○渡部(一)
委員 これは具体的な問題ですから、ただいまの御答弁ではだめな点を補足しておきますから、今後御研究を仰ぎたい。
それは、
オーストラリア側に移民をしたいと希望される方が、私の方にも数名、お話があってお見えになりました際、
日本の外務当局の御
協力はきわめて不十分であって、具体的な問題について非常に困惑をしておられるケースが幾つもございます。
例を挙げますと、一人は牧畜の技術者として
向こうへ乗り込もうとした。
日本側において、
オーストラリア側から購入する牧畜のさまざまな技術を相互
交流する
意味でその人は乗り込もうとした。当人は途中において永住したいという希望を持った。その場合に、大使館に行ったら、そんなことはできるわけはないではないか、そんなくだらないことを
考えないで、いい若い者が
日本人の嫁さんをもらえ、と言って一喝されて帰ってきた。けんもほろろという言葉が該当する。結局その人はどういうようにしたかというと、
オーストラリアのある大臣さんのところに押しかけていって、私はこういう希望を持っていると言った途端に非常に気に入ってくれまして、さまざまな手続を処理して移民がうまくいって、いま
向こうの
国民になっておるわけであります。少なくとも
日本の
外務省の不親切、まず官僚主義というものはここにおいてきわまるようなケースが、これ一件ではなく私は耳にいたしております。
また、
オーストラリアの方と結婚して
日本のお嬢さんが
向こうに行こうとしたら、お前は
向こうに行って売笑婦でもするのではないかと頭からどなられた。そして旅券の発給に対して厳しい
審査というよりも、いやがらせ
審査が行われた。当人は、それを申請に行くときに、少しつめのマニキュアが赤過ぎたせいだろうかなどと言って私のところに泣いてきた。こういうくだらないケースが続発しているわけであります。基本的な御答弁はそれでいいかもしれませんが、件数が少な過ぎるだけではなくて、あきらめているのではないか。
日本にとってはある
意味で
各国との友好連帯を深めなければならぬわけでありますから、現在時点、平和のこの時点において、諸国に行きたい人は大いに行かせる、そして来たい人はうんと来させるという形で、友好連帯の基礎をつくっておく必要がある。ですからそういう雰囲気のある人はどんどん行ってもらう、そういうのを少し援助する姿勢がなければならない。ところがいままでのやり方では、ともかく事故を起こさないというだけにとどまっておる。新しいことはしない、変わったことはやらない。沈香もたかずへもひらずという有名な言葉がありますが、まさにそれでいく。それで局長は、
余りはでなことをしないうちに定年になられるのを理想とされておるように見える。私はそんなことではならぬと思う。全くこれについては私は不十分だと思いますね。
外務省のこれに対する方針はここ数年変わっていない。
オーストラリア移民の希望者に対する態度というのは、変わっていないどころではない。なるべくブレーキをかける方向で終始一貫されておる。私はこれはまずいと思う。ですから私は、この
日豪文化協定の本物の
審査よりも前に、そういう姿勢を聞いたい。何も変わっていないのではないか。
私は後、
国際交流基金の問題でもちょっと申し上げるつもりですが、
国際交流基金からこちらに支出される金額だって、ほとんどネグリジブルスモールである。まるで
日本の何とか村に対する
文化援助のごとき数字しか出てない。奨学資金だってほとんどゼロに近い。ほんの二、三人である。兵庫県神戸村より少ない。こんなものが後ろの財政的な立場としてこれについておる。だからこの物々しい
協定の背後には驚くばかりの後ろ向きの行政がくっついておると、私はひとつ申し上げるわけでありますが、どうですか局長、この辺態度を少しお改めになるお気持ちはございませんか。基礎的な大臣の御方針は先ほど承ったとおりです。それに対して私は別に異論をはさんでない。しかしやっていることは、
両国の間の友好あるいは連帯を深めるために、少なくとも
お互いの友好的な
文化関係を発展させるためにとられている施策とは全く質の違うものである。
外務省の事務当局は、その辺を少なくとも一歩前進させるおつもりがあるかどうか、お答えいただきたい。