○内海(清)委員 もちろんこれは具体的な相当の施策がないととうていできないと思うのであります。しかしそれにしても、そういう具体的なプロセスというもの、具体的な政策というものはいまの段階からはっきり明示して、すべてがそれに集中されていくということでなければ、これはとうてい無理だと私は思うのです。だから、ただそういうふうなものを示してできるだけの努力をするということでは相ならぬと思うのであります。
考えてみますと、この四千九百万にいたしましても非常な無理があると思うのであります。今後四、五年間にどのような
状況の変化が期待できるか、私
どもにはなかなかわかりませんが、いずれにいたしましても、この四千九百万というものを実現するのには非常にむずかしい問題がある、むしろ、私は不可能ではないかぐらいに
考えるのであります。
その点につきましては後で少し数字を挙げてお尋ねいたしますけれ
ども、この際お伺いしておきたいと思いますことは、
政府の
計画というものはこれはもう絵にかいたもちであってはならぬのであります。実現可能なものでなければならぬと私は
考えるのであります。この点が一番重要だと私は思うのであります。
考えてみますと、確かに、今日までの
政府の
計画というのは自由な民間企業の活動に介入しない、こういうたてまえからいたしまして、いわば
政府の期待の
計画である、あるいは目標の
計画であって、いままでは
政府としてはそれでよかったと私は思うのです。しかし今日の情勢から
考えますと、ずいぶん変わってきておりまして、いままでのような認識では、ことに原子力問題などに関しては国民の信頼をますます失う結果になりはしないか、この点に非常に不安感を持つものであります。だからといって、私はここに企業活動に直接介入したらいいじゃないかと言うのではありませんが、少なくとも国民も実際開発に当たっておる人も、これならできるという
計画をつくることが信頼性の回復の原点ではないか、こういうふうに私は
考えるのであります。
これまで、六十年に六千万キロということをどんどん言ってきた。しかも声を大にしてそれに従ってきた。この労組の組織の内外の教宣活動などから
考えてみましても、原子力の発電を推進しようというふうに
考えておる者は、この六十年六千万キロワットというものをずいぶん言ってきたわけです。それが今度は四千九百万になって、これを何とか推進しようじゃないかということで言わなければならぬわけでしょう。この原子力の必要性を説かなければならぬという
立場になるわけです。そうしてやったその結果、また六千万キロワットと同じように四千九百万キロワットもできなかった、こういうことになりますと、これはまじめに原子力の推進を図ろうとしておる
人たちに大変な迷惑をかけると同時に、失望感を与えて意欲を喪失させる、こういうことだと思うのです。同時に、それは
政府の施策に対する批判を生んで、国民の不信をますます増大させる結果になるだろう、こういうふうに思うのであります。
そういう点から
考えますと、
先ほど近江委員から再
検討したらどうかという御
意見もございましたが、さらに視点を変えまして、私は今日のわが国のエネルギー問題というものは、食糧問題と並んでわが国の生存にかかわる基本的な問題である、こういう認識を持っておるのであります。石油の危機以来、この点は深刻に国民にも
考えられてきたと思うのです。わかってきたと思う。しかし、最もその点について真剣にまじめに
考えなければならぬのは、その対応を講ずるのは私は
政府である、こう思うのであります。ところが、
政府がその点で相も変わらず旧態依然の思考方法で、なかなか実現不可能なことも、数字を並べて推進推進と言われるのでは、これから先のわが国のエネルギー問題というのはどうなるのか、こういうことに対する非常な不安を感ずるのであります。だから、いずれにいたしましても、今日の段階において、とりわけ原子力につきましては、いま大きな反省をしなければならぬ時期に私は来ておると思う。これを克服いたしませんと今後の飛躍は
考え得ないのだろう、まじめな反省がなされなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。いままでのような期待だけの
計画であったり、あるいはやってみてできなかったらそれはみんな協力が足らぬのだ、国民が悪いのだ、あるいは努力しなかった企業が悪いのだというふうな言い逃れは今後許されない、私はかように思うのであります。そういう点から
考えて、今回の六十年四千九百万キロというもの、これははっきりした実現可能な
計画であるかどうかということ、
政府のこの
計画というものに対しまする意義といいますか、
考え方、あるいはこれを推し進める力といいますか、そういったものについて所信をお伺いいたしたいと思うのであります。これは通産省のみならず、できれば
科学技術庁長官にもその点について所信をお伺いしたいと思うのであります。