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1975-06-05 第75回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)    午前十時二十分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 森下 元晴君    理事 吉永 治市君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    大村 襄治君       増岡 博之君    三池  信君       瀬長亀次郎君    坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房会計課長   升本 達夫君         総理府賞勲局長 秋山  進君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  鳥羽 浜雄君         防衛施設庁労務         部労務厚生課長 佐々木 肇君         外務省アメリカ         局外務参事官  深田  宏君         通商産業省産業         政策局沖繩国際         海洋博覧会管理         官       増山 孝明君         労働大臣官房参         事官      石井 辰治君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  佐竹  浩君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   宇都宮徳馬君     増岡 博之君   菅野和太郎君     大村 襄治君   田代 文久君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     菅野和太郎君   増岡 博之君     宇都宮徳馬君   瀬長亀次郎君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管総理本府、沖繩開発庁)、沖繩  振興開発金融公庫〕      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管総理本府等、沖繩開発庁沖繩振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、植木国務大臣から総理本府等及び沖繩開発庁について概要説明を求めます。植木国務大臣
  3. 植木光教

    植木国務大臣 昭和四十七年度における総理府所管歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管昭和四十七年度歳出予算現額は、一兆六千四百八十九億九千六百四十万円余でありまして、支出済歳出額は、一兆六千百八十六億六千四十八万円余りであります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、三百三億三千五百九十二万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、二百二十億七千六百八十五万円余であり、不用額は、八十一億五千九百七万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁科学技術庁環境庁及び沖繩開発庁については、各担当の大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁関係につき申し述べますと、歳出予算現額は、三千五百六十七億一千八百六十五万円余でありまして、支出済歳出額は、三千五百二十六億四千六百九十四万円余であります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、四十億七千百七十万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度繰越額は、三十四億一千七百九十八万円余であり、不用額は、六億五千三百七十二万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費等でありまして、これは旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び軍歴調査確認に不測の日数を要したこと等のため年度内支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、支給実績予定を下回ったので旧軍人遺族等恩給費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしお御審議のほどお願いいたします。
  4. 井原岸高

  5. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度総理府所管決算のうち、警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁科学技術庁環境庁及び沖繩開発庁を除く部局、すなわち総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁関係決算につきまして検査いたしまた結果について申し上げます。  以上の総理本府等の部局につきましては、検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 井原岸高

  7. 植木光教

    植木国務大臣 昭和四十七年度における沖繩開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖繩開発庁歳出予算現額は、七百四十九億一千九百九万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は七百十九億四千四百七十七万円余、翌年度へ繰り越した額は、十七億一千二百三十四万円余、不用となった額は、十二億六千百九十七万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額七百六十一億九千八百六十五万円余、予算補正追加額十八億七千五十万円、予算補正修正減少額四千九百二十九万円余、予算移替減少額百七十六億八千七百六十五万円余、前年度繰越額七十九億九千百十八万円余、予備費使用額六十五億九千五百七十一万円余を増減しまして、七百四十九億一千九百九万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖繩復帰に伴う通貨の切りかえに際して県民に交付した通貨等切替対策特別給付金二百九十四億三千五百七十五万円余、沖繩振興開発のための財源として、道路整備特別会計治水特別会計等特別会計へ繰り入れた経費二百十四億五百二万円余、沖繩に対する援助のための沖繩財政援助金百三十九億四千九百九十七万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額十七億一千二百三十四万円余は、沖繩に対する援助事業が、施設用地確保困難等のため、年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった十二億六千百九十七万円余は、通貨等切替対策特別給付金必要額予定を下回ったことを主な理由として生じたものであります。  以上をもちまして、昭和四十七年度沖繩開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 井原岸高

  9. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度沖繩開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 井原岸高

  11. 佐竹浩

    佐竹説明員 沖繩振興開発金融公庫昭和四十七年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業開発を促進するため、長期資金を供給して、一般金融機関が行う金融を補完し、または奨励するとともに、沖繩国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖繩における経済振興及び社会の開発に資することを目的として、昭和四十七年五月に発足いたしたものであります。  昭和四十七年度事業計画は、当初四百五十億円の予定でありましたが、中小零細企業に対する緊急融資としてさらに八十億円を追加しまして五百三十億円に改定されました。  これに対しまして、実績は三百二十二億八千万円余であります。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  公庫が発足いたしましたとき、旧琉球開発金融公社、旧大衆金融公庫及び旧琉球政府特別会計貸付債権三百九十七億七千万円余を継承し、これに昭和四十七年度における貸付額三百八億六千万円余が加わり、一方、貸付回収金百億三千万円余がありましたので、差し引き六百六億円余の貸付残高となっております。  次に、昭和四十七年度収入支出決算についてご説明いたします。  昭和四十七年度における収入済額は二十三億一千万円余、支出済額は十七億三千万円余でありまして、収入支出を上回ること五億七千万円余となっております。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済額は二十三億一千万円余でありまして、これを収入予算額二十六億六千万円余に比較いたしますと三億四千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算額二十三億九千万円余に対し、支出済額は十七億三千万円余でありまして、差し引き六億五千万円余の差額が生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和四十七年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益二十九億三千万円余に対し、総損失は二十二億九千万円余でありまして、差し引き六億三千万円余の償却引当金繰入前利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が昭和四十七年度における沖繩振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  12. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  13. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 沖繩の問題を最初にお伺いしたいのですが、特に跡地利用をどうするかを中心にお伺いをしたいと思うのであります。  御承知のように沖繩現状は、インドシナはああいうふうに静かになりましたが、沖繩は依然としてアメリカにとって最重要基地だという位置づけがなされて、いまもアメリカ中心にいたしましたいろいろな問題が沖繩には発生いたしています。一青年のあの不当な問題がありましたり、か弱い二人の女学生が暴行をされるという事件が起きたり、沖繩復帰いたしましても、依然として戦争状態が続いていると言っていい悲惨な状態がまだ後を絶たない。しかしながら、二十七年という長い間のあの苦しみを、とにかく復帰ということで抜けた形をとったわけでございますが、その後といえども経済問題等に大変大きな苦しみがありまして、俗に沖繩開発と言っていますが、その開発も、やはり国の海洋博中心にした公共事業等中心に何とかここまでは切り抜けてまいったわけであります。しかし、海洋博はもうすぐ来月始まりまして、約半年でこれが終わる、その跡をどう利用するかということが大変大きな問題であることに間違いありません。  ことしの一月、総務長官沖繩を訪問されまして、四日間視察をしたようです。その視察を終わりました後に、沖繩にはこれから五つの不安がある、その五つの不安の解消しない限り沖繩にとって安心はできないので、これが私の重要な課題だ、こういう記者会見での声明をされた事実があります。確かにおっしゃったような五つ医療ですとか物価——物価は、もう本土の平均を上回る高騰をいまも見ているわけです。あるいはまた雇用問題、これはまた、本土における現状から言うと約四倍、沖繩では就業人口の約五%、二万一千人に達しているという問題がある。あるいはまた大変な自然破壊、これはもう許されることのできないような、想像できない自然破壊が相次いで行われています。あるいはまた離島問題も重要な問題だ、こういう五つの問題が沖繩における今後の大きな不安だ、こうおっしゃったわけです。これは私も同感です。これに対する対策が適切に行われない限り問題の解決はできないだろうとおっしゃった、その五つの問題の不安の解消方針について、一月に声明をされまして以来どういう方向をお持ちになったか、まずお伺いをしたい。
  15. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま原委員が御指摘になりましたように、沖繩県におきましては、二十七年間という非常に苦渋に満ちた歴史を体験し、その後、復帰いたしましてから、この間四年目に入ったばかりでございます。この間の苦しみ、そして現在もまた本土との格差も大きい。そして、ただいま仰せになりましたように、私自身五つの大きな不安の解消をしなければ、沖繩県民が静かな環境の中で生きがいのある生活を送ることができない、こういうふうに考えているのでございます。さらにまた基地の問題もありまして、最近ではいろいろな不祥事件が起こっておりますことに私も胸を痛め、閣議でも発言をしたところでございます。  いま御指摘になりました五つの不安の解消は、いずれも沖繩振興開発計画にかかわることでございまして、五十年度予算におきましてもすでにそれぞれ対策をいたしているところでありますが、沖繩海洋博を終わりました後のことを考えますと、本年度並びに五十一年度というものは非常に沖繩にとっては重要なときであろうと思うのであります。沖繩海洋博を成功させますとともにポスト海洋博に備えまして私どものあらゆる努力をしなければなりません。  そこで、自然あるいは文化のすばらしい環境とその遺産を大事に守ってまいりますことは、私どもの使命でございまして、これは予算の面のみならず、あらゆる機会をとらえましてそのための努力をしていかなければならないと存じます。  また、沖繩の本島それ自身離島でございます。多くの離島を抱えまして、離島の中で生活を続けていくことができるのかというこの不安の解消でありますが、五十年度につきましては特に離島振興策に力を入れておりますし、五十一年度においてもこれをやっていくという方針であります。  さらに雇用の問題でございますが、御指摘のとおり完全失業率が五・一%でございまして、これは労働省とも連絡をとりまして、先般労働大臣沖繩視察をせられました際にも、私は事前、事後にわたりまして特別にこの雇用問題の解決に対処すべき点につきまして協議をしたところであります。また、協議するのみならず、この雇用機会をつくらなければならないのでございまして、これは第一次産業あるいは第三次産業に偏っておりますいまの産業、また第一次産業それ自身もきわめておくれたものでございます。これをもっと進めたものにいたしますとともに、第二次産業について県民の理解を得られる振興を図っていかなければならないのでございます。  さらに、医療の問題でございますが、これは沖繩海洋博中のいろいろな問題につきましてはすでに手当てをしたところでありますけれども医者あるいは看護婦の不足、さらに施設が非常に足りないということは離島におけるあるいは僻地における医療問題を含めまして、厚生省等とともに力を合わせて解消策をいま進めているところでございます。  物価につきましては、海洋博期間中の物価騰貴というものが、現在すでにもう大分上がっているわけでございますが、これを大変恐れておりまして、これは各省庁と協議をいたしまして、特に生鮮食料品等につきましての手当てをいたしております。引き続き五十一年度には、海洋博において爆発的な物価騰貴がないように、これはもう極力抑制をいたしますとともに、引き続いて抑制策のために全力をふるってまいる、これが私の決意でありますとともに、現在行っている施策でございます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 いま特に自然破壊の問題には触れていなかったので、これもお答えをいただきたいのですが、いまずらりとお答えをいただいたものに、何も具体策がないのですね。その決意のほどはわかります。私は、大臣がやろうとおっしゃる一つでもいいから焦点を決めて、これをこういうふうにやります、こうやって打開をいたしますというようなものを、一つずつでもいいからお聞かせをいただきたい、こう思うのです。いまの五つの不安の中の一つずつで結構ですから。
  17. 植木光教

    植木国務大臣 自然破壊の問題につきましては、一番最初の第一の不安として私申し上げたところでありますが、一月に参りましたときにも、自然破壊の点については二つの面がございまして、一つ沖繩海洋博関連事業を行うことによりまして破壊が行われているということでございまして、これにつきましては必ず原状以上に回復するようにということを強く指示をいたしまして、その後植樹をいたしましたりあるいは草を養いましたりなどいたしまして、貝塚跡地周辺を除きましてはほとんど緑を回復したという報告を受けておりますので、私は近くこれは参りましてこの目で見てこよう、こういうふうに考えております。これは進めております。  それからもう一つは、たとえばパイン栽培をいたしておりまして、これは赤土のところでございます。そのパイン植栽が横にされておりませんで縦になっているものでございますから、この赤土が流れ出るというような点があるのでございまして、これについては県当局に対しましても、今後パイン栽培についてはそういうことに配慮するようにということをお願いしております。  それから、具体的に一つずつ申せということでありますが、たとえば自然を守ろう、文化遺産を守ろうということにつきましては、これは産業振興とも関係ございますけれども伝統的工芸品というものをさらに育成してまいりますために、これは特別に今回五十年度予算においても組みました。そして私も強くこのことを現地で主張いたしまして、最近では県もこの振興策に当たっていただいております。その他首里城の修復その他についてはもう御承知のとおりでございます。  それから医療の問題でございますけれども、これは私は計画的に進めなければいけないと思います。思っておりますだけではありませんで、厚生省とも連絡をとっているのでございまして、年次計画を立てて、その先ほど申し上げましたような欠陥があるわけでございますから、どのようにして医者を確保するか、看護婦さんを確保していくか、今年度県立病院あるいは国立の療養施設に対しましていろいろ補助金を出しましたり建設を進めたりしております。僻地診療所新設もいたしておりますが、これも進めていくというのが具体的な問題でございます。  雇用問題につきましては、先ほど申し上げましたように、沖繩海洋博とも関連いたしますが、第三次産業というものを振興していきますこととともに、具体的に申せば、第一次産業においては品種改良であるとか機械化でありますとかいろいろあるわけでございます。これはいま進めております。第二次産業については少し、いろいろ公害等の問題に対する強い拒否感情がございますので、この点については、公害のない産業誘致ということを県と一体となって進めていくというのが、私どものいまやっているところでございます。  さらに物価の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、とりあえず、いまのこの海洋博を控え、海洋博をどのように切り抜けていくかということなのでございます。  それから離島につきましては、送水パイプをつくりますとか港湾を建設いたしますとか、あるいは飛行場を新設をいたしますとか道路を整備する、これは具体的にやっております。いずれにしても離島苦というものの解消なのでございまして、いずれはつきましても具体的に行っているということを、そしてまた行わなければならないということを申し添えさせていただきたいのでございます。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 いま長官が第三次産業の問題に何回か触れましたが、まさに沖繩復帰当時から一番大きな問題は、やはりこの第三次産業をいかに一次、二次に適正に分散をせしめるか、あるいはせしめないか。現在でも約七〇%が第三次産業、これでいいはずはない。偏重し過ぎている。これはもう復帰以前あるいは復帰のときからの重要な課題なのに、まだこの問題に対する真剣な、国家的な討議が行われていないために具体的な方向が示されていない。大変なおくれを見ていると私は思うのです。いまのさらりとお考えになっている程度でなくて、もう少し本質的な、一番大きな重要課題として、沖繩に対する第三次産業部門の、いかに一次、二次に分散をしていいのか悪いのかという基本から問題の討議をやってもらう必要があると思いますが、いかがですか。
  19. 植木光教

