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1975-05-22 第75回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月二十二日(木曜日)     午後零時十分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 床次 徳二君    理事 西銘 順治君 理事 美濃 政市君    理事 安井 吉典君 理事 正森 成二君       小渕 恵三君    箕輪  登君       水野  清君    上原 康助君       河上 民雄君    瀬長亀次郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君  出席政府委員         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  杉森 一秀君         防衛施設庁施設         部施設管理課長 松尾 広俊君         国土庁土地局土         地利用調整課長 佐竹 五六君         法務省刑事局総         務課長     筧  榮一君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     山崎  卓君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 福田 秀夫君         労働省職業安定         局業務指導課長 江田  茂君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 五月二十二日  理事佐藤孝行君同日理事辞任につき、その補欠  として熊谷義雄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月九日  沖繩県軍用地開放に伴う跡地利用に関する請  願(安里積千代君紹介)(第二一九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  嘉手納基地にP3対潜哨戒機弾薬庫建設中止  に関する陳情書  (第三〇八号)  沖繩県における中小零細企業緊急対策に関する  陳情書(第三〇九  号)  疎開船対馬丸遭難死没者の処遇に関する陳情書  (第三一〇号)  沖繩県における軍用地返還方法に関する陳情書  外一件(  第三一一号)  沖繩県平良、石垣両港の国鉄駅指定に関する陳  情書(第  三一二号)  北方領土返還に関する陳情書外三件  (第三一三号) 五月二十日  沖繩県国際海洋総合大学誘致に関する陳情書  (第  三六六号)  沖繩県中小企業救済に関する陳情書  (第三六七号)  沖繩県におけるパインアップル産業危機打開  に関する陳情書  (第三六八号)  沖繩県キャンプハンセン基地における米海兵隊  の演習中止に関する陳情書外三件  (第三六九号)  沖繩県嘉手納空軍基地再編強化反対に関する  陳情書(第三七〇  号)  沖繩県伊江島空対地射爆撃演習場の撤去に関す  る陳情書(第三七  一号)  沖繩県那覇空港民間解放に関する陳情書  (第三七二号)  北方領土返還等に関する陳情書外一件  (  第三七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事佐藤孝行君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  これは、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長熊谷義雄君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 松本忠助

    松本委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  6. 上原康助

    上原委員 沖繩が復帰して満三年を迎えて、四年目に入っているわけですが、ますますいろんな問題が噴出をして、県民は一体何のために復帰したのかという心情というものも非常に強い状況にあることは、特に担当大臣であられる開発庁長官はよく御案内のことだと思うのですが、基地問題につきましては後ほど外務大臣にまとめてお尋ねするとして、きょうは限られた時間でありますので、七月二十日を目前に控えて、いよいよ海洋博開催というのが行われるわけですが、これまでも振興開発計画をめぐって、あるいは海洋博プロジェクトをめぐって、いろんな議論を本委員会なりその他の委員会でもやってまいりましたが、当初海洋博計画された時点と、その後の実際の海洋博関連事業推進をしていく過程での事情というのが大きく変化をしてきております。いわゆる振興開発計画にしましても、海洋博プロジェクトにしましても、どちらかというと、高度経済成長政策の延長線上に企画されたものであって、今日の時点では、不況、インフレあるいは金融引き締め等々によって、それがもたらすしわ寄せというのは、局地的に沖繩にかぶさっているという状況にあると思うのです。  そういう意味で、私たちは批判をしながらも、できるだけ県民の立場に立った沖繩振興あるいは社会資本充実化基盤整備というものを要求をしてまいりましたが、なかなか思うようにいっていないことは御案内のとおりなのです。しかし、この時点まで来て海洋博中止をするとか、あるいは県民生活環境などを著しく破壊とまでは言わなくても、影響を与えているというようなことがあっても、一応この日程に上っていることは消化していかなければいけないと思うのです。  そこで、お尋ねをしたいわけですが、こういう状況開催をされる海洋博について、これまでも、たとえば物価の問題あるいは交通体系交通政策陸上輸送、海上輸送含めてどうしていくか、そういった総合的な対策というものを国の方でも県側十分調整をして明らかにすべきであるということをかねがね主張してまいりましたが、なかなかその具体的な内容というものがまだ明示をされておりません。そこで、現段階物価の問題とか特に交通問題においては、海洋博開催されて多くの観客が行くとなりますと、中部あるいは北部周辺の住民は、規制を受けたりいろんな面で県民生活生活活動そのもの支障を来たすのではないか。こういうことについても早目に具体的にどういう規制をし、あるいはどういうふうに県民生活というものが支障ないような線が出るのかというふうに期待をしているわけですが、なかなか出てこない。こういう一連のことに対しては、一体どういう方向でいま準備なりを進めておられるのか、その具体的な計画内容等についてお示しをいただきたいと思うのです。
  7. 植木光教

    植木国務大臣 海洋博覧会は申すまでもなく国際的な大きな行事でございまして、この博覧会を成功させなければなりませんことは申すまでもないところでございます。また、この海洋博覧会中、県民生活に重大な影響を与えるようなことがあってはならぬ。さらに、海洋博が終わりましてから後の沖繩県民生活及び振興開発計画推進というものがきわめて重要であるという認識のもとに、私どもは諸施策を進めているところでございます。  ただいま具体的に、この海洋博覧会中の物価の問題あるいは交通問題等についてのお話がございましたが、この点につきましては各省庁と十分な連絡をとりまして、いやしくも県民生活影響が起こらないようにということを強く推進をしているところでございます。また、交通問題につきましても、これはいろいろ関連施設充実をさしたことでございますし、さらに、規制につきましては、警察庁を初めといたしまして関係省庁に十分な配慮が行われるようにというように要請をいたしておりますし、その方向に進んでいると私どもは信じております。いずれにいたしましても−海洋博覧会中の混乱というものを未然に防止するということに全力を挙げているところでございます。  なお、海洋博覧会跡地利用につきましては、すでに四月十八日に沖繩国際海洋博覧会関係閣僚協議会をつくりまして、この担当大臣沖繩開発庁長官ということになりました。したがいまして、私の責任におきまして、この跡利用県民にとりましても、またわが国にとりましても有意義なものでありますように、関係各省庁と協議をいたしているところでございます。いずれにいたしましても、海洋博覧会開催までにこの跡利用計画をつくってまいりたいというように進めているところでございます。
  8. 上原康助

    上原委員 跡利用の件については、もう少し後で私もちょっと具体的にお尋ねしますが、そうしますと、いま各省庁とも連携をとりながら物価問題あるいは交通問題等について対策推進しつつあるのだ。確かに、漠然として言えば、これだけの行事をもう二カ月足らずの間にスタートするわけですから、何らかの対策がな、といけないと思うのです。私がお尋ねをしたいのは、せんだって内閣委員会沖繩を視察したときにも、総合事務局でも、この点について私は指摘をして、できるだけ早く県側とも調整をして、物価問題なり交通問題についての、こういう方向海洋博期間中は対策を講じていくということを明示するんだという発言がございました。  そこで、きょう改めてお尋ねをしているわけですが、一体いつごろまでにこの物価問題、物価問題といいましても、やはりかねがね言われておりますように、食料製品需給バランスの問題とか、あるいは生鮮食料品の確保の問題等は、いまでも本土よりも物価が高いのは御案内のとおりなんですね。これを具体的にいまの段階で、こういうふうにやるから県民生活にはさほどの支障がないんだということを、何らかの形で国なり県なりが明示をしないといけないと私は思うのです。それをいつの時点でやるのかというのが私のお尋ねなんですよ。  交通問題にしましても、おとといですか、きのうですか、縦貫道路開通式も行われたわけなんですが、実際に名護から以北にかけては一方通行にされた場合には、生活活動といいますか、生活日程そのもの規制を受けて大変なことになりはしないのかという不安があるわけですね。これに対して、具体的にもうこの段階ではお示しをいただいてやらないと、ますます反海洋博、一体何のための海洋博か、ほかから来る人々だけが便宜を受けて、そこに住んでいる県民はどうかということになりますと、要らぬ摩擦がますます起きると私は思うのです。これの具体的な明示はいつごろなさるのか。これについては、もう少し具体的にお答えいただきたいと思うのです。
  9. 植木光教

    植木国務大臣 お説のとおりでございまして、物価あるいは交通問題についての県民の不安は一日も早く解消しなければならないと存じます。各省庁努力をいたしておりますので、その成果に基づきました見通しにつきましては、早急にこれを発表いたしまして、安心をしていただくようにいたしたいと存じます。詳細につきましては、局長の方からお答えいたします。
  10. 山田滋

    山田政府委員 ただいまの御質問でございますが、いま長官から申し上げましたように、私ども最も心配しておる点、御指摘のとおりでございます。  実は、本日もその話をしてここへ参ったわけでございますが、私どもといたしましては、現在物価につきましては、特に推進本部の中に物価部会を設けておりまして、海洋博推進本部といたしまして重点的な問題として取り上げておるわけでございまして、経済企画庁が部会の取りまとめをいたしておりますけれども、私どもとしても沖繩開発という観点から最も深い関係がございますので、これについて相協力して施策を進めておるわけでございますが、すでに相当な回数この物価につきまして、あるいは小委員会を設け、小委員会会議等も進めてまいりました。  従来の私どもの一番の重点としては、やはり生鮮食料品、特に野菜につきましては、もう先生十分御承知のとおり、夏場と冬場におきまして大変生産の実情が違いますので、そういう点、たまたま海洋博の時期が一番悪い時期であるということで、野菜に最も重点を置きまして、その需給関係バランスをとるようにその対策について検討を進めてまいりました。その他の生活必需品等につきましても、当然いままでも論議がかわされてまいったわけでございますが、でき得れば、現在県におきましては、もう最終的に見当をつけておると申しますか、検討を積み重ねておりますので、出先の総合事務局におきまして県との連絡を絶えずとっております。そのデータを至急取り寄せて、私どもとしても納得のいく議論をひとつ重ねてみたい、こう思っておりまして、その検討が済みましたところで、どういうかっこうで公にするかは別といたしまして、一応自信のあるところを示していきたい、こう思っております。  これは御承知のとおり、人間の予測ということが必ずしも、特にこういった物価問題等につきましてはむずかしい点がございますから、私どものできる能力の範囲内であるということは御了承いただきたいと思いますが、一応そういう努力を今後早急にいたしたい。大臣申し上げましたように、できれば一刻も早くやりたい、こういう気持ちでございます。
  11. 上原康助

    上原委員 そうしますと、五月一ぱいか遅くとも六月の上旬までにはそういった方向づけはやるというふうに理解していいですね。簡単にお答えください。
  12. 山田滋

    山田政府委員 そういう努力をいたしたいと思います。
  13. 上原康助

    上原委員 そこで、時間がきょうは非常に短いのであれなんですが、先ほど大臣お答えありましたこの海洋博跡利用の問題ですが、もたついておったのが、御答弁ありましたように、去る四月十八日の関係閣僚協議会で、跡利用担当大臣には開発庁長官が当たるということが決まったようですが、この跡利用の一体基本的な構想といいますか、すでに県の方でも海洋博跡利用基本計画について協議会をつくって、県の方にも建議をして、それが大体県側意向だと思うのですね。政府の考えておる跡利用構想というのは一体どういうものなのか。この県がまとめた構想との斉合性といいますか、総合性といいますか、関係はどうなるのか。  もう一つは、特に私は、跡利用というのは、単に海洋博跡利用ということではなしに、やはり沖繩振興開発計画そのものとの関連性位置づけというものが十分になされなければいけないと思うのですね。そういった総合性のあるもので考えておられるのか、その構想についてぜひ具体的に明らかにできればやっていただきたいし、海洋博開催までにそれを煮詰めるというお答えでしたが、現在の作業進捗状況というのはどうなっておるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  14. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のとおり、海洋博推進対策本部がございまして、この中に跡利用部会を設けたわけでございます。その部会長開発庁事務次官を充てております。四月二十四日に設置がされたわけでございまして、直ちに部会開催いたしまして、去る八日には第二回を開き、海上施設の現況でありますとか、いま仰せのございました県側意向等についていろいろ検討を進めているところでございます。同時に部会長であります事務次官沖繩県に参りまして、県側の御意向も伺ってきているというのが今日までの状況でございまして、先ほど申し上げましたように、海洋博開催せられるまでにこの基本計画というものをつくり上げたい、こういう決意でございます。  仰せのように、ただ単にこの跡地をどういうふうに利用するかということだけではございませんで、沖繩県総合開発計画の中で一つ位置づけを行い、総合的な開発推進に対しまして意義のある利用を図りたいということで、国は県と一体となりまして、この計画を打ち立てていくという方針でございます。ただいまのところ具体的に、それではどの部分をどういうふうに何に使うのかということにつきましては、まだ検討中でございますので、作業状況は以上であるということで御理解を賜りたいと存じます。
  15. 上原康助

    上原委員 そこで、もう時間ですから、あと安井先生に譲りますが、県が策定をした跡利用基本計画を見ましても、たとえば経済開発、観光、余暇活動等に関することとか国際交流国際協力に関することとかあるいは学術、文化、教育に関すること等いろいろ挙げているわけですね、もっと具体的なものもございますけれども。これを、いずれを推進をしていくにも莫大な予算が必要だということは、もう指摘をするまでもないと思うのです。そういうことも含めて、五十一年度の予算の中で本当に先ほど申し上げましたように、沖繩振興開発計画見直しながらやっていくということも含めますと、相当の予算的措置というものがない限り、私は跡利用幾ら文章をつくってみたってしょせん無理だと思うのです。この点も含めて、いま検討しておられるということで理解していいですか。
  16. 植木光教

    植木国務大臣 私といたしましては関係各省、特に海洋博担当省でございます通産省、及び財政担当省でございます大蔵省との緊密な協力を得て、この利用計画を樹立してまいりたいと存じます。したがいまして、国といたしましてできるだけのことをやりたいというのが私ども決意でございます。
  17. 上原康助

    上原委員 時間ですから、あと安井先生に……。
  18. 松本忠助

  19. 安井吉典

    安井委員 沖繩復帰三周年を迎えたわけでございますが、地元新聞世論調査でも復帰してよかったという人が四三・三%、よくなかったという人が五〇・七%と聞いています。政府もいろいろ対策を講じてきたとは思いますけれども、しかし相変わらず全島の一一%が基地で覆われ、相次ぐ米軍人による犯罪行為物価上昇率全国平均よりも高いし、とりわけ最近の目立った状況として失業率全国平均の二・五倍だという、こういう現状や、あるいはまた、海洋博の仕事の方が進んではいるようでありますけれども、しかし、それが本当に沖繩のために、どれだけ役に立つのかというような不安や、CTSの問題等も含めて沖繩開発計画といいますか、将来のあり方についての疑問、そういったようなものの錯綜した沖繩の心というものが、こういうところにあらわれているのではないかと私は思うわけであります。  これから沖繩の問題をさらに進めていくために、開発庁長官としても新しい心組みで向かっていく必要があると思うのであります。その点について、お考えをひとつ初めに伺っておきたいと思います。
  20. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩県本土に復帰いたしまして三年目を迎えまして、すでに四年目に入ったわけでございます。仰せのとおり、県民の復帰に対する感情でございますが、復帰してよかったとは思えないというような声が多数ありますことにつきまして、私は非常に心を痛めているところでございます。仰せのように、基地の問題でありますとか、あるいは失業率が五・二%というように非常に高いというような状況がございます。産業構造上にもいろいろな問題があるところでございます。  そこで、先日も沖繩復帰三年の記念の講演会を行いましたときに、私は、開発庁職員はもとより、沖繩県関係の方々に申し上げたことでございますが、沖繩県民の心を心として沖繩県問題に取り組むということが最も基本的な問題である、これなくしては今後の県づくりはあり得ないということを強く訴えたのでございまして、それは同時に、私の担当大臣としての決意であるということを申し述べたいと存ずるのでございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 短い時間ですから、詰めたお話はできませんが、いまの大臣のお気持ちでわかるわけですが、しかし根強い不信感が、やはりあるのではないかと思います。そういう配慮のもとに進めていただきたいと思うわけであります。そこで、そのためには沖繩開発計画そのものも、いままでの計画を新しい段階見直していく必要があるという点については、大臣御就任の最初だったと思いますけれども、この委員会でも議論をしたわけであります。政府においても経済社会基本計画を初め、あるいは新全国総合開発計画、そういったようなものの見直し作業が同時に始まっているわけです。  聞くところによると、何かいろいろな経済情勢見通しの中で、明年度から新しく変えていくというのじゃなしに、もう一年ぐらい待ってスタートをさせるというようなことも耳にするのでありますが、沖繩開発の問題についての計画策定作業は、いまどんなふうに進んでいるのか、その点を伺います。
  22. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩振興開発計画は、御承知のように長期的な観点に立ちました総合的なプランでございまして、十カ年間における振興開発の向かうべき方向基本施策を明らかにしたものでございます。したがいまして、これは絶対にこの計画どおりでなければならないというものではございませんで、それぞれの経済社会状況変化に伴いまして、必要に応じまして開発計画を練り直すということは必要であると存ずるのでございます。四十七年に一部改定されました新全総の第四部を受けまして、この計画策定されたのでございますが新全総がすでに見直しが行われておりまして、五十一年度の第三次新全総が策定されるために、いま準備が進められておるわけでございます。  したがいまして、沖繩振興開発計画基本方針を変更しなければならないような内容となりましたならば、これを検討し直す必要が起こるのでございまして、したがって、ただいま作業が進められておりますのに並行をいたしまして、沖繩県県づくりが今後どうあるべきかということについて検討を進めているという現状でございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 先ほど大臣は、沖繩の心を心として進めるというふうに、これからの沖繩行政進め方についてお話があったわけです。しかし、いまのその開発計画への取り組みということになりますと、第三次総合開発計画を国が決めていく、つまり国方針が決まったら、それに沖繩を当てはめていく、そういうふうにとれるわけです。初めの沖繩の心を大切にするというのと現実の行政の進め方とは、まるきりあべこべじゃないですか。むしろいままでの開発計画の中で、人口は百万ぐらいで、まあそういう面ではあるいは達成されたのかもしれませんけれども産業構造の改革というふうな問題は、三年たったってほとんど変わっていないのじゃないですか。  そういう具体的現実的な問題点、特に沖繩の農業はどう位置づけるのかというようなこと、そういったような具体的な沖繩の中への検討の中から、それを三全総の中に持ち込んでいくということなら、一番初めの大臣の御答弁と、それならば筋が通りますよ。いま何にもやっていないで三全総の行方を見守っていて、その結論が出たら、それから沖繩の問題を考えますじゃ、これは順序があべこべじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  24. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま私が申し上げました真意と現状は、いま安井委員から仰せられたとおりなのでございまして、国全体として第三次計画作業が進められている。それと並行をいたしまして沖繩振興開発計画も、いまいろいろ県側連絡を取り合いながら洗い直しをしているというのが現実の姿でございます。この基本方針本土との格差を早急に是正すること、そして自立発展基礎条件整備をして豊かな地域福祉社会をつくる、こういう考え方に基づくものでございまして、この基本的な考え方のために、いろいろなデータも集めております。また、このデータ沖繩振興開発審議会総合部会において検討をしていただいて、中期的な展望を行うということにもいたしているのでございます。  したがいまして、第三次全国総合開発計画あるいは経済社会基本計画、各種公共施設整備五カ年計画、こういうものができ上がったならば、それを受けてやるというのではございませんで、この中にあるものは盛り込む、あるいは独自に開発庁と県とが一体となってやっていけるものはやっていく、こういうことなのでございますから、先ほど私が申し上げた趣旨はそこにあるということを、ひとつ御理解をいただきたいのでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 同時並行というよりも、私が申し上げたいのは、国の方針が一たん決まっていたって、これが沖繩の利益になると思ったら、その中に強引に押し込んでいって国の方向を変えていくぐらいなお気持ちで取り組んでいただきたい、こういう意味なのですから、その点重ねて申し上げておきたいと思います。  そこで、その前提ともなるのですが、ことしは海洋博という沖繩にとっては恐ろしく大きなプロジェクトがあって、これまでずっとそのプロジェクト達成のためのお金をつぎ込んでき、それが沖繩の経済にとってプラスになった面もあるし、マイナスになる点もあったろうが、しかし、これが五十年でばったり終わってしまうと、五十一年度以降は大変だという問題が出てきますね。跡地利用の問題で先ほどお話がありましたから、それはそういう比較的長期の問題には触れないにしても、ことしまでの上がった状況から来年の公共事業その他ががったり下がると、これは大変なことじゃないかと思います。いままでの状況がいいのだという前提に立って言うのじゃありませんけれども現状の大きな変更、これが沖繩経済に及ぼす激変を考えると大変だと思います。そういう点についても、明年度予算編成、明後年度にも通ずると思うのですけれども、そういうごく短期の問題解決も十分な配慮が必要だと思うのですが、いかがですか。
  26. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおり、ポスト海洋博という問題につきまして、いま開発庁といたしましては、全力を挙げまして各方面から検討を進めているのでございまして、先ほど来申し上げておりますように、中期的なもの長期的なもの、ともに海洋博後、特に明年度及び明後年度、経済の落ち込みがないように、公共事業等を初めといたしまして十分な財政措置をやってまいるということに全力を挙げてまいるということを、ここにお約束を申し上げます。
  27. 安井吉典

    安井委員 国土庁からもお見えだそうですから、沖繩の土地利用計画策定について、防衛庁側から軍事基地計画の中から除外せよという指導があったのに対し、沖繩県として、それを含めた土地利用基本計画を作成したということについて、最終的には政府側が全面的に譲歩したと報ぜられています。この点について、こういうことで防衛庁側も納得をした上で、こういう決定にまで至ったと見て差し支えありませんね。
  28. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 土地利用基本計画につきましては、国土利用計画法に基づきまして、取引規制、各種開発規制の基本となるべき計画として、五万分の一の地図によりまして都市地域、農業地域、森林保全地域、自然公園地域、自然環境保全地域、この五地域を区分いたすこととされております。その策定手続につきましては、都道府県知事が策定いたしまして内閣総理大臣の承認をとる、そして内閣総理大臣は、承認をする際には各省庁協議をすることになっております。  現在沖繩県につきましても、県におきまして土地利用基本計画案を策定いたしまして、内閣総理大臣への承認申請の途上にございます。これに基づきまして、今後正式に文書をもちまして関係省庁協議いたすことになっておりまして、現在まだ正式協議まで至っておりませんので、そういう段階であるということをひとつ御了承いただきたいと思います。  なお、申し上げますと、沖繩県よりの提出されました原案につきましては、いわゆる基地内につきましても、五地域区分のいずれかに属するように図面表示されて提出されております。
  29. 安井吉典

