○瀬長委員 いま主権の侵害にはならないといったようなことでありましたが、いま、稻葉発言と
関連して憲法の問題が非常に国民的な論議を呼んでおります。御
承知のように日本国憲法の前文の結びには「われらは、いづれの國家も、自國のことのみに専念して他國を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に從ふことは、自國の主権を維持し、他國と対等
関係に立たうとする各國の責務であると信ずる。」さらに基本的人権の問題に対しても、十一条で基本的人権は妨げられないという問題、さらに十三条、いわゆる個人の尊厳であります。すべての国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福の追求に対する国民の権利、この規定があります。
裁判権は日本の主権にかかわる重要な問題であり、これを放棄したということの重大性、生命、身体の安全、こういった問題についての見解は、安保条約があるからというような形では解決はできないのではないか。こういった論点に立って、いま侵害ではないという
大臣の答えがありましたが、質問を進める
段階で、
内容面について、いま一番最初に
大臣がここで解明されたものの中で、去る七日、
山崎政府委員が発表したものと違った点があります。
山崎局長の発言では——これは第二になっております。「本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」これが問題になったのですね、それで
山崎さん、これはおわびするとか、いろいろ
大臣も知っておられるように。これがどのように変わったかというと、本件は許すべからざるものであるが、起訴されても懲役または禁錮に相当するものとは思われない。というふうに変わっております。
いろいろの点が変わっておりますが、さらに
局長の発表の中に変わった点があります。伊江島事件に関する嘉手納空軍
基地報道部発表、これは五項目にわたって発表され、
政府もそれをやや確認されていたようでありますが、その中で第一項ですね。三等軍曹から上等兵への降等が軍曹から伍長への降等、これはいいと思います。別に大したことはないのですが、処罰の執行は六カ月間猶予された。その次に、譴責ということも加わっております。今度は陸軍刑法十五条を適用した。ところが、十五条には罰金がないのだが、罰金にしたと言っているがどうかということを、われわれは新聞にも発表し、さらにこの前も
局長と会ったときに言いましたが、罰金は十五条のどこの項にあるか。没収に変わっております。罰金はもちろん十五条にありません。どこの項にあるかといろいろ聞いたのですが、これは没収に変わっております。
それから、さらに今度は重大な変更があります。四です。「彼らは、」二人の兵隊です。「軍事法典百三十四条に違反し、人命を危険にさらすような
状況下で、山城安次さんに向けて不当かつ故意に発砲したことが認められた。」これが
嘉手納基地報道部の発表であるが、これがこう変わっております。「山城安次さんに向けて」というのが「山城安次さんの
方向に」——「向けて」というものと「
方向に」ということは非常に違ってきます。そういう変更が行われている。これは
調査してさらに新聞に発表されると、世論は、何だ、罰金の項目はないにかかわらず、罰金とは一体何のどこを指しているのだ。あるいは減俸とか没収はあります。したがって、これは決して刑事罰ではない。ただ刑事罰の問題、懲戒もそういった司法処置だということでありますが、いずれにしても、そういう発表の違いが出ております。
国民に対してできるだけ正当な手続に基づいて、法典の解釈も理解ができるような解釈にするようにという
努力が、このように変わったと思いますが、この「本事件における加害者の行為はさほど悪質なものとは認められない。」という問題が、なぜ、本件は許すべからざるものであるが、起訴されても懲役または禁錮に相当するものとは思われない。というふうに変わったのか。ここら辺は、これは
大臣から言われたので、解明できれば一応解明してください。