    植木国務大臣 第三次産業育成も必要であると存じます。しかも健全な第三次産業育成でございます。海洋博覧会跡利用というものとも関連をしてまいりますが、この跡利用につきましては、ただ単に第三次産業振興にとどまるのではなしに、沖繩県振興開発を進めます中で位置づけていきたい。これはすでに御承知のように、先般の関係閣僚会議におきまして、私がその主管をすることにいたしまして、次官を跡利用部会部会長といたしまして、何回か協議をしているところであります。したがいまして、この跡利用問題も含めまして、沖繩振興開発全般にわたる計画の新しい策定をいたしているところであります。  それから、一次、二次産業振興策でございますが、一次につきましては、いま主なものは御承知のようにサトウキビパイナップル等でございます。サトウキビにつきましては、御承知のとおりその生産者価格を一万五千円に引き上げました。これによりまして大変県民生産意欲も高まっておりまして、これによって人口Uターン現象も見られるというような事態も起こってきているのであります。なお、これにつきましては、やはり品種改良でありますとか機械化でありますとかいうようなことも進めているところでございます。それから、パイナップルは非常な滞貨が出ておりまして、これは非常に大きな一次産業課題になっております。したがって、四十九年度の下半期の外貨割り当て等につきましてもこれをとりやめるというようなことにいたしましたり、あるいは滞貨融資をいたしましたりして応急の救済策をとったところでありますが、今後はパインを、ただ単にかん詰めに頼るだけではなしに、ワインにいたしますとか、あるいはジュースにいたしますとかいうような多目的の活用の方法等を指導しているところでありますし、また、非常に乱立いたしております工場集約化合理化を図るように指導をしているところであります。  問題は第二次産業でございまして、第二次産業は、たとえば具体的に直ちにやれることといたしますと、第三次産業とも関連するのでありますが、沖繩にあります伝統的工芸品というものの振興がございます。これは景気、不景気には余り影響せられないものでありますし、独特の県産品でございますので、これを育成するためにいろんな努力をいたしております。それから同時に、雇用機会を大きくいたしますためには、どうしてもやはり工場誘致が必要なのであります。この工場誘致につきましては、先ほど申し上げましたように、県民感情といたしまして、本土資本が入りますのに対します拒否的な感情があります。また、公害産業を持ってきてもらっては困る、こういうような感情もございます。いろいろ反対運動等もございますために、本土の方からの資本が行きますものにつきまして、景気が悪いという点もございますけれども、むしろ本土業者は足踏みをしてしまっているという点がありますので、この辺のところは県民の方々と本土の人たちとの間の調整が必要でございまして、同時に、いま申し上げましたように公害のない第二次産業誘致でなければならないわけであります。そうでありませんと雇用対策にもならないのでございまして、そういう点についていま県も御苦心になっております。開発庁と一体となりまして第二次産業を進展させますための努力をしているところであります。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 長官なりに第三次産業偏重の沖繩に対するいろいろな御苦心をされているのはよくわかります。  その問題と絡めて大きな問題の一つに、沖繩を考えると、私も行ってみてこれは大変な違いがあるなと思いましたのは、やはり北部と南部の違いです。沖繩開発するという問題を考えたときには、一体南部と北部のバランスをどう考えるかということも、いまの一次、二次、三次産業を考えるときの重要な前提にならなければいけないだろうと思うのですが、そこで二つお伺いしたい。いま苦心をされておいでになる頭の中で、沖繩の将来、復帰後すでに検討しなければいけないものを苦心、考慮をされたようですから、三次産業、一次、二次産業のウエートを一体何%ぐらいに考えていくつもりなのか、検討すればその結果が出ているはずです。何%程度に考えるか、これが一つ。それから北部と南部のアンバランス、異常な違いがある。これに対して全体的な観点から一体どうしようとお考えになっておられるか、二つお伺いしたいと思います。
  21. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど御指摘のように、第三次産業の占める率が非常に大きいわけでございます。沖繩はやはり一次、二次産業というものを振興させなければなりませんが、第三次産業というものもやはり重要な位置を占めるのでございまして、これはやはり、いまのようなのは異常過ぎると存じます。第一次産業、第二次産業、第三次産業がそれぞれ三分の一ずつというのが大体理想的なところでございますけれども、この点につきましては、いま直ちにそういうところまで持っていくことはできません。とりあえず目標といたしましては、第三次産業を五〇%ぐらいにし、あとの五〇%を一次、二次産業とするというようなことが必要ではなかろうかと思います。  それから北部と南部でございますが、御指摘のとおりでございまして、特に中部にいろいろなものが、人口も集中をいたしておりますし、いろいろな施設等も集中をいたしておるわけであります。そこで、今回の沖繩海洋博関連事業によりまして、これは北部で行われるわけでありますから、北部への交通施設というものは大分大きく前進をいたしました。南部がおくれているわけでございます。それで、この北部、南部、バランスのとれた振興をいたしますためには、やはり第一番目には私は交通網の整備であると考えるのでございまして、特に来年度以降は、その点については南部に力を入れていかなければなるまいと思います。それから、それは道路の話でございますけれども、いま私どもといたしましては、別にこの本島の北部から南部までをつなぐ新しい交通機関の導入も必要ではなかろうかということで、五十年度からは調査費をとりましてその調査を進めつつあるところでありまして、いずれにいたしましても、バランスのとれた振興策を図ってまいりますためには、いま申し上げましたように交通網、道路網というもの、すなわち産業及び生活の基盤を整備することだというふうに考えております。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、いまの問題でおくれているなと思うのは、行ってみた感じ、その後の様子を聞いてみても、教育施設が大分おくれている。聞いてみると高等学校なんかの進学率も内地よりは二〇%くらい低い、というようなところに端的にあらわれている。これは重要問題。いま言った沖繩開発という全体を考えたときに、やはり後継者の教育というものはいっときもないがしろにしてはいけない問題だ。教育施設の充実について特段の配慮をしないと、幾ら笛を吹いても、いわゆる地場から復興あるいは開発という力が出てこない。教育施設の充実についてはどう考えておられますか。
  23. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 計数の問題もございますので、政府委員から答弁させていただきます。  沖繩の教育施設につきましては、先生御指摘のとおりかなりおくれております。しかし、復帰直後から私どもといたしましては非常な努力をしておりまして、本年度予算におきましても、学校教育の施設は四割以上の増加を図っているところであります。ただいまのテンポで申しますと、現在の努力を続けてまいりますと施設面につきましては、あと数年で義務教育施設本土水準に追いつくであろう、こう考えております。ただし、御指摘の高等学校進学率の問題は、現在約二割開きがございます。これにつきましても、沖繩は特別の補助制度がございまして、高校増設、新設につきましては国庫負担の制度が開かれておりまして、この制度を活用いたしまして年に一校ないし三校のテンポで高等学校をつくってまいる。そういたしますと、五十六年ないし五十七年ごろには進学率は九割以上の線までは到達できる、こう考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 それでも決して早いとは言えないので、ひとつ、いまよりはおくれることのないようにぜひお願いをしなければいけない。  それからもう一つ沖繩全体の経済規模、大体年間七千億円くらい。これに対して国の財政が寄与しているのが約二千億、県が大体千五百億くらい、合計三千五百億くらいのものが全体の経済規模に作用しているということは、いわゆる国とか県の主導型の経済運営というものになっているし、これからその調子でいきますとそうなりやすいと思うのですが、そのことはいいことじゃないので、これを一体今後どう処置していこうとしていらっしゃるのか。これも重要な問題ですから、お考えを……。
  25. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 数字の問題がございますので、政府委員から御答弁します。  御指摘のように、沖繩関係の政府の一般会計負担額が約二千億でございます。ただし、この中にいろいろなものが含まれておりますので、現実にそれが沖繩で落ちるお金は若干それより低いか、こう考えます。それから、県の一般会計予算額が御指摘の約千五百億、交付税が入っておりますので、単純には合計できないかと思いますが、おっしゃるように、最終需要の中に占めます国、地方を合わせます政府のウエートというものは非常に高い。これはまず恐らく、各県の中では一番高い状態になっているかと思います。  そういうふうに考えますと、御指摘のように、県及び国の仕事の仕方あるいはお金の出し方というのが非常に県経済を大きく揺さぶることになりますので、私どもといたしましては、その契約の平準化、支出の平準化というようなことにつきましては、非常に慎重に、地元の金融状況などもにらみながら実際には仕事をしてまいっております。ただ、いまの状態は当分続けなければ、ある意味では沖繩開発のテンポはおくれるわけでございますので、国、政府の支出額を減すという方向にはなかなか動きにくい。これはしばらくこういう状態が続くであろうということは私ども予定しながら仕事をしなければいけないだろう、こう思っております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題は非常に興味のある問題なので、本来ですと、いまおっしゃったように、沖繩自体の自力がどうつくかということと兼ね合いで将来を考えていかなきゃいけないわけですから、数字をもとになかなか御答弁もいただきにくいと思いますが、とにかくそういうことがいい形ではないのだということだけはひとつ考えて、頭に置きながらやっていくということは大変必要だと思うんですね。これはいろいろな意味から必要だと思う。沖繩だから甘やかして、何でもかんでもというわけにはいかない。だから、沖繩自身の自力をつけるということに力を尽くしていく、政治の場で力を尽くすということが必要だというふうに考えるわけです。  それから、先ほど大臣の答弁の中の自然破壊の問題なんですが、たとえば石垣島、八重山諸島、ああいうところのいまの状態を見ると、これはまさに食い荒らしといいますか虫食い状態といいますか、これはもうめちゃめちゃだと言っていいですね。内地においてあんなことをやったら——内地と言っちゃいけないのかどうか知りませんが、本土であんな状態をいま実現しようとしたら全然できるはずがない。まあレジャーだ、大企業の進出だ、公害だ、とにかく一番危険な状態が予想されるものが次から次に、大変大きな規模で予定をされている。先ほど大臣言ったように、いまの景気の落ち込みで、土地をせっかく買ったんだが、なかなかに進出しないようになったと言っていますが、初めからそんな考えはなくて、とにかく値上がりするだろう、土地を買って、という考えの人だってなきにしもあらす、現にあります。いまのようなこの食い荒らし状態、虫食い状態が徹頭徹尾やられてしまったこの自然破壊というものを、いまならまだ防げる、いまならまだ処置ができる。自然破壊中心に考えたときに、その企業の進出しようとする計画と、あるいはそれに一たんは許可を与えたんだけれども、現在の状況等にらみ合わせながら、これに対する後追いでなくて、いつでも先手先手の、自然を守るという立場からの手が、いまなら打とうと思えば打てる、やる気があればできる、また、やらなければいけないと思うんですが、そういうような基本的な考え方に対してどうお考えになりますか、ひとつお聞かせをいただきたいのであります。  御存じのように、至るところでいま住民自体が、いわゆる住民パワーが起きまして、これはたまらぬ、危険だというので反対運動が起きて、対決姿勢がこれからどんどん大きくなりますよ。そのことがわかっていたら、それに対する事前の手も政府としては考えて、手を打っていくというようなことをしなければ、非常に問題が多過ぎます。沖繩の場合は多過ぎる。これをいま本土におけると同じように、南アルプスがどうだこうだといった、ああいった、全体から見ると数の少ない状態と違って、沖繩の全土にわたってこの種のことが起きている。ポスト海洋博を考えたって手をつけないでもいいような、二百人ぐらいしか住んでいない島に対しても思い切った土地の買収が行われ、どこが買った、三菱が買った、何をやるんだと言うと、いろいろな理屈をつけてあれもこれもやるようなことを言っていますが、いまだにやらない。しかし買収したことは間違いないとか、いろいろ数えていったら切りがないほど、何百件と言っていいほど、われわれが見て心配な状態がいま起きているのです。これに対しては適切な手を打ち、指導をしなければ——いまならできると思う。自然破壊を防ぐのだという観点なら、真剣にそう考えているなら、やがて海洋博以後に大きな問題となって、じゃんじゃん火の手が上がってきて大騒ぎになってから右往左往、手を打つようなことをしないように、いまなら指導ができると考えますが、一体、方策がおありかどうか。大変な虫食い状態、食い荒らし状態をどうするか。
  27. 植木光教

