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1975-06-19 第75回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十九日(木曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 八木  昇君    理事 伊藤宗一郎君 理事 田川 誠一君    理事 竹中 修一君 理事 石野 久男君    理事 瀬崎 博義君       加藤 陽三君    羽田  孜君       三宅 正一君    村山 喜一君       山原健二郎君    近江巳記夫君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    福永  博君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         気象庁長官   毛利圭太郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       井上 五郎君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  謝敷 宗登君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      島居辰次郎君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   堂森 芳夫君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     堂森 芳夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保及び原子力船むつに関する問題)      ————◇—————
  2. 八木昇

    八木委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。     〔委員長退席石野委員長代理着席
  3. 石野久男

    石野委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木昇君。
  4. 八木昇

    八木委員 私は、去る十日に事故を起こしまして大変問題になっております。佐賀県の玄海原子力発電所の一号機の問題について、若干御質問いたしたいと思うのでございます。  今回の玄海原発事故は、事故それ自体がむろん大変重大な問題でございますが、それと同時に、事故発生後のいろいろな措置、これがまた大変問題があったと私は考えるのでございます。  実は私は、各新聞を全部現地のものを取り寄せておるのでございますが、きょう持ってきましたのは、九州方面では一番多く読まれております西日本新聞を持ってきたのですが、これは各紙ともそうでございますけれども、この玄海原発事故発表されました翌朝の朝刊でございますけれども、こんなでかい記事でございます。一面トップ、しかも、こんなでかい横見出しで、「玄海原電放射能もれ」と出ている。それで、これは一ページ全面をつぶしておるだけではございません。これは二ページでございます。二ページもほとんど全面でございます。それから、十四ページのここの半分と、それから十五ページもこれでございます。もう全く玄海原発の問題で全紙面をつぶしておるという形でございまして、これは西日本新聞だけではございません。朝日、毎日、読売、それぞれ大変な大きな報道をしておるのでございます。それで、これは十三日の新聞ですけれども、十四日も十五日も連続でございます。これは翌日の十四日、これも一面トップでございますが、これもこの面だけではありません。それから、これはその翌日の十五日の新聞、これも西日本でございますが、これも一面トップでございます。そして、この写真は、「真っ白い作業衣つけ炉心部に向かう検査員」というものでございまして、これもこの面だけではありません。そういう状態でございます。  それで、これはどういうことから来ておるのかと言いますと、一つは、事故そのものですけれども、その後とった九電の措置等々に関してやはり非常に問題がございまして、そういう意味合いからも、新聞は大変問題にしております。そこで、そのことをお伺いいたしたいのですが、その前に、事実を一つ、二つだけ伺いたいと思います。  いま、玄海原電一号機は試運転中であったのでございますけれども、この事故当日は八〇%ないし八五%のロードでございますから、五五・九万キロの最大出力に対じまして五十万キロぐらいの出力運転をしていたようでございますが、この試運転というのは、いつから運転を開始して、そうして何日間ぐらいずっと継続して、それで、いつごろからそのロードに上げていたのか、まずその模様を簡単にお知らせいただきたい。
  5. 井上力

    井上(力)政府委員 お答えいたします。  御質問の点でございますが、御指摘のように定格出力は五十五万九千キロでございますけれども、当日は四十八万二千キロで運転しておりまして、運転時間は千八百九十八時間三十七分という、停止に至るまでにそれだけの時間がございまして、運転日数といたしますと約八十九日ということでございます。
  6. 八木昇

    八木委員 だといたしますると、今回、モニターブザーが鳴ったわけですけれども、ずっと継続してそのような運転をしていたわけですから、放射能漏れの量が漸次ふえてきていたという状態にあったのでしょうか。それともその時点、すなわち十日の午前八時二十分ごろ急に上がってブザーが鳴った、こういうことでしょうか。どうも私の感じでは、逐次ある程度放射能漏れの量が把握できていたのではないか、こういうふうな疑いを持ちますので伺いたい。
  7. 井上力

    井上(力)政府委員 御質問の点でございますが、今月の十日八時二十分にR15という復水器空気抽出器ガスモニター警報が鳴ったわけでございますが、計器の記録によりますと、八時二十分に急に放射能レベルが上ったということが観測されております。
  8. 八木昇

    八木委員 急に異常値を示した、こういうことであるとするならば、いま何らかの故障発生したということでございますから、当然、これは炉並びに発電機緊急停止すべきであった、私はこう考えるのでございますけれども、そのブザーが鳴ってから五時間四十分かかっておりますね。  それで、最初にちょっと伺っておきますが、緊急停止をする場合には、炉の方はどのくらいの時間でとまり、タービン発電機の方はどのくらいの時間でとまるのでしょうか。
  9. 高橋宏

    高橋説明員 玄海原子力放射線モニター異常値を感知した、すなわち警報が発信して、それから完全停止に至りますまでに、先生おっしゃいましたように約五時間近くかかっております。  まず、こういう場合の停止のルールでございますけれども、このR15というモニター警報を発信したわけですが、そのモニター計器チェックをまずいたします。それから、その計器チェックによりまして、計器指示自体には間違いないということを確認した後、次には安全に炉を停止するという観点から、通常、炉の停止スケジュールがございます。たとえば、二次系の冷却水補給水復水系から純水系に切りかえるとか、あるいはブローダウン停止するとか、スチームコンバーター停止するとか、そういう炉を停止する手順がございます。この手順に従いまして徐々に負荷を下げ、最終的に発電機を解列し、原子炉停止するということでございまして、本件の場合には、八時二十分にモニター警報発信を感知しまして、十三時五十分発電機を解列いたしまして、十四時に原子炉完全停止している、そういうことでございます。
  10. 八木昇

    八木委員 私が聞いているのはそういうことではないのでございまして、緊急停止、直ちに炉をとめる、そして発電機をとめる、こういう措置をすれは——私は技術的なことは深くわかりませんが、制御棒をぐっと入れてやりますと原子炉の方は瞬時にしてとまる。瞬時にしてというのは、それは一秒、二秒ということじゃないでしょうが、ほとんど瞬時にしてとまる。そして、むろんタービンは回っておるわけですから、これが完全に停止するまでには二十分前後くらいの時間はかかるでしょうけれども、全体を合わせてそんな時間でとめられるはずで、それを、いまのような手続を経るとしても、五時間四十分というのはどういうわけだということを聞いておるわけです。
  11. 高橋宏

    高橋説明員 先生御存じのように、このモニターで検出しました値はきわめて微量な検出でございまして、通常こういう場合にはスクラム、緊急停止という手段ではなくて、通常原子炉停止に至る手順措置させております。  ちなみに、美浜の一号ないし二号で同様の場合の停止時間でございますが、二時間ないし五時間やはりかかっております。
  12. 八木昇

    八木委員 しかし、五時間四十分もかけているということについて、九電側は、発電機の損傷と電気的ショック緊急停止をすると大きいというような言いわけをしておるようですが、五時間四十分もかけなければいかぬのですか。
  13. 高橋宏

    高橋説明員 通常停止の場合におきましても、なるべく時間を早くとめるということは先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、手順を誤まりまして、不測の事態を生むということはさらに悪いわけでございまして、そういう緊急停止ではなくて通常停止の場合には、その手順を踏まさせるということが必要かと思います。ただ、この辺は、さらに熟練、訓練等によりまして、この時間が短縮することは可能かと思います。
  14. 八木昇

    八木委員 いまの御答弁から、それにしても時間が少し長くかかり過ぎているというニュアンスは得たと思います。  そこで第二点ですが、当日八時二十分にブザーが鳴っておるのですが、その日の正午に佐賀県の公害課員モニタリングポスト定期検査玄海原発に行っておるのでございます。そして三カ所のモニタリングポスト検査をして、そして測定結果異常なしと報告しております。その時点事故発生してすでに四時間たっておりますのに、その公害課員事故は全く知らさせておりません。そういう事実を御承知でしょうか。そしてそのような処置を正しいとお思いでしょうか。
  15. 高橋宏

    高橋説明員 新聞にそのような記事が出たことは私も気がつきまして、九州電力事情を聴取いたしております。九州電力から事情を聴取いたしたところによりますと、先生いま御指摘のように、当日午後県の公害関係の職員が公害関係調査に来所しておるということは事実のようでございます。その係員の方に、九州電力が何も連絡しなかったことについてどうかという御質問かと思います。  一般論で申し上げますと、私は、このような事態が起きた場合の連絡ルートというものはあらかじめ確立をしておきまして、そのルートで流す、通報するというのが原則かと思います。したがいまして、一般論で言いますと、どなたにでもその場で通報しなければならないということはないかと存じます。しかしながら、こういうような事態でございますので、結果的に、そういうことが住民の皆さんの事業者に対する不信のきっかけになったということはまことに遺憾でございまして、こういう連絡通報体制につきましてルートを確立し、かつ、速やかにそのルートで公表していくということにつきまして、九州電力に厳重に行政指導していくつもりでございます。
  16. 八木昇

    八木委員 次にお伺いいたしますが、この事故をキャッチしましたのが午前八時二十分、九電が佐賀県に報告をしたのはこの事故キャッチ十二時間後でございます。県並びに地元玄海町と九電との間には、このような場合、故障あるいは事故発生時に、県や地元玄海町に連絡するという協定書が交わされております。しかるに、いまのようなことであったのでございますが、このようなことについてどのようにお考えでございましょうか。これは原子力局長なりあるいはエネルギー庁の審議官なりから、それぞれ端的にお答えいただきたいと思います。
  17. 井上力

    井上(力)政府委員 御質問の点でございますが、県と九州電力とが原子力発電所安全確保に関する協定を結んでおりまして、その中の条文によりますと、事故発生したときには、発生時に連絡するというふうになっておりますのは御指摘のとおりでございます。  今回の玄海発電所蒸気発生器細管漏洩事故につきましては、この協定に基づいて連絡しなかったではないかということを、県からもおしかりを受けているわけでございますが、九州電力といたしましては、われわれが聞いておりますところによりますと、事故内容をさらに確認し、その影響等調査してから報告ということでおくれたやに聞いております。  しかしながら、協定にはそのようになっておりますので、九州電力側も初めてのトラブルで、従来比較的順調に玄海発電所運転をいたしておりまして、こういうような事態に遭遇したことがないというふなれがあったにせよ、報告がおくれましたことは非常にぐあいがわるいというふうに思いますし、そのために地元から非常に不信感を買ったという点につきましては、まことに残念だというふうに考えておる次第でございます。  今後、こういった際の連絡をどういうふうにするかということは、県、電力会社の間におきまして、そのやり方等をさらに詰めるというふうなことをやるやにも聞いておりますし、われわれの方からも遅滞なく連絡するように、さらに九州電力に対して指導してまいりたい、かように考えております。
  18. 生田豊朗

    生田政府委員 科学技術庁といたしましても、ただいまの通産省のお考えと同様でございます。  この玄海一号につきましては、試運転中でございまして、試運転中には、先生承知のようにいろいろトラブル発生するわけでございますが、今回のトラブルにつきましては、蒸気発生器からの漏れというかねがねいろいろ問題になっているものと同種のものでございますので、私どもは、このような種類のものにつきまして、地元への連絡がおくれたのは大変よろしくない、かように考えておりますので、科学技術庁といたしましても十分指導いたしまして、今後こういうことのないように努力いたしたい、かように考えております。
  19. 八木昇

    八木委員 さらにもう一点お伺いをいたしますが、十二時間後にそのような連絡九州電力から受けました佐賀自体も、すぐこのことを地元の町村に知らせることもなく、また一般発表もしておりません。どうも玄海事故が起きたらしい、そのことが県に通報があったらしいということを報道機関がつかんだというふうに仄聞をしております。そうしてそのことが報道機関の側から追及をされ始めまして、あわただしくその後発表をしたようでございます。この事実は定かでございませんが、しかし、この通報を受けましてから県が発表いたしましたのは、さらに大変おくれておりまして十二日の日でございます。事故の翌々日でございますが、その際に県の久米厚生部長は、十三日に科学技術庁と同時発表するように国から言われていたという釈明をしております。それから佐賀県の安藤工鉱課長は、いたずらに県民を刺激すると判断発表をおくらした、こう言っております。国と同時発表するようにという指示科学技術庁はしたのでしょうか。
  20. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいまの点でございますけれども発表をおくらせろということを指示したことはございません。  ただ、先ほど来の先生の御質問にございますように、事実上そういうことで県民への周知がおくれてしまったわけでございますので、これからやるのであれば、その原因その他実態がはっきりわかってからの方がむしろいいのではないかということを連絡しただけでございます。
  21. 八木昇

    八木委員 そこで、長官にお伺いをいたしますが、これは九州で初めての原発なんです。これが設置認可になるに当たりましても、ずいぶんと住民運動もありましたけれども玄海町当局あるいは周りの農業団体漁民団体は、その当時はまあ大勢として、玄海原発設置について全面反対には必ずしも回らなかったのでございますけれども、今回のような事態を通じまして、事故そのものもさることながら、そのような一連のその後の事態につきまして、もう非常に不信感を高めておりまして、そのような態度表明を、町長以下地元人たちがこもごもしておるという状態でございます。  いまのような一連事柄について、長官としていかようにお考えでございましょうか。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど来通産あるいは原子力局長からお話がございましたとおり、一定の連絡ルートと申しますか、そういうものを常時やはり整備しておいて、こういうことがありましたときには、遅滞なく通報すべき個所には通報をして、万全の措置をとるのは当然のことでございまして、今後ともそういう面に注意を払うようにいたしたいと存じます。  先生の御質問はその点が主でございますので、事故そのものの評価といたしましてはあとでお話をいたします。
  23. 八木昇

    八木委員 そこで、これは改めて確認をしておきたいと思うのですが、いま営業運転中の原子力発電所の炉が何個で、停止中のものは何個であるか、そして美浜の一号と二号はいつから停止しておるか、そしてそれぞれの事故原因はつかめたか、そしてその原因をつかんだ上に立ってどのような対策を立て、運転再開は見通しがついておるのか、まず、それら一連事柄について簡潔にお答えをいただきたい。
  24. 井上力

    井上(力)政府委員 御質問の点でございますが、現在運転中の原子力発電所は八基でございます。そのうち運転をいたしておりますものが三基でございます。  その中には、御指摘美浜一号、二号が含まれるわけでございますが、一号につきましては数度にわたりまして蒸気発生器からリークがございまして、昨年の七月十七日から停止中でございます。異常に早く相当な本数にわたりまして減肉が進行するということを重大視いたしまして、現在その原因につきまして特別な委員会をつくり、実験その他を行いまして検討中でございます。美浜二号でございますが、ことしの一月中ごろにやはり蒸気発生器からリークがございまして、一月十三日から定期検査に入り、定期検査の中におきまして原因調査対策検討等を行っております。美浜一号機につきましては、先ほど申し上げましたいろいろな実験をやっておるわけでございますが、それらの結果につきましては、大体八月ごろには一応の結果が出るのではないかというふうに考えております。美浜二号機につきましては、同じく対策検討中でございまして、近くその結論を得られるものというふうに考えております。いずれも、通産省におきます原子力発電技術顧問会先生方検討をお願いいたしまして、検討しておるということでございます。
  25. 八木昇

    八木委員 いまの答弁では非常に不明確なんですが、要するに美浜一号は去年の七月からまるまる一年間、現在も停止中だ。それから二号機については、一月からもうすでに半年たっておりますが停止中だ。原因についても明確なものをまだ突きとめていない、対策についても明確な対策は立っていないというふうに私は理解をするのでございます。  そこで、美浜二号機と今度の玄海原子力発電所の一号機、これは炉は同じものでございましょう。
  26. 井上力

    井上(力)政府委員 美浜二号機の蒸気発生器玄海一号の蒸気発生器はほぼ同じ設計のものでございます。
  27. 八木昇

    八木委員 同じものであって同じような事故を起こしておるわけですが、ピンホール原因について私どもは非常に不信感を持っております。あけすけに言えば、当面を糊塗するような説明ばかりが行われてきたのではないか、こういう感じを持っております。  一昨年になりますか、私は美浜にも私ども所属党調査団の一員として行ったことがあるのでございますが、この蒸気発生器細管の上部にある揺れどめのためのストラップ細管との関係で一その部分が非常に熱影響を受けやすい、そのために腐食して穴があいた、そういう説明をしておりました。さらに今度は時がたちますと、水質管理のために注入してあるところの燐酸ソーダ影響がある、あるいはいまの第一の揺れどめのストラップとの関係のものと注入薬品との関係のものとが複合して、このようなピンホールというものが出ておる。ところが、その後あっちこっちにピンホールがあらわれますや、美浜の一号機についてはコンバッションエンジニアリングという会社のものであったが、今度はもっと権威のあるウエスチングハウス社のものに美浜二号の場合はしたからもう大丈夫だと言っておったかと思いますと、液を燐酸ソーダからヒドラジンにかえたからもう大丈夫だ、こういうふうに逐次原因について説明が変化してきている。  ところが、美浜二号機と今回の玄海原発とは同じウエスチングハウスのものであって、いまの御答弁のようにほぼ同様のものである。液についても燐酸ソーダを用いている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  28. 井上力

