内容のようでありますし、それからまた、人が足りないとか、いまに修理ができる、完全に機能が働けるということで待っていたんだという見通しの悪さ、こういうような問題もありますが、この点、私は第一に問題にされなくてはならぬと思うわけであります。ですから、この点についてはひとつ通産省から御答弁いただきます。
  55. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま御指摘ございましたように、四十七年度に従来のバッチシステムから新しい方式に切りかえます際に、私どもの準備の不十分なために保険料徴収事務が停滞をいたしましたことは、私どもとしても十分反省いたしておるところでございます。  事務的な面では、いまお話ございましたように、いろいろその後努力をいたしまして、ようやく先般訂正の手続をとったわけでございますが、その間にありまして、私どもとしても今回のようなことを絶対に繰り返さないように、今後とも十分戒心をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 保険料が二年一カ月にわたって徴収が行われていなかったということで、この間に保険事故が起きたら大変ではないか、これはみんなだれしもそう思うわけでありますが、そういう問題はなかったのかということが一つ。  それから、保険料が入ってこなければ、当然入るべきものが入ってこないということによってこの特別会計相当大きな損をしていると思う。少なくも、入るべき保険料が入らなかったということによって、利子だけでも損しているのでないかと思う。それはどれくらいになっているか。この二点どうですか。
  57. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもがやっております保険の制度によりますと、保険の責任といいますのは契約を引き受けたときに発生をするわけでございます。形の上では保険料の納入ということが前提条件になっておりません。したがいまして、仮に事故がその間に発生をいたしました場合に、保険契約としては有効であると解せられるわけでございます。御指摘のような案件があったかというケース、調べてみましたところ、一件ございました。この件につきましては、あらかじめ保険料をその分だけ特別に計算をいたしまして、徴収をした後保険金の支払いを行ったわけでございます。  それから、第二点に御指摘ございました、保険料徴収事務が遅滞したために各種の損害を発生したではないかという御指摘でございますが、先ほどのお話にもございましたように、おくれておりました事務をピッチを上げまして、ようやく回収はすべて行ったわけでございますが、まさにお話しのように、その間の金利分は、私どもとしては保険会計影響を与えたということを率直に認めておるわけでございます。この点につきましては、私どもとしても十分反省をいたしておるところでございます。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 幾らくらい……。
  59. 岸田文武

    ○岸田政府委員 正確な計算はいたしておりませんが、約二、三億円ではないかと思います。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 最終的には整理できたから問題なしということで不当事項にもならなかったわけなのでしょうけれども、しかし、このような事態のために二、三億というのは、これはいろいろな計算の仕方があるでしょうが、特に大き目におっしゃった数字ではなかろうと私は思うのだが、国の会計に損をかけたことには間違いはないと思う。それから、保険事故が一件しかなかったというのは、これは不幸中の幸いであって、何か重大な問題でも起きて、ばたばたとこういう事故が続発するようなことになったら、コンピューターが壊れているからだめですよ。——そんなばかなことでやれる道理はないじゃないか。やはり常に責任ある行政執行という態度を堅持してもらわなければならぬ、私はそう思うわけであります。     〔森下委員長代理退席、中尾(宏)委員長     代理着席〕  特に、私ども、決算委員会という立場から見逃すことのできないのは、推定額で決算をしていたという事実であります、途中段階で。この点、通産省のいろいろな説明を読んでみますと、「財務諸表、(損益計算書や貸借対照表等でありますが、)これは輸出保険事業運営の期間損益及び財産状態を示すためのものであり、現金化していないものであっても、利益または資産として表示することがその趣旨に合うものと考えられ、この考え方に立って従来からこう処理してきたのだ。」こう書いてありますね。従来からこれはずっとこうやって推定で決算をやってこられたのだとすれば、これは私は重大な問題ではないかと思う。大体、会計法というのは、私は全体に特別会計を含めてかぶさってくる法律だと思うのだが、これは保険料が入ってきたら利益の方に保険料収入として入れればいいし、入ってこなかった分は未収保険料として借方の方に入れればいいのじゃないか。それからまた、出納の完結した七月三十一日以後に入ってきたものは、その金の入ってきた年の収入に入れる。七月三十一日までに入ったものだけはその当該年度に入れる。これはもう会計法の九条を引用するまでもなく、会計の常識ではないかと思います。ですから、私は、根本的に事務処理考え方そのもの、決算なるものについての考え方が根本から間違っていたのだと言わざるを得ないと思います。予算をつくるのは推計でいいのですよ。推計という言葉は予算のためなら使えると思うけれども、決算にそういうような言葉が使われるということは、どんなことがあっても理解できない。しかも、会計検査院指摘をした後も推計の数字を出してきたというふうなことの真意は一体どうなのか。これは根本的に考え方を直していただかなければならぬのではないかと思うわけです。  それから大蔵省の方も、この問題の処理の中に入ってきて、推計決算であったことを御存じなかったらしい。しかし、それがあるということをわかった段階でも、国会にお出しになった中では推計をわかっていて、そのことを一言もおっしゃらないで国会に出してこられている。  それから会計検査院の方も、四十七年度はとうとう見落としてしまった。四十八年度では何とか見つけたわけで、これが見つからなかったらいまだにこれはほおかぶりで、この決算委員会も通っていたかもしれませんね。しかし、前の年はわからなかった。そしてまた、国会にお出しになった段階でも、やはり推計数字があるというのを御存じになりながら、そのことを余り言わないで国会の方に確認という判こをついてお出しになったという事実、これも私はどうもおかしいように思う。  関係のある三者三様、それぞれお答え願いたいし、もうあと私の持ち時間は十分までですから時間がありませんので、いま私が申し上げた事実に対するお答えが一つと、それから、このような事態が今後二度と起きないようにするためのいかなる措置をお考えになっておられるか、この点につきまして、ひとつそれぞれのお立場でお答えをいただきたいと思います。     〔中尾(宏)委員長代理退席、森下委員長代理着席〕 特に通産省の点は、通産大臣から最終的にしっかりしたお答えを伺っておきたいと思います。
  61. 田中敬

    ○田中政府委員 お答え申し上げます。  最初の、決算に推計が入ることの可否の問題でございますが、決算の本体でございますいわゆる歳入歳出決算につきましては、これは現金主義によっておりますし、会計法で定められております七月三十一日をもって主計簿を締め切り、それをもって決算を作製するというたてまえから、これは推計が入り込む余地は全然ございません。従来とも、歳入歳出決算には一切の推計要素は含んでおりません。これは現金ベースでございますから当然明らかなことでございます。  それともう一つ、ただいま問題になりました、推計を含みました財務諸表の問題でございますが、本来、財務諸表等につきましても確定数字を計上すべきであって、推計額を計上するということは好ましくないことであることは、私どもも十分承知いたしております。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、今回の場合のようにやむを得ない事由で保険料債権の確定がおくれました際に、財務諸表というものが一体何を追求するものであるかという性格に顧みますと、経理あるいはその会計のより実体に近いものを表示しなくてはならないという観点、あるいはまた特別会計法の四条で示しております、特別会計法で言っております利益計算上はいわゆる保険料収入額と未収保険料をもって利益とするということが書いてございまして、明らかにこれは現金主義でなくて発生主義による会計原則をうたっておるものと考えられます。  そこで、今回の輸出保険会計につきましては、ある一定額の輸出保険契約の引き受けはあったけれども、電算機のミス等によりその保険料額が確定できなかった。ということは、確定債権額がつかめなかったので、やむを得ずそれを推計によったということでございまして、私どもは、先生御指摘のとおりに、本件の事実を私どもが会計検査院決算を報告した後発見いたしまして、通産当局あるいは会計検査院から御指摘を受け、通産省とも相談いたしました結果、やはり財務諸表というものは過去の記録の御報告であり、より実体に近いものに近づけるべきであるということで、この際推計額によるもやむを得ないということで、次善の策としてそうしたわけでございまして、これらの点につきましては、その当時はやむを得なかった。決して好ましいことではないが、はなはだ遺憾なこととは存じますが、私の方としましてはそれ以外の方法がなかったということでございます。  今後もこういう推計による諸表の作製が行われるということば決して好ましいことではございませんので、私ども大蔵省といたしまして、本件に省みて今後の改善策としてとりました措置は、四月二十五日に両院に本件の訂正を提出いたしました機会に、各省庁の会計責任者に対しまして厳重注意を発しますとともに、部下職員の監督あるいは研修を行って、再びかかることがないようにという文書通達を発出いたしますと同時に、大蔵省が各省の会計職員を預かりまして会計事務研修というのをやっておりますが、これにつきまして決算事務の講義時間を長くするというようなことによりまして職員の資質の向上を図っていくということを、大蔵省としてはとっております。と同時に、通産省の当局にもお願いいたしまして、再びかかることがないよう十分の御注意を願いたいという措置をとったわけでございます。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 会計検査院と、あとそちらから御答弁があると思うのですが、いまの田中次長の答弁のうち、財務諸表は実体に従う、実体が反映すべきだというのですが、二年半保険料が入らなかったというのが実体じゃないですか。あなたが言われるのは入るべきという一つの想定であって、実体じゃないですよ。実体を反映するというなら、入らなかったのが実体じゃないですか。  それからもう一つは、推定をどうしても入れざるを得なかったのなら、なぜ、これは推定が入っていますとおっしゃらなかったのか。そんなことを言わなければ、だれかが気がつかなかったら、国会はその推計のままで通っていったでしょう。これは推計なら推計だということをはっきり言うべきじゃないですか。
  63. 田中敬