    植木国務大臣 そういう事態が起こっては大変なんでございまして、いまからでも遅くないという状況であることは私も聞いておりまして、指導させております。私は今月中旬に、仰せの先島に視察に参ることになっておりますので、その際、現地を視察いたしますとともに強力に指導してまいりますが、現在行っております具体的な問題については政府委員から説明をさせます。
  28. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 御指摘のように、沖繩全県下にわたりまして、復帰前後からかなりの土地買収が行われたという事実はございます。その買収目的はケースごとにいろいろでございますけれども一般的に申し上げますならば、リゾート施設といいますか観光施設をつくることに相当の目的があったように思います。  私どもの現在の考え方といたしまして、公共事業を実施いたしますときには細心の注意を払って、自然との調和を考えてまいっております。ただ、自然条件が非常に違いますので、土の流出その他の問題がまだ後を絶ちませんけれども、公共事業そのものについては細心の注意を現在まで払ってきておりますが、公共事業以外の事業つまり民間の事業で行われますものにつきましては、いろいろな法制面の角度で県当局がその指導の任に当たっているわけでございますけれども、私どもにとっても重大な関心事でございますので、今後県と十分な協議を行いたい、かように考えます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 いまこれだけを言っている暇はないのですが、大臣、これは大変な状態だと私は思うので、現在でも、及ばずながら民間に対しても、環境庁が現在持っている国の法律なり規制を徹頭徹尾活用して、先取りして指導をするということを徹底的にやるべきだ。国土庁はもちろん協力しなければいけませんが、環境庁がいま徹底的に事前調査をやる、徹底的に条件をつける。いまやればいいんです。やればそれだけ条件がよくなります。これは大臣が異常な決意環境庁を使嗾してやらなければいけないと思う。いかがですか。
  30. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおりでありますから、私は全力を挙げまして関係省庁とともに、自然が破壊せられませんように努力をいたします。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、今度は跡利用の問題に入るのですが、大阪の万博の過去を振り返ってみましても、跡利用に関して何も決められないままスタートしてやってしまったわけです。これではいけないというので、海洋博審議するときに一番先に、何か跡利用に対する問題の検討もしようということでやったらしい。これは前轍を踏まないような用心をしたらしい。よかったと思うのです。第一回のときにすでに、跡利用をどうするかを協議していた。今日、それが一体どういうふうに実を結んでいるのでしょうか。大臣から大ざっぱに、後、政府委員から、何月何日にこういうことがあって現在はこうなっているという段階も説明をしていただきたい。
  32. 植木光教

    植木国務大臣 私は一月に沖繩に参りましたときに、跡利用の基本的な計画は、海洋博が開催せられるまでに策定せられるべきであると申しました。御承知のとおり海洋博そのものは通産省の所管でございまして、五十年度予算に後処理につきましての予算がついているのでございますけれども、この跡利用問題そのものが余り十分に協議が進捗していないという状況が続きまして、私は再三にわたりまして関係省庁との間で、この問題の処理について促進方を協議してまいったのでございます。そこで、関係閣僚協議会におきまして、先ほども申し上げましたが、海洋博推進対策本部内に跡利用部会を設けることになりまして、沖繩開発事務次官を部会長にいたしまして基本方針を取りまとめることにいたしました。担当大臣沖繩開発庁長官が当たることになったのでございます。これに基づきまして、推進本部におきましてすでに何回か部会を開催いたしております。同時に、県当局から建議書が出されておりまして、この建議書は、県が学識経験者に諮問をいたしまして、どのように利用すべきかという点についてまとめたものでございます。これの説明も、この跡利用部会においてはすでに聞いております。同時に、この十一日から関係者、すなわち跡利用部会の構成者が現地に参りまして、現地そのものを見ることになっております。したがいまして、各関係省庁の協力をいただきまして、先ほど申し上げましたように、海洋博開催までに跡利用の基本的な方向を策定をするという決意で臨んでいるのであります。
  33. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 補足して御説明申し上げます。  海洋博計画されました時点で跡利用構想はどうであったかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、大ざっぱに二つの物の考え方があったと考えていいかと思うのです。  一つは会場内の施設そのものでございまして、これにつきましては政府出展館、これは後いかなる目的にもたえられるようにという構造でつくっておる。逆に民間出展館は、特別博でございますので、通例の扱いですと出展者に撤去義務がないようでありますけれども、これは契約上撤去義務を課して、一応その跡を壊していくという形になっております。これが一つでございます。  あともう一つは、あの地域一帯、いわゆる海洋博のための場所といたしましては約百万平米でございますけれども、あの後背地、先ほどおっしゃいました北部一帯の開発計画とも関連づけまして、北部一帯をリゾート地域にしようという発想がございまして、そこにいわゆる第三セクター設立によるリゾート計画というのがあったわけでございます。ただ、これにつきましては、第三セクターというものの考え方につきまして地元に強い反対がございましたので、そういう具体的構想は現在立ち消えておる、こういうのが実態でございます。  それで、まことに申しわけございませんけれども、何月何日にどうという、過去のことにつきましては、実は当沖繩開発庁発足以前のものでございますので、ただいま私の方には具体的な過去の記録はございませんので、本日、具体的に申し上げ得ません。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 開発庁が。以前の問題だろうが何だろうが、私どもが調べて調べられることぐらい持っていないなんというばかなことで決算委員会に出てくるというのは、本当にどうかと思いますよ。そんなことで通ると思ったのではおかしい。沖繩を真剣に考えていない。こう言っても間違いない。私どもでさえ調べられる。  では、その中で二点だけお伺いしたいのだが、沖繩の県議会が一体なぜ、この計画に対して協力をしないことになったのでしょうか。
  35. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 いわゆる第三セクターというものの考え方に民間資本を導入するという考え方がございまして、それが即、本土資本の導入である、こういうところから非常に強い反対が出たと承知いたします。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 どのくらいの資本の割りで……。
  37. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 申しわけございませんが、そこまで具体的に承知しておりません。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、事務当局がこんなことでいいのですか。民間資本が入ってくる、すなわち本土資本が入ってくるからいけないというらしい沖繩県議会の意向がついに第三セクターをストップさせたというときに、一体どのくらいの割合で、本土資本とかあるいは地元企業とか市町村とか沖繩県がどのくらいだというぐらいの内訳がわかってないでいいのですかね、今後のために聞いておくのだけれども
  39. 植木光教

    植木国務大臣 事務当局の方でいまその数字を持っていないということは、まことに申しわけないことだと存じます。現在ここに持ってきていないという点でございます。これは遺憾の意を表します。  ただ、第三セクターの問題につきましては、県の方でそういう意向が出されて、これがほとんど日を経ずして反対ということになったという事実がございますので、したがって、この第三セクター問題については、一部の人の中には依然として、そうすればいいじゃないかというような意見がまだ残っている向きがございますけれども、もう出ました段階からほとんどいとまを経ずして、これはとらないということにいたしました点を、ひとつ御了承いただきたいのであります。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 いま持っていないというのなら話はわかるのですが、わかっていないという答弁だったから、わからないというようなことがあるかと、こう言ったわけです。  私は、第三セクターの出資案を見まして、その比率がいいか悪いかは別なんですが、ポスト海洋博というものを考えたときには、これは非常に貴重な案だと思うのですよ。貴重な意見だと思う。こうやれという意味ではありませんよ。まだほかにいいことがあるかもしれない、わかりません。私の知った範囲でこれを見てみますと、ポスト海洋博海洋博以後、五十一年が、先ほど長官もおっしゃったように、沖繩にとっては大問題だと思います。いまの本土がこんな状態ですから、なおさら大変でしょう。そういうときに、本土、すなわち本土企業などが、ある程度——どうせ本土企業は出ていっているのですから。本土企業なんかがある程度持つということは、適切な指導さえあるなら、悪く利用させなければ、いい指導が行われるなら、沖繩の今後の経済に対してある程度の責任を本土の大企業が負うということも、私は一面としては考えられると思うのですね。ですから、全体的に悪いと言うのではない。本土資本だから出ちゃいけないと言っても、いまは資本主義という体制の中ですから、沖繩が日本の国家体制の中で資本主義経済の運営の一環をやっていこうとするときには、これが悪く利用されないという前提に立つなら、いい指導をするなら、決してそれだけが悪いんだというような考え方に立たないで、十二分に検討して、ある意味では長官の方から指導的な役割りを果たしてもいいのじゃないかという感じがちょっとするわけです。ほかにもっといいのがあったらいいのですがね。しかし、将来の経済というものを考えたときには、やはりまだまだ当分の間、沖繩独自で、自力でその経済運営の力が出てこないというときには、第三セクターのこの案がそのままではないのですが、とにかくこういう考え方というものが全然否定をされっ放しでいる、それでいいのかどうかということを疑問に思うのですよ。ですから、もう一度検討をして、もしいいとなったら、指導的な役割りをしながら、その検討の中からまた違った第四、第五の何か案ができるなら、それもいいでしょう。だから、そういう点は一応も二応も考えてみる必要があるのじゃないかという感じがしましたので、つけ加えておきます。  具体的に跡利用の問題で二、三お伺いしたいのです。  この跡利用を考えたときに沖繩県として一番大きな問題は、国の助成、国の協力がどの程度もらえるだろうかということが非常に重要なポイントになっているだろうと思うのです。国の助成がなくて跡利用をしようとしても、なかなかにこれは自力ではできない。だから、県としては跡利用に関する国の助成、国の協力というものが一体どの程度もらえるものだろうかということが非常に大きな問題、これを早期に示してやらないと、県が独自でいま考えております。協議会で何か審議していますと言っても、その中心になるのは、やはり国の助成が一体どうなるだろう。万博の場合には御存じの黒字が出たので、あと非常にやりやすかった。海洋博が黒字になるかどうか知りませんよ。三百万だか四百五十万の観客を当てにしていろいろ計算をしていて、黒字になるだろうと考えてやるにはやっていても、どうなりますか。これはいまの状況から言うと、あの大阪の万博の当時とは経済の状況も違いますし、人心も違っている。しかも、ずいぶん遠過ぎますからね。行くのに二万、三万かかるのですから。泊まろうものなら、また金がかかりますしね。だから、海洋博というものが黒字になるならないという問題も、非常に大きな問題だろうと思う。  そこでお伺いしたいのは、海洋博を、そうは言っても、ちゃんと現在の状況を判断して、黒字になると考えておいでになるのかが一つと、国が一体ポスト海洋博に対してどの程度の力を入れる予定なのか、それをひとつお伺いしておきたい。
  41. 植木光教

    植木国務大臣 先ほどの第三セクターの問題につきましては、跡地は非常に狭うございますので、万博の跡地と比べますと狭うございます。この跡地のみの利用については第三セクター方式はとらないという考え方でございます。  それから、赤字か黒字かということは、やってみないとわからないわけでありますが、私どもの見込みといたしましては、黒字にはならないであろうという見通しでございます。  そこで、いま御指摘になりましたように、この跡利用を考えてまいりますときには、やはり何といたしましても政府が財政的な非常な力を入れませんと、十分な利用はできないと考えております。これは跡地だけではなしに、先ほど申しましたように沖繩振興開発全体に関係づけられるものでございますから、したがって、そういう意味において国が大きな助成をしていかなければいけないという基本的考え方であります。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、基本的な計画海洋博までには一応方向づけられると思いますので、その段階においては、国がどういう財政的な措置をするかという見通しも立ってまいりますから、この点、県民に不安がないように、また県当局も御協力がいただけるようにということで十分協議をしてまいりたいと存じます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 さっき大臣がおっしゃったように、四月二十四日に第一回、それから五月の八日に第二回の跡利用部会をお開きになりましたね。大臣は、この博覧会が開催されるまでには、跡利用の問題に対する国の助成なり協力が一体どういう程度できるかを決めたい。始まるのは七月、来月の二十日ですから、第一回、第二回の二十四日と五月八日に跡利用部会をお開きになったときには、ほとんど結論らしい結論は出ていないと聞いているのです。また、七月二十日以前に結論をお出しになるように頻繁に会合を開いて、そうして沖繩県民の心配のないように結論を出す、こういうように聞いたのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  43. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおり、結論はまだ出ていないわけでありますが、先ほど申し上げましたように、この跡利用部会委員が今月十一日に、もう数日後でございますが、現地に参りまして見てまいります。したがいまして、百聞は一見にしかずで、まずいままでは、いろいろ県の意向を聞きましたり何かしてまいりましたわけですが、すでに部会長は何回か行って県とも相談をいたしておりますし、近く現地に委員が行くことでございますから、それは視察が終わりましたならば急速に結論を得させたいということで、私は指示をいたしております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 現在協議されているアンコールフェアの事業計画、海の博覧会というのですか、それに対する資金計画というものが出ています。その資金計画によると、総額が四十五億八千九百万円、そのうち入場料は約十三億二千四百万円、それから営業参加収入として一億五千八百万円、それから県の負担が約二億円、国庫出資並びに寄付金などを合わして二十八億三千二百万円という資金計画で、現在アンコールフェアの計画をしているわけであります。これは御存じでしょうか。
  45. 植木光教

    植木国務大臣 アンコールフェアの要請は十分承知いたしております。そこで、海洋博覧会の担当者は御承知のように通産省でございますので、私どもといたしましては通産省に対しまして、アンコールフェアを開催すべきであるか速やかに結論を出してほしいという要請をしているのでありまして、早晩、通産省としての態度が表明せられるであろうということを期待いたしております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 どちらにしても、五十一年の沖繩を考えたときに、海洋博跡利用というものは重要な問題が各般にわたって起きてくると思うのですね。その意味では真剣に討議をしていただかないといけませんし、先ほど、通産省から案が出るだろうというお話ですが、督促もしていただいて、海洋博の開催以前には少なくとも基本的に国庫出資がどのくらいというようなことも決まるように、ぜひやっていただかなければいけないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  47. 植木光教

