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1975-04-16 第75回国会 衆議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十六日(水曜日)     午後零時三十六分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 水野  清君 理事 河上 民雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 正森 成二君       加藤 紘一君    坂本三十次君       正示啓次郎君    竹内 黎一君       江田 三郎君    三宅 正一君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         外務省アジア局         次長      中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済協力         局長      鹿取 泰衛君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君  委員外出席者         海上保安長警備         救難部長    山本 了三君         外務委員会調査         室長      中川  進君     ————————————— 三月三十一日  国際電気通信条約及び関係議定書の締結につい  て承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送  付) 四月十五日  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締  結について承認を求めるの件(条約第六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
  3. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣は今回訪米されまして、日米首脳会談を終えられましてお帰りになったのでありますが、この訪米について二、三の点をお伺いしたいと思うのであります。  まず最初に、今回訪米をされました目的は何であったのか、概略御説明を願いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 以前にも申し上げたことがあると存じますけれども外務大臣に就任いたしました直後から、アメリカキッシンジャー国務長官からできるだけ早い機会にお互いに知り合っておきたいという話がございまして、私もその必要は感じておりました。たまたま国会の方の御都合が短時日いただけるようなことになりましたので、主たる目的キッシンジャー氏とお互いに知り合い、意見交換をしておこう、そういうのが主たる目的で参ったわけでございます。
  5. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは外相訪米されました動機というのは、アメリカキッシンジャーからそうした招待を受けたということが直接の動機であったのでございますか、もう一度伺っておきたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それが直接の理由であったわけでございます。
  7. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、それでは今度のアメリカ訪問首脳会該をおやりになってどういうような意義があったと思っておられますか、この点、また伺っておきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 直接の動機先ほど堂森委員の言われたとおりのことであったわけでございますけれども、たまたま私どもの自由民主党の党内におきまして、核拡散防止条約国会に提出するに当たりましていろいろな議論がございまして、一部の人々から、この際、わが国安全保障について再確認をしておくべきであるという議論がございまして、政府としてはこの条約をなるべく早く国会に提出して御審議を仰ぎたいと考えておりますので、党内におけるそのような一部の主張にも理由のあることと考えました。したがいまして、その点についての話し合いをある程度いたすという必要が出てまいりまして、また現実にいたしましたわけでございます。  それから、たまたまインドシナ半島における情勢が色遣いたしましたために、この問題についての意見交換もいたしました。  それから中東問題も、キッシンジャー国務長官調停工作が一応中断されたことになっておりますので、その間の事情についても話し合いをいたしました。  なお、その他、エネルギー問題でありますとか食糧問題でありますとか、あるいはまた三木総理大臣訪米の問題でありますとか、これは政治的な問題ではございませんが、陛下の御訪米の問題でありますとか、それらの問題につきまして、キッシンジャー国務長官及び、これははからざることでありましたけれども大統領とも会見をいたして話をしてまいったわけでございます。
  9. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣は、ただいま御答弁がありましたが、しかし、新聞報道を見ておりますと、インドシナ半島における情勢判断とか、あるいはあなたの考え方あるいはアメリカ考え方と、いろいろ会談内容報道されておりますが、やはり一番多くの時間を費やしてお話し合いになったことは安保の問題でないか、私は新聞報道等を見ておるとそういうふうに思うのでありますが、そうではないのでございましょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一番多くの時間を費やした問題は何かという御指摘であれば、やはりインドシナ半島の問題でございました。
  11. 堂森芳夫

    堂森委員 そうですが。それでは、安保についてはどういう話し合いがなされたのか。あるいは新聞報道によりますと、インドシナ半島における現在の状況等について、あるいはインドシナ半島アメリカ政策というものとあなたの認識というものには非常に違いがあったとか、いろいろなことが書かれておりますが、もう一度ここでその会談内容について重要な点を列挙して御答弁願いたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国安全保障の問題につきましては、私といたしましては、私ども党内、ということはすなわち世論の一部ということになりますが、核防条約を締結するに際しまして確認しておきたいと考えられておるわが国安全保障につきまして、私としては、まずそのような疑問あるいは不安にこたえるに十分な確認をとりまして帰ってまいりましたつもりでございます。  インドシナ問題は、全部申し上げますと大変に長い御答弁をしなければなりませんので、それは御遠慮いたすといたしまして、アメリカ立場は、非常に困難な、苦難に満ちた現在の立場であります。しかも、大統領立場アメリカ国会立場は、私の訪問しました段階では、必ずしも同一でないというような御承知のような事情がございまして、よけいむずかしい立場のように感ぜられました。  わが国インドシナ半島における情勢見方アメリカ考え方同一であるか違いがあるかというお尋ねであったわけですが、何と申しましても、わが国はある意味で比較的冷静に事態を観察をしている立場でございますし、米国としては長い間直接の介入をいたし、また現に相当数アメリカ人現地におるという、過去においてたくさんの兵士もそのために失い、また出費もしたという、いわば当事者的な立場でございますから、その間おのずからこの問題を見る角度というものは異なっておりまして、その限りで、やや見方考え方に相違があったということは、これはむしろ当然であったであろうと思いますし、お互いにそれを否定しようということはいたさなかったわけでございます。
  13. 堂森芳夫

    堂森委員 今回の日米首脳会談で、新聞報道を見ておりますと、三つ口頭了解事項といいますか、そういうものができたのではないか。あなたは、いやそれは口頭了解事項というのではなくして、意見一致したのだ、こういうふうな発言をしておられるようでありますが、了解事項意見一致したということは、それは言葉のあやだけで、やはり三つの重要な問題について了解事項ができたのではございませんですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点については、私、現地記者会見もいたしておりますので報道をごらんいただいたと存じますが、事柄の性質上、私としては慎重に言葉を選びまして、しかもゆっくり私の方の考え方を述べ、キッシンジャー国務長官もまた同様にアメリカ側立場を述べられたわけでありまして、その結果、両方意見につきまして合意点をもう一度口頭で再確認をいたしました。そして、それに基づきまして私が記者会見をいたしたわけでございます。したがいまして、両者の意見がこういう点で一致をしたということはそのとおりでありまして、これを了解とお呼びくださいますならば、別に、普通の意味での了解、それに違いございません。ただ、それに文書が伴っておるかと申しますと、さようではございませんので、私が少なくともこういう形で発表を記者会見でするということにつきまして、その内容に至るまで両方の間で合意をいたしておる、そういう性格のものでございます。
  15. 堂森芳夫

    堂森委員 三つ了解事項といいますか、意見一致した、こういうこと、どちらでも私はそう変わらぬと思うのであります。あなたのおっしゃるとおりだと思いますが、しかし了解事項と言っていいと思うのであります。  そこで、わが国安保条約堅持をしていくというたてまえをあなたは強調しておられると思うのであります。その中の一つであるこの安保条約堅持という立場を貫いていくのだ、こういうことになると、非核原則というものは空洞化していく、こういうことになる結果にならぬでしょうか、そうではないとお考えでございましょうか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正確に申しますと、私の申しましたことは、日本安保条約に基づく義務を引き続き履行していく考えである、こういうことでございますが、これと非核原則との関係いかんというお尋ねでございますが、安保条約及び交換公文の中で、いわゆる事前協議というものがございます。で、これについてはアメリカに対して事前協議義務条約上課しておるということになるわけでございまして、核の問題はその対象でございます。したがいまして、わが国安保条約に基づく義務を引き続き履行してまいるということと、わが国非核原則を維持するということとは、別段その間に矛盾するところはなく、したがいまして政府としては、しばしば総理大臣が言明しておられますように、引き続き非核原則政策として維持していく考えでございます。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 さらにこの了解事項といいますか、意見一致を見た一つとして、核のかさというもの、核のかさ約束約束といいますか、核あるいは核でない武器による日本への侵略といいますか、あるいは危険というものが参った場合に、核によって日本を守っていく、そういうアメリカ協力というものがやはり今度の会談で再確認といいますか、そういう状況になったということも私は言えると思うのでありますが、常識から考えて、この核の持ち込みということが一層あり得る、そう判断できるようなことに一歩進んできたのではないか、こう思うのでありますが、外務大臣はそうはお考えにならぬでございましょうか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような誤解を生じませんために、私としてはかなり注意深くその点の表現に気をつけて話をいたしたつもりでございます。すなわち、私とキッシンジャー国務長官合意をいたしました一つの点は、日米安保条約において、米国核能力日本への攻撃に対する重要な抑止力であるということをお互い認識をした。これは抑止力としての核でございます。次に、もしわが国攻撃が加えられた場合、それが核兵力によるものであれあるいは通常兵力によるものであれ、米国日本を防衛する。これはキッシンジャー氏の私、日本に対する誓約でございますが、そういう二つの点で核の関連の話が出てまいりますけれども、いずれの場合にも、ただいま堂森委員の言われましたような誤解を生みませんために、このような表現にいたしたわけでございます。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 事前協議の問題でありますが、当局、政府側答弁は、従来から一貫して、事前協議というものは平時にはほとんど必要が起きてこないと思う、しかし非常時にこそ事前協議の必要が生じてくると考えるべきだ、こういうふうに政府答弁していると思うのであります。私、きょうも速記録を調べておったのですが、たしか去年の九月ごろの内閣委員会でありますが、そういう答弁がなされておるのであります。ところが、ことしの二月十一日でありますか、アメリカ国会国防報告が出されておるのでありますが、沖縄は、従来は西太平洋における重要なかなめの立場にある軍事基地である。しかし、今回の今年二月の国防報告を見ておりますと、沖縄基地については韓国を支援する基地であるというふうにはっきり書いてあるのであります。韓国への支援基地として沖縄は重要になってきた、こういうようなことを言っておるのでありますが、今回の訪米に際して、首脳会談で、沖縄がそうした韓国に対するきわめて重要な支援基地であるというような話は出なかったのでございますか。いかがでございますか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回、そのような話は一切ございませんでした。  一般的に申しまして、今回のこの問題につきましてのアメリカ側雰囲気は、どちらかと申しますと、インドシナ半島における戦争の結果として、アメリカ条約に基づく義務というものが誠実に履行されるものであるかどうかということに世界の友好国がかなり疑問を抱き始めておるのではないだろうか、したがって、アメリカとしてはそのような疑問を何とか解消をしたいという気持ちが非常に強うございまして、したがいまして、私が、わが国との関連についてものを申しましたときも、どちらかといえば、むしろ先方から進んでアメリカとしての義務を履行する、誠実に守るということを話したいような雰囲気のそれが背景になっておりまして、それとの交換日本が何かを約束させられる、あるいはするというような関係にはもともと雰囲気がなっておりませんで、向こうからむしろ自分たち約束確認しておきたいというような、全体的にそういう雰囲気でございました。ただいま言われましたような問題につきまして、したがって——したがってということは論理の飛躍でございますけれども、別段話し合いはなかったわけでございます。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは、日米会談ではそういう話は出なかったとしましても、アメリカ国防報告という国会に出された政府報告がある。そして従来から、沖縄というものは西太平洋における重要な基地である、こういう一般的な規定は絶えずしておったにしても、今回のこの国防報告によりますと、沖縄韓国防衛のための後方支援基地といったかなり限定的な表現を使われたのは初めてだと思うのです。こういう報告国防報告でなされておるということは、わが国外務大臣としてどのようにお考えでございましょうか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それでは、今回の会談を離れまして、先般シュレジンジャー国防長官によりましてなされましたそのようなアメリカ国防情勢の分析でございますが、その中で確かにそういう認識があらわれておったように私も存じております。恐らくアメリカといたしまして、朝鮮半島における情勢をかなり心配をいたしております。また、わが国といたしましても、朝鮮半島において大きな不安定要素が拡大していきますことは、わが国にとりましても不安なことでございます。これは、アメリカ世界戦略というような観点を離れましてわが国だけの立場考えましても、朝鮮半島不測のことが起こるということは、当然わが国にとりましても大きな影響のあることでございます。したがいまして、沖縄における米軍が、そのような観点からも沖縄というものの持っております重要性認識したといたしましても、アメリカ世界戦略の上から、またわが国といたしましては、極東の、しかもわが国に非常に近接した朝鮮半島における情勢というものは、当然わが国にとって重要な関係ありと考えますので、そのような認識アメリカにあるといたしましても、私は別段それは異とするに足りない、そういうこともあろうかというふうに存じております。
  23. 堂森芳夫