    安井委員 この新聞記事では、何か内部的にも調整がついたような報道のように——余り詳しく読んでいないので、間違いがあるのかもしれませんが、そういうふうに私は受けとめたのですが、それじゃ防衛施設庁の方のお考えを伺います。——施設庁は来ていないんですか。じゃ、かわって開発庁長官
  30. 山田滋

    山田政府委員 この問題は、ただいま国土庁からお話がございましたように、国土庁から私の方へも意見を内々聞かれておりまして、現在正式な回答をいたす段階にまで参っておりますが、御指摘のように県の考え方と防衛施設庁の考え方が若干食い違った面がございました。しかしながら、私どもとしてはぜひその間に無理のない調整をしていただきたい、できれば県の考え方というものも尊重してもらいたい、こういう気持ちで国土庁に折衝してまいりました。そういう段階でございまして、ただいま決定的なことを申し上げられませんけれども、でき得ればこの際、早急に結論を出していきたい、こう思っております。
  31. 安井吉典

    安井委員 国土利用基本計画利用目的別地域は、都市と農業と森林と自然公園と自然保全の五つしかないので、米軍基地なんというのはないのですから、これをやはり明確にしてもらわなければならぬと思うし、私は、いつまでも米軍基地があるわけではないと思います。これは後で外務大臣にも伺うつもりですが、そういうつもりで外務大臣はおられるのじゃないと私は思うのですが、そういうことからすれば、やはり基地がなくなった場合はどうなるのだという事前の想定がぜひとも必要だと私は思う。その点を一言だけ付け加えて、県がすでに策定を済ませているそういう方向でぜひとも結論を出していただきたい、その要望だけ申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つだけ追加で、これは資料をお願いしておきたいと思いますが、請求権放棄に関連していろいろな補償、見舞い等の措置が三年間行われてきたと思うのでありますが、その実態について、きょう伺えばいいのですけれども、時間がありませんので、後で資料として御提出をいただきたいと思います。  これで終わります。
  32. 山田滋

    山田政府委員 そのようにいたします。
  33. 松本忠助

    松本委員長 それでは、瀬長亀次郎君。
  34. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩担当長官植木さんに二点だけお伺いしたいと思います。  沖繩問題は、御承知のように日本の矛盾が鋭く、そして端的にあらわれているのが沖繩現状ではないかと思います。これはいわゆる対米従属の政策から来る矛盾、基地沖繩の矛盾、さらに大企業奉仕、高度経済成長からやってきている矛盾、この二つの矛盾は全日本の矛盾でありますが、特に沖繩で最も鋭くあらわれている。この面で暮らしの問題と文化の問題、私、これをお尋ねします。  いま申し上げましたように、いろいろな矛盾が絡み合って、現在沖繩の失業者は二万一千名といわれております。これは率からいって五・二%なんです。二万一千人と申し上げますと、向こうは百万人いますから、一億国民といたしまして約二百十万人以上、率でも同じように倍以上になっております。この失業問題は、いま申し上げましたいわゆる自然、生活環境の破壊の問題、さらに大企業奉仕から来る中小企業の倒産、さらに基地労働者、これは嘉手納基地を初めとする基地を合理的に運営し、より一段と基地を強化するための措置としてとられたのが基地労働者の解雇であり、復帰してから約三年を越してもう四年目に入りましたが、政府は返還のときに核抜き本土並み沖繩返還、国民に相当アピールされましたが、本土並みどころか本土よりも格段の差がだんだん出つつある。  いま失業者の問題をなぜ私とらえるかと言うと、いま一番端的にあらわれているのが、この失業者の問題なんです。これは本土並みじゃなしに、やがて本土沖繩並みに行われる場合に、もう本当に寒心にたえない。本当に寒さで身の毛がよだつ。全日本に二百万の失業者が生じたときにどうなるのかという問題なんですね。そういった失業者の問題について一体、植木長官として、もちろん労働省とかいろいろ基地問題からして施設庁とかありますが、担当長官として、一番生活面にあらわれている矛盾の鋭いあらわれとしての沖繩の失業問題、これを全体としてどのように救済し、そしてどのように再就職をあっせんし、就職するまでは家族を含めて——いま憲法問題が非常に問題になっています。憲法は生存権を保障しております。そういう意味におきまして、そういう失業者の家族も含めて再就職するまでの生活の保障の問題などあわせて、長官はどのようにお考えになっておるか、基本的な政策を示してほしいと思います。
  35. 植木光教

    植木国務大臣 三月現在、沖繩の完全失業者は二万一千人でございまして、全国比に対比いたしまして非常に高い数値を示しているわけでございます。これは地元産業の脆弱性を背景にいたしまして、雇用需要が乏しいということが原因であろうかと存じます。昭和四十九年度におきましては、いまお話ございましたように、本土におきましても失業者がふえたというような状況でございまして、総需要抑制策の浸透、金融の逼迫の影響、生産規模の縮小、企業の整理というようなことが重なりまして、日本全体が非常に高い失業率示してきたというわけでございます。沖繩におきましては、これらの要因とともに米軍基地からの離職者も依然として発生している状態でございます。  基本的には、何と申しましても地場産業の振興に努めますとともに、新規産業の積極的な導入を図ることが必要だと考えるのでございます。すなわち、沖繩県の持っております地理的、自然的な特性を最大限に活用いたしまして、農業の振興、雇用効果の大きい工業さらに観光業等、各般にわたる産業の振興を進めるということが失業者を減少させていくという私どもの基本的な態度でございます。  なお、この点につきましては、私は労働大臣に対しましても、特に沖繩県の失業問題については強調をしてきたところでございますし、先日沖繩県に参られました労働大臣に対しまして、その直前において、あるいは帰京されました直後において、さらにその実情をごらんになった労働大臣に対しまして、労働省は労働省として御努力をいただきたい、開発庁開発庁としてただいま申し上げたようなことをやっていく、いかねばならないということを強調した次第でございます。今後とも、ただいま申し上げましたような基本的な考え方をもちまして努力を続けてまいりたいと存ずるのであります。
  36. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの基本的な考え方は、具体的にどう進めるのか私わかりませんが、私が申し上げましたように、二万一千人の失業者のうち、約半数は基地労働者の解雇なんです。すなわち、ほかの県にないような基地沖繩県民との矛盾が実に鋭くそこにあらわれておる。さらに中小零細企業はばたばた倒れてしまう。その中からまた失業者が出てくる。農業が破壊されていく。そして、農業をやっていては飯は食えない。たとえばサトウキビ、これが実際に生産に見合うようなものでなければ当然離れていきます。パインがそうであります。パインを外国から輸入してくる。とめてくれと言ってもとめない。そして、結局パインはつくらぬ方がいいのじゃないかということになって、そこからも失業者が出てくる。こういった基本的な原因を追及して、その原因をなくする方向にいかなければ、これからの失業者を食いとめることはできない、これが一つ。  いま現に失業しておる二万余の失業者に就職をどうあっせんし——しかし、あっせんするのも程度があります。仕事につくまでに至る生活であります。人間としての本当の文化生活をやらなくてはいかぬ。そういった生活の保障は政府がやらなければいかない問題だと思うのです。こういった点について、もう一言説明してほしいと思います。
  37. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま農業の問題が挙げられましたが、もう時間が十分ございませんので、意を尽くさない点があろうかと存じますが、たとえばサトウキビにいたしましても、あるいはたばこにいたしましても、今後沖繩県の特産的な農産品として、将来性のあるものがあるわけでございます。そのためには、やはり品種の改良でありますとか、あるいは機械化でございますとかいうようなことをやらなければなりません。したがいまして、私どもといたしましては、雇用機会を増大をするという点と農業振興という両面から、農業振興に当たっているのでございます。  また同時に、雇用機会を増大いたしますためには、雇用力の大きい工業でありますとか、あるいは観光産業というものの進展も図ってまいらなければならない。この点については、県民の皆さん方の理解と御協力をいただきたいことを強くお願いをしているところでございます。  また、沖繩県には沖繩県の持っておりますすぐれた伝統的工芸品があるわけでございます。すでに、この振興のために国も努力をいたしておりますし、この産業の振興策につきましても、いろいろ意を尽くしているところでございまして、いずれにいたしましても、いま出ている失業者の方々の雇用機会をどう確保するか、これからは基地からの失業者というものについてどのような機会を確保していくか、また現在産業に従事しておられる方々から、これ以上失業者が出ないように、どのように食いとめていくか、そういう各般にわたって努力をしているというのが現実でございます。
  38. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が後八分しか残っておりませんので、この失業者の問題は、いま申し上げましたように、担当長官としては最も重視しないと、とんでもない方向にいく可能性を含んでおるのです。五人家族として十万人が、いまどうしたらやっていけるかというふうな生活の不安の状態に落とされていて、しかも具体的にはこうするんだということは、まだ示されておりません。したがいまして、植木長官に要望しておきますが、これを最も重点的にやり、そしてなお具体的には三時からの委員会でいろいろ防衛庁、労働省などに質問して、この点については最も重点的な課題としてぜひ取り組んでほしいことを要望して、次に移ります。  次は、伝統芸能上演のための劇場建設について、文化面であります。  これは御承知であるかどうかわかりませんが、沖繩特有の伝統芸能の一つである組踊、これは国の重要無形文化財に指定されております。昭和四十八年から国の補助金を受け、後継者の養成を行っているわけでありますが、また伝統舞踊、三味線音楽、琉球箏曲等も後継者養成に力を入れており、その芸能人口は実に一万五千人に達しておるという状況なんですね。  ところで、このように盛んである芸能も、施設がないため、もっぱら民間団体の講堂や学校の体育館などを利用して研修、公開を行っているのが現状なんです。文楽の本場である大阪に文楽劇場を建設するための国の調査費が予算化されたが、沖繩にも重要無形文化財に指定された組踊を初め多くの芸能を研修、公開する専門の劇場が必要である。この点については、芸能人だけじゃなしに、文化を愛する一般県民が要望しております。  この点につきまして、復帰前、昭和四十七年四月二十五日の参議院商工委員会で、田中角榮さんが当時通産大臣をやっているときに、ちょうど海洋博問題と関連いたしまして須藤議員が質問しております。これに対して田中大臣は、国費による劇場の建設は「二十余年間の異民族統治のもとから返ってくるという記念事業としては、その種のものはこれは非常に意義のあることだ」と答えて、前向きに沖繩の伝統芸能を上演できる専門の劇場を国の費用で建てるべきだと思うというふうな答弁をしておられます。  この問題は、いま沖繩に潤いが絶対必要である、ほかの県にももちろんそれぞれの県に伝統文化はあり、伝統芸能もありますが、とりわけ沖繩には、いわゆる重要文化財として指定されている組踊の問題などを含めて、国の費用でそういう劇場を建ててほしいというのが、私の要望でありますが、これについて長官の御意見なり、あるいは文化政策の一端でもあればお伺いしたいと思います。
  39. 植木光教

    植木国務大臣 伝統芸能というものが地域の住民にどれだけ潤いを与えるものであるかということについては、私も十分認識をいたしております。また、先ほど申し上げましたように、沖繩県には伝統的工芸品とともに、すぐれた伝統芸能がございます。これは私自身がそれを鑑賞いたしまして深い感銘を受けたところでございます。これはただ単に沖繩県の宝であるばかりではなく、日本全体の宝であるというふうに私は認識をいたしているのでございます。  ただいま国費による劇場の建設という御意見がございましたが、私は、振興策全体の中で、いま御指摘のありました劇場の建設につきましては、担当省と協議をいたしまして、検討を進めてまいりたいと存じます。
  40. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間が参りましたので締めますが、この点について長官に要望したいのは、これはいろいろ大蔵省その他関係省との関係もありますので、ぜひ窓口にしてもらって、沖繩の文化、芸能というのはいま長官がおっしゃったように、沖繩だけの問題ではない、やはり国の宝であるといった考え方でもって、ぜひその実現のために努力してもらいたいことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  41. 松本忠助

    松本委員長 この際、沖繩に関する諸問題について宮澤外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤外務大臣
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 最初に、伊江島における米兵の発砲事件につきまして申し上げます。  本件事件につきましては、第一次裁判管轄権の帰属をめぐりましで、刑事裁判管轄分科委員会、さらには日米合同委員会において協議が行われてまいりましたが、日米双方の法的立場の相違を解決できず、最終的に両政府間の交渉にゆだねられることになりましたことは御案内のとおりであります。  政府は、合同委員会から問題が移された次第にかんがみまして、米国政府協議を重ねた結果、五月六日、わが方としては、最終的に次の諸点を考慮して、本事件の裁判管轄権の帰属に関する日本側の法的立場を維持しつつも、本件の早期解決を図るとの実際的見地から、本件事件について日本側は、裁判権を行使しない旨を米側に通報した次第であります。  次の諸点と申しますのは、ただいまから申し上げる諸点であります。  (イ) 本事件をいつまでも未解決のままにしておくことは、加害者の処罰、被害者の救済等の観点から問題があること。  (ロ) 本事件における加害者の行為については、それが許すべからざるものであることはもちろんでありますが、刑事法上懲役刑または禁錮刑の求刑に相当するとは判断されなかったこと。  (ハ) 米国政府は、次のとおり本事件についてその立場を説明をしてまいっており、本件について適正な処置がとられるものと判断をされたこと。  米国側の立場につきましては、次に述べる四点であります。  a 米側は、かかる事件の発生を遺憾とするものであり、将来の同様な事件の再発防止のため万全の措置をとった。  b 本事件発生直後、米側は、非公式にではあるが、公務証明書を発給しない旨の意向を表明したにかかわらず、結果として公務証明書を発給し、そこに誤解を招いた点は遺憾と考えていること。  c、 米側は、加害者に対し、速やかに刑事あるいは懲戒の手続、すなわち処罰のための手続をとり、その結果は日本側に通報をする。  d 被害者に対しては、補償をする。  以上のような米側の立場の表明があったわけであります。  私どもといたしましては、以上の判断に立ちまして、本件解決をさらに遷延せしめることは、日米友好関係を維持する見地からも好ましくないと判断をいたしました。  なお、米側より加害者に対しとりました処罰の結果につきまして通報がございましたが、これにつきましては後刻、政府委員より説明を申し上げます。  次に、四月十九日発生いたしました米兵によります少女暴行事件について申し上げます。  四月十九日、沖繩県金武村で発生した米兵による少女暴行事件は、弁護の余地のない、まことに遺憾な事件であります。  政府としては、在東京米国大使館及び日米合同委員会の米側代表に対し、本件事件が発生したことははなはだ遺憾である旨強く指摘するとともに、かかる事件が発生することのないよう軍紀粛正のためあらゆる必要な措置をとるよう強く要請いたしましたほか、日本側の捜査に対して全面的に協力をするよう申し入れましたが、四月二十八日、本件事件の被疑者は起訴され、身柄は同日、日本側に引き渡されました。  右のごとき事実を背景にいたしまして、私から五月十三日、ホッドソン在東京米国大使に来訪を求めまして、米側において、かかる凶悪な犯罪が今後再び起こることのないよう、あらゆる措置を講ぜられたい旨強く申し入れまして、それに対して同大使は、本件を遺憾とし、軍に対しても軍紀を厳正にするよう直ちに措置をとるということを私に約した次第であります。  政府といたしましては、もちろん、今後とも米側に対し、絶えず同様の趣旨の注意を喚起いたしまして、米軍の軍紀を厳正に保つよう十分の注意方を求める所存でございます。  以上でございます。
  43. 松本忠助

    松本委員長 山崎アメリカ局長
  44. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 伊江島におきます米兵の発砲事件の処罰に関しましてアメリカ当局が加害者に対してとりました措置の通報は、五月八日夕刻、在京米国大使館から外務省に対してなされましたが、その内容は、次のとおりでございます。  (一) 米側当局は、地位協定の第一七条に従い、本事件について裁判権を行使した。すなわち、五月七日、統一軍法第一五条に従い、嘉手納飛行場において処罰手続を進める。    ハロルド・ジョンソン及びキャロル・ロック両軍曹は、統一軍法第一二四条に違反し、人命に危険を及ぼすような状況の下で山城安次氏の方向に火器を不当且つ故意に発射したことが、両軍曹の部隊長によつて明らかにされた。  (二) この事実認定の結果次の処罰が課された。   (1)両名とも軍曹から伍長の階級に下げられ、た(但し、六ヶ月間その執行は猶予される)。   (2) 両名とも公式にけん責された。   (3) キャロル・ロック軍曹は百五十ドルの没収、ハロルド・ジョンソン軍曹は百ドルの没収を課された。  以上でございます。
  45. 松本忠助

    松本委員長 質疑を続行いたします。上原康助君。
  46. 上原康助

    上原委員 いま、昨年七月十日に起きた伊江島でのいわゆる青年狙撃事件に対して日米間でとった措置について公式に見解が述べられたわけです。この件については、これまでもたびたび内閣委員会あるいは本委員会でもお尋ねをしてまいりましたが、一貫して政府のとってきた態度というのは納得できるものではありません。いま御説明がありましたが、法的にはいろいろ議論すべき点もあると思うのですが、そういう時間的ゆとりもありませんので、私は別の角度からお尋ねをしたいと思います。  最初に、大臣に見解を求めておきたいのですが、一年近くももたついて、しかも犯人が帰国間際になって、本当に日米間で暗に合意をした形で、合作でこのような事件処理をするということは、どう考えても納得できないわけです。  そこで、改めてお尋ねしておきたいのですが、この米兵二人に対する事件処理というのは、本当に公正妥当になされたと、あなた方は見ておられるのか、簡単にお答えください。
  47. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる裁判権の問題について、長いこと日米間の主張が妥結点を生み出さない、そういう状況を両国が続けておりますと、加害者の処罰というものも行うことができません。被害者の救済についても十分なことが行えない、こういう状況に立ち至ったわけであります。したがいまして、これをこれ以上遷延いたしますときは、いわゆる行われました犯罪に対して正義が行われない、こういう結果になりますので、わが国としては、わが国の法的立場を維持しつつ、外交交渉によって裁判権を行使しないという決定をいたしたわけであります。  もとよりわが国としては、わが国が裁判管轄権を行使することによって、わが国の司法のもとで処罰を決定することがより望ましい状態であったことには相違がございませんが、両国間に、どれほど長い年月がたちましても、その点について一致が見られないという場合には、先ほども申しましたように、加害者はいつまでたっても法の正義の裁きを受けないということになり、被害者もまた十分な救済を受けられない、こういう状態でありますよりは、むしろできるだけ早く処罰、救済に移っていくことの方が本件の処理としてはより適当であろう。それがベストであったとは私ども考えませんがゆえに、長いこと米側と管轄権について討議をいたしてきたわけでございましたが、それがいつまでたっても解決の見通しがないということになりましたので、ただいまのような考慮から、こういう政府としての裁判権を行使しない旨を決定した次第であります。
  48. 上原康助

    上原委員 そこで、特に皆さんは、双方の意見の一致が見られなかったので、この事件の解決をさらに遷延させることは、日米友好関係を維持する見地からも好ましくないということを理由に挙げておられるのですね。いまも大臣の御答弁にあった。  それじゃ、果たしてこういう形でこの種の米軍、米兵犯罪というものを処理して日米友好関係は維持されると見ているのですか。この事件に対しての沖繩県民の立場というもの、県庁やあるいは県議会、これは何も革新側だけじゃないわけですね。全会一致で昨年も決議をして、さらにこの判決が出た段階においても抗議決議をして、そのことはすでに政府関係省庁に行っているじゃありませんか。口先で日米友好関係と言ってみたって、こういうふうに人権が無視されて、アメリカの言いなりになる裁判の結果しか出ないということになって、一体何が日米関係ですか。皆さんが言う、日米友好関係を維持するためにこういう形で処理したという、その理由について明らかにしてください。冗談じゃない。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは副次的な理由でありまして、主たる理由は、私が先ほどから申しましたとおり、これを放置しておきますことは、罪を犯した者が正義の裁きをいつまでたっても受けない、被害者も十分な救済を受け得ない、そういうことは不適当な状態である、これが主たる理由でございます。
  50. 上原康助

    上原委員 ですから、日米友好関係を維持する見地からも、あるいは立場からも事件の処理を急がざるを得なかった——こういう処理の仕方で日米友好関係は維持されるのかどうか、されると考えておられるのかということを聞いているのですよ。経過説明については、これ以上聞きません。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そもそも、このような犯罪が行われるということが、日米友好関係支障があるというふうに思います。
  52. 上原康助

    上原委員 そうしますと、結果的には日米友好関係の維持あるいは友好関係を促進をしていく結果になっていない、そういう形の処理であったということは、お認めになりますか。
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このような事件が起こりましたことが日米友好関係に障害になる、そういう判断をいたしております。この処理自体は、先ほど申しましたように、わが国としてはベストではないけれども、加害者に対する正義の要求等々から次善の策としてとったものであります。
  54. 上原康助

    上原委員 アメリカ側から通報があったのは、五月八日の夕刻だということですね。先ほど統一軍法の第百三十四条違反だというようなことで処罰をしたと言われましたが、これは実際にどういう形の処罰なのか。本当に軍事法廷での裁判を行ったのか。聞くところによりますと、非常に形式的な裁判の形しかとっていないわけですね。ここらについてはどうなんですか。
  55. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 先ほど申し上げましたように、統一軍法第十五条の手続で先方がこの両名を処罰した次第でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 ですから、軍法十五条あるいは百三十四条に違反だったという処置をとったということは通報があったということですが、実際に軍法会議にかけて、その結論を出したのかということを聞いているんです。
  57. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 司令官の判断によって、軍法会議にかける前に、第十五条の手続に従って書類を作成して本人に示して、本人がその手続に従うということであったので、それによって処罰をしたというふうに聞いております。
  58. 上原康助

    上原委員 その犯人二人が帰国したのは、いつですか。
  59. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 両名は五月十日に本国に帰国したと承知しております。
  60. 上原康助