    植木国務大臣 アンコールフェアにつきましては、いずれにいたしましても早く結論を出さなければいけないと存じます。跡利用にこのアンコールフェアが関連するわけでございます。したがいまして、早晩と申し上げましたが、これは先ほど申し上げましたように、基本的な方向を決めます段階までに結論を出してもらわなければならないのでありまして、その後の、やった場合にはどうなるか、やらないであとどういうふうに利用していくかというようなことは、近く方向が出るわけでございますから、御指摘のように、県民及び国民が理解されますような計画方向づけをいたしてまいりたいと存じます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題の最後に、くどいようですが、ということになりますと、アンコールフェアも含めて跡利用に関しては、海洋博開催以前にいろいろな意味の結論を出す、こういうふうにお答えいただけますか。
  49. 植木光教

    植木国務大臣 そのとおり取り計らわせていただきます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、跡利用に関する問題を一応これで終わりまして、次に、問題を変えて、褒章制度について少しお伺いをしたいと思います。  この間、春の叙勲で河合堯晴氏が、決定した後に辞退をされたのですが、そういう例は過去にあるのでしょうか。
  51. 秋山進

    ○秋山政府委員 最近の例ではございません。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 最近の例ではない。前にはあるのですか。
  53. 秋山進

    ○秋山政府委員 戦後の例ではないということで申し上げておるわけでございます。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 もちろん、戦前のことはよくわかりません、こういうことですね。もちろん戦後はないのでしょうが、私の聞いた範囲では、勲一等が決定された後に辞退したというのは確かに初めてじゃないかという感じがするわけですね。ただ、受章されておって後で返還した例はあるわけでしょう。
  55. 秋山進

    ○秋山政府委員 受章後返上の例はございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 どういう例があるのですか。
  57. 秋山進

    ○秋山政府委員 戦後の例でございますと、終戦後、賀屋興宣先生が返上されたことがあります。それから春秋叙勲が行われた以降の例ですと、池田正之輔氏が返上された例がございます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 そのほかに、徳富蘇峰さんもあるのですね。  そこでお伺いしたいのは、この勲章授与の根拠法は何でしょうか。
  59. 秋山進

    ○秋山政府委員 憲法第七条の天皇の国事に関する行為の中の栄典に関すること、これが大もとでございます。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 その憲法第七条による云々という条項を言ってみてください。どこにあるのですか。
  61. 秋山進

    ○秋山政府委員 第七条を読み上げますと「第七條 天皇は、内閣の助言と承認により國民のために、左の國事に關する行爲を行ふ。」その中の「七  榮典を授與すること。」であります。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 その「榮典を授與すること。」の中に勲章という規定があるのですね、そうですね。
  63. 秋山進

    ○秋山政府委員 この栄典の制度の解釈といたしまして、わが国においては、憲法の栄典というのは現在においては勲章、褒章等を指しているということで解釈されております。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 その勲章の規定をみますと、勲章従軍記章制定ノ件、明治八年四月十日太政官布告第五十四号というのが基本になって、以下勲章は何々とこうある、間違いありませんか。
  65. 秋山進

    ○秋山政府委員 現在よっております法規はそれに間違いございません。御指摘のとおりでございます。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣もこれはごらんになっていますか。
  67. 植木光教

    植木国務大臣 見たことがございます。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 勲章何々制定の件はいいのですけれども、太政官布告というのは私、久しぶりで見て、ずいぶん古いのがまだあるんだなあと思いましたが、従軍記章制定ノ件で従軍記章というのは——いま従軍というものがこの種のところに出てきておかしくないのでしょうかね。大臣どう考えますか。これは別に法理論じゃないのですけれども
  69. 植木光教

    植木国務大臣 大変おかしいことであるという感じはいたします。その点事務当局に対しまして、これはおかしいという意向を表明したことはございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 表明された事務当局がいま何やっているのでしょう。ずっと見ていくとこれが出てくる。勲章従軍記章制定ノ件、明治八年の太政官布告だ。この従軍記章というのは現在の自衛隊にありますか。
  71. 秋山進

    ○秋山政府委員 お答えいたします。  現在のいろいろな栄典関係の法規につきましては、憲法の「條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に閲するその他の行爲の全部又は一部は、その効力を有しない。」ということになっておりますので、従軍記章というものは憲法に違反しますので、その点は効力を有しないということで運用しておる次第でございます。  なお、自衛隊にはございません。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 私も調べてみたら、そのとおりなんです。ということになると、大臣、幾ら何でも、古いものは確かに大事なんだけれども、骨とう品じゃないんですから、この勲章従軍記章制定ノ件によって勲一等は何、勲三等は何と、こう規定している法律は、これは何か適切に改めるということを考えなければいけないのじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 三十八年の閣議におきまして勲章授与の件が決定せられて、生存者叙勲が始まったのは御承知のとおりでございます。これは先ほど局長から申し上げましたように、従軍記章というものはもう効力を有しないものでございますので、その他の、憲法上差し支えなきものについて授与するということになった経過を伺っております。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、これを何とか改める、改正するという方向大臣努力をすべきではないかと思うのですよ。このままにしておいてはおかしいじゃないですか。
  75. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまの状況でいきますと、この命令を変えることができるようでございます。ちょっと検討させていただきたいと存じます。なお、勲等等をもし変えるということになりますと、これは法律事項であろうと存じます。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 検討すること非常に大事だと思うから、これは大至急検討すべきだと思いますよ。私、これを見て驚いちゃった。  それから、勲章褫奪令というのがあるんですね。いろいろなことをやったときに剥奪する、返還させる、褫奪令、むずかしい字が書いてある。勲章褫奪令施行細則に——同じ本を持っているようだからごらんになっていると思うのですが、ずいぶん、賞勲局総裁というのが出てくる。昔ありましたね、賞勲局総裁が。賞勲局総裁、いまないのでしょう。
  77. 秋山進

    ○秋山政府委員 賞勲局総裁というポストはございません。ただ、これはそれぞれ賞勲局長あるいは場合によっては総理府総務長官等と読みかえておるわけでございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 読みかえていなければ、とてもじゃないけれどもこれは運営できないんですから、読みかえるのはあたりまえなんだけれども、やはりこういったところにそのままこれが生きていて、われわれにこれが読まれているということはよくない。これも改めるように検討をする状況の中の一例ですから、この問題等に関しても検討をするようにしていただきたい。
  79. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のとおりでございます。私、直ちにこれを検討いたします。
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、三年ぐらい前までやっていた例の一日内閣をまたやろうという気があるんじゃないですか。
  81. 植木光教

    植木国務大臣 一日内閣を行ってはどうかという意見が政府部内に出ていることは事実でございますが、いままでのようなやり方が適切であるかどうかということについてはいろいろ問題がございますので、現在のところ検討中でございまして、見通しといたしましては、いままでやりましたようなやり方というものはとらないという方向でございます。また、やるかやらないかという根本的な問題から検討をしなければならないというような状況でございまして、いまのところ、やる見通しはございません。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 対話中心の三木内閣ですから、万が一やるということになるなら、いままでのような上意下達方式でなくて、確かにいろいろな問題の検討が必要でしょうが、下意の上達、しかもそれが、実際に約束されたものが実行に移されたという結果を見せるようなものでなければ、従来と同じようなものをやるべきじゃない、こう思いますので、やる前提としては、よく検討をした上でやっていただきたいということをお願いをしておいて、終わります。
  83. 井原岸高

  84. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩が祖国復帰してからすでに三年を越しましたが、三年前に沖繩問題については、核抜き、本土並み沖繩返還というのが特に自民党の線から宣伝をされ、さらに沖繩の施政権が返還されない限り日本の戦後は終わらないといったようなことも宣伝されておりましたが、いま三年たって、今日これがほとんど実現されていない。すなわち核抜き本土並みは、核の疑惑はますます強まる一方であり、さらに本土並みは、他府県並みに政治、経済その他引き上げていくということであったが、実はそれも逆で、とりわけ失業者の問題などは、全国平均二・一%の失業率であるが、沖繩は五・一%以上になっておるという問題に象徴されるように、さらにまた基地問題につきましては、すでに御承知のように伊江島の発砲事件、これは殺人未遂事件についての裁判権放棄の問題、あるいは海兵隊による少女の暴行傷害事件など引き続いて起こる中で、きょう質問したいのは、先月の二十四日に起こりましたMPによる報道記者の暴行、基地内連行事件であります。  これは新聞でもすでに報道されたのでありますが、この点につきまして一言お伺いしたいのは、アメリカ局長、山崎さんですが、私も会いましたが、少なくともMPが、どういう理由であれ、基地内に日本人を連行するということは、地位協定十七条十項の(b)に違反するということをはっきり申しておりましたが、この点についていまでもそういう信念に基づいて、考え方、解釈に基づいて対米折衝をしているかどうか、外務省にお伺いをしたいと思います。
  85. 深田宏

    ○深田説明員 ただいま先生御指摘事件につきましては、仰せのとおり、この二人の記者を基地に連れていきまして、そこで取り調べをした、日本側の警察当局への連絡が必ずしも迅速でなかったというような点につきましては、地位協定との関係で問題があるという判断のもとに、アメリカ局長から在京シュースミスアメリカ公使に対しまして強く注意を喚起いたした次第でございます。  事件の全貌につきましては、ただいま警察当局の方で御調査になっておられますし、また、私どもの方から在京アメリカ大使館に要請いたしまして、アメリカ側の方でも事実関係をきちんと調べてもらうように言っておりますので、そのような調査の全貌がはっきりいたしました時点におきまして適切な処置を講じたい、このように考えております。
  86. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、聞いておりますのは、アメリカ局長がはっきり、アメリカへの主張は、公務執行妨害だと言うが、ここではそうじゃないんだ、いずれにしても基地に連行したというのは、アメリカの軍事警察、この行動の及ぶ範囲を決めてあるのがいわゆる地位協定十七条十項の(b)ですね、これに違反するということだけは現在の時点でもはっきり言えるということを、山崎局長は言っておりました。現在でもその山崎局長の発言を政府は認めておるかどうかだけを聞けばいいんです。
  87. 深田宏

    ○深田説明員 ただいまお答え申し上げましたように、二人の記者、一人はアメリカ人でございますが、二人の民間人を基地に連れていったことにつきまして、先生御指摘の地位協定十七条関連規定を逸脱したものであるということが考えられますので、その点を強く指摘しておるわけでございます。先生御指摘のとおりでございます。
  88. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ところで、六月三日、今月の三日に、琉球新報社を代表して外間正四郎編集局長アメリカ大使館を訪問し、小林一等書記官に会っております。この小林一等書記官は、事件の結論もまだ明らかでないのでと言いながら、こういうことを言っているんですね。「事件は、MPが軍紀粛正のため、酒気運転を取り締まろうとした関係で起こったものであるが、民間人がMPの公務執行を妨害しようとしたのであり、MPの行動はやむを得ず、地位協定に違反しないと思う。地位協定とその関連取り決めがあるが、公務執行中のMPがこれを妨げた民間人を基地内に連行できないとは、はっきり解釈できない」これはいわゆる十項の(b)のことを言っているわけなんですね。三番目に「MPが交通違反車を追って基地外で取り締まるという行動そのものは不自然でない」というふうな見解を述べて、けんか両成敗みたいな方向事件解決していこうというアメリカの意図もこれで明らかになっている。この点は、私が沖繩のシェルベスター総領事に会ったときも同じ見解を言っておりました。  私、聞きたいのは、これはだれが見てもアメリカの軍事警察、この行動半経、行動の範囲というものは決められておりますね、特に基地外ではつかまえて連行しちゃいかぬなどということも書かれておるだけに、この十項(b)についての考え方が本当にいまも考えられているとすれば、日本政府はまた裁判権を放棄したあの形で追いまくられぬように、これがいま日本国民が一番心配していることなんです。あの山城安次君の発砲事件、第一次裁判権がここにあると最初言いながら、またまたアメリカはそれを覆して、裁判権はおれのところにあるんだ。折衝の結果、とうとう日本がアメリカに対して裁判権を行使しない旨を通告してしまった。その結果、罰則がないというだけではなくて、司令官の行う処分でけりをつけている。こういった一連のつながりから言って、すでに大使館は、外務省と真っ向から対立する意見を堂々と述べておるのですね。これについては参事官、どうお考えですか。
  89. 深田宏