    堂森委員 私は、ただいまの外務大臣の御答弁では納得できません。たとえば、沖縄わが国領土でございましょう。そして、沖縄基地からアメリカ駐留軍が行う軍事行動については、当然これは安保条約による事前協議というものの対象にならなければならぬ、また、そういう事前協議対象となると同時に、事前協議が行われた場合、ノーと答えなければならぬ、われわれはこう考えるわけです。日本領土である沖縄アメリカ空軍韓国支援後方基地となって軍事行動を起こす場合に、どんな危険をわが国に及ぼしてくるかもわからない、そういう予測を持たなければならぬ、そういう責任は政府はあると思うのでありまして、アメリカがどういうことを考えようと、それはいいというふうな御答弁のように私、聞こえたのですが、それは私、納得できませんが、いかがでございますか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 要するに、御質問趣旨は、沖縄における米軍に貸与されております基地が、朝鮮半島不測事態がある場合に備えていろいろ運営されておる、運用されておるというものの考え方アメリカ国防白書にあるとすれば、わが国としてはそれをどう考えるかというお尋ねでございますから、私は、朝鮮半島わが国に最も近接した地域でございますから、そこに不測なことが起こりますと、これはわが国関係がある。関係がないというお立場であれば別でございますが、明らかに関係があるのでありますから、そういう事態考え沖縄における米軍基地を運営し、常時そういう事態に備えておるといたしましても、少しも安保条約趣旨にもとるところはないというのが私の申し上げたいことでございます。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員 私はそれはどうかと思いますね。それは外務大臣韓国における、あるいは朝鮮全土におけるいろいろな非常事態というものが、わが国に全然影響がないとこう私は言っておるわけじゃないんです。しかし、わが国基地を使って——事前協議というものは、日本紛争に巻き込まれないために持っておるのでしょう。そうでございませんか。事前協議というものは、日本日本の周辺にある紛争に巻き込まれないようにするために、チェックするために事前協議があるわけでございましょう。そうしたことを防ぐために事前協議があるのです。したがって、韓国にそうした不安な状態が起きたときに、日本にある基地安保条約上のたてまえからアメリカがどういう軍事行動をしてもいいというふうな御判断のように聞こえるのですが、そうでございますか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全くそうではございませんで、私は事前協議のことをいま何も申し上げておらないつもりでございます。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると事前協議制は当然発動されるわけでしょう。いかがですか、そういう場合には。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国にございます基地を利用いたしまして、直接の戦闘行動が行われるという場合には、安保条約の第五条におきます場合は別でございますが、一般といたしまして言われますとおりでございます。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 私は、このアメリカ軍事報告というものから判断しましても、沖縄というものを韓国支援基地として、アメリカがいかに重要視してきておるかということを、わが国外務大臣として人ごとのような認識を持っておられるように私は考えるのでありまして大変遺憾だと思うのです。遺憾だけでは済まない、こういうふうに思うのであります。  そこで、時間がだんだん経過しますから申し上げたいのですが、きのりも参議院外務委員会で、あなたがアメリカにおいてキッシンジャー国務長官会見をされた後、記者会見をされて、そして韓国新聞記者から質問を受けられて、そして一九六九年当時の佐藤ニクソン会談によって確認された韓国条項というものについての態度はどうか、どういう質問新聞記事等でははっきりとわかりませんが、あなたはイエスと答えられた。そして当時、新聞報道では、木村外相とは違った、あるいは逆戻りしたような認識にあなたが立つようになったというような報道をされておる。それからきのうは、あなたは外務委員会質問に答えて、いや木村外相答弁とあなたの答弁とは全然食い違ってないのだ、同じだった、こういうふうに言っておられますが、やはりそうでございますか。私は大いに違うと思うのですが、いかがでございましょう。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 報道されておるとおりでございます。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、あなたは非常に言葉巧みに、ごまかすというのは悪い言葉ですが、何かすりかえられておるというふうに思うのです。韓国の何かの異変というものは日本に重大な関係があるという、従来からの、六九年以来の韓国条項認識というものと同じであるという理由として、韓国の、朝鮮半島全体のそうした不安とか、そういう異常な姿というものが、当然日本にも大きな影響を及ぼすのだから、木村外相の言ったこととあなたのそうした認識とは変わってない、こういうことでありますが、やはりそうでございますか。私はすりかえられた答弁だと思うのですが、いかがでございましょうか。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 つまり問題は、韓国において戦争状態あるいはそれに類する紛争ということであろうと思いますけれども、そういうことが起こったときに、それはわが国にとって非常に大きな関係があるかないかという認識の問題でございますから、戦争状態であるとすれば、これは韓国だけで起こるはずはなくて、どこかから韓国が攻められた、あるいはどこかを韓国が攻めたというようなことになるのでございましょうが、それは恐らく朝鮮半島の中におけることに違いないのでありまして、したがって、韓国が非常に不安定な状態になるということは朝鮮半島が不安定な状態になるということでございますから、歴代外務大臣の申し上げておりますことと私の申し上げておりますことと、別段少しも違いがないというふうに私は思っておるわけでございます。
  33. 堂森芳夫

    堂森委員 それは議論になりますからあれですが、私は違うと思うのです。  しからば、六九年の佐藤ニクソン会談当時の韓国条項の解釈といいますか、判断といいますか、認識といいますか、そういうものは一貫して木村大臣当時と変わっていないというお考えでございますか。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一九六九年十一月二十一日の佐藤ニクソン共同声明は、「韓国の安全は日本自身の安全にとつて緊要であると述べた。」こういう部分でございます。私は、これについての認識は、歴代外務大臣、その後変わっておらないと存じます。
  35. 堂森芳夫

    堂森委員 非常に私はあなたの御答弁に不満なんですが……。  それでは、ワシントンで、キッシンジャー国務長官との会談後、韓国新聞記者があなたに質問をしたときに、それはイエスと答えられたということは、いまも答弁のあったように一貫して変わっていないというのと一致しますね。  しかしまたあなたは、そうかと思えば、こちらへ帰って、羽田での新聞記者会見においては、国会答弁のように一々説明するのはどうかと思ったからああいう答弁をしたんだ、こう言っているのですが、あなたの言うことは論理が一貫していないんじゃないですか、いかがですか。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 仰せられましたとおりのことが現実に起こったわけでありまして、私は、ワシントンでは、きわめて明快に一言でイエスと返事をいたしました。東京に帰りましてそれについて記者会見がございましたので、私は確かにイエスと言った。その間、言ってみれば、いわゆる過去二十何年間における朝鮮半島事態の変化といったようなことを、普通でございますといろいろ説明をいたしますし、国会でもお尋ねがあって御説明をしてきておりますけれども、しかし、結論イエスノーかと言えば、イエスという結論であるに違いございませんで、ワシントンでもそう申しましたし、東京での記者会見でもそう申しましたし、昨日参議院外務委員会でもそう申し上げましたし、ただいまも同じように申し上げておるわけでございます。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 いや、あなたは外務大臣として、これはやはり重要なことですよ。その問題を国会答弁のように、いろいろなことを説明して答弁する必要もなかった、だからイエスと言った、それであなたは外務大臣として妥当な記者会見の態度でしょうか。あなたがもし木村外相のそうした考え方と何も変わっていないというお気持ちであるならば、もっと丁寧にそういう場合説明すべきじゃないでしょうか。私はその点についてもう一遍お伺いしたい。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お尋ね趣旨は、ワシントンにおける内外記者会見においてそのような質問があったときに、もう少し細かく委曲を尽くして答えるべきであったではないかというお尋ねかと思います。  私は率直に申しまして、そのように考えません。答えがイエスであることははっきりいたしておるわけでございます。そして現在ワシントンにおける雰囲気というものは、堂森委員がよく御承知のとおり、インドシナ半島の問題が起こりまして以来、アメリカのよその国に対する約束についてのいろいろな疑惑が生じている、いわゆるクレディビリティーギャップというものがあるわけでございます。韓国もそれを非常に感じておるに違いない国の一つでございます。そういう際に、私としてもあらぬ心配を与える必要は何もないことである、委曲を尽くして申しましても、結局答えはイエスであるのでありますから、そういうふうに答えることがいい。これは国会あるいは国内における会見でございますと、詳しく経過が報道されるわけでございますけれども、外国においていわば第三国同士のやりとり、新聞記者と私とのやりとりでございますから、すぱっと結論だけが報道される、これはもう当然答える側で考えておかなければなりません。したがいまして、いろいろなニュアンスは伝わらないであろうというもとにおいて、やはりはっきり答えがイエスであるのならば、その部分を答えてやることが、私は日本外務大臣としてしかるべき応答の方法であろう。現在もそう考えております。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 私は全くあなたとは考え方が違うのでありまして、もうこれ以上は申しませんけれども、やはりわれわれ日本人から見ますれば、日本の人の大部分はあなたの韓国条項に対する考え方は、やはり木村外相当時とは違う、後戻りしておる、こう判断している人がたくさんあることは事実でありますから、私はこれ以上あなたと問答してもあれでありますから……。  そこであなたは向こうに行かれるときに、インドシナの今後の平和を取り戻し、そして本当の民族自決の立場からインドシナ半島が再建されていくということについては、アメリカ政府とはかなり意見の違う点があったのじゃないか。何といいますか、インドシナ半島における現在の状況についての認識は、あなたとアメリカ政府側とはかなり違う、かなりじゃない、非常に違うというふうな意味報道がなされておると思うのであります。これは新聞報道であります。アメリカのインドシナ政策はもう完全に行き詰まって失敗である、こうわれわれは思うのです。それでアメリカの軍隊はやはり負けたと思うのです。しかしあなたは向こうに行って、これは新聞報道でありますが、アメリカはりっぱな、高邁な理想をあそこに実現するための行動を起こしたんだ、しかし向こうではそれが育たなかったのである、そしてアメリカの軍隊は負けたんではないんだ、こういうようなことを言った、これは新聞報道ですよ、あなたはそういうように考えておられるのか。新聞報道が言っておるように考えておられ、それから向こうでアメリカ政府の諸君に言われたのでありますか、どうでありますか、この点も伺っておきたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような新聞報道がなされましたことは私も存じておりまして、私はそれを否定はいたしません。が、非常に問題でございますのは、インドシナ半島における事態が全部終了したわけではない。サイゴン政権は現在も、恐らくいまこの瞬間にも激しいいわゆる防衛戦争をやっておるわけでございます。  そこで、善悪、非がいずれかは別としまして、たくさんの血が流れておるということもこれも事実でございます。アメリカとしてはまたアメリカ立場なりに、この戦争に長くかかってきたばかりでなく、多数のアメリカ人がこれは非戦闘員として、いわばシビリアンとして現地におるというような現在、事柄は進行しておる最中でございますので、そういう事態に対して私が第三者的なことを申すということ、ことに私自身がアメリカ側意見交換してまいりました直後でございますので、申しますことは、あるいは現実に起こりつつある事態に対して好ましくない影響を与える、いろんな意味で好ましくない影響を与える心配がございますので、私自身からいまここでそれについてどう考えるかと申し上げますことは御遠慮をいたすべきであろうと思います。
  41. 堂森芳夫

    堂森委員 大平大蔵大臣がパリに行きまして、フランス政府の総理と会っている。そしてフランスの総理は、パリ協定ですかの精神に立ったインドシナ半島の解決のために全力を上げてやりたいという意味意見を発表した、こう新聞は報道しております。外務大臣としてのあなたは、インドシナ半島のこの紛争解決のために、フランス政府に、何といいますか、強いといいますか、積極的な態度でフランス政府のそうした意図に協力していこうとしておられるのでありますか。あるいはこれは消極的な態度で静観しよう、こういうことでございますか、この点ひとつ承っておきたいと思うので、ございます。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国は、いわゆるパリ協定の当事者ではございませんので、そういう意味ではフランス政府あるいはアメリカ政府立場は異なっておりますけれども、このインドシナ情勢が終局的には話し合いによって解決されなければ恒久的、安定的な解決はないであろうと考えておりますことはそのとおりでございます。
  43. 堂森芳夫

    堂森委員 それから、きのうの参議院外務委員会でも御答弁があるんですが、私は、北ベトナムとの交渉、無償援助あるいは大使館の開設等について、かなりまだ時間がおくれざるを得ないのではないだろうかという意味答弁をしておられるのを先般新聞報道で見ておるのでありますが、やはりそうでありますか。向こうの、北ベトナムから日本に来ておった代表団は非常な不満の意を表明しておるということも聞いておるのでありますが、やはりかなりおくれる。四月一日、もう一日ではないのでありますけれども、どうもかなりおくれる。中旬になるのではないかと言われていたのがさらにまたおくれる、こういうような見通しでございましょうか、これも承っておきたいと思います。
  44. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は過去一年数カ月、ハノイ政府との間の国交回復に伴いまして、ビエンチャンで両国政府で協議をいたしておったところでございます。協議の基本が整いましたので、その実行の問題として、経済協力をいかなる形で行うかという交渉が東京で行われたという御承知のとおりの経緯でありますが、その間状況が急転回をいたしました。したがって日本政府といたしましては、いかなる意味でもこの経済協力が、現在戦われつつあります戦局に影響を及ぼすような結果になることは避けるべきであろう、こう考えておりますので、経済協力内容の選択、決定その時期につきましては、これはどっちにひいきをするということでなく、このような戦局になりましたときに、いずれの側に対しても戦局に影響を与えるようなことは避けるべきであるというふうに考えまして、そういう見地から、東京におきます折衝が最終的には妥結に至らなかったのでございます。しかしビエンチャンで協定いたしました基本は、わが国として当然守らなければならないところでございますから、戦局に対して好ましからざる影響を与えるようなことのない方法、ない時期において、やはりこの約束は守っていかなければならないというふうに考えております。
  45. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣日米会談を終えてお帰りになって、今後インドシナに軍事介入をアメリカ政府はしないというふうな判断でお帰りになりましたか、いかがでございましょうか、これを承っておきたい。
  46. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の判断いたしますアメリカ政府、議会というものと一応切り離しまして、行政府という意味での政府考え方は、サイゴン政権がサイゴン周辺、デルタ地帯、いわゆるコーチンチャイナに当たる部分を守りたいと考えている。それについては行政府としては最小限の支援を与えたいと考えておるように存じます。また他方で、万一の場合に備えまして、いわゆるアメリカのシビリアンあるいは長い間この問題について非常に密接に協力をしてきた一定範囲でのベトナム人が退避を希望いたすのならば、それを助けたい、こういう意図をまた別途に持っておる、そういうものとして私は理解をして帰りました。
  47. 堂森芳夫

