運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-03-20 第75回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 八木  昇君    理事 伊藤宗一郎君 理事 田川 誠一君    理事 竹中 修一君 理事 粟山 ひで君    理事 石野 久男君 理事 瀬崎 博義君       湊  徹郎君    綿貫 民輔君       原   茂君    津川 武一君       近江巳記夫君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁計画         局長      安尾  俊君         科学技術庁研究         調整局長    伊原 義徳君         科学技術庁振興         局長      木下  亨君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    福永  博君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         原子力委員会委         員       井上 五郎君         科学技術庁原子         力局原子炉規制         課長      中村 守孝君         環境庁水質保全         局水質規制課長 清滝昌三郎君         外務大臣官房調         査部外務参事官 門田 省三君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理         事)      倉本 昌昭君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     中尾 栄一君 三月二十日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     綿貫 民輔君   山原健二郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     木野 晴夫君   津川 武一君     山原健二郎君     ――――――――――――― 二月十五日  診療放射線技師放射線取扱主任者資格付与  に関する請願愛野興一郎紹介)(第六三三  号)  同(黒金泰美紹介)(第六三四号)  同(山下元利紹介)(第六三五号) 同月二十六日  診療放射線技師放射線取扱主任者資格付与  に関する請願島本虎三紹介)(第九五四  号) 三月一日  診療放射線技師放射線取扱主任者資格付与  に関する請願井上普方紹介)(第一〇四七  号)  同(久保三郎紹介)(第一〇四八号)  同(山本幸一紹介)(第一〇四九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十二日  原子力発電所安全確保に関する陳情書  (第一七〇号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策)      ――――◇―――――
  2. 八木昇

    八木委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 予算委員会で、わが国におけるエネルギーの問題についての論議が行われました中で、特に原子力によるエネルギー確保という問題が論議されました。福田総理は、原子力開発長期計画については見直す必要があるということを御答弁なさいましたが、その見直し作業はどのように進められているかということをまずお尋ねしたいのですが、その見直し作業をするに当たってのエネルギー需給計画、これがやはりひとつはっきりしていないといけないと思います。  そういう意味で、最初にきょうは、企画庁長官おいでになっておりませんが、企画庁から総合計画局長おいでになっているそうですが、エネルギー長期需給に対する計画がどういうふうになっておるかということと、その中で、わが国エネルギー自給の問題、自給度をどのような時点でとらえているのか、こういう問題について、ひとつ構想をまず聞かしていただきたいと思います。
  4. 小島英敏

    小島政府委員 先日、私ども福田大臣がああいうふうに申しましたのは、政府の立場として申し上げたわけでございまして、現在、必ずしも企画庁自身エネルギー長期計画改定作業をしつつあるということではございません。  私どもの方は、福田大臣も申しておりますように、本年いっぱいかかって、五十一年度からの経済五カ年計画と申しますか、全体の計画をつくり上げるべく作業を始めた段階でございまして、この中では、日本の将来の成長率というものが、このエネルギーによって非常に制約されるであろうということははっきりいたしております。したがって、そういう検討の中で、エネルギーの問題というのが非常に重要な一つの柱であることは事実であります。  現在は、通産省の方のエネルギー調査会の場で、昨年長期計画を一応つくられたわけでございますけれども、これは一種のローリングプランで、五十年度としてまた改定するというふうに聞いております。したがいまして、この数字が出ますのは、恐らく私ども計画づくりの最中で、向こうの方が早く出るわけでございますが、こういう供給面と、それからエネルギー需要というのは、やはり将来の成長率がどうなるかというところからも決まってくるわけでございまして、結局、私どもではじきます需要と、それから通産省や、原子力についてはまた科技庁作業されると思いますけれども、そういうエネルギー供給面というものが、お互いにやはり影響し合うといいますか、因となり果となって需給計画がつくられていくわけでございます。ですから、実質的には、通産省作業科技庁作業等参考にしながら、私どもは本年いっぱいかかって全体の計画づくりをする、また、エネルギーなんかについて、もし成長率等に差が出てまいりますれば、その段階通産省等においてまた見直しが行われる、そういう形ですり合わせが行われるというふうに考えておるわけであります。
  5. 石野久男

    石野委員 事務手続というようなことでなくて、経済企画庁作案ずる政府考え方を私はお聞きしているわけでございまして、特にその中で、わが国エネルギーに対する自給体制というものは、とても一〇〇%達成できないことくらいはわかっているんです。だけれども石油の問題だとか食糧問題等を勘案して、資源外交側面から見れば、国のそれらのものに対する自給度を可能な限り高めるということが、非常に大事なんだろうと思うのです。そういう問題が、その総合計画の中でどのような構想として組み入れられておるか、そういうことについて承りたいわけです。
  6. 小島英敏

    小島政府委員 現在の段階では、エネルギーの内容について具体的に、たとえば自給率をどのくらい高めるというところまでは作業が進んでいないわけでございますけれども、今度の計画づくりの中の重要な一環として、やはり経済的なセキュリティーと申しますか、安全確保ということが、今度の計画の非常に大きな一つの新しい視点になるというふうに考えます。  したがいまして、エネルギーの問題、それから食糧問題等を含めまして、これはやはり経済性ということを無視するわけにはまいりませんけれども、従来の計画以上にやはり自給力を高めるということが、一つのポイントになるというふうに考えます。  そういうことから申しまして、エネルギーにつきましても、やはり水力見直しとか石炭見直しとか、あるいは長期的には地熱とか太陽エネルギーとか、サンシャインというものがやはり重要視されなければいけないと思いますし、同時に、原子力というものが、やはり石油にかわるべき代替エネルギーの大宗として、非常に重要な地位を占めざるを得ないということも事実でございます。  福田大臣が申しましたように、現在の六千万キロワットという六十年の目標が、諸般の事情からしてなかなかむずかしいということは、大体私どももそう考えるわけでございますけれども、これが六十年までの過程でどういう程度の縮小にならざるを得ないかというような点は、今後科学技術庁通産省等中心に詰められていくというふうに思います。しかしながら、新しい核融合等は二十一世紀と言われておりますので、六十年までは計画をある程度縮小しなければいけないとしましても、その後やはり原子力発電というものに相当大きく期待せざるを得ないということは、やはり大筋において変わらないというふうに考えております。
  7. 石野久男

    石野委員 最近の世界資源外交側面を見ておりますと、各国においてこれがますます政治的に真剣に取り上げられているということがよくわかるわけです。石油ショックで、一時われわれはずいぶんと、どうなるのだろうかと迷いを生ずるような事態を引き起こした経験があるのですが、中東問題やあるいはアメリカエネルギー政策等を見ておりました場合に、日本が、いつまでもエネルギーのかさというようなものを他国にお預けしているというようなことではよくない。可能な限り自給度ということになれば、ウランだってそう十分あるわけじゃありませんから、自給度をどういう側面で確立するかということは、長期対策としては非常に大事だろうと思うのです。そういう意味で、政府にまだそれだけの作案がないのならないでいいのですけれども、もし案があるならば、この際それをはっきりと示していただきたい。  六十年以降はやはり原子力だということについても、ただ漠然とそういうことを聞いておっても、これは意味ありません。六十年以降原子力に依存するのなら、六十年までだって、皆さんの考え方では、他に原子力にかわるべきものがそう簡単には見つかるわけではないのでしょうから、それじゃ六十年まで、なぜ原子力をその対象としないのかという問題も出てくるわけでございますから、そういう点について、もうちょっと政府エネルギー政策についての基本的な物の考え方、特に自給度をどういうようにするかということについての構想をひとつ聞かしてもらいたい。
  8. 井上力

    井上(力)政府委員 先生御指摘エネルギー自給の問題でございますが、御承知のように、日本エネルギー供給は、昭和三十年前後ごろまでは水力発電、それから国内石炭中心にいたしましてかなりの自給度があったわけでございますが、その後の経済成長に伴いますエネルギー需要の増大に応じまして、たとえば昭和四十七年度におきましては、国産によりますエネルギー供給というものは約一三%程度に落ちておるわけでございます。  御指摘のように、エネルギーあるいは食糧というような重要なものにつきましては、国内自給度をできるだけ上げるというのが基本であるというふうに考えております。したがいまして、水力発電開発あるいは国内石炭開発、あるいは新しい国内石油または天然ガス開発というようなものにつきましては、できるだけこれを拡大していくということでいろいろな政策が講じられておりますし、関係の業界その他に対します指導も行われているわけでございます。  しかしながら、たとえば水力発電をとりますと、すでに約二千万キロ余り開発されておりますし、今後に残されております地点といいますものはかなり規模が小さく、全部足しましてもさほど大きな規模にならないわけでございます。しかしながら、何といいましても水力発電につきましては循環エネルギーつまり水によって循環するエネルギーで、無限といいますか、毎年毎年これは自然に供給されるエネルギーでございますので、かなり小さなものでも丹念に拾いまして開発を進めたいということで、現在低利資金融資等を行いまして開発の促進を図っている次第でございます。  さらに、国内石炭につきましては、これもやはり従来かなり生産が行われておりましたものが、いろいろな事情によりまして現在下がっておりますけれども、これもなるべく高い水準をキープしたいということで開発を進めております。  国内石油天然ガス開発につきましても、これも探査を積極的に進めているところでございます。  ざらに、地熱発電開発でございますが、現在約四万キロ程度の小規模開発しか行われておりませんけれども、工事中あるいは計画中のものが約十八万キロ程度ございまして、こういった開発経験を基礎といたしまして、国内地熱資源調査を国としても積極的に進めまして、その調査に基づいて極力地熱発電開発の拡大を図っていきたい、かように考えて政策を進めているところでございます。  こういったことで、一体どれくらいの国内産による一次エネルギー供給が可能であるかというような点につきましては、昨年の七月でございますが、通産省にございます総合エネルギー調査会において一次エネルギー供給可能量の試算を行っていただいたわけでございますが、こういったことで極力開発を進めましても、先ほど申し上げました国内自給率は、昭和六十年度におきましてもやはりどうしても下がってしまい、七・四%ないし八・九%というふうに試算されております。  これはもちろん、先ほど経済企画庁の方から御答弁がございましたように、今後の経済見通し、それに基づきますエネルギー需要見通しの変更によりまして、さらにこれは変わってくることになるわけでありますが、そのように、国産エネルギーにつきましては極力開発を進めましても、そう多くを期待できないというのが実情でございます。
  9. 石野久男

    石野委員 総合エネルギー計画の中で、国内エネルギー資源を総動員をかけても、まあそれは経済見通しにもよるんだろうが、見通される範囲は一〇%足らずだという御意見、これについては作業が行われることでもございますし、また、それらのことについての論議はいろいろあると思います。  そこで、二十一世紀に至るエネルギー計画の中で、原子力の位置づけが非常に重要だという御意見でありました。そのことと、それから原子力長期計画見直しという問題との兼ね合いは、非常に重大になってくると思うのです。私は、原子力開発についての見直し作業というものを、いま政府なりあるいは原子力委員会がそれぞれ行っていることと思いますが、このような事情のもとにおける見直し作業については、いまどのように進んでおられるか、これは長官の方からでも、あるいは井上さんからでもお話しください。
  10. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きのうの参議院の予算委員会でも同じような質問がございまして、経済企画庁長官、すなわち副総理と私から答弁したわけでございますけれども、本格的には、先ほど企画庁担当官から御説明ございましたように、国民経済規模が決まってまいりませんと一国のエネルギーの総需要というものが決まってこないわけでございますから、日本のいまの行政体制では、経済企画庁のその作業が進んで正確な需要が出、したがって、その需要に見合うエネルギー源を何々に頼るかという、そういうのが結論になって出てくるわけでございますけれども、その作業は、先ほど御説明のようにまだこれからでございます。  従来と非常に違うと思われますのは、いわゆる成長経済というよりは安定成長という経済の切りかえをしつつございますので、従来同様の足取りで需要が伸びていくかどうかというのは、これは大変大きい問題でございますので、したがって、それが出ない間は実は的確な判断というものができかねるのでございますけれども、しかし、それの完成を待ってばかりはおれませんので、聞くところによりますと通産省でも、ただいま現実的な観点から、油あるいは原子力その他の資源等、いまエネルギー庁からお話がございましたように、にらみ合わして、どのくらい自給率を高め得るかというふうな観点を主として作業を進めておるようでございます。私の方は、主として稲葉委員が去年一応私案という形で出しておりまして、その後レビューはしておりません。しかし、六十年度六千万キロワットというのが、果たして現実的な視野から検討して可能かどうかという問題が大分切実な問題になっておりますので、わが方はわが方としてひとつ検討してみたらどうだろうということで、せっかく検討に入る途中でございます。
  11. 石野久男

    石野委員 そうしますと、原子力問題の見直し作業ということは、稲葉私案もまだ私案で固まってはいないし、科学技術庁としてもまだ検討の途中で、全然案はない、こういうことでございますか。
  12. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいま案がないかと申しますと、元の案が残っておるわけで、六十年度六千万キロワットというこれが原案になっておるわけでございますけれども、しかし、とてもそれは無理じゃないかという客観的な御意見が多うございまして、私も、恐らくはそうであろうと考えます。したがって、それの修正と言っては語弊がありますけれども、再検討に入るべきだということで作業を進めておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  13. 石野久男

    石野委員 長官に対して、これは本当に子供じみた質問のようになるかもしれませんが、長いこと長期計画を持ってきたものが、六十年六千万キロワットというものを持ってきたものが、いまそれは無理だろうという、その無理だろうということの根因はどこにあるかということについて、科学技術庁は、あるいは政府は、どういうふうに認識なさっていらっしゃいますか。
  14. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 一番大きい理由は立地難だと私は思います。その立地難根源は、どうして立地難が起きておるかといいますと、安全に対するいわば国民信頼感、そういう問題が根源だと思いますので、今後の進め方といたしましては、原子炉の安全問題に対して国民信頼を得るためにどういう措置をとるべきかという点を基本にいたしまして、いろいろ作業を進めていくべきじゃなかろうかというふうに考えております。
  15. 石野久男

    石野委員 政府はしばしば、安全度に対する国民不信感があるということから、PRが足りないのだとか、あるいは地域住民に対しての接触が不足しているのだとか、こういうお話をされておりますけれども、問題は、PRが足りないとか何とかということではなくて、原子炉そのものに問題があるというふうに考えるのがやはりしかるべき考え方でないだろうか、私はそう思うのですけれども長官はその点についてどのようにお考えになっておりますか。
  16. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、その点に関しましては、石野さんとは御意見を若干異にするかもしれません。と申しますのは、発電炉そのものにも幾つも種類がございまして、たとえば、英国のガスグラファイト炉あるいはカナダの重水中心CANDU等大変操業率等もよし、順調に進んでおるようでございます。  ただ、わが国でいましばしば問題になっておりますのは、米国の軽水炉でございまして、いまの日本の九電力はほとんどこの軽水炉に頼っておるわけでございますが、その軽水炉に関しましても、たとえばドイツなどは同じ軽水炉でありますが、必ずしも操業率が悪いわけではございません。余り故障その他の話も聞きません。アメリカ自体でも、軽水炉に対する特に安全性、まあ小さい故障じゃなくて、第三者に対する被害あるいは環境に対する汚染等の、最近はリスクと言っているようでありますが、そういうリスクというものがあり得るかどうかという問題に対しては、AECで非常に配慮いたしまして、御承知のように、昨年の夏にラスムッセン報告が出たような状況でございます。  私は、やはりこの軽水炉に対する安全という問題は、もう少しわが国でも、いわゆるリスクというものと開発途上にある技術的な未熟性と申しますか、そういうものとの間の関連をもっともっと研究してみる必要がありはせぬかという点、あるいはただいま石野さんからお話がございましたように、わが国独自のこの軽水炉の安全に対する研究、こういうものをもっと深める必要がありはしないか。ただいま、御承知のように、原研が主になって一生懸命この研究を深めつつありますが、その研究は、それほど長い時日を要したわけではございませんけれども、私も参りましていろいろお話をちょうだいしたり現物を見ますと、ずいぶんわが国独自の研究も進んでおるように見受けられます。  でございますから、この問題は、私は政府の力の入れ方、あるいはいろいろな誤解があるとすれば、その誤解を解く等のいろいろな措置を講じてまいりますれば、今後の軽水炉による原子力発電に対しても、まだまだ考え得る余地というものはあるのじゃないかというふうに実は思っております。  ちなみに、石野さんはよく御存じのように、フランス等軽水炉が主でありますが、今度の油の問題以来、発電は一切油でなしに原子炉によるべきだというふうな体制にもなりつつあるやにも聞きますし、アメリカ自体ももちろん軽水炉が主でありますが、十カ年で二億数千万キロの軽水炉での発電計画を進めておる状況のようで、特に最近注目すべきはイランだと思いますが、あの国はたくさん油が出るにもかかわりませず、油は一切発電に使うな、石油化学の原料として油を使うべきだ、発電はもう挙げて原子力発電によるべきだというので、アメリカフランスから軽水炉を輸入して発電をするやに聞いております。これは、ちょうど井上委員が見えておりまして、イランから帰ったばかりでございますから、よく御聴取いただきたいと思います。  そういう世界の進運の中で、日本もこの軽水炉の問題で、もちろん行政、あるいは研究、あるいは監査、検査等にいろいろ問題があるにいたしましても、すべてそういう問題を解決しつつ、できるだけこれを進めていくのがよろしいんじゃなかろうかと思います。  ただ、そういたしましても、六千万キロというのは可能かといいますと、現実は大分狂ってきておりますので、そこまではなかなか無理じゃなかろうかということを申し上げておるのでございます。
  17. 石野久男

    石野委員 この問題は、問題のとらえ方で非常に重要なすれ違いが出てくると私は思うのです。いま、同じ軽水炉でもドイツの場合はそれほどのことはないのに日本ではと、こういうお話もございました。なぜそうなるんだという問題が一つあると思います。  いみじくもいま長官から、軽水炉におけるリスクの問題と、それから開発途上における未熟性についての研究というお話がありました。従来政府はこういうことを言ったためしがないのですよね。われわれはこのことをしばしば指摘してまいりましたが、政府は、炉については安全は確立している、こういうことで、国会の答弁もそうしておりますし、一般の地域住民に対してもそういう説明の仕方をしてきている。簡単なことのようですけれども、これが大きな食い違いになってくるもとになっている。政府のこの考え方の受けとめ方の違いというものが明確になりませんと、これはとても国民安全性に対する不信感をぬぐい去ることはできないと私は思うのです。これは科学技術庁長官もそうでありますし、また後でイランの問題を井上さんからお話が仮にあるにしましても、この軽水炉というものが、なおまだ開発途上における未熟性に問題がある、このことをしっかり踏まえた上で原子力開発問題をとらえるということになれば、問題の討議の仕方というものはずいぶん違ってくると思うのです。ここのところははっきりしておかなければいけませんので、この機会でございますから、長官のきょうのこの発言は、従来われわれが国会で聞いていることとは非常に違いますので、いま一度はっきりとひとつ話しておいていただきたいと思います。
  18. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 衆議院の予算委員会石野さんから御質問がございましたので、同じ答弁を私はしていると思います。ただ、あのときは事故と故障というふうに言葉を分けまして、事故の中には故障ももちろん入るのでありますけれども、しかし、いわゆる事故と称するものを狭義の意味に解すれば、事故というのは第三者あるいは環境汚染等の重大事故を指し、それ以外は、むしろ事故というよりは、機械にありがちな故障等として問題を処理すべきじゃなかろうかというふうにお話をしてございました。  たまたま、最近ラスムッセンの報告などを読みますと、重大事故に関するボキャブラリーは、むしろ重大事故という紛らわしい言葉ではなくてリスクというふうな言葉ではっきり分けておるようでございますので、そういう方が理解を進め、あるいは今後の議論を進めていく上におきましては、紛らわしい言葉ではなくなりますから大変いいのじゃなかろうかと思いましてそういう言葉を使ったのでございますから、予算委員会で私が答弁いたしました趣旨と毛頭違っておりません。
  19. 石野久男