    ○深田説明員 ただいま先生御指摘の在京米大使館小林書記官の発言につきましては、直ちに先方に照会いたしましてその真意をただしたいと存じております。  この事件の局面には、少なくとも三つの段階があるように思われるわけでございます。アメリカの警察がアメリカ軍人二名と婦人一名を取り調べるあるいは検挙するという時点、それからそれに関心を示しました民間人、アメリカ人記者、日本人記者と若干言い合いになられたという局面、その次の第三の局面としまして、その二人の民間人を基地の方に連れていった、ざっと申し上げてこの三つの局面があるように思われます。  事件の全貌が必ずしも明らかでございませんので、断定的なことを申し述べるのは適切でないと存じますけれども、私どもの判断といたしまして、その第三の局面につきましては少なくとも問題があるんではないかということを強く申しまして、先方の注意を喚起しておる次第でございますから、私どもの考え方を今後におきましてもアメリカ側に強く主張するようにいたす所存でございます。したがいまして、先方の報道されておりますような発言の真意を直ちに問いただしまして、今後適切な措置をとってまいりたい、このように考えております。
  90. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 本当に腰を強くして粘り強くやらないと、国民は事実、心配しているのですよ。また、こんな明らかなことを、ああいうことで押し切られはせぬかな。いま二少女に対して強姦、傷害事件で訴えられているフローレンスという、海兵隊ですが、また頭が悪くなっているんじゃないかというふうなことになる。裁判にかけられるとすぐ頭が悪くなるということは、沖繩における海兵隊だけではなくて、米軍人による傷害死傷事件、暴行事件、輪姦事件、凶悪犯罪の裁判のときに、常にそういうところに持ってこられる。  私、高嶺朝一記者と会いました。この被害者であります。暴行を加えられているのですね。アメリカの警棒で殴られています。左手にあった時計が割られていて、それは証拠品で持っていって、向こうのケースにあるそうです。約二センチぐらいじゃなかったかと思いますが、こっちに傷を受けております。さらに、MPの車に乗せる前に、暴れちゃいけないと言って催涙ピストル、すうすうやるやつを目に撃ち込んでいる。そして、見えなくなった途端に車に押し込んで、基地内の詰め所に行っています。シェルベスター総領事は私にこんなことを言いました、もし警察が近ければよかったがなと。警察が近ければじゃないじゃないか。普天間警察、ものの一分じゃないか。しかも、十メートル前には交通整理か何かしている巡査がいるということも確認されているのですよ。  状況はそうなんです。事実、暴行を加えられている。日本人に真昼、催涙ガスを撃ち込む。それで目を見えなくして、その途端に車に押し込んで、三時間やられているのですね。事実は外務省も知っていると思うのです、私も言ってありますから。だから、あの裁判権放棄の二の舞いをやらないように、主権国家でありますから、悪いのは悪いと確信を持って言えるような政府になってもらいたいということが、沖繩県民だけじゃなしに日本国民全体の要望だと思うのですが、この点についてはいかがですか、参事官
  91. 深田宏

    ○深田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、本件につきましていろいろ取り調べていただいておりますが、その結果を十分踏まえまして、先生ただいま御指摘の諸点、私どももよくわかる点がございますので適切な措置をとりたい、このように考えております。
  92. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省が再び民族の尊厳を傷つけるような屈辱的なことをしないように努力してもらいたいことを強く要望して、次に移ります。  最初に、戦後処理の問題ですが、憲法で規定されている財産権とも関連いたします。沖繩返還協定の四条ですか、日本政府は請求権を放棄した、この放棄された請求権の問題とも関連いたしますが、最初にVFW、これは浦添にありますね。よく御存じだと思いますが、このVFW、これは退役米軍人のクラブなんですね。これはいま、だれが経営しておるのか、どういう仕事をやっておるのか、まずこれから明らかにしてもらいたいと思います。これは施設庁ですか。
  93. 深田宏

    ○深田説明員 私どもの方で承知いたしております限りで申し上げますと、VFW、これは在郷軍人の団体、ベテランズ・オブ・フォーリン・ウォーズという団体でございます。沖繩復帰前からこの牧港補給地区内で建物を持って、いわばホテル、レストラン関係の業務を行ってまいったものでございます。これは先生の方が十分御承知でいらっしゃいますので詳しく申し上げる必要はないと存じますけれども沖繩復帰時に、合同委員会合意によりまして施設、区域として提供する対象からこれは除外いたしました。そういう経違がございまして、現在どの程度の規模で業務を行っておるか具体的につまびらかにはいたしておりませんけれども、ホテル、レストラン業務等を引き続いて行っておる、このように承知いたしております。
  94. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ホテル業務ですか。はっきりさせてください。
  95. 深田宏

    ○深田説明員 私どもの了解では、ホテル、レストラン業務ということが書類等に書いてございます。具体的に実際どういうものをやっておりますか、最近、私、視察したこともございませんので、その辺は御容赦いただきたいと思いますけれども、いわばレクリェーション的な施設という形で運用されておるというふうに伺っております。
  96. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は政府のミスでいまだに解決しておらないという点は、当時の山中防衛庁長官がはっきり委員会で言っております。この問題につきましてはすでに外務省は御承知だと思うのですが、VFWは、最初は、五月十五日の返還の時点には施設、区域A表に書かれていた。ところが四カ月後に施設庁から、これはいわゆる施設、区域として提供されたものではないのだというふうなものがやってきた。その間、施設庁は地代を払っております。そういったいきさつのあるものでありますから、山中長官は、これは手続上のミスがあったということをはっきり言い、そうして、これは四十九年五月十六日、内閣委員会での私の質問に対して、「ことに、復帰のときにおいて、一応五月十五日の午前零時、提供施設でなくなったということでありますけれども、しからば、その事実を地主の方々が知ったのはいつかという問題になりますと、これは私は、事務上の私どもの手落ちを認めざるを得ないということを申しております。責任は私どもにあると思うのです。したがって、私としては、なお積極的に働きかけもし、外務省も動いてくれておりますが、この解決方法等について、地主さんとも相談をいたしながら、問題は建物だけの問題でありますので、何とか経営者との間に、建物の所有者との間に一日も早い円満な解決がついて、」云々ということで、完全にミスを認めているわけです。だから、ミスを認めておいた後で、これは政府間の問題であるということで、大臣委員会で証言されたのです。  それから一年、この問題は、地主対この委員会、アメリカ陸軍司令部の中にあるいわゆる米国土地損害賠償請求審査委員会、これにかかって、そしてこの前、この問題はわれわれ審査委員会の権限外であります、と却下されていますね。御存じでしょう。すでに原文が来ておるはずなんです。外間広次郎、地主の代表は来ているのですよ。向こうの権限外であります。中身の問題じゃないのですよ。確かに権限外であるかどうかは別として、その問題とは離れて、なぜ大臣ともあろうものが、日本国政府を代表して内閣委員会で証言して、これは政府の手落ちであった、ミスであった、これを認めながら、そしてやるのだ、政府の責任でこれは完全に解決してみせますと。これは道理にかなっています。筋です。あの三十名の地主は苦しい生活をしているのですよ。これが訴訟人として裁判をしなければならぬというところになぜ追い込むかという問題点、ここに根本問題があります。  沖繩県民は、占領支配の中では法律は、憲法はない、大統領行政命令が最高法である、復帰したら憲法は施行される、施行されたら財産権は確保待って、この財産権が本当に宙に浮いてしまってどうしようもないというところまで来ているのが沖繩現状ではありませんか。  施設庁、だれも来ていないのですか。防衛庁長官が言ったのですがね。会議録にあるのですよ。そのまた一カ年前の内閣委員会でも言っている。それで、いま山中さんは大臣をやめましたが、やめたからといって、これは国を代表しての答弁ですからね。施設庁、おられたら、ひとつ答弁してください。
  97. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 先ほど先生からお話ございましたことに関連しまして、若干事実に相違することがありますので、前にお断りいたしておきますが、このVFW用地が施設、区域からはずれるという決定が五月十五日の直前に行われたため、それからさらに、沖繩におきまして地籍が非常に不明確であるというような特殊な事情がございましたために、関係所有者に対する御通知が若干おくれたことは事実でございますが、その間、借料等の支払いをしてはございません。  この問題につきましては、昨年の五月二日、衆議院の安里積千代先生から本件に対する質問主意書が出されておりまして、この回答の線に沿いまして、私どもは引き続き米側と話し合うとともに、他方、本件をいかに解決すべきかということにつきまして関係省庁の間で検討を進めてまいりたいと考えております。
  98. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 なお、さらに、大臣がなぜミスであると認めざるを得なくなったかというその書面が施設庁から来ていますから、読み上げておきますから頭に入れておいてください。復帰の際には返還協定A表に入れられ、那覇防衛施設局と地主との間で軍用地の仮契約が結ばれた。いいですね、結ばれた。ところが昭和四十七年九月一日、すなわち復帰の年の約四カ月後、五月一日付で、那覇防衛施設局から地主に対して、この土地は「去る五月十五日付の日米合同委員会の合意に基づき、政府が米軍に提供する施設及び区域から別添のと御了承を得られるようよろしく取り計らい願いたい。」これなんです。  その時点では、五月十五日にはちゃんとA表に入れてありますと言っていながら、四カ月後に、はずしました。しかも、はずしたのはいつかというと、五月十五日の日米合同委員会で決められたからこうだ。これは独立国日本の政府がやったことなんです。この問題は屈辱的ですよ。しかし、そういうことを正直に認めて、ミスでありました。だから、いまからでも遅くないから——防衛庁長官ははっきり責任を持ってやると言ったのがなぜ訴訟に持ち込まれたかというふうなことを、私は聞きません。地主対政府なら政府、地主対そのVFWの主人なら主人、というふうな形のものにしてはいけないという性格のものでしょう、これは。そう思いませんか。これはアメリカの占領中、布令二十号に基づいて強奪された土地だ。そこで、返還になった。返還になったら、安保条約は地位協定に基づいて提供する。しかし提供しなくなった。これはあくまで国家対国家の行為で、政府対政府の行為で生まれた矛盾ではありませんか。つめ跡じゃありませんか。そのつめ跡を残すというのは一体どういうことなのか。これはつめ跡を残しちゃいかぬ、きれいさっぱりしなければいかぬというのが日本政府の方針じゃなかったのですか。方針であったからこそ山中さんはそう言ったのですよ。これを施設庁には山中さんにかわって答え得る人がおらないのですから、植木大臣の方に、担当長官ですから……。この点はほかのことじゃないと思うのです。一施設庁だけの問題ではない。外務省とも関係がある。さらに開発庁とも関係がある。だからひとつ開発長官のこれに対する本当に恥ずかしくないような——国対国の取り決めがこういったミスを起こしたんだということを認めた、認めて、大臣が責任を持ってやると言ったわけなんだから、長官ひとつ、この点についてはっきりお答え願いたいと思うのです。
  99. 植木光教

    植木国務大臣 所管は言うまでもなく防衛庁でございます。ただいまここで御論議になりました結果をもちまして、先ほども施設庁は、各省庁と協議をすると申しておりますので、私も瀬長委員の本日の御発言を防衛庁長官にも伝えまして、解決できますように努力をいたします。
  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このVFW、旅館とかレストランとかいったようなことを言っておりましたが、スロットマシンをやっておるのですよ。スロットマシンという、がらがらじゃらじゃらやるやつがあるでしょう。さらに、麻薬の巣窟だともいわれているのですよ。これを置いて沖繩県民の福祉のためになるようなもの一つもないということは、地主だけじゃない、沖繩県民ほとんど知らぬ人はいないのですよ。なぜ一体、復帰後三年、このようなVFW、幽霊みたいなクラブが、いままで財産権を踏みにじられながら置かれているかということだけを考えてみても、この問題は非常に大きい問題なんですね、権利の問題として。  だから、そういった点、防衛施設庁もどんなことをやっているかわけがわからぬ、外務省もこういうVFWクラブなどというものがどんな正体であるかわからぬ、ひょっとしたら犯罪の巣窟になるかもしれない、こういったものがあるにかかわらず、現実にどういうふうな仕事をやっておるか、従業員が何人ぐらいいるのか、あるいは宜野湾市に税金を納めているのか、納めているとすればどういうふうな納め方をしているのか、こういった実態をはっきり知らないということだけでも、この問題はいままで政府が一生懸命やっていなかったんだ、はっきり言えば、山中防衛庁長官が言ったようなことがただの委員会における責任逃れの言葉であったと言われてもこれは言い過ぎでないような実態が明らかになっているんじゃないのかなと、私は疑わざるを得ないのです。だから、いま植木長官決意のほどを述べられたが、再びまた一カ年後にこれが蒸し返されるようなことのないように、本当に速やかにこの問題は解決しなければいかないと思いますが、長官いかがですか。もう繰り返し巻き返しこの問題がどの委員会でも問題に取り上げられないように、ひとつ全力を傾けてほしいと思いますが、もう一遍、決意のほどをお伺いします。
  101. 植木光教

