○正森委員 その次に、私は、
外相訪米とフォード
大統領の演説についてお聞きいたしたいと思います。
フォード
大統領の演説によりますと、「私は、議会に対して東南アジアにおける
米軍事力の使用に関する制限が
米国人の引き揚げという限定された
目的にも及ぶかどうかを直ちに明確にするように議会に要請する。また、われわれが特別の責任を持つベトナム人で、この生命が危険に立たされる人々にも適用できるよう法律改正を要請する」こういうぐあいになっておるのですね。これは非常に重要な発言であります。フォード
大統領の原文を見ますと、特に米人の問題とベトナム人の問題についてはこうなっておるのですね。「ゾーズベトナミーズ ツー フーム ウィー ハブ ア スペシャル オブリゲーション アンド フーズ リブズメイ ビー エンデンジャード」こういうふうになっております。こういうように、自分の国の国民だけでなしに他国の国民、しかもそれに対して、
アメリカが特別の責任あるいは
義務を持っておると一方的に認定した人々を国外に運び出すために軍隊を使うというようなことは、これは通常の外交
関係ではほとんどあり得ないことだと思うのですね。それについて
新聞報道ではどういうように言うているかといいますと、
米国人が責任を持つベトナム人というのは、米
政府機関、
報道機関、米
政府軍の契約企業、米系企業で長年働いていたスタッフとその家族、こういうように言うておりまして、それでも大体七万人から十万人だ。そのほかに、
米軍介入時代の米南ベトナム援助軍司令部
関係のスタッフとその家族を入れれば、さらに五万人ふえる。それから、サイゴンの米当局者は、サイゴン
政府、軍部、警察、情報機関の首脳部も当然危険に直面する人たちに入ると述べたが、それを入れたらサイゴンの人口の四分の一、七十万人だ、こういう
報道があります。こういう者を全部脱出させるために
米軍を使うということになれば、これは事実上ベトナムに対する軍事介入にほかなりません。これはパリ
協定の明白な違反であるし、きわめて重大なことだと思いますが、どういうように御理解になっておりますか。