    上原委員 そのことについては報告はあったのですか。
  61. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 その点は、現地の軍司令部において発表が行われております。
  62. 上原康助

    上原委員 そうしますと、政府には報告はなかったということですね。
  63. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 その点についても、この処罰の結果とは別にわが方は聞いております。
  64. 上原康助

    上原委員 そこで大臣、いまお聞きのように五月八日の夕刻に、こうこういう措置をしました、そして五月十日には、もう帰っているわけですね。こんな見え透いたことが、あなたがどう言おうが、県民感情としても、国民の人権保護という立場で果たして認められるんですか。そこを問題にしたいわけなんですよね。帰る間際になって、もう何とか形をつくろわなければいかぬから、進んで裁判権を放棄をしてやったというのが、この裁判の結末でしょう。これでは絶対これは納得できませんよ。改めて大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  65. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、仰せられることが事実関係は逆だと私は思うのでございます。おっしゃっていらっしゃることの事実関係は逆であって、本人たちは、この裁判の決着がつかないうちは帰ってはならぬわけでございますから、そうして裁判の決着をつけて、本人たちがその事実を認めて法に服して、それから後は、正直を申しますと、そういう人たちは余り日本に長くいてくれることは、私どもとしても好ましくないんじゃないでしょうか。
  66. 上原康助

    上原委員 そういう御答弁でいいんですか、本当に。好ましくなければ、じゃ全部帰せばいいじゃないですか。そんな答弁では、ますます納得できませんよ。  私が申し上げているのは、五月八日に判決があった。仮に判決として結論が出た。その翌々日はもう——これは皆さんは、やれ軍曹から伍長に降等したとか、あるいは執行猶予六カ月、罰金百ドル、百五十ドルとおっしゃいますが、アメリカ本国に帰ったら、それに服したかどうかも、記録も何も全然ないでしょう、これまでの例からしても。そういう前例があるから、この種の裁判に対しての不信というものがあるんですよ。  ですから、私が申し上げているのは、昨年の七月に事件が起きて、今日まで長引いて、犯人たちが帰る間際になって、ばたばたと裁判をやったような形をつくろってやっている、こういうやり方に対して、一体どうみんなが判断をするかということ。そこまで皆さんは、この種の問題については、政治的にも法的にも配慮を配ってやらないと県民は納得しないし、日米友好関係なんて何言いますか、ますます怒りは爆発しているじゃありませんか。そういう処理の仕方、これについて、あなたは本当にいいと思っているのか。県民がなぜこれほど怒っているのかに対して私は聞いているんですよ。
  67. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、県民が非常に憤激しておられることは、私によくわかっておるわけでございますけれども、いまの点の解釈は、事実は逆であって、この裁判について決着がつかないうちに本人たちが帰ってしまったら、これはやはり一つの大変な出来事でございます。事実アメリカ側においてそういう処罰をいたしまして、本人方も事実を認めて、そしてそういう刑が決まった。刑に服して、その上で長々いてもらうということは、これは恐らく私どもにとっても好ましくないことでございますから、もしこの刑が決まります前に、裁判がないうちに帰ってしまえば、これは上原委員の言われますようなことになりますけれども、事実アメリカ側で、そういう本人も自供をして、事実を認めて、刑が決まって、そしてその上で帰るというのであれば、これは私どもとしては、それにかれこれ申す理由もない。  ただいまちょっと言われましたように、そういう処罰が現実に行われたか行なわれないかが疑わしいではないかと言われますと、これは私どもとして何とも申すことができませんが、しかし、それはアメリカの軍内部における規律、そういう刑罰法規の適用、執行について、特に、ただいま言われましたような疑念を、私どもはこの際、差しはさむ理由は持っておらないわけでございます。
  68. 上原康助

    上原委員 だから、第一次裁判権は放棄してはだめだと言っているんですよ。アメリカがやった裁判に対して、わが方がどういう判断をするのか、口を差しはさむことができないから、第一次裁判権は放棄すべきでない。あなたが言っていることが逆じゃないですか、全く。冗談じゃない。  この件で、あなたと幾らやったって、————————————————しょうがない。  そこで、この種の問題は、こういう形の処理というのは私たちは納得できません。幾ら軍紀の粛正とかなんとかいってみたって、どんどん起きているじゃないですか。四月十九日に起きて、あなたがアメリカ大使と会ったのは五月十三日、何たるスローモー、それだけ見ても、外務省がどういう姿勢をとっているかわかるのです。その点だけ強く指摘しておきたいと思うのです。
  69. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま——————————————とおっしゃいました点は、私は承服できませんので、申し上げておきます。
  70. 上原康助

    上原委員 それは承知するしないは別です。アメリカの立場に立った態度しかとっていないということを私は申し上げているわけです。  そこで、この件との関係もあるのですが、時間もありませんので次の質問に移りますが、昨日もちょっと本会議でもお尋ねをしたんですが、あとの質問の方もいらっしゃいますので……。特に事件を起こしているのは米海兵隊なんです。いま現在、沖繩米海兵隊は何名駐留しているのですか。
  71. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 約一万八千名駐留していると承知しております。
  72. 上原康助

    上原委員 一万八千名も沖繩に駐留をしなければいかない根拠というのは、どういうふうに見ておられますか。
  73. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 兵力の具体的な数字の理由というものは、われわれとしても御説明申し上げる立場にはございませんけれども、日本におります米軍は、全体としてわが国の安全を守るためと、極東の平和と安全を守るための最小限度の兵力であるとわれわれは考えております。
  74. 上原康助

    上原委員 一万八千名が最小限度必要の兵力と外務省は見ているわけですか、これは大臣から答えてください。——大臣に答えてくれと言ってるんだ。何のために座っているんだ。
  75. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府委員からお答えいたします。
  76. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 われわれは、米軍がどこにどれだけの兵力を置くかということを一つ一つの数字まで取り決めているわけではございませんが、日米安保条約に基づく相互信頼の精神に立ちまして、そういう兵力が展開されておるわけでございまして、われわれは、これは日本の防衛と極東の平和と安全のために最小限度必要な兵力であろうと思います。
  77. 上原康助

    上原委員 そんな十年一日のごとく同じことをおっしゃっては困りますよ。それはまた、いずれ時間をかけて極東の平和と安全に必要なのかどうか議論いたします。  そこで、この海兵隊の駐留問題と関連して、いま皆さんは必要最小限だと言っているわけですが、御承知のように、米上院の軍事委員会は二十日に、シュレジンジャー国防長官に勧告を出しておりますね。この点については御案内ですか。
  78. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 新聞報道等により承知しておりますが、まだその全文は入手いたしておりません。
  79. 上原康助

    上原委員 大臣は、この米上院軍事委員会が、国務長官なりあるいは国防長官に勧告をした内容について、どういうふうにお考えですか。
  80. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま政府委員が申し上げましたとおり、その詳細を私ども正式に聞いておりませんので正確なコメントを申し上げるわけにはまいりませんが、一応米国の上院の軍事委員会の意見ということであろうかと存じます。したがいまして、それは米国政府がそのような決定をするであろう、あるいはしたということとは、また違った意味合いを持つものであろう。詳細はわかりませんので、詳しいコメントはできないというのが現状でございます。
  81. 上原康助

    上原委員 それでは、たとえば事前協議の問題と関連をさせて、一部をグアムに配置がえをすべきだということなども具体的に指摘をしているわけですね。この新聞の報道によりますと、「「在日米軍が日本の国内政治情勢のため、政治束縛を受けるかもしれないとの懸念」を表明したことに触れ、「日本政府の事前協議制度をめぐる厳格な運用ぶりが立証された」」、こういう形で外務省がコメントしているんですね。  皆さんは、かねがね基地の整理縮小ということを非常に言ってこられた。基地の整理縮小というのは、現在駐留している兵力を含めての縮小でなければ何の意味もないわけです。  そこで、結びとしてぜひお聞かせいただきたいことは、せっかくアメリカ側もこういう勧告を、しかも権威ある上院の軍事委員会が国防長官なり国務長官政府にやっているわけですね。皆さんは、この機会を生かしていきたいという姿勢さえもないとするなら、先ほど私が申し上げたように、一体どこの立場に立つ政府かと言いたくなるのです。アメリカ側にこういうような動きがあるというこの好機に、なぜわが方に有利な立場での外交姿勢をとろうとしないのか、これをお尋ねしておきたいのです。その用意はございませんか。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国に米軍が駐留しているということは日米安保条約の規定に基づくものでありますが、このことを私どもは全く悪であるというふうには考えておりません。そのことは、わが国の国益に合っておるものである、政府はこう考えておりますことを、もう一度申し上げさしていただきます。  その結果として、いろいろ私どもとして先ほども申し上げましたように、きわめて遺憾であると考えられるような事件あるいは地元民に対するいろいろな意味での迷惑、憤激等々与えておりますことは、これはよく承知をいたしておりますし、そういうことは何としても解消いたさなければなりませんけれども、米軍が駐留していること自身、これはわが国の国益に基本的に合っておるというのが政府の判断でございます。  ただいま御指摘になりました軍事委員会の伝えられるところの、このような勧告は注目すべきものであるというふうに私ども考えております。したがいまして、その内容がいかなるものであるか、またそれが米国政府内でこれからどのように扱われるものであるか、私どもこの点にはきわめて注意を払って見なければならないことだと思っておりますけれども、何分にも正式に内容、背景等々が、まだ全然私どもにわかっておりませんので、ただいまこれについてコメントを申し上げることは差し控えた方がよろしい、こう考えておるわけでございます。
  83. 上原康助

    上原委員 じゃ、皆さんはその内容を取り寄せて、わが方もどういうアメリカ側の政策変更であるのか、アジア・太平洋地域に駐留している米軍の配置転換というものを真剣に検討しているのか、そこは取り寄せて、検討して前向きにやっていくというお考えもないのですか。アメリカ側から、もし何の申し入れもないとすると、これは新聞報道だから、政府としては関知しないという全く後ろ向きの態度しかとらぬのですか。
  84. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃるまでもなく、公のものであれば取り寄せまして、私ども検討いたしたいと思っております。
  85. 上原康助

    上原委員 そこで、時間もありませんので……。  今月の末に、パリの会議外務大臣は行かれますね。キッシンジャー米国務長官とも会うわけでしょう。その段階で、この問題についてもお話し合いをなさる用意があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 両院の御了解が得られましたら、パリのOECDの会議等に出席をいたしたいと考えておりますけれども、ただいまの段階では、これは軍事委員会の勧告の段階でございますから、米国政府、国防省あるいは国務省が、これをどう考えるかということについては、恐らくなおしばらく検討に時間がかかるのではないか、こう思っておりますので、これから数日以内の会談で、この問題を本格的に取り上げるような性格になるかどうか、もう少しこの帰趨を見ておきたいと思います。
  87. 上原康助

    上原委員 あくまで慎重を期す大臣の立場というのも、外交問題で理解をしないわけでもありません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、沖繩に実質的には本土の七〇%近い基地があるわけですよ、正直に申し上げて。ですから、米国のいろいろな発表を見ましても、日本と言わぬでしょう。日本、沖繩というふうに、沖繩は、まだアメリカの施政権下にあるかのような別扱いをしているわけですね。そこも注目に値する一言なんですよ。それだけ基地のウエートが大きいということは指摘するまでもないと思うのですね。ですから、皆さんが言うように安保条約の枠がある、それはわが方の国益に合致するのだという立場に政府が立つとしても、米軍の駐留の密度を薄めていかない限り、先ほど言ったような事件もなくならないわけです。  したがって、アメリカ側自体がこういうように再検討したい、特に海兵隊の問題については、事前協議の問題との兼ね合いでいろいろ検討すべき段階にあるということを、公式にアメリカの議会なり政府部内で検討されるという段階においては、それに対応していって、沖繩県民の要求も入れ、軍事基地の密度を薄めていくという政策転換を図らないとだめなんですよ。このことを私は総合的に申し上げているのです。そういうお立場で今後やっていかれると思うのですが、そういう決意はございますか。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘になっていらっしゃいますことの意味は、私も十分わかっております。
  89. 上原康助

    上原委員 ですから、わかるだけではだめなんですよ。外交問題として行動に移すかということです。まだそこまで持っていこうというお考えはないのですか。あるいはきのう、おとといぽっと出たものだから、いま少し具体的な内容を見ないとわからない、仮に新聞に報道されたような形でグアムなりアジアから沖繩本土を含めて、海兵隊なり米軍の配置転換を考える意思がアメリカ側にあるとすれば、それを積極的に推進していく形で外務省としてもやるという立場をとりますね。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは冒頭に申し上げたことになるわけでございますが、上院の軍事委員会という一委員会のいわゆる勧告段階から、それが米国政府の立場になるまでの——両方は同じことではございませんので、米国政府がこれについてどういう立場をとるか、総合的に、またこのことがどういうことを意味するのか、これは私ども十分注意をして研究もし、見守り、また要すれば私どもの申したいことも申す時期もあろうかと思っております。
  91. 上原康助

    上原委員 もう時間ですから、安井先生に譲ります。
  92. 松本忠助

  93. 安井吉典

    安井委員 続いてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、伊江島事件の扱いにつきまして、いわゆる第一次裁判権の放棄について、沖繩での憤りは、沖繩県議会も全会一致で抗議の意思を決定して、この間東京に参り、私たちもお会いしました。野党の人たちが反対するのは当然かもしれませんが、自民党の議員の諸君も、日米安保条約に対する基本的な反対では私たちはないのだが、この扱いにはがまんができないということで、全会一致の決議になって来ています。この問題は、いまだけじゃなしに、その前の段階でも、たしかそういうふうな決議があったということであります。  そういう背景の中にある問題だということで、私は特に伺っておきたいのですが、今度の米軍の中における扱いの瑕疵とでもいいますか、欠陥が幾つかあったということは、米側の文書の中にもあるようであります。  たとえば公務中であったかどうかという拡大解釈、特に、一たん米軍側の最高責任者が公務中でないと言っておきながら、証明書を出さないと言っておきながら、また出すというような、これは恐らくかってないようなぶざまな態度、あるいはまた信号弾の扱いについても米軍の内規には反しているようだし、そういった中での日本政府の扱いだという点について反感が強いのだと思います。  それからもう一つは、私は、米側の判決の内容にもあると思う。外務大臣は、今度の米側の判決について、つけ加えて局長からもお話があったのですが、あれできわめて適切な裁判であった、こういうふうにお考えですかどうですか。その点を伺います。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる公務証明等、本件のアメリカ側の扱いについて私自身も遺憾な点が幾つかあったと思います。その点につきましては、アメリカ側もアメリカ側なりに遺憾の意を表しております。がしかし、その最後のアメリカの軍における裁判の中で、事実関係は私どもが考えておるような事実関係として認められた。このことはなにでございますが、刑の量定ということになりますと、これはいやしくも、いずれの国であれ、独立国の内部の問題でございますから、それについて批評いたしますことは私としては差し控えるべきであろうと存じております。
  95. 安井吉典

    安井委員 軍曹から伍長に下げられる。これも六カ月の猶予ですか、さっきのお話を聞きますと。譴責で、百五十ドルから百ドルの没収ということになると、三万円か四万五千円ぐらいですか。こういうことが、裁判への批評はできるできないは別として、第一次裁判権を譲ったから、こういうことになったのだという感情になってはね返ってきていると私は思う。そのことをこの際、やはり明確にしておかなければならぬと思うわけであります。先ほど来ずいぶん議論がありましたし、それから、またこれからもあると思いますから深くは触れませんけれども、この間県議会の代表が見えましたときに、その人たちがこう言いました。安保維持のために沖繩県民を犠牲にしているのではないかということです。この一言だけ、私は外務大臣にしっかりこの際考えておいていただきたいと思います。  もうあと十分ぐらいしか私の持ち時間がないそうですから、大急ぎで……。  カンボジアの今度の事件であります。沖繩からの出動ということで私ども非常に関心が深いのでありますが、アメリカ側から外務省に対して事前に通告があったというふうに伝えられておりますが、いつ、どこで、だれから、どのようにして通告が行われたのか、それをひとつ伺います。
  96. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 ワシントン時間の五月十三日の午後、アメリカ国務省から在米日本国大使館に対して、沖繩の海兵隊一個大隊、約千名を海外基地に出発させるという旨の通告、事前の連絡があった次第でございます。
  97. 安井吉典

    安井委員 アメリカの海兵隊が沖繩を立ったのはいつですか。
  98. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 これは現地の海兵隊の発表によりますと、日本時間で十四日の午前三時ごろから出発を始めたというふうに聞いております。
  99. 安井吉典

    安井委員 新聞によると、私もアメリカに問い合わせたわけじゃないのですが、十三日の午前三時から輸送を始めたという報道もあります。その辺ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  100. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 いま申し上げましたように、日本時間の十四日午前三時ということは、現地の部隊が発表しているところでございまして、この点は間違いないものと思います。ワシントン時間で十三日の午後、わが方に事前連絡があったわけでございますが、それは、わが方の日本時間に直しますと、十四日の未明になるわけでございます。
  101. 安井吉典

    安井委員 その辺もう少しその時間の経過を明らかにしたメモをちょっと後で結構ですから、御提出をいただきたいと思います。  それから、そのときの通告の内容でございますけれども、いわゆる事前協議というふうな含みを持ってのものではなかったのかという点でございますが、どういう中身だったわけですか。
  102. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 アメリカ側から言ってまいりましたのは、マヤゲス号が拿捕された事態にかんがみて、アメリカ政府としては沖繩にある海兵隊一個大隊、約千名に警戒態勢をとることを命じたこと、及び同部隊は輸送機の準備ができ次第、海外基地へ出発させる予定であるということを事前に連絡してきた次第でございます。
  103. 安井吉典

    安井委員 警戒態勢は実際はもっと大分前かららしいですね。その内容を受けてどういうふうに判断をし、どういうふうに措置されたわけですか。
  104. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 われわれとしましては、この沖繩にあります海兵隊は、沖繩にあります米軍の基地から他の海外基地へ移動したものと考えておりまして、したがって、これは事前協議の対象にはならないというふうに考えておる次第でございます。
  105. 安井吉典

    安井委員 このような部隊が移動に当たって——私は戦闘行為に参加したと思うのですよ。思うのですが、これは私の判断だけだと政府の方は言われるのかも知らぬが、このような移動に際して、いつもこういうふうな通告があるシステムになっているわけですか。
  106. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 本来、部隊の移動に関しましては、アメリカ側としては安保条約上の義務という観点から申しますれば、一々わが方に事前に連絡してくるということは義務はございません。ただ、この安保条約の円滑な運用を図るという見地から、重要な問題についてはわが方に連絡してくることが多いというのが実情でございます。
  107. 安井吉典

    安井委員 そうすると、こういうふうに部隊の移動について事前に連絡をしてくるというのが通例なんですね。通例なのか、これが特例なのか明確にしていただきたいと思います。通例か特例かと二つに分けて……。
  108. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 これは安保条約上は先ほどから申し上げますように、米軍は……。(安井委員「それは聞いていない、そのことはわかっていますよ」と呼ぶ)大きな事前協議の対象となるような配置の重要な変更である以外は、自由に部隊の移動ができるたてまえでございますけれども、先ほどから申し上げますように、安保条約の円滑な運用を図る見地から通報してくる場合が多いということは言えます。ただ、これはそういうふうにわが方が完全な慣行として確立しておるかどうかということになりますれば、そういうことではございません。
  109. 安井吉典

    安井委員 ですから、これは用語を問題にしておかなければいかぬと思いますけれども、安保条約上の義務がないということはわかりますよ。政府のいまの解釈の上からいっての義務はないということはわかりますけれども、通例というものじゃないが、通告してくることの方が多いということですね。それで間違いないですね。
  110. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 われわれの知っておる限りでは、そういうことでございます。
  111. 安井吉典

    安井委員 そのような事例があった場合には、一々これを公にされているのですか。それともわれわれが全く知らないもので、そういうようなものもあるのですか。
  112. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 これはその場合、場合によりまして、アメリカ側が自分の方で発表する場合もございますし、いろいろな場合がありまして、一概には申しかねます。
  113. 安井吉典

    安井委員 どうも短い時間でのやりとりですから、後で皆さん詰めていただけると思いますし、ほかの場合がありますから、そちらに譲りたいと思いますが、私は大臣に政治問題として明確にしておきたいのは、今度のアメリカ側の処理というのは、貨物船が奪われた、だから力ずくで取り返してくるのだという、そういう仕組みでの対応であります。しかし、日本の政府考え方、一般的な方針というのは、平和的な処理であって、国連もあるし、そういう平和的な解決への道を進めていくというのが日本の外交方針の基本ではないか。だから、そういうふうな考え方で、アメリカが応ずるかどうかわからないけれども、そういう基本線を貫くべきじゃないかと私は思う。それを、今度の事件の処理の大きな問題点は、そういう基本的な紛争解決の方法へいかなかったアメリカを後押ししたというふうな印象を与えたということが一つ。そのことは、とりわけ東南アジアの各国の人たちに非常に大きな衝撃になっていて、インドシナ半島からもう追い出されてしまった、そちらから力のなくなってきたアメリカが最後の抵抗を示すような、それに対して日本もまた加担をしたんだ、こういう印象を与えたということも否めない事実ではないかと思います。  それから、きょう時間があれば事前協議の問題を、もっと私は詰めたかったのでありますけれども、事前協議というものが、今度の事件を通して、さらに無力な仕組みなんだという事実を国民の前に明らかにしてしまった。そのことが、次は朝鮮半島で問題が起きたら、事前協議というものの本質がそこで大きくねじ曲げられてしまうのではなかろうか、こういう不安につながってきていると思います。だから、先ほど上原委員も取り上げました上院軍事委員会のあの言い方も、沖繩から海兵隊をどこかへ持っていくのか、それとも事前協議を緩める方法をとって、沖繩の海兵隊が動きやすいようにしてくれということの一つの要求とも受けとめることができないわけでもないと思う。だから私は、今度の事件で事前協議制なるものが大きく、新しく問われてきたということを問題点として指摘しておきたいわけであります。  それらの点について、ひとつ外務大臣のお考えを伺っておきます。
  114. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびの事件、いわゆるマヤゲス号事件について一つの特色は、アメリカ側からはこれにつきましての正式の説明、発表があるわけでございますけれども、カンボジア側から正式なものが何一つとしてないということでございますために、客観的にこの事件の内容を私どもが判断することが、どうも通例の場合と違いまして、むずかしいという点がございます。  それで、昨日も、私は本会議で推定というような意味のことを申し上げたわけでございますが、そういうことが背景にございますために——安井委員の言われますように、こういう問題は平和的に処置をされるべきものでございます。ところが、アメリカ側の発表によりますと、国連にも助力を要請し、またカンボジア政府に対しても、国交がございませんので、第三国を介して連絡方、交渉方を依頼した、しかし、そのようなコミュニケーションをついに確立することができないという状態でかなりの時間が過ぎた、その結果として、自国民並びに自国籍の船舶を保護するために行動に出た、こういうのがアメリカ側の説明でございます。それについてカンボジア側が、通例でありますと、その態度をわれわれに対しても正式に政府から説明があるはずのところでございますけれども、御承知のような状態で、それがございません。  したがいまして、推定ということを申し上げざるを得ないのでございますけれども、そういう事情であった、つまり平和処理の方法がないままに自国民の生命が危険にさらされるという状況であった、そういう説明を一応私どもは一方から聞いておる、他方からは説明を聞く方法がないという現状でありますことを申し上げておきます。  次に、事前協議の問題でございますが、これは昨日も本会議で申し上げましたように、わが国の基地から海外の基地に移動をしたというこのこと自身は、御承知のように事前協議の対象になるものではございません。アメリカ側からわが国に連絡がございましたことは事実でございますが、それは協議という性格を持っておるものとは存じません。  今後この事前協議を緩める云々という問題につきましては、条約上あるいは条約に伴います交換公文上はっきりしております米側の義務でございますので、私どもこれを緩和するという考えは持っておりません。
  115. 安井吉典