    ○田中政府委員 財務諸表は実体に近づけるべきだということを申し上げましたが、本件の推計額は、未収保険料を推計といたしたわけでございます。保険契約を締結いたしまして、本来なら、その保険契約に対応する保険料がたとえば三億円入るべきはずであるけれども、保険契約の一々について保険料計算ができなかったために、保険料金額というか、保険料債権というものが幾らあるかわからない。そういうことで未収保険料を推計にいたしたものでございまして、これは現金ベースのものが推計になっているわけではございませんので、そこのところは御了察いただきたいと存じます。  それと、私どもが会計検査院に提出いたしました後、推計額が入っておるということをはっきり了知いたしましたにもかかわらず、国会に提出いたしました際に何らその点に触れなかったということにつきましては、重々、私どもの落ち度としておわび申し上げなくてはならないと思っております。この点につきましては、今後かかることはないと存じますが、万一、天災その他のことによりまして一部推計額によらざるを得ないというような事態が起きました際は、私どもは国会に提出いたします際にその旨脚注等に、一部推計額を含むというような記述を必ずさしていただきたい、かように考えております。
  64. 桜木拳一

    桜木会計検査院説明員 輸出保険特別会計の経理の問題につきましては、私ども、昨年度四十八年度決算検査の際にようやく、こういう事態であるということを発見したわけでございまして、その結果に基づいて通商産業大臣あて、速やかに徴収すべきである、あるいはこういうふうな推計数字で財務諸表を計上しているのは妥当でないというふうなことから改善意見を発したわけでございます。四十八年度決算検査の際に、四十七年度についても同様な事態があるということを初めて私ども発見したわけでございますけれども、何さま、そのときは四十七年度のケースもなかなかまとまらないというふうな状態で、改善意見は四十八年度を主体として発しているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、四十七年度分につきましてこういう事態があるということを会計検査院として発見できなかったということは、まことに遺憾な事態でございまして、この点は深くおわび申し上げたいと思います。  それから第二点の、内閣から十二月五日付で訂正の計数が出てまいりましたが、それについてなお推定が十六億三千余万円あるということについて何も記述してないのはどうもいけないじゃないかという御指摘でございますけれども、これはおっしゃるとおりでございまして、昨年の十二月五日発生保険料七十六億九千余万円ということで掲記してございますけれども、この中にはなお推計額が十六億三千余万円あるわけでございまして、この点につきましては、私ども、記述の点で非常にまずい面があった、こういう点は今後十分気をつけてまいりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  65. 河本敏夫

    河本国務大臣 事実はすべて御指摘のとおりでございます。通産省の重大なミスでございまして、十分反省をいたしております。今後こういうことのないように十分気をつけてまいりたいと思います。
  66. 井原岸高

    井原委員長 庄司幸助君。
  67. 庄司幸助

    ○庄司委員 最近、百貨店法の改正以来、大型店が各所にどんどん進出いたしまして、いま小売商の業界では死活の問題だということで大変な騒ぎになっているわけです。これは通産大臣もお聞き及びだろうと思いますけれども、売り場面積をめぐるトラブルやら、あるいはまた、バイパスに大型店ができた、そうしたら四キロぐらい先の団地の魚屋さんがつぶれた、こういうような事例も起きているし、それから、そういった大型スーパーが市街地にどんどん出ると、これまた、自動車は込むやら環境は悪くなるやら、大変な騒ぎになっているわけです。そういう点で一般住民側も、最近、消費者は何でも安い物ならいいというだけではなくて、スーパー問題についての関心も相当高まっているという点ひとつ御認識いただいて、質問に移りたいと思うのです。  これは五月の日経新聞に出た数字ですが、大型店の上位二百社、この売上高のシェアが、四十九年度になって初めて史上最高の二〇%を超えた。上位二百社だけで販売額が八兆四千四百三十一億円、前年度対比で二四・一%増です。それからシェアつまり市場占有率、これは二一・四%を占めた。前年対比でプラス一・八%です。このことは、大型小売業界が産業界に強い発言力を持ってくる、それから消費者物価形成にも深いかかわり合いを持ってきている。後でも申し上げますが、この背後に相当の大手商社がひっついている。こうなると、日本の小売業界にはまさに革命的な大混乱が起きる。大変な騒ぎになっているわけです。  その点で、まず明らかにしていただきたいのは、最近の大型店の進出状況、これをひとつ簡潔に教えてもらいたいと思うのです。時間がありませんから、簡単に数字だけ。
  68. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  最近の大型店の進出状況につきましては、いま詳しい数字を手元に持ち合わせておりませんが、設備投資等の状況から見ましても、あるいは商業活動調整協議会における調整状況等から見ましても、ここ二、三年、きわめて活発な進出が見られております。
  69. 庄司幸助

    ○庄司委員 こんな数字、調べていらっしゃらないのですかね。——それじゃ若干申し上げましょう。これは百貨店と、いわゆる大型スーパー、これを合わせての数字ですが、四十七年までです。  三十九年が、店舗数でいくと、こういった大型店が〇・一二%を占めていて、年商では全小売額の一三・三%を占めていた。これが昭和四十七年になりますと、店舗数が〇・四%を占めるようになる。つまり三・三倍ぐらいになった。年商は一三・三%のシェアから二〇・一%になっている。売り場面積その他の拡大状況もあります。売り場面積は約倍になっています。従業員数で一・五倍ぐらいになっております。こうやって拡大してきているわけです。  特に四十九年、去年の三月に百貨店法の改正があった以降、今度は地方進出が物すごいですね。これは個別にちょっと見てみたのですが、昭和四十五年と四十九年の対比で、小売商全体の全販売総額が二・二倍ぐらいにふえております。これは物価の値上がりが一つの主要な要因ですが、そういう中でイトーヨーカ堂、ハトみたいなマークをつけた、あれが七・六倍売り上げを伸ばしております。それからダイエーが五・四倍、長崎屋が四・五倍と、こういうふうにふえているわけです。  私、知りたいのは、この百貨店法の改正が施行されてから約一年三カ月ほどたちますが、この間に法に基づく大型店の届け出、これは何件ぐらいあったか、これをひとつ。
  70. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  大規模小売店舗法三条の規定によりまして建物を建設する関係の届け出が四百四十件でございます。
  71. 庄司幸助

    ○庄司委員 その前と比べると、この四百四十件というふえ方はどうですかね。
  72. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 昨年三月に旧百貨店法から大規模小売店舗法に制度が切りかわりましたので、それ以前と制度が変わっておりますから、以前と以後との間で比較を行うことは困難でございます。
  73. 庄司幸助