    堂森委員 もう一点だけ伺っておきたいのですが、日中友好平和条約についての最終的な段階を迎えつつあるのではないか、こういうように判断をしておるのですが、覇権問題について両国の事務的折衝でありますか、そういう点が今後なお複雑なようでありますが、外務大臣としてこの日中友好平和条約の締結のために、外務大臣があるいはあなたにかわるようなあなたの党の要人等が、中国北京を訪問されるような時期に来ておると思われますか、あるいはそうではないと思っておられるのでしょうか、この点も承っておきたい。
  48. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 かなり長いこと、この問題につきましては、わが国の外務省の東郷外務次官と駐日中国大使との間で話し合いをいたしておったわけでございます。わが国としましては、ともかく意見の合わない問題は問題といたしまして、お互い考えておる条約草案をひとつ交換をして、そして建設的に討議をしようではないかということを三月の初めに実は先方に申しまして、先方としてもそれに合意があったわけでございます。しかるところ、一月を経過いたしましてもなお先方の条約草案の提示がないということになりまして、わが国としては何度も国会で申し上げておりますように、できるだけ早く妥結をいたしまして、この国会ででも御審議を仰ぎたいと考えておるのに対して、先方が条約草案の提示を、いかなる理由でありますか、非常に長いこと、約束をいたしましてから一月余り提示をしてこなかった、そういう事実がございます。ようやく今週初めに提示があったわけでございますが、あるいはこのことは、中国側において何かの理由でこの条約の締結を急がないという事情があるのかもしれない、これは推測はできないわけでございますが、少なくとも一月余りそういういわば空白の時間があったということは何ゆえであったかということを私どもとしてはやはり知りたいと考えております。  政府立場は、何度も申し上げますように、できるだけ早く妥結をして、国会に御審議を願って批准をいたしたいというのでありますが、中国政府が同様の意図を有せられるや否やにつきまして、過去一月間私としては若干の疑問を実は持ったわけでございます。したがいまして、もし今回、条約案の提示があったということが、中国政府としてもできるだけ早く妥結をしようということの意思表示であるとすれば、私としてはそれは大いに歓迎をいたします。その場合に、もしただいま御指摘の問題がなかなか妥結をしない、その問題だけに最後の相違点が残るということでありますれば、私は、あるいは場合によりまして政治的な解決を図らなければならないかもしれない、さように思っておるわけでございますが、願わくば、中国側もやはり早期妥結という熱意を持っておられて、そしてそういうことを背景にして話し合おうというのであれば、私もある段階では政治的な解決を図らなければならないかというふうに考えております。
  49. 栗原祐幸

    栗原委員長 河上民雄君。
  50. 河上民雄

    ○河上委員 いま堂森委員から、日中平和友好条約の締結について、外務大臣の訪中の時期が来たのではないかというお話がございました。私はかねて、実務者レベルの話し合いも重要であるけれども、三木政権ができた後、日中間の基本的な信頼関係というものをもう一度確認する意味で、宮澤外務大臣の訪中が必要ではないかということを申し上げたように記憶いたしておりますが、私、いまのお話を聞いて感じるのですけれども、単に実務者レベルの話し合いの成り行きを見守るだけでなく、もう少し積極的に日中間の相互の信頼関係というものを確認し、それを増進する意味で、外務大臣の訪中を、実務者レベルの討議の煮詰まりともにらみ合わせることが必要かもしれませんが、それとの見合いを余り考えているうちに時期を失するきらいも出てくるのではないかと案じているわけでございますが、その点、宮澤外務大臣、どのようにお考えになりますか、伺いたいと思うのです。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 場合によりまして高度の政治的な解決を図らなければならないかと存じます。と申しますのは、わが国はできるだけ早く本件を妥結したいと考えておるからでございますが、ただ、それには二つ条件がございまして、一つは、先方が条約の全般についてどのように考えておるかという、いわばこれは条約草案を見ますとほぼ見当がつくことでありますが、それが第一点であります。第二点に、先方もわが国と同じく早期妥結について熱意を持っておるということ、この二つのことが成就をいたしましたら、場合によりまして政治的な会談の場というふうなものが必要になろうかというふうに思っております。
  52. 河上民雄

    ○河上委員 まあ外交交渉ですからいずれが先か、鶏が先か卵が先かというような議論もあるかと思いますけれども、私はやはり外務大臣が行かれる決意を表明されることがむしろ事態を打開することにつながるのではないかというふうに思うのであります。  先般、三木総理は、九日でございますか、日中条約を最重点に考えて、そのためには閣僚級の訪中も考慮しておる、まあその中には当然外務大臣の訪中ということも含まれておると思いますが、そういうような意向を表明されておりますけれども、この問題について、総理と外務大臣ですでにお話し合いになっておられるのではないかと思いますけれども、実際にはいかがでございますか。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 話し合いをいたしております。
  54. 河上民雄

    ○河上委員 私は、中国側がこの日中平和条約の成立については早期の解決を望んでいるというように思っているわけでございますけれども、そういう意味でぜひ宮澤外務大臣に、まあ訪中の時期を十分選ぶことは必要でありますけれども、くれぐれも申し上げますが、余り実務者段階の話し合いをにらんでいるうちに時期を失しないように希望したいと思います。  それでは、対韓援助の問題について若干質問させていただきます。  去る八日に、日韓経済協力に関する実務者会議で、総額二百三十四億円に上る円借款を供与するという対韓援助が決定されたと伝えられておりますけれども、われわれはこれに強く反対をいたしております。そして外務省にもその旨、強く申し入れましたが、この対韓援助の二百三十四億円何がしの円借款を決定したことは、対韓援助の本格的な再開を意味するものでありますかどうか。
  55. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 ただいま先生が御指摘になりました実務者会談の結果、韓国側の七四年分、昨年分の要請につきましてのいろいろな話し合いが進みまして、その話し合いの結果を新聞に発表したわけでございますけれども、これはまだ政府間の正式の合意ということではございませんで、これからさらに案文、その他内容、条件の細かいところを双方で詰めました上、双方それぞれ国内のしかるべき機関と申しますか、わが国においては閣議の御了解を得て、その後に政府間の合意になるわけでございますので、この間発表いたしましたのは、あの段階におきまして日韓の実務者が、韓国側の要請についてあそこまで話が進んだという、その話の結果について発表をしたものでございます。  なお、これをもって韓国側に対する本格的な援助が再開されたかどうかという問題につきましては、第一には、いま申し上げましたとおりに、まだ最終合意になったわけではございませんけれども、われわれといたしましては、日韓の経済協力につきましては別に中断とか再開とかいうことではなく、先方から要請がございますれば、その案件について、それが韓国側の民生の安定に資するということが確定し、またそれがフィージブルであるという時点において双方合意するという考え方でございます。
  56. 河上民雄

    ○河上委員 先方は六百億円を要求してきたということでありますけれども、そのうち二百三十四億円を決めたというのは、これをもって一応先方の要求に対する答えとするのか、それとも六百億円に対するいわば内金というような意味で、幾つかあるプロジェクトのうちの——新聞によりますと二つということでございますが、そういうようなものにとりあえずやり、これは先方の要求の約三分の一になりますけれども、あとの三分の二はこれからさらに意見交換して煮詰めていくという考え方であるのかどうか。それとも、これが一応六百億円要求に対する日本政府側の答えであるのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  57. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 その点につきましては、先ほど私の方で申しました、日韓双方が記録を確かめ合った中で主な内容を一緒に案文も決めまして、新聞に発表した内容に書いてございますとおりでございまして、四件韓国側の要請がありましたうち、北坪港の開発計画につきましては百二十四・二億円まで、それから農業振興計画につきましては百十億円まで円借が供与されるよう協力するようにするというところの話し合いが進んだわけでございまして、それ以外の二つの案件、一つは忠北線の複線化ということでございますが、それにつきましては日本側はさらに調査団を派遣する、それから最後の案件、驪州ダム、それと揚水発電所がくっついている計画でございますけれども、それにつきましては韓国側がまだ予備調査をやっておる段階で、相当進んでおるようでございますけれども、その結果を踏まえて改めて検討するということに話が詰まったわけでございます。  したがいまして、結論から申しますと、資金供与の問題につきましては、昨年の分につきましては二件だけについて話が詰まってきたということでございます。
  58. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、先方の百億円の要求に対して二百三十四億円というのは、日本政府の七四年分としての回答であるというふうに理解することができますか。
  59. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 先ほども申しましたように、実務者同士が話し合いまして、韓国側としてもその辺がさしあたっての要求のミニマムのところである、日本側としてもこの辺はフィージブルであり、民生安定に資するものである、特にこの段階でフィージブルであると断定できるというふうな事実認識を双方の実務者がしたわけでございまして、これから細部につきまして、先ほど申しましたような双方の関係の上司に諮りました上で最終決定に至るわけでございます。
  60. 河上民雄

    ○河上委員 フィージブルという言葉がしきりに出てきますけれども、それでは、この四つのプロジェクトにつきまして、当然調査団を派遣したのではないかと思うのでありますが、もしそうでなく、向こう側の言い分をそのままのんだとすれば、これは大変な問題でありますが、日本側として調査団を派遣したのかどうか。その調査団の考え方に基づいてそういうフィージブルであるというふうに解釈をしたのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  61. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 北坪港の建設につきましては二回調査団が出ておりますが、特に現在の計画につきましては、昨年の五月から七月の間に運輸省の担当の局長を団長といたします六名、これも全部運輸省の専門家でございますけれども、その調査団が現地に行きまして、三カ月にわたって調査をいたしまして、その結果がことしの一月にリポートとしてまとまり、政府並びに韓国側に提出されたわけでございます。  それから農業振興計画につきましては、前の国会でもたびたび御報告申し上げましたけれども、農業開発計画につきましてはたびたび調査団を出しておりますし、それから現在の経済五カ年計画、七二年から七六年の中の農業関係の経済計画に寄与するというプロジェクトでございますけれども、その五カ年計画につきましては従来から調査団が出ております。一番顕著なのは、いわゆる高島ミッションというミッションが出ておりますけれども、そのほか個々の農業のプロジェクトにつきましてはたびたび出ておりまして、現に私ども行きました場合にも、韓国の農業プロジェクトの一端を見たわけでございますけれども、私ども行きました実務者会談の前に開かれました昨年度の会談におきましても、実務者がそれぞれのプロジェクトを調査しております。
  62. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、そういう調査の結果というものは、当然政府報告書を出しておると思いますけれども、その報告書はありますね。
  63. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 正式の、りっぱに印刷された形で出ておりますのは、先ほど申しました五カ年計画に関します高島ミッションの報告と、それから先ほど一番初めに申しました北坪港の調査団の報告でございます。  前者につきましては、すでに国会関係の先生方にも差し上げておりますし、これは一般的に経済全般、五カ年計画全般に関する記述でございますので、御関心の向きが多いということも考えて多数用意いたしました。したがいまして、これはいつでも差し上げることができますが、後者は非常に技術的な、専門家がつくった報告でございますので、部数もたくさんつくっておりませんけれども、ぜひごらんになりたいということであれば、御提出するにやぶさかでございません。
  64. 河上民雄

    ○河上委員 いまごらんになりたければというようなことでございますけれども、大体、国民の税金を対外援助に向けるわけですから、毎々いつも問題になるのですけれども、対外援助に関しては総枠のみを決めて、しかも非常に複雑ないろいろな項目をあちこち寄せ集めたり活用したりしてやっておる。そして、実質的にはかなり政治的な配慮で対外援助が行われておることは事実です。国会における審議を求める以上は、調査団の報告書というものを提出せずしてこういうことを勝手にやるというのは、従来から問題になっておることですけれども、まことに不届きな話だと私は思うのです。  委員長にお願いしたいのですが、余っておるからとか少ないからとかそんな問題じゃないんでして、これは外務委員には全員調査報告書を出した上でこういうことをやるべきじゃないかと思うのです。こういうことをやってはいかぬのですけれども、審議を仰ぐ以上は、当然調査報告書というものは各委員に配るべきだと思うのでありますが、外務委員長の方でこれをひとつ御配慮いただきたいと思いますが……。
  65. 栗原祐幸