    石野委員 予算委員会で、事故の問題に絡んで、従来政府が言っていた発言の内容が変わってきております。いまの重大事故の考え方について、重大事故というものは、原子力の過去の経験に基づいても、余り第三者に迷惑をかけていないのだから、そういうものはありませんでしたと政府は常にそういうふうに言っておるわけです。しかし私は、なぜそれじゃ重大事故というような第三者に迷惑をかけないような過去の経緯であったかということについても、突き詰めて考えてみる必要があると思います。それは、われわれがかねてから言うように、軽水炉というのは商業用炉ではないのだ、実験用の段階である、まだ試験研究段階にあるのだということと、それから商業用の炉だということの食い違いです。実際に運営の面では、従来やはり実験用炉あるいは研究炉というような形の扱いをされてきたから重大事故が出ていないのですよ。これを本当に商業用炉というような形の経済運営の形で行っていったならば、恐らく事故は出ているのですよ。  いま、この原子炉について、代替エネルギーとして「真に効果的なものとしては原子力開発しかありえない」と井上委員は言っておられる。ところが、現場で働いておる労働者はどういうふうに言っているかというと、現場では、これはとてもとてもそういうものとしては考え得られないというようなことで、たとえば電労連の第五次提案は、「われわれは、原子力が安易に石油代替エネルギーとして位置づけられることには疑問がある。」こういうふうに言っております。それはあくまでも今後の中核エネルギーとして位置づけて、エネルギー計画を見直す必要があるということを言っておるわけですね。だから、いま簡単に代替エネルギーという意見だということで原子炉を見るということについて、現場で働いている労働者は疑問を持っている。なぜそういう疑問を提起しているかといえば、そこで働いておる労働者の被曝線量が、人レムとして非常に増大しているという現実に直面しているからなんです。そういう問題の解決がなければ、とても代替エネルギーとしては成り立たないということを働いている労働者は言っておるわけですよ。事実問題として、これを無視した形でやるならば、恐らく現場の労働者は働けないんじゃないでしょうか。  私は、そういうようなことを考えてみますと、やはり炉は商業用炉としてまだ未熟なものだという、いま長官が言われたように、開発途上における未熟性について研究することが非常に大事なんだと思います。その上に立ってどう開発していくかという、こういう観点ならば、これはわれわれだって十分理解できるのですよ、原子力について平和利用を反対しているわけじゃないんですから。ただ、資本の側がそういう開発途上におけるところの未熟性というものを無視して、いろいろなことをやるから問題が起きてくるし、地域住民はこれに対して信頼を置かなくなってくるんです。ここのところは謙虚に、やはり科学ですから、科学的に物を言う必要があるんじゃないでしょうか、長官
  20. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私、別にお言葉を返すつもりはございませんが、私の申し上げておりますのは、軽水炉の、軍事用じゃなくて、いわゆる商業用炉、特に発電炉等に関しては、私、先ほど申しましたように、過去にリスクというものはありませんでした。第三者を損害したり、汚染をしたりということはない。今後はどうだろうということで、さっき申しましたラスムッセンの報告等を見ますと、これはあり得べからざることだというふうに報告もしておりますので、まず第三者に対するリスクというものは、安全と見ていいんじゃなかろうか。  そこで、いまお話しのございました、いわゆる商業炉じゃないじゃないかという意味は、私、二つからおっしゃっているんじゃないかと思います。一つは、採算面でどうかという問題、もう一つは、電力でございますから、安定供給が電力としてできるかどうか、これが商業炉の基底だと思います。  そこで、いまの油やなんかの状態から見まして、もし採算に合わないようなものであるならば、何でアメリカなどは二億数千万キロ、現在の日本の全発電量の三倍くらいの膨大な原子炉発電をどんどん進めているかということは理解できないと思います。欧州もしかりです。特にまた、先ほどのイランの例などはいい例だと思います。ですから、採算に関しては、恐らく程度の差こそあっても、これは商業炉と見ていいんじゃないか。  それから、安定度という問題に対しましては、これは御承知のように、操業度をどのくらいに見るか、したがってどのくらいの電力を供給するかという、それに相違を来せば国民経済に障害を来すわけですから、商業炉とは言えないぞということは確かに言い得ると思います。しかし、その操業度の問題も、先ほどもちょっと触れましたけれども、国によっては相当違いますし、また炉の運転経験、すなわち初年度とか二年、三年目はどうだとか、あるいは四、五年になってよく故障が起こるとかいろいろございますから、そういう点に対する配慮を払っていけば、私は供給の安定度に対してもある程度考慮を払えるんじゃないか。したがいまして、必ずしもいまの軽水発電炉は、商業炉じゃないと言い切るのも少しおかしいのじゃなかろうか。  そこで、後段に問題にしておりました、それはわかった、わかったけれども、そこに従事しておる従事者そのものに対する被曝量がふえておるから商業炉と言えないじゃないか、こういう御議論のようでございますけれども、私は、電労連の報告は首脳部からも御説明をちょうだいし、自分も五回くらい実は読んでみたのですが、石野さんのおっしゃるような問題の提起の仕方ではないようでございまして、もっと建設的な、被曝量に対してはこうすればだんだん改善できるじゃないか、こういう趣旨の非常な建設的な意見のように実は考えて、できるだけこの意思に沿うように私もやりたいと思っています。ですから、それこれ考えますと、必ずしも完全な意味の商業炉とは言えないのですけれども、また、完成したものだとはもちろん言えませんけれども、まずまずのものだ、こういうことは言い得るのじゃないか。  そこで、よく言われますパイプに対するピンホール、あるいは熔接部に対する亀裂、ほとんどいままでの故障の主たるものはそれでございますけれども、なぜ、こういうものに対してもっと真剣に、故障のあり方が大体わかってきておるのに、それに対して研究を深めないかという御非難は多分にあろうかと私は思います、私自体もそう考えていますから。こういう問題に対してもっともっと、会社でも国でも研究所でも力を合わせて努力すべきじゃないかという感じがいたしまして、せっかくそういう問題に、これから切り込もうとして構えておる最中でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 いま長官は、完全な商業炉じゃないのだということを言われたからいいですが、商業炉はどこからどこまでだということについては、なかなか問題がありますよ。  それからもう一つは、同じ炉でも、扱い方によっては被害を与える場合も出てくるし、そうでない場合もある。ドイツやあるいはイタリア、フランス、特にフランスなどは、すべて原子炉に依存するのだということをやるについては、それなりの構えがあってのことだと思います。各国がそういうふうにしておるのは採算が成り立つからだ、こういうふうによそ様のことを言わないで、日本のことを考えてほしいのですよ。日本の炉はほんとうにそうなっているのだろうかという問題なんですよ。私は経営者じゃありませんが、これは井上さんなんか経営者のベテランでございますから、電力経営をやっておられて、そしていまのような操業率で、本当に電力会社として配当ができるのだろうかということになったら、大変だろうと思うのですよ。事実問題として、建設費だって大変なことでございますし、操業度は非常に落ちておるし、とてもじゃない、ペイする年限として規定された時期にはもう廃炉になっておるということじゃ、これはとても採算が合いません。だから、そういうふうな点を考えると、もっともっと考えなければならぬものが多いのだと思うのです。  こんなことを多くを言っておってもしようがありませんから、私は、経済性が成り立つという長官の話ですが、一応炉のキロワット当たりの建設費は現在でどういうふうになっておるか、これはひとつ資料を出してみてください。炉の発電量、あるいは経過年数、償却年数等を含めて、建設費がキロワット当たりどのくらいになっておるか。それから廃棄物の処理費というものはキロ当たりどのくらいになっていく見通しなのか。これは償却との関係で見られるのだろうと思いますが、このこともひとつ、資料がいまあれば話してもらいたい。それから安全性、環境保全のため使っておる経費、こういう経費がキロワット当たりどのくらいになる見通しなのか。そして現在の発電炉の操業度をどのくらいに見てコストが安いと言うのか、ここらのところを資料として出してみてください。  私たち、なかなか納得できないのですよ、現状を見ておりますとね。私は、原子力開発の問題を頭から否定しておるわけじゃないのですよ。安全性に対する皆さんの考え方が非常に安易過ぎる。それで非常に問題があるにもかかわらず、よその国がこうしておるからうちもこうなんだというような、こういう筆法では、現に立地難で困っておるのだと言っておる長官のその悩みを、解決することはできないじゃないですか。  私は、電労連の提案が非常に積極的な意味を含んでの提案であるということはよくわかっていますよ。これは現場で働いている労働者の気持ちがこの中によくあらわれていますから。ただ、しかし、ここで被曝線量がふえてきているということは、どんなに開発に意欲的であろうとも、労働者の健康に差しさわりが来るということは、ぬぐい去ることはできない。だから、そのことがぬぐい去られなければ、原子力に対して意欲的で、開発に対して積極的に取り組もうという電労連としても、それはやはり受けとめることはできないだろうと思うのですよ。基本的には、現場で働いている労働者の、被曝線量が人レムとして増大する傾向を打ちとめる、そういう施策が政府の施策の中にもあるいは経営の立場からも出てこない限りは、とても労働者の共感をこれ以上得ることはできないんじゃないでしょうか。そういうことについてはどういうようにお考えになりますか。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私の理解が間違っておれば訂正いたしますけれども石野委員の発言の中で、従業員個人の受けている被曝量と人レムとの理解の仕方が違っていないかと実は感じます。個人に対する被曝量は大変問題でございます。これは、資料を必要とすれば差し上げますけれども、一年間五レムというのが、いまは〇・〇幾らあるいは〇・幾らというように、まだ非常に低いものでございます。したがって、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルという原則どおり、できるだけひとつ従業員には被曝量は小さくしようということで、最大限の努力を払っているわけでございます。人レムというのは、何十年たったときに、日本全体の自然の放射能にさらにどれほど原子力発電等で従業員を主にしてふえていくだろうかという、そういういわば策定でございまして、現在の人レムの量そのものは、したがってごくわずかなものでございます。そこの御理解をいただきたいと存じます。  それから先ほどの、他の国がこうしているからわが国もそうだと申しておるのではございません。わが国にはわが国の特有の事情がございますので特に申し上げているのでございますが、さっき申しましたように、どうも私の感ずるところでは、あるいは間違っているかもしれませんけれども、炉内の一つのそういう工学的な意味からする瑕疵、故障、これが普通の機械等であれば、全然そのまま突っ走るであろうものを、原子炉は御承知のように早期発見、微細なことでも放射線が出ればすぐそれを発見しまして、そして炉をとめるための措置というものにあらゆる手段のあることは、石野さんも御承知のとおりでございます。したがって、早く発見して早くとめているということ自体がむしろ安全の証拠じゃないかと私は思うくらいでございまして、私どもは、日本の特殊事情も考えまして、とにかく、採算等もありますけれども、しかし、まず安全だというので、大きい事故につながらないようにやっていくのがわれわれの任務だということでやっております。  たとえばBWRの問題でも、ドイツなど全然応じません。応じないというよりも、アメリカで事故を起こして発表した場合でも、ドイツは炉は何もとめません。しかし、わが方は大事をとって、そうじゃないぞということで検査をする。一切安全ファーストということでやっておるのでございまして、むしろこういう傾向はしばらく続けさしていただいて、そしてその上に立ってだんだん規模等も広げていくというのが、かえって時宜に適した行き方ではなかろうかと実は思っておりますので、外国でこうだからこうだと言っておるわけではございません。
  23. 石野久男

    石野委員 人レムと単位レムとの関係について、別に私は誤解していないですよ。なるべく個人当たりの被曝線量というものは少ないのが非常にいいことだし、そしてまたそういう努力をしていることもよくわかりますが、しかし、個人当たりの被曝線量が少なくとも、その被曝の人員がうんとふえていくということになりますと、微線量の被曝の被害という問題、放射能の微線量被曝の障害というものについての考え方が、長官と私との間に違いがある。微線量の被曝被害というものが人間の健康の上に、特に国民全体の健康の上に悪い結果が出てくる。特に肺がんの発生などというようなものについては、考え方の違いもいろいろあるでしょうけれども、私はその危険性を憂えておる。そういうことから、人レムが増大するということは決していいことじゃない。  それだけじゃない。たとえば先ほど長官が言われたように、非常に好意的な、しかも積極的な、建設的な提言をしておる電労連でさえも、とにかく人レムが増加するということは、労働者を確保する上で非常に障害になると言っているのでしょう。これは無視することはできないじゃないですか。この人レムが増加する、多くなるということによって労働者が少なくなれば、これはなかなか仕事はしにくくなってしまうのですよ。ただその仕事がしにくくなるだけじゃなくて、それが日本人の健康の上に及ぼす影響が非常に大きいということ、そういうことで私は言っているのですから、長官が言われるように、非常に安易に私は物を言っているのじゃございませんから、そこはひとつ理解しておいていただきたい。  それからもう一つは、炉内におけるところの問題が起きれば、緊急停止の状態ができるんだからいいんだということ、そしてまた、それをドイツなどでは余り問題にしていないけれども日本ではそれを問題にしてやっているんだということ、だからそれをよく理解してほしいということについては、私は、日本原子力政策の中において、それはもう皆さんだけではなしに、日本人全体がそのことを要求しているからそうせざるを得ないのでしょう。日本人がそれを要求しないような状況であればそんなことをする必要はない。特に日本の場合は、ドイツよりもはるかに大きな計画を持って進めてきていることは間違いない、いまは後退していますけれどもね。  それと同時に、人口の稠密度においても非常に違いがある。立地条件の中におけるところのその地域の住民との関係においては、日本の場合ははるかに大きいのですよ、人口密度が、接近度が。長官がそうおっしゃるならば、世界じゅうの炉と周辺地の人口の比較を出してみてください、日本が非常に少ないのかどうか。そうじゃないですよ。その炉と人口との比較図を一応出してほしいのです。そうした場合に、日本がはるかに希薄な状態にあるならば、事故が起きてもその緊急度は非常に緩慢になります。非常に広いところで大事故が起きたって、人間様に来るまでの間には相当な時間があれば、回避することもずいぶん時間的に余裕がありますけれども、たとえば東海村などのような、あんなところでもし事故があったらどうなる。とてもじゃない、回避するどころじゃございませんでしょう。  だから私は、安全性の問題については、炉自体の技術的安全の問題もありますけれども、事故時におけるところの周辺地人口と距離との関係が、安全度については非常に大きいのだということの考え方長官が持っていないようでは、とても立地条件におけるところの反対運動を、あなた方は抑えることができませんでしょう。その点について、あなたはどういうふうにお考えになっておるか。
  24. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 どうも平行線をたどるようで恐縮でございますけれども、さっきから申しますように、そういう事故は、軽水炉の商業炉に関する限りあり得ない。原子炉自体の特質は、またあらゆる力の注ぎ方は何かと申しますと、むしろそういう故障リスクにつながらないためにはどうすべきかということが原子炉そのものでございまして、他の油の貯蔵施設がどうだとか、他の機械がどうだとかということと違うわけでございまして、アメリカのAECが二年間、六十人の人を使ってこの軽水炉のあらゆるリスクを調べましたのも、そういうリスクは一回も起きていないわけですけれども、その確率がどうなるのかということでNASAあるいは国防省等で、未経験のままのものの安全性の確率を新しい手法で出していますから、そういうものを主にして計算したのによりましても、いわゆるリスクというものは非常に少ない、ほとんどゼロと言ってもいいくらいと思います。  したがって、そういう観点からいたしますと、むしろ石野さんの言われるのは、そういう問題よりも、どうして故障が起こるんだ、何が原因だというその方にこれからの問題点の焦点を合わすべきじゃないかと私は考えるのでございます。ドイツの方は、私もこのごろ行っていませんからわかりませんけれども担当官等から聞きますと、そういう材料とかあるいは工学面で独自に大変よく研究しておりまして、必ずしもアメリカのようにはなっていない、そこに非常な優越を感じておるようでございますが、日本も、やはり遅まきでありますけれども、そういう焦点が大分わかってきていますから、そういう点に今後力を尽くすべきじゃなかろうか、こう申しておるのでございます。
  25. 石野久男

    石野委員 後段の点はよくわかります。そうしてほしいのです。たとえば、いままで日本におけるリスクが、非常に大きいものはなかったのだということの意味は、先輩であるアメリカに追随して、アメリカで事故が起きれば、すぐそれを点検するというような作業をやってきているからなんです。もし軽水炉をそのまま、アメリカからいろいろの問題についての情報が入らないで、そしてその作業を続けていくということになると、リスクが起きる可能性を持っているわけです、いまの場合は。だから、それらの問題を自主的に解決する能力を一日も早く培うという、そういう前段の工作が一番大事なんだということをわれわれは主張し続けてきているわけですよ。ようやくそういうことに気づいたということは非常にいいことです。だから、私は余り開発優先ということに走らないで、そういうような地固めをしていくというような対策に切りかえていかなければいけないということを主張しているわけです。  そういう点で、代替エネルギー原子力だというようなことばかり言っておって、安全性についてはどうしても地域住民の共感を得なくちゃいけない、信頼感を得なくちゃならないのだと言いつつも、また開発が従前のような形でどんどん各企業別に進んでいくとするならば、これは克服できないだろうと思う。だから、そこのところの切りかえの問題について、政策的に明確にする必要があるのじゃないかということを私は言っているのですから、そういう点についても、はっきりしたことを政策として出してもらいたい。私が先ほど要求したキロワット当たりのコストの問題については、これは資料として出してください。それによって、私どもはまた今後いろいろ考えていかなければいけない。  この点については、特に長官なりあるいは井上原子力委員長代行のお考えの中にも、そのことについてどうしても考えていただかなくちゃいけない問題があるのです。それは、井上代行が私案を出されております。これはまだ余り公にはされていないようでございますけれども、この考え方の中で、私は非常にまじめに取り組まれているとは思いますが、なおこの問題で非常に問題になるというふうに私が思うことは、二十ページのところに、これらと関連して今後検討すべき問題として、次のようなものがあるということで三つほど挙げておられます。  その三つほど挙げておられる中に、「所謂住民パワーに対してはあらゆる対話の場を拡げる可きであるが、」これはそのとおりだと思うのです。「最終的には此れに対する公正な裁定機関又はレフェレンダム其の他の方法によって決定できる道を講じなければならない。」とある。国民投票とか住民投票というようなものによって決めなさいということまで言われているわけですよ。これは一見非常に民主的に見えるけれども、公正な裁定機関またはこうした国民投票なり住民投票というものによって最終決定をしようということの中には、住民の意思を一つの擬装された多数決の方向で決めていけということの意図がここにあると思う。これは非常に危険だと思うのですよ。いわゆる自主、民主、公開の民主というものが、巧みにこういう形で擬装表現されているとするならば、これは安全性の問題に対する解決にはならぬじゃないか。  もっと極端に申しますと、いま安全性の問題を提起しているのは、一億の国民の中ではわずかで数は少ないんですよ。もしこれが住民投票とか何かになれば、いつでもこれは負けるんですよ。そういうものによって最終結論を出せというようなことを、委員長の代行である井上さんが言われるということになると、その意図するところは何を言っておるのか。これはきわめていんぎん無礼な表現だと私は思います。この点について、井上さんはどういうような御意図でこれを書かれておるか、ひとつ御所見を聞いておきたいのです。
  26. 井上五郎

    井上説明員 私、原子力委員を仰せつかっておりまして、昨年不幸にして「むつ」の事件が起こりました。ただいまの原子力委員のあり方、私ども自身はなはだ微力であるということを別といたしまして、何としても国民の大方の御支援を得なければ、原子力の推進ということはできないということの反省から一つ考え方をまとめた次第でございまして、その中には、やはり原子力委員会そのものも俎上に含めて、高い立場において御審議を願いたいということを前提としてこれを書いたわけでございまするが、幸いにしてと申しますか、先般、内閣でこれについての懇談会ができました。したがいまして、こうした場を通じてこれらの問題が御審議を願えるということで、特に公表をいたさなかったのでございまするが、たまたまお目にとまりまして、それについて御所見を伺いまして、まことに恐縮に存じます。  その中で、サイト問題について私は、根本的には住民の方々の安心を得なければならぬ、信頼を得なければならないという前提がくどくどと書いてございます。そのためには、先刻来佐々木長官からお答えをいたされましたのと全く私、同感でございまして、いままで商業炉としての一応の成果を得ておるけれども、なおこれ以上の安全性についての日本としての研究も進めなければならぬし、またそれの理解を得るためには、公聴会の今日のあり方その他についても、改善すべき点は考えなければならないということを申し述べまして、また一方におきまして、電源三法といったようなことで、ある利益を地方に反対給付するというだけで根本解決にはならないといったようなことも述べてあるつもりでございます。  しかしながら、日本が、たとえ経済成長をスローダウンするにしても、恐らくゼロ成長あるいはマイナス成長でいいということが考えられないとするならば、私は、やはり石油に代替するここ十年あるいは二十年で現実に有効なるエネルギー源原子力である、かように考えておりますが、さような意味におきまして、住民の御納得を得る上においての方途の一策として、さようなことを申し述べておるわけでございまして、レフェレンダムによらなければならないとは書いてございません。それらのことにつきましては、むしろ皆様方の方が御専門でございます。何らかの意味においてこれを解決するよりよい方策というものを、御指示願えるならばそれに越したことはないのでございまして、あの私案の冒頭に書いてありますことは、私は、これが唯一の解決策であるとは思いませんけれども、「むつ」以来の問題から考えまして、これをほおかむりで通るということはいけない、たたき台の意味で、ひとつ皆様方の御意見を御教示を願いたいという意味でこれを書いてございます。その点はひとつ御承知を願いたいと思います。
  27. 石野久男

    石野委員 これはたたき台として出されておるんだと思いますけれども、電調審制度の問題、あるいは公開の原則、それから住民パワーということが非常に重要な問題だということで提起されて、最終的には、対話の場を広げるべきであるがということで、最終的な考え方として、一つのやはり公正な裁定機関ないしはレフェレンダムというようなものを取り上げるべきではないかという提案をなさっております。  いまのような御所見であって、これはただ提起しただけだからということであるならば、われわれやはりここで問題になってくるのは、少数意見だということで、正しくとも少数意見というものが、公正な裁定とかあるいは投票とかというようなことで抹殺されてしまうということは、非常に地域住民の持っておる感情にも沿わないことになりますし、具体的には正しい方向を示さないだろう、こう思うので所見を聞きました。井上さんの御意見が、ただ提案だけだということであるとするならば、私どもの感じておるそういう危惧の念だけは、ぜひ払いのけるような方向でひとつこれは提起してもらいたい、こう思います。時間がございませんから簡単にやってください。
  28. 井上五郎

    井上説明員 ただ一つの提起だけであって、結果は責任をとるのではないとは考えておりません。私は私の所見を述べたつもりでございます。  ただ、遺憾ながらそうではない御意見があるということは考えておりまするが、少数意見であるがゆえに無視していいとは私は申しておりません。しかし、大多数の住民の方の御意見を聞くということが民主的なあり方であって、その中のきわめて少数の人しか物は知らないはずだという前提で、しかも、その少数のある人たちだけの意見を尊重しろという御意見には、私、ちょっと別の考えを持っています。
  29. 石野久男

    石野委員 この問題は論議の点になると思いますが、私もやはり、少数が恣意的に意見を主張するということはよくないと思うのです。その少数が科学的に立証され、裏づけられている場合には、それは少数であってもきわめて重要なことだということで言っているのであって、前々かち私は、この問題は科学の問題だから、科学的に立証されなければだめだということを言っておるわけですから、その誤解はないようにしてください。  それからなお、私はこの際長官に聞いておきたいのですが、原子力委員会の人事の問題で、補充を行っているということが新聞に出ております。御園生放医研所長がこれに引き充てられているというふうに新聞は報じておりますが、その間の経緯をひとつ聞かしてください。
  30. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、昨年田島委員が退任いたしまして、安全性に関する最も中心委員がおりませんので、できるだけ早く補充をいたさなければならぬと思っておりましたけれども、御承知のように、なかなか大家とおぼしき人は、委員になるためのいろいろな条件がございまして、そう簡単にいかないわけであります。  先般、御園生先生にお会いして、どうぞひとつこの際お助けいただけませんかというお話を申し上げました。御園生先生は、自分は放医研の所長でもあり、またいろんな方面でいま手がけている仕事がたくさんございますので、そういういわば身辺整理をどうするかということをいろいろ考えてみませんと御返事いたしかねますので、しばらく御猶予をというお話でございましたので、実はそういうふうにしてございます。できるだけ早く身辺の整理等終えまして、御返事いただければ大変ありがたいと実は思っております。
  31. 八木昇

    八木委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  32. 八木昇

    八木委員長 速記を始めて。
  33. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実は、衆議院の予算委員会で、前の委員長をしておりました安井先生から同じ要求がございました。つくって差し上げますという御返事を申し上げまして、これは実は炉別に計算しなければいかぬ問題でございますので、通産省の方にお願いしておるのでございますが、どうぞひとつ通産省の最近の作業状況をお聞き取りいただきたいと思います。
  34. 石野久男

    石野委員 その問題は、同僚議員の安井委員から提起されている問題と、私の方はちょっと多くなっている項目があると思いますから、それはあとで資料として出してもらいたいと思います。その点、いいですね。
  35. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま大臣からお話があったとおりでございまして、通産省とただいま資料作成の作業を進めております。大体安井先生から御要求のありました資料と、ただいま石野先生の御要求の資料とほとんど同じだと思いますが、放射線廃棄物の処理処分のコストの御指摘もただいまございました。その点も入れましてただいま試算をいたしておりますので、ちょっと手数がかかるわけでございますが、でき次第御提出さしていただきたい、かように考えております。
  36. 石野久男