    井上(力)政府委員 御質問の点でございますが、確かに美浜一号機と二号機とはかなり設計が違いまして、私どもの方では、一号機の方につきましては数度にわたりまして故障があったということで、これを重大視いたしまして、昨年から長期間にわたり調査をし、検討を続けているわけでございます。二号機につきましては、これはことしに入りましてから初めて事故があったわけでありますが、その内容につきましては、設計その他かなり一号機とは違いますが、設計その他いろいろな観点からこれを現在検討中でございまして、御指摘のように、一号と二号とこういうふうに違うからこうだというふうなことは、まだわれわれの方としては結論を出しておるわけではございません。  それから、美浜二号機の蒸気発生器玄海一号機の蒸気発生器はほぼ似たような設計でございますが、玄海一号機の方につきましてはリークがあったということを現在確認しただけでございまして、今後どういう事故状態であるかということを調査いたすわけでございますので、事故内容につきましては、同じかどうか、まだ現在の段階では言えないわけでございます。  なお、使用いたしております水の処理でございますが、これにつきましては、美浜の場合と玄海一号機の場合とでは若干違うというふうに聞いております。は考えていないということでございますし、ヨーロッパにおきましても同様のことでございます。  それから、構造上の欠陥ではないかということでございまして、その点も私ども一応疑義を持ちまして、各国の情勢その他専門家ベース会議も行いまして検討しているわけでございますが、現在のところ、世界的に構造上の欠陥だという判断は生まれておりません。ごく部分的な問題であるという判断が全部でございます。  PWRにつきましては、先ほど通産省の御説明もありましたように、これはたとえばソ連におきましても、今後相当数PWRの炉を建設するという計画があるようでございますし、ヨーロッパ、アメリカはもちろんのことでございますので、原子力発電の主力として今後出るわけでございますので、世界的に非常に危険だと思われているものを、日本だけがあえて使うということでは決してございません。世界的に相当検討が進められ、こういう対応の仕方で十分だということに、さらに日本はその点を厳重にいたしまして対応しているわけでございますので、いまのところ、この問題が重大な安全上の問題になるとは考えていないわけでございます。
  29. 八木昇

    八木委員 時間が参りましたので、そこで、今日までの事故原因調査資料、それから今後の調査検査資料を逐次御提出いただきたいと思います。それに基づいて今後また質問をいたしたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に一括「むつ」の問題について、これは大臣にお伺いをいたしたいと思います。  昨日の夕刊並びにけさの朝刊で一斉に報道されておるのでございますが、佐世保市長の辻さんがいろいろと申しておられます。そこで、この「むつ」の修理港あるいは母港、それらの点に関して次の三点を一括伺いますので、お答えいただきたいと思います。  一つは、二月の下旬にN代議士を通じて、政府より佐世保での「むつ」の修理と母港化について打診を受けたと辻市長が語っておるわけでございますが、N代議士というのは、佐世保、N代議士と、こうなりますと、ほぼ見当がつくようなものでございますけれども、だれであるか。そして、そのようなことは、結局政府要請、意向、それをN代議士に託して辻市長に二月下旬にお話があったというのでございますが、そのようなことは事実であるかどうか。事実であるとするならば、これまでのこの委員会における政府側の御答弁と若干異なるような印象を受けるのでございますが、これが一点でございます。  それから二番目、辻市長は、昨日の記者会見で、「むつ」は原子燃料さえ外せば問題はなくなる、修理港としてなら「むつ」を受け入れてもよいというふうに語っております。このことは、燃料棒を抜いて、そうして修理のために佐世保に「むつ」を持ってくるならば受け入れる用意がある、こういう意味であると理解するのでございますが、燃料棒を抜くとするならばどこかで抜かなければならない。そういうことができるのであるかどうか、その点についてお伺いをいたします。  それから第三点は、佐世保を修理港として、さらには「むつ」の母港として、政府は今後正式に交渉する、いまそういう考えがあるのか、あるいは将来あり得るのか、この三点についてお答えをいただきます。
  30. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 第一点のN代議士云々の話は、新聞でN代議士とありますので、恐らく私もそうじゃないか、Nと言えば恐らく名字でしょうから、見当はつくのでありますが、私自体は実は関与しておりません。  それから、二番目の燃料棒を抜いて修理するか、燃料棒を抜かないで修理するか、非常に問題でございまして、抜かないで修理できればこれにこしたことはございません。いま抜かぬでそのまま凍結しておるわけですから。そして炉は動かぬようにしておるわけです。その点は、きのうも大分この委員会で問題になりまして、抜かぬでもできるのじゃないかという発言が二人の方からございました。せっかく事業団でただいまその結論を急いでいる最中でございますので、それが出ますれば、それによっておのずから明瞭になると思いますけれども、いずれにいたしましても、修理、総点検をすれば、そうすれば炉は安全だというふうに大山委員会指摘してございますので、ともかくもやはり修理を、何年後までというわけには、これは船の性質上もいかないと思います。ですから、燃料棒を抜く、抜かぬという問題は、私も事業団の結論を待ちたいと思いますが、いずれにしても抜かないで修理ができるとなれば、これにこしたことはございません。抜かなくちゃ修理が無理だとなれば、どこかで抜かなければいけませんと思います。  それから、佐世保はどうかというお話でございますけれども、もしきのうの新聞に載っておるように、佐世保で修理を受けたいという御意向でありますれば、これはまことにありがたいことでございまして、私どもとしては本当に感謝感激だと思います。しかし、いろいろ事情もありましょうから、私の方でもいろいろ調査もいたしまして、もし本当にそういう好意でありますれば、ぜひ受けたいものだという感じがいたします。
  31. 八木昇

    八木委員 時間切れですから、これで終ります。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 八木昇

    八木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団理事島居辰次郎君及び同専務理事倉本昌昭君を、それぞれ参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————
  34. 八木昇

    八木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
  35. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に、いま御質問のありました佐世保の問題ですが、この前私が長官にお尋ねしましたときには、第一候補地といいますか、そういうことをお話しになって、それをわれわれとしては今後も追求をしていく、何とかそういうふうにしていきたい、こういうお話があって、それが長官の定見かと思っておりますと、そうでもなくて、今度佐世保の市長がそういう発言をされると、大変ありがたいことだというお話です。  そうしますと、科学技術庁としては、そういう母港の問題あるいは修理港の問題などについて、格別の定見があるわけでなく、どこかここへつくってもらいたいという要望があれば、それに基づいて移動していく、こういうことなんでしょうか。
  36. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 青森県側との話し合いの結果は、山原委員もよく御承知のとおり、新しい定係港をつくって、そこでできれば「むつ」を修理してというふうな、大分長い期間を予定しての話のようでございました。それでも結構かとも存じます。  しかし、だんだんいままで、この半年ばかり私どもの経験したところから申し上げますと、大山委員会結論にもあるように、修理をし、かつ総点検をし、それを原子力委員会でさらに検査、審査をして、それで大丈夫だということであれば、これは大丈夫に違いない。したがって、それはお受けしましょう——安全というのは、単に安全だという学問的な立証じゃなくて、事実でもって示してもらいたいという空気が受ける側の、特に漁民の皆さんにとっては、これは無理からぬ気持ちかと存じますが、そういう気持ちが、大変通信その他が発達した現在において、各地の漁民の皆さんが皆そういう気持ちであるかどうか、特に全国漁連の空気はそういう空気であるやにも承知しておるのではないか、そういう上に立って、あるいは原子力委員会を初めとし責任ある機関で、もう一度深刻な検討と討議というものをする必要がある、かように私は感じておるのですけれども、その点、原子力委員長として大臣に、いかがお考えでございましょうか。
  37. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 去年の「むつ」の問題以来、御承知のように、特に安全に関する行政をどうしたらよろしいかということで、ただいま内閣の有沢機関で検討中なことは御承知のとおりであります。したがって、その結論を得ますれば、その趣旨に沿って極力実現方を図りたいと思いますが、先ほど通産省の方からも御説明ございましたように、PW、BWともども、世界の発電炉のほとんど全部と言ってもいいほど大量を占め、しかも、これがどんどん建設されているのが世界の情勢でございます。同じような事故がいろいろ起きていると思いますけれども、どうして日本だけがこうなっているのか、私、そこら辺の各国との比較と申しますか、そういう点ももう少し実は詰めてみたいと思っているのですけれども、もし技術的にあるいは材質的にいろいろな欠陥があるとすれば、各国で同じものなはずでございまして、それにまた改善を加えた国があれば、どうしてそれをわが国へ取り入れられないのか、そういう点等もいろいろ問題があろうかと存じます。  ただ、それにも増して一番問題なのは、私、就任して間もなく、いわば私の持論でいたしますと、事故というよりは故障に類する問題を、各国ではどういう扱いをしているのだろうか。日本と同じように世界じゅうで大騒ぎしているのであれば、恐らく世界ではこういうものをどんどん実現していっているはずがないと思います。恐らくは計画等も狂う、実施は誤差が生ずるでありましょうし、どんどん建設するはずがない。どうなっているかと調べてみますと、どうも各国の新聞等の扱いはそんなことはないようでございまして、別に新聞がいい悪いというわけじゃないのですけれども、非常に各国とは異例な扱いのように思います。これは、日本特有のまたいろいろな原因があると思います。それは決していい悪いの問題を言っているのじゃなくて、事実を言っているわけですけれども、各国でもやはり同じような扱いをしているだろうかというと、必ずしもそうではないように感じます。  ですから、その事柄自体の工学的な、あるいは理学的なと申しますか、そういう検討を加えることも必要でありましょうし、各国の監査検査の状況はどうなっているか、そういう点も必要でありましようし、各国でこういう問題に対する扱い方、そういう点が、特に国会等で一体どういう扱いをしているのかといったような点も本当に少し真剣に調べ上げて、そしてやはりみんなでこういう  ことがないように努力していくべきではないか、実は大変そういう感じに襲われておりまして、できますれば、有沢機関の結論もさることながら、そういう問題に対する調査等は、あるいは海外の人にしてもらうとか、いろいろな面で多方面の人たちにしていただいて、必ずしもエンジニアリングばかりでなしに、方々のこういう面に携わっている人たちに来ていただいて検討してみるということが、大変必要でないかという感じが実はしております。  現地の住民の理解云々と言いますけれども、その仕方自体が実は大変むずかしいのでありまして、ですから、そういう点も考慮したい。事故のないのが一番望ましいのでありますけれども、しかし、さっきおっしゃったように、事故が起きたときの通報の仕方とか、あるいは事故に対する扱いですね、政治的な扱い等は一体どういうふうになるのか、こういう点等も、十分いろいろ検討をする必要があるのではないかと思います。ただいまいろいろ御指摘がございましたので、早期にそういう検討に入ってみたいと思っております。
  38. 八木昇

    八木委員 たとえばアメリカの場合、技術的にも日本よりはるかに進んでおると思いますし、それから安全面についての行政体制についても、これは日本とは比較にならないほどの体制をとっておる。したがいまして、ただいまの大臣のお言葉ですけれども日本新聞にけちをつけられてもせんないことでございます。  そこで、これまた私は新聞を読むのですけれども西日本新聞の六月十四日の社説ですが、「つまずいた玄海原電」という見出しでございますが、ここの中では、やはり「構造上の欠陥の疑いも出ていることが重視される。」ということを指摘しております。「原子力委員会は、事故原因を徹底的に究明し安全性確保しうる対策を明らかにして、住民の納得を改めて求める必要がある。」ということも指摘しております。それから「公開の原則を守れ」ということを主張しております。そうして、今回のような十二時間も佐賀県への連絡がおくれた、そのおくれた原因を、この事故原因を突きとめた上でと考えた九電側の態度、そのように考え考え方、そこにむしろ問題があるということを指摘しております。それからまた、「原子力技術もいまなお開発段階にある未完成の技術である。」特にわが国においてそうであるということを指摘しております。  質問はこの点いたしませんけれども、そこで大臣にお伺いをしたいと思いますのは、かような状況では、私はもう当然のことだと思いますが、念を押す意味で聞くのですが、玄海一号の事故原因が徹底的に究明をされ、そうして、どういうことになるかわかりませんが、そのことが解決をされない限り、玄海二号の着工はとてもできない相談である、かように私は考えるのでございます。  それから九州では、第二の原発として鹿児島県の川内原電の設置の動きがあるのでございますけれども、今回のこの玄海原電事故にかんがみまして、川内の市長さんは、こんな状態では川内原電建設などはとうてい同意できるものではないと言明をしております。この点、いかがお考えでございましょうか。もう一度申し上げます。玄海二号機の着工は、玄海一号の問題がはっきりした解決を見ない限りとてもできないと思うし、川内原電などはとても立地できないと思うが、どうかという点であります。
  39. 生田豊朗

    生田政府委員 先ほど大臣が御答弁になりました点をもう少し具体的に御説明いたしまして、ただいまの御質問にも一部お答え……
  40. 八木昇

    八木委員 時間がなくなりましたから、端的に願います。
  41. 生田豊朗

    生田政府委員 簡単にお答えいたします。  まず、原子力委員会といたしましては、国内的には通産省の技術顧問会の検討の結果を逐次聞いておりますし、あるいは直接会社からも話を聞きまして、PWR型につきましては、十分検討をしている次第でございます。世界的な情勢につきましても、いろいろ連絡をとりまして、あるいは調査をいたしております。  ただ、現在までに私どもが入手いたしました判断情報といたしましては、この種のPWR原子炉蒸気発生器細管の損傷問題につきましては、各国で相当複数の同じような故障が起きております。  それで、これに対する対応の仕方といたしましても、実は日本が一番シビアな対応の仕方をしているわけでございまして、時間がございませんので細かいことは省略いたしますが、外国の方がもっと日本よりもルーズと申しますか、日本ほど厳重な対応の仕方をしていないわけでございます。アメリカにおきましても、ミシガン電力のパリセイドという原子炉がございまして、これが一年半、美浜の第一号と同様なことで停止いたしまして、いろいろ調査しました結果、この冷却水をかえまして、最近全出力運転に移っておりますが、これも、アメリカの原子力規制委員会委員が二、三カ月前に来日いたしましたとき、それにつきまして詳細に意見を交換いたしました。その結果でございますが、先方の判断といたしまして、むしろこれは、そういう故障が起きましたときに、炉をとめて検討し修理するということで、稼働率が落ちているので、経済的な問題としては確かに国内で問題になっているけれども、現在のようなやり方をとっていく限りにおいては安全上の問題と術上の事故原因、それから大山委員会の出されたもの、これを総合して、ではどこに一体責任があったのか、責任の所在はどこにあるのかということは明確にしなければ、これは国民の期待にこたえることはできないと思うのですよ。というのは、たとえば、これはどこでもそうですか、官庁だってそうです、あるいは私企業だってそうですけれども、請負契約をやる、あるいは仕事をする、それに国費が投入される、県費が投入される、その場合には、それに何らか支障が起こったりあるいは何らかの納期がおくれるとかいろいろな問題が起こる場合、事故が起こる場合、その責任の所在は必ず明らかにするのですよ。どこの官庁だってそうですねへ  ところが、この問題に関しては、一体責任がどこにあるのか、あるいはこの原子炉の部分についての責任はどこなのか、遮蔽についての責任は一体どこなのかということが、幾らここで論議をしても明確にならない。きのうの参考人の答弁を聞いておりましても、私どもの方は、反省はありますけれども責任はありませんというふうなかっこうになっている。だから、国費百五十億の金をつぎ込んでやったこの仕事、それがこのような大きな問題を国民に与えておるし、日本の学術研究にまで不信感を与えるというふうな重大な問題を起こす。しかも、「むつ」が動いておったならば、これは大きな効果を発生するだろうと政府は予想しておったわけですが、まだこれは動かないまますでに何カ月も経過しておるという国家的損失、そういうものから考えますと、一体この責任の所在はどこにあるんだと、これを国民が聞きたいのは当然のことなんですね。  この大山委員会報告あるいは科学技術庁の技術原因調査報告の結果、一体この部分についての責任はどこだ、どこに責任があるんだ、そんなふうなことは全くお考えになっていないのでしょうか。
  42. 生田豊朗