    ○庄司委員 いずれにしても、改正法が施行されてからものすごい勢いで届け出がふえた、この事実は否めないだろうと思うのです。ですから、そういう点で、百貨店法の改正がやはり大型店進出激化と軌を一にしている、誘因になったと言えるだろうと思うのです。たとえばダイエーですが、ダイエーの進出状況を調べてみたのですが、昭和四十七年と比べると、昭和五十二年計画までの計画を見ますと、昭和四十七年当時が九十一店だったのですが、それを二百五十店にふやそう、約二・七倍です。これは地区別に見ますと東北、北海道はたった一店しかなかったのが、現在も拡張したのもありますが、それが二十一店、大変な増加率なんですね。これはダイエーだけの数字ですが、ジャスコもどんどん進出しておりますし、長崎屋もやっております。こういう勢いで進出した場合、中小零細の小売店への圧迫はもう火を見るよりも明らかだろうと思うのです。  その点で、小売店はこういう影響で倒産も相当あるのですが、通産省、小売店の倒産ですが、調べておられるかどうか。これは小売店といったって、負債額が一千万以上のやつは興信所やなんかの記録に出ますけれども、それ以外の八百万、九百万、あるいは五百万なんという、本当の零細のあれは出ないわけですね。出ないのですが、一千万以上に限って言っても結構ですから、いわゆる小売店が何件ぐらい倒産しているか。
  74. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 小売店の数は全国で百五十万店ございまして、それの倒産状況につきましては正確な統計を作成するような体制ができておりませんので、残念ながら現状におきましては正確な数は存じておりません。
  75. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣、いまお聞きになっただろうと思うのです。何か御答弁を聞いていますと、大型店の進出状況はつかんでおられない、数字がない。それから、これに引きかえて小売店の倒産の方は、これも調べておられない。そうすると、一体通産省は、いわゆる弱小な小売店を保護すると法律もあるわけですが、その辺にさっぱり力を入れてないんじゃないかというそしりを免れないと思うのですが、いまのやりとりを聞かれて、通産大臣、通産行政のあり方としてどうお考えになりますか。
  76. 河本敏夫

    河本国務大臣 大規模小売店の最近の進出状況については、これは通産省に資料があるわけでございますから、ただいま手元に持ち合わせがないというだけでございまして、必要とあらばすぐに調べまして、参考資料として提出をいたします。  なお、倒産件数等につきましても、これも毎月の倒産内容がわかっておりますので、これを小売店ごとに分類いたしますとすぐに資料は出ますので、これも調査いたしまして、必要とあらば資料として提出をいたします。
  77. 庄司幸助

    ○庄司委員 どうも審議官と大臣との答弁、ちょっと食い違いがあるような気がするのですが、大丈夫ですか。
  78. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 大規模店舗の進出の状況につきましては、われわれは手元に資料を持っておりますので提出できます。他方、この中小零細小売商につきましては、何といいますか、概略の数字はあるいは言えるかもしれませんけれども、統計作成の体制は継続的にはやっていないわけでございます。商業統計とかあるいは国勢調査とか、そういう連続的な動態統計ではなくてかなりの間隔を置いてやるものはございますけれども、それから推計することは可能であろうかと存じますけれども、倒産件数何件というふうに正確に把握することは困難でございます。
  79. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは大臣の答弁は間違いだということになりますね。
  80. 河本敏夫

    河本国務大臣 まあ私の申し上げましたのは、負債の一千万円以上の分につきまして倒産件数等もわかっておりまして、それを分類いたしますと小売商関係の資料が出てまいりますので、その分については提出が可能であると、こういうことを申し上げたわけでございまして、一千万円以下の分になりますと、これはいま審議官が申し上げたとおりでございまして、細かい正確な統計は不可能かと思います。
  81. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣、これは非常に大事な問題なので、やはり小売業界の動向調査ですね、特に、こういう大型店の進出によってどういう影響を受けているのか、その重要な資料になるわけですよ。ですから、ぜひこれは——一千万円以上については調べがつくはずです。大臣おっしゃったとおりです。ただ、一千万円以下の分ですね、これを捕捉するためにはやはり各県の商工部なりあるいはその他で調査すれば、ある程度の数字は出るだろうと思うのです。そういう実態の把握をひとつやってもらいたいと思うのですが、大臣、御答弁願います。
  82. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 仰せのような方向でできるだけ数字を把握したいと存じますけれども、府県あるいは税務署等でどれだけ実態を把握しておるか、私たち現在のところではよくわかりませんので、ともかくも仰せのような方向で努力をしたいと考えております。
  83. 庄司幸助

    ○庄司委員 ひとつぜひお願いします。資料として出していただきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、いわゆる百貨店法の改正後の届け出に基づく大型店、こういった名前は一々挙げませんけれども、先ほど言ったような大型店が、大規模店舗法の網にかからない店舗をたくさんつくってくる傾向が最近出てきた。これはコンビニエントストアといいますかコンビニエンスストアといいますか、こういうかっこうで、いわゆる政令の大都市ならば三千平米以上は届け出の対象になる。それから地方の中小都市の場合は千五百平米以上ですね、これが届け出の対象になって商調協にかかるというわけですが、それ以下のものでこの規制の網をもぐって、系列下のいわゆるコンビニエントストアをどんどんつくろうという傾向が最近顕著なんです。これは都会の中心部だけじゃなくて住宅地にも、いわゆる機動性を利用してどんどん進出する。そうすると、住宅地で高い土地代を払って、そこで小売業をやろうとしてせっかく入った小売店が、またつぶされちゃう、こういうことになるのです。その点で、コンビニエントストアの最近の動向、これをひとつ知らせてもらいたいのです。  それば、実はダイエーの中内社長が日経流通新聞の六月二十七日号に出しておりますが、「五十年までは大型店舗による拠点配置を主力とし、五十年〜五十五年は拠点政策と小型店」これがコンビニエントストアなんですね。「小型店による面作戦を並行。五十五年以降に本格的な面制覇をねらう。」こう言っております。いままでは点で、点に顧客を吸収する作戦でやってきたのが、今度は面でもって、そこで顧客を吸収する。これはもう小売店にとっては大変な問題になるのです。この辺どういうふうにお調べになっているのか、あるいはこれに対する対策をどうお考えになっているのか、この辺簡単にひとつお伺いします。
  84. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 ただいま御指摘のコンビニエンスストアでございますが、これは現在まだ端緒段階にあるというふうに考えております。このコンビニエンスストアの形態には二種類ございます。一つは直営店拡大システムでございます。それからもう一つは、既存の小売商をこのコンビニエンスストアチェーンの中に織り込んでいこうという行き方でございます。  まず第一の直営店拡大システムをとります場合に、これが急激に行われますと、先生御指摘のように、既存の小売商との間のあつれきが増大するおそれがございます。ただ、われわれの承知しておりますところでは、一般的に申しまして、大規模店舗が傘下にそういう小さい直営店を数多くつくって、これでコンビニエンスストアシステムをつくり上げようという考えは余りないというふうに考えております。なぜ余りないかと申しますと、そういう小さな店をたくさんつくって、サラリーマンがその店に出向きましてその店を経営する、それを本部が管理するという行き方は、経済的に余り合理的でなく経費がかさむ、それから目が行き届かないというような難点がございまして、経営効率上の問題が多うございますので、そういう方向で大規模店舗がそういうポリシーを推進するということは余りないというふうに考えております。ただ、現在は実験段階でございますのでそういう直営の実験店を若干設置しておるということでありますが、これが将来、燎原の火のように広がるという可能性は余りないのではなかろうかというふうに考えております。  第二の、既存の小売店をコンビニエンスストアシステムに組み入れていくという行き方でございますが、これにつきましては、私たちは、小売の合理化、流通合理化という段階から好ましい方向であるというふうに考えております。理由は、現在の小売商は規模が零細でございまして、しかもその仕入れ量が零細でございますために流通コストがきわめてかさみまして、消費者のニーズにも十分こたえられず、流通コストも大きくなるという難点がございます。こういう小売商を組織いたしまして共同購入等をやりますならばコストの低減に資すると思いますので、コンビニエンスストアのやり方あるいはボランタリーチェーンのやり方等々を促進していくということは、消費者の立場から見ましても、流通合理化の立場から見ましても、好ましいことであるというふうに考えておる次第でございます。
  85. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、このコンビニエントストアの実例を、関連で青柳委員からひとつ質問させてもらいます。
  86. 青柳盛雄

    青柳委員 具体的な例、まさにコンビニエンスストアになるかどうか知りませんけれども、実は最近、東京都練馬区の大泉学園町、正確な番地は二千六百三十二番地というところでございますが、これは西武池袋線の大泉学園前から北の方向へ向かって走っておりますいわゆる住宅地、桜並木に面した道路に、株式会社丸悦というスーパーが、生鮮食料品を主とし衣料、雑貨などもやっている会社でございますけれども、進出するということで、いま地元で大問題になっておりますけれども、当局の方ではこれを御存じかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  87. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 東京通産局の管内でございますので、東京通産局が承知しているかどうか、調べてみなければわかりませんが、私の段階では、全国多数あるそういう事例一つ一つ知ることは不可能でございますので、現段階では承知いたしておりません。
  88. 青柳盛雄