    安井委員 時間がありませんので、これでかわります。
  116. 松本忠助

    松本委員長 この際、委員長より一言申し上げます。  先ほどの上原委員の発言中、不穏当な言辞があったように思われますので、後刻速記録を調査の上、適当に措置をいたします。  質疑を続行します。瀬長亀次郎君。
  117. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、最初に裁判権の問題についてお伺いします。  すでに御承知のように伊江島の事件、さらに金武村に起こりました少女の暴行傷害事件、こういった問題は基地があるがために起こったことで、国民的にも非常に嘆かわしい問題であり、外務大臣も非常に心痛しておられると思います。その意味で、これは正しく解決しなければ大変なことに発展する要素を持っているものであります。  最初に伺いたいのは、裁判権の放棄の問題についてですが、私は、これは国民の主権の問題、さらに日本国民の生命と身体の安全にかかわる問題として重視しております。外務大臣もそういったような主権の問題とかかわりある問題として重視されておるのかどうか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基地というものがなければ、このような嘆かわしい事件が起こらなかったではないかと言われることは、まさしくそのとおりと存じますが、基地がありますことにつきまして、それがわが国の国益に関連をしておりますということは、先ほど安井委員にお答えを申し上げました。したがって、そのような国益とこのような嘆かわしい事件の発生を防止していかに調整するかという問題に、絶えず私どものみならずお互いに心労をしておるわけでございます。  このたびの裁判管轄権の問題でございますが、これは地位協定の規定に従いまして処理をいたしたわけでございますが、このように裁判管轄権が競合をいたしております結果、いつまでも本件が未解決に終わりますことは、先ほども申し上げましたように、加害者に対する処罰が行われない、被害者の救済にも十分手が届かないということになりますので、わが国としては、法的立場を維持しつつ、裁判権を行使しないことを米側に通報をいたしました。このことは、地位協定上想定をされておる事態でございますので、これによってわが国の主権が害されたというようにはもとより考えておりません。  ただ、そもそもこのような地位協定というものは、二つの国の主権が競合するような場合にいかにすべきかということを定めておるわけです。この点は国会の御承認を得て定めた両国間の約束でございますから、私どもはこの協定に従って本件を処理をした。もちろん、先ほども申しましたように、ベストな方法としては、日本側が裁判管轄権を行使をいたして、日本側が適当と考える司法の手段に従って事件が措置されますことがベストであったことは、これは間違いはございません。しかし、そのような状態が時間をかけても期待し得ないというときに、じんぜんとしてなお数カ月あるいは数年を、このまま両方の意見の対立のままおくべきか、あるいはベターな方法、ベストではないにしても、加害者の処罰、被害者の救済に向かうべきかという現実的な問題になりますと、私どもとしてはベストではないと考えつつ、このたびの方法を選んだ、こういうことでございます。
  119. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま主権の侵害にはならないといったようなことでありましたが、いま、稻葉発言と関連して憲法の問題が非常に国民的な論議を呼んでおります。御承知のように日本国憲法の前文の結びには「われらは、いづれの國家も、自國のことのみに専念して他國を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に從ふことは、自國の主権を維持し、他國と対等関係に立たうとする各國の責務であると信ずる。」さらに基本的人権の問題に対しても、十一条で基本的人権は妨げられないという問題、さらに十三条、いわゆる個人の尊厳であります。すべての国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福の追求に対する国民の権利、この規定があります。  裁判権は日本の主権にかかわる重要な問題であり、これを放棄したということの重大性、生命、身体の安全、こういった問題についての見解は、安保条約があるからというような形では解決はできないのではないか。こういった論点に立って、いま侵害ではないという大臣の答えがありましたが、質問を進める段階で、内容面について、いま一番最初に大臣がここで解明されたものの中で、去る七日、山崎政府委員が発表したものと違った点があります。山崎局長の発言では——これは第二になっております。「本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」これが問題になったのですね、それで山崎さん、これはおわびするとか、いろいろ大臣も知っておられるように。これがどのように変わったかというと、本件は許すべからざるものであるが、起訴されても懲役または禁錮に相当するものとは思われない。というふうに変わっております。  いろいろの点が変わっておりますが、さらに局長の発表の中に変わった点があります。伊江島事件に関する嘉手納空軍基地報道部発表、これは五項目にわたって発表され、政府もそれをやや確認されていたようでありますが、その中で第一項ですね。三等軍曹から上等兵への降等が軍曹から伍長への降等、これはいいと思います。別に大したことはないのですが、処罰の執行は六カ月間猶予された。その次に、譴責ということも加わっております。今度は陸軍刑法十五条を適用した。ところが、十五条には罰金がないのだが、罰金にしたと言っているがどうかということを、われわれは新聞にも発表し、さらにこの前も局長と会ったときに言いましたが、罰金は十五条のどこの項にあるか。没収に変わっております。罰金はもちろん十五条にありません。どこの項にあるかといろいろ聞いたのですが、これは没収に変わっております。  それから、さらに今度は重大な変更があります。四です。「彼らは、」二人の兵隊です。「軍事法典百三十四条に違反し、人命を危険にさらすような状況下で、山城安次さんに向けて不当かつ故意に発砲したことが認められた。」これが嘉手納基地報道部の発表であるが、これがこう変わっております。「山城安次さんに向けて」というのが「山城安次さんの方向に」——「向けて」というものと「方向に」ということは非常に違ってきます。そういう変更が行われている。これは調査してさらに新聞に発表されると、世論は、何だ、罰金の項目はないにかかわらず、罰金とは一体何のどこを指しているのだ。あるいは減俸とか没収はあります。したがって、これは決して刑事罰ではない。ただ刑事罰の問題、懲戒もそういった司法処置だということでありますが、いずれにしても、そういう発表の違いが出ております。  国民に対してできるだけ正当な手続に基づいて、法典の解釈も理解ができるような解釈にするようにという努力が、このように変わったと思いますが、この「本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」という問題が、なぜ、本件は許すべからざるものであるが、起訴されても懲役または禁錮に相当するものとは思われない。というふうに変わったのか。ここら辺は、これは大臣から言われたので、解明できれば一応解明してください。
  120. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 五月七日の外務委員会において、さほど悪質なものではないと認められるということを私が申しましたのは、事実でございます。速記録もそういうふうに載っておると思います。ただ、その後の国会の審議におきましても、その点について御質疑がございまして、この意味は法務省の方から解明がございまして、起訴は免れないけれども、懲役刑または禁錮刑を求刑しなければならないほどの悪質重大な事案ではないという意味でありますということが御説明があったわけでございます。また、そういうふうに言い直してもようございますということが法務省の刑事局長からもお話があったわけでございます。したがいまして、本日の外務大臣の御説明の段階におきまして、その点を明確にするために先ほどのような表現といたしたわけでございます。  なお、細かいいろんな点についていろいろ御質問がございましたが、この点についてももし差し支えなければ御説明申し上げますが……。
  121. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 被害者に対しての補償は行われておりますか。これは局長でもいいです。
  122. 杉森一秀

    ○杉森説明員 補償に対しては、まだ行われておりません。これは被害者の方から補償請求がまだ出ておりません。
  123. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは大臣にお聞きしたいのですが、これも七日の議事録にあるのは「本件につき適正な措置がとられるものと判断される。」ということで、四項目挙げられております。この点に  つきまして、いま発表のあったのは、日本国民の常識では、いわゆる罰ではなくて、罪ではなくて行政措置、すなわち軍事法典の十五条というのは、裁判によらないで行う司令官の懲罰というふうになっているのですね。したがいまして、行政罰であります。だから罰金刑というのも結局俸給から何カ月分を、あるいは何カ月分の半分を引く、減俸する、あるいは没収するといったような形であって、普通日本で言う罰金刑とかというものでもない、これはアメリカに裁判を行使しないという通告をした結果がこのようにあらわれておりますが、いまでも大臣は「適正な措置がとられるものと判断される。」のか、ここら辺をはっきりさせてほしいと思います。
  124. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点はアメリカの法律制度、それから軍における処罰あるいは懲戒の制度等々に関するお尋ねでございますので、私に十分なその点の知識がございません。有権的に私にお答えができないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、米国側がいわゆる裁判権を行使をして行った結果でございますので、それが米国の法規に照らして適正であったかないかというような問題になってまいります。したがって、それにつきましての判断は、私としては差し控えるべきではないか。それが客観的に不適正であったというようなことがわかりますと、これは申し上げなければなりませんが、それだけの知識あるいは事実関係を存じておりませんので、やはり判断は差し控えるべきではないかというように考えます。
  125. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはジラード事件がありましたね、歩哨が鉄砲をもって撃ち殺した。あれも最初は公務中である、公務外であるということで、アメリカと日本側が意見が合わなかったが、しかし大臣、とうとう公務外ということになって、裁判権は日本にあるということで罰せられたわけでありますが、この問題は、逆に第一次裁判権を放棄した、ところが実態は、私はこの前調査に行ったときに鎌田検事正にも会いました。この人の話では信号用ピストル、これは大体上に向けて撃つものであるが、らせん形を描いてぱっとこう当たるようなことでもないが、一応実験したそうです。そうしますと、十七メートルから撃って、貫通はしなかったがベニヤ板がへこんでおる。そうなりますと、本当に顔面に向けて発射された場合に、この顔がどのような形になっておるか、死なないまでも、まあ結局死んだかもしれぬが、そういった事件なんですね。こういう事件に対して、裁判権を放棄した結果が行政罰という結果になっている。  したがって、私が申し上げましたのは、最初に申し上げました日本の主権にかかわる裁判権というものが放棄される結果は、どのような結果をもたらすかということは、実態をもってはっきり証明されたのではないか。だから、いまでも大臣は「本件につき適正な措置がとられるものと判断される。」と言ったことが、その「適正な措置がとられるものと判断される。」問題が、事実罪ではなくて行政罰という、訓戒みたいな問題である、降等である。軍隊における降等は大変だぞなんと言われる人もおるかもしれませんが、私は、そのようには国民は考えられないと思うわけであります。一人の人間に対して、いま仮に「向けて」という問題を「方向に」というふうに変えたりして、いろいろ非常に苦心惨たんした結果がこれなんです。罰金が没収に変わったり、山城安次に「向けて」というのが「方向に」と変わったり、いかにそういった発表の仕方の中にも架空の犯罪、いわゆる架空の罰金、架空の処罰であったかということが非常にはっきりしてきたわけなんです。  そこで私、もう一つこれに関連して大臣にお聞きしたいのは、もし日本の裁判にこのようなことがかかるのであれば、こういった行政罰みたようなもので済みおったかどうか、ここら辺一般的にでもいいから、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  126. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は法務省当局からお答えを願いませんと、私には正確なお答えを申し上げることができませんが、アメリカ側の事実認定によりましても、この射撃が、ただいま仰せられましたような威力のあるものであったということは認められておるようでございますので、事実の認定について大きな争点はなかったのではないか。その場合の刑の量定、それについてのことであろうと存じますので、これはアメリカ側にはアメリカ側の法規あるいは考え方、あるいは軍としての考え方があったのであろうと存じますが、ただいまの点は私からではなく、法務省当局からもしお答えができますれば、お答え願いたいと思います。
  127. 松本忠助

    松本委員長 瀬長君に申し上げます。質疑の持ち時間が経過をいたしておりますので、結論をお急ぎいただきたいと思います。
  128. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 はい。それでは法務省は後で、なおただ一点大臣にお伺いします。  「伊江島における米兵によるそ撃事件の第一次裁判権放棄に対する抗議決議」という中で、これは県議会の全会一致の決議ですが、その中に抗議と要求があります。大臣お聞きになったと思いますが、要求の中に「伊江島射爆撃演習場の即時撤去を重ねて強く要求する。」とあります。それから「米兵による女子中学生暴行傷害事件に関する意見書」これも県議会の全会一致の決議の中で四項目を挙げておる中で、いま問題になっている海兵隊、「上記のような極悪非道な犯罪を起こし、又は起こすような部隊を即時撤去すること。」の要求がある。射爆場の問題、海兵隊の撤去の問題、これは沖繩県議会が再び起こしてはいけないその保障はこれだということで、要求をしております。  これは百万県民の要求であります。なぜかというと、県知事もそのような意見を発表しております。この点についてだけ、はっきり百万沖繩県民、国民の要望だと私は見ております。いかに安保があったからといって、そういう要求に対しては一蹴するという外務大臣ではないと思いますが、この二点について、大臣の御意見を承りたいと思います。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 沖繩県民のこれらの事件について感じておられる憤激、これは十分に理解ができますので、それらの背景のもとになされましたそれらの決議について、軽々に扱ってならないことはもちろんでございます。  要は、わが国の安全を確保するという国益と、現地の人々の間にこのような事件が起こしました非常に不幸な結果、憤激等々との関連を十分に考慮をいたしまして考えさせていただきたいと思います。
  130. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで終わります。
  131. 松本忠助

    松本委員長 渡部一郎君。
  132. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は外務大臣に、ただいま問題になっております米兵による女子中学生暴行傷害事件、それから伊江島の問題等につきまして、基本的なことをちょっとお伺いし直したい、こう思っているわけであります。  一つは、この問題について、木村前外務大臣が、外務委員会におきまして、四十九年の八月二日、「私どもはそれが、その行為が公務中でないという反証は十分自信がございます。その意味におきまして、強くその立場を主張してまいりたい、こう思います。」と述べられているわけであります。それであるにもかかわらず、裁判権を放棄した。先ほどその理由も承ったわけでありますが、なぜ、前外務大臣がそこまで反証に自信を持たれていたのに、いまはその自信を喪失されて放棄されたか、御説明いただきたい。
  133. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 当時の状況におきまして、私たちも、現地からの御連絡及び法務当局からのお話を伺って、十分な反証はあるというふうに感じておりまして、それに基づいて木村大臣は、そういう発言をされたのだと存じます。さればこそ、われわれとしても、公務外であるという主張を一貫してとってまいったわけでございます。  ただ、その後この問題は合同委員会に付託されまして、さらに刑事裁判管轄権分科委員会で、事実の認定に関して長い論議が続けられ、両者の間に対立があって、そのまままた合同委員会に上がってきたわけでございます。そしてその最終的な法務当局の御判断として、先ほど大臣から申し上げられたような認定を、われわれとしていたした次第でございます。
  134. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それにしても、それほどまでに反証に十分自信があったにもかかわらず、それをおりたというところに——判断の間違いが以前にあったと言われるのか、また、新たなる事情が展開されたと言われるのか、その辺はどうなんですか。
  135. 筧榮一

    ○筧説明員 私、ただいまアメリカ局長の申されました刑事裁判管轄権分科委員会の日本側委員長として、事件発生以来米側と協議を重ねたわけでございますが、われわれとしても、公務外であるという点については反証を持ち、米側の方は、公務中であるという点についていろいろの資料を挙げまして、その後引き続き検討を重ねたわけでございますが、その結果、双方とも相手を了解、納得させるに至らず、結論として平行線をたどったということで、合同委員会の方へ結論を得ないままお返ししたということでございます。
  136. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そのいまの答弁は答弁にならぬのですね。要するに、話し合ってみた、最初はがんばるつもりでいたけれども、がんばれなかった。要するに、アメリカ側の態度をなめていたのか、それとも当初の判断がまるきり狂っていたかをこれは示している。つまり、あなたの職務執行は怠慢である。そして前外務大臣を間違わせた大きな失敗がアメリカ局にはある、私はそう言わざるを得ない。  第二に、この加害者の行為がそれほど悪質と認められないという点について、先ほどアメリカ局長はしばしば御答弁になっている。これは刑法の禁錮に相当する犯罪でないから悪質でないというような弁解を言われたけれども、これこそまさに沖繩県民の感情を逆なでするものであると私は思う。悪質か悪質でないか。少なくとも逃げ惑う住民に対してピストルを突きつけて追いかけ回すのが悪質でないというなら、何をもって悪質というのか。私は悪質か悪質でないかというのは、法律用語ではなく、この際はアメリカ側の行為に対するわが国の姿勢をあらわしていると思う。それを悪質でないとアメリカ局長はきめつけられた。これはどういうことなのか、そういう表現が的確であると今日もなおかつ思っておられるのか、私は御答弁いただきたい。そしてアメリカ局長の御答弁を伺った後、大臣からそういうような表現が的確であったかどうかをお示しいただきたい。
  137. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この事件に関しまして五月七日に御答弁申し上げましたときに、「加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」ということを私が申し上げたことは事実でございます。  ただ、この認定は外務省が単独にやったということではございませんで、むしろこれは事件の事実認定の問題でございますから、われわれとしては法務省とも十分相談いたしまして、法務省の事実認定の御意見を徴して、こういう表現を用いたわけでございます。ただその意味するところは、その後法務省の刑事局長が御説明になったとおりでございますから、その意味で、その点をわれわれとしては敷衍して御説明申し上げておるわけでございまして、本質的にこの問題のポイントでありますピストルを本人の方向に撃ったということ自体は、われわれとしても非常に重視しておる次第でございます。
  138. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 アメリカ局長、あなたはその悪質と言った言葉が、法律用語として法務省と打ち合わせたというのは私はわかります。しかし法務省と相談して、そういう表現を使っているんですというんだったら、それは法律用語として言うたという弁明にしかすぎない。  私の言っているのは、そういう用語が新聞紙上に発表され、そして沖繩県民にささやかれ、そして沖繩県民はどれほどの屈辱を感じたかわからない。沖繩県民の屈辱は日本国民の屈辱であり、日本国民に対する重大な挑発としか考えられない。そういう立場に立ってこそ、日本の外務省は沖繩県民の心を心として交渉に応じたということができるじゃありませんか。あなたのは単なる法律的な弁解にしかすぎない。潔く、あなたは、それは申しわけない、言葉が足らぬという点について認められたらどうですか。この期に及んで、なぜそのような弁解をなさるのですか。
  139. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 私は弁解するつもりはございませんが、私がそのときに申しましたことは、一アメリカ局長として申し上げたのではございませんで、やはり政府としての全体の判断として申し上げたつもりでございます。  ただ、その用語が沖繩県の方々に与える感じが適切でなかったという点を仰せられるならば、われわれとしては、その用語は潔く撤回申し上げますが、その内容は先ほどから申し上げましたように、起訴は免れないけれども、禁錮刑や懲役刑を求刑するほどの重大悪質なものではないということでございまして、この点は、われわれは法務省の最終的な判断を尊重した次第でございます。
  140. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 外務大臣、もう賢明な大臣は終始一貫おわかりであろうかと思いますが、こういう用語をいまもなおかつ、そうやって執着をして答弁をされようとする、私はそれはきわめて不適切だと思う。このやりとりを聞いていて、このままテレビにかかって沖繩に放送されたって、沖繩県民のだれが納得しますか、そんな言い方で。向こうは車で無防備の人を追い回したんじゃないですか。そして、ピストルを向けて撃ったんじゃないですか。そして、それを悪質でないと言うたんじゃないですか。禁錮刑に該当しないものは悪質でないというんだったら、日本の中の犯罪のどの部分が悪質なんですか。そういう国民感情を逆なでするような解釈を述べるということは、きわめて不当ではないですか。禁錮刑に該当しない犯罪だと思うというなら、そう言えばいいじゃないですか。何で悪質でないと言うのか。そしてなおかつ、きょうのこの委員会でまで、なぜそういう表現を固執しようとなさるのか。これはもうアメリカ局長の問題ではない。外務大臣、こういう表現が適当かどうか、私は明快に述べられるべきだと思います。
  141. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 およそ犯罪というものは、すべて許されるべきではないのでありまして、犯罪の中に大目に見ていい犯罪があるということは、これはあり得ないことであります。で、この本件の問題の討議の過程に当たって、この犯罪がどのような罪に該当するであろうかという議論がなされたことは、これはもう当然であろうと思いますけれども、御承知のように、たとえば刑法一つとりましても、死刑の罪に該当するような犯罪から罰金刑等々と、罪としては比較的軽微な罪に該当する犯罪、刑法そのものもそういういろいろの差等を設けております。そういうようなことを量刑の問題として議論をしておったのであろうと私は思いますけれども、しかし、それはそういう非常に専門的な議論であって、国会は法廷ではございませんから、そこで考えられておったような専門的な観念、あるいはそれをあらわす表現をしたということは、これはやはり適当でない。すべての犯罪は、どれが大目に見ていい、どれが大目に見て悪いというような種類のものでないことは明らかでございますから、法廷で用いらるべきような観念をあらわすような用語を用いますと、これは誤解を受けるということは十分に考えておかなければならないことでございますから、適当な表現ではなかったと思います。
  142. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣はよくおわかりになっておるようでありますから、大臣、これはアメリカ局長にしかるべきチャンスに、しかるべき形でちゃんと御注意いただきたいと思いますが、いかがですか。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は、アメリカ局長自身も用語が適切でなかったということは十分考えましたがゆえに、私のために起草いたしました発言案では、そういう表現を避けております。なお、十分本人に私からも申しておきます。
  144. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 では、アメリカ側はこのような「事件の発生を遺憾とするものであり、将来の同様な事件の再発防止のために万全の措置をとった。」と説明されておりますが、事件再発防止のためにアメリカ側はどういう万全の措置をとられたのか、それをお伺いしたい。
  145. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この事件が発生いたしまして以後、伊江島補助飛行場におきましては、同様の事件の再発防止及び射爆場の使用について地元の方々の安全を一層確実にするために、次のような措置がとられたと承知しております。  (一) 補助飛行場のいずれの場所においても地元住民が発見された場合、すべての射爆、空中投下を中止する。  (二) 警告標示の掲示及び取り外しに関する手続、規則の改正、及び施設、区域の周囲及び施設、区域に通ずるすべての進入路上に数百の警告標示板を設置する。  (三) 射爆場を使用する日には、演習開始時前より演習終了後までの間、常時南北の塔に大きい赤旗を掲げる。  (四) 射爆場を使用中のときは南の塔のほか海岸沿いに警備員を配置する。  (五) 射爆地点等の周囲へ、円形鉄条網を追加設置する。  (六) 薬きょうの回収を各射撃訓練後に行う。  (七) なお信号銃については、現在緊急事態で、射爆場担当士官の特別命令に基づく場合を除いては、射爆場担当士官以外の者による信号銃の使用は禁じられている。  この種の、以上申し上げましたような措置がとられたということであります。これによって再発防止についてば十分な効果が期待し得るのではないかと考えます。
  146. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 女子中学生に対する暴行事件に対する抗議決議、沖繩県議会における六党一致の抗議決議でありますが、その中に「被疑者の属する第三海兵師団司令官等責任ある者をすべて解任し、犯罪を根絶するため軍紀を粛正すること。」という要望が掲げられてあります。この女学生暴行事件の方、こちらの方も担当指揮官の責任追及については、どういう措置がなされておりますか。
  147. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この点に関しましても、先ほど外務大臣からお話のありましたように、種々の機会に強く申し入れたわけでございますが、さらに外務大臣みずから在京米大使に対して厳重に申し入れられまして、こういう事件が決して二度と起こらぬように軍紀を厳正にしてもらいたいということを申し入れられたわけでございます。  ただ、司令官等責任ある者の解任という問題になりますと、何分にもこれは公務外であることが明白な事件でございますので、政府といたしまして、そこまで申し入れることは差し控えた次第でございます。
  148. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 要するにこうした問題を遷延することが日米友好のためにならないとか、あるいはある程度以上に責任ある者の処罰を要求することを控えるとか、こうした考え方すべてがアメリカ側に対する極端なブレーキのかかった行動であろう。県民に対しては苛烈であり、アメリカ側に対しては遠慮っぽい、そういうところが沖繩県民を納得させないところであると私は思います。米軍基地の縮小を要求し、それを実現することが基本ではありますけれども、そうした点について、大臣ひとつ、県民の利益を守るために、県民のこの傷つけられた感情を回復するためにも、一段の交渉をお願いしたいと思いますが、大臣いかがですか。
  149. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ごもっともなことであると思います。いわゆる公務外の行為について申しますならば、十分に軍紀の粛正を図ってもらいたいということでございますし、もしそれが公務内であるということになりますと、公務としてそれを監督すべき監督者というものがいるはずだという、これはどうしても論理上そうなるわけでございますが、その両面においてやはり米国側の十分な注意を喚起する必要があると考えておりまして、現に金武村の事件につきまして、せんだって米国大使を招致いたしまして、私から沖繩県議会における御決議、意思表示、国会における御議論等々詳しく紹介をいたしまして、かなり強くアメリカ側の注意を喚起いたした次第でございます。そういう姿勢は今後もとり続けてまいりたいと思っております。
  150. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 次に、泡瀬におけるOTHレーダーの基地の撤去についてでありますが、このレーダー基地の撤去につきましては、わが党議員の指摘から始まりまして、全国民的な課題として問題になってきたところでありますが、最近に至り、当基地の撤去が進められているそうでございます。この撤去状況の報告及び撤去された後のエリアについて、跡をどうしていくか、そうしたような問題について御報告にあずかりたいと存じます。  私見を言えば、もちろんこの地域については平和的な跡地利用が当然計画されてしかるべきだと思っているわけでありますが、このOTHレーダーの撤去状況及びその後の使用計画等について御報告をお願いいたします。
  151. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 このOTH通信施設の問題に関しましては、たしか本年二月のシュレジンジャー国防長官の国防報告の中で、本年度末、アメリカの会計年度末でございますから六月末までに、OTHの機能は停止する、むしろ終止するということは書いてあったわけでございまして、われわれは早速問い合わせまして、アメリカ側もそういう方針であるということは承知いたしたわけでございますが、具体的にいつ撤去されるか、またその跡をどうするのかということについて、さらに問い合わせておりまして、またできるものなら、わが方に返してもらいたいということを申し入れておるわけでございます。  実は本日も、私は午前中合同委員会に出席いたしまして、アメリカ側にその申し入れを行った次第でございます。ただ、日本に三カ所ございまして、それぞれについてそれぞれの事情があるようでございまして、向こう側の最終的な方針は決まっておりません。OTH通信機能を終止することは決まっておりますが、その跡をどうするかということは決まっておりません。ただ、私もきょう申し入れましたが、先方はごく最近のうちに、施設分科委員会というのがございますが、そこにアメリカ側の考えを提示して日本側と御相談したいということを申しております。われわれとしては泡瀬に関しては、できるだけ返してもらう方向でいろいろと話し合ってまいりたいというように考えております。
  152. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは時間ですから。
  153. 松本忠助