    生田政府委員 先生の御指摘はたいへんごもっともでございまして、私どもも同じようなことを考えているわけでございます。  ただ、この「むつ」の問題と申しますのは非常に複雑な問題でございまして、一体「むつ」問題というのは何であろうかということを、実は私どももいろいろ検討しているわけでございます。この「むつ」問題とは一体何であろうかというのが実はよくわからない。考える人によって考え方が違っておりますので、一つのまとまったイメージというのは必ずしもないのではないかと思っているわけでございます。たとえば、〇・二ミリレントゲン・パーアワーの放射線漏れを起こしたということだけが「むつ」問題であるのか。その技術的な問題であるとすれば、昨日の参考人からの意見聴取でも十分お聞きいただきましたようなことで、確かに研究開発の過程あるいはその成果と、それを実際の開発に取り入れていく、あるいは製作に取り入れていく、その間の技術的なコーディネーションについて不十分な点があったことは事実でございます。これがいわゆるシステムエンジニアリングの欠如として、大山報告指摘されている点でございまして、私どもはそれは非常に痛感しております。  そういう技術的な問題あるいはエンジニアリングのシステムの問題ということだけでとらえてよろしいのか、それとも、〇・二ミリレントゲン・パーアワーという微弱な放射線漏れであるけれども、それが原子力全般に対する国民の不信というところまで発展してしまった、そこの社会的、政治的なところに実は問題があるのか、そこのところでございますが、その後段の問題につきましては、まさにそれが非常に大きなマイナスであったということでございまして、先般の原子力委員会の見解におきましても、そこが大変遺憾であるということを言っているわけでございます。  その点につきましては、以前私も本委員会で一度御答弁申し上げたことがあるように記憶しておりますが、かつては、たとえば発電所で申しますと、電力会社の言うことが正しい、電力会社が安全と言えばそれで信頼できるのだということであったのが、その後の社会情勢の変化あるいは原子力そのものに関しますいろいろな問題もございまして、会社の言うことは信用できない。それでは国が安全だと言えば信用できるのかということになったように思いますが、「むつ」の問題以来、国が安全だと言ったのにそれがこういうことを起こして何だ、つまり一体だれを信用すればいいのだというような全般的な不信感が起きてしまった。これが技術の問題を越えました一つの問題であろうかと考えております。  それに対応いたしますのが、先ほど大臣の御答弁にありましたような、内閣の原子力行政懇談会でございまして、現在六回やりまして、実は明日七回目をやりまして、そのときには、いままで出ました問題点を全部総括しまして御議論いただくことになっているんですが、その出発点は、国民の不信をいかにして回復するかという点がその議論の出発点になるわけでございまして、まさにいま申し上げましたことを受けてやるわけでございますので、その辺、非常にごたごた申し上げまして恐縮でございますけれども、純粋に技術的な問題として解決できる部分と、行政あるいは社会的、政治的な問題としてでなければ解決できない問題と、その両方の問題をどういう角度で、どういう組み合わせで考えていくか、これは「むつ」問題をどう考えるかということをその点から割り出してまいりませんと、全般的な対応策としては十分にできないということであろうかと考えております。
  43. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、この人物に責任があるんだ、だからこの人物について処分をせよとかいうような意味で申し上げているわけではないのです。しかし、やはりそこのところがどうしても、これこそストリーミングというんでしょうか、何かもやもやしている感じなんですね。  これはちょっと余談になりますけれども、六月五日の週刊新潮を見ますと、前の森山長官ですけれども、こういうふうに言っているんですね。「今度の放射線漏れ問題調査委員会の答申は、原子力船開発事業団に責任ありとなっているが、私は、それだけでは不十分だと思う。むしろ、その事業団を監督する科学技術庁や運輸省に責任がありますよ。」これは記事ですから、言葉は正確でないかもしれませんか、しかしこういう言い方をしておる。おやめになっていいことを言い出したなと思っているのです。だから、科学技術庁あるいは運輸省、政府の責任もこれは重大で、やはりその点では、政府側の反省とか責任を痛感をした発言というものが、公式に発表されていいと私は思っているのです、そういう意味では。それはまだないんですね。それから、事業団は事業団で、前の堀理事の昨年の十月の発言を私は議事録から昨日申しましたけれども、堀さんの発言によれば、これははっきりメーカーが悪いんだ、責任があるんだ、こう言っているのです。それから昨日になると、今度はメーカーの方である三菱原子力工業の方は、いやもう納期は終わって、四十七年の八月二十五日に引き渡しが完了して、そして契約上の責任はないのでございますということですね。  こういうことで、全くいわばはねかけ合いのようなかっこうになってしまって、本当に国民に対してこういうことが起こったことに対しての責任を痛感して、まことに申しわけなかった、深い反省の上に立ってかくかくしかじかのことを私たちはやりますという、こういうことが聞かれないのが大変残念に思うわけです。その点をまず指摘しておきたいと思います。  それから次に、森山さんの言葉をもうちょっと引用してみますと、「なんでも、四十二年ごろには、ああいう具合に中性子が出るということは、物理学者の間ではわかっていたんだが、それを当時の機械の人たちは知らなかったということらしいんだね。さらに、三年前には、出る量についても、だいたいの計算までできるようになっていたんだそうです。それを、今も、設計のときは知らなかったんだから、という人がいたりするんでね……」こういう発言、これは恐らくかなり正確な言葉をここへ書いておると思うのですね。こういう状態りますので、であるならば、やはり母港そのものを決めることも必要だけれども、しかしその前に、修理も済まし、総点検を済ますということが、むしろ炉それ自体にも必要であるし、受ける方にもそれはその方がのみいいのじゃないかというふうな、実践と申しますか、経験からそういう感じが出てまいりまして、従来のままの行き方で青森側の要望にこたえ得るだろうかということになると、むしろそういうふうに修理、総点検等を急いでやった方が、急ぐと申しますか、確実にした方が、かえって事柄を全部の要望にこたえ得る道じゃないかというふうな感じも実はいたしまして、先般原子力委員会でもいろいろ検討いたしまして、その種の決定をいたしたことは御承知のとおりでございます。  したがいまして、そういう線に沿うて今後進めたいと思っておるのでございます。
  44. 山原健二郎

    ○山原委員 地元の市長という個人が、誘致といいますか、そういう意向を示すと、そこへまた今度目が向いていく、またここで反対が起こるということになってくると、また手も足も出ないという、いわば何か肝心のことが抜けておるために、ちょうど「むつ」のように海上に漂うような状態で、こちらへ一度決定をしてみたけれども、もちろん決定を押しつけるなんということを言っているわけじゃありませんが、その辺の定見といいますか、やるべきことが前提にあるのではないかという意味で質問をしておるわけです。  確かに、地域によっては来てもらいたい、修理は引き受けるという人もおるでしょうし、また反対の人もおるという、そこらが、全部どの地域だってあるわけですね。不安とそうして誘致推進というものがどこの地域だってあるわけだと思うのですね。そういうことで考えてみますと、これはやはりそこの両者に納得できるような政府側の「むつ」に対する姿勢というものがまず明らかにならないと、そういうことはいつまでも続いていくんじゃないかというふうに感じますので、その点は、私の感想を述べておきたいと思うのです。  それから、昨日参考人に来ていただきまして、特にいわゆる大山委員会報告に基づいての審議がなされたわけですが、この大山委員会報告というものをどう受けとめるか、大山委員会報告というのはどういう位置づけになっておるのか、これを伺いたいのです。  それは、いままで長官お話を聞きますと、たとえば大変傾聴に値するとか、参考にするとか、あるいは尊重するとかいうお話がありましたが、科学技術庁としての技術的な原因調査、二月に発表されたものがございますね。それから、今回の大山委員会原因調査報告というもの、これは内閣総理大臣の委嘱をした委員会報告でございますから、国民の側から見ますと、かなり権威を持った報告として受け取っておるわけです。それに対して政府がどう対処するかということに、国民は大きな関心を持っておると私は思うのです。  この大山委員会報告というのは、単に尊重するあるいは傾聴に値するという程度のものなのか、あるいはこの大山委員会の見解というものを、政府として正式の見解として認めるのかどうかということが残っていると思うのです。その点は、現在政府としてはどういうお考えに立っているんでしょうか。
  45. 生田豊朗

    生田政府委員 大山委員会報告書につきましては、先般も御答弁申し上げましたように、詳細に検討いたしております。  ただ、率直に申しまして、大山委員会報告の一言一句全部私どもとしてそのとおり承服するということではございません。中には多少意見の違う点もございますので、それらの点につきましては、大山先生あるいはその起草に当たられました柴田先生とも率直に意見を交換しております。  それで、この後の対応の仕方でございますけれども、この大山委員会報告の大要は、もちろん私どもといたしましても非常にもっともな御指摘だというように考えておりますので、それをいかにして実行するかということが問題だと思います。逐次実行に移しているわけでございまして、たとえば原子力船事業団の人事の刷新、技術水準の向上、それから、とりあえずは「むつ」の原子炉の修理、点検、さらにそれに引き続きます今後の開発計画につきましても、いわゆるプロジェクトリーダーが欠けていたことが非常に大きな原因であるということが指摘されておりますので、そのプロジェクトリーダーを事業団の内部に確立すること、こういうことも逐次やっておりますし、地元との連絡体制その他につきましても、事業団の人事を充実するということによりまして、その一つの足がかりを築くということで考えている次第でございます。  あと、安全審査全般の問題その他につきましても、いろいろ問題はございますが、十分傾聴に値する御意見は取り入れてまいりたいと思いますし、私どもで異論のあるところは、さらに大山先生その他の先生とも十分討論をいたしまして、その結果で実行に移してまいりたい、かように考えております。
  46. 山原健二郎

    ○山原委員 私どもも、大山報告が一字一句すべて完全に正当だなどとは思っていないわけです。また生田さんとは違う立場から、あの提言の中にも一定の問題を感じておる面はあります。しかし、この大山委員会報告が、ともかく誠実にこの原因を探求しようとしたこと、そしてそれを一定の期間をもってまとめられたということは事実であろうと思うのですね。そして同時に、それが政府の原因究明の機関としては唯一の、単に技術面だけでなくして、少し広範な立場で取り上げられた原因究明の報告ではないかというふうに思うのです。  そうしますと、では政府は一体、今度の放射線漏れ事故についてどういう原因発表されておるのか、あるいはどこが食い違うのかというようなこと、これはもう明らかになっているんでしょうか。二月に発表されたものと今回の大山委員会発表との食い違いなどというのは、それは視点は違う面があると思いますけれども、たとえば技術的に見て食い違いがあるんでしょうか。
  47. 生田豊朗

    生田政府委員 放射線漏れの直接の原因でございます遮蔽でございますが、この遮蔽につきまして、遮蔽小委員会あるいは科学技術庁と運輸省との間で事務的に設けております技術検討委員会結論と、大山委員会結論とは差がございません。それからさらに、その前提になっております高速中性子の問題につきましても、見解に差はございません。  そういうことで、現に遮蔽につきましては問題がないわけでございますが、今後原子炉の総点検を念のためやりたい。それに伴って、恐らく遮蔽だけではございましょうけれども、ほかに問題があれば、所要の改修をしたいという考え方につきましても、私ども考え方と大山委員会報告書の考え方とは全く同じでございます。  ただ、細目につきまして、大山委員会報告書は、先生もお読みになりましていろいろお感じになると思いますけれども、必ずしも全体がバランスのとれた書き方になっておりません。読み方によりまして、ある部分と他の部分とがかなり違ったような感じで読めるところもございますので、そういう点につきまして私どもといろいろ意見の違うところもございますので、そういう点は、大山先生初め関係の諸先生と十分意見を交換しまして、話を詰めてまいりたいと考えております。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 大山委員会報告というのは、これは内閣総理大臣から委嘱をされた原因究明の委員会であると思います。しかし、それはそれなりに調査の限界があると思うのです。問題点を指摘しても、たとえばきのうの参考人としての大山さんからの発言がありましたように、ではこの部分についての責任はだれかというようなところまでは、私どもは触れるわけにはいきませんという発言です。しかし、これは原子力船「むつ」を開発してきたすべての責任を持っている政府としては、明らかにしなければならない問題だと思うのです。その点がいまだ明らかになっていないと思うわけです。  だから私は、政府の方で二月に出されたこの技ておるのだと言うけれども、大半が三菱の技術陣、こういうことになるわけですね。だから、これが信義と誠実ということではなくて、やはりその辺に問題があるのではないか。実際は事業団は、大変悪いですけれども、この部分に関する限り名ばかりで、三菱のまる抱えで基本設計あるいは仕様書がつくられたのではないかという疑問すら私は持っているのです。その点は事業団としてはどうお考えですか。また、監督庁としての科学技術庁はその辺どういうふうに受けとめられておりますか。
  49. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力船事業団は、設立されまして非常に長期間、たとえば十年あるいは十五年の歳月を経まして、新しく採用いたしました技術職員を養成して、それから業務に取りかかるということではございません。設立いたしまして直ちに原子力船の開発に取りかかるわけでございますので、当然関係各界から専門家を集めましていたすわけでございます。特にこの「むつ」の原子炉、大部分の原子炉はそうでございますけれども、加圧水型、いわゆるPWR原子炉でございますので、PWR原子炉に関します限りは、わが国においては三菱原子力ウエスチングハウスと基本契約を締結しておりまして、その技術を独占しておるわけでございますので、その技術力といたしましては、どうしても三菱に依存せざるを得ないということはやむを得なかったことだと考えております。  ただ、そういうことと事業団が主体性を持つということとはおのずから別でございまして、他社からの出向者で構成されておりましても、当然事業団は事業団としての主体的な判断があるべきでありましょうし、当時は主体的な判断をしたものと考えております。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 事業団の御答弁はちょっと後へ回していただきまして、その基本設計と仕様書に基づいて三菱は製作をいたしておりますか。その基本設計と仕様書、仕様書の中には設計条件その他図面も出ておると言われておるわけですが、その仕様書に基づいて、そのとおり製作が行われたかという問題です。
  51. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 契約書に添付しております仕様書に基づいて三菱が製作をいたしておるわけでございます。それに対しては、事業団が監督者をもってその工事の監督もいたしております。
  52. 山原健二郎

    ○山原委員 昨年の十月十四日に堀理事は、「われわれが与えました仕様書、その他、あるいは設計条件によりまして——三菱に与えましたのは仕様書はもちろん、こまかい設計の図面、その他ついております。たとえば放射線量につきましては、これこれ以下という数値を示しまして、設計条件として与えておりますので、それをこえるときは当然これはメーカーの責任と考えます。」それから、「ストリーミングについては特に気をつけるようにという設計条件を与えてございます。ですから、それにもし反しているとすれば。これはメーカーの責任と考えます。」こういう発言をいたしておるのであります。  そうすると、この堀さんの発言というのは、いま事業団としてはどういうふうにお考えになっているのですか。これは公式な御発言だと思うのですが、いまどういうふうにお考えになっておられますか。
  53. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 この設計契約に当たりまして、工事の過程におきましては、この製作図面というのは三菱がつくってまいるわけでございまして、それに対しての図面承認というものは、事業団がこれを承認して、それに基づいてまたさらにその詳細設計を行い、それから製造を行うという過程を経てこれがつくられておるわけでございます。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと取り違えておる。もう時間がございませんので、また続いてやりたいと思いますけれども、堀さんの言われておることは国会で答弁されておるのでありまして、私たちは仕様書あるいは図面、その他を与え、それについて一定の設計条件も与えている、それに反しているならば、これはメーカーの責任と考えますという点をお聞きしているわけです。それはどうなんですか。それは仕様書どおり、基本設計どおりやられた、あるいはあなた方が指摘されたストリーミングの問題あるいは数値の問題、これは守られておったのですか。
  55. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 このストリーミング等の問題につきましては、これはストリーミングだけじゃございませんで、三菱に、ウエスチングハウスにいろいろチェック・アンド・レビューを頼むということを一つの条件のような形で契約をやったのでございます。  なお、そういった点について、三菱はその段階の技術をもってこの設計計算を行い、それで製造したものと考えております。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 あなた方が与えた仕様書、基本設計のとおり行われたのですかと言っているのです。それは完全に守られたのですね。
  57. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 その与えた仕様書は、満足はいたしておりません。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので最後に一言だけ。契約十二条の、さっき言いました「予測し難い技術上の障害」についての契約の変更、協議、これは私は大変必要だと思うのです。いまのお答えを聞きましても満足してない。満足してないより、もっと厳しく堀さんの場合は言っているわけですけれども、それはともかくとしまして、そうしますと、この「予測し難い技術上の障害」を契約の変更の協議条件としているこの十二条三項、これは当然適用されまして、そうして協議がなされるべきだと思うのです。私はその協議の結果を聞きたいと思うのですけれども、これは当然のことじゃないですか。どうでしょう。
  59. 島居辰次郎

    ○島居参考人 事業団といたしまして、この前の大山報告書にありますとおり、今回のストリーミングの現象は、必ずしもこれに該当するものとは、まことに言いにくいのではなかろうかと考えるのでございます。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 昨日あなたは検討すると言われたが、それもいまの御答弁で撤回されるわけですか。必ずしもストリーミングとは言えないということは、この十二条三項の適用は、今回の場合はしなくてもいいというお考えですか、どうなんですか。
  61. 島居辰次郎

    ○島居参考人 昨日帰りまして夜おそくまで検討したわけでございます。まだしかし続けて検討いたしますが、きょうは、いま御質問ございましたので中間的な報告をいたしますと、いまのように私としては考えられるという考えだけを申し上げたわけでございまして、今後引き続いてまた検討いたしたいと思います。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、「天災地変」などと並んで「予測し難い技術上の障害」これは明らかに技術上の障害であると私は思うのです。それからいままでの御答弁を聞きましてもそうだと思いますので、これは当然協議をして、その責任の所在を明らかにするなり、あるいはまたそれに対する適切な措置をとるなり、これは当然のことだと思っております。その点についてきょう御答弁を聞かれませんので、また改めて質問をいたしたいと思います。  以上で終わります。
  63. 八木昇

    八木委員長 次に、近江巳記夫君。
  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨日の参考人の質疑の際、いわゆる事業団と三菱とのそうした契約の資料の提出につきまして各委員から出まして、重複してはと思いまして私は要求しなかったわけですが、いまやっと手に入ったわけですが、ほかの委員は入ってないわけですね。したがって、当委員会において資料提出を求めた際、それは何も要求した委員だけではなく、本委員には全員に今後配付するように、ひとつ委員長の方からその旨はよく政府を指導していただきたい。この点を先に申し上げておきます。
  65. 八木昇

    八木委員長 ただいまの御要望のように措置していただきたいと思います。
  66. 生田豊朗

    生田政府委員 大変申しわけございません。そういう原則でやっておりますので、手落ちかと思いますので、今後御指摘のようにいたします。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨日、佐世保の市長が「むつ」の修理港を受けるという意向を示したということが一斉に報道されているわけです。先ほどの質問に対であるわけです。  そこで、私はもう一度、事業団の理事長さんにもおいでいただいておりますので、契約の問題についてちょっと伺いたいのです。昨日契約書を出していただくということでちょうどいまここへ渡ったものですから、私まだ読んでおりませんけれども、この契約というものは、これは請負契約の形態をとっておりますから、その際には当然こういう、いまも森山前長官が言われておるような、鉄製リングの場合については、放射線漏れの量まで、三年前に測定されておるのですよと、彼みずからが言っておるような状態の中での契約というものですね、この契約が、それじゃ瑕疵の担保というのは一体何だろうか。事故故障が起こった場合、国費を使ってやる場合には、もっと厳密にその瑕疵が起こった場合のこれに対する担保あるいは賠償請求、こういうものは当然なされなければならぬわけですね。瑕疵担保というのは何が担保になっているのでしょうか。
  68. 島居辰次郎

    ○島居参考人 これは船体と炉の方と契約が二つに分かれておりますが、両方とも二十二条に「保証工事」という名目で四項までございますが、一カ条のうちに書かれております。お手元にあると思います。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと全部読めませんが、性能保証の問題について、理事長は出力と速力の性能保証の問題を言われましたが、それだけですね、性能保証の問題については。
  70. 島居辰次郎

