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1975-02-28 第75回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十八日(金曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 小林 正巳君 理事 水野  清君    理事 河上 民雄君 理事 正森 成二君       加藤 紘一君    坂本三十次君       竹内 黎一君    萩原 幸雄君       福永 一臣君    細田 吉藏君       増岡 博之君    宮崎 茂一君       山田 久就君    綿貫 民輔君       江田 三郎君    松尾 信人君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         外務政務次官  羽田野忠文君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省経済局次         長       野村  豊君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君         食糧庁次長   下浦 静平君         運輸省海運局次         長       浜田直太郎君  委員外出席者         総理府恩給局次         長       大屋敷行雄君         法務省民事局第         五課長     稲葉 威雄君         法務省入国管理         局資格審査課長 末永 節三君         外務省経済協力         局外務参事官  菊地 清明君         厚生省援護局業         務第二課長   横溝幸四郎君         農林大臣官房参         事官      岩崎 充利君         農林省農蚕園芸         局農産課長   工藤 健一君         郵政省貯金局第         二業務課長  久保田東志政君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   竹内 黎一君     江崎 真澄君   土井たか子君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     竹内 黎一君   阿部 昭吾君     土井たか子君 同月二十八日  辞任         補欠選任   小坂善太郎君     綿貫 民輔君   中村 梅吉君     増岡 博之君   原 健三郎君     宮崎 茂一君   福田 篤泰君     加藤 紘一君   細田 吉藏君     萩原 幸雄君   正木 良明君     松尾 信人君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     福田 篤泰君   萩原 幸雄君     細田 吉藏君   増岡 博之君     中村 梅吉君   宮崎 茂一君     原 健三郎君   綿貫 民輔君     小坂善太郎君   松尾 信人君     正木 良明君     ————————————— 二月二十六日  日中平和友好条約締結促進に関する請願(下  平正一紹介)(第八四七号)  同(中澤茂一紹介)(第八四八号)  同(原茂紹介)(第八四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国中華人民共和国との間の海運協定の締  結について承認を求めるの件(条約第二号)  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の延長に  関する議定書締結について承認を求めるの件  (条約第三号)  関税及び貿易に関する一般協定譲許表の変更  に関する第二確認書締結について承認を求め  るの件(条約第四号)      ————◇—————
  2. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより会議を開きます。  日本国中華人民共和国との間の海運協定締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永末英一君。
  3. 永末英一

    永末委員 前回、私が台湾人である旧日本兵に関する問題について質問いたしましたところ、外務大臣から答弁の留保がございましたので、重ねて本日この件に関して質問をいたしたいと思います。  さて、御検討いただいた外務大臣の御意見を伺います前に、一応この問題に対する問題点を明らかにしてから外務大臣の御見解を承りたいと思いますので、そのように運ばしていただくことをお許し願いたいと思います。  第一の問題は、現在台湾人国籍というものはどうなっておりますか、お答えを願いたい。
  4. 稲葉威雄

    稲葉説明員 台湾人の、いわゆる従来台湾人として処遇されておりました者につきましては、日本連合国の間の平和条約締結によって日本国籍を失った者として処理されております。これが中国籍を持つかあるいはどこかよその国の国籍を持つかということはそれぞれの国が決めることでありまして、一応私どもとしては中国籍であると思っておりますけれども、とにかく日本国籍がないという扱いにはなっております。
  5. 永末英一

    永末委員 はなはだ奇妙な話でございまして、なるほど平和条約二条(b)によって、わが国はこれらのいわゆる台湾と称せられる地域に関する一切の権利、権原を放棄したから、その地域におる人々台湾人と呼ぶといたしますと、台湾人に対する管轄権を放棄するわけでございますから、したがって国籍も喪失したものと日本国は認めておるだろうと思いますが、さてそれならば、どこの国かというのは、その当該者、それに関係のある国が決めるのであって、わが国が知ったことではない、中国と思うけれども、そういうあいまいなことで処理していいのですか。
  6. 稲葉威雄

    稲葉説明員 国際法上、各国がどの範囲の国の人を自国民として扱うかということは各国が決めることでございまして、他国が容喙するべきことではないというのが国際法上の確立した原則でございます。
  7. 永末英一

    永末委員 一九五二年に日華基本条約なるものが締結をされまして、一昨年、これが将来に向かって効力を失うということを政府宣言をいたしました。この期間は、一体台湾人と称せられる人はどこの国の国籍を取得しておったのですか。
  8. 稲葉威雄

    稲葉説明員 一応日華平和条約の十条という規定がございまして、中華民国中華民国国民として取り扱う限りにおいては、中華民国人であるというふうに取り扱われていたものでございます。
  9. 永末英一

    永末委員 その条約日本政府が有効だと認めておる期間は、相手方が中華民国人だということを何らかの様式行為で明らかにしない以上、その人々は無国籍人として日本政府は取り扱ってきましたか。
  10. 稲葉威雄

    稲葉説明員 国籍がわかりましたらそのように取り扱いますし、公的資料がございませんでしたら、どこの国の人間かわからないということに取り扱わざるを得ないわけでございますが……。
  11. 永末英一

    永末委員 平和条約を結ぶまでは少なくともこれらの人々日本国籍人である。この前問題を提起いたしましたように、その上に、戦争に駆り出されて、戦争戦死をしたりあるいはまた戦傷を受けたり、いろいろな被害をこうむったわけである。ところが平和条約が結ばれますと途端にどこの国の者かわからぬ、こういうような日本政府態度であれば、一体、戦争なんぞは一回でございますし、平和条約は二回かもしれませんが、もっと歴史の流れにおいて、日本人がつくっている政府というものは、言うならばその管轄権に属しない、いろんな歴史上の変動はございましょうが、そういう運命にあった者に対してはきわめて冷酷な態度をとって、そして関係はないと称してわれ関せずえんとなっている、こういう印象を与える。少なくとも台湾人という人々にいまの法務省見解を伝えましたら、日本人というのは、法律的にはどういう理論構成が組み立てられるかわからないけれども、きわめて水臭い、こういうことになります。  外務大臣、この法務省見解を聞いておられてどう思われますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変むずかしい問題なので、私ちょっと何とも申し上げかねます。
  13. 永末英一

    永末委員 わが国は、台湾人わが国に居住しておる人々に対して外国人登録証明書なるものを発行しております。そのうちのある人は、昭和四十九年十一月十一日の発行の証明書を持っている人でありますけれども、林という人でありますが、この人は国籍中国と書いてございまして、これは東京文京区長名前において日本国政府とともに発行されておるものであります。それから、四十九年六月十一日世田谷区長名前で発行されている同じ外国人登録証明書をもらっている、これは原という人でございますが、国籍は無国籍となっている。  同じような状況に置かれている人々に対して日本国政府は、中国というのと、無国籍と、こうなっておりますが、この場合の取り扱い、そして中国というのはどこを指していることでしょうか、お答えを願いたい。
  14. 末永節三

