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佐々木国務大臣 私は、去年十二月の初めに任命を受けまして、そのときに
原子力発電を受け持っておる県
知事さんが八県ばかりでございましたが、集まりまして、私を呼びましていろいろ注文を聞きました。その際一番わかりましたのは、「むつ」の問題以来、現状のみならず今後
原子力発電等を進めるのに際して、
政府のいまの
姿勢のままでは困ります、日本のエネルギーの問題からして
原子力発電を進めなければならぬ
重要性はわかるけれ
ども、しかし、安全というものに対していまの
姿勢のままでは困るという非常に強い要望が出まして、これは何としても
政府としてはこの際、いろいろ行政機構の
問題等に対して閣議決定等ございましたが、その
知事さんの話というのは、いわば国民を代表した
一つの意見だと受けとめまして、これにやはりこたえる意味も兼ねて
原子力安全局というものをつくって、そうして
政府としては安全問題に対して真剣に取り組みますよという
姿勢を示すべきじゃないかというのが私の根本的な当時の
考えでございました。そこで、これを総理にも話し、中曽根幹事長にも話し、二人とも御
承知のように
原子力委員長を何遍もやった方でございますから、よくその間のことはわかっておりまして、これはもう確かにそうだということで踏み切ってくれたわけでございますが、しかし、この安全局をつくったから安全問題は能事終われりというふうには毛頭
考えていないのでございまして、いま竹中
先生がお示しくださいましように、有沢機関の結論を待っての根本的な機構改革に譲るべきだと思いますけれ
ども、それまで待てるかと申しますと、先ほどのような状況で待てないものですから、とりあえず安全局というものをつくって
政府の
姿勢を示そうということでございます。
ただ、できて何もせぬなんというばかなことはございませんので、その任務あるいは組織等をどうするか、そういう問題がございますけれ
ども、かねがね申し上げておりますように、何と申しましても私は、特に軽水炉に対する日本の安全研究というものが、大変どうも他国に比べてもおくれているんじゃないか、これに対してもっと積極的になるということ。第二点は、検査、監査等の仕方、あるいは一貫性、あるいは責任の所在等に対してもっと明確にすべきだということ。もう
一つは、国民の皆様の安全問題に対する理解、協力を得るためにどうしたらよろしいか、こういつたような幾多の問題を、安全局は安全局なりで進め得ると思いますので、新しく機構ができますればそれに移行するわけでございますが、とりあえず私
どもといたしましては、そういう点で進めていきたいと思います。
したがいまして、これができたからもう安全の問題に対して終わりだというふうには毛頭
考えておりません。どうも大変その点、誤解をしている向きの方が多いようで、私たちも恐縮しているのでございますが、決してそういう思い上がった気持ちはないのでございまして、
一つの
過程だと思っております。
特に、最近と申しますか、核拡散防止条約の審議の際、私
ども与党内でも御
承知のように問題になりましたのは、今度は自主検査を主体的にやるわけですから、いままでの国際機関がいたしました検査を日本自体がやるわけですから、一体それに対していかなる用意ありや、人員的にどうなるんだ、だれがやるんだという問題になりますと、やはりこの安全局を拡充してこれを受け持たさなければならぬわけでございますので、そういう面からいたしましても、こういうものがぜひすぐ必要だったというふうに
考えております。したがいまして、
お話しのように、これが
一つの今後の
政府の
姿勢を示すのみならず、さらに
強化拡充して、日本の
原子力安全に役立てば大変幸甚だ、こういうふうに
考えておる次第でございます。