  154. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩の伊江島における事件、それから金武村におきます海兵隊の女子中学生の暴行事件につきましては、すでに質問がございましたし、重複を避けまして私はこれは省きますが、ただ、これらの経過にかんがみまして一貫して感じられますのは、政府の対米追従の政治姿勢というものが感じられるわけです。アメリカとの間の友好関係を樹立するという真の目的を達するためには、そのような姿勢からは真の友好関係は生まれないものだということを申し上げ、政府が主権国の権威において、ひとつもっと自主性を堅持してもらいたいということだけを私は申し上げまして、あと沖繩からカンボジア事件に対します海兵隊の出動に関係いたしまして質問をいたします。限られた時間でございますので、要点だけを御質問申し上げまして、お答えを得て、そのお答えに対する論争は、またいつかの機会にお願いしたいと思っております。  まず、第一にお伺いしたいのは、アメリカはもちろん安保条約の規定によって日本に駐留をいたしておりますし、これは大臣の御答弁から言いますならば、日本の国益にも合致するのだという立場であり、条約を遵守しなければならない、こういう基本点に立っておられるようであります。そこでお聞きしたいのは、たとえ条約によって日本に駐留しておる米軍でございましても、日本に駐留する限り日本国憲法の精神、規定というものは尊重すべきである、こういうふうに基本的に考えるわけでございますが、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  155. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 さように存じます。
  156. 安里積千代

    ○安里委員 御承知のとおり日本国憲法は戦争放棄の規定がございますし、武力の行使あるいは武力による威嚇、これを国際紛争の解決の手段とはしないということが明定をされております。そうであればこそ、事前協議事項というものがアメリカ軍の行動に対する歯どめとして設けられておると理解をいたしております。  そこで今度の場合に、海兵隊が沖繩から出動したことにつきまして、先ほどからの御答弁によりますと、依然としてこれまでの御答弁のように、沖繩から、日本から出る場合には、いわゆる移動であって、戦闘目的を持っていなかった、そのような通告でなくして部隊の移動だということで、事前協議の対象にならなかったというふうに言われておるわけでございます。しかし現実に、もうこれは結果的にあらわれておりますように、アメリカの沖繩から出た海兵隊というものは、一たんタイの基地に立ち寄って、それから出撃をする、そうしてカンボジアの艦船三隻を撃沈し、それからカンボジアの一島に上陸をした、こういうようなことになっております。  私がお聞きしたいのは、部隊の移動である、だから事前協議の対象にならない、こういう解釈でございますが、出てすぐこのカンボジアに対します攻撃や上陸作戦が行われております。結果的に見て、こういうものはやはり事前協議の対象にならなければならぬじゃないか、なるべきものをアメリカは表面言わずに、実際行動はこういう攻撃に使ったのだ、だから結果的に考えてみるならば、これは当然日本政府の同意を得なければ日本から出るということは誤りである、許されないことだ、こういうふうなことは結果的にお考えになれぬでしょうか。
  157. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 先ほど申し上げましたように、沖繩にあります海兵隊が海外基地、この場合はタイのウタパオ基地であったようでございますが、そこへ移動した時点におきましては、いわば警戒態勢をとって現地に赴いたわけでございまして、われわれとしては、それは移動であり、その意味において事前協議の対象となるべき行動ではなかったと考えておるわけでございます。  ただ、その後の海兵隊の行動については、政府としては正式に公から聞いておるわけではございませんが、新聞報道その他から見ますれば、その海兵隊の一部が、ウタパオ基地からカンボジアの方面のコータン島に上陸したというふうなことも伝えられておるわけでございます。しかしながら、その時点におきましては、われわれとしては、この行動は安保条約の問題とは関係のない行動であるというふうに考える次第でございます。
  158. 松本忠助

    松本委員長 安里君に申し上げます。  外務大臣は三時五分までに退出しなければなりません。そのようにお話し合いができておりますので、大臣に対する御質問を急いでいただきたいと思います。
  159. 安里積千代

    ○安里委員 私の持ち時間は五分までと書いてありますが、三十五分ですか。
  160. 松本忠助

    松本委員長 三時までというのを三時五分まで延ばしていただいたわけで、三時五分です。三時五分までに外務大臣は退出いたしますので、よろしくお願いをいたします。
  161. 安里積千代

    ○安里委員 時間が来てしまったのですが、非常に素人の考えでございますが、外交関係の外務を専門的に担当される者としてあの当時の状況、つまりカンボジアにおりますところのアメリカ船の拿捕によりまして、カンボジアとアメリカ間に非常に緊張した状況が醸されておったということは、一般にわれわれに感じられることでございます。そしてこの奪還について、アメリカが外交交渉によって取り返そうという動きもあったということも聞いてはおりましたけれども、少なくともこの船の奪還について緊張した空気が漂っておったということは、われわれにも感じられておった問題ではございます。そういう情勢の判断からいたしまして、当然、外務当局といたしましては、これがどのように発展するかということについては外交上の判断というものが持たれておるはずであり、またそれだけの能力のない外交官はいないんだと私は思っております。  としますならば、そういう緊迫した情勢下に海兵隊が出て行く、しかもこれは通告の中におきましても、先ほどの御答弁中に、この拿捕船の取り返しに対する警戒と申しますか、このために移動するということも言われておるわけでございますから、このために沖繩から出た海兵隊というのが武力行使をする、武力行使をしなくとも、少なくともこれをバックに、その武力の威嚇によってカンボジアに圧力をかけまして解決しようとする腹でもって出ているんだというような判断は、当然持つべきものだと思いますけれども、その出動を単なる移動だとお考えになったでしょうか。単なる移動だと考えておられるならば、移動先はどこであるか、その目的は何であるかということで当然説明を求めて、いや、それは事前協議の対象になるんだという積極的な意見というものが政府から出されるべきだと思うのです。  向こうから言われたから、ああそうですか、行き先も聞かない、目的も聞かない。そして、これは武力行使あるいは武力によって国際紛争を解決する手段としないという日本国憲法の精神に反するような行動を日本から出る海兵隊の任務としてさせる、これはいけないんだ、そういう判断がなされなかっただろうか。そういう判断があるならば、この問題に対して、政府としては積極的にノーと言う立場になかったろうか。そのような情勢判断をせずに、ただ移動だということから、そうですかというようなことは、真偽を知りながら安保協定の事前協議の対象にならないというふうに弁解するというのは、余りに情けない解釈であり、アメリカ側にだまされておるのだという感じを受けるわけです。  大臣どうでしょうか。これだけ言って、大臣はよろしゅうございます。
  162. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は安保条約の運用上なかなかむずかしい問題があるところでございますが、従来わが国から行われる直接の戦闘行動はどのようなものを言うかにつきましては、この十年、かなり詳しくいろいろの定義がなされておりました。今回の場合、アメリカ側からそのような話がございましたときに、わが国といたしまして、もしわが国の基地から直接に戦闘行動が行われるようなことになれば、これは事前協議が求められなければならないということは、先方にこちらから注意をいたしておるのでございます。  したがいまして、先方は事実そういう条約関係を知らなかったということはなく、十分知っての上で、これは直接に戦闘行動に参加するものではない、そういう両者のやりとりがあったように存じます。また事実わが国から出ましたのは、輸送機であったと存じますが、それがそのまま戦闘に投入されたということはない。そういう意味で、本件のようなものがいわゆる事前協議の対象になるというふうには従来の解釈からも考えられておらないわけでございます。この辺のところは、いままでの長い間のこの問題につきましての解釈、定義等を詳しく申し上げる必要があろうかと思いますけれども、いままでの考えから逸脱するものでなかったというふうに私といたしましては考えております。
  163. 安里積千代

    ○安里委員 報道によりますと……。
  164. 松本忠助

    松本委員長 安里君、よろしいですか、外務大臣は。
  165. 安里積千代

    ○安里委員 これだけあれしてください。
  166. 松本忠助

    松本委員長 では、簡単に願います。
  167. 安里積千代

    ○安里委員 報道によりますと、十四日にあれして、一部は沖繩にもう帰ってきておる。一部は向こうの第七艦隊の航空母艦上にあるのだ。こういうものをやはり移動というふうに見ますか。——わかりますか。沖繩から行って攻撃して、一部はもうすぐ沖繩に帰ってきております。そうして一部はまだ航空母艦上にある。これは十六日の報道にあります、発表にあります。そういうものを沖繩からの部隊の移動と見るのか。もうすぐ帰ってきておる。これを本当に移動だというアメリカの弁解をそのまま政府は受け入れるのですか。
  168. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、このアメリカ側が日本側に事前連絡をいたしてまいりました時点におきましては、いろいろな事態が想定されておったと思うわけであります。そしてまた、そういう海兵隊を移すということが、相手方に対して一つの動きとして映るということもあって、いろいろな将来の発展を考えて移したものであって、それはそういう意味で直接戦闘を目的として行動したものじゃないとわれわれは確信しております。また、そういうこととして先方からも説明があったわけであります。その移った後の行動についてわれわれは申し上げる立場にはない次第でございます。
  169. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど局長は、沖繩におる海兵隊一万八千人というお答えでございました。先般予算委員会において私が質問をしましたときには、沖繩におる軍人三万五千人、うち一万九千人というふうなことでございました。あの当時は一万九千人、いまは一万八千人というお答えでございますが、それはどういう関係になっておりますか。
  170. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 われわれが承知しております限りでは、昨年、現在のところでは一万八千と聞いておるのでありまして、この千名の食い違いについては私もちょっと、十分説明いたしかねる次第でございます。
  171. 安里積千代

    ○安里委員 一万九千人だった、これは記録にも載っておりますよ。一万八千人と一千人少ないのは、沖繩から一千人の部隊がいまのカンボジアに出動したので、あなたの計算でもって一千人引いたかと私は思ったんだが、どうですか、違いますか。
  172. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 そういうことではございません。われわれはいまのところ、大体一万八千だというふうに聞いておる次第でございます。
  173. 安里積千代

    ○安里委員 これは防衛庁の方の書類などとも、また沖繩調査においても違っております。一万九千人、わずか二、三カ月の間に千人も減っておるということは、減るということは喜ばしいことですけれども政府の持っておるあれが、外務当局は一万八千人、防衛当局は一万九千人、こういうあやふやなものでありますというと、これはもういかに駐留軍に対する的確なものを持っていないかという、不統一な考えだと思いますので、もっと確かめておいてください。  最後に一つだけ、これは本当は大臣に聞きたかったのだけれども、政策的な問題で私が根本的に大きな疑問を持っておる問題があります。これは局長にお答え願うことは、あるいはふさわしくないかもしれませんけれども、本来海兵隊というのは、上陸用作戦部隊と一般に理解されておるわけなんです。現に今度の事件でコータン島に上陸作戦したのも、それを裏づけるものだと思うのです。そこで、専守防衛という立場を堅持しておる日本が、他国の領土への上陸作戦の任務を持つような海兵隊の常駐を認めるということは、これは専守防衛の政策上非常な矛盾が生じるのではないか。場合によっては、これは安保条約のらち外じゃないか、私はこういうことを非常に考えるわけです。  先ほどお話がありましたように、先般、アメリカの上院軍事委員会の報告の中に、沖繩の海兵隊をグアムに移すというような意見も出したということが書いてありますけれども、彼ら自身、安保条約の制約内において、日本に海兵隊を置いて、その海兵隊を実際に使うということは日本の憲法上許されない、安保条約上許されない、それが制約を受けるんだ、そういう考えに立っておるのじゃないかと思うわけです。それを日本の立場において結構でございます。ことに沖繩において半数以上の者がこの上陸作戦に使うところの海兵隊である。今日のようなことが平気で行われる。そして日本に対しては単に移動だ、こうごまかしていく。これは将来に対する日米の安全保障の問題につきましても、私は重要な課題だと思うのです。政策的な問題がありますけれども局長がお答えできるならば、この矛盾についてどのように考えられるかお答え願いたいと思います。
  174. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 海兵隊の任務の一つとして、上陸作戦ということもあるということは仰せのとおりでございますが、海兵隊の任務は種々あると承知しておりますけれども、上陸作戦だけがその任務ではないとわれわれは考えます。ただ次の問題として、専守防衛の日本の立場から見て、海兵隊の駐留はふさわしくないのではないかというお話でございますけれども、安保条約に基づいてアメリカの海兵隊が日本に駐留しておりますのは、日本の安全が第一義でございますけれども、それと並んで、極東の平和と安全に寄与するためにも駐留しておるわけでございます。そして、その極東の平和と安全というものが、われわれの国の安全に大きくかかわりを持つということも事実でございます。そういう大きな目的からいたしますれば、海兵隊の駐留というものも、われわれとしては理解できるところだと存ずる次第でございます。
  175. 安里積千代

    ○安里委員 これで終わりますが、まあここであなたと論争しても始まりません。この問題は、私は日本の安全保障の問題で、ずいぶんと考えなければならぬ段階に来ておると思います。日本から他国の領土に上陸するという作戦、それがあり得るはずはないのです。事前協議すれば、当然ノーという立場にあると思うのです。もし、これを日本の安全のために認めるということならば、日本の自衛隊の海外出動もあり得るという問題にまでつながる問題だと思います。  一応それだけのことを申し上げまして、時間でございますので、私の質問を終わります。
  176. 松本忠助

    松本委員長 正森成二君。
  177. 正森成二

    ○正森委員 大臣がお帰りになりましたから、私は、まず最初にアメリカ局長に伺いたいと思います。  あなたは、沖繩で相次いだ事件について、外国軍隊がおれば、このような事件が多少とも起こるのはやむを得ないんだというような発言をされて、このことについて婦人団体の代表、田中寿美子さんも行かれたそうでありますが、その方たちが発言に抗議されたときにも、さしてそれをとんでもない発言だとは思われなかったように新聞には報道されております。あなたは一体そういう態度で、わが国の外務省のアメリカ局長でいいと思っているのか。  私は、四月二十六日に、石川千春という金武村の中学校の一年生、この人が金武村の抗議集会で、自分の同級生が暴行されたというのに憤激して、「幼い心を傷つけた事件」と題して、抗議の話をしておるのですね、それの一節を読んでみたいと思う。  「去った十九日、土曜日に起こった事件一つで、私たちの身の回りは騒ぎ出した。  教室へ着くと、級友たちはこそこそ話をしていました。その級友たちの目を見ると、怒りと不安な目をしていました。事件のあった場所は海水浴場としてふさわしく、人通りがそんなに少なくはない場所である。海水浴に出かけた二人は、運悪くこぶしぐらいの石で頭を打たれた上、乱暴されてしまった。」中略。「外人は何度もこのような事件を起こし、次からは次からは絶対に迷惑をかけるような事件は起こしませんと言いながらも、幼い心を傷つけてしまった。「迷惑をかける事件は起こしません」と口ぐせのように言いますが、その言葉には、どんな反省があるのか不思議でなりません。  友だちは、「外人など日本から出ていけ、日本人の幸せを盗む外人など出ていけ」と言います。その言葉には、くやしさと恐ろしさの気持ちがあります。このような事件が起こると、父母は安心してどこへでも行かしてくれません。そして毎日、登校するたびに、「真っすぐ帰ってくるのよ、知らない人と行っちゃだめよ」と小言を言います。  その言葉を聞くたびに、この世の中に大ぜいの人に大きなショックを与えるとかしなかったらと、さびしさと不安で人間として恥ずかしくてたまらなくなってくるのです。」こういうことを言うておるのです。  いいですか、アメリカ局長、これはわが国の国民がこういう目に遭って、その同級生が言っておる。あなたにも子供はあるでしょう。私が現地で調べたら、この行為を行ったアメリカ兵をつかまえたアメリカの同僚の兵隊でさえ、われわれは同僚だけれども、こんな残虐な罪は許せない、だから日本当局に対しても供述について協力する、こういうことを言っているのです。アメリカ兵でさえそうだ。日本の外務省のアメリカ局長がそういうような態度でどう思いますか。ここで正式に陳謝しなさい。
  178. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 私は、この二少女に対する暴行事件の報告を最初受けましたときに、実は非常なショックを受けまして、大きな憤りと深い悲しみを覚えた次第でございます。  この事件が起こりましてすぐ、在京の米大使館のピートリー参事官に対して、非常に強く遺憾の意を表して、かつ、こういう事件が今後二度と起こらないようにということにつきまして、米軍の軍紀を厳正にしてもらいたいということを申し入れた次第でございます。  さらに、四月二十四日に、日米合同委員会におきまして、このことをアメリカに正式に申し入れるつもりでございましたが、当日参議院の外務委員会が開かれましたときに、私はそれに出席できませんで、代理の者をして申し入れさせた次第でございます。  したがいまして、私としましては、このような不祥事件が多少は起こってもやむを得ないというふうなことで対処していることは決してございません。私としましては、このようなことは決して起こってはならないと感じておりますし、また許すことのできない行為であると感じておる次第でございます。  このような次第でございまして、その四月二十四日の参議院外務委員会におきました私の発言が、別の関連で述べたものでございましたけれども、非常に適切でなかったということば、率直に申し上げまして、この点は深く反省しておるということを申し上げさせていただきます。そして、その点について沖繩の人々の心を傷つけるようなことがありましたことにつきましては、深くおわび申し上げます。
  179. 正森成二