    末永説明員 外国人登録証明書国籍欄表示につきましては、従来から一貫して中国という、一つの国にという認識から、中国というふうに表示してきております。ですから、御指摘のありました林という人も、その表示に従っているということでございます。  それから、もう一つの、無国籍というふうに書かれておると思いますが、そのケースにつきましては、その方が中華民国国籍を喪失いたしましたその結果、無国籍となっておるというふうに考えられます。それがそのまま無国籍という表示外国人登録になったんだというふうに理解できると思います。
  15. 永末英一

    永末委員 いままでの御説明を伺っておりますと、要するに、わが国の敗戦の結果平和条約を結んだ、その結果台湾人の人は原則としては国籍を持たない状態になってしまった、それで日本国政府としては、積極的に台湾人方々自分国籍をどこだと日本国政府に証明できるような状態日本国政府承認を迫ったときに、それはそのとおり認める、こういう扱いですか。——繰り返しましょうか。要するに、日本国政府としては、平和条約の結果、元日本人であった、日本国籍を所有しておった台湾人と言われる人々は、国籍のない者という観点に立つ、そして、日本国政府との関係において、それらの人々がおれはどこの国籍なんだということを明示的に示し得る状態になったときに、その国の国籍を有すると判断しておる、こういう取り扱いをしておられるのかと聞いておる。
  16. 稲葉威雄

    稲葉説明員 私ども承知しておりますところでは、中華民国はその後、従前台湾に居住している中国系の者、つまり本来であれば中国人として処遇されるべき者についてはすべて中国人として処遇するという趣旨制度にしておるということの認識でございまして、原則としては中国人として扱うということになっております。
  17. 永末英一

    永末委員 そのあなたの言われている中国というのは、中華民国でございましょう。
  18. 稲葉威雄

    稲葉説明員 日華平和条約から日中国交正常化までの時点でございますから、中華民国ということになるわけでございます。
  19. 永末英一

    永末委員 昭和四十七年の九月の日中共同声明以来は一体どういう考え方に立っておるのですか。
  20. 稲葉威雄

    稲葉説明員 日中共同声明によりますと、中華人民共和国台湾中国不可分領土の一部であるということを強く主張し、それに対して日本国は深い理解を示すというような表現になっております。その趣旨に従いまして私どもとしては処理をしているということでございます。ただ、先ほど申しましたような原則がございまして、台湾人というものを果たして中華人民共和国が自国民として把握しているかどうかは、中国国際法規が明らかでございませんので、必ずしもその点は明らかではございません。しかしながら、従前取り扱いどおり、依然として中国という表示外人登録上は使っておられる由でございます。
  21. 永末英一

    永末委員 きわめて法律上はっきりとしない位置をこれらの人々日本政府は与えているようでございますが、昭和四十年に日本韓国との間の基本条約が結ばれた場合に、日本に居住いたす朝鮮半島出身方々について、韓国との間に在日韓国人法的地位協定というものを結びました。いまのようなあいまいな立場である台湾人方々日本国政府に関するはっきりとした国籍の問題は、外務大臣、いずれ日中平和友好条約が結ばれてくる場合に、こういうような形で処理をしなければならない問題でしょう。どうですか。
  22. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  日韓関係正常化の際に、ただいまお話しになりました法的地位協定というものを結んだわけでございますが、日中正常化に伴いまして、日本政府認識しております中国正統政府というのは中華人民共和国政府であると認めた関係もございまして、台湾当局との間にこのような国際協定を結ぶという立場にいま現在日本政府はないわけでございます。
  23. 永末英一

    永末委員 そんなこと一つも聞いていませんよ。台湾当局なんてあなた、頭のどこから考え出したのです。日中平和友好条約を結ぶ場合に、日本における台湾人、この方々は、先ほどから話を聞いていると、中国国籍を持ったり無国籍を持ったりしているのだけれども、先ほどのように、台湾中国領土不可分の一体なるべきものだということを理解し尊重している立場からすれば、その人々中国国籍を持つべき人と予測せられると思う。いわんやこの人々は現在頼るべき、保護を求めるべき政府というものは日本政府扱いですとないようでございますね。ないといたしますと、日中平和友好条約を結べば、中華人民共和国政府外交保護権を及ぼすべき地位にある人だと思いますが、その辺を明らかにすることが日本政府として必要ではないのかということを聞いている。
  24. 伊達宗起

    伊達政府委員 大変むずかしい問題でございますが、しかし、日本国といたしましては、共同声明におきまして中国側立場理解し尊重するということを認めたわけでございますが、日本国政府といたしましてはポツダム宣言立場を堅持するということでございまして、その意味するところは、台湾地域というものが中国政府に帰属するものであるということを当然に認めたものではなく、日本政府といたしましてはそれに関しては何ら物を申すべき立場にない、日本は、あくまで中国に返るべきものだというポツダム宣言の条項は認めるけれども、それが現実の問題としてどこに究極的に帰属するかどうかということについては、日本は物を申す立場にないというふうなことであの共同声明が書かれているわけでございます。したがいまして、現実中華人民共和国政府施政権を及ぼし得ない地域につきまして、これが当然中華人民共和国政府外交保護権のようなものを行使し得る地域として、現在中国政府との間に日本政府は話をすることはしていないということでございます。
  25. 永末英一

    永末委員 私がここで聞いているのは、いま台湾地域におる人々の話ではなくて、日本に在住している台湾人と称せられる人が五万人以上おるのでしょう、そういう人々に対する法的地位という問題は問題にするつもりかどうかということを聞いている。
  26. 高島益郎

    高島政府委員 永末先生の御質問趣旨は、日本にいる元台湾方々法的地位について、日本側は現在国交を結んでおります中華人民共和国政府と何か取り決めをする必要があるのではないかというお話でございますけれども、これは、伊達参事官説明のとおり、実際に中華人民共和国政府台湾をいま支配下に置いてないわけでございますので、そのような中華人民共和国政府日本との間でいかなる取り決めも結ぶことはできないというのが現状でございます。  なお、元台湾人につきましては、特に戦前から日本にいました台湾人につきましては、日本はそのような特殊事情を深く考慮いたしまして、法律第百二十六号というのが昭和二十七年に制定されておりまして、この中で実際上永住を認めるような待遇を与えております。したがって、戦前からずっと日本におりまして、不幸にして日本平和条約の結果外国人となった、そういう台湾人につきましては、引き続きずっと日本に在留することができるという法律がございます。これがそういう特殊事情を考慮した日本政府の結論でございまして、引き続き、従来同様、現に日本に居住しているわけでございます。外国人登録法上の取り扱いにつきましては、先ほど法務省から御説明があったとおりでございます。
  27. 永末英一

    永末委員 それでは、現在、いわゆる在日台湾人というのは何名あって、そしてこの法律によって永住を認められている者は何人で、一年一年の外人登録に従って、一年ずつ滞在期間を延ばしているような身分の人は何人か、お教え願います。
  28. 末永節三

