○渡部(一)委員 あなた、これはフランス文が正文となっているのを翻訳されたわけですね。そうしたら、フランス文のとおりにこれがなっているからこんな言い回しになっているのですという
ような言い回しをあなたはされた。ところが、この中を見ていると、フランス文に正確になっているわけでもない。あなたがいま言われたのは、ここにある昭和四十八年十月、国名表、執務参考と称する
外務省の書類だろうと思うのです。これを拝見したら、これは要するに、英語読みとフランス語読みがここのところに書かれているだけであって、当人たちの自称の国名というのはここに挙げられていない。それは余りにもおかしな話ではな
いかと思うのですね。
日本はジャポンではなくて、ニッポンですからね。したがって、
日本語に直す場合には
日本になってくるのは当然の話だし、こういうものを全部英語読みに統一するのか、フランス語読みに統一するのかというのは、そういう状況があるときに限られるのであって、少なくとも
条約本文の上で
わが国が直すのだったら、
わが国は英語国家では別にないのですからね。フランス語国家でもないのだから、英語読みの国名でずらっと並べてくるというのはまた感心しないことじゃな
いかと思うのです。しかもいまのソヴィエト社会主義共和国連邦の
ように英語読みになっておるわけでもない。フランス語読みになっておるわけでもない。それは非常に奇怪な国名であると言わなければならない。つまり要するに、こういう国家は存在していないと言われたってしょうがない
ようなことをずらずらと何となく書いている。統一はきわめてとれていない。大体、この国名表という、いただいた
外務省のこの表の中に「この国名表は、英仏語による国名を記載している
国際連合発行のターミノロジーブレティン、ナンバー二八五及びその追補を基礎とし、
条約及び各国憲法を参照の上、これを英語のアルファベット順に列挙したものである。」となっています。だから、あなたは国名表でやっているのですと言いましたけれども、それは国名表でやっているんじゃないのです。要するに、英仏語による国名を記載している国連のある発行物を参考にしてやっているにすぎない、正確に言うと。だから私は、それは英仏語による参考の文書でこうやっているといえばそれはそれまでですけれども、英仏語による国名をもって
わが国の正式の翻訳の言葉にするというのは、これは非常に飛躍した議論ではな
いか。
わが国はそこまで英仏語に敬意を表する必要があるのか、こういう国名でいいのかという問題に私はなると思うのですね。私たちが外国へ行ったときは、この代表はジャポンの代表ですと言われるよりも、私たちは
日本国の代表として
紹介されたい。この辺、非常に無神経じゃないですか。東南アジアにおいてこういう調子で呼びかけることが、すなわち東南アジアの諸国に対する働きかけの一番最初から間違う理由の
一つでもな
いかと私は思って、むしろ重大視しているわけなんです。
これはまた非常によく変わるんですね、国の名前というのは。毎年、多い年は十数カ国名前が変わる、正式の国名が。ところが、
外務省というのはまたすごい無神経で、これは五年に一回ぐらいしか国名については再検討しない。その都度思いつきでやる。だから、この
万国郵便条約みたいに
万国国名ばらばら
条約ができ上がってくる。これは
条約届の怠慢と言うしかないのではな
いか。あるいは意識的に
条約局は、英仏語によってこういうふうに
条約を混乱させることをもって何らかの政治意図をされているのか、この辺どうお
考えなんですか。これでいいんですか。こんなもので。