    青柳委員 簡単に御説明いたしますと、このスーパーは、埼玉県を本拠にして県内外に三十七の支店を持つ、資本金は二億五千万円という中型スーパー、業界では日本で第六十四位にランクされていると言われております。このスーパー丸悦が、先ほどの場所に進出を予定して、四月の二十九日に練馬区役所の建築課に話を持ち込んだわけであります。  一方、これを重視しました地元の商店などでは、いち早くスーパー「丸悦」進出反対協議会準備会というものを発足させまして、区役所の建築紛争相談室に話を持ち込み、さらに「スーパー「丸悦」の大泉進出反対に関する請願書」というものをつくって、六月十六日には三千五百五十一名の反対署名を集めて区議会に請願をいたしております。  この反対協議会の代表の人たちは、五月の二十日と五月二十九日の二回にわたって、練馬区役所の仲介で丸悦側の人たちと交渉を行いました。その際、丸悦側の説明によりますと、建設予定の概要は、建物が鉄骨二階建ての店舗で、一、二階を合わせた売り場総面積は二千三十六平方メートルで、取り扱う商品は生鮮三品が八〇%と、二階を雑貨売り場にして、予定の売り上げは年間約十二億円を見込んでいる、こういうことだそうであります。  この交渉には区の建築課長と商工係長も出席をいたしまして、区の方としても、進出によって環境が破壊されることや、区内に多い生鮮関係業者との競合のおそれについて問題があるということを発言して、重大視しているわけであります。丸悦進出は、当然地元の中小商店にとってまさに死活問題であるわけでございますから、区としては、地元と話がつくまでは建築確認申請書の提出を見合わせてほしいと丸悦側に指導をしているそうであります。  そこでお尋ねをいたしますけれども、いままで、このように基準以下、つまり東京都内は、先ほどもお話がありましたように三千平方メートル以上でございますけれども、それ以下の、基準以下のものも含めて、スーパー進出に関する行政指導をいままでにやったことがあるかどうかという点でございます。いかがでしょうか。
  89. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 基準以下の面積の大規模店舗と申すのですか、やや大型の店舗と中小小売商とのトラブルの問題につきましては、通産省が直接行政指導をするというケースはほとんどございませんが、地元の商工会議所等を通じましてそういう紛争の解決をあっせんするように、商工会議所等を指導してやらせておるというのが一般的な方針でございます。
  90. 青柳盛雄

    青柳委員 この法律ができましたときに附帯決議ができて、その第四項に、基準以下の店舗につきましても、基準に従うところの大規模店舗と同様、本法の調整措置に準じて適切な指導を行うというようなことが要望されているわけでありますので、いまのお話のように直接はタッチしないということでなしに、地元からの要請のあった場合にはやはり適切な措置をとるということが望ましいんではないか、また附帯決議の要求でもないかと私は思います。事実上、産構審あたりの報告によりましても、スーパーとして最も適切なのは売り場面積が千から千四百九十九平米のものだということになっております。これは東京とか政令指定都市以外の地域の場合でございますけれども、いずれにしても基準以下のスーパーマーケットが案外と成績を上げておる、また進出もたくさんしておる。ということは、反面から言いますと、その地域の中小商店が大きな打撃を受けるということをも反映していると思います。私どもはそういう意味で、本件の場合などは、まさに当局側がこの丸悦の進出について、この法律の趣旨に基づく適切な行政指導がなされるべきではないかというふうに思います。  特色のございますのは、中小の商店の人たちだけが反対するんではなくて、むしろ、この環境が住宅地でございまして、なるべく住宅地にふさわしいような中小の商店の繁栄することが、この住宅地の人たちの要望でもあります。  住宅地の人たちがこの進出に反対している様相は、時間がありませんから余り詳しいことは言えませんけれども、かつて、ボウリング場だとかあるいはパチンコ店その他環境破壊に関連するような企業の進出に対して反対したときと、全く同じ状況であります。たとえば平日でも、普通余り人が出入りしないのに五千人、土曜、日曜日などは  一万人を超える人々がそこに集まるんじゃないか。そして交通公害が頻発する。また、したがって軽犯罪なども起こりやすくなるし、子供たちに対する教育環境が非常に悪くなる。それから、生鮮食料品を扱っておりますから、ごみがたくさん出る。衛生上非常によくないというようなことです。これはちょうど焼却場やあるいは屎尿処理場ができるときに反対するのと同じような反対があります。子供が小遣いを欲しがるような状況になる。そしてまた、このスーパーはエアコンディションがいいから、自宅にエアコンディションのないような子供たちはそこへ行って一日遊ぶというようなことになり、教育上も非常によくない。非行少年も出てくる危険性がある。いわゆる万引きなどがふえてくるのじゃないか。その他消防車、救急車の緊急自動車の出入りも不自由になるおそれもあるというし、それから、大金がそこで落ちますから、これをねらう三億円強盗みたいなものも出てくる心配がある。その他風紀が乱れる。いろいろお母さん方が、消費者が、心配をしているわけです。  これは直接この法律の運用とかかわり合いがないように見えますけれども、消費者の利益というものもこの法律は十分に守っていくということが言われているわけでありますから、中小業者の利益と同時に消費者の利益をも守る意味において、この丸悦の大泉地域進出について、届け出はまだ当然ありませんけれども、事前に調査をするということをお考えになっておられるかどうか。私どもからこういう問題が提起されても、なおかつ、それは知らないということなのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  91. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 附帯決議はもちろんよく承知しておりますわけでございまして、附帯決議の趣旨に従いまして行政はやっていかなければならない、こういうふうに存じております。  そこで、その大規模小売店舗法における行政の立場でございますが、基本的な立場が、直接権威主義的に介入するとか、あるいは取り仕切っていくということをなるべく避けよという立場をとっておるわけでございます。  なぜそういう立場をとっておるかと申しますと、全国にきわめて多数の大規模店舗もあれば中小店舗もある。あるいは無数の消費者がございまして、その場所、場所でいろいろ特殊な事情もあり、利害関係もあり、立場も千差万別であろうと存じます。通産省が、稚内の小売店の問題も鹿児島の小売店の問題も全部承知いたしまして、大岡裁きをするということは、できれば非常に好ましいのでございますが、実際にはそういう自信もございませんので、基本的には、そういう地域、地域の問題は地域民主主義で解決していくのがいいのではなかろうか。その地域民主主義の場といたしまして商業活動調整協議会というのをつくり、そこで妥当な判断をいたしましたならば、その判断に通産大臣としては従っていこう、こういう立場、こういう方針に現在の法律ができておるわけでございます。  したがいまして、いま仰せられましたケースにつきましても、まず、その地域の消費者、それから中小小売商、それからその丸悦という店舗、このそれぞれの立場で商業活動調整協議会に準ずるような場所をつくりまして、そこでお互いによく利害を調整するということが望ましいのではなかろうか。ただ、そういう場がなかなかできないということでございますれば、東京通産局等がそのあっせんの労をとって、なるべくは当事者がよく相談をし譲り合いまして、いい結果が出るということを期待しておるわけでございます。
  92. 青柳盛雄

    青柳委員 もう時間がなくなりましたから、いまの趣旨を十分に生かしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  93. 井原岸高