    末永説明員 昭和四十九年四月一日現在の統計でございますけれども台湾出身者は約二万四千人ということになっております。それから、そのうちのいま先生の言われました詳しい内訳は、推定ということになりますけれども戦前からわが国に在留している者、これがいまアジア局長が言われました一二六、二の六該当者と言いますが、その子供でございますが、その在留資格は四、一、十六の二、期間は三年でございますが、その方たちを合わせた数は、ほぼ一万二千人ということになっております。ですから、その残りの方々在留資格で一年、二年、三年という部類分けになっておりますけれども、それは現在の表からはちょっと出てきておりません。
  29. 永末英一

    永末委員 外務大臣日本国政府外国人を扱うについて、ほかの国籍の明瞭な人は別に言う必要はないのですが、朝鮮半島出身の方につきましては日韓条約のとき、昭和四十年にある程度の整理をしましたが、まだ全部整理がついたわけじゃございませんね。北朝鮮との関係がございます。台湾については、一応ついたように見えましたけれども、ついてないことはいまや明白である。この人々も何年かたてば死に絶えていくわけであって、自分国籍がどこであるかわからぬという状況、しかもその状況の根源をつくったのはかつての日本政府ですね。こういうものについては、政府はたとえ戦争に負けましても一貫性があるはずだと私は思います。戦争後三十年たっておりますけれども、ある機会にはこれらの問題はやはり明確にしてあげることが日本国政府の義務だと思いますが、いかがでしょう。政治論としてお伺いしたい。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 人道的な立場から申しまして、永末委員の言われることは私はごもっともだと思うのでありますけれども、その法律関係がいかにも私にはちょっとむずかし過ぎまして、その点私からはとてもお答えができない。私にそれだけの理解力がありません。要すれば、政府委員から申し上げます。
  31. 永末英一

    永末委員 いまのは国務大臣としての宮澤さんにお聞きしたのでございますから、あなたの率直なお答えを伺えば、それはそれでおしまいであります。  法務省にこの面に関しましては最後にちょっと聞いておきたいのですが、先ほど、要するに、われわれは台湾人に関しては——われわれというのは政府はですよ、国籍がない状態になったということを確認したのだというところで終わっておるようでありますけれども、それなら、その人々自分台湾籍だと主張してみたり、あるいは中華人民共和国国籍にしてほしいと主張したり、あるいは日本国籍——日本人であったわけですから、日本人でありたいと主張して裁判所に提訴した場合は認めますか。
  32. 稲葉威雄

    稲葉説明員 私たち所管事務といたしましては、もっぱら帰化という面で所管をしているわけでございまして、各裁判所とかそういうところでどういうふうにお取り扱いになるかということは、それぞれ裁判所なり何なりがお決めになることでございますが、私どもといたしましては、帰化に関しましてはできるだけ御希望に沿うような線で取り扱っているわけでございます。
  33. 永末英一

    永末委員 所管が違うということで正確なお答えをいただくことができません。この問題は留保いたしまして、他日日を改めて、政府もひとつ十分御検討願って、私は日本近隣関係の外交問題、国際問題としては重要な問題の一つに将来——現在も将来もあると思いますので、質問を留保することといたしまして、前へ進みます。  さて、厚生省の方、お見えになっていると思いますが、いわゆる台湾人である元日本兵と言われる、これは軍人軍属軍夫、いろいろ名前があったようでございますが、その未払い給与は何件であり、どれぐらいの額だと考えておられますか。
  34. 横溝幸四郎

    横溝説明員 生きてお帰りになった方に対する未支給の給与などが、件数で言いまして、陸海軍合計四万七千百六十九件、金額で六千五百五十八万二千八百四十四円でございまして、亡くなられた方の御遺族に支給いたします遺骨埋葬料等につきましては、同じく陸海軍合計一万四千九十三件、金額にいたしまして千六百三十四万三千四十六円、こうなっております。
  35. 永末英一

    永末委員 その金額はいまどうなっておるのですか。
  36. 横溝幸四郎

    横溝説明員 御本人、これは生存者本人でございますが、あるいは御遺族さんが台湾におられますので、通常の内地の方と同じようなかっこうで支給できませんので、東京法務局に供託してございます。
  37. 永末英一

    永末委員 厚生省としては支払う意思があるわけですね。
  38. 横溝幸四郎

    横溝説明員 先生おっしゃいますとおり、一般内地出身軍人軍属でございますればどんどん支払いをやるわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情支払いができないということで供託してございますので、私どもとしましては旧軍関係債務として残っておる、こういう理解をしておりますが、事が外国人というものに対する債務の問題でもございますので、外務省その他の御検討を待ちまして対処いたしたい、かように考えております。
  39. 永末英一

    永末委員 厚生省外務省その他が道を開いてくれたら支払いたいというような御意思のようでございますが、外務省は道を開く用意がございますか。
  40. 伊達宗起

    伊達政府委員 検討いたしたいと思っております。
  41. 永末英一

    永末委員 それは真剣に検討するのですよ。  あとまた一括してやりますけれども戦死者が出ておると思うのです。最初台湾におきますいわゆる日本兵軍人軍属軍夫等になりましたのは昭和十六年から発生しておりますし、昭和十八年には海軍の特別志願兵制度も実施され、次いで徴兵制度も実施されるというようなことでございますので、戦死者が出ておれば当然遺族が出ておると思いますが、遺族扶助料というものは一体どういう形になっておるのですか。
  42. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 恩給法上の遺族につきましては、御承知かと思いますが、昭和二十八年に再発足しておるわけでございます。したがいまして、サンフランシスコ平和条約昭和二十七年でございますから、現在では公務扶助料を支給されておるという方はいないわけでございます。
  43. 永末英一

    永末委員 先ほど葬祭料の話は厚生省に伺いましたが、戦死をして、いまの昭和二十八年に至るまでの間のことは計算ができておるのですか。それはしないのですか。
  44. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 先生が先ほど申されましたように、台湾特別志願兵だとかあるいは徴兵令終戦間際に施行されておるわけでございますから、終戦までに死没されました方につきましては、そのときに公務扶助料給与事由が発生しておるわけでございますが、御承知のように、ポツダム宣言によりまして昭和二十一年の二月一日に軍人恩給が廃止になっておるわけでございます。したがいまして、未給与金的なものがあるとすればその二十一年の一月まででございますが、この件につきましては、人数がどれくらいで金額がどれくらいか、私どもまだ調査しておらないわけでございますが、在職期間が非常に短うございますから、まずほとんどないのではないか、このように理解しておるわけでございます。
  45. 永末英一

    永末委員 この前の委員会でこれらの人々の個人の請求権はあるというのが外務省の方の御答弁のようでございました。いまお答えを聞いておりますと、在職期間が短かったからとかいうような話でありますが、たとえ二十一年の七月とかなんとかいう時点をとりましても、戦死した時点から相当な数の人々戦死者最後が一番多かったわけでありますから、相当な数の人々がやはり該当しておるわけであって、その遺族というものはそのことを覚えておるわけだ。日本政府は星移り、年かわり、代がわりして、過去にぼやっと忘却のうちにものを投げ捨てていいと思っておったら、これは大間違いですよ。あちら側の人々の脳裏には刻みつけられておる事件。やはり全力を尽くして調べて、わが方の債務であるものは支払うということは当然ではありませんか。御答弁願います。
  46. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 請求権の問題につきましては、戦死されましたときから二十一年の二月までの間には、これは法律的には請求権があると考えております。
  47. 永末英一

