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宮澤国務大臣 御指摘のように、
わが国の
貿易外収支は逐年赤字が増大しておりまして、
政府見通しによりますと、四十九年度の
貿易外収支の赤字はたしか六十億ドルでございます。その中でやはり海運の赤字というのはただいま御指摘のように相当大きなことになりまして、それも逐年増大をいたしております。これは、結局邦船による積み取り比率が低下をしていくということ、しかも
わが国の
貿易量が大きくなってまいりますから、それだけ海運収支の赤字が大きくなってくる、こういうことで、
政府におきましても逐年、ずっといわゆる
政府の助成による造船等々に努めてまいっておるわけでございますけれ
ども、いろいろな観点、給与の問題もございますが、だんだん
わが国の海運業の国際競争力というものがいわゆる追い上げに遭っておるというようなのが実情でございます。これはこれとして海運対策を講じていかなければならぬわけでございますけれ
ども、もう過去十何年この傾向はなかなかとまらないというのが実情でございます。しかし、海運業は先ほどから
政府委員からも御
答弁がありますように基本的には自由なものでございますから、結局いろいろな方法によって、
わが国の競争力を損なわれないようにするというのが基本であろう。よその国が海運業に入ってくるということそれ自身を、何かの方法で防ぐということはそうやさしいことではございませんし、
わが国の競争力を伸ばすということに結局尽きるのではないだろうかというふうに考えます。
また、それとの関連で、ソ連の漁業、
わが国の近海における沿岸近くの漁業の点のお話がございました。基本的には公海における漁業であるということでございますけれ
ども、しかし、
わが国の従来の伝統的な漁場である、あるいは産卵場でありますとなおさらでありますが、そういうところへソ連の漁船がしかもトロールで入ってまいりまして、
わが国の漁民に、財産上の損害はもとよりとして、いろいろな好ましからざる紛議のようなものを生むということは、これはもう日ソ
両国の
友好関係からして好ましくないことであると考えまして、先般もソ連の
外務大臣にそのことをお話しし、ソ連としても、すでに
日本漁船と競合するような地域での出漁を差し控えるようにということを漁業省から現場に通達をした由でございます。でございますが、それがなかなか徹底していないということでございますので、つい先ごろも周知徹底方をソ連側に要望したという事実がございます。及び、このような問題について日ソ間で何かの
取り決めをしようということは、すでに従来から基本的にはソ連も
合意をいたしておりまして、専門家
会議をやっておるわけでございます。先般もグロムイコ外相にこの
取り決めを急ぎたいと申しまして、それには異存がないということであったわけでございます。
取り決めができますともう少し
事態は改善されるのではないだろうか。
渡部
委員の基本の御
質問は、ソ連という国と領土という問題はあるけれ
ども、これは非常に大事な問題だが、やはりそれはそれとしていろんな問題について十分話し合いをしなければ、いろんな
意味で
わが国に対して経済的になかなか力の強い国でございますから困ることがあるではないか、そういう御主張だろうと思う。それは私もそのように考えていまして、日ソ外相の
協議の場というのはそういうことのためにも活用してまいりたいと考えております。