    井原委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後四時九分開議
  94. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。庄司幸助君。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 どうも調子狂っておりますが、さっきの続きを質問いたします。  それで、コンビニエンスストアの問題は、先ほどの事例も挙がったわけですが、この点で審議官が、いわゆる直営店方式は余り広がらないとこうおっしゃったわけですが、実はこれは広がっているのです。私のおります仙台あたりでも、団地に小型のジャスコや何かができている。これは注意して見ておいてもらいたいと思うのです。それからもう一つは、既存の小売商とのタイアップの問題で、これは好ましい方向だとおっしゃったわけですが、この中で、零細業者の場合だとコストが非常に高くつく、だからこういうものが必要なんだと言わんばかりの御発言でございました。確かに零細小売商はコストが高くつくということはあるだろうと思いますけれども、しかし、これについてはいわゆる小売商振興法ですか、これでボランタリーチェーンその他の施策があるわけですね、あるいはまた共同店舗の問題であるとか。ですから、これと、いわゆる大型店とのタイアップや、大型店の背後にあるもの、この辺とのタイアップとは別問題だろうと思うのです。その辺ひとつ注意しておきたいと思うのです。  時間がありませんから次に移りますが、大型スーパーの背後に、最近報道されておりますのは伊藤忠であるとか丸紅飯田であるとか、こういう大手の商社がついている。そうしますと、これは、大手商社が問屋も兼ねながら同時に小売の方向にも手を伸ばしてきた。こうやって小売の分野を大資本がどんどん蚕食していく。こういうことになりますと、日本に無数にある小売店、これも生きる権利は当然あるわけですが、これを否定していく傾向はますます広がるだろうと思うのです。その点で、大手商社と大型店の結びつきの問題、この辺は実態把握されているかどうか。把握されているなら教えていただきたいと思うのです。
  96. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 大手商社と大手のスーパー等とはそれぞれ持っておる機能が違いまして、ある程度は補完関係があると考えられます。たとえばスーパー等が外国の物を輸入してその店舗で販売しようという場合には、大型商社の海外機構あるいは情報等を利用するということが便利であり、逆に大型商社の方から見れば、そのマーケットチャンネルを大規模店舗を通じて開拓するというようなことがございますので、そういう相互関係が、急速でもございませんが、漸次拡大しつつある方向はあると考えております。  ただ、大手商社は、ちょうど大商社がラーメンまでやるというようなことでも言われますように、若干は末端の小売の分野にも出てきておる部面がございますけれども、概して言えば、大手商社は卸売段階を専門といたしておるわけでございますし、他方、大型小売店は小売の段階を専門としておるわけでございますから、一方が他方を支配するとかいうような関係はまず成立する可能性は余りないのではなかろうかと思っております。現在でもなお、大手商社と大型小売店との資本関係等を見てみましても、余り大きな株式支配等は行われていないと考えておるわけであります。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 大変楽観的でありますが、この点、お調べにもなっていないようですから、調べて後から資料として出していただきたい、その点よろしゅうございますか。簡単に、いいか悪いか。
  98. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 大手商社が大型小売店の株式をどの程度持っているかというようなことにつきましては、資料がございますので提出をいたします。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 株式の問題だけじゃなくて、商社の問屋機能とそれから大型スーパーの小売機能が完全に大手のルートから流れて、いわゆる大型店が商品の面で支配的な傾向にあるというような点もお願いしたかったわけです。  それで、その次お伺いしたいのは、小売分野に対する外資の導入あるいは外資の進出、セーフウエーとかシアーズであるとか、いまいろいろ名前が挙がっておりますが、これを六月一日から一〇〇%自由化するということになっているのですが、この辺どういう形態で日本に上陸しているのか、これを簡単に答えていただきたいと思います。
  100. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 小売業への外資進出の現状でございますけれども、外資進出は四十七年ごろから始まりまして、店舗所有の小売業は四十七年から本年三月までの間に四十九社進出しております。  外資の母国別で分類いたしますと、アメリカが十三社で、次いでインドが六社、スイス、台湾各五社となっております。事業内容別の分布でございますが、総合小売店は二社でございまして、その他は繊維製品、衣服を扱うものが十五社、美術品、装飾品を扱うものが十四社でございます。資本金の規模別で申し上げますと、資本金が一千万円以下のものが二十五社で過半を占め、一億円を超えるものは七社でございます。それから外資の比率別で申し上げますと、外資比率一〇〇%のものが十三社で、五〇%超一〇〇%未満が十一社、五〇%が十四社、五〇%未満が十一社となっております。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後通産大臣にお伺いしますが、こうやって、先ほど来、大型店の進出状況が非常に激烈だということは明らかになったわけです。それから、それと同じような系列でコンビニエンスストアであるとかその他も進出をしている。それから外資も上陸してくる。これは六月一日から全面、一〇〇%自由化されるわけですから、インド、台湾当たりはともかく、アメリカの世界的な大手、この辺が今後いろいろなかっこうで進出をしてくる。そうやって日本の大型店との競争がまた始まる。こうなればますます中小零細の小売店、これがもう圧迫されてくることは目に見えているだろうと思うのです。  私は、先ほども申し上げましたけれども、日本の消費者にとって何も大型店だけが必要なんじゃない。やはり地域に密着して、アフターサービスその他の面から考えて非常にサービスのいい地元の在来の小売店も、やはり消費者にとっては大事な存在であろうと思うのです。その点で、この大規模小売店法その他含めてやはりもう一遍検討してみる。たとえば大型店については通産省の指導で、これはいわゆる許可ではありませんが、まあ規制されている。この点、もう少し、やはり地元の知事なりあるいは市町村長の権限ですね、この辺を強めてやる必要があるのじゃないか。たとえば知事が許可制にするとか、あるいは知事が、届け出があれば周辺の人口の規模やあるいは推移、小売業の現状調査等をやって、関係市町村長の意見も聞いて調整していく、そういう一つの法改正方向、あるいはまた大型店、資本に物を言わして売りまくるような店、これにやはり何らかの規制を加えて中小零細の小売店の保護を図るべきじゃないかな、こう思うのですが、その点、最後通産大臣から、考え方、今後のとるべき方向、この辺ひとつお聞かせ願って、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 河本敏夫

    河本国務大臣 六月一日から小売業が完全自由化されまして、外資も自由に入ってくることになるわけでございます。しかし、これまでの例等から考え、また現状から考えまして、私はおのずかな制約が出てくるのではないかと思いますし、さらに、入ってきた場合には法律によってこれをある程度調整することもできる、こういうことにもなっておりますので、私は、自由化されたからといって特別に大きな変化はない、こう考えますが、いずれにいたしましても、大規模な小売店とそれから地方の小さな小売店との共存共栄ということは非常に大切なことでありますので、現在の法律精神にのっとりまして、できるだけ調整しながらこの法の運用を図っていきたい、こう思います。それでなお不都合なことが続くようでございましたら、そこでまた法律改正等も考えなければいけませんが、現在は法律ができまして間もないことでございますから、もうしばらくは運用の面で気をつけながらやっていってはどうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  104. 井原岸高

    井原委員長 坂井弘一君。
  105. 坂井弘一

    ○坂井委員 ただいま本会議におきまして、輸出保険特別会計の問題につきまして、政府の政治責任も含めて質問をいたしました。河本通産大臣御出席いただいておりますので、改めて、本会議の質問を踏まえて、さらには本委員会におきまして確認の意味も含めてお尋ねいたしたいと思います。  この輸出保険特別会計につきましては、保険料の計算事務が二年間もおくれた、そして昭和四十七年度及び昭和四十八年度歳入歳出決算に添付する財務諸表、これを作成するに際して計数の一部に推計額を含んだまま作成いたしました、いわゆる間違い決算、これを黙って国会に提出をしてきた。しかも国会で追及を受けるまでこれに対して全くほおかむりをしてきたということは、これはまさに国会無視もはなはだしい、こう言わなければなりません。このような事態を招いた原因、その後の経緯、これについて一体どう認識されておるのか、さらに具体的にお述べいただきたいと思います。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十七年度及び昭和四十八年度輸出保険特別会計決算におきまして御指摘のような問題を生じましたことは、もっぱら通産省における事務処理の不手際によるものでございまして、この点、責任者といたしまして深く反省しておるところでございます。  本件につきましては、昨年の十一月、会計検査院指摘を受けまして以来、まず、早急にかかる異常な事態を解消することが最も重要と考えまして、これに全力を傾けてまいりました。その結果、ことしの三月末をもって全案件の作業を終了いたし、会計検査院の実地検査も受け、最終的な計数を確定いたしました上、四月二十五日付をもちまして内閣から国会に対しまして訂正手続をとった次第でございます。  今回かかる事態を招きましたことは全く通産省の責任であり、当省におきまして今後再び同様の事態を生ずることのないように厳重に注意をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  107. 坂井弘一

    ○坂井委員 通産大臣にお伺いいたしますけれども、本日本会議場でも述べましたとおり、この決算国会に提出するに際しましては、閣議決定をしまして検査報告とともに提出をしてきております。したがって、あなたはこの輸出保険特別会計の所管大臣として、検査報告でこの決算推計額が含まれていることを明記していることを知らなかったということは言えない、知らなかったはずはないと思います。つまり、知っていたのかどうか。知っていたとすれば故意でしょう。全く知らなかったというならば、まさに、本会議指摘しましたように、これは重大な過失と言わなければならぬと思います。本会議指摘しましたその点につきましては、何らお答えがございませんでした。したがって、いまの点につきまして、ここで明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  108. 河本敏夫