    永末委員 請求権があるとお考えでしたら、いま三十年たって事情はなかなかむずかしゅうございましょうが、わが政府のあとう限りの努力をして、その数、該当者というものはお調べになる御用意はございますか。
  48. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 先ほど申し上げました期間の未支払い金でございますが、これにつきましては大分前でございますが、韓国と一緒にその支払い金をどうしたらいいだろうか、いわゆる外交上の問題も絡みますので、支払い金はどうしたらいいだろうかという御相談を申し上げたわけでございますが、外務省さんの方は、結局外国人に対する債権になるわけでございますので、支払いの点については一時見合わせておったわけでございます。ただ、韓国の場合には、御案内のように日韓条約ができましたので、その暁におきまして支払っておるわけでございますが、台湾の本島人の場合には現在支払っておりません。
  49. 永末英一

    永末委員 きわめてふわっとした御答弁ですが、要するに日韓条約締結された結果、この件についてはある意味で支払ったということのようでございますが、しかし台湾人の該当の方々に対しては、日本政府としては支払っていない、こういう御答弁ですね。確認してください。
  50. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 私どもとしましては事実問題としてお答えする以外ないわけでございますが、事実としては支払っておりません。
  51. 永末英一

    永末委員 外務大臣日本国政府というのは、人を徴集したり召集したりして戦争に駆り立てておいて、死んで——そのときは日本人ですよ。そしてたまたま日本内地と称せられるところに帰還を許された者は、その家族は遺族扶助料を支払われた。歴史の大きな転変の結果、ストレートには日本政府の管轄下に来なかった者は、日本国政府法律によって認められている当然のその人の権利について、三十年も知らぬ顔をしておるということは、これはまたわれわれの日本国政府の外交としては望ましいことだとは思われませんね。あなた、どう思われますか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 望ましいことであるとは考えません。まあ過ぎ去ったことではありますけれども、かつての日華平和条約が結ばれましたときに、わが国にはそういう問題について処理をしなければならないという考え方が無論あり、取り決めを結びたいということを再三申し出ておったわけでございましたけれども、それが実現しなかったことによって、それが全部ではございませんけれども、問題の処理が非常に困難になったということかと思います。
  53. 永末英一

    永末委員 この際、この台湾人にして日本の軍務に服した人の数と、それから何人が戦死をしたか、もし日本人であるならば、戦傷病者として補償の対象になっている人が何人か、おわかりであればお答えを願いたい。
  54. 横溝幸四郎

    横溝説明員 台湾関係軍人軍属の件でございますが、復員された方が、これも先ほどと同様陸海軍合計でございますが、十七万六千八百七十九名でございます。死亡された方が三万三百四名でございます。  なお、給付のことにつきましてはわかっておりません。
  55. 永末英一

    永末委員 先へ進みます。  郵便貯金。この軍人の人は給料をもらったけれども、強制的な貯金、いわゆる軍事貯金というものをやらされておったはずでございまして、それは軍隊でございますから、一括して現在の郵政省が保管しているはずでございますが、件数は幾らで、どれくらいの金額を保管しておられますか。
  56. 久保田東志政

    ○久保田説明員 台湾の住民の方が現在持っておられる郵便貯金といたしましては、まず第一に、御指摘の軍事郵便貯金というのがございます。旧軍人軍属といたしまして野戦郵便局等で預入したというものであります。これは日本に原簿がございまして、現在高七十四万口座、金額にいたしまして十三億六百九十万円という数字になっております。ただし、この中には台湾住民の方の分と同時に日本人の分も、つまり日本人が野戦郵便局で預入したもの、これも全部一緒に入っておりまして、名儀だけでこれが台湾住民の方の分という分計ができません。  それからもう一つは、台湾の住民の方が台湾で普通に貯金をされたものでありまして、これは私どもの方では台湾記号の貯金と言っておりますが、これは実は原簿が台北にございまして、そのまま当方に返還されておりませんので、正確な計数は困難でございます。ただ、日本に到着しておりますいろいろな計数から一応推測いたしますと、現在高が二百四十二万口座、金額にいたしまして七千百七十万円でございますが、この中には先ほど申し上げましたように、日本人台湾で貯金したものも全部含まれておりますので、同様にこの分が台湾住民の方の分という分計は困難でございます。  それから、ごくわずかだと思いますが、台湾住民の方が日本内地あるいは台湾以外の外地で預入されたものがございますが、これも名義だけで台湾住民の方の分というふうに分計することは困難でございます。
  57. 永末英一

    永末委員 郵政省とすれば、請求があれば返しますか。
  58. 久保田東志政

    ○久保田説明員 郵政省といたしましては、これは郵便貯金でございますから、日本人であろうとどこの方であろうと、郵便貯金として正規にお預かりしている分にはいずれも区別はございません。ただ、しかし、いままでいろいろお話に出ておりましたように、全般的な請求権問題というものがございまして、現在その問題が未解決という状態が続いておるわけでございまして、郵便貯金につきましてのそういう状況を踏まえまして、現在支払いを保留しておるわけでございますが、最近、多数の御請求を台湾の方からいただいておりますので、目下関係の向きと御意見を調整しているわけでございます。
  59. 永末英一

    永末委員 最後のところもう少しはっきり言っていただきたいんですが、関係の向きと調整が済めば支払う意思かありますか。
  60. 久保田東志政

    ○久保田説明員 関係の向きと調整が済みまして、いわゆる請求権問題というようなものにつきまして何らかの解決がなされ、この郵便貯金について支払うという状態になりました場合には、わが方ではそれなりのものはきちんと準備してございますので、ただ技術的に支払い方法でありますとか、あるいは一々個々の方から御請求いただくことは大変煩瑣になりますので、その辺をどうするかとか、そういう技術的な問題は若干残ろうかと思いますが、筋といたしましてはそういう問題点さえ解決できれば、支払う用意がございます。
  61. 永末英一

    永末委員 二、三年前でございますが、インドネシアから、元日本兵であった台湾人の方が簡易保険の通帳を持ってきて支払えと言ったところ、議まとまらずしてついに支払ってもらえずに帰ったというお話を聞きましたが、いまのお話で、それぞれ諸条件が整えば支払う意思日本政府にあることは喜ばしいことだと思います。ただ、三十年間この金額は凍結をされておりますので、たとえば日韓関係処理には、これらの貯金の処理は別途の扱い請求権問題として処理をされました。全然事態は違いますけれども、沖縄県民の方々が祖国復帰をされましたときにも経済的に言えば同様な問題がございました。これらにつきましては、別途いろいろな財政措置や、あるいはまた行政措置を講じて、すぐさまこれが金額のスライドはできなかったのでありますけれども、沖縄県民の郵便貯金をされた方々のいささかでも御満足のいくような処置をとったことがございます。したがって、この問題も、言うならばある意味での政治的解決をしなければならぬ問題ではなかろうかと思います。外務大臣、御意見を伺います。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 世の中の非常な変転によって、ただいまのような困難な問題が生じておるように思いますが、わが国当局者としては、請求があった場合には、支払わなければならないという用意はいたしておるということのように存じます。確かにそういう意味では、債務を持っておるということになるのであろうと思います。やはり債務者としての責任は果たさなければならないというのが本筋であると思うのでございます。そういう意味では一つの決断を必要といたすと思いますが、政治的という意味が、私は永末委員のおっしゃる意味はよくわかっておりますけれども、また、別の意味では、それが相手側との外交関係があるとかないとかいうことと別個の問題としまして、そういう契約上の債務者としてのわが国、そういう立場ではやはり義務を果たさなければならない。そのための方法はやはり積極的に考えていかなければならないというふうに私は考えます。
  63. 永末英一