    栗原委員長 承知いたしました。
  66. 河上民雄

    ○河上委員 大臣、お聞きになっていておわかりかと思いますけれども、今回の二百三十四億円の新規借款の供与が決まりましたのは、実は金大中事件以来初めてのことでございまして、単にたまたま実務者の間で合意が成り立ったということでは済まない問題だと思うのであります。大臣は、金大中事件以来凍結されておりました対韓経済援助を再開するだけの理由が一体いまあったのかどうかですね。金大中事件以来の、再開を妨げていたいろいろな要素というものは解消したと考えておるのかどうか。特に韓国における民主化運動をやっている人たちの間でいつも聞かれることは、民主化運動が韓国内で高揚したときに必ず日本側から経済援助あるいは政治的な援助が行われることによって、韓国政府の方が非常に強気になる、こういうことを一番残念がっているわけです。一体、金大中事件以来の対韓経済援助の凍結をもたらした要素というものがすでに解消したというふうに考えておるのかどうかですね。大臣のお考えを承りたいと思うのです。  それからもう一つは、時間もございませんので、ついでにもう一つ加えて伺いたいと思いますが、いま局長のお話でございますると、実務者会談で一応の合意に達したのであって、これをさらに実施に移すためには上のレベルでの承認が必要であるというようなことでございました。日韓経済閣僚会議というようなものを再開するお考えがあるのかどうかですね。この二点を伺いたいと思います。
  67. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金大中事件というのはやはり両国の間の政治的な問題でございます。日韓閣僚会議もそのような意味では高度に政治的な意味合いを持ったものであります。それに対しまして経済協力というのは、先ほども政府委員から申し上げましたように、韓国の民生の安定と振興というために適当と思われるものは、わが国の国力の許す範囲で行おうという性格のものでありまして、両方の問題は、私は、質的に同じではないというふうに考えております。したがいまして、今回実務者の間で、これらのプロジェクトが韓国の民生の振興に資するものである、しかもわが国から見てそれは実行可能である、また内容そのものもいわゆるフィージブルであるということであれば、これはわが国として援助を行うことが適当であろうというふうに私は判断をいたします。他方で、日韓閣僚会談というものは、先ほど申し上げましたように再開をするということは政治的な意味合いを持つわけでございますから、毎々申し上げますように、再開することは今後両国が政治的にも本当に円滑にいわゆる友好関係を進め得る、増進し得る、そういう象徴的な意味を持つものとして、将来に向かっての友好関係確認する意味で再開をいたしたいと考えておるわけでありますから、そのための条件が政治的な意味合いではもう一つ熟していないと申し上げますことは、先般さように申し上げましたが、いまも同様に判断をしておるわけでありまして、私どもとしては双方の努力によって、そのような閣僚会議を再開できるような両国間の関係が醸成されますことを私どもも努力をいたしますが、韓国政府においても努力をしてもらいたいというふうに考えております。
  68. 河上民雄

    ○河上委員 外務大臣は、経済援助というものをなるべく中立化して考えたいというお気持ちのようでございますけれども、しかし、これは実際のいままでの日韓関係の経緯の中でそういうものではあり得なかったし、むしろそういうものではなく、非常に政治的な意味合いを持ったものとして行われてきたことは事実ではないかと思うのであります。  先ほども申しましたが、いま大臣は、日本側も努力するけれども韓国側も努力して欲しいというふうなお話でありましたけれども、それがどういうことを意味するのか非常に意味深長であろうと思いますが、先般、社会党の代表が外務省の経済協力局の石井参事官に会ってお話をいたしましたときに、いまのいわゆる人民革命党事件の関係者八人の死刑を急いでやった、このような韓国の国柄に対しまして、大柴氏が野蛮な国だというふうに述べたのに対して石井参事官は、そういう観点から言えばということで肯定をしたというふうに新聞に報道をされておりますが、宮澤外務大臣としては、韓国が日韓の話し合いを容易にするような雰囲気を醸成して欲しいという御希望でありますけれども、こういうような問題について、いまの希望から見てどういうふうにお考えになりますか、その点を最後に伺いたいと思います。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公の席で他国の政治のあり方について評価をする、あるいは批評をするということは差し控えるべきであると思います。
  70. 河上民雄

    ○河上委員 いま大臣が、政治的に日韓閣僚会議の再開にふさわしいような雰囲気づくりというのは、具体的に言えばどういうことを大臣として考えておられるか、その点を重ねて伺いたいと思います。
  71. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 雰囲気でございますので、何がどうなったらということが言えないのが雰囲気というものであろうと私は存じますが、何か両方の国の間に片づいていないもののある感じというのは、これは否定ができませんので、やはりこれができたらこう、あるいはこれができなければこうというふうなことは私は申しませんけれども、いわゆるもう一つぴったりしないといったような部分があると思いますので、これはある意味では時間の経過ということも入り用かもしれませんけれども、それだけではちょっと十分でないものがあるように思いますので、何をどうとは申しませんが、まあもう一つ、この辺ならばお互いにといったようなものが欲しいというのが私の実感でございます。
  72. 河上民雄

    ○河上委員 もう時間が参りましたので、私どもとしては、いまのような情勢の中で対韓経済援助を本格的に再開すべき時期でないということを強く申し上げまして私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  73. 栗原祐幸

    栗原委員長 水野清君。
  74. 水野清

    ○水野委員 宮澤外務大臣にこれから承りたいの  ですが、外務大臣の今度の訪米について、外務大臣はこの訪米の時期はかなり以前から御計画であったように拝見をしておりますか、たまたまワシントンにおいでになったときに、インドシナの情勢が非常に流動的になりまして、御承知のようにプノンペンのロン・ノル政権が崩壊寸前の時期になりました。      〔委員長退席、石井委員長代理着席〕 さらに、南ベトナムでも一種の軍隊の撤退が行われて、チュー政権が動揺しているというような時期であります。またアメリカ政府においてもこういう問題を反映して、フォード大統領が外交演説を議会でされるというような、大臣自身が記者会見でも言っておられるように非常にあわただしい時期に遭遇されたわけであります。  それだけに、私は外務大臣アメリカにおいてアメリカのフォード大統領キッシンジャー国務長官、それからインガソル副長官、そういうこの問題を担当しておられる人たちと面接をされていろんな話をしておいでになったその内容に興味を持つというか、非常に関心を持っておりますが、これからそのことについて少し承らしていただきたいと思います。  最初に、ベトナムを中心とするインドシナの情勢というものを現在外務省ではどう受けとめておられるか、これについてキッシンジャー国務長官やインガソル副長官とどんな話をしておいでになったかということを承りたいと思います。簡単で結構です。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 簡単に申し上げることがかえって実は非常にむずかしいのでありますけれどもわが国といたしましては、ともかくインドシナ半島情勢がいわゆる武力によってではなく、最終的には民族の話し合いによって解決されなければ、安定的な、恒久的な解決はないであろうという考えを基本的に持っておるわけでございます。と同時に、この際わが国としてすべきことは、発生しております難民について、人道的な立場から、わが国としてなし得る救援をいたしたいということに施策の重点を考えておるわけでございます。  それに対しまして、米国としては、ことにサイゴン政府との関連においては、いわゆるコーチンチャイナの地域でサイゴン政府が努力を払って安定していこうというのであれば、これに対しては支援をすべきであるというのが行政府立場であるように存じました。そして恐らく議会を通じて、事態が急転をした場合には、少なくとも現地在住のアメリカ人は救援をしなければならない、こういう意識を持っておるように見てまいりました。
  76. 水野清

    ○水野委員 ただいま外務大臣が、武力によって問題を解決するのでなくて、民族の中における話し合いといいますか、民族同士の話し合い、そういった方法によってやること以外、このアジアの、特にインドシナ情勢の安定はないというお考えだったわけですが、これを最近の新聞で見ておりますと、たとえばフォード大統領あたりまで、かなり古いあれですが、ドミノ理論的な、要するにカンボジアが倒れたら南ベトナム政権も崩壊をする、このインドシナ情勢が悪くなれば結局ASEAN諸国までに影響をするだろうというようなそういう——私は新聞紙上で見たんですから具体的なことまで、どういう発言をしておるかわかりませんが、とにかくドミノ理論的な考え方アメリカがいまいるように思われるわけです。フォード大統領がそういう発言をされたことは、私は非常に意外だと思っておりますが、これもアメリカ政府自身が本当にそう考えているのか、南ベトナムのチュー政権を援護する意味で、ともかくたてまえ論として言っているのか、そこに非常な違いかあると思いますが、これも報道が伝えるところによると、外務大臣のおっしゃったこととアメリカ政府首脳の考えとに若干の食い違いがあった、日米にアジア情勢に対する意見の相違があったというふうに伝えておりますが、それは本当でございましょうか。またあったとすれば、どういう食い違いがあったかということを承りたいわけです。
  77. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げかけていたことでございますけれども、何分にもアメリカは、この戦争についてはきわめて密接な関係を持っているいわば当事者であるということ、それに対してわが国は、いろいろな関心、いろいろな同情等は持ってまいりましたけれども、いわゆる当事者ではなく、客観的にものを見ておった立場であるということは、これはどうしてもやはり当面の問題についての見方にニュアンスか出てくることは、私はむしろ当然であろうかというふうに存じております。  ただ、現在の事態において、少なくとも大統領のこの間の演説を中心にして考えますと、北越というものは、少なくともアメリカ立場から見て、好ましからざるパリ協定に違反をしておるいわば侵略者である、それに対して、サイゴン政権がコーチンチャイナだけででもともかく防戦をしようというのであれば、これは助けなければならないという意識を私はアメリカの行政府といたしまして持っておると思います。それは私は、必ずしもドミノ理論というようなものではない、少なくとも大統領の演説のあの段階で観察いたします限り、ドミノ理論に基づいてそう言っておるのではなくて、パリ協定に大きく違反をした北からの侵略に対して守ろうという意思があるのであれば、アメリカはそれを支援すべきではないか、ただ、反攻に転ずるというようなことを考えておるわけではないと存じます。少なくとも守られる部分を守ろうではないかということは、支援をしたいという意思が行政府といたしましてあり、と同時に、万一の事態に備えてアメリカ人たち、いわゆるシビリアンに不測のことがないように準備をしておかなければならない、そういう考え方のように感じたわけでございます。
  78. 水野清

    ○水野委員 そこで伺いたいのですが、そうだとすれば、いま一部の新聞その他で、アメリカがもう一度インドシナに武力介入をするのではないだろうか、しかもそれが日本沖縄基地を経てするのではないだろうかという心配が非常に取りざたされているわけですけれども、そういう心配は余りない、こういう感じを受けておいでになったかどうか。
  79. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような評論的なものを私もときどき散見をいたしますが、恐らくこれはアメリカの行政府といえども、まことにあっというような評論ではないかというふうに感じております。すなわち、もし事態が急転いたしました場合に、アメリカのシビリアンたちあるいは、ことによりますと、いわゆる密接な関係にありました一定範囲のベトナム人たちに何とか待避の道を与えなければならない、そのためにアメリカ政府としても、アメリカ軍としてもある程度の行動に出なければならないかもしれない、ここまでは私は考えておると存じますけれども、それは目的でございますから、これは戦闘行為とかいう種類のものではなく、最小限そのためにどういうことをしたらいいかというところに、これは権限と予算と両方問題があるわけでございますけれども、それが当面の問題のように存じます。
  80. 水野清

    ○水野委員 私もそういうふうに国際情勢を理解をしているわけですけれども、歴史的にはアメリカはアジアからいま引いていく、潮が引くように引いていくという段階にあるのに、もう一度、たとえば北爆とかそのほかの手段で武力介入をするだろうかという疑問を持っているわけでありますが、一般には逆な見方もあるので、承ってみたかったわけです。  そこで先ほど大臣が、民族の中で話し合いをしていったらいいじゃないかという一つの解決の方法もアメリカ政府と話し合ってこられたというのですが、その問題について具体的なことで承ってみたいと思うのです。それは御承知のように、きのうきょうの新聞では、カンボジアのプノンペンにロン・ノル政権——ロン・ノル大統領は海外に出てしまったわけで、ロン・ノル政権と言っていいかどうかわかりませんが、ともかくプノンペンの政権はほとんどこの数日で終末を逐げるような状態になっているように新聞紙上で拝見をしております。  そこで、いまの大臣のお話のようなことならば、いずれプノンペンの政権の承認問題が出てくると私は思うのです。このことなんですが、まずずばりと、現在ロン・ノル政権にかわってシアヌーク元首が頭になっているカンプチア王国解放統一戦線とかなんとかいうものがありますが、それを承認するお考えはあるかどうかということを伺いたい。
  81. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国も大使をやむを得ず引き揚げてしまいましたので、直接の情報を実は持ち合わせておらないのが現状であります。恐らくはソウ・カム・コイ政権が何かの形で、願えるならば、流血の惨を避けながら和解への道を見つけようと努力をしておるのであろうというふうに考えるわけでございますが、それが可能であるかどうかについて、先ほどのように直接の情報がございませんので、判断が困難でございます。いずれにいたしましても、このような流動的な情勢で、どこのだれを承認するというような問題は起こってはまいりませんで、どのような状況でどのような安定がもたらされるかということをしさいに見てまいりませんと、ただいまの御設問にはちょっとお答えしにくいというのが現在の段階であろうと存じます。
  82. 水野清