    石野委員 人事の問題について、長官お話を聞くと、まだ御園生さんからしっかりした返事をいただいていないというようなことですが、人事問題は前に、森山前長官のときにも、宮島委員を入れるときに、その選定の仕方、任命の仕方で問題がありました。その当時のことは佐々木長官もよく御存じなはずです。今度の問題について、原子力委員会委員というのは国会人事になっているが、私たちの党に対しては何のお話もない、しかも新聞情報だけ出すというふうなやり方、その上になお決まっていないのだということはなおさらのことですが、こういう人事の扱いで、従来国会等が人事問題について常に政府に対して要請し、科学技術庁としては、特に森山長官のときに問題になっておったことを承知の上で、佐々木長官がまたこういうふうなことをやるということは、これはわれわれの党としてもほうっておけない問題ですよ。やはり人事問題についてもっと慎重であってもらわなければ困る。私はここではなにしませんが、やはり議運の中で問題が当然出てくると思うんですよ。やはりこういうやり方は改めてもらうということが非常に大事だと思います。大臣はそういう点について、本当にわれわれの意向がよくわかっているのかどうか。
  37. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、初代の原子力局長でございますから、原子力委員の人事というものがどういうことか、よく存じ上げております。  したがいまして、いまお話しのような点を無視するという意向は毛頭ございません。事前に皆様にもお諮りしてと思いますけれども、いまお話をいたしましたように、本人の内諾もはっきりしておらぬのに、お話し申し上げるのもと思いまして実は遠慮申し上げておったので、プレスの皆さんは大変早くて、どうじゃ、どうじゃと詰められますと、根が正直者でございますので、いまこういう状況ですとお話をしたのが新聞に出た、こういうふうに御理解いただければ大変ありがたいと思います。決して社会党の皆さんの御意向を無視してなんということは、毛頭考えておりません。
  38. 石野久男

    石野委員 根が正直だからそういうことになっちゃったということだけでは、ああそうですかと言うわけにいかないのだから、これは注意してもらわないと困る。こんなことではまずい。ということは、われわれは原子力委員会の中で安全性に関する関心をもっと高め、人事の問題も含めてということをかねてから申し入れをしているし、特にその問題について、「むつ」問題以降安全性の問題については、政府がお互いに協力し合っている学者諸君もあるけれども、それに対してまた別の意見を持っておる学者あるいは技術者がいるわけでございます。私どもは、広範な知恵を結集してよい方向を出そうとする場合には、そういう意見を持っている方々、やはりそういうような人を出してくるということがなされないというと、信頼感がなかなか出てこないだろう、こういう御忠告を申し上げておった。そういうことに対して、どういうふうに配慮をしているかは全然ここではあらわれていない。  私は、この機会に長官にひとつお聞きしておきたいのですが、後で原子力安全局の問題なども出てくるし、それから原子力委員会のあり方の問題も出てまいりますが、委員の中に、従来政府・自民党と交流が非常に滑らかにいっている学者諸君あるいは技術者諸君ということだけではなくて、野党の側なり、あるいは野党でなくとも、政府やあるいは財界の意向に対して若干の批判を持ち、意見を持つ、そしてそれは非常に大事な意見であるというようなことがわかっているような、そういう学者、技術者については、進んで委員の中に入れていくということでないと、委員会の民主性が損なわれるのじゃないだろうか、こういうふうに考えておるのです。長官はそういうようなことを含めて委員の選定をすべきではないか、こういうふうに私は考えております。その点については、長官、どういうようにお考えになりますか。
  39. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力委員は、お説のように、技術的な面から言いましても、あるいは人格的なサイドからいたしましても、あるいは公正な判断という点から言いましても、国民信頼、負託にこたえなければいかぬほどの重要な任務でございますので、私どももそういう点を考慮して選択をしておるのでございまして、決して偏見を持って人選をしているということはございません。
  40. 石野久男

    石野委員 偏見を持ってやらないと言ったって、われわれから見れば偏見を持った人事になってしまっておるのだから、それは改めてもらう必要があると思うのですよ。これは人選の場合には十分考えておいていただきたい。そういう要望をしておきます。  それから、今度法案が出ました原子力安全局の問題についてですけれども、これは安全性を確立するために、開発一方ということよりも規制の側面安全性を確立するために科学技術庁にこの局を置く、その意図はよくわかるのです。しかし、原子力についての安全性の確立のためには、いま一つ、やはり原子力委員会のあり方の問題があるのだと思います。  このことについては、原子力委員会を安全規制の側面開発研究側面と二つに分けて、ちょうどAECがなくなってしまったと同じような構想日本でもとる必要があるのではないかという考え方をわれわれは持っている。井上さんのこの私見を見ましても、そういう意向が多分に含まれていると私たちは受けとめております。  そういうふうな観点から、原子力委員会は規制委員会だというようなふうにする、そしてそれはいわゆる行政委員会としての独立性を持っていく、そういう権限を持たせるような方向にしていくという意図が、長官にはあるのかどうかということです。私たちは、そういうふうにする場合には、この原子力安全局というものは、その委員会の下部機構という形の仕事をしていくべきだろう、こう思うわけです。そういうようなことも含めて、この原子力安全局の法的な審議が行われていかなければいけないだろう、こういうふうに考えておりますが、その点について長官はどういうふうにお考えですか。
  41. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お話しのように、そのこと自体が大変大きい問題でございますので、内閣におととい原子力行政懇談会をつくりまして、原子力委員会のあり方も対象にしながら、これから問題を進めるところでございます。  ただ、お説のように、アメリカのようなすっきりした姿をとれるかどうかという問題に関しましては、いろいろやはり問題点があろうかと思います。たとえば、アメリカ原子力委員会日本原子力委員会とどこが違うか。一番大きい違いは、私は何と言っても原子力基本法のいわば番人という、原子力委員会に当初から課せられました平和に徹するという、この使命が非常に大きいと思います。アメリカ委員会は、御承知のように、平時、軍時両方兼ねた委員会でございまして、ですから、アメリカの方でああいうふうになったら日本もすく開発と規制——いわゆる規制は、そういう国の安全の問題でなくて、むしろさっき申しました原子炉自体のリスクの問題というふうに解釈するか、あるいはもう少し大きく、国の安全と申しますか、平和を確保するという任務まで兼ねた委員会として理解してまいりますと、考え方も非常にいろいろ出てくるのじゃないかと思います。恐らくは今度の懇談会でも、そういう大所高所の観点から論議が進められ、また結論が出てくるものと思いますので、私は、この際私見を申し述べるのは差し控えたいと思います。  ただ、安全局には、予算委員会で衆人環視の中で石野委員がいみじくも私は賛成でございますと言ってくれたのは、大変どうもありがたいことでございまして、ぜひひとつあの趣旨どおり御賛同いただきたいと存じます。  ただ、なぜあれが、そういう大きい結論が出ない前に走ったのだと申しますと、これにはいろいろ理由がありますが、私自体があれに一番真剣にかかったのは、原子炉発電所を持っておる各府県の知事さんが旧臘集まりまして、いろいろ議論も聞きますと、何はともあれ政府の安全に対する姿勢を、単に言葉でなくて姿でもって見せてもらいたいという希望が非常に強うございまして、その第一歩として安全局というものをつくったのでございまして、あれが最終的なものでも何でもございません。これから、あれを一つの橋頭堡として、懇談会の結論を得ますれば逐次充実してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  42. 石野久男

    石野委員 原子力委員会を、アメリカはAECをなくして規制委員会のようにしたということについて、アメリカ日本とは基本法のあることによって違いがあるのだという大臣の見解というのは、私はやはり一つ意味があると思います。私自身、やはり原子力委員会を規制委員会として分離していくというやり方の中には、基本法を踏んまえてが前提でございます。ただ炉の技術的な側面だけを言うなら、これはまた別な考え方で話をしてもいいと思います。しかし、とにかく日本における規制委員会には、基本法を踏んまえて、炉自体の機能的な意味での安全の問題と、それから全体としての平和の立場からする安全の問題とがあるわけでございますから、そういう意味も含めて私はその必要性がある、こういうふうに考えているわけです。  そこで、これらの問題は、三木総理のもとに今度設けられたといういわゆる原子力行政懇談会の中で論議されるような御意見でございましたが、一昨日ですか、懇談会を持たれたようでございますけれども、懇談会ではどういうようなことが論議になりましたか。
  43. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私、実は当初の総理の見解と申しますか、あいさつのときまでおりましたのですけれども、決算委員会に呼ばれておりまして、そのまま決算委員会に出てしまいましたので、つまびらかにいたしません。間違った報告をいたしますとどうかと思いますので、当時説明の衝に当たりました原子力局長から御説明申し上げたいと存じます。
  44. 生田豊朗

    ○生田政府委員 原子力行政懇談会の第一回会合でございまして、一昨日の二時から総理官邸の大客間で開かれたわけでございます。  最初に、総理のごあいさつがございまして、ごあいさつの要旨は、エネルギー政策観点から原子力開発利用はぜひ必要だ、その政府の重要政策一つであると考えているということで、ただ、この狭い国土で原子力開発利用を推進するためには、何としてもその安全問題に対する対策を確立し、国民信頼を獲得することが第一である、国民の理解と協力なくして原子力開発利用は進められないので、その点を中心にして、その信頼性の確立をいかにすべきか、行政面でのあり方について結論を出していただきたい、出た結論に対して、それを実行することについては、内閣として責任を持つというお話でございました。  その後、座長の互選がございまして、有沢先生が座長に互選されました。それに続きまして、私から原子力開発利用の現状と問題点ということで御説明申し上げました。御説明いたしました内容は、エネルギーのバランス、特に一次エネルギーの中で原子力が現在どのくらいのウエートを占め、これは通産省エネルギー調査会の中間報告の数字でございますが、将来どのくらいになるかという問題、それから世界各国あるいは日本原子力発電の現状と今後の見通しがどうなっているかという点、さらに核燃料サイクルというものはどういうものであるかということの基本的な御説明、これは実は、委員の方の中には原子力の知識は余りお持ちにならない方もいらっしゃいますので、そういうことも考えまして、核燃料サイクルとはこういうものであるということについての御説明と、その後、それに付随しまして天然ウランあるいは濃縮ウランの需給の状況見通しについて御説明申し上げました。  そういうことで現状の御説明をいたしまして、さらに問題点といたしまして、先ほど来大臣から御答弁がございましたような点を中心にいたしまして、われわれ事務局として一応現在考えている問題点、つまり安全問題を中心にいたしまして、国民信頼を獲得し得る行政体制というのはどういうふうにあるべきか、その一部として原子力委員会はいかにあるべきか、さらにそれと関連して、関係各省庁の行政の組織あるいは体制はいかにあるべきかというような問題点を御説明申し上げました。  それにつきまして、委員の方の中から二、三質疑がございましたのでお答えいたしまして、その後、今後の進め方についての討議に入ったわけでございますが、結論といたしまして、原則として月に二回開催するということでございまして、半年ないし一年くらい、遅くとも一年以内には結論を出すというようなことでございます。大体の見当といたしまして、八月は一ケ月休みにするという申し合わせでございますが、月二回でやってまいりますと、十回この会議を開きますと秋ごろに結論が出ることに相なりますし、十五回やりますと年内いっぱいくらいに結論が出ることになりますので、今後の審議の経過によるわけでございますが、そのくらいのところをめどにしてやっていこうということになりまして、とりあえず第二回は四月の七日に開きまして、これは委員の方の自由討議ということでございますので、今後の進め方あるいは問題点の認識の仕方、それを中心にしまして自由討議をしていただき、第三回目から第五回目くらいまでに、原子力委員会を初め関係各界の御意見をヒヤリングの形で伺う。その後にさらに自由討議をしていただきまして、それからまとめに入っていく、そんなスケジュールが一応合意されまして終わりました。  以上のような次第でございます。
  45. 石野久男

    石野委員 この原子力行政懇談会なるものの結論が出れば、これは総理の非常に重要な参考意見になるのだろうと思いますけれども、しかし、ここで出てくる結論というものと、科学技術庁はともかくとしまして、原子力委員会との関係でございますが、原子力委員会は、この結論については、ただ承りますというような立場になるのでしょうか、それとも、委員長代行の井上さんはこの結論をどういうふうに見ておられますか、委員会運営の上からいきましていろいろと所見があると思いますので、承りたい。
  46. 井上五郎

    井上説明員 私、私見を書きましたときに、今日は、原子力体系と申しますか、原子力委員会のあり方そのものを含めて再検討をして、国民的コンセンサスの上に今後原子力の実現を図っていかなければならないということが、私が書きましたことの前提になっております。したがいまして、これを内閣でお取り上げになりまして、こうした懇談会が発足をしたということは、原子力委員会の全員と言っては言い過ぎかもしれませんが、原子力委員会としては、こうした措置をすることに賛成でございます。  そして、これにつきましては、ただいま生田原子力局長からお話がございましたが、私どもはこの懇談会に私どもの見解を申し述べる機会が当然にあるものと考えております。それがいかような御決定になるかは、これは懇談会の御判断でございまするが、恐らくそれにつきましては、現行法律内で臨み得る形と、あるいは現行法律を変えてでも行うべき問題があると思います。現行法律内において原子力委員会がかくかくであるべきであるという御注文ができましたらば、それは当然私どもと、合意と言っては言い過ぎかもしれませんが、御相談にあずかる問題であると考えておりますし、もし現行体制は不備である、これは法律改正によってやるべきであるとなれば、今日、私ども原子力委員会設置法のもとに仕事をいたしておる次第でございまして、新しい法律ができれば、当然それに伴って私どものあり方も変わると考えております。
  47. 石野久男

    石野委員 時間がございませんので、委員長、もう一つだけお許しをいただきたい。  実は、科学技術庁の中に理研の問題が一つある。理研労組と研究所との間に、給与問題についてずいぶん長い間係争してきておりました。中労委の裁定と申しますか、執行命令などを受けるというような事態になっておりましたが、聞き及ぶところによると、けさ方にその問題の話し合いがついたということも聞いておりますけれども、この間の事情がどういうふうになっておるか、この機会にちょっと報告していただきたい。
  48. 木下亨

    ○木下政府委員 先生のお話しのように、きのうの夜七時から中労委のあっせんが行われまして、けさほど三時ごろに妥結をしたという報告を受けております。
  49. 石野久男

    石野委員 報告を受けた、それはどういうふうな形になっておるかということと、それから、この問題について一言私は要望しておきたいことは、もう六年間にわたってこういう係争が続いてきておるということについての、科学技術庁の指導が非常に緩慢ではないかということなんです。そういう問題もありますので、ちょっと報告の内容なり事件の問題に触れて御説明いただきたいと思います。
  50. 木下亨

    ○木下政府委員 妥結の内容の詳細は、実はまだ詳しく聞いておらないわけでございますが、概要につきましては、中労委の命令の趣旨に沿いまして、吸収問題とそれから本年度のベースアップの問題、これを同時に解決するということで折衝をしてまいりました。それで、ベースアップの配分に非常にきめ細かい操作をしまして組合の御要望を入れるとか、それから一時金につきましての組合の要求がございましたが、これについても配慮をするということで円満に解決を見た、こういうふうに承知しております。  なお、先生御指摘のように、この事件は六年間もかかったことでございます。われわれといたしましても、何とか早くこういう問題は解決されて、理研のようなりっぱな研究所が、研究環境としていい姿であってほしい、こう願っておりましたけれども、こういうように長引きましたことはまことに遺憾だと思っております。監督官庁という立場でございますので、労使関係の問題を余り具体的に立ち入るというのは、実は避けてまいったわけでございまして、これは所と組合との、当事者の協議でやっていかなければならぬ問題だということでやってまいりましたが、なるべく早く早くと願っておったことは事実でございます。ようやく解決がついたというふうに報告を受けて、喜んでおるところでございます。
  51. 石野久男

    石野委員 この際、私は長官にもお願いしておきたいのですが、けさ三時ごろに妥結した内容は、いま局長からお話がありましたように、大体労働者側の意向に沿って中労委の命令どおり実行されており、ただ、額の面で若干の歩み寄りがありました。問題は、率直に申しますと、給与表の改正の問題に当たって、総額として今度決まったのは、せいぜい百万円ぐらいのものなんですね。所員全体にわたって百万円ぐらいのものなんです。一人当たりせいぜい百円か二百円のものが、六年間もだらだらいざこざが続いてきた。こういうような問題について、なるべくやはり干渉すべきじゃないと私も思いますけれども、しかし、結論としては大体労働者側の言い分が通ってしまうような内容になっているのに、六年間も続いてきたということについての監督官庁の指導の不行き届きというもの、これはやはり一応再考してもらわなければいけない。今後こういうことのないように、私は指導を的確にしていただきたい、このことを長官にひとつお願いしておきたいのですが、長官の御意向だけちょっと聞いておきたいと思います。
  52. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 三木総理も永井文部大臣も、今度の国会では繰り返し答弁しているように、学園は静かな昔に返したいというお話でございます。まして研究所は、本来静かに研究するところでございますから、闘争の場にするのはもちろん望ましくないのでございまして、できるだけ静かな環境で、思う存分研究を進めるようにいたしたいというのが念願でございますので、お説のように、この種のことのないように、今後とも気をつけたいと思います。
  53. 八木昇

    八木委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  54. 八木昇

    八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  55. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 アメリカでは原子力委員会を、NRC、原子力規制委員会と、ERDA、エネルギー研究開発庁に分けているわけですが、これは、行政権限を開発と規制に明確に分けた行政機構と受けとられている。  日本で、いま政府の方でおやりになろうとしていることは、一つ行政機関、すなわち科技庁の中での仕事の分担だけで開発と規制に分けて、それぞれ局単位にまとめた形式的な機構改革だとも言われているわけです。これは、法案自身の審議がまだ始まっていないから、そのことの中身には私たちは立ち入らないけれども、このような似たような発想の改革ではあるけれども、両方には根本的な違いがあるように見受けられるので、この点、まず政府の方の見解をお聞きしたいと思います。
  56. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力委員会の機能が、いま申しましたように、開発と安全規制の問題を両方兼ねているということが、安全上の諸問題の対策を進める上において障害をなしているのではないかという客観的な世論と申しますか、それが大変強いことはよく承知しております。  そういう問題も含めまして、原子力委員会自分自体で自己反省をして問題を出すよりは、むしろそういう問題は第三者的な機関をつくって、そして検討したらいいんじゃないかということで、内閣に原子力行政懇談会をつくりまして、そこでこれから検討を始めようということでスタートしたばかりであることは御承知のとおりであります。したがいまして、いま政府の見解はこうだと言うには、まだ少し早うございまして、その行政懇談会の結論を待ちまして対処したいと存じます。
  57. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私のお尋ねしていることにだけ的確に答えていただいたらよいわけなんです。私は、何も行政懇談会をつくった意図などを聞いているんではなくて、現在政府がやろうとしているこの原子力安全局の設置で、科技庁の中に原子力局とそれから安全局をつくる、こういうやり方、一見分離には見えるけれども、非常にこれは形式的なやり方であり、アメリカの方の分離は、これはきわめて本質的な分離である、こういうふうな違いがあるというふうに一般に見られているので、この時点での政府考え方が、一体アメリカのやり方と同じような方向を目指しているのか、違っているのか、そこだけ答えていただきたいのです。
  58. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その限りにおきましては、アメリカと同じだと思います。
  59. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、実質的に分離するという方向の第一歩が今度の分離だ、こういうことなんですね。重大なことです。
  60. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御質問に反発するようで恐縮ですけれども原子力委員会自体を分離するという意味でございますか。それとも、原子力行政開発行政と安全行政に分けるという、そういう役所の……
  61. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 権限を伴った分離なのか、そうでないのかということです。
  62. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 役所の方は、当然権限を伴った分離でございます。
  63. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 頭が、おたく、科技庁長官お一人で、中の部局か分かれるわけですね、今度の科技庁のやり方は。アメリカの場合は、はっきりとNRCとERDAとは、トップの命令権者、行政権者も全部分けてしまった、こういう分け方ですね。これが一体、政府も同じような方向を目指しての第一歩としていま出発されているのか、現在ではまだアメリカ考え方とは違った土俵の上に政府はいるのか、ここを聞いているんです。
  64. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その点は、先ほど申しましたように、懇談会の結論がつきますれば、おっしゃるような方向であればそういうふうになりますし、そういう方向にはまだ早いとか、あるいは日本はこういう点は違うからこうすべきだというふうな結論になれば、それはまたそれで対処しなければいけませんので、せっかく懇談会をつくった際でございますから、その結論を待ちたいと思います。
  65. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 懇談会というのは、そうしますと、原子力行政政策決定の諮問機関か何かなんですか。
  66. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 文字どおり行政懇談会で、行政組織をどうするか、原子力行政をどうするかというのを主題にした懇談会でございます。
  67. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政府としては、何ら主体的にはそのことについて方針も政策も持ち合わせていない、全部懇談会任せと、こういうふうにわれわれは理解しておけばいいのですか。
  68. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 懇談会をつくって、そこでせっかく勉強してもらおうというのに、事前に、政府の見解はこうでございます、そんなものは要りませんと言うわけにいきません。
  69. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一見、これは懇談会を民主的に尊重しているように見えるけれども、実際には、政府の責任放棄の宣言みたいなものだと思うのです。そうじゃないのですか。
  70. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 責任を放棄するのであれば、あれほど苦労して安全局をつくりません。
  71. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さて、そんなに苦労して安全局をつくられた効果が一体どこにあるのかどうか、これは一遍、はっきり、具体的な問題で論議してみたいと思うのです。  アメリカの規制委員会に対応する日本行政部署ということになれば、どういうところがありますか。
  72. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いままでは、原子力委員会原子炉等規制法に基づきまして、その事務局的な存在である原子力局と呼応いたしまして、第一次的な安全の審査をし、具体的な詳細設計あるいは現物検査等におきましては、発電であれば通産省、あるいは船舶であれば運輸省、こういうふうになっております。船舶あるいは発電以外の試験炉等は、挙げて原子力委員会で安全審査をしております。
  73. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 船舶に関しては、そういう責任を持つところがないので、「むつ」のときに問題になったわけですね。  ですから、それはこの際論外といたしまして、結局、もう少し具体的に聞きたいのですが、では、NRCに対応する日本行政部署の中で、通産に所管されている部分といえばどことどこが当たりますか。これは通産の方で答えていただいてもいいです。
  74. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  通産省といたしまして、原子力発電所の安全問題に関しましては、電気事業法の規定に基づいて行っておりまして、具体的に申し上げますと、発電所の詳細設計である工事計画の認可、それから工事段階に入りますと、各発電所の各設備につきまして……
  75. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 役所の部署を言ってほしいというのですよ。
  76. 高橋宏

    ○高橋説明員 やっておりますのは、資源エネルギー庁公益事業部で主管いたしております。
  77. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 事業部全体ですか。
  78. 高橋宏

    ○高橋説明員 それの原子力発電課でございます。
  79. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それだけですか。
  80. 高橋宏

    ○高橋説明員 正確に言いますと、その地方支局でございます各通産局公益事業部、これも発電課でございます。
  81. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 再度お尋ねしますけれども、それではNRCがやるような仕事を実際にやっているスタッフは、いまおっしゃっている原子力発電課に何人、また地方の通産局に何人いらっしゃるのか、それを答えてください。
  82. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  私どもでやっておりますのは、先生御質問の寸NRCの業務のすべてということではございません。その委員会個々の段階というぐあいに御理解いただきたいと思いますが、実際にやっておりますのは、本省原子力発電課三十三名おりますが、安全審査関係は七人、それから検査関係につきましては十六人でございます。なお、この数字の中には兼務の者も含まれております。  地方通産局におきます所管事項でございますが、現在やらしておりますのは、原子力発電所の溶接関係の検査業務でございまして、札幌から福岡まで九つございますが、検査官の数は約百二十名でございます。この検査官は、もちろん原子力の溶接検査に携わると同時に、同種の業務でございます火力の溶接検査等にも従事いたしております。
  83. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、科学技術庁の方でNRCの守備範囲に属する仕事をやっていらっしゃるスタッフは、、全体でどのくらいになるのですか。
  84. 生田豊朗