    ○島居参考人 船体の方につきましては速力でございます。それから原子炉の方につきましては炉の出力と炉の燃焼量でございます。その二つに分けてございます。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 それですと、炉の部分についての出力問題は出ておりますけれども一般の船舶とほぼ同じ契約書になっているように思うのですね。これはこんな契約でよかったのでしょうか。今日の事態発生をしてみまして、理事長としてはこの程度の契約でよかったのかどうか、この辺何か検討されておりますか。
  72. 島居辰次郎

    ○島居参考人 当時の状況を私もよく存じませんが、書いてあるものあるいは聞いたことによりますと、いろいろ折衝した結果こういうふうな形になった。というのは、官庁で船舶を契約します、たとえば保安庁とかその他のものを参考にしてこういうふうな契約になったというふうに私、聞いておるわけでございまして、いわゆる物を開発していくということに非常に重点を置きますとまた違ったことができたのかと思いますが、当時としては、今日のような事態は恐らく予想していなかったのではないかと思いまして、普通のこういう請負契約になったのではないかと私、考えるのでございます。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 そこらあたりの契約ですね、契約を初めて見せていただくわけですが、その辺の契約の慎重性の欠けた点とか、この契約について科学技術庁としての、監督庁としての、その際にこういう契約ではだめだ、いろいろな故障事故が予想される場合には、これだけの契約というものが必要なんだという、そういう監督上の任務というのは果たされたのでしょうか。
  74. 生田豊朗

    生田政府委員 私ども先生の御指摘のような感じがしないことはないわけでございますけれども、ただこの契約の二条をごらんいただきますと、「理念」というのがございます。ここに通常のこの種の契約と変わったことが書いてございまして、読み上げますと、「甲および乙は、この契約ならびにこの契約に基づく業務が、関係当事者の協力を得て原子力第一船を開発するという特殊な性格および重要かつ複雑な内容をもつことを認識し、信義、誠実の原則にのっとって、この契約の完全かっ円滑な履行を図るものとする。」ということでございます。契約と申しますのは、これは本来非常にドライなものですが、この二条というのは、非常に日本的と申しますか、ウェットな条項が入ってきておりまして、昨日参考人の方からもいろいろお述べになりましたような、契約を締結いたします当時の事業団及び関係業界との間の複雑な事情が、この第二条に集約して反映されているものであろうと考えるわけでございます。  こういうことで、ここに書いてございますことは、契約の各条項を盾にとってどうこう言う、あるいは契約違反だから裁判に訴えるということではなくて、お互いに信義と誠実の原則にのっとって一体となってこの開発をやろうじゃないかという、非常に精神的な面が強く出た契約になっております。  したがいまして、この二条から全体を判断いたします場合には、私は、昨日三菱原子力の社長が申しましたように、契約上は損害賠償の義務がないとかということは確かにそうでございますけれども、契約全体からすれば、それは非常におかしいわけでございます。仮に契約の条項一つ一つをとりますとそういう問題はありましても、当然第二条の精神に立ちまして、三菱と申しますと天下の大企業でございますので、当然これは契約の条項にもかかわらず、その点は十分協力するというふうに確信しております。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 時間も余りありませんので、この二条ですね、信義、誠実の原則というのがあるわけです。同時に、原子力船が特殊だからといって、こういう信義、誠実の原則というのは、決してなれ合いではないと思うのです。われわれが、たとえば財産問題で親子の関係で裁判が行われる、民法上のいろいろな問題が起こる、そういう場合でも、また裁判が起こらなくても、その間のいろいろな法律上の措置というのは非常に厳密に、厳しく行われるのが当然ですね。だから、そこのところで問題があいまいになったり、あるいは悪く言えばなれ合いになってはいけない。だから、その辺の厳密さというのは出なければならぬと思うのです。  そこで、どこに出ておるかというと、契約十二条の、昨日話のありました「予測し難い技術上の障害」を契約の変更の協議条件としている、こういうところには一応出ていると思いますね。  その問題について質問する前に、契約前文のところで、いわゆる三菱は原子炉の製作を請け負っている、こういうことが出ているわけです。この製作というのは一体何なのか。製作というのは、基本設計、詳細設計あるいは原子炉の製造、これを含めているのではなかろうか、そういうふうにもとられるわけですが、この製作というのはどういうふうに解釈しておるのでしょうか。
  76. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 この契約書に、いわゆる製造仕様書というのがございますが、製造仕様書に基づいてこの原子炉を製造設計あるいはこれの製作を行って事業団に対して納入するということであります。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一回聞きますが、基本設計はどこがやったのですか。それから詳細設計はどこがやったのですか。原子炉部分の製造はどこがやったのですか。
  78. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 基本設計は事業団がやったわけでございます。  それから、ただいまのあれでございますけれども、第三条をごらんいただきますと、「この契約に基づく原子炉設計、製作、艤装および試験等に関する乙の業務の範囲は、この契約書の各条項および仕様書等に定めるところによるものとする。」ということで、この基本設計、それに従ってつくりました仕様書というものは事業団がつくったのでございまして、その仕様書に基づいて製造設計は三菱がやり、それに基づいて製造は三菱がやるという形になっております。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 仕様書は、そうすると事業団がつくったわけですね。基本設計と仕様書は事業団がつくったわけですね。そういうことですね。
  80. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 事業団の責任においてつくったということであります。
  81. 山原健二郎

    ○山原委員 事業団がつくられたわけですから、その事業団の問題ですね。この報告書にも指摘しておりますように、原子炉部長初め原子炉関係者はほとんど三菱の出向者なんですね。だから、三菱とは離れておると言っても、昨日瀬崎委員が御質問になりましたように、ほとんどこの実態は三菱ではないのか。三菱の職員ではない、出向し
  82. 八木昇

    八木委員 いまの御答弁を聞きましても、美浜二号で起きた事故というものは、当然玄海一号でも起こり得るということは、だれが考えても、素人が考えましても同じものなら起こり得ますね。  そこで、今回の玄海一号は、いま御答弁がありましたが、いずれにせよ、ピンホールがあったという事実まではつかまえられておるわけですか。
  83. 井上力

    井上(力)政府委員 玄海一号の場合、これは今月の十五日と十六日に私どもの方から検査官を派遣いたしまして、現地で検査をしたわけでございますが、蒸気発生器が二つございますけれども、−水圧試験という試験をやりました結果、一つ蒸気発生器の一本に漏れがあるということは確認しております。
  84. 八木昇

    八木委員 それであれば、その個所とかなんとか、それらはもっとこれから確かめられるでありましょう。それから、現在漏れが出ていなくても、非常に危険な状態になっておる管があるいはあるかもわかりませんけれども、結局は、蒸気発生器細管のピンホールという点では、美浜二号と同じものだと理解してよろしゅうございますか。
  85. 高橋宏

    高橋説明員 先ほど御説明いたしましたように、ウエスチングハウスタイプであるということでほぼ同じ設計考えてよろしいかと思います。  ただ、私ども美浜一号、二号等の経験を生かしまして、この水処理につきましては、ボラタイル処理に切りかえるというような措置をとりまして、少しでも減肉原因となる要素を取り除くということはいたしております。さらに、建設の当初から細管についての品質管理につきましては、一本一本渦流探傷試験によりましてチェックをするといったような方法で、蒸気発生器安全性、信頼性の確保につきまして努力してきたところでございますが、本件のリーク、漏洩問題に関連しまして現在詳細調査中でございますので、その結果が判明した段階で、適切な判断と処置をとってまいりたいというぐあいに考えております。直ちに美浜の二号等と同じような状況かどうかということを判断するのは、現在、私どものポジションとしては若干早過ぎるという観点から、まず調査の結果を冷静に判断するという態度で臨んでおるところでございます。
  86. 八木昇

    八木委員 どうも私には了解できがたいのでございます。結局、そのような腐食の原因は一体何であるかということも必ずしも的確に突きとめられていないわけでしょう、先ほどの御答弁のように。しかも、この玄海の場合は、先ほどのお話で千数百時間試運転をしたにすぎない。しかも、これは私がいまさら申し上げるまでもございませんけれども原子力発電所の場合には、蒸気発生器細管はそれこそそうめんの束のようになっておる管であるし、その内部は放射能に侵されておるたぐいのものでございますから、この原子力発電所を三十年間運転するとするならば、管一本といえどもそれの全面取りかえは不可能なものでございましょう。そうすると三十年間、それは全部が無事故でいかないにしましても、原則としては無事故でいかなければならない管でございましょう。それがまだ何カ月間かの試運転で、美浜二号と基本的には同一の事故が起きておる。それで、同一の機械ならば同一の事故が起るのはもう当然でございます。しかも、試運転期間中にいち早く起きておる。  こういうことであるとするならば、これは同じ加圧水型で、しかもウエスチングハウス社の、たとえば玄海二号あるいはそのほかのすでに設置許可されておりますところの原発の場合でも、同様のものならば同様の事故が起こるというのは当然考えられてしかるべきものであったと、かように理解するのが常識だと私は思うのですが、その辺について責任はございませんか。
  87. 高橋宏

    高橋説明員 先生御存じのように、加圧水型の原子炉は世界各国でたくさん使われております。今後の建設予定を含めますと、この加圧水型と申しますのは、恐らく全発電ユニット数の半分以上を占めるかと思います。そういう各国の加圧水型の運転状況を見てみますと、やはり蒸気発生器に漏洩故障がある程度起きておるというのは事実でございます。  その原因は必ずしも一定ではございませんで、たとえばパイプと板が振動して触れ合って、そこが摩耗したというフレッティング現象があるとか、あるいはコンデンサーから冷却水がリークして、それが蒸気発生器細管を腐食させたとか、それから美浜の一、二号の場合のように、構造的要因と水質的要因が複合してチューブを腐食させるとか、いろいろな原因があるわけでございます。  それで、現在までのわれわれの調査によりますと、日本で起きておりますこの美浜の一号及び二号の件に関しましては構造が違いまして、したがって、減肉現象なり漏洩が起きておる個所は一号と二号とは全く違います。ただ構造的に、たとえば水流が妨げられやすい場所におきておる、それから水処理が燐酸塩を使用しておる、この両方の複合によって起きておるということにつきましては、ほぼ確実だとわれわれは信じております。それをどう対処するかということは、今後の課題  になるわけでございます。  しかしながら、玄海の一号につきましては、先生指摘のように非常に短期間でございますし、果してこれと同じような個所に同じようなメカニズムで起きておるかどうかということにつきましては、われわれまだそこまで調査が行き届いておりません。あるいは諸外国で起きておるような別のものなのか、さらに工作上の問題はなかったかというようなことを含めて今後調査をいたし、その結果によって、その状況に応じた適切な措置をとらせるということがわれわれの方針でございます。  なお、稼働率が非常に下がっておるという御指摘でございますが、御指摘のとおり、特に日本におきまして数少ないPWR運転実績の中で、美浜の一号、二号というものが、先ほど申し上げましたような停止状況にありまして、結果的に数字として非常に低い稼働率を示しているのは非常に残念でございます。私どもは、これが直ちに周辺の安全に関するものであるということには、全くそうは思っておりませんが、いずれにしても、たびたび原子炉停止する、あるいは長期間停止するということが、結果的には加圧水型原子炉の、国民の皆さんから見た信頼性を損なう、ひいては安全問題にも不信を抱かれるという事情もよくわかりますし、もちろん経済上の立場から言いましても、こういうものが発電停止をしてとまっているということはきわめて不利なことでございます。私どもは、前向きにこういうものの信頼性を、構造の問題等含めて上げる努力とともに、現在のこの建設されたもの等につきましては、たとえば定期検査中の点検あるいは使用開始前の試運転中の点検を厳重に行って、営業運転に入った段階では停止を少なくしていくという努力を各方面からやっておるわけでございます。
  88. 八木昇

    八木委員 実は時間が少のうございますので、玄海事故につきましては、いろいろと原因調査が進んでいく過程におきまして、これから先も何度か質問をする機会もあろうと思います。  「むつ」問題についての質問の時間を、後の方で十分くらい残したいと思いますので、結論を急ぎたいと思うのでございますが、どうも私は、先ほど来の答弁を聞きましても、「むつ」の大変大きな事故があり、そうしてそれがいろいろな問題を起こしております。それから美浜の問題、それらについて全く学んでいないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  そこで、何か液の問題であるとかなんとかいうようなことを言っておりまするけれども、もはやだれの目にもいま感ぜられておることですけれども、少なくともこの加圧水型の場合、蒸気発生器部分を中心として、やはり構造上の欠陥があるのではないか、この際そこまで突っこんでの十分の検討をすべきであるというのは、これは単に専門家間だけではなくて、むろん専門家はそういう主張をしておる人が多いですし、もともと日本の技術というのは、原子力発電に関してはそこまでいっていないという指摘をする学者は数多いわけでございます。そこで、やはり構造上の欠陥があしましても、それが事実であれば非常にうれしい、感激である、そのように長官もおっしゃっているわけです。  結局、佐世保市長の意向としては、今後どうしてもという要請が政府からあるということが一つと、それから地元が反対した場合はだめだ、地元の大半が賛成してくれれば受ける、その二つの条件を出しているわけですね。いま長官は、非常に感激である、うれしいという気持の表明だけにとどまっているわけですが、正式に要請されるわけですか。
  89. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まだ、佐世保自体の自然科学的と申しますか、いろいろなそういう調査等はしておりませんので、机上的な面だけからと存じますけれども、いろいろ検討いたしまして進めてみたいと存じます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 検討という中にはいろいろ含まれると思いますが、この佐世保の市長が発言なさっていることがそのとおりであるとすれば、長官としては要請されるわけですか。
  91. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 佐世保の市長さんのありがたいお気持ちがそのとおりであり、また机上的にいろいろ調査をして、修理、総点検の個所としてまことに妥当なものだというのであれば、政府としては要請すべきだというふうに考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ、要請をしても、今後地元の大半が反対すれば、これもだめになるということになるわけでありますね。  昨日参考人が参りまして、その際、いわゆる今後改修ということになってきました場合の費用の問題ですけれども、いろいろな話があったわけですが、そのとき石川島播磨の永野さんから、今後はぜひとも協力したいというようなお話もあったわけですね。この佐世保の件を考えていきますと、長官はいま要請するということをおっしゃったわけですが、今度もしも地元の大半が反対した場合はそれがだめになるわけで、そうした場合、石川島播磨は協力をする、三菱も責任を感じておるということを言っているわけですが、そうすると、三菱とか石川島播磨の関係のところで、佐世保がだめな場合はどこかを考えていかれるわけですか。これは局長でも結構ですが、その次大臣に
  93. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 修理の仕方等も大変本件に関しては関連を持つ問題でもございますし、近くその結論も出るという事業団のきのうのお話でございました。あるいは佐世保自体の国際的な環境等からいたしましても、いろいろ検討する必要の問題もあるかもしれません。私、いまここでどういう問題があると言うのは適当じゃございませんけれども、いろいろ役所として活動する場合にはそういう調査をし、一つ一つの条件を吟味して、その上でお願いするということになると思いますので、今後少し検討してみたいというふうに考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 条件等を考慮されるのは当然のことであるわけですが、やはりきのうの発言からいきますと、両者とも責任を感じ、協力をする。協力をするということは、修繕の費用の問題であるとか、そういうことと同時に、どこで修理するかという問題も含まれておるのじゃないか、このように思うのですが、協力するという点をとらえ、政府としては、佐世保がだめな場合は、条件が整っておれば、特に両者の関係するところでしたいという意向ですか。原子力局長
  95. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいまのところまで、先生が御質問になりましたような石川島播磨あるいは三菱重工の造船所で修理をするということは全く検討しておりませんので、何ともお答え申し上げかねるわけでございます。今後の情勢によりましてまたいろいろ考えてまいりたいと考えます。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺はまだ固まっていないと思いますが、気持ちは強いわけですか。どうなんですかや
  97. 生田豊朗

    生田政府委員 気持ちとおっしゃられますと大変お答えしにくいわけでございますが、どうしようもないから最後は石川島か三菱の造船所だというようなことは、私どもいまのところ考えておりません。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはこれ以上やっても同じだと思いますから、そこで、今後修理していく上におきまして、いわゆる法的には保証期間も過ぎておる、こうした話があったわけです。しかし、きのうきょうの審議を通じまして、責任という点からいきますと、これはもう事業団、三菱、政府、皆責任が重大にあるわけでございますが、今後の改修費という点から考えていったときに、契約書をいまもらったところですから私、詰める間がないのですが、これはうんと詰めなければいかぬと思うのですけれども、政府としては、費用については全額この両者に負担させるという意向ですか。
  99. 生田豊朗

    生田政府委員 まだ最終的に決めていないわけでございます。  ただ、一つ申し上げられますことは、昨日、それから本日も御答弁申し上げましたように、私どもはこの契約の条項にかかわらず、つまり保証期間が過ぎているからもう三菱原子力としては一切責任を感じない、あるいは損害賠償その他費用の負担も一切しないという契約の一部の条項を盾にとった解釈は、私どもとしては絶対承服しがたいといいますか、納得しがたいことでございますので、三菱原子力もこの契約を盾にとって一切費用の負担はしないというようなことは、企業と申しましてもこれは当然社会的な責任があるわけでございますので、そういうことは万々ないというように信じておりますし、万一そういうことがありましたら、そういうことのないように十分指導いたしたいと考えております。それが第一でございます。  それから第二は、今後「むつ」の総点検、それから改修を徹底的にやるということで、いま事業団とその打ち合わせをしまして、事業団でその計画をつくっている段階でございます。これには相当の長期間を要すると思いますし、相当の額の費用になるということに考えておりますので、いま申し上げましたような保証、あるいは保証に対応いたします損害賠償というような問題とはまた別に、この点検あるいは改修の全体の費用を、政府あるいは事業団だけで負担すべきか、それとも、原子力船第一船開発基本計画の基本方針にもうたってありますように、資金、人材の面において産業界の協力を求めてやるということが一つの方針になっておりますので、広く産業界全般の協力を求めて、いわば官民共同で国を挙げて「むつ」の修理改修を行うか、その辺のところは、今後の科学技術庁の予算との関係もございますので、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは確かにいますぐに結論は出ない問題であろうかと思いますが、局長としては、事業団そして三菱なり石川島も入ろうかと思いますが、そういうあれよりも、いわゆる産業界全体としてそれをとらえる方がニュアンスとしては強いわけですか。
  101. 生田豊朗

