○大高
説明員 ただいま土井先生からお尋ねの件でございますけれ
ども、十二月十四日の大韓航空〇〇二便でアメリカ人のオーグルさんが送還されるということにつきましては、警察側には事前にどこからも、何の通告もなかったわけでございます。
当日の
状況を申し上げますと、十四日の午後十時十分ごろ、運輸省の
東京空港事務所航務課というのがございますが、これから電話によりまして、五十二番スポットに出発
準備のために駐機中の大韓航空〇〇二便に、外人二人が搭乗券を持たないで入っておる、機長が困っておるので警察官の派遣を要請する、この旨の連絡が
東京空港警察署の方にございました、この通報を受けまして、警察では直ちに十一人の警察官を現場に派遣したわけでございます。
現場に派遣しましたところ、この〇〇二便というのはジャンボジェット機でございまして、すでにトラブルは中で起こっておるような様子でございましたので、中に入って事情を聞いたわけでございます。そうしたところ、外国人の方二人がおられまして、
乗組員の話では米国人の記者の方であるということでございますが、これと
乗組員の方と口論をされておる、こういう実情にあったわけです。
それで警察の方では両方のお話を聞きましたところ、まずこの外国人の方はワシントンポストの者である、この飛行機に韓国から強制送還されるオーグルさんが乗っているはずである、われわれとしてはこの人から直接取材したいのだ、こういうような話であったわけです。一方、クルーの方に聞いてみますと、クルーの方では、搭乗券を持たない人はここへ入ることができないので出てくれ、こう言っているのですが、なかなか出てもらえない、こういうようなことを言っているものですから、それではそのオーグルさんという名前は乗客名簿に出ているのかということを、大韓航空の
東京支店の地上の勤務員がおりますから、これに聞いたところ、そういう名前は載っておりません、こういう返事であったわけです。しかしながら記者の方も大変熱心に言っておられますので、それじゃ機長に確認をとろうということで機長室まで警察官が参りまして、機長にオーグルさんという人が乗っておるかということを聞いたら、機長は、乗っておりません、こういう返事であったわけです。したがいまして警察官はやむなくまた下へおりてまいったわけでございますけれ
ども、この二人の記者が確かにいるはずだとおっしゃるものですから、それでは機内を探してみましょうということで、出発間際の大変あわただしいときでございましたが、五人の警察官が手分けをいたしまして中を探したわけです。
探し方といたしましては、中には英語のできないのもあり、できるのもありというぐあいで、呼び方もまことに区々でございますけれ
ども、ミスターオーグルと言ったのもおりますし、ミスターオーグル・カムヒアとか、あるいは日本語でオーグルさんというふうに呼んで回ったというような
状況でございます。ただ、その際には、飛行機の後ろの方に至りますまで、前部はもとよりでございますが、全体としてそういうふうにやったわけでございますが、その
段階では特に自分がオーグルだというふうに名乗り出てくる人もございませんし、また何らかのいわゆる監禁
状態等にあるので助けてくれというようなアッピールをする人もない。また、ましてそういう
状況もなかった。
すでに飛行機の出発時間の十時三十分も近づいておりましたので、やむを得ずもとへ戻り、この
段階でワシントンポストの二人の方にお話しして下におりてもらった。もっとも、一人の方は警察官が戻ってくる前に機外にすでに出ておられたように思います。この方は、後でわかったのですが、たしかワシントンポストの
東京支
局長でございますか、オーバードーファさんという方だったと思います。
そういうことで一応外に出たわけで、飛行機は警察官が出ると同時にとびらを締め、すでにツイニングカーがつくということで、間もなく出発をしていったわけでございますが、私
どもでは、大変にごたごたした問題でございますから、当然お二人の外人の方に来ていただいて事情を聞いてみようということで、署の方に来て詳しいお話を
伺いたいというふうにお願いしましたところ、快く署の方に来ていただきましたので、署の方で事情を聞いたわけでございます。そらしたところ、この外国人二人の方は、一人は牧師さんでジェームス・ステンツェルさんという方でございます。もう一人はワシントンポストの記者でドナルド・オーバードーファ、私の呼び方が正確かどうかわかりませんが、オーバードーファという方でございました。それで、お二人とも、なるほどランプ腕章があれば入れるというふうに思ったのは間違いであった、若干トラブルを起こしたのは恐縮であるという旨のことをおっしゃいまして、
あと、どういうわけですかと聞きましたところ、確かにあの飛行機にオーグルさんが乗っていたと思うのだけれ
ども、結局わからなかった、われわれとしては直接会って取材したかったというような話をされたわけでございます。
ただその際に機長に聞いたところ、確かにオーグルさんは乗っているけれ
ども、会わせるわけにはいかない、こういうふうに機長の方は言った、こういうふうにおっしゃるものですから、私
どもに対する機長の返事とオーバードーファ氏に対する機長の返事が違っておったということに警察としては気づいたわけでございます。
また、さらに乗客リスト等も精密に見たわけでございますけれ
ども、その
段階でも名前がない、これはおかしいというふうに思っていましたところ、翌日の
新聞でもってオーグルさんがロサンゼルスに着いたということが報ぜられるということで、大韓航空の
東京支店長を通じて機長並びに乗務員から事情聴取をしたい、こういう申し入れをしたわけでございます。その結果、十三月の十八日それから二十日の両日にわたりまして、十二月の十八日にはチーフパーサーとスチュワード、それから二十日につきましては機長をそれぞれ機内で事情聴取をするということになったわけでございます。その際に、機長は確かにオーグルさんは乗っておりましたというふうに、オーグルさんが乗っていた事実を認めました。しかし、オーグルさんが
東京に飛行機が着いたときにおりたいというふうに言ったのだけれ
ども、自分としては立場上大変困るので残ってほしいというふうに話したところ、じゃわかったということで座席に戻られたものであって、別に飛行機の中でオーグルさんの動きをとめるようなことをしたこともないし、またオーグルさんを監視する人をつけたこともない、まして監視するような人もなかった、こういうような供述をいたしておりますし、またほかの乗務員につきましても、オーグルさんは機内で
新聞を読んだりしておったというような話を聞いております。
以上が警察の方が調べた
状況でございまして、いま先生のお申し越しの
趣旨に合うかどうか疑問でございますが、簡単に
状況を申し上げました。