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湯山委員 三百十二条についての法解釈の問題ですから、それはいまの御答弁にありましたように、たとえば総理
大臣対国民、それから県知事対県民、市町村長対市町村民というのは、それは明らかに
法律関係にある。ただ、何か事件が出てきた場合にはそれが顕在化してくるのであって、起こらなければもちろん潜在しておるということは当然だと思うのです。いまおっしゃったように、学説としてもそういう意見を述べている人もあるということですが、私はここいらの問題、いまのような非常にシビアな
法律論を離れて
考えてみて、今度は総理
大臣としての判断というものをするときには、総理
大臣としてもっと幅があってもいいのじゃないか。それは何かと言うと、三木内閣の政治姿勢が対話と協調だというようなことまで引っ張り出す意思は持っておりません。しかし、
原子力行政において
安全性の問題というのが非常に重要な問題である。今日起こっているほとんどすべての問題というものは、
安全性につながりを持っていると言っても決して言い過ぎではない。
そこで、その理解がたとえば不十分だとして、不十分な原告に対してあえて三百十二条というようなものをシビアに解釈して、これでもうぴしっといけば一つも出さなくてもいい、もしこれが入れられた場合には、この解釈だけから言えば一つも出さなくてもいいということになってしまうのじゃないでしょうか。
そうじゃなくて、私はもっと、憲法とまでいかなくても、総理
大臣対国民というそういう
法律関係があると思う。あるいはそうでなくても、別な角度から裁判長は
法律関係はあるのだという判断をしている。これは決して原告の側が、自分に都合のいいようにそう言い立てておるんではありません。言い分を聞いて判断をして、そして公正な裁判長が
法律関係はあるという判断をしている。それならば総理
大臣は、多少問題はあるかもしれない、しかし、国の機関である裁判所もそういう判断をしている、それならもう抗告なんかしないで、しかし他の面から、いまの守秘義務なら守秘義務、そういうことに関連して、出さないものについてはこうだというようなことで、ある
意味ではもっとそういうことに対して啓蒙するのにも非常にいい機会なんだし、そういうものを出せるものを出せば、納得する部分も出てくると思います。現に、具体的な例を申し上げますならば、「国際経済」という月刊雑誌があります。その雑誌へ、これは六月号ですけれ
ども、四国
電力の山口
社長がインタビューに答えていろんなことを述べておる、そういう記事が出ておりました。このことについて、私
どもはこういう雑誌も知らなかったのですけれ
ども、地方の
新聞はこんなに大きく、「原発建設は早過ぎ」とか、「
安全審査批判も」とか、こういう大きな見出しで出ておるのです。山口
社長の言っておられることは非常に多岐にわたっておりますけれ
ども、その中で、御本人も多分お認めになると思われる部分、こういうことは言ったけれ
ども、こういうことは言ってない、真意が伝わってないというような御本人の談話もありますから、それとこれとを合わせてみて一致する点で言えば、
安全審査についてはいろいろ論議されておるということは言っておる。それから、その
安全審査が
安全審査そのものになっていない面はありましょうというような言葉ですね。それから美浜一号、それについては、万博のときに
原子力の火をというようなことから無理をして早くやったために、あれには事故が多いというようなこともある
程度言っておられる。それから、これは伊方が早過ぎたということじゃないのです、全般的にはやはり少し急ぎ過ぎているんじゃないかとか、それから、こういう言葉は当然おっしゃらなければ出てこないのだが、
関西電力の
社長も、どういう言葉でしたか、正確に言えば、早かったという感じを持っておったとか、非常に緩やかな言い方ですけれ
ども、そういうようなことをここで述べております。それから核燃料サイクル、これは早く確立しなければならない、
日本はまだそれができていないというようなこと、そういうことが出ています。
これだけのことが出ますと、現地の人たちはどう言っておるかというと、やはり山口
社長はわれわれと同じ気持ちだ、よくわかっているところもあるんだ、このことに対する
評価は実に腹蔵のないことを述べておられる、それから正直に述べておられるというようなことを、また
新聞にもそう言っておるのです。だから、御本人は心配しておられるだろうけれ
ども、むしろこのことがお互いに感情的に相通ずるものがあるということで、逆にその地域
住民に、いまの正直な人だ、腹蔵のない人だというある種の親近感を与えておる。
これは、私はプラスかマイナスかと言えば、むしろこういうことを率直に言っておることはプラスであったと思っています。いままではとにかくがんこ一徹というような印象を受けておった人が、なおかつそういうことを非常に率直に述べておるわけです。まだいろいろありますけれ
ども、それらについては御本人も否定しておられるし、そういう点は申し上げる必要もないことですが、この資料も、三百十二条の三号云々で、これは間違いだということで決めつけて、一切出さないように網に入れてしまうというようなことは、私はむしろなさらない方がいいんじゃないかということを感じております。
そこで、今後の問題としてですけれ
ども、素人
考えから言えば、これで抗告が認められて、そしてこの命令は撤回されたということになったならば、もう三百十二条で出せと言われたものは一切出さない、むしろ
科学技術庁としてはいいそういう条件をつくってもらったわけですから、もうこれは一切出さないのだ、たとえば守秘義務の範疇に入ろうが入るまいが、秘密になろうがなるまいが、とにかく出せということ自体が
法律違反だから、もし高裁でそういうものが出た場合には一切何物も、一枚も出さないということができることになりますね。いかがでしょうか。