    生田政府委員 私は、原子力船開発ということはナショナルプロジェクトの非常に重要なものである、ぜひとも成功させたいと考えておりますし、ナショナルプロジェクトと申しますのは、政府が自分だけで独走してやるというものではございません。ただいまも申し上げましたように、まさに国を挙げてやるべきプロジェクトだということでございますので、これを政府がやるならば結構だけれども、民間の業界としては一切知らないというようなことは、大変間違った考え方であろうかと思います。そういうことは万々ないかと思いますが、私は、民間もあわせまして国を挙げてやるべき事業であるというふうに考えております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後の産業界の出方ということが問題になろうかと思いますが、産業界がいわゆる拒否反応を示したときは、どういう姿勢、指導、態度をとられるわけですか。
  103. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま原子力委員会原子力船懇談会におきまして、これは関係の産業界の代表の方が多数入っておられます。そこでそういう問題も当然検討するわけでございますけれども、私は、日本の関連産業界がそういう考え方を持っていないと確信はしておりますけれども、万一、われわれ産業界としては一切援助する気は毛頭ない、政府が勝手にやって、いいものができたらそれはつくらせてもらうというようなことは、少なくとも産業界として許されない考え方でございます。私どもとしてもそういうことがないように、十分指導してまいりたいと考えております。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 その三者による負担ということになってまいりましても、強弱というものはあろうかと思うのです。これは今後、私も契約書を煮詰めて一遍さらに検討していきたい、こう思っておりますが、いずれにしても、国民の血税がさらにつぎ込まれるわけでありますから、それぞれの責任に応じて十分ひとつ負担がされるように、政府としては国民にかわってやっていただきたい。そうしなければ、血税で非常にその使い方が問題になっているわけですから、特にひとつ要請いたしておきます。  それから次の問題ですが、いわゆる玄海の問題であります。事故を起こしたわけですが、結局公表されたのは二日後である、こういうふうになっておるのです。地元では協定違反である、協定まで結んでおりながら通報が十二時間後である、こういうようなことなんですが、いわゆる監督官庁である科学技術庁また通産省に対しては、事故発生後何時間で到着し、また大臣には何時間後に耳に入ったか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  105. 生田豊朗

    生田政府委員 科学技術庁といたしましては、六月十日の午前十時過ぎに、玄海一号のコンデンサーの空気抽出器部に放射能異常がありましたので、試運転中でもありますので、出力を低下させて停止するという旨の連絡がございました。したがいまして、県あるいは地元の長への連絡をすみやかに行うように指示したわけでございます。  その後、ちょっと時間は正確に覚えておりませんが、私もそういう報告を受けましたし、大臣にも報告いたしました。
  106. 高橋宏

    高橋説明員 私ども通産省報告を受けましたのも、十日の日の午前十時過ぎであったわけでございます。報告内容は、いま科学技術庁から御答弁されたとほぼ同様の内容でございます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣には何時に報告したのですか。正直に言ってください。
  108. 高橋宏

    高橋説明員 はっきり記憶いたしておりませんが、私ども長官からしかるべき時間に御報告があったかと存じます。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 報告がないのですよ、それが。二日後です。二日後の、もっとたってから、その時点でもまだ聞いてなかったのですよ。うそだと思ったら一遍聞き合わせてみてください。間違いないと思います。こういう重大事件、こういうことが最高の責任者の耳に入らない、すぐ報告されない、こういうところに問題があるわけですよ。科学技術庁長官にすぐ局長から報告をしたということでそれは了承しますが、通産省、二人来ておられるならもう一遍確認してください。この委員会で私の質問が終わるまでに。聞けばすぐわかることですから。今後のことがあるから私は言っているのです。  要するに、地元でこういうような協定を結んでおっても、結局そういう秘密主義です。前にも私は何回もこの点は指摘しておるわけですが、そういうようなことが守られない。こういうことが非常に住民不信に大きくつながるわけですね。信頼をかち取るために努力したいとおっしゃっておっても、やっておられることが全然違うわけですよ。だから、今後そういうような報告、公表等について——九州電力等も責任者か、そんな協定があるのを知らなかったというような、後で打ち消しはしていますが、そういうような発言もなさっているのですね。協定を結んでも中身を知らないということは、これは一つ電力会社の問題ではない、全体の問題だと私は思うのです。この点、今後どのように指導されるのか、局長からお伺いしたいと思います。
  110. 生田豊朗

    生田政府委員 先ほども八木先生の御質問のときにお答えいたしましたように、私どもは、今回の玄海一号の故障と申しますか、トラブルでございますが、これ自体がどうであるかということよりも、美浜の一号と同じように考えられがちのこういう種のトラブルにつきまして、地元への連絡がおくれたということは大変よろしくないと思いまして、昨日も九州電力の永倉社長が説明に私のところに参りましたので、その点、私からもよく話をしておきました。  こういう問題につきましては、私どもは、地元への連絡がおくれるとかあるいは連絡しないとかということのために、実態はそれほどのものでないトラブルが、かえってそういうことのために、何かもっと重大なことがあるから隠しているのではないかというような疑惑を持たれるのが一番いけない。むしろ明らかにすべきものは早く明らかにして、事実それが余り問題のないものであれば、かくかくしかじかで問題がないのだということをはっきり説明すべきであるということで、その周知徹底を図っているわけでございますが、今回のようなことも起きましたので、今後も引き続きましてそういう方針を周知徹底さしてまいりたいと考えております。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 この環境に対する影響はほとんどなかった、そういうことで別に発表する必要はなかっただろうというようなことも言っているわけですね。大小にかかわらず、協定にも直ちに通報するということになっているわけです。ですから、そういうふうに口では慎重にやりますとかいろいろ言っていますが、小さいことだ、こんなことぐらいいいじゃないかという気持ちがやはり各電力会社にあるわけです。こういうことが、やはり大きな問題を今日引き起こし、不信を招いているわけでしょう。ですから、もうそれは各電力会社原子力施設等に対して厳重にひとつ指導する、これをする必要があろうかと思うのです。局長もおっしゃったわけですが、大臣からひとつ決意をお伺いします。
  112. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどもお答えしましたが、こういう事故が起きた場合はどこどこに連絡すべきかといったようなそういうルートとか、報告すべき内容、条件と申しますか、そういったようなものとか、そういったようなことは、本来であればいろいろ文書等もできており、あるいは訓練等もしておくのが当然かとも存じますが、そういう点で不備な点がございますれば、今後とも、ほかの個所等の例も参考にして、そういうことがないように改善いたしたいというふうに考えます。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 この事故原因は徹底究明して、科学技術庁ではわかっているんですか。
  114. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま通産省検査官が、現地に参りましていろいろ検査している段階で、まだ解明されておりません。事故の状況につきましては、通産省から御説明申し上げます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がないから簡潔にやってください。
  116. 高橋宏

    高橋説明員 現在までの調査状況でございますが、六月十五日、十六日、両日にわたりまして、水圧試験によります漏洩個所の発見に努めまして、A、B両蒸気発生器のうち、A側の一カ所に漏洩が発生していると思われる細管を確認いたしました。今後、本日から七月上旬にかかるかと思いますが、さらに詳細な渦流探傷試験というものを実施いたしまして、さらにその状況を詳細に調べる予定にいたしております。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 結論はまだ出ないにしても、ほぼ蒸気発生器ということは間違いないのではないかと思うのですが、どうですか。
  118. 高橋宏

    高橋説明員 蒸気発生器細管であるということについては、ほぼ間違いないと思います。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま確認の答弁があったわけですが、これは美浜を初め、いま起きている一連事故と同じですね。こうなってきますと、政府としては、いわゆる商業炉として技術的には完成しておるのだ、しかし問題はあるということはおっしゃっていますけれども、一応大前提は実用炉である、こういう形で推進なさっているわけですが、このように次々と起きてきているということは重大な問題であろう、私はこのように思うのです。政府としても一斉総点検というか、まあ定期的な点検もありますけれども、再度緊急総点検をさせる必要がある、このように思うのですが、いかがですか。
  120. 生田豊朗

    生田政府委員 先ほど山原先生の御質問のときにお答えいたしましたことでございますけれども、私どもも、美浜の一号から始まりますPWR蒸気発生器故障トラブルにつきまして、これを非常に重大視しているわけでございます。その美浜一号、二号あるいは今回の玄海も含めまして、その実物につきまして検討いたしておりますのと並行いたしまして、世界各国の状況がどうかということも調査しておりますし、各国の規制当局の人とも意見を交換しているわけでございます。  一つ申し上げられますことは、PWR、加圧水型の原子炉蒸気発生器細管減肉現象、あるいはそれか進行いたしましてピンホールがあくというのは、実は世界各国で非常に多い例でございます。どちらかといいますと、原子炉一基当たりの発生件数から見ますと、日本よりもむしろ外国の方が多数起きております。それに対応する仕方もさまざまでございまして、現在までのところ、私どもが接触いたしました限りでは、蒸気発生器トラブルに対しましてわが国が一番きつい反応を示しております。欧州諸国ではもっと緩やかな対応策を講じております。アメリカの対応策が日本と比較的似ておりますが、日本の方がはるかにきつく対応しております。  アメリカの原子力規制委員会委員原子力委員、それから私とで、二、三カ月前にかなり長時間会談をいたしまして、そのときもこの問題を議論したことがございますが、アメリカでも美浜の一号機と全く同じような状況、この蒸気発生器のメーカーも同じでございますが、パリセイドという原子炉減肉、それからピンホールがあく現象が起きまして、一年半運転停止いたしておりました一最近、これをヒドラジンに冷却水をかえまして全出力運転をやっているということでございますが、この場合も、アメリカの政府といたしましては、これを安全上重大な問題だからということでの受けとめ方は必ずしもしていない。これはむしろトラブルとしては非常にマイナーなものである、ただ火力と違いまして原子力でございますので、やはりごく微量の一次冷却水のリークがありましても、その段階でとめて点検するということをしなければいけないが、それをやりますと、当然稼働率が落ちるわけでございまして、稼働率が落ちますとコストが高くなるということで、それがさらに電力料金にはね返るというような経済問題、原子力発電所の経済問題としてこれはかなり大きな問題でもあるし、ミシガンの地元におきましても、これが安全上問題があるという住民の反応はないので、むしろ余り長くとめておく、稼働率が下がると電力料金にはね返ってくるのではないかという経済問題として、住民の間にかなり議論があるということでございました。  欧州につきましても、山田原子力委員が先般欧州とアメリカに出張いたしまして、この問題につきましてもいろいろ調査してまいりましたので、その結果につきましては、いずれ山田委員からいろいろ御聴取願いたいと思っておりますけれども、やはりこういう種類のトラブルが多数発生しておりますが、全般的に申しまして、欧州諸国の対応の仕方は、日本、アメリカよりもはるかに緩やかに対応しておるというように考えております。  そういうことでございますから、私どももこれをいいかげんに取り扱うという気は毛頭ございません。今後とも厳しい態度で検討してまいりたいと思いますが、現在までの検討の状況で、この蒸気発生器構造上の問題だというそういう考え方は、世界各国の専門家の間でもないようでございます。わが国におきましてもそういう考え方はございませんので、現在のところ、部分的なこういう検討、対応は十分厳重に進めてまいりますけれども、これをもちまして、全般的に原子炉をとめまして総点検するということは考えておりません。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長さん、アメリカでは重大な問題としては受けとめておらない、単なるトラブルである、欧州ははるかに低い受けとめ方をしている、こういう受けとめ方というものは、そういう緩やかな方向に合わすということは、これは話にならぬですよ。重大な問題である、このようにとらえなければいけない。そうでなければ、あなた方が幾ら住民の信頼を得るよう、今後技術的にもそういう問題のないようにやっていくとおっしゃっても、前提条件として、こういうことは欧州、アメリカでは単なるトラブルとしてとらえておるのだから、それに合わすような気持ちじゃいけませんよ。それは言葉の言い違いであるとあなたおっしゃるかもしらぬけれども、私はそう受け取った。そういう考え方は根本的に間違っておる。非常によくないのですよ、それは。そして経済的なそういう問題を出してこられておるが、この点は強く言っておきます。  その点について、長官はどう思われますか。もう時間がありませんから、簡潔にひとつ。
  122. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、先ほども申しましたように、実は八木先生から見せられた新聞でびっくりしたのですけれども、いかにも関東大震災以上の大々的なやり方を見まして。こういう場合は各国の事例は一体どうなっておるのだろうか。前のBWRの問題だと思いますが、何か問題がありまして、日本はあわてて総点検に入ったのですけれどもヨーロッパで何かそういう報道があるかというと何にもないですね。ドイツとかああいうところは何ら反応がない。これは安全に対して自信があるためと、言えば自信があるためかもしれませんけれども。ですから、いかにも大災害として扱うのがいいか。そうじゃなくて、こういう問題は各国にもいろいろあるけれども、しかし、扱いとしては日本は異例である、異例であるからにはなぜ異例だろうか、どういうわけだろうかという点をもっとやはり冷静に分析して判断して、そうしてだんだん改善するものは改善していくという行き方の方が本当じゃなかろうかというふうに、私はこのごろしみじみ考えている次第でございます。  したがいまして、いわゆる安全とは何ぞや、みんな解釈が違うわけですから、少なくとも国会の議論としては、安全とはこういう考えでいこうじゃないかというくらいの一つの尺度があって、そういうシュタントプンクトから問題をみんなで議論していくという行き方の方が本当ではないだろうかというふうに、実は考えている次第でございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 報道がわが国ではオーバー過ぎる、冷静に判断してほしい、これは報道界に対しても国会の私たちに対しても長官からそういう要望があったわけですが、それは間違ってますよ。報道されることはいわゆる国民の意思です。みんなが感じていることがそういう形で出ているわけですよ。私はもう当然のことだと思います。ですから、私はもっと政府自身はシビアな姿勢に立ってもらいたい、こう思います。
  124. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 誤解のないように重ねて答弁しておきますが、私はいい、悪いということを言っているのじゃありません。それは皆各人の判断でございますから、その判断はどうしてもよろしいし、また新聞でそういうふうに書くのも、これは自由でございますから、いい、悪いということを言っているのではなくて、日本が異例であるという事実は事実のようでございますので、そういう事実はどうして起きてくるだろうかという点は、やはりいろいろ日本の特殊事情があると思います。そういう特殊事情をもう少しみんなで検討して、そして政府で改めるとなればもちろん改めねばいかぬし、またほかの原因で、ほかのところで改めねばならぬものは改めねばいかぬかもしれません。  たとえば、近江さんもこの前議論になったように、原子炉放射能の限度を何ミリで設けるかといった場合でも、日本原子力委員会では長い間検討いたしまして、最終的に決める場合にも、アメリカの規制委員会では最近こういうふうな態度をとったという情報が入っておっても、それはいかぬ、日本は厳然として百分の一というシビアな線を守るべきだということで踏み切ったくらい、緩やかどころじゃなしに、世界でこれほどシビアにこの問題に取り組んでいる国はないと私は思うのです。にもかかわらず、必ずしもそういうふうには全般的に受け取ってないし、また空気もそうなってない。それは一体どういうわけだろうかという点を、もう少し私どもも各種の要因から調べてみたいし、検討してみたいということを謙虚に申し上げている次第でございまして、思い上がっているのであればこんなことを申しません。そうではなくて、何ぼやってもそうならないものですから、もっともっといろいろなファクターから検討してみようじゃないかということを申し上げているのでございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長、いずれにしてもこれは決して小さい問題じゃないわけです。ですから、今後の通報等の問題については秘密主義にしない、厳重に指導する、さらにはこうした個所については厳重に点検をする、この問題について、時間がありませんから簡潔に答弁してください。
  126. 生田豊朗

    生田政府委員 先生のお考えのとおりでございまして、私どもは細大漏らさず、でき得ればそれに正確な説明をつけて周知徹底を図るということを当然やるべきだと考えておりますので、そのように指導をいたしたいと思います。また、各種のトラブルにつきましても、当然原因を徹底的に究明いたしたい、かように考えております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうしたトラブル事故が起きまして、非常に住民不信感というのは強まっておるわけですが、こういうことを背景に、長官は参議院におきまして原発計画を大幅に縮小する、こうした示唆をなさっているわけですね。そして、今後原子力発電目標は、六十年度に一応六千万キロワットですね。そうすると、今後いろいろなプロセスを経て最終決定にはなろうと思いますが、諸般の実情をわきまえて、長官としては大体これがどのくらい縮小される方向になるとお思いですか。
  128. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 参議院で申し上げましたのは、日本ほど資源その他から考えて現時点においては原子力発電の必要性、重要性を持っておる国はなかろう、しかし現実に必要性、重要性があるからといって、フランスとかイタリアのような思い切った施策をとれるかと申しますと、そういうわけにいきません。したがって、現時点の状況と申しますか、実績から判断すれば、六千万キロワットということはとてもむずかしいのじゃないだろうか。  ただ、資本主義下の日本でございますから、計画経済でございませんので、やはり計画を進めてまいるその手段といたしましては、開発を担当する各電力会社等がどういうふうな考え方か、どういう計画を持っているか、そういう点をいろいろ吟味して、その上で実施可能な計画ができてくるわけでございますから、六千万キロがどのぐらいに変わるのかという点は、いますぐにわかに言えないと存じます。いろいろ通産省等とも相談してただいま作業中のようでございますから、間もなく結論が出てくることと思います。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省は今後原発立地につきまして、電調審に計画を提出する前に住民とのそういう対話を義務づけをする、環境資料ども公開する方針であるということもちょっと聞いておるわけですが、そうしますと、これは法改正等もやられるわけですね。また科学技術庁はこれに対して、その法的な改正であるとか所要の手続についてはどういう計画を立てておられるか。まず通産省からお伺いします。
  130. 高橋宏