    ○正森委員 私は、この問題について現地へ行って調査をしてまいりました。アメリカ局長はお忙しいから現地まで行っておられないと思いますけれども、道路のあるすぐ、歩いていって一、二分ぐらいの海岸です。そしてそこで着がえをしておったときに、一人は裸になったところを、もう一人は水着に着がえた直後を襲われた。  私は検察庁から確かめて、自分の目で見て、手で持ったけれども、長さが二十二センチ、そして幅が八センチ、厚さが四センチ、全部で一・五キロの石のかたまりで、いきなり力任せに殴打されておる。私のような男でも、あれで殴られれば気を失うのは当然だという状況です。十二歳と十四歳のいたいけな少女であります。少女たちは、特にその一人は頭から血を吹き出しておる。そして乱暴されて、気がついて逃げるときに、そのときに後ろに裏山があって、そのがけの下で着がえておったんですが、死にもの狂いで、海岸の方じゃなしに、裏山、初めの登りかけのところは七十度くらいの坂のところであります。それを必死になってよじ登って、裏山伝いに仲田商会というところに助けを求めておる。そしてその裏山のところにはアダンというとげのいっぱいある、風を防ぐための灌木が生えておる。そこを裸のまま逃げたから、いたいけな少女の体がそのとげに刺されて血だらけになっておる。初めに目撃したある女性の言うところによると、裸で逃げて、裏山に行ってからセーラー服を着たようでありますが、血を抑えたんでしょう、セーラー服の白いマフラーは真っ赤になっておったと言うんだ。日本人民の血で染まっているんだ、これは。そういう気持ちを持った少女と、その親の気持ちがあなた方はわかるか。わかった上で交渉しているんですか。  そのことを、伊江島の問題であっても、この女子中学生の二人の問題であっても、現地へ行ってこみ上げる怒りを禁ずることができなかった。しかも少女は初め出会った人に対して、自分が暴行されたというようなことを言いたくないから、どうしたんねと言ったら、海岸で走っていて、つまずいて転げたんだ、こう言って、初めは本当のことを言おうとしなかった。そのいじらしい気持ちを考えたら、私たちは、国会とか外務省というのは、どういうようでなければならぬかということは明らかだと思う心あなたは、米軍は二度とこういうことを起こさないということを言っておると繰り返し言われたけれども、少女の作文でも、何度もこのような事件を起こさない、起こさないと言っておるけれども、何もやってくれない、こう言っておるじゃないですか。  証拠を示しましょうか。ここに私はキャンプ・ハンセンの司令官が四月三十日に「ツー・オール・ハンズ」すべての将兵にということで出した布告文を持っておる。これは、この金武村の二人の女子中学生に対する暴行があってから、米軍がいわゆる軍紀粛正のために出した文書です。この文書にどういうことが書いてあるか、アメリカ局長は取り寄せて読んだことがありますか。
  180. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 その文書は承知しておりません。
  181. 正森成二

    ○正森委員 外務省が、二度とこういうことを起こさないために軍紀の粛正を図るなどと言いながら、いかに不熱心であるかということは、その一言でも明らかじゃないですか。四月三十日に出しておる。あなた方が本当に軍紀の粛正を図ろうとするなら、これを取り寄せて読んで、果たしてこれで軍紀粛正できるかどうかということを当然判断すべきじゃありませんか。私のように一沖特の委員である国会議員でさえ、現場に行けば、これぐらいのものは直ちに入手できるのです。これに何と書いてあるか、言うてあげましまうか。その冒頭の部分にはこう書いてある。  二人の少女に対する遺憾の意などは表明されておらない。英文では「リバティー ハズビーンデナイド ゲーツ ハブ ビーン クローズド デモンストレーターズ ハブ マーチド ツーアワーゲーツ」われわれの自由が妨害され、われわれの門が閉じられ、デモ隊がわれわれのところへやってきた。なぜこういう異常な事態が起とったか、こういう書き出しですよ。そして、せいぜい言っていることは、諸君は私設のアメリカ大使だ。諸君の行動はアメリカを代表するものだから、気をつけろ。諸君の行動が悪いと、海兵隊の任務を達成することができない。だから気をつけろと言っているだけです。沖繩県民の人権を侵害してはならないとか、その少女の身になってみろとか、その親の気持ちになってみろということは一言も書いてない。これはちょうど、日本軍が中国や東南アジアで目的を達成するために現地の住民を宣撫しなければならない。そうしなければ日本軍の作戦目的を達成することができない。それと同じ考えではないか。  これでどうやって軍紀の粛正ができるか。そういうことを調べもしないで、軍紀の粛正をいたします、そういうことを言っても沖繩県民は絶対に信用しないだろう。どう思いますか。原文があるから、あなたは英文に達者だろう。いまやるから、読んでみなさい。ここに、非常にまずいと言ったら失礼だが、たどたどしい訳だけれども、金武村当局が訳した翻訳文もあります。怠慢じゃないか。
  182. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 そういう訓告文の存在を存じていなかったことは申しわけなく存じます。われわれとしては、外交チャネル、その他のチャネルを通じてできるだけのことをして、先方にわが方の意のあるところを伝えておるつもりでございますが、その点につきまして、下部機関において十分な徹底が図られておらないという事実がありますれば、さらにわれわれとしては、アメリカ側に申し入れたいと存じます。
  183. 正森成二

    ○正森委員 あなたは、そういう事実がありますればとお答えになった。しかし、あるんです、ここに現に。私が村当局からもらった原文の写しがあります。ですから、あなたが必要なら私がこの写しを差し上げるから、早速読んでごらんなさい。  なるほど、金武村民との親善を回復しなければならないという一言はあります。しかしそれは、軍が作戦目的を達成するためにやらなければならないからだということが後で書いてある。書き出しは、われわれの自由が妨害されたという書き出しなんです。そんな姿勢で、日本とアメリカの対等の国民の間の友好だとか、お互いの安全を保障するなんか言っても、沖繩県民が、そんなことはない、外国人は出ていってくれと十二歳の少女が言うのはあたりまえではありませんか。私はそのことを、われわれとあなた方とは政治的立場が違うけれども、同じ日本国民として、いたいけな十二歳の少女が石で頭を殴られ、強姦致傷というような目に遭わされるようなことをなくすために、その親御さんの気持ちになるために——あなたにも娘があるかもしれない。私にも娘がある。外務大臣にもあるかもしらぬ。もしわれわれの子弟がそういうことになったら、外人のあるところ犯罪が起こるのはやむを得ない、そんなことで済みますか。  あなたはまた、核戦争になったらどうなるんだというようなことを言われたらしい。核戦争になるかならないか、それは政治的立場によって違う。しかし、現実沖繩県民が、日本国民の二少女がこういう目に遭っておるというのは、これは将来のことではない。現在のことであります。もしこういうことがたび重なるなら、現在の災厄を免れるために独自の道を選ぼうと日本国民が、あるいは少年少女が考えるのはあたりまえのことではありませんか。それを肝に銘じなければ、私は外務省の局長の役目というのは勤まらないと思う。  次に、私は法務省に伺いたい。  法務省は、あの伊江島の事件について、私たちがこの委員会でも、あるいは外務省へお訪ねしたときでも聞いたところによりますと、五月七日の山崎アメリカ局長の答弁、「米国政府は次に述べるとおり、本事件についてその立場をわが方に説明をしており、本件につき適正な措置がとられるものと判断される。」「米側は加害者に対し速やかに刑事あるいは懲戒の手続、すなわち処罰のための手続をとり、その結果は日本側に通報する。」こういう部分とか、あるいは後ほど外務大臣が言い直されたが「本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」という点については、逐一法務省と相談した上での結論である、こういうことの由だそうであります。それは間違いがございませんか。
  184. 筧榮一

    ○筧説明員 そのときどきにおいて外務省から御相談を受けております。
  185. 正森成二

    ○正森委員 そして、内閣委員会での安原刑事局長の答弁によると、それはきょう大臣が言い直されたように、起訴は免れないけれども、懲役刑または禁錮刑を求刑するほどではない、こういうように答えておられるが、それも間違いがありませんか。
  186. 筧榮一

    ○筧説明員 そのとおりでございます。
  187. 正森成二

    ○正森委員 私は法務省がそういう判断をするからには、本件について、わが国で裁判権が行使された場合には、日本側が起訴をし、公判を維持するに必要なだけの十分の調べをなされた上で、何罪に該当するかも判断され、その上でなおかつ言われた発言であると考えておりますが、そう考えてよいか。
  188. 筧榮一

    ○筧説明員 現実にわが国で裁判権を行使する段階に至りませんでしたので、起訴状を作成するという最終的なところまではいっておりませんが、それに近い段階での事実の認定並びに法律の適用についての考えは持っておるわけでございます。
  189. 正森成二

    ○正森委員 あなたは、いまそういう発言をされたが、私が現地で那覇地検の検事正その他検察首脳部と会ったところでは、およそ犯罪の捜査について一番大切な、加害者である米兵二人の取り調べは、わが国検察官の手によってはなされておりません。およそこのような行為があったときに、それが殺意を持って行われたものか、傷害の意思を持って行われたものか、過失であったかというようなことは、周囲の状況もさることながら、本人の供述というのが非常に重大なことは検察官にとってイロハであります。ところが。最も重大なその点について、加害者の米兵二名をわが国検察官は取り調べておりません。取り調べていない段階で、本件が懲役刑や禁錮刑を求刑するような、そういうものではないなどと軽々しく国会などで言うというのは、もってのほかではありませんか。
  190. 筧榮一

    ○筧説明員 本件につきましては、被疑者両名につきまして警察の段階で詳細な取り調べが行われ、供述調書も作成されております。検察官は直接は取り調べておりませんが、従来の警察における被疑者の供述その他参考人等も調べておりますので、関係証拠を総合して事実の認定をいたしたわけでございます。もちろん先生おっしゃいますように、あるいはわが国が裁判権を行使する、起訴をするということが仮にあるとしますれば、その段階で被疑者を検事が確認の意味で調べるということは、より望ましいことであったろうかと思います。
  191. 正森成二

    ○正森委員 私は、いまの発言は断じて承服することができない。そういうような言い方なら、およそ犯罪について警察が調べておれば、検察官は加害者を、つまり被告人を調べなくても相当の判断ができるということになります。幾ら警察官が調べておっても、警察官の取り調べは警察官の取り調べであります。だからこそ、検察官に対して取り調べの権能を認めておるし、刑事訴訟法は、警察官の取り調べた調書と検察官の取り調べた調書では、いろいろ証拠法上も区別を設けておるのです。  私が現地で検察首脳に聞いたところでは、たとえば公務中であるという米兵の弁解についても、米兵は、薬きょうを拾っておったので、その薬きょうを入れる袋だとか薬きょうを取り返すつもりだった、そしてその山城安次君を日本側の権限ある当局へ引き渡すつもりであった、発砲の目的にそう言っているのです。しかし、現地の検察官はいずれも、発砲を行って後、袋を取り返した形跡もなく、薬きょうを取り返した形跡もなく、まして日本側官憲に引き渡そうとした形跡がないから、これは事件後につくられた言いわけにすぎないと検察官は判断している、その考えはいまも変わらないと言っているのです。また、発砲については山城安次君の左側数フィートをねらって発砲したと弁解しているけれども、それが果たしてそうであるかどうかは、検察官がよく調べてみなければ最終的な結論は出せない、こう言っているのです。  なお、数フィート左を向けて発砲した信号弾が左のひじに当たるかどうかについても、検察官は信号銃について鑑定をしてみた、信号銃には、なるほど普通のピストルのように、弾が真っすぐに飛ぶらせんはついておらないけれども、鑑定をしたところでは、加害米兵は十七メートルの距離から撃ったと言っておる、被害者は七メートルの距離から撃ったと言っておるが、鑑定でベニヤ板に向けて発砲したところでは、それほど距離が違うとも思われない。したがって、体に向けて撃ったのが少し左にそれて左のひじに当たったのか、数フィート左に向けたのが右側へそれて、こちら側に当たったのか、それは現段階では軽々しく言えない、こう言っているのです。それだったら、あなた方が政治的でなく法務省として、司法当局として言えることは、悪質でないとかあるいは懲役、禁錮刑を求刑するような、そういう罪でないことは確かだということでなしに、現段階ではどれどれ、どれどれの罪に当たるか、そのいずれとも言えないという程度であって、懲役、禁錮を求刑するほどでないなどと言うのは、軽々しいにもほどがあるじゃありませんか。しかも、それはわが国の国益に反して、十五条という刑法の条文を私は全部持ってきたけれども、裁判によらない処罰となっておる。百三十四条という条文は一般条文であって、傷害とか殺人とか業務上過失とかそういうものじゃなしに、この刑法に規定がないような場合でも、秩序を維持しなかったとか、あるいは軍の信用を失墜するとか、あるいはこの刑法に当てはまるけれども大したことのない罪とか、そういうものについて適用されるという一般法規であって、いわゆる罪刑法定主義の概念から言うこの何条に該当するかということは言われていない。  そういうような状況で、わが国の司法権を行使すべき、そしてその目的を達成すべくアメリカ側と終始積極的にわが国益を守るべき立場であった検察庁が、あるいはその監督官庁である法務省が何たることを言う。あなた、おかしいと思いませんか。
  192. 筧榮一

    ○筧説明員 先ほども申し上げましたように、現地の検事正の申された趣旨は、もし日本側で起訴をするというような場合には、それらを確認のために被疑者両名を検事が調べるということがベターであろうという趣旨と理解しております。したがいまして、それがない段階におきましても、警察における被疑者の調書、それから被害者、目撃者その他多数は、検察官みずから取り調べております。実況見分等も数回行われております。それらの全証拠を総合いたしまして、先ほど来申し上げておりますような事実の認定と法律適用の判断ができておるわけでございます。  それから後の点でございますが、アメリカの統一軍法、これは外国の法律でございますので、私どもも詳細検討はいたしておりません。知っております範囲で申し上げますならば、確かに百三十四条は、一般条項になっております。まあ先生御承知のように、信用失墜とか規律違反とか書いてございますが、これにつきましては、さらに大統領命令によります軍法会議提要というようなもの、これも一種の法令でございます。それによりまして百三十四条に該当する行為の類型が数十定められております。したがいまして、犯罪の百三十四条に該当する行為の類型というものは一応法定されておるというふうに理解いたしております。
  193. 正森成二

    ○正森委員 あなたがいろいろ答弁されるけれども、だんだん重大になってくるよ。あなた、日本側で裁判権を行使する場合には、加害者である、米側である米兵を調べる方がベターだと言いましたね。その程度ですか。わが国でもし裁判権を行使できて起訴する場合、ベターだということは、そうでなくてもいいという場合もあり得る。加害者である米兵を調べなくても起訴するつもりですか。わが国で一般に、仮にもピストルと名前のつくものを被害者に向けて発砲して、命中をしてけがをさした場合に、その加害者を調べなくても起訴する場合があり得る、わが国が司法権を行使する場合、しかもその人間が死んだとか海外におるというんじゃなしに。あなた、そう思っているのですか。
  194. 筧榮一

    ○筧説明員 ベターと申し上げたのはちょっと言葉が適切でなかったかと思います。被疑者を当然取り調べた上で、確認した上で起訴すべきものと考えております。
  195. 正森成二

    ○正森委員 それはあたりまえの話であります。しかし、答弁の端々から出てくるように、そういうような態度だから、そもそもわが国の裁判権を主張することができなかったんじゃないですか。いまにして私は、なるほどこんな姿勢であなたが首席で交渉されたなら、わが国の裁判権を守ることができないのは無理もなかったのではないかという気がしてならない。  あなたに伺うが、求刑するとして罰金刑を想定されたんでしょう。懲役もしくは禁錮を求刑するほどの事案じゃない、こう言われましたが、日本側の場合には、一体何罪に間擬するように考えておったんですか。
  196. 筧榮一

    ○筧説明員 現地の判断をもとに——もとにと申しますか、検察庁から受けた判断に基づいて申し上げるわけでございますが、刑法二百十一条、重過失致死傷の適用が考えられると思います。
  197. 正森成二

    ○正森委員 アメリカ側は大統領命令か何かで数十の類型を考えている、そのどれかに該当すると思うと言われましたが、そのうちのどれに該当すると思ったのですか。
  198. 筧榮一

    ○筧説明員 その一つでございます「人に危害を及ぼすような状況下における火器の不正使用」という罪でございます。
  199. 正森成二

    ○正森委員 私は、いまの御答弁を伺っておって、それでは米兵の言いわけをそっくり認めている立場じゃありませんか。米側の発表でも、最初の嘉手納空軍基地報道部発表では、「彼らは軍事法典百三十四条に違反し、人命を危険にさらすような状況下で、山城安次さんに向けて不当かつ故意に発砲したことが認められた。」こう言っているのです。これは、現地で発表されている。アメリカ局長は、「山城安次さんに向けて」を緩和して、「山城安次さんの方向に」とこう言っているのです。「向けて」と「方向に」じゃ、ずいぶん違うのです。しかし、こういうような状況を、わが国の交通事故で相手を傷つける意思が全然なくて人をはねたりなんかした業務上過失と同じように見る。人を危険にさらすような状況下での火器の使用と言われましたが、統一軍法では百十九条と百二十八条に、本件に該当する可能性があるという条文があります。  百十九条の方は——私はアメリカの法律はよく知りませんけれども、「故殺」こう書いて、  「(a) 本法に服するいかなる者も、相当な挑発的行為により突発的激情にかられて、人を殺害し若しくは人に重大な身体的傷害を負わせようと意図して、不法に人を殺害したときは、任意的故殺の罪を犯した者とされ、軍事裁判所の命ずるところに従い処罰される。  (b) 本法に服するいかなる者も、人を殺害し若しくは人に重大な身体的傷害を負わせようとする意図を持たず、(1)重大な過失により、又は(2)第一一八条四号に掲げられた以外の罪で、かつ、当該被害者に直接向けられた犯罪を犯し、又は犯そうとした際に不法に殺害したときは、不任意の故殺の罪を犯した者とされ、軍事裁判所の命ずるところに従い処罰される。」また、八十条で未遂罪を罰する、こういうようになっているのです。だから過失であっても、そういう場合には本条によって処罰されます。  また、百二十八条は「傷害」の罪ということになっておりまして、「(a) 本法に服するいかなる者も、他人の身体を傷害するために不法な暴力を行使し若しくは行使しようとしたときは、人を傷害するに至らないときであっても、傷害の罪を犯した者とされ、軍事裁判所の命ずるところに従い処罰される。  (b) 本法に服するいかなる者も、(1) 死に至らしめ若しくは身体に重大な傷害をもたらすおそれのある危険な兇器、その他の手段若しくは暴力を用いて傷害の罪を犯したときは、……加重傷害の罪を犯した者とされ、軍事裁判所の命ずるところに従い処罰される。」いずれも未遂罪を罰するものであります。  ですから、常識的に言えば、百十九条か甘二十八条か、そのいずれかによって処罰されるというのは当然のことであります。そういうことを実際上米軍はやらないで、百三十四条を適用し、あるいは百三十四条の場合でも、そういうことができるのかもしれませんけれども、軍事裁判にはかけないで、裁判によらない処罰というので済ましておるじゃありませんか。  あなた方は、私が先ほど言ったアメリカ局長のこの文章を読みますと、「米側は加害者に対し速やかに刑事あるいは懲戒の手続、すなわち処罰のための手続をとり、その結果は日本側に通報する。」と言っておるから、本件について適正な措置がとられるだろうと思った。ということは、つまり初めから刑事罰じゃなしに懲戒の手続、つまり行政罰で済まされるということを認識しつつ、それで、なおかつ適正な措置である、こういうことで政治判断に踏み切るように外務省と一緒に考えたと言われても仕方がない。それは被害者を守る上から言っても、わが国の国益を守る上から言っても、著しく不適正であったと言わざるを得ない、こう思いますが、いかがですか。
  200. 筧榮一

    ○筧説明員 ただいまの刑事または懲戒の手続、その段階では、米側においてどういう手続がとられるか、私ども承知はいたしておりません。いずれにしましても、加害者に対し、適正な処罰の手続がとられるというふうに理解していたわけでございます。
  201. 正森成二

    ○正森委員 なるほど、地位協定の十七条の一の(a)には、米軍の「刑事及び懲戒の裁判権」という言葉が入っておる。われわれは、こういう地位協定自体、非常に不当なものであると思います。なぜなら、一方に対置されるものは、日本の司法権、つまり最高裁判所を頂点とする裁判所でなければ科せられないものであり、他方、米軍がこれに対置されておるのは軍事裁判所、われわれは特別法廷がないけれども、アメリカは仕方がないから軍事裁判所も司法権としましよう。それだけでなしに、日本で言えば行政罰、つまり何かがあれば停職六カ月にされるとか、あるいは戒告にされるとか減俸にされるとか、そういうようなものも、わが国の司法権にパラレルに対置されるものであると考えられておる、これが第一けしからぬけれども……。  しかし、本件のように、まさに公務外であると、わが国がわが国の主権をかけて争っておるような場合に、外務大臣の表現によれば、両方とも合掌立ちになっておる、このままでは正義が行われないなんて言うなら、その正義とは、少なくともわが国の観点から見て、司法権に当たるような処罰がアメリカ側からなされるであろうという十分の心証がなしに、裁判権を譲るなんというようなことは、第一おかしいじゃないですか。この文章によれば、アメリカ側は刑事あるいは懲戒の手続すなわち処罰の手続をすると言うておるのだから、ちゃんとアメリカ側は懲戒で済まそうということを言外に言うておる。われわれなら、これを見れば、ああ懲戒でやるつもりだなと一遍にわかる。そんな場合なら、日本国民の主権を守るという点から言っても、被害者の立場から考えても、絶対に譲れないという立場をとるのは当然じゃないですか。幾ら十七条の1の(a)に、米軍の司法権とはこういうことだと書いてあっても、それが政治というものじゃないですか。それを助言するのがわが国法務省の態度ではありませんか。何です、米軍が初めから行政罰の懲戒で済ます準備をちゃんとしておるのに、それで結構だということに結局なっておる。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕 そうなるとは思わなかったと言うなら、こういうことまで米側は言うておるのに気がつかなかったということになれば、非常に甘いと言わなければならない。知っていてやったということになるのであれば、そればわが国の司法権、主権に対する考えが非常に弱いと言わなければならない。  いずれにしても、われわれは沖繩県民の立場から言っても日本国民の立場から言っても、決して承服することができない結末であるというように思います。あなた方は国内で罪を犯した人に対して厳重な処罰を加えるだけでなしに、わが国の国民に対して加えられた違法な外人の犯罪に対しても毅然たる態度をとる、これが必要であると私は思います。その観点に立って見るならば、どう思っておりますか。
  202. 筧榮一