    永末委員 先ほどから、国籍の問題は基本問題でございますが、元のこれらの方々に対する給与の未支給金の問題、さらには葬祭料遺族扶助料、あるいは郵便貯金等について、やはりわが政府債務を負うべき立場にあるということは、それぞれ御確認をいただきました。  さて、外務大臣に伺いたいのですが、過般の日中共同声明の第五項「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」こういうことで、中華人民共和国政府宣言をいただいたわけでありますけれども、このことは、これら私人の請求を放棄したという意味ではございませんでしょうね。どのように御解釈になっておられますか。
  64. 高島益郎

    高島政府委員 その趣旨は、中国側日本に対して有することあるべき請求を放棄するという意味でございます。
  65. 永末英一

    永末委員 中国側がというのは中国政府でございますね。
  66. 高島益郎

    高島政府委員 当然でございます。中国を代表する政府としてそういう意思を表明したわけでございます。
  67. 永末英一

    永末委員 もう少し伺いますが、いま私が申し上げましたようなことは、現在はまだ中国政府日本国政府との間に問題になっていないかもしれません。ただ、日本国政府としても、それらの個人に対して債務を負っていると私は思います。わが日本政府はこれらの人々に対して、債務を完済すべき義務を負っておるだろうと思う。これらの人々は、やがて中国の有効な管轄権の中に組み入れられていく人である。こういうことを考えますと、われわれが日中間において、未来永遠の平和に関する友好平和条約を結ぼうという場合に、これらの問題について全く触れないでいく御方針ですか。これらもその機会に解決をいたそう、こういう御方針ですか。
  68. 高島益郎

    高島政府委員 先生の御質問趣旨どうもよくわからぬのですけれども台湾中国が将来支配下に置いた場合の問題としての御質問のように承りましたが、現に台湾中国の統治下にないわけでございまして、この台湾日本との間のいろいろな請求権の問題につきましては、サンフランシスコ平和条約におきまして、いわゆる特別取り決めによって処理するということになっていたわけでございますけれども、それが日中国交正常化の結果、そのような特別取り決めができなくなったというのが現状でございます。  さて、そういう現状でございまして、それならば、日本中華人民共和国政府との間にこの台湾の問題について何か取り決めができるかと申しますと、これは先ほど私申したとおり、現実にそういう関係にございませんので、支配下にないものでございますので、日本中国との間で台湾に関する請求権処理するということは不可能でございます。ただ、先ほど来いろいろ政府側から答弁いたしておりますとおり、台湾人日本に対する請求権、また日本台湾に対する請求権というものは依然として両方存在しておるわけで、これを何らかのかっこうで処理しなければならないという事実は依然として残っておるわけでございます。
  69. 永末英一

    永末委員 私が提起した問題は、日本中華人民共和国政府、両方政府でございますが、これは、ある意味では、戦争終結をはっきりせしめる条約関係に入ろうといちのが今回交渉しておられる平和友好条約交渉の問題だと思う。  さて、いまの御答弁を聞いておりますと、台湾の問題は、わが国政府があなたのところ有効な管理をしていないじゃないかと言う筋合いはないのであって、それは中華人民共和国政府台湾についてどういう判断をしておるかという方が、あっち側の問題でございましょう、私はそっち側を立てるべきだと思うし、だといたしますと、もしわれわれ政府がこれらの台湾人といわれる私人に対して債務を負っておるとするならば、いつの機会にこれを解決するのかという御方針を持たれてしかるべきではないか。私の提起した問題は、この際これをおやりになる意思はないか。もしあなた方がお考えのように、将来有効に中華人民共和国政府管轄権台湾地域全部に及ぶ場合に解決するのか、それともしないのか、この三つのケースがあり得ると思いますが、最後にこれをひとつ御答弁願います。
  70. 高島益郎

    高島政府委員 まず、いま交渉中の日中平和友好条約の性格でございますけれども永末先生は何か戦争状態の終結云々というお話もございましたが、私ども日本中国との間におきまして日中共同声明、あの段階で一切そういう戦後の処理は終わったわけでございますので、いま交渉しておりますところの日中平和友好条約の中でそういう戦争状態の問題を再び持ち出すということは不必要でもございますし、全く考えてもおりません。したがって、そういうことでございますので、戦争に伴う一切の処理の問題はもうすでに二年半前に中国との間に終わっているという立場でございます。  それから台湾に関する日本請求権、また台湾日本に対する請求権の問題は、先ほど来私申し上げているとおり、現に存在しているわけで、これを何とか解決しなければならないというふうには思っております。ただ、桑港条約で予期していたような意味での特別取り決めは結ぶ手だてがございませんので、それ以外の方法で何らかの解決を図らなければならない。しかしその時点が、中国現実台湾を支配する時期まで待たなければならないというふうには私ども思っておりません。
  71. 永末英一

    永末委員 これで終わりますが、歯切れの悪いところもございますが、外務大臣、いまアジア局長が申しましたように、問題が完全に解決したのではないという状態をお認めになった。そうすると、日本国政府としてはいつの日かこの問題は解決しなければならぬ、こういう立場におられるのですね、これだけお答え願いたい。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ事情がございまして、われわれとしてもかつてそういう問題を取り決めを結んで解決しようと考えたのでありましたが、そういうことができないままで今日の状態に至りました。しかし日本政府として、契約上の債務者としての債務を負っておることは明らかでありますので、何らかの方法でやはり契約上の義務を履行しなければならない立場にあると思います。いろいろむずかしい問題があり、かつ技術的にも実行方法としてどういうことがあるか等々いろいろあると思いますけれども、そのこと自身は私は政府としてやはり明らかにしておくべきだと思っております。
  73. 永末英一

    永末委員 終わります。
  74. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  75. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  日本国中華人民共和国との間の海運協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  76. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  77. 栗原祐幸

    栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————      ————◇—————
  78. 栗原祐幸

    栗原委員長 次に、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定譲許表の変更に関する第二確認書締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石井一君。
  79. 石井一

    ○石井委員 ただいま議題となっております両件について質疑を進めさせていただきたいと存じます。  そこで、まず最初に小麦貿易規約に関する議定書の件でございますが、この議定書はわずか一年間の延長であり、有効期限もあと三カ月だというふうな状態に入っておるわけでありますが、なぜこの一年という短期間の延長をしなければならないのか、その理由を明示されたい。そしてそれに関連しまして、この議定書の終了するのがもう目前に来ておるわけでございますが、その場合に、その後はどのような処置をとられるというお考えなのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  80. 羽田野忠文