    植木国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、防衛庁中心になりまして事態が速やかに解決できますように、私からも防衛庁長官を初め関係省庁の担当者に申しますことを、ここでお約束をいたします。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、失業者の問題について特に施設庁及び労働省にお聞きしたいと思います。  失業者の問題でもとりわけ基地労働省の解雇、これは日本の労働法あるいは日本の労働事情では考えられぬような、ぼろきれのようにどんどん首を切る、アメリカが切りたい場合にはいわゆる一方的にいつでも切るというような状態があります。この点について、憲法もあり、労働組合法や労働基準法や関係調整法など労働法もあり、失業保険法その他もあって、いわゆる法治国家といわれている沖繩で、いまアメリカによる軍雇用員の首切りという問題は非常に重要な問題である。そのために沖繩の完全失業者が、基地労働者から切られた人々も加えまして、沖繩人口百万のうち実に二万一千人の失業者であり、五・二%という失業率である。日本全国で約一億以上の人口でありますから、その割合でいけば二百万人以上の失業者がいるようなことになっておる。そういったような事実は、沖繩県民に対して基地の重圧、さらに自然、生活環境破壊の政策がどのくらい深部にわたっていっているかということを証明しておりますが、最初にお聞きしたいのは、復帰三年前、一九七二年当時、施設庁は労務者として何名米軍に提供したか、さらにそのうち幾らぐらい整理されたか、さらに新規採用は幾らぐらいあったか、この点については簡潔にしてください、それから、解雇された労働者はその何%ぐらいか、あるいは何名が新しい仕事について、ずっと失業しておるのは何名か、これをお答え願います。  沖繩復帰時点における従業員数でございますが、これはMLC、MC、IHA合わせまして四十七年の四月時点をとらえますと、在籍者数が一万九千八百八十六名、その後、四十七年度復帰後、すなわち四十七年の五月十五日以降人員整理に会いましたのが、同じくMLC、MC、IHA合わせまして千三百六十三名、四十八年度におきましてはその離職者の数の総合計が二千七百三十四名、四十九年度については二千八百四十六名、ただ、この中で当然事前通告という形になされまして、政府側としては米軍との折衝を重ねまして、できるだけ整理者をなくするというたてまえから調整をとっております。その調整をとった結果は、復帰時においては調整率は非常に悪うございますが、四十八年度については一二・八の調整をして、それだけの分は人員整理から免れる。四十九年度については一五・六の調整率をとっております。できるだけそういう努力をしております。しかしながら、不幸にして離職を余儀なくされる方も出てまいるわけでございます。先生御指摘のとおりでございます。  ちなみに、私ども施設庁の方でとっておりますところの離職後の再就職や就業状況を申し上げますと、これはあくまでも離職なさいました方々に対してアンケート方式をとっておりますが、四十七年度については、千七百十四名の方々にアンケートを出しまして、そのうち千百十九名の方々から回答をいただいております。それを根拠にいたしまして、再就職いたしましたのは一六・五%、それから就業いたしましたのが〇・三%、そのほかの失業中の方が八三・二%という状態になっております。  同じく四十八年度、これは時点といたしましては四十八年の四月一日から四十九年一’明三十一日までの、やはり従業員であった方々に序するアンケートをとりました。これはアンケート対象としてアンケート調査用紙を配りました方が三千二百九名、回収いたしましたのが千六百七十二名。その回収をいたしました方々を対象といたしましての集計でございます。再就職いたしました方々が約二〇%、就業いたしました方が一・四%。この年度におきましても、失業の方が七八・七と非常に高率になっておるわけでございます。  以上でございます。
  103. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 四十九年は。
  104. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、これは一年経過した後において、すでに離職なさった方々に対するアンケート方式による調査でございますので、四十九年度の調査は、まだその集計が完全にできておりません。
  105. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 質問する前にもう少しお答えしてもらいたいのがありますが、この解雇された者が、いま四十七年から四十九年まで六千九百四十三名ですね。ところで、解雇しながら新規採用というのがありますね。四十七年から四十九年まで三カ年間で、新規採用が四千五百七十九名おる。すなわち三カ年間で約七千人ぐらい解雇して、さらに新規採用が四千五百七十九人おる。この事情を説明してください。  解雇しますね。解雇するときは、要らないといって首切るはずです。首切ってからまた新規採用する、これは本土の労働組合運動なら組合運動、労働事情、企業体労働者の関係、労使関係、これではちょっと理解に苦しむと思うのです。首切るでしょう。新規採用する。たとえば四十七年、解雇が千三百六十三名、新規採用千百十五名になっておりますね。四十八年、解雇二千七百三十四名——もちろんこの数字はMLC、MC、IHA、全部合計であります。いわゆる二千七百三十八名、四十八年度に首切って、千五百六十一名新規採用をしておる。さらに四十九年度、二千八百四十六名解雇、新規採用が千九百三名という状態ですね。これは普通はちょっと考えられぬことでしょう。どういうふうになっていますか。労務提供者だから、あなた方の方でよくわかると思います。
  106. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございますが、ここでちょっと申し上げておきたいのは、確かに四十七年度から四十九年度までの総トータルの再雇用者数、これは四千五百七十九名で間違いございませんが、人員整理によってやめていく人間のほかに、やはり従業員の中には自然退職をしていく方々もいるわけでございます。自己の都合とかそれから病気とか、不幸にして在職中に死亡されるというような方々もいるわけでございます。ちなみにそれを申し上げますと、四十七年度復帰時点においての五月十五日以降の問題でございますが、先生先ほど御指摘のとおり、千百十五名の再雇用をしている。その四十七年度のうちにおいては、自然退職者が千四百十九名出ておるわけです。そういうふうなものを補充するという意味から、やはり職場職場の一つの事情からいって再就職をさせておるというような事態もございます。ちなみに四十八年については、先生御指摘の千五百六十一名の再雇用を図っております。しかしながら、他面、病気等において自然退職をいたしました方々が二千四百七名に及んでおります。それを補完するという一つの立場から再雇用をやっておるということでございます。そのほか、総トータルで四十七年から四十九年度までの四千五百七十九名の中には、いわゆるIHA関係というのは、Aという職場からBという職場に移行させる場合に、これは新規採用という形で米軍の方は整理しておるようでございます。そういう数字も入っておるということをお含みおきいただきたいと思います。
  107. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま施設庁に私、望みたいのは、もちろん、いまおっしゃった点で、自然にやめる人がいたということ、またいるということは認めます。ところが実態は、よく言われておる基地の安上がり維持と沖繩の核基地としての強化、これがねらいなんです。いまデービット司令官が二十六日かに発表したように、沖繩基地は陸軍はほとんど減らしていく。もうなくてもいいんだということはまだ言いませんが、海兵隊、これと、嘉手納におるあの空軍、これは核部隊であります。三百十三、その配下の十八戦術戦闘航空団、この二つを柱にして沖繩基地を強化していくという方向はすでに出ておる。したがいまして、安上がりのもので、切りますね、切るときに本人に対して、もし再就職したければという形でやっていく。一応切った。そうして臨時になります。パートになります。安く雇います。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕 そういった方向本土では採用できませんね。これは労働基本権に関係するもので、戦いが発展します。ところが沖繩ではそういうことをやるものだから、この解雇から新規採用、これが毎年毎年事実となってあらわれている。これに少しの疑問もなくて、本当の労務提供者としての労務管理の責任が持てるのか。施設庁は基地を維持するために、労働者を商品として提供すればいいさというふうなことだからこそ——この現実の姿はそうじゃないのですよ。事実はぼろきれのように首を切られておるのですよ。そして首切って、後で、もし希望者がおれば雇います、パートでやっていく、これがこの実態なのです。  これはあなた方が出した数字なのです。四十七年から四十九年まで、業種別に、切られた数、解雇された数と新規採用、あなた方が提供している。したがいまして、いまあなたの説明でも、こういったような労働者が、大体四十七年が、解雇された者のうち八三・二%が失業中なんだな、ほったらかしなのです。四十八年、二千七百三十八名切られて、七八・七%は仕事がない、あぶれている、街頭にほうり出されている。まさにぼろきれのように取り扱われている。労働者は人間であります。これで日本国民の人権、そういうふうな労働基本権ももちろんのこと、日本国民として、人間の尊厳すら、もう踏みにじられている。しかもその実態がわからない。したがいまして、それを私、強く主張すると同時に、あなた方のこれに対する対策——労働省からだれか来ておられますか。それをひとつ含めて、はっきりしてもらいたいと思うのです。  この問題は、生活権や生存権が脅かされるといま言いました。軍関係失業者は、特に中高年層が大部分を占めているのですね。それだけに深刻なのです。政府は、駐留軍離職者を対象とした総合職業訓練所を設けて対策を進めていると言っておるが、それはどのような効果が上がっているのかという問題が一つありますね。さらに、再就職するまでの生活は、いま三年ですか、三年と言わずに、ずっと再就職できて家族もその労働で養えるような状態にするためにはどうすればいいのかという問題、こういった問題について一施設庁は労務提供者ですから責任あるのですよ。さらに労働省から、明確と方針があれば述べてもらいたいと思います。
  108. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  沖繩については、年々引き続く大量の人員整理、これに対処するために、政府といたしましては、先般、昨年の四月でございますが、臨措法に基づきますところの中央離対協等を開きまして、各省庁で協議をいたしました。その結果、四月三十日の閣議に報告をしたしまして、これの将来に対する対策について善処するということも決まっております。  他方、わが庁といたしまして、元雇用主という立場から、失業された方々に対する施策をどうするかという問題を鋭意配慮しておるわけでございますが、四十九年度におきましては、やはり臨措法に基づきますところの特別給付金の増額要求をいたしまして、これを基準改定いたしました。さらに五十年度にいたしましても、平均二十数%の増額という形で基準改定を実施しております。  さらに、身分が非常に不安定な職場であるということも踏まえまして、在職中から従業員に職業訓練を実族しております。それは各種目に及んでおります。これとても、従業員等の意向を聴取した上で、どういう種目が職業訓練、再就職に適するか、その点も十分検討いたしまして、訓練を施している実態でございます。これは基地内はもちろんのこと、基地外におけるその種の機関を委託経営いたしまして、そういうところで訓練を実施しておるということでございます。さらに五十年度からは、その訓練に出てくる方の特定の方に限って、受講奨励手当を支給できるように予算化いたしました。  そのほか昨年度から、特に沖繩については離職者対策センターを設置いたしました。これは労働省からの認可を得まして、離職後における再就職、いろいろな相談事項、職業のあっせん、そういうものをつかさどる機関でございます。先生よく御承知と思いますが、その機関に対して、元事業主という立場から補助金を交付しております。これも昨年発足いたしまして徐々にその成果を上げているように聞いております。  以上でございます。
  109. 石井辰治

    ○石井説明員 離職者対策につきまして、労働省としましては、いわゆる就職促進手当の支給あるいは国、県などが一体となりましての総合職業相談所の設置といったようなことを従来進めてきたわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように十分ではない面がございますので、昭和五十年度におきましてはこれらの施策を一層強化いたしますほか、たとえば離職後二年以上三年未満の就職者とか自営業開業者に対します再就職奨励金、自営仕度金の支給といったような制度を新設したり、あるいは職員を増員するといったような措置を講じてきたわけでございます。しかしながら、まだまだ不十分な面はございますので、私どもとしましては今後とも就職援護措置の強化拡充とか、職業相談所の機能の強化、あるいは職業訓練の充実といったようなことに努めてまいりたいと思っております。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、先ほど御指摘のありました三年の有効期間の問題でございますが、これはまあほかの諸制度との関連もございまして、非常にむずかしい要素を含んでおりますが、御指摘でございますので十分検討させていただきたいと思います。
  110. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がございませんので、失業問題は別の委員会で改めてまた質問することにして、最後にパインの問題について、これひとつ、とりわけ長官に責任を持ってお答え願いたいと思います。  典型的に沖繩パイン産業の危機があらわれたのは、先月の末、石垣市の南琉産業が、最盛時を目前に控えて、突然パイナップルかん詰め加工を廃業するとの方針を打ち出した。そこで、パインをつくっている農家が恐慌状態に陥った。結論としてどうなったかというと、結局、この南琉産業が取り扱うべき三千七百トンの青果を宮原食品と沖繩缶詰の両社が引き受けるということ。それによって生ずる赤字は県と市町村で見る。さらに竹富の青果六百トンは琉球殖産が引き取り、同じく輸送コストは県と市町村でめんどうを見る。こういった形で、沖繩の基幹産業一つであるパイン産業、これが、一つかん詰め工場がもう仕事できないということになると、さあどうなるか。結局、県と当該市町村で赤字の穴埋めをするというところまで追い込まれておるのです。  もうすでに新聞で御承知になったと思いますが、県や市町村財政が実にピンチに立っておる。地方自治体の財政で、こういう基幹産業一つであるパイン産業、これを破壊しないような方策として、まず第一に、前向きに政府がやれと県でも市町村でも言っておるわけなんです。政府はこれに対してもうお手上げ状態であるのか。さらに政府としてむしろ市町村に負担させないで、この赤字は政府が負担するという方針を打ち出し得ると私は思うのですが、長官いかがですか。
  111. 植木光教

    植木国務大臣 パイン産業が重要な加工農産物品目であるということは私十分承知いたしておりますし、急激に消費が減退し、市況が悪化いたしまして大量な滞貨が出たというのに対しまして政府がいろいろ施策をしてきたことは、瀬長委員も御承知のとおりでございます。滞貨融資でありますとか輸入冷凍パインの関税率の引き上げでありますとか、四十九年の下半期分の外割り発券のたな上げででありますとか、いろいろ措置をとってきたわけでございます。  私どもといたしましては、農林省や通産省、また県当局とも十分連絡をとりながら、長期的観点に立って、パイン品種改良でありますとかあるいは沖繩農業全体の展望の上に立った作物の多様化の検討でありますとか、あるいはパイン企業の合併による企業の体質改善等々を取り進めているところでございまして、いまお話がございました会社の倒産についても十分承知いたしておりますが、いずれにいたしましてもパイン全体が、一つの企業の問題だけではなしに、沖繩産業の中におきまして重要な位置を占め、しかもいま大変な危機に立っているわけでございますので、私どもといたしましては、この問題の解決のためにさらに一層積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、パインの問題は予算措置を伴う問題でありますから、長官、ぜひその点を十分頭に入れてもらって、パイン産業の危機打開のために努力してもらいたいことを要望しまして、質問を終わります。
  113. 井原岸高