    ○筧説明員 ただいま先生おっしゃいました後段、国内の犯罪のみならず国外といいますか、外人の犯罪に対しても毅然たる態度をもって対処すべきであるという点は先生のおっしゃるとおりでございます。そのように運用いたしておるつもりでございます。  ただ本件につきましては、必ずしも——必ずしもと申しますか、その厳正な態度が維持されなかったというふうには考えておりません。
  203. 正森成二

    ○正森委員 私は、次の質問者もおりますから、これでやめさせていただきますけれども、女子中学生に対する事実について記録にとどめておきたいと思います。  私の調査したところでは、女子中学生はいろいろ微妙な点もありますが、姦淫行為そのものは既遂ではなかった、法律上は傷害がありますから、ああいう罪になるでしょうが……。そういうことも聞いておるのは不幸中の幸いだと思います。しかし、そういうようなことも含めて、沖繩県民がこうむっておる悲しみというものに対しては、わが国の政府当局というものは、もっとみずみずしい心を持って対処する必要があるというように考えております。  また、あなた方は十分な補償がなされるというふうに思っておられるかもしれませんが、民事的な被害を請求する場合にも、公務中の罪である、つまり山城安次さんが公務を執行しようとされても仕方のないような行為をしておって、そして本件が起こったという場合には、やはり民事裁判の上では過失相殺とかいろいろな問題が起こってまいります。ですから私は、民事的な損害賠償でも今度裁判権をわが方が譲ったということは、必ずしも山城さんにとって有利でない、不利な結果が出てくるというように思います。恐らく山城さんが損害賠償について請求を出しておらないというのは、そういう点についての不満があって、まだお出しになっていないと思いますが、それらの点について防衛施設庁か、あるいは法務省に聞くのか、あるいは外務省に聞くのかわかりませんが、防衛施設庁が十分に被害者の気持ちを考えた上で損害賠償の請求を出すように促し、そして適切な処置をとるように求めたいと思いますが、それについての答弁を求めて私の質問を終わります。
  204. 杉森一秀

    ○杉森説明員 本件の被害につきましては、事件は大変不祥な事件でございまして、特殊な事件でございますので、私たちの方といたしましても十分な補償を進めたい、かように考えております。  女子中学生の事件につきましては、これは当然に公務外の事犯でございますので十八条六項の手続になります。十八条六項の手続の場合は一括払いになっております。それでまだ被害者の方が治療が終わっておらないという段階でございますので、治療の方が完了すればなるべく速やかに被害者の方から請求書を取りつけて米側の方へ手続をとりたい、かように考えております。
  205. 正森成二

    ○正森委員 一点だけアメリカ局長にお願いしておきますが、金武村での布告を入手され——私がお出ししてもよろしいが、その布告の中に、アメリカ側の感覚としては大使のつもりでやれ、こういうようなことを言っておれば済むかもしれないが、日本国民の感覚から見ても、それだけでは不適切だと思われるような点があれば、日本国民の感情にかんがみ、軍紀を粛正する場合にも、日本側から見てもっと本当の軍紀の粛正をしてもらいたいということを、あなた方は措置される用意がありますか。それだけ伺って終わります。
  206. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 その点は私も先生の仰せられるとおり感じておりまして、先生の御入手なさいました部分を拝見しまして、アメリカ側がそういう感覚でこういう問題に対処をしているということでは、われわれとしては承服いたしかねるわけでございますから、さらに日本の、ことに沖繩の方々の国民感情を考えて、軍紀粛正について十分な措置をとり、そして行動させるようにいたしたいと存じます。
  207. 安井吉典

    安井委員長代理 次に、瀬長亀次郎君。
  208. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アメリカ局長に二、三確かめてから、内閣委員会でまたあるようでありますから、詳しいことは内閣委員会でやることにします。  最初に、大臣に質問するときに申し上げましたが、七日の外務委員会局長が言った「第二に、本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」ということが、きょうの大臣の最初の発表で、さっきも話がありましたが、本件は許すべからざるものであるが、起訴されても懲役または禁錮に相当するものとは思われない。というふうに変えています。そうなりますと、七日の局長の「さほど悪質なものとは認められない。」ということは取り消したと理解していいのか、それから承りたいと思います。
  209. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 七日の私の発言に関連いたしまして、他の委員会において御質疑がございまして、そのときに法務省の刑事局長から御説明があったわけでございます。そして私の記憶に間違いがなければ、安原刑事局長は、先ほど大臣が読み上げられたような趣旨に訂正してもようございますということをおっしゃいましたので、本日の大臣の御発言においては、いま瀬長委員が読み上げられたような表現を用いたわけでございます。  したがいまして、この点に関しましては、われわれとしては本日、大臣仰せられたのが正しい表現であり、最初に私が申し上げましたことは、単にもちろんアメリカ局長として申したわけではございませんけれども大臣の申し上げたことが正しい表現であるということを申し上げたいと思います。したがいまして、七日の発言については、その部分は訂正いたします。
  210. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、これは同じ会議録のページですが、「本事件発生直後米側は、非公式にではあるが、公務証明書を発給しない旨の意向を表明したにかかわらず、」云々とあります。「非公式にではあるが、」というのは、いつ非公式に出したのか、だれに出したのか。これはアメリカ局長の発言の中にあるのですよ。「本件につき適正な措置がとられるものと判断される。すなわち、」という中で四項目入っています。四項目の中で第二番目に「本事件発生直後米側は、非公式にではあるが、公務証明書を発給しない旨の意向を表明したにかかわらず、その後公務証明書を発給し、誤解を招いた点は遺憾である。」ということをアメリカは言っておる。この非公式、いつ、だれにやったのか。——これはアメリカ局長が言っておるから、アメリカ局長に聞いておるのですよ。
  211. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この点に関しまして、米側と現地の検察当局との間に連絡があったことは事実でございます。ただ、それに関しては、法務省のお話によりますと、それは非公式のものであった、その後、犯罪通知後十日以内という期限がございますが、その最終段階に至って先方が正式に公務証明書を発給してきたという事実はございます。したがいまして、その後、検察当局と現地軍当局との交渉について、われわれが御連絡を受けまして非公式ということを申し上げたわけでございますが、その具体的な折衝ぶりにつきましては、法務省からお答えいただきたいと思います。
  212. 筧榮一

    ○筧説明員 昨年の七月十九日に、沖繩におきまして現地の空軍の法務部長が検察庁の検事正のところへ来られまして、非公式に公務証明書を発給しないという旨の連絡を受けたわけでございます。
  213. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 七月二十二日、屋良朝苗知事あてに米空軍准将、司令官マクレイン、これが公式にちゃんと判も押して通知が来ておるのです。あなた方はアメリカの言うことであれば何でもオーケーということで、ここで、しかも国会の議事録に載るような発言をされております。いま私が申し上げました「沖繩県知事屋良朝苗殿」ということで、一九七四年七月二十二日付で、公式にいわゆる公務外であるということを発表されておる。これには、「第五空軍司令官では、」横田にいるのですが、「公務証明書を発行しないという決定をなし、そして関係空軍兵を日本の裁判権にゆだねることになっております。」と、明確に最初にそれを書いてある。しかも、これはマクレインという判を押されているのですよ。  これはアメリカ局長御存じだと思うのですが、知らないですか。英文もあるのですよ。これを持って屋良知事は、その司令官に会いに行っておる。あなたの名前で私に七月二十二日に、こういつたのを送られて、なぜ裁判権をあなた方はまた取り返すようにやったのかと抗議しに行っているのですよ。これは非公式ですか、どうなんです。
  214. 筧榮一

    ○筧説明員 公務証明書の発給あるいは公務中と認めるか認めないかという点についての公式の連絡は、米軍の方から当該地検の検事正あてになされるべきものというふうに定められております。したがいまして、その意味で、屋良知事にあてましたその司令官の文書は、非公式ということになろうかと思います。
  215. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いやしくも沖繩県知事に対して、第五空軍司令官の決定に基づいて代行して、そのマクレインという准将が判を押してやったのが非公式ということになると、公式というのはどのようなものが公式になるのですか。
  216. 筧榮一

    ○筧説明員 その通知のように、その後法律的な効果を伴います行為につきましては、やはり法令によりましてその通知をなす権限のある者、これを受領する権限のある者、その間になされるのが公式であろうと理解しております。
  217. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 筧課長ですか、あなたの言っていることの中にも、またわれわれの調査と違うところがあるのです。十九日に何か米軍側が検察庁に来て非公式に伝えたと言われましたね。それは事実ですか。
  218. 筧榮一

    ○筧説明員 そのように承知しております。
  219. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それは、承知しておりますではなくて、ちゃんと検察庁に電話があったのですよ。アメリカは来ていません。電話があって、公式には知事を通じてもやるということで、いわゆる十九日に電話でやって、さらに二十二日には、いま私が読みました屋良知事あてにちゃんと送っておるということが正しいのです。  ここで非公式なという問題をなぜ私、重視したかというと、事実関係も調べないで、いま正森委員からもいろいろ指摘されましたが、日本の法律を守る立場にあるのが、あなた方法務省だ。だから、日本国民の立場に立ってやる必要がある。こういった非公式になされたものは、どういう手を通じて非公式であったのか。屋良知事に対してはどのような手紙が送られたのか。屋良さんはこれを見て、ああそうかということだったんだな。それから二十九日には公務証明書を発給すると言い出したものだから、沖繩県民は憤慨したのですよ。     〔安井委員長代理退席、委員長着席〕 こういういきさつが実に不明確で、しかも電話で行われたのが、アメリカは来ていたと承知しておりますでは、どうなります、これ。
  220. 筧榮一

    ○筧説明員 先ほど米軍の法務部長が地検に見えたと申し上げましたのは、私の誤りでございます。電話で連絡があったようでございます。  ただ、県知事にあてて司令官から文書が参りましたことは検察庁としては承知いたしておりませんでした。
  221. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そういったようなことも、アメリカが裁判権を行使しないと——実に重要な事件ですよ、これは。二十二日の手紙は。あんたは、裁判管轄権分科委員会というのですか、あれの日本側代表委員だったのですか。そういった人がこういうことも調べないで、私たち日本に第一次裁判権があるのだ。あっちは、いや公務中だったからアメリカにあるんだ。日本政府を代表してやったあなたが、そういったようなもう初歩的なことすら調べないでいったということが、いまの答弁のいきさつではっきりしておるんじゃないですか。どうです。だから裁判権放棄につながるのですよ。
  222. 筧榮一

    ○筧説明員 いまの電話の件につきましては、私の記憶違いでございました。なお、刑事裁判管轄権分科委員会におきましては、私といたしましては極力意を尽くしたつもりでございますし、なおただいまの、公務証明書が最初は発給しないと非公式に言いながら、その後二十九日に発給されたという点につきましても、同分科委員会の席上、米側に対してその理由とか、あるいはどうしてそういうことをしたのかというような点で追及いたしたわけでございます。
  223. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これも山崎局長が言ったことでありますが、局長は、法的になると法務省になりますから、あんたにまた、筧さんですか、お聞きしますが、この中で「この事件の裁判管轄権の帰属に関する日本側の法的立場を維持」しつつも、本件の「早期解決を図るという実際的な見地から」本事件については「日本側は裁判権を行使しない旨をアメリカ側に通報した次第でございます。」こう言っていますね。その中で、いまでも「この事件の裁判管轄権の帰属に関する日本側の法的立場を維持」するということは、日本側に裁判権はあると思うのであるが、こういったことがあるので裁判権は行使しませんという意味ですね、これは。  いまでも日本側に裁判権はあるのだと、これは鎌田検事正が言っていました。私はやはり裁判権はまだ日本にあるという姿勢は変えませんと言っていた。いまでもそう思いますか、どうですか。
  224. 筧榮一

    ○筧説明員 第一次裁判権の帰属の問題につきましては、公務外であるという従来の主張を、私も現在でもそのように考えております。
  225. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、内閣委員会にアメリカ局長に対する質問は譲りますが、もう一つ法務省に、筧課長から答弁してもらいたいのは、外務大臣に私が、日本の法律で裁くのであれば、重い罪になるであったろうと思いますということを、会見したときに言ったことがあります。しかし、それについてきょう聞いたら、法務省ということになっておりますが、ひとつ見解を発表してもらいたい。  アメリカに裁判権を行使しないことを言った、アメリカが裁判した、しかし裁判ではなくて行政措置をした。ところで、いまでも、日本の法律によって裁判するのであれば、このような行政罰でなかったろう、重かったであろうということくらいは考えていますか。
  226. 筧榮一

    ○筧説明員 米側のと申しますか、アメリカの法令によって科される処罰と、日本におきます処罰を比較して、重い軽いを一概に論ずることは非常に困難かと思いますが、仮に本件を日本において処理するといたしますれば、起訴は免れない、しかし懲役、禁固までを求刑すべき事案とも考えられないということの結果といたしまして、罰金刑をもって臨むということになろうかと思います。
  227. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いままで午前から、外務大臣は一時からでしたが、それから現在までいろいろ意見が述べられて、答弁もありましたが、その中で、これまでこういったのはアメリカが裁判をして適正な処置をするだろうと思っていたのが、いま明らかになったことでも、罰金が没収になったり、あるいは没収というのも、十五条によると、もちろん没収という言葉を使ってはおりますが、減俸である。減俸もやられたかどうかもあいまいだというような、こういったことまで出ておる。そうすると、降等、これも執行猶予だから、まだ降等はされていないんですよ。六カ月間悪いことをしなければそのままだ。そして除隊で、もうちゃんとうちに帰っておるということになっているかどうか、これもあれですが、いずれにいたしましても、これは本当の処罰をされていないんだということが明らかになっておるんです。  ですから、裁判権を放棄した場合における日本国民の主権と安全、身体の問題、これがどのように危険になるか、これが安保条約、地位協定、アメリカ軍がここにいるというこの現実から出ておる。これが実に明らかになり、いままでの発表はほとんど仮構であった、罰金も仮構であったということが、これは処罰じゃないということが全国民の前に明らかになったわけであります。さらに、筧課長さんですか、が話したように、いまでもなお裁判権は日本にあるということをまだ信じておる。にもかかわらず、ベター、ベストではない、ベターの方がいいということになって、この解釈が行われておりますが、これはいろいろな面からさらに解明をしなければ、沖繩県民を初め日本国民は納得いかないようなものであります。こういったことを私、最後に申し上げまして次に移りたいと思いますが、アメリカ局長、もう質問は私はありません。法務省の関係もありません。  総務長官に質問した際に労働問題について話しましたが、労働問題について、労働省に沖繩の失業問題ですね、これについて具体的にどう処置されようと思うのか、これは、私が申すまでもなく日本で一番失業率が高いし、さらに、失業者二万一千人ということになると大変なものであります。労働省の方から具体的にその問題について、いわゆる失業対策があれば簡潔に話してほしいと思います。
  228. 江田茂

    ○江田説明員 先ほど先生から御指摘ございましたように、沖繩の現在の失業者は二万一千人、失業率本土に比べて五・一%と、きわめて高い水準にあるわけでございます。御承知のように、沖繩県の場合に、産業構造で見ますと第二次産業が二〇・四%と、本土の三四・五%に対してかなり低い状態でございまして、この第二次産業というような労働力を吸収する余力のある分野が非常に狭い、こういうような点と、それから、沖繩という地域の特殊性から失業者が滞留をしておるということから、特に失業率が高くなってまいっておるわけでございます。  この点につきまして、昨年の秋以来、また最近は労働大臣も現地の視察を行ったわけでございます。昨年の十月に、広域求職活動地域という指定を沖繩県の安定所、那覇の安定所の管轄区域に初めて行ったわけでありまして、それによりまして、広域求職活動を行うことによって、できるだけ本土の優良な求人を、この失業者に関してあっせんをしていくという体制をとっているわけでございます。この二月、第一回のそういう広域求職活動、こういうシステムによりまして本土沖繩から現地視察を行って、求職をなさったわけでございまして、かなりの人がそれによって再就職を本土の方にしてもらうというような状態がようやく始まったわけでございます。  私ども方針といたしまして、先ほど申し上げましたように、沖繩県内においてそういった失業者の方の再就職の場が、現在の段階においては非常に乏しいということから、いま申し上げましたような広域求職活動によりまして、できるだけ本土の優良な求人に沖繩自体の求職の場ができるまでの間は職業のあっせんを行っていく、こういうことでもって対処いたしております。昨年の秋以来、全国的に求人が非常に減少傾向をたどっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、各県できるだけ努力をして優良な求人を沖繩に対して送るように、こういったような行政指導もあわせて行っているわけでございます。  さらに、もう一つ問題点といたしまして、現在御承知のように海洋博、この関係でかなりの人が、沖繩内でもって約三千七百名ばかりが就労しているわけでございます。海洋博工事の終了とともに、さらにまた七百人程度の失業者の増加が見込まれるわけでございまして、こういったような新しく発生が見込まれる就労者中の失業が予想される人々に対しましても、先ほど申し上げましたような広域求職活動地域の指定、これを通じまして、さらにきめ細かい就職あっせんをしてまいる、こういうような所存でございます。
  229. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 他府県に比べて沖繩が本当に全国の約二倍の失業率がある、それは御存じだと思いますね。ですから、そうなると、他府県に比べても、やはり特段に労働対策の上での失業対策は、予算の裏打ちからも特別な失業対策が必要ではないか。さらにこれは防衛施設庁との関係もあると思いますが、私たちが復帰する前に失業者は最高八千人を越したことはございませんでした。いまはその約三倍になっておる。だから、どうも復帰すれば他府県並みになるんだということで喜んでいた人々が、復帰したら三年間に三倍近く失業者がふえた。この失業問題が特に大きい問題であるので典型的にあらわれておる。  ですから、これはひとつ予算面からも、本当に考えられることは——いろいろ問題がありますが、就職をあっせんする、職業訓練をする訓練所がある。ところで、どういうふうな措置をとっても就職の場がないという場合には、もう街頭にほうり出されているというかっこうになる。やはり日本国民ですから、これは失業中本当に人間として生きるだけの保障は絶対必要だと思うのですね。そういう対策について何かお考えになっているかどうか。これは後で施設庁にも——だんだん基地労働者の解雇も非常に激しくなり、そして手続も踏まないで、ぽんぽん解雇通知が来るというふうなのが実態であります。  そういった意味で、労働省の方で特別に、現実に数字であらわれておりますから、ほかの県に比べても全国的に比べても二倍以上になっている、こういったような状態をどのように改善していくかという問題の対策があるか、はっきり言ってほしいと思います。
  230. 江田茂

    ○江田説明員 沖繩の駐留軍離職者対策といたしまして、四十九年度に駐留軍離職者を対象といたしました総合職業相談所を設けたわけでございます。さらに五十年度はこの相談所の機能を充実させまして、ここが中心になって駐留軍の離職者の再就職対策を進めていくということで、現在かなりの効果を発揮してまいっておるわけでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、沖繩の県内で現在の二万一千人の失業者をすべて吸収するということは、現在の雇用状況あるいは経済状況から見てきわめて困難であるということから、かねて沖繩県の方とも御相談申し上げて、これをできるだけ本土の優良な求人者にあっせんをする、こういうことを進めてまいったわけでございます。ようやく昨年の秋に、沖繩県の方もこの点につきまして御同意を得まして、先ほど御説明申し上げましたように、広域求職活動地域、こういうような指定をいたしたわけでございます。これによりまして、本土に就職をしようという方に対しましては、失業保険金の給付期間の延長、こういったような措置も行っているわけでございます。  さらに、そういったような方々が本土に就職をするという御希望があって、本土の事業場を見たい、こういうような場合には、私どもの方の費用でもって、本土までの旅費とか宿泊費あるいは日当、こういうようなものを支給いたしまして本土の企業を見ていただく。そこでもって再就職先として納得がいく、安心ができるといった方々は就職をしていただいているわけでございます。これがさつき申し上げました、ことしの二月にそういった措置の第一回目の実施を行ったという点でございまして、これはかなりの効果を上げたわけでございます。  私どもといたしましては、本年度はさらに多数の人数を対象といたしまして、こういった広域の求職活動というものを実施してまいりたい、これによりましてできるだけ本土の優良な求人の方に再就職をしていただいて、沖繩県内のいまの失業の圧力というものを、いささかでも緩和してまいりたい、こういうような考えでございます。  さらに、そういったような再就職をなさる場合には、これは移転のための費用、こういったようなものを支給いたしますとともに、本年度からは再就職をされる場合の奨励金といったようなものの中身も、かなり充実をいたしたわけでございます。あるいはこのほかに、駐留軍の離職者の方に対しましては、駐留軍離職者手帳に基づきまして就職促進手当を支給いたしております。これにつきましても、本年度は平均月額で、これは全国平均でございますが、六万七千五百円という額を支給するということにいたしております。これによりまして、再就職ができるまでの間の生活の援護を行う、こういうような施策を講じているところでございます。
  231. 松本忠助

    松本委員長 瀬長君に申し上げます。  先ほどの法務省の筧刑事局総務課長の答弁に補足の答弁をいたしたいという申し出がありますので……。法務省筧総務課長
  232. 筧榮一