    ○生田政府委員 原子炉の安全審査だけということに限定いたしますと、約三十名でございますけれども、先生御承知のように、NRCは原子炉だけではございません。ほかの核燃料関係あるいは核燃料サイクルにつきまして全部の安全規制をやっておりますので、今回私どもで新設を考えております原子力安全局にほぼ匹敵すると考えてよろしいかと思います。約百名でございます。
  85. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、いまの通産のおっしゃったスタッフの人数とそれから科技庁のおっしゃったメンバーの人数を合計すると、全部で三百人弱ですか。そういうことですね。これに対してアメリカの規制委員会のスタッフは何人ぐらいですか。
  86. 生田豊朗

    ○生田政府委員 約千三百人程度というように聞いております。
  87. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が事前に説明を聞いたのでは、千九百人というふうにお聞きをしたのですが、これはどちらですか。どっちでもいいのですが、正確にしておきましょう。
  88. 生田豊朗

    ○生田政府委員 計算の仕方だと思いますが、規制関係で約千百名弱という数字がございます。千九百名という数字もございますので、全部入れましてあるいは千九百名ではなかろうかと考えております。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど通産がおっしゃった安全規制関係のスタッフが、本省の方で三十三人と、地方の方で火力だとか水力も兼務して、溶接関係の検査に従事する人、百二十名ですね。これで、実際されている仕事を見ますと、地方の通産局が担当している溶接部門の検査を除いて、あと原子力炉独自の施設については、詳細設計、工事計画の審査とその許認可手続がありますね。それから建設施工段階の燃料検査とか溶接検査とか、これは地方でやられますが、使用前検査等々、各段階の検査がありますね。運転を開始いたしました後は定期検査があり、故障、事故等のときには立入検査、その他各種のトラブルのときには指示や命令も出さなければいけないというふうに聞いているわけなんです。しかも、これらの業務は座っておってできない、一々現場に行かなければいけないというふうに聞いておりますが、まあ私どもこの人数で、いまの日本原子力発電所の現状などを見ておりますと、大変だろうなと思うのですが、いかがですか。
  90. 高橋宏

    ○高橋説明員 おっしゃるとおりでございまして、私ども必死にやっておるというのが正直なところでございます。  数字で申し上げますと、大体稼働日数が、本省関係で二百日を超えるというような状況でございまして、現在は八基でございますので、そういう状態で何とか……
  91. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 建設中のものも大分あるのでしょう。
  92. 高橋宏

    ○高橋説明員 建設中のものもございますので、それを入れますとさらにふえますが、何とかやっておりますが、今後やはり、こういう点の増強は当然必要であるというぐあいに認識いたしております。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 日米間で、開発状況規模等大きな隔たりがあることは確かに事実でありますけれども政府はもう早々と、六十年六千万キロワットという原子力発電所の建設計画を打ち出していらっしゃるわけですね。いまいろいろと見直しとかなんとかおっしゃっておりますが、相当前にこれを出されました。原子力利用の面では日本アメリカに比べてはるかにおくれているということ、後発であること、これもまた当然のことだと思うのですね。ですから電力会社や政府は、今後ひとつ、原子力部門は高度成長で、追いつけ、追い越せというふうな姿勢にあるのだと思うのですが、こういう点から見れば、人材養成の面で、また研究スタッフをふやしていくという点で、アメリカよりはむしろ人員は多く要求されてくるし、あるいは体制の面でも強力な体制が要求されてくる。つまり、おくれて追いつけ、追い越そうというのですから、こういう要素があると思うのです。  ところが、いま各関係部課からおっしゃいましたように、安全審査、規制、保安ひっくるめて、アメリカが千三百人から千九百人ということでありますが、これに対するわが方は二百数十人、これでは余りにもひどい開きがあり過ぎると思う。これだから原子力発電所の建設を進めるのは無謀だ、こういうふうな声が国民の中から起こってくるのではないかと思うのですね。大臣いかがです、この開きについてどうお考えですか。
  94. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 検査官というか、査察官というか、その人数が十分であるとは、私、決して申しません。  ただ、アメリカ等との相違は、向こうはいわば軍事施設的な原子炉関係も含めて非常に広範囲に見ておるわけでございまして、その方はどういうふうになっておるのか私もつまびらかでございませんが、恐らくそういうものまで含めての安全関係を見ておるのではないかと思います。といって、日本はいまのままでよろしいかというと、そうではありませんので、お話しのように、もっともっと充実していく必要がございますから、いまのとりあえずの感じといたしましては、安全局を初め、あるいは足らぬところは通産省でさらに補充していただきまして、そしてそれでもまだこういう点、こういう点は不十分だということになりますれば、また前の問題を繰り返すようですけれども、懇談会等で結論が出ましたその上でさらに充実をしたい、このように考えております。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何かと言うと懇談会が出てきて、大変便利なものをおつくりになったと思うのです。それと、大臣はアメリカの状態をつまびらかにしないというお話なんですが、これもまた大変不勉強な話じゃないかと私は思うのですね。また、私、さっき三百名弱と日本体制を申し上げましたけれども、これは政府のいまつくろうとしている安全局ができた場合の話で、現在の原子力局の中では、NRCに相当する仕事をしている部分というのはもっと減ってくるわけですよ。これを念頭に置いてください。  そこで、有沢広巳さんが監修された「原子力発電」という本が出ていることは御存じだと思うのです。この中には、安全審査体制に触れて、「現在は四〇人ぐらいのメンバーの安全審査会が全責任を負って、審査しているけれども、これはみんな非常勤のいわゆる学識経験者たちで、働く時間にはどうしても限度がある。」「アメリカには一〇〇〇人以上の安全審査専門職の人が原子力委員会にいて、その人たちの審査したものを安全審査会がチェックするという形になっている。日本も安全審査を専門に責任をもって処理できる人たちを大勢養成しておいて、その結果を安全審査会がチェックするような体制にやはり持っていかないと」大変なことになる、こういうふうに書いておりますね。  この安全審査体制が、常勤千人以上対非常勤四十人という、あるいは三十人ということかもしれませんが、この貧弱さは、一般国民の側から見ると、これから大変なことになるのはもちろんでありますけれども、とにかく安全審査がよくまあ今日までやられてきたものだ、やられてきたのが不思議だ、こういうふうにも思えることなんだということです。そこから、十分な安全審査になっていないのじゃないか、こういう素朴な疑問も実際には生まれてきている。  そこで、三点お尋ねしたいのです。  まず第一は、アメリカに比べて、有識者が指摘しているような体制面の貧弱さはあったにしても、審査は十分にやられている、審査は間違いないのだと言われるなら、これも国民によくわかるようにその根拠を説明していただきたい。これが第一。  第二は、これまでこのような少人数の非常勤体制でやってこられたのには、恐らくそれなりの理由があったと思うのですね、こういう体制をつくられているのですから。その理由をひとつ平たく明らかにしていただきたい。  第三点は、先ほど引用いたしました文章ですね、質量ともに飛躍的な強化を提起されていることについて、これは原子力委員会の方ではどのようにお考えになっているのか、見解を求めたい。  この三点をお答えいただきたい。
  96. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 第二点から説明していった方がいいと思いますけれども、御承知のように戦後日本は、占領が解けるまで原子力研究その他を一切できなかったことは御承知かと存じます。したがいまして、日本原子力を始めましたのは十数年前でございます。その当時、私は初代の原子力局長でありましたが、およそ原子力を勉強しておる人はほとんどいませんでした。ですから、まず人材の養成が必要だというので、官庁関係あるいは準官庁に所属するような人たちを、少なくとも年に百人ぐらい毎年留学生を送りまして、民間からも大変な人員を送りまして、それがだんだん重なり積もりまして、現在のような状況になっているわけでございます。  さて、そういう若い優秀な人材に、それではすぐこういう安全の審査というものをお任せしていいかと申しますと、なかなかそういうわけにはまいりませんので、どうしてもいままでの、いわば大学の教授とか、こういう面で長い間勉強した人たちに御依頼をして、そして委員会等の形で、広く民間の達識の士の御援助をいただいて審査をしていくというのが、これはやむを得ざる当然のことではなかったかと思います。  その審査の根拠いかんといいますのは、もちろん安全であるというからには、審査する各項目がありまして、その審査の各項目別に丹念に皆さんで審査をいたしまして、これで大丈夫だということで設置許可に入るわけでございます。  その根拠を国民に示せ、要するに審査の資料等を公開しろという意味かというふうに私、もし解釈させていただきますれば、許す限りのものは国民に公開するのは当然ではなかろうかと思います。
  97. 生田豊朗

    ○生田政府委員 考え方はただいま大臣の御答弁のとおりでございますが、数字につきましてお答え申し上げたいと思います。  先生御指摘の、アメリカが千数百人で日本が三十人ではおかしいではないかということ、それが実はしばしば各方面から寄せられるわけでございますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、その千数百名対三十名という対比は、妥当な対比ではないというふうに考えております。なぜかと申しますと、この三十名と申しますのは安全専門審査会の委員の数でございます。安全審査の実態と申しますか、仕事は、科学技術庁原子力局、通産省資源エネルギー庁においてやるわけでございまして、それを安全専門審査会にかけまして、専門家の先生の御意見を伺ってまとめていくという形でございますので、安全専門審査会の三十名のその根っ子にありますスタッフ、それは先ほど来御説明申し上げました科学技術庁で約百名、通産省で約二百名弱、合計三百名弱になるわけでございます。それとアメリカの千数百名が対比せられるべきものだろうというふうに考えております。これを原子力発電開発規模で案分比例いたしますと、私どもの資料によりますと、たとえば、原子炉の安全審査をしておりますNRCのメンバーが約千名でございます。これを日米の開発規模で案分比例をいたしますと、三百名ないし三百五十名ぐらいということになってまいろうかと思います。もちろん現状では不足でございますので、今後とも充実してまいりたいというふうに考えております。  もう一点は、NRCと申しますのは、前のAECも同様でございますが、独立した行政委員会でございます。日本の公取のようなものでございますので、その事務局ということになりますと、いろいろ庶務の部門あるいはPRの部門、そういうものを持ってまいります。科学技術庁に現在私ども原子力局がございますが、その文書、会計あるいは人事、そういう部門は官房がやっております。もしもこの原子力委員会事務局として独立いたしますと、現在の科学技術庁の官房がやっております仕事、それに要します人員の相当部分を割いて連れていかなければいけないということになりますので、それがさらに上乗せになってまいります。これは千名ではございませんで、先ほど先生御指摘の千九百名の数字と対応する場合の問題点でございますので、基本的に人数が十分であるとは決して申しませんけれども、三十名対千数百名という対比とはかなり実態が違っている、かように考えております。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力委員会の方からお答えいただきたいのでありますけれども、先ほど重要なことを大臣は言っておられますね。十数年たった今日でも人材の養成になかなか時間がかかって、直ちに安全審査などの専門的なことに従事していただくわけにいかないんだ、そういうことが日本では、少人数で非常勤の学識経験者に頼らざるを得なくなっている、こういう必然性について説明されている。そうなればなお、こういう基礎的な人材の養成がないにかかわらず、早々と六千万キロワットに挑戦しようなんていうことをされたことが、非常に無謀な、非科学的なやり方であったということになってくるのではないかと思うのですが、そういう点も含めまして——私が対比した数字を言っているのじゃなくて、有沢さんなどが出されている本に書いてあるから申し上げているので、だから、一般にこう思われているんだと思うのですが、そういうことも含めて、原子力委員会として、ここに提起されているような質量ともの強化、また、さっきの大臣の言われたようなことから見れば、相当長期的な展望を持たないと、大がかりな審査体制はできないんだというふうなことについての見解を表明していただきたいと思います。
  99. 山田太三郎

    ○山田説明員 先生御指摘のとおり、原子力委員会といたしましては、現在の人数と申しますか、体制で十分であるとはもちろん思っておりません。  しかし、この安全審査会が中立の人であるということは、原子力委員会設置法で決められておることでございまして、原子力委員会の意図するような——仮に悪い意図を持っておったといたしましても中立でいけるということのために、中立であるという形をとっておるわけでございまして、その大学の先生方には非常に御迷惑をおかけいたしておりますけれども、非常にベテランになっておられまして、一騎当千という方が多いということが言えると思います。  それからなお、官吏の方をふやすという問題でございますが、これは単に数をふやすということでは余り意味をなしません。大体普通の官吏の場合には、二年ぐらいたちますとそのポストを動いてまいりますので、せっかく業務を覚えたころにはかわってしまうということがございますが、そういうことでは、この安全審査業務はできませんので、そこへ定着できるような方法ということで、まだほんの始まりではございますけれども、そういう審査業務というようなじみな業務に定着し得るような方向に、やっと去年からですか、今年度から人がつくようになってまいりました。そういうようなことで、数ももちろんふやす必要があると思いますが、そういう質的な改善もしていく必要があるというふうに思われます。  それから、日本が将来大きく原子力発電を推進していくという意味で申しますと、これは確かに少ないわけでございます。その意味では、われわれとしてもぜひふやしたいわけですが、その際には、有能な、あるいはその分野に向いた人をふやせるような形でいかなければいかぬ。すなわち、専門職として上の方のポストまで上がれるようなことを考えていかなければならないというふうに考えております。  なお、いまの三十名の審査委員も、これまた原子力委員会設置法で決まっておりまして、したがいまして、これを簡単にふやすこと、あるいはこれを常勤化するというようなことは、法律の改正を伴うわけでございます。しかし、法律を改正しなければならぬ場合には当然改正いたすわけでございますが、現在の段階におきましては、その限界の内部で努力をするというような意味で、安全審査委員に準ずるような人を調査委員として二、三十名の方を、これまた中立機関と申しますか、大学あるいは国立研究機関の方々に安全審査の応援をいただいております。  しかし、結論的には、やはり現状は、向こうの千九百ぐらいだと思いますが、それに対応して、日本が二百ちょっとということではどうしても足りない。幾ら規模の違いがありましても、質的な問題の部分もございますので、先生の御指摘のとおりであろうと私は思います。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 やはり直接担当する原子力委員会の方で、山田さんがそうおっしゃっているのですからね。  さらにこの本では、そういうふうな日本体制の非常な貧弱さの中にありながら、かなりやってこれたのは、今日までは輸入技術の消化の段階だった、外国の行った実験を信用して、そのデータを採用するというようなことが、いまでも行われているというふうな指摘があるわけです。この点はいかがですか。ごく簡単にひとつ。
  101. 山田太三郎

    ○山田説明員 先生御指摘のとおり、日本は後発でございますから、後から行くものはわりあいに早く追いつけるという原理に従いまして、確かにそういう利点もございます。そういう利点はございますけれども、だんだん日本が一番先端的なところに参りますと、もちろんそういうわけにはまいりません。  それでいまは、先ほど申し上げましたのは役所関係でございますが、そういう技術的な内容を詰めますためには、やはり役人ではなくて、研究所的なところで力を入れなければいかぬということで、先ほど申し上げました人数のほかに、同時に安全関係の研究、安全審査に近い研究という人数といたしまして、やはり数十人の人を原研に採りたい。結果的に何人になっておるか、局長がよく知っておると思いますが、そういう関係の人数もついておりまして、実験あるいは計算、安全審査に必要な計算等を行うようにいたしております。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、いままでどうにか、われわれは十分だとはちっとも思っていないのだけれども、やれてこれたとするならば、それは、後発がその利点を生かして先進に依存しておったということなんですよね。  そこで、これは具体的な問題になるのです。私、この間調査してまいりましたが、大飯の原子力発電所なんです。あの原子力発電所はアイスコンデンサー方式という珍しい方式の格納容器を採用していらっしゃいますが、これの最大のねらいとするところといいますか、利点とするところはどこにあるのですか。答えをできるだけ簡単にしてください。
  103. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  いま御質問のございました大飯の原子力発電所はPWR型の原子炉でございまして、いわゆるコンクリートの格納容器の中に原子炉それから蒸気発生器等納められているために、コンテナの格能容器が非常に大きなものになります。そういう格納容器の大きさを軽減するのに有効なものでございますので、そういう意味で使っておるわけでございます。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 格納容器を、そういうように大きさを軽減しなければならない理由は、一体どこから来ているのですか。
  105. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  これは、格納容器を大きくするか小さくしてするか、それともほかの方法によるかということは、ある意味で企業の選択の問題でございまして、絶対的にそうしなければならないという特別な理由があるわけではございません。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちょっともう一言。じゃ、格納容器を大きくがんじょうにするよりも、たとえば安全性の面から見たら、こういうアイスコンデンサー方式をとった方がよいと、こういうことも言えるのですか、どうですか。
  107. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  特に、アイスコンデンサーを使った方が安全上よいとか、そういうようなものではございません。
  108. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に、この格納容器の大きさで見ますと、すぐ近くの出力八十二万キロワットの高浜に比べますと、高浜の場合は高さ八十一メートル、内径三十八メートルですね。大飯は日本最高の百十七万キロワットで、高さが五十二メートル、内径三十六メートル。ですからずいぶん小型ですね。しかも、現地で説明を受けましたところによると、容器の鉄板の厚みが、高浜三十八ミリに対して大飯の方は三十四ミリ、こういうふうに聞いております。  ですから、常識でわれわれが考えますと、複雑ないろいろな仕掛けをするよりも、容器の大きさやあるいは強度にゆとりを持たせる方が安全度は高いように思うのですね。せめて高浜並みぐらいの格納容器にしておいて、なおそれにアイスコンデンサーをつけ加えているというのなら、これは安全第一の考え方でやっているのかなと思えるんだけれども、ずいぶんと格納容器を小さくしてこういう新方式を採用した。こういうことでは、どうも安全第一ではないような、むしろ経済性ということが先に立っているような考え方ではないかと思うのですが、そんな心配は要らないのですか。
  109. 生田豊朗

    ○生田政府委員 私どもは、そのようなことは一切考えておりませんし、アイスコンデンサーがつきました原子炉につきましては初めてのものでもございますので、アイスコンデンサーそのものにつきましても、特別の小グループを設けまして、非常に慎重な安全審査を進めたわけでございますし、特に入念な安全審査をしておりますので、全体の審査、解析の結果として、安全に問題はないと考えております。
  110. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この方式を採用した原子炉で、現在営業運転に入っているところはどこかあるのですか。
  111. 生田豊朗

    ○生田政府委員 アメリカのドナルド・C・クックという百六万キロワット、これはインディアナ・ミシガン電気会社の原子炉でございますが、これが本年運転開始予定というふうに聞いております。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、逆に言いますと、実際に営業運転に入っているところはどこもないということなんですね。現在一応予定されているのが、この方式のDCクックの原子炉二基と、セコイア二基、それからマクガイア二基ですか、こういうふうに聞いているんですね。  そこで、大型化の傾向のある日本で、今後この方式は採用される見込みがあるんですか。もうこの大飯限りということになりそうなんですか。政府の方はどういうふうに見通しを持っていますか。
  113. 生田豊朗

    ○生田政府委員 現在まで設置許可の申請が出てきておりますものは、大飯の二基だけでございます。  ただ、アメリカにおきましても、DCクックの一号炉が本年の一月に一応臨界に達しております、まだ営業運転には当然入っておりませんけれども。それで、今後もアイスコンデンサーを採用する予定の炉が、計画中のものを含めまして十四基あるということでございます。アメリカがそういう情勢でございますので、アメリカではかなり一般化すると考えておりますが、わが国におきましては、現在安全審査中のものにつきましては、ほかにございません。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実は、私ども説明を受けました関電の吉本所長から、建設当初はウエスチングハウスの勧めもあってこの方式がよいと思ったけれども、今後この方式が採用されるかどうかはわからないし、恐らく別の方式になるであろう、こういうふうな答えもあったわけですね。  そういうこととか、たとえばECCSについても、その作動が確実であるかどうかということなんかは実用実験が必要とされているわけで、アイスコンデンサー方式などですと、二十四個の窓を蒸気の圧力であけて、冷凍室に蒸気が入ることによって、それが千二百五十トンの氷で冷やされる、これが圧力を下げる、こういう仕組みと聞いているのです。こういう複雑な仕掛けなので、当然これは実証実験などがあって初めて安全だと言える性質のものじゃないかと思うのですが、それはやっているのですか。また、これはそういうことはやられた結果を確認した上での安全審査なんですか。
  115. 生田豊朗

    ○生田政府委員 性能実証試験につきましては、ウエスチングハウス社の手によりまして一九六五年から行われております。実物大の試験装置を用いまして、ただいま先生御指摘の点につきまして実験を行いまして、その結果、良好であるということが確認されております。
  116. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういう新方式の採用に当たって、先ほど政府側の方は、経済性が優先されているのではないというようにお答えになりました。  ところが、これも同じく関電の側の説明なんですが、やはり採用された当時の考え方としては、これをもしも格納容器の強度やあるいは大きさでカバーしようとすると、つまりオーソドックスな行き方でやると、相当建設費が高くつく、ですから、そういう点で経済的な要素が考慮に入っておったことは否めない、こういう答えなんです。普通ならそういうことは企業の側は隠して、いや、これが安全だと言うのがあたりまえだと私は思うのです。技術屋さんだから正直におっしゃった。逆に政府が一生懸命、これは経済優先じゃないですよ、こう言っているのですね。ここらに私は信頼できない要素が生まれてくる。いかがですか。本当にそんなことを思っているのですか。
  117. 生田豊朗

    ○生田政府委員 私の御説明が言葉不足で申しわけない次第でございますけれども経済性が入っていないと申し上げたつもりはございませんで、むしろ経済性中心にして考えるために、安全を犠牲にしても経済性を優先させるということはないということでございます。これは企業でございますので、同じ安全性であれば、経済性にすぐれたものをとるというのは当然のことかと思いますので、関西電力がこのアイスコンデンサーを導入いたしましたときに、そういう考え方があったということも事実であろうかと考えております。
  118. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体日本で、アメリカで実用されてきた原子炉をそのまま輸入してきても、相当あちこちでいろいろ事故や故障を起こしていることは、これはもう事実証明のとおりですね。ですから、ましてやアメリカですらまだ営業運転にも入っていないような新しい方式を無理して輸入してくる、もちろん日本では一回も実証実験などはされていない、こういうことなんですから、アメリカの実験を頼りにしているだけでしょう。そういうことで、どんどんこういうものを認めていくところにも問題があると思うのです。もう少し安全確実な道というものを、それでなくても新しい技術なんですから、採用させるようにしなくてもいいものだろうか。これはひとつ大臣に、今後の方針としてお聞きしたいのですがね。
  119. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も若干同感に近いのでありまして、いま原子力委員会に基準部会等をつくりまして、できますれば、同じPWあるいはBWであっても規格統一いたしまして、その問題さえ安全のサイドで吟味が済めば、ほかは右へならえで安全であるというふうな組織にしていくのが、日本のようなところでは大変よろしいんじゃないかというふうに実は考えます。  ただ、まだそういう規格統一的なものまでいく段階でございませんで、そういうふうに向けようとしているやさきでございまして、それぞれの原子力発電会社が、自分はこういうものでやりたいといって設置許可を願い出れば、それを検査して、安全であればよろしいということになるわけですから、これは余りハイカラなもので御免こうむるというようなことはちょっと言えないわけでございます。と言って、いま言ったような懸念もいろいろございますから、できるだけひとつ将来のためにそういう規格統一的なものを考えてみたいと思っております。
  120. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、これは敦賀の原電のこの間の配管のひび割れの問題です。  これは経過から見ると、一月の末にドレスデンの二号炉でECCS配管のクラックが発見された。それでNRCがBWRの総点検を指示し、一月三十日に通産省が、日本で同じくBWRの総点検を指示した。二月十四日に原電敦賀の運転をとめて、二十四日に通産省立ち会いで検査した。そうしたら二十七日の午後三時から三時半ごろの間に表面きずが発見され、三月四日に私どもの党の吉田県会議員が現地を調査したら、翌日の五日に通産省が切断して調査しろという指示を出し、新聞にも公表するように言ってきた、こういうふうに聞いているわけなんですが、大体こういう経過に間違いありませんね。
  121. 八木昇