    井原委員長 坂井弘一君。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 沖繩海洋博覧会があと一カ月余に迫っておりますが、まず、開発長官であります植木大臣から、今回のこの海洋博覧会沖繩開発ないし沖繩県民の民生の安定あるいは生活向上、そうした面からどう位置づけて把握され、あるいは推進されようとしておるのか。この海洋博に対します投資の規模あるいは関連公共事業等の現況につきまして、総括的にまず御説明をいただきたいと思います。
  115. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩海洋博覧会が、沖繩振興開発計画という長期的な視点に立ちました総合的なマスタープランの一環として重要な意味を持っているということは、御承知のとおりでございまして、私どももその認識と自覚のもとに、この成功のために努力をしているところでございます。この海洋博を成功させることによりまして、沖繩振興開発を図る上で一つの大きな契機といたしたいと思うのであります。  沖繩海洋博会場施設の建設は当然やっているわけでございますが、関連の公共投資、民間投資を通じまして、沖繩の社会開発基盤整備及び産業基盤整備の起動力というものになったと私は思っております。のみならず、今後の観光の振興や海洋開発等推進する上で、大きな力となるものと考えるのでございます。  海洋博関連公共工事の内容と進捗状況でございますけれども、これは道路事業といたしまして国道五十八号線、主要地方道本部循環線、県道六号線、県道百十六号線、県道百十四号線及び沖繩自動車道、さらに港湾事業といたしましては運天港、渡久地新港及び那覇港、空港事業といたしましては那覇空港及び伊江島空港その他名護——本部間の上水道、福地ダム——石川間の導水路、本部町の公共下水道などの事業を実施いたしまして、これらの総投資額は千七百八十九億円であります。これらの事業はいずれも順調に進歩をいたしておりまして、おそくも六月末までには所要の施設の整備を完了する予定となっております。私も近くさらに視察をしてまいりたいと存じております。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 当初沖繩海洋博計画されたころから見ますと、その後経済情勢の非常に大きな変動があったというような経緯を踏まえながら、いよいよ七月の二十日海洋博が開催されるというところまでこぎつけたわけでございますが、部分的に見てまいりますと、非常に大きなあるいは困難な問題を抱えているようにも思います。先ほどからのやりとりの中にもありました、さてポスト海洋博ということになりますと、この跡利用ということにつきましても、長官がかなり積極的な意欲をお持ちになりまして、開催までにはこの計画の決定をするということでございますが、第三セクター等につきましては、地元沖繩ではいわゆる民間資本がイコール本土資本、これが沖繩経済に対して非常に大きないろいろな意味で影響をもたらすということでもって反対もあるというような情勢の中で、これは相当な決意をもってかからなければ、もしこれが後に禍根を残すというようなことに相なりますと、志と違って、大変残念なことにもなりかねない。  なお一方、物価の問題でございます。異常な物価高騰、そういう中で、さきのあの万博を見ましても、残されたものは何であったか、物価高である。もしまた、いま沖繩海洋博が、ポスト海洋博沖繩に異常な物価高をもたらしたというようなことになったれば、これは全く二の舞である。したがって、この物価問題については具体的な方策をもって臨まなければならぬ、こう思うわけでございます。長官は先ほど五つの不安についてお述べでございましたが、特に物価問題については、具体的な何がしかの計画なり方策をお持ちでございましょうか。
  117. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のとおり、海洋博時を含めました沖繩物価対策というものはきわめて重要でございます。  そこで、海洋博時の対策でございますが、沖繩国際海洋博推進対策本部には御承知のように物価対策部会が設けられておりますし、小委員会におきまして関係各省と連絡調整をいたしまして、関係機関において鋭意その推進に努めているところでございます。海洋博期間中に生活必需物資等の需給逼迫が生じますと大変でございますので、常時チェックいたしまして、必要に応じて、所要量の確保について各業界に対して協力要請を行うことといたしております。特に生鮮食料品が重要であろうと存じます。野菜につきましては、沖繩県内での自給は夏場において不足するというのは御承知のとおりでございますので、そういう実情にかんがみまして、野菜生産団地の育成等の生産対策を推進するとともに、県外産地への協力の依頼をいたしまして優先配船、荷役の確保等につき関係方面への協力要請等、随時適切な対策を講ずることによって県外からの移入が円滑に行われるように配意をいたしているのでありまして、この点らつきましては各省庁は万全の協力体制をしいております。さらに台風がこの期間に起こることが予想せられます。そういう非常事態に対処いたしましては緊急出荷が行われますように、一定量の野菜につきまして計画的な保管を行いまして、価格の安定を期することといたしております。そして、海洋博覧会時におきまして極力、いま申し上げましたように物価高騰を抑制いたしまして、そのペースを持続させることによってポスト海洋博におきましても物価が上昇いたしませんように、あらゆる努力をしていく決意でございます。  いずれにいたしましても、各省庁とも大変強い体制をとりまして、いまこの問題に取り組んでいるところであります。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 万博の教訓に学ばなければならない点も多々あろうかと思います。ただ、沖繩につきましては、しばしば言われますように、沖繩経済そのものが確かに今日なお本土との大きな格差の中に置かれているということ、あるいはまた今日の社会情勢、経済情勢からみまして、最近のようやく鎮静化しつつある物価に対してまた赤信号がともり出したというような情勢等を踏まえながら、今回のポスト海洋博物価というものがとりわけ沖繩県民にとっては最大の関心事であり、かつ不安事であろう、こう思われますので、いま長官の御決意なりあるいはまたそれに対する基本的な方針なりお述べになられましたが、どうか具体策をもって積み重ねて、この物価高騰に対しては最大の努力を払っていただくことを強く要請しておきたいと思います。  きょうは通産省出席いただいておりますので、お伺いいたしたいと思います。  私、確かに万博のときもそうであった印象を強くするわけでございますが、今日の沖繩海洋博におきましても、全国の中小企業者が積極的に参加をしてその発展に資していこうという面が薄いのではないかという感じを実は持っております。何しろ千七百八十九億という莫大な投資をいたしまして行う、ある意味では国家的産業博覧会という性格も持っておる。そうであります以上、中小企業等にも広く門戸を開いて、そして海洋博覧会を成功させることは、一面においては非常に大事なことではなかろうか。そのような、中小企業に対して門戸を開くという海洋博のあり方がとられているかどうかにつきまして、お伺いをいたしたいと思います。
  119. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博への参加の仕方といたしましては幾つかございまして、一つは、物を建設いたしまして、その施設を会場の中で使っていただくといういわゆる施設参加、それから郷土芸能等を持ち込みまして、会期中にいろいろな催し物をやるという催し物の参加、あるいは食堂、売店等の営業行為に参加いたしまして、観客に対してサービスするという意味での営業参加、その他パビリオンを建設いたしまして来客にこれを展示するという出展参加、こういうような形式があるわけでございます。  このうち催し物参加等につきましては、各地方公共団体とか民謡、民芸のグループとか、そういうのが主として活躍されるわけです。それから施設参加あるいは出展参加等につきましては、かなり大手の企業が参加をしているような実情にございます。問題は営業参加でありまして、ここにかなりの数の中小企業の方が食堂あるいは売店というかっこうで参加していただいているという状況になっております。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまお聞きしますと、中小企業のこの海洋博への参加は催し物あるいは営業参加、特に営業参加の内容といたしましては、売店でありますとか食堂という方面にはかなり参加をしておるということでございますが、それなりに結構だと思います。  どれくらいの参加数があるのでしょうか、概況につきまして御説明いただきたい。
  121. 増山孝明

    ○増山説明員 一般から公募いたしまして選考したわけですが、食堂につきましては、申し込みが百二十一件ございまして、そのうち二十八件が決定いたしております。この二十八件のうち中小企業関係は十六件でございます。売店につきましては、百四十七件の申し込みがございまして、三十八店舗が決定いたしております。このうち中小企業関係が十店舗ございます。さらにそのほかに、中小企業をもって構成されております全国物産観光機関斡旋連合会、これは各地のおみやげ屋さんの集まりなんですが、その連合会、あるいは協賛団体協議会と申しまして、バッジとか絵はがきとか海洋博に関する商品を売っております。これも主として中小企業者なんですが、こういう中小企業者から成っております連合会、こういうようなものが二十一店舗とっておりまして、三十八件のうち三十一が中小企業関係であるという状態になっております。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 お伺いいたしますと、食堂関係では百二十一件の申請で二十八件決定、十六件が中小企業、売店関係は百六十七件の申請で三十八件が決定、うち十店舗が中小企業、同時に団体でございますか、それを含めますと三十一件ということのようでございますが、これは大体一般が多いんじゃないかと思いますが、中小企業団体関係からの申請件数それから許可、これについてさらに御説明いただきたい。
  123. 増山孝明

    ○増山説明員 申請の団体のはちょうどデータを持ってこなかったのですが、決定で申しますと、食堂関係では団体が一件ございまして、沖繩経済農業協同組合連合会、これが一件持っております。これは沖繩の料理を現地で食堂提供いたしましょうという計画でございます。それから売店ですが、一つは、先ほど申し上げました全国物産観光機関斡旋連合会が六店舗持っております。これは納品の会社が八十一社ございまして、この八十一社の大半、九十数%は中小企業であると海洋博協会の方から聞いております。それから協賛団体協議会が十五店舗持っております。これは納品会社が三百二社ございまして、そのうち九八%が中小企業関係であるということでございます。  ちょっと申し込み関係の資料はただいま手元に持ち合わせございません。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  そうしますと、海洋協を成功させようも協賛事業推進協議会という団体からの申請は出ておりませんか。
  125. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会という団体から中小企業広場を設置してほしいという要望書はかってあったわけですけれども、現実の食堂、売店という申請の形では申請書は出ておりません。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま、申請は出された、要望があったということですが、たしか四十八年の十月四日だと思いますが、つまり中小企業広場設置の申請だと思いますが、いま申しました、成功させよう推進協議会からの文書、私いま申しました日付で間違いございませんか。あるいは、この提出者の名義はどうなっておりますか。なおまた、この要望文書の趣旨についても御説明いただきたい。
  127. 増山孝明

    ○増山説明員 この設置の要望書は、昭和四十八年十月四日付で海洋博覧会協会の会長あて提出されております。提出いたしておりますのが沖繩国際海洋博覧会支援中小企業協会それから海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会、そういうところから出ております。  内容は、中小企業広場というものを会場の中につくりまして、その中に休憩所とか会場案内員の詰め所、湯茶接待所、売店、軽食堂、救急連絡所、迷子預かり所、沖繩県案内、海洋関係写真展、国内キャンペーン、それから関係資料及び記念品の展示、こういうような事業をこの設けられた中小企業広場の中で実施したいというのが要望書の趣旨でございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのとおりのようでございます。実は私、手元に申請書を持ってございます。「海洋博覧会会場内に中小企業広場設置申請書」こうなっておりまして、設置の希望の場所でありますとか、あるいは主な施設内容及び型式でありますとか、施設の内容、あるいは設計、配置についての取り決め等についてはいろいろの御指示をいただきたい等々の内容が列記されてございます。四十八年十月四日の日付になっております。  趣旨から見る限り非常に結構なことだと思うのですけれども、この申請の扱いにつきましてはどうされたでしょうか。
  129. 増山孝明

    ○増山説明員 この要望書の趣旨は非常に結構なのでございますが、現実には海洋博協会で会場を建設しておりまして、食堂、売店、あるいは迷子案内所とかサービス施設は全部協会の方で建設しておりまして、これを一般に公募して応じてきた人に貸与して営業させるという方式をとっておりますので、こういう広場を新たに設置いたしまして、そこで自由に営業をやらせるという体制にはなっておりません。したがいまして、そもそもこういう制度が海洋博の会場建設にマッチしてでき上がるかという点が問題があるわけでありますが、それよりもまず、こういう計画はアイデアとしては非常によろしいのですが、計画内容が不明確であり、また資金計画も不明確であるということでありまして、関係者を呼んで事情聴取したそうでございますけれども、明確な返事が得られない、したがいまして、もう少し計画を具体的に作成して持ってきていただきたいというふうにお話をいたしまして、その後応答を待っているという状態になっております。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、この申請は出っ放しで、その後関係者を招致して、この内容では不十分であるので、さらに検討をして相談にも応じましょう、こういう態度を示したのだけれども、その後においてはまだこれについての結論は出ていないということになりますと、あと一カ月余で始まるわけですけれども、四十八年十月四日の時点です。何ら応答はないということでしょうか、いかがでしょう。
  131. 増山孝明

    ○増山説明員 先ほどお答えいたしましたように、問題点を指摘いたしまして、計画を詰めて持ってくるようにという指導をしたわけですが、その後何ら言ってこないという状態になっております。しかも現実には、売店、食堂等の受付は、ただいまの申請書が出ました直後に受付を開始しておりまして、四十八年の十月から十二月二十四日まで受付を行いまして、先ほどの申し込みが得られたわけでございます。この中から厳重に選考いたしまして、すでに売店、食堂等は決定いたしておりますので、ただいまの要望書につきましては、もういまさらどうにもできないという状態になっております。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 実は、あの以後において非常に大事な具体的な問題が起こっておりますので、私この際、あえてお聞きしておきたいと思います。  つまり、この申請が出された、なお詳しく事情も聞きたいと言ったその時点では、もし、この海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会が海洋博覧会側の意思に沿うような内容でもって具体的にさらに手続をとるならば、その内容によっては許可はいたしましょうというおつもりであったのでしょうか。それとも、いや、こういう広場の設置はもう海洋博覧会側としては受け入れる余地はないのだ、ですから幾ら御相談に来てもだめですよと言って、決定的な拒絶をしたのでしょうか。その点はいかがでございましょう。
  133. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博覧会の当事者にこの点をただしましたところ、決定的な拒絶はしていない、しかしながら、その具体的な計画が出てきたら受け入れる用意があるかどうかということにつきましては、何らコミットはしておりませんし、これは計画が出た段階で検討してみなければ結論は得られないということで、新しい計画の提示を待っていたということでございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 実は私、非常に不可解に思えてならないわけです。せっかくこの種の申請が出され、中小企業者のために広場も設けてもらいたい、あるいは内容的にはいろいろ中小企業者海洋博への参加、その参加の形が、売店であるとか軽食堂でありますとか、中には救急連絡所もつくりましょう、湯茶の接待所もつくりましょう、休憩所等々、こういう、中小企業者が参加できるような内容になっているわけですね。せっかく申請が出されて、決定的に拒絶したものでもない、もう一回よく御検討していらっしゃい、にもかかわらず、今日まで一切の応答がないという形で推移してきた。つまり、これは出しっ放しでそのまま終わっている、こう理解して間違いございませんか。
  135. 増山孝明