    河本国務大臣 一部の推計を含んだ計数のまま輸出保険特別会計の財務諸表を国会に提出いたし、これを訂正するという、そういう事態を招きましたことにつきましては、繰り返し申し上げておりますように、深く反省をいたしておりまして、今後再びかかることのないように十分最善の措置を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。  また、今回の問題の発端となりました電子計算機も現在は順調に稼働しておりまして、かつ、本年の三月末までに保険契約を締結いたしましたものの保険料もすでに全額完全に収納済みでございますので、昭和四十九年度におきましてはかかる事態は起こらないわけでございますが、今後ともさらに一層の注意をもって運営に当たりたいと考えておる次第でございます。
  109. 坂井弘一

    ○坂井委員 くどいようですけれども、大臣、知っておったとは言えぬわけでしょう。言えないわけでしょうが、そうなると、全く知らなかったということになろうかと思うのですけれども、これは国の公務上の問題ですから、そうも言えない。まあ、ついうっかりしていた、こういう言い方で、まことに申しわけないということだろうと思うのですが、しかし、うっかりしたというようなことで済む問題でもない。もし、うっかりしていたというならば、これはまさに重大な過失であるということを、私は本会議においても指摘したわけであります。まさに、通産大臣はその当事者であります。したがって、私はきわめて厳しく申し上げますけれども、あなたみずからがやはりその責任を明確にしなければならぬ問題だということまで、あえて申し上げたわけでありますが、その点に対してお答えがないわけであります。大臣、きわめて遺憾である、反省をしておるというならば、いまの私の質問は大変無理な質問でしょうか。その点に対しまして、なおひとつ率直に、大臣のお気持ちをここで披露していただきたいと思います。
  110. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御答弁をいたしましたように、一部推計を含んだ計数のまま輸出保険特別会計の財務諸表を国会に提出したということを申し上げた次第でございまして、深く反省をしておるところでございます。
  111. 坂井弘一

    ○坂井委員 これ以上申し上げても、私の質問に対する答えは返ってきそうにありません。話を進めます。  いまも、四十九年度決算では再びこのような事態を起こすおそれはない、また、今後二度とこのような異常事態を生じないように最善の処置をとる、こういう答弁であったわけでございますけれども、本件のようなこういう重大な決算処理上の問題について、後がうやむやになってしまってはまことに困るわけでありまして、一体、最善の処置を講ずるということであるならば、この件が国会で問題になりましてからすでにかなりな時日を経過しているわけでありますが、すでにどのような措置をとったのか、また、今後さらにいかなる処置を講ずるつもりであるのか、なおひとつ具体的に改善措置の内容の御説明を願いたいと思います。
  112. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘のような事態を今後二度と繰り返さないようにするということは、私ども胆に銘じて考えておるところでございます。  具体的にどのような措置をとるかという点につきましては、以下のようなことを考えておるわけでございます。  まず第一には、保険料の徴収時期につきまして、原則として保険契約締結後一カ月以内に納入告知をすること、ただ、月ごとにまとめて処理するものにつきましては締結の翌月中に納入告知をするということを、事務処理規程の中に明定をすることにいたしております。  第二番目といたしましては、特別会計決算関係の決裁の範囲の統一を行うことといたしました。これは、従来の専決処理規程上、各特別会計によりましてその取り扱いに差がございましたのを、今回の経験にかんがみまして、すべて大臣官房会計課を経由をいたしまして事務次官まで決裁を受けることといたした次第でございます。  さらに第三といたしまして、通産省内に輸出保険業務改善委員会を設けまして、輸出保険業務につきまして一層の合理化及び改善を図るための検討に着手いたしております。この委員会におきまして、今回の経験にかんがみ、また、国会で御指摘を受けました幾多の問題点を踏まえまして、今後の事務の円滑化合理化、こういった面での結論を得たいと思っておるところでございます。  以上申し上げましたことのほかに、今年度から輸出保険特別会計の経理関係の定員を一名増加いたしまして、経理処理体制の充実を図った次第でございます。また今後、担当者の経理に関する研修を一層強化をいたし、これらを通じまして輸出保険業務の改善を図りたいと思っておるところでございます。  以上、具体的な内容について御説明を申し上げましたが、通産省といたしましては、今回の経験について深い反省とともに、今後二度とこのようなことを繰り返さないという意味で最大限の努力を払いたいと思っておるところでございます。
  113. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう一つ大事な問題がありますので指摘いたしまして、御答弁をいただきたいと思います。  この輸出保険におきましては、特に普通輸出保険設備等包括保険契約の場合に、その約款に基づきまして、保険料の納入がなされようとなされまいと、納入いかんにかかわらず申込日にさかのぼって保険責任が発生する、こういう仕組みになっております。こういう方式はきわめて特異な方式だろうと思うのですが、つまり、このような形をとりますところに、保険料の早期徴収には意を用いない、こういう弊害を生み出しておる。現に、今回の事態もこのような仕組み、制度というものが遠因をなしてきたということも事実だと思います。したがって、このような約款は改正すべきだと思うのですけれども、このことについてはどうお考えになりますか。具体的に改正する意思がおありかどうかにつきましてお尋ねをいたしたい。
  114. 岸田文武

    ○岸田政府委員 現在の普通保険の約款におきましては、いま御指摘ございましたように、申し込みにさかのぼって契約が有効になるという仕組みをとっておるわけでございます。これは輸出者といたしましては、輸出契約が成立をすると、早速その危険をカバーするということを考えなければならないわけでございますが、通常の場合でも、申し込みをいたしましてから、その内容を審査し、保険料の計算をし、納入告知をし、保険料の納入が行われる、この間に多少の時間を要するのが通例でございます。その間に外国為替の制限が起こったりあるいは政変が起こったりというようなことが起こりますと、輸出業者としては輸出取引が不安定になるということを考えまして、いまの制度は先ほど申し上げましたような仕組みで成り立っておるかと考えております。  ただ、いま御指摘のございましたように、そのようなやり方でやりますと保険料の徴収事務がとかく安易に流れるのではないかという御指摘は、私どもとしてもごもっともなことではないかと思っております。そのような考え方に基づきまして、さきに申し上げましたように、今回の経験にもかんがみまして、原則として保険契約締結後一カ月以内に納入告知をするという制度を今回スタートさせた次第でございますが、さらにもっと改善工夫する余地がないかどうか、この点につきましては、先ほど申し上げました、通産省の中でスタートいたします保険に関する業務改善委員会の中でひとつじっくりと勉強いたしてみたいと思っておるところでございます。恐らく、実際の実務の面で問題はないか、あるいは他の保険制度との均衡、いろいろ勉強すべき問題があろうかと思いますが、これらを含めまして、保険のあり方を合理化する、改善するという一環としてなお勉強させていただきたいと思っております。
  115. 坂井弘一