    ○水野委員 まだ時期的に早いと思いますが、恐らく早晩この問題は出てくると思うので、またそのときに伺ってみたいと思います。  それから、このカンボジアの問題は私はかなり間近の問題だと思いますが、もう一つ南ベトナムに御承知のようにPRGという政権があります。これはパリ協定にも出席をしたわけでありますし、署名もしておりますが、日本政府は、これまで、しっかりした領土の範囲がわからない、あるいは首府がどこにあるかわからないというようなことなど、そのほかのいろいろな理由から、南ベトナムのサイゴンのチュー政権を日本承認をしているわけでありますから、同じ領土に二つの政権を承認できない、これも当然のことであります。そういう考え方をしてこられましたが、最近の南ベトナムの軍事情勢から言えば、御承知のように、南ベトナムの第二の都市であるダナンもこのPRGの手に落ちておりますし、さらにユエという昔の中越の王都も解放戦線の手に入っておりますし、もしそういうところで首府の宣言をして国家的な体制を整えた場合に、日本政府は一体これをどう扱うかという問題が出てくると思うのです。これについてどういうお考えか、承りたいと思います。
  83. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 パリ協定でいわゆるPRGというのを一つの当事者、エイ・パーティーであるというふうに認識いたしましたのは、恐らくは、あの段階ではパリ協定に定められたような方法でサイゴン政権との間にいろいろな話し合いが行われ、そうして最終的には選挙などの方法によって和平がもたらされる、そういう可能性を頭に考えて当事者として認識したのだというふうに私は思うわけでございますが、そういう具体的な段取りが進む希望は、いまのところなくなってしまったわけでございます。  そこで現状についてみますと、私どもは南越においてはサイゴン政権を政府考えておるわけでございますから、同じ地域に別の政府がまたできるということは考えるわけにいかない。何かの形で別の国家ができてくるということでありますと、これはまた別のことになりますが、しかし、そういう可能性について考えてみますと、今度はPRGとハノイとがどのような関係に立っておりますかが実は明白でございません。したがいまして、ただいまのところいわゆるPRGというものを政府として承認をする、認めるということはちょっと考えにくうございまして、将来いわゆる平和の手続によっておのずから事態が定着していきましたときの問題ではなかろうかと存じます。
  84. 水野清

    ○水野委員 いま私が質問申し上げたのは、一設問とし申し上げたわけなのですが、逆に言えば、いま軍事情勢を見ていて、もしこれまでの解放戦線、PRGのやり方ですと、当然私がさっき申し上げたように、ユエとかダナンに首府の宣言をして、政権らしい形を整えるはずなのに、むしろ整えないで、直接サイゴンを攻撃して、でき得ればサイゴンを包囲していくというような形をとっているわけですね。ですから大臣がいまおっしゃったように、三つのベトナムになるのかあるいは二つのベトナムになるのかということについて、まだ考える問題がたくさんあると思うのです。私はPRGを認めろと言っているのではありませんので、むしろそういう面からどういうふうにいまの情勢を把握しておられるかということも、できたらひとつ伺ってみたいわけです。
  85. 中江要介

    ○中江政府委員 ただいま先生御指摘のように、いわゆるPRGといいますのは、南ベトナムにおきます民族解放戦線が掲げております政府の名前でございます。いまサイゴンに対して攻撃をしかけて、どんどん軍事占領地域を拡張しておりますのは民族解放戦線の軍事活動である、こういう認識でございまして、この民族解放戦線が掲げております臨時革命政府という政権としての主張をどういうふうにするのかという点につきましては、ただいま外務大臣も御説明になりましたように、事態は引き続き軍事の面で流動的である。したがって、その行方については予見しがたい。ただ、国際的に望まれておる姿は、すでに一つの解決策として示唆されておりますパリ協定に基づく三者の話し合いで、流血の惨を最小限度に食いとめて、そこに安定した政権が生まれることであろう、こいう限りでございまして、その見込みについては、いまのところはにわかに判断しがたい、こういう見方でございます。
  86. 水野清

    ○水野委員 そこで、時間が余りないのですか、大臣訪米された最中にフォード大統領の外交演説が行われまして、その中でアジア諸国についていろいろなことを言及しておられます。外務省で発行された外交演説の骨子でありますが、「インドシナ情勢の展開により、特にアジア諸国が不安を持つに至つている現状に早急に対処すべく、豪州、ニュー・ジーランド、シンガポール及びインドネシアの指導者との会談を既に計画しており、他のアジア諸国の指導者とも会談するつもりである。」こういうことをフォード大統領は言っております。この中に日本一つ含まれていくのかどうか、外務大臣が今度行かれたことがその話し合いの中の問題であったのか、あるいは伝えられるように大臣訪米三木総理大臣が近いうちに訪米をされるということが、報道されておりますが、それかそれに当たるのかということを承りたいわけです。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょうど私が現地におりましたので、そのくだりは、私の理解するところでは、すでに近く訪米が予定されておる国を列挙したように聞いておるわけでございます。すなわちオーストラリアの首相、ニュージーランドの首相、おのおのその予定があるようでございますし、シンガポールのリー・クァンユー氏もその予定がある。インドネシアも何かあるそうでありまして、したがいまして、三木首相の訪米が確定しておるのであれば、そこへそれを書き入れてよろしいかという問い合わせが実は起草の段階でございまして、私は、三木首相の訪米は確定していないので、それは適当でなかろうということを申しました経緯がございます。したがいまして、合同で何か会議をするという構想ではなく、現実に予定されておる首脳部の来訪者をそこへ書いた、そういういきさつのように存じました。
  88. 水野清

    ○水野委員 そこで伺いたいのですが、たまたまアジアにインドシナ情勢の中から生まれてきた一つの不安がある。外務大臣、今度おいでになったのは、核防条約の批准に際して、御承知のように自民党の中の問題でありますが、アメリカは一体核の攻撃に対して核をもって日本を防衛してくれるのであろうかという議論が展開をされて、外務大臣が、一つはそのことの保障的な発言をアメリカから聞きたいということで訪米されたわけであります。それがたまたま今度のインドシナ情勢の中で一つ重なった感じになっています。ところでこの問題について、私どもはインドシナ情勢と重複したと思いませんが、もし三木総理大臣が近いうちに訪米されるとなると、やはり重複した形で日本以外の国からはとられる可能性もあろうと思うのです。結局は三木総理の訪米の際の共同声明にこの問題が盛り込まれていくのじゃないかという感じがしておりますが、この核の保障、いわゆる日米安保条約の見直しといいますか再確認といいますか、そういう問題が、当然三木訪米の際に共同声明が発表されると思いますが、その中に一つの柱として織り込まれるのではないだろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  89. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、首相の訪米そのものが昨日決定いたしましたばかりで、どのような会談をし、どのような順序に従って討議をするかということを実はわが国としては何も議論しておりません。したがいまして、米国側となおさら打ち合わせをいたしておりませんので、ただいまちょっと申し上げかねるところでございます。それに、共同声明そのものが出るといたしまして、全体がどのような調子のものになるか、短いものであるか長いものであるか等々、いろいろその辺の点もございます。それからそのときの客観情勢というものもまたあろうかと存じますので、何とも申し上げられません。しかし、従来両国首脳の会談の結果出ております共同声明には、しばしば一般的に両国間の安全保障の問題が取り上げられておりますので、そういう議論は恐らくなされるのであろう、その結果を共同声明にどう表明するかしないかというようなことにつきましては、わが国としてもまだほとんど議論をいたしておりませんし、両国間で打ち合わせをいたしておりませんので、そのように御了承をお願いいたしたいと存じます。
  90. 水野清

    ○水野委員 これは御回答要らないのですが、御承知のように、これから当委員会でも核防条約の批准の問題批准をしていかなければならない議事日程になろうと思いますが、その中で、よその、野党の方はまた別として、わが党、自由民主党の中では、どういう形にせよ、日米安保条約の再確認といいますか、特に核の攻撃に対してはアメリカに何らかの方法で核で守ってもらうということがない限りは、核防条約はむしろ手足を縛られてしまうような、いわゆる核のフリーハンド論を肯定せざるを得ないようなことになるというような議論があることは御承知のとおりであります。どうかその辺はひとつ慎重かつ、そういう世論があるということも御考慮の上、お取り扱いをいただきたいと思うわけです。  私、時間がほとんどありませんから、これで質問を終わらしてもらいます。
  91. 栗原祐幸

    栗原委員長 正森君。
  92. 正森成二

    ○正森委員 昨日本会議におきまして、日韓大陸棚の共同開発に関する条約について、趣旨説明及び質疑がございました。そこで宮澤外務大臣からいろいろ御高説を承って傾聴をいたしたわけですが、それに関連して、条約そのものは本委員会に提出されましたときに十分審議さしていただきますが、その条約以前の問題についてこれから若干お伺いしたいというように思っております。  そこでまず最初に伺うわけですが、開発には、私の承知しておりますところでは、探査だとか採掘だとかいろいろあると思いますが、探査も広い意味におきましては開発に入ると思うのですが、いかがですか。
  93. 中江要介

    ○中江政府委員 これは必ずしも科学的な意味で、私は専門家ではないのでございますけれども大陸だなの開発という一連の作業はまず探査から始まらなければそもそも問題にならない。そういう意味では探査は開発のまず最初の手始めである、こういうふうに考えます。
  94. 正森成二

    ○正森委員 それが当然でありまして、条約の第十条でも、「この協定に基づく開発権者の権利は、探査権及び採掘権とする。」と、こういうようになっております。  そこで伺うわけですが、条約が批准されて発効してから後のことはもちろんこの協定に定めてあります。そこで、発効する前に、共同開発協定区域における探査あるいは採掘については両国はどういうようにするのか。これは両国とも手をつけないということになっておるのか、あるいはそれぞれ勝手に手をつけるのか、その点はいかがですか。
  95. 中江要介

    ○中江政府委員 条約文そのものにつきましてはいずれ条約の御審議を仰ぎますときに詳細説明することになろうと思いますが、現在の日本の法律のたてまえから申しますと、探査の中の物理探査というものにつきましては、これはわが国の現行鉱業法上は自由になっておる、こういう事情がございますので、物理探査に関する限り、いまの法律のもとでは全く自由である。その探査の結果に基づいて試掘なり採掘が始まるということになりますと、これは鉱業法の規定によりまして法規制の対象になる、こういうことでございます。したがいまして、いま共同開発区域なりあるいは今度の大陸協定によって予想されております大陸だな資源につきましての探査のうち、物理探査については現在は自由、ただ韓国側がやはりこの大陸だなについて、当初御承知のように韓国の国際法上の根拠に従いまして、ここまでは韓国大陸だなであるという想定のもとに、大陸だなの石油資源開発に乗り出そうとしましたときに、もしそういう想定のもとで物理探査を行うことは必然的に開発につながる、そういう場合には、日本として国際法上のわが方の根拠に基づいて日本大陸だなに属すると思う部分については、これは話し合いをしてはっきりしてからでなければ紛争になるということで自粛を要請した、こういう経緯はございます。
  96. 正森成二

    ○正森委員 そしてわが方は、同様の開発を目的とする探査については、相手方にそういうことを申し入れた関係上わが方も自粛する、こういうことになっておるわけですか。
  97. 中江要介

    ○中江政府委員 これは当然のことでございまして、先方に自粛を要請する以上、わが方も自粛すべきものと、こういう考え方でございます。
  98. 正森成二

    ○正森委員 そうすると非常にけしからぬことを韓国がやっておるという事実があります。  私が入手した情報によりますと、昨年の九月二十二日から二十五日にかけ、西九州沖合いの日韓共同開発区域内の第五小区域の南部において、韓国側はひそかに百五十一マイル、約二百四十キロメートルにわたる探査を実施しております。実施をいたしました船はドイツの国籍の船でありまして、この船の属しておる運航社というのはドイツのプラクル・セースモン・ハノーバー、こういう会社であります。探査船はMVエキスプローラーといいます。この船が九月十七日の十二時三十分に鹿児島港に入港いたしまして、同九月十九日午前六時に出港いたしました。エージェントは日通鹿児島支店であります。この船が韓国側の開発の目的のために、これは私どもの承知しておるところではメジャーのテキサコがオペレーターになって探査を実施しておる。こういうことがはっきりしておるのですね。  これについてどういうようにつかんでおるか、またどう思うかということについて伺いたいと思いますが、まず第一に海上保安庁は、私がいま指摘したドイツに国籍のあるエキスプローラーという船が、これは海底地質調査船だそうでありますが、何日の何時に鹿児島港に入港して出港したか、またその船は海底地質調査船であるのかどうか等、詳細について答えてください。
  99. 山本了三

    ○山本説明員 エキスプローラー号は鹿児島の新港埠頭に昨年の九月十七日十二時三十分入港いたしまして、十九日の〇六〇〇に出港いたしております。入港の目的は物資補給と聞いておりますけれども、この船の性格といいますか、そういうものについては詳細は存じておりません。
  100. 正森成二

    ○正森委員 私が指摘しましたエージェントがだれであるか、あるいは船籍等についてはどうですか、答えてください。
  101. 山本了三

    ○山本説明員 日本側のエージェントは御指摘のとおり日通の鹿児島支店であります。船舶の所有者はスロモン・ネプチューンという者であるし、運航社は、非常にむずかしい発音なんですが、多分こう読むのだと思います、プラカラ・セイアモス・ハノーバー、こういうふうに私どもは把握いたしております。
  102. 正森成二