    八木委員長 山田原子力委員、その前に答弁されますか。
  122. 山田太三郎

    ○山田説明員 ちょっと季節外れで申しわけないのですが、先ほど先生のお話のアイスコンデンサー方式でございますが、翻って考えてみますと、BWRにおきましてはプレッシャー・サプレッション方式というのを全面的に使っておるわけでございまして、これまた、普通のコンテナにいたしますと非常に大きくなるものを小さくするような努力をしております。  プレッシャー・サプレッションとそれからアイスコンデンサーとでは、若干の違いはございますけれども、やはり技術的に安心が持てるものであるならば、経済性を追求するのは当然であろうというふうに私は思います。
  123. 高橋宏

    ○高橋説明員 敦賀の発電所の点検の件につきましては、先生のおっしゃったとおりでございます。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、こういう経過で見ると、明らかにこの点検ということについても、日本アメリカの後追いという印象になってくるし、また、事実そうなんですね、この場合の経過は。ですから、自主的な故障や事故発見のためには、やはり点検の仕方にも特別な努力や改善が必要だろうと思うのです。政府としては、やはりそういうことは工夫していらっしゃるのか、指示していらっしゃるのか、その点もお聞きしたいのです。
  125. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何遍も御説明申し上げたと存じますけれども軽水炉に関しましては原子力研究所が主になりまして、いままではPWRを主とし、現在はBWRに入りまして、あらゆる面で安全サイドから自主的に研究を深めつつございまして、私この前に参りまして、いろいろ現状の御説明をちょうだいしたのでございますけれども日本自体の研究も、相当進みつつあるんじゃないかというふうに見受けられました。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちょっと時間の関係もありますから、私の方で先に進めますが、原子力発電所の定期検査に当たっては、定型化されておるもの、毎年の定期検査でこれとこれとこれとは決まってやるというふうに決められているものと、それから、定期検査ごとに通産省が電力会社担当者を呼んでいろいろと打ち合わせして、こういう検査をやろうと決めておるものと、二通りあるそうですね。問題の溶接個所等については、その定型化されている検査の方に入るというふうに私は聞きました。  そこで、原電敦賀の場合の溶接部分に関する点検個所は、一体全部で何カ所あって、一回の定期検査で大体どれだけの検査をし、何回の定期検査で全体が一巡するようになっているのか、これをお答えいただきたいのです。
  127. 高橋宏

    ○高橋説明員 定期検査の方法の定型化、あるいはしていないものというお話でございましたが、定期検査でわれわれやりますのは、結果的には技術基準に合っているかどうかということを確認する、それが目的でございます。それを確認する方法としていろいろな方法があるわけでございます。炉の種類によっても構造によっても、そういう目的を達するためのいろいろな手段がございますので、これらについて定型化されたものと、あるいはその実情に合って、最もその技術基準の適合性をつかむに適した検査方法をとる、そういうことは、打ち合わせをし、指示をいたしておる、そういう趣旨でございます。  なお、その場合に溶接個所、それから幾つあるかという御質問でございますが、溶接個所と申しましても、たとえば炉の一次系の重要な個所、あるいは材料的に申し上げましても、普通のカーボンスチールなのか、それからステンレススチールなのか、あるいはそれが一次系か二次系か、あるいはその応力が比較的かかりやすい構造のようなものであるかどうかというようなことによりまして、点検の頻度、それからどういう検査、たとえば検査の方法にしましてもたくさんございます。エックス線調査、それから液体浸透探傷法、それから超音波探傷試験法、たくさんございますので、それを全部併用するとか、あるいは一つで済ませるとか、そういう判断をいたしておるわけでございます。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が原電で聞いておりました説明では、配管系統については番号がずっと振ってあって、定期検査ごとに何番何番を今度は検査する、次は何番何番何番だというふうなことになっている、そういう仕組みだということを聞いておったわけなんですね。実際そうなんですか。
  129. 高橋宏

    ○高橋説明員 番号が振ってございます。それでその中から、さっき申し上げましたようなかっこうで選んでいくわけでございますが、それは必ずしも電力会社が予定しておったその順番に従ってのみやるということではございません。私どものいろいろな判断によってそれを変更させるということはございますし、特に今回のような問題がございました場合には、今後この定期検査の重点をどこに持っていくかということ等は、当然考慮して充実していくという考え方でおります。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今度の場合は、アメリカでドレスデンのひび割れがあったことに関係してわが国でも点検して発見された。もしこれがなかった場合ですね、敦賀の原電の問題の個所は、四月からの定検の、いま番号を振ってある、それが今回の点検個所になっていたのかどうか、お答えいただきたい。
  131. 高橋宏

    ○高橋説明員 私、いまちょっと手元に持ち合わせがございませんので、的確にお答えできるかどうかわかりませんが、今回発見された個所は、炉心スプレー系のノズル部に近いところの溶接個所でございまして、重要な個所でございますし、点検個所に入っておるべき個所であったのじゃなかろうかというぐあいに考えておりますが、ちょっといま手元にございませんので、的確にお答えできません。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういう状態ですからね。もし本当に自主的な検査で、別にアメリカでどうであったかこうであったか、これは学ぶのはいいのですが、そういうことがなくても、自主的にそういう問題個所の発見が、事前に予防的にできるというふうな体制にしていこうと思うと、いま説明のあったような一連の点検個所について、もっと一回の定期検査の点検の個所を多くするとか、また、現在一応電力会社等々が決めておるマニュアルをもう一遍点検し直して、それではだめだ、やはりこういう部署についてはもっと頻度を高めなくちゃいけないというふうなことをしないと、改善にならないと思うのですね。そういうことを、この敦賀原電を契機にして具体的にやるかどうか、これはひとつ大臣にお答えいただきたいと思うのですね。
  133. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 定期検査は、実際は通産の方でやっていただいておるわけでございますけれども、先ほど石野委員からも御指摘がございましたように、電労連からの御指摘では、いまの定期検査のやり方は検討を要するんじゃないかという御提案がございます。何しろ七十日という大変長い間の検査でございますので、念には念を入れてやるのももちろん必要でございますし、重要な個所は点検しなければいけませんけれども、さればと言って、火力と違うわけでございますから、火力並みでというわけにもいきませんでしょうし、そういう点も踏まえまして、検討を要するものはもう一遍検討してみたらどうかと私は考えます。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産にも聞いておきたいのですが、敦賀の原電に関して、いままでやってきた点検マニュアルを、これを契機にして変えるかどうか、この点一言お答えいただきたい。
  135. 高橋宏

    ○高橋説明員 さらに的確にするように、いろいろ検討いたしたいと思っております。  なお、それと並行しまして、たとえばいま大臣からお話がございましたけれども、点検の自動化あるいは遠隔化等あわせて考えませんと、やはり点検する方の被曝の問題もございますので、それとあわせて検討いたしたい、あるいは検討するとここでお話をしていいかと思います。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題の個所がたくさん若狭湾に並んでいるのですが、もう一つ美浜です。  美浜の蒸気発生器の事故については、これはもちろんよく御存じだと思うのですが、私が昨年の九月に現地へ行ったときの関電側の説明は、いわゆる構造説でありました。エンジニアリング・コンパッション社のチューブの曲がりの形状とチューブの振れどめの支持板の構造に原因があった、だから二号機では起こらないのだと、はっきり答えておりました。ところが、今月の十一日、十二日と現地の調査に行ったときの説明では、PHコントロールのために添加している燐酸ソーダがチューブの周囲でよどみを起こし、沈でん物がいたずらをするんだ、それでかわりに揮発性のヒドラジンを用ればこうしたトラブルは起こらないことがわかったというふうな、いわば添加物質原因説に変わったわけですね。  この原因説明が変わったことは関電みずから認めていらっしゃるんだけれども、一体いつどういう根拠でこのように原因に対する見解が変わったのか、また監督責任の科学技術庁通産省は、この間一体どういう見解を持ってきたのか、この点についてのお答えをいただきたい。どちらがいいですか。
  137. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  美浜原子力発電所のSGの減肉現象につきましては、その事故がありまして以来、通産省原子力発電技術顧問会の先生方の御意見を聞きながら検討を進めておるわけでございますが、従来からこの原因については、構造上水の非常に動きの悪い部分が蒸気発生器の上部のところにございまして、そこが一つの原因である、そこに発生する熱的な影響が原因であるというぐあいに考えてきておるわけでございまして、いま先生がおっしゃいました関西電力の発言も基本的には変わったことではございませんで、一義的にまず構造的な欠陥、構造的なそういう水の通りにくいというところで、技術的な言葉で言いますとホットスポットが起こりやすいという構造がそもそもの原因でございまして、そういうことがなければ、燐酸ソーダを使ってでも起こらない現象であるかもしれないわけでございますので、その水質管理が主たる原因であるということとは理解されておりません。そこら辺につきましての腐食の原因と申しますのは非常に複雑でございますので、ただ一つの現象だけをもってそれを原因であるとするのはきわめて危険なことでございます。いろいろなことが重なり合うわけでございますが、本件につきましては、まず第一に構造的にそういうところに問題があるということがそもそもの発端であるというぐあいにわれわれ理解いたしております。  詳細等につきましては、なお原子力発電技術顧問会の先生方の意見を徴しながら、いま通産省の方で実物実験等を設置者にやらせ、その結果等を受けて慎重に検討をするという態度で現在進めております。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それほど非常に原因が複雑でわかりにくいというお話なんですが、それが去年の秋ごろからやっとわが国で実験に入った。その点について、いま三菱重工の高砂工場で実験しているらしいのですが、なぜこの前、二千十三本の盲栓をして運転に入ろうとしたあの時点で、こういうふうな原因究明の実験をやらなかったのか、またやらせなかったのか、この点についてお答えをいただきたい。
  139. 高橋宏

    ○高橋説明員 昨年の七月十七日に、二度目の細管漏れによりまして美浜一号機が停止いたしたことは、きわめて遺憾に思っているわけでございます。  基本的な原因が、一号機につきましてはコンバッション・エンジニアリング社の構造でございまして、そのストラップ構造と密接な関係があるということが言えるわけでございますが、さらにそれが今回の場合きわめて短時間に、四十四日目でございましたが、起きたということをわれわれ非常に重要視いたしておりまして、現在やっております再現試験は、むしろこういう短期間にどういうメカニズムであのタイプの蒸気発生器がリークに至るかということを鋭意詰めておるわけでございまして、そのためには、かなり大規模でございますが、実物規模の熱流動試験をやる必要があるということで、この方法自身につきましてもいろいろ御意見が顧問会にございまして、なるべく忠実な再現方法をやっと決めまして、四月から実施いたし、特に短時間に減肉が進んだということについての解明を急ぎたい、そういうぐあいに考えております。
  140. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、いよいよとなってから実際の科学的な実験に移る。私たちはなぜもっと早くやらなかったのか、そういう点が不思議でならないのだけれども、これはやはり政府全体の政治姿勢にも関係があると思うのです。  ここで思い出されるのが、去年の五月二十二日の、森山前科学技術庁長官の国会での答弁なんです。これは大蔵委員会で電源三法のとき、私の質問に対して答えておられるのだけれども、この蒸気発生器の問題でこう答えておられます。「その悪いところを全部かえちゃえばいいじゃないですか。よくなるじゃないですか」また、現状でも「安全性については全く心配ありません。能率が悪いだけであります。しかし、能率をよくするために、悪いところをかえればいいと思っておりますし、私はそういう方向に指導するつもりであります」「やり方についてはおまかせ願いたい」こうおっしゃっているのですね。だから、政治的に筋を通すとするならば、政府はこの国会答弁の線に従ってこれは取っかえさせなければもう話にならないと思うのですね。もしそうしないというなら、これは国会無視で、もう政府は無責任きわまる、こう言われてくると思う。  しかし、いま中村課長通産省お話のように、まずやはり実験もやって科学的に十分に原因を究明することが先決で、そういう原因が明らかになって初めてどういう正しい方法がとれるのか、こういうことが科学的にわかってくる筋のものだと思うのですね。私どももそれが正しいと思います。ですから、一体どちらか、これははっきり決着をつけ、いままでの政府の態度が無責任だったというのなら無責任だったことも明らかにし、今後は、科学の問題はやはり科学的に処置していく、こういう態度を明らかにしてもらわなければいかぬと思うのですね。いかがでしょう。
  141. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何かきょうそういうお話があるというので、私も当時の話を聞いたのでありますが、蒸気発生器等の取りかえ等々で、必ずしも発生器をかえろという意味ではっきり言っておられないような文面になっております。  しかし、いずれにいたしましても、いま原因の究明の最中でございますようですから、この究明に基づきましていかなる対処方法ありや、これもお話のように純科学的、技術的にその改善策を考えて、もしその結果、もう一度工事等の再審査が法に照らして必要だということでありますれば、当然原子力委員会の方に返ってくるでしょうから、そのときには通産は通産私どもは私どもの分野で十分検討して万全を期したいと思っております。
  142. 八木昇

    八木委員長 瀬崎君、約束の時間を超過しておりますから……。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 はい、わかりました。  やはり、かつて科学技術庁長官であった人が政府を代表してはっきり言ったことなんですね。これはもう一遍議事録等を読み返していただいて、そのままいつの間にやらあいまいにしないで、もう一遍科学的な検討を前提にして物を考える、そしてかえられるのが正しいとするならば、ちゃんといままでの無責任は無責任として国会の場で明らかにしてほしいと思うのですね。  それが一つと、時間がありませんので最後の質問として、さっきも申し上げましたように、大変便利な組織、原子力行政懇談会というものをつくられて、何か政府として都合の悪い答弁が求められてくると、懇談会で御検討いただいてから、こういうことになってきておるわけであります。このことは、ある新聞もちょっと皮肉っておったようですけれどもね。それで、あの五十一年の排ガス規制の問題に関してわれわれの不破議員が質問されました。これに対する三木総理大臣の答弁も思い出してほしいのです。中公審の審議のやり直し、五十一年規制の告示は変えない、このことについてはずいぶん三木さんはがんこでした。しかし、委員会の運営やあり方については十分検討する、このことは繰り返し述べられているわけであります。あの問題の起こりは、国民に対しては議事内容というものを一切非公開にした、ところが議事メモが全部企業側には筒抜けになっておった、こういうところから生まれてきた問題なんですね。私たちは、懇談会を設置した政府側に問うているのです。ここを履き違えないようにしてほしい。選ばれて懇談会のメンバーになった方々がこれからどうされるかこうされるかは、われわれがとやかく申し上げようとはいま思っていない。政府の態度を聞いている。あの自動車公害専門委員会で起こった不祥事の教訓と、それに対する三木総理の、今後はやり方を検討する、この問題が、三木内閣が新しくつくったこの懇談会にどのように生かされているのか。本来なら、私は必要な部分について国民の求めに応じて、あるいは国会の求めに応じて、この議事内容が公開されることが望ましい、こういうふうに思うわけなんです。  この点で、政府の方から、あの教訓に学んでひとつ公開ということも検討してもらえぬだろうか、こういうお願いをされたのかどうか。それから、もしされたとするならば、それに対しては一体懇談会でどういう議論が行われて非公開というごとになったのか、この点をひとつお答えをいただきまして、私の方は終わりたいと思います。
  144. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもは、原子力基本法に基づいて原子力行政を進めていくのが本旨と考えております。その中で民主的な運営というのは、御指摘のように御非難はあるかもしれませんけれども、私は、あの種の日本の一番のベテランの人たちに集まっていただきまして、そして懇談会形式とか委員会形式で十分議を尽くしていただきたい。役人がそれぞれの考えでどんどん行政を進めるというのには、余りにも事柄が重大だと思いますので、ああいう懇談会をつくったのでございまして、決して隠れみのなどという考えはございません。あれこそは原子力基本法の趣旨に沿うものだと考えております。  それから、メンバーの選択は、中公審の経験から考えてどうなったかという、メンバーのお話もございましたのでお話をいたしますが、これは、たとえば労働界から人を入れるとか、あるいは地方の自治団体から人を入れるとか、あるいは学術会議から人を入れるとか、とにもかくにも一番この方が民主的であると思われるような人選をしたつもりでございます。  三番目の公開の問題でございますけれども、これもいつぞやお話をいたしましたとおり、これこそは政府自体が押し切る問題でなくて、懇談会自体でこの問題をどうするかということで、公開が望ましいことはもちろんでございますけれども、しかし、運営をスムーズにし、発言を自由にするためには、あるいはしばらくの間は公開でない方がよろしいという判断になるかどうか、これは懇談会の自主性にまつべきものであって、政府が強制すべき性質のものではないと私は考えております。おとといでございますか、懇談会でいろいろその問題で議論があったようでございますが、先ほど申しましたように、私、出席しておりませんでしたので、原子力局長から御説明を申し上げたいと思います。
  145. 生田豊朗

    ○生田政府委員 公開にするか非公開にするかという問題につきましては、一昨日の会合におきまして、有沢先生が座長に互選されました直後に、今後の会の運営の仕方として、座長から非公開にする、それから議事録は公表しない、必要がある場合は議事の概要を内閣から発表するという三点について提案がございまして、満場一致で承認されたわけでございます。それにつきまして、特に非公開はおかしいから公開にすべきであるとか、あるいは議事録を公表すべきであるとかいう御議論は、一つもございませんでした。  ただ一、二の委員の方から、審議の内容が原子力というかなり専門的なものでございますので、その議論の問題点がそのまま把握できないおそれがあるので、一名だけ随員と申しますか、随員を連れてきたいという御要求がございまして、これは名前を内閣に登録しまして、登録された名前の方一名に限り随員を連れてきても差し支えないということに決まった次第でございまして、そのほかの議論はございませんでした。
  146. 八木昇

    八木委員長 次に、近江巳記夫君。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま、NPTの問題につきまして、自民党内ではかんかんがくがくの論議が行われておるようでございます。この条約につきましては、いわゆる核軍縮の問題であるとか、安全保障の問題であるとか、あるいは査察の不平等の問題であるとか、確かにいろいろな問題があったわけであります。  それで今回、いわゆるIAEAとの間におきまして、このNPTの第三条に基づく保障措置協定に関する第五次予備交渉、この結果は、いわゆるNPT下における保障措置わが国への適用というものが、他の締結国に比して実質的に不利にならない、いわゆるその平等性は確保できた、このように政府は評価されておるように私は思うわけですが、この条約につきまして科学技術庁長官としては、今国会の批准ということがいま非常に大きな問題になってきておるわけですが、あなたとしてはどういうお考えですか。
  148. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この条約に調印する際、いまから五、六年前でございますが、私は自民党の科学技術特別委員長をしておりまして、あの調印の責任者の一人であったわけでございます。  あの当時を回顧いたしますと、日本の受けております二国間条約に基づく査察は無条件で相当過酷なものである、機密保持等に対しても何らのギャランティーがないというふうな状況から、実際に査察を受けております民間の人たち、あるいは研究所の人たちは、こういうことでは日本原子力は進められない、ぜひひとつ改善してもらいたいという強い希望がございました。  さて、それを改善するのにはどういう方途がありやといいますと、調印をすれば、国連機関IAEAで研究を進めております保障措置、その中でも最も中心点である査察問題に関して、日本も十分発言の機会が得られるということになっておりましたので、この際調印をして、そしてわが国としてはあとう限り人材をウィーンの機関に送りまして、そしてわが方の希望どおりできるように、こういうのが全部ではございませんが、非常に大きい理由でございました。  そこで、調印をいたしまして、わが原子力局あるいは民間の研究所等からもエキスパートをすぐって、何人も原子力機関に送ったことは御承知のとおりでございます。また私の考えでは、原子力機関も非常にフェアにわが方の派遣員を受け入れてくれまして、一番要職である部長その他にも思い切って任命してくれまして、思う存分わが方の主張を取り入れてくれるという体制をとってくれたことに対しましては、大変感謝しておったのでございます。御承知のように、第一次から四次まで交渉が進みまして、いよいよ最後の仕上げというので、私が科学技術庁長官に任命されて以来、当時の人たちの話もよく聞いた上、準備も整いまして向こうに派遣した結果、IAEAでもこちらで要求しております、特にユーラトムとの平等性あるいは機密保持に対する保障等に関しまして、ほぼわが国の希望に沿えるような結論になりましたので、その結論を得た上は、最近の油の状況からして、核燃料の確保というのは非常に重要な問題になってまいりますので、従来の二国間条約にさらにこのNPTの国際条約の批准をいたしますれば、核燃料の確保というものは二重に安定を確保されるというふうに考えましたものですから、燃料の確保という面と査察等の条件が満足するという二つの面から、原子力委員会としては原子力委員会としての分野かち、言いかえれば、平和利用を今後進めるためにはぜひともひとつこの条約を批准してもらいたいということで、平和利用の推進に関する見解ということで決定をいたしまして、実はそれぞれの機関にその趣旨を説明に参った次第でございます。  原子力委員会といたしましては、以上のようなことでございまして、あの調印の際にありましたもう二つの問題、核軍縮の問題と核安全保障の問題に対しては、原子力委員会として触れる主題の問題でもございませんので、もっぱら原子力委員会の持っているテリトリーの分野から、希望を申し述べたというのが経過でございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術庁長官原子力委員長も兼任なさっているわけですが、いまは原子力委員長としてのそうした考えをお述べになったわけですね。  今度は閣僚として、科学技術庁長官としてはこの条約についてどのように取っ組んでいかれるのですか。
  150. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大変むずかしい御質問でございますけれども、私は、科学技術庁長官を拝命するまで、党の方で核防委員会委員長をしてこの問題を扱っておったものですから、科学技術庁長官あるいは閣僚としてではなしに、個人的な見解としてということで自分の見解を述べたことがございます。  その趣旨は、いま相互条約を米国、英国、フランス、カナダ、豪州とそれぞれ結んでいることは御承知のとおりでございまして、この相互条約に基づきますと平和の目的に限るべきであって、もしこれを軍事転用した場合には、自今、原子力燃料並びに設備の提供を差しとめるのみならず、従来提供したものも全部撤去し引き揚げるという厳しい規定になっておるのでありまして、そういう面からいたしますと、国際的には、いま申しました主要国との関係上、新しくこのNPT条約に加盟したがゆえに選択の自由を奪われるのじゃなくて、もう現状が選択を奪われている、そういうふうな現状を踏んまえて問題を考えなければいけませんぞということ。それから、それでは国内にある燃料、国内でつくった設備、それに対しましては、原子力基本法あるいは非核三原則というものが厳然としてございますから、これを変えざる限りは軍事転用というものはあり得ませんぞ。したがって、この国際条約に入ったがゆえに、初めて日本が国際的にも国内的にも選択の自由を失うのじゃなくて、もう国際的にも現実がそうなっている、国内的にも国是として決まっておるという点をはっきり考慮すべきであるということ。したがって、もし何かの機会にこの相互条約を破らなければいかぬ、あるいは国内原子力基本法あるいは三原則等を破棄しなければならぬということになった場合には、NPT条約そのものも、国の至高の国是を侵す場合には一方的に脱退してよろしいとなっていますから、そういう事態になりますれば、当然これは脱退するにやぶさかでないじゃありませんか、いわば現状がそうなっておりますという点を説明して促進方をお願いした次第でございます。  そういう次第でございますので、私自体といたしましては、この条約はなるべく早く批准いたしまして、そして世界の疑惑をなくし、あるいは平和利用促進の資に供し、あるいは日本の国是であります非核平和というものについてわが国の立場を世界に宣明して、そして、いわば非核国のリーダーシップをとりながら、世界に平和を呼びかけるというのが一番正しい国の姿であろうという点で、いま申しましたように、批准に賛成している次第でございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 加入したとした場合、万が一にも脱退というような、あくまで話の上ですけれども、そういうことはあってはならないということですね。  そこで、ユーラトム並みに一つはかち取ったということをよく聞くわけです。そうすると、当然条件がついてくるわけですね。第五次でいろいろ決められたわけですね。そのときに向こうはどういう条件を出したのですか。
  152. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 詳しく申しますと大変詳細になるのでありますけれども、ごく粗筋を申し上げますと、一つ大きい点は、いままでの査察は国際機関が主体になって査察をして、わが国はそれにはそばで観察しているという状況でありましたのを、今度はそうじゃなくて、日本が主体になって査察をし、それに対して国際機関がインスペクトするというふうに主客転倒したとして見れば、私は大きい問題じゃなかろうかと思います。  それから、査察の回数とか期間あるいは査察の方法等に関しまして、ユーラトム並みでこれをやってもらいたいという点がほぼ原則的には承認をされ、あまつさえ最恵国約款並みに、もし今後細部にわたって諸国との間にもっと有利な条件が結ばれる場合には、そのまま日本にもこれを均てんしますよということになっていること、これは大変ありがたいことと存じます。  最後に、秘密保持、機密保持に対しましてあとう限りのフェーバーを与えられた。  この三つの点が、いままでの努力の結果が大変報いられたのじゃないかと私は思っている次第でございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の質問しているのはそうじゃないのですよ。それはわかっているんですよ。いわゆる、一つは事業者から機能的に独立しておること、あるいはユーラトムと同様な技術的な有効性を持つこと、査察等につきましてそういう保障機能について歯どめがかかっているわけでしょう。そのことを聞いているわけですよ。大臣がわからなければ局長でもよろしい。
  154. 生田豊朗