    高橋説明員 先生いまおっしゃいましたように、通産省といたしましては、今後電源開発調整審議会に提出すると申しますか、そこで検討される発電所につきましては、通産省の立場からあらかじめ環境審査を十分行いまして、当然その報告書等については公開資料でございますが、そういう立場で慎重に検討して電調審に臨みたい、そういうことでございます。
  131. 生田豊朗

    生田政府委員 先般新聞報道されました内容につきましては、実は通産省からまだ詳細な説明を受けておりません。ただいま原子力発電課長説明もございましたが、ただいまの説明の程度でございますと、特に法改正は必要ないように考えますが、さらにほかの点も、いままでの方式を改めるということになりますと、あるいは法令の改正が必要になってくるかもしれないと思っております。  全般的に、内閣の行政懇談会におきまして、そういう電調審のあり方も当然審議の一つの柱になるわけでございますので、ただいまその辺の問題点の整理を通産省を交えましてやっておりますので、その点、行政懇談会を中心にいたしまして整理してまいりたいと考えております。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから一問で終わりますが、いわゆる義務づけるということになってきますと、やはり法的な裏づけということは必要になりますね。ですから、当然そういう問題が入ってくることと思いますし、こういうことは私は非常にいい方向であると思います。わが党としては、いわゆるアセスメント法というものを提出しておりまして、こういうものは当然皆さんの協力を得て成立をさせなければならないと思っております。所要の法改正等もやって、ぜひひとつこういう問題を実現させていただきたい。この点を特に申し上げ、大臣から決意をお伺いして私の質問を終ります。
  133. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 せっかく検討中でございますので、近江さんの御意向も体しまして、いい結論が出るようにということで努力してみたいと思います。
  134. 八木昇

    八木委員長 近江君の質問に関連しまして、一点確かめておきたいのです。  今度の玄海事故について、九州電力から次のような連絡があったというのを、資源エネルギー庁からもそれから科学技術庁からも、こういうものを私はもらったのですが、九電からの報告というのは、たった一ページのこんな短い内容なんです。ところが、科学技術庁から来ましたものは、次のように九電から報告があったとして、「このため負荷を下げ、午後二時に停止し、点検することとしました。」その次に、「又、この際六月に予定されていた設備全般の総合点検調整作業に引き続き入ります。」ここの部分があるわけです。資源エネルギー庁からのものも全然同じ文章です。ところが、いまのそこの分だけ資源エネルギー庁から来たこのものは抜いてあるのですよ。それで、私はこれはおかしいことだなと感じたのです。いま千何時間か試験運転をしてきたこの玄海を、六月にもともと停止をして、そして総合点検調整作業をやるという予定になっていたのです。そこで、いまのブザーが鳴ったりというようなこともあったので、この際とめようかということで数時間かけてゆっくりとめた、こういうことではないのか。  そこで、たったこれだけの九電からの報告文のうち、なぜ二行だけおたくの報告では抜いてあるのですか。
  135. 高橋宏

    高橋説明員 当初の玄海原子力試運転予定でございますが、午前中お答えいたしましたように、現在約八〇ないし八五%の出力試運転いたしておりまして、これを引き続き一〇〇%まで持ってまいりまして、そこで一応の出力試験が終わった段階で炉をすっかりとめます。そして計器その他バルブ等の総合点検をいたしまして、そして試運転段階をほぼ終了する、そういう予定だったのでございます。ただし、それは六月の下旬ぐらいにそういう停止をして再チェックが予定されておったわけであります。  そういうスケジュールの中で今回ブザーが鳴りまして、リークの疑いがある、漏洩の疑いがあるということでとめたわけでございます。これは今度はそういう漏洩の詳細点検に暇取りますので、当然その詳細点検は延びるわけでございまして、もう八〇まできましたので、それを一遍とめて、漏洩細管詳細点検を行うと同時に、それと並行して、ほかの方のバルブ、計器等の総合チェックの方もこの際繰り上げて実施したいという話がございました。そのことを科学技術庁の御発表の中には触れておったかと思いますが、本質的にはこれは別の問題でございまして、この漏洩そのものとは違う問題でございましたので、特に資源エネルギー庁の文書の中にはその点含めませんでした。先生のおっしゃったような趣旨では全くございません。
  136. 八木昇

    八木委員長 一応聞いておきます。  次に、内海清君。
  137. 内海清

    ○内海(清)委員 まず最初に、昨日、「むつ」の放射線漏れ問題の報告書につきまして、参考人の方にいろいろ御意見を伺ったわけでありますけれども、その折、遮蔽問題で宮坂参考人と石原参考人に聞きまして、幸いきょう委員会があるから、時間の関係できように持ち越した問題がございます。これは事業団にお伺いするわけであります。  まず、これをお伺いしたいと思いますが、昨日の宮坂参考人の意見では、例のJRR4、これにおきまする実験のデータは事業団に報告した、こういうことがございました。それから三菱原子力工業からは例のウエスチングハウス、あのチェック・アンド・レビューの問題、これも事業団に報告した、こういうことでございました。この報告を受けられたときの事業団の対応に問題があるのではなかろうか、こう思うのであります。  JRR4は御承知のように、昨日も申しましたが、これは主として原船団の遮蔽のいろいろ実験をするために早くから設けられて実験されたものであります。したがって、これは設計段階より前に事業団に行っておるものと思うのであります。なぜこのレポートが設計段階で生かされなかったか、こういう問題であります。それからウエスチングハウスの問題は、「むつ」の建造がどういうふうに進捗しておった、そのときどういう時点でこれが事業団に報告ざれたかわかりませんが、それをひとつ明らかにしていただきたいのであります。もしこれが設計段階であったとするならば、これはこのレポートにいう改修、これが検討されなければならなかったであろう、もし着工した段階であったとすれば、これは遮蔽がもうでき上がっておった段階であったのか、あるいは遮蔽がまだできていない段階だったのか、これがまだできていない段階であるならば、当然設計変更がされなければならぬ、それがなぜできなかったのか、この辺は事業団にかかった問題だと思うのであります。これについてお伺いしたいと思います。
  138. 八木昇

    八木委員長 この際、先ほどの近江君の質問に対する答弁をしていただいて、引き続いていまの答弁をしてください。
  139. 高橋宏

    高橋説明員 近江先生のお尋ねの件でございますが、調査いたしましたのでお答えします。  資源エネルギー長官までには、六月十日の日直ちに報告が行われておりますが、内容の慎重を期するための調査のために、大臣への報告につきましては、御指摘のようなことがございました。今後速やかな連絡に努めてまいりたいと思っております。(近江委員「大臣へはいつですか」と呼ぶ)二日ちょっとと思います。
  140. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 この実験及びチェック・アンド・レビューと実際の設計及び工事との関連に対する御質問かと思います。  この関連を御説明申し上げますに当たりまして、時間的な点を申し上げますと、原子力船につきましての基本設計といいますのが三十九年に行われておりまして、それに基づいてその入札仕様書というものを四十年の初めにつくったわけでございます。ところが、この時点で入札の不調というような問題が出てまいったわけでございますが、この入札仕様書に基づきまして、さらに若干の改良設計、修正設計というようなものを四十年から四十二年にかけて行ったわけでございますが、この段階でこのJRR4を使いました遮蔽の効果確認実験というものをやっておりまして、このJRR4を使いました実験の結果につきましては、四十一年の後半に行いました修正設計の段階で、この実験結果を反映さしておるわけでございます。  それから、この修正設計が終りましてから、契約書、仕様書というものが確定をいたしました。それに基づきまして詳細設計に三菱が入ったわけでございますけれども、その詳細設計に入りました過程で、ウエスチングハウスとの間でチェック・アンド・レビューを行っておるわけでございます。この第一次のチェック・アンド・レビューがちょうど四十三年の中ごろでございまして、この段階でストリーミングに対してリモナイトコンクリートを使用することについての提案があったわけでございます。その後、三菱の方はこれについて検討を行いまして、四十四年の半ばに第二次のチェック・アンド・レビューをやっておるわけでございます。その結果、ウエスチングハウスからは、遮蔽設計については広範囲にわたる実験が行われており、その結果も十分と思われるというような回答を得ておるわけでございます。
  141. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、十分このレポート、データというものが生かされておる、こういうふうに御認識でございますか。
  142. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 このデータにつきましては、設計の際に生かされておるわけでございます。
  143. 内海清

    ○内海(清)委員 そのことは、事業団としてははっきり確認されておるわけですね。
  144. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 この遮蔽効果の実験にいたしましても、このチェック・アンド・レビューにいたしましても、それぞれストリーミングと申しますか、この点のみならず、そのほかの点についても結果が出ておりますので、そういった点は十分生かされておりますし、また、ストリーミングの点につきましても、そういうことを踏まえて、この一次遮蔽との間につきましては、遮蔽リングというものを置くということを考慮いたして、それで十分であるというようなことを考えたわけでございます。
  145. 内海清

    ○内海(清)委員 そのデータなりレポートというものがどういうものか、われわれはよく存じませんが、われわれは、少なくともそういうものがあるならば、それが完全に生かされておれば、ああいう問題は起こらなかったのではないかということ、これはもちろん想像です。しかし、それが完全に生かされたのにもかかわらずなおああいう問題が起きたということについては、どうお考えになりますか。
  146. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 これは、昨日もいろいろお話がございましたけれども、その当時のレベルの判断では、この程度でいけるのではなかろうかというぐあいに判断を下したわけでございます。
  147. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、事業団なり、実際の設計に当たっての見方が甘かったということにならざるを得ぬと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  148. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 結果的にはそういうことになるかと思います。
  149. 内海清

    ○内海(清)委員 一応、これはこれでおきまして、きょうの質問に入りたいと思います。  きのういろいろ質問をいたしまして、各参考人の御意見を伺ったわけであります。私はあれを聞きまして、結局、「むつ」問題の最大の不幸というものは、原子力行政の不備を暴露したと申しますか、これによって国民の不信感を買ったことにあるのじゃなかろうかと思うのであります。そのことにつきましては、昨日もいろいろ論議されたわけであります。したがって、私は、この報告書を受けまして、きょうおいで願っておる科学技術庁原子力委員会、それから運輸省、事業団、それぞれの立場で、すでに十分反省されておると思うのであります。  そこで、まず科学技術庁の方に伺いますが、昨日も長官にはちょっと報告書に対する所感をお伺いいたしましたが、重ねてお伺いいたしたいと思います。どういうふうに反省しておられるか。
  150. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きのうもお話しを申し上げましたように、原因と申しますか、いろいろな不信のもとの一つは、原子力行政そのものにある点は、私どももよく承知してございます。したがって、従来の反省をみずから加えるのも当然必要ではございますが、また加えておりますけれども、しかし、みずから反省を加えてみずから改めるというだけではその不信感をぬぐうことはできないだろう。むしろ、もっと広範囲な、あるいはもっと高い次元で、この問題を新しい情勢を踏まえつつ処理するのが適当でなかろうかというので、御承知のように、内閣に新しい機関を設けましてただいま検討中でございます。そのこと自体が何よりも、「むつ」の問題を契機にして、特に安全を主体にした国民の不信感をぬぐうにはどうしたらよろし  いかという全般的な回答になるだろうと思います。  ただ、その回答が出るまで漫然と何もせずに見送るかというと、事態はそういうのんきな事態ではございませんので、あとう限りの改善をみずから加えつつ、安全の確保のために努力している最中でございます。
  151. 内海清

    ○内海(清)委員 次に原子力委員会でありますが、原子力委員会は六月十日付に見解を出されました。原子力委員会の反省と申しますか、そういうものは大体承知しておりますが、この際重ねてひとつお伺いしておきたい。
  152. 井上五郎

    井上説明員 昨年「むつ」の問題が起こりましたときに、原子力委員会も大変遺憾の意を表しましたし、私個人で申しますれば、外遊中でございましたが、急遽帰りまして、原子力委員会として対策を練った次第でございます。  しかし、一方におきまして、原子力委員会そのものが俎上に上っておると同時に、これは原子力委員会の所管と申しますか、任務以上に行政マターである、あるいは大臣だけでも解決し得なかったほどむずかしい問題であるということで、当時、あえて見解の表明を差し控えた次第でございますが、今般、大山委員会報告が出まして、それを受けまして見解の表明をいたした次第でございます。  ただいま、すでに御承知であるということでありまするから、重ねて申し上げる必要はないと存じますが、委員会としては、大山委員会の見解を尊重して今後の施策にできるだけ反映をしたい。この問題が、ひとり「むつ」の放射線漏れという問題だけではなくて、これが大きく国民の不信感を抱いたことをまことに遺憾に考えるということを前提に踏まえまして、さて、しからば「むつ」に関しては当面どういう措置をとるべきであるかという見解を発表いたしておりまするが、その中で第一として取り上げたことは、やはり当時「むつ」を原子力船の実験船として日本が自主技術をもってこれを開発するという趣旨は正しいのであり、また、その意味において大山委員会もこれをお認めになっておるのでありまするから、第一船「むつ」の開発計画は、当然継続すべきであるということが第一点であります。  それから、「むつ」の試運転は不幸にして失敗に終わったのでありまするが、まあ幸か不幸か知りませんけれども、一・四%というようなわずかな出力でございまして、したがいまして、炉の汚染と申しますか、放射能はきわめてわずかなものでございます。さような意味で、これは十分改修ができるし、改修するそのことには危険は伴わない、こういう判断をいたしております。したがって、「むつ」の新母港をどこにするかということは行政マターであるけれども、それがどこでやられるにしても、委員会としては、特にその改修工事に危険があるものとは考えない。しかしながら、これを改修するにつきましては、大山委員会で六つの項目について指摘を受けておるのでございまして、一々ごもっともであると考えます。  それで、その一部分は、昨日ももうすでに多くの方々からお話しがございましたので、私ども繰り返す必要はございませんが、たとえば、原子力船事業団の人事の改善、技術陣容の強化等々のことは、もうここで繰り返す必要はないと存じますが、やはり大山委員会で御指摘のありましたように、ひとり遮蔽の問題を直すというだけではなくて、ここで技術的総点検をする、その場合に、当事者として原船事業団がこれの実施に当たるということは当然でございまするけれども、やはりこれは国として、ないしは原子力委員会として、当然十分な責任を持つ審査をいたしまして、再び同じような失敗と申しますか、ミスというようなものを繰り返すということは、厳に慎むべきであるので、さような措置をとりたい。  第二船の問題につきましては、大山委員会とは別個に原子力船懇談会というものを組織いたしております。これには関係の民間業界等の人も加わってもらっておりまして、目下審議中でございます。  それから、それとは別に、一体原子力の体制がいけないんではないか、根本問題は体制にあるのではないか。これはたしか一週間ぐらい前、六月十一日だったと私、記憶をいたしますが、当委員会にお呼び出しをいただきまして、体制に対する私どもの見解は当時申し述べたのでございますが、目下内閣で御審議中でございます行政懇談会でも、私どもといたしましては見解を述べたということを、この席でも申し述べたわけでございます。
  153. 内海清

    ○内海(清)委員 私、昨日、あの報告書の質問原子力委員会の責任の問題をちょっと触れましたが、これは原子力委員会に行政上の責任がないと  いうことは明らかな問題であります。しかし、実質的には、いろいろ原子力委員会で諮問に答え、  いろいろな助言あるいは勧告等があったことと思うのであります。しかし、この問題をやりますと時間がかかりますので、きょうは省略いたしたいと思います。  次に運輸省、ひとつ御見解をお伺いいたしたい。
  154. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 運輸省といたしましては、報告書につきまして、その趣旨を十分に生かして、具体的に行政に反映をしていきたい、こう思っています。  特に三点ほどあろうかと思いますが、とりあえず、検査体制という問題が一つ出てまいりますが、これは従来からも検査官のレベルの向上、それから研究所との連絡をやってまいっておりますが、今後、これをさらに充実強化したいというのが一点でございます。  それから審査、検査関係、あるいは新型式の炉に関する検査関係、これらにつきましては、行政懇なりあるいは原子力委員会原子力船懇談会等ありますので、この検討内容も十分見た上で検討をしてまいりたい、こう考えております。
  155. 内海清

    ○内海(清)委員 次に原船団でありますが、これは原船団自身では解決できない問題が私はきわめて多いと思うのであります。これに対しましてどういうふうな対策を立て、どういうふうに解決していくか、こういう点についてひとつ原船団の御意見を伺いたい。  特にあわせまして、昨日も出たと思いますが、時限立法の問題であります。この欠点というものがあの報告書にも指摘されておるのでありますが、このような点についても、ひとつお考えをお伺いしておきたいと思います。
  156. 島居辰次郎