    ○羽田野政府委員 お答えいたします。  議定書を作成いたしました当時、わが国を含む大多数の国は延長期間については当時及び先行きの市況を考慮いたしまして二年の延長が適当であるという主張をいたしました。しかしながら、EECが食糧援助規約への参加をめぐって構成国の意見が一致せず、議定書採択当時、その態度を明らかにし得なかったという事情がありました。とりあえず一年間ということで妥協した次第でございます。  議定書は、第一条に定めてありますとおり、本年の六月三十日で失効することになりますが、その後の取り扱いにつきましては、すでに国際小麦理事会におきましてさらに延長することに決定をいたしております。  本年二月十四日、ロンドンで開催された再延長議定書採択会議で本年の七月一日から一年間延長する議定書が採択されております。
  81. 石井一

    ○石井委員 この議定書は七一年以来四年間、再延長の期間を入れると五年間の長きにわたって経済条項がない、こういうことになると思います。この間、小麦事情というものが世界的に非常に変動し、価格が非常に高騰したり、供給の不足が起こったりしておる。こういう情勢下にあって、この協定または国際小麦理事会がいかなる調整の動きをしたのか、また政府はこれに対して評価をしておるのかどうか、この点はいかがでございますか。
  82. 羽田野忠文

    ○羽田野政府委員 七一年の小麦協定は経済条項がないわけでありますが、全加盟国からなる理事会はきわめて活発な活動を行いまして、小麦貿易に関する国際協力の実を上げており、特に七二年のソ連の小麦の買い付け以来小麦の過剰在庫は一掃されまして、市場価格はきわめて不安定に推移いたしました。国際小麦理事会は下部機構である執行委員会、市況に関する諮問小委員会の活動を強化いたしまして、特に規約第六条の規定に基づいて小麦の生産、貿易、価格、フレート等検討のほか、小麦の供給、需要等の見通しについての作業を七三年以来継続しております。市況検討小委員会は毎月会合いたしまして、公私の情報について市況検討と見通しの作業に集中しております。これらの結果は、それぞれ加盟国の小麦に関する政策に反映されておりまして、FAOその他先般の世界食糧会議等においても小麦理事会の市況検討、見通しに関する情報交換、情報の精度については他の食糧の場合にも範となるものとの評価をされております。  規約の第二十一条の規定におきまして、経済条項を含む新たな協定の準備作業を行うことが定められておりますが、七一年規約の有効期間中には小麦市場に大幅な変動があったばかりでなく、主要国通貨の不安定、石油問題、世界的なインフレの高進等の問題もありまして、これらはいずれも新たなる協定について成算ある交渉を不可能とするものとみなされまして、新協定の準備作業も延期されております。しかし、一九七四年の六月の理事会では準備作業に着手することが合意され、とりあえず小麦協定の歴史的評価と問題点及び在庫保有政策に関する研究が行われました。さらに、協定の準備作業を進めるため、七五年二月の理事会においては協定準備のための特別な作業グループを設置したような次第でございます。
  83. 石井一

    ○石井委員 いまの御答弁にもちょっとありましたが、小麦の価格その他で非常に大きな影響があると考えられますソ連なり中華人民共和国というのは、この議定書に参加しておるのかどうか、この点はいかがですか。
  84. 野村豊

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問のございましたソ連と中華人民共和国の件でございますけれども、ソ連は現在この条約に加盟しております。中華人民共和国につきましては、まだ加盟してございません。しかし、中華人民共和国はこの規約には非常な興味を有しておるというふうに言われておりまして、英国にございます中国大使館から小麦理事会の事務局に対しまして種々折衝ございまして、いろいろな情報を得ておるというふうにわれわれは承知しておるわけでございます。現在のところ、すぐこの規約に加入するとかいうことはわれわれとしては聞いておりませんけれども、将来あるいはこの新たな協定については十分考慮すべしというふうに言っておるようにわれわれ承知しておる次第でございます。
  85. 石井一

    ○石井委員 先ほどのお話にもありましたが、ソ連が最近小麦の国際市場で大変大量の買い付けその他をやっておる、そういうことから市場の撹乱要因となっておるというふうにも言われておるわけですが、この議定書との関連はどうなのか、また最近のソ連における小麦の生産状態が非常に悪化しておるからこういう状態が起こっておるのか、その原因はどういうことなのか、これをお伺いしたいと思います。
  86. 野村豊

    ○野村政府委員 ただいま先生の御指摘がございましたとおり、ソ連が七二年当時大量の小麦の買い付けをいたしたことは事実でございまして、現在のこの小麦協定におきましては、先ほど来先生の御指摘もございますとおり、経済条項というものがございませんので、かつてのようにこれを一定の価格帯で取引するとかそういうことはいまとしてはできないわけでございます。しかしながら、そのソ連の小麦の買い付け等の問題につきましても、先ほど来政務次官がいろいろ御説明されましたとおり、いろいろな情報の交換とか市況に関する情報というものはそれぞれお互いに提供し合いまして、そういった今後の小麦の需給状況というものを大いに加盟国の間で検討しておるということでございます。特に、七二年、ソ連の小麦の大量買い付けがありました後、わが国はそういったことを主張いたしまして、小麦理事会におきましては、従来ややもすれば中長期的な小麦の需要見通しということに相当な主眼があったわけでございますけれども、もう少し短期的な需給見通しも含めまして、大いに検討すべしというふうにわれわれは主張しておる次第でございます。
  87. 石井一

    ○石井委員 国際小麦理事会の活動に関連して先ほども政務次官からお話がありましたが、規約の第二十一条を拝見しますと、そこには「理事会は、公正なかつ安定した価格で、加盟輸入国に小麦及び小麦粉の供給を、加盟輸出国に小麦及び小麦粉の市場を確保するため、適当な時期に、価格並びにこれに関連する権利及び義務の問題を検討する。」等々とあります。これはいわゆる経済条項を含む新たな協定の交渉を意味しておる、こういうふうに思われるわけでありますけれども、こういう経済条項について各国間で検討が行われたのか。現在の情勢はどうなっておるのか。特に私がお伺いしたいのは、従来の過剰生産時代でなく、国際市場の情勢が最近とみに大きく変化してきておる、こういうふうなものをも新たな協定の中には含めようとしておるのかどうか、この点について御答弁いただきたいと思います。
  88. 野村豊

