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井上説明員 昨年「
むつ」の問題が起こりましたときに、
原子力委員会も大変遺憾の意を表しましたし、私個人で申しますれば、外遊中でございましたが、急遽帰りまして、
原子力委員会として
対策を練った次第でございます。
しかし、一方におきまして、
原子力委員会そのものが俎上に上っておると同時に、これは
原子力委員会の所管と申しますか、任務以上に行政マターである、あるいは大臣だけでも解決し得なかったほどむずかしい問題であるということで、当時、あえて見解の表明を差し控えた次第でございますが、今般、大山
委員会の
報告が出まして、それを受けまして見解の表明をいたした次第でございます。
ただいま、すでに御
承知であるということでありまするから、重ねて申し上げる必要はないと存じますが、
委員会としては、大山
委員会の見解を尊重して今後の施策にできるだけ反映をしたい。この問題が、ひとり「
むつ」の放射線
漏れという問題だけではなくて、これが大きく国民の
不信感を抱いたことをまことに遺憾に
考えるということを前提に踏まえまして、さて、しからば「
むつ」に関しては当面どういう
措置をとるべきであるかという見解を
発表いたしておりまするが、その中で第一として取り上げたことは、やはり当時「
むつ」を
原子力船の
実験船として
日本が自主技術をもってこれを開発するという趣旨は正しいのであり、また、その意味において大山
委員会もこれをお認めになっておるのでありまするから、第一船「
むつ」の開発計画は、当然継続すべきであるということが第一点であります。
それから、「
むつ」の
試運転は不幸にして失敗に終わったのでありまするが、まあ幸か不幸か知りませんけれ
ども、一・四%というようなわずかな
出力でございまして、したがいまして、炉の汚染と申しますか、
放射能はきわめてわずかなものでございます。さような意味で、これは十分改修ができるし、改修するそのことには危険は伴わない、こういう
判断をいたしております。したがって、「
むつ」の新母港をどこにするかということは行政マターであるけれ
ども、それがどこでやられるにしても、
委員会としては、特にその改修工事に危険があるものとは
考えない。しかしながら、これを改修するにつきましては、大山
委員会で六つの項目について
指摘を受けておるのでございまして、一々ごもっともであると
考えます。
それで、その一部分は、昨日ももうすでに多くの方々から
お話しがございましたので、私
ども繰り返す必要はございませんが、たとえば、
原子力船事業団の人事の改善、技術陣容の強化等々のことは、もうここで繰り返す必要はないと存じますが、やはり大山
委員会で御
指摘のありましたように、ひとり遮蔽の問題を直すというだけではなくて、ここで技術的総点検をする、その場合に、当事者として原船事業団がこれの実施に当たるということは当然でございまするけれ
ども、やはりこれは国として、ないしは
原子力委員会として、当然十分な責任を持つ審査をいたしまして、再び同じような失敗と申しますか、ミスというようなものを繰り返すということは、厳に慎むべきであるので、さような
措置をとりたい。
第二船の問題につきましては、大山
委員会とは別個に
原子力船懇談会というものを組織いたしております。これには
関係の民間業界等の人も加わってもらっておりまして、目下審議中でございます。
それから、それとは別に、一体
原子力の体制がいけないんではないか、根本問題は体制にあるのではないか。これはたしか一週間ぐらい前、六月十一日だったと私、記憶をいたしますが、当
委員会にお呼び出しをいただきまして、体制に対する私
どもの見解は当時申し述べたのでございますが、目下内閣で御審議中でございます行政懇談会でも、私
どもといたしましては見解を述べたということを、この席でも申し述べたわけでございます。