    ○島居参考人 大山委員会報告が、まことに限られた期間と条件のもとで、「むつ」の放射線漏れにつきまして、技術的にのみならず、広く開発のための政策、組織、契約、それから地元問題等につきまして総合的に検討をされまして、いろいろ問題を掘り起こされましたことに対しまして、原子力船事業団を預かる者といたしましてまことに敬意を表するのであります。  ことに、私といたしましては、報告書の終わりの方にございます。「原子力船「むつ」は、全体としてはかなりの水準に達しており、適当な改善によって十分所期の技術開発の目的に適合しうるものとの判断に到達した。」という言葉もございますし、また前の方にも、こういうプロジェクトの開発はここで休んだらだめだ、引き続いて積極的な開発体制をやっていかなければいけないんだというふうな、非常に示唆に富んだ言葉もございますので、私ども原子力船事業団の者にとっては、このいろいろの示唆に富んだ報告書は、非常に鼓舞されるものと受け取っておるのであります。  それで、過去にいろいろなことがございましたが、その御意見、御批判に対しては、反省をすべきものは反省いたしまして、また虚心坦懐に初心に立ち返って、ことに日本は放射線についてのいろいろ複雑な歴史がございますので、そういう社会的な環境をも篤と考慮いたしまして、再出発に対しての私は座右の銘にしたいと思うのであります。  ことに、いろいろ提示されておりますが、先ほど内海先生からお話がございましたように、原子力船事業団でできるものにつきましては、早速取り計らいまして、人事の刷新、機構の整備その他のことは着手しております。また、いまもお話がございました時限立法その他のことにつきましては、これは原子力船事業団だけではもちろんできませんし、また、事業団の今後の行くべき方向、どういうものを内容に盛ったらいいかということにつきましては、いま検討いたしておりますが、これは監督官庁であられます科学技術庁及び運輸省とも篤と御相談申し上げまして、大山委員会報告にあるその意味するところの方向に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。そういうふうなわけで、できるだけ全力を尽くして、わが国の原子力船開発のためにやっていきたいと思っております。
  157. 内海清

    ○内海(清)委員 いま、報告書に対する四者のそれぞれの反省といいますか、お伺いしたのでありますが、これはもちろん、それぞれの立場はおきまして、今回の問題に対する反省をされたことと思うのであります。  ところが問題は、これから後それらの責任というものをどういうふうに分担し、総合的に一貫した責任が持てるという立場から、この四者は、今日まですでにそれぞれ集まって相談されたようなことがあるのかどうか。それからまた、その四者の責任ということをどう調整していくかという、こういうふうなことについてもひとつお伺いしたいと思う。これは長官にお伺いしたらいいと思いますが、どうでしょう。
  158. 生田豊朗

    生田政府委員 四者と申しましても、原子力委員会はその性格上やや別だと思っております。原子力委員会に対しましては、私ども事務局でございますので、逐次その経過あるいは問題点、対策その他を報告いたしまして御審議いただいているわけでございます。  運輸省と科学技術庁とは、これは昨年来非常に緊密な連絡をとっております。それは「むつ」の出港以前からでございますが、特に問題を起こしましてから後は、最近に至りますまで非常に緊密な連絡をとっておりますし、今後もそれを続けてまいりたいと思っております。  事業団につきましては、これは何と申しましても全体の事業の主体になるべき機関でございますが、最近まで非常に弱体でございました。したがいまして、事業団を交えまして運輸省あるいは科学技術庁会議を開くということは、必ずしも余りやっていなかったわけでございますが、最近、理事長以下陣容が一新されまして非常に強化されましたので、先般も、つい最近も行ったわけでございますが、運輸省、科学技術庁と事業団との業務の打ち合わせの会議を開きまして、これは今後ともなるべく頻繁に行いまして、意思の疎通あるいは計画の調整その他をやってまいりたい、かように考えております。
  159. 内海清

    ○内海(清)委員 時間がありませんので簡単に御答弁を願いたいと思いますが、いまお伺いいたしましたように、それぞれ新たな決意を持って今後に対処されると思うのでありますが、実際問題としては、それがちゃんとやれるのかどうかということをフォローしていく必要があるだろうと思うのであります。  そこで、だれがこの四つをチェックしていくのか、その具体的な処置あるいは方法をお考えになっておれば、この際お伺いいたしたいと思います。
  160. 生田豊朗

    生田政府委員 いままで、現在もやっておりますことは、私どもと運輸省の船舶局とを軸にいたしましてやってまいったわけでございます。私と運輸省の船舶局長とは連絡を非常に密にしてやっております。今後ともそういう体制で進みたいと思っておりますし、事業団の理事長、専務理事との連絡も、先ほど申しましたような事情でございますので、これから緊密にいたしてまいりたいということでございます。原子力委員会には、私が原子力委員会の事務局長でございますので、私の責任でいろいろ御報告その他をいたす、かようなことに相なるかと思います。
  161. 内海清

    ○内海(清)委員 いまお話しになりましたことが今後確実に着実に行われていくならば、今後ああいうふうなことを再び繰り返すようなことはないだろう、このことを私は強く期待するわけであります。  そこで、次にお伺いいたしたいのは、「むつ」の遮蔽改修の見通しであります。これはどういうふうな見通しを持っておられるか、こういうことであります。今回の「むつ」の放射線漏れの事件というものは報告書にも指摘してありますが、技術的にはそれほど非常に困難な問題ではないだろう、比較的容易にできるのではないか、こういうふうに思うのであります。この点についての見解をお伺いしておきたい。
  162. 生田豊朗

    生田政府委員 改修計画の詳細につきましては事業団から御説明申し上げますが、遮蔽、特に一次遮蔽の改修、つまり、前回と同様な放射線漏れを起こさないような改修につきましては、さほど困難なことではないというふうに考えております。  ただ、先ほど井上委員長代理からも御説明がございましたように、私どもは、原子炉それから船体も含めまして総点検をいたしたいというふうに考えております。これは相当時間も費用もかけまして、慎重かつ徹底的にやりたいというように思っておりますので、万一その遮蔽以外に改修の点が出てまいりました場合は、さらに改修の個所がふえるわけでございますが、そういう点も含めまして、徹底的にやってまいりたいと考えております。  詳細につきましては、事業団から御報告申し上げます。
  163. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 「むつ」の放射線漏れに関しましては、遮蔽検討委員会の方でいろいろ御検討いただいたのでございますが、その結果、圧力容器等一次遮蔽の間のストリーミングが主なものであるというところがわかっておるわけでございますが、改修に当たりましては、なお詳細に、どの部分にどのような改造、改修を行うべきかということをやりますために、ストリーミング以外に底部からの散乱でございますとか、その他貫通部分からのストリーミングの問題、そういった点につきましての解析計算をこれまで行ってまいりまして、なお、それらをもとにして遮蔽改修について、構造設計について検討をしておるわけでございます。  これにつきましては、いろいろ考え方もございますので、それらについての比較検討を現在まで幾つか進めてまいりましたが、その結果、遮蔽の改修については、技術的に可能であるという見通しを一応現在のところ得ております。なお、今後はこの案をさらに検討いたしまして、一つのものにまとめていきまして、改修のための基本設計、またこれについてさらに工事方法の問題もございますし、また遮蔽に使います材料及び構造等について、必要に応じて実験研究等を進めてまいりたいと思っております。
  164. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろお伺いいたしましたけれども、この「むつ」のトラブルに当たって、むつ市側との協定がいろいろできました。その中に「むつ」の母港の移転ということを約束しておるわけであります。これは昨日も質問がありましたから、あえてこれには触れませんが、これを約束しておるのでありますけれども報告書に指摘しておりますようないろいろな問題点についての処理に当たって、政府が本当に誠意をもってやられなければ、国民の合意も、さらには地元住民の協力も得られない、私はこう思うのであります。したがって、政府としてこの報告書に基づきましての確たる態度、これを打ち出さなければならぬと思うのであります。そうしなければ、新たな母港の決定も私はできない、こういうふうに考えております。この「むつ」の改修、ひいては原子力船開発の推進も、これをやらなければできぬ、こういうふうに考えるのであります。この点についての決意なり見解なり、これは長官にお伺いした方がいいかもしれませんが、ひとつお伺いしたいと思います。
  165. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 「むつ」の改修計画等が整備してまいりますれば、原子力委員会等でも十分聴取いたしまして、今度こそは間違いなしにりっぱなものができるように、また、「むつ自体は今後の原子力船のいわば土台でございますので、十分本来の目的を果たせるようにしていきたいというふうに考えております。
  166. 内海清

    ○内海(清)委員 長官もはっきりした決意でもって今後に対処されると思うのでありますが、昨日も田島参考人からございましたように、今後の原子力船の問題は、諸外国のいろいろな計画を見ましても、八二年ごろからはかなりのものが世界の海運国に出てくるだろうと想像できるのであります。したがって、私は、いま述べられたようなことを十分踏まえて、そうして早期に国民の信頼を回復して、原子力船の開発推進にも十分の力を入れていただきたい。これなくしては原子力船の開発推進は非常に困難であろう、こう思いますので、この点をひとつ強く要望して終わりたいと思います。
  167. 八木昇

    八木委員長 次に、村山喜一君。
  168. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま、内海委員の方からいろいろ質疑がなされたその内容を承り、また、あるいはきのうあたりの参考人に対する意見等をお伺いしながら、基本設計から竣工検査に至るまでの過程をずっと振り返ってみまして、一体どこにその原因があったのかということを、私たちはやはり明確にしなければならないかと思うのです。  そこで、いま話を聞きますと、昭和三十九年に基本設計ができた、安全審査は四十二年に原子炉安全専門審査会にかけて安全審査を行った、その後モックアップ試験等を行いまして詳細設計がつくられ、それから政府の設計工事方法の認可が行われて、あるいはアメリカのウエスチングハウス社にもコンサルテーションのなにを求めて、その結果等を反映しながら製作に当たり、竣工検査を受けて竣工した、こういう段階になっているのだろうと思うのですが、そこで、いつの時点で詳細設計はできたわけですか。  そのことについてお尋ねいたしたいのは、昨年の十月二十二日に、福永次長が質問に答えて、鉄のリングでも有効だというレポートがすでに出ておりますという話等が出ておりますので、そのレポートというのは一体どこのレポートなのかということも明確にしなければなりません関係から、この詳細設計ができた時点はいつになるかということを明確にしてもらいたいと思うのです。
  169. 福永博

    ○福永政府委員 先生御案内のように、原子炉施設を設置いたします際は、最初に計画の段階で、原子炉等規制法に基づきまして安全審査を申請するわけでございます。その安全審査が申請されましたのが四十二年の四月十二日でございまして、同審査会が同年の十一月十五日に報告をいたしております。そこで安全審査が合格をしたわけでございますので、その後詳細設計という段取りになっておるわけでございます。
  170. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、その後というのはわかるけれども、その年を聞いておるのです。
  171. 福永博

    ○福永政府委員 その後詳細設計に移りましたのは、四十三年の初期から四十五年の最後ごろまででございます。
  172. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、三菱原子力工業が昭和四十三年と四十四年の二回にわたってウエスチングハウス社に対しましてチェック・アンド・レビューを受けた。そのときに、設計にある厚さ三十センチのコンクリートの上にさらに厚さ三十センチのリモナイトコンクリートを追加する必要があるという指摘を受けたのは四十四年ですか。とするならば、詳細設計の段階のなにがいま昭和四十三年から四十五年とおっしゃいますから、その段階の中では、すでにリモナイトコンクリートを追加した方がいいのじゃないかという指摘があったにもかかわらず、それを無視したということですね。そしてそれはなぜ無視したのかということは、遮蔽効果確認実験報告書というのがJNS4−6というので、ストリーミングを抑えるのには、厚さ十五センチのドーナツ型の鉄板を置いているので、これで有効だということを、いわゆる日本原子力船開発事業団と、日本原子力研究所と、運輸省の船舶技術研究所の三者共同の研究の結果それが出ているから、それを信用して、そのウエスチングハウス社チェック・アンド・レビューの意見というものは聞かなかったということですね。
  173. 福永博

    ○福永政府委員 最初に、チェック・アンド・レビューの方の点からお答え申し上げます。  四十三年の八月に第一回のチェック・アンド・レビューをいたしまして、そのとき、ただいま先生から三十センチのコンクリートを重ねるというような御趣旨のお話がございました。そうではございませんで、当初三十センチの厚さのコンクリートのリングで考えておったわけでございます。それに対しましてウエスチングの方からは、リモナイトコンクリートの方がベターであろうという答えが出てきておるわけでございます。  それから、後段の御質問の、鉄の遮蔽リングがストリーミングに対して有効であるという事業団の報告の点でございますけれども、この点は、昨日来も話がずいぶん出ておりましたけれども、その遮蔽実験と申しますものがJRR4というスイミングプール型の原子炉を使って行われた。したがいまして、検出されます中性子が、私どもの技術用語で言いますと熱化したわけでございまして、その熱中性子に対しましては鉄リングは有効に働くわけでございます。ただし結果的に見ますと、その遮蔽実験の評価に甘さがあったのではないかというのが、いま反省されているところでございます。
  174. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、そのリモナイトコンクリート、その方がベターだ。それをなぜ全部鉄製のリング、これは十五センチですね、これにかえたのか。それは熱中性子については遮蔽効果はあっても、中性子の高速のものについては効果がないということは、その時点でわかっていなかったのですか。
  175. 福永博

    ○福永政府委員 検出されました熱中性子に対して有効であるということは、私、申し上げたとおりでございますが、当時は、ストリーミング現象というものについての技術的な知識が十分でございませんで、その実験結果をそのまま見まして十五センチの鉄で遮蔽すれば十分であろう。つまり、高速中性子の振る舞いに対する判断が非常に甘かったということでございます。
  176. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、その当時は、そういうような判断をするだけ技術のレベルがなかったということなんでしょうが、きのう近江委員に対しまして、その後においてそういうような技術の水準が、研究データが出ておる、それを取り入れないでやったということについては、つまり原子力船の出港前にチェックが行われなかったということについて、これは重大な政府の責任だというようなことで陳謝をしておられるわけですが、新聞報道するところでは、三菱原子力工業は、これは私たちの責任じゃありませんというようなことで、責任は拒否しているように見受けるわけでございます。  そこで、一体それはどこの段階で責任というものがあるのかということです。これは原子力委員会なり、あるいは原子力船事業団なり、あるいは運輸省が検査をするわけでございますが、運輸省の科学的なレベルが低かったためにそういうような結果になったのか、一体その責任はどこにあるのか。いわゆる政府の責任と言っても、明確な責任の主体というものは一体どこにあるのだということを明らかにしてもらわなければ、今後の対策はどこをどういうふうに強化したらいいかということにはならないと思うのですが、責任は原子力船事業団ですか。どこにあるのですか。
  177. 生田豊朗

    生田政府委員 実は、その問題につきまして、これから申し上げるようなことを申し上げますと、いかにも責任逃れのような誤解を受けやすいものでございますので、いままで余りはっきり申し上げることは差し控えておりましたけれども先生の御質問でございますので、率直にお答えさせていただきます。  私は、その責任は第一義的には事業団であると考えております。ただ、事業団だけに責任があってほかに全然責任がないということではございませんで、政府といたしましては、その監督官庁としての監督責任が十分にあるというふうに考えております。さらに三菱原子力につきましては、先ほど先生のお見えになります前に、この契約書につきましていろいろ詳細な御質疑がありましたので、そのときお答えしたことでございますが、長くなりますので要点だけ申し上げますと、これは契約書の条項におきます保証責任ということを離れまして、契約書の第二条にも、信義、誠実の原則に基づいて一致協力してやるのだという一つの精神規定もございますし、そういう規定がございませんでも、こういうナショナルプロジェクトの開発については当然のことでございますので、三菱原子力が全く責任がない、この契約の保証期間が切れているから責任がないということは、全くとんでもないことでございまして、三菱原子力もそういうことは考えていないと思いますが、もしもそういう考え方がございましたら、私どもで厳重に指導して、そういうことのないようにしてまいりたい、かように考えております。
  178. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、次の問題に移りますが、先ほども質疑がありました玄海発電の問題あるいは美浜二号の問題等、この前五月二十二日に、石野委員に対して井上エネルギー庁審議官が答えておいでになるのを私は見ながら、陸上の固定した、しかもわりあいスペースも自由にとれる、そういうところにおいて、そういうような核燃料棒の間隔が大きくなっているとか、あるいは蒸気発生器のピンホールの問題が出たとか、いろいろなことが指摘をされておる状態を見ながら、一体この船舶用の原子炉というものはどういう特性を持っておるのか。これはやはり船に積み込むわけでございますから、それだけ重量制限もありましょうし、あるいは取り扱いの点においてもきわめて特異な意義があろうと思うのですが、一体、舶用原子炉の特性というものをどういうふうにわれわれは見たらいいのか。  それから井上エネルギー庁審議官は、安全チェックのときの方法としては、水中テレビ検査であるとかあるいは漏洩についてのシッビング検査が的確に行われるから、これについてはチェックできますということを言っておりますが、船に積み込んだ原子炉安全性チェックする方法は、こういうような陸上の原子力発電所の場合のチェックの方法と同じような方式がとられるのかどうか、その点についてお伺いをしたいのです。
  179. 生田豊朗