    ○野村政府委員 先ほど来政務次官からも御答弁がございましたとおり、この規約の二十一条の規定に基づきまして、経済条項を含む新たな協定の準備を行う作業を進めておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、七一年の協定の有効期間中というものは、先ほど来政務次官も申されましたとおり、いろいろな当面の市況検討に追われまして、新協定の検討には手が回らなかったわけでございます。しかしながら七四年六月の理事会からは、まず基礎的な研究からこれを開始することといたしておりまして、さらに従来の小麦協定の問題点等の検討を終わっているわけでございます。さらにことしの二月の会議におきまして、この問題を集中的に検討するための作業グループも設置されたわけでございます。  先ほど御質問の点でございまして、特に今後そういった意味で新しい協定をつくるべくやっておるわけでございますけれども、御承知のとおり、この新協定の作成という問題は、小麦貿易の農産物貿易に占めます位置にもかんがみまして、当然ガットでこれから行われますところの多角的な通商交渉でございますとか、あるいはまた、先般ローマで開催されました世界食糧会議のフォローアップ等とも非常に密接な関連があるわけでございまして、そういった動きも見ながら、この新しい協定というものを見直していかなければならないというふうにわれわれ考えておるわけでございます。  特に先ほど先生の御指摘もございますとおり、この新しい協定の内容につきましては、従来の協定というものがややもすれば過剰な小麦と低価格に対処するものであったわけでございますが、今後は需給事情が均衡あるいはまた逼迫気味の状況に推移することもあるかと存じますので、そういった事態にも十分機能的に対処し得るものでなければならないというふうにわれわれ考えておるわけでございます。特に、わが国のごとく恒常的な輸入国といたしまして、適正な価格による通常輸入量に見合う一定量の供給保障を確保するということは非常に大事でございまして、今後の新協定の検討作業におきましては、そういったわが国の利益も踏まえましてこの作業に参加していくというふうな考えでございます。
  89. 石井一

    ○石井委員 最近エネルギー危機の次には食糧危機だというふうなこともありまして、食糧政策というものは世界各国が大きく関心を持って、またそれに対する政策の転換というのをやっておる時期だと思うのですが、世界食糧会議や、最近ロンドンの穀物備蓄主要国会議などが行われております。とにかく在庫はどんどん減っておるし、備蓄政策のあり方が新しく関心を持たれてきておると思うのでありますけれども、こういう一連の会議を踏まえて、わが国はその備蓄政策について今後どういう方針をとろうとしておるわけですか。
  90. 野村豊

    ○野村政府委員 先ほど先生の御指摘のとおり、昨年の十一月にローマの世界食糧会議というものが国連の主催で開催されたわけでございます。この世界食糧会議は、現在及び将来の世界的な食糧問題を解決するために、食糧の増産とかあるいはまた援助の問題備蓄の強化というふうな重要な分野につきまして、今後の国際協力の進め方というような問題につきまして、基本的な幅広い合意というものが得られたわけでございまして、そういった意味で非常に有意義であったというふうにわれわれ考えておるわけでございます。  その中の、特にいま先生の御指摘のございました備蓄の問題でございますけれども、この問題につきましては、すでに国連の世界食糧農業機構というところでいろいろの検討がなされておりまして、各国が自発的な努力によりまして在庫の増加を図るというふうな、世界食糧安全保障という構想がかねがね出されておったわけでございます。その後、先ほど申し上げましたとおり世界食糧会議におきましては、その備蓄の問題につきましてさらに主要貿易国で話し合いをしたいというふうなことがございまして、特にアメリカ政府の考え方に基づきまして、ことしの二月の十日、十一日の両日にロンドンにおきまして、備蓄に関しますところの主要国の会議が開催されたわけでございます。この備蓄に関しますところの会議におきましては、今後とも輸出国及び輸入国ともそういった備蓄を持ちまして、将来あるべきいろいろな事態に対処しようというふうな構想に立っておるわけでございますけれども、このローマにおきますところの備蓄の会議におきましては、必ずしも具体的な提案というふうにはまだ煮詰まらないわけでございまして、単に意見の交換というふうに終わっておるわけでございます。  わが国といたしましては、基本的にはこの穀物の需給安定というためには、第一義的には世界の生産増大ということが必要でございますけれども、同時に、それによりまして輸出国が在庫水準というものを回復するということが重要であるわけでございます。これを補足するものといたしまして、たとえば日本のような国も含めまして、各国の在庫の積み増しの可能性が探求されるというふうなことでございまして、そういった輸出国の在庫の積み増しという問題とも絡めまして、いろいろ検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 石井一

    ○石井委員 この参考資料などを拝見していますと、わが国小麦生産というものが最近非常に停滞しておるということでありますが、生産の自給率の向上ということを一方では考えておるのかどうか。簡単で結構ですが……。
  92. 工藤健一

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  わが国小麦を中心にします麦作でございますが、生産に関しまして非常にいろいろの困難性がございまして、いま御指摘のように生産が停滞をいたしてきたわけでございます。しかしながら、最近の世界的な食糧需給の動向等にかんがみまして、国内産の麦は長期的な生産目標に即しまして、その生産を拡大して自給率の向上を図る必要がございます。そういう観点に立ちまして、四十九年産麦から一俵二千円等の麦の生産振興奨励補助金の交付をいたすということで、そういう政策を中心にしまして展開をいたしてきたわけでございます。いままで三〇%以上減少いたしておりましたが、まあわずかですけれども、収穫量で一一%ほど増加をいたしました。昭和五十年度においては、こういう麦作の減少傾向に歯どめがかかったとみなしまして、特に水田裏作麦がふえてきておりますので、その辺を中心にいたします生産目標に即しまして、今後増産を図っていきたいということで、約百六十四億ほどの予算を計上して生産振興に努めている状況でございます。
  93. 石井一

    ○石井委員 先ほど御指摘のあった世界食糧会議において今度理事会が設置されたようですが、これはどういう性格のもので、いつから活動を開始するのか。  これからの質問は、簡単で結構ですから、ひとつ簡にして要を得た答弁をお願いします。
  94. 岩崎充利

    ○岩崎説明員 世界食糧理事会の関係だと思いますが、この間、実はニューヨークで予備会談がございまして、期日としては六月二十三日から二十四、二十五、二十六、二十七の五日間やる、性格的には、大臣またはこれに準ずるようなレベルの方々が集まって会議を持とう、こういうことでローマで開かれることになっております。
  95. 石井一

    ○石井委員 わが国は参加する意思があるのか。また、その理事会が今後の世界の小麦情勢にどういうふうな役割りを果たすのか。
  96. 岩崎充利

    ○岩崎説明員 世界食糧理事会は三十六カ国の理事国が選出されておるわけです。その中にわが国も入っておりまして、当然出席する。そこで主として論議されますのは、これからの世界食糧問題をどうしたらいいかということで、たとえば食糧援助の話とか、あるいはそのための投資をどうしたらいいかというような問題が検討されるのだろうと思います。また備蓄の問題もあるいは検討されるかもしれませんが、特に小麦というような形で直接取り上げられるということではなくて、もっと全体の世界食糧問題の解決という方向から検討がなされ、議題として取り上げられていくというような形になっていくのじゃないかと思います。
  97. 石井一

    ○石井委員 わが国が提案したと言われておる食糧情報システム、これは今後どのように具体的に運営されていくのか、これは食糧事情に対してどのような貢献をするのか、この点を……。
  98. 岩崎充利