    ○正森委員 それからもう一つ、この船が海底地質調査船であるかどうか、それを明確に答えてください。
  103. 山本了三

    ○山本説明員 調査船であるというふうに承知いたしております。
  104. 正森成二

    ○正森委員 いま海上保安庁が逐一私の発言を認めましたように、昨年の九月十七日から十九日鹿児島港に入港した海底地質調査船である船が、これはエキスプローラー号というのでございますが、私ども調査では、九月二十百から二十五日にかけて共同開発区域を百五十一マイルにわたって探査を実施しております。そうだとすれば、いまの外務省当局側の言明によりましても、当然相互に自粛すべきことを、協定が発効前にすでにそういう紳士協定を破って、何ら日本側に通告せずやっておる、こういうことになります。これは実に重大なことでありますが、事実を確かめておられますかどうか、また事実であるとすれば、どういう措置をとられるか、それを伺いたい。
  105. 中江要介

    ○中江政府委員 先生、御指摘の船が大体そのころあの近辺で行動したという事実は私ども聞いております。それでその地域がどこであるか、探査場所について私どもが得ております情報では、探査場所はいずれも今回の協定対象としております日韓大陸共同開発区域内ではなくて恐らくより日本に近い場所、一回目が鹿児島沖と宮崎沖、二回目が天草沖というふうに聞いております。
  106. 正森成二

    ○正森委員 私は確実な筋から伺っておりますが、あなたのおっしゃるところで行われたかどうかは別として、共同開発区域の第五小区域で行われたというのも事実であります。そうだといたしますと、そのいずれの場合にしろ、これはもっと近い天草の場合ならば、どういう目的で探査したのか知りませんけれども、純粋に科学的目的で探査したのなら、大陸条約の第五条第八項などによっても、沿岸国に対して通知をして、場合によってはその参加を求める、当然資料は公表するというのが大陸条約の当然の措置ではありませんか。そういうこともやらず、また共同開発区域であるとするならば相互の自主規制があるのにかかわらず、それを何ら実行しないで勝手にやっておるということになれば、いずれもこういう協定をこれから批准して相互に発効させようとする両国間にとっては、著しく信義に反する行為であることは事実であります。こういうことについて、私が問題を指摘いたしましたから、相手側に問題を確かめて、その回答いかんによっては善処されるということが当然だと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全く私どもにとっては架空のお尋ねでございますから、事実関係は調べておきます。
  108. 正森成二

    ○正森委員 私どもにとっては架空のお尋ねということでありますが、私どもは確実な資料に基づいて聞いております。そしてその海底地質調査船という船がその付近で行動したということも、これは外務省の中江アジア局次長が認めておるということになっておるわけですから、これについては、両国間で重大な条約を審議、批准するという前に、すでにこういう信義に反することを行っておるということになれば、重大だと思います。そこで、外務大臣から言明もありましたが、委員長から改めてそれについては適切な報告をしていただくというようにお計らい願いたいと思いますが、いかがですか。
  109. 栗原祐幸

    栗原委員長 承知いたしました。
  110. 正森成二

    ○正森委員 その次に、私は、外相訪米とフォード大統領の演説についてお聞きいたしたいと思います。  フォード大統領の演説によりますと、「私は、議会に対して東南アジアにおける米軍事力の使用に関する制限が米国人の引き揚げという限定された目的にも及ぶかどうかを直ちに明確にするように議会に要請する。また、われわれが特別の責任を持つベトナム人で、この生命が危険に立たされる人々にも適用できるよう法律改正を要請する」こういうぐあいになっておるのですね。これは非常に重要な発言であります。フォード大統領の原文を見ますと、特に米人の問題とベトナム人の問題についてはこうなっておるのですね。「ゾーズベトナミーズ ツー フーム ウィー ハブ ア スペシャル オブリゲーション アンド フーズ リブズメイ ビー エンデンジャード」こういうふうになっております。こういうように、自分の国の国民だけでなしに他国の国民、しかもそれに対して、アメリカが特別の責任あるいは義務を持っておると一方的に認定した人々を国外に運び出すために軍隊を使うというようなことは、これは通常の外交関係ではほとんどあり得ないことだと思うのですね。それについて新聞報道ではどういうように言うているかといいますと、米国人が責任を持つベトナム人というのは、米政府機関、報道機関、米政府軍の契約企業、米系企業で長年働いていたスタッフとその家族、こういうように言うておりまして、それでも大体七万人から十万人だ。そのほかに、米軍介入時代の米南ベトナム援助軍司令部関係のスタッフとその家族を入れれば、さらに五万人ふえる。それから、サイゴンの米当局者は、サイゴン政府、軍部、警察、情報機関の首脳部も当然危険に直面する人たちに入ると述べたが、それを入れたらサイゴンの人口の四分の一、七十万人だ、こういう報道があります。こういう者を全部脱出させるために米軍を使うということになれば、これは事実上ベトナムに対する軍事介入にほかなりません。これはパリ協定の明白な違反であるし、きわめて重大なことだと思いますが、どういうように御理解になっておりますか。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず第一に、日本はパリ協定の当事者ではございませんから、どのようなことが違反になるかならないかを有権的には申し上げられません。  それから、フォード大統領の演説にはただいまお読みになりましたようなことが書いてございますが、こういう権限を議会に要請するというのであって、一体どういうベトナム人をどのくらいの数、どうしようとしておるのか、この演説そのものでもはっきりいたしませんし、いわんや、アメリカの議会がこれについてどのような授権をするかしないかということも明確でございません。五十万とおっしゃいましたか、七十万とおっしゃいましたか、そういう人間を引き揚げさせるというようなことはどう考えてもとうていできそうもないことに存じますけれども、この点は、しばらくの間、アメリカの行政府と議会とのやりとりを見ておりまして十分なのではないだろうか、ただいまの段階として。日本政府が何も見解を申す必要が現在の段階ではないと存じます。
  112. 正森成二

    ○正森委員 日本政府が現在の段階で見解を言う必要がないというのは、外務大臣の本委員会における御発言であります。しかし、非常に失礼なことながら、外務大臣ワシントンにおいて内外記者会見を行ったときの発言というのがわが国の新聞に報道されておりますが、それを見ると、宮澤外務大臣は、沖縄米軍が南ベトナムの米人や難民救助に出動するなど、人道的な目的で動くことについて日本は全く異存がない、こういうように発言されたと報道されております。そうだとすると、これは事実上フォード大統領の演説に対して肯定的見解を日本外務大臣が述べたというように見ざるを得ないと思いますが、いかがです。きょうのいまの発言とは違うじゃないですか。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いまお読みになりましたとおり、南ベトナムの米人や難民救済について米国の軍隊が云々することは差しつかえないと申しておるのであります。正確に報道されておりまして、それはベトナム人を出し入れするというようなことに一向に触れておりません。
  114. 正森成二

    ○正森委員 外務大臣にそれじゃ確めますが、いいですか、朝日新聞の四月十二日の夕刊を引用しました。ほかに読売、毎日、全部出ておりますが、朝日の場合には質問と答えが書いてあるのです。質問は、「米国人引き揚げのため、沖縄駐留米軍がベトナムに動くことに、日本政府は反対しないか」との問いに、「人道的目的で行われる限り異存はない。」こう言っておるのですね。ですから人道的目的というのは、明らかに米国人引き揚げというような、ある意味では救出といいますか、そういうフォード大統領の演説を当然に前提にしておるのですね。ですから、そうだといたしますと、これはよほどの留保をなさっておらない限り、フォード大統領演説のこの部分について、それが人道的目的で行われる限りは異存はないという、人道的目的という限定をつけて全面的に肯定されたというようにとるのが日本語の解釈として普通じゃないでしょうか。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 つまり、ベトナムにおりますアメリカ人の引き揚げ、その他人道的目的というのは、引き揚げというのは後にかかるわけではありませんので、引き揚げについてはベトナムにおけるアメリカ人の引き揚げその他いろいろな人道的な目的があると思うのでございますね。救援物資の補給でありますとか、そういうことは一向に差しつかえないと言っておるのであって、ベトナムにいるベトナム人を引き揚げる云々ということは、その場合の議論にはなっておらないわけでございます。
  116. 正森成二

    ○正森委員 それならそれで一定の範囲内で結構なことですが、こう質問させていただきましょう。  それでは外務大臣の真意は、フォード大統領が言ったいわゆるアメリカが特別の責任を持っておるベトナム人の国外救出、そのために米軍が使われるという場合には肯定的態度をいまだかって表明しておらない、こう承知してよろしいか。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう事態に面したことはありませんし、そういう照会を受けたことはございませんので、公的態度は表明しておりません。
  118. 正森成二

    ○正森委員 そうなりますと、その場合にも態度を表明していないから、肯定的態度をとり得る場合もあるし、とらない場合もあり得る、こういうことにならざるを得ないと思うのですね、表明していないということですから。  そこで私は伺いたいのですが、パリ協定によりますと、米軍は四条で、軍事的介入を禁止し、かつ南ベトナムの国外問題に干渉しないとなっております。こういう大前提のもとに物事は行われなければならないと思うのですね。アメリカが、もしフォード大統領の演説のようなことをなさるとすれば、これはいかなる外交的根拠に基づいて行われるのでしょうか。外交保護権というのにはこれは余りにもなじまない範囲内のきわめて大きな権限を要請しておると思うのですね。あるいはまた、外務大臣の言われる人道上の目的ということでも、国際法上、人道上の介入ということを合理化されるとすれば、この人道上の介入というのは、国際法上も必ずしも全面的に市民権を得ておらないのです。人道上の介入ということでしばしば侵略行為というものが覆い隠されたというようなことから、最近の多くの学説では人道上の介入ということも、これは議論として肯定されていないということになりますと、いよいよフォード大統領演説のその部分、及びややあいまいな点を残した外相の言明というものは、パリ協定の精神から見ても、また外務大臣が民族自決の権限というものを非常に重んじられて、たとえばパリ協定侵犯の事実については国際管理監視委員会が機能していない、そういう状況のもとでは判断する立場にない、こう言われたところから見て、私は矛盾する点がありはしないか、こう思われるわけです。そこで、外務大臣がパリ協定の侵犯について事実認識を十分に得ないから判断する立場にない、こうおっしゃった精神を貫かれるならば、こういう危険な米軍の派遣というものについてはやはり同様の態度をおとりになって、日本は全体について関知しない、こういう態度をとられるのが民族自決の立場から見て首尾一貫している、こういうように思うのですが、いかがですか。
  119. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 事は、要するに事態が仮に現実になりました際に、どのような態様において何が行われるかということによって判断をしなければならないということに尽きると思います。その際、人道の美名に隠れて、それ以外の好ましからざる目的が行われるということは、これは好ましいことでないことは明らかであります。
  120. 正森成二

    ○正森委員 人道の美名に隠れて好ましからざることが行われるということはよろしくないという御発言でございましたが、それでは、外務大臣が現在人道の美名に隠れていない、純粋に人道上の目的であると考え得る米軍の出動というのはどういうものがあるんでしょうか。
  121. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは私にお聞きになりましても御無理なお尋ねでありまして、当事者にもし機会があればお聞きいただきたいと思います。全く仮想の問題でありますから……。
  122. 正森成二

    ○正森委員 私が聞いておるのは、フォード大統領に聞けばいいという問題ではなしに、質問の中にも明らかでありましたように、その出動する米軍は主としてわが国沖縄から出動いたします。沖縄の海兵隊や第七艦隊が出動する。そういたしますと、そこへ出動してそれに対して現地紛争が起こり、戦闘行為が万が一にも行われるということになれば、これは果たして安保条約上、極東の平和と安全のために米軍が行動しているのかどうかという判断関係があるから聞いておるのです。私が聞いておるのは、その範囲内の必要限度内においての答弁をお願いしたい。
  123. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現実事態になりましたときに、その態様に従って判断をいたします。
  124. 正森成二

    ○正森委員 それでは最後に、時間がなくなりましたから重ねて伺いますけれども外務大臣の言う人道上のという繰り返された言葉は、そうすると現在のところでは、フォード大統領の演説の問題の部分、アメリカ人の国外に出ること及びアメリカが、特別の責任を持っておりかつ生命が危険にさらされ得るベトナム人というのを、無条件に全く同一の範囲と認識されるような関係意味しているものではない、そういうように伺ってもよろしいか。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私がワシントンで答えましたその問題についてのお尋ねであるわけですが、それはこういうことでございます。  もし大統領の演説のテクストをお持ちでございましたら、ちょうどいまお読みになりましたところの、節にいたしますと三つ前でございますけれども、七億二千二百万ドルという数字が出ておる節がございます。この中に七億二千二百万ドルは緊急軍事援助と書いてございまして、それからまず第一弾としての二億五千万ドル、これは経済及び人道援助と書いてございます。ヒューマニタリアンという言葉がここで使ってございまして、私が答えとして申しました人道という意味合いはこの部分を申したわけでございます。
  126. 正森成二

    ○正森委員 したがって外務大臣は、私の質問を経済的な問題にたとえて申されたのですが、緊急軍事援助七億二千二百万ドル的なものではなしに、経済的及び人道的な二億五千万ドルの中に性質としては入り得るような、そういうものを人道的と言っておるんだ、こう理解してよろしいですね。
  127. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ワシントンでなぜ人道的という言葉を使ったかとお尋ねになりましたので、この脈絡において使ったわけでございます。
  128. 正森成二