    ○坂井委員 かなり前向いて改善の検討をしようという御意思あり、こう実は受けとめますので、あえてこれ以上申し上げることを控えたいと思います。  確かに、この輸出保険の実務につきましては、非常に他の保険等との関係もこれあり、むずかしい事情もあろうかと思います。あろうかと思いますが、ただいま局長からも御答弁いただきましたように、今回のこの輸出保険特別会計のこのような事態を起こしたという、一つの契約のあり方というものが問題であったということを私は指摘をし、かつ、それに対する御答弁におきましても、これはやはり改善しなければならぬということでございますので、いろいろなむずかしい事情もあろうかとは思いますけれども、どうかそうした点をひとつ乗り越えて、あるべき最も適正な、この保険契約の改善をして、早急に結論を見出されるように、特にひとつ要望しておきたいと思います。  通産大臣からも、先ほど御答弁をちょうだいいたしました。深い反省、二度とこのような事態は起こさないと、今後の方針としてその決意なりお示しになったわけでありますが、この問題に対しまして、私、あるいはくどく申し上げたかもわかりません。つまり、一体この責任は大臣としてどうお取りになるのかというところまで強く申し上げたのは、先ほどの本会議におきます私の論旨をよく吟味していただくならば、これはまさに国政の基本にかかわる問題でございますし、立法府そして行政府、この関係におきます議会制民主主義の根幹的な一つの問題提起であろう、こういうことでもって、大臣のその責務につきましてもあえて言及した次第でございますので、そういう点についてひとつ強く御認識いただきますならば、どうか、今後のこの種の問題につきましては、再びこのような事態を起こさないように、名実ともにこれを実効あるものとされるように、大臣としてさらに具体的に今後取り組まれますように強く要請をしておきたいと思います。  きょう防衛庁からも御出席いただいておりますので、わが国の防衛産業と、これに関係いたしまして兵器の輸出の問題につきまして、若干大きな点について御質問をしておきたいと思います。  まず最初に、現在の第四次防でありますが、第四次防衛力整備計画、これは言うまでもなく、前田中総理が主宰いたしました四十七年十月九日の国防会議で防衛関係費四兆六千三百億円、これが決定して、実施されてきた。  ところで、中東戦争以来のいわゆるインフレによりまして、以来、とみに諸物価が高騰を来してきた。この物価高騰の波は防衛産業、これまた例外ではございません。三割から五割の大幅アップをしているようでございますが、装備関係の達成率はどうなりますか。この点につきまして、装備局長御出席だろうと思います、お示しいただきたいと思います。
  116. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま御指摘の四次防の達成状況でございますが、概略的にまず申し上げますと、私の方は、陸上装備それから海上艦艇関係それから航空機と、大まかに分けますとこのような三グループに分けられますが、この中で、現在までの段階で計画達成がきわめて不調と考えられますのは、特に海上自衛隊の艦艇関係が非常に不調というふうに言えるかと思います。  陸上関係につきましては、主に戦車、装甲車関係あるいは火砲、このようなものにつきましてはおおむね達成可能な感じはいたしておりますけれども、御承知のとおり、まだ四次防も今年度、来年度と残っておりまして、先生御指摘のように五十年度の予算は一応ついておりますけれども、果たしてその予算でどの程度の数量まで達成できるかというのは現段階では当然未知数でございまして、まだ五年のうち三年という状況で、なかなか判定がしにくい状況でございますが、陸上に関しましてはおおむね何とか達成にまで持っていけるのではないかというような感じでございます。  それから航空機の方でございますが、航空機は、戦闘機の方はおおむね計画どおり進んでおりますが、対地支援関係のいわゆるFST2でございますが、この方が現在、計画に大分おくれておる。概略、以上のような状況でございます。  御指摘のとおり、確かに四十八年度の末以来の人件費あるいは材料費の非常な高騰、それからまた、特に防衛庁の予算を編成します際の防衛庁みずからの自衛官、この二十六万人の人件費のアップというものは非常に大きいわけでございます。特に総需要抑制で予算規模が締められております関係から、この人件費の伸び率が、防衛庁予算の内部でいわゆる装備関係の非常な圧迫になっているということが大きい原因になっておると思います。  細かい装備品の個々の点につきましては、御指摘の点につきましてこれから御返答いたしたいと思います。
  117. 坂井弘一

    ○坂井委員 さて、通産省にお伺いしますけれども、いま防衛庁装備局長から御説明ございましたが、この装備品の調達が必ずしも思うようには進んでいないのではないか。たとえて申しますと、防衛産業メーカーの方も、LSTの建造それからミサイル積載護衛艦DDGの契約不能等が事実起こっておる。加えて、不況はまた非常に深刻でありますし、つまり防衛庁からの受注だけに頼ってきた防衛産業、そこに相当なやはり、当初計画いたしましたそのような装備が計画を断念しなければいけないという事態もありますので、必ずしも、防衛産業、防衛メーカーは内容的にはよろしくはない。それがいわゆる従業員のほかの工場への配置転換あるいは新規採用の中止、一時帰休、そういうものが相当行われてきておる。監督官庁である通産省は、そういう実態について一体的確に把握されていますかどうですか、お答えいただきたいと思う。
  118. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、最近の防衛需要は、物価高騰によりまして減少傾向にございます。したがって各社の操業度も大幅に低下をしておるというのが現状でございまして、御指摘ございましたように、一部の企業では配置転換等を行っておるというような事実もございます。ただ、防衛産業に従事しておる企業は防衛需要だけに依存しておるわけではございませんので、その防衛需要に依存いたします割合は、会社によっていろいろでございますけれども、一般的にはかなり低うございます。したがいまして、企業の経営には重大な支障を来しておるというようには考えておらないわけであります。  なお、私どもは、五十年度は物量ベースで見て大体一割五分程度、防衛需要が結果として落ちるのではないかというように観測いたしております。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 装備局長にお尋ねしますが、昨年の六月でございましたか、経団連の防衛生産委員会、この総会で、河野委員長——三菱重工の相談役ですね、河野さんが、兵器は原則として国産化すべきである、こういう発言をしております。一方、やはり昨年の十二月の国防会議、この国防会議の結論は適正な国産化を行う、こういうことですが、この適正ということと、それから一方、企業論理の、国産化すべきだというこの国産化は、相当開きがあるわけです。一体、適正とはどういうことなのか、どういうふうに御判断されているのか、御見解を示していただきたいと思います。
  120. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいまの先生の御指摘は、非常にむずかしい、また、きわめて重要な点でございます。現在私どもが装備を調達するに際しまして、その適正ということについての具体的な基準なり内容なりをいかに方針立て、それを実施すべきかという点は、行政上の政策なりあるいはその実施の面できわめて基本の姿勢にかかわる問題でございまして、私ども今後とも勉強を続けなければいけないという問題でございます。  ただ、これまでの私どもの方針といたしましては、いわゆる装備品の国産という点を考えますと、これはいろいろとメリットがございます。これはやはり日本人の体格なり、日本国土のいわゆる縦深性のない、細長い地域であるというようなこと、これは大陸の非常に奥深い国と当然装備品の性格も違ってこようというものでございまして、いわゆる装備の性能面といいますか、こういう面から言いますと、いわゆる国土、国情に合ったものでございませんと、これは全く、かつてのMAP品のような状態になってくる。それから、やはり装備品というものは維持、補給が大事でございまして、すべて外国に依存しておりますと、非常に装備品の変転目まぐるしい現状では、いままで買っておったものは全然、部品もある時期になるとなくなってしまう。そういうような例は、先生御承知のとおり、最近におきますいわゆる地対空誘導弾、ナイキの例に見られるとおりでございます。したがいまして、維持、補給はやはり十分確保しませんと、これまで乏しい予算で買い込んでまいりました装備品を長く使っていくことができなくなるという便宜の点が一つございます。  それから、いわゆる技術の波及効果といいますか、やはり各国でも軍需品、装備品というものは非常に技術効果が高いものですから、産業面での波及効果は非常に高いということが考えられると思います。  こういうメリットと同時に、その反面、私どもはやはり政府考え方としまして、いわゆる武器輸出というものに関します厳しい態度をとっておる。それからまた、いわゆる非核三原則によりまして、およそ核関係のものは全く持たない、こういう点から言いますと、装備の種類はきわめて限定され、また、その生産数量もきわめて小さくなる、当然のことながらコストは割り高になってくるというデメリットがあるわけでございます。  私ども、各種の装備品の機種の選定、それからその場合のどのような調達の仕方をするかという、その両面におきましては、常にこの点を考えまして、大きく言いますと性能面の評価ともう一つは費用対効果がいかにわが方にプラスになるか、この二つ考え方を基本にいたしまして、最もわが国に有利な総合評価のできるものを取得していきたい。このような考え方が、先生のいま御指摘の適正という言葉に当てはまりますかどうかわかりませんけれども、私どもが現実に現在とっておる基本的な方針でございます。  ただいま御指摘の経団連の代表者等の、いわゆる装備はすべて国産でいかなくちゃならないという考え方は、私どもは必ずしも一致しておりませんで、私どもはあくまでも最も有利に、最もいいものを買い込みたいということで、すべてそのような原則に立ってこれまでもやっておりましたし、私どもが昭和四十五年に装備の整備方針というものを出しましたときも、その中に書きました種々の原則がございますが、ただいま御説明申し上げましたような諸原則をここにうたっておるということで、このような方針で今後も実行していきたいというふうに考えております。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう一つ具体的な例を挙げて、どう認識されているのか、さらにお尋ねしたいと思うのですが、確かに経団連の、兵器はすべて国産化すべしというのは、これは全く企業の論理だ。しかし、非常に根強いものをもって具体的に今後やはり防衛産業、兵器産業というものにウエートを置こうという動きは、事実かなり活発なようでございます。しかしまた一方、国防会議等においては適正ということを結論づけされておる。  そこで、国防会議の決定を見ましたことでございますが、非常に注目されておりました早期警戒機、AEWの国産化は見送るということを国防会議において決定を見た。ということは、いわゆる一方におきます国産化主流の線、そうした流れに対しまして、一歩後退しよう、つまり適正の方向に向こう、こういう意思表示、また、そういうものを踏まえて防衛庁におきましても今後の防衛産業というものを見ていらっしゃるのかどうなのか、ひとつこの辺、率直にお伺いをいたしたい。
  122. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいまの早期警戒機、いわゆるAEWの調達でございますが、これに関しましては、昨年の十二月二十七日に国防会議事務局に設置されました専門家会議の答申が出されまして、この答申によりますと、早期警戒機につきましては、調達予定機数も非常に少ないし、これを国産することになりますと非常に割り高になるという主に経済性の点の指摘がございまして、これは割り安になる外国機導入の方がよいだろうというような結論でございました。ただいま先生の御指摘の適正化という問題はまさにその点でございますが、私が先ほど申し上げましたように、一つは、いま大体十五機程度をAEWとして今後調達したいと考えておりますが、およそ航空機一機種につきまして十数機の国産開発というものは、当然のことながら開発費用は莫大になりますし、その割り掛けが各機にかかりますと非常に高いものになってくるという点が一つ。それからまた、私どもの方では、早期警戒機というのは日本でこれまでも開発をしたことも全くありませんし、外国、特にアメリカ等におきましても、まだまだ開発途上にある航空機種でございまして、いわゆる搭載電子機器がきわめて高度の、むずかしい、技術水準の高いもので構成されており、私どもの国内でそれが全部とてもできるとも考えられないという点からしまして、その性能面、開発期間及び経済性、このような諸点から考えまして、先ほど申し上げましたように、いわゆるユーザーとしての防衛庁としてどっちが有利かということになりますと、もし調達ということを決められる場合には輸入の方が現段階では有利であろうというふうに考えている次第でございます。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 通産省にお伺いしますが、これから非常に大きな問題になるでありましょう次期のFX、これにつきましては、欧米各国にもうすでに調査団が、今月初め派遣されたようであります。これは三十四年当時のあのロッキードかグラマンか、商社が大変な売り込み合戦をやりました、いわゆるF104あるいはファントム、この決定戦ですね、その再燃じゃないか、そういうことがかなり心配されておるようであります。防衛産業界も商社の後ろにあって、前には大変醜い争いに巻き込まれた。記憶に新しいところであります。そういうようなことになりますと、これは産業界にとりましても日本にとっても非常に大きなマイナスになる。まさに、今回の次期FXについてはそうした心配なしとしない。当然通産省は、商社あるいはメーカーの監督官庁でございますから、そうした点については十分情報等々も収集していらっしゃるであろうし、動きも的確にキャッチしながら指導監督に当たられるであろうと思いますが、私は、やはりこのような動きに対しては何か歯どめがなかったらいけないのじゃないか、こう思うのですが、通産省ではどういうお考えをお持ちでしょうか。
  124. 森口八郎