    ○岩崎説明員 世界食糧情報システムは、これは実はこの前というのですか、一九七二年以来不作を原因として、世界でかなりいろいろなむずかしい問題が起こってきたということでございまして、それをカバーできぬのはやはり世界での食糧情報が非常に不足していたからである、こういうことでわが国が世界食糧会議で提案いたしまして、各国ともこれは大変結構である、こういうことになりました。それで実はできるだけ早くこの世界食糧情報システムというものを発足させたいということで、三月にFAOの緊急理事会が開かれますが、そこでも恐らくこの問題を具体的にどうしたらいいかということが討議され、その後、早急に実施に移されていく。わが国といたしましても、これはまだ単年度でございますが、十五万ドルという特別の寄与をするということで今回の予算の中でお願いしている。そういうこととあわせましてこれから早急に実施に入っていく。これがだんだん整備されてまいりますと、世界のどこでどんな不足が起こっているとか、それから生産状況あるいは需要の状況、それから在庫の状況、こういうようなものがわかるような形で整備されていく。こういうことで、わが国を含めまして世界で期待されている、こういう状況になっております。
  99. 石井一

    ○石井委員 物価の高騰というふうな問題で特に問題になりましたが、アメリカからの大豆の輸入の規制とかいうふうなことが一昨年起こったわけです。アメリカはわが国に対して食糧の安定供給というふうなものを約束しておるのですけれども、こういうふうな問題が今後も起こり得るのか。アメリカ政府に対するこういう問題についての保障措置といいますか、そういうことはその後話し合いがなされているのかどうか。この点はいかがですか。
  100. 下浦静平

    ○下浦政府委員 お答え申し上げます。  小麦につきましては、私どもアメリカ、カナダ、オーストラリア、この三国が主たる輸入先になっておりますが、アメリカ農務省との間で話し合いを行いまして、ある程度の、年間三百万トン余でございますけれども、合意を得た上で輸入を行っておるということでございますし、それからカナダ、オーストラリアにつきましては、それぞれ小麦局がございますので、食糧庁との間でそれぞれ年間の取り決め、たとえばカナダにつきましては約百五十万トン程度、オーストラリアにつきましては百万トン程度、そういったような年間取り決めをいたしておりまして、供給の安定に努めておる次第でございます。  なお、輸出規制につきましては、昨年は、輸出規制とは申しておりませんが、われわれから見ますれば緩やかな輸出規制が行われておりますけれども、これもその後かなり緩和されてまいりまして、さらに緩和の方向にあるというように承っております。
  101. 石井一

    ○石井委員 相手の好意的な出方を期待しておるというだけでもいかぬので、具体的な何か協定なり何なりを結ぶ予定はないのですか。
  102. 下浦静平

    ○下浦政府委員 私ども具体的な協定というところまでは考えておりませんが、先ほどお答え申し上げましたような年間の取り決めをベースといたしまして、さらに先行買い付けと申しますか、できるだけ早目に買ってまいるというようなことをあわせまして、供給の安定に資してまいりたいと思っております。
  103. 石井一

    ○石井委員 あと二、三問、食糧援助規約についてお伺いをして、質問を終わりたいと思いますが、こちらの議定書の方も有効期間を一年延長するということを定めておりますけれども、その理由と、政府がいかなる立場をこれにとっておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  104. 菊地清明

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  食糧援助規約は一九七一年の国際小麦協定と一緒になっておりまして、つまり小麦協定が二つの部分から成っておりまして、小麦貿易規約食糧援助規約の二つから成っております。それで、この食糧援助規約のメンバーは、これに署名ないし加入する場合には、同時に小麦貿易規約に署名ないし加入しなければいけないということになっておりまして、絶えず一体として動いております。したがいまして、国際小麦協定が全体として一年延長ということになりますと、どうしてもこの食糧援助規約の方も一年間延長ということでございます。もちろん日本政府といたしましては、全体としてこういった一年、一年の延長というものはいかがかとも思いますけれども、特に食糧援助規約に関しましてはECの態度、それから米国の態度というものがありまして、なかんずくECの態度でございますけれども、これが一年延長、しかもその一年延長も必ずしもスムーズにいかないということがございますので、日本としては若干不如意ではございますが、一年間延長という、その二つの理由からでございます。
  105. 石井一

    ○石井委員 本件のもとで緩和を施行していく場合に、対象国やらその内容、方法というふうなものはそれじゃどういう形で決定されてくるのか。
  106. 菊地清明

    ○菊地説明員 わが国がこの食糧援助を実施する場合に当たりまして、対象国や援助をどうして決めるかということでございますけれども、規約そのものには、各加盟国の年間の全体の拠出量——日本の場合でしたら二十二万五千トンに相当する千四百三十万ドルでございますけれども、それを決めておりまして、さらに具体的にいかなる対象国に、またいかなる援助を割り振っていくかということに関しましては、各締約国がみずから決定するということになっております。わが国がこの援助を実施する場合におきましては、そのときどきの開発途上国の食糧不足の状況とか経済情勢、援助要請ということを総合的に勘案しまして、その国とバイでお話をいたしまして、食糧不足の窮状を救うということを基本的な目的といたしまして援助を決定しているということでございます。
  107. 石井一

    ○石井委員 そうすると、食糧援助委員会というふうな組織もございますけれども、これとは余り関係なくバイラテラルなベースで援助を決定するということですか。
  108. 菊地清明

    ○菊地説明員 そのとおりでございます。  ちょっと敷衍して申し上げますと、先ほど申しましたように、食糧援助委員会はその全体のことを決めておりまして、具体的な実施は各加盟国に任されておるということでございます。
  109. 石井一

    ○石井委員 過去の実績が相当上がっておると見ておられるのですか。主にどういう地域、どういう対象のもとにわが国は過去この計画の実施を行ってきたのか、ごく簡単に概要をお伺いしたいと思います。
  110. 菊地清明

    ○菊地説明員 日本の場合は主として米及び農業物資ということでやっておりまして、対象地域といたしましては、実績上から言いましてインドネシアが一番多うございまして、千七百四十二万ドル、そのほかにフィリピン、カンボジア等主としてアジアの地域に向けられておりますけれども、ただ例外といいますか、アジア以外のところとしては、この前地震のありましたニカラグアとかそれから中近東に対しましては国際連合の難民機構に対して供与しておるということでございます。
  111. 石井一

    ○石井委員 最後に、この議定書の第三条にわが国は留保を付しておるということですから、これは他国と異なって、米とか農業物資によってこの援助を行う方法が認められておるということに相なるわけですけれども、これは日本米の古米とか古々米とかそういうふうなものを予定しておるのか、この点はいかがですか。
  112. 菊地清明

    ○菊地説明員 日本は、留保によりまして米ないし農業物資ということになっておりまして、米の場合は、以前、例の余剰米のありました時代にはこの中から日本米を提供したこともございますけれども、この余剰米処理計画が一段落いたしましたので、今後は主として外米、特にアジアにおける米の生産国でありますタイ、ビルマから調達して供与していくということになると思います。  それから農業物資というのは、御参考までですけれども、肥料、農薬、小型の農機具ということになっております。
  113. 石井一

    ○石井委員 それでは、きょうはこの程度で終えまして、ガット第二確認書関係に関してはまた適当な機会にさせていただきたいと思います。
  114. 栗原祐幸

    栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来る三月五日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会