    ○増山説明員 そのとおりでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、お聞きしたいのですが、実は私の手元に領収証が一枚あるのです。四十八年九月三日の領収証、金額が百万円。これは協賛金として、ある中小企業——中小企業というよりも、あるいは小企業、零細に属する企業かもしれません。あえてA企業としておきましょう。それが百万円、この沖繩国際海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会に出した、その領収証であります。つまり、この海洋博覧会の成功のためにあなたの企業も参加してください、こういう呼びかけに応じまして、協賛金として百万円を納めた、それが四十八年の九月三日であります。この領収証を見ますと、領収ナンバーが三百台。もし仮に一連の番号といたしますと、相当数の人から、中小企業者から、この種の協賛金を集められたであろう、こう思われます。このような協賛金の集め方というもの、また事実、こういう形で集めてよろしいのかどうなのかということにつきまして、実は私は非常に大きな疑問を持つわけであります。  いまの申請書の出されたのも、この成功させよう協賛事業推進協議会であります。この種の金を集めておるのが、同じく成功させよう協賛事業推進協議会、同じ団体であります。一体、この沖繩国際海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会という非常に長々しい名前でございますが、この団体はどういう構成でなされておる団体でしょうか。
  137. 増山孝明

    ○増山説明員 この団体は任意団体でありまして、通産省の方では正確にその実体を把握いたしておりません。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 通産省の方でも、確かにいま任意団体ではございますが、あらかじめ御調査になったと思います。知り得た範囲で結構でございますが、この際お示しいただければと思います。
  139. 増山孝明

    ○増山説明員 申請書に添付されております会員名簿というのがあるわけでございますけれども、この会員名簿はたまたま申請書に添付されているわけでありまして、それが実際にそのような方々をもって構成されているかどうかということは、私どもチェックはいたしておりませんし、また現在このような団体が活動しているというような情勢でもございませんので、なかなか実体の把握ができない。特に、任意団体でありますので、何ら私どもの方へ正式に届けが出ておりませんで、こういう添付資料をぺースに実体を御説明いたしましても誤解を招くおそれがあるのじゃないかと私考えますので、あえて、任意団体でありますので実体については正式に把握いたしておりませんとお答えした次第であります。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 承知いたしました。  私の手元にも、いまあなたがおっしゃる、添付されたであろうところの、海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会会員名簿、四十八年六月一日の日付でございますが、手元にございます。およそ、このような人たちが、この成功させよう協賛事業推進協議会の会員に、役員、執行部となっておりますが、なられておるのだろうと思いますが、いずれもそうそうたる顔ぶれの方々であります。  そこで私は、なお疑問を深くするわけでありますが、このようなれっきとした立場の方々で構成されました、しかも沖繩海洋博を成功させようという、言うなればこの事業に積極的に参加していく、こういう善意の団体において、さきに私が示しましたような協賛金を、ある企業からは百万円協賛さしておる。金を集めた時点が四十八年の九月三日であります、この領収証は。先ほどの中小企業広場設置申請がなされたのが四十八年の十月四日であります。つまり、それ以前にすでに、協賛金ということでもって金集めが始まっておった。しかもこの協賛金は、単なる協賛金ではない。あなたの企業の商品を展示し、販売をするようにいたしましょう、そのためにこの成功させよう推進協議会では海洋博覧会会内にその広場を設置するということでもって話を進めております。どうかあなたも参加してください、こういうようなことでもって金を集めた。協賛した方は、間もなく海洋博覧会が始まる、いまにもこの成功させよう推進協議会から何らかの知らせがあって、そして具体的にどういう形で参加するか、どういう形でうちの商品を持ち込むか、どこの場所でこれを販売さしてもらうのかというようなことを、恐らく待ち焦がれているであろうと思われる。  そういう形で金を集めたわけでございますが、もう一回、最初の話に返りますが、この沖繩国際海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会から四十八年十月四日に出されました中小企業広場設置申請は、申請の出しっ放しでもって、後はナシのつぶてで今日に至った。間もなく海洋博覧会が始まる。いまに至っては、この種の売店であるとか食堂等を設置することは不可能である。これは間違いございませんね。不可能である。
  141. 増山孝明

    ○増山説明員 先ほども説明いたしましたように、一般公募をもって締め切りを行いまして、厳重に選考の結果すでに全部決定いたしておりますので、現在のところ不可能でございます。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、協賛した方は、これはもう全く、俗な言葉で言いますと、だまされた、こういうことになるわけだと思う。  ここに「沖繩国際海洋博覧会開催に伴う支援キャンペーン事業に関する後援、又は協賛団体としての参加依頼について(お願い)」といたしまして、中小企業者に、こういう内容でもって参加してくださいというのを出しておる。日付が四十八年の八月十五日であります。そして、私がいま持っておりました、一例として示しました、金を集めた領収証は九月三日、これはある企業から百万円を協賛金として納めさしたというのですか、取ったというのですか、まあそういう形ですね。  では、もう一つお聞きしますが、たとえば、今回の沖繩海洋博覧会に関係いたしまして、何とかしてこの海洋博覧会の成功のために参加をしたい、こういうわけで私が任意の団体をつくります。任意の団体をつくって不特定多数に呼びかけるに際して、財団法人沖繩国際海洋博覧会協会の協賛を得ておりますと表示をして、そして一般に呼びかけるということは許されますか。
  143. 増山孝明

    ○増山説明員 財団法人沖繩国際海洋博覧会協会の協賛の名義使用につきましては使用の許可基準をつくっておりまして、申請を受けました際にその事業計画をチェックいたしまして、その趣旨に合致し、また営利事業を目的としたものでないという場合に限りまして後援名義あるいは協賛名義の使用を許可をいたしております。したがいまして、そういう計画がございますれば申請をしていただきまして、具体的な計画を審査させていただきました上で判断すべき問題と考えております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 許可なくして無断使用ということはできない、こういうことでございます。  ここに非常にりっぱな。パンフレットがございます。「めんそーれ’75 海洋博を成功させよう 海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会」——海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会が出したパンフレット。長官、ごらんください。大変りっぱなものです。これは中小企業者に対する参加の呼びかけなんです。一番最後のところに、「主催=海洋博を成功させよう協賛事業推進協議会」こうあります。これの後援、協賛団体名、全国的なりっぱな団体がずらりと並んでおります。つまり、全国中小企業団体中央会、あるいは中小企業情報化促進協会、果ては日本商工会議所、全国高工会連合会、全日本商店街連合会。ずいぶんございまして、全国知事会、全国都道府県議長会、全国市長会というように、日本の代表的な団体が全部協賛をいたしました。その中に財団法人沖繩国際海洋博覧会協会が協賛者の一員でございますが、海洋博覧会協会は協賛しておるのでしょうか。
  145. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博覧協会は京協賛名義の使用を許可しておりません。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、これは勝手に無断で書いた、名義を盗用したということになりますね。許可していない。お願いとか申請は出されましたか。
  147. 増山孝明

    ○増山説明員 四十八年九月五日付で協賛名義使用についてのお願いという文書が、先ほどの団体から協会会長あてに提出されております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十八年九月五日にお願いが出た、どう処理されたのでしょうか。なぜ許可されなかったのでしょうか。
  149. 増山孝明

    ○増山説明員 先ほどもちょっと触れましたが、後援名義あるいは協賛名義の使用につきましては内規を持っておりまして、それで審査した結果、先ほどのお願い書は事業計画が明確でないということで、もう少しはっきりして持ってきていただかなければ審査のしようがないということで許可していないという状況でございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 一見、非常に趣旨として結構な、あるいはまた体裁、形を見ますとこれは信用も置ける、しかもここに参加する人たちは中小企業者であるということからしますと、どう考えても私、解せないのは、なぜ、そのような名義使用についてもこれが許可できなかったのか。あるいはまた、広場の設置自体には問題ありとしても、ある種のスペースを中小企業者のために割り当てて、そこに売店を置くなり、あるいはまた中小企業のいろいろな形の協賛をさせる意味におけるキャンペーンのための展示だとかいうような具体的なことがなぜ実現できなかったのであろうかという点について、正直、納得しがたい。どうも解せない。実はそんな気持ちが強くするわけでございますが、ただ、その気持ちと同時に、うらはらのことでございますが、いま申し上げております。中小企業者に、あなたのところも参加しなさい、実はこれこれしかじかの計画がございますと、こういうりっぱなものを配る。そしてこの中には、「あなたの企業の参加に関しましては、後日、詳しい参加御案内をお届け致しますので、ご覧の上、ご不明の点がございましたら、事務局までお問合せ下さい。」こうなっております。詳しい参加御案内をお届いたしましょう。ごらんください。その参加案内が先ほど示した参加案内書てあります。協賛してもらいたい、その際あなたの店舗、売店には商品を展示して売る、こういう計画がございます。ここには、そういうことでたくさんりっぱなことがございまして、そしてその協賛団体は、もう日本の各界の代表的な団体が全部協賛をいたしております。なかんずく、海洋博覧会協会も協賛員でございます。——それは信用としては絶大でしょう。これ以上の担保力はないでしょうね。だから、出しましょうというので出した。いままで待っておった。百万円出しました。何の応答もない。さて、そこに商品が展示できるのだろうか、海洋博覧会にと思って、一生懸命待ち焦がれておる。いま通産省にお聞きいたしますと、いまの段階でそういうことはできない。これは一体どうなるのだろうか。こんなばかな話が現実にまかり通っておる。事実としてある。この事態に私は目を背けることができませんので、あえてこの内容をつまびらかにして、そして少なくとも善意の中小企業者海洋博覧会を成功させようと何がしかの協賛金を出しても、これは国家的な大きな事業でもあるし、なかんずく、この海洋博覧会の側面として、従来のあの万博に見られるような大企業に非常に偏ったような形ではなくて、中小企業者も今度は参加するんだ、そしてわが国産業の進展、沖繩県産業の進展にも寄与していこう、こういう非常にりっぱな呼びかけ、趣旨に応じて、ではわが社も参加いたしましょうということで参加した。それが金は出しっ放し、取られっ放しだ。この内容につきましては——内容と申しましょうか、どういう形で集められて、いま集めた金がどのようになっているかというようなことについて、いささかでも御存じでしょうか。いかがですか。
  151. 増山孝明

    ○増山説明員 この団体の活動につきましては、私どもは、海洋博協会に申請書が出たということを除きまして、一切実情は関知しておりません。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 植木大臣沖繩開発庁長官としての立場で御答弁いただきたいと思いますが、冒頭長官がお述べになりました、確かに今回の沖繩海洋博覧会については非常に重要な位置づけをして、そしてそれに対してはまたきわめて意欲もあり、積極的な姿勢を持ってこれを成功させようということで、諸般のさまざまな情勢等踏まえながらも、非常に困難な情勢もございますが、そういう中でこの海洋博覧会を何としても成功させなければならない、それがポスト海洋博沖繩県の県勢の進展なりあるいはまた沖繩県民の民生の安定、生活の向上、またひいては、大きくやはり日本の国民に対していかにこの海洋博覧会が寄与するか、また寄与させなければならないか、そういうきわめて大きな大事な意義を持つ海洋博覧会であることは、いまさら申すまでもございません。ただ、いま私が申しましたように、もし仮にこの海洋博覧会というものに、悪く言えば便乗、悪乗りをして、この海洋博覧会の名をかたり、海洋博覧会のその陰でいまのような行為が行われる——事実の問題として、一例として、いまこのようなことがございますということを実は指摘をいたしました。恐らくやこれが、あるいは何百、もっとになるかもしれませんが、かなりな人たちからこうした協賛という形でもって、しかもこれは単なる協讃ではない、何かのあなたの事業の参加、何かの事業のメリットといようなものを条件として金を出さしておる。こういうことは、これは通産省も沖繩開発庁も知らないことかもしれません。いわゆるコントロールの外の話かもしれない。しかしながら、そのようなことが行われておるということ、これは無視することはできない。したがって、植木長官はこうした問題に対して格別の配慮と、これに対する注意を払い、少なくとも海洋博に汚点を残すようなことがあっては相ならぬと思いますので、それらを含めまして、いま私が指摘した問題に対しまして率直なる長官の御答弁をいただきたいと思います。
  153. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、私、この席において初めて承知したのでございます。御論議を伺っておりまして、きわめて不可解な事件でありますし、もし万一これが、いま仰せられましたようなきわめて穏当でない不祥事でありますならば、許すことができない問題であると認識をしているのでございます。現在まで通産省としてはこの団体について調査をしていないというお話でございますけれども、いま伺っておりました協賛団体、その中に財団法人沖繩海洋博協会までを並べておって、しかもその団体の協賛願いは却下されたものである、にもかかわらずその名義が使われている。その他の団体といたしましても、全国中小企業団体中央会でありますとか、あるいは商工会議所等の名前も、いま拝聴したわけでございます。果たしてこれらの団体が協賛をせられたのかどうかという点についても調査をすべきであると思うのでございます。この点につきましては、直接担当であります通産省として当然調査をすべきであり、そしてその調査の結果によりましては適切な措置を行うべきであると思うのでありまして、この場におきまして通産省の管理官に対しましてその調査方を要請いたしますとともに、私自身も通産大臣に対しまして、このような問題があるという点について指摘をし、調査方について協力を仰ぎたいと存じます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣からいま調査を約束くださいましたので、どうか厳正に調査をされますようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  155. 井原岸高

    井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十六分散