    ○正森委員 そうだといたしますと、私も外務大臣の真意を理解できる点があると思います。私どもは、外務大臣がパリ協定の侵犯についても国際管理監視委員が機能していない段階では、それを認識判断する立場にないと言われたことを評価しております。日本国民は、再びベトナムにおいて民族自決権が侵害され、そして戦争が拡大して、それに関連する基地として日本が使われるということを日本国民はすべて望んでおらないと思います。そういう点で、外務大臣がこの日本国民の気持ちを十分理解された上で行動されることを重ねてお願いして、私の質問を終わります。
  129. 栗原祐幸

    栗原委員長 渡部一郎君。
  130. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 外務大臣のこのたびの御訪米に関しては、非常に多くの使命と責任を持って御訪問になりました。その御労苦につきましては十分認識するものでございますが、私どもは、国民を代表して、その内容につき、もう少し詳しく知りたいと考えているわけであります。先ほどからもずいぶんいろいろ詳しくお話が詰められておりますから、私は日米安保の問題にちょっとしぼってお伺いしたい。  日米安保を長期堅持するとかアメリカの核抑止力を重視するとか、それから米国日本防衛の約束を導守してもらうように約束したとか、あるいは日本側の安保条約義務を遂行する上において日本側が努力するとか、こうした四点に分けてのお話し合いがあった、こういうふうに概括的には承っているわけでありますが、まず日米安保の長期堅持ということはどういうことを意味されておるのか、それは日米安保条約があるにもかかわらず、期間を特別に設定するために努力をされたのか、その辺のところをまずお伺いしたい。
  131. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日米安保条約を引き続き維持することは日米両国の長期的利益に資するものである、この意味は何かと言われたのだと思いますが、私どもこれはごく当然のことと考えて申しておりますので、特に何かと言われますと、政府として、日米安保条約は御承知のように一定の予告期間をもって廃棄し得る条約になっておりますけれども日本政府にはそういう意思はない、廃棄通告をする意思はないということはすでに御承知のとおりであろうと存じますが、そういう意味で、この体制を長く維持していきたいという日本政府考えを私としては申したつもりでございます。
  132. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 改めてそういう述べ方をなさったということは、それは大臣、特に期間を限って述べられているのであるか、それとも会話のまくら言葉としてそう述べられているのか、その御真意とされたところは一体どこであったのか。つまり、大臣がそう述べなければならないほど日本の日米安保に対する態度というものはアメリカ側から疑われておったのか。その辺はいかがにお考えでそういうことを申されたのですか。
  133. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはお尋ねをなるほどと思って伺いますが、結局こういう話になりました背景は、先ほどから申しておりますとおり、核防条約を私ども党内議論をしておりましたことが背景になっておりますわけで、その中で核防条約というのは少なくとも今後二十年有効のものである。それに対して、日米安保条約は、見方によっては一年で廃棄し得るものであるという、そういう議論が当然論理的にはあり得るし、また現実にあったわけでございますけれども政府としては、日米安保条約というのは、そういう条項があるがゆえに一年の有効期間を持つものとは考えずに、むしろ長く無期限の期間を持つものであるというふうに運用するつもりでありますし、そう考えておるということがあるわけでございまして、そういう脈絡において引き続き維持する、あるいは長期的利益ということを申したというふうに御説明を申し上げれば御納得がいただけるかと存じます。そういう脈絡でございます。
  134. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、大臣、それは日本側の立場ですけれども、自民党の党内からむしろ聞かれておりますことは、核防条約のサインに当たって、日米安保条約アメリカ側ノーと言わないということが問題になっているのでございましょう。いまお話しになったのは、御自分の、政府側立場を述べられた。米政府側立場をどういうふうにその間取りつけられたのですか、それがわかりません。
  135. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私はいま日本側の立場を申し上げたわけでございますけれども、御承知のように、この点は、私とキッシンジャー国務長官との間で、日米安保条約を引き続き維持することは日米両国の長期的利益に資するものであるということが共通に認識されたということでございます。
  136. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、アメリカ側はどれくらい長期的に認識するということを必要とし、認めたということに感じて帰ってこられたわけですか。いま外務大臣は、政府の方に関しては、ほぼ無期限の期間これを運用するという考え方と意思を持ってこれに臨まれて、そういう意思表示をしたことを言われました。向こうもそういう意思表示であったわけですか。
  137. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 条約には条約の厳格な規定解釈がございますから、アメリカ側がそれをどのように運用し、解釈するかを私が有権的に言うことはあまり適当なことではないのでありますけれども、少なくともこういう合意が両者の間でできたということは、私どもが廃棄をする意思を現在持っておらないというのと同じように先方も持っておらない、こういうふうに少なくともその範囲で申し上げまして間違いがないと思います。
  138. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、向こう側も無期限にこの安保条約堅持するという意思表示であったという感触を得て帰ってこられた、こういう意味に受け取ってよろしゅうございますか。
  139. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そう申し上げませんのは、条約には確かにこれは必要があれば廃棄できると書いておるわけでございますから、よその政府に成りかわってこういう方針であると申しますことは、実はあまり適当なことではないと思いますので、先ほど申し上げましたように、日本政府としてはただいま廃棄をするというような意思は全然持っていない、米政府も同様に持っていないということは最小限申し上げてもよろしいと思います。
  140. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは、日米安保条約における廃棄の項目を実質的に骨抜きするものではなくて、その運用についての方針を述べたものである、こうおっしゃりたいわけですか。
  141. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 とおっしゃりそうに思いましたので、先ほどのように申し上げておるわけでございます。
  142. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 じゃ次に、アメリカ側の核抑止力の問題についてちょっと簡単にお答えをいただきたいのですが、日本に対してアメリカの核抑止力を及ぼしてもらいたいというふうに大臣は交渉の途上でおっしゃったのか。その核抑止力内容はどういうものであるのか。ちょっとその辺、きわめて初歩的な質問で恐縮ですが、お答えになっていただけませんか。
  143. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、私どもの間では認識として述べておるわけでございます。すなわち、米国核能力日本への攻撃に対する重要な抑止力であることがお互い認識されたと言っておりますので、客観的にそういうことになっておると、こういう認識を述べたわけでございます。したがいまして、その核能力がいかに運用され、いかに利用されるべきか、あるいはされてはならないかというようなことについて、私は別段のことを申しておりません。現にある状態が、アメリカ核能力がディターレントになっておる、そういう認識において一致したという意味に御了解をお願いいたします。
  144. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、恐縮ですけれども、これは大分誤解もあるんじゃないでしょうかね。核抑止力という言葉をある種のものとして非常に狭く定義されればこういうことも言えるかもしれません。  私は、アメリカ軍の北太平洋防衛組織の司令部の中を視察するチャンスを得ました。二年前であります。そのときに実戦の将校たちが一様に述べましたことは、アメリカ及びカナダに対する攻撃は即座にこれを粉砕するが、日本に対する核兵器攻撃が行われた場合どうするかという私の質問に対して、これはそういうように即時に応戦をしないと明快に述べました。その場合はNORADから大統領報告するのではなくて、ホワイトハウスに報告して政策的吟味を加えた後、在米日本大使館に通報する。在米日本大使館はそれを外務省に対して報告する。その時間は三十数分かかるであろう、一番スピードで。ですから、したがって日本東京は灰になった後にわれわれとしてはそれを見るであろうという説明が行われました。説明したのがブリガード・ジェネラルであります。  私は、この言明は、ただの一将校というよりも、かなり深刻な意味合いを持つものである、こう思っておるわけです。私は、いまわが党の立場から述べておるわけではありません。少なくとも核抑止力などというものの存在、それによって日本が守られているという認識というものは、ある部分の条件のもとにあるべきものであって、万能的なニュアンスでこれを述べられることはいかがなものかなと私は思うわけであります。しかも、その辺は十分アメリカ政府日本政府との間で詰めなければならぬ問題です。私は、核抑止力というのは軍事的に見ればナンセンスである、こう思っております。したがって、こういう約束をした、言わでもがなのことを言うたという感じを押さえることはできないわけでありますが、そういう点はもう少しお詰めになった方がいいのではないか。米側がどういう反応を実際にするようになっているか、その点は明らかに交渉の途上においてこれまでに穴があったのではないか、そう思いますが、いかがでありますか。
  145. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっと失礼でございますけれどもお尋ね意味が十分把握できませんでしたのですが、私どもは、アメリカが種々の核能力を持っておることが、日本に対する第三国の攻撃の意図に対してそれをくじく、意図をくじくところの抑止力になっておるというふうに考えておりますし、キッシンジャー国務長官もそう考えておるという意味で私ども認識一致したと、こう思っておるわけでございます。
  146. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私の申し上げたのは、それは誤解だと申し上げておるわけです。一つは、現場の米軍の将校たちはそう考えてないということを私は申し上げた。もう一つは、ですからそういう問題はもう少しお詰めになったらいかがですかと私は申し上げたのです。誤解の上に、宣伝文句の上に次の外交をやるぐらい危険なことはないので、私は申し上げたのです。ですから、それは日本側の軍事専門家その他にお聞きになればもうたちどころにわかるかと思うから、きょう申し上げたのです。
  147. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 もう少し詳しく本当はお伺いをいたさないと、私が理解をしていないかもしれませんが、仮に現場の将校が、日本は灰になっておるでしょう、三十何分かかるからと言ったといたしまして、しかしそのような攻撃を加えた国も次に灰になるのでありますから、そういうことを抑止力というのだと私ども考えておるわけです。
  148. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 材料不足でおいでのようですから、この次にもう少しお調べいただいてお返事いただいた方がよろしいのじゃないでしょうか。その程度の下等な議論をいたしますと外務委員会の質と権威にかかわろうかと思いますから、それはきょうはその辺でやめておきまして、アメリカ側日本の防衛の約束を守る、こう述べたことはどの程度の防衛の約束をすると述べられたのか。それは日本に対しての直接領土、領海、領空に対する攻撃というものに対してそういう出動をすると述べられたのか、日本の商船その他が海外において非常事態に陥った場合にアメリカ軍は出動すると述べたのか、まずその辺からひとつ伺っておきたいのですが、いかがでございますか。
  149. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは外務大臣キッシンジャー長官との間のお話でございまして、そういう点を一々分析してお話しされたのではないと存じますが、私もその会談に同席しました者としまして大臣もすでに仰せられておりますように、アメリカの方は核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合には、アメリカ日本を防衛するという安保条約に基づく誓約を引き続き守るということをキッシンジャー国務長官は言ったわけでございまして、日本への武力攻撃ということは包括的に言われておるわけでございます。
  150. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それはいま両巨頭が大所高所からムード的にお話しになったというなら、分析的でないお話をなすったというならそれまでだろうと私は思います。だけれども、兵器で、核兵器によるとか通常兵器とかによる攻撃などということを言いますと、兵器ではこれ以外のものはたくさんある。通常兵器でもなければ核兵器でもないものはたくさんあるのです。だからこういう表現は実を言うと穴だらけ。幾ら分析的でないと言ってもち二つと粗過ぎはしませんか。  また私は、こういうような防衛の約束の遵守というような言い方で、むしろアメリカの体制の中に組み込まれていって、日本がその自主性をますます失う方向へ日本外交というものを位置づけることが、これが果して賢明な策なのかどうか、再考をお願いしなければいけないのじゃないか、こう思っておるわけであります。前半分の方は局長にお答えいただきたい。後ろ半分は大臣にお答えいただきたい。
  151. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから外務大臣が申しておられますように、これはいわば安保条約に基づくアメリカ義務を再確認したわけでございまして、安保条約の第五条に書かれておりますように「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」この意味をいわば言いかえて、核攻撃のあった場合も含めてアメリカ側の誓約というものを確認したまででございまして、これ以上のものでもなく、これ以下のものでもないということでございます。
  152. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 穴だらけでだめだとおっしゃっていらっしゃいますのかあるいはそういう体制に組み込まれるからいけないとおっしゃっていらっしゃいますのか、どちらの方向で言っておられますのかちょっとわかりませんが、私自身はこういう確認で十分である。先ほども申し上げましたように、現在の雰囲気というものは、むしろアメリカとして、条約上各国に負っておる義務を決して怠るものではないということを積極的に知ってもらいたいという段階でございますから、こういう確認に伴って、何かの新しい義務日本側に発生しているということは事実でもありませんし、またそういう環境ではないというふうに御理解を願いたいと思います。
  153. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣と同じ論法で言いますと、大臣は自民党の中を安心させるために行ったのか、こちらの決意を披瀝しに行ったのか、それは不明ですよ、この答弁全部は。これは私はその意味では妙な御説明だと受け取らざるを得ない。それは、やはり大臣が、キッシンジャーとの間の話を全部お話しになれないという外交上の制約もあるからだろうと思います。ただこの時期に、微妙なるインドシナ情勢とも絡んだ上で、日本アメリカ関係は再考慮されなければならぬという点は御異議あるまいと私は思います。それはどういう方向で行ったらいいのか、アメリカとの関係はこのままでよいのかということと、中国との関係をどういうふうにしたらいいのかということと、ソビエトとの関係はどういうようにしたらいいのかという、そういう基本的な骨格にも当たるべきものに対する考え方が不明確な点から、私たちが聞いていてわからないものが多過ぎてくると思うわけなんですね。ですから、あともう質問時間が残り少なくなりましたから、全部申し上げるわけにいきませんけれども、その点どうお考えになっているか、聞かしていただけませんか。つまり、主要国との外交関係をどういうふうに日本外交として位置づけるかということです。
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的には、わが国は平和憲法を堅持する方針でございますから、そういう意味で、各国との間に紛争が起こりますということは、わが国が最も好まざるところであります。しかしながら、世界情勢を見ますとそのような危険がないわけではございませんから、日米の間に安保条約を結んでおります。そのこと自身がわが国の周辺の国の脅威になるということであれば、これはまた別でございますけれども、中国の立場から見ましても、はっきりはいたしませんが、この点については中国首脳の理解がむしろあるのではないかというふうに私は思っておりますし、またソ連との関係においても、米ソのいわゆる緊張緩和ということから、この条約そのものがソ連を少なくとも脅威をする性格のものでないということははっきり理解されておると思います。  なお、わが国がそういう立場でございますから、中国との間にはできるだけ早く日中平和友好条約を結びたいと考えておりますが、この条約の中に、第三国に対して疑惑を与えるような部分がありますことはわが国にとって好ましくないと思っています。ソ連との関係は、早く領土問題が解決され、そうして両国間のわだかまりが解消することを願っている、大体それがわが国の外交政策の基本に当たる部分でございます。
  155. 栗原祐幸