    ○生田政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、ユーラトム並みの待遇を与える前提といたしまして、十分に機能する査察機構と申しますか、いわゆるナショナルシステムとわれわれ言っておりますけれども、それが確立し、十分に運営されるということが前提条件でございます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 それと、事業者から機能的に独立しておるということですね。そういう前提条件があって初めていま大臣がおっしゃったようなことが生きてくるわけですね。  ところでお聞きしますが、わが国における査察官は、いま何名いるのですか。
  156. 生田豊朗

    ○生田政府委員 四十九年度原子力局におります査察官と申しますか、その担当官が十二名、五十年度も十二名でございますけれども、NPTが年度内に批准されました場合は、さらに六名増員が可能ということでございます。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 このユーラトムは九カ国ですね。それで査察官が本当に専門の人だけで六十八名おるわけですね。現実にいま科学技術庁では、実際のところは、正規の査察官というのは八名でしょう。どうなんですか。正確にそれを答えなさい。
  158. 生田豊朗

    ○生田政府委員 定員上十二名と申し上げたわけてございますが、実際にやっておりますのは八名でございます。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう状況ですよ。八名なんですよ。それでユーラトム並みにかち取ったとかなんとかというような非常に宣伝ができておるのですが、査察機構なんて言ったって、ちっぽけな部屋に八人いるだけでしょう。こんなことでわが国が前提条件を満たせるかという問題なんです。これは前提条件を全然満たしていませんよ。  しかも、現在でもわが国の場合、この査察のいわゆる原子力施設というのは、大体百十カ所くらいあるわけでしょう。ユーラトムの場合は九カ国で、大体三百五十から四百くらいじゃないかということが言われておるわけですけれども、それでも六十八名いるのですよね。これだけの人員を持っておるわけですよ。幾らユーラトム並みだと言っても、八名の査察官で一体どうやっていくかということなんですね。しかも、事業者からこれを独立したものにという、そういう前提条件があるわけです。査察のそういう専門機関の充実、これは当然政府として一番力を入れなければならない問題でしょう。肝心のことをほったらかしておいて、そういう話の大枠だけを決める、これはわが国の非常に悪い癖です。これについて山田さん、どう思いますか。
  160. 山田太三郎

    ○山田説明員 先生は、日本とIAEAの保障措置についての約束を承認する際に、いろんな国から不満の声が上がったことを御存じであると思うのです。特にユーラトム、西独あたりはそうでございましたが、それはある意味で申しますと、日本に対して非常にフェーバーを与えておるものでございます。国際的なものですから余りはっきり言わぬ方がいいと思うのですけれども、いまの保障措置、査察体制というものを維持していくということでございまして、これをつくってから維持するということではないのでございます。  ということは、一体何を意味するかというと、現状のものをIAEAは認めておるということであります。もしユーラトム側にとって考えてみますと、日本国内体制を承認するということは、日本の施設を日本人が査察することでございまして、IAEAの場合には必ずしもそういうことになりませんで、違う国の人が見にくるという条件がございます。ですから、日本国内体制も国際体制と同じようにしろという主張をして中に入れておいていただいたわけですが、それがまさにここに活用されたわけでございまして、そういったような意味では、もちろん先生のおっしゃるような心配はございますが、これはそれを維持していくことでございます。
  161. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ちょっとまだ手元に資料が見つかりませんので恐縮でございますけれども、国際原子力機関が現在でも毎年査察に来ておるわけでございますから、過去の、たとえば昭和四十八年なら四十八年には何名来て、一体何日間査察したのだ、どういう対象を査察したのだ、いわばマン・デーでどうなっているのだという実績がございますから、少なくともその実績に相応する自主査察の体制を整えなければならぬだろう、これは最小限度の必要性だと私は存じます。おととしでございますが、たしか二十二名で二百三十何日間と記憶しておりますが、それが実績でございます。  したがって、もしマン・デーでいくのであれば、日本は自分の国ですから、常時日本にばかりおるわけでございますので、査察の日数をふやせば、マン・デーでいきますと、人数は必ずしも二十二名なくてはいかぬというわけではございませんので、さっき申しました八人に、さらにこの条約の批准に備えて、そういう場合には臨時に定員をふやすという話し合いになっておるそうでございまして、そういたしますと、それと合わせてまだ若干ふえる余地もございます。それから民間には、かつて国連の機関に行っておりました川島君などが退官いたしまして、いま組織をつくったりしておりますし、いろいろその他の機関から御支援を仰げば、決して国連がいままでやりました査察より劣るような自己査察しかできないということはないのでありまして、もちろん不十分ではありましょうけれども、しかし、向こうの御要望には沿えるのじゃなかろうかというふうに私は実は考えております。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の聞いているのでは、四十九年では三百七マン・デーになっているわけですね。そうすると、大分またこの数値が違いますし、いまのこういう八人のような状態で、長官としては積極的に批准を進めたいということをおっしゃっているわけですね。ところが、肝心の国内の査察体制というものはできておらぬわけですね。  この辺について、いまいろいろなことが言われております。国際的には、原子力機関の中に保障措置技術委員会を設けることをもっと提案すればどうかとか、国内的には、一元的に行う政府直轄の専門機関をつくればどうかとか、いろいろ意見が出ているわけですね。政府としてはどういう方針を持っておるのですか。いろいろな声ばかりで政府の方針が全然出ない。
  163. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま先生の御指摘の点は非常に重要な点でございますので、少し詳しく御説明さしていただきたいと思います。  ユーラトムは、御承知のようにもうすでに自分で査察をやっておりますので、ユーラトムの組織の中に査察局という組織を持ちまして、百数十名の人員を擁しております。そのうち約七十名が査察員であるという非常に膨大な機構を持ちまして、現在査察をやっているわけでございます。  それに対しまして日本は、先ほど大臣の御説明にもありましたように、IAEAの査察を受けておりますが、査察自身はIAEAの査察員がやっているのであって、日本の査察の担当官というのは、自分では査察をやらない。したがって、人数が非常に少ないということでございます。  しからば、先ほど御質問の点は、まさにユーラトム並みの待遇を受けます場合の前提としての必要条件でございますので、どういうふうにするかということでございますが、ただいま関係各省と検討をしておりますけれども、私の一応のごくラフな案でございますけれども、このように考えております。  まず一つは、現在もございます、いまの八名の人員を擁しております科学技術庁原子力局の保障措置室、これが一つの中核になりまして、これは先ほども説明を申し上げましたように、人員を逐次ふやしていくということが一つでございます。ただ、これを一挙にふやしまして、その保障措置室だけでユーラトム並みの機構を持つということは非常に時間もかかりますし、心ずしも合理的ではないのではないかという感じを私は持っておりますが、私だけではございませんで、この問題につきまして専門家の意見もいろいろ聞いておりますが、専門家の意見も大体そういう意見が多いわけでございます。  それではどうやったらよろしいかと申しますと、いわゆるナショナルシステムでございまして、全体の組み合わせによって一つの査察のシステムをつくり上げていくということを考えております。その中核になりますのが原子力局の保障措置室の人間でございますけれども、そのほかに有効な査察を行う制度といたしまして、現在すでに行われております原子炉規制法の体系、あるいは必要に応じまして、補完的な意味を持ちます電気事業法の体系という形で、各種の審査あるいは検査が行われております。先生御承知のように、原子炉規制法の規制の目的と申しますのは、必ずしも安全の規制だけではございません。これは平和利用を担保すると申しますか、軍事利用を防ぐという意味での規制もこの大目的の一つとしてあるわけでありますので、現在の保障措置室以外に、先ほど来御議論いただいておりますわが国原子炉その他原子力関係施設の全体の規制のうち、平和利用を担保する部分についての規制あるいは検査、審査というようなものを、この全体の体系の中に組み入れてくることが可能であろうと考えております。これを有効な形で本来の査察業務と組み合わせていく、これが第二でございます。  第三の点につきましては、ただいま先生の御質問にもございましたように、一昨年の段階で特殊法人の保障措置センターというものをつくるという構想もございましたけれども、その後その構想が消えまして、最近の政府考え方といたしましては、政府自身がこの査察業務をやるという形に変わっております。その関係もございまして、民間の保障措置関係の専門機関がございますが、この専門機関を特殊法人として査察自体をやらせるということではなくて、政府の査察業務に対しまして補完的な役割りを持たせる。これはどういう点で補完的な役割りを持たせるかと申しますと、主として情報処理、それから調査研究の関係を考えておりますけれども、それを三番目の柱として組み合わせるということでございます。  整理いたしますと、まず第一の柱が、現在存在しております政府の保障措置関係の部局。第二は、そのほかに平和利用を担保するという面におきます全体の原子力関係の規制体系の一部をそれに組み入れる、それが第二の柱。第三は、民間の機関の情報処理、調査研究の分野におきます補完的な役割りをその中に組み入れるという形で全体をまとめまして一つの体系をつくり上げてまいりたい、かように考えておりまして、いまそういう頭から一応出発いたしまして、全体の構想を、各省と相談いたしまして詰めている段階でございます。
  164. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 数字が出ましたので御説明申し上げます。  四十八年の内訳でございますけれども、一月には二人査察員が参りまして、十八日間滞在して査察をしております。二月にも二人で二十一日間、毎月大体二人程度参りまして、さっき申しましたように半月ぐらい査察をしておる。その延べ人員は、さっき申しましたように大体二十三人、それから滞在日数は二百二十八日というふうになっております。  わが国自体でやるといたしますれば、日本でございますから常時滞在するわけでございますので、その点、マン・デーという面では、この二十三人まるまるなくてはできないかと申しますと、必ずしもそうじゃないのではないかというふうにも考えられます。しかし、充実したものにこしたことはございませんので、いま原子力局長から話がありましたようないろいろな方途を講じてまいりたいというふうに考えております。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官のおっしゃったのは四十八年度でありまして、私が言ったのは四十九年度なんですよ。まだ四十九年度は三月一ぱい終わっておりませんけれども、いままでのところで。私の方が新しいことを聞いている。長官も新しいことをよくつかんでもらいたいと思うのです。それは後でお調べになったらいいと思います。長官も今後充実する、局長も大体の構想お話しになったわけですから、いずれにしても、この問題は非常に大事な問題でありますし、充実に全力を挙げていただきたいと思うのです。  それから、私は閣僚としての長官に提言したいのですよ。これをぜひ実現できるように、ひとつ閣議にもかけ、力を入れていただきたいと思うのです。その決意を聞きたいと思うのですが、いわゆるすべての核保有国による首脳会談の開催、これは国際的に呼びかけるわけです。もう一つは、核問題に関する国連特別総会の開催。その次は、核兵器不使用国際協定の締結、核実験の全面禁止、核兵器保有国による他国への核持ち込みの禁止、以上の項目につきまして、それに力を入れていただけますか、どうですか。
  166. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど申しましたことを、砕いて申し上げればそのとおりになります。  ただ、この問題は、私もちろん閣僚の一人でございますから、守備範囲は閣僚としてはないわけでございますけれども、しかし、外務大臣というその責任者がございますので、お話の趣旨はよく通じまして、御提案の具現に外務省といたしましても努力してくださるようにお願いしてみたいと思います。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま、非核三原則が政府の方針としてうたわれておるわけですが、長官も常に、いわゆる平和利用に徹するということをおっしゃっておりますし、日本の非核武装宣言をこの際やったらどうかと思うのですが、あなたはどう思いますか。
  168. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 非核三原則は、たしか衆議院の本会議で決議されておると思いましたが、間違いでございましょうか。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはいろいろ中身があると思うのですが、いずれにしても、日本はいまそういう批准についても、自民党内では非常にいろいろな論議があって、まあ大臣はそういう積極姿勢を出しておられるわけですが、なかなか足踏み状態である。いろいろな疑惑の目で見られる。それの一つの補完といいますか、いずれにしても、いま大臣おっしゃったように、国連等を中心としたそういう呼びかけといいますか、非常にわが国は弱いわけですね。他国の顔色ばかりをうかがって、少しも積極的な運動をしないという点は、十分ひとつ政府として反省をしてもらいたいと思うのです。これはひとつ閣僚を代表して長官に申し上げておきます。そういう点で、わが国としては、さらにそうした問題が今後解決できるように努力をしていただきたいと思うのです。  それから、先ほどからの論議を聞いておりますと、原子力委員会の今後のあり方についても、今後懇談会で検討していくということばかりおっしゃっているわけですね。いわゆるベールに包まれておるわけです。しかし、今後意見が出て、それが実行ということになりましても、相当これは時間的にもかかってくるわけです。  そこで、現在の原子力委員会というものは、開発と規制の二面を備えているわけでありますが、明確な姿勢といいますか、そういうものを、やはりこの際原子力委員会は出すべきだと私は思うのですね。いま、「むつ」問題を初めとしまして、特に最近の原子力発電所を見ましても事故ばかり起こしているし、定期検査も重なってほとんど動いていない。また、労組からの内からの告発があるというようなことで、ますます不信が高まっております。その不信の根本は何か、これは結局政府不信ですよ。  そこで、原子力委員会はそういう二面性を備えておるわけでありますから、少なくとも当分は、安全性確保国民信頼性回復に最重点を置くという態度を明確にする必要があろうかと思うのです。この間の電調審におきましても、これだけ問題になっておるのに福島と伊方ですか、二カ所もそういうふうにやっておりますし、どうもこういう問題を抱えておきながら、開発開発という姿勢が非常に見られるわけです。その点、原子力委員会としてはどのようにお考えですか。
  170. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力発電日本が現段階で進めなければならぬ必要性に関しましては、くどくど申し上げるまでもなしによく御承知のとおりだと存じます。  さりながら、反面は、いま申しましたような安全の問題を中心にいたしまして、原子力発電の思い切った発展に対しては制約条件をなしておりますから、この制約条件をいかにして早く解消するかという点が大変重要でございますので、先ほど来お話がございましたように、原子力行政懇談会をつくるとかあるいは原子力安全局をつくるとか、機構も整備し、あるいは安全の研究もし、あるいは審査、検査等の仕方も責任のあるように整備していこうじゃないか、そして、国民の理解を得るための諸措置も、いままでともっと違った思い切った措置というものがとられぬものかといったようなことで、国の体制は、現在ネックになっております安全問題について、いかに国民の不信を払拭するかというところに、私は非常に大きく今年度から前進しているように思います。これは、とりもなおさず、「むつ」等の問題がございまして、  いままでのままではもういけないという強い反省に立った一つの前進じゃなかろうかというふうに考えます。この方は、余りあわててやっていきますと、またおかしいじゃないかという御非難もあろうかと思いますので、一応慎重に構えつつも、前進の体制をとっていくというのか現状じゃなかろうかと私は思います。  いまお話がございました電調審と安全審査の問題でございますけれども、電調審の方は、御承知のように、電力の需給関係あるいは資金関係等から見て、どういうふうに発電をしたらよろしいかというのが主眼でございまして、この電調審が済みまして、需給関係等から見ればぜひこれはやるべきだということでも、しかし、安全のサイドからはまだ検討しておりませんので、その点は、原子力委員会なりあるいは電気事業法に基づいて通産省なりでそれぞれ分野があるでしょうから、ひとつ十分検討して決めてもらいたい、こういう趣旨になっておりますので、その点は御了承いただきたいと存じます。
  171. 山田太三郎

    ○山田説明員 例の原子力行政懇談会が隠れみのになっておるというお話ですが、われわれ原子力委員になってみますと、確かにそういう感じがいたします。これはわれわれの仕事ではないかというふうに思います。  しかし、翻ってみますと、実は原子力委員会昭和四十三年ごろ、自分で体制問題懇談会というのを開きまして、原子力委員会体制をどうするかということをディスカスしたことがございます。その際の結論が若干微温的でありましたので、どうも自分の腹は自分で切れないんだろうということで、われわれ自身もちろん検討しておりますが、やはり第三者の公平な判断をいただくということが、現在の段階としてはありがたいのではないかと思います。しかし、そうやって半年とか一年というものを待っておるわけにはまいりませんからして、これから御審議願う原子力安全局等ができます際に、原子力安全局をつくるというのはただかっこうだけじゃないかということにならないような努力を、ぜひしていきたいというふうに考えております。  先生、御承知のとおり、環境・安全専門部会で去年の十月に、安全審査体制をどうするかという提言をいただきました。その中では残念ながら、非常に簡単なことでありながら法律改正を必要とするものがございます。たとえば、先ほどもお答えしたのですが、原子炉安全専門審査会のメンバーをふやせということも、三十名と決まっておる。それから、委員を非常勤でなく常勤化しろということも、これまた非常勤とするというふうに決まっておりまして、そういうことはできないのですけれども、しかし、現在の段階においてできる範囲のことをやっていく。その際の答申の中にありましたように、原子炉の安全基準につきましては、それに対応する委員会がございましたけれども、十分活躍いたしておりませんでしたので、つい二日前に非公式な第一回会合を開きまして、来月から本格的な会合を開いてまいりたいと思います。  その他、法律の改正なしでもできる、あるいは原子力委員会の総合調整機能をもってできることをできるだけやっていきまして、ただ原子力委員会は、もう皆さんの安全は大丈夫ですよというようなことだけではだめでございますので、実をもって示していきたい、こういうふうに考えております。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま、山田さんからお話があったのですが、それは法改正をすればできるわけですよ。長官はどのようにお考えですか。常勤の問題であるとか定員の問題であるとか、これはもう法改正すればいとも簡単ですよ。
  173. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国の大変重要な問題でもございますので、懇談会をつくりまして、そこで日本のトップレベルの人たちに集まっていただいてフリーに御検討いただいた上で、その結論をまちまして、法改正の要がありますれば法改正もし、人員をふやしていく必要があれば人員をふやしていくというふうな措置をとっていきたいと存じます。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、またそういう点で懇談会が出てくるわけですね。  そこで、山田さんに再確認しておきたいのですが、開発と規制、この両面性があるわけですが、比重を大きく、いわゆる安全性確保国民信頼性回復に最重点を置くという、この態度は間違いありませんか。
  175. 山田太三郎