    ○筧説明員 先ほど先生の御質問にお答えいたした中で、若干言葉が不足した面があると思いますので、若干補足させていただきたいと思います。  裁判権の帰属について現在もどのように考えておるかという点で、現在でも、本件についてはやはり公務外と判断すべきものというのは変わりませんとお答えいたしたわけでございますけれども、そのことと現実の裁判権の行使は別だということでございまして、日本側が公務外であるということで持っております第一次裁判権を不行使の通告をし、それを受けて米側の方で懲戒の裁判権を行使いたしました以上、本件について、日本側では裁判権を行使する余地はない。したがいまして、第一次裁判権がいまもあると思っておるという趣旨ではございませんで、本件の認定が公務外か公務中かという点については、現在でも公務外であるというふうに考えておるという趣旨でございますので、若干補足させていただきます。
  233. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの補足説明はずいぶんびくびくしたような、もう少し自主性のある日本政府であれば、ようし今度は間違っていたから取り返そうじゃないかという気持ちが起こる、と国民から誤解されてはいかぬということで説明だと思いますが、これは補足説明ですから、そのとおりでいいと思いますが、時間がありませんので……。  次、実は沖繩の米軍嘉手納弾薬庫地域一帯の松がマツクイムシ、これは専門用語ではマツノザイセンチュウというそうです。このマツクイムシによって四百四十木の松が立ち枯れしているということが、さきの沖繩県当局の立ち入り調査でわかっております。そこで、そのまま放置しますと、三カ年から四カ年には沖繩のすべての松がやられて枯れてしまうほどのマツクイムシであります。問題は、基地内ですから沖繩県庁ば自由に入られぬわけです。  そこで二つ要望いたしたいのですが、これに対するお答えを願いたい。このマツクイムシ、これが寄生しておりますマダラカミキリというのは三月まで冬眠するんですね。四月から飛び出していく。小さいのがあっちの松こっちの松に伝播するものでありますが、これは施設庁の仕事になりますかね。私、これは三月末日までに、冬眠しておる間に切りなさいと言うつもりだったが、もう五月になっております。だがしかし、早ければ早いほどいいので、この被害松を伐採し、そして運び出し、焼却する。あるいは運び出すのが事実不可能であれば、基地内で焼却して、焼却したことがわかるようにするという問題が一つ。もう一つは、九月までにマダラカミキリの成虫駆除のため誘引剤による誘殺を行うこと。こういった点は特に、林野庁あたりも関係するかもしれませんが、基地の問題ですから、基地内に入ってやるかどうかは施設庁の管轄じゃないかと思います。この二点お約束してくださいますかどうか。
  234. 松尾広俊

    ○松尾説明員 ただいまお話ございました嘉手納弾薬庫地区のマツクイムシの被害につきましては、御指摘のとおり昨年末調査いたしましたところ、大体推定で約四百四十本被害を受けている。そのことが判明いたしましたので、アメリカ軍にこの対策について本年の一月に申し入れを行っております。どうも米軍は予算措置が要るので、具体的な手法について現在検討中であるという返事が返ってきておりますけれども、御指摘のとおり時期の問題もありますので督促をさせておる次第でございます。
  235. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これ、いま申し上げましたように三年から四年までに沖繩の松は全滅するというんですよ。自然は守らぬといかぬですよ。基地内でも、これいつまでも基地あるんじゃないんだから、基地撤去させぬといかぬですからね。撤去させたときにもう松はなくなってしまっているということになっちゃいかぬですよ。日本の林、日本の森ですからね。だからこれは一日も早くこの松が——枯れた松はしょうがない、これは虫がわいているから伐採して、そうして焼き払う、これが第一。さらに誘引剤を早目に持っていってこの虫どもを殺す、この二点なんですよ。これ約束してもらわぬと、あれは施設庁しか入れないところなんですよ。  それで、あれは林野庁ですか、私よくわかりませんが、そういった専門家の人々も一緒になって、道をあけるのは施設庁、そして仕事を本当に点検して、よし、全部切られた、そうしてこれは大丈夫というふうに専門的立場からすると、施設庁じゃ虫のことだからわからぬと思うんですね、兵隊のことはわかっても。そういった意味で、ひとつこの委員会で約束してくださらぬと困るというわけです、ちゃんとわかっているんだから。
  236. 松尾広俊

    ○松尾説明員 御指摘のとおり私ども専門家でございませんので、手段その他についてはよくわかりませんけれども、林野御当局と近く相談いたしまして、適切な措置を検討したい、そういうぐあいに考えております。
  237. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これも基地関係するものですが、沖繩の北部に大宜味村というのがあって喜如嘉という部落があります。この喜如嘉で織られておる芭蕉布ですが、これは国の重要無形文化財に指定されております。これもいまバナナセセリとかいろいろな害虫が入ってきて、そして芭蕉布の原料になるバナナが全滅するおそれがある。しかもこの虫は、もともと沖繩にあった虫じゃないんですね、これは東南アジアから来ているんです。海兵隊と関係があるんですよ。そういった防疫上の問題があり、さらにこれは無形文化財を守るためにも、地場産業ですから芭蕉布を発展させるためにも、農林省は適切な措置をとり、この無形文化財を地場産業として、むしろ発展させるという方向の措置をとってほしいと思いますが、どうでしょうか。
  238. 福田秀夫

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  いまお話しございましたバナナセセリ、大宜味村喜如嘉部落でございますかの無形文化財の芭蕉布を織っております付近にかなり発生しているということを承知しております。しかしながらこの虫は、バショウの葉っぱを食い荒らす虫でございまして、芭蕉布を織ります繊維は幹の方からとります。この幹をとりますときに、葉の部分は全部葉切りと申しまして切り落としまして、それから後で繊維をとって芭蕉布を織っているわけでございまして、その葉切りをして葉っぱをとり落としてしまう、それを焼いてしまうということは、この虫のかなり大きな防除の一つになっております。そういったことで、芭蕉布を織る繊維そのものに対する実害というものは、いまのところは認められてないというふうに考えます。  ただこの虫が、そのようにバショウの葉っぱを食い荒らすということも、確かに気になることでございますので、そういった気になっている範囲も沖繩県当局の御連絡によりますと一・五ヘクタールぐらい、大宜味村でございますか、村当局のお話でも二ヘクタールぐらいということで、大して大きくない面積でございますので、この防除にかかる費用と申しますものも大したことじゃないというふうに考えております。  したがいまして、現在農林省といたしましては県並びに農林省の那覇植物防疫事務所、こういったところの報告によりまして、大宜味村初め沖繩県内におけるバナナセセリなどの発生実態を十分つかんでおるつもりでございますが、今後とも県なりその他関係しているところとの連絡を密にいたしまして、発生の推移を見ながら、御指摘のような面につきまして遺憾のないように十分な処置をとっていきたいと考えております。
  239. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは最初は大宜味村喜如嘉でこの虫が発生したのじゃありません。これは中国で発生している。すなわち基地の町コザ、それがだんだん進んで金武方面。だからこれは東南アジアにいる虫なんです。沖繩にいなかった。しかも三、四年前から入ってきた。海兵隊が入ってきた。この防疫については万全を期してもらわなくちゃいけないのじゃないかと思う。もちろんこれは植物だけの防疫では万全を期せないと私は思うのです。どろからも、戦車も洗わなければならない、あなた方は戦車は検査できぬでしょう。そういった意味では、この海兵隊その他沖繩基地というものが、そういう芭蕉布の問題まで触れているという問題をぜひ配慮してもらって、防疫関係は少なくとも土や戦車や大砲などは、あなたの方じゃどうにもならぬと思いますが、防疫関係の方もぜひ万全の処置をとってもらいたい。要望します。どうですか。
  240. 福田秀夫

    ○福田説明員 沖繩県が復帰する前は、残念ながら米軍の貨物その他につきましては植物検疫を行うことができず、やっておらなかったようでございます。しかしながら、復帰したときから農林省那覇植物防疫事務所を設置いたしまして、米軍の貨物につきましても全部検疫をするということでやっておりまして、戦車のどろに至るまで、船の中まで上がり込みまして現在はやっております。嘉手納基地内にも防疫班を出張検疫させるために常時派遣いたしております。この五十年からは、さらに嘉手納基地内に出張検疫だけではなくて、常駐させる意味で、新しく那覇植物防疫事務所嘉手納出張所という看板を下げさせてもらうことにいたしました。そういったことで、今後とも米軍の貨物に関する植物検疫も万全を期してまいりたいと考えております。  それから、幸いにして植物防疫班は制服を着ておりますと、基地の中にはいれるという約束になっておりますので、従来から植物検疫のためにしばしば基地内に入っておりますが、基地内のバショウ、これは生えていると言いますか、特にバショウを植えているものはないのでございますが、ちらちらと生えているのを見ておりまして、もしそれらに被害があれば、それを切るということも米軍の了承を得ておりますし、バショウは切りましても、また生えてくるものでございますので、切ることに大きな抵抗もないかと思います。今後ともそういった面につきましても十分万全を期してまいりたいと考えております。
  241. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで終わります。
  242. 松本忠助

    松本委員長 渡部一郎君。
  243. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 沖繩県沖繩市、読谷村、北谷村、嘉手納村、四つの市及び村から嘉手納米軍基地に対する給水の問題でありますが、この給水の問題は、日米合同委員会の了承によってこれらの市町村が給水するということに決まっているわけでありますが、今日に至るまで、法的な三十日間という予定日を過ぎたにもかかわらず、米軍との折衝が依然としてうまくいかず、この給水が事実上正規の形で行われない、当然それに伴うところの収益もこれらの市町村に納付されない、そういうような状況があるやに承っているわけでありますが、この間の水道の直接供給の問題について、どういう経過をたどっており、どういうことになっておるか、その辺の御事情を御説明いただきたいと思います。
  244. 山崎卓

    山崎説明員 水道環境部の計画課長山崎でございます。実はこの問題の直接の所管は水道整備課長でございますが、ただいま地行の方へ出席しておりますので、かわりまして私からお答えさせていただきます。  嘉手納基地に対します給水は、復帰のときに米軍との関係で市町村の方から行うというようなことは合意されたというふうに理解しておりますが、いま先生御指摘のとおり、嘉手納基地の区域が四市町村にわたっております関係上、その水道事業の形態との関係でどういうふうにするかということがいろいろと問題になったようでございます。国の方といたしましては、そうした関係から、県が直接やるのでなくて、市町村の方がやること自体はぜひそういうふうにしてほしいと考えておったわけでございますけれども、そのやり方といたしまして市町村が企業団をつくってやるか、あるいは一つの市から給水をして、あと関係の各町村と当該給水を行います市との関係は市町村間の話し合いで行うか、この辺をめぐりましていろいろと協議が行われ、なかなか結論が出なかったわけでございますけれども、昨年の暮れに、これは地元の特に市町村の方の御要望等の線と合致するわけでございますけれども沖繩市から給水をしていく、そしてほかの町村の方は沖繩市との協議によって御自分にかかわり合いの部分の問題を解決していく、こういうことでいこうじゃないかということにまとまりまして、これにつきましては厚生省もそれから沖繩県も合意をいたしまして、したがって、そのように取り運ばれるというふうに理解をしておったわけでございます。  したがいまして、現在沖繩県の方から給水されておりましたものが、そのように移管になっている、手続が運ばれているというふうに理解しておったわけでございますが、今日の御質問を受けてみますと、まだ現地で必ずしもそれが順調でないようでございます。沖繩県努力しているというふうな報告にも接しておりますので、厚生省といたしましても大筋はそういうことでございますので、ぜひその方向に向かってスムーズにいくように努力してまいりたい、かように考えております。
  245. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 昭和五十年一月二十四日、沖水総第三百九十九号の文書によりますと、沖繩市水道事業管理者、水道部長仲井間憲一氏の名前において、次のような通知が米軍に対して行われております。   嘉手納基地施設、全区域給水について(通知)   みだしのことについて、沖繩市が北谷村、嘉手納村、読谷村の同意を得て沖繩県企業局から当該基地への給水の責務を引き継ぐことになつたので、米軍は日米合同委員会の了解覚書(昭和四十八年三月八日付)第二項b号により、沖繩県企業局から通知を受けた日から三十日以内に沖繩市と給水契約を締結するよう通知します。 と通知が行われております。  ところが、それに対して米側の方から御返事がありまして、契約書その他が不備であるから、うまくいかないのだというようなお話し合いがあるわけであります。  これに対して昭和五十年三月三日、水道部長仲井間憲一氏の手からもう一回通知が行われております。    提出意見に対する回答   昭和五十年二月二十五日貴契約事務所より受領しました書簡に対して回答します。   さて、貴書簡中一、二、三項については別添資料を提出します。しかしながら四項の料金については当該市町村議会において審議決定されるべきものであり、需要者において審理さるべき問題ではないと解します。   更に米軍との契約については、県と沖繩市、北谷村、嘉手納村、読谷村の間で沖繩市が給水することになっており、給水契約に必要な資料は沖繩市の給水条例(料金表)及び同施行規則で足りるものと解する。従って他の村の給水条例(料金表)及び同施行規則は契約と何ら関係ないものと思料します。   先に日米合同委員会の合意事項に基づき、米軍が通知を受けた日から三十日以内に給水契約を締結するよう通知したがすでに三十日を経過した今日契約が締結されないことは甚だ遺憾であります。そのことは日米合同委員会の合意事項に反しており住民の米軍不信につながることを憂慮するものであります。 こういう通知が行われております。  こういう問題が起こっているにもかかわらず、その後厚生省がこれについてうまくいっていたものと錯覚されていたのはどういうわけなのか、伺いたいと存じます。
  246. 山崎卓

    山崎説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたような経緯によりまして、昨年の暮れに沖繩市から給水することが一番妥当であろうという見解に厚生省、県並びに地元がまとまりましたので、その点がまとまりますれば、当然復帰の際にまとまりました取り決め、あるいは地位協定、その他の関係によりまして進んでいくものというふうに私どもは判断をし、事実その後現地でそういうふうに進んでいないという点の報告もなかったものでございましたので、今日までそういう認識でおった次第でございます。
  247. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと、沖繩県と厚生省との間にはこれについて全くお話し合いがなかった、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  248. 山崎卓

    山崎説明員 そういうことの報告を受けていなかった、こういうふうに申し上げます。
  249. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 沖繩開発庁の方、いらっしゃいますか。——沖繩開発庁というのは、こうした問題については所管外と考えられておるのかどうか、伺いたい。
  250. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 所管外と考えております。
  251. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますとこの問題は、決められた日米合同委員会の合意事項が破られており、紛争が生じておるわけでありますが、外務省はこれに対してどういう報告を受けておられるのか、どういう対処をされておられるのか。
  252. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この問題について一つの合意ができておるわけでございますが、その点がうまくいっていないということにつきまして、われわれ実はまだ報告を受けておらないわけでございます。
  253. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 厚生省はこの点について、日米合同委員会等において日本側からの要求を米側に伝えることは考慮されておるかどうか、また、そういうことでなくて、この問題は直ちに片づく、あるいは日を切っても大丈夫なほど見通しがついておる、そういうふうにお考えなのかどうか、その辺伺いたい。
  254. 山崎卓

    山崎説明員 先ほどもお答えしましたとおり、この問題につきましてはつい先ほど承知したわけでございますので、事態の真相あるいはどういうような運びになっておるか等々も実は詳細承知しておらない次第でございます。したがいまして、早急にそういうことも掌握し、必要があれば外務省あるいは防衛施設庁等々とも連絡をとりまして、ぜひ善処したいと考えております。
  255. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 沖繩県知事の屋良朝苗氏より嘉手納空軍基地司令官トーマス・M・ベナー大佐に対して次のような要請が出ております。    沖繩市との給水契約の早期締結について(要請)   沖繩の米軍施設区域への給水問題については、昭和四十八年三月八日、日米合同委員会において市町村の水道から給水することで承認された。   別添日米合同委員会了解覚書によれば、沖繩県企業局は、各市町村が水道事業者としての責務を引き継ぐ計画を米軍に通知し、米軍はその計画に従って、通知を受けた日から三十日以内に、当該市町村と給水契約を締結するものとすることになっている。   これに基づいて、昭和五十年一月二十一日づけ沖繩県企業局長安里一郎から太平洋空軍調達センター第十八戦術戦闘機航空団嘉手納基地あて速やかに沖繩市と給水契約を締結するよう通知してある。   しかしながら米軍は通知を受けてから三十日はもちろんのこと百日余を経過しているにもかかわらず、今日未だ沖繩市と給水契約を締結していないのは、当該日米合同委員会了解覚書に反するとともに国際信義にも、もとるものであり、全く遺憾である。   よって早急に沖繩市と給水契約を締結するよう要請する。   なお、沖繩市との給水契約をいつまでに締結できるか、その計画、又は見通し等を昭和五十年五月十日までに是非御回答願います。 こうなっております。  これは承知しておられますか、またその回答について承知しておられますか。
  256. 山崎卓

    山崎説明員 お答えいたします。  承知しておりませんでした。
  257. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そういうことはちょっと困るのですね。こういうことでごたごたもめているのに、当該関係局がそういう問題を知っておらない、そして地元の紛争にゆだねられておる、こういうことははなはだ遺憾であります。これについては責任ある答弁を求めなければなりませんが、説明員の方はおられますが、政府委員としてお残りになっているのはアメリカ局長だけですか。そうすると局長からお答えをいただかなければならぬと思うのですが、政府を代表してお答えいただけませんか。これは明らかにひど過ぎますよ。地元で大げんかしているのに、関係当局が何も知らないなんて、私ちょっとほかの質問をしている間に、そこで御相談ください。  この給水契約に関する米軍調達部からの、こちらの米軍の契約将校からの沖繩県側に対する説明文の中には嘉手納基地を経由する水道施設、まだここを経由して水道が供給されているようでありますが、それに対して一立方メートル当たり八円の料金を支払っているのですが、わが方が支払っているわけですが、それは高過ぎる、これをやめたいというようなお話までここに出てきております。  このように、まさにいろいろな問題をごちゃごちゃにして妙な交渉が行われるということは、地元においては観すます紛糾の種になるかと思います。また今日に至るまで、これら関係四市町村が米軍基地に対する供給の問題がまとまらないため一億三千万程度と推定される歳入が実質的に行われていない、こういった問題をどうするか、これはいつになったら処理をするのか。それでさかのぼって徴収ができるのか、その辺もまだ明快でありません。これら問題点をどういうふうになさるか、ひとつお答えをいただきたい。
  258. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 本件につきましては、大変申しわけございません、私も十分承知しておりませんでしたが、合同委員会の合意どおりに実施に至っていないということは大変遺憾でございます。早速関係省とも御相談いたしまして、合同委員会の合意どおり、できるだけ早く実施に移されるように努力いたしたいと存じます。
  259. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 厚生省の方からも、ちょっと御答弁いただけませんか。
  260. 山崎卓

    山崎説明員 沖繩におきまして、そういう事態が起こっておるということの掌握ができなかったこと自体まことに遺憾に存じます。私どもも特に沖繩県につきましては、復帰後間もないことでございますので、そうしたようなことにつきましては、特に耳をそばだてまして情報のキャッチに今後とも努めたいと思います。また、この件につきましては、関係方面とも連絡の上、早急に善処してまいりたい、努力してまいりたい、かように思います。
  261. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、私のところに関係市町村から陳情書、請願書、給水協定書、給水契約書、それから給水契約に関するさまざまな回答、申し入れ、それから給水問題に関する経過報告書等、地元から私の方に集めてございますので、そちらでお持ちでなかったら、後ほどごらんに入れてもよろしゅうございますから、早急な解決をぜひお願いをしたい。こんな愚かなことで、いつまでも事態が遷延することは決して好ましいことではない。  それから、もう一つ申し上げておきますが、米軍に対する水道の供給は一立方メートル当たり二十八円で供給されているのに、沖繩市民に対しては四十円で供給されていると地元では述べております。こうした事実については、どうしてそんな妙なことになるのか。市民に対する供給は非常に高くて、米軍に対してだけ特別に安くなる。これはまことにうなずけないところですが、これもあわせてちょっとお伺いしたいのですが、どうでしょうか。
  262. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 沖繩県の水道事業は、御承知のように占領中は琉球水道公社で行っておりましたが、その業務を公営企業として復帰後に沖繩県企業局が引き継いだ、沖繩県企業局の事業はいわゆる用水供給でございまして、水道事業者でございません。用水供給事業として沖繩本島の各市町村に水の卸売をやっておるわけです。  その卸売単価は全島たしか立米十七円であったかと思います。その十七円の水をこの場合にトン当たり二十四円で売っておる、こういうのが仕事の実態でございます。一般の市町村は、この十七円の水を卸売を受けまして、それ以外に自分の持っている水源と合わせて水道供給をやっておるわけですから、一般市町村の各市民に供給いたします水の値段は市町村ごとにまちまちでございます。
  263. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ただいまの御説明、わかったような感じもするのですけれども、米軍の嘉手納基地を経由する分に対して一立方メートル八円を米軍に支払いながら供給するということも、またこの四十円という高単価の中には含まれておると私は思うのです。したがって、この辺の関係を図表にして——一つ沖繩県の中でこれほど公共企業体が料金がばらばらであるということ、そしてかなりの落差がある、こうしたことは決して好ましいことではないし、その辺ひとつあわせて資料として御提出を願いたいし、御説明を仰ぎたいと思うのですが、どうでしょうか。
  264. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 ただいま御質問のございました基地内を経由する分につきましてトン当たり八円というのは、基地内の配水管が米軍の施設でございます。米軍所有の施設を使いまして給水をいたしております関係で、施設使用料として払っておるというふうに私どもは聞いております。
  265. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 資料提出はいかがですか。
  266. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 沖繩開発庁は当該資料の持ち合わせがございませんので、防衛施設庁に資料の持ち合わせがあるかどうか照会いたします。
  267. 山崎卓

    山崎説明員 沖繩県内におきまして営んでおります水道事業の水道料金ということでございましたならば、水道統計というような統計がございますので、そちらの方から御要望の資料が整えられるか、かように存じます。それでございましたならば提出できます。
  268. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、この問題一つに典型的にあらわれるのですが、先ほど同僚議員が述べましたけれども、アメリカに対しては非常にびくびくと口をきく、地元のごたごたについては余り口をきかぬというような姿勢であるとしますと、これはますますおかしなことになる。ひとつこうした問題については積極的に取り組まれて、明らかに一つの地方自治体の問題ではなく、一つの日米間の関係の問題として処理していただくよう特段の御配慮をお願いしまして、質問を終わりたいと存じます。
  269. 松本忠助

    松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会