    栗原委員長 永末君。
  156. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣の今回の訪米を多といたしますとともに、その意味合いを少しく詳しく伺ってみたいと思います。  もともと、外務大臣が就任されて、一度アメリカの国務長官と隔意なく話をしたいということから始まって、特に自民党内部で核防条約を批准案件とするについて、日本安全保障に関し、アメリカは一体どうしてくれるかということを確かめたいという一つの要望、アメリカ側にしますと、東南アジアにおけるアメリカの意図の瓦壊、それに関して起こるであろうアジア諸国、特に一番大きな日本側が、アメリカとの同盟関係に信頼感を一体どのようにつないでくれるかということに関して、日本側に話をしたいというその時期が重なったわけですね。われわれ日本の側というと非常に奇妙な立場でございまして、本来なら日本立場は強くなっておる。もっと強く出られてよかったと思いますね。ところが、自民党内部の核防条約に関する党内の論争をおさめるために行くというんだから、何かちょっと次元が違うようなことでございまして、はなはだ微妙な立場にお立ちになったなあと思って見ておりました。恐らくは強い立場でお話しされたのではないかと思いますがね。  さて、あなたは東南アジアの問題処理について、日本はこういうことはやれるのだということは持っていかれましたか。
  157. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当面日本として、難民が多数発生するであろう、それに対してはすでに国際機関を通じて、求められるものは応じまして拠金をしたわけでございますけれども、なお今後、相当そのような需要がどうしても出るであろう、政府部内においてある程度の金額を用意しなければならないということで作業を進めておるということは申し述べました。
  158. 永末英一

    ○永末委員 かって椎名外務大臣のときに、ベトナムの地域は極東の周辺である、そして極東の安全に対して大きな影響を及ぼすところだから、安保条約上、日本アメリカに対して持っている義務安保条約上のものとして果たすのだということをわが衆議院の外務委員会で表明されたことがあります。  さて、これから南ベトナムあるいはカンボジア、東南アジアの事件の終息に当たって、新しく事態が変わりつつありますけれども安保条約上の義務は果たすのだというようなことはお話しされましたか。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、そういうような種類の会話の雰囲気でございませんで、別段そのような質問も受けませんでしたし、私からもそのようなことを申しておりません。
  160. 永末英一

    ○永末委員 難民という場合に、たとえば日本に難民を持ってくるとか、あるいは難民のための金を出すとか、あるいはいろいろなことに協力するとかいうこともございましょうが、たとえばアメリカが先ほどちょっと触れられましたが、沖縄基地から軍隊を派遣して、そしていわば撤収作戦をやる。撤収作戦というのは、ただ単にそこの人間を引き揚げさせるだけではなくて、一面戦闘しなければならぬ。ある見方からしますと、それは戦闘作戦に行くわけですね。先ほどちょっとお話を聞いておりまして、もし沖縄からアメリカ軍がいまのような目的のために出かけるという場合について、あなたがすでに同意をされたというようなことになりますと、キッシンジャーともしその話をされて同意されたとしますと、安保条約上の事前協議をあらかじめやっちゃったのかなあという感じがいたしますが、いかがですか。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 キッシンジャー氏ともアメリカの当局者とも、実は全然そういう話はしておらないわけでございます。問題は、内外記者会見におきまして、先ほど御質問のありましたような問いがございまして、私としては、人道的な立場である限り別段問題は起こらない、こう申したことはございます。
  162. 永末英一

    ○永末委員 沖縄米軍という話が出ますと、人道的な撤収のための行動であろうとも、やはり戦闘行為があるかもしれませんね。その場合には、それが判断される場合にはどうされますか。
  163. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは非常に正確にお答えするためには、現実の態様について一々申し上げなければ正確なお答えにはならないと思いますけれども、私が思いますのに、仮に沖縄から出発をしたといたしまして、その意図がいわゆる救出の意図であるということが客観的に明らかである。不幸にして救出のために若干の出来事が起こったというようなことは、沖縄を出ますときの客観的な意図ではなかったというふうに考えるのが常識的ではないかと思いますけれども、しかしこれはむずかしい問題でございますから、具体的な態様に従って判断を下すべき問題であろうと存じます。
  164. 永末英一

    ○永末委員 まだ具体的なケースに当面しておりませんが、非常に早い機会に来ることも予測せられますので、慎重にひとつ御用意を願っておきたいと思います。  それから、キッシンジャー国務長官との間に日米安保条約の運用とでも申しますか、四項目の合意が成立したということでございますが、これは一体どういう性格なんでしょうか。
  165. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全体的に従来しばしば両国の首脳が共同声明で確認をいたし、あるいはその基本には安保条約交換公文があるわけでございますけれども、そういう基本的なことを現在のわが国の内外の情勢にかんがみて、両方の外交の責任者が確認をいたしたという性格のものと存じます。その確認は両者の会談の中でいわば口頭によって行われたわけでありますけれども、しかし事柄の正確を期しますために、両方の申しましたことを、かなり使われました用語まで確認をいたしまして、そして、それに従いまして私がこうやって国会にも御報告をいたし、内外記者団にも発表をした、事実はそのようなことでございます。
  166. 永末英一

    ○永末委員 外交上、一言で言うとどう言えばいいのですか。条約交換公文みたいなものがございます。それから書簡というのがありますね。たとえば一九七五年四月十一日、両国外交責任者、外務大臣、国務長官がやったなにと言うて、今後歴史に残る場合に呼びたいですね。外務省はどう呼ばれますか。
  167. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 一言で申せば、両国の外交責任者の会談の要旨だろうと思います。つまり普通、そういう会談の要旨は出さないわけでございます。それでなければ率直な意見交換はできないわけでございますが、今回の場合、いろいろ国内における議論もございましたので、その点について大臣から特に、この点はもう一回自分も確認しておきたいということでキッシンジャーに明確に述べられ、それでキッシンジャーも、そういうふうに外部に言われて結構であるということになって、それを述べられたわけでございます。現にその内容も、そういう内容であるということはお互い合意しておりますけれども、その内容そのものは、先ほど大臣から御説明がありましたように、共通の認識を述べ、さらに具体的に日本に核攻撃があった場合はというふうな場合については、アメリカ側のいわば誓約をキッシンジャーが一方的に述べたわけでありますし、また、その後を受けて宮澤大臣は、日本日本として安保条約義務は守ると言っておるわけでございます。そういうふうに三段階に分けていろいろ話をされたものを要約したものでございますから、いわばこれは一種の両国の外交責任者同士の会談の要旨を、お互い合意のもとに外部に御説明申し上げた、こういうことであろうと思います。
  168. 永末英一

    ○永末委員 その第一項目で、安保条約を引き続き維持することが両国、双方の長期的な相互の利益に合致する、この場合、核防条約の話をされて、せめて二十年はというようなことは言われましたか。
  169. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いや、それは申しませんでした。
  170. 永末英一

    ○永末委員 第二項目の、アメリカ核能力日本への武力攻撃に対して重要な抑止力となっているという認識、戦術核の持ち込み等がフリーハンドだということを暗黙にでもにおわされたことはありませんね。
  171. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一切ございません。
  172. 永末英一

    ○永末委員 第三項目、アメリカが、日本に対する核通常兵器による武力攻撃に対して、日本防衛の条約上の義務を当然重視するという、歯切れが少し悪いですね、当然重視する。これは先ほどのアメリカ局長説明では、安保条約の五条のそのままであって、その上でも下でもない。なぜ一体これをわざわざ言ったんですか。なぜこれに触れなければならなかったんでしょう。似たようなことは、前にわが方の総理大臣とあっちの大統領との会談で、ジョンソン大統領の時代だったですか、こちらは佐藤さんでしたか、いかなる攻撃に対しても防衛上の義務を果たすという共同声明が出たことがあります。そうしますと、わざわざ第三項目を言われた理由のところをひとつ伺っておきたい。
  173. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、主といたしまして私ども党内における議論、ということは、国民のかなりの部分が同じ問題意識を持っておられるということだと存じますけれども核兵力であれ、通常兵力であれ、わが国への武力攻撃があった場合と申しましたのは、一部の疑念は、万一核攻撃があった場合にアメリカはこれに立ち向かうということは、みずからが核攻撃を受けるという危険を冒すことになるのであるから、そこまで条約上の義務アメリカが履行するであろうかどうであろうかという、そういう不安が一部に国民の中にあるように存じます。私ども党内にも実はそういう不安を抱かれる方がございますので、そういう点についてやや明示的に言及をしたという意味合いでございます。
  174. 永末英一

    ○永末委員 ここまでもう一度確認をされたというのなら、政府としては、いわゆるアメリカのなすべき寄与の分量というものが日本の防衛方針を決めるときに非常に重要な問題なんですね。これはきわめてあいまいである。したがって、国務長官なり防衛庁長官との会談があって相談をされて、われわれに説明されるのが本当だと思いますから、これは希望だけしておきます。  それから最後の項でございますが、日本安保条約を引き続き履行する義務を負うということですが、同時に、記者会見韓国条項、この前の共同声明のものを追認をされました。韓国に何か起こった場合には後方支援基地になるんだということをキッシンジャー約束されましたか。
  175. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全くそういうことはございませんでした。
  176. 永末英一

    ○永末委員 時間がございませんので、もう一つ聞いておきたいのですが、先ほども外務大臣触れられましたが、日中平和友好条約において覇権条項である意味では暗礁に乗り上げておる。それは第三国を条約上何かこう目的としたようなことはいかぬのだ、こういう政府のお考えだということでありますけれども、もともとこの覇権条項というのは一九七二年二月二十八日、上海における米中共同コミュニケの中で書かれたことである。それをそのまま、田中首相が訪中いたしまして、受けて、文句もそのまま入れてつくったのが日中共同声明ですね。恐らくあなたはこの覇権、ヘゲモニー、あっちはそういう言葉を使っておりますが、キッシンジャーと語られたのじゃないかと思いますが、その辺の報告を願いたい。
  177. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、これについて一切アメリカの国務長官と話をいたしませんでした。それは実はある意味で意識をして出さなかったのでありまして、日中平和条約日本と中国との間のことでございますので、別に第三国に相談をする必要もない、言う必要もないと考えまして一切申しませんでした。
  178. 永末英一

    ○永末委員 あなたの心配される第三国というのは、アメリカはもう中国との間に同じことを約束しておるのだから、もう一つの国ということになりますね。
  179. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 もう一つか、二つか、幾つかよくわかりませんけれども、ただ永末委員の御解釈は、私はいまの段階でお尋ねを受け、私がお答えをしている限り間違いではないと思うのでございますけれども、かつて——かつてではありません、現在でも中国は超大国という言葉を使うわけでありまして、それは大体複数で使っておるように存じます。が、そのうちで中国が批判をいたしますのは、複数ではなくて、どうも一国を批判しているようでございますけれども、しかし超大国という概念そのものは、中国の考えの中では複数で存在しておって、そしてかつては超大国というのはほめ言葉で使われたことはないようでございますので、かつてはやはり複数の国が頭にあった時代があったように思うのでございます、現在そのようには考えませんけれども。したがいまして、共同声明としてであればともかく、条約というような、しかも私どもは非常に長い両国関係を律する条約考えておりますので、歴史的な変遷等々、過去を振り返って将来を考えますと、いま思っている国が一つであって、それが特定国であるかもしれないけれども、それは変わり得る、変わると申しているんじゃございませんが、過去の例などを見ましてもやはり長い年月の間には変わり得る性格のものでございますから、そこまで考えましても、やはりよその国のことを申すのは適当でないという気がいたすわけでございます。
  180. 永末英一

    ○永末委員 時間がございませんので、これで中止をせざるを得ませんが、覇権問題というのはもう少し根が深いとも思います。中国がこの言葉を使っておりますのは、ただ単に一九七二年の米中共同コミュニケに突然出てきたものではないと私は承知をいたしておりまして、十分この点につきましてはその由来を踏んまえて交渉され、いずれまたこの委員会でこの件についていろいろわれわれの意見を申すこともあろうと思います。以上。
  181. 栗原祐幸

    栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会