    生田政府委員 私は技術者ではございませんので、詳細につきましては福永次長あるいは謝敷検査官からお答えした方がいいかと思いますが、いわば常識的な考え方について初めに申し上げたいと思います。  陸上におきます。たとえば発電炉でございますけれども、これは土地の上、現実には岩盤の上に炉心を置くというような形をとりまして、十分強度に耐えるような設置の仕方をとっております。したがいまして、まず重量につきまして、これが相当の重量がありましても余り問題がないということでございます。しかし、舶用の原子炉につきましては、余り重量がありましては、これは船の運航そのものに差し支えるわけでございますので、まず、できるだけ軽量でなければならないということが一つあると思います。  それから第二は、その大きさでございますけれども、陸上炉につきましては、数十万坪の敷地の中に原子炉を置くわけでございますので、いわば原子炉の大きさについては制限がないというように言ってもよろしいかと思います。しかし、舶用炉につきまして、船体の中に炉を置かなければいけないということで、当然その大きさに制限があるということでございます。重量それから容積につきまして、陸上炉とは比較にならないくらいの制約がある、しかも一定の能力が要求されるという点で、そこに一番大きな差があろうかと思います。  さらに、陸上炉の場合でございますけれども、管理区域、監視区域、その他いろいろの区域の区分を設けまして、つまり炉のそばには余り人が大ぜいいなくてもいいというような形をとっているわけでございますが、狭い船内のことでございますので、原子炉にすぐ近接したところに居住区を設けなければいけないというようなことがございますので、遮蔽と申しますか、原子炉からの放射線の漏れに対しましては、特に厳重な注意を払いませんと、人身事故を起こすおそれがあるということでございまして、その点も、特に陸上炉よりも高度の技術によりまして完全を期さなければいけない。  私、素人でございますので、ごく常識的な判断でございますが、その三点ぐらいが一番大きな差ではなかろうかと思っております。
  180. 村山喜一

    村山(喜)委員 福永次長の方でそれに追加して技術的な問題で、あるいは船舶の方の謝敷首席検査官ですか、これは運航上いろいろな特性があるんじゃないかと思うのです。それで、その運航上の問題から見た技術的な特性というものをちょっと教えてください。
  181. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 船の場合には、先ほど原子力局長が申されたような点が大きな特性でございますが、大別しまして動揺と傾斜、それから振動はそう大きくはございませんが、あと問題は重量の制限で、先ほどのような遮蔽の問題等が出てまいると思います。  それで、動揺とかあるいは傾斜、これは一般船と外的な条件は同じであるわけです。その外的な条件につきましては、たとえば縦揺れとか横揺れとか、あるいは横の傾斜、縦の傾斜、それに伴います加速度、こういうものを実際の船で確かめてありまして、それで技術的な設計の基本的な条件を出すわけでございます。  これにつきましては、私どもとしては約四年ほどかかりまして、本船ができます前に造船技術審議会に十分議論をしていただきまして、その結論原子力委員会に上げて御承認をいただいた、こういうことでございます。  あと特に注意をいたしますのは、従来のタービン部分でない新しい問題であります原子炉容器のところについて、特に強度、それから動揺とか傾斜におきます作動が確実にいくか、あるいは安全装置が確実に働くか、この三つが主なポイントでございまして、それぞれ数字を与えて私ども基準をつくっております。  それから、もう一つ特性といたしまして、発電の場合と違いますが、定回転でずっとコンスタントに出力を出してくるものでないわけですから、たとえば非常に荒い波のときに、プロペラが半分つかったり表に出たりして出力が変わってくる、あるいは急速な前進、後退をしなければいかぬとか、あるいは入出港時に急激に出力を落とすとか、こういう負荷変動がもう一つある。  それで実験の方法としましては、諸外国でもそうですか、私どもとしては、船舶技術研究所に三十四年から大型の動揺実験台とかあるいは振動実験台を置きまして、主として炉の特性について研究しまして、それを設計にも取り入れていただいた、こういうことにしております。  それから、検査の場合でございますが、これはこれから船が完成して出力を上げていきまして検査するわけですが、特に原子炉容器内、船に三つありまして、管理区域と監視区域、それからその他の区域がございますが、特に原子炉容器の部屋、それからその次の補機室、こういったところは、大体六カ月から一年は手入れとか補修をしなくても済むような信頼性のあるものにする、大体こういう考え方で機器を整備するということを考えております。そこで港に入ってからの検査は、被曝線量その他を考えながら検査官なり検査員チェックをするという考え方をとっております。
  182. 村山喜一

    村山(喜)委員 もっと具体的にお伺いしますが、船舶の負荷変動が大きいということなどはよくわかるわけです。それで安全性に対する制御上の問題が出てくるわけですが、ピッチングの場合、ローリングの場合、たとえば六十度以上のローリングの場合には原子炉をとめるとか、あるいは二十度以上のピッチングの場合には原子炉を同じようにとめる、こういうようなことがとられるようになっているのですか。その点もちょっと明らかにしてください。
  183. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 私ども、基準といたしましては、横揺れにつきましては、船の特有の横揺れ周期がありますが、それを基準にいたしまして数式を出しております。それからそれの負荷してまいります加速度の計算をさせることにしております。それから縦揺れについては、同じくその船固有の縦揺れ周期がありますので、それについて、それをもとにしまして長さで補整をいたします加速度を決めております。それから、特に十度の横傾斜、五度の縦傾斜、これは定常的な傾斜でございます。  それから、さらに安全装置に関しましては、縦方向に一Gの力が働くとか、横方向に四十五度の横傾斜、それから縦方向に十度の縦傾斜、こういうのは私どもの持っている基準でございますが、本船を見てみますと、強度に関する加速度条件につきましては、それぞれ一番大きいのは上下方向の加速度になります。それは私どもの基準より上回って、周期にいたしますと大体一分間に四回とか十五回、上下方向に動くという周期に対しては、上回った数字を持っております。  それから、振動加速度なり衝撃加速度による船の問題につきましては、比較的動揺よりも小そうございまして、たとえば衝撃に対しては重力と同じ一Gとかあるいは振動加速度は〇・一G、これもそれぞれ私ども考えております基準より上回っております。  それから、先ほど先生が六十度、二十度と申されましたのは、これは一次系のうちで、御指摘のように制御棒のスクラムとか、あるいは非常崩壊熱の除去とか、あるいは一次冷却系の、たとえば管が破断する事故とか、これは原子力委員会で審査のときに、重大仮想事故として想定されているものでございますが、このときに動くべき機械、それから二次系でこれに関連する機械、こういうものについては、船の復元性、傾いて沈没するその角度が六十度で設計してあります。私どもの基準は四十五度でございますから、これいっぱいとっておるとか、こういうことで、動揺、傾斜、振動あるいは衝撃については、詳細設計も含めて、設計につきましては、私ども同等もしくは上回っているというふうに見ております。
  184. 村山喜一

    村山(喜)委員 運航上で、蒸気発生器出力を数十秒の間に急速に上げたり下げたりしなければならないという問題等もあると思うのですね。そうなってきたら、燃料棒の細管のところを囲んでいる管の材質とか、そういうようなものも陸上とはちょっと違うのでしょうし、それらの特性について、さらに時間があれば承りたいわけですか、どうも私は、原子力発電所事故等を見ながら、あるいはまた今度の「むつ」の高速中性子の漏洩の問題を見ましても、単に陸上の炉を船の上に積み込んだという簡単なものではなくて、原子力船の場合には、安全性についてはきわめて重視してやらなければならない本当に大変な問題だ、こういうように思うのですよ。それだけ私たちも安心ができませんし、これらの内容については、この委員会でさらに詰めてもらいたいと私は思っているのです。  最後にお尋ねしたいのは、定係港の選定基準の問題なんです。その中で、港湾とか、あるいは気象とか、社会的な環境とかいろいろなことを言われまして、明確に、どういうような基準でどこにウエートを置いてやるんだということについては、速記録を見る限りにおいては説明がございません。だから、基準を明確に国民の前に示して、そしてここを重点として置くんだ、こういう角度から選定をするんだということを明確にしてもらわなければ、私は納得ができないのでございます。  そこで、それに関連をいたしまして、きょう気象庁においでいただいておるわけですが、台風との関係なんです。私は気象庁にずっと調査を依頼いたしまして、過去三十年間の日本の付近に来襲した台風が、どの地帯をどういうふうに通過し、影響をもたらしているのかということを調べ上げてみたいのでございます。  そこで、長官もお見えになっておりますので、定係港の選定基準というのを事務当局がつくっているそうでございますから、その上から見まして、私の選挙区にあります甑島というのはまことに不適で、選定の基準から見たら、何でここが対馬と一緒に、あるいは伝えられる佐世保のようなところと一緒に入らなければならないんだろうか、そういうような気持ちでございます。  そこで気象庁、台風のメッカ、台風の銀座と言われる甑島付近に対する影響度合い、これをあなたの方で説明してください。
  185. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 台風について申し上げます。  この三十年間におきまして、日本付近に影響を与えました台風は過去百八十六個ございます。年平均にいたしまして六個でございます。  ただいま先生指摘になりました鹿児島県甑島付近について考えますと、この三十年間に通過いたしました台風は五十一個で、年平均一・七個ということになります。すなわち、日本付近に来襲いたします台風の二七・四%が甑島付近を通るということでございます。
  186. 村山喜一

    村山(喜)委員 この前大臣か打診をされました対馬は、どういうようなことになっておりますか。
  187. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 対馬付近について申しますと、三十年間に通過いたしました台風二十六個でございまして、年平均〇・九個ということになります。したがいまして、日本付近に来襲いたします台風の一四%が対馬付近を通過したことになります。
  188. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは長官、あなたにお答えをいただかなければならない点だと思うのです。私はこの日曜日に甑島に行ってまいりますが、甑島の人たち新聞等で報道を聞きながら言っていることば、朝会うたら原子力船の話なんです。夕方帰るときにも、原子力船「むつ」はどうなるのだろうかというような話であります。その中には、わずかに期待する人もおるでしょう。しかし、大方の人は——鹿児島県というのは国民所得の六割しかございません。その中の甑島の住民所得というのは、また鹿児島県民の六割の所得しかないのです。それだけ貧乏です。貧乏な甑島、しかも台風はしょっちゅうやってくる。そして細々として沿岸漁業で生活をしている。六十五歳以上の老人人口率はすでに一七%を超えておる。そういうようなところなんですよ。それで札束でほっぺたをたたかれるような気持ちがしてならないというのが率直な気持ちなんです。  というのは、それに定係港を設置をした場合には二百億、三百億の関連施設ができるだろう、いま国にも県にも見捨てられた島の浮揚政策には、それ以外にないのじゃないかという、これは徳島県の阿南市の何とかいう離れ島で、水も足らないような島の方から、おれのところに持ってきてくれという漁協長の話が新聞に出ておりましたが、あれと同じ心理です。そういうような為政者の気持ちもわかります。  しかしながら、私はこういうふうに客観的に気象庁が調べ上げて、去年は一年間に四回台風が来ておりますよ。その四回のうち二回が甑島に来ているのです。そういうところをわざわざ選んで、だれが言うたか知らぬけれども、一説によると、甑島というのを言うたのは鈴木善幸さんだという話は、もううわさに上っておりますよ。そういうようなことで、だれが言うたか知らぬけれども、いつの間にかナンバーツーぐらいの候補地になってしまって、あれよあれよというようなことで大騒ぎをしている。  原子力船「むつ」に乗り組み、施設を整え、そして関係の事業団の人たちまで入れたら、少なくとも百名を超える人たちがそこに社会的な生活をしなければならない。そこには自分たちの子供を高等学校にも通わせなければならないでしょう。そういうような人たちのことを考えますと、やはりせめて高等学校ぐらいはあるようなところへ持ってこなければうそなんです。しかし、ここは高等学校もありませんよ。そして台風になったら、定期船は全部本土の方に退避をするわけです。科学技術庁長官は、日本の国の原子力船「むつ」は世界で四番目にできたのだ、そしてこれは放射能事故はすでにその手当てができる、これから「むつ」をさらに実験をし、さらに原子力を発展させていかなければならぬということをいつも言っていらっしゃる長官が、えりにもえってそういうようなところをお選びになるはずはなかろうと思う。しかしながら、それを否定をされなければ、これはいつまでも候補地として残る、こういうようなかっこうになるわけです。人をばかにするにもほどがあるという言葉が世の中にあります。  ですから、原子力船の母港、いわゆる定係港については、こういう条件を備えたところでなければだめですよという一つの気概をあなたが示されるのが、国民にとっては親切ではなかろうか。あなたの良心をそれによって示されるのが当然ではなかろうか。そうでなければ、人のいない離島の果てでもよろしゅうございますというようなことで、何で今後の原子力行政ができますか。そのことを考えますと、「むつ」の事故原因は徹底的に追及をしていかなければならぬ、平和利用というものはやはり考えなければならぬというのが、私の気持ちでございます。  そういう点から、一体この問題についてはどういうふうにしてくれるんだということを言いたいのでございまして、大臣の御所見をひとつこの際明らかにしていただきたい。幸い佐世保では受け入れてもよろしいというような報道が大きく出されているようでございますが、そういうような問題とも関連をしながら、所信を表明願いたいのでございます。
  189. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 甑島に別に決めたわけでもございません。ただ、この一月の初めに、第二定係港の問題は片手間に決められる問題ではございませんので、科学技術庁、運輸省、それから事業団が一緒になりまして、専門にこれに取っ組む人たちを選びまして、そこで作業に入りました。作業に入るために現地調査に参りますのは、当時は統一地方選挙なんかの問題もございましてまずかろうというので、主として机上調査になったわけですけれども、机上調査となりますと、やはり自然的な環境、あるいは社会的な環境等各種の条件を吟味して、その条件に合うかどうかという検討をしていくのが順序かと存じます。それぞれエキスパートの皆さんが集まって、そして非常にたくさんの選定条件を選びまして、そして全国の港湾、漁港等からそういう条件に合うところをだんだん選択して、たしか二十四、五ヵ所をまず第一に選びまして、そしてその中から、対馬が一番適当だろうということで、もし対馬がどうしてもだめだという場合にはそれで終わるかというと、そうはいきませんので、ほかの地区でも、さらに適当だとおぼしき個所を予備候補地として選びました。  そして、対馬の方には地方選挙が済んだ後で交渉に入ろうということでしたが、国会でもしばしば、予算委員会でもこの委員会でも、強権を発動するような決め方は絶対困る、地元の政治家あるいは地元民等との合意を得た上で進めてもらいたいというたっての希望でございますし、「むつ」の経験もございますから、私どももそういう進め方をする意思は毛頭ございませんので、いよいよ対馬との交渉に入るために、まず知事あるいは市町村長に初めから正式交渉に入った場合には、知事、市町村長も苦しかろうし、また、反面考えますと、自分の選挙区に調査団が入った、あるいは来て安全であるとか言っていろいろ講演会をやったといったようなことになっていきますと、地元選出の国会議員は、何て失礼なことをするのだろうという気持ちにもなるだろうから、したがって、正式交渉に入る前に、まず地元県民を代表するはずの国会議員の皆様に打診をし、頼めるものは頼んで、反対は反対でこれはしようがありませんが、頼んでということで、実は工作に入りました。いわば非公式の打診の段階に入ったわけですけれども、御承知のような問題で、知事さんから、しばらく白紙還元で様子を見てもらいたいというお話がございましたので、ただいま静観中でございます。それ以外の地区に関しましては、私どもの方から非公式な打診をしたこともございません。ただ、そういう予備候補として存在していることは事実でございますけれども、それは別に公表したことでもございません。  甑島がその中に入っておるかどうかということも、いまの段階では申し上げられぬような状況でございまして、ましてや地元の国会議員の皆様やあなたからも、それはわれわれにまず話してくれ、これはもう当然な話ですが、しかし、だれにもまだそういう打診などはしてございませんので、そういういわば神代みたいな話でございますから、どうぞひとつ……・。  ただ、いませっかくのお話で、台風が非常に激しいところだとわざわざお調べくださいましてお教えいただきましたから、その点は十分考えなければいかぬでしょう。たとえば東北、北海道の例等で申し上げましても、これは台風もさることながら、あの地方は吹雪のときなどは激しいものです。しかも冬の間は年中です。ですから、それだけの条件が決定的な条件かといいますと、必ずしもそうは言えないとも思いますので、その他の条件との軽重も考えて進めたいと思いますが、せっかく台風のことがございましたので、その点はありがたくちょうだいしておきたいと思います。
  190. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんから、これ以上質問はいたしませんが、別に迷惑をかけているとは思わないという発言が議事録の中に残っております。大臣は主観的には迷惑をかける覚えはなくても、そういうような報道をされることによって迷惑を受けているのは地元人たちなんです。  鹿児島の甑島の場合も、井出官房長官があいさつに参りました金丸知事をつかまえまして、何とかというむずかしい字の島があるようだがどうかねというような話があったというのです。私が井出官房長官に問い合わせてみましたら、いや、あれは要請をしたのではなくてあいさつだ、こういうようなことで終わっておりますが、知事の方も正式の要請だとは思わない。正式の要請は科学技術庁長官からなされるものだということは、井出官房長官も言っておいでのようであります。われわれ国会議員も、自民党の方も私も、全然その話は相談を受けたこともございません。地元の村長あたりに尋ねてみましても、正式にそういうような話があったということはありませんということを言っておりますから、順序立てて長官が、いろいろいままでとられた措置というものを、これからも継続されるというふうに私は受け取っておりますから、そういうような意味において、話がないということは現在ないということだ、こういうふうに受けとめて私は対処してまいりたいと思うのです。  そういうような気持ちに対して、それでいいということは、長官も立場があるので言えないでしょうから、あえて返事は求めませんけれども、やはり選定の基準というものは、単なるそういうような抽象的な何ではなくて、科学技術庁でありますから科学的に、あなた方としては、そういうようなウエートの置き方から何から総合的に判断をしていく上において、こういうようなのはこういうふうにやっていくんだという基準を、この委員会に明確に出してもらいたいと思うのですよ。それによって判断もしましょうし、また、これからの原子力という問題に対する国民の合意形成の上にも役に立つのじゃなかろうか。そうでなくて、ただもうあっちがだめだったらこっちに行け、予備候補は残しておくんだというようなことで対処していこうという政治の姿勢が、その日暮らしではないかと私は思うのです。  佐々木長官は、そういうような人ではないと私も信じておりますので、苦言になりますが、あえてそのことを意見として申し上げて、私の質問を終わります。
  191. 八木昇

    八木委員長 次回は、来る二十五日水曜日午後一時理事会、一時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十分散会