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安井委員 ソ連側は、これで日中
交渉にブレーキをかけようとし、あるいはかけたというふうにお
考えかもしらぬが、しかし、
日本国民全体の受けとめ方は、むしろ逆作用になったのではないか、ブレーキのつもりが、アクセルになる
可能性も生じたのではないか、こう思うので、このことは、これからも同じようなケースが起きる
可能性がありますから、私は、やはり明確にしておいた方がいいのではないかと思います。
そこで、
日中平和友好条約との関係になってくるわけでありますが、いま
日本は、中国とそれから
ソ連と、戦後
処理の二つの
条約の
交渉中だということになるわけです。そこで中国との
交渉では、いま中国側は、七二年の日中
共同声明第七項の覇権条項を織り込むことを強く主張しているのに対して、日中
条約は
ソ連から見れば、日中の軍事同盟
条約的なもので、覇権は
ソ連を指すものだという言い方で、
政府にゆさぶりをかけてきたというようなことではないかと思うのでありますが、私、けさの朝日新聞の三宅喜二郎さん、外交研究家で元スウェーデン大使だそうですけれ
ども、この人の投稿の記事を興味を持って読んだのですが、「「覇権」は原点に立って
考えよ」つまり、国連憲章の第一条や第二条のこの精神が覇権反対ではないかという主張になっている点であります。
つまり、国連憲章の目的や加盟国の行動について、「
国際の平和及び安全を維持すること。」「人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること」こういうふうな
表現が第一条にありますね。それから第二条にも「すべての加盟国の主権平等の原則」という
表現やら、「その
国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の
領土保全又は政治的独立に対するものも、また、
国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」このような
表現、つまり、このようなことが覇権に当たるのであり、このような覇権にやはり反対すべきではないか。
国際的な、世界のすべての国々が遵守すべき義務事項、これが日中
共同声明の中に書かれている覇権なのだという点を、もっともっと明らかにしていくということが必要なのではないか。
政府もいろいろ解説をしているようでありますけれ
ども、この論点は非常におもしろいと思うのですが、どうですか。