    ○森口政府委員 FXのことについては、私の方は、正式にはまだ防衛庁から何ら御通知を受けておらないところであります。ただ、巷間伝えられますように、いろいろ戦闘機の導入に当たりましては商社等が云々という言葉がございます。防衛庁の方で厳正な審査の結果FXの候補を選定されるというようなことを私の方は希望しておるわけでございますが、私の方としましても、やはり商社、メーカー等は所管でございますので、そういうことのないようにでき得る限りの指導をしてまいりたいというように考えております。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 やはりこれはどうしても商社、メーカーも活発な売り込み合戦、争奪戦、決定戦ということになるわけですから、そして、こうした醜いうわさがいつもいっぱい出たり、怪情報等乱れ飛ぶわけですから、十分ひとつ通産省は、それらに対してやはり的確に情報をキャッチし、指導監督に当たらなければならぬと思いますので、そうした点についてひとつ抜かりのないようにお願いをいたしたいと思うのです。  将来、航空機産業、これをわが国の恐らく中核産業にしよう、そういう構想もある。航空業界というのは、防衛需要が伸び悩みまして、仕事の確保にもいま血眼になっているようであります。YX、この開発計画も、共同開発の問題でいま行き詰まった。したがって、航空業界は外国航空機メーカーの下請にも奔走しているという動きもある。あるいは各メーカーともボーイング727−300、その下請をねらって懸命になっておる。つまり、そういうものを追っかけるということは非常に航空機産業界としては安易に金になる、こういう考え方が底辺にあるようです。  そうしたことを踏まえながら通産大臣にお伺いしたいと思いますが、わが国におきます武器、兵器の国産化の問題でありますが、現在でもすでにT1、T2それからFST2改、それから輸送機、対潜機、空対空ミサイル、戦車、潜水艦、数多くございます。国産化は、この生産が防衛庁予算の枠内ではおさまらない。つまり生産過剰になりがちである。そういうことになりますと、いわゆる中東におけるところのアメリカあるいはソ連あるいはイギリス、フランス等々が盛んな兵器売り込み競争をやっておりますが、そういうことにも発展しかねない。つまり、申し上げたいことは、いわゆる死の商人の暗躍の場が出てくるということにつながるのではないか。  そこで大臣に伺いたいことは、兵器禁輸三原則、これは昭和三十八年の政府内申し合わせで兵器禁輸三原則を申し合わせたわけでございますか、これは今後とも堅持するという御意思をお持ちかどうかについて率直にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  126. 河本敏夫

    河本国務大臣 武器輸出については、三原則をつくりまして、それを基準にして運営をしておるわけでございますから、この三原則はあくまで守っていきたいと思います。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 三原則はあくまでも守る、通産大臣、明言していただきましたので、あえて、この問題につきましては論及することを避けたいと思いますが、ただ、この三原則に該当する場合を除いては武器の輸出は可能である、こういう解釈も成り立つのだというようなことを、通産省の前重工業局長がそのような趣旨のことを述べたことがあるわけであります。あくまでも武器、兵器、これはいかなる武器、兵器を問わず禁輸三原則に基づいて、今後におきましても政府申し合わせのとおりこれを堅持いたしますということだと解しますから、そのとおりならそのとおりと一言だけで結構でございますから、大臣から重ねて、恐縮ですが、御答弁いただきたい。
  128. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりでございます。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変結構でございます。  最後に、時間も参りますので。実は私ども公明党では毎国会、兵器輸出禁止法案、これを提出してまいった経緯がございます。私どもの兵器輸出禁止法案、兵器の輸出の禁止に関する法律案でございますが、この趣旨はまさに、政府部内において申し合わせられ決定されました兵器禁輸三原則、これに合致する、その精神においてはまさに同じである、こうわれわれは理解しているわけでございますが、大臣、私どものこの兵器輸出禁止法案、これをごらんになっていただいておるでしょうか、どうでしょうか。もしごらんになっていただいておるとするならば、まさに、政府で申し合わせられました禁輸三原則、これに合致しておる、こう私は理解するわけでございますが、これまた、率直に大臣にひとつ御見解を示していただきたいと思います。
  130. 河本敏夫

    河本国務大臣 公明党の草案というものはまだ私は見ておりませんが、いずれにいたしましても、繰り返し申し上げておりますように、政府の武器輸出についての基本的な考え方というものはあくまで三原則を守っていく、こういうことでございますので、私は、別に新しい法律をつくらなくても、運営上十分やっていけると思います。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りますのでこれで質問を終わりたいと思いますが、今日のわが国におきます防衛産業と、そして防衛庁におきます今後のわが国防衛上の装備との関係におきまして、同時にまた、そうした中から将来非常に懸念されますことは、わが国の防衛産業というものがいわゆる国産化の方向にひた走りに走り込む危険性が多分にある。今日の不況が非常に深刻化しております中でどうしてもやはり国産化によらなければ、産業界はいわゆる国産化によりますところの部品でありますとか、あるいは修理でありますとか、あるいはまた下請関係関連企業でありますとか、すそ野の広がりが非常に大きい、したがって、そのことは今後わが国防衛産業のみならず産業界においても非常に大きなメリットをもたらすであろう、また、そういう方向をとらなければわが国産業界というものは、オーバーな言い方かもしれませんが、自滅の道を歩まなければならないというような、一方においては非常に危機的な意識をあおりながら国産化の方向をひた走ろうというような機運もかなり高い。したがって、そういう中でどうしても通産省として、通産大臣として心得ていただきたいと思いますことは、前段私指摘申し上げますように、そうした動きというものが外国に対する兵器、武器の輸出ということに必然的につながっていくおそれが多分にあるわけであります。そうしたことに対しましては、あくまでも禁輸三原則、これを堅持するという大臣の明言をいただきましたので、これをひとつ堅持されるということを私は信頼をいたしたいと思います。  同時に、わが党の兵器輸出禁止法案につきましてまだごらんになっていただいていないようでございますので、どうか願わくばひとつ大臣、この法案につきましても御検討、御研究いただければと思います。お願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  132. 井原岸高

    井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会