    ○山田説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、最近の原子力委員会におけるディスカッションの相当部分が、この安全あるいは規制体制といったようなことに時間をとられております。ですから、この両面がもちろんございますから、将来の夢を持っておる核融合をどうするかというようなことももちろんございますけれども、足元を固める必要がまずございますので、そういった意味で、原子力委員会にはまた別の機関として安全会議というものを持っておりまして、これが安全問題全般についての検討をしていただいております。そこからの提言なども得まして、安全の問題についてますます検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、国民信頼性を回復するかどうかはひとえに原子力委員会政府の姿勢にかかっておるわけでございますので、いまおっしゃったことをひとつ実行していただきたいと思うのです。  それから、「むつ」問題は、いよいよ日にちも迫ってきております。たしか四月十四日でしたね。これについて、大臣も何カ所かもうお選びになっておられるようでございますが、間違いなくこの十四日までにお決めになるのかどうか。  それから、現在の原子力開発事業団のいわゆる責任問題、人事問題についてはどのようなお考えであるか。  それから、今後やる事業団を、これは法律が来年のたしか三月でしたね、どうするかということです。時間の関係がありますから、簡潔にひとつお答えいただきたいと思うのです。  それから第四点として、むつから移転ということになりますと、従業員の問題があるわけです。この従業員の方々についてはどのようになさっていくか。  以上四点、簡潔にお願いします。
  177. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 第二定係港を決める問題に関しましては、ただいま最終的に個所をしぼりつつございまして、期日までには決められると思っております。  それから、二番目の責任問題でございますが、専務等はもうかわりましたので、問題は理事長さんだけでございますが、あの御老体で大変御苦労をなすって、かねがね辞意を漏らしておるのでございますけれども、なかなか後任難でございまして、いままでじんぜん日を送ってきたのでございますけれども、しかし、後任の適当な方が見つかり次第、交代をいたしたいというふうに心がけております。  それから、事業団の期間は来年いっぱいじゃないか、どうするんだという御質問でございますが、これに対しましては、話せばいろいろございますけれども、私の考えでは延期いたしまして、そして将来の原子力船の発展に備えたいというふうに考えております。  それから、従業員が、機構を縮小する等によっていろいろトラブル等が起こりはせぬかという御質問でございますけれども、この方は、問題の起こりませんように、合理的な範囲内で処置したいということで、せっかく努力中でございます。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 従業員等は非常に生活の心配があるわけでありますし、ひとつ十分な配慮をしていただきたいと思うのです。  それから次に、御承知のように、ジュネーブにおきまして海洋法会議が開催されておるわけです。今回の会議におきましては、昨年の夏だったと思いますが、カラカスにおける第二回会議で積み残された問題、つまり領海の設定であるとか、経済水域の設定、あるいは深海底の開発の国際機関による管理、承認等の問題が出てきておるように聞いておるわけですが、いずれにしましても、これはわが国にとっても非常に大きな関係があるわけで、影響が出てくるわけであります。特に、科学技術庁は海洋開発審議会も掌握しておりますし、各省庁の海洋開発の問題はすべて掌握されておられるわけであります。これは、海底資源の問題から生物資源の問題に至るまで幅広い問題でありまして、現在この海洋法会議にかかっております問題というものは、全部影響があるわけであります。  そこで、いま政府代表団が行っておるわけでございますが、当然科学技術庁長官としては、その中心大臣としていろいろな問題提起をなさっておると思うのです。その政府代表団に対しましても、この点はぜひともといった強調された点は十分おありじゃないかと思うのですが、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  179. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 海洋開発の問題は大変広範囲にわたっておりまして、特にただいま議論しておりますのは、海洋法そのものの改定問題でございます。その中でも、特に領海の範囲をどうするか、あるいは海峡の自由航行の問題をどういうふうに処理するか、あるいは二百海里という経済圏を主張しておる、その問題に対して日本としてはどう対処するかというような大きな問題がございまして、それは外務省等が中心になってそれぞれの機関、たとえば農林省とか運輸省とかいろいろございますから、それぞれ態度を決めまして、事が重大な問題ですから、事ごとにこれは閣議で一応吟味をして、そしてこの会議に臨むようにいままでしておりました。  わが方は、主としてあずかっておりますのは、海洋の科学調査、たくさん種類がございますけれども、これが二百海里説などをとった場合には一体どうなんだというような観点に関しまして非常に疑念を持ったものですから、これに関しましてはぜひ自由に調査のできるように、それぞれの国の許可を得た上でなくては調査がまかりならぬということでは大変不自由になりますので、ぜひひとつ自由に調査が行えるように、あるいは核燃料の運搬船が領海あるいは国際海峡を通過する際に、その扱いを自由航行にするかあるいは無害通航にするかという問題も大変関連の深い問題でございますので、わが方といたしましては、通常の船舶と区別なしにひとつやっていただきたいという希望を申し出まして、海洋法会議の会場、すなわちジュネーブにおいて日本の代表が主張するはずでございます。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 いわゆる海洋開発という問題は、長官も所信表明の中で、第二の問題として、「宇宙開発及び海洋開発の推進であります。」とおっしゃっているわけです。私たちも聞いたわけです。したがって、これは非常に大きな問題なんです。そうなってきますと、これはもう非常に領域の広い問題であります。しかし、科学技術庁で海洋開発のそういう審議会もございますし、長官もこれは目玉の二つ目におっしゃっているわけですね。そういう点で私はお聞きしてみたいと思うのです。  きょうは各省庁の方も来られておるわけですけれども、いま世界の大勢というのは、大体領海十二海里というような線になってきておるように思うわけですが、そうなった場合、きょうはエネルギー問題の中でも原子力の問題をお聞きしたわけですが、何と言いましても王座は石油の問題じゃないかと思うのですね。そうなってきますと、特に中東からの石油の場合、ペルシャ湾と日本を結ぶそういうタンカーの通路であるマラッカ海峡あるいはロンボク海峡が閉ざされてくるわけです。そうすると、オーストラリアの南側を通らなきゃならぬというようなことになるわけです。そうしますと、原油の高騰に加えて運賃の高騰というような問題も出てまいりますし、これは非常に大きな問題だと思うのですね。この点については、政府としてはどのように対処なさるのですか、これは外務省でも、あるいは経企庁、通産省でも結構です。
  181. 門田省三

    ○門田説明員 先生御指摘のとおりに、石油の輸送ということは非常に重要な問題でございます。そこで、わが国といたしましては、自由な石油の運搬が確保されるように、今度の会議で全力を尽くすということで対処いたすことにいたしております。
  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 いわゆる海峡の自由通航を訴えていくということをおっしゃっているわけですが、そうなってきますと、わが国にもいわゆる国際海峡と言われる、たとえば津軽海峡、あるいは対馬海峡、あるいは宗谷海峡等のそういう運航の問題があるわけですが、わが国の場合はどういう方針でいくのですか。
  183. 門田省三

    ○門田説明員 国際海峡の通航の問題につきましては、先ほど大臣もお触れになられましたように、領海の幅員あるいは経済水域の内容の問題といった重要な海洋法の問題とともに、ただいま慎重にジュネーブで検討されている段階でございます。わが方としては、海洋国としての立場に立ちまして、会議の推移に応じて対処していくということで臨んでおります。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう一つ確信のない、ちょっと奥歯にはさまったような御答弁であったと思うのですが、時間の関係がありますので次へいきます。  この経済水域等も、二百海里というような線も出ておるわけでありますし、まだ今後の推移を見てみなければわかりませんけれども、少なくとも今後そういう方向にいくとなってまいりますと、いわゆる遠洋漁業等に非常に大きな問題が出てくるわけです。そうなってきますと、さらに沿岸漁業のそうした問題ということが重要視されてくるわけです。特に、科学技術庁としては栽培漁業の問題であるとか、今後の新しい資源という問題についてアプローチなさっているわけですね。  ところが、最近のようにこれだけ周辺の海域が汚染されてくるというようなことになってきますと、これは非常に大きな問題が出てくるわけです。また、その海の中でも内海の問題もありますし、環境庁としては、いまのようなこういう環境基準なり排出基準なり総量規制であるとか、こういうことで海が守れますか。幾ら海洋開発だとかいろんなことを言っておったって、母体自体がこんなに汚染されてきておったんじゃどうしようもないじゃないですか。これはひとつ環境庁からお答えいただきたいと思います。
  185. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 水質汚濁、特に海洋におきます水質汚濁を防止いたしますために、現在それぞれの水域におきまして、水質の目標と申しますか、類型指定を行っておるわけであります。その目標に到達いたしますために、各工場、事業場からの排水を規制するという形式をとっておるわけでございますけれども、現在、そういった排水規制はかなり厳しいレベルで行われております。  さらに申しますと、現在の規制方式が濃度規制ということで、一部の海域におきましては、必ずしもそれが十分に働いていないというところがございますので、そういったところにおきましては、今後総量規制をするというような方向で汚濁防止を図っていきたいと考えておるところでございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう終わりますが、環境基準をさらにもっと再検討してもらいたいということと同時に、いわゆるその監視なり、それを各省庁に守らせるための運用ですね、やはり環境庁が中心にならなければいかぬわけですよ。非常にその点が弱いように思うのですよ。その点についてはどう考えますか。
  187. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 現在、各水域におきます監視は、直接的には都道府県並びに海上保安庁その他の関係省庁が行っておるわけでございますけれども、先ほど申しました基準を幾ら厳しくいたしましても、それが守られなければ実は意味がないということで、監視、測定を強化するといういまの御趣旨に対しましては、まさに仰せのとおりで、そういう方向に沿って十分都道府県、関係省庁を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう終わりますが、いわゆる海洋開発中心科学技術庁がやっているわけですよ。そうすると、この問題だって大変な問題ですよ。それをいま長官は二つの問題にしぼってお答えになったわけですね。それは長官なりのお考えかと思いますよ、一番関係の深いところですから。だけれども、やはり全体の掌握、またそれに対する考えなり方針なり、これは長官が責任を持ってやらなければいけませんよ。重大な影響があるのです。たとえば深海の潜水艇だって今後つくっていくわけてしょう。また深海底のマンガンの問題だって、全部これは関連しておるわけですよね。そういう点において、大臣の所信表明で、海洋開発を今度推進しますと、言葉だけで推進しますと言っても、残された問題については、これは水産庁の問題だ、農林省の問題だ、わしは知らぬ、そういうことではどうしようもないと思うのですね。今後、この問題についてはもっと真剣に検討なさって、科学技術庁としても対処していただきたいと思うのです。大臣の決意だけをひとつお聞きして終わります。
  189. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 近江委員の当初の御質問は、私が答えましたような範囲の質問かと存じましたので、さっきのような御説明を申し上げたのでございますけれども、おっしゃるまでもなしに、海洋の開発は、一つは正常な開発であり、一つは汚染防止、この二つの重要性は、私は甲乙をつけられないくらい重要な問題だと思います。  そこで、一方の開発問題はどういう問題があるかと申しますと、空間の利用とか、あるいはエネルギーの抽出とか、あるいは海中のたん白資源をどうするとか、あるいは海底の鉱物資源をどうするとか、あるいは海中の作業等をどうするとか、いろいろ多岐にわたっておりますので、各省にわたっておりますが、しかし、その取りまとめは、ただいまのところ私の方でやっておりますので、今後ともさらに前進するように各省との協議を進めてまいりたいと存じますし、特にわが方で力を入れておりますのは、各省にわたっておるのでございますけれども、しかし反面、共通した事項、たとえば潜水をどうするとか、あるいは潜水の際の医学をどうするとか、あるいは人材の養成、海に関する人の養成等をどうするとかいろいろ問題がございますので、そういう点に関しましては、御承知のようにセンターをつくりまして、その充実に努めておる最中でございますので、そういう点にも力を入れまして基礎がしっかりするようにということで、この方も進めてまいりたいというふうに考えております。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  191. 八木昇

    八木委員長 次に、内海清君。
  192. 内海清

    ○内海(清)委員 大分皆さんくたびれたと思いますが、私にも与えられた時間がございますから、若干お尋ねいたしたいと思います。  大臣の所信表明を承りまして、いろいろお尋ねいたしたいところもあったのですが、いままで質問されましたこととなるべく重複を避けてお聞きしたいと思うのですが、特に大臣の所信表明というのは、来る年度におきますわが国の、いわゆる原子力行政を初め科学技術の行政に関する基本の問題だと思います。これは正確に理解しておかなければいかぬだろうという気がいたすのであります。  そこで、まず第一番に挙げられたのは、原子力開発利用の推進ということであります。これは申し上げるまでもなしに、いまわが国エネルギー問題等を控えましてきわめて重要な問題だと思います。ことに、この問題が、御承知のような昨年の九月の「むつ」の問題以来非常にクローズアップされてまいったわけであります。この「むつ」の事故と申しますか、トラブルは、わが国におきまする原子力開発体制に欠陥があるということを露呈したわけです。その結果いろいろ論議が行われ、結局、政府におきましても、この原子力行政についてもここで再検討する、これが、一昨日かにつくられました原子力行政懇談会だと思うし、さらに原子力船については、原子力船懇談会もつくられたようでございます。したがって、この二つでだんだん進められていくと思いますが、まずもってたちまち重要な問題は、わが国におきます原子力開発に対する行政体制ですね、これがどうあるべきか、こういうことであろうと思うのであります。  そこで、「むつ」当時から大変問題になりましたことは、御承知のように、結局、わが国におきまする原子力の安全管理の問題、これが二元管理によっておるではないかということを、あの当時ずいぶん議論したわけです。すなわち、科学技術庁は規制法の面を受け持つ、あるいは発電所であるならば通産省が電気事業法でもってこれを受け持つ、船であるならば運輸省が船舶安全法によってこれを受け持つ、これはまさに二元体制ではないか、したがって責任体制が明らかでない、このことが問題ではないかということが非常に論議されたわけであります。どうしてもこれを一元化して、みずから審査し、あるいは検査し、そうして許認可する、こういう体制をつくるべきだということがずいぶん論議されていることは、御承知のとおりであります。  それを受けたと申しますか、今度原子力委員会でなしに科学技術庁の方で、いままでの原子力局を分けて原子力安全局というものを新しく設けようとしている。これはいままで、いわゆる研究開発と安全系統を同一部局でやっておったのは、開発と規制の矛盾した二面をやることはどうかということで分けられたと思うのです。  しかし、その根本は、やはり「むつ」時代に非常に論議されてきたことでありますけれども原子力の安全に関して国民の不信を取り除こう、そうして理解と協力を得なきやならぬ、それが原子力問題の宿願ではないか、これが論議されたことであります。そのためには、安全確保の明確な責任体制というものを確立する必要があるじゃないか、こういうことでありまして、大臣のここに述べておられることも同様だと私は思うのであります。さようにこれは解読してよろしょうございますか。これをまず確認しておきます。
  193. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お説のとおりでございますが、安全局をつくりましても、まだ安全問題に対する典拠法規と申しますか、原子炉等規制法、あるいは電気事業法、あるいは船舶安全法でございますか、こういう法律がそれぞれ現存しているわけでございますから、やはり現法規に基づきまして、その持ち分を相互に連携しながらそごを来さぬように進めていくのが、これは現状としてはやむを得ない事情かと存じます。  しかし、原子力行政懇談会でこういう問題に対する結論がどうつくかわかりませんけれども、いずれ結論が出るでございましょうから、それが出ました暁には、その結論に従いまして、法の改正が必要であれば法の改正をいたしますし、改正なしに行政の運用で改善をしろというのであれば、またそういうふうに改善をすべきだというふうに考えております。
  194. 内海清

    ○内海(清)委員 そうしますと、ここに述べておられまする、結局、「原子力につきましては、その安全性について、必ずしも国民から万全の信頼を得ているとは言い難い状況にあります。原子力平和利用の推進に当たっては、まず第一に、その安全確保と環境保全に万全を期し、国民の理解と協力を得なければなりません。」つまり不信感をなくさなければならぬ、そうして理解と協力を得ようということでありますね。「そのためには、研究開発と安全規制とを同一の局で行っている現行の原子力行政全体の中から、原子力の安全規制等、原子力安全確保に関する機能を分離、独立させ、これを強化することにより、安全確保の明確な責任体制を確立することが何よりも必要であります。」そうして、「このため、」と次を受けておるわけですね。これによってこの原子力安全確保の明確な責任体制ができる、こういうことに相なっておると思うのであります。  もちろん、現況においても、御承知のように非破壊検査業務というものがだんだんと多くなってきております。だから、その安全確保にもいろいろと問題が出ております。昨年でしたか、美浜かどこか、盗難に遭うというようなこともあった。それからまた、工業面から見ましてもRIの利用もどんどんふえておる。これは工業面のみでありません。医療面においても、あるいは農業面においても、これがどんどんふえていっていることは御承知のとおりであります。また、再処理工場もだんだん進んでおるし、あるいは大洗の実験炉ですか、これもだんだん完成に近づいてきておる。したがって、こういう方面に対する安全規制を強化するということは、これはもちろん必要であります。  そういう意味から言えば、この安全局を設けられてこの方面をやることは強化されなければならぬ、これは私は十分わかる。その面から言えば、この設置ということは必要であって、私は大いに賛成したいと思う。ところが、ここに書いてあるのを読みますと、安全局を設けることによって、原子力すべての安全が確保されるというふうな、これはよく事情を知らないとそのまま受け取ってしまうと思うのですよ。その点いかがですか。
  195. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その点は、御指摘をまつまでもなしに、実は方々から誤解を招いている点でありまして、私どもは、この原子力安全局をつくったから能事終われりというのではなくて、少なくとも一つの面では、従来の開発と安全を同一機構でやっているという矛盾に対する回答であり、同時に、この安全局ができますれば、その安全局の機能は実は幾つかに分かれるわけでありまして、一つは、先ほど来近江委員からも大分問題になりましたように、国の原子力の平和利用に徹するための査察関係をどうするか、その分野もこの局で持つと思います。また、お話しのように、アイソトープの紛失等に対する対処等もこの局で持つと思います。さらに、一番問題になっております原子力発電あるいは原子力船等に対する、いわゆる安全なるものがどうなるかという点に関しまして、先ほど申しましたように、一番ポイントになる点でございますから、原子力安全局ができたからそれで終わるのじゃなくて、これが一つの橋頭堡でありまして、そして逐次この原子力安全局のような責任体制を固めていくというのが趣旨でございます。  ただ、先ほど申しましたように、現在のままでは法体系がきちっと決まっておりますから、行政職でございますのでその法体系に従って行政をとる以外にしようがございません。範囲がもとから決まっております。しかし、いまの懇談会等で国としての明確な基礎ができてまいりますれば、それに従って対処していくという含みを持った安全局だというふうに御承知いただければ、大変ありがたいと思います。
  196. 内海清

    ○内海(清)委員 長官のそういう説明を聞くと、私もこれを読んでそうであろうと想像したわけです。ただ、これだけを見ますと、そうはなかなかわからないということですね。結局この文章を読んでみますと、原子力の安全に関しまして国民の不信をなくして、理解と協力を得るために安全確保の責任体制を明確にする、そのために安全局をつくる、こういうことになっておるのですね。それは私は普通に素直に読めばそうだと思うのです。  そうすると、この原子力の安全ということについて最も関心が深いのは何かということです。これは御承知のとおりでありまして、原子炉そのもののいろいろな欠陥を言われておる、あるいはそれからの問題が言われておる。たとえば、昨年のあのBWRの問題、この再循環系のバイパス管の問題、あるいはまたことしのECCSのひび割れの問題、こういうふうなものは科技庁の問題ではございませんね。これをチェックするのは通産の電気の方の関係でしょう。また原子力船の問題でいくならば、これはまた運輸省の方にいくでしょう。それをそのままにしておいて、これができたからすべて安全だというふうな印象を与えることは、私はどうかと思うのです。  これでは、最も国民の関心の深い原子力発電所の安全について、これができたからといって責任はとれぬだろうと思うのです。そこの問題であります。これは、結局国民の不信を除き、そして理解と協力を得るため責任体制を明らかにしようというのでありますから、この国民不信を解消する、除くためという提案理由であるならば、私は提案理由がちょっとおかしいと思うのです。ことに、そういうことであるならば、いまの行政懇談会の結論を見ずにこれができたということは、なおさらおかしいことになるわけであります。この結論を見て、そしてこれとの関係を考えながら新設していかなければならぬと思うのであります。この点はいかがですか。
  197. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、安全局ができますれば、まずいまの査察の問題とか、アイソトープの問題とかを抜きにいたしまして、問題を原子力発電あるいは原子力船等に限った安全にしぼってまいりますと、一番重要なのは、何と言っても安全に対する自主的な研究の整備あるいは促進、充実ということが基本ではないかと思っています。日本のいまの大きい問題の根本はそこにあるわけでありまして、軽水炉に対する安全は、どちらかと言うと、それほど深く研究するところがなかった。ところが、ドイツ等はアメリカから軽水炉を輸入しながら、独自でどんどん安全性を深めていった。この研究をまず進めていくということが大変重要なことではなかろうか。その任務は、それではだれが負うかというと、原子力行政懇談会ができて新しい機構がどうなるか、それを待ってなんということじゃなしに、とにもかくにもひとつ陣頭指揮でこういう問題を進めようじゃないかという点が一つあろうかと思います。  それから第二点は、お説のとおり、いまの体制、法規のままでは審査、検査の一貫性あるいは責任の所在が不明確ではないか、その点を不明確のままにしておいて、安全局ができたからこれでよろしいというのはおかしいじゃないかという御議論、それはごもっともでございまして、私どももその点は、別に安全局ができたから一貫性が整備したとか、責任の所在が明確になったなんということは申しておりません。何となれば、もとの法規が分かれているのでございますから。さればと言って、もとの法規を直すまで、あるいは直す必要があるかどうか、それは非常な根本的な問題でございます。  私は、かつて原子炉等規制法をつくった本人でございますが、これをつくるときに何が一番問題だったかと申しますと、検査あるいは審査等に対する各省との権限をどうするか、これは非常に皆さんの想像つかぬほど深刻な問題でございまして、こういう問題は一体今後どうするかということは、一安全局ができたからどうという問題ではございませんが、そういう点は、お話しのように、懇談会ができて結論がつけばだんだん深めていけると思います。  それからもう一つは、いままでの行政と違いますのは、中央で判を押すあるいは調印をすればそれで済むという行政ではないのでございまして、あくまでも国民の理解を深め協力を得るためのいままでにない行政活動、極端に言えば政治的な活動と言ってもいいかもしれませんが、そういういままでにない新しい分野というものがあるのではないか。そういうものを一体だれが担当するのだと言いますと、やはりこれは安全局等が主導の立場に立って、みずからやるかあるいは代行する機関をつくるか、いろいろありましょうから、民間の有識者とも相談してそういう問題を進めていくような体制を整えていく、こういう点もあろうかと存じます。  そういう点をあわせまして、懇談会で結論を出さなければ一歩も進まぬというのじゃなくて、もうアップ・ツー・デートの問題がたくさんあるわけでございますから、安全局をつくってできる範囲のことはどんどん進めていく、こういうことが必要だろうということで、実は踏み切ったのでございます。
  198. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣のお話の面も確かにあるかと思いますが、結局、私ども原子力の安全に関して一番関心が深いことは、二元行政、これが一元化して責任体制が明らかにならなければいかぬということです。これは各省庁にまたがっておるわけですね。したがって科技庁のみでどうもならぬ。そういう意味から、少しでも国民不信感をなくする、理解と協力を得るために、科技庁の中でできる問題、これに手をつけられたという、その点はよくわかるわけです。しかし、この大臣の所信表明を見ますと、これはそれだけになかなか受け取れぬ面があるわけであります。あくまでも国民信頼を得るためにこうやるんだ、安全確保の明確な責任体制をつくるためにこうやるんだということでありまして、これでは、もちろん科技庁だけでは原子力行政全般をカバーできぬわけですから、この点は私はちょっと誤解を招くおそれがあると思うのであります。  だから、その点について、あくまでも国民の不信解消という提案であるならば、それは訂正すべきである、私はこう思うのです。それはもちろんいま言われたように、いろいろなことで、ある程度のそれに寄与することはあると思います。あると思いますけれども、ここにあるような安全確保の明確な責任体制を確立するんだ、そのためにこうやるんだということは、ちょっと行き過ぎではないか、私はこう思うのであります。その点いかがですか。
  199. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 言葉の上から言いますと、まさしく言葉足らずだと思います。内容は、先ほど説明したような内容でございますので、そういう意味で御理解いただきたいと思います。
  200. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣の御答弁で一応了解したいと思いますが、この問題は大臣の所信表明であるだけに、私にはちょっとひっかかりができたわけです。やはり少なくともこの原子力行政懇談会で早く結論を得て、一番「むつ」問題以来の中心は、いわゆる国民不信感、それは二元管理にあるということをいろいろ論議してまいりましたので、そういう点を基本にして十分ひとつ御研究になって、成果を上げられるようにお願いいたしたいと思うのであります。大臣が原子力委員長を兼ねておられますが、原子力委員会の問題でも改組はないわけでありまして、これとも皆関係がある問題でありまして、非常に大きな問題になるだろう、かように思っておりますので、その点ひとつ十分今後御研究願って、この問題につきましてはそういう点を十分御勘案をいただいて、読む人に間違いを起こさせぬようにしていただかなければならぬ。大臣のお話を聞けば私どもわかるわけでありますけれども、そういうことを強く要望しておきたいと思います。  それから、原子力船の問題は、いま近江委員からもございましたが、今度は原子力船懇談会です。これは大臣の諮問機関のようでございますけれども、大体どういうふうなことをこの中で御検討になり、さらに特にお聞きしてみたいと思いますことは、第二船に対するお考えがあればあわせてお聞かせいただきたい。
  201. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 懇談会をつくる契機と申しますか、いわゆる「むつ」の第二定係港を選択する基準といたしまして、もし将来大きく日本原子力船を推し進めなければならぬということになりますと、相当大きい定係港を選ばなければなりませんし、「むつ」だけの定係港でありますれば、それほど大きくなくてもよろしいじゃないか。そこをどういうふうに国家として割り切っていくかという問題が大変議論になりまして、考えてみますと、油等のエネルギーの情勢が変わって、発電炉の方には大変大きい変革を来しておるわけでございますけれども原子力船の方に対しては、それに相応するような検討わが国としてやっていないじゃないかということであの問題が生じてきたわけでございます。  したがって、業界等の、あるいは学界等のエキスパートに御参加いただいて、そうしてまず日本の将来の原子力船に対するあり方、これを一体どう考えていくか。たとえば、大型のしかも長距離のピストン的な輸送であれば、いまの油の高騰からして、ある程度採算ベースに乗っていくんじゃないかというふうなことも各国ではそれぞれ考えて、大変この原子力船に対しては意欲を燃やしているやにも承知してございます。したがって、世界で第一等の海運国である日本が、将来そういう原子力船の時代になったにもかかわらず、原子力船に対する用意がなかったり、あるいは外国の原子力船が日本に入ろうとしても全然入れなかったといった鎖国的な状況では、日本の将来に対して非常に危惧を持たれますので、そういう点を一体どう考えたらよろしいか、これが一番根本かと存じます。  それから第二点は、しからばそういう点を踏んまえて、お話にありましたように第二船をどうしたらよろしいか。言いかえるならば、実験船を「むつ」でやったわけでございますから、あれが今後実験船としてさらに活用された場合には、その次の第二船はもう少し実用船に近いというふうに観念したちいいのか、あるいは普通の炉のように、もう一遍もう少し濃度の濃い、実用船とまでは言われぬような一つの体系として考えるのであれば、またこれに対する国の参加の仕方も違ってまいりまして、したがって、事業団等を一体どうしたらよろしいかというこの問題が起きてくると思います。そして今度は、そういう点から割り出していきますと、第一船の「むつ」を今後一体どう管理したらよろしいか。いままでは実験船でございましたから、今後も実験船として持っていって、従来のように二年から二年半くらいの実験をしまして、正常運転に入ると申しますか、その際にはどういう活用方法があるかといったような問題を含めて検討していくべきだ。  そういう点がはっきりしてきますと、先ほどお話がありましたように、いまの事業団を今後どうするか、来年で期限が切れますので、それに対してどうしたらよろしいかという点もおのずから結論がついてまいりますので、そういう点を踏んまえて、原子力船懇談会をつくりまして、少しじっくり研究しようじゃないかということでつくったのでございます。
  202. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろな問題があると思います。ことに海運界の方も、油の状況などによって、いままでもこれはいろいろ、非常に関心を持たれたときと関心がだんだん薄れるときとあったわけですが、しかし、世界の油の状態など考えてみますと、将来は、いずれにしてもこれは陸上における電気と同様に、やはり原子力推進によらざるを得ぬのだろうというふうに思うわけです。しかし、私どもいろいろ業界などのあれを聞きましても、「むつ」のああいう事故によりまして、かなり海運界もあるいは造船界にしても、ちょっと敬遠ぎみの空気があるのじゃないかと思うのであります。  ところが、私は高性能船と言っておりますけれども、大型の船でそうして高速の船、これが今後要求されてくるわけであります。このためにはどうしても原子力によらざるを得ぬ。私は前に、原子力開発事業団ができた当時、甘利さんが専務理事の折、この問題を一度質問したことがございます。もし三十ノットで太平洋を横断するとした場合、油によったらいいか、原子力によったらいいかということを質問したことがありますが、これはお答えがなかったわけであります。その当時の私の計算によれば、もし油にしますと、燃料によってほとんどスペースがとられて、船としての価値がきわめて少なくなる、不経済船になってくる、そういう場合にはどうしても原子力によらざるを得ぬではないかというお話をしたことがございますが、今後これはまただんだん重要な問題になってくるだろうと思うのであります。  しかし、そのためには、いまの「むつ」の処理というものをどうするかという、これが私はきわめて重要な問題になってくると思うのであります。いまもお話がございましたように、これは将来の原子力船に備えてのいわゆる実験船としてつくったものであります。実験船としてつくるのもいろいろ私ども議論しましたが、これはいまさら繰り返してもしようがない話でありますが、これをどうするかという問題。いまお話がございますように、事業団法も切れてまいります。これはいずれ延長せざるを得ぬだろうと思いますけれども、しかし、それまでには母港、定係港を早く決めなければならぬ、そうしていまの「むつ」の処置をしなければならぬ、こういうことになってくると思います。もし将来第二船をつくるということになると、いわゆる舶用炉というものはいまのままではいけない。今後もっと研究されてこなければ、第二船の問題は、やるとしても進んでこないと思うのです。こういう点は、いまの空気から見れば、将来を見越して、十分そういうことに対する教育といいますか、啓蒙といいますか、そういう方面もやっていく。国が先頭に立たなければ私はいまの空気ではなかなかむずかしい点もあると思っております。  わが国は海運国でありますから、いかにどうなりましても、将来海運ということは必要なことであります。世界の海運に負けてはならぬわけであります。そういう点から考えれば、私はきわめて重要な問題であると考えております。そういう意味から、この原子力船懇談会におきましてもそういうすべての面についての御配慮を十分願って、将来に遺憾なきょう期していただきたい。これを強く要望しておきたいと思います。  もう少し時間がありますが、私はこれで終わります。     —————————————
  203. 八木昇

