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岡田参考人 畜産振興事業団の
理事長の
岡田でございます。
ただいま御質問の点についてお答え申し上げたいと思いますが、臨調の答申につきましてはよく存じております。それについての
意見を申し上げさせていただきたいと思うのでございますが、
先生も御承知のように、
畜産振興事業団は
昭和三十六年の十二月に、畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして設立されたわけでございますが、わが国の畜産は、御承知のように終戦後から新しく始まったと言っても過言でないわけですが、
昭和三十年代に入りまして非常に
発展をしてきたわけでありますが、規模が大きくなってまいりまして、生産と消費の
事情によりまして価格変動が非常に激しくなった、これは何とか価格変動をとめて一定のところに安定させる必要がある、生産をふやすためにも消費を安定させるためにも必要であるというふうなことに基づきまして、
畜産振興事業団を設立するに至ったというふうに理解しておるわけでございます。
畜産振興事業団ができます以前におきまして乳製品の価格安定の役割りを果たしておりました酪農振興基金というのが、乳業者に対する債務保証をいたしておったわけでございますが、これも乳製品に対します価格安定の一環ということで、畜産事業団ができますときに吸収をされまして、
畜産振興事業団の
業務の一部となったわけでございます。
たしか臨調は
昭和三十九年に答申をされたと思いますが、その後
畜産振興事業団の
業務というものは非常に著しく拡大いたしまして、設立いたしました当時におきましては、主要な乳製品に対する価格支持、これは異常に価格が下がったときには
畜産振興事業団が買い入れて、高くなったときに売り渡すという
制度をとっておったわけでございます。それからもう
一つは、豚肉につきましても、御承知のようにビッグサイクルというのがございまして、三年ないし四年を周期といたしまして非常に激しい価格変動があるわけでございまして、これは単に
日本だけでなく、世界的にあるわけでございまして、これを一定の安定帯の中に抑えようということで、乳製品と同じように、安くなりますと事業団が買い上げまして、高くなると売り渡すというふうな形をとっておったわけです。
それに関連をいたしまして、鶏卵につきましては生産者団体が調整保管いたしまして、それに助成をするというようなこともいたしたわけでございますが、その後法律が改正になりまして、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法というのができまして、これによりまして、牛乳に対しましては不足払いをいたしますと同時に、乳製品につきましても買い入れ、売り渡しをするというふうな形になってまいりますと同時に、一元的に輸入を事業団がいたすということになったわけでございます。
そのほか、牛肉がその当時から非常に問題になりまして、国内の価格安定をするためには事業団が牛肉を輸入しなければいかぬということになりまして、牛肉の輸入の権能を与えられたわけでございますが、それをもってしても必ずしも十分ではないというので、ことしの国会におきまして畜安法の改正が行われまして、牛肉の国内の価格安定
制度というのが、豚肉と同じように安いときに買って高いときに売るというふうなことになりますと同時に、輸入の牛肉につきましては一元的な運営ができるような措置をするようにというふうな条文ができたわけでございます。
そういう形で、だんだんと畜産が
発展いたしますにつれまして価格安定なり価格支持をする範囲が非常に広まってまいってきておるというのが現状でございまして、畜産事業団ができました当時は
予算が九十億ぐらいであったわけでありますが、現に千三百億を超すというふうな
予算になってまいっておりまして、価格の安定とそれから生産の振興ということに対して畜産事業団の果たす役割りはかなり大きくなってまいっておると存じておるわけでございます。
そこで、農産物、畜産物、水産物については一本の価格安定機構をつくってその中に吸収したらどうか、こういうふうな御提言があるわけでございますが、現在農産物、畜産物、水産物について価格安定なり価格支持の
制度をとっておりますものは非常に多いと思うのです。農産物、畜産物、水産物というのは、一言に言えば農林省の所管の物資ということでございますけれ
ども、それぞれにつきまして生産形態、流通形態というものが非常に違っております。価格支持のやり方も、その物に即応しまして非常に違った形態をとっている。したがいまして、これを一本にしてやるということは、私は非常にむずかしいのではないかというふうに思います。単に寄せ集めということに終わるのではなかろうかというふうに思われますことと同時に、大変な規模でございますから、これを一人の
理事長なり、また何人かの副
理事長なりが全部を見渡して、総攬をして、適切な価格安定を行うということは、私は非常にむずかしいというふうに思っております。現に、私のところで畜産物の主要なるものは大
部分やっておるわけでございますけれ
ども、大変売り買いが伴う
関係から非常に忙しい。いまの私の体験からいたしましても、農、畜産、水産物を全部含めて価格安定
制度をやるということはまず困難ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
それからもう一点の、保証
業務は地方に委譲したらいいではないかというふうな御
意見だったと思うのでありますが、この保証
業務も、先ほど申し上げましたように、
畜産振興事業団ができますときに現にあったものを吸収いたしまして、価格安定
制度の一環であるというたてまえから
畜産振興事業団の
業務の中に取り入れられた経緯がございます。したがいまして、これを切り離して地方にやるということは価格安定
制度の一貫性をやや乱すおそれがあるというふうに
考えて、どうも賛成いたしかねるというふうに存じております。
簡単でございますが、以上でございます。