    八木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、原子力船「むつ」に関する問題調査のため、日本原子力船開発事業団理事倉本昌昭君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————
  205. 八木昇

  206. 津川武一

    津川委員 委員長のせっかくの申し入れがありますので、質問事項を続けてやりますから、よく聞いていただいて、私も長官の人柄はよくわかっているから、的確に答えていただきたいと思います。  一つ質問原子力船「むつ」の新しい定係港、政府はあの「むつ」の入港港を六カ月後に、四月十四日までに決めなければならない。これは決めているか、決まるかということ。いろいろな話だと、一斉地方選挙があるから、それが終わってからという話が聞こえてぐる。漁民と相談してみた、漁民は一斉地方選挙は知らないから、関係ない、政府こそ約束を守るべきだと。守るつもりあるだろうか、この点が第一の質問。  第二の質問。新しい定係港の決定の作業がどうなっているか、どのくらい進んでいるか。陸奥湾に決めるときに、陸奥湾のホタテ漁業があのように伸びていくことを、よく調査しなかったか知らなかったから、後でああいうことになった。陸奥湾というのはあのとおり海流が緩い。このことなんかも考慮しないであそこに決めたからああいうことになるわけです。したがって、新しい定係港を決める作業はどのくらい進んでおるのか、どのくらいの候補地があるのか、その候補地について、その地域の水産業の将来の動向を調べているかどうか、その地域の海流などについて具体的に調べているかどうか、これが二問。  第三問。原子力船「むつ」の今後はどうなるのか。いろいろうわさが聞こえてきます。ブラジルに売るとかブラジルと共同でやるとか、もうだめだから廃船にしてやめるとか、こういう話も聞こえてくる。いや、そうじゃない、いろいろなことを計画して懇談会なんかに諮って国民意見を聞いて続けていくとか、いろいろな見解が聞こえてくるので、この際それを明らかにしてほしい。これが三つ。  四つ目。長官も覚えているとおり、りっぱな船着き場になりました。あそこに施設もある、建物もある、クレーンもある、関連施設もある。こうなってくると、定係港を移した後に、これを壊さないで、あの地域の社会経済を運営していく上についてぜひ使わせるべきだと思うのです。撤去は二年半後だ。いまからこのことを決めておいて現地に示しておくと、現地が自分の社会経済開発のために計画に組めるので、こういう体制でそれをやるべきだと思う。これが第四の質問。  第五の質問。あのときいろいろな約束しましたね、むつ市に、漁業協同組合連合会に。この約束がどうなっているかという問題。もっと具体的に言うならば、むつ市の道路、これは内報は行ったそうだけれども予算がついていかない。流れ聞くところだと、むつ市が予想しておる一年五千万円、これに対して二千四、五百万円じゃないかなどということが聞こえてくる。これだと長期にわたらなければならないので、大変約束違反じゃないか。  この点で言うと、漁業協同組合連合会に約束した漁港の整備、冷蔵庫などの付帯施設、内報は行ったそうだが、予算が来ない。工事の設計、請負、やらしている。借金してやらしている。利子がつく。さあ利子まで負担してやるなどという約束はしていない。この点がどうなっているのか。  むつ市の道路、漁港整備、冷蔵庫、これらは青森県内にやるべき補助の枠内でやる。したがって、これをむつ市が、県漁連が取ると、県内の関係者の内輪けんかになる、他の方の権益を侵すことになる、こういうことにもなってきます。そういうことがないように、ずばりとそこに、県の枠を越えてこれをやるべき必要があると思いますが、これが五つ目の質問。  六つ目の質問長官と事業団に。いままであのむつ事業所のところでいろいろ原子力船の事業に参加してきた、専門的な知識も身につけた、訓練もできたいい職員がたくさん出た。船乗りを除くと事業所の職員が六割は現地採用で、家も妻も子も持っておる。これをブラジルに連れていくのか、熊本に連れていくのかなどということになってくると大変だ。現地で生活ができるような再就職を具体的に保障しなきゃならない。この現地再就職のあっせん、こういうことが政府として、事業団としてやられておるかどうか、この点。  時間がないので、委員長の申し入れに応じて六つ重ねて質問したわけですが、二つ目の新しい定係港、二十四だとかいろいろ聞こえる中に、むつ市の再指定というのも含まれているかどうか、この点を第二問でちょっと落としましたので、お答えをいただきたい。そうすると委員長に非常に協力できることになるのです。
  207. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 参議院の予算委員会の問題もあるようですから、簡略にお答えいたします。  四月十四日までに第二定係港を決めるかという問題に関しましては、ただいま決めるように作業を進めてございます。  第二点の、作業の手順はどうなっているんだという御質問でございますが、その前に、むつをさらに使う用意があるのかという質問でございますけれども、これはございません。はっきり申し上げておきます。  それから、御承知かと思いますけれども、何遍も御説明いたしましたが、片手間でこういう重大な問題はできませんので、私、長官になりましてからすぐ発案いたしまして、科学技術庁と運輸省と事業団からそれぞれチャンピオンを出してもらって、私どもの政務次官は片山さん、林野庁長官をやったいわば行政としてはベテランでございますし、また技術を身につけた人でもございますので、片山さんを首班にいたしまして、そしてチームをつくりまして、そのチームは片手間でなしに、専心これが決まるまでかかってもらいたいということで一室を設けまして、実はただいまこの作業に専心しております。  その状況でございますけれども、地元からぜひわが方に第二定係港を決めてもらいたいという申し出の個所もありますし、あるいはそれがないけれども、机上的に見まして、こういうところは大変適当なところじゃなかろうかと思うところもございます。そういうところをいろいろ選択しまして、二十四、五くらいございましたが、その二十四、五ぐらいの予定地を選択する基準を設けまして、その選択の基準はまたたくさんの要素がございますが、その要素に従って、先ほど申しました専門の皆さんが鋭意作業に移りまして、だんだんしぼってまいります。しぼってまいるという意味は、順位をつけて、どういう事態にも対処できるように順位をつけながらただいまその作業を進めまして、大体終末点に近づきつつあると私は思っております。  それから、「むつ」の行方はどうかという点でございますが、ことし一月三日の毎日新聞でしたか、出たように、何かブラジルに売るとか、各個所から大変申し出があるようだという御質問でございますけれども、これは前者からお話しいたしますが、ブラジルに売るといったような点は、私どもは全然関知しておりません。むしろ、IAEAに行っておられます東京工大でございますか、西脇教授が、長い間原子力の問題をこちらでやった方で、非常に憂慮をいたしまして、それではということで何かブラジルの人に話したところ、大変ブラジルの方で乗り気になったとかいうお話でございまして、私どもは、全然経過も承知しておりませんし、またそういう方針で進んでおりません。また、この所有権が事業団にあるわけでございまして、その船を国策にも沿わない方向に決めていくということはあり得ないことでございますので、そういうことはないと思っております。また、ブラジルに、話がありますれば、私ども事情をよく話したいと存じます。  それから、ほかに共同研究等の希望がないか。それは希望がありますけれども、私どもとしてはそういう余裕はございません。あくまでも日本の船でございますので、第二定係港を見つけまして、そこであの船の修理もし、実験に入りたいというかたい覚悟でただいま進めております。御承知のように、世界で第四番目の船でございまして、いわば米国、ソ連、ドイツ日本という、非常に日本の科学の名誉をかけた船でございますので、あだやおろそかにはこの船は扱わぬつもりでございます。  それから、四番目の陸奥湾の後始末をどうするかという問題でございますけれども、できた埠頭を壊せなんと言ったってできるわけがございません。ですけれども、あの設備、クレーンとかそういったようなものをどうするのだという問題は、第二定係港の決まり方いかんによりましておのずから態度が決まってくると思います。私の承知している限りでは、まだ後始末をどうするかというところまで入っておりません。  それから、五番目の現地と約束したことは果たしたかということでありますが、私の承知しているのでは、鈴木善幸先生が参りましていろいろお約束なさり、私も秋田に当時おりましたが、鈴木さんから電話がありまして、これは親分の大平大蔵大臣にもよく頼んでくれ、自分も頼むがということで、私からもよく頼んで、ひとつ予算だけは、これはもうこれほどの大問題でつけたことでありますから、いろいろ予算の性質という観点からするとむずかしい予算があるかもしれぬけれども、しかし、この際ぜひつけてもらいたいということで、全部つけて進捗しているというふうに理解しております。  それから、最後の事業団の従業員をどうするかという問題でございますけれども、これは先ほども近江さんでございますか、どなたか質問がございました。整理等に入る際には、お話しのように、十分現地の実情等も考慮しながら、トラブル等が起こらないように、円満にいくように処置したいと思っております。
  208. 津川武一

    津川委員 そこで、長官、約束どおり新しい定係港を決めるように作業している、これは長官の返事です。それから、新しい定係港に対しては専門家で決める。四月十四日が期限ですよ。あと一カ月です。決めるように作業している、決めなければならぬ、これは政府の腹構えです。そこで、新しく決めるとすれば、その決まるところの定係港は、水産業なんか具体的に調査していなければ、海流なんかも調査していなければ、四月十四日に決めなければならぬと言ってもこの作業ができない。そうすると、また政府が——長官には、せっかく長官になったのだから、うそつかせたくないので、ぜひそこのところをきちんとしていただかなければならぬ。  聞くところによると、どこに決めるかについて、技術基準七項目、社会環境五項目なんか決めているそうだけれども、この中に、そういう漁業資源、水産資源の動向、それから海流の項目なんか入っているかどうか。そうでないと、片山さんが首班になってやっても四月十四日に間に合わない。これがまた再質問一つ
  209. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 こういう点は、十四日までに決めるかという点は、先ほど近江先生からも御質問がございましてお答えしたとおりで、私どもは、決めるという覚悟でただいまやっております。  そこで、その予定地の漁業問題等考慮してやっておるかという点は、所によりましては大変漁業の盛んなところでもございまして、ホタテガイどころの話じゃございません。したがいまして、こういう問題に対しては十分配慮を払って選択してございます。
  210. 津川武一

    津川委員 そこで、申し込みのところが幾つかある。政府の方で適地として幾つか決めている。これをこの委員会に提示してほしい。
  211. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これはできません。
  212. 津川武一

    津川委員 その次に、原子力船「むつ」の運命、共同研究の申し込みがある。これはやらないつもりだと言うが、この共同研究を申し込んでいるのはどこか。
  213. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これも申せません。
  214. 津川武一

    津川委員 その次にむつの施設、これは波止場はわかった。防波提はわかった。そこであそこにある建物、いい建物です。使えば宝物になります。これは持っていってもくずになる、解体すると。それからクレーン、これも残すべきだと思うし、この点で、長官の返事いかんによってあの地域で計画を立てなければならない、もらうとすれば何に使うかという。国のせっかくの財産だから、使わないでぶざまに投げておくことはいけない。これは予算を効率的に使う意味においても、この点は明示していくべきだと思うのです。いかがでございます。
  215. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 クレーン等の原子力船に必要な、あるいは母港として必要な設備等の処置は、先ほど申しましたように、第二定係港が決まる際に当然考えるべきだと思います。  ただ、建物あるいは土地等の不動産をどうするかという問題に関しましては、これは建物をしょって歩くわけにいきませんので、そういう点の始末は、十分現地等とも相談いたしまして決めていかなければならぬかと思います。
  216. 津川武一

    津川委員 現地と相談して決めてくださいね。それは使わせるという意味でしょう。
  217. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国の財産でございますので、いまここで、私がこうすると言うわけにまいりませんけれども、しかし、何も建物まで壊してという感じがいたしますので、そこら辺は、実例をもって考えていったらいいんじゃないかと思います。
  218. 津川武一

    津川委員 その次に、むつ市に約束した道路の約束。体育館はいいそうです。それから放送施設もいいそうです。問題は道路。これを県内の枠の中で決められるとむつが立つ瀬がない。ほかのところを犠牲にして持ってこなければならない。予算は、長官がいまはしなくも約束した。予算はつける、こう言ってくれた。非常にいいことだ。そこで、これは県内のいままでの枠の中からとってここへ回すのではいけない。他の方の漁港の整備、その費用の中からあそこにだけ持っていってはいけない。したがって、これは別枠として予算をつけるべきだ。この道路と漁港整備費です。
  219. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これは、科学技術庁の問題というよりは、建設省なりあるいは農林省なりがおのずから、できるはずだ、やれるはずだということであれば、当然話し合いでできていきましょうし、そういう点は、別枠と言っても別に別枠というものはあるはずはないのでございまして、さっき申しましたように、その省々によって必要な分はつけたはずでございまして、私どもの方は、ぜひひとつやってもらいたい、承知しましたということになっておるわけでございますから、御了承  いただきたいと思います。
  220. 津川武一

    津川委員 大臣に最後の質問一つ。そうすると、ほかの方の道路や、ほかの方の漁港整備に影響ない、こういうことになりますか。  それから事業団に。これはせっかくの財産だから、やはり第二定係港に必要ないものは、現地に残していって使わせるべきだと思うのです。  それから、長官が、あの職員をトラブルのないようにすると言っている。やはりあそこに家があるので、現地で再就職の道を世話すべきだと思いますが、この点は事業団に。長官一つと、事業団に二つ。
  221. 生田豊朗

    ○生田政府委員 道路につきましては、影響するかしないかということまでお約束しておりません。これは建設省と青森県当局との話し合いになると了解しております。先生御承知のように、道路整備事業に昭和五十年度以降速やかに着手するということになっておりますので、公共事業費の配分の問題であろうかと考えます。  それから、漁業振興対策につきましては、これは明らかに別枠でございます。別枠で科学技術庁から要求いたしまして、水産庁に移しかえをいたしまして、青森県を通じて配分することになっております。
  222. 津川武一

    津川委員 大臣、道路も漁港整備と同じように、これは大臣から建設省と交渉すべきだと思うのですが、いかがです。
  223. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、その道路がどういう道路かよく知りませんけれども、私の方からぜひ出してくださいという希望は建設省も承知しておるでございましょうし、したがって、建設省は、いま公共事業は大変シビアな時代でございますから、そのシビアな範囲内で優先的に出してくれるか、そこら辺は、やはり建設省自体の権限に属する問題でございますので、そちらの方にお任せいたしたいと存じます。
  224. 津川武一

    津川委員 その点、大臣が責任を持って建設省と交渉して、その結果をこの委員会で報告してほしい。いかがです。
  225. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 道路の約束の方は、私も余りはっきり知りませんので、担当局長から……。
  226. 生田豊朗

    ○生田政府委員 道路の問題は、先生御承知かと思いますが、実は入港に際して出てきた問題ではございませんで、出港試験を実施するときの地元対策として、私どもが建設省に要求しまして了承を得たものでございます。それがそのまま引き続きまして、昨年の四者協定に盛り込まれたものでございまして、当時、昨年の八月「むつ」を出港させます場合には、私どもは建設省に対しまして、これは先生がおっしゃいましたような、青森県に対する配分枠の外枠としてつけてもらいたいということを要求しておりました。  ただ、その後の情勢につきましては、閣僚協議会を経まして建設省がしかるべく行うということになっておりますので、私どもとしては、かつてはそういう要求をしたことがございます。
  227. 津川武一

    津川委員 かつてはというのはどういうことですか。大臣、だからこれを大臣から要求してもらいたい。これには何と書いてあるかというと、協定書を読みますか。「田名部−大湊間の道路整備事業に、昭和五十年度以降すみやかに着手する。」これを別枠として局長が要求したことがかつてある。これからもやるべきだ。この点だけ、せっかく事業団から参考人に来ていただいたから、それも伺って、これで終わります。
  228. 八木昇

    八木委員長 大臣はようございますか。
  229. 津川武一

    津川委員 大臣、その点建設省と交渉して、できるかできないかは大臣の能力のせいだから、その結果を報告してくれればそれでいいです。
  230. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 建設省にお願いするのは差し支えございません。ただ、その結果は、別枠でやるかあるいは枠内でやるか、建設省としても、御承知のように総需要抑制の折から、皆様の御要望に沿うて物価を下げようというので、公共事業はもうしぼりにしぼった予算でございますので、ことし、来年すぐ、はい承知しましたと言ってやるかどうか、これはわかりませんけれども、しかし、御希望だけは建設省に申し述べておきます。
  231. 津川武一

    津川委員 この点、次の機会まで若干留保させておいていただきたいのです。お願いします。
  232. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 御質問の第一点でございますが、現在定係港にございます施設でございますね、これは事業団にとりましても非常に重要な財産でもございますし、新しい定係港が決まりましてその移転のときに、新しい定係港へ現在あります施設をどのくらい持っていけるかというような計画を策定しまして、その時点で、後に残りました財産の処分につきましては、これは地元の御意向等を勘案いたしてこれを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから、第二点の地元の採用者でございますが、皆非常に一生懸命働いておりまして、しかし、このような事態になりまして地元におきます業務もだんだん縮小してまいりますので、私どもの方の事業所の規模もだんだん減らしつつございます。それで、本部に移転すべき組織は本部に移転いたしまして、またその地元採用者の中でも、地元を離れて本部で働きたいというような者につきましては、できるだけそういう配慮もいたしてまいりますし、また地元におきましては、県あるいは市、また地元の関係者の方々とよく御相談をしながら、本人の御希望等を勘案しながら進めてまいりたい、かように考えております。
  233. 津川武一

    津川委員 終わります。      ————◇—————
  234. 八木昇

    八木委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地震予知に関する問題調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、来る二十